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山田(芳)
委員 自動車のことはまたほかの人がやるでしょうから、私はこの程度にいたします。
繊維の問題なんですが、これから申し上げる点は、具体的かつ非常に大切な問題なんで、ひとつ
大臣よく聞いておいていただきたいのです。
実は生糸の問題との関連で、京都で西陣という絹織物、和装産業の一大産地があります。ここは着物と帯とネクタイという三つの業種があるのですが、いま
わが国では、あえて西陣とは言いませんが、全国的にネクタイの産業は、はっきり申し上げて、もうつぶれるかどうかという瀬戸際に立っております。ネクタイはいま大変な状態になっているのです。
なぜそうなっているかと申しますと、現在、国内産の糸は大体キロ当たり一万四千七百円を前後しております。ところが、
輸入というか外国産の生糸は高いところで九千円、安ければ六千円くらい、こういうわけであります。そこで、西陣ではこの糸を使っていわゆる西陣ネクタイをつくっているわけですが、大体一本について四十グラムの生糸が.要るわけであります。そういうぐらいですから、一キロで二十五本ですか、そういうふうになるわけですが、このネクタイができ上がるにはいろいろと加工賃が要ります。そういたしますと、その加工賃がいろいろあるのですが、精練の費用であるとか、染色の費用であるとか、整経とか、あるいは綜続という縦の糸の上げ下げをするということ、あるいはデザイン料、紋紙代あるいは工場の費用、営業費等を入れますと、約千六百円かかる、こういうことであります。そこで、
輸入の糸ですと千三百円くらいである、こういうわけであります。ですから、どうしても国内の糸といいますか、現在の相場の糸を使ってネクタイを織るととても
輸入のネクタイにかなわない。とりわけイタリアのネクタイには完全に国内のネクタイが追放されかかっているというのが現状であります。
そこで、西陣では、こういう高い糸を使ってやるのではもうとても国内では外国、特にイタリアのネクタイには競争ができない、原料が高いということで。外国で勝負する以外にない。こういうことで、京都市も応援をいたしまして、去年の九月にはシアトルで展示会を開き、ことしの九月にはボストンでまた展示会を開いて、外国で市場を見つけて勝負する以外に西陣のネクタイの業者は生きていけない、こういう形になっております。
そこで問題は、
関税定率法の十九条の二という
規定がございまして、外国から入る生糸を使って外国へ売る場合には
関税は免除をされるとともに、生糸には制限を受けている繭糸価格安定法の除外
規定というのが繭糸価格安定法の十二条の十三の二というのにあります。いわゆる外国から入ってくる生糸でそれを加工して外国へ売る場合には
関税もかけませんし、いわゆる生糸は一元化
輸入というので蚕糸事業団が一元化
輸入をしているというもののらち外に置いているのが保税工場の役割りであります。
そこで、西陣の業者は、この繭糸価格安定法十二条の十三の二を使い、また同法施行令の第十六条の二を使い、また
関税定率法の十九条の二を使って何とか外国から安い生糸を
輸入して、保税工場に指定を受けて、そして外国へ輸出をするという形で勝負をしたい、こういうふうに
考えているわけですが、ここに一つ問題があるというのは、ネクタイというのが大変流行が変化をする品物で、三月ぐらいあるいは半年ぐらいで、たとえば幅が広くなったり狭くなったり、あるいは柄が非常に変化をするということがあります。したがって、
輸入の生糸を使用してネクタイをつくっても、流行が激しいものですから、いまの保税工場のように一定の計画を出してやっていくということは、もちろんやるとしても、キャンセルを受けるという場合があるわけであります。そうしますと、たとえ外国から
輸入し、それを輸出しようとしても、流行が変わるということで、あらかじめ注文を受けていたものが半分に減らされるとか、三分の二に減らされるということが非常に多い、非常に不安定な産業であるということから
考えて、輸出向けのネクタイ用の
輸入生糸を繭糸価格安定法の
関係でそういったキャンセルをされたものを国内に引き取る、そしてまた必要なときは
関税定率法の十九条の二によって国内産の生糸に置きかえて輸出をするというようなことが可能かどうかということが一つの大きな問題になるわけであります。
そこで、私はまずお尋ねをしたいのでありますが、まず
関税定率法第十九条の二第一項の趣旨をひとつ
関税局長さんにお伺いをしたいわけであります。