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山口参考人 山口でございます。
ただいま
会長の方から基本的なところをお話しいたしたわけでございますが、私の方から、
合併の問題につきまして、いささか事務的にわたりまして恐縮でございますが、
合併の
経過並びに
現状につきまして御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。なお、
参考資料を御配付いたしてございますので、お目通しいただきながらお聞き取り願いたいと思うわけでございます。
なお、私は、昨年の六月に本
委員会で、やはり
合併の問題につきまして御
審議をいただきました際に、
参考人として
出席いたしまして、
先生方の御質問に対しましてお答えしてまいったわけでございまして、本日はその繰り返しにわたる面もあるかと思いますが、御容赦を賜りたいと思います。
まず、
合併についての
取り組みの
経過でございますが、
会長の
意見開陳にもありましたように、
農協といたしましては、
昭和二十年代の後半から、当時の
経済混乱期におきまして、
不振組合の
解消ということを
最大の方針といたしまして
合併を進めてまいったわけでございまして、当時、
行政の方も
町村合併が行われておりまして、それと並行的に
農協の
合併を進めてまいったわけでございます。そのころは
総合農協の中で四分の一がいわゆる
不振農協と称されたものでございまして、それを
合併によって
経営基盤の
確立を図ろうということを進めてまいりました。
それから、
農協法が施行されまして、
昭和三十六年になりまして、
政府は、これからの
農業の発展に
対応していくためには
合併を促進し、
農協の
事業、
経営を適正かつ能率的に行うことが不可欠であるという
考え方に基づきまして、
農協合併助成法を制定いたしたわけでございまして、三十六年以降、この法のもとで
系統農協も
合併に積極的に取り組んでまいったわけでございます。
自来今日まで、
合併助成法につきまして、四十四年と五十三年度の二年間、
適用を見ない期間もあったわけでございますが、四次にわたる
改正をお願い申し上げまして、お手元の冊子の
資料の二ページにございますように、五十三年度までには実に九千八百六十一の
総合農協、これは五十二年までしか出ておりませんが、五十三年までには九千八百六十一の
総合農協が
合併に参加をいたしまして、
総合農協の現在数は四千五百八十三となったわけでございます。三十六年の一万一千五百八十六
組合から大幅に減少をいたしたわけでございます。先ほど
会長が申し上げましたように、そういう意味におきましては、きわめて高い
推進実績を上げ得たというふうに考えておるわけでございます。
この結果、
農協の
規模について申し上げますと、三ページにございますように、
組合員戸数で千戸以下の
組合数が大幅に減りまして、千戸以上の
組合が増加するという顕著な
傾向が出てまいったわけでございます。しかしながら、
昭和五十二年度末におきましても正
組合員戸数で五百戸
未満の
組合がなお千五百九十三
組合あるわけでございまして全体の三四・三%を占めております。また、
行政区域別に見ますと、
町村区域未満の
農協が九百三十七
組合ございまして、これまた全体の二〇・一%に達しておる
現状でございます。
御
案内のように、
農協は農民が自主的につくる
組織でございますので、
地域地域の実態によりまして
組合員農家の
人数も異なっておるのが当然でございます。たとえば北海道のように一
地域の
人数は少ないわけでございますが、一
組合員の
経営規模はきわめて大きいといった例もあるわけでございまして、また、
町村規模も一様にはまいりません。しかし、
全国的に見てみますると、いままでの経験から言うことでございますが、正
組合員戸数が五百戸
未満、それから
町村区域未満の
農協が、
組織経営基盤が弱体であるという
傾向は否めない
傾向でございまして、
会長が先ほど申し上げましたように、
現状の
農業の
情勢、それから
農協経営を取り巻く
環境等に対処いたしまして、
組合員の多様な
要求にこたえていくことができるような
状態には、この小
規模の
組合ではなかなかこたえられないというような
現状に置かれているわけでございます。
特に、
系統農協といたしましては、昨年の第十五回の
農協大会におきまして、
地域農業振興計画を全
組合が策定してこれを実践するということを決議いたしたわけでございます。このためには、
農協の
企画機能の充実、それから
営農指導体制の
確立が先決でございます。そのためには
人材の
確保がどうしても必要でございます。また、今後の
農協の
運営を考えますと、コンピューターの導入な
ども当然必要になってくるわけでございまして、
小規模農協ではなかなかこの
体制が
確立できないというような
現状に置かれておるわけでございます。
今回、
助成法の
適用をお願いいたしております、
合併に取り組もうと計画しております
組合は、実はこうした小
規模の
組合が多いわけでございます。その数は、各県の
中央会から報告をとったわけでございますが、この
資料の五ページにございますように千百七十一
組合となっておるわけでございます。
合併をいろいろ考える場合におきましては、
合併の
規模がどのくらいが適正であるかということが常々論議されるわけでございますが私
どもとしては、この問題につきましては、
全国的に一律に何ぼがいいというふうなことは極力避けなければならないことだと考えております。しかし、一応のめどとなるものについて申し上げますと、
適正規模という
条件としては次の点が考えられるのではないかと思います。
一つは、
組合員の相互の
コミュニケーションが十分に行き渡る
範囲内。
それから
二つ目には、
農協運営について
組合員の
意思が十分反映できる
範囲内。いわばこれが
上限に当たるわけでございまして、
コミュニケーションも十分でないような大型な
組合という問題につきましては、
