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1980-03-19 第91回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十九日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 堀之内久男君    理事 武部  文君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 藤原ひろ子君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       渡海元三郎君    長谷川四郎君       吹田  愰君    久保  等君       森中 守義君    米田 東吾君       田中 昭二君    竹内 勝彦君       則武 真一君    木下敬之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         郵政政務次官  長谷川 信君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 江上 貞利君         郵政省貯金局長 河野  弘君         郵政省簡易保険         局長      浅尾  宏君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 林  乙也君         郵政省経理局長 守住 有信君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         行政管理庁行政         管理局管理官  武智 敏夫君         郵政大臣官房審         議官      奥山 雄材君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社施設局長   前田 光治君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (日本放送協会         総務室室長)  片岡 俊夫君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員異動 三月七日  辞任         補欠選任   竹内 勝彦君     西中  清君 同日  辞任         補欠選任   西中  清君     竹内 勝彦君 同月八日  辞任         補欠選任   則武 真一君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     則武 真一君 同月十四日  辞任         補欠選任   久保  等君     武藤 山治君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     久保  等君 同月十八日  辞任         補欠選任   久保  等君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     久保  等君     ――――――――――――― 三月十七日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)  日本放送協会昭和五十三年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 同月十二日  弱視児用拡大図書郵送料免除に関する請願  (本郷公威君紹介)(第二二五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
  3. 野口幸一

    野口委員 まず最初に、大臣お尋ねをいたします。  きょうは、実はいわゆる一般質問をやろうと思って用意をいたしましたら、一昨日来といいますか、ここ数日、KDD事件郵政省汚職発展をしたという新たな段階新聞が報じております。まず、大臣は、このKDD事件郵政省に及んでいる今日の現状についてどのような把握をしておられますか、お聞きをいたしたいと思います。
  4. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  御指摘のように、昨日当省職員収賄容疑で警視庁に逮捕されましたことは、まことに残念至極なことでございまして、国民全体の奉仕者として職務の公正、厳正な執行に当たるべき公務員がこのような事態を招きましたことにつきまして、心から国民皆さんにおわびを申し上げたいと存じます。  事実関係につきましては、今後の捜査によって明らかになってまいろうと存じますが、その事実に即しまして厳正な措置を講じたいと存じております。  このような不祥事件が再び起きないよう、全職員行政責任の重みを自覚いたしまして、綱紀粛正の徹底を期するよう強力に指導し、一日も早く郵政行政信頼の回復を図ることが私に課せられた責任であると存じておるところでございます。
  5. 野口幸一

    野口委員 そこで、お尋ねをいたしますが、さきに郵政省自身が、自主監査と申しますか、自主的にみずからの体内にありますところのKDDとの関係について調査をされました。官房長がこれを発表いたしておるのでありますが、その発表いたしました範疇の中に、今回のいわゆる疑惑のありまする二名が入っておったのかおらなかったのか、お尋ねいたします。
  6. 小山森也

    小山政府委員 今回の調査範囲に入っておりません。
  7. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、官房長なり大臣指示によって調査をされたということは、その調査というものがいわゆる表向きといいますか、一通りの調査であって、核心に触れる調査が十分行われていなかった、こういうことが裏返して言えるような気がするのでありますが、今後もこの調査をした以外の者からこのようなことが発生し得ると考えられるのでありますが、その点について官房長はどういう所感を持っておられますか。
  8. 小山森也

    小山政府委員 すでに私がここで何回も申し上げているわけでございますけれども、今回の調査は、職員みずからが、また郵政省自身がみずからの力でわれわれの綱紀というものを点検するということで調査をいたしたわけでございます。したがいまして、その方法職員の自主的な申告と、それに基づきますところの部分的ないわゆる口頭調査ということでやったわけでございます。そうしますと、個人の記憶等にもいろいろ差があるというようなことから、なるべく同じような条件で、同じような形で各職員からみずからの申告を得るように、こういう考えでございまして、したがいまして、一昨年五十三年七月、五十三年七月と申しますのは省の定期異動でございまして、新しい官職につくという時期でございますので、その時期以降ということで五十三年七月以降を調査したわけでございます。  なお、そういうことでございますと同時に、これは何といいましても一番の問題は、われわれの綱紀というものが、今後のことと同時に、われわれ自身がどうあったかということを調査して、われわれの公務員としてのあり方をみずから反省するという点にあったわけでございます。したがいまして、みずからの調査によって行った今回の点検というものは、ある意味においては非常に意義があったものと思っております。したがいまして、今後、それ以前のものについていま調査するという意図は持っておりません。
  9. 野口幸一

    野口委員 事実、いま自主的に調査をやった、ある種のいわば効果があったんだ、こういう御答弁でありまするけれども、実際は、昭和五十二年のいわゆる国際専用線値上げ申請の認可問題、この前後からのいきさつが疑惑対象になっておりますし、郵政省幹部KDDとの触れ合いの関係も五十二年当初からの話が今日話題になっているわけであります。とするならば、五十三年の七月以降だけを調べるのじゃなくて、当然五十二年の当初からこの対象を調べるというのが筋ではないかと思います。この当時としてはそういうことをお考えにならずに、五十三年七月ということになるわけでありましょうけれども、いまの時点になりましたならば遡及をして、もう一度五十二年以降もお調べになる心要があるということを申し上げておきますし、また、それを実施をしていただきたい。それが郵政省としての自主的な仕事のまず第一歩であろうと思うのでありますが、いかがですか。
  10. 小山森也

    小山政府委員 調査対象となりました職員におきましては、誠実にみずからの記憶良心に基づいて報告したものと信じております。また、それ以前のことにつきましては、御指摘の五十二年当時の職員はすでに現在省を去っている者もありますし、ほとんどがいまのポストにいないということ、それから、先ほど申し上げましたようにみずからの記憶良心に基づく報告となりますと、余り時期をさかのぼりますと非常に個人的な差異もあるということでございますので、われわれ自身のまた力の限界があるということを御理解いただきたいわけでございます。なお、事実関係につきましては捜査当局によって解明されるであろう、こう存じますので、われわれによる調査というのはこれ以上さかのぼることはなかなか困難だと思っております。
  11. 野口幸一

    野口委員 私は、郵政省調査をして、それによっていわゆる事件全貌が明らかになるとかどういうことかということを求めているというよりも、むしろ郵政省自身がこの事件の解明について積極性を持つべきだという立場で、たとえ当時の関係者が退職をしておろうとどうであろうと、それは二におきまして、たとえば、現在残っておる人間がその場所でどういう仕事をして今日に及んでいるかということも含めて調査をして、その当時どういう関係があったのかということまで遡及をして、郵政省郵政省として、いわゆる体質を今後そういった疑惑対象にならないように考えていくという立場からもぜひとも実施をしなければならぬ。これは自主的に自分のところがみずからやらなければならぬというその姿勢を申し上げているのでありまして、効果云々は、なるほど効果が出てこないかもわかりません。また、司直の手によって調査される方が至当だという考え方についてもわからないことはありませんけれども、やはりみずからがそれを解明していくという姿勢をお示しになるのが当然であろうと思うのでありまするが、この辺のことについてはいかがなお考えですか。
  12. 小山森也

    小山政府委員 繰り返すようでございますけれども、私ども調査によりましてわれわれの綱紀あり方というものにつきましての反省の資料が得られたものでございまして、非常に意義のあったものと考えております。したがいまして、たとえば、いままで私どもがこれは社会儀礼上のものだということで従来の観念でいたことが、これはまさに社会儀礼上の観念そのものを謙虚にもう一回考え直すべきであるというようなことから、もうすでに昨年中に大臣依命通達をもちまして、こういったことのないよう一切の指示をしたところでございます。したがいまして、われわれとしては非常に意義があったものと思っているわけでございます。
  13. 野口幸一

    野口委員 どうもかみ合わないので少しく省の姿勢を疑うわけであります。  今日このような問題が起こった。皆さん方に説明をなさる際に、一番初めにKDD経営姿勢が悪かった、それが郵政省に波及をしてきたんだ、こういう言い方をよくいまの大臣もおっしゃいます。それはむしろ逆でありまして、郵政省監督不行き届きKDDのこういう事件を起こさしめたという観点にどうしてお立ちにならないのだろうか、このことも私は不思議に思うのであります。大臣の御答弁も、先刻来聞いておりますると、みずからの責任を痛感する――このことは事件の起こった現段階においては当然でありましょう。しかし、この問題を遡及をして、起こってきた原因、すなわちその根源たるものは一体どこにあったのかということになってまいりますと、実は大臣みずからもこの前の質疑の中でおっしゃいましたように、KDD首脳陣経営姿勢そのものが悪かった、いわばそれが郵政省に飛び火をしたような言い方をされるのであります。ましてや、先ほども申し上げましたように、国際専用線関係の問題から出てきました疑惑は五十二年でありまするが、五十二年、五十三年、五十四年と三人の大臣がかわっておられます。その三人の大臣時代に起こったことであります。当然現在の大臣に全部責任を持てというわけではありませんけれども、少なくとも郵政省自身がかかわり合いがあったことは間違いがないのです。それならば郵政省自身が、この問題については郵政省監督不行き届き原因でと言わないまでも、そこまでの気持ちというものが当然前にあってしかるべきだと思うのでありまするけれども、その言葉が出てこない。これは私は非常に不思議に思うのでありますが、大臣、今日の時点に立って、これらの前大臣の行ってこられた今日までの行政あり方について、現在の大臣責任においてこの問題をいかにお考えになるか、もう一度責任の所在についてお答えをいただきたいと思います。
  14. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  従来私が申し上げてまいりましたのは、KDDが御承知のような事件を起こしまして、そうして、このKDD自体の立て直しということについてどうすればいいかということがまず問題になっておったところでございます。そういう観点に立ちまして、何としてもKDD経営姿勢と申しますか首脳陣経営姿勢というもの、これがこの原因の最たるものであるというふうな認識に立ちまして、そのことはいまでも私変わっておりません。したがって、KDD自体をりっぱなものに立て直していくにはどうすればいいかということで、御承知のように首脳陣交代等も行われたわけでございます。しかし翻って、その監督官庁である郵政省におきましてこのKDD監督あり方等につきましても、従来完全であったと言えるかどうかについては疑問を持っておったところでありまして、そのことは折に触れて申し上げてきたところだと思います。  そこで、その監督あり方等について、将来に向かって再びこのような事件が発生をしてはならない、そういうことでその監督あり方等をも検討をいたしました結果、KDD法改正等にも踏み切らなければならないという結論に達しまして、このKDD法改正について結論を得てその手続を進めた、こういう関係でございます。  したがいまして、私どもKDDばかりに責任を押しつけようとしているものではないのでありますが、KDD自体が何としてもみずから姿勢を正してその重要な公共性の高い使命を果たしていただくというその基本的姿勢がなければ、他のどこからいかにやりましてもこれは十分な効果をあらわすことはできないと思います。そこに観点を置いて従来申し上げてきたところでございます。  現在、郵政省におきまして、いまもお話を申し上げましたように、昨日収賄容疑によって逮捕者を出すといったような事態に進みましたことは国民皆さんに対して大変申しわけのないことでございますが、こういう事態になりました今日におきまして、郵政省が再び先ほど申し上げました点検委員会において調べるといったようなことはむしろ適切でないと思います。司直の公正にして厳正な御調査にまちたいと思います。
  15. 野口幸一

    野口委員 まことに残念な事態でありまして、私もこういう問題を口にすることすら余り好まないものでありますけれども、しかし、事態がこのようになってまいりますと黙っているわけにはいかない。本当にふんまんやる方ない気持ちでこの関係の御質問を申し上げているわけであります。特に、いままでKDDとの関係において関連性が深かったと言われています電気通信監理官室諸君対象になっているということを聞きますと、ただこの二名だけでこの問題が済むというようなものではないというように新聞紙上からも察知ができるわけであります。今後どういう形で司直の手が及んでくるかわかりませんけれども、いずれにしても省はこの事件の一切の全貌を少なくとも早期にみずからの手でつかんで、そして司直の手は司直の手として、みずからはみずからの手としてこの対応というものについて十二分な配慮をすべきであると思うのであります。  大臣にお願いしておきますが、またまたその連なりで多くの電気通信監理官室関係諸君や、あるいはまたそれの上級職員関係する職員が多くの疑惑の中にはさまれまして、郵政汚職というようなものが大きな火の手となって今後舞い上がっていくというようなことが、私は望むものではありませんけれども、しかし一たんこういう形になった以上は、きれいに、ぜひとも徹底的な追及を、やはりみずからもその前にさらけ出して協力をするようにしていただきたい。私はそのことがいま国民が求めているすべてではないだろうかというような気がするわけであります。そういった意味で、先ほど官房長は前のことについては調査をする意思がないというようなことを言われたのでありますけれども、それは一点としてはわからないことはありませんけれども姿勢の問題としてやはり郵政省みずからがこの問題の解決に当たっていく、粛正をしていくのだという立場に立って、ぜひとも大臣みずからが指揮をとって綱紀粛正に対しての姿勢をお示しをいただきたい、このことをもう一度念のために申し上げておきます。
  16. 大西正男

    大西国務大臣 先生のただいまのお気持ちは、私も全く同じ気持ちだというふうに申し上げていいのではないかと思います。ただ、いま私たちは捜査機関の俎上に上っておるコイでございますから、この際すべてを捜査機関のお裁きに任せたい、こう思っております。  これからの再発を防ぐという問題につきましては、こういうことが断じて再びあってはなりませんから、先ほど官房長も申しておりますように、暮れに御承知のような通達も出しましたし、さらにこの際姿勢を正し、えりを正して、公務員として、全国民に対する奉仕者であるというその原点に立ち返って、みずからの仕事重要性を自覚して、そして国民信頼を回復することに全力を挙げたいと存じます。よろしく御指導を願います。
  17. 野口幸一

    野口委員 あとの関係、同僚もこの種の問題については御質問があろうかと存じますが、私は一応KDD問題はこの辺でおきまして、一般質問に移らせていただきます。  そこで、お尋ねをいたしまするが、いま郵政省料金値上げをしようということでございまして、改めて今日の郵政事業あり方という問題について国民皆さん方からそれぞれの御意見あるいはまた御要求が出ているところであります。  そこで、まずその点について伺いたいのでありまするが、郵政事業というのは公共事業である、これはもう言うまでもありません。しかし、一面にはまた、言われておりまするように、一般会計とは違います特別会計を組んでおるわけでありまして、一応のいわゆる企業性というものを追求されているわけであります。この公共性というものと企業性というものとのいわゆるかみ合いになっておりまするところのこの種の事業を今後どのような形で発展をさせていこうかという基本的なものはどこに求めておられるのかということをまず最初にお聞きをいたしたいと思うのであります。非常に基本的な問題でございまするけれども、ここから始めていかないと私は今日の料金問題というのを解明することはできないんじゃないかと思いますので、ひとつその辺をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 大西正男

    大西国務大臣 お答えを申し上げます。  郵政事業とおっしゃいますのを象徴的な郵便事業について申し上げますと、郵便法第一条で「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」こういう公共性を持っておるわけでございます。と同時に、料金の面におきましては郵便法の第三条で「郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」とされておりまして、いわゆる収支相償原則が定められておるところでございます。郵便事業につきましての公共性企業性の調和は、この点に基本原則が定められておるところだと存じておるところでございます。
  19. 野口幸一

    野口委員 全くそのとおりでありまするが、そこでいわゆる公共性といいまするものは、もう私が皆さん方に申し上げるのは釈迦に説法でありまするが、十分お考えでありまして、たとえばこれは国鉄の場合ですと赤字路線というものがございます。しかし、これは公共性立場から考えますと、いわゆる企業経営赤字だということだけでこの路線を廃止するという問題は大きな社会的な影響もこれありということで今日話題になっているところであります。しかし、郵便事業の場合の公共性を保つということは、あまねく国民皆さん方が御利用でき得るような立場を貫き通すということと、全国均一的なといいまするか、そういう立場を守っていくということと、それから利用者が安くて利用できるということを常に守っていこうという姿勢があって、初めて公共性だと言えるのでありまするが、逆に企業性を追求していくという立場になりますと、赤字を出してはならないというような一つの限定されたものを追求されるおそれがあるわけであります。そうなりますると、これはうらはらな関係になりまして、勢いいわば公共性の部分が縮められてくるというようなこともないわけではないのです。そこで、みずからができる範囲においてその公共性を保ち得るように、たとえばその企業性の追求をそこで緩和をさせていくという方法をとるというのが郵政省姿勢でなくてはならぬと思うのであります。私は、その点に関連をいたしまして、今日の郵政省のとっておられるあり方について申し上げてみたいと思うのであります。  毎度同じようなことを言うから、またあの話かとおっしゃるかもしれませんけれども、いわゆる特定郵便局制度であります。これは公共性に基づいて国民皆さん方にあまねく御利用をいただくという施設を全国にたくさん普及させていく、このことは非常にいいことであります。これは何も論をまたないところであります。しかしながら、その制度の中身を考えてみますると、今日なお旧態依然たるものを存置していらっしゃるのであります。  いま公務員の定年問題がやかましく言われておりまするけれども、実は、特定郵便局長においては六十八歳という、今日では本当に考えられないような定年をお許しになっていらっしゃる。そして、六十八歳のよぼよぼとしたじいさんが局長を勤める、三十数万円という月給を取っていらっしゃる、こういう事態一つを見ましても、いかに前近代的な運営をやっておられるかということがうかがい知れるのであります。ましてや特定郵便局長の次の任用の問題については、今日なお世襲制というような、全くこれまた時代に合わないことも現存しておやりになっていらっしゃる。これは職員から見ますと、幾ら近代性科学性ということを一方で言われましても、どこかのすみでそういう矛盾があるとするならば、それは片方は釈迦に説法でありますると同時に、片方では馬の耳に念仏になってしまうわけであります。郵政省は何を言っているのだ、われわれにいろいろなことを言うけれども、片方ではそんなことをやっているんじゃないか、この理論は絶対に部内から抜けていきません。郵政省がみずから本当に公共事業という立場をおとりになっておやりになるとし、さらにまた企業性も追求をされるとするならば、その辺の隘路をまず一番に片づけなければならぬのじゃないだろうか。これは毎々申し上げておりまするけれども、このことについての明確な答弁が今日までございません。また歴代大臣も、今日の特定郵便局制度についてはということで漸次改善はいたしまするが、この制度そのものの根本的な改正をやろうとなされない。ここのところにすべて起因するものであろうと私は思うのであります。  たとえば特定郵便局制度をわれわれなりに考えますならば、特定郵便局はもちろん存続していいのでありますが、これを普通局の主事あるいは主事等に適合するような職業の者を出張所長という形で命じて、漸次それを交代で勤番させて、成績の有無に関連してこれを昇進させるなりというような形をとることは、職員立場から考えても当然勤労意欲をわかせるに足る措置でもあると思うのでありますし、今日の特定郵便局制度そのものが横たわっている限りにおいて、職員間のいわばそういった問題についての矛盾がそこに集積をされてしまってきていると言っても過言ではないと私は思うのであります。その点について、いまさらながらではありまするけれども特定郵便局制度について抜本的に考え直すお考えが現在の大臣にあるのかないのか、ひとつその点についてお答えをいただいておきたいと思うのであります。
  20. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  特定郵便局制度につきましては、これを認めるという特定郵便局制度調査会の答申がこれまでなされておるところでございます。郵政省といたしましては、この答申の趣旨を十分尊重して今日まで措置してきておるところであります。また、特定郵便局の現状を見ましても、地域社会に密着をして郵政事業のサービスを提供いたしまして、国民に親しまれていると考えております。つまり、国民の中にある、何といいますか郵政の機関でありまして、国民ときわめて密接に交流をしておる、こういうふうに考えるわけでございます。なお、特定郵便局の運営につきましては、今後とも社会、経済の発展に即応した改善を行い、国民の要請により一層こたえてまいるよう努めてまいらなければならないことは当然であると考えております。
  21. 野口幸一

    野口委員 私は、そのようなお答えをいただくつもりで物を申し上げたのではなくて、特定郵便局制度を全国に、国民皆さん方に御利用をしていただく機関としてたくさん設けていく、そのことについては私は否定をしているのじゃないのです。中身の運営あり方が非常に旧態依然たるものがあるから、それを改正していくということは、一つ公共性という立場で守っていく、あるいは片方では企業性の追求という立場の改善のまず第一歩としてそのことを取り上げるべきではないか、そういうことを取り上げない限り、郵政省の自主的運営といいまするか、企業努力といいますか、そういう経営努力というものが、私は宙に浮いてしまっているのではないだろうかということを申し上げているわけであります。この点は恐らく何時間やりましても、現在の段階では目覚めていただけるような状態ではないと思いますので、ここでやめさせていただきます。  それで、この郵便でございます。私は、この郵便というものの位置づけについては、前々から実はこの国会の委員会を通じていろいろと申し上げております。確かに企業という立場からだけのとらえ方をいたしますると、郵便というものは全くもうからない商売でありまして、このことについて追求してまいりますと、およそ郵便というものの使命感が薄らいでしまいます。私は、むしろそういった面からとらえるのではなくて、常々申し上げておりまするように、郵便の文化性という立場からの追求をもっと深めてはどうかということを申し上げてまいりました。郵政省も昨今では、通信と現代文化、あるいはまた郵便行為の理論的考察等々、いろんなことをあらゆるものにお書きになっておられますし、ことしの「郵政」一月号の新春増大号においても、現在の郵務局長が、郵便の問題について、文化性の問題について、これからの「情報化社会はどのように進展するか」という座談会の中でいろいろと申し述べられております。私はそれぞれ読ませていただいて、決して否定をするものではございません。ただ、この郵便の文化性という問題を、部内だけあるいはまた省内だけで議論をしているのではなくて、外に向かって、具体的にどういうふうにして今後この問題を普及させようとしていらっしゃるのか。この辺の姿勢が、単に「ふみの日」をつくったというだけの問題ではなくて、少しく足りないような気がするのでありますが、この文化性追求についてのあり方を、ひとつ郵務局長から伺っておきたいと思うのであります。
  22. 江上貞利

    ○江上政府委員 郵便の文化性についてでございますけれども郵便そのものはコミュニケーションの手段でございまして、文化の普及の手段あるいは文化の普及を促す機能を果たしているものだというふうに存じているわけでございます。  ただ、先生からただいま御指摘いただきましたように、最近に至りまして、手紙を書くこと自体が人間形成の基礎過程につながるのではないかというような研究がなされておるわけでございますが、そのこと自体は手紙を書くということでございまして、いわゆる郵便行為につながる問題ではございますが、郵便行為自身ではないというふうに存じているわけでございます。したがいまして、郵政省といたしましては、ただいま先生御指摘の問題につきましてもおのずから節度があるだろうというふうに存じているわけでございまして、その節度の範囲の中におきまして各種の施策を行っているわけでございますが、ただいま御指摘の「ふみの日」の設定であるとか、あるいは「郵便友の会」の育成であるとか、手紙作文コンクールの開催であるとか、あるいは年賀状版画コンクールの開催、手紙教室の開催といったような各種の運動を行いまして、手紙という行為、郵便という行為を通じまして、文字文化の見直しというような環境づくりに努めてまいっている次第でございます。
  23. 野口幸一

    野口委員 この問題は、いまいみじくも局長みずからがおっしゃいましたように、郵便という制度の問題と手紙を書くという問題はおのずから所掌するところが異なるような感じで、あるいはまたそのものずばりで言いますると、そこまで郵政省が追求しなくてもいいんだ、こういう考え方に基づくものだろうと思うのでありますが、私は、これは文部省に任せるとかあるいはまたその他の機関に任せるというのではなくて、むしろこれは郵政省という、この郵便というものに携わっているものみずからがもっと積極的に他機関に働きかけて、手紙の効用なり手紙の文化性というものを追求していく音頭をとられるべきではないか、いままで以上におやりになる必要があるのではないだろうかということを申し上げているわけであります。  いままでやっておられることについてはよく存じております。「ふみの日」以下いろいろな施策を手がけてこられましたこと、ここ数年非常に前向きにお取り組みになっていらっしゃることも理解をいたします。しかし、これは何か非常に片手間にやっているような感じがしてならないのであります。したがって、もっと積極的に見直すべき時期が来ておるのではないか、こういう意味でひとつ御努力をいただきたい。特に八〇年代というのは、科学万能の時代からもう一度振り返って人間性を追求するという時代に入っているわけであります。手紙の効用を改めて国民に知らしめて、手で書く真心の通信というのがいかに国民の文化性を追求するに役立つかということを、省みずからがもっと積極的に国民に対して普及をさせることが必要ではないかということをこの際特につけ加えて申し上げておきたいと思うのでございます。  そこで、郵便でございまするが、概念的に郵便郵便と言っておりまするけれども、この郵便というのは一体何なのか、こういうところから話をお聞きをしたいと思うのでありますが、いま電子郵便が俎上に上っております。この三月三日の予算委員会のやりとりの中にもあったように、これらと関連いたしまして、所掌はどの辺の問題までを郵便と言うのかという点が今後の施策の中で重要な問題になろうとしておるところであります。一体郵政省は、郵便とはいかなるものか、どこまでのものを郵便として扱っていこうとされるのか、この辺のところをひとつはっきりとお示しいただきたいと思います。
  24. 江上貞利

    ○江上政府委員 御指摘郵便範囲についてでございますが、いろいろ多岐な意見があろうかと思いますけれども、先生御案内のように、現在の郵便法におきましては郵便が何であるかということの定義づけはございません。ということは、改めて定義を必要としないほど一面においては普遍化された概念であろうかと思います。と同時に、改めてこの郵便範囲であるとか、あるいはこれを定義づけるということになりますと、非常に普遍化されたものであるだけになかなかむずかしい点もあるわけでございまして、現在の郵便法の制定当時に、当時の政府委員から「むしろ學問的な問題になるこの定義は、法律の字句として規定することを避けた次第でございます。」というような答弁もあるわけでございます。  ただ、各種の通信メディアが非常な発達を示しておる現在におきまして、私どもは、いわゆる郵便というのは、郵便という名称のもとに親書のほか物件を送達することというふうに存じているわけでございますが、発展する各種のメディアに即応して、現在の郵便のシステムあるいはこの概念のもとにサービスを提供していくというようなことが今後においてもあり得るだろうと存じているわけでございます。
  25. 野口幸一

    野口委員 法令の関係から少しくお尋ねをいたしていきたいと思うのでありまするが、御案内のように、公衆電気通信法あるいはまた有線電気通信法の二条には「この法律において「有線電気通信」とは、送信の場所と受信の場所との間の線条その他の導体を利用して、電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。」こうなっているわけであります。しかし、いま電電公社ではファクシミリでありまするから、符号、音響、影像ではなくて文字を送っているわけであります。こうなりますると、公衆電気通信法あるいはまた有線電気通信法上の通信という立場からの追求からいきますると、これは電気通信というものではないという感じもするわけであります。仮に郵政省が電子郵便などというようなものを開発いたしていこうといたしますると、いままでは送信の場所と受信の場所との間をたとえば鉄道輸送でやっておるわけでありまするが、今度は二局間において有線あるいはまた無線でもってやっていこうという形になるわけでありまするから、これは電気通信の部門に入らざるを得ないというような気もいたします。  そこで、電気通信と郵便が渾然一体となっていく形をとろうとしておるわけでありまするので、郵政省としていまから、どの辺までが私ども郵便の範疇なんだということは明らかにしておかないといけないのではないだろうか、もうそろそろこの問題の解決をしておく時期が来ておるのではないだろうか。実際、いま電電公社は、家庭ファクシミリというのを十万円前後の金額でもって売り出そうといたしておりまするが、これが普及をしてまいりますと、郵便に及ぼす影響は非常に大きなものがあろうと思うのであります。この辺のところは郵政省として一体どうお考えになっていらっしゃるのか、その点を非常に危惧するわけであります。郵便とは一体どこまでの所掌を言い、あるいは電気通信というのはどこまでの所掌を言うということを法的にも一応明らかにさせていく時期が来たのではないかと思いますが、この辺はいかがでしょう。
  26. 江上貞利

    ○江上政府委員 御指摘のように、現在検討しております電子郵便は、その送達の過程で一部電気通信手段を用いるわけでございます。それは郵便物の送達の一過程でございまして、トータル的には郵便の範疇に属するというふうに考えております。しかしまた一方では、電子郵便は現在の郵便法がつくられたときには予想されていなかったサービスでもあろうかというふうに思うわけでございます。したがいまして、電子郵便のサービスを提供するための法令面の問題に関しましては、必要な検討を行いましてその結果必要があれば所要の措置を講じてまいりたいということで現在検討を進めておるところでございます。  いずれにいたしましても、各種の技術が非常に進歩してまいりますと、同じ通信という分野でございますので、手段的には若干ハイブリッドと申しますか混合的な領域があるいは出てき得るということもあり得ようかと思いますが、現在世界各国で検討中のものは、現在の郵便のシステムの中に組み込まれたものを電子郵便というふうに認識をいたしておるようでございます。
  27. 野口幸一

    野口委員 いま言ってすぐ電子郵便が職場に入ってくるわけではありませんから、それまでの間に解決すればいいということなのかわかりませんが、この種の問題は、いま電電公社が行っておりますところの電報の問題だとか、私どもが提起を申し上げておりまする慶弔郵便というようなものも関連いたしまして、それらの問題から始めていくサービスの開始等に伴って、これはその前段に整理をしておかなければならぬ問題だと思いますので、鋭意御努力をいただきたいということを申し添えておきます。  そこで、細かな問題でありまするが、立ちましたついでに申し上げたいと思うのでありますが、郵政審議会の今日のあり方でございます。この郵政審議会はこのままで別にどうということはないのでありますけれども、いま省が料金問題をこの郵政審議会で大きく審議を願うというような形にしようとされております。そういたしますると、他の機関の審議会と比較して、この目的達成についてやや内容的に不備なものがあるのではないかと思われます。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 特に利用者代表等々の参画が当然必要であろうと思うのでありまするが、郵政審議会の改組についてあるいは拡充強化について、今回の法律改正等を見込んだ場合にそのことを考えておられるのかどうかということをまず一つ、前段でお聞きをいたしておきたいのであります。
  28. 小山森也

