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高橋(元)
政府委員 今回の土地
税制の改正の御審議をお願いしておりますが、その眼目は、現在のような厳しい
財政状況のもとにおいて土地譲渡
所得者に対して大幅の税の軽減を行うことは適当でないということが一つ基本的にございます。しかし、三大都市圏特に首都圏における土地、住宅問題に対処するという観点から、こういった地域における市街地の地価の水準なり宅地供給の
実態を考慮して円滑な宅地の供給を促進するとともに、立体化、高度化による土地の有効利用を推進するため、長期譲渡
所得課税について所要の見直しを行う、これが基本の考えでございます。
したがいまして、具体的には御
案内のとおりでございますけれ
ども、
一般の長期譲渡
所得の場合二千万円から八千万円までの
部分について、四千万円まで二〇%比例とし、四千万円から八千万円の間は二分の一総合
課税といたすという改正をさせていただきました。もう一つは、本年度の
税制改正で設けられました優良住宅地の範囲を拡大をさしていただいております。それは土地区画整
理事業につきまして仮換地の指定を受けた土地についてこれを優良住宅地に含めるということ及び現在一団の住宅地に三十戸以上のマンションまたは五十戸以上の建て家をつくって分譲いたします場合の用地について優良住宅地としての戸数要件を半分に下げたということでございます。それからもう一つは、これはいわゆる立体換地と言っておりますが、俗にそう言ってよろしいかどうかわかりませんが、現在住んでおります宅地を売りまして四階以上の中高層耐火共同住宅をつくった場合に、そこに買いかえを認めるという新しい
制度を入れたわけでございます。
その三つの
制度に即して、くどくなりますが申し上げますと、二千万円までの比例
部分を四千万円まで広げたのはどういうことかということでございますけれ
ども、現在二千万円までを超す譲渡というものがことに住宅難、宅地難が言われております東京の
国税局の管内の市街化区域について観察をいたますと、二千万円を超す譲渡は一五%ぐらいでございます。これでは恐らく土地が二十坪か四十坪ぐらいしかない。東京
あたりのかなり離れましたところを考えましても、そのぐらい細分化された取引になってしまう。それを四千万円まで比例ということで税負担を明確にいたしました場合には、約七割ぐらいがふえてまいるのではないかというふうに思うわけであります。それから八千万円と申しましたのは、通勤圏の坪当たりの地価を大体二十万から百万ぐらいというふうに考えますと、大体三百平米以上のものが約六割ということになっておりますが、そういう三千万から四千万の取引を拡大させていくということを考えますと、これをやはり四千万円から八千万円ぐらいまで広げていくということが必要ではないかと思うわけであります。
それから仮換地以下のものは、これは優良住宅地を現実に即して、より運営しやすくしていくということでございまして、この優良住宅地も、ことしの確定
申告の状況を分析していきませんと、優良住宅地
制度でどれだけ宅地の供給がふえたかという的確な
お答えをいたしかねるわけでございますが、昨年の秋
あたりの東京都内の不動産業者による土地の買い取りを見ますと、かなり優良住宅地によります二分の一
課税というものの効果があるという情報もございます。そういう
意味で、東京都内、東京都近辺、三大都市圏近辺の優良住宅地の供給をふやすと同時に、
一般的に長期譲渡の
対象になりますような土地につきまして、大体八千万円と申しますと八十坪から百坪ぐらいでしょうか、もう少し大きくなるのでしょうか、そのくらいの土地の供給に資するような
制度であるということは私
ども確信をいたしておりますが、さて、いま
先生から
お話のございましたように、定量的に幾らかということは私
どもなかなかわかりませんのと、それからもう一つは、他の土地住宅政策との絡みで土地
税制の効果が出てまいるわけでございますから、したがいまして、建設
委員会でどういうふうに申し上げたか私はよくわからないのですが、定量的に把握して幾ら幾らの供給促進があるというふうには申し上げられませんと、それともう一つ、ほかの政策との
関連もございますというふうにあるいは
お答えしたのかとも思いますが、いま、今度の改正が宅地の供給の緩和につながらないということはあり得ない、むしろつながる方向で実を結んでいくのではないかというふうに思っております。