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松浦(昭)
政府委員 ただいまの坂口先生の御
質問でございますが、確かに私
どもも同じ省の中で二つの
共済をやっておりますけれ
ども、おのおのの
制度の
発足後の歴史、そういうものからおのおのが別に独立して動いてまいりましたので、双方を比較してみるというようなことをつい怠ってまいりまして、その
意味では非常に重要な点を御
指摘を受けたのではないかという感じはいたすわけでございます。その
意味で、私
ども今後両方の
共済制度を比較しながら、その長所、短所をいろいろ検討してみなければならぬという気持ちは持つわけでございます。
ただ、いまの御
質問に対しまして私ただいまどんなふうに感じるかということを申してみますると、実は
果樹共済と
漁業共済との
加入方式が異なっているのは、やはり基本的に
漁業というものとそれから
農業というものの経営の差と申しますか、そういうところから出発したのじゃないかというふうに
考えるわけでございます。
と申しますのは、
漁業の場合には、
漁業権を中心にいたしまして非常に強固な地縁的な結合体と申しますか、そういう共同体というものを形成している
漁業関係というものを前提にいたしまして集団的なとらえ方をする、そこで初めて
共済というものに乗ってくる、そういう被
保険対象というものを
考えたのじゃないかというふうに
考えるわけでございます。
〔
稲村(利)
委員長代理退席、綿貫
委員長代理着席〕
ところが、
果樹共済の方は、これはおのおの独立の経営体というものが独立の採算をいたしておりまして、その上で
一つ一つの
農家が被
保険対象になっているという点に大きな違いがあるのじゃないかという感じがいたします。
〔綿貫
委員長代理退席、
委員長着席〕
それからまた、
保険技術の面で
考えてみますると、やはり基本的な
保険技術として成立するためには、
損害評価の面でこれがうまく仕組めないといけないわけでございますけれ
ども、
果樹共済では個々の
農家の園地で客観的な
損害評価ができるわけでございます。つまり、現実にそこで見て、どれだけの
被害があったかということをつかむことができるということがございます。
漁業共済では、
一つは企業的な経営が必ずしも行われていないということがございますけれ
ども、さらに
損害評価の面では、どうしても水揚げを確保するという、水揚げで押さえるのじゃないということがあると思います。そうしますと、どうしてもそこで集団的な販売というものが行われておりますところの
漁業協同組合を中心としました連帯関係、これを基盤にいたしました
一つの取引関係というもの、そこをとらえて
損害評価をやっていくということが必要ではなかったかというふうに
考えられまして、このようなことから、やはり
漁業と
農業の差異というものがこのような
共済の仕組みにあらわれてきているのではないかという感じがいたします。
特に
果樹共済につきましては、逆
選択の防止という観点から義務
加入の
制度もできておりまして、一定の要件のもとに組合が議決をいたしますと、義務的に
加入しなければならぬという
制度も設けられているわけでございますが、これがまだ徹底を欠いておるということは事実でございます。しかしながら、もしも
加入をしない、
加入を希望しないという
農家までも強制的に申し込みをさせるということは、もちろん農作のような形で
実施するというわけになかなかまいらないと同時に、また希望しない
農家があるからといって、その地域の全体の
果樹農家につきまして
共済制度を
実施しないというわけにいかない。やはり個別に経営体としてとらえる場合には、その経営体としてとらえ得る
農家をできるだけ組み込んでいくというような
制度でもってこの
制度は仕組んだというふうに
考えるわけでございます。したがいまして、むしろわれわれの方の
制度から申しますと、できるだけ
加入を促進していくという方向に向かうわけでございまして、
加入しない
農家が若干あるということからその地域で
制度を
実施しないというわけにいかない、これがわれわれの方の
実態であるというふうに
考えます。そのような前提の上で
果樹共済を仕組んでいるというふうに
考えている次第でございます。