    小山政府委員 ただいまのところ、あわせてその改組について考えているということはまだ検討いたしておりませんが、料金法定の問題等郵便法改正に伴って当然一つの検討事項にはなろうかと思います。
  29. 野口幸一

    野口委員 これは仮定の問題でございまするから、法が改正をされた暁に仮にするとするならば、現在のこの審議会ではとうていその役を達し得ないだろうということだけは明らかであります。したがって、その辺のところも十分御配慮をいただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、さらにもう少し細かくなる話でありますが、郵便のサービスについて若干申し上げます。  いまいろいろちまたで言われているのでありまするが、最近郵便の持ち戻りについてたくさんの申告がございます。特に、ひとつ抜本的にお考え直しをいただきたいのは、人の信書の上にいたずらに判こを押して、そしてあて先不明で配達できませんとでかでかと判こを押すやつであります。郵務局長、見てくださいよ。これですね。人の信書の上に赤い判こを押してどんな感じがいたしますか。昔は付せんを張っておったのですね。最近は付せんの取り扱いが煩瑣というのかどうか知りませんが、五十年前後だと思いますけれども、判こを押すようになった。これが本当に返ってきただけだったらいいのですよ。ところが、郵便局の間違いでもう一度配達しなければならぬときがあるのです。これがいい例なんです。一通の郵便をお出しになりましたこの小浦太平さんという方が、あて先が転居先が不明だということで返ってきた。調べたところ間違いなくこの住所におるのでもう一度出したわけであります。また判こを押して返ってきた。それは全く郵便局の間違いであったということが判明して、もう一度配達さしていただきたいと言う、この郵便物を。しかしこの人は怒ったのですね、二遍もこんな判こを押したもの出せるかい。こういう間違いがみずからあるわけですから、そういったことも含めますと、人の信書の上に赤くべたべたとこういうような処置をとることは決して郵政省としてとるべき姿ではないと思うのですが、この辺については、もう改めるということをきちっとここで御答弁いただきたいと思うのであります。いかがですか。
  30. 江上貞利

    ○江上政府委員 持ち戻りの郵便物でございますが、現在あてどころに尋ね当たらない、転居先不明あるいはあて名不完全というようなもので持ち戻る郵便物が全郵便物のおよそ二%程度ございます。通数にいたしますと一日当たりおよそ七十万通ほどあるわけでございます。先生御指摘のように以前は付せんを付して取り扱いをいたしておったわけでございますが、人口の流動、世帯の移動等が非常に激しくなりましてから還付する郵便物も多くなってきたというような事情もございまして、これにすべて還付理由を記入いたしました付せんを張りつけていくことは相当の手数を要しますし、場合によりましては付せんが取れる場合もあるということなどございまして処理上も支障が多いというような理由から、事務処理能率の向上を図りますために、付せんを張りつけるのにかえまして先生御指摘の還付印を使用をさせていただいているわけでございます。ただ、中には郵便局側の手落ちによりましてただいま御指摘のような問題もあろうかと思いますが、これらにつきましては、そのお断りする理由あるいは利用者の方にアプローチする場合などを含めましてなるべく御理解を深めていただくような措置をとるように指導いたしてもいるところでございます。
  31. 野口幸一

    野口委員 直そうという気持ちがないということを暗にお示しのようでございますけれども、大体この郵便物、これは郵政省のものではないのですね。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 郵政省のものでないいわゆる個人の財産物に対して、郵政省が勝手に汚すということは許されないことなんじゃないですか。これは、この上に貼付をするということは処理上やむを得ないことかもわからないけれども、これを書いた上に、人の信書の上にべたべたとこんな赤い判を押すということは、たとえ忙しいとか忙しくないということは別にして、個人の財産に対する侵害じゃないですか。この辺の考え方、どう思っておられるのですか。この辺がわかっておられないと実はその問題に対処することはできない。  ましては年賀状、これですね、これも間違いなんです。これは同じあて先のところに、向こうから来た年賀状と同じあて先で向こう側へ返事を書いた。そうしたらこれが転居先不明で配達できません――転居してないですよ、年賀状が来たんだから。こういうことがあるわけですね。正月早々もう一度この年賀状配ります、こう言ったのです、郵便局へ申告をしたら。しかし正月早々、一たん転居先不明で配達できませんというやつをべたんと押した年賀はがきをもう一度配達できますか。これは当事者になってごらんにならないと、事務的な問題ではなくて、いかに郵便局が国民気持ちになってサービスをしているという立場にならないのですよね。  だから、こういう細かい点を考えてあげないと、料金値上げばかりが表へ出て郵便局サービス悪いじゃないかという、こういうことがちまたで大きく言われているところなんです。だから、そういう点を変えるという気持ちをひとつまず持ってもらいたい。少なくとも間違って一たん配達先、転居先不明で配達できなかった、こういうことがあったのです。でも間違ってないことが判明したわけですから、正月に向こうから来ているわけですから、これはもう一度配達しますと言うのですよ。しかし、このままで配達されては困るので、ここに付せんをつけてもらいたいと言って当該局長に申し出た。どういう付せんかというと、当局の配達の担当者の間違いで一たん持ち戻りましたが、しかしこれはあて先に居住しておられますことが明らかでございますので、大変遅くなりまして申しわけございませんが配達をいたしましたという理由がここへつけられて配達されなければならない。ところが、口頭ではそういうことを局所局所ではやっておられるようでありますけれども、全国的にはそのことを取り扱いするようにという通達は流れていない。このままもう一遍配達しても何らいわゆる取扱規程には触れないことになっているわけです。だから、このままほうり込まれているところも多々あるわけだ。出てきたからといって、もう一遍ぽっとこのままいく。だから、この点はぜひとも、誤りであって、間違ってそういう措置をしたのだからということを申し添えて、おくれたことをおわび申し上げますということを郵便局長が付せんをつけて配達させるように、これは通達なり指導で徹底をさせてもらいたい。  そして、もう一つ申し上げておきますが、郵便物の表にこの種の判こを押す、特に汚すということについては、今後何らかの形で改めてもらいたい。これは単に処理上の問題だけではなくて、感情的にも非常に不愉快だということを今日多くの方が言っておられる。これをひとつ、手間が要るかどうかわからないけれども、何とか改善するように、努力するようにしていただきたいということを申し添えておきます。  いまの関係の回答、ひとつお願いします。
  32. 江上貞利

    ○江上政府委員 従来からただいま先生御指摘のような取り扱いをいたしておるわけでございますけれども、さらに注意を喚起いたしまして、郵便局側の手落ちによります場合にはそのような措置をとらされていただくようにいたしたいと思いますが、同時に、先ほど申し上げましたような理由もございまして還付される郵便物も多数ございますので、なおその辺の周知もいたしまして正確なあて名も書いていただくようなキャンペーンもいたしたいと存じます。
  33. 野口幸一

    野口委員 時間が参りましたので、私たくさん質問を残しましたので次回に譲らしていただきますが、最後に一つだけ申し上げておきたいと思います。  それは郵政省が、予算の中でも言われておりますように、九〇%に近いのが人件費だ、こういうことであります。そして人との融和というものが非常に大切なんだ、人事管理というものが郵政省事業管理のすべてではありませんけれども、非常に大きな、高い位置を占めているということを常々言われているのであります。そこで、人間関係を今後どのような形で改善をしていくかという具体的な問題の一つとして、レクリエーション施設なりそういったものを拡充強化していくという問題が実はございます。ところが、私の調べましたところによりますと、郵政省のこのレクリエーション関係といいますか、この種の経費というのはまことに少ないのでありまして、電電公社の三分の一程度しかお使いになっておられないという現状でございます。  そこで関係の方にお尋ねをいたしますが、これらの問題について、今後どのようなことでこの人間関係改善のための施設を充実させていこうとしておられるのか、この姿勢についてまずお聞きをしておきたいと思うのであります。
  34. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  先生の方から御指摘もございましたように、郵政事業はいずれも人手に依存する度合いの強い事業でございますので、業務の円滑な運営を図っていくためには、業務の運行の過程の中で職員間の意思疎通を十分図ると同時に、やはり明るい職場をつくること、またレクリエーション等の活発化を図る中で活気に満ちた職場にしていくということで対処してまいりたいと考えるわけでございます。  御指摘のように、公社との経費の比較は私ども直接いたしたことはございませんけれども、レクリエーション経費、特にこれらは直接郵便局に配賦される経費ばかりではございませんで、体育館だとかあるいはその他のレクリエーション施設の維持運営等にも用いられるわけでございまして、こういった現在あります施設職員全体によりますところの利用の促進を図りながら、またさらに職場におきますところの、職場に応じた、気軽に全員が参加しやすいような、そういったレクリエーションの活発化ということを図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 野口幸一

    野口委員 概括的な御答弁をいただいたわけですが、もう少しく申し上げますと、郵政省の場合、大体一名換算をいたしますと千八百八十円、これは五十四年度でございます。電電公社の場合は、五十四年度一人当たり五千円という数字が出てまいります。金額的にも大きな差がありますが、一つは、電電公社の場合は局所がわりあいかたまってございますから、その施設施設を拡充することによってレクリエーション施設というものが非常に職員利用されやすい。ただ郵政省の場合は非常に拡散した職場でございますから、当然そのレクリエーション施設だけを拡充強化したらいいというものではなくて、局所単位にどういう形、あるいはまたブロック単位にどういうものを設備させてやったら、職員が本当に利用をして、喜んでそのレクリエーションができるのかというところに問題点があろうかと思います。その点についてはもう少しく突っ込んで話をしたいと思いましたけれども、私の持ち時間がもう切れておりますのでやめますが、どうか、他省と違った職場の形態があるだけに、その種の問題については少し御考究をいただいて、前向きに取り組んでいただきたいということをつけ加えまして、私の質問を終わります。
  36. 小林進

    小林委員長 久保等君。
  37. 久保等

    久保(等)委員 きょうは一般質問を私も今国会で初めてやることになって質問をいたすわけですが、先ほど野口委員の方からも御発言がありましたが、昨日ああいう、KDD事件関連して郵政省自体が逮捕者を出すという異常な、遺憾な事態がございまして、その点について劈頭、若干郵政大臣にお考え方をお尋ねいたしますと同時に、こういった事態について、単に申しわけないという態度だけでは、私はやはり国民の不信感というものを払拭する方向に持ってまいることは困難だと思います。特に郵政事業、また郵政省監督をいたしておりまする事業にいたしますると、最も古い伝統を持った、国民に非常に密着した事業でありまするだけに、国民信頼という問題を常に念頭に置きながら事業運営がなされなければならぬと思うのでありますが、昨年来KDD事件が次から次へといろいろ新聞あるいはその他の報道機関でも報道せられますように、非常に広範なしかも非常に深刻な事態であることが国民にとっては耐えがたい不信感を呼んでおると私は思うのです。  大臣の方からその信頼回復について、えりを正して今後努力をせられるような御発言がございましたが、私はしかし、単に反省をするあるいはまた信頼を回復することに努力をするという抽象的なことでは済まされないのではないかと思っております。また、さらに事件は一体今後どういう発展示してまいるかもわれわれもちろん予想できませんけれども、しかし、とにかくすべての全貌が明らかにされたという段階でないことだけは、これは残念ながら現在の現状ではないかと思うのです。  そういう点を考えてみますると、またすでにいろいろ報道せられている中には、元郵政大臣の問題等についても報道せられておるといったようなことで、国民にとってははかり知れない不安と同時に、不信感というものが拡大しつつあるのが現状ではないかと実は思っております。私もかつては逓信省に勤めておった一人として、そういう点ではまことに深刻な、残念な気持ちでいっぱいでありますが、そういう点で、今回の問題を一体どう改善の方向に持ってまいるか。もちろん、KDD自体についてどうこれを改善してまいるか、すでにいろいろと具体的な検討等もなされておるようでありますが、しかし私は、これも相当思い切った改善を図ってまいらないことには、若干の監督権、そういったものを強化するという程度で問題の解決にはならぬと思っております。  したがって、そういう立場から考えますると、KDD経営そのものが一体従来のような形でいいのだろうかというところにまでさかのぼって、KDD問題についてはそういった検討も加えなければなりませんし、同時にまた、これを監督する郵政省というものが――先ほど郵政大臣のお話では、KDDそのものが、何といってもやはり厳正な反省の上に立った経営刷新を図っていかなければならぬというお話もございましたが、それは当然のことであります。しかし同時に、これを監督する立場にありまする官庁の立場から言えば、なおさらより厳粛な立場で、従来と違った意味でこの監督行政を行ってまいらなければならぬ責任があろうと思うのですが、そういう点では、先般、郵政省自体が省内に自主的な調査を行われた結果の発表も承りました。しかし、これはきのうあたりの出てまいった事態等を考えますると、先ほどもちょっと指摘がありましたが、まことに形式的な、ほんの抽象的な調査に終わったということが立証せられたわけでありますが、もちろんこの種の事件の真相究明というのは司直の手によって徹底的に究明をしなければなりませんから、なかなか役所の内部で自主的な調査というものはできないこと、これは私自体もよく理解できます。  そこで、そういった真相の全般的な究明の問題についても、郵政省郵政省として当たりますと同時に、一体今後の問題をどうするかということについて、私はやはり何らかの委員会等を設けて、今後の監督行政あり方が一体どうあるべきか。KDDの問題について、監督権強化というようなことが言われておりますが、いまのような状態からまいりますと、逆に郵政省の権限を強化すればするほど、なおさらむしろ密着関係というものはより濃厚になってまいって、一体どういうことになるのだろうかという不安感も一面あるわけであります。したがって、今後の監督行政のやり方そのものについても、今日までやってまいったことの経験に徴して、よほど具体的なことを検討する必要があるのじゃないか。したがって、そういう意味では、もちろん精神面でえりを正して厳粛に反省をすることは当然のことでありますが、同時に、その上に立って今後の監督行政がいかにあるべきかというようなことについて、何らかの形の専門委員会的なものをつくって検討する、そして具体的な方針をひとつ発表する、こういったこと等について具体的な対策を立てるお考えがあるのかどうか。これは郵政大臣にぜひひとつ承りたいところであります。
  38. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  今回の不祥事件郵政省に発生しましたことについては先ほど野口委員からも御質問がございまして、これに対する私の考え方は、お答え申し上げたとおりでございますが、まさにこれは郵政省自身が、国民から負託を受けておる国の仕事を公正かつ厳正に実行していくべき責務を負っておるのでございまして、郵政省自身がこれをなし遂げなければならない問題でございます。したがいまして、いま御指摘のような委員会を設けてということは考えておりません。みずからそれをやらなければならないと存じております。
  39. 久保等

    久保(等)委員 みずからと言ってみたって、一体みずからとはだれだということになりますと、一般の従業員なり職員皆さんは、とにかくほとんどと言っていい方々は、一生懸命にまじめに国家公務員としての立場で職務に精励せられておると私は思うのです。むしろ今日の風潮は、残念ながらどうも上へ行けば行くほど、何かしらけじめのつかないような状態になってまいっておると思います。これはひとり郵政省だけの問題ではありません。むしろ、最近におけるいろいろな汚職、疑獄の問題等を見ておった場合に、責任という問題が明確になり、それに対するけじめが一体つけられたかということになりますと、結局司直の手にゆだねてというような形でもって、みずから責任をとる、みずから処置をするということはなされない。今日国民は、このことについては最も重大な批判を持っておると思うのです。いま申し上げましたように、何も職員全体が悪いわけではございません。職員のほとんどすべては一生懸命で仕事に精励しておるわけであります。KDDの場合についてもしかりであります。結局、幹部あるいはそれ以上のところがいろいろと結託をする、あるいはまたいろいろと癒着をするというような関係で、今日のこういったような事態を引き起こしていると思うのです。  したがって、みずからえりを正す、みずから反省することは当然必要なことですが、しかし、今後具体的に、たとえば監督行政あり方の問題等についても、郵政省はますます広範な事業体を監督しなければならぬ事業部門を持っておるわけでありますから、そういったものに対して、今日までの経験に徴して具体的にどう監督行政を進めていくことが国民信頼を高め、同時にまた、その適正な監督行政が遂行できるか。こういったようなことについて、みずから反省をし、みずから自粛をして、今後こういったことが再びないようにという、単に大臣の一言の言明で済まされる問題ではないと私は思います。また一片の通達でもってこの問題が解決するほど簡単ならば、私はそんなに心配する必要はないと思うのですが、しかし、事はそういった問題では済まされないと思うわけであります。しかも、今後の発展そのものを必ずしも明確に予想することはもちろんできがたい今日の段階であるだけに、それこそ決意を新たにして具体的な行動あるいは措置をとられることが、私は国民信頼を回復する方法だと思うのです。  その点について大臣は、委員会のようなものを設ける意思はないのだというお話、あるいはまた、みずからさらに進んで真相の解明を行う気持ちはないのだというお話が先ほどもございました。真相と言っても、個々の人間が具体的にどういうことをやったかということは、これを省内で調べることは率直に言ってできません。したがって、そういうことの効果を期待するのではなくて、どういう今日までの行政あり方がこういう問題を生んだかということについての具体的な調査検討を加えられることは当然だろうと思いますし、何らかの形で国民に見える反省の措置というものがとられるべきだと思うのです。私は必ずしもここで具体的にどうこう細かい点で措置をとるべきだということを申しておるわけではございません。しかし、やはり何かそういった具体的な行動をとられることが必要だと思うのですが、そのことについての大臣のお考え方を、重ねてお伺いいたしたいと思います。
  40. 大西正男

    大西国務大臣 御指摘はまことにごもっともなことだと思います。ただ、どういう制度をつくりましても、要するにそこに働く公務員公務員としての原点に立ち返って、みずからの使命といいますか責任と申しますか、そういうものを自覚しなければならないと思うわけでございます。ですから、どういう制度をつくりましても、要するにそれに魂が入らなければ単なる形骸でございますから、その魂を入れるのは、国家公務員たる一人一人がそのみずからの責任の原点に立ち返って、その自覚の上に立って行動してもらうということが最大の問題ではないかと思います。  そういう意味におきまして、私どもは、先生もおっしゃいますように覚悟を新たにして、今後再びこういう問題が発生をしないように最大限の努力をいたしたいと存じておりますが、私といたしましては、こういう問題が起こりましたのを契機として、まず、郵政省本省の全員に対しまして、改めて訓示をいたしたいと存じております。それから事態の進展に従いましては、真相が明らかになってくるに従いましていろいろ考えるべきものがあるとすれば、私としてはそれに適切に対処してまいりたいと存じております。
  41. 久保等

    久保(等)委員 何といっても、有史以来と言ってもいい不祥事件でありますだけに、先ほど来申し上げますように、国民から見て、確かに自粛の実を上げつつある、努力をしているということが具体的に示されることが必要だと私は思うのです。精神的にただ自粛して反省をし、今後一層こういうことのないように努力しますと言ってみても、そのことだけによって国民が理解することはなかなかむずかしいと私は思います。重ねてその点は、いま大臣のお話にございましたように、事態の進展と申しますか今後の状況も考えながら、いま申し上げたような方向で、大臣としてもひとつさらに一層御努力を願いたい、かように考えます。  ところで、KDD経営形態云々の問題についてはまた法案等で論議をする場があると思いますので、経営がどうあるべきか、一体どう改善の道を見出してまいるかというような問題については、今後の機会に譲りたいと思います。  そこで、次の問題に、と言っても特別の問題ではありませんが、実はNHKの明年度予算案の問題について、ちょっとお尋ねをしたいと思うのです。  NHKの予算は、来月四月一日から当然新しい予算年度に入ってまいるわけでありますが、内閣としてというか政府として、この予算案について、一昨日国会にこれが提出をせられたと聞いておるわけなのですが、明年度予算案について、NHKが郵政省に予算案を提出せられたのはいつか、閣議で決定されたのはいつか。そしてこれが一昨日国会に正式に提出せられたと聞いておりますが、最初に、そこらの日時の問題をひとつ明確に伺っておきたいと思います。
  42. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  NHKの予算が郵政大臣に提出されましたのが、ことしの一月三十日でございます。閣議提出が二月の十九日、国会提出が先生申されました三月の十七日でございます。
  43. 久保等

    久保(等)委員 従来、国会にこういった予算案が三月になって出てまいったことがありますか。
  44. 平野正雄

    ○平野政府委員 三月に入りまして提出されました例は、五十年以降ございません。
  45. 久保等

    久保(等)委員 私も、そういった三月になって国会に提出をせられてくるということは記憶にございません。今日、すでにもう三月の下旬に入ろうとしておるのですが、今月はもう十日ぐらいしかないのですけれども、一体どういう事情でこういうことになったのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  46. 大西正男

    大西国務大臣 いま局長からお答えをいたしましたとおり、例年になくおくれておるわけでございますが、御案内のとおり、NHKの昭和五十五年度の収支予算等につきましては、受信料の月額の改定を内容としておるものでございます。こういう社会経済情勢の中でございますので、この問題を含んでおるNHKの予算の関係につきましては、非常に慎重な検討を要するわけでございまして、いろいろの方面からいろいろの御意見があったわけでございます。そういうことで、国会への提出がおくれたというのが実情でございます。  ようやく提出ができましたので、今後はひとつ一日も早くこの予算の御承認を得るように、よろしく御審議のほどをお願いいたしたいと存じておるところでございます。
  47. 久保等

    久保(等)委員 放送法のたてまえからいたしますと、大臣承知のように、予算案をつくるのはNHK当局みずからであります。つくったものが郵政省に出され、郵政大臣はこれに対して意見を付されて国会に提出する。出されてまいったものについて一体どういう手続で何をやっておったのか。いま電波監理局長の御説明を聞きますと、二月十九日に閣議決定をせられたのではないですか。大臣、ちょっと答えてください。
  48. 大西正男

    大西国務大臣 いま御指摘になられたとおりでございます。
  49. 久保等

    久保(等)委員 郵政大臣の意見書がつき、閣議において決定せられる、それが二月十九日。そしてきょうは三月の十九日になりますが、閣議決定をしながらなおかつこれが約一カ月間国会に提出されてまいらない。しかも郵政大臣そのものがこの予算案に対して修正を加えたり何かみずからすることは法律の禁止しておるところです。したがって、郵政大臣としてはこれに対していろいろ御意見があるでしょうから、当然御意見を付される。そうすれば後は当然そのまま国会に提出せられなければなりません。まあ閣議を経なければなりませんでしょうが、少なくとも閣議の決定さえ二月十九日になされておりながら、これが一カ月間国会に出されてまいることがおくれる。しかもこれは何といっても日切れの予算案でありまするから、何とか三月三十一日までに成立をしなければならぬということで、従来から国会の逓信委員会等ではそういうことで非常に強行して審議をしてまいったことが今日までの実績です。ところが、二月十九日に閣議の決定をしておきながら、なおかつ約一カ月間一体何をしておったのか。しかも先ほど大臣からお話がありましたが、各界の御意見をいろいろ聞くというような手続は、少なくともそういったことがなされなければならぬというようなことは放送法の何らの根拠もございませんし、そういったようなことで議論をして手を加えるような余地は全然ございません。しかも、郵政大臣が最高の責任者として、これに対する御意見も、少なくとも閣議に提出せられるからには、その事前に意見書もきちっとくっつけられたことは当然であります。なぜ一カ月間漫然と今日までこの予算案が国会に出されてまいらなかったのか。  今日もはやあと十日間しかございません。この十日間と言えば、参議院における重要な予算案の審議期間でございます。したがって平常状態ではございませんから、委員会で直ちにこの問題について審議をするということは非常に困難であります。そうすると、NHKの場合には、異常な事態でありまするが、とにかくこれに対しての暫定予算を組まなければならないという事態になりますことは必至であります。そういう問題について特に直接非常に重要な責任を持っておられる郵政大臣が一体どういう御判断をせられて、この予算案が今日まで至ったのか。そこいらのことについてはもう少し詳細な御説明をいただかなければ、二月十九日に閣議の決定をしておりながら、国会に予算案が出されてまいらなかったということについては、それこそ公共放送に対してその重要性が常にいろいろ指摘されておりながら、事実上円滑な執行ができないような事態に郵政大臣みずからが追い込んでおる、そういう批判も郵政大臣としては甘んじて受けざるを得ないことになると思うのです。一体責任はだれが負うか、どういう責任をおとりになるお考えですか。私はその点について郵政大臣からもう少し明快な御説明なり御答弁を願いたいと思うのです。
  50. 大西正男

    大西国務大臣 いま御指摘のような経緯をとって、その日時にそれぞれそういう結果を得ておるわけでございますが、その間の途中におきましていろいろ経緯があったものと思います。私ども提案者としては努力をいたしましたけれども、結局そういう経過になったわけでございます。
  51. 久保等

    久保(等)委員 もちろん、NHKの明年度予算案に対する審議はきょうやる予定になっておるわけでもございませんが、ただ、私はこういう異常な事態を引き起こしたことについて、少なくともいまの御答弁程度では全然納得するわけにはまいりません。公共放送に対する重要性は、放送法の定めるところによって郵政大臣といえどもこれに対して介入、容喙ができない、したがって予算に対してもこれを修正することはできない、あるいは予算案そのものを作成することもできないというたてまえになっておるわけです。しかし、こういう扱い方をしてまいりまするならば、結局権力によって公共放送そのものの運営が困難になってまいる。  それから、中身の是非の問題はまた今後の審議の機会があるわけでありますから触れませんけれども、しかし中身としては受信料の値上げ問題が含まれておるわけでありますが、そうなってまいりますると、当然、本年度の受信料で明年度の運営はできないというような事態にもあるようでありますが、もしそうだとすれば、暫定予算を組まざるを得ないというような事態になりますと、予算面での非常に大きな一つの穴があくというか支障も出てまいることは必至であります。今度の明年度の予算案そのものが受信料の値上げ等の問題を含んでおりますだけに、経営的には非常に苦しいといいますか、非常にむずかしい状態に今日あるのではないかと予想せられます。そういう問題を含んだ明年度予算案に対する扱い方については、十分にその責任を御認識されながら問題の処理に当たることは当然だと思うのです。しかもそれが一日か二日あるいは数日おくれたという程度なら、あるいはそのときの事情によってやむを得ないと思うのですけれども、閣議の決定を経ておりながら一カ月間も提出をしなかったということになりますと、私はかつてない異常な事態だと思いますよ。したがって、それに対して郵政大臣そのものが一体どういう責任を感じて、どういう責任をとられようとするのか。この問題は予算案の審議の中でも議論の一つの大きな焦点になると思うのですが、いずれにいたしましても、大臣のいまの御説明程度ではとうてい納得するわけにはまいりません。  公共放送そのものの重要性考えれば考えるほど、そういった扱い方自体が実は公共放送に対する一つの介入になる、あるいは公共放送の円滑な運営に対する侵害になるという結果になるわけでありますから、何も口で介入するとかなんとかいうことをやらなくても、自然にそういう事実関係をつくり上げてまいることになる非常に重要な問題であります。したがって、その問題については今後また委員会の審議の中で十分に究明をしてまいりたいと思っております。この問題については以上をもって終わりますが、まことに私は残念と言わざるを得ません。  さらに、次の問題に移りますが、それは有線音楽放送の問題について少しお尋ねをいたしたいと思うのです。  この問題も実はかねがね問題になっておる問題でありまして、当委員会でもこの問題を取り上げて、何とか事態の解決を図りたいということで努力をいたしてまいっておるのでありますが、しかし残念ながら、この音楽放送が不法占用によって施設等がつくられるといったような事態がずっと今日まで続いてまいっております。このことについては郵政省もいろいろ苦労しておられると思うのでありますが、まず最初に、有線音楽放送が道路等の不法占用なり、電電公社あるいは電力会社の電柱等が不法に使用せられて施設せられるというような問題は今日全国的にあると思うのでありますが、今日の状況等について最初にひとつ伺っておきたいと思います。
  52. 平野正雄

    ○平野政府委員 昭和五十四年三月末現在でございますが、届け出があった施設は五百八十六、その事業者数は二百四でございます。  また、道路の占用許可を得ていない等いわゆる違法施設は百二十九施設でございます。その違法施設の内容といたしましては、無届けで設置をしたものが四十八施設、設備の拡張部分について無届けのものが八十一施設でございまして、その後もそういうふうな状況を続けておるわけでございます。  なお、いわゆる違法施設の内容でございますけれども、いずれの場合も、先ほど先生が御指摘になりましたように、そのほとんどは電柱添架の同意書であるとかあるいは道路の占用許可証の添付がございませんために不受理となったものでございます。
  53. 久保等

    久保(等)委員 一つは、この無届け施設、合計して百二十九ぐらいになるというのですが、これは距離にするとどのくらいの距離になりますか、わかりますか。
  54. 山本重三

    ○山本説明員 いまの不法占用の延長距離でございますが、国の管理しております道路につきましては約五百六十キロメートル、それから都道府県、指定市の管理しております道路につきましては約四千百キロメートル、合計いたしますと四千七百キロメートルにわたるものでございます。これは先ほどの五十四年の三月末現在の状況でございます。
  55. 久保等

    久保(等)委員 こういう施設はどうなんですか、去年の三月現在でこういう状況にあるようでありますが、いまの状況はいまから数年前あたりと比べて漸増しておるのか漸減しておるのか、どういう傾向にありますか。
  56. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘の無届け施設の年度別の推移でございますが、最近の状況について申し上げますと、五十一年度末におきましては五十一施設でございましたが、五十二年度末におきましては百施設、五十三年度末には百二十施設ということで、ふえてきておる状況でございます。
  57. 久保等

    久保(等)委員 資料でこの事業者名を一応ちょうだいをしておりますが、ちょっとこれについての御説明を願います。要するに事業者はどういった事業者なのか、説明を願いたいと思うのです。
  58. 平野正雄

    ○平野政府委員 五十四年三月末現在の事業者名でございますけれども、大きく分けまして四事業者になっております。  まず、社団法人全国有線放送協会というのがございますが、その中に参加をいたしておりますのが株式会社日本音楽放送、株式会社日本有線放送、その他七十二社でございます。  それから日本有線放送連盟、これに参加をいたしておりますのが株式会社大阪有線放送社、株式会社ゆうせん、その他三十三社でございます。  三番目が東京音楽放送協同組合でございまして、これに参加をいたしておりますのが株式会社飛鳥、有限会社音放、その他十六社でございます。  四番目が北海道有線音楽放送事業者協会、これに参加をいたしておりますのが有限会社時事タイムス放送社、北海道BGM音楽放送社等でございます。
  59. 久保等

