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1980-04-17 第91回国会 衆議院 商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十七日(木曜日)     午後三時三十三分開議  出席委員   商工委員会    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 渡部 恒三君 理事 清水  勇君    理事 渡辺 三郎君 理事 近江巳記夫君    理事 神崎 敏雄君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       大塚 雄司君    粕谷  茂君       鴨田利太郎君    辻  英雄君       原田昇左右君    深谷 隆司君       水平 豊彦君    粟山  明君       上坂  昇君    中村 重光君       山本 幸一君    長田 武士君       木内 良明君    中川 嘉美君       森田 景一君    小林 政子君       安田 純治君   石炭対策特別委員会    委員長 岡田 利春君    理事 山崎  拓君 理事 山崎平八郎君    理事 中西 績介君 理事 権藤 恒夫君    理事 多田 光雄君       麻生 太郎君    野田  毅君       三原 朝雄君    渡辺 省一君       中村 重光君    鍛冶  清君       吉井 光照君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    尾島  巖君         通商産業省通商         政策局次長   真野  温君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件 石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律案内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 岡田利春

    岡田委員長 これより商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  商工委員長と協議の上、本日は私が委員長の職務を行います。  内閣提出石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案審査を行います。  昨日に引き続き質疑を行います。中西績介君。
  3. 中西績介

    中西委員 本法案質問に入る前に、まず代替エネルギー元年などと言われておりますけれども、大変重要な時期にあるだけに、この法案の中にも供給目標設定閣議決定を経なければならないとあります。ある程度国あるいは政府全体の発想になってはおりますけれども、従来のように政府各省庁間なわ張り争いなどがあるとすれば、この重要な時期に対応がおくれることになることは必定であります。したがって、通産省中心とした国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与できる組織体制がこの中で果たしてできておるかどうか、この点についてまず第一に大臣の所信を表明していただきたいと思います。
  4. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 エネルギー日本における重要性対策を急がなければならぬという、その必要性に関しましてはただいまお話しのとおりでございまして、それを進める上の一番の心がけというのは、何と申しましても政治の、各党の御協力であることは根本でございますが、言うなれば行政府あるいは学界、それから実業界、特に技術中心にした実業界等総力を挙げて進めるのが一番肝心だと思いますし、同時に立地問題とか省エネルギーとかいったような問題になりますと、国民の御理解が大変重要でございますから、この問題の重要性をあらゆるときあらゆる場所を通じまして国民に御理解いただくように努めるという、この二つの根本的な考え方が大変重要だというふうに考えまして、そういう点も考慮してこの機構問題ができておるというように御理解いただければありがたいと存じます。
  5. 中西績介

    中西委員 私が申し上げておるのは、いま言われる各政党なりあるいは行政府その他産業界なり国民理解、このことは当然でありますけれども、その中心に座る行政政府のあり方として一体的な取り組みができる体制に果たしてなっておるかどうか、この点をお聞きをしておるわけです。この点を明らかにしてください。
  6. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 行政府の中で特に問題があるとすれば、原子力行政とそれ以外の新エネルギーとの分担いかんという問題が一番気になるところでなかろうかと存じますけれども、この機構から原子力関係を除いたゆえんのものは、原子力の方は研究あるいは開発あるいは実用化等を通じまして体制がもうできておりますので、従来の体制強化すればそれでよろしいんじゃないかということで、行政的な権限の問題から言いますと原子力委員会が総括的にこれを統括いたしまして、あるいは安全問題でありますれば安全委員会が統括しております。そうして研究開発段階科学技術庁で受け持つ、実用段階通産省あるいは運輸省等がこれを担当する、こういうふうに区分も長い間かかりまして整理ができまして、その点に関しましては別に原子力関係各省間の摩擦云々ということは考えられません。それ以外の問題で、その他のエネルギーで、たとえばバイオマスなんというのはどちらかというと農林省関係が主じゃないのか、あるいはじんかいとかいうことになれば厚生省とかあるいは地方自治体等が主になっているんじゃないか、いろいろございますけれども、あるいは環境問題になりますと立地問題を主にして環境庁との関連いかんといった問題がありますけれども、その点に関しましてはそれぞれ各官庁間の連絡を密にするようにいろいろ仕組んでございまして、各省協力の上でこれを進めるようなことになっております。そして通産省資源エネルギー庁中心になりまして立案をし、その立案したものはそのままで通るわけではございませんので、それを関連各省閣僚が集まりまして関係閣僚会議というものをつくっておりまして、最後にここで仕上げすることになっておりますから、そういう意味では重複あるいは権限争いといったようなことはなしに、スムーズに進んでおるものと考えてございます。
  7. 中西績介

    中西委員 それぞれ行政の持つあるいは主管をする内容等についてはわかりますけれども、私が一番心配しておるのは、総力を挙げてやらなくてはならない時期に政府部内における意思統一なりあるいはそのような体制ができておらないということになりますと、これはまた絵にかいたもちになるわけでありますから、この点が本当に行政府一体的に取り組める体制に果たしてなっておるかどうかを大臣からお聞きしたいと思って質問をしておるわけです。この点をもう少し明らかにしてください。
  8. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いま申しましたような体制がすでにでき上がっておりまして、現在のところ行政官庁的には通産省資源エネルギー庁中核的な中心部隊となって進めておりまして、各省もそれに協力するという体制であることは間違いございませんので、いまのところは別に権限争いとかあるいは重複した云々とかいうことでなしに進めておるつもりでございます。
  9. 中西績介

    中西委員 いま大臣の御答弁によると、エネルギー庁が中核になって行政府としては協力体制ができ上がっておる、こういうことでありますから、この点は確認をしておきたいと思います。  そこで、本法案について逐次質問をしていきたいと思いますけれども、まず第一に原子力政府方針政策とこの法案とのかかわりについてどうなっているかを聞きただしたいと思っています。第二条の二号に石油代替エネルギーとして位置づけはされていますね、この中に入っています。そして第三条、「石油代替エネルギー供給目標」、この三項の中に、「通商産業大臣は、供給目標のうち原子力に係る部分については、内閣総理大臣の推進する原子力開発及び利用に関する基本的な政策について十分な配慮を払わなければならない。」こう記されていますね。この点からしますと、原子力については別個に通産大臣配慮を払わなければならない、こういうことでありますけれども、これは何を指しておるのか。
  10. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力に関しましては、開発であろうと研究あるいは実用であろうと、最終的には、基本的には原子力委員会という中立的な機関があることは御承知のとおりでございまして、原子力委員会そのもの総理の形式的には諮問機関でございますけれども、いわば実質的な決定機関のようになってございます。  そこで、原子力に関しましては、通産は主として実用炉を担当しておるのでございますけれども、この実用炉範囲規模等を決めるに際しましても、原子炉の使用する燃料あるいは使用済み燃料等をどうするかとか、将来の新型炉にどういうふうにかみ合わせていくか、これは研究開発と相関連した問題にもなってきますので、実用炉、だから通産省で決めればそれでよろしいというものじゃなしに、やはり通産省で決める場合でも原子力委員会にこれを付議して、そうして全般的な審査から可否を見ていただくというふうな仕組みにしているところでございます。
  11. 森山信吾

    森山(信)政府委員 原子力基本政策に関しまして、いま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますけれども、事務的に補足をさせていただきたいと存じます。中西先生から御指摘のございました第三条第三項におきまして、「通商産業大臣は、供給目標のうち原子力に係る部分については、内閣総理大臣の推進する原子力云々、この条文が具体的にどういうことを意味するかという御指摘でございますので、私から補足的に御説明させていただきたいと存じます。  これは供給目標通商産業大臣が決めるわけでございますけれども、具体的な供給目標の中には、原子力にかかわる部分、これは主として発電関係中心になろうかと思いますけれども、そういったものに関しまして供給目標を作成する場合には、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、原子力基本政策に関しましては内閣総理大臣現実には科学技術庁長官が所管をされますので、通商産業大臣だけが決めるという形よりも、基本問題を総合的に分担しておられます科学技術庁考え方十分配慮いたしまして通商産業大臣供給目標を決める、こういうような規定を第三条の中に織り込んだということが基本的な考えになっておるわけでございます。
  12. 中西績介

    中西委員 そういたしますと、今回の場合には原子力についてはここから除外をするというような質問者も昨日いましたし、それに対応する答弁もありましたけれども、内容的にはいま言うように、供給目標作成の場合に、原子力発電の問題についてはそういう目標を達成するに当たっては科技庁との関係だとか、先ほどから大臣の言っている原子力委員会の了解なりが必要だからここに入れておる、こういうことになるわけですね。そのように理解していいですか。
  13. 森山信吾

    森山(信)政府委員 通商産業大臣供給目標を決めるわけでございますので、その際に科学技術庁でとっておられます原子力基本政策と相反するようなことがあってはならない、こういう観点から、この条文では内閣総理大臣の推進する原子力に関する基本的な政策について十分配慮をしなければならないということでございまして、現実の問題としてはいろいろと科学技術庁と御相談をするということになろうかと思います。
  14. 中西績介

    中西委員 そうなってまいりますと、原子力問題についても一応今回の場合にはこの法案の中にこのような文句が入っておる。したがって、皆さんが示しておる長期計画の中にもありますように、将来的にはそういう柱として原子力位置づけながらこのエネルギー政策については推進していく、こういうように理解をしてよろしいですね。
  15. 森山信吾

    森山(信)政府委員 法文上の考え方を申し上げますと、一つはいまお話のございます供給目標というのがございまして、それを具体的に実施するための中核的機関といたしまして法文の後ろの方に出てまいります新エネルギー開発機構という、この二つ考え方で本法案が成り立っておるわけでございます。  まず第一の供給目標に関しましては、原子力を含めます供給目標ということを閣議の議を経た上で決めるわけでございますけれども、そのうちのどの代替エネルギー現実に推進するかということになりますと、新機構業務と関連してまいるわけでございますけれども、新機構業務の中からは原子力の推進に関する部分は除いてある、こういう構成になっておる次第でございます。
  16. 中西績介

    中西委員 したがって、いま言うように目標設定なり何なりについてはこれを含み、そして具体的な研究開発なり何なりについては原子力は別の機構の中でやる、こういうことを言っておるわけですね。  そこで、この論議ちょっとしにくくなるのですけれども、この中に入っていると、これは正面に立てていると思うのですが、一応そういうエネルギー目標設定の場合には入っていますから、この点について私はもう少しただしたいと思うのです。特に代替エネルギーとして。原子力なるものを位置づけをし、そして天然ガスなりあるいは石炭なりというようなものを一つの柱にしながら代替していくという、こういう方針になっていますね。このことはそのように理解してよろしいですか。
  17. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  18. 中西績介

    中西委員 そうなりますと、この原子力発電については多く問題が指摘されていますね。いろいろ論議されていることは御承知のとおりです。  それで、現在原子力発電が果たして代替エネルギーとして三本の柱の中に立ち得る状況にあるのかどうか、この点が一つの私は疑問点であるわけです。そこで、三本の柱という主柱とはなり得ないのではないかと思うのですが、第一にその安全性について説明をいただきたいと思うのです。たとえばそこで働いておる労働者被曝個人線量が現在どういう状況になっておるのか。そして修理なりは恐らく耐用年数が重なれば重なるほど、経過すればするほどそういう機会というのはだんだん新しいときよりも多くなることは私は必定だろうと思いますね。そうなってまいりますと、数はいまの計画からいきますと多くなるし、そしてその頻度は高くなってくるわけでありますから、そうなると、そこで今度は働く労働者なりあるいは修理をするために駆り出される労働者の数というのは非常に多くなってくる可能性があるわけですね。そうなってきたときに、この被曝線量が果たして抑制できるのかどうか、新しくどんどんつぎ込んでいく、そういうようなことで果たして解決できるかどうか、こういう問題が私は出てくるだろうと思います。しかもこれは年限がたってまいりますと、許容量を超えたりなんかして、隠しておったりなんかして、その結果その人がいろいろな合併症なり何なりを起こしてぐるという、障害が起こるという可能性だってあるわけですね。こういうことを考え合わしていった場合に果たしてできるかどうか、この点どうでしょうか。
  19. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 お答えいたします。  まず最初に一般的な安全性の問題でございますが、わが国で発電用原子炉として採用しておりますのは軽水炉でございますが、これは世界的に開発されてから二十四年の経験を持っておりまして、世界でも相当大規模開発実績運転経験を積んでおるわけでございます。そういう客観的な意味からいきまして、安全性が十分確保されている実用炉だと私たちは考えております。原子力発電所安全規制につきましては、原子炉等規制法及び電気事業法に基づきまして厳重に安全審査それから検査を実施しておりまして、さらに原子力安全委員会によるダブルチェックを受け、安全確保に万全を期しておるわけでございます。  それで安全に関する問題といたしましては、私どもといたしましてまず原子炉自体安全性確保ということが第一かと思います。その上で軽水炉運転実績を積み重ねていかなければいけない。稼働率よく安全に動かしてみせるということが安全の実証ではないか、こう考えております。そういう意味軽水炉の従来の運転経験に基づきまして、いろいろなトラブル、事故が起こっておりますが、そういうものが再発しないようにするということでの検討並びにその対策をとりつつあるわけでございます。また、安全研究実証試験におきましても、逐次日本原子力研究所なり原子力工学試験センター等におきましてその実証を図っておりますので、そういうものも着々と進んでおります。さらには従来建設または運転してまいりました経験を基礎といたしまして、日本型軽水炉というものの設計も進めておるわけでございます。そういうことで原子炉自体安全性というものを一層完全にしたい、こう考えております。  第二番目といたしましては、いわゆる安全審査または検査体制強化ということも考えておりまして、これは先ほど申し上げましたように、通産省安全審査をいたしますと同時にまた原子力安全委員会におけるダブルチェックもお願いして、そこでの審査もしていただいておるわけであります。  それから、第三番目におきましては、これはスリーマイルアイランドの教訓をもとにいたしまして、運転中の監視体制強化ということも考えなければならないと思っております。そこで、国の運転管理専門官を現地に派遣するとか、それから原子力発電所運転員資格制度導入するとか、またさらには品質保証体制を確立する、そういうことで運転体制そのもの強化させなければいけない、こう考えているわけでございます。  第二番目の問題といたしまして、原子力発電所定期点検時におきます作業員被曝線量がどんどんふえていくのではないか、こういう御質問でございますが、原子力発電所で働きます労働者安全確保につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、その事業者労働者の危険、健康障害防止等のための措置等、所要の措置を講ずるように決められておりまして、それに基づいて現在具体的に実施しております。  原子力発電所におきましては保安規定というのが決められておりまして、それに一日当たりの目安線量というのが決められております。そういうことで、三カ月三レムという法定線量をいかに遵守するかという方法について、各現場ごとにいろいろ工夫しているわけでございますが、そういうことで一般的な作業は安全は確保されておりますが、なお特殊作業ということがありまして、どうしても放射線の高いところで作業しないと修理等ができない、点検ができない、そういう場合には計画被曝線量というのを設定いたしまして、その範囲内にその被曝量を限定するということで、その場合その被曝管理を厳重にするようにいたしまして、この法定の三カ月三レム以内におさめるようにしているわけでございます。  それで、現在先生おっしゃいますように、年々総被曝線量増加しております。増加しておりますその原因を考えますと、一つは、先生おっしゃいますように、基数増加ということはこれは否めない事実でございますが、それよりもさらに増加原因になっておりますのが福島の第一、第三におきます応力腐食割れの配管取りかえ工事と、それから美浜の一号機におきます蒸気発生器点検、そういうものが非常に大きなウエートを持っておりますので、こういうような作業が終わりますればそれほど大きな増加というものはなく、また原状に復帰するのではないかと思います。  現在平均被曝線量は〇・三九レムでございます。そういうことで、われわれとしては、このレベルをさらに下げるように努力していきたい、こう考えておるわけでございます。
  20. 中西績介

    中西委員 時間がありませんからできるだけ簡単にお答えいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、いま聞いておりましても、これは討論する時間がありませんからはしょりますけれども、いずれにしても増加しておることは事実なんですね。増加原因は、いま言ったように基数増加があるだろうし、それからさらにこういう取りかえ工事なりいろんなことが、これから年限がたってくればくるほど多くなる可能性というのは当然でありますから、減少するという論理は成り立たぬのではないか、これは当然過ぎる理屈でありますから答えは求めません。  そこで、安全性の問題でもう一つだけお聞かせ願いたいと思いますのは、放射性廃棄物、この隔離処理、これは将来膨大なものになってくるわけだけれども、この点はどうなっていきますか。
  21. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 原子力発電所から発生いたします廃棄物には、低レベルのもの、中レベルのもの、高レベルのものとございますが、低レベルのものにつきましては、いまドラムかんに詰めましてサイト内に保管するという方法をとっております。中レベルのものにつきましてはタンクにおいて保存する。高レベルと申し上げましたけれども、実際は高レベルのものは原子力発電所からは出ませんで、使用済み燃料の中に含まれておりますので、再処理工場において再処理したときに出てくるということに相なります。
  22. 中西績介

