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1980-02-15 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月十五日(金曜日)     午後六時三十二分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 綿貫 民輔君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 坂口  力君    理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    越智 伊平君       大村 襄治君    熊川 次男君       椎名 素夫君    谷  洋一君       中村正三郎君    林  義郎君       藤井 勝志君    坊  秀男君       村上 茂利君    毛利 松平君       山口シヅエ君    山中 貞則君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       川口 大助君    沢田  広君       堀  昌雄君    柴田  弘君       古川 雅司君    多田 光雄君       渡辺  貢君    三浦  隆君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵大臣官房審         議官      垂水 公正君         大蔵省関税局長 米山 武政君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君  委員外出席者         通商産業省通商         政策局国際経済         部通商関税課長 内村 俊一君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     横山 太蔵君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     玉生 孝久君   島田 琢郎君     細谷 治嘉君   山田 芳治君     井岡 大治君   多田 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     山田 芳治君   細谷 治嘉君     島田 琢郎君 同月十五日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     越智 伊平君   玉生 孝久君     谷  洋一君   山崎武三郎君     西田  司君   不破 哲三君     多田 光雄君   横手 文雄君     三浦  隆君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     白川 勝彦君   谷  洋一君     玉生 孝久君   西田  司君     山崎武三郎君   三浦  隆君     玉置 一弥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇号)      ————◇—————
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂口力君。
  3. 坂口力

    坂口委員 質問に入ります前に、先ほど理事会でも問題になりましたが、大蔵委員会は常に夜やるということにいつの間にか慣習化されてしまいまして、それが何となくあたりまえのように実はなってしまいました。大臣も大変お疲れだと思いますが、各議員もまた非常に疲れているようでございます。できるだけ太陽が高いうちにひとつ委員会をやろうじゃないか、そういう話も出たわけでございますが、予算委員会との関係もこれあり、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、できるだけ大蔵委員会というものも、予算委員会のあいている時間を縫ってという形ではなくて、もう少し主体性を持ってやりたいと考えておりますので、ひとつその辺、大臣のお考えを聞いてから質問に入りたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 私が大蔵委員をしておりましたのは昭和三十三年、ちょうど山中先生大蔵政務次官であったころであります。その当時から同様な感想を持っておりました。
  5. 坂口力

    坂口委員 それでは、時間もございませんので、きょうの質問に入らせていただきたいと思います。  きょうの夕刊あるいはテレビ等を見ておりますと、アメリカにおきまして、米国の下院のロナルド・モトル議員日本車輸入規制法律案というものを提出する、こういうニュースが流れてきているわけであります。この自動車の問題はかねてからいろいろと摩擦の大きかった問題でございますが、だんだんとアメリカ側態度というものも高じてきたという感がしないではないわけです。この当面の貿易について、とりわけ自動車の問題につきまして、これからどのように取り組んでいこうとお考えになっているのか、通産省もきょうは来ていただいておりますから、通産省にもお聞きをし、また関税局の方にもお聞きをしておきたいと思います。
  6. 横山太蔵

    横山説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、ただいまアメリカにおきまして、日本車輸入につきましていろいろな声が上がっておるのは私ども十分承知をいたしております。しかしながら、日本車輸入が増大をいたしております最大のと申しますか、唯一と言ってもいいかと思いますが、理由が、アメリカにおきますエネルギー情勢を反映いたしまして小型車に対する需要が急激に増大した、それに対してアメリカ自動車産業が十分に供給する能力を備えていないというところにあるようでございまして、その間隙に日本車輸出されておる、こういうのが実態かと存じております。  したがいまして、私どもは、アメリカの一部で輸入制限的な声が上がり、かつ日本投資を求める声が上がっておることは十分承知をいたしておりますけれども、さらに各方面の意向を十分把握した上で適切な対処をすべきだと考えておる次第でございます。
  7. 竹下登

    竹下国務大臣 けさほどは通産大臣をフレーザーさんが訪問なさっておりました。そのお話を私も承ったわけでございますが、日本車のいわゆる進出というものを大変期待しておるという向きの主張であったようであります。したがって、いま自動車課長から申しましたように、いわゆる今日の事態をもたらしたのは、アメリカ自動車業界そのものの努力が欠如しておったのではないか、そういうような主張もそれぞれ勇敢になさったように承ったわけであります。  しかしながら、日米経済摩擦は最も避けなければならないところでございますので、これに対応して、外務省はもとより、通産省とされましても、その問題を念頭に置きながら、あるいは企業進出をした場合のリスクは将来どういうふうにしてカバーできるのだろうかというようなことも含めて真剣な検討に入るという旨の報告をきょう承ったところでございます。したがいまして、私は日米貿易摩擦を避けるという前提に立ちまして、私どもの方で言いますならば、どちらかと言えば国際金融局等々の問題になりますけれども外務省通産省十分協議をいたしまして、日米経済摩擦は何としても避けるという方向で対応していかなければならぬ、このように考えております。
  8. 坂口力

    坂口委員 日本企業輸出というものに対して向こうが非常に関心を持っていることは、私どももよく承知をしておるわけでございますが、きょうもフォルクスワーゲンがアメリカに第二の工場進出をするというようなニュースが伝わっております。日本の場合には、トヨタ自動車等もそういった面におきましてはなかなかはっきりとした態度をとっておりませんし、アメリカ側にとりましては非常に不満な面を持っているのではないかと思うわけであります。この辺については、通産省としては積極的に進めていくという方針で指導なされるのか、それとも各企業主体性に任せるという態度でいかれるのか、この辺はいかがでございますか。
  9. 横山太蔵

    横山説明員 お答えいたします。  自動車産業の対米投資につきましては、私ども基本的には次のように考えております。  自動車産業は、現在一千万台の生産をいたしておりますが、その半数、五百万台を海外輸出をいたしております。輸出というものは、先生御高承のとおり、為替リスクでございますとか、あるいは船賃の変動でございますとか、あるいは場合によりましては輸入制限運動等を受けるということで不安定な要素を多分に持っておるビジネスでございます。したがいまして、このビジネスリスクを避けるために産業海外投資をするというのはきわめて自然の流れであるかと考えております。さらに、今回のように日米経済摩擦解決策としてアメリカ側から投資を要求されておるということになりますと、私どもはそういった点を考えまして、日本企業に前向きに対処するようにお話をいたしてはございます。  ただし、急激な現地生産化が進みますと、国内に雇用でございますとか、下請中小企業関係とか、いろいろ悪影響を残す面もこれまたございます。基本的には企業判断によらざるを得ないと考えておるところでございますけれども、私どもは、各企業に対して、いま申し上げましたような諸要素十分考慮の上、自主的に御判断をいただくように慫慂しておるところでございます。
  10. 坂口力

