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1980-03-27 第91回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十七日(木曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 岡田 利春君    理事 田中 六助君 理事 山崎  拓君    理事 山下 徳夫君 理事 中西 績介君    理事 細谷 治嘉君 理事 多田 光雄君    理事 稲富 稜人君       麻生 太郎君    北口  博君       倉成  正君    三枝 三郎君       田中 龍夫君    野田  毅君       藤田 義光君    三原 朝雄君       渡辺 省一君    川俣健二郎君       鍛冶  清君    吉井 光照君       三浦  久君    小渕 正義君  出席政府委員         通商産業政務次         官       梶山 静六君         通商産業大臣官         房会計課長   石井 賢吾君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    福原 元一君         建設省住宅局住         環境整備室長  立石  真君         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事         長)      佐伯 博蔵君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 岡田利春

    岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。
  3. 麻生太郎

    麻生委員 第六次の石炭政策というのは、昭和五十年七月に出されて、資源エネルギー安定供給一環として、貴重な国内資源の一つである国内炭についても可能な限り活用すべきだというようなことを全体のトーンとして幾つかのことが決まっておりますけれども、日本における石炭という問題は、今日大きく分けて四つ問題があるだろうと思っています。国内炭対策海外炭対策石油代替エネルギーとしての技術開発最後鉱害対策、この四つの点が主な問題点と思っておりますけれども、いま申し上げた順番に国内炭問題から順次質問に移らせていただきます。  まず最初に、国内炭のいわゆる二千万トン以上の生産確保ということから、昨年九月に石炭鉱業審議会政策需給価格、経営の合同部会というところで石炭需給見通しが発表されておりますけれども、今年度の需給の概要一千八百四十五万トンに対し生産推計約一千八百五十一万トン、差し引き六万トンの貯炭増でほぼ均衡のとれたものになっておるということでありますけれども、実際問題として昨今セメント電力等において石炭需要というのは前年度を上回っておるはずですけれども、この中で一番問題だと思っておりますのが、貯炭が三百四十六万トン、この中で約二百五十万トンというようなものがデッドストックとして残っておるはずだというような感じを持っています。これが何らかの形で対策がとられない限り、五十五年度についても本当の意味での需給の改善が行われないのではないかということを危惧いたしますけれども、最近のエネルギーの動向から考えて、政府としてはどのような対策を考えておられるのか、まずこの点から伺いたいと思います。
  4. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま先生が御指摘になった数字需給価格部会が通っておりますが、現在の需給見通しを立てますと、貯炭はたしか三百五十万トンの貯炭ということになりますが、約二十万トンほど減になるのではないか、三百二、三十万トンの貯炭になるのではないかというのが五十四年度の見通しでございます。  五十五年度につきましては、現在各社のヒヤリングをやっておりますが、セメント需要が大幅に出てまいりまして、五十五年度にはほぼ二千万トンに近い需要が出るのではないかというふうにわれわれ見ております。まだ詳細は現在詰めている段階でございますので、詰めた段階でまたお答えさせていただきます。
  5. 麻生太郎

    麻生委員 いまの御意見は、今日、国内における国内炭需要というのは、これは政府主導による面が多々ありますから、需要が仮に出てくれば、生産の方も二千万トンいくであろう、こういうことですか。
  6. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 需要の面は、先ほど御説明しました二千万トン程度出てまいります。しかし、供給の方は、来年の見通しは約千九百万トンということに相なるのではないかと見ております。
  7. 麻生太郎

    麻生委員 資源エネルギー庁石炭部でつくられた昭和五十五年三月の「石炭政策の現状について」という資料の中で、昭和六十年度に二千万トン、六十五年度にも二千万トン、七十年度にも二千万トンと、国内石炭に対するいわゆる生産量が二千万トンで横並びになっておりますが、いま御答弁のありました約一千九百万トンにふえるであろうという理由になっております根拠は何ですか。
  8. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 まず、五十四年度につきましては、貯炭が多かったということで若干生産を抑えた傾向がございます。しかし、五十五年度には、北炭関係生産計画に戻りますので、それが大きい原因で千九百万トン程度になるのではないか。そのほか需要が活発ということで、太平洋炭砿を初めとする増産傾向が見られるということで、五十四年度約千八百万トン程度のものが千九百万トンに伸びるということでございます。
  9. 麻生太郎

    麻生委員 同じくここに昭和五十年以降過去四年間にわたる資料が出ております。昭和四十九年まで二千万トンというのが確保されておりますけれども、それ以降は約一千八百五十万トン前後でずっと過去四年間推移しておるというのにもかかわらず、いま一千九百万トンからやがて二千万トンにいくというのが、どうにも私どもから見てむずかしいなという気がするのです。御存じのように、炭鉱特殊事情としては、生産がだんだん進みますと、いま露天掘りではありませんから、深部に入っていく、深いところへ入っていくと、これは生産維持には、生産面だけではなくて、労働条件も悪くなるし、保安条件等について大変悪くなっていく。また二千万トン、本当にふやすのであると、これは基本的には新区域をふやすとか、新しい炭鉱開発するとかいうようなことが必然的に必要になってくる。そういうことをしない限りは生産量はふえぬはずなのですけれども、それにもかかわらず二千万トン以上の維持というようなことはほとんど不可能ではないかというような気がいたしておりますが、この点について再度伺いたいと思います。
  10. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いまの現有炭鉱生産力というのは、先ほど御説明しました約千九百万トン程度だと思います。今後、先生指摘のように、深部に行く、それから坑口から遠くなるということで、現有炭鉱生産維持するというのはかなり努力が要るのではないかと考えております。中長期的にこれを二千万トンに持っていくためには、やはりある程度現有炭鉱の規模の拡大、われわれはリフレッシュ投資と言っておりますが、そういうものを継続的にやってふやしていく。必要な場合といいますか、新鉱開発の諸条件が整った場合には、ある程度確保しております新しい区域を考えなければならないという時期が発生するかもしれないと考えております。
  11. 麻生太郎

    麻生委員 それでは二千万トンというものが、国内石炭業者にとってはきわめて重要な攻防戦みたいな感じがしますので、この点につきましては、今後とも適切なる指導助成をお願い申し上げまして、次に海外炭の問題に質問点を移したいと思います。  海外炭につきましては、昨近の石油価格の高騰と供給の不安というものを背景に、かつて約二十年前に石炭から石油へといういわゆるエネルギー革命が起こったのが、今度は逆に、石油から石炭へというような形で、いろいろな意味石炭へのUターン現象が、特に西日本地区で、先ほど御指摘のあったセメント業界を初め、キルンの重油専焼から石炭の混焼というような形で需要が伸び始め、繊維業界においても同じような傾向を示しておりますし、製鉄においてもオールコークス操業というような形で、石炭への転換スピードがきわめて早いような感じになっております。このような石炭見直しブーム——見直さざるを得なかったのでしょうけれども、見直しブームというものがこういったスピードで起こってくると、実にいろいろな問題が起こってくるだろうと思うのです。  まず、すぐ考えられるだけでも、海外一般炭買い付け競争ということが起こってきますと、その結果として、炭価は上昇しましょうし、あるいは急激な引き取り増加を来すために、輸入炭を運ぶための港湾設備が不備だとか、さらに貯炭施設というものが必要になってくるというようなことが出てきて、行政側としては、こういうものに対して素早い対応が必要となってくると思いますけれども、そういったものに対して基本的にどのような考え方をお持ちか、その点を伺いたいと思います。
  12. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  海外炭開発輸入を拡充するためには、生産から流通、受け入れ一貫システムとしてつくらなければならないことは先生指摘のとおりでございます。開発政策につきましては、従来から石炭企業中心とした開発については助成をしておったということでございますが、大量の輸入ということになりますので、これは広く商社、一般ユーザーも活用できるような制度改正を行っていく。  第二点は日本側受け入れ体制をどうするかということでございますが、現在のところ輸入量一般炭約百八十万トンということで大した量ではございません。五十五年度から拡大するわけでございまして、これは主として海外炭対象とする石炭火力建設運開が始まるということ、それからセメント産業の油から石炭への転換が急速に行われるということでございますが、現在の見通しでは、まず五十五年度に運開する石炭火力については、原料としての石炭はほぼ手当て済みであるというふうに思っています。したがって、新規火力発電所へは、港湾を持っておりますので、直接大型の船で持ってきますので、当面の運搬問題は起こらないということでございます。  問題になりますのはセメント産業でありまして、セメント産業用のために一部——いま響灘というところへコールセンターをつくっておりますが、それを早期運開ということで一部利用する。そのほかに鉄鋼関係ストックヤードがかなりあいておりますので、それを活用していけば、当面海外炭受け入れ体制整備できるというふうにわれわれは考えております。将来の問題としまして考えておりますのは、北海道に一カ所、それから九州に一カ所、これを当面五十六年度から建設にかかれるように、いま各種のフィージビリティースタディーをしているというような実情であります。
  13. 麻生太郎

    麻生委員 いまの最後のところで出てきました貯炭、いわゆるコールセンターという名前を使っていらっしゃいましたけれども、コールセンターがいま北海道響灘と出ましたけれども、それができ上がると全部で貯炭量は大体何トンぐらいになる予定ですか。貯炭量というのは、貯炭場貯炭能力です。
  14. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは貯炭量というよりも取扱量で御説明した方がはっきりすると思いますが、まず響灘の方は取扱量で当面二百万トン程度をねらうということを考えております。それから北海道に考えておりますのは、第一期として五、六百万トンを考えようではないかというふうに考えております。それから西地域の一カ所につきましては、現在検討中でございまして、取扱量はまだ未定でございます。
  15. 麻生太郎

    麻生委員 もう一点問題になってくるのは、石炭の場合、石油と違ってアッシュいわゆる灰が出る。この灰というものは炭によって三%ぐらいのものから一〇%ぐらいのものまでいろいろありましょうけれども、かつてたとえば電力業界石炭を主に使わせられておったときには、この余った灰を廃物利用一環としてセメントの中に混入して、通常フライアッシュセメントというものを使うように指導された。昨今は石炭がなくなりまして灰が出ないものですから、今度は鉄鋼における鉱滓が余った、この鉱滓セメントに混入して使えということで高炉セメントが多量に使われるようになりました。事実高炉セメントの方がセメントに換算してトン当たり約千円ぐらい安いことになっておりますから、そういった意味では高炉セメントを使う傾向がふえているわけですけれども、今後石炭が多量にふえてくると、またフライアッシュセメントという行政指導をされていくのであれば、いまのうち早いところしていただかないと、とてもではないけれども、全部高炉セメント設備をつくる、でき終わった途端にまた今度フライアッシュセメント設備をつくりなさいということになりますと、業界としてはこれはたまらぬということになりますので、元セメント業界におりました者としては切実な問題でありますので、ぜひその点の御見解を伺いたいと思います。
  16. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 石炭利用に際して一番問題になるのは、灰処理の問題でございまして、現在のところ灰は約二割出る形でありまして、これを全部セメント業界にと言っても量的に均衡がとれない状況だと思います。したがって、われわれはその灰処理をいかにするかということで、現在調査費をいただきまして、灰処理センターをしかるべき地点につくるという仕事をしているのが実情でございます。
  17. 麻生太郎

    麻生委員 鉱滓ですといわゆる埋め立てなどにも使えたりしますけれども、灰の場合、そういった使う範囲がきわめて限られてくるだろうと思いますので、この問題ができませんと、とてもではないけれども、今後いろいろな問題が提起されるだろうと思いますので、ぜひ素早い適切な指導をお願いいたしたいと思っております。  次に、海外炭の場合を伺いますけれども、海外炭を買う方法としては、スポット輸入とか長期契約輸入とか開発輸入とかいろいろ考えられるわけですけれども、輸入をした場合に一番問題が出てくるだろうと思っておりますのは、石油が非常に安かった時代はよかったわけですけれども、石油が思うままに入手できないとか、石油が今日きわめて不足したり、価格が不安定になったりするような状態が予想できなかったと同じように、今後とも海外炭が豊富でかつ安く輸入できるという保証はないだろうと思うのです。石炭も今後石油と同じように、いわゆる戦略商品というか、国際的に戦略化の一端として使われる可能性も十分考えなければならぬというような事態が予想できるわけです。  けさの日本経済新聞の一面を見ると、開発輸入というものを主にされるように書いてあります。大変また結構なことだと思いますけれども、開発輸入をやった場合一番問題になりますのは、鉱区取得及び新しく炭鉱を探す探鉱開発というのをやらなければいかぬわけです。この探鉱開発鉱業権というものに対して、相手国鉱業権法上の問題が出てきますので、いわゆる民間ベースでやった場合、そこが非常にネックになる。そういった意味で、いわゆるGGベースというか、政府間交渉においてこれを率先して、開発輸入に関する種々の問題、いま申し上げましたように、鉱業権取得等について政府が率先しておやりになるお気持ちがおありになるのか、この点を伺いたいと思います。
  18. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  海外炭開発につきましては、われわれとしては、現在民間の活力を使って民間主導でやるべきだという基本的姿勢で考えております。その際、政府としましても資金面等でのバックアップは徹底的に行うということで、新しくお願いしております新エネルギー開発機構から、調査については補助金、それから探鉱については低利の探鉱融資鉱区取得融資をする、こうなっております。それから開発に際しましては債務保証をするということで、民間を徹底的にバックアップしていこうということを考えております。  それから、供給国との関係では、すでに民間主導豪州石炭会議等々ございますので、そういう場を通じて積極的に協調体制をしていく、それを陰ながら政府指導し、バックアップしていくというスタイルで考えているわけでございます。しかし、開発途上国等石炭開発については、パートナーというのは大体政府機関になりますので、これはやはり経済協力とか技術協力の面で強力に支援しないとなかなか進まないということでございますので、関係省庁といろいろ議論をして、その体制づくりはしていかなければというふうに考えております。
  19. 麻生太郎

    麻生委員 いまの場合、民間主導にしておく方が安くつく、これは間違いないと思います。いまの段階においては間違いなく安くなっております。事実オーストラリアとの間はそのような結果になっております。今後、この中でアメリカからの輸入も考えられておりますけれども、貿易のバランスを是正する意味から、アメリカから輸入するということもいいだろうと思うのですが、いわゆる南北問題の一環として起こってくるであろう開発途上国日本経済新聞の中にはインドネシア等のボルネオ、スマトラ、セレベス、あそこらにあります石炭のことは全然触れていないわけで、こういった開発途上国との交渉の場合も、これは民間でやりますとどうしてもいいかげんな部分がいっぱい出てきます。いいかげんな部分というのは、相手側がそういったところにきちんとしたものができておりませんものですからいろいろな問題が出てくるので、こういった地域開発をする場合には、必然的に政府間交渉以外に方法がないし、またこの中で書いてあります中国との問題は、これは相手側は当然社会体制が違うわけですから、こういった国とは民間ベースというようなわけにはいかぬということになりますので、そういった点につきましてはどのようにお考えですか。
  20. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  すでに中国につきましては民間ベース日中貿易協会というのがございまして、それを中心にしていろいろな話を進めております。特に石炭につきましてはかなり話が具体的になっておりますので、政府としましても各種の、調査等の側面で支援をするということで進めております。われわれとしてはあくまでも、中国の場合もやはり民間べースでやるのが至当ではないかというふうに考えております。
  21. 麻生太郎

    麻生委員 この点は、低開発国というのはどうしてもいろいろな問題が起きますので、ぜひいろいろな意味で、私も電気のないところに半年くらい住んでいたことがありますので、そのときつくづく思い知らされた経験もありますので、そういった資源国からの輸入のためには、いろいろな意味での政府の素早い率先した態度というかそういったものを切にお願いいたしておきます。  もう一点、海外輸入炭について伺いますけれども、海外輸入炭をやってきた場合に、いまCIF渡し一般炭で幾らぐらいですか。
  22. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いろいろな数字はございますが、やはり政府が公表しております通関統計で御説明しますと、一般炭トン当たり一万円から一万一千円くらいになっております。
  23. 麻生太郎

    麻生委員 一般炭というのは六千三百キロカロリーくらいですね。
  24. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 大体そのくらいに考えております。
  25. 麻生太郎

    麻生委員 海外石炭のうち、昭和六十年度において輸入されるうちの二千二百万トンが一般炭ということになっておりますけれども、いま日本においては、そういったものを輸入してくるのに使う船というのは、原料炭につきましては約六万トンくらいのでかい船がありますけれども、一般炭につきましては二万五千トンぐらいが多分一番大きな船だと記憶をいたしますけれども、これは船が大きくなると必然的にコストも下がる、そういった意味で、先ほどいろいろな意味助成をするということでしたけれども、輸入に当たっている船についても、民間受け入れ体制として助成をなさるお気持ちがおありですか。
  26. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 一般炭の輸送もやはり大型船でやらなければいかぬ。そのために国内受け入れ体制として、先ほど御説明しましたコールセンターをつくる。したがって、その間の船をどうするかということが一つ問題になりまして、関係省庁であります運輸省さんといま話をしておりまして、でき得れば計画造船の中に組み入れていくということでいま考えております。
  27. 麻生太郎

    麻生委員 一番問題になってきますのは、でかい船になりますと、いわゆる港湾設備も水深の深いものでないとできない。いま電発松島とか九電の松浦、ここらあたりは皆港湾設備ができるわけですけれども、九電の苓北、天草なんというのは、港湾施設が多分問題になってくるんじゃないかなというぐあいに考えておりますけれども、こういった港湾施設に対する助成の点はいかがですか。
  28. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  港湾整備はかなりお金がかかりますし、公共性もあるということでございます。したがって、従来までは石油港湾とかというのは助成対象になっておりました。運輸省さんとお話いたしまして、五十五年度からエネルギー港湾建設について助成を行う方向で検討させていく、その中に石炭も入るということでございます。先ほど御説明しました北海道の一カ所につきましても、その方向でいま関係である運輸省さんと話をしているという段階でございます。
  29. 麻生太郎

    麻生委員 いずれにいたしましても、この石炭をやります場合に、石油との問題も関連してきますけれども、安全と効率という面を考えると、いまの平和な時代というのは効率一本やりでやって十分にいけるわけですけれども、どうやらそういったような状況でなくなってくると、安全率もある程度見ておかなければというようなことで、貯炭の絶対量というものはどの程度か。石油備蓄と同じ考え方になりますけれども、その点につきましても、とにかくいまの状況において賄えるのは、貯炭にすれば五、六百万トンあれば十分ですということになるのかもしれませんけれども、長い目でもしものときというようなことで、石油の場合百何日の備蓄をしていらっしゃいますけれども、石炭に関しても同じような発想がおありですか。
  30. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  現在の国内炭でございますと、先ほど御説明いたしました取扱量の大体七%から一〇%あればいろいろな問題が解決できると思っております。しかし、海外炭の場合は、ストとか航路の問題等々ございまして、やはり二割程度はストックパイルしておかないと問題が起こるのではないかということでございます。われわれがコールセンターを考えているときも、ストックヤードの大きさは取扱量の約二割程度を念頭に置いて設計を行うというふうに考えております。
  31. 麻生太郎

    麻生委員 いま安全の点を伺いましたけれども、これは国内炭のいわゆる確保維持というものと非常に関係をしてくるのですが、国内炭がもし完全にゼロになってしまった、どこの炭鉱もなくなりましたということになると、これは海外輸入炭に対抗する競争手段がこっちには全然ないということになって、一方的に値段を上げられても文句は言えないことになってくる。そういった意味で、国内炭助成維持の問題と海外炭輸入価格の問題というのは非常に関連をしてくると私は思っております。そういった意味で、いわゆる効率一本やりでやってしまうと、平和なときはいいけれども、非常に問題が起きてくると思いますので、いま貯炭設備を伺いましたけれども、国内炭維持の問題とあわせてこの安全の問題についてはぜひ考えておいていただきたいと思います。  次に、石炭対策一環として非常に昨今問題になっております中で、代替エネルギー技術開発という問題が起こっております。五十五年度の予算の中でエネルギー対策技術開発推進については三百二十七億円かな、予算が組まれて、大変結構なことだと思っておりますけれども、これらの技術について、同じくこの将来の予想を見ますと、「新燃料油、新エネルギー、その他」として昭和六十年度には五百二十万キロリットルというものがこういったものの中に入ってくるように言われておりますけれども、これらに対して、まず全般的な見通しとしてはいかがですか。
  32. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  この新燃料油、新エネルギーというのは、主として考えておりますのは石炭液化油、タールサンド油、オイルシェール、アルコール燃料等々でございまして、これはまだ現段階では技術開発の緒についたという段階でございます。したがって、われわれとしては、これは約十年以上の期間をかけてやるべき対象というふうに考えております。
  33. 麻生太郎

    麻生委員 いま主に挙がっております中で、いわゆるCOM、コール・オイル・ミックスチャーとか、SRC、これはソルベント・リファインド・コールの訳だと思いましたけれども、そういったいわゆる液化したりガス化したりするようなものの中で、三菱側が主にCOM、三井グループが主にSRCの方を担当してやっておられるわけですけれども、昭和六十年度において省エネルギーが年一二・一%、八千万キロリットルの代替エネルギーの中で五百二十万キロリットルと書いてありますけれども、いま申し上げたCOMとかSRCとかいったようなものは、この中にいわゆる対象として考えられていらっしゃるわけですか。
  34. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  COMの方は、当面の技術ということですでにもう完成に近いものでございますので、これは需給暫定見通しでは輸入石炭の一部として分類してあります。  それから、先ほどの液化等は、これは相当先の技術でございますので、新燃料油という取り扱いでございます。
  35. 麻生太郎

