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松尾政府委員 まず、今回の改定によりまして
地震保険料率につきましても改定の作業を当然いたしておるわけでございまして、その基本的な考え方から申し上げたいと存じます。
先生も御案内のとおり、この
保険は、ほかの
保険と違いまして、
保険会社の利潤
部分というものを一切認めない
保険でございます。それから、経費につきましても、極力圧縮をするということで組み立てられておりますが、いわゆる純
保険料と申しますか、危険に
対応する
保険料
部分の考え方でございます。四十一年当時におきまして設定されましたときには、今日と比べますと
地震理論というのもまだ未発達と申しますか、この十何年の間に
地震理論についてもいろいろな進歩がございました。そういったことを取り入れて今回いろいろな見直しをあわせて行おうということで取り組んできたわけでございます。せっかく
てん補内容が改善をされるのに、料率が上がりますと改善の意味が薄まると申しますか、
保険料が余り高くなっては魅力のある
保険にならないということは御
指摘のとおりでございます。
分損を
担保するときに一番大きな問題は、やはり
分損を
担保することになりますと、どうしても
支払い保険金額というものが相当大きくなってくるわけでございまして、全損一に対して半損というのがどのくらいの割合で出るか、これはやはり
地震によりまして非常に違いがあるようでございまして、全損の比率が比較的高い型の
地震もありましょうし、全損一に対して
部分損害が非常に多いという結果になる場合もございましょうが、常識的に申しまして、全損一に対してそれ以上の
部分損害というのが出ることは容易に考えられるわけでございます。といたしますと、そのままにいたしますと、やはり現在の
保険料率というものが五割も、倍にも上がってしまうではないかということが半損を導入するときの
一つの大きな問題でございました。
そこで、私どももこの十何年来のいろいろな経験の積み重ねと申しますか、特に
地震理論のいろいろな発展がございますので、端的に申しまして四十一年以来の十四年間というものを考えてみますと、
火災の危険というものはやはり都市の不燃構造化というようなことで非常に減ってきております。そういったことを勘案しまして、根本的な料率の見直し作業というものを何回かにわたっていままでやってまいりまして、若干
専門的なことの聞きかじりで恐縮でございますが、たとえば
地震と
損害との因果
関係というものは、四十一年当時には東大の河角教授の理論を
中心に、いわば震源地における震度というものと家屋の倒壊の因果
関係というものをつかまえておったわけでございますが、その後、いろいろ理論が進歩いたしましたと申しますか、今回は梅村教授の動的な理論と申しますか、単純な震源地における震度の大きさということだけではございませんで、もう少し精密な計算をする。あるいは先ほど申しましたように、都市の消防能力とか不燃構造化ということで
火災の危険というのは四十一年当時に比べますと非常に減っておるわけでございます。現にこの十何年をとってみますと、
火災保険料というのはそれを反映してどんどん下がってきております。
そういったことで見直しをいたしてみますと、全損だけについて見ますと、やはりいまより
保険料を引き下げることは可能ではないか、そこへ
分損、半損というものが入りますことによって増加する。しかし、これが五割も上がるということではやはりいろいろ問題があるのではないかということで、作業を繰り返してまいりまして、この
法案の御承認をいただきますれば、料率の具体的な認可ということになるわけでございますが、ただいま私どもが承知をしております限りにおきましては、全体平均をいたしますと、一五%程度の引き上げでとどまるのではないか。
それから、先ほど
先生御
指摘になりました等地区分の問題、これはいま大ざっぱに三区分になっておりますのを五区分に、五等地ということに広げますし、また、現在は
建物と家財というものを同じ料率というラフなことでスタートしたわけでございますが、今回は
建物、家財、それぞれ
担保範囲も違っておることでございますし、これは分けた料率にするということで検討いたしておりまして、少なくとも家財の
部分につきましては、
分損を導入することによってもある程度の
保険料の引き下げが可能ではないかというふうに見積もられております。