    坂口委員 自動車の問題はこれぐらいにしておきたいと思いますが、一月二十三日に発表になりました貿易統計を見ますと、輸出入の差が二億五千四百八十三万ドル輸入超過になっているわけであります。今後の貿易収支国際収支というものについて、大蔵省としてその感想を持ってみえるだろうと思いますが、二年続きの赤字が予想されておりますだけにその動向は非常に注目されるところであります。したがいまして、その動向について、どのような見解を持っておみえになるか、まず聞いておきたいと思います。
  11. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 貿易収支でございますが、去年の四月から十二月までの数字を見ますと三億ドルの黒になっております。ただ、貿易外移転収支を含めました経常収支で見ますと、三角の七十九億ドルというような姿になっております。  それで、五十四年度実績見込みでございますが、先般の企画庁の経済見通しの中の数字をドルで申しますと、貿易収支は一億ドルの黒になっております。ただ、経常収支ベースで見ますと、赤の百十三億ドルというような見通しになっております。  来年五十五年度見通しでございますが、すでに御承知のように、貿易収支では三十四の黒、経常収支では三角の九十一億ドルの赤というようなことになっております。  輸出輸入を見ますと、輸出については、来年度は一六%の増を見ておる。輸入は一二・九%の増を見ておる。これを五十四年度と比較しますと、五十四年度輸出が八・九の増、輸入が三八・〇、こういうような見通しを立てておるわけでございますが、この数字からわかりますことは、一つは、輸出が五十二年度、五十三年度、五十四年の前半を通じまして非常に円高になったということで伸びが落ちておる。それが五十五年度になると五十四年度よりも大体倍くらい伸びる。価格の問題もございますが、八・九が一六になる。輸入の方でございますが、これもやはりレートの関係がかなり作用しておるわけですが、基本的には油の値段が非常に上がったということが効いて、そのために五十四年度は三八%の増ですが、来年度はある程度石油価格の増を見込んだ上で、この価格がレベルオフするというようなこともございまして一二・九%と輸入が落ちるというような見通しになっております。  したがって、貿易収支では若干の黒、一億の黒が三十四億の黒になる。経常収支も百十三億から九十一億に改善されるというような姿になっております。  ただ、非常に不確定要因がございますのは、一つは油の価格がどうなるのかということ、それからアメリカ経済動向あるいは世界の経済動向がどういうふうになるのかというようなこと、それからいろいろな国際的な政治不安がこれからどうなっていくのかというようなことがございます。それから国内経済動向も当然のことながら影響を与えるわけでございます。そういうようなことで今後かなり不確定要因がございますけれども、少なくとも言い得ることは、その収支じりでは五十四年度よりは改善するであろうというような見方を持っております。
  12. 坂口力

    坂口委員 今回、この改正案がいま審議になっておるわけでありますけれども、この法律が通過をするということになりました場合に、これによる貿易に対する影響というのはどのように見ておいでになりますか。
  13. 米山武政

    米山政府委員 今回の改正によりまして関税率が大幅に低下するわけでございまして、譲許税率から見ますと約五〇%、実行税率から見ますと約二〇%の低下を一応計算しておりますが、これは御承知のように八年間にわたって八分の一ずつ下げていく、物によりましては初年度八分の二下げる、こういうことになっておりますが、これによって細かく幾らになるかというのは積み上げが、非常に品目も多いですし、なかなかむずかしゅうございますが、私どもは、いま国金局長が申し上げましたように、全体としてはある程度輸入は伸びるわけでございますが、これによって幾ら年度年度で伸びるかというような細かい計算はいたしておりません。
  14. 坂口力

    坂口委員 いまも少し触れられましたけれども東京ラウンドを受けて八年間八分の一ずつ引き下げを行っていくことになるわけであります。昭和五十五年度関税改正参考資料によりますと、日本、それから米国EC、これを比較しました場合に、日本は明らかに引き下げ後の税率というものが米国やあるいはECよりは低くなる。これはいろいろの事情もあろうと思いますが、現在の貿易現状等から見ました場合に、その背景になっているところは一体どんなものがあるのかと  いうことが一つ。  それから昭和五十四年度、五十五年度国際収支が全体で見ますと赤字が見込まれるわけでありますけれども、先ほどのお話でありますと、貿易そのものでは五十五年は黒字に転ずるであろうというお話がございましたけれども、しかし、いままでよりはその率というものはかなり下がっていることは事実でありまして、そのことを考えますと、引き下げ後の税率米国だとかECに比べてかなり低いというのはいささかどうか、この点を気にする人も中にはあるわけでございます。この辺、二点につきましてひとつお聞きをしておきたいと思います。
  15. 米山武政

    米山政府委員 今度の東京ラウンド交渉の結果、八年後の関税率が、いま委員指摘のように、日本が三%、アメリカが四%、EC五%ということになっております。ただ、現在の水準自体日本は五・八%、アメリカが六・〇%、ECが六・四%、こういうふうに、すでに日本税品目ベース譲許税率で見ますとそうなっております。この理由は、日本輸入原材料輸入シェアが非常に高い。原材料はほとんど無税のものが多うございまして、その結果輸入構造からそうなっておるわけでございます。今度はこのベースをもとにいたしまして、できるだけ一律に引き下げていく。しかし、その中で高いものはよけいに下げていく、こういうふうなことを行いまして、しかもその一般原則によらないものは個々に折衝して引き下げ率を算定した、こういうことになっていまのような数字になったわけでございます。  ただ、ここで考えてみますと、いまの五・八とか六・〇とか六・四という日本米国ECの内容が違っておりまして、米国ECはこのベース自体実行税率になっております。ところが、御承知のように、日本の場合は譲許基本税率から、日本経済力等を反映いたしまして、すでに何回も自主的に引き下げを行っておりまして、実行税率というのが非常に低くなっております。  したがいまして、先ほどちょっと御説明いたしましたように、アメリカEC等は、カット率アメリカが三二%、ECが二六%になっておりますが、日本はこの実行税率から見ますと一九・三%、約二割ということになっておりまして、そういう点から見ますと、特に日本が今回他の国に比べて非常に低くしたということにはならないような気がいたします。  それからもう一つ、五十四年度、五十五年度貿易動向から見て、五十三年度に比べてさま変わりになっているのに、この際こういう大幅なカットというのはどういう影響があるだろうか、また、問題ないのかという御指摘でございますが、先ほどの国金局長説明はグローバルの数字でございますが、これを内訳を見てみますと、対米、対EC等には依然として大きな黒字が続いているわけでございます。これは通関ベースでございますので、IMFの国際収支統計とちょっとベースが違いますが、五十四年を見てみますと、対米黒字は約六十億ドル、対EC黒字は五十一億ドル、こうなっておりまして、対米の黒字は相当減っておりますが、むしろ対ECの場合には五十三年よりもふえている、こんなふうな状況になっておりまして、今回の東京ラウンド交渉の主要な相手でありますのはEC米国でございますので、そういう点も考慮いたしますと、特に日本がこれによって対米、対ECからの貿易関係が大きくマイナスになるということは考えられないような気がいたします。
  16. 坂口力

    坂口委員 それからこのダンピング関税でございますが、いただきましたこの資料を見ますと、新ダンピング防止協定が作成されたわけですが、「これによって不当なダンピング関税の乱用に一層の歯止めがかかるものと期待される」と書いてございますが、具体的にはどういうことでございますか。
  17. 米山武政

