○竹本
委員 これは
大臣に特にちょっと申し上げて要望しておきたいのですけれ
ども、いま言ったように、必要以上に、あるいは不当な
摩擦もたくさんあるわけですから、政府としても
アメリカに対して言うべきことは言う、と同時にまた、言わなければならぬことについての情報も適時的確につかんでおくということが必要であろうと思うのですね。
そういう意味でちょっと一口申し上げますと、先ほど申しました繊維交渉のときに、日米繊維交渉の動きについて、ちょうどあのころは木村さんが官房長官であったわけですね。そして木村さんから繊維に関してということで、私
ども関係が深いものですから一応情報をひとつ申し上げたいということで話し合いの機会を持ちました。そして聞いたのですけれ
ども、大体皆間違っているのですね。木村さんは親切に言ってくれたのだけれ
ども、ほとんどとるに足らない
資料であった。そして、それは違いますよ、私が聞いているのはこうですと言った方がちゃんと当たった。それは事実ですから申し上げるのですが、そういうこともありました。あるいは沖繩返還のときでもそうですが、政治の情報も経済の情報も、大使館の悪口を言うわけではありませんが、情報のつかみ方が遅いとかお粗末とかいう点においてぼくは反省すべき点がたくさんあると思うのですね。やはり在外の公的な機関はもう少ししゃんとしてもらいたい。そしてしゃんとした情報を的確に早くつかんでもらいたい。そうでなければ経済外交もその他の問題もうまくいくはずがない。私は、人ですから情勢の
判断が間違うことはあるが、しかし、一応つかむだけの情報はちゃんとつかんでもらわぬと困りますので、在外公館の活動というものについては一段と厳しくやってもらうように、これは
大臣にひとつ要望しておきたいと思います。
それから、先ほどの
アメリカの競争力の問題は、結果的にはGNPの問題、
輸出比重の問題でちょっと申し上げましたけれ
ども、私は、一番大きな問題は、やはり
アメリカにおける合理化の努力、近代化の努力というものが足らないということが
一つ。それからもう
一つは、労働の条件——賃金については最近
アメリカに追いついたとは言えないかもしらぬが、大体追いつきつつある、ほとんど違いない、労働時間は大分違うようですけれ
ども。したがって、問題は、主として設備
投資その他の近代化や合理化の努力が十分なされていない。
これは
通産省に将来ひとつお願いしたいのですけれ
ども、
アメリカが
国内における設備
投資のために払っている努力とそれから高い利潤を求めて
海外に出ていって
投資しておる
投資の割合、ぼくはこれを本当に計数的に一辺調べ上げたらいいと思うのです。そして
アメリカが入超だとか出超だとか言うけれ
ども、
アメリカが
海外に出ていったダミーか子会社か知りませんけれ
ども、そういうものが
輸出している
輸出と
アメリカ本国が
輸出しておる
数字と合わせてみると、
アメリカがわいわい言っているのとはまた実態が大分違う。そういう意味で、これは
資料ができておればいただきたいし、なければつくってもらいたいと思うのです。要するに、
アメリカとちゃんと堂々と対陣ができるように、
アメリカの設備
投資はこの
程度しかやってない、私も
数字は持っていますけれ
ども、もっと本格的なものも欲しいのです。
アメリカはこれだけの努力しかしていないが、
日本の場合にはたとえば
アメリカの二倍はやっておる、そういうようなところを明確に示し、同時に、
アメリカの方は
国内でやらないものを外へ持っていってやっているわけですから、その割合がどのぐらい大きいかというようなことについてもはっきりした
数字をつかんで、だから
アメリカは
日本の
輸出に押されるんだ、あるいは競争力が低下しておるんだというようなことをもっと明確に具体的に示していくことができるように努力をしてもらいたい、こう思います。
最後に一口だけですが、最近
アメリカに関税の問題その他経済
摩擦の問題もありまして、また
アメリカの方の希望の問題もありまして、
日本の
企業の
アメリカ進出という問題が出てきておる。私は、いまデリケートな最中の問題ですからこの問題に具体的に触れようとは思いませんが、結論として、
アメリカに出ていって
企業を行うということは非常にむずかしい問題がたくさんある。特に出ていった場合に、
アメリカの労働者を使う。
アメリカの労働者は、まだ若干労働時間は短いし、賃金はちょっと向こうが高いということもありますから、フォルクスワーゲンが出ていったときには、特別
措置というか臨時的な
措置を講じて来てくださいということを言ったようですが、仮にそういうものがあっても、
アメリカ人の
企業に対するロイアルティーとかあるいは勤勉の度合いとかいうようなものはいろいろ違っておりまして、
日本の
企業の
アメリカ進出というものには普通に
考えられる以上に困難な問題がある。余り困難がなければどんどん出ていってもらえばそれだけ経済の
摩擦が減るわけですから、非常に結構で歓迎すべきことだと思うけれ
ども、実際はなかなか困難があるのではないかということが
一つ。
それからもう
一つの問題は、出ていった結果、今度は
日本の方がお留守になって、今度はそれだけ
日本の雇用問題が悪く展開するということにならぬか。それから、出ていった
アメリカの
企業が、あるいはカナダなりその他の地域に
輸出をどんどん始めると、今度は
日本の
企業と
アメリカに出ていった
日本の
企業との競争が激化する。そのために
日本の方がまいってしまう場合もないではない。そういう点に対する配慮が十分行われなければならぬと思うが、その点はどうか、これを伺って終わります。