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1980-04-21 第91回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十一日(月曜日)     午後二時一分開議  出席委員    委員長 塩谷 一夫君    理事 石川 要三君 理事 大石 千八君    理事 中村 弘海君 理事 松野 幸泰君    理事 小川 省吾君 理事 神沢  浄君    理事 小濱 新次君 理事 三谷 秀治君    理事 部谷 孝之君       池田  淳君    小澤  潔君       亀井 静香君    亀井 善之君       菊池福治郎君    岸田 文武君       工藤  巖君    丹羽 雄哉君       畑 英次郎君    船田  元君       井岡 大治君    加藤 万吉君       中村  茂君    山田 芳治君       小川新一郎君    斎藤  実君       吉井 光照君    安藤  巖君       河村  勝君    渡辺 武三君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 後藤田正晴君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 石月 昭二君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治大臣官房審         議官      川俣 芳郎君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君         消防庁長官   近藤 隆之君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    山崎 八郎君         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         文部省初等中等         教育局企画官  宮園 三善君         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       横瀬 庄次君         厚生省公衆衛生         局地域保健課長 北川 定謙君         厚生省社会局施         設課長     岡光 序治君         厚生省援護局援         護課長     楠本 欣史君         中小企業庁計画         部金融課長   山本 幸助君         建設省河川局防         災課長     川合 恒孝君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         自治省財政局交         付税課長    能勢 邦之君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         審議役     岩崎 雄一君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   亀井 静香君     大野  明君   北口  博君     河本 敏夫君   加藤 万吉君     下平 正一君   田島  衞君     河野 洋平君 同日  辞任         補欠選任   大野  明君     亀井 静香君   河本 敏夫君     北口  博君   下平 正一君     加藤 万吉君   河野 洋平君     田島  衞君 同月二十一日  辞任         補欠選任   北口  博君     菊池福治郎君   椎名 素夫君     船田  元君   服部 安司君     畑 英次郎君   河野  正君     山田 芳治君   細谷 治嘉君     中村  茂君   河村  勝君     渡辺 武三君 同日  辞任         補欠選任   菊池福治郎君     北口  博君   畑 英次郎君     服部 安司君   船田  元君     椎名 素夫君   中村  茂君     細谷 治嘉君   山田 芳治君     河野  正君   渡辺 武三君     河村  勝君     ――――――――――――― 四月十八日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八八号) 同月二十一日  退職地方公務員共済年金恩給等改善に関す  る請願外一件(上田卓三君紹介)(第四三九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十八日  消防任務における救助、救出活動法制化に関  する陳情書  (第一二六号)  地方行政改革の推進に関する陳情書外二件  (第一二七号)  暴走族の排除に関する陳情書  (第一二八号)  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律延長  に関する陳情書  (第一二九号)  普通交付税精算減額に対する財源確保に関す  る陳情書  (第一三〇号)  公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特  別措置に関する法律期限延長に関する陳情書  (第一七七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ――――◇―――――
  2. 塩谷一夫

    塩谷委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 初めに、地方交付税法地方財政計画関連をして若干お伺いをいたしたいと存じます。  まず、法第六条の三の二項の解釈について、念のためお尋ねをいたしておきたいと思います。  これは「引き続き第十条第二項本文の規定によって」云々とありますけれども、この引き続きということは、二年間で、三年目もそう見通されるという理解でよろしいわけですか。
  4. 土屋佳照

    土屋政府委員 そのように私ども理解をいたしております。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、「著しく異なることとなった場合」とありますけれども、これは一〇%という解釈でよろしいわけですね。
  6. 土屋佳照

    土屋政府委員 財源不足額がいまおっしゃいましたように一〇%ということで、私どももそのように理解しております。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 「地方財政若しくは地方行政に係る制度改正」ということはどういう意味なんでしょうか。
  8. 土屋佳照

    土屋政府委員 まさにただいまおっしゃいました地方行財政制度万般にわたるわけでございますが、これはいわゆる恒久的な制度改正を予想しておるようにも考えられるわけでございますけれども、この条文の解釈といたしましては、いかなる内容の地方行財政制度改正を行うべきかについては法律は、比較的広い選択を許しておるというふうに解釈すべきでございます。したがいまして、たとえば経済情勢変動期にあるために、将来に向かっての的確な財政見通しが予測しがたいような状況にある場合は、さしあたってその年度地方交付税の総額を増額する特例措置を講ずる、それと同時に、たとえば借入金の将来の償還額の一部を一般会計負担をするといったような法定化をすることも、広く地方行財政制度改正に該当するというふうに考えております。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 五十三年度にこれにより附則第八条の三を新設をして、制度改正と称しているわけでありますけれども、これをもって制度改正と言えるんでしょうか、私はそうではないと思っています。  大臣は、本委員会答弁で再三にわたって、やむを得ざる暫定的な措置だと言ってきましたけれども、こう言われるなら私もよく理解ができるわけでありますが、しかし、やむを得ざる暫定的措置をもって制度改正と言えるのでしょうか。
  10. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 第一次の石油ショック以来、国も大変な財政赤字に悩んでおるわけでございますが、その点は地方も同じでございます。そこで本来は、恒久的なしっかりした制度でなければならぬことは言うまでもありませんが、こういった厳しい経済財政状況を背景としながら、ともかく地方の必要な財源を確保する一つ手段として、いま御質問のような制度を暫定的な制度として認めたんだ。したがって、これは恒久的な制度とは私も理解しておりませんけれども、さればといって、これが単なる行政上の手段でやったにすぎないものであるというふうにも理解してないので、やはり一つの新しい制度である、かように考えております。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣制度と言ったのは初めてで、暫定的な措置であるという答弁を繰り返してきたわけですね。私はそう言うのなら理解できますけれども、やはりこれは制度改正ではないんではないかというふうに思っております。  いま自治大臣官房監修をした自治六法があります。これは私ども毎年もらっておるわけでありますが、その昭和五十四年版には、五十三年に改正をした翌年でありながらも、附則八条の三は載っていないわけであります。このことは、自治省自身制度改正と解していなかったということを証拠立てるものではないのですか、どうなんですか、土屋財政局長
  12. 土屋佳照

    土屋政府委員 法令集等編集等に当たっては、一定の基準で載録するものを選ぶわけでございますが、ただいまお示し附則八条の三の規定というものは、これは私どもにとってはきわめて重要な規定でございます。ただ一般的には、編集方針によってそれを除かれたというごとはこれは残念でございますけれども、それが重要でないから除いたというよりも、全般的な編集方針として、ページ数その他いろいろ考えてやったことだと思っております。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 いまいろいろお答えをされますけれども自治省官房監修をして出す自治六法に載っていないということは、いま何を言われようとも私は、制度改正自治省自身が解していない証左であろうというふうに実は思っておるわけであります。  そこで、ずっと引き続いて交付税特別会計で借り入れをしたりあるいは地方債の増発によって地方財政財源不足を糊塗をしてきたわけであります。すでに五十三年に改正をしてからも二年が経過をいたしておるわけであります。行く先どういう方向をとろうとするのか、このままの方式を先行き続けていくのかどうか。二年をすでに経過をしているわけでありますから、この点についても、このことは法自体改正をしなければいけないのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  14. 土屋佳照

    土屋政府委員 昭和五十年度以降大幅な財源不足という状態が続いておるわけでございまして、先ほどお示しのございましたように、これは交付税法の六条の三の第二項に該当する事態であろうと存じます。そういった意味で私どもとしても、より基本的な改善というものができるかどうかについてはいつも議論をやり、かつまた、交付税率の引き上げも含めて財源対策を進めてきたわけでございますけれども、何遍も申し上げますように、国、地方を通じての大幅な財源不足収支の不均衡状態でございますために、しかもまた、先先の経済の予測についてもきわめて変動的な時期に国と地方との基本的な財源配分方式でございます交付税率をいまいじるということは、なかなか容易ではないということで、残念ながら今日に至っておるわけでございます。  しかし、このままでいいとは私どもは考えておりませんし、できるだけ早く基本的な改善ということが必要であると思っております。ただ時期的には、先生も御承知のように、現段階でもなお非常に不確定要素が多くて、直ちに税財源配分割合を変えられるような状況にないと私ども判断しておるわけでございますけれども、何とかそういった地方収支の不均衡状態というものを早く解決する方向で、いろいろな点で検討を進めていかなければならない。  ただ、これは単純に技術的に制度改正すればいいというものではなくて、その基本にございますいまの日本経済情勢なりあるいは税財源状況、これは国民負担全体の問題も含めていろいろと深く検討しなければならない要素があるわけでございますので、すぐいまこういうふうにいたしますといったようなことはできないわけでございますが、そういった方向へ持っていけるようないろいろな努力、たとえば地方団体自体でも健全化のために行財政の面においていろいろと簡素合理化も図らなければなりません、自己努力も必要でございますが、それ以外の行政面においても、たとえば行政の見直しその他いろいろな手段を尽くして、そしてまた、必要な行政水準を維持するためにはどれだけの負担が必要なのか、全部を見きわめつつ基本的な改善を進めなければならないということを考えておりまして、いまのままがいいというふうに言っておるわけではないわけでございます。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、五十五年度地方税収入関連してお伺いをいたします。  二八・五%の増収を見込んでおるわけでありますが、経済の動向でありますとかあるいは五十四年度の下期における倒産等状況等を考えてみると、私は一六・五%という増収を見込めないのではないかというふうに思いますけれども、この点についていかがですか。
  16. 石原信雄

    石原政府委員 五十五年度地方税収入見込みは御指摘のとおり、前年対比で一六・五%と最近にない大きな伸びになっております。  これが今後の経済情勢いかんによっては確保できないのではないかという御指摘でありますが、御案内のように、地方税の税目の中で非常に大きなウエートを占めております個人住民税は前年所得課税でありまして、これは昨年の所得状況から積算しておりますから、収入見込みを割ることはまずない、このように確信いたしております。それから固定資産税につきましては、本年の一月一日現在の土地、家屋、償却資産を基礎に積算しておりますから、これも収入見込みを大きく割るようなことはまずないと考えております。問題は、法人関係税収入でありますが、これにつきましても、その主力をなします本年の三月期の法人の決算の状況が、ただいままでの状況では依然として順調のようであります。したがいまして、今後下期に非常に大きな激変が来るというようなことがあれば別でありますけれども、現在の見通しのもとで法人関係税についても、地方財政計画上の収入見込みを割り込むということは万々ないのではないか、このように見ております。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 また、地方公共団体の行う公営競技でありますけれども公営競技実施団体実施団体を横目で羨望の眼でにらんでおります。この均てん化を年来主張してきたわけでありますけれども納付金増加ということで済ませてまいりました。もっと適切な均てん化の方法はないのか、このままでは苦しい地方財政の中での矛盾が拡大するだけではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  18. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いまおっしゃるように、ああいった公営競技をやっている団体は、そうでない団体から羨望の眼をもって見られておるということは事実でしょう。そこで御承知のとおり、いま納付金制度をやっておるのですが、それだけでは不十分ではないか、こういうことですが、実際問題として各県でも、県内各市町村のバランスを考えましていろいろとこういった関係の調整をやっておりますので、さしあたりはこういったことでいいのではなかろうか、現時点はさように考えております。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、地方財政計画の算定に用いる単価表関連をして一点お伺いをいたします。特に特殊勤務手当単価でありますけれども、五十二年度以降据え置かれておって全然増額されておりません。物価の状況賃金状況等から見ておかしいのではないかと思いますが、これはいかなる理由でしょうか。
  20. 津田正

    津田説明員 五十五年度地方財政におきます特殊勤務手当単価は、国家公務員の方でこれに類似のものが変わっておりませんので、原則としまして地方財政計画におきましても前年度と同額に据え置くこととしております。ただし、消防訓練指導手当につきましては若干の手直しをしております。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 大体山場を越したわけでありますが、ちょうどだだいま春闘の時期であります。公共企業体調停は不能に陥ったようでありますが、六・六%、一万一千六百五十円ですか、こういう線が出ておるようであります。公務員賃金公共企業体賃金に横並びをするわけであります。そういう意味では、予算に組んである二%、そして予備費の三・五%を含めても六・六%に足りません。この足りない分はいかがお計らいをするわけでしょうか。
  22. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございましたように、公労委の調停委員会が非公式に提示したと言われております給与改定率は、六・六%でございます。しかし、これはもう御承知のように例年、定昇込みのものとして出されておるわけでございますので、人事院勧告では公労協改定率よりも下回るのが過去の例でございます。たとえば五十四年度におきましても、公労協改定率は五・七%アップでございましたが、人事院勧告では三・七%というふうになっておるわけでございますので、若干今回も下回るとは想像いたしております。公務員につきましては今後、人事院調査検討の上勧告をされるということになりましょうけれども、どの程度改定率になるか、現時点では明確でないわけでございます。  先ほども示しのございましたように、地方財政計画におきましては、給与改定費として二%相当額を計上しておりますほかに、前にも御説明申し上げましたが、年度途中におきます追加財政需要のために三千五百億を充てております。五百億ぐらいは災害等のためと私どもは考えておりますから、三千億程度のものは余裕があるわけでございまして、ただいま申し上げましたように改定率が幾らになるかわかりませんが、先ほどの一つ基準としての六・六%から考えましても、その中には定昇が入っておりますからそれを除いたもので考えますと、先組みの二%と残りの三千億で私どもはこれは処置できるというふうに考えておる次第でございます。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵省から公文主計官おいでをいただいておりますが、やはりこれは二%しか組まないということが、財政関係もあるのでしょうけれども、問題であろうというふうに思っています。五十六年度以降はもう少し二%をふやして組めないのかどうかという点がまず第一点。  それから、交付税でありますが、私どもは四〇%を交付税として措置をしろという要求をいたしておるわけでありますけれども、とりあえず四〇%にして、足りなくなるわけでございますから、その足りない分は国債を増発することによって賄って国の財政収支均衡をとる、こういうことにしていったらいかがなのかというふうに思っておるわけですが、公文主計官お尋ねをいたします。
  24. 公文宏

    公文説明員 二点お尋ねがございまして、一つは、ベースアップ財源を二%以上今後組むべきではないかという御質問であったと思います。五十五年度におきましては国の予算におきましても、ベースアップのための財源を二%に組んだわけでございまして、それに合わせて地方財政計画の方も組んだ、これは、ベースアップ水準が二%でいいとか悪いとかいう話ではございませんで、財政事情の上で厳しい中をやりくりしながら給与改定財源を組むということの結果であったということでございます。今後どうするかということにつきましては、そのときそのときの財政事情あるいは諸般情勢を考えながら考えていかざるを得ないと思っておるわけでございます。  それから第二に、交付税率をこの際四〇%に上げて、それは国債発行ででも賄ったらどうか、こういう御指摘だと思います。ただいま交付税率は三二%でございますから、八%アップということになりますと、国債発行額で申しますと一兆六千億ぐらいの発行増になるということでございます。これは申し上げるまでもないわけでございますけれども、ただいまのところ、国及び地方を通じて総体としての経常収入は大幅に不足しているわけでございます。国の場合には、財政法四条の特例の公債を七兆まで出していまの財政事情に対応しておるという状況でございますので、これをさらに発行増を図っていくことは、非常にむずかしい状態ではないかと思っております。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、各省からおいでをいただいておりますので、順次お伺いをいたしてまいりたいと思います。  まず、中小企業庁伺います。  政府関係金融機関貸し付け対象業種は、どのように選定され、現在どうなっておるのでしょうか。いま遊技業がありますが、昭和二十年代の不安定な状況ならいざ知らず、十分に安定した状況で営業を営んでおるわけであります。もういいかげんに貸し付け対象業種に入れてもいいのではないかと思いますけれども、入れていただけないでしょうか、お伺いをいたします。
  26. 山本幸助

