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1980-03-13 第91回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十三日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君       菊池福治郎君    近藤 元次君       佐藤 信二君    佐藤  隆君       菅波  茂君    高橋 辰夫君       西田  司君    福島 譲二君       保利 耕輔君    堀之内久男君       渡辺 省一君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       新村 源雄君    馬場  昇君       細谷 昭雄君    本郷 公威君       権藤 恒夫君    瀬野栄次郎君       中林 佳子君    神田  厚君       近藤  豊君    阿部 昭吾君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 鉄雄君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君  委員外出席者         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会農畜         産部長)    小口 芳昭君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     永松 英二君         参  考  人         (社団法人日本         乳製品協会会         長)      山本 庸一君         参  考  人         (北海道農民連         盟副委員長)  松川 牧夫君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     八木  昇君   細谷 昭雄君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     細谷 昭雄君   八木  昇君     馬場  昇君 同月七日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     小川 平二君   根本龍太郎君     小里 貞利君   福家 俊一君     田名部匡省君   保利 耕輔君     粕谷  茂君   堀之内久男君     田原  隆君   松澤 雄藏君     高橋 辰夫君   柴田 健治君     大原  亨君   権藤 恒夫君     岡本 富夫君   松本 善明君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   小川 平二君     玉沢徳一郎君   粕谷  茂君     保利 耕輔君   田原  隆君     堀之内久男君   大原  亨君     柴田 健治君   岡本 富夫君     権藤 恒夫君 同月十三日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     島田 琢郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     小川国彦君 同日  理事柴田健治君同月五日委員辞任につき、その  補欠として柴田健治君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(畜産問題)      ————◇—————
  2. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 これより会議開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事柴田健治君が去る五日委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長理事柴田健治君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件につきまして、本日、全国農業協同組合中央会農畜産部長小口芳昭君、全国農業協同組合連合会常務理事永松英二君、社団法人日本乳製品協会会長山本庸一君、北海道農民連盟委員長松川牧夫君、畜産振興事業団理事長太田康二君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  6. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 本日は、畜産問題について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、ただいま御決議をいただきました五名の方々であります。  参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  畜産問題につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見をお一人十五分以内で、小口参考人永松参考人山本参考人松川参考人順序でお述べをいただき、その後、委員から質疑がございますので、これにお答えをいただくことにいたしたいと存じます。  それでは、小口参考人にお願いいたします。
  7. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 全国農協中央会小口であります。  本日は、昭和五十五年畜産物政策価格等決定を目前に控えまして、私ども意見を述べる機会を与えていただき、衷心より感謝申しあげます。  なお、本来、本委員会における意見開陳本会役員が参って申し述べるのが至当であると存じますが、担当常務病気治療のため、私より申し上げることにつき、御了承いただきたいと存じます。  それでは、本日の案件について、三月五日全国農協中央会理事会系統農協として組織決定をいたしました政策要求並びに要求価格要点について意見を申し述べさせていただきます。まず、五十五年度の対策について、前年度との対比においてその特徴点を見てみますと、大きく二つの点に集約できるかと存じます。その第一は、畜産物生産費の中で約三五%から四〇%を占めております流通飼料代金が上昇しているという点であります。五十四年度の際は、前年同月対比で九一%というように飼料価格が安定ないしは低下をしていたのでありますが、五十五年度につきましては、前年の七月以降トン当たり七千五百円、さらに五十五年一月以降六月までの間トン当たり九千円引き上げるというような状況でございますし、これは他の肥料代金、諸材料についても指摘できる点であると存ずる次第であります。  第二は、そのような生産費の上昇という生産段階における苦しい問題があるにもかかわらず、畜産物全体について言えることでありますけれども、相対的に需給が緩和しているということでございます。このため、牛乳については、五十四年四月以降生産者段階計画生産に入っているわけであります。言いかえますと、生産をそのまま伸ばしていきますならば六%から六・五%の生産伸びが期待されるわけでありますけれども計画生産段階で、これを五十四年については一・八%程度に抑え、その差約二十一万トン生産調整を行っているという点でございます。また、肉豚についても、御案内のとおり、生産の増に対しまして需要の鈍化という問題が表面化し、そのため、五十四年九月以降価格基準価格を大幅に下回るという深刻な事態が到来したわけでございます。このため、養豚生産者は相互に協議を重ねてまいりまして、本年二月以降繁殖雌豚八万頭の調整を自主的に進めるといったような需給対策への取り組みを進めているのが実態でございます。  このような二つ特徴点前提といたしまして、系統農協としては、五十五年度の政策及び価格対策に取り組むというのが状況でございます。したがいまして、系統農協といたしましては、当面の政策要求とそして五十五年の価格要求対策を体として取り組んでいるのが実情でございます。  次に、要求内容要点について申し上げたいと存じます。  委員長の御了解をいただきまして、お手元に「昭和五十五年度畜産酪農政策ならびに政策価格に関する要請書」がございますので、お目通しをいただきながら聞いていただきたいと存ずるわけでございます。  まず初めに、政策価格等要求について結論的に申し上げたいと存じます。  昭和五十五年度の系統農協価格等要求につきましては、表紙裏で全体をまとめておりますので一日おわかりのとおりでありますが、加工原料乳保証価格につきましては九十四円六銭ということで、五十四年の政府告示価格に対しまして五・八%アップ要求でございます。それから豚肉につきましては、中心価格で七百十一円ということで、政府告示価格六百六十八円に対し六・四%のアップ牛肉につきましては、去勢和牛中心価格千六百二十八円、告示価格千五百十七円でありますから七・三%のアップ乳雄その他去勢牛でありますが、中心価格千三百二十四円、告示価格千二百三十四円に対しまして七・三%のアップ要求。こういうことになっているわけでございます。  内容につきましては御案内のとおりでございますが、価格要求については要請書の六ページにございますし、それぞれについての算定要領につきましては、八ページ以降にございます。  そこで、まず加工原料乳について申し上げたいと存じます。  加工原料乳算定について、全国中央会といたしましては、従来、一道六県の加工原料乳地帯生産費基礎として要求をしてまいりましたが、去年から内容についての吟味をいろいろと進めてまいりました。その結果、五十五年の要求当たりましては、生乳の過半を加工原料乳に仕向けている地域の生産費を確保するという視点に立ちまして、五十五年度からは一道要求しているわけでございます。したがいまして、基礎資料といたしましては、北海道の百六十五戸の生産費基礎といたしまして要求しているわけでございます。  内容的に見てみますと、まず賃金アップがあります。賃金アップは、時間当たり千百五十六円六十一銭というものでございますけれども、これは製造業賃金として全国平均をとっているものでございます。政府は、北海道だけの製造業賃金をとっているわけでありますけれども系統農協としては、加工原料乳が全国的に発生をしている視点に立ちまして、製造業五人規模以上の全国平均をとって要求をしているわけでございます。去年の例から申しますと、去年の要求は千百一円でございましたから、ことしの時間当たりの労賃のアップは五%であります。ちなみに、政府北海道だけをとるという点で比較をいたしますと、去年の政府試算から推定いたしまして、全国平均に対し北海道だけの賃金をとりますと約二〇%マイナスになるということが指摘できると思います。  なお、自給飼料生産にかかわる家族労働については、われわれは製造業賃金要求し、政府農村賃金で評価をするというのが大きな争点になっていることは御案内のとおりであります。  次に、私どもは、えさ代について特に申し上げたいと思います。飼料費計算につきましては、ことし一月一日以降トン九千円アップをしたという事態を踏まえましてえさ代計算をいたしております。トン当たり九千円のアップに対しまして、配合飼料安定基金の中から八千九百円補てんされているわけでございます。そのうち異常基金から四千二百九十円、通常基金から四千六百十円補給されているわけでございます。したがって、私どもの方のえさ代計算当たりましては、異常基金について生産者及び生産者団体が積み立てた分と国の助成に基づいて積み立てた分と二分のずつございます。したがいまして、異常基金からの補てん金四千二百九十円のうち、国からの助成に基づいて交付されている分、二千百四十五円については控除いたしまして、生産者の実質的なえさ代負担増計算基礎といたしている次第でございます。  次に、大きな相違点金利であります。金利につきましては二月十九日公定歩合引き上げ等がございまして、五十四年の段階要求した際は金利四・六%ということで計算をし、価格要求しておったわけでありますが、その後の金利改定によりまして、次々に上がっております。現在農協の一年定期預金は六・一%でありますが、公定歩合引き上げに伴いまして、農協の一年定期が約一%引き上げられ、七・一%になるということを配慮いたしまして、全体として借り入れ及び自己資本を突っ込んで七・二%で資本利子計算をしているわけでございます。主な相違点は以上のとおりであります。  次に、肉豚について申し上げたいと存じます。  豚肉要求価格につきましては、参考資料の十四ページ以降に出ているわけでありますが、ここで賃金資本利子計算はいままで申し上げた加工原料乳と同じであります。したがいまして、相違点だけ申し上げてまいりますと、豚肉については、御案内のとおり、総生産費の中でえさ代が三九・三%、素豚費が三九・二%というように、素豚えさ代生産費の約八割を占めるものであります。したがいまして、その価格算定をどうするかというのが大きな点でございます。そこで、農協といたしましては、えさ代については先ほど申し上げたとおりでありますが、素豚費について次のような計算をいたしております。それは、現在の豚肉出荷状況を見てみますと、肥育農家から出荷されるものが四〇%、そして子豚を自分のうちでとってそれを肥育する、言ってみれば一貫経営のものが六割ございます。したがいまして、肥育経営の場合には他から子豚を買うということでございますので、過去五年の市場価格平均いたしまして子豚価格とし、一貫経営の場合には子豚生産費計算いたしまして子豚価格を出したものでございます。過去五年の平均は一万八千百七十円になりますが、一貫経営子豚生産費は一万五千七百三十一円となります。それを六〇と四〇で加重平均いたしまして、ここにございますように一万六千七百七円としたものでございます。これはキロ当たりに直しまして五百十二円ぐらいになります。現実の価格は三百七十円程度になっておりますが、それは過去五年の平均によるものでございます。  なお、この点について農林省との争点になりますのは、農林省直近三カ月で計算をして素豚価格を出すわけでございます。農林省は従来五年平均をとり、安定帯価格素豚費計算をしていたわけでありますが、それによりますと、去年の場合四百四十一円であったものが、直近三カ月をとったために四百十九円と約五%引き下げられて計算をしたという経過がございます。  以上が豚肉の主なる点でございます。これに基づき計算をいたしまして、中心価格七百十一円というものを要求価格としているものでございます。  牛肉につきましては、豚と同じような考え方に即しまして計算をし、生産費要求をしているものでございます。  以上が、要求価格計算特徴点でございます。  次に、価格に関連をいたしまして要求をしている点で重要な点が二つございます。  その第一は、お手元資料の六ページ、七ページにございますとおり、加工原料乳保証価格につきましては、限度数量をどうするかという点が大きな関心事でございます。五十四年の際、百九十三万トン限度数量であったわけですけれども、五十四年の生産の実績あるいは消費動向、さらに脱粉、バター等の在庫等考えてみますと、大変厳しい環境にあるというふうに考えております。したがいまして、限度数量につきましては、牛乳消費拡大、あるいは今後国内生乳の大きな需要先であります国内産ナチュラルチーズ生産振興といったような点に着目をいたしまして、需要の創出及び拡大を図り、これを十分織り込んで限度数量決定すべきであるというふうに考えております。  次に、豚肉価格につきましては、告示される上位価格及び安定基準価格について、次のような考え方決定するよう要請しているわけであります。  その第一は、国内産豚肉優先供給という視点を強く打ち出しております。枝肉で年間約百五十万トン国内産がございますが、一方、枝肉換算でアメリカ、カナダ及びデンマーク等から十五万トン輸入されているというのが国内需給実情かと思います。したがいまして、生産者輸入抑制というものについて強い関心を持ち、逆に国内産豚肉優先供給ということを強く求めております。そういう視点から考えてみまして、上位価格中心価格及び基準価格というものの持つそれぞれの性格について、組織内でいろいろ吟味をいたしました。上位価格というのは言うまでもなく減免税発動ラインであります。へそ中心価格輸入基準価格性格を持つものであります。そして基準価格は言うまでもなく事業団調整及び買い上げのラインでございます。そういう視点からいたしますと、現在中心価格上下一〇%開いているものについて、全体として水準を上げて、基準価格及び上位価格を上に上げて輸入を抑制する水準を確保すべきではないかという考え方であります。一方、そのように上に開きますと下も当然開くわけでございますが、それは全体の水準を上げることによって基準価格ラインを確保するものであります。わが方の調査によりますと、豚の変動幅は一二・六%程度計算することができます。したがいまして、上下にその程度開きを持つことによって、一つ輸入抑制の効果をあらわし、そして需給実勢をあらわした一つ基準価格を設定してはどうかという考え方を持っているわけでございます。この上下幾らに開くかということについては、今後政府との交渉の過程でだんだん詰めていきたいというのが組織の意向であります。牛肉については一四・一%上下に開いておりますが、実勢からいたしますと若干これを狭めていいのではないかという考え方を持って対応したいと考えている点でございます。  以上、価格決定にかかわる問題といたしまして、要求価格及び限度数量そして豚肉牛肉価格安定帯価格上下開きの問題について、以上のような見解を持って要請をしているところでございます。  次に、畜産酪農経営安定強化に関する政策要求について、価格要求とともに重視をし、現在政府にその実現方を迫っているところでございます。内容は一ページ以降にございますとおりでございますが、大きく分けて五つの項目に即し具体的な政策実現要求をしている点であります。組織内の政策要求の積み上げに即し整理をいたしてみますと、このような順序でこのような項目が挙がっているわけでございます。  何よりも強く要請されている点は「畜産物輸入抑制対策」でございます。(1)から(四)までは主として牛乳にかかわる輸入抑制の問題であります。  次に大きな問題は「需給調整対策強化価格安定対策」でございます。特に(一)の生乳の現在の在庫の実情からいたしますと、これが結局限度数量及び価格に大きくかかわる問題でありますので、早急に処理することを要求している点であります。(二)は、最近輸入されている乳製品の中で伸び率六%強を示しておりますナチュラルチーズの問題があります。生乳換算九十五万トン、これにつきましてはやはり国内産でこれを置きかえるという戦略的な配置をとって、これの生産振興対策につき国から十分の助成措置をお願いしたいという点であります。なお、生乳需給調整対策は今後しばらく続くというふうに考えておりますので、前年三十三億円の需給調整対策費が出ておりますが、今後引き続きそれを拡大充実することを要請している点であります。  次に「生産基盤土地利用強化対策」など、現在の酪農及び畜産基盤強化について、特に(八)にございますように、外国から輸入されております輸入豚肉との対抗関係を考えますと、品質向上というものが重要な課題になっているわけでございます。  なお、四番の「流通合理化消費拡大対策」については、当然十分の配慮を必要とすると考えております。特に(四)の、輸入豚肉との関係からいきますと部分肉流通促進対策というものも十分考えて今後拡大をしていきたいという点であります。  五番の問題は、最近のえさ高あるいは畜産物価格動向等からして、農家の金融問題が徐々に問題化されておりますので、実態に即し利子負担の軽減あるいは償還期限の延長など、それぞれの金融対策を講ずる必要があるということで要請をしている点でございます。  以上、系統農協といたしまして、五十五年度に向けて政策価格決定及び畜産経営長期的視点に立った安定措置を確立するための政策要求をいたしている点であります。以上、要点のみでありますが、系統農協考え方を申し上げた次第であります。  ありがとうございました。(拍手)
  8. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 どうもありがとうございました。  次に、永松参考人にお願いいたします。
  9. 永松参考人(永松英二)

    永松参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました全農の永松でございます。  この機会をとらえまして、皆様に平素非常にお世話になりまして、日本畜産も非常に伸長いたしておりますことを厚く御礼を申し上げます。  なお、全中の小口参考人その他私たちと立場を同じくする参考人もおられますので、私からは特に食肉とかえさ関係内容重点にしまして、酪農問題につきましては松川参考人もおられますので省略をいたしたいというふうに思います。  まず、前提といたしまして申し上げたいのは、畜産物が非常に過剰であるというふうによく言われます。しかし、米その他の物と違いまして、畜産物につきましてはすべて需要伸びておるという点をひとつ着目していただきたいというふうに思います。特に最近の日本消費は非常に欧米化してまいりました。また内容近代化と申しますか、畜産物重点を置いたような消費伸びておるという点をひとつ着目して、これからいろいろな施策をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから、もう一つ前提といたしまして申し上げたいことは、これからの畜産政策につきましては、耕種と違いまして長期的な積極的な施策を必要とするのではないかというふうに思います。それは、申すまでもありませんが、特に肉の関係になりますと、長期的な施策がありませんと、短期的な施策ではすぐにローテーションが始まってしまう、ビッグサイクルビーフサイクルというものが非常に目立ったサイクルを起こすということでございまして、この点はひとつ長期的な長い目で畜産政策というものをやっていただきたいというふうに思うわけでございます。  こういった前提で、以下若干申し上げてみたいと思います。  まず、第一に申し上げたいことは、生産農家に非常に明瞭な目標を与えていただきたいということでございます。一番大きな問題は輸入でございますけれども外国のいろいろな利害関係によって日本畜産が動かされるということが一番致命的でございます。それから、日本国内で創意をもって日本需要がどういうふうになるかということをみんなの知恵でもって編み出す。これは一〇〇%当たるということはございませんが、そういった需要計画というものをまず立てるということでございます一その上において国内でどれだけつくるかといういわゆる国内生産計画というものをつくるべきだというふうに思います。  それからもう一つは、いま申しました輸入の問題でございます。これも今回の豚でそのいい例が出たわけでございますが、関係者が一致してやれば輸入計画というものがある程度できるのではないか。輸入の見通し、見込みというものを立てまして、それに——日本畜産では余りありませんけれども、しかし今後あり得るというのは輸出でございます。発展途上国においては日本で必要としないものを必要としておるというふうな畜産物の交換も可能でございます。もう一つ輸出の問題を加えまして、年間における需給計画というものを明瞭に生産者に示していただきたいというふうに思います。それを単年計画ではなくて、長期的な計画といたしまして、生産者が安心をして畜産ができるというふうな形にぜひしていただきたい。そういたしますれば、畜産消費伸びと同時に並行して伸長していく。生産農家は安心して農業に従事することができるというふうに思います。  そういった意味におけるいまの諸制度というものが果たして完全であるかどうか、いままではどっちかと申しますと不足時代の諸制度であったが、そういった観点から今後の施策をするとすれば、諸制度の見直しをする必要が多分にあるというふうに思っております。この点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、最近の畜産の傾向はいま申しましたように需給計画というものを完全に立てなければなかなか安定しないという点においては、需給均衡、需給調整をどういった形でやるかということでございます。いま申しましたように、いままでの諸施策、諸制度が比較的不足時代における不足を補うための諸制度であったのですけれども、今後は需給均衡をどうとるかというふうな諸制度をひとつぜひ打ち立てていただきたいというふうに思います。  その場合に畜産は、これは農産物全般がそうでございますけれども、経済作物である、同時に経済作物以外の機能というものをやはり持っております。それは国策としての食糧の温存と申しますか、そういった非常事態における国民のカロリー供給という役割りも持っております。そういった点を加えて、ひとつ諸制度につきましては見直しをぜひお願い申し上げたいというふうに思います。  非常に卑近な問題でございますけれども、この三月の畜審で議論になると思いますけれども、畜安法の問題ですらそれが言えるわけでございます。いままで肉について見ますと、畜安法による支持いわゆる基準価格というものは実勢からかなり遊離した形で設定されておる。実勢基準価格から見ますと上の方を常時走っておったというふうな実態でございました。極端な言い方をすれば、それがたまに、いままでに過去二、三回そういうことがあったわけでありますけれども、下限いわゆる基準価格を割るという実態におきましても、前がよかったからいいではないかというふうなことから、比較的基準価格が実行されない。現に現在が、六百一円という豚肉基準価格がございますけれども、これがかなり割られております。六百一円を割った場合には原則として事業団買い上げが始まるということをわれわれは期待をしておるわけでありますけれども、昨年の暮れあたりは五百四、五十円というものが出ましてもなかなかそれが発動できないというふうなことであるし、現時点においては、ごく最近、ここ二、三日はよろしいのでありますけれども、五百七十円見当というところで低迷をしておる。六百一円を前後何%という形でこの基準価格を適用するといいますか守っていくというふうな形で応用動作が非常に大きくて、農民が制度があるからといって安心していますと、そのとおりいっていないというふうな点を、これからは決められたものはお互いに守っていく、そして安心して生産ができるというふうにぜひしていただきたいというふうに思います。  それから、これからの畜産でぜひお願いを申し上げたいと思いますのは、やはり中動物、大動物の需要がふえてまいります。そうなりますと、輸入の問題で一番致命的でありますけれども、国際的な競争力をできるだけ持っていく、これは完全に持つわけにいきませんが、できるだけ持っていくというためには、やはり生産性を高める。これはよく言われますけれども日本は土地がないので土地を使わない畜産ならと言いますけれども、土地でさえまだ国有地、公有地、河川敷等はかなり活用できる、しかも畜産ならば活用できるという面がかなりございます。こういった面は古い制度がかなり強くて、畜産という新しいニーズに応じられないというふうな制度でございますので、この点もぜひお考えをいただきたいというふうに思います。  そういったものを使った場合に、今後の自給飼料というものについてかなり力を入れていきませんと、これはなかなかおくれております。種の問題しかり、栽培しかり、畜産の結びつきしかり、そういった点についてもひとつぜひ国を挙げていろいろな諸研究、応用をよろしくお願いを申し上げたいと思います。そういうことによって、いま消費者がよく言う良質な肉と国際競争力に近い価格、コストというものを守れるようにしなければならないということで、われわれ生産者もいろいろな意味で力を注いでおる次第でございます。  それから、もう一つ申し上げたいのは、ニーズに合った畜産物をつくらなければならないという点でございます。ニーズに合った畜産物をつくるには非常にリスクが伴う面がございます。端的に言って、いまのナチュラルチーズというものの消費はこれから大いにふえるであろうけれども、この開発、需要伸びというものがどういうふうになってくるかということについては、非常にリスクがございます。こういった点につきましても、現時点でもいろいろ御協力願っておりますけれども、ぜひ一層の御協力をお願い申し上げたいというふうに思います。  それから、もう一つの問題は、いわゆる動物の改良でございます。いまわれわれが非常に苦慮しておりますことは、量はできるのでありますけれども、豚等については非常に肉質を言われております。生産者としては、一つの商品でございますから、こういう点はニーズに合ったものをつくらなければならない。ところが、これは時間と労力と資金が非常に要ります。これもぜひ国を挙げて御協力をお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから、その次に申し上げたいのは、流通の改善でございます。この点につきましても、生産者組織を挙げていま県の食肉センターづくり——これは一日六百頭をつぶしますと、恐らく数十億円の資金が要りますが、この点につきましてもひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから次に、えさの問題でございます。何と申しましても、先ほどもお話がありましたが、豚一頭つくりますのに、四〇%はえさ代ということになりますので、えさにつきましては、日本畜産が加工畜産であるという前提に立ちますと、どうしても輸入のえさというものは確保いたさなければなりません。  この場合に二つのことをお願いを申し上げたいと思います。一つは、やはりこういった国際情勢下でございますので、備蓄というものを完全にやらなければならない。結論だけ申しますが、現時点で一カ月の原料備蓄ということでやっておりますけれども、その一カ月が過去数年前から見ますと、いまや倍ぐらいの備蓄をいたしませんと一カ月にならない、しかし、これは予算上のいろいろな障害があるようでございまして、これがなかなか前向きにいかないという点がございますので、この備蓄は、国際情勢下、御存じのとおりでございますので、ぜひお願いを申し上げたい。  それからもう一つは、畜産物消費者に安定的に供給するためにはコストを安定させる。コストを安定させるためには、大半のコストであるところのえさ価格を安定させる。その安定のために民間もやりますが、国のいわゆる異常基金、これも非常に弱体化をしております。千二百億円ためようということで政府も御協力を願ってやってきたのですが、この非常事態でこの六月には恐らくそれが百億円くらいになってしまいます。もうほとんど力がなくなるということに逢着をいたします。こういう実態でございますので、異常基金強化につきましては特段の御協力をお願いを申し上げたいというふうに思います。  当面の要請の問題につきましては、先ほど全中からお話がありましたが、調整保管問題について一言だけお願いを申し上げたいと思います。と申しますのは、調整保管がこの三月末で切れます。しかし、恐らくこの四、五ぐらいは調整保管をやめますと相当なショックがあると思います。したがって、いま政府にお願いを申し上げておりますが、調整保管並びにそれにまつわる消費拡大等につきましては、若干の延長をお願いしたいということで要請をしておりますので、この点もひとつよろしくお取り計らいをお願いを申し上げたいというふうに思います。  以上、要点だけ申し上げましたが、えさ問題その他、国際情勢が非常に変転する中で、国際的ないろいろな諸政策にわれわれが対応していかなければならぬということで非常に苦慮しておりますので、そういったいろいろな問題の特に御解決方、よろしくお願い申し上げたい。  以上で私の陳述を終わりたいと思います。(拍手)
  10. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 どうもありがとうございました。  次に、山本参考人にお願いいたします。
  11. 山本参考人(山本庸一)

