運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-04-16 第91回国会 衆議院 商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十六日(水曜日)     午前十時開議  出席委員  商工委員会    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 渡部 恒三君 理事 清水  勇君    理事 渡辺 三郎君 理事 近江巳記夫君    理事 神崎 敏雄君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       小川 平二君    大塚 雄司君       鴨田利太郎君    田原  隆君       辻  英雄君    橋口  隆君       原田昇左右君    深谷 隆司君       水平 豊彦君    渡辺 秀央君       石野 久男君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       中村 重光君    松浦 利尚君       山本 幸一君    長田 武士君       木内 良明君    中川 嘉美君       森田 景一君    小林 政子君       安田 純治君    中井  洽君       横手 文雄君  石炭対策特別委員会    委員長 岡田 利春君    理事 田中 六助君 理事 山崎  拓君    理事 山下 徳夫君 理事 中西 積介君    理事 細谷 治嘉君 理事 多田 光雄君    理事 稲富 稜人君       麻生 太郎君    北口  博君       倉成  正君    野田  毅君       藤田 義光君    三原 朝雄君       中村 重光君    鍛冶  清君       吉井 光照君    小渕 正義君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    尾島  巖君         通商産業省通商         政策局長    藤原 一郎君         通商産業省通商         政策局次長   真野  温君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  鈴木 昭雄君         環境庁自然保護         局保護管理課長 田村久仁夫君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      田口健次郎君         運輸省船舶局関         連工業課長   茂木  工君         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事         長)      佐伯 博蔵君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律案内閣提出第三五号)      ――――◇―――――
  2. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 これより商工委員会石炭対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案審査を行います。  本案の趣旨説明聴取は省略することとし、お手元に配付しました資料によって御了承願いたいと存じます。
  3. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中六助君。
  4. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案審議でございますが、脱石油ということは、来る六月のベネチアのサミットでも大きな議題になることがすでに予備会談で討議されておりますし、昨年の東京サミットエネルギー問題に大きく左右されたわけでございますが、特に石油のほとんど全部を外国から輸入している日本にとっては、国内だけの問題じゃなくて国際的にも脱石油ということは大きな責任もあるわけでございます。  したがって、この法案の持つ性格あるいは重要性、そういうものは十分政府並びに私ども審議する者としても認識しておるわけでございますが、この石油代替エネルギー法案、附則がついておるのですが、六十条あるわけでございます。これを出すべースですね。これを出したから長期的にどういうふうになるのか。つまり八〇年代脱石油の元年だというふうに通産省は銘打っておりますけれども、こういうことのベースになっておる、この法案を出すについてはどういう構想があるのか。日本のこれからの八〇年代の将来における経済構想ですね、そういうものはどういうふうになってこの法律関連をしておるかということを、大まかで結構でございますので政府見解を述べていただきたいと思います。
  5. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 お話しのように、脱石油時代は必ず訪れるわけでございますので、それに対処することが日本エネルギー政策として一番肝心なことだと思います。当面すぐの問題といたしましては節約とかあるいは備蓄とかあるいは油の安定供給とかいったようなもので、当面はしのいでいかなければいかぬわけでございますけれども、それのみで将来の事態に備え得るかというと、そうはまいりません。ただいま考えておるところでは、十年後には石油依存度が七〇%あるいは七五%ぐらいなのを欧米並みの五〇%ぐらいまで下げよう、また十五年、二十年先にはさらにその五〇%の率を低下させようということで、油の依存率を順次低めまして、それにかわるものとして、油にかわる代替エネルギー開発していかなければならぬ。ですから、当面の対策のみでは将来に備え得ないというわけでございまして、将来の問題としては何としても代替エネルギーというものを早急につくり上げることが一番肝心だと思います。それではその将来の油にかわるエネルギーは何かと申しますと、ただいまのところでは原子力とか石炭とかあるいはLNGとかといったものが一番基本になる柱だと思いますけれども、それだけでいいのかと申しますと、これ自体も将来のことを考えますとやはり天然エネルギーと申しますか、代替可能な、再生可能なエネルギーと申しますか、自然エネルギー的なものをあわせて開発していくということが日本の将来のために非常に重要だと思います。また、立地的にも大変その面では恵まれておる日本でございますから、しばらくの間は補完的な任務しか持たぬにいたしましても、地熱とか太陽熱とか風力とか波力とか海洋エネルギーといったようなものをあわせて開発していくという必要性があると思いますので、そういう面の研究開発を進めていくのが大変肝要なことでございますから、それを担当する日本中枢機関としてこういう機関が必要だということです。ですから、この法案は将来の脱石油時代に備えての各エネルギー開発スケジュール的なものと同時に、目標みたいなものをまずつくり、そしてそれを推進する中枢機関をつくっていく、こういうのが主たる目的でやっていることでございます。
  6. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 大臣のいまおっしゃったこと、大まかな線まさにそのとおりだと思いますし、わかりましたが、私はそういうものに加えて、一九七九年、昨年の八月に発表されました総合エネルギー調査会需給部会の「長期エネルギー需給暫定見通し」の中間報告がございますので、そういうものを読んでみますと、そういうものが下敷きになってこういうものができたのだろうと思います。ただ、私に言わせると、代替エネルギー法案ができ上がるのが遅い。この法案の中に機構があぐらをかいて大きな座を占めているのですけれども、非常に遅い。遅過ぎたと思うのですね。行政機構云々とかいってこれをつくるのに非常にちゅうちょした政府のあり方は、チープガバメントということだけが頭にあって、ただ機構さえ縮小すればいいんだということで大事なことを忘れておる。行政機構改革というものは、要らぬものはもちろんスクラップすべきでございますけれども、ビルドする面があっていいのに、ただ縮小することだけ頭にある。やっと日の目を見てこの法案ができるわけでございます。一日も早くこの法案成立を願うわけでございますが、ただ私は、この法案を読んでおりまして、また法律技術者、どこかの省の法規課あるいは法務省の一部の専門家が何かを寄せ集めてでっち上げたというような、少しも血が通っていない、何か冷たい活字で生命の通わないもののような気がするのです。たとえばこういう問題になると国内問題だけじゃなくて国際的な大きなものを背負っているし、それから通産省指摘しているようにエネルギーエコノミスト、そういう人の問題が出てくるわけですね。ただ機構をつくって、運営委員会があって、理事長があって、副理事長がある、理事が七名おるとかいうようなことでなくて、こういう画期的なことをするときにはまた画期的な法律づくりをやらなければいけないのじゃないかと思うのですが、それがあらわれていないのが非常に残念です。  それから、次に私が尋ねようと思っておりました代替エネルギー種類、こういうものはどういうものがあるのでしょうかと聞こうと思ったら、大臣がもうすでにそれをおっしゃいましたからこれは聞く必要ないのでございますけれども、非常に気になることが一つある。大臣がいま申しました代替エネルギー種類の一番冒頭に、原子力からずっとLNGへの問題を言ったのですが、肝心かなめ原子力は、この法律の三条の三項に、「通商産業大臣は、供給目標のうち原子力に係る部分については、内閣総理大臣の推進する原子力開発及び利用に関する基本的な政策について十分な配慮を払わなければならない。」これの一項目と、あと原子力開係は除くというところがあるだけで、大臣さえ代替エネルギーの一番最初に言った原子力が等閑に付されている。原子力こそ代替エネルギーの王座であり、中央の座敷に座るものであると私も認識しておりますが、これがどうしてこの中で非常に無視されておるのか、この点について大臣見解を聞きたい。しかも大臣原子力関係では日本ではベテラン中のベテランなのに、私はどうしたことかと思うのです。
  7. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 まず第一番目の御質問でありますが、この機構は去年のサミット申し合わせ等を踏まえて、国際的な環境からも要請があってできたものじゃなかろうかというお話でございますが、そのとおりでございまして、サミット並びに去年の暮れ十二月にパリでIEAの会議がございまして、閣僚理事会に私も参ったのでございますけれども、いままでなかった一つの大きい現象として、主要消費国のいわば消費カルテル的な一つ性格を持ったものができ上がるということでございまして、何年度にはどのくらいの油しか輸入できませんよという最高の輸入限度国家規模として決められつつございます。したがいまして、従来のように油が足らぬから油がもっと欲しいと言ってもこれはどうにもならぬ。国際義務として与えられた目標というものは守らなければいかぬという天井がはめられますので、否応なしに代替エネルギーというものを進めざるを得ない国際的な環境になっておることは事実でございます。それを踏んまえて、国内的の理由先ほどお話がございましたが、国際的にもそういうふうないわば義務として進めざるを得ない。これが法案ができましたあるいはこの機構ができました大きい理由一つでございます。  それから二番目の、機構の中を見ると、いかにも寄せ集めと申しますかあるいは後片づけ的で、新味、気魄に満ちた内容になっておらぬのじゃないか。たって言えば民間の活力を活用するというところに新味があるようだけれども、それすら一体完全に全うできるほど人間から見ても内容が充実しているのかというお話がございました。それは確かにお話のとおりでございます。行政機構整理のさなかに生まれたものでございますので、未熟児的な点はこれは仰せのとおりでございますけれども、うちの長官も言っておるように、生まれは大変弱々しいですけれども、これはだんだん強めまして、本来の姿に逐次持っていこうという気持ちでございます。  それから三番目に、原子力はなぜ外したのだというお話でございます。これはずいぶん議論がありましたけれども、原子力に関しましては戦後二十数年、三十年近く取っ組んでおりまして、研究開発あるいは中間的な一つ研究から実用化までの段階に至る過程まで、言うなれば一切の体系といいますか機構といいますか、そういうものは一応整備していると見て差し支えないのではないかと思いますので、その整備した体系をさらにこれに取り入れるというのも混乱を招くばかりでございまして、むしろそれは従来の体系で伸ばすということにして、この方は原子力を抜いたその他のエネルギーにひとつ全力を注ごうということの方がかえって目的がはっきりしてよろしいのではないかということで、この機構では扱わぬようにした次第でございます。  ただし、それでは総合エネルギー総合という字がおかしいではないか、原子力を抜かして総合というのはありようがないではないかという反論が出ると思います。その方は冒頭にありますように、エネルギー総合計画というものを通産省が中心になってつくっていくわけでございますから、その点は御心配ないと存じます。  少し言葉が足らなかったかもしれませんけれども、以上、御質問にお答えいたします。
  8. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 いま大臣言葉が足らぬかもわからぬとおっしゃいましたが、確かに原子力の問題について体系が整備されておると断定されておりまして、原子力関係体系とか機構が完全に整備されて非常に進んでおるという認識ですね。これは私は疑いを持つ。そういう発言を大臣がなさるとかえって心配になってくるのです。まあ大臣専門家でありますから、そういう観点から見たらそうなのかと思いますけれども、大体素人、第三者の言が往々にして当たるということがございます。玄人の人は雲の中に入っているからかえってわからない。私ども素人が見ておりますと、原子力体系とかそういうものが整備しているとは見られないのです、各国のを見ても。むしろ出力とか備蓄とか、そういう面から見れば見るほど、将来の展望を見れば見るほどいまの程度で整備されているのかな、原子力関係についてはおくれている、そういうふうに思うのですが、もう少し大臣の頭の中に入っている原子力関係についてお話しいただけないかと思うのです。
  9. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 まず研究過程でございますけれども、これは御承知のとおり大学とか原子力研究所で、東海の原子力研究所というのは世界でもほとんど類例のないほど整備したものだと思います。研究から開発段階に至りましては動燃という御承知のような機関がございまして、新型の原子炉ばかりではなしに燃料の開発実用化の一歩手前までこの機関で手がけるわけでございます。機構改革あるいは原子力仕組み変革が去年決まりまして、そしてそれぞれ実用化段階になれば、通産なり、船舶であれば運輸省でこれを扱うというふうに決まりましたし、あるいは一番肝心な安全の審査等も、実用炉に関しては通産省がこれをまず見る、研究炉であれば科学技術庁が見て、その認定の結果を安全委員会という新しくできた権威ある機関にかけまして、ダブルチェックをして、そしてさらに安全性に対する検討等を丹念にいたそうというふうに、いろいろ仕組みを長い間かかって、変革を要する点は変革もし、実情に合うように変えて、ただいま再出発している最中でございますので、その体系をさらに崩す必要はないのじゃないかという意味でございます。
  10. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 そうすると、原子力代替エネルギーとしてどの程度使えるか。たとえば区切りますが、一九八〇年代に入ったわけですね。そうすると五年後の一九八五年にはわが国のエネルギーの中でどの程度代替エネルギーの位置を原子力関係は占めるのか、九〇年はどうか。八五年と九〇年、二つだけでいいですから、余りこればかりに入っていると次の質問ができませんので、そういうところをちょっと言っていただきたいと思います。
  11. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 先ほど先生から御指摘のありました「長期エネルギー需給暫定見通し」のベースで申し上げますと、昭和六十年におきます原子力への期待といたしまして三千万キロワットということでございますが、これが総エネルギーの中に占めますシェアといたしまして六・七%を考えておるわけでございます。それから六十五年には五千三百万キロワットでございまして、総エネルギーに占めますシェアは一〇・九%ということを期待いたしておるわけでございます。
  12. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 次に、代替エネルギー種類は先ほどわかったわけでございますけれども、地熱とかあるいは石炭液化でもそうでございますけれども、石炭液化をしますとどうしても窒素酸化物とか、燃焼関係でいろいろ公害関係する酸化物が出るわけですね。地熱の場合でも環境問題、地元のいろいろなこともあるでしょうし、これから代替エネルギーだということで石炭電力会社との結びつきで昔に返っていくような傾向になるわけでございます。そうすると、環境問題と地熱石炭問題が再び新しくクローズアップされてくるわけです。日本公害、炭の公害ですけれども、この問題については先進国中の先進国だ、つまり公害対策については先進国であるというふうに言われております。非常に結構なことだと思いますけれども、これからの代替エネルギー関係においてそういう環境問題との競合が別な面から新しく起こってくる。そこでクローズアップされてくるのがいま問題になっておりますアセスメント法案だと思うのです。私は実はこの法案成立を必ずしも願っているものではないのです。この法案が本当にひとり歩きしたときに、こういう将来の代替エネルギーとの問題でどうなるかなというふうにむしろ危惧を持つのです。したがって、あのアセスメント法案が第一次から第二次、きのうの朝日新聞を見ますと第三次案でかなりの骨抜きみたいな形になっておりますが、それでも私は心配しておるのですが、代替エネルギーアセスメント法案との関係、こういうものについて御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 原子力関係と申しますとあれですけれども、放射能、放射線関係は一応アセスメント法案適用除外になっております。おりますけれども、放射線にかかわりのない問題、たとえば温排水の問題等アセスメント法案原子力発電といえどもかかわるわけでございまして、一部は適用を受けることは免れないと思います。その他のこれから開発しようとする、お話し地熱発電とかあるいは特に石炭火力等は、アセスメント法案ができますればその適用内に入るのは当然でございまして、したがって、アセスメントとの関連は大変重要な問題であることは御指摘のとおりでございます。ただいまの段階では三回関係閣僚会議を開きまして、一応の考え方としての要綱はコンセンサスを得たわけでございますけれども、それを法案に書きかえるということは、これはまた法技術としてなかなかむずかしい点が残されておりまして、その最中でございますが、法案の方は法制局との折衝である程度進んでおるようでございますけれども、各省間の話し合いが完全についているかと申しますと、とてもそこまでいっておらぬような状況でございますので、予定どおりこの国会で党の承認も取りつけた上で出せるかと申しますと、時間的には大変切迫した時期になっているように見受けられます。