    山本説明員 お答え申し上げます。  現在、政府系金融機関には、中小公庫国民金融公庫商工中金等々がございますが、まず中小公庫については、貸し付け対象業種政令指定ということになってございまして、現在二十八の業種が指定されております。すでに製造業、卸、小売等々広範な業種対象になっておりますが、さらに五十五年度からは、旅行業とかコンサルタント業等の三種を追加して、必要な範囲で広く認めております。また、国民金融公庫及び商工中金については別段、業種指定はございませんで、制度の上からはその貸し付け対象は広範に認められております。  それで、お尋ね遊技場でございますが、まず中小公庫については、遊技場は一般的に対象にいたしておりません。財政資金を用いてまでその振興を図るべきかどうかについては、現在の段階では疑問とされておりまして、貸し付け対象とするのは困難ではないかと考えられております。しかし今後、社会通念として遊技場等娯楽施設についても政府として積極的に振興を図るべきだということになりますれば、対象として検討するということになろうかと存じます。国民金融公庫等については、いわゆる景品のつかない遊技場については現在、貸し付け対象にいたしておりますが、景品つき遊技場については現在、対象といたしておりません。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、運輸省並び国鉄に対して伺いたいと思います。  運輸省は今回、国鉄経営再建促進特別措置法を今国会に提出し、赤字の八十六線区を廃止するという案を出してまいったわけであります。いま私が質問しようとする足尾線もこの中に含まれているわけであります。国鉄経営再建促進特別措置法のねらいの主眼とするところは何なのか、これは利用人員の少ない方から漸次実施をしていかれるのか、また、利用人員が今後増加をして変動があった場合には、この取り扱いはどう変わっていくのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  28. 石月昭二

    石月政府委員 お答え申し上げます。  利用人員の少ないところから廃止していくのかどうかということでございますけれども先生承知のように、これから政令でどういう線を廃止するかを決めることを予定しているわけでございます。現時点においては一応、六十年までは旅客輸送にして二千人目キロ以下のところを廃止していきたい、しかしその場合においても、並行道路が未整備であるとか豪雪であるとか代替輸送が困難な場合には、それを除外するということを事務当局としては考えておりますが、その具体的な基準については今後、国会における議論も踏まえて、政令段階においてきちっと決めていきたいと考えております。  したがって、そういう政令で決めました基準に従いまして、廃止していく線をどういうぐあいに特定していくかということですが、これについては一応、国鉄経営改善計画をつくり、その経営改善計画の中に廃止する予定日を書くことにいたしておりますが、その点については目下検討中でございまして、恐らく輸送人員の多い少ないとかその他諸般情勢検討いたして、順序を決めていくことになろうかと思います。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 国鉄の足尾線は、総延長四十六キロ、沿線に一市二町二カ村を持ち、特に古河鉱山の廃業によって過疎化をした足尾町を有して、定期の利用者人員は平均二千三百十九人でありまして、沿線住民の足であるばかりではなくして、古河の足尾製錬所を持ち、その物資の輸送を初めとして、あの地域の開発や過疎化の阻止に欠くべからざるものであります。  足尾の古河の事業場だけを見ても、月間の貨物の輸送量は、足尾へ到着するものが、原料の鉱石一万二千トン、その他二千トン、計一万四千トンでありまして、足尾線を使って出ていくものが、硫酸一万トン、からみ、砕石ほか五千トン、計一万五千トンとなっております。古河から国鉄へ納める貨物の運賃は年間約七億七千万円となっております。これが足尾線にどう配分されるかは知りませんけれども、七億七千万円を古河が国鉄へ納めておるわけであります。これは赤字国鉄にとっては少なからざる収入のはずであると思います。  いま硫酸輸送も足尾線でタンク車で運んでおります。古河が購入した百五十八車両が国鉄籍になっておりまして、タンク車で運んでおるわけでありますが、もしこれが陸上輸送に変わるとするならば、一日にタンクローリー二百両以上が百二十二号線に増加をすることになるわけであります。濃硫酸を積んだタンクローリーがもし国道上を走るとするならば、危険きわまりない事態であるというふうに思っています。とうていこんなことを許すわけにはまいりません。  いまあの地域では、草木ダムの完成による観光開発、足尾の観光等が地について、これから入り込む人員が増加をするやさきであります。自然の美しい足尾沿線が観光地として見直されるのが目に見えておるわけであります。そういう意味で、ぜひ廃止という暴挙は見送っていただきたいと思っておるわけであります。むしろ観光地とタイアップをして、足尾線にいま人気のあるSLでも導入したらどうなのかというふうに思っています。渡良瀬渓流を縫って走るSLは、想像するだけでも心楽しくなる絵だと思っています。SLの導入をぜひ実現してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。特に東京から二時間ちょっとという距離でもありますし、そういう意味では、足尾線が黒字化をしていくという要素もあるわけでありますから、この点については国鉄はどうお考えか、伺いたいと思います。
  30. 石月昭二

    石月政府委員 ただいま先生からお話ございましたように足尾線におきましては、古河鉱業の硫酸その他原料の搬入につきましても製品の搬出につきましても、輸送が大きく国鉄に依存しているという状態でございます。  私ども先ほども申し上げましたように、地方交通線廃止の大体の基準というものは政令で定めることにしておりまして、現段階では確定しているわけではございませんけれども、貨物につきましては一日八千トンキロというぐあいに考えておるわけでございます。しかしこれだけで基準として全部カバーできるものかどうか。先生がおっしゃったように硫酸というような、安全というサイドも輸送の問題としては考えなければならぬと思います。したがって、並行道路の問題なり代替輸送手段というものが果たして、どの程度の形で、どの程度の量で、どの程度の安全性をもって確保できるかというようなことを今後十分検討した上で、足尾線の帰趨、扱いということを決めていかなければいかぬ、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  しかし反面、貨物輸送というのは大体、域内で完結するのは非常に少のうございまして、いずれ域内から幹線の方に出ていくわけでございますので、一つの考え方としては、この古河鉱業なら古河鉱業という主たる荷主を中心にして、そこが専用線的な形でやっていただくというような考え方もあり得るのではないか。いずれにいたしましても今後の問題として、十分地元の実情などをお聞きしながら、政令基準の考え方、取り扱い方ということを勉強していきたいと思っておる次第でございます。  また、先生指摘のSLを入れたらどうかということにつきましては、国鉄の方から答えさせていただきます。
  31. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 SLを運転いたしますためには、それができる設備があるか、運転できる人間がいるか、それを検修できる技術を備えた人間がいるか、あるいは煙害の問題、あるいは経費の問題、それから、どうしても人が集中いたしますので警備上の問題、こういうような諸条件を吟味をしてやるわけでございまして、現在、山口線が比較的これらの条件に合っておるということで、五十四年の八月から試験的に運転をしております。しかしながら、これをさらにいろいろな線区に拡大するということにつきましては、一つは、いま申し上げましたような条件を充足するということはなかなかむずかしいことであります上に、現在手持ち両数が五両しかございません。そのうちの二両を山口線で現在使用中、こういうことでございますので、これを永続的に他の線区に広げることはきわめてむずかしい情勢にございます。  特に、これは一般的な御質問ということでお答えさせていただきますが、足尾線の場合について申し上げますと、線路の規格とかあるいは現在のトンネルの状況、これはいずれも補強をする必要があるわけでございますが、そういうことに相当莫大な資金を要する、こういうことで、せっかくの先生のお話でございますが、これはきわめてむずかしい、どちらかといえば不可能であるというように申し上げるほかないというように考えております。
  32. 石月昭二

    石月政府委員 ただいま貨物につきまして、一日八千トンキロと申し上げましたけれども、四千トンキロの間違いでございますので、訂正させていただきます。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 沿線住民の足を奪い、生活を変貌させ、過疎化を促進するこのような廃止については、沿線住民や関係自治体と協議が調わない限り、この法の実施については思いとどまっていただきたいことを重ねて申し上げておきたいと思います。  それから、SLの点でお話がありましたけれども、ついこの間までSLが走っていた路線でありますから私は、いま申されたようなことはないと思っていますが、いかがでしょうか。
  34. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 最近まで足尾線に走っておりました機種はC12というものでございます。いま残っておる機関車で使うことができますのは、C56、C11、それからD51でございます。D51はデゴイチと言われまして、先生も御承知のようにきわめて重い機関車で、これはとても入れない。そうしますとC56、C11ということになりますが、これはかって入っておりましたC12に比べますと三割方自重が大きいので、これを入れますためには線路の補強、それからトンネルの補強が要る、こういうことでございます。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ検討をしていただいて、この線を残すような配慮をお願いいたしたいと思っております。  次に、厚生省に対して質問をいたします。  わが党は三月二十五日、参議院の社会労働委員会へ議員提案として、戦時災害援護法案を提出をいたしました。日本の戦後は、抑留者の処理の問題、あるいは在外資産処理の問題、そしてこの戦時災害の問題を片づけない限り終わらないというふうに思っておるわけであります。  この法案の内容は、まず、さきの大戦における空襲その他の戦時災害により身体に被害を受けた者、及び戦時災害により死亡した者の遺族に対して行う援護であり、遺族に対する援護は六十万円の一時金たる遺族給付金、そして援護の種類としては、療養の給付、療養の手当、葬祭費、更生医療の給付、障害年金、障害一時金の支給、遺族給付金の支給及び弔慰金の支給となっております。  この法律案を取捨選択をして戦後を終了させるという意味で、厚生省としては検討される意思があるかどうかがお伺いをいたしたいところであります。  私も、実はかつて群馬の県庁で援護の係をいたしておりましたので、特に戦傷病者援護法については関連が深いわけでありますけれども、戦傷病者についてはかなり整ってきたけれども、この戦時災害についてはまだ手がつけられていないというのが実態であります。この点についてまず、厚生省がいかがお考えなのかお伺いをいたしたいというふうに思っております。
  36. 楠本欣史

    ○楠本説明員 お答えいたします。  三月二十五日参議院社労で、御指摘の戦時災害援護法が提案されましたけれども、こういった一般戦災者の援護の問題につきましては従来から、一般社会保障の充実強化を図っていく中で対処していくことが適当であると考えております。したがいまして戦災者を取り上げて、これに対し新たに特別の措置を講ずることは困難と考えております。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 私も群馬の県庁で実は援護の係長をやっておったわけで、当時よく援護局にはお伺いをいたしたわけでありますけれども、仕事がだんだんなくなってくる援護局なんでありますから、そういう点は、私どもの党が提案をしたこの法案の内容を検討して、ぜひひとつ手をかけていただきたい、このように特に要望をいたしておきたいと思います。  また、全国各地で戦時災害を受けた団体が死没者の慰霊祭等を行っておるわけであります。これに対して国が線香代というか香典を出すわけでありますが、何か国ではどうも出さないで、実際には船舶振興会の金か何かでごまかしているようでありまして、遺族たちの怒りを買っているところであります。これは総理府なんでしょうけれども、幾らでもない、一カ所せいぜい十万円ぐらいなんだと思うのですけれども、これは国が出すように計らっていったらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 山崎八郎

    ○山崎説明員 地方で行われている一般戦災死没者の慰霊行事につきましては、昭和五十三年度から船舶振興会の補助が行われております。この補助金によって五十三年度二十二の市町、五十四年度十八の市町で慰霊行事が実施されております。  一般戦災死没者、これは空襲あるいは艦砲射撃等によって死亡した方々の慰霊行事につきましては国といたしましては、例年八月十五日に全国戦没者追悼式において、一般戦災死没者をも対象といたしまして追悼式を実施しておるところでございまして、五十二年度におきましては総理府において、この追悼式に参加する一般戦災死没者の遺族代表の出席旅費を別枠で計上いたしまして、追悼式に参加する一般戦災死没者の遺族代表の増加を図ってきておるところでございます。  このような事情でございますので総理府といたしましても、一般戦災死没者の慰霊行事について何らかの助成措置を講ずるということは、目下のところ考えておりません。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 先ほど私が申し上げたように、遺族が怒りに近いような感情でもって見ておるわけでありますから、幾らでもない、せいぜい四、五百万予算化をすればいいわけでありますから、ぜひひとつそういう点は検討をして、遺族の心がなごむような形をとっていただきたい、このことをお願いいたしておきたいと思っております。結構です。  次に、文部省にお伺いをいたしたいと思います。  まず伺いたいのは、四十人学級編制に伴う教職員定数の改善計画から全く見放されている学校現業の職員、学校給食調理員、学校用務員などについてでありますが、それらの人たちの定数の改善計画についてはどのように考えておられますのでしょうか、まずお伺いをいたします。
  40. 宮園三善

    ○宮園説明員 今回の標準法の改正におきましては、県費負担とされております校長、教頭、教諭、事務職員、学校栄養職員、養護教諭の職種につきまして改善をいたしております。  用務員等につきましては現行法上、設置者が配置し、設置者が負担するということになっておりますが、私ども現状を見ますと、用務員が学校にはほとんど置かれております。一方、先ほど申し上げました養護教諭あるいは事務職員、これらは全学校の七五%の学校に配置してございまして、まだ未配置の学校が二五%程度あるということ、それと、学校栄養職員につきましても、出発がおくれました関係もございまして、五〇%未満の配置率になっているという現状を考えまして、まず当面、この職種につきまして全校配置を優先するということで、今回の法改正をしてまいったわけでございます。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 私がお尋ねをしたのは、給食調理員であるとか用務員の点を尋ねたわけで、まだこれからいろいろ聞いていきますから、その中で関連をしてお答えをいただきたいというふうに思っています。  政府、文部省は、児童生徒たちのためのゆとりのある学校教育の実現を目指して、いわゆる四十人学級編制、第五次学級編制及び教職員定数改善計画を昭和五十五年度から十二年計画で進めるようにしておるわけですね。この計画によりますと、十二年間で合計八万一千六百七十四人の教職員の定数改善が図られることになっております。しかしこの教職員とは、教員を初め養護教諭や事務職員、学校栄養職員、特殊教育学校職員などに限定をされておって、学校内で子供たちのための学校給食をつくる仕事に従事をする給食調理員、子供たちが安心して教育に専念できる学校教育環境整備の仕事に従事をしている学校用務員、休日、夜間の学校管理の仕事に従事をしている学校警備員などいわゆる学校現業職員の定数の改善措置は全くなおざりにされております。  もちろんこの計画はいわゆる定数標準法、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律でありますが、その改正によって進められるものでありまして、市町村職員である学校現業職員が今回の法改正の直接的対象でない事情はよくわかります。しかし、ゆとりのある学校教育を実現していくためには、学校給食法で定めた教育の一環である学校給食に従事をする調理員、学校教育法施行規則第四十九条で定めた教育環境の整備に従事をする学校用務員などの定数改善措置が、この法改正に並行して進められなければならないのではないかと考えます。特に四十人学級への移行に伴いまして、学級数の増加、教職員の増員が行われるために、学校給食の面では、給食数の増による調理作業、学級増による給食配分作業などの点での調理員の労働負担の増、学級増、教職員増による学校用務員の労働負担増加などが予想されるため、そうでなくても人手不足にある学校現業職場でのこれら職員の定数改善措置が必要であるというふうに思われますが、いかがですか。
  42. 宮園三善

    ○宮園説明員 私ども学校用務員等事務補助員も含めましてかねがね自治省に、学校経営の充実を図るという見地からお願いはいたしてまいっております。  先ほど申し上げましたように私ども、現実に学校用務員、事務補助員を含めていつも総数で見ておりますが、交付税措置されている人員を全国数へ延ばしますと約六万二千幾らになりますが、現実に用務員等の実員は五万三千人くらい、約一万人弱の開きがございます。こういう現実と、それから、先ほど申し上げましたように未配置の職種がたくさんございます。こういったものが全校に配置されることを再優先に今回措置させていただいたということから、用務員等については格別の改善を図っていない、こういうことでございます。
  43. 坂元弘直

    ○坂元説明員 学校給食調理員の関係につきまして、お答え申し上げます。  御承知のとおりに、学校給食調理員の配置基準を私ども昭和三十五年につくりまして、その後いじっておりません。確かに調理員の関係者の方々から、その後給食の献立内容がかなり多様化したのであるから、それに伴って調理員の増を何とかしてもらいたいという御要望を常々聞いておりますが、一方で御承知のとおりに、昭和三十年代は脱脂粉乳を液状のミルクに加工する業務を学校現場でやっておったということ、それから、施設設備の改善がその後学校現場で行われておるということもございまして、労働過重になっておる要素と労働過重を軽減している要素両方が今日、三十五年と比較するとございます。現実問題として私どもの配置基準と実態の配置状況を見ますと、大体配置基準と近いところに実態があるということで、私ども一応現段階では、いまの配置基準は配置基準として機能しておるのじゃないかというふうに考えております。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 配置基準に近いということでありますけれども、後ほどいろいろ申し上げますが、実際には配置基準に近くないのですね。  特に今回、政府が四十人学級編制に伴います教職員定数の改善措置をとるに至った理由の中には、昭和四十九年の定数標準法改正時の五月十日付の衆議院文教委員会の附帯決議、五月三十日付の参議院文教委員会での附帯決議を尊重をしてその実現を図ったものと理解をしております。その附帯決議の第十項目及び第十三項目の中では、「学校給食調理従事員の労働条件の改善を図るための措置を講ずること。なお、共同調理場方式の拡大については、慎重に取扱うこと。」とはっきりうたわれておりますので、この点での具体化を図るべきではないかというふうに考えておりますけれども、この点についてはいかがですか。
  45. 坂元弘直

