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1980-05-09 第91回国会 衆議院 商工委員会流通問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十五年二月十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。 二月十三日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任された。       天野 公義君    浦野 烋興君       小川 平二君    大塚 雄司君       粕谷  茂君    鴨田利太郎君       中島源太郎君    深谷 隆司君       栗山  明君    渡部 恒三君       上坂  昇君    渋沢 利久君       中村 重光君    渡辺 三郎君       中川 嘉美君    森田 景一君       小林 政子君    安田 純治君       宮田 早苗君    横手 文雄君 二月十三日  中村重光君が委員長指名で、小委員長に選任  された。      四月二十三日  小委員長中村重光君三月五日委員辞任につき、  その補欠として中村重光君が委員長指名で小  委員長に選任された。     ————————————— 昭和五十五年五月九日(金曜日)    午前十時開議  出席小委員    小委員長 中村 重光君       天野 公義君    大塚 雄司君       粕谷  茂君    中島源太郎君       深谷 隆司君    栗山  明君       渡部 恒三君    川崎 寛治君       上坂  昇君    渋沢 利久君       渡辺 三郎君    中川 嘉美君       森田 景一君    安田 純治君       中井  洽君  出席政府委員       公正取引委員会事務局取引部長 剣持 浩裕君       通商産業大臣官房審議官 神谷 和男君  小委員外出席者       大蔵省関税局監視課長 奥田 良彦君       国税庁直税部法人税課長 四元 俊明君       厚生省環境衛生局食品衛生課長 斎藤 乃夫君       通商産業大臣官房審議官 堺 司君       通商産業省生活産業局通商課長 村田 文男君       通商産業省生活産業局繊維製品課長 赤川 邦夫君       参考人丸紅株式会社運輸第二部長) 稲井 丸人君       参考人富士商事株式会社社員) 河瀬 研君       参考人(鹿児島県織物工業協同組合理事長) 嘉野 長夫君       参考人本場奄美大島紬協同組合理事長) 中江 実孝君       商工委員会調査室長 中西 申一君       ————————————— 四月二十三日  小委員横手文雄君二月十三日委員辞任につき、  その補欠として横手文雄君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員安田純治君三月四日委員辞任につき、そ  の補欠として安田純治君が委員長指名小委  員に選任された。 同日                            −  小委員渋沢利久君、中村重光君及び森田景一君  同月五日委員辞任につき、その補欠として渋沢  利久君、中村重光君及び森田景一君が委員長の  指名で小委員に選任された。 同日  小委員小川平二君及び拍谷茂君同月七日委員辞  任につき、その補欠として小川平二君及び粕谷  茂君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員栗山明君同月十九日委員辞任につき、そ  の補欠として栗山明君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員小林政子君四月八日委員辞任につき、そ  の補欠として小林政子君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員浦野烋興君同日委員辞任につき、その補  欠として浦野烋興君委員長指名で小委員に  選任された。 五月九日  小委員浦野烋興君粕谷茂君及び森田景一君五  月八日委員辞任につき、その補欠として浦野烋  興君、粕谷茂君及び森田景一君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員上坂昇君同日委員辞任につき、その補欠  として川崎寛治君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員宮田早苗君同日小委員辞任につき、その  補欠として中井洽君が委員長指名で小委員に  選任された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  流通問題に関する件
  2. 中村重光

    中村委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  前回に引き続き、私が流通問題小委員長に選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。  流通問題に関する件について調査を進めます。  本日は、最初に輸入大豆国内流通問題について調査を行うことになっておりますが、本件について、参考人として丸紅株式会社運輸第二部長稲井丸人君及び富士商事株式会社社員河瀬研君の御出席を願っております。  参考人各位には御多用中のところ、本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  参考人の御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  次に、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は小委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。渋沢利久君。
  3. 渋沢利久

    渋沢委員 参考人には、きょうは大変御苦労さまです。時間がありませんので、端的に伺っていきますが、輸入食糧等国内流通の面で、役所チェック機能というものが不十分なところに原因があるか、関連業者のモラルに問題があるか、いずれにいたしましてもかなり不透明でいかがわしい流通の実態があるという指摘がありました。しかもそれが大変常識化しているというようなことで、非常に重大な影響があるというふうに思います。  以下、具体的な事例を申し上げながら、意見をお聞きしたいというふうに思うわけです。  丸紅さんにおいでいただきましたのは、丸紅がいわば旗振りになりまして、五十三年一月二十七日、アナンゲルフォーチュン号で米国からの食用大豆を輸入されました。この荷受けの商社丸紅ほか伊藤忠、トーメン、日商、ユアサ、東食、太洋物産の七社、その旗振り丸紅さんであったというふうに開いております。これが、私ども調査によりますと、荷揚げを予定しておったものが一万八千七百トン、このうちの一万八千五百十六トンが実際には荷揚げをされて、その中で正常なものというふうに指摘をされましたのは、神戸に揚がりました千九百七十六トンで、その他はおおむね、損傷の度合いはいろいろありますけれども、中身は違いますが、いわば損傷ものとして、きずものとして扱われる。これは丸紅さんが請求されておとりになりました日本海事検定協会レポート、ここに原文があり、その翻訳文も持っております。これは丸紅さんが七社を代表して、損傷もののいわば保険金を受けたりいろいろなことに必要なものとしておとりになったものですね。 これに詳細、損傷の内容、状況が記載されておる。この部分については.私が丸紅さんに御説明するまでもなかろう、こう思うのですが、いずれにしてもおびただしい、九割近いいわばきずものとして、腐敗その他ひどい状態であった、こういうことですね。そして、もちろんその損傷に応じて保険金もお取りになったというのも当然のことだと思うのですが、かびが発生し、積み荷の吐き出す蒸気で最高百十度まで発熱、これはレポートに全部記載されておりますね、変色、腐敗、悪臭ですね、ひどい状態レポートされておったわけです。  この品物については厚生省横浜衛生監視員事務所処置をいたしまして、これは食用として輸入されたものだけれども食用として使うことならぬということで、食用外の使用に限って、つまり工業用油脂に使うものに限定してこれを認める、こういう処置をとられたわけですね。これは正式にそういう指示があって、家畜にも使っちゃならぬのですね。人間の食べ物にしてはいかぬというだけではなしに、家畜を含めいわゆる食用に、人間及び動物の食用に供してはならぬ、こういう厳しい処置をとっていわば違反品という赤ラベルを張ったわけですね。  そこで、それは丸紅さんの方からあるいは伊藤忠その他全部出ておりますが、厚生省の方に誓約書が出されまして、厚生省から指示のあった第何号、第何号、それらのものについては、これはもう間違いなしに明糖油脂という工業用油脂をつくる会社に売ったから、そしてここをして御指示どおりのものに処置をして、もし方針に反するようなことがあればそれはいかなる処置を受けても丸紅が全責任を持って御指示どおり処置をいたしますという誓約書を出して、それに基づく輸送計画書、あるいは処理計画書等、一切書類を出させて、そしてさらには保健所完全処理報告書なんというのを出さして、その写しまでそろえて、丸紅厚生省に対して間違いのない処置をしましたと、こういう手続をされておるわけですね。  ここまでの事情は、これはもう改めて申し上げるまでもないのですが、丸紅さんも御存じのとおりだと思うのですが、いかがでしょう。この流れは御承知ですね。
  4. 稲井丸人

    稲井参考人 はい。
  5. 渋沢利久

    渋沢委員 そこで問題は、そのとおり、つまり丸紅さんがおまとめになって、これはおたく会社のだけじゃなくて、七社のものを同様の処置手続その他もお世話されたわけですか。
  6. 稲井丸人

    稲井参考人 誓約書その他の書類につきましては、旗振り一社ではなくて、七社からそれぞれ厚生省に提出しております。
  7. 渋沢利久

    渋沢委員 旗振り丸紅さんのお世話で、あっせんで、各社からそれぞれ必要な手続をとられたということですね。  それがそのとおり行われておれば全く何の問題もないわけです。ところがそうなっておらない。 一たんそういう違反品食用には家畜にも使ってはならない、こう指示を受けて赤ラベルを張られたものが、国内流通の過程で丸紅さんの誓約書とは全く別に、いつの間にか途中で食用に転換されちゃった。そして最終的には豆腐納豆みそ、しょうゆ、和光堂などというような子供の食用に供する菓子問屋に、食用に供する大豆としてこの材料が取引されていた。もしそういうことがあったとすればこれはゆゆしいことではないかということで、指摘が過般、社会労働委員会において私どもの同僚の安田議員からありまして、その際に厚生省は、さような事実はありません、しかし、もし御指摘のような事実があれば重大なので調査をしたいというような趣旨の答弁をしておったようですが、厚生省お見えいただいておるので、その後どういう御調査があったのか、御報告を願いたいと思います。
  8. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 御説明いたします。  ただいま先生お話しのように、安田先生の御指摘後も、私どもといたしましては引き続き事故大豆食用への転用についての事実を解明するために、事故大豆にかかわる関係書類の確認を関係都県並びに厚生省横浜食品衛生監視員事務所等指示をいたしたわけでございますが、関係者から提出されました誓約書輸送計画書あるいは処理計画書等について十分調べたわけでございますけれども不備がなく、少なくとも書類上からは不審な点は見出せなかった。したがいまして、前回安田先生にお答えした以後の新たな事実というのは、私どもとしては残念ながらつかめなかったということでございます。
  9. 渋沢利久