    米山政府委員 ダンピング関税相殺関税改正定率法でやっているわけでございますが、これは東京ラウンドに基づく協定を忠実に実施するために国内法改正をする、こういうことになっているわけでございます。御承知のように、たとえば相殺関税等について見ますと、アメリカの場合は——この本来の要件は、補助金等を受けることによってその輸出力が増加し、しかも輸入国において産業に非常に大きな影響がある、損害を与える、こういう二つのことが要件になっているわけでございますが、現在アメリカは特例がございまして、特に損害要件というものは加味してなくて、補助金がついていてそれが輸入されて問題になると、これに対して相殺関税をかけるというふうなことが一つありますが、これは今回アメリカが今度の新しい協定を実行することによりましてこの損害要件というのは非常に大きな問題になりまして、従来のように単に補助金がついているだけではこれが発動できないというふうなことがございます。  ダンピング関税につきましては、すでにケネディ・ラウンドのときに相当詳細な規定がございまして、アメリカもこの協定に参加しておりますが、今回では特にこのダンピング関税で歯どめがかかる点は、従来は調査を始めていつまでも終期がほとんど決まっておりませんでしたが、今度はダンピング関税調査を始めてからこの協定に決められた期間内にそれを終了しなければいけないとか、その他手続面の整備を相当されておりまして、こういう詳細な手続に従って、世界的なルールに従って、アメリカECその他の国も行うということになりますので、そういう面でもこの協定参加の効果が大きい、こういうふうに考えております。
  18. 坂口力

    坂口委員 アメリカの中では非常に日本のダンピング問題というものが常に問題になっているわけです。その事実問題というものは私ども日本の側から見ておりますと、どこまで正確にそれが把握されているのかよくわからないときもあるわけでございます。今回のこの新協定によりましてその辺がより明確になることを期待しておりますが、アメリカの方はこの新協定の発足がもうしているわけでございますか。まだこれからでございますか。
  19. 米山武政

    米山政府委員 ことしの一月一日からすでに実施しております。
  20. 坂口力

    坂口委員 それから特恵関税関係でございますが、百四十五にも上っておりますので、これらの国からの輸入によります国内産業、とりわけ農業への影響というものが非常に懸念されるわけです。きょう農林省の方は来ていただいておりませんけれども、これらによってどうした影響を受けるのかということ。それから今回中国が新しく加わったわけですが、お隣のあの大きい中国がこの中に加わりましただけに、その影響というのは非常に大きいであろうと思います。日本の国にそれが直接余り大きな影響を与えないようにいろいろの処置は講じられるとは思いますけれども、しかし、どこの国に何がどれほど輸入をされてくるのかということは、国民も非常に注目をしておるところではないかと思うわけであります。この辺の輸入が大体どういったものが多くなるのか、特に農作物が多くなるのじゃないかという心配が非常に大きいわけでございますが、どういう予測をしておみえになるかもひとつあわせて答弁をいただきたいと思います。
  21. 米山武政

    米山政府委員 特恵関税を供与するに当たりまして、特に国内産業にいろいろ影響を与えるということを考慮いたしまして、農水産物につきましては鉱工業製品とは違った扱いがされております。それはどういうことかと申しますと、鉱工業製品は特定のものを除きまして原則として全品目に対して供与し、また特に影響のあるものを除きましてこれを無税とする、こういうことになっております。ただ、もちろん毎年毎年枠を決めております。これに対しまして農業は、特に問題のないものに対して特恵を与える、原則として与えないけれども、問題のないものについて与える、こういう品目をポジティブに出しましてそれに対してだけやる、こうなっておりまして、その品目は七十五品目に限られております。この七十五品目と申しますのは、特恵国からの農産物の総輸入の約一二%程度でございます。これは五十三年の数字でございますが、これを円で言いますと、特恵供与国からの農産物の総輸入額は一兆四百二十五億円でございますが、特恵対象品目は千三百二十八億円、これが一二・七%になる。こういうふうに鉱工業品とは違ったような、わりあい制限的なものにしております。  それから、これは農産物の場合に枠をつくっておりませんが、国内産業に大きな影響を及ぼすような場合には、エスケープクローズによりまして機動的にこれに対応しましてこの特恵の適用を停止するというふうな措置もとっているわけでございます。  それから第二の御質問でございますが、中国でございます。中国の場合には、いま御指摘のように相当輸入量も多うございます。発展途上国の中で特に現在非常に多いのは韓国、台湾等でございますが、恐らく中国も現段階でもこれとほぼ同程度輸入量だと思います。ただ、中国の場合には、御承知のように石油、生糸といったものが多うございまして、これらは特恵対象になっておりません。  それで、今度中国特恵を与えることによって、従来どおり計算しますと、枠が非常に多くふくらみまして国内産業に問題を与えそうなものはどんなものがあるかと申しますと、高級じゅうたん等は、これは中国を加えることによりまして、そのままにしておきますと無税枠が五倍くらいにふくらみます。それから履物とか、手袋とか、ほうきとか、それからキリが非常に多く入っておりますが、そうしたものをそのままにしておきますと、相当特恵供与枠がふえることになりますので、今度は、これは政令でございますが、計算方法を変えることによりましてこの枠の急増を防ぐような措置をとることといたしております。
  22. 坂口力

    坂口委員 先ほど問題のないものというお話がございましたけれども、この問題のあるなしというのは非常にむずかしい場合があるわけですね。たとえば、決めますときには問題ない、こう思っておりましても問題があるようになるものもございましょうし、特に農作物自然現象によって非常に左右されるということもございますから、作付面積からいくと多分これは問題ないだろう、こう思っておりましても、取り入れを終わってみるとこれは問題のあるものの方に入れた方がいいとか、いろいろ変わっていくこともあると思うのですが、これは、そうしますと、一年一年決めていくわけですね。その辺はどうなんでしょう。
  23. 米山武政

    米山政府委員 現在の枠は年度年度でその輸入枠を決めておりますが、ただこれは一定の計算式がございまして、計算式は毎年変えるわけではございません。典型的な一つの最も多くのものがその計算方式によっているその計算方式を申しますと、昭和五十五年度の枠を計算する場合には、昭和五十年の発展途上国からの輸入額プラス前々年、すなわち五十三年の発展途上国以外からの輸入額の一割を加えたものをもってその特恵の枠とする、こういうふうに決めておりまして、この枠の計算方法は変わりませんので、実質的な数量が動くことになります。  ただ、いまの問題は、これは鉱工業製品の基本原則でございますが、先ほど申し上げましたように、農水産物につきましては、これは枠を決めておりませんで数量だけでやっておりますが、問題がありますれば、先ほど御説明いたしましたように、その時点で直ちにこの特恵をとめるというエスケープクローズ方式をとっているわけでございます。
  24. 坂口力

    坂口委員 それから特恵関税につきましては、これは昨年でございますけれども新聞でも報道されたことがございますが、いわゆる特恵関税の駆け込み輸入というのが問題になりました。江川問題じゃございませんが、空白の一日ということで大きく出たことがございます。昨年も税関の集計作業が二日間かかりましたために、その空白を突いて銅地金あるいは繊維、こういったものが限度枠の何十倍も無税輸入をされるということが起こった、こういう記事が昨年も出たわけでございますが、法律の運用上こうしたことはなかなかむずかしいのかもしれませんけれども、しかし、これも起こることがわかっていながら、これをそのまま見逃しておくというのもどうかという気もするわけであります。何か適当な方法があるのならば、この際明らかにしていただきたいと思います。
  25. 米山武政