    ○坂元説明員 お答え申し上げます。  ただいま御説明申し上げましたとおりに、私どもも内部的に検討をいたしましたが、先ほど申し上げましたとおりに、現段階では一応ほぼ基準に近い実態である、基準より下回っておる市町村もかなりございますが、全国的な平均的な数字から見ますと基準に近い状況であるということで、基準として機能しておるのではないかと考えております。  それから、共同調理場の設置について慎重であるようにという国会の附帯決議でございますが、御承知のとおりに学校給食のための施設の整備というのは、市町村が責任を持って行うという体制になっておりまして、共同調理場方式をとるかあるいは単独校方式をとるかということは、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて、市町村独自で御判断するという事柄ではないかと私どもも思っております。そういう意味で一応、こういう国会の附帯決議がございましたということは、各都道府県を通じて市町村にはお流ししておりますけれども、最終的には、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて判断をすることではなかろうかというふうに考えております。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 現在の地方交付税基準財政需要額の算定の際の教育費のうち、小学校費における標準施設規模は、児童数八百十人、学級数十八学級、一学級当たり児童数四十五人でありますけれども、用務員等二人、給食調理員四人、中学校費では標準施設規模は、生徒数六百七十五人、学級数十五、一学級当たりの生徒数四十五人、用務員等二人、給食調理員二人となっておりますけれども、四十人学級への移行に伴い当然、これら標準施設規模の中身は改正されることになると思いますが、具体的にどう変えていかれようとするのですか。常識的には一学級四十五人が四十人になるわけですけれども、それに伴って児童数は八百十人から七百二十人、生徒数は六百七十五人から六百人になると考えてよいわけでしょうか。また、この具体的改正の時期は、四十人学級制の年次計画がスタートする昭和五十五年からとすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  47. 土屋佳照

    土屋政府委員 学級編制の改善、いわゆる四十人学級制への移行につきましては、お示しのございましたように、第五次の学級編制及び教職員定数改善計画におきまして、五十五年度から六十六年度までの十二年間で行うということにされておりますが、五十五年度におきましては、児童減少市町村の小学校の一部についてのみ学級編制基準改善を行うということにされておりまして、五十六年度以降については、各年度における児童生徒数の推移及び財政状況等を勘案して改善規模は毎年度弾力的に決定するということにされておるわけでございます。  このように五十五年度における学級編制の改善は、特定の地域、児童減少市町村といったような地域の小学校について、しかもごく一部に限られ、一年生から学年進行で実施するということになるわけでございますから、全体的にはきわめて影響は微小であると考えられるわけでございます。そういうことから五十五年度交付税の積算におきましても、従来と同様に一学級四十五人として積算をすることにしておるわけでございますけれども、なお、この標準施設規模における学級編制の改善につきましては、四十人学級制が進行するにつれて将来、いろいろと問題も生じてくると思います。今後の改善計画の実施状況を十分見きわめながら検討し、対応していきたいと考えております。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 さらに、標準施設規模における小学校の調理員四人、中学校の調理員二人、小中学校における用務員等二人、実際には用務員一人と事務補助員一人となっておりますが、これを改善をすべきではないかというふうに思っています。  今回実は、自治労が行った全国の給食実施の小中学校七千三百四十三校、調理員数二万八千五百二十六人、給食センター一千八百九十九カ所、該当調理員二万六千四百二十六人を対象とした調理員の配置の実態調査によれば、標準施設規模の小学校児童数八百十人前後のところでは、実際の調理員配置の全国平均は四・四七人、中学校生徒数六百七十五人前後のところでは四・三五人となっております。現行の標準施設規模の数字は、幾ら計算上の数字であるとはいえ、実態と余りにもかけ離れ過ぎているのではないかというふうに思っています。市町村の超過負担の解消の見地からもこの際、小学校の調理員四人を五人に、中学校の調理員二人を四人に改めるべきではないかと思います。特に中学校の現行二人の調理員は、実際には中学校で給食を実施をしているところでは四・三五人配置をしているのが現状で、余りにも低過ぎる状況であり、何としても改善をすべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  49. 能勢邦之

    ○能勢説明員 具体の数字を挙げてのお尋ねでございますので、少し細かくなりますが、数字を挙げてお答えをさせていただきたいと思います。  御指摘にありましたように、普通交付税の小中学校費の単位費用の積算基礎におきます給食従事員につきましては、従来からその実態等を踏まえて増強を図ってまいっておるのでございますが、現在、標準施設規模につきましては、小学校、十八学級、児童数八百十人ということにいたしておりまして、その中に四人の給食従事者を見込んでおるわけでございます。中学校費の場合、同様でございますが、十五学級で生徒数六百七十五人につきまして、二人の給食従事者とさらに賃金職員一人を措置いたしておるわけでございます。なお、このほか別途、米飯給食委託費ということで、それぞれ小中学校とも週二回の米飯給食を実施するに必要な経費を賃金を基礎にして見込んでおるというようなことで、単位費用の積算基礎をつくっておるわけでございます。  ところで、給食従事員について実態から見て、交付税の見方が少ないではないかという御指摘でございますが、先ほども文部省の方からも話がございました昭和三十五年の体育局長名による通知基準、必ずしもはっきりしない点もございますが、こういった通知基準に比べてみましても、単位費用ベースではおおむね妥当な水準の数字が入っておるわけでございまして、全国的に見ましても私どもとしては、文部省の最近の実態調査と照らし合わせてみて決して交付税の見方は少なくないというような考え方でおります。  少し具体に申しますと、給食従事員の単位費用は、児童生徒数を測定単位といたします単位費用の積算基礎に入れておりまして、その補正後の数値を標準施設規模の八百十人で割って、それに一学校四人でございますので四人を掛けるということで、全国の基準財政需要額におきまして算入いたしております理論上の給食従事員の数が出てまいります。小学校の場合で昭和五十四年度普通交付税基準財政需要額にカウントいたしております給食従事員の数を申しますと、六万三千三百二十六人という数字が出てまいります。文部省の方の昭和五十四年五月一日の学校基本調査ということでいただいておりますデータと比較いたしますと、いま申しました数字に対応するのが五万九千三百十九人という数字になっておりまして、これに賃金で支弁いたしております給食従事員を足して見てみましても六万六千三百三十八人ということでございますので、いまの基準財政需要額でカウントいたしております給食従事員の見方が、おおむね妥当な水準で算定されているのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それからさらに、用務員についてのお尋ねもございました。あわせてお答えをさせていただきますと、この用務員については、以前にも小川委員からこの委員会で厳しい御指摘がございまして、それ以降、五十年度以降だと思いますが、用務員等二人ということにいたしまして、単位費用の積算基礎に用務員一人、事務補助員一人というここでそれぞれカウントいたしておるわけでございます。この用務員につきまして同じように学校基本調査の結果で小中学校の数字を見てみますと、五十四年五月一日現在の数字でございますが、小学校の場合二万八千九百二十人の用務員がおるようでございます。学校の数が二万四千六百五十一でございますので、それを割ってみますと、一学校当たりの用務員ということになりますと一・一七人ということになります。なお、交付税の場合は事務補助員をあわせて見ておるわけでございますので、いま申しましたと同じような考え方で数字を出してまいりますと、用務員、事務補助員合わせて一学校当たり一・四六人ということになりまして、交付税で二人カウントいたしておるその水準まで達しておらないというのが現状でございまして、全体としての財源を保障するという交付税の使命からいって、いまの交付税の見ておる水準は決しておかしくないのではないか、まあまあ妥当な水準にいっておるのではないかというふうにわれわれ考えておるところでございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 いま交付税課長さんから御説明がありましたけれども、私どもの調査では、小学校では四・四七人、そして中学校でも四・三五人を配置をしているのが実態でありますから、ぜひひとつ来年度はこの点については、十分に検討をしていただきたいことを要請をいたしておきたいと思っております。  さらに、この点について政府は、いままで中学校の給食普及率が低いということから、調理員二人でもやむを得ないという立場をとってまいりましたけれども、普及率も当時と比べて学校数でも六〇%、生徒数でも六〇%近くなっている状況の中では、これら普及率を一層高める立場からも改善措置を講ずべきではないかというふうに思っています。さもないと逆に市町村は、超過負担を恐れる余り、中学校給食の実施に足踏みをする状態が出てきかねないのではないかというふうに思っておりますので、ぜひひとつその点も検討をしていただきたいと思っておるわけであります。  さらに、標準施設規模の小中学校の用務員等二人、内訳は用務員一人、事務補助員一人となっておりますが、この際、用務員等三人と改めるべきではないかというふうに思っています。  とれまた自治労の調査でありますけれども、小中学校一万二千九百八十八校、該当用務員二万一千一百八十二人を対象にした調査によれば、標準施設規模の小学校、児童数八百十人前後のところでは、実際の用務員の配置は全国平均で二・一八人、十八学級のところの全国平均は二・〇四人になっておるわけであります。また、中学校の場合では、生徒数六百七十五人前後のところでは、実際の用務員の配置は一・九四人、十五学級のところでは一・八二人となっております。  これらを見てもわかるように、実際の用務員の配置は、小中学校いずれの場合でも、標準施設規模の用務員等二人を上回っているのが実態であります。したがってこの点についても、財政危機にあえぐ市町村自治体の超過負担解消のためにも、標準施設規模の小中学校も用務員等三人と改めて、現行の学校数を測定単位とする積算内容の中の用務員一人とは別に、学級数を測定単位とする積算内容の中に新しく用務員一人をつけ加えるなどの改善措置を図るべきではないかというふうに考えています。学級数を単位にするところに用務員一人をつけるとするならば、たとえば小規模校などへの配慮が可能だというふうに思っております。  また、事務補助という表現をとっておりますけれども、給仕や事務職員の補助に回されやすいので、明確に補助用務員というような表示に書き改めることはできないのかどうか、あわせて伺いたいと思います。
  51. 能勢邦之

    ○能勢説明員 先ほど用務員についてもあわせて一部お答えをいたしたのでございますが、重ねてのお尋ねでございますので、小中あわせていま一度お答えをさせていただきたいと思います。  学校基本調査の結果によります用務員の数は、小学校が二万八千九百二十人という数字を私どもいただいておるわけでございます。中学校の場合は一万二千三百五人ということでございます。お話がございましたように用務員は、学校数を測定単位の数値にいたします単位費用の積算基礎に一人入れてカウントいたしておるわけでございますが、学校数でいま申しましたそれぞれの用務員の数を割ってみますと、要するに、実態として現在一学校当たり何人の用務員がおるかということでございますが、小学校の場合は一・一七人、中学校の場合は一・二二人がおるわけでございます。これに事務補助員を合わせて同じような見方で見てみましても、小学校の場合は一・五人まで達しておらない、交付税の場合は二人カウントしておるのですが、そこまで達しておらないということでございますし、中学校の場合は一・六八人ということで、これも二人までには達しておらないというのが現状でございます。なお、学校数、学級数ともそれぞれの基準財政需要額の中でカウントされている用務員なり事務補助員なりの数を出してみまして、そして学校基本調査の結果と比較いたしてみましても、いま私が申しましたのと同じような結果が出てまいるわけでございます。  したがいまして、いましばらく用務員等の実態の推移をながめながら、せっかくの御指摘でもございますので、今後とも文部省の学校基本調査等の調査の実績等をながめながら、今後の改善の必要性といったようなことについて検討をさせていただきたいと思うわけでございます。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 いま課長のおっしゃった、文部省の基本調査だろうと思うのですが、私どもの調査と若干数値が違うようであります。  そこで、ちょっと重ねてお伺いをしたいのですが、児童数あるいは生徒数を測定単位とする積算内容の中で、給食委託料もしくは米飯給食委託料というのが昭和五十四年度で、小学校が四十六万円、中学校で三十一万円積算をされておりますが、これは米飯給食のための賃金職員二名分の経費だというふうに聞いておるわけであります。どういうわけで委託料という形になっているのかわかりませんけれども、これは明確に賃金というふうに改めていただきたいと思っています。そうでないと、製パン業者やなんかに米飯給食をつくることまで委託をされるような形に簡単に取り扱われるきらいがございますので、これは賃金職員二名分の賃金だというふうに承っておりますので、そういうふうに改めるわけにはいかないのでしょうか。
  53. 能勢邦之

    ○能勢説明員 いわゆる米飯給食につきましての交付税上の措置でございますが、これは昭和五十六年までに週二回の米飯給食を一〇〇%実施したいという文部省の計画を踏まえまして、五十一年度からずっと委託費で単位費用の積算の基礎に入れてまいったわけでございます。  ただいま御審議いただいております地方交付税法の一部を改正する法律案の単位費用の積算の基礎には、五十五年度の場合にも委託料ということで、小学校費につきましては四十七万六千円、中学校費につきましては三十二万円、それぞれ算入を予定いたしておるのでございますが、ただいま申しましたこの数字は、週二回実施する二人の賃金で支給する職員と申しますか、賃金支弁の人たちが給食を行うに必要な賃金ということを基礎にいたして委託費の積算をつけているというわけでございまして、単位費用の積算基礎には委託料ということで措置をいたしておるものでございます。  これはなぜ委託料で措置しているかと申しますと、現在委託処理によっております米飯給食を受けている児童生徒が、御案内かと存じますが、過半数おるわけでございます。小学校の場合も中学校の場合も、それぞれの学校でお米を炊いて給食を出す、それを受けている子供の数よりも、ほとんど倍近い生徒児童が委託方式での給食を受けておる。そういう実態から見て、いま申しましたような措置交付税上行っておるわけでございまして、あわせて、民間委託ということで、できるだけ民間に委託することができるものは委託することによって、行政の簡素化、合理化にもつながるというような意味合いも込めて行っておるものでございまして、そういう実態から見て、せっかくの御提案でございますが、変えてまいるのはなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、現行法の給食調理員に対する文部省の配置基準について伺いたいと思います。  学校給食調理員の配置については、昭和三十五年に文部省が通達で定めたいわゆる文部省基準が二十年間たったいまでもまかり通り、その間一度も改正もなく、見直されることもなく、いまでも使われておるわけであります。そのためこの基準は今日では、実態に比べて低過ぎるものになっており、多くの矛盾を抱えていると言わなければなりません。  だれでも認められるように、この二十年間に国民の食生活は大きく変化をいたしました。家庭での食生活も、当時と比べ多様化をし、その水準も高まってきております。ただ食べればよいということから、食事そのものを楽しみながら食するという、一つの食文化とも言うべき側面を持つに至っておるわけであります。こうした中で、学校給食の内容も大きく多様化をし、質的に変化をしてきております。おいしくて豊かな学校給食でなければ、食生活の向上とともに育ってきた子供たちの希望に対応することはできません。  一方、父母たちの間では、食生活の向上とともに始まった食生活の悪い意味での合理化によって、有害で危険な食品添加物を含む食品や、あるいは、何の素材を使用したかもわからないような加工食品や半加工食品のはんらんに対して、大きな不安を持ち始めております。当然学校給食の安全性について厳しい監視の目を向けるようになっております。こうした中で学校給食は、安全で新鮮な材料を使って、手のかかった調理による手づくりの味のあるものとするような期待が高まっておるわけであります。  また、パン給食という洋風スタイルで始まってきた学校給食に対して近年、米飯給食という全く異なった要素が取り入れられるようになって、当時と比べてまさに学校給食は、形式的にも内容的にも一変をしできていると言っても過言ではありません。こうした中で、給食現場だけが二十年間同じ配置基準でやってきているために、さまざまな矛盾が給食調理員にしわ寄せをされておるわけであります。  そこでまず政府としては、戦後三十五年、現行配置基準設定以来二十年間、改めて学校給食の置かれている今日の現状について、また給食現場の実情についてつぶさに調査をし、調理員の配置基準の見直しを含めて前向きに調査に取り組んでいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。聞くところによると、いま進めている米飯給食推進五カ年計画が終了する昭和五十六年に、週二回の米飯給食の全国的定着の状況を見て、今日の学校給食の実情を調査し、調理員の労働量なども多方面から検討をして見直しを行おうとしているというふうにも聞いておりますけれども、それならそれで結構でありますけれども、ぜひひとつ見直しを進めていただきたいというふうに思いますが、学校給食課長さん、いかがでしょうか。
  55. 坂元弘直

