○阿部(昭)
委員 時間がありませんので。いまの問題は、
大臣、これ違うのは千分の八十というベースがあるのですよ。その上に災害がなければ少し下がる、災害があれば少し上がっていくという料率になっているのです。千分の八十がベースなんという労災保険の料率はちょっと例がないのです。この辺で地下鉄の工事や何かやっておるような仕事の料率の方がずっと安いのです。これではとてもじゃないけれ
ども、今日の困難な山林をやっていこうなんという仕事が、森林組合やどこでも大変な
状況になっているんです。したがって、これはぜひ労働省と協議をして改善をしてもらいたい。
それから、さっきの冒頭の問題に戻りますけれ
ども、
農林大臣は、規模
拡大をやろう、こうおつしゃっております。だって、米が余るのでしょう。豚肉も牛乳もいろんなものも、なかなかちょっと需給の関係は容易じゃないのでしょう。牛乳の問題も
相当やっておるようですけれ
ども、そうすると、規模
拡大をやってこれ以上もっと
増産をするとどういうことになるのですか。問題があるわけでしょう。規模
拡大を言う以上幾らどこまでもつくってもいいというわけには、なかなか
日本の農産品というのはそんなに貿易市場に乗るというわけにはいかぬだろうと思うのです。この耕地比率の少ない
日本において、
日本でつくった農産品が国際市場へどんどん乗っていくという
状況にはなかなかなれない。そういう狭い国土にこれだけの濃密な人間が住んでいる
日本で、しかも耕す面積が非常に少ないという
状況から言えば、国際貿易市場に
日本の農産品が乗るというわけにはなかなかいかぬだろうと思う。そうすると、どうしても市場は
日本の
国内に限られてくる、ほとんどのものは。そういう意味で、規模
拡大をやってどんどん
増産をするという以上、規模を縮小しなければならぬ人が出てくるわけでしょう。
たとえば、農地はほとんど限定されておる。きのう
お話しの二百万ヘクタールか二百八十万ヘクタールか知りませんけれ
ども、農地開発をどうするかという問題は別の角度からの問題としてあるでしょうけれ
ども、とにかく限られた農耕地を基準にしてやっていく。あるいはハウスや何かやっていくにしても、やはり市場との関係で限界があるわけでしょう。その限界がいまの豚肉の暴落となり牛乳の自主規制ということになり、
輸入との関係もありますけれ
ども、そうすると、規模
拡大という以上、どこかでもって規模を縮小されなければならない農家群が出てくるのじゃありませんか。この皆さんの対策がちゃんとならない限り、
農業、農村の構造政策は私は進まぬだろうと思うのです。したがって、
農政審議会のあれを待ってとおっしゃるけれ
ども、たとえば、私、
農政審議会のこの中間報告を見ますと、規模
拡大をいっぱい言っているのですよ。構造政策言っているのですが、私は残念ながら、
農業、農村社会、農村、漁村の問題は、
農業、漁業、林業の枠内だけでは定まらぬだろうと思うのです。いま農村で最もいい暮らしをしておるのは安定兼業層ですよ。兼業の方がしっかりしておる皆さんの方が、農村社会で一番いい
生活の仕方をしておるのです。そうすると、
農業とか漁業とか林業以外の取り巻く回りの
状況、社会、
経済の
状況も変えていかなければ、農村、漁村の直面しておる根本問題というのは解決つかぬと思うのです。
したがって、いま今後の長期ビジョンをつくるという場合に、私は率直に言って、その角度からの問題もひとつとらえなければ、農村、漁村の直面しておる問題は解決できない。構造政策はやはりそこにメスを入れなければ、枠の中だけじゃ、規模
拡大をやるならば需給の関係もこの状態では規模を縮小しなければならぬ人が出てくるじゃありませんか。この観点をちゃんと踏まえていただきたい。したがって、私はいまの
農政審議会にやっておるから
大臣として物を言えませんという話は、私は間違いだと思いますよ。
大臣、いつまで
大臣やっておるのか知りませんが、私は、
農林大臣が三年も四年もずっとやるような自民党の従来のやり方なら別だけれ
ども、毎年毎年
大臣かわっておって、
農政審議会が答えを出してくるまでおれは物を言わぬなんというようなことを言っておったら、これはどうにもならぬだろうと思うのです。
したがって、その意味で、私は冒頭申し上げました
大臣の
所信表明五本の柱というのは、去年の渡辺
大臣もほとんど言っていますわ。その前の安倍晋太郎農相も大体似たようなことをずいぶん言っておるのです。今度出てきた
武藤農政は何かというと、減反を広げましたという以外のことは——それは努力していないとは言いませんよ、ちょぼちょぼのいろいろな小まめなところは。大枠の問題としては、
武藤農政、ここで
農業、農山村の未来にちゃんと道をつけるのですというものは何
一つ出ておらぬと言って私は決して過言でないと思う。そういうふうに現場の農協指導者や何かこれを読んでいますね。いやみで言うのじゃありませんよ。さっきの五つの問題じゃだめなんです。たとえば、米過剰をどうするか、麦、大豆への転換をやるというのは、米だけに食管制があって、麦、大豆は国際相場ちょぼちょぼにしておいて、麦、大豆をちゃんとやりなさいと言ったって、やる人いないでしょう。そのあたりにきちっとした政策的な手だてを講じない限り、このように変わるということにならぬとぼくは思いますよ。