    山本参考人 私、日本乳製品協会の山本でございます。きょうここで先生方に現状並びに将来の問題について意見を聞いていただく機会をいただきましてありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  一つは、現在の乳業界の現状、それから今後の問題について二、三意見を申し上げます。  私どもの乳業界で現在一番困っている問題は、過剰乳製品の処置でございます。この過剰乳製品というのは、もう五十二年から五十三年とずっと過剰の乳製品が積もって、五十四年度もさらに上乗せをするというのが現状でございまして、これは私どもの協会の推定で、三月末の市場における在庫数量、これは適正な在庫、バターと脱粉については二カ月分の販売量を差し引いた残りの過剰乳製品というものが、大体バターで一万五千二百九十トン、脱脂粉乳で二万三千八百七十トン、脱脂粉乳は先般飼料協会の方にごあっせんをいただきまして在庫数量が減りましたけれども、それでもなおこれは三カ月分の在庫になります。バターも約三・二カ月分ぐらいの過剰在庫で、一向にこれは減らないで、むしろふえる傾向にございまして、これを生乳に換算しますと三十六万三千トンという数量になるわけでございます。  この問題につきましては、酪振法の規定に従ってお買い上げをしていただきたいということを陳情申し上げておりますけれども畜産振興事業団にしても、多量の在庫を抱えておられるというようなこともあってなかなか話が進んでおりませんけれども、この過剰乳製品、乳量に換算して三十六万三千トンは、これを買い上げ願えれば、大体安定指標価格にして三百十一億、買い上げ価格は一〇%引きでございますから二百八十億円というものが長い間の在庫数量になっておるわけでございまして、これらにつきましても早期に買い上げをしていただきたい、こういうふうな陳情をいたしておる次第であります。  もう一つの問題は、買い上げをお願いする問題にさらにつけ加えて申しますと、バターの一般市場の取引価格は、政府が決めた安定指標価格よりも大幅に下回っているという問題でございます。バターについては、十二月末では、安定指標価格の八六・九%の安い値段で取引され、約一割五分も安い値でもって取引されているというのが現状でございますし、また、脱脂粉乳におきましては約二割も安定指標価格を下回っているというような取引価格でございまして、その財政負担というものは非常に莫大なものになっておるわけでございまして、この安定指標価格を割っているというのは、昭和五十二年以来安定指標価格を常に下回っているというのが乳業界の現状でございます。私どもは、こういうふうな時代でございますので、もうこれ以上企業の合理化あるいは経費の節約ということではとうてい処理し切れないというのが現状でございます。  もう一つの問題は、買い上げに関連してお願いを申し上げていることは、事業団の買い上げというものは、常に新品と取りかえるという義務を負わされております。したがって、常に古いものを売って新しいものを預けて倉庫に抱いておくというようなことになっておりますので、需要者は常に新品を求めるのに、供給するわれわれは常に古い品を供給していかなければならぬ。したがって、消費拡大につながらないというのが現状でございます。しかも、バターは一般に市販されているような有塩のバターでなく、塩味のつかないバターでございます。これをわれわれが納入し引き取っても、市販用に売るというには、一般家庭向きの需要には向かないために再製造するというようなこともしなければならぬというのが現状でございまして、そういういろいろの問題で、せっかくこれを買い上げていただきましても、そういうような新品と取りかえなければならぬということが果たしてこれからいつまで続くかという不安を実は持っているわけでございまして、買い上げしてもらっても常に交換という義務を負わされれば、市場の消費拡大にもならぬし、私どもの過剰在庫も常にその金利と倉敷料に悩まされるというような現状でございまして、交換も非常にむずかしいし、やたらの買い上げも、現状においては何とかやりくりできても、将来、長い間の問題としては非常に問題が起こる問題で、私どももこの問題には大変苦慮して、何かいい案がないかどうかということでございますが、少なくとも事業団の手持ちの在庫品は何らか別途に処理願えないものかどうかということを陳情にあわせてお願いを申し上げている次第でございます。もしこの買い入れが不可能だと、実際においても市場在庫と事業団の在庫を合わせますと、乳量にして生乳換算八十二万トンにも及ぶ在庫でございますから、大きな問題でございまして、これは米の在庫に次ぐ大きな問題になろうかと思います。そういうことで、もしこれらにいろいろな問題があれば、少なくとも豚肉が自社保管というようなことで何らかの措置をして金利、倉敷料を負担するというような話も聞いておりますので、何らかの方法でこの問題を解決していただきたい、こういうことを陳情申し上げている次第でございまして、先生方においてもこの点について十分御理解をいただきたいと思います。  次の問題は、これから始まる五十五年度の乳価の問題でございます。私は保証価格の問題については何ら触れる必要はございませんけれども、私どもの取引に最も関係のある部分だけを申し上げて御理解をいただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、バターの市場価格というものは安定指標価格をすでに下回っております。これはもう五十二年度から、五十三年もすでに下回ってきております。五十二年には安定指標価格の九七・六%、約三%ばかり安売りをして処理をしております。五十三年には九三・二%で、大体七%近く安定指標価格を下回った価格で取引をされております。五十四年度につきましても、もう四月以来下がりっ放しでございまして、四月には九〇%でございましたけれども、現在は八六・九%というように、さらに市場の価格がダウンをしているのが現状でございまして、そういう意味におきましても、この安定指標価格を決めるについては、それらの点を十分考慮いただいてお願いしたい。  脱脂粉乳についてはバターよりもさらに市場価格が悪化しております。五十二年にはすでに安定指標価格の九七・九%でございまして、これも下回っておりますし、五十三年は九一・五%と約八%も価格が下がっているというのが現状で、さらに五十四年度も引き続き市場価格は悪化して、五十四年の四月には九〇%、十二月になりましては七八%というように、すでに二二%も安定指標価格を下回った市場取引価格が行われているわけでございまして、そういう意味におきまして、私どもの負担というものは非常に大きいわけでございます。これも認定数量だけで計算しますと、十二月分だけで十六億円の負担、四月から十二月まででは百十三億円もメーカー負担になっております。恐らく三月末では百五十億円以上の負担になろうかと思います。  そういうようなことで、われわれはつくればつくるほど損するというような現状でございまして、私は、これらの問題について、基準価格の設定につきましては、この点も十分に考慮していただくように農林省当局に陳情しておるわけでございまして、これを乳価に換算するとキロ当たり十円四十三銭基準乳価を引き下げてもらわなければとんとんにならないというのが現状でございまして、そういう意味では非常に大きな問題でございます。早く市場の立て直しをし、安定指標価格に近いような価格に一日も早くすることによって問題を解決するということは考えられますけれども、時間的には恐らく相当の期間を要するのではないかと思います。  そのほかに、御承知のように石油その他資材、副原料が全部現在値上がりしております。平均して大体二四%ぐらいの値上がりになろうかと思います。しかし、末端価格の安定指標価格は一向に改正されるような模様は最近見受けられません。したがいまして、これらの値上がりも製造費の中に加算をしていただかなければ私どもはさらに負担が多い、こういうことになろうかと思います。そういう点においても、先生方にもいずれまたごやっかいにならなければならない問題もあろうかと思いますけれども、その点も御理解をしていただきたいと思います。  もう一つの問題は、五十五年度の今後の需給の見通しでございます。これは需給のバランスをとる上に私どもは非常に大事な問題として考えております。単年度の需給の見通しは、私ども協会の計算では、六百三十七万トンあれば大丈夫だということでございます。しかもその中には飲用向けを四・五%増加するという見通し、乳製品は一・四%の増加というようなことを計算しますと六百三十七万トンでいいわけです。こういうことから見ますと、不足払い対象の乳量は百八十一万トンあればいいということになるわけですけれども、問題は、先ほど申し上げました市場の過剰在庫の三十六万三千トンをどうするかということでございますが、単純にこれを単年度で処理しようということになると、不足払いの限度数量は百四十四万七千トンあればいい、百四十五万トンあればいいという計算になります。事業団の在庫を加えますと、これはちょっと実際は無理でございますけれども計算上申し上げますと、限度数量は約九十九万トンあればいい、百万トンあればいいという計算になります。しかし、これは私が先ほど申し上げましたように、事業団の手持ちは別途に解決しなければ問題が非常に大きいと思うわけでございまして、そういうことを考えますと、過剰在庫を差し引きますと、五十五年度の牛乳生産は六百万トンあればよろしいということになるわけでございまして、そういう問題が、私ども酪農民の計算とは、そこに大きな食い違いは単年度ではございませんけれども、在庫数量の処理ということについては意見の相違があることを申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つの問題は、こういうように需給のアンバランスが市場を悪化させ、しかも、先ほどの永松参考人のように、飼料が値上がりをしている最中に末端価格がいじられないという現状は、需給のバランスがとれておらないというところに問題があるわけで、一日も早く需給のバランスをとることが最大の急務であると私は信ずるわけでございます。  酪農、乳業は食品の中でも将来性のある仕事でございまして、これはこの辺で需給のバランスをとるということの勇断を下さなければ、今後、市場の回復もむずかしいし、それから消費拡大もむずかしいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。  私は、ここら辺でどういうふうにこの問題を解決するかということについてちょっと二、三意見を申し上げて、先生方の協力をいただきたいと思います。  日本の国民は飲用牛乳をもっと消費すべきだという点においては、もう大方の意見は一致しております。私は牛乳普及協会の副会長もさせていただいておりますので、牛乳消費については人一倍努力をしておるつもりでございます。少なくとも日本人は一日二百ccの牛乳一本飲むという運動を早急に起こすべきである、そういうことによって、日本人のカルシウムのとり不足の問題、骨折が多い、虫歯が多いという問題が解決できる。そうしますと年間八百二十五万トン牛乳が要るということになるわけで、この問題を積極的に進めていく必要があろうかと思います。  それからもう一つは、私は、飲用牛乳の多様化という問題を大いに主張しておるわけでございます。白牛乳でなければ牛乳でないという考え方は一部にございますけれども牛乳のきらいな人もあるわけですから、コーヒー牛乳でもフルーツ牛乳でも一、とにかく牛乳を一滴でも多く口に入れる。こういうためには、多様化の問題を積極的に取り上げていかなければならぬ。アメリカでも牛乳のきらいな人が約二〇%おります。そういう者は色づきのコーヒー牛乳あるいはその他の牛乳消費をしておる。ましてや日本みたいに牛乳消費の十分でないところは、白牛乳でなければならぬということで主張しておれば、牛乳消費伸びていかないというふうに私は信じておるわけで、そういう意味におきましても、多様化の問題は大いに取り上げてやるべきでないかと思っております。私は、日本における牛乳消費拡大というものは、色物が三〇%、四〇%あっても、いずれは日本人も、牛乳のきらいな人も、色物で二〇%くらいの消費者に落ちるのではないかと思っております。  それから、もう一つの問題は、こういうようにとかくエネルギーが問題にされている時代でございます。いかにエネルギーを少なくして将来伸び牛乳の処理をするかということは大きな問題でございまして、私は、省エネルギーもこの乳業界に取り入れたいと思っております。それにはやはりロングライフミルク、いろいろ反対の意見もございますけれども、ロングライフミルクは製造しても冷蔵庫に入れることも必要ございません。それから輸送にも冷蔵車が要りません。家庭に持っていっても、片すみに置いて必要なときに冷やして飲めばよろしいのです。もうそういうふうにエネルギーの問題もございます。それから、消費拡大は、ビールと同じように家庭に持ち込んで、必要なときに飲む、こういうことが消費拡大につながるというふうに信じて二二年前からロングライフを私は主張しておりますけれども、一部反対意見があるために、この問題がまだ採用されておらないというのが現状でございます。これらはやはり大きな観点から、また障害が起きればそれを除去する、こういう問題も含めて早くこれを認めていただきたいというふうに私はお願いを申し上げるわけでございます。  結論といたしましては、この過剰在庫を一日も早くなくするために、生産者もメーカーのわれわれももっと拡販に努力する、そういうことで努力して、需給のアンバランスを昭和五十五年から五十六年の前半くらいまでに解決する、そういうような双方の努力と忍耐が私は必要であろうかと思います。  そういうことで、今後私は、日本人の健康づくり、体力づくりという問題で、牛乳乳製品というものを非常に大事に育てたい一人でございますので、どうぞ先生方も御理解ありまして、今後この酪農、乳業が米に取ってかわって伸びる産業、農業だということに御理解あって、御協力賜りますれば幸いでございます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  12. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 どうもありがとうございました。  次に、松川参考人にお願いいたします。
  13. 松川参考人(松川牧夫)

    松川参考人 私は、北海道の十勝、浦幌という町で現在搾乳牛三十頭を飼育し、年間約二百トン生乳を出荷している専業酪農で、松川牧夫と申します。傍ら北海道農民連盟の副委員長として酪農畜産対策を担当し、あわせて全国乳価共闘会議の副議長として、全国の牛飼いの仲間とともに酪農畜産対策に取り組んでいる者であります。本委員会におかれまして、私たち実際に牛を飼い、乳をしぼっている当事者の意見を徴して、ことしの酪農畜産政策のあり方を探ろうとされる先生方各位に、深甚なる敬意を表するものであります。  さて、私が最初に申し上げたいことは、この一年間、全国の酪農民が血のにじむような努力を重ねて搾乳牛を肉用化し、子牛に全乳哺育を行い、特別余乳処理や消費拡大を実施して、とにもかくにも二十万トン近い生産抑制を達成したのに、この間、政府は、生産者の努力に対応するいかなる施策を行ったであろうかということであります。この一年間、外国からの乳製品輸入は少しでも減らされたでありましょうか。政策需要拡大として、学校給食用の牛乳が増加し九でありましょうか。保育所や老人ホームに対する福祉牛乳が増加したでありましょうか。政府統計によりますと、昭和五十四年次の乳製品輸入は全く前年並みであり、特に、五十四年十一月における乳糖の輸入は、数量ベースで前年同月比六五・八%増、カゼインも同じ時期に五二・四%増と激増し、擬装乳製品輸入とともに、生産抑制に苦しむ酪農民の気持を逆なでするような事態の推移は、とうてい私たちの納得できるところではございません。  また、本年二月十五日付北海道新聞は、道内の三−五歳児が脱脂粉乳を与えられ、飲み残しが続出しているというふうに報じております。子牛が生乳を飲み、人間の子供が脱脂粉乳を飲まされる異常さに、私たちは憤りを禁じ得ません。昭和五十五年度の酪農政策は、こうしたことの反省から出発していただきたい、このことを最初に指摘せざるを得ないのであります。  そこで、第一に申し上げたいことは、わが国の牛乳乳製品の総需要は幾らか。そのもとで、国内生産輸入に依存する分との分担をどうすべきかについて、基本的な論議がなされるべきであるという点であります。  わが国の生乳生産は、昭和五十四年次六百四十六万四千七百トンで、前年比五・七%増でありました。一方、この時期に外国からの乳製品輸入は、生乳換算およそ二百五十六万トンで、国産及び輸入を総計しますと、実に九百万トンに達することが政府統計で明確であります。政府はいまだかつて国産及び輸入を合計した需給表を示したことがなく、そのもとで、国内生産をどこまでふやし輸入をどこまで減らすかについて、国会や畜審、生産者団体等に諮った例は一度もないのであります。本年はまずこのことを明らかにした上で、昭和五十五年の畜産政策は、国内生産拡大輸入抑制を基調に、積極的展開を願いたいのであります。  このことを具体的に遂行するため、従来外国乳製品に独占されてきた用途に、国産乳製品の一部抱き合わせ使用を行わしめ、ナチュラルチーズの国産化奨励、乳糖とカゼインによる合成脱粉を食用に使わせない指導、ココア調製品等擬装乳製品の厳重な輸入規制など、これを確実に実施し、少なくとも生産者側の努力に見合った政策効果を上げてほしいのであります。  北海道においては、農林水産省北海道統計情報事務所調べによる「農業粗生産額・上位五品目の動向」を見ますと、第一位の米が昭和五十三年から連続減少中、第二位の生乳が五十四年から減少に転じ、第三位のバレイショは五二年から連続減少中、第五位の豚も一五四年から減少に陥り、わずかに第四位のてん菜だけが増加という惨たんたる農業生産動向下にあり、本年度、過酷きわまる水田転作を上積みされた北海道農業にとって、畜産生産拡大を受けざらとした農業生産の再編成という立場で、加工原料乳限度数量拡大を是が非でも要求せざるを得ません。全国枠で少なくとも二百万トン以上、北海道に百六十万トン以上なければ農家経済は破綻すること必至であります。  第二に申し上げたいことは、生乳需給調整についてであります。私の申し上げる需給調整生産調整ではありません。私の判断では、昭和五十五年度の生乳生産を巷間伝えられるように六百四十五万トン程度に抑えた場合、飲用牛乳需要期に多数の県において飲用向け生乳の供給が不足する事態が避けられないと見ております。この事態を放置すれば、不足する分をいわゆる加工乳によって補われること必至であります。昨年は、生産者が必死で生産調整するかたわら、加工乳が七十万トン生産されており、私たちはふんまんやる方ない思いをしております。わが国の牛乳政策生乳の飲用化を第一義とし、加工原料乳の不足払い制度も、その前提として生乳の飲用化を期待しながら、生乳の広域流通を援助、促進し、昭和四十七年の国会における社会労働委員会における決議が示す牛乳の原料は生乳を七〇%以上とし、他は濃縮乳とする、この積極的な施策の実施を求めたいのであります。  どの県で、いつ、どれだけ不足するかを早急に明らかにし、指定生乳生産者団体に援助、協力して万全を期していただきたい。このことこそ真の需給調整であって、生産を抑制することが需給調整でないことを重ねて申し上げておきます。  なお、民間並びに畜産振興事業団が抱えている過剰在庫乳製品をカンボジア難民救済など海外援助に振り向け、特別処理を速やかに実施していただきたいと思います。かりそめにも外国の余剰乳製品を買い求めて援助に振り向けることの断じてないよう要望いたします。  第三には、加工原料乳保証価格について申し上げます。私は、農畜産物価格を考える場合、三つの観点を持っております。その一つは、やはり理論的観点であります。農畜産物価格における限界規定性は、農業経済学の常識であることは私が申すまでもありません。特にそれは、一頭当たり生産費よりも一頭当たり搾乳量の方に大きな差があり、しかも、その差は、肥えた土地、やせた土地、いい牛、悪い牛といった要因によるもので、それは個人の努力でにわかに解決することのできない性格のものであります。それにもかかわらず、求める価格は乳量の多い少ないによって大きく左右されるというところに問題があります。  私たち北海道農民連盟では、農林水産省北海道統計情報事務所による家畜飼養動向、市町村別農業統計などを用いて、北海道内百九十二市町村の市町村ごと経産牛一頭当たり平均乳量を全市町村それぞれ算出しましたところ、市町村ごと経産牛一頭当たり平均乳量、これは乳脂肪三・二%換算乳量ですが、最も高い町村は七千二百九十二キログラム、最も低い町村は七百六十三キログラム、その開きは実に十倍に達したのであります。平均乳量が四千キログラム以下の町村が十七、四千から五千キログラムまでの町村が五十三もあり、全道一本の経産牛一頭当たり平均乳量五千四百六十キログラムに達しない町村は、百九十二市町村中百二十八市町村に達していることがわかりました。  こうした実態のもとで、保証価格算定に用いられる乳量はどの水準をとるか。前に述べました農畜産物価格の限界規定性に照らし、きわめて重要な点であり、私の見解では、どんなことがあっても全経産牛一頭当たり平均乳量以上の乳量は用いるべきでないことを強く主張しておきます。乳価は、本来一本であるべきで、私たち乳価共闘会議で一キロ当たり全国ベースで百二十五円六十六銭と算定しております。  二つ目の観点として、私は生産者の実感的価格水準というものを挙げたいと思いますが、私たち酪農家の中で一キログラム百円以下でいいとするものは見当たりません。ちなみに、北海道だけで試算すると百十三円八十五銭になります。  三つ目の観点は、応用論でありますが、決定される価格をどの階層に合わせるか。そして、その階層以下の脱落を防止するために補完措置として、その階層を特定して金融の条件緩和をするなど、理にかなった具体的措置を講じていただきたいのであります。  あわせて、本年はインフレ進行中の年であり、保証価格に算入された物価等が告示以降において算入された額を五%以上上回ったときは、遅滞なく改定をすること。なお、配合飼料の値上げに伴う補てんは、異常基金の財源強化を図り、七月以降も補てんを継続することを強く要望いたします。  最後に、私は、世にも不思議なこととして指摘し、五十五年度から即改めるべきであるという点について申し上げたいと思います。  それは加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づき告示される限度数量並びに生産者補給交付金は、いずれも実乳量をもって定められ、交付されるのに、保証価格だけが実乳量をわざわざ乳脂肪三・二%換算による架空の乳量単位をもって告示されるのがどうしても納得のいかないところであります。限度数量も補給金も実乳量である以上、保証価格も実乳量一キログラム当たりとし、整合すべきであることを特に強調するものであります。  以上、私は、大要五点にわたって意見を述べさせていただきましたが、私たち国内酪農畜産農民が身を削り血のにじむような生産抑制を耐えたこの一年間の経過に照らし、政府の貿易管理、国産化誘導、政策重要拡大需給調整並びに価格対策は、そのいずれの分野においても生産者の努力に報いる政策昭和五十五年度強力に展開されるよう、北海道農民連盟並びに全国乳価共闘を代表して強く要望し、私の意見陳述を終わります。(拍手)
  14. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋辰夫君。
  16. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 ただいま参考人からも酪農あるいは食肉の問題でいろいろな問題が陳情または提起されておるところでありまして、大変酪農家にとりましては厳しい状態に強いられておるわけでございます。これらの問題に関しまして、私は数点御質問を申し上げたいと思う次第でございます。  まず最初に、計画生産についてでございますが、生乳需給が大幅に緩和していることから、生産者団体が自主的に計画年産に取り組んでおりますし、全国ベースで計画生産量を定め、これを都道府県段階に配分し、その達成を図っていると聞いておりますが、年度末になったことでもありその達成全体としてどのようになっているかを承知いたしたいのであります。  また、県によりましては計画どおりにいかないところがあるというふうにお伺いをいたしておるわけでございますけれどもこの場合、政府としてはどのように対処するかをお伺いをいたしたいと思います。
  17. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 政府に質問ですか。——畜産局長。
  18. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 お答えいたします。  生乳計画生産対策につきましては、先ほど参考人意見の陳述にもございましたが、生乳需給の緩和状況に対処するために、生産者並びに生産者団体の自主的な活動として実施されておるところでございます。この計画生産体制のもとで、生乳生産量の伸び率は、対策の浸透に伴いまして鈍化をいたしております。しかしながら、五十四年度四月から一月までの生乳生産量は対前年同期比で四〇%の増でございまして、生産者団体が目標として掲げております一・八二%を上回っております。  最近の動向といたしましては、十月以降計画生産が本格化しておりまして、本年一月だけをとってみますと、対前年同期比で一〇〇・一%、〇・一%増のところまで低下をいたしておりまして、なお、二月、三月の数字は出ておりませんけれども、この傾向は同じく続くものというふうに見込んでおります。  政府といたしましては、このような生産者団体による生乳計画生産対策におきまして、事業団からの助成といたしまして、本年度三十三億円の支出を行うこととして、全面的に支援いたしますとともに、その円滑かつ効果的な推進よる成果につきまして大いに期待をしておるところでございます。  もう一つ、ただいま御質問の中で、計画どおりにいかない都道府県が仮に生じた場合、その措置についてというお尋ねでございますが、計画生産目標を超えて生産されました生乳につきましては、生乳生産者団体がみずから特別余乳といたしまして、一般需要に悪影響を及ぼさない形で適切な処理を行うこととされているように聞いております。そうした処理を行う場合には、国としてはその円滑な実施ができるより処分先のあっせん等を行ってまいる所存でございます。
  19. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 次に、消費拡大についてでございますけれども、最近における牛乳需給の緩和を早急に回復させるためには生乳計画生産を積極的に行うことも必要でありますが、一方では飲用牛乳消費拡大を積極的に実施することが大切だと考えております。飲用生乳消費拡大のために現在どのような対策をとっているのか、お伺いをいたしたいと思います。  ただ、われわれは消費者の立場におるわけでございますけれども、余っておるから飲めということになると、どうも一般の人は飲まない傾向にあるのじゃないかというふうにも考えておりますし、先ほど山本会長さんが言われましたように、飲用牛乳の栄養効果ということも、それは学校あるいはその他いろいろな機関を使って、これに対するPRが必要じゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。牛乳ほど栄養の高いもの、またバランス的にいろいろな栄養が入っておるものはないということをまず知らしめていく必要もあるのじゃないかというふうに考えております。  そういう中にあって、先ほども参考人の方から意見も出ておりましたけれども生乳需給調整対策費三十三億の問題でございます。これが五十五年度の中にあってはまだどうも決まっておらないというようなこともお伺いをしておるわけでございますけれども、むしろこういった問題も三十三億に上積みするくらいの指導が政府としても必要じゃないかというふうに考えておるわけでございまして、あわせて今後どのように対処していくかをお伺いをいたしたいと思います。
  20. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 牛乳消費拡大につきましては、私どもといたしましてはその重要性を十分認識をいたしておるところでございます。  先ほども参考人意見の中でございましたが、牛乳が栄養分に富みかつそのバランスから見ても非常に優良な食品であり、かつまたカルシウムが日本人には不足をしておるというその不足分を供給する意味におきまして、大きな意義を持つものというふうに考えておるわけでございます。飲用牛乳需要は、私どもの見通しといたしましては今後も安定的に伸びていくもの、また伸ばしていくべきものというふうに考えておるわけでございます。  最近の生乳需給事情もございますが、農林水産省といたしましては、これまで、一つは、学校給食におきます牛乳の飲用の推進、それから二つ目には、一般消費者を対象といたしました飲用牛乳に関する普及宣伝、あるいは消費者啓発等の事業を行ってまいっております。  五十四年度におきましては、これらの事業に加えまして、新たに、一つは、都市地域に比べまして飲用牛乳消費水準が低い農村地域等における消費拡大の事業を実施をいたしております。また、二つ目に、生乳需給調整対策三十三億円のお話が先ほどございましたが、その調整対策の一環といたしまして、幼稚園及び老人ホームにおける集団飲用の推進並びに妊産婦の牛乳飲用の普及等の事業を実施いたしておるところでございます。今後とも、わが国酪農の安定的発展を図るために、飲用牛乳消費拡大のための方策を積極的に講じていくことといたしております。  お尋ねの、三十三億円を来年度どうするかという点でございますが、五十四年度の生乳需給調整対策は単年度事業として取り上げたものでございます。五十五年度においてこのような事業を行うかどうかにつきましては、この三月末までの時点におきまして、牛乳需給事情なりこの事業の事業効果なりあるいは財源事情等を勘案をいたして検討をしてまいりたいと考えております。
  21. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 政府当局におきましては、ひとつこれだけ余乳が出ておる状態でございますので、消費拡大には、机上の計画ではなくして、まず私は、農林水産省自体においてインスタントコーヒーはやめて全部牛乳を飲んでいただきたいという考えを持っております。あるいはまた、冠婚葬祭では、いろんなコカコーラとか出ておりますけれども、これもひとつ牛乳を使ってもらうことも消費拡大につながるのではないだろうか。簡単なことでもそういったことをひとつそれぞれやっていただきたいと思いますし、その点を要望しておきたいと思います。  それから、次に、輸入乳製品の規制についてでありますけれども生乳需給が大幅に緩和している中にありまして、大量の乳製品輸入されておりますことは、これはもう参考人からも大変強く申されておるわけでございまして、その数量は年間生乳換算で二百五十万トンにも達しておるわけでございます。一方では国内酪農家は計画生産を迫られている。牛乳製品全体の需要としては国内生産量をはるかに上回る数量であります。そういう意味で、輸入を抑えていただきたい。輸入を抑えることによって国内生産というものも非常に緩和されてくるのじゃないか。余剰乳も二万九千トンことしあるのじゃないかというふうに言われておりますけれども生乳換算で二百五十万トン輸入しておるその一割を削減してもらえば、数字上では余剰乳もなくなってくるというような状況にもあるわけでございまして、この問題について、政府乳製品輸入を抑えるべきと思いますけれども、この点についてはひとつ明確に政府側から答弁をいただきたいと思う次第でございます。
  22. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 乳製品輸入につきましては、国内酪農の保護育成を図る見地から種々の制度を設けております。  一つは、大部分の乳製品を非自由化品目といたしております。さらに、そのうちバター、脱脂粉乳等、主要な乳製品畜産振興事業団の一元輸入品目といたしておるところでございます。現在、国内乳製品需給が大幅に緩和しておる状態にございますことから、バター、脱脂粉乳等、主要乳製品についての畜産振興事業団の一元輸入は停止をいたしておりまして、今後も乳製品需給が逼迫して輸入を必要とするような事態にならない限り、事業団輸入は原則として行わないということといたしておるところでございます。  したがって、現在輸入されております乳製品は、一つは、飼料用あるいは学校給食用等、特殊用途に向けるために輸入割り当てをして入ってくるもの、二つ目には、ナチュラルチーズあるいは乳糖、カゼインなど、国産のみでは需要に十分対応できない等のために輸入が自由化されておるものでございます。量的に見ますと、五十四年の実績で、生乳換算で見ますと、ナチュラルチーズが四四%、飼料用脱脂粉乳が三一%で、この両者で全体の四分の三程度を占めておるところでございます。  これらの輸入されておる乳製品につきましては、それぞれ学校給食等の特殊用途、あるいは特にえさ用のように特に安い価格で供給をする必要がある、あるいはナチュラルチーズのように自由化品目でございますところから、直接輸入を規制することが困難であり、国産に置きかえるといたしましても、直ちに国内需要を満たすだけの生産体制も整えることが困難な状況にあることがございまして、これらの輸入を現時点において大幅に削減をするということは困難でございます。  しかしながら、政府といたしましては、現下の牛乳需給事情、あるいは生産者団体等の要望にかんがみまして、今年度、五十四年度下期におきまして飼料用あるいは学校給食用の脱脂粉乳の一部を国産品に置きかえるべく関係方面に要請をいたして、関係者の理解によりましてそれが実現されてきておるところで、脱脂粉乳約一万トン余りの置きかえが実現する運びとなっております。  さらに、国産ナチュラルチーズ振興を図るために、事業団によります製造施設に対する助成あるいは振興策の検討等を行っております。  五十四年度の乳製品輸入量は、えさ用の脱脂粉乳の大幅な減少等の影響で、生乳換算で見ますと、これまでは毎年輸入量がふえてきたのでございますが、五十四年は対前年同期比で九九・一%とわずかに減少しております。今後、海外市況が強含みで推移しておる状況、あるいは円安傾向もございまして、輸入量の大幅な増加はないというふうに見られます。  私どもといたしましては、国内生産されるものができるだけ国内需要に合わせて消費されるということを第一義的に考えるべきものと考えておりますが、いま申し上げましたような諸種の事情から困難なものもございます。しかし、関係方面に要請等を行いまして、国産品の需要の増大をしてもらうように努力をしてまいっておりますし、今後も続けたいと考えております。
  23. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 この輸入乳製品の規制についてでございますけれども参考人太田さんの意見もちょっと聞きたいと思います。
  24. 太田参考人(太田康二)

