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1980-04-15 第91回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十五日(火曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 塩谷 一夫君    理事 大石 千八君 理事 中村 弘海君    理事 松野 幸泰君 理事 小川 省吾君    理事 神沢  浄君 理事 小濱 新次君    理事 三谷 秀治君 理事 部谷 孝之君       池田  淳君    小澤  潔君       亀井 静香君    亀井 善之君       岸田 文武君    工藤  巖君       丹羽 雄哉君    河野  正君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       小川新一郎君    斎藤  実君       吉井 光照君    安藤  巖君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 後藤田正晴君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治大臣官房審         議官      川俣 芳郎君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君 委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  八木 俊道君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   田中  収君         運輸大臣官房地         域計画課長   上坂 泰敏君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     森谷 進伍君         建設省道路局国         道第二課長   本山  蓊君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   河野  正君     山田 芳治君 同日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     河野  正君     ————————————— 四月十五日  退職地方公務員共済年金恩給等改善に関す  る請願山田芳治紹介)(第三九八四号)  同外二件(森井忠良紹介)(第四〇三九号)  指定自動車教習所公共性強化等に関する請願  (岩佐恵美紹介)(第四〇三三号)  同(木下元二紹介)(第四〇三四号)  同(工藤晃紹介)(第四〇三五号)  同(寺前巖紹介)(第四〇三六号)  同(不破哲三紹介)(第四〇三七号)  同(三谷秀治紹介)(第四〇三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ————◇—————
  2. 塩谷一夫

    ○塩谷委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。部谷孝之君。
  3. 部谷孝之

    ○部谷委員 実はきょう党の大会が開催されておりますので、私はこれが終わりますとすぐそちらの方へ参りますので、ひとつあらかじめ御了承いただきたいと思います。  ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案に関しまして、順次質問をしてまいりたいと思いますが、すでにたくさんの同僚議員方々からの御質問もございましたし、参考人方々に対する質疑もいろいろ交わされまして、おのずからその合わせる視点というものが大体、どなたも同じようなとろへ視点が合っておるようでございます。したがって、いろいろ重複する面もございますが、質問にはやはり一つの流れというものがございますので、重複いたします点はお許しをいただきまして御答弁をいただきたい、このように思うわけであります。  そこで、後藤田自治大臣お尋ねをしたいと思うのですが、大臣に就任をせられまして最初に直面せられたお仕事がまず、深刻な地方財政危機の中で、過去六年間も連続して深刻な財政危機に見舞われております全国三千三百に及ぶ地方自治体の財源を確保するという大変な仕事であったわけでありますが、五十五年度にとられた財源不足に対する対策、これを大臣自身はどのように御評価になっておられるのか、まずお尋ねいたします。
  4. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 五十五年度予算編成の際に一番気にかかっておりましたのは、五十四年度歳入欠陥が四兆一千億あったわけですから、さて五十五年度はどの程度財源不足にとどまるのかという点、これを一番心配いたしておりました。現状制度でいくならば二兆七千億、こういうことに煮詰まってきたわけでありますが、制度改正等も含めて二兆五百五十億円、こういう財源不足が最終的に見積もられたわけです。  そこでこれをどのように埋めたらいいのだろうか。基本的には私どもとしては、やはり交付税法の本則といいますか、でき得べくんば税率アップということ、これは当然考えたわけでございますが、折衝過程で、るるいままでお答えをいたしておりますように、今日の状況のもとにおいて恒久的なそういう制度に乗るということは困難であろうという判断に立たざるを得なくなったわけです。そこで、それならば一体、この財源不足額を完全に補てんをしなければならない、その際に、どういう補てん方法がいいのかということでいろいろと苦心をしたわけでございますが、これも、結果としてはおおむね半々だと思いますが、交付税の方の借り入れが一兆二百五十億、財源対策債の方が一兆三百億、こういうことに煮詰まったわけでございます。  私自身考えは、財源対策債の方でやるということも、これは大蔵省当局としては財源対策債の方をふやしてもらいたいということが本音ですね。なるほど建設公債を出しても、後になればこれまた地方財政計画の中に入れて、そしてまた手当てしていくということでありますけれども、私が地方へ出て最近の傾向で一番心配をしておったのは、どうも地方団体の物の考え方の中に、地方債というものと歳入と全く同じような物の考え方に立ってきているということを心配しておりました。これはしょせんは借金ですから、財政運営としては避けなければならない。ならば私は、やはり一般財源である交付税の額の方をふやしたい、同時に、これについては、例の附則による五十三年度制度もございますので、この方をできる限りふやしたいということで、事務方の方で鋭意折衝していただいたわけでございます。  そういったことで、御案内のような結果になったわけですが、この評価の問題をめぐってどうだということになりますと、これは本来は、交付税率アップであることが望ましいことは当然だと思いますけれども、こういったことができないということについては非常に遺憾に思います。しかし、結果としてはまずまず私は、歳出の削減を前提にはいたしましたけれども、いずれにせよ、地方団体として自然増収に支えられたという面もございますが、結果としては地方公共団体の五十五年度事業には支障のない程度補てん対策はできたもの、かように考え、同時にまた、財政再建第一歩、これは本当の第一歩だと思いますが、それに踏み出すこともできた、かように私自身考えておるような次第でございます。
  5. 部谷孝之

    ○部谷委員 御苦悩の跡が伝わるような御答弁でありましたが、前にも述べましたように、財政危機に見舞われるようになった原因は申すまでもなく、経済の構造的な変化を背景といたしました低成長時代に入ったにもかかわらず、それに対応する国、地方に共通する財政計画策定を怠ってまいりまして、自主財源の少ない地方に多大の借金財政を強いてきたことだと言えると思います。ところが、五十五年度政府がとられた措置、とろうとしておられる措置、これは残念ながら、これまで何年も繰り返してまいったのと同じパターンを繰り返すということになったのでありまして、今年度もまた場当たり的な措置にとどまっておると言わざるを得ません。  今回の改正案は、これもたびたび議論が交わされたわけでありますが、交付税法六条の三第二項で言うところの地方財政制度抜本改革であると判断していらっしゃるのか、重ねてお尋ねいたします。
  6. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 先般来お答えをいたしておりますように、こういう措置はやむを得ざる暫定措置である、かように理解をいたしております。
  7. 部谷孝之

    ○部谷委員 この六条の三の第二項の趣旨というものは、地方財政を将来とも安定させる恒久的な措置必要性を認めたものでありまして、毎年こうした総額の特別措置をしなければ財源の手当てができないという事態こそ改めていかなければならぬわけでありまして、暫定的な措置からさらに恒久的な措置に転換すべきときが来ておると私は思うのでございますが、重ねてひとつ御意見をいただきたいと思います。
  8. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は部谷さんの御意見にいささかも反論する気はございません。そのとおりだと思います。問題は、それのチャンスといいますか、同時にまた、どういうやり方でやるかという選択の問題であろう、こう思うのです。  先ほどの御質疑にもございましたように、低成長時代になってそれに対応ができてないじゃないか、こういう御意見、そのとおりだと思います。ただ御案内のように、四十八年の第一次石油ショック以後の私どもがとりましたやり方というものは、諸外国とは違いまして、ともかく公債発行によって公共事業中心景気刺激だということで、私はそれなりに成功したと思いますよ。ただ、その結果が借金体質になってしまって、さて低成長というときになると、そのとがめが来ておるというのが今日の姿だと思うのですね。  したがって、それをどのようにこれから解決していくのかというのが私どもに課せられておる大きな課題であろう、それに取り組んでまいりたい、かようなことでございますから、その際に当然、やはり御質問のような地方交付税制度等についても本来のやり方に変えるべきであって、いまやっていることはあくまでもここ当面暫定措置でやらざるを得ないのだ、かような考え方に立っているわけですから、その点は御理解願いたいと思います。
  9. 部谷孝之

    ○部谷委員 そこで政府は今回も、私どもが繰り返し主張してまいったようないわゆる交付税率引き上げ、この措置をとられなかったわけでありますが、聞くところによりますと、自治大蔵両省折衝過程自治省は、交付税率を五%引き上げるような要求をせられたということでありますが、その過程でなぜ断念されたのか、しなければならなかったのか、その点、お尋ねしたいと思います。
  10. 土屋佳照

    土屋政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、五十四年度財源不足四兆一千億に比べまして五十五年度は大体、二兆五百五十億の財源不足と見込まれたわけでございますが、これでも二兆を超える大幅な赤字でございまして、現状から見ますとこのままには放置しておけない、まさにこれは交付税法六条の三の第二項の事態に該当するものという判断に私どもも立ちまして、財政当局ともその交付税率引き上げをめぐっていろいろと議論も闘わし、検討も加えたわけでございます。  しかしながら、たびたび申し上げますように、国、地方を通じまして大幅な財政収支の不均衡という状態が続いておりますし、国におきましても御承知のように、大幅な赤字の中で巨額特例債を発行しておるといったような状況でございます。また同時に、現状というものが非常に将来を予測しがたい、そういった変動期にあるというふうに考えられたわけでございまして、そういった中で、国と地方との恒久的な財源配分方法でございます交付税率の変更を行うということは、なかなか容易ではないというふうに判断せざるを得なかったわけでございます。したがいまして、私どもとしては基本的には、今日このように引き続いての財源不足という状態のもとでは、何とか交付税率についても引き上げを図りたいと思ったのでございますけれども、ただいま申し上げましたようなもろもろの要素を勘案いたしまして、やはりこの際は、五十三年度に法定をされました方式、すなわち、交付税特別会計借入金の返還の実質二分の一は国が負担するということで収束せざるを得なかった、そういったことでございます。  経緯は以上のとおりでございます。
  11. 部谷孝之

    ○部谷委員 さっきからるる御説明がありましたように、五十年代に入って毎年行われ、また、今回も行おうとしておられます地方財源補てん策政府は、六条の三の第二項に違背していないという理解に立っておられるようでありますが、ところが、これはやはり後年度地方負担を残して現段階を取りつくろっておるだけでありまして、制度改正とは私は言えないと思います。制度改正であるとするならば、せめて後年度に負担する分は国が措置するのが当然でありまして、五十年度から五十五年度までの交付税特会借入金に係る元金の償還額、あるいはまた、五十一年度から発行されております財源対策債元利償還金のそれぞれにつきまして、やはり国が補てんしていかなければならない、それが筋道ではないかと思うのですが、そうした措置をおとりになるおつもりがあるのかないのか、その点お尋ねいたします。
  12. 土屋佳照

    土屋政府委員 御承知のように、交付税法六条の三の第二項に規定しております税財政制度改正というものは、これは幅広い選択が許されておるものでございまして、今回とったような措置もその一環であると私ども考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど大臣からもお答え申し上げましたとおり、これが抜本的な恒久的な改善策であるとは考えていないわけでございまして、当面の現実的な解決策と思っておるわけでございます。したがいまして将来、これをどうするかということについては私どもとしても、十分検討もし、早急に改善策を図らなければならないと思っておるわけでございます。  とは申しましても、やはり私どもとしては、六条の三の第二項の趣旨に基づいて、現状を踏まえてとっておる制度でございますから、いま直ちにこの制度を変えるということはなかなか容易ではございません。もとよりこの財源不足というのは、交付税率引き上げとかあるいは全部国が持ってもらうという形になることが望ましいと考えております。しかしながら、この実質二分の一を国が負担するといったような制度をつくりました際は、まあ国の財政状況等先ほどるる申し上げましたような状況等にかんがみまして、結果的にはそういった方法がとれなかったわけでございまして、結局、借入金措置によって補てんをするが、償還金について地方財政負担軽減のために国が二分の一を負担する、そういったことを制度化したところでございまして、こういった経緯から見まして、全額を負担してもらうということは、いまの段階では私どもとしてはなかなか容易ではないと思っております。  しかしながら、残りの二分の一なりあるいは財源対策債償還につきましては、地方税財政制度基本的な改正等によりまして地方財政収支均衡が回復するまでの間は、こういったものは毎年度、各年度地方財政計画策定を通じまして、地方財政運営支障が生じないように適切に補てんをし措置をしていくという考えでおる次第でございます。
  13. 部谷孝之

    ○部谷委員 ただいまの点につきましては、きのうも河村委員大蔵大臣並びに自治大臣との間のいろんなやりとりがございまして、最終的に私どもも何かあいまいなままでありますが、これを繰り返しましても同じことになろうかと思いますので……。  そこで、現時点で一番政府に求められておりますものは、今後どのように財政再建を進めていくかという方針を国民の前に明らかにすることであると思います。同時にまた、一番必要なことは、国、地方を通ずる財政効率化合理化だろうと思うわけでありますが、自治省といたしまして、地方財政をむだのないようにするためにどのような措置をとろうとせられるのか、この点、お尋ねをいたします。
  14. 土屋佳照

    土屋政府委員 毎年度巨額財源不足を生じ、膨大な累積赤字を抱えております地方財政状況を打開いたしまして、健全化を促進いたしますためには、まず私どもとしては、国、地方を通じて行政簡素合理化を図ることが必要だと思っております。そのためには、歳出全般について見直しを行いまして、行政機構簡素合理化とか、あるいは職員数の適正な配置と申しますか、増加についても抑制を考えなければなりませんし、あるいはまた、事務事業についても全般的に見直しをいたしまして、いろいろと言われておりますけれども地方団体自身としても、いわゆるゼロベース方式とかサンセット方式とかいったようなこと等も含めて効率化ということを考えなければならないと思います。また、経常経費節減合理化についても当然のことながら、必要な措置を講じなければならないと思っておるわけでございまして、このことは、地方財政計画策定に当たりましても私ども特に留意したところでございますが、今後とも地方団体に対して機会あるごとに、趣旨については徹底を図ってまいり、お願いもしたいと思っておるわけでございます。  また、その地方団体行政簡素効率化歳出節減合理化を実現いたしますためには、もちろん国におきましても、たとえば許認可事務整理等事務配分合理化もしていただく必要がございます。あるいは、国庫補助負担金整理合理化ということにも積極的に取り組んでもらいたいと存じます。また、地方出先機関整理統合あるいは法令整理といったような措置を積極的に推進をしますとともに、私どもとしては、地方団体財政負担の増とか職員増とか機構の新増設につながるような施策は厳に抑制する必要があると考えておりまして、そういったことで、国、地方を通じてできるだけ体質改善を図っていかなければならぬと思っておるわけでございます。  もちろん、それのみで解決ができるわけではございませんし、地方財政のむだを省き体質改善をしながら、結果的には地方自主性というものをどうしても強化しなければならない。そういった意味では、全般的な行政のあり方を見直す中で、地方税なり地方交付税等一般財源の充実、拡充強化といったことを考えていかなければ、いわゆる地方時代に対応するような態勢はできないというふうに考えておりますが、さしあたってただいま申し上げたような各方面にわたって、私どもとしても地方団体十分相談をしながら合理化を進めていきたいというふうに考えております。
  15. 部谷孝之