    ○坂元説明員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたとおりに、昭和三十五年から今日まで二十年間経過しておるわけでございますが、先生指摘のとおりに、確かに学校給食の献立が多様化したということで労働過重の要素の側面もございます。同時に、先ほど私の方からお答え申し上げましたとおりに、ミルク給食、脱脂粉乳給食から牛乳に切りかわったということ、それから施設設備が改善されてきたということで、労働が軽減されてきたという要素もございます。そういうことをつぶさに見まして、現段階で実態と基準とを比較すると、ほぼ基準は実態に合ったものではなかろうかというふうに考えてはおります。  しかし、先生いま御指摘のとおりに、米飯給食を私ども現在、鋭意わが国の学校給食の中に導入するべく、計画的に推進方を進めておる最中でございまして、そういう意味から申し上げますと、現時点で労働量を改めて見直すということになりますと、計画の途中だということでかなり不確定要素もございます。そこで週二回の米飯給食、あるいはこれは国会等の御要望で、五十六年が終わった段階でさらに週三回にしたらどうかというようなことにもなるかもしれませんが、いずれにいたしましても、わが国の学校給食における米飯給食の頻度数、回数というものが定着した段階で、給食調理員の方々の労働量もある程度確定要素がなくなる、定着するというふうに考えられますので、その段階で私ども改めて調査をし、基準をどう取り扱っていくかということを、自治省とも十分御相談し、検討してまいりたいというふうにいま考えております。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 いま給食課長の答弁のとおり、五十六年が終了して米飯給食が週二回に定着した段階で、ぜひひとつ配置基準を含めて調査をやっていただきたいというふうに思っております。  最後に、強く要望いたしておきたいと思うのですが、先ほども実態調査で申し上げましたように、文部省の配置基準を上回って調理員を置いているのが各小中学校の実態であります。文部省の配置基準そのものが、実態にそぐわぬ低いものになってしまったわけであります。米飯給食を週二回実施するには、正規職員一名以上の増員が何としても必要であります。職業病等もたくさん発生をしてきております。学校給食が適正に進められるためにもぜひ現行の配置基準を見直して、ひとつ学校現場の実情に沿って期待にこたえるように検討をいただきたい。五十六年が終了した時点で結構でありますから、ぜひひとつ見直しを配置基準を含めてやっていただくことを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
  57. 塩谷一夫

    塩谷委員長 小濱新次君。
  58. 小濱新次

    ○小濱委員 重要法案でありまして連日、交付税法の審議が大ぜいの人からいろいろと御質問がございました。私が最後になりましたので、さらに大臣の決意を促したいという立場で御質問をしていきたいと思います。  最初の問題でございますが、五十五年度地方財政は、五十四年度増収分六千百九十七億円を五十五年度に繰り込むことなどの措置を講じてもなお、二兆五百五十億円不足しております。現行交付税率昭和四十一年度以降据え置かれたままでありまして、新たな財政需要は、石油ショック以前の高度経済成長期においては、交付税の自然増収によって賄うこともできました。昭和五十年度以降におきましては、地方税及び地方交付税の伸びが鈍化したためこのような実態にあるので、交付税率を引き上げるべきだが、政府案では交付税率の引き上げを行っておりません。なぜなんだろうかなということをつくづくと私ども検討しておるわけでありますが、この点についての大臣のお考えをお聞かせいただきたい、こう思います。
  59. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御案内のように、五十年以来累年のように、地方団体財政収支のアンバランスで苦しんでおるのが実情でございます。こういったことを踏まえますれば当然のことながら、やはり交付税率の引き上げをやるなりあるいはまた交付税の基礎となる新しい税目をふやすといったような、基本的な恒久的な制度改正が望ましいことは言うまでもございません。そういうような意味合いで自治省としては毎年、そういったことの要望をしておることも事実でございます。ただ、御承知のように今日、困窮をきわめておるのは地方だけでなしに、国も特例公債に毎年のように依存して、巨額の国債発行によってかろうじて財政収支のつじつまを合わせておる、こういったことが一方にございます。同時にまた、石油ショック以来経済変動が非常に激しい、しかも最近はその先行きの見通しも大変困難だ、こういったようなことを考えますれば、やはり基本的なあり方はあり方として、その時期の選択等についてはよぼど慎重でなければ、とても実現の見通しもあるまい、こういったようなことで、五十三年度の暫定的な制度というような考え方に立って当面をしのいでおるというのが今日の実情でございます。  なぜ要求しないのかという理由はいま言ったようなことでございますが、私どもはこれですべて解決しておる、満足すべきものであるというふうには考えていないので、いずれの日にかやはり行財政の根本的な改革、さらに、地方みずからも経費の効率化に努力もしていただくし、同時にまたチャンスをとらえて、恒久的な地方財政安定のための制度改正に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  60. 小濱新次

    ○小濱委員 交付税率の引き上げができなかったことは、現状を前提としているからだめだと思いますが、地方の時代と言われている今日、自主財源の必要性、交付税率アップの必要性を基本に置きまして、これを達成するためにはどうすべきかという発想がなぜできないのだろうか。特にことしは、厳しい、厳しいと言われて迎えた八〇年代の初年度であるわけであります。私どもが耳にすることは、後藤田自治大臣に対する三千三百のこの地方自治体の期待は非常に大きいわけですよ。したがって、いままで御答弁をいただいたそういう内容でこの法案の審議を打ち切るということについては、非常に何か物足りないものが感じられるわけです。後藤田自治大臣になった、これはそれだけで地方自治体は大変な期待を寄せておられたわけです。今度のこの予算審議については、それなりの方向づけというものをもうみんな期待を持っているわけです。したがって、国も苦しいんだから、私個人としてはこうだからああだからというんじゃなくして、もっと決意あるそういう方向づけというものをぜひこの際、発言があってしかるべきだなというふうに感ずるわけでございますので、税目をふやすとかいろいろ御構想はあるようですけれども、今後私はこうしますというそういう発想をぜひお伺いしたいと思うわけですが、いかがでございましょう。
  61. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 小濱さん御質問のように、私も基本的にはそうありたいということを強く念願をいたしておりますが、やはり物事は、できること、できないこと、できるにしても、それがいつがいいのかという選択の問題もございます。基本的には、いまのままでいいというふうには私は全く考えておりません。これはやはり地方団体の自主財源増加をする、つまりは税制の問題、同時にまた交付税制度の問題、これらについては取り組んでいかなければならぬ、かように考えておりますが、何分微力でございますので、その点はひとつ御同情を持って見ていただきたい、かように思います。
  62. 小濱新次

    ○小濱委員 御心情はよくわかるのです。苦しい立場でいろいろと重要な職掌に当たっておられるそのお気持ちも、われわれはそんたくしておるわけでございますが、ただ、各自治体の五十年以来続いているというこういう財政の落ち込み、しかも、年々二兆円以上ずつのこういう数字が示されて緊縮財政と言われている。ところが、社会の発展に伴って、地元住民からのいろいろな要望がたくさんあるわけですね、あれもやりたい、これもやりたい、こう気持ちはあるのですけれども、できないで悩んでおる。大臣の言われるような、そういうふうにわれわれが理解を持ってしまいますというと、今後何年たったってよくなるという保証はないわけです。交付税率の引き上げもこれは永久にできないなという感じなんです。  何としてでも地方財源の強化をしなければならない、こういう立場から、交付税率の引き上げということはぜひひとつかたい決意で実現を図っていただきたいと思いますし、ここで十何人かの委員が立って大臣に御質問いたしました。もう異口同音に税率の引き上げということその他の問題を、ほとんどの人がこれを前提にして質問を展開をしてまいりましたし、せんだってはまた、学識経験者を参考人としてお招きをいたしまして、ここでいろいろと御意見を伺いましたけれども、どの学者の意見を聞いてもやはり同じような内容でございました。これはどうしても大臣に、すでにお聞き及びであろうと思いますけれども、なおさらにこのことは強調して、今後のために努力をしてもらわなければならない、こういう立場で、交付税の引き上げについてぜひ実現をしてもらいたいがその決意のほどはどうなのかということを再度お伺いするわけですが、いかがでございましょう、御答弁をいただきたいと思います。
  63. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 もう決意は先ほど来申し上げているとおりなんです。私も過去、たしか二八%の時代があったと思います。それを三二%にするときにどれぐらい厳しい争いがあったかということも百も承知をしております。しかも、国税三税の約三分の一が地方に分与されているということになりますと、実際問題として、四〇%の必要性はよくわかるのですが、同じ税目だけについてこれ以上に増加をするということは、大変な抵抗のある問題であろうと思います。  しかも、地方の税の種目というのは、大体昔のしきたりが今日まで及んでいますから、国税がいいところばかり取っている、そして地方税というのはまことに徴税のむずかしいやっかいな税の方が多いというふうにこれは率直に私は思います。したがって税制の改正、もちろんその前提には事務配分の問題がございます。そこらも前提に考えながら、税全体のあり方、同時にまた交付税については、交付税の基礎になっている国税三税とは違った別の税目、これらもよく考えなければなるまいというようないろいろな複雑な要素が絡んでおりまするので、今日国民の皆さんも、国なり地方なりの行財政改革の問題に厳しい目を向けておる時期でもあるし、政府もそれにこたえて今日、基本的な問題に取り組もう、こういうような考え方でございまするので、そういった中の一環として、決意を持って地方団体の自主財源の強化という方に向かって努力を積み重ねていきたい、かように考えているわけでございます。
  64. 小濱新次

    ○小濱委員 御発言の中で、個人的な御意見ということで、本当に幾多の将来の御構想についての御意見をわれわれは承ってまいったわけですが、ぜひひとつ、まあいつまで大臣を務めておられるかわかりませんが、でき得れば二期も三期も五期も務めていただいて、そうしていまのような内容の実現のために御努力を賜りたい、これは三千三百の自治体ばかりではなくして、ここにおられる地行委員の皆さん方の要望であろうと私は思うわけです。ですから、ただその発言で終わってしまってはまことに残念だし、後藤田自治大臣の将来のためにも、いい記録を残しておいてもらいたいなとも本当に思います。そういう立場で御努力をお願いをしておきたい、こう思います。  さらに大臣、もう一つお尋ねしておきたいのですが、たとえば昨年八月十日、昭和五十四年度から六十年度までの新経済社会七カ年計画が閣議決定されております。この計画では、昭和六十年度までに用地補償費を含めて昭和五十三年度価格で総額おおむね二百四十兆円の公共投資を行うこととし、これにより社会資本ストックは五十三年度の約二倍近くに高まる、こう見込んでおります。こうした点についても見直しの必要はないのかどうか、これも承っておきたい、こう思います。
  65. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 その点につきましては、今日は七カ年計画が決まっておるわけでございますので、いま私の口からそれを見直さなければならぬということを申し上げる立場が許されてないというふうに御理解を願いたいと思います。
  66. 小濱新次

    ○小濱委員 私ども野党で交付税率八%アップの修正案をまとめまして、後で御提出をしておきたいと思いますが、ここでも交付税率の引き上げを行うことを強く要望をいたしておきます。こういうふうにいろいろと私どもも私どもの立場で努力をしていることをよろしく御認識をいただきたいと思いますし、その御認識を一層強めていただいて、そうすることがやはり地方の時代に沿うような行政が可能になるわけですし、三千三百の自治体が首を長くしてその結果を待っている現状から、ぜひこれが実現のために御努力をお願いしておきたい、こう思います。  さらに大臣お尋ねしておきたいと思いますが、交付税特別会計の借入金の返済でございますが、現在、二分の一を国の一般会計措置しておりますが、残りは地方負担となっているわけです。これもずいぶんと論議を聞いてまいりました。これをやはり全額国で措置すべきである、こう思うわけです。政府のやり方では、地方負担金は将来の交付税で差し引きされ、将来の交付税の先食い財政になってしまうような結果になっているわけです。知事会の要望を読んでも、あるいはまたその他の市町村会の要望を読みましても、何としてもこれは納得できない、ぜひひとつこの件についての方向づけもお願いしたいということでございました。御答弁をいただきたいと思います。
  67. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 借入金の二分の一国庫負担の問題は、五十三年に決められました暫定的なやり方でございます。したがって、これがいいとは考えておりません。地方団体の立場に立てば、それは同じ国が負担するなら、できれば全額負担すべしというのは当然の御要望だろうと思います。ただ、それがなぜできていないかということについては、先ほど公文君からお答えをいたしましたような、特例公債依存の国庫財政の現状、これらを踏まえて、そういった御要望になかなか沿えないという御答弁がございましたが、私もそれが現実の理由であろう、こう思います。同時にまた、例の財源対策債の問題ですが、これもこの間、河村委員の御質問がございましたが、ああいったような回りくどいことをやらないで、国で全部借金をしてやるのがあたりまえじゃないか、私はよく聞いていまして、まさにそのとおり、理屈とすればよくわかるのです。わかるのですが、それがいまの厳しい国の財政状況のもとで許されないのだといったような現実の悩みの中から、五十三年度のような暫定制度が生まれてきたのだ、こういう理解をしていただきたい。しかし、この制度で私自身、満足すべき基本的なあり方であるというふうには全く考えていないのだ、このことをお答えしておきたいと思います。
  68. 小濱新次

    ○小濱委員 前二点についても、四党は修正を行う予定にいたしております。  さらに、人口急増問題についてお尋ねしていきたい、こう思いますが、都市、特に大都市周辺における地価の高騰に伴って人口急増市町村は、従来の人口急増地域の外側に拡散する傾向を見せております。人口急増市町村においては、緊急な各種公共施設の整備を迫られておりますが、財政措置は、小中学校、幼稚園の建物及び消防施設に対する補助金のかさ上げ措置と、校舎の用地取得費に対する補助制度のみであり、人口急増市町村などの財政は破綻に瀕している。よく御存じだろうと思いますけれども、特に私どもの神奈川県には、過疎という市町村は一つもございません。全部人口急増地域になっておるわけです。人口急増市町村の実情は御認識はお持ちでしょうけれども、この際、認識をどのようにお持ちになっておられるのか、大臣からの御答弁をお願いしたいと思います。
  69. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今日、人口急増市町村が、教育の問題あるいは社会福祉施設の問題、いろいろな点で非常な財政難に見舞われておることは、重重わかっておるつもりでございます。ただ、こういった問題の基本は、やはり経済の流れそのままが人口の都市へ都市への集中になって、今日のような状況に至ったのだということで、このままではいけないということからいろいろな案が練られ、今日の例の三全総等においても、地方への分散といいますか地方への人口、産業の配置、しかも同時に、地方でゆとりと活力のある、生きがいのある生活ができるような定住圏の構想、こういったようなものが出てきたゆえんは私はそこにあるのだろう、かように考えます。  さしあたって人口急増市町村がいまお困りになっておる学校の問題等については、自治省としては今日までそれなりの、十分とは私は言いませんが、財政上の手当てもしておるわけでございますが、今後こういう点については実態を踏まえて、改善すべき点があるならば早急に改善を図っていかなければなるまい、かように考えるわけでございます。  ただ御承知のように、たとえば開発といえば、九州開発、四国開発、中国開発、東北開発、どこでも日本全体がそういう計画をすぐつくってしまう。あるいは今日、過疎の地域があれば過疎対策、人口急増の地域があれば人口急増対策、真ん中のところに定住圏といったようなことで、何もかもそういうようになっておる、そこに一つの問題がありはしないか。やはり一番困っているところにメスを入れてやるべき政策を展開していくことが、これから先の一つ方向ではないのだろうかというふうに私自身は考えておるわけでございます。
  70. 小濱新次