    麻生委員 これはいま新燃料油としておっしゃいましたけれども、中長期的に見て大体どれくらいかかるのですか。簡単に言えば、今後何年間ぐらいすると大体完成するであろうと予想しておられるわけですか。
  36. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは私の所管でないので、私見になってしまいますけれども、現在液化で一番進んでおりますのが日米、それからドイツ、この三国でやろうと言っておるSRCIIというのが一番実用規模に近い形でございます。それの計画を見てみますと、これが実用化に到達するには今後約十年はかかるんじゃないかというふうに見ておりますが、他のプロジェクトがいろいろございますが、一番早いのでそれくらいでございますので、他の技術はそれより若干おくれるんじゃないかというふうに見ております。
  37. 麻生太郎

    麻生委員 これは石炭の中に石油をまぜてというようなことで、技術的には石油をかなりまぜて溶かしましょう、このSRCという技術は。−COMでしたか。COMの方が石油石炭の中にまぜて、いわゆる溶かしていく過程として使うはずですが「これはやはり今後石油をある程度使うわけですが、それを使った場合に、これは技術的になり過ぎるかどうか知りませんけれども、使う石油の絶対量と、それによって液化される絶対量の増加というのは、一体どれくらいの比率になるんでしょうか。
  38. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生の御質問の内容は、COM、石炭と油をまぜた燃料のことだと思います。この技術は、現在実験室規模で製造はもうほとんど完成しております。問題は燃焼技術をどうするかということでございまして、燃焼技術については、五十五年度、竹原の発電所で各種の実験をすることになっております。  これのねらいは、まず第一は、現在油を使っているいろいろな燃焼設備がございますので、油を使っている燃焼設備をCOMに代替させるということで、その分だけ油が減るということであります。そういう効果をねらってやるということを進めておるわけでございます。問題は、油をCOMに代替した場合に、環境規制上どれだけ混入できるかというところが最大の問題でございまして、その問題を五十五年度に詰めた上で実用化に資したいということでございます。
  39. 麻生太郎

    麻生委員 いま環境の問題が出ましたけれども、SO2の方は問題がありませんけれども、いわゆるNOxの問題というのは、石炭を使った場合に対策技術というものがまだそれほど開発されてないような感じがしますけれども、これは政府として環境庁との交渉、すり合わせというものが必要だと思いますけれども、石炭を使うように指導された結果出てくるNOxの許容量という問題、これは技術的な問題が出てくるわけですけれども、これに対して当分の間、暫定期間としてNOxはこれだけ認めるとか、これくらいは認めなければしょうがないだろうというような考え方を通産省としてはお持ちですか。
  40. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 石炭火力建設する場合、やはりその辺が問題になりまして、われわれの考え方としては、環境規制を緩めるという議論ではなくて、それは技術開発で克服していった方がいいのじゃないかという形で進めておりまして、現にこのための研究は従来から進めておりまして、石炭火力の乾式脱硫脱硝実証試験というのを委託費で相当お金をつけてやっております。現在の見通しはここ二、三年で実証が可能になるのじゃないかというふうに見ております。
  41. 麻生太郎

    麻生委員 いま二、三年とおっしゃいましたか。
  42. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 はい。
  43. 麻生太郎

    麻生委員 いずれにしても、代替の場合、原子力を除いて当面石油にかわる問題として石炭というものの見直しが行われていくわけで、いろいろな問題が今後複合的に出てくるかと思いますけれども、これに対する適切な指導というものを切に御要望申し上げます。  いままで国内炭海外炭、そして代替エネルギーという前向きの話をさせていただきましたけれども、この石炭問題というものを考えるに当たってどうしても忘れられぬ問題として、後向きの面があるかもしれませんけれども、鉱害対策という面が最後に残ってくるだろうと思います。特に旧産炭地において同じような問題が出てくると思いますけれども、鉱害対策として昭和四十七年度から復旧がずっと始まっておりますけれども、昭和五十四年度までの復旧に対する進捗率は何%ぐらいか、伺いたいと思います。
  44. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 鉱害復旧につきましては、四十七年に鉱害復旧長期計画というのを策定いたしました。その際の計画の総量というのは千七百億、四十七年度価格でございます。それに対しまして、現在まで補助金で二千二百億の資金を投入し、工事規模でたしか二千七百億になっていると思います。こういう状況で見てみますと、物理的な工事仕上がりというのは全体の六一%ということに相なっております。
  45. 麻生太郎

    麻生委員 それでいきますと、昭和五十五年度中にはどれくらいまででございますか。
  46. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま御審議いただいております予算が全部執行された、実行されたということで計算しますと、たしか七一%というふうに見ております。
  47. 麻生太郎

    麻生委員 そうすると、五十五年度末の残存鉱害量というもので七一%の進捗率ということは、約二九%残る。ということは、いわゆる石炭六法に関係いたします鉱害対策というものが五十七年度いっぱいで全部終わってしまうことになりますけれども、それが終わるまでの間に昭和四十七年度から始まったもろもろのものが一〇〇%終わるということにはなりませんね。
  48. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 臨時石炭鉱害復旧法は五十七年七月で切れるわけでございます。現在のところ、この期限内に復旧を完全に終わるということは困難というふうにわれわれは見ております。
  49. 麻生太郎

    麻生委員 これは復旧を完全に一〇〇%やるのを目的として、この関係の法案が諸先輩の努力によって今日まで全部なされてきたわけでありますから、これは与党委員の方も野党委員の方もいずれも皆過日の石炭対策特別委員会で、佐々木通産大臣、もちろん部長もいらっしゃいましたけれども、その席で石炭六法の延長の問題についてそれぞれ申されておりましたので、私も同じく陳情する必要はないと思いますけれども、基本的には一〇〇%終わらないという予想をしていらっしゃるわけでございますから、これは終わるまでは何としても残すのは当然だと思いますので、この点について確認したく、いま進捗率、残存鉱害量を伺ったわけです。  もう一点へ御存じのとおり、いまいろいろな問題が鉱害の中には残っておると思います。せっかく政府がお金をかけて鉱害復旧したにもかかわらず、復旧をされた側にとっては余りありがたいという感じが出てこない。その内容を、いろいろありましょうけれども、これをよく伺ってみると、あっちの方が後からやったからおれのところよりよく復旧されておって内容がいいんだとか、いや、おれの方はちょっと力不足で交渉の仕方が悪かったから割りが合わぬとかというような、同じ復旧を受けた人たちの間に不満の差がある。ここのところに大きな問題があると思っておりますけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
  50. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 そういう御意見が出ておるのは家屋復旧に多いと思いますが、これは実際には実施計画の認可の際に、そういうことはないような形で、効用回復をねらってやるというふうにやっておるわけでございます。そこの不満の一つの原因になっておると思われるのは、復旧の際に家屋の所有者本人がある程度負担をいたしまして、この際新しく改造しようという工事が含まれておりまして、これをわれわれはいわゆる超過工事と呼んでおります。その家屋復旧の際の超過工事というのは、全体の約七三%を占めておりまして、結果的に仕上がりを見ますと他人のものがよく見えるということでございますが、これは所有者がある程度の負担をしている結果生じた格差というふうにわれわれは見ております。
  51. 麻生太郎

    麻生委員 では、でき上がったものが仮に百万円といたしますと、そのうちの七〇%、約七割を個人が負担しているということですか、いま七割と言う意味は。
  52. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 具体的に御説明申し上げますと、効用回復というのが鉱害法の原点でございますので、効用回復するのに約百万円の金がかかる、しかし、家を改造して効用回復より、家をよくするということで百万円追加した、計二百万円で工事するという場合がある、この百万円足した分を超過負担と言っています。そういう例が家屋復旧の場合に全工事の約七三%の戸数になっているというふうに見ています。
  53. 麻生太郎

    麻生委員 簡単に言うと件数ですね。
  54. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 件数です。
  55. 麻生太郎

    麻生委員 一般に出てきます問題はこれが非常に多いんであって、何となくあっちのうちがよく見えて、おれのところの方はどうも割りを食ったんじゃないか、結果的にはもう何のことはない、せっかく税金を使ってやったにもかかわらず不満ばかり残っている。これは大変悲しい結果になっておるのですけれども、こういったものの不満を解消していくというのはものすごくむずかしいのかもしれませんけれども、こういったものに対して復旧の統一基準はこうですとかいう統一復旧基準といったようなものの指導というものはできないものでしょうか。
  56. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは日本人全体の趣味の問題と存じますが、家についてはかなり認識が個々ばらばらでございまして、人によっては、超過負担をしてこの際全部つくり直そうという方もおりますし、それから効用回復だけでいい、使えればいいんだという形のものもありまして、それを統一的に指導せいと言ってもなかなか指導はむずかしいだろうと思います。しかし、都市計画等の側面で、何かその付近は一律どういう形にしようかという形でその地域の皆様が合意すれば、ある程度のことはできるんではないかと思います。
  57. 麻生太郎

    麻生委員 いずれにいたしましても、この石炭の鉱害復旧という問題は、石炭の鉱害だけがよく取り上げられていますけれども、その地域においては、この石炭鉱害復旧工事に関係したもろもろの工事の波及効果が結果的にはその地域地域振興に役立っておったりする面が多々ありますので、これは今後、北海道、筑豊といった旧産炭地域におけるもろもろの問題の中で、この鉱害、石炭六法の延長問題に関係していろいろな問題が地域振興と非常に深いかかわり合いを持っておって、昨今国鉄のローカル線の廃止の問題にも全部関連している問題だろうと思うのです。地域住民の意識としては、とにかく石炭の傾斜生産と言われたあの戦後の時代に徹底してしゃにむに掘らされたといった意識がたくさん残っておりますので、これは基本的には政府にやってもらう以外に方法がないというふうな意識もかなり強いように理解をしております。  最後に、この産炭地振興の実施計画策定権というのは通産省が持っておられるわけですけれども、これを地方の時代とかいろいろ言われる言葉の一環として、通産大臣から知事へ移すというような方向でこの地域振興を考えていらっしゃるのではないかという気がするわけですけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  58. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 地域開発の将来の展望を地元住民がいろいろ考えまして、そしていろいろな要件を整合的に整理することが基本かと思います。  われわれとしては、現在、たとえば福岡県に対しましては、福岡市、北九州市との関係を十分考慮した上で、地元住民みずから考えた現実的な対応策を考えてくれないかということをお願いしている段階でございまして、その結果、これをどういう形で進めるかということについては、今後の検討の課題にしたいと考えております。
  59. 麻生太郎

    麻生委員 将来その地域をどのような形に持っていきたいかということは、それはその地域の人が一番よく知っておるし、そういった意味の希望なりその地域特殊事情を無視して、通産省なりいわゆる中央にいる人が一方的にその計画を策定して、これでやれと言って押しつけて成功するものでもないと思います。それは正しい見解だと思いますけれども、逆に地域で考える、自分たちの将来を自分たちの手で考えた結果、われわれとしてはそれをこうやってもらいたいのだということで希望を述べるのは一向構わぬのでありますけれども、述べなければならないと思いますけれども、旧産炭地域の振興計画実施策定権というものを通産大臣が持っておるのを知事に任されるということになりますと、とても一地方の知事で、たとえば北海道なら北海道、筑豊なら筑豊という非常に範囲の広いものを、知事が策定権を持ったからといって、財政の裏づけもなければ何にもなくてそういったものはできようはずがないので、その点に関して、これはいわゆる投げ渡しみたいな形になる。そういったことを地域としては恐れるから、結果的にはそういった案をつくりたいと思っても、逆になるべくつくらないようにする、つくった途端に自分たちに回されるのではないかという危機感、そういったものに対して危惧するという感があるということなんです。そういった意味で、この点がはっきりされないと、幾らつくってくださいと言っても、なかなか地域ではつくらない。そういった心理状態があるように私は理解をしておりますけれども、石炭部長のお考えはどうですか。
  60. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは一つには、地域計画というのは地元がどういう発展を望むかということがまずあって、それに対して政府が、それが実るように財政の面とか計画遂行の面でも協力をしていくというのが本来たてまえでございます。われわれとしては、そういうものができた段階では、この問題に積極的に協力していくという姿勢は崩していないつもりでございます。
  61. 麻生太郎

    麻生委員 何回も言うようですけれども、それは前段部分はきわめて正しいし、協力するという態度を崩さないというのは大変結構なんですけれども、問題は、法律上で言います実施計画策定権であります。この通産大臣の持っている権限を将来知事に移管して、自分としては受けたくないのだ、通産省としてはそれを受け取りたくないというお気持ちがおありになるかどうかを確認したいと思います。
  62. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 産炭法における実施計画の内容をどういうものにしたらいいかということは、まだ考えていない段階でございます。  といいますのは、現在産炭地の実情につきまして、その財政力指数とか生活保護率とか公共基盤整備、社会基盤整備はどうなっているかという実態を調べている段階でございまして、それを踏まえた上で、どういうシステムが一番現実的なのか、そのときにいまあります実施計画はどういう取り扱いにするのかということを詰めてまいりたいと思います。
  63. 麻生太郎

    麻生委員 いまの段階では、そういったものがどっちに行くかまだわからぬということはよくわかったのですけれども、地域の希望として、現実として、この問題は知事に移管をされた場合は、知事ではとても賄い切れぬくらい私は大きな問題だろうと思っております。そういったものがどっちになるかわからないという間は、地域の人たちがその地元のことを考えて、将来こういったものをやりたいというような実施計画案をつくった場合、何回も言いますけれども、これは自分たちで全部責任を持たなければいかぬのじゃないかという感じがある間は、地元ではつくろうと思ってもなかなかつくりたがらないということは事実だろうと私は思っているわけです。そういった意味で、これは結果的には地元住民にとっても不幸でもありますし、お互いにそういった疑心暗鬼がある間はどうしても話が前に進みませんので、この点につきましては、今後とも政府の方できちんとしていただく態度を明確にしていただかない限りは、話は進展しないという感じがいたしますので、この点についての今後の一層の早急な詰めをお願い申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  64. 岡田利春

    岡田委員長 これにて麻生太郎君の質疑は終了いたしました。  続いて中西績介君。
  65. 中西績介

    中西委員 産炭地におけるいろいろな対策が非常に問題になっておりますので、この点について具体的に御質問を申し上げたいと思います。  まず第一点は、産炭地域振興対策の問題でありますけれども、この中で地域振興整備公団が振興策のために土地を造成をし、これを立地企業に譲渡するという方式でもって企業進出を図っておりますけれども、これがいまどのような状況になっておるか説明をいただきたいと思います。
  66. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  地域振興整備公団の団地造成の内容について御説明いたしますと、まず全国での造成面積が二千二百五十七ヘクタールでございます。造成金額が四百三十七億円でございます。そのうち分譲実績は千七百八十三ヘクタールでございます。特に福岡県について言いますと、造成面積が千十六ヘクタール、造成金額が百七十八億円、分譲実績で八百二十七ヘクタールということになっております。  それから、現在工事中の団地は全国で二十六、千八百九十二ヘクタールでございます。そのうち福岡で十四団地、八百八十七ヘクタールでございます。そのうち五十六年度までに完成する団地が全国で五団地、三百五十一ヘクタール、福岡で三団地、七十九ヘクタールでございます。
  67. 中西績介

    中西委員 その中で譲渡されたものと、さらに残存のもの、つくられたものでまだ依然として残っておるものがどれだけあるのか、この点明らかにしてください。
  68. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生の御質問は、完成団地の譲渡率のことでございますか。——これは全国で見ますと、八〇%の譲渡率でございます。福岡県では八六%の譲渡率、こういうことになっております。
  69. 中西績介

    中西委員 このように残っておる分についてお聞かせいただきたいと思いますけれども、五十三年度以降相当景気が復調してまいりましてからは、造成される分については、それをあるいは上回るくらいは譲渡されておると思いますけれども、いままで残ってきたその大きな原因というのは何であったか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  70. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 工業団地の売れぐあいというのは、日本経済全体の景気に支配されることが多いと思います。五十三年から五十四年にかけては、設備投資水準は上がってまいりまして、やはり造成した量よりも譲渡した量が多くなってまいりました。特に売れない団地につきましての原因は、全体のそういう景気に支配されますが、雪が多いとか、遠隔地であるとかというところの売れ行きが悪いのが実情でございます。
  71. 中西績介

    中西委員 そうしますと、九州の方では譲渡率もいいが、逆に北海道で譲渡率が下がるということになるわけですね。  そうしますと、いま造成されておる地域的なものを考えてみますと、これとのかかわりから言うならどのようになっているのか、そのことを勘案して団地の造成というのはされておるのですか。
  72. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは産炭地域実情を踏まえた上で、工業出荷額を伸ばすに必要な量を念頭に置きながらつくっているわけでございます。しかし、それはあくまでも計画でございますので、全体の景気が落ちますと、やはり相対的に、遠隔地の方は設備投資水準は中央地よりも落ちるということでございますので、影響が大きく出てくる、そういうような実情でございます。
  73. 中西績介

    中西委員 そうしますと、いま言う譲渡率とのかかわりではむしろなしに、その地域全体の浮揚を目指すためにということが中心になって企画されておるということで理解してよろしいですか。
  74. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 その方向で造成しております。
  75. 中西績介

    中西委員 ということになりますと、その地域の企業なりあるいは産業全体の効用ということを考えるわけであります。  そこで、お聞きしたいと思いますのは、立地企業によって雇用対策上の成果がどのように上がってきたか、この評価をもうすべき時期ではないかと思うのですが、この点はどうでしょう。
  76. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 この事業は、三十七年からずっとやってきておるわけでございますが、まず地域振興整備公団の造成した団地に立地した企業、それからこの公団が融資事業をしておりますので、公団の融資を受けて立地した企業についての統計を見てみますと、雇用面でとらえますと、新規雇用人員が約九万五千人ということであります。この団地は石炭産業にかわる雇用の場をつくるということでございまして、それを見ていきますと、そのうち四万八千人が炭鉱離職者の関係の方ということに相なっております。
  77. 中西績介

    中西委員 四万八千人の炭鉱離職者を吸収しておるといういまの報告でありますけれども、特にこの中で男女別のものがわかるのかどうか。それから非常にわかりにくいと思いますけれども、中高年齢別のものがわかれば答弁していただきたいと思います。
  78. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  まず、男女別でございますが、男が六四%、女子が三六%ということになっております。  それから、先ほどのは炭鉱離職者ということでなく、炭鉱離職者の関係の方ということで、それの年齢別というのは、いまのところ資料がございませんので、後刻調べて御報告申し上げます。
  79. 中西績介

    中西委員 四万八千人は即炭鉱離職者でなしに、関係ということですね。離職者の分についてはわかりませんか。
  80. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 特に離職者そのものずばりという形では押さえておりません。
  81. 中西績介

    中西委員 いま答弁ございましたように、企業をそこに誘致をする、あるいは団地の中にそのように一定の産業を興すということでやっておられますけれども、実質的にこのことが大きく産炭地域浮揚なりあるいは回復なりを図ったかということを考えなきゃならぬ時期に来ているのじゃないかと思うんですね。先ほども言われておりましたように、財政的にも相当の量を注ぎ込んでおりますだけに、この点から考えますと、効率的にどうこれから措置していくかということが問われておると思います。  そこで、この点の地域経済なりあるいは旧産炭地域における効果が、数字的になかなかあらわしにくいとは思うんだけれども、十万人前後、九万五千人の雇用を実質的には上げておるわけでありますけれども、その結果が、回復の面からいたしますと余りにも目に見えて効果はないということになれば、この財源をもって他の事業を興すなりということも考えられてくるわけであります。そういうことを考えますと、私の住んでおる田川の実態からいたしましても、大きな効果はなかったんではないかという気がするわけなんですけれども、この点はどうなんでしょう。
  82. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 まず第一点の効果といたしましては、先ほど御説明いたしました雇用の場がかなりの量できてきているということであります。  それから第二点は、やはり関連公共施設が、いままで調べた範囲内ではかなり整備されてきております。それから社会資本の一部であります公園、緑地等は、他地域よりもかなりふえてきております。  しかしながら、問題は、まだ生活保護率が高いとか、それから可処分所得が相対的に他地域よりも低いとか、いろいろな問題がございます。そういう問題を今後どうしていくかということが今後の課題ではないかというふうに考えておりまして、それらの点をいま調査しているという段階でございます。
  83. 中西績介

    中西委員 雇用の点については一定の回復を図っておるという認識に立っておるようでありますけれども、さらにまた公共施設等の整備などについても一定の成果は上がっているし、前進があった。しかし、実質的にそこにおける経済的な点を考えてみますと、具体的にそのことを指摘をする段階にまでなってないのではないかと私は考えるわけです。したがって、こういうことになってまいりますと、いままでの産炭地振興施策そのものが、何か欠落するものがそこにあるのではないかということを追求すべきではないかと思うのですけれども、この点はいまの答弁では、十分な検討なりあるいは資料整備なりがまだなされてないということでありますが、その点はいまのところはまだその状況なんですか。
  84. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 地域開発の問題というのは、いろいろな要素が組み合わさって総合力が出てくるものだと思います。それで、現在その要素の各点について調査をしているわけでございまして、その結果を踏まえた上で欠落しているものが何かということが出てくるわけでございまして、それを踏まえて何らかの対策を打っていくという方向でいま検討をしているというような段階でございます。
  85. 中西績介