    久保(等)委員 わかりましたが、この四事業者に分けて、無届け施設をしておる事業者がそれぞれどういった数字になっておりますか。
  60. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 五十四年の三月末現在で、先ほどお答えがございましたが、届け出のありましたのが五百八十六施設でございますが、このほかに無届け施設が四十八ございます。なお、五百八十六施設のうちには、設置の当初は正規の届け出がなされておったわけでございますが、その後拡張いたしました部分につきまして無届けであるということで、無届け部分を含みますものが八十一施設含まれておるわけでございまして、これを合計いたしますと、無届けのものが百二十九ということになるわけでございます。  それで、その内訳でございますが、まず無届けの四十八の内訳でございますが、先ほど電波監理局長からお答えを申し上げました分類に従って申し上げますと、協会糸が二、それから連盟糸が四十六でございます。それから、拡張施設が無届けであるという施設の八十一の内訳でございますが、協会系が十六、連盟系が六十五でございます。この無届けの中には、全く無届けであるというものと、届けは出てきたわけでありますが、その書類不備によりまして不受理となっておるものの双方を含んでございます。
  61. 久保等

    久保(等)委員 前々から問題になっておりますように、この連盟系が実は非常に目立って不法占用をしておる問題があったわけなんですが、いまお話を承っても格段にこの連盟系が数として多いわけであります。これをいつまでもこういう形で放置しておくことは許されないと私は思うのです。いろいろとそのときどきによって通牒を出したり、あるいはまた面接をして直接そういったことを指摘して改善方を強く警告して指導しておられるようですが、先ほどもお話があったように、むしろ年々歳々少しずつふえていくという傾向、これはまさに無法地帯のような形でどんどんこういった施設が行われる。距離にして四千七百キロといったような数字で今日その状況が説明せられておるのですが、まことに大変なことだと私は思います。  電電公社はこの中にどの程度含まれておりますか。施設とそれから距離の問題でお答え願いたいと思うのです。
  62. 前田光治

    ○前田説明員 お答え申し上げます。  この有線音楽放送の添架されております電電公社の所有の電柱の総数は約三十六万四千本でございます。このうち、いわゆる無断添架というものに相当いたしますものが二十一万一千本ほどございます。  距離につきましては、現在まだ調査をいたしておりません。
  63. 久保等

    久保(等)委員 具体的にはどういう方法でこの無届けをなくするような努力をしておられますか。これは電電の方にも伺いたいし、郵政省の方にも伺いたいし、それから建設省にもお伺いしたいと思うのです。
  64. 平野正雄

    ○平野政府委員 無届けで設備を設置しております有線音楽放送事業者に対しましては、法令で定める所要の届け出を行うように強力に指導いたしましたり、告発の措置を行うなどいたしまして事態の正常化に努めてまいっておるわけでございます。しかしながら、業界の体質がまだ成熟していないというような問題、あるいはその対策がむずかしいというような理由から違反施設が後を絶たない状況でございまして、こうした状況に強力に対応したいということで、郵政省のほかに建設省、通産省、電電公社あるいは電力事業者といった関係機関がその正常化について協議を重ねているところでございます。  また、社団法人全国有線放送協会及び任意団体の日本有線放送連盟の責任者から現状の説明を求めるとともに、有線音楽放送の正常化についてそれぞれの会員に対する強力な指導を要請したところでございます。  なお、違反業者のうち大手のものにつきましては、特に郵政本省に呼びまして違法の是正を強く求めるとともに、違法施設の解消について申し入れを行いまして、現在もそういった努力を継続中でございます。
  65. 前田光治

    ○前田説明員 お答えいたします。  無断の添架を発見いたした場合には、まず添架をした業者の所在というものを速やかに確認をいたしまして、責任者の出頭を求めて不当性を追及いたしまして、催告書を発送するというような方法で撤去を強く求めるわけでございますが、再三この撤去を求めても応じないといったような場合には、仮処分などの法的な措置を講じてこれを撤去するということを行っております。  それからなお、先ほども出ましたこの有線音楽放送業界の有力な二つの団体、全国有線放送協会あるいは日本有線放送連盟、こういったところに対しましては、電電公社から厳重に警告の文書も発送いたしております。  それから、先ほど電波監理局長の御答弁にもありましたように、私ども郵政省、建設省の御指導をいただき、また御協力を申し上げ、それから電力会社等とも協力をいたしまして、何とかこの正常化を早く進めたいということで大いに対策を練っておるところでございます。
  66. 山本重三

    ○山本説明員 先ほどお答え申し上げましたように、年々有線放送の不法状況が増加している、こういう事態を私どもも非常に憂慮いたしまして、昨年三月に郵政省とも御協議の上、先ほどお話にございました全国有線放送協会、それから日本有線放送連盟に対して是正方、警告をいたしたわけですが、残念ながらその後も違法状態の改善が見られない。私どもそういう状況を憂慮いたしまして、道路管理者に対して、道路法の規定に基づく厳正な監督処分を実施するよう指導いたしております。  なお、五十二年の暮れになりますが、私どもは特にこの中で悪質な違反に対しまして、警視庁及び千葉県警に告発をいたしております。その結果、現在検察庁の方で捜査中でございますが、私どもはその結果を見てさらにこういった措置も強化してまいりたいと考えております。  何分にも業界秩序の混乱から起こった問題でございますので、私どもできるだけ郵政省その他関係者とも十分協議しながらこの問題の改善に今後とも努力してまいりたいと思います。
  67. 久保等

    久保(等)委員 やはり私は相当な強硬手段をとらなければ問題は解決しないと思うのですが、もちろん先ほど電波監理局長のお話にありましたように、よく事情を知らなかったとか、手続を知らなかったとかといったようなものは、注意をして改善すれば改善の見込みがあるわけですが、問題は、悪意を持ってみずから届けをしないでどんどんやるんだという意識的にやっている業者がいるわけです。特に前々から問題になっておるのは、日本有線放送連盟、その配下にある大阪有線放送社あるいは株式会社ゆうせん、こういったものが前々から非常に悪質な無届け施設をどんどんあちこち敷設をするというようなことで、真っ向から不法な使用を行う。したがって、もちろん使用料など払わない。無料でもってどんどんとにかく線を引っ張り回してやっておるというような目に余る問題については、これは関係するところが非常に多方面でございますから、協議をするにいたしましても煩瑣でむずかしいと思いますけれども、やはり電波関係から言えば郵政省の重要な一つの所管問題でもありますから、ぜひひとつ郵政省がまとめ役になって関係省庁あたりをまとめて――告発等の手段もとっておるようですが、何か告発も三回ぐらいやったというのですが、最近一体告発をやっておるのかどうか、それもお伺いしたいと思いますが、同時に、いま建設省の方からも御答弁ありましたけれども、ぜひ関係方面と十分にお打ち合わせをせられて、ひとつそういった悪質なものに対しては強硬手段でもってとにかくどんどんやっていくというふうにしないことには、まことに何かこの問題については無法状態が長年続いて、結局正直者がばかを見るというか、使用料を払ってまじめにやっている業者の人たちがもちろん多いわけですし、これは当然のことなんですけれども、一方はただでもってとにかくどんどん施設をやって受信料を取る。したがってぼろもうけといいますか、不当なもうけをやっておるといったようなことが今日許されておるわけですが、これはそれこそ電波行政一つの恥部にも今日なっているように私は見受けられます。  何とかひとつそういう積極的な姿勢をとってもらいたいと思うのですが、いま申し上げたような告発をごく最近やられたとすればどこをやられたのか。従来からそういったことについては、私見受けるところ非常に消極的なように見受けられるわけですが、ぜひひとつそういったことのないように取り組んでいただきたいと思います。きょうは余り時間がございませんから、またひとつ適当な機会に実施状況等について御報告も願いたいと思いますが、最後に電波監理局長の方へその点についてお尋ねをしたいと思います。
  68. 平野正雄

    ○平野政府委員 違法な有線音楽放送業者で悪質なものに対しまして、先ほど先生からも申されましたように三回告発を行っております。昭和五十二年十二月十三日に株式会社ゆうせんに対する、同じく株式会社ゆうせんに対するもの、これは二件ございまして、さらに三件目も、これは五十二年の十二月十九日でございますけれども、告発をいたしました。この三件目につきましては、神奈川県警察本部に告発をしたわけでございますけれども、五十三年の十一月三十日に起訴猶予、不起訴ということになっておりまして、それ以降これに対する対処ぶりをどうするかというようなことで種々検討いたしております。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような関係方面と十分に協議を重ねながら、悪質なものには告発をもって臨むということで強力に進めてまいりたいと思っております。
  69. 久保等

    久保(等)委員 なおひとつ根気強く取り組んでいかぬことには、悪意を持ってやっておるわけなんですから、そういったことに根負けしないようにぜひお願いしたいと思います。  時間が参りましたので、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  70. 小林進

    小林委員長 次に、武部文君。
  71. 武部文

    ○武部委員 私は、同僚の久保委員から質問がございましたNHKの予算問題と、これに関連をする放送法改正について最初にお伺いいたしたいと思います。  先ほどのやりとりを聞いておりましても、私は納得できないのであります。今日までNHKの暫定予算が組まれた例は、国会が空転をして約二カ月たったと記憶をいたしておりますが、暫定予算が組まれたことがございました。しかし、今日のような事態は、われわれの承知するところではかつて例のないことであります。先ほど大臣答弁を聞いておりますと、各界の意見がいろいろあったとか、いろいろな経緯があったと思いますというような発言がございました。しかし、指摘があったように、公共放送であるNHKの事業計画なり予算の問題については、大臣は内容について口をはさむ余地は放送法上ないのであります。したがって、閣議決定二月十九日、一カ月もほったらかして現実的に暫定予算を組まなければならぬような事態に追い込んだ責任というのは郵政省にある、このように指摘をしたいのであります。  私が最初にお伺いをいたしたいのは、いろいろな意見がある、いろいろな経緯があった――各党にもいろいろ意見があります。しかし、それは公開の場である当委員会において、予算案の審議を通じて十分論議をすれば事足りるのであって、それを大臣みずからが意見書を付して閣議で決定をされておりながら、漫然とそれを郵政省が手元に置いたままで国会に提出しない。これは明らかに公共放送に対する不当な介入だというそしりは免れないと私は思います。このようにいままでと全く異なった形で、今日ただいまなお郵政省の態度があいまいのままで、当委員会における予算の審議すら軌道に乗らない。きょうの衆議院公報にも逓信委員会の議題としてNHKの予算を審議することが載っておるのであります。しかし現実には、後で具体的に申し上げますが、そのようなことにはならない。一体これからどうなるのか、どうしようと思っているのか、これを最初大臣からお伺いしたいのであります。
  72. 大西正男

    大西国務大臣 この問題が各部署におきまして、先生御指摘のような日時にそれぞれ処理されてきたことは御指摘のとおりでございます。これがこういうふうになりました経緯につきましては、いろいろの経緯があって結果的にそうなっておるということでありまして、私どもとしては早く御審議を賜りたいと念じておるところでございます。
  73. 武部文

    ○武部委員 私は、それならば新聞の報道を通じてわれわれが承知したことについて述べてみたいと思います。  政権与党である自民党の総務会の模様が新聞に報道されております。この総務会の模様は、NHKの監視、同時にNHKの報道の姿勢を検討する、こういう見出しがつけられております。各政党がいろいろな意見を持たれることは至極当然のことであり、結構なことだと思います。ただ、この自民党の総務会の後、総務会長の記者会見が行われております。この席上で総務会長は、NHKの報道していくべき綱領などを検討したい、こう述べたと報道されておるのであります。これは一政党が、公共放送であるところのNHKの報道のあり方についてこのようにあるべきだという姿を打ち出して、NHKはこれに従うべきことを求めておる、こういうふうにも受け取れるのであります。この発言は明らかにそう受け取れるのであります。これは明らかにNHKという公共の放送に対するところの挑戦だと言っても言い過ぎではないと私は思うのです。  あなたがおっしゃったようにいろいろな意見がある。当然私どもも意見を持っております。したがって、歯に衣を着せずに言えば、放送法改正とNHKの事業計画、予算とをセットにしてこれを出さなければならぬという政権与党の、悪い言葉で言えば圧力に郵政省が屈して、大臣がみずから意見書を提出し、閣議の決定を見ながら、これをそのままほおかむりをして今日まで漫然と一カ月間も提出しないという姿勢になっておるのではないか、このように思うのですが、もう一回重ねて大臣の見解を承りたい。
  74. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  いま御指摘の自民党内にどのような調査会ができたのか、できるのか、実は私はいまの時点でも存じておりません。私は自民党の党員でございますけれども、いま自民党の何らの役員もやっておりませんので、その点は実は把握いたしておりません。  ただ、NHKのあり方につきまして、国民の各界各層からいろいろの議論があるということは当然のことではないかと思います。そういう趣旨におきましては、主管の大臣としてはこれらのいろいろの意見に耳を傾けるべきだ、そうは存じております。しかし、放送法はNHKに番組編集の自由を保障いたしておるところでございます。したがって、その業務の運営につきましては最大限の自主性が確保されるということは大切なことだと思います。そこで、郵政大臣としては、このNHKの自主性を損なわないような慎重な対処をすべきだということは心得ておるつもりでございます。
  75. 武部文

    ○武部委員 私はいまの大臣答弁に納得できないのであります。いろいろな意見がある、いろいろな経緯がある、これは過去にも何回もそういうことがございました。毎回そうなんです。一体、NHKの番組が国民各階層に本当に正しく受けとめられておるか、あるいはNHKの報道のあり方についても、ある政党はこう言う、ある政党はこう思う、また一般の人もこう思う、いろいろな意見があります。これは少なくとも予算案の審議を通じて、毎年この国会の公開された当委員会できわめて長い時間をかけて討論をしておるのです。その結果、予算案、事業計画が採決をされて決定をするという経過をたどっております。なぜいままでの経過と違って今回そのようになったかと言えば、私が先ほど申し上げたように、あなたの所属されるところの自由民主党の総務会においてそのような論議がされた、これは紛れもない事実であります。  今度のNHKの問題をめぐる動きは二つあります。一つは、言うまでもなく料金値上げ、もう一つは、これに対して自由民主党から非常に強い要請のある支払いの義務制の法制化の問題です。これはだれもが承知しておるところです。この二つの問題をセットにして、一緒でなければ予算を国会に提出しないというその態度、これは明らかに公共放送に対しての不当な介入であり干渉だというふうに言われても、一音半句も弁解の余地がなかろうと私は思うのです。あの総務会の皆さんの中の発言を新聞の報道を通して私どもが知るところでは、少なくとも値上げ予算案と放送法改正、いわゆる義務制の問題とを人質にして、NHKを国営放送にしろという意見があったと述べられておるのであります。NHKを国営放送にしようという意図が余りにも露骨に出ておる、このように思わざるを得ないのです。いま申し上げたように、値上げの予算案と放送法改正、いわゆる義務制の問題とを人質にして国営放送に持っていこうという意図が余りにも露骨だ、われわれはそう見ておるのであります。  したがって、いまいろいろとお述べになりましたけれども大臣は真相を端的に述べておられない、私はそのように理解せざるを得ないのです。もしNHKが現在、公共放送として不偏不党でないというならば、あるいは正義にもとるような放送をしておるというならば、具体的な事実を挙げて、公開の場であるこの当委員会で堂々と論議したらいいじゃないでしょうか。そういう場が約束されておるはずであります。非公開でも何でもない。そういういままでの経過があるにかかわらず今日なおNHKの予算案を提出しないということは、国民の目からも異常だと私は思うのです。  少なくともそういう情勢が今日まで来ておるわけでありますが、ここであなたとやりとりしてもあなたは知らぬとおっしゃる、しかしわれわれはそう思っておる。現実ここまで来たわけですが、それならば、当委員会に付託された法案はないのですから、一般質問でこの委員会が終わったら、一体あと何をやるのですか。郵便法だ、放送法だ、あるいはKDD法だとあれほどいろいろな法案がある。ましてや、日切れ法案として今日までたったの一回だけ暫定予算を組んだ。それも国会の空転のあおりを受けてそういう事態が起きたという異常な事態があったことはわれわれも知っています。それ以外はなかったのです。それならば、直ちに当委員会に予算案を提出して審議をお求めになる御意見でしょうか。大臣はどういうお考えでしょうか。
  76. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  自民党内でどういう御議論があったかは、私は当時予算委員会に出ておりましたから、事実知らないのです。でございますが、(「報告は受けたでしょう」と呼ぶ者あり)それは概要の報告はわが省の事務当局からは受けておりますよ。ですけれども、それが現実にどういう議論であったかという詳細は存じません。私そこにおりませんから知る由もないのです。しかし、いかなる御議論であろうとも、それはNHKのあり方について各界各層からそういう論議のあることについて、これをしてはいけないなどということは私ども言うべき立場でもありませんし、どなたもそんなことは言えないと思います。ですが、骨子はいま申し上げましたようなことでありまして、NHKの法上保障されておる自主性にまで触れることはいかがなことであろうかと思いますから、その自民党内に行われた議論がどうであったかは知りませんが、それは自民党であろうと何党であろうと、あるいは政党に関係ない方であろうと、御議論は自由でありますが、郵政大臣としては、そういうことはしっかりと立場を把握して対処していかなければならない。私の覚悟はそういうことでございます。  そういうことでございますから、いままだ提案されておらないとおっしゃいましたけれども、全部提案はされておるわけでございます。でございますから、そこから先はこれは国会のお取り扱いになることでございますから、これまた私どもが口をはさむべきところでもないと思いますが、でき得べくんば早く審議にお入りを願いたいというそういう気持ちでございます。
  77. 武部文

    ○武部委員 大臣は報告を受けておるとおっしゃるわけですから、自民党の総務会でどういうやりとりがあったということは御承知だと私は思うのです。もう全部御承知だと思うのですよ。そうでなければ一カ月間もそういうものをちゃんと握っているということが起こり得るはずがないのですよ。ですから、自民党がそういう意見を持たれるのは、私がさっき言ったように自由ですよ。自由だが、しかしNHKという公共放送と自民党の何とか考えておられることを一緒にして、そうでなければ予算案は国会に提出しないということをあなた自身がお認めになっておる。お認めになっておるから出さなかったんだ。そうでしょう。そうでなければ、あなたはとうの昔にこれをお出しになっているはずなんだ。ということは、明らかに先ほど申し上げたようなことが背景にあって、そしてこの二つをセットにして当委員会に付託をしたい、そういうお考えがあっていままでずっと握っておられた、これはだれが考えてみてもそのようになるのですよ。これは常識ですよ。  ですから、ここまで来たものだからもとへ戻せと言っても仕方がないでしょう。しかし、現実に三月三十一日まであとちょっとしかありませんね。参議院のことを考えれば明白にこれは暫定にならざるを得ないでしょう。暫定ということは一体だれがしたか、国会のわれわれの責任じゃないですよ。郵政省責任ですよ。郵政省が暫定をみずから組むというそういう態度ですよ。そのようにわれわれは理解をするわけです。もう一つ申し上げますが、放送法改正の問題、これは関係ないのです。それはそれとしてやればいいのですよ。この予算案とはまた別個に論議をすればいいのです。そういう点をお認めになりますか。
  78. 大西正男

    大西国務大臣 その点はおっしゃるとおりでございます。
  79. 武部文

    ○武部委員 郵政大臣がそういうお考えならば、われわれはそういう態度で当委員会運営に臨まなければならぬと思います。それが当然だと思います。  そこで、これに関連して放送法改正についてお伺いいたしたいのであります。  大臣はおかわりになりましたけれども、前の大臣のときに、放送大学学園法案の問題をめぐって当委員会でいろいろ論議が行われました。そして文教委員会と連合の審査もやりました。選挙によってこの法案は廃案となって、また改めてこのたび放送大学学園法案なるものが同じ形で国会に提出をされたのであります。われわれは、あの連合審査の状況なり当委員会における放送大学学園法案の内容の審議、さらには十年もさかのぼってこの委員会で放送大学についてのいろいろな論議、その経過を踏まえたときに、放送大学学園法案なるものは余り急いでやる必要がない、放送の根幹に触れる問題だからもっともっと十分論議をしてやるべきだということを口を酸っぱくしてわれわれは与野党を通じてそのような主張を続けてきたことを記憶しております。     〔委員長退席、野口委員長代理着席〕 今回新しい国会が召集されるに当たって、われわれは、この放送大学学園法案なるものについて、第三の国営放送と言われるこの大学法案なるものは、いま言ったように放送法の根幹に触れる問題だから別個の形で放送法改正を提出してもらいたい、そういうことを皆さんの方に申し入れをいたしましたし、大臣はそのことをよもやお忘れでないと思います。にもかかわらず、今回、前回同様に――NHK、民放そして国営と三本立てになった、しかも放送法昭和二十五年に制定されて以来三十年という経過をたどって、今日放送の内容についても全く大きな変革を遂げておる、このときに、この重大な放送法改正をたった一行の、しかも放送大学法案の中に附則でたった一行入れて放送法の根幹に触れる改正をやろうということは全く間違いじゃないか、こういう主張をしてきたけれども、あなたの方はこれに対して耳を傾けられなかった。そうして、今回NHKの支払い義務制の放送法改正をまた別な放送法改正案として当委員会に提出をされる。すでに国会に提出されておる。これは一体どういうことか。  なるほど一つの法律が二つの委員会にまたがって出されることはないとは言いません。しかしこの二つの法律を考えてみると、国営大学であるところの放送大学ができますと、NHKの経営、特に受信料の問題に非常に大きな影響をもたらすことは、われわれの委員会でもあるいは連合審査会でも強く野党からも出たところです。この二つに分かれておる放送大学の放送法改正案は大きなつながりを持っておるのであります。それを当委員会にはNHKの義務制だけを放送法改正案として提出をして、片一方で、とっても重要な根幹に触れる放送法改正の問題を附則として他の委員会に提出なんということは全く不見識もはなはだしいと言わざるを得ないのです。この点について郵政省はどういうふうにお考えか、お伺いをいたしたい。
  80. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  先般先生方が私のところへ陳情に来られたことはもう私もよく承知をいたしております。その内容についても承知をいたしておりますが、これは耳を傾けなかったとおっしゃいましたけれども、十分耳を傾けたつもりでございます。しかし、最終的に意見の違いますことはこれはお許しをいただきたいと思うのでございます。  そこで、放送大学の法案の附則で放送法改正が行われる、こういうことについてでございますけれども、放送大学学園の放送ということにつきましては、大学教育のための放送に限定をいたしておりますために、既存の放送秩序に及ぼす影響という点から考えますとほとんどない、こう考えておるのでございます。したがいまして、学園の放送を認めたといたしましても、これによって放送体制の抜本的な改正にはならないのだという考えでございます。  なお、学園の放送を認めることに伴う放送法改正につきましては、国会において種々御議論をいただいたところでありますが、郵政省といたしましてもこれらの御意見について関係省庁とも協議をしながら慎重にこれまで検討をいたしました結果、学園の目的なり業務と密接不可分な関係にあるということから、従来同様、学園の業務の実施に必要な点に限って学園法案の附則によって改正するとしたことでございます。こういうことは、一つの法律の中に数個の法律の改正を含んでいくということは従来からあり得ることで、一つの立法上の技術的な問題だというふうに思うのでございます。そういうことで、私どもはこの大学学園法案ということによる放送法改正ということが放送法の根幹に触れるとは考えておりません。  それから、NHKの三十二条でありましたか、受信料の問題についての改正法案を今国会に御審議を願うことにいたしておるわけでございますけれども、これはNHKの性格を変えるものでもございません。  それから、現在契約義務を受信設備をなさった方に課することになっております。この点は、契約は本来自由なものでございます。もっとも、最近経済情勢の進展に伴いまして、契約条項の内容についてはこれはもう非常に定型化されてきておるわけでありまして、NHKの受信料契約についてもまさにそのとおりでございます。ですから、一般的に申しますと、そういう場合には契約の当事者の相手方はそれを締結するかしないかの自由は持っておりますが、締結する以上はその相手方の示しておる条件に従う、こういう契約形式になるわけであります。そこで、少なくとも契約については締結の自由はあるわけであります。ところが、この現在のNHKの受信料については契約の自由もないということでありまして、これは言うならば法の擬制だということでございます。このことは何も私が新説を出しているわけでも何でもないのでありまして、先ほどもお話がございましたが、三十七年ごろでございますか、臨時放送関係法制の調査会というのができて、約二年間にわたってこのことを慎重に検討した結果、答申を出しておりますけれども、当時からその問題は論じられておったところでございまして、もっと明確にすべきだ、こういう擬制的なやり方ではなくて、受信料というものの性格を明確にすべきだということが当時から言われておる次第でございます。そのことが今回、NHKの受信料についてこの契約を拒否なすったり、それからまた支払いをなさらないといった問題が出てまいっておりまして、相当の数に上っておりますので、こういうことでは、何というのか、NHKの性格を御理解くださって、そして受信料を払っておられる大多数の国民の方々に対して不公平ではないかといったような観点から、この受信料の性格というものを本来の姿に明確にすべきだ、そして契約によって払っても払わなくてもいいとかなんとかいう問題ではないんだということを明確にして、これに対する御理解をいただいて、そしてNHKがその受信料を徴収しやすくしようという心持ちから発してこの改正を行おうとしておるところでございます。そして、これはまたまさに緊急性を要する問題でございますからこの法律案を出しておるわけでございますが、このことも決して放送法の根幹に触れる問題ではないと考えておるわけでございます。
  81. 武部文

    ○武部委員 NHKのこの受信料の義務制の問題は、おっしゃったようにそういう経過があったことはわれわれも承知しております。昭和四十一年の当委員会においてもそのことが論議をされた議事録も残っておるのであります。ですから、これは非常に長い経過をたどってきたわけです。四十一年以来十四年間、この問題は逓信委員会で論議をされたことはないのです。不公平だということについてはいろいろ論議があったが、三十二条の改正というのは、われわれの承知するところでは、昭和四十一年の国会以来今日までこの逓信委員会で三十二条の改正をやるべきだというような意見はなかった。今回それが出てきた。それはそれなりにあるいは意味があるかもしれません。十分論議をする必要があるでしょう。それはわれわれは法案の審議を通してここでやればいいと思うのです。  問題は、いま指摘をしたように放送法の根幹に触れる国営放送、しかもこれは文部大臣の権限が非常に強い大学であります。文部大臣の権限が非常に強い。これは学園の長その他任命はほとんど文部大臣に任せられておる。そういう非常に国営放送のにおいの強いものができ上がる。先ほど来申し上げるように、いままでは放送法は二本立てであります。NHKと民放です。そこへこのような国営放送と言うべき放送が出てくるということは、まさしく放送法の根幹に触れる問題だ、われわれはそのように認識する。いまの大臣の認識は全く根幹に触れないというお話ですが、これは私は少し認識に欠けておられるのではないか、このように思います。  そこで、これはやりとりをしても時間がかかりますから一つ提案をしたいのですが、ここまで当逓信委員会では与野党を通じて放送大学に対するいろいろな異論が出た。これは御承知のとおりです。文教委員会でも、文教の諸君も逓信委員会の意見が初めてわかったということを与野党を通じて述べておるのであります。したがって、放送法改正が今回国会に二つ出されたわけですが、この際、放送法の重大な根幹にかかわる問題であるこの三本立ての放送が実施されるかどうかという改正案、これの改正と、そしてこのたびあなた方がお出しになる三十二条の改正案とを一括して取りまとめて国会に法律を提案し直すべきだと私は思いますが、これについて郵政大臣の見解をひとつ述べていただきたい。
  82. 大西正男

    大西国務大臣 これは意見が違うところでございまして、私どもは根幹に触れるものだとは考えておりません。と同時に、大学学園法案は一本の法律として出すのが適切だと考えておりますので、遺憾ながら先生の御意見には従いがたいのでございます。御了承をいただきたいと思います。
  83. 武部文

    ○武部委員 すれ違いですから、これ以上のことは申し上げません。  それでは次に、時間がございませんから、貯金の利子と公定歩合との関係についてお伺いをしたいと思います。  大体、公定歩合が上がると貯金の利子も上がるのが普通であります。いままでの経過を見ると大体そういう経過をたどってきている。ところが、前回預貯金金利だけが据え置かれたのであります。公定歩合が上がると、郵政省は貯金の金利との連動をいままでずっと主張してきた、このようにわれわれは承知をし、郵政省は大蔵省の銀行局としらっぱらやりとりをしたというふうに理解をし、評価をしておったのでありますが、なぜ前回文句一つも言わないでこの預貯金の金利の引き上げが見送られたのか、この経過をひとつ述べてもらいたい。
  84. 河野弘

    ○河野政府委員 お答え申し上げます。  郵便貯金の金利の決定に当たりましては、先生御承知のとおり、郵便貯金法十二条におきまして、預金者の「利益を増進し、貯蓄の増強に資するよう」考慮を払うとともに、あわせて民間金融機関の預金の金利についても配意することというふうにされているわけでございます。  いまお示しの、昨年十一月の公定歩合の引き上げに当たりましては、当時の日銀総裁の談話にもありましたように、その引き上げが為替相場の安定に資するための措置として行われたものであるというふうにいたしておりますし、また大蔵省におきましても、長期金利の動向等を慎重に見守っていく必要があるというふうにいたしまして、民間金融機関の預金金利につきまして直ちにこれを引き上げない、そして当分の間金融情勢の推移を見守るということにされたわけでございます。  こうしたことからいたしまして、この郵便貯金の金利の改定につきましても、民間金融機関の預金金利の改定の動向を注視していきたいということで、この十一月二日につきましてはこれを改定いたさなかった、この時点においては改定いたさなかったということでございます。  なお、先ほども先生から公定歩合と預金の金利、貯金の金利が連動しておるのが普通ではないかというお話がございましたけれども、過去の例でございますけれども、必ずしも公定歩合の改定が直ちに貯金金利の改定に直結いたしているわけではございませんで、仮に申し上げますと、昭和四十八年秋のオイルショック後の金融引き締め期におきまして、公定歩合は一回改定で二%引き上げたとございます。この際は、郵便貯金金利につきましては二回に分けまして丁二五%引き上げたというような実績もございますし、さらにまた五十年四月以降の金融緩和期におきましては、公定歩合が八回改定されまして、合計五・五〇%引き下げられたわけでございますけれども、貯金金利につきましては四回で三・二五%引き下げたという実績もございまして、直ちにこれが連動しているということではないということでございますので、御了承いただきたいと存じます。
  85. 武部文

