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1980-04-23 第91回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十三日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 加藤常太郎君 理事 堀之内久男君    理事 武部  文君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 藤原ひろ子君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       畑 英次郎君    吹田  愰君       久保  等君    森中 守義君       米田 東吾君    田中 昭二君       竹内 勝彦君    則武 真一君       木下敬之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省人事局長 林  乙也君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         国税庁調査査察         部調査課長   谷   始君         会計検査院事務         総局事務総長官         房法規課長   三原 英孝君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     増田 元一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 惇一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社監査         役)      井本 博紹君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社監査         役)      尾畑 芳郁君         参  考  人         (国際電信電話         労働組合中央執         行委員長)   山田 克己君         参  考  人         (監査法人朝日         会計社代表社         員・公認会計         士)      高雄 延和君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 四月二十二日  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十八日  松江地方貯金局存置に関する陳情書  (第一六一号)  福岡地方貯金局存置に関する陳情書  (第一六二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七二号)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として国際電信電話株式会社及び同社労働組合並びに監査法人朝日会計社から御出席を願い、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小林進

    小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田東吾君。
  5. 米田東吾

    米田委員 私は、今度の法律改正に当たりまして、この改正によって、経営される経営主体といいますか、KDDの内部のいろいろな問題からまずお聞きしていきたいと思っております。  今度の法改正は、一口に言って国、郵政省監督権の強化ということがそのねらいとなっております。しかし、これはまた一面、そのことによって逆に新たな癒着を生むということになりはせぬかという懸念も、今日各界から寄せられております。一番重要な問題は、この法律によってKDDが真に民間の企業として十分な自主性機動性を持ってその運営と大衆に対する期待にこたえることができるのかどうか、そこにかかってくるのではないかと私は思うのでありまして、そういう点で、まず増田社長にお聞きをしたいと思うのであります。  今度の一連のいわゆるKDD事件と言われますこの不正事件、まだ真相の解明がなされておりませんので、疑獄も考えられる一連不祥事件であります。この事件について、社長としてはKDD最高責任者として一体どのように反省があり、あるいは教訓を引き出しておられるのか、これからのKDDの刷新にどのような毅然たる姿勢をもって臨まれるのか、まずその点を率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  私は社長といたしまして、このたびこういう大きな不祥事を起こしまして、国民の皆様に大変な御迷惑をかけましたことを大変申しわけなく、反省いたしておる次第でございます。  当社社長だけでなく、役員株主総会で選任され、郵政大臣の御認可を得て初めて就任する、これは法律でそういうふうになっております。そういう意味におきまして、KDDの場合は一般株式会社と違いまして、株主から国際電気通信事業を営む会社をお預かりしておるというだけではなく、独占権も付与されておりますので、国民から大変貴重な財産をお預かりして、会社をお預かりして国際電気通信事業経営している、こういう関係になります。そういう関係におきまして、私は、社長はこのKDDに与えられた特質及び大きな責任を一日たりとも忘れては社長資格がない、また役員資格もないのではないか、こういうように考えております。私自身社長になったからといって、社長命令で何でもできるというような大変おごった気持ちを持っては絶対にならないと自戒いたしております。ほかの役員も私と同じような気持ちでただいま現在経営に当たっていていただけるものと信じております。  次に、この事件を契機として会社にどういう教訓を持ったか、こういうことでございますが、今度の事件は、社内的に見ますると、私はやはり一部の人たちの引き起こした問題であるという点は間違いはないと思いますが、しかし企業体として考えました場合には、当然会社全員が全体として責任を負わなくちゃならぬ、全員自分たちの問題としてこの問題を受けとめなければ会社再建はむずかしいのではないか。このたびの不祥事件は一部の人がやったことであって、私どもには関係がない、もしこういう気持ちが多くの社員の中にあるといたしますと、この会社再建は非常にむずかしいのではないか、私はそういうふうに考えておりまして、そういう意味で、就任に当たりまして、みんなが自分一人一人の問題としてこれを受けとめて、会社再建協力をしてほしいということをお願いしたわけでございます。そういうことをお願いいたしておるわけでございますので、すべての社員がそういう気持ちで現在再建に向かって一歩一歩協力をしていただいておる、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、尽きるところはやはり私は人の問題ではないか、こういうふうに思っております。特に、この会社株式会社ではありますけれども、ほかの株式会社とは根本的に違うところがある、そういう点を十分に全職員によく自覚していただかなくちゃいかぬ、そういう立場で、先日も新入社員入社式に際しまして、この会社にとって一番大切なことは何かといえば、この会社基本的な使命、特色、そういう点にあることを説明をいたしまして、今後KDDで人生を送られる若い人によく基本を認識していただくようにしたわけでございますが、今後も絶えずそういう点についてお話をしていきたい、こういうふうに考えております。
  7. 米田東吾

    米田委員 社長の誠意ある現在のお考えを聞きました。私ども社長のいまの御答弁について全面的に賛意を表するわけであります。むずかしい再建でありましょうけれども、ひとつそうした姿勢でこれからもぜひ取り組んでいただきたい。  そこで、もう一つお聞きしたいのでありますけれども、いまも社長から、ごく一部の人あるいは経営者のなしたことによってこのような事態が起きたとも考えられるということをおっしゃっておられました。一般世間でもそのように見ているようであります。確かに商法あるいはKDD法等によりまして社長権限というものは代表権を持ち、非常に強大なものである、これは一般論としては私は理解をすることができるわけであります。しかし今度のように、社長室を持ち、あのように人事から経理から会計から一切合財の権限を一人占めにする、一体こういうことは私企業として可能なのだろうかという疑問であります。確かに取締役会もあるわけでありますし、監査機能も持っているわけでありますし、株主総会もあるわけでありますし、役員会もあるわけであります。問答無用、そういうワンマン経営は今日のこの事態では通らぬだろうと私は思うのでありまして、そうさせてきた何かがKDDの中にあるのかどうか、私は、実はそこらあたりが知りたいわけであります。かって増田社長も、五十二年でありますか、KDDの副社長として枢要な地位にいらっしゃった経験を持っていらっしゃるわけであります。そういう面からいきまして、またいまのこの法律KDD法の枠の中で、増田さんがやろうとすればまたああいう強大な権限を発揮して、今度のような事件を起こそうと思えば起こせるような、内部的にそういう弱点のあるものが存在するのかどうか、この点、社長はどんなふうにお考えでありますか、ひとつお聞かせいただきたい。
  8. 増田元一

    増田参考人 私が副社長をしておりましたときと、私がやめました後の本社社長室組織は全く変わっておりまして、私がやめた後の組織では、人事から物の調達までほとんど社長室限りでできるような組織になっております。そういう意味社内組織に問題がある、それからまたチェック機能が働いていなかったということが社長室独走を許した原因であろう、こう思うのでございます。  そういうことから、現在、チェック機能を強化するために、私が着任いたす前の昨年十二月に考査室社内考査を復活いたしまして、特に権限の集中しておる本社とか管理部門を徹底的に今後考査するということが一つ、それから会社意思決定が従来社長のところに集中されていたわけでございますが、権限の集中をできるだけ排除いたしまして、集団的と申しますか常務会、そういうところで会社の重要な意思決定をしていこう、こういうふうな考え方で、現在はまだできておりませんが、私の考えでは、社内組織改正、そういう役員会関係の問題、仕事を動かす手続とか制度、そういうようなものを七月いっぱいぐらいで固めていきたい、そういうように考えておるところでございまして、そういうものができますと、そう簡単に今度起きたような事件を起こすことはできない、こういうように私は思っております。私も着任いたしまして、会社再建するためにどうしたらいいかということをいろいろ考えてみたのですが、私自身が何もできないようにするのが一番早い道じゃないか、そういうふうに考えまして、そういう角度からいろいろ考えまして、いま皆さんと議論して組織改正のことを考えておる最中でございます。
  9. 米田東吾

    米田委員 もう一つ聞いておきたいのですが、監査役、来ていらっしゃると思うのであります。  現在のKDD法を見ましても、監査役機能というのは余り明確にされておらないようであります。しかし、商法改正以来、企業の中における監査役任務、職責というものはきわめて明確であります。そういう点からいきますと、KDDの場合は現在三名の監査役がいらっしゃるわけであります。監査役会というのも恐らくあるのだろうと思うのでありまして、三名の方々の合議がなされる場合というのが当然あるだろうと思うのであります。この監査役皆さんが三人そろって、板野社長のなすことやることについて全然チェックできない、少なくともいま表に出ている形としてはそうなっているのじゃないかと私は思うのであります。そうとしか見えないわけであります。KDDの場合は、監査役取締役に上っていく一つの登竜門のような状態にあるのだということは聞いておりますけれども、それにしても責任重大だと思うのでありまして、ふがいないと思うのであります。  一体監査役皆さんは、今回の板野社長をトップとする一連の一握りの企業人によって起こされた不正事件、あなた方は知っておって見逃したとすれば、権限を持っておるのでありますから共犯者になるわけであります。一体どういう監査をしていらっしゃったのか。そうして私は、あなた方専門家でありますから、このような事態を恐らく予測もされたでありましょうし察知もされたと思うのであります、三年間も続いておるのでありますから。そういう面からいって、皆さんは今回のこの事件について一体どのような責任を感じられるのか、どうしてこられたのか、少なくとも国民に向けてひとつわかるようにその点について答弁をいただきたい。どなたでも結構であります。
  10. 井本博紹

    井本参考人 私ども監査役は一生懸命に任務を遂行してまいったと考えておりますが、このような不祥事を未然に防ぎ得なかったということは非常に残念でございますし、申しわけないと思います。今後はこのようなことが再び起こらないように、監査基本方針それから重点監査項目等定めまして、そういった意味における充実した監査要綱を速急に策定しつつありまして、その要綱に従ってやるべく努力いたしたいと思っております。と申しましても、やはり要員の数が足りないということもございますので、要員の増強もお願いする予定でございます。目下そのやり方については鋭意検討中でございます。  先ほど先生が申されましたように、監査役商法の二百七十四条によりまして取締役職務の執行を監査することになっておりまして、監査役職務権限が規定されてございます。ただ、日常監査をどのように実施すべきかにつきましては何も規定しておりません。これは監査役各自が考えるべきことだと思います。  そこで、私の考えをちょっと申し上げますが、一つ仕事といいますか事業をする場合には、やはりプランニング企画をしまして、それからドゥ、これを実施いたしまして、シー反省する。これはいろいろなあり方がありますが、その反省機能というものを旺盛にしまして、さらに企画の方にフィードバックして、そうしてドゥを確実にやって、また反省してという繰り返しがわれわれの日常だと思います。そういうことを考えますと、われわれ組織的に見ますと、まず企画部門がありましたり、それから実施部隊と称しまして現場もあります。それからわれわれのようないわゆる法定の監査機能反省機能というものを持っておるわけでございまして、その点、いわゆる反省機能考査、それから会計監査も含めましてこういう反省機能、そういったものが弱かったということも言えないことはないのでございます。確かにそういう機能が十分に働かなかったのではないかということでございますが、ここで考えなければなりませんことは、先ほどの各機能で申しました企画ということを考えましても、それからまた実施部隊のことを考えましても、やはりそこにはおのずからそのためのプランニング、そのための実行、そのための反省というのを各部でやりまして、その各部反省を全部うまくやらないと、実は本当はうまくいかない。当然監査役機能というもの、考査機能というもの、会計監査人監査というものも強くせなければなりませんが、それと同時に、そういった各部反省機能、これを商法で言いますと、取締役はお互いに監視権を持っておりまして、そして自分でチェックしてやらなければならぬ責任を持っております。そのように全社が一体となって反省機能企画機能実施機能というものを強くせなければなりません。  ただ、ここでわれわれが忘れてはならないのは……(米田委員演説はいいですよ」と呼ぶ)そういった総合機能を高めるということ。それから、われわれ特に独占でございますから、独占の弊に陥らないようにシー機能を強くしていくことが最も大切だと思います。その意味で、そういう方向ですべてを、いわゆる反省機能を強くしてやっていくことが必要だと思っております。
  11. 米田東吾

    米田委員 大体前回の森中同僚議員が御質問申し上げたときの御答弁と大して違っておらないわけです。これからどうするというのは、あなたはここでおっしゃるのも大事でありますが、実行にぜひ移していただかなければならぬ問題であります。  問題は、私が聞いているのは、監査役あるいは監査役会議、少なくとも複数でありますから、三人いらっしゃるわけでありますから、こういうようなものが議題になったり皆さんの話し合いに出たり、板野体制というものは三年間もあったわけであります、一切のいま増田社長がおっしゃるような権限を握ってですよ。あなた方がこの中に組み込まれておるなら別でありますけれども、少なくとも皆さん取締役会とは独立して監査機能を発揮されておる立場なんでありますから、知らなかったのかどうかということなんです。いまあなたは一生懸命任務を果たしてきたつもりだとおっしゃいましたけれども、恐らく私もそれは認めますけれども皆さんは素人じゃないんですから、そのために会社からきちっと任務を与えられ、また報酬を受けて仕事をしていらっしゃるわけですから、それが全然皆さん監査報告皆さんのいろいろな行動の中にも一つチェック機能のような方向で作用しなかったというのは一体どういうことなんだろうか。それだけ皆さんは、大変失礼な言い方だけれども、無能なんだろうか、それともわかっていてくみしてきたのだろうか。そういうことがはっきりしませんと、私は今度会計検査院検査対象にするというようなことについても疑問を持っておるのでありますけれども皆さんが十分やれば要らぬじゃないかと思うような立場にもおるのでありますけれども一体そんなに企業の中では皆さんは弱体なのかどうか。この点を私はあなたの答弁のもう一皮むいた本音を聞きたいのですよ。皆さんはどう思っていらっしゃるのか、そういうことで私は質問したわけなんです。答弁してくれますか、もう一つ。ひとつ答弁してみてください。演説はいいですから。
  12. 井本博紹

    井本参考人 まことにおっしゃられるとおり、わからなかったことは事実でございます。もしもわかっていたら必ずとったはずでございます。  ただ、ここで申し上げますけれども、こういう問題は非常に個人的な色彩がありまして、個人的に、私先ほど機構の話ばかり申しましたけれども、各人が反省をするような機能を高めていかなければならぬと思っております。
  13. 米田東吾

    米田委員 これは問答してもしようがありませんから……。  もう一つ、これは社長からお答えいただいてもいいし、常務からお答えいただいてもいいのですが、郵政省電監室、まあ許認可権を直にここで操作するわけなんでありますが、この部署の監督あり方というものは、皆さんにとってどうであったのだろうか。私の質問は、そういう点で聞きたい。  要するに、とかく言われておりますように、郵政省電監許認可権をフルに使って、皆さんに対して不当ないろいろな圧力あるいは命令、介入、そういうようなものが実際にあったのかどうか。一般の世論ではこれに対して二つ見方があるようでありまして、一つはそうだという見方と、甘いのじゃないかという逆の見方があるようであります。当事者でいらっしゃる会社経営首脳部は、この関係については、率直なところ、一体どういうふうに見ていらっしゃるのでありましょうか。法律改正によって監督権が強まると一般的に言われておるわけであります。心配されることは、取締役会の自主的な経営やあるいは機動性というものが発揮できるのかどうか。活力ある企業性が維持できるのかどうかという心配も出てくるわけであります。したがって、皆さんの方で現在の監督官庁あり方についてもし御意見がありましたら、この場でひとつ率直に聞かしていただきたい、こう思います。
  14. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  電監室KDDとの関係は、監督をされる側と監督を受ける側の関係でございまして、その間に仕事上緊密な連絡を必要とするわけでございます。私は、仕事上のこの関係は、会社が設立されまして以来今日まで変わっていないと思うのでございます。事業が拡大いたしてまいりましたので、量的に連絡を申し上げあるいは御説明を申し上げる機会は非常に多くなったとは思いますが、仕事上の関係は昔も今も変わっていない。そういう意味から考えますと、長い国際通信の歴史において初めて今回こういう事件が起きたということは、仕事上緊密な連絡を要するということが原因であるよりも、やはり人の問題ではなかったか、私は現在そういうふうに理解いたしております。特に国際電気通信サービスというのが昨今大変むずかしい、技術革新によりまして変わりつつありますので、監督をされる側は、国家利益といいますか、これは私の言うことではございませんが、国民利益といいますか、そういう立場からのいろいろな御指導というものが当然あるはずでございまして、また、会社としましては会社立場がございますので郵政電監室KDDとの間で、どうすれば一番いいかということについて議論を交わすということは、国際電気通信事業発展のために非常にいいことではないか。ただ、今回のような事件が起きたということにつきましては、今後は絶対にこういうことはしてはならないことでございまして、全く私は人の問題であろう、こういうふうに考えております。
  15. 米田東吾

    米田委員 この間新聞の伝えるところによりますと、KDDは、郵政省と特定はしておりませんけれども、いわゆる天下り人事は一切お断りだということが一つですね。それから、最近になりまして、五十五年度の予算の中で交際費は大体いままでの三分の一に、要するに三分の二を削って三分の一、約八億ちょっとに大幅削減という、この二つの問題が出ました。これは社長説明をしていただきたいのでありますけれども、私は会社がとられた措置については基本的に賛成なんです。これだけのことをよく思い切ってやられた、こう思っておるのでありますけれども天下り人事関係は恐らく社長の言う人の問題とのつながりもあるだろうと私は思う。それから交際費関係については、重大な皆さん反省がこの中にあるだろうと私は思う。これはどういうことなのか、この場でひとつ社長から聞かせていただきたい。
  16. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  私が天下り反対と申し上げましたのは、会社はもう二十七年たちまして、会社になって採用いたしました職員も大きく成長いたしております。それで、もし現在監督官庁におられる方が、おやめになってすぐ当社役員になられるといたしますと、私はそれを天下り考えておるわけでございますが、学校の年次からいいましても年齢から申しましてもほぼ変わらないような人が、片一方は卒業以来KDDに勤めてきた、片一方官庁にお勤めになった、そして同じところで偶然顔を会わしたところが、一方は役員であり一方は仮に平の部長であるということになりますと、そのKDD職員部長に非常に強い刺激を与えまして社内の士気の阻喪を来す、そういう点を私は大変心配いたしまして、直接的な天下りは御遠慮していただきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、すべての天下りと申しますか、すでに郵政を、郵政とは限りませんが、おやめになりまして長い間民間で御活躍になっておられる、そういう方でこのKDDという公共性の高い事業経営されるのに適当な方である、能力、経験から言ってそういう方がおありになるなら、そういう方をお迎えすることは会社のためにいいのではないか、そういうふうに私は考えておるわけでございます。  交際費につきましては、このたびの事件で御指摘を受けましたように確かに非常に多額でございます。それで私どもといたしましては、できるだけ自粛といいますか、正しい交際費の使い方といいますか、どこまで節減できるかやってみようということで一々細かく項目ごとにチェックいたしまして、約三分の一のところまでカットしたわけでございます。交際費もやはり事業運営上一つの潤滑油みたいなものじゃないかと思うのですが、どうしてもゼロというわけにはいきません。たとえば外国から私どもの相手会社役員が来るとか、あるいは外国からの研修生が参ります。あるいは国際会議を、私ども会社は打ち合わせもしょっちゅうございます。それから営業関係でも顧客関係あるいは周知の関係、そういうこともやらなくちゃいけませんし、あるいはまた職員関係におきましても、有効な労使関係を維持する上におきましても時には幹部が従業員と話し合いをするということも必要であろう、そういうようなことで、そういうものを積み重ねました結果が八億八千万円でございます。それでどこまでやれるか、あるいはこれで足らないのか、あるいはこれでもまだ少ししんぼうできるのか、それは五十五年度やって実績を見てまた考えたい、こう考えております。
  17. 米田東吾

    米田委員 天下り関係でもう一つだけ念を押して聞きたいのです。前段はいいのですけれども、しかしながらということで、人の問題としては場合によれば採る場合もあるような御答弁なんですけれども人事関係というのはKDDの側だけの事情で出てくる問題ではない、あなたの方で欲しいというのじゃないのですから。大体天下りというのは、どこかの方からおろして押しつけていくわけです。ですから、あなたの方としてはもう二十七年たって人材がそろっている、そんな必要はありませんよ、これは素直にわかるんですけれども、やはり政府の政策あるいは郵政省の政策なんかで、これを採れ、いわゆる天下りでありますけれども、そういうものが押しつけられても、社長としては、これからはもう二十七年たって人材はそろっているから断固お断りする、そういうかたい決意を持っていま答弁されたんだというふうに受けとめていいのだろうと私は思うのであります。やはりこれは今回の一連事件に対する反省から出ていることは明らかだと私は思いますから、そういうことでもう一つだけ念を押して答弁をいただきたい。
  18. 増田元一

    増田参考人 後段につきましてはまことにあれですが、いま先生がおっしゃいましたのと少しニュアンスが、私の気持ちは違っております。もしそういうことがあれば、会社としてもよく検討いたしまして、その方がもし適当でないと会社で判断しました場合にはお断りすることもあるかもしれませんが、会社として判断いたしましてなるほどりっぱな方であるという場合には、必ずしも拒否をするという気持ちは持っておりません。
  19. 米田東吾

    米田委員 これはまた今度大臣の御質問の中にも出てまいりますので、送る側の方の御意見も聞いておきたいと思います。  次に、きょうはKDDの労働組合の委員長さんも参考人としておいでをいただいておるようでございますので、私からちょっと角度を変えて、KDDの中で実際に働いていらっしゃる職員の方々の意向はどうなのかということは非常に重要でありますので、お聞きをしたいと思うのであります。  まず、KDDの労働組合というのはどんな組織状況、一口でどういう組合なのか、これをひとつ聞かしていただきたい。
  20. 山田克己

    ○山田参考人 お答えします。昭和二十八年国際電信電話株式会社になりましてから、労使間におきまして労働協約によりましてユニオンショップ制を採用いたしております。従業員のうち、非組合員及び管理者である非組合員の範囲を協約におきまして定めておりまして、現在組合員は四千六百名おります。したがいまして、従業員は、原則として社員に雇用された者は全員組合員ということに相なっております。
  21. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  それから、一般に今度の一連KDD事件について労働組合は一体何をしておったんだろうかという世論の一つの批判もあるわけであります。これは恐らく委員長も耳にしていらっしゃると思うのです。私の乏しい経験からいたしましても、健全に企業の中で組合活動がなされておれば、それなりに経営の民主化、企業の民主化あるいはワンマン体制に対するチェック機能、こういうものが当然出てくると私は思っておるわけでございます。そういう点で私が考えますに、監査役すら機能、活動できないぐらいの状況でございましたから、いろいろな問題はあったのだろうと思うのでありますけれども、今度の問題について組合としてはどういうふうにお考えでございますか、あるいはどういう反省がございますか、その点をちょっと聞いておきたいと思います。
  22. 山田克己