    中西委員 そうしますと。低レベルもの等について、たとえばドラムかんで保管をするわけでありますけれども、そうなってまいりますと捨てるわけにはいかぬからどこかに置かなくてはならぬわけです。また、拡散するわけにはいかぬわけですから、そうしました場合に数が膨大になってくる可能性というのは論をまたないわけです。そうなってきたときに、果たして中レベルまで含んでタンクにあるいはドラムかんにということでこれが処理できるかどうかという問題が将来的に出てくる可能性があるわけです。だから、海の底に沈めようかという話になってくるのですが、これは大変危険であります。そういう点を合わせまして、再処理だってずいぶん危険なもので、いまいろいろ問題が出ているわけですから、やはりこういう点について非常に困難だということを率直に認めなくてはならない時期に来ているのではないか、私はこう思うのですが、どうでしょう。
  23. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 低レベル放射線廃棄物につきましては、先ほど先生おっしゃいますように海洋投棄方法もいま開発中でございますし、近くその試験投棄をしたいと考えております。また、陸上処分ということも考えておりまして、放射線廃棄物というのを公衆から隔離するということが一つ、それから時間をかせぐといいますか、長時間にわたってそれを保存するという二つの問題がございまして、それを完全にいたしますと普通の物質になってしまうわけでございますので、そういう方法につきまして今後ともいろいろな方法ができると思います。  また、再処理につきましては、これは英国またはフランスにおきまして実際に再処理が実施されております。そういう例をとりましても、放射線廃棄物またはその再処理事業につきましては、それほど問題はないのではないか、こう考えておるわけでございます。
  24. 中西績介

    中西委員 いま言われましたように、長年保存することによって影響がなくなるというのだけれども、その年限というのは私にはとうてい推測できない年限を要するわけでございますから、先ほど私が指摘したように、多くの問題がこの中にはそのまま残っているし、再処理問題についても英国あるいはフランスあたりでやられておると言いますけれども、その中身は大変多くの問題を含んでおるだけに、この点についてはさらに再検討を要するのではないかと思います。  この点についてもう一つ最後に、安全にかかわる資料を全面公開するということが私は必要だと思いますね。特にいままでの状況からいたしますと、原子力基本法による公開の原則が、たとえば企業秘密だとかいろいろなことを理由にいたしまして崩れつつあるのではないか。この点はやはりこれからのエネルギーというものは、ただ単に行政なりあるいは企業そのものが有するのではなしに、国民的なものとしてどうするかということを発想しなければならぬわけですから、その非常に重要な時期にこういう面についてはこれからどうされるのか、この点お答えいただきたいと思います。
  25. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 原子力開発につきましては、原子力基本法に基づきまして、民主、自主、公開の原則に基づいて行うということで、これは昭和三十一年以降続けられてきたことでございます。ただその公開の仕方につきましてはいろいろな見解もございまして、いままでいろいろな議論を呼んでいたわけでございますけれども、現在は安全審査に提出いたしました資料はすべて公開されております。そういうことで、何しろ国民の皆様方の協力と御理解がなければできないわけでございますので、そういう意味で、安全に関する資料はできるだけ広く国民の目に触れて、御理解をいただくようにいたしていきたい、こう考えております。
  26. 中西績介

    中西委員 安全資料については公開されておると言いますけれども、こういうものこそ国民の参加によるあるいはその地域の多くの皆さんがいろいろ研究されたそういうものも含めて、一方的なものでなしに、そういうものを十分取り入れた中で、こういう点については将来的には明らかにしながらやるということでなければ、一方的なものでは公開されたということにはならないのではないかと思いますけれども、この点はどうですか。
  27. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 通産省におきまして安全審査をいたしました結果につきましては、原子力安全委員会ダブルチェックしていただくわけでございますが、原子力安全委員会におきましては、私たちの安全審査の内容をその所在地域に公開いたしまして、公開ヒヤリングを実施いたしまして、われわれの安全審査についていろいろと疑問の点、それから御意見等々をその場において言っていただく、それを参酌の上、安全委員会においてそのチェックの結果をお出しいただくということにしておりますので、そういう意味でなるべく広く多くの方々からその安全についての御提言を承りたい、こう考えておるわけでございます。
  28. 中西績介

    中西委員 しかし、この前開かれました公聴会などにおきましてもやはり多くの問題を残していますね。ですから、こういうことが当然のように行われるということになりますと、将来的にはいま言う公開ヒヤリングをし、ダブルチェックをしているから問題はないのだ、こういうことにはならないだろうと私は思うのです。ですから、この点はあわせて、将来的なものでありますから、安全性については十分気をつけなければならぬし、そしてさらにもう少し一歩踏み込んで、できるという前提であれば何でもできるわけですから、そこを疑問視し、問題を提起するという立場に立ってこのことを処理していくということにならぬと、こういう問題については完全な討論なりあるいは内容のチェックにはならないわけですから、そういう方向でこれはやるべきだと思います。答弁は求めません。  次に経済性の問題について簡単にお答えいただきたいと思います。特に稼働率と設備利用率を見てみますと、きわめて低くなっておるのではないかと思います。特に五年以降になりますと急速に悪化をしますし、そういう点からいたしますと利用率は大変落ちておるのではないかと考えます。ということになると、エネルギー収支は当然プラスにはならないだろう、こういうことが想定されるわけです。この点についてひとつお答えをいただきたいということと、もう一つは、コストの上で果たしてこれはペイするかどうか、さらにまた三つ目に、ウラン鉱石の資源として、果たしていま計画されているようなことが持続できる条件があるのかどうか、この点について。
  29. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 まず稼働率の点からお答えいたします。  五十四年度の稼働率は五四・六%でございます。五十三年度が五六・七%でございますので、若干下回った状況にございます。その原因を考えますと、美浜の一号機、二号機、それから福島の一号機、二号機という特定の原子力発電所稼働率が低いという点が指摘されようかと思います。そういう意味で、その特定の原子力発電所の問題が解決できますれば、それ以外の原子力発電所につきましては、六〇%台または相当高い稼働率を出しているものもございますので、いずれそういうようになっていくのではないかというふうに期待しておるわけでございます。  それから、原子力発電の経済性の問題でございますけれども、これは、各発電所につきまして個々の事情がございまして、計算するのは非常にむずかしいわけでございますが、これまた火力発電所と比べるのもむずかしいわけでございますが、標準的な発電所の建設というのを想定いたしまして、それで考えてみたわけでございます。稼働率七〇%ということで考えますと、一キロワットアワー当たり七円から八円程度、同じく石油火力につきまして想定した場合にも十一円程度、そういうことでかなり割り安というふうに考えるわけでございます。そこで、稼働率が七〇%の場合の想定でございましたが、稼働率をもっと下げてみるというようなことの試算もいたしましたが、それにつきましても、五〇%の稼働率におきましてもやはり原子力の優位性というのはあらわれているようでございます。これはやはり燃料費というのが原子力の場合には約二割から三割ということでございますし、石油火力の場合は七割ということから言って、燃料費に対するコストプッシュが弱いのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、ウランの需給状況、それから濃縮ウランの問題につきましても、現在ウランは需給状況が若干横ばい、さして緊迫した状態にはなっておりませんので、いまの状況としては非常に良好ではないかと思いますし、また、ウランは原子力発電以外には使えませんので、そういう意味ではウラン市況というのは安定して推移するのではないか、こう想定しております。
  30. 中西績介

    中西委員 いま言われました五四・六%についても、新しいもの、それから一定の耐用年数を経過したもの、そういうものによってうんと差が出てくると思うのですね、ただ単に平均単純方式でなしに。そうすると、たくさんの数を持つようになり、それが経過年数を経ることによって利用率はどんどん下がっていくと思うのですよ。そういうことになってきたときには、いま言うようにもとに返るなんという甘い推計ができるとは思われませんね。しかももう一つは、いまあなたが言われましたコスト上の問題等につきましても、ウランの価格についてはものすごく高騰しているわけでしょう。いつの時期をとって、このような七〇%稼働で七円あるいは八円、こういうようなことをやっておるのか。少なくとも七〇%なんというのはとうてい出てくる可能性というのはいままでの条件からすると出てこないわけです。しかも、こうしてどんどんウランの価格というのは上がってくるわけでありますから、第一次石油ショック以前にこれを見た場合には六ドルないし七ドルくらいのものが、今日では一ポンド五十ドル以上になってきているわけですね。そういうことを考え合わせてまいりますと、じゃ果たしてこれがコスト上どうなのかということ、そして、しかもウラン資源等についても、いま言われましたけれども多くの問題が各国で派生をしておる、そういうことを考え合わせていくと、果たしていま言うようなことが言えるかどうかというのを大変疑問視するわけですね。この点どうでしょう。
  31. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 最初稼働率の件でございますが、先生おっしゃいますように三、四年たつと急に稼働率が落ちる、そういう傾向には現在のところございません。先ほど申し上げましたように非常に特定の原因によって落ちておるわけでございまして、一般的にどの発電所におきましても四年、五年でもってすべて稼働率が落ちるという状況にはなっておりません。たとえば玄海、伊方それから島根というような原子力発電所におきましては非常に良好な運転状況にございます。そういうことで、原子炉個々の事情というものがございますので、一般的な話としてもう原子力発電所はだめだというふうにはちょっと私は考えておらないわけでございます。  それからウラン燃料の動向でございますが、先生おっしゃいますように昭和四十七年ごろはポンド当たり六ドルでございましたけれども、現在四十ドル程度でございます。しかし、油の問題に比べますとその高騰傾向はそうでもございませんし、最近のウラン市況は安定した状況にあるというふうに聞いておりますので、ウラン燃料というのは油とはまた違った、安定した要素というものを持っておるのではないか、こう思っております。
  32. 中西績介

    中西委員 それではお聞きしますけれども、条件がよろしいということだけをずっと列挙されたんですけれども、そうなってまいりますと原子力発電開発が減少し始めているのはどういうことなんですか。世界的にもこれがずっと減少しつつあるという状況はなぜ起こってくるのか。あなたが言われるようにすべてが順調ですべてがよろしいということになってくればどんどん開発されていくのが当然でしょう。そこはどうなんですか。
  33. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 日本におきましてはただいま千五百万キロワット運転をしておりますけれども、さらに千三百万キロワット程度のものが着工または着工準備中という状況にございます。そういう意味でいきますと、ほかの外国に比べて、フランスを除きましてまあまあ順調に進んでいる方ではないか、こう考えております。フランスにおきましては、これはもう国家計画といたしまして非常に大幅に原子力をやっておりますし、よその国におきましても、確かに先生おっしゃいますように一般的にテンポが落ちております。これはいろいろ、需要の減退ということもありましょうし、また立地難ということもございましょうし、そういうことでテンポは落ちておりますけれども、どこの国を見ましても原子力発電について力を入れておるということで、わが国だけが非常に原子力に力を入れているというふうには思っておらないわけでございます。
  34. 中西績介

    中西委員 原子力発電開発がテンポが落ちておる、その理由は立地的な条件だとかいろいろなことを申されておりますけれども、これはもう当然のことであって、このようにペースが落ちておるということの意味をやはりとらえておく必要があるのではないか。いま言われるように、これをどこに持っていっても拒否をされるというようなことになれば、じゃなぜ拒否をするかということになると、いま言う安全性からいろいろな問題がすべて出てくる。そうすると、それを補うとすれば、その立地条件を満たすために今度はペイしないような、いろいろな補償から全部やらなくちゃならぬということにだってなってくるわけでしょう。日本の場合そうでしょう。ですから、そういうことから考え合わせてみますと、この。原子力発電というのは、すでに三本の柱に長期にわたる展望からするならなり得ない条件があるんだということを十分認識をしながらやっていかないと、この長期エネルギー政策というのは成功しないのではないか、私はこう考えておるわけなんですね。この点はもう一度考え直す必要があると思うのです。その点、大臣どうでしょう。
  35. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 スリーマイルアイランドの問題等で一時は建設が米国のようにとだえたところもございますけれども、御承知のようにこれも去年の十二月にカーター大統領が半年以内に再開するということで、今度は大変なスピードで進めると思います。ソ連まさしくしかり、英国ですら軽水炉をやろうというのでいままでのガスクーリングを改めまして、北海石油を持っているにもかかわりませず去年の十二月には閣議決定をして変わってきた、フランスはもちろんですが、ドイツなどもいままで大変なピッチで進んでいるわけで、ドイツの大臣連中に聞きますと、何で一体ビブリスなんてあんな世界一の発電炉を持っておって反対運動が起こるのかというと、ドイツの反対運動の理由は違うんでした。核武装する手段として使うのじゃないかというのが反対の最大の理由で、炉自体が危ないからどうという運動じゃございませんという主張でございました。ごく最近参ったドイツの大臣連中のお話ですから間違いないと思います。  そういうことで、IEAにおきましてもあるいはサミット会議におきましても、原子力を主力でやっていこうということは、もうこれは先進国の共通した認識でありまして、お話しのように危ないからやめるという、それはそういう点もありますけれども、なぜ原子炉に対して皆希望を持ち、これを進めるかといいますと、根本はやはりいまの軽水炉系統の循環で言いますとファストブリーダーであることは間違いございません。高速増殖炉の時代もやがてまいりますけれども、これになりますと、軽水炉使用済み燃料を再処理してプルトニウムをつくる、それがファストブリーダーになりますと、自分の、俗に言えば燃やしたそのエネルギーよりも新しくつくるエネルギーの方が多いのですから、石炭とか油と違って灰になるわけじゃなくて、みずから燃えながらエネルギーを新しくつくっていくわけですから、しかもその量は燃やした自分の量よりも多い、いわばそういう非常に魅力に富む一つの循環を経るわけでございますので、何とかして日本のようにエネルギー資源のない国では、いわば準国産としてみずからのエネルギーを自分でつくり上げていこう、こういうのが初期、二十数年前われわれが着手したときからの願望でもございますので、その面で進んでおるわけでございます。さきおととしたまたまカーター大統領が出まして、再処理あるいは濃縮ウラン等に対して平和利用と武器等戦時利用と申しますか、両立しないという働きかけで一時は大変苦しくなりましたけれども、去年の長い間のINFCEのヨーロッパの会議等でこれも解決いたし。まして、そういう点に対する懸念はなくなってまいりましたので、これからは恐らくどんどん進んでいくものと思います。でございますから、一時ちょっと落ちているという現象のみをとらえて、恐らく、原子力発電あるいは増殖炉等は世界的にはもうやらぬだろうという観測は私は大変誤っているのではなかろうかと思います。
  36. 中西績介

    中西委員 いま大臣にお答えいただきましたけれども、私はここでは言わなかったけれども、核兵器問題が一つありますね。これについてはここでは触れません。しかし、いずれにいたしましても将来的な問題として、このことが一つの明るい星としてなんというようなことにはなり得ない。この点は意見が違うけれども、これを柱とすることの誤りを私はここで指摘をしておきたいと思います。  そしてさらにまた、安全ということだけでなしに、二点目に申し上げました収支が償うかどうかという問題についても、将来的にはこの点が必ず問題になってくるところですから、私はこれを一方的に容認することはできません。  この点については時間が過ぎましたのでこれで打ち切りますけれども、次に、第十一条から十三条までに新エネルギー総合開発機構を設立するようになっておりまして、その十四条にこの機構の資本金が示されています。四十七億については、昨日海外炭の探鉱融資だとかあるいは債務保証だとか地熱関係その他ということで四十七億の説明がありましたけれども、石炭合理化事業団に対する政府の出資金、この点がどうなっておるのか。  そして三番目に「政府以外の者が出資する金額」とありますけれども、これはどのようになっておるのか。この点について。
  37. 尾島巖

    ○尾島政府委員 第十四条の第一項第二号には、「附則第七条第四項の規定により政府から出資があったものとされた金額」をもって資本金といたしております。この附則の方をごらんいただければおわかりと思いますが、これは石炭鉱業合理化事業団に政府が出資したものをこの新機構が設立時に承継される分でございまして、約千三百五十億くらいということでございます。くらいと申し上げましたのは、この新機構が十月一日に発足いたしますけれども、政府から出資された額がその時点で確定されるからでございます。  それから第三号におきまして「政府以外の者が出資する金額」ということになっておりますが、これは民間からの出資を期待して、それを受け入れることができる規定を置いておるわけでございます。きのうもそのお話が出ましたけれども、民間に対しましては、政府機構設立準備のために必要な出資額として六億出しておりますが、これに見合うような金額をわれわれとしては期待いたしておるわけでございます。
  38. 中西績介