    ○部谷委員 そこで次に、行政改革の問題についてお尋ねしたいと思います。  政府は、去年の末に行政改革推進について閣議決定をいたしまして、それに基づいて五十五年度行政改革が行われることになったわけでありますが、この行政改革案の作成の段階自治大臣としては、行政改革というものをどういうふうに判断され、あるいはどう対処してこられたのか、また、この行政改革案をどのように評価をしておられるか、まずお尋ねいたします。
  16. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まず、いま政府が進めております行政改革をどのように評価をしておるかということでございますが、行政改革仕事というのはなかなか厄介な問題でございます。新しい役所をつくるといったような改革でも、一内閣の運命をかけなければできないぐらいのものである。いわんやそれを削減するということになれば、なおさら大変なむずかしい問題であろうと思います。そういったことを頭に置きながら、今日政府が進めておる行政改革については、いろいろ御批判はあろうけれども、私はそれなり評価をしていただかなければならぬことではなかろうかな、かように考えておるわけでございます。  そこで、政府がいま進めておる行政改革でございますが、一つは、特殊法人整理合理化、それと、末端の国の支所、出張所等整理、それから、近く国会で御審議願うことに予定いたしておりますブロック機関整理再編、同時に、許認可事務見直し法令整理補助金合理化定員管理、こういった各般の施策を進めているわけでございますが、自治省としましては、本来行政改革というのは、いま政府が進めておるのもそうなんですが、やはり国と地方を通ずる行政改革でなければならぬのだ、こういうことで、自治省としては、国の方針に歩調を合わせながら地方行政改革についても取り組んでいこう、こういう心組みで進めておるようなわけでございます。御案内のように、府県単位機関整理であるとか、あるいは地方事務官の問題であるとか、あるいは機関委任事務の問題であるとか、あるいは許認可事務が大変複雑になっておりますので、これらの整理はさらに一層、国もそうですが地方もやらなければならない。補助金整理は、これはもう当然地方との絡み合いが出てくるわけですから、これらについても地方の立場に立って整理合理化を進めてまいりたい、かようなことでいま取り組んでおるわけでございます。  ただ私は、この行政改革についての基本を踏み外してはいかぬ、こう思っているのです。それは、国、地方を通ずる問題だと、これを忘れてはいけません。それともう一点は、行政改革というのは、いま器減らしということをやっておりますが、基本事務事業見直しなんだ。事務事業見直して、どの事務は国だ、どの事務は県、どれは市町村、またどういった仕事は国の外郭団体地方外郭団体。同時にまた、民間に任せたらいいじゃないかという仕事だって幾らもあると思います。こういった事務事業見直しということを基本考えていかなければいかぬ、かような考え方のもとに私どもとしては今後とも推進をしてまいりたい、かように考えております。
  17. 部谷孝之

    ○部谷委員 次に、地方出先機関についてお尋ねいたします。  三月の末に政府閣議決定をされました「地方支分部局整理再編成について」、これはどういうふうにお考えになっておるか、お尋ねいたします。
  18. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 出先機関の場合には、一つブロック一つ府県単位に分かれると思いますが、ブロックの万は近く国会の御審議を願うという方針に決まっております。県単位のものにつきましては、これは六月末までに案を出すということでございますが、やはり何といっても、身近なところの行政仕事は身近なところの役所、つまりは市町村あるいは県、つまり地方団体で処理すべきものだ、私はさように考えております。したがって、そういう物の考え方で対処していきたい。ただ、いま国の出先機関がたくさん県単位の中にございますが、これもまあそれなりの存在の理由があって今日に至っているわけですから、各省としてはなかなかこれは抵抗の強い問題だと思います。しかし自治大臣としては、行政改革をやる以上は県内機関なんというものは、これはいまも府県なりあるいは市町村等意見、といいますか、これらについての考え方を、世論調査というわけでもありませんけれども、去年の七月か八月ごろに意見を求めまして、大体まとまりつつあるわけです。それらも、まだ最終の案を私読んでおりませんけれども、口頭の説明を聞くと、やはりこれは困るといった意見が多いのですね。したがって、そういうような基本の物の考え方に立って、政府部内において主張すべきものは主張をして、できる限りこういうものは府県あるいは市町村にやらせるといったような考え方で臨んでいきたい、かように考えております。
  19. 部谷孝之

    ○部谷委員 行管お尋ねいたしますが、今回政府案が決定されるに際しまして一部の自治体から、出先機関を廃止しないでほしいという猛烈な反対陳情があったというふうに聞いておるのですが、その内容はどういうものであるのか、また、そういう陳情が出てきた原因、これはどういうところにあると考えておられるのか、まずお尋ねします。
  20. 八木俊道

    八木説明員 お答え申し上げます。  今回のブロック機関整理につきましては何分、昨年の暮れの閣議決定方針以来着手した短期間の仕事でございまして、特に本格的な立案に入りましたのは三月に入ってからでございます。三月に入ってからただいま御指摘のとおり、各地方自治体を初め地元の議会関係等、あるいは各団体、非常に多数の陳情、御要望をいただいたことは事実でございます。たとえて申しますと、大蔵省の財務局でございますとかあるいは農林水産省の営林局の問題、あるいは運輸省の海運局の問題等、閣議決定に掲げられております十省庁のほとんど全部にわたりまして、地元の行政に不便がないように、こういう趣旨の御陳情、あるいはまた、行政サービスに不必要な支障を生じないように、こういう趣旨の御陳情、あるいは職員団体等からは、身分の安定が損なわれる、こういった御陳情があったことは事実でございまして、こういった御陳情、御要望につきましては一つ一つども、ものによりますと大臣、ものによりますと局長とか、いろいろなランクで御陳情いただいたわけでございまして、それぞれに応じまして十分検討させていただいたわけではございますけれども、全体的な見地から若干の機構簡素化措置はやはりとらしていただく、こういうふうに考えた次第でございます。ある程度の御不自由をおかけするのは場合によってはやむを得ないけれども、それが行政上非常に大きな問題を生ずるということであってはならないという考え方で、立案を進めてまいったような次第でございます。
  21. 部谷孝之

    ○部谷委員 出先機関が二重行政、二重監督、そ、うした弊害をもたらしまして、地方行政行政運営事務処理の簡素合理化を阻害しておるのでありまして、そういうことにつきまして全国知事会などからも常々指摘されてきたところです。逐次その整理縮小を図るべきである、こういうふうに知事会の方からも提言してきておるのでありまして、つまり、国の出先機関整理縮小については知事会も積極的な推進の立場をとってきたのでありますが、今回政府案に対しまして、地方のそうした公共団体が反発をいたしましたのは、地方団体意見政府案に十分反映していなかったからではないかと思うのであります。地方団体とそうしたことが十分理解されるような折衝がされたのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  22. 八木俊道

    八木説明員 御答弁いたします。  先生御指摘のとおり、地方団体からはさまざまな御要望、御意見がございまして、その内容につきましては私ども大臣中心に従来からいろいろ検討を進めてまいったところでございます。また同時に、自治省その他関係省庁とも協議は重ねてまいったわけであります。全般的にはある程度御要望の線に沿いまして、全体の機構簡素化を無理なく、かつ合理的なものにするように努めてまいったわけでございますが、各地元との具体的な関係ということになりますと、これはいわば個別の問題でございますので、地元との具体的な折衝という点につきましては多くの部分は、それぞれの機関を所管されますそれぞれの省庁におきまして御努力を願ってきた、こういうことではなかろうか。若干のあつれきがなかったとはあえて申しませんけれども、おおむね合意を得て閣議決定に至り、間もなく法案として取りまとめたい、こういう段階に至っているわけでございます。
  23. 部谷孝之

    ○部谷委員 それでは、いまの出先機関の問題につきまして今度は、自治省の方にお尋ねをしたいと思うのです。  国の出先機関についてはわが党は、現業関係を除いて全廃すべきであるという主張を実はしているわけであります。したがって、たとえば問題の九州の財務局は、北と南が南北戦争をやるのではなくて、これはもう全廃すべきである、こういうふうな観点に実は立っておるわけです。今回の政府案のように、機能をそのままにしておいて、こっちの方は残す、あっちをつぶすというふうなやり方では、不便になるわけでありますからつぶされる方が反対するのは当然だと思うわけであります。したがって、出先機関が持っておる権限を地方に移譲するという形で行政改革を行うことによって初めて、政府の行革に地方分権の視点を持たせることになると思うのでありますが、この点につきまして大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  24. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は部谷さんのお考えに反対でありません。そういう考え方がいいと思います。ただ問題は、私が御賛成申し上げるのは、いまから全体の役所を白地の上にかいていくということであればそういう考え方がいいと思います。しかし現実には、長い歴史的な経過があり、そこには何万、何十万という職員がおる、同時に、それに土地の人もなじんでおるのだといったような現状の上に立っての解決ということになれば、部谷さんのおっしゃるように、ブロック機関も全部やめてしまえというわけにはいかないのではないのか、そこはやはり改良主義的な物の考え方でやるのが現実的な改革方針ではなかろうか、私はさように考えるわけでございます。  同時に、先ほどの御質問の中にもございましたが、これは看板の塗りかえみたいなことになりがちです。それではあかんです。やはり実体が行政組織の簡素効率化につながるようなものでなければならぬ。看板だけはかけかえたけれども中身はちっとも変わってないというのでは、やらぬ方がよろしいというくらいに私は考えます。そこらはこれからのできばえを見ていただく以外方法はないのじゃなかろうかな、かように思います。  それからもう一点は、南北戦争と言われたあれに見られるように、地方団体にも考えを少し直してもらわなければならぬ点があると思うのです。個別に地方団体のいろいろな意見をとりますと、国の機関は全部地方団体に任せてもらいたい、こういうものはやめてもらいたいという意見が非常に根強いのです。ところが、それが具体的な個別の問題になってくると、町の格に影響するとか、県の格に影響するとかというようなことで、今度は置いてくれという陳情をなさる。一体どこに見識があるのだという気が私はしますね。ここらは総論賛成、各論反対では困るのだ、国民のサイドに立って行政機構をどうするのだといったことをもう少し考えていただきたいなという気がいたします。  しかし、それの裏をさらに見てみますと、これはまた中央官庁にもけしからぬ点があると私は思う。というのは、中央官庁が反対運動をやらしておるのです。また、それに応ずる地方団体も、そこは物を考えていただかなければならぬな、こう思うのです。あるいは組合関係の方も同じですね。こういったようなことが実際は行政改革を今日困難にしていると思いますね。しかし、財政状況がここまで来れば、いろいろな事情はよくわかるけれども、改良主義的な物の考え方に立ってなすべき行政改革はやらなければいかぬのじゃないか、私はそういう見地に立って今後とも対処していきたいと考えております。
  25. 部谷孝之

    ○部谷委員 それでは、出先機関の問題はこれで終わりまして、補助金の問題に入りたいと思います。  政府は、五十五年度の予算におきまして補助金整理合理化検討されまして、その成果を大きくアピールしておられます。補助金整理合理化財政の再建に不可欠な見直しであることはもちろんでありますが、何よりもまず、自治体の物別陳情合戦がこれに拍車をかけ、事務手続を複雑にし、過大な超過負担によって自治体の財政を圧迫するとともに、自主的な行政運営を大きく阻害しておる補助金行政の弊害を断ち切ることを、最大のねらいとしなければならないことは当然であります。  それで、ちょうど四月十四日の朝日新聞の夕刊に囲み記事が出ておったのでありますが、それには、地方制度調査会におきましても何度か行政改革推進の答申をしてこられた、そしてふたをあけてみると、政府行政改革は全く同調査会の期待に沿わない内容であった、がっかりした。答申の趣旨は要するに、地方に権限と財源を渡せということに尽きるわけでありますが、これを実現する上で最も障害になっておるのが補助金制度である。国は地方に対して金も出すし口も出す、そういうことで、地方自治体は各省庁の縦割り補助金でがんじがらめになっておる。こういうことについて先般、調査会の席上で岡山県知事と官房長官との間で何か激しいやりとりがあったようでありますが、長野さんのおっしゃるのは、「昨年の十七号台風被害で、二百四十八億円の査定額を出すのに職員が延べ七千六百人、三十九日間かかった。建設省や農水省などが一件十五万円程度のものでも査定をするからで、さらには大蔵省がこの省庁査定の監督に来る」、こういうことである。それで、県に任せて、違反があれば罰金を取る、そういうふうなシステムをとったらどうかという提言といいますか意見を述べられた、こういうことだったそうであります。  こうした補助金の問題につきまして大臣は、どのようにお考えになっておられるのか、補助金整理合理化についてどのような主張をしておられるのか、お尋ねをいたします。
  26. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 長野君のあのときの御発言は、補助金行政の極端な悪い一面を指摘をして、是正をすべきであろう、こういう御発言だったと思います。これは事実に基づいた御発言ですから、こういう点はやはり直さなければならぬと私は思います。しかし、御承知のように補助金というのは、国の施策推進するために設けられているわけでございますから、補助金そのものは結構だ、補助金は性悪のものではない、私はそう考えます。  その基本的な物の考え方に立ちながらも今日、それじゃ補助金がそういった本来の目的どおりに効率を上げてやられておるかといいますと、そうでない弊害がたくさん出ております。もはや補助金を廃止してもいいような仕事にまで補助金が出ていることがございますし、また、余りにも細かくて、局ごとの補助金じゃなしに係ごとに補助金を持って、それで過剰介入をやっている。しかも零細補助でどうにもならぬ。あるいは、いまのような査定事務をめぐって膨大な、大変な労力を要しているのですね。そういったような補助金に伴う弊害がございますから、そういうものは整理統合したらどうだろう。仕事がなくなったものは当然の話で、なくすればいいのですが、仕事が残っておっても、地方に任していいものであるならば、これは一般財源に振りかえればいい問題ではないのか。同時にまた、補助金に伴う事務をもう少し簡素合理化をしたらどうだ。そこで、余りにも細分化しているようなものについてはこれはメニュー化したらどうだ、補助金の統合化あるいはメニュー化、こういう方針でやるべき筋合いであろう。  そこで、大蔵省の方はことしから、いま補助金はたしか細目で三千八百くらいございますが、それをこの四年間で大体千件ぐらい整理しよう。というのは、これは統合、メニュー化に向かわざるを得ないんだろうと思います。もちろん、なくするものもあると思いますが、そういうようなことで、補助金合理化にも踏み出しておりますから、私どももこういった方針には賛成でございまするので、補助金行政改革合理化はこういった線で、まず要らざるものを廃止をする、残るもので、地方一般財源に振りかえていいものは一般財源に振りかえてもらう、同時にまた、余りにも細分化しているものはメニュー化するあるいは統合化していく、こういう方向で改革に順次手をつけていきたい、こう考えております。
  27. 部谷孝之