    米山政府委員 特恵供与枠の管理の方法は、委員承知のように、月別管理と日別管理の方法がございます。国内産業に余り影響を与える度合いの少ないものは大まかに月ごとに管理しております。問題がありますものは日別に管理しておるわけです。いまの問題は、この日別管理の物品に対して生じた問題でございます。  日別管理の方法というのは、毎日毎日入った数量を税関から電話で全部聞きまして、その集計がその枠を超えますと、その翌日はすぐ間に合いませんので、一日置いた翌日、ですから、一日にいっぱいになりますと三日からとめる、二日はそのままにしておく、こういうことで、いま空白の一日というのはその二日目のことを指すものと思われるわけでございまして、この日別の管理品目で、去年は銅の地金が枠の五十二倍くらい入ったということで問題になったわけでございます。  ただ、これはいまの空白の一日よりもっと以前の問題として、一日だけですでにいっぱいになってしまう、時間ごとに管理できませんので、四月一日にふたをあけますと、一日ですでに入ってしまうというものの方が多うございまして、二日目ももちろん入りますが、むしろそういう方が多うございます。これは日別管理で、しかし両方とも同じ問題でございます。  そして、これに対してどうするかということでございますが、確かに決めた五十二倍も入ってしまうと、これはやはり問題になるわけでございます。これに対しましては、一つは所管官庁の方でその業界等を指導することによって、こうしたことのないように指導するということが事実上の対応の一つであるわけでございますが、どうしてもそれでも適応できないような場合にもう一つの方法があるわけでございます。これは非常に問題のあるものについては事前割当方式というのがございます。ですから、先ほど私が管理には二つあると申しましたが、月別管理、日別管理のほかにもう一つ事前割当制度というのがございます。この事前割当制度というのは、枠を計算しましてその年度の始まる以前に各業者にその枠の範囲内で割り当ててしまう。こうしますと、その割当書を持ってこなければ税関を通さない、こういうことによりましてその枠の超過というのは防げるわけでございまして、この方式をとっているものは、当初十一品目設定いたしましてその後いろいろ問題になりましたものにつきまして逐次追加いたしまして、現在は十四品目、追加されたものはアルミニウムの地金とか、毛皮製品、かさ等につきましては、この事前割当制度にそういう問題がありましたので追加した、こういうことになっております。ただ、この事前割当制度にもそれぞれ弊害がございまして、どういうふうに業界に割り当てるかというふうなことがございますので、こういうことはよほど問題がない限りできるだけ避けていきたいと思いますが、非常に問題があって国内産業に大きな影響を及ぼすというふうな場合には、枠を事前に割り当てる事前割当制度というもので対応できる、こういうふうに考えております。
  26. 坂口力

    坂口委員 結局できるということですね、対応の仕方があるということですね。わかりました。  それから、いただきましたこのプリントの中に「ホンリュー事件最高裁判決に伴う関税定率法等改正について」というのがございます。特にポルノ等の写真でありますとか、あるいはまたフィルム等を取り締まる問題等に関しましても、この大蔵委員会のかつての議事録等も見せていただきますと、いろいろ議論のされているところでございます。この「風俗を害すべき」という基準でございますけれども、これは先日もどこかの判決にもございましたが、ポルノの基準というものもその世代によって変わっていくのではないか、こういう記事も出ていたわけでございますが、皆さんのお仕事の面からいきましても、その基準というものは時代とともに変遷をしていくのではないか。これを税関ではどのような基準で対処していかれるのか。また、本質的にこれは税関が行うべきものかどうかという根本的な議論もあるようでございますけれども、その問題はさておきまして、そうした時代とともに変わり行く変遷をどのように受けとめておるのか、ひとつこの際お聞きをしておきたいと思います。
  27. 米山武政

    米山政府委員 風俗を害すべき物品の中にわいせつ物品が含まれるわけでございます。  このわいせつの概念と申しますのは、刑法百七十五条のわいせつ物品の販売に対しまして最高裁の判決がございまして、その定義といたしますと、「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」をいう、こう定義されているわけでございます。わいせつの概念というのは基本的にはこういうことでございますが、具体的にどういうものかというのは、やはりその時代の一般社会において行われている常識、社会通念によって変わってくるのは御指摘のとおりでございます。また、数次の判決もそういう方向で判示されているわけでございます。税関でわいせつ物の取り締まりを行う場合の基準というのはやはりこういう基本的な概念に基づきましてその時代とともに変わってきております。  具体的に申し上げますと、いま言った過去の判例、それから、御承知のように税関長の諮問機関といたしまして、民間の有識者から成る輸入映画等審議会というのを設けてございます。これは税関長のわいせつ物品に該当するという通知に対しまして異議がある者は税関長に再度申し出るわけですが、それを最終的に決定する際にこの輸入映画等審議会にかけるわけでございます。  これは年数回かけておりまして、相当何件もかかっているわけでございますが、こうした民間の有識者がその一つ一つについていろいろ判断を下されます。こういうものが時代とともに変遷する社会通念を反映しているもの、こういうふうに私ども受け取りまして、一応の基準をつくっておりますが、こうした基準は、いまの判決あるいは輸入映画等審議会の答申等をもとにして随時そういうものを修正してきているわけでございます。
  28. 坂口力

    坂口委員 それでは最後に、大臣一つお聞きをして終わりにしたいと思います。  この関税及び貿易の問題は、大局的立場に立って考えます場合とあるいは国内の局部的な問題として考えます場合とでは非常に違う場合がございます。大局的立場で考えますときには、どうしても関税率引き下げ等をやらねばならないということがございますけれども、また、国内の、特に第一次産業等に目を向けましたときに、地域的におきましては非常にそのことが大きな影響を与えることもあるわけでございます。これは大蔵省の範囲を超えて各省庁との間でいろいろお話しになることであろうかと思いますけれども、その辺の配慮というもの、各省庁からもいろいろまた要求もあろうかと思いますが、余り一部分だけに大きな犠牲を強いるということのないような配慮が当然そこにはなされなければならないと思うわけでございます。その点、大臣のお考えを聞いて終わりにしたいと思います。
  29. 竹下登

    竹下国務大臣 東京ラウンド、長い間かかった問題でございますが、そこで各国それぞれ合意に達して、諸手続を終わって、こうして御審議をいただいておるという段階に至ったわけであります。これは確かにわが国が国際経済社会の中に果たさなければならない役割りというものが、大きく大局的に見ればその方向に進めていかなければならぬことは、坂口委員指摘のとおりであろうと思うのであります。  先ほど大蔵委員会のことをお話しになりまして、そうして私もつい、三十三年から五年間くらい大蔵委員をやっておりましたと申したのでございますが、当時を振り返ってみますと、それこそコンニャクでございますとか、雑豆でございますとか、あるいはレモンでございますとか、個別品目について絶えず議論があったことを思い出します。そうして、それらはまたそれなりの障害を克服しながら、国内政策と相まって今日に至った。したがって、私は、国際的な役割りを果たすための原則の問題と、いま一つ、地域的に集中したりして農作物あるいは中小企業等々に大きなダメージを与えるようなことがあってはならぬというのは当然のことでございますので、それはいまもいろいろその都度答弁もあっておりましたけれども、あくまでも国内産業政策として別の角度から、いわゆる集中的被害とかそういうものがないような配慮は、各省とも絶えず眼を向けておかなければならぬものではなかろうかと思います。そうして、財政当局といたしましても、それらに対しては十分関心を払うと同時に、また具体的な協議に絶えず応じていかなければならぬという姿勢を持ち続けていかなければならぬというふうに理解をいたしております。
  30. 坂口力