    中西委員 この点については時間がありませんからもう打ち切りますけれども、いずれにしても民間側のいろいろな参加を求めるという意味でこれをもくろんでおるわけでありますから、この点についてはさらに出資する額なんかについても十分な検討を重ねておいていただきたいと思います。  それから次に、新機構につきましては、いま問われておる新エネルギー総合開発機構になり得るかどうかということに私は疑問を持っています。なぜかといいますと、第一に、これを設立するに当たっての発想は、皆さんが一定の方向性を持って新エネルギー総合開発機構なるものをつくり出そうとしたけれども、途中から、昨日もちょっと論議がありましたけれども、行政改革、これとの相乗りになっておることは否めない事実ですね。そうなってまいりますと、この石炭鉱業合理化事業団がそのまま入ってくるわけでありますから、結局はこの後の日本地熱資源開発促進センターな、とも含めて全部相乗りみたいなかっこうになってしまう。すると当初予定をした部分が薄まる可能性というものが出てくるんじゃないか、私はこういうことを想定するわけなんですけれども、この点についてはどうでしょう。
  39. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、新しい機構をつくります問題と行政改革という問題が二つの大きな課題として調和を図られる必要性に迫られたわけでございまして、いま御審議いただいております法案は、御承知のとおり石炭合理化事業団を改廃いたしまして新機構にさせていただきたいということでございます。これは御都合主義によってそうなったという考え方ではございませんで、いま御指摘の、たとえば石炭あるいは地熱等につきまして総合的に代替エネルギーとしての開発を推進するために必要だという観点から、たまたま行政改革の要請も取り入れましてそういう配慮をしたわけでございまして、それを取り入れることによりまして新機構業務が薄まるかということになりますと、私どもは決してそうではないという考え方でございまして、むしろそこに集約された方がより効率的な運営が行われるんではないかという判断のもとに、いま御審議いただいている法案を提出させていただいたという実情でございます。
  40. 中西績介

    中西委員 この問題については、従来からやっておる石炭合理化事業団なら事業団、そしていま海外炭の開発なりいろいろ手がけようとしていますね。さらにまた、この研究開発についても、こういう問題等につきましてある程度そこに集中したと言えば大変いいようですけれども、果たしてそれがそのように集中したことになったのかどうかということを私は疑問視するわけなんですね。むしろこの行政改革というのは、行政としてあるべき姿としては内容的に高まらなければならぬ性格のものなんですね。しかし、今度通産省内におけるただ一つの数を合わせる問題としてこれが取り上げられたやの状況にあるんじゃないか、私はそういうことを感じるわけなんです。ということになってまいりますと、むしろ入ってきたことが今度は効果を上げる、効率をよくするという方向性でなくて、逆の目に出るということは当然過ぎる中身だろうと私は思うのですね。  なぜ私はそのことを主張するかというと、この目的のところを見ていただきますと、前半にはこの技術開発、これを目的として出されています。それで後半になってまいりますと、地熱資源のセンターなりあるいは海外炭開発助成、これをすることによって合理化事業団を云々という、こういうもので、文書の量で私は言っているわけじゃないですけれども、そうすることによって一番本来の、これから重要視しなくてはならない技術開発、そういう面が機構をつくった場合にある程度の数が流れ込んでくるということが、行政改革によって一定の行政組織の中で人員が限定をされるために、それが入ってくると、肝心のこういうような技術開発なり何なりを促進をしていく中核的な役割りを示さなくてはならないその部分が、結果的に数の上で薄められる。どうしても制限を受ける可能性だって出てくると私は思うのですね。そういう点を私は非常に危惧しているわけです。ですから、むしろ事業団は事業団としてあって、ここでもって新たにし、先ほど大臣の説明あるいは答弁がありましたように、いままさにエネルギー庁が中核になって協力体制をしいていき、行政組織を全体的にこれに集中するという、こういう状況に本格的にあるなら、わざわざこういうものをそこにくっつける必要もなかったんではないか、こういうように私は考えるわけなんですね。この点どうでしょう。
  41. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもが御審議いただいております法案の中で期待いたしておりますことは、新エネルギー総合開発機構がすべての代替エネルギー開発につきまして実施をするということではないわけでございまして、端的に申し上げますと、資源開発あるいは技術開発のうちで、特に企業化を促進する必要があるものにつきましての技術開発を行うということでございます。もちろん代替エネルギー開発というのは広い分野で行われるべき性格のものでございまして、基礎研究から事業の実施、実用化という段階までいろいろあるわけでございますけれども、その中の企業化を特に推進する必要がある、つまりデベロップメントのところに重点を置いた機能をこの新機構に与えさしていただきたいというわけでございまして、先ほどお話のございました地熱センター等につきましても、そういった機能を持っておる分野につきましてはこの機構でやっていただくのが集約することになるんではないかということでございまして、すべてのものをここの中に集約的に集めるということではなく、そういった関係のうちの、新機構がねらいとする分野は一元的に実施することが必要なんではないか、そういう意味で吸収をさしていただきたいということを考えているわけでございます。
  42. 中西績介

    中西委員 ですから、そういう機構なりあるいはそういう一つの組織というものを考えてみた場合には、数が限定をされるという一つの条件があるわけですよ、行政改革面から言うなら。そうでしょう。そのことと無関係にこれをやったわけじゃないですよ。行政改革によって一つ事業団をつぶして片一方に移行するわけでしょう。そうすると、いままであるものと、それから今度新たにこの新しい機構が目指すものとがあるわけですよ。それは当然でしょう。そうなったときに、いままであるものは当然必要だというならそこに置いておいて、そして新たにここでもって強力なものをつくり上げていくというのが普通の考え方なんですよ。不必要であるならば私はつぶしてよろしいと思いますよ。たとえば石炭合理化事業団なるものが不必要だというなら、これはもうつぶしちゃっても結構だと私は思います。しかし、必要だから今度はまたこの中に統合するというこういう感覚になったわけなんですよ。という場合に、この機構なりの人員なりあるいは組織というのは、制限がなければいいけれども、ある。ということになれば、一つのものが入り込んできてでき上がった組織というのは、どうしてもやはりそこを制限をするということになるのはこれは当然なんですよ。片一方制限なしに、あなたたちが企画をされた際にそれは結構ですということになれば、それでよろしい。これであなたたちは満足をしておるということなんですか。将来的にはそういうことはもう必要ありません、機構の拡大とかなんとかということは余りもう必要ありません、こういうことなんですか。どうですか。
  43. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもの立場から申し上げますと、新しい機構というものをつくり上げていきたいということで、予算要求の段階では別個の観点で要求をしたわけでございます。ところが、御承知のとおり五十五年は代替エネルギー元年と言いつつも、別途の次元では行政改革の年でもある。これは内閣として、エネルギー対策行政改革というのは二つの目玉という考え方があったんだろうと思います。そこで、その政策課題をいかに調和させていくかという問題が現実の問題としてあったわけでございまして、いま御指摘のとおり、行政改革という観点を全然離れますと、いま先生のおっしゃるとおりのことが必要ではなかったかと思うわけでございますけれども、二つの課題を満足させる最大の配慮がいまの形になったんではないかというふうに考えるわけでございまして、将来この機構をいまのままでいいかということになりますと、決してそうではないという期待を私どもは持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  44. 中西績介

    中西委員 私は、機構なり何なりがただ肥大化すればそれでよろしいと言っているわけじゃありません。しかし、いずれにしてもそこら辺がやはり明確にされて本格的にやらなければならぬ。特にエネルギー問題については、これから以降は私は、先ほど指摘をした原子力だとかあるいは石炭だとかあるいは天然ガスだとか、こういう三本柱でなしに、まだまだ広い視野でそういうものが拡大をされていかなくちゃならぬ、そういう時期になってきたときに、いまあなたは企業化する場合に取り扱うだけだからと言うけれども、やはりこれらの問題について指導なり何なりが適切に行われていくということが必要なんですよ。これは野方図にしているわけじゃありません。そういうときにこの機構がその機能を発揮しなければならぬということになるわけです。したがってそういう場合に、少なくともこの重要な時期であるだけに、いまあなたがおっしゃったように、きのうもちょっと言っておりましたけれども、行政管理庁の皆さんの場合それ一本でやるわけでしょう。そういう人たちは他のエネルギーだとかなんとかは頭にないのですよ。そこにいま日本行政機構の問題があるわけですから、そういうことになったときに、エネルギー問題については本当にこのエネルギー庁なりが中核になってやっていく上について、将来的にこれがどれだけ必要かということが問われておるわけですからね。そういうときであるだけにこの点が大変お粗末ではなかったか、私はこういう感じがしてなりません。そのことを私は指摘しているわけですよ。この点はやはりどんなことがあっても引かないという態度で臨んでほしかったし、当初あなたたちがねらうようなこと、さらにそれよりも拡大されたものがあってもよろしかったと私は思うのです、人員は別にしましても。今回の場合にはやはりそういうものを皆さんに提起していただければよかったと私は思っているわけです。そういう意味で、この点は行政改革と重なり合ったということは将来に大変多くの問題を禍根として残すのではないか、こう私は考えておるわけです。この点、そうは思いませんか。
  45. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大変私どもにとって力強い応援をしていただいたような気持ちでございまして感謝を申し上げたいと存じますけれども、先ほど申し上げましたとおり、行政改革というものも国民経済にとりまして大変重要な問題であるということも私どもも認識したわけでございます。  そこで、とんでもない公社、公団と私どもがねらったものがくっつけられたということになりますと、まさに御指摘のとおりではなかろうかと思うわけでございますけれども、国内資源の開発石炭の地位というものはきわめて大きいという認識がございますから、そういう観点で見ますと、石炭鉱業合理化事業団とこの新エネルギー機構とはいわば身内同士というような考え方でございますので、その身内同士が結合するということは大変結構ではないかということでございまして、いま先生の御指摘はむしろ運営をしっかりやれというような御指摘ではないかというふうに理解いたしますので、そういうふうにがんばらせていただきたいと思います。よろしく御配慮のほどをお願いいたします。
  46. 中西績介

    中西委員 論議は平行線で、ちっともいま言うようなことじゃありません。私はそういうたぐいの論議をしているわけじゃありません。この点は将来的に必ず問題が残っていく、このことを指摘をして私はこの論議は終わりにします。  次に、運営委員会の組織問題につきまして、委・員の資格と申しますか、こういうものについてはどのように配分をしていくつもりなのか。たとえばいままでなら供給部門の代表だとかあるいは需要部門の代表だとか、学識経験者だとか、こういう人を中心に据えて配置をしていったのではないかと思いますけれども、やはり今回の場合にもそういうことですか。
  47. 尾島巖

    ○尾島政府委員 運営委員会の人選につきましては、非常に広い視野を持つ有識者を糾合いたしましてこの新機構の運営に万全を期さなければいけない、こういうふうに思っておりますが、いま先生が御指摘のように、ある分野から何名というようなことについてはまだ決めておりません。ただ、われわれといたしましては、学識経験者と申しますか、この新機構技術開発なり資源開発につきまして非常に広い視野と知識を持っておられる先生方を中心にいたしまして、あと技術開発の面あるいはユーザーの面等を配慮して慎重に人選をいたしたい、こういうふうに思っております。
  48. 中西績介

    中西委員 そうしますと、たとえばこの場合にはまだ決定していないし慎重にやりたいということだけれども、広い見識ということでもって消費者なら消費者の代表だとかあるいはその部門で働いておる労働者だとか、さらにまた先ほどから長官が言っておる石炭とのかかわりが非常に深いのでというようなことでもって石炭だとか、こういうところあたりが考えられていきますか。
  49. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほど担当の尾島審議官からお答え申し上げましたとおり、この運営委員会の機能というものは大変重要なものでございますから、この人選に慎重を期さなくちゃならぬということでございまして、まだ法案御審議の最中でございますから、私ども具体的な人選を進める段階に至っておりませんけれども、できるだけ幅広い分野から人選を進めていきたいという基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  50. 中西績介

    中西委員 この点は先ほども申し上げましたように、エネルギー国民のものであるという認識に立った上でやるということが大変重要ではないかと思いますので、この点はそのように配慮をすべきではないか、こう思います。  その後の、監事は二人以内ということになっているのに一人にした理由がちょっとわからないのです。これが一つ。  それから、時間がありませんから、その後の方の附則の十八条になりますけれども、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正として、二十六条の二、三十六条の十四、この規定を削除するとありますけれども、削除する理由がわかりません。したがって、この点どうでしょうか。
  51. 尾島巖

    ○尾島政府委員 監事を一人というお話でございますけれども、この法案におきましては「監事二人以内」というふうになっておるわけでございます。ただ、現在のところ石炭鉱業合理化事業団におきまして十、名の役員がおりますけれども、十名以上の特殊法人の役員については十名以内というようなことで簡素合理化を図るべきであるという見地から、現在監事一名ということになっております。それで、この新機構発足に当たりましても、石炭鉱業合理化事業団の役員数を上回らない範囲でとどめておりますが、その具体的な人選においてその点は考えてまいりたい、こういうふうに思っております。  次の点はちょっと私が聞き漏らして、よく質問がわからなかったのでございますけれども……。
  52. 中西績介

    中西委員 いまお答えいただきましたけれども、確かに役員云々ということがありますけれども、私は監事は単数にすべきではないのじゃないかという見解を持つわけです。やはり複数にすべきではないか。しかもこれは法案からいきますと二人以内ということになっているわけですから、二名まではいいわけですから、この点はやはり十分考えるべきではないかと思います。  後の問題は、附則の十八条を見ますと、合理化臨時措置法の一部改正をし、二十六条の二、三十六条の十四、この規定を削除することになっていますね。これは省令または業務方法書で規定される予定らしいけれども、そのことがなぜいま改めて削除されなくちゃならぬかということがわからないから聞いているわけです。
  53. 尾島巖

    ○尾島政府委員 債務保証基金に関する合理化法の第二十六条の二の規定を削除するということだろうと思いますけれども、今回この規定を削除することといたしましたのは、債務保証基金に関する規定は通常法人の業務方法書等に定めるのが一般的でございまして、実質的にもあえて法律に規定するよりも、むしろ業務方法書等によって機動的な運用を図ることが適切な事項であると考えて削除いたしたわけでございます。
  54. 中西績介

    中西委員 これは数年前かと思いますけれども、入れられたものと私は理解をしておるのですが、入れるときにはそういうことを考えずに、今度は恐らく対応している人たち、行政府の皆さんの場合にはほとんど変わっておらないだろうと思うのだけれども、その中でこれが出てくるのはどうしてか、時間をとるのがばからしいことなんですけれども、あえて聞いているのですけれども、これはどういうことですか。
  55. 尾島巖

    ○尾島政府委員 先生御指摘のとおり、この石炭鉱業合理化臨時措置法の内容を見ますと、非常に細部まで法律で規定されておるわけでございますけれども、この改正に当たりまして、通常法人の業務方法書等によって定めることができるものは実質的にも法律で定める必要がなく、業務方法書によって定めていくのが適当だとわれわれは判断してそうさせていただいたわけでございます。
  56. 中西績介

    中西委員 これがこの法律の中に入れられたときあたりを考えてみますと、将来的なものを考え合わせながら、当然従前のようにしておくべきではないかと私は考えます。ですから、これはもう皆さんがいま言うような理由で出されておりますから、意見が全く違うわけでございますけれども、この点についても私は再考すべきではないかと思います。  それから、先ほどの監事一名問題につきましても、全体的な役員の構成なり何なりをずっと見ていきますと、運営委員会、そこにおける石炭鉱業管理部会、そしてそれぞれの役員がおられるわけですから、相当の数になるわけです。そういう中でたった一人をなくしたからそれによって行政整理がなされたなんという感覚が私は問題があるのじゃないか、余りにも機械的過ぎるのではないかということを危惧するわけです。もうこれ以上申しませんけれども、この点についても問題があることを指摘しておきたいと思います。  時間がなくなってしまって、とうとう本論に入れずに来てしまったわけですけれども、あと短時間でありますから、お聞きしたいと思っておりました問題は、省エネルギー対策とこれからの将来にわたってのエネルギー政策であります。この二つをこれからどうするかということが大変重要な課題になってくるのではないかと考えます。特に省エネルギー対策については、いままでの状況からいたしますと、わが国の産業だとか輸送部門あるいは家庭全般を見渡してみても、石油づけになっている状況ですね。エネルギーとして大変値段が安かったことを理由にして石炭もつぶしてしまって、いま大騒ぎしているのだけれども、石油中心の消費構造になってしまっています。ですから、いまこういう状況になった段階では石油からどう離れるか、このことが問われてくるわけです。そういうことになってまいりますと、それ一本やりでやった時期から考えますと、これは省エネルギーが相当可能だということをこの中に逆に秘めておると私は思います。そういう意味エネルギーの使用効率なり何なりを考えてまいりますと、通産省の長期の見通しなりからいたしますと、八五年には一〇%程度、あるいは九〇年には一二・五%程度などと言っておりますけれども、この機構の中でこれは十分な検討なりを果たしていくことが私は大事だと思うのです。だから、私は強化しなければならぬと言うのはそういうところなんです。こういう面でまだまだ多くの解決すべき問題がたくさんあるのではないか。  私はなぜそのことを申し上げるかと言いますと、たとえばアメリカにおいてもイギリスにおいてもスウェーデン等においても、そういう点についての検討なりがどんどん進んでいますよ。まだまだ具体的にはなっていないといたしましても、相当のものが進んでおると聞いています。そういうことを考えあわせていくと、これから後、たとえば日本の自動車の問題にしてもあるいは鉄道一つをとりましても、いまどんどんつぶそうとしているけれども、鉄道をどうするかという問題だって、これはただ単に運輸省の問題でなしに、政府全体の問題としてどうするかということをこれからまた論議しなければならぬと思うのです。あるいは電力問題あるいは工業全体のエネルギー問題等についても、鉄鋼なんかについては相当のエネルギー削減をしましたね、省エネルギーを果たしていますよ。しかし、まだまだそういう多くの問題があると思うのです。ですから、これらの点についてこれから、このように対処するつもりなのか、お答えいただきたい。
  57. 森山信吾