    中西委員 それで、その場合に皆さんが考えなくてはならぬ点は、この地域の老齢化指数を見てみますと、田川市あたりでは八五・六くらいになっています。全国は四八ぐらい、五〇を切っているわけですから、そういうことになってまいりますと、そこには老人が多くて子供が非常に少ないということを意味するし、子供が少ないということは中堅の成人が少ないということを意味するわけですから、そこにおける雇用政策、十万近くのものがあったという報告をしていますけれども、実質的にはそれまでの回復がまだまだ十分なされていないということが言えるのではないかと思います。したがって、この地域における産業の立地条件整備がいままでのやり方でよかったかどうかということをもう一度考える必要があるのではないかと私は思うのです。  特に、私が指摘をしたいと思いますのは、たとえばこの地域における田川なりを例にとりますと、三百二十二号線あるいは二百一号線、こういう国道なり幹線道路がございますけれども、これは、その盆地の中における整備はある程度なされておっても、産業的に考えてみますと、北九州の経済圏と福岡の経済圏とをつなぐ場合にはどうなっているかといったら、これは全部ふん詰まりになっているわけですね。中が幾ら整備されたって、出ていくところが出ていけなければちっとも効果はないわけなんですね。ちょうど大雨が降って増水する場合に、お互いに取り合いっこをして、上の方が幾らよくしたって下の方が流れなければ、いつも川ははんらんをして被害を受けるということと全く同じような状況になっていると私は思うのですね、道路一つを取り上げてみましても。そしてまた鉄道問題一つを取り上げてみましても、筑豊の場合には、全路線ほとんどと言っていいほど北海道と並び称せられる廃止区域になっていますね。さらにまた用水問題を見ましても、この地域における用水というのは、枯渇とまではいかなくても不十分であることはだれしもが認めています。そういうことになってまいりますと、この地域におきます産業の立地条件というものは、重要なところがほとんど欠落をして整備されてない、私はこういうことが指摘できるのではないかと思います。この点、どのようにお考えになっているかですね。
  86. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま実施しています事業の前提になりますのが実施計画でございますが、この辺につきましては、地元の各市町村、県等と十分お話をした上でつくっているわけでございまして、先ほど御説明しましたように、やはり地域開発の問題については、地元が自分の町をいかにつくるかという発想法での総合的な計画を考えなければなかなか実践に移せないのではないか。たとえば土地一つ買うにしても、そういう合意形成がないと事業が遂行できないということになります。特に福岡県の場合には、筑豊について将来どういうビジョンを持つのかということが筑豊全体の住民の方に必ずしも浸透していないという欠陥があるのではないかとわれわれは思っています。したがって、先ほどから御説明しておりますように、地元の発展のための計画づくりについて県なり市町村が一体となって努力をしてくださいというお願いは再々しているわけでございまして、そういうものができますれば、それを前提として関係省庁に積極的に働きかけて実施していきたいというふうに考えています。
  87. 中西績介

    中西委員 その点については、先ほど前者の質問の際にもちょっと触れておったようでありますけれども、私はどうもボールの投げ合いをやっているみたいな感じがしてなりません。県に言うと国が悪いという言い方をするでしょう。そして政府にそのことをただすと、今度は県の方にそういうものがないという言い方になって返ってくるわけですね。ですから、どこにこういう問題についての一番の欠陥があるのか、この点はやはり明らかにしておかないと、いわゆる核になるものが何なのかということを考えないと、これから後の立案、計画というのはできないと思うのですね。その点どうでしょう、政務次官、わかりますか。
  88. 梶山静六

    ○梶山政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、私の答えが具体的にできるかどうかわかりませんが、確かに現在まで、産炭地域振興臨時措置法を通じて地域振興整備公団等が団地造成を行っている、これでかつての産炭地域は、これがあれば何とか振興の決め手になるであろうという期待と、また努力をされて今日まで参ったことだと思います。ですから、先生指摘のように、これが一〇〇%の決め手にならなかったという反省は当然しなければなりませんが、実はこれがあったからこそ、その他の過疎の地域と比べてみますと、過疎化の進行に歯どめをかけることが消極的な意味でできたという評価はあると思います。  ただ、私が一つ考えますことは、私見でございますが、石炭行政といいますか、それにはやはり一定の限度がございます。ですから、国は国でやれ、県は県でということで、お互いに相手を不信に思うというのは、極端な言い方かもしれませんが、十全の政策がとれていないという評価は当然あると思います。その中で、たとえばの話でございますが、この産炭地域を見ますと、産炭地域振興臨時措置法、そしてそれを受けての具体的な団地造成、そういうもので一つのパイロット的な推進役割りを果たしてきたことは現実であります。ただ、それは一つのある限界がございまして、これが建設行政なり水行政に全部及ぶかといいますと、この権限はそこまで及んでおりませんし、そこまでの予算の投入を見ることが実はできなかったわけであります。これは先生指摘のように、国のある意味では縦割り行政の弊害かもしれませんが、これを受けて、むしろこれから地方自治が振興される段階で自治体がその調整権能と申しますか、国のそれぞれの各縦割りのエネルギーをうまく調整し合う、その努力を府県なり市町村が強く行っていくならば、いままでの弊害を除去できるのではないかと思いますし、そういう意味では、むしろ地方自治体が主体的にそういう地元の状態を現実に把握をして、中央にいろいろな意味で、むしろ立法措置までひっくるめての要求がなされることによって、そういうものがむしろ完全なものになるのではないかというような私見を持っております。お答えになると思いませんが、御了解を願いたいと思います。
  89. 中西績介

    中西委員 いまお答えいただきましたけれども、いつも問題になるのは、県の方から要請が出る。いまあなたが言われたように、地方自治体からの要求というものが出てくるのです。ただ問題は、指摘をされているように具体的な成案がないのです。だから、たとえば出てくる要求というものは全部羅列されているものが出てくるのですよ、何項目かにわたって。これは確かに要求されておるけれども、いま先ほどから指摘されておるように、その中には中身を将来的にどういう構想をするというような、企画されたものが何にもないのです。それはさっきの麻生委員が言うことからすると、県の段階では、責任をおっかぶされるので、危惧があるので、それはやりたくないというような言い方をしているような感じがするわけですね、私はさっき討論を聞いておりまして。ところが今度は国の方からいたしますと、政府の方からいたしますと、そういうものがないからできないんだというごとになってしまうと、そこには何もできないということになるわけです。ですから、核になってどこがやるかということをどこかで決めなくちゃならぬわけですよ。そうした場合に、いままで産炭地振興の中心になってきた通産の方で考えられるのか、それとも話し合いによってどこかにそれを設定をするという方策をとるのか、あるいは県なりどこかがとるかという、こういう点あたりをもうちょっと突き詰めて、責任の主体というものをどこに置くかということをはっきりしておかないと、これは将来たとえ法を延長したとしても、何もそこには成果が生まれてこないんじゃないかということを私は危惧するわけですね。この点どうでしょう。
  90. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘の点、地方自治体によってかなり濃淡があるようにわれわれは聞いております。非常にうまくいっている県もございます。したがって、そういう地域開発の問題というのは、どちらかというとかなり具体的な内容でございまして、具体的にこういうふうに変化させるんだということがありませんと、たとえば道路をここに引きたいんだということになると、これは建設省さんにお願いをして、まず採択をしてもらってという手続を踏まなければいけないわけです。単に道路整備をしてくれという御主張だけではなかなか変化が出てこないというのが実情でございます。ある県では非常にそれをうまくやっておりまして、この地域にこういう団地をつくる、それに必要な交通体系はこうするんだというような絵がございまして、それに対して通産省は各省にかけ合ってくれということでございますと、いろいろな御協力ができるのではないかと思います。
  91. 中西績介

    中西委員 そうしますと、いまのお話を聞いておりますと、やはりその地域全体、広域的にどのように再生をさせていくかということになってまいりますと、その地域を含む自治体なりがある程度主体者になって一定の立案計画をし、そしてそれに基づいて今度は皆さんと相談をし、そのことによって皆さんが今度は他省庁に対してこうあるべきだ、こうしてほしいという、こういう手順だということを言っているのですか。
  92. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 概括的にはそういう手順になるかと思います。具体的には地域計画、それを進めるに当たりまして通産省が事務局になりまして、各省連絡会というのがございます。そこで、ことしの事業をどこに重点を置くのか、その場合道路であれば建設省さんとどう調整するかとか、それから住宅についても建設省さんでございますが、そういうような会議がございますので、そういう会議に具体的な案件という形で上げていただきませんとなかなかうまくいかないのが実情でございます。たとえば炭住の改良住宅の例を見ましても、計画はたとえば三万戸やるという長期計画があるのですけれども、具体的に上がってくるのはその半分にも満たないというのが実情でございます。したがって、その辺をやはり地元で十分にお詰めになって、具体性のあるものであれば、現在各種の制度がございますので、それで助成ができるんではないかというふうに考えております。
  93. 中西績介

    中西委員 そういうことになってまいりますと、たとえば福岡県の場合を考えてみますと、昨年国政調査に参りましたね。あのときだって、県知事が出てきてやるのが何だと言ったら、国の責任だ、国の責任だと言って全然あれはないですよ。みずからそういうものを立案計画し、そして将来この地域はこのようにやっていこうなんということは全然ありませんよ。こういうことになると、この地域はいつまでも沈んだまま浮き上がることはとうてい不可能だということを意味するわけですが、そのように理解していいんですか。
  94. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  地域開発というのは、やはり地元の方の将来に対する願望がまずあって、それをどう実践していくかということで変わっていくもあだと思います。やはりこのときの動員力といいますか、起爆力といいますか、そういうものになるのは、コンセンサスのある具体的計画が第一のスタート、一里塚といいますか、スタートだと思っております。
  95. 中西績介

    中西委員 だから、一方的にそういう企画あるいはその地域開発計画というのがないということだけで終わらしておったんではいつまでたってもこれは浮揚しないわけですから、いまのは私はなじるんでなしに、具体的な例として、この前から私経験をしている中で感じますのは、福岡県にはその態勢はほとんどなかったんじゃないか、こう考えるわけですね。ですから、そうなりますと、この地域の住民は浮かばれないわけですから、やはりその面における強い指導性あるいは誘導というものは各省庁なりがすべきだと思いますし、この点について今後どのようにお考えか。そしていま先ほど言われておりましたように、まだ総合的な計画案なり何なりはないと言っているわけですけれども、具体的にはこれから日程的にどのようにつくり上げていくのか。と申しますのは、産炭地域振興臨時措置法は五十六年の十一月には期限切れになるわけでありますから、これはもう早急に皆さんが、いま先ほど申されたような内容等について総合的な総括をしていただいて、その上に立って一定の方針を持たなければ延長するという理由が成り立たぬと私は思うのですが、この点は明らかにしておいていただきたいと思います。次官に伺います。
  96. 梶山静六

    ○梶山政府委員 御指摘のように、産炭地域振興臨時措置法は五十六年の十一月に期限が到来をするわけでございますが、いままでの成果あるいはうらはらに欠点、こういうものを把握をするために産炭地域の公共施設、生活保護者、工業化、地方財政計画等の現状について現在調査を行っている段階でございます。そしてその結果を踏まえまして、ただいま先生が御指摘になられましたように、産炭地域の振興の対策については、法の延長も含めてひとつこれから検討してまいりたいというつもりでございます。
  97. 中西績介

    中西委員 いま政務次官の方からそのようなお答えがありましたけれども、この点については、やはりただ単に国の政策をなじるということだけではなしに私は考えたいと思いますけれども、いずれにしても、その根幹にあるものはエネルギー政策転換後におけるこのような実態ですから、この点はやはりちゃんと踏まえていただいた中で、いまあなたがおっしゃるような点について十分配慮していただきたいと思いますし、その実務を担当なさる部長の方からその点について、先ほど申し上げた三点、これは私は集約して申し上げましたけれども、触れていただきたい。
  98. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先ほどから御説明しておりますように、産炭地の実情、実態の調査をしておるわけでございます。これは通産省としてしているわけです。そのほか各関係市町村、それから道県に対しましても、どういう形で臨むのかということについていろいろ調査をみずからやっていただいておるということであります。その辺が集まってきた段階で、その実態を踏まえた上で、法律の延長をも含めて、具体的な対策を考えていきたいというふうに考えております。
  99. 中西績介

    中西委員 いずれにしましても、この点は、これから後また多くの問題がございますが、やはりこの産炭地域振興策、再生をどう目指すかということがきわめて重要でありますから、十分御配慮をいただきたいと思います。  それとのかかわりになってまいりますけれども、先ほどもちょっと触れました、出ておりました炭住改良問題についてお聞きしたいと思います。  この問題につきましては、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、改良の実績の状況というのはどのようになっておるのか、この点をお聞かせください。
  100. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 炭住の改良につきましては、住宅改良法によりまして実施しているわけでございますが、これは昭和四十二年度から開始されまして昭和五十四年度末までには約一万二千戸建てかえることになっております。今後改良を要すると思われる家屋は約三万一千戸ではないかと見ております。
  101. 中西績介

    中西委員 いま説明ございましたように、その数は三万一千二百七十二戸ということで確認をしておきたいと思いますが、長期にわたりまして改良してまいりましたけれども、先ほども指摘をされましたように、いろいろ自治体の関係の中で不十分な面もあって、その進捗率は余りよくない、このことが指摘できるのではないかと思いますね。そういたしますと、なぜこのように依然として多くの改良を必要とする戸数が残っておるのか。北海道だとかになりますと、二万に対して改良を要するものが三千戸程度でありますから、これは閉山をいたしますと山が全部なくなってしまう状況ですから、そこに人が住まない、こういうことになると思います。ところが九州の方になりますと、福岡でありますならば、三万四千戸に対して二万二千戸必要だということになっていますし、それから熊本県なんかについては二万八千戸あれば二万七千戸近くが必要だという数になっているようです。こういうことになりますと、北海道あたりではわりあいにいままでの進捗率だって見てみるといいわけですけれども、福岡あるいは熊本あたりにおいては依然として悪い。そういう状況があるのはなぜかということを十分私は検討する必要があると思う。その障害点は何なのか、この点を明らかにしていただきたい。
  102. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これの進まない理由について、いろいろな方の意見を聞いたことを整理しますと、第一点は、やはり炭鉱住宅が閉山後個人に払い下げられて、個人所有になっているということが第一点でございます。  それから、これは総合住宅に切りかえるということでございますので、その個人個人がある連帯をもちましていい新しい家に移るという合意形成ができないと、なかなかうまくいかないということであります。その合意形成がうまくいっている例は、かなり他の地区で見られるわけであります。  それから第三点は、これは公営住宅を建てるということになりまして、炭住所有者は、これができますと、持ち家から賃貸に変わるということでございます。しかし、この家は従来の家と比べるとかなりハイレベルの家になるわけですが、賃貸になるということが問題である。  第四点は、炭住の古い家に入っていますと維持費等が非常に安いわけでございまして、移りますと、今度は若干高くなるという問題が出てまいります。  それから、日本人は家について非常に郷愁があるわけでございまして、どうしても二月建てを希望しているということが大きい制約になっているのではないかと思います。
  103. 中西績介

    中西委員 そういたしますと、障害点を何とか取り除かないと、この点については、御存じのように閉山をいたしましてからすでに十四、五年、それより以前に建築されたものでありますから二十年あるいは三十年、しかも建物そのものはそう堅固ではありませんから、これは建物としては非常に不健全なものになってくるわけですね。  そこで、三万一千戸あるわけでありますけれども、五十五年度の予算を見ましても、臨時交付金は千五百戸分を計上してあるわけですね。そうすると、これは単純計算をしますといまから二十年ということになるわけです。これは耐久度からいたしましてもとうていそれだけもてるはずはありませんね。ということになってくると、この点をどうこれから障害を取り除いていき打開をするかということになってくるわけです。  この点、建設省お見えですが、建設省の方にお聞かせいただきたいと思いますけれども、このような打開策は、建設省なりである程度検討されておるのか、この点どうでしょう。
  104. 立石真

    ○立石説明員 炭鉱住宅の住環境を改善するために、建設省といたしましては、住宅地区改良事業という事業によりまして、事業を実施してきたところでございます。さらに法定事業のほかに、昭和五十三年度からは、小規模な炭住地区の住環境の改善も推進できるように、小規模炭住地区改良事業制度を創設して、現在事業を実施しているところでございます。  先ほど石炭部長の方からお話がございましたが、炭住地区における住環境の改善を目的として、これらの事業の実施をいたそうとする場合には、各地区の実情に即して行われるようにしていかなければならないのはもちろんでございまして、地元の市町村が鋭意努力しているわけでございますが、地区住民の同意が得られない場合等がありますので、なかなか事業実施に至らないところもあるわけでございます。地元市町村の実情を今後ともよく聞きながら、実情に即して、これらの事業の内容を充実させて、地元市町村から要望が出てくれば、これに対しまして建設省としては十分配慮していきたい、そして事業実施が円滑に進むように関係各省とも連絡を密にして努力をしてまいりたいと考えております。
  105. 中西績介

    中西委員 先ほど石炭部長の方からいろいろな条件、障害点というのが明らかにされまして、五点にわたって示されています。これを地元の住民の皆さんといろいろ話をして、それを経て、今度はこれらの中身について、障害点についてある程度配慮しながら、あるいは法的なものあたりを、これからどうするかということあたりも含めて、たとえば改善をしてほしいとか、いろいろな問題がこれからたくさん出てくるだろうと私は思うのですね。またいままでもあったと思うのです。そうした場合に、炭住地区のこの改良事業にかかわる、特に法的な制度がございますから、この関係で、さっき申し上げたような障害点とあわせて、問題があるわけですね。この制度的なものの中に問題があるわけです。ですから、この制度の改善をする必要があるのではないかと私は思うのですね。先ほど部長が答えた障害点というのは、その地域なりなんなりでいろいろあれすることが一つありますし、この中身についても、また皆さんと御相談申し上げなければならないということが一つと、もう一つは、いま申し上げるように制度的な、法的な措置、たとえば補助の問題だとかたくさんあるでしょう。こういうものをどう改善するかということがまた一つの問題になると思うのです。ですから、もうそれを端的に言うなら特別に法制定をするとかなんとかすれば一番いいんだけれども、直接それまでにいかずとも、その間の制度的な改善ができるのかどうか、この点について検討は進んでいるのですか。
  106. 立石真

    ○立石説明員 炭住地区の改良を要する住宅について、それらをどういうように今後直していくか、またどういう形のものにしていくか、これは大きな問題であろうかと思うわけでございます。こういうものに対応するためには、先ほど申し上げました住宅地区改良事業のように、地域全体として環境を改善していく施策もあるわけでございます。またそのほか公営住宅あるいは住宅金融公庫の融資等、各種の措置によって住宅の改善を図っていかなければならないのじゃないかというように基本的には思っておるわけでございます。  これらのうち、特に現在、先ほど申しました住宅地区改良事業等が中心になってその改善を進めてきているわけでございます。先ほどいろいろな障害点等がございましたし、また私たちの方も地元の方からいろいろな要望について聞いておるわけでございます。それらの中には、現在の制度の中でもかなり部分的な内容の充実等を図ればできるものがございますし、また運用の面でいろいろ考えればできる点もあるように私たちも考えておるところでございます。今後とも地元の要望を聞きながら、私たちの方も積極的に内容の改善に努めていきたいと考えておるわけでございます。
  107. 中西績介

    中西委員 もうちょっと具体的に言いますならば、たとえば、条件的なものをいろいろいまここで申し上げる時間がございませんからなんですけれども、一、二の例だけ申し上げてみますと、炭住地区の改良事業にかかわる現行の制度、それを見ますと、採択の基準の中を見ましても、たとえば改良住宅建設の補助についていろいろずっとございますけれども、用地取得する場合に、現在は用地取得費掛けることの開発充当率がございまして、これによって決定するそうでありますけれども、この場合に開発充当率の制限をもう少し緩和すべきではないかとか、あるいは土地の整備等につきまして、たとえば道路の幅員について、現在は六メーターなら六メーターということであれば、これをさらに八メーターなら八メーターとすることはできないのかとか、あるいは下排水溝等について延長が百メートル以下になっておりますけれども、こういうものについては必要な規模にしたらどうかとか、そのほか地区の施設等の設置についてもやはり同じようなことが言えまして、補助面積等について大きな要求の違いが現行との間におきましていろいろあるわけです。  そういうようなことをずっと挙げてまいりますと、もうたくさんあるわけですね。ですから、こういう点あたりにつきまして、これからもし地元の要求があれば、いま申されたように、これらの点についてもある程度制度的なものの内容検討、そして変更、さらに運用面における拡大、こういうものが建設省の方では考えられるということなんですか、さっきの答弁は。その点、ちょっとお伺いしたい。
  108. 立石真

    ○立石説明員 いまいろいろ御指摘いただいたわけでございますが、たとえばそれらのうちにおきましても、住宅の規模等につきましては、昭和五十五年度におきましては五十四年度に比べまして簡耐二階あるいは中層耐火建築物で二平米の増を図るというような形で規模増に努めておるところでございます。  また、その他の点等の、かなり運用面でのいろいろな御要望であろうというふうに思うわけでございますが、実際、現在の事業を進める上で細かないろいろな基準を持っておるわけでございますが、そのことにつきましては、今後地元の方からも事情を聞きまして、実際の具体的な団地に即しながら、どういうことがいいのかということをよく考えて、今後検討させていただきたいと考えております。
  109. 中西績介