    坂口委員 きょうは総論的なことをお聞きをいたしましたが、十分早うございますけれども、これで終わりといたします。
  31. 増岡博之

    増岡委員長 竹本孫一君。
  32. 竹本孫一

    ○竹本委員 最初に関税法で、今度も期限を延長するものやら税率を下げるようなもの、数がたくさん書いてありますけれども、全体として関税法の対象となる品目は数にして幾らあるか、それから、その品目の数をもう少し減らすことはできないものか、その二つをちょっと……。
  33. 米山武政

    米山政府委員 今回の東京ラウンド譲許対象となったものは二千六百でございます。これはタリフラインでございます。  それから、今回、通常改正と私ども申しておりますが、暫定の延長あるいは暫定法、一部それに手直ししたものが九百六十品目でございます。
  34. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうすると、全体としては大体三千五百ということですか。
  35. 米山武政

    米山政府委員 三千六百品目でございます。
  36. 竹本孫一

    ○竹本委員 関税法の問題につきましては、いろいろ論議が尽くされておるようでございますから、私は少し向きを変えてちょっと伺いたいと思います。  それは、今度も引き下げの努力をされまして、全体で収入が二百五十億円ぐらい減るというような努力をされて、自主的な措置もできる限り講じておる、こういうことで、統計を見ると、その結果、日本関税率は決して高くない、あるいはもうすでに低い、相当のところまでいっておるというようなことを感ずるわけですが、それにもかかわらず、日本は門戸を閉鎖しているような感じを与え、常にいろいろのフリクションを起こしておる。それは一体何に起因するものであるかという点についてはどういうようなお考えであるか。
  37. 竹下登

    竹下国務大臣 これは竹本先生と私どもと絶えず同じ感じを持っていると思うのでございます。事実、今度の東京ラウンドの結果を見ますと、ほめられると言っては表現が悪いかもしれませんけれども、可能な限りの譲許を行ったところでございますし、わが国のそういう前向きの姿勢はアメリカEC等からも高く評価されて、これらの国もそのときには満足してもらっておることではないかと私は思っておるのであります。いままで誤解を招くような問題に対して、それらは解けたというふうに私も理解しております。  なお、そういう状態の中で、米国EC等が、依然わが国の大幅出超が続いておりますので、そういうところから何らか輸入貿易問題で二国間でいろいろ協議しなければならぬというようなことで、昨年でございましたか、牛場・ストラウス会談などがありました。ああいうのも、そういう摩擦を少しは薄めていくことに効果があったと思うのであります。  これは率直に言って、竹本先生もお感じになっていると思うのでございますけれども、お互いアメリカへ行って、アメリカの国会議員と話しますと、必ず自分の出身地の生産品と日本との貿易という感じ方で物を判断する傾向が非常に強いのじゃなかろうか。これは私どももお互い選挙区を持っておりますので、そういうことになりがちな傾向がないとは言えませんけれども、特にそういうことが顕著のような印象を私も受けたことがございます。したがって、先ほども自動車お話が出ておりましたが、これらに対しても日米摩擦が再燃しないような配慮もしなければなりません。やはりお互いの、ある意味においては議員交流とか労働組合の交流とか、いろいろな交流を絶えず進めておることによって、いわゆる関税法以前の問題というようなものに対応する気構えと姿勢をお互いが持っていなければならないのではないかということを私も痛切に感じておる一人であります。
  38. 竹本孫一

    ○竹本委員 大臣の答弁、まことにごもっともな点が多いと思います。確かに、アメリカに参りまして議員の連中と会うと、自分の選挙区の利害代表そのものでありまして、少なくとも私の少ない経験では、世界経済的な視野で問題を論じているのに会ったことがない。  しかし、私がきょうこれから強調したいと思いますことは、そういう選挙区に引っ張られるのは議員の悪いくせですから若干がまんするとして、それ以上に、より根本的に、アメリカの経済競争力というものががた落ちしておる。それをアメリカの悪らつというか、でたらめなやり方で擁護しておる。しかも、口ではフリートレードだとか保護主義は困るのだとか言っておりますが、極端に言えば、アメリカが一番自由貿易を叫びながら一番保護主義であると私は思うのです。そういう意味で、日本の政府はこれからの対米折衝の場合には、もう少し強気で自信を持って当たってもらいたい。そういう意味でこれから二、三のことを質問してみたいと思うのです。  もちろん、日本で反省しなければならない集中豪雨の点だとか、その他いろいろなあり方があります。これはもちろん日本が反省しなければならぬが、たとえば日本は製品輸入が足らないとか、それを抑えるとか、原料輸入だけだ、こういうこともよく批判をされるのですが、これは日本の経済構造から見れば当然なことで、日本が原料を買わないで逆に製品を買ったら、一体日本の経済は成り立つか、当然のことを日本はやっているだけで、日本の経済の構造、発展の段階に応じて日本のあり方が決まるわけですから、観念的なことを言ってもらっても困る。こういう点についてももう少し自信を持ってアメリカとは折衝してもらいたい。  さらに、アメリカは競争力そのものがいかに落ちているかということは、自動車やカメラ、その他いろいろありますけれども、大ざっぱなつかみ方として私が調べてみると、世界のGNPの総力の中でアメリカがどのくらい持っておるかということを、私が一々数字計算をしたわけではありませんが、ある人の説によれば、アメリカは一九五〇年には世界全体の三六・三%を占めておったものが、ごく最近、七七年では二三・七%に落ちた。すなわち、三分の一が、下手をすれば五分の一もしくは四分の一に落ちておる。その間に、日本の方は二・三%のものが四倍近くまで、八・七%に伸びておる。さらに、輸出比重という点から輸出のあり方を考えてみましても、アメリカは世界貿易の中で大体一五%近くを占めておったものが、最近では一〇%に落ちておる。日本の方は、逆に四・五%が倍近くに伸びておる。こういうことで、世界経済の中におけるアメリカのウエートというものを生産の面から見ても輸出の面から見ても、大きく落ちておる。逆に日本やドイツは大きく伸びておる。これは日本のやり方だけの問題ではなくて、いま申しましたように、基本的にはアメリカの競争力そのものが落ちたことであると私は思います。そういう観点に立って、やはり日本アメリカに対してもう少し強く主張すべきではないか、こう思うわけです。  新聞を読んでおりますと、アメリカの合繊がヨーロッパにどんどん出ていって困るのだということでヨーロッパが文句を言ったところが、アメリカは最近、いや、それはアメリカの競争力がしからしめるところであってと、こういうことで、われわれがアメリカに対して言いたいようなことをアメリカECに対して言っておるという記事も読んだのですけれども日本もそういう意味でアメリカの競争力が全般として落ちておるんだという点についてアメリカにももう少し明確に知らしめる必要があるし、また日本の国民にもそういうことをもう少しPRする必要があると思うのですが、いかがですか。
  39. 竹下登