    渋沢委員 厚生省はいま、調ぺたけれども何も特別な事情は、指摘のようなことはなかつた、こうあなたおっしゃるわけですけれども、私ども調ぺによると決してそうではないと思うわけであります。これはもし食用外と認定されたこの食品食用に擬装して取引されるというような事実が明らかになったら、あなた方どうされますか。
  10. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 そのような事実が明らかになりました場合には、当然食品衛生法四条違反ということが一つと、それから先生が御指摘のように、そういった違反品を故意に売ったというふうなことで当然刑法上の責任も、これは開係の方面に御相談しなけれはいけませんけれども、そういうふうなことで一応責任の所在といいますか、事故の解明を図らなければいけないというふうに考えております。
  11. 渋沢利久

    渋沢委員 そうすると、食用外という赤ラベルもあなた方がお張りになって、そういう物件が途中赤ラベルがはがされて、また食用に舞い戻って食用大豆として流通された、取引が公然と行われたということが事実明らかになれば、所定の手続で告発、法的な処置をもって糾弾する、糾明する、いまのお話はこういうことですね。
  12. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 おっしゃるとおりでございます。
  13. 渋沢利久

    渋沢委員 ところが、いままではお調ぺになったけれども何も出なかったとおっしゃる。これは本当のお調べをおやりになっていないからだと、私の調査と実感から言うと思うのです。実際には私ども調査によりますと、これは抽象的に言ってもしようがないので、きょう丸紅さんおいでいただいておるが、丸紅伊藤忠あるいは日商などが誓約書を出しました。資料が少ないので、いま委員長の手元とそれから厚生省にはそのままコピーを提出しておきましたが、丸紅さんはおたくの方でお出しになったものだから御存じのとおりです。ここで丸紅伊藤忠日商岩井等が出している誓約書その他の一件書類、これはみんなナンバーが明記されていますね。つまり厚食横第何号、厚生省食糧横浜、それの略号ですね。これが赤ラベルに全部ナンバーが入っておるわけですね。それがずっとついて回るわけです。そしてこのナンバー物件については、厚生省に出した一件書類によれば、このとおり間違いなしに工業用油脂原料としてここに売りました、買った先はこのように処置しました、地元の関連当該保健所にもその処理報告をこのとおり出しました、そういう御丁寧な書類を全部一式そろえてそれぞれ厚生省に御提出になっておるから、厚生省書類不備はない、間違いない、こうおっしゃっておる。その番号をずっと追って、その番号がどう流れていっているかというのを具体的に調ぺてみる。そうしますと、これが明糖油脂という工業用油脂をつくる専門のところに直接一部は届けられた。あるいは直接倉庫にあるものが明糖を通さないで富士商事という会社に送られた、届けられた。明糖へ行ったものがまたさらに富士商事に届けられた、こういうルートがあることがわかりました。  富士商事明糖契約しまして、この品物を、われわれの調査によれば、価格で言うと食用の相場よりは大変安いものですけれども、しかし、大変それに近い価格契約して取引されているのですね。富士商事赤ラベルの張った食用には使えないと言われているもの、これが流れていたということが明らかになった。そレて富士商事ではそうでない通常の正常な大豆、それからこのいわゆる食用に使ってはならないというきずものの赤ラベルつきのものをまぜ合わせまして−この富士商事という会社は、どだい豆を選別する会社、大きさによって納豆向き豆腐向きみそしようゆ向き、そういう選別する工場ですね、そこでそういう選別をするのじゃなしに、家畜にも使わしちゃならない、こう言われた赤ラベルのやつをそうでないものとまぜ合わせて、これをみそしようゆ菓子問屋に明らかに売っている、こういう事実が伝わってきました。私どもの判断ではこれは間違いないんじゃないか、こう思われるような状況になってきた。  それで、きょう実は参考人富士商事社長さんと、それから社員でこれらの作業に直連携わったと思われる方に、私ども調査ではたくさんいるのですが、どなたか出ていただくということで、きょうお出ましをお願いしたら、社長さんは何か外遊だということで東京においでにならないというので、きょうお出にならないわけでありますが、社員でそういう作業に当たったといわれる河瀬さんに参考人としておいでいただいておるので、以下河瀬さんに伺いながら、私ども調査範囲等、間違いがあるかないか、確かめていきたいというふうに思うわけです。  われわれの調査によると、ちょうど船が入りまして倉庫に預かる。倉庫に預かる中で丸紅さんと伊藤忠が扱ったものが大体鈴江組山下埠頭倉庫ですね、ここのものをちょつと追っかけてみたわけですね。番号で言うと八九九とか九〇一とか八八七号というものです。これらの鈴江組山下埠頭倉庫に預かっておったもの、この流れをずっと追っかけてみましたら、これらのものがいずれも富士商事に直接ないしは明糖という工業用油脂工場を通して行っていることが明らかになった。運送をやっていますたまたま私のすぐ裏にあります運送屋さんが、名前を言ってもいいのですが、その運搬を扱っておりまして、そういうことも含めていろいろ調べた。  そこで、せっかくおいでいただきました河瀬さんにちょっと伺いたいのですが、あなたは富士商事社員として、明糖あるいは直接埠頭から、この八九九とか八八七とか九〇一とか、日商丸紅あるいは伊藤忠ですね、これらの、社名は赤ラベルには書いておりませんが、厚生省から指示を受けた通達ナンバー、この赤ラベルを張った品物が、あなたの会社明糖との契約取引においてどんどん届けられたりあるいは取りに行ったり届けたりというようなことがあったかどうか。そして社命によってそれをオルディナリーその他の正常なものとまぜ合わせる混入作業をおやりになったかどうか、やったとすればその辺の状況をちょっと御説明を願いたい。
  14. 河瀬研

    河瀬参考人 実は、私が現場に携わってやったのですが、いまお話があったようにいい豆と悪い豆を混合しまして、それを機械に揚げまして、普通は流線というのをかけるのですけれども、このたびの製品は流線をかけないで、配合をしてそのまま製品タンクへ入れてしまったわけです。そして、あとは袋に詰めて出荷をしたということです。  それから赤ラベルのことなんですが、赤ラベルは、一応工場に入っできたものを全部はがしてくれと上司が言うので、はがして、それでまぜ込んだわけです。
  15. 渋沢利久

    渋沢委員 こういうことは初めてでしょうから、どうぞ気楽にお話し願いたいのですけれども、そうしますと、その赤ラベルを張ったものは明糖油脂から届けられてきたのですか、それともあなた方の会社の方でとりに行ったのですか。
  16. 河瀬研

    河瀬参考人 両方あります。
  17. 渋沢利久

    渋沢委員 それから混入というのは、私さっき言いましたように赤ラベルをはがして、赤ラベルのものとそうでないものとまぜ合わせたということですが、それはどういう状態であったのか。たとえばにおいが相当するとか色が変わっているとか、それとも区別が全くつかないとか、明らかに腐食もの、きずものと思われるようなものであったのか、赤ラベルが張ってあるにふさわしい品物だったかどうかということがわかっているかどうか。  それから、まぜ合わせたと言うけれども、そのまぜ合わせ方というのは、たとえば七、三とか六、四とか、何かそういうことが決まっているのか、あるいはそのとき具体的な指示があったのか、言われなくてもそれは大体こういうふうにまぜるものだということなのか、そのまぜ方というのはどういうふうになっているのでしょうか。
  18. 河瀬研

    河瀬参考人 一応上司から半々にまぜてくれという話がありまして、いいものが半分、悪いものが半分というように、いいものを半分入れまして悪いものを半分またそこへかぶせるわけです。そしてまたその上にいいものをかぶせておく。それで揚げていくわけです。そういうやり方です。
  19. 渋沢利久

    渋沢委員 においがしたとか、そういう点はどうでしたか。
  20. 河瀬研

    河瀬参考人 まぜる前に、一応ホッパーというところに豆をあけるのですけれども、大きなものが落ちないように網が張ってあるのです。そしてダンプとか大型トラックで豆を持ってきて、車の上から豆をあけるのですが、そのあけたときに異様なにおいがするわけですね。物すごいにおいなんです。茶色っぽくて、カビが生えているような豆がいっぱい入っているわけです。それで、こういうかたまりが入っているのですが、そのかたまりが網の上にばたんと落ちるものですから、落ちたときに崩れてしまって全部網の下へ入っていくわけです。特にかたいものだけは網の上に残るようになっているのです。それは手で拾ってまた違う袋に入れておきましたけれども、ほとんどは網の上で崩れて入っていってしまうわけです。その豆がもうやけて腐ってしまって、チョコレート色をしていたり、あとは青カビが生えたような、そういう豆が非常に多かったわけです。それが作業中に物すごい、異様なにおいがするわけですね。その豆を一応配合して使ったわけです。
  21. 渋沢利久

    渋沢委員 その状況は大体わかりましたけれども富士商事明糖との契約について私どもでわかっている範囲のものは、三月の中旬に契約して、三月の下旬から四月にかけて仕入れされる。 それは鈴江山下のもの千トン、鶴見山下のもの二百トン、単価もわかっていますが、そういう形で入ってきている。船が入ったのが一月でしばらく泊まっていたわけですが、いまお話し富士商事でそういう作業が行われたこのナンバーのものは、大体五十三年の二、三、四月、この辺の時期でしょうか。
  22. 河瀬研

    河瀬参考人 そうです。
  23. 渋沢利久

    渋沢委員 それで、そのときの赤ラベルはどういう処置をとったのですか。役所に出した書類によれば、明糖まで行って、そして工業用の油になっているはずなんですね。だから赤ラベル富士商事さんまでついて回るというのもおかしいのです。本当は明糖で焼却されるとかいうことだろうと思うのですが、何かその赤ラベルなんかもあなたの会社たくさんあるというふうに聞いておるのです。しかも、九〇一とか八八七といったこのナンバーのものがあるというふうに聞いておるのですが、赤ラベルがあなたのところへ来た状況とか、そのはがされた状況とかいうのをちょっと御説明いただきたい。
  24. 河瀬研

