運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-04-16 第91回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十六日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 堀之内久男君    理事 武部  文君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 藤原ひろ子君    理事 西村 章三君       秋田 大助君    長谷川四郎君       吹田  愰君    森山 欽司君       久保  等君    森中 守義君       米田 東吾君    田中 昭二君       竹内 勝彦君    則武 真一君       木下敬之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省人事局長 林  乙也君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         行政管理庁行政         監察局監察官  重富吉之助君         会計検査院事務         総局事務総長官         房総務課長   秋本 勝彦君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     増田 元一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 惇一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      福地 二郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社監査         役)      井本 博紹君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十一日  委員浜田幸一君が退職された。     ――――――――――――― 四月十日  地方貯金局存置に関する請願外一件(武部文君  紹介)(第三九五六号)  同外一件(森中守義紹介)(第三九五七号)  重度重複身体障害者に対する郵政行政改善に関  する請願岡田利春紹介)(第三九六七号) 同月十五日  郵便料金値上げ反対に関する請願久保等君紹  介)(第四〇一〇号)  仙台地方貯金局減員計画撤回等に関する請願  (山花貞夫紹介)(第四〇一一号)  同(中村茂紹介)(第四一一七号)  同(米田東吾紹介)(第四一一八号)  為替貯金事業オンライン化による定員削減反  対等に関する請願山花貞夫紹介)(第四〇  一二号)  同(中村茂紹介)(第四一一九号)  同(米田東吾紹介)(第四一二〇号)  地方貯金局存置に関する請願清水勇紹介)  (第四〇一三号)  同外一件(山田芳治紹介)(第四〇一四号)  同外一件(山花貞夫紹介)(第四〇一五号)  同(中村茂紹介)(第四一一五号)  同(村山喜一紹介)(第四一一六号)  郵政省個人任意年金制度早期実現に関する請  願(芳賀貢紹介)(第四一一四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七二号)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案審査のため、本日、国際電信電話株式会社から参考人として御出席を願い、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 小林進

    小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森中守義君。
  5. 森中守義

    森中委員 大臣お尋ねいたしますが、国際電電の今回の事件目的、あるいは犯罪目的と言った方が正確かもわからない、それは要約すればその目的は何と何であった、大体こういうことがほぼ把握されていると思う。それをどういうようにお考えなのか、まずその辺からお尋ねいたします。
  6. 大西正男

    大西国務大臣 犯罪ありとして司直にその行為を問われている人たちの、いわゆる犯罪を犯すに至った目的等につきましては、私は何も承知いたしておりません。
  7. 森中守義

    森中委員 大臣、いまから始まろうというのは政府提案法案審査ですよ。ですから、少なくとも審査する側が提案者に対し、これこれのことは聞いておきたいというわけでお尋ねするわけですから、何も御存じないということであれば何のために法案改正を出したのですか。それ自体が問題じゃないですか。ですから、少なくとも相当長期にわたって報道機関が余すところなく事件背景を、しかも具体的な事実を連日報道している。したがって、政府がそういうことを十分わきまえながら、これこれのことだからこれこれの法律改正案が必要である、こういうことでなければ、何のために法案を出されたのか合点がいかぬじゃありませんか。  要するに、提案する側、審査する側、この因果関係ということは十分わきまえた上で御答弁いただきたいですね。本当に何も御存じないのですか。もしそうであるとするならば、こういう法案審査の必要がない、私はそう思う。
  8. 大西正男

    大西国務大臣 いま刑事的な犯罪の最終的な司法裁判による判断は下されておりませんけれども、とにもかくにも容疑ありとして逮捕、起訴されている人たち、その人たちのそれぞれの個々犯罪を犯した目的というものについては私は存じません。ただ、今回法案提案をしておるその背景とかいうことについては、もちろん御説明申し上げることができるわけでございます。ですから問題は、先生の御趣旨もそこにありということであれば、これはそういう意味理解をさしていただきたいと思います。  そういうことでございますならば、今度法案提出をいたしました背景というものは、国際公衆電気通信事業という……(森中委員「そんなことは聞いていない、犯罪目的は何ですかと聞いている」と呼ぶ)ですから、犯罪目的個人犯罪を犯した目的でございますから、そういうことは私は存じません。いまの段階において、これは司直が解明をしておるところでございまして、どういう原因動機に基づいて、あるいは個人的などういう目的に基づいてそういう犯罪を犯すに至ったかということは、私どものいま窺知し得べきところではないわけでございます。
  9. 森中守義

    森中委員 この提案理由の説明というのはこの前聞きましたよ。改めてその必要はございません。ただ、私が聞いているのは、何もここは裁判所の原告、被告という、あるいはそういうことに対して問題を扱おうというわけではないのですから、犯罪目的は何か、こう聞かれて、そうきちょうめんな答弁をされると困りますね。少なくとも犯罪には何かの目的があったであろう、その辺の事実については、すでに余すところなく伝えられているわけだから、その辺をどういったように見ているのですか。解明しているのですか。所掌の範囲の中における出来事ですから、大臣としては、大体この辺にこういうことがあったのだな、これが問題だなというくらいは当然分析されてしかるべきであろう。ただ厳密に、刑事訴追を受けて裁判所でいろいろやるようなものとは違いますからね。要するに政治判断として、何と何がこの事件の真相であり目的であったかというくらいのことはお答えいただいてもいいのじゃないですか。
  10. 大西正男

    大西国務大臣 でございますから、厳密とかなんとかいうことではございませんで、犯罪を犯した方の、犯すに至った個人的な原因とか理由とか動機とか目的とかいったものは私にはわからないということでございます。ただ、今回この法案を出すに至った理由原因目的ということについてならば、それ相当の理由があって、ここに御提案を申し上げておるわけでございます。そういうことでございましたら、十分お答えをする用意はあるわけでございます。
  11. 森中守義

    森中委員 さっきも申しますように、政府提案に対する委員会審査ですから、余り物事を窮屈にお考えになって答弁されると審査できませんよ。  それで、言われないので、むしろ私の方から見解を申し上げますが、一つには料金問題、一つには人事問題、ほぼこの二点にしぼられるのじゃないでしょうか。何となれば、すでに関係委員会等で法務省の刑事局長が、赤坂料亭口悦」における服部・板野会談が、幕引きという言い方はしておりませんけれども、大体その辺にすべての問題がしぼられてきている、こういう見解を述べて、非常に関心を持っているのだ、こう言っているのですね。ですから、さまざまなよからぬことがあっているけれども究極目的人事及び料金、こういうふうなことになるのかな、こういうように私は思うのですが、いかがですか。
  12. 大西正男

    大西国務大臣 いま御指摘になりました具体的問題は、これまた司直の方でどういうお調べをなさるのか、なさらないのか、これも私にはわかりません。正直私にはわからないのですよ。でありますが、今回の法案提案をするに至ったその原因目的等につきましては、もちろんこれまでのKDD経営姿勢あるいは今回までに発生をいたしましたKDD問題をめぐっての郵政省監督あり方、そういうことが問題でございますので、私ども行政機関として――このKDD事件なるものを把握するについては、行政機関としての把握の仕方と、それから捜査機関がやられるいろいろの御調査目的とはおのずから目的に相違がございます。したがいまして、私ども行政機関としての郵政省としてこの事件をどのように把握をしておるかということについてでございますならば、十分その把握の仕方についてお答えを申し上げることができるわけでございます。またできなければならないわけでありますが、それはおのずからつかみ方が違うわけでございまして、また違っていなければならないわけだと思うわけでございますから、その点はひとつ御理解を賜りたいと思います。
  13. 森中守義

    森中委員 大臣郵政のおやりになることがどうも親切でないといいましょうか、あるいはかたくガードを閉め切っているというのか、適当でないですよ。かつて私は運輸関係等におりまして、日本航空であるとか全日空であるとかあるいは国鉄の事故が発生する、そういうたびごと関係当局では、中間的であったにしても、事件の概要というものをその衝にあるべきところが必ず委員会等に報告しておりましたよ。郵政はそんなことをしたことがありますか。先般の所信表明の際にほんの二、三行書いたものと、大臣が一分か二分、まことに遺憾であるというそういう程度のものであって、所管庁として、その範囲の中に出てきた問題がかくかくのことでこういうものだという、少なくとも郵政省把握したものを一回だって委員会に出されたことがない。私は、そういう意味では、郵政省というのは常々国会に対しどういう対応をされているのかはなはだ疑問――疑問というよりもそういう対応の仕方は不遜である、こういうように思いますよ。少なくとも、行政国会に責任ある対応をするというのはもう憲法、国会法が決めている。ありますか、そういうことが。これは厳重に抗議という意味で私は大臣にしかと申し上げておきたい。  それと、私が承っておるのは何も警視庁検察庁取り調べというような感じのものじゃないのですよ。少し勘違いしていませんか、大臣。当初申し上げたように事件目的犯罪目的ということが適切な言葉でないならこれは訂正もいたしますが、極論するならそういうことでいいと思う。ついては郵政省は、この事件は何のために、何を背景に、何を目的に発生したか、こうお尋ねしているわけですから、まさか大臣だって新聞をお読みにならぬことはないでしょう。いろいろなお話を聞かれないことはないでしょうね。すでに釈放されている日高何某という休職者取り調べの状況、釈放された後、当然大臣としては報告を受けておられるだろう、そういう内容をお話しいただきたい、こう言っているわけです。それでお答えにならぬから、じゃ私の方から申し上げよう、料金人事じゃないですか、赤坂口悦」の問題はどうですか、こう聞いているわけですから、もう少し委員会に対しては親切な御答弁があってもいいんじゃないでしょうか。全然かみ合いませんね。どうでしょうか。
  14. 大西正男

    大西国務大臣 お言葉を返すことは私の本意ではございませんけれども先生がおっしゃっておられる赤坂口悦」ですかの問題とかいうことは、私は新聞では拝見をしております。おりますが、そういうことが真実であるかどうかということも、私は率直に申し上げまして、何ら根拠のあるものに基づいて私がそれを把握も何もしておらない、全く知らないことでございます。でございますから、そのことについてコメントをする何物もないわけでございます。これは率直に申し上げております。しかし、今度法案を御提案を申し上げておる原因は存在をいたしております。それは何かといえば、今回のKDD問題をめぐってKDD経営姿勢というもののあり方に問題があったということと、これをめぐって郵政省監督というものについても問題があったということでございまして、それらの問題をこの際ぬぐい去って、そうして新たなKDDの出発を求めるとともに、再びこういう問題が生じないようにこれに対して制度的な保障もしていかなければならない、こういうようなことでございまして、そのためにこの法案を御提案を申し上げて御審議を賜っておるところでございます。私は何も隠してもおりませんし、それから何かからに閉じこもって物を申さないというつもりも毛頭ございません。でございますから、その点はひとつ十分御理解を賜りたいと思います。
  15. 森中守義

    森中委員 私は、現象的に「口悦」でトップ会談があった、それ自体を言っているんじゃない。事件流れは一体何ですか。それは法案関係がありますよ。つまり、大臣が強烈な権限を有する役員人事並びに郵政省が持っている強力な許認可権料金の問題、こういうのをどう処理していくかというところに、事件と結びつくというよりもむしろそれが頂点になっているわけだから、その理解と認識を持たずして法案提出はないのじゃないですか。ただ監督権を強化する、KDD姿勢が悪いからあるいは郵政省監督権が緩いからそれで監督を強化するというだけでは能のあることではないんですよ。もうちょっと全体的に次元を広げて、詰めて詰めて詰め上げたものでないと法案の価値はない、だからその辺のことからひとつ始めよう、したがって、私が聞こうとしているのは、料金問題、今日の処理法がこれでいいのか、人事任免権というのはこれでいいのか、こういうことを問おうとしているのですから、流れとしては一定の見識を大臣は当然お持ちであろう、そういう意味で聞いているわけですがね。何も警視庁検察庁の繰り返しをやっているわけじゃない。いささか次元の違う話をしているつもりです。それでも料金問題並びに人事問題ということは肯定されませんか。
  16. 大西正男

    大西国務大臣 もとより郵政省でいろいろの権限を持っておるわけでございます。でございますから、そういう権限を行使する立場にある公務員たるものが、みずから国民の負託にこたえて全体の奉仕者としての原点に立ち返って、厳正かつ公正な職務の執行を常に行っていくということが大切でありますことは申し上げるまでもないところでございます。したがいまして、いかなる制度がございましても、究極は人の問題だと思いますので、人として、公務員としての立場というものを常に反省をして国民の御期待にこたえていかなければならぬ、そういう趣旨におきましては先生と全く同感でございまして、郵政省においても再び逮捕者を出したようなああいう忌まわしい事件が発生しないように、一人一人がみずからの全体の奉仕者としての原点に立ち返って常に自分を戒めていかなければならぬという趣旨において、全郵政省職員にそういう反省を求めておることも事実でございます。
  17. 森中守義

    森中委員 いまの御意見後ろに向いて言いなさいよ。こっちに向いて言われぬでもいい。後ろを向いて言いなさい。  それでは、どんなに言ってもその二つのことについてお認めにならないようですから、少し具体的に進んでまいりましょう。  いまの郵政省が持っている料金認可については、現在のやり方でいいと思っていらっしゃるのか、改善の余地があると思われるか、その辺はどうでしょうか。
  18. 大西正男

    大西国務大臣 先生がいろいろ御意見をお持ちであろうと思います。もちろん料金認可等の問題につきましても、KDDに限って申しますならば、KDD株式会社とはいえ独占的な公共的な事業を行っておるところでございますから、その料金等についても、国民の総意をよく意識をしながら国民期待にこたえていかなければならないことは当然でありまして、それを受けての郵政省における認可ということについても、そういうことを常に念頭に置きながら対処しなければなりませんことは申し上げるまでもないところでございます。そのあり方について、あるいは郵政省のいまの機構そのものがそれでは足りないではないかということでございましたら、どうか先生にも貴重な御意見をお聞かせをいただければ幸いだと存じます。
  19. 森中守義

    森中委員 私は、さっきから申し上げるように、事件流れというのは料金人事、この二つだと思う。そこで問題は、一体今日郵政省が取り仕切っておる料金の扱いが妥当であるかどうなのか。いま大臣の御答弁というのは単なる精神条項であって、これはあたりまえのことですよ。具体的にそうなっているかどうか、これが問題だと思う。なっておりますか。
  20. 大西正男

    大西国務大臣 郵政省内部における問題の処理の仕方について、事務当局からお答えをまずいたさせます。
  21. 寺島角夫

    寺島政府委員 公衆電気通信料金仕組みにつきまして、事務当局からお答えをさせていただきます。  先生御案内のとおり、公衆電気通信業務料金につきましては公衆電気通信法規定をされておるところでございますが、まず国内の方について申し上げますならば、国内料金につきましてはその基本的主要なものが法定をされておりまして、それ以外のものにつきまして郵政大臣認可を要するいわゆる認可料金となっておるわけでございます。一方、国際公衆電気通信料金につきましては、すべて認可というふうに定められておるわけでございます。したがいまして、現在までにおきまして郵政大臣認可という行為を通じて定めてまいったわけでございますが、いろいろな国会の御論議を含めましていろいろな方面から、その認可に当たりましてもう少し、たとえば審議会のようなものにこれを諮問するとか、そういった広く各層の意見を聞いて決定すべきではないかという貴重な御意見をいただいておることもまた事実でございまして、こういう点も私ども十分に念頭に置きまして今後対処してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  22. 森中守義

    森中委員 大臣、私がその料金人事だということの非常に重要な意味合いは、ほかでもありません。国際電信電話株式会社法改正だけではだめなんです。公衆電気通信法から見直していかなければ解決しません。これはひとつよくお考えいただきたい。  それで、監理官、確かにいま言われるように公衆電気通信法第一条、これはどういうふうに考える。同時に、この種公共料金的なものに対する一つ基本原則というのがある。その電気通信監理官室は一体何を根拠料金を決めていたのか。一定の準拠すべきものがなければだめですよ。あるのですか、それが。具体的に答えてごらん。
  23. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御指摘ございましたように、公衆電気通信法の第一条におきましては「この法律は、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が迅速且つ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」かように書いてございます。ここにございますように「合理的な料金」というのが基本であろうかと思うわけでございます。  それでは「合理的な料金」であるかどうかということをどういうふうに判定をするのかというのがお尋ね趣旨かと思うわけでございますけれども、いろいろな料金の問題と申しますのは、ずっと古い歴史的な一つの経緯の上に立っておるわけでございます。この「合理的な料金」と申しますのは、国内にいたしましても国際にいたしましても、電電公社あるいはKDDというそれぞれの事業体が現状におきましては独占的に行っておるわけでございますので、この事業体経営が合理的な形で行われておってそのコストを回収するに足る料金であるということが、まず基本的な原則であろうかと考えております。
  24. 森中守義

    森中委員 それだけでは世間に向かって合理性を説得するだけの内容にならない。いわば監理官担当者大臣、そこの認定じゃないの。認定でしょう。基準も何も持っていないのだよ。それが今回の事件の、つまり料金人事ということの背景をなしているわけだ。何でこういう不利な点に対してもう少し適切な方法をとらないのですか。ただ電気通信法の「合理的な料金」という、これはいわば概念規定と言うべきだろう。これをもう少し具体的にこうするああするという、こういう仕組みというものがもうとつくの昔にでき上がってしかるべきである。かつて私はそういうことを参議院で言ったことがある。何年たっている、それから。全然やっていないじゃないか。  それから、もう一つ聞きますが、公共料金的なものに対する基本原則を示しておるのが一つあるはずだ。何ですか、それは。
  25. 寺島角夫

    寺島政府委員 基本原則は何かというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、総体として合理的な経営が――良質なかつ安定的な公衆電気通信役務のサービスを提供するという基盤の上に立ちまして、そういう意味でかつ合理的な経営が行われる、そして総体としてそのコストを賄うに足るだけの料金でなければならないというふうに考えておるわけでございまして、ただ、現実に出てまいります個々料金をどうするかという問題につきましては、そういうことを念頭に置きながら、かつまた料金個々制度と申しますのは歴史的な沿革も持っておるわけでございますから、そういうものを踏まえまして総合的に判断をしておるわけでございます。
  26. 森中守義

    森中委員 これは私の質問の仕方が悪かったかもわからぬけれども現行法にきちんと準拠すべき原則というのがあるのですよ。それは何かと聞いておる。それを答えてください。
  27. 寺島角夫

    寺島政府委員 あるいは先生お尋ね意味を私、取り違えたかもしれないと思うわけでございますけれども、先ほど読み上げました公衆法第一条にございます「合理的な料金」というのがやはり基本的な原則であろう、そう考えております。
  28. 森中守義

    森中委員 いまの答弁を聞いていると、ほとんどこういうことに対する関心もなければ、見解も持っていないね。一番大事なことを忘れているじゃないですか。財政法第三条ですよ。これを公共料金認可に当たる者がわきまえずに仕事ができますか、読んでごらん。失格だよ。それが基本原則だよ。
  29. 寺島角夫

    寺島政府委員 財政法第三条でございますが「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」以上のとおりでございます。
  30. 森中守義

    森中委員 大臣、これが公共料金基本原則ですよ。本来ならば、すべからく国会の議決、承認を求めるというのを原則としておる。いま行われているのはいわば例外的なものですね。しかし当然郵政省としてはこういう料金の設定に当たって、さっきからの説明じゃだめです、それじゃだれも納得しない、そういうことでは。その辺が問題なんだな。  もう一つ聞きますが、かつて郵政省がこういうものに対してどういう方式でどういう対応をしたらよかろうかということを第三者機関等に問うたことがありますか。電気通信監理官室ができた。設置法、組織規程、組織令に基づいて所掌は決めてある。それをいわば監理官室のいま言われたような単なる認定によってぽんぽん判こをついてきた、これは最大の問題ですよ。もっと早く第三者にどういう方式によって料金を決めたらよかろうか、こういう配慮があってもいいんじゃないですか。  それからもう一つ関連して聞いておきますが、この財政法三条を受けて、たとえば電気事業法、ガス事業法、国鉄運賃法、道路運送法、郵政省以外の料金認可をやるところではどうやっているか。二、三日前、私は田原何とかという人が書いた「一九八〇年代における日本の官僚」という本を読んだ。あれが世論の集積だと言い切れないにしても、日本の官僚の中で郵政省何と書いてある。つまりいま申し上げるように、公共料金を扱っている電気事業については通産省、ガスについても通産省、国鉄運賃については運賃法というのがある。自動車については道路運送法というのがある。そういうように財政法三条を根拠にしてきちんとした、料金体系を単なる大臣もしくは担当官の認定によるべきでない、実はこういう意見の問い方をして決めているわけです。かつてやったことがありますか。それと、いま私が例示をした電気事業法、ガス事業法、国鉄運賃法、道路運送法、こういうことがどういう仕組みになって料金認可されていっているか、教えてほしい。
  31. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほど御指摘のございました財政法第三条、財政法との関連におきまして現在定められております公衆電気通信法に基づきましてわれわれは業務をいたしておるわけでございまして、事務当局といたしましては現存いたしております実定法の趣旨に沿って運営をするのは当然かと考えるわけでございます。  そこで、先ほどもお答え申し上げましたように、国内公衆電気通信業務料金につきましては基本的なものが法定をされておるわけでございまして、法定となっておりますのは当然国会の御審議を願うわけでございます。そういう意味で法定をされておるわけでありますけれども、そのほかの料金、いわゆる認可料金の扱いにつきましてはそれではどういうふうにするのかという点につきまして、現在、この料金以外の問題でも、法律郵政審議会に諮問をしなければならないと定められているものも幾つかございます。そういうものは当然法の趣旨に沿ってそういう手続をとっておるわけでございますが、法律上そういうことを義務づけられておらないものについても、広く有識者の意見を聞いて認可という行為に当たるという立場から、数年前からと記憶いたしておりますけれども国内公衆電気通信業務の役務の認可料金のうち、利用者の方々の相当多数に関連をするものにつきましては、郵政審議会の御意見を伺って認可をいたすという手続をとっておるわけでございますが、国際公衆のものにつきましてはいままでそういう審議会等に諮問したということはございません。しかしながら、今後のことをいろいろ考え合わせますならば、国際についてもそういう審議会等にかけるべきではないかという御意見は大変貴重な御意見として考えておりますので、そういうことを踏まえまして検討を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、電気、ガス料金等の問題につきましては、それぞれ審議会等に諮問して主務大臣認可をする形になっておろうと承知をしておりますが、そういう点、あるいはまた国際のことに関しますならば諸外国、特に先進諸国が料金の問題について一体どういう体制をとっておるか、これはたとえばアメリカのように民営のところもございますし、あるいは料金が法定制というものが全くとられておらないような国もございますし、いろいろ国によって事情の相違はございますけれども、そういう例も参考にし、念頭に置きながら検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  32. 森中守義