    竹下国務大臣 これは関税局長からもお答えすると思いますが、私も感覚としては、先ほど通産大臣と申しましたが、あるいはきょう報告いたしましたのは外務大臣の報告であったかと思うのでございますけれども、今度の自動車問題にしても、あなたのところの自己努力の不足をおれの方へ持ってくるというのはいかがなものかというような主張があったということを聞きまして、私は、それはそれなりにりっぱな主張をされたなという印象を持った一人でございます。  そもそもアメリカの経済力そのものは一九七一年のドルの交換性停止のときから、ある経済学者で今日のような事態を予測する人もあった。したがって、今日たとえば週休二日制じゃなくしてアメリカはもう週休三日制じゃないかというのは、これはいわゆる失業者を薄めるための一つ措置ではないかという批判も一方にあるというようなことでございますので、確かに、私はそういう面において米国がかつての巨大国であるという認識に立ったら違うんじゃないかという感じがいたしておりますのは、竹本委員と私も感じを等しくしております。ただ、言葉の問題で、おまえのところけしからぬとか、その辺は日米友好の立場上、言うべきことは言っていかなければならぬわけでございますが、あえて阻害するような言葉を使うほどの必要はないにしても、基本的には私は竹本先生の御意見に同感する部分がたくさんございます。
  40. 米山武政

    米山政府委員 アメリカの経済力が、競争力が非常に落ちておるというのは御指摘のとおりでございます。  御承知のように、一九六四年にケネディ・ラウンドというのがございまして、大幅に関税引き下げを行ったわけでございますが、このときはアメリカの経済力が一番強くて、この全面的な関税引き下げによって一番の利益を受けるのはアメリカである、こういう判断のもとにケネディ・ラウンドが進められたわけでございますが、その結果として一番得したのは日本であった、こういう結果になっておるわけでございます。したがいまして、今度こういう保護貿易主義の高まりに対して日本が率先して東京ラウンドを提唱したわけでございますが、御承知のように、最初はアメリカはこれに非常に抵抗したわけでございまして、なかなか乗ってこなかった。これはまた得するのは日本だろう、こういうことだったわけでございますが、アメリカも最終的にはECの強大な関税同盟の効果というものを、できるだけその力を再現するという目的のためにこの東京ラウンドに同調してきた、こういうことは委員承知のとおりでございます。  こういうことで、アメリカはなかなか関税引き下げにつきましてもその他の協定の問題につきましても、非常に強い抵抗があったわけでございますが、最終的には先ほど申しましたように、関税の引き下げも平均三二%引き下げる、それから各種の協定、ダンピング協定相殺関税協定等につきましてもアメリカの現在の非常に適当でないやり方をやめる、それから今回提案申し上げております関税評価の問題につきましても、御承知のようにアメリカはASPあるいは関税法四〇二A条というような特別な課税の評価の方法等をやっておりましたが、これについても私どもはやめさせる、こういうふうな努力を行ったわけでございます。
  41. 竹本孫一

    ○竹本委員 アメリカの国力が低下したということは、やはりわれわれははっきり認識しておかなければならぬと思うのです。その国力の低下は経済力だけではなくて、軍事力においても、モラルエネルギーにおいても、道義の面でも、全部低下しつつあると思いますが、経済以外のものは一応やめまして申し上げますが、私は繊維交渉が非常にもめた段階においてアメリカに行きまして、民社党で行ったわけですが、議員三、四十人といろいろ懇談をしたことがあります。そのときに彼らは、初めにあなた方はフリートレードに対して賛成かということを言っておきながら、最後には繊維の制限をしなければならぬということばかり盛んに言うので、それでぼくは、ちょっとはったりではないんだけれども言いましたのは、まじめに日本の繊維産業の労働者や経営者が努力をして安くてしかもいい品物を持ってきて売るということになれば、これはアメリカの消費者に非常にサービスをすることになっている、したがって、アメリカからは礼を言ってもらうべきだと思うのだけれども、文句を言われるのは一体どういう意味だと、きわめて率直に私は言ったのです。そうしましたら、ある議員が、名前は忘れましたけれども、いや、それはよくて安いから困るんだと、こう率直に言いました。そこで、私がもう一つ、そんならアメリカもよくて安いものをつくったらいいじゃないかということで、後で申しますが、アメリカの設備投資の問題あるいは海外投資の問題等を例を引っ張って、びしびし言ったのです。そうしたら返事に困って、きょうは非常に有益な話を承ったとかなんとか言ってごまかしておりましたが、とにかくそういう意味で、繊維だけではなくすべてもう少し強気でいくべきではないか。大蔵委員会で強気だけでは困りますから、日米交渉の過程の中でもう少し強気でやってもらいたい。  たとえば、ASPなんというアメリカのやり方は、私に言わせますと、これは米国国内の非能率な産業をそのままの形において維持しようというアメリカの勝手なやり方である。今度それが改められるということになって結構でございますけれども、いままでなぜそれを改めさせなかったかという点については、どういう努力をされたか承りたい。
  42. 米山武政

    米山政府委員 アメリカの関税評価は私どもと違っているわけでございます。国際的に大部分の国がブラッセルにおける関税協力理事会で定められた評価協定に入っているわけでございまして、この協定では恣意的なやり方を禁止しているわけでございますが、アメリカはこれにどうしても入らない、こういうことでいままで入ってなかったわけでございます。これにつきましては、いまのASP、四〇二A条も同じでございますが、私どもとしてはこのやり方はけしからぬということで、従来も何とかやめさせようとしていたのでありますが、どうしてもその協定に入らない、こういう状態だったわけですが、今度はその関税協力理事会の場でなくてガットの場で、アメリカが全体のパッケージとしてこの評価協定に調印いたしまして、やめるということになったわけでございまして、従来とも私どももこのやり方はけしからぬということでずいぶんアメリカに文句を言っていたわけでございます。
  43. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまのASPにしても四〇二A条にしても同じような問題だと思うのですが、私が聞いているのは、従来とも努力してきたと、もちろんそう努力をされたと思うのですけれども、われわれには一向ぴんとこない。そういう意味で、こういう点で努力をしたのだというその御努力の経過と成果をひとつ具体的に話してみたらどうかと思うのです。それはわれわれはアメリカに全部盲従したとも思いませんし、そういう御努力もあったろうと思うけれども、しかし、日本の国民のわれわれにもわかる程度のはっきりした努力でないと問題にならぬじゃないか、こう思うのです。
  44. 米山武政

    米山政府委員 今回の協定の調印によりまして、ASP並びに四〇二A条はこの一月一日から廃止されております。  従来の日本の努力につきましては通産省の方から……。
  45. 内村俊一

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ケネディ・ラウンドの交渉の際、ケネディ・ラウンドは一九六四年から六七年でございましたけれども、その間に非常に重点項目といたしましてこの両制度を廃止するようにアメリカに強く要求したわけでございます。この結果、アメリカ政府は廃止のための立法を検討するというところまで譲歩いたしました。ところが、その後、国内のいろいろな政治事情がございましてなかなか実現しないということでございまして、その間いろいろ催促を何度もいたしましたけれども、一九七三年から東京ラウンドがまた始まりまして、この際、冒頭からこの両制度の廃止を強く要求いたしたわけでございます。その結果、とうとうアメリカもこれに同意しまして立法をいたしたということでございます。  以上でございます。
  46. 竹本孫一