    ○武部委員 いままで連動しなかったのは、おっしゃったように四十八年七月、それだけですよ。たったの一回。あとはまとめてやったとかいろいろなことはありますよ。しかし、公定歩合の引き上げに貯金の金利は大体連動してきたのですよ。それを今回は全く何も言わないで――あなた方も何か銀行局に主張をしていろいろ話し合いをしたが、話し合いがつかなくてこうなったのか、それとも何にも言わなかったのか、どっちですか。
  86. 河野弘

    ○河野政府委員 お答え申し上げます。  公定歩合の改定が俎上に上るようになりまして、社会的にいろいろ問題になりました時点におきましては、私ども貯金局といたしましては、あるいは郵政省といたしましては、当然に大蔵省の関係局と折衝はいたしております。それで、この貯金金利の改定の基本原則といいますか、これに基づきまして、当然預金者の利益を守るように改定すべきであるという申し出はいたしておりますけれども、去年十一月の時点におきましては、私どもとしましては、先ほど申し上げましたとおり、一般の民間金融機関の金利上げないということにつきまして、私どもこれに同調したということでございます。
  87. 武部文

    ○武部委員 郵政省が大蔵省に押し切られたと私は見ておるのですよ。  ここに公定歩合が上がって金利が上がらなかったときに大蔵大臣が記者会見をした発言要旨がありますがね。郵政省との話し合いはついたか、完全についた、こういうふうに述べていますね。このやりとりを見ると、郵政省は全く大蔵省に、国債の利子も上がって大変なことになるという大蔵省の危機感が郵政省を押し切った、このようにわれわれは見ざるを得ないのです。済んだことはもう仕方がないから、もうこれ以上申しませんが、また新しく公定歩合の引き上げが近く行われるようであります。このことについて一体郵政省はどういう見解を持っておるか。  もう時間がありませんから、二、三一緒に質問しますから、一緒に答弁してください。  通常の郵便貯金と銀行の普通預金との利率の変遷を見ますと、だんだんこの差が縮まってきておるのであります。ここに一覧表がありますが、だんだん差が縮まってきておる。これはわれわれから見れば少しおかしいと思うのです。少なくとも貯金の金利が銀行の預金金利に対して上回っておるということは、滞留期間の相違で金利が決められるべきだ、こういう原則があると思うのですよ。そういうために差があっても当然だ、このように思うのですが、その差がだんだん縮まってきた。これは明らかに大蔵省主導型の金利のやり方じゃないか、このように思えるのですが、これについて郵政省はどういう考え方を持っておるか。きょうの新聞を見ますと、今度は四・五六の郵便貯金の普通の貯金の利子に対して銀行は三・二五、その差は一・三一、このように縮まってきておるのであります。その前は一・三三、その前は一・三六、その前は一・三八、一・四〇、どんどん下がってきておる、差が縮まっておるのであります。これは明らかに、滞留期間の相違で当然金利が銀行よりも上回ってもいいという原則から外れておるのじゃないか、これは明らかに大蔵省から大きな圧力が加わって郵政省が後退をしておるのじゃないか、このように思われるが、この点はいかがか。  もう一点、私はこの間多くの田舎の人からこんな意見を聞きました。貯金の金利が上がるということを新聞で見る、そうするといままで預けておった自分の定額貯金はどうなるだろうか、こういう点について、何かやり方によっては得になるし、やり方によっては損をするということが新聞に出る、また新聞の広告にこんなに小さな、なかなか虫めがねで見なければわからぬようなことが載っておる、これではまことに不親切ではないか、したがって、届け出制によって金利を変えるなんということじゃなくして、公定歩合が上がり貯金金利が変わったときには、全部その既定契約、いわゆる既契約、そういうものの定額貯金を全部を対象に引き上げをやるべきではないか、こういう意見が非常に庶民の中からは強いのです。また、郵便局が利息が改定になったときにはもっと親切に、たとえば公衆だまりにぶら下げて具体的にわかるように、あるいは外勤の皆さんが、いままで契約した人にはこうなりますよというようなことがなぜ郵政省にはやられぬのか、こういう非常に強い不満が出ておりました。  この以上三点について説明してください。
  88. 河野弘

    ○河野政府委員 お答え申し上げます。  三点あったかと存じます。  まず最初の、今回の改定あるいはまたこの三月十日に実は金利の改定をいたしているわけでございますが、今回また公定歩合の再度引き上げが論じられているわけでございますが、これについてどうするのかというお問いかと存じます。きのうすでに公定歩合の引き上げが決定されまして、また、民間金融機関の預金金利の引き上げにつきまして、大蔵大臣の発議がなされたところでございます。したがいまして、郵便貯金の金利につきましても、これを引き上げるべく所要の措置をとるように現在取り運んでいるところでございます。  それから第二点の、銀行と郵便局の金利の差が縮まっているではないかという御指摘でございます。この金利の問題でございますが、先生御指摘のとおり、三月十日からの金利の改定に当たりましては、定期、定額につきましては一・〇%、それから積立、通常等につきましては〇・七二%の引き上げを行ったところでございます。銀行につきましては〇・七五ということで、その間に〇・〇三%の差がございまして、この点の御指摘かと存じます。  この点につきましては、従来私どもの積立貯金あるいはまた通常貯金につきましては、十二カ月を単位として金利の幅を定めておりましたために、その〇・七五であるべきところを〇・〇六の十二倍という形で、本来ならばあるいは〇・〇七の十二倍とすれば〇・八四ということになるかと思いますけれども、やはり現在のところ通常貯金は銀行の一般の普通預金に比べまして金利が高うございましたので、これを〇・八四にすることは非常にむずかしゅうございまして、結局直近下位ということで〇・七二ということになっているわけでございます。このために、〇・〇三%の利差と申しますか、金利の間が縮まったということになろうかと思います。  御案内のように、預貯金に要求払いのものとかあるいは定期性のものとか、あるいはまた定期性のものの中にも拘束期間が長いもの、短いものあるいは積立方式のもの、あるいは積立方式でなくて一時に預け入れるもの、いろいろございます。この種類ごとに現在一つの金利体系ができているわけでございまして、それぞれがその金利を改定いたしますときに、現にある体系の枠の中で改定をするという作業をいたしております。このために時によりましては非常に高く改定がされたりあるいは低くなったりということもございますけれども、私どもは現在あるこの金利水準の体系というものを維持していきたいということを考えているところでございます。  仮に申しますと、三月十日の利率引き上げに際しましては、要求払いの通常貯金は従来の三・一六%を四・〇八%にすることにいたしたわけでございます。これは先ほど指摘のございました〇・七二%の引き上げでございますが、これは三・三六%に対しまして引き上げ率が約二一%ということでございます。一方、定期性の定額貯金につきましては、最高三年のもので六・二五%を七・二五%にいたしたわけでございまして、一%の引き上げ。これは従来の金利の六・二五%に対します引き上げ率は約一六%ということでございまして、この引き上げ率という面から見てまいりますと、通常の方が引き上げ率が高かったということになるわけでございます。  貯金の種類別に異なった幅で利率の改定を行わなければいけないということから、いま御指摘いただきましたようにある種の矛盾はございますし、あるいは銀行との間の格差が縮んだりあるいは伸びたりする場合もございますけれども、三月十日の分につきましては、こういう形になったということでございます。  それから、第三点の、公衆だまり等の措置あるいは金利改定に伴う郵便局の周知、おしかりいただいたわけでございます。私ども新聞あるいはテレビ、ラジオ等によりまして、相当額をかけましてこの金利改定の措置、周知をいたしているつもりでございます。郵便局の窓口にも、どうすれば預金者の方にとって有利な切りかえをしていただけるかということを周知いたしておるつもりでございますし、また窓口でもできるだけその相談に親切に応じるようにということをこの改定ごとに指導いたしておるところでございますけれども、いま御指摘いただきましたので、今後ともこの改定に当たりましてはさらに親切に応対するように周知徹底を図りたいというふうに感じているところでございます。
  89. 武部文

    ○武部委員 個人年金のことをお伺いしたかったのですが、大変期待が大きかった個人年金がパアになったということで、郵政省の態度が今後どうなるかという点は非常に関心の深いところであります。せっかく来ていただきましたけれども、時間が来ましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  90. 野口幸一

    野口委員長代理 この際、午後一時四十分まで休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十四分開議
  91. 小林進

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  92. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 きょうは最初KDD事件につきまして、捜査の状況からお尋ねをしたいと思います。  昨日の報道によれば、郵政省の幹部が二人逮捕されましたが、これは海外旅行の便宜供与ということですが、こういう単純収賄罪ということでしょうか、そのほかに国内での問題はなかったのでしょうか、どうでしょうか。
  93. 奥山雄材

    ○奥山説明員 官房審議官でございます。お答えさせていただきます。  先生御指摘になりました昨日付で当省職員を含む二名が警視庁に逮捕されましたことにつきましては、逮捕に至りました事情、背景等につきましては一切私どもは了知しておりません。ただ収賄容疑による逮捕というふうにしかお聞きしてない次第でございます。
  94. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ほかにも局長級の人を含む複数の幹部が、同じような海外旅行等で旅費の肩がわり等行って収賄の疑いがあるという報道がございますが、これについて調査をしておりますか。また何人ぐらい事情聴取等行っておりますか。
  95. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答え申し上げます。  他にも国際会議等海外に出張をいたしました郵政職員はございますけれども、それらにつきまして事情聴取を受けたかどうか、あるいはいま逮捕されました二人につきましての捜査の見通しがどうであるかというようなことにつきましては、私ども了知しておらないところでございます。
  96. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 余り知らぬとおっしゃると困るのですが、仕方ありません。  そこで、この委員会でもずっとこのKDD問題についてはいろいろ議論もしてきたわけでございますが、私が記憶のあるのは、いわゆるKDDの円高差益の問題が大変議論になりました。ちょうどその時期に、三年半ぐらいで五十何億という交際費も主にその時期ぐらいに活発な動きを見ておるように思います。この円高差益問題については、この委員会においても当時の大臣は値下げをしたいというような発言、と同時に、また二、三カ月たって、いや、これはどうかというような発言があっておるわけですが、いままでの捜査等について報道されるところを見ますと、こういう状態のいわゆる疑惑といいますか、調査についてはどうなっておるのか、また職務権限というのはどういうものなのか、わかっておればお答え願いたいと思います。
  97. 奥山雄材

    ○奥山説明員 円高差益の問題が当委員会等で議論されましたころにかかわるKDDの交際費の支出の状況等につきましては、私の担当でございませんで電気通信監理官の担当でございますが、ただいま電気通信監理官は予算委員会の方へ行っておりますので、おっつけ参るかと存じます。  なお、先生が後段でおっしゃいました、それらについて取り調べがあったかどうかにつきましては、先ほどと同様、私ども承知しておらないところでございます。
  98. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この事件の中心人物はやはり板野前社長であろうと思います。いわゆる直接指揮をしたといいますか関与したといいますか、政官界に対する工作、そういうものについては何かお調べなさっておりますか。  なお、報道なんかによりますと、何で板野さんを調べなくてその下の室長を調べて逮捕するのか、こういう意見もあるようでございます。その辺のことはどうでしょうか。
  99. 漆間英治

    ○漆間説明員 お答え申し上げます。  板野社長につきまして、いろいろ報道等によりまして種々の事柄が報道されておりまして、これについて国民の関心が集まっておりますことはよく承知をいたしておりますけれども、板野社長が捜査上今後どのようになるかという事柄につきましては今後の捜査の状況によるわけでございますので、現段階お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  100. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 取り締まりの方の意見をちょっと聞くのですが、いまの状態は捜査上ちょっとおかしい、攻めの捜査じゃないという意見がありますが、これは何か感じでもいいですからお答え願いたいと思います。
  101. 漆間英治

    ○漆間説明員 捜査の展開はあくまでも証拠の積み上げによるわけでございますので、その積み上げの状況いかんによって捜査の進展ができてくるわけであります。そういうことで、外から見ておりますといろいろと御批判もありましょうが、私どもとしては、証拠が積み上がり次第、それに基づいて適切な手を打っているというように存じております。
  102. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 捜査の内容にまで立ち入れませんけれども捜査の積み上げも事を間違えば大悪を逃がすというようなことになって、私は国民に対して申しわけないと思いますから申し上げたわけでございます。  そこで大臣、いわゆるKDDの問題でございますが、監督官庁としまして、KDDの役員の問題、料金そのほかのいろいろな問題について権限を持っております郵政省でございますが、こういうKDDのような特殊法人をいわゆる郵政省の身内に見立てていろいろなことが行われた、これが癒着にもなり事件が起こったというふうに思います。KDD経営姿勢はどうであろうとも、その主役をやったのはやはり郵政省の天下りの方なんですね。こういう状態ですから、今回の事件を通しましてKDDの刷新を図らなければならないわけでございますが、その方法としまして郵政省監督権限をより強くするというようなことが言われております。KDDの監視を強化することはいいのですが、それがためにまたいまのような弊害が出てきて癒着してくるようなことがあってはならない。ですから私は、簡単に申しておりますが、そういう仕組みの中で郵政省としては天下りというものについては何らかの歯どめが必要ではなかろうかと思いますが、大臣のお考えを聞かせていただいて、いま具体的なことがあればそれもお聞かせ願いたいと思います。
  103. 大西正男

    大西国務大臣 KDDの人事の問題につきましては、先生もいま御指摘になられましたように、KDD首脳陣経営姿勢が大変遺憾なものであったということは、これはもうぬぐいがたい事実だと思います。そこで、何としても経営に当たる方がそういう問題を引き起こすことのないようなりっぱな方であることが要請をされるところであると思います。そういったようないろいろな観点から、御承知のように、先般の臨時株主総会におきまして、会長に財界から日高さん、それから社長には増田さん、それぞれ御就任を見たわけでございます。日高氏は御承知のように全く民間から来られた方であります。それから増田さんは、かねてからKDDにも関係しておりましたが、またいわゆる準民間においてもいろいろと働いてこられた方でございます。そうして増田さんは、KDD内部のいろいろな仕事について通暁をしておるとともに、手腕もすぐれておる方であり、人物としても非常にりっぱな方であって、KDD内部においても非常に信望のある方だということでそれぞれ御就任が実現をしたわけでございます。このお二人の就任早々の新聞記者会見その他、私どももお会いをしましたが、そのときのごあいさつの内容とかいうものを見まして、KDDの立て直しに非常な熱意を燃やしておられるということを私どもも感得することができるわけでございます。KDDがこのお二人を中心にして、国民の指弾を受けないように、そうして国際電気通信というまことに重要な公共性のある業務をりっぱに遂行されていくことを私どもは期待をいたしますとともに、厳に確信をしておるところでございます。  このKDDに対して、いま天下り等のお話がございましたけれども、私どもといたしましては昭和五十二年の末の閣議決定というのがございまして、その該当の組織においてその内外から人格、識見、手腕等においてすぐれた適材適所の人物を選ぶべきだという趣旨の閣議決定がなされておるところでございます。したがいまして、私どももその趣旨にのっとって将来の問題については考えていかなければならない、こう思っておるところでございます。
  104. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この問題について大臣の御答弁を聞いておりますと、確かに言いにくいところもあろうかと思いますが、やはりここまで来ますと、私、一遍この問題の最初に返って大臣の心構えから聞いていきたいと思います。  大臣はこのKDD事件が発覚後に就任されたわけでございまして、大臣としての職務遂行上このような忌まわしい事件に取り組まなければならないということについては同情もいたしますが、何事も最初が肝心でございます。あなたは大臣に就任された時点から、この事件についてはどのようなお考えで取り組んでこられましたか、お答え願いたいと思います。
  105. 大西正男

    大西国務大臣 KDD事件に対する取り組み方についてでありますが、まずKDD自身が早急に経営姿勢を見直し、業務執行体制の確立を図るよう強く指導してきたところでございます。  また郵政省自身としましても、KDDに対する監督体制、これを改善いたしますために国際電信電話株式会社法の整備について自来検討してきたところでございます。  省内に設置をされました綱紀点検委員会を通じまして綱紀の実態をつかみ、職員に対してさらに一層綱紀粛正の徹底を期するよう指導をこれまでしてきたところでございます。
  106. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、失礼でございますけれども、官僚のお書きになったものを読まれるのもいいんですが、私が聞いておるのは、もう少し率直に、あなたが大臣になられたときにこの事件が起こったわけですよ。起こってすぐ大臣になられたわけですから、その辺の心境といいますか、それはいまの御答弁では余り格式張ったお話で、私は本当のことをおっしゃっておらないのじゃないかというような気持ちがしてなりません。ですから、そういう形ばかりのお答えじゃなくて、もう少し率直に大臣の胸のうちをひとつ明かされませんと、第二、第三の問題が出てくるのじゃなかろうかというような気がしてなりません。  そこで、もう一遍あれしますが、やはり監督権のある責任者でありますあなたは、郵政省の中におきましてこの問題に対する対応策はもちろんとってこられたと思いますが、昨日はその郵政幹部側から逮捕者を出す、こういう段階でございますね。そういう関係者並びにあなたの先輩である郵政大臣経験者、そういう方々に直接、この事件関連してその事件の事実といいますかそういうことについて問いただされたことはございますか。
  107. 大西正男

    大西国務大臣 御承知のように省内には、いまも申し上げましたけれども綱紀点検委員会というものをつくりまして、省内において役人としての姿勢をただしていかなければならぬ、それについては従来どうであったかということを調査さしたわけでございます。これを踏まえまして、従来の社会通念では社会的な儀礼の範囲内だというふうに考えられておるそういういろいろのおつき合いについても今後はもう一遍見直して、そしてそういうものもやってはいけないのではないか、この際公私を明確にするためにそれも自粛をしよう、またしなさい、こういう意味通達を出したわけでございます。そういうことで、公私の区別を厳格にしなければならぬし、世間で許されておることであっても、全体の奉仕者である役人としてはその点ももっと厳格にやるべきであろう、こういうことでいま申し上げたような通達を出して自粛の意識を植えつけることに努力をしたわけでございますが、今回昨日のような事件が発生をいたしまして、国民皆さんに対してまことに申しわけのないことだと存じております。  それで、事件の進展その他につきましては、捜査当局捜査に待つわけでありまして、これを見守っていきたいと存じますが、再びこのような事件が発生をしないように、役人としての原点に立ち返ってみんなで努力をしなければならない。特に幹部の人たちにとっては、お互いに相戒め合って、切磋琢磨をして、再びこういう事件が起こらないように最大の努力を払ってもらうことを要請をしておるわけでございます。  また、全般に対しまして近く訓示のようなものを出したいと私は思っております。そして事件の進展に伴いまして適時適切な打たねばならない手を考え、そしてそれを打っていきたいというふうにいま考えておるところでございます。
  108. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私がお尋ねした真意にちょっと触れたぐらいで、答弁に私満足できないのですが、いまの御答弁の中から言えば、昨日幹部が逮捕された、だったら、私は、すぐでも、後で訓示なされることはいいと思いますよ。それは訓示する以上はきちっとしなければいけませんから。しかし、これだけ、半年以上にわたって国民の注目するところであるこの事件に対して、郵政省の幹部の方が逮捕された、すぐでも、部内のことですから、何らかの事実というものについてのもう一遍問い直しといいますか、考え直しといいますか、そういうものもされないと、先ほど午前中から言われておりましたように、やはりすぐ行動しなければならないことは行動しないと、国民から見ればそれはちょっと納得するものにはならないと思うのです。それが一点。  もう一つ大臣経験者というのは全部、与党の皆さん、同僚でしょう、先輩でしょう。そこをお聞きしたのです。そんなことはできないのですか。できないというのは、私は道義的にもやるべきだと思いますよ。どうですか。
  109. 大西正男

    大西国務大臣 同僚といいますか先輩といいますか、そういう方々に対して、私がこの事件に絡んでお尋ねをしたことはございません。これは私どもの守備範囲を離れることではないかと思います。
  110. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 守備範囲を離れるようなことを聞かぬでもいいと思うのですよ。しかし、聞かなかったということですからね。私はそこに問題がある。きのう逮捕された人も言っているじゃないですか。報道によれば、自分たちがやったことは大したことないんだ。罪の意識さえ余りないのです。それはなぜかと言えば、上の方がそれ以上のことをやっておるからでしょう。自分たちはそれにただあずかったぐらいのことだとしか思ってない。それじゃ責任のとりようがないじゃないですか。責任をとるというのは言葉だけのこと。もう少し率直に、ここで言われないことは、守備範囲外のことはいいと思いますよ、しかし尋ねてみるぐらいのことはやらなければ、国民は、郵政省が、この百年の歴史を持った郵政事業が、今後スムーズにいくことについて不満を感じます。  そこで、それではそれを避けますが、KDDがもうけ過ぎであったということは、これはもうどうしようもない事実だろうと思いますね。これはもう、そういうもうけ過ぎという言葉は大臣お使いにならなくても、その実態というのはそう思っておられると思いますが、どうですか。それもそう思っておられませんか。
  111. 大西正男

    大西国務大臣 もうけ過ぎという言葉が適切であるかどうかはわかりませんけれどもKDDは言うならば独占的な事業を担当しております。そしてまた、国際事業というものは、電電公社の方とは違いまして、日に増加をしておる傾向にあるわけでございます。そういうことでございますから、それは利益も多くなっていくのは当然であろうと思います。その利益をどのように処分するかということが問題でございましょうが、その面におきまして、KDDの首脳部が、遺憾ながらその点において、経営倫理と申しますか、いわゆるもうけたものを将来の発展のために有効に使うとかいろいろ道はあろうかと思いますけれども、その点において、その倫理性において欠くるところがあったのではないかと思います。ですから、そういう問題について、そういった姿勢を直してもらわなければならぬ。直して、そうして立ち直っていかなければならぬというのが私たちの考え方でありまして、その考え方に基づいて首脳陣の交代もございましたし、その首脳陣がこれから大いに張り切ってやっていこうとされていることに対して、私たちは期待とともに確信を抱いておるわけでございます。
  112. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これは監理官でもいいですが、いまのもうけ過ぎの問題と同じく、ひとつ郵政省監督権がある、利益金処分、役員人事、それから事業計画を出させるというようなことも、それは規定にはちゃんとそうなっておっていいことですが、現実にそれがどう活用されたか、効果を出したかというところに問題があるというふうに私思うのです。交際費の最初事業計画についての監督権があることで、この委員会KDD側から出てきてもらっていろいろ答弁を聞いてみても、その事業計画一つさえ完全に把握してない。交際費一つとってみてもですね。そういうことが目に見えるものでまだあるのじゃないですか。KDDが発足以来使いもしないような土地を三十年近く放置しているものもありますよ。遊休しておる土地をどんなものに――これは私たちはそんな情報持ちませんからね、皆さん方郵政省は全国に二万数千の郵便局を持って、調べようと思えばすぐでもできることです。放任している。不動産の買収でも、強引なやり方で、むちゃくちゃなことをやっているということは私たちの耳にも入るのです。そういうことについても何もやらない。どうですか、そういうことは知らないですか、本当に。
  113. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 KDD監督に当たりましては、私ども先ほど来先生御指摘ございますように、KDDが株式会社として設立いたされましたその趣旨並びにそれに対する国の監督権のあり方というものが表現をされておりますKDD法の趣旨にのっとりましていままで監督を行ってきた、さように考えておるわけでございまして、いまそのことにつきまして、特に昨日の事件等がございまして、より一層厳正な態度で、厳粛な態度でこの監督に当たらなければならないということは改めて心を新たにしておるところでございますが、今後ともそういうつもりで監督に当たってまいりりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、ただいま御指摘のございました土地の件につきましては承知をいたしておらないところでございます。
  114. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私がいま指摘しました大きな目に見えるような土地でも知らないということですね。ここにいらっしゃる皆さんはほとんど見えないのです。見えないでいろいろな議論をしましても的外れになりますから、この問題はこのくらいでやめますが、いずれにしろ、この問題についての早急なる対応と善処方をお願いする次第でございます。  そこで、大臣の所信表明について質問をしていきたいと思います。  まず、今度の郵便法改正につきまして「公共事業経営責任者として、きわめて心苦しい」こういうふうに所信表明で述べておられますが、これは具体的にどういうことでございますか。
  115. 大西正男

    大西国務大臣 現行の郵便料金は、先生も御承知のように五十一年一月に改定をされまして、今日までもう四年以上経過をしているわけでございます。今回の措置は、郵便事業運営に要する財源を確保いたしますために、物価等への配慮もいたしつつ、やむを得ない範囲料金改定を行って、現在窮迫をいたしております郵便財政の立て直しを図ろう、こういうことでございます。  しかしながら、事業責任者といたしましてやむなくとった措置とは申しながら、料金の改定は利用者の方々にそれだけの御負担をおかけいたすこととなるわけでございますので、そのことについて私の真情を率直に申し上げたわけでございます。
  116. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 また後に触れるとしまして、次に、この郵便事業が大変人手を要するもので、事業の経費が人件費的なものがほとんどである、こういうように言われておりますが、私は、その人件費的な内容に問題を含んでおるのじゃなかろうか、こういうふうに思うところがありますが、大臣はそれはどうお考えになりますか。
  117. 大西正男

    大西国務大臣 お答えになるかどうかわかりませんが、正確に申しますと、人件費そのものは業務費の七〇・五%でございます。そのほかに、あるいは臨時の人たちに対するものとか、あるいは委託をした委託事業についての人件費に絡む問題とか、そういうものを含めまして約九〇%になる、こういうことでございます。  正確なことは事務当局からお答えを申し上げます。
  118. 守住有信

    守住政府委員 ただいま大臣が御説明申し上げましたように、五十五年度予算案を例にとってまいりますと、郵便事業における業務費の総額は九千二百六十九億円でございますけれども、このうちの人件費は六千五百三十三億円で業務費の七〇・五%を占めております。さらに、予算の科目では物件費の方に区分されておりますけれども、人件費的性格の強い経費、言いかえますならば賃金動向に連動するような経費が千六百四十七億円で業務量の一七・七%を占めておりまして、両者を合わせますと業務費の八八・二%、約九割近くが人件費や人件費的経費で占められておるということになるわけでございます。
  119. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 郵便事業公共企業体として業務を独占しておりますが、この業務を遂行する上で、あくまでもあってはならないこと、またやってはならないこと、ということについてどういう認識をお持ちですか、大臣
  120. 江上貞利

    ○江上政府委員 郵便事業は御指摘のように独占であるわけでございますけれども、この事業運営に当たりましては、何よりも事業に与えられております責務を自覚いたしまして、能率的な経営のもとであまねく適正なサービスを提供してまいることを常に念頭に置くべきものであり、独占の上にあぐらをかくことのないよう自戒をしてまいることは必要であると考えております。  郵便事業は、その運営の基本の考え方は、郵便法の第一条及び第三条に示されているところでございます。省といたしましては、従来から、機械化を初めといたしまして各種の効率化あるいは合理化施策を推進しまして、郵便事業企業的あるいはまた能率的な経営に努めてまいってきておりますが、今後とも可能な限り経営の改善に一層努力を傾けてまいることが必要であろうかというふうに存じているわけでございます。
  121. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 今度の郵便法改正は、報道によれば史上まれに見る内容盛りだくさんで大変なことである、その結果、利用者の負担増と今後の不安ははかり知れないものがある、こういうふうに言われておりますが、これをどういうふうに解消しようとしますか。
  122. 江上貞利

    ○江上政府委員 史上まれに見るという御指摘でございますが、実は値上げ率そのものは、今回お願いしておりますものよりも、昭和四十六年・四十七年あるいは四十九年・五十一年の値上げ率の方が相当高いわけでございます。  御指摘の今回の郵便法改正でございますが、郵便事業運営に要する財源の確保と利用者に対するサービスの改善を図るということのために行おうとするものでございますが、御案内のとおり、現行の郵便料金は、昭和五十一年一月に改定されましてから今日まで四年以上の間据え置かれております。郵便事業運営に要する財源を確保いたしますために、一面では物価等への配慮もしながら、やむを得ない範囲料金改定を行いまして、窮迫した事業財政の立て直しを図りたいというふうに考えておるわけでございます。  御指摘の史上まれに見るという件でございますが、料金決定方法あり方についての御指摘かとも存じますけれども、かねてから郵政審議会等の御提言もございまして慎重に検討いたしてまいりましたが、郵便事業財政の現状にかんがみまして、郵便事業にかかる累積欠損金が解消されるまでの間、法律におきまして、国会で御承認をいただいた上で、厳しい要件を付した上で、これらの料金は郵政大臣が郵政審議会へ諮問した上省令で定めることができるようにいたしたいと存じております。なお、厳しい要件と申しましたけれども料金の改定は、郵便事業の単年度の損益計算において欠損が生じた場合、次に、この改定率は物価等変動率という合理的、客観的に定められる基準を上限として、それを超えないようにいたしてまいりたいと存じているわけでございます。
  123. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、このたびの改正はどうしても納得ができません。国民立場に立っても、今度のような改正を認めるわけにはいきません。  そこで、先ほど申し上げました人件費の内容、それからいわゆる公共企業体としての問題の中で、能率的な経営とか適正なサービスというようなことをおっしゃいました。まず適正なサービスはもちろんでございますが、郵政事業の中で郵政職員の犯罪もふえておりますね。昨年度で三十六件、一億一千九百万円、これは検査院も指摘した数字でございます。これは氷山の一角でありましょう。私は前から不思議に思うのですけれども郵便物が出したのが届かない。こういう事故も減ってはいませんね。そう言うと、郵便物がふえておるから、全体がふえておるからというような言いわけを必ずしますけれども、そういうものは先ほど言ったこととはちょっと意味が違うのではございませんか。ここ十年間で三十万件から四十万件ぐらい郵便の事故の届け出があったものが未解決になっております。いまの郵政犯罪の件数、それから郵便物の事故の中で未解決の数、そういうととはここ十年間でおおよそ四十万件くらいだということは間違いございませんか。
  124. 江上貞利