    森中委員 それでその仕組みが大体わかったし、何にもしていないということだな。それがやはり事件一つの底流にある。これが非常に重要ですよ。  では、もう一つお尋ねしますが、日本電信電話公社が、そういう公衆電気通信法の「合理的な料金」という概念もないものだから、それで郵政省に頼んでもしようがないという意味であったのか、公社独自でやったのか、その辺の背景はいろいろあるようだけれども電電公社みずから進んで総裁の私的な諮問機関をつくった。それで適正な利潤とは一体どうあるべきなのか諮問をして答えをもらっている。それ聞いていますか。
  33. 寺島角夫

    寺島政府委員 たしか昭和五十一年と記憶いたしておりますが、国内公衆電気通信役務料金の引き上げに伴います公衆法改正がございましたときの附帯決議の趣旨もございまして、それをも受けまして電電公社におきまして総裁の私的諮問機関といたしまして電信電話諮問委員会というものをつくって、民間の有識者の方々の御意見を伺ったということは承知しておりますし、諮問委員会で御論議をいただきました項目の一つに適正利潤の問題があるということについて、この諮問委員会ではたしか公共的必要余剰という言葉を使っておったと思いますけれども、そういったことの検討がなされたということについては承知をいたしております。
  34. 森中守義

    森中委員 電電公社がそういう措置をとった。きわめて妥当。そういう事実を知りながら郵政省は、電電あるいは国際認可権を持っているにもかかわらず、何でそういうときにそういう措置をとらなかったのか。これは怠慢というのか郵政省のおごりというのか、どういう言い方をした方がいいかわからぬけれども認可を受けようとする者が気をきかして、この二つ認可業務に携わる郵政省が何もしない。そんなばかなことがあってもいいものだろうか。これが郵政省の実態です。事件が発生するのは無理からない。何も国際姿勢だけが責任があるとは言えない、郵政の責任が問われねばならない、こう私は考える。  もう少し聞いてみましょう。電電公社は五十三年の一月、この中で利潤はどの程度が適正であろうかという意見を聞いている。わかっているのですか。ちなみに、けさ毎日新聞で、国際電電の新しい事業計画では、収入が千五百五十億三千万円、前年度の六・三%増、支出が千四百三十六億五千万円、九・五%増、こういう記事を私は拝見いたしました。公社といい国際電電といい、適正な利潤とは一体どの程度のものであろうか。これが料金関係をする。少なくとも料金認可をされる場合に、もちろん人件費もあろう、設備投資もあろう、諸経費もあろう、そういうさまざまな問題を要素として計算をした上で適正な利潤というものは当然一定の基準を設ける必要がある。国際がもうけ過ぎるというけれども、一体適正な利潤というのは何なのか、その限界はどういうものかということを郵政省は指し示していないじゃないですか。これが問題じゃないですか。電電公社の答申にはそれは出ていますよ。適正な利潤とは幾らぐらいですか。
  35. 寺島角夫

    寺島政府委員 恐縮でございますが、電信電話諮問委員会の答申書をただいま手元に持ち合わせておりませんので、具体的な数字についてお答えいたしかねるわけでございますけれども、御指摘のように適正利潤という問題が公益事業あり方と絡みまして、特に料金問題との関連におきまして大変重要な問題であるという認識はかねがね持っておるわけでございます。KDDに対しましても、いわゆるKDD事件が発生いたします前からこの適正利潤についての検討を求めてきたわけでございまして、KDDにおきましても社内的に一応の研究はいたしたわけでありますけれども、なお広く部外の方々、特に有識者、学者の方々等のこれに関します御意見等を伺いながら、適正利潤という問題について一定の結論を早く出したいということで検討を進めておるというふうに伺っておるところでございますし、郵政省といたしましてもこの問題に十分関心を持っておるところでございます。
  36. 森中守義

    森中委員 何ですか、監理官関心を持っているなんて何ですか。むしろ監督立場にあるのでしょう。料金認可をする立場にあるのでしょう。関心を払うというのじゃだめですよ。みずから進んで、料金認可に当たってはどの程度の利潤を確保するのがいいのかという、これが根拠でなくてどうしますか。ないのですか、それは。その根拠がなくて何で料金認可をやっているのですか。今回のこの国際の千五百億ですか、これはいわば総売り上げという意味だろうけれども国際の適正な利潤というのは幾らぐらいなんでしょう。経営の倫理というのか経営基本というのか、そういうのが料金根拠になる。ほかに収入がないわけですからね。副収入も何もない。料金一本ですよ。その料金認可に当たって適正な利潤とは幾らなのか。むちゃくちゃにユーザーに負担をかけるべきでない、それがいわば事業公共性であろうし、基本原則財政法三条に求めているゆえんでもあると私は思う。何でつくらないのですか、こんなものを。しかも、私的諮問機関とはいいながら公社がそういう諮問をして答申を求めた事実を知りながら、それと一体のものとして認可権を持つ側の郵政省はなぜそういう措置をとらぬのですか。ここの責任は大きいですよ。大臣、どうなんです。そういうことがしょっぱなから人事料金だと言うゆえんですよ。やるべきことをやっていないじゃないですか、郵政省は。電電公社であろうと国際電電であろうと、民間の企業と違って利潤追求の機関であってはならない。それを適当にコントロールするために郵政省料金認可権を持つわけですからね。これはもうだれが考えても、監督立場にある者がみずから進んでするべきことじゃないですか。どうです、これは。ただの答弁で下がりませんよ。どうしていただけるのか、こういう状態を。  同時に、一通り関心を持っているというならば、公衆電気通信法の一条で「合理的な料金」というのでは抽象的でだめだから、電電公社みずから進んで適正な利潤とは何なんだろうという諮問をした。その答えは出ている。きわめて適切な措置というべきでしょうね。関心を持っているというならば、国際及び日本電電公社いずれも適正な利潤というカテゴリーについては相違があるはずはない。郵政省は幾らくらいが適正な利潤と考えるか。その構成されるべき要素とは何なのか。具体的に説明願いたい。
  37. 寺島角夫

    寺島政府委員 公企業におきまする適正利潤をどう考えるかという点は、ただいま先生お話しのとおり、私ども大変重要な問題だと考えておりまして、KDDに対しましても早く一定の結論を出すように指導してまいったところでございますし、郵政省といたしましてもこれに対しまして一定の努力はしてまいったと考えておるわけでございます。しかしながら、たとえば適正利潤という考え方も、いろいろ学者の中におきましても必ずしも一定のものばかりではないわけでございまして、たとえば総資本利益率というふうな考え方もございますし、その他いろいろな考え方があるわけでございますので、それを直ちに実際に料金決定に反映をさせるというところまでの固まったものとしてはまだ至っておらないわけでございますけれども、できるだけそういったものに近い理論的な根拠のありますものを策定をいたしまして、そういうものを念頭に置きまして、総体としての料金の問題と申しますか、あるいは合理的な経営あり方と申しますか、そういう点を考えていくことは御指摘のとおり大事な問題と考えておりまして、今後とも努力をいたしていきたいと考えております。  なお、先生よく御案内のとおり、通信事業におきましては、いわゆる総体的な原価の問題と個々料金のそれに対応いたします原価問題というのはまた大変にむずかしい問題がございまして、個別の原価というものを個別の料金で賄えるかどうかという、そういう体系をとり得るかどうかはいろいろな問題がございますので、総体としての原価を総体としての料金収入で償うという形が大体においてとられているのではないか、かように考えておるわけでございます。
  38. 森中守義

    森中委員 これは国際事件犯罪が発生したときに、もう方々から高過ぎる、もうけ過ぎる、不当利潤だ、こういって騒がれた。その責任はひとり国際電電に帰すべきものでしょうか。料金認可をした郵政に責任はないでしょうか。これはどうですか。――わからないですか。事件が発生をして、やれ物だ金だといってばらまいた、そのばらまいた原因というものは、利潤が多過ぎる、高過ぎる、あり余ってしようがないからやったんだ、こういうことが方々で言われている、それで料金を下げろ、これはせんだってからもそういう問題があったわけです。そういうような経過があれば、国際電電がもうかり過ぎたということは、郵政省料金認可したからもうかり過ぎた、こういうことだから、国際だけの責任とは言えないのじゃないですか。もうけさせ過ぎたわけだ、郵政省が。その責任を感ずるならば、あの問題が出たときに、一体料金はこれでよかったのだろうか、適正な利潤とは何だろうか。公社がこういう措置をとっているわけだから、すでにその段階で、遅くはあるけれどもある程度検討に入ってもいいのじゃないですか。その後何をしたのか。いま答弁を聞いていると、いかにもにわかづくりの答弁であって、ちっともそういうことの中身を検討もしていなければ詰めてもいない。それで認可行政と言えますか。  行政管理庁は、こういう郵政省料金の許認可行政に対してどういう見解をお持ちですか。
  39. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  私どもは、かつてKDDに対する郵政省料金認可の実態について監察を行ったことはございません。しかし、先生指摘のような問題も提起されておりますので、私どもとしては、五十五年度に監察を予定しておりますデータ通信の行政監察の中で、回線料金認可等について検討すべく現在勉強しているところでございます。
  40. 森中守義

    森中委員 これは行管の場合、まだそれを中心にやられてないというお話ですが、これは一番大事なことですよ。よくそれは理解してください。  それで、郵政の今日の電気通信監理官室が所管をする認可問題は、行管がよく、もう二回か三回おやりになりましたね、許認可整理法、そういう意味で、実際これは許可認可に付しておくべきものなのかどうなのか、これについて行管は見てもらいたい。これはおのずから軽重があると思う。ところが郵政の設置法に基づいて、一から十までみんなその許認可をやっているわけです。しかも、やってはいるけれども、ちっとも基準というものが、一番大事な原則的なものが一つもない、これが問題です。これはぜひ郵政の特別監察でもやって、そういう許認可整理に入れるべきものであるのか、温存させるべきものであるか、監察をやってもらいたい。  それと、監理官が言われるように、確かにいろいろな要素が積み上げられて適正な利潤というのは決まるでしょう。しかしそれは確かにそれぞれの見解が異なるかもわからぬ。しかし一定の機関なり何なりをつくってやれば答えは出ますよ。現在それを出しているわけだ。そっちをやるかどうかが問題です。おおむねどのくらいだという目見当もつかないのですか。国際のもうけ過ぎということに対して、その批判をどうやって率直に受けとめるつもりですか。今回出されたこの事業計画書の収支というものは、もちろん決算じゃございませんから確定的なことは言えないにしても、この千五百億というのは、いわば適正な利潤から生まれた金額と見るべきであるかどうであるか、それはどうですか。
  41. 寺島角夫

    寺島政府委員 適正利潤のたとえば一定の数値であらわされます率といったものが、幾らが適当である、そしてそれを適用すべきであるという確信の持てるものを現在まだ持つに至っておらないことは先ほど来お答え申したとおりでございます。  御指摘の五十五年度のKDDにおきます収支計画において表明をされております千五百億という収入は、現在の料金、昨年の十二月一日に値下げをいたしたわけでございますけれども、その現行料金に基づきまして業務量の伸びというものを過去の傾向値から推定をいたしまして、現在大体この程度になるのではないかと推算をしておる数字でございまして、それに対しまして、一方、支出の方も一定の支出の計画を立てまして、その結果といたしまして、五十五年度におきます収支計画におきましては、差し引き利益金といたしまして百十一億余が計画をされております。  ただ、これには、先生御案内のとおり昨年の十二月一日に環太平洋地域を中心といたします電話料金並びにテレックスの料金の値下げを行ったわけでございますけれども、引き続きまして、五十四年度の決算状況、経営状況、そしてKDDとしての安定的な良質のサービスの提供を確保する、そういったことを勘案をして、引き下げについてさらに早急に検討して結論を出すように指導いたしておるところでございます。KDDからもそういうふうにしたいという返事をもらっておるわけでございまして、次の値下げというものが具体化をいたしますならば、現在五十五年度の計画に上がっておりますこの百十一億余の利益というものはさらに変更、減少するもの、こういうふうに考えております。
  42. 森中守義

    森中委員 その辺の試算も、何にもないわけだから、ちょっと簡単にできますまい。  しかし、参考までに申し上げておくが、電電公社に対する答申ではこう言っておりますよ。「電電公社においては、公有公益企業としての配当は必要ではなく、また役員賞与は費用化されていること、さらには公社の自己資本比率が低いことを勘案して、自己資本利益率は五-七%とするのがよいであろう。」一定の基準を出している。「なお、総資本利益率としては、公社が負担する利子率との関連も考慮して、六-八%というのが妥当と思われる。」郵政には何にもないわけだから、今日あえて求めるなら、これがいわば適正利潤というその率になるかもわからぬ。何もないわけだから、郵政みずから何にもしていないのだから。電電公社はこの答申をいわば収益率の一つの基準にしていると私は聞いている。こういうものが当然郵政省にも報告されておったと思う。報告を受けながらなぜこういう作業をしない。全く問題ですよ。電電公社国際電電は資本の構成内容等からして多少は違うかもわからない。しかし、大体物の考え方としてはそう変わったものじゃない。一%違ってくるのかあるいは二%違うのか、その程度の変動だろうと思われる。先ほど料金を安くした、こう言われるけれども、これは問題が起きた後であり、その前には為替差益の還元だという問題があった、値下げをしましたよということは、必ずしもこういう一定の基準というのか、準拠すべきものとか、そういうきわめて論理的、現実的な論拠を踏まえたものじゃない。その辺のことはよく反省すべきじゃないですか。  それで、増田社長にお尋ねいたしますが、お聞きのように、郵政には料金認可に当たって当てるべき物差しがないのですよ。精神的なものはある。精神では数字はつくれません。国際電電としては、事件発生と同時に、もうけ過ぎだ、それがばらまきの原因だ、こう言われる。それで、いわば郵政がこの状態だから、国際みずからも料金の設定の基準、こういうものはおつくりになってよかろうし、あるいは電電公社と同じように、一体適正の利潤とはどの程度にあるべきなのか。これは近代産業といいましょうか近代企業といいましょうか、どこでもこういうものはつくっていますよ。その辺は国際としてどうお考えなのか。
  43. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  先ほどもお話が出ておりましたが、会社といたしましても適正利潤率を検討いたしておりました。しかし、まだ現在は結論は出ておりません。これはどうしても出さなくちゃいかぬ、そういうふうに考えております。いままで検討いたしました。これは私の時代ではございませんので、私自身責任を持ってお答えすることはできないのですが、いままで検討いたしました数字を申し上げますと、これは総資本利益率で示す方法と資本報酬率で示す方法と二通りあるそうでございますが、たとえば五十二年度でほかの通信事業体と比較いたしますと、総資本利益率のこれは実績でございますが、KDDが六・二%、それからATTというアメリカの会社がございます、これが五・一%、RCAというのが六・八%、それからITT、これが一五・六%、こういうふうにKDDの相手会社の総資本利益率実績を調べたことがあるそうでございます。そういうところから見ますと、KDDは中間ぐらいのところにあるのじゃないか、こういうふうに数字の上ではなります。  それから、資本報酬率でいく方法もあるそうでございますが、これは私自身不勉強でよくわかりませんが、これは報告書の内容でございますので、会社でつくりました調査の結果でございますが、レートベース方式でまいりますと、外国の場合、先ほど申しましたRCA、ITT、WUIというのが九%、それからコムサットという衛星通信の会社がありますが、そういうところは一一・四八から一二・四八、こういうふうな数字が出ておる。これは、ただいま紹介いたしましたのは、いままでとにかく適正利潤率について、大事なことですから会社としても検討しなくちゃいかぬということで、いろいろ調査研究をした一例として御報告申し上げたわけでございますが、今後、先生のおっしゃいますとおり大変大事な問題でございますので、急いで研究いたしたい、かように考えております。
  44. 森中守義

    森中委員 これは郵政がそうであれば国際もそうであるというわけで、全く世間に向かってこういうものでしたという何物もない。これでは事件が起きるのはあたりまえですよ。同時に、全然近代企業とは言いがたい。  もう一つ聞きますが、こういう料金問題について、経済企画庁長官が、欧州向けも下げるようにいま要請している、こういうことが言われておる。お聞きになっていますか。それから、料金認可の際に、値下げしようという場合、これは根拠ははっきりしていないけれども、経済企画庁、それから物価対策関係閣僚会議というのがある、そういうところには承認を求めているのですか。
  45. 大西正男

    大西国務大臣 KDD料金の値下げ問題につきましては、御承知のように昨年の十一月に一部値下げをいたしまして、そうして、そのことは十二月一日からたしか実施されて今日に至っておると思いますが、その十一月の値下げを認可いたしました際にも、残っておる欧州等の問題についても値下げについて引き続き検討をするように、新しい首脳ができましてからも、さらにそれを含めて全体についても値下げについて検討して早期に結論を出すようにということは私の方から指導をいたしておるところでございます。まだ結論は出ておりません。  値下げの問題につきまして、関係閣僚会議を開いて報告をしたとか検討したとかということはございません。ただ、物価を担当しておる経企庁長官から、ただいまおっしゃいましたように、要請のあったことは事実でございます。しかし、その際に、KDDに対してはこうして指導しておって、KDDとしてもすでに検討に入っておるということを私の方から申したわけでございます。
  46. 森中守義

    森中委員 これは、できるだけ開かれた料金というようなことがこの事件一つの教訓でもあろうと思いますよ。ですから、進んで企画庁と協議をするとか、あるいは閣内の物価問題閣僚会議等にも大臣の方から話題でもいいから出して、そうして、できるだけもう少しすっきりした料金体系をつくらないと、世の中の誤解はいつまでも解けませんよ。  それと、ちょっと具体的に一、二聞いておきますが、せんだって一回聞いたことに関連するのですが、ことしの一月十六日、国際の当時の古池さんに対して、新聞協会の原口喜八という電気通信委員会委員長から申し入れがあっておりますね。これはその後どういう措置をおとりになりましたか。つまり、こういう内容のようですよ。国際専用料金の再引き下げ、これは昨年の十月に一〇%引き下げられたんだが、その後国際電話料金が二四%引き下げられた、まだ自分の方では一四%下げられておらない、均衡がとれぬ、こういう主張のようですが、これは一体どういうことになさったのか。それからいま一つは、やはり新聞関係ですけれども、専用線のプレスレート、これは二五%の割引が公衆電気通信法七十一条で規定されている。にもかかわらず香港が四八%、シンガポールが三八%、こういうような状態の関係を結んでいるんだが、これはどう整理してくれるかということのようですが、これについて何か検討を加えられておりますか。
  47. 増田元一

    ○増田参考人 ただいま検討いたしております。専用線につきましては先ほどもお話がございましたが、今月中に決算の数字が出ますので、それを見ましてどのぐらいの値下げができるだろうかということをまず決めまして、その際に、どういうサービスの料金を下げるかということを検討しておりますが、その中に専用線も入れて検討いたしております。  それから、いま先生が言われましたプレスレートというのはプレスブレティンとかいう特殊なサービスのことだろうと思いますけれども、もしプレスブレティンというサービスでございましたならば、その問題につきましてはいろいろむずかしい問題がございますので、これは少し時間をかけて検討させていただきたいというのが現状でございます。
  48. 森中守義