    太田参考人 ただいま畜産局長からお答えがあったわけでございますけれども、私も全く同感でございまして、私ども、御承知のとおり政府から権限を与えられておりまして、食用のバター、脱脂粉乳等の輸入の一元化をやっておりますが、これにつきましては、昭和五十二年の六月以降、全然輸入もしていなければ売り渡しをしていないことも御承知のとおりでございます。  特に問題になりますのは、乳製品の中でやはり最も需要の増大が望まれるチーズの問題でございまして、先ほどもナチュラルチーズがかなりの数量生乳換算輸入されておるというようなお話がございましたが、これにつきましては、私ども事業団の中にチーズ問題研究会という研究会を設けまして、将来伸ばすべきこのナチュラルチーズ振興策につきまして、現在、学識経験者の方にお集まりいただきまして検討いたしております。これによりましてチーズの国産化のめどがつきますれば、相当程度これから伸びてまいりますナチュラルチーズ需要に対して、国産の牛乳で対応できるということになろうかと思うわけでございまして、これが今後進むべき大きな課題であり、政策重点であるというふうに考えておるわけでございまして、これらの措置によりまして、今後増大する乳製品輸入を防遏すべきであるというふうに考えております。
  25. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 同じ問題で、小口さんの方からも意見がありましたらお聞きしたいと思います。
  26. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 消費拡大生乳需要拡大というのは、酪農の長期的な発展あるいは拡大のために中心的な課題であるというふうに考えております。北海道農家の方たちは、販売なくして酪農なしという観点に立って、自主的に資金を出して消費拡大に取り組むという行動も起きているのは御案内のとおりであります。特に、先ほどから畜産局長、太田理事長からも御指摘ございましたように、全体としての今後の取り組む方向として、輸入乳製品国内乳製品で置きかえるという点からいきますと、やはりナチュラルチーズへのアタックというのが重要な戦略的課題であるというふうに位置づけております。そのため、五十四年の際いろいろと政府にもお願いをいたしまして、現在北海道農協酪農工場、そして四国酪農工場でナチュラルチーズ生産のための工場増設を行っておるところでございますし、それからナチュラルチーズを中心として今後製造の開発あるいは普及問題を検討するために、蔵王で現在試作、検討中であります。  チーズ問題は、ニュージーランドの製品でキロ当たり大体四百円くらい、ECで六百五十円、日本で製造いたしますと八百五十円というように、原乳その他の点からいきまして価格にまだ差がございます。しかし、ソフトチーズと言われる、言ってみれば水分含量の多いチーズの取り組みと、今後の需要開発、販路の開発等については、輸入チーズとそう遜色がないものができてくるのではないかというふうに考えまして、市場調査を含めて、今後ナチュラルチーズの特にソフトチーズを中心とする開発と普及ということに努力すべきであろうという考え方を持っております。そういうことを通じて需要拡大、創出をする必要があろう、このように考えておるところであります。  終わります。
  27. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 ただいま参考人の方からもナチュラルチーズの問題が言われておりましたけれども、このナチュラルチーズ生産振興について、政府当局はどのように考えておるか、ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  28. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 チーズにつきましては、乳製品の中でも今後需要が着実に増大していくものと見込まれております。したがいまして、今後の酪農の発展のためにこの問題に真剣に取り組まなければならぬという基本的な考え方でございます。このため、五十四年度、ただいま小口参考人からお話がございましたが、国際競争力があると考えられますフレッシュタイプのナチュラルチーズにつきましては、その製造施設に対し畜産振興事業団から助成を行ったところでございます。その他のハード系のチーズにつきましては、目下のところ価格及び技術面で国際競争力に問題がございます。その国内生産の増大を図るためには、原料になります乳の価格水準が高いなど多くの問題がございますので、現在種々検討をいたしておるところでございます。
  29. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 この問題については、まだナチュラルチーズ生産の施設がないということも聞いておるのですけれども山本さんから簡単にちょっと。北海道でも一万トン程度しかできないという……。
  30. 山本参考人(山本庸一)

    山本参考人 お答えいたします。  チーズは、円が非常に高い時代には外国から買った方が非常に有利だし、外国から買っている人に国産品をつくっている人が太刀打ちできないということで、設備の拡大について非常にちゅうちょしておったのは事実でございます。しかし、最近のように円がこう安くなってきて輸入品とその面でも対抗できる、あるいは外国でもチーズが値上がりしているということで、どうやら最近外国品と競争できそうだ。これは関税特恵の恩恵を含めての問題ですけれども、そういうことになってきたので、設備をしても採算が合うかどうか、チーズ研の研究を待ってからやるわけです。最近私ども生産を一〇〇%から一〇%に拡大してやろうと言っておりますけれども、チーズの生産余地は二、三千トンもあればせいぜいの問題で、乳量に換算すると大体十倍の二万トンぐらいです。したがって、チーズの一万トン級の設備をするということになると六十億から百億、それにホエイ粉の処理をするとやはり百億ぐらいの設備投資をしなければならぬ。こういうことで、外国と競争して果たしていつまで続くかという見通しがないと、設備の拡張ということには皆さんちゅうちょしておるようでございます。その辺、チーズ研の結果待ちによってはわれわれも大いに協力したいと思っております。  終わります。
  31. 高橋(辰)委員(高橋辰夫)

    高橋(辰)委員 最後に、政務次官が出席されておりますので、先ほど来いろいろ参考人の方々から酪農家の大変な苦しみということも言われておりましたが、計画生産下にあって一番苦しんでおるのは負債を抱えた酪農家だと思います。北海道でも大体二千万円から二千五百万円の平均負債があるのではないかというふうに言われておりますし、これは水田農家と違って、酪農家は冬期間における農外収入というものは望めないという実態でございます。そういうことで、今年度あるいは昨年度の状況を見ましても、負債の元金、利息もまだ払えないという状況で、短期借り入れをしておるというような状況も多くあるわけでございまして、これらの負債の償還に苦しんでおる酪農家に対する対策を十分にとってもらわなければ、限度数量もふやすことができない、あるいは減らすのではないかというような状況下にあるわけでございますから、この酪農家の負債償還問題対策としてどのように政府当局としては考えているかをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 近藤(鉄)政府委員(近藤鉄雄)

    近藤(鉄)政府委員 先生御指摘のとおり、確かに酪農家の負債が統計的にもふえているようでございますが、これは大体経営規模の拡大に見合って負債もふえている、こういうことであります。本来ですと、それに見合って売り上げがふえていく、したがって所得もふえる、こういうことだと思うのでありますが、いま御指摘がございましたように、限度数量があって計画生産をしておる、こういう状況でございますので、なかなか思うように売れない、こういうことだと思います。とりわけ、最近急激に規模を拡大した酪農家の方々は、まさに農協からの借入金の返済の問題や、その他いろいろ買掛金の支払いがむずかしくなってきておる、こういう状況があると思います。かてて加えて、どうも飼料価格を初めいろいろ生産関係の資材の価格も上がっているし、これは牛乳価格を今後どうするかという問題と絡みますけれども、必ずしもこういうような負債に対しての支払い余力が余り期待できないのではないかということは十分推測されるわけであります。  ただ、片っ方では乳雄の子牛の値段も最近上っておるようでございますので、若干こちらの面からのプラスの要素も考えられる面もございますので、一体、酪農経営全体がどういう状況になるかということについては、これからひとつ慎重に、十分研究をしてまいりたいと思います。  御案内のように、五十四年度は酪農経営合理化資金の特別融通措置、こういうものを設けまして、一頭当たり十五万円の低利融資を農協からやってもらったわけでございますが、こういうような措置を五十五年度において講ずるかどうかにつきましては、ただいまお話をしましたようないろいろな状況を十分に検討いたしまして、できるだけ酪農農家の方々の経営の安定のお役に立てるような措置について十分政府部内としても検討してまいりたい、かように考えております。  以上です。
  33. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  34. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。新村源雄君。
  35. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 参考人の皆さんには御多忙のところ御出席をいただきまして、大変貴重な御意見を拝聴いたしましたことを厚くお礼申し上げます。  酪農問題は非常に緊急な事態を迎えておりますので、質疑の内容で多少失礼な点がある場合もあるかもしれませんが、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。  まず第一点は、先ほど全中の小口農畜産部長さんの御説明で、昭和五十五年度の保証乳価の要求は九十四円六銭、こういうように御説明をいただいたわけでございます。一方、原料乳の主産地であります北海道農民連盟委員長松川牧夫さんから諸種の事情の説明がありまして、百二十五円六十六銭という要求乳価を主張されておるわけであります。お伺いするところ、全中も、北海道の百六十五戸の農家資料を集めてこの乳価の算定をしたというようにおっしゃっているのですが、こういうように大幅に開いてきた原因は一体どこにあるのかということをまずお伺いいたします。
  36. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 私の方の要求は九十四円六銭ということで、北海道酪農家の調査をもとにして、それを生産費及び所得補償方式ということで賃金の評価がえ、資本利子の評価がえ、地代の算定等を行いまして、結論的にいま申し上げた要求価格を算出したわけでございます。  それで、北海道の農民連盟の方で計算をした計算方法をしさいに検討しておりませんけれども、お手元にございますとおり、私の方の調査結果によりますと、一頭当たりの実乳量五千三百三十八キロ、それに一戸当たり搾乳牛の飼育頭数三十頭という規模で計算をしたものであります。したがいまして、もし北海道農民連盟との計算の差が出てくる可能性があるといたしますと、賃金評価の点ではそう違いがないというふうに推定されますので、あるいはわれわれの調査に基づく調査農家の一頭当たり搾乳量、この数字の違いが大きく響いているのではなかろうか、そう想定をいたしているわけであります。しかし、私の方といたしましては、百六十五戸の調査農家の結果を基礎にして計算をしておりますので、その点の相違を吟味すれば、あるいは結果としての要求価格の差が出てくるのではなかろうか、こう推定しております。
  37. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 全中さんでございますから、農家経済の推移というものを一番把握される立場にあるわけです。それで、いま北海道酪農問題を論議するときに、第三期北海道酪農近代化計画に基づいて積極的な資本投下が行われておる。その結果、私の調査したところによりますと、酪農主要地帯の四つの農協酪農家の負債の状況を調べてみました。これはA、B、Cの三段階に分けて調査をしたわけですが、一つ農協では、Aの農家が借入残高二千四十六万五千円、Bの農家が三千二百二十二万八千円、Cの農家が五千六百八十三万円。それから次の農協では、Aが三千二百六万四千円、Bが四千二百八十六万四千円、Cが四千八百三十五万六千円。まだあと二つ農協がございますが、大体同じような傾向をたどっておるわけです。  そこで、根室の標津農協、これは酪農専業地帯でございますが、ここの農協昭和五十四年一月から十二月までの十二カ月間、特に百八十トンから二百十トン、これは酪農家クラスで言いますと大体上の中クラスの農家だというように生産乳量から見て推察ができるわけです。それで、ここの農協でいろいろ細かい試算をされて、今年度の要求乳価を出しておられるのですが、これはそういう農家の十戸平均でございますが、総支出が二千六百八十二万七千円、これに対する乳量が百九十七トン七百キロ、こういうようになっておりまして、このうち雄子牛等の副産物がございますから、この雄子牛等の副収入の三百四十九万九千円、これだけを除いて、実際に乳をしぼるにかかったと思われる経費を割り返してみますと、百十九円三十七銭になるわけです。したがって、全中の試算をされた九十四円六銭ということになれば、この分だけさらに負債が残っていく。そしてそれが雪だるま式に大きくなっていって、先ほども意見の中にありましたけれども、いま酪農近代化を推進して国際競争力をつけようという努力をなさっているわけですが、これとは全く逆の現象が出てくる、こういうように私は考えるのですけれども、この点についてどうお考えになりますか。
  38. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 私どもも、しばしば組織の代表者あるいは組織内でことしの要求価格をどういうふうにつくり上げていくかという論議をし、今日結論を出したわけでございます。その過程で、特に北海道の場合、最近時に相当の投資が行われて、その資本負担が莫大である、経営としてもあるいは生活としても、これが大きな負担になっているという指摘がずいぶんございました。したがって、今度の価格要求当たりましては、先ほど申し上げましたような算定要領に即して要求価格算定いたしましたけれども、並行いたしまして、農家金融対策をきめ細かく政府要求していく必要があろうという指摘がございました。よって、政策要求の五番目に畜産農家金融対策について、償還期限の延長なりあるいは最近の金利動向からして金利負担の軽減措置などを要求していく必要があろうということで取りまとめた次第であります。  では、具体的にどういう要求政府にすべきかという点につきましては、先般も北海道中央会にお願いをしたわけでありますが、北海道の場合、組合員勘定をやっておりますので、それを生活と経営に分けて、たとえばえさ代の未払い、言いかえれば当座貸し越しの金額が最近どんどんふえているとか、元金、利子を含めての償還がその畜産経営の生活なり経営維持を困難にするとかいう事実を具体的に整理していただきまして、それで、それに即して現在入っている制度金融あるいは単独の組合金融をどういうふうに改善したらいいのか整理をしていきたいというふうなことで、現在組織内で検討させていただいているところでございます。目下のところ、たとえば中央会を中心として、信連なり単協の信用部段階で、どういう経営がどういう状態になっていて貸し越しがずっとふえているとか、そのための金利負担がどういう状態になり、経営にどういう影響を与えているか、もう少し具体的につかまえさせていただきまして、政府要求をしていきたいと考えておるところでございます。
  39. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 どうも農中さんは不足払い暫定法というものを履き違えておられるのではないか、こう思うのです。と申し上げますのは、この補給金暫定措置法というのは、乳業メーカーに渡すいわゆる基準取引価格、この上にどうしても必要なものをかぶせて政府が補給していこう、そしてわが国の酪農というものを先ほど申し上げましたように近代化あるいは国際競争力をつけていこう、こういう考え方で設定されているものです。ところが、そういう考え方を逸脱して、要求乳価はそういうように農家実態に合わないということを知っておられながら安い要求乳価を出して、そしてそれとは別に、これも非常に困難な問題が伴うそういう金融体系を新たに要求していこうというようなこと、しかも、そういう価格を出しておりながら、いま北海道の中央会にそういう資料の取りまとめをやってもらっているということについては、私は、生産農民の頂点にある全中の姿勢としては全く了解ができない、こういう気持ちでおるわけですが、こういう点について、もう一度……。
  40. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 特に農家の借り入れ資本に対する金利負担を今度の乳価算定の中でどういうふうに見ているかということについては、私の方は、自己資本及び他人資本を区別いたしませんで、流動資本及び固定資本について二月十九日の公定歩合引き上げ前提として七・二%の年利率を適用し、それを資本利子の負担としてコストに導入しているわけでございます。もちろん、牛乳の百キロ当たり生産に要する経済的擬制価値を飼育家族労働含めまして全部一応トータルをし、費用を出して、それを一頭当たりの三・二%換算乳量で割り返しまして乳価を出しているということでございます。したがいまして、われわれの要求は、生乳キロ当たり生産するに必要な物財費、労働及び動員されました資本に対する金利負担は、社会的平均水準としてこの価格であれば確保できるものということで要求をしているところでございます。  もとより、当初申し上げましたとおり、五十五年から一道を算出の基礎といたしておりますので、従来算定をしてまいりました一道六県と対比いたしますと約一〇%ほど価格が低く出ております。ちなみに、一道六県で計算をいたしますと百四円何がしという数字が出てくると思いますが、このことについては、去年来組織内で十分討議をした結果、その地域の生乳の過半以上を加工乳に回す地域の再生産を確保するということで整理をいたしまして、一道基礎として価格算定しているという経過がございますけれども、およそ一道北海道生産費基礎とする生産費及び所得補償方式で導き出される価格は九十四円六銭でいいのではないかということで、組織内で決定をした次第でございます。
  41. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 どうも私の質問の要点にお答えをいただいていないようでございますが、時間がございませんので、特に全中さんに強く要望を申し上げておきますのは、この九十四円六銭というのは、先ほども申し上げましたように、この価格自体でも北海道酪農が大多数の平均点以下の農家はもうやっていけない、こういうことははっきりしている。したがって、この九十四円六銭というのは全農の責任において確保してもらう、そしてその上で、先ほど御意見のあった、これらによって賄い切れない農家の負債対策、これはたな上げなり、あるいは将来にわたって払えないというものは端的に言えばある程度たな上げをする、このくらいの措置をもっていまの危機を乗り越えなければならぬ、こういう決意でやっていただきたいことを特に強く要望を申し上げ、今後どういう対策をとられるかということについて、御協力を申し上げると同時に、見守ってまいりたいと思っております。  次に、乳業会社さんにお伺いをしたいわけですが、先ほど山本社長さんの方から、いろいろ厳しい情勢の中で御努力をいただいているということをお伺いしたわけですが、私ども仄聞するところによりますと、乳業会社さんも、もちろん国内生産が足りないチーズ等の輸入は当然でございますが、それ以外に、おたくの会社あるいは関連会社、こういうところでどういうように輸入乳製品を使っておられるか、使っておられるとしたならば、どういう方面に使っておられるかということをお伺いいたしたい。
  42. 山本参考人(山本庸一)