    ○部谷委員 メニュー化の問題はちょっと後でまたお尋ねをいたしたいと思いますが、こうした補助金の廃止するべきものは廃止する、そして類似のものは統合していく、こうした方法をやらなければならないことは当然でありますし、また、六団体からも常々そういう指摘、要望がされてきておるところであります。  それで、五十五年度に統合されております補助金の件数、それから総額、そうしたものについては自治省としてはどのような把握をしておられるのか、また、自治省としては地方団体の立場に立って、こうした六団体が要請しておるような補助金整理合理化に対してどのように取り組んでおられるのか、お尋ねをいたします。
  28. 土屋佳照

    土屋政府委員 補助金制度ができました背景にはいろいろな経緯があっただろうと思います。しかしながら、先ほどからいろいろ御指摘がございましたように、いろいろな弊害もあり問題もあるわけでございます。そのためには、統合、メニュー化ということがどうしても必要であると私ども思うわけでございますが、多岐にわたっております補助金の詳細については私ども承知しておりませんが、ただ、いま仰せになりました統合化という点だけにしぼって見ますと、大蔵当局の説明によりますと五十五年度におきましては、四十六件の補助金を三十三件に統合をした、差し引き十三件の減というふうに聞いておるわけでございます。もちろん、スクラップ・アンド・ビルドといった形でのものは大変たくさんあるわけでございます。似たようなものを統合するという形では、いま申しましたように十三件の減ということでございます。それがどの程度額が減ったかということはよくわかっておりませんが、三十三件に減った結果、全体としては千四百億円だと聞いております。どれだけ減ったかというような形では承知をしていないわけでございます。  それから、自治省としてのこういった問題に対する態度はどうかということでございますが、先ほどから大臣が申し上げましたように、国庫補助金につきましては、地方団体自主性の尊重といった点、あるいは資金の効率的な使用といった点、あるいは事務の簡素化といったような見地から従来から、その整理合理化には努力をしてまいったわけでございますけれども、今後とも昨年末の閣議で決定されました補助金等の整理合理化計画にのっとりまして、補助金等の統合、メニュー化等を含めて積極的にこういった方向で推進したいと思っております。  特に御指摘のございました六団体あたりでも、たとえば一般行政費に係る国庫補助につきましては、適切な行政水準確保のために法令等で一定の水準を設けておけばいいのであって、あとは地方仕事をやらせて一般財源化したらいいではないか。あるいは、奨励的な補助金であって、すでにそれらの事務というものが地方に同化、定着しておるといったようなたぐいのもの、これも地方に任すべきである。それから、零細補助金というのはもちろん廃止すべきである。そういった形の中で仕事地方に譲り、そしてそれに対応する財源地方一般財源として渡すべきである、こういった主張もございますが、そういった点については私どもも同感でございます。そういったこと等も含めて今後とも、全般的な整理合理化を通じて、全般的な国庫補助のあり方ということを模索をし、そしてその方向へ持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 部谷孝之

    ○部谷委員 五十三年十一月に知事会からの要望といたしまして、農村婦人の家だとか、老人福祉センターだとか、地方文化施設あるいは児童館、公民館、そうしたものの施設の補助金を一本化して、コミュニティー施設の総合補助金として交付してほしいというふうな要望が出たやに聞いておるのであります。自治省は、そうしたことに関連をいたしまして概算要求で、同様の趣旨補助金を要求したけれども、それが実現していないというふうに聞いておるのでありますが、これは今後どういうふうな対応をしていかれるのか、お尋ねいたします。
  30. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 実は地方自治制度が確立をいたしまして、その後の地域社会のいろいろな変化がございました。経済の高度成長に支えられながら、あるいは大都市の人口の集中とかそういうことがございまして、一時地域社会の崩壊という言葉が出たぐらいにいろいろな意味での人間の連帯関係というのは崩れてまいりました。そういう中で、地域的な連帯感に支えられた地域社会というものを形成しなければいけないだろうということがほうはいとして出てまいりまして、それに従いましてコミュニティーというものをつくろうじゃないかという話がここ十年来出てまいったわけであります。  自治省といたしましても、実はいち早くこれにつきまして、モデルコミュニティーというものの創設にかかったわけであります。そこで、このモデルコミュニティーの創設にかかった段階から考えますと、自治省といたしましては、行政の任務はみずからこれにタッチはしまい、要するに住民の盛り上がる力を背景にしながらコミュニティーをつくっていこう、そういう形での御協力を申し上げて、八十三のモデルコミュニティーをつくったわけであります。これがいろいろ各市町村に広がりまして、現在では千九百の市町村でこのコミュニティーがつくられている形になっております。  結局、これは先ほど申し上げましたように、地域的な連帯感というものを軸にしながら、そこに住む人たちの共同の意見の場をみんなで持ち合おうという形から出たものでありまして、そういうことから考えますと、子供から老人に至るまでいろんな施設を共通に使える場というものをつくってやることが大変大事だということのために、コミュニティーの施設を整備してやることがこの際、連帯感をさらに深める上で有効なものであろうということで、実は予算要求いたしたわけであります。特に都市にこういう問題が多うございまして、そこにおける連帯感を深めていくために多目的な施設が必要だ、しかもこれは多様な問題に対応できるようなものでもなければならぬだろうということで、このコミュニティーの施設の創設を実は予算要求いたしたわけであります。  この問題につきましても大蔵省とずいぶんいろいろやりましたが、ことしはいろいろな補助金整理等の問題がございまして、一応日の目を見るに至りませんでした。今後ともこのコミュニティーの総合的な施設というのは、多様な目的に対応できるという意味でわれわれとしても地域的に大変重要な施設だと思っておりますので、来年度もまたこのような施設についての要求をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 部谷孝之

    ○部谷委員 念を押すような意味で、ちょっと手元に具体的な例がありますので例示してみたいと思うのです。神奈川県の厚木市の例であります。  これを見ますと、五十二年度に予算がつけられたものに老人福祉センターがあります。厚生省所管で、一億五千八百二万円の事業費に対して国庫補助が千四百四十四万円、九・一%、それから依知公民館は文部省の所管で、総事業費七千二百七十万円、国庫補助が一千万円で一三・八%、荻野公民館も文部省所管でありますが、総事業費六千七百五万円に対して国庫補助が千三百万円、一九・三%、五十三年度は、厚木市民文化会館、これは文部省の所管でありまして、総事業費二十四億五千万円に対して七千万円、二一九%、こうした類似の補助金が別々に交付される。補助率もばらばらで、いま申しましたように三%以下というふうな補助率のものもある。  ところが実際にそうした補助を取る段階で、たとえばいまの厚木市民文化会館、この文化会館の名称について、これは厚木であったわけではないのですが、和歌山の方でもって、文化という名前をつけるつけないでえらい論争が行われたと言う。三%程度補助金をもらうのにそんな大変な騒動をしてやっておるわけでありまして、こうした問題を早く総合的な補助金化ということにしていかないと、行政のむだを省くことはできないと私は思うわけであります。これは御答弁を要しません。  そこで、先般本会議におきまして、この交付税法の一部改正案が提案されたときに、わが党の永江議員から質疑が行われたわけでありますが、その中で、「従来から、自治成長を阻害し、中央依存の風潮を助長し、国による画一的な行政地方自治体に強要している国庫補助金のうち、少なくとも普通建設事業費にかかわる補助負担金分を第二交付税として地方に一括交付すべきではないか」、こういう質問をいたしております。そのときの総理の御答弁は、にわかに賛成いたしますという、何とも意味のとれない答弁がありまして、議場が一時騒然となったのですが、実際は、にわかに賛成いたしかねますということの言い違いであったということで了解をされたわけでありますが、ふだんから第二交付税構想に対して評価しておるから、あの場で案外本音が出たのではないかというふうにも思えるわけでありますが、自治大臣といたしましては、第二交付税をどのようにお考えでございましょうか。
  32. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 先ほど言いましたように補助金というのは、やはり特定の施策推進するという積極的な意味合いは評価しなければならぬ、私はこう思っているのです。そういったことを考えまして、また総理と同じですけれども、第三交付税というのはにわかに賛成をしがたい、これはやはりその前提に事務配分等の問題もございますから、そこらもよくにらみ合わした上で考えなければならぬ問題であろうと思います。ただ、補助金についての弊害面はありますから、それの改革は先ほどお答えいたしましたように、将来とも検討してまいりたい、かように思います。
  33. 部谷孝之

    ○部谷委員 いま公務の能率化、それから公務員の綱紀粛正が国民の世論として高まっておるわけでありますが、去年の夏、住民の目を隠れて支給されるいわゆるやみ給与、九億円に上るやみ給与が千葉県の銚子市で発覚したのをきっかけといたしまして、栃木県の中小都市がずらっと、それから、大きいところでは横浜が一人年一万六千円を全職員に支払ったというやみ賞与の問題、あるいはまた、千葉県の市川市の遅刻早退黙認のいわば不当な給与の払い過ぎ、これが三十億、その他根拠のない超過勤務手当、あるいは常識に外れた特別昇給、架空の研修費というふうなものが各地の自治体で明らかになったわけであります。  自治省の去年の調査によりますと昭和五十三年度において、自治体汚職が百三十二団体で発覚し、その関係職員は二百八十八人にも及んで、団体数、関係職員数ともに前年度を大きく上回りまして、職員数では約四分の一も増加しておる、このような事態になっておるわけでありますが、こうした事態に対しまして、自治省としてはどのように対処してこられたのか、まずお尋ねをいたします。
  34. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 御指摘のように、一部の地方公共団体におきまして、違法または不当な給与の支給とかあるいは空出張等の不正経理、勤務時間、休暇等の乱れというようなものが指摘をされまして、住民の批判を招いておりますことにつきましては、私どもといたしましてもまことに遺憾に存じている次第であります。  違法または不当な給与の支給とかあるいは空出張、空超勤というような不正経理の問題につきましては、昨年も二回にわたりまして通達を出しまして、その中で、具体的な事項も示しましてその適正化について強く指導をいたしております。また、予算の不正経理等につきましても、再点検を行ったり、内部監査の徹底を期するように特に注意を喚起しておるわけでございます。それから、勤務時間とか休暇等につきまして、服務規律に乱れがあるということで御指摘を受けているわけでございますが、この点につきましても、地方公務員の勤務条件につきましては基本的には、国家公務員の勤務条件に準ずるという制度基本的なたてまえになっておりますので、その適正化を行うように、これについても指導をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった給与の適正化とかあるいは勤務時間の厳正化というようなことについては、これは地方行政というものについて住民の信頼というものを得ていく上で非常に大事なことでございますので、私どもといたしましては、そういった観点に立ちまして、今後ともさらにその徹底を期するように厳正に指導してまいりたいというふうに存じております。  それから、不祥事件についての御指摘があったわけでありますが、いま数字を挙げて御指摘ありましたように、五十三年度もそういった不祥事件が起きておりますことについては、まことに遺憾に存じておる次第でございます。こういったものを防止するということについては、これは何といいましても、職員一人一人の個人の自覚というものにまつよりはかないわけでございますので、そういった観点から自治省としましては、各地方団体におきます汚職の状況とか、あるいはそのためにとられた措置とか、どういったところからそういう問題が起きてくるかというようなことを具体的に分類をしまして、そういったものを各地方公共団体に流して注意を喚起いたしますほか、研修会等を利用いたしまして指導助言をするというようなことをいたしております。そういうことのほか、組織機構の整備とかあるいは人事管理の適正化等につきましても十分留意をして、こういった不祥事件が発生することのないように任意をいたしておりますが、今後ともさらにその徹底を期してまいりたいと考えております。
  35. 部谷孝之

    ○部谷委員 このやみ給与につきまして、特別交付税によって制裁措置——制裁でない、いろいろ議論がございましたけれども、そうした措置が行われたように聞いておりますが、その特別交付税措置をされたやみ給与というのは一体何を指すのか、やみ給与の定義をひとつお示しをいただきたいと思います。
  36. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 やみ給与というのは、私ども使っておる言葉ではございませんで、いわゆる報道関係等でそういう言葉が便宜使われておるわけでございますが、いろいろその内容は複雑でございますが、大きく分けますと、一つは、これは給与というのは条例に基づいて支給をしなければならない、こういうことになっておりますが、そういう給与条例主義に反して違法に支給されているものがございます。それともう一つのグループといたしましては、形式的には違法とは言えないにいたしましても、いわゆる国家公務員その他との均衡原則に違反をいたしまして不当に給与を支給しておるもの、こういった二つのグループがあるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  37. 部谷孝之

    ○部谷委員 条例に基づかないものと国家公務員との均衡を外れておるもの。そういたしますと、期末、勤勉手当以外に何か出されておる、あるいはまた、他の費目で出されておる、そういうものを指すわけですね。
  38. 土屋佳照

    土屋政府委員 定義につきましては公務員部の方から、現在一般に言われておるやみ給与について申し上げたわけでございますが、特別交付税との関連がございましたので、今回私の方から御答弁申し上げますが、現在この特別交付税に関する省令に基づきまして、国の支給割合を上回って支給されております期末、勤勉手当、それと、実質的にこれらに相当する給付、いわゆるプラスアルファについて特別交付税算定上減額対象としておりますが、この場合に、期末、勤勉手当について条例で国の支給率を上回る支給率を定めておるという形態ではなくて、たとえば時間外勤務手当とか研修費とかあるいは特殊勤務手当等の名目で支給しておりますもので期末、勤勉手当の上乗せと見られるべきような給付についても、実質的に期末、勤勉手当に相当する給付ということで、私どもは減額対象にしておるわけでございます。やみ給与の定義は必ずしも明らかでございませんが、ただいま申し上げたようなものが一般にやみ給与と呼ばれておるものと考えておりまして、そういったものを減額対象にしておるということでございます。
  39. 部谷孝之