    河瀬参考人 はがした状況といってもあれですけれども、全部の麻袋赤ラベルと言われているこういうものが一枚一枚ついているわけです。これを上司から言われまして全部取って、はがしたものを全部燃やせというふうな指示もあったわけです。それで私たちも燃やしましたけれども上司小林購買課長ですか、そのあたりが燃やしたり、また現場人間が取ったものを全部燃やしてしまったわけです。それで、ある一部分だけ一応ここにとってありますけれども、こういうものがついているわけです。
  25. 渋沢利久

    渋沢委員 丸紅さん、厚生省がいまでもまさかこんなばかなことはないと思い、そんな法律違反のことはありませんと言っているのは、この商いをやっている丸紅伊藤忠という日本大手商社が、しかもおたくらが大変詳細な誓約書を初め、一切間違いない処置をこのようにとらせます、何かあれば責任を持ちますというような大変きちっとした書面を役所へ届けている。こういうことがあるから、恐らく役所もそれを信用するよりしようがないだろうということではないでしょうか。厚生省も手不足で、ぼくも調べてみましたら、なるほど追跡調査をやるとかいろいろやるというようなところまでやり切れない体制ですね。だから丸紅さんをいわば信用して、まさか家畜にも食わしちゃならぬと言われたようなものが、輸入されたものがこういう扱いで食用に転化されていくなどということはあり得ないと厚生省は信じているらしいのですけれども丸紅さんは、こういうことが多少あるということは大体知っているんじゃないですか。
  26. 稲井丸人

    稲井参考人 いえ、私どもも処理されたものと信じております。
  27. 渋沢利久

    渋沢委員 先ほど参考人がおっしゃった混入とか赤ラベルをはがすとかいう不正な行為が、一人や二人ではなくてかなりたくさんの社員を使って行われているようですね。これは社命ですから会社を挙げてやっておるわけです。したがって、いろいろな事務関連した人もありまして、率直に申し上げて私どもに電話その他で御連絡があって、私どもはこうして不正にまぜ合わせたものを和光堂に届けた、こういう仕事に携わって非常に心苦しい、こういうことを言っておられる方があるのです。私ども調査してみました在庫カードなどによっても、この時期に鈴江山下倉庫にあるものの仕入れ先は明糖油脂です。もちろん米国大豆契約ナンバーも全部ふってあります。これは一八一五七というものですが、そしてこれは一遍にまとまって千トンとかいうのではなくて、細かく倉庫から送ってきています。これはナンバーを照合してみますと、丸紅さんが役所へ出しました書類ナンバーと全部どんぴしゃりです。日にちもその流れの中に乗っています。それから山下の倉庫から直接富士商事へ、まぜこぜ会社へ届けました運送屋さんとの間のカード、これにもこのナンバーがきちっと記載されています。そのコピーは役所の方にいまお見せしておきました。しさいに見ると番号がきちんと合っています。厚生省、これは会社の方に本気で御調査になればわかるはずだったと思うのです。ところがどうもお調べになっていない。  河瀬参考人にちょっと伺いますが、何か途中で最近いろいろ新聞記者の取材等があるというような動きがあって、一件書類会社が焼却させた、ぼくの受け取りで言いますと証拠隠滅を図った、こういうことになるのですが、そういうことを社員の一部にやらせたというような話を聞いておりますが、そういうことはあったでしょうか。
  28. 河瀬研

    河瀬参考人 実はそういう書類を燃やしたのを一部の社員が見ております。焼いた書類というのはこれなんですけれども、ここにございます。これです。非常にたくさんの書類を、会社の裏にドラムかんが三本あるのです。それはごみを燃やすドラムかんなんですが、そのドラムかんの中ヘ書類をどんどん入れまして燃やしているのを一部の社員が見ておりまして、次の日に何を燃やしたかと思って行ってみましたら、たまたまオーダーの書類が全部燃やしてあったのです。ここにもありますけれども、この書類なんかもそうです。これを燃やしていた人間というのは、販売部長佐藤代理というのと倉石営業課長、この二名でもって燃やしておるのを見たわけです。  以上です。
  29. 渋沢利久

    渋沢委員 いま何か持っておられた焼け残りの伝票、それは山下鈴江組の倉庫から持ってきた、先ほど私在庫カードで言いました明糖と富士商の取引明糖から買った米国大豆、山下鈴江から持ってきたこのものだというふうな記載がありますか。
  30. 河瀬研

    河瀬参考人 はい、あります。
  31. 渋沢利久

    渋沢委員 番号なんかありますか。
  32. 河瀬研

    河瀬参考人 はい、ございます。
  33. 渋沢利久

    渋沢委員 私のところにある在庫カードの番号が一八一五七というのですが、その番号がわかりますか。
  34. 河瀬研

    河瀬参考人 はい、同じです。
  35. 渋沢利久

    渋沢委員 恐縮ですが、厚生省の方にそれを提示して、資科としてお貸しするというか、お見せするというか、そういうことをやっていただけますか。
  36. 河瀬研

    河瀬参考人 はい、やります。
  37. 渋沢利久

    渋沢委員 そうすると、社命によって会社の役員が一連の関連書類を焼却させた、しかし何が行われたのだろうと思って焼け跡を見たらそんなものがたまたまあったので拾った、そういうことですね。明らかにこれは証拠隠滅を社がやっておられる。これはまた新聞にちらっと何か出た直後だというのは本当ですか。
  38. 河瀬研

    河瀬参考人 そうです。
  39. 渋沢利久

    渋沢委員 時期はいつごろですか。
  40. 河瀬研

    河瀬参考人 六月の末頃だったと思います。
  41. 渋沢利久

    渋沢委員 去年ですか。
  42. 河瀬研

    河瀬参考人 去年です。
  43. 渋沢利久

    渋沢委員 去年の六月ごろ、これは細かいことを余りやっても切りがないので、この辺で打ち切りますが、もう一つだけ確かめておきたいのは、しからば富士商事でそういう形で混入されたものがどこへ売られていったのかということなんですが、それについて河瀬さんは御存じの部分がありますか。いま幾つか聞きますが、私どもの資料によりますと、和光堂にもかなり大量に売られておりますね。いかがですか。
  44. 河瀬研

    河瀬参考人 はい。
  45. 渋沢利久

    渋沢委員 そのほか、納豆などでおかめ納豆、わりあいに有名なところですけれども、ヨーカ堂で扱っているのですね。私どもの資料によると、これはかなり関東近県の納豆みそ豆腐、それから脱脂大豆の業者ですね、和光堂などに大量に流されている。和光堂にいったのは、資料ではこういうことになっています。四月二十四日から五月十八日にかけて、この赤ラベルをはがしてあなたの会社混入したものが詰めかえされて、こういう食品問屋に搬出されているというふうに、われわれの資料ではそうなっていますが、これは間違いないですか。
  46. 河瀬研

    河瀬参考人 はい、間違いありません。
  47. 渋沢利久

    渋沢委員 これはそのときの搬出、これは和光堂に限りませんが、搬出の詳細なデータです。 これは厚生省にも後で必要なら私は提示します。  これだけ言えば十分だろうと思うのですが、私どもの判断では、これは明らかに丸紅さんの誓約書を初めとする諸書証によって厚生省はだまされておるのじゃないのか。  現実はこのようにいわばきずもの、食用外と認定されたものを、それは工業用に使うことはわかりますよ。断じて捨てることはない。工業用に使えるものだ。しかし、さらに、その指定をされたけれども混入して食用に変えれば売れる。一見わからないものについてはさらにそういう選別をして、いま現に明らかなようにそういう混入によって食用に切りかえられておる、食品問屋に売られておるということは明らかだと思うのです。  ちなみに、この丸紅が要求してとりました海事検定協会のレポートですね、これを翻訳してみたときに、甘粕という、これはきずもの専門に引き受ける会社にまず最初に売っています。その落札価格というのは二万円台ですね。当時八万五千円から九万五千円の相場だった、この二、三月は、全部データを見ています。その時期に、二万二千円から二万五千円、大体二万円台で売っています。損傷の程度によって違いますね。ばら物はちょっと高くなっています。袋物は二万円台で売っていますね。これはあなた方処理されておわかりだろうと思う。これに全部出ているのです。そして、それだけ安く売らなければならなかった分だけ保険金社から保険金をちゃんといただいて七社で分けているですな。損のないように受け取っている。それは結構。ところが、それが今度の明糖と富士商が取引している段階では六方円台で、このカードによると六万五千円で取引されている。 食用としては八万から九万台のときに六万五千円ですから大変安いものですね。食用として考えた場合にはこれは格安のものです。これは商売になる。しかし、もともと家畜にも食わしてはならぬ、使ってはならぬ、こう言っているものです。それが六万台で富士商に売られている。富士商から和光堂その他豆腐納豆菓子問屋に移るときには完全な食用べ−スで渡されている、こういうことなんですね。これはひどい状態なんですよ。しかもこういうことが常識化しているとすれば大変なことだと思うのです。厚生省でもWHOでも、青カビに含んでいると思われる発がん性物質は非常に問題になっているわけでしょう。サルの実験なんかでもこれは非常なことが出ています。非常に問題になっている。まさに毎日の食卓を飾るものですよ。しかも大豆はほとんど輸入に頼っている。日本人はほとんど冷ややっこ族ですね。それから納豆みそ、そういうまさに国民の暮らしに毎日欠かすことのできないようなものの供給が米国からの輸入によってやられている。これが、厚生省家畜にも使ってはならぬと言っているもの、そういう有害物を簡単にこのようにすりかえている。すりかえて食用に化けて問屋に流れて食卓へ並ぶ、この流れは大変なことだと思うのです。しかも量が大変ですよ、千トンという単位。たまたま私がつかんだのが千トンとか二千トンという明糖、富士の流れ、知っただけでもそれだけです。しかも、船で一割や二割は冠水しておかしくなるのが常識なんだそうですけれども、もしそれがほとんどそういうかっこうでやられているとすれば重大な問題です。通産省においでいただいているのは、こういうことをチェックするものが国内流通の中にない。厚生省が先ほどお話しの程度のことで、手不足で、いわゆる書類が出ればそれから先はやれぬのですね、野放しなんです。丸紅さんから書類が出れは後はどうなっても野放し、ひどい状態なんです。ですから、堂々と社員を使って五分五分にまぜ合わせろとか、新聞に何かちらっと出ると、新聞記者が追っかけてきたら裏の土手で焼けとかいうことが公然とやられているんですよ。公然とやられているからわれわれの方にも話が入ってくるのです。余りにひどいというので、これはひど過ぎますということを社員の方でもおっしゃるのですよ。きょうは大変勇気ある参考人の発言をいただいておるのです、おいでにならないんじゃないかと思っていましたが。そういう実態なんですね、ゆゆしきことだと思っています。  私はこの間には脱税の疑いもあると思う。二万円台でやられたものがいつの何にか六方円台に、最後には食用ベースで取引されているのですから。国税庁においでいただいているが、私ども調査によっても脱税の疑いがあるのです。お調べになりますか。
  48. 四元俊明