    森山(信)政府委員 一九八〇年代のエネルギー政策を端的に申し上げますと三つあると思います。一つ代替エネルギー開発であり、一つは省エネルギーであり、一つは石油対策であろう。この三つをうまく有機的に関連づけることによってエネルギー政策が総合的に推進されるという基本的考え方を持っておるわけでございまして、私どもは現在のところ、昭和六十年までに一二・一、六十五年に一四・八という省エネルギー目標をつくっているわけでございます。昨日も岡田委員長からこの数字はちょっと低いのではないかという御指摘もございました。確かにそういう御意見もあろうかと思います。  そこで、いわゆるソフトウエア的なアプローチ、つまり国民に節約を呼びかけるというやり方も重要でございますし、もう一つはいま先生御指摘の省エネルギー技術開発をどう進めていくかという問題、このソフトとハードを組み合わせた省エネルギー活動が今後重点的に行われてしかるべきではないかという考え方を持っております。  技術開発については、いわゆるムーンライト計画というものをいま通産省で考えているわけでございますが、その詳細については工業技術院長より御説明を行ってもらいたいと考えます。
  58. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 ムーンライト計画でございますが、五十三年度から始めまして、多額の資金とか長期間を要する大型の省エネルギー技術開発研究、それから将来を見通したいわば基盤的なものということで、これは主に国の試験研究所にやらせておりますものと、それから民間が省エネルギー技術をいろいろ開発しておりますから、これを助成するという方向でやっておりまして、基本的にはエネルギー供給部門、産業部門、民生部門というような各部門について広く省エネルギー技術研究開発をやるべきであり、いままでもやってきた、こういうことでございます。
  59. 中西績介

    中西委員 それで、いま言うような省エネルギー対策等については、たとえば第五条の「事業者導入の指針」だとか、それから第四条の「エネルギー使用者の努力」、それに対する第六条の「指導及び助言」、こういういろいろなものがある程度できるようになっていますね。ですからこれらの問題点についても、先ほど長官が答えた努力目標でなしに、まだまだ多くのそういう問題について、直接介入はできませんよ、できないけれども、将来的に地域におけるあるいは各企業におけるそれらの研究課題なり何なりを、皆さんは企業化するという方向での機構であるわけですから、そしてそれを今度は指導なり助言をしていくという体制になってくると思いますので、ここらをさらに強めて、地域におけるあるいは企業内におけるそういうものをどう吸収して総合的にやっていくかということが大変重要な課題になってきます。ですから、これから後この点をこの法律とともに具体的に手をかけるべきではないか、こう思います。  最後になりますけれども、エネルギー政策で、特にソフトエネルギー問題で多くの問題を質問しようと私は思って用意をしましたけれども、具体的にできません。そこで、これらの問題につきましても、特に先ほど私が指摘をいたしました一九九〇年までの長期電力需給予測などを見てみましても、いろいろ多くの問題があるわけですね。特に日本の場合には先ほどから言っているように、予算面だけから見ましても依然として原子力技術に相当傾斜をするとか、こういうものが多く取り入れられておる。ところが外国の場合は、先ほどの説明によりますと原子力に対して非常に皆さんは期待をしておるというような言い方をしますけれども、開発部門だとかなんとかをずっと見て、予算面なんかを見ますとパーセンテージからしますと落ちています。これはきのう大蔵省の方がいろいろ説明をしておりましたけれども、地熱等につきましては何十倍かなんというような説明をしておりましたけれども、もともと基礎的なものが低いのに、今度わずかつけたらそれはなるのがあたりまえなんであって、全体的な予算構想の中におけるこれからのエネルギーをどうしていくかという問題を含めて、これから検討しなくちゃならぬ時期に来ていると思うんですね。ですからそういう意味で、先ほどから言っておる、広い視野での国民的なものとして全体的なエネルギーをどうこれから集約をしていくのかということになってくると、ただ重合的なものでなしに、エネルギー政策のある程度根本的な価値観というものを変えていかなくちゃならぬと私は思いますね。そういう意味でのエネルギー政策の転換を図らなくちゃならぬ時期に来ているのじゃないか。この点について十分これから後皆さんで討議を願おうし、そして方針を固めていただかなくちゃならぬ。いまここであなたたちが余りそうでないと言って強弁をしていると、問題が出てきてもこれは将来的にできなくなってくるのですよ。いますぐこれを変えようなんと言ったらいままで何だ、こう言われるから、いわゆる行政の皆さん方の場合には、そういうものをできるだけ表に出すまいと思って引き延ばしていく傾向が非常に強い。ですから、いまこそそういう価値観なんというものを変えていくという姿勢を皆さんが持っておるということをここでお答えいただきたいと思うのです。これは大臣なり長官なり、答えてください。
  60. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギーにつきましての価値観の改革ということは、私も全く同感でございまして、今回お願いいたしておりますのもそのゆえんでございます。私どもは、エネルギー構造の改革という観点からアプローチいたしておりますけれども、やはり構造的な問題も大変重要でございますが、その前提といたしまして、御指摘エネルギーの価値観というものに対する改革がない限りは構造的な変化もできないわけでございます。  ただ、規模のメリットということを考えなくちゃいかぬという問題もございますから、いま御指摘のいわゆるソフトエネルギー等につきまして、私どもはこれを決して排除しようという考え方は持っていないわけでございます。ソフトエネルギーは、一つエネルギー源としての重要性を持つという認識は十分持っておるつもりでございます。ただ、それをいまから手がけることによりまして、いわゆる規模のメリットを発揮できるような体制をつくり上げていく必要があるのではないか。それにはある程度の時間がかかるので、その間国民の方々にエネルギーの安定供給をするという立場に立ちますと、どうしても規模のメリットを発揮できるようなものに集約的に努力を傾注する。かたがたソフトエネルギーにつきましても、いまから十分なる手がけをしていく、こういうような構えでいきたいというふうに基本的に考えております。
  61. 中西績介

    中西委員 最後になりましたが、この問題については長時間かかるという、このことが大変重要ですね。ですから、いまからそういうものの転換を求めてやっておかないと、いますぐこれを手がけるわけにはいかないということを私は言いたいと思うのです。そういう意味で、本年度のこれに対する予算措置なり、こういうことでなくて、まだまだ開発すべきところはどんどん手がけていくという姿勢を将来持っていただくことを期待をして、終わりたいと思います。  以上です。
  62. 岡田利春

    岡田委員長 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に鍛冶清君。
  63. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案に関連して、幾つかの点で御質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  最初に大臣にお尋ねをいたしたいのですが、この新エネルギー開発という問題は、石油危機以来いろいろと言われておりますが、日本の国にとりましては、将来八〇年代、さらには二十一世紀にわたって死命を制する重大な問題であるというふうに言われておるわけで、私もそう思うわけでありますが、こういう考え方に対して最初に大臣のお考えを伺いたいと思います。
  64. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まさしく同感でございまして、そのとおり考えてございます。
  65. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大臣にそういう御答弁をいただいたわけでありますが、ただ私非常に残念に思いますのは、先ほどからいろいろ議論もございましたが、この新エネルギー開発についての政府の、また通産当局の対処がやはり大変おくれておるのではないか。ここに読売の、ことしの一月十四日号の記事をコピーしてまいりましたが、国際エネルギー記者と言われるヘンリー・ハイマンスという記者の方が読売に寄稿されているわけですね。これは、外人の方からこういうふうな指摘を受けるというのは私も残念ですし、こういうものを最初に資料としてお出しすることは大変残念なんですが、確かに書かれてある内容を読んでみますと、私は、そうだそのとおりだと思うようなことがいっぱいございます。また、このエネルギーの問題でもいろんな方とお話し合いをしてみましたけれども、やはりどうも国際的な舞台の中で、日本エネルギーだけではなくて、いろんな問題で後手後手に回っているのではないか、こういう意見を述べられる方が、国内でもずいぶんございます。  そういう意味で、その姿勢というものをお尋ねするのですが、ごらんのように、特に大きく「出遅れたエネルギー対策」、こういうふうにあるわけです。または、「道路は後でも作れる」、「もっと代替エネ投資を」というような見出しの中で、相当厳しく言われております。  その中で二、三取り上げてみますと、自国のエネルギー安全保障のための政策を、エネルギー危機以後ほとんど日本はやってこなかったんではないか、こういうふうな指摘もしているわけです。また、さらには、「日本政府ほど代替エネルギー開発エネルギー節約対策の経費支出に際し手を抜いてきた政府はない」のではないだろうか。外人のこういうのを引いて言うのは、私も日本に住んでおるわけですから大変残念なわけでありますけれども、気持ちとしては、私まさにそのとおりというような気もいたしております。そういう点について大変大枠な、抽象的な質問ですけれども、お答えいただきたいと思います。
  66. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘になりました記事は、私は読んでいないわけでございますけれども、ある種の御意見として理解できないわけでもないわけでございます。しかしながら、わが国といたしましては、長期にかけてつくり上げてまいりましたエネルギー構造というものがございまして、これは御承知の石油に依存をしていくというパターンをこの二十年ぐらいの間とってまいったわけでございますが、それがこれまでは比較的順調に推移したわけでございますけれども、いわゆる第一次石油ショックというものが起こりまして、急速にそういった構造改革というものが叫ばれ出したわけでございます。意識として私どもも十分踏まえたわけでございまして、それ以降いわゆる石油に関します対策といたしましては、御承知の備蓄対策等も着々手を打ってきたつもりでおりますし、それからいわゆるサンシャイン計画というものも昭和四十九年から発足させていただきまして、これまた着々と成果を上げつつあるわけでございます。私どもの観点から言いますと、決して手を抜いておったわけじゃないということでございますけれども、ある種の御意見があることは、これまた一つの御意見として十分合点もいきます。そこで、本格的な代替エネルギー政策にいよいよ取り組むべきときではないかということで、再三申し上げております昭和五十五年度を代替エネルギー元年位置づけまして、本格的なエネルギー構造改革に取り組みたいという念願に燃えているということでございます。
  67. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 過去のことを詰めるようで申しわけないのですが、今後の姿勢をはっきりしていただくという意味を含めて質問も申し上げますので、お答えをいただきたいと思います。  いま御答弁の中にも、ある種の意味での御批判があり、そうだとうなずけるようなところもあった、こういうふうにおっしゃっておられるようでありますけれども、具体的な例として申し上げますと、これは資料を出していただいた中にございましたが、わが国の一次エネルギー供給に占める石油の割合というものを、特に第一次のオイルショックのとき以後、いまも御答弁の中で、第一次のオイルショック以後は腹を据えてかかってきたというふうな御答弁もあったと思いますが、しかし、そうおっしゃっているにもかかわらず、いま申し上げました石油の占める割合というものが、昭和四十九年で七四・四%、それから五十年で七三・三%、五十一年で七三・九%、五十二年で七四・五%、五十三年で七三・〇%、石油については備蓄云々とかいろいろお話はございましたけれども、むしろ代替エネルギーとして新エネルギーという立場、石炭等含めていろいろな立場での取り組みをしっかりやる中で、早急に手がけられたものは石炭などもあったように思うのです。そういうものを努力しておられれば、第一次のエネルギー供給に占める石油の割合というこのパーセントが幾分かでも下がってきたんだ。実績が出てたんじゃないか。これは長期のいわゆる暫定見通しの中では五〇対五〇にするとか、それ以下に石油の占めるシェアを持っていくとかいうふうなことで計画の暫定見通しも出ておりますけれども、それ以前にすでにそういう努力の姿が出ておって初めて対応をなされたというふうにとるべきであろうと思うのですが、この点についてはいかがでございましょう。
  68. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生、四十九年度から数字をお示しになったわけでございますけれども、いわゆる第一次石油ショックが起こりましたのは昭和四十八年でございまして、そのときの一次エネルギーに占めます石油の割合が七七・六%という数字でございました。それに比べますと、段階的には減ってきておるのではないかということでございます。もちろんエネルギー構造がそう一朝一夕に変革されるものでないことは私どももよくわかっておりまして、四十九年、いわゆる第一次石油ショック以降におきます諸施策が、今後のこういった比率に影響を与えてくるのではないかというふうに考えておりますけれども、先ほどもお答え申し上げましたとおり、やや総合的な政策に欠けるうらみがあったという反省もございますので、今後重大なる決意を持って、いまお話しの一次エネルギー供給に占めます石油の割合を十年くらいで五〇%にしていきたいという新たなる決意に燃えてこの法案をお出ししたという次第でございます。
  69. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 もう一つさらに数字を挙げて、お答えもいただきたいのですが、御決意をなさっているわけですから、これ以上さらにお尋ねしてもという気もございますけれども、やはり後々のために、くどいようでありますが御質問申し上げるわけであります。  米国、それから西ドイツと比べてみまして、GNPの関係からいってもよく西ドイツは日本と比べられます。米国は確かに世界第一位のGNPでございますから若干違いはあるにしてみても、やはり新エネルギー開発に取り組む姿勢というものがずいぶん違っていたのではないか。アメリカあたりでも一九六二年ごろからすでに石炭に対して意欲的に取り組んで今日まで来ているようでありますし、西ドイツにおいても日本よりも五年ないし十年早く石炭についてしっかりとした焦点を向けて計画を立てて、それなりの予算の裏づけを持って取り組みをしてきておったというふうに実は思います。  具体的には、私もいただいた資料ないしは私の調べました資料で比べてみましたところが、これは昭和五十二年、五十三年、五十四年ということでございますけれども、新エネルギーのいわゆる太陽とか地熱、石炭ガス・液化、風力等を含めてでございますが、いただいた資料によりますと、米国が五十二年には千四百六十九億円、こういった新エネルギー開発の予算を組んでやっているようです。そのときに西ドイツが百二十三億円という数字が出ております。五十二年のときの日本の新エネルギー開発に対する予算は幾らかというと、これは五十六億円という数字です。それから五十三年には同じく米国が千三百八十七億円、西ドイツが百六十八億円、それに対して日本は七十六億円。七九年には若干日本もふえていますが、米国が二千五億円、西ドイツが百九十七億円、日本が百二十一億円と初めて三けた台にいっているようです。これは原子力等が入っていないと思います。IEAが調査した、いただいた資料でいま申し上げたわけであります。  今度はその当時のGNPの比較をしてみますと、昭和五十三年当時で、これはドルでございますけれども、米国が二兆一千二百七十六億ドル、そのときの西ドイツが六千四百十億ドル、日本はそのときのGNPが九千八百二十六億ドル、明らかに西ドイツより上回っておるということです。五十四年には米国が二兆三千六百八十八億ドル、西ドイツが七千五百九十二億ドル、日本が一兆百十億ドル、こういう形でGNPが上がってきております。いま申し上げた西ドイツですら日本よりも過去、倍以上といった形で取り組みをやってきた。また米国ははるかに日本よりも上回った何倍かの数字で、これは三十倍くらいの数字で過去は取り組みをやってきた。こういったものがいまだんだん効果があらわれつつあって、いまの時点で日本は新エネルギー開発では、今年から相当の予算を組んで、先ほどの御答弁の御決意でやるということで、遅まきながらでも、私たちは大変うれしいことでありますけれども、しかしなおかつこれから先を展望してみて、これから先は過去のことが物を言うであろうという気もいたしておりますし、そういった面で大変立ちおくれると思うのですが、そういう実態について再度のお考えと、さらにこれに取り組んで追いつき追い越せということはできるのかどうか、こういったことについてお答えをいただきたいと思います。
  70. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 御指摘のように、現在まで新エネルギー技術開発に対して日本が必ずしも十分の投資をしてきたということは言えないかと思います。しかし、五十五年度の予算で申し上げますと、サンシャイン計画だけでも二百九十億くらいになりましたし、外国の数字と合わす意味でそのほかのものも加えてみますと、約四百億円ぐらいになるわけでございまして、ここに代替エネルギー元年という姿勢が出ているのではないかと思うわけでございます。  ところで、現在まで研究投資額が非常に少なかったために、外国に比べて技術的に非常におくれてしまったのではないか、もう取り返すことができないのではないかというような御指摘でございますが、私ども技術者の立場で申しますと、必ずしも研究投資額が研究成果と同じではないというように絶えず考えているわけでございまして、現在幾つかの研究開発を実施した場合に、たとえばアメリカと日本研究投資額が十対一の場合でも、むしろ日本の成果が上がった場合もございます。実例として私持っております。そういうこともございますので、今後の技術屋の努力、特に政府の立場で申し上げれば、いかに優秀な技術者をここに集結するかということあるいは適正な研究投資額を出すかということ、それからそれをうまく活動させる仕組みをどうするかということを考えれば、必ずしも心配する状況ではないと考えておるわけでございます。
  71. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いまおっしゃったように、金が多ければいいということではない、そういう例がないわけではないということも私理解できますけれども、総体的にはやはりそうはいかない部面がほとんどであろうと思います。これはいろいろ言っていると切りがございませんのでここらあたりでやめさせていただきますが、アメリカなど各国の状況を見てきた人の話やら書いた本等を読んでみますと、いまおっしゃったいろいろな面、物量、人材ともに大変立ちおくれを感ずるという方が多いようです。ひとついまの御決意をしっかり、これは精神的な面だけでなくて、大臣も最初にこれは日本の死命を制する一番重大な問題だという私の意見には御賛同になりましたし、総理もそういうお考えのようですから、今後こういう予算を強力につぎ込む中で進めていただきたい、こう御要望を申し上げておきます。  さらに、これは昨日わが党の吉井議員からも質問のあった内容と若干重複いたしますけれども、石油の需給関係でございます。特に、自由世界における今後の石油の需給バランスは、八〇年代は、どういう見通しを持っていらっしゃるのか、これをお尋ねいたしたい。
  72. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、一九八〇年、つまりことしにつきましてのIEAで作成されました見通しを申し上げますと、自由世界で五千百十万バレル・パー・デーの需要があるわけでございまして、これに対します供給が五千百三十万バレル程度ではなかろうかということで、一日当たり二十万バレル程度供給がオーバーするということでございます。何かちょっと事件でも起こりますとたちまち逼迫するというきわめて薄氷を踏む思いでのバランスがとれているということではないかと思います。  それから一九八五年になりますと、この八〇年におきます二十万バレルの供給過剰が逆に一日当たり百二十万バレルほど足りなくなるのではないかという危惧が見通されておりますし、一九九〇年になりますと六百二十万バレル・パー・デーぐらいの不足になるのではないかということでございますが、これはいまの見通しでございまして、ソ連、東欧圏の動向が大変気になるわけでございます。現在御承知のとおり、ソ連、東欧圏は一部輸出をいたしておりますけれども、恐らく一九八五年までの間には輸入国に転ずるのではないか、こういうふうな見方をする向きが多いわけでございまして、そういうことになりますと、いま申し上げた数字に相当大幅な不足の額が加わってくるのじゃないかというような見通しを持っているわけでございます。
  73. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これについてはいろいろな考え方なり予測があるようで、どれがはっきりと的中するのか、たってみなければわからないところもありますけれども、いろいろ私が当たってみた資料では、早ければ本年度、五十五年度においては自由主義諸国の需給のバランスが均衡して、それ以後マイナスに転ずるのではないかというふうな意見が相当あるわけであります。物事に対応するときにはやはり安全度といいますか、逆に言えば最悪の場合を想定しながらいろいろな見通しを立ててやっていくべきであろうと思いますけれども、いま申し上げました五十五年度においてもうすでに需給バランスが均衡するというふうな見方についてはいかがでございましょう。
  74. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げました昭和五十五年度、つまり一九八〇年におきましてもうすでに需給が均衡する、二十万バレル、多少供給オーバーという見通しはございますけれども、先ほどお答え申し上げましたとおりこの二十万バレルというのは五千万バレルのうちの二十万バレルでございますから、これは供給オーバーというよりはむしろ需給が均衡しているという見方をした方がよろしいのではないかと思います。
  75. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ここに四月十五日の日経の新聞の切り抜きがございます。ここに「昭和五十五−五十九年度石油供給計画」ということで、これは資源エネルギー庁が出されたのではないかと思いますが、これについて、五十五年から五十九年までの、原油の輸入量等も数字が出ているわけでございます。この数字がそちらでわかりましたらひとつお答えを願えればと思うのですが。
  76. 森山信吾