    山本参考人 お答えをいたします。  私どもの関連会社で、実は私も、先生におしかりを受けるかもしらぬけれども、詳しくは存じておりませんけれども輸入をしてあるいは売っているところがあるかもしれません。ただ、私のところで外国乳製品をつくって売っているというのは、見返り物資でちょうだいしたものは私の方で利用させていただいておるわけでございまして、それ以外にわざわざ外国製品を求めて製品化して売っているというようなことは、私の方の会社に限ってございません、よその会社はちょっとよくわかりませんけれども。ただ、関連の会社の中で問屋業をやっているところでは多少取り扱って売っているところがあるように前に聞いておりまして、その点については私も注意をしておりますけれども、私の方でそれをやめさせたら国産品に取りかわるかというと、逆によその問屋に行ってしまうということもあるので、漸次国産品を使うように進めながら縮小していくという方向で私は指示しておりますので、確実なところはまだ調べておりませんけれども、そういう方向で進んでいると私は確信をしておるわけでございますが、先生そのほかに何か実際にありましたらお聞かせをいただきまして、なお調査いたしたいと思います。  終わります。
  43. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 私も正確な資料はないわけでございますが、ある乳業メーカーの関連会社が、シンガポール等にいわゆる製菓工場を進出をさせて、そしてそこで生産をしたその菓子を日本に持ち込む、こういうようなことがあるやに聞いておるわけでございます。これはいま日本の農業、ことに酪農が、農業もそうでございますが、酪農外国の農畜産物によって瀕死の重傷を受けている、こう言って私は差し支えないと思うわけです。しかし、食糧というのはもう国の基礎であって、国民の生命を守る何物にもかえがたいもの、こういうお考え方に立って、いわゆる利潤追求のために国内の農業が衰退をしていく、こういうようなことは少なくとも農業に関連をするメーカーというのは、私はそういうことはいささかも許せないことだ、こういうように考えておるわけでございます。したがって山本社長さん、特に雪印乳業というのは北海道酪農民を土台にして今日の成長をしてきた会社でございますから、日本酪農北海道酪農を守るんだ、こういうような見地に立っていただいて、そういう外国乳製品等の圧迫を少しでも排除していかれる、こういうことを強く要望いたしておきます。  次に、農林水産省の畜産局長お見えになっていますね。まず第一番に、きのうも説明を受けましたし、この前局長さんともお話をしましたが、その中で盛んに需給調整いわゆる生産調整というものを強くほのめかしておられるわけです。私は、先ほどから御意見があったように、いま生産調整をしなければならないのは農林省すなわち政府であって、農民が生産調整をしなければならぬなどということはいささかもないと思う。それは輸入実績を見ても二百五十万トンを上回る膨大な乳製品が、あるいはいろいろな形で入ってくるとしても、こういうものにほとんど手をつけてない、こういう農林省がいわゆる三年越しに全く無策にやってきたことが今日の混乱を引き起こしていると思うのです。これはすでに空洞化されていると言っております農業基本法にも、明らかに第十三条「輸入に係る農産物との関係調整」というところで、「農産物の輸入によってこれと競争関係にある農産物の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあり、その結果、その生産に重大な支障を与え又は与えるおそれがある場合において、その農産物につき、第十一条第一項の施策をもつてしてもその事態を克服することが困難であると認められるとき又は緊急に必要があるときは、関税率の調整輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」こういうように農業基本法においても明確にうたっているわけです。  さらにまた、原料乳等に対する補給金暫定措置法の中においても、畜産振興事業団がそういういわゆる輸入乳製品との関連において国内酪農を守っていかなければならないという位置づけがきちっとされている。それにもかかわらず、もうバターあるいは脱粉等の滞貨についても買い入れすることができない。財政を理由にしあるいはバター等の差しかえを理由にしてできない、こういうことばかり言っておられるわけです。こういうことを繰り返しておるんでは、私はことしよりも明年もっと厳しい情勢が生まれてくるし、先ほど申し上げましたように、いま投資をして全力を上げて生産をしていけば順調に生産伸びる、コストも下がる、こういうときに無理をしてブレーキをかけるから、ここに大きな矛盾がさらに拡大してくる、こういうように存ずるわけでございまして、この点について畜産局長のいままでのようなああいう考え方ではなくて、発想の転換をもってこの機会に臨まなければならないと考えるのですが、局長いかがですか。
  44. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 お答えいたします。  乳製品につきましては、私どもの基本的な考え方といたしまして国内生産によりできる限り安定的、効率的に供給することを基本といたしまして、不足する分について輸入で賄うという考え方に立っております。現在輸入されております乳製品は、御承知のとおり、国内乳製品需要分野と異なる余り競合しない分野のものでありますとか、あるいは特定の政策目的のために、たとえば学校給食のように廉価で供給する必要があるものというようなものでございまして、一般的には主要な乳製品につきましては輸入割り当てをし、その最も重要なものにつきましては事業団の一元輸入ということで、現在はこれをいたしてないということで、国内酪農業の保護の見地で輸入制度もつくられ、運用をしておるところでございます。現下の非常に需給事情が厳しい状況は、生産需要、特に飲用牛乳需要を上回ってその生産が行われてきたという実情のもとに発生をいたしておりまして、飲用牛乳それ自体は外国から輸入されるものではないわけでございます。したがって、国内のそういう需要動向に合わせて生産をするという必要から、生産者団体におきましては自主的にこの調整を行うということでございます。私は、将来のわが国の酪農につきましては、まだ牛乳乳製品需要伸びはあると先ほども申し上げたところでございまして、その需要伸びに合わせた安定的な拡大を図るということこそが重要であるということで、そうした見地に立ちまして、酪農並びに牛乳乳製品生産について政府におきましてとり得る措置をとっていくという考え方に立っておるわけでございます。
  45. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 畜産局長のそういった説明はたび重なるものとして聞いているわけです。しかし、飼料用にしてもあるいは、学給用にしましても、これは価格の差でもって措置できないというだけでしょう。財政的な措置を施せば、これは学給用にしろ飼料用にしろ、すでに一万トンそういう方向でやっているでしょう。ですから、そういうような方向をなぜ具体的に進めないかということなんです。それはもう前年度と同じだけどんどん入れておいて、そして特定の国内産は限られた枠内でもって措置していこう、輸入は固定をしていく、こういう考え方が今日の状態を招いているし、しかもまた、自由化品目の中におきましてもココア調製品はもう九割も脱粉が含まれておって、あるいは調製油脂等においても七割ないし八割はバターが含まれている。しかも、これに対する関税はココアであり調製油脂の関税措置がとられている、こういうような行政上の大きな誤り、こういうものも一層困難にしておるわけです。こういうもの等について適切な指導を行い、そしてまた、先ほど申し上げましたように、今年度の乳価並びに限度数量においては国内生産を最重点に考えてやられることです。最後にもう一度決意をお伺いをして、終わりたいと思います。
  46. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 輸入乳製品につきましては、国内生産によって効率的な製品ができ上がりそれに置きかわる、競争力を持って置きかわるということは基本的に私ども推進をすべきものと考えております。先般、えさ用の脱脂粉乳につきまして一万トン輸入の脱粉に置きかえるべく関係方面に要請をいたしましたが、これはあくまで本年の脱脂粉乳の需給状況から見て応急的な措置として業界の協力を求めた次第でございます。そのようなことを恒久的にやるといたしますと、えさ用の脱粉のコストが上がり、それを使う畜産農家の経営費が上昇をするということがございます。そういうことにならないように財政措置を講すればいいではないかというお話でございますが、そのためには膨大な財源が必要になるということから、困難な状況にございます。  ココア調製品、調製食用油脂につきましては、ココア調製品の関係業界に対しては、その輸入の自粛を求めその適正な実施を要請しておるところでございますし、調製食用油脂も含めまして、それを需要する業界に対しまして、できるだけ国産乳製品を使用するよう要請をしておるところでございます。この三月の末までに決定をする畜産物価格等の設定に当たりましては、牛乳乳製品の全体の需給をどう見るか、その辺は適切に判断をして、法令に基づくところによりまして適正に決めてまいりたいと考えておりますが、現下の需給状況につきましてもこれは十分考慮していかなければならぬと考えておるところでございます。
  47. 新村(源)委員(新村源雄)

    ○新村(源)委員 終わります。
  48. 内海委員(内海英男)

  49. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。朝来貴重な御意見を承りましたのですが、二、三参考人の皆さんに重ねてお尋ねをしたい、こう思っておりますので、余り時間がないものですから簡単に質問の趣旨を申し上げますので、これまた簡明にお答えいただければありがたい、こう思っております。  小口さんにまずお尋ねいたしますけれども、われわれ牛乳を考えます場合に、これもけさほどからいろいろ参考人の皆さん方の御意見もあり、あるいはまた、ただいまの新村委員の質問の中でも述べられているわけでありますが、牛乳そのものの総体の需給のバランスというのは非常に今日重視されなければならない。しかし、現実問題として、政府が対応する姿勢というのが国内的ないわゆる牛乳需給ということを重点にしていて、二百五十六万トンに及ぶときょうもいろいろ御発言がありましたが、こうした外国からの乳製品生乳換算でありますけれどもやはり大量な輸入によって国内生産が圧迫を受けているというのは紛れもない事実だ、こういうふうに考えますときに、私は牛乳の総合需給表というものがひとつ必要だ。これは生産者代表の松川参考人からも強く述べられている点でありますが、全中の要請書と先ほどの御意見を承っておりますと、その点のところがいま一つはっきりしないように思うのですが、全中の立場では、私がいま提起をいたしましたような牛乳の総合需給表、それをしっかりつくって単年度の需給バランスをどうとっていくのか。つまり私の言わんとすることは、そういうことをしっかり見据えていきますと、輸入国内生産というもののバランスというものが当然浮き彫りにされてくるわけでありますから、そういった点の作業は私は生産者団体においても必要だというふうに実は考えているのでありますが、いかがでございますか。
  50. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 国全体の牛乳需要量そしてそれに対する供給をどういうふうに見るか、それをしっかりした目標あるいは計画として樹立すべきであるという基本的な考え方はございまして、去年の十一月私ども農協大会で決定いたしました「一九八〇年代への農協の対応」の中では、食糧問題全体を含めて長期目標の樹立、そして年次計画の確立ということをわれわれは要求をしているところであります。  昭和五十五年に対応する場合、このことをわれわれの要請の中ではどういうふうに述べているかという御指摘でありますが、前提として、やはり畜産物輸入抑制対策を具体的にして、それを実行させるということを前提に年間の輸入見通しを明らかにしていかなければならないのじゃなかろうかというふうに思っているわけです。したがって、国の輸入割り当てのある乳製品については、できる限り国内産乳製品で置きかえる。その場合、内外価格差が出てくるわけですから、これを手当てをするということを前提輸入の見通しを明らかにする。さらには、戦略的な大きな問題でございます国内産ナチュラルチーズ生産振興を通じて、年率六%余の伸び率輸入されているナチュラルチーズ国内産で置きかえるということになりますと、これもまた、国内産ナチュラルチーズ生産振興価格及び流通対策といった具体的な措置が裏づけされていきませんと、結局、全体の需要はこれだけで国内産はどうかわからないから輸入されてしまうということになりますので、結局は全体の需給計画をはっきりさせる場合、原則としては国内産生乳の優先消化ということが前提だろうと思いますし、そのことを可能にする条件を具体的に要求をしていく、あるいはそれを実現していただくことを通じて見通しを樹立することが正しいのではなかろうかという前提で全体を整理をさしていただいているというのが内容でございます。
  51. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 戦術的な部分ということでお話がされたわけで、私が総合需給表と言うのは、これはひとり牛乳に限らぬのでありまして、各部門別、品目別な総合需給表というものが必要だという前提に立って、いまは牛乳のことのみをお尋ねしたのでありますが、端的にそういうものが必要だというお答えにはなってこなかったのであります。私は畜産局長に重ねて、いまの小口さんにお尋ねをした点について政府側の考え方を聞きたいのでありますが、やはり外国から入ってくるものであっても、紛れもなく牛乳からつくられているものであって、乳製品であることは間違いがない。そういう点から言えば、私は従来当委員会でもこの総合需給表の策定をめぐります論議も幾度かいたしましたが、政府側の答弁というのは、輸入物というのは国内の総合需給という立場から言えば需給表そのものの中に入れるということはなじまないという答弁に終始されているわけでありますが、重ねて政府考え方を聞きたいのであります。
  52. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 牛乳乳製品需給を全体としてどうながめるかということにつきましては、農林水産省といたしましては、御承知のように長期見通しで、現在は昭和六十年見通しでございますが、その中で需要が将来どうなるか、さらに国内生産がどうなるか、また、そのこととの関係で不足する分を輸入としてどのくらい見込むかという長期の見通しは立てておるわけでございます。昭和六十五年見通しを現在作成中でございますが、牛乳乳製品につきましては、昭和六十年の見通しをすでにテンポから言いますと相当大幅に現状が上回っておるという状況でございますので、そういう現状を踏まえて六十五年見通しを立てるべく鋭意作業中であるわけでございます。  いまのお話は、そういう長期ではなくて毎年のことを考えるべきではないかということでございますが、先ほども答弁申し上げましたように、現在の輸入されております乳製品は、特定分野のものあるいは国内で全く生産がないものといったものでございまして、それを含めて全体の需給表をつくるということは意味が余りないのではないかというふうに考えられるのでございます。ただ、そうした中でも、国内生産ができる、さらに国際競争力を持つということによって、現在輸入されているものが置きかえられるというための対策は、これは講じていかなければならない。そういう対策を考えます場合には、どのくらいそれが可能であるかという量的な問題も出てくるかと思いますけれども、たとえばチーズについて見ますと、現状では約八万トン需要のうち国内産が一万トン程度でございまして、輸入品を大幅に国産に置きかえるということで来年の見通しをどうするかということには直ちにならない。やはり国内生産体制の整備と合わせて、それによる見通しに基づいて毎年毎年考えていくということで対処すべきものと考えておるわけでございます。
  53. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 だから、私が言っていますのは、長期見通しを否定しているのじゃないのですよ。長期見通しというのが一つあって、やはり単年度ごとの需給というものをきちっと立てるということがないと、いまあなたのお話を聞いていると、輸入されるものは仕方がないという前提に立っているというふうに聞こえる。そうじゃないと思うのですね。いまや外国物にこれだけ圧迫を受けて国内生産が大変なことになっているんだから、それをやはり幾らかでも外国のものに置きかえていくという努力が要るときだと思うのです。そのことのために、小口さんも、戦略的なものとしてチーズなんか考えなければならぬ、こうおっしゃっているわけでしょう。それは八万トン外国からの輸入に対して国内産は一万トンしかないので、それを八万トン全部ことしじゅうに解消しようといったって無理だなんということは私も百も承知していますよ。しかし、そこに努力が要るのじゃないですか。その努力をするということの一つの目標というものが需給表の中にあらわれてきてしかるべきじゃないかということを私は言っているわけです。六十五年見通しを私は否定なんかしていません。それを上回る実態にあるということの事実もそれは見ればわかる話であります。  だから、いま輸入物をどうするのだ。国内で足りないならいざ知らず、余っているのですから、それに対していま生産者団体あたりだってチーズを何とか国産物に置きかえる努力をしようじゃないか、こういうふうにきょうも強くおっしゃっておられるわけです。そういうことにこたえていく姿勢が行政になかったら、私は畜産政策酪農政策と言えないのじゃないか、こう思うのですよ。直ちに置きかえることは不可能だから需給表に入れられないのだと言って、そういう点で私の言っていることをあなたは十分理解をされていないというふうに感じるのですね。  小口参考人、いまの政府の答弁、聞いておってどうお感じになりましたか。
  54. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 先生のおっしゃるとおり、いま国内が六百四十万トン輸入が二百五十万トンという需給関係の中で、苦しい生産調整を現実的な対応としてやっているということを改善し、さらに酪農経営を発展させていくということになれば、先生のおっしゃるように、輸入されておるものを国内乳製品で置きかえていく、生乳で置きかえていくということと、年次別に消費拡大を通じて国内需要拡大を通じて、それで酪農基盤強化するということだろうと思うのです。  そういう意味では、いま局長がおっしゃるように、輸入されてくるものはしようがないじゃないか、あるいはそれを逆に認めて需給表をつくられてはこちらはかなわないわけでありまして、積極的に国内産乳製品輸入物を置きかえるという施策、条件というものを確立してもらいたいし、それから、ナチュラルチーズ生産振興とその価格流通対策をもっともっと積極的に進めていく、そういうことを通じて需給計画あるいは需給見通しというものを確立していただきたいというふうにわれわれは考えるところでございます。また、そういう姿勢で強く政府要請をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  55. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 山本参考人、先ほどチーズの国産化のお話をされておられました。どうやらお話の筋は、国内的にペイするかどうかそこが問題だ、こういうふうにおっしゃられたように思います。従来政府側が言っておりますのは、なかなかチーズの技術的な面とか、まあ施設の問題ももちろんありますけれども、技術的にも、しばらくチーズというものは外国にゆだねているような状態が続いたからというようなふうで、チーズの国産化という問題に踏み切るのにずいぶん時間がかかったわけであります。  私は思い起こしますとずいぶん昔のことになるのですけれども北海道では奈井江にチーズのいわゆる専門工場がございました。そのときの工場長というのは、もう大分いまはお年を召しているようでありますが、雪印出身の藤江才助さんであります。この方はまだ健在のはずであります。これは世界のチーズの泰斗と言ってもいいのじゃないか。こういう技術が実は寝ているわけですね。私は、やっぱりこうした技術を積極的に生かされるという努力は、雪印内部だって当然できるではないか。メーカーのサイドでは十分それはできる。  きょうは山本参考人の御意見としては、そういう技術的な問題についてはお触れにならないで、ペイするかしないか、ここがわれわれ企業としてチーズに取り組むことのできるかどうかの条件だ、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、しかし、先ほど畜産局長からのお話の中にもありましたように、チーズの国際的な比較からいいますと、ECなんかはもう日本の八百円ないし九百円のところでできるというところに近づいておるわけですから、ソフト物なら十分これはできるという自信が私は持てると思うのですよ。やはりいま八万トンをいきなり全部国産に置きかえろということは、私は申し上げるつもりはありませんけれども、少なくともいまの乳業界の技術をもってすれば、単年度で二万トンや三万トンのチーズを国産化するということはわけないと私は思うのですが、それは無理でしょうか。
  56. 山本参考人(山本庸一)

    山本参考人 お答えをいたします。  前にお話し申し上げたのは、価格の問題で外国品と競争ができないということで、企業としての採算がとれないということで申し上げたのですけれども、いま島田先生のお話、技術的にどうかということになると、私はいまの機会を逃すれば日本の技術はだんだん衰退していくのではないか。いま藤江大先輩の話もありましたけれども、最近はそれ以上に技術が進歩しておるわけで、機械化もされてきておるわけです。そういう意味においては、技術的には私はそう心配はないと思います。  ただ、採算に合わないのと投資額が非常に大きいということにおいて、いまの円の為替相場がこう乱高下をしないで安定して大体二百二、三十円ぐらいに安定すれば一これが百八十円にも円が上がればどうしても競争に打ちかつことはできませんが、こういうことが大きな問題で、技術的にはそう心配はない。ただ、一万トンのチーズをつくるのに、大体ホエイの処理から言うと百億円の設備投資が要るのではないか。まあ百億円はちょっと大きいかもしれませんが、六十億から七十億は最低要るわけであります。だから、三万トンであればその三倍の設備投資が要るということになります。  それからもう一つは、いまそういうことで国の政策としてチーズをやれ、損はさせないというお話ができても、工場設置に一年間はかかると思います。ですから、五十五年度の問題としてはちょっと無理で、五十六年度の下手すると中ごろまでになるのではないかということでございます。以後はやはり設備さえ投資すればできますし、大体十万トンあれば、関税の特恵の恩恵を受ければ三分の一は国産でやれる。そういう方向もよろしいのじゃないかということは私ども考えておりますけれども、何しろいまチーズ研究会でいろいろそういう問題を練っておられるようで、その結果をお聞きしてからわれわれは協力すべきことは協力しよう。問題はつくることよりもそれを売るということの問題で、国内の販売業者、加工業者がこれに協力する態度をとっていただかなければ、できたものが全部一社で消化できるということにはならないと思うので、そういう点においては、やはり日本人としての立場を考えて、協力していただけるように国としても運動していただきたいと思います。  それからソフトチーズが非常にいいというけれども、果たしてソフトチーズが今後どのくらいの消費があるかということについては、将来はあるということはだれでもこれは言えるのですけれども、長もちをさせる、それから全国各地に消費拡大するということには、まだ日本のチーズの消費からいいますと、将来性はあっても現実にそう大量のソフトチーズが売れるというふうには私どもは考えておらないわけです。いま日本でなぜプロセスチーズがこう伸びたか。いわゆる品質の保持、貯蔵、販売という面でプロセスが一番向いておるので、やはり将来はある程度ハードのソフトチーズというか、ソフトタイプのナチュラルチーズ伸びていくと思うので、それらを考えながら今後どうするかということをやはり私どもも研究しなければなりませんけれども、私ども一番心配するのは、六十億から七十億の設備を投資して、今度外国品と競争して負けると、乳価は上がってさらに競争できなくなった場合にはどうするかという不安感も、実はわれわれメーカーの中には持っている人もあるわけです。そういうことから考えて、国の方針として大きく打ち出していただければ、私たちはそれに協力することに何らちゅうちょしないという考えを持っております。
  57. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 永松参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど御意見の中で国内産豚肉の品質の問題についてお触れになっておられました。確かにいま、日本国内産豚肉の質というのが若干問題になっているということは、私どももよく聞いているわけであります。その原因がどこにあるかという点は、これは究明しなければいけないと思うのでありますが、この肉質を向上させるというのにはなかなか労力と時間と資金が要る、こう先ほどお述べになっているわけでありますけれども、きょうは余りそういうことを深くお尋ねする時間がなくなってしまいましたので、えさの点で私ちょっと気になる点がありますので、私の申し上げます点について御意見をお聞かせいただきたいと思っております。  輸入脱脂粉乳というものが非常に問題になっているわけでありますが、これは実量で十万トンほど輸入されている。それの使用先を見ますと、子豚の育成用と称して使われます養豚用の脱脂粉乳というのが全体の六五%、生乳換算で約五十万トン近いものが使われているわけであります。ちなみに、乳用牛の育成用では二割、肉牛用のものとして使われるのが一五%。そういたしますと、豚に圧倒的に脱脂粉乳が多く使われているということがこの数字でも明らかなんであります。促成栽培みたいに、脱脂粉乳を多く含んだえさを大量に食べさせれば、確かに短期間で水ぶくれみたいに大きくなる。いわゆる完成といいますか、大きくなる点では早いですね。私はどうもえさに関係がないだろうかという一つの危惧を持っておるのでありますが、全農さんはこの飼料を相当扱っていらっしゃるわけで、全体の三割は全農が占めているわけでございますから、こういう点、やはりいい肉をつくっていくための飼料、養豚に限って言えば養豚用の飼料、子豚の育成用の飼料というものについて、十分関心を持っていただくということが私は必要だというふうに感じているのですが、この点はいかがでございますか。
  58. 永松参考人(永松英二)