    ○江上政府委員 首席監察官の所掌でございますので、ちょっと詳細な資料を持ちかねておりますが、犯罪につきましては、わずかでございますが、年々減少の傾向を示しております。
  125. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 郵政犯罪が減っているなんて、何を言うのですか。五十二年は十件、五十三年は三十六件、ふえておるじゃありませんか。郵政省も最近、大変数字的なこともあいまいな点がありますから、こちらから言っておきますから、後で会議録をよく見て整理してください。大臣、聞いておってください。  いまのように、それは郵政犯罪という一つの犯罪ですから、どの世の中にもそういうものはあると思いますが、次に申し上げておきたいことは、先ほど言ったように郵便物が届かない。郵便は大体このぐらいの日数でどこに届くという送達日数というのがありますけれども、これも最近は大変乱れておりまして、守られておりません。具体的に言いますけれども、午前中年賀状の話が出ておりましたが、年賀状が来ないなと思っておったところが捨ててあったという事故がまだあるのです。それから、相手が実在するにもかかわらず赤スタンプが打たれて返ってくる。その返ってくるのも、年内に早く整理したいために年内の何日までに出してくれ、出します、そうすると、その出したものが年内にせっかくの年賀はがきを汚して返ってくる。この人は実在しているのです。そういうこともある。それから、先ほどの事故申告をして未解決になっておる件数の中には、これはいいことじゃありませんが、普通の封筒に現金を入れたものが、それが抜き取られて、金が抜き取られたと同時に通信文は捨てられる。そういうのがこの四十万件ぐらいの中に大分あるのです。そういう郵便物は規定に従ってきちっと郵便局長のところで処理しなければならないようになっておるけれども、そういうのがほとんどないと言ってもいいくらいです。郵政大臣はそういうことは余りお聞きになってなかったと思いますけれども、現実はそういうことですよ。  私、聞いた話ですけれども郵便物を区分けをしますね、その区分けする人の専門家といいますか、何十年かやった人は、この郵便物は現金が入っておるか入っていないか、手にさわっただけで大体わかるそうです。十年くらいするとわかるようになるそうです。わかることは結構ですけれども、そういう事実を少しきちっとしなければいけないのではないかということを私は言いたいわけです。そういう問題が、それではどこ地方にどういうふうにあるかということも把握していない。それから、一昨日ですか、大事な書留書類が入った郵袋が、千四百万円相当ですか、金品が盗まれた。それから、それではもう少しお話ししておきますと、年賀郵便はがきを八十円で買いますという広告が出ている。四十円の切手が――賞品でもらいますね、その四十円の切手が百五十円で売れます。これは輸出商品の目玉です。そういうことを御存じでしたか、大臣
  126. 大西正男

    大西国務大臣 私も郵便犯罪の方面につきましてはいまの首席監察官からも時に触れて報告を受けておりますので、概要は存じております。  それから、いまの郵便切手とかはがきが高く売られておったりするという事態も、存在しておることは聞いております。
  127. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 御存じであれば、そういうものはきちっとした処置をしてもらいたいということです。  そこで、いままでの郵便事業の中で労使関係が必ずしもよくなかった、ようやくことしあたりからその改善の方向に向いておるわけでございますが、その前にもう一つ、年末年始を主体にした非常勤職員、アルバイトが大変な数に上っておるのですが、五十三年度、五十四年度の年末のアルバイトの雇用人員と金額は幾らですか。
  128. 江上貞利

    ○江上政府委員 昭和五十四年度の年末年始におきまして一総計いたしまして九十六億一千六百万円でございます。
  129. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の手元に来ているのは、昭和五十二年、五十三年、五十四年もございますが、五十二年、五十三年で一番問題があるわけです。  どういうことかといいますと、五十三年の年末年始は職員の超過勤務拒否によって大変なアルバイトを使った。倍までいきませんけれども、倍近くの人数になっております。大体二百万人といいますからね、五十三年は。内容は詳しく次にやりますが、問題は、この非常勤のアルバイトの職員に対して、賃金その他、事故ができた等に対して郵政省がとっておる対処が大変悪い。アルバイトが全国でどのくらい人身傷害を受けたとか死亡したというようなことを言おうとしないのですよ。私が資料でも出してくれと言うとようやく渋々出したのですけれども、私は、いかにアルバイトといえども、こういう郵政の大変なときに働いてもらう方たちに対してはやはりそれなりの待遇と労働条件を与えてやらなければならない、こういうふうに思います。  その中で、五十二年、五十三年、いわゆる悪かったときのアルバイトを雇った費用が五十二年が約七十六億、五十三年が約百二十八億。そうしますと、これは五十億程度の金がむだに使われたことになるのです。これは単純な前年との比較ですけれども、いままでのアルバイトの使用状況から見て、五十億相当のむだな金が使われた。そうでないという反論がありますか。――また時間があるときにしまして、反論を聞かずにいきましょう。  問題は、そういうアルバイトを使って、そして昨年度末は職員にやみ給与を支給した。それはやみじゃないとかどうだこうだと言いますけれども、現実に支給しておることは間違いない。仕事をしてないのに超勤もらいましたという人がおるのだもの。それがまた五十億近い金です。こういうことを繰り返して、繰り返してというとおかしいですけれども、こういうことがあって、郵便事業赤字になるから料金を上げてくださいと言うのは、国民気持ちよく応じられないのが常識じゃないでしょうか、大臣どうでしょうか。
  130. 林乙也

    ○林政府委員 ただいまの先生の御指摘は、昨年度の年度末に超過勤務手当を繰り上げ支給した点についての御指摘かというように考えるわけでございますけれども、一昨年の末は御承知のとおりに非常に激しい闘争がございまして、長期にわたりまして時間外労働の協定が締結されませんでしたが、年を越しまして大臣会見も行います中で、お互いに立場は異にし意見を異にする中でも、意思疎通を図る中で事態の解決を図ってまいりたいということでいろいろ組合とも話をいたします中で、徐々に正常化に向かったわけでございます。幸い、三月一日以降時間外労働の協定が締結されまして、選挙繁忙、年度末繁忙のための時間外勤務に応じてくれるという体制がとられることになったわけでございます。  一方、この時期は入試、入学あるいは就職等の通信が非常にふくそうする時期でもございまして、そういうような時間外勤務の必要が他の月と比べましても非常に高いわけでございましたが、この間に三六協定が締結される中におきまして、勤務をされました超過勤務手当につきまして三月十七日の支給定日に繰り上げて、本来でありましたならば四月十七日に支給すべき形になるわけでございますけれども、労使関係のせっかく正常化に向かった中にこれを定着させてまいりたいという配慮も含めまして、三月一日から十一日間の勤務実績に対する超過勤務手当を三月十七日に繰り上げて支給いたしたものでございまして、これにつきましては会計検査院またその他の関係の機関に対しましても説明もし、御了解もいただいて措置したものでございます。
  131. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 郵政職員が働いてないとか無理にしなさいということじゃないのですよ。郵政省が自分たちの勝手な超勤を支給するについて、規定まで変えてそういうことをやるようであるならば、国民の負担を増すことは心苦しいのだから郵便料金を上げるのもやめたらいいじゃないですか。職員全体で六百億ぐらいの超勤を出す、それの一割にはならないけれども一割ぐらいの超過勤務がそういうことで処理されておる。郵政事業全体で二兆数千億の収入だからそれから見れば大したことはない、こういうふうなことじゃ公共企業体としては妥当ではない、私はこういうことを言いたいわけです。大臣、いま答弁されましたけれども、そういう事実に対してもう一遍考え直した方がいいんじゃないですか。
  132. 大西正男

    大西国務大臣 いまの時間外の勤務に対しての支給は、いまの説明は、従来は翌月の何日かに支給をしておったけれども、これは本来三六協定によって、労使双方で、払うということになれば、請求があればそのときすでに債務が発生しておりますからその時期に払うのは本来のことでございます。ですからこの際は、その本来の姿に返ってお支払いをした、こういうことでございまして、何らそごはないと思います。
  133. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま、発生主義で処理しているのだから問題はないというようなことをおっしゃっているようですけれども、これはまた検査院なり大蔵省なりに来てもらって、時間を別にとってきちっと議論を詰めたいと思います。  先ほどから労使関係の改善の方向が出ている、これは私も喜ぶべきことと思います。しかし、今年予定されておるような公共料金値上げ、物価の上昇、金利の高騰、こういう中で、働く人たち、職員の生活破壊につながる先の見通しがある。そういうことを考えますと、今後の労使の状況も、私素人ですけれども、いまのせっかくよくなった状況だけでいくだろうか、私は疑問に思えてなりません。その疑問の火種は消えていないということだけははっきりしておかなければならない。その内容としてやみ給与だ何だという話もある、そして内部の不満と信頼の欠如というものもあるということを指摘しておかなければなりません。
  134. 大西正男

    大西国務大臣 郵政省に関します限りやみ給与はないと思っておりますから、御理解をいただきたいと思います。
  135. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そのことについては後でまたいたします。  もう一つ、もう時間がなくなりましたが、郵便事業以外でも、郵便貯金でも、十万円を六カ月の定期にした場合の利子と、十万一千円とか十万三千円預けたときの利子が、十万円のときより減るのです。こんなことで貯金法の一条とか、先ほど能率的などと言われましたけれども郵便法規定するものとか郵便貯金法の規定するものとかけ離れていると思いますよ。簡易保険でもそうです。せっかくつくった疾病傷害特約ですね。この簡易保険の新規が大変最近ふえておる。ダイレクトメールによって最近各個人のところへも行っておる。それが何といわゆる不正、郵便局の局員の情報不備もありますけれども、超過契約が盛んに行われている。そして事故を起こして詐欺事件が起こっておる、こういうこともございます。これもまた別の機会に詰めましょう。ですから、私はいま申し上げたようなことが今後の郵政事業の中で、国民の側から見れば郵政省大体何をやっているんだ、そういう声が出てこなければいいがな、こういう気持ちもするわけでございます。  最後に、せっかく大臣お答えをいただきたいと思うことが一つございますから申し上げてみますが、それは例の個人年金の件でございます。  先日、委員会で個人年金について御答弁がございました。それを聞いておりますと、大臣のおっしゃったことは、要約でございますが、この個人年金の発足に当たってはいろいろ昨年末努力をした、いわゆる大蔵省といろいろ折衝の中で、この資金の運用先の拡大について合意が至らなかったために、予算の最終段階で大蔵省、官房長官まで入れて三者で合意を見たことは、今後その運用先の拡大で成案を見るということで合意した、このようにお述べになったと思いますが、そうであるならば、この個人年金の見通しについてどういう見通しをお持ちになっておられますか。報道等によれば何か参議院選挙後の臨時国会に出して、そして発足したいというふうな報道もなされておりますが、これはいかがでしょうか。
  136. 大西正男

    大西国務大臣 昨年の末の予算の編成期におきまして、私どもが新規の個人年金を生み出すべく最大の努力をしたわけでございますが、ついに全面的の合意を見ることができなかったために五十五年度は見送らざるを得なくなったわけでございます。ただ、この間の交渉におきまして、新種の個人年金をつくるべきだという点と、そうしてそれを魅力あるものにするためには資金の運用の範囲を拡大をしなければならないというそういう基本的な二点については合意を見たわけでございます。ところが、その資金運用の範囲を拡大する具体的な問題について、遺憾ながらその時点では合意を見ることができなかったために五十五年度は見送られる、こういうことになったわけでありまして、さらにその交渉の中におきまして、引き続き検討をしてそうして成案を得る、こういう合意にもなっているわけでございますから、私どもとしては五十六年度にはぜひこれを生み出したい、こういうことで現にいま努力をしておるところでございます。  来るべき臨時国会に出すとか出さないとかいうことは、私そういうことを言った覚えも何もございません。そういうことになるならそれはまことに結構なことだと思っておるだけでございますが、そういうことに触れたことは一遍もございません。ただ、私どもとしては五十六年度にはこれを何とかして成立をさせたい、こういう願いに燃えていま折衝中でございます。
  137. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 終わります。ありがとうございました。
  138. 小林進

    小林委員長 鳥居一雄君。
  139. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 KDD事件、昨日郵政幹部二人逮捕という重大な局面を迎えたわけでありますが、許認可の実態特に国際専用線の認可をめぐる問題、これについて少々伺いたいと思います。  四年間に三百三十件ほどの許認可の申請があったといいますけれども、具体的に五十二年度、五十三年度、五十四年度、KDDから申請があった件数、それが認可の件数になるだろうと思いますが、どうなってますでしょうか。
  140. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  五十二年度からでございますが、五十二年度におきまして総認可件数、許認可をいたしました件数が百二件、五十三年度におきまして九十二件、五十四年度、これはたしか一月末までだと思いますが、五十四件でございます。
  141. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 内容はどんな内容でしょうか。
  142. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  許認可と申しますのは、先生御案内のとおり法律に基づきまして行われるわけでございまして、ただいま申し上げました数字のうち、たとえば五十三年度の数字で申し上げますならば、国際電信電話株式会社法に基づくものが七件でございます。それから公衆電気通信法に基づきますものが八十五件でございます。それで、この公衆電気通信法に基づきますものが件数としては大変多いわけでございますが、この大半は、いわゆる新しい回線の設定でございますとか、それからいままでの回線のある外国に参ります経路を変更するとか、そういったものが大半を占めておるわけでございます。
  143. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、その五十二年度の百二件、五十三年度の九十二件、内容がわかるような資料いただけませんでしょうか。
  144. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 別途、先生のお手元へ提出いたします。
  145. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 KDDから申請を受けるとまず電監室で検討処理が行われると私は見ているのですが、この受理した後、電監室ではどこが検討処理をするのでしょうか。
  146. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 認可申請を出されましたものの扱いでございますが、まずその前に認可という行為がなされてから当然審査をいたすわけでございますけれども、認可申請に至る前に、いわゆるネゴシエーションと申しますか、そういった意見交換を十分する場合も間々ございます。それで、認可申請が出されますとその出されました当該担当のところでいろいろと検討するわけでございますが、その仕方というのは、やはり認可申請に係ります案件の内容によりまして課長段階で整理をするものもありますし、重要なものになりますならば、課長段階で詰めを行いましてさらに私ども局長段階まで上げまして十分に討議をしてその上で決定をする、それでさらに省の組織といたしまして文書課を経由いたしまして、その内容によりましては大臣決裁まで行くものもございますし、そうでないものもございます。種々雑多でございます。
  147. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、KDDから申請が出ますとそれは検討処理のために担当の部門が引き受けるわけですね。それで大半は条約、会社担当に行くんじゃないですか。
  148. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、公衆電気通信法に基づくものが件数として一番多いわけでございまして、これの先ほど例示的に申し上げましたような案件につきましては、私どもの方の現在の組織で申し上げますならば、会社を担当しておるところ、そしてそこを担当しておる参事官、そこで審査をいたします。もちろん、内容によって他の参事官等の所掌に係るものがございますれば協議をすることはそのとおりでございます。
  149. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 松井当時監理官、日高当時参事官、いつこの職について、いつ離れたんでしょうか。
  150. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま正確な日付の資料が手元にございませんが、五十年夏から五十二年夏までと記憶いたしております。
  151. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いまお二人聞いたのですが、お二人同時ですか。  それから、詳しいものを後ほどいただけますか。
  152. 小山森也

    小山政府委員 後ほどお届けいたします。
  153. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 具体的に国際専用線の申請、認可の問題なんですけれども、どうもよくわからないのですが、新聞の報道によりますと、後を引き継いだ担当官が、後を引き継いだとき「すでに認可の方向に固まっていた感じで、上げ幅の圧縮にも大変苦労した」こう述べているわけですけれども、これに間違いありませんか。
  154. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 私どものところにございます記録によりますと、この件に関します認可申請は五十二年の五月二十三日になされておりまして、これに対する認可というのは、これは修正をいたして認可したわけでございますが、同年十一月二十五日にいたしておるわけでございまして、その間に先ほど申し上げましたような人事の交代がありましたことは御指摘のとおりでございます。
  155. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そこのところをもうちょっと詳しく伺いたいわけですよ。それで、いま監理官が言われたとおり五月二十三日に申請が出ましたね。それに対して利用者側が早速郵政省に陳情をしております。その陳情のときの様子を記録いたしましたものが私の手元にありますが、この中で日高当時参事官がこういうふうに概要を言っております。「今回は体系の改定であって、値上げではない。結果的に一部のユーザーにとって値上げになるだけである。」「陳情側の料金の国際比較は調査不十分である。もっと広く調べるべきだ。米国、英国を対象としているが、両国は特殊な国である。両国とも国際条約に違反している。ダンピングしたり、違反して販売促進を行っている。これにより国際的に通信を支配した後、独占体制下で価格引き上げを行う意図がある。」「これに対抗する策として今回の改定を行うものである。」「なおユーザー側は帯域使用はKDDの世話になっていないと言うが、世話になっているのだ。」こう言っております。これじゃまるでKDDの代理人が利用者に応対している、私には全くそのように思えるわけです。これをどう思いますか、監理官。
  156. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、五月に申請が出されまして十一月に認可がなされたわけでございますが、その間、ユーザーの方々から陳情があったということは承知をいたしております。それで、ただいま私は、五十二年六月二十七日にユーザーの方が来られまして、当時の松井監理官、日高参事官、さらに他のもう一名の参事官等がこの陳情に応対したという大まかな記録に目を通しております。それによりますと、ユーザーの方から、今回の改定と申しますか、ユーザー側から申しますれば値上げというものについて考え直してほしいというような趣旨のお話がいろいろございまして、それに対して当時の日高参事官から、これは料金水準の引き上げではなくて、一方で電信級回線の割引を行うので、料金体系の手直しであって、総体としてKDDは減収になるものであるというふうなことを言っておるのは承知をいたしております。ただ結論的には、本件について実施時期、引き上げ幅等を含め申請を認める方針というものを決定しているわけではないので、各位の御意見をも十分考慮して対応していきたいのだという意向表明がなされているという記録に目を通したことはございます。
  157. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 申請が出たのは五月二十三日、そうして六月には一方的に、KDDの専用料金値上げになる、未認可のままで七月一日から三〇%から六〇%値上げだということをユーザーに対して通告しているわけです。しかもこの申請に当たっては、事前にKDD郵政省との話をやっているわけですから、申請の幅あるいは内容、こういうことについてほぼ煮詰まった段階で申請をしていると見ていいわけですね。しかもその上に、七月一日に認可になって実施になるんだという前提の文書を一方的に通告している、こういう実態、それからただいまの発言、これをおかしく思わないのかということが私の質問なんです。どうでしょうか。
  158. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまお話のございましたKDD側がユーザーに対して通知をしたあるいは連絡をしたという文書につきましては、実は私どもの手元にはございません。したがいまして、その内容につきましてただいま私ども公式な形で確認をすることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても認可申請がなされた場合に、それに対していろいろな角度から、通信の主管庁といたしまして、国、国民の福祉を増進するという立場からこれを慎重に、厳正に審査をしてまいらなければならないということは御指摘のとおりだと考えております。
  159. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、直接値上げによって被害を受ける皆さんはまた改めて陳情いたしました。この陳情に対して、七月十五日、当時監理官の松井監理官は「私としては、値上げ案が出たとき、十数関係団体があると聞きい今日の御時世で何の連絡もせず認可することには問題がある。申請の入り口の段階でよく話し合ってもらい、話し合いの段階で以心伝心、全面的とはいかずとも、ある種の合意が醸成されるなら結構、その上でKDDがどういうものを出すかという判断だった。承ると、基本的に反対であり、理解し合う、歩み合うことはできないことがわかった。KDDも資料を出してくる、海外事情も大方はわかろう、皆さんの話も記録した。私としては、いずれにせよできるだけ納得のできる線で措置したい。慎重に検討する。」こう述べているのです。その後、異動によって監理官がかわられました。しかしこの回答を見る限り、私が思うことは、これは要求どおり白紙撤回できた内容じゃなかったのか。申請の白紙撤回を強く要求していたわけです。そしてその要求は、その後に、十一月十七日になりましてから、約二十社が集まりまして電気通信ユーザー協議会なるものを発足させました。この制度の改革に断固反対、こういう意向での協議会。これが七月の異動で次の担当の方に移られたそうでありますけれども、次の担当の方はこの検討処理をどういうふうにおやりになったのか。六〇、三〇が結果においては一〇、二〇という上げ幅に縮まりました。しかし、この内容検討がゼロから検討されたものなのか、あるいはそれまでの前任者の積み上げで検討をなされたものなのか、この辺は一体どうなんでしょうか。
  160. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 まず最初に御指摘のございました、七月十五日にやはりユーザーの方が当時の松井監理官のところへ見えられましていろいろお話があったことは、その概要は記録されてございます。そこで、当時の松井監理官がいろいろユーザーの方々のお話を聞きまして申しておりますことは、本件は、KDD料金改正案を作成する最初段階でユーザー側とよく話し合っておけばよかったと思う、KDDがユーザー各社の意見を聞いてどんな出方をするかを見ておるところである、当省としては料金水準のあり方を検討中だが、できるだけ納得のいく線で解決を図りたい、こういうふうな発言をしたということを承知いたしております。  そして、いま一つお尋ねの、本件の認可を十一月に行ったわけでございますが、これが一体どういう理由に基づいて行われたのかということでございますが、御案内のとおり、このときの申請の内容が三種類ございまして、一つは、音声級回線につきまして速度別に三つの段階につきまして、V2を三割増し、V3を六〇%増しという形にしたいということ、それから第二点が、音声級回線の多数利用料金減額という制度を新設する、第三に、電信級回線の多数割引制度料金の減額措置というものを従来以上に拡大をする、この三点でございます。それで、第二、第三につきましては申請どおりの内容で認可をいたしたわけでございますが、第一点の速度別料金につきましては、三〇%増し、六〇%増しという申請をそれぞれ一〇%増し、二〇%増しという形に減査定をいたしまして認可をいたしておるわけでございます。  そこで、その当時の認可に当たりました状況等で申し上げますと、まず速度別に分けて料金を変えるということにつきましての理由といたしまして、高速伝送を行う回線は非常に多くの効用が得られます。同時に、高速伝送を行うためには、回線を提供いたします通信事業者の側におきましても、それに対応した施設の整備あるいは保守のためのいろいろな費用を必要といたします。したがいまして、そういった一連の回線の中から高速伝送に適した良質の部分を割り当てる必要がある、こういう理由でございます。大きく申しますと効用面と費用面、両面に着目をした申請だったと思うわけでございますが、この認可に当たりましては費用面に着目をいたしまして、確かに高速伝送に用する回線については、よりコストがかかるであろう、ただ、そのコストの計算をいたしますと、三〇、六〇という上げ方でなくて一〇、二〇で十分であるということで、一〇、二〇%にいわゆる減査定をいたして認可をした、かように承知をいたしております。
  161. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その申請の内容は第一、第二、第三とありますが、第一のいわゆる速度別に音声級回線をV1、V2、V3とした、これは利用者側にとっては大変な痛手なわけです。それで、この時期にNTTもやはり同じような申請をしているわけです。D1規格を従来の帯域使用品目をスピード別に料金を賦課していこうということで符号品目を設置する、そういう制度の大きな変革を実はやってのけているわけです。     〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕 問題は、KDDの申請が五月二十三日、NTTの方の申請が半年後の同年の十一月二十一日出ております。これは思うに、国際専用線、国内専用線、通信政策上はやはり一貫したものがなければならないだろう、こういうことが多分配慮にあっただろうと思いますが、この半年間の申請の期間のずれというのは明らかにKDD主導型で、帯域品目については従来の効用価値のある九千六百bpsでユーザーの方はどんどん利用できる、そういう効用価値に着目をして、そしてもうかる部門でもっともうけよう、こういう発案はKDD主導じゃないですか。KDDがNTTを引っ張ってこういう申請がなされ、認可がなされていった。こう見て間違いないと思うのですが、いかがですか。
  162. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまお話しございましたように、国際専用線につきましては五十二年五月に申請があり、十一月に認可をいたしております。先ほど申し忘れましたが、その実施につきましては、電信級が五十二年十二月一日、音声級につきましては五十三年の四月一日となっております。一方、国内専用線につきましては五十二年十一月二十一日に申請が出されまして、同年十二月二十二日に認可になりまして、この実施日は五十三年四月一日でございます。  御指摘のとおりそういうずれはございますが、ただ、電電公社の専用料金の改定の理由と申しますのは、KDDのものと違う理由から出てきておるものと理解をしておるわけでございまして、いわゆる電電公社の経営基盤の確立を図るために、御承知のとおり、五十一年に公衆法の改正をお願いいたしまして電話料金値上げを行ったところでございます。その料金改定の一環として行ったものであるということ。それから専用料金につきましては、一般のダイヤル通話料との均衡を考える必要があること、さらに、先ほど申し上げました公衆電気通信法改正の際、専用料金の適正化を図るべしという国会での附帯決議もいただいております。こういうことを勘案いたしまして国内専用線の料金値上げ申請がなされ、これを認可したということでございまして、時期のそういうずれはございますけれどもKDD主導型とか、そういうふうなことであったとは私は理解をいたしておらないわけでございます。
  163. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、KDDのV1、V2、V3としたことと、従来国内回線でD1規格という自由に使えた品目が、符号品目というのを改めてつくって、九千六百bpsという高速伝送路についてはそちらに誘導の政策をとったのですよ、このときの制度の変革は。しかも、時期の半年のずれということは、KDD主導型であるとだれもがそう見て間違いないじゃないですか。それは理由をつければ幾らでも理由がつきます。  それから、引き受けた後、省内ではどんな検討をしましたか。KDD国際専用線料金の改定、特にその第一の方につきましてはどんな検討がなされて、だれか単数の、一人の人の裁量でこういうことが決まっていくとは思えないのですが、チームで協議したのですか、どういうことなんですか。
  164. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほど認可申請とその処理に対します一般的な取り扱いについてお答え申し上げましたが、日本の役所の一つの行き方と申しますか、一人の判断でということがあり得るとは私は考えておりません。常に担当者がまず一義的ないろいろなヒアリングを行い、そしてその状況を把握し、さらにより上位のものに上げて内容を審査し、さらに物によってはずっと上まで上げて何回も協議と申しますか会議と申しますか、そういったものを繰り返しておることもしばしばございます。  そういうことで、一人の意思で――もちろん最終の意思決定者は、たとえば私の現在の組織で申し上げますならば監理管が最高責任者でございますから、いろいろ議論が分かれたときに監理官が最終の決定をすることはもちろんあり得ることだと思いますし、また組織というものはそうでなければ動かないと考えておりますが、だれか一人に専断的に任しておるというような事務の運用をいたしておるとは考えておりません。
  165. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一般の許認可の検討処理についてはわかりました。  それで、この場合はどうだったのでしょうか、後を引き継いだ後。
  166. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまいろいろな記録で、認可に当たりましての公文書というものももちろんございます。そういうものがございますが、たとえばその間に一体何回ぐらい、どういう形で会議を行ったのか、あるいはどういうことがあったのかということについての記録は、私承知いたしておりませんので、一体どういう具体的な形で行われたかということについてお答え申しかねるわけでございますが、先ほど私が申し上げましたような手順なり内容を踏んで決定されたものであろうと推測はいたしております。
  167. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 KDD料金は、ただでさえ諸外国に比べて非常に高いわけですね。一つ例を挙げますと、国策会社の日本航空はこう言っております。KDDと同じ半官半民の会社だから通信基地を日本に置きたいけれども、こんな値上げをされるのでは引き続き香港に拠点を構えるよりほかに手はない。またマークスラインは、民主国でこんなむちゃくちゃな値上げ考えられない、こう言っているのです。利用者をどんどん、たとえばこの場合、専用線といういま重大な疑義が生じている問題でありますが、香港に追いやってしまうような通信政策、しかも事務引き継ぎを受けた後一〇%から二〇%という幅にはなりましたけれども、これが白紙撤回を要求している中で通っていった。これはどうなんでしょうか。これは大臣に伺った方がよろしいでしょうか。このキャリアの言いなりの電気通信政策、これは郵政行政の上であってはならないことだと私は思うのです。コモンキャリアです。その上で今回の国際専用線値上げ一つの反省材料にならなければならない。どうお考えでしょうか。
  168. 大西正男

    大西国務大臣 当時のことは私、皆目存じませんけれども、いま電気通信監理官お答えいたしましたように、そういった問題についてはその部局において組織的に検討して結論を出すものだと思っております。
  169. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 監理官、説明することありますか。
  170. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま御指摘ございましたように、キャリアべったりと申しますか、そういった形でわれわれがいろいろ物事を判断してはならないことは御指摘のとおりだと思います。私どもも、日本の例で申し上げますならば、電電公社、KDDという国内、国際のいわゆるキャリアを監督をいたし、料金認可等を行っておるわけでございますけれども、その認可に当たりましては、日本の国内、国際を問わず公衆電気通信というものが高水準で良質なサービスを維持していかなければならない、そしてそのためにその経営が合理的でありかつ健全でなければならないというふうに考えるわけでございますが、同時に、キャリアと同じ立場に立つものではなくして、それを含んでもう少し広い国民的な立場に立って物事を判断し、処理していくのがわれわれ行政に当たる者の責務である、かように認識をいたしております。
  171. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、公務で海外出張されることが郵政省にありますね。これは郵政省のどこで掌握されていますか、つかんでいらっしゃいますか。
  172. 小山森也

    小山政府委員 それぞれの職員が属しております部局で資料があります。
  173. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 電波それから電監室で、過去三年間に何件の出張がありましたか。
  174. 小山森也

    小山政府委員 いま年度別の数量すべてはちょっと手元に持っておりませんのでわかりません。
  175. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは電気通信監理官と、電波監理局長いらっしゃいますね。それぞれの……。
  176. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 電監室関係の海外出張につきましてただいま手元に資料を持ち合わせてございません。
  177. 平野正雄

    ○平野政府委員 年によりまして違いますけれども、まことに目の予算で申しわけございませんが、大体二カ月に一度は必要があって海外出張していると思っております。
  178. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、毎年一定の国際会議が開かれると理解しておりますが、電波監理局ではどういう国際会議があるのですか。
  179. 平野正雄