    中西委員 この点はぜひ検討していただきたいと思うのです。  なぜ私はこのことを申し上げるかと申しますと、特に産炭地域振興の問題とかかわりまして、先ほど企業の進出なりその地域における産業の発展計画を目指す、こういうこととあわせまして、住宅という問題については、先ほど出ておりましたように、まだまだ依然として旧産炭地域には三万を超えるそういうものが存在をする。しかも、私のすぐ近くなんですけれども、田川市なんかの場合には、まだ依然として六千戸あるわけですね。しかも、それは市の中央に全部位置しておるわけですから、その地域全体をこれからどう開発するか、あるいは都市構成をどう遂げていくかということについてそのままにされておりますと、これは大きな障害になり、将来的な展望というのは全く開けないわけなんですね。いまのあれからしますと六千戸ですからね。通産省の臨時交付金は、五十五年度予算で大体二百五十戸ですよ。ですから、これは量が拡大すれば、ある程度運用面で拡大されたといたしましても、たとえば三百戸にいたしましても、これまた二十年ということになるわけですね。ですから、そういうことを考えてまいりますと、産炭地域振興策として、また浮揚させるためにも、再生させるためにも、これがまた大きな役割りを果たすことになるわけです。そして将来的に、北九州経済圏あるいは福岡経済圏とのかかわりの中でこの地域をどのように整備していくかという場合に、この点を一定の短期間に具体的な計画の中で早急に改善をしていくなりしないと、時限立法でありますから、その法のある中でこれができるという見通しはほとんど立たないということになってくるわけですね。こういうこと等を考え合わしてまいりますと、大変重要でありますから、いまお答えになりました点、私の要請をいたしました点を十分勘案していただきまして、もう一度御検討いただきたいと思います。  それから、通産省の方に再度確認をいたしますけれども、臨時交付金については現行二十万ですね。そうしますと、将来的に量の拡大はできたといたしましても、額を引き上げることはしないのか、こういう点についてはどうでしょう。
  110. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 臨時交付金は、炭住改良事業の超過負担分の一部を補てんするという考え方なんですが、現在は二十万円ということで進めておりますが、将来市町村の負担が著しく多くなって他との均衡を失するような場合には、増額について検討することがあり得るのではないかというふうに考えております。
  111. 中西績介

    中西委員 では、ぜひこの点についても再検討してほしいと思います。  そこで建設省、先ほど私が申し上げた点について検討していただけるかどうか、もう一度お答え願います。
  112. 立石真

    ○立石説明員 地域によりまして、先生の御指摘のとおり非常にたくさんの炭住地区がございまして、そういうような地区についてできるだけ早急にしていかなくちゃならない、またそのためにいろいろな制度上の問題の解決や、あるいは円滑な運用を図るための内容の充実等が必要であろうというように考えておりまして、建設省としても積極的に検討していきたいと考えております。
  113. 中西績介

    中西委員 それでは午前中はこれで終わります。
  114. 岡田利春

    岡田委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。    午前十一時二十四分休憩      ————◇—————    午後一時二分開議
  115. 岡田利春

    岡田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西績介君。
  116. 中西績介

    中西委員 午前中に引き続きまして、旧産炭地域における問題になっている部分について質問を申し上げます。  まず第一は、鉱害復旧の問題であります。  先ほどの午前中の質問の中にも出ておりましたように、四十七年度当初試算をいたしました残存鉱害量、それに基づき五十四年度まで鉱害復旧を続けてきたわけでありますけれども、特に五十五年度、来年度に向けていま予算が審議されておる途中でありますけれども、もしこれを終了したと仮定をして、四十七年度当時に試算をした分についてどの程度残存するかを明らかにしていただきたいと存じます。
  117. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現在国会で御審議いただいております五十五年度予算のとおりに事業が実施されたと仮定しますと、四十七年の計画に対して七一%終了することになります。
  118. 中西績介

    中西委員 七一%ということになりますと、結果的には臨時石炭鉱害復旧法の時間切れになります五十七年の七月三十一日までの間におきましては、現在の進行の状況からいたしますと、達成することは不可能だと見てよろしいですね。
  119. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘のとおり、五十七年七月末までには完全復旧が完了することは非常に困難な状況でございます。
  120. 中西績介

    中西委員 そういたしますと、困難だということになると、必然的にこの法の延長問題と絡んでまいりますけれども、ただ、それだけでなしに、その後出てまいりました浅所陥没だとかその他赤水対策だとか多くの問題が出ておるはずであります。ということになってまいりますと、今後の措置として臨時石炭鉱害復旧法、臨鉱法なるものは当然延長しなくてはならぬということになるわけでありますけれども、この点、そのように確認できますか。
  121. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現段階では期限内復旧は楽観視できない状況でございますので、現在、鉱害復旧状況と今後の残存鉱害量について各種調査をしておりますが、それを踏まえた上で延長も含めて検討したいと考えております。
  122. 中西績介

    中西委員 再調査をする必要があるのでその調査をし、さらに再検討するということでありますけれども、そうなってまいりますと、期間的に事務的にどのようにこれが推移をしていくのか、この点おわかりですか。
  123. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現在しております調査の集計が終わり、各種の判断ができるのは本年の秋になるのではないかといま考えております。
  124. 中西績介

    中西委員 それでは、いま調査をし、具体的にはその集計がだんだん始まるという段階になっておろうかと思いますけれども、そうなってまいりますと、この調査の仕方が問題になろうかと思います。特にいままでいろいろ要求されても認定されてない部分もありますし、新たに起こった鉱害発生の部分もありますし、その内容がいろいろあると思うのですけれども、この点についてはどのように考えておられるのか明らかにしてください。
  125. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 四十七年度以来長期復旧計画というのに沿って事業を進めてきたわけでございますが、その後、新たな採掘に伴います鉱害の発生、それから当初余り議論しておりませんでした浅所陥没とか果樹園鉱害とか赤水とか、いわゆる新規の鉱害が出てきております。それらについても調査を進めているわけでございます。  現在やっている調査といいますのは、五十四年の七月から有資力炭鉱等から調査をする、それから関係町村からも聞くということで進めておりまして、秋ごろには大体結論が出る。その際、先ほど御説明しましたような新規鉱害についても調査をし、それについて何らかの対策を考えていきたいと考えております。
  126. 中西績介

    中西委員 もうちょっと念を押したいと思いますけれども、新しい鉱害という言葉を使われましたが、たとえばいま鉱害の認定をされる場合には、その炭鉱の採掘を終えてから一定の期間を設置をして、三年なら三年という期間がたつと、その後そのような鉱害発生はないといういままでの、経験上、あるいは科学的と言っていいかどうかわかりませんけれども、そういう認定の仕方があると思うのです。そうなりますと、それから以後に、ないと判断をされておるにもかかわらずあったとして、具体的に出てきたとして、この申請なりあるいは要求をされる場合があるわけですね。そういう部分についてもやるのかどうか。それを新しいと規定づけるのかどうか、この点どうでしょう。
  127. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 鉱害の復旧の事業の進め方というのは、一応復旧開始時に地盤沈下等の状態が安定したと考えた上で工事に着手するわけでございますが、何分地下のことでございますので、その後変化が起きております。それが地下を掘採した影響であるという認定が明らかなものについては、鉱害復旧の対象として従来からも取り上げておりますので、今後調査対象の中にもそれらのものが含まれると考えて結構かと思います。
  128. 中西績介

    中西委員 その場合、いま言うように安定をしたという時期、それを経て工事をするわけでありますけれども、その結果、さらにまた鉱害が発生をしたという、明らかになったという認定の仕方なんです。これがいままでやはり絶えず問題になるところなんであって、この点はよく科学的調査だとかという言葉を使っておるようでありますけれども、そのような措置をしなければできないのか。あるいは具体的に目で見て実際にそういうものが出てきたという、こういうことでできるのか、これらの点についてどうなんでしょう。  と申しますのは、科学的調査ということになってくると、それにかかるまでにずいぶん長い期間がかかるし、そしてそれをまた終えてから、今度学者先生方によってそういう判断を下すまでには期間もかかりますし、いろいろなそういう手だてというのが期間がかかるわけですね。簡単にわかるはずなのにそういう状況等が出てきますから、この点をあえてお聞きするわけです。
  129. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 二次鉱害といいますか、一度鉱害が復旧してから地盤沈下等が起こる例があるわけでございますが、浅所陥没などの例ですと見た瞬間わかるということでございます。しかし、微妙な沈下でございますと、これはやはり因果関係を明らかにしなければいかぬということでございます。最近とみにそういう軽微な変化が起きている例がございます。これについては、やはり因果関係を明らかにしませんと鉱害復旧法の適用になりませんので、客観性を持たす意味で、各種の科学的認定調査をしなければならぬということになっております。したがって、科学的認定ということになりますと、やはり精緻にする必要がありますので、時間はかかるのはやむを得ないというふうにわれわれは考えております。やむを得ないのでございますが、しかし、被害者の立場を考えますと、やはり早急にそれを進めていく体制だけは確立していきたいというように考えております。
  130. 中西績介

    中西委員 この点は被害を受けた側からすると大変な影響でありますから、早急にできる何らかの手だて——だと言って、無資力の場合はもう臨鉱法によって国が賠償するわけですから、この点は国家財政を支出するそのたてまえからいくと厳正にしなくちゃならぬということも十分わかりながらも、実際にある場合に、やはりこの点についてはいままで余り長くかかり過ぎたのではないかという、こういう懸念が強くしますから、ひとつ十分注意をしていただきたいと思います。  そこで問題は、有資力の場合についてお聞かせいただきたいと存じます。有資力の場合には、資本で申しますと、現在、三井あるいは古河、こういう資本が大量に残っていますね。そうしますと、復旧費の中に占める割合等についても相当なっておると思いますけれども、依然としてこれがおくれておることは事実なんです。ですから、そうなってまいりますと、この鉱害が長期にわたって復旧されないし、さらにまた、もし先ほど御確認いただいた臨鉱法の延長が一応されると仮定をいたしましても、その期間内にこれが解消できるかどうかという問題については大変危惧される点があります。そういうことを考え合わせてまいりますと、この石炭関係の法律等から考えましても、将来的にその地域の人たちにとっては非常に不安定な、あるいは不信感を持っておるわけですね。したがって、この点についてはどの程度やる気があるのか。この点をやはり十分行政の皆さんの方から指摘をしていただきあるいは指導していただいて促進をしなくてはならないのではないかと思います。この点どうでしょう。
  131. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 有資力炭鉱の鉱害復旧につきましては、やはり無資力鉱害に比べておくれを見せていることは確かでございます。五十四年度について見ますと、全復旧費の大体一二%程度という状況でございますので、残存鉱害量は無資力鉱害に比べてかなり多く残っていることは確かでございます。  しかしながら、臨鉱法の前提でいきますと、有資力炭鉱については加害者が適当な賠償を行うということになっておりますので、その体系は崩さないということになると思います。したがって、これを進めるためには、まず賠償義務者を指導して計画をつくらせ、実施させるということでございますが、何分にも資金的な裏負担が問題になってまいります。そこで、現在あります石炭鉱業賠償資金の貸付制度というものについて何らかの検討を加える必要があるのではないかといま考えているわけでございます。
  132. 中西績介

    中西委員 いま答弁の中に、五十四年度の場合には復旧費中に含む割合は一三%ですか、ということになりますと、無資力のあれでこれから復旧をしなければならぬ分と、それから有資力の分で大体残存しておる量を比較をしてみて、いまのペースでいけばどの程度ずれ込んでいくかというのはおわかりですか。
  133. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いまその辺を含めて調査している段階でございます。調査の途中でわかっている感触を申し上げますと、無資力鉱害の残存量に比べて有資力の鉱害の残存量が相対的に多くなることは確かでございます。
  134. 中西績介

    中西委員 相対的に多くなるということは、大体論を待たないと思うのですけれども、またいまお答えのようでありますけれども、そうなってまいりますと、加害者が復旧負担をするということはもう当然ですね。いろいろいま無資力になったところの方がずっと促進をされておりますから、有資力の分の人たちから言わせますと、これを早く無資力と同じように国が賠償せよという声すらも出てくる。これはまた被害者の方からすれば当然なことなんですね、早くしてほしいという願いがあるわけですから。このことは否定できません。しかし、復旧をするという側から申しますと、加害者がするのは当然でありますし、これはさせなくてはならぬと思うのです。というのは、何と言ってもあれほどうんともうけた時期のあれもあるわけでありますから、こういうことを考え合わせてまいりますと当然過ぎる中身であります。しかし、いま言うように、行政の側から推進をさせるという——確かに融資関係だとかなんとか五十五年度の予算の中ではある程度増額はいたしましたし、新設もいたしましたが、そういうことだけでなしに、その責任をもう少し十分認識するような指導を強化する必要があるのではないかと私は思うのです。私は、これを見落としてはならぬと思うのです。ですから、この点についてもう少しお答えいただきたい。
  135. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘のように、有資力の鉱害復旧をどうするかということが今後の鉱害復旧の中での一つの大きい問題点ということはわれわれ了解しておりまして、それを踏まえた上で、たとえば古河さんとか三井さんに具体的な計画を早急につくるように強力に指導はしております。したがって、あとその裏負担等の問題について、今後どういう対応をするかということについて検討を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  136. 中西績介

    中西委員 いま裏負担等についての対応の仕方をお答えいただきましたけれども、その点だけでなしに、私は、その責任性というものを明らかにしながら一定の年限なりを切ってでもそういう指導をしていく、これくらいの心構えが必要ではないか、こう思います。したがって、この点は強く要請いたしておきたいと思います。  それとのかかわりで出てまいりますのが金銭賠償の問題です。御存じのように、法的には、金銭賠償をした場合には何ら打つ手はなくなっておるということは事実です。このことは否定いたしません。しかし、その場合に、戦後からずっと大きな被害の出た地域におきまして、特に閉山していく過程の中では企業がいなくなってしまう。これを巧みに利用して、賠償にならない金額で印鑑をつかせるとか、いろいろな手だてがとられています。こういう点等についてどうなっておるかという金銭賠償の中身について調査はされておるのですか。
  137. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘のように、いなくなった場合等ございますが、鉱害事業団等にはかなり資料もございますので、これは一件一件十分に調べていくつもりでございます。
  138. 中西績介

    中西委員 ぜひ金銭賠償問題については、将来的に臨鉱法をもし延長するということになってまいりますと、その中でも一つの問題点として浮かび上がってくる可能性が非常に強いわけですね。ですから、そういうものも含めて検討をさらに強めていくようにしていただきたいと思うのです。  時間がだんだん迫ってまいりますので進みますけれども、この鉱害問題で、最後に、鉱害対策事業で就労しておる労働者の推計でありますけれども、先般から八千二百七十人程度だということのお答えをいただいております。しかし、これは関連事業なりいろいろなものからいたしますと、この倍近い数になるのではないかという気がするわけです。したがって、その正確な数字はなかなか推計しにくいと思いますけれども、一応そのようにとらえてよろしいかどうか。
  139. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘になりました八千二百七十人というのは、鉱害復旧事業に直接かかわる人間ということでございます。しかし、こういう土木的事業でございますので、波及効果というのがございます。たとえば資材発注だとか運送、これは通常波及効果係数と言っておりますが、これは産業によって違います。したがって、最低の場合でも二倍程度という数字もあるかもしれませんが、現在のところ、九州での産業連関表で計算した数字で見ますと、二万一千人ぐらいという数字になっております。したがって、先生指摘の約二倍というのはほぼ当たっているのではないかと思います。
  140. 中西績介

    中西委員 効果係数を掛けますと二万一千という数が出るわけでありますけれども、そうなってまいりますと、これは先ほどの産炭地浮揚のための振興策の中の一連のものとして、特にいまこの地区におきましては、失業対策事業、それから同和対策事業並びに鉱害対策事業、こういうものの占める産業的な割合は非常に高くなってきておるわけです。これはもうお認めいただけると思うのです。  そうなってまいりますと、これの関連で、この地域におきまして、二年経過をいたしますと、石炭六法、これが全部期限切れになる。そうすると、これを延長するかどうか、短期間の間に一定の結論的なものを出して、十年なら十年の延長をするということになっていくわけです。そうしたときに、この地域における現時点の産業構造というものがどうなっておるかということをつぶさに検討する必要がある。それと、今度は雇用との関係がどうなっておるかということを十分検討していただく。その中における鉱害復旧事業で働く労働者の数の占める割合が非常に高いわけです。そうしますと、この地域における浮揚策の中で、長期にわたってはもう期限が切れるわけですから、そのことは考えられませんけれども、一応いま短期的にあるいは中期的にこの必要の度合いだとか、こういうものは非常に高いものがあるわけです。ですから、そういう点あたりも含んでこの事業を一つのものとしてとらえていく、そういう考え方があってしかるべきではないかと私は思うのです。しかし、これはあくまでも復旧事業ですから、復旧するということが原則であるということは当然認めますが、内容的にそういういろいろな関連あるいは波及というものを考えてまいりますと、大変重要な事業になってくるわけです。この点について認識をお聞きしておきたいと思います。
  141. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  筑豊の地域経済というものをつぶさに調べますと、全体として他の地域に比べまして公的支出にかなりおんぶしている形であります。このうち特に鉱害復旧のウエートが高いということでございます。鉱害復旧の水準をどういうふうに考えるかということが地域経済への波及も大きいということを認識しております。したがって、残存鉱害をどういう形で処理をしていくかという場合の一つの大きいポイントではないかと考えております。
  142. 中西績介

    中西委員 この点は、先ほどから私申し上げますように、いままた石炭部長の認識の中でも大きな波及効果なり影響力があるということ、このことをお認めですから、この点は早急に一定の結論を出していただくようお願いをし、これは政務次官、この臨鉱法あるいは賠償法、こういう法律が五十七年七月三十一日で切れるわけですけれども、その時期に向けて、この鉱害問題について、深刻でありますだけに政府なりの態度をお示しいただきたいと思うのです。
  143. 梶山静六

    ○梶山政府委員 中西先生指摘のとおり、鉱害復旧が万全ではございません。この法の期限切れを間近に迎えまして、ひとついままでのような復旧を単一的な目標とするものではなくて、むしろ鉱害復旧なり賠償なりをてことして、総合的な振興計画がその地域に実施できるようにこれから対処していかなければならないと思いますので、そういう点を勘案をしながら慎重に検討してまいりたいと思います。
  144. 中西績介

    中西委員 ぜひ検討していただきたいと思います。  次に、ボタ山の問題でありますけれども、ボタ山の災害防止問題について、その中の一つであります水洗炭業が依然として福岡を中心にして行われています。この場合に、昨年こそありませんでしたけれども、前年さらに前々年に引き続き出てまいりました。と同時に、これは石炭でありませんけれども、先般も石灰で栃木であのような大災害が出ています。こういう状況等が依然としてあるという可能性は、水洗炭業がある以上可能性がありますだけに、特に福岡の場合にあれから以降どのように県を指導し、そしてこれら水洗炭業者に対する規制措置をしていったのかお答えをいただきたいと思います。
  145. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 一昨年水洗炭業の事故がございまして、その後こういう事故が再び起きないように対策を講じたわけでございます。  第一点は、まず現在やっている水洗炭業者の操業状況の総点検を行いまして、それから出てきた結果に基づきまして事業改善命令を出すという点。  それから第二点は、やはりいずれにしても安全をどう守るかということが必要なわけでございまして、前向きに安全基準をどうつくるかという点につきまして、水洗炭業審議会というような場で検討さしていただいているわけでございます。昨年の十二月に福岡県に対してその結果が審議会から建議されております。県としましては、この安全基準を前提といたしまして、登録制度になっておりますので、新規の登録それから登録の更新の際、この点をチェックしていくという体制にしておりますし、私どもとしても、その方向で県を指導していくということを考えているわけでございます。
  146. 中西績介

    中西委員 県の方からは、法的措置をしていただかないとこの規制というのは大変困難だということを盛んに言っておったわけですが、いま部長の答えるように、登録チェックなりあるいは安全基準の設定なりあるいは操業の際の点検なりということで大体現状はどうなっていますか。あれからもう二年経過したわけですけれども、どうでしょう。
  147. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 安全の問題かつ人命に関する問題でございますので、これは定期的に検査をしておりまして、この検査の報告によりますと、安全基準が守られているというふうには聞いております。
  148. 中西績介

    中西委員 この点は、再度そういう点で守られているかどうかは十分検討していただきたいと思います。  次に、ボタ山の問題でありますけれども、ボタ山の場合には、現在危険ボタ山として大体認定をして、それに対する措置がされておると思います。一応認定されたものが五十八年度ころには終了するという状況になっておるやに聞いておりますけれども、この点についてはそのように理解してよろしいですか。
  149. 福原元一

    ○福原説明員 ボタ山の実態について御報告申し上げますが、現在補助金対象工事としてボタ山の工事を行っております。補助金対象工事として行っておりますものは、三十九年度から五十四年度までにかけまして七十七のボタ山について工事を実施してございます。今年度末までに累計でそのうち五十八防災工事が完了するという予定になっておりますが、先生指摘のように、全国に存在いたします防災工事を必要とするボタ山の数というのはまだはるかに多いわけでございまして、今後鋭意予算の許す範囲で継続し、ふやしてまいりたい、このように考えております。
  150. 中西績介

    中西委員 危険だという認定は調査して総合判定をするだろうと思いますけれども、それ以外に一応数なりは認定というか確定をして、それに対する工事ということでいま取りかかり、そして具体的にやって、いまあなたが言われた数のものについては一応できている、こういうことだろうと思いますね。そうすると、それ以外にそういう点についての危険なボタ山なり何なりはないのかということですね、これはどうでしょうか。
  151. 福原元一

    ○福原説明員 現在全国に存在いたしますボタ山は九百七ございますが、そのうち防災工事を必要といたしますボタ山の数は二百四十五でございます。これは四十八年から五十四年にかけまして実態調査を行いました。このうちさらに有資力のボタ山を除きまして補助金制度の対象となり得るボタ山は二百七と私どもの方ではつかんでおります。申し上げましたように、現在まで着工いたしましたのがそのうち七十七ときわめて数が少ないという御批判はあろうかと思いますが、今後私ども鋭意ふやしてまいりたいというふうに考えております。
  152. 中西績介

    中西委員 それは五十八年度ぐらいに終了見込みと考えていいですか。
  153. 福原元一

    ○福原説明員 先ほど申し上げました七十七という数字は、三十九年度から五十四年度にかけて着工した数字でございますので、御指摘の年次までには恐らく不可能ではないか、かように考えております。
  154. 中西績介