    永松参考人 お尋ねの点でございますが、えさをつくる側から申しますと、豚もこれは子豚が親の乳を飲んでおるわけでございますから、乳を飲ます必要はございます。これを人工乳で経費的に安く上げるということで人工乳をつくる。その中にいまお話しの脱粉が入るわけでございます。  そこで、問題は、乳を飲ますことが悪いのではなくて、ということはいい子豚をつくらなければなりませんから、それが悪いのではなくて、子豚用それから肥育用という段階別のえさがございます。これを、そういうことがあってはならないのですけれども、もし子豚用を肥育段階まで使いますと、先生のおっしゃるように肉質が非常に落ちます。そういうことで、われわれとしましては、肥育の段階子豚段階と、その時で一番いいえさを使いなさいということで、肉質のいいものができるように指導をしております。  それからもう一つ肉質の問題で、もうおわかりと思いますけれども、えさだけではなくてやはり種の方もございます。これをまず改良をしていく、そして給餌についてもそういう完全な理想的な給餌をしていくという、そういう組み合わせが肉質には非常に問題だと思います。  以上です。
  59. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 まさにおっしゃる点そのとおりでありまして、私も事実をつかまえて申し上げているわけではないから推測みたいな話もあります。ですから、危惧の念を持っているということを申し上げたのは、つまり、いまのように哺育じゃなくて肥育の段階まで脱脂粉乳が入ったようなそういうえさが使われていくということはうまくないのじゃないかなという気が実はするわけであります。しかし、実態的にそうなっているかどうかというのは、私は十分実態を把握しているわけではございませんが、ただ子豚用に非常に脱脂粉乳が使われる、これが量も減っていかないでだんだんふえていく傾向があるというのですね。ですから、えさの問題というのは、全農としてしっかりお取り組み願いたいなという気持ちがあるものですから、いまお尋ねをいたしました。もちろんこれだけが肉質に影響するファクターではないでしょう。ほかにもいろいろなものがあると思うのであります。  そこで、豚肉事業団にもあるいは民間にもずいぶん下げられていて、国内的にはなかなかうまく売れていかない。特に、東京ラウンドを受けまして今度は豚肉の関税というのが一〇%から五%に切り下げられる、こういう事態になりました。豚については、申し上げるまでもなく中心価格を考えて、先ほど小口参考人のお話の中では、上に向かって一二・六ですか、下に向かって一二・六という、現行法から言えば上一〇、下一〇でありますから、一二・六にならざるを得ないのでしょうけれども、上は広くて下が狭い方がいい、こういうことに実はなるわけですけれども、そううまいことにもならぬだろうというお話もありましたけれども、私はこれは政策的に考えればならぬことはない話だと思う。というのは、やはり中心価格より上回って輸入されてくるというのは、いま現行法では関税一〇%でありますが、将来は八分の一ずつ向こうに倒して、八年間で五%に下げていくわけでありますから、そうすると、輸入豚というものは、よほど輸入豚に対処するための国内豚肉の扱い方というものを考え直さなければだめじゃないか。向こうから入りてくるのは大体部分肉でありますね。国内のは枝肉でありますから、そうなりますと、品質で対抗する。いまの品質のお話というのは非常に重要なんでありまして、品質で対抗せざるを得ないという状態に入るわけです。ですから、暇とお金と労力がかかってばかりとおっしゃっていたのでは、これはとても太刀打ちできないから、早うやらなければいけないわけです。  そこで、畜産事業団、つぶしていらっしゃる立場から、こういう私の考え方に対してどのようにお考えになっているか、太田理事長のお考えを聞きたいのであります。  ついでに、乳製品も相当量滞貨になっている、この在庫を何とか解消せぬことにはこの先大変でありますから、これらについて事業団としての御意見があれば、私はぜひお聞かせ願いたいと思うのですが、いかがですか。
  60. 太田参考人(太田康二)

    太田参考人 豚肉につきましては、実は私の方がつぶしているのじゃないのでございまして、畜安法に基づきまして調整保管を生産者団体が実施をいたしておるのでございまして、御承知のとおり、一月四日に告示をいたしまして、一月四日以降三月三十一日までの三カ月間に三十万頭の調整保管をするということで、全農と全開連と全畜連の三団体によって行われておるということでございます。調整保管によりまして価格が非常に回復してきたということも先ほど来お話がありまして、先生も御承知のとおりだろうと思います。  ただいまお尋ねの価格上下の幅の問題でございますが、これも私の記憶が間違ってないと思うのでございますが、当初はかなり開いておったわけでございますけれども価格安定制度の運用が順次行われてまいりまして、上下の幅がだんだん縮まるということで、このところ一〇%ということに相なっておるかと思います。しかし、実態がかなり動きまして、それより上にも下にも大きく開くということがもちろんあるわけでございますけれども、趣旨はいま言ったようなことで、たしか一〇%ということに何年か前になったと記憶をいたしております。  それから第二の、私どもが保管をいたしておりますバター、脱脂粉乳の問題でございますが、バターは御承知のとおり約一万二千トン、脱脂粉乳は約四万五千トン持っておるわけでございます。そこで、先生も御承知のとおり、私どもの保有しておるこれらの乳製品を売り渡す場合には、時価に影響を及ぼさないような形で放出することを原則といたしておりますので、そうなりますと、たとえば脱粉等はすでに生産も落ちておりますので、値段的にいいますとやや底入れ感が出ております。ここで脱粉の用途が、私どもの放出によりまして競合する用途になりますと、また脱粉の値段を下げるということもありますので、勢い、先ほど来先生が言われております、外国のものによって使われておる、たとえばえさ用の脱脂粉乳とか学校給食用の脱脂粉乳とか、そういう分野と競合するようなことになると思います。  御承知のとおり、現在の国産品あるいは私ども輸入品でも、現実に輸入されておるこれらの品物と比べますと残念ながらかなり高うございまして、もしこれを実行いたすことになりますと、先ほど局長からのお話にもございましたとおり、これもかなりの財政負担を伴うわけでございますので、なかなかそう簡単に、すぐ在庫を処分したらいいじゃないかということをおっしゃられますけれども、そのところはなお慎重に検討しなければならないというふうに考えております。
  61. 島田委員(島田琢郎)

    島田委員 これで終わりますが、太田さんのお話で少しは名案が出るかと思っていたのですがなかなかないようであります。まあ努力していただきたい、こう思っております。  どうもありがとうございました。
  62. 内海委員長(内海英男)

    内海委員長 芳賀貢君。
  63. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 参考人の皆さんにはまことに御苦労さんでございます。特にきょうは畜産問題に関して、畜産政策あるいは需給関係、さらには当面した畜産物価格問題等について貴重な意見を開陳してもらいまして、まことに御苦労さんでございます。  そこで、明十四日から畜産物価格の審議会の総会が開かれまして、後の日程としては十九日に飼料部会、二十七日が食肉部会、二十八日に酪農部会が開かれまして、政府としては、三月二十九日の土曜日に昭和五十五年度の食肉並びに乳価に対する決定をして、法律に基づいて告示をすることになっておるわけです。ですから、きょう出席参考人の皆さん方も、あるいは生産者団体立場、あるいはメーカー側の立場として大事な畜産審議会に参加されるわけでございますが、特に生産者団体の皆さん方は、これだけは御用委員ではないと私は信頼しているわけですが、しかし、米審にしても畜審にしても、生産者側代表というものは、数が少ないせいもありますけれども、どうも迫力がない。簡単に押し切られてしまうというような実感をぬぐうことができないわけでございまして、先ほど述べられたように、まさに畜産危機に当面しているということであれば、ぜひ勇気をふるって、相手が政府・自民党であろうと、業者であろうと、御用学者であろうと、生産者のために敢然として努力してもらいたいということをまず申し上げます。  そこで、限られた時間でございますから、まず最初に、畜産物価格に対する全中の小口参考人からの重点的な説明を承りましたが、その中で若干不明な点がありますので、この際委員会を通じて明快にしてもらいたいと思います。  まず第一に、加工原料乳価格算定の問題でございますが、この中に要望事項といたしまして、加工原料乳保証価格については、生産者補給金、これは五十四年度はキロ当たりにして二十四円五十七銭ということになっておるのですが、これに対して「補給金は乳脂率三・二%基準の乳量に対し交付すること。」昨年もこの種の主張がなされたわけでございますが、この意味するものは、まず基礎になるのは、生産者補給金は農林大臣が毎年度決める限度数量に対して交付されるということになっておるので、五十五年度限度数量はまだ未決定でございますが、昨年に例をとれば限度数量は百九十三万トン、これは言うまでもなく実乳量ということになりますね。ですから、これを考えた場合、この三・二%基準の乳量に対して交付せよというのは、実乳量の百九十三万トンを三・二%で換算しますと恐らく二百十五万トンぐらいになると思うのですが、そういうように数字を引き伸ばして、これに対して政府が決めた補給金を交付せよというのですね。あるいは去年の場合二十四円五十七銭でございますからして、これを三・二%で薄めると二十一円何がしにしかならぬわけですね。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 そういうようなことで交付せよというのか、生産者の利益に向かってこうせいというのか、マイナスになるようにこうせいというのか、この点がわからないのですよ。
  64. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 「補給金は乳脂率三・二%基準の乳量に対し交付すること。」こういうことで例年要求をしてまいりました。その基礎はやはり、キロ当たり保証価格九十四円六銭というのは三・二%換算であるからである、こういうことで要求をしているわけでございます。したがって、百九十三万トン限度数量の中で、現実に取引されている価格というのは、三・二%基準でどういう支払いの方法をするかということで、乳脂率の高いものについてはこの二十四円五十七銭の不足払いの額を高くして支払ってはどうか、こういうふうに要求しているところでございます。
  65. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 小口さん、これが実際に実現できると思っているのですか。自民党政府だからできないとか、社会党政府になればできるとか、とにかくいまの加工原料乳補給金法をそのままにしてこういう要望が実現できると思っているのですか。
  66. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 従来から生産費及び所得補償方式に基づく保証価格要求との整合性でこういう要求を常にやってきていたわけですけれども、現実にはなかなかむずかしく、実現が困難であったというのが経過でございました。
  67. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、加工原料乳の算出の内容ですが、たとえば生乳キロ当たりあるいは一キロ当たり生産費を算出する場合、その基礎になる計算原価というのは、当然調査対象の搾乳牛一頭当たり年間の平均生産費というものがまず一番の基礎にならなければならぬと思うのですね。ところが、一番大事な一頭当たり生産費が幾らということが今回いただいた資料にはないのですね。計算した小口さんはわかっていると思うが、資料をもらってみると、一番基礎になる搾乳牛一頭当たりの年間生産費が五十万になるのか五十五万になるのか記載されていないので、その点どうなっていますか。
  68. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 ここで百キロ当たり計算をいたしましてキロ当たり保証価格を出しておりますので、一頭当たりの全生産費がどうなっているかというのはここでは出ていないわけでございます。百キロ当たりで出ておりますので、それを三・二%換算の乳量で計算をいたしますと一頭当たりの全生産費が出ますので、ちょっといま計算しますので、お待ちを……。後で御報告させていただきたいと思います。
  69. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 時間がないから後でもいいですけれども、元来、生産費の算出の順序ですね、約束というのがあるでしょう。小口参考人価格問題についてはもう練達の士と言われているわけだけれども、どういう順序で百キロ当たりあるいは一キロ当たり生産費とか、あるいはどういう順序で六十キロ一俵当たりの米の生産費計算するかというのは、もう法則があって、自己流で勝手にやるというわけにいかぬのですよ。一頭当たりの年間生産費がわからぬと、百キロないし一キロの生産費は絶対出てこないと思うのです。一頭当たり生産費の金額と、その求める百キロあるいは一キロの場合は年間の一頭当たり算出された乳量というものもわからなければならぬわけです。実乳量は五千三百三十八キロ、これが三・五九%の乳脂率。これを三・二%で換算した場合には五千九百八十九キロになるとわかっておるから——わかったら言ってもらえばいいです。
  70. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 百六十五戸の生産費調査農家の全費用を積み上げ、全泌乳量を積み上げて計算をいたしたものですから、百キロ当たりコストが幾ら、そしてキロ当たり幾らというふうに算出する、そういう手法をとっているわけでございます。そういうことで、一頭当たり生産費が幾らかというふうに計算をいたしてみますと、五十万五千百十二円という数字になると考えます。
  71. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 じゃ一頭当たり生産費の五十万五千百十二円を分子にして、一頭当たりの搾乳量が五千三百三十八キロですから、これを分母にすると、当然キロ当たり生産費が出てくるのですが、これは幾らになるのですか。
  72. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 ただいまの五十万五千百十二円、一頭当たり生産費を搾乳量で割りますと、キロ当たりにいたしまして八十四円三十四銭という計算になります。これを基礎にいたしまして、物価修正あるいは賃金の評価がえなどをいたしまして、われわれの要求価格を出しているということになると思います。
  73. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 これは実乳量でこうなるのですか、三・二のやつは資料に出ていますからね。その水増ししない本当のやつは何ぼになるのですか。
  74. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 いまの数字、五千九百八十九キロは三・二%換算で計算したものでありまして、一頭当たり実乳量五千三百三十八キロで計算をいたしますと、それはまたもっと高い数字になると考えます。
  75. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 では、これを三・二に換算したものが高くなるというのですか。
  76. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 五千九百八十九キロは三・二%換算の乳量でありますので、一頭当たり実乳量五千三百二十八で計算をいたしますと、別な数字が出るというふうに申し上げたのです。
  77. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 それを聞いているのです。
  78. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 実乳量で計算いたしますと、一頭当たり生産費は五十六万六千七百十三円になります。
  79. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 そのキロ当たりで何ぼになるのですか。——委員長、ちょっと時間を調整してもらわぬとね。
  80. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 いまの方法で計算をいたしますと、キロ当たりの単価は九十四円六十三銭になります。
  81. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 そういたしますと、実乳量でまともな計算をした場合には、キロ当たり九十四円六十三銭になる。それから、三・二で乳量を水増しして計算すれば八十四円三十四銭と、計算方式の違うことによって、ちょうど一キロ十円三十銭違うということになるのですね。これをけしからぬと言うわけじゃないのですが、元来が、一頭当たり生産費を分子にして、実際に搾乳牛が生産した乳量というものを分母にして計算をするというのが、もう世界共通の計算方式なんですからね。ぜひこれを畜産審議会におかれましても——政府がこういう計算をして、政府のねらいは、小口さんと違ってはっきりしているのですよ、できるだけ低乳価で決めるという一つの目的を持っておるわけだが、生産者団体としては、まさか政府と同調してできるだけ安く算出されるような方式をとっているのでは絶対ないと思うのですよ。ことしの乳価問題にしてもこれが一番の論争点で、その決め手というのはなかなかないと思うのですよ。だから、これは十分に留意してやってもらいたいと思います。こういう方式でやれば、何も補給金に対しても、限度数量を三・二%換算するという煩瑣な手数というのはかからぬと思うのですね。限度数量というのは、法律で農林大臣が決める。それは三・二%にしろというのではなくて、実際酪農家が生産して、そして農協が集乳をして、そして山本さんの工場に搬入する乳というものは、これは決して三・二%に換算して水増ししているんじゃないのですよ。ただその受け入れの際、農林省の省令でいうと、昨年の保証価格の八十八円八十七銭というのは、これはあくまでも乳脂率三・二%の生乳を、取引基準、六十四円三十銭のいわゆる基準取引価格の場合は三・二%をたてまえとするということになっているわけだから、昔よりの取引慣行上、三・二%基準の取引というのが、不足払い制度のできる前、畜安法のできる前からこういう方式でやってきているわけですね。だから、この換算というのは、政府が三・二%の基準価格を決めた場合、実際はこの全中の乳脂率を見ても、これは農林省と昨年も同じですけれども、三・五九%ということになっておるわけですね。だから、三・二に比べると一二・三%乳脂率が上がっているのですよ、昔は余り差がなかったですけれどもね。  だから、問題は、あくまでも三・二%基準の価格というものを決めてそれで取引をするということになれば、出荷される生乳というものは三・二%以下なんというものはほとんどない。これは平均が三・五九%ですからね。それじゃこの原料乳の価格は、もう少し詳しく言うと、搾乳された生乳の数量、年間なら年間の五千三百三十八キロに三・五九%掛けると、その乳脂肪量というのが出るのですよ、それを固めればバターになる乳脂肪が。これは、あなたの計算でいくと乳脂肪が百九十一・七キロ出るのですよ。これがやはり加工原料としては一番取引の基礎になるものだと思うのですね。だから、三・二%に換算する場合は、これは乳脂肪の百九十一・七キロを分子にして、そして分母を〇・〇三二、つまり三・二%で割れば、結局五千九百八十九キロという三・二%換算乳量というのが出てくるわけですね。  だから、問題は、それじゃこの計算でいくと、たとえば乳脂肪あるいは乳脂率でいけば、一%当たりとかあるいは〇・一%当たり幾らの格差が生ずるかということに当然なるわけでしょう。昨年の場合政府案を基礎にして論議したわけですが、昨年の政府の算出の内容あるいは農林省統計の内容でいくと、結局乳脂率が〇・一%当たり二円七十八銭ということになるのですよ。それを採用すれば、三・二に対して〇・一%ずつ高い分については二円七十八銭加算した乳代というものを取引の際にメーカーは払わなければならぬということに当然これはなるわけですよね。そしてだんだん加算していって、三・五九%の乳を出荷した場合は、当然実乳量計算で九十四円六十三銭、これに集送乳経費とか手数料とか加算して要求保証価格が出るわけですからね。ところが、現実には〇・一%二円七十八銭とか三円じゃなくて、もう十五年も二十年も前からの〇・一%当たり一円加算ということになっておる。こういうことを全中にしても全農にしても、あるいはきょう西原参考人は御不幸で出席できませんでしたけれども、中央酪農会議に全国の指定生乳生産者団体が加入しておるわけですね、この法律を運営するための。それから生産者にしても、一言もこれはおかしいと言う者がいないのですよ。さきほどの松川参考人も、これは十勝における有数な酪農家ですけれども、この〇・一%一円があたりまえのような顔をして、乳価が安いからけしからぬ。こういう点、もう少し、小口参考人だけいじめるわけじゃないけれども、あなた方は一番実情を知っているわけだから、農林省はこういうふうに安くするわけだからそれなりの目的と理由をつけてやっているが、生産者団体は農民を苦しめるためにあるのじゃないでしょう。こういう点についてどう考えておられますか。これは永松さんからも参考までに意見を聞かせてもらいたい。それからあわせてメーカー代表の山本さんからもですね。
  82. 永松参考人(永松英二)

    永松参考人 先生の御趣旨のとおりで、われわれ生産者団体といたしましては、できるだけ農民の所得がふえるようにというふうなたてまえでやっております。
  83. 山本参考人(山本庸一)

    山本参考人 お答えします。  私ども余り酪農のことはよくわかりませんけれども、私は、牛乳そのものは脂肪とたん白質のバランスのとれているので、脂肪だけが高いから牛乳はいいのだというふうには解釈しない。脂肪も高ければそれに付随してたん白質もそれに相当するものがあって、バランスのとれた牛乳が一番いいので、いま脂肪で買っているということが、私たちから言えば、やたらにバターが高くなってしまうというようなことになるので、やはり脂肪と無脂固型分の関係を尊重して私は乳価を決めていただけばいいと思うので、先生のその問題についてちょっとお答えになりませんけれども、脂肪が高いからうんと乳価が高くなるというのは、いまの計算方法ですけれども、私は、そういう内容でもっとたん白質の方に価値を高くすべきでないかという考えを持って、いま五〇、五〇の比率で脂肪とたん白質の原価計算をしているようですけれども、もっと脂肪の方をなにして、たん白質の価値を高く見るべきでないかというのが私の考えですけれども、私はその点に、全く申しわけありませんけれども、お答えになりませんけれども、私の希望と考え方だけをちょっと申し上げて御勘弁いただきたいと思います。
  84. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 山本参考人ときょうは議論する考えはないですけれども、あなたはお客さんだから、お客さんを招待して議論を吹っかけるというわけじゃないけれども、ただ、牛乳のことようわからぬと言われたけれども、いやしくも天下の雪印乳業の社長ともあろうものが、公の国会の席へ来て、自分の事業の中の主要な乳製品事業とか酪農事業というものを知らぬと言うのは、ちょっとおかしいと思うのですよ。これは国会をばかにしているなら別ですよ。  それから、何のためにあなた方の乳業メーカーに対して農家生産した新鮮良質な生乳を一キロ当たり工場まで搬入して六十四円三十銭で基準取引価格として法律を基礎にして決定しているかということなんですよ。いいですか。これは加工向けでしょう。指定乳製品として指定されたら、その乳製品を製造する原料として事業団が出す、これは国が出すのですが、二十四円五十七銭というのは、それはできるだけ安い、バターにしても、乳製品を低廉に国民に提供するために補給金というのが出されておる。これがつかない乳については、同じ酪農家が生産した生乳であっても、用途が飲用向け、市乳向けということになれば、地域によっては若干の差があるけれども、およそキロ当たり百二十円でしょう。同じ生乳であって、同じ一軒の農家が、八割は原料乳、二割は市乳というのが北海道の割合ですが、用途が違うと半分の値段になるわけですからね、工場としての計算から見ればですね。農家は補給金があるから手取りが保証価格で保証されているが、何のために同じ乳が、片っ方は六十四円、片っ方は百一十円になるかということを考えた場合、それ以外のものをつくってはならぬということを、指定乳製品という枠の中で企業努力でがんばってくれということでこれはやっておるわけですからね。  私の聞いているのは、この〇・一%の乳脂率単位で二十年も一円の格差というのはおかしいじゃないか。二十年前はいまの乳価が現在の三分の一以下なんですからね。二十年前の乳価が三倍になれば、当然その格差も三倍なら三倍になるのがこれは当然だと思うのですよ。これも生産者団体が何にも言わないから、会社の方で手出しがふえるようなことを何も進んで言う必要はないですからね。農林省も指導しない。昔からの慣行だから、これは当事者間で話し合って決めてもらえばいいのだ。全部これ逃げているわけですからね。だから迷惑するのは生産者だけということになるわけです。  こういう問題がありますので、ぜひ今度の畜審においては、皆さん出席されるわけだから、政府を相手にしてまともな議論をやっていただきたいと思います。  それから、ことしの皆さんの御意見を聞いても、政策の根本的な問題として、毎年毎年増加傾向を示しておる輸入乳製品を削減すべきである。中には必要のないものさえも政府が入れておる。最初から自由化だから大いばりでもかまわないというものもありますけれども、これは生乳換算すると年間にしておおよそ二百五十万トンに達しているわけです。本来ならば、国内において政府が積極的な施策を講じて、畜肉にしてもあるいは生乳にしても、生乳の場合には酪農近代化計画の線に従って生産が計画的に上昇しておる。国内需給関係ということになれば、食糧が国の安全保障であるとすれば、穀類であっても牛乳であっても、国内において生産がふえた場合には、当然、不足で輸入しておった外国からの輸入乳製品等は、国内の増産された分に見合うだけはどうしても削減するというのがあたりまえだと思います。それを調整も削減も全然しないでふえているわけですから、そうなりますと、国内生産というものをふやすというよりも、むしろ現在よりも縮小させなければならぬというような矛盾が生じてくるわけです。きょういただいた要請書についても、団体の緊急決議として、輸入乳製品に対して政府としては断固として輸入数量の削減をやれということを強調されておるわけですから、こういう点はわれわれは十分了承しましたけれども、ぜひ政府・自民党に対して、あなた方一番つき合いが深いわけですから、言うことも聞くだろうし、夏には参議院選挙もあるわけですから、こういう点はそろって強調して、削減させるようにしてもらいたいと思います。  ついでにお伺いしますが、先ほどの御意見を聞いてみますと、脱粉とバターが膨大に余っているのでしょう。そういうものが余っておりながら、海外からの輸入数量は減らない。脱粉の場合には、生乳換算で九十五万トンにもなっているわけです。養豚とか養鶏、まあ酪農もそうですけれども外国から安いえさ用の脱脂粉乳を入れて、それを水で溶かして飲ませて、水豚とか言われるような品質の悪い肉をつくるということをやめる。膨大な数量の脱粉が余っておるとすれば、国産脱粉は家畜に与えて有毒、有害ということにはならぬと思うのですよ。ただ、輸入よりも国産脱粉の方が価格が高い、高いえさを家畜にやるわけにはいかぬという採算性の問題だけで輸入をふやせふやせと言っている。だから、やはりこの点は頭を切りかえてもらって、これだけ脱粉が余っておる、だから過剰な分は家畜の飼料に回す、その分だけはえさ用の輸入脱粉の数量を減らすということを明確にやる必要があると思うのですよ。それをやる場合の価格面の調整というのは、たとえば、財源があれば、暫定的に畜産振興事業団からそういう転換の費用に対して応分の負担をするとか、誘導政策を講すればいいと思うのですよ。仮にそのことによって豚肉等の生産費が若干高くなっても、これは価格算定のときに、えさが上がれば全部価格に算入されるわけだから、適正な価格算定政府がやって価格を決めれば、何も生産者だけに負担がかさむということにはならぬと思うのですよ。  それから、バター、脱粉が余ってどうしようもない、会社が倒産になるというようなお話もありましたが、何も未来永劫に過剰傾向のバターだけつくらなければならぬというわけじゃないと思うのですよ。昨年も委員会において、そういう場合には国産のチーズ等の研究開発を進めて、そして国産チーズの量産ができるようにすべきでないか。これは太田理事長も来ておられますが、五十四年度の乳価決定の際、それまでキロ当たり生産者に対して一円七十五銭、これは価格と別途に実質乳価という形で限度数量に対して助成をしておったわけですが、五十四年度から今度は打ち切りということになったわけですね。その分がちょうどキロ一円七十五銭で、百九十三万トンというのは三十三億円ということになっておるわけですよ。元来これは生産者手取りとして支給すべきものを、そうしないで、消費拡大とか生産調整に充てておる。その中に、額はまだ少ないですけれども、八千万程度の国産チーズの研究開発費を太田さんの畜産振興事業団から出しているわけです。こういう点は大いにことしも進める必要があると思うのですよ。昨年は実質乳価を三十三億円別途使用しておるわけだから、当然五十五年度においても、やめるとか減額することはとんでもない話だから、これをもっと効果があるようにふやしてやるべきだということも、やはり皆さんから強調すべきだと思うわけです。  ついでに太田理事長から、昨年の三十三億円の使途について、どのような効果が上がっているという点を参考までに聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  85. 太田参考人(太田康二)