    ○竹本委員 御努力の点は一応評価しますけれども、まだ言いたいことがあるのです。たとえば、相殺関税についてもアメリカのような勝手なやり方はない。補助金を出したという事実だけで、被害があったかどうか、その被害と補助金とが相当因果関係があったかなかったかというようなことは問題なく、特定なものについては相殺関税をぶっかけてくる。こういうやり方は全くアメリカの独善主義というか覇権主義というか知りませんけれども、でたらめだ。われわれはアメリカを一々敵にしようとも思いませんけれどもアメリカのけしからぬことはびしびし日本も言うということにしてもらわないと、本当の意味の日米友好親善もできやしない。そういう意味からも、また日本産業のまじめな努力というものが適正に評価されないで悪口だけ言われるというような受け身の経済外交では困りますので、そういう点をひとつ強く要望しておきたいと思うのですね。  それからついででございますが、ダンピング関税の問題についても二つのことを伺いたいんだが、一つは、ごく最近に、これはアメリカECとあるでしょうが、どういう品物を中心にどのぐらいの数、件数が取り上げられてきたかということ。それからダンピング関税調査を始めるということになると、いろいろ日本の経済、産業としては犠牲を払わなければならぬと思いますけれども、それがシロと出るかクロと出るかということになるわけですが、その結果、シロという結論になった場合には何らかの救済措置はあるのかないのか、その点をひとつ伺いたい。
  47. 内村俊一

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  最近のダンピングの事例でございますが、一九七九年、昨年に調査が開始されましたものは、電動ポータブルタイプライター、それから電子レンジ、工業用の電気モーター、それから鉄道用の客車、こういったものでございます。このうち大部分はまだ調査中でございますが、鉄道用の客車につきましてはシロの判定が最近出ております。こういうことでございます。状況を御説明申し上げます。  それからシロになった場合の問題でございますけれども、ダンピングの調査を開始する場合には、まず十分な資料を持って調査当局に提訴しなければいけないわけです。その一つは、ダンピングの事実を立証する資料、それからもう一つは、損害があるということに関する資料でございます。この二つの要件につきまして  またもう一つございました。失礼いたしました。もう一つは、ダンピングの事実が損害に因果関係がある、そういう資料でございます。そういうことで、非常に十分な資料を用意いたしませんと提訴はできないという歯どめになっております。しかし、場合によりましては、御指摘のとおりいささか乱訴の傾向もございます。その場合にわれわれといたしましては、アメリカ政府がそういった十分な資料もなしに調査を開始することがないようにアンチダンピング委員会、これはガットの場でございますが、ガットの場で申し上げたり、あるいは二国間で話をしたり、そういうことをいたしております。  シロになった場合でございますけれども、シロになった場合には、調査中には保証金を積んで通関するわけでございますけれども、その保証金を返還するということになっております。これは利息もつけまして返還いたすことになっております。そういうことで、シロになった場合にはそういう返還手続が行われますけれども、ただ、やはり時間的な非常なロスとか、それから弁護士費用とか、そういった迷惑が相当かかるわけでございます。これにつきましては、やはり調査を開始する場合には慎重にやってもらうということしかないのだろうと思いまして、われわれも従来からそういうふうに努力をいたしているわけでございます。
  48. 竹本孫一

    ○竹本委員 保証金に利子をつけて返すのはあたりまえのことだと思いますが、世界じゅうそれだけにとどまっておるのか、また、それだけで満足すべきであるかという点について、もう少し突っ込んだ検討があってしかるべきではないか。最近は何とか言えばすぐダンピングとアメリカでもECでも言いますから、それに対する備えの一つとして、救済措置についてももう少し行き届いた十分な救済措置が講じられるように、ひとつ善処してもらいたい。  それからもう一つは、大体日本の政治、外交というのは情報が足らないということは前から指摘されておるのですが、そういう争いをやる場合に、弁護士さんもいるわけでしょう。そういうのに、日本の大使館あるいは総領事館等における、通産省からもいろいろお出かけになってお役人さんがいるわけでしょうが、そういうものの活動が必ずしも十分でない。あるいは弁護士その他に対する手がかりもほとんど持ってないというか、たまに持っている弁護士は大したやつじゃない。もっと気のきいたやつをつかまなければだめだということを指摘する人もたくさんおるが、これは国策、国益の問題として、とにかく争いがあればいつでも、しょっちゅうあることなんですから、受けて立てるだけの布陣をしておく必要があると思うわけです。その点についての配慮が行われつつあるかどうかということだけちょっと伺います。
  49. 内村俊一