    ○山田参考人 お答えいたします。  今回のKDD事件の根源は、長年にわたります一党支配の政治情勢を背景にしまして、国際電信電話株式会社事業の認可権を初め、役員及び監査役の任命権を含みます大幅な監督権限が郵政大臣一人に集中していることから生まれたもの、すなわち政界、官界との癒着から起こったものと考えております。現在の会社法第十五条の規定はきわめてあいまいな規定となっております。大臣の裁量によりまして、どのようにでも拡大または縮小解釈ができるようになっております。また第十一条に定めております取締役等の選任につきましても、大臣の意向でその人数につきましても自由にできるようになっております。これらをあいまいにしたまま今回会社法を改正するということは、郵政大臣一人の権限をさらに強めることになるのではないかと思います。事件の根源であります癒着の根を断ち切ることにはならないと考えます。したがいまして、会社法改正以前の問題として郵政大臣監督権限について、明確かつ具体的に法律で規定するのがいいのではないかと思います。  このような立場から、会社法を改正いたしまして郵政省監督権限をさらに強化し、現行法よりも一段と官僚統制を強化するということにつきましては、会社経営の本来の機動性自主性をそぐことになるばかりか、労使関係におきましても経営者の当事者能力あるいは自主能力を形骸化させるおそれもあります。これらは私たち労働組合が求める経営の民主化とは逆行するものだと考えますので反対であります。  また、特に今回の事件を契機としまして、先ほど社長からもいろいろお話がありましたけれども、私たち働く者の立場からは、郵政省からの天下りについては反対であることを強調しておきたいと思います。
  23. 米田東吾

    米田委員 あなたの方の組合としても、今度のKDD法改正、あわせて会社再建という方向に向けて提言が出ているようでありますけれども、組合の再建考えというものはどういうものであるか、ちょっとお聞かせいただきます。
  24. 山田克己

    ○山田参考人 お答えします。  会社は現在の民間経営形態を維持する中で、経営刷新施策として、社長室の解体、考査室の新設または第三者によります経営問題委員会の設置や監査要綱を設定すると言っておりますけれども、私たち労働組合は今回の事件を契機にいたしまして、次のことを会社側に申し入れています。監査役商法上独立した権限があるにもかかわらず、現実はそうなっていません。したがいまして、真に独立的な権限を持たせてその機能を十分発揮させるとともに、社内におきましても、監査体制を含めて総合的な監査体制の確立をすることが必要であると提言しています。また、健全な企業の運営、自主的な監査体制を確立する一方、監査役会計監査人との関係を一層緊密化する必要があります。監査役及び会計監査人のそれぞれの機能を有効に活用しながら、これらを有機的に結集して監査体制を総合化する必要があると思います。商法会計監査人監査を行う会社の場合、監査役及び会計監査人による業務監査会計監査が厳正に行われていたなら、今回の経理乱脈問題や不正問題も未然に防げたものだと考えています。  次に、会社の機構について、二十八年国際電電会社発足以来幾多の変遷を経ていますけれども、ここ数年は本社段階に権限が集中しておりまして、とりわけ旧社長室には異常なまでに相当大幅な権限が集中しています。したがいまして、労働組合の立場からは、この際、抜本的に機構の見直しをするとともに、本社に集まりました権限を地方局所に委譲いたしまして、本当に国民と密着をしたサービスを行うよう会社側に提言いたしています。
  25. 米田東吾

    米田委員 ありがとうございました。大変参考になる意見を聞かせていただきました。  この際、大臣にお聞きしておきたいと思いますが、大臣はしばしばこの委員会でも所信を披瀝されていらっしゃるけれども、もう一つお聞きしておきたいのであります。けれども、今度の一連事件というのは、最近になりまして世論も冷静にこの事件原因はどこにあったのだろうかということを見てきておるようでありまして、多少論調が変わってきておるようにも私は思うのであります。確かに板野社長を筆頭とするKDD社長室、その強大な権限、そしてワンマン独裁体制、しかもきわめて思い上がった傲慢な経営形態あるいは姿勢というものがあったことは事実でありましょうけれども、しかし郵政省にいわゆる監督機能というものがあったとするならば、このような事態は十分防げた。その監督機能を持つ郵政省がむしろ癒着をして、ぐるになって、KDDに対するチェックの機能よりもたかりの機能、こういうものになっておったところにむしろ最大の原因があるというふうな見方がなされておるように思うのであります。この点について、一体郵政省が十分であったのかどうか、郵政省が本来の機能を失って、もうけ過ぎておるKDDにこの際たかるだけたかっておけ、そういう大臣以下——いまの大臣ではありません、前の大臣以下、そういう体質というものがあったところに今度のような事件がここまで深刻に発生したというふうに受けとめていいのではないかと思うのでありますけれども、この点について大臣の反省と見解をもう一遍しかと承っておきたい。
  26. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答え申し上げます。  今回の事件に関連をいたしまして、ただいま御指摘のようにKDDのみならず、直接監督の任にあります郵政省職員が逮捕されさらに起訴される、こういった事態を引き起こしておりますことは、公正を期すべき立場にある者としてまことに遺憾に存じております。事業の運営に当たりましては、その経営責任者の経営姿勢あり方いかんがきわめて肝要な問題でありまして、特に公益事業を営むKDDにありましてはこのことが強く要請をされるところであると思います。それと同時に、国民に対して責任を負う監督官庁として、全体の奉仕者たるにふさわしく職務の公正厳正な執行の徹底を期することによりまして、一日も早く郵政行政の信頼を回復するよう努めてまいることが重要なことと考えております。  また、国際公衆電気通信事業の適正な運営を確保いたしますためには、ただいま御提案を申し上げております国際電信電話株式会社法の一部改正の措置とも相まちまして、今後一層国民の信頼を得ますように、その信頼を得るに足る監督体制というものの充実を図ってまいりたいと存じております。
  27. 米田東吾

    米田委員 郵政省人事異動というのは、私の知る限りでは大体ここ数年は通常国会が終わって六月末から七月ころ、こういうふうに思っておったのでありますけれども、今回突然次官と郵務局長を更迭された。これは新聞も多少うがった見方をして伝えておるようでありますけれども一体この真意は何なのですか。大臣は、新聞に見る限りにおきましては一つ人事刷新、入れかえの人事異動だ、KDD事件とは何ら関係がないよという話をされておるようでありますけれども、私どもに映る姿というものはそうにはとれないわけであります。明らかに今回の事件についての関連を考えられて、今回突然最高官僚である次官と郵務局長を更迭されたというふうに思うのであります。そうでなければその後人事異動は続くはずでありますけれども、ないのであります。これは一体どういうことなのか、この際ひとつお聞かせいただきたい。
  28. 大西正男

    ○大西国務大臣 この問題につきましてもしばしば他の議員のお尋ねにお答えをいたしておるところでございますが、今回の人事異動はきわめて異例の人事異動であるということは十分承知でございます。定期的には六月あるいは七月のころに行われておるのが郵政省の従来のあり方でございます。そういう意味から申しましてもきわめて異例でありますことは私は否定はいたしません。むしろ異例なことを行う必要があったと私は考えておるわけでございます。  それは御承知のように、このKDD事件に関連をいたします不詳事件が発生をいたしまして以来、省内に生じておりました沈滞した空気を一新いたしまして、人心の刷新を図るということがきわめて必要なことだと私は考えました。それなら、その考えを現実に具体的にあらわす意味におきまして、いかなる時期にそれをやるべきかということでございますが、折から国会開会中でございますし、五十五年度の政府予算の審議が行われておる最中でございました。そこで、この五十五年度予算の成立を見た暁に、いよいよ郵政省が提案をいたしております諸種の法案の審議が本格化してくる時期になるわけでございます。そこに一つの節目ができるわけでございますから、一日も早くやるべきと考えておったことをこの時期をとらえてやるということがきわめて必要かつ適当な時期ではないかと私は考えたわけでございます。そういう考えに基づきまして、人心刷新の観点から前事務次官、前郵務局長に勇退を求めたわけでありますが、前郵務局長につきましては、同期のだれかが事務次官になりましたならば他の者は勇退をするという官界の不文律がありますし、これを尊重するという意味も込めまして、さらに人心の刷新を図るという主目的のために同人の退職を求めた次第でございます。  したがいまして、以上申し述べましたように、今回の人事異動は異例な時期に異例なことを行ったわけでありまして、そのことは私としては人心の刷新という目的のために行った次第でございます。
  29. 米田東吾

    米田委員 恐縮ですが、もう一点だけ。  先ほどKDD社長から天下りについてはお断りをするという基本的な見解が示されました。この問題はこの委員会でもしばしば取り上げられておりますし、大臣も答弁されておりますけれどもKDD社長の真意はこの委員会で明らかにされたわけであります。しかし大臣は、参議院決算委員会等におけるこの発言等もあるわけでありますし、いまなお天下りについて少なくとも郵政省KDDについてやりません、そういう確固たる腹を固めているようにも思えないのであります。また、政策上あるいは高い次元での判断から天下りが押しつけられてくるということもあり得ると私は思うのでありまして、この際ひとつ、この委員会で大臣から、少なくともKDDが求めない限り郵政省からは天下りで押しつけることはないという答弁をいただきたいと思います。
  30. 大西正男

    ○大西国務大臣 私がこの問題につきまして従来から申し上げております趣旨は、昭和五十二年の十二月にこういった問題に関する閣議決定というのがございまして、それがその後昭和五十四年にも確認をされておるわけでございます。それによりますと、そういった場合における人選ということにつきましては、社の内外の有識者の中から最もそれに適した人を選ぶべきであるということになっておるわけでございます。したがいまして、閣僚の一人でございますからそのことを踏まえまして申し上げておるわけでございまして、具体的にKDDの問題として申し上げますならば、KDDというものが新しい発足を、そういうふうに言うことができるとしますならば、いたしまして、そして新しい首脳陣が経営に当たっておられるわけであります。そのトップが増田さんであるわけでございます。増田さんがこのKDDの新しい体制に取り組んで、そしてKDD国民の期待にこたえられるように全力を挙げておられることについては、私も十分その覚悟というものを身に感じておるわけでございます。ですから、具体的に将来そういう人事問題が起こったといたしますならば、増田社長とわれわれとの間に意思の疎通を欠いてはいけないと思っております。十分事前に意思の疎通を図りまして、最適の方がこれに就任をされるようにということをこいねがうものでございます。
  31. 小林進

    小林委員長 この際、午後零時三十分まで休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後零時三十三分開議
  32. 小林進

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。久保等君。
  33. 久保等

    ○久保(等)委員 今月でKDDも発足して満二十七年になりました。その間、KDD法律改正せられたことは今日までないと記憶をいたしておりますが、このKDD法が制定をせられた昭和二十七年当時、私も参考人等で出席をして若干意見を申し上げたこともございますだけに、当時を振り返って、KDD経営形態の問題について若干私見も述べながら、同時に郵政当局でどう考えておるのかお尋ねしたいと思うのです。  申し上げるまでもなく、電信電話事業、国内といわず国外といわず、これが一元的な統一的な一つ事業体であることには間違いありませんが、昭和二十七年当時、国会にこの国際電電株式会社法、片や日本電信電話公社法といったような形で法案が提案をせられて、今日日本の場合には、国際が株式会社、そして国内の場合が電電公社という公社形態、こういういわば少し変則的な経営形態になっておると思うのですが、欧州の主要国等の例を見ましても、やはりこの電信電話事業というものは国内、国外を問わず一元的に運用せられておるのが通例です。ところが日本の場合には、非常に有機的な電信電話事業でありながら国内と国外を分断をいたしまして、しかも企業形態が違う、こういう姿になっておるわけでして、私は当時ももちろん感心しない、賛成できないという立場をとったのですが、今回出てまいりました不祥と申しますか不正、汚職の事件、これは昨年来非常に広範なかつ深刻な問題として国民に非常に大きな衝撃を与えておると思います。郵政省側においても、最高幹部の大臣そのものが非常に大きな疑惑を持たれる問題となっておりますし、片やまたKDDにしても板野前社長が逮捕せられて、今日一般社会にはいないといったような異常な状態になっております。  これも結局、一つ経営形態の問題にも原因があると私は思うのですが、それはすなわちこの国際電信電話株式会社法という法律を見ますると、第一条の「目的」のところにはきわめて簡単に「国際電信電話株式会社は、国際公衆電気通信事業経営することを目的とする株式会社とする。」要するにこれだけを目的として決めておるわけであります。一方、電電公社の場合を見ますと、その点は相当公共性ということを力説いたしております。電電公社法の第一条を見ますと「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本電信電話公社を設立する。」こういうようになっております。もちろん国際電電も日本電電公社も適用せられまする公衆電気通信法の第一条には、「目的」に、いま読み上げましたような電電公社法の第一条とほぼ似通ったような「公共の福祉」ということを明確にうたった条文がございます。  しかし、いま申し上げましたように、国際電電といい国内電電といい、先ほど申し上げたように全く有機的な一体事業でありながら、片や株式会社にするということできわめて簡単な条文にとどまったと思うのでありますが、私はこの国際電電株式会社法という法律をながめて、全文十七条というきわめて簡単な条文、そしていま申し上げたように、非常に重要な公共性という問題についての言葉がほとんどない。ただ十五条のところで、公共の福祉を確保するために必要な場合には郵政大臣命令をするという点が「公共の福祉」という言葉としてあらわれております。こういったことで、制度的にできるだけ株式会社としての機能を発揮させようということで制定をせられたとは思うのですけれども、しかし事業の持つ公共性は、これが株式会社であろうと国営であろうとあるいはまた公企体であろうと、私はその本質において、また使命において何ら変わらないと思うのです。そういう点から言えば、やはり国際電電株式会社法の第一条の「目的」のところには、仮に株式会社という形で制定をするにしても、この公共性という問題について明文を設けるべきである。そういったところにも、やはり法体系として不備というか、何か純然たる民間の株式会社と変わらないといったような錯覚を起こしかねない法律になっておるのじゃないかという感じがするわけです。こういったところに、法制度的な立場から見ての今回の不正、汚職問題についての問題のとらえ方が一つはできるのじゃないかと思うのですが、この点について、いま私が申し上げたように国内電信電話を扱う日本電信電話公社、こことの関係において一体郵政当局はその点どうお考えになりますか。私はやはりこういった法律制度そのものにもそういった点において欠けるところがあるのじゃないかというふうに考えますが、この点郵政当局の方からお答え願いたいと思うのです。
  34. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お話しございましたように、KDD法の第一条は、公共の福祉とかそういうことを書いてございません。片や公社法の第一条に先生御指摘のとおりの条文がございますことはそのとおりでございます。  それで、なぜKDD法にはそういうことを書かなかったのかという点でございますけれども一つは、公社の場合は、これは公共企業体として設立をされたものでございますので、その趣旨というものを明確にする、こういうことから御指摘のような条文になっておるものと考えるわけでございます。一方、KDDにつきましては、株式会社として商法の規定に基づいて設立をされるということがございましてこういう書き方になっておるのではないかと思うわけでございまして、その点で、先生御案内のとおり、現在特別の法律によりまして設立をされております株式会社というのが数で十一、法律で申しますと九つございます。これらがそれぞれ第一条あるいはその他のところで会社の目的というのを書いてございますが、いずれも、多少の表現の差はございますが、そう変わりのない表現になっております。一例を挙げて申し上げますと、日本航空でございますが、この第一条には、会社の目的といたしまして「日本航空株式会社は、国際路線及び国内幹線における定期航空運送業並びにこれに附帯する事業経営することを目的とする株式会社とする。」こういう規定がございまして、こういった特別な法に基づきまして設立をされる株式会社法律上の表現の仕方としては、大体こういった横並びというものが一つあったのではないかというふうに考えるわけでございます。  なお、言うまでもないわけでございますけれども、このKDDの業務そのものは大変に公共性の高いものでございまして、公衆法の第一条で公共の福祉の増進を目的とするという規定が置かれておりますので、私ども、現行法体系の中でも、KDDの業務というのは御指摘のように公共性というものがきわめて高い、その公共の福祉を増進することに目的があるということを踏まえて運営されるべきものである、そういうふうに考えておるわけでございます。
  35. 久保等

    ○久保(等)委員 実は私のいまお尋ねかたがた申し上げておることは私がたまたま思いついたということではなくて、その国際電信電話株式会社法案が国会に提案をせられた昭和二十七年、実は当初の原案の中には、調べてみましたところが、私が申し上げるようなことは書かれておったのです。当初からだんだんその点が削除されてまいったようでして、ここに当時の、まだ国会に出される前のいわば日の目を見なかった法案の写しを実は持っておるのですが、これにはやはり「第一条この法律は、公衆電気通信営業法」となっているのですが、まだ公衆電気通信法も実は正式には制定せられておらなかった当時なものですから「公衆電気通信営業法第三条の国際電気通信業務を行うため国際電気通信株式会社を設立し、合理的且つ能率的に業務を運営することによってあまねく国際電気通信に対する需要を充足し、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」こういう草案というべきようなものがあったのです。しかし現行の法律の上にはあらわれてまいらなかったわけでありますが、もちろん、先ほども申し上げたように、公衆電気通信法との関連において総合的に見れば、当然公共の福祉といったような問題も公衆電気通信法の中に明定せられておりますから理解はできるわけです。  といって、いま申し上げておりますように、国際電信電話株式会社法、ここの第一条の「目的」のところには、そういったことを抜いて、国際公衆電気通信事業を行うのだといったようなきわめて簡単な条文になっているのですが、いま監理官の御説明だと、他のこういった会社等の場合の例についてお話があったのですが、私が特に指摘したいのは、国内と国外との電気通信事業というものの一元的な事業の実態というものを考えたときに、そのものとのバランスにおいて、形は会社であり公社ではあっても、実態というものはこれはもうもちろん変わらないわけですし、そういう関連性において、やはり法律としてもある程度そういった面のバランスといいますか両方の法律のバランスという面を考える必要があるのじゃないか。そうだとすれば、余りにもあっさりし過ぎているのじゃないか。国際電信電話株式会社法の第一条の「目的」というものは余りにも簡単過ぎて、むしろ重要な本質的な問題が実は何ら表現されておらない。したがって私は、そういったことについて、もちろん日本電信電話公社と同じであれと言っておるわけでありませんし、もちろん経営形態が違うのですからそこのところは変わってもいいのだけれども、しかし公共性という点の何らかのやはりきちっとした規定というものもあって——むしろ国際電信電話株式会社法の性格が公共性が非常に高い、しかも、いま申し上げたように国内電信電話との関連においてきわめて不可分の関係にある。今日のように非常に技術が発達をすればするほど、国際と国内というのはまさに、運営の点においても、制定せられた当時とは違った、緊密度というものは非常に高くなってきたと思うのですね。ダイヤル一つ回せば世界各国主要な都市には即刻通話ができるという状況は、二十七年前と比較をすればまさに隔世の感があると思うのですね。それほど非常に、地球そのものに張りめぐらされた通信網というものは、とにかく国内外を問わず一瞬のうちに連絡がつく、また話もできる、情報交換もできる。こういう時代になっておればおるほど、私は、やはり企業形態としての国際電電そしてまた日本電信電話の公社、こういったようなものが経営形態を異にして分離せられておること自体は、きわめてこれはむしろ不自然だと思います。自然のあるべき姿から見ても、余りにも人工的な、作為的な経営形態になっておるのじゃないかということを私は痛感をするわけです。ここで直ちに株式会社を公社と同じものにしろ、また一元化しろという議論をしようとは思っておりませんけれども、しかし、もう少し本質的なものを考えてみたときには、いま私の申し上げる本質的な性格というものは、むしろ昔にまさるとも劣らない、非常な有機的な一体的な姿にあると思うのです。そういう点で、大事な「目的」の条章でありますから、いま申し上げたようなことを少なくとも明確にすることがむしろ適当ではないかというふうに考えるわけです。したがって、先ほど日本航空の例を説明に出されましたが、これまた性格において日航の事業と電信電話事業、そしてまた国内、国外の電信電話事業との関係考えたときには、これは一つの例として持ってくるのには余り私は適当でないと思うのです。  したがって、もう一遍お尋ねしますが、私が申し上げておるようなことをこの「目的」の第一条に明記をしたからといって、余り法制定の上からいって好ましい姿ではないというふうにまでは断定をせられないと思うのですが、どうですか。
  36. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答え申し上げます。  先生はKDD創立以来の今日に至る経過をきわめて詳細に御存じでございますから、いまの御意見、貴重な一つの御意見として承るわけでありますが、ただ私考えますのに、KDD法というのは、株式会社一般規定であるところの商法に対して、特別法としてこの法律を制定しておる、こういうことだと思います。もっとも監督等につきましては、もちろんKDDに対する監督でございますからこの法律の中に書き込んであるわけでございますが、一般的に言いますと商法の特別法という関係でございますので、そういった意味から特にそういうことを書かなかったのではないかと思います。  ただ、国際電気通信事業というものの性格は、これはそれぞれの関係法によりましてその性格を規定しておるわけでありまして、その規定をされた業務をこのKDD独占的に、かつ公共性の高いその事業経営するのだということでございますので、そちらの法律でそういった電気通信事業自体の性格を規定をしていく、そこで規定されたものを受けて株式会社であるKDDがそれを経営していくのだ、こういうことの仕組みではないかと思います。  そういう意味におきまして、全体としての法体系の中で、これが特に目的の中にそういうことを書き込んでおらないということではないかというふうに理解をするわけでございます。したがいまして、この条文にそういうことを書いたからといってじゃまにはならないと思いますけれども、しかしそれは性質上必要なことではないのではないか、かえって、ある考え方をすると紛らわしいことにならないとも限らないということではないかと思うわけでございます。そういうことで、もちろんそのことが書かれていなくても、国際電電は公共性の高い独占事業であるところの国際公衆電気通信事業を営むということについては、何ら意見異議もないわけでございます。
  37. 久保等