    太田参考人 先生から御指摘のとおり、従来事業団の方で助成勘定で支払っておりました乳質改善奨励金が、昨年限りで打ち切りになりました。ちょうどこれに見合う額が約三十三億ということで、これを二つの事業に分けました。一つ生乳計画生産推進対策事業、これが二十二億でございます。それから緊急生乳需要拡大対策事業ということでこれが十一億、合わせて三十三億ということでございまして、一方で需要拡大を図り、一方で計画生産を進めるということによりまして、速やかに需給の均衡を図ろうという事業であったわけでございます。  そこで、今日までの実施の状況でございますが、まず計画生産の方でございますが、一つは、中央酪農会議に対しまして、中央団体の生乳計画生産推進事業の指導事業として三千九百万、それから各県にございます指定生乳生産者団体が同様に各県ごとに生乳計画生産を推進するための事業の助成として九千万、合わせて一億二千九百万ございます。  それ以外に、生乳計画生産達成対策事業ということで、農協とか農協連に対しまして二十億七千百万の補助をいたすことにいたしておりまして、その内訳は飼料自給度向上対策事業ということで、飼料の自給度向上のための機械の導入に対する助成として二億一千二百万、低能力牛の肉用化促進事業ということで、一頭当たり二万円の助成ということで六億五千二百万、それから全乳哺育育成促進事業ということで、一キログラム当たり三十円、これが十二億八百万、これらを合わせまして二十二億でございまして、これは大体全量支給することになろうかと思います。  それから、いま一つ、緊急生乳需要拡大対策事業でございますが、国産ナチュラルチーズ情報収集提供事業ということで、国産ナチュラルチーズのいろいろなこれから進めるに当たっての諸資料を収集するための事業費といたしまして、中央酪農会議に二百万、それから国産ナチュラルチーズ研修施設設置事業ということで、これは酪農電化センターというのが蔵王にございます。これに対しまして施設の助成として八千万。  それから第三が、飲用牛乳消費拡大特別事業ということで、生・処・販が一体となってつくりました全国牛乳普及協会に対しまして十億一千八百万の助成をいたしております。それで、この十億一千八百万の中身でございますが、一つは、幼稚園牛乳飲用普及促進事業、二百cc当たり三円及びストッカー補助の二分の一以内ということでございます。それから、妊産婦の牛乳飲用普及促進事業ということで二百cc当たり六円。それから、老人牛乳飲用普及促進事業ということで二百cc当たり三円。それから、一般牛乳消費拡大対策特別事業としてPR費二分の一以内、これらを合わせまして十億一千八百万。これの実行が、たしか幼稚園牛乳の飲用普及事業だったかと思いましたが、若干計画どおりいかないということで、これの交付は十億一千八百万が約九億七千万ぐらいになるのではないかというふうに見ております。
  86. 芳賀委員(芳賀貢)

    ○芳賀委員 以上で参考人の皆さんに対する質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  87. 山崎(平)委員長代理(山崎平八郎)

    ○山崎(平)委員長代理 瀬野栄次郎君。
  88. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 昭和五十五年度畜産物価格決定当たり、農林水産当局並びに関係参考人に質問申し上げます。  本日は、全中農畜産部長小口芳昭参考人、全農常務理事永松英二参考人日本乳製品協会会山本庸一参考人北海道農民連盟委員長松川牧夫参考人、忙しい中おいでいただきまして、午前中から貴重な御意見を開陳いただき、本年度の畜産物価格決定に当たって大変有意義な参考になる御意見ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  御承知のように、昭和五十五年度畜産物価格決定に当たって、畜産振興審議会は明日三月十四日に総会を開き、三月十九日飼料部会、三月二十七日に食肉部会、三月二十八日には酪農部会、そして三月二十九日には価格決定し、三月三十一日に官報告示というようなことで進められるわけで、例年のとおりのパターンであります。また、一方、全中においても、三月五日に先ほど小口参考人からも御説明のありましたように要求決定をいたし、来る三月十九日には畜産全国大会を東条会館で開いて、全国の意思統一を図るというようなことであるようであります。さらには、三月二十四日からは、全国的運動で特別運動を実施するということであります。御承知のように、一年間の農産物の価格決定に当たっては、何といっても畜産物価格が一番最初でありまして、この価格決定いかんが、今後の麦価、米価、そして秋に行われるてん菜、サトウキビ、豆類はもちろんのこと、あらゆる農産物の価格に影響する、このようにわれわれは認識いたしておりまして、今回の畜産物価格決定は一年を通じての重要な価格決定だ、かように考えております。  そういう関係で、来る三月二十七日と二十八日には当農林水産常任委員会を再び、三たび開きまして、いよいよ二十九日決定を前にさらにこの価格について政府の見解をただし、農林水産冬景色といわれるこの厳しい中にあって、何としても農民の再生産が意欲的にできるような、期待の持てる価格決定をしていきたいということで、わが党も全力を挙げてこの価格には注目し、今後審議をしていきたい、かように思っております。そういう意味で、各参考人におかれても今後十分御叱正をいただき、バックアップをよろしくお願いしたい、かように思っておるわけです。  それだけ申し上げまして、きょうは大変貴重な時間で、限られた時間でございますので全部を申し上げることはできませんが、今回の畜産物価格決定に当たって重要な問題、はしょって全般にわたり若干の点を政府の見解をただし、また一部参考人意見も聞きながら、今後の価格決定に大いに参考にしていきたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、最初にお伺いしたいのは、今回、昭和五十五年度畜産物政策価格要求として、全中から加工原料乳保証価格昭和五十五年度農協要求として九十四円六銭、五・八%アップということで試算をし、午前中からるる参考人からも御意見の開陳がございました。詳しい内容はもう省きますが、御承知のように、飼料価格が昨年すなわち昭和五十四年七月値上げ前トン当たり乳用牛で四万八千六百円、また、五十三年の調査のデータを私持っているのですが、生乳の場合、購入飼料が三四・一%、飼育労働費が二八・三%、合計六二・四%のシェアになっております。こういうことで、要するに飼料が相当上がりつつある。後ほどまた触れますけれども、そういう状況下でありまして、私は、この全中の要求価格というものは妥当なものである、かように思うわけであります。たとえばビールの例をとりましても、ビールの原料というのが上がればビールの価格は上がるわけです。農家もいま余っているのが米、牛乳、ミカン、卵そして豚肉、こういうふうにいろいろ言われておりますが、生産調整に厳しい農家にとっては、私は、やはりこういった飼料が上がれば当然、生産はだぶついていると言っても、農家を健全なものにし、再生産が伴うような、また希望が持てる農家にしていくためには、また国民の食糧確保のためには、当然値上げは必要である、また国民の皆さんも理解をしてもらいたい、実はかように思っておるところでございます。そういう意味で、私は、今回のこの飼料値上げ、昨年からの値上げを見ましても、全中のこの要求は当然の価格である、かように思っております。  農林水産省としては、どういうようにこれを評価し、また今回の価格決定に当たっては十分これを参酌して決定してもらいたいと思うが、その辺どういうふうに考えておられるか、まずその辺からお答えをいただきたい。
  89. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 御承知のとおり、政府価格決定は、この三月末までの間に畜産振興審議会の意見を聞きまして定めるわけでございます。法令の定めるところによりまして生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮いたしまして適正に定める方針でございます。全中からの要求の額、内容について承知をいたしております。私ども考え方と隔たりのある面もございますが、現下の需給状況等を踏まえた形で算定をされておる点も理解ができますけれども、私どもとしては、先ほども申し上げましたような法令に基づきまして、現在の需給事情あるいは生産条件等を考慮して適正に定めるということでございます。
  90. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 価格決定の前であるから明言することは困難だと思いますけれども、全中においても全国的立場から検討し、そしてすでにこういった要請書も出ておりまして、さらに本日はるると参考人の陳述もございました。政府も十分承知されたことと思いますので、その点は十分踏まえた上で、今後ひとつ政府の農民に対する温かい決定を期待しておりますので、十分検討のほどよろしくお願いしたいと思います。  そこで、生乳生産調整の実施の問題であります。わが国においては、御承知のように加工原料乳の不足払い制度がとられておりまして、毎年限度数量オーバー分については国が特別の措置を講じてきたわけであります。昭和五十四年度は、オーバー分について昨年すなわち昭和五十四年三月に「五十四年度加工原料乳保証価格等の決定について」が政府方針で決まったわけです。もちろん、この政府方針は生産者団体の理解を求め、了解事項となっておるわけですが、その内容は、第五として「昭和五十四年度以降加工原料乳限度数量に超過を生じた場合においても、名目の如何を問わず、何等の措置も講じないこととする。」となっております。えらい冷たい決まりでありますけれども小口参考人、このことは政府生産者団体の理解を求めておるということになっておりますが、そのとおりでございますか、確認の意味でお答え願いたい。
  91. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 その点、五十四年の価格決定の際、いま先生が御指摘になったような決定政府で行われたわけであります。生産者側も、生乳生産の順調な伸びに対しまして需要が四%前後で鈍化したということを通じて、毎年度、五十二、五十三と二年続けて限度数量オーバー分の処理をお願いしてまいったわけでありますが、このことが今後の不足払い法を中心とする制度の健全な運営に非常に支障が来るであろうという想定のもとに、計画生産生産者も自主的に取り組んでいかなければならぬ、こういう腹決めをいたしました。その意味で、先ほど先生の御指摘ございました限度数量の今後の扱いについて政府及び党と、自民党が当時吟味をいたしておりましたが、生産者の意向も十分反映していただいてあるいは意思の疎通を行って、取り組みに参画をしたということでございます。
  92. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 そこで、そのような政府生産者団体との了解事項があるわけでございまするので、生産者団体は過剰ぎみの生乳乳製品需給状況に対応して、全中の小口参考人からもいろいろ話、意見が述べられましたように、ここ数年六、七%の伸びを示してきた生乳生産量を、昭和五十四年度には前年比一・八二%の伸びに抑制する自主的な生産計画を立て、これを末端の生産農家におろし、生産調整を実施しておられるわけであります。ちなみに申し上げますと昭和五十三年度実績見込み六百二十五万九千トンに対し、昭和五十四年度計画生産目標六百三十七万三千トンとしておるのであります。言うまでもなく、まだ年度が終わっていないので整理ができていないわけですから数字がはっきりしませんけれども、推測するところ目標より若干オーバーするのではないかとわれわれは見ておるわけです。  そこで、政府にお伺いしたいのですが、計画生産の実績は百九十三万トン限度数量をどのくらいオーバーすると現時点で見ておられますか、簡潔で結構ですからお答えください。
  93. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 一月までの実績はわかりますが、二月、三月についてはまだ現時点で的確な見通しを立てることは困難でございます。四半期ごとのこれまでの補給金の概算払いをいたしておりますが、その四半期ごとに定められました交付予定数量を超えた数量が約九万トンございます。これは十二月まででございます。一月から三月までどの程度になるか、その分がこの上に上乗せになるわけでございますが、現在のところ的確な数量は掌握いたしておりません。
  94. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 先ほど申しましたように、去年の三月に取り決めた了解事項からいきますと若干オーバーするんじゃないかと私は思いますが、仮に百九十三万トンをオーバーした場合にはめんどうを見ない、いわゆる何らの措置も講じないというようなことになっているわけですけれども、その分に対してはどういうふうにされるのか。私に言わせれば、政府は五十四年三月の取り決めがあるからと言えばそれまででありますけれども酪農民は一生懸命まじめに生産調整をして努力をしてきているわけですから、諸般の情勢でオーバーするということもあり得るわけです、そういった場合には、政府はこのような了解事項があるからといって冷たい仕打ちでなくて温かい対策を講じるべきだと私は思うが、農林水産省、その点はどういうふうに考えておられますか、お答えください。
  95. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 限度数量に関する制度は、御承知のとおり加工原料乳不足払い制度の一つの柱でございます。生産者に対して合理的な生産の指標を与えますとともに、財政負担の限度を明らかにするという趣旨に基づいて設けられておるわけでございます。現在生乳需給は大幅な緩和状況になっておりまして、生産者団体も自主的な計画生産を進められ、大変努力を払っておられる。昨年の秋以降その効果も出てまいっておるわけでございますが、仮に限度数量を超過して発生した加工原料乳について安易に措置を講ずるということは、計画生産の効果的な推進にとっても悪い面があるのではないか。逆に生乳の過剰生産を助長するという心配もございまして、そういう措置は、年度初めに明らかにしたとおり措置を講ずる考えはございません。ただ、このオーバー分については生産者団体におきまして特別余乳として処理をするということを進められておりますので、その特別余乳によって生産された乳製品につきまして、市場と関係のない処理をする、その場合に政府としても適切にそれが消費されるようにあっせん等を行っていきたいと考えておるところでございます。
  96. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 五十五年度の限度数量の設定ですけれども政府は、いまも若干答弁がありましたけれども、局長は二百万トン以上はひとつ設定しようかというような話をしているとかしていないとか聞いたのですがどうですか。どのぐらいお考えですか。
  97. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 来年度の生乳需給の見通しにつきまして、まだ現時点でのそれを判断する資料が整っておりません。したがいまして、それについてどうかということにつきまして的確にお答えできないのでございますが、資料の整備をいたしまして審議会にお諮りをして、適正に決めてまいるということでございます。
  98. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 加工乳飲料に対する生乳使用率の向上については行政指導を強化してもらわなければいかぬことは当然ですけれども、時間の制約もありますので還元牛乳のことについてちょっと申し上げておきます。  還元牛乳はまだ残っているはずですが、現状はどうなっているか、量は幾らぐらいあるかということと、年々減っていることも事実ですけれども、たしか昭和五十四年度、昨年は若干ふえたように聞いておりますけれども、その点どうなっておりますか、明らかにしてください。
  99. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 農林水産省といたしましては、従来から飲用牛乳は極力生乳で賄うことが基本であるというふうに考えておるところでございます。そうした中で地域的あるいは季節約需給事情から、やむを得ず製造される加工乳につきましても生乳使用度を極力高めていくという方針で指導をしてきております。  還元乳というお話でございますが、私いま手元にございます資料は、それを含む加工乳でございます。最も多かったのは昭和四十四年度百三十万四千キロリットルでございますが、五十三年度はその約六〇%で、七十八万二千キロリットルというふうに承知をいたしております。
  100. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 この還元牛乳の今後の対策はどういうふうに考えておられますか。去年は少しふえたと思うが、その点もあわせて、時間があれですから簡潔で結構ですからお答えください。
  101. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 いまもお答えいたしましたが、地域、時期によってアンバランスが生乳需給につきまして生ずるという場合、還元乳に頼らざるを得ない場合がございますが、できるだけ生乳を使うという方針で考えてまいりたいと考えております。
  102. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 局長が慎重な答弁で時間がかかるので、次の問題はちょっと確認の意味で私が申し上げますから、よく聞いておいてひとつお答えをいただきたいと思います。  乳製品の過剰在庫について、参考人から、午前中からいろいろと意見の開陳がございましたが、私は次のように認識しておるわけです。昭和五十四年十月現在の乳製品の在庫状況のデータを調べたわけですが、バターは三万三千トン生乳換算で四十五万一千トン、約七カ月分ある。うち畜産振興事業団が持っているのが一万二千トン生乳換算で十六万一千トン、二・五カ月分がある、こういうふうに認識しておるわけです。なお、脱脂粉乳は九万三千トンで、生乳換算で六十一万トン、十・八カ月分、うち畜産振興事業団が四万五千トンで、生乳換算で二十九万五千トン、五・二カ月分となっておると認識しております。バター及び脱脂粉乳一カ月分当たり需要量は、バターは約四千七百トン、脱脂粉乳が八千五百トンであるということが言われておりますので、安定的供給のための適正在庫量はおおむね二カ月ないし三カ月、こういうふうに言われているわけです。そうしますと、仮に三カ月分としても、バターについては四カ月分、脱脂粉乳については七・八カ月分程度が過剰在庫と推定されますが、乳製品の在庫状況は以上言ったようなことでありますか、間違いないか、その点ひとつ確認の意味で政府の見解を求めます。
  103. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 バター、脱脂粉乳の在庫状況でございますが、ただいま先生のお話は少し時点が前のもののように考えられます。その後、昨年秋以降、計画生産の効果が出てまいりまして、乳製品向けの生乳量が減少をしてまいっておりまして、昨年の十二月末現在では、その結果、バターにつきましては民間在庫が一万五千七百四十一トン事業団在庫は変わりませんで一万一千九百七十トン、合計二万七千七百十一トン。これを消費一カ月当たりで考えますと五・八カ月分ということでございます。  それから脱脂粉乳につきましては、民間在庫が四万五千六百四十七トン事業団在庫が四万四千九百トン、合計で九万五百四十七トンと相なります。先ほどの先生の数字よりか若干民間在庫の分が減っておるということでございます。
  104. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 そこで、午前中も参考人からいろいろ意見がありましたが、乳製品輸入量を見ましても、皆さん御存じのように、五十一年は生乳換算で二百十二万八千二百五十三トン輸入しております。五十一年が一番ピークだったわけです。前年対比一五一・四%。五十二年が生乳換算で二百二十四万二百五十五トン、前年対比一〇五・三%。五十三年が生乳換算で二百四十七万九千七百一トン、前年対比一一〇・七%。そして五十四年が生乳換算で二百四十七万八千九十四トン、前年対比九九・九%。五十四年は若干減ったわけですけれども、もちろんこれはえさ用脱粉も含めての輸入量でございますが、現に二百四十七万八千九十四トンという輸入がされておることも事実であります。これはもう当然抑制すべきでありますけれども、いわゆる外交交渉によって関係国から農産物を買わなければ自動車を買わぬとかなんとかということで、通産ベース等でもいろいろとプレッシャーがかかってくるわけでございますから、一挙には参らぬにしても、国内でこんなに過剰ぎみであるのに、毎回私が言っておるように、現にこのような大量の輸入がなされているということは大変問題である。この点は毎回言い尽くされてきておりますけれども、やはりここらで輸入の抑制を断固図っていくということで、当局は強い姿勢で臨むべきだと思うが、その点はどういう決意をしておられますか、お答えをいただきたい。
  105. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 しばしばお答え申し上げておりますとおり、乳製品につきましては、国内生産で効率的、安定的に供給されることを基本といたしまして、その不足分を輸入するという基本的な考え方を持っておるわけでございます。  現在、乳製品輸入につきましては、主要なものについて輸入割り当て制のもとに置いておりまして、そのうち特に重要な脱脂粉乳、バター等につきましては事業団の一元輸入にしております。現在の御承知のような需給事情でございますので、この一元輸入は停止をいたしておるわけでございます。現在輸入されておりますのは、一つはえさ用脱粉あるいは学校給食のような特定の用途に向けて特定の目的で供給をする必要があるもの、それから、国産がほとんどないかあるいは全くないかということで輸入が自由化されて入ってくるものが大部分でございます。  したがいまして、このような状況のもとで輸入を抑制するということについて、基本的にはいろいろ困難な事情がございますが、国内のこれら乳製品を使うそれぞれの分野につきまして協力を要請をいたしまして、たとえばえさ用の脱粉につきまして一万トン輸入品に置きかえるというような措置もいたしておるわけでありまして、さらにそれ以外の分野につきましても、できるだけ国産品を使うような要請はいたしておるところでございます。一律にこれを規制をするということにつきましては、先ほど申し上げましたようなそれぞれの乳製品の事情がございますので、困難な状況にあるわけでございます。
  106. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 乳製品輸入については、行政指導の強化をぜひひとつやってもらいたい。強く要望しておきます。  さらに、私、ナチュラルチーズのことでお伺いしますけれどもナチュラルチーズ生乳換算で九十五万トン以上輸入されておることは事実でありますが、ぜひ国産化を早い機会に図っていくべきだ、かように思っておるわけでございます。現に畜産振興事業団でも検討会をつくっていろいろ進めているようだが、少し手ぬるいような感じがしてなりません。ぜひひとつ促進を図ってもらいたい。  同時に、政府に対してお伺いしますけれども、現在北海道、四国で工場建設を進めておると聞いておりますが、蔵王でも現在試作中である、こういうような御答弁であります。そこで、いままでもそうですが、今後工場をつくる場合に、生産施設に対する助成等どういうようにお考えであるか、また、具体的には当面どのくらいの量を想定して政府は考えておられるか、簡潔でいいですからお答えください。
  107. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 チーズにつきましては、御承知のとおり乳製品の中で今後の需要の着実な増大が見込まれる分野であるということ、また現下の生乳需給事情なり今後の見通し等にかんがみまして、国内生産振興するよう種々要請もございまして、検討する必要があると考えております。  このため、五十四年度には国際競争力があると考えられますフレッシュタイプのナチュラルチーズにつきましての製造施設に対しまして、畜産振興事業団から助成を行うこととしたところでございます。二カ所に対しまして六億五千万円の助成をいたしております。この工場が通常の稼働になりますと、生乳量で約二万四千トンの原料を必要とするということに相なると見込んでおります。  ソフトチーズにつきましては、情勢を見きわめながら以上のような措置を今後も考えてまいりたいと存じておりますけれども、その他のハード系のチーズにつきましては、価格条件あるいは技術条件等で国際競争力の点から見ますと種々問題がございます。その国内生産の増大を図るためには、何と申しましても、原料乳の価格水準が高いという問題が一番大きな問題でございまして、現在これらの問題について種々検討をいたしておるところでございまして、その検討の経過を踏まえながら、今後具体的な方策についてどうするか慎重に検討をいたしたいと考えております。
  108. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 政務次官にお伺いします。  いまいろいろ政府の見解をただしてきましたが、時間がないので単刀直入にお伺いしますけれども、最近の国内生乳生産乳製品需給動向等を見まして、さっきから申しますように輸入が二百四十七万八千九十四トンもあるわけですね。そういったことで、行政指導の強化を含め抑制策をぜひ講じてもらいたいと思うのですが、私が政務次官にお伺いしたいのは、政府需給見通しというのは、いままで輸入を度外視しているように思うわけです。だから、輸入を入れて計画を立てるべきではないか。すなわち乳製品輸入は、さきに申し上げましたように生乳換算で二百四十七万八千九十四トンもあるわけですから、これらを入れてひとつ計画を立てるというようなことを考えるべきである、かように思うわけですけれども、その点はどういうふうに検討されておるのか、また、どういうふうな考えであるか、その点明らかにしてください。
  109. 近藤(鉄)政府委員(近藤鉄雄)

    近藤(鉄)政府委員 最近の事業計画については輸入乳製品を含めて考えるべきだという御意見は、再三この委員会でも諸先生方の御意見があったわけでございますが、事務当局も再度お答えをしておりますように、現在輸入されている乳製品は、国内乳製品需要分野と違う、余り国内的に競合しないものを輸入しております。そういうことと、それから、そのほとんどが自由化品目でございますので、よしんば政府が計画をつくりましても必ずしも計画どおりにならない、こういうことで、一応輸入乳製品は外して計画をつくっておるわけでございます。  ただ、いろいろ御指摘もございましたように、今後ナチュラルチーズを国産化していこう、こういうようなことになってまいりますと、当然輸入分と代替していくわけでございますので、そういうこともこれから一つの問題として考えていかなければならない、こういうふうに私は個人的に考えておりますが、ただ、事務的には、これは将来の問題でございますし、当面は、一応需給計画をつくってそして生産者農家の方々や需要者の方方に御協力をしていただくという意味では、きちっとした計画をつくっていかなければならない、こういうことで輸入品については外しておった、こういうことであると思います。
  110. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 局長にお伺いしますが、生乳需給調整対策事業については、昨年生産調整二十二億円、消費拡大十一億円、計三十三億円を事業団助成し、事業を推進してきたわけです。参考人からもいろいろ意見、また具体的な実行についての内容等御説明もありましたが、昭和五十五年度はこの助成はどういうように考えておられますか、お答えください。
  111. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 五十四年度の事業は需給関係から単年度の事業として取り上げたものでございます。五十五年においてこのような事業を行うかどうかにつきましては、生乳需給事情なり事業の効果なり、さらには財源事情等を勘案をいたしまして、この三月末までに検討をし、結論を出したいと考えております。
  112. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 畜産振興事業太田理事長にお伺いしますが、いまこの数三十三億を倍にしてくれという意見が強いのですけれども事業団としてはどういう腹づもりで、政府にはどういうような要求をしておられますか。そのお考えを伺いたいと思う。
  113. 太田参考人(太田康二)

