○芳賀
委員 対象の範囲というのは
法律が制限しているのですよ。この
法律が制限しているから、これはもう未来永劫に変更できないというものじゃないでしょう。だから、
加入範囲を広げる必要があるということでそういう
結論ができれば、その時点で範囲の
拡大ができるわけです。
国民年金にしても、最初は、被用者
年金加入者の配偶者を入れるなんということはだれも全然考えていなかったのですよ。そのうちに、被用者
年金加入者の配偶者に対しても任意
加入の形で
国民年金加入の道を開いたわけでしょう。だんだん社会、経済情勢の変化に対応して
年金というものは発展の道をたどっている。これは
大臣に私が言うまでもないことなんです。だから、
年金にしても、
経営移譲年金だけということになれば、
経営者と
後継者だけしか絶対もう入るわけにいかぬといっても、任意
加入の特定
加入者というのは、あと十年、二十年、三十年たった将来に、このせがれを私の
後継者としたいというその特定の上に立って、何人かのせがれたちの
農業従事者の中から一人だけを特定しなさいということになっているわけです。しかし、そのときはそのつもりであっても、そのせがれが、五年とか十年たった場合に、おれはもう
農業はやらぬよと言って、今度はどこかに勤めるということになれば、そこでその者も
加入資格を放棄したということになるわけですからね。そういう狭い考えだけでなくて、いま若年層の
農業従事者というのは、将来も
農業として自立する、そういう希望を持って
農業に従事しているわけですからね。
大臣や私
どもが若いときは、
農業をやっている場合は、次男坊も三男坊も嫁さんをもらうまでずっと
農業を一緒にやって、適当な年齢で今度は土地を分け、家を建てて、そして分家を出すということをやったわけですが、いまはそういう形はもうほとんどないわけです。先ほど言ったとおり、
年金加入者の二十歳から二十九歳までは二十倍以上も未
加入者がいるわけですから、この層に対しも
加入を促進させるということは当然やるべきなんですよ。特定者一人だけなんていうことにしないで、現に
農業に従事して将来も
農業を志向している者についてはというように範囲を広げるとか、それから
婦人加入にしても、元来日本の
農業というのは家族
経営体ですから、若いときから夫婦が一生懸命で努力して、そうして
農地を所有して規模を
拡大して、互いに協力して、共同体の中で家族
経営というものは成り立っておるわけです。ただ問題は、土地の
所有者であるとか
経営者であるということだけで言うと、今度は男子の地権者ということにもなるわけですが、しかし実態は家族
経営で、共同体としておやじさん夫婦とかせがれ夫婦がやっておるわけですからして、そういう点は、他の
年金の場合と比べて特質があると思うのですよ。だから、移譲
年金に対して、昨年も一昨年も
遺族年金の道を開くべきである——
国民年金にはないということを政府は
答弁していますが、しかし、
経営移譲というのは特殊の
年金の
制度ですから、しかも五年間に限定されておるわけですから、終身じゃないですから、六十歳から五年間にまず第一回の
年金の給付を受けた、その後不幸にして死亡したということになれば、納入した保険料の納入額全体に比較しても、
経営移譲年金の受けるべき額から見ても、ほとんど権利放棄のような状態になるわけです。そういう場合は、夫婦が共同的に共同体として家族
経営をやっておる、そうすればこの
年金についても、少なくとも
経営移譲年金については
年金権の共有というような新しい思想の上に立った場合は、これは絶対だめだということにはならぬじゃないかということで、まず
遺族年金の発想については、五年間の
経営移譲年金の期間の中で、これはすでに
経営権を
後継者に移譲して
年金をもらっているわけですが、だから、その配偶者に対して残期間の
年金の
受給権というものを継承して、これを
遺族年金という形で給付するようにすべきではないか。
これもなるほど貴重な御意見ですから
十分検討しますということには、いままで歴代
大臣はなっているのですよ。そこまではいいのですけれ
ども、じゃ実行するかということになると、そこまでまだいってないわけですね。だから、
武藤大臣として、
経過は
事務当局から聞かれておると思うのですね。
遺族年金の
創設の問題と、
婦人加入、
経営者の配偶者である
主婦、それから
後継者である息子の嫁さん、この辺まで
年金の
加入範囲というものを
拡大すべきである。そういう場合には、
経営移譲年金は必ずしも給付できないという事例も出てくるわけですが、その点は今度は
老齢年金につないで、そのかわり
老齢年金というものは、農村の
主婦が
老後の支えになるように、
老齢年金の面についてもできるだけ暮らせる
年金制度という思想で、重厚な
制度を充実させるということに持っていくべきだと私は信念的に考えておるわけですが、
大臣の御意見はどうですか。