    ○平野政府委員 ITUの関係でございますと、無線通信諮問委員会、いわゆるCCIRというのがございますが、総会が大体四年に一回ございます。そのほかに、総会に至るまでの間のスタディーグループが幾つかございますので、そのスタディーグループを二つの大きなグループに分けまして、年に一回程度あるかと思っております。そのほかに宇宙の関係で、国連の宇宙平和利用委員会の会合があることがございます。それから海上関係につきましては、海上の人命安全条約の関係会議が、二、三年に一度ぐらいかと思いますけれども、開かれることがございます。
  180. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 電監室ではどうですか。
  181. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 国際会議で出席をする必要があると思われますものは相当ございます。また年によっての変動もございますが、大体ただいま記憶で申し上げまして大変申しわけございませんが、毎年確実にありますものの一つにITUの管理理事会というのがございます。これはわが国がITUの管理理事国、現在三十六カ国が選ばれておるわけでございますが、この中の一国に選ばれまして、たしかあれが昭和三十四年に理事国になりまして、自来引き続き理事国をいたしております。したがいまして、この理事会にはよくよくの事情がない限り必ず出席をしておると記憶をいたしております。そのほかいろいろな会議がございます。ただいまちょっと手元に資料がございませんので、その年によって変動もございますし、ただいまちょっとお答えを申しかねる次第でございます。
  182. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 毎年ある会議なんです。どんなものがありますか。
  183. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ITUの下部機構として電信電話諮問委員会、CCITTというのがございますが、この会議が大体毎年開かれておるようでございます。そのほかに、あるいはインテルサット等の会議、これは必ずしも毎年ではないようでございますが、開かれております。
  184. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 通信白書と郵政便覧がありますので、大体国際会議を私も調べてみたのです。ITUの管理理事会には監理官が行くのですか。それとも参事官が行くわけですか。
  185. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほど申し上げましたようにただいま手元に資料がございませんので、確実にはお答えできませんが、私の記憶では、よくよくの事情で行けないときを除きまして、大体監理官がキャップとして出席をしておると記憶いたしております。
  186. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そのITUの管理理事会に作業部会がありますね。作業部会の場合はどうなんでしょうか。
  187. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お尋ねのスタディーグループにつきましては、監理官が出席することはないようでございます。
  188. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 OECDのデータネットワーク政策の会議、これは監理官が出るのですか。参事官ですか。
  189. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 私が現在のポストに着任いたしましてからは、それは出ることに非常に意味のある会議でございますので出席をさしておりますが、監理官が行ったことはございませんで、大体参事官クラスで出席をさしております。
  190. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もう一つ伺いたいのですけれども、ITUのアジア大洋州プラン委員会、これはどうでしょうか。
  191. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 アジア大洋州プラン委員会につきましては、これは開催場所が一定しておりませんで、東京でやったこともございます。ほかの地域での場合もございます。したがいまして、そのときどきによりまして監理官が出る場合とそうでない場合とあろうかと思います。
  192. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、音声多重放送について伺いたいと思います。  免許になりまして、実用化試験局が始まりまして二年目に入っておりますが、実施状況を簡単に。どんな状況でしょうか。
  193. 平野正雄

    ○平野政府委員 実施状況につきましては、NHKと民放が二十社、これは三月十九日現在でございますけれども、NHKと民放二十社が実用化試験局を行っております。また、予備免許中のものなど準備中のものが現在十二社でございます。放送時間につきましては、週平均約十一時間でございます。  また、テレビジョン音声多重用受信機あるいはアダプター等の普及状況でございますけれども、五十五年一月末までに約百四十万台程度出荷されておるというふうに聞いております。
  194. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 受信設備ですが、普及の状況をどう評価されますか。当初考えていたものよりもはるかに普及されている、あるいはカラーテレビのときに比べて非常に普及が悪い、こう評価されていますか。どうですか。
  195. 平野正雄

    ○平野政府委員 先ほど申しましたように現在放送実施中のものがNHKと民放二十社でございまして、放送の実施時間も週平均約十一時間、当初予定しておりましたよりは伸びてきておる。また昨年末、番組中継用のマイクロ全国回線の整備が電電公社によって行われましたので、今後全国的な普及が図られるであろうというふうに考えておりまして、受信機の普及につきましてもおおむね順調ではないかというふうに考えております。  それで、白黒の伸びとカラーの伸び、これは受像機の生産台数を比較いたしますと、音声多重用の受信機の伸びもほぼコンパラブルなものではないか、そのように考えております。
  196. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 カラーテレビ放送が始まったときと、いまの音声多重放送が実施になった、実験とはいえ実用化試験局として放送されているいまの時期と、私はちょうど一年を比べられると思うのですよ。それでいま平野局長が言われたとおり、五十五年一月末で百四十万台に相当するものが見られる、こういう現状。当時のカラーテレビの一年後というのは十万台、こういうふうに認識しているわけです。つまり非常に需要があり伸びている、音声多重については思わぬ普及をしている、こう受けとめていますが、どうですか。
  197. 平野正雄

    ○平野政府委員 ただいまの受像機の伸びをしさいに見ますと、確かに先生御指摘のように、白黒及びカラーの場合には相当時間をかけてある程度の台数に達しましたものが、音声多重放送につきましては立ち上がりから相当なスピードで伸びてきておるというふうに考えております。
  198. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、テレビの受信設備はできたけれども放送がまるで貧弱だというのがこの音声多重放送の現状だと思うのです。私の手元の資料によりますと、たとえばNHKの場合、一週間で東京でたったの二時間半です。つまり割合で言うと二・二%に限って音声多重が放送できる。東京の例を挙げれば一番いいだろうと思うのです。こんな二時間程度ですよ、全国五地域でNHKの放送をやっていますが。これはどうでしょうか、放送時間について二時間程度でいいものでしょうか。どういうわけでこういうふうになっているのですか。
  199. 平野正雄

    ○平野政府委員 週平均十一時間と申し上げましたけれども、先生ただいま御指摘のように、比較的まだ放送時間が短い局と相当放送時間を長くとっていらっしゃる局とあるわけでございます。これをしさいに見ますと、現在いわゆる実用化試験局として免許をいたしておりますのはステレオと翻訳による二カ国語という形になっておりまして、それぞれの局の状況によりまして、いわゆるステレオを比較的長時間放送しておる局とそれから二カ国語を重視しておる局、そういった状況がございますので、一概に放送時間が長いからという比較は非常にしにくいわけでございます。その点、それぞれの放送事業者がそれぞれの地域に密着をした放送番組につきまして、それぞれの目的で将来の実用化を目指していろいろと試験をしておられる、いろいろ努力をしておられるということでございまして、私たちといたしましては必要なデータをいただきつつそのような状況に着目をしておるというのが現状でございます。
  200. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この多重放送の実施状況を見ていただきたいのです。いいですか、NHKでステレオ、二カ国語、東京で一週間で合計二時間半です。それから大阪では二時間五分、全放送の一・七%です。神戸同じく一・七%、二時間五分です。名古屋で東京と同じ水準の二・二%、つまり二時間三十分。NHKの全国五地域の音声多重の状況というのは大体全放送の二%程度ですよ。ですから、これはなぜこうなのか。音声多重放送が始まりますよということで普及の方が、どんどん需要がふえているにもかかわらず、大きな障害があって多重放送の時間を現在ふやせないのじゃないですか。どうしてステレオホニックまたは翻訳による二カ国語などという、特に翻訳によると明記したその理由、これは一体どういうことなんでしょうか。この多重放送に関する調査研究会議、この研究会議の提言の中で明記していることは、第一副チャンネルを使って明確に補完的利用、いま直ちにできるものから順繰りやっていけるようにしようということで、独立的利用については検討の余地が大ありです。しかし補完的利用についてはできるところからやっていこうということで補完的利用、しかもステレオホニックまたは二カ国語と言っているわけです。それはどうして翻訳によるなんて入っちゃったのですか、その一点を伺います。
  201. 平野正雄

    ○平野政府委員 さきに先生が申されましたNHKの放送時間が短いじゃないか、こういうことでございますけれども、先生も御案内のように、NHKは昭和四十五年から四十八年までNHKの東京、大阪の総合テレビ局におきまして二カ国語放送とステレオ放送の実験放送を先導して行いまして、今回の実用化に当たりまして非常にそれが役に立っておるという状況でございます。また一方、実用化試験局としてのステレオ及び二カ国語放送は、既存のテレビ放送の番組の音声の内容をより充実させるものでございますので、需要につきましては特定地域に限らず、NHK、民放問わず存在するものというふうに考えておるわけでございまして、また当該放送を行うには既存の放送設備を大部分利用できるというメリットもございます。設備投資額が比較的少額で済む、一般放送事業者の中から強い要望のあることなどを考え合わせますと、必ずしもNHK先導でございませんでも、民放と力を合わせて将来のテレビ媒体として積極的な役割りを果たし得る、そういうふうに期待をしておるわけでございます。  一方、ステレオホニックと翻訳の二カ国語だけを許可した理由ということでございますけれども、確かにテレビジョン音声多重放送の利用方法といたしましては、主番組としてのテレビジョン放送番組と密接不可分な関係を持っておる補完的利用と、既存のテレビジョン放送番組から全く独立をした内容の情報を放送する独立的利用考えられるわけでございますけれども、この独立的利用につきましてはマスメディアの集中排除の問題などがございまして制度的に検討を要するわけでございます。そういった意味で、大臣の私的機関として学識経験者で構成されました調査研究会議の報告の趣旨を受けまして、マスメディアの集中排除といった制度的な問題も当面考える必要のない、また独立的使用との判別がだれが見ましても明瞭でございますような主番組の音声の補完として、音声の補完であるステレオ放送、二カ国語放送に限って認めておるわけでございます。
  202. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、主番組を補完する役目をする音声多重、そういう意味からいきますと、現在のように、用意した原稿を間違いなく翻訳を厳密にやってそれでニュースを日本語と英語でやるというやり方が一つ、それからステレオホニック、これしか利用の仕方がないようながんじがらめの免許方針というのは私は間違いだと思うのです。主番組を補完的に利用していく、主番組を補う形の補完的利用という枠の中であればもっと利用の価値があるんです。たとえば実況中継、この場合の――翻訳によるんじゃないんです。     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕 翻訳によるんじゃないんですが、実況を英語で放送する。これは免許に違反ですか、違反じゃないんですか。イエス、ノーで答えてください。
  203. 平野正雄

    ○平野政府委員 先ほど申しましたようにテレビジョン、もともとは一つの音声と一つの映像でございまして、その一つの音声を補完する意味でのステレオあるいは二カ国語放送である限りにおきましては、先生のおっしゃる意味でのイエスでございます。
  204. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃ、劇場でばたばたやっている音が入りますね。画面は劇場中継です。古典劇については解説をしなければならない。画面を見ながら解説が音声多重で入ってきます。これはイエスですか、ノーですか。補完的利用です。
  205. 平野正雄

    ○平野政府委員 音声を補完する意味での二カ国語放送及びステレオであればイエスでございます。
  206. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いま具体的な事例で申し上げているのです。劇場中継でそして劇場の音が表では出てくるわけですね。絵も劇場です。それで音声多重の二つの、第一副チャンネルですよ、ステレオホニックという意味じゃなくて解説が流れてくるわけです。英語の解説も聞こえるわけです。いいですか、これは間違いなく補完的利用です。いまの免許基準からいってイエスですか、ノーですか。
  207. 平野正雄

    ○平野政府委員 ノーであると思います。
  208. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 じゃ、簡単に理由を聞きます。
  209. 平野正雄

    ○平野政府委員 普通、劇場中継の場合にはいわゆる撮像機を切りかえることはございますけれども、劇場中継の画面といたしましては一つの音声と一つの映像でございます。その音声を補完するためのステレオ及び二カ国語である限りにおきましてはイエスでございますけれども、いま先生がおっしゃいましたのは、幾つかのマイクロホンを使いまして多重によって同時にいろいろなことをやっていこう、それにつきましては先ほど来申し上げておりますように、きわめて簡明な音声の補完である限りにおきましては、ステレオ及び二カ国語放送である限りにおきましてはよろしいのでございますけれども、それ以外はいまのところ考えていない。将来の問題といたしまして、いわゆる第三者利用の問題等を考慮いたしながら広げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  210. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いま直面している、焦点を一点にしぼって申し上げますと、この多重放送に関する調査研究会議ではステレオ放送は認めているんですよ、それから二カ国語放送を認めているんですよ。できるところからやろうというので郵政省が免許することになった。その免許の方針では、今度翻訳による二カ国語というふうに限定されちゃったわけですよ。実況放送を二カ国語でできないのです。なぜ翻訳によると規制するのか。郵政省はもう取らなければならないと思っているはずです。いつ取る考えですか。取る考えは全然ありませんか、どうなんですか。
  211. 平野正雄

    ○平野政府委員 多重放送はもともとテレビジョンの周波数をできるだけ能率的に使っていこうということで、まず音声の多重放送から手をつけていこうということでございます。その場合に、御承知のように、既存の放送事業者のみにあらゆる場を与えていくことが是か否かという問題との関連におきまして、周波数の能率的な利用の反面といたしまして公平な利用ということを考える場合に、やはりマスメディアの集中という問題があるわけでございます。第三者利用が是か否かという問題が必ず出てくるわけでございます。したがいまして、その問題を考えながらできるだけ早く道を開いていくことを考えていきたいというふうに考えております。
  212. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ですから、集中とかなんとかという問題があるから独立的利用というのはもうさわらないのですよ。いま免許したのは補完的利用に限って免許したのです。免許して始まったのに、いろいろな制約をつけているから放送時間が伸びないのですよ。どんどんテレビの設備の方は広がっている。買いかえのときだから今度は新しくしよう、音声多重が聞こえるやつにしよう、あるいはアダプター方式でいこう。現に百四十万台あるのです。それが、たとえばNHKで言えば一週間で二時間しか見られないのですよ。これは何としても、もっと広げていけるような電波行政にしていこう、こういう考え方に立たなければだめでしょうと私は言いたいのです。翻訳によるというのを取るべきですよ。そうすれば二カ国語で主番組を補完するのです。補完する番組をつくるにしても、二カ国語という利用の仕方、それから解説。解説を認める形になった場合にはこの音声多重で十分いけるのです、補完的利用で。ひとつ十分検討していただきたいのです。
  213. 平野正雄

    ○平野政府委員 先生は専門家でいらっしゃいますので、お考えになっていることは非常によくわかるわけでございます。ただ、現在のテレビの音声がもう一つ使えるというのが音声の多重でございまして、その二つ目の音声をどこまで認めるかということは、逆に考えますと第三者利用の道を閉ざすかどうかということになるわけでございますので、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ広げる方向で、しかも第三者利用とのバランスも考慮しながら早く結論を出していきたいと前向きに考えておるわけでございます。
  214. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これで終わりますが、いま局長答弁したのは第二副チャンネルを使う、いわゆる独立的利用のことなんですよ。私はいま免許して使っている波のことを言っているわけです。ですから、早急に広げられる対応をひとつ協議していた一だきたいことを希望いたしまして、質疑を終わります。
  215. 小林進

    小林委員長 次に、藤原ひろ子君。
  216. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 一昨日、行政管理庁は行政改革の具体的な方策を示されたようでございますが、私は政府機構の改革問題にしぼってお尋ねをしたいと思います。  行政管理庁は、五十四年度中、すなわち三月の末までにその成案を得たいというふうに考えておられるようです。行政管理庁が各省庁に案を示されてから二週間以内にやるということになるわけなんですけれども、各省庁にすれば、この間に当然のことながら労働組合との話し合いを行わなければならないということになると思います。話し合いをする場合には各省庁が行革の具体案を組合に提示しなければならないわけですけれども、これがやられない場合でも三月中には成案としてまとめたいというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。それとも話し合いもされないのに話を進めていくというようなことはできないというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。いかがでしょう。
  217. 武智敏夫

    ○武智説明員 お答えいたします。  ブロック機関の整理につきましては昨年暮れ、十二月に決めました昭和五十五年以降におきます行政改革計画の中で規定いたしておりまして、先生御指摘のとおり今年三月末までに結論を得る、その上で成案を得て国会に法案を提出したいということでございます。したがいまして、一昨日各省庁に提示いたしたわけでございますけれども、昨年十二月以降すでに三カ月でございます。その間、それぞれ各省庁と行政管理庁の間におきましていろいろ折衝等も進められておりまして、各省それぞれブロック機関の事情なり、いろいろ違った事情がございますので画一的ではございませんけれども、すでに三カ月間内部折衝等いろいろ重ねた結果でございますので、御指摘のような組合に対する問題につきましては、また各省がそれぞれ従来の組合との慣行等に基づきまして対応いたすであろうというふうに考えております。したがいまして、行政管理庁といたしましては、昨年暮れの閣議決定のラインに沿いまして今月末までに結論を得たいという考えで折衝いたす考えでございます。
  218. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは郵政省お尋ねをいたしますが、郵政省は具体的には地方貯金局の整理統廃合が問題になっているわけですけれども、この問題につきまして組合と交渉を持たれたんでしょうか。もし持たれているのであれば、そのときに労働組合に対してどのような内容を提示されたのか、お答えいただきたいと思います。
  219. 河野弘

    ○河野政府委員 お答え申し上げます。  これは行政組織の問題でございますので、交渉の対象になるかどうかという問題とは若干その質を異にするものであると私は思いますけれども職員にとりまして生活上もあるいは勤務上も非常に大きな問題でございますので、私どもといたしましてはふだん常にこの状況につきまして職員に話をいたしますとともに、同時にまた、組合からの意見も率直な意見を徴しているところでございます。  なお、この地方貯金局の統廃合ということで対象になっているわけでございますけれども、先生御承知のとおり、貯金業務のオンラインの問題ということによりまして、全国の地方貯金局の業務、原簿業務でございますが、これを九つのセンターにする、そのほかにつきましては必要に応じ残余の業務を行うということになります。したがいまして、そういうオンライン化の経緯等につきましても、これは当然組合にお話ししながら、職員の意見を徴しながら進めているところでございます、この業務の変換につきましては。組織の問題とは別に、オンラインの問題については終始緊密なる連絡をとってきているところでございます。
  220. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 政府機関におきます行政改革というものが、国民とそしてそこで働く労働者の人たちが納得するというものでなければならない、一方的なものであってはならない。いま、郵政省としても十分伝えてある、労働者の意向もよく聞いているというふうなお答えがあったわけですが、若干ずれているわけです。いま郵政省が認められました、交渉の対象になるかどうかは別として、しかしながら生活上大きな問題だから国民や労働者に納得がいくようにしている、こういう姿勢行政管理庁としてはその必要性というものは認められるわけですか。いかがでしょう。
  221. 武智敏夫

    ○武智説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、まさに行政改革につきましては国民との関連が非常に大事でございますので、関係者の十分な理解を得て進めていかなければならないと考えております。ただ、当局と組合との関係につきましてはそれぞれ各省のやり方あるいは組合と当局とのやり方があると考えておりますので、一律には論じられないのじゃないかというふうに考えております。
  222. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 実は私、一昨日京都貯金局へ出向きまして労働者の皆さんとも話し合ったわけですけれども、地方貯金局の段階での話を聞きますと、いま河野さんがお答えになったような実態にはなっていないわけですね。具体的に申しますと、局長さんの段階で職場の労働者が幾ら聞いても、あれは行政管理庁の話であって、私は詳しいことは知らないんだ、この一点張りだということなんです。しかしながら新聞には、いまにも廃止されるという印象を受けるような、京都、岡山など十九局ですか、それがばっさり統廃合されるような印象を受ける記事が出るわけなんですね。局長さんに聞いても、知らぬ存ぜぬ。そういう中で働いている労働者が大変不安を持っている。一体どうなるんだ、自分もそれから家族も生活権は一体どうなるんだと心配をしているわけです。郵政省は一体どのような指導を地方の貯金局長に対してやっておられるのか。何の指導もしなかったのでしょうか。いまおっしゃる答弁だったら、十分やっていて、労働者の意見もよく聞いている、そしてそんなはずはないと思うのですが、それでは説明はするなというふうな指導をしておられたのでしょうか。局長が知っていても労働者にはいろいろ言うなという指示があったのでしょうか。どうしてこういうことが起こるのでしょう。
  223. 河野弘

    ○河野政府委員 お答えいたします。  いま京都地方貯金局のお話が出たわけでございますが、実は私、先月でございましたか京都地方貯金局に参りまして、京都地方貯金局の中堅幹部以上の者を集めまして約一時間にわたりまして、この問題を含めましていろいろ話をいたしております。したがいまして、課長代理以上を集めたわけでございますので、それぞれの部下には、心配ないように、この問題については本省でいま鋭意やっているんだからということで十分話しております。同時にまた、ごく最近、各地方貯金局に対しまして、この問題の所在について通達といいますか、文書を流している段階でございます。
  224. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは実際に周知徹底していないという状況が起こっているわけです。ではオンライン化の中で、京都、岡山などばっさりと統廃合させられるのではなくて、事務センターとして残るというふうに理解をしていいわけですか。
  225. 河野弘

    ○河野政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、オンライン化の推進に伴いまして事務処理内容が変わるというのが一点でございます。同時にまた、五十五年度以降の行政改革方針ということで、五十四年の年末に閣議決定された趣旨と、二つお互いに相影響しながら今日に至っているわけでございます。したがいまして、私どもとして、いま事務センターというお話がございましたけれども、総合機械化、オンライン化後の為替貯金業務の処理システムのあり方、それから利用者に対するサービスの確保、それから、いま先生からお示しございました職員に及ぼす影響などを考慮いたしまして、現在のところ、貯金事務センター、これがどれだけ必要であろうかという点について精力的に集中して詰めているということでございまして、いまここで全部の地方貯金局をどうするという形を――ここ数日、ほんの一日、二日のことでございますけれども、現在この方針、方向づけについて精力的に検討を重ねている段階でございます。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁では、肝心なこと、一番聞きたいことがやはり伝わっていないという状況がそういう中で生まれているんだというふうに思います。  郵政大臣、あなたの管轄下で働いている労働者が新聞情報などに左右されて大変な心配をしている、こういう状態をぜひとも早くなくしてもらいたいというふうに思うわけです。閣議決定までに郵政省としての確固とした方針で管理職を指導し、そして管理職どまりになるのでなくて、労働者一人一人に不安を与えないようにしていただきたいと強く要望するわけですが、いかがでしょうか。
  227. 大西正男

    大西国務大臣 御要望の線に沿って努力をいたしたいと思います。
  228. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、KDDの問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず大臣お尋ねしたいのですけれども綱紀点検委員会というものができておりますけれども委員長はどなたなのでしょうか。また、委員長の権限はどのような権限が与えられていたのでしょうか。
  229. 大西正男

    大西国務大臣 委員長小山官房長でございまして、権限等につきましては自身からお答えいたさせます。
  230. 小山森也

    小山政府委員 委員長は私でございますが、目的としましては、省内に綱紀点検委員会を置いて職員綱紀について総点検実施するということでございます。なお、構成につきましては、ただいま大臣から申し上げましたように委員長は私でございます。それで、委員長の職務といたしましては、委員会の事務を総括する、こうなっております。
  231. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、昨年の十二月二十一日でしたね、郵政省から提出をされました資料によりますと、課長級以上で接待を受けた人が五十三年の七月から五十四年の九月までに三十五人おられます。これは実数で、私どもこの表によって見ました。これは大臣官房、電波監理局そして電気通信監理室という御説明をいただいたわけなんです。それでは、委員長であります小山官房長は、あなたもこの三十五人のメンバーの中に入っていらっしゃるわけですね。いかがですか。
  232. 小山森也

    小山政府委員 百十名の調査対象には当然入っておりますが、この中に入っておるかどうかということにつきましては、御遠慮させていただきたいと思います。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 全く人をばかにし、国会を無視する答弁だと思います。  私ども調査では、あなたも異動後の顔合わせということで招待を受けているわけなんですね。綱紀点検委員会責任者であるあなたが隠そうとするような態度をとるくらいですから――あなたは理事会の説明でも終始一貫、これはネクタイや歳暮、中元、全く社会的な儀礼的なものでございますと言い続けてこられました。そういうものの中に自分が入っているのかどうかというふうなことを隠されるくらいですから、一体何がどうなっているのか解明されるはずがない、こういうふうに思うのです。  小山官房長は五十四年七月三日に就任をされました。私どもの方へも御丁寧にあいさつ状をいただいているわけなんです。この中に五十四年の夏、Zということで新任顔合わせと書いてあるのですが、これがあなたでしょうか、いかがでしょうか。
  234. 小山森也

    小山政府委員 個別のことにつきましては、ちょっと御遠慮させていただきたいと思います。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国民の負託を受けている私どもに、ここにあるのかどうか、委員長であるあなたの名前が、固有名詞でなくてもあるのかどうかさえ言えない。全くこれでは、それじゃあなたを証人として喚問でもしなければ、うそ偽りはありませんと宣誓でもして言っていただかなければ本当のことは言わない。これでは全く審議も何もあったものではないと思います。  それでは、寺島さんにお聞きしたいと思いますが、あなたはどうでしょうか。接待を受けたのでしょう、いかがですか。
  236. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 私についてのお尋ねでございますが、先ほど官房長から申し上げましたように、私を含めまして電気通信監理官室の者につきましては、綱紀点検委員会に正直に良心に従って御報告をいたしております。ただその扱いにつきましては、官房長と申しますか、綱紀点検委員会の判断にゆだねておるところでございます。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 寺島さんも職員の一人として自主的に申告をされたかもわからぬというようないまの御発言ですね。それでは、申告をされたのでしたら、この資料のイニシアルはどれに当たるのですか、いかがでしょう。
  238. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほど官房長から申し上げましたように、先ほど私が申し上げましたのは、私を含めまして申告対象となった一員には入っているということを申し上げたわけでございます。ただいま御指摘のイニシアルでどうかというその資料については、私は承知をしておらないところでございます。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは寺島さん、あなたは参議院の逓信委員会で、私は疑惑を受けるような接待を受けたことはない、こういうふうに言わておられますね。――お忘れになりましたか。これは会議録に出ているわけです。疑惑を受けるような接待を受けたことはないと明言しておられるわけですが、それでは疑惑を受けないような接待は受けた、こういうことになるわけですけれども、そうなんですか。
  240. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 参議院におきまして沓脱先生にお答えをしたことはございます。そのときの私のお答えいたしましたことを正確にはただいま記憶をいたしておりませんが、接待という言葉は私は使っておらないと記憶いたしております。疑惑を受けるような行為はいたしておらない、こうお答えしたと記憶いたしております。
  241. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 疑惑を受けるような接待は受けていないというふうにおっしゃっているわけです。  それはとにかく、それでは接待を受けたことがありますか、いかがでしょうか。
  242. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、このKDDに関します省内の綱紀点検委員会におきまして自主的にそういう調査活動を行いましたわけでございまして、それに対して、私ども良心に従って対応したわけでございまして、そのことを綱紀点検委員会の方へ報告をしておるわけでございます。
  243. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、報告をしておられるわけですから、あなたは五十三年の七月一日から電気通信監理官ということで現在に至るまでその職におられるわけです。そうしますと、報告をされた中で、いつどこで、だれとこの接待を受けたのかどうか、飲食をともにされたのか、お答えいただきたいと思います。
  244. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、綱紀点検委員会の方へ報告をいたしましたことの取り扱いにつきましては、点検委員会の方で判断をして対処しておるところでございます。
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、幾ら聞いても綱紀点検委員会というのを全面的に信頼をしておられるようですので、委員長の方からいまの問題について、寺島さんのイニシアルはどれなのか、いつどこで、だれと接待を受けておられたのか申告をされたような発言ですから、きちんと御報告をいただきたいと思います。
  246. 小山森也

    小山政府委員 先ほどから申し上げておりますとおり、氏名等固有名詞を公表いたしますことは特定の個人の問題に問題がある行為があったかのように推測されることにもなります。したがいまして、A、B、Cという符号につきましても内容を申し上げることをお許し願いたいと思います。
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまあなた方の仲間から逮捕者まで出ているという状況の中で、今日までは儀礼的なということを言っていたけれども、そういう社会通念に入るようなことでもやめよう、こうおっしゃっている人たちが、固有名詞が出るからとか。問題があったかのように思われるからとか――みんな思っているわけですよ。しかしながら、ここに出ている人たちは、あなた方の今日の説明では、これは儀礼的なものでしたということだったわけですから、そういう認識の上に立ってでもいいわけです。  それではこれは全部架空の人間ですか、何のために綱紀点検委員会があるのですか。
  248. 小山森也

    小山政府委員 決して架空の者ではございません。
  249. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま見ますと、先ほどまでおられました江上郵務局長がおられませんが、次に江上さんにお尋ねしたいと思いますので、来られるまでちょっと私は待っていたいと思いますが、もう一つ小山官房長に……。  こういう押し問答が会議録にも載り、国民の目にも触れ、そんなことで本当に郵政事業が国家の事業として、いまこういう問題の中で明らかにしながら反省をしていこうなどという理解ができるでしょうか。私は全く、小学校の子供が何か悪いことをして問い詰められて、いや、してない、してないと言っているような、まるで子供みたいな感じにしかとれないのです。これが官房長の姿であり、綱紀点検委員会委員長の姿だなどとは思えないわけです。もう一遍しっかり答弁してください。
  250. 小山森也