  14. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 アセスメント法案との関連は、これがひとり歩きすると大変なことになるという認識を私はさらに強めておるわけでございますけれども、これからも十分総合的な観点からこの法案も進めてもらいたいし、代替エネルギー問題というものの方がより国民生活の安定あるいは経済活発化に大きく関連していることを強く認識して対処してもらいたいというふうに考えます。  それからこの条文の中に開発債、つまり代替エネルギー開発するのに公債を発行する。その前に証券の問題がございますけれども、これは別として、公債を発行することになっておりますが、これは一体どういう種類のものを考えておるのか。道路債とか電電公社債とか住宅関係公債、いろいろそういうものはございますが、開発債と書いておりますけれども、具体的にどういう種類のものか。何年もの、利率は幾らとかありますね、そういうものを一切含めて内容をいろいろお知らせ願えればと思います。
  15. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 四十七条に、「業務に必要な費用に充てるため、新エネルギー総合開発債券を発行することができる。」という規定を設けております。これはこの新機構が将来技術開発あるいは資源開発等を進めていくために、資金的にその財源を確保する上で一つ手段として規定いたしたわけでございまして、これは新機構財源確保手段としての債券発行でございまして、一般的に言われる社債発行のような形だと思います。細部についてはこれから検討するところでございますけれども、目下のところ資金的には政府予算を最優先に考えておりまして、必要やむを得ない場合に長期借入金なりこの債券で賄うという考え方で、いまのところこの債券をどういう形で発行するかということまで検討はいたしておりません。そういう状況でございます。
  16. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 まだ債券内容とか発行条件、そういうものについては考えていないということでございます。ただ、なぜ聞いたかと言いますと、いまの金融情勢あるいは財政再建とかそういうものと結びつけ合わせますと、非常に金融情勢を圧迫するという片面があると同時に、一方財政再建ということでこれは早目にやらなくちゃいかぬのじゃないかというような気持ちから聞いてみたのでございます。  それから第十四条に「機構資本金は、次に掲げる金額合計額とする。」として、第一に四十七億円というものが政府出資になっていますね。あと民間から出るような形の文言があるわけでございますが、この四十七億円というのはどういう計算からこれを明示したのか。それからもう一つは、どういうふうな使い方をするのか。たとえばこの中でこれをどうするというような案がございましたらお知らせ願いたいと思います。
  17. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 第十四条の第一項に、政府出資といたしまして四十七億円というのをこの機構の発足の当初に政府出資する金額として計上いたしております。この政府出資の内訳は、機構を設立するために必要な準備金に充てるために六億円、それからそのほかは、この機構が発足いたしまして事業を開始するために必要な資金に充てるための出資金でございまして、予算上、海外炭探鉱融資の原資に充てるために三十四億円、それから海外炭開発債務保証基金といたしまして五億円、それから地熱開発債務保証基金といたしまして二億円、合計四十七億円ということになっております。  ただ、これは新機構が発足する際にとりあえず必要な事業資金あるいは設立準備金という形でございまして、今後事業を拡大していく場合に必要な出資金というのは、今後必要に応じましてその資金を増額することができる規定を設けております。
  18. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 大体それでわかりましたが、それで一応十分だというような、公債は発行しなくてもいいというようなことなんですが、これに関連して、民間資金あるいは民間人たちをどういうふうにして参加させるかという具体的な案がございましたら説明してください。
  19. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 ただいまの御質問出資金の話がございましたので、まず出資金から申し上げますと、政府出資が四十七億のうち、とりあえず設立準備として必要な資金が六億というお答えを先ほど審議官から申し上げたわけでございますが、民間といたしましてもそれに恥ずかしくないだけの金額をぜひ出資をしていただきたいという期待を持っておりまして、現在、経団連等を通じまして民間出資額を折衝いたしておる段階でございまして、ある程度金額出資が見込まれております。これが出資関係でございます。  あとは、民間の参加の形態といたしまして、運営委員会という制度を本法案の中で織り込んでいるわけでございまして、この運営委員会には民間の総意が反映されるような形での人選を行ってまいりたいというふうに思っております。  それから、事業実施部隊といたしまして技術開発本部という機構を考えておりますが、そこに参加していただく予定の技術者の方々は主として民間から出向をしていただきたい、こういうような期待を持っておりまして、そういうことを総合いたしまして、民間総合的な活力の導入を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 いま長官民間の活力をたくさん取り入れたいと言っておるわけでございますが、私も民間のそういうみずみずしい活力、どうしてもそれが必要だと思うのです。したがって、発想法の中でもいろいろな民間の息吹を入れた方がいいと思うのでございますが、この運営委員会の人選と、それから今度は別の、機構理事長、副理事長それから理事、これがたまたまかどうか知りませんが、監事が二名と一名でちょっと違うような程度で、同じような数字のようでございますが、この人選に当たって、私はいつも石炭鉱業審議会のメンバーのことを言うのですが、専門家専門家だといって十年も十五年も同じ人がずっと続いている、時代の変遷、バックグラウンドも変わっておるのに、経験者ということで大体いつも同じ人、やはりこれは、政界でもそうで、古い人がいつまでも居座るということがあるのですけれども、どこの世界でもそういう面はありますけれども、やはり若いフレッシュな感覚を持ち込まなければ、こういう代替エネルギー機構において、その玄関口で困っていくのではないかと思います。  余談にわたりますけれども、ノーベル賞の各部門全部ですけれども、三十前後のときの作品あるいはそのときのものに対して、ちょうど六十ぐらいになってそのほうびを、ノーベル賞をもらうのです。小説の場合はちょっと違いますけれども、あとの科学関係はほとんど三十前後の作品なんです。それと同じように、これは若いからどうとかというのは、真っ赤なうそ偽りとは申しませんけれども、言いがかりであって、若い人をどんどん起用していくことの方がいいのです。したがって、これらの新しい機構に、古い革袋にどうということではなく、新しい革袋には新しい酒を盛るというようなこと、そういう点の配慮をぜひしてもらいたいのですが、この点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  21. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 お説のとおりだと思います。私も初代の原子力局長をやっている当時、湯川さんが委員でございまして、よく話しておったのですけれども、やはり二十代が一番頭のさえるときだと言っておりました。かつて、百人ぐらいずつ海外に留学生を出しておったのですけれども、大概二十代ぐらいの青年を出しておったのですが、日本の青年は大概一番でよくできたです。世界的にも大変すぐれた頭脳を日本人は持っておると思いますけれども、そういう若い頭脳を重用するのが大変重要なことだと思います。
  22. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 それから、この代替エネルギー法案が通れば十月に発動するわけでございますけれども、石炭合理化臨時措置法が表向き一応消えるわけです。条文は事業団のところを機構に変えていくのでございますが、この法律を横すべりさせたために、私に言わせるとこれまた非常に無理がある。機構全体が何か石炭の部門関係に偏っている。たとえば、人間が二百六十名ですかおるのに、それが全部来る、その一部が総務と経理に行く、そうすると、大事な地熱関係はどうなのかというような、今度は、代替エネルギー石炭部門は非常にウエートが高くなるわけだけれども、あとの部門はどうなのかという疑問を持たざるを得ないのです。といって、合理化臨時措置法の関係を無視すると、人員、機構面でまた大変でしょうし、私自身も何かいい方法はないかなと思って、結局なくてこういう形になったのだろうと思いますけれども、合理化事業団の人員配置とこの新機構の配置、これの青写真を、そのことをよくわかっている人に述べてもらいたいのですが、いかがですか。
  23. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 新機構での人員配置の原案は、役員を含めまして三百三十七名ということをお願いしておるわけでございますが、御承知のとおり現在の石炭鉱業合理化事業団の定数が約二百六十名でございます。そのうち百九十一名を新たなる形での石炭鉱業合理化実施本部の部隊に張りつけたいと思っておりまして、八十七名をいわゆる新しい分野の業務を担当する方に張りつけをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。もちろん役員の定数は現在実員といたしまして十名おりますので、それはそのままの姿でスライドいたしますので、合計いたしまして三百三十七名ということでございます。
  24. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 この石炭合理化事業団が貸付金といいますか、これが大きな母体になっておるのですが、千三百億ぐらいいろいろな石炭関係に貸し付けているのです。それを回収したりしていろいろやっているわけですが、この金はどういうふうになるのですか。それをそのままにしておくのか、どういうふうに流用していくのか、その考えをちょっと聞かせてください。
  25. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 先ほど出資金の項で御説明申し上げました第十四条でございますけれども、第一項の第二号の「附則第七条第四項の規定により政府から出資があったものとされた金額」というのが、まさにいま御指摘石炭鉱業合理化事業団の分でございまして、千三百五十億あるいは千三百八十億程度というものが新機構発足の当時に予想されるわけでございますので、その金額出資金として新エネルギー開発機構政府出資をされるというふうに考えております。
  26. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 この石炭鉱業合理化臨時措置法は、期限切れが法律からすれば五十七年の三月ですかね。そうすると、これは石炭部門から言わせますと、石炭六法の温存といいますかへ鉱害復旧とかいろいろあるのですが、産炭地振興臨時措置法が来年の十一月に切れるのです。そういうようなことで、六法との関係で、関係の住民、それから関係者、関係事業者は非常に不安に思っているのですが、この合理化臨時措置法、この法律そのものは一応再来年の三月に期限切れということになっておるのですが、この法案の期限切れそれそのものはどういうふうにお考えですか。
  27. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 説明申し上げます。  石炭部門の仕事は合理化事業本部でやるということになります。仕事の内容は従来どおり継続する、それから資金は、会計は区分経理ということに相なっております。これは合理化法が国内の石炭対策の基本法でございますので、その延長との絡みで存続が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  28. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 法律の延長、それはどうですか、その法律そのものは。切れるけれども、その期限だね。
  29. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 合理化法の期限は五十七年三月になっております。現在のところ石炭の見直しという問題が世界的な規模で出てきておりますので、今後の対策について、近い時期に石炭鉱業審議会等に諮問し、有識者の意見を聞いて、七次になりますが、七次対策について検討していきたいというふうに考えております。
  30. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 検討事項だということですので、いつも検討ではっきりしたことがわからないので弱るわけですが、まあそれはそれでいいでしょう。  それからサンシャイン計画、これは昭和四十九年から出発してずっと工業技術院で非常に苦労してやっておるのですが、これがまた予算の上からも、それから機構の面からもどういうふうになっていくのか、お尋ねしたいと思います。
  31. 石坂政府委員(石坂誠一)

    ○石坂政府委員 御指摘のとおり、工業技術院におきましては四十九年からサンシャイン計画を実施してまいりました。院内にサンシャイン計画推進本部というものを設けて推進に当たってきたわけでございます。  それで、推進本部の仕事の実態は、新エネルギー技術開発をどういうように行うべきか、具体的にそれをまた実施させるというような仕事をやってきたわけでございますが、この仕事は新機構ができましても依然として残る分野があるというように考えておるわけでございます。  なお、そういった政策決定のみならず、傘下の研究所に技術開発を実施させる、特に基礎的な研究に関しましてはこれを実施させるということをやってまいりましたし、また、これがプラント開発という段階になりました場合には電源開発に委託いたしまして、たとえば地熱開発のためのいろいろな探査あるいは地熱の包蔵量の調査等を実施してきたわけでございますが、これのこういった仕事、つまりいわばプラント開発に近い段階のものに関しましては、新機構に移してここにお願いするというように考えております。なお、電源開発に関しましては、電源開発のいままで蓄積されましたノウハウを生かすという意味で、新機構へ一部人間を出向させるというようなことも考えておるわけでございます。  それからもう一つ予算の面でございますが、この予算の面につきましては、今後新エネルギー開発するに当たりましてかなりの予算がかかるというように想定しておりますので、新機構と、これを監督する直接の責任を持っております資源エネルギー庁と密接に協力しながら計画を立てていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  32. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 いずれにしても機構の面、それからそういう財政の面、そういうところは十分考えた上のことでございましょうけれども、むだのないように、しかし効率のいいような展開をお願いしたいと思います。  それから石炭液化の問題について一つお尋ねしたいのですが、豪州炭の褐炭の問題が当然浮かび上がるのですが、日本も褐炭の液化ということについては、政府そのものもすでに五十五年度予算案に四億円の調査費を計上しておるわけでございますので、強い関心を持っている証拠ですし、民間をそういうふうに指導している面もございますし、この代替エネルギーにとっても、この法案にとっても重大な要素になるのですが、コミニック、つまり神戸製鋼とそれから日商岩井と三菱化成、それの頭文字を取ってコミニックとしているわけですが、そういうコミニックの計画と、三井クループと申しますかSRCII――CIは三井鉱山がやっておったのですが、SRCIIの三井グループ、それから一つのそういうコミニックというものが、これまた日本の悪い癖で、何となく過当競争ぎみの点もあって、将来これが、一応いまおさまっておるようですけれども、何か問題を起こしそうで、しかもこれは本当に豪州をあらゆる意味で処女地というふうに思うならば、新しい競争を日本自身が持ち込んでいく、向こうがまたこれを利用するというようなことになりかねないのですが、この点についての配慮をどういうふうにしているのか、お尋ねしたいと思います。
  33. 石坂政府委員(石坂誠一)

