○堀委員 私がその問題に触れておりますのは、今度大蔵省が通達で、国債の評価については、本来は、明治以来と言ってもいいのでありましょうか、国債評価の
一つの原則としてずっと続いてまいりました低価法、ただし
昭和七年にこの低価法は実は法律に基づいて変更をされているのであります。これは当時の
高橋大蔵大臣が出されたものでありますが、国債ノ価額計算二関スル法律、
昭和七年七月一日法律第十六号ということで「1国債ノ価額ヲ
会計帳簿又ハ財産目録ニ記載スルニハ商法第三十四条及第二百八十五条ノ規定並ニ其ノ準用規定ニ拘ラズ
大蔵大臣ノ告示スル標準発行価格ニ依ルコトヲ得但シ其ノ取得ノ際ニ於ケル時価ヲ超ユルコトヲ得ズ」、こういうのが実は
昭和七年に出されているのでございます。
大蔵大臣、実は私がいま歴史の検証という大がかりなことを言っておりますのは、この
昭和七年という年は、
日本の戦前における国債発行の曲がり角であったわけです。そうしてこの曲がり角は、いま私が読み上げた国債ノ価額計算二関スル法律とあわせて
日本銀行の国債引き受けという問題が重ねて行われて、それから御承知の戦前の大変な国債増発が起こることになったのでございます。
昭和六年には、当時の国債は一億二千万円しか発行されておりません。
昭和六年でありますから、いまと
通貨の関係がちょっと違いますから感じは別でありますが、それが
昭和七年になりますと六億六千万円の国債が発行されることになって、それがついに
昭和二十年には九十億二千九百万円という膨大な国債発行ということになっていったわけであります。
それでは、どうしてそういう国債ノ価額計算二関スル法律というものを出すことになったのか。大量の国債発行のために
金融機関の保有国債の評価損がどんどん出てきて、
金融機関にそれ以上持たすのはなかなかむずかしい。そこで、こういう法律によって、低価法でやることを取りやめて、要するに大蔵省の定める価格で評価できる。この後段に取得原価を下回らないというふうに書いておりますから、そういう意味ではやや原価法的な法律だとみなしていいのでありましょうが、それを行って、さらにその上に
日本銀行の引き受けをやるという道を開けば、国債が増発するのは当然なのであります。
私は、社会党の政策
審議会長をやらせていただいている間に、国債問題で党の決断をしなければならないときがございました。私は、国債発行に反対であるという方針を党の方針として決めて、長く社会党は国債発行反対でやってまいったのです。私は、いろんな関係者の方から、あなたは
経済を多少知っておるんだろうから、この
状態で国債発行に反対するのはおかしいのではないかというふうに言われたことがあります。しかし、私は、アメリカや西ドイツのように金利が自由化されておる国で、そしてその募集のあり方も、
日本のような形でなしに
経済のメカニズムによって募集をされておる国では、
経済メカニズムによって多量の増発というのは困難になるから、
経済的に歯どめがかかりますけれども、
日本では、私はもう十数年来金利の自由化問題ということを当
委員会で申してまいりましたけれども、なおかつ今日十分でないわけであります。
ですから、そのときに、政治的な歯どめをかけることは国債増発に対する唯一の歯どめである、こういう
判断で、実は私どもは国債増発の歯どめを政治的な歯どめにかけてきたわけであります。しかし、大量の国債が発行されるようになって、ようやく
経済的歯どめがかかるようになってきました。私は、そういう意味では、いまの
日本の国債の増発が結果的にはそういう
経済的歯どめをつくることになってきた、こう
考えていたのであります。
しかし、今回また国債の評価損がどんどん出るということで——実は大蔵省ではその前に、五十三年に、国債の評価損などの起こる問題に対して
一つの
対応がされているのであります。国債価格変動引当金というものが実は五十三年に設けられている。それによって
対応するということであったんでありましょうが、さらにこの国債増発がいまの六・一国債と言われるものの価格を押し下げていくということになったためでありましょうか、ついにここで、
昭和七年のいまの国債ノ価額計算ニ関スル法律と同じような発想に基づいて、昨年の暮れに統一経理基準の改定というのでありますか、低価法によっても原価法によってもよろしいという通達が出されることになりました。
新聞を見ておりますと、この間、全国信用金庫協会の小原会長は、新聞の報道でありますから、それを信用する以外にありませんが、信用金庫は、困難であっても低価法によって決算を行いたいということを公式に明らかにされているようであります。当
委員会の後に、これからひとつまた
金融小
委員会をお願いして、各銀行、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫と、それぞれの代表者に来ていただいて、この問題についての御意見を承るようにしたいと
考えているのでありますが、これはもう、私はきわめて重要な決定に歴史的になるのではないかという心配をしているのであります。
そこで、銀行局長にお尋ねをいたしますが、先ほどの
健全性の問題のところで、資産の流動性の確保ということに触れられておりますね。資産の流動性の確保という問題の中には、当然支払い準備の問題が入ってくると思いますが、いかがでしょうか。