○竹本
委員 私は、民社党・
国民連合を代表いたしまして、ただいま
政府提案に係る両
法案並びに自民党のこれに関する修正案、これに反対をいたし、日本社会党、公明党・
国民会議及びわが民社党・
国民連合の提出に係る修正案に賛成の討論を行いたいと思います。
まず第一に、
電源開発促進税でございますけれ
ども、これは予算修正のときにもわれわれがいろいろ
指摘いたしましたように、インフレというのは本来心理的な問題が一番大きい。心理学の現象だと私は思っておりますが、
電力料金が五〇・八%も上がった、そして公共
料金が一斉に上げられた、そういうインフレの危機が一番鋭く感ぜられるこの際に、さらに追い打ちをかけて一・四三%か何かは別としまして、これに
電源開発促進税を引き上げるということはタイミングが最も悪い。
政治的考慮が最も足らない。一遍に千キロワット三百円に上げるというその上げ幅自体も問題でありますけれ
ども、これは
代替エネルギー開発の緊急性と重要性にかんがみまして一応忍ぶといたしましても、タイミングが悪い。そういう
意味においてこの税には反対であります。
第二は、特別会計の問題でございますけれ
ども、これにも四点問題を
指摘したいと思います。
第一は、受益者
負担、
目的税ということでございますけれ
ども、電気の問題はすぐれて全
国民的な課題である。そして
代替エネルギーをつくっていこうという問題はきわめて基本的な問題でございまして、これこそ一部の受益者
負担というような問題ではなくて、
一般会計において当然
措置すべきものである。本質的な税の性格からいってもここに問題があるし、会計のあり方にも問題があると思います。
次には、特別会計の問題の御
承知の勘定の方で、電源多様化勘定の問題でございますけれ
ども、これは
通産省並びに科学技術庁において十二分に検討をされて、これだけのことは絶対必要であるということで六項目、七項目の問題を拾い上げて、そしてそれに
財源的にどう
措置するかということに取り組まれた問題だと思います。
通産省並びに科学技術庁が取り上げられた問題は、どれを見ましても非常に重要なあるいは緊切ないま取り組まなければならない問題を拾っております。たとえば一番大事な高速増殖炉の問題にいたしましても、あるいはウランの濃縮の問題にいたしましても、あるいは再処理の問題にいたしましても、これは現下の最大の課題でありまして、一カ月予算が狂ったから後へ繰り延べてもよろしいなんというようなのんきな問題ではありません。あるいは中小の水力の
開発にいたしましても、
地熱の
開発にいたしましても、
石炭火力の施設の問題にいたしましても、それぞれ六項目、七項目拾ってありますけれ
ども、いずれも緊急な課題であって、ゆるがせにすることはできない。先ほど
大臣も
お話がありましたけれ
ども、われわれがいま電気の問題、
エネルギーの問題について真剣に
考えれば
考えるほどやきもきせざるを得ない情勢であります。その解決に役立つ六項目、七項目の緊急の課題を省いたり延ばしたりすることはできない。むしろ現下の情勢から言うならば、あるいは繰り上げて
実施をしなければならない、あるいは拡大して実行することを
考えなければならない。そういう重要な問題を、後で申しますように、一本の
目的税にすべてを依存してやっていこう。とてもできる相談ではありません。私はそういう
意味において、この事業が緊要で重大な課題であればあるだけ、そのいずれをもおろそかにできない、あるいは省いたりあるいは繰り延べをしたりすることはできない問題であるということが
一つの大きな問題であります。
特にいま問題にいたしました
財源の問題は、中
長期の安定
財源を確保しようという熱意は私
どももむしろ高く評価をいたしております。しかし、果たして中
長期の安定
財源になるかならないかというところが問題であります。
第一の問題は、すべてがこれは電源の
開発あるいは販売の
電力量というものにかかっておるわけでございますけれ
ども、そのもとである油の
供給ということ、油の確保ということが、先ほど来いろいろの議論になりましたように大変重大な問題であります。今年度三億一千万キロリッターの
石油が果たして確保できるか。クウェート等から十一万バレルとることができたというので新聞はずいぶん書いておりますけれ
ども、五百四十万バレル、やがては六百三十万バレル必要なときに、十一万バレルがどれだけのウエートを持ち得るか。そのほかすぐれて油というのは今日は戦略商品、
政治商品になっておる。