    ○石坂政府委員 先ほどの御質問に、一部私の説明が足りない点を残しておりましたのでそれから申し上げますと、先ほど、サンシャイン推進本部の中で政策決定あるいはいろいろな新機構との関連のことを申し上げましたが、実はいま御指摘の国際協力ということにつきましても非常に大きな責任を持ってくるだろうというように考えております。  いま御指摘の豪州の褐炭の液化の問題でございますが、実は私が昨年豪州のビクトリア州に参りましたときに、先方から、三千億トンは十分に保証できる、あるいは包蔵量から見れば一千億トンを超えるという褐炭を日本の技術で何とか利用できないだろうかということがハマー首相自身から私にお話があったわけでございますが、そういった状況を踏まえまして、日豪協力してこのビクトリアの褐炭を液化するという目的研究協力をしたらどうかというようなことをいま話し合っている段階でございます。  具体的に申しますと、この褐炭を利用するにどういう技術が一番いいだろうか、あるいはもう少し将来性はどう考えるかということをまず調査をしなければいけないというように考えておるわけでございまして、現在その方向で五十五年度に予算もいただきましたので、このビクトリア州の褐炭の利用の可能性をほかと比べてどういうふうに位置づけるか、あるいは技術的にはどういう方法が一番ふさわしいものであるかというようなことをこの五十五年度に十分調査をいたしまして、それでその段階でどういうプロセスにしぼっていくかというように考えてまいりたいと思っておるわけでございます。  それで、石炭を現地で液化するということに当然なるわけでございますが、この褐炭は実は約三分の二は水でございまして、この水を除くという処理をいたしませんとほかの国にはなかなか運べない、あるいは国内でも運びにくいということもございまして、その場所でこれを液化するということは、豪州側にとってもあるいは協力相手としての日本側にとっても非常にプラスであろうといべふうに考えておるわけでございます。したがって、そういった意味での将来性も考え、今後どういうプロセスが一番いいか十分研究いたしまして、御指摘のコミニツクプロセスも含めまして検討をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 褐炭の値段もどちらかというと非常に安かったのですが、どうもだんだん値上がりしているし、ビクトリア州そのものが政治的な配慮をやりつつあるような情報もありますから、そういう点を十分行政指導してやってもらいたいというふうに考えます。  それから、もう時間がございませんが、この法案の中に、代替エネルギー問題について、金融上、財政上、税制上そういうものについて配慮するということを言っております。もちろん金融的な面、それから財政上政府出資したりいろいろな援助をしなければこれはできない問題ですね。税制上の問題について、私はこれはいろいろ考えさせられるわけです。金融、財政、そういう面はこの法案の中に具体的になっておりますからよくわかるのですが、税制上にどういうふうな考えを持っておるのか。これも具体的にどうとかこうとか言えないのでしょうが、何か皆さんの頭の中に税制上どういうことをするという例があるならばその点をお述べいただきたいと思います。
  35. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 税制上の措置につきましては、私どもがいま期待をいたしておりますのは、どうしてもハードウェア指向型でございまして、代替エネルギー導入するための機械設備等につきまして、償却の特例をぜひお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。もちろんそれだけでは済まないという考え方もございますけれども、とりあえずハードウエアを中心にいたしました税制上の措置を講じていただきたいということを期待いたしておるわけでございますし、五十五年度にもそういう考え方を若干取り入れさせていただいておりますので、その方向で将来発展的に検討させていただきたいというふうに考えております。
  36. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 石油関係の税は、現状はほとんど道路財源に使われているということですね。ただ、こういう点も代替エネルギー法案が通ったときに一考を要するのじゃないかと思います。それで、税制を、そういう機械の面とかそういう面もあるでしょうけれども、根本的に何かいままでのそういう形の税から考えて、この代替エネルギー一つずつの何かにやっていく、そういう考えはないですか。
  37. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 先ほど私がお答え申し上げました税制上の措置というのは、本法案上の考え方を申し上げたわけでございまして、いま御指摘の税制の問題につきましては、これは財源手当てということで考えざるを得ないのではないかと思うわけでございます。御指摘のように、現在エネルギー関係の諸税は約十種類程度あるわけでございますけれども、その大半が道路財源に使われているという形でございまして、直接エネルギーに還元されている部分がきわめて少ないという形は大変残念な姿ではないかというふうに、エネルギーサイドとしては考えておるわけでございます。  しかしながら、これまで積み上げてまいりました過去の経験その他がございまして、その点の機構仕組み等を総合的に判断いたしませんと総合的な税制改正もむずかしいのではないかということでございまして、その点につきまして、私ども自身といたしますれば大変矛盾を感じておりますけれども、社会、経済的な機構全体で考えていく問題ではなかろうかというふうに考えております。
  38. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 最後に御質問したいのですが、この法律は、私が冒頭に申し上げましたように、非常にいままでのようなしきたりによった法律で、本当は血も涙も通っていないし、本当の意味で代替エネルギーのやり方についてこれでいいのかという疑問を持つのです。代替エネルギー地熱、太陽熱、それから波とかいろいろあるわけですが、そういうものをこれからも考えなければいかぬ。原子力ももちろんそうです。こういう新しいものをやって、八〇年にその玄関口に立って、代替エネルギー元年だと皆さんが銘打っているわけですけれども、そういうことを考えますと、情報というかPR、その情報の収集、分析、それからこれを適用してどうする、そういう配慮がこれを見ていてもどこにもない。そういうことが一番大事じゃないかと思う。これはないとは言えないのですよ。そういうのがちゃんとときどき出ているのです。しかし、本当はそう。いうものが中心のどこかにすわっていなければいかぬのじゃないかと思うのです。それから、さっき言ったアセスメント関連とかがありまして、そういうものの情報収集、分析、これの提供、そういうものについての配慮、これについてどういうお考えを持っておるかということを、最後に政府見解としてお聞かせ願いたいと思います。
  39. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 法文上は第十条にその規定を置いているわけでございますけれども、おっしゃいますようにまさにこの法の条文だけで済まされる問題ではございません。私どもが代替エネルギー元年と銘打ちまして、新しく新エネルギー開発に取り組みたいという願望に燃えておりますのも、まさに先生御指摘のゆえんでございますので、この機構あるいはこの法律案を通させていただいた暁には、そういう気持ちで大いにやってみたいというふうに考えておりますけれども、具体的な問題といたしまして、先ほど私が申し上げました民間出資等につきましては、当面そういうことにつきまして十分なる活躍をするための財源等にも充てていきたいというふうにも考えておりますし、まさにこの法案を提出いたしましたこと自身がエネルギーの構造革命ということだけではなくて、エネルギーの意識革命であるという希望に燃えておりますので、御指摘の線に沿いまして、十分なる国民へのPRに努めてまいりたいというふうに念願いたしております。
  40. 田中(六)委員(田中六助)

    田中(六)委員 これで終わります。
  41. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 これにて田中六助君の質疑は終了いたしました。一拍手)  引き続き岡田利春君の質疑に入ります。岡田利春君。
  42. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 今回提案されております法律案内容をずっと読んでまいりますと、私は何か非常に抵抗を感ずるわけです。もちろんエネルギーの歴史の変遷というものは、かつてわが国では石炭がその大宗を占めていて、そして一九六一年に初めて石油石炭がフィフティー・フィフティーの段階に入った。今日ではエネルギーの流体化が進んで、石油昭和五十二年で七五%を占めている。しかし、八〇年代のエネルギー戦略というのは、いわばわが国のエネルギーをいかにして安定的に確保するか、ここにあるのだと私は思うのです。そういう判断からまいりますと、石油エネルギーに代替をするという立場ではなくして、石油一つの柱であるけれども他の多くのエネルギーをも開発して、そしてトータルでわが国のエネルギーというものを安定的に確保する、こういう基本的姿勢というのが正しいのではないかと思うわけです。国際的に石油エネルギーに代替する、こう言われておるわけですけれども、そういう意味でこの法律案はむしろエネルギーの安定確保に関する法律案と言う方がきわめて適切ではないかという気がして実はならないわけであります。そういう意味で私は、八〇年代のエネルギー問題というものをどう認識するかということが非常に重要であろうかと思います。いわば高度経済成長期にはエネルギー多消費文明の時代が続いたということが言えるんだと思うのです。しかし今日ではいわば価値観の転換といいますか、創造的エネルギー文化を構築する時代、これが八〇年代ではないか、こう私は思うのです。だから、かつて高度経済成長時代には三C時代と言われて、カラーテレビ、それから車、カー、そしてクーラー、こういう形で表現されてきたと思うのです。しかし八〇年代の場合には、これまたある人は新三C時代、こう言うわけです。エネルギーというものは、クリーン、コミュニティー、そしてクリエイティブ、いわばきれいでしかも共同的で創造的でなければならない、そういう新三C時代が八〇年代のエネルギーの時代なんだ、こう言う人もおるわけです。私は、きわめて当を得ているのではないか、こう考えます。したがって、そういう意味ではこの法律案は昨年実施をされている省エネルギー法とあわせて、エネルギーに関する価値観の転換、エネルギーの代替をするのではなくして、エネルギーの基本的な転換の時期が来たんだ、こう私は理解するのですが、大臣の所見を承りたいと思います。
  43. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 考え方といたしましてはお話のとおりで、非常な共感を覚える次第でございます。
  44. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 そこで、エネルギーの基本戦略の問題で、アメリカでは御承知のように国家安全保障政策、このことがアメリカのエネルギーの基本戦略の起点である、こうしばしば言われておるわけであります。そういたしますとわが国のエネルギー戦略の基本はどこにその起点があるのか、この認識についてお伺いしたいと思うのです。
  45. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 エネルギー資源の貧弱な日本といたしましては、その貧弱にもかかわらず、ほとんど石油を中心にしたいわば石油文化時代と申しますか、そういう時代を経てきたわけでございますけれども、もうその時代は許されぬ。価格あるいは数量の面から大変な制約を受けつつございまして、どうしてもこの石油時代を早く他のエネルギーに切りかえたいという願望を持っていることは当然でございまして、そのために十年後には少なくとも油を七〇%から五〇%くらいまで落としたい、その分は他のエネルギーにかえていきたい。その五〇%も十五年、二十年たつに従いましてだんだん依存率を低めまして、そしてほかのものにかえていきたい。しからば何にかえていくか。お話のように石炭時代から油にかわる時代にはほとんど無批判的に油にかわっていったじゃないか、それがいま大変な苦難を呼んでいるのじゃないか、今後は過去の事例にも反省を加えてもう少し計画的に進めていくべきじゃないか、こういうお話のようでございますけれども、全くそのとおりだと思います。したがいまして、今後油からほかのエネルギーに切りかえていく、その過程は決して放任的な行き方でなくて、もっとあらゆるエネルギー源を考えつつ計画的に進めるべきだというふうに考えておるわけでございます。
  46. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 私の認識大臣認識は大分違いがあると思うのですね。石油というものは近い将来枯渇をする、いわば供給が需要を下回るということは世界的にもいろいろな調査分析で明らかなわけです。そうしますと、石油エネルギーを他のエネルギーに切りかえるということでなくして、不足をするから新しいエネルギー開発をしなければならない、それがエネルギーの転換だと思うのですね。私はその出発点が違うと政策が違ってくると思うのです。私はそう思うわけです。同時にそういう意味で言うと、先ほど例を挙げましたけれども、アメリカの場合にはいわば国家安全保障政策エネルギー政策の出発の起点がある、こうアメリカでは述べておるわけです。そうしますと、わが国のエネルギーの基本戦略というものは少なくともアメリカの起点とは違うと思うのですね、平和憲法の所在からいっても。そういう面からいってアメリカと同じではないと思うのです。したがって、高度経済成長をなし遂げてきたわが国としては、わが国の起点というものは経済相互安全保障という立場に、アメリカと対比をすればそういうところにあるんではないかと私は思うのですけれども、この点ちょっと大臣との認識の違いがあるんですけれどもいかがでしょうか。
  47. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 従来の世界の原油が五年たち十年たつに従いましてだんだん需給がタイトになってくるであろうという定着した世界の見解はもちろん根本にあるわけでございますけれども、しかし、先ほど田中さんの質問にもありましたように、日本が油の供給を受ける限度というものが国家義務として決められつつあるような厳しい世界環境になっているということは、これは大変重要なことだと思います。したがいまして今度の五月の末のIEAの会議ではそういう状況になるんではないかと思いますけれども、八一年度あるいは五年後、十年後、一九九〇年、このころには一体日本がどのくらい油の輸入を許されるか、非常にきつい線が出てくるんじゃないかと思います。そういたしますと、それにもかかわらず日本経済成長を低成長であってもある程度維持しようとすれば、これはどうしてもほかのエネルギーを、油にかわるエネルギーをつくっていく以外にしようがないわけでございまして、そういう経済の成長と、いままで油に頼っておったその油も頼り切れない、量的にも頼れないし価格的にも大変シビアな時代になってくるとなりますと、どうしてもほかのものにかえざるを得ないという、油全体の需給がどうなるという問題以前に、それ以上は入手できませんよ、こういう厳格な線がはっきり出てきているわけでございますから、非常に差し迫った問題として、重要な問題としてこの問題を取り上げていかざるを得ない、こういう時代になっているんじゃないかと思っております。
  48. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 石油代替関係のこういう一つの発想というものは、アメリカで早く出されているわけですね。そしてアメリカでは今日エネルギー安定公社をつくっていわば新しいエネルギー開発に努力をいたしておるわけです。そういう意味で私は、いま大臣から答弁をいただきましたけれども、八〇年代のエネルギー政策、ポリシーの問題と思うのです。そういうところをぴしっとしておかないと、それぞれのこれからのエネルギー開発に対する政策にどうも違いが出てくるんではないか。大臣の言わんとしている気持ちはわかるわけですよ。だが、その点をもう少しぴしっと整理をしておく必要があるんではないかと私は思います。  そこで話を進めますけれども、昨年から今年にかけて、国際的なエネルギー関係の諸会議が目まぐるしく開かれているわけです。当面のエネルギーに重大な関係のある国際会議の日程はどのようになっていますか。
  49. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 まず一つ確実に予定されていますのは、IEAのパリの会議でございまして、これは五月の二十何日か、二日間ぐらい予定されています。それから六月になりますとイタリアで開かれますサミット会議がございまして、恐らくこのサミット会議では去年同様エネルギー問題が中心テーマに取り上げられるのではなかろうか、この二つが予定された一番大きい問題でございまして、たって申し上げますと日本とサウジ、世界の一番石油供給国でありますサウジとの関係で、共同委員会というのを毎年交互に開くことになっておりまして、ことしは延び延びになっていますので何月になりますか、この会議を開きまして、経済交流あるいは両方の共通の利害を持っている油の諸問題に関しまして会議を開かなければいけないのじゃないかと思っております。  差し迫った問題としてはそういう点でございますけれども、それ以外に毎日のように各国の人が日本に来ていますし、私にも会いに来ています。私自体もできますればその他の国へも出かけまして、そしてきめ細かく、いわばエネルギー外交と申しますか、そういうものを実施してまいりたいと考えておるわけでございます。
  50. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 IEAの閣僚理事会、そしてベネチア・サミット、その前に準備会議もあるでしょう。だがわが国は参加をいたしておりませんけれども、OPECの臨時総会が近く開かれるわけですね。これまた重大な会議だろうかと思うわけです。これを受けて、恐らくIEAの閣僚理事会が開かれると思うのですが、今回開かれるOPECの臨時総会の動向についてどういう認識を持たれていますか。