    ○小濱委員 公明党は、人口急増による財政破綻から自治体を守っていきたい、こういうことで法案を提出しておりますが、財政援助のための新たな立法措置を講ずべきではないか、そういう内容になっておるわけです。いま大臣の御答弁伺いますと、やはりその法の盲点といいますか、いろいろ災いを起こしているような例もあるようですけれども、とにかく自治体をどうすれば守っていけるかということが、地方の時代につながることですし、住民本位の政治がそこから生まれていくわけですから、これはもう最低限度のそういう生活というものが憲法に保障されている立場から、やはり何らかの措置は講ずべきではないのか、このように考えておるわけでございます。新たな立法措置ということについては大臣、何か御所見はございませんか。
  71. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いま直ちに立法ということは考えておりません。現在の制度の中で、人口急増市町村が抱えておる、主としては財政問題でしょうから、そういった点について措置を講じていきたい、かように考えております。
  72. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほども大臣からちょっと御意見がございましたけれども、人口急増の府県における最大の課題は高校建設にあるわけです。高校教育が準義務教育化している現状を踏まえ、高校施設整備事業について抜本的助成制度を講ずることが急務であると考えておるわけです。  この高等学校費の投資的経費の算定において、人口急増府県念願の事業費補正が五十四年度に新設され、高校建設事業に係る起債の元利償還金が需要算入されているが、この程度では十分とは言えないわけです。この需要算入のそこまでに至る仕組みに問題があるわけです。人口急増団体では今後も、高校建設に多額の経費を要していくわけです。ちなみに神奈川県では、高校建設用地費は一校で約二十五億円ぐらいかかるそうです。これはすべて起債で賄われておりまして、五十五年度開校が十二校、六十年度までに三十八校建設予定になっておる。この点については局長、御答弁ですか。
  73. 土屋佳照

    土屋政府委員 お示しのございましたように、高等学校の生徒が急増しております都道府県等では、高等学校建物の整備の促進ということがどうしても必要でございます。そのために大変多額の財政需要があるということになっておるわけでございまして、御承知のように現在、国の助成措置としては、建設事業に対しまして補助率三分の一ということが講ぜられておるわけでございますが、それ以外に、先ほどもお話のございましたように地方債につきましても、高等学校整備事業債というのを五十年に創設をいたしまして、対象施設の拡大等も行ってきたわけでございます。それからまた、進学率の上昇等によります生徒数の増加に伴いまして、深刻な問題になっておることもございますので、交付税においても五十四年度から事業費補正を新設をして、生徒増加団体において発行されました高等学校整備事業債、この元利償還金の一定額も、基準財政需要額に算入するということにいたしておるわけでございます。  しかしながらなお、五十四年度から六十三年度までに六百校を超える新設高校の必要もあるのじゃないかといったような文部省あたりの統計もございます。いまお示しのように、財政的な需要というものはまだ伸びてくると思いますので、国の三分の一の補助制度がこれでいいのか、そういった問題、それからまた、この補助制度自体が五十一年度から五十五年度までの時限的な措置でございますから、これは当然延長もしてもらいたいと私どもは思っておりますし、内容についても改善をしてもらいたいと思っておるわけでございまして、そういった対応の仕方の中で私どもといたしましても、地方債なり交付税なりいろいろ実態に応じて今後ともいろいろ検討は続けてまいりたいと思っております。
  74. 小濱新次

    ○小濱委員 高校建設の最大の悩みは、特に用地取得にあるわけです。すなわち地価の高騰が著しく、しかも、用地取得に当たっては山林、谷戸、田等しか確保できず、そのため多額の造成費を要している。先ほども質問申し上げましたように、人口急増府県念願の事業費補正が新設された、こういうふうに本当に念願のと、それほどまでに深刻に自治体では考えておる、これはそういう内容になっておるわけです。  そこで文部省、来ておられましょうか。——高校用地取得費について、補助制度を設けるべきだとわれわれは考えているわけです。これはもういままでに繰り返し論議されてきた問題であろうと思いますけれども、特にいまの段階では強調しなければならない内容の一つであろう、こう考えているわけです。文部省の見解を聞かしていただきたいと思います。
  75. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 お答え申し上げます。  文部省の考え方といたしましては、学校の用地というものが、これは用地一般でございますけれども、非償却資産であるということでございまして、ただいままでいろいろ御指摘がございましたように、取得費については原則として地方債措置される、こういう原則になっているわけでございます。現在のところ用地に関する補助制度は、義務教育学校につきまして、それも児童生徒急増市町村のみに限って時限的に、これも本五十五年度で一応時限が切れるわけでございますが、そういった補助制度実施されるという実情にすぎないわけでございまして、公立学校の整備については主に都道府県の任務であるというようなこと、それから義務制でないというようなことから、高校用地に対する国庫補助を行うことは、現在の財政状況の中できわめて困難なことだというふうに文部省では考えているわけでございます。
  76. 小濱新次

    ○小濱委員 これは大臣、お聞き願いたいのですが、小中学校の建設にいたしましても、みんなもう六千坪とか八千坪とかそういう広大な地域で、あってもとにかく数少ないわけです。そこへ教育行政は何をさておいても最優先、こういう内容になっておりますから、したがって無理して折衝し、また、地主との話し合いを進めていくわけですから、もうこのごろ地主さんも、お金は要りません、替え地を下さい、もう替え地しか要求してこないのですね。ですから、その替え地を求めるのにこれまた大変な苦労をする。どこへ行っても替え地、替え地とやられる。ところが高校建設ということになると、それ以上の坪数が欲しくなるわけです。もちろん、高校を建設する地域ですから、これは人口急増地域になっていますから、そういう点で、どうしてもこのことは真剣に考えてあげないと、やはり一番府県で頭の痛いのはここであろう、こう考えているわけです。  そういう点でこれは局長、ひとつ御答弁いただきたいと思いますが、公共施設などの整備に必要な用地取得費及び用地費に係る起債の当年度元利償還額を十分に需要算入すべきであるということが一点。それから、建設事業費に占める用地取得造成費の割合は相当高まっているが、交付税の投資的経費の算定上かかる要素の算入が十分とは言いがたい、この点はどうか。この点は局長から御答弁をいただきたいと思います。どうでしょうか。
  77. 土屋佳照

    土屋政府委員 高等学校用地についてのいろいろ御意見を伺ったわけでございますが、先ほど文部省からもちょっとお答えがございましたが、一般的に土地は財産価値が減少しないわけでございますし、一度取得すれば永久に利用ができるというものでございます。また、この施設整備のための用地は、以前から所有している用地を利用する場合もございますし、新規に用地を取得するという場合もございまして、区々にわたっておるということもございます。こういったようなことから用地取得費に対しましては、必要に応じて地方債措置をするということにしておりまして、交付税基準財政需要額には算入しないということにしておるわけでございます。  一般的にはそうであろう、しかし人口急増地域の場合には財政需要も多いんだから、何かそういうことは考えられないかというお尋ねでございました。お気持ちはよくわかるのでございますけれども、都道府県が主体でやっております高校について、いまのような土地の性格等考えますと、人口急増地域でございましても基本的には、どうもいままでと異なった手法をとるということは問題があるんじゃなかろうかと思っております。ただ公立高校の不足は、大都市周辺地域を初めといたしまして非常に深刻な問題になっております。これに対処するための整備事業に対する経費は非常に大きな財政負担となっておるということは、たびたび御指摘をいただきましたとおりでございます。そういうこともよくわかります。そういった意味では、用地取得に対する財政措置についても、先ほど文部省ではなかなか容易ではないというお話でございましたが、国庫補助制度の導入その他の財源措置と並行して、私どもとしては検討を重ねていかなければならないのだろうと思っております。  もちろん、義務教育費については用地補助というのもあるわけでございます。しかしながら高等学校の場合は、義務教育でもございませんし、また、団体が人口集中地域の比較的富裕な団体でもございます。財政的にもそう困ってないということがございましたりいろいろな要素がございますので、高等学校の場合、人口急増地域であるからといって、この土地という特殊なものについて起債の元利償還を交付税で見るといったことは、お気持ちはわかるのでございますけれども、にわかにはどうも踏み切れないということでございます。
  78. 小濱新次

    ○小濱委員 文部省の方に来ていただいたのは、こういう実態、実情というものをよく認識をしてもらいたい、こういうふうに各委員会でこの問題が取り上げられ強調されていることをお聞きを願うと同時にまた、お帰りになったならば上司に御報告をしていただいて、このことへの助成をひとつやってもらいたい、こういう考え方でわれわれは質問しているんですよ。あなたがここで名答弁をして帰ってそれで終わりじゃない。そういう立場から今度、自治省も一生懸命やってもらわなければいけない。自治省も一生懸命努力してもらって、そして向こうで新しい措置を考えてもらうとか、その努力を重ねながら、お互いに盛り上がったそういう立場からの財政措置を実現してもらいたいなという立場で御質問をしておるわけでございまして、自治大臣どうでしょう、これらの対策としての財政措置を特別に講じなければならない、こう思っておるわけですが、ひとつ大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  79. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 人口急増地域での高等学校建設に要する経費、中でも一番厄介なのは用地費だということはおっしゃるとおりでございます。  ただ問題の基本は、今日の高校教育を小中学校と同じように義務教育と見るべきかどうかといった基本の問題が根本にあるように思います。御案内のように、人口急増市町村の義務教育の小中学校については、今日、用地費については三分の一補助をしておる。しかしその根っこは七五%だということでございますので、二割五分の補助がようやく認められておる。現実は二割ぐらいにしか達してないのが、実情のように思います。ところで今日、四十人学級という問題が出てきた。そこで私は、閣議等でも発言もし、この点だけは四十人学級を容認する際に、今日のこの義務教育についても三分一、実質二〇%にしか達しないような用地費補助で、この四十人学級の制度がうまくいくとは思わない。したがって二分の一にしてもらうということで自治大臣としては了承するのだといったような発言もした次第でございます。  義務教育がそのような状況でございますので、高等学校の建設費については一部補助があるようですが、用地費等についてはまだそこまで手が及んでない。しかし現実には県が困っておることは事実でしょう。そういったようなことも踏まえましてこの点も政府としては、壁は厚いけれども検討しなければならぬ課題であろう、かように考えておるような次第でございます。
  80. 小濱新次

    ○小濱委員 準義務化しているそういう高校の進学状況、平均して九四%と言っておりますけれども、私の方ではもっと高いデータが出ておるわけです。そういう立場から、何としてでもこの問題については道を開いてもらいたいという強い要望を持っておるわけで、そういう立場から人口急増の法案も提出した、こういう経過でございました。  さらにもう一歩、私の方で提出している法案の中で、超過負担の問題がございます。  これは大臣お尋ねをしておきたいと思いますが、五十五年度の国庫補助事業に伴う超過負担の解消は、国費ベースで百七十三億円しか行ってない。知事会を初めとした地方団体は、これまでも独自に調査し解消を要求してきたが、政府の解消費は誠意ある措置とは言いがたい。超過負担の解消について自治大臣はどうお考えになっておられるのか。
  81. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 申し上げるまでもなく超過負担というのは、財政秩序を乱しておるもとでございますので、自治省としましては四十二年以来、超過負担の解消ということで累年、大蔵省また関係省庁等と共同して実態調査をしながら、改善措置を講じておるつもりでございます。ただ、その改善では不十分ではないかという御批判は、素直な気持ちで私どもも受けとめなければならぬ、かように考えておるわけでございます。ただ、この問題につきましては中身をよく見ませんと、地方にもこの点は十分考えていただかなければならぬ点があることも事実でございますので、その点は考えていただきたい、かように私は思います。  しかし、現実問題としてまだまだ超過負担が、一番多いのが恐らく文部省、それから厚生省、警察、こういったところにありはしないのかな、ほかにも農林省もあると思います。こういったような残された問題がございまするので、こういった実態については、調査をしながら毎年の努力によって漸次解消を図っていきたいと考えておるような次第でございます。
  82. 小濱新次

    ○小濱委員 この問題につきましては、当委員会ではずいぶんとまた論議を重ねてまいった経緯がございまして、その都度改正もされ、その中身については自治省は、大変な御努力をなさって今日に至っていることの経緯はよく承知しております。しかしながら、まだまだ超過負担解消という問題については、われわれは強調しなければならない中身がたくさんあるということで、あえて御質問をしているわけでございます。  厚生省、おいでになっていましょうか。——厚生省にお尋ねしておきたいことは、超過負担について、いわゆる箱物については国は、標準設計仕様書をつくって、その標準的仕様書に基づいて地方自治体が地域の実情に沿ったものをつくる、これが本来のあり方である、こう考えております。しかし、これまで住宅、警察署、保育所についてはつくられており、五十五年度は駐在所、派出所、養護老人ホーム、特別養護老人ホームについてつくるようだが、保健所、精薄施設、授産施設などについてはいまだつくられていない。こうしたことが超過負担の解消ができない原因でもあり、標準設計仕様書の作成について今後どういう見通しをしておられるのか、その見通しはどうかということを御質問をいたします。
  83. 北川定謙

    ○北川説明員 先生指摘の中の保健所の問題について、お答えを申し上げたいと思います。  先生指摘のとおり、保健所についても確かに施設の規格というようなものについて現在、現状に合った状態でないということは私どもも認識をしているわけであります。毎年施設の建設単価等については多少ずつの改善は行っておるところでございますけれども、ただいま申し上げましたようにその標準の仕様等については現在、実際と多少かけ離れが生じておるというようなこともございまして、これから早い時期になるべくそういう状態についても、十分詰めてまいりたいということで考えておるところでございます。
  84. 小濱新次

    ○小濱委員 やむを得ない御答弁であろう、こう思います。  具体的にひとつお尋ねしておきたいと思います。保健所業務は、住民生活においてきわめて重要な仕事であります。     〔委員長退席、大石委員長代理着席〕 しかし、目立たないじみな仕事であるためか、しわ寄せがこういうところに寄せられている。今後の保健所措置費の対策についてどうするのか。また、保健所医師の確保は困難をきわめており、そのために給料も高額を出さなければならないが、この基準が低く地方負担が増大している、この点について考え方を承っておきたい、こう思います。
  85. 北川定謙

    ○北川説明員 先生がいま御指摘措置費とおっしゃられた点につきましては、私どもは保健所の運営費の補助金という形で対処をしておるところでございますが、現状においてはまだかなりいろんな問題点が残っておるわけでございます。特に職員の給与費等については、昭和五十三年の十月の時点で実態調査をいたしまして、その格差等につきましては一応解消を図ってきておるところでございます。  なお、第二の問題といたしまして、医師の充足対策ということでございますが、御存じのように現在の社会情勢の中で、こういう分野に入っていただく医師が非常に少ないということで、私どもも医師の確保に対していろんな努力をしておるところでございます。たとえば医師の供給をされる大学との連携を密接に図るというようなことで、大学と保健所との共同研究、あるいは保健所医師に対する調査研究費の支給、あるいは公衆衛生修学資金の貸与というようなことで、いろんな手を打って努力をしておるところでございます。特に修学資金の貸与につきましては、昭和三十二年からスタートしておるわけでございますけれども、その後医師が保健所へ入ってきておる状況は、多少改善されつつあるというふうに考えております。  なお、医師の給与の問題につきましては、先ほどの五十三年度の調査で一応改善を図っておりますので、現在、実勢はともかく、国家公務員ベースで考えますと一応、問題は解消されておるというふうに考えております。
  86. 小濱新次

    ○小濱委員 事例を挙げて具体的に質問をした方がいいのではないかと思いますが、時間の制約を受けておりますので質問いたしませんが、運営費の補助制度について厚生省にさらにお尋ねをしておきたいと思います。  一番超過負担の著しいのは保健所の措置費である。毎年国の削減計画によって人員が削減されている。人員が減らされても事務は減らされていない。このために地方団体の調査によると、実態と国の定員との差は三千人以上、このように私どもの調査では数字が上ってきております。なぜ国の削減計画に従わなければならないのか、ここのところを厚生省、ひとつ意見を聞かせておいてください。
  87. 北川定謙

    ○北川説明員 国の基本的な方針として公務員の削減ということが打ち出されておるわけでございまして、私ども地方のそういう施設に対する補助金においても、そういう方針に基本的に従わざるを得ない。しかし、保健所は一般的に申しますと、事務的な職員と技術的な職員がおります。特に医師を中心とする技術的な職員が中心になるわけでございますけれども、ただいま先生指摘の数字は全部、事務的な職員がかぶっておるわけでございまして、保健所の技術機能の低下を来すようなことについては、なるべくそういうことをしないという方針で考えております。  なお、そういう事務的な職員の削減に対応いたしますためには、どうしてもいろんな報告事務だとか事務処理の問題とかいう点でなるべく負担を軽減するというようなことで、私どもが求めておる保健所運営報告等の簡素化とか、いままで毎月求めていたものを年一回にするとかいうような努力をしておるところでございます。なお今後も、そういう事務の改善等についてもいろいろ検討していくところでございます。
  88. 小濱新次