    ○久保(等)委員 大臣の前段の方の理解の仕方、解釈は私も同感です。したがって、関係法律全体をながめれば、この株式会社法のところで特別うたう必要はないだろうということでこういうふうな規定の仕方になったのだろうと思いますから、その点では理解をするのです。  しかしただ、最後の結論的な、そういったことを書くことが紛らわしいというふうなお話だったですが、その点はいささか私、所見を異にしますし、むしろ先ほども申し上げたように、こういった法律制度の面でも重要なことはある程度明確に、多少重複しても明定をすることは私は当然だと思いますし、先ほども申し上げましたように、その点では日本電信電話公社法の第一条では確かに公衆法の第一条と実質的にはダブっておるかもしらぬけれども、先ほど私が朗読したような形の規定をしておるわけですから、非常に重要な「目的」といったようないわば法律の中核になる部分については明確に、国際電信電話株式会社法を見れば国際電信電話株式会社というものがどういうものであるのかということがわかるように規定をすることが必要だと思うのでして、あちこちの関係法律を全部引っ張り出してみてあれこれ総合的に判断して、なるほど非常に公共性が強い事業だという程度のわかり方では、私は必ずしも非常に明快な法律制度ということになっておるとは言えないと思うわけです。  とにかく大臣のお考えは一応承りましたが、できればそういった方向にきちっとした方がいいのじゃないかというふうに考えております。そういったところにも、事業に携わる事業人そのものが会社法の精神なり規定なりというものを守ってまいるという立場からいたしますと、法律に明定することが一つの大きな指標になるわけですから、私はそういったことでぜひ郵政当局のそういったふうな理解を持ってもらいたいと思います。  問題を次に移して、きょうは監査法人の朝日会計社からおいでを願っておると思うのですが、お忙しいところ恐縮に存じます。特に昨年来社会的に大変なセンセーションを巻き起こしておりますKDDの問題、会計に関連する問題なんですが、そういった点できょうはわざわざおいでを願って、専門的な立場監査をしておられる監査法人朝日会計社の代表であります高雄さんにお尋ねをしたいと思うのです。  きわめて素朴な質問ですが、おたくの朝日会計社というものは何人でおつくりになっておる法人で、いつごろからKDD監査をおやりになるようになったのか、ちょっとその点をお尋ねしたいと思います。
  38. 高雄延和

    ○高雄参考人 それではお答えを申し上げます。  まず第一点でございますが、監査法人朝日会計社の規模でございますが、現在、従業員が四百六十人くらいおります。それから代表といいますか、パートナーを大体六十三名その中に含んでおります。  それから設立の時期でございますが、四十四年の七月でございます。  それから監査法人朝日会計社といたしましてKDD監査を委嘱されましたのは三十五期、四十五年の九月期からでございまして、前任者が設立以来監査にタッチしておりまして、その前任者が監査法人に加入になりまして、それと同時に、いま申し上げましたような時期から法人といたしましては監査に従事しております。
  39. 久保等

    ○久保(等)委員 私のお尋ねしたこの監査法人の社員で、要するに公認会計士の資格を持っておられる方は何人おいでになるのか、もう一遍お尋ねしたいのと、それからKDD監査仕事ですが、これは具体的にはどういった方法でおやりになっておるのか。KDD会計監査を年間大体何人ぐらいでおやりになって、いままでどのくらいの日数を要してこられたのか、そういったあたりのことをもう少し具体的にちょっとお尋ねしたいと思います。
  40. 高雄延和

    ○高雄参考人 お答え申し上げます。  まず監査法人の規模でございますが、四百六十人と申しますのは、そのうち有資格者——公認会計士法上の試験に合格した公認会計士あるいは会計士補でございますが、それが四百三十名程度でございます。  それから、われわれ監査法人がKDDにどのような監査をやっておったかという点につきまして若干具体的にお答えを申し上げたいと思いますが、一応手元に五十一年三月期からの資料がございますので、それを一応読み上げたいと思いますが、現在われわれの監査の常道といたしまして一応監査の時間数で執務の時間等を計算しておりますので、時間で申し上げまして、一日七時間というような一応の往査時間でございますが、それで逆算いたしました日数というような形で申し上げたいというふうに思います。  五十一年の三月期でございますが、千百六十六時間、百六十七日、五十二年の三月期千百三十八時間、百六十二日、五十三年の三月期千三百二時間、百八十六日、五十四年の三月期千三百五十一時間、百九十二日、それから五十五年の上半期、九月の中間期でございますが、七百五十六時間で百七日というふうになっております。  それで、これに従事をしておりますチーム——われわれは各クライアントごとに監査チームを形成しておるのでございますが、責任者が私、高雄でございまして、それ以外に公認会計士が二名から三名、それから会計士補が四名から三名で一応従事しております。
  41. 久保等

    ○久保(等)委員 朝日会計社がKDD会計監査をおやりになってから大分古いようですし、すでに約十年くらい経験を持っておられるようなんですが、その間に、いままで毎期にわたってやってきたその流れの中から、特に最近問題になっておりますのは昭和五十二年あたりからが非常に大きな問題になっておるわけなんですが、相当専門的に監査をおやりになっておるわけですから、不当不正な問題等についても発見できたのではないか、何らかの形で疑念を持たれる、あるいは不審を持たれるといったようなことがその過程の中にあったのではないか、また普通あり得るのではないか。いまお話がありましたように相当な会計士の方を動員し、また時間もかけておやりになっておるわけですから、十分に監査をおやりになっておって、当然専門的な立場でおかしいじゃないかといったようなことを感づかれたことがおありになるのだろうかどうだろうか。ここ二、三年来の動きの中でそういったことを感じられたことがあったのかなかったのか、その点をまずお尋ねしたいと思うのです。
  42. 高雄延和

    ○高雄参考人 先生からの御指摘でございますが、四十五年から私も関与をしておりまして いま御質問がございました点について、先生には非常に釈迦に説法的な形になろうかと思いますが、われわれ公認会計士といたしまして会計監査というものをどう考えているかというところから敷衍いたしまして、現在の御質問の点に触れていきたいというふうに考えております。  御専門の先生に非常に失礼だと思いますが、われわれ公認会計士の監査は、一般投資家大衆の投資判断に資するために、財務諸表に対する適正意見を表明するというのが前提になっておりまして、そういうような意見表明をする前提といたしましていろいろ監査手続があるわけでございますが、その監査手続を施行する前提といたしましては、一応統計的あるいは経験的な手法がございますが、試査を前提にしておるわけでございます。  そのような形で具体的に五十一年、五十二年、五十三年というふうな時期を御指定いただきまして、それで特に今回の不祥事件といいますか、これの事件につきまして何か不審に思ったことはないかというような点の御質問に入らせていただきますが、そういうような意味で、一般的な監査手続からいきまして、特に今回の不祥事件といいますのは交際費の問題に一応しぼられるのではないかというふうに私は思うのでございますが、そういうような交際費を含めました営業費用でございますが、これの監査手続というのは、前年との対比とか、そういうような趨勢につきましていろいろと比較検討するわけでございます。特に五十四年の三月期でございますが、巷間伝えられますように交際費の額が二十億というような形になっておりますが、この中身を申し上げますと、いわゆる部外者の会合費というのは七億円強でございますし、それに儀礼費というのが七億五千万でございますが、われわれ監査しておる過程におきましてその二点が非常に大きいわけですが、儀礼費が七億五千万、前年がほぼ三億七千七百万という形ですし、部外者の会合費が四億九千七百万でございまして、特に儀礼費がふえているということにつきましては、われわれ監査の過程で承知しております。この儀礼費がふえたということにつきましては、当然会社に対して、このふえた理由等につきましては質問いたしております。  その過程におきまして、いろいろ会議とかそういうような行事が多いということで、そういう社外的な交際といいますか、儀礼を出すということについてのボリュームが多くなっていくということでございまして、私どもも当然でございますか、たとえば五十二年度で見ますと、マリサットという海事衛星とか、OLUHOケーブルを敷いているとか、あるいは五十四年の上でいきますとNASCという日台ケーブル、そういうようなケーブルをかなり敷いておる。あるいは業務を非常に拡大しておるというようなこととか、あるいはこれは業務的には、たとえば衛星通信の実験設備を山口の衛星通信所に設けているとかいうような、業務的にかなりのいろいろな発展の行事をやっておった。それとまたCCIRという国際会議でございますが、これが五十三年度においては京都で持たれているとか、衛星通信の代表者の代表会議を東京で持っているとか、あるいは上期でいきますと、山口の十周年の記念があるとかあるいは二十五周年記念があったとか、いろいろ行事をわれわれ自身もバーチュアルな面では認識しておりますので、会社が言っているそういう行事が非常に多いというようなことにつきましては、われわれとしては大して不審に思わなかった。それとまた、会計監査は、そういう聞くだけではございませんで、いろいろと領収証あるいは振り込みの領収証あるいは請求書というような点につきましては、われわれ会計人としまして心証が得られるところの会計監査ということにつきましては、われわれとしては十分なしておったというようなことで、いま先生から当然わかるであろうというような御質問がございましたが、われわれいま申し上げましたような点から、一応そういうことについては、特に不審な点につきましてはなかったというふうに考えております。
  43. 久保等

    ○久保(等)委員 いま御説明の中で、領収証みたいなものも監査をされたというお話なんですが、新聞等で伝えられるところによると、お品代といったようなかっこうで相当な領収証がずいぶん見つかったというようなことも伝えられておるのですが、そういう証拠書類等をごらんになって、それも前々、十年も長い御経験を持っておられるわけですから、従来やっておった慣例というのじゃなくて、いまの五十二、三年、四年ごろ、特に何かそういった領収証、証拠書類という面から見て、扱い方が非常におかしいじゃないかといったような問題も感じられたのじゃないでしょうか。  それから、先ほどちょっと儀礼費の費用が非常にかさんでおるといったような点について若干疑問を持たれたようなお話なんですが、そういったこと等については直ちにKDDの方から事情を詳細にお聞きになったりなんかしたのでしょうね。いま御説明の中であったたとえば領収証等の証拠書類、こういったものについて専門家の立場から当然——いいかげんな、ただお品代といったような何を買ったんだかわからない、しかもわずかばかりの金額ではなくて相当多額の金、しかもそれがほんの一、二枚といったようなことじゃなくて、たび重なってそういったことがあったんじゃないでしょうか。そういう証拠書類の面からはどんなふうにお考えになったのですか。
  44. 高雄延和

    ○高雄参考人 いま先生から御質問の点でございますが、われわれが会計監査をやる上におきまして、儀礼という点よりも、費用の点ですと前期比較というようなことについて一応比較してみて、多い場合についてそういうようなことでお伺いしたという点でございまして、その内容が云々という形でのことでは必ずしもないということでございますが、それとあとバーチングの点でございますが、外部からの請求書あるいは振り込みの領収証等につきましては、正規の責任のある方の印認に基づいた支払いの命令によりまして会社から支払われているという、会計の上で通常の監査手続をやって、その間においては特に不審というような形のことは感じなかったということでございます。
  45. 久保等

    ○久保(等)委員 この会計監査をやられて、そういった証明等されたような書類、つくられた報告書みたいなものはあとはどの方面へ出されることになるのですか。
  46. 高雄延和

    ○高雄参考人 御質問のあれを十分承知したお答えになるかどうかちょっとわからないのですが、われわれの会計監査をやりました報告につきましては、KDDの場合は商法会計監査人というのと、上場しておりますので証取法上、有価証券報告書を提出する義務がございます。商法的な監査報告と証取法上の監査報告と二種類のものが出るというふうに思います。
  47. 久保等

    ○久保(等)委員 相手はどこに出されるのですか。
  48. 高雄延和

    ○高雄参考人 これは商法の規定によりまして、両方とも会社からの委嘱ということでございますから、会社あてに出すという形になります。
  49. 久保等

    ○久保(等)委員 ずいぶん専門的な立場で詳細にお調べになっておるようなふうにも受け取れるのですが、しかし、あれだけの大事件が起きて、監査法人の朝日会計社にお願いをしておっても問題が事前に発覚しない、見つけられないということになると、そういう制度そのものが一体有効なのかどうかというふうにも感じ取られるのですが、その点はいかがなものですか。会計監査をやられる、そして大蔵省方面に対しては有価証券報告書、あるいは会社の方に対しては会計監査商法上の報告書を書かれる。しかしその中で特別不審を抱かれないというようなことが、専門的な立場で調べてもあるんでしょうか。どうも少し理解がしにくいのですけれども、そういう監査法人というものにお願いをして会社がやっておっても、一向に効果が上がってこない。したがって、今度この事件に遭遇せられて会計士の立場で調べて、今後はどういう方面からチェックをするなり監査をしなければならぬというふうに、自分のやっておる会計監査というものも角度を変えて、もう少し詳細に調べなければならぬとか、何かそういう教訓めいたことを感じられましたか、いかがなものですか。
  50. 高雄延和

    ○高雄参考人 先生の御指摘はまことにごもっともだと思います。先ほど私が公認会計士の会計監査考え方について申し上げました点でございまして、会計監査の目的は、投資家大衆に対する適切なディスクローズということがわれわれの最も目的にしておるところでございまして、それが現在の会計監査一つ考え方であろうかと思います。ただ先生のおしゃられる点、あるいは一般社会等でいろいろなことがいま考えられておりますし、いろいろな感想がここで持たれておると思うのでございます。私自身、今度の事件の渦中に巻き込まれまして、会計士に対して社会からの期待というのを非常に痛切に感じまして、そういう意味で私は、公認会計士制度もかなり社会に浸透してきたなというようなことを感じたわけでございます。そういう意味で、社会のこういう会計士に対する期待を裏切らないような制度にぜひ育てていかなければいけない。それにはいろいろな条件がこれあろうかと思うのでございますが、もちろんそういうような条件をわれわれの力で整備をする必要もあろうかと思いますし、われわれ自身といたしましても、そういう意味での監査機能を十分に発揮できるような形のものはやはり必要ではないかというふうに考えております。
  51. 久保等

    ○久保(等)委員 会計士そのものが戦後、公認会計士というような形で非常に地位も高まる、また非常に重要な責任任務を持っておられるような制度になってきているわけですし、特に今度のようなこういう大事件についてさえ、専門家が調べてもそういったことについて発見できなかったということは、確かに公認会計士なりあるいは監査法人に対して非常に不信感を持つことは当然だと思いますね。  そこで、いろいろ条件整備とかなんとかというお話があったのですけれども公認会計士制度あるいはこの監査法人制度でもいいですが、こういったものについて何か専門家の立場で、こういった点を何とか改善をしなければならぬじゃないかというようなことを、国会でもありますし非常にいい機会ですから、感づいたことを一つでも二つでも、そういう制度改善の面で必要な点があるならばぜひひとつお述べいただければわれわれ非常に幸いだと思うのです。ただ、いまのお話では漠然としておって、何を一体どう具体的な問題で反省なりあるいは改善を要するとお考えになったのかわからないのですけれども、こういう機会にこそ、直接携わって、しかもKDDだけについて言うなら十年も専門的な立場でやってこられたのでしたら、何らかの具体的な改善策というものについてもお考えがあるだろうと思うのですが、できればひとつお答え願いたいと思います。いかがですか。
  52. 高雄延和

    ○高雄参考人 先生からの御指摘につきまして、われわれ会計士といたしまして条件というふうに申しましたが、会計監査という範囲と業務監査というような範囲がいろいろあろうかと思うのでございます。  御承知かと思いますが、昨年の暮れだと思いますが、会計士協会の方から、公認会計士の会長の名前で、今回の不正事件についての今後の監査あり方についてというようなことで通牒みたいなものが出ておりますが、その中で触れられておるような、たとえば今回のケースを例にとれば、KDDの全体につきましては私は非常に筋の通った、内部統制のきちんとした会社だというふうに思っております。しかし、遺憾ながら社長室の制度それ自体が若干問題があったのではないかというふうに私は思うのでございますが、そういうような組織面について、会計士というのはいまの状態では十分なそういうような権限もないわけでございますが、果たしてそれができるかどうかの問題は、これは非常に問題としてはあろうかと思いますが、そういうような一部の職域、職務権限が集中しているようなものがあるのかどうかというような点に対して、もう少しその辺のチェックをするとかというような点がいまの会計監査の範囲内なのかどうかというような問題も一応あろうかと思います。  そういう意味で、財務諸表監査と、それからこういう大事件でございますので不正摘発といいますか、そういうような監査、これは表裏一体かもしれませんが、われわれの主眼というのは、やはり適正な利潤といいますか適正な会計処理ということを、先ほど申しました試査の範囲内でそれをチェックするわけでございまして、先生は会計士の制度自体に対する御不審というようにお話がございましたが、そのようにお考えいただくのはまさにそのような形かもしれませんが、われわれは会社に対するいろいろなそういう会計指導をかなりやっておりますので、そういうような意味での指導性というのは、やはり会社を適正に持っていく意味では非常に大きな力は現在でも持っておるというふうには考えております。
  53. 久保等

    ○久保(等)委員 どうも余りすっきりよくわからないのですが、たとえば新聞で報道されておるように、領収証あるいはその他の会計上の書類なんかで、数字にたとえばゼロを一つつけ加えるとか、そういった証拠書類に対する改ざん、あるいは虚偽の領収証あるいは水増ししたような領収証、そういったようなものなんかも、多数の書類を調べられている中にはやはりあったんじゃないのですか。新聞等で、そういった何かゼロを一つつけたとか、あるいは前の方へ一をくっつけたとか、そんなようなことも報道せられたことがあるのですが、会計士の立場でお調べになったそういった証拠書類の中には、そういったことも一つもなかったということではないんじゃないですか。そういった点についての事実関係はどうですか。
  54. 高雄延和

    ○高雄参考人 新聞紙上で確かにそういうようなことが報道されておりますが、私ども、先ほど来申しましたような一応試査の範囲内でいろいろピックアップいたしましてバーチングをやっておりますが、そういう限りにおきましては、いま先生からの御指摘のようなことはございませんでした。
  55. 久保等

    ○久保(等)委員 それじゃ時間も余りありませんから、高雄さんからの御説明なりお話は以上の程度にして私の質問は終わります。ありがとうございました。  次に、問題を移して質問を続けます。やはりこれにも関連するのですが、会社に就任をしておられる特に監査役の方々に少しお尋ねをしたいと思うのです。  監査役はもちろん商法上非常に重要なポストになっておるわけですし、午前中の質問に対しても先ほど井本さんの方から御答弁もありましたが、商法に規定せられた例の二百七十四条の業務監査権なりあるいは調査権というものが規定せられております。第一項に「監査役取締役職務ノ執行ヲ監査ス」ということなんですが、朝の質問では余り具体的な説明もなかったのですけれども、やはり取締役職務の執行を監査するということについて、具体的に何らかやられたこともあるのじゃないてすか。もし——もしじゃなくて当然やられておると思うのですが、具体的な点でどういったことをおやりになったのか、御説明願いたいと思うのです。
  56. 尾畑芳郁

    ○尾畑参考人 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの点は、きわめて職業的な専門家であられる会計監査人監査とは違って、監査役監査の面において何か具体的な監査の面はどうかというお尋ねと承っておりますが、それについてお答え申し上げますと、監査の全般をるる申し上げますと一言では尽きないのでございますけれども、その具体的な問題点と申し上げますと、たとえば契約というような問題につきまして、われわれの方は、現場、事業所を含めまして本社も当然ある一定金額以上のものを試査する、そういうような類は多々行っておりますし、そのほか貯蔵品のたな卸しの問題に会計監査人監査に立ち会うとかいうようなものも含めまして、具体的な活動を行っております。
  57. 久保等

    ○久保(等)委員 社内監査の陣容といいますか、どういう体制で監査をやっておられるのか。もちろん監査役が頂点に立った責任者として、どういう人員の構成なり規模、状況か、ちょっと御説明願いたいのですが。
  58. 尾畑芳郁

    ○尾畑参考人 お答え申し上げます。  監査役は、先ほども明らかにされましたけれども、常勤の監査役が二名、非常勤が一名、その下に現在六名のスタッフというものが監査役室という組織の中におりまして、この者を使い、また場合によりましては、私たち自身が直接本社、各事業所を含めまして監査を行っている次第でございます。  特に一言つけ加えますならば、監査役自身は、単にそういう実査的なものばかりではございませんで、会社経営上の重要なる会議、これは商法上決められました取締役会を初めといたしまして、週二回の役員会とかその他もろもろの会合に出席もいたしますし、また重要なる書類は全部見るというような任務もあわせて行っておりますことを御報告申し上げます。
  59. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの社内監査の体制ですが、いまお話があったように、六名ばかりの職員を擁して、非常勤が一名でございますが三名の監査役でもってやっておられるという話なんですが、これは今回の事件の以前からそういう状態だったのですか。今度のこの事件を契機にして、充実あるいは強化といったようなことで、そういった面の何か変更等があったのですか、ないのですか。そこらの経過をちょっとお尋ねいたします。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  60. 尾畑芳郁

    ○尾畑参考人 お答え申し上げます。  昨年の秋、今回の不祥事が新聞その他に報道されます以前におきましては四名のスタッフでございました。その後、会社といたしましては、とりあえず充実するという意味合いにおきまして二名増加されまして、現在スタッフが六名でございます。
  61. 久保等

    ○久保(等)委員 二名増員になったようなお話ですが、監査体制がこれによって非常に強化せられて、今後十分に監査業務を遂行できるというふうに判断しておられますかどうですか。六名が適当であるかどうか、必ずしも明確にちょっと判断がしかねるのですけれども、実際に仕事をやっておられる監査役立場から、どんなふうにお考えですか。
  62. 尾畑芳郁

    ○尾畑参考人 監査につきましては、当然のことながらわれわれも深く反省をいたしておりまして、先生からも御指摘のございましたように、二度とこういうことを起こさない、あるいは監査機能の強化を図るべしという気持ちにつきましては私も同感でございまして、当然この数におきましてやれないというのは情けない話ではございますけれども、実際上にわれわれが監査をやりますときに、単に自分自身でやるというものの以外に、会計監査人を十分にその結果を活用する等につきましても、緊急な連絡あるいは立ち会いといったものも必要でございますし、また一面、会社の内部の組織でやっております考査というものとの関係におきましても、われわれはその結果の立ち会いのみならず、実際上にそれらと共同いたしまして細かい点を見るという面も必要かと思いますので、われわれといたしましてはこの数ではきわめて不足であるという結論にいま達しております。
  63. 久保等