  51. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 OPECの総会につきましては、若干日程がペンディングなところもございますけれども、現段階で一応五月七日に臨時総会、六月の九日に定例総会という情報をキャッチいたしております。  そこで、いま御指摘の五月七日のOPEC総会はどういう形で行われるかということに関しましては、なかなか詳細はつかみがたいわけでございますけれども、私どもが現在感じておりますのは、この臨時総会におきましてはいわゆる価格の話し合いということではなくて、先般行われました長期戦略委員会の決定をここでオーソライズするということではないかと思うわけでございまして、長期戦略委員会の考え方は価格の決定のメカニズムを四半期ごとに考えていったらどうか、つまり消費国側の物価動向等を勘案いたしまして、スライド的な考え方をとったらどうかというのが一つと、それから非産油LDCに対する考え方等々の決定が一応長期戦略委員会で出ているわけでございますので、それをオーソライズするための総会であって、直接価格をどうこう決めるということではないのではないかという想定をいたしておる次第でございます。
  52. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 減産動向の問題も一応私は意見の交換の対象になるのではないか、生産をどうするかという問題があると思うのです。それからいま長官が言われた点、相当意見の交換は深く行われるだろう。ただわが国の場合、OPECに参加をしていない、俗に第四グループ、こういう表現をいたしたわけでありますけれども、すでにマレーシアでは一・七ドルの上乗せを行ったわけですね。このことは今後のOPECの価格決定の動向に非常に重大な、重要視しなければならない動向ではないか、こう思うわけです。いわば一匹オオカミで、ある程度OPECの動向を見て価格を決めてきたそのマレーシアが一・七ドル上乗せをしたということは、今後のOPECの価格決定の動向に一つの意味を持っておるのではないか、こういう気がしてならないわけですけれども、この点については見解はいかがでしょうか。
  53. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 OPECの価格問題に対する基本的な考え方は、何と言いましても統一価格制の実施ということではないかと思うわけでございます。昨年のOPEC総会におきまして終始その問題が議論されまして、何日か延長してまでその議論をしたわけでございますが、結論的には御承知のような状況になったわけでございまして、現在は統一価格制は実施してないということでございます。  そこでいま御指摘の減産等の問題等も絡めまして、生産規模をどうするかということからアプローチいたしまして、統一価格制の実現を図りたいという一つのグループがあることも事実でございます。それに対しまして、価格はある程度その国の自主的な判断に任せるべきであるという、いわゆる強硬派と言われるグループが存在することもまた事実でございます。そういった二つあるいはそれ以上のグループの話し合いというものがどういう決着になるかというのは消費国側にとりましては大変重大な関心を持つところでございまして、先ほどのOPECの臨時総会では恐らくその話はつかないのではないかというのがいまの見通しでございます。     〔塩川委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕  いまおっしゃいましたマレーシア等々の価格上乗せの問題、そういうものが世界の需給事情と絡んで出てきた問題であるか、あるいはそれぞれの国におきますその国特有の問題として出てきた問題であるかによって対応が違ってくると思いますので、一概にマレーシアの価格アップが直ちにOPECの価格形成要因に相当大きな影響を持つかどうかは即断を許さない面があろうかと存じます。
  54. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 東京サミットでいわば石油消費の割り当て、そして五%の石油消費節約をそれぞれの国で行う、こういう合意が成り立っておったわけですが、最近の情報によりますと、どうもECの場合は逆に大体プラス五%、そしてまたアメリカではマイナス一・四%、そして全世界的にはプラス一・五%、わが国はほぼ五%の節約を達成できた。私は東京サミットの精神からいってこれは非常に問題があるのではないかと思うのです。したがって大臣は、先ほど述べられたようにいずれIEAの閣僚会議に出席をされるわけですが、昨年の十二月、今度は七%節約をする、違反者にはペナルティーを課するという非常に厳しいものになっておる。最近この点についても内容が明瞭になりつつあるわけです。わが国としてIEAの閣僚理事会大臣はこの問題にどういうお気持ちで、どういう態度をもって臨まれるのか、伺っておきたいと思うのです。
  55. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 わが国は五百四十万バレル・パー・デーの与えられました最高の輸入量を基礎にいたしまして四・八%の経済成長率を達成させるとすれば、五%の節約では足りませんので、七%の節約に踏み切らざるを得ないということで、ことしは従来の五%の線を七%まで高めようということです。その二%の上乗せ分が確実にできるかどうかということでありますけれども、五%の分に関しましても、先ほど私が申し上げましたように、私のところにほとんど毎日各国からエネルギー関係の閣僚クラスの人が見えまして、日本ではどうして五%の節約が達成できたのだ、各国ではなかなかできないのだけれどもというお話がございます。いろいろ説明してあげるのでございますけれども、それはそれとして一応達成できたわけでございますから、あとの二%の上乗せ分はどうしたかと申しますと、これは三つございまして、室内の温度の十九度を十八度に下げたということが一つでございます。それからもう一つは、去年の秋に通していただきました省エネ法に基づきまして工場の使用率あるいは原単位と申しますか、それを下げるということ、これが二番目でございます。もう一つは、石油にかわって、主として石炭でございますが、ボイラーを切りかえていく、この三つが主たる要素でございまして、その三つとも大体可能だということでございますので、七%は国民の協力のよろしきを得れば達成できるのではないかと考えております。
  56. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 五十五年度の七%節約は可能だと私は思うわけですね。いわば油からの転換の動向というものは、最も消費量の高い鉄鋼においてもあるいはまたセメントにおいても予想以上に見られるわけでありますから、昨年と比較して、たとえば一・六%の需要が伸びても七%の節約はむしろ五十四年度よりも達成可能ではないか、こういう見解を実は持っておるわけです。  そこで、私は「長期エネルギー需給暫定見通し」の関係についてお伺いしたいのですが、いままでの計画では、たとえば五十二年から六十年までは〇・七七、六十年から六十五年は〇・七五、六十五年から七十年は〇・七二といういわばエネルギーの弾性値が想定をされているわけです。五十三年、できれば五十四年も速報的に述べられれば数値をお聞かせ願いたいと思うのであります。そういう意味ではエネルギーの弾性値については需給見通しよりももう少し下げていくことができるのではないかと私は判断をするわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  57. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり「長期エネルギー需給暫定見通し」におきましては、おおむね〇・七台ということで弾性値をはじいているわけでございます。わが国の最近の実績といたしまして昭和四十年度から五十二年度までを見ますと〇・九ということでございますので、それに比べますとかなり低い弾性値ということを期待しておるわけでございます。ちなみにボンで開かれましたサミットにおきまして、各国共通の弾性値といたしまして〇・八ということが基準になっておりますから、先ほど申し上げました〇・七台の弾性値というのは国際的に見ても可能ではないか、決して高い数字ではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  そこで、いま御指摘石油弾性値とエネルギー弾性値との相関関係でございますけれども、石油につきましては輸入量を一定いたしておりますから弾性値というものはほとんどないということでございますので、石油弾性値というのは確かに去年、ことしと恐らく下がってくるのではないかという見通しでございますけれども、その分が直ちにエネルギー弾性値の低下につながるかどうかというのは若干疑問がございまして、石油弾性値が減った分がほかにシフトしていくという可能性もございますので、代替エネルギーそのものにつきましての弾性値の低下を急ぐという方策もあわせてとる必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  58. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 昭和六十年度の省エネルギー率は一二・一%、こう定めてあるわけです。六十五年が一四・八八%なわけでありますけれども、フランスの場合昭和六十年には目標として一六%の省エネルギー率の達成ということが設定されておるように私は承っておるわけです。そうしますと、各党のエネルギー政策を見ても省エネルギー率がしばしば問題になるのでありますけれども、そういう意味では昭和六十年の一二・一%をもう少し高いところに目標を置いて、いわば新しいただのエネルギーを創造するという面にもう少し迫力を持って取り組むべきではないか、こういう意味では目標の一二・一%は若干低いのではないか、もう少し高いところに目標を置くべきではないか、こういう見解を持っておるのですが、いかがでしょうか。
  59. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 確かに一二・一では省エネルギー率として低いのではないかという御指摘は私もよくわかるわけでございますけれども、諸外国と比べました場合の省エネルギー率というのは、これは大変むずかしい問題でございまして、エネルギー構造がそれぞれの国によって変わっておりますから、一定の省エネルギー率をもちまして直ちに国際比較をするのは困難ではなかろうかと思うわけでございます。私どもはいまの日本経済あるいは社会の仕組みというものを考えまして、それぞれの部門におきます省エネルギー率をはじきまして、総合的には一二・一%という数字を出したわけでございますが、これは逆に高過ぎるのではないかという御指摘もございます。いま岡田先生の低いのではないかという御指摘、この関係はバランスをとるのはなかなかむずかしいと思いますけれども、いま申し上げましたようにそれぞれの部門におきまして最大に期待されます省エネルギーというものをはじき出して、その総合が一二・一%でございますから、現段階におきます見通しといたしましては一応最高のものというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  60. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 エネルギー需給暫定見通しの中でそれぞれ、たとえば水力とか原子力LNGあるいは石炭、LPG、もちろん石油の場合もありますけれども、これらの昭和六十年度のいわば達成率といいますか、この点をほぼ見通せる段階にもう入ったんじゃないかと思うわけです。したがって相当精度の高い、昭和六十年度のそれぞれのエネルギーのいわば消費実績は見通せる、そういう時期に入ってきたのではないかと私は思うのです。昨年の八月、そして十二月に閣僚会議に報告をされておるわけでありますけれども、そういう点では各エネルギー別の昭和六十年度の暫定見通しに対する達成率といいますか、この点について御説明願いたいと思うのです。
  61. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 昭和六十年度を見通しました需給暫定見通し、これも正直に申し上げまして、確実にこのとおりに実施できるかどうかにつきましては若干疑問があるということでございます。と申しますのは、これは昨年の八月に総合エネルギー調査会から中間報告として答申をいただいた数字でございまして、その中間報告性格が官民挙げて実施すべき努力目標ということで、この数字が出てまいったわけでございます。最大限の努力目標ということでございますので、私どもが新しい代替エネルギー政策に取り組みます一つの指針という形でとらまえたわけでございます。しかしながら、昭和六十年といいますと五年先でございますから、そんな努力目標だけではだめではないかという御指摘もよくわかりますので、その点を踏まえまして、現在御審議いただいております法案の中に供給目標というのを織り込んであるわけでございますから、その法案を通させていただいた暁には、この「長期エネルギー需給暫定見通し」の中間報告ベースにいたしまして、より現実性のある数字をつくり上げていきたいというふうに基本的には考えておる次第でございます。たとえば原子力発電等につきましては六十年度に三千万キロワットの計画を暫定見通しでは立てておるわけでございますけれども、二千八百万ないし三千万キロというような若干弾力的な運用も考えてみたいというふうに考えておりますし、それから地熱等につきましても若干の調整を要するのではないかということでございまして、基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございますので、そういった線に沿いましてより具体的な実施計画を決めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  62. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 いま長官から説明がありましたけれども、原子力あるいは水力発電あるいは地熱開発、いずれもこれは電気、二次エネルギーに転換をするわけでありますから、ほぼその見通しは、順調に一〇〇%いったと仮定しても、いずれも六十年度の暫定見通しよりも下回る。たとえば水力の場合でも二百二十六万キロぐらい下回るでしょうし、原子力が順調にとにかく一〇〇%うまくいった、建設中、準備中のものも運開できたと仮定しても二百十二万キロ、地熱についてはマイナス五十二万キロ、これは電気の関係の部分だけであります。そして結局は、LNG石炭の面については大体暫定見通しの目標どおりいくのではないか、こういうような動向にあると私は分析をしておるのですが、いかがでしょうか。
  63. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 まず、いまの御指摘に対してお答え申し上げます前に、「長期エネルギー需給暫定見通し」の性格を申し上げておきたいと思います。  先ほど努力目標的なものというふうに申し上げたわけでございますけれども、相互のフィードバックの関係にあるのではないかと私どもは考えておるわけでございまして、一つの項目で目標が達成できなかった場合に、直ちにそれがエネルギーの供給不足ということにつながるのではなくて、各項目の中の有機的な関連づけということをぜひ考えてみたいということでございます。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕 いま御指摘のとおり、たとえば石炭でございますとかLNGでございますとか、目標どおりにいくか、あるいは目標よりも若干上回るものも出てくるのではないかということでございまして、そこに目標を若干下回るものとの有機的な関連づけをしていくという政策がとられてしかるべきではないか、こういう基本的な考え方を持っておる次第でございます。
  64. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 いま長官からも述べられましたけれども、本法第三条に、石油代替エネルギー供給目標を閣議の決定を経てこれを定める、そして通産大臣は公表しなければならない、こう定められておるわけです。したがって、この供給目標が定まるという意味は、エネルギーの中長期的な需給計画がおのずから定まってくることになるだろうと思うのです。でなければこれは目標が決められないと思うのですね。ですから、本法三条でいう供給目標を決めるということは、わが国の中期的なエネルギーの需給見通し、目標を確定することと同義語ではないか、そういう意味を持つものではないか、こう思うのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  65. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 中期的な観点での供給目標ということでございまして、私どもは、現実には十年ぐらいの中期的な見通しで供給目標をつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。と申しますのは、現在政府で持っております経済社会計画は、御承知のとおり七カ年計画ということがベースになっておるわけでございまして、私どもがエネルギー供給目標をつくります際のフレームワークは、どうしてもそういった政府全体の計画と整合性をとらなくちゃいかぬという問題がございます。エネルギーサイドだけでの供給目標であってはならないという観点がございますので、一応七カ年計画ということをフレームワークにいたしまして検討いたしますと、十年ぐらいが適当ではないか。ただし、エネルギー開発ということは懐妊期間の大変長いものでございますから、二十年、三十年を見通した中での十年間ということでございまして、政府全体の計画と整合性を保っていく、こういう考え方をとっておる次第でございます。