    ○小濱委員 ここ数年の間に起こった問題ではございませんで、もう古い時代からの問題として私どももよく承知をしてきたつもりでございますが、ぜひひとつこの超過負担という問題では、大きい、だれしもが取り上げてくれるような問題ですというと案外措置が早くでき上がっていくわけですが、小さい、しかもそれを集計すると大変な量になっていくという超過負担の内容がたくさんあるわけです。そういう点で、厚生省に一、二御質問を申し上げたわけでございます。  自治大臣、お聞きをいただきたいと思いますが、公明党は、超過負担を解消するため、国、地方の代表及び学識経験者で構成する超過負担調査会を設けて、超過負担の実態を調査し、解消を図ることとしております。国は国、地方地方というのでは二重の調査になるので、国、地方が同じ土俵で話し合う場が必要と、こう思うわけです。どうかひとつこういうこともぜひお考えをいただきたいと思うわけですが、大臣、どのようにお考えになっておられましょうか、御見解を聞かしていただきたい、こう思います。
  89. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 十分傾聴させていただかなければならぬ御提言だと思います。  現在は御承知のように、地方団体も特別な委員会をつくって調査をなさっております。それを私どもは拝聴しながら、同時に、大蔵省その他関係省庁と一緒になっての調査も進めてやっているわけでございまするので、さしあたりは現行の制度で、毎年のような改善措置を積み重ねていくということによって目的を達成をいたしたい、かように考えているような次第でございます。
  90. 小濱新次

    ○小濱委員 超過負担の問題につきましても、いま一歩というところまで来ておるわけです。ぜひ一層の御努力をお願いしておきたい、こう思います。  最後に、東海沖大地震を想定して大規模地震対策特別措置法が五十三年六月に制定されました。これに基づき、防災対策強化地域の地区の指定が行われたわけでございます。昨年の八月であったと思います。  この地震防災対策強化地域の指定を受けた地方公共団体では、避難地、避難路、消防用施設など緊急整備が必要になってきたわけです。法律はできたし指定も受けた、このための財政措置をどうするのかということでありますが、五十五年度予算では財政局長、どうなっているのでしょう。五十五年度予算の中にはこの問題について、何か挙げる数字がございますか。
  91. 土屋佳照

    土屋政府委員 防災のためのいろいろな計画というのを関係方面で、地方団体、各省で検討もされておるわけでございますが、具体的にどういった形のものが特別措置をされるかということになりますと、現段階においては見るべきものもないわけでございまして、たとえば医療施設について五十五年度から、強化地域内の建てかえ補強を補助対象に加えるといったようなこと等がとられておりますけれども、全般的に地震の強化地域といったようなところを中心にどういった施策を講ずべきかということについては、まさにこれからの問題でございまして、五十五年度予算には、いま申し上げたようなこと以外に見るべきものが特にあるとは私ども認識しておりません。     〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 小濱新次

    ○小濱委員 地震防災に関する財政援助措置について、「国土庁長官発言 大規模地震対策として必要な緊急施設整備事業に関する国の特別財政援助措置に係る関係地方公共団体の要望については、早急に関係省庁間において必要な事業の種類及び規模、各種五箇年計画との関係地方財政に及ぼす影響等について検討を行い、その結論を得た段階で可及的速やかに所要の措置を講ずることとしたい。御協力を御願い申し上げる。大蔵大臣発言 了解した。」こういう内容になっているのでございます。これは自治体にもみんな行っているわけです。また、関係自治体からの要望でありますが、「昭和五十五年度の国の予算編成過程における国土庁長官と大蔵大臣との間の折衝の経過をふまえ、地方公共団体の地震対策事業に対する要望について、関係省庁と打合せを行った結果、別添のとおり五千五百億円に及ぶ事業費をとりまとめた。これらの事業が緊急かつ円滑に実施できるよう次の事項を内容とする財政特別措置法を今国会において制定されたい。」こういう要望が五十五年の四月に関係自治体から出ておるわけです。六つの県の代表会議の結果でございます。  五十三年に法律ができた、指定も昨年受けた、そして財政措置が現在なお示されていない。国土庁長官と大蔵大臣は「可及的速やかに所要の措置を講ずることとしたい。」こう発言をしておりますが、これに対して自治体からはいろいろと調査の結果、要望が出てくるのだと思いますけれども、その要望を出すにしても、一つ一つの項目が補助対象が少ないとかないとか、そういう中でやりたい項目はもうたくさんあるわけですね。ですから、法律はできたし指定も受けたけれども、その後の作業は一向に進んでいない、こういう実態になっているわけです。こうしたことから、現状何ら予算化はされていないし、五十五年度方向づけというものも示されていないということになると、結果はどうなっていくのか、ひとつ大臣、御答弁をいただきましょうか。
  93. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  ただいまお話がございました地震対策に関する緊急整備事業ということにつきましては、たとえば五十四年度予算におきまして自治省の消防庁の消防施設整備に関する事業につきましては、一般の補助率三分の一でございますものを二分の一というように措置をしたものもございますし、先ほどお話がございましたように、厚生省の病院の一部改築につきまして三分の一の補助制度が認められたというようなものもあるわけでございます。  われわれの方といたしましては、先ほどお話がございましたような大蔵大臣と国土庁長官の間の予算のときの話し合いによりまして、五十五年の予算からおおむね五カ年間におきまして五千五百億に及びます地方公共団体が主として実施いたします緊急整備事業の必要な事業の種類と量というものを、三月いっぱいをかけまして詰めたわけでございます。今後の検討といたしましては、先ほどお話がございました各種五カ年計画との関係、それから政令の指定事業に入れるか入れないかという検討、それからさらには補助率の引き上げ等の措置、これは財源対策ということになるわけでございますが、それらの措置につきましては現在、関係省庁の間で鋭意検討中ということでございます。ただ、お話が出ておりますように、非常に国の方の財政状況も厳しい状況にございますので、いま鋭意検討中ということでございまして、結論が出た段階で当然適切な措置を講じていきたいということでございます。
  94. 小濱新次

    ○小濱委員 五十五年度から五カ年計画ということでぜひ整備をしたいという内容については、本年度は、補助率も少ないしというようなことで、調査をし、その調査の内容を報告をする、それをまとめて国では対策を講じようというのでしょうけれども自治体があれもこれもと仕事をやりたいにしても、補助金がつかないということになると全額出さなくてはならない。その補助率が少なければそれだけ持ち出し分が多いわけです。初年度は五十五年だということですけれども、それじゃ作業は全然進んでいかないじゃないかという考えを持つわけでございますが、国土庁長官と大蔵大臣とは可及的速やかに財政措置を講じたい、こう言っているのですが、さて、いまのような状態でいいのだろうかどうか、非常に私どもは疑問を持つわけでございます。  これは自治大臣お尋ねをしておきたいと思います。後でまたお尋ねいたしますが、地震はいつくるかわからないわけです。自治体としては、住民の生命、財産を守るという対策をぜひ講じなければならないわけです。このためにも自治体は、きめ細かな対策を講じておるわけです。財政対策も、こうした自治体の施策が十分にできるようにしなければならないわけですね。地域の指定区域内とその外側と、もう本当に現地ではきめ細かな対策を進めておるわけです。全部持ち出しだ、こういうことで、今後の財政対策は本当に考えてあげないと、その強化地域の市町村の要望も、調査の結果は出てこないということになってしまうわけですね。ここに当面する問題は財政措置ということになるわけですが、この点大臣、どうでしょうね、そういう点はぜひひとつ大臣の決断が欲しいわけですが、御答弁をいただきたいと思います。
  95. 土屋佳照

    土屋政府委員 先にお答え申し上げますが、いまお示しのように強化地域においては、早急にこの地震防災計画のもとで緊急な対策というものを講じていかなければならない。そのためには非常に需要が多額に上るということでございますので、地方団体財政状況からすれば、せっかくこういった法律もでき、強化地域も指定されたわけでございますから、国としてもひとつ相当な援助をしてもらいたいと私どもは希望しておりまして、かねがねから立法措置を含む財政上の特例措置を講じてもらいたいということを、地方団体の意を受けて関係省庁に申し入れをしておるわけでございまして、そういったことで国土庁が窓口になりまして、関係省庁と調整をされて今日まできておりますが、現在のところ、そういった財政上の特別措置というものは講じられてないわけでございます。  しかし私どもとしては今後、おっしゃいますようにいつ地震がくるのかわかりません、早急に防災措置というものを講じていく必要があるわけでございますので、できるだけ国においてそういった立法上の措置を含めてやっていただきたい。自治省としてのやり方というのは、そういうものを踏まえながら、できるだけこれはこれで対応していくという覚悟は持っておるわけでございますが、率直に申し上げまして、国としてひとつ本腰を入れてもらうような施策を関係省庁に強くお願いをしておるところでございます。
  96. 小濱新次

    ○小濱委員 国土庁からあるいはまた気象庁から、どちらからでも御答弁をいただきたいと思いますが、東海沖の大地震を想定して大規模地震対策特別措置法が制定されたわけですが、どういう基準で強化地域の線引きを行ったのか、六県にわたるわけですけれども、その点の御答弁をまず承っておきたいと思います。
  97. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明を申し上げます。  駿河トラフを中心にいたしまして、南北百キロから百二十キロ、駿河トラフを東の辺といたしまして、五十キロ西側への長楕円形と申しますか、そういうところが種々の観測の結果、震源域という推定がされております。そこにおきまして地震が発生したと仮定をいたしますと、その場合に地震波が四方へ伝わるわけでございますが、その場合の各地の震度の予測というものを専門の地震動学者の先生を中心に検討していただきまして、地表におきます地震の加速度が震度六以上になる地域を含む市町村というものを、先ほどお話の地震防災対策強化地域として指定をし、告示をしたということでございます。
  98. 小濱新次

    ○小濱委員 学理的に発表されたのですから、われわれ素人が云々はできませんけれども、駿河湾のあのトラフがまず震源地と想定されて、そして六県にわたるその震度を六と見て、そして線引きをやったということで、神奈川県の場合には八市十一町、私のお隣に加藤代議士がおりますが、茅ケ崎でございましてこれは線引きの中、私のところは隣で線引きの外になるわけです。  そういうわけで、その線引きの外の方がコンビナートだとか埋立地であるとか、そういう非常に危険物の多い地域がいっぱいあるわけです。もう横浜の半分ぐらいのところが埋立地になっている、土質、地盤が悪いのです。川崎もそうです。あの近所にコンビナートがずっと林立しているわけです。そういう点で、線引きの中は六度だということになると、じゃその外は何度になるのか。その次は五度と言うならば、その五度というのはどの辺の距離まで五度がいくのか。学理的に御存じでしょうから、余りむずかしいことは要りませんが、専門ですからお答えいただきたいと思います。
  99. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明を申し上げます。  もう少し詳しく御説明を申し上げますと、トラフ沿いの震源地の形が、南北に長く東西に狭い形になっております。その場合に、一番陸上に広い影響を与えますのは、東南のすみから割れ始めた場合と南西のすみから割れ始めた場合に陸の方に押し寄せる地震波が一番強くなります。その結果、一番強い影響を受ける場合を想定いたしますと、どちらかといいますと南北に長い、つまり北の方にわりあい影響が及びやすいという形になってございます。したがいまして、東西にはわりあい早く衰滅するということがございまして、先ほどお話がございました、茅ケ崎は入っておって藤沢市は入っていないというような結果になってございます。六県百七十市町村の区域全部が震度六になるという意味ではございませんで、具体的に申しますと、茅ケ崎なら茅ケ崎の相模川沿いの地域に震度六になると予想される弱い地盤のある地域があるという意味でございます。そういう意味でございますので、茅ケ崎の全市が震度六になるという意味では必ずしもない。  と申しますと、震度六の外側は震度五という範囲のところでございますが、その震度五の範囲は相当広うございまして、恐らく神奈川県のほとんど全部、東京の相当部分は震度五という範囲であろうかと思います。ただ、震度五と申します範囲は非常に広うございまして、同じ震度五でも、煙突にひびが入るとか壁にひびが入るという程度の震度五から、たなの物が落ちるという程度の震度五まで非常に範囲が広うございますので、その範囲をどこまでにするかということにつきましては、先ほど申し上げました専門の学者の先生方の御討議を経まして、震度六を含む市町村の範囲ということで指定をした次第でございます。  震度五の範囲内で、やはりコンビナート等におきましては被害が想定されるではないかということにつきましては、専門学者の先生方の間でもそういう御意見が相当ございまして、どういう場合にそういう被害が想定できるだろうかということで、新潟地震の際に見られましたようなクイックサンドと申しますか砂の流動化現象、特に埋立地にそういう現象が起こった事例が多うございます。それからもう一つは、長周期の波と申しまして、地震は大体〇・三秒から一秒ぐらいの周期で揺れるものが地上の物体に非常に大きな影響を与えるわけでございますが、それよりも長いたとえば五秒でございますとか十秒でございますとかというゆっくり揺れる波は、石油タンクとか超高層というような非常に大きな構造物に共鳴、共振を与えて被害を与えるかもしれないという問題がございます。これらの問題につきましては、地表面の地質だけでは判定できない部分がございまして、やや深いところの地質の調査を含めて現在、継続的に作業を進めていただいております。その成果、検討結果が明らかになった段階で、地域指定の拡大を含めまして検討をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  100. 小濱新次

    ○小濱委員 国土庁にさらにお尋ねしておきたいと思いますが、その駿河湾に南北に延びているトラフは、どこでどう、どこへつながっているのですか。その源もあるように、やはりその流れもあるわけでしょう。どうですか、おわかりになりましょうか。
  101. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明を申し上げます。  駿河トラフと申しますのは、伊豆半島とそれから御前崎の間のところ、富士川の河口付近からやや西寄りに傾きを持った南方向のところへずっと深く切れ込んでおりまして、最後は海盆と申しますか、大きい意味での日本海溝につながっておるものでございます。  その中で今回、地震の震源地として想定されておりますものは、一番奥まで来ても富士川の河口付近でございます。その河口付近から南へ百キロないし百二十キロくらい、それから西へ五十キロぐらいということになりますと、大体袋井、掛川くらいの線になりますが、その辺のところに傾斜が約三十度ぐらいの角度で地震の空白域があると申しますか、そこに相当のひずみがたまっていることが測地測量の結果、地震観測の結果によりまして認められているというのが一専門の先生方の集約した意見、想定でございます。
  102. 小濱新次

    ○小濱委員 ちょっとわからないのですが、その断層というトラフは、こちらがあるならこちらもあるのだろう。したがって、山の方に入っている、静岡県内に入っているそのトラフは、どこにつながってどこへ流れているのか。たとえば相模湾にもあるのでしょう、相模トラフというのが。それはみんなつながっているのでしょう。ですからその辺の、あなたは駿河湾ばかり言っておるけれども、こっちは相模湾の方だって聞きたいわけで、的外れなことばかりに時間をかけていては困ってしまうわけで、こちらの方もちゃんとつながっているわけでしょう。だから、震源地は駿河湾ということにならないんじゃないかと私は思うのですね、もうとにかく駿河湾で起こっているのですから。
  103. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。質問の趣旨をよく理解いたしましたので、お答えを申し上げたいと思います。  お話がございましたように、相模トラフと申しますのは、小田原の付近から房総半島の先端の方へ、南東の方へずっと切れ込んでおるトラフでございます。ここのところの小田原よりやや海中寄りで起こりましたものが、一九二三年の関東大地震でございます。ここの方につきましては、測地測量の結果その他によりまして、確実なことはだれもわからないわけでございますが、まだひずみのたまりぐあいは相当余裕がある、関東大震災のときを一〇〇としますと三〇前後のたまり方だというのが、学者の先生方の統一的な見解でございまして、どのくらいのピッチでひずみがたまるかということに関しましては、将来のことでございますが、今後六十年ないし百年ぐらいはまあ大丈夫ではないかというふうに言われておるわけでございます。駿河トラフの方は、その前回に起こりました地震が一八五四年、安政元年の地震でございます。したがいまして、百二十五、六年を経過しておるわけでございまして、いろいろ地学的な測量の結果では相当にひずみがたまって進行しているということでございますので、この二つのトラフの間の直接的な関連というものは、過去の地震のケースを見ましても、ほとんど想定されないというふうに御理解を願った方がよろしいのではないかというふうに考えます。
  104. 小濱新次