    ○久保(等)委員 これは会社全体の問題にもなると思うのですが、社長にもその点お尋ねしたいと思うのですが、われわれも仕事の量そのものが的確に判断しかねますからなにですが、ただしかし六名程度でやれるかなという印象を持つのですが、いま特に監査役が直接、必ずしも十分でないというお話なんですけれども、やはり部内監査をもう少しきちっとやる、しかも監査役は何といっても商法上定められた非常に重要なポストでして、そういう点からまいりますと、監査役に対してはもちろん非常に重い責任を課しておりますし、商法の中では、会社にもし損害を及ぼすならばそれに対して損害賠償の責任を負うのだといったようなことも言われております。したがって、今回の場合なんかも果たして十分な任務を遂行したかどうかということに疑問があるとするなら、大変な大きな損害を出しておりますことも指摘するまでもないのですが、そういう点からすると、不十分なままに重要な責任を負わされては、これは監査役としての責任を全うするわけにもまいらないし、したがって、その点では十分に陣容も整えて取り組んでまいることが百の議論よりも私は大事だと思うのですが、そういう点で、陣容そのものが必ずしも十分でないという直接のお話なんですが、社長、どんなふうにお考えになりますか。
  64. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  監査役監査を強化するということは、大変必要なことと思います。ただ、現在の人数が妥当な人数であるかどうかということについては、少し足らないというようなお話も伺いましたので、頭数が足らないのか、あるいは頭数だけそろえても質の面が、これはちょっと特殊、専門的なことではないかと思うのですが、そういうことも考えまして、よく相談いたしまして処置をしたいと思います。
  65. 久保等

    ○久保(等)委員 質量両方の面から強化を図る必要があるように感じます。ぜひひとつそういった点について早急に体制を整備せられることを希望いたします。  それから、今度は取締役についてお尋ねしたいと思うのですが、取締役も、これまた監査役一体になって、もし会社に損害を及ぼすような事実を発見したときには直ちに監査役にこれを報告しなければならぬといったようなことも、これまた商法の定めるところなんですが、そういった点においても、ほとんど具体的にはそういったことがなされておらないのだろうと思うのですけれども、そういう点では、監査役はもちろんのこと、取締役としても会社のそういったことについて平生から十分な努力をしてまいらなければならぬと思うのですが、今回は残念ながらそういうことは、取締役の側から監査役に報告をするといったようなことが事実としてあったのかなかったのか、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  66. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点につきましては、私ども取締役一同といたしましても、そういった点に気づかなかった点、したがいましてその点を監査役に報告をいたしませんでした点は大変申しわけなく思って、責任を感じております。
  67. 久保等

    ○久保(等)委員 KDD取締役は現在何人おいでになりますか。それから、代表取締役というものが何人か、お尋ねしたいと思います。
  68. 増田元一

    増田参考人 現在役員は十九名でございます。内訳は、取締役十六名、非常勤二名を含みます。監査役三名、非常勤一名を含んでおります。代表取締役は七名でございます。内訳は、会長、社長常務五名でございます。
  69. 久保等

    ○久保(等)委員 この代表取締役ですが、代表取締役は、現在副社長が二名ともおられないから七名ということだろうと思いますが、したがって、副社長がおられるころには九名代表取締役がおられたと思うのですが、代表取締役は、私よく一般の情勢を知りませんが、必ずしも少ない方ではないような感じがするのですね。たとえば日航なんかの場合には取締役は十八名以内ということになっているのですが、その中で二名、社長、副社長だけが代表取締役ということになっておりますが、KDDの場合には、代表取締役、要するに会社を代表すると正式に決められた取締役が九名もおられるわけなんですが、ここらあたりはどういうことでこういうことになっておるのですか。ちょっと御説明願いたいと思うのです。
  70. 増田元一

    増田参考人 常務以上に代表権が与えられておるということにつきましては、これはもうずっと前からそうなっておりまして、その経緯につきましては私は存じておりませんが、ただいま先生がおっしゃいました少し多いじゃないかということにつきましては確かにそのとおりでございまして、検討を要する問題である、こういうようにいま思っております。
  71. 久保等

    ○久保(等)委員 必ずしも多いからどうこうというわけじゃなくて、代表取締役と名のつく役員が九名もいて社長のワンマンを許したというのもこれまたきわめて、数が多いからなかなかワンマンの営業はできなかったというなら話はわかるのだけれども、大ぜいいたのだが社長のワンマンを許したということになると、一体社長を除いたほかの八名、代表権を持つ非常に重要な立場にいる重役でありながら、いまもお話があったように報告すべき報告も監査役に余りしてないというようなことになって、まことに代表取締役に値しない代表取締役が非常に多かったというふうに残念ながら指摘せざるを得ないわけなんです。そういった点については今後の問題として十分にお考えになった方がいいんじゃないかという感じがいたします。  なお、そのほかにちょっとお尋ねしたいと思うのですが、KDDには相談役だとか顧問だとか参与だとか社友だとか、そういったものがおられますが、これは一体どういうことでランクづけがこうなっておるのか。人数、それから処遇といいますか、どういう扱いをされておるのか、少しお尋ねしたいと思うのです。
  72. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  相談役につきましては、当社役員として在任中、会長または社長の職におられた方々にお願いしております。それから顧問につきましては、当社の副社長または技師長を経験されました方々、それから横浜、神戸商工会議所の会頭、そういう方にお願いいたしております。それから参与につきましては、専門的な知識を持っておられる方々にお願いいたしております。それから社友につきましては、当社役員として在任された方々のうち、相談役または顧問に御就任をお願いいたしている方々以外の方にお願いをいたしております。  どういう待遇をしているかという御質問でございますが、相談役、顧問及び参与につきましては、それぞれの事情に応じまして、といいますのは、たとえば現在ほかの職についておられるという方々につきましては特に何のごあいさつもいたしておりません。しかし、現在何も職についておられないという方にはごあいさつをしている場合がございます。それから社友に対しましては一切手当等ごあいさつはいたしておりません。
  73. 久保等

    ○久保(等)委員 それから前々から、増田社長社内経営の刷新を図ろうということで経営刷新委員会といったものもおつくりになっておるようですが、特に将来を展望して恒久的なものとして経営諮問委員会といったもの、これは必ずしもそういう名称に固まっておらないのかもしれませんが、そういったようなものを設けて、会社の今後の改善を図ってまいろうという構想をお持ちのように伺っておるのですが、これは一体どういう中身のもので、どういう構成で、何をねらってこういったものをおつくりになろうとしておるのか、ちょっとその間の事情を御説明願いたいと思うのです。
  74. 増田元一

    増田参考人 このたびの事件を契機といたしまして、会社経営をもっと開かれた形に持っていきたいというのが基本的な考え方でございます。それで、会社といたしましては経営問題委員会という名前で正式にこういう委員会をつくろうということに決めまして、学識経験者等広く御意見を伺いまして、会社経営に反映さしていきたいというのが目的でございます。  委員会の構成といたしましては、先ほど申しましたように国際電気通信事業に対し識見を持っておられます学界、利用者、財界それから電気通信界、十名程度の方々にお願いするつもりでございます。  なお、何を議論するかということでございますが、国際電気通信サービス基本的なあり方、これに関連する諸問題具体的に申しますと長期経営ビジョンあるいは電話ファクシミリデータなど、今後大変むずかしい問題がいろいろ出てくると思いますが、そういうサービスに対する基本的なあり方、あるいは国際電気通信事業における適正利潤、そういうもののあり方、こういうことについて御意見を伺えたらと思っております。
  75. 久保等

    ○久保(等)委員 いつごろから発足する御予定ですか。
  76. 増田元一

    増田参考人 ただいま人選いたしておる最中でございますので、できるだけ早くとは思っておりますが、まだ一カ月は十分かかるのじゃないか、こういうふうに思っております。
  77. 久保等

    ○久保(等)委員 この経営問題委員会をきわめて近い将来つくられようということで、そのねらいが開かれた会社という一つの具体的な施策としてお考えになっておるようですが、十名程度の学識経験者あるいは利用者、そういったような方々で構成をするようなお話なんですが、私はもう少し利用者、国民等から御意見を直接聞くようなこともやはりお考えになった方がいいのじゃないかと思うのです。経営問題委員会というのは、やはり基本的な問題になるようなことを中心にしておやりになるようですが、たとえば料金等の問題について利用者からの御意見、これは最も具体的で、利用者にとっては最も関心のある重大な問題だと思うのですが、そういったようなことについても広く一般の利用者なり国民意見が反映せられるような委員会をおつくりになる必要があるのじゃないか。だから、もしこの経営問題委員会でそういったことまでやるとすれば、経営問題委員会自体がまた一般の方々にお集まり願って、そこで御意見を聞く。十名の方が専門的な立場でいろいろ意見を述べ合って、それをまとめてやれば利用者の意見が反映されるというものじゃないだろうと思うのです。これは、むしろある程度専門的な知識を活用するという立場では十名程度のもので経営問題委員会の意義はあると思うのですが、一般の利用者なり広く国民意見あるいは御希望、そういったようなものを経営の中に反映していくということでは余りにもパイプが細いというか、十分な機能を果たせないのじゃないかと思うのです。私は、特に今回のああいう問題等を契機にして、もう少し国際電電というものが本当に国民大衆の中に十分に根をおろしてまいるというか、そういう方々の御理解、協力を得られる、したがって経営はガラス張りといいますか、できるだけ経営の内容等についてもこれを公表していくということか必要だと思うのです。  先ほどちょっと申し上げましたが、創立当時と今日とは非常に世の中変わっているわけですし、国際電電の持つ任務なり活動範囲というものもずっと重くなり、広くなってきていると思います。いわば国際電話そのものの利用にしても、全国各地で非常に一般大衆化してまいってきている情勢というものは、いまから二十年前では想像できなかったほどだろうと思うのですけれども、そういう点からすれば、国内通信と同じ程度に、国際通信といえども広く国民一般のかかわり合いというものは非常に大きいと思いますから、そういう立場KDDというものがそれこそ禍を転じて福となすという決意でもって、ぜひ国民に開かれたKDDという立場から、日常経営をやってまいる上にひとつそういう意見が生かされるような機構というか委員会、そういったようなものもお考えを願いたいと思うのですが、社長、いかにその点お考えになりますか。
  78. 増田元一

    増田参考人 御趣旨は私もよくわかりますので、ひとつそういう方向考えてみたいと思います。
  79. 久保等

    ○久保(等)委員 それから会社の方で何か経営刷新委員会というものをすでにおつくりになって、何か重役の方々か全部入られて進められておるのですが、具体的にお決めになったり何かやっておられることがあれば、ここでちょっと承りたいと思うのです。特に最近何か問題でもあれば……。
  80. 増田元一

    増田参考人 いままでやりましたことは、旧社長室の解体、それから料金の値下げ、そのほか考査室を新設した、こういうことをいたしております。
  81. 久保等

    ○久保(等)委員 それから、会社も発足して満二十七年になったのですが、やはりこの際、従来からとかくうわさなり、余り芳しくないようなこと等についても、思い切って刷新を図っていくべきじゃないかと思うのです。具体的なことを申し上げれば、たとえばあの会社内に設けられておりまする厚生施設、食堂その他の問題、そういったようなものについても、何か非常に不明朗な形で請負の業者が入ってくるといったようなことで、余り評判がよくない。そういったことを私もかつて耳にしたことがあります。したがって、そういう施設なんかはこれは一般の従業員が利用するのですから、やはり従業員の方々の意向というものも十分にくみながら、せっかくつくる厚生施設であれば、従業員の方々から喜はれる——何か非常に暗い影がつきまとったような形でそういった業者が入ってくる、こういったようなことは、職場の明朗化という点からいっても、私はぜひ排除すべきだと思うのですね。今日までどういう経過で入ったか、私も必ずしも細かいことはつまびらかにしておるわけではありませんけれども、かつてそういう話を聞いたことがあります。どうも利用する従業員から非常に評判が悪い。それから、いつかこの委員会でも問題になったと思いますが、ほとんど無料でもって部屋を貸す、そういったようなことについても、適当な合理的な料金をきちっと取って、それでそういう部外の業者を入れて厚生福利施設の充実を図っていくことは結構ですけれども、そういった業者の選定等に当たっても、やはり一般職員にしても疑惑を抱かなくて済むような形でそういったものの運用を図っていくべきじゃないかと思うのです。いま言う経営刷新委員会というようなものもつくっておられるわけだし、この刷新委員会の構成そのものも、できればやはり組合の代表でも入れて、それで大いに職場のそういった問題等についても一般職員意見も聞く、いわば職場の民主的な運営等もできるだけ図ってまいるということが、ああいう事件を起こし、ワンマン社長的な運営がされることを防ぐことにもなると思うのです。そういう厚生施設等の問題についても、従来からの経緯がどういうことになっておるか知りませんけれども、そういう問題がもしあれば、ぜひこの機会に一応区切りをつけて、新しいといいますか、本当に職員がみんな喜んで利用できるようにすべきだ。どうも余り利用者がない、がしかし、とにかく大きなスペースをとって営業をやっておるというようなことをかつて聞いたことがあります。今日現存するかどうか、最近の状況は私も知りませんけれども、そういったこと等についてもひとつ点検をして、改善を図っていくべきではないかと思うのですが、社長、いかがですか。
  82. 増田元一

    増田参考人 私もお考えには賛成でございます。
  83. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは、さらにちょっとつけ加えて、先ほどもちょっと触れましたけれども会社の営業なりあるいは財務関係、そういったようなこともできるだけ一般に公表する、そういった方法もお考えになることが、先ほどもちょっとお尋ねしたことに関連するのですけれども、開かれた会社ということにも通ずると思うのです。そういったことについても具体的に御検討願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 増田元一

    増田参考人 検討さしていただきます。
  85. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは次に、今度の法改正の中で一つの柱といいますか、会計検査院の検査ができるようなことにしたいという点が改正一つになっております。ところが、現行会計検査院法の中から見ても、今日の国際電電というものは、電電公社が一部株式を持っておるというようなこともあり、会計検査院として検査をやろうと思えばできるのだという見方をしようと思えばできるような感じもするわけです。しかし、今日までのところ、会計検査院としてKDDについては会計監査はできないという考え方のもとに、恐らく今度のこの改正案の中に会計検査院会計監査をすることができるというような規定を設けようとしておるようです。  会計検査院の方にお尋ねしたいのですが、国が資本金の一部を出資しているものの会計一つに、いま私が申し上げましたように電電公社というものが考えられると思うのですが、この面から見て、KDD検査対象にできるじゃないかという説をなす向きもあるようでありますが、このことについて、会計検査院としてはどう考えておられるか、お尋ねしたい思います。
  86. 三原英孝

    ○三原会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先生お考えになっております会計検査院法の規定は、会計検査院法第二十三条一項五号の「国又は公社が資本金を出資したものが更に出資しているものの会計」この条文に当たるのではないか、こういう御質問ではないかというふうに理解いたしておりますが、会計検査院といたしましては、この規定でKDD会計を検査することはできない、かように考えている次第でございます。と申しますのは、この二十三条一項五号の規定は、もともと会計検査院が行います財政監督の一環といたしまして、積極的にある事業を推進するための原資を供給するために出資という形で国家資金が使われた場合に、その出資の目的を確保する、こういう見地から、出資の目的に沿って事業が適正に運営されているかどうか、あるいは出資の効果が上がっているか、こういうたような点を検査するためにある規定である、こういうふうに会計検査院としては解しているわけでございます。  ところで、KDDの場合でございますが、国の出資法人である電電公社が確かに一〇%の株式を持っているわけでございますが、これは単に安定株主になるために株式を電電公社が持つようになった、こういうふうに承知いたしております。したがいまして、積極的にある事業を推進するための出資が行われた、こういう関係ではございませんので、この規定には該当いたしませんで、検査対象にはならない、かように考えておる次第でございます。
  87. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは郵政の方にお尋ねをいたしますが、今度の改正法案の中に、会計検査院の検査ということで第十五条の二、こういったものを設けるようなことになっておるわけです。KDDは、先ほど来申し上げますように純然たる民営形態の株式会社なんですが、株式会社ではあるけれども検査対象にしようということで、今回は特別に新しい法改正を行おうとしているわけなんですが、本質的にKDDというものをそういう会計検査院検査対象にし得るという根拠、一体それはどういうところにあると判断をして会計検査院検査対象にしようとしておるのか、お尋ねしたいと思うのです。
  88. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDD会計につきまして、商法などの規定により、会社の機関である監査役監査のほか、いわゆる外部監査としての会計監査人監査を受けなければならないとされておることは、先ほど来の応答の中でも明白でございます。しかしながら、同社は特別の法律によって設立されました株式会社でございますとともに、社会諸活動の重要な基盤の一つとしてきわめて公益性の高い国際公衆電気通信サービスの独占的提供を法律をもって保障されているものでもあるわけでございます。したがいまして、このような同社の性格にかんがみまして、その会計について一層の適正を期するということのために、これらの監査に加えまして会計検査院が検査することができるようにする、こういう趣旨のものでございます。  先ほど来の御論議の中にもございますように、商法上に規定されておる内部監査あるいは外部監査人による監査というものは、要するに性格としては株主利益擁護のための制度のように思われます。これに対して、会計検査院による検査ということになりますれば、やはり性格的には国民的な立場に立って検査を行うものであろうと思います。そういう性格上の相違もあろうかと思いますが、要するに今日の監査体制では十分でないというところから会計検査院の出馬ができるようにしたということでございます。
  89. 久保等

    ○久保(等)委員 それならば、会計検査院法には、第二十二条に「会計検査院の検査を必要とするものは、左の通りである。」といって一、二、三、四、五、六とあるのですが、これをいわゆる必要的検査事項というふうに言っておるようですが、ここでこのKDDを検査するというふうな必要的検査事項としなかった理由は一体何なのか、その点もお尋ねいたします。
  90. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘のように、現在の会計検査院法におきましては、その検査対象をいわゆる必要的検査対象と選択的検査対象というふうに区分をしておるわけでございます。  そこで、先ほども特別な法律に基づきます株式会社の例を申し上げましたが、たとえば日本航空等そういう株式会社の形態をとっているものにつきましても、国が資本金の二分の一以上を出資しておるものなどにつきましては必要的検査対象となっておりますし、二分の一未満のものにつきましては選択的な対象、こういうふうに検査院法二十二条並びに二十三条において区分をしておるわけでございます。これは、会計検査院が国の収入支出の決算を検査することを基本的な任務としておりますところから、現に国との財政的な関連というものがあるものにつきまして、国の会計との関連性に応じましてこういった検査の態様というものを規定したものと考えるわけでございます。ただいま大臣からお答え申し上げましたように、KDD会計検査院検査対象とするということでただいま御審議をいただいておるわけでございますが、これをどちらに位置づけるかということにつきまして考えてみました場合に、KDDが政府出資のない株式会社として発足いたしました趣旨というものを参考にいたしまして、この場合は、この両者のうち、いわゆる選択的検査対象とするのがより妥当であろうということで、ただいま御提案申し上げておるような条文にしたわけでございます。
  91. 久保等

    ○久保(等)委員 次の質問に移りたいと思うのですが、実は今国会に先般郵政省設置法の一部を改正する法律案が出されて、すでに衆議院では内閣委員会に付託になって、内閣委員会を通過し、本会議を通過し、ただいま参議院の方に回っております。これも国際電電の立場からすれば、国際電電株式会社法の改正と表裏一体といいますか、設置法の面からも、これまた監督権の強化と見受けられるような形で、従来あった電気通信監理官室を電気通信政策局に格上げをしようということを目的にして法律案が出てまいっております。当委員会では設置法の問題については直接審議する機会がなかったわけですが、そこで、このKDD法案の審議と関連をしてお尋ねをしておきたいと思うのです。  それは、一面から見れば、確かに設置法の改正も、それからKDD改正監督権の強化という面が見受けられるわけですが、しかしこれもまた他面から見れば、実は非常に危惧される面もございます。すなわちKDD問題、今回のあの一連不正事件、この問題もすでに各方面から指摘をせられておりますように、監督官庁である郵政省KDDとの癒着という問題が非常に指摘をせられて、国民の非常に強い非難を受けております。そういうさなかに、このKDD法なりあるいはまた片や設置法、そういう両面から一層郵政大臣監督権を強化することは、なお従来より以上に癒着関係を深めるのではないかということが指摘されております。私は、そういう点では確かにそういう面が多分にあると思います。  そこで、設置法の審議が内閣委員会で行われた際に附帯決議がつけられております。その附帯決議について、私もこのKDD法案の審議の機会に確認をしておきたいと思いますので、その点ひとつお尋ねしたいと思うのですが、この附帯決議、二つばかり項目がありますが、「国民経済の要請に即応し得るようにするため、総合的、かつ、合理的な電気通信事業経営基盤の強化及び経営当事者の自主性の確立を図るとともに、同事業に従事する職員等に適切な労働条件が確保されるよう努めること。」というのが一つになっております。そこで特に指摘したい点は、この中に言われておりまする「経営当事者の自主性の確立」ということなのですが、これは会社の場合についてはなおさらのこと、私は、株式会社にしておるというゆえんのものも、特にそこらに経営自主性あるいは弾力性の確保、機動性、こういったようなことの特性を十二分に生かしていこうというところにねらいがあると思うのです。したがって、もちろん労使関係の問題にいたしましても、経営者経営者としての当事者能力を十分に持った立場でそれに対応する、また、労使がお互いに責任を持って労使間の問題を解決して、いわゆる労使の円満な正常化された状態、そのことを通じて事業の発展も考えていこうということだと思うのですが、そういう点からすると、内閣委員会ですから設置法の立場だけから主としてながめておりますが、私は特にKDDの場合、この法律案改正を審議するに当たって、このことを特に強調しておきたいと思うのですが、いま言った経営者の当事者能力、したがって、適切な労働条件の確保が図られるように努めなければならぬというふうになっておるのですが、この点については十分にそこらを配慮してまいりませんと、先ほど来申し上げまするようにかえってがんじがらめにして、結局角をためて牛を殺すというふうな結果になりかねない、危惧なしとしないわけです。KDD法律改正の面は、要するに予算にしろ決算にしろ、郵政大臣の認可にかからしめる、それから、いまも申し上げた会計検査院の検査を行うことができるようにしようということですから、一面においてはああいう不正問題の根絶を図らなければならぬ問題もありますが、他面においては、これまた事業の自由濶達な活動ができるように、また労使関係にしても、いま申し上げますように、十分に労使双方が責任を持ってその事態解決に当たられるような状態をつくっておくことが必要だと思います。そういう点で、私はいま申し上げた点についてこれは郵政大臣に特にお伺いをしなければならぬと思うのですけれども、内閣委員会で附帯決議にもなっておる問題でありますが、さらにこれをもう少し弾力性のあるというか、郵政大臣監督権をいたずらに強化するものではないんだという面から見た御答弁をひとつ願いたいと思うのです。
  92. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答え申し上げます。  郵政省設置法の御審議に当たりまして、内閣委員会において付されました附帯決議については、省としては全面的に尊重してまいる所存でございます。  今回このKDDに関しまして監督の範囲を拡大しよう、こうしておりますことは、現行の法律内において特定をされておる監督権の及ぶ範囲内では、これまでのKDD事件発生等の事態をも勘案をいたしまして、そのあり方等について十分反省をいたしました上、これだけのことはやる必要がある、こう考えて御提案申しておるところでございます。もとより、その監督の任に当たる郵政省職員が公正厳正な行政の執行に当たらなければならないことは、これはもう大前提でございます。そういうことで、十分自戒をしながらこれに当たりたいと思っておるわけでございます。  なお、労使関係の問題につきましては、KDD株式会社として純然たる民間の企業でございますから、その労使関係について民間企業に適用されておる労働関係諸法が適用されるだけでありまして、それ以上に郵政省がこれに介入したり、あるいはこれを抑制したりすることは法規上もできないわけでございまして、そんなことをいたすつもりはもう全然ございません。
  93. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの大臣の御答弁で一応私も理解できるわけなんですが、なおちょっと念のために確認をいたしたいと思うのですが、特に労使関係の問題については、いまお話があったように完全に民間経営でありますから、労働組合だけの問題について言うなら労働三権の問題についてもこれは完全に認められておるわけですが、ただ今度のKDD改正によると、たとえば収支予算を郵政大臣の認可を得なければならぬということになる、あるいは決算についてもそういうことになる、したがってそういう収支予算なりそういった面からくる制約がくるのではないかという危惧を実は持つわけなんですが、その点については、いまお話があったことによって、運営の面において、少なくともその面についてだけ言うなら、従来に比べていささかなりとも何か制約なり規制なり拘束なりといったようなことがあり得ることはないのだというふうに理解をしていいかどうか、その点、簡単にイエスならイエスだけで結構ですが、お答え願いたいと思います。
  94. 大西正男