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  政府といたしましては、不合理なダンピング裁定が行われるようなおそれがある場合には、各国に駐在しております大使館を通じてもちろんやっております。また、場合によりましては、われわれ各級レベルの政府の役人がアメリカへ出張いたしまして、先方と折衝いたしております。  弁護士につきましては、顧問としていろいろ意見を伺っておりますけれども、やはり政府ベースの話でございますので、政府ベースの話といたしましては、われわれあるいは在アメリカの大使館員が行っております。民間ベースでは、弁護士を使いまして、民間では大いに弁護士を使って争っておるわけでございます。  われわれいつもどういう点を問題にしておるか、御参考までに申し上げたいと思いますが、いろいろな点、具体的なケースによりまして非常に問題が違いますけれども、よく問題になる点は、まず損害の点でございます。先ほど先生から御指摘もございましたように、損害と申しますと、アメリカ産業がまず非常に困っておるということでございますけれども、これが果たしてダンピングによるものであるのか、あるいは先生指摘のように、アメリカ生産性その他、アメリカ側の事情によるものであるのか、その点を見きわめまして判定する必要があるわけでございますが、往々にして何でもダンピングのせいにするという傾向がございます。その点につきましては、われわれはこの業界の状況はむしろダンピングじゃなくてほかの要素であるということを、いろいろ資料を出しまして反論いたしております。  それからもう一つ国内価格との関係でございますが、ダンピングと申しますのは、御高承のとおり、国内で販売する価格よりも安く売ればダンピングということになるわけでございますが、国内の販売価格というのは、日本の場合特にそうでございますけれども、非常に複雑でございまして、いろいろな価格がございます。したがって、その価格のどの価格をとるべきかという点が常に争いになりまして、われわれといたしましては、その際に日本の商慣習を先方に十分説明しまして、適正な価格はこれだということを強く主張しているわけでございます。  以上のようなことで、われわれ力の足りない点もあるかと思いますけれども、全力を尽くしていろいろがんばっておる次第でございます。
  50. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは大臣に特にちょっと申し上げて要望しておきたいのですけれども、いま言ったように、必要以上に、あるいは不当な摩擦もたくさんあるわけですから、政府としてもアメリカに対して言うべきことは言う、と同時にまた、言わなければならぬことについての情報も適時的確につかんでおくということが必要であろうと思うのですね。  そういう意味でちょっと一口申し上げますと、先ほど申しました繊維交渉のときに、日米繊維交渉の動きについて、ちょうどあのころは木村さんが官房長官であったわけですね。そして木村さんから繊維に関してということで、私ども関係が深いものですから一応情報をひとつ申し上げたいということで話し合いの機会を持ちました。そして聞いたのですけれども、大体皆間違っているのですね。木村さんは親切に言ってくれたのだけれども、ほとんどとるに足らない資料であった。そして、それは違いますよ、私が聞いているのはこうですと言った方がちゃんと当たった。それは事実ですから申し上げるのですが、そういうこともありました。あるいは沖繩返還のときでもそうですが、政治の情報も経済の情報も、大使館の悪口を言うわけではありませんが、情報のつかみ方が遅いとかお粗末とかいう点においてぼくは反省すべき点がたくさんあると思うのですね。やはり在外の公的な機関はもう少ししゃんとしてもらいたい。そしてしゃんとした情報を的確に早くつかんでもらいたい。そうでなければ経済外交もその他の問題もうまくいくはずがない。私は、人ですから情勢の判断が間違うことはあるが、しかし、一応つかむだけの情報はちゃんとつかんでもらわぬと困りますので、在外公館の活動というものについては一段と厳しくやってもらうように、これは大臣にひとつ要望しておきたいと思います。  それから、先ほどのアメリカの競争力の問題は、結果的にはGNPの問題、輸出比重の問題でちょっと申し上げましたけれども、私は、一番大きな問題は、やはりアメリカにおける合理化の努力、近代化の努力というものが足らないということが一つ。それからもう一つは、労働の条件——賃金については最近アメリカに追いついたとは言えないかもしらぬが、大体追いつきつつある、ほとんど違いない、労働時間は大分違うようですけれども。したがって、問題は、主として設備投資その他の近代化や合理化の努力が十分なされていない。  これは通産省に将来ひとつお願いしたいのですけれどもアメリカ国内における設備投資のために払っている努力とそれから高い利潤を求めて海外に出ていって投資しておる投資の割合、ぼくはこれを本当に計数的に一辺調べ上げたらいいと思うのです。そしてアメリカが入超だとか出超だとか言うけれどもアメリカ海外に出ていったダミーか子会社か知りませんけれども、そういうものが輸出している輸出アメリカ本国が輸出しておる数字と合わせてみると、アメリカがわいわい言っているのとはまた実態が大分違う。そういう意味で、これは資料ができておればいただきたいし、なければつくってもらいたいと思うのです。要するに、アメリカとちゃんと堂々と対陣ができるように、アメリカの設備投資はこの程度しかやってない、私も数字は持っていますけれども、もっと本格的なものも欲しいのです。アメリカはこれだけの努力しかしていないが、日本の場合にはたとえばアメリカの二倍はやっておる、そういうようなところを明確に示し、同時に、アメリカの方は国内でやらないものを外へ持っていってやっているわけですから、その割合がどのぐらい大きいかというようなことについてもはっきりした数字をつかんで、だからアメリカ日本輸出に押されるんだ、あるいは競争力が低下しておるんだというようなことをもっと明確に具体的に示していくことができるように努力をしてもらいたい、こう思います。  最後に一口だけですが、最近アメリカに関税の問題その他経済摩擦の問題もありまして、またアメリカの方の希望の問題もありまして、日本企業アメリカ進出という問題が出てきておる。私は、いまデリケートな最中の問題ですからこの問題に具体的に触れようとは思いませんが、結論として、アメリカに出ていって企業を行うということは非常にむずかしい問題がたくさんある。特に出ていった場合に、アメリカの労働者を使う。アメリカの労働者は、まだ若干労働時間は短いし、賃金はちょっと向こうが高いということもありますから、フォルクスワーゲンが出ていったときには、特別措置というか臨時的な措置を講じて来てくださいということを言ったようですが、仮にそういうものがあっても、アメリカ人の企業に対するロイアルティーとかあるいは勤勉の度合いとかいうようなものはいろいろ違っておりまして、日本企業アメリカ進出というものには普通に考えられる以上に困難な問題がある。余り困難がなければどんどん出ていってもらえばそれだけ経済の摩擦が減るわけですから、非常に結構で歓迎すべきことだと思うけれども、実際はなかなか困難があるのではないかということが一つ。  それからもう一つの問題は、出ていった結果、今度は日本の方がお留守になって、今度はそれだけ日本の雇用問題が悪く展開するということにならぬか。それから、出ていったアメリカ企業が、あるいはカナダなりその他の地域に輸出をどんどん始めると、今度は日本企業アメリカに出ていった日本企業との競争が激化する。そのために日本の方がまいってしまう場合もないではない。そういう点に対する配慮が十分行われなければならぬと思うが、その点はどうか、これを伺って終わります。
  51. 竹下登

    竹下国務大臣 三つの点でございます。  最初の御要望は、日本外交というのは情報が不足しているのではないか。私どももそれを感じまして、私の体験から申しまして、きょうたまたま通産省がお見えになっておりますが、最終的に日米繊維交渉が妥結いたしましたとき、七二年でございますか、そのとき私が内閣官房長官でありました。そのときに通産から行っていらっしゃるアタッシェの方でございますか、当時田中通産大臣で外務大臣は福田さんでございましたが、それの情報がだんだん訓練されていって実にすばらしいという評価をされたことをいまでも覚えております。したがって、いわゆるアタッシェと外務省そのものとどういう比率がいいかとかいうようなことで、その後逐次増員をしてきました。しかし、増員してきましたものの、やはり国内においては人員削減ということをやっておるいまでございますので、したがって、ことしの予算でも外務省の定員というものはふやしてそういう情報収集活動に遺漏がないようにしようということに一つはしたのであります。  それからまた、外務省の努力で配置転換の人を採る、こうおっしゃるのです。米の検査員さんを外務省へ採ってどんなものだろうかなとも思いましたが、それもそういう気構えがあれば大いに採ってもらおう。別に米の検査をしていらっしゃる人にワシントンへ行ってもらうわけではございませんでしょうから、それもいいことだな。そういう人員等によります情報収集の努力も逐次続けておる。  ただ、もう二つ、体験してしみじみと思いますのは、私が官房長官をしておりましたときから今日まで十年ぐらいになりますが、電信の量が六倍ぐらいになっているのです。余り電信が多過ぎて、きょうどこどこの王女様の子供さんがお生まれになったというような電信まで入ってきますと、電信を仕分けして、これを大臣にどこまで持っていくのかという仕分けをする人をまたつくらなければいかぬなという感じがしまして、その辺の合理化というものは総理みずからが指摘しておられるわけでございます。したがって、その情報収集が何より大切だということは、意見全く一致いたします。  それから、いまの御要求になりました資料につきましては、主要製品等につきましては、恐らく担当省と協議しますならば御要望にこたえることができるのじゃないか、努力をしてみようというふうに思っておるところであります。  最後は、また、われわれに対する鞭撻でございましたが、その線に沿いましてわれわれも今後大いに慎重かつ正確に判断をしていかなければならぬ問題だ、確かに、おっしゃいますように、日本の雇用の問題にどう響くか、下請がどうなるかというような問題もございます。向こうへ出たら、資本そのものは別といたしまして、労働条件等の問題からリスクが起こってくるというようなことも考えなければなりませんので、したがって、きょうの佐々木通産大臣予算委員会での質問に対する答弁にも、前向きでも後ろ向きでもなければ真っすぐに向いて考えます、こういうことを言っておりましたので、慎重にしかも正確に判断をすべき問題であるというふうに理解をいたしております。
  52. 竹本孫一

    ○竹本委員 終わります。
  53. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、来る十九日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時一分散会