    中西委員 そういたしますと、これはとうてい五十八年度ころを終了目標というわけにはなかなかいかない、こう考えていいですね。そういたしますと、これらの山については大体どのような措置をしていっているんですか。皆さんが指摘をして、これはやれというように言っているのか、それともさっきの問題のように地域、自治体なりからその申請が出されて、皆さんのところでそれを認可し、工事着工するという、こういうシステムになっているのか、どっちですか。
  155. 福原元一

    ○福原説明員 補助金の交付は県の申請に基づきまして実施いたしますので、県の申請を受けまして、それを監督庁が審査いたしまして、逐次着工を決めていくということであります。
  156. 中西績介

    中西委員 それでは余り県の方は熱心でない、こういう理解をしてよろしいですか、これからいきますと。
  157. 福原元一

    ○福原説明員 ボタ山の危害防止対策につきましては、私ども義務者の存在するボタ山につきましては、鉱山保安監督局におきまして定期的に、これは年一回ないし三回でございますが、監督検査を実施して、災害の防止に努めておるわけでございますが、義務者が不存在または無資力のボタ山につきましては、その崩壊、流出による災害を防止するために、三十九年度に制定されました補助金制度で、地方公共団体が行う工事に対して助成を行っておるわけでございまして、私どもといたしましては、この制度の発足以来、補助率の引き上げだとかあるいは交付対象地域の拡大というようなことで充実を図っておるわけでございますが、今後もさらに県とも密接に連絡をとりながら、あるいは話し合いをしながらこの制度の拡充、維持、継続ということで努力してまいりたい、このように考えております。
  158. 中西績介

    中西委員 この点は無資力、有資力との関係からいきますと、無資力の部分が大多数になってきていますからね。相当しりをたたいていただいて措置をしないと、先ほどの鉱害どころでなしに、さらにまた長期間かかるという計算になりますので、この点については早急に措置をしていただきたいと思います。  そこで、この場合ひとつお聞きしたいと思いますけれども、危険ボタ山としての認定をされてない部分、この部分についてはいろいろありまして、風が吹けばいろんなじんあいになって周囲に大きな影響を及ぼすとか、あるいは台風時期になりますと大変な増水、そうするとこれはもう全く樹木がないわけですから、どんどん土砂が流出をする等々いろいろ出てくるわけです。そうなった場合には緑化対策を実施をしておったと思うのです。これは緑化対策なりあるいはそのような流出防止工事なりが行われることもよろしいけれども、もしこれが都市の近郊なり人家の密集地域に近いというところの場合には、開発をむしろすべきではないかと私は考えるのですが、ここいらどうなんでしょう。  ただその場合に、その土地を有効に利用するとかなんとかとなってまいりますと、金融関係問題等がまだ残っていてなかなかできない部分があるのですね。抵当権の設定だとかそういうものも含めていろいろございまして、なかなかできないということになりますと、その処置を何らか考えなければ、いつまでたってもこれはできないということに尽きるわけですから、この点どうでしょう、何か対策ございますか。
  159. 福原元一

    ○福原説明員 ボタ山にかかわる粉じんの飛散、あるいは雨が降りまして水田へのボタの流出等につきまして、鉱山保安法に基づきまして鉱業権者が存在する場合は、権者の義務におきましてその辺の措置を講じさしておるわけでございますが、不存在または無資力の場合には、申し上げました補助金制度の中で緑化対策を進める、あるいは鉱害のおそれのあるボタ山については防災工事の対象とするというようなことで進めておるわけでございます。  いま先生おっしゃいました、抵当権の存在がボタ山の処理に支障となるようなことはないかというようなお話でございますが、確かにボタ山の地上権あるいはボタに対して抵当権が存在しているというお話は、私どもも聞いております。これらのボタ山に対しまして、崩壊等の危害を防止するために県及び地元市町村が抵当権者と話し合いをして、了解を得て、そのボタ山の防災工事を実施しているというのが現状でございまして、現在のところ私どもといたしましては、抵当権の存在がボタ山の防災工事の障害になっているという事実は承っておりません。関係者の間での話し合いで進められているものと考えております。
  160. 中西績介

    中西委員 実際に私、それがあるからいま聞いておるわけですけれども、そのような問題があれば、また具体的に提起を申し上げて、いろいろこの点についての対策あるいは対応について皆さんの方から指針を出していただきたいと思いますので、そのときにはまた具体的に提示を申し上げたいと思います。  それでは最後になりますが、失業対策の問題について二、三点お聞きをしたいと思います。  その一つは、旧産炭地域における就労事業の果たす役割りというのは大変重要な位置を占めております。そういう点から考えますと、現在の一般失対にしましても開就、特開にいたしましても、自然減を待つという政策でもって対応しておる、こういう状況にしかありません。したがって、この点はもう少し積極的な面を持つべきではないかと思います。特にその点から考えますと、現状の人員を維持をし、そしてむしろそれを増員をすべきではないかと私は考えるわけですね。なぜこのことを主張するかといいますと、特に現状を考えてみますと極度のインフレ、そして金融政策などから見ますと、さらにまた景気の後退、このことが気遣われてまいります。そのことは減量経営、日本の企業の側はほとんどそういう措置によって対応いたしますから失業者が増大することは必然でありますし、これにどう対応していくか、この点についてお考えがあるならお答えいただきたいと思います。
  161. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 現在この炭鉱離職者緊急就労対策事業あるいは産炭地域開発就労事業、こういったものが地域における雇用対策の面で非常に大きな役割りを果たしておるのは御指摘のとおりでございます。そういう意味で、これが石炭六法等の存続問題に絡みまして、むしろ存続について心配の声などもいろいろわれわれの方で伺っておるわけでございますが、この点については、こういう事業が現在産炭地において果たしておる雇用失業対策的な面での大きな意味、あるいは産炭地における就労者の実情あるいは生活の実態、こういったものから見まして、今後の検討対象にはなるとはいいましても、それではこの事業を石炭六法との関係の中で一体打ち切れるのかというような点については、これはそういう情勢の中で打ち切れる情勢にはない、こういうような判断をしておるわけでございます。  ただ、これらの事業につきまして、それではもっと拡大をしたらというような視点からのお話でございますが、これらの事業につきましては、そういう雇用対策上の意味も果たしおりますけれども、一方におきましては、これが要件といたしまして、石炭の離職者あるいは石炭関係の離職者、こういうような人たちを対象にした事業である。こういう事業を開始いたしましてからすでに十年あるいは二十年という期間もたっておりまして、そういう対象者も、いま新しく対象にするような人たちも筑豊地域においてはもはやないという事情もございますし、またこういう事業の方式の持っておりますいろいろな問題点もございます。この事業に一度入りますと、他に民間あるいは公共等の場面がございましてもなかなか行こうとしないというようなことで、これが他の民間等への就職の面でのいろいろな問題、滞留問題等も起こっておる。それから各事業主体等におきまして、事業枯渇といいますか、そういったような問題もいろいろ出てきております。それからまた、実施をいたします市町村等の事業主体におきましても、財政能力といいますか、そういったような問題等もございまして、これらについては、こういった面を十分相談をいたしまして対応していかなければならぬ問題でございまして、これを拡大していくということにつきましては私ども現在は考えていない、こういうことでございます。
  162. 中西績介

    中西委員 いまお聞きしますと、いろいろ理由を言われまして、拡大する条件はないという答弁ですね。いま時間を見ますと、反論する時間がもうなくなってしまったので非常に論議がしにくくなってきたんです。ですから、この点については一応おくとします。特に最後に言われました自治体の問題だとかあるいは民間、公共へ行かない、こういう理由もいろいろ申されましたけれども、これらについてはまだまだ討論をしなければ、これは一方的にあなたたちが考えている中身でしかないわけですね。ですから、この点は納得するんでなしに、一応きょうはお聞かせ願ったということでおいておきたいと思います。いずれにしても、この点については、この地域における重要な案件として、将来さらに考えていかなくちゃならぬということだけ申し添えておきます。  そこで、いよいよ迫ってまいりますが、五年に一度の一般失対の見直しの時期に入ってまいりました。五十五年度、本年が該当するわけでありますが、この点については、従来は調査研究会的なものが設置をされて、そこで作業日程等を組みながら検討していくと思うのですけれども、この果たす機能と作業日程、そして今後の見通しについてお答えください。
  163. 加藤孝

    ○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、失対事業につきましては、緊急失対法に基づきまして少なくとも五年ごとに制度検討を行うことになっておりまして、本年が前回五十年の制度検討に続きまして五年目に当たりまして、本年の五月ごろからこの制度検討会を予定いたしておるところでございます。  進め方といたしましては、従来のやり方の例にならいまして、雇用、失業問題等に造詣の深い学識経験者の方々によります研究会を設置いたしまして検討をお願い申し上げる。研究会としては、この間いろいろ就労者団体あるいは事業主体というようなところの意見等も十分にお伺いをする、あるいはまた研究会としても現地調査等も行う、こういうような過程を経まして検討を進め、五十五年度中にはその検討結果が出される、こういうことで期待をしておるところでございます。労働省といたしましては、その検討結果が出ました段階で、その検討結果を踏まえて、今後の失対事業の制度のあり方についての方針を決めてまいる、こういう対応をして臨む考え方でございます。
  164. 中西績介

    中西委員 その際に要請を申し上げたいと思いますのは、この事業に携わる多くの皆さんがいらっしゃるわけですから、いまもありましたように、就労団体の皆さんの意見も聞くということでありますけれども、その場合に、私はきょう午前中からいままでかかりましていろいろ論議をしてまいりましたが、筑豊におけるこの事業の占める位置というものは非常に大きなものがあるということですね。そういうことからいたしまして、当面の間における対策として、長期にわたる一つの再生策、その中における短期的なものとしてもきわめて重要な位置づけになるわけです。そういう意味で、十分中身を熟知していただきまして、この検討をする際には加えていただくようにお願いをしたいと思います。  最後になりますが、先ほどから論議をしてまいりましたように、石炭六法とのかかわりで、産炭地の振興策あるいは炭住の改良あるいは鉱害復旧、さらにボタ山の問題、失業対策、このように、これはすべて筑豊の今後の死命を制するような重要な事業、かかわりのある問題であります。特にこの六つの法案については、財源的なものを含めましてすべて重要でありますだけに、これから一年間、この論議を経て再度延長問題等についても論議をしていくことになると思います。先般の大臣の答弁なりあるいは石炭部長の答弁等にもございましたけれども、もう一度この点について——先ほどもちょっと出ましたように、キャッチボールをするような形態にならずに、積極的にこの点について取り組み、そして延長問題についてもその基礎固めをしながらやっていくという基本的な態度を明確にしていただきたいと思います。その点、次官にお願いします。
  165. 梶山静六

    ○梶山政府委員 中西議員の御意見をちょうだいいたしまして大変感銘をいたしております。確かに現在の措置法が切れる期限が迫っております。こういうものを踏まえまして、いままでの実績、そしてそれぞれ一つ一つの目的があったわけでございますが、これを一つの地域振興と結びつけるために、新たな観点を望みながらこれからの法の延長をひっくるめてひとつ懸命な検討を加えてまいりたいと思います。
  166. 中西績介

    中西委員 事務部門で中心になります部長に、先ほどるる論議しましたけれども、特に筑豊の場合には政府のそういう方針と施策というものが大変影響を持つわけでありますだけに、先ほどから確認をいただいた点をさらに強化をしていただくようにお願いをしたいと思います。その点について一言だけ。
  167. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 その点につきましては、いま次官が答弁した内容の方針に従って具体的に進めていきたいと思います。
  168. 岡田利春

    岡田委員長 これにて中西績介君の質問は終了いたしました。  次に、吉井光照君。
  169. 吉井光照

    ○吉井委員 この石炭問題につきましては、先般来からいろいろと質疑がなされておりまして、私の質問も多々重複する点があるかとも思いますが、その点はひとつお許しを願いたいと思います。  まず、基本的な考え方について御質問をしておきたいと思いますが、わが国、OECDまたIEA等は、今後の世界的エネルギーの安定確保を図るためには代替エネルギーの多様化と新エネルギー開発促進並びにエネルギー消費の抑制の政策が必要である、このような方針を決定しております。     〔委員長退席、細谷(治)委員長代理着席〕 そしてこの結論として、大体短中期的には石炭中心とした対策が組み立てられており、長期的には安全性の確保を前提とした原子力利用というのがエネルギー政策路線となっているようでありますが、今後のわが国のエネルギー政策路線もこういう路線でいくのか、その点はどうでしょうか。
  170. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 わが国のエネルギー政策の基本的方向というのは、先生指摘方向で進んでいるかと思いますが、短期的には、やはり国際エネルギー機関における合意、東京サミット等における宣言に即しまして、石油の節約を徹底的にやるというのが第一点でございます。  それから、中長期対策としては、石油代替エネルギー開発導入を行う。その目標値としまして、現在七〇%を超えている石油依存率を十年後には西欧諸国並みの五〇%に引き下げるということに向かって諸施策を実施しているわけでございます。石油にかわるエネルギーとして考えられておりますのは、原子力ももちろんございます。それ以外に水力だとか石炭だとかLNGだとか、これをバランスよくもっていくというのが特徴でございます。原子力発電に対しては特に有望視しておりまして、今後とも安全性とか信頼性の確保、環境の保全等を考えて進めていくということでございます。  より長期的には、海洋エネルギーだとか核融合を含めます原子力等の新エネルギーを考えておりまして、この研究開発をいま一層進めているというのが実情でございます。
  171. 吉井光照

    ○吉井委員 そうなりますと、これは極端に言えば石炭中心としたエネルギー対策、これはいわゆる原子力利用までの一時的なもの、補完的なもの、このように考えていいのですか。
  172. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 石炭エネルギーにつきましては、資源の賦存量が膨大であるということ、それから世界各国に散らばっておるということでございまして、したがいまして、主要な石油代替エネルギーの一つとして長期的観点からも位置づけているということでございます。結局エネルギー供給のいろいろなものを組み合わせて長期的に考えていく一つというふうに考えておるわけでございます。
  173. 吉井光照

    ○吉井委員 ところがIEAは、国際石油情勢の一段の厳しさによって、石炭利用の拡大を図るために、石油火力発電所の新設禁止等の決議をしております。また東京サミットにおいても、石炭利用技術開発などの決議がなされております。こうした機関の決議に対しまして、わが国はどのように対応しておるのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  174. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 IEA等におきます国際機関の決議の線でわが国も進めておりまして、石炭火力については現在計画中のもの以外はやらないという方向に進んでおります。  それからもう一つ、石炭エネルギーが環境問題を含めまして利用可能になるためには、やはり利用技術の拡大を図らなければならないということで、現在この技術開発を積極的に進めるということで諸般の対策をしているわけでございます。五十五年度の予算で見てみますと、前年度の約五倍の二百四十三億円を投入するということでございまして、しかも総合開発機構の新しく設置されます機関でこれを実施するということになっております。わが国が独自に開発している技術開発の各テーマというのは、大体初期の基礎的段階をほぼ終了しておりまして、これからが実証試験に入っていく段階ということに相なっております。
  175. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、石炭輸入実績を見ますと、五十三年度は五千二百八十六万トン。ところが「長期エネルギー需給暫定見通し」を見ますと、六十年度において一億百万トンと見ておるわけですが、現在から見ればこれは相当な量に上るわけですが、その確保が可能かどうか、この点どうですか。
  176. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 まず、先生指摘数字は、昨年つくりました「長期エネルギー需給暫定見通し」の石炭の欄の数字だと思います。これは原料炭一般炭に分れておりまして、たとえば六十五年度には全体として一億四千三百五十万トン入れるわけでございますが、そのうち一般炭が五千三百五十万トンということになっております。原料炭につきましては、すでに五千万トンを超える量を入れておりまして、これは大体コールチェーンといいますか、開発から積み出し、輸送、受け入れの体制はほぼ完備しておりますので、これを順次拡大していけば対応はできるのではないかと考えております。  今後問題になりますのは一般炭でございまして、一般炭は現在百八十万トン程度しか入っておりません。これを十年間に約五千万トンを超える量にするわけでございまして、したがって、鉄で確立されましたような、コールチェーンを確立することによって進めていくことが可能ではないかというふうに考えております。  開発につきましては、現在石炭企業中心とする各種助成策がございますので、それを石炭企業中心ではなくて、石炭企業を含めて商社とかそれからユーザーである電力会社が直接開発できるような制度を導入したいというふうに考えます。  それから、国内での受け入れ体制としては、やはり大型船によります合理化効果をねらうためのコールセンター計画的につくっていこうというふうに考えております。それから大型船での運搬のために船が要るわけでございまして、これにつきましては、関係運輸省さんと話を進めて、計画造船の中に入れるような措置を考えていきたいというふうに考えております。
  177. 吉井光照

    ○吉井委員 コストの問題とかまた技術的な問題等によって、現状ではどうしても海外炭にウエートを置かざるを得ない実情にあると思いますけれども、このまま推移しますと、近い将来わが国の石炭産業は大きな危機に直面せざるを得ないのじゃないか、このような気もするわけであります。したがって、やはりそうなりますというと、早急に思い切った抜本的対策が必要ではないか、このように考えるわけです。とともに、国内炭の位置づけというものをもっと明確にしていく必要があると思うわけですが、この点についてはどうですか。とともに、現在、中東の石油価格の上昇、また安定的な確保が非常に危ぶまれているわけですが、そろそろ第六次石炭対策の答申も見直す必要があるのじゃないか、このようにも考えるわけですが、この点どうですか。
  178. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 国内炭というのは、先生御存じのように国産エネルギーの資源でございまして、従来からこれを活用しようということで各種助成策を実施してきております。五十五年度時点で考えましても約五百三十億円の支出をしておりまして、その現在やっております諸施策を今後とも継続していきたいというふうに考えております。現在進めている政策は第六次政策ということで進めているわけでございますが、現下のエネルギーをめぐりますいろいろな国際環境というのは大幅に変わってきておりますので、その辺の事情を考えまして、近い時期に石炭鉱業合理化臨時措置法の期限切れの点も考慮して検討を進めていきたいというふうに考えております。
  179. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、石炭鉱害の現状と今後の対策についてお尋ねをするわけですが、もともと炭鉱というのは、エネルギー資源の確保という立場から国策という手厚い保護の中に生まれて、そして育ち、そして買い上げられて、そして閉山、こうした経過をたどっているわけです。そうして結局、残されたものは鉱業権者の莫大な個人所有の土地と、そして乱掘による住民への鉱害であります。鉱業権者には無資力認定の道があるけれども、反面、鉱害認定は非常に厳しいわけですね。いろいろと意見を聞いてみますと、申請をしたけれども全然復旧をしてもらえない、また申し入れをしたけれども、これも頭から断られた、また認定が非常に厳しいので申請もしない、また借地借家だから申請はしない、こういったところがいわゆる被害者の実態であります。国の保護の厚い鉱業権者と被害者とを比較するに、やはり余りにも不合理だと考えざるを得ないわけですよ。したがって、こうした被害者への鉱害認定の基本姿勢というもの、これをまずお伺いしたいと思います。
  180. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 鉱害復旧の仕事といいますのは、鉱業法に鉱害の規定がございます。その規定に基づいていろいろな復旧をするわけでございますが、それはかなり限定的に列挙されているわけでございます。土地の掘削等の原因行為によって他人に与えた損害ということになっています。現行法で規定しているのは農地、家屋、公共施設の物件への被害ということでございまして、それを国家予算を投入して使う以上、認定についてはかなり客観性を持たなきゃいかぬ。そのために原因と被害との間の明確な秩序をつけなきゃいけないということでございますので、それらを考慮して正しい公平な復旧をするというのが基本的考え方でございます。
  181. 吉井光照

    ○吉井委員 では現在の臨鉱法、これは被害者への対応として十分機能しているかどうか、この点どうですか。
  182. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 結局、鉱害復旧につきましては、四十七年以来十カ年計画ということで計画的に進めておりまして、若干計画よりもおくれていて、五十四年度末で実績が約六一%ということになっておりますし、五十五年度末ではほぼ七一%の水準に達するということでございますので、現行制度でかなり対応できたんではないかというふうに考えております。
  183. 吉井光照

    ○吉井委員 臨鉱法が施行されて以来、最初の昭和二十七年から考えればもう二十七年になるわけですね。ところが二次鉱害と言われる鉱害までにも発展をしているわけですが、この第一条の目的の中に「鉱害を計画的に復旧する」、このようにうたってあるわけですが、「計画的」ということは一体どういうことなんですか。
  184. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 計画的にという前に、鉱害復旧のための基本計画というのが地元の意見等を入れてできておりまして、その計画に沿って実施していくという意味でございます。
  185. 吉井光照

    ○吉井委員 では臨鉱法に基づくところの石炭鉱害事業団の四十七年に策定した鉱害復旧基本計画、これではいわゆる残存鉱害量は約千七百五億ですか、四十七年から十年間で処理するということになっているわけですが、五十三年末で事業団の処理した鉱害復旧量は二千九百二十五億に上っておるわけです。現在の鉱害残存量、これはどのぐらいに見ておられるか、この点どうですか。
  186. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 長期復旧計画では四十七年度から千七百億円ということになっておりますが、その後オイルクライシス等の影響で物価が高騰しております。五十四年度末で工事ベースで二千七百億の投資をしたということであります。しかし、現在、価格の水準がなかなかわからないという点、それから物理的にどういう状況になっているかということについては現在調査中でございますので、金額で幾らになるかということはいまのところ明確にお答えすることはできないわけでございますが、さっき言いましたように、進捗率では五十四年度末で六一%になっておるのじゃないかということです。
  187. 吉井光照