    森山(信)政府委員 石油の輸入計画につきましては、五十五年度が二億七千九百万キロリットルでございます。それから五十六年度が二億九千万キロリットル、五十七年度が二億九千八百万キロリットル、五十八年度が三億五百九十万キロリットル、五十九年度が三億一千三百万キロリットル、こういう計画でございます。
  77. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 しばしば議論されておりますが、「長期エネルギー需給暫定見通し」、この中間報告として出されておるものと比較しましたときに、六十年度の前年度である五十九年度でいまお話があったように三億一千三百万キロリットルということのようであります。これは現実に即した見通しをはっきりなさっていらっしゃると思うのですが、六十年度には、この「長期エネルギー需給暫定見通し」によりますと三億六千六百万キロリットル、こういうふうになっておるわけでありますが、先ほどから御答弁もいただきましたように、やはり需給のバランスというのは崩れてくる、そういった中から、横で並行線をたどって、輸入を維持しながらやるという考え方よりもむしろ現実的な対応で組まれた輸入供給計画だと思いますが、そういう形の中で代替エネルギーなり新エネルギーというものを考えていく方がやはり筋ではないかというふうな気が私はするわけです。やはり石油は横ばいじゃなくて、東京サミットで決められた線よりも年度が行くに従って減らしていく、そういう意味で括弧の数字で六十五年、七十年度には挙げてはありますけれども、これはいまの実際の五十九年までの供給計画のおっしゃった数字と比べますと大変差がある。こちらの方が私は本当に信用できるのではないかと思うのですが、こういう御発表なさった数字から、いま御答弁いただいた数字からいきますと、もうすでに「長期エネルギー需給暫定見通し」で六十年になって急に三億六千六百万キロリットルにはね上がるということもちょっと考えられないわけで、相当手直しが最終決定までに必要になってくるんではないかと思いますが、それについていかがでございましょう。
  78. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私の言葉足らずで大変申しわけないと思っておりますけれども、先ほど申し上げました数字は日本の必要とする原油の輸入量を申し上げたわけでございまして、エネルギーの長期需給暫定見通しに掲げてあります数字は製品を含んだ数字でございますので、先ほどお答えいたしました原油の量と製品輸入を合わせますと長期需給暫定見通しと全く整合性のある数字だということでございまして、ちなみに現在は五百四十万バレル・パー・デーということで国際合意がございますから、それを積み上げていきますと、この供給計画どおりの数字になってくるわけでございます。     〔岡田委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 それから、六十五年には六百三十万バレル・パー・デーないし六百九十万バレル・パー・デーという国際合意がございますので、それの下限の六百三十万バレル・パー・デーをベースにいたしまして長期需給見通しも組んでおりますし、それから先ほどお答えいたしました石油供給計画もそういう数字を組んでいるわけでございます。大変失礼いたしまして、一般原油の輸入についてだけお答えいたしましたので、ちょっと違った印象におとりになったかもしれませんけれども、正確に申し上げると原油の輸入プラス製品輸入で見通しの数字と整合性がとれているということでございます。
  79. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 理解をいたします。  そこで「長期エネルギー需給暫定見通し」の六十五年、七十年は下限でしょうか。これは括弧の数字というものを挙げてあるわけですが、やはりそれ以下に抑えながら他のエネルギーの増強を図っていくというのが考え方としては正しいように思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
  80. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、私どもは六百三十万バレル・パー・デーということで長期暫定見通しを組んだわけでございますけれども、先ほどお答えいたしましたとおり今後の世界の石油の需給動向を勘案いたしますと、果たして昭和六十五年あるいは昭和七十年に六百三十万バレル・パー・デーが確保されるという確証はないわけでございますので、そういった問題意識は常に持っていく必要があろうかと思っております。
  81. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 じゃこの点はこのくらいにして次に進ましていただきますが、海外炭の問題で若干お尋ねをいたしたいと思います。  海外炭の問題については、この需給見通しの中でも特に一般炭の上昇が相当見込まれておるわけでございますけれども、この開発問題と絡んで今年度から相当予算も組んで対策に乗り出されておるわけでありますけれども、これも最初に申し上げましたように、海外炭の開発問題はやはり大変手おくれになっておるのではないか。いまから割り込んでさて本当に順調な形で開発が進むのだろうかという気がいたしますが、この点についていかがでしょうか。
  82. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えします。  海外炭の鉱区の取得状況を見てみますと、メジャー系が大体三〇%くらい押さえておるということでございます。そのほか、わが国の調査中それからエクイティーもすでに取得しつつあるもの等々考えますと、それが十件ほどあるということでございます。いまわれわれとしては、一つは供給源の分散を図りながら、先行的に鉱区を取得し開発につなげるということを考えることで、このたびの新機構では調査、探鉱、融資というものを一括やっていただく、そのほかに流通という問題で船舶の建造と、それから受け入れという問題でコールセンター、そういうものをシステムとしてコールチェーン的につくっていくということを計画的に進めている段階でございます。
  83. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いまメジャーのお話も出ましたが、確かにいまの御答弁の数字というのは大変低い。コールノートの中にも、この二百十八ページに「主要生産国資源へのメジャーの進出」という欄がございまして、この中で書かれてありますけれども、「例えば、オーストラリアに於ては、」云々と、こういうのがあります。その中で「等々大企業が進出し、全実収炭量の三八%を確保するまでに至っている。この結果、一九八五年のオーストラリアの生産の七六%に影響を与え、輸出量の六八%に影響を与えうるまでになっていると推定される。同様に、アメリカ、カナダでもかなりの影響力を持つに至っているが、これらを要約すれば」云々ということで図面が出ているわけです。この文章を読みますと、どうも三八%確保というのはいまの石炭部長の御答弁と一致するようでありますけれども、影響力についてはオーストラリアの生産の七六%に影響を与えるというような数字で出ているわけですが、こういうのを見ると、私はそういう数字の面では素人でよくわかりませんけれども、後から開発していっても余りいいところの鉱区ではないから影響が少なくて、やはりメジャーあたりが先行して確保しているところは大変いい地域だから影響が強いのじゃないかというふうに解釈もできるわけですが、この点はいかがでしょうか。同時に、もし私の解釈が間違ってないとすれば、やはりいまからの開発というものが大変後手になったという気がするわけでありますが、この点についてお尋ねをいたします。
  84. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  メジャーの持っているところは必ずしも全部が全部いいというところではございません。先ほど御説明いたしましたわれわれの十件ほどの案件の中にもかなり期待性のあるところがあるということでございます。     〔中島(源)委員長代理退席、岡田委員長着席〕 しかしメジャーにしても日本の調査にしても、これはすべて日本向けを予定して準備をしているのがほとんどでございますので、その間でメジャー等と十分な話し合いをし、エクイティーの取得のために交渉をすることによってある程度自主的な開発、それから輸入が図られるのではないかというふうに考えております。
  85. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 メジャーも確かに売るために確保したことは事実でありますが、それだと、そこらあたりにばかり乗っかりますとこれは石油の二の舞をして、やはり日本エネルギーの先々の構想というものが、それこそ累卵の危うきにというふうな表現で言っていいのかどうか、きわめてまた厳しい状況になり得るのではないかというふうに思います。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  86. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  そのような問題を回避する一つの道というのは、やはり供給源を適当に分散をするということにかかってくるのじゃないかと思います。われわれが念頭に置いておりますのは、一つのグループとして中国、ソ連を考えようじゃないかということでございます。それから第二の点としてはインド、南ア、インドネシア等を考えよう、それからもう一つの供給ソースとしてオーストラリアを考えよう、あとはカナダ、北米を考えようということでございますが、当面はやはり供給源の分散が完全に終わるまでの間は、どうしてもオーストラリア、中国に傾斜をかけざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  87. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これも四月七日付の新聞の記事にあったのでありますけれども、「一般炭、輸入先分散図れ」ということです。これは私たちもいま御答弁があったとおりのことをやらなければいけない、こう思うわけでありますが、この記事の中に、「経団連の供給国別の評価によると米国、カナダの場合、内陸輸送が一千キロメートル以上になり輸送コストが高い。中国、ソ連は輸送能力、安定供給の上で問題が残る。南アは欧州との競合、政治上の問題がある。豪州にはひん発するストライキの影響が不安要因だが、内陸輸送距離が短く、開発計画、インフラストラクチャーの整備計画も進んでおり、八〇年代後半から九〇年代前半にかけては豪州が最も有望な供給源になると評価、供給源の分散を基本方針としながら豪州への依存度は高い水準になるとみており、」云々と、こういうふうに出ているわけです。こういう新聞記事や、私たちが関係の方々にいろいろお話を聞いてみても、もう豪州へ豪州へという感じで、石炭の関発ないしは一般炭の輸入地域が集中しているというふうに私はいま理解をしているわけです。その裏づけとして、この記事にあるような経団連の評価しておること、要するに経済性の上からぱっとそこに飛びついて、そこにばかり行っているという見方を私はしておるので、輸入先の分散を図れというのは理想論になるのではないかというふうな気がしてならないのですが、この点について通産当局ではどのように対応なさるのか、お尋ねをいたしたい。
  88. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 当面の開発の輸入拠点が豪州にならざるを得ないというのは経団連の報告にもあるとおりでございます。しかしながら、超長期に見ますと、その最終の決め手は石炭の資源賦存量になってくるかと思います。石炭の資源賦存量の大きいのはアメリカ、中国それからソ連でございまして、オーストラリアというのはそれほど多い量ではないわけでございます。したがって、当面はオーストラリアに傾斜がかからざるを得ないけれども、超長期にはやはり資源量の多いところとコンタクトをしていかなければいけないというふうに考えております。
  89. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 先ほど、十カ所の鉱区の開発ですか、買い取りになるのですか、そういう御答弁がございましたが、そういう中にオーストラリア以外というのはどういうところがあるのでしょう。
  90. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  それはカナダで一つやっております。それで、カナダには現にやっているものと、これからやるものとがあるわけでございます。
  91. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いまの御答弁でもわかりますように、どうも豪州に偏っておる、そして分散化ということが具体化しているというふうには思えません。これは私は大変危惧もいたしますし、ひとつ分散化を本当にやるという形でお取り組みを願いたいと御要望申し上げて、時間の関係もございますので次にまいりたいと思います。  これは大蔵省の方からいらしていればちょっとお願いをいたしたいのですが、昨日も質疑の中で御答弁も若干ありましたけれども、こういう新エネルギー関係の予算というものは相当大幅にふやしていかなければならない。特に、最初の大臣の御答弁にもありましたように、また繰り返すようですが、大平総理もこの件については相当な意欲を持って取り組むという決意表明もしていらっしゃるわけです。その中で大蔵省として、これはこの予算の裏づけが問題になるわけですけれども、その辺がもう一つ腰が弱いのではないか、もっともっとここに力を入れて財源を確保すべきであると思いますが、この点についていかがでしょう。
  92. 角谷正彦