    ○四元説明員 お答え申し上げます。  私ども、法人から提出されました申告書につきましては、その内容の検討に当たりまして利用可能な有効な資料、情報等はすべてこれを照合いたし、課税の適正化に努めることをたてまえといたしておりますので、先生指摘の件につきましては、税務情報の一つといたしまして私ども十分参考にさせていただきたいと思います。
  49. 渋沢利久

    渋沢委員 国税庁としてはお調べの手を入れるという前向きな答弁というふうに承っておく。こんな社会的に不公正なことをやりながら税金まで逃れようなんてことは断じてあってはならぬことですから、厳しい追及がされることを当然のことながら望んでおきたいと思うのです。  さて厚生省、先ほど言いましたように、時間がないものですから、資料を差し上げますから、社内から勇気を鼓して、これは黙っておれませんということで、そういう言葉ではおっしゃらなかったが、きょう出ていただいた、こういう事実から見ていかがお考えなんですか。
  50. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 ただいまの先生お話、それから参考人の御意見等拝聴しておりますと、事故大豆食用へ転用されたということは事実であろうというふうに思量されますので、先ほどおっしゃいましたようにそれを裏づける資料を提供していただけるならば、それをもとにして関係機関とも協議の上その解明に努めてまいりたい、かように存じます。
  51. 渋沢利久

    渋沢委員 さきに指摘を受けたのは二月ですからね。先ほどは調べたけれども何もありません。調べてないんだと私どもは言いたいのです。こういう事実があるのです。しかもいまこういう資料の提供もあるし、きょうの話だけでもあなたは事実だというふうにお考えになるでしょう。さらに必要な資料を私出しますから、これは当然告発すべきですよ。それだけの決意がありますか。
  52. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 証拠その他等が十分そろえば所要の手続をとってまいりたいというふうに考えます。
  53. 渋沢利久

    渋沢委員 最後に、通産の神谷さんが見えていますが、これはどうにもひどい話だ。何年か前にたしか商社のモラルの行動規制のようなものをつくって通産省が指導するというようなことをおやりになったという記憶がありますが、天下の丸紅初め−−天下のといったって最近飛行機のことやら何やらいろいろ見ても余り世間が信用するようなことはありませんが、日商伊藤忠、こういう大手の商社責任を持ちます、間違いはさせません、こういう書類だけ整えて、実際はこういうことになっていることについて、いやそれから先のことは知りません、こんなことが通っていいでしょうか。これはかなり手厳しくお調べいただいて、こういうことの起らない業界の流通の構造上の問題点を、行政はどうチェックすべきかというようなことを含めて検討してもらわぬといかぬのじゃないでしょうか。
  54. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、特に総合商社につきましてはその社会的影響力等にかんがみまして、一般的な法律遵守義務等々をさらに上回る、いわゆる自主的ないろいろな自己規制をお願いしておるところでもありますし、各商社あるいは貿易界全体としてもそのように進められておるというふうに了解をいたしておりますし、私どももそのように指導をしており、今後もそのつもりでございます。  本件に関しましては、基本的に厚生省の所管される法律でございますので、まず厚生省において事実関係を、ただいまの種々の御質疑等を踏まえて御検討をいただくとともに、物資所管でございます農林省等とも連絡しながら、物資流通上の問題点も解明をしていただけるものと期待をしておるところでございますが、それらの解明を持つとともに、私どもといたしましても総合商社の所管という観点から問題の調査を行わせていただき、厚生省調査を待って、要すればこの種の問題にどのように対応していくのが適当であるか等、厚生省と御相談しながら所要の指導をしてまいりたいと考えております。
  55. 渋沢利久

    渋沢委員 約束の時間が参りましたのでやめますが、厚生省に一言だけ念を押しておきます。 本来あなた方がびしっと本当の意味で御調査になれば社労の段階で済むことだ、ここで議論しなくても済んだ問題じゃなかろうかと私は思うのですが、わざわざここまで来てこう言わなければならないし、言われなければならないということを厳しく受けとめてもらって、きちっとひとつやってもらいたいということを望んでおきます。参考人には御協力ありがとうございました。
  56. 中村重光

    中村委員長 次に、安田純治君。
  57. 安田純治

    安田(純)小委員 厚生省に伺いますけれども、本件のように食用として輸入されたものが途中から食糧に使ってはだめだというふうになった場合に、誓約書なるものは常に出させているわけですね。
  58. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 輸入の物品が入るたびに誓約書は出していただいております。
  59. 安田純治

    安田(純)小委員 その誓約の時期といいますか、こういう処理をしたあるいはするという時期はいつになるわけですか。
  60. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 物品が港に入ったときには食品等輸入届というふうなものが出てくるわけでございますが、それを一応港の方でチェックいたします。それでただいまのように四条違反とかそういったものが出た時点で、それを私どもの方で、先ほど先生がおっしゃいましたように食用並びに飼料以外の用途でならば差し支えないというふうな許可を出すわけでございますが、それの処理についてその時点で出てまいるということでございます。
  61. 安田純治

    安田(純)小委員 稲井参考人にお伺いいたしますけれども、こうした誓約書を出した後の商品の流通におけるフォローはどのようにされるわけですか。
  62. 稲井丸人

    稲井参考人 一応書類面では誓約書の中にございますように明糖油脂工業の処理までをカバーしております。現実の物の動きにつきましては、先ほど渋沢先生から御指摘ございましたように甘粕損害貨物という会社に売却いたしております。これは二月末倉庫渡し条件でございますが、そういうことでございます。
  63. 安田純治

    安田(純)小委員 そうすると、明糖での処理の段階までと言われると、明糖から次の段階に行くまでですか。それとも明糖に渡してしまえばそれきりなんですか。
  64. 稲井丸人

    稲井参考人 明糖は自分で引き取りをやっております。私どもは甘粕へ売りまして、甘粕が明糖へ売ったわけですけれども、その条件は明糖が引き取る条件、私ども誓約書範囲は、工業用油に搾油終了までと理解しております。
  65. 安田純治

    安田(純)小委員 搾油終了までは丸紅さんの方に責任があるわけですね。
  66. 稲井丸人

    稲井参考人 一応搾油終了後の確認を茨城県の大官保健所明糖工業が出しております。それでもって私どもの方も終了の確認をしております。
  67. 安田純治

    安田(純)小委員 厚生省に伺いますけれども、お調べになったのは問題になってからですね。
  68. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 さようでございます。
  69. 安田純治

    安田(純)小委員 そうすると、一般に全部調べているわけではなくて、このケースについては問題になったからお調べになったわけでしょう。にもかかわらず、書類だけで調べられた理由は何ですか。一般に全部調べるから研究不足ということもあるでしょうけれども、社労で問題になってからお調べになったわけでしょう。
  70. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 手続説明になるかと思いますが、私どもはそういったことで輸入業者の方から誓約書が出てまいりますと、後処理計画書、輸送計画書等をとるわけでございます。そういったふうなものにつきまして、港の方の監視員が現地に出向くというわけにはいきませんので、引き取り工場がある都府県に連絡をいたします。そしてその都府県の方から引き受ける体制といいますか、監視の体制が整ったという返事が来たときにその旨を言って、それから輸送が開始されるわけであります。そのときに保健所等の監視員が現地へ出向くということになっておりますので、これは事件が起こったからということではございませんで、全般的にそういう扱いをしているということで御理解をいただきたいと思います。
  71. 安田純治

    安田(純)小委員 時間が来ましたのでやめますけれども、では社労で問題になったり、新聞記者が追いかけたりし始めてから特に調ぺたということはないというわけですか。
  72. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 通常はそういう手続をやっておりまして、私ども先ほど来御説明を申し上げた書類をもらっておるわけですが、社労で問題になりましてから、特にその点手抜かりがなかったかということについても改めて調べたということでございます。
  73. 安田純治