    太田参考人 ただいま畜産局長からお答えがありましたが、私どもも目下畜産局といかなる仕組みにしたらよろしいかということで検討をいたしておる段階でございまして、ちょっとここではまだ申し上げることができないわけでございます。
  114. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 太田参考人は遠慮なく言うのかと思ったらえらく遠慮しているが、体も大きいわけだから、少し馬力をかけて要求をしていかないとなかなか希望の予算がとれないですから、がんばっていただきたいと思う。  そこで、時間もございませんが、アウトサイダーのいわゆる生産調整に協力しないものが、私の調査では全出荷量のシェアが五十二年度が六・八%、五十三年度が六・一%あるやに見ておりますが、こういった程度のものであるか。それとこれに対する指導はどうするのか。この点局長からひとつ簡単にお伺いしたい。  と申しますのは、農民はこういう厳しい中でひたすらまじめに生産調整に努力しているのに、一方ではこういったアウトサイダーがあるということになりますと、これは今後の生産調整に影響を及ぼすというふうに考えるわけですから、その点の指導もどうしたらいいか、簡潔にお答えください。
  115. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 計画生産の推進につきましては、生産者並びに生産者団体が自主的にこれに取り組んでおるわけでございます。政府におきましてもこれに全面的に協力するということでございますので、ただいまのお話のアウトサイダーの問題につきましても、生産者相互の連帯が大事であるという重要性につきまして十分認識をしていただき、計画生産に協力するように都道府県等を通じまして指導をしてまいりたいと考えております。
  116. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 次に、豚肉関係のことで数点お伺いしておきます。  五十三年度の調査のデータから見ますと、肥育豚の労働費が七・四%、購入飼料が三四・五%で四一・九%のシェアとなっております。子豚の場合が労働費が二三・四%、飼料代が五五・七%、合わせて七九・一%。また飼料価格についても、五十四年七月の値上がり前のトン当たり価格が、豚の場合が四万九千八百円、肉牛が四万五千八百円、ブロイラー六万三千五十円、鶏五万一千円、トン当たり平均で大体五万円、こういうようなことになっております。  こういった意味で、さきの生乳の場合と同じように、飼料がこんなに上がってきておりまして、今回全中要求によるところの中心価格が七百十一円、そして安定上位価格安定基準価格は、参考人が述べたような理由によって今回設定してございません。アップ率六・四%になっております。われわれもいろいろ試算しましたが、まことに妥当な数字である、かように思うわけです。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 安易な輸入を抑制すべきであると同時に、中心価格一キログラム当たり七百十一円は輸入基準価格としているわけでございますから、国内産豚肉を圧迫しないよう政府は十分配慮して価格決定する、要するに、輸入を防ぐためにはやはりハードルを高くしてやらなければならぬ、また事業団が買い入れをするためにはハードルの下限を低くするというようなことで、いずれにしても養豚農家を守るために安定帯の上下の幅を広げて、輸入の抑制と事業団買い入れの促進を図るというようなことで、ひとつ十分今回の答申を受けて中心価格決定してもらうようにわれわれは強く要望するわけですけれども、これに対して、生乳と同じように、どういうように全中の試算を評価し、政府としてはどういう決意でおられるか、お答えをいただきたい。
  117. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 指定食肉の安定価格につきまして、ただいま御指摘のような御意見があることも十分承知いたしております。いたしておりますが、いずれにいたしましても、三月末の畜産振興審議会の意見を聞きまして、適正に決定をしてまいりたいと考えております。
  118. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 畜安法によりますと、現在実施している調整保管豚肉の放出に当たっては国内価格に悪影響を及ぼさないこととして、その放出時期、価格については適切な措置を講ずるようになっておりますが、畜安法施行規則によると百八十日以内と決まっております。現在のいわゆる保管豚肉についてはいつごろどういう方針で行うのか、その方針を伺いたい。たとえば昨年十二月の買い入れですとことしの六月放出ということになるわけですけれども、いま豚肉価格が低迷しております。そういう意味で、放出するときには価格を検討した上で、当然古いものから逐次放出するということになると思うが、その点どういうふうな方針でおられるのか、この機会にお伺いしておきたい。
  119. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 畜安法に基づきます調整保管は本年の一月から実施いたしておりまして、三十万頭の枠で進行しておるわけでございます。三月六日まで約十一万頭となっておりますが、計画期間の三月末までにさらにこの数量がふえるものと見込んでおるところでございます。  この調整保管により保管されました豚肉は、御指摘のとおり保管後百八十日以内に販売されることになりますが、この豚肉の市場放出に当たりましては、生産者団体等と十分協議をいたしまして、国内需給なり価格に悪影響を及ぼすことのないように実施してまいりたいと存じております。  百八十日以内で販売できない場合どうなるかということでございますが、まあそういう事態にならないように需給調整に十分留意したいと考えておりますが、そうは言っても百八十日に達する時点でなかなか販売ができないという場合が全くないとは言えないかと存じますので、そうした場合には、その販売できないと判断される時点で対応策を検討してまいりたいと考えております。
  120. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 配合飼料価格差の補てんについてお伺いします。  昭和五十四年七月から十二月の配合飼料価格の値上げがトン当たり七千五百円に対して、七月から九月に、通常補てんとして自主基金が四千二十円、異常補てんとして異常基金が二千六百六十円、計六千六百八十円、十月から十二月については、通常補てんとして自主基金が四千百二十円、異常補てんとして異常基金が千二百二十円、計五千三百四十円の補てんが行われております。昭和五十五年一月からの大幅値上げ、すなわちトン当たり九千円に対しては、一月から三月に通常補てんとして自主基金九百八十円、異常補てんとして異常基金が八千六百二十円、計九千六百円を補てんすることになっておりますが、このような値上がりの要因、背景については、これはドル高円安、燃料とかいろいろあると思いますが、今後補てん財源と補てん額等の見通しについては、政府はどういうふうに考えておられますか、これは政務次官からでもいいですから、お答えをいただきたいと思うのです。
  121. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 御承知のとおり、飼料穀物の国際価格の高騰、円安等から、本年一月以降六月までの価格としてトン当たり平均九千六百円引き上げられまして、いまお話しのような通常、異常合わせましてこの値上げ額に見合う補てんを行っておるわけでございます。その補てんは一−三月について決められておりまして、四月から六月分につきましては今月末までに開催されます配合飼料供給安定機構と三つの基金の理事会で補てん額が決定される予定でございます。  七月以降どういうことになるかということでございますが、現時点では見通すことは困難でございます。六月までの補てんの財源につきましては十分その補てんの財源を持っておりますけれども、七月以降の状況いかんによっては補てん財源につきましてどのように措置するか、これはその時点におきまして検討することになろうかと存じますが、ただいまのところはそのような検討はまだ行っていないところでございます。
  122. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 時間がもうなくなってまいりましたので、最後に全中の小口参考人に御意見を承りたいと思いますので、ひとつ元気を出して御答弁いただきたいと思う。  実は、豚肉価格の低迷などから総合的な畜産対策が求められているときでありますが、農林水産省は昨年の十一月十二日に畜産振興審議会の委員懇談会を開いて、最近の畜産物需給をめぐる諸情勢と来年度農林予算についていろいろ説明、各委員意見を聞いたわけです。その中で生乳豚肉とも生産過剰傾向にあり、事業団での買い上げは必要だが、計画生産をきちんとし、もっと消費拡大すべきだとか、農林水産省が進めている農政見直しについて、六十五年目標の畜産物の自給率が下がるのは問題だ、生産を伸ばすことをより考えるべきだ、こういった意見が出ております。  詳しいことを言う時間がございませんので、はしょって申し上げますけれども、実は六十年の農林省のこの長期見通しを見まして、六十五年の見通し、試算を見ましても、牛乳乳製品は六十年目標が九四から六十五年見通しは八八にダウンしている。また、肉類については六十年が八六から六十五年が八三にダウン、うち牛肉については六十年が八一で六十五年は七一、いずれもダウンしています。自給率を大いに上げて今後畜産振興を図っていこう、また水田に対する休耕田も六十五年には八十万ヘクタールになる、こういった水田を利用して山地酪農から平たん地へ若干移す、そして飼料の水稲もつくったりして自給率を上げ、いろいろと今後日本畜産農業を守っていこうというときに、政府の目標が、中間試算と言いながら、八月ごろ結論が出るでしょうけれども、早くもこういうふうにダウンしている。こういったことに対して、われわれは国会でしばしば、けしからぬ、もっと意欲的にやるべきだ、農業に対してもっと明るい展望を、まさに農林水産冬景色で春は来ないじゃないか、こう言っているのですが、全中としてはこういった政府の目標に対してどのように検討されたか。今日の厳しい畜産状況下にあって、今年度の農産物の一番最初の火ぶたを切るところの今回の畜産物価格決定に当たって、いろいろ検討されたと思うけれども、こういう弱い弱い目標では相ならぬと思うのですが、この六十五年見通しに対して全中としてはどういうような意見を闘わせ、集約しておられるか、最後に全国農民の代表としてひとつ政府を叱吃激励する意味でも、今後の需給見通しについて、大きく審議会へ反映するためにも、声を大にして意見を開陳していただきたいと思うわけです。
  123. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 政府は六十五年目標の需要生産の長期見通しをやっているわけでありますが、われわれといたしましても最大の関心を持ってこれに対応しているところであります。特に先生御指摘のとおり、米の問題を含めて全体として食糧の需要構造がどういうふうに変化してくるか、それに対して農業生産をどう対応し、言ってみれば再編成をしていくかということは、これからの農業の路線を敷くという点で重大な問題を含んでいると考えております。そういう視点で、現在まで果樹二倍、畜産三倍というように、国内需要伸びに適確に対応して伸ばしてまいりました日本の農業あるいは農家の経営努力というものを、その芽を摘むようなことがないように、適確に発展をし、かつ経営の基盤としても強化されるという視点で、政府の長期見通しに対応していきたいというふうに考えております。
  124. 瀬野委員(瀬野栄次郎)

    ○瀬野委員 以上で終わります。  ありがとうございました。
  125. 山崎(平)委員長代理(山崎平八郎)

    ○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  126. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 参考人の皆さんには、本日は本当に御苦労さまでございます。  大変貴重な御意見を聞かせていただきましたし、その中には苦干の陳情みたいなもの、要求みたいなものも聞かせていただきました。私も自分のふるさとで酪農農家や養豚農家から呼ばれて、いろいろしかられたり鞭撻されたりしておりましたし、この間、酪農では主産地の十勝、根室、釧路、根釧地域に入ってみました。養豚では茨城県の主産地にこれまたお邪魔してみましたが、その結果を総合しますと、いま皆さんがおっしゃられたことと全く同じ見解に達してまいりました。そこで、これから皆さんの御意見を参考にし、皆さんの要求しておるものに少しでもそこに近づけていきたいと、私たちもがんばってみたいと思っております。  それにしても、直接生産しておる農民が農業のことで政府と交渉したりやり合ったりする最初の闘いがこの畜産価格の問題でございまして、私たちはこの点では非常にこの問題を大事に考えているわけであります。  そこで、ひとつ松川さんにお伺いしますが、農民の団体として農協がございますが、そうでなく皆さんの団体だとか日本農民組合などという農民の団体が、要求はいま伺いましてよくわかりましたが、どんな闘いを進めておられるか、これからどんな日程でお仕事をされるか、そこいらを御披露していただければ私たちも呼応できるかと思っております。お願いします。
  127. 松川参考人(松川牧夫)

    松川参考人 私ども農民団体は、畜審の開催される期間、農民団体とともに共闘を組んで闘ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  128. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 ひとつがんばってくださるようにお願いいたします。  そこで、第二の質問は、緊急融資をめぐっての問題でございます。北海道の農民連盟の要請書、いま松川さんから説明を伺いながら読ましていただきました。それによりますと、「保証価格基準価格の据置きと引き下げ、市場価格の暴落および、生乳ならびに豚肉生産抑制等によって借入金の償還が不能となり、その償還相当額を高利の短期資金に依存し経営困難に陥っている中下層経営に対し、制度資金への借りかえによる利子軽減と償還延長の措置を講ずること。」と、全く私も農民の方々の中に入ってみたらこの要求でございます。中央会の要請書、先ほど説明を伺いながら文章を見ましたが、「金融の強化対策」で「畜産酪農経営の安定・強化をはかるため、適切な融資措置を講ずるとともに、環境条件の悪化にともない負債が増加していることにかんがみ、利子負担の軽減措置等適切な対策を講ずること。」とあります。なるほどと思いますが、農民連盟の方はかなり具体的なんで、全中さんのはどういう意味なのか、私少し血のめぐりが悪いのか、必ずしもさっぱりしないので御説明願いたいのです。
  129. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 農家の金融は、先生御存じのとおり、近代化資金を初めといたしまして公庫資金その他畜産関係では多くの金融措置がついております。また一部には自創資金の形で資金が入っているものもございます。全体として最近の環境条件といいますと、やはり生産の縮小さらには飼料価格の上昇等によって農家の償還が円滑に進んでいかないという問題であろうというふうに思います。したがって、その結果は、融資機関であります農協の飼料代金の滞留とか、あるいはそれら施設資金の償還に伴う経営の悪化という問題が具体的に上がってくるのだろうというふうに思います。  したがって、近代化資金の場合にはどうするか、あるいは公庫資金の場合にはどうするか、さらには自創資金の場合、さらに畜産関係の多くの資金についてどうするかということで、これの借りかえの措置をとるべきなのか、償還期限の延長を考えるべきなのか、あるいは利子負担について特別措置を講ずべきことなのか、個別の問題を具体的実態に即して吟味をし、政府要求をしていきたいというのが内容でございまして、文章は確かに抽象的になっていて御理解しにくいところがありましょうけれども、その実態の把握にいま努めているところであります。よろしくお願い申し上げます。
  130. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 そこで、そこまで話が来ましたので、小口さんに非常に話がかみ合ってきましたが、実は単協に行ってみますと、系統資金、近代化資金、自創資金、期限満杯まで借りてないのです。そしてある程度までで終わる。そうすると、農協が非常に熱心にそれを手続してくれて、農協からの短期融資にかえているのです。そうすると、農協金利が高くなる。農民は苦しくなっている。これを熱心に、むしろ積極的におやりになっていると言っているのですよ。政府に対して、農協指導部に対して、これを期限延長するようなことの措置を余りしてくれてないと言う。まさにそこのところがこうなんですが、こういう指導をやはり一本入れてほしいと思うのです。これに対して農林省もその方針をとっていただきたい。お二人に答えていただきます。
  131. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 単協の金融措置として、先生の御指摘のような実態を含めいろいろあるのだろうというふうに思いますが、全く畜産とはかかわりございませんけれども、ミカンのことしの需給関係から価格が大変暴落をいたしまして、暮れのうち一部品質について出荷の停止あるいは九十万トンに及ぶ、ミカンのジュース向け等によりまして、農家の手取り価格が最低生産費を確保することが困難であるという実情に即して、政府要請をいたしまして、これは近代化資金を中心とする資金でありますが、償還期限の延長をお願いし、その旨、そのような考え方に即して現在農林省が指導してくれているわけです。畜産の問題についても同じような状況があると思いますので、実情把握の上、具体的な措置の要請をしていきたいし、単協にいろいろの金融措置をやっている向きもあると思いますけれども酪農及び食肉の農家の経営の安定という視点に立って特別の緊急措置を必要とするのではないか、そういう視点で指導もしてまいりたいというふうに考えております。
  132. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 いまお尋ねの一点として、制度資金の融資につきましての償還期限のことでございますが、現行制度のもとでなお償還期限等に余裕がある場合につきましては、その資金の種類並びに個々の経営の状況に応じて、償還期限の延長あるいは中間据え置きを設けるということで個別に対応をし、御相談に乗るようなことをするようにということを関係金融機関に要請をいたしております。  それから、資金対策としてもう一つ、経営の状況の中で資金の回転が十分いかない、あるいは制度資金以外の資金につきましての返還が困難になるというような状況があるかどうかということにつきまして、私どもも現在検討をいたしておりまして、五十四年度は、御承知のように、酪農と養豚につきまして特別の融資措置を、事業団助成によりまして行ったところでございますが、五十五年度についてそういう必要性があるかどうか、なお検討をしてまいりたいと考えております。
  133. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 そこで、現地に入ってみて、もう一つは、稲転で特に養豚、酪農に転換した人、投資したものを償却しないうちに過剰といういまの状態になってきた。非常に苦しんでおります。ここが一つの大事な瀬戸際になってまいりました。これと、農民連盟の陳情にありましたように、資力の弱い人たちがかなり苦しんでいる。見ておれなくなって茨城県の下妻市で、市が二%の金利補助、農協が二%の金利補助をして緊急融資をやっております。これは農林省に言わせると、養豚で相当の蓄積があるからそんなに苦しいはずはないと言っていますけれども、養豚ブームに乗って稲転でやった人たち、特に最近施設投資した人たちはかなり苦しんでおります。これに対して現地ではそういう対応をしておりますが、全中も、これは全中でないかもしれない、農協も、こういう点でやはり農民に対して金利の補助をして緊急融資の道を開いてあげるべきだと思うし、市町村と単協がやっているのに国が黙っているという手はないと私は思います。国がやはりこういう点で何らかの手を差し伸べるべき必要があると思います。この点また重ねてお二人にお伺いします。
  134. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 個別的に市町村あるいは農協が特別融資枠あるいは特別資金という形で融資をしているケースはかなりあるというふうに思います。特にいま御指摘のような最近の状況ということからいたしますと、養豚で言いますと、生産調整の場合には、いま繁殖雌豚の約六・七%、百頭のうち六頭といいますか、そういう水準繁殖雌豚を抑制をする、特にそういうことをしなければならないような需給関係のもとで価格が低迷しているというところが、農家の経営を圧迫している大きな理由であろう。そのことが、借入金に対する償還、それが経営の負担、生活の負担になっているということだと思います。したがって、現場で農協及び市町村に要請して個別に金利の負担等をやっているケースは間々あると思いますが、中心はやはり政策としてこれをどう持っていくかということに相なると考えますので、先ほど申し上げたような実態の把握の上に立って政府に対し要請してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  135. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 養豚経営につきましては、先ほども申し上げましたが、五十四年度におきまして特別の資金措置を講じておるところでございます。その後価格が低迷をし、さらに計画生産を進めるという状況のもとで、経営の動向がどうなるか、私どもも非常に心配をいたしておりますが、その実態を見きわめてその対策を検討をするということでございます。
  136. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 この間、茨城県の下妻市に行って、市長、経済部長、畜産課長、三人が緊急融資のために利子補給していることを私によく説明して、こうしてやっていますが、私を先生と呼んで、先生、国も二%くらい利子補給する意図を持つように、国に頼んでくださいという具体的な話でありました。この具体的な話に政府はこたえてくれましょうかしら。
  137. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 具体的なお話でございますので、茨城県庁から実情を十分聞いてみたいと思います。
  138. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 それはよかったと思います。下妻市の市長たちが喜んでくれると思います。  そこで、これは茨城県の養豚農家から私に下さった一つのメモなのでございますが、政府は養豚業の困難、養豚農家の困難にこたえてくれてない、対策をサボり続けているという文章なんです。畜安法で当然に事業団が買い入れしなければならないのに、それもやらない。やらないばかりか、政府は何と言っているかというと、やらないのは養豚農家にまだ余裕がある、事業団で買い入れれば生産を刺激して過剰生産をさらにふやす。三つ目には放出のめどが立たない。だから政府は手が出ない、出さない。そうして生産団体の自主調整保管、生産団体に補助を出しながら強要している、こういうことなのです。  もう一つには、輸入なんです。五十一年、二年の輸入が、あのオイルショックのときの仕方ない輸入の状態をまだ続けている。五十四年に至ってはさらにまた輸入をふやしている。そうして、この間国会を通過したあの東京ラウンドの問題では、豚肉に対する輸入関税を一〇%から五%に引き下げている。いままさに外国の品物で困っているときに輸入関税を引き下げている。一体政府は養豚農家に何をしてくれているのかということなんです。お米の生産調整の場合は直接乗り出している。養豚の場合は、これは農業団体に少しの金は出しているかもわからぬけれども、自分はその陰に隠れて知らぬふりをしているというわけなんです。いま養豚事業のこの苦しい状態に対して、養豚を育ててこの危機から抜け出させるために農林省は直接行動に出てこなければならないというのがきわめて強い声でありましたが、政府のこういう方針があれば聞かしていただきます。
  139. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 養豚経営の動向につきましては、昨年来の価格の低迷によりまして大きな影響を受けておることは十分承知をいたしておるつもりでございます。わが国の養豚の健全な発展を図るためには、何と申しましても生産需要伸びに見合った形で行われることが基本であろうかと存じます。と同時に、消費拡大も図る。そうした計画的な生産を進める、あるいは消費拡大を図ると申してもなかなか早急にその効果は出ないということが考えられますので、調整保管を実施いたしておるところでございます。幸いにいたしまして、豚肉枝肉価格は、昨今、東京卸売市場で六百円台に乗ってまいりまして、安定基準価格上下するという段階に来ておるわけでございます。  私どもといたしましては、いまの豚肉需給関係を、将来の養豚の発展のために、この時点におきましては非常に苦しい状況であるにしても、ここで次の発展のために経営の体質の強化なり、さらには先ほど他の委員の質問にもお答えがあったわけでございますが、品質の改善等を図りまして需要拡大を進めていくということで、安定的な発展を助長していくという考え方に立っておるわけでございます。私どもも決して手をこまねいているわけではなくて、生産者団体ともいろいろ協議をしながら各種の対策を進めてきておるところでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
  140. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 そこで、私も農民の見ているのには驚きました。農業白書を見ているのです。五十三年度、去年の農業白書。それは何と言っているかというと、酪農に対しては消費生産、それからいろいろな矛盾が出ているというのをずっと分析している。乳製品も分析している。対策も書いている。こんなにたくさんのところを書いてある。養豚はこれっぽっちしか書いてない。五十二年から危機が出ているのに、五十三年真っ向から出ているのにその状況の指摘もなければ分析もない。ひがみかもわからぬけれども、そういう点で養豚を軽視しているのじゃないか。農業白書で、乳用牛、それから肉用牛、大事ですからうんとやる。私もその点もっと書かなければならぬと思います。書いたからどうなるというわけじゃないけれども。しかし、養豚に対する扱い方が余りにも小さいのじゃないか、こういうことなんです。これに何とか、局長、ここから答えてあげてくださ  い。
  141. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 養豚を決して軽視をしておるつもりはございません。酪農、肉用牛、養豚、それぞれにつきまして、現状なり今後改善すべき点につきまして、私どもといたしましては、それぞれの畜種ごとの条件に応じた検討はし、改善策を考えてまいりたいと考えております。
  142. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 政府畜産に対して調整対策を自分でおやりにならないで、全中さんをひのき舞台に立ててやっているのに対して、農民の間にはかなり大きな問題が出ています。酪農でも養豚でもそうですが、過剰に対して、特にこの間養豚では、全国養豚協会、全中、全農を初め関連団体十八団体が集まって養豚経営安定推進会議がつくられました。この一月二十八日に推進会議の全国会長会議が開かれ、農林省畜産局長もあいさつを行っております。この会議の規約には、その目的として、「豚肉の計画的な生産を行うため」として、当日は五十四年度子取り用雌豚調整対策の実施についてが採択され、目標頭数八万頭の生産調整が行われることになりました。北海道に行ってみましたら、老人施設の中で牛乳を十分飲めないのに、子牛が生乳を、もっとも色がついておりましたけれども、かなり飲んでおって、いろんな問題がある。こういうことを酪農でも養豚でも決めてくれるときに、全中や農協の指導部がぼくらに何で話してくれなかったのだろう、農協の指導部なり全中が話してくれれば、ぼくらは腹にある怒りをぶつけてみるのだ、と同時にそれは協力体制になるのだ、その相談もなさらない、こういうことなんです。お米で言うと、八十万ヘクタール減反しなければならぬと出したときに農民の皆さんに相談してくれてないと言っている。そうして、決まったからといって政府の片棒かついで、政府に何にも言わせないで、政府を免罪しているみたいなことをやっておられるという、こういう妙な話なんです。  そこで、日本の農業を守り育てていく、いま酪農、養豚をしていくとすれば、何としても余ったものは私たちも生産調整をしなければならぬ、そうすると、地域の実情に応じて農民の計画の中に出していかなければならぬ、こういう形のものが幾つか出ております。ここのところが非常に問題なわけです。こういう農民の気持ちを農民同盟の皆さんがもちろんだれよりもよく知っていると思いますが、そういう農民の実情について、もう少しここで披瀝してくだされば、あと私質問するについてまたやりやすくなるのであります。ひとつお願いいたします。農民同盟の松川さんにお願いします。
  143. 松川参考人(松川牧夫)