    森中委員 大臣、ちょっとこの時間をとり過ぎましたが、要するに事件というのは人事問題と料金ですよ。しかもお聞きになってわかるように――大臣もちょっと来られて余り中身を理解される時間もないかもわかりませんが、物の考え方としては大体理解してもらったと思う。公衆電気通信法の中でただほんの一言言ってあるだけだ。基準というものがないんだ。これではやはり公共料金を扱っている省庁のすることじゃございませんね。だから、本来ならばこの国際電電法の改正と同時に公衆電気通信法改正、つまり合理的料金ということを具体的にどうするかという、それを政令にゆだねるとか省令にゆだねるとか、そういう内容でもいいんですが、ただ公衆電気通信法の第一条の合理的料金というだけでは始末が悪い。進んで郵政省は具体的に物差しをつくろうとしてこなかった。しかし、他の関係のところにはきちんと財政法三条を踏まえて一定処理方式が決められているわけです。その場合の高い安いは別ですよ。処理の方式としてはあるんです。いいですか。だから、その辺のことがもっと早く監督官庁としてやるべき最大の仕事じゃなかったのか、こう思いますよ。国際においても、これはむしろ監督を受ける立場とはいいながら、何もひざまずいていくような関係はないわけだから、その立場から、郵政にもどんどんこうしようああしようという意見が開陳されてしかるべきであった。そういうことがないものだから、ぎりぎりのところ人事といわず料金といわず密室の決着になる。全く閉鎖されていますよ。寺島監理官を初め担当官がどういうつもりで料金の決定をしてきたのか知りませんけれども、こんなばかばかしい、世の中でだれが聞いても適当とは思わないでしょうね。それが今回の事件一つの大きな柱になるわけですから、これをどう解明していくのか、どう決着をつけるかというのが、刑事問題を離れたつまり行政サイドとしての処理でなければならぬ、こう私は思うわけです。それがしょっぱなの犯罪目的は何か、事件は何か、こう言ったわけですが、それはこういうものですよ。それが郵政になかった。だから国際も悪いが郵政なお悪い、こう私はあえて指摘をしなければいかぬ、こう思うのですね。  それで、どうなんですか、もうここまで来てしまいましたが、本来ならば国際電電法の改正と同時に、そこまで議論が深まって、公衆電気通信法も一緒に変えていこう、料金の許認可内容も変えていこうという実はここまで配慮があってこそ国際電電事件犯罪の教訓をまともに生かし得たこういうことになると思う。生かされておりませんね。公衆電気通信法、これはどうなさる、料金決定の基準をどうしますか、その仕組みをどうしますか。非常に重要なことですから、事件の再発を防ぐためにも、国際国際電電法によって設置されている会社であれば、それらしい、その名に値するような発展を期待するにはどうしたらいいのか。大臣はせんだって、郵政百年の歴史に汚点を残した、こういう演説をなさったようですが、それが本当に気持ちにおありだと思う。具体的にそういうことを処理するべきじゃないでしょうか。お答えいただきたい。
  49. 大西正男

    大西国務大臣 先生の御意見は、大変貴重な御意見だと思って拝聴しておりました。現在の仕組みが、公共料金いろいろございますが、その公共料金の定め方について、あるいは法律で定めたり、国会の御同意を得て定めたり、あるいは主管大臣認可によって大臣に裁量権を与えて認可をしたり、いろいろなものがあろうと思います。それは現在までの考え方では、その料金国民生活へのかかわり方の差異といいますか、そういうものによってそれぞれ区別をされてきたのではないかというふうに思うわけでございます。認可についても、その認可をする過程において、法定をしてこういう手続を経て認可に達するというやり方もございましょうし、また認可の中には主管大臣に全く裁量権を与えておるといったような多種多様であろうと思います。そういう多種多様なやり方の背景は、先ほど申し上げましたように、それぞれの料金国民生活へのかかわり方が基準になっておるのではないかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、いま先生のおっしゃいましたことは大変貴重な御意見でございまして、大臣の裁量権に付されておる問題についても、いまのお話のように、その運営は外部から見ても適正なやり方であるというふうな国民判断を下せる方法をとった上で裁量権を発動する、こういうやり方にいくことが好ましいことではないかと思います。  ただ、KDDに関しまして、私もいまの御議論を拝聴いたしておりまして、国際電電の利潤といったものがいかなるものが適正であるかということについては、まだ熟した考え方がここに生まれておらない現状である、現状はそうであるということを思うわけでございます。そこで、そういった問題についてもKDDとしても内部においていろいろの意見を聞いて、何かそういった運営については有識者の意見を聞く組織をつくりつつあるやに私も聞いておるところでございますが、その中でその問題が扱われるものかどうか、私はまだ詳しいことを聞いておりませんけれども、そういう自主的な運営をなさる方向に向かっておられるやに聞いております。そういう意味においてまことに好ましいことだとひそかに思っておったところでございますが、郵政内部におきましても、運営の一つの方法として現行法の中でこれを先生のおっしゃるような方向に行くことについての検討については、先ほど監理官からも申し上げましたように、十分誠意をもって検討してみたいと思います。  さらに、将来の立法論といたしましては、この問題をどのように取り上げていくか、また、いまおっしゃいました公衆法との関係においてもどのようにやっていくかということは、これまたその時期が熟してまいりましたならば十分検討して、法改正ということも考えられるときもあろうか、このように思います。いずれにいたしましても、検討させていただきたいと思います。
  50. 森中守義

    森中委員 そのお答えでまあいいのですが、しかし、具体的にある程度時間的に急がなければだめですよ。  それからもう一つ。この電監に関係のあることですが、オリンピックのモスクワからの放送、これは大体どういうことになるのですか。何か政府の方では、日本も参加するとかせぬとか、これからの議論になりましょうが、すでにオリンピックの放送については何か郊外に大きな通信所があって、それからインド洋のインテルサットに入れて山口の地上局におろす、こういう話のようだ。当然これは回線の問題で電気通信監理官室認可申請になるのでしょう。そうですね。その扱いはどうなるのか。その場合どうするつもりですか。
  51. 寺島角夫

    寺島政府委員 御指摘のモスクワとの間のテレビジョン伝送につきます回線設定につきましては、現在まだKDDから認可の申請も何も出ておりません。したがいまして、郵政省といたしましては、そういう認可申請が出てまいりますならば、その申請の趣旨内容等を十分に検討いたしまして適切な判断をいたしたいというのが現状でございます。
  52. 森中守義

    森中委員 これは将来の問題ですからいまは何ともその辺は言えませんが、政府は何か参加しないという方針をお決めになるらしい。その際に国際電電は、オリンピックの放送をやりたいという特定の放送局からの申し出があった、そのために郵政に回線の申請をする。いま寺島監理官答弁はきわめて微妙だね。何を頭に描いているのか知らぬけれども、出てきた内容で検討する、こう言っているのですが、まさかそういうことに政府の方針だから、郵政省国際から認可申請が出てもおろさないよということはないですか。そういう措置はとりませんか。
  53. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま私がお答え申し上げましたのは、いわゆるオリンピック問題ということに対して何かの固定観念と申しますか、そういったものがあって申し上げたのではございませんで、一般的に認可に当たります一般論としてお答え申し上げた次第でございます。
  54. 森中守義

    森中委員 大臣、どうですか。政治的な圧力を加えるようなことはないですか。
  55. 大西正男

    大西国務大臣 まだ政府がそういうふうに決めたということは私は聞いておりません。閣議でいずれそういう問題が出てくるかもわかりませんが、現在の時点におきましては何も聞いておりません。
  56. 森中守義

    森中委員 これはこの程度にしておきますが、必ずいずれかの時期にはその可否をめぐって、まだまだこれは郵政認可をおろしたどうしたという、こういう問題に発展する可能性を予見をいたしますから、そのことを大臣も十分念頭に置いておいていただきたい。  そこで、次の質問に入ります。  もう一つ事件の柱であるいわば人事問題ですね。天下り。これはどうなんですか、今回の事件一つの教訓として、将来もお続けになるのですか。この前大臣が、三月二十七日の参議院の予算委員会で、天下りは非常に効用がある、しかも国際並びに郵政省の双方の業務理解があって、これはむしろ推奨すべきものだというような答弁をされている。これがやはりずいぶん反発というのか、世間のひんしゅくを買っていますね。きわめて不評。いまでもこの考えに変わりありませんか。
  57. 大西正男

    大西国務大臣 この問題は、昭和五十二年の十二月ですか、政府の閣議による決定がございまして、政府の方針が決められておるわけでございます。その方針は、たとえば対象になる、KDDならKDDといたしましても、その社の内外を問わず各界から適切な、有識の有能な人を役員なら役員に選ぶべきであろう、こういうふうに決められておるわけでございます。でございますから、そういう閣議によって決められておりますことについて私がお答えをいたした際に、従来の中でいわゆる天下りといいますか、官庁からその特殊法人の役員として来た人たちについては、閣議に決められておるその組織、組織というのは会社なりあるいは公社なり、そういったものの内外から適当な人として求め得られた人であろう、その範疇の中においてそういう人が求められたのであろうということを踏まえて実は申し上げたことでございまして、十分言葉の足らなかったりあるいは不適切なことであったりしたかもわかりません。その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。
  58. 森中守義

    森中委員 最初申し上げましたように、料金人事、これは何といっても事件の最大の背景ですよ。内部抗争があった、それで株主総会を前にして「口悦」での会談でピリオドが打たれた、こういう経緯があるわけです。しかも、事件に登場した主役といいますか人物を考えた場合に、KDD生え抜きの人は一人もいないじゃないですか。いま収監されている人はもちろん、どこかの会社に、一〇〇%出資の会社に顧問で行った当時の副社長といい、佐藤何某といい、みんな郵政省から行った人ばかりですよ、事件の主役を演じたのは。それなのに、何かしろ郵政省の諸君は、国際でよからぬことをしたからおれたちは被害者だ、こういう被害者意識を持っているというように私は感ずるわけです。すでにもう二十七年から何年たっています。本当に業務の運営上、会社の経営上、郵政省から人を求めなければならぬようなKDDの状態であるかどうか。しかも大西大臣のように清廉潔白な人ばかりならこれはまだいい。しかし大臣は一年か半年でかわるわけですからね。そういう再々、しばしば短期でかわっていく大臣、必ずしも適任者ばかりとは言えないでしょう。いま騒がれている前々大臣などは何ですか、これは。大臣というのは、設置法上郵政省の長は大臣である、こう書いているだけであって、しかしそれは公権と私権を取り違えるような人もいますよ。服部なんという人は明らかにそういう公権と私権を取り違えているんじゃないですか。巨大な権限が集中する、それが人事に用いられたのではどういう人になるでしょう。主役を演じた三名の者ないしは四名の者、みんな郵政省出身じゃないですか。おれは郵政省の出だよ、大臣任命による社長だよ、副社長だよ、何なんだよ、こうなった場合に、問わずに語らずの中に郵政省との癒着がないとは言い切れない。これが天下りの最大の欠陥じゃないでしょうか。ここのところを十分考えなければ綱紀の粛正はできないのじゃないですか。  それで、大臣は少し舌足らずであった、こう言われるのだが、国際の方では大臣とは全く反対のことを言っている。直接受け取りません、拒絶反応が強いわけですよ。それでも、これでどうだと持っていって国際がいやだと言った場合、どうするのです。強権を発動するんですか。また増田社長は、持ち込まれてきた場合に、新聞で言われているように郵政の天下りは拒否する、不正の温床を断つ、こう言っているわけです。それを貫かれますか。ちょっと両者からその辺をどうなさるのか御答弁いただきたいですね。
  59. 増田元一

    ○増田参考人 お答えいたします。  この天下り問題につきましての私の考え方は、会社ができまして二十七年たちまして、すでに会社になって採用いたしました職員が非常に成長してまいりまして、経営の責任を負えるところまで達してきておりますので、今後特に社外から人材を求めなくちゃいかぬという必要はだんだんなくなりつつあるというのが現状だと思います。  ただしかし、非常に公共性の高い事業でございますし、また技術革新の非常に激しい分野でもありますので、こういう独占権という大きな権限を国から与えられております事業でありますので、そういう点を考えますと、当社にとって非常に最適のりっぱな識見あるいは能力を持った方がおありになるとすれば、そういう方が会社にお見えになることを絶対にいけないんだというようなかたくなな考えは私は持っていないわけでございます。いま先生がおっしゃいましたように、私は先ほど申し上げました理由によりまして直接的な天下りは好ましくないということを申しております。それは現在も変わっておりません。もしそういうことがございますれば、私といたしましては御再考をお願いするつもりでございます。
  60. 大西正男

    大西国務大臣 要はKDDがりっぱな会社として発展をしてもらわなければならない問題でございます。そのためにKDDが必要な人材を求められるとすれば求められるわけでございましょう。ただ役員等につきましては私の方が認可をするかしないかという問題があるわけでございますが、その点につきましてはKDDの最高責任者である、トップである社長とも十分意思の疎通を保ちながら、将来もしそういう問題が起こりましたならば対処いたしたいと思います。
  61. 森中守義

    森中委員 いまの増田社長の御意見、ぜひそれは将来も会社の不動の姿勢として貫いてもらいたい。  特に大臣、いまのお言葉を返すようで悪いですけれども、問題は国際電電のトップですね。いまのお答えからいけば、郵政みずからが人選して、さあこれはどうだということじゃないですね。非常に大事なことですよ。会社の方で、増田社長の後は社内の人でこういう適任者がいるからこれをひとつお願いしたい――それは認可権がある以上はね。そういう場合には提示された人名、その人を尊重してお決めになる、郵政から別な者を持っていって、これでなければだめだよ、そういうことはなさらないというように解していいですか。
  62. 大西正男

    大西国務大臣 役員人事は、これは法律の上からは株主総会でお決めになって、そうして内部における手続を経て私の方へ認可を求めてくるという形になろうと思います。ただその前に、株主総会に臨まれるについていろいろと事前の御協議なり御相談なりがあろうかと思います。ですからそれは増田社長、つまりトップによって代表されるKDDの意思というものと郵政省の意思というものがそごしてはおかしなことでございます。ですからこの関係については、法のたてまえはいま私が申し上げましたような順序になるわけでございますが、それをやるについての事実行為としてはその意思がそごしないように運ぶのも常識であろうと思います。でございますから、意思がそごしないようにやっていきたいと思います。
  63. 森中守義

    森中委員 これは極論しますと、会社設立からすでに三十年近い歳月が流れている。もう国際競争に対抗できますよ。それで本来的に言えば、国際電電法の中からこの機会に郵政大臣認可というようなことを削ってしまって、むしろ国際みずからがトップ以下の人事を決める、しかもそれは株主総会というのがあるわけですからね。そういう方式をとった方がかえってすっきりするのじゃないですか。これは法案改正に追加なすったらどうですか。今回の事件を契機に大きな一つ反省が生まれたし、教訓のもとに思い切るところは思い切った、そうすれば郵政との癒着とかなんとか言われずにかえっていいのじゃないですか、大臣。それはさっき申し上げますように、あなたのような人ばっかりならいいですよ。とかく料金であろうと人事であろうと、どこか密室ですべて決められるとか政治的に動いていくということになると、これはもう大変なことじゃないでしょうかね。それがいま指弾を受けている最大の問題である。しかも司直の手もそれを中心に解明されているものだと思うのですが、そこまでは思い切りませんか。
  64. 大西正男

    大西国務大臣 御承知のように、今回のKDD法の改正についてはそういう問題は含めておらないわけでございまして、現在の私どもの検討の結果はそれを含めないということでございますので、御了解をいただきたいと思います。  なお、これは余分なことでございますけれどもKDD二十七、八年の歴史の中で、トップにかつて郵政の官僚であった方もいるわけでございますが、それらの方については問題が起こっておらない、特定の方になってから問題が起こったということもひとつお考え合わせいただきたいと思います。
  65. 森中守義

    森中委員 そんなにちょくちょくあったのではたまったものではありません。しかし、たまにこういう人がある、その根源をたどっていけば、郵政大臣認可というものがあるということが問題ですから、お考えにならなければならないのはその辺ですよ。  私はさっきから申し上げるように、公衆電気通信法改正も必要だろうし、もう一回国際電電法の改正をぜひ近々検討してほしい。これから少し申し上げる内容にも関係いたしますが、そういうことを特にこの際進言しておきたいと思います。  それから、現行法の中で、なぜ今回のような法律改正をしなければならぬのか、つまり不十分であるとする点は何と何と何なのか。ことに申し上げたいのは、十五条の報告事項、これは事件が発生をして、国際からの報告が適当でなかった、そのために十五条を発動して再報告を求める、こういう新聞報道等がかつてありました。だから別にこういうものをつくらなくても、十五条をどのように運用していくのか、その辺が郵政あるいは国際の当事者間である程度協議の上に、統一解釈といいましょうか、これとこれとこれについてはきちんと報告を求めますよという、そういうようなことが円満にとり行われるならば、これは十五条で私は結構だと思う。したがって十五条の運用解釈、これが第一点。  それからいま一つは、収支予算を持ってこい、資金計画を持ってこい、それから貸借対照表、決算報告、営業報告の提出を求めておりますね。検査院の検査対象のこの三つのものの中で、たとえば決算を見る場合に――国際の監査役見えておりますか。監査役というのは商法の中でかなり厳しい地位にあるし巨大な権限がある。こういうものが生かされていったならば、今回のようなことにはならなかったであろうということが一点。  それから、公認会計士がいるのですね。こういう公認会計士などが、これまた公認会計士法で厳しい条件が付されている。これは監査結果というのかあるいは財務報告というのか、大蔵省証券局に出さなければならぬ。仮に虚偽の監査書類をつくった場合には罰せられますよ、即座にいかれる。こういう公認会計士というものがあり、しかも監査役というものがある。この機能が適切に動いておるならば不正は発生しない。したがって会計検査院も無理に引っ張り込む必要もないだろうというふうに思われる。それと、いま申し上げた十五条の運用解釈、こういうものがあれば現行法で大体事足りるのじゃないか。そもそも、会社設立当時の記録はもちろんのこと、戦時中民営から国営に、国営から民営にという変遷の過程にでき上がった国際電電は、極力政府監督は手短にというようなことになっているわけですからね。行管も監察の対象にする、検査院も乗り込んでいくということになると、会社の性格自体がかなり変わってくるんじゃないかというように私は懸念をするわけであります。ですから、今回のような犯罪事件というものが、こういう監督の強化によって果たして防止されるのかどうなのか。その防止の方法は、むしろ天下りをやめて、料金決定の方式をきちんと決めていく、そういうようなことでほぼ尽きるのじゃなかろうか、こういうように思うのですが、大臣提案者としてどうお考えになりますか。  それから国際も、監査役の在来とってきた任務、それと今回発生した事件に対して、何か監査役に落ち度があった、もちろん公認会計士も落ち度があったと思われるが、その辺はどういう見方をされるのか。もう時間が余りありませんから、簡単にお答えいただきたい。
  66. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  先生の御意見というものは大変貴重な御意見だと思いながら拝聴してまいりました。そういう点もございましょうが、ただ、いままでKDDに対する現行法の財務に対する監督あり方がきわめて限定されておるわけでございまして、これでは財務関係から発生する諸種の問題について十分な監督を行うことができないのではないか。そこで、事業計画などのほかに収支予算についても郵政が目を十分に通し得る体制にすべきであろう、そういったことを踏まえまして御承知のような法律改正の御提案を申し上げておるわけでございます。会計検査院の検査の対象に会計を持っていくということもそれを踏まえた上のことでございます。  そういったことをすることはKDD自体の民間の株式会社としての存在、性格を変えていくのではないかという御懸念でございますが、私どもといたしましては、KDD株式会社形態をそのまま存置していきたいと思うわけでございまして、そのことには触れておらないわけでございます。株式会社形態にいたしておりますことは、もう先生十分その発生の経緯等で御存じのところでございますけれども、重ねて申し上げますならば、何と申しましても、国際の事情とか経済情勢とか、そういったものに対しまして、どうしても国際電気通信事業というものを適正に運営をして、そして国際的な地位を確保していく上におきましても、そういった変化きわまりない情勢に対して機動的で、自主的で、適切な対応ができる会社形態というものが好ましい、そのことは発生当時もそうであったけれども、これからもさらに激しくなっていく状況の中でその必要性は今後も一層続いていく、こういう判断のもとに会社形態で存続をしていかせたい、こういうつもりでございます。ただ、その会社の中でいわゆるKDD問題が発生をしたわけでございますので、そのことは、先ほど申し上げておりますように、財務について十分な目を届かせるような監督権限あり方ではなかった、そういうことを反省をして、いま申し上げましたような改正をお願いをいたしておるわけでございます。でありますから、そのことによって会社の本質に変化があるものとは存じておりません。
  67. 増田元一

    ○増田参考人 お答えいたします。  いま大臣がお話しになりましたように、私どもは、株式会社の自主性とそれから機動性を損なわないように十分法改定に当たっては御配慮いただきたい、こういうふうに考えております。
  68. 井本博紹

    ○井本参考人 井本でございます。  会計監査につきましては、先ほどおっしゃられましたように会計監査人の監査を尊重してまいったわけでございますし、私どもとしては最善の努力を払いまして任務を果たしてきたつもりでございましたが、このような不祥事を未然に防ぐことができなかったというのははなはだ残念、まことに遺憾に存じております。  先生がおっしゃられましたように、私個人といたしましては、いまの監査制度というものを伸ばしまして、そうしてこれを強化いたしまして、それからまた内部統制監査、われわれは考査と申しておりますが、考査制度を確立しまして、それから会計監査人監査もわれわれと協力いたしまして強固なものにいたしますことによりまして、十分に現行法内であってもできぬということはないと思います。  しかしながら、国際電信電話株式会社というのはまことに独占企業という特殊な会社でございまして、国家の御方針によってどういうふうに監督されていくかは国家がお決めになって、われわれは従わなければならないものである、そういうふうに私は感じておるのでございます。
  69. 寺島角夫

    寺島政府委員 現行のKDD法第十五条に、御指摘のようにいわゆる命令権とそれから報告聴取権がございます。この報告聴取権につきましては「この法律を施行するため必要な限度において、会社からその業務に関する報告を徴することができる。」と書いてございまして、この法律を施行する限度という、一定の福というものがあろうかと思うわけでございまして、今後ともこの十五条の法の趣旨というものを尊重いたしまして、必要な報告については適時適切に徴していくということにいたしていきたいと考えております。
  70. 森中守義

    森中委員 ちょっと監査役、商法の二百七十四条、二百七十五条、これで監査役の立場というのは非常にはっきりしている。同じ社内にあっても、株主総会の決議というのは別なんだから、ある意味では独立した人格を持っていますよ。それなのにどうして今回の事件が見抜けなかったのか、抑止できなかったのか、これが一つ。  それから、公認会計士は監査法人朝日会計社というところらしいが、これは大蔵省証券局に報告をする場合に、あなた方が目を通すのでしょう。そうなると、しばしば新聞等で言われているのですが、証拠書類が相当部分改ざんされておった、こういう事実がありますね。それを見抜けなかったということなんだろうか。そうなると、公認会計士は虚偽の書類をつくったと言うべきかどうかわからぬけれども、そんな適当なものでしょうか。これは一分で簡単に答えてください。
  71. 井本博紹