    ○部谷委員 そこで、実態調査というのをやられたのかどうか。実際にやられたとすれば、その結果をひとつお示しをいただきたい。一説によりますと、やってみたが途中で手を上げてやめてしまったというふうにも聞いておるのですが、その辺の事情はどういうことなんでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
  40. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 特別交付税の減額ということに関連をいたしまして、毎年九月末とそれから十二月末現在で二回にわたりまして期末、勤勉手当の超過支給、つまりプラスアルファの状況について調査をいたしまして、その結果に基づいて減額措置を行う、こういうふうにしておるわけでございますが、昭和五十四年度におきましても、例年と同様の方法で調査をいたしまして、減額のための資料としておるわけでございます。特に昭和五十四生度におきましては、ただいま御指摘がありましたように、いろいろと違法給与の支給等の問題が出まして、新聞等でも報道されたわけでございますので、私どもといたしましては、名目のいかんにかかわらず、期末、勤勉手当の超過支給と同様に考えることができるものについては、この調査の中で報告するようにということを指導したわけでございます。  その結果といたしまして、今回の調査におきましては、国の期末、勤勉手当の支給割合を超えて期末、勤勉手当を支給しておるものとか、あるいは、時間外勤務手当、研究研修費、互助会補助金、特殊勤務手当といったようないろいろな名目で全職員に対して一律に支給をしておる、期末、勤勉手当に一律にその期末、勤勉手当の支給時期にあわせて支給しておるというようなものがあったわけでございます。そこで、そういったものの中には、もちろん五十四年度以前にもこういったものが含まれておるものもあったわけでございますが、今回の五十四年度におきましては、五十三年度までそういった報告のなかったものも含めて、結果的には交付税の方では五十五年三月分でそういったものの減額措置を講じた、こういうことにいたしておるわけでございます。  なお、調査の件でございますけれども、報告の中で、法律、条例の規定に基づかないで支給されている給与の中には、期末、勤勉手当の超過支給とは必ずしも言えないようなものも実は含まれておりまして、そういったものについても私どもとしては、今後の指導をしていく関係から資料としていただいておるわけでございますが、いま申し上げましたそういうプラスアルファ的なものでないと見られるものにつきましても、今後それをどういうふうに指導していくかということで現在その調査を取りまとめ中でございます。途中でやめたとかいうようなことではございませんで、現在そういった調査を取りまとめておる段階でございます。
  41. 部谷孝之

    ○部谷委員 やめたのではなく取りまとめ中だということでありますから、遠からすその結果が出てくると思いますが、私どもが心配をいたしますのは、中途半端なやり方では逆に今度は正直者がばかをみる、そういう結果になるおそれがあると思うわけでありまして、今後またそうした問題が発覚しました場合にもさらに措置をとられるのかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  42. 土屋佳照

    土屋政府委員 申し上げるまでもなく、特別交付税地方団体の共有の財源でございます。その配分は衡平でなければならないわけでございまして、財源的に余裕のあると見られる団体については減額措置をとっておるわけでございます。今後いろいろ調査の中で、衡平を期する上から明らかになった場合は、それに対しては当然適切な措置をしてまいりたいと考えております。
  43. 部谷孝之

    ○部谷委員 それから、現在の公務員の年齢構成とポストとの関連から、いわゆるワタリということが行われておるわけでありますが、職員の給与というものをガラス張りにいたしまして、住民の納得を得ながら公務員給与のあり方、こういうものについての構造的な要因にメスを入れていく必要があるのではないか。ワタリということは何か少し後ろめたいようなそんな感じを持たせる言葉でありますが、そうしたことについて御見解を伺いたいと思います。
  44. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 職員の給与につきましては御承知のように、職員の職務と責任に応じて給与を決定していくという職務給の原則というものが地方公務員法で定められておりまして、それを具体的にどういうふうにするかということにつきましては、給与条例に基づいて定めますたとえば人事委員会の規則等で標準職務表というものをつくりまして、どういう職務については何等級何号俸の給与を支給するかということを決めておるわけでございます。このワタリというのは、そういう原則に反しまして、違法または不当な形のものであるというふうに私ども考えております。したがいまして自治省としましては、ワタリというのは給与の適正化という観点からぜひやめなければいけないということで強く指導しておるわけでございまして、この職務給の原則に立って条例で定められた内容に従って給与決定をしていくならば、こういうワタリというものはなくなるというふうに私ども考えるわけでございまして、そういう意味で、御指摘のような観点で私どもはさらにこの点について指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  45. 部谷孝之

    ○部谷委員 いまの問題は、いまの職員構成、つまり、ちょうちん型あるいはたる型と言われる職員構成の方に大きな問題があるわけでありますから、したがって私は、先ほど後ろめたいという言葉を使ったけれども、そういうことのない給与体制をつくっていかなければならぬということを主張しお尋ねをしたわけでありますので、これは要望にとどめておきます。  最後に、新広域市町村圏計画、これについてお尋ねをいたします。大分時間が迫ってまいりましたので、十分なお尋ねができないかもしれませんが、時間の続く限りお尋ねしてまいりたいと思います。  新広域市町村圏計画についてお伺いするのでありますが、従来のいわゆる広域市町村圏構想にかわって五十四年度からスタートした新構想、五十五年度においてはこれに対してどういうふうな予算措置がされたのか、お尋ねをいたします。
  46. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 昭和五十五年度におきましては、五十四年度に引き続きまして、新広域市町村の計画の策定に必要な経費の一部について補助金を交付することにいたしております。ただ、その内容を充実させることにいたしておりまして、広域市町村圏の中核となる施設の具体的計画の策定に要する経費の一部を補助することといたしました。具体的に申し上げますと、いままで新広域市町村計画策定補助金というのが一つでございまして、その中に、新計画策定分というものだけを組んでおったわけですが、今回、この新計画策定分三億のほかに、施設計画分一億八千万というのを組んでございます。合計して四億八千万円を予算計上いたしたわけでございます。
  47. 部谷孝之

    ○部谷委員 いまお示しのように予算といたしましては、計画策定費の補助といたしまして四億八千百万円、これだけがついておるわけでありますが、概算要求の段階ではそれにプラスいたしまして、大規模複合施設整備費の補助といたしまして三十億百万、それから大都市周辺地域振興整備事業費の補助といたしまして十四億、約四十四億円の要求をされたわけでありますが、最終的にはいま申しましたように、計画策定費だけになったわけであります。そうすると、具体的な事業はいつからどう進めていかれるのか、そうした内容についてお尋ねをしたいと思います。また、これらを含めまして新広域市町村圏計画を進めるに当たりまして、今後財政措置は一体どのようにされるのか、この点についてお尋ねいたします。
  48. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、昭和五十五年度の予算要求の段階では、三十億と十四億の要求をいたしました。しかし、ことしは大変財政状態の厳しい年でもございまして、一挙にこれを予算に計上するのは大変困難でございました。そこで先ほど申し上げましたように、大規模な複合施設というものをつくる、そういうときに、その計画を実施するに必要な経費というものを盛ろうじゃないかということで、一億八千万を計上いたしたわけですが、これは一圏域当たり千八百万ということで、十億の施設に対しまして五・四%の設計費を組んだわけであります。五・四%の設計費と申しましても、この中にはいろいろな、住民が参加をして施設をつくるということも含まれておりまして、そういうものの中で千八百万の補助金を十圏域に出すということを内容的には決めたわけであります。これを具体的にどういうふうに使うかということは、ただいま検討中でございまして、早急に結論を出して都道府県の方に指示をいたしたいというふうに考えております。  なお、この広域市町村圏の事業の実施につきましては、従来から地方交付税措置をしている部分がございますし、そのほかに、地域総合整備債というものを優先的に充てることになっておりますので、事業実施にはそれほど支障はないかというふうに存じております。
  49. 土屋佳照

    土屋政府委員 ただいま行政局長から説明がございましたが、それに関連いたしまして私どもとしては、地方団体自主性と創意のもとで地域づくりが進められますように、地方交付税等で所要額の確保を図っておるわけでございまして、たとえて申し上げますならば、投資的経費のうちで、広域市町村圏等の振興整備事業は、五十四年度に比べまして一二・五%の伸びで三千百億余りを準備しておりますし、また、地域総合整備債につきましても、五十四年度の千二百億円から千三百五十億円ということで一二・五%増ということでございまして、抑制的な基調の中でもこういった事業につきましては、できるだけ拡充を図るということにいたしております。
  50. 部谷孝之

    ○部谷委員 それでは、大体時間が迫ってまいりましたので、最後にお尋ねをいたしますが、新広域市町村圏構想と田園都市構想、さらにまた定住圏構想、幾つも類似の構想があるわけでありますが、その相互の関係はどうなっておるのか、それが一つ。  それからもう一つ、都市経営総研が調査したところによりますと、定住構想と田園都市構想につきまして、六割ぐらいの都市が戸惑っておるとか困惑しておるとか、そういうふうな回答をしておるというデータを出しておるのでありますが、この点についてはどういうふうに受けとめておられるか、お尋ねをいたします。
  51. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 田園都市構想というのは、この席で何回も大臣からお答えをいたしたわけでありますが、今後の国づくりなりあるいは地域づくりというものの道標となるべき政策理念だというふうに理解をいたしております。政府といたしましては、この理念に照らしながら定住構想の具体的展開を図るということで合意しておりまして、関係各省庁でそれぞれの所管に応じて定住構想に沿った諸施策を講じていくということになっておるわけであります。  自治省では、いまお話がございました新広域市町村計画というものの前から、地域社会の実態に即しまして広域行政を実は展開をいたしております。広域的な地域政策が必要だということで広域市町村計画ということで地域づくりを進め、昭和四十四年から十年間にわたりましてこの施策を実施して実績を上げてまいったわけでもあります。そういうものも今後は、いま申し上げました定住構想に沿った社会づくりの一端であるというふうに理解をしているところでもあります。いずれにいたしましても定住構想の推進につきましては、国土庁を中心とする十七省庁の定住構想推進連絡会議において、関連の施策問の調整を図っていくということになっておりますので、今後とも公共団体の間において混乱の起きないように努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから第二の都市経営総研の調査の問題ですが、お話しのとおり、この研究所のアンケート調査によりますと、百二十一市のうちで七十三市が戸惑っているというふうに回答をしている、調整をする必要があるという回答を示したようであります。しかしながら、この同じアンケート調査におきまして、各省庁の施策評価しておるというのも実は四十八市、約四〇%ほどあるわけでございます。従来から市町村というのは、いろいろな国の施策というものを取捨選択するという形の中で地域づくりをする、あるいは、みずからの創意に基づいた地域社会をつくっていくということで、地方自治体それぞれの意欲を示してきたというのが実態であろうと思います。ただ、お話しのように公共団体におきましても、こういう問題が起きているということは大変遺憾なことでもありますので、自治省といたしましては、各種の施策が相互に調整がとれますよう努力をしてまいりたいと考えております。
  52. 部谷孝之

    ○部谷委員 終わります。
  53. 塩谷一夫

    ○塩谷委員長 山田芳治君。
  54. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまもお話が出ておりましたが、まず最初に、地方時代というふうなことが大きく宣伝をされているわけであります。この地方時代というのは、まさに八〇年代の幕あけにふさわしい一つの目標として掲げることについては私どもも異論はありませんが、私どもの言う地方時代というのは何といいましても、参加、分権、自治と言われる言葉にありますように、地方自治時代というものがまさに住民の参加と行財政地方への分権、そして何よりも、地方住民の福祉のために自治体がみずから判断をする能力が出てくるということが大切だというふうに考えるわけであります。ところが、地方時代と言われながらも、いまも質問にありましたように、国の施策というものが各省てんでんばらばらであるという実態であります。しかも、必ずしも統一されていないだけではなくて、十分な施策が行われていない、地方時代という言葉に象徴されるような財政制度というものがさっぱり行われていないというふうに私は思うわけであります。  そこで、大臣にお伺いをしたいのでありますが、地方時代という言葉にふさわしい具体的な施策というものが、今度の地方財政計画なり地方財政制度あるいは行政制度においていかなるものが取り上げられ、そして地方にこれが浸透されているかという点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  55. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 地方時代という言葉にふさわしい裏打ちがないではないかという御指摘だと思います。率直に言いまして山田さんの御指摘は、そのとおりと言ってはぐあいが悪いのですけれども、私どもとしては素直に承らなければならぬ点があると思います。  要は、最近の集権が行き過ぎておる、それに対する分権だ、画一化の動きに対して多様化の要請が出ているんだから、それにふさわしい国全体の行政のあり方にしなければならないというのが地方時代だと思いますね。しかし、現在の制度というものは必ずしもそれにふさわしいような仕組みにはなっておりません。そこで、それを改めようというのがわれわれのいま取りかかっておる仕事でございます。  そこで、まず私どもとしては、何よりも事務事業見直し、あるいはまたそれに伴う行政改革、それに伴う経費の節減合理化ということにとりあえずかかっていこうではないか。そしてその上に立って、地方時代と言われるにふさわしいような地方分権を推進することによって、その地方分権の裏打ちとしての地方税制度なりあるいは交付税制度なりに取りかかっていこうではないかという、第一歩をいま踏み出したばかりでございますので、いま少しくひとつこれからの政府のやらんとしているところを御批判もしていただきたいし見ていただきたいな、こう思うのが私の率直な気持ちでございます。
  56. 山田芳治