    ○角谷説明員 確かにエネルギー問題の解決は非常に重要な問題でございまして、そういう意味ではことしの予算あたりの最重点項目でございましたし、中長期的に見ましてもこの問題は予算面でもますます重要になってくるということは否定しがたいと思います。先ほど先生の御質問の中にも、サンシャイン計画自体をもっと加速的に推進しろというお話もございましたが、そういった問題を含めまして、中長期的にはかなり多額の資金を必要とするというふうな事態でございます。  しかしながら、現在の厳しい財政事情を考えますと、これを全部一般財源で賄うのはなかなか困難な状況にございます。現に実用化を図っております石炭石油特別会計あるいは電源開発特別会計におきまして、今度新しく代替エネルギー対策として、私ども本年度千百七十六億円のものをお願い申し上げておるわけでございますが、そういったものにつきましても、たとえば石油税の使途拡大あるいは電源開発促進税の税率引き上げとその使途拡大といったことで、中長期的に見て安定的な財源を確保したいというのが私どもの考えでございます。  そういうことで、通産省あるいは科学技術庁の試算によりますと、実用化に向けました代替エネルギー対策だけで今後の十一年間で、昭和六十五年ぐらいまでに大体三兆円弱のお金が要る。その中で、先ほどからもお話がありましたサンシャイン計画あたりは一兆円強の資金需要があるというふうに見込まれたわけでございます。そういった意味で、私ども現在、電源開発促進税法の一部を改正する法律案あるいは電源開発特別会計法及び石炭石油特別会計法の一部を改正する法律案を大蔵委員会へ出しまして、いろいろな意味で財政措置をお願い申し上げておりますので、そういった点につきましても、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思うわけでございます。
  93. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 昨日も、現行のエネルギー関連税というのは十種類に及んでおるというような御答弁もあっておりまして、その収入総額は三兆三千億ぐらいですかある。その中でエネルギー対策に還元されているのが、計算しますと、一三%ぐらいですか、たしか七千何百億でしたか、ちょっと数字を覚えておりませんが、そういうふうに御答弁をなさったと記憶いたしておりますけれども、その全体の七六%相当の二兆何がしというものが道路財源に使われておる。そこで、これは大方の見るところ、私自身もそう思いますが、道路もさることながら、エネルギー関係にもっともっと比重をかけて財源を確保すべきである、こう思うわけでございますが、この点についてお尋ねしたいと思います。  もう一つは、石炭を掘りました後始末の方ですが、私の地元でも、残存公害その他いろいろな形でいま大変苦しんで、立ち上がろうと思って一生懸命になっておるわけですけれども、その辺の財源の確保と、いわゆる石炭関係六法が十一月から来年度に次から次に期限切れになるのに伴いまして重大な時期に来ているわけです。こういう機構ができ、石炭勘定はちゃんと残ってはおりますものの、どうしても影が薄くなってここらあたりに力が入ってこない、財源の確保がだんだんできなくなってくるのではないかという見通しがございますが、こういうことは絶対にさせては相ならぬとも思いますし、以上二点について大蔵省のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  94. 角谷正彦

    ○角谷説明員 石油とか電気、ガスにかかっておりますいわゆるエネルギー関係の税制につきましては、昨日岡田先生にもお答え申し上げたとおりでございますけれども、もう一回繰り返させていただきますと、五十五年度予算におきましては、国税と地方税と両方ございますけれども、総額三兆三千二百七十八億、そのうち国の取り分になりますものが二兆三千四十八億、地方の取り分が一兆二百三十億円でございます。確かに国の取り分になります二兆三千四十八億のうち、先ほどお話がありました道路財源として充当されておりますものが、たとえば揮発油税についてみますと一兆五千四百八十億あるいは石油ガス税で百五十三億というように、このうちの一兆五千八百四十九億といったものが道路財源に充当されておるわけでございます。  先生のお尋ねの趣旨は、こういうものを少し削ってエネルギー財源に充当したらどうかということかと思いますけれども、一般的に申しまして、道路整備の財源を道路利用者の負担に求めますことにつきましては、それなりの受益と負担の間の合理性がございまして、揮発油税等を他の使途に充てますことにつきましては、道路整備というそれ自身の必要性あるいは負担の受益との関係等、いろいろな面から検討しなければならぬというふうに考えているわけでございます。そういう意味で、ことしの税制改正に関します税制調査会の答申におきましても、この問題につきましては今後さらに検討をするということにされておりまして、現在におきましては、揮発油税を代替エネルギー財源の方に充当するということは、いろいろな意味でむずかしい事情にあることを御理解いただきたいと考えておるわけでございます。  もう一つの問題は、例の石炭財源の問題についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、現在石炭対策の財源といたしましては石炭石油特別会計法第四条の規定によりまして、原重油関税が石炭対策並びに石油対策の特定財源とされておりまして、五十五年度におきましては、原重油関税収入千五百六十九億円のうち八〇%強に当たります千二百五十七億円というものが石炭対策に必要な費用といたしまして、石炭石油特別会計の石炭勘定に充当されておるわけでございます。この仕組みは、今回、先ほどもお願い申し上げました電源税あるいは石油税の法改正に当たりましても何ら変更しておりませんので、代替エネルギー対策とかあるいはその一環としての新エネルギーの総合開発機構のためのいろいろな財源は、そういう意味で使途拡大後の石油税あるいは電源開発税といったことで措置しておりますので、従来からの石炭財源に対しまして、財源面から何らの制約要因にはならないものではないかと考えておるわけでございます。  なお、昭和五十六年度末に期限切れになるというお尋ねでございましたけれども、この問題につきましては、通産省の方におきましてその後の対策についてはいろいろ御検討になると考えておりますので、そのための財源措置につきましても、そういった歳出面の石炭対策はどういうふうなあり方で検討されるかということと関連いたしまして、今後政府部内におきまして十分検討させていただきたいと考えております。
  95. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いまの件は、前向きの取り組みをお願いいたします。  次に、ローカルエネルギーについてお尋ねをしたいのですが、これも新聞記事で「小規模エネルギー 熱を帯びる開発機運」というようなことで、本年度から予算として各ローカルにおいていろいろと発電設備等をつくる場合に補助金を出すというようなことが出ておりますが、まず最初に、時間もございませんので、ローカルエネルギーというものはどういう内容のものか、簡単にお答えいただきたい。
  96. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ローカルエネルギーと称しますのは、従来未利用の状態にございます太陽、地熱、中小水力、バイオマス等の自然エネルギー及び廃熱、廃棄物エネルギー、こういったものについて考えております。
  97. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そこで、本年度から補助金が出るようになって、中小の水力発電所等をつくるについては、五千キロワット以下が一五%、五千から二万キロワットが一〇%、二万キロワット以上が五%補助というような形の新しい補助制度ができ、いろいろな対応策が練られているようでありますけれども、これに伴って、一つ一つは小さいかもわかりませんけれども、それを各地で積み上げていくことによって相当大きなエネルギー対策の一環になると思うわけでありますけれども、そういう中で今年度は各県一千万ですか、そういうことで十八県分一億八千万という予算を組まれているようでありますけれども、実際の申し込みは、この新聞記事等によりますと三十件以上申請があった。こういうことで、私どもとしてはこういうものこそ意欲ある地方自治体を通して申請のあったものには全部補助を割り当てるという形が好ましい姿だと思うのでありますが、この点についてお尋ねをいたします。
  98. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ローカルエネルギー対策を推進していただく母体は、何といいましても地方公共団体であろうかと思います。そこで、いま御指摘のように、五十五年度の予算におきまして十八府県に対しまして補助率二分の一で一県当たり一千万の補助金を計上いたしておるわけでございますけれども、もちろんこの一千万という規模あるいは十八県分一億八千万円という規模が決して十分だとは私ども考えていないわけでございまして、先ほど先生御指摘になりましたように各地方公共団体から大変希望もございますので、今後これを飛躍的に拡大する方向で取り組んでいきたいと考えております。
  99. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 来年度飛躍的にということですからぜひおやりいただきたいと思うのですが、この際に、ちょっとこれも素人考えでわかりにくいのですが、こういうものを開発、建設するのに大変有利な自然条件といいますか、そういうものを備えたところとそうでないところというのも私あるように思うのですが、そういうものが一律という形で果たしていいのか。考えようによれば、各県等分に申請が出たところということもありましょうけれども、やはり内容を重点的に見て、ここは少し重点を置いて補助を与えればローカル的に相当なエネルギー源を求められるという場合には、思い切った柔軟な対応でやった方がいいのではないかと思いますが、その点についてはいかがでございましょう。
  100. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まさに御指摘のとおり、各都道府県におきましてその実情は変わっておるわけでございます。先ほどお答え申し上げました一千万円の補助金と申しますのは主として実態調査のための補助金でございまして、各県がその実態調査をした上で具体的な対策はまた別の観点からの対策を推進するということにさせていただきたいと考えております。     ——————————————
  101. 岡田利春

    岡田委員長 質疑の途中でありますが、ただいまスウェーデン王国オラ・ウルスチン外務大臣外三名の方々が参観に見えられましたので、御紹介申し上げます。     〔拍手〕     ——————————————
  102. 岡田利春

    岡田委員長 鍛冶君。
  103. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 もう時間が参りましたので最後質問になるかと思いますが、いま御答弁のありました中で、ごみ焼きによって発電を行っているところが数カ所あるようでありますけれども、これは東京都なんかもあるようですが、大変に好評を博しておるし、自分のところへ自給した残りを東京都の場合は東京電力に売電をしているというようなことで、その中からの収入が、この資料によりますと、五十三年度に一億三千五百万円の収入を得ている、こうなっているわけです。ところが、この「電力時事通信」という資料を見てみましたら大変に単価が安いという感じがいたしております。今回三月で契約切れとなった十四公営企業者の更新の料金が先月末一斉に資源エネルギー庁から認可されたという中で、たとえば例をとりますと、私の地元の福岡県は、従来単価が一キロワットアワー当たり六円四銭であったのが六円六十七銭というふうになっておりますし、ほかも大同小異で、値段に相違はありますが、五円幾らというところから六円幾らという最高までが認可されておるようでありますけれども、ちょっとこれは素人考えであれですが、大変に安いのではないか。今度電力料金値上げになりまして、東京都の場合でも一般の家庭で大体一キロワットアワー当たり二十七円ぐらいですか、二十八円近く取られるわけでありまして、そういうことから言うと、いま言いました補助金を出すという方向、これがそういうローカルのエネルギーをさらに推進することになると同時に、もう一つは、こういう形で売電できる余力のあるところ、ごみ処理等をやりながら発電もして余力のあるところが売ってこうやって財源として入りますと、やはりこういったいろいろな意味での政策を進めていくのに大変プラスになるのではないか。そういう意味で、この売電の単価というものをはっきりもうちょっと整合的にもっと高いレベルで決めて、そして思い切って自治体に還元するという形でこういう問題と取り組むべきであろう、こう思いますが、この点についていかがでありましょう。
  104. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 九電力会社などの一般電気事業者が公営電気事業者などの卸電気事業者から購入いたします電気の卸料金につきましては、電気事業法の第二十二条第二項の規定によりまして原価主義の。原則、それに基づきまして購入しなければならないということになっております。したがいまして、一般電気事業者が卸電気事業者から購入いたします御指摘のようなローカルエネルギーにかかる電気の卸料金につきましては、これはやはり原価主義の原則から離れて、政策的に高く設定するというわけにはちょっとまいらないと考えるところでございます。
  105. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 じゃ、最後に、時間が参りましたのでもうこれで終わりますが、いまの件については売電単価というものを。少し合理的に基準を定めて、きちっとする中でローカルエネルギーの拡大ということについては取り組むべきであると私は思います。時間がございませんので、その点についてもひとつ前向きにしっかりとした根拠のあるものにして、いまのような売電単価は原価主義ですからずいぶんまちまちでふぞろいでありますけれども、そういうものも全部手直しをする中で統一的に考えていくべきではないか、こう思いますので、その点についての推進方を、また御検討を要望申し上げまして、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
  106. 岡田利春

    岡田委員長 これにて鍛冶清君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  107. 多田光雄

    ○多田委員 大臣、どうも御苦労さまです。きのうはイラン問題を中心にしていろいろお伺いしましたが、きょうは石油代替エネルギー法案の条項と、この法案の基本的な問題についてなお二、三伺いたいと思っております。  代替エネルギー法案の条項については、わが党の議員も商工委員会を通じていろいろお伺いしているわけですが、きょうは連合審査であって、私は石炭対策特別委員会の委員の一人として、主として国内石炭の今後の問題を中心にして伺いたいというふうに思っております。  この法案、いろいろ説明を政府側から聞いておりますけれども、この法案全体を貫くあるいは皆さんの説明全体を貫くものは、エネルギー外交あるいはまたその生産、開発研究全体を貫いて私が従来から述べている危惧がやはり出ているというふうに思うのです。それは石油を中心としたエネルギーにあらわれて、海外依存の傾向、それの裏表になる自国資源の軽視、こういうものは形を変えて今回も出ているように私は思います。それだけじゃなくて、開発研究の中にも自国における基本的な研究、そういうものよりは、どちらかというと安直なアメリカの研究を重視していくというような傾向も出ているように私は思います。これらの問題をさらに伺って、ぜひひとつ御検討いただきたいものはまた御検討してもらいたいというふうに考えるわけです。  そこでこれは通産省にお伺いいたしますが、国内の石炭に対する需要が伸びる中で、政府国民に約束しました二千万トン体制の維持、この二千万トン体制がすでに千七百万トン台にことしは下がっているわけです。私は前回の石炭特別委員会でこの二千万トン体制を維持する上で必要な条件として四つ、高瀬部長に伺ったわけです。その四つの条件というのは、深部開発に伴う保安の問題、それから二番目は労働力の不足、それから三つ目は既設炭鉱の老齢化に伴って新しい炭鉱の開発の問題、それから四つ目は海外炭との炭炭格差の問題、こういう問題を解決することが重要じゃないかと聞きましたら、部長はこういう表現で私の指摘を一応認めていたわけです。高瀬部長は、「日本の国内石炭業の従来のポイントがすべて挙がっている」というふうに思うと私の指摘を認めておったわけですが、なお私はこの前提として、一体国内の石炭資源というものがどれだけあるのか、ここをやはり明確にしないとどうも論議がかみ合わない面があるのではないかというふうに思います。  そこで、これは通産省エネ庁に聞きますが、わが国の石炭の理論埋蔵量、それからいま一つは経済炭量、これは経済可採炭量ともあるいは可採炭量とも言われているわけですが、つまり掘って採算のとれる炭量ですね、これはどれだけあるのか、一つ一つ答えていただきたいと思います。
  108. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  その前に、これまでやってきた調査を前提として、その調査を御説明した上で現在どう見ているかということを御説明さしていただきたいと思います。
  109. 多田光雄

    ○多田委員 部長、最初数字だけ挙げてくれませんか。後で聞きますから。
  110. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 はい。昭和四十五年に一応合理化事業団とそれから既存炭鉱の共同作業によりましていろいろな調査をいたしました。その結果出てきている数字が十億トンということでございます。(多田委員「理論埋蔵量は」と呼ぶ)理論埋蔵量というのは計算上出てくる機械的なものでございまして、それはこの調査ではやっておりません。
  111. 多田光雄

    ○多田委員 それでは伺いますが、その調査、海底も含めて、それから現行の稼働中の炭鉱だけでなくていろいろ可能性のあるところ、それを総合的に調査したのは戦後何回ありますか。
  112. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  戦後全国ベースで埋蔵量調査をいたしております。これは二十五年から三十年にかけて六年間の歳月をかけてやっています。そこでやりました調査というのは、まず日本の地質構造がどうなっておるかということ、それから第二点は炭層の賦存がどうなっているかということを調査したわけでございます。それを前提といたしまして理論可採埋蔵炭量を出したわけでございますが、そのときは約二百億トンでございます。このうちどれだけが商品になるかというのはそのときどきの経済事情で変わってくるものでございますので、そのときはたしか六十億トンくらいが掘れるんじゃないかという数字になっているかと思います。  その後閉山等がありましたが、現在の閉山炭鉱が所有しておりました地質構造等の資料というのは全部合理化事業団に引き継がれて、ここに全部ストックということになっております。いまのわれわれの判断といたしましては、全国の地質構造の賦存状況が大幅に変化が起きるというふうには考えておりませんので、これらを活用すればある程度実収炭量等は解明できるんではないかというふうに考えております。  そのほか、三十三年から三十七年にかけて、いままでの調査を補完するという意味で新たに炭田総合開発調査というのを一回やっております。それから原料炭の需要が強い時期であった三十八年から四十四年にかけまして原料炭炭田調査というのをしております。これはいずれも、ベースになっております二十五年から三十年の調査の補完という形でやっているわけでございます。  その後、第六次答申を作成する段階に、それに先立ちまして事業団が持っております資料、それから既存炭鉱との共同作業で、ある一定の条件のもとで採掘炭量を計算したわけでございますが、それが先ほど御説明しました十億トンということでございます。
  113. 多田光雄

    ○多田委員 これは大臣に私はお伺いしたいんですが、これほどエネルギー危機が深刻になって、特に大臣も再三、国内石炭を重視するという御発言をなさっているわけです。ですから、いまから二十五年前に全国的な総合調査をやったわけですが、これはこれとして一定の数字は出ています。しかしながらこの間石油の探鉱やあるいはまた開発ですね、これは大変な技術の進歩があるわけですよ。ですから私は、そういう技術進歩を踏まえて改めて日本の国内資源、これはただ一つエネルギーの国内資源と言っていいと思います、水力とあわせて。これの総合調査をおやりになったらどうだろうかというふうに思うのです。もちろんこれは一定の費用がかかることです。一億や二億で済むものではありません。しかしながら海外炭の開発のために四十数億という大きな金をかけているわけですから、仮にその一部を割いてもこれをすぐことし一年で全部使うわけじゃないのですね。一部を割いてでも、そして数年がかりでこの調査をやる必要があるというふうに私は思うのですね。かつて昭和三十二年ですか、フランスのソフレミンの調査団が来ましてかなり詳細に調査して、日本の炭鉱は有望であるという国際的なあれをもらっているくらいなんですね。ですからぜひひとつ、エネルギーに詳しい大臣と言われているわけですから、ひとつ大臣の在任中にでもこの調査のきっかけをひとつつくっていただきたい、こう思うのですがいかがでしょうか。
  114. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大変重要な問題だと思います。近く石炭審議会等も開催されるそうでございますから、その審議会等にも諮問いたし、できればもっと掘り下げた調査が必要だろうと思っています。
  115. 多田光雄