    ○井本参考人 先ほどちょっと申し上げましたけれども、できるだけのことをやっとつもりでございましたが、そういうことが出てきたということは実に残念なことでございます。  いまおっしゃられました……(森中委員「見抜けなかったかどうか、それをはっきり言ったらいいのですよ、よけいなことを言わないで」と呼ぶ)確かに見抜けなかったことになっております。それで……(「一緒になって酒なんか飲んでいるからだよ」と呼ぶ者あり)いや全然そういうことはございません。そんなことは全然ございません。
  72. 小林進

    小林委員長 参考人に申し上げますけれども、外部のそんな不規則発言に答える必要はありませんから、問うている質問者にきちっと答えてください。
  73. 井本博紹

    ○井本参考人 どうも失礼しました。  それは確かに抜かったとしか考えられませんけれども、今後そういうことがないようにやることを私たちは念願いたしております。
  74. 森中守義

    森中委員 これは増田社長、いまお聞きのとおりで、見抜けなかったと言われるのだが、見抜け得るような環境になかったと解した方がいいと思う。これでは困る。だからわれわれが、不当な監督権の強化は、いうところの自主性、機動性を失わせる、会社発足の趣旨にもとるではないか、こう言って郵政に強くいま求めているわけです。受ける方の国際の方でも、商法に基づいてきちんとした監査役がいる。しかも株主総会における選出はこれまた別なものである。いわんや公認会計士法に基づく公認会計士を入れておきながら、環境がどうあろうと、このざまでは話にならぬじゃないですか。監査役の辞任を求めなさいよ。公認会計士もかえなさいよ。そのくらい社内できちんとした態勢をとらないと、監督権は強くするなと言っても、社内態勢がこれではだめですよ。それはどうですか。
  75. 増田元一

    ○増田参考人 お答えいたします。  私が聞いております範囲におきましては、一生懸命やったけれども先生がおっしゃるような結果になったということはまことに残念なことでございます。しかし、いま先生がおっしゃいましたことは、今後の問題として承っておきたいと思います。
  76. 森中守義

    森中委員 要するに社長、私どもは、会社発足当時の経緯があるし、自主性、機動性を持たせて国際競争力を強めていかなければいかぬという考え一つあります。この事件を契機に、何でもいいから監督を強めろと、いわばこれはある意味では悪乗りのような気がする、これで果たして国際電電を設立した趣旨に沿うのかどうなのか。少なくとも今日審議に参加する逓信委員は、恐らく世間に向かっては、何でもいいから国際をがんじがらめにくくってしまえと言えば拍手喝采かもわからない、しかしそれではわれわれの務めが済まないという気がするので、私はそれで政府郵政には、監督権はほどほどにしなさい、自主性、機動性を喪失しないようにしなさい、こう言うのだ。国際の中でもそれにこたえてこなければだめですよ。なれ合いではだめですよ。だから、郵政にも言うところは言う、聞かぬところは聞かぬ、そのくらいの姿勢がなくては事件の教訓を将来に生かしていくことにはならぬのじゃないですか。承っておくということは、切りますよという意味だと解釈するし、公認会計士はかえるという意味に解しますからこの程度にして、時間がありませんから、最後に、郵政大臣に多少の意見を付して申し上げます。  今回の法律改正には非常に解せないものが多い。しかも評判も悪いですよ。それは大平さんが昨年の十二月三日に、監督権強化の必要があると思う、こういう発言をした。十二月の末には、監督権強化のための改正案の作業にかかれ、こう言って郵政改正案の作業を命じてスタートした。三月十四日、改正案国会提出。こういうきわめてスピーディーにこの法律改正案が出てきている。  こういう経過を考えますと、郵政省には――さっき私は「口悦」の問題を引き合いに出して、人事料金ですよ、こういうようなお話を申し上げましたけれども、これに対しては全然反応がない。何ら集約されたといいましょうか、そういうものの郵政省姿勢が見られませんね。百十人調査したと言うけれども、それで終わっているし、たまたま少し事新しいというのは、大臣が課長以上を集めて、郵政百年の歴史に汚点を残した、こういう精神訓示に終わっている。しかし、やっていることは何ですか。個人の名前を挙げて恐縮ですけれども、起訴された日高被告と松井清武という宇宙開発事業団の監事、この処分の内容を見てごらんなさい。どういうことですか、これは。郵政が本当に反省の色があったと見るべきでしょうか。松井君の場合には宇宙開発事業団法で、不適当と思われるとき、こういう条項がありますよ。しかもこれは内閣総理大臣人事。起訴事実にすれば全く変わりない。それなのに松井君は即時に罷免されている。宇宙開発事業団にいませんよ。日高はどうですか。なるほど、国家公務員法で、刑事訴追になったならば休職にするという条項はある。この形だけ整えているじゃないですか。六〇%月給を払うというじゃないの。つり合いがとれますか。しかし国家公務員法の中では、人事院と協議をして懲戒の手続をとることができるという例外措置がある。内閣総理大臣も起訴事実を暗に容認して、即座に松井君を切っている。日高は身分をつないでいる。結審まで持っていくつもりらしい。これで、百年の歴史に汚点を残したという訓示をしながら、措置が適当でしょうか。全くつり合いがとれない。それにいたずらに監督権強化ということは、どう考えてみてもロジックが合わない。だから、もう少し全体を見詰めて練り上げた法律改正ならば、これは筋が通ってくる。筋が通りませんよ。さっき申し上げたように、何かしら、国際のために郵政省は被害者になった、そういう被害者意識があるのじゃないですか。しかし、現実に現職の幹部が逮捕され起訴された、その起訴事実、これは一体どういうことですか。少なくとも郵政姿勢を正そうというならば、国家公務員法に特例規定があるわけだから。八十五条を見てごらんなさい。ありますよ。「懲戒手続を進めることができる。」とある。やるべきじゃないですか、そういうことを。私は時間が足りませんから、十分ではありませんけれども意見を付して終わりますが、いまの日高の処分については具体的なものですから、答えてもらいたい。
  77. 大西正男

    大西国務大臣 松井、日高両者の処分が異なっておるわけでございます。御指摘のとおりでございます。その相違がどうしてできておるかということにつきましては、官房長の方からお答えを申し上げます。
  78. 小山森也

    ○小山政府委員 先生指摘のとおり、事件が刑事裁判所に係属している間でも、人事院の承認を経て懲戒処分を行うということはお説のとおりでございます。ただ、人事院に承認を求めるに当たりましても、当該職員が非違行為を犯したという事実を確認するに足る資料、この事実を確認するなどの措置を講じた上処分を行う、こうなっております。  ただいま日高英実君は釈放されておりますが、釈放後日が浅いため、まだ本人、非常にいろいろなこういったことを確認する条件が整っていないということでございまして、いずれ落ちつきましたら本人に事情を確かめ、それ相応の処置をする所存でございます。
  79. 森中守義

    森中委員 官房長、何を言っているの。さっき私が言うように、松井君は内閣総理大臣人事ですよ。しかもこれは起訴事実を中心にしているわけだ。明らかに起訴事実があるのに、確認しなければできないなんてそんなばかなことがありますか。おかしいよ。それがやはり甘いというのか、郵政省公務員相互のもたれ合いというのか、そういうところに、郵政省はこの事件に対し何を学び取り、何を教訓として生かそうかということがないんだ。  人事院、おりますか。――人事院も見えているから……。あの特例というのは、懲戒権者である大臣の責任でできますよ。起訴事実を何と思っているの。起訴事実を否認するというつもりかね。
  80. 金井八郎

    ○金井政府委員 人事院といたしましては、国家公務員法八十五条に基づきまして、郵政省から承認の申請が出ますれば、検討の上速やかに処置する所存でございます。
  81. 森中守義

    森中委員 大変どうもありがとうございました。
  82. 小林進

    小林委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十四分開議
  83. 小林進

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省は今回のKDD事件に関して、巨額の交際費に関しては事件が起こってくるまで知らなかった、こういったことでこれまで答えておりましたけれども、毎年五月ごろKDDから、正規の決算書類のほか参考資料として納税引き当て額の計算説明書、こういったものを出しておりますね。これを見れば税務上の交際費は一目瞭然ですね。にもかかわらず郵政省としてはこれを本当に知らなかったのか、あるいは知っていたが余りそういったものは表に出さない方がいいんだろう、こういうふうに考えてきたのか、その辺をまず御説明いただきたいと思います。
  85. 寺島角夫

    寺島政府委員 現在のKDD法におきましては、利益金の処分というものは大臣認可にかかっておるわけでございますけれども、この利益金の処分についての認可申請がなされます際に、株主総会で承認をされました貸借対照表、損益計算書及び利益金処分案というものがつけられまして提出されるわけでございますけれども、このほかに通常、比較収益明細書、比較費用明細書あるいは比較貸借対照表といったものが説明のための補完資料として事実上提出されておったということはあるわけでございまして、この比較費用明細書等に会社の経理科目の区分上交際費という科目について計上されておりました金額につきましては承知いたしておったわけでございます。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 企業会計上の交際費を五十一年から五十三年まで幾らと報告を受けておりますか。
  87. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま申し上げました会社が経理科目上交際費として経理をいたしております金額でございますが、五十一年度におきましては一億五百万円、五十二年度におきましては一億三千万円、五十三年度におきまして一億四千三百万円と、かように相なっておるわけでございます。
  88. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 五十三年度で見ますと、交際費は税務会計上では二十二億円ですね。一方、いま御説明いただきましたように、企業会計上では一億四千万円という数字が出ております。これが郵政省に報告されていたことになるのです。それは企業会計と税務会計との多少の差はあるにしても、二十一億という差は余りにも高過ぎ、当然疑問を抱くべき点ではなかったでしょうか。
  89. 寺島角夫

    寺島政府委員 お話しございましたように、税務上のいわゆる交際費等と申しますか、会社のコストとして算入されないで課税の対象となります交際費等の金額が、五十三年度におきまして二十二億円余になっておりますことは、この事件KDDからの報告によりまして承知をいたしたわけでございまして、それ以前はこの金額については承知をいたしておらなかった次第でございます。
  90. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それじゃKDDにお伺いしますが、この説明はしなかったのですか。また、そういった書類は行ってなかったのですか。
  91. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  先ほど監理官が申されましたとおり、貸借対照表、損益計算書、その他比較貸借対照表等を提出いたしまして御説明いたしましたけれども、税務上の交際費については特に御説明いたしておりません。
  92. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうじゃないのです。それがわかる書類を出したのかと言っているのです。
  93. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えいたします。  私ども先ほど申しましたような書類を出しまして正式にお答えしたのでございますけれども、そういうような細かい点についての御説明をしたような書類を渡したかどうか確認いたしておりません。
  94. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そういうのではわからない。この二十二億円ということがわかるような書類を出したのか。
  95. 古橋好夫

    ○古橋参考人 たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、現在の時点ではその点確認いたしておりません。
  96. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのときのことを言うているのですよ。何を言っているんですか。出したのか出さないのか。それは郵政省が知らなかったのはわかっていますが、あなたの方が出したのか。
  97. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えいたします。  確認いたしておりませんので、確認さしていただきたいと思いますが……。
  98. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまごろ確認してない、これは問題だね。これだけ大問題になっているものをいまごろわからないというのはどういうことですか。もう一度、社長なりあるいはもっと関係のある者が答えてください。
  99. 増田元一

    ○増田参考人 私自身は直接確認いたしておりませんので、早速調べまして……
  100. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 わかる人が答えるんです。社長じゃなくていい。
  101. 古橋好夫

    ○古橋参考人 大変恐縮でございますけれども、周りにいる二、三の役員に聞きましたけれども、確認いたしておりませんので……。
  102. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省、そのときはわからなかったけれども、その数字はあったんですね。
  103. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほど、利益金処分に当たりまして提出される資料、その他いわゆる任意に事実上提出されておりました資料につきましてお答えを申し上げた次第でございます。それによりましては、この二十二億余という交際費等の金額については把握をいたしておらなかったところでございます。
  104. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうじゃないんだ。前のがあったんだな。把握をしてなかったのはわかっている。あったのかどうなのか。後でわかったのでしょう。それを答えてください。
  105. 寺島角夫

    寺島政府委員 二十二億余というその金額がわかるような資料があったのかというお尋ねでございますが、そういうものはございません。
  106. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、ここには参考になるような、たとえば交際費非課税限度額の超過額、退職引当金超過額、賞与引当金超過額など課税所得の内訳が詳しく記されている、こういったものがあったことは確かなんですね。これを答えてください。
  107. 寺島角夫

    寺島政府委員 御指摘のようなものが提出されておるという報告は、私受けておりません。
  108. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、この問題でどちらがどうということで、いまの論議の中ではちょっと答えそうもないので次に進みますが、これを知っていなかったこと自体、これは郵政省の方にも問題がございます。そしてまた、KDDの方としてはどんな説明をしたのか、その辺がいまだに明らかになっていないこと自体にこれまた大きな疑惑が出てくるわけですが、これだけで時間を費やすわけにいきませんので、次に進みます。  江上前局長と神山事務次官が辞職をされましたが、こういう時期に唐突に人事の更迭劇があるのは、国民の側から見ても非常に不自然でございます。この二人が辞任した本当の理由は何ですか。
  109. 大西正男

    大西国務大臣 先般、四月八日付をもちまして行いました人事異動は、KDD事件に関連する不祥事が発生をいたしまして以来、省内に生じておりました沈滞した空気を一新をし、人心の刷新を図る必要があるとかねてから考えておりまして、五十五年度予算成立と、それから提案いたしております法案審議が本格化する直前の時期をとらえまして、人心刷新の観点から、神山前事務次官に後進に道を譲るよう勇退を求めたものでございます。  また、江上前郵務局長につきましては、同期のだれかが事務次官になりますと他の者は勇退するという官界の不文律がございます。これを尊重するとともに、人心の刷新を図る、こういう観点から同人の退職を求めたものでございます。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こういう事件があったから人心の刷新が必要だ――そうすると、人心刷新ということはこの事件に関連あるのですね。この責任をとったのですね。それを言ってください。
  111. 大西正男

    大西国務大臣 御指摘のように、昨年来KDD事件が発生をいたしまして、これに関連をいたしまして綱紀の保持につきまして国民から強く求められておったところでございます。先般、現職の幹部職員逮捕、起訴される、こういうことになりましたことは、郵政省の長い歴史に汚点を印するだけでなく、郵政行政全般にわたりまして国民の強い不信を招いたわけでございます。郵政行政をお預かりする最高責任者として、責任の重大さをひしひしとはだに感じておるところでございます。  私は、行政というものは国民の信頼を得て初めて的確に機能するものであると考え郵政職員たる者は、この際行政に携わる者としての責任の重さを自覚し、速やかに失われた信用の回復に努力すべきであると考えました。過日、御承知の訓示をいたしましたけれども、この訓示も、このような観点に立って私の真情を述べたものでございますが、責任の重大さあるいは事態の深刻さを認識する余り、どうも職員の気持ちが萎縮をしておるのではないか、また省内の空気が沈みがちになっておるのではないかということも一方において感じたところでございます。  そこで、国民の信頼を回復するためには、不祥事を深刻に受けとめ、反省し、戒め合うにとどまらないで、現状を克服して前向きに取り組む姿勢を醸成して、そうして確固たる行政体制というものの確立を図ることもまた急務であるというふうに考えました。そのための具体的かつ有効な施策として、人事の異動を行うことによりまして、萎縮をした職員の気持ちを解きほぐし、沈滞した空気を一新する必要があると考えたわけでございまして、御承知のとおり、郵政省では近年は大体七月が定期人事異動の時期であります。もちろん、その時期まで待つということも一つの方策かもわかりませんけれども、しかし、省の体制を立て直すということは一日もゆるがせにできない問題でもございます。したがいまして、できるだけ早くそれをやるべきであると考えまして、先ほど申し上げました時期を選んでこれを実施することにしたわけでございます。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題に関しては、たとえば空出張なりいろいろな問題で、いままで鉄建公団なり、あるいは住宅公団なり、環境庁なり、大蔵省なり、通産省なり、いま大臣が言われたとおりいろいろな形でこれは出ていますね。これは、たとえば大蔵省などは次官を戒告処分にしました。鉄建公団においても関係者の減俸、住宅公団においても停職、免職あるいは減俸、戒告、環境庁におきましても官房長の戒告、こういったものが行われておりますが、郵政省、これでいいのですか、これが責任をとったことになるのですか。
  113. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまのお尋ねは、大臣の申し上げましたいまの辞任の問題とは別に、いわゆる今回のKDD事件関係した者において、省内の者に対する処分等についてのお尋ねかとも思います。これにつきましては、私ども内部調査によったところによりますと、かねてから当委員会にも御報告申し上げておるとおりの結果が出ておりまして、いまのところ、そういったような結果から見まして、行政処分に該当する者が現在ないというのが現状でございます。
  114. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 二人も逮捕者が出てそんなことを言っていたんじゃしょうがないですよ、これは。  そこで、今回逮捕された松井、日高両名、これはITUの第三十二回の管理理事会に出ましたね。ところが本来の業務を途中で抜け出して、そして観光旅行に行った。KDDからあらゆる接待を受けた。まる抱えですよね。なおかつ業務を抜け出してまで、そういった形になった。そしてまた、いろいろ疑惑で言われておるのは、もうこれだけにとどまらないのではないか、こう言われておる。郵政省全体にとは言わずに、全体の中にそういった空気が漂ってきておる。  こういう中で、私は本委員会におきましても、過去三年間、いつ、だれが、どこどこへ何の目的で出張をしたか、この資料を出すように言いました。しかし、そのいつ、だれだれが、三年間、こういったものはいまだに出てきていませんね。なぜそういった態度をとるのか。同時に、私も調査した中で、五十三年四月から五十四年十二月までの、課長以上で電波、電気通信関係国際会議、こういったものに参加した人と、その人数と、それから件数、これを教えてください。
  115. 寺島角夫

    寺島政府委員 お尋ねの件のうち電監室関係でございますけれども先生御高承のような事情によりまして現在私どもの手元に書類がございませんので、お答えをいたしかねる次第でございます。
  116. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長、答えてください、人数と件数だけ。
  117. 小山森也

    ○小山政府委員 まことに申しわけございませんが、ただいま資料を持っておらないわけでございます。
  118. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長、私はあなたの方の資料をもとにして聞いているのですから、いいですか、何か勘違いしてはいけませんよ。人数と件数を答えてください、五十三年からでいいですから。
  119. 小山森也

    ○小山政府委員 失礼いたしました。正確な人数はちょっと持っておりませんが、毎年定例開催されておりますITUの管理理事会とか国際電信電話諮問委員会、研究委員会の会合等がありますが、そのほか国際電気通信衛星機構それからインマルサット、国際海事衛星機構の総会というようなことで、大体十二、三回からの会議がございまして、一名のときもございますし、数名出ているときもありますので、平均して大体毎年二十名程度が参加しております。
  120. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それではちょっと細かに、全体といっても大変でございますから、五十三年の四半期、五十三年の四月から九月までの課長以上、これはほんの少しでございますから、出張先国とそれから出張目的、これを答えてください。
  121. 寺島角夫

    寺島政府委員 お尋ねの期間の電監室関係につきましては、同じことを申し上げて大変恐縮でございますけれども、いま当室内に資料、書類がございませんので、お答えをいたしかねることを御了承いただきたいと存じます。
  122. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 官房長、答えてください。
  123. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま監理官が申し上げましたように、正確な人数等の書類がないという状況でございます。
  124. 小林進

    小林委員長 ちょっと郵政側に委員長として申し上げますが、いまの一連のやりとりを聞いておりますと、どうも郵政側には立法府に協力をするという姿勢が見えないと委員長判断をいたしますが、これはいま少しまじめに立法府の要求に応ずるように、ひとつ姿勢を示していただきたいと思います。現実にいまなければ、お帰りになれば必ず何かの形で資料はわかるはずでありますから、後刻でも何でも、正確なものを報告していただきたいと思います。
  125. 小山森也

    ○小山政府委員 委員長に御注意いただきましてまことに恐縮でございます。帰りまして、できるだけ書類を整備いたしまして御報告申し上げることにいたしたいと存じます。
  126. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それじゃ困るんだ。あなたのところからいただいたが、私は、本来三年間、それからだれだれが、名前までちゃんと出して、そして何の目的でどこへ行ったかということを提出せよと言ったのに、そういう態度ではこれはどうしようもならぬ。したがって、概略のものしか私はあなたのところからいただいた資料でしかわからないけれども、それを渡しますから……。コピーあるでしょう。ないの。なかったら渡します。
  127. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま概略のものは持っております。
  128. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうぞ答えてください。出張先と出張期間と出張目的だけでいいです。
  129. 小山森也

    ○小山政府委員 五十三年四月から五十三年九月までというお尋ねだと存じますが、この間に国際電気通信連合管理理事会、国際電気通信連合管理作業部会、それから国際海事衛星機構会議、それからOECDの会議等に六名の者が出張しております。
  130. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 出張先はどこです。
  131. 小山森也

    ○小山政府委員 出張先はスペイン、イギリス、フランス、スイス、デンマーク、西ドイツとなっております。
  132. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この中で特に管理理事会ですが、この間の松井、日高両名が行ったのは三十二回ですね。三十三回に行った五十三年の五月は、いま話がありましたね、英国、スイス、フランス、デンマークですね。この三名に関して、名前と期間とを教えてください。
  133. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいまお尋ねの五十三年度のITU管理理事会に出席いたしました者の氏名についてお答えいたします。  電気通信監理官室からは、当時の監理官でございました江上監理官、それから国際担当の課長をいたしておりました米沢参事官の二人が電監室から参加をいたしております。
  134. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一人電監室じゃないところから参加していますね。答えてください。
  135. 寺島角夫