    ○吉井委員 その中で鉱業権者のいない無資力の復旧ですね、これが圧倒的に多いわけですが、こうした現状を踏まえてどのような認識を持っておられるのか。
  188. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 鉱害復旧は、鉱業法によりますと加害者が義務者であるというのが原則になっておるわけでございます。しかしながら、その後相次ぐ閉山が行われた結果、賠償義務者がいなくなってくるという例がふえてまいりました。その結果として無資力鉱害復旧制度が設けられた、それが被害者の保護につながったということでございます。今後閉山の予定はほぼございませんので、無資力復旧というのはそう大きく伸びないのではないかというふうに考えております。
  189. 吉井光照

    ○吉井委員 石炭鉱害事業団の鉱害復旧事業資金補助金、これの伸びが五十五年度においては前年度対比で九%。これは五十三年度は一四%、それから五十四年度は一五%の対前年度の伸びになっておりますが、五十五年度は先ほど言いましたように九%、かなり低いように思うわけですが、これはどういう理由なのか、この点どうですか。
  190. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 鉱害復旧事業資金補助金の伸びといいますのは、五十三年−五十四年間で二%の伸び、それから五十四年度−五十五年度が九・五%の伸びということで、わずかながらでありますが、伸び率が減少しているというのは先生指摘のとおりでございます。これは石特会計の石炭勘定が予算の制約がございまして、全体で十六億円の増加にとどまったということでございます。しかしながら、全体はわずかの伸びでございますが、可能な限り鉱害復旧を急ぐということで、鉱害について見ますと三十八億円の増加を図っているということでございます。
  191. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、先ほどからいろいろと鉱害復旧についてお話がございましたけれども、鉱害認定における地方の通産局との紛争、これはやはり膨大な数に上っています。福岡通産局の資料を見ますと、行政あっせん、つまり通産局の紛争処理状況は、全受理数に対して五十一年、五十二年、五十三年度とも半分にも満たない、こういう状況なんです。したがって、どのような原因でこうした処理がスムーズにできないのか、この点はどうですか。
  192. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  鉱害認定業務というのは、地方通産局及び石炭鉱業合理化事業団の支部がまず書類審査とか現地調査によって行うというのがたてまえでございます。しかしながら、最近、鉱害現象というのは非常に多様化し、複雑化してきております。そのために紛争が発生してる例があるわけでございます。したがいまして、鉱害認定に当たりましては、先ほど御説明いたしましたように、因果関係を明確にしなければならないというところが法のたてまえでございますので、科学的調査等を要する場合が順次ふえております。その結果、おくれている場合が多々あるということでございます。  しかしながら、鉱害の認定というのは、鉱害事業を進める第一関門でございますので、今後とも迅速な対応を図って認定の業務を急ぎたいというように考えております。
  193. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、家屋と農地の鉱害復旧の進捗率、これは現在、大体どのくらいですか。
  194. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先ほどから御説明しております長期鉱害復旧計画に対しまして見ますと、五十四年度末における進捗率をまず農地で見ますと四八・〇%、家屋等で七六・四%、公共施設で六八・六%ということになっております。その総合平均が、先ほどから御説明しています六一%でございます。
  195. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、山口炭田の主地域でありますところの宇部市、小野田市、それから山陽町、ここらは炭鉱閉山後約十八年になるわけですが、私、いま四十七年当時の陳情書を持っておりますが、この中でのいわゆる請願内容というものが被害者にとってもかなり深刻な内容になっております。その中で、いわゆる残存鉱害の量について、事業団とそれから市当局との間でかなりの差があったということですが、どのような理由でこうした大幅な差が生じたのか、ひとつ具体的に御説明願いたいと思います。
  196. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 鉱害復旧の鉱害量の調査というのは、二つの側面で追っていく必要があろうかと思います。一つは、やはり政府として客観的な数字をつくる。それから地方公共団体または被害者の方での調査というものが必要かと思います。いずれにしても、被害というのは結果的には一つになるわけでございまして、被害者の数はどちらかというと多目に読む、それから客観的と思われる調査は、先ほどから御説明しております因果関係を的確にする上で低目に出るということでございますが、最終的にはいろいろ話し合いの上、一つの計画にまとまるということだと思っております。
  197. 吉井光照

    ○吉井委員 ところで、宇部市、小野田市、それから山陽町の現在の残存鉱害量と、鉱害認定における住民側との折衝の中で、どうした点が問題になっておるのか、この点と、それからいまから約十年ぐらい前と記憶しておりますが、現地の強い要請によりまして、衆議院の石炭対策特別委員会、これが小野田市を調査をしております。そのときにどのような要望がなされて、それがどのように解決され、また現在解決されようとしておるのか、ひとつお教え願いたいと思います。
  198. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 私どもの聞いておりますのは、残存鉱害量の早期処理をお願いするという内容と理解しているわけでございます。その意を踏まえまして、先ほどから御説明しております鉱害復旧長期計画に従って順次予算をふやしてきているわけでございます。その予算の伸び率を見ますと、石特会計は順次伸びておりますが、その中で鉱害復旧予算が一番伸び率が大きい形で対応してきているわけでございます。  しかしながら、今後どれだけの残存鉱害が残るだろうかという点につきましては、現在関係者で調査しておるところでございますので、今後、現地調査等を踏まえて正確な残存鉱害を把握したいというふうに考えております。
  199. 吉井光照

    ○吉井委員 では、二次鉱害の定義、これについてひとつ御説明願いたいと思います。
  200. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 二次鉱害の定義といたしましては、鉱害復旧は原則として地表沈下等がおさまってから復旧するというのがたてまえになっておりますが、やはり土の中のことでございますので、その後変化が起きるわけでございます。したがいまして、復旧済みの物件について新たな採掘のために変化が起きたもの、たとえば沈下とか傾斜ができた。それから過去に掘ったものが急に穴があく、これはいわゆる浅所陥没というそういう問題が起きる。それから古洞水、坑内におきます水が酸化イオンのために赤くなって出てくる、これを赤水と言っています。そういう問題等が二次鉱害としてわれわれ考えているものでございます。
  201. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、これはせんだって請願にも出ておりますが、小野田市に西の浜一区というところがあるわけですが、これは旧公営住宅で、三十三年の四月に古谷鉱業から石炭鉱業合理化事業団に移転をされております。この市営住宅は六十一戸あって、そのうち五十九戸は五十四年の五月に市から個人に払い下げられている。ところが三十五年に臨鉱法によりまして鉱害復旧済みということでありますが、ここに居住して二十数年たつというのに、まだ雨などで床下浸水、これも絶え間がない、こういう状況ですね。ところが最近この地域に市がいわゆる三階建てのアパートを計画をして、地質調査を行ったところが、四カ所中二カ所まで旧坑道が発見されているわけです。したがって、こうした浸水は明らかに鉱害によるものではないか、このように断定せざるを得ないわけですが、この件についての見解はいかがですか。
  202. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  先生指摘の物件でございますが、これらの住宅の大半は臨鉱法で一度復旧されています。残る住宅についても石炭採掘による地盤が安定した後にやっておりますので、今後臨鉱法の復旧の対象にすることは困難だと思います。     〔細谷(治)委員長代理退席、委員長着席〕  先生いま御指摘の、今後その地域にビルを建てる場合に坑道があったということは、現在の臨鉱法では被害が起きてから復旧するという体系になっておりますので、その土地に家を建てる場合、その土地の状況を考えた上で工法上可能な建設を行うというのが一般的な考え方じゃないかと思います。
  203. 吉井光照

    ○吉井委員 臨鉱法で救済することもできないということになりますと、現段階においては救済方法は一切ないということですね。
  204. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現在の臨鉱法のたてまえで考えますと、対応は全くないというふうに考えられます。
  205. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、山口県の美禰市に昨年露天掘りが開始されたわけです。これは有名な無煙炭ですが、これの埋蔵量が数十万トンで月産千トンの生産を行っておるわけですが、いまこれを二千トンにするための準備を進めております。ところがこの露天掘りは天候であるとか地形によるいろいろな制約があって、安定供給も困難な面が多いわけですが、この鉱山の将来の坑内採掘に対してはどのようなお考えですか。
  206. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 美禰市で無煙炭の露天採掘をしている炭鉱があることは事実でございます。ただ、現段階でその方が坑内掘りをしたいという正式の手続をしたという事実はまだ聞いておりません。  一般的には、坑内掘りをする場合は、坑口開設許可という許可をとらなければいけないわけでございます。これは非能率炭鉱の発生を防止するという観点から措置しているわけでございますが、その際、検討の対象になるのは、事業者の経理的基礎であるとか技術能力、採掘区域の炭量等が問題になるわけでございまして、申請が正式に行われた段階でそれらの要件に合うかどうか検討し、要件に合った場合に許可することになろうかと思います。
  207. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、産炭地域の振興についてお伺いします。  産炭地域振興として企業誘致のあっせん等の事業を積極的に導入するための行財政措置がいままでどのように行われてきたか、また閉山炭鉱の老朽化した住宅もまだ非常に多いようですが、その助成金として産炭地域臨時交付金が、これはいろいろ程度の差にもよりますが、五十五年度予算で一市町村当たり大体どの程度増額されたか、またこの予算措置で十分とお考えかどうか、この点はどうですか。
  208. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 産炭地域の振興をするために各種の企業誘致が不可欠かと思います。  そのために、まず第一点として、地域振興整備公団で、長期低利の設備資金、それから長期運転資金の貸し付けをしております。二番目に、同公団が造成した工業団地の低利割賦制度をやっております。三番目に、地方税の減免、これに対する減収補てん措置、機械設備等の特別償却の税制上の優遇措置をやっております。それから誘致を具体的に進めるための地域振興整備公団と地方公共団体が一体となったPR活動、また地区別に企業誘致のための視察団の結成、招請その他の誘致活動をやっておるのが実情でございます。
  209. 吉井光照

    ○吉井委員 一方、長年来事業団発注の鉱害復旧、こうした公共事業に携わってきた地元の土木建築業者といった方々は、鉱害復旧事業がだんだん減少することによって死活問題にもなりかねないといった事態もいまから考えられるわけです。臨鉱法の期限切れである昭和五十七年までには、時代のいろいろな推移によってさまざまな問題も起こってくることも容易に予想されるわけですが、現在通産省としてはこの法律を延長せざるを得ないと思うわけです。その場合には、相当大幅な改正が必要になってくると思うのですが、現状いままでいろいろ起きてきた諸問題から考えて、もし改正となるとどういった点を主に改正すればいいか、そういったお考えはどうですか。
  210. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま産炭地域の過去からの成果をどう見るかという問題、それから今後どういう問題があるのかという調査を進めております。また鉱害につきましては、残存鉱害量の調査をしている段階でございまして、その結果を踏まえた上で新しい対策が必要かどうか、それからそれを実りあるものにするためにはどれだけの期間が必要かということについて、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
  211. 吉井光照

    ○吉井委員 さて、今回の五十五年度予算を見ますと、石炭勘定だけで約十六億の増、石油代替エネルギー勘定並びに電源多様化勘定の石炭関係予算は二百八十億の増加、中でも石炭液化等は予算がかなりの増額をされているわけですが、石炭関係予算を見ても、これはいつも特徴的なものは、かなりの補助金で占められているということなんです。  現在、こうした補助金行政についていろいろと取りざたをされて、各省庁ともその削減に努力しているわけですが、通産省はこの五十五年度の補助金予算においては増加をしているわけですね。これはいろいろな事業の性格上、それから内容から言ってやむを得ない面もあるかもしれませんけれども、こうした補助金行政についてはとかく問題が起きがちなんです。この補助金行政の中で、私の調べたところでは、通産省全体の一般会計の補助金のうち、会計検査院から不正、不当事項として指摘された金額が過去十年間に約二億。その中で五十三年度における会計検査院の指摘は七百二十九万。ところが一方石炭特別会計においては五十三年度に六百三十九万円の指摘を受けているわけです。これは札幌通産局とそれから札幌鉱山保安監督局が指摘をされたわけですが、どういう内容で指摘をされたのですか。
  212. 石井賢吾

    ○石井政府委員 お答えいたします。札幌通産局及び保安監督局におきまして、五十三年度の不当事項として会計検査院に指摘されました内容は、いずれの局に関しましても、架空名義によりまして旅費を支出いたしまして、その目的外にその旅費を使用した、いわゆる空出張ということで指摘を受けたわけでございます。
  213. 吉井光照

    ○吉井委員 最後に、石炭鉱害事業団についてお尋ねをします。  せんだって、石炭鉱害事業団の九州支部の飯塚事業所で、事業団発注の公共事業で汚職事件があった。これは五十年の八月にも田川事業所で汚職があったわけですが、工事の公正を期すために五十年以降どのような指導が行われてきたか、この点はどうですか。
  214. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘の事件が五十年に発生したことは確かでございます。それを踏まえまして、石炭鉱害事業団としてもみずから服務の反省をいたしまして、再びこのような不祥事件が起きないようにということで綱紀の粛正を一層図り、この内容を末端まで周知徹底させたという事実がございます。結局問題になりますのは、これは土木作業でございますので、入札価格の予定価格をつくる際の点が問題になるわけでございまして、積算の漏洩の防止、それから積算業務を隔離されたところでやるというような措置を具体的に進めているわけでございます。
  215. 吉井光照

    ○吉井委員 いま、五十年の八月の事件、それ以後についても厳しい監督指導が行われたかに答弁があったわけですが、せんだっての庄内町ですか、この事件においても、これは新聞報道によれば「産炭地・筑豊で永年、鉱害に取り組んでいるA町議の場合は、石炭鉱害事業団に深く食い込んでおり、筑豊地区の土木・建築業者の間では「Aさんに頼めば、事業団の指名や入札は一発でOK」というのが常識。」このように報道されておるわけですね。こういう認識といいますか常識がいまだもってまかり通って、そしてまた今回のこのような事件が発生をしたわけですが、どうですか、指導が甘いというかおざなりというか、そういうところがあるんじゃないですか、その点どうですか。
  216. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 五十年の事件以来、厳格に指導し、やっておりますので、そういう問題は起きていないと思います。  ただ、先日三月に出た、三月十四日の西日本新聞の庄内町の事件でございますが、これは事業団の事業でございませんで、公共事業におきます汚職事件で、関係した土建業者が某町議にお金を贈ったということでございまして、この記事の内容を見ますと、金銭の性格については、土建業者が復旧事業の施工に当たり、某町議に各種あっせんの世話になったことが多く、謝礼云々と書いてあるわけでございます。われわれとしては、入札というのは公正かつ厳正に行うというたてまえで、先ほど御説明しましたように、予定入札価格についても隔離された部屋でやる、かつそれを受けた形で競争入札制度ということになっておりますので、問題はないかと思います。しかも、本件については石炭鉱害事業団と何ら関係がない事件というふうにわれわれ理解しているわけでございます。
  217. 吉井光照

    ○吉井委員 では最後に、このたび行管庁から「出張所等出先機関の整理合理化を行い、要員の縮減を図る。」との通達が昨年の十二月に出されているわけですが、これにはどのように対応していくのか。廃止するところがあるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  218. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 五十四年十二月二十八日の閣議決定の線に沿いまして、出張所等の合理化を行い、かつ要員の縮減を図るということでいま検討を進めているわけでございます。  具体的内容は若干まだおくれるかと思いますが、第一点は、長崎に出張所がございます。これは従来、鉱害関係で長崎地方の市町村といろいろ連絡事務をしておりましたが、これについては事務の簡素化ということを考えまして、五十七年度中には廃止したいというふうに考えております。それから第二点は、九州支部の融資課がございますが、これは五十五年度中にでき得れば総務課に統合したいというふうに考えます。そのほか、人員の削減ということで、現在二名欠員がある部署につきまして、五十五年度中に実員イコール定員にしたいというふうに考えております。
  219. 吉井光照

    ○吉井委員 以上で終わります。
  220. 岡田利春

    岡田委員長 以上で吉井光照君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  221. 多田光雄

    ○多田委員 きょうは国内石炭の二千万トン体制の維持の問題について短時間お伺いしたいと思います。  前回の当委員会でも、二千万トン体制については多くの不信感だとかあるいは疑問が出され、きょうもまた幾らか出たようです。結論は、政府が本気になって国内石炭の二千万トンを維持する気があるのかどうなのかということに尽きるのではないかと思います。  参考に申し上げれば、私どもの党としては、二千万トンという数字に対しては多くの意見を持っておりますけれども、最低限度この二千万トンを掘るというのが政府の公約ですから、一体これを本気になって取り組む気になっているのかということを伺いたいと思うのです。時間がありませんから、まず第一にこれから伺います。ひとつできるだけ次官もお答え願いたいと思うのです。
  222. 梶山静六

    ○梶山政府委員 先生指摘のように、この二千万トン体制というのは、これから特に石油危機をめぐりまして貴重な国内エネルギー源でございますので、努力をしてまいる決意でございます。  ただ、この数年来国内炭生産が低迷をいたしておりますのは、先刻答弁がございましたように、炭鉱の災害やあるいは景気の停滞等が現実に響いているわけでございますが、これから政府はこの二千万トン体制を確保するために懸命な努力を払ってまいりたいと思います。
  223. 多田光雄

    ○多田委員 よく政府は外因を言われるのですね。景気が悪かったとか、あるいはまた外国との関係がどうであったと言われるのです。私もそれは原因の一つとしては否定しませんけれども、政府としてとってこられた政策が二千万トン体制を維持する上にどうであったかという、やはり心底からの反省が私は非常に少ないと思う。これが私ども聞いておりまして、いつも強い不満に思うところなんです。  そこで伺いますが、ともかく二千万トンを下らず一あるいは以前は二千万トン以上ということで政府自身が消極的じゃないんだぞということを再三強調していたのですが、もうそれを決めた年から二千万トン台を割ってしまって、五十四年度は千七百七十万トン台と政府自身が言っているような状況なんです。それでは二千万トンを維持する上でのどういう施策を政府はこれから思い切ってとられようとしているのか。あるいはまたいつごろから現有の炭鉱で二千万トン台に乗せるという自信をお持ちなのか、それをお聞かせ願いたいと思う。
  224. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 結局、国内炭現有炭鉱生産力を強化する決め手というのは、まず保安対策を徹底的にやるということであります。それからやはり合理化投資を今後積極的に進めていかなければならないと考えております。この点で現在あります諸対策を強化していくということで、極力拡大する方向に努力したいというふうに考えておりますが、問題は、結局労働者の総体的確保にございまして、賃金が高いからといって必ずしも人が集まらないというところに問題があるわけでございまして、この点に向かって合理化対策と雇用問題について検討を加えていく必要があるんではないかというふうに考えております。
  225. 多田光雄

    ○多田委員 二千万トン割った要因ですけれども、昭和五十年に幌内の事故がありましたね。ここで約百五十万トンくらいの一般炭が減産になる、これは数年続くわけです。それから五十二、三年ごろ、御承知のとおり不況、特に鉄鋼なんかが国際的にもそういう状況になるということで、原料炭の余剰が出てくるということで、三百万トン以上の一般炭原料炭貯炭ができてくるという中で、今度の五十四年度政府主導型の千七百七十万トンという数字が出てきたんだろうと私は思います。  もちろんこれ以外に、いま部長がおっしゃった保安の問題もあるし、あるいはまた深部移行に伴う坑道のいろいろな事情もあったろうと私は思うし、労働力の不足、これらが総合してなったろうというふうに私は思うのですが、より大きな問題は、やはりこれはそういう国内的な問題とあわせて、一つはこれこそ外因で外炭の問題があったんじゃないかというふうに思うのですよ。  そこで次官、部長でもよろしいのですが、私はこう思うのです。今度、ここまでセメント中心にして需要が拡大してくるという状況ですね。そしてまた一般炭の取引も非常に活発になってくるという中でなお十分伸びきれないという問題には、私は次のような原因があるのじゃないかと思うのです。これは皆さんに聞くので、足りなければ補足していただきたいというように思うのです。  一つは、いま部長がおっしゃったとおり深部に入っていきますから、いろいろ安全の問題、保安の問題が出てくる。それから運搬や坑道が延びますから、能率が思うようにいかないという炭鉱の問題が一つあるのじゃないかと思うのです。  それから二番目は、これも御指摘になった労働力の不足、これは非常に深刻な問題だと思います。しかも不足だけじゃなくて、現有の労働力が非常に高齢化してくるという問題があるのじゃないかと私は思うのですね。  それから三つ目としては、現在ある幾つかの炭鉱、これはどんどん老齢化していくと思うのです。そういう老齢化の中でやはり若返りをしていかなければならない。それは現在の炭鉱の若返りだけじゃなくて、先ほどもちょっと政府が述べておりましたけれども、やはり新しい山を開発していかないというと、当然これは減炭につながっていくことはもう紛れもないことではないかというように思います。  それから四つ目として、ある意味ではこれは経済上決定的な問題にもなりますけれども、外炭との、いわゆる炭炭格差ですね。油炭格差についてはある程度解消されたけれども、外炭との格差の問題が主要な問題ではないかと私は思いますが、なお皆さんから見て、もっと別に原因があると言うのであればつけ加えていただきたいと思う。
  226. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  いま先生が御指摘になりました点は、日本国内石炭業の従来のポイントがすべて挙がっていると思います。したがって、われわれとしては、現在これらの実態がどうなっているかについて調査を進めているわけでございまして、それを受けた形で具体的な対策について新しい経済環境下で議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
  227. 多田光雄

    ○多田委員 そういう前提を含めて二千万トンを維持する。もう一度伺いますが、どういう措置を、制度的にも、あるいは法律でもよろしゅうございます、あるいは別な方法でおとりになろうとするのか、ひとつ詳しく述べていただきたいと思います。
  228. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  日本国内石炭業の安定策の基本法というのは石炭鉱業合理化臨時措置法でございます。この石炭鉱業合理化臨時措置法も五十七年三月で一応切れるわけでございますので、その延長を念頭に置きながら、先生指摘の点について具体的な政策を考えるということでいま作業を進めているわけでございます。
  229. 多田光雄

