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富田説明員 お答え申し上げます。
天皇陛下の御
公務としましては、いまお述べになられましたように、非常に多種多様、
相当に多いのでございます。そこで、その一、二といいますか、その概略を御
報告をいたしますと、まず
日本国憲法に定める
国事行為に関する
行為があるわけでございまして、この
国事行為は、御
承知のように、
憲法三条によりまして
内閣の助言と承認のもとに行われるわけでございます。
これは具体的にどうなるかということでございますが、具体的には、
憲法六条、七条に
規定しておりまする事項に関して、
内閣がそれぞれの手続をとりまして、これを
書類として送付をしてまいるわけでございますが、この送付してまいりましたものを、
陛下は毎日宮殿でごらんになった上で、やはり御署名を要するものが
相当にございますが、これは毛筆で御署名になります。それからまた印でいわゆる可というような意思の表示をなさる
行為もあるわけでございますが、こうした文書は合わせますと、年によって異なりますけれ
ども、昨年の例を累計いたしますと九百件でございます。この一件一件が、付属
資料その他がずいぶん添付されました
相当に分厚いものもございますし、わりあいに簡単な文書もございますけれ
ども、合計しますと九百件でございます。これは宮殿へお出ましになっておられましても、いろいろな
行事がその間に入っておりますので、その
行事の終わりました後ごらんになる
程度で、なかなか終わらない場合もございます。そういう場合には、お住まいであります御所の方へお持ち帰りになって、それぞれの処理をされておられる。こういう文書処理だけでも九百件ございます。
それ以外に、いわゆる
儀式、
行事というのが、これは非常に頻繁にございます。一例を申し上げますと、日本の国に
外国から駐在をしております大使の数がだんだんふえてまいっておるようでございますが、百十カ国ぐらいあるのじゃないかと思います。中には兼任、兼轄大使がおりまして、常駐は九十数カ国ですが、この大使の任期というのは、別に決まっておりませんけれ
ども、平均すると三年余という方が多いようであります。そうしますと、一年間に三十数カ国の大使の交代がございます。そうしますと、大使の
信任状の捧呈、接受、それから大使が新任のあいさつ、退任のあいさつ、あるいはその間にいろいろ親善の
意味でお話し合いをされる、こういうように、一例を挙げましても非常に
行事が多いのでございますが、そうした宮殿で行われます
行事というのは、そのほか
総理あるいは最高裁判所長官の
親任式その他約四十回余ございます。
また、いわゆる公のお
立場で催される
外国賓客とのお会いとかあるいは茶会とか、宮中晩さんとかいろいろのものがございます。それに
拝謁とかいうことを合わせますと、約二百回余それにさらに加わるわけでございます。
それから
外国の慶弔電報、あるいはこれは親書の場合もありますけれ
ども、こういうものの交換を一々サインをされ、また一々ごらんになるわけでございますが、約五百件ある。これだけでもあれでございますが、さらにこれをどういうふうにしていただくかというような必要がある場合には、
宮内庁独自で文書を添えて差し上げるということもございまして、非常に多くのことをとり行っておられるわけでございます。
そのほか、
国会開会式でございますとか、あるいは
植樹祭でありますとか、戦没者の慰霊式でございますとか、こういうものに都内あるいは地方にお出かけになるということも、時間の許す限り、またその
行事の性格がふさわしい限り、お出かけになっておられるのでございます。
いま
委員の御
指摘にもございましたけれ
ども、かような
状況のお仕事をこなしておられるわけでございますが、お年も召しておられますので、むだな御負担にならないように、できるだけその辺は細心の注意を払って補佐申し上げていかねばならぬ、かように考えておる次第でございます。