  66. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 ここで私は最近の石油の価格動向について承っておきたいと思うのですが、きのうの商工委員会でもわが党の清水議員の方から、最近の石油製品の価格に差があるという問題について、特に中間三品の問題について質問があったわけです。  しかし、イラン問題以来、昨年は六次にわたる石油価格の値上げを行って、今年に入ってすでに第七次、第八次というか、五十五年度第一次、第二次というか、二回にわたる価格の引き上げが行われておるわけです。これは内容を分析しますと、仕入れ値段が違うのですから当然価格は格差がついてくるわけですね。したがって、今回の第九次の値上げが行われた段階では、キロリットル当たり九千円の値段が違うのではないか。もしこれを灯油に直せば、一リットル九円違うという大変大きな数字になるわけです。しかし政府は、市場性に価格は任せる、こういう方針をしばしば言明されておりますし、またもし石油業法の第十五条を発動したとしても、いまの外資系と民族系のそれぞれの内容を分析してまいりますと大変な問題が惹起をするわけですね。逆に、民族系は精製事業から撤退をしなければならない、むしろそういう再編成の問題を石油業界は内蔵しておるのが今日の現状だろうと私は思うわけです。  ところが、末端に行くと余り値段の差がないわけですよ。例外はありますよ。ところが灯油は、たとえば七十円なら七十円、今度八十円になると八十円でその地域で売られているわけです。何という不思議な物語でしょうかということになるのではないでしょうか。これはどういう意味でしょうか。
  67. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 昨年のいわゆる第二次石油ショックということがございまして、原油の量をいかに確保するかということが政府といたしましての最大の政策課題であったと思うのでございます。そこで私どもは鋭意量の確保に努めてまいりまして、幸いにいたしまして昭和五十四年度の原油の輸入量は二億七千七百万キロリットルということで、計画とほぼ一致するようなところで推移したわけでございます。量がある程度確保されますと、価格が相対的に安定してくるのではないか。もちろん量の確保につきましても、それぞれ供給ルートは変わっておりますから、高い原油を輸入せざるを得ないところもございましたし、比較的安い原油を輸入できたところもございます。そういったものが価格を、元売り段階での価格反映にはそのまま敏感に反映さしたつもりでございます。それが末端になりまして価格にばらつきが少なくなってきておるということは、ある意味では一物一価的な動きに推移しているのではないかというような感じがしないでもないわけでございます。と申しますのは、需給関係が非常にタイトになっておりますと元売り段階での値段の違いが末端でそのまま反映される状態でございますけれども、需給が緩んでまいりますと、どうしても価格が安い方ヘシフトしていくということでございまして、これは経済原則からいいまして一物一価へ移行する当然の原理ではないかということでございまして、本来国民生活に非常に関係の深い、たとえば灯油等につきましては、本質的には一物一価であるのが当然であろうと思うわけでございますけれども、現実はなかなか一物一価ではなくて、一物多価というのがこれまでの石油状況ではないかと思うわけでございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、量の確保にある程度成功いたしましたので、現在末端価格では一物一価的な動きを示しておる。それがいま先生御指摘の、末端価格ではだんだんと各社間にばらつきが少なくなってきた一つのあらわれではないかということでございまして、これが高い方へ全部シフトいたしますと問題でございますけれども、私どもが見ております限りは、相対的に低い方へシフトしていっておるというのが現状ではないかと思うのでございますので、比較的安心をしている。ただ、低いといいましても、これまでの状況に比べまして二倍に上がっておりますから、そういう意味での悩みというものは十分持っておりますけれども、たとえば原油の量が絶対的に不足した時代に比べまして、量的な確保ができた現段階におきましては、高いといってもそれは正当な価格の反映であって、それは問題ではあると思います。二倍にも上がったということは大変な問題ではあると思いますけれども、相対的な問題としてはバランスのとれた形になっているのではないか、こういう基本的な考え方を持っております。  それから、いま御指摘の民族系あるいは外資系の問題、これは確かに大きな問題でございまして、今後の石油政策の課題が原油をいかにうまく調達するかということでございます。かつては、石油業界の再編成の一つの目玉になりましたのが、精製能力と販売能力のギャップをいかに埋めるかということが中心課題であったわけでございます。もちろんその問題はございますけれども、それに加えまして、いまおっしゃいました原油の調達をいかにするかということでございまして、と申しますと、外資系は原油調達能力が強くて民族系は原油調達能力が弱いという現実がございます。世界全体の動きといたしまして、いわゆるメジャー系のウエートが下がってきておりますから、民族系の原油調達をいかにうまくやるかということが今後のそういった動きに対する一つの大きな目玉になってくるのではないか、そういうことを踏まえまして、私どもも石油政策を十分に遺憾なきを期すように努力をしたいというふうに考えております。
  68. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 下部末端の実態認識では、私は長官と若干違うわけですね。やはり高値指向安定ですね、そういう傾向にあると私は思うわけです。通産省自体も、たとえば石油スタンドの増設ということはもう行政指導で抑えているわけですね。そういう政策もあるわけでありますから、どうしても地域では一つの協調性が生まれてくるから、高いところに皆値段を合わせて安定する、これが大体普通の日本的社会の一つの法則みたいなものではないか、私は実はこべ認識をいたしておるわけでございます。  残念ながら時間がございませんから、この問題を突っ込んでお話はできませんけれども、いずれにしてもOPECの統一価格が絶望である、そしてメジャーの供給力が下がる、あるいはDD原油、GG原油がどういう形になっていくのか、あるいは量が不足ぎみであればスポット買いもしなければならない、こういう関係が微妙に大きな影響をそれぞれの精製会社の内容にも及ぼしてくるでしょうし、これまた歴史的な取引関係がありますから、なかなか発表しないですよね、電力会社であろうとどこであろうと。大きいところはやはり有利な契約を結んでいるわけですね、歴史が古いわけですから。私は、これをこのまま放置をするということはできない段階を迎えるのではないかという気がするわけであります。そういう意味で、特に今後のOPECの動向、特に価格の動向、こういう中で、十年たっても油がエネルギーの中で五〇%位置を占めるわけでありますから、当然それに対応する準備といいますか、研究といいますか、または必要な指導とかあるいはまた政策というものが考えられなければならぬではないか、こう思いますので、この点は、そう私の意見を申し上げておく程度にとどめておきたいと思います。  もう一つは、国内の石油産業についてですね。いま国内の原油は一キロリットル大体二万四千円ぐらいですか、そうですね。もちろん生産量の場合は、これはガスと一緒に石油が精製されるわけですが、LNG、天然ガスの場合には、一立米三十六円から四十円の値段ではないでしょうか。したがってこれを一トンに直しますと、千三百五十立米で一トンでしょうから、五万四千円という価格が出ますね。したがって重油価格は二万九千円である。大体一年おくれでCIF価格に見合って国内の原油価格が決まってきたわけです。わずかに〇・一%とはいえ、国内石油産業を取り巻く情勢は、この価格動向の中でずいぶん変わってきたわけですね。  一方、通産省は探鉱補助金は七億円の予算を計上いたしておりますし、基礎調査には三十六億円、そしてまた石油公団には、日本の周辺についてはそれぞれ会社をつくって、融資あるいはまたは保証をいたしておりますね。出資もいたしておるわけです。  したがって、今日のこういう動向の中で、わが国の国内石油産業についてどう対応するか、これはやはり相当いままでの情勢と違うのでありますから、少なくとも再検討しなければならぬのではないか、こう私は思うのです。でなければ、ここから直接原油を買っているところは安いわけですよ。きわめて特定なものに限られるわけですね。それがキロリットル当たり二万四千円台ですから。わが国の原油というのは非常にサルファが少ない良質のものでありますから、半額という意味ですね、俗っぽい言葉で言えば半額に近いものでしょう。したがって、これからわが国の周辺の、国内の石油、天然ガスの問題についても、需給見通しの中でも積極的に進めるという方針を出しているわけでありますから、これをどう扱っていかねばならないかということを今年じゅうぐらいにやらなければならぬ問題ではないでしょうか、いかがでしょう。
  69. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 石油の供給ソースを多角化するという問題は一番大きな問題ではないかと思うわけでございまして、いま御指摘日本の周辺地域を含めた開発、これも積極的に進めていかなくちゃならぬと思いますけれども、このほかに、いわゆる自主開発原油の問題もあろうかと思います。先ほどお答えの中で申し上げましたとおり、メジャーへの依存率というものが昨年の末で大体五〇%程度になっておりますし、ことしに入りましてからはもう四〇%台に落ち込んでおりますから、いままでメジャーに依存しておった分をいかにうまくほかの供給先に切りかえていくかということが政策課題になるわけでございまして、その中で考えられますのは、産油国政府との直接取引あるいは政府間の直接取引というものに加えまして、自主開発原油の調達能力を大きくクローズアップしていく。それと、いま御指摘日本の周辺地域からの開発促進する、そういうような石油政策ということでございまして、これは基本的には相当前から考えておったわけでございますけれども、どうしてもこの一年ぐらいの間に、特にこの半年間にメジャーの地位が相当大きく変化いたしましたから、そういった努力の必要性が急速に高まってきているということも事実でございますので、御指摘のとおりそういった線に沿った石油政策の転換といいましょうか、急転回といいましょうか、そういったことを急ぐ必要はあろうかと思っております。
  70. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 いま長官が触れられた自主開発原油、石油公団では八十社を対象にして、成功した企業が国内では六社、海外では十二社、十八社あるわけですね。五十三年度の自主開発原油の総量は二億九千五百三十二万キロリットルであろうかと思うんですね。ところが、わが国に輸入された量は、これは時間がないから言いますけれども、八千七百万キロリットルではないでしょうか。そうすると、マイナス二億八百三十二万キロリットルというものがわが国に入っていないわけですね。一応こういう概数があるわけでありますけれども、いま長官も触れられましたけれども、この点はやはりわが国の輸入を高めていくという努力は当然しなければならないと思うのです。全体に占める量は、いま大体一〇・七%ぐらいでしょう。この点については、こういう数字は長官も御存じだと思うのですが、この点についていかがですか。
  71. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  わが国の石油開発事業が、海外で開発いたしまして国内に持ち込んでおります原油の量のウエートは大体一〇%でございます。
  72. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 いわば石油公団が一生懸命やって、かつては三〇%、三分の一は自主開発原油でわが国に持ち込むというのが目標石油開発公団がつくられたわけであります。これは海外の石炭、後から質問しますけれども、同じことになるのじゃないかという心配があるわけです。ですから、改めてこの点を実は承っておいたわけです。  次に、去る十日、電気事業審議会で昭和五十五年、五十六年の電力施設計画について一応のまとめをいたしているわけです。これは当然、今後この内容審査をして、電源開発調整審議会にそれぞれ諮問になるものと思うわけです。  私は、いまエネルギーの節約というのは、電気エネルギーを節約することが一番エネルギーの節約になると思いますね、熱効率からいって三六、七%でございますから。極端に言えば、電気を一節約すれば油を三節約することになる。そういう面で、また電力の使っている燃料の内容検討しますと、ほとんど九電力が独占している燃料というのがあるわけでしょう。もちろん原子力とかLNGはそうでしょう。それ以外でも、原油の生だきというのは独占しているわけですね。それからLPGもあるわけです。ナフサもあるわけです。それ以外の電力というのはごくわずかですよ、一、二ありますけれども。この五つが電力で電力エネルギーとして独占しているものである、こう言っていいわけです。しかも最も良質なものなんですね。そして五十五年の計画を見ても五十六年の計画を見ても、さらに原油もしくは重油の火力発電所の設置を行いたい、今日の国際感覚から言うと、こういう考え方というものは、かつて鉄は国家である、いまや公共事業に名をかりて電力は国家である、そういう発想と思想というものを実は私は感ぜざるを得ないわけです。  そういう面から言って、一体今日の国際的なエネルギーに関する動向や、近く開かれるIEAの閣僚理事会やあるいはまたベネチアのサミット、ある程度厳しくなる方向だと私は思うんですね。厳しく受けとめなければならないと思うのです。こういう計画が一方でつくられているわけですね。こういう背景で、大臣は国際会議に臨んで一体何を発言しようとするのだろうか、私は非常に疑問に思うわけです。この点について通産大臣見解を伺いたいと思います。
  73. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 火力発電のもとになりますエネルギー源をどうするかという問題でございますが、できるだけいまのお話のような原油の生だきあるいはその他の油関係の燃料から、石炭原子力、LPG等に切りかえたいという願望は私も当然のこととして持たなければなりませんし、そういうように指導はしておりますけれども、急激にこれを切りかえるということができるかというと、なかなかそういうわけにまいりません。御承知のように、一つの立地地点を決めるに際しましても、長い間かかって住民の間で話を決める過程におきまして、従来の油であればある程度納得がいくけれども、石炭とか原子力ということになりますとどうしてもそうはいかない。といって供給責任を持っている電力会社でございますから、事志と違っても従来の燃料に依存して住民との間で話をつけるというような傾向があることもやむを得ない一つの現象かと思います。さればといって、お話しのように、国際的には既存の火力発電すら石炭等に切りかえて油を使わないようにしろという傾向にいまなりつつあるわけでございますので、その切りかえをどういうふうにスムーズに、しかもなるべく早くやっていけるか。混乱なしにやっていくことは大変むずかしい問題でございますけれども、一つの一番大きなテーマとしてこれから取り組んでまいりたいと思います。
  74. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 通産省は、たとえば重油の粘度のJIS規格を変えて、中間三品を百万キロよけいとるということをやっておるわけですね。今度は灯油の得率を高めるためにはどうするかということで、この点についてもJIS規格についての検討が行われていることも事実でしょう。そういう涙ぐましい努力をしておるわけですね。そして、一方においては原油の生だきが平気で行われている。電力の場合には大変な量でしょう。重油にそんなに差はないわけですね。私は、これは政策としておかしいと思うわけです。いま電力会社の場合には大体七十万から百万キロワットの単位で、それが二基とか三基とか基地に建設をされるわけですね。いまのわが国のテクノロジーからいって、どんな燃料をたいてもこれに対する公害対策はとれると思うのですよ。サルファについてもNOXについてもあるいはばいじんについてもできると思うのですよ。だから、本来であれば電力会社は一番質の悪いエネルギーをたく、そしてクリーンなエネルギーはできるだけ地方に回す、そういうふうに考え方を根本的に切りかえなければだめです。やはりまとめて公害対策をやった方がいいわけです。これから石炭と油のフィフティー・フィフティーのCOMという燃料が出てくるわけでしょう。これは重油専焼の火力でたけるわけですから、そういう一つの方針、基本というものをきちっと立てないと、公害に名をかりてクリーンなものばかりを、しかも大企業ですから価格についても有利なわけです。そういう方向というのは基本的に転換されるべきだ、変えなければならないと思うのですが、いかがですか。
  75. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、私どもが基本的なフレームワークとして考えておりますのは、現在ございます石油火力の率が大体五七%、電力会社がたいておりますうちの石油依存度が五七%でございますが、これを昭和六十年度に四〇%にしたい、六十五年度には二〇%にしたい、七十年には一〇%という基本的なフレームワークを描いておるわけでございまして、これはまさに岡田先生の御指摘と一致するのではないかと思うわけでございます。  それから、いまお話のございました原油の生だきの問題につきましては、これはやはり環境規制の問題もございまして、低硫黄の原油をたくというやり方をとってまいったわけでございますけれども、これをいつまでも野放しにしておくことも問題があろうかということでございまして、五十四年度は実数で申しますと千九百万キロリットル程度でございましたのを、五十五年度の供給計画では千七百万キロリットルに引き下げをいたしておりまして、だんだんそういう方向に持っていきたいというふうに基本的に考えておる次第でございます。