    ○多田委員 ぜひひとつこの点では余り冷たくなさらないで、前向きで御検討いただきたいと思うのです。  そこで、今日十億トンという経済性のある石炭は非常に重要だと私は思うのですが、この経済性というのは、部長、これはトン当たり幾らで計算したものですか。
  116. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  四十八年価格で計算をしておりまして、そのときのトン当たりコストとして二万円で掘れるものというふうに計算しております。
  117. 多田光雄

    ○多田委員 きのうの岡田委員の質問に対しても、いま現行で国内石炭高いので一万六千円台、こういうことですね。しかもその国内炭が、いま貯炭がありますけれどもこれはいずれなくなるだろうというふうに思うのです。そういうベースから言うならば二万円であったということ、これは非常に大事なことなんですが、私の聞いたのではどうも一万五千円から二万円台のものはカットしたのではないかということも聞いているのですが、間違いなく二万円ではじいたのですか。
  118. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  当時のやった資料の前提を見ますと二万円以内ということになっております。しかもそのとき直接作業に従事した方からの御意見を徴してみましても二万円ということになっております。
  119. 多田光雄

    ○多田委員 そこでちょっとお伺いしたいのですが、政府が立てた二千万トン台ですね。この二千万トンが第六次答申で出たころ、当時私も石炭特別委員会にいたのですが、これは大問題になりまして、当時の石炭特別委員会で日本の国内石炭を重視しろという特別決議を与野党一致で決めたことがあるんですよ。それほど大きな問題になったわけですね。ところがその当時の政府は、私も記憶しているのですが、二千万トン以上必ず確保しますというのを大臣から始まって事務当局も再三約束していたのですが、今日一千七百万トン台に下がってしまう、そしてこの間は石炭協会の三井の有吉社長も参考人として、いま掘っても二千万トンはなかなかむずかしいという答弁を陳述しておりました。この二千万トンを割ったことについて高瀬部長は、これは昭和五十年の十一月の幌内の大爆発、こういう問題もあったんだというふうに述べていたのですが、どうも私は納得できない。それで六、七年前のちょっとメモなどを私調べてみたのですよ。そうしましたらその当時政府側も二千万トン必ずやりますというので、かなり皆さんが余り述べたくないことまで述べていたのですよ。それは新鉱開発やりますとか、それからすでに政府が買い上げた、現在合理化事業団の持っているところあるいは鉱区の消滅したところ、そういうところも見直しをしなくちゃならないということを述べていたのですね。もちろん現有炭鉱の強化もしなければならない、そういうことで二千万トンやりますから大丈夫でございますということを述べていたのです。そこで私はいま伺いたいのは、二千万トン打ち出した何といいますか、条件といいますか、二千万トンは可能だという根拠をもう一度示していただきたい。幌内炭鉱の事故だけではない、あれはすでにもう回復して稼働に入っているわけです。ですからそれが決定的なものじゃないと思うのですが、どうでしょうか。
  120. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  五十年度の石炭鉱業審議会の答申の際には、わが国における唯一の資源である石炭を可能な限り開発するという方針でいろいろなことを考えたわけでございますが、この前提として、まず労使の自主的な努力と保安、それから生産等の技術向上を前提としまして、現有炭鉱の維持、強化を図ることを第一にしたい。  それから第二点として、既存炭鉱の強化を図る補完的な役割りということで、先生御指摘の鉱区調整をかなり積極的にやっていこう、それから長期的には新鉱の開発を念頭に置かなければならないだろうということで二千万トンの維持ということになっているわけでございます。鉱区の調整につきましては、すでに五十二年だったと思いますが、五十二年に法律の改正をして消滅鉱区が活用できるようにしておりまして、それを現に受けて開発しているところもあるということでございます。  それから新鉱の開発可能性については、五十年から調査を開始しているというのが実情でございます。
  121. 多田光雄

    ○多田委員 当時二千万トンを打ち出すときに、あなた方は、たとえば消滅鉱区から幾らの経済性のある石炭がとれるかあるいは新鉱開発で幾らとれるか、そしてまた既存の炭鉱から幾らとれるか、そこまで三つのフィールドに詳細な炭量計算しているんじゃありませんか。そしてそれら全体を生産する上でどれだけの投資が必要かということも皆さん述べているはずなんです。私は前の石炭部長の高木部長から、当時五千億の投下資本が要るということを聞いてメモしている、そのメモを私は持っているんです。そういうものを皆さんは作業したはずだし、それを持っておらぬでしょうか。
  122. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  当時の作業はかなり期間をかけてやっていたと記憶しております。現在手元に資料はございませんが、ある程度の資料は担当の課には残っているんじゃないかと思っております。
  123. 多田光雄

    ○多田委員 この間私はその資料をぜひ見せてほしいというふうに言ったんですが、事務当局はもうありませんとかないとか言っているんですね。私は非常にこれは怠慢というよりも無責任だと思うのですね。一国のエネルギーの根幹になる石炭の二千万トンをはじいた資料がいまありません、どこかにあります、無責任だと思うのです。実は私は当時資料は手に入っていたんです。だけれどもこれはかなり説明があったから私はこれは言いませんでしたけれども、もしないというなら私はこれは述べてみたいと思うのです。これは大臣は当時もちろん通産大臣でございませんから御存じないと思いますけれども、非常に精密な検討をしているわけですよ。そして二千万トンはじいているんです。私はあえてこれを言うのは、この代替エネルギー法案結構です。結構だということは、新しいエネルギー開発するのは賛成ですよ。しかし先ほども申し上げましたように、大事な自国資源を余りめんどう見ないで、また油にかわって今度は海外炭開発だ、そして国内炭開発を何か邪魔者扱いしていくというような姿勢では、また再び深刻なエネルギー危機を別な形で、石炭という名でこのしっぺ返しがくるんじゃないかということを私は恐れるからなんです。私はその意味でちょっと長いんですが読んでみたいと思うのです。これは通産省のです。昭和四十九年六月十日資源エネルギー庁石炭部で出したものですが、そこには「今後の供給見通し」でこう書いてあるのです。供給見通しの中の(1)で、「積み上げ方式による国内石炭の供給可能性」として、今後の国内炭の供給については、まずフィールドとして1既存炭鉱2事業団による保有又は消滅鉱区」、これは政府が買い上げたものです。三つは新鉱開発、この三つのフィールドで進めていく、しかも先ほど部長は二万円の炭価で計算したと言いますが、この資料を見ますというと、一万五千円以上のものはカットする、つまり一万五千円以下のものをここでは計算しているのです。そして既存炭鉱からずっと計算して、これは時間がありませんから省きます。詳細なグラフまで使って予想して、最後に「総括」としてこういうふうに書いているのです。大臣、聞いていただきたいのですが、「総括」として、「以上の結果を総括すれば次のとおりであり、昭和六十年度における国内炭からの供給力は二千万トン/年程度と考えるのが妥当である。」こう言って、埋蔵量としては、既存炭鉱では六億八千五百万トン、これは私計算しましたら、その後一億一千五百二十六万トン採掘していますから、これを差し引きますと、いま五億トン台になると思います。それから消滅鉱区ですね。政府が高い金を出して閉山の山を買った。そして現在事業団が持っている、ここを見直すならば四千三百万トン、それから新規開発では三億二千五百万トン、合計、先ほど部長の言った十億五千三百万トンが経済性のある炭量であると出しているのです。そして五十五年度の年間の生産量は二千百万トン。ことしは幾らになりますか。それから六十年度は二千万トン強というのをはじいて、投資総額として五千億円というところまではじいているのです。この過程にはいろいろな数字が出ておりますが、全くないのであれば私の方からこれをお渡ししてもよろしいです。  ここまではじいているのですよ。ここまではじいていて、なお二千万トン確保できないのは何かというと、幌内炭鉱じゃないのです。それは現行の老朽化する炭鉱だけに依存しているからですよ。だから私はこの間の質問で、現在の炭鉱だけでは老朽化していてやがてはどうなるかわからない。石炭協会の責任者の三井鉱山の有吉さんも、もう二千万トンは無理ですと言っているのです。だから新しい山を開発しなさい。それから政府が持っておられる鉱区あるいはまた消滅した鉱区、ここの再開発を急がないというと、二千万トンという政府が数年前に国民に約束し、国会に約束した石炭さえ掘れなくなる。しかもそういうものの本当の根本をえぐらないで、今度は外国石炭だといって、ちょうど石油業法ができたとき、もうわれもわれもと石油石油と言って、非常に肝心な石炭を投げ捨ててしまったのです。  私は後で述べようと思ったのですが、いま述べますが、先年、私ヨーロッパへ行きましたときに、単独でOPECの本部へ行ったのです。ちょうどOPECの本部が爆破された直後でした。広報部長に会いました。その足で私はデュッセルドルフの炭鉱にも入ってみましたよ。そして所長が言いましたけれども、こういうことを所長が言っているのですね。日本の人は、政府の人も、来ればみんな日本は資源が乏しい、資源が乏しい国だと言う、しかし資源が乏しいかどうかは別にして、日本では大事な資源を使わないでいて資源が乏しい乏しいと言っているじゃないかというふうに所長が言っておりましたね。それから、OPECの本部の広報部長は私にこう言っておりましたね。ちょうど第一次石油ショックの後でしたから、非常に日本国民の石油の使い方が、何といいますか、日本流で言えば非常に荒っぽいということも言っていました。私はこういうことを反省してみても、石炭を掘るということの妥当性と合理性というのはいま非常にあるのじゃないか。それで私は先ほどるる炭量のことについてお伺いしたわけなんです。  そこで、私は大臣にお伺いしたいのですがね。どうでしょうか、前回炭鉱合理化法を改正して、現在ある炭鉱の周辺を今度は再開発をするというふうに法を改正しましたね。これはこれで結構なんですが、そのときになぜ政府が持っている消滅鉱区あるいは事業団の持っている鉱区の再開発も同時に法改正なさらなかったのでしょうか。
  124. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  当時の法律改正のときには、周辺鉱区はできるという改正をしたわけでございます。しかし、その条件としまして、単独ではなかなか困難であろう、それから実態として単独ではむずかしいということで、既存炭鉱の合理化に資するものについて実施するということで法律改正をしております。
  125. 多田光雄

    ○多田委員 事実が何よりもはっきりしているのであって、皆さん自身もすでにこの第六次の案をつくるときに、そういう古い炭鉱から先ほど言ったように四千三百万トンの石炭が掘れるということを言っている。ここに書いてあるのです。掘れると言っていることは、すでに可能性があるということを認めたことなんですよ。そしてその後、この間も言いましたけれども、きょうも私電話で聞きましたら、例のつぶれた羽幌炭鉱ですね。あそこでは、地元の北海道新聞も大々的にこれを書いているのですね。新しい炭層が見つかったというので、町じゅう挙げて期待している。これは露天掘りなんです。そして、あの辺全体のエネルギーを共同ぶろだとかそれから集中暖房だとか、これで使いたい。先ほど長官が言ったような新しい発想での地域的なエネルギーを考えてきて、非常に情熱を持っている。そして、前に羽幌炭鉱に勤めていた幹部の人は、おれが一声上げれば労働者は集まるのだ、これは露天掘りだから、坑内と違って私はそう労働力はたくさん要らないと思うのですが、そう言っているのですね。  そこで私は、それがどうなっているか札幌通産局に秘書をやって聞いてみたのですよ。そうしたら、秘書からの回答はこういう回答なんです。通産局の炭政課ではこういう回答をしているのです。羽幌炭鉱についてはやる気はないというのですね。これは現在の法律では露天掘りをやるというと国有林やあるいは自然破壊につながっていく。これは部長が再三言われたとおりですね。これをどうチェックするかという問題から始まって、ほっておくと次から次へとその露天掘りの面積を業者は広げていく。それはたくさん採炭したいから。そういうものを規制する法律がないのだ、施業案はあるけれどもこういう問題は施業案の枠外になってきている、だからどうしても法改正が必要なんだ、したがってなかなかその認可を出せないのだ、こういうことを言っている。私はそうだろうと思うのですよ。だからせっかくいま地元から、エネルギーの尊重が言われ、省エネルギーが言われている、そしていま目の前に黒い炭がある、これを何とか三町村が集まって第三セクターでもって開発をしていきたいという熱意を持っているときに、エネルギーを大事にしろ、代替エネルギーだと言っている通産局の出先が、出たって認可のしようがないと言っている。こういう矛盾が大臣あるのですよ。これは現実にあるのです。調べてみてください。そして四月三日に羽幌町では独自に調査をやっているのですね。三カ月後にその結論を出す、こう言っているのです。ですから、私は、五十七年のこの合理化法の再検討の時期、延長になるかどうかの時期になるわけですが、これを待たないで私は石炭を掘るような措置をとってもらいたいということを、この間大臣がいらっしゃらないで次官が出ていた委員会ですが、お願いしたのです。余り色よい返事はありませんでしたけれども、ぜひひとつ、炭量調査とあわせまして、この法の改正は非常に大事なことじゃないか。いま太陽エネルギーだとか地熱だとか、まあ当時は大したものじゃないからおもちゃじゃないかと笑っていた。ところが、いま皆さんは大変な金をつけて、これは新エネルギーだといってやるのです。これをやったって、私は恐らくこの既存の炭鉱を掘って石炭を出すだけのエネルギーはここ二、三年で総量として出ないと思いますよ。それがいま目の前にあるのに、それをほうっておいて太陽エネルギーだ、地熱だと騒いでいる。だから地元の人はせせら笑うのです。新しいものばかりやってて、金を使って、そして古い民族的な資源である石炭をほうり出しておいて何が代替エネルギーだ、こうなるのですよ。ですから、私はこの点ぜひ法改正してもらいたいと思います。これは大臣にお伺いしたいのですが、エネルギー庁長官ひとつ実のある御回答を願います。
  126. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生から御指摘の点は、エネルギーの面から見ますと、私ども全く同感の面もあるわけでございます。現にある炭を掘るあるいは新鉱開発をしなければならないということは、エネルギーサイドから見ますとまことに当然のことでございます。ところが世の中の仕組みがだんだんと高度化してまいりまして、エネルギー以外の分野での制約条件というものが大変高まっておるわけでございまして、その一つの例が環境との調和の問題あるいは観光資源との調和の問題等々の問題が出てまいっておりますので、そういう経済的あるいは社会的な制約条件とエネルギー政策とをどう調和していくかということが私どものきわめて大きな悩みと申しましょうか、また大きな課題だということでございますので、御指摘の趣旨はよく頭に入れておきたいと思います。
  127. 多田光雄

    ○多田委員 どうもその御答弁が私には事務的に思えてならないのです。  そこでもう一度聞きますが、部長は再三新鉱開発の問題で宗谷、釧路、これを挙げますね。そしてその宗谷、釧路については国有林があるのだ、自然との環境問題がある。それからあそこにはサケの上る天塩川がある。天塩川の水の汚濁の問題というのも環境問題にぶつかってくる。あるいは非常に過疎地帯で、道路がないとか労働力が集めにくいという困難な面を非常に挙げておられるのですよ。  そこで私は、またこの問題について札幌通産局に聞いたのです。調査はしたけれども、実際に調査以後何をやっているのだと聞いたのですね。そうしましたらまことに実務的な回答でございました。こういう回答なんですね。調査の段階は終わっています。そして対策を聞いたら、どこの鉱区を、どこの区域をどこの事業主体にやってもらうかなんということはまだ全然考えておりません。またもう一つは、だれも事業者は申し出ておりません、こういうことなんです。何のことはない、高い金を払って民間に委託して調査させて、あそこは開発有望だと何年も同じことを言っていて、一向に事態が進んでおらないのですよ。こういう状況なんです。私はここにはっきり出てきていることは、金がかかるとか公害の問題じゃないのです。何とかして国内石炭を掘ってみようという姿勢が欠けている。なぜならば、もう安い海外炭が入るのだ、大勢はそっちへ流れていっている。国内石炭なんか何千年昔かのタイムトンネルの話をしているみたいに考えているのですよ。だから本腰入らないのです。本腰入るのであれば林野庁とも話をする、漁業団体とも話をする、そこを詰める必要があるわけですよ。そうすれば、私は公害の問題が非常に軽視されているということは多くの議員が指摘して、そのとおりだと思うのです。しかしながら、国民的なエネルギーの問題としてコンセンサスを得れないわけはないのです、どっちが譲歩するかは別にして。そこをやってみて、できないならできないでいいのですよ。それすらやらないで調査はしました、重視はしていますと言いながら調査のしっ放し、これでは私は国費の使い損だと言われても返す言葉がないだろうと思うのです。私がさっきから国内石炭のことをばかの一つ覚えみたいに言っていますのは、政府の姿勢がそこにあるのだ、石炭エネルギーの根本姿勢が従来と変わってないのじゃないかというふうに私は思いますので、それを述べているのです。  ですから私はそういうことも含めて、せっかく調査をされたんですから、またせっかく掘りたいという地方自治体がいま幾つも出てきているのです。私のところに来ている陳情も二つや三つじゃありません。そうだとすれば、それにこたえる制度的な対応、法的な対応を真剣にするというのが、私はエネルギーの問題を国民に返す最良の方法だというふうに思うのですが、いかがでしょうか。これは私は大臣に御回答いただきたいと思います。
  128. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもが課長をやっていたころは五千五百万トンなんて言って大変な勢いであったわけですけれども、その後油の関係でいまのような状態になったわけですが、しかし私の承知しておる限りは日本の炭量あるいは炭層と申しますか、もう大体深部採掘が進んでこれ以上は無理だという概念がまだございまして、お話のような新しい開発に向いたところがたくさんあるやには聞いておりません。しかしせっかくのおぼしめしでございますので、もしそういうことであればこれはやはり再度検討の要があると思いますので、よく聞いてみたいと思います。
  129. 多田光雄

