○柳谷
政府委員 二点申し上げたいと思いますが、第一には、
国家予算に対する比率はなかなか数字がとりにくいと申し上げましたけれども、外務省関係の
予算と全
予算との比率でございまして、
国家予算の中において社会福祉とかそういう種類の経費が非常にふくらんできたということがありますと、結局比率でとりますと外務省の方の
予算のパーセントが低いという面もかなりあるかと思いますので、この数字だけで外交面が軽視されたと即断は必ずしもできないのではないかという点が一つございます。
それから、外交体制の
強化の必要性は、いまの御指摘もあるとおり、まことに、私ども戦後外交を再開してから今日まで最大の関心事であり、努力を払ってきたところでございます。
国家予算に対する非常な緊縮の姿勢とかあるいは定員抑制というような
政府の方針もございましたので、外務省が毎年計画を立てて要求をしたものが、必ずしも最終的な
予算に完全には実現しないということを繰り返しておりますけれども、たとえば本年度、いま御
審議願っている五十五年度などは、多くの省庁において実質減となっておるのに対して、外務省は実質増八十名ということが確保されたのも、それなりに
政府全体としての努力の姿勢が反映しているものとは思います。
しかしながら、より長期的に、かつ外交の重要性の拡大あるいは外交活動の種類の拡大ということで、私ども日々仕事をしております立場から申しますと、現状は遺憾ながらやはりまだかなり不十分だということは痛感しているところでございまして、これは結局、質と量と両方の面から
改善を図らなければならない問題でございます。
そのうちの量につきましては、かねて私どもは最低五千人の定員が欲しいという案を立てまして、これをできれば
昭和六十年の時点において実現したい、ということは、現在の三千四百名というところから年間かなりな数の実質増を得なければ実現できないわけでございます。そうすることによって、せめて主要国の中の一番低いところの数までは達成したいというのが、一つの私どもの長期的な計画でございます。
それから、それに劣らず重要なのはやはり質の
改善でございまして、この点は及ばずながらいろいろな努力を近年続けているつもりでございます。採用試験制度についてもいろいろな見直しを行いまして、より優秀な人材がこぞって試験を受けに来るということがまずその出発点でありますし、その後、研修制度をいろいろな面で、日本における研修、在外における研修あるいはある程度勤務を終わった後の中間における研修という制度の充実が一つでございます。
それから、最近私どもが非常に重要なこととして努力しておりますのは登用淘汰の制度でございます。すなわち、上級試験合格者ならざる者に対していろいろな形で登用を行う。若手については、登用抜てきを行った者については上級試験合格者に準じた身分上の扱いをして、将来上級試験合格者と同じような活動をしてもらう。それから、ある程度の年齢以上に達した者につきましては、新たに登用ということを言わないで、直ちに公館長、総領事さらには大使に抜てきしていくということで、最近までに相当な数の公館長が上級試験合格者以外からも出ている。また、上級試験合格者についても、厳密な考査を行いまして、いわゆるぬるま湯的な体質の除去には努力しているつもりでございます。
それらをあわせて、さらには各省庁からの優秀な出向者、現在三百名弱、
在外公館に各省庁の職員がおりますが、そういう方等の知識経験を大いに生かしていただくとか、あるいは中途において優秀な人を採用するというようなこと、それらをあれこれ併用いたしまして、質の
改善また省員の士気の高揚ということにも努力する。私どもとしては、質と量と両面にわたる努力をできるだけ払いまして、われわれに与えられている責任の達成に努力しているというのが
実情でございます。