    安田(純)小委員 それは調べが不十分だと渋沢先生が非常に怒られるのも無理ないと思うのです。一般的な手続でやって書類不備がなかったならそれはそうかもしれません、手不足だから、しかし問題になってから調べられたのだから、そうすると書類は一応整っていても問題があるということを指摘されたわけでしょう。それで厚生省がその程度の調べではまことに遺憾だと思うのですね。最後にその点をお伺いして終わります。
  74. 斎藤乃夫

    斎藤説明員 何分二年ぐらい前のことであるということと、私ども残念ながら警察権のようなものを持ちませんので、食品衛生法上の立入検査というふうなことでございますので、おのずからそのことには限度があろうかというふうに考えております。       .
  75. 中村重光

    中村委員長 小委員長から申し上げますが、ただいまは国民の健康に重大な影響を与える問題でもありますので質疑が行われているわけです。厚生省を初め関係各省は、その事実について至急調査をして適切な措置を講じられるように要請をします。また、その結果についても小委員会報告をしていただくということをあわせてお願いしておきます。  これにて、大豆流通問題の調査を終わります。  両参考人には御苦労さまでございました。お引き取りいただいて結構でございます。       −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  76. 中村重光

    中村委員長 次に、大島つむぎに関する問題の調査に入ります。  本件について、参考人として鹿児島県織物工業協同組合理事長嘉野長夫君及び本場奄美大島紬協同組合理事長中江実孝君の御出席をお願いしております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  まず、参考人各位からそれぞれ五分程度御意見をお述べいただき、その後小委員質疑にお答えをいただくことにいたしたいと存じますので、どうぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は小委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、嘉野参考人にお願いをいたします。
  77. 嘉野長夫

    嘉野参考人 私は、ただいま委員長の御紹介になりました嘉野長夫でございます。  さて、伝統的工芸品に指定されております本場大島つむぎ産地の危急存亡にかかわる韓国産つむぎの流入阻止対策につきましては、従来政府、国会、時にこの流通問題小委員会においてたびたび取り上げていただき、いろいろと御配慮と御尽力を賜っておりますことを深く感謝申し上げます。  本日陳情申し上げます第一点は、日韓両国協定数量は三万六千五百反となっておりますが、矢野経済研究所の調査報告によりますれば、お手元に別紙として提出してありますが、LC貿易による韓国産大島つむぎの輸入数量は、酪和五十二年度において二十四万七百十反、昭和五十三年度において二十五万四千九百八十反、昭和五十四年度には二十二万六千三百九十反となっております。これは秩序ある輸入を目的とした日韓両国の協定を全く無視し、空洞化している実態を明示していると思われますので、あくまでも秩序ある輸入を厳守させるよう、強力にこのたびの日韓交渉に当たっていただきたいということであります。  第二点は、本場大島つむぎに類似する韓国産製品には特別ビザを付していただきたいということであります。このことについては、毎年日韓交渉において通産御当局が努力されているのにかかわらず、実現を見ていないのでありますが、先述のような協定数量の六倍以上の輸入の実態に歯どめをかけ、秩序ある輸入を実現するためには、絶対必要なことであると存じますので、本年度はぜひとも実現されるよう切にお願い申し上げます。  第三点は、国内の韓国産大島つむぎの輸入業者五十三社に対して、日韓両国協定数量を厳守して、秩序ある輸入に協力させるよう、厳重なる行政指導を徹底していただきたいということであります。別紙資料の示すように、国内輸入業者五十三社の輸入実績は、明確に数量として示されております。しかも、本場大島つむぎだけに通用する九マルキ、七マルキ、五マルキ、白大島、男物と、品質種類別に数量として示されております。これは従来韓国側が本場大島つむぎとその他のつむぎ類の区別がつかないと称しているのは全くの言い逃れであって、取り扱う韓国側の輸出業者、日本における輸入業者においては自明のこととして取り扱われていることを示しております。また、これら輸入業者は、日韓両国協定数量の存在も十分承知しているはずであります。つきましては、これらの輸入業者に厳重なる行政指導を行っていただき、秩序ある輸入に協力させるよう措置されたいとお願いいたします。  第四点は、韓国産つむぎの不正な持ち込みまたは不正な品物の郵送については税関等のチェックをさらに厳重にして、これを根絶させるようにお願い申し上げます。  先般の成田空港において摘発していただいた事件のごとく、関税定率法二十一条の輸入禁制品に当たる商標権を侵害する物品の持ち込みについては、税関当局がこの関税定率法二十一条を適用され、逮捕、起訴されたことは初めてのことでありまして、産地としてはまことにありがたく思っておりますが、今後とも厳重なるチェックをしていただき、このような事件の根絶を期していただきたい。  なお、この種の不正持ち込み製品に偽造証標を貼付し、さらに伝産証紙まで偽造貼付をした事件につきましては、現在京都府警におい調査中でございます。  第五点は、日中友好平和条約締結に伴いまして、今後予想される大島つむぎの中国または香港進出に対する防止並びに規制措置を講じていただきたいということであります。  国内輸入業者の間では、韓国つむぎの取り扱いに飽き足らずに、さらに香港または中国進出を企図しているとの情報が京都方面から流れております。本場大島つむぎ産地としましては、韓国産つむぎの脅威におののいている今日、香港または中国進出が実現化した場合のことを考え、異常な脅威におぴえております。何とぞ韓国産つむぎ問題のような大混乱を産地に来すことのないように、事前の対策として、その防止並びに規制対策について行政指導等、万全の措置を講じていただきますようにお願い申し上げます。  以上で終わります。
  78. 中村重光

    中村委員長 次に、中江参考人
  79. 中江実孝

    ○中江参考人 ただいま御紹介にあずかりました本場奄美大島紬協同組合の理事長をしている中江でございます。  今回、当委員会におきましては、私たちを参考人に呼ばれて意見の陳述をする機会を与えていただきまして、大変ありがたいことだと思っております。  先ほど鹿児島の組合の嘉野理事長から詳細にわたって説明がありましたから、私は大体意見の一致しているところでありますので、個条的に重点的なことを申し上げまして御説明申し上げたいと思います。  日韓交渉は昭和五十年から行われまして、今日まですでに五年を経ておりますが、最初は四万反、あるいは三万五千反から四万反、こういうことでありましたが、ここ二、三年は三万六千五百反という線に落ちついているようであります。しかし、実情は大島つむぎが二十数万反も中国から入っておる。実態調査によりましても、一万七千台の機数があって、その七割が稼働している、これから計算してもそういう数字は妥当な数字だと思います。  私の産地は今日一年間で約二十五万三千反、タテヨコがすりばかりであります。鹿児島産地のタテヨコがすりを計算してみますと、約十五万ないし十六万反、この二つを加えても四十一、二万反の数字になります。これに対して韓国から二十数万反のつむぎが入っているということは、いかに産地を圧迫しているかということがおわかりだろうと思います。したがいまして、私の申し上げたい点は、三万六千五百反を決めたらそれをあくまでも守らせるという手段を講じていただきたいということです。両産地で四十数万反の中で三万六千五百反の数字は、私から見ますと大した数字ではないと思います。しかし、実態は二十数万反も入っておるから産地が苦しい目に遭っているんだということを御認識していただければ幸いだと思います。  次に、特別ビザの問題も嘉野理事長からお話がありましたが、これを再三お願いいたしておりますけれども、まだ実現の運びになっておりませんので、何とかこれの実現を図って、三万六千五百反なら三万六千五百反にチェックするという手段を講じていただきたいと思います。  さらに、最近私の方の組合から三名、鹿児島組合から一人中国に派遣いたしまして、四月のニ十四日から五月の一日まで、他の九州地区の絹織物業者たちとツアーを組んで上海、広州、蘇州の三カ所を視察しております。と申しますのは、京都のやみ問屋あるいは京都の織物の機の材料、部分品をつくっている業者から上海に対して、つむぎのおさというものがありますが、これを六十丁送った。中国で、上海付近でもうすでにつむぎのことが始まっているんだということがありましたので、実態がわかればいいがと思いまして三名の理事を派遣いたしましたけれども、スケジュールが組まれておりまして、なかなかそういうつむぎの実態を把握するまでにはいかなかったけれども、向こうの人々との話の間で、中国にも伝統産業の製品があるし、日本にも伝統産業の製品があるから、お互いの伝統産業製品は相守って侵さないようにするのがあたりまえだ。それから、中国のつむぎ業のことを聞きましたら、向こうは御承知のとおり計画経済あるいは社会主義経済国家でありますので、国の承認がなければ一反も物が出せない制度になっておるということのようであります。  ここで問題になりますのは、香港が別の地域でありますので、香港で大島つむぎが生産される危険性があるんじゃないかという情報も入っておりますので、これらの点もよく御認識くださいまして、政府並びに国会の御援助を切にお願い申し上げまして、簡単でありますが、私の説明にかえさしていただきます。  ありがとうございました。
  80. 中村重光

    中村委員長 参考人の御意見開陳は終わりました。  小委員長から申し上げますが、政府も御承知のとおり、本件については数回本小委員会取り上げられてきたわけです。その中心は韓国で生産されているであろう数量と、それから国内に輸入されている、そして通産省が把握しておられる数量との開きが非常に大きかった、そのことを解明されるような貴重な資料が配付されているわけであります。通産省その他関係各省でもその資料を入手されているのではないかというように思います。せっかく本日の小委員会におきましてはそうした点を質疑の中で明らかにしていただきたいということを強く要望いたしておきます。    −−−−−−−−
  81. 中村重光