    ○多田委員 私は、いまの部長のお答え、非常に消極的だし、やはり従来の延長から出ないものじゃないかというふうに思っているのです。  そこで私は、先ほど挙げた四つの問題の中で、特に保安の問題と労働力の問題については非常に大事な問題ですから別な日にお伺いしたいと思います。きょうは主として新鉱開発海外炭の問題について伺いたいのです。  政府も御存じと思いますが、いま北海道で、かつて山のつぶれた羽幌というところで地方自治体が中心になってぜひ石炭を掘らしてほしい、そしてせめて町の人の燃料ぐらいは確保したいという非常に積極的な意欲を持っているのですよ。これはやはりいまのような事情の中で、特に地域の産業を振興するという意味で非常に大事だ。石炭問題は、全国的なエネルギー問題、あるいはそれに劣らないぐらいにいま大事なことは、地域の経済その他に非常に重大な影響を持っているということですね。ですから、そういう意味からもいまのような不況の中でぜひひとつ地域的に景気に活気を与えていくためにも、あるいは労働力をできるだけ吸収していくという問題でも、可能であれば許してあげたい。しかし、これは法律的になかなかむずかしい問題があるわけですね。ですから、これらを考えて、ともかく再来年のこの臨時措置法の改正を待たなくても、早々に出すものだ、今回の国会にはそういうものを出してもらってよかったのじゃないかというふうに私は思うのです。けりがついていいという気持ちはわからぬわけじゃありませんけれども、そういうことをぜひお考えになっていただきたいというふうに思うのです。これはどうでしょうか。
  230. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  昭和五十二年の法律改正の際に、すでに既存炭鉱の合理化に資する消滅鉱区の再活用という問題は法律改正をしております。たまたまそのときの議論は、既存炭鉱生産力の強化にねらいを置いているわけでございます。したがいまして、羽幌のような例については具体的対象にならないということであった。といいますのは、露天掘りの場合はどちらかというと低品位炭になるわけでございまして、低品位炭の需要というのは主として電力需要でございます。北電におきます低品位炭需要というのは、今後そう大きく伸びる見込みがないものでございますから、需給環境を考慮するとなかなか、仮に開発ができても需要が直接ないという問題が起こるのではないかと考えておりますが、もう少し実態を調べた上で具体的な対応を考えてみたいと考えます。
  231. 多田光雄

    ○多田委員 そこは私も知っています。だから、そういう法の改正措置をとっているぐらいですから、もしその石炭が使えるのであればやってやれぬわけじゃありませんね。  そこで、どうでしょうか。羽幌の町長さんやその他とお会いになって、そういう低品位炭でなかなか北電が買ってくれないのだということをお話しになりましたか。
  232. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 東京の石炭部としては、この話は地元の町長さんから具体的プラン、それから需給関係等について一度も聞いておりません。ただ、新聞紙上それから陳情等で若干、お願いしますという程度の話を漏れ聞いているというのが実情でございます。
  233. 多田光雄

    ○多田委員 それではぜひ地元の町長と会って機会を見て話していただきたい、こう思うのです。地元なりにこれで暖房をとれる、電気も高くなったし、石油も高くなったし、町営で何とかやっていきたいというふうな決意でいるのですが、こういう積極的な——次官、これも代替エネルギーなのです。本当にエネルギーの活用なのです。こういう芽を伸ばしてやらないと、せっかく低品位炭でもいろいろ町が考えているのが摘み取られてしまうのですが、こういう面に積極的におこたえ願えるでしょうか。
  234. 梶山静六

    ○梶山政府委員 普遍的な問題でございますが、確かに石油代替エネルギーは多様化しなければなりませんし、必ずしも大規模なものではなく、地域的な特性を生かすことは当然であります。  ただ、懸念されますことは、一つはどうしても採算性の問題がございますので、現実に、笑い話でございますが、木炭をたいて、その木炭をたく方がプロパンでお茶を沸かすという、そういう状態もないわけではございませんので、町の振興策としての対策というよりは、実際にそれが実用化されるのかどうなのか、採算ベースに乗るかどうか、そして多少乗らない程度のものであれば方法は考えられますけれども、低品位炭で絶対採算が合わないというものに関しては、残念ながらむしろ温存という形で将来に残っていくのではないかと思います。
  235. 多田光雄

    ○多田委員 地元で使うと言っているのです。承知の上なのですよ。そして北大の先生を呼んできて調べて——地元で使うと言っているのですから、一方的に低品位炭で使えない、まだ会ってもいないのにそういう断定をなさらないで、せっかくの使うという気持ちですから、私はそれに温かくこたえていただきたいということを特にお願いしておきたいと思う。  そこで、部長に伺いますが、二千万トン体制に入る以前から、北海道の宗谷それから釧路炭田にかけては今後の非常に有望な炭田だと言っておられたのですが、どういう調査をやっておられるのか。私はある程度調査をやられたということをいろいろ伺っているのですが、なぜそれがいまだに開発されないのか。持っているのは三井とか三菱、大手が持っているわけですが、それとも石炭企業の方が掘る意思がないのか、あるいは他のいろいろな環境その他の条件が整わないのか、それをひとつ伺いたいと思うのです。
  236. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  国内炭の新鉱開発可能性については、五十年、五十一年の二年度にわたって、主として北海道でございますが、大体調査をしたのです。その中で比較的優位と思われるものが二地区ございました。それは一つは釧路地区にあり、一つは天北にあるということでございます。しかし、そこで具体的にこれを進めるためにはどういう手だてが必要かということが問題になりました。それを議論する場ということで、各地区ごとに連絡協議会というものをつくりましていろいろ御議論をいただいたわけでございます。  その結果出てきた一番大きい問題は、一つは環境問題が非常にシビアであるということがわかってきたということです。たとえば河川につきましては、すでに一時なくなった漁業権が復活している等々の問題、それから開発地点はどちらかというと道有林とか国有林が多うございまして、その土地利用をどう調整するかという問題が一つ大きい問題でございます。それからこの地域開発するためには、いずれも石炭の品位が五千カロリー前後というふうに低うございますので、いずれにしても、その活用ということを考えますと、石炭火力建設と並行的に進めなければいかぬという問題が出てまいります。それから決定的な問題は、いずれも過疎地でございまして、労働力が直接地場から調達できないという問題が出てきております。したがって、その辺を今後どう解決していくかというところが一つ問題でございます。それから経済的要素としましては、炭鉱というのは一つの社会を形成するわけでございますので、炭鉱の住宅問題とか、それから道路の問題とか、そういうものをどういう形で負担し合うかということについて具体的な話に至っていないというのが実情でございまして、その点の問題が解決された段階に初めて具体的な可能性が出てくるのじゃないかとわれわれは考えております。目下その点についての調査を進めているというのが実情でございます。
  237. 多田光雄

    ○多田委員 先ほどから代替エネルギー石炭液化の問題が話をされていて、御存じのとおり、サンシャイン計画では、ソルボリシス法と、それから直接液化法、それからアメリカのガルフのSRC法、これが大体三本柱と言われておりますね。その中でわりに国内でうまくいっているのは、北海道工業開発試験所でやっている直接液化法が〇・一トン・パー・デーのテストプラントをいまつくってやっているわけです。そこで使っている石炭というのは、いま皆さんが低品位炭だと言う宗谷炭と釧路炭なんです。御存じのとおり、液化法というのは炭種を固定化しなければいけません。炭種がかわったのじゃだめなのです。そしてまた、専門家に聞きますと、宗谷の炭は液化のために非常によろしいということを言っているわけです。そういうものなのです。これは次官もよく聞いていてください。どこの石炭を持ってきても、すぐ液化できるものじゃないということなんです。しかも炭種を決めなければいかぬ。だから、アメリカ開発したから北海道へ持ってきて、北海道石炭ですぐすうすういくもんじゃないのです。心配しているのは、アメリカでつくった液化法を持ってくると、アメリカ石炭を使わされちゃうということを心配の一つに専門家はしているのです。そういう宗谷のあれなのです。  しかも、いま部長は公害のことを心配しておられた。そのとおりなんです。しかし、もっとひどい公害を苫小牧の東部では今度つくってたれ流しているのです。これは私も前に質問しましたけれども、御存じのとおりまだNOxは解決してないのです。あそこの電発の話をしておりましたけれども、あそこだってまだ完成してないのです。世界的にまだNOxの問題は解決してないのです。そういう大きな大工場のところのものはかなり無理して建てられて、そうしていま人を集めたい、そして発電所をつくりたい。そういう地域の方は、公害でもって皆さんなかなか冷たくなっておられる面があるのじゃないかと思うのです。しかし、皆さんが国有林や天塩川の公害を心配されることは、私結構だと思うのです。  そこで、部長にお伺いしますが、それはどの辺まで詰めておられるのか、それからあの辺の鉱区はどこの会社が持っているのか、ひとつ教えていただきたい。
  238. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  あそこの宗谷地区の鉱区は三菱鉱業が持っております。主力が三菱でございますが、住友、三井、それから消滅鉱区という構成になっております。  詰めておりますのは、先ほど御説明した内容そのものでございまして、問題点という形で整理はできておりますが、それを地域内での合意形成に持っていけるかどうかというところが非常に具体的な進め方として問題であるということになっております。
  239. 多田光雄

    ○多田委員 私は、ぜひひとつ地域住民に話して、こういうエネルギーの危機のときに十分なコンセンサスを得るようにやっていただきたいし、またそのために努力していただきたいということをお願いしておきます。  そこで、この二千万トンの問題で非常に大きな問題になるのは外炭の問題ですが、もう時間がないのです、私は。御存じのとおり、長期計画によれば昭和六十年には一億百万トンという石炭輸入をして、その中で一般炭が二千二百万トンですね。それから六十五年には一億四千三百五十万トン、その中で一般炭は五千三百五十万トン、七十年にはもっと多くて一億七千八百万トンで、うち一般炭は八千五十万トンという膨大な輸入をするわけですね。こういう量の確保が果たしてできるのか、私いろいろそれを聞きましたら、賛否さまざまなんです。相当入るであろうということは皆さん一致をするんだけれども、一体これが入るのかとたまたま思っていまして、私はIEAの資料ちょっと外務省からもらって調べたのですよ。そうしましたら、IEAの調査によりますと、昨年の五月のIEAの一般炭の世界の貿易量の予測というのを見ますと、昭和六十年には、大体世界的に一般炭貿易の取り扱い量は八千万トンくらいだと書いてあるのですね。ですから、その四分の一を日本が買うということなんですよ。それから六十五年になりますと、一般炭が一億五千万トンの国際的な取引があって、その中で三分の一の五千三百五十万トンを日本だけで買うという大変膨大な量になるわけですね。そうしてこういう数字もあるのです。IEAの一般炭貿易量予測の中では、日本は一九八五年、つまり六十年には千四百万トンという数字が出ているのです。そうかと思うと一九九〇年の六十五年には日本は三千三百万トンという数字も出ているのですね。私はIEAが正確だと言うんじゃないのですよ。つまり膨大な数を買うわけですから、これからのいろんな情勢によって数字のそごが起きるのはあたりまえなんですよ。しかし、事エネルギーの問題で大きなそごは許されるものじゃないのですよ。一方で石油を半分に削られるわけでしょう。一方で買わなければならない。それが思うとおりにいかないということになると、これは大変なことです。量の上で一つ問題があります。  価格の問題はどうだ。これは御存じのとおり、きのうの新聞でも中国は相当強気で六十万トンの石炭価格を合意した上でのあれだと言って、こちらから電力関係の人が買いに行ったのが、こちらは九十万トン要求ですか、それに対して六十万トン、そして価格はFOBで約四十ドルくらいになるのですね。そういうのが向こうから押しつけられるというような状況ですね。それからオーストラリアの一般炭も上がってきているという上からいって、これの安定的な確保というのは非常に大事だ。なぜならば、先ほど言った二千万トンを割った一つの背景には、外炭はどんどん入ってきましょうからね。そして国内貯炭ができてくる。一般炭が百万トン以上余っちゃう、安い外炭が入ってくるわけですから。安い高いを言えば安いのを買っちゃうわけですよ。そういう事情の中であるだけに、相当はっきりした見通しというものを持たないと、国内石炭の二千万トンにも非常に大きな影響を心理的にもまた物理的にも与えるんじゃないかというふうに思うのですが、この見通しについてひとつ詳しく発表していただきたいと思います。  時間がありませんので、その資料があるのであれば、私は入手してもらうことで結構なんですけれども、どうなんでしょうか。あるいは当委員会に出していただく。ただ、何年に何千万トン入るというような大ざっぱなものじゃなくて、六十年までに各年で大体こういう予定で開発が進むんだあるいはスポット買いはこうなっていくんだ、価格は大体これくらいだというようなことは発表していただかないと、これは国内炭の業者だってなかなか安心して石炭掘れないということになるんじゃないでしょうか。
  240. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは事務的にどういう形で供給源を分散し、どうしたらいいかということは内内議論しておりますけれども、数字はまだ固まっておりません。したがって、仮に固まったといたしましても、これは国際間の交渉に非常に影響があるものでございますので、資料として提出するのは差し控えさしていただきたいと思います。
  241. 多田光雄

    ○多田委員 固まっていないと思うから、私はやはり早急にそういう作業を進めていただきたいというふうに思うのです。  というのは、私非常に恐れるのは、調べてみましたら、「新規海外炭開発主要プロジェクト」というのを課長から私もらったんです。ここに新規の方は十カ所あるんですよ。オーストラリアが八カ所とカナダが二カ所。その中でメジャーと言われる大手がどれだけ山を押さえているのか、日本の入り込む山を。これを見ますと、オーストラリアの場合は八カ所の中で四カ所、シェルを初めとしてメジャーに相当これを押さえられてしまっている。そのほかにイギリスだとかその他の外資も入っていますよ。それからカナダに至っては、これは米系資本が相当大規模に入っているわけですよ。そうしますと、いままでの石油の成り行きを見てもおわかりのように、これは必ずしも日本の思うようになるわけじゃありません。  なぜ心配するかといいますと、これは次官に聞いてもらいたいのです。これはこの間の委員会でも私長々やったんですけれども、たまたまある今月の雑誌を見ましたら、中曽根さんがこういうことを座談会で言っているんですね。これは食糧とエネルギーの問題で言っているんですね。「日本の場合でも、実はアメリカに食糧と石油と安保で首根っこを抑えられている。いざという時に日本の独立性を保っていくためには、一つ、一つ日本が自分で力を回復していかねばならない。」日本のいまのエネルギーの困難は一つはここにあるんですよ。こういうことで引き回されているし、それから通産省が先日出された「80年代の通商産業政策」の中でも、産業構造審議会の答申でも、エネルギーの外国依存が構造の一番のもろさのあれだということを指摘しているんですよ。そういう意味で外炭の輸入というのは、足りなければ入れなくちゃなりませんよ。しかしながら、二千万トン程度石炭さえ十分に保障できないで、しかも、外炭でやっていこうというのは、国民の生活と国のエネルギーのセキュリティーさえ脅かされているんですよ。問題はこれなんです。そういう意味でも、私は二千万トン体制というのは政府が本当に政治責任を持ってやるべきものだと思うのです。大手がやらないからとか労働力が不足だというのは泣き言ですよ。この間も言いましたけれども、防衛力には相当強引にやって国のセキュリティーを守るんでしょう。ところがそれよりも劣らない大事なエネルギー問題では、労働力がありません、外炭に比べて弱いんです、こう言って、結局は鉄鋼と電力に安い石炭を入れるために、日本国内石炭を犠牲にしているようなものじゃありませんか。そういう意味で、次官、ひとつ二千万トン体制には本格的に努力してもらいたい、先ほど言った制度的にも法律的にも必要ならば。そういうことを真剣に私は考えていただきたい。今国会で間に合わなければ、次期国会でもそういうものを積極的に出していただくという努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  242. 梶山静六

    ○梶山政府委員 中長期のエネルギー需給計画は、これは海外炭に大きく依存をしていることは御指摘のとおりであります。しかし、確かに不透明な部門があることは当然でございまして、いま特に石油にかわるべきエネルギー源をどうするか、これが焦眉の急でございますので、これに対して海外炭を一そうすれば確かに石油一本に頼るよりははるかに安定度を増すということは、先生も御案内のとおりであります。  ただ、これが全部外国に依存をしていいのかどうなのかという問題は当然ありますが、資源には限界がございますし、残念ながら日本に自給するだけのエネルギー源がないとするならば、これを外国に頼ることは当然でありますし、それの安定確保をどうするかということが、むしろこれから経済や外交の運営の一番大きな基本になってまいると思います。それにいたしましても、自国のエネルギー資源を持つということは大切な一つの手段でもございます。ただ、採算を度外視しての確保というものは果たしてできるのかどうなのか。そういう点も踏まえながら、まだこの計画段階でございますので、一つ一つをなるだけ克明に進めてまいりたいと思います。
  243. 多田光雄

    ○多田委員 最後に、それをぜひひとつまたいずれ機会を見てお願いしたいと思います。  実は、これはちょっと変わったことですが、国鉄がローカル線を相当大幅に廃止するのです。北海道でも二十七線廃止なんですが、その中で産炭地の線、幌内線とそれから歌志内線と夕張線が廃止になる。この結果、たとえば歌志内線が廃止されることによって北炭の子会社の空知炭鉱は、私は出炭量はちょっと忘れましたけれども、わずかな出炭量ですが、一日に大型のトラックを百台走らせないとならない、こうなんですね。これは御承知のように、汽車よりもエネルギーを八倍も使うのです。その上に運賃が高いということになると、そうでなくとも外炭に比べて高いという国内炭が一層今後は高くなっていく。夕張、幌内、それから歌志内方面です。ですから、この点でもひとつ石炭を出されると同時に、通産省が運輸省に対してはっきりと大事な産炭地のローカル線はやはり守るべきだということを要望していただきたいと思うのです。この間鉱山保安監督局の廃止の問題について、通産局が断固としてやはり一定の見解を持って守っていただいたという経験からいっても、私はぜひひとつ国内の二千万トン確保とそれからエネルギーの安定のためにも、国鉄に対してこの問題、長い間産炭地のために国鉄が栄えてきたのですから、それは間違いない歴史なんですよ。そういう点からいって、ひとつ努力していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  244. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  国鉄ローカル線の廃止問題が起きてから、通産省といたしましては、やはり貨物輸送の円滑な確保を図るという観点から、石炭鉱業を初めとしまして、通産省の所管物資全体にも影響があるということで、この点に十分な配慮をするようすでに運輸省に主張してきております。しかし、今後順次この問題が具体的になることと思いますので、具体的な度合いに応じて十分に運輸省と協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  245. 多田光雄

    ○多田委員 終わります。     —————————————
  246. 岡田利春

    岡田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石炭鉱業合理化事業団の鉱業施設の処理に関する問題について、本日、同事業団副理事長佐伯博蔵君に参考人として出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 岡田利春

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員の質疑応答の形で行いますので、御了承願います。     —————————————
  248. 岡田利春

    岡田委員長 三浦久君。
  249. 三浦久

    ○三浦(久)委員 石炭鉱業合理化事業団にお尋ねいたしたいと思います。  石炭鉱業合理化事業団が志免町で所有している志免炭鉱跡地、これは志免町のほぼ中心に位する土地でありますが、面積も八千八百三十九平米、ですから約二千七百坪という膨大な土地でありますけれども、この土地につきまして文菱運輸株式会社、これは一私企業、営利会社ですが、この文菱運輸株式会社が払い下げの申請をした。そして志免町がこの払い下げにほぼ同意する、そういう事態が起きました。これをめぐって、いま志免の町議会では大きな問題になっております。  私は、この払い下げの問題をめぐる経過について、まず最初に事業団からお答えをいただきたいというふうに思います。
  250. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 私、石炭鉱業合理化事業団の副理事長をしております佐伯でございます。どうかよろしくお願いします。  先生質問ございました志免町にありますところの国鉄志免炭鉱跡地の払い下げに関しまして、経過を御報告申し上げます。  ただ、最初にお断り申し上げなければならないわけでございますが、これは現在当団の九州支部の方で検討しておる最中でございまして、まだ正式に本団の方に上がっておらないわけでございます。したがいまして、重要なことは当団では全部理事会を開き、理事長の決裁を得て行っておるわけでございますが、現在支部で検討しておる段階でございますので、その点お含みおき願いたいと思います。  経過でございますが、先ほど先生おっしゃられました志免炭鉱跡地は、たしか四十一年だったと思いますが閉山をいたしましたので、この志免炭鉱というのは日本国有鉄道が持っておられたわけでございますが、当事業団が昭和四十一年九月に譲渡していただいたわけでございます。当時は博物館のようなものをつくったらどうかというふうなことであったように聞いておりますが、その後いろんな情勢がございまして、そのままになっておったわけでございます。そうして大分たちまして、昭和四十五年の三月に志免町から私たち事業団に対しまして、その用地の無償譲渡の要請があったわけでございますが、その当時現実にそういう博物館もできないでいたわけでございますけれども、まだつくる、つくらないということが最終的に決まっておりませんでしたものですから、そのままになっておったような次第で、口頭でまだ検討中でございますのでということでお断りしておったような状況でございます。  そして、四十五年から大分たっておりますが、本年の一月になりまして、先生おっしゃられましたような文菱運輸株式会社というところから、事業団に対しまして、その用地の払い下げにつきまして申請があったわけでございます。事業団といたしましては、先ほど来から申し上げましたような経緯がございますものですから、と申しますのは、志免町からも前に無償譲渡をしてほしいという申し出がございましたものですから、志免町の方でそういう御意思があるかどうかということを確かめる必要がございましたので、志免町の方に照会をいたしたわけでございます。そういたしまして、志免町の町長さんの方から二月になりましてから、譲渡を受ける意思がない旨の回答が当事業団になされたわけでございます。  いままでの経緯はそういうところでございます。
  251. 三浦久

