○
小川(新)
委員 私は、公明党・国民
会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております
政府提出法案に反対、野党四党共同提出の修正案に賛成の立場から、討論の論旨を進めてまいりたいと思います。
激動する八〇年代は、政治、
経済のひずみを正し、中央集権的
行政の改革を推進し、福祉国家建設へ向けて新たなステップを踏み出すべききわめて重大なときであると考えております。
しかるに、今日の政治は、KDDを初め一連の政治の腐敗、綱紀の紊乱が相次いで表面化し、大平内閣に対する政治不信はつのる一方であります。現在、政治の果たすべき役割りは、これらの政治、
行政の姿勢を正すとともに、公平と納得と希望を与える政治でなくてはならないのであります。
こうした観点から
地方行財政を見たとき、八〇年代は
地方の時代と言われているように、これまでの国主導型の
行政を改め、住民主体の
行政を行うように機構、
制度を改革しなければなりませんことは、皆様御
承知のとおりであります。
しかしながら、
政府・自民党は、高度
経済成長時代につくり上げてきた中央集権的
行財政機構に何らのメスを加えようとしないために、住民の納得のいく
行政も、地域に即したきめ細かな
行政の推進も困難をきわめております。
第一に、将来の
地方行財政の姿を展望したときに、中長期の
地方行財政改革の構想や、またそのための具体的手順も示されておらず、小手先の対策に終始しておるにすぎません。
まず、昨年の秋、
地方制度調査会から中長期を展望した
地方行財政改革に関する大型答申が出されておりますが、すでに半年以上も
経過しているにもかかわらず、これに対する改革の糸口や
方向を示されておられません。
政府は早急に、
地方行財政制度の抜本的改革をすることを強く要求するものであります。これが反対理由の第一であります。
次に、
交付税率の引き上げについてであります。
昭和五十五
年度の
地方財政計画の規模は四十一兆六千億で、十年ぶりに国の
一般会計予算を下回っており、また、対前
年度伸び率も七・三%で、十四年ぶりの低さという超緊縮型の上に、五十四
年度に使うべき六千百九十七億円の
交付税を繰り込むなど数字のつじつま合わせを行っても、なお二兆五百五十億の
財源不足を生じており、二兆円から四兆円に上る巨額な
財源不足は、本
年度ですでに六年間にもわたっております。
しかも、先日
自治省から出された
地方財政収支試算によると、
地方債は毎年五・八%の伸びが見込まれております。また、借金返済に充てる公債費比率に至っては、毎年一五・六%ずつ
増加し、
昭和六十
年度には、その額は実に六兆三千億円もの膨大な額が見込まれ、
地方財政の借金体質は現状のままでは、ますます深刻化することは確実となっております。
こうした
地方財政の実態は、
交付税法の趣旨に沿って
交付税率の引き上げを行うべきでありますが、こうした配慮、
措置がとられておりません。これが反対理由の第二であります。
次に、
交付税等特別会計の借入金の返済及び
財源対策債の償還に対する
措置についてであります。
昭和五十
年度以降の
地方財政危機の対策としてとられてきた
交付税等特別会計の借入金の返済については、半分を国の
一般会計が
負担し、半分を特別会計が
負担することとしておりますが、このような
措置はあくまでも暫定的な
措置であって、
地方行財政の基本的
制度の
改正または
交付税率の引き上げを行うべきであると思います。
このような暫定的な
措置は、将来の
交付税の先食いであり、
地方財政を圧迫するものであります。
また、現行の国、
地方の
財政構造及び
財政危機の原因を考えたとき、当然、国の
一般会計が
負担すべきでありますが、この
措置がとられておりません。
また、本来、
交付税で
措置すべきであるにもかかわらず、
地方債に振りかえた、いわゆる
財源対策債の元利償還について、その一部を
交付税で
措置しておりますが、
交付税で
措置する場合は、その分
交付税率を引き上げた上で
措置すべきであると考えております。こうした
措置をとらない現状では、
交付税で
措置するのではなく、国が別途に
財源措置を講ずべきでありますが、これらの
措置がとられておりませんので、反対理由の第三としております。
次に、超過
負担の解消についてであります。
超過
負担については、国、
地方の
財政秩序を乱すとともに、
地方財政を圧迫するものとして、根本的改革を強く要求してまいりました。
しかし、
政府は、相変わらず後追い
措置に終始し、しかもその額は、きわめてわずかであり、
地方側の要求する十分な
措置とはなっておりません。
また、超過
負担の調査についても、国、
地方がそれぞれ別々に行うために、むだを生ずるとともに意見の対立を生んで、国と
地方が対立する原因となっております。したがって、超過
負担については、公明党が主張しているように、国、
地方、学識経験者からなる調査会をつくり、解消を図るべきでありますが、この
措置がとられておりません。これが反対理由の第四であります。
その他、人口急増地域に対する
特別措置についても、現行
制度は、消防、小中学校の施設のみで、その他の緊急を要する生活
関連施設の
整備についても早急に対策を講じなければなりませんが、こうした
措置が不完全であります。
また、
地方債、補助金等の申請手続の簡素化などについても、前向きの姿勢が見られません。
こうした点に対する誠意ある対策を望むものであります。
以上、
政府原案に対する反対の理由をるる申し述べましたが、自民党、新自由クラブの諸君が、四野党共同提出の修正案に賛成されんことを心から期待して、私の討論を終わります。(拍手)