    寺島政府委員 いま一人は、電波監理局の法規課長が参加をいたしております。
  136. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 名前は。
  137. 寺島角夫

    寺島政府委員 松沢と申します。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この三人で英国、スイス、フランス、デンマーク、間違いありませんね。
  139. 小山森也

    ○小山政府委員 間違いございません。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 三人が全く同じ行動でしたか。
  141. 小山森也

    ○小山政府委員 一名は英国、スイス、フランスでございます。その他の一名はデンマーク、スイス、英国でございます。第三人目はデンマーク、スイス、フランスとなっております。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ついでに出張期間を言ってください。いつからいつまでか。
  143. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほど申しました一番最初の者は五十三年五月下旬から約二週間、これは先ほど申しました英国、スイス、フランスへ行っております。それから第二の者は五十三年五月中旬から約四週間、デンマーク、スイス、英国、第三の者も、この期間は五十三年五月中旬から約四週間、デンマーク、スイス、フランス、これだけ出張しております。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 第一の人は江上さんですか。
  145. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま手元にある資料では、江上と断定するわけにはまいらないわけでございます。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 江上さんは何週間行かれたのですか。
  147. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま申し上げましたように、第一、第二、第三の者がそれぞれだれであるかということについては、いま手元に資料がございません。
  148. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 何週間行かれたかと言っているのですよ。二週間か四週間のどちらかじゃないの。簡単なことですよ。
  149. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいまの私の手元にあります資料では、だれが何週間という形の資料になっておりませんので、第一、第二、第三と申し上げた次第でございます。
  150. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 江上さんはこの管理理事会の終わりごろに参加しましたね。これは間違いありませんね。
  151. 寺島角夫

    寺島政府委員 この会議に江上監理官が参加をいたしましたことは先ほどお答え申したとおりでございますが、いつごろから出発をしたかということにつきまして、資料がございませんので的確にお答えいたしかねる次第でございまして、御了承いただきたいと思います。
  152. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こっちから教えましょう。江上さんは、ここに当時の報道があるのですが、この報道には「国会等のスケジュールもあって、会期の最終週から参加する予定」となっているが、その結果を見ましたところ、本委員会がございました。江上さんは出ています。それは五十三年五月二十五日、本委員会出席しています。日本にいます。この管理理事会はいつから始まったかというと、五十三年五月十五日から六月一日までです。したがいまして、この江上さんが最終に参加した人ですね。
  153. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、当時の江上監理官がいつから参加をしたかということについて明確にお答えいたしかねるわけでございますけれども、御指摘のように、国会等がございます場合に、政府委員でございます監理官が全期間出席をできないという場合は間々あることでございます。
  154. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 五月二十五日に委員会に出ておるでしょう。そんなことがわからないのですか。五月二十五日に本委員会に出ておるのです。もう六月一日で終わるのですから、ほんのちょっと最終で参加しただけじゃないですか。
  155. 寺島角夫

    寺島政府委員 先生お示しの五月二十五日という件は、議事録に基づいてのお話と存じますのでそのとおりだと思いますが、先ほども申し上げましたように、会期の途中でございまして、最初から参加できない事情にある場合が間々あるわけでございまして、そういう場合に、会期のうちの何日か出席をするという形で会議に参加するケースが間々あるということを申し上げておるわけでございます。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では確認しておいてください。それは間違いないのです。  そうしますと、この五月二十五日以降ということは、この管理理事会は五月十五日から始まって六月一日に終わったのですから、ほんの少し参加して、あとは二週間行かれていたわけです。これでいくと英国とフランスへ行ったことになりますね。そうでなかったら、いやそうではない、絶対間違いだ――四週間組だとなれば、デンマークかフランスかあるいは英国です。これは何の目的ですか、言ってください。
  157. 小山森也

    ○小山政府委員 いま現に私の手元にある資料によりますと「国際電気通信連合管理理事出席」となっております。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 管理理事会はスイスで行われたのでしょう。だから、あとどこへ何の目的で行ったのですか。
  159. 小山森也

    ○小山政府委員 開催国がスイスである場合でございましても、飛行機の経路その他往復の場合に寄る国によりまして、そういった国名を発令する場合もございます。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 出張発令はしておりますか。
  161. 小山森也

    ○小山政府委員 一般的に、その目的のために経過する場合には出張発令がつきます。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この江上さんは、三月十九日本委員会で本人が答えているのです。私はスイスのジュネーブへ行くのが目的でございます、この発令を受けているのです、これ以外受けていませんと言っています。矛盾がありますね。
  163. 小山森也

    ○小山政府委員 どのようなその場合の発言であったかはわかりませんけれども、ただ目的地であるところの管理理事会という場所はスイスのジュネーブであったろうと思いますが、その途中の経過地については申し上げてなかったのではないかというような推測も成り立ちます。何分ともこれにつきましては出張地はそのようになっております。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 出張発令はしたんでしょう。もう一度言ってください。出張命令出したんでしょう。
  165. 小山森也

    ○小山政府委員 出張命令は出しております。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 だから、英国とフランスへも行くように出したんですね。
  167. 小山森也

    ○小山政府委員 最初に申し上げておりますように、目的地がスイスであります場合でありましても、その途中においていろいろな便の都合その他で寄るというような経過国があります場合には、経由地としてその国名を発令するということはあり得ることでございます。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 はっきり言いましょう。三月十九日、議事録二十九ページ、江上さんの答えているのは「私の用務地はジュネーブでございまして、ジュネーブだけの出張発令をもらって出張いたしております。」どうなんですか。
  169. 小山森也

    ○小山政府委員 その際の発言がどのようになっているか、私も議事録を見ておりませんのでわかりませんけれども、手元にあります出張命令は、記録によりますと――むろんこれはいま写しそのものを見ているわけではありませんが、記録によりますと、英国とフランスが入っているということでございます。
  170. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これが問題でございます。出張発令が出ていると言いながら、本人は、スイスのジュネーブだけの出張発令をもらって出張いたしました。はっきりとパリへも行っておりませんかと聞いてますよね。行ってません、答えておりますよね。なぜ隠す必要があるんですか。いま答えているじゃないですか。フランスへ行きましたと答えているじゃないですか。なぜ隠したのですか。あなたもそこにいたんだから。三月十九日だ。ついこの間だ。
  171. 小山森也

    ○小山政府委員 あるいは先生のお話と若干食い違うかもしれませんが、私の記憶によりますと、当日の委員会では、経由地を経てと言っておりまして、その経由地がどこであるかは記憶してないというような発言をしたのではないかと承知いたしております。
  172. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 経由地の件は知らないと言っております。覚えてませんと言っております。だが、「私の用務地はジュネーブでございまして、ジュネーブだけの出張発令」、これはどっちが正しいんだ。はっきりしておかないとこれは問題になるよ。ジュネーブだけなのか、それとも英国もフランスも出したのか、それをはっきりしてください。
  173. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほどから再々申し上げておりますけれども、出張発令は英国、フランスが入っております。なお、用務地としてスイスのあるいはジュネーブであったかどこかこの辺はまた別といたしまして、スイスという国名、スイスへ行く場合におきましてその途中のいろいろ経由地がある場合においては途中国の出張発令もするということがあり得るということを申し上げておきます。
  174. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 出張命令簿、出勤簿、旅費等の精算、これは後に私に出してください。そこで、この課長以上三人がなぜスイス以外のところへ何の目的で二週間も――二週間弱です、約十日間です、終わりごろに行ったんですから。何の目的で行ってたのですか、それを答えてください。
  175. 小山森也

    ○小山政府委員 何分とも過去の話でございましてよくわかりませんけれども、具体的個別的にはわかりませんが、一般的に、ただいま申し上げましたように、たとえば経由地、飛行便の関係その他におきまして経由地がこのような形になる場合はあり得るということを申し上げておきます。
  176. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 経由地で言っているんじゃないんだ、目的じゃないですか。この理事会には二十五日以降――十五日はここにいたんですから、まあ二十八日か、その次が日曜日になってきますから、そうすると目的地にはほんのちょっといたんだ。ところが後は目的地でないところへ行っているじゃないの、二週間なんだから。だからそこがはっきりしない限りこの論議は進まなくなる。したがって、これはいま言えといっても無理でしょうから、細かい点を後に私のもとに出していただきたい。  そこで、スイスへ行った。当時、松井、日高、これは途中から抜け出して観光旅行に行った。これは途中から抜け出したかどうか知りません。終わりごろに参加したことは確かです。終わりまでちゃんといたかどうか、それは知りませんが、いずれにせよこの江上さん以外の二人、松沢さん、米沢さん、この二人もやはりかねてデンマークあるいは英国、フランス、ここへ行っておるということは、これは日高、松井と同じ形になってきている。この辺のいろいろなもの、いままでからずっと出ておるいろいろなもの、接待なり旅費なり滞在費なり、あるいはそこでのいろいろなみやげ物なりいろいろなせんべつなり、そういった形でどうなっておるのか、その辺はKDD答えてください、何かあるでしょう。
  177. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  KDDはただいまの地名の中ではパリとロンドン、ジュネーブにそれぞれ海外事務所がございます。ただいまお尋ねの特定の件につきましては私ども報告は受けておりませんが、一般論として申し上げますれば、郵政省の方がお見えになったような場合、社会通念上の儀礼の範囲内での御接待等は行っているものと考えます。
  178. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのとおり。そこでKDDでは五項目の接待内容を出しておりますね。たとえば一番空港送迎、二番会食、三番観光案内、四番記念品、五番便宜供与、こういった形で分けている。たとえば四番記念品、十万円の物を渡せ、こういったときには「4イエス10」と書いてあります。そういう暗号を送ってありますね。どうですか。
  179. 木村惇一

    ○木村参考人 そのような点につきましてはあるいは旧社長室で行われておったかもしれませんが、私どもは存じませんでした。
  180. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうじゃない。暗号を受けたのは現地の人だ。いまもいる人だ。打ったのはその係の人だ。わからぬわけはないじゃないですか。
  181. 木村惇一

    ○木村参考人 早速その点調べたいと思います。
  182. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 よく調べてほしい。  そうすると、私はここでちょっと整理さしていただきますが、私は前の委員会で、五十二年度から出せと資料要求をしました。ところがそれは出ませんでした。私ども調査等で、五十三年の三月から五十四年十二月まで三十二件ですね。人数は延べ三十二人になるか、あるいはダブった人もいるでしょう。これは課長以上の人です。そこではっきりしたことは、江上さんは明らかに二週間です、終わりから参加したのですから。スイスへ行って英国、フランスへ行っています。江上さんと同行した他の二人、どういうふうに同行したかは知りませんが、デンマークへ行っています。あるいはまた同じくフランス、英国へ行っています。この方は四週間。そしてしかも海外出張命令、これがまたはっきりしていません。海外出張命令はスイスのジュネーブだけです。行っておるのに、いま官房長のお答えは、行っているのでしょう、こういう言い方で、経由があるから、あるいはそんな関連のものがあるからという言い方ですが、これははっきりしません。本当に命令が出たのか。出たらまた問題です。何の目的か。目的がない。そして命令が出ないと仮定しますが、そうしますとこれは完全に観光旅行だ。そしてこの三氏の行動とKDDとの接待の関係、これも疑惑が出てまいりますね。そうなってきますとこれは調査しなければなりませんね。調査しましたか。
  183. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいまの件に関連をいたしまして一言お答えを申し上げたいと存じますが、この五十三年の管理理事会に監理官室から当時の国際担当の参事官でございます米沢君が参加をいたしておりますが、彼は会期の全期間にわたってその会議に参加をしておったものと私は考えておる次第でございます。  それからなお、これはその件を離れまして一般的でございますけれども、電監室におきましては外国出張旅費の予算の関係もございまして、いろんな飛行機便、特に安い飛行機便を使うことが多うございます。したがいまして、そういう便の発着回数というものが毎日はございませんので、その飛行機待ちの関係等によりまして日時を要するという場合もございます。あるいはまた、ジュネーブにおきます会議に引き続きましてどこかの都市でまた別の国際会議が開かれる場合に、引き続いて参加をするというケースもございます。いずれにいたしましても、手元に現在書類がありませんので、的確なお答えをいたしかねることをお許しいただきたいと存じますけれども、一般的に申し上げますと、そういうケースはあり得ることであると考えておるわけでございます。
  184. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは警察庁にお伺いしますが、これは五十二年のちょうど一年後、見てもらえばわかるとおり五十二年のときは松井、日高です。これは当然疑惑なり関心なりいろんな形で出てこなくてはならない問題です。松井、日高のみを逮捕して――当然他の官僚への疑惑、これはもういろいろと出てきていますね。  そこで、この一年後の三人の行状に対して捜査の対象になると思いますか。
  185. 漆間英治

    ○漆間説明員 お尋ねの件を含めまして、いわゆるKDD疑惑と称されるものにつきましては、警視庁では幅広くとらえて捜査をいたしておると思います。御質問の点について限って言いますと、事柄が具体的な事柄でございますので、この席で御答弁を申し上げることは差し控えたいと思います。
  186. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 国内においてもやはり「国内出張もKDD丸抱え 郵政官僚、半ば慣行化」と報道にもございますが、まる抱えですね。KDD側が全部出張をキャッチしている。そしてグリーン券なりあるいは旅館、みやげ代まで一切めんどうを見る、出張旅費のすべてがまるまるポケットに入ってくる、こういう形で、こうなってきたならば、海外のものと国内のものと――これは今後の捜査の問題になってきますけれども、松井、日高に責任をかぶせて、それだけで終わりましたというようになったら大変なことになる。本人たちにとっても、自分たちだけがということになりますと大変なことになるのじゃないか。私が申し上げた点は何らかの参考になりますか。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 漆間英治

    ○漆間説明員 たびたびあらゆる席を通じまして御答弁申し上げておりますけれども、警察といたしましては、この件に関しまして刑事責任を問うべき事実があれば厳正に対処するという立場で捜査に当たっております。御質問の件につきましても、そのような態度で臨んでいきたいというように考えております。
  188. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一点だけ警察庁にお伺いしておきますが、江上さん、神山さんがやめたことによって捜査方針に影響はないですか。
  189. 漆間英治

    ○漆間説明員 お二人がやめられたことは私どもも承知をいたしておりますが、格別、現在進めている捜査とかかわりのある事実としてはとらえておりません。
  190. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは増田社長にお伺いしておきますが、今回いよいよKDD法の一部改正、こういったことで、今後こういったことが絶対ないようにしていかなければなりません。そこであなたは、昨日記者会見におきましても、発表のとおり、交際費も三分の一にしますとかいろいろ言っています。パーティー券もいままで社費で買っていたのをやめるようにします。こういうことを言っていますが、あと商品券だとか贈答品だとかせんべつだとか、こういったものはどうなんですか。パーティー券は買うのをやめます、こう言っているのですが、ほかのものはどうするのですか。
  191. 増田元一

    ○増田参考人 やめる方針でございます。
  192. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 やめるということは、いままであったのですね。
  193. 増田元一

    ○増田参考人 経営刷新委員会ができましてそういう方針を決めたということは聞いておりますが、以前にそういう方針があったかどうかは私は存じておりません。
  194. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 あなた、いまやめると言った。やめるということは、いままでやっていたことをやめるということなんです。やってないのをやめると言うのはおかしい。何を言っているんだ。私はこれだけを確認しているだけなんだ。
  195. 増田元一

    ○増田参考人 私が着任いたしましてからはないと思います。
  196. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 あなたのことを言っているのじゃない、いままでのことを言っている。こんなところでとぼけちゃいけない。
  197. 増田元一

    ○増田参考人 私は現実には見ておりませんが、いままでそういうことがあったように伺っております。
  198. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どういうのがありましたか。社長でなくてもいいから答えてください。答えられるものだけ、代表的なものでいいですよ。
  199. 増田元一

    ○増田参考人 代表的なものとしては、盆暮れの社会的儀礼の範囲内の贈り物はあったと思います。
  200. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こう言っても答えないでしょう。それじゃ、時間も迫ってきましたので、決して今後こういったものがないように決めたのでございますので、この精神を堅持していただいて、今後国民に疑惑を持たれるようなことのないようにしていかなければならないことを再度確認しておきます。  そこで、現在KDD法の改正ということで一点だけお伺いしておきたいわけでございますが、第十五条の二に「会計検査院は、会計検査院法に定めるところによるほか、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、会社の会計を検査することができる。」こういうように言っていますね。これは商法上における株式会社の商行為、こういったものにどんな関係が出てくるか、どう解釈したらいいのか、これを説明してください。
  201. 寺島角夫

    寺島政府委員 現在特別な法律に基づきます株式会社の形態をとっております会社におきまして、会計検査院の検査対象となっている例が幾つかございます。代表的なものを申し上げますれば日本航空株式会社などがこれに当たると考えますけれども、今回KDDを会計検査院の検査の対象にするということが、御指摘株式会社の商行為という問題と特段に抵触をするということは何らないものと考えております。
  202. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、同じく今回の法改正による権限強化は、むしろ私が最初に指摘しましたが、報告しているのにわかっていなかった、その中身もよくわかりませんというような、電監室とKDDとのそんな間柄ではこれまた大変なことになってしまう。したがって、こういう権限強化は今後はさらにまた癒着を拡大しないか、こういった懸念が出てくるのですが、郵政省の方としても問題になると思うのです。こういった面で郵政省はどう考えますか。
  203. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御審議いただいておりますKDD法の一部改正案は、KDDの運営の一層の適正を図るという大きな目的のもとに御提案申し上げておるわけでございますが、ただいま御指摘もございましたように、法律が整備をされましてもその法の執行に当たります者、監督の掌に当たります者がえりを正し、厳正に公正な態度で監督に従事しなければならない、そのことによって国民の信頼を得るように努めなければならないということは御指摘のとおりでございまして、今回の事件というものを私ども十分念頭に置きまして、より一層厳正公正にこの職務の遂行に当たっていきたい、かように考えておるところでございます。
  204. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間ですので、こういった一連の疑惑、また逮捕者まで出してこういう事件になった点に関し、今回KDD法の一部を改正するその論議が行われておるわけでございますけれども、この問題に関して郵政大臣に最後に、今後これを通してこういったものがないように、決して国民に迷惑をかけることのないように持っていくという、その御決意を私はお伺いしたいと思います。
  205. 大西正男

    大西国務大臣 先生の御指摘全く同感でございます。したがいまして、その任に当たる者につきまして、公に奉仕する公務員としての立場を十分に自覚をし、再びこういうふうな事件が再発しないように十分気をつけてまいりたいと存じます。
  206. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ありがとうございました。
  207. 小林進

    小林委員長 次に、藤原ひろ子君。
  208. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 今回起こりましたKDD事件は、政官界を巻き込んだ一大疑獄事件に発展をしていると言っても過言ではないと思います。また、こうした中で国民は、KDDが何の目的あるいは動機をもって多額の金品を政官界にばらまいたのか、また、ばらまいた先は一体だれなのか、この点につきまして真相解明を強く望んでいるわけでございます。今日ある程度捜査が進みまして、KDDの前社長であります板野氏や前社長室長の佐藤、また郵政省の元電気通信監理官松井氏あるいは元電気通信参事官の日高氏らが逮捕されているわけでございます。  そこで、郵政大臣お尋ねをいたしますが、これらの状況を踏まえまして、なおかつ今日の時点に立ちまして、今回のKDD事件の真の原因、本当の原因は何であるのか、何だったと考えていらっしゃるか、その御所見をお伺いしたいと思います。
  209. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  本件につきましては、現在捜査当局による厳正な捜査が行われておるところでございます。その捜査の結果を見定める必要があるものと思われるわけでありますが、いずれにいたしましても、今回の事件に関連いたしまして、KDDのみならず直接その監督の任に当たるべき者が、つまり郵政省職員から逮捕者を出すというような事態になりましたことは、公正を期すべき立場にある者としてまことに遺憾に存じております。  事業の運営に当たりましてはその経営責任者の経営姿勢あり方いかんがきわめて肝要な問題でありまして、特に公益事業を営むKDDにあってはこのことは強く要請をされるところだと思います。同時に、国民に対して責任を負う監督官庁として、全体の奉仕者たるにふさわしく職務の公正厳正な執行の徹底を図っていくべきことが重要な問題だと考えております。
  210. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大西郵政大臣は、衆議院の逓信委員会及び各委員会あるいは参議院の予算委員会などでもいまのような御答弁を判で押したように繰り返していらっしゃるわけですが、答弁用紙の答弁用の答弁の繰り返しではなく、真の原因は何なのですかというふうに聞いたわけですが、一歩もその域を出ないということを本日も私は痛感をいたしました。  それでは、KDDの増田社長にお聞きをしたいと思います。あなた方は会社の内部に経営刷新委員会なるものを設置して、当然この事件につきまして会社の内部から調査をしていらっしゃると思います。今回の事件動機とか目的が一体何であったのか、経営刷新委員会調査結果を明らかにしていただきたいと思います。
  211. 増田元一

    ○増田参考人 お答えいたします。  私は、個人的な見解ですが、事件の最も根本的な原因は、経営のトップにある方が公共的な性格の非常に強い事業であるという認識に欠けるところがあった、これが最も根本的な理由であると思っております。それ以外には、組織の問題が一つあると思います。権限が一カ所に集中されまして、何でもできるというような体制でございまして、チェック機能も十分に働かなかった、こういうようなことも原因一つであろうと考えております。  それではその動機目的は何であるか、こういう御質問でございますが、経営刷新委員会の方でそういうような点について詰めたのかどうかということは私は存じませんけれども、これはやはり御当人に聞かないとわからないことではないか、こういうふうに私は考えております。
  212. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは今回の事件が、逮捕されました人物の個人的な資質の問題なのか、いまの御答弁ではそのように聞こえるわけですけれども、あるいはまた、それは会社の経営体質によるものか、一体どちらなんでしょうか。
  213. 増田元一