    ○小濱委員 私もいろいろと調べてみたのですが、ずいぶん古い記録になりますけれども、明応七年というと一四九八年、東海道全般、マグニチュード八・六、それからその次が七・九、この間は百七年ぐらいたっておるようですが、三番目の江戸及び東海道全体を襲った元禄十六年ですか、一七〇三年に起こった地震ではM八・二になっています。それから四年で一遍起こっている。それから、その次は百四十七年もたって、その次は一年で起こって、その次は六十八年。この六十八年というのは、前の年、一年に江戸一帯を襲っておりますから、安政二年ですね、それから大正十二年になる。こう記録を見まするというと、大分もう房総の方から相模灘から、それから駿河湾の方からあちこちで起こっているのですね。マグニチュード八以上というのもあるわけです。  今回の東海沖の地震想定は八と見て、その指定された地域内は震度六以上ですか、七以上は一応は見ていない、大体それ以上はいままでの記録ではないというようなことですが、どちらにしても、大変な人口急増地域を抱えて、あすこには危険物のタンクローリーがずいぶんと走っておりますし、交通渋滞も起こっておるし、いろいろな鉄道等も通っておりまして、いままでの記録によるような被害の状況とは本当に大変な違いが想定されているわけですね。しかも横浜だの川崎の方では、タンク一つに五万トン十万トンですよ。あれが地盤が悪いわけですよ。ぐらっといったら、あの油は海にみんな流れ落ちますよ。原油は燃えますよ。海に何千という船が操業しているわけですけれども、ああいうのは全滅しますよ。  そういうこともあって、本当に努力はわかるのですけれども、やはり強化地域をもっと広げるべきだということと、対策については、財政措置をもっと早く行ってあげて、そして地元の要望を満たしてあげる、こういう形が大事であろうと思うわけですよ。ところが何も進んでいないもんですから、地元は地元で一生懸命努力を重ねて仕事をやっている、こういう経過になりますけれども、聞くと、全然補助対象になっていない仕事をどんどんやっていられるわけです。  それは私は、きょうは厚生省それから文部省、建設省、みんなおいでを願っておりますが、その補助率のかさ上げをもっとやってもらわなければ、地元の自治体の仕事は進みませんよ。それから、その他の地震対策に必要な施設を行うためには、やはり補助率を高めてもらわなくてはならぬ、補助対象にならないなんという項目はないようにしてもらわなくてはならぬ。そして、いままでになかった事前の対策ですね、今度初めて事前対策というのが行われることになったわけですから、備えあれば憂いなしで、何としてでもその準備を進めていきたい、こう思うわけですが、厚生省と文部省、建設省、その補助率のかさ上げの問題、どういうお考えを持っているか、ひとつ聞かしてください。まず厚生省から……。
  105. 岡光序治

    岡光説明員 先生指摘のわが省所管の施設は、いわゆる社会福祉施設それから医療施設、それから地震のときに問題になります水の関係で、水道の施設というふうなものがあるわけでございます。  まず、社会福祉施設につきましては、現在、国が二分の一を補助いたしまして、地元都道府県が四分の一を補助するということで、社会福祉施設を実施する施行主体に四分の三の補助がいくわけでございますが、そういった補助の制度につきまして、特にいわゆる社会福祉法人立、民間立の施設につきましては、社会福祉事業振興会という特殊法人がございまして、そこで特別の低利の貸付制度がございますが、そういったものを活用するとかいろいろの措置を講じております。  また医療施設につきましては、先ほどからもお話が出ておりますが、五十五年度から国立病院、公立病院につきまして、それぞれ補助措置を講ずるというようなことを行ったところでございます。  水道の関係は、何しろ地震が生じた場合に水を確保するということで、その応急の給水体制なり応急の復旧対策、こういったものを講じるように事前の対策をいろいろ講じているところでございます。  先生のおっしゃいました補助率のかさ上げの関係につきましてはまず、そういう大規模地震が生じたときに特別に整備をするということで政令に指定するようになっておりますが、現在、その政令の指定事項に入っておりませんので、まずどの範囲にどういうふうに政令を指定していくか、それから事業量をきちっと確保しなければならぬという話が前提でございますとともに、補助率の問題があるわけでございます。それぞれ問題を抱えている都道府県、市町村では、総体としては相当の財政負担になろうかと思います。そういった援助措置につきまして、ほかの制度とのバランスをとりながらいまいろいろ検討しておりますので、政府としての方針の決定を待ちまして対処をしてまいりたい、そんなふうに考えております。
  106. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 私の方に御要望がございますのは、公立の小中学校の特に木造の建物の改築でございます。これにつきましては、従来の制度といたしまして一般的には、補助率三分の一という制度がございます。これにつきまして特に地震対策の強化地域につきましては、危険の建物の判断基準を耐力度点数というものではかっておりまして一般的には五千五百点でございますが、それを五百点緩和いたしまして六千点以下の建物を補助対象とするということで、建物の改築の促進を図っているところでございます。  それで、御要望かございますのは、この件につきましての補助率のかさ上げについてでございます。これも予算上の大きな問題点の一つでございますので、国土庁の方でおまとめをいただいております現在の検討事項の中に入っておるわけでございまして、これの検討を待ちまして対処したいというのが文部省の態度でございます。
  107. 川合恒孝

    ○川合説明員 地震防災応急対策上、建設省で整備すべき施設といたしましては、政令指定になっておりますのは、避難地、避難路、緊急輸送路、それから石油コンビナート周辺の特別防災地域に対する緩衝緑地帯の整備でございます。それから政令指定になっていないものにつきまして、津波対策それからがけ崩れ等の防止の要望がございます。このそれぞれにつきましては、本来建設省といたしましては、豪雨、高潮、津波というようなものに対処するため、国土保全という立場からこういった事業を進めておるわけでございまして、今後とも地震を含めましたそういった施設の整備に全力を尽くしていきたいと考えておるわけでございます。  なお、補助率のアップの問題につきましては、それぞれの事業につきまして従来から補助率が決まっておりまして、たとえば海岸につきましては特定海岸三分の二、砂防、地すべりにつきましては渓流にかかわるもの三分の二ということで決定されておるわけでございます。そのほかの補助率の低いものにつきましてこれのかさ上げの要望がございますが、先ほど国土庁からもお話ございましたように、それぞれの事業の整合性の調整を関係機関とも図りながら、対処していきたいと考えておる次第でございます。
  108. 小濱新次

    ○小濱委員 国土庁にもう一つお尋ねしておきたいと思いますが、駿河トラフと相模トラフとはつながっている、これはそういう学説がある。それからもちろん、房総の方にもつながっているということになると、やはり危険視されるわけです。したがってこの線引きの改正を、地盤も悪いし危険物が多いですから、神奈川県全県域と東京ぐらい、できれば関東全圏域を強化地域にすべきであるという気持ちはあるのですが、とりあえず神奈川と東京ぐらいは、こういう実態ですからね。  両国橋の日大講堂の前へ行ったことございますか。あそこに四間ぐらいの大きな避難所の標識が出ていますよ。あそこの人たちはどこへ避難するのですか、宮城になっているのです。両国橋の向こうから、ぐらっと来たらここへ逃げてこなくちゃならない。ここは、この近所の人でもいっぱいになってしまうだろう。どうしてああいう狭い道路を川向こうからこっちへ来れるだろうかなという問題もあるわけです。  したがって、いろいろな審議の過程は必要になるかと思いますけれども、私の強調したいのは、この線引きの改正、修正を何としてでもやるべきである、その考え方について御答弁いただきたいと思います。
  109. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  先ほども御説明を申し上げましたように、今回の地域指定は、駿河トラフ沿いに想定されております地震につきまして、その震度予測を行った結果地域の指定をしたということでございます。これにつきましてまだ宿題が残っております部分といたしましては、砂質土の場合の流動化現象による被害、長周期の波によります大型の構造物の被害が予想される場合ということにつきましては、継続して検討を行っていただいておりまして、検討結果を見ながら地域の指定の拡大も検討したいということでございます。  また、相模トラフを震源地とします部分につきましては現在のところ、はなはだ残念なことでございますが、そこのところにストレスが十分に蓄積されている、もしくは地震の発生が非常に近いというような地学的な知見が得られておりませんので、なおそれらの観測、測量の強化ということで、そういう証拠を見つけた上で指定を検討するということになろうかと考える次第でございます。
  110. 小濱新次

    ○小濱委員 最後になりますが、線引きの改正という問題については大臣、総理大臣の諮問による、それからもう一ついまの答弁では、新たな資料が出てくれば、こういうことで線引き改正の必要性が出てくるのですね、これはひとつ覚えておいていただきたいわけです。  それから四月十七日だったかな、夜、第四チャンネルで九時から二時間ばかり、東京都の大震災の、古いなという感じでしたけれども、このテレビを一生懸命私は責任上、見ました。大震災を御存じの方は余りいないだろうと思いますが、私もあのときは東京で遭遇した方の一人であります。そういう点で、危険地域の線引きの見直しをやるということが一つですね。  それから、この財政措置を早くしてあげないと自治体が——私はこの補助の出ているの、出ていないのをその率から全部調べてみたんですが、まことにかわいそうな実態ですよ。ですから補助制度というものをもう少しきちっと定め、改めてあげてもらいたい、こう思いますね。  それから、いつ来るかわからないということですが、百年とか百五十年とかと言っても、一年で来ている場合もあるし三十年、五十年で来ている事例もここにあるわけですから、したがってこの問題は、空振りになるかもしれませんよ、空振りになってもいいじゃありませんか。この間の地震の映画の内容は、判定会が慎重に、慎重過ぎてその判断を誤ったわけだ。警報を発令しないうちにぐらっときちゃったわけです。ですから大変な周章ろうばいというのかな、そういう姿がありまして処置なし、そういう内容でした。対策は絵にかいたモチのようなものであった、こういう結果になってしまった。ですから、やはり学者の学説というものは信用し、できるだけ努力はすべきである。それから、総理の警戒宣言にしても、これは空振りでもいいじゃないか、決定された暁には早く出してあげるべきであるというそういう考え方を持っているわけです。  二十三日には当委員会では、静岡、神奈川の地震対策を見に参りますけれども、当委員会としては一生懸命この問題を取り上げているわけですから、大臣も深い御認識をいただいておりますが、さらにまた機会を見ては、支援の助言をしていただきたい、こう思うわけでございます。最後に大臣からひとつ御決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 地震対策は、私も大変おくれておるなあという率直な感じを持っております。問題は一つは、やはり地震予知体制、これを早急に整備しなければならぬ。日本列島全体が地震地域でございますので、いまは主力は東海地方に集中しておるようですけれども、南関東はどうするのだ。これに対して予知体制をもう少し整備をしたならば、本当に強化指定地域にしなくていいという結論が出るかどうか、私は非常に疑問だというふうにすら思います。そういったことで、こういう予知のための施設を完全にやることによって、できるだけ早く正確な予報を出してそれに対応していくということ、これが一つだろう。  もう一つは、大地震といったような極限の状態になったときに、人間の心理パニックはどのようなものであろうか、その心理パニックに応じた人間の行動は一体どうなるのだろうかということ、これは本当に検討が行われているかどうかということになると、まだまだ不十分ではなかろうか、これが二番目。  三番目は、やはり必ず地震は起こるわけです。これは起こらぬというわけにいきません、必ず起こる。ならば、これに対応した地域に対してそれなりの施設というものは、政府として当然やるべきが筋道であろう。ならば、それに対応する財政措置はどうなんだということ。東海地震を契機として大規模地震対策特別措置法ができましたけれども、あの当時から私はいま言った三点、これが問題だ、ことに財政措置については御案内のように抜けておったように思います。  しかし、国土庁を窓口にしまして、国土庁長官と大蔵大臣の話し合いもあり、また地方団体からの要望等も重々承知をいたしております。そこで国土庁としては現在、政令指定対象の事業はこれでいいのか悪いのか、同時にまた、補助金等の現行の制度のままで果たして乏しいながらも望ましいだけの施設ができるのかどうかということは、せっかく検討しておる段階でございます。私は自治大臣でございまするので一緒になって、そういった点を含みながら、できる限りの体制整備のための努力をしてまいりたい、かように考えます。
  112. 小濱新次

    ○小濱委員 終わります。
  113. 塩谷一夫

    塩谷委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  114. 塩谷一夫

    塩谷委員長 この際、本案に対して、小川省吾君、小濱新次君、三谷秀治君及び部谷孝之君から、四党共同をもって修正案が提出されております。  まず、修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。小川省吾君。
  115. 小川省吾

    小川(省)委員 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表し、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  地方財政は、御承知のとおり本年度においても二兆五百五十億円という膨大な財源不足に見舞われ、五年続きの深刻な財政危機に直面いたしております。地方財政がこうした状況に直面することとなったのは、歴代自民党政府が、住民福祉の充実や生活基盤の整備よりも、産業基盤の整備など中央集権化のもとに大企業優先の高度成長政策を推進してきたためであります。そのため自治体においては、過疎、過密、公害その他の対策に膨大な財政需要を引き起こすことになりましたが、これに対し国が十分な自主財源を付与してこなかったところに地方財政の構造的な危機が招来されたと言わなければなりません。  われわれは、このような地方財政の危機を打開し、自治体の自主的な行政運営を確保するため、地方財政の長期的な見通しに立って、抜本的な恒久対策を講ずるようこれまでたびたび自民党政府に要求してきたのでありますが、残念ながら今回の自民党政府地方財政対策は、われわれの要求のみならず地方団体を初めとするすべての自治関係者の要求をも踏みにじったものと断ぜざるを得ないのであります。  二兆五百五十億円の財源不足に対し、自民党政府は、地方交付税率の引き上げを図ることなく地方交付税特別会計における八千九百五十億円の借り入れと一兆三百億円の地方債振りかえによって措置し、全く根拠のない二分の一負担方式を固定化しようといたしておりますが、このような財源対策が、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨に反していることは言うまでもありません。  今日、地方交付税制度の改革なかんずく税率の引き上げは、いまや国民的合意となっており、この国民的期待にこたえることこそ今国会の重要な課題であります。このような立場からわれわれは、地方交付税率の引き上げ措置等を含め、一般財源の充実強化を図り、もって地方財政の危機を緊急に打開し、地方自治の発展を図るため、本修正案を提出した次第であります。  次に、本修正案の概要について御説明申し上げます。  第一は、最近における自治体の財政需要の増大に対処するため、昭和四十一年度以来、据え置かれてきた地方交付税率を昭和五十六年度から四〇%に引き上げることといたしております。  第二は、臨時地方特例交付金の増額等についてであります。  その一つは、昭和五十一年度から昭和五十五年度までの各年度に発行された、ないし発行される財源対策債の元利償還に係る基準財政需要額については、全額臨時地方特例交付金で措置することといたしております。  その二つは、昭和五十年度から昭和五十五年度までの交付税及び譲与税配付金特別会計における借入額の元金償還については、全額臨時地方特例交付金で措置することといたしております。  以上の措置により昭和五十五年度における臨時地方特例交付金は、七千六百九十二億円増額し、一兆一千四百八十七億円となります。  第三は、以上の改正による臨時地方特例交付金の増額に伴い基準財政需要額の算定方法を改正しようとするものであります。教育、福祉など行政サービスに対する住民要求にこたえるため、道府県においてはその他の教育費及び厚生労働費を、また市町村においては、小学校費、中学校費を初めとする教育費及び社会福祉等厚生労働費をそれぞれ増額することといたしております。  第四は、いわゆる四十人学級の実施に対する財源措置についてであります。国は、昭和五十六年度以降における公立義務教育諸学校等の学級編制の標準及び教職員定数の標準改正に伴う自治体の財政需要の増加に対し、所要の財源措置を講ずるものといたしております。  以上が本修正案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  116. 塩谷一夫

    塩谷委員長 以上で修正案についての趣旨の説明は終わりました。  本修正案については別に発言の申し出もありません。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればこれを聴取いたします。後藤田自治大臣
  117. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 ただいまの地方交付税法の一部を改正する法律案に対する日本社会党、公明党・国民会議日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合共同提案の修正案につきましては、政府としては賛成いたしかねます。     —————————————
  118. 塩谷一夫

    塩谷委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論を行います。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。大石千八君。
  119. 大石千八