    ○大西国務大臣 先生の御見解と同様に考えております。
  95. 久保等

    ○久保(等)委員 それからさらに、この附帯決議の第二項といいますか二番目の問題なんですが、これは一面先ほど来私がお尋ねをいたしておることとも関連をいたしますが、ちょっと中身を読んでみます。「情報通信事業が、国民の理解と納得の上に立って、社会的責務を全うし得るよう、その事業運営について、国民各層の意見が反映する体制のあり方を検討するため、適正な構成による機関を速やかに設け、国民の負託にこたえる結論を得るよう努めること。」という問題なんです。これは、要するに国民に開かれた事業というものにすべきではないか、したがって、そのために、それならば一体どういうふうにすれば国民各層の意見が十分に反映するような体制をつくることができるのか、そういったことについても、まずとりあえず適正な構成によって諮問機関的なものをひとつ速やかに設けるべきではないかということの趣旨だと思うのです。  先ほどもKDDの問題について私申し上げましたが、結局、これが独占企業でありますだけに独善的な経営になっては相ならぬと思うのですが、そういう意味合いで、国民に開かれたKDD国際電信電話事業というものにしなければならぬと思うのです。そういう点から参りますると、これはいま具体的に諮問機関的なものを速やかにつくって、そこでひとつ検討しようということになっておりますが、私は、KDDの問題について先ほど社長にもお尋ねをいたしましたが、これはぜひひとつ郵政省段階でやるべき問題だと思うのですけれども監督立場にありまする郵政省自体が、やはり内部にも、開かれた国際電信電話事業という立場からいま申し上げたようなことについてひとつ具体的に検討していこうということで御努力を願いたいと思っておるのですが、大臣いかがお考えになりますか。
  96. 大西正男

    ○大西国務大臣 ただいま御指摘の点でございますが、国際電信電話料金の認可につきまして、一般的には各国別にその都度認可をしていっておりまして、そのため件数も多くなっているのが実態でありますので、審議会にかけるということはこれまではしてこなかったところでございます。  現在、国際電信電話料金問題につきましては、従来にも増しまして利用者の関心が高まっておるところでございます。郵政省といたしましても、国際電信電話料金の認可に当たりましては、特に重要なものにつきましては郵政審議会などにかけることも含めまして、十分検討してまいりたいと存じます。
  97. 久保等

    ○久保(等)委員 なお、つけ加えて申し上げておきたいと思うのですが、現在、郵政審議会というものが法律上の審議会として設けられております。しかし、現在ある郵政審議会の構成はきわめて多人数、何か四十五名程度の審議会の委員でもって構成をしているようで、その中に電気通信部門も含まれておるようですが、これではとても電気通信関係の重要な問題を扱うといったようなことについては十分ではないと私は思いますし、行く行くはできるだけ早い機会に電気通信審議会といったようなものをつくる必要があるのじゃないかと思うのですが、いずれにいたしましても当面は郵政審議会。そこで、いま大臣のお話もありましたが、料金問題等のこれまた国民に直接関係があるような重要な問題、あるいはその他国民の利用者等の御意見も十分にお聞きをして、重要問題に対して郵政大臣が認可をする場合にはそういう手続をぜひとるように、また事と次第によっては公聴会等をこの審議会そのものが開催をする、そういうような形で、できるだけ広く一般の利用者なり国民意見郵政大臣の認可をする事前に十分に取り入れられるということを考えていくべきだと思うのです。  片やKDD自体の側においても、先ほど私がちょっとお尋ねした際に御答弁がありましたが、経営問題委員会といったものでは十分ではないと思うのですが、利用者委員会というか何かそういったようなものをつくって、料金問題その他の重要な問題については、これまた実行部隊といいますか実践を実際にやっております、また運営をしておるKDD側自体がそういったようなものを設けて、ひとつ十分に国民意見を吸収してまいる、そういうことで、郵政省側といいKDD側といい、両々相まって国民にできるだけ開かれた国際電信電話事業ということにする必要があるのではないかと思いますが、その点、大臣の方からも一言、公聴会の問題等を含めての審議会そのものの運営の仕方の問題についても私はちょっと突っ込んだお尋ねをしておるわけですが、お答え願いたいと思うのです。  さらにまた、会社側の方は、先ほどちょっと私もお尋ねしておりますが、この内閣委員会における附帯決議との関連の質問として、それに対してお答え願いたいと思うのです。
  98. 大西正男

    ○大西国務大臣 認可をいたします内部的な手続につきまして、運営上郵政審議会等の審議にかけるといったことを含めて検討したいと申し上げたわけでございますが、その検討に際しましては、いま先生の述べられたいろいろの御意見、そういうものももちろん含めて検討してまいりたいと思います。まだこれからでございますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  99. 増田元一

    増田参考人 ただいま私お答えいたしましたように、経営問題委員会の設置をいま進めておる最中でございますが、開かれた経営をもっと強化するという意味において、いま利用者委員会とかそういうことについては急いで検討させていただきたい。営業活動の一環として、利用者委員会を設けまして生の声をお客様から聞くことは、会社経営上重要なことと思いますので、そういう方向考えていきたいと思います。
  100. 久保等

    ○久保(等)委員 それじゃ、時間がぼつぼつ来ましたから、最後の質問にいたしたいと思います。  いろいろお尋ねしてまいりましたが、今度の改正案に対してKDD側ではどういうふうにお考えになっておられるか、また何か特別御意見でもあればお伺いしたいと思うのですが、社長の方からこの改正案全体に対する受けた印象なり御意見があればお伺いしたいと思います。
  101. 増田元一

    増田参考人 現在会社がここまで発展できました最も基本的な原因は、私は自主性のある、また機動性のある株式会社形態に負うところがほとんどであると考えております。そういう意味から申しまして、今後国際電気通信事業が大変むずかしい時期を迎えますに際しまして、できるだけ従来どおり自主性機動性、弾力性、そういうものを損なわないように、もし法案改正があるといたしまして、そういう会社の最もいいところが損なわれないようにしていただきたいと考えております。  そういう立場から申しますと、現状でやっていきたいとは思いますけれども、これだけの大事件を起こしたことでもございますので、法案の改正の結果に対しましては、会社として尊重していきたいと思います。ただ、その法案の内容につきまして、会社自主性機動性あるいは弾力性をできるだけ残していただきたい、こういう考えでございます。
  102. 久保等

    ○久保(等)委員 私の質問を終わります。ありがとうございました。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 小林進

    小林委員長 次に、田中昭二君。
  104. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 まず最初に、KDDそれから大臣に総括的に御意見を聞いておきたいと思います。  KDDは公共的な業務を独占的に行うということでございますが、その場合、その独占事業の使命というか、そういうことについてはどのようにお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  105. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDDは、社会諸活動の重要基盤の一つといたしましてきわめて公共性の高い国際公衆電気通信サービスを独占的に提供いたしておる会社でありますことは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、このサービスの適正な提供あるいは所要設備の拡充整備といったことを行うことによりまして、法の負託にこたえまして国民の福祉の増進に寄与すべきものであるという使命感と、同時に、誇りを持って事業に当たるべきものであると考えております。
  106. 増田元一

    増田参考人 KDD株式会社ではございますけれども、公共性の高い事業でございますので、一般株式会社のように利潤追求を第一義とすることは間違いである、公共の福祉を増進することをまず第一の目的として経営をしていかなければならない、特にわが国の国際通信のサービスを世界各国のサービスに劣らないように努めていかなければならない、公共の福祉を増進することが第一義である、こういうふうに考えております。
  107. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 社長さん、それはもちろん法律に規定してあるとおりでございましょうけれども、それがどういうふうに国民とのかかわり合いを持っていくかということが大事であろうと思います。  またつけ加えて答弁いただきますが、それでは、そういう法に決められた目的というか使命というか、このたびの事件考えてみますと、そういうものに大変忠実でなかった、簡単に言えば違反しておったというふうにも思いますが、なぜそういうことが起こったのでしょうか、お答え願いたいと思います。
  108. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。こういう公共性の高い事業でございますので、この運営に当たりましては国民の皆様の御理解を得て会社を運営をしていくべきである、そういう意味において、経営問題委員会設置とか、今後検討いたしますが利用者委員会というようなもので国民の声を事業の上に反映して運営していけば、会社に寄せられた国民の御期待に沿うことができるのではないかと考えております。  それから、どうしてこういう事件が起きたかということについては、直接的には組織の問題がございますけれども、やはり経営者経営倫理というか経営姿勢というか、そういうところに基本的な根本的な問題、原因があると考えております。
  109. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私もこの一部改正で、委員会でずっと質問、答弁を聞いておりますと、大変通俗的な、決まったような御答弁をいただいておりますが、いまから私、どっちかというと国民から見て常識的な、悪い意味で言えば俗な言葉でお聞きしていきたいと思いますから、よろしくお答え願いたいと思います。  まず、いまこの事件がどうして起こったかということについての社長の御答弁では、前々から聞いておりますように、まず人の問題があった、一部の幹部がそういうことをしたのだ、それから組織にも問題があった、手続的にも問題があった、このような御答弁であったと思います。それを国民の側から見れば——この委員会国民に向かって皆さんはお答えなさっておるわけですから、その立場から見れば、これは法的にもそういう公共性ということでの規定があるにもかかわらず、今度の事件はその負託にこたえるどころか、国民の側から見れば、国民を裏切ったといいますか、だましたといいますか、そういう状況ではないか。結果的には、KDDがいままで二十七年間大発展を遂げてきましたけれども、その間、大変評価すべき点もあったと思います。しかし、KDD経営を行います方向性としまして、余りにも、当時の政権を担っております与党、それにつながる政治家並びに郵政省という監督権を持った官僚に向かってだけ仕事をしてきた、そういうところに問題があったのではなかろうか、こう思いますが、違いますか、そうでありますか、お答え願いたいと思います。
  110. 増田元一

    増田参考人 私も当時おりませんでしたので単なる想像でございますが、そういうような御意見が出ることもやむを得ないと申しますか、そういうことは理解はできます。
  111. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 やはり新しい社長として新しい立場KDDを見ていただくと、そうなると思います。特に副社長としての御経験もございます円満なる新社長でございますし、ぜひその点をはっきりしておかなければ、今後どんなに監督権とか、何はやります、かにはやりますと言っても、問題の根本がそこを外れますとそういうことになることを警告しておきます。  そこで、私たちは立法府の議員としまして、国民を代表していろいろな審議をするわけですが、その立法府と独立して行政権の独立というものもあると思います。そこで郵政省にお尋ねしますが、行政の一貫性、行政権というのはどういうふうにあらなければならないか。また、もう少し具体的に言えば、郵政省の持っておる行政指導は、KDDに対して一貫してどういうことをやってきたか、また、その中に反省すべきものはないか、こういう点についてお答え願いたいと思います。
  112. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  郵政省がいままで行ってまいりましたいわゆる監督行政につきまして反省すべき点はないのか、こういうお尋ねかと思いますが、私どもいままで、事KDDに関して申し上げますならば、KDD法というものの趣旨を踏まえまして監督に当たってきた、かように信じておるわけでございますけれども、先般のように元電監室の幹部でありました者が逮捕、起訴されるというふうな事態が起こりましたことは、きわめて厳粛かつ重大に受けとめておるところでございまして、こういうものを踏まえて、こういうことを一つの大きな反省材料といたしまして、より厳正公正な職務の執行に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、私ども監督に当たります基本的な立場と申しますのは、国民全体の福祉の増進といいますか、そういう公共の福祉の増進ということにあるわけでございまして、KDDあるいは電電公社という一つの公衆電気通信業務を行っております事業体との間に意見が一致する場合も違う場合もあろうかと思いますけれども、行政府といたしましては、国民全体ということを念頭に置きつつ行政に当たるべきが行政府の仕事であろう、またその責務であろう、かように考えておるわけでございます。
  113. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣よく聞いておってくださいね。あなたにも聞きますから。  いま電監室からお答えいただいたのですけれども、この公衆電気通信法を見ましても、結局法律の目的はこの一条にあるとおりでございますね。「公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供する」そして「公共の福祉」云々、こうなっておるわけであります。ですからお役所としては、そういういま寺島さんが言ったような言葉は何遍も聞いておるわけですが、問題は、それじゃ具体的にKDDに対してどういう行政指導を一貫してきたかというのが私の質問です。ですから、それを聞いてみても同じ答弁だと思いますから、大臣に今度はお答え願います。  あなたは行政権、行政というのはどうあるべきか、特にいまの答弁に加えて、あなたは国民のいわゆる有権者から選出された大臣であります。政治家であります。行政官であると同時に、そういう国民の声に素直にならなければならない、そういう立場もあるはずでございます。なぜ私がこういう聞き方をするかといいますと、端的に申し上げますと、あなたはこの事件関係して、与党の一人の議員として、あなたの前任者がこのKDD問題についてどういうことをやってきたかということについて、あなたは行政の最終の責任者ですから、いままではどうだったのかということを聞いたことありますかと私が前回尋ねたら、あなたはそういうことは聞いてなかった、こういう御答弁です。それでは、行政の一貫性は認めますけれども、またその行政の最終の責任者であるあなたが、そういう与党の議員として国民の選択によって、国民の選挙によって出てきたあなたがこたえたことにはならない、政治的、道義的責任を感じておるとは言えない、こういうふうに私は言いたいわけです。ですからその辺を含めて、行政というものに対して行政の一貫性を主張するならば、また行政ということによって全部監督、許認可、すべてのことでがんじがらめになっておる国民に対し、また利用者に対して、どういう考えなのか、もう一遍お答え願いたい。
  114. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDDをめぐるいわゆる不正な事件の問題につきましては検察当局がお調べをしておる段階でありますから、私どもはこれを見守ってまいりたいと存じております。  行政の一貫性ということをKDDのいわゆる料金問題に限って申しますならば、KDDというものは、申すまでもなく公共性の高い独占事業を営んでおりますので、国民立場に立ってその料金問題を考えていかなければならないことも当然であります。ただしかし、その料金問題を考えるにつきましては、株式会社となっておるKDDは、国際の事情あるいは国際経済の状況、そういったものに対して自主的に機動的に常に対応してまいらなければなりません。そのことは、今日でもなおかつその重要性は増しこそすれ減っておるとは考えません。したがいまして、そういう中にあって国民に対して、基本的にサービスをするについても永続的な考えに立って、そうしてその財政基盤を十分に強化、保持しながら、そして料金問題について値下げができるかできないかという問題も考えていかなければならないわけでございます。これは大ざっぱな二つの柱を申し上げたわけでありますが、そういう観点に立ちつつ今日まで私は来ておるものと考えております。そのことは私どもも、今日も今日以後もその考えでなければならないといまの時点では考えておるところでございます。  そういう間にあって、先ほど来お話のありますように、不正事件が発生をしたのでありまして、そういう意味におきましては、KDD側におきましても郵政省側におきましても、その使命感におきまして至らざるところがあったと思うのでありまして、それを否定するものではございません。したがいまして、そういうことが再び今後起こらないように、KDD自身におきましてもそのことを念頭に置いて立て直しをしてもらわなければなりませんとともに、郵政省におきましても、もちろん行政の原点に立ち返って厳しく自己を戒めていかなければならないと思うわけでございます。いままでの話にございましたように、KDD経営者の交代によっていろいろと方針が変わっていくということでございます。新陣営は過去のいきさつを十分に反省をして、その上に立って、再びこういう事態KDD自体の内部から起こらないように戒めてやっていこうという決意は固いわけであります。そのために内部の組織ども自主的に改編をしていっておられるわけであります。  しかし、そのことは反面から考えますと、経営者がだれであるかということによって右に行ったり左に行ったりすることもあり得るということも物語っておるわけでありまして、こういうことを制度上からも、人が変わってもそのことが起こらないように保障していくということもきわめて必要なことだと思います。ですから、今回のKDD改正法案というものは、そういう制度的な面からの保障ということを考えまして、立案をして御提案を申し上げておるわけでございますから、よろしく御審議を賜りたい、そうして御可決をいただきたいと切望するものでございます。
  115. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 今度の一部改正が今後のKDDの行き方について示唆するものがある、影響を与えるものであることはある一面では私も認めますけれども、問題は、やはり根本的な問題の解明をあやふやにしては、今度のような一部改正だけで事足れりということはできない、そういうものにならないという認識を持つものであります。新しい社長さんに対して大変信頼を持ってやることは結構だと思います。私も信頼を持っております。新しい社長さんはちゃんと、板野体制については社長の独走があったという批判を込めた意見陳述をここでしておられるわけです。郵政省だけは、一番最高の幹部は生首を切ったようなことで、大臣経験者は疑惑が報道されておるけれども、その責任のとり方は何もないんじゃないですか、私はこう言っておるわけです。だけれどもこれは議論になりませんから、警告だけ与えておきます。  こういう法律監督権の一部強化だけでは、いま大臣がおっしゃったようになればいいですけれども、一度あったことは二度ある、三度起こらないという保証はないのです。そしてさらに、捜査の上解明するということは当局に任せなければなりませんけれども、その過程において一番国民が疑惑を持っておる点については、政治家としてきちっと国民にわかるように御説明をいただかなければならない、こう思いますから、簡単で結構ですから、もう一回お答えをいただきたいと思います。
  116. 大西正男

    ○大西国務大臣 先ほども申し上げましたように、KDDをめぐる問題は捜査当局の手によって解明が続けられておるところでございますから、私どもとしてはこれを見守ってまいりたいと思います。  私どもは、いろいろ伝えられておる事実を新聞を通じ、あるいはいろいろの面から伝聞として聞いたり、うわさとして聞いたりすることはもちろんございますが、しかし民主主義の基本というものは、そういう伝聞とかうわさとかといったものによって事柄を論じ去らないということが基本精神ではないかと心得ております。ですから、いま御指摘の点についても私がここで論評いたしますことは差し控えるべきだと存じます。
  117. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 自分の方の都合の悪いことはうわさだと言って否定されるんだったら、その問題はまた時間があるときにしまして、そういうことでは国民の信頼はつなぎとめられないということだけ申し上げておきまして、次に移っていきたいと思います。  次に、KDDの方でございますが、経営陣がこのような新しい体制で行かれることは大事なことであると思いますが、いままでの経過の中では、やはりまじめな職員から見れば、一部の首脳者が、そういう職員が忠実にやってきた仕事も、また国民全体に及ぼす影響も全部裏切ったというふうに言わざるを得ないと思います。また、そういうことであるならば、こういうことはあってはなりませんけれども職員の中にも、それじゃおれたちも適当にやろうじゃないかというようなことになってはなりませんし、そうならないという保証もありません。ですから私は、この際、KDD職員に対して社長はちゃんと訓示なり説明をしたというふうにおっしゃっておりますが、もう一回この場で、職員の使命といいますかプライドを持たせるといいますか、そういう意味ではっきり所見を述べてもらいたいと思います。
  118. 増田元一

    増田参考人 会社の内部で見ました場合は、もちろん一部の人のやったことでございます。しかし会社であります以上、社長以下全社員が厳粛にこの事実を自分たちの問題として受けとめなければならないということを着任の際に全職員に申し上げたわけでございます。社長、会長の二人が変わっただけで幾ら訓示をいたしましても、これを受け取る経営者、管理者、一般職員の方々が、あの問題は自分たちの問題ではない、一部の人がやったことであるという認識しか持たないとすれば、この会社再建はできない、私はそういう趣旨のことを着任に当たりまして全社員に、直接話しできる人にはいたしましたが、あとは文書による通達で全社内にそういう趣旨を連絡いたしまして、会社再建協力をするように協力方を求めたわけでございます。
  119. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 社長のおっしゃるのは、一個人がやったということであっても、初心に返って、会社全体として受けとめなければならないということだろうと思いますが、その会社が大変公益性を持っておることはもう何遍も言われておりますし、また大変な独占業務ということで高収益性を持っておりますね。こういうこともあるべき姿ではないのじゃなかろうか、公共企業としては。第一次オイルショック以来KDDくらいのものでしょうね、収入も上がる、益も上がるというのは。普通、民間会社はあのことを契機にして減収増益に努めてきたのですね。そういう経過を踏まえてみますと、公益性をうたわれるならば高収益性もきちっと、内部においても国民皆さんの料金によって高い収益を上げておるということをかえって認識させることも大事ではないか、私はこういうように思います。  そこで、このことの一つのあらわれとしまして、これを本当に国民全体にわかっていただこうとするならば、けさほどから組合の代表の方がお見えになっておりましたけれども、組合から、職員の代表からKDDの首脳部に要望したことが何にも受け入れられないというような報道もなされておる。ところが先ほどからの質問を聞いておりますと、少しは料金を値下げしたこととか、何か考査課を設けたことで組合の要望にこたえたとおっしゃっておりますけれども、私は組合もそんなことだけを要望したのではないと思います。いま私が申し上げますように高収益性、それに群がってくる官僚のたかりの構造、そしてまた、権力を握った政治家がそれをいい材料にしてまたそういう腐敗を助長するというようなこと、そういうことに対してKDD国民に向かってどうこたえていくか。そういう立場に立っていけば、この組合の要望でも、まず今度のスキャンダルの全容を明らかにせよ、二番目には責任の所在を明確にしろ——当然のことだろうと思います。三番目には、調査結果を天下に公表しろ、そういうことについてはおこたえになっていない。国民に対してこたえようと思うならば、自分のところの組合の要望ぐらいにはこたえるべきじゃないですか。どうですか、社長
  120. 増田元一