    ○増田参考人 これも私の個人見解ですが、ただいま捜査当局の手で調べられておりますので、私的な原因なのか、あるいは会社という公の目的のために行われたのか、そういう点については私としましてコメントできない状態でございます。
  214. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは増田社長は、四月八日に起訴されました松井、日高、佐藤の三人の起訴状をお読みになりましたでしょうか。
  215. 増田元一

    ○増田参考人 読んでおりません。
  216. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 起訴状にはこのように書かれているわけです。「佐藤は、社長室次長兼総務課長事務取扱だった西本正と共謀のうえ、同社などにおいて、松井及び日高に対し、同社の費用でイタリア及びスペイン旅行に招待することを約束した。これに基づいて、昭和五二年六月三日から同月一七日までの間、松井、日高両名を、同社が郵政大臣認可申請した「国際海事衛星機構(インマルサット)に関する運用協定の締結に関する件」など多数の案件などの処理に関し、便宜な取計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取計らいを受けたい趣旨のもとに、」「旅行に招待した。」このように述べているわけです。  つまり、このことは個人の資質によるものではなくて、会社の経営体質に根差したものでありまして、組織的な犯罪だと私は思うわけですけれども、あなたはいかがでしょうか。
  217. 増田元一

    ○増田参考人 その起訴状は見ておりませんので、ただいま初めてお聞きしたわけですが、もし起訴状記載のとおりでございますと、大変申しわけないことをした。しかし動機としましては、会社のためにということであったようにいま伺いました。そういう意味では組織に関係があるというふうに考えます。
  218. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 古池会長が経営刷新委員会委員長でしたけれども、増田社長が後を受け継いでおられるというふうに私は認識をしているのですが、このような起訴状さえもお読みになっていないというふうなことではいかがなものかと私は思います。こういうふうに、組織的犯罪だと思われるような起訴状であるわけですね。そうである以上、会社の経営体質に今回の事件を引き起こした土壌そのものがある、こういうことなんです。経営陣全体の責任についてどう受け取っていらっしゃるのか、この点私は社長にしっかりとした――今後の点もございますから、どのような責任を感じていらっしゃるのか。全くない、前の人のことでありまして私の方はわかりません、今後はちゃんとやります、これでは済まないと思います。明らかにしてください。
  219. 増田元一

    ○増田参考人 株式会社でございますので、当然全役員は責任があると考えております。
  220. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは増田社長、あなたはきのう、この逓信委員会を前にされて記者会見を行っておられます。きょうの各新聞に報道されているわけですが、今年度は会社の交際費を八億円余りにするのだ、つまり五十三年度の交際費の三分の一にするのだというふうな発言をなさっていらっしゃいます。三分の一にしたというたら大変縮小したというふうな印象を受けますけれども、もとがもとですから、私どもは、八億円の交際費と驚いているわけなんです。これは一つは問題があるといたしまして、また、その記者会見の席上で、中元や歳暮の贈答についてもあなたは発言されているわけですけれども、この中元や歳暮の贈答についてはどうなさるおつもりなんでしょうか、お尋ねいたします。
  221. 増田元一

    ○増田参考人 こういう大きな不祥事を起こしましたところでございますので、中元とかそういうものは遠慮したい、こういうふうに考えております。
  222. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 遠慮するといいますか、当然そういったものは不必要だというふうに思うのです。新聞報道では、どうも官界に対する中元、歳暮の贈答はやめるけれども、というふうなことが書かれておりましたね。官界に対する中元、歳暮をおやめになる理由は何でしょうか。
  223. 増田元一

    ○増田参考人 御質問があったときに、政界と官界を区別するのか、こういう御質問がありましたので、私の考えは、官界は法律というものがありまして、いま特に問題になっておりますような問題が疑惑を起こしやすいということで、会社としてはやるべきではない、こういうように考えたわけです。  それから政治家の方々に対しまして、もちろん遠慮する考えでございますけれどもKDD以外のすべての特殊会社が、お中元とか社会的儀礼の範囲でそういうことを行うということがあれば、これも日本的な慣習でございますので、KDDとしましてもそのくらいまではさしていただいてもいいのじゃないか、そういう私の個人的な考えで申し上げたわけであります。
  224. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そういうあいまいなといいますか、態度が新聞に報ぜられているわけですね。しかし、いま社長さんの御答弁では、官界はやらない、法律に基づくような、問題があるような疑惑を会社としては起こすべきでない、政界もやらないつもりだがと、だががつくわけですね。官界に対する贈答は一切行わないと言われるのに、どうして政界にはそれが言えないのか。社会的なおつき合いもあるのでとかいまおっしゃいましたね。社交儀礼の範囲を超えないというふうな点ではとか、よその会社なんかも見ながらいろいろ情報を得てやりたいと、いろいろおっしゃっているわけです。しかし、この社会的儀礼を超えない範囲というふうなことは、郵政省も、百十人でしたかの人たちが出てくるのを理事会にも一覧表をお示しになって、AとかBとかいろいろあったのですけれども、社交儀礼、社会儀礼を超えない範囲です、ネクタイやそんなものはもらってあたりまえでしょう、あたりまえとは言われなかったけれども、まあそんなものは日常茶飯事、普通の日本的な慣習ですと言わんばかりのことをおっしゃっていたわけですが、それが大変なことだったというのが今度の問題だと思うのですね。ですから、きちんとこの際、政界、官界、そんな区別なしに、社会的なおつき合いであっても、贈答しなければ会社の運営上何か支障を来すというふうなことでもあるのでしょうか。それがなければ全廃するということが必要ではないでしょうか。いかがでしょう。
  225. 増田元一

    ○増田参考人 線をどこで引くかというのは大変むずかしい問題でございますが、とにかく、当分は政界も官界ももちろんやりません。官界はずっとやりませんが、政界につきましては、将来の問題として、先生のいまの御意見もよく承りまして、検討いたしたいと思います。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、この官界と政界に対して使い分けをしなければならない、ここの理由をお聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  227. 増田元一

    ○増田参考人 区別する必要があるかないか、こういうことでございますが、私が申し上げましたのは、会社だけがそういうことをするというのではなくて、日本の社会がそうであれば、KDDもその社会の一員でございますので、応分のことはおつき合いとしてまあ許されるのではないか。しかし当分はそういうことはいたしませんが、将来の問題としてそういうようなことを考えております。しかし官界につきましては、先ほど申しましたように、これはいたしません。
  228. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 日本の社会のその一員だとおっしゃいますが、その日本の社会では、いまKDDのような事件、多かれ少なかれあるであろうという予測も立つわけですけれども、これだけえげつないといいますか、物すごいことはまあないわけですね。個人であれ会社であれ、とにかくKDDがこういう未曾有の大事件を起こした。そうすると、このKDDの皆さん方が、役員さん方が先頭に立って、こういう日本の社会に警鐘乱打する役割りを果たすべき立場ではないか。そういうことこそ、私は、今後そういう不正、腐敗が起こらないようにやりますという決意のあらわれだと社会も認めると思うのですね。ところが、やはりよそ見をして、きょろきょろしてよそと同じようにやっておこうか、あそこは悪いことをしておるから、ちょっと下ぐらいだったらいいだろうというふうなことにならぬとも限らぬというふうに思うんですね。その点、やはり毅然としてりっぱな態度、そうして日本の風習をつくり上げていく。不正、腐敗で本当に堕落したこういう状態を何とかして食いとめるために、その先頭に立って毅然とするということがKDDの今後果たす役割りではないのでしょうか。
  229. 増田元一

    ○増田参考人 昨日それから本日申し上げましたことは、私個人的な意見でございますので、先生の御意見も十分承りましたので、会社の役員会で十分論議をして、そして二度とこういうような不祥事を起こさないようなそういう線に沿って検討、考えていきたい、こういうように思っております。
  230. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 今度の事件の特徴は、多額の金品を政、官界に対して贈与して、しかもその贈与は当然ある目的を持って行われていた、こういう認識の仕方が今日では常識になってきているわけです。その目的が、会社の運営について便宜や供与を与えてほしいということであり、また収賄側にとっては、贈与を受ける以上、何らかの便宜供与を与えている、このことが今回の事件の大きな特徴だと思うんですね。しかも、それは新聞報道を初めとして、国民一般の常識になってきている、そういう認識だと思うのです。ここに今回の事件の構造的な癒着が生じているわけなのです。そうであります以上、今回の事件反省の上に立って考えるならば、官界に対してはもちろんのこと、政界に対しても一切贈答というふうなことはしない、こういうことが当然だというふうに思うんですね。いま、二度と不祥事を起こさないようにとおっしゃいましたけれども、改めてこの点について私は明確な御答弁をいただきたい。  いま、個人的にはそうなんだけれども、お話を聞いてあなたの意見も参考にしてまた考えましょうということですが、個人として役員会で、それは社会常識のとおりやりましょう、こうなるか知りませんけれども、とにかくこういう事態の一番トップに立たれる社長さんが、こういう構造的な癒着というふうな状況をどう断ち切っていくのか。きのうわざわざ記者会見をされて、官界には出さない、そういう贈答はしない、ここまで決意されたら、政界にももちろんいたしません、個人的にはそうですとおっしゃってこそ、その決意のあらわれだ。そんなことを言ったら社長をやめさせられるというようなことになるわけですか。
  231. 増田元一

    ○増田参考人 社長をやめさせられるか続けるというのか私はわかりませんが、私は一切そういうことは考えておりません。しかし先生のおっしゃいましたことは大変重要なことでございますので、そういう方向に沿いまして考えていきたいと思います。
  232. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひともそういう方向で、こういった日本の腐敗が起こる土壌ですね、これを突き崩すための本当に毅然たる態度をとっていただくことを心から期待を申し上げます。  では、引き続きKDDにお聞きをいたしたいと思います。現在、KDD法の第十一条で「取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議は、郵政大臣認可を受けなければ、その効力を生じない。」こういうふうに定められているわけです。この条文で言いますところの利益の処分ですね、この利益の処分の認可を受けるに当たっては、郵政省にどのような書類を提出していらっしゃるでしょうか。
  233. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  書類といたしましては、国際電信電話株式会社締役社長から郵政大臣にあてまして認可の申請をいたすわけでございますが、さらにそれに添付いたしまして、貸借対照表、損益計算書、利益の処分案を添えることとしております。
  234. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省の様式に基づいて、いまおっしゃいました貸借対照表及び損益計算書及び利益処分案を出されていることはわかっているわけですけれども、それだけではなくて、さらに付属資料としてお出しになっているのではないでしょうか。何を出されているでしょうか。
  235. 木村惇一

    ○木村参考人 ただいま申し上げたのが正式の資料でございまして、それ以外に、説明等を求められた際、随時必要な資料を口頭なりあるいは文書なりで差し上げておるものと解しております。
  236. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、あなたのところの経理部に問い合わせをして聞いたわけですけれども、付属資料として社内の手持ちの資料を、郵政省の求めに応じて分析資料を出している、それは非常に詳細なものなんです。たとえばどんなものがありますかと聞きましたら、比較貸借対照表あるいは比較収益、費用明細書、またその中には納税引き当て額の計算説明書等々、参考資料となるものが十数件提出されているということが明らかになっているのですけれども、いかがでしょうか、出しておられるでしょうか。
  237. 木村惇一

    ○木村参考人 ただいま先生から御指摘のありましたような資料、これを果たして実際に提出しておりますかどうか私存じませんが、必要に応じて、それぞれの場合に応じて出していたというようなことも考えられます。
  238. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 木村さんはいまのところ確認がないようなお答えですが、それは私の方がきちんと確認をいたしました。これはKDDの経理部の財務課長さんから聞いているわけです。求めに応じて出しているかもわからないということですが、これは出しているということなんですね。その上に立ってお尋ねをしたいと思います。  それでは郵政省お尋ねをしたいと思います。納税引き当て額の計算説明書、こういうものも含まれているということですけれども、そうであれば、当然交際費の非課税限度超過額、退職引当金超過額、賞与引当金超過額、こういう課税所得の内訳が詳しく記されているはずです。KDD側の報告で膨大な交際費を知り得る立場にある郵政省としては、これが出されたときに事前にチェックができるはずだというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  239. 寺島角夫

    寺島政府委員 先生御案内のとおり、現在郵政大臣認可事項となっておりますのは利益金の処分でございまして、そういう法の趣旨に沿ってこの事務を行っておるわけでございますけれども、その際提出をされます利益金処分の認可申請に付属をいたしまして、貸借対照表、損益計算書、あるいはその他のものの提出を求めておることはそのとおりでございます。さらにそのほかに、先ほどもお話がございましたが、比較収益明細書とかあるいは比較費用明細書、比較貸借対照表等が説明のための資料といたしまして任意に出されておることがあることについては承知いたしておりますが、ただいまお話しのように、いわゆる膨大な交際費がわかるような資料が提出されておったということについては、私報告を受けておりません。
  240. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 敏腕なる新聞記者の方がこれを書いておられるのですが、四月四日の朝日では「しかも、KDDの経理部長が電気通信参事官クラスに関係資料の大筋を、会計課長が副参事クラスに詳細を説明までしていた。」こういうふうに書いておられるわけですね。そうすると、五十三年度に交際費が二十二億円もあったというふうなことは、この時点でわかったはずだと思うのですね。そういった報告を受けておりませんといういまの御答弁でしたけれども、本当にそうなんでしょうか。
  241. 寺島角夫

    寺島政府委員 利益金処分の認可申請が提出されるに当たりまして、KDDのしかるべき立場の人から、私どもの方の参事官あるいはそれ以下の担当者に対して説明がなされているということは当然あったと思いますが、先ほども申し上げましたように、いわゆる交際費的と申しますか、そういったものがどれだけであったかということがわかるような資料が提出されておったという報告は受けておらないわけでございます。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 御専門のあなたなら、報告をされなくても、この題目を読み上げまして――KDDは出した、私の調べでも出した。そうすると、納税引き当て額の計算説明書も含まれているならば、その中に交際費の非課税限度の超過額であるとか退職引当金の超過額、賞与引当金の超過額、そういった課税所得の内訳がされているというのは、これは素人でもわかることですね。専門家である寺島監理官が、報告は受けておりませんということでお逃げになるということは許されないことだ。だから私は、ここのところで、しかも丁寧に説明までしているそこのところでなぜわからなかったのか、この事件は未然に防げたのではないか、現行法の中でも、この五十三年度の交際費が二十二億にも上っている、これは大変だな、何が起こっているのだろう、何をやっているのだろうと、ここではっきり防げたはずだと思うのです。これはまさしくこういった書類が出ている。しかも説明まで受けていたとお認めになる。これは郵政省がなれ合ってきたという最たるものだと思うのですね。なれ合ってきた郵政省の責任は私は全く重大だというふうに思います。いかがでしょうか。
  243. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほど、利益金処分の認可申請に当たりまして、私どもの方のしかるべき立場にある者が、KDDのしかるべき立場にある人から説明を聞いておるであろうと申し上げましたのは、この処分案の内容あるいは貸借対照表等の内容についての意味で申し上げたわけでございまして、先生ただいま御指摘のように、一目してそういう交際費等がわかるような書類が提出され、あるいは説明を受けたということは報告を受けておりませんし、私自身もそういうものに目を通したことはございません。
  244. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それが怠慢であり、なれ合ってきた郵政省の姿をみずから暴露された。しかるべき立場にある者がしかるべき立場にある人から聞いた、しかし後は報告を受けていない、こんなばかな答弁はないと思うのですね。  さらに郵政省お尋ねをしますが、現行法の第十二条で「会社は、毎営業年度の事業計画を定め、郵政大臣認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」という規定がございます。この事業計画といいますのは、当然事業の計画に伴ってその資金の裏づけあるいは収支の均衡などの書類が提出をされるというふうに思うけれども、いかがでしょうか。
  245. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDD法第十二条に、ただいま御指摘のような事業計画につきまして郵政大臣認可を受けなければならないという条文があることは御指摘のとおりでございます。この事業計画の認可に当たりましては、国際公衆電気通信事業というものが良質なサービスを安定的に提供していく、そしてまた能率的な経営を行いながらそういうものを提供していくということにつきまして必要な設備の整備あるいは拡充、そういったいわゆる設備計画というものを中心に現在までのところこの認可の申請の処理に当たってきたわけでございまして、ただ、その事業計画の裏づけとなります資金計画あるいは収支計画というものにつきましても、これにあわせまして検討をいたしておるわけでございまして、その意味では資金計画あるいは収支計画というものに目を通しておることは御指摘のとおりでございますが、収支計画につきましてはある意味でマクロな形でございまして、収入総体、そして支出の主なもの、そして総体として利益状況がどうなるのか、そしてまた資金計画と申しますのは、一つの現金会計の流れ、そういった設備計画を行うに当たります資金が十分賄えるだけの基礎があるかどうか、そういったことを中心に判断をして従前認可に当たってきたわけでございます。
  246. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、当然そうであるならば、なぜ今回の法改正で資金の計画や収支予算の項目というのを挿入されたんでしょうか。
  247. 寺島角夫

    寺島政府委員 お尋ねのとおり、従来この十二条では事業計画だけが法律上明定をされておるわけでございまして、資金計画あるいは収支計画というものにつきましては事実上の行為としてそれにあわせて見ておったわけでございますけれども、今回それを収支予算並びに資金計画につきまして法律上もこれを郵政大臣認可を要するように改正方お願いをしておりますのは、この財務、会計のあり方につきまして郵政省といたしましていま一歩突っ込んだ監督ができるということが望ましい、またその必要があるという観点でございますし、また他のいわゆる特別な法律によって設立されておりますいろいろな株式会社の例を見ましても、こういうものが大臣認可の対象になっておるケースが多うございますので、そういうこともあわせ参考にいたしまして、今回ただいま御提案しておりますような法改正をお願いしておるわけでございます。
  248. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御説明では、いままで書いてないけれどもきちっと出させていた、今度はわざわざ明記するんだ、その理由は何かということですが、いま一歩突っ込んだ監督が必要だ、だから書くんだというだけではどうもはっきりしないわけですね。  取締役及び監査役の選任に当たっては郵政大臣認可が必要になっているわけですけれども、そこで郵政省お尋ねをしたいと思いますが、株主総会以前にKDDの側から事前に相談はあるんでしょうか、どうでしょうか。
  249. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどのお答えのちょっと不十分な点を補足させていただきたいと存じます。  先ほど、事業計画に関しまして収支予算並びに資金計画というものを認可の対象にするというお答えを申し上げたわけでございますけれども、この点は、今回御審議をいただいておりますこの改正案内容の中に、決算につきましてもいわゆる決算の財務諸表の提出を新たに義務づける、あるいはその会計につきまして会計検査院の検査の対象に付する等、財務、会計面にわたりましての国の監督の強化ということが全体的にこの中に盛られております、その中の一つであるという点の御説明が不十分でございました点をつけ加えさせていただきたいと存じます。  それから、ただいまお尋ねの取締役あいるは監査役の選任並びに解任につきまして、郵政大臣認可事項となっておるわけでございますが、御案内のとおりこういったことは商法上株主総会の事項でございます。したがいまして、現行法で株主総会の議決のみではその効力発生の要件とならないで、KDDの場合はさらにそれに大臣認可というものが加わりましてその効力を発生するわけでございます。ただ、現実問題といたしましてどうかというお尋ねだと思うわけでございますけれども、もし仮に株主総会でたとえばAという人を取締役に選任するという決定をした、しかしそれを郵政大臣認可をしないということがあるといたしますとやはりいろいろな混乱を生じますので、事実問題といたしましては、そういうことが起こらないような事前の調整ということは十分にあり得ることだし、また、それが社会常識的に見ても妥当なこの法の運用ではなかろうか、そう考えております。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 事前に相談はあるようなんですけれども、それではKDDの側はだれがそのことを言いに来て、郵政省の側はだれがその話を聞かれたんでしょうか。
  251. 寺島角夫

    寺島政府委員 恐縮でございますが、私がただいまのポストにつきましてからそのような事例にぶつかっておりませんので、過去のことにどういうランクの方がお見えになって郵政省とどういうふうな話をされたかということにつきまして承知をいたしておりませんので、御了承いただきたいと存じます。
  252. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、そういったことはきちんと記録に残っているのでしょうか。
  253. 寺島角夫

    寺島政府委員 ちょっと質問を聞き漏らしましたので、恐縮でございますが……。
  254. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま、KDD側からだれが来られて郵政省ではだれがその話を聞かれましたかと聞いたら、過去のことだから私は知らない、こうおっしゃったわけですね。それでは、知らないだけでなくて、そういう場合には記録にとどまっているんでしょうか。記録にとどまらないからそういうことは全然わからないということなんですか。
  255. 寺島角夫

    寺島政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、取締役、監査役の選任、解任を郵政大臣認可に係らしめておるこの法の運用という点を円滑に行わしめるための事実的な措置というふうに考えておりますので、そのことが特段に公的に記録に残っておるものではございません。
  256. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 では五十三年の場合はどうだったかということはいかがでしょうか。
  257. 寺島角夫

    寺島政府委員 五十三年に確かに取締役の選任等の問題があったわけでございますけれども、そのときに行われましたことについての記録があるかどうかということでございますが、ただいまのところ御案内のような事情で関係書類が私どもの方にございませんので、確定的にあるとかないとか申し上げかねる次第でございますけれども、先ほど申し上げましたような事実上のこととして行われるということでありますれば、記録がない場合も十分想定されると考えております。
  258. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 五十三年の場合、別に記録がなくてもいいのですけれども、だれが来られてだれに話をされたかということを覚えていらっしゃると思うのですが、いかがでしょうか。
  259. 寺島角夫