    松川参考人 全く先生のおっしゃるとおりでございます。牛乳で申しますと、北海道ではいま特別余乳として二万一千五百トンを何とか処理しなければならぬというそういう状況になっております。そして、これを四月から三月末までの通年で見ますと、一キロ当たり八十五銭の引き下げになるという状況でございます。ただ、いままで受託乳量に応じて牛乳生産をしておりますので、今月その特別余乳分をどうしても調整して乳代の支払いに入るという段階になります。そうなりますと、一キロ当たり大体十二円くらいの引き下げになって生産がされるという状況でございます。私自身ただいま一日に二十七・五キロの牛乳に紅をまぜて子牛に飲ませているという状況でございます。こういう形で私たちは生産調整に協力しているわけでございますが、このために、私たちかなり多くの負担を強いられるといいますか、収入を減じられると申しますか、そういう事態に立ち至っております。こういう状況になるということは、ただいま先生御指摘されたように、もう少し早い時点で私たちとよく話し合いをした上でどうしようかということであってほしかったというふうに思いまして、私たちもまことに残念だというふうに考えております。  私ども、いま五十五年度に向けて、実は一月中でございますけれども、営農計画書を農協に出しまして、ことしの農協との取引関係のいわゆる組勘等を設定するに当たっての作業をやりました。大半の農家は、特に酪農畜産農家は、ことし非常にめどが立たない、ことしの十二月にいきまして組勘の帳じりをどうやって合わせるか、あるいは始末をつけるかということがいま大変な課題になっております。したがって、そういう中で多くの輸入乳製品等があるというそういう矛盾を抱えて、非常な不満と怒りを持っているというのが実情でございます。それはやはり政府と同時に、私たちの系統上部機関に対してもそういう不満というものがあるというのが実情でございます。
  144. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 そこで、養豚経営安定推進会議でございますが、ここには国などから助成金や補助金も出ております。そこで、農民は、農協の指導部は一体農林省に物を言えるのだろうか、輸入の抑制に対しても体を張ってない、形ばかり言っているにすぎない、補助金をもらう以上のことを損しているのじゃないか、補助金なんかもらわないでずけずけ政府に言えるような体制をつくらなければならないのじゃないか、下と相談しておやりになって下から積み上げていくという運動と、国から補助金なんかそういう団体の上に要らないから、自前でやっていっても政府にずばずばと言える体制をつくらなければならない、こういうのがかなり強い意見でありましたが、私、全中の果たす役割りが大事なだけにこれだけ申し上げて、もし小口さんに所見があればお伺いして、質問を終わります。
  145. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 豚の問題につきましては、先生御心配のとおり、五十四年九月十八日でありましたが、東京相場で五百九円という上物価格水準が出たわけです。これは基準価格六百一円を百円も下回る大変な事件でございました。この問題を深刻に受けとめて対策を始めていくわけでありますが、緊急には、団体の当面の問題でありますから、自主調整ということで、政府にも要請し、日食協からの補助金によって十万頭の市場隔離を行いました。しかし、それだけでは価格の回復ができないわけでありまして、十一月に入りまして緊急に養豚経営確立の大会をいたしました。それに即しまして、さらに十万頭の枠の拡大を図りながら、その状況を見て、事業団介入による調整保管なりあるいは買い上げ措置を講ずべきであるという要請をしていったわけであります。言ってみれば、当面の価格動向に即して、現在ありますいろいろな仕掛けを緊急に発動して、価格の安定をしてもらいたいというのが第一点でございました。  それからもう一点は、こういう価格動向というものをどういうふうにとらえるべきかということを深刻に内部で検討いたしました。そういう中で、先生御案内のとおり、この三年間で二月当たりの飼養頭数が三十頭から六十頭と倍増していることや、あるいは一貫経営の出荷率が六〇%を超えるというようなことを考えてみますと、構造的にやはり需給のバランスというのをどういうふうにとっていくべきかということが問題になったわけでございます。  そこで、全国の十五万六千の養豚農家みんなで考えようということで呼びかけをしたわけでございます。私の方といたしましては日本農業新聞を通ずることが一番早道でございますので、それに意見広告をいたしまして、十五万六千の農家みんなで考えてもらいたいという視点で率直に呼びかけていったわけであります。言ってみれば、適正な価格水準を維持するためには、やはり適正な需給環境というものをつくり出していかなければならないということだと考えております。  もちろん現在の需給関係からいたしますと、国内生産量の約一割は海外から輸入されているという実態もありますので、この面のアタックもいたしました。十五万トン輸入豚肉のうち七割はハム及びソーセージの関係だと思います。したがって、食肉加工メーカーの代表や輸入肉の業界とも話し合いまして、輸入肉が国内価格に影響しないように、当時、一万トン、頭数に直して二十万頭でありますが、輸入豚肉を凍結してもらうというような措置をとってもらい、さらに今後積極的に国内産豚肉で加工するというためのいろいろな注文も聞き、先ほどから論議されている品質向上対策生産者が自主的に取り組むという措置もとったわけでございます。  そういう意味で、価格政策需給対策というのは車の両輪のようにやってまいりませんと、養豚経営を制度的に支えている畜安法もきわめて不健全になりましょうし、また、それに頼っただけで畜産経営の長期的安定が期待できるかと言えばそれは非常に困難であろうということで、組織内の合意取りつけのために十月、十一月、十二月、一月と組織討議をお願いした次第であります。  しかし、ともあれこれは系統農協だけではできません。系統利用率はいまのところ試算で三一%であります。したがって、系統農協以外の七割の養豚農家あるいはその出荷量をどういうふうにみんなで考えるようにすべきかということで、先生御指摘のように十八団体、最近は二十団体も入りまして、それでみんなで考えみんなで取り組むという体制をつくっているわけでございます。  たまたま先生の関連で全然相談がなかったというのは、あるいは私の方の努力不十分で、その農協の指導部に十分徹底しなかった、あるいは農家に十分理解されなかったという点があるかと思いますけれども、われわれとしては本当に需給調整を各般やってみますけれども、結局は農家の理解と農家の団結といいますか、統一による取り組み以外に方法はないのではないか。もしそれが破れるならば、やはり需給実勢、市場メカニズムのままに暴落、暴騰を繰り返すことになるのではなかろうかということを懸念いたしまして、生産者の理解と統一的な取り組みが何よりも重要だ。一方、政府に対しては、そういうことを条件にして強く政策の実施を要求していく、こういう姿勢をとっているのであります。  気持ちだけで、あるいは不徹底な点は十分おしかりを受けながら今後努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  146. 津川委員(津川武一)

    ○津川委員 きょうは参考人の皆さんありがとうございました。特に全中の役割りが大きかったもので苦言になったかもしれませんが、お許しくださるように。
  147. 山崎(平)委員長代理(山崎平八郎)

    ○山崎(平)委員長代理 神田厚君。
  148. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 参考人の皆さん方には大変貴重な御意見をありがとうございます。また、長時間にわたりまして御協力をいただいておりまして、大変ありがとうございます。  酪農畜産政策価格決定を前にしての集中審議ということでございまして、私が一番最後の質問でございます。まず参考人の方に御意見をいただきました関係で、先に参考人の方に質疑をし、そしてその後農林省の見解を聞きたい、こういうように考えております。  まず、全国農業協同組合中央会の小口部長さんにお聞きいたしますが、一番大事な政策価格決定に関しまして、その算定の方式におきまして政府算定試算方式に問題点がある、こういう御指摘があるわけでありますが、それぞれの価格に関しまして、どういう点を問題点として提起をしているのか、その点につきましてお話しをいただきたいと思います。
  149. 小口参考人(小口芳昭)

    小口参考人 政府算定方式と団体の算定方式の違いでありますが、それぞれのものについて相違点がございますけれども、まず、加工原料乳につきましては、基礎資料として従来農協一道六県で算定をし、要求をしてまいりました。政府一道でやったわけでございます。五十五年についてはわが方も一道にいたしましたので、基礎資料の取り扱う算定基礎資料基礎は全く同じになったというふうに思います。  違いにつきましては、主として労働評価の問題がございます。政府北海道製造業賃金をとっておりますが、私の方は全国の製造業賃金をとっておる。その格差は、五十四年の試算の状況から見て約二割の格差があるというふうに考えております。したがってその点が争点になります。また、企画管理労働については賃金を付与しておりませんけれども、このような高度な技術あるいは経営を必要とする酪農経営にあっては、企画管理労働もやはり賃金として付与すべきである。それから、自給飼料生産についての家族労働の評価について、農林省農村賃金をとっておりますけれども、われわれとしては製造業賃金をとってもらいたいというように、労働評価の面が一つございます。  それから、食肉関係でいきますと、需給実勢価格需給実勢方式といいますか、それを農林省はとっておりますが、私の方は生産費及び所得補償方式ということで再生産を確保するに足る価格水準決定すべきであるという要求でございますので、計算の方式の違いからまず問題になると考えております。特に内容的に、農林省肉豚生産費計算いたしますが、その場合、素豚計算方式については、団体の考え方は先ほどから申し上げたとおり、先生のお手元資料が行っているとおりでありますが、農林省は従来五年の平均をとっていたのを、去年から直近三カ月の市場価格計算をする、これによって約五%程度素豚費を安く計算するようになっておりますので、そこが内容的には一つ争点になるというように考えております。  以上であります。
  150. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 ただいまお話しいただきましたが、それらの問題につきましては、従来からわれわれがこの委員会等で特に主張をしてきた問題でございます。そういう意味では、ことしもこの政策価格決定当たりまして、われわれとしましてもそういう形で主張していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ところで、全農の永松常務理事さんにお聞きいたしたいのでありますが、飼料の問題に関しましては、農林省の方は、これから先の七月のあたりまでの動向を見て、それから先のことは決めていない、こういうことを言っておりますけれども、何といいましても、いま一番助かっているのは、やはりえさにおきましてそういう基金からの援助があるから生産者としましては非常に助かっておるわけでありますが、この基金の強化につきまして、具体的にどういうふうなお考えを行政当局に要請をいたすお考えでございますか。
  151. 永松参考人(永松英二)

    永松参考人 基金には御承知のように、異常基金通常基金とございます。通常基金の方は農民が、ちょっと助成がございますけれども、まるまる積み上げて負担をしておるということでございます。こちらの方はいいのでありますけれども、問題は異常の場合、特に最近の国際情勢から非常にこの異常の発生が考慮されますので、この異常基金強化につきまして特にお願いを申し上げているわけであります。特に最近の情勢では、異常基金の発動がありまして、ことしの六月末で、本来ならば七、八百億の貯金がなければいけないのでありますけれども、それが百億ぐらいに減じてしまう、要するに能力を失ってしまうということでございますので、緊急に強化をしていただきたいということでございます。
  152. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 次に、日本乳製品協会の山本会長さんにお尋ねいたします。  先ほどのお話の中で、消費拡大につきまして大変御熱心にいろいろやられておるようでありますが、まだまだこの消費拡大の問題というのは十分な効果も上げておりませんし、さらに、施策としましても十分でないという判断を持っておりますが、協会としまして、農林省等にこの消費拡大についてどういうふうな御要望をお持ちでありますか。具体的にございましたならば、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  153. 山本参考人(山本庸一)

    山本参考人 消費拡大の問題でございますけれども乳製品消費拡大もさることながら、いま私どもとしては、飲用牛乳消費拡大ということを中心にしてきているわけです。そこで、全国飲用牛乳協会というものが、別に厚生省の指定団体としてございます。そしてまた、まだ未認可ですけれども、全国牛乳普及協会というものが一昨年できまして、これも法人格をちょうだいすべくそれぞれ準備をして、いずれ近く認可になろうと思っております。  この問題は、非常に私どもも申しわけございませんけれども、協会ができましたけれども、実際にそれじゃどういうことをやっているかというような問題についてはいろいろ議論があるし、また生・処・販の中でも意見の不一致なところもございましたけれども、最近やっておりますことは、先ほども畜産局長のお話しのように、まず妊産婦への普及あるいは幼稚園牛乳、そういうような直接必要な妊産婦あるいは将来を考える幼稚園の児童ということにやっておりますけれども、これはまだ不徹底だと私は思います。  しかし、最近は各府県ごとに地方の牛乳普及協会が設立できまして、本部からもそれぞれの資金も回っております。したがいまして、これからはやはり牛乳普及協会はそれぞれの県別に熱心にやっていく可能性が非常に強いし、また全国的な問題は別に牛乳普及協会とともに乳製品の料理講習というようなものもあわせてやっているわけでございます。若い人の時代、特に幼稚園から小学校、中学校までぐらいは大いに牛乳を飲むけれども、年寄りになると牛乳をそうそうがぶがぶも飲めないということで、やはり牛乳の普及とともに乳製品の普及も必要ではないか。その中で特に、たん白質、カルシウムということになると、先ほどからいろいろ議論のございました、将来も消費拡大されるであろうというチーズの問題を一番今後の問題として取り上げていきたい。とかくチーズも、外国のチーズのまねでなくて、日本人の好みに向くような日本人の食生活に合うようなチーズの開発も進めていかなければ、単に外国から輸入してそれを加工して売るということだけでは進まないということでございまして、普及の問題はまだ緒についたばかりで、先生にこれだけやっているというようなことを申し上げるまでに至っていないのが残念でございますけれども、ことしあたりから本格的に、地方団体もできましたので大いに期待をし、また、私どもも一線に出て活動に努力いたしたいと思っております。
  154. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 次に、北海道農民連盟松川委員長さんにお尋ねします。  酪農畜産をめぐる情勢というのは非常に厳しいわけでありますが、生産者として、これらの将来性についてどういう点を一番懸念をして、そして、政策的にどういうところを一番しっかりとやってもらいたい、こういうふうに思っておられますか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  155. 松川参考人(松川牧夫)

    松川参考人 私たちの一番大事な点は、やはり私たちの生産する数量をどのように確保するかということです。そしてその次に、やはり価格をということになります。  現在、余ったというような状態の中で、一番気になるのは数量を抑えられるという点でございます。したがって、私が当初にも申し上げましたように、何としてもことしは最低二百万トン以上の加工原料乳限度数量は確保しなければならないというふうに思うわけでございまして、今後いつまでこのようないわゆる生産制限的なことが続けられるのかということが一番心配でございます。  北海道においては、米に始まっていろいろな面で、先ほど私が申し述べましたように、農業全般の大部分が、いかに今後数量といいますか、総生産額を減らさない、しかも拡大生産するような形をどうしてやっていくか、そういう問題が一番気になるところでございます。そういう面について見通しがつきますときに、私たちの希望の持てる農業経営ができるというふうに思うわけでございまして、一番気になる点はその点でございます。
  156. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 いまそれぞれ参考人の皆さん方からそれぞれの御意見をいただいたわけでありますが、ところで、政務次官はいまのお話を聞いておりましてどういう御感想をお持ちでありますか。
  157. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 政務次官がお答えする前に私から先に答弁さしていただきます。  全中の小口さんからのお話で、要求価格につきまして政府と団体との違いについてお話がございました。私どもとしては、これまで畜産物価格算定につきましては一定のルールでやってまいっておりまして、そのルールに従って本年も現在作業中でございます。具体的にはまだ各種のデータで直近のものがそろっておらないのでございますが、その要求算定要領につきましては、特にいま変更する必要はないのではないかと考えておるわけでございます。  それから、全農の永松さんに対するお尋ね、それに対するお答えにつきまして、えさの価格安定の問題がございましたが、御承知のとおり、えさの価格の変動、特に上昇をしてまいります場合に、畜産経営農家に及ぼす影響ができるだけ緩和されるようにするための措置といたしまして、現在安定基金があるわけでございまして、その機能が十分発揮できるように私どもとしてはしてまいらなければならないわけでございます。昨年の七月から平均七千五百円トン当たり値上げがございましたし、本年の一月からはさらに平均で九千六百円の値上げがございました。これに対しまして、それぞれ通常、異常あわせました補てんで相当膨大な補てんが行われておるところでございます。現在は一月から三月までにつきまして、値上がり相当額を通常、異常あわせて補てんをいたしておりまして、四月以降六月までの分につきましては、この三月末までにその補てんの水準を決めるように、関係の三基金及び飼料供給安定機構に対して指導をいたしておるところでございます。  七月以降どうなるかという点でございますが、えさの価格がどういうふうになりますか、いまのところは流動的でございますが、現状において判断しますところでは、さほど大きな変化はないのではないか。もちろん円の為替相場がどうなるかという不確定要素がございます。また石油値上がりによる海上運賃の動向もございまして、それがどうなるかということがございますが、大局的に見た場合には、さほど大きな変動はないのではないか。しかし、そういうことを考えておりましてもどうなるかわからないということでございますので、その資金の確保につきましては、今後とも関係方面と協議をしてまいりたいと考えております。  それから、乳製品協会の山本さんにお尋ねの消費拡大、それについての山本さんのお答えにつきまして、私どもも同じような考え方で、飲用牛乳消費拡大、これを一番大事なこととして考えておりますし、乳製品につきましては、その中で消費拡大の期待が持てるチーズにつきまして、ソフト系のチーズについてはすでに助成策に着手をいたしております。ハード系につきましては、なお種々検討する事項もございまして、鋭意検討を進めておるところでございます。  それから、松川参考人に対するお尋ね、それに対する同参考人のお答えの件でございますが、将来の酪農経営を私どもも考えます場合には、牛乳乳製品需要は、まだかつてのような伸びは期待できないものの、安定的に拡大していくものということで考えております。ただ、その拡大のテンポを需要伸びに合わせて安定的に進めていく必要があるのではないかと考えておるところでございまして、現在生乳生産者団体を中心として計画生産を進めておるわけでございまして、需要に見合った生産を計画的に進めていくということを自主的に取り上げておることについて大きな評価をいたしておりますし、政府としてもそのことに対する全面的な協力をしておるところでございます。  数量の確保が大事だというお話がございましたが、需要に見合った形での数量確保ということが重要でございまして、需要を上回る数量を生産するということになりますれば、酪農全体が非常に大きな影響をこうむると考えますので、そうした数量確保につきましては、安定的に確保していくことが重要であると考えております。
  158. 近藤(鉄)政府委員(近藤鉄雄)

    近藤(鉄)政府委員 実は私は、畜産物の問題につきましては、たとえば米と違いまして、絶対的に供給過剰の状態ではない、もっともっと国内的にも畜産需要伸びる状態だと思っているわけでありますが、事務的にいまいろいろお話しいたしましたように、若干需要伸び生産伸びとのギャップがある。長期的にもっともっと需要伸びるわけでありますが、若干生産伸びのピッチが早過ぎることがいろいろ問題を起こしているのではないか、かように思うわけであります。参考人の先生方からいろいろな貴重な御意見を承りまして、いま畜産局長がお答えいたしましたように、いろいろ参考にさせていただきたいと思いますが、要は畜産物価格決定法にも言いますように、問題は生産の事情、そして需給の事情の両方踏まえながら、あくまでも畜産農家の方々の経営を安定させて、同時に適正な価格で必要な供給を確保せよ、こういう需要に見合った供給を確保せよ、こういうことであると思いますので、そういう趣旨で今月末にそれぞれ価格を決めるわけでございますが、適切な価格決定をしてまいりたい、かように考えております。
  159. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 需要伸び生産伸びの方が早くて追いついていないというお話でありますが、ちょっと考え方が違うようでございまして、それならばなぜ、六十五年見通し等で六十年見通しよりもポイントを下げたような数値を出してこなければいけなかったのか。
  160. 近藤(鉄)政府委員(近藤鉄雄)

    近藤(鉄)政府委員 これも実は六十年見通しを考えました当時の需要の見通しと生産の見通しについて、いささか私たちの方で甘かったということで、実は六十五年見通しの自給率が六十年見通しよりも下がっておりますのもその辺のことでございまして、大体六十五年見通しと現在の自給率が同じ水準に各畜産物でいっているわけであります。したがって、本来ですと、六十年にもうちょっと自給率を上げることが可能であると思っておったわけでありますが、私たちが考えておったよりも需要伸び伸びなかったし、さらに生産伸び過ぎて、もしくは豚肉なんかの場合には、実は輸入豚肉というものも、これはハムとかなんかである程度いろいろな規格だとか品質の問題で当初考えたよりもどうも輸入が減らないということがございましたし、また、牛乳につきましては、いろいろお話がございましたように、チーズなどの需要伸びてきてそれがどうもまだ国内牛乳生産でカバーできない、こういった面があって、結局見通しがいささか甘かったという結果である、かように考えておるわけであります。
  161. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 需要がたくさんあるということで、政務次官が、それに沿って国内生産者を大事にして、そしてそれがきちんとできるような政策の整備をするという形でやっていただければ一番いいわけでありますから、ひとつそういう形で、今後とも国内生産者立場を守りながらやっていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  それで、時間がほとんどなくなってまいりましたので、二、三具体的なことについて御質問いたしますが、一つは、限度数量が設定されまして、ことし生産調整をしたけれどもどうしても限度数量をオーバーしてしまう量が出てきているわけであります。この問題につきまして、大体十万トン前後のオーバーがあるだろうと言われておりますが、このまま全然手当てをしないでおくのか、それとも、生産者が一生懸命努力した結果どうしても余ってしまった問題でありますから、これらについてはやはり農林省としてもきちんと見てやらなければならないのだと考えておりますが、その点いかがでございますか。
  162. 犬伏政府委員(犬伏孝治)

    ○犬伏政府委員 限度数量の問題は、すでに御承知だと存じますけれども一つは、生産者に対して合理的な生産の手法を与える、同時に、財政負担の限度を明らかにするという趣旨で設けられておるわけでございます。過去この限度数量をオーバーしたものにつきまして、特別の措置を講じてきてまいっておりますが、昨年ちょうどいまごろ、ちょっと先でございますが、五十四年度の価格等決定の際に、五十三年度の限度オーバーにつきましては従来の考えどおりの措置をするけれども、そういうことを毎回繰り返していたのでは限度数量というものを決めた意味がないということでもございましたので、五十四年度につきましては、その超過については特別の措置を名目のいかんを問わず講じないということを、生産者団体の御理解も得て決めたところでございます。また、その旨を公にしてまいっておるのでございます。  本年度、そうしたことで生産者団体では計画生産を進めるということでこれに真剣に取り組んでこられまして、昨年の秋以降その効果が出てまいりまして改善の方向に向かっておりますが、年度を通じて見ますと、やはり目標生産量に対してかなりの上回った数字が出てまいるということでございまして、これにつきましては、生産者団体としては特別余乳として措置を講ずるというような大変な努力もされておるわけでございまして、安易にこれを財政措置で講ずるということになりますと、計画生産を進める上で種々悪影響が出てまいることでもございますし、生乳の過剰生産をかえって助長するという弊害も出てまいるということで、この超過量について特別の措置を講ずることは考えていないのでございます。
  163. 神田委員(神田厚)

    ○神田委員 局長の答弁でございますが、われわれやはり生産調整生産者の皆さんにやっていただいておいて、しかもそういう努力をしたにもかかわらずそういう問題が出てきている。あるいは価格の問題等でも豚肉なんかは大変低迷している。生産者にそういう自主的な生産調整を一生懸命やってもらっておいて、しかもそれに対する行政の補完というのが非常に少ない、こういうことを私は非常に遺憾に思うのであります。ですから、時間がありませんからもうお話しできませんけれども、そういう問題につきましては、生産者の自主的な生産調整に対しまして、それをもっときちんと評価して、行政のサイドで何ができるかということをやっていかなければいけないのではないか、こういうふうに考えて、限度数量の問題等につきましても、やはり私はもう少し行政としても財政的な立場からもこれを見るべきだということを主張しておきます。  最後に、政務次官にお尋ねしますが、農業団体がことしの五十五年度の価格要求をつくりました。アップ率は非常に少ないのでありますが、昨年は据え置きというような状況でありますが、ことしは物価も大変上がっている、狂乱物価に等しいような上がり方をしている、さらにえさ等の価格が上がっている状況にかんがみて、去年のようなことでは生産者も納得できない、こういうふうに私は思うのでありますが、この点についてどうでございますか。
  164. 近藤(鉄)政府委員(近藤鉄雄)

    近藤(鉄)政府委員 生産者の方々の要求してこられます数字の基礎については、私たちもこれは一つの考えであるということで十分に配慮はしているわけでございますが、先ほど申しましたように、当面の最大の問題は、さしあたっての需給のバランスをどうして確保するかということだと私たちは考えておりますが、片一方で、長期にわたって安定した畜産日本において育成していくために、いろいろ考えなければならない問題がたくさんございます。そういういろんな問題をひとつ慎重に検討させていただきまして、これは畜産振興審議会の議を経て決めるわけでございますので、審議会の意見も十分に参酌しながら、妥当な価格決定をいたしたい、かように考えております。
  165. 山崎(平)委員長代理(山崎平八郎)

    ○山崎(平)委員長代理 参考人各位には、御多忙中にもかかわらず長時間にわたり御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。  次回は、三月十八日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会