    ○大石委員 私は、自由民主党を代表し、政府提案の地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成、日本社会党、公明党・国民会議日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合提案の同法律案に対する修正案に反対の意見を表明するものであります。  昭和五十五年度地方財政対策におきましては、引き続く厳しい財政状況のもとで、社会経済情勢の推移に適切に対応するため、おおむね国と同一の基調により、地域住民の福祉の充実、住民生活に直結した社会資本の計画的整備及び住民生活の安全の確保などを図るため、地方団体が必要とする財源の確保を図ることとしております。  すなわち、昭和五十五年度地方財源の不足に対処するため、国の一般会計から、臨時地方特例交付金として三千七百九十五億円を交付税特別会計に繰り入れる、交付税特別会計において、資金運用部資金から八千九百五十億円の借り入れを行う、地方財源の不足に対処するため、建設地方債一兆三百億円を発行する等の措置を講じております。  さらに、後年度地方交付税総額の確保に資するため、昭和五十五年度における借入純増加額の二分の一に相当する額三千七百七億五千万円を昭和六十一年度から昭和七十年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として一般会計から交付税特別会計に繰り入れることとしております。  これらの措置は、現下の経済情勢、国の財政状況等を考慮すれば、適切な措置であると考えるところであります。  今回、政府より提案された地方交付税法の一部を改正する法律案は、これら昭和五十五年度地方財政対策をその内容とするものであります。  同法律案は、普通交付税の算定について、教職員定員の増加など教育水準の向上に要する経費の財源及び児童福祉、老人福祉対策等社会福祉施策の充実に要する経費の財源措置することとしております。  さらに、住民の生活に直結する公共施設の計画的な整備等に要する経費の財源措置するとともに、過密対策、過疎対策、消防救急対策等に要する経費の充実を図っております。  自由民主党といたしましては、これらの措置を内容とする政府提案の地方交付税法の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢、国の財政状況等を考えれば、適切なものであると考え、同法律案に賛成するものであります。  次に、日本社会党、公明党・国民会議日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合提案の同法律案に対する修正案につきましては、自由民主党といたしましても検討を重ねたところでありますが、わが国経済は最近、好転への兆しが見えるというもののいまだ変動期にあり、また、年々増大する財政需要に対し国、地方とも巨額の借入金によって対処せざるを得ないこの時期に、国、地方を通ずる財源配分の恒久的制度としての地方交付税率の引き上げを行うことは、十分理解できますけれども問題があると考え、修正案に反対の態度をとるものであります。  しかしながら、今後においても地方財政をめぐる諸条件は、依然厳しいものと予想されておりますので、政府におきましては、地域住民の福祉の充実、生活環境施設の整備等諸施策を推進する上できわめて重要な地方団体の役割りにかんがみ、今後とも地方団体に対する財源措置の一層の充実に努めるよう強く希望するものであります。  以上をもちまして、政府提案の法律案に賛成、日本社会党、公明党・国民会議日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合提案の修正案に反対の意見を表明するものであります。  以上で討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  120. 塩谷一夫

  121. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、日本社会党を代表して、政府原案に反対、本修正案をぜひひとつ賛成多数で通していただきたく、討論をいたします。  地方財政は五年続きの財政危機に直面しておるわけであります。本年も二兆五百五十億円という膨大な財源不足に見舞われておるところであります。  地方財政がこのような状況に直面することとなった主要な原因は、自民党政府が、住民福祉の充実や生活基盤の整備よりも、産業基盤の整備など大企業優先の政策を進めてきた結果であります。  二兆五百五十億円の財源不足に対する今回の政府措置は、税率を引き上げることなく、交付税会計における借り入れと地方債の増発によって措置をいたしておるわけであります。このような財源対策は、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨に違反していると言わなければならないと私は思うわけであります。五十三年に附則八条の三によって、大臣がよく言われるように、やむを得ざる暫定的な措置をいたしたわけでありますけれども、これは制度改正ではありません。そういう意味では、何としても制度改正をしなければならぬというふうに思っています。  地方交付税制度の改革、なかんずく税率の引き上げは、いまや国民の合意を得てきておると言ってよろしいというふうに思っています。このようなことからわれわれは、地方交付税率の引き上げ措置を含めて一般財源の充実強化を図り、地方財政危機の打開を図って、本当の意味での地方自治の確立を図っていく必要があると思うわけであります。  政府自治省は、これらの点を十分に踏まえて、来年度地方交付税法改正に対処されることを強く要請いたしておきたいと思っておるわけであります。  本修正案は、これらの趣旨に沿い、国民の期待にこたえるものであり、政府原案は、六団体を初め国民の期待にこたえるものではないと言わざるを得ないわけであります。  そういう意味で、本修正案に何とぞ賛成をして可決せられんことを強く望みまして、討論を終わります。(拍手)
  122. 塩谷一夫

  123. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出法案に反対、野党四党共同提出の修正案に賛成の立場から、討論の論旨を進めてまいりたいと思います。  激動する八〇年代は、政治、経済のひずみを正し、中央集権的行政の改革を推進し、福祉国家建設へ向けて新たなステップを踏み出すべききわめて重大なときであると考えております。  しかるに、今日の政治は、KDDを初め一連の政治の腐敗、綱紀の紊乱が相次いで表面化し、大平内閣に対する政治不信はつのる一方であります。現在、政治の果たすべき役割りは、これらの政治、行政の姿勢を正すとともに、公平と納得と希望を与える政治でなくてはならないのであります。  こうした観点から地方行財政を見たとき、八〇年代は地方の時代と言われているように、これまでの国主導型の行政を改め、住民主体の行政を行うように機構、制度を改革しなければなりませんことは、皆様御承知のとおりであります。  しかしながら、政府・自民党は、高度経済成長時代につくり上げてきた中央集権的行財政機構に何らのメスを加えようとしないために、住民の納得のいく行政も、地域に即したきめ細かな行政の推進も困難をきわめております。  第一に、将来の地方行財政の姿を展望したときに、中長期の地方行財政改革の構想や、またそのための具体的手順も示されておらず、小手先の対策に終始しておるにすぎません。  まず、昨年の秋、地方制度調査会から中長期を展望した地方行財政改革に関する大型答申が出されておりますが、すでに半年以上も経過しているにもかかわらず、これに対する改革の糸口や方向を示されておられません。政府は早急に、地方行財政制度の抜本的改革をすることを強く要求するものであります。これが反対理由の第一であります。  次に、交付税率の引き上げについてであります。  昭和五十五年度地方財政計画の規模は四十一兆六千億で、十年ぶりに国の一般会計予算を下回っており、また、対前年度伸び率も七・三%で、十四年ぶりの低さという超緊縮型の上に、五十四年度に使うべき六千百九十七億円の交付税を繰り込むなど数字のつじつま合わせを行っても、なお二兆五百五十億の財源不足を生じており、二兆円から四兆円に上る巨額な財源不足は、本年度ですでに六年間にもわたっております。  しかも、先日自治省から出された地方財政収支試算によると、地方債は毎年五・八%の伸びが見込まれております。また、借金返済に充てる公債費比率に至っては、毎年一五・六%ずつ増加し、昭和六十年度には、その額は実に六兆三千億円もの膨大な額が見込まれ、地方財政の借金体質は現状のままでは、ますます深刻化することは確実となっております。  こうした地方財政の実態は、交付税法の趣旨に沿って交付税率の引き上げを行うべきでありますが、こうした配慮、措置がとられておりません。これが反対理由の第二であります。  次に、交付税等特別会計の借入金の返済及び財源対策債の償還に対する措置についてであります。  昭和五十年度以降の地方財政危機の対策としてとられてきた交付税等特別会計の借入金の返済については、半分を国の一般会計負担し、半分を特別会計が負担することとしておりますが、このような措置はあくまでも暫定的な措置であって、地方行財政の基本的制度改正または交付税率の引き上げを行うべきであると思います。  このような暫定的な措置は、将来の交付税の先食いであり、地方財政を圧迫するものであります。  また、現行の国、地方財政構造及び財政危機の原因を考えたとき、当然、国の一般会計負担すべきでありますが、この措置がとられておりません。  また、本来、交付税措置すべきであるにもかかわらず、地方債に振りかえた、いわゆる財源対策債の元利償還について、その一部を交付税措置しておりますが、交付税措置する場合は、その分交付税率を引き上げた上で措置すべきであると考えております。こうした措置をとらない現状では、交付税措置するのではなく、国が別途に財源措置を講ずべきでありますが、これらの措置がとられておりませんので、反対理由の第三としております。  次に、超過負担の解消についてであります。  超過負担については、国、地方財政秩序を乱すとともに、地方財政を圧迫するものとして、根本的改革を強く要求してまいりました。  しかし、政府は、相変わらず後追い措置に終始し、しかもその額は、きわめてわずかであり、地方側の要求する十分な措置とはなっておりません。  また、超過負担の調査についても、国、地方がそれぞれ別々に行うために、むだを生ずるとともに意見の対立を生んで、国と地方が対立する原因となっております。したがって、超過負担については、公明党が主張しているように、国、地方、学識経験者からなる調査会をつくり、解消を図るべきでありますが、この措置がとられておりません。これが反対理由の第四であります。  その他、人口急増地域に対する特別措置についても、現行制度は、消防、小中学校の施設のみで、その他の緊急を要する生活関連施設の整備についても早急に対策を講じなければなりませんが、こうした措置が不完全であります。  また、地方債、補助金等の申請手続の簡素化などについても、前向きの姿勢が見られません。  こうした点に対する誠意ある対策を望むものであります。  以上、政府原案に対する反対の理由をるる申し述べましたが、自民党、新自由クラブの諸君が、四野党共同提出の修正案に賛成されんことを心から期待して、私の討論を終わります。(拍手)
  124. 塩谷一夫

    塩谷委員長 安藤巖君。
  125. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案に反対、わが党外三党共同提案の修正案に賛成の意見を述べます。  昭和五十五年度交付税総額は八兆七百七十五億円で、前年度より五%ふえておりますが、伸び率で言えば過去十年間で最低になっています。これは財政需要の切り詰めによるものでありますが、自治体には減量経営と市民サービスの低下を押しつけるものであり、授業料、手数料などの引き上げによる住民の負担増とあわせて、きわめて不当なものであります。  五十五年度地方財政財源不足額は、政府見積もりで二兆五百五十億円となっています。昨年より減ったとはいえ、いまだに二兆円を超す巨額の不足であり、しかも、これが五十年度以降六年間も続いていることに深刻な問題があります。  地方交付税法第六条の三第二項は、引き続き、著しい財源不足が生じた場合には、交付税率の引き上げまたは地方財政制度改正を行う旨を定めております。ところが政府は、地方財政の現状がこの条項に該当する事態であるということを認めながらも、交付税率の引き上げも財政制度改正も行わず、毎年毎年の特別会計からの借り入れによって事態を糊塗するのみか、この借入金の償還額の半分を地方負担にする措置をもって制度改正を行ったとしております。  こうした措置制度改正に当たらないことは、明白であります。四月九日に行われました本委員会の参考人の意見でも、また、多くの地方自治関係者も、制度改正とは見ておりません。ひとり自治省だけが制度改正と強弁しているのであります。  また、償還額の半分を地方自治体が負担することについて言えば、本来、基準財政需要額に対する基準財政収入額の不足分については、全額国が補てんすべきものであり、それ以外に地方公共団体は何らの自主的財源は持ち合わせていないのであります。にもかかわらず、地方自治体への財源移譲もないまま、借入金の償還額の半分を地方に押しつけるというやり方は、地方自治体が何らかの償還財源を持たない限り制度上成り立つものではなく、地方財源保障をうたっている交付税法にも反する措置であり、交付税制度の改悪であります。わが党は、このような不法、不当な措置を認めるわけにはまいりません。  政府は、こうしたやり方を改め、交付税率の引き上げや地方自治体への大幅な財源移譲を含む財政制度改正をすぐ実施すべきであります。  また、本年度も、財源不足額のうち、一兆三百億が財源対策債として地方債に振りかえられておりますが、こうした措置は、一般財源の使途を特定するものであり、交付税制度の本旨に反するものであります。  次に、わが党を含む共同修正案について述べます。  本修正案は、交付税率の四〇%への引き上げ、交付税特会の借入金を全額国の負担とすることなどを中心内容とするもので、交付税法の趣旨に基づいた正当な措置によって地方財源を補完しようとするものであります。  本修正案の成立は、地方自治体の自主性を尊重し、地方の時代にふさわしい地方財政制度確立の第一歩となることを強調し、討論を終わります。(拍手)
  126. 塩谷一夫

    塩谷委員長 部谷孝之君。
  127. 部谷孝之

    部谷委員 私は、民社党・国民連合を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案政府原案に反対し、四党から提案された修正案に賛成の討論を行います。  昭和五十五年度財源不足は、二兆五百五十億円という膨大なものが見込まれておりまして、まさに深刻な財政危機に直面しております。  全国三千三百に及ぶ地方自治体が昭和五十年度から連続して六年間も深刻な財政危機に見舞われた基本的な原因は、経済の構造的な変化を背景とした低成長時代を迎えたにもかかわらず、それに対応する国、地方に共通する財政計画を怠り、自主財源の少ない地方に多大の借金財政を強いてきたことにあるのでありまして、これをいたずらに放置し続けてきた政府・自民党の責任は、まことに重大だと言わなければなりません。  今回の財源対策は、過去五年間と全く同じパターンでありまして、依然として数字の小手先操作でつじつまを合わせ、現状を糊塗しているにすぎません。このことは、毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き、各地方団体について算定した財源不足額の合算額と著しく異なることとなった場合には、地方行財政制度改正または交付税率の変更を行うものとされている地方交付税法第六条の三第二項の条文を歪曲解釈したものと言わざるを得ません。  この意味から、地方交付税率を四〇%に引き上げようとする修正案は、当然のものであります。また、過去五年間、不当に交付税率を据え置いたがために生じた地方の借入金の返済分についても、全額国の負担で行うべきものでありまして、臨時地方特例交付金の増額を行う必要があるのであります。  八〇年代は地方の時代と言われております。高度成長優先、産業優先の立場から行われてきた開発型の行政から、分権と自治を確立し、独自性と主体性を生かした生活型の行政への転換が行われなければならないことは、申すまでもありません。  地方交付税においても、教育、福祉など生活型の財源保障機能を拡充し、これが強化を行う必要があるのでありまして、臨時地方特例交付金の増額に伴う所要の単位費用の改正は当然であります。  今回提出された四党修正案は、地方の時代実現へ向けての地方一般財源の安定的確保と適正化を図る第一歩といたしまして、きわめて大きな意義を有するものでありまして、以上、原案に反対し、修正案に賛成する私の討論といたします。(拍手)
  128. 塩谷一夫

    塩谷委員長 田島衞君。
  129. 田島衞

    田島委員 私は、新自由クラブを代表して、ただいま提案されました地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案に反対、政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論をいたします。  今日、地方交付税制度が当面する現実は、まことに容易なものではありません。  法一条にある本制度の目的を満足させるためには、税財源配分の問題も含めて思い切った制度の見直しと改正がぜひとも必要であり、いやしくも国税三税の伸縮や国の財政事情の好悪に左右されるような制度のままでは、法が真の目的とするところの地方自治の本旨の実現や地方団体の独立性の強化など思いも及ばぬことであります。  したがって、その意味検討する限りにおいては、本改正案はまことに不十分、不満足であり、各方面から批判が浴びせられることも理解できないことではありません。  しかしながら、現状においては、国の財政事情を無視することの至難であることも認めないわけにはいかないこととあわせて、改正の内容がいかに不十分、不満足であるにしても、本改正案は、現行法の内容よりさらに改悪されたものではなく、地方交付税の算定に用いる単位費用の改定を初め、たとえささやかでも改善の内容を含むものであることは認められるところであります。  特に年度の数字の改定等は、当然措置しなければならないものであります。  さらにまた、本委員会が先般求めたところの各参考人の意見も、内容不満足ながらも改正案には賛成でありました。  したがって私は、地方交付税制度の一日も早い確立を目指し、国、地方それぞれが真剣に努力検討を行うことに期待をかけ、修正案に反対、原案に賛成の意思を明らかにするものであります。  修正案提出の諸君が、改めて本案成立に御協力あらんことを期待するものであります。(拍手)
  130. 塩谷一夫

    塩谷委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  131. 塩谷一夫

    塩谷委員長 これより採決いたします。  まず、小川省吾君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 塩谷一夫

    塩谷委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 塩谷一夫

    塩谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 塩谷一夫

    塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  135. 塩谷一夫

    塩谷委員長 次回は、来る二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会      ————◇—————