    ○三浦(久)委員 二月に志免の町長から、この文菱運輸に払い下げをするということに同意するという文書が返ってきていますね。  私はいまあなたが言われたいろいろな経過についての細かいことに一々反論していると時間がありませんから、大きな筋だけちょっと御指摘申し上げたいと思いますが、この志免の町長が払い下げを承諾したという文書を私よく読んでみました。穴のあくほど読んでみたのですが、読めば読むほどこれは町の真意ではない、そういう疑いを強くせざるを得ないのですね。たとえばここの一番前文をごらんになっておわかりのとおり「当該地域は将来ボタ山をはじめ」お隣に大きなボタ山がありますね。「本町の総合的開発をする上に必要とする区域でありますが、進出企業の設立の趣旨等を充分検討の結果、」承諾いたします、こうなっておるのですよ。そうして終わりの方には、土地の図面が添付されてあって、一、二、三と分かれていますね。一と三というのは全体の土地から見て一番端です。二が真ん中に位している一番いい土地です。ところがこの同意書によれば、一と三が必要だ、だからこれは町に払い下げてくれ、しかし二についてはもうしょうがないんだ、こういうことを返事しているわけですね。この文書を見れば、町の地域開発にとって必要だということをはっきり言っていること。そしてまた、そのために一と三はどうしても欲しいと言っていること。そうすると、一と三が欲しければ二が欲しくないなんということは絶対にあり得ないと思うのです。それから地域開発のために必要だ、しかし、進出企業の趣旨等にかんがみて、こう言っていますけれども、この企業というのは文菱運輸、資本金四千八百万円の一私企業、営利企業です。営利を目的とする株式会社ですよ。公共企業でも何でもないのです。そうしますと、町の中心的な位置にある土地ですよ。二千七百坪。これだけのものを、こういうものが出てきたからあきらめましょうと言うはずがないのですね、普通であれば。ということは、今回の払い下げをめぐって、町当局に対してこの文菱運輸株式会社の関係の人人から大きな圧力があった。と同時にもう一つは、払い下げの当事者である合理化事業団が文菱運輸に払い下げるという意向を持って町当局と折衝したというふうに私は見ざるを得ないと思うのです。その点、事業団の御認識はいかがですか。
  252. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 先ほど申しましたように、支部で検討段階でございますが、志免町長から先生おっしゃられたとおりの文書が参っておるわけでございます。いろいろ書いてございますが、一応同意をするというふうに言ってきておりますので、私は、裏を読むというのはなかなかできませんので、文章によって判断をせざるを得ないのではなかろうかなという感じがいたします。  それからもう一つ、最後におっしゃられました、当団が文菱運輸に譲渡するという前提のもとに折衝したことは全くございません。私が先ほど申しましたように、との点は支部でまだ検討段階でございますが、心配でございましたので支部へ問い合わせましたら、そういうことはございませんという支部の回答でございますので、私はこれを信用いたします。
  253. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この町の同意書を信用せざるを得ないなんていうことは撤回してくださいよ、私がこれからいろいろ質問しますからね。  もう一つは、いままだ払い下げをするという正式な決定がないということは私は承知していますよ。しかし、文菱運輸から払い下げの申請書が出された十日くらいの間にばたばた町に対して正式な照会状を出している。仕事の遅いお役所にしてはえらい手回しがいいじゃないですか。志免の町から四十五年に出されたものについて四十九年まで毎年陳情しているのですよ。世利健助さんが私にそう言っています。そしてちゃんと田口という担当官にもずっと陳情していると言っているのです。それにもかかわらず、この文菱運輸の問題についてはえらい手回しがいいのですね。それと同時に、あなたたちはどういう照会をしているのです。そういう地域開発のために本当に町が使うんですかどうですかということを聞くんであれば、何も同和だ、同和だとそんなことを騒ぐことはないでしょう。あなたたちが九州支部長佐々木さんの名前でことしの一月二十五日に照会したこれには何と書いてあります。「文菱運輸株式会社から、同和事業の一環として貴町に所在する当団の土地に進出したき意向をもって、」払い下げの申請がなされた。わざわざ同和事業なんということをぱっとそこに書く。それからそのなお書きでまた「同社は別紙福岡県同和対策室長から福岡陸運局長あて復申のとおり、同和問題の解決を図るために設立された会社であることを申し添えます。」そしてその復申というのは、福岡県から合理化事業団に、これは同和に役に立つのだから何とかしてくれ、そういう復申じゃないでしょう。これはあなた、人のものですよ。大体この復申書というのは福岡県の民生部同和対策室長から、この会社が五十二年に運送の免許を取るときに陸運局長にあてた復申じゃないですか。これはあなたたちのものじゃないんだ。そんなものまでくっつけて町当局に御意見を伺う、そんな必要があるんですか。これを見ればだれだって同和なんだから払い下げを承認してくれ、そういうように町にあなたたちから意見が出されているとしか考えようがないじゃないか。それで福岡県は怒っていますよ。これは私のところから合理化事業団にあてたものじゃないんだ、私どもが陸運局長にあてたものなんだと。それをどこからどう手に入れたか知らぬけれども、勝手に公文書に添付して出すとは何事だと。こういうことによって町が払い下げを承認したということになって、町に対して損害を与えることになれば、福岡県も責任をとらなければいかぬじゃないかということに対しては、そういう抗議を受けて、県は合理化事業団に抗議するとまで言っていますよ。こんな常識では考えられないような復申書までつけて、他人のものまでくっつけて、それで意見はどうですかと言う。私がさっき言ったように、これじゃ払い下げに同意しなさい、同和なんだからというのと変わりないじゃないですか。あなたたちが幾ら、そんなことはありません、最初から文菱に払い下げる意思はありませんとかなんとか言ったって、実際の行動がそれを示しているじゃないですか。どうですか。
  254. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 同じようなことを言うようで申しわけございませんが、支部の方に問い合わせましても、そういうふうに分譲するということが前提ではないというふうに申しておりますし、照会文書の中にそういう添付をしたということは、私ども後で知ったわけでございますが、問い合わせてみますと、申請会社の内容を具体的に示した方がいいというような感じでつけたけれども、これは必ずしもつける必要はなかったと申しますか、言わずもがなのことじゃなかったかと思います。同じようなことを申しますが、特にそういう前提でこれをいたしたことではないということでございますし、現にいろいろ検討している最中でございまして、私らの方でもこれから検討をするところでございます。
  255. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなたはうその報告を聞いているんですよ。私も事業団から聞いたときにはそういう報告を受けている。うそなんですよ、そんなことは。現地の町長さんや助役さんや議長さんの発言を聞いたら、みんなうそを言っているんです、あなたたちの部下が。大体払い下げの方針というのは、地方公共団体とかそういう公の団体に優先的にやるものでしょう。そうであれば、一私企業に二千七百坪、それも町の中心に位するようなそういう土地の払い下げを、これもいきなり申請書が出てきたわけじゃないんです。去年の十二月に口頭でそういう申し入れがあったわけでしょう。そういう中であなたたちが町に対して意見を聞くという場合だったら、こういう問題があるが、私の方としては町に払い下げしたいんだ、だから使う計画はおありでしょうかとか、そういうふうに聞けばいいだけなんですよ。何もおどしをするみたいに、よその復申までつけて、さあ同和だ同和だ、そんなことを言って騒いで意見を聞くことはないじゃないですか。  それから、あなたがそうおっしゃるからもうちょっと言いますと、五十五年、ことし、文菱から一月十四日に払い下げの申請書が出た。その後、一月二十三日に九州支部の津田次長さんがいらっしゃるでしょう、この方が町を訪ねておられるのです。町長さんと助役と議長さんにお会いになっていらっしゃるわけです。このとき津田さんが町長や助役や議長に何と言ったかということですね。それは、この問題が三月十二日に町議会で本会議が開かれまして問題になりました。私は、きょうの午前に、志免町から、まだ議事録ができてないですよ、起きてないです、正式な議事録ありませんから、テープを持ってきてもらって聞きました。そうしたら、これは津田さんが直接言ったのじゃないですよ、町議会での町長さんや助役の答弁です。津田さんが来たときに何と言ったかということについては、町長はこう答弁していますよ。同和事業としてこれはぜひやりたい、津田さんがそう言ったと言うのです。これを承知しなければ同和事業に対して認識の軽重を問われる、払い下げたいから承知してほしい、こういうように津田さんから言われたんだというふうに議会で答弁をしておられます。それから助役はこう言っています。町の計画なり意見を聞かせてほしいというように受け取れますが、事業団の真意は文菱に払い下げたいけれども、町としても先願の文書を出しているので御同意願いたいという表現であった、そしてこの照会文書みたいに、あなたの方から出された町に対する照会文書みたいに、なまやさしいものではなかったのですよ、そういうふうに議会で答弁されていますよ。もうすぐ正式な議事録でき上がりますから、あなたの方でもごらんになったらいいですよね。  こういう事実からすれば、最初に文菱に払い下げようという意図で動いたのは間違いがないのです。またその町議会で、三月十二日の本会議で町長がこう言っています。町の総合開発計画もあるが、同和に資する会社ということでやむにやまれず放棄せざるを得なかった、この土地は町にとって死守したい土地だった、こういうふうにも述べておられるのですよ。これらの町長や助役の切実な言動、また事業団の津田さんのいろいろな働きかけ、それからまだいろいろあります。部落解放同盟とか方城の町長さんからの圧力とかいろいろなことがあるのです。どんどん電話でがんがん来ているのです。一々言いませんけれどもね。そういういろいろな圧力の中で、結局やむにやまれず後難を恐れてこういう承認を内容とする回答書を出したというふうに見るのが至当なんですよね。部下からそういう報告を受けていないわけだから、あなたにそうだとここで言えと言ったって言わないでしょうね。だから、まず私は、この町の真意というものがどこにあるのかということを、あなたたちが白紙の状態でひとつ探求してほしいということを強く希望したいと思うのですよ。また後でその点お聞きしますけれども。  まず、払い下げの問題ですが、あなたの方でいままでこういう私企業に対して所有している土地を払い下げたことはありますか。
  256. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 正確なものは調べてこなかったのでございますが、私の記憶では、私企業あるいは個人というところに払い下げをしたケースはあると思います。しかし、原則といたしまして、地方公共団体というようなところに優先的に払い下げるということにはいたしておりますが、そういうケースも若干ございます。
  257. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私があなたたちからもらったメモ、あなたたちが書いたものですよ。そんなものはないと言っていますよ。また現在取得している土地はない、四十五年以降はない、そう言っている。買収実績はない。それから払い下げは四十三万平米払い下げたけれども、払い下げの相手方は地方公共団体または地方公共団体の出資にかかる第三セクターであるとはっきり言っていますよ。ましてや二千七百坪というような膨大な土地ですよ。そんなものを払い下げたことありますか。これは私大蔵省にも聞いてみた。大蔵省が一般財産を払い下げる場合に、二千七百坪などという膨大なものを一私人や一私企業に払い下げたことはいままでないと言っていますよ。ですから私は、あなたたちが、いま事業団がやろうとしていることがどんなに異例なことなのかということを指摘したいのです。  それで、私はお尋ねしたいのですけれども、こういう土地を払い下げる場合にはどういう方針をお持ちになっていらっしゃるのでしょうか。それはひとつ石炭部長さんの方からでも、どっちでも結構です。
  258. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 事業団保有の土地につきましては、やはり産炭地振興のためにまず優先的に公共用に使うのが好ましいというふうに考えております。しかしながら、これは事業団財産の管理上の問題でございますので、公共用地について活用がほとんど見込まれないものは管理財産を処分する方向で進めておりますので、その辺そういう方向でいま考えているというのが実情ではないかと考えております。
  259. 三浦久

    ○三浦(久)委員 地方公共団体、そういうところに優先的に払い下げる、そういうものの申請がなければ、それは一私企業にも払い下げる場合もあり得る、こういうことだと思いますけれども、いまは現実に町が払い下げの申請をしているのですよ。この承認の同意書というのは、これはいろんな圧力によってなされたものだということははっきりしているのですよ、本会議の答弁によっても。私がいま一番心配するのは、あなたたちが、この同意書が出されているから、取り消さない限りは正式なもので、われわれはそれを信用する以外にない、だから、いまのところは競願者がいないから文菱運輸にこの土地を払い下げてしまうということ、このことを一番恐れているのですよ。いま地元でも、町当局はこの土地を事業団から払い下げを受けなさい、文菱に払い下げの承認をしたのを取り消して、自分が払い下げを受けなさい、こういう署名運動がいまどんどん来ているのです。議会の中でも問題になっているでしょう。そしてまた部落解放同盟の中でも、いわゆる粕屋地協というのがありますけれども、これは七十世帯くらいですが、この中でも六十四世帯は町に払い下げるべきだ、全然こんなもの同和事業の役に立たぬ、こう言っているのですよ。そういうふうに地元でもこれが一つの大きな論議になっていますね。政治問題になっている。そういうときに、あなたたちは、あくまでもこの同意書が正式なものだから、文菱に払い下げるのだというような、そういう態度をおとりになるのかどうか、それをちょっとお尋ねしたい。
  260. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 文書は来ておりますけれども、現に、私がこういう貴重な時間を割きまして国会にまで呼ばれておるということでございまして、支部の方にも円満に解決するように指示はいたしまして、早急に円満にいろいろ——早急に事を運ぶというのでなくて、円満に解決するようにいたしたいというふうに存じております。
  261. 三浦久

    ○三浦(久)委員 円満にという——私の質問にはちょっと答えてないですね、まともに。私は、これが真意だ、同意書が真意なんだからというので、これだけごたごたもめているのに払い下げるというようなことをするかというふうに聞いているのですが、どうですか。
  262. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 最初に経緯を申し上げましたように、申請書が出ましたので、たとえば前からおっしゃっておられた志免町長さんの方に御意思をお聞きしただけでございまして、それを今後どうするかということはまだ何も決めておらないわけでございまして、現にそういうふうに紛争がある、紛争があるときに急いでやるということは、私は問題ではなかろうかというふうに思いますので、その辺も踏まえて十分に検討して円満な解決をするようにというふうに申し上げたわけでございます。
  263. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、町当局の真意をあなたたちがぴしっと把握する、そういう観点で事業団——九州支部で結構ですよ。事業団と、町長、議長、議会関係者、こういう人々とじっくりひざを交えて話し合う、そういう場をお持ちになりますか。私はぜひ持たなければいかぬと思いますけれども、どうでしょう。
  264. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 同じことを言うようで申しわけございませんが、円満に解決するようにというふうに指示をいたしまして、支部の方でいろいろな方法、いま先生がおっしゃられたのも一つの方法かと思いますが、いろいろな方法でもって円満な解決をする方法を見出していく、またそういうふうにしてくれるものというふうに確信をいたしております。
  265. 三浦久

    ○三浦(久)委員 文菱運輸株式会社とか部落解放同盟とか、そういうのとだけ話し合っておったってこれは円満な解決にならない。そうでしょう。ですから、具体的に町長、議長、助役、議会関係者、それは議員、担当の委員会の責任者とかいろいろあるでしょう。そういう人々と九州支部の役員の皆さんとお話し合いになるように指導していただけませんか。
  266. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 特に文菱運輸の方等と御相談するということではございませんで、先生おっしゃられるようなこと、方法はいろいろあろうかと思いますものですから、支部は支部長もおりますものですから、方法は支部に任すというか、支部の一番いい方法をとってもらうようにしたいと思いますが、先生おっしゃられたような方法も一つの方法として支部に伝えながら、支部の方で検討し、円満な解決をするような方向で努力をいたしたい、こう思います。
  267. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなことをここで言えないですか、はっきり。町長とか議長とか助役とか議会関係者とあなたのところで話し合って、それとだけ話せとは言いませんよ、よそと話しても結構だけれども、そことも十分に話し合って、真の町意を聞くように指導しろと私が要求しているのですが、そうしますと、言えないのですか。何か支障があるのですか。
  268. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 いや、別に支障はございませんが、従来私たち、これをこうしろというふうな指示を支部の方に余りいたしておりませんから、先生おっしゃられたことはいい方法の一つだというふうに私は存じますが、それを含めて、先生もこういうふうにおっしゃっておられるということを申しまして、支部の方で一番円満ないい方法をとってもらおうというふうに思っております。支障があるわけではございません。
  269. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まあいいでしょう。町当局から二月十三日に出された承認を内容とする回答書ですね、これが撤回をされる、そして正式に払い下げの要請があったという場合に事業団としてはどうされますか。
  270. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 撤回になるかどうかというのは仮定の問題でございますが、一般論の方でもちろん申し上げますが、でき得れば地方公共団体の方に払い下げたいという意思でございますから、そう旧いうことになった場合はあるいはそちらの方向にいくのではなかろうか。一般論として、なるべく地方公共団体の方が望ましいというふうに存じております。
  271. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、一たん承認を内容とする回答書を出したからといって、それにあなたたちは固執しないで、それが正式に撤回をされ、そして払い下げの正式な要請があれば地方公共団体を優先するという、そういう一般論に立ち返って措置をする、こういうことですね。
  272. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 いろいろな方法がございますので、すべては仮定のことで、それを断定的なお答えをすることはかえって適正ではないというふうに存じますけれども、一般論で申しまして、地方公共団体の方がベターであるというふうに存じております。
  273. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなにあなたは遠慮しなければいかぬのかな。私が九州支部長を呼んで、きのうかなおとといかな聞いたら、それはいままでのそういう経過があっても、当然一般的な方針がそうなんですから、地方公共団体に払い下げるようになるでしょうということをはっきりおっしゃっておるのですよ。あなたがそんな遠慮することないじゃないですか。何がこわいのですか。歯に衣を着せずに、もっとすぱっすぱっと物を言いなさいよ。地方公共団体に払い下げるというのは当たりまえのことなんですよ。大体志免炭鉱というのは、戦前は海軍の炭鉱でしょう。海軍がお上の威光をかさに着て安い金でもって恐らく買いたたいたに違いないのですよ。そういう例はいっぱいありますよ。ですから、今度この土地を町に返還するというのは私はあたりまえのことだというふうに思っています。  もう時間がありませんから、あと一つ、二つお尋ねしますけれども、あなたたちはこの照会文書の中で、文菱運輸株式会社を同和問題を解決するために設立された会社だと、こういうふうに断定しているわけですね。これはどういう意味なんですか。私、ちょっと理解できないのですが。
  274. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 この点は私もよくわからないのでありますが、読みましたところが、具体的に会社の内容というか性格を伝えた方がいいというふうに思ってこう書きましたというふうに言っておりますが、それ以上のことはちょっと私もよくわかりません。
  275. 三浦久

    ○三浦(久)委員 わからないことを、こんなことを書いちゃいかぬですよ。大体これは一般の私企業でしょう。民間の一営利会社、株式会社じゃないですか。どうですか。公共性を持った株式会社なんというのはないでしょう。一私企業であり一民間企業であり、営利会社であり株式会社だということは、あなた認めるのでしょう、どうですか。
  276. 佐伯博蔵

    ○佐伯参考人 先生がおっしゃるとおりでございます。
  277. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしてこの文菱運輸というのはどういう経過でできたのか、私福岡県の民生部に聞いてみました。そうしたら、こういう回答が来ています。五十二年の一月に地名総鑑問題でもって三菱鉱業セメントが部落解放同盟から糾弾を受けたのです。これは北九州市の市役所の本庁の三階の大会議室で行われました。市の立ち会いのもとで行われたのですが、三日三晩やられたのです。それで苅田の副工場長が自殺しています。そういう経過もあり、この三菱鉱業セメントが地名総鑑を買ったというので、その責任をとって結局部落解放同盟のために設立した会社なんですよ。そういう意味では同和がらみであるということは言えます。しかし、私あなたによく言っておきたいのだけれども、この会社が部落解放同盟の人とか同和地区の人、未解放部落の人、こういう人々を雇用するから、だからその会社は同和事業をやっている会社だとか、同和事業解決のために役立つ会社なんだから特別な利益を与えてやってもいいんだというようなことをあなたがお考えになっているとすれば、それは全くの間違いである、それこそまさに差別を助長するものでしょう。未解放部落の人を雇うかわりに、雇ってやるから、だから国よ何かよこせ、こんなことこそ差別ですよ。そうでしょう、あなた。もしそういうことが成り立つとすれば、じゃどんな企業だって未解放部落の人を雇用していますよ。私の法律事務所だってしていますよ。銀行だって県庁だって町役場だって、中小企業だって大企業だって製造業だって商社だって、どこだって未解放部落の人を雇っておるでしょう。だから、そんなことは特別なことじゃないのです。この企業というのは単純な一私企業です。それをある特定の人々の圧力、そういうものにあなたたちは屈服して、原則を曲げてこういう動きに走っているということ、私はそれは大変遺憾だと思います。ですから、通産省もぜひひとつ公正な処置をしていただきたいと私は思いますが、その点について次官の決意と指導をお願いしたいと思うのです。
  278. 梶山静六

    ○梶山政府委員 残念ながら、私この具体的な事件を承知いたしておりませんが、ただいまの応答をお聞きいたしまして厳正、公平に処置されるように指導してまいりたいと思います。
  279. 三浦久

    ○三浦(久)委員 終わります。
  280. 岡田利春

    岡田委員長 これをもって三浦久君の質問は終了いたしました。      ————◇—————
  281. 岡田利春

    岡田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  今後の石炭需給見通しについて、石炭ユーザーである電力業界鉄鋼業界セメント業界関係者及び生産者である日本石炭協会の代表を参考人として御出席を願い、御意見を聴取することとし、日時、人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  282. 岡田利春

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時散会