  76. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 エネルギー対策推進の財源について、この機会に伺っておきたいと思うわけです。  一つは、エネルギー関係に対する賦課財源種類はどのくらいありますか、その総額は幾らでしょうか、そしてそのうちエネルギー対策に使われておる財源はどのくらいでしょうかという問題であります。  もう一つは、一般会計と特会の関係があるわけですが、一般会計としては、サンシャイン計画の推進について七十一億円強、水力、地熱、新燃料油等の開発利用として四千五百万円、一方太陽光発電システムの実用化研究開発、これは電源勘定に組み入れているわけであります。  そして地方の関係においては、今年度、中小水力簡素化等信頼性実証等の委託費一億一千六百万円を要求したのですが、これはゼロ査定なのであります。ローカルエネルギー開発利用調査補助金四億七千万円に対して一億八千万円に査定されているわけです。いわば今年度のエネルギー関係予算はハード最優先という予算内容であって、特にこのエネルギー政策の転換期に当たって、もうすでにローカルの関係はそれぞれ具体的な例が出てきておるわけですね。これは私も手元に資料を持っておりますけれども、時間がありませんから省略しますが、私は、そういう査定は一体どういう認識で行われているのかという点について疑問を感ずるわけです。したがって、前段の関係通産省でも結構ですし、大蔵省からもおいでだと思いますから、こういう点について一体どういう認識と判断を持たれておるのか、承っておきたいと思います。
  77. 角谷説明員(角谷正彦)

    ○角谷説明員 お答え申し上げます。  まずエネルギー関係の諸税でございますけれども、石油、電気、ガス等、エネルギーを課税対象といたします税目というのは、国税、地方税を合わせまして約十税目ございます。個別に申し上げますと、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、軽油引取税、石油税、航空機燃料税、原重油関税、電源開発促進税、電気税、ガス税、以上十品目でありますが、この総額は五十五年度の予算におきましては三兆三千二百七十八億ということになっております。このうち国の取り分になりますのが二兆三千四十八億円、地方分が一兆二百二十億円ということになっております。それからエネルギー対策関係予算でございますが、これは私ども大蔵省が整理しておりますところでは、一般会計、特別会計を通じまして五十五年度七千四百七億円ということになっております。  第二のお尋ねでございますけれども、代替エネルギー対策の中で、一般会計にあるものと特別会計にあるものとの仕分けの考え方でございますけれども、私どもといたしましては、計画的かつ実効的な推進を図ることが必要な石油代替エネルギー開発導入にかかる対策経費でございまして、なおかつその対策を受益者負担によって特定の者に求めることが適切なものは特別会計に計上するということにいたしております。なお、技術開発プロジェクトにつきましては、プロジェクトの段階とかあるいは性格から見まして、実用段階に近くて、いわば受益者負担になじむものは特別会計でございますが、基礎的研究段階にありまして、実用化までに相当の長期間を要するもの等につきましては、具体的に負担を求めるべき受益者が特定できないといった問題が。ございますので、こういったものにつきましては一般会計の支出対象といたしておるわけでございます。  三番目の、大蔵省の方は査定がわりあいハードエネルギーには甘いといいますか、ソフトエネルギーには厳しいじゃないかというふうなお尋ねでございますけれども、私ども一般に石油代替エネルギー対策予算をつくりますときには通産省とも十分御相談申し上げながらやっておるわけでございます。いろいろなエネルギーがございますが、そういったものにつきまして、開発利用に関しますところの技術の水準とか今後の見込みはどうかとか、あるいは実用化に供されます時期の目途はどうか、あるいは石油に代替する効果の大きさでございますとかあるいは経済性の評価、投資に対します費用対効果比といいますか、そういったもの等を勘案しながら、中長期的なエネルギー対策の中で取り上げるべき施策の優先順位というものを考えていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で、限られた財源の効率的、重点的配分という観点から、技術面でも目途が得られておりまして当面の石油代替効果がきわめて大きいといったものにつきましては、その実用化のための施策を推進するということにいたしております一方、今後の技術開発の動向等によりまして、当面はなお基礎的研究段階でないかといったものにつきましては長期的にじみちに研究開発を進める、こういう考え方で限られた財源の効率的かつ重点的な配分を図ったわけでございます。  そういった面から見ますと、いわゆるソフトエネルギーといいますか、そういった問題につきましては、将来においてはエネルギー供給の有力な手がかりとなり得るポテンシャルは十分あると思いますけれども、現段階におきましては、その経済性とかあるいは実用化につきましては、なお今後の研究開発の推進にまつべき点がかなり多いんではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、そういった意味では予算の中で相対的に、金目からいいますと、どっちかといいますと当面のエネルギーの供給の谷間といいますか、当面の石油の供給からいいまして、そのエネルギーの谷間を埋めるためのものといたしましては原子力とか石炭とかLNGとか、そういったものに重点を置かざるを得なかったということでございまして、そういった意味では予算金額面から見ますと原子力石炭LNGというものが多くなっているように見えますけれども、ただ、伸び率で見ますとそういうわけではございませんで、先生御承知のことと思いますけれども、地熱につきましては三十一億から百三十二億ということで四・三倍に予算をふやしております。太陽につきましても三十八億から百四十九億、これは四倍でございます。水力発電につきましては一億円弱を二十三億ということで三十四倍、これは一般会計、特別会計合わせてでございますが、それぞれソフトエネルギーにつきましても伸び率等におきまして相当配慮を払っているということは御理解いただきたいと思います。
  78. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 午前中、時間ですからこれで終わりますけれども、いまいろいろ説明がありましたけれども、私は考え方の問題だと思うのです。あなたが言われるようにハードからソフトに転換をしていく移行期にあるわけですから、私はいまのおっしゃることはよくわかるわけです。だがしかし、ソフトエネルギーの場合はこれを積極的に進めるという意味合いをもう少し大きく考えなければならないのです。通産省が幾ら省エネルギーと言うよりも、それぞれの地方、自治体でソフトエネルギーの問題についてどんどんいろいろ熱心に対応するということが住民に対するきわめて大きなPR効果を生むでしょうし、エネルギーに対する認識をそれぞれの地域で住民が集中して考えるようになる、そういう点を大きく考えなければいかぬじゃないか。そういう意味で先ほど指摘したように、たとえば中小の水力発電所、これをできるだけ簡易にできないものか。こういうものはすぐかからなければならない問題でしょう。あるいはまたローカルエネルギーの場合でも余りにも要求と査定では違い過ぎる。伸び率の問題でなくして要するに価値観の問題ではないか、こう私は思うわけであります。したがってそれぞれの地方、北海道やあるいは秋田、宮城、山梨とか島根、大分、鹿児島、いま先進的な取り組みをしているわけです。そして農業利用についても一つの成果を上げたり、あるいはまた太陽熱やバイオマスについてもウエートは小さくてもそれぞれ芽がいま吹き出しておるのではないか。それを大事に誘導して育てるという観点が必要ではないか。あるいはまた東京のごみの発電だって、全国では二十五カ所で七万キロワットでしょう、東京では一万二千キロワット。資源のリサイクルの問題、こういう問題なんかはすぐできることなわけですよ。そしてトータルをしてわが国のエネルギーの安定確保を図っていくという、いわばエネルギー政策の転換期にふさわしい政策視点というものがなければならないということを訴えたいわけです。そういう点で、来年度の予算編成もあるわけでしょうけれども、いまウエートが小さいと言うんじゃなくして、エネルギー政策を進めるに当たっての効果とか意義とか、そういうものについてハードばかり考えないでもう少し大事に考えてほしい、こう思うのですが、通産大臣、いかがでしょうか。
  79. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 私も同感でございまして、なるほど優先順位あるいは資金効率等いろいろ考える必要があることはわかりますけれども、しかし日本の置かれました現状、エネルギーの現状から考えますとえり好みをしていくというような余裕がないわけでございまして、特に長い将来を考えますと、代替可能なと申しますか、消耗しないエネルギーを、資源には恵まれている日本でございますから、ホワイトエネルギーと言っては少し内容がぼんやりしておりますけれども、そういうエネルギーもあわせて今後力を注いでいくのが当然じゃなかろうかと思っております。
  80. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 では午前中は終わります。
  81. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩      ――――◇―――――    午後一時一分開議
  82. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑を続行いたします。岡田利春君。
  83. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 本法の中に新エネルギー開発機構が設けられることになっておるわけですが、これは従来の石炭鉱業合理化事業団を包括をするという体制の中にこの機構が設けられるわけです。この新エネルギー開発機構の特殊法人の地位はどういう地位なのか。大体公社、公団、特殊法人はABCDEとランクがありますね。この特殊法人である新エネルギー開発機構の地位について、まず初めにお尋ねしたいと思います。
  84. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 まず法的な性格でございますけれども、これはいま御審議いただいております法案によって設立される法人でございますから、いわゆる特殊法人ということになろうかと思います。そこで、いま御指摘の、俗によく言われますランクづけということになりますと大変むずかしい問題がございますけれども、一応政府原案の段階におきましては、石炭鉱業合理化事業団と同じ扱いをするというおおよその取り決めができております。
  85. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 石炭合理化事業団には理事長も副理事長もおりますし、役員の体制も新機構と全く同数ですね。したがって、地位についても同じだとすれば、この提案の趣旨の説明では理事長民間人というか、有能な、ウエートの高い人を選任したい、こう言われておるわけですね。これは失礼な話ですが、いまの石炭合理化事業団理事長の年間の報酬は大体一千六百万程度じゃないかと思うのですね。公団などに比べるときわめて低い地位にあるわけです。こういう地位の新機構をつくって、そういう描いている人材というものが一体配置できるのかどうか、そしてまた、石炭合理化事業団というものを包括をしながら役員数は全く同数であるということになりますと、この新機構の目指すものと機構そのものの地位と体制について疑問を持たざるを得ないわけです。この点どういう経過なんですか。そういう自信がありますか。たとえば理事長などについて、エネ庁が言っておるような人材を、そういう理事長の地位、年俸の水準で求めることができますか。
  86. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 報酬面で申し上げますと、いま岡田先生御指摘のようなところでございますので、絶対額からいって多いのか少ないのかという別の議論があろうかと思いますけれども、恐らく岡田先生は、一流のエネルギーの練達の士はどてもその給与では来られないのじゃないかという御判断にお立ちになっているのではないかと思いますし、私も率直に言ってそういう感じがしないわけでもないわけでございます。  一方、新エネルギー開発機構というものは、私どもが代替エネルギー開発あるいはエネルギー構造の変革ということを目指して新たに打ち出したいということでありまして、そこにひとつの従来と変わった価値観を見出していきたいという念願を持っておるわけでございますから、大変ぜいたくな期待かもしれませんけれども、報酬にこだわらずに情熱を持ってそういう仕事に取り組んでくださる方がいらっしゃるのではないかという期待を持っておりまして、そういう精神でいま鋭意人選を進めておる段階でございます。ただ、人選を進めておると言いましても、まだ御審議段階でございますから、これは法案の行方を見定めて人選を進めていくということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  87. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 行管から来ていると思うのですが、お伺いいたしたいと思います。  いまの質問のやりとりでも大体おわかりになったろうと思うのですが、政府一つ機構をつくる以上は、それにふさわしい人事配置や体制ができるようにすることがきわめて望ましいし、常識的だろうと私は思うのです。そしてまた、過去の経緯から言っても、いままでの合理化事業団を吸収するという場合に、たとえば産炭地振興事業団が地域振興整備公団に統合された場合には、副理事長というのは、この場合には副総裁ですけれども、二名置いているわけですね。そういう性格のものと今回の開発機構とを比較すると、行管は、行政簡素化の波の中で、だめだからだめだというようなごり押しの態度に終始しているのではないか。一方、通産省はどうしてもこれはやらなければならぬということですね。この機構の創立ということについてともかくも熱心に、最終的にはとにかくできることに意義を感ずるという妥協の産物ではないかと思うのですね。この点は私は非常に遺憾だと思うのです。一体どういう判断で、機構に対するどういう評価でこれは決められたのか、行管の態度についてお聞きしたいと思うのです。
  88. 鈴木説明員(鈴木昭雄)

    ○鈴木説明員 新機構をつくるに当たりまして、それとあわせまして石炭鉱業合理化事業団を廃止することといたしまして、その業務は新機構に引き継ぐということになったわけでございますが、御指摘の役員の数の問題につきましては、これは五十五年度の行政改革におきましても、特殊法人全般にわたりまして役員の縮減を図るということでございますし、この新機構の発足に当たりましても、行政改革の本旨あるいは機構膨張の抑制、そういう見地から、石炭鉱業合理化事業団の役員数を上回らないようにするというのが政府の中において最終的に合意された内容でございますし、そういうことで、今後とも機構の簡素合理化という観点から、業務を的確に推進していただけるというふうに考えているわけでございます。
  89. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 もうすでにある程度任務の終わった公団、たとえば住宅公団と宅地開発公団、こういうことはすでに議題にも上っているわけですね。私から言わせると、そういう意味で新しい機構を承認するからには、それにふさわしい人事体制がとれるようにしなければならないし、同時にまた、その持つ性格あるいはまた今日の情勢下におけるこういう機構を設立する意義、こういう点を考えていく場合に、いま答弁のあったような内容では私は納得できないわけですよ。やるべきことはあるでしょう。しかし、必要なところには必要な措置をするというのは当然ではないでしょうか。そういう意味で、私は新機構の地位についても納得できないし、私は新機構を評価する場合には少なくとも公団に準ずる地位にあってしかるべきではないかと思う。同時にまた、石炭合理化事業団を吸収合併しただけではなくて、通産省は別に行政簡素化で中小企業関係の点についても協力しているわけでありますから、余り無理押しをするということは、結局仏をつくって魂を入れずということになるのではないかと思うのです。したがって、あなたにいまここで質問してもこれ以上の答弁は出ないだろうと思いますけれども、どうも納得できないのですね。副理事長が一名なんということも納得できないですね。これは、やはり先ほどから私が議論しているように、もう少しそういう意味で今日の政策、わが国の政治の課題として、いまインフレとエネルギー問題というのは八〇年代の最大の政治課題でしょう。そう思いませんか。そう思うのであればやはりそれにふさわしい位置づけをすべきじゃないですか。わが国の八〇年代の政治課題として私が言うのは間違っていますか、いかがですか。
  90. 鈴木説明員(鈴木昭雄)

    ○鈴木説明員 確かにエネルギー問題が目下政府における最重点課題であるということは私も十分理解しておるつもりでございます。ただ、また一方、行政改革の強力な推進というのがこれまた政府の最大の課題として、昨年秋以来推進してまいったわけでございまして、両方の要請をどうやって合わせていくか、これが最重要な問題としていろいろ議論されてきたわけでございますが、その両者の要請に対応するものとして現在御提案しているような形になったということでございますので、その辺よろしくお含みおきいただきたいと思います。
  91. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 私は、これだけでもこの法案に反対したい気持ちなんですね。こういう答弁を聞いているとこの法案には賛成できないという気分に実はなるわけです。  残念ながら時間がありませんから先に進みたい、こう思います。今回の新機構は、石炭合理化事業団の仕事を受け継ぐわけですが、特に海外炭の開発石炭資源の確保という問題に力点が相当置かれておるわけであります。すでに法改正は昭和五十二年に合理化事業団の業務として追加されておるわけですから、これまでその実績があると思うわけです。一体これまでの実績はどういうプロジェクトがあるのか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
