○
伊藤(茂)
委員 いままでいろいろな具体的な問題を伺いましたが、それで実は考えるわけでありますけれ
ども、
IMFの
増資もなされる、それから
世銀、第二
世銀の
増資、あるいは
資金調達の面でも
日本は大きな
ウエートを増している。
マクナマラ総裁もその発言の中で、
シェアとボートの面では決まっているけれ
ども、
資金調達全体の
貢献度は
日本は非常に高いということを感謝を込めて発言をされているようであります。またODAの面でもGNP第二位の国としてふさわしいかどうかといえばまだ問題も多いわけでありますが、世界の
先進国の落第生と言われた
状態から何とか及第点を目指して
努力をしていこうということになっているのだと思います。そういう
努力の
方向づけを一体どっちに持っていくのか。というのは、最近国際
情勢もアフガン問題、
イランの問題、その他非常に緊張を増しているという大変不幸な
状態でありますし、
日本がこれにどう
対応するのかということも大きな問題であります。私、見ますと、最近の進行
状況は非常に憂慮にたえない気持ちがいたしますし、多くの国民が、さらに緊張が深まる、あるいは
日本が軍事大国を目指していくという
方向に危惧の念を抱いていると思います。そういう中での
日本の海外
経済関係あるいは海外
経済協力のあり方ということが
一つ問題ではないだろうか。
この一年ぐらいいろいろと
報道されたものをこのところ拾ってみたのですが、たとえば中越紛争に
関連してベトナム援助の凍結、それからアフガン問題その他を含めてパキスタンへの援助の強化、前からのASEAN重視、ASEANの中もなかなか統一しないようでありますが、最近は国際的な緊張の問題とも兼ね合ってトルコへの援助を急遽拡大をするというようなことでありますし、後でまた伺いますが、
イラン問題も何かカーターさんの大統領選挙に協力するかのようにいろいろと制裁その他それに従っていくというふうな
傾向もあるし、それから対ソ制裁の問題、韓国との
関係の問題はもう年来言われてきたことでありますから改めて言うこともないわけでありますが、
日本の海外
経済協力の
話題となるようなことをずっと拾ってみますと、何か緊張が激しくなる、あるいは
日本の外交方針、それから防衛力強化みたいな
方向と軌を一にして進んでいるのではないだろうか、そういう懸念が私は非常にするわけでありまして、金額の面その他で
日本の
ウエートが高まるけれ
ども、一体どういう姿勢と
方向づけで進んでいくのかということが大きな問題ではないだろうかと思います。
私は
会議などで、前の西
ドイツの首相であった
ブラントさんの話などを二年か三年に一遍ぐらい聞くわけでありますけれ
ども、また、書いたものなどを読みましても、私は非常にりっぱな人であり、内容だということを感ずるわけでありまして、平和の哲学といいますか、そういうものを持ちながら、
東西関係の面でも外交面でもヨーロッパの安全保障その他歴史に残る大きな
努力をされましたし、最近は
世銀グループ、
マクナマラ総裁の委嘱によって、個人的な諮問
機関ということのようでありますが、
ブラントさんが、特にヨーロッパを
中心とした総理
経験者その他ハイレベルの方々に集まっていただいて、いろいろな
検討をしたりなさっているようであります。そういう中で、これから新しい国際的な
経済秩序をどう展望するのか、
南北問題についても、いますぐ実現の現実的可能性があるかどうかは別として、
南北サミットというふうな提唱とか、いろいろな積極的な提言もなさっているようであります。出版されましたらぜひ私も読んでみたいと思っているのですが、そういう
ブラントさんの話などを聞きますと、最近の
状況は一体どうなんだろうかという気持ちが非常にするわけであります。
それで、まず最初に具体的な問題の前に、私は外交
政策と海外
経済関係というものは完全に分離されたものではもちろんないだろうとは思います。しかし、外交面でも
日本は平和国家、平和憲法ですから、こっちの方に向けていくのが当然第一義的な
努力であろうと思いますし、
経済の面でも、外交とか防衛
政策に追随をする
方向ではなくして、
経済協力を通じてデタントの
方向に
努力をしていく。特に
日本は資源のない国でありますから、
日本のよっていく道は平和という
方向しかないというのは、これは厳然たる事実ではないだろうか。最近の
経済協力に
関係をするさっき申し上げた一連の問題を見ますと、そういう危惧の念を深くするわけであります。
それから、
大臣もこの間、防衛費の問題についても財政再建が第一義的に重要であるというようなことを
質問に対して強調されておりましたが、きのうきょうのニュースなどを見ましても、訪米に向けて何か防衛力増強の
方向に、またカーターの
期待にこたえるように一歩踏み込んでいくという
方向への世論操作とも受けとめられるような発言をされているというふうなわけでありまして、財政再建、国民生活擁護が第一であるというふうに当
委員会で強調された
大臣の姿勢を、閣内でも第一番の実力を持たれる
大蔵大臣のポストでございますから、もっと強力に主張していただきたいというふうな気持ちもいたします。具体的な問題の前に、こういう不幸な国際緊張が高まろうとする中で、
経済における国際
関係あるいは対外
経済協力、緊張を
緩和する
方向に持っていくというのか、あるいは国の方針だから当面の
政策に従って次々とお金の面でもやらなければならないということなのか、その辺どういうお気持ちを
大臣お持ちでございましょう。