    寺島政府委員 恐縮でございますが、五十三年の場合は株主総会がたしか六月の末ごろに開催をされたと記憶いたしておりますので、その当時のことにつきましては、私、一切存じておらない次第でございます。
  260. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 調べたらわかりますか。
  261. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、それに関する書類が残っておりますれば、調べることによって確認をすることは可能であろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたような事情でそういったものが記録としてあるかないかもちょっと確定的に申し上げかねる状況でございますので、その点明確なお答えができないことを御了解いただきたいと思います。
  262. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 五十三年当時に電監室におられた方がまだいらっしゃいますね。そういう方に聞いてもわかりませんか。
  263. 寺島角夫

    寺島政府委員 確かに当時電監室におりました者で現に在職しておる者もございますが、そういうものがあるかないかということにつきましては、いままでそういう角度から聞いたことはございませんので、ただいまどうであるかというお答えをいたしかねる次第でございます。
  264. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それではお確かめをいただいて、私の方にお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、やっていただけますか。
  265. 寺島角夫

    寺島政府委員 当時の責任の地位にありました者で現在在職しておる者がどのくらいの数おるものであるか、ちょっとにわかに思い出せないわけでございますけれども、そういったことが記録として残っておるかどうかという点につきましては一応確認をしてみたいと思います。
  266. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 当時の責任者、いま覚えていらっしゃらなくても名簿で見れば私どもにさえわかるわけですから、そういうもので調べていただいて、聞いていただければ簡単にわかることだと思いますのでぜひお調べいただいて、その結果を御報告いただきたいと思います。もう一度、いかがでしょうか。
  267. 寺島角夫

    寺島政府委員 当時の者に確かめることはいたしてみたいと思いますが、その結果そういった記録があるかどうかにつきましては私どもわかりかねる次第でございまして、あるならばある、ないならばないということで後刻御連絡をいたしたいと存じます。
  268. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは増田社長さんにお尋ねをしたいと思いますが、社長さんは五十二年の株主総会で取締役を一度おやめになっておりますね。このときは自分の意思であやめになったのでしょうか、いかがでしょう。
  269. 増田元一

    ○増田参考人 はい、さようでございます。
  270. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 自分の意思でおやめになったのであれば、どういう理由で、またいつごろ決心をされたのでしょうか。
  271. 増田元一

    ○増田参考人 私は、昭和三十九年に取締役になりまして、ちょうど十三年間取締役として在職さしていただきましたので、もうその年ごろからそろそろ後進に道を譲ることも考える心要があるというふうに個人的に考えておりました。そういうことで、自分の意思でやめたわけでございます。
  272. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 増田さんがおやめになりましたときは、園田元官房長官が当時の小宮山郵政大臣に働きかけて増田さんを役員からおろしたのだ、こういうふうに言われているわけですね。KDDとの強い癒着がうわさをされております服部元郵政大臣新聞記者の皆さんに対して、役員人事について積極的に介入をしていた、こういうふうに言明をしているわけなんです。企業は人が動かしているわけですし、役員が運営しているわけですね。その役員を政府がコントロールしていた、こういうことが今日ずっと明らかになってきているわけですね。これが仮に株主総会で選出をされた役員を機械的に認可をしていたのだということであれば、これらの役員がやりました不正であるとか汚職であるとかいう問題については政府は直接の責任はないと思います。会社の内部問題なんだということで済むであろうと私は思います。しかし事態はそうではなくて、服部さんがこのように新聞記者に対してみずからが発言しているように――まさかうそ八百が書いてあるというふうには私は思いません、四月十二日の読売ですけれども、服部さんが言われるように、自分で人事構想すら持っていてKDDを動かしていた、こう言う人がいるように、政府は事実上役員人事権を握っていろいろな認可権を使ってKDDを今日まで動かしてきていたわけですから、私は政府の責任は大変重い、こういうふうに思うわけなんです。今度の事件の発端であります膨大な交際費の使い方にしても、現行法で十分チェックできたはずだ。先ほど申しましたような書類がKDDの側から提出をされ、添付書類として正式なものと、さうでない、よく理解していただくためにということで求めに応じて出したものが出てきた。出すに当たってはいろいろと説明をしてきた、こういうことであるわけですから、この点についての郵政省監督責任というものは私は非常に重大なものがある、こういうふうに思います。  しかも今度の法改正によりまして、法文上郵政省監督権限が強化されたものになっているわけですね。しかし、この監督権限の強化によって、元電気通信監理官室出身の松井氏であるとか日高氏であるとか、こういう例にも見られますように、その癒着を一層深めてきたのだという――幾ら法律を整備しましても、それを強化するならばもっと深めるおそれさえあるなと私は非常に不安であるわけです。ですから、そういった網の目をくぐってうまいことをしようとか、自己保身のために法を足げにする、くぐり抜けようとする、こういう間違った考え方がいまはびこっている。そういうことがある限り、KDD事件の再発防止はできない。幾ら法律を強化しようともそれはできない。みずからの体質を変えていくみずからの闘いが要る。それには、今日までの疑惑は徹底的に調査もして明らかにする。司直の手にかかっておりますからそれはあちらでやってくれるでしょう、こういうふうに逃げているのでなくて、徹底的にみずからの力でそれを明らかにしていくということも大切だし、また、二度と再び起こらないようにKDD側も、さっきのお歳暮や中元の問題にしても、非常にささやかな問題だ、しかも世間の通例の問題だと思っても、えりを正してみずからを変えていく闘いをみずからの中でやる、これがない限り幾らりっぱな法律をつくってもだめだ。法の網をくぐることにばかり神経を使う状況の中で幾ら強化してもそれはむだだというふうに思うわけです。現在の会社形態とそれを擁護するための監督権限、こういう二人三脚のひもを今日ここで断ち切る必要があると思います。このひもを断ち切らないで幾ら一生懸命法をああだこうだとやってもしようがない。ですから、たとえば許認可の問題にしても、許認可するにしてもその過程をガラス張りにする、そして第三者が見ても公正妥当なものだという評価を受ける仕組みにしていかなければならないのではないかというふうに私は考えるわけです。こういう点につきまして大西郵政大臣見解をお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  273. 大西正男

    大西国務大臣 お答え申し上げます。  幾ら法を整備してもそれを運用する側において姿勢が正しくなければいけないではないか、こういう御意見は全く私も同感でございます。したがいまして、KDDとしては経営姿勢を正していただき、そうしてその経理、会計のあり方、財務の執行の仕方、そういうことについて、これが株式会社であるとはいいながら独占的な公共事業を営んでおりますから、国民期待にこたえていくということが前提であろうと思います。そういう意味におきまして経営姿勢を十分に正していただくということが必要でありますと同時に、これを監督しておる郵政省におきましても、公務員として、全体に対する奉仕者としての原点に立ち返って厳正なる身の処し方をしてもらいたい、それが私の心からの願いでございます。
  274. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま大臣がおっしゃいましたように、幾ら法律を使っても守るべき人たち、執行する人たちがいいかげんな態度ではだめだ、こういうことでございますが、法をネコに小判というふうなものにするのではなくて、そういう点で私どもも十分検討もし、そしてよりよいものをつくっていく、また網の目をくぐらないためのいろいろな取り締まりなども検討していく、強化していくというふうなことを一層やらなければならないというふうには考えます。そういった点につきまして、きょうせっかく出てきていただきましたKDDの責任者の方、社長さん、代表されまして御決意のほどを聞かせていただいて、時間も参りましたので、終わらせていただきたいと思います。
  275. 増田元一

    ○増田参考人 二度とこういう不祥事を起こさないように会社の経営姿勢を正します。それから同時に、本日いただきました先生の御叱正に将来十分こたえるようにわれわれ一同努力をいたしていく考えでございます。ありがとうございました。
  276. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ終わります。
  277. 小林進

    小林委員長 次に、木下敬之助君。
  278. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 このたびのKDD法の改正案審議に当たって、まず明らかにしていただきたいことがあります。それはただいまの藤原委員の質問にも出てまいりましたが、四月四日の朝日新聞によると、KDDは納税引き当て額の計算説明書を毎年提出して説明していたと書いていますけれども、本当でしょうか。
  279. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  先ほど冒頭に監理官が申されましたように、比較費用明細書等詳しいものを差し上げておりますけれども、納税引当金の内容についての詳しい資料を差し上げたかどうか、それについては確認いたしておりませんもので、先ほどそういうふうにお答え申したわけでございます。
  280. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 四月四日にあれだけ新聞に出ているのです。確認してないというのは何もやってないということですか。そういった問題で個人名は上がっておりませんけれども、経理部長が電気通信参事官クラスに大筋を、会計課長が副参事クラスに詳細を、ここまで出ているときに、このKDDの経理部長とか会計課長とかいうのはそんなにたくさんいるのですか。そういった方は五十三年度なら五十三年度にしたって何人もいないでしょう。なぜそれを聞かないと言うのですか。
  281. 古橋好夫

    ○古橋参考人 御質問の趣旨は、税務上の交際費について御説明したかどうかという点だと思っておりましたのですから、その点について御説明したかどうかということを関係者に聞きましたところ、その点についてははっきりしてないというふうに実は聞いてあったものですから、その事実を申し上げたわけでございます。
  282. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 聞いたらわからなかったというのと、聞いてないというのは大分違うわけですね。私ども国民の側からして、これだけ大きな惑疑になっているのをKDD郵政省もどれだけ誠意をもって解明しようとしているか、その姿勢を注目して見ているわけですよ。仮の話で話すなら、陪審員的な目でこういった会話をながめていると思ってください。誠意をもってやっているのか、言い逃れしようと思っているのかというのは問わず語りに出てきますよ。  寺島監理官、前に私が三月六日に質問したときにもこの交際費というものが当時わかっていたのではないか、そういう点について中心的に考えてみたのですが、先ほどの藤原委員の質問に対する御答弁の中で、あなたは報告を受けていないというふうな答え方をしておりましたが、事実と違うのじゃないですか。もう一度その辺をお聞かせ願いたい。私が端的に申し上げたいのは、税引き引き当て額の計算説明書です。これを受け取っていたのでしょう。見せてもらっていたわけでしょう。その辺をもう一度確認してください。
  283. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御指摘のございました書類につきまして、そういう提出があったあるいは説明があったということにつきましては私は報告を受けておりませんと、そういうお答えをしたわけでございます。
  284. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 では、参事官クラスまた副参事官クラス、これもそんな大人数じゃないでしょう、その皆さん方に当たってみたのですか。
  285. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、参事官クラスあるいは副参事官クラスに説明があったと申しましたのは、利益処分の際の利益金処分の認可申請の内容あるいはそれに付属いたしまして貸借対照表等の説明があったであろうということをお答え申し上げた次第でございまして、ただいま御指摘の書類は、私もあの新聞報道を見ましたので、そのことについて尋ねましたところ、そういうものはなかったというふうに私は聞いておる次第でございます。
  286. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その辺、どちらからもはっきりした点に触れてないのに、現実には経理部長と参事官、こういった形で上がってきているのですが、そんな大人数じゃないでしょう。この問題をもっと本当に解明しようとするなら、国民みんなが真の原因を知りたがっているときに重要な問題ですよ。これだけ莫大な交際費が、知っていて見過ごされてきたのか、知らされなかったとかというのは、今回のKDDの法をどういうふうに改正してこういった事件が起こらないようにするかという眼目だと思いますよ。もしこういったことが本当に報告がなされていない、またそこまで説明書を見せてもらいながらその点に気づかない、もしくはそういった書類に記憶がないほどずさんな監督の仕方をしていたのなら、KDD法はKDDに向けてつくるのではなくて、これこれのことをしなければならないという義務を逆に郵政省側に課さなければ解決しないような問題になるじゃないですか。もう一遍その辺は、大した人数じゃないのですから、KDDの側も郵政省の側も厳重に確認してくださいよ。本当にあったのかなかったのか、誠意をもって国民に明らかにしていただきたい。
  287. 小林進

    小林委員長 委員長から申し上げますけれども、これはどうもきょうの委員会における中心的な議題の一つになっておりますが、やはり黙って通せる問題ではございませんので、きょうの日にまだ明確な回答ができないならば、郵政監理官KDD経営者の方で、這般のいわゆる交流の関係等、書類を通じての交渉があったのかないのか話し合いをして、その結果をもう一度当委員会に御報告をいただきたいと思います。
  288. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 ただいまの委員長の発言で、この問題はそこまでにしておきます。  最後に、今度この納税引き当て額の説明書等は、法改正とは関係なしに郵政省としては見せてもらうのか、見ないのか、またKDDとしては当然提出していくと思いますけれども、確認しておきたいと思います。
  289. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御審議をいただいておりますKDD法の一部改正案におきましては、従来決算等に関しまして利益金の処分のみが大臣認可の対象になっておりましたものに加えまして、柱主総会に提出をされますいわゆる財務諸表につきまして、この提出を義務づけておるわけでございます。したがいまして、その限りにおきまして、いままで利益金の処分だけに着目をしておりました監督体制が、さらに財務の内容に突っ込んだ形で目を通して監督をすることができる、かように考えておるわけでございます。
  290. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 KDDの方はどうですか。
  291. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  自後につきましては御説明できるようにいたしたいと思います。
  292. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 それではKDD法の改正についてお聞きいたします。これはいつごろ発案なされて、いつごろから作業にかかって、大体何日ごろに固められた案なのでございましょうか。
  293. 寺島角夫

    寺島政府委員 昨年十月にいわゆるKDD事件というものが起こりまして、その事件の性格等からいたしまして、現在のKDD法に規定をされておりますKDDに対します国の監督あり方についての見直し、反省等も必要なこととなってまいったわけでございまして、自来その検討を続けておったわけでございますが、昨年の暮れの行政改革に関します閣議決定におきましても「国際電信電話株式会社については、その予算及び決算を主務大臣認可等に係らしめるほか、その会計を会計検査院の検査対象とすること等その監督規制の在り方の全面的見直しを行い、所要の法律改正を行う。」ということが閣議決定をされたわけでございます。  こういったことを受けまして郵政省といたしましては、鋭意私どものところで法改正の原案をつくる作業に取り組んでおりまして、三月の中旬と記憶をいたしておりますが、閣議決定を経て国会に御提出をする運びとなった次第でございます。
  294. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 当然、この一連のKDDの密輸、横領、贈収賄、こういった事件関係して出てきたわけですが、この事件、まだ進展中だと私ども考えております。それにもかかわらずこの時期に改正しようという、その理由をお聞かせ願いたい。
  295. 寺島角夫

    寺島政府委員 お答えいたします。  確かにいわゆるKDD事件というものの全体と申しますか、それが現在まだ明らかになっておらないということは御指摘のとおりだと思うわけでございますが、昨年来の事態にかんがみまして、KDDの財務、会計面についての国の監督あり方ということについての見直しが必要であるという認識の上に、先ほどお答え申し上げましたような過程を経まして、その点を中心といたしますKDD法の一部改正を現在御提出いたしたと、かような次第でございます。
  296. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 密輸はこれは社内でやられたことで、その背景はいろいろあるかもしれませんけれども監督を強化する必要があるとも考えますし、横領もまた監督の必要があると思いますが、贈収賄との関係に関しまして監督権を強化するということの是非が考えられると思いますが、その点どうお考えになりますか。
  297. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御審議をいただいておりますKDD法の改正案提出いたしましたのは、KDDという大変に公益性の高い事業を営んでおります事業体、会社の運営につきまして、一層の適正を期するということが最大のねらいでございまして、それ以外には他意のないものでございます。
  298. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 先日の新聞、三月三十一日にも出ておりましたが、官僚の天下りというのが大変問題になってきておる。そういった中で権限の強化と天下りの実績というものは関係があるのではないかと考えられておりますが、どうお考えになりますか。
  299. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま監理官が申し上げましたけれども、今回の法律改正、いわゆる権限の強化ということと監督体制の問題と、それから天下りとの関係につきましては全く関係がないものと考えております。
  300. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 今回の法改正と天下りと関係があるとは申しませんが、権限が強化されれば天下りがふえる、こういうふうに考えておるわけでございます。そういった天下りがいろいろなこういった問題の原因になるのではないかという声もささやかれておる中で、大西郵政大臣は二十六日の参議院の予算委員会で、天下りの効用を説かれたというふうな書き方をしておる新聞を見ましたが、どんなことを言われたのでしょう。またその後、そういった新聞等を読まれたと思いますが、変化はございませんでしょうか。
  301. 大西正男

    大西国務大臣 午前中に森中委員からお尋ねがございまして、先生もし御在席でございましたらお聞きくださったと思いますが、あの際にお答えをいたしましたようなことでございまして、私としては舌足らずであったということを反省をいたしております。
  302. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 それでは、KDDの増田社長にお聞きいたしますが、三月十四日の新聞で、天下りを拒否したというふうな記事を読んでおるのですが、その点、発言はそのとおりですか。
  303. 増田元一

    ○増田参考人 私は単純に天下りを拒否するということを言ってはおりません。私が申し上げましたのは、午前中にも申し上げましたが、会社が二十七年もたちましてりっぱな職員がだんだんふえてまいりまして、今後会社の経営をゆだねるに足る人たちがふえてきておりますので、直接的な天下りは私としましては好ましいとは思わない、そういう発言をいたしました。しかし、会社の非常に高い公共性とか、技術革新が激しい分野でもございますので、非常にKDD経営を託するに足るりっぱな識見、能力を持った方がおありになれば、広く各界からそういう人材を求めるということもかたくなに断ることもないであろう、そういうような趣旨の発言をしたわけでございます。
  304. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 「こういう人事が不正の温床になることも考えられる。」というふうに言っておるように新聞にはあるのですが、その点は事実でしょうか、またそのとおりでしょうか。
  305. 増田元一

    ○増田参考人 そういうことは、あの席で私は言った覚えはございません。
  306. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 御否定なさるならそのとおりでしょうから、それ以上のことはきょうの席の趣旨ではございません。  それでは郵政大臣に、最後にまた一言。先ほど言われて、舌足らずはわかりますけれども監督する立場にある大臣が言われるということは、やはりどんな趣旨であろうとも、そういった方向を少しでも向けば、監督を受けている側にとっては大変な圧力であろうと考えますので、どうかこういった問題に対する見解というものを、不正の温床と言われておるようなことに対する基本的な見解というものをお聞かせいただきたいと思います。
  307. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  これも午前中の御質問でお答えをいたしたところでございますが、昭和五十二年十二月にこういった問題に対する閣議決定というのがございまして、それによりますと、たとえばKDD等法人その他につきまして、その法人の内外の有識者の中からそれに適した人が選ばれるべきであろう、こういうことになっておるわけでございます。でございますから、今後そういう問題に逢着をいたしました際には、それを踏まえた上で適当な人が選ばれるべきである、こう考えておる次第でございます。
  308. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 幾ら慎重にやっても、それが慎重に過ぎることはないと思います。現に、そういった問題が不正の温床になっている例はたくさんあるわけでございますから、どうかよく考えてやっていただきたいと考えております。  このたびの法改正は、許認可権郵政大臣に集中し過ぎると思うのですが、どういうふうにお考えになりましょうか。
  309. 寺島角夫

    寺島政府委員 現行のKDD法は、先生御案内のとおり昭和二十八年に、KDD国際公衆電気通信業務を独占的に扱わせる事業体として、これを株式会社という形態で設立をいたしたわけでございます。そのときに、その事業公共性、公益性にかんがみまして、それに対して国の一定のコントロールというものが必要であるということで、その両者の兼ね合いの上に現行法ができておるもの、そういうふうに考えまして、私どもも従前その趣旨監督に当たってきたわけでございます。  ただ、今回御提案を申し上げておりますのは、そういう趣旨から見ましても、あるいは他の特別法によりまして設立されております株式会社等の例を見ましても、現在御提案を申し上げておりますような財務、会計面につきまして監督権を広げるということは、株式会社であるという形態に対して大変大きな、出過ぎたと申しますか、不当なコントロールを加えるようなものではないというふうに考えておる次第でございます。
  310. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 重ねてお聞きしますが、最初の設立当時に民営形態としてつくったその趣旨との関係をいま一度お聞かせ願いたい。
  311. 寺島角夫

    寺島政府委員 国際公衆電気通信業務につきましては、ずっと戦前からの変遷がございまして、戦前に設備民営と呼ばれておる時代がございました。これは、民間資本によって設立されました会社が設備をつくりまして、国がそれを借り受けまして、業務としては国が行うという体制でまいったわけでございまして、戦後、それが逓信省という形で一本化され、さらにそれが昭和二十四年に郵政省と電気通信省に分かれたわけでございます。このときに、国内国際公衆電気通信業務というものは電気通信省に移ったわけでございますが、二十七年に電気通信省を廃しまして、国内につきましては現在の電電公社という公共企業体という形態をとり、そして国際につきましては株式会社形態をとるという政策決定がなされたわけでございます。そのねらいとしますところは、国際間のいろいろな状況、そして国際的な発展の状況等を勘案いたしますと、国際業務につきましては民間の株式会社として、その株式会社の持つ活力、機動力といったものを十二分に生かす形態の方がより望ましいという一つの政策判断に基づいてそういう形態がとられたものと理解をしておる次第でございます。
  312. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 ただいまの民間の活力、機動力、こういったものが近ごろときどき出てくるのですが、もう少しそれを、具体的にどういう点をとらえておるのか、お聞かせ願いたい。
  313. 寺島角夫