  92. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  これは五十二年度から実施されまして、五十四年度までの実績を見ますと、海外炭開発調査補助金、これが十五件ございます。それから海外炭の探鉱融資案件は九件ございます。債務保証は、開発がスタートしておりませんので一件もないというのが実情でございます。
  93. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 この目指すものは、たとえばすでに創立をされたGG、DDの関係ではこの自主開発は五割を目標にする、こうも言われているわけです。政府は一体この海外炭の開発について、自主開発目標をどこに置いているのか。この点第一点承りたい。同時に、今日特に重点はオーストラリアであることは間違いないわけです。だがしかし、自主開発ということは、やはり資本参加、すなわちエクイティーの関係について一つの判断基準になるのではないかと私は思うのです。たとえば太平洋の進めているバードロック、相手の公的な法人であるECと太平洋が五十一対四十九、こういうエクイティーになっているわけです。電発が先般マウントアーサーの炭鉱では一五%のエクイティーですか、カナダも大体そうですね。ずっとおしなべてプロジェクトを見ると、一五%程度というのが常識化されつつあるのですね。ですから、オーストラリアの石炭資源の開発のためにつくる会社のわが国の企業が持つエクイティーというものは、大体一五%ぐらいに抑え込まれるのではないか、これでは無理ではないかという感じがします。五十一対四十九というような関係は生まれないと私は思うのですよ。そうすると、エクイティーと自主開発という関係ではどう見るのか。あるいはまたここに今度は融資をし、保証をするわけですけれども、そうすると、エクイティーの関係開発資金をその歩合で見るのか、あるいはたとえば三百万トンなら三百万トンの山でわが国には二百万トンなら二百万トン導入するという、いわゆる長期協定に基づく石炭導入開発の融資保証というものをするのか。非常にこの点は、当初石油公団の出発とは情勢が違うと思うのです、すでにそういう傾向が出ているわけですから。そういう点はどう判断されていますか。
  94. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  まずエクイティーと引取量の関係でございますが、これは大体当事者間の話で決まっております。エクイティーの取得は大体最高で四九%がいままでの例でございまして、先生御指摘のとおり実際は二〇とか一五に相なっているわけでございます。しかしながら、輸出商品でございますので、受け入れ側が日本ということでございます。したがって、エクイティーを超える分の引き取りを要請してきているというのが実情でございます。  それから第二点の供給源の分散の点でございますが、これは当面いろいろな意味で優位である豪州を中心に考えざるを得ないかと考えていますが、今後中国それからカナダ、それから南ア等を考えて分散政策をしているということが一つございます。  それから第三点の開発輸入量の問題でございます。これはいま業界内で議論を詰めている段階でございますが、少なくとも五〇%は超えたいという方向で検討が行われているということがございます。  それから開発資金の保証の問題でございますが、これは民間資金を活用するということでスタートしておりまして、今年度、五十五年度について見ますと、現在予定されているプロジェクトが全部スタートしても十分なだけの基金を用意しているということでございます。
  95. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 そうすると、いまの石炭部長の答弁を要約すると、わが国の企業の資本参加の率、これに余りこだわるのではなくして、要するにその開発されたプロジェクトから一体幾らの石炭が長期協定によって安定的にわが国に入ってくるか、資本参加しているのですから、自主開発であり、そのことでそういう参加している企業から輸入する石炭は五割を目標にしている、こういう理解でいいのですか。
  96. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 若干補足的に御説明さしていただきますと、鉄鋼用の原料炭についてはすでにこういうシステムでスタートしておりまして、現在自主開発量は全量の約三〇%になっていると思います。しかし、そのシステムを念頭に置きますと、エクイティーを超える量で、引取量で五〇%を超えたいということでございます。
  97. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 そうすると、エクイティーは一五%だけれども、たとえば極端に言えば七〇%の石炭日本に供給する、こういう長期協定が結ばれるということになれば、当然資金的にもそういう七割は要求されると思うのですよ。そういう点については、そういう七割なら七割に対して保証とかこういう措置をとる、こう理解していいですか。
  98. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 日本側で負担するのはエクイティー分だけというふうに了解しております。
  99. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 そうしますと、今日の豪州の情勢から言うと、日本の企業の資本参加は大体一五%から二〇%程度に抑えたい。それは恐らくそうなっていくだろうと私は思うのですよ、豪州の情勢は。ところが、石炭はできるだけわが国の企業の資本参加のところから過半数以上を入れたい。となってくると、石炭を売る以上は、やはり向こうで開発に対する資金の供給についても強い要求があるだろうと思うのです。開発資金の分担。についても当然そういう問題が出てくると思うのです。だから、いまの部長の答弁では余りに機械的に過ぎるのじゃないか。やはり長期協定に基づいてわが国の企業が資本参加した炭鉱から供給される石炭の量、このことを問題にしないと成果が上がっていかないのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  100. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  具体的に進めている例で御説明した方がはっきりするかと思いますが、それは資金を前倒しに差し上げるということに相なっていまして、たとえば、考えると、炭代前受金のような形で向こう側の資金を当面めんどうを見てやるとか、いろいろな機構なり知恵を使うことによってその資金はめんどうを見るのではないかというふうに見ております。
  101. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 この問題だけやっていると、時間がありますから、この点はもう少し別途詰めて議論したいということを申し添えて次に移りたいと思うのですが、いま答弁されたように、豪州、そしてまた分散化を図れば北米そして中国。ソ連も若干入るのでしょう。そういう関係で見ますと、昭和六十五年度には五千三百五十万トン、そして七十年度には八千五十万トンの石炭を輸入するということですから、わが国の国内政策の経験から考えても、いわば石炭の資源を安定的に、効率的に確保する、こういう意味では新たなる海外市場を含めたコールチェーンといいますか、そういうシステムを完成していかなければならない、こう思うのです。そうしますと当然産炭国における輸送の問題、鉄道、港湾等の問題、インフラに対する協力の問題が出るでしょう。あるいはまた資源をたいて石炭を運搬するという、新たなエネルギー時代を迎えて石炭汽船による、いわゆる専用船の建造という問題も当然出るでしょう。同時に受け入れ側としては大規模のコールセンターというものをつくらなければならない。こういうコールチェーンシステムというものを初めから描いていかなければならないんではないかと私は思うのです。そういう点について一体どういう考えを持っているかということが第一点。  同時にまた、そういう大規模のコールセンターをつくるとすれば、私の判断では最低七百万トンから一千万トンのキャパシティーを持つコールセンターを、少なくてもわが日本列島に南北二カ所は構築しなければならないでしょう。これも緊急な課題性を持っていると思うのです。ところがこのコールセンターに対して新機構出資するという機能を持っていないわけであります。ところが、もしこれを民間に任せるとすれば、電力とか大きな産業がこのコールセンターを支配することになると思うのです。しかしこれから流動床のボイラーの小型がずんずん開発されてくると、それぞれの小さい企業においても石炭を必要とする。これに適正に配分をしなければならないという問題もあるでしょう。かつて石油開発公団は出資機能を持っていなかったわけですが、今日備蓄などの問題で出資機能を持っている。七百万トンから一千万トンのコールセンターということは、そういう意味である一定の備蓄性も持つということは否めない事実だろうと思うのです。したがって、官民が第三セクター方式でそういういま述べた点に対応でき得る体制をつくるためには、私は過半数とは言わないのですけれども、ある程度出資を当然必要とするそういうコールセンターでなければならないということが常識ではないか、こう思うのでありますけれども、これらについての考え方を聞きたいと思います。
  102. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  第一点のコールチェーンの話でございますが、先生御指摘のように供給ソースの確保というのが第一点。第二点が産炭国のインフラ整備。それから船舶の建造、輸送手段の確保という問題。その中に日本側の受け入れ基地としてのコールセンターというものが一連のシステムとして考えられなければいけないということであります。そういう考え方に基づきましていま各種の政策手段を用意しておるというのが実情でございます。  それから、供給ソースの確保、産炭地のインフラにつきましては、新しくできます新機構からの補助金なり融資なり保証なりで、これは対応できるのではないかということでございます。  それから、船舶につきましては、いま運輸省さんと話し合っておるわけでございますが、計画造船に乗らないだろうかということで検討を開始しているということでございます。  最後のコールセンターの問題につきましては、五十五年度から開銀によります低利融資制度がすでに創設されて、これで進めていきたいというように考えております。現在コールセンターにつきましては北海道、九州、この双方に一個ずつ考えておりまして、いずれも基本設計を実施しているという段階でございます。実施主体のあり方についてはその検討の中で決めていきたいというふうに考えておりますが、先生御指摘の点につきましては、当面現在の制度の運用で大過なくできるんではないかということに考えておるわけでございます。
  103. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 今年度予算の響灘のコールセンターというのはキャパシティーが二百万から二百五十万トンでしょう。宇部興産の、今度外国から石炭を入れてつくる貯炭場が。二百万トンですから、いわば一工場のキャパシティーと同じなんですね。だからこれはミニコールセンター、当面必要だからつくるというんであって、七百万トンから一千万トンのコールセンターをつくるということになればやはり私の主張が正しいと思うのです。いまは来年、ことしの問題でないから今後考えると言うんならそれで結構でありますけれども、この点はへいままでの石油開発公団から石油公団に移行した機能の付与の歴史性からいっても、新機構にこういう出資の機能を持たせるべきだ、こう思うのであります。この点特に財務当局で何か問題があるのか、大蔵省の見解をお聞きしたい。  同時に、すでに豪州ではわが国にも石炭だきの石炭専用運搬船の発注が行われている。いままでは原料炭ですからバンカーの石炭がなかったけれども、今度は、一般炭の場合には石炭から石炭のあるところに船が専用的に往復するのでありますから、高い油をたくなんという時代は過ぎたと思うのですね。そういう計算も国際的にはもうすでに成り立っているわけです。ライフを大体十五年にしてオイルと石炭を比べていくと五年でクロスする、十年間では燃料費だけはむしろ経済的である、こういう数字をはじいてオーストラリアではすでに石炭汽船の専用船に踏み切ったということもあるわけですね。運輸省はどこまでこの点考えられているか承っておきたいと思うのです。
  104. 角谷説明員(角谷正彦)

    ○角谷説明員 一般論でございますけれども、限られた財源の中でエネルギー対策を進めていくためには、設備投資に充てられます資金のように金融機能の活用で目的を達成することが可能なものにつきましては、極力その方向で対処してはいかがかというように考えているわけでございます。また、新エネルギー総合開発機構でございますけれども、その機能も極力簡素あるいは効率的に行うということはもちろんでございますけれども、同時に他の既存の機関との機能の重複を避けるということにも配慮して設立された、こういう問題があるわけでございます。いま先生御指摘石炭の陸揚げ、貯蔵あるいは配送のためのコールセンターでございますけれども、これにつきましても一般的には商業ベースでの流通施設でございまして、その建設資金は金融ベースで調達されることが適当だ、こういう観点だと思います。ただ、当面は、コールセンターにつきましては試行的な問題もございまして、金利コストについて何らかの配慮が必要だという面も否定できませんので、五十五年度予算では石特から開銀に対して無利子融資を行う、開銀は運用部資金とこの無利子資金とを合わせましてかなり低利の資金で融資を行うという助成措置をとったわけでございます。そういったことで、財政当局といたしましてはこのような助成措置で十分目的を達成できるんではないだろうかというように考えているわけでございます。  なお、石油公団につきまして御指摘がございました。確かに石油公団につきましては共同備蓄会社に対しまして出資を行っております。ただこれは、先生御承知のように、石油備蓄法によりまして石油につきましては通常の商業ベースをかなり上回る備蓄義務づけているということを考慮したものでございまして、商業ベースでのランニングストックとしての基地機能を持つコールセンター、あるいは先生のお考えになっているのはそれよりもっと大きなことを考えておられるのかもしれませんけれども、一般的にはそういう商業的なランニングストック基地としてのコールセンターにつきまして、石油備蓄と同様な議論をすることはいかがなものかというふうに財政当局としては考えているわけでございます。
  105. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 運輸省、来ておりますか。
  106. 茂木説明員(茂木工)

    ○茂木説明員 お答え申します。  オーストラリア船主が石炭だき船を計画している事実につきましてわれわれが聞いている範囲でございますけれども、オーストラリアの北東沿岸のボーキサイト運搬のために使用する国内用のボーキサイト運搬船の計画と、それからオーストラリアと韓国の間の石炭輸送に従事する大型の石炭輸送船についての計画があるということを聞いております。
  107. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 前者の問題については、そうあらねばならないというのが、石炭多消費型の企業支配に任せるということで果たして大規模のコールセンターはいいのか。予算から言えばわずかですよ。ある程度参加することによって公的なそういう配分の発言権というんですか、そういうものを持つ、こういう意味ですから、これからの問題ですから研究してもらいたいと思うのです。  いま運輸省の方の答弁を聞いておりますとあれなんですが、これはもう緊急課題ですよ。すでに電発は油の専用船を二杯つくっているんです。だから運輸省の場合でも、いま省エネルギーの時代だとか石油代替だと騒いでいるときに、船舶の方はおくれているということじゃだめだと思うのですね。もうそういうのが常識の時代に入ってきているのではないか、こう思うのです。そういう意味で時間がありませんから、この点は早急に検討を進めて、そういう体制をぜひつくってほしいということを強くこの機会に要望いたしておきたいと思います。  同時に、わが国の輸入している弱粘及び一般炭はIQ品目であるわけです。ところが自主開発あるいは協力開発をしますと、全部長期協定なわけですね。十年とか十五年の長期協定になるわけです。長期協定を結んだら契約は履行しなければならぬわけです。したがって、国内炭は非常にウエートがいま小さいわけですけれども、昨年は三百六十万トンの貯炭になってしまった。今日でも貯炭は依然としてあるわけであります。見通しは今日は明るいのでありますけれども、そういう外的な要因によって国内炭は従的な立場で、何かクッションの役割りを果たすというのであっては本末転倒だと私は思うわけであります。  西ドイツの場合には、電力会社と炭鉱の間で長期引き取り協定というものを結んで、しかも経済的な援助を与える、こういう制度になっているのですが、わが国ではそういう長期引き取りの義務協定というのはないわけです。言葉では国内炭最優先引き取り、常にこう言うのですけれども、結果的には問題を投げかけているわけですね。今回こういう海外の大々的な石炭開発を進めるに当たって、少なくとも一手買い取りをするか、でなければ国内炭の二千万トンというものは絶対最優先に引き取るという宣言をすると同時に、裏づけ-としてそれぞれ引き取りの協定というものを結ばせる、ここまで踏み切らなければ非常に大きな問題を残すと思うのですが、この点はどういう考えでしょうか。