    増田参考人 組合から要求が出ております事実関係の解明、その報告ということにつきましては、いつも同じような御返事で申しわけないのですが、現在捜査が進行中でございまして、会社の手で事実関係を明らかにするということが大変むずかしゅうございますので、まだ組合に対して御返事をすることができない現状でございます。
  121. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 捜査当局の進行はそれ、現時点でわかった範囲のことについては一日も早く国民に知らせていくべきである、私はこういうふうに思いますから、つけ加えておきます。  今度は論点を変えまして、この事件郵政省KDD、この関係で起こったわけでございますから、まずKDDにしましても郵政省にいろいろ言いたいことがあろうと思うのです。私たちは何もここで事件の被疑者だけを云々するとか、問題を起こした人だけを追及する、そういう場じゃないと思うのです。ですから、日ごろKDDとして、郵政省にはこういうことをもう少し改めてもらいたい、またこういうことをしてもらえればいいがなというようなことがございますならばお聞かせを願いたい。  まず、いままでの新社長の御答弁の中では、人事については郵政省からの天下りはやめてもらう、郵政省の方からどうしてもという話があれば、それは困りますという態度で再考してもらうというのがけさまでの新社長のこの事件反省しての取り組みだ、こう思っております。ところが、何か先ほどちょっとそれを緩めたような、さらにまた何かあったのかなと疑惑を思わせるような御発言があったように私は記憶しますから——その問題は、この委員会だけでなくて国会の中でいろいろお述べになっておりますことを総合しますと、やはり天下りはやめてもらいたい、これが一貫した御趣旨だろう、私はこういうふうに受けとめます。  人事のこと以外で次に問題になりますことは、認可料金のことだろうと思います。ですから、料金の認可について公平適正にするためには郵政省として何か基準、物差し、そういうものをつくってくださいというようなことについての御要望はございませんか。お聞かせ願います。
  122. 増田元一

    増田参考人 先生が御指摘になりましたように、会社は設備の近代化をいたしております。昭和三十九年から広帯域の回線を建設いたしました。たまたま経済の高度成長によりまして、その二つが相まちましてKDDの収入は非常にたくさんになったわけでございます。こういう会社の性格でございますので、料金問題を考えるのは当然であると思っております。KDDのためにお客さんがあるわけじゃございませんので、われわれは国民のためにKDDがある、こういうふうに考えておりますので、料金問題、収入が先行き全然心配がないというような情勢のもとにおきましては料金を値下げしなくちゃいかぬ。その場合に、何が適正な料金であるか、こういうことになるわけですが、いままでのところ、個々のサービスについてどれが適正な料金であるかということにつきましては非常にむずかしいのでございます。特に電報とか電話とかテレックスというようなサービスにつきましては非常に歴史的な経緯がございまして、そのままコスト計算してすぐ料金ができておるというわけではございませんで、基本的にはコストというものがあるとは思いますけれども、ゴールドフランというような一つの仮定の金単位を使いまして料金が決まっておるというようなことで、なかなかむずかしいのでございます。先生がおっしゃいましたように、今後は何が適正な利潤であるかということを研究いたしまして、いままで出ておりましたいろいろな委員会の御意見も賜り、また有識者のお考えも取り入れまして、適正利潤というものはこの辺であるという数字を出しまして、そして適正な料金をはじいていきたい、こういうように考えておりますが、ただいま現在KDDのサービスの料金につきまして適正利潤がどれぐらいがいいのかということにつきましてはまだ結論が出ておりませんので、まことに申しわけないのですが、もう少し時間をかしていただきたい、こういうふうな現状でございます。
  123. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 適正料金についてはわかりました、何遍も言われておりますから。  問題は、そういうことをするために郵政省に何か求めるものはございませんか、公平適正を図るために何かないでしょうか、こういうことが一点と、それで具体的に、このような細かいことでどうかと思いますが、認可料金が年に何十回とあるようでございますが、私は具体的にその認可料金について話し合いをするときには双方の問答書をつくって、それで重役が一遍目を通すなり、社長は必ずそれに目を通すとかいろいろな手法はあろうと思うのです。それをきちっとした場で公表するとか、できれば国民全部に公表する、そういう裏づけを具体的に私はお聞きしたいのです。どうでしょうか。
  124. 増田元一

    増田参考人 ただいまお話がございましたように、私どもといたしましては、郵政省から料金につきましてこの辺が適正であるというような御意見を賜ることはきわめて歓迎いたします。したがいまして、今後郵政省におかれましてもいろいろ御検討になると思いますが、私どもも検討いたします。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 その結果、いろいろ意見の交換をいたしまして、そして公正な料金というものをはじき出してサービスをいたしたい、こういうふうに考えます。
  125. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま社長がおっしゃったことは、やはり物差しといいますか、適正公平の料金を決める場合においては郵政省にもそういうものをぜひ示してもらいたいというような要望であろうと思う。まだほかにもいろいろなそういうものがあろうと思いますが、時間の関係上あと飛ばしまして、次に、今度は郵政省からKDDに対して、今後こういうふうにあってもらいたい——大した答弁はせぬでしょうから、私が具体的に俗な言葉で申しますが、今後誘惑してもらわぬようにとか、そんなことでもいいですよ、そういうことでありますとか、電監室には今後KDDについては一切もうそういうことはやめますと張っておきなさい、あなたはどうせやめていくのですから、部下の人たちにまたこういうことを起こさぬように。それともそういう決意でやるとここで答弁しなさい。それを言っても仕方ないですから、ひとつ十分に厳格にこの問題は守ってもらいたい。が、守ると同時に、KDDに対する何か、たとえばいまの適正利潤でもいいでしょう、電監室が認可権を持っておるならば、郵政省が積極的につくってやらなければいけないじゃないですか。議論をずっと聞いておりましても、一番問題はそこなんです。それがなくて何を監督しますか。監督する以上はそういうものを与えてやり、それに違反したりそれに沿わなかった場合に監督すべきじゃないですか。そういう意味において適正利潤は一日も早い方がいいと私は思うのです。それは完全なものでなくてもいいと思うのです。それを国民が理解し、そして現時点においてはこういうものが妥当であろうという納得のいくものをつくるべきである、こう思いますが、一日も早い方がいいけれども、いつつくるか、それと見通しをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  126. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 適正利潤の問題につきましては、御指摘のとおりやはり料金問題を考えます場合に大変大事な問題と思うわけでございまして、特にその中にいわゆる自己資金と申しますか、設備拡充のための自己投資をどのくらい含めるべきかというふうなところが大変大きな問題になろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても大事な問題ということはかねがね認識をいたしまして、会社側に対してもその検討を求めてまいりましたし、また郵政省側といたしましても検討すべき課題として認識をしておったわけでございますが、現状におきまして、これが適正利潤として一番たやすくて、これを料金問題に適用すべきであるというようなところまでまだ結論を得るには至っておらないわけでございますけれども、今後なお検討を進めてまいりたいと考えております。
  127. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことじゃ全然国民にこたえることにはならぬじゃないですか。ただ条文の監督権強化をするだけじゃ、さしあたった問題に対処できないじゃないですか。それじゃ、いつ適正利潤をつくりますということは言えないにしても、検討するというような答弁にとっておきますけれども、国会答弁の中で検討するということは、やらないことと同じだというようなことも言われるくらいだから、そうじゃなくて、これだけの事件郵政省挙げてと言っていいくらい——先ほど私が言っておりますように、たかりの構造とかなんとか報道されるようなこういう失態を続けておりながら、私はいまのような答弁では国民は納得しないと思います。それでその証拠に、この事件が起こってから一つ一つ癒着、腐敗の問題が報道されるところとなって、昨年十二月には料金を値下げしたんでしょう。この値下げ認可料金は、それじゃいいかげんなことをやっていたということになるじゃないですか。先ほどKDDにも私申し上げようと思ったのですけれども、これは完全に事件を恐れてKDD郵政省が一緒になって、国民の知らないうちに——国会の場でもこのことを一回も当時議論したことないのですよ。それは機会がなかったこともありますけれども、何らそういうこともやらなくて勝手に料金値下げをすれば、それで国民の要望の一部にこたえたということ自体も、手続的にも内容的にも何も値下げの根拠なり合理性等は議論もされない、一方的な処理で終わっておると思いますが、それじゃこの責任はだれが負うのですか。
  128. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘のとおり、昨年十二月一日から環太平洋地域を中心といたしまして国際通話料金並びにテレックスの料金を値下げをいたしたわけでございます。これに至ります経緯につきましては先生御案内のことと存じますが、このKDDの料金問題というのが議論の対象になってまいりましたのが、五十二年の暮れごろからのいわゆる円高問題に端を発しまして円高差益の問題から起こってきたことがあるわけでございます。そういったことを受けまして、簡単に申し上げますが、五十三年四月二十一日に経済対策閣僚会議におきます決定がございます。これを受けまして、郵政省といたしましては同年五月十日にKDDに対しまして文書によりまして検討方指導いたしたわけでございます。  それに対しまして八月二十六日にKDD側から、通貨変動に伴う料金改定の必要はなく、通信設備の拡充等によりサービスの改善を図りたいという趣旨の回答があったわけでありますが、この回答では了承ができないところでございますし、さらに九月二日の経済対策閣僚会議決定もあるわけでございます。こういうものを踏まえまして、九月の十九日に再度文書によりまして料金の改定の検討方指導いたしました。さらに翌年、五十四年二月の二十七日に物価担当官会議決定がございます。これを踏まえて、さらに三月の十五日に文書による指導をいたしたわけでございます。  こういったいろいろな経緯を踏まえまして、いろいろな機会をとらえてKDDに対しまして料金の問題についての指導を重ねてきたわけでございます。そういうことがございました結果が、昨年十二月一日の料金値下げということになった、かように理解をしておるわけでございますが、その料金の認可に当たりまして物差しがなかったではないかという御趣旨のお話かと思いますが、確かに御指摘のとおり、数量的あるいは定量的にあらわされた何か物差しを持っておってそれに当てはめてどうこうするということには現在至っておらないことは御指摘のとおりでございます。ただ、当時KDDから認可申請がございました対米二五%を中心といたします値下げというものは、全体として妥当なものであるということで認可をいたしたわけでございます。  なお、ただこれで料金問題が終わったとは考えておらないわけでございまして、当時認可の際にも、引き続き五十四年度の決算状況等も見てさらに引き下げについて検討、報告されたいという趣旨の文書を出しておりまして、これに対する回答も得ておる、こういう状況でございます。
  129. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、いま監理官が行政の中でKDD料金が取り扱われてきたことをずっと述べましたね。これが私が先ほど言った行政の一貫性のお話をこういう問題からも考えてもらいたいのですよ。結局結論で一言で言ってしまえば、ずっとKDDに料金を下げなさいということを言ってきたというのでしょう。何回も言ってきた。だけれども、政府の大臣の考えも右往左往しましたよ。この場で下げますというようなことを発言したこともありますよ、前任の大臣は。その大臣がいま疑惑がかかっておるじゃないですか。私がさっき言った行政の一貫性というのはそういうことなんです。大臣もそのことわかっていただけるでしょう。  とにかく一言で言ってしまえば、KDDは料金を下げなさい、こういうふうに言ってきたというんです。この三年、五十二年から言ってきた、二年から三年にかかって。政府全体でも、これは料金値下げの方法より別な方法がいいということを閣議決定までしたというようなことをいま言っているわけです。それが途端に、事件が発覚して一カ月もたたないうちに、二カ月日ぐらいに料金を下げることになった、こういうことしか国民にわからないのですよ、全部密室の決定ですから。認可料金だけでも五十四年度にもう六十件ぐらいあると聞いておりますよ。国民は何一つ知らされてないじゃないですか。だからもう一遍このことについての、言いわけは要りませんから、KDDも手落ちがありました、手落ちと言ってください、これは失敗です。勝手に郵政省KDDだけでこういう事件を起こしておりながら、もちろん料金値下げしたことは国民にとってよかったかもしれませんよ。しかしそのこと自体がまた疑惑を持つような決定の仕方になっておる。その証拠に、適正利潤を決めなければならないということは一番大切なことでしょう、何年間と言われてきて。そのことが過去ずっと言われてきている。その一番大切なことをさておいて、郵政省KDDで勝手にやってしまった。このことについて、簡単にひとつ社の方からと郵政省から言ってください。
  130. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  料金値下げの検討につきましてはかねてより郵政省から要請されておりまして、また昭和五十四年度の上期の決算状況から見まして相当大幅な値一下げが可能と見て、経営刷新委員会におきまして今回の事件には関係なく作業を進めておったそうでございます。ある程度の先行きの見通しができたところで料金の値下げをした、こういうふうに私は報告を聞いております。
  131. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまKDD社長の方からもお答えがございましたが、先ほどお答え申し上げましたような一連の流れの中で十二月一日の料金値下げが実施をされたと考えるわけでございまして、それ以前に十月一日に専用料金の一〇%の値下げをいたしましたことも御案内のとおりと思うわけでございます。いずれにいたしましても、料金問題につきましては御指摘の適正利潤の問題も含めまして検討を続けてまいりたいと考えます。
  132. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういう答弁では国民は納得しないと私は思いますよ。やはり最初に言ったように、俗な言葉ででもいいのですから、悪かったことは悪かったと認めなければいけません。何遍も言うようですけれども、一番大事な問題、一番必要な問題、大切な問題をさておいて、そのほかの言葉だけ並べても仕方がないということを私は言っておきたいわけであります。  そこで、交際費ということについて、きょうは国税庁の方から来てもらっておると思いますから、税法上の交際費についてはどういうものであるか、お答えを願いたい。
  133. 谷始

    ○谷説明員 お答え申し上げます。  税法上の交際費の範囲と申しますのは「交際費、接待費機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業関係のある者等に対する接待、きょう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。」ということになっております。
  134. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最近のKDD交際費の限度額と限度超過分を言ってください。
  135. 谷始

    ○谷説明員 国際電電の交際費の額につきましては、具体的な中身は個別にわたる事柄でございますのでお答えを差し控えさせていただきます。ただ、この件につきましては、昨年の十月二十九日参議院逓信委員会その他におきまして、当時の古池会長が、会社の経理処理上の交際費の額、それから税務上の交際費の額、いずれも答弁をされておるということを私どもといたしましても承知しているところでございます。  また、税法上の交際費の損金算入限度額の計算方法につきまして概略を申し上げますと、たとえば五十四年の三月期決算を例にとりますと、四百万円、これは定額基準であります。それから、資本金及び資本積立金の合計額の十万分の二十五相当額、これは資本金基準でございます。この合計額で計算することになっておりまして、この計算方式によりまして同社の資本金額百六十五億円をもとにして計算してみますと、五十四年三月期では約八百万円が限度額ということになります。したがいまして、税務上の交際費の額がこの限度額を超える部分について損金不算入の計算を行うということになります。
  136. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 KDDは今度の五十五年度の収支予算をつくるときにおいて、問題のあった交際費を大分節減した、三分の一にして八億八千万にした、こう言っておられますが、五十四年度の上期は十二、三億ぐらいですか、かかっておりますね。そうすると、おおよその見込みでいいんですが、五十四年度の下期が幾らぐらいになると思われるかということと、それから三分の一が八億八千万とはどういうことですか。
  137. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  ただいまお話しございましたように、五十四年度の上期につきましては、端数がいまちょっとここに出ておりませんけれども、十二億幾らかになっております。それで下期につきましてはまだ決算が十分行われておりませんけれども、概略三億五千万ぐらいのものが考えられております。  それで、先ほどのお話の八億幾らという五十五年度の点でございますけれども、これは従来使っておりました交際費をあらゆる点で少なくするように努力いたしまして、たとえばいろいろな会議等華やかなものはできるだけじみにする、またお客さん等につきましてもできるだけ接待の単金を減らす、あるいは物品の贈与等につきましても極力減らす、それから年末年始の歳暮あるいは中元等も当分取りやめるというようなことをいろいろ考えまして、約八億八千万円になったわけでございます。
  138. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 何か社長の記者会見での答弁は、要求が出たのは十一億を超えておったけれども、八億八千万にした、それは三分の一に当たるという、それは社長さん、あなたがそうおっしゃったのですか。仮に三分の一が八億八千万であるならば、私単純ですから単純に計算しますと、二十六億ぐらいの交際費だったということですか。そうすると、ちょうど八億八千万ぐらいになるのです。どういうことですか。
  139. 増田元一

    増田参考人 そのときにまだ下期の方もわかっておりません時期でございましたので、私は三分の一という言葉は使っておりません。
  140. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それじゃ、三分の一ということはだれが言ったんですか。
  141. 古橋好夫

    ○古橋参考人 出た結果がそうなったというふうに、新聞の方々がおっしゃょているというふうに私、記憶しております。
  142. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことぐらいはっきりしなければいけませんよ。だれが言ったかれが言ったということは別にして、単純に三分の一が八億八千万ならば、それは五十三年度の交際費を基準にした、そういう意味も含まれておるのでしょう。ですから、ここで仮に三分の一はどうでもいいけれども、八億八千万がそれじゃ妥当なのかどうなのか、そういう検討もせずに何で郵政省監督しますか。五十四年度下期が三億くらいの交際費であるなら、その倍にしても六億でいいじゃないですか。国民から見るならば、極端な言い方をすれば、公企業体であるならば交際費なんか全然要らぬ。気持ちの上でですよ。気持ちの上でKDD交際費なんか使わぬでも全部国民に還元しろ、このくらいの気持ちがしているのが国民気持ちだろうと思うのです。五十四年度の下期三億要った、贈答品も贈らぬようにしようというならば、その倍要ったとしても六億じゃないですか。何で八億八千万が三分の一だと、ふん反り返ったように記者会見でそういうことを言うのですか。それを訂正する意味でもはっきり本当のことを言ってください。
  143. 古橋好夫

    ○古橋参考人 御説明が大変不十分で失礼いたしました。いろいろ根拠はございますけれども、国税庁か発表しております五十三年度業種別、資本金階級別営業収入千円当たりの交際費によりますと、運輸通信公共事業では千円当たり平均五・八七円になっております。これを五十四年度営業収益の計画額千五百億円当たりにはめますと、おおむね八億八千万円となりますので、これが一つの根拠でございます。  それからもう一つ、今回の不詳事は、五十一年度の終わりごろからかなり交際費がふえておりますが、五十一年度の交際費を見ますと九億二千万円になっておりまして、それも下回っておりますので、大体この辺で何とかおさめたい。それから、でき得ればもっと減らしたいというふうに社長以下考えております。
  144. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この辺でおさめたいとか、もう少しふやしたいとか、私がさっきから言っているように監査人をふやして批判を受けないようにやりたい。最初に私が言ったように、そんな郵政省とか政治家の方ばかり向いて仕事をやってはいけません。そういう点を向きを変えて監査しなければだめです。そういう気分で取り組んでおるならば、いまの八億八千万の交際費というのはもう一遍つくり直しなさい。郵政省もそんなことじゃ、KDDの今後の法律改正しようというのであれば、取り組み方が全然なっておらぬ。六億でもいいというような数字も出ておるのだし、八億八千万というのもいいかげんに出した、少ないかもしらぬからもう少しふやしたい、それで十一億要求すれば十一億でもいい、郵政省は何を監督しますか。  それから大臣、先ほど私は行政のことで言いましたけれども、最後に言っておきますが、いまのわが国の政治の中で一番批判されておるのは政治に金がかかるということです。金のことなら本当に何もかも、わが身も振り捨ててやるというのがいまのわが国の政治の中の一つの汚点です。ですから、あなたの所属しておられる派じゃないですけれども、よその親分は、言葉だけかどうか知りませんが、わが国の政治の中に黒い血がある、これを出さなければならぬというようなことを言っておられます。これはKDDと直接関係ないと思ったら大きな間違いです。先日からは賭博問題で一人の衆議院議員がやめた。さらには選挙違反を起こした政府一局官も、これを辞任して選挙に出ないと言っておる。また、数億の金を使って当選した代議士もいまもって自民党の中におられる。たどってみれば全部金じゃないですか。その金の問題が表面化したのが賭博であり選挙違反の選挙資金である。総理はそれなりの一応の責任をとつたようになっている。ところが、KDDの問題も全部金で誘惑しようとした。それがために郵政官僚もマムシにやられたように毒が回って無神経になってしまった。それで最高幹部は自分で生首を切ってやめていった。最終責任者である大臣は、トカゲのしっぽ切りどころか、黙り込んで何にも言わないというのが、いま国民に向かってのあなたの御発言じゃないですか、大臣。私は最初から、そういう黙り込んでいくような政治では国民は納得しませんよ、こう言っているのです。  新社長さんも、郵政省が直接けしからぬとはおっしゃっていないけれども、前の板野体制のあの社長室の独走は、言葉では言われないけれども、裏には郵政省責任もありますよという本音があるはずなのです。ここではそういう本音を言わなければ、あなたたちの今後おっしゃることは全部信用ならないというふうに私は思うのです。ですから社長さんは、その板野体制を批判する気持ちはあるでしょう、心の中には。だから、人の問題と組織の問題だ、こうおっしゃっている。  最後に、社長郵政大臣から、私のいまの心情に対してひとつ明快な御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  145. 大西正男