政治情勢の転換、変化でどう変わってくるかわかりません。三億一千六百方、そのうちには三億六千万キロリッターの
石油を確保しなければならぬという大
前提があるわけですけれ
ども、確保できるという保証はない。先ほど来
大臣も
お話しでありましたように、不確実性の時代です。その不確実のうちで一番不確実なのは
石油の確保なんです。今日、確実なものはほとんどない。すべてが不確実だ。確実なものは、日本の財政が破綻するということぐらいだ。あとはほとんど不確実。この不確実なうちの最たるものが油の確保でございますが、その油の確保、したがって
電力の
供給量あるいは販売量、それが不確実なんですから、この最も必要な
財源があるいは拡大をされていかなければならぬときに、むしろこの
財源を縮小する心配がある、あるいはじり貧になる心配がある。仮にお説のように固定的であると
考えましても、仕事をなおやらなければならぬ、仕事の方が拡大をされなければならぬときに固定的な
財源であるということは大きな矛盾を来す。いわんやその
財源自体が以下申し述べますような理由によって、油の確保から来てもむしろ縮小される、
財源が減っていく可能性がある。
もう
一つは、先ほど来御
指摘のありましたように、立地問題がなかなか深刻であります。それが行き過ぎたものがあるかないかということも
一つの問題でしょうけれ
ども、とにかく四百七十三億円も立地勘定においては金が余る、使わないでおるのだということからもわかりますように、この問題は大変重大な問題でありますから、立地問題で
電力の
供給あるいは販売量が減ることも
考えなければならぬ。
さらに、不況になってくる。これからは景気は、インフレでありますから・世界じゅうのインフレが今度は世界じゅうのデフレに転換する可能性も非常に多い。不景気になれば
電力の販売量は落ちるでしょう。そうすれば、また収入が減るわけです。一番大事なアメリカの景気だって、カーターが先日演説しましたように、予算を百五十億ドル削ろう、そして失業者は現在の六・二%がやがて七・二五%になることを覚悟してでも引き締めをやる、こう言っている。そうすれば、アメリカの景気はプラスの成長が
マイナスの成長に逆転するかもしれない。そういうような、世界じゅうがスタグフレーションの過程に入ろうとしている。その不況が日本においても響いてまいりますと、いま百貨店の売れ行きが一一%あると言って喜んでおりますけれ
ども、これがいつ減るかもわからない。あらゆる
意味において、インフレーションはやがてデフレーションになるんだ。そのスタグフレーションのいまの過程において、消費が伸び、
電力の販売量が常に伸びるということを
考えることも大きな無理があると思います。特に、今回のような一カ月おくれて八十億円、これはわかりやすいから私は言うのでございますけれ
ども、私
どもが
財源措置を真剣に
考えなければならぬということを言っているのは、一カ月おくれの八十億円の問題だけではない。むしろこの
財源は、油の問題から、立地問題の
立場から
考え、さらに不況になるということも
考えると、しり細りといいますか、だんだんに減っていく、そういう
財源ではないか。安定的にいくかあるいは拡大されていくか、その二つではなくて、逆に減っていく可能性のある、その上に安定的な中
長期の
財源を確保してあるということになるのですから、このくらい大きな矛盾はない。そういう
意味において、真剣に現下の内外の情勢を
考えるならば、しり細りの心配のある
財源を中
長期の安定
財源であるということに限定されるということは大きな間違いであるということを強く
指摘しておきたいと思うのであります。
なお、私
どもが修正案で申しましたのは、格別変わったことを言っているのではありません。念のため申し上げておきますけれ
ども、たとえば、原重油関税を
石炭石油の特別会計に入れておる、あるいは
石油税からも入れておる、そういうようなあり方で、しかも
一般会計からも必要に応じて繰り入れることができる道を開いておく。先ほど来、御討論の中にもいろいろ御意見がありましたけれ
ども、われわれは、
代替エネルギーを確保するという重要使命にかんがみて、それが円滑に行われるようにする
財源的基礎をどうするかということを特に問題にしているわけでございますから、
政府におかれましても、ひとつ速やかに
財源の本当の
意味での安定的確保のための構想をもう一遍再検討されることを強く要望いたしたいと思います。
以上をもって討論を終わります。(拍手)