運営上いろいろな問題が生じてくるのではなかろうかと思うわけでございまして、民主的な
運営を図るにはあくまでも
組合員の
意思が十分貫徹できるような
範囲内ということが
上限になろうかと思います。
さらに、
下限の問題といたしましては、
組合員が現在の非常に複雑な
農業情勢の中でいろいろ
各種各様のニーズを持っております。これにこたえ得るような
経済力、
資金力が必要でございまして、それが
確保できるような
範囲内の
組合の
規模ということが必要であろうかと思います。
また
四つ目には、
組合の
職員に対する
雇用条件並びに
人材の
確保、これがどうしても必要でございまして、それが十分にできるような
運営上の適正な
範囲ということが、やはりいわゆる
下限の
考え方になるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、これらの
条件を考え合わせますと、おおむね
町村単位あるいは大きくても旧
郡単位ぐらいではなかろうかと考えられるわけでございます。しかし、これも
全国一律というわけにはまいらぬというふうに考えておるわけでございます。
私
ども全中は、
昭和五十三年度におきまして、各県の
中央会の協力を得まして、これまでの
合併の
経過を振り返りまして、ほぼ一年がかりで
農協合併の総点検を実施いたしてまいったわけでございますが、これによりますと、
合併の成果として挙げられます点はおおむね次の三点に集約できるように考えられるわけでございます。
一つは、
組合員の
営農指導に当たる専門技術員の
確保とその適正な配置によって
営農指導体制が
強化されてきたことでございます。ちなみに
営農、指導員の
人数について見ますと、七ページにございますように、未
合併農協の場合は平均一
組合一人の配置でございますが、
合併農協の場合には平均八人強の
人数を置いておるようでございます。また、これらの
職員が一人当たりでどの程度の農家のめんどうを見ているかということを見ますと、未
合併農協の場合には一指導員は四百四十七人の
組合員に対してお手伝いをいたしておるわけでございますが、
合併農協の場合には三百一人に
対応することになっておりまして、数の上からいたしましてもよりきめの細かい
対応ができるような実態になっておるわけでございます。
二つ目の成果といたしましては、
農産物取引の大量化、規格化に
対応した集出荷
体制が整備されてきたことでございまして、この
資料にございますように、共同利用施設の面を見ましても、未
合併農協においては六種類の施設でございますが、
合併農協は十一種類の施設というふうになっております。また販売取扱高も、未
合併は一人当たり四十六万六千円でございますが、
合併農協は六十二万八千円というふうに伸びております。販売手数料率の問題でございますが、未
合併が一・八三%、これが
合併の場合には一・七九%というふうに減っております。
三つ目の成果といたしましては、
農業の近代化を進めるため、
資金の供給力が増強されまして、施設面が充実されてきたたことでございます。貸出額におきましても、一
組合員当たり未
合併の五十七万三千円が
合併農協は六十二万七千円にふえております。固定資産の投資額も、未
合併の九万二千円、・これが十万三千円にふえております。また、
資金面におきましては、十四ベージをお目通しいただきたいわけでございますが、五百戸以下の
組合の貯金高の平均は十八億円程度でございますが、
合併した五千戸以上の大型
農協になりますと二百十七億を超えるというような金額になるわけで、非常に
資金的な充足も図られておるわけでございます。
四つ目の成果としては、
職員の給与や労働
条件などの待遇面で
人材の
確保をできる
体制が整ったことでございます。十三ページにございますように、平均的な
職員の給与でございますが、平均年齢三十三・一歳ということで見ますと、五百戸
未満の
職員の平均給与は九万六千七百八十四円、これが三千戸以上になりますと十一万一千四百四十八円ということに相なりまして、待遇の改善も大
規模化によりまして達成されつつあるということが数字上で出ておるわけでございます。
しかしながら、問題点も率直に言ってあるわけでございます。これもすべての
農協に該当するわけではございませんが、
組合員と
農協との間に完全な
コミュニケーションが成り立たなくなるというおそれ、こういうことは一般的に指摘されていることでございますが、こうした点につきましては、
運営の面で問題を生じないように各種の
作目別の
組織、集落の
組織、青年部、婦人部の結成、こういうことを通じまして十分に
組合員の
意思をくみ上げるとともに、
組合員への情報連絡を徹底いたしまして、
会長のお話にございましたように、
農協の存立の原点である
民主的運営に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。最後に、推進に当たっての姿勢につきまして申し上げますと、これも
会長から申し上げたとおりでございますが、あくまでも
組合員の意向に沿いまして民主的な形で推進を図っていくということが前提でございます。また、
行政と十分な連携をとりまして、
地域の実情を
配慮したきめの細かい
対応をしてまいりたいと思っております。特に、今日未
合併のまま残っております
農協というのは、立地
条件、
組合間の財務格差、
町村合併のしこり、本所、支所などにかかわる住民感情、それから役員の定数やポスト、こういうような人事問題を抱えている
組合が多数でございますので、腰を据えましてしっかり進めていきたいというふうに考えております。
以上、事務的な
意見を申し上げて恐縮でございましたが、
農協合併の問題につきましては、系統の総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておりますので、
合併助成法につきましてはぜひともその成立をお願い申し上げ、私の
意見といたしたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)