    ○大西国務大臣 先生の御質問がいろいろと多岐にわたっておりますから、なかなかこの席でお答えしにくいのですけれども、たとえば選挙に金がかかるという問題は、ここで申し上げるべき問題でないかもわかりませんが、選挙法の改正とか、あるいは政治家に対する金の入りよう、出しよう、資金の規正法とか、そういうことにつきましては私も一案を持っております。そのことを私も研究したことがございます。しかし、いまここでそういった問題に触れるべき場面ではないと思っております。  このKDD問題に限って申し上げますならば、郵政省内において一部の者が司直の手を煩わすような事件が発生したということにつきましては、心から国民におわびを申し上げておることは、たびたびこの場でも申し上げてまいったところでございます。したがいまして、郵政省として行政の厳正かつ公正な執行の原点に立ち返って、一人一人が全体の奉仕者としての原点に立ち返って今後対処していくことがいかに重要であるかということは、私どもが身にしみて感じておるところでございます。また、このことは一部の者にそういうことが起こったわけでありまして、郵政全体の職員がこういう問題にいま触れたわけではございません。ですから、郵政省全般が悪いのだということは、何とぞそういう言い方は御勘弁をいただきたいと思います。ことに、私としましては、先般の訓示におきまして、現場において直接関係のない多くの職員人たちが、今回の事件の発生によって肩身の狭い思いをしておられるということは私自身ひしひしと胸に感じまして、訓示の中にそのことも触れておいたわけでございます。そういうことでございまして、郵政省姿勢を正していかなければならないことは当然のことでございます。それはもう大前提でございます。これは何人も異論のないところでございます。しかも当事者である郵政省のわれわれがそれをもしはだに感じておらないとしたら、これは大きな問題でございます。そのことはひとつ御理解をいただきたいと思います。  ただ、KDD問題は、先ほどもお答え申し上げましたように、株式会社としての自主性それからまた、機動性、そういうものを一方において堅持していってもらわなければなりません。そのことは、今日KDDがこのような大きな発展を遂げてきたことの原動力でもあったわけでございます。ですから、一部の者にまことに忌まわしい事件が起こったということについてKDD全体が悪いのだというお考え方も、KDDのためにこれは余りに酷ではないかと私は思うのでございます。そういう意味におきまして、KDDはいま新しい首脳陣を迎えて、鋭意国民の御期待にこたえるべく最善の努力をしておることを私ははだにひしひしと感じておるところであります。でありますが、要するに個人の経営者考え方、あるいは個人ただ一人に限りませんけれども経営陣の考え方によって、そのときどきにいろいろと右へ行ったり左へ行ったりするということはあり得ることだと思います。したがいまして、制度の上からもそういうことがないように保障するということは、郵政省の行政を預かる私としてはこれも大きな責務だと考えております。でございますから、そういう観点に立って、いまKDD法改正をお願いしておるわけでございます。そういう点をひとつ区別していただきまして、何とぞよろしく御審議、御採決あらんことをお願いしたいと思います。
  146. 増田元一

    増田参考人 交際費の支出に当たりましては、先生の御趣旨を体しまして、絶対に疑惑の起きないようにいたすつもりでございます。特に監督官庁に対しましては、一切疑惑を招くようなことはいたさないということを、ここにはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
  147. 武部文

    ○武部委員長代理 次に、則武真一君。
  148. 則武真一

    ○則武委員 私も、引き続いてKDD事件に触れながら、法案の審議に参加をしてまいりたいと思います。  KDDにまずお聞きしたいのですけれども、昨年から非常に問題になっている事件であります。私はきょうも先ほどから注意深くずっと御答弁を聞いておりますと「こういう事態」とか「ああいうこと」とか「今回のこと」とか、全部代名詞で言われておるのですが、「ああいう事件」とか「こういう事件」とか、一体KDDでどんなことが起こったのか、ここのところをひとつまず明確にしていただきたい。  それから、郵政大臣にも関連して聞いておきますが、御提案の国際電信電話株式会社法の一部を改正する法案の提案理由説明書の全文を注意深く読んでみましても、この法案を改正する理由、内容に「ああいうこと」も「こういうこと」も出ておりません。だから、つまりどういう理由でこういう提案をなさっていらっしゃるのか、どういうことがあったのか、まずKDD事件というものの認識を明確にしていただきたいというふうに思います。
  149. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答え申し上げます。  国際公衆電気通信事業というきわめて公益性の高い事業を営んでおりますKDDにおきまして国民の疑惑を招来いたしましたことにつきましては、この種事件の再発防止という観点から、事業経営に当たりましてはその経営者経営姿勢あり方がきわめて肝要でございます。  まず第一に、KDD自体の自主的な経営姿勢の刷新を強く要請しておるところでありますが、他方、政府といましましても同社に対する監督規制のあり方について検討を加えまして、さらに昨年末の閣議決定におきまして監督規制のあり方の見直しを行い、所要の法律改正を行うことが決定されたところでございます。この趣旨を受けまして、今回この改正案につきまして御提案を申し上げておるわけでございますが、私どもといたしましては、行政上の必要からこの事件考える場合においてもそれなりの目的に応じたつかみ方をすべきであろうかと思います。そういう点におきましては、KDDが乱脈な経理を行った結果、KDD側においてはそういう事件が発生する契機となったということでございますし、郵政省側としては、公務員としての行政を公正かつ厳正に行うべき原点に立ち返ってみずからを戒めていくということが必要であろうと思います。ですから、この件につきまして司直の手によって逮捕、起訴される人の出ましたことはまことに申しわけのないことでございまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。  そういったことを背景といたしまして、今回の法案の提案につきましても十分考えてまいらなければなりません。もちろん、どのような制度を充実をいたしましても、結局運営するのは人間でございますから、人間が少なくともその立場においてりっぱでなければならないと思います。十分その点は心をいたしてまいるつもりでございます。
  150. 増田元一

    増田参考人 私が「このたびの事件」と申し上げましたのは、会社の経費の支出につきまして不適正なところがあるということで、そういう点を指摘をされまして、ただいま逮捕あるいは起訴をされておるということを指して申し上げたわけでございます。
  151. 則武真一

    ○則武委員 それじゃKDDの方へ具体的にお伺いしますが、国民の大ぜいの方々は、去年以来ずっと続いているこの事件の解明の結果に非常に関心を持って、また非常に憤りも持っていらっしゃると思うのです。そういう意味で、これはもう本当に国民の疑問に答えるという立場でお答えをいただきたいのですけれども、やはり一番大きな疑問は、この三年間で六十億円もというような、一般の庶民の感覚から見ればけた外れな交際費がいろんなことに乱費をされた、政官界に贈答をされた、一体だれに贈ったのか、何に使ったのか、料理屋で飲んだとか言われておりますが、どこで飲んだのか、そういうことがやはり明確にされなければならぬというふうに思うのです。五十一年、五十二年、五十三年、五十四年度、各年度の交際費をまず明確にしていただきたいと思います。
  152. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申します。  五十一年度からでよろしゅうございますか。——五十一年度は合計九億二千三百万円てございまして、その内訳は、旅費交通費一億五千六百万円、広告宣伝費四千百万円、企業会計上の交際費一億五百万円、打ち合わせ懇談その他六億二千万円、合計九億二千三百万円になります。  五十二年度につきましては合計十三億九千九百万円でございまして、その内訳は、旅費交通費二億二千四百万円、広告宣伝費五千二百万円、企業会計上の交際費千三百万円、打ち合わせ懇談経費その他合わせまして九億九千三百万円……(則武委員「一億三千万じゃなかったのですか」と呼ぶ)一億三千万円は企業会計上の交際費でございます。それから、いま申し上げました九億九千三百万円は雑費でございます。合計十三億九千九百万円になっております。  五十三年度を申し上げます。合計二十二億三千八百万円で、旅費交通費三億七千百万円、広告宣伝費七千万円、先ほどの企業会計上の交際費一億四千二百万円、この年度は打ち合わせ懇談経費、その他と分けまして、打ち合わせ懇談経費七億三千七百万円、その他が九億一千八百万円、この二つを合わせた雑費が十六億五千五百万円でございまして、合計二十二億三千八百万円になります。  五十四年の上期について申し上げますと、合計十二億五千四百万円になっております。その内訳でございますが、旅費交通費二億六百万円、広告宣伝費二千八百万円、企業会計上の交際費が九千九百万円、それから打ち合わせ懇談経費が三億九千三百万円、その他が五億二千八百万円でございまして、この三億九千三百万円と五億二千八百万円を合わせましてものを雑費と申しておりますが、それが九億二千万円になります。以上合計十二億五千四百万円というのが上期でございます。
  153. 則武真一

    ○則武委員 ちょっと立ち入ってお聞きしますが、そのうち接待用の飲食関係費はどれぐらいになるのか、また政治家のパーティー券の購入額はどれぐらいなのか、さらに政治家や官僚の海外のせんべつ費用はどれぐらいになるのか、商品券の購入額はどれぐらいになるのか。世間でいろんな疑惑が報道されております。その疑惑に対応した数字をいま列挙しましたが、その点について正確な数字でないとか、いろいろ問題はあると思いますけれども、概略でいいので、国民によくわかるように数字を出してください。
  154. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  五十三年度で打ち合わせ懇談経費七億三千七百万円ございますが、その他九億一千八百万円ございますけれども、はなはだ申しわけないのでございますが、資料は一切押収されておりまして、この細かい内訳は現在では出せないような状態でございますので、大変失礼でございますけれども、どうぞ御容赦願いたいと思います。
  155. 則武真一

    ○則武委員 ちょっとよくわからないのですけれども、資料を押収されても結論のトータルはわかる。しかしトータルというのは、一軒の料理屋で幾ら飲んだとかそういう数字の積み上げが二十二億なら二十二億になっておるはずなんですね。だから、その資料を押収されているのなら、二十二億三千八百万円もわからないはずでしょう。どういう意味なんですか。
  156. 古橋好夫

    ○古橋参考人 いろいろ細かい分け方があると思いますが、大体企業会計に合うようにトータルを締めております。でございますから、個々について、たとえばだれだれがどこでどうとか、そういう点についての算定の仕方はしておりませんでして、しかも途中段階の数字も一切押収されておりまして、途中段階の数字もわからないということでございますので……。
  157. 則武真一

    ○則武委員 やはり国民がみんな一番聞きたいのはそこなんですよ。六十億円のお金を湯水のごとく一体何に使ったのか、そのことについて結局あなたは国民に答えられないのだ。社長どうなんですか。
  158. 増田元一

    増田参考人 はなはだ申しわけないのですが、ただいま古橋常務から御返事申し上げましたとおり、私も中身はわからないのでございます。まことに申しわけございません。
  159. 則武真一

    ○則武委員 それでは警察庁来ていただいておりますか。  いまの点で、警察が全部資料を押収していらっしゃると言うのですから、大ざっぱな分類でいいのですが、おたくの資料でひとつお答えいただけませんか。
  160. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察が関係資料を押収していることは事実でございまして、それに基づきまして、毎度申し上げておりますが、このKDD疑惑にかかわりのある金の流れ、物の流れの中で刑事責任を問うべき事実があるかないかを現在究明している段階でございます。最終的にその究明を終わりますれば、その対象となった金の流れの中で、一体どの程度が疑惑にかかわりがあったということがやがて判明すると思いますが、いまの段階ではまさにそれを詰めておる段階でございますので、お答えを差し控えたいと思います。
  161. 則武真一

    ○則武委員 会社へ質問すれば資料は押収されている。警察へ言えば警察は捜査段階だから言えない。国民は結局、六十億円の交際費がだれに使われて、どういう政治家に贈られたのか、どういう高級官僚に贈られたのか全然わからない。これは一体いつになったらわかるのですか、警察庁。
  162. 漆間英治

    ○漆間説明員 現在、刑事責任を問うべき事実があるかどうかを解明しているわけでありますが、仮に刑事責任を問うべき事実があるとすれば、警察は事情聴取するなり、あるいは逮捕するなり、そういう手続をとった上で立件送致をいたすわけでありまして、そういう立件送致をしたという事実をもって、警察はその疑惑の対象とされた金について刑事責任を問うべき事実があったということを世間にお示しするわけであります。この場合に疑惑のあった事柄についてはすでにそういう手続をとっておりますが、今後ともそういう事実があれば、そういうふうな手続をもって世間に示してまいりたいというように考えております。
  163. 則武真一

    ○則武委員 疑惑があるかないかは職務権限やいろいろな内容との絡みがあると思うのですけれども、少なくともKDD交際費等から出されたお金が物に変わった場合もあるでしょう、商品券に変わった場合もあるでしょう。そういうものを受けた政治家や官僚がどれぐらいいるのかということぐらいについては、まず警察庁の方は国民に明らかになさってもいいんじゃないですか。
  164. 漆間英治

    ○漆間説明員 その前に事案の真相を解明することが先決であると考えております。
  165. 則武真一

    ○則武委員 どうも、結局何もおっしゃらないようですから次に移りますが、私はいまここでだれだれが灰色であるか黒色であるかということを聞いているんじゃないんです。少なくとも交際費がどういうふうに使われたか、何百人ぐらいに配られたんだ、何十人ぐらいが飲んだんだというぐらいのことは明らかにしていただかないと、国民KDD事件、先ほど冒頭から私聞きました「ああいうこと」とか「こういうこと」の中身というものが、一体どういうことが起こったのか、半年たっても何にもわからない。これはやはり本当に国民にとって申しわけないことじゃないですか。そういう点でもっと一つ一つの区切りをつけながら、ある程度国民皆さんに明らかにできることは明らかにしないと、逆に今度はKDDに質問をしても、資料を警察が押収しているからと言えば、犯罪に関係がないことは一切もう言わないということになってしまって、交際費の行方については何もすべからく全部犯罪とは私ども思っていない、しかしそのことさえ聞けなくなってしまうじゃないですか。だからそういう点で、私はむしろ、KDDの立て直し等を追及していく上で国会の審議が非常に妨げられていると見ざるを得ないのであります。そういう点で、これはぜひひとつ早急に、可能な限り国民の前に明らかにしていただきたいというふうに思うのです。私どもが思うのに、いま起訴されておる事実やいろいろな点を新聞等で拝見しても、板野が一千万横領したとか佐藤が一千五百万横領したというふうに、六十億円の交際費の問題がいま議論されなければならないのに、余りにもけたが違う。一体どうなっているのか、こういうことがやはり問題になっておるわけですね。そういう点でもう少しこの疑惑に答える、全体の問題を明らかにしていただく必要があるというふうに思うわけです。  特に私は気になるのですけれども、最近、四月二十日付の朝日新聞など、政界の強制捜査はしないとか、KDD事件は板野で終わりだというように、事実上事件の進展はこれ以上ないのだというような報道がちらりほらりと出始めているわけなんですね。一方では、国民はかいもくこの事件の金の行方も何にもわからない。知らされていない。しかも一方では、もう事件はこれで落着するんだというようなことが出ると、一体真相解明ということはどうなったのか、こういうことになるわけでありまして、今回のKDDの莫大な金品がどういうふうに授受されたのかということについて、やはり早急に明らかにされないといかぬと思うのです。そういう点で、これで打ちどめなんだというような報道が出かかっているのですが、警察庁はその点について、いまの捜査段階について国民に明確に発表していただきたいと思います。
  166. 漆間英治

    ○漆間説明員 いつも申し上げておりますように、警察はこの事件の捜査に当たりまして、刑事責任を問うべき事実がある限り厳正に対処するという基本方針のもとにこれまでも捜査を行ってまいりましたし、今後も行ってまいる所存であります。現在御承知のように、当時のKDD最高責任者でありました板野前社長が逮捕、勾留中でございます。捜査はそういう意味では重要な局面を迎えていることは事実であります。この機会に事案の真相を解明して、その解明した事案の内容に応じて厳正な対処の仕方をしてまいりたいという考えであります。
  167. 則武真一

    ○則武委員 それでは具体的に聞きますが、KDDの捜査ではもう板野社長でおしまいだということをおっしゃったわけですか。
  168. 漆間英治

    ○漆間説明員 そういう個々のことについて触れたわけではございませんので、個々のことについてお聞きでありますると、いまの私の立場ではお答えできないわけであります。全体の警察の姿勢を申し上げたわけであります。
  169. 則武真一

    ○則武委員 どうも何をおっしゃっているのか全然わからないけれども、要するに、たとえば官界ではいま二人の人間が起訴された。それではこれ以上はもう郵政省の中には逮捕されたり起訴されることはないのですかということをお聞きしているのです。また一番国民が大きい関心を持っているのは、政界がたかりの構造だとかいろいろ言われておりますけれども、それでは政界からは事件に手を染めた黒い政治家は出てこないのか、このことを言っているわけです。どうですか。
  170. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察は事案の真相の解明に努めているわけでありますけれども、その事案の真相というのは証拠によって裏づけられることが必要であります。したがいまして、証拠に基づいて裏づけられた事実を判断してその後どのような手を打っていくかということになるわけでありまして、その事実が確定されない限り、今後どのようになるということは現段階では申し上げにくいわけであります。その点については御理解をいただきたいと思います。
  171. 則武真一

    ○則武委員 前回私も質問しましたが、たとえば官界といいますか、郵政省の中でも百十人の人が贈り物をもらっているということが申告に基づく調査でもあったわけですね。そして警察庁の方も、額の大小にかかわらず役人が職務権限にかかわって金品をもらうということは問題であるという見解もお示しになった。またその後二人の逮捕、起訴も出たわけです。したがって、こういう問題についてもう少し明確に——だから裏づけを急いているのだということならいいのですけれども、何か一方ではもう大体打ちどめだみたいな報道がちらりほらりするし、当の委員会では何一つ具体的な言及をなさらないということになると、客観的にはもう事件の幕を引いていらっしゃるのかな、こういうふうにさえ思えるのですが、もう一回御答弁ください。
  172. 漆間英治

    ○漆間説明員 一部の報道で、今後の捜査の仕方について観測記事が書かれていたことは私も承知をいたしております。しかし、それはあくまでも私どもの目から見れば観測記事なのでありまして、あの記事の内容を見ますと、捜査当局は判断を固めるといったようなことがあったように見受けましたけれども、実際、捜査の現段階から申し上げますととうていそのような段階ではないのでありまして、まだ現に事案の真相を究明中であり、今後も究明していくわけであります。そういうわけでありますので、いまの時点で今後どうなるということは申し上げにくいということを再三申し上げているわけでありますので、その点、よく御了解をいただきたいと思います。
  173. 則武真一

    ○則武委員 私は重ねてお願いをしておきますけれども、この事件は文字どおり「ああいうこと」「こういうこと」という言葉に象徴されているように、汚職事件なのか何なのかまだかいもくわからないのですね。しかし、たくさんのお金が使われたということははっきりしておるということなんですから、国民の疑惑にこたえるべく、打ちどめどころか、ようやくいま徹底究明の門口に入ったぐらいなところではないかと私は思うのですけれども、警察庁は国民の期待にこたえて政官界の浄化のために大いにがんばっていただきたい、このことをお願いをしておきます。  次に移りますけれども、今回の事件をずっと調査していまして、政治家がその地位を利用してKDDでいろいろ利権をあさったということが「ああいうこと」の一つの中身になっているようであります。その典型的な一つの事例として、私はきょうは、KDD職員の福利厚生施設である各地の保養所や寮の取得をめぐる疑惑についてお尋ねをしたいと思うのです。  最初に、長野県北佐久郡軽井沢町にあるKDD軽井沢荘の取得についてお聞きしますけれども、これを取得された年月日、その取得額、その工事を請け負った会社、取得された相手についてお答えください。
  174. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  取得しました年月日は五十三年十月ごろでございます。取得しました相手は佐川久二氏という方でございます。取得価格は建物約四千万円、土地三千万円、合計七千万円でございます。それから取得の経過につきましては、かねてから軽井沢地区に借り入れ等で保養所を持っておりましたけれども、自社のものを持ちたいということで候補地を物色しておりましたところ、たまたまふさわしい候補地がございましたので、それにつきまして交渉をした結果、取得したわけでございます。それで、軽井沢地区は高級別荘地というところになっておりまして……(則武委員「尋ねたことだけでよろしい。工事の請負者。」と呼ぶ)失礼いたしました。工事は五十三年十月にカーペット、敷物について約三百万円の改修工事をお願いいたしました。それから五十四年四月に保養所の室内の一部改修、道路上の擁壁、駐車場千八百万円、合計約二千万円をその建物をつくりました村本建設にお願いしております。
  175. 則武真一

    ○則武委員 ここでちょっと疑惑がわくのですけれどもKDDで保養所や社宅を買う場合には、労務厚生部が地域を指定して、こういうところに欲しいのだという指定をしたら、建築、管理両部がその地域内の物件を探して価格交渉をするというのが慣例だというふうに伺っておりますが、この軽井沢荘の場合には、建築、管理の両部が交渉に乗り出す前に物件、購入額ともすでに決まっていた、こういうふうに言われていますね。しかも、板野前社長の直命を受けて、橋本昌彦前厚生課長が建築、管理両部に取得交渉を依頼している、こういう経過もあるようであります。  そこで、板野前社長は、どこに社員寮をつくろうとか保養所をつくろうとかといって自分で探してきて、社内でもそういうセールスもやっていらっしゃったのですか。その辺の経過もちょっとお知らせください。
  176. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  先生いまおっしゃいましたとおり、厚生施設につきましては、労厚部の方がこの辺の地域ということで場所を選ぶのが通常でございますけれども、いい物件がございますと、その場所にしてほしいということで建築、管理両部に交渉あるいはその後の補修を頼んでくる場合もございます。  以上でございます。
  177. 則武真一

    ○則武委員 この取得の時期は服部さんが郵政大臣をなさっていらっしゃった時期でございますが、この保養所については、服部元郵政大臣の有力な後援者である村本建設が建てて、それを同じく服部さんの知り合いである東京銀座の時計会社日新堂の佐川久二社長が所有をしていらっしゃった。それをKDDが購入し、またその後も村本建設が改修をした、こういう関係であります。  多少話が飛びますけれども、私が調査をしましても、服部氏が村長をしていらっしゃったことのある奈良県の上牧町で、四十七年十二月一日に町制施行記念日の行事が行われておりますけれども、このときにも村本建設が寄付という形で日新堂の製品であるさら時計を、一個二千二百円だそうですが、町民四千戸に配っていらっしゃる、こういうこともあります。それから五十年十月には、同じくその上牧町で町舎諸施設総合落成記念というのが行われまして、同じくこの日新堂のさら時計が、これまた村本建設が町当局に寄贈したという形をとって、上牧町長名で町民の家全戸に配られている、こういうことであります。つまり、服部さんと日新堂の佐川さんと村本さんは並み並みならぬ御関係にあるというように私の調査からもうかがえるのですね。  そういう点で、軽井沢荘の購入は、郵政大臣をなさっていた服部氏から直接板野さんに話が持ち込まれたのじゃないのかどうかという疑いが出てくるのですけれども、こういう点についてKDDの方はどういうふうにつかんでいらっしゃいますか。
  178. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、労厚部の方でこの場所がいい、非常に快適な場所であるという指定がございまして、その後関係の部門がやったわけでございます。私は想像でございますのでわかりませんけれども、労厚部には多分所有者の佐川さんからお話があったのではないかというふうに想像いたしております。
  179. 則武真一