    山田(芳)委員 大臣はきわめて率直に、地方時代にふさわしい施策はいまだできていないというふうに認められたわけでありますから、これ以上この問題は触れませんが、先ほども同僚議員から話がありましたように、いろいろの構想があるわけですね。田園都市構想というのは、これは理念だから具体的にはこれからだという行政局長のお話も伺いましたが、しかしそれならそれなりに明快に、これは理念であると地方に言うべきであるし、また、定住圏構想というようなものが一方出てくる、また広域市町村圏だというような施策が言われる、各省がそれぞれ予算を取って縦割りに補助金が流れる、こういうことは、いま行政局長がお答えになっておったように、各省が出されるものを取捨選択地方団体にあるんだからいいじゃないかと言わんばかりでありますが、私ははっきり申し上げて反対であります。  自治省というのは少なくとも、地方団体に対する総合行政企画官庁として、そういういろいろな施策について総合して、こういうものはこうなんだ、これはこういうふうな理念に適合するんだということを各省と調整をする。そのためにそういう組織も、自治省財政局の中にもあるし、行政局の中にもあるわけでありますから、そういういろいろの各省の施策を総合し調整をして、地方団体が困らないようにしなければいけない。特にいま財政再建とか財政危機と言われているように、各省がばらばらに補助金を出して各自治体が取捨選択をするだけの財政的な余裕などあるはずがないのであります。そんなことであるなら、もう少しそこらあたりを調整して、効率的な補助制度というものを総合的に自治省が各省の中に入って、今回のそういったいろいろの施策はこうだということを明確に地方団体に示してやる責任が私はあるというふうに思うのです。それがまさに地方自治体に対する自治省あるいは政府部内における自治省の役割りだと思うのですね。この点が不足をしている。後追い的にそういうものの後ろから、地方債財源措置をしますというような、何か本当は主導的役割りをしなければならない自治省が各省の後追いをやっているような状況であるということは、私はまことに自治省のために残念だと思います。私も自治省出身の一人として、こういうことじゃ困ると思うので、ひとつ大臣の見解を聞かしていただきたい。
  57. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 山田さんから厳しい御批判でございますが、自治省の役割りというのはおっしゃるとおりだと思います。地方時代ということで、それの政策の方針とでもいいますか、そこで田園都市構想という理念を打ち出された。それに対応して、自治省はさきにコミュニティーと言っていましたが、それから広域市町村圏ですか、国土庁はモデル定住圏と言うし、建設省は生活圏、農林省は、名前は忘れましたが、ことしまた何か打ち出していますね。こういうことにならないようにするのが自治省の役割りではないのか、おっしゃるとおりだと思います。  ただ、そのとおりに必ずしも動いていないという点、これは私も反省をしなければならないし、山田さんもともに憂えるということでございますし、私どももそういう気持ちで、これからは自治省がもう少ししっかりして、本当の意味での各省の調整機能を果たさなければならぬということはよくわかっているのです。しかし、今日の内閣組織の中においてそれができるかどうかといいますと、これはなかなか容易ではありません。こういう問題で各省打ち合わせをすれば、ここに各省の役人も来ているのですが、大体十九対一になるのです。そのことが今日の余りにも集権化している実態ではないかと思うのです。こういうようなことの改革こそが、今回手をつけようとしておる行政改革だと思います。私はそういう観点に立って今後とも対処していって、まことに微力ではありますけれども、できる限り努力していきたい、かように思います。
  58. 山田芳治

    山田(芳)委員 まさにそのとおりなのであって、大臣であれば閣議の中でそういう主張ができると私は思うのです。きょうは大蔵省からも担当主計官が来ていただいているわけでありますが、こういうことをひとつ聞いておいていただきたいと思うのであります。地方財政担当の主計官ならば、どうぞひとつ主計官会議の中で、地方に対するそういう理念に基づく施策については、少なくとも自治省を中心にしてこれを統合して、予算をどこにつけるかはこれはそれぞれの各省の主体性があるでしょうけれども、少なくとも総合的に統一的に財源措置としても明確に自治省等が地方団体に示されるように統合し調整をし、そして施策としての一貫性というものを発揮するようにしてほしい、このように思います。  行政局長が言われたように、地方団体は確かに反対はしません。補助金もらって仕事をするということは、いまの地方団体の姿勢から言えば、一般財源もらうよりも補助金もらう方がいいという、そういう人もいないではないわけでありますから。しかし、それをもって地方団体の要望だからというのは、私はいささか自治省の指導理念が混淆しておる、むしろ一般財源で与えるというのが自治省のあるべき姿だと思うので、各自治体が要望してその選択だ、これではいけないのであって、やはり正しい理念に向かっての選択を行えるようなそういう指導をすべきである、そういうふうに思います。この点はこれで終わりますけれども、ひとつ大臣、あるいは大蔵省の主計官も聞いておいていただいて、今後はこういうことのないように、地方時代というふうに言われるのでありますから、ぜひ地方がそれにふさわしい対応ができるような行政制度財政制度をつくっていただきたいと思います。  次は、交付税プロパーの問題を申し上げます。  細かいことはさておきまして、昭和五十年以降始まりました、あるいはもう少し前でありますけれども、いわゆる地方財政に対する対策というものが一応ルールが決まっておるわけでありまして、財源の不足に対しては、一方では交付税の特別会計において預金部資金から借り入れをする、半分は財源対策債ということで地方債を充当していって、その償還に元利の補給を行う、こういう一つ方式が定着をいたしております。  しかしながら、私ども自治省からいただいた資料その他で拝見をいたしておりますと、これは大変な状態になるというのが私ども考えでございます。ちなみに申しますと、「五十年度以降財源対策債の年次別償還計画」というのをいただいておりますが、五十年から始まりましたところの減収補てん債、あるいは五十一年から始まりましたいわゆる財対債と言われる財源対策債、あるいは五十二年から始まりました建設地方債、いろいろ名はありますけれども、これはすべて地方債でありますから借金であります。それを昭和七十五年までかかって一応返す、こういうかっこうの数字が出ているわけでありますけれども、その中で、たとえば昭和五十八年という年をとってみたいと思うのであります。なぜ私が五十八年の数字をとりたいかと申しますと、交付税の特別会計に対して預金部資金から借り入れをしておりますこれの償還状況の問題、及びいま申し上げましたところの財源対策債の年次別の償還計画を見ますと、昭和五十八年が現段階ではピークになっております。将来はもっとなると思いますけれども、現段階において、たとえば昭和五十八年におきましては、財源対策債償還が一兆一千六百二十九億に達します。また交付税の特別会計で借り入れておるわけでありますが、それの償還状況、同じ五十八年でありますと四千四百五十億、こういうことになっておるわけであります。  ところで自治省がお出しになった、あるいは大蔵省がお出しになった財政収支試算というものがございます。これはすでに私も大蔵委員会において質問し、明らかになっているのでありますが、この財政収支試算及び地方財政収支試算の基本的な物の考え方は、昭和五十五年から六十年に至る間において、少なくとも前提がありまして、昭和六十年において名目のGNP四百二十四・九兆円、国民所得が三百四十六兆円程度ということにいたしまして、租税の負担が対国民所得比が二六・五ということを想定をいたしております。現在が大体二〇%前後でありますから、相当の負担をふやすということになっております。  財政収支試算の中でのベースで申しますと、大体国の税で六兆円、地方の税で三兆数千億、合わせて十兆円近くの国民負担というものが新たに求められる形になっております。と申しますのは、この財政収支試算の前提であるところの税収というのが一八%近く伸びているわけであります。ところが、この五年間における前提というのは、確かに公共事業は一〇%ずつ伸ばすということになっておりますけれども、国民所得もまた一〇%程度伸びる。これに対する租税弾性値を国の場合は一・二、地方税の場合は一・一という計算をいたしておりますからそれで計算をいたしますと、とうていこの一七・八とか一八%という数字は出てまいりません。その間には、増税というものを前提としてこの収支試算がなされる。  そういう中で、どういう税が新しく起こされるかという論議がいわゆる一般消費税を中心にして行われておりますが、一般消費税は竹下大蔵大臣に言わせると、ワン・オブ・ゼムである。ワン・オブ・ゼムだけれども、私どもはオンリーワンではないかというふうには思っておりますけれども、しかしそれは明確に答えられませんけれども、少なくとも税の増収を期待をする、新しい税源を起こしていくということの前提に立って、これは地方税もあるいは国税も収支試算がなされていることは間違いないわけです。したがいまして、そういうように増税をしながらとにかく、国の場合は赤字国債と言われるところの特例債を五十九年でゼロにする、地方財政収支の場合にはこういう財源対策債というものをゼロにするという目標を立てておられる、こういった収支試算の考え方については間違っておりませんね、これはひとつ財政局長、お答えいただきたい。
  59. 土屋佳照

    土屋政府委員 私どもが五十五年度に作成をいたしました財政収支試算は、長中期的な見通しとしては現在ございます経済審議会の企画委員会でつくられました昭和六十年度経済の暫定試算、これをもとにいたしておりますから、租税負担率が六十年度で二六・五になるとかいろいろおっしゃいましたおおむねそういう数字でございます。ただ税の伸びが、私どもとしては地方税の伸びは、弾性値は一・一でございますが、等率で一六・一%ぐらいで伸びるという前提だったかと思っておりますが、そこらの数値以外は大体おっしゃるようなことであろうかと思っております。  ただ、率直に申し上げてこの収支試算は、六十年度におきます先ほど申し上げたような暫定試算等をもとにいたしまして、そういった経済諸指標その他のいろいろなレベルに五十五年度から達していく過程を示しただけでございまして、その途中は具体的な政策を持っておるわけでございません。したがいまして、そこに到達する意味では、等率で租税負担というものも増税という形で伸びていくことになっておりますが、それは具体的にその年にそれだけやるという前提をとっておるわけではございません。そういったことを見ながら、一体この歳出というものはこの程度必要なのか、どうしても財源が足らなければ減らさなければいけないのか、それだけの行政水準を維持するなら何らかの負担を求めなければならぬ、そのときに税制についてどう考えるのかといった意味でのまさに検討材料だということでございまして、具体的な政策を盛り込んだものではございません。しかし私どもといたしましては、そういったものを長中期的にめどにしながら具体的な各年度財政対策を講じていく、こういうことでございます。おおむねおっしゃったようなことでございます。
  60. 山田芳治

    山田(芳)委員 そこで、これは増税というものがやはりその前提という立場から考えると考えられるということは明確なんであって、またそういうことのためにおつくりになっているのではないかと私はむしろ思うのであります。これだけの負担というものをお願いをしなければ財政の再建というものができないんだ。  もちろん、これは私は大蔵委員会で言ったのでありますが、赤字国債をなくすことだけが再建ではなくて、その赤字国債というものをいつ返すか、それは昭和六十五年がピークではないかという質問をいたしておりましたが、まさにそのとおりなんでありますけれども、それで考えるのでありますが、財政局長、指導課長にも大蔵委員会に来ていただいて答えていただいたのですが、財政の再建の指標というか、財政運営するところの一つの目標というものは、たとえばここの収支試算にありますように、公債依存率というものを挙げておられますね、公債の依存率が適正であるというのが財政再建状況になったと見るのか、逆に、国債なり公債を返す、いわゆる国債費、公債費の一般財源に対する率というものが適正であることをもってこの財政再建状況であるというふうに言うのか、あるいはまたその他の指標があるのか。  地方団体を指導される場合には、主として公債費の一般財源に占める比率というものを中心にされている。国の場合は、いろいろと税制調査会あるいは財政審議会の議論の中ではあったけれども、国債の依存率というものを目標に置いているんだ、こういうようなことで、決定しているわけではないけれどもそういうような傾向が強いという答えをいただいておるのですが、地方団体の場合にはどういうふうにお考えになっているか。指導の目標として、公債費と一般財源の関係、あるいは対GNP比というようなものは国の場合にはあるだろうし、あるいはまた全予算の中のシェアというものもあるだろうと思うのですが、私ははっきり申し上げて、国の場合も国債費、地方の場合も公債費の一般財源に占める比率というところを見るのが一番妥当ではないかと思うのですが、そこらあたりはいかがですか。
  61. 土屋佳照

    土屋政府委員 いまお示しの二点はそれぞれに重要な問題でございまして、地方団体の場合は国と違いまして、三千三百の多くの団体でございます。財政力も異なればいろいろな状態も異なるわけでございます。したがいまして、いまの公債発行一般財源に占める比率、そういったものは明らかに財政健全化を図る際の指標ではございますが、特定の団体が特定の事業をするために、将来返還能力もある場合に、ある時期公債を多額に発行したからといって、それで直ちにどうこうというわけにはまいらないと思うのでございます。ただ地方財政計画をつくる際は、マクロ的に見て私どもとしては、公債の歳入に占める比率が余り上がることは適切でない、一般財源の占める比率が高い方がいいということで計画もつくり、またそういう方向で指導もしておるわけでございます。と同時に、いわゆる公債費比率、これはやはり地方団体財政運営の健全性を示す比率だと思っておりますので、この点についても、個々の団体の状況を見ながら十分これは配意しながら財政運営の指導をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、いろいろとケースによって違う場合もあるけれども、総体的にはおっしゃるように、公債費が一般財源に占める率が非常に高くなるということは私どもとしては避けていかなければならぬことだと思っております。
  62. 山田芳治

    山田(芳)委員 ちょっとさっき計算をしてみたのでありますが、この地方財政収支試算を見ますと、公債費の一般財源に占める比率は、五十六年から六十年までの間は大体一五%前後で推移をしている。非常に高いというふうに思うのですが、どう思いますか。
  63. 土屋佳照

    土屋政府委員 一概には申せませんが、全般的に見て——いまおっしゃったのは、地方債の発行の伸び率でございましょうか。(山田(芳)委員「いや、一般財源に占める公債費の比率を言うた」と呼ぶ)全般的には必ずしも低いとは考えておりません。
  64. 山田芳治