    中村委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  82. 川崎寛治

    川崎委員 両参考人には遠路大変御苦労さまでした。  きょうは本会議等との関係で大変質疑の時間が制約されておりますので、私は両参考人にもいろいろお伺いしたいのですが、主に政府の方にお尋ねをしたいと思います。  まず第一には、ことしの日韓の交渉はいつ行われる予定であるか、お尋ねいたします。
  83. 堺司

    ○堺説明員 お答え申し上げます。  なるたけ早い時期に、したがいまして、五月の末もしくは六月中にはいたしたいというふうに考えておりますが、まだ先方とは接触する段階にはなっておりません。
  84. 川崎寛治

    川崎委員 いずれにしましても今月の末から来月ということになれば、近々に行われるわけです。  そこで、いま両参考人から御説明ございましたが、五年たっておるけれども、依然として協定数量とそれから実際に入っているであろう数量との間には大変開きがある。そこで、韓国における生産の実態と輸入の実績というものについては、実は本委員会でも何遍か問題になり、そしてまた通産省は、ジェトロを通して韓国における実態も調べます、報告をしますということでまいりましたが、正確な報告はできないで来ておる。大変残念な実情にあります。  そこで、いま小委員長からも御指摘がございましたが、矢野経済研究所の調査というのは国内における輸入商社を個別に調べておりますし、また先方の輸出の方も個別に関係を調べておりますので、相当正確度があるというふうに私は思います。その正確かどうかという議論をここでやります時間がありませんので、一応これを前提にしまして、これまで政府にできなかったことを団体自体が依頼をしてやってきたわけですから、そういうものをさらに正確なものにしていくということについて、政府には努力をお願いをします。  そこで、お尋ねをしたい点は、三万六千五百反という昨年の協定数量でありますが、要するに三万六千五百反以上は入っちゃいけない、入れちゃいけないというのが協定数量というものの趣旨、こう考えますが、どうですか。
  85. 堺司

    ○堺説明員 川崎先生の御指摘のとおり、三万六千五百反以上は輸入しないということが約束になっております。
  86. 川崎寛治

    川崎委員 小委員先生方、皆さん方にも関心を持っていただきたいと思うのでありますが、お手元にあります資料でごらんいただきますと、商社番号を打っております。五十四年度、一、市田株式会社、二十七、田村駒というのがございますが、この両社で四万反を超すわけであります。そうしますと、いま審議官からも答弁ございましたように、三万六千五百反というのは二社ですでにオーバーしておる、そういう実態であります。そういたしますと、これを防いでいく、そして協定数量を実行させるということについては、両国政府にそれぞれ責任があると思います。  そこで、昨年来問題になっております特別ビザの問題でありますが、このことはかなめの問題だと思います。昨年の日韓の政府交渉においては実現を見なかったわけでありますが、近々開かれますことしの交渉においてはぜひ実現をしてほしいと思います。そのことについての政府側の交渉に当たる姿勢を伺わせていただきたいと思います。
  87. 堺司

    ○堺説明員 先生指摘のように、かねがねわが国に韓国から入っております大島つむぎの量が協定数量より多いのではないかという話がございまして、これはこの委員会でも御指摘を受け、かつ業界の方からも話があり、私どもの方といたしましては、韓国と交渉するたびに、その点につきましては大島つむぎの協定量以内で輸出するように、したがって現実にどのくらいの数字を大島つむぎとして対日輸出をしているか、その数量を日本側に通告してほしいということで、韓国側は原則として毎月私どもの方にその数字を通報してきております。    〔小委員長退席、渡辺(三)小委員長代理者席〕 具体的にその数字は、大体毎月二千八百反程度の対日輸出数量を韓国政府が通告してきておりまして、これを私ども集計いたしますと、三万六千五百反という協定の枠内に十分入り得る数字であるわけでございます。  ところが、本日ここに御提出になりました資料、すなわち矢野経済所究所で調査しました情報に基づきますと、明らかに相当量のものが入っているということでございまして、先生の御指摘のように、私ども従来から本件についてはまずジェトロの調査をいたしましたり、韓国政府の方から同様の情報を提供してもらって、何とか解明に努めたいというふうに思っておりながらそれを果たし得なかった、そういう状況から考えますと、大変貴重な資料ではないかというふうに考えております。通産省としても、大変興味深く拝見しておるところでございます。しかしながら、この個別データを拝見いたしますと、部分的にはかなり疑問なところもあるというふうに考えられますので、私どもとしては、できればこの詞査に当たりました矢野経済研究所の方から、調査方法なりその調査の根拠等伺いまして、通産省としても十分検討を加えて、これによって事態の究明に役立つものであれば活用させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、特別枠につきましては、いままで申し上げたような事情もございましたので、韓国側の方には特別ビザを出すことによって正確を期してほしいということを繰り返し強く申し入れをしておったところでございますけれども、技術的な問題等もございましで、必ずしも韓国側の方としては特別ビザ発給については同意をする段階には至っていないということでございまして、現状はそのようなことでございます。
  88. 川崎寛治

    川崎委員 それではいまのは弁解に終わって、ことしの交渉に当たって特別ビザ、つまり韓国の大島つむぎについてのビザについて、実現をしていこうという交渉の姿勢というのは出ていないわけですね。だから、技術的にむずかしいというので引っ込んでしまっている。それではいけないのであって、この調査の信憑性がどうのこうのと言って、そこを洗うことだけに政府側の力が入ったんでは伝統産業を守るという基本が崩れてしまうわけです。そうじゃなくて、それは貴重な資科だという認識があるわけですから、それを一つ前提に置きながら、政府としても確信を持つための手だてはしてもらう。しかし、いずれにしても、これは毎回ずっと問題になってきておるわけですから、このビザの問題についてはことしは実現する、そのことについての交渉に当たっての政府側の姿勢をここではっきりしておいてほしいと思うのです。
  89. 堺司

    ○堺説明員 御指摘のように、本件につきましては非常に重大な問題だということは私どもも皆さんと同様に強く認識しておるところでございまして、かねがね強く申し入れしておったところでもございますし、本年はこのような調査も出たことでもございますので、特に強く先方の方に申し入れをしたいというふうに考えております。何分交渉事でございますので、一〇〇%わが方の主張が通るかどうか、その点についてはここでお約束するというわけにもいきませんが、政府としては強く申し入れをしていきたいと考えております。
  90. 川崎寛治

    川崎委員 そういう強い姿勢で臨んでもらいますことを要望しておきたいと思います。  そこで輸入の方ですが、輸入業者がこの資料によりますと五十三社。陳情されたお二人の方の御意見によりますと、大体これが輸入商社のほとんどではないだろうか、こういうふうに言われておるわけです。そうしましたら、日韓の政府間で決まったこと、つまり協定数量以上入れちゃだめですよと、入っちゃいけないわけになりますからそのことについて輸入業者への行政指導がどう行われておるのか、どう実行さしておるのか。聞くところによると、かつて野口局長の時代に、大手の諸君に対しては、韓国産つむぎは輸入しないでくれという行政指導を、口頭によるそうですがやったという話でありますけれども、先ほど言いましたように、市田と田村駒という二社で四万反というのですから、協定数量を超しておる、こういう実情でありますので、この輸入業者に対する行政指導というのをひとつ厳しくやっていただきたい、こういうふうに思います。いかがですか。    〔渡辺(三)小委員長代理退席、小委員長着席〕
  91. 堺司

    ○堺説明員 いまお話がございましたように、かつて、私どもといたしましては商社を呼びまして、韓国からの輸入について慎重に対処するようにということで行政指導をいたしましたし、その精神は引き続き現在時点においても各商社とも遵守しているところでございます。ただ、協定数量以上の取引が行われているという声もありますので、私ども引き続き強く指導いたしたいと思っておりますが、御承知のように商社の数は大変ございまして、特に商社の個別的な取引、これにつきましては指導を徹底するということで一〇〇%万全を期するというわけにも必ずしもまいりませんし、かつ大島つむぎとその他のつむぎにつきまして区別がなかなか困難であるというような事情もございますので、いわゆる行政指導についてはもちろん私どもは全力を尽くしていたしますけれども、その成果について一〇〇%期待していただくということにつきましては、若干お約束しかねるというふうに思うわけでございます。
  92. 川崎寛治

    川崎委員 時間がないからこのことをずっとやっておれないのですが、逃げ道ばっかり探しちゃいかぬので、やはりやることについてはひとつ強くやってもらいたいというふうに希望しておきます。  そこで最後に、これは成田空港でブロ−カー四人が韓国産大島つむぎを偽装商標を織り込んで密輸入した事件があって、千葉県警保安課、新東京空港署、東京税関成田支署に摘発されているわけでありますが、すでに四月初めに送検されているわけでありますけれども、警察の方はきょうは来ていないと思うので、大蔵省の監視諌長の方が代表してこの問題について、相当悪質でありますから、関税法違反、商標法違反のこれらの問題を根絶をさせるということについての大蔵省としての扱ってきた問題点ですね、それから今後の姿勢、方針というものを伺いたいと思います。
  93. 奥田良彦