    小山政府委員 いわゆるKDD問題に関連いたしまして、職員の職務執行につきましていろいろの御指摘があったことは謙虚に受けとめてはおります。  ただ、たびたび申し上げましたとおり、これは省がみずからの努力でみずからの調査を通じ真剣に対処したことは申し上げてよろしいと思います。これは真剣に対処したところであります。しかも最善の努力をしたと思っております。ただ、これの氏名を公表するということにつきましては、いわゆる当時の社会通念上の儀礼上のものであった、こう見たわけでございます。ただしかし、それでは当時の社会通念上のものであったというととが、こういう、われわれ公務員の服務規律というものに対して厳正化を強く求められておる折ですから、いつまでも従来の通念でよかったのかということも基本的に反省すべきである、こう思っておるわけです。したがいまして、今後の綱紀粛正につきまして、十二月ですか、強力に指導したということでございます。
  251. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 何が謙虚ですか。謙虚というふうな言葉はそんなところに使ってもらいたくない。全く日本語がわかっていないと思いますよ。たびたび申しておりますがと、そのたびたび申しておられることが私どもには理解ができないということだから聞いているわけです。  みずから努力して一生懸命やったとおっしゃいますけれども、そのみずからの努力をどうして国民の前に、かくかくしかじかこのように努力をいたしましたらこうでございましたということが言えないのですか。国民に堂々と胸を張って言えないのには何かそこに疑惑があるからですか。そうとしかとれないではありませんか。どうしてここであなた方はみずからいま国民が思っている疑惑を解明しよう、こういう立場に立たれないのですか。もう答弁は結構です、同じことですから。  それで、江上さん、おいでになりましたか。
  252. 小林進

    小林委員長 藤原委員に申し上げますが、いま郵務局長はこの委員会に向かってもっぱら精力的に進行中だそうでございますが、来ますまで待ちますか、他の質問に移っていただきますか。
  253. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 待たしていただきます。
  254. 小林進

    小林委員長 お待ちになりますか。それではそのように措置いたします。――それでは質疑を続行していただきます。藤原君。
  255. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 江上郵務局長お尋ねしたいと思います。いかがですか、御気分でも悪いのでしょうか。
  256. 江上貞利

    ○江上政府委員 私の時間がほぼ四時半ごろからだったと思いますので、その時間に合わせて参りました。
  257. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 四時半ごろからというようなことはどこで――私どもの方はそういう通告をした覚えがございませんが、政府委員室を通して江上郵務局長をお願いしたい――四時半ごろというのはどこかからか連絡があったのですか。
  258. 江上貞利

    ○江上政府委員 昨日そのような連絡を官房からちょうだいいたしております。
  259. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ところで、昨日逮捕されました松井元監理官、この人の後任者であった江上さんが監理官当時、あなたはKDDからどんな接待を受けられたでしょうか。
  260. 江上貞利

    ○江上政府委員 綱紀の問題につきましては、組織といたしまして、郵政省といたしましては官房において一切取り仕切っておりますので、政府委員が個人的なことを公式の場で申し上げることはいかがかと存じますので、慎まさしていただきます。
  261. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 個人的なことは慎まさしていただきますと、本当にあきれ返ってあいた口がふさがらぬ。まるで郵政省の官房が取り仕切っているのだから――そんなに小山官房長は、綱紀点検委員長は権限を持っていられるのですが。一番初めに私、権限についてお聞きをいたしましたが、目的はおっしゃいましたけれども官房長がそのような、取り仕切っているというような権限はおっしゃっていないのですけれども、どうなのでしょうね。
  262. 小山森也

    小山政府委員 今回の綱紀点検委員会といいますのは、全般的な意味での綱紀点検ということにつきましては、おっしゃるとおり私が今回の綱紀点検委員責任者となっておりますが、いろいろ個別の調査につきましては、再々申し上げておりますように五十三年の七月以降でございます。
  263. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そんなこと聞いてないでしょう。江上さん、あなたはこうこうしかじか、こんなことがありませんでしたか、どうしましたかと質問したら、あなたの締めつけがあるから答えられないと、こう言っていられるわけでしょう。そんな権限があるんですかと言うたら、綱紀点検委員会はいついつ発足いたしました――全く動転しておられるのと違いますか。点検委員会では個人のことは言ってはいけない、ZとかYとかXとか……。ますますXごとだなあ、こういうふうに思うじゃありませんか。こういった個別調査については言ってはいかぬというふうな権限があなたにあるのですか、そういうことを聞いているのです。
  264. 小山森也

    小山政府委員 ただいま申し上げましたとおり、調査したことにつきましていろいろ取り仕切りますのは私でございますけれども、それ以外のことについてまで私の権限があるわけではございません。
  265. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ江上さん、先ほどの、松井さんの後を取けてKDDからどのような接待を受けられたか、お答えいただきたいと思います。
  266. 江上貞利

    ○江上政府委員 先ほども申し上げましたように、組織といたしましては、綱紀の問題については官房で一切取り仕切っておるというふうに存じておりますので、個人的なことについてここで申し上げることは慎しまさしていただきたいと存じます。
  267. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなたは組織の方で一切取り仕切っていると存じていても、御当人の委員長が存じていない、こういうふうに言っておられるわけです。これは詭弁だし、みずからのことをみずから明らかにしようとしない。ということは、疑惑がある、質問をすると言っていても何か出てこないというふうなところから、おかしいなあ、どこへ行っちゃったんだろう、警察へでも行ったんではないかしら、そういうことになってくるではありませんか。  それでは、ここに書いてない部分で私はお聞きしますから御答弁いただきたい。銀座の「ブルボン」という高級クラブで接待を受けていた、こういう証言を私どもは得ているのですけれども、どうでしょうか。
  268. 江上貞利

    ○江上政府委員 「ブルボン」という店はどこにあるのか、どういう店か、私存じません。
  269. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう全くあきれ返って物が言えない。他人のそら似だったのでしょうかね。江上さんが銀座の「ブルボン」という高級クラブで接待を受けていたという証言があるようなことでも、私は「ブルボン」というのはどこにあるか知りませんと。それでは次に進みましょう。  逮捕された松井氏、日高氏、この二人は一九七七年のITU第三十二会期管理理事会に参加をいたしました。その際に接待旅行を受けていたのですけれども、その翌年の一九七八年のITU管理理事会、第三十三会期の会合には、江上さん、あなたが代表として参加をされたわけですけれども、これは間違いありませんね。これも点検委員会で締めつけられていますか。
  270. 江上貞利

    ○江上政府委員 昭和五十三年のITUの管理理事会には出席をいたしております。
  271. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、そのときあなたはどんな招待を、接待を受けられたでしょうか。
  272. 江上貞利

    ○江上政府委員 先ほども申し上げましたように、綱紀につきましては官房において一切取り仕切っておりますので、個人的なことについて申し上げることは御遠慮させていただきます。
  273. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これは綱紀にかかるかかからないか、まだわかってないわけでしょう。それでは疑惑が全くこれにはあるということをみずから告白しておられるということになるのですが、そう受けとめますよ。いいですか。疑惑が持たれない接待もあるかもわかりませんね。寺島さんは参議院では、疑惑を持たれるような接待には出ていない、こういう言い方もされておられるわけですよ。大変お利口さんですのに、あなたはもうここで、どうなんですか、接待を受けましたかと言ったら、綱紀点検委員会に触れるようなことは申しませんという、まるでそれは触れることなんでありますと答弁したのと一緒になるのですよ。どうなんですか、接待を受けたんでしょう。
  274. 江上貞利

    ○江上政府委員 ただいまの御質問でございますが、疑惑を受けるような行為は一切いたしておりません。
  275. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 では、疑惑を持たれないような接待はあったわけなんですね。  私ども調査によりますと、KDDの旧社長室は一九七六年ごろから、海外接待の際は四段階に分けて接待をしております。それによりますと、Aランクはオン・デマンド・べーシスということで、お望みどおりということになっているわけです。相手の望むものなら何でもやれ、何でもいたしますということですので、あなたが接待を受けなかったとは考えられないわけですね。  松井氏と日高氏の場合は、会議の途中から抜け出してヨーロッパ旅行をしていた、こういうわけですけれども、翌年行かれたあなたは最後までジュネーブにおられたでしょうか、いかがでしょうか。
  276. 江上貞利

    ○江上政府委員 私の用務地はジュネーブでございまして、ジュネーブだけの出張発令をもらって出張いたしております。
  277. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、最後までジュネーブにいたということなんですね。じゃジュネーブにおられる間にKDDから受けた接待を具体的に、いつどこで、どのような接待を受けたのか。このことはこの綱紀点検委員会の中に入らない問題だ。――横でこんなことして合図せぬでよろしい、奥山さん。何でそんなこと指示するんですか。委員長、おかしいですよ。奥山さんが横から、私が質問したらぱっぱっとこんなことして、江上さんがふんふんと、こう言うているのです。こんなばかにしたことありますか。大臣、こんなことでいいんですか。皆さん郵政省の高級幹部ではありませんか。いま大臣、前におられたから、前向いていられたから後ろであったことは御存じないでしょうけれども、私はっきりいま見たんですよ。何ですか、それは。私が質問したとたんに奥山さんがぱっぱっとこれやったんですよ。そんなばかなことがありますか。ぐるじゃないですか、みんな。ぐるで国民をばかにしようというわけですか。
  278. 奥山雄材

    ○奥山説明員 私の軽率な行為で先生に大変御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げたいと存じます。あしからず御了承賜りたいと存じます。
  279. 小林進

    小林委員長 ちょっと申し上げますけれども、役人同士ですからお打ち合わせされることは差し支えございませんけれども、いやしくも委員質問に対していささか軽べつするようなそういう行為は厳にお慎みいただきたいと思います。  藤原君。
  280. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 許しがたいことですよ。全くばかにした態度ではありませんか。そしてぴょこぴょこと出てきて、にやにやと笑うて、申しわけありません、これから気つけます、そんなことで本当にこの疑惑が、逮捕者まで出している郵政省疑惑が晴れるのですか。  大臣、いかがでしょうか。いまの行為について、ちょろちょろとした、謝っておいたらいいというようなものですか。
  281. 大西正男

    大西国務大臣 どんなことを打ち合わせたのか知りませんけれども、それはともかくといたしまして郵政省の今回の問題につきましてはまことに申しわけないと存じております。ただ、いまもうすでに司直の手によって事案の解明がなされておるわけでございます。私ども郵政省全体としていま司直の手による俎上のコイであると思っております。したがいまして、この問題につきましてはどういうふうな事件捜査の状況になるのかは、私どもも何らの見通しもございません。またそのことはわれわれは静観をして、司直の手による公正厳正な解明にまちたいと思っております。  いま郵務局長が答えましたことは、国際会議に出席をしてジュネーブに出張をしたということでありまして、その間において疑惑を受けるような接待を受けてないということでございますから、私はそれを信頼をしておるわけでございます。それに対して、これがどのようなものであるかということについては、これはまあ私そこまで申し上げるのは失礼かもわかりませんけれども、それを越える接待を受けたということを前提にお尋ねになっておるのではないかと思うのでございますが、それに対しては、そういうことはないと本人が答えておりますからそれを御信頼くださいと、このように申し上げたいと存じます。
  282. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣、誤解しておられますよ。本人さんは接待を受けていないなどとは言わないで、これは組織の手でいまかかっているんだから、個人的に言ったらいかぬのですという答弁が一番初めだったでしょう。みずから、どうもおかしいようなことをやっていましたよと言わんばかりの答弁だったから私は聞いているわけです。大臣がよく話を聞いていらっしゃらない。そして、そういうもとで後ろでは何かツーツーのようなことが起こっているという状態ですよ。  それじゃ、江上さんに続いて聞きますけれども、ジュネーブに行かれてそして最後までおられたということはいま明らかになってきたのですが、ジュネーブから真っすぐ日本に帰ってこられましたか。いかがでしょうか。
  283. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生御案内のとおり、ジュネーブ空港発日本直行の飛行機はございませんので、経由地を経て帰ってまいりました。
  284. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 その経地というのはどこですか。直行便がないのは私も存じております。ジュネーブから真っすぐには帰れないだろう、こう思いますが、どこにお寄りになったのですか。
  285. 江上貞利

    ○江上政府委員 正確にちょっといま記憶いたしておりません。
  286. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 毎日海外に行くのでしたら覚えていないということがあるかわかりませんけれども、帰りはパリに寄られたのではありませんか。そのパリではどんな接待を受けられたでしょうか。
  287. 江上貞利

    ○江上政府委員 正直に申し上げまして、どこを経由して帰ったかちょっと正確に記憶いたしておりませんので、決して現在記憶していないことは正当でございます。  なお接待につきましては、先ほど大臣が申し上げたとおりのことを私は申し上げているつもりでございますので、そのように御理解をいただきたいというふうに存じ上げます。
  288. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 どこへ寄ったかもわからないということですけれども、行かれた会議の中では一切初めから最後まで何にも接待はなかったのですか。なかった方がおかしいのと違いますか。
  289. 江上貞利

    ○江上政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、大臣が御答弁いただきましたような趣旨のことを私は先生に申し上げておるつもりでございます。
  290. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ちょっとおくれてこられて一層動転しておられるのか、問いに対して答えがきちんと出ないわけですね。  もう一度お聞きいたしますが、あなたはITU管理理事会第三十三会期会合、これはちゃんと出ているわけですね。電波時報にきちんと出ているわけですね。行ったことは認めた。それから、行ってから最後までジュネーブにいた。ジュネーブから直行便はないけれども、どこか忘れたけれどもとにかく寄って帰ってきた。その間私が聞いているのは、初めから最後まで接待を受けないというようなことはないでしょう、ありましたかということを聞いているのです。大臣とは何にも関係がありません。大臣おっしゃった疑惑を持っているから聞いているんだろうということ、もうそんなこと一切抜きにして、接待受けたことがありますかと聞いているのです。
  291. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生お尋ねの件につきましては、私の申し上げておることは、繰り返すようでございますが大臣がそのまま言っていただいたというふうに存じておりますので、御理解いただきたいと存じます。
  292. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣、何を言われたか、もう一ぺん言うてください。
  293. 大西正男

    大西国務大臣 先生の御質問の経過の中で、郵務局長はジュネーブへ出張をした、この出張の期間において、何といいますか節度を超えた接待は受けたことない、そう申したことをさっき私はここで聞いておったんですが、先生お聞にならなかったんでしょうか。ですから、私はそれを信頼したいと申し上げたのです。
  294. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま大臣は、疑惑を受けるような接待は受けてない、こういうふうに言っている。私が聞いているのは、疑惑は別にしてと言っているでしょう。そういうような接待はあったんですかどうですかと聞いているわけです。江上さん、いかがですか。
  295. 江上貞利

    ○江上政府委員 同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、ただいま大臣が申し上げだとおりでございます。
  296. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省というところは答弁をそのようにぐるになってやるところなんですか。そういう印象しか私は持ちませんよ。私どもはなぜこのように聞くかといいますと、私ども調査では、KDDの元海外事務所員から江上貞利郵政省気通信監理官を接待したと証言を得ているわけです。だからこそ聞いているわけです。それに、この疑惑を持たれるような接待には応じていないというふうに大臣は理解した、こう言っておられるし、私は、とにかく疑惑があるかないかは別にして接待はあったんですか、こう聞いても、一貫して大臣大臣言うてなすりつける。おかしいじゃないですか。こういう証言に対して、絶対に私は疑惑を受けるような、また疑惑は持たれないようないかなる接待も受けていないということなんですか。
  297. 江上貞利

    ○江上政府委員 疑惑を受けるような接待はお受けをしておりません。
  298. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 じゃ、受けないような接待は受けたということですね。
  299. 江上貞利

    ○江上政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、疑惑を受けるような接待は受けていないということを申し上げたつもりでございます。
  300. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ですから、疑惑を持たれない接待なら受けたということに、そういうお返事がいまあったわけなんですね。で、松井氏がきのう逮捕された。七七年五月からのITU管理理事会で五十数万相当の供応を受けている。その翌年にITUに行った江上さんに何にもない、こんなことは全く考えられない。オン・デマンド・べーシスという、あなたのお望みどおりに、こういうことになっているものに、そういうものは知らぬ存ぜぬということなんですけれども、そんなことは考えられないわけですね。いかがでしょうか。
  301. 江上貞利

    ○江上政府委員 私は何も望んだということはございません。
  302. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 「のぞんだ」ということはどういうことですか。要求をしたということですか。その場に臨む、その場に行くということですか。
  303. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生のお言葉をそのままとったつもりでございます。
  304. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いや、わからないから聞いているんです。どういうふうに理解をしていただいたかわからないから聞いているんです。いかがですか。
  305. 江上貞利

    ○江上政府委員 最初に先生がおっしゃいましたのは、私は別な言葉で申しますと希望したというふうな意味合いで受け取りました。
  306. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、みずから接待を望んだのではない、しかし、望んだのではないけれども相手が勝手にやってくれた、こういうことですか。自分は要求はしていない、けれども相手はやった、こういうことですか。
  307. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生のお言葉をそのままとりまして、そのままお答えしたつもりでございますのですが、それ以上の意味もそれ以下の意味も私は持ってお答えをしたつもりではございません。
  308. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、私は、いろいろお望みどおりというふうなことではないけれども、望まれるままにいろいろなことがあった、こういうふうに理解ができるわけなんですね。松井さんが行かれて五十数万円というふうなホテル代、いろいろ接待費、旅費、そういうものが前年に出ている。しかもお望みどおりにというふうな状態が起こっている。その翌年行かれて、望んだのではないけれども、やはりよく似たような接待は向こうが勝手にやった、望まなかったけれどもその場には臨んだ、こういうことですか。
  309. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生のお言葉にこだわるわけではございませんが、よく似たということの内容につきましては、私ちょっとわかりかねますので、何とも申し上げかねます。
  310. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 おわかりにならなければ、もう一度説明をいたします。  松井氏が七七年五月から開かれましたITUの管理理事会で五十数万相当の供応を受けたわけです。その翌年このITUの会議に臨まれた江上さんに何もなかった、こういうことは考えられないわけです。だから聞いたということを理解をしていただきたいと思います。  それでは、時間がありませんので次に進みますけれども、いま論議をしてまいりましたけれども、本当に疑惑を解明しようというふうな郵政省の態度は、私はつめのあかほども感じられなかった、これが明らかになりました。あなた方の綱紀点検委員会の資料、非常にわかりにくい資料なんですね。そこでわかりやすいように私どもは整理をいたしました。そうしますと、ここの中に出てきますD、個人名は絶対に言われないけれども、D、K、L、M、M、M、M、この七人は、中元、歳暮、おみやげ、接待、全部に名前が出てくるわけです。このイニシアルが出てくるわけですね。いつも顔を出して、どこを切っても出てくる金太郎あめというのはこのことだと思うのです。このように接待や贈り物が日常茶飯事になっている。まさにこのことが今回KDD事件の温床になっているんだ、そして疑惑の徹底究明をぜひともしてくれという国民の要望にこたえて私ども質問をすると、皆さん隠そう隠そうと、いかにも自主的にやったがごとくちらちらと出しながら、しかしそれは隠す手段でしかない、そんなことはかっこうばかりというふうな状態になって、そういう態度が今回のKDD事件の土壌にあるということがきょうは明確になったと思うわけです。  こういう中で、大臣、せめてこの海外出張の際のせんべつ、また海外での接待の内容、こういうものについて、小山官房長委員長をお任せをしておくだけでなくて、小山委員長、隠そう隠そうとしているような人を委員長に立てておいたって、ちょっとも綱紀粛正にならないじゃありませんか。ですから、大臣みずから乗り出して調査をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  311. 大西正男

    大西国務大臣 小山委員長から、調査の結果は社会通念上その当時は許されておると考えられる社会的儀礼の範囲を出ていないという報告を受けております。現在郵政省から御承知のとおりの不祥事件が発生をいたしまして、そして捜査当局の厳正な捜査を私どもは見守っておるところでございます。こういう段階において、改めて調査をし直すとか、私が直接するとかいったことは、するつもりはございません。  もう一言言わしていただきますならば、仮にですよ、仮に法廷の場でいろいろと検察官なり弁護人なりが、双方がいろいろと質問をする際におきまして、先生の御質問のなさり方は、私はその反対側から必ず異議の出る問題だと思います。裁判長としても注意のある問題だと思います。
  312. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま大臣が警察庁を全面的に信頼をしておるというふうな態度の御発表、答弁があったわけです。まあ後でつけ加えられた問題は、時間がありませんが、後大臣ときちんとお話し合いをしたい、こういうふうに思います。  警察庁に、それでは捜査当局お尋ねをいたしますけれども、今後捜査の展開いかんでは政治家からの事情聴取ということもあり得るのでしょうか、いかがでしょうか。
  313. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察といたしましては、KDD疑惑の解明に寄せる国民の期待というものを重々承知をいたしておりまして、その期待にこたえるべく現在鋭意捜査を進めているところでございます。しかし、今後その捜査の結果どのようなことになるかという事柄につきましては、まだ申し上げられる段階ではございませんので、答弁を遠慮させていただきます。
  314. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国民は非常に期待をいたしております。やっと官界に手がついた、こういう感じなんですね。次は政界との関係にメスを入れるべきだというのが圧倒的な国民の声だ。それを重視したいということですから御期待を申し上げたい、こういうふうに思うわけですが、そういうことをやらないで、これで終わりだというふうなことになってしまえば――仮にですよ。いまそうでないという捜査二課長の御返答がありましたけれども国民疑惑解明という期待にこたえて今後やっていきたいということですから、私は政治家の事情聴取なんかもあり得るのかなあというふうに期待をいたしておりますが、これでしまいだというふうなことになってしまえば、警察も結局一緒になって政界との関係にふたをしてしまったなあ、こういうことになってしまうわけですね。ですから、そういうことにならないようにお願いをしたいのと同時に、委員長にお願いをしたいわけですが、事態の解明のためには、理事会でも申し上げましたように、板野元社長などの証人喚問ということが今日ますます必要になってきているということを私は痛感をいたしますので、それを強く要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
  315. 小林進

    小林委員長 藤原委員の証人喚問の件は、理事会において慎重に審議をいたしたいと思います。  次に、西村章三君。
  316. 西村章三

    ○西村(章)委員 昨日郵政省の幹部が逮捕されまして、KDD事件というものは新しくかつ重大な局面を迎えたわけでございます。この事態に対しまして大臣がどういう対応をされるか、決意のほども伺っておきたいわけでございますが、これは朝からの同僚委員質問でいろいろと見解の表明がございました。したがいまして重複は避けまして、具体的な質問に直ちに入ってまいりたいと思います。  その前に、今回の事件関連をいたしまして、実は昨日、郵政省へ取材に行かれた各テレビ社、そのうちのある一社が、取材中に郵政省のある職員から、どこの社か、こう聞かれまして、監督官庁に対して何を聞くんだ、こういう発言をしたようでございます。不見識、思い上がりもはなはだしいものでございます。こうした横柄な態度といいますか、この思い上がりが今回の事件を生んだ一因だ、こういうことであります。この事件につきまして、大臣御存じでございますか。御存じであれば、どういう処置をとられたか。
  317. 大西正男

    大西国務大臣 実はいまここで関係の者から聞いたのですけれども新聞記事の中で、この事件を同日午後になって知り、平野電波監理局長らが協議の上、志村業務課長がテレビ朝日に電話をして陳謝をした、こういうことになっておりますが、事実はそうではないようでございまして、本人が直接陳謝の電話をした、こういうことらしいのでございます。  いずれにしましても、いま御指摘のありましたようなことを発言するということは、まことにもってのほかのことでございます。大変不謹慎な発言でございますので、私からおわびを申し上げたいと思います。状況をいま聞いたことでございまますので、よく把握をいたしまして、本人にも、また本人のみならず職員一同に対しまして、厳しい自覚を持つように指導いたしたいと思います。
  318. 西村章三

    ○西村(章)委員 報道の自由につきましては、放送法の第三条で明確にこれがうたわれているわけでございます。その部局の責任者であります電波監理局長、きのうの事件もちろん御存じでございましょう。どういうお考えを持っておられますか、聞かしてもらいたい。
  319. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  昨日、郵政省職員が通勤の途中で幾つかの報道機関からKDD事件についての感想あるいは意見を聞かれたわけでございますが、その中で、大変不謹慎な発言をいたしました。私といたしましても大変遺憾に存じておるわけでございます。まあ、突然マイクロホンを出されて動転をして発言をしたということかと思いますけれども公務員といたしまして、国民の公僕としてその姿勢を十分に反省をして、先ほど大臣もおっしゃいましたように、本人だけではなくて、電波監理局の職員一同、公務員のあるべき姿に向かってさらに一層努力をしてまいりたい、そのように存じております。
  320. 西村章三

    ○西村(章)委員 いかなる状況にあったかは別といたしまして、まことに不謹慎な態度だったと思います。今後そういう思い上がった態度が出ないように、ひとつ厳重に御注意を願いたい、注文だけをつけておきます。  事実関係からお尋ねをいたします。  昨日、二人の逮捕者郵政省から出たわけでございますが、その直接の収賄容疑というものは、五十二年五月のITUの会議への参加にかかわる現地での接待あるいは費用負担であります。これの出席、出張命令権者というのですか、これはだれですか。それから、この会議は何月何日から何月何日までで、出席者郵政省から何名でございますか。
  321. 小山森也

    小山政府委員 会期は五十二年五月二十三日から六月十日までの十八日間でございます。出張命令は、それぞれの職員のポストによって異なっておりますが、ちょっとただいま資料が手元にございません。
  322. 西村章三

    ○西村(章)委員 何名出られたのですか。
  323. 小山森也

    小山政府委員 五名出ております。
  324. 西村章三

    ○西村(章)委員 五名出られたそうであります。そのうちの二人はもう明確にわかっているわけでありますが、あとの三名の方のお名前と肩書きは何でございますか。
  325. 小山森也

    小山政府委員 そのほか課長一名と課長補佐クラス二名でございます。名前につきましては、ちょっといま手元にございません。申しわけございません。
  326. 西村章三

    ○西村(章)委員 その松井、日高以外の三名の方は、その後といいますか、会議の途中で両人は抜けているようでありますが、伝えられるようなイタリアなりスペインへは同行をされておるのですか。
  327. 小山森也

    小山政府委員 要務地のみで帰ってきていると聞いております。
  328. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまの官房長お答えに補足さしていただきます。  ただいまの中の課長補佐級二名の中の一名は当室の職員でございまして、その会議終了後、たしかオスロだと思いましたが、別の会議がございまして、すぐにそこへ直行いたしております。
  329. 西村章三

    ○西村(章)委員 当時のことにさかのぼるのでありますが、松井前電気通信監理官並びに日高前参事官のこのITUの会議参加の海外出張日程は、何月の何日から何月の何日までになっているのか、また海外出張の旅費とか支度金、日当、宿泊料、こういった交付旅費は幾らでございますか。
  330. 小山森也

    小山政府委員 五月下旬から三週間となっております。それより細かい資料をちょっと持ち合わせていないで申しわけございません。
  331. 西村章三

    ○西村(章)委員 これはぜひ細かい資料を出してください。
  332. 小山森也

    小山政府委員 後ほど御報告いたします。
  333. 西村章三

    ○西村(章)委員 報道によりますと、この出張を利用して、あるいはイタリア、スペインに個人旅行して、その費用負担をKDDに依頼をし、強要しておるということであります。こういった出張については事前の了解あるいは帰国後の報告があるのでありますか。これは六月の三日から観光に出発をして、残りの七日間は会議を抜けている。さらに延長して七日間、これは公用と称して行っているわけですね。言うなれば架空のから出張である。この報告はどうなっておりますか。
  334. 小山森也

    小山政府委員 公務以外のことにつきまして報告はなかったと聞いております。
  335. 西村章三

    ○西村(章)委員 こんなでたらめが実際に行われておるわけですね。会議が五月二十三日から六月十日まで、六月三日から出発しておりますから、あとの一週間は全然出ておらぬ、こういうことになるわけですね。しかもその日当あるいは費用弁償、すべてこれは出ておるわけでして、非常に矛盾した話です。これが事実であれば、私はこれは返還請求を起こすべきだと思うのでありますが、見解はどうでございましょうか。
  336. 小山森也

    小山政府委員 まだ事実が明らかでございませんので何とも申し上げかねるわけでございますが、後ほど事実が判明したときに、それぞれに対する措置を検討すべきであろうと考えております。
  337. 西村章三

    ○西村(章)委員 措置を検討すべきであろうというのはこれはもう本当に一般的なことでありまして、やりますとか、措置をしますとか、どうですか。
  338. 小山森也

    小山政府委員 先生のお話を十分参考にいたしまして、措置、検討いたしたいと思います。
  339. 西村章三

    ○西村(章)委員 検討いたしますではなしに、返還請求をすると、こうおっしゃっていただきたいわけでありますが、これはまた繰り返しの問答になりますから、前へ進みます。  ITUのこの会議は毎年開かれているようでありますが、この前後二年ないし三年、外国での会議は、トータルいたしまして何回ぐらいあったのですか。また、その会議に、もちろんこれは郵政省からの参加でありますが、その人員あるいはどの部分から出られておったのか、その部局名別にわかりましたら教えていただきたい。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  340. 小山森也

    小山政府委員 いろいろな会議がございますが、ただいま問題になっておりますような国際会議、電気通信と電波関係の国際会議でございますが、これは年度によって幅がございますが、年間大体十回から十五回でございます。これに出席いたしますのは、主として電気通信監理官室、電波監理局の職員でございまして、課長以上の人員といたしましては十体十名から二十名というのが通常の年の出張者でございます。
  341. 西村章三

    ○西村(章)委員 同じITUの会議が五十三年の九月九日からパリで開かれておるようでございますね。これには電気通信監理官室の参事官が参加をしておりますが、寺島監理官、御存じでございますか。
  342. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 五十三年九月というお尋ねでございますが、ITUの管理理事会は大体五月ないし六月ごろに開かれております。したがいまして、九月と申しますのは、ITUの会議、少なくとも管理理事会ではないと思いますが、どのような会議であるか、ちょっといま手元に資料がございません。
  343. 西村章三

    ○西村(章)委員 手元に資料がなければ、これは後でぜひ御報告をいただきたい。  それから、もう一つつけ加えますが、そのときに参加をされました課長さんの氏名を、明らかになれば教えていただきたいと思います。
  344. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 正確な記憶がございません。九月か十月であったかの、ITUではなくてOECDの会議がたしかあって、私の方から課長クラスが一名参加したという記憶はございます。ただ、九月であったか十月であったか、ちょっとその辺が定かでございません。
  345. 西村章三

    ○西村(章)委員 その人の氏名はおわかりでございますか。
  346. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 電気通信監理官室の参事官でございます。
  347. 西村章三

    ○西村(章)委員 私は氏名を聞いておるのです。肩書きは聞いてないのです。
  348. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま手元に資料がございませんが、私の記憶で申し上げますと、OECDの会議に出ましたのは岡参事官でございます。
  349. 西村章三