    山田(芳)委員 それから次にお伺いをしますが、国の場合はいわゆる赤字国債という特例債があるわけであります。ところが地方の場合には、非常に幸いなことなのか不幸なことかよくわからないのですが、いわゆる財源対策債という形の中で建設事業に対する地方債の裏打ちという形になっているわけですね。ですから、一見健全なように見えるのですよ。国の場合は、全く通常経費に対する手当てが間に合わないから、赤字国債、特例債という形で大量な国債を発行する。しかし地方の場合は、減収補てん債というときは一時ありましたけれども、それは後で建設地方債の発行という形に直っていきましたから、一見すると健全なように見えるのだけれども、実を言うと隠れている。それは何かと言うと、経常的な経費に対応するものが、交付税会計に対する預金部資金の借り入れということとそれの償還ということが裏に隠れておって、国に比べるとまことに地方財政が、建設地方債であれば何か健全なようなこういう印象がある。  これは私は自治省としての努力はわかるし、自治省としてのそういう形ということについての苦心のほどはわかるけれども地方団体を含め一般国民において、そういう交付税の特別会計というところの借り入れあるいは償還計画というのが実は明瞭じゃないのですね。そこでわれわれとしては、実はそういう数字をここで出していただいたというのは、これに対してここで明確に言うておかないといけないと思うのは、この交付税会計というのは国の中の借金のやりとりです。自治省の所管する交付税会計と大蔵省の所管をするところの預金部資金の特別会計との間の貸借関係であります。一般の地方団体や一般国民はなかなかこれについてわからない。だから、何か国に比べると地方団体の方が健全なんだ、地方財政は国に比べればまだましなんだという認識を持っているのではないか、また、われわれでも持ちかねないというふうに思うのです。そこで問題は、将来にわたって財源対策債あるいは交付税特別会計の借り入れの償還というものが、償還期において非常に問題になる、私はこのように思うのです。借り入れるときは大蔵大臣自治大臣と丁々発止とやり合って最終的に決着をされるというところで、それなりに決着がついていくであろうけれども、将来のことは将来のことだという形になりかねないのであります。そこに私どもはやはり非常な危惧を持っております。  そこで、いま私は五十八年をとった。これは単に六十年の最終の見通しとの間に線を引いて等分に割ったんだから、その個々の年度には余り意味がないというお話は、これは国の財政収支試算でも地方財政収支試算でも同じだと思いますが、しかし、少なくとも償還がピークに達するということだけはその時期に来ることは事実であります。したがって、こういう大きな償還時期においてどうあるべきかということは大変問題だと思うのです。特に財源対策債は、その返済を後年度交付税の基準財政需要額に算入をしていく、だからいまの借金の返しは財源対策債に関する限りは将来交付税で見ますよ、こう言っているわけですね。将来交付税でそれは見ます、過去の借金の返済は。それがたとえば五十八年に一兆一千億もございます。また、その一兆一千億を返すところのもとの交付税の会計自身が、国の預金部資金の会計から借りているものを返さなければならない、こういうことになるわけですね。  ですから、五十八年のようなことなんかとても考えられない、来年のことでも言えば鬼が笑うかもしれないが、われわれとしてはいまここで明確にしておきたいのは、五十八年というここ数年の間に来るその時期一つをとっても、いままでの財源対策債償還を少なくとも交付税の中からやらなければいけない、過去の債務に対する支払いをしなければいかぬ、また、その支払うところの原資である交付税それ自身も、交付税会計の中から預金部資金の会計に対して一定の額を返していかなければいけない、こういうことになると、五十八年の地方交付税が一体どうなるんじゃ、まさにこういうときにこそ交付税税率というものをどうするのかということをいまから考えておかなければいけないのでありますが、ここらあたりのことについて十分認識をされておられるか、おられないか。また、いままでのルールで預金部資金がだんだん枯渇をしてきたり、あるいは交付税自身がこのように現年度分が削られてくるということに対する地方財政対策というものを、いまからお考えになっているかということについて、大臣並びに大蔵省からお伺いをしておかなければならないことだ。五十八年というのはもう数年をして来る、われわれの目の前に迫っている時期にこういう大きな問題を抱えているということを、まず明確に認識をされた上でお答えをいただきたいと思います。
  65. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるように、建設地方債だから地方財政赤字は心配ないんだというふうには考えておりません。これは御指摘のように、それの返済は交付税に算入していく、ところがその交付税の方は借金しているということですから、やはり財源対策債は建設債だから地方財政は国よりはいいんだというふうに私、全然考えておりません。そこらを含めて、地方財政は大変な窮迫をしているんだという理解のもとに立ってやらなければならない。  ならば、交付税のいまの借金をどうするんだということになれば、これは一つは、何と言っても経費の節減合理化が大前提になければいけません。と同時に、地方税それから交付税の恒久的な制度、これらをどのようにこれから解決していけばいいんだということを、問題意識として持って対処していかなければならぬ課題である、かように考えております。
  66. 公文宏

    ○公文説明員 いま自治大臣から御答弁ございましたけれども、全く同じ考え方でございますが、いまの地方財政対策を講じることの結果といたしまして、後年度地方の方にもいろいろな負担が生じてまいる、しかもそれはかなり大きなものになるであろうということは、私どもも十分承知をしているわけでございます。  この問題をどう考えていくかということになるわけでございますが、私どもといたしましては、やはりその年度その年度地方財政計画策定というプロセスを通じて、しかも、その年度その年度における地方団体の適正な運営が阻害されることのないように配慮しながらいくということに尽きると思います。大臣からもお答えございましたように、そのためには、国も地方も両方とも合わせまして、歳入歳出両面から見直しながら財政健全化に努力を続けていくということであろうと思いますが、いずれにいたしましても私どもとしては、そういう将来の地方負担について、そのことが地方財政のその時点での運営支障がないように配慮してまいりたいというふうに思っております。
  67. 山田芳治

    山田(芳)委員 その都度その都度やるから私は問題があると思いますね。たとえば急に足りなくなったから一般消費税をというようなことを言うたって、それはそうはいかないのであります。やはり長期の見通しに立ちながら、どういうふうにしていくのかということをあらかじめ考えていくという努力をしてもらわないといかぬと思います。大蔵省も、たとえばもうすでに主計官会議をやって、来年度の予算をどうするのかということをやっていくということを言っておられます。これは来年度ぐらいでは足らない、せめて二年なり三年先ぐらいまでの見通しというものを立ててやるべきだということで、そういう立場で質問同僚議員がしておったわけでありますけれども地方財政もそうでありまして、何かその年が過ぎればそれでということではいかぬので、やはり長い将来を見通した上でやってほしいと思います。  ただ、私が先ほど前提に置きましたのは、少なくても財政収支試算においては増税ということを前提にして組み立てられておりますよ。これ以上の増税ということが果たしてできるのかということになると、これは非常に問題がある。国においては、国の財政収支試算は約一兆数千億ずつ伸びていくというかっこうになっております。こんなには伸びるはずはないのでありますから、新しい税を導入するという前提になる。また、それを受けての地方財政収支試算も、国が伸びるものに比例をして伸ばしているわけですから、何らかの形で地方税の新しい税源というものを導入をするという形になっている収支試算の中で、足りないからといって税源をまたさらにというようなことができるかどうかということは、これは容易に判断できるので、そういう増税をするという前提でできている収支試算の中においても私は、昭和五十八年以降、財政特例債あるいは交付税会計の借り入れというものが別に新しい負担として出てくるぞということを申し上げているのです。  こういうことをあらかじめ考えておいていただく、交付税率の問題をそこからどう考えるのかということをいまからひとつ考えておいていただきたいということを、数年先のことでありますけれどもいまここで申し上げ、その時期には大変なことになりますよということだけ一つ申し上げておきたいと思います。そういうわけで、五十八年においても収支試算でも一兆円を超えるところの要調整額というものが計上されております。またそれを借金でやる、赤字国債を赤字国債で埋めるというような考え方と同じように、借金をまた借金でやっていくということがないように私は、この席でこれ以上は申しませんが、そんな長い将来ではありません、数年先のことでありますから、いまから地方財政のあるべき姿ということをひとつ十分考えていただきたいと思うのでございます。  それからもう一つ大臣が盛んに行政改革行政改革と言われますが、行政改革も住民の要望に従って、そのニードにこたえるという限りにおいて行うということは必要かもしれませんが、財政的に言うとそれほど大きな金は出てこないのですよ。ですから、余り行政改革行政改革と言って、何か行政改革ができたら一遍に財源が出てくるんだなどと思うて、新しい財源というものをどうするかというようなことについて全然考慮しないとするなら、私はこれは誤りだと思います。  大臣としても、それはそう言わなければならぬから盛んに言うておられるのだろうけれども、国、地方を通じての行政改革といったって、そう簡単にはできません。さっきも大臣が言われておりましたように、そこに働く職員がいるではないか、そのとおりなのでありますから、そう簡単にできるものではありません。ましていわんや、都道府県庁で同じ屋根の下にいるところの地方事務官一つ整理するということすらできない。これはもう十数年来、この交付税法の採決のときには必ず、あるいは、地方自治法の採決のときには必ず、当委員会としては附帯決議をつけてきておるという経緯があるにもかかわらず、これ一つできないのですから、私は言われるほど本当にやれるのかどうかということについてはきわめて疑問があるし、たとえできたとしても、そういう財政的な意味じゃなくて、国民の信頼を受けられる行政機構をつくるというところに意味があるのであって、財政的にそれほどのものが出てくるはずがないということは、私の長い経験からいってもそう思います。そういう意味では、財政対策としての行政改革は余りおっしゃられない方がいいのじゃないか、こう思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  68. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私が申し上げているのは行財政改革でございます。もちろん、行政改革でそんなに財源がうんと浮いてこないというのは、私もよくわかっているつもりでございます。  ただ、国にしろ地方にしろ、経費を減らすか、それとも借金するか、それとも増税するか、この三つの選択以外これは方法がないのですよ。そこで、目先のことばかり考えないで先のことを考えてやれ、おっしゃるとおりなんです。だからこそ、その中身はいろいろ批判はありましたけれども財政当局が一般消費税あるいは地方消費税に踏み切らざるを得ないのだという一応の考え方に立ったのも、今日の財政の厳しい状況からどうにもならぬということで、ああいった考え方が出てきたと私は思います。しかし、それは一応ぐあいが悪いということで否定をせられたわけです。そこで出てきたお考えは何かというならば、国会決議でございます。私ども政府は、この国会の決議は拳々服膺しなければならぬわけなんですね。したがって財政再建の方途として、ともかくこの国会決議を踏まえてやろう。ならば、やはり行財政改革というのがその第一歩ではないのか。そういった上で、それらの仕事をやり遂げて、その上に立って先行きの税財政全般についてどう考えていくのかということで、いま政府としては、苦しい選択の中からその道を選んでいるのだということは、これまたひとつ御理解を賜りたい、かように考えます。
  69. 山田芳治

    山田(芳)委員 私ははっきり申し上げて、現在の国及び地方財政というものを再建するためには、国民の負担というものを増していく以外にないという立場に立っている。ただ、どこからどういう方法で取るかということ、これは別だ。しかし、税の負担というか国民の負担をお願いをするということは私は、与党も野党も含めて考えなければならない深刻な問題だというふうに考えます。  細かい交付税の問題については、時間がありましたらということで後へ譲りますので、若干違った問題に移りたいと思います。都市交通の問題に移らしていただきます。  予算委員会の分科会でも実はお尋ねをしたわけでありますが、運輸省の方にお見えいただいていると思いますけれども、現在の都市におけるバス事業あるいは公営交通が大変な赤字だということであります。五十三年の決算を見ますと、料金を引き上げたその年は確かに若干は小康を得るという部分があろうかと思いますけれども基本的には赤字であるということには何ら変わりはございません。なぜそうなのかということは、私もこの委員会において何遍となく申してきたわけでありますが、いわゆるモータリゼーション、マイカーのはんらん、それが都市交通の最大のがんであるということであります。最近では自転車が猛烈に駅の周辺、ターミナルを占領してバスも満足に通れない、一体これはどうするんだ、こういう問題があるわけであります。自動車交通が大変な混雑であります、停滞でありますから、バスが時間どおりに来ない。こんな時間どおりに来ないようなバスならば乗らないという悪循環であります。タクシーはいま三百七十円、これは京都でそうですが、たとえばそれが近いところなら五人で相乗りしたら、百十円のバスよりも安くなる、こういうようなことでバスを敬遠してタクシーに乗るというようなことも行われておる。これは一体どう解決するんだということになると、その必要性はわかる、何とかしなければいかぬとみんな一致しておるが、どうしようもないということであって、仕方がないという形で放置をされてじんぜんと時を送っている、こういう状態であります。  そこで、都市交通で働く労働者の諸君も、何とかせめて都市の交通の環境整備について立法でもしてもらって、なかなかむずかしいことだけれども自動車の総量規制、これは環境関係においてはたとえば汚水なり何なりにおいては総量規制というものが論じられていると同じように、自動車の総量規制ということが何とかできないのだろうか、あるいは バスだけは大量輸送機関、省エネ時代においてはもう少し何か有効適切な手段方法がないものだろうか。これは働く労働者だけではありません。政府も苦心されていることはよくわかるのですが、もう一つ決め手がない。そこで私どもは、都市交通に関する環境の整備に関する法律というのをつくって、自治大臣も警察庁長官をやっておられて交通規制のことも御承知だろうと思うのですが、何とか交通をうまく規制をして大量輸送機関を優先的にやることによってこれを利用する。マイカーの乗車効率というのは一・四というのですから、一台の車に二人とは乗ってないというのがいまの通勤状況です。こういうようなむだなことをしているのじゃなしに、もう少し大量輸送機関を大事にするというのがこれからの日本のエネルギーを節約する時代における方向だとするならば、一つには環境立法というものを何とか立ててもらいたいというのが働く労働者の諸君の切なる願いである。  そこで私は、予算分科会において運輸省の大臣、局長にも申し上げたのですが、その点については、勉強してみますという回答であります。勉強じゃなくてもう一段、そういう本当に真摯な気持ちをひとつ察して何とか検討をしてほしい、私はこのように思うわけであります。そこでは何も総量規制だけではありません。もっと後で伺いますが、建設省もそういう意味で、新しい地方バス路線総合整備モデル事業というものも考えられて、結構なことだと思うのでありますが、それもそうでありましょうし、また、運輸省が考えられたバス基幹路線をどうするかという一つの調査、これも一つの私は試みだと思うのです。それなりに努力されていることはわかるけれども、もう一つ積極的にやっていただきたい。  そこで、まずお伺いをしたいのは、運輸省の地域計画課長さんですか来ていただいておりますが、環境立法についてこの間、私ここに答弁を持ってきておるのでありますが、何審議官か忘れましたが、一遍よく勉強さしていただく、こう言っておられます。私は、予算委員会の席でありますから勉強します程度であったでありましょうけれども、少なくとも地域計画課としては真剣にこの問題について検討していただきたい、このように考えるわけでありますが、どうでありましょう。それから自治省としてはこういう問題についてどうお考えになっているかを、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  70. 上坂泰敏