    ○則武委員 橋本前厚生課長はシドニーの方へ転勤になっていらっしゃるようですから、一応事情を聞いて後でまたひとつ教えてください。  それから、もう一つの保養所を聞きますが、宝塚南寮の取得についても私はちょっと疑惑があると思うのですね。宝塚南寮の取得に際しては、建築、管理両部が知らない間に、これまた板野社長の特命を帯びた橋本前厚生課長が話を直接進めた、こういうふうに言われていますね。こういう問題についてもどうですか。いまの経営刷新委員会なり経営者の方でちゃんと調査をなさっていますか。
  180. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  宝塚の寮につきましては、御存じのように大阪地区の女子寮のための場所をかねがね探しておりまして、十数カ所の場所があったのですけれども、女性を住まわせますためには交通の便がいいところとか、安全なところがいいとかいうようないろいろな条件がございまして、なかなかなかったのでございますけれども、たまたま、これは住友商事でございますか、住友商事から厚生の方に話がございまして、後建築、管理両方で検討いたしました結果、そこにしようということで仕事が進んでまいったというふうに記憶しております。
  181. 則武真一

    ○則武委員 もう一つ、ついでに聞いておきますが、山口県山口市の宮野にある山口県農協共済連管理のビラ・プリンスというのをKDDが取得されておりますが、これの取得年月日、取得金額はどうなっていますか。
  182. 古橋好夫

    ○古橋参考人 取得年月日は五十四年十月になっております。買収価格は土地一億七千万円、建物一億六千万円、合計三億三千万円でございます。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 則武真一

    ○則武委員 このビラ・プリンスは農協の台帳は二億七千四百二万円ですから、KDDは相当高く買って差し上げておるようですけれども、この購入に際しても、農協共済連の財務課長によりますと、KDDとの購入の話はトップクラスで行われた。つまり共済連会長の楢崎義親氏によって進められた。そしてKDD関係者では、橋本前厚生課長からここにこういうものがあるからと管理部に話が持ち込まれた。こういうふうに、これまた管理部があれするんじゃなくて物件まで厚生課長が指定をしてやられている。その橋本前厚生課長は板野社長の特命を帯びて動いていらっしゃった、こういうふうになって、大体いま私が申し上げた三つとも、どれも板野前社長の密命を帯びた橋本前厚生課長が直接売買交渉というか物件の設定まで行ってやってきておる、こういう一連の経過があるわけですね。しかもこれは地元や社内の御意見を聞きますと、山口のビラ・プリンスの取得についてはやはり裏に地元の山口一区の有力な政治家があっせんをされたのじゃないか、こういうふうなうわさがもっぱら流れている、こういうことを私も耳にしました。そういう点で、どの物件を一つ一つ見ても、非常にいい値で買って差し上げておるということも含めていろいろ疑惑があるわけですね。こういう点についても私は今後とももう少し解明をしていきたいと思いますので、橋本さん等とも連絡がとれればそのことも含めてもう少し詳しい経過を調査をしていただいて、後ほど私の方へ御報告をいただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  184. 古橋好夫

    ○古橋参考人 できるだけ調べまして、先生のところに御報告申し上げます。
  185. 則武真一

    ○則武委員 今回提案されているKDD法改正に関連してお聞きをしたいと思いますが、第一に、毎年度の収支予算と資金計画の二つ郵政大臣の認可事項とするということ、それから二つ目は、貸借対照表などを郵政大臣に提出する、三つ目は、会社会計について会計検査院が任意検査をできるようにする、こういう三つのことが主な内容だというふうに伺っておりますけれども、つまり郵政大臣などの監督監査の目をもっと光らせようというふうに思うのですけれども、大臣に一つお伺いしますが、これまでの法律ではKDD監督が非常にできなかった、大臣の権限が弱過ぎてKDDがもう勝手気ままなことをして困ったんだ、こういうことがあったのでしょうか。
  186. 大西正男

    ○大西国務大臣 今回の事件を契機といたしましていろいろ過去における監督あり方等を見直した結果、現在のKDD法で規定をされておる財務その他に対する監督の範囲というものがこれでは不十分であった、こういうことでございます。
  187. 則武真一

    ○則武委員 ずっと各委員の方からも追及がありましたけれども、私も今回の法改正で果たしてKDDの乱脈経理が再び起こらない、そういうことになるのかどうか、非常に疑問に思います。なぜなら、これまでの経過の中でも事業計画を中心に事実上郵政省KDDのほとんどの経理内容についてタッチをしていらっしゃるわけですね。だから知らされていない、知ることができなかったからこういう事件が起こったのじゃなくて、やはり郵政省が本気で現行法によってKDD監督していなかった、監督していなかったどころか、監督すべき郵政省KDDと癒着をして、いろいろただで海外旅行をさしてもらったり、贈り物をもらったり、高級料亭へ招待をしていただくというようなことをしていわば買収をされていたということが問題なんですね。だから、そのことについて基本的に反省をしないならKDD事件は引き続きまた起こるかもしれない、私はそういうふうに思うのですが、大臣はどうも他の委員の質問に対しても、問題はKDDが悪かったというようなことをずっと言われながら、逮捕者が出てからは若一千手直しをされたけれども、やはり依然として悪いのはKDDだ、わしらは誘惑された方だというようなそういうニュアンスが国民の側には響いてくるんですね。ここでひとつ本当に反省をしたのかどうか。人心の刷新を図るために二人の高級官僚が勇退をされたとこう言います。法案を提案した郵務局長や次官が、われわれがいま提案された法案をここで審議しているのに、いないのですね。それがなぜ節目なのか。とうていこれは節目とは思えない。まさにこれはトカゲのしっぽではないか。大臣がどう言われようと国民はそう思っていますよ。そういう点で、それでは郵政省は人心が刷新できたのか、二人のトカゲのしっぽで。私はできているとは思いませんよ。そういうことではまた再び第二第三の同様の事件郵政省の中で出てくる可能性が大いにあると私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  188. 大西正男

    ○大西国務大臣 先ほども他の委員にお答え申し上げましたように、どのように制度を改正をし充実をいたしましても、結局その制度を運営するものは人間でございますから、人間の姿勢というものが大切でありますことはその制度の前提要件でございます。このことはもう当然のことでございまして、言うまでもないところであると存じます。遺憾にいたしまして、このKDD問題をめぐりまして郵政省内部に収賄容疑によって逮捕をされ起訴された人物の出ましたことは、国民皆さんに対してまことに申しわけのないことでございまして、深くおわびをいたすところでございます。  そういうことを踏まえまして、郵政省におきましては職員の一人一人がえりを正して、本来の全体の奉仕者としての原点に立ち返ってすべての公務の執行について対処すべきであるということを、これは当然わかっておらなければならぬことでありますが、重ねて私から訓示をして、その点について注意を厳しく喚起してもらい、そうして厳正な公務員としての立場に返ることを求めたわけでございます。  そういうことを求めましたけれども、しかし、そのことによって郵政省内部におきましていろいろと人心が萎縮をしてまいっておるのではないかということを私は痛感をいたしました。先ほど来御議論もございましたけれども、この遺憾な不祥事を起こしましたのは郵政省全体がそうであるわけではございません。一部の者でございますけれども、しかしそのことのために郵政省全体がそういうふうな目をもって見られるということも、これも一面やむを得ないところだと存じますが、多くの職員は本来の公務員として、その本来与えられた業務にいそしんでおるわけでございます。そのいそしんでおる多くの職員を中心といたしまして人心が萎縮をして、本来の業務の遂行にすら、そういう気持ちではないけれども、おのずから業務の執行に対して萎縮をするために事を欠くことがあってはならない、本来の業務は本来の業務としてこれを積極的に推進することが、これまた国民の大多数の方が求めておられるところだと私は感じます。そういう観点に立ちまして、そうするためにはここに人心の一新というか、停滞した空気を一掃するというか、そういう何らかの具体的な姿勢といいますか、方策をとって省内に示すということが、これがまた私に与えられた一つの大きな職責であると私は感じております。したがいまして、大変異例なことでございましたけれども、しかしその異例なことを行うということがいま私に求められておる最も重要な問題だと考えたわけであります。とは申しましても、折から予算の審議の最中でございますから、この予算審議ということも重要でございまして、その点について抜かりがあってはなりません。ですから、その予算の審議の終了したその直後において、そして提案をいたしておりますいろいろの法案について各委員会において御審議が本格化する直前といいますか、そのわずかの時期が、これは異例であるわけでもこれをやるべき時期であると私は考えましたから、そういう異例の措置をとってまで人心の刷新を図った次第でございます。
  189. 則武真一

    ○則武委員 全く同じことを判こで押したようにおっしゃっておられますけれども、私はどうもそういうふうには思いません。この事件はあくまで郵政省KDDの癒着、政界とKDDの癒着から起こっているのであって、郵政省がもっと本気で反省をしないなら、そんな二人ぐらいなトップとその次が退任をしたら人心の一新が図れるなどとはとうてい思えません。  具体的にお聞きしますけれどもKDD法の十一条、取締役監査役の選任、解任。十二条の事業計画の認可。これで、認可が却下された事例があるのですか。
  190. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 会社法に規定されております認可の関係につきましては、認可申請が提出された後に却下されるとか、あるいは変更して認可したという事例はいままでのところないと承知しております。
  191. 則武真一

    ○則武委員 つまり、KDDから出された大臣の認可を求める大事な案件については、これまでは却下されたことはない、全部郵政省は認可をしていらっしゃるわけであります。そうすると、それは結局りっぱな計画だ、郵政省はお墨つきの認可の判こを押されたということですね。
  192. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 認可の出てまいりましたものにつきまして内容を審査の上、適正と認めて認可をしたわけであります。
  193. 則武真一

    ○則武委員 つまり、今回こういう大きな事件が起こったけれども、そういうことも含めて全部認可されているわけなんですね。だから私はやはり郵政省責任は非常に重大だと思うのです。  さらにちょっと関連して聞いておきますが、利益金の処分や毎営業年度の事業計画についてKDDから申請があった場合に、どういう判断基準で郵政省は認可の判こを押していらっしゃいますか。この基準ですね。
  194. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの御質問にちょっと補足をさせていただきたいと存じますが、認可申請どおりに認可されておるということにつきましては、これは通例の場合、認可が出ますその事前にKDDから説明を受けまして、省といたしましても省の考え方を説明いたしまして、そういったいわば事前の折衝と申しますか、そういうものを踏まえた上での認可申請の提出となっておりますので、結果といたしまして申請どおり認可をしておる、こういうことであろうと考えております。  次に、利益金の処分並びに事業計画につきましてどういう基準でもって認可をしておるのかというお尋ねでございますが、これらの認可に当たりましての基準というものを書面上明定をいたしたものは持っておりません。しかしながら、まず利益金処分について申し上げますと、利益金処分と申しますのは、御案内のとおり、毎事業年度が終了いたしました後に、その期の決算により確定いたしました利益金につきまして、一般株式会社と同様に、KDD株式会社でございますので、株主総会の決議を経ましてその処分内容が決まるわけでございます。その上にさらに大臣認可ということがあってその効力を発するわけでございます。その場合に、この利益金の処分の認可につきましては、これが会社の営業活動の結果生じました利益金というものであるということに着目をいたしまして、したがいまして、その処分というのは、利益金が社外へ流出をしていく金、こういうことになるわけでございますから、したがいまして、その処分というのは、会社の性格及び事業の性格から見てそういった社外流出の限度として適切か否かという点を中心に、それを重点にして審査をしておるものでございます。なお、一言申し上げますならば、この中で大きいのは株主に対する配当でございますが、これはちょっと正確に記憶しておりませんが、三十年代の半ばごろからずっと年一割配当ということで今日まで至っておるわけでございます。  次に、事業計画でございますけれども事業計画というのは、国際公衆電気通信事業の合理的、能率的な経営を行い、その事業に必要な設備の整備及び拡充を促進し、それによって国際公衆電気通信の改善を図ること、良質のサービスを安定的に供給をしていくというその目的を図るために作成するものでございまして、この事業計画の審査に当たりましては、ただいま申し上げましたような趣旨からいたしまして、主として設備投資の内容が適正であるかどうかということを中心に審査をしておるわけでございます。  しかし、あわせまして収支計画、資金計画につきましても、このような設備計画を含めて会社が行います業務につきまして、それが適正かつ健全な経営を確保するだけの要件を具備しておるか、その資金的な裏づけがあるかどうか、そういった観点からこういうものも含めて審査をしておる、これが現状と申しますか現在までの実態でございます。
  195. 則武真一

    ○則武委員 料金問題でも出ましたけれども、どうもやはりいろいろな認可に当たって担当者の恣意的な判断が加わるということ、そして結果的には大事な問題の認可については拒否されたことはない、皆パスだ、こういうことになっているの、ですね。そして一方では、郵政大臣にたくさんのKDDの生殺与奪の許認可権が集中していて、その郵政大臣がどうもいろいろ歴代問題があるのじゃないかということがずっと報道でも出ている。そしてとうとう今度は松井元電気通信監理官とか日高元電気通信参事官ですか、こういう人が逮捕、起訴されるということでありますね。ですから、やはり私はこういう点で、この二人の起訴という事実を前に、許認可権の行使に当たりながら、しかもそれを結果的に全部パスさせており、しかもそこでいろいろたかっているという現状から見て、どういうふうに責任を感じていらっしゃるのか、そういう点で一言、ひとつ大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  196. 大西正男

    ○大西国務大臣 たびたび申し上げておりますように、こういうことが再び起こってはなりませんので、その防止のために全力を挙げておるわけでございます。こういうことが再発しないようにいたすということが私の与えられた重要な責任一つであると考えております。
  197. 則武真一

    ○則武委員 どうもかみ合わぬのですが、私が言っているのは、そういう恣意的な役人の判断で次から次へフリーパスの判こを押すのじゃなくて、もっと客観的な基準やいろいろつくっていく必要があるのじゃないかということも含めて反省がない、いまの提案なさっている法律ではとてもこういう問題は防げないだろう、引き続きこういう問題が起こるだろう、しかももっと権限が強化されればますます癒着の構造が深まるのじゃないか、こういう懸念さえ私は感じるわけです。  ちょっと天下りについて聞きますが、天下りの資料を私いただいておりますが、郵政省から直接KDD及び子会社へ就職した課長以上の役職員が十三人、子会社へ二人、この数字は間違いないですね。
  198. 増田元一

    増田参考人 間違いございません。
  199. 則武真一

    ○則武委員 社長にもう一点関連してお聞きしておきたいのですが、板野社長のように退官後すぐ人事院の承認で役員に就任するようなことは望ましくないと発言をされておるわけですけれども、先ほど他の委員からも天下りについていろいろ質問がありましたけれども、ちょっとこのリストを拝見しても、一人や二人というのじゃなくて、大変膨大な天下りがおたくの会社の中枢部を握っていらっしゃる、こういう状況のようでありますけれども、先ほどの許認可権との絡みで言うと、将来天下っていく人たちが、先輩が持ってきた書類に判こを押すというような、こういう関係がずうっと続いていたということになってくるのですね。こういう点で、これは単に人材として好ましいかどうかじゃなくて、人事院の規則で二年間禁止というふうな問題もありますけれども、私どもはもっとこの規則自体も改める必要があると思っておりますけれども、一層毅然とした天下りについての態度をぜひとっていただきたい。そういう点で、再度ひとつ社長の決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  200. 増田元一

    増田参考人 原則としまして天下りを歓迎するという状態ては——会社も長くたっておりますのでそういう考え方は持っておりますが、また人材という点から考えました場合に、天下りをすべて排除するというふうに、まあかたくなに考えることはどうかというような気持ちでございます。
  201. 則武真一

    ○則武委員 どうもやはりKDD姿勢が非常にもう崩れておるということを感じます。私は、こういう癒着の構造を解明して改めていくならば、もっと徹底的にこのことについて潔癖過ぎるぐらいKDDがえりを正していかなければならないし、郵政省の側にとっても、この点について、天下り人事については厳に慎んでいかなければならないというふうに思うのです。  結論としてお聞きしますけれども、今回の事件というのは、やはり郵政省監督権限が弱かったから起こったというふうにはなってないのですね。郵政省KDDに対する絶大な監督権限を持ちながら、今回の事件が起きている。しかも今回の事件というのはKDDだけが悪いことをしていたのではなくて、郵政省の役人も悪いことをしておった、こういう事件なんですね。だから、この事件を本当に起こさせないようにするためには、もう一つ別の抜本的な手が要る。それは、いま大臣が提案なさっておる法改正ではなくて、私はやはり国会に対して、言葉をかえれば国民に対してということですが、電電公社と同じように予決算の承認を求める、KDDの内容について国民の前でオープンに国会で論議できるようにしていくということがどうしても必要だというふうに思うのですけれども、この点について、いかがでしょうか、大臣。
  202. 大西正男

    ○大西国務大臣 今日いわゆる公共的料金の定め方につきましては、それぞれの定め方があるいは法律その他によって決められておるわけでございます。中にはその料金の定めること自体を法律によって定めて、そしてそれを変えるときには法律改正を行うとかあるいはまた国会の承認を求めるとか、あるいは主管大臣の自由裁量権に与えておるけれどもそれを行使するまでの間にその運営について法定をしておるとか、あるいはそういうことはなくして大臣そのものの裁量権にゆだねておるとか、いろいろの多種多様な定め方が現状としてあるわけだと思います。そのあり方は、私の私見をもってすれば、それぞれの国民に対するかかわり方、そしてそれを定めるについての基準を定めることについて、社会的な経済上のいろいろの観点からそういうことが比較的容易に定め得るとかいうものについては、そういうことがこれまで定められてきたものだと思います。したがいまして、その中にあって、KDDについては、料金の定め方については郵政大臣の自由裁量権と申しますか、それにゆだねられておる、こういうことでございます。  そこで、こういう問題が起こってまいりまして、私としては、その点に関する法律そのものを改正するということについてはまだその必要性が生じておるとは考えませんけれども、その内部的な運営においてもっと合理的な客観的な基準を求めていくということは、十分検討に値することだと考えております。したがいまして、他の委員さんからもお尋ねがございましたそのお尋ねに対しては、そういう態度であるということを申し上げたわけでございます。
  203. 則武真一

    ○則武委員 最後にもう一点だけお聞きしておきますが、今回の事件は、国民に公開されていない、しかも非常に高い公益性を持った企業の問題ですから、私はやはり国会へ予決算を出されるようなそういう経営形態にすべきではないかということを感ずるのです。つまり、監督官庁である郵政省まで巻き込まれた事件なんですから、まさに二十七年前わが党も会社化に反対をしたのでありますけれども、本来もっと公共性の高い公益事業にふさわしい経営形態に移行するということでないと、やはり問題の本質は解明できないというふうに私は思います。それに移行するには財産の取得の問題とか、労働者の権利の問題とか待遇の問題とかいろいろあるでありましょうけれども、そういう形で国民の監視、国会の監視のもとにこの公益事業を置いていくということでなければ、私は再発防止はできないのじゃないか、そういう点では、いま提案になっておるような、巻き込まれた郵政大臣なり郵政省権限をもっと強くしようというようなことでは一層将来に禍根を残すおそれさえある、そういう点で、この問題については私どもは非常に疑問に思っております。  それから同時に、冒頭お聞きしたように、事件の真相がかいもくわからないで「あのこと」「このこと」というふうな状況で皆さんがお話をしながらすでにKDDをどうするかという提案が出てきているというところに、いかにもおざなりというか当場しのぎ、この法律改正の提案自体が何かトカゲのしっぽ、KDD事件の捜査の幕引きの一つでもないかとすら勘ぐれるような、そういう気もするわけであります。  それからもう一つ、最後に会社の方へもお伺いしておきたいのですが、代表取締役が九人おろうと発見できないような事件ということになっていますけれども、私は五千人の従業員にもっと民主的な生き生きとした職場が保障され、権利が与えられていたら、ワンマン独走体制というものにブレーキをかけることは可能であっただろうと思うのです。そういう意味では、単に経営のトップの頭の切りかえや組織のいじり方ではなくて、従業員、労働者に対する民主的な権利の保障、生き生きと、自由に、伸び伸びと経営者を批判することができる、そういう職場をおつくりにならないと、経営者だけの思いでいろいろ考えておると、またとんでもない迷路に入り込むのじゃないか、そういう点では民主的な職場づくりということが何よりも肝要ではないか。もう一方ではこのことを感じるわけであります。そういう点で、国会の問題と民主的な職場づくりについて、大臣と社長の方から一言ずつ見解を承っておきたいというふうに思います。
  204. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  経営の民主化ということにつきましては、私どもも大変重要なことであると考えております。なお今後労働組合とよく話し合いをいたしまして、民主化の実を上げていきたい、こういうふうに考えております。
  205. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDDは、現在株式会社として存立をしておるわけでございます。しかしながら、きわめて公共性の高い独占事業経営の内容としてこれを営んでおるわけでございます。そういう意味におきまして、国民的な立場に立ってその運営が行われ、単に営利会社といったような一般株式会社のような考え方でこれを運営しては十全ではないと考えるわけでございます。  しかし、その民営にいたしておりますゆえんのものは、国際のいろいろの情勢とかあるいはまた経済情勢とか、そういったもので常に公衆電気通信事業というものに対しましてニーズというものが変化をしてまいるわけでございますから、そのニーズに対して適切に、また適宜に、自主的かつ機動的に対応していかなければならない任務を持っておるわけでございます。そういう点を考えて、それをするためには民間の株式会社形態をとるべきだということで、このKDD法というものの立法理由なり背景なりがそこにあるわけでございます。そのことは現在においても少しも変わっておらないのみならず、ますますその必要性は増しておると私たちは判断をいたしております。したがいまして、民営形態というものを変えるつもりはございません。民主的ということは、私たちは国民の期待に沿うことだと考えておるわけでございまして、内部における労使間の関係については、これは株式会社でございますから、また公益事業を営む株式会社でございますから、それに対応する関係諸労働法があるわけでありまして、その労働法の規律に従ってやる限り、私たちが一口も口を差しはさむ余地はございませんし、それをするつもりもございません。しかし、労使といえども国民にこたえていかなければならない、こう考えております。
  206. 則武真一

    ○則武委員 終わります。
  207. 小林進

    小林委員長 次回は、来る五月七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会