    ○西村(章)委員 実は、九月の会議に出た人がKDDからせんべつをもらったというような報道がなされております。私はそういう意味お尋ねをしたわけでありますが、こういった国際会議に対する出張、それに伴う接待あるいは費用負担、これらが非常に今回の疑惑の中心になってきておるわけでございます。これからもいろいろな国際会議があるのでございましょうが、そうした意味におきましてももっと姿勢を正していただきたい。強く要望いたしておきたいと思います。  次に進みますが、これは先ほど来種々論議をされております綱紀点検委員会の問題であります。昨日逮捕されました松井あるいは日高、この両人はこの点検委員会申告した人の中に含まれておりますか。含まれておれば、その申告内容も明らかにしてもらいたいと思います。
  350. 小山森也

    小山政府委員 調査対象になっておりません。
  351. 西村章三

    ○西村(章)委員 これはもう実に歴然たる事実であって、どうして逮捕をされた人が含まれていないのですか。これは現職の人がおひざ元におるのですよ。しかも幹部職員、前任もはっきりしておる。にもかかわらずこれに含まれておらない。どういうことなのですか。
  352. 小山森也

    小山政府委員 先ほども申し上げましたけれども、今回の点検委員会調査は、一昨年の七月以降ということにしておる次第でございまして、それ以後この両名はこの関係のポストにいなかったということでございます。
  353. 西村章三

    ○西村(章)委員 五十三年七月以降、この基準というのは何を基準にされて設定をされましたか。
  354. 小山森也

    小山政府委員 人によりましていろいろ記憶に差があるというところから、約一年をめどとしたわけでございます。しかしながら郵政省の場合、七月に人事異動がございます。その七月の人事異動期以降としたわけでございまして、一年有余となっておるわけでございます。
  355. 西村章三

    ○西村(章)委員 この調査対象期間というのは――当初から板野社長は非常に疑惑を持たれて、しかもおやめになった。したがって、板野社長の就任時にさかのぼって期間を設けるのは常識だと思うのです。もちろん過去の前任者、関係者にも当然申告を求めるべきでありまして、特に直接職務権限の及ぶ電気通信監理官室、この幹部職員に対しましては、現職、前職にかかわらず調査対象にするのは、事実の究明を図るという郵政省立場からすれば当然でありまして、なぜ一年や一年半に限定をしたのか。あるいは前任者を外したのも非常におかしいと思うわけであります。現にその当時参事官をやっておられた人が逮捕されておる。その人は、当然のことながら五十二年には在職しておったのであります。五十三年七月以降の事柄を尋ねれば、五十二年時代のことは申告しないのはあたりまえなのです。ということは、綱紀点検委員会そのものが、わずかの期間に小手先の調査をした。こういう疑いを持たれてもしようがないと思うのであります。どういうことでございましょうか。
  356. 小山森也

    小山政府委員 私ども調査は、みずからの記憶良心に基づいて報告をさせるということがまず基調になっております。かつまた、それによって出た資料によって、われわれの考えている綱紀というものが現在までどういうものであったかということを知ること。さらにこれに基づきまして、われわれのやったことが果たしてよかったかどうだったか、将来のわれわれの綱紀というのはどうすべきかというところに重点があったわけでございます。したがいまして、みずからの記憶良心ということになりますと、やはり余りさかのぼったりいたしますと非常に差が出るということがありますものですから、一年半としたわけでございます。
  357. 西村章三

    ○西村(章)委員 その辺のところの期間の設定というのは非常におかしいわけです。これは当然板野さんが就任されてから、特に社長室がああいう膨大な権限を持ってこの疑惑事件が持ち上がったわけですから、それに対応する措置としては、板野社長就任時にさかのぼってやるのがあたりまえの話です。そういう意味で私は非常に遺憾に思うわけでございます。当時の職務からして当然疑惑が持たれるはずの松井、日高の両人をわざと外すような調査だ、こう言われてもしようがないわけです。郵政省は事実の解明に消極的で、臭い物にふたをする、こう言われてもしようがないような態度でありまして、事実解明への積極的な意思というものがどうしても見受けられないわけでございます。  これは大臣お尋ねをしたいのでございますが、当然そういった措置をとるべきだったと思うのでありますが、御見解はいかがですか。
  358. 大西正男

    大西国務大臣 いま先生の立場に立って考えますと、そういう御意見もごもっともだという気がいたします。でありますけれども、当時郵政省といたしましては、この問題をめぐって郵政省の役人がどういう意識にあって、そして全体の奉仕者である立場に立ってどういうふうに郵政省としてのあり方を検討し今後に対処するかということに重点を置いて調査をしたわけでありまして、その限りにおいては、関係者は皆良心を持って熱心にその調査に当たった、こう私は思っております。現在、遺憾ながら昨日郵政省内から不祥事によって逮捕されるといったようなことが起こったわけでありまして、この点につきましては国民に対してまことに申しわけない、弁解の余地なし、こう考えております。  したがいまして、私としては、再びこういう事件が発生をしないように、郵政省に働くすべての人たちが全体の奉仕者たる原点に返って、身を引き締め、えりを正して、新しい覚悟で国民にこたえていかなければならないと思います。そのことを私が先頭に立ってやらなければならないと思っております。それが私の責任だというふうに考えておるところでございます。
  359. 西村章三

    ○西村(章)委員 綱紀点検委員会調査結果を昨年十二月二十一日に衆議院決算委員会で一応報告された。またその資料がそのまま今月五日の当委員会でも、同じ資料で報告されておる。ということは、昨年十二月二十一日以降何も調査を進めておらなかった、こういうことになるわけであります。開店休業の状態でありまして、これはもうやる気がないと言われてもしようがないのであります。私はこの際、やはり郵政省はみずからの疑惑はみずからの手で明らかにする、こういう気持ちでぜひやっていただきたいと思うのです。今後さらにこの問題について調査をするという意図はお持ちではございませんか。
  360. 大西正男

    大西国務大臣 そのことについては、先ほど来他の議員さんからのお尋ねに対しましてお答え申し上げておるところでございますが、先ほど来申しておりますようなことでありまして、改めて調査をし直すつもりはございません。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  361. 西村章三

    ○西村(章)委員 古い人だけの、しかもわずかな期間だけの調査結果でもって事足れり、こういう安易な考え方というものは許されないと思うのです。私はこの際、ぜひ再調査に踏み切っていただくように御検討いただきたいと思うのです。  次に、これまで大臣官房長も、調査結果では、KDDとの会合の接待、贈答、海外みやげというものも含めて、儀礼的なもので、社会通念上の範囲で、決して過度にわたっていないとあらゆる場所で御答弁をされてきたわけでありますが、皆さん考えられる儀礼的なもの、あるいは社会通念上の範囲とは一体どの程度のものなのか、金額的には幾らぐらいまでがその範疇に入ると考えているのか、まずこの点を聞かせてください。
  362. 小山森也

    小山政府委員 御案内のとおり、社会的儀礼と言われますのは、日常生活、一般常識に頼らざるを得ないわけでございます。その範囲を明確に申し上げることはなかなかむずかしいわけでございますが、たとえば人事異動に際しまして儀礼的に懇談の場を持ったり、盆暮れに社会一般でやりとりされているような品物というふうに考えております。実はこの点で、価格はという点につきましては非常にこれが把握が困難でございまして、世間一般の贈答品というような形で、たとえばウイスキーであるとかワイシャツ程度まで、こういうことで切ってみたわけでございます。
  363. 西村章三

    ○西村(章)委員 ウイスキーやワイシャツ程度ならというお話でございますが、こういったものであればともかくも、高級料亭での接待、会合あるいは高級クラブでの接待、さらには海外みやげの中でも時計だとか貴金属、こういったみやげがその範疇に入ると考えておられるんですか、どうですか。
  364. 小山森也

    小山政府委員 いろいろ接待の場所等につきましては、そのときどきの人の関係等がありますと同時に、それが頻繁に行われているかどうかということだろうと思うのでございます。その点につきましてはなかったということでございます。それから、そういう貴金属類は自己申告には入っておりません。
  365. 西村章三

    ○西村(章)委員 頻繁に行われていたかあるいは一回きりのものであるかは別にいたしまして、やはり先般来しばしば繰り返されていることは、調査結果はすべて儀礼的なものだ、あるいは社会通念上許されるものだ、こういう答弁を繰り返されてこられたわけでございます。あの調査結果の報告書、これはすべてそういうことで割り切ってお考えになっておられるんですか。その中には高級料亭もあるはずです。クラブもあったはずです。会合というものの中身ですね。それもそういうことで郵政省は強弁をされるわけですか。
  366. 小山森也

    小山政府委員 申告の中にはそういうものは入っておりません。
  367. 西村章三

    ○西村(章)委員 会合の中身はいろいろありますね。それならば、その会合の場所等も具体的に明らかにしていただかなければそういうことは言い切れないわけでございます。そうでございましょう。その会合の場所を明らかにしてください。
  368. 小山森也

    小山政府委員 レストラン、会館、一部料亭というところでございます。
  369. 西村章三

    ○西村(章)委員 具体的に料亭というものが入っているじゃございませんか。これは社会通念上、日常の常識で考えられる範囲だと考えておられますか。
  370. 小山森也

    小山政府委員 私どもの判断といたしまして、それが年に一度程度ということでございましたらば、その点は私ども調査といたしましては儀礼的、また相手との関係等がありまして儀礼的と判断したわけでございます。
  371. 西村章三

    ○西村(章)委員 年に一度程度ならそれはもう儀礼的なものだ――金額は幾ら使っても、それは社会常識上の範囲に入るんだということにも解釈ができるわけです。非常におかしいと思うのですよ。私はなぜそういうことを言うかといいますと、しばしばそういうことで答弁をされておる、あらゆる機会をとらまえてそういうことを言われておる、ここにむしろ疑問を感じるわけです。  これ以上追及いたしましても答えは出てこないと思いますから、次へ進みます。  郵政大臣は過去しばしば、また昨日の記者会見でも、会社の経営姿勢、ここに一番の問題があるんだ、こう言ってこられました。もちろんKDDの板野前社長を長とする社長室の姿勢、これは、すべて金によって自由に動かそう、この態度には問題があると思うのであります。しかし同時に、この姿勢につり込まれた郵政省側の対応姿勢といいますか、この事件の大きな背景と原因はこの対応姿勢にも私はあったと思います。むしろ、過去の専用回線の料金改定あるいはインマルサットの事業認可、円高差益に伴う料金引き下げ、さらに伝えられております役員の保身も含めて、郵政省側並びに電気通信監理官室側の許可権限、認可権限の対応が、言うなればKDD側をしてこのような行為に走らせた、こういうことも言い得るわけであります。この反省なくして今回の事件の解明というものはあり得ない、その意味で指導監督権限を持つ郵政省もあるいはKDDと同罪だということも言い得るわけでありまして、大臣はあくまでKDD経営姿勢にのみ原因があった、こう考えられるのでありますか、大臣の見解をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  372. 大西正男

    大西国務大臣 まず第一にKDD首脳陣経営姿勢に最大の原因があったということは、私はいまでも考えが変わっておりません。民間のいろいろな会社、たくさんございます、こういった特殊の株式会社でなくてもいろいろあるわけでありますが、それらの方々の経営首脳陣におきましてもやはり経営倫理というものを心得て、そして経営者としての社会的責任というものを常に胸の中に置いて経営に当たっておられる、そういう実情は私も存じております。今度KDD会長には民間から就任をしていただいておるわけでありますが、その人などとの接触の間においてもまさに私はそういうことを感じるわけでございます。したがいまして、何としても経営首脳陣経営姿勢というものがその会社なり企業なりの最も大事な問題だと考えておりまして、そのことはいまも少しも変わっておりません。  でありますが、この間に郵政省監督あり方いうものにつきましてもこれが決して十全ではなかったということは、これは私もたびたび申し上げておるところでございまして、そういう反省の上に立って今後郵政省監督あり方というものを正していかなければならないと思うわけであります。その一環として、組織上からの担保という意味も込めましてKDD法改正について国会にお願いをしたいと考えておるところでございます。
  373. 西村章三

    ○西村(章)委員 この問題は後でもう一度お尋ねをしたいと思いますが、最近の五年間に郵政省からKDDに役員としてあるいは幹部として入った人は、全部で何人おられますか。
  374. 小山森也

    小山政府委員 二名でございます。
  375. 西村章三

    ○西村(章)委員 その数は本省の課長クラスも含めてですか。
  376. 小山森也

    小山政府委員 そのとおりでございます。
  377. 西村章三

    ○西村(章)委員 その二名の中に、電気通信監理官室職員さん、ストレートかあるいは他の部局を経てかは別問題といたしまして、入られたお方がございますか。
  378. 小山森也

    小山政府委員 おりません。
  379. 西村章三

    ○西村(章)委員 昨日逮捕されました松井清武さん、この方は五十二年の七月十八日付で電気通信監理官から首席監察官に就任をしておられますね。五十二年の十一月に退職をされて、宇宙開発事業団に天下っておられるわけであります。この電気通信監理官をやめてから宇宙開発事業団までわずか三ないし四カ月であります。首席監察官、これの職責はもう御案内のとおりでありまして、考査捜査権、業務犯罪、こういうものの権限を持ったいわば郵政省内のお目付とも言うべき立場の役職であります。実は昨日逮捕されまして、こういった立場にある人がみずから犯罪を犯しておった、これは職員としては一体だれを信じたらいいんだろうかということになるんですね。わずかな期間ですが、こういったところへ入っておられる。そしてその後、宇宙開発事業団へ天下っておられる。その役職は宇宙開発事業団の中におきましても監事、これは監査役と同様なことであります。こういう安易な天下り人事、これが事件発生の大きな原因だと思うのであります。  そこで、先ほど大臣もおっしゃいましたが、KDDの増田新社長が、経営刷新の新しい方針として、これからは郵政省からの天下り、これを一切拒否する、こういうことを打ち出されました。私は経営姿勢の改善という意味で大いに歓迎をしたいのでありますが、この天下り拒否ということに対する大臣の見解はいかがでございましょう。
  380. 大西正男

    大西国務大臣 KDDの新社長が、いま先生御指摘のようなことを発言されたという問題につきましては、私はつまびらかに存じておりません。ただ、特殊法人につきましては、昭和五十二年の十二月に閣議決定がございます。その決定によりますと、その企業の内外を問わず、人物、識見、手腕等におきまして優秀な人物を登用されるべきであり、されるであろう、こういうことを決めておるわけでございます。でございますから、その閣議の決定に基づく趣旨にのっとりまして、適材適所と申しますか、人格、識見、手腕においてその企業に最も適した人をその企業の役員として登用さるべきである、このように私どもとしては考えております。
  381. 西村章三

    ○西村(章)委員 KDD側の方が、今後郵政省からの天下りは一切やらないと、こう表明されておるわけです。しかしいまの大臣答弁を聞いておりますと、適材適所で、いい人物があるならばこれからも可能だというような御答弁にいま私は受け取ったわけでございます。向こうが、もう一切天下ってもらう気はない、こう言っておるのに、監督権限を持つ郵政省がまだそういう態度であっては困ると私は思うのです。その辺の大臣の御認識はどういうことなんですか。
  382. 大西正男

    大西国務大臣 でありますから、増田新社長がどういう内容の趣旨をもってそういう発言をなさっておるかどうかということは私はつまびらかにいたしておりませんし、この時点で新社長からそういう報告があったり、気持ちを聞いたこともまだございません。ですから、内容の真意はどこにあるか私もわかりませんけれども、私どもといたしましては、閣議の決定の線に沿ってこの問題に対処していくべきであろうと思います。そう考えております。
  383. 西村章三

    ○西村(章)委員 内容の真意は別にしてと、こうおっしゃるのでありますけれども、先方がそういう表明をされておる、ましてこういう時期で、いまいろいろと郵政省KDDとの癒着問題、これが中心的な事柄になっておるのですから、KDD側の方が姿勢を正してこれを受け入れないと、こういう表明をされたら、郵政省としては当然それに対応した措置をおとりになるべきだと私は思うのでありますが、もう一度、恐縮ですが、見解を聞かしてください。
  384. 大西正男

    大西国務大臣 同じことを繰り返しますが、私の見解はそうでございます。  ですから、具体的問題について、もちろん役員の就任については郵政大臣が認可権を持っておるわけでありますが、しかし役員の選任は、KDDが株主総会を通じて推薦といいますか、してこなければならない手順になるわけでございます。その間において、将来具体的な問題についてはいろいろ御相談もあろうかと思います。その御意見をよく聞きますとともに、私ども考えも申し上げて、そうしてその間に最もよい人物を選びたい、選ぶべきであろうと思っております。
  385. 西村章三

    ○西村(章)委員 これも堂々めぐりのようでございます。次に進みます。政府は、昨年末に閣議決定をした行政改革の施策の中で、KDD監督強化を打ち出して、今国会に郵政省設置法の一部改正及びKDD法改正案を提出されております。これは公共独占事業であるKDDに対しましての監督権限をさらに強めようというものであると私どもは理解をいたしております。  また、昨日大臣は、定例記者会見で、今回の法改正によりまして監督権限を強化したい、その旨の発言をされておりますが、この発言なり考え方に間違いはございませんか。
  386. 大西正男

    大西国務大臣 間違いはないと思っております。
  387. 西村章三

    ○西村(章)委員 私は、先ほどいわゆる郵政省KDDとの癒着関係、これが今日の原因をもたらしたということを申し上げました。人的な癒着にもあらわれておりますとおり、板野前社長を初め、KDDには郵政省出身者が比較的多い。特に役員の中には多いのであります。したがって、現職の郵政省の方々とも先輩あるいは後輩、こういう関係で必然的につながってまいります。加えて、役員あるいは監査役人事の認可権、企業にとって最も重要な料金認可制、事業計画、利益金の処分、企業の動脈は言うなればすべて郵政省監督認可権限が集中をしておるわけであります。したがって、郵政省公共統制、これはKDDの暴走をチェックして、独占からユーザーを保護するというよりも、逆に、人事の認可権を握ることによりまして、KDDをいわば官僚の天下り場といいますか、こういうことになったり、あるいは相互癒着関係、これを深めたりする結果になってしまってきたとも私は考えられると思います。したがって、現時点では監督権限の一層の強化ということよりも、むしろこの癒着関係を絶つためには、郵政省監督権限の集中化を避けることがより効果的であり適切であると思うのです。KDD法改正にとらわれず、私のいま申し上げたような見解、大臣はどう受けとめておられますか。
  388. 大西正男

    大西国務大臣 監督立場にある郵政省とそれからKDD、これは先生ただいま御指摘のように、公衆の国際電気通信事業という公益性の非常に強い会社であるとともに、非常に専門的な、いわゆる独占もしておりますし、事業自体が非常に専門的な事業でもあるわけでございます。そういう意味におきまして、郵政省の担当の部局とKDDとの間は、私は赤の他人であってはならないと思います。でありますが、その赤の他人であってはいけないということは、おっしゃいますように公私を混同したりしてはならないと思います。また、言うところの癒着であってはならないと思います。でございますが、そういう関係にあればこそ平素意思の疎通とかということは大変必要なことだとも思っておるわけでございます。そこで、そういうけじめを双方がつけることは、これは原点に返って双方がそれぞれ分に応じたつき合いをする、こういうことでなければならぬと思います。でありますから、もしそうであるならば何も制度を変えたりする必要はないと思います。でありますけれども、そういう原点に立ち返って、双方が公私を混同しない、またみずからの職責に対してその職務を尽くしていく上において公正な態度でいかなければなりませんが、しかし、このKDD問題が起こりましてから、同時に監督あり方あるいは会計検査院の検査の対象KDDの会計をするとかいったような世論もほうはいとして起こってまいったわけでございます。これは御承知のとおりだと思います。そういうことを彼此検討しながら、法律としては、制度としてのKDD運営について、将来再びこんな問題が起こらないように、一方においてはKDD経営姿勢というものを正していただくとともに、郵政省監督あり方についてもさらにこれを強化していくと同時に、その上にさらに加えて会計検査院の検査対象にしよう、こういうことになったわけでございます。  ですから、先生がおっしゃいますように、それは癒着関係を増幅するためにそんなことをやっておるわけではございませんで、そうでなくて、そういうものがなくなるようにしたいというのが願いでございます。ひとつこの点は御理解を賜りたいと思います。
  389. 西村章三

    ○西村(章)委員 これはいずれKDD法が審議の対象になりました時点でもう一遍改めてやらせていただきたいと思うのです。  しかし、いま大臣が、癒着関係を増幅するために強化をするのではない――これはもうあたりまえの話でございます。しかし、むしろ全体としてはやはり監督権を強化していこう、こういうお立場のようであります。私は、考え方の相違でありますけれども郵政省により権限を集中化するあるいは強化することよりも、KDD内部での監査機能といいますか、これをもっと強化し、人事におきましても、たとえば内閣の任命制にする、国会の同意を得るような形にするということの方がより賢明であり、望ましいと思うのであります。事件の再発防止を何としても推進するためには、やはりこうした角度からも検討すべきだと思うのでありまして、大臣にばかりお尋ねして恐縮ですが、もう一度その考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  390. 大西正男

    大西国務大臣 先生の御意見も、これは貴重な御意見であると存じます。将来の問題としてそういうことをやらなければならないような事態になりますことを望んでおりませんけれども、万一そういう事態が起こりますならそういうことも考えなくてはならぬと思います。しかし、現在の郵政省監督権の法律によって規定されておるあり方では、どうも今回の事件を予防することには十分に効き目がなかった、こういうことでありまして、たとえば利益の処分だけに係るとかいったようなことではなくて、収支決算につきましても広くこれを認可する権限の中へ入れよう、こういうことでありまして、そういうことで、もちろん経営者の経営姿勢によってりっぱに運営をされなければなりませんが、制度の上でもそういうことが起こらないようにするために権限を強化しよう、こういうことでございますから、それ以外に何らの他意はないわけでございます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  391. 西村章三

    ○西村(章)委員 時間がなくなりましたので、最後にお尋ねをいたしますが、今回の幹部の逮捕による責任問題でございます。  すでにKDDの本社は捜索をされましていろんな書類が押収をされております。その中には、いわゆる贈答品の送り先のリストも含まれておると言われております。けさまた郵政省そのものが捜索を受けたようであります。そうした結果でさらに汚職が拡大発展する可能性もありと言われておるのでありますが、この事態に対しまして今後毅然とした態度でどう対処していくのか、この決意のほどをまず聞かせていただきたいのです。
  392. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 私から事務的に先にお答えさせていただきたいと存じます。  御指摘のとおり、昨日、電気通信監理官室の元幹部であった人がその電気通信管理官室在職中の事柄につきまして取り調べを受け、かつ逮捕されたということを私ども大変重大に受けとめておるわけでございます。したがいまして、そういうことを踏まえましてなお一層厳正な姿勢監督あるいは行政全般に当たってまいらなければならないということを心新たにしておるところでございまして、そういう気持ちでより引き締めながら事に当たってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  393. 西村章三

    ○西村(章)委員 申し上げるまでもなく、公衆電気通信法及び国際電信電話会社法からも、郵政大臣あるいは電気通信監理官室、この職務権限は明らかであります。監督不行き届き、この責任というものはきわめて私は重いと思います。かかる不祥事態が発生をいたしました上からはその責任を明確にすべきでありますが、大臣の身の処し方も含めて、最後に、今後どのように対応されるか、その決意と姿勢を明確に聞かせてください。
  394. 大西正男

    大西国務大臣 今度のこういう不祥事件を起こしましたことにつきましては弁解の余地はないわけでございまして、心から国民におわびを申し上げます。この問題は、昨日逮捕をされたわけでございまして、捜査当局捜査の進展に従いましていろいろと道程があろうかと思っております。でございますから、その道程に応じまして当然それに対応する措置がなければならないと思っております。  それはそれといたしまして、私の責任は、再びこういう問題が再発をしないように、省の全般の方方に対しても、全体の奉仕者としての自覚を喚起し、そうしてまた、ことに幹部諸公に対してはお互いに戒め合い、身を正して、国民から負託をされておる重大な郵政行政のために全力を尽くして、国民信頼を取り戻していくように努めなければならないと思っております。それに私は全力を挙げたいと思っておるところでございます。
  395. 西村章三

    ○西村(章)委員 再発防止もきわめて大切な問題でありますが、いわゆるけじめをつける、責任をとるということも非常に重要でございます。  かつて昭和電工事件昭和二十三年でありますが、この時期には大蔵省の主計局長が逮捕をされた。また、造船疑獄事件では運輸省の官房長が逮捕され、それぞれ内閣が責任をとって総辞職をしたという経緯もございます。これに照らして、今回もうすでに高級官僚が逮捕されておる時点でございますので、ぜひひとつ毅然とした措置をとっていただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  396. 小林進

    小林委員長 これにて西村章三君の質疑は終わりました。      ――――◇―――――
  397. 小林進

    小林委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題として、審査に入ります。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件の審査が終了するまで、随時参考人として日本放送協会当局の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  398. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  399. 小林進

    小林委員長 それでは、提案理由の説明を求めます。郵政大臣大西正男君。     ――――――――――――― 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  400. 大西正男

    大西国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十五年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものでございます。  まず収支予算について、概略を申し上げます。  受信料の月額につきましては、日本放送協会の最近の経営状況及び今後の見通し等にかんがみ、財政基盤の安定を図るため、これを改定することとしております。  その内容は、本土につきましては、普通契約を五百二十円に、カラー契約を八百八十円に、また、沖繩につきましては、普通契約を四百十円に、カラー契約を七百六十円にそれぞれ改定しようとするものであります。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ五百八十億九千万円増の二千七百八十九億二千万円、事業支出は前年度に比べ百八十二億六千万円増の二千五百四十二億六千万円となっております。  この結果、事業収支差金は二百四十六億六千万円となっております。  この事業収支差金につきましては、百七十億七千万円を債務償還のため事業収支差金受け入れに計上し、七十五億九千万円を翌年度以降の収支均衡を図り、財政を安定させるための財源として、その使用を繰り延べることとしております。  資本収支におきましては、テレビジョン、ラジオ放送網の建設、放送設備の整備等のための建設費として、二百四十億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及を図るため、放送網の建設を行うこと、視聴者の意向に応じた豊かな放送番組を提供すること、視聴者の生活態様に即した営業活動を大都市を重点に積極的に推進し、受信料の確実な収納を図ること等となっておりますが、これらの実施に当たりましては、極力合理的、効率的運営に努めることとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの内容を慎重に検討いたしました結果、受信料月額の改定は、日本放送協会の財政基盤の安定を図るため、この際やむを得ないものと判断し、昭和五十五年度収支予算等はおおむね適当と認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願い申し上げます。
  401. 小林進

    小林委員長 次に、補足説明を求めます。参考人日本放送協会会長坂本朝一君。
  402. 坂本朝一

    ○坂本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  協会の受信料収入は、受信機の普及がほぼ限界に達し、すでに年率二%台の伸びにとどまっており、一方経済的諸条件の変動等によりまして、やむを得ない経費の増加が見込まれ、現行料金のもとでは、協会に課せられた業務を円滑に遂行することが困難な事態に直面しております。このような状況を打開するため、協会は業務全般にわたり積極的な見直しを行い、さらには、広く視聴者の意向を吸収するとともに、外部有識者による提言をも踏まえ、一層の工夫と効率化を進めることを基本として、昭和五十五年度から三カ年間の経営を見通しましたところ、公共放送としての協会の社会的使命を果たすためには、やむを得ず昭和五十五年度より受信料の改定をお願いしなければならないことになりました。  受信料の月額につきましては、本土における普通契約において、四百二十円から五百二十円に、カラー契約において七百十円から八百八十円に、また、沖繩県における普通契約において三百三十円から四百十円に、カラー契約において六百十円から七百六十円にそれぞれ改定させていただくことといたしております。  次に、昭和五十五年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  建設計画につきましては、難視聴地域の解消を、より効率的に推進することとし、テレビジョン局の建設、共同受信施設の設置及びFM放送局の建設などを行うほか、放送衛星についても、必要な設備の整備を進めることといたしております。  また、テレビジョン音声多重放送の拡充に必要な設備の整備、ラジオ放送所の整備、放送番組充実のための機器の整備を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、テレビ、ラジオ放送とも、視聴者の意向を積極的に受けとめ、番組の刷新、特別企画番組等の充実に努めることとし、また、ローカル放送についても一層充実することといたしております。  国際放送においては、国際間の理解と親善に寄与するため、番組の刷新を図るとともに、受信の改善に努めることといたしております。  広報及び営業活動につきましては、地域の特性に即したきめ細かい施策により幅広い視聴者の意向を積極的に吸収して、これを事業運営に的確に反映させ、また、視聴者の生活態様に即した営業活動を推進して、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めることといたしております。  調査研究につきましては、放送番組、放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、一般に公開することといたしております。  以上の事業計画の実施に当たっては、全般にわたり、経費の節減と業務の効率的運営を一層徹底することといたし、要員数は、年度内に五十人の減員を行い、事業計画の遂行に必要な最小限にとどめることとし、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支においては、収入総額二千七百八十九億二千万円を計上し、このうち受信料収入については二千七百三十一億七千万円を予定しております。これは有料契約者数について、カラー契約の増加等により、契約総数において五十五万件の増加を見込んだものであります。  なお、受信料免除につきましては、免除実施対象の見直しを行い、昭和五十五年度以降、学校のうち、大学及び高等専門学校に対する受信料の免除を廃止することといたしております。  これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息などにより、総額二千五百四十二億六千万円を予定しております。  事業収支差金二百四十六億六千万円につきましては、このうち百七十億七千万円を債務償還に充て、七十五億九千万円を、翌年度以降の財政を安定させるため、その使用を繰り延べることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費二百四十億円、通信・放送衛星機構への出資に一億六千万円、債務の償還に百七十八億四千万円、総額四百二十億円を計上し、収入には、これらに対する財源として、事業収支差金、減価償却引当金、放送債券及び借入金等を合わせて総額四百二十億円を計上いたしております。  以上、日本放送協会昭和五十五年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、一九八〇年代における公共放送としての果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の事業運営に当たっては、協会の総力を結集して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  403. 小林進

    小林委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会