    寺島政府委員 一般的に申し上げまして、運営形態、世界の各国の状況を見ましてもさまざまでございます。国が直接これを行います、たとえば日本が逓信省時代に行っておりましたような国が直接これを行う形、あるいは公共企業体というような形で行う形、それから現在のような株式会社という形で行う形、それぞれを比較をいたしますと、それぞれに対します国のコントロール等の点から考えまして、趣動力、活力というものを株式会社形態の方がより発揮し得る状況にある、かように考えております。
  314. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その機動力とか活力というのは、民間の持っている力というより、いわゆる国が直接した場合の欠点じゃないですか。ですから、民間の活力という言葉を使えば、当然それは利潤の追求、競争による力の発揮、こういうふうに一般にはとられると思います。この点どうお考えですか。
  315. 寺島角夫

    寺島政府委員 国際公衆電気通信業務という一つ事業経営でございますので、その事業経営というものにふさわしい形態ということになりますと、会計面その他におきましても、国が直接やるような形と比べました場合に、よりいろいろな変化に機動的に自由に対応できる、あるいはより能率的な経営ができるという、いわゆる民営の長所と言われております点を評価をし、そういうものの発揮というものを期待をいたして、そういう政策判断がなされたものと考えております。
  316. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 そういう会計面とかの手続の面で言われるのならば、こういうふうに法を強化してすることは設立趣旨と反してくるのではないかと考えておりますし、また先ほど私の申し上げましたように、民間の活力という言葉の場合、その利潤の追求というのが大変大きな問題なんですよ。どうして一生懸命やるかというのは、一生懸命やっただけの収入があるからするのだというごく単純な理屈に基づいて一生懸命民間はやっているわけです。そういった中で、この独占であるKDDがどういった形で利潤を追求していけばよいのか、ある程度のめどというものが欲しいと思いますが、適正な利潤というものに対して、まずKDDはどうお考えになりますか。
  317. 増田元一

    ○増田参考人 適正利潤につきましては、いままで社内でも検討してまいりましたが、まだ御報告を申し上げるところまでの固まった数字は持っておりません。しかし、大変大事なことでございますので、なお検討を続けまして、できるだけ早い機会に設置したいと思っております経営問題委員会、これは外部の方のお集まりを考えておるのですが、そういうところでも適正利潤ということについて御意見を拝聴して、できるだけ早く一つの基準というか、そういうものをつくりたいと考えておる最中でございます。
  318. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 郵政省の方は、適正利潤についてどうお考えですか。
  319. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDDあるいは電電公社のような非常に公益性の高い企業でございますから、株式会社である以上利潤追求があるのではないかというお話が先ほどございましたが、確かに株式会社でございますから、株主への配当ということも当然必要でございます。そういう意味で、一定の利益を上げるために能率的な経営がなされるということは当然あろうかと思うわけでございますが、一面、だからといって、上げました利益を自由に処分をするということになりますと、これはまたその会社が独占的な業務を行っているという性格からいたしまして問題がございますので、利益金の処分、いわゆる社外に流出をいたします金につきまして、郵政大臣認可という形でこれを国のコントロールのもとに置いておる、現行法はそういうたてまえになっておるものと理解をしておるわけでございます。  それで、適正利潤の問題につきましては、御指摘のとおり、こういった公企業の経営というものをどう考えるか、あるいは経営の基盤となります料金問題をどう考えるかという点につきまして非常に大きなかかわりを持つ大事な問題であるという認識は十分に持っておるわけでございまして、その点午前中森中先生からもいろいろお話がございましたが、電電公社におきましても一つ考え方というものを、民間の意見を聞きながらまとめたものがございますし、また、現にKDDにおきましてもそういったものについての検討作業は進めておるというふうに聞いておるわけでございまして、郵政省といたしましても、そういうものを促進し、また郵政省として独自の立場でも、できる限りそういった問題を検討してまいりたい、かように考えております。
  320. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 郵政省の独自の立場でというのはどういった基準で、たとえばどんなことでやるつもりでしょうか。
  321. 寺島角夫

    寺島政府委員 電電公社におきましてもあるいはKDDにおきましても、たとえば例を電電にとって申し上げますと、いわゆる利益金というものは通常の民間企業でいう利益金と多少性格を異にいたしまして、これはいわゆる収支から出てまいります差額でございまして、この差額というものはすべて新しい投資いわゆる設備投資その他に回される財源となるわけでございまして、こういった新しい設備投資に対して必要な財源のうちどのくらいを、減価償却費とあわせまして自己資本で賄うのかという問題であろうかと思うわけでございまして、こういう事情はKDDにおいても変わるものではないと思うわけでございます。ただ、KDDにおきましては、株式会社であるという性格上、株主への配当という問題はあるわけでございますけれども、そういったことを含めまして適正利潤の問題が検討されておるわけでございまして、電電公社総裁の私的諮問機関におきましても、公共的必要余剰という言葉を使っておったと記憶いたしておるわけでございますが、ただこれがどういう手法をとって、それにどのくらいの数値をもってこれを適正とするかという点が大変むずかしい点でございまして、これをある程度固めてまいりますには、部外の専門家の方々の御意見等も十分に伺いながら作業をしなければならない大きな問題であると考えております。
  322. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 これまでは適当にやっていたということですか。適当という言葉が適当でないならば、これまではそういった厳密なものは考えないでやってきたということですか。
  323. 寺島角夫

    寺島政府委員 適当にやってきたのではないかとおっしゃられますと若干抵抗を感ずるわけでございますが、たとえば電電公社の場合、最近でございますと五十一年に料金改正をいたしております。そういう料金値上げをいたします際には、これで何年間もつかということもございますけれども、その料金の上げ幅を幾らぐらいにするのかというときに、やはりこういったいわゆる投資財源というものをどのぐらい見込んでおく必要があるかという観点から、そういうものを一つ頭に置いて作業をすることになろうかと思います。  ただKDDにおきましては、率直に申し上げまして、KDD料金というのは、特に電話料金について申し上げますならば、昨年十二月一日に相当大幅な値下げをいたしたわけでございますけれども、それまでの間は料金はずっとほとんど変わっておらないわけでございます。むしろ自動化の導入等によりまして下がってきたケースも相当あるわけでございます。したがいまして、そういう非常に端的な形で適正利潤という問題にKDDがぶつかったことはあるいはなかったのではないかと思うわけでございますけれども、先ほど来お話しのように、公企業のあり方といたしまして、適正利潤の問題についてはさらに大きな関心を払いながら検討したい、こう考えておるわけでございます。
  324. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 株式会社が配当をするために利潤を追求するというのも一つですけれどもKDDを見ていますと、莫大な交際費を使うためにも相当の利潤追求がなされたのではないか、こういうふうに思いますが、このKDDの適正な交際費というのは、郵政省はどうお考えになりますか。
  325. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDDの交際費がどれぐらいが適正であるかという点につきまして、一定の数値的な基準を設けるということは大変むずかしいかと思いますけれども一つの例で、五十五年度の事業計画を四月の初めに郵政省認可をしたわけでございますけれども、五十五年度のKDDが見込んでおります交際費の額につきましては、その金額がたとえば五十一年度以前のKDDがいわゆる交際費等として使いました金額よりもさらに下回っておること、あるいは他の運輸、通信等の事業におきます売上高に対します他の民間諸企業の交際費の比率等の統計がございますが、そういうものから判断いたしましても大体適正な水準ではないか、かようには考えておる次第でございます。
  326. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 五十一年度よりも低かったから大方よかろう、それから他の企業との比較といいますけれども、こういった問題で交際費にメスが当たったことはいままでになかったのではないかと考えます。そのメスの当たっていないほかの企業と比較なさるのはどうかと思いますが、その点どういうふうにお考えになりますか。――私の質問がわかりにくいですか。KDDは非常に莫大な交際費をめちゃくちゃに使っていたということが明らかになったわけです。ほかの、いま交際費について適正かどうかの論議が全然なされていない企業を対象としてこの際KDDの適正交際費を考えるのはおかしいのではないか、こういうふうに言っているわけです。
  327. 寺島角夫

    寺島政府委員 今回の五十五年度のKDDの収支計画におきます交際費につきましての額は新聞報道等でもなされているわけでございますけれども、従来はいわゆる交際費という経理区分上の科目に計上されましたもの以外の他の科目にいわゆる交際費的なものがございまして、その総額が五十三年度で二億何がしと言われておるわけでございますが、今回はそういったものをすべて交際費という項目に入れまして、この点では非常にすっきりした形をとったものと考えておるわけでございます。  なお、ちなみに、先ほどの数値でございますけれども、国税庁が発表いたしました昭和五十三年度の交際費におきまして、運輸通信公益事業におきます売上高千円について五・八七円を適用いたしますと約八億八千万ということになるわけでございまして、大体他の企業と見合っておるところではないかという点を申し上げた次第であります。
  328. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 他の企業の交際費が適正かどうかの判断がなされないまま、他の企業との比較で言われるのはどうかと私はお聞きしたのですけれども、この際いつまでも行ったり来たりしても仕方がありませんから、次にお聞きしますけれども、独占企業であるKDDにとって交際費というのはどういう意味を持っておるわけでございますか。KDDにお聞きいたします。
  329. 増田元一

    ○増田参考人 交際費といいましてもかなりいろいろな中身がございまして、海外から訓練等にたくさんお見えになりますが、そういう方の接待というようなものも入っております。海外協力の面での費用もこの中に一部入っております。それ以外には、いままでは盆暮れの贈答とかそういうようなこともあったと思います。会社の事業を運営していく上においてやはり交際費というものがある程度は必要ではないか、こう思いますが、ただ、その限度が十億とか二十億とかいうことは必要はない。KDDの過去の例を見ましても五十一年ぐらいまでは十億を下回っておりました。それから、いま監理官の御説明がありました国税庁発表の数字によりましても五十五年度の八億八千万というのは、この程度は必要ではなかろうか、こういうように考えております。
  330. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 先ほどの藤原委員への答弁も聞いておったのですが、社長は、この際不祥事の後だから当分遠慮して、何かそういう感じであるような印象を受けたのですが、いまだからそういうふうにするのですか。
  331. 増田元一

    ○増田参考人 先ほど藤原先生にもお答えいたしましたとおり、そういう盆暮れの贈答とかそういうことは一切やりません。ただ、いままでと比べまして交際費の額を減らしました面としましては、会社の広告宣伝費とかいうような面が――ちょっと私いま内容を詳しく存じておりませんので申しわけないのですが、いろいろ関係の各部に申し渡しまして、五十五年度は八億八千万円の枠内でやるようにという非常にきつい達しをいたしまして、それに応じてくれまして、二十億近かった交際費を八億八千万円まで引き下げたというのが現在の実情でございます。
  332. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 先ほど、経営問題の委員会の設立を考えておられると言われました。そういった中で第三者の意見を聞いていくおつもりがあるでしょうか。
  333. 増田元一

    ○増田参考人 第三者の方ばかりをお願いいたすつもりでございまして、第三者の意見を聞いて、そして(木下(敬)委員「この交際費についてですよ」と呼ぶ)特に交際費についていま考えてはおりませんが、必要であれば……。私が考えておりますのは、長期ビジョンとかあるいは適正利潤とかあるいは今後のデータ通信の問題とか、そういうようなことについて御自由に何でも議題として取り上げることができますので、もちろん交際費につきましても御意見があれば承ることになると思います。
  334. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 こういう独占の企業の横暴から利用者、国民を保護するのにはそういった形は大変いいと思っております。郵政省も、どういう権威のもとに設立するのかわかりませんけれども、この経営問題委員会意見というものは相当重要視なさってやられると思いますが、その点どうでございましょうか。
  335. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま増田社長の方からお答えございましたように、KDDが自主的にそういう組織をつくって広く開かれた意見というものを十分に吸収して、これを経営に反映させていくということは、私どもといたしましても大変に歓迎すべきことではないかと考えております。
  336. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 それでは、会計検査院の検査対象とするという問題についてお聞きいたしたいと思いますが、この会計検査の対象とする理由はどういった点にあるのでしょうか。
  337. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDDの会計につきましては、現在におきましても商法等の規定によりまして会社の機関でございます監査役の監査のほかに、いわゆる外部監査といたしまして会計監査人の監査を受けなければならないというふうに規定されておるわけでございます。今回はその上に加えてさらに会計の執行を会計検査院が検査することができるような改正をお願いしておるわけでございますけれども、その理由といたしましては、御案内のようにKDDが特別の法律によって設立されました株式会社でありますとともに、社会的な諸活動の大変重要な基盤の一つとしてきわめて公益性の高い国際公衆電気通信業務というものを行っておる、しかもそれを独占的に提供しておる企業体でございますので、こういったこの会社の性格にかんがみましてその会計について一層の適正を期するということから、これらの商法等の規定によります現行の監査体制に加えまして会計検査院が検査することができるようにすることが、より適正、適切であろうという判断で御提案を申し上げたわけでございます。
  338. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その必要な会計検査を必要的検査事項としなかった理由はどういうわけですか。
  339. 寺島角夫

    寺島政府委員 御指摘のとおり、現行の会計検査院法によりますと、検査対象を必要的検査対象といわゆる選択的検査対象とに区分をしておるわけでございます。それで、国の出資が二分の一以上を出しておるものにつきましては必要的検査対象に、それ以下のものにつきましては選択的検査の対象にしておるわけでございまして、たとえば日本航空等につきましては必要的検査対象ということになっておるわけでございます。これは、会計検査院が国の収入支出の決算の検査をするということを基本的任務といたしておりますところから、現に国との財政的な関連があるものにつきまして、国の会計との関連性に応じまして検査の態様というものをこういうように二つに分けて規定をしておるものと考えておるわけでございます。  そこで、KDDを会計検査院の検査対象として位置づけるに当たりまして、御案内のとおりKDD政府出資のない株式会社でございますので、他のそういった株式会社の例をも参考にいたしまして、必要的検査ではなくていわゆる選択的検査対象とすることの方が妥当であるという判断でこういう法改正をお願いしておるわけでございます。
  340. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 国の出資や財政的援助のないKDDを検査対象にできる根拠というのはどういった点にあるのですか。
  341. 寺島角夫

    寺島政府委員 会計検査院法によりまして、会計検査院は国の収入支出の決算の検査を行うほか、法律に定める会計の検査を行うこととされているわけでございます。そこで、国の収入支出の検査機関という基本的性格を検査院が持っておることはそのとおりでございますけれども、そのことから直ちに国の出資のない法人の会計検査はできないということではないわけでございまして、そういったことを行った前例というものもあるわけでございます。そこで、先ほども申し上げましたように、KDD事業体としてのそういった公益性の高い性格にかんがみまして、検査院の検査対象にするということは国の出資のあるなしということにかかわらず一つの立法政策として意味のあることであるということで御提案を申し上げておるわけでございます。
  342. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 それでは、会計検査院にお聞きいたしたいのですが、これはどういった観点から検査をするおつもりでございますか。
  343. 秋本勝彦

    ○秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  どういう観点から検査するかという御質問でございますけれども、この法律が施行された暁には会計検査院の検査対象に入るわけでございます。したがいまして、会計検査院法の二十条でございましたか、会計検査院の検査の目的がございますけれども、これは「会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」こういうふうになっておるわけでございまして、KDDにつきましてもそういう観点から当然検査していくわけでございます。もう少し、より具体的に申し上げますならば、やはりまず個々の会計経理の真実性であるとかあるいは経済性であるとかあるいは効率性であるとかあるいはまた合目的性であるとか、そういうようなことを私どもは常に検査の観点としてあらゆる会計経理を検査しておるわけでございまして、そういうような観点で検査をする、そういう所存でございます。
  344. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 重ねて会計検査院にお聞きいたしますが、そういった検査は、この法律が成立した後に何か事件があった場合にやるのか、それともこのたびのことに関して法律の制定を見ればすぐやるのか、その点についてお聞きいたしたいと思います。
  345. 秋本勝彦

    ○秋本会計検査院説明員 この法律が施行されました暁には、直ちに会計検査の対象となるという検査の指定という手続きをいたしまして、それから直ちに検査を実施するということに相なるわけでございます。こういうことの有無にかかわらず、法律が施行されれば検査をするという所存でございます。
  346. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その検査、審査の仕方は、立ち入ってやられたり、書類でやられたりすると思いますが、この場合どういうふうにお考えになりますか。
  347. 秋本勝彦

    ○秋本会計検査院説明員 先生の御案内のとおりでございまして、会計検査院の検査の方法といたしましては、書面検査と実地検査、これが併存しているわけでございます。当然このKDDにつきましても、どういう書類をいただく必要があるのか、またどういう書類をいただけるのかというようなことも具体的に検討しなければならないと思いますけれども、一般論で言えば、やはり書面検査と実地検査を併用して検査をするということでございます。
  348. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 この改正にはいろいろ問題点があるようで、私も修正案のようなものを検討してみたいとも考えておりますが、今後の問題として少しお聞かせ願いたいと思います。  役員の人事国会同意を必要とする等のことを検討する考え郵政省にはございませんか。
  349. 寺島角夫

    寺島政府委員 現在、御承知のとおり、役員につきまして取締役及び監査役の選任、解任につきましては認可事項となっておるわけでございます。そして取締役会の互選によりまして取締役の中から社長あるいは会長が選任されておること、御案内のとおりでございますが、こういった現行の趣旨から考えまして、国会の同意を要するというふうに特にこれを変える必要があるというふうには私ども現在は考えておらないわけでございます。
  350. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 KDDにお聞きいたします。  先ほど話の出ました経営委員会の設置を考えておられるように聞きましたが、この辺をいま一度お聞かせ願って、またその公開を考えておるかどうかもお聞かせ願いたい。
  351. 増田元一

    ○増田参考人 経営問題委員会は、部外の利用者、財界、学界、その他電気通信関係、広く部外から適任と思われる方を十名ほどお願いいたしまして、任期は二年ということで考えておるのでございます。  会議の模様を公開するということは考えておりません。
  352. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 国民の当然の権利の一部を独占してやっておられるわけですから、ここまで問題がいろいろな面から批判を受けたからには、それに対するどういった注文がなされたのか、どういった観点でこの十人を選んだのか、ましてそこでどういう会話がなされたかは当然公開されてしかるべきだと思いますが、いま一度、どういう理由で公開しないと言うのかお聞かせを願いたい。
  353. 増田元一

    ○増田参考人 私は、公開という意味をどなたでも来て傍聴されるというような意味にとったのですが、内容を外部に発表するということは、たとえば記者会見等もございますし、もちろん郵政省にも御報告申し上げますし、いろいろな機会を通じましてそういうパブリサイズの問題は考えております。公開というのを、私どなたでも来て傍聴できるというような意味にとったものですから、公開は考えていない、こう申し上げたわけです。
  354. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 どなたでもと言われると、大変ひどい方を想像すれば問題があるでしょうけれども、その内容について知りたいことは、たとえば国会で知りたければ、速記録は無理としても、ちゃんと全容がわかるような趣旨のものは出していただけるというようなところまではするおつもりでしょうか。
  355. 増田元一

    ○増田参考人 経営問題委員会を設置するということを決めましたのは一昨日でございます。いま国会へ報告するかというお話でございますが、その時点では考えてはおりませんでした。今後考えさしていただきます。
  356. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 それでは、社内の監査体制はどういう形で充実さしていこうと考えておられますか。
  357. 増田元一

    ○増田参考人 昨年の十二月に考査室を設けまして内部考査を強化しようということになっております。一番問題は、五十年度以前におきましては本社も対象にしておったのでございますが、その後、本社は必要はないのじゃないかというような御意見もありまして、やっておりませんでした。それを本社も含めまして、特に本社、支社という管理部門、問題が一番起きそうなところを重点的に毎年しっかりした考査をやるということと、監査要綱の中に本社も含めるということを明記いたしまして、監査要綱を修正する場合には取締役会の決議を経なければできないというふうに改正をむずかしくする。人によりまして必要ないのじゃないかという御意見があって、取締役会にもかけないで簡単に監査要綱を修正できるということにいたしますと問題でございますので、監査要綱をしっかりしたものをつくりまして、簡単には改正できない、こういうふうな点が強化として考えております点でございます。
  358. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 国民も十分期待しておりますから、どうかやっていただきたいと思います。  それでは最後に、KDD法の改正というのはKDDの一連の事件と関連して動いている中で、郵政大臣、先ほど委員長からも話していただきましたが、いろいろな問題について食い違いや現実の面で表に出てない面もたくさんありますので、どうか疑惑の解明につきましてはいま一層の積極的な、この事件の全貌を明らかにするという姿勢を欲しておるわけでございますから、最後に郵政大臣見解をお聞かせいただきたいと思います。
  359. 大西正男

    大西国務大臣 KDD問題をめぐる事件につきましては捜査当局がいま捜査を進めておられる段階でございます。でございますから、私どもとしてはこれを見守ってまいりたいと思います。捜査当局の捜査をなさる目的と私ども行政を厳正公正に遂行していく上にこのKDD問題をとらえる目的とはおのずから相違があることはやむを得ないと思います。私ども行政を公正に執行していく上においてこの問題をとらえた範囲と申しますのは、先ほど来先生も御指摘になっておりますKDDの乱脈な経理の状態とかそういった問題が一方にありますとともに、郵政省監督の地位にある者がその中において不祥事を起こしておる、こういったことでございますので、そういう問題をなくしていく、そして再びこういう問題が発生しないようにそれぞれの立場にある人間が姿勢を正すと同時に、法的に再発防止の対策を講じていく、再発しないように制度上保障していくということが必要だと思いまして、その目的範囲内においてはKDD事件について原因を私どもはつかみ得ておると考えております。したがいまして、それに対応するために今回の法案をお願いいたしておるわけでございまして、その点については御理解の上、何分よろしくお願いをいたしたいと思います。
  360. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  361. 小林進

    小林委員長 次回は、来る二十三日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会