    ○多田委員 具体的な事実ばかりで何か細かいことに思えますが、もう一つ私は申し上げておきたいのです。  それは、きょう釧路の私どもの党の市会議員からこういう要請が電話でありました。これは委員長とも事前にちょっとあれしておきたかったのですが、委員長委員長席についておりましたのでできませんでしたが、釧路には御存じのように優良炭鉱の太平洋炭礦があります。これは一般炭専門で引っ張りだこの山ですね。ここは年産二百五十万トンから出ている山ですよ。ところが、北海道電力がここに何と百万キロワットの石炭専焼の火力発電所をつくるという計画を持っているわけです。これは新聞発表もされたわけですね。ところがいま太平洋炭礦には貯炭が三十八万トンあるのですよ。その三十八万トンというのは低品位炭ですね。約四千から五千ぐらいというふうに聞いております。ところが北海道電力はこれは使わない。それでここにオーストラリアから外炭を入れて、これをミックスして約六千カロリー以上のものにして使いたい。そのためにはオーストラリアから持ってくる石炭を苫小牧にコールセンターをつくって、そこから国内船で持ってきて釧路の西港に石炭取り扱いの埠頭をつくりたい、こういうことを市議会で市長は述べた。これが大問題になったというのですね。現に石炭がとれて、その地元で、まあ火力百万キロワットがいいかどうかは別にしまして、外国からまた石炭を持ってきて使うという。使えない石炭ならやむを得ないと思いますよ。現に九州では四千カロリーの石炭を使っているのです。きょう通産省に聞いたのです。四千カロリーのものを使っているところが一カ所ある。五千カロリーとかそれ以上のものだったら普通でしょう。それを投げてそして外炭を使う。ここなんです、おそれるのは。一たびこの枠が外れますと、われもわれもと外炭へ外炭へといくのはあたりまえなんですよ。そういう傾向がもうすでに出てきているのですね。ですから今度掘っても安い外炭が入ってくると使えない。もちろん安いということは悪いことじゃありませんけれども、すでに一般炭についてはもう価格は接近してきているのです、原料炭はまだかなりの開きがありますけれども。そうだとすれば、ここで本当に長官が言うように発想の転換をやるとするならば、私は大事なことは国内資源を最優先して使う、これくらいの制度をつくってもいいのじゃないか。しかしそれでも足りないのですから、外炭を入れなければならないことはこれは子供にもはっきりしていることです。しかしながら大事なことは、少々の差であるならば、それは若干の援助も必要でしょうけれども、国内炭を優先しそして国内資源を尊重していくというこの土性骨がすわらなければ、私は本当のエネルギー対策はできないんじゃないかと思いますので、こういう制度を、これは非常に大事な問題ですから、いますぐここで大臣がイエス、ノーということはお答えにならぬと思いますが、こういう問題も含めて、今度審議会に諮られるときだとかあるいは新しいエネルギー政策をつくるときに御検討いただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いままでは貯炭が大変多いあるいは乱掘だとかあるいは深部採掘でこれ以上は無理だというような話ばかり私聞いておったのですけれども、いまのお話しのようなことが現実にあって、しかも採算上採掘できるとあれば、これは鉱害その他困難な情勢はたくさんあるに違いございませんけれども、やはりそれはそれなりに検討しなければいかぬ問題だと思いますので、まあ国内炭優先というかけ声だけで問題が片づくかどうかわかりませんけれども、一応検討してみたいと思います。
  131. 多田光雄

    ○多田委員 非常に大きな問題ですから、ぜひひとつ御検討をしていただきたいと私は思うのです。  私、繰り返しますが、こういうことなんですよ。実はこの間非常におもしろい話を聞きました。きょうも来ておりますけれども、同僚の革新共同の安田議員が、この二月にECとの会議がありまして超党派の議員団として出かけていった。そしていろいろアラブ諸国も回ってエネルギーを見てきたということなんですが、そのとき非常におもしろい話を聞いたのです。それは同行の自民党の議員ですが、この方は閣僚経験も持っておりますし、与党の中では政策通で通っている。名前は省略させていただきます。この方が、雑談の中でこういうことを言われたというのですね。これからの日本は小さくても身近なものが必要だ、スモール・イズ・ビューティフルだと言ったというのですね。訳すれば小さいことはいいことだという意味なんだろうと思います。私はこれは非常に含蓄のある意見だと思う。これは私同じことを与党議員から何かの機会に聞いたことがあるのです。先ほど長官が、同僚議員の、外国から日本エネルギー政策に批判があったということについて、思い当たることがないわけじゃないという意味のことをおっしゃいましたが、だれでも思い当たっているのですよ。つまり、この流でいけばビッグ・イズ・ビューティフルというのですかね、大きければいいことだというふうになる。このことは何か人間性を忘れていく、郷土性を忘れていくあるいは郷土の産物を軽視していく、そういう全体として日本エネルギー国民的な大事なものを失っていっているんじゃないかという不安を私は持つのです。私はスケールメリットがあるということを否定しません、これは非常に大事なことですから。時と場合によっては思い切ったスケールメリットを上げるということは大事なことだけれども、同時に忘れてならないことはスモール・イズ・ビューティフルということが大事だし、大平総理が地方の時代だとか田園都市と言われた本当の気持ちというのはどうかわかりませんが、私はこういう社会的な流れというものを踏まえての発想じゃないかと思うのです。  そういう意味ではこの案の十条にこういうことが書いてあるのです。「政府は、教育活動、広報活動等を通じて、石油代替エネルギー開発及び導入に関し、国民理解を深めるとともに、国民協力を求めるよう努めなければならない。」これは恐らくテレビその他を通じて、代替エネルギーが必要なんだとグラフ入りでどんどん宣伝されると私は思うのです。あわせてそのためには十年間で三兆円の金が必要だ、皆さん御協力をお願いしますと、こうなるのですよ。私は大蔵委員会におりますので、今度は例の電源開発の税金をまた審査しなければならないわけですね。そうすると、税金やむを得ないということで、国民に対する協力というのは結局税金を取り上げますよと、言えばそういうことになるのですね。ところが、先ほど言ったように郷土の大事な資源を放棄するあるいは余り重要視しない、そしてばかばかでかい物を建てていく、そして魚道をつくったような小さなダムだとかそういうものはどんどん軽視されていくということは、決して田園都市の構想という発想でもないし、あるいはまたここで言う教育、エネルギーにかえられない大事な日本国民のやはり教育というものをないがしろにしていく結果になるのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味におきましても、この地元資源の重視というのは大事だというふうに思うのです。この石炭問題、もう一つ大事なことは地域産業に密着しているということですよ。この側面を忘れますと、単にエネルギー問題だけでこの問題にアプローチすると、重大なそごを来すのじゃないか、こういうふうに思っていますので、ぜひ大臣がおっしゃった方向で善処していただきたい。  私がお願いをしたのは、もう一度おさらいしますと三つです。一つは、炭量の調査を思い切って新しい技術の水準で調査してもらいたいということ。それからいま一つは、消滅鉱区であるとかあるいは新鉱開発その他に思い切って石炭を掘れるような法の改正を検討してもらいたいということ。それからもう一つは、国内資源を優先して使う。これは狭い意味の愛国主義じゃありません。ぜひそれをひとつ大臣のおっしゃったような方向で検討していただくならば、この代替エネルギーという法案の画竜点睛を欠くのではなく、文字どおり仏をつくって魂を入れることになるのじゃないか、エネルギー政策全体としては。そういうふうに思いますので、それを特にお願いしておきたいと思います。  そこで、もう時間が来ましたので条文で伺いたいことがあります。  それは第三十九条の一項の四と五です。四にはこう書いてありますね。「海外における石炭の探鉱に必要な資金の貸付けを行うこと。」それから五には「海外における石炭資源の開発に必要な資金に係る債務の保証を行うこと。」というのがありますが、この四号について、「必要な資金」というのはどの範囲で出すのでしょうか。三十九条の第一項の四の「石炭の探鉱に必要な資金」というその「資金」はどの範囲に限定されるのでしょう。
  132. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 まず、対象につきましては今後詰めることになるかと思いますが、一応われわれが現時点で考えているのは、探鉱を行うために必要なエクイティーの取得、権利の取得のための資金でございます。それからボーリング等の探査に要する費用、フィージビリティースタディー、FSのための費用、これを探鉱の対象にしようと考えております。  それから開発資金の債務保証の関係は、今後やはりまだ詰めていかなければならないと思いますが、探鉱、開発に必要な資金、それとそれに関連する一連の施設の建設費を考えております。
  133. 多田光雄

    ○多田委員 そうすると、四の「石炭の探鉱に必要な資金」というのは生産に必要な限度の資金ということですね。権利を取得することとそれから採掘その他の資金ということですね。これはわかりました。わからないのは、五の「石炭資源の開発に必要な資金」という意味ですが、これはインフラ、つまり道路、港湾あるいは港湾設備、そういうものを対象に広げているのですか。
  134. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  道路とか港湾その他の探鉱開発と直接不可分のものが多分入るのじゃないかと思いますが、かなり離れたところのものは別の、この対象にはならないのではないかというように考えております。
  135. 多田光雄

    ○多田委員 そうするとどの程度入るのか、入る限度を言ってください。そういう港湾施設や何か、そういうものが入らないというのであれば。
  136. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 これについては今後詰める問題で、どの範囲までを入れるかというのは、かなり実態を踏まえた上で議論しなければいけないわけでございます。現在のところ抽象的に考えているのは、探鉱開発と直接に関係のあるインフラということを考えているということでございます。
  137. 多田光雄

    ○多田委員 直接関係あるとなりますと、やはりぼくはあの広いオーストラリアなんかを例に挙げれば、急速にいま山を掘って石炭を出すわけですが、道路だってそうあるわけないのですよ、港湾設備なんかましてあるわけないのですよ、日本のように。それらの問題もつくらなければできない。私は、そこにまでこの資金が拡張されていくんじゃないかというように思うのです。私がいま心配していますのは、そこへ拡張したかどうかじゃなくて、これは当然金融機関が、開銀も含めてですけれども、いろいろな融資をする結果になるんじゃないかと思うのですよ。その場合の債務保証です。私はここまで拡大すると歯どめがないんじゃないかと思うのですが、その歯どめについて、これは長官、相当厳密にやりませんといろいろな不正腐敗なども起きている今日ですから、非常に乏しい財政の中から出すわけですから、この歯どめをどういうふうにされるのか。あるならある、または検討しなければならない、これをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  138. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま石炭部長からお答え申し上げましたとおり、これは今後詰めていくべき問題でございますけれども、石炭開発の形態によって大分変わってくるんじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、そういったインフラストラクチュアまで日本の企業の責任において分担させられるのかどうか、これがまず前提条件になってくるわけでございまして、その開発の形態に応じた債務保証を行うということでございます。  それから歯どめの問題につきましては、債務保証の基金の枠というものがあるわけでございますから、この枠を無制限にいたしておきましてそういう対応をいたしますと、先生御指摘のように、企業形態に応じてどんどん需要がふくらんでまいりましたものを無制限に債務保証するということになりかねませんので、この枠は予算上ぴしっと決めておきたいというふうに考えております。
  139. 多田光雄

    ○多田委員 時間が参りましたのでこれで終わります。最後に、足りないものを外国から買う、あるいはそうしなければならないのは当然ですけれども、私の心配しているのは、これもこの間委員会で述べましたが、先ほどオーストラリア、カナダで十カ所ほど手をつけているということですが、私も政府の出されたコールノートに基づいて調べてみました。そうしますと、オーストラリアで八カ所ほど日本の企業がジョイントしてやるのがあるんですよ。ところが、この企業のうち四つまでがシェルなどのメジャーが絡んでいるのです。それからその他はアメリカの独立系です。あるいはカナダの二カ所もそうなんですね。皆さんの書かれたコールノートにこういうことが書いてあるんです。もうすでにメジャーが優良国にほとんどつばをつけちゃった。これは前にも大臣の前でやったんですが、「この結果、一九八五年の」あと五年後です。「一九八五年のオーストラリアの生産の七六%に影響を与え(出資比率分だけでも四二%)、輸出量の六八%に影響を与えうるまでになっていると推定される。」この間、「月刊海外市場」という雑誌を見ましたら、これはずっと皆さんのところに配られていると思うんだが、ここにもこう書いてある。アメリカでもオーストラリアでもカナダでも南アでも、石炭資源のいいものはほとんどメジャーが手をつけた。「こうしたメジャーズの石炭戦略は、石油と同様に、探鉱、採掘から輸送、港湾、液化などの加工そして販売までの本格的なトータルな支配をめざしており、シェルはすでに七五年に、シェル・コール・インターナショナルを設立して、世界の石炭業務管理を計っている。」私は、海外開発を否定はしません。しかし、今度はこのメジャーにおんぶに抱っこになってしまうんですよ。そうならないといったらこれはよほどお人よしです。そうすると炭価が上がるのです。しかも今度炭価が上がるのは日本の企業が一枚かんで上がるのですから処置よくないですよ。そうなると、いま外炭の一般炭が幾らか安いなんて言っておりますけれども、道路をつくるんだ、港をつくるんだ、船もつくるんだということになれば当然上がってくるんです。その歯どめをどうするのか、これも非常に重要な問題になるのじゃないか。しかも今度は民間にお任せでしょう。そして新しい機構は一応どういう管理になるか、管理をする権限もないんじゃありませんか。そうなってくると、供給目標は決めるけれども、中身にタッチできない、民間ベースの開発、輸送になりますとこれはどうなるんでしょうか。ですから、海外依存の場合に一番正常な考えで恐れられるのはここなんですね。これについて回答はきょうは要りません。ぜひその点についての深刻な展望を持って、歯どめをかけることもひとつ考えていただきたい、こういうふうに私は思います。  最後に、全体として大臣と長官の御意見をいただきたいと思います。
  140. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いろいろ御注意ございましたが、今度石炭審議会に今後の方針と申しますか諮る際にはよく吟味いたしまして、そういう重要な点は必らず審議会で真剣に検討していただくというふうな行き方がいいのじゃないかと思います。  さっきのスモール・イズ・ビューティフルという話はまた大変おもしろい話で、アモルファスシリコンで太陽光線の発電を各家々でする場合には、それぞれの家で電気を持つわけですから、それで結果的にはスモール・イズ・ビューティフルになるわけでございまして、全部がそうなるとは言えぬにしても、そういう時代が来ることは間違いないと思います。ですから、いまの代替エネルギーの推進というものはそういう面も考慮して図るべきだという感じがいたします。
  141. 森山信吾

    森山(信)政府委員 国内資源としての石炭最優先活用という問題は私も全く同感でございまして、国内資源をほったらかしにして海外炭に依存ばかりするという考え方ではなくて、国内炭の優先ということをベースにした海外炭の開発ということでございます。これはもう先生御承知のように通商上の手だてもあるわけでございまして、現在IQ制度もとっておるわけでございますけれども、そういった手段を十分考えた上での総合的な石炭政策を推進してまいりたいと考えております。
  142. 多田光雄

    ○多田委員 終わります。
  143. 岡田利春

    岡田委員長 以上で本日の議事は終了しました。  次回は、来る二十二日午前十時より連合審査会を開催し、参考人の意見を聴取することといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十七分散会