    ○上坂説明員 予算委員会の席上で先生からお尋ねがありました交通環境の整備でございますが、柱となりますものがわれわれの勉強したところによると三つあると考えておりまして、第一点は、バスを走りやすくするような専用レーンの設置であるとかそういった交通規制の面からの配慮、第二番目が、歩道の整備その他道路管理者が行うもの、それから第三番目が、御指摘になりました基幹バスその他バス事業者その他の交通事業者が行うサービスの向上、こういったことになろうかと思います。  そういったことにつきまして現実にどういうふうになっておるかといいますと、たとえば専用レーン一つとりますと、この五年間で延長キロで倍以上に伸びてきております。それから歩道につきましても、交通安全施設として緊急に整備が急がれておる。それからバスのサービス改善につきましても、おかげさまで五十一年度から交付金の制度が創設されまして、バスの停留所の標識の改善などが逐次進んでおる、こういう状況でございます。したがいまして、こういったこと全部運輸省で対応できるわけではないわけでありますが、現実にそれなりの成果を逐次上げてきておるというのが実態でございますので、まずこの点は御評価をいただきたい。  したがってわれわれとしては、直ちに法律がないと困る、こういう状態ではないのではないだろうか。ただ、御指摘がありましたように、都市の交通というものを公共交通を中心として効率のいいものにしていかなければならない、これはわれわれ全く同感でございます。したがって具体的には今後、運輸省自体の指導によります交通サービスの改善、これを進めるとともに、関係省庁の御理解を得まして、引き続き従来の体系の中で施策の充実を図っていただくようにお願いしたい、こう思っておるところでございます。そういったようなことでございますので、先生の御指摘については引き続き勉強させていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  71. 山田芳治

    山田(芳)委員 そこで大臣、この問題を一生懸命考えていただいているからですけれども、あとで建設省からもお答えをいただきますが、地方バス路線総合整備モデル事業というのがある。これは道路の予算がいわゆる自動車関係経費で出されているのですけれども、これをできるだけ一般財源化をしていろいろ公共交通にも使えというお話もあって建設省は、それならおれのところでやろうということで百数十億の予算をもらえた。また運輸省は運輸省で、基幹バスの構想というのがあって、優先レーンその他についてひとつモデル的に調べて町の中心のところを大いにやってみよう、こう言う。それから自治省自治省で、財政問題を中心にして再建なりどうするかということについてやっておられる。さっきの地方都市に対するいろいろな施策と一緒でございまして、まことに結構なんです。こっちでもこういうのをやります、こっちでもこういうのをやります、まことにありがたいと思うのだが、総合的にこれもひとつ自治省あたりで、建設省も運輸省もまた自治省も参加をしていただいて、できることなら、いま後ろに傍聴に来ております都市交通の働く仲間の皆さん、これはもう自分でやっておるのですから——この人たちも、自分たちが仕事をしたい、走りたいと思っても走らせてくれぬ。あとで聞きますけれども赤字になって財政が苦しいから、七九年の賃金もまだ上がっていないのですよ。だからうんとお客を乗せて走りたい、こういうのが労働者の皆さんの気持ちなんです。  だからひとつ大臣、これは提案しますけれども、労働者の諸君も入れ、管理者も入れてもいいけれども、一人ぐらいずつ代表を入れていただいて、自治省が中心になって、一体都市の交通の環境整備を、法律がいかぬというなら法律はなくても結構ですから、具体的にどうしていこうか、それについての予算措置はどうするか、法律も必要ならそれも研究し、勉強しようということにする。地方のさっきの施策で、広域圏だ、やれ定住圏だといって乱立しているように、これもいろいろ乱立しては困るのです。目的は一つだし、それぞれの各省が一生懸命やっていただいていることは評価しますから、自治省で、これも総合企画官庁としての自治省の役割りだと思うので、ひとつ中心になって、何も法律をつくって委員会をつくれとは言いませんけれども、私的な非公式なそういう話し合いの場において都市交通の環境整備のための話し合いというのができる場をつくる。運輸省ではこれは調査費でございます。それから建設省の場合は、八都市のモデルだけを考えておられて、いずれこれはほかへ移す、これはいま言った道路の拡張なりあるいはバイパスを考えたりいろいろするところの予算であります。まことにいい予算だと私は評価しますから、これは来年はもっとふやしてほしいと思います。そのためにも、ぜひひとつ自治省あたりで、そういう赤字企業の再建を含めて、こういった都市の交通環境整備のための話し合いの場というものをつくってほしいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  72. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 大都市交通は端的に言えば、一升びんの中に二升も三升もの水を詰め込めといったような今日の実情ですね。やはり肝心なことは、大都市交通というものは大量輸送機関優先、この原則で運輸政策あるいは交通規制あるいは建設行政すべてをやらなければならぬのではないか。基本的に言えば都市計画の問題かもしれません。ただ、それについて、山田さんは自治省自治省とおっしゃるので、それは自治省、結構ですよ、結構だけれども、これは輸送の問題ですから、そういった御提案のような仕事をどこがやるのがベターなのかということは検討を要するのではないか。ここでどうだというのはいささか早過ぎるとも思いますけれども、いま率直に言えば、これはどうやら運輸省が音頭を取られておやりにたるものではなかろうかと思います、これは断定的に申し上げるわけではありませんけれども。いずれにせよ今日、都市交通が抱えている問題についての何らかの解決の方策、これはやはり政府としても取り組んでいかなければならぬだろう、かように考えます。
  73. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、これは運輸省のどちらになりますか、地域計画課長さん、そういう犬馬の労をとっていただくということについてお考えをいただきたいと思うし、それから大臣にも、閣議の席でも運輸大臣にやってやれと一言言っていただくようにお願いします。
  74. 上坂泰敏

    ○上坂説明員 運輸省では、地域の特に大都市の交通計画につきまして、従来から陸運局が中心になりまして、陸上交通審議会という場を活用して、そこに地方公共団体の知事の方であるとか警察の県警本部長の方であるとか、そういった関係行政機関の方に御参加をいただいて地下鉄などの交通計画をつくってきた、こういう実績がございます。したがいまして、今後の交通計画をつくっていくに際しましても具体的に、都市よりもさらに広げて地域ごとの交通計画を計画的にいまつくろうとしておりますが、そういった関係行政機関の方の御参加をいただいて地域交通計画をつくっていくというつもりでいま検討しておるところでございます。
  75. 山田芳治

    山田(芳)委員 上坂さん、そこではぜひひとつ労働者の代表を入れて、いろいろ意見を聞いていただきたいと要望しておきます。  次に、建設省の国道第二課長さん、先ほどもちょっと触れましたが、建設省で今回、地方バス路線の総合整備モデル事業、これはわが党の井岡議員も申しましたように大変結構なことであります。ぜひこの予算をもっと広げてもらって、どこにこの予算があろうとも、都市交通のための環境整備が改善されるということは結構なことだと私は思います。ただ、調整的にほかの省と一緒にやっていただきたいということをいま注文つけたわけでありますが、このこと自身は非常に結構でありますが、将来どう考えていくのか、一体これはどういうふうに考えてどの程度という、この際予算の具体的な内容についてちょっとお示しいただきたい。
  76. 本山蓊

    ○本山説明員 建設省におきましては従来から、バス路線に係る道路整備事業につきましては、道路整備の重点事項といたしまして、地方においてはすれ違えない区間の解消だとか、あるいはまた、市街地におきましては渋滞区間の解消などその整備を図ってきておりましたが、特に今回につきましては、通勤、通学等の非常に多い地方中心都市とかあるいは大帯市の一部だとか、そういうバス利用の非常に積極的誘導を図る必要のある地区におきまして事業を進めるために、バス路線総合整備モデル事業というのを実施することにしたわけでございます。  この事業につきましては、公共機関としてのバス運行の円滑化を進めるという道路整備、たとえばバスレーンの設置とか、あるいは現道の拡幅とか、バスと鉄道との乗り継ぎを円滑にするための駅前広場などを整備する、そういうことを道路管理者の立場から総合的に進めようということで、五十五年から秋田、大阪等の八都市において実施する予定にしておりますが、対象都市の拡大という問題につきましては、現在設定いたしましたモデル都市における事業の進捗状況とかあるいは事業の効果とか、そういうものを踏まえまして今後拡大したいというふうに思っております。
  77. 山田芳治

    山田(芳)委員 本山さん、ちょっと抽象的過ぎているのですが、予算はどのくらいでどういうふうに使うかというようなところまでまだ決定していないのか。あるいは結果を見てということになるのでしょうけれども、概算要求の時期は八月ですからね、そこまでで結果が出るというのは私はなかなかむずかしいと思うので、少なくともこれも一年や二年先のことはお考えいただいて、確かに八都市、たとえば大都市では名古屋と大阪でしたか、あるいは徳島とか鹿児島とかそういうところはまことに結構なんですけれども、そこだけではございませんので、たくさんの都市が都市交通を抱えているわけですからやはり均てんしてもらわないと、暫定のところだけばかによくなったけれどもあとはほったらかしというのでは困るので、将来の結果を見てそれからというのではなしに、もっと飛躍的に拡大いたしますとか、どういうところにどのくらいのものを重点に置きますというぐらい、ひとつここで答えてくださいよ。
  78. 本山蓊

    ○本山説明員 先ほど申しましたように、今回の道路整備五カ年計画でも全体のバス路線に対する対策は講じておるところでございますが、先ほど御説明いたしましたように、非常に熟度が高いあるいは非常に要望の強い都市において、どういう事業をどういうふうに進めれば非常に効果的であるかということで、今回八都市を選定したわけでございますが、さらに現在、二、三の都市につきましてはそういう要望もございますので、まず初年度でございますのでことしは約百四十億の事業費で計画を立てております。それにつきましても今後どういうふうにするかということも、五カ年計画の整備状況等進めまして、来年の予算要求も現在検討中でございますので、そういうところでひとつよろしくお願いいたします。
  79. 山田芳治

    山田(芳)委員 検討が終わって決まりましたら、御連絡をいただきたいと思います。  次に、地下鉄の補助のことについてちょっと運輸省の財務課長さんに伺いたいのですが、前から大体、一つの補助制度というのは三年で見直しますよ、こういうことを私ども国会答弁で何回も聞いてきたわけであります。地下鉄の補助について、形式は八〇で実質は七〇だ、せめて七五%ぐらいにせよ、こういうことが地下鉄を持つ各自治体から要求があるわけでありますが、ちょうど三年が五十五年で過ぎるわけですね。来年のことを言えば云々でありますけれども、せめて実質七五まで地下鉄の補助。あるいは、これもこの間私は伺っておったのですが、井岡議員の質問に対して大規模改良、これははっきり申し上げて地下鉄の梅田の駅のところを改良するための補助の問題なのでありますが、そういう問題についても、大規模の場合は補助をすべきだと私もあの梅田の地下鉄を乗りおりしておって思うのですが、この点についていかがでしょうか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  80. 森谷進伍

    ○森谷説明員 お答え即し上げます。  地下鉄の建設の補助制度でございますが、御指摘のように、過去三年ほどのインターバルで改定が行われてまいりましたのは事実でございます。現在、補助対象建設費の七〇%につきまして補助が行われておるわけでございますが、この制度は、地下鉄事業の経営の安定を図るという観点から昭和五十三年度に、従前の六六%の補助率の補助を改善を図って発足した制度でございます。私どもといたしましては、効率的な経営を図ればこの補助制度のもとで、長期的には収支の安定を図っていけるというふうに現在考えております。  第二点の大規模改良についての補助制度の問題でございますが、これにつきましては、輸送力の増強とか安全対策の強化あるいはサービスの改善、こういった観点から改良工事が行われるわけでございます。こういった改良工事に対しまして、新線建設と同様の補助をすべきかどうかにつきましては、私どもといたしましても十分検討いたしておりますけれども、相当の事業費がかかるという点もございますし、また、こういった事業費がかかるためにそれが経営を圧迫するという側面もございます。他方、こういった改良工事が必要になってまいります路線というのは、輸送力、旅客需要が非常に大きいとか、あるいは、採算的にも他の路線に比較いたしまして楽な路線という側面も持っておるということもございまして、こういった観点を含めて今後検討していきたいというふうに思います。
  81. 山田芳治