    ○奥田説明員 先生指摘のとおり、本年三月十五日に韓国から新東京国際空港に入国いたしました備豊成、これは鹿児島在住のつむぎのブローカーでございます。及び作数則、これは同じく鹿児島の製造加工業者でございますが、これらに対しまして私ども東京税関の成田税関支署の職員が携帯品検査をいたしましたところ、韓国産つむぎ百六十反を八本の柱状の巻き物にいたしまして、その上からナイロンのタフタ地を巻きまして偽装の上、携帯品申告書にはタフタ地四巻八万円というふうに記載いたしまして申告して、不正に輸入しようといたしましたところを発見し、関税法違反で調査を開始したわけでございます。  同じく本年の三月十八日でございましたが、新東京国際空港におきまして、畑野鉄城、これも同じく…
  94. 川崎寛治

    川崎委員 せっかくだけれどもちょつと時間がないんで、経過については改めてまた報告してもらうことにして、今後の対処についての姿勢を明確にしておいてください。
  95. 奥田良彦

    ○奥田説明員 そういうわけで、これにつきまして私ども先生指摘のとおり告発いたしまして、これは関税法の百九条違反、輸入禁制品を輸入したということで告発をしたわけでございます。  それにつきまして、現在、その過去の輸入についても調べておりますが、今後の対策につきましてはより効果的な携帯品検査を心がけるとともに、法律にこのように違反する行為につきましては、一層厳正に対処してやっていきたいと思っております。
  96. 川崎寛治

    川崎委員 終わります。
  97. 中村重光

    中村委員長 次に、中川嘉美君。
  98. 中川嘉美

    中川(嘉)小委員 まず、中江参考人に伺いたいと思います。  韓国における大島つむぎ等類似品の生産実態というものをどのように把握をしておられるか。  それから、先ほど小委員長からも冒頭に御発言ありましたけれども、生産数量について政府の把握している数量と異なっているわけですけれども、その原因について参考人としてはどのように考えておられるか、この点をお答えいただきたい。
  99. 中江実孝

    ○中江参考人 私の組合で、五十二年だったと思いますけれども、韓国へ調査団を派遣いたしまして、十九名でありましたが、主に技術者を中心として派遣したことがあります。そのときにいろいろ調査しましたら、先ほど申し上げましたとおり一万七千台の機があるのですが、その七割が稼働しているということであります。向こうの労働者はなかなか若い人々で能率が上がるので、生産期間というのは大体推定ができますので、それから勘案しましたら二十六万反くらいできておるという数字が出ているわけです。これは実態調査と申しますとなんですが、機の稼働の数から逆算して出した数字であります。これは最近、向こうのインフレの状況やなんかで幾ら減退しているといううわさも聞きますけれども、実態はさしたる違いはないんじゃないか、かように思います。
  100. 中川嘉美

    中川(嘉)小委員 時間の関係で次に進んでいきますが、流通上の問題点と今後の対応策、これについて伺いたいと思うのです。香港産のものが先ほどの御意見の中にあったようですが、韓国を通じて日本に入っておる、こういうふうに聞いておりますが、実態はどうか。また、総合商社がつくらしているということがジェトロの調査でわかっているということのようですけれども、これらのことについて何か御存じかどうか。  第二点として、日本で全部つくらないで、韓国に出して再び日本に持ってきて販売するというようなことが日本の国内でも行われていると聞いておりますが、品質的にも本場大島つむぎと判別できないような状態で売られているということに対しての御見解はどんなものか、この辺はいかがでしょうか。
  101. 中江実孝

    ○中江参考人 私の方で調査した段階では、京都の太秦というところに長く韓国つむぎを取り扱っている者がおりまして、これが上海あるいは香港に行き来をしているということと、それから私たち鹿児島の組合も私の組合も取引がある京都のいわゆる機の部品をつくっている高橋機料というものがございまして、これがしきりに自分が直接、おさというのがありますが、これを六十丁大阪空港に持ってきてくれと言うので、手渡して、どこに行くのかと言ったら、上海に行くのだ、こういう事実があるという情報を提供してもらっておりますので、それから考えますとやはり何らか動きがあるのではないか、かように思います。  もう一つは、韓国では余りつむぎの魅力がないので大きなもうけがない、それでこれからは新天地を開拓して、香港とかあるいは中国とかいうところに安い韓国の原料を出して加工して、これを日本に入れようという動きがある、これはまだ情報の程度でありますけれども、それやこれや考えますと油断がならない、韓国の問題の二の舞をしてもらっては困るというような気がいたしますので、先ほど御説明申し上げた次第でございます。
  102. 中川嘉美

    中川(嘉)小委員 嘉野参考人に伺いますが、この大島つむぎの生産地である鹿児島県で、「新しい躍進のために」と題する活路開拓報告書をまとめて真剣に取り組まれておられるようですが、その後どのようなことをされておられるか、この点についてちょっと伺いたい。
  103. 嘉野長夫

    嘉野参考人 昭和五十四年度の活路開拓事業としまして、本場大島つむぎの新しい需要の開拓調査ということを主眼にしました調査報告書を先般出しました。これはいままで問屋までが調査がいっておりますけれども、消費者にまで本当に本場大島つむぎの潜在的な需要がどれくらいあるだろうかというような調査が行われておりませんので、そういうような立場から、これは織研新聞社にお願いしまして、協力を得まして、そして京都の吉田光邦という先生を中心にいたしまして調査を進めております。したがいましてこの調査報告書に基づきまして、今後一般に根強い大島つむぎに対する需要がある、それに対応してどういう製品をつくっていったらいいかというようなことなどもあの調査報告には出ておりますので、それに対応しながら産地の指導をしていかなければいかぬ、こういうように考えております。
  104. 中川嘉美

    中川(嘉)小委員 同じく嘉野参考人にお伺いしますが、大島つむぎ生産に従事している人の高齢化が進んでいるようですけれども、今後の後継者の養成、こういったものをどういうふうに図っていくのか、また技術水準の低下ということを防ぐためにどのような方法をとられようとするのか、この二点についてお考えをお伺いします。
  105. 嘉野長夫

    嘉野参考人 後継者育成の問題につきましては、両産地ともに非常に大事な問題でございまして、私どもの方では本場大島つむぎ職業訓練校というものを昭和四十八年からつくりまして、現在七十数名が入って修業をしております。奄美産地におきましてもこの職業訓練校を近く発足させるというようなことでございます。  技術水準の向上につきましては、大島染織指導所を中心にしまして、また本場大島つむぎの連合会が中心になりまして、技術水準についての講習会などを毎年行ってきております。以上です。
  106. 中川嘉美

    中川(嘉)小委員 時間が限られておりますからあと一点にしたいと思いますが、この質問に対しては両参考人の御意見を一言ずつおっしゃっていただければいいと思います。  公明党は、中小企業救済の立場から、本年三月十三日に伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部改正案、これを衆議院に提出したわけですけれども、その内容は、ここ数年来韓国産つむぎなどの類似品が海外から流入をして、国内の中小零細企業、伝統的工芸品産業に多大な被害を与えているために、現行法の不備を是正しようとするものであるわけです。  具体的には、現行法に、第一点としては、類似商品を輸入する事業者に対して、原産地を表示したところの商品でなければ輸入してはならないということを命令することができるんだ。第二点としては、国内産業が多大な被害を受ける場合に輸入制限、それから関税率の引き上げなどの措置を講ずることができる。第三点としては、伝統的工芸品産業振興協会の業務内容として、伝統的工芸品の表示について指導あるいは助言を行うことができるんだ、こういう三点を新たにつけ加えたものであるわけですけれども、こういった改正案に対して何か御意見があれば、両参考人それぞれの御意見をこの際伺っておきたいと思います。
  107. 嘉野長夫

    嘉野参考人 このことにつきましては、私たち毎年陳情も申し上げている一項でございます。今度の場合はこれは一応外してございますけれども、これは根本的にはそうしていただきたい。これにつきましては、先ほど案も見せていただきまして非常に結構な案であると思います。そういったようなところで、政府与党あるいは野党各党がひとつ最大公約数をとっていただいて、りっばな案が −こういう問題が、韓国問題など本当にぴしゃっと法律でもって制限ができるようにやっていただきたいものだ、こういうように思っております。
  108. 中江実孝

    ○中江参考人 伝統的工芸品振興法は数年前にできましたが、これは国の伝統的工芸品産業の振興、保護を図る目的のために制定された法律だと思います。したがいまして、後進国あるいはその他の諸外国から同じようなものが来て、日本国内の従来の伝統的工芸品産業が大きな被害を受け、衰微の危険があるというような場合には、これに対して歯どめをかけてもらわなければ重点的な施策はできない、かように思いますので、そういう類似品が入ってきて国内の産業を侵す場合は、これに対して何らかの規制をやってもらいたい。したがいまして、先ほど見せていただきました案の内容は私たちの望むところであるということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  109. 中川嘉美

    中川(嘉)小委員 終わります。
  110. 中村重光

    中村委員長 次に、安田純治君。
  111. 安田純治

    安田(純)小委員 中江参考人でも嘉野参考人でもどちらでもよろしいんですけれども、先ほど通産側は、大島つむぎとその他のつむぎの区別がむずかしいというので、区別の商標指導などについてえらい技術的困難があるような答弁があったわけですけれども、そんなにむずかしいものでしょうか。お二人からお伺いします。
  112. 嘉野長夫

    嘉野参考人 この資料にございますように、先ほどもお答え申し上げましたが、九マルキとか七マルキとか五マルキとか、あるいは白大島、男物大島というような種類別になっておりますが、こういう九マルキ、七マルキ、五マルキといったような品種別は、ほかの村山とかそういったものにはございません。これは本場大島つむぎだけのものです。したがいまして、これはわれわれから考えましたら、取り扱い業者は、九マルキは幾らするもの、高いものだ、七マルキはそれより少し安い、五マルキはもっとさらに安い、こういうふうにはっきりしております。したがって、製造する過程における韓国側においてもはっきりわかっているはずなんです。ですから、これが税関のお役人の方々にはあるいは見分けがつかないということになるかもしれませんが、これを製造する人、それから輸入する人、輸出する人、この人たちにははっきりわかっている、こういうふうに思います。
  113. 安田純治

    安田(純)小委員 中江さんの御意見も同じですか。
  114. 中江実孝

    ○中江参考人 同じです。
  115. 安田純治

    安田(純)小委員 じゃ先ほど答弁された通産の方に伺いますけれども、いま参考人はこうおっしゃるのですが、区別は困難なんですか、役所の立場として。
  116. 堺司

    ○堺説明員 お答え申し上げます。  ただいま参考人もちょっと言っておりましたように、輸入するサイドで現物を並べて見た場合に、それが大島つむぎであるか、それともそうでないその他のつむぎであるかということの判別は非常にむずかしいというふうに開いております。
  117. 安田純治

    安田(純)小委員 そうしますと、参考人嘉野さんでよろしいのですけれども、いま役所の方ではそう言われたわけですな。なかなか区別は困難だ、いや区別はできるはずだ、こういうように製造する側、輸入する側の見方とお役所の見方と全く違うようでございますけれども、それについてこういうふうにすればいいんじゃないかという何かうまい御意見があれば伺いたいと思います。
  118. 嘉野長夫

    嘉野参考人 これはもう水かけ論になっては困ると思うのですが、われわれが調査したこの資料ですね、この資料を正直に受けとめていただいたら、これは輸入業者も輸出業者もはっきり本場大島つむぎはその他の村山とかそういったものとは区別している、これはもうはっきりしていると思います。そういうことを韓国側がおっしゃるなら言い逃れである、また日本側がおっしゃるのはこれはおかしい、私はそう思います。
  119. 安田純治

    安田(純)小委員 先ほどの川崎委員からの質疑の中でも、どうも言い逃れをしているんじゃないかというような意味のことが役所に対して出されましたけれども、私も先ほどから伺っておって、どうもそういう点で伝統的工芸品であるこの大島つむぎの維持、発展のために余り通産当局は熱心じゃないんじゃないかというような印象を、失礼ながら受けるわけであります。一生懸命努力しているとおっしゃるけれども、いま参考人がおっしゃるように本気になって調べればわかるんじゃないかということも言われますけれども、いかがでしょうか。  それからもう一つは、矢野経済研究所で調べられた中に疑問の点があるとおっしゃいますけれども、それはどこなんですか。
  120. 村田文男

    ○村田説明員 後者の点から申し上げますと、具体的な社名はインボイス統計でこざいますので控えさせていただきますけれども、ある数社のインボイス申告を当たってみましたところ、ここで出ております数字より、これは大島つむぎの数字として出ておりますが、それより広い範囲で私ども通関統計その他大島つむぎの分類はございませんで、つむぎ全般の分類がございますが、それよりも非常に多いというような数字も出ております。その辺を審議官の方から抽象的に申し上げたということでございます。月別の商社のインボイス続計でございますので、具体的には差し控えさせていただきます。
  121. 安田純治

    安田(純)小委員 もう一つ前の方の質問ですが、あれはどうなんですか。
  122. 村田文男

    ○村田説明員 区分の問題につきましては、確かに私ども、大島つむぎの定義というのはあくまでも締め機でつくったものということになっておりまして、製造工程から見れば明らかに区別できる、この点は間違いないと思っております。ただ、でき上がったものを行政ベースで、これはまた玄人がいろいろ風合いその他で判断する、これまた相当の確率をもってできると思っております。ただ韓国と三万六千五百反が守られているかどうかというような問題を議論するような場合には、行政ベースで一つの基準をつくりまして、それでやらぬといろいろトラブルが起こるということで、行政べ−スで区分するような基準がなかなかむずかしいということを申し上げたわけでございまして、区分不能だとかそういう点じゃございませんで、その点に関しましては、いま業界とも今後の交渉に備えましていろいろ詰めておるというのが現状でございます。
  123. 安田純治

    安田(純)小委員 与えられた時間が来ましたので、これで終わりますけれども、ぜひそういう点で.役所の方で、それは確かに外国との交渉でもありますし、あいまいな定義づけのまま交渉するわけにもいきませんでしょうし、そこによって調べる数字も違ってくるという点もございましょうから、いろいろむずかしい点はあると思うのですよ。しかし本気で伝統産業を守るということで、そういう立場からすれば調ぺられないことはないだろう。先ほど、この矢野経済研究所のレポートも、一応調査方法なども当たってみてフォローしたいようなことをおっしゃいましたけれども、至急にそういうようなことをやっていただいて、これは頭からこの矢野経済研究所の調査をまるのみして韓国と交渉できるかどうかは、果たして矢野経済研究所の言うことを外国政府が認めるかどうかの問題はありますから、それはおたくの方で早くフォローしていただいて、しっかりした数字をつかんでいただく。製造工程においてはもう明らかにわかると言うし、それから先ほどの参考人お話ですと、織物のプロである輸入業者もちゃんとわかるということをおっしゃっているのですね。役所がわからなくてもプロの業者はわかっているはずだということになりますと、本当にその人たちを調べると、その人たちがうそをついているということになるかどうかですね、はっきり言えば。ですから、プロの業者がわからないのなら別だけれども、プロならわかるのだということであればその人たちがうそをついているということになるわけですから、重大な問題だと思うのですね。  ですから、先ほど川崎委員も申されましたように、そういう点では本気になって、御存じのようにもう何年もやって、十反持ち込みを三反に規制する問題なんていろいろここでやりましたけれども、何年越し問題になっていることですね。このままいって、本当に大島つむぎが衰退してしまってからでは間に合わないわけですから、これはぜひ本気になって取り組んでいただきたいということを最後に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  124. 中村重光

    中村委員長 次に、中井洽君。
  125. 中井洽

    中井委員 私も最初に政府当局に、ただいまいただきました資料について大至急御調査をいただき、政府自体が確実な数字をきちっとつかんで私どもに御報告をいただく、このことをまず最初に御要望申し上げたいと思います。  両参考人、遠いところ御苦労さまでございます。  問題点はほとんど他の委員の皆さんから出られたものでありますから、一つだけお話をお聞かせいただきたいわけでありますが、実は個人事で恐縮なんですが、私どもの郷里は伊賀上野というところでございまして、帯締めを伝統産業としてやっておりまして、同じような問題で長年にわたって大変苦しんでまいりました。いま現実には糸差が一本につき二百円ぐらいでございますから、大体韓国産の価格と一割五分前後の違いということで、まあまあ何とか努力しながらやっているようでありますが、織物の場合には大変な糸差もあろうかと思います。そういう点も踏まえて、伝統産業の大島つむぎを守っていくあるいは発展させていくためにどういう御努力をなさっていらっしやるか、あるいはまたそういう努力の中で特に政府や政党に対して、いま御陳述のあった点は除いてどういう点をお望みになっているか、ざっくばらんにお開かせいただければありがたいと思います。
  126. 中江実孝

    ○中江参考人 やはり韓国は外国でありますので、私たちが思うようには政府当局もできないということはよく了解いたしております。したがって、韓国でそういうつむぎをつくるなとかいうことは言いませんので、要はやはり製品で競争する、消費者の側に立って優秀なものをつくってこれで競争していく。最初のころは韓国は約三分の一くらいの値段でございましたけれども、向こうの物価事情やインフレの問題等でかなり上がって、三分の二近くまでなっているものもあるようであります。  私の方の奄美の方について申し上げますと、御承知だろうと思いますがいわゆるどろ染め、どろあいが本命でありまして、これに集中徹底する。三十四年ごろまでは化学製品のものが多かったのでありますけれども、今日は九十何%どろ染め、どろあいで、しかも本マルキあるいは七マルキという高級品をつくらしております。したがって需要の側は、やはり本来の日本でできるものだということで、二、三年前と比べるとかなり売れぐあいも向上しているのは事実であります。したがって、やはり品質の向上で競争しなくちゃならぬという姿勢を崩してはいけない、かように思っております。
  127. 中井洽

    中井委員 そういう御努力の中で何か特に私どもに、たとえば労働力の問題とかいろいろな問題について御要望がございましたら、それを申してください。
  128. 中江実孝

    ○中江参考人 先ほど鹿児島の嘉野理事長からもお話がありましたが、向こうは四十八年度から職業訓練校をつくっておりますし、私のところはもっと早くつくったこともありますけれども、いろんな事情で失敗に終わったいきさつがありますので、ことしの四月からやはり事業所内職業訓練校をつくって、国、県、市の助成を仰ぎながら定員三十名でこの四月一日から発足いたしております。これは平均年齢が大体五十歳近くになっておりまして、ことに高齢化をいたしておりますので産地側としては重要な問題であります。御承知のとおり、奄美の振興特別措置法によって各町村でもそういう織工養成機関がすでに十幾つできておると思いますが、これらと相協力して織工の確保ということは成就していきたい。  それともうーつは、大島つむぎがいわゆるフォーマルなところへは余り着られないということで問題がありますので、ことしは私の方でいわゆる活路開拓事業と同じ内容で訪問着、こういうものを指導所あるいは特定の業者にお願いして試作する、そしてこれの開発、販売を図っていこう、かように考えておることもやっております。
  129. 中井洽

    中井委員 ありがとうございました。
  130. 中村重光

    中村委員長 以上で質疑は終わりました。  両参考人には御苦労さまでございました。お引き取りいただいて結構でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十分散会