    山田(芳)委員 改良工事については、前向きに検討されて努力をするという答弁でよろしいですね。——それじゃもう運輸省の方、お帰りいただいて結構でございます。  次は、大臣に伺いたいのでありますが、実はさっきもちょっと触れましたが、昭和五十四年の都市交通に働く職員のベース改定が再建団体においてはまだ認められていない。この間審議官の川俣さんと一緒に交渉させていただいたのでありますが、とりあえずとにかく石油の値上げに伴った分だけは認めました、こういうことでございます。いろいろ御議論はあります。この間大臣が井岡さんにも言っておりました、一つは経営の問題という点もある、こう言うのですね。私もそれはそうだと思うのです。  ところが、法律を読んでみますと、経営の苦しいときは他の公務員よりもこういうふうにおくれる。経営がよくても他の公務員と一緒に均衡を考慮してとこう書いてある。よかろうが悪かろうが一緒にやれと書いてあるのですよ、はっきり言いますと地公法は。これは川俣さん、事実ですね。要するに、経営が悪ければあきませんで、よくても他の公務員と一緒にしなさい、こう書いてある。これは非常に殺生だと思うのですよ。よければよくしてやる、悪いんだからがまんせい、これはわかるんだけれども、よくてもだめなんです、上がらないのです。民間とは違って、他の職員との均衡、(発言する者あり)まあちょっと聞いてください。法律にそう書いてあるのです。だから、確かに現実におくれていることは事実だし、他の公務員と同じ屋根の下で働く公務員なんだから……。  しかも、それが労働者の責任ならこれはしようがないと思うのですよ。いま言ったように都市環境が非常に悪い。走りたくても走れない。乗ってほしいけれども乗ってくれない。なぜ乗ってくれないかというと、時間どおりに来ないから、それならタクシーで五人乗った方が安くいく、こういう状態なんですよ。これはどこかおかしいのです。それは労働者の責任じゃないのです。  ですから、いろいろ合理化してきました。売れる土地も全部売ってきた、一般的に言えば。もう合理化もその極に達しているという状況であることは、これはもうその担当される人たちは皆知っていると思うのです。そこで何とか他の公務員と同等の扱いをしてやるというのが、やはり公務員の横並びの問題として当然のことだと私どもは思うのです。これだけおくれているわけでありますが、せめて六月の段階までに次のベース改定の問題が出てくるわけですね、五十五年度春闘、いまやっておるわけですけれども、それにならっていく、このあたりは大臣、一体どうお考えになっておられるか、ちょっとお伺いをしたと思います。
  82. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 路面交通事業の再建団体が現在二十団体ございますけれども、二十団体のうち十五団体につきましては、五十四年度の再建計画変更の際に、給与改定を織り込みました再建計画の変更を認めております。したがいまして、全再建団体について給与改定が実施されてないということではございません。残りの五市、川崎市が若干事情は違いますけれども、名古屋、京都、大阪、神戸の四市につきましては、五十四年度の計画変更の際にはただいまお話しございましたように、給与改定を盛り込むことができませんでした。  実は一つは、五十四年度で非常に経営状況が悪化しましたのは、軽油の価格が非常に高騰したということでございます。五十四年の四月と年末を比較いたしますと、一リットル当たり四十五円程度のものが八十円を超すというような状態になっておる。さらには、先ほどからお話がございましたように、交通環境の悪化もございまして乗客数がやはり多少減ってきている、そういう事情がございまして、実は再建計画の変更を検討いたしました際に、計画期間中にいまのような状態で推移をいたしますと、この五都市につきましては再建の達成のめどが立たないという状況であったわけでございます。そういう状態で、再建法の趣旨に照らしまして、五十四年度の計画変更を認めることは困難でありましたが、軽油の燃料費の予算更正というものをやりませんと、これはバス事業自身が動かなくなるということでございまして、いわば緊急避難的に軽油の燃料費の増高等やむを得ない経費に限りまして、それらを織り込んだ再建計画の変更を五団体について認めたようなわけでございます。  問題の給与改定なんでございますけれども、私どもといたしましては、五十五年度のできるだけ早い機会に経営の改善それから料金改定を含めました計画の変更案が、私どもの方に五市から御提示になるように話をいましておる段階でございまして、そういったことでこの問題が解決することを願っておるというわけでございます。
  83. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまお話がありましたように、交通料金を上げろ、もっと合理化をせい、こういうふうに言われるもんだから、なかなか管理者が自治省の敷居が高うて入ってこれぬ、こういう状態なわけですね。それは国鉄運賃も上がる、私鉄運賃も上がるんだから、それに比例してという意見もあるかもしれません。しかし、これだけ物価問題が大変なときに、地方議会の問題もある、運輸省の認可の問題もあるという問題ですから、そう値上げ値上げということについては、われわれそれは均衡の問題その他については考えなければならぬ部分は考えるとしても、値上げばかりということではこれは物価問題に影響する大変な問題なので、そう簡単にはいかぬわけであります。  しかし一方では、やはり職員の給与は払ってやらなければいけないという問題もある。運賃を上げますと、またそれがいま言ったように悪循環をするわけですね。先ほど申しましたように距離が短ければ、三百七十円か三百八十円のところを五人で乗れば百円以下で済むものを、バスに乗ると百十円です。均一料金だ、それならかえって安いということですね。こういう悪循環というところが一体どこにあるかということが、やはりさっき言った環境の問題にも関連をするだろうし、いろいろ問題があると思うのですね。だから、これを本当に真剣に考えないとどうにもならぬなというふうに私も思うので、都市で働く労働者の諸君の勤労意欲をなくさないように、ひとつ適正な指導をしていただくということを強く要求をしておきたいと思います。  それから次に、繰り入れの問題なんですが、財政局長さん、都市交通やあるいは公営企業に対する繰り入れの問題、内簡を出されまして、これはだれが出されたのでしたかな、財政局長じゃないかと思うのですが、いままで以上に繰り出しをしてはならぬという通知を出しておられますね、いままで以上にふやしちゃいかぬ。これはどういうことでしょう。
  84. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 再建団体につきまして、各年度に各団体から計画変更の話が参ります際に、一般会計からの繰り入れの問題は、確かに私どもとしては問題にいたしております。ただ、再建期間中の特殊な状態でございますので、公営企業の繰り出し基準に定められました繰り出し、一般会計からの繰り出しだけではございませんで、私どもといたしましては、繰り出しについてはかなり弾力的に対応をいたしておるつもりでございます。
  85. 山田芳治

    山田(芳)委員 それじゃ、これは私は弾力的にぜひひとつ繰り出しをやっていただくということで、公務員の給与の確定を一日も早くしてほしいということを要望しておきます。  それからもう一点、いま言われた、まだ給与も改定されていないような団体に対するバスの補助がここ数年打ち切られています。バスの購入費の補助ですね、都市に対しては打ち切られていますが、逆じゃないか。大蔵省との約束があったり、いろいろとそういうことは前もって言うてあったのじゃないかということだけれども、こういう苦しいところの方にバスの補助制度というものを適用してやる、大都市の方へ指向してやるというのが補助制度趣旨ではないかと思うのですが、復活をさせる意思はございませんか。
  86. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 都市バスの購入費補助につきましては先生、先刻御案内のとおりでございまして、従来は大都市も含めまして五十二年度まで、購入費の二分の一に対する補助がございましたが、いろんな経緯がございまして現在は、大都市を除きます都市のバス更新費補助という形で二分の一の補助がなされておるということでございます。現在この制度が進行中でございますし、また、バスの購入費に対しましては大都市について補助はいたしておりませんけれども、四十八年度にたな上げをいたしました再建債の利子については、ほぼ利子の満額に近いところで補助をいたしておりますし、また元金の償還につきましても、交付税上の措置も講じておるようなところでございます。大都市について今後いかにするかということにつきましては、今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。
  87. 山田芳治

    山田(芳)委員 むしろ大都市の方にウエートを置いて助成制度をぜひ復活をさしてやっていただきたいということをひとつ要望をしておきたいと思います。  次に、水道関係の高料金対策について質問をいたしたいと思います。  厚生省の水道整備課長さんがおいでをいただいておりますのでお伺いをしたいのですが、水道の高料金の是正の問題について自治省においては、高料金対策として特別交付税において毎年措置をされております。ところが、これは後追いなんでありまして、将来に向かって高料金をどういうふうにしてなくしていくかということを考えるなら、やはりこれはいま自治省のやっておられる特別交付税措置ということは、ありがたいことだし非常に適当な措置であるということでありますけれども、これでは後追いになるわけであります。高料金をできるだけなくしていこうという施策をするためには、補助制度というものをつくっていかなければいけない、このように思うわけであります。  そこで、厚生省としては昭和五十五年の予算において、資本費が七十円以上の水道に対して約十一億の助成をしていくという予算要求をしたのでありますけれども、新規の事業ということで認められなかったというふうに聞いておるわけでありますが、高料金対策に対して厚生省はいかに考えられるかということをお伺いしたいと思います。
  88. 田中収

    ○田中説明員 水道料金に格差がございますことは、先生よく御存じのことでございます。厚生省といたしましても、このような状況に対処いたしますために、水道施設の中でも先行投資となりますようなもの、負担が大きくかかってまいりますダムあるいは長距離の導水路あるいは広域水道、それから、主として過疎地になりますが、簡易水道というようなものに対して補助をいたしております。年々それらの補助の内容についても改善の努力をしておりまして、五十五年には簡易水道につきまして、改良事業を新たに対象にするというようなこと等によりまして、給水原価の引き下げを図っているところでございます。それと一方、水道事業の広域化を厚生省は提唱し、これを強く行政指導いたしまして、広域化が行われますと水道料金の格差是正に大きな進歩が見られるわけでございますので、その線で指導しているところでございます。したがいまして御指摘の点につきましては、十分御趣旨を踏まえまして今後とも検討してまいりたいと思います。
  89. 山田芳治

    山田(芳)委員 田中整備課長さん、簡易水道は補助金が出ていますね。簡易水道と上水道と規模が違うというわけですね。だけれども、内容はほとんど一緒なんですよね。だから、簡易水道をずっとつなげてしまえば普通の水道になってしまったりするのですよ。そんな差を設けるようなメリットがいまありますか。いまお話があったダム。ダムをつくるときには三分の二ないし四分の三の補助があるわけです。今度はこの水を使って下水道へいきますと、下水道についてもやはり三分の二とか、まあ大都市と中小都市とは違いますけれども、手厚い助成があるわけです。ただ、その間にはさまっている水道だけが、広域とかなんとかいう部分については若干の補助はあるけれども、水道それ自身について補助制度がないというのは、私は補助制度として非常にアンバランスだというふうに思うのですよ。しかも、簡易水道は長年やってきた、しかし簡易水道と上水道とそれじゃどこが違うんだ、何にも違わないと思うのです。むしろ、考えられているところの資本費とかそういういかにコストがかかるかという部分に着目をして、簡易水道であろうとなかろうと、資本費とかそういったものに着目をした補助をしていくというのが私は、正しい新しい補助制度のあり方ではないか、このように思うのですが、いかがですか。
  90. 田中収

    ○田中説明員 そのような御趣旨を踏まえまして、五十五年度予算編成時期には、先ほどおっしゃいました資本費等を考慮に入れました予算の要求をいたしたわけでございます。予算化できませんでしたけれども、先生の御趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。
  91. 山田芳治

    山田(芳)委員 もうすでに九〇%の普及率であります。だから、これからの水道の問題というのは、やはり高料金に対していかにして国民の暮らしを守っていくかというところに向けて努力をしていかなきゃいけない。普及はもうこれ以上、一〇〇%ということは恐らくありません。九〇%を超えてくるということは普及率が大体一〇〇%ということですから、次は、料金の高い部分に対して助成をしていくというふうに助成の考え方をぜひ変えていっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  時間がないので、あとで財政の問題等を数点お伺いしようと思ったのですが、なかなかできませんが、水道に関連をして自治省にお伺いをしたいのですが、特別交付税で高料金対策として、五十四年度に約七十五億程度の助成がなされているということでございますが、これはまことに結構なことだと考えております。しかし私は、いま申し上げましたように、これは後追いになりますので、やはり厚生省が主体になって将来に対する助成をしながら、この特別交付税ができるだけ少なくなることが望ましい、こういうふうに思うわけですね。ところが、現実に高料金対策の助成が予算化されていないわけですから、これは引き続いてやってもらわにゃならぬのですが、この特別交付税の高料金対策に対する査定の基準がございまして、給水原価が百二十五円以上、資本費が五十四年の場合は五十円以上、家庭料金が百円以上という、こういう基準があるとともに、算出の基準がそれぞれ行われて、非常に条件が厳しいわけであります。  そこで、地方団体からも来年度、すなわち五十五年度は資本費の五十円を六十円に上げるのではないか、家庭料金百円というのをまた百十円以上のもの、こういうように上げていくのではないかということで、これでは大変だということで、ぜひひとつ五十五年度は五十四年の基準に据え置いてほしいという強い要請がありますが、これはいかがでございましょう。
  92. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 独立採算制を原則としております公営企業の場合に、料金にある程度の格差が生ずるということはやむを得ないというふうに私どもは思っております。ただ、住民の生活に必要不可欠な水道の料金が、平均的な料金に比較をいたしまして著しく高水準になるということは適当でない、かように考えまして、四十四年度以降高料金対策として、特別交付税措置がなされておるということだろうと思うのでございます。  そこで、ただいまのお話は、算定基準を毎年引き上げることはいかがかというお話でございますけれども、実はそれぞれの基準は先ほど申し上げましたように、平均的な水準に比較をしてどうなっておるかということで定めております関係で、その基準になります資本費、給水原価、家庭用料金、それぞれ各年度の決算の数値を実は基準にしておるわけでございます。これが毎年変動をいたします関係上、お話はございましたけれども、これらの繰り出しの基準の基礎になる数値については、私どもとしては毎年見直しをせざるを得ない、かように実は考えておるところでございます。
  93. 山田芳治

    山田(芳)委員 総枠の関係もあるでしょうから、総枠の範囲におさまるならば、できるだけその基準は据え置くようにひとつ要望をしておきたいと思います。  これ以外に私は、地方財政計画と決算とのギャップの問題、あるいは、今回いわゆる財政対策債が九五%から七五%に減らされたことによって地方団体にどういう個々の影響があるかという問題等々を伺いたかったのですが、時間がありませんから、ただ一間最後にお伺いしておきたいのは、今回の地方財政計画の中には、これは今度の電気、ガス料金がアップをしたことに伴って、個々の地方団体ごとに基準財政需要額が変わってまいりました。五万ぐらいの都市で約三千万円ふえるそうであります。五万の都市で約三千万円といいますと、約一千億近いものがふえてくるのではないか。しかし総額としては、これは料金がふえますから税が一千億ぐらい増収になりますから、別にそれによって地方財政計画自身が三角が立つというのじゃなくてプラスが立つわけでありますから結構なんですが、個々の団体ごとの基準財政需要額がふえていく。小学校、中学校あるいはいろいろの施設その他における電気、ガスの料金がふえてくるということを基準財政需要の中に計算をしなければならない。ところが、それが今度の地方財政計画の中に織り込まれておりません。したがって、非常なアンバランスを起こすのではないかと地方団体は恐れておるので、これはいますぐにこの地方財政計画を直しなさいと言っても直らぬだろうし、ここにあるところの交付税法の単位費用を改正しなさいと言ってもできないであろうと思うのですが、これに対する対応策だけ、この場を通じて地方団体に知らせる意味において明確にしておいていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  94. 土屋佳照

    土屋政府委員 地方財政計画策定します段階ではお示しのように、まだ電気料金等の値上げが決まっておりませんでした。そういったことから、基準財政需要の算定の中にも入っておりません。そういうことになっておりますが、私どもといたしましてはただいまお話のございましたように、全般的にはこれに対応する税収があるいは経費を上回って出てくるわけでございますから、総体的な財源対策としては特に問題はないと思っております。ただ、具体的な個々の地方団体になりますと、いろいろと問題が出てくるかとも思っておりますが、私どもとしては、とりあえずいま申し上げましたような全般的な財源としては不足はないということもございまして、当面、経費の節減なり、あるいは特定の場合は、追加財政需要的な形で若干の保留しておる財源もございますので、それでいけるであろうということで地方財政計画の変更はいたさなかったわけでございますけれども、今後いろいろな実態を見て、いろんなチャンスが出てくるのかどうかわかりませんけれども、全般に地方団体が非常に困ることがあってはなりませんので、その点は十分注視をしてまいりたいと思っております。
  95. 山田芳治

    山田(芳)委員 財政局長はそれで結構なんですが、やはり個々の具体的な状況の中では、これはいまの単位費用も動かすわけにもいかない、地方財政計画も動かすわけにいかぬでしょう、それもわかりますから、個々の具体的な問題が出てきたときに適切な措置をとっていただくということだけ要望したいと思いますし、もう少し私は地方財政の問題について、交付税の具体的な内容についてお伺いをしたかったのですが、時間がございませんので、別途の機会を得ていたしたいと思います。私の質問は、以上で終わります。
  96. 塩谷一夫

    ○塩谷委員長 次回は、来る十七日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時八分散会