  108. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  海外炭の輸入は、先生がいまおっしゃったように、従来から国内炭を優先的に引き取るという方針で進んできておりますし、将来ともこの方針で進みたいという考え方でございます。具体的に申しますと、これからやってきます新規需要につきましては、国内炭を一定割合引き取らすという話し合いがもうすでについておりまして、たとえばセメントにおきますと約二割程度引き取るという話し合いがついております。この引き取りを前提として海外からの石炭を入れるという進め方になっておりますので、一応その体制はでき上がっていると考えております。しかしながら、民間同士で長期契約を結ぶということは非常にいいことだと思いますので、その辺について指導してまい  りたいと思います。
  109. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 私は、いまの部長の答弁だけではちょっと問題が残っておると思いますね。やはり制度的に優先引き取りというものが保障されなければならない。後からもこの点まとめて触れたいと思いますから、そう指摘だけをいたしておきたいと思います。  そこで、わが国の石炭の現状でありますけれども、なかなか日本石炭に対する現状認識というものが統一されないわけですね。一体わが国のように新生代第三紀層から高度歴青炭、低度歴青炭を生産している国が世界にありますか。
  110. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  現在主要産炭国を見てみますと大体古生代ということでございまして、日本は新生代ということでございます。かなり歴史的ギャップがあるかと思います。
  111. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 地質年代からいえば二、三億年ぐらいの差があるわけですね。このことは、結局わが国の地質条件というのが造山褶曲作用によって炭化作用が進んで、世界でも冠たる弱粘結の原料炭が出るし、また優秀な一般炭が出るわけなんですね。だからこのことの意味は、非常に地層の条件が軟弱であるとか、炭層に大きく変化があるとか、あるいはまた平方米当たりの炭量がそういう意味では比較的少ないとか、だから坑道の維持が他国に比べて長いとか、こういうハンディキャップを持っておるわけです。  では、まあ私企業である西ドイツに比較してお聞きしたいと思うのですが、いまわが国の炭価と西ドイツの炭価はどうでしょうか。  第二には、一人一カ月当たりの能率の比較はどういう比較になっておるでしょうか。
  112. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  まず炭価でございますが、炭価は炭種によってなかなか比較が困難でございますが、手元にある資料で御説明いたしますと、西ドイツは原料炭で二万三百九十三円ということになっております。それに対しまして日本の原料炭が一万九千五百五十円でございます。それから一般炭でございますが、西ドイツでは二万四十五円でございます。日本の一般炭は一万五千八百五十円でございます。  それから、先ほど生産性のお話でございますが、これは月でなかなか比較ができませんので、一片当たりで比較させていただきますと、坑内で比較しますと、一九七七年でEC平均で一片一人当たり三千五百四十四キログラムでございます。それに対しまして日本は三千三百二十八キログラムでございます。
  113. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 これは結局、わが国の石炭産業はいろいろ言われておりますけれども、非常に条件の悪いところできわめてよくやっているということですね。炭価の面についてもいま説明のあったとおりなわけであります。  では、西ドイツの場合には石炭対策予算としてトン当たりどの程度の連邦及び州政府資金が出されていますか。
  114. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  国の助成でまいりますと、連邦政府は二十一億七百万ドイツマルクを出しております。トン当たりで二千六百六十七円出しております。それに対しまして日本は三千二百二十三円ということになっております。
  115. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 いまの説明の数字と私の数字とは違うわけです。それはいつの年代をとって為替レートをどういうぐあいにやっておるのか知りませんが、一マルク百円で一九七八年ドイツの場合にはトン当たり四千円ですよ。フランスの場合には、一フラン五十円として七千七百円ですよ。日本の場合、一千三百億のうち石炭に前向きに使っているのは四一%ですね。そうでしょう。あとは全部鉱害とか産炭地振興に使う。しかもその中にはなだれ閉山、集中閉山の鋭角的な閉山の分も第二次、第三次肩がわりとして残っているわけですから。こう比較しますと、日本石炭政策というものが諸外国に比べて特に手厚いというものでは-ないわけですね。だから外国でも、日本はもう少し石炭を使うことを考えたらどうかという非常に鋭い指摘が最近あることもうなずけるわけです。こういう努力をしているわけですね。ですから私はそういう意味で考えますと、いまの部長の数字と私の数字とは違いますけれども、私の方が恐らく正確でしょう。だからそういう認識をまず私は日本石炭産業に対してみんなに統一してもらいたいという気持ち質問したということを、ひとつ御認識願いたいと思うのです。たとえば鉄鋼でいま西ドイツ並みに炭価の格差を補正してくれ、こういう意見がよく出るわけです。その場合には、当然、原料炭に対しては西ドイツでは税金をかけているわけでしょう。それで値差を結局補給しておるわけです。鉄鋼にもし千円の税金をかけて返せばおつりが来るわけでしょう、全使用量のうちわずか一一、二%より引き取っていないのですから。それでも国内の原料炭は余っているのですから、一三%程度引き取ってくれれば問題は解決する。今年度の予算に二十億組んでいるわけですね。要するにそういう比較をする場合でも、いいところだけ見るのじゃなくして、そういう政策内容検討していく場合には、いまの原料炭のわずか百万トンか百五十万トン引き取ってもらえないという現状を、政府はこれはあくまでも民間ベースだといって黙っていていいのだろうかという疑問が出るわけです。  だから、この法案審議するに当たって、これから石炭の復活を図る、再利用するという観点に立つならば、こういう問題をきちんと整備をして、最優先の体制をきちっととることによって初めてこの法案の示す方向について理解ができると思うのですが、いかがでしょうか。
  116. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  石炭の引き取り問題は、たしか先生御指摘のように五十三年、五十四年とかなり難航いたしました。しかしながら、最近石炭に対する需要期待がかなり高まってきておりまして、最近通産省が中心となりまして需要業界間の引き取りの問題を話を詰めておるわけでございますが、ほぼ中長期的な話し合いがついている段階でございます。したがって、それを踏まえた上で具体的な手だてを考えていきたいというふうに考えております。
  117. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 私は、今日石炭経済性という問題については余りに軽んじられているのではないかという気がするわけです。これも時間がないから私から言いますけれども、たとえば揚げ地電力で見て、もちろん電力会社の使っている油の値段をどう見るかという問題もあるわけです。一応そういう点は多少問題があるとしても、たとえば六万七千三十六円の油を使っておったとすれば、一般炭の石炭価格が一万五千四百七十五円だからカロリーは二円五十七銭ちょっとだ、油の場合には六円八十四銭です。デメリット、トン二千八百五十円、したがって、四十七銭五厘という数字が出るわけですけれども、こうして比較をするとカロリー当たり三円七十八銭のプラスになるわけです。輸入炭の場合にはこれは四円四十三銭、こういう数字が出るわけです。あるいは揚げ地で比較をすると、五十五年、五万九千円の油を使った、こう仮定をしますと、石炭の場合にはカロリー当たり、デメリットを含めて二円八十七銭でありますから、六円二銭に対して三円十四銭という数字が出るわけです。デメリット、トン当たり二千八百五十円を引いてもこういう数字になるわけでしょう。だから、たとえば今度北海道の伊達二号、三十五万キロが三月に動いたのです。十月に苫東の石炭火力、三十五万、同じものが動くわけです。一年間たいたらどうなるんでしょう。黙っていても燃料費が百億以上違うのじゃないでしょうか。燃料費が五〇%ないし六〇%占めておるとするならば、デメリットを全部引いても一年間運転して百億以上違うのですよ。十年たったら一千億でしょう。生涯コストで言えば、燃料費だけで二千億でしょう。  私は、そういう点について、石炭のいわゆる経済性についてもやはり正しく掌握をしなければならぬのではないか。もちろん火力発電所の立地、都市に近いとかいろいろあります。また、そういう点で、いまのエネルギー情勢の中で、わが国がもう少し石炭をたくという点についても、いまの示す方向以上に馬力をかけなければならないということになるのではないでしょうか。あるいは外国炭との関係で、石炭で比較しますと、これは経企庁の経済研究所で出しておりますけれども、これも生涯年平均コストで見ると、石炭は十七円六十六銭、これに対して重油は二十二円十三銭です。もちろんこれは全部石炭のデメリットの関係も見ておるわけです。だから発電の送電端での計算でもこういう数字になるわけです。  従来の考え方を一回空にしてもう一回組み直して考える、こういうことが大事ではないかと思う・のですが、私がいま示した数字について、御感想を長官から聞きたいと思うのです。
  118. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 代替エネルギー開発に関しまして、経済性というのは実は私は一番大きな問題点ではないかと思うわけでございます。従来頭の中で石油にかわる代替エネルギー開発ということは考えてきたと思うのでございますけれども、現実の問題となった場合に、そこにやはり経済性の問題が働くというのが一番大きなポイントではないかということでございまして、そういう観点に立ちますと、この一年間に急速に原油の値段が上がってきたということになりまして、いま先生のお示しのような石炭との相対的な値開きという問題、油炭格差が逆転してきたという問題がございますので、そういうことが石炭を含めた代替エネルギー開発に大きなプレッシャーになってくるのではないか、それを私どもは大変期待をしているということでございまして、従来頭の中で考えておりましたことが、具体的な進歩といたしまして進められていく大きな要因になってくるというふうな期待を持っております。
  119. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 現在もわが国の石炭産業には大手五社がありますけれども、山元手取りの平均額は一トン当たり一万三千三百六十四円、これは五十三年度の実績であります。最高と最低ではどうなんでしょう。山元手取りの平均は一万三千三百六十四円ですが、最低と最高はいかがですか。
  120. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  最高が一万六千八百六十七円、最低が一万一千八十五円、その値差が五千七百八十二円ということになります。
  121. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 これだけの値差があるわけですね。それは手取りの低い企業は内容が悪くて、高い企業の内容がいいというものではないでしょう。手取りとは違うでしょう。いかがですか。
  122. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  山元手取りの差がすぐ経常収支につながっているかどうかということでございますが、これはつながっておりません。山元手取りのいいところが必ずしも条件はよくないということで、生産性が低いとかいろいろなことがございますが、経営収支には山元手取りは大きく影響しますが、一つのファクターにすぎないということでございます。
  123. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 そこで、いま五社の中でも悪戦苦闘を続けておるのは北炭の会社ですね。ただ、北炭の場合も何をやっているのだという意見もずいぶん出るのですが、とにかく正しく見てやらなければいかぬと思うのです。  たとえば北炭の関係で、第三次肩がわりまでは、閉山が行われてもこれは肩がわりで消化をされるわけです。北炭は原料炭主体の炭鉱が多かったわけです。したがってその原料炭重点政策に基づいて原料炭を採掘するために努力をしてきたわけですが、タイミングが、第三次以降に閉山がずれた。そうして六つの炭鉱閉山のうち、第三次肩がわり以降四つの炭鉱が閉山しているわけです。いずれも概して大型の炭鉱です。先般清水沢炭砿が閉山に決定をいたしておるわけですが、これは制度が違うわけです。できたときには退職金の充当率でも七割とか高かったわけですが、制度を変えていませんから、いまや半分なんですね。だから当然こういうものが残っていくわけです。いわばそういう一つのファクターを持っておるということについて考えなければいかぬし、もちろん融資の保証等はいたしておりますけれども、世界に類例のない幌内の炭鉱が水没をしたのを再開発をした、これもやはり相当なファクターになるわけですね。もちろん新鉱の開発その他でまごついたことは事実であります。このことは私は否定するものではないわけです。だが、こういうファクターがあるということだけははっきりしておるのではないでしょうか。  そうして、いま私は山元平均手取り額をお聞きいたしたわけでありますけれども、今日の炭鉱は非常に数が少のうございますから、先ほど言った地質的な条件や体質的な条件、いわば七十度の傾斜では機械化できないのです。ピック掘りだけです。中傾斜か緩傾斜でなければ機械化ができないわけですね。悪戦苦闘しておるが、なかなか急傾斜では能率が上がらないということは否めない事実であります。いわば企業間の格差岩盤というものが今日鮮明に出てきた。石炭産業というものは本来そういうものなんですけれども、案外それが鮮明には出なかった。今日では鮮明に浮かび上がってきているわけです。これらに対していまのままの政策でいいというはずはないわけですが、いかがですか。
  124. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 先生の御指摘のように、現時点では格差はどちらかというと拡大の方向に進んでいると私たちは認識しております。その原因としては炭鉱の自然条件が大きなファクターで、一つは傾斜がきついという問題、それから深部に行くに従いまして炭層賦存条件にばらつきが出てきたということでございまして、それが原因で格差が拡大していることはたしかでございます。しかしながら、この問題は、格差は企業努力によって吸収するというのが原則でございますが、現在の状況を見ますと、拡大傾向にあるということでございますので、今後の検討課題として格差問題につきましては、国内の生産を維持する観点からも、今後慎重に検討していく課題ではないかというふうに感じております。
  125. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 従来の原料炭重点政策の新鉱開発は、たとえば有明とか南夕、南大夕張、そして夕張新鉱があるわけです。しかし、今日エネルギーとして考える場合には一般炭なわけですね。一般炭の新鉱開発ということは比較的深度が浅いんですよ。たとえばAという地区は三百メートルと六百メートルの間にある。この以上深くならない、下には石炭がないのですから。浅いから坑内条件はいいし、ガスは少ない、実働時間も非常に少ない。そういう点では従来のエネルギー情勢の中における一般炭の新鉱開発と今日の情勢の中における一般炭の開発の条件は変わってきたわけです。そして、これをずっと計算しますと、従来の原料炭の開発政策、このものを基礎にすれば一般炭の新鉱開発は成り立つというのが私の計算であるわけです。  いま体制は一千八百万トンでしょう。二千万トン体制ではないわけですよ。一千八百万トン体制だと言い切った場合に、これを二千万トンに持っていくとすれば、どうしてもある程度の新鉱開発を進めなければならないし、その時期に来た、そういう段階に入ってきた。もちろん電源と新鉱開発とをドッキングさせるということも考えなければなりません。そういう配慮をしながら新鉱開発の問題についても手を染める段階に来ているのが私は今日の情勢だろうと思うのです。そういう点についてはどういう見解か、承っておきたいと思うのです。
  126. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  新鉱につきましては、先生御案内のように五十年、五十一年全国約二十カ所を対象として粗い積算をしたわけでございますが、その後比較的優位と目される二区域が出てまいりまして、それについて五十年度以降いろいろな開発に関する諸問題の調査検討を進めてきたわけです。  そのやり方といたしましては、各地区ごとに市町村を交えた連絡協議会をつくりましていろいろ議論したわけでございますが、現在時点で判明していることは、まず第一点は、労働力の確保というのがかなり過疎地にあるということでむずかしいというのが第一点でございます。それから、地上権、これは国有地との調整問題が残っております。そのほか漁業権、環境、輸送面等に問題があるということで、いま直ちにこれが開発できる条件にあるか、またその条件が熟しているというふうには至っていないわけでございます。  いずれにしても新鉱の開発につきましては、いまやっております調査を続けまして、最終結論が出た段階で、先生の御指摘の点も踏まえながら、総合的に判断していきたいと感じております。
  127. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 新鉱開発もいままでの常識を変えなければだめですね。炭を洗って石炭を出しているのは日本だけでしょう。みんな切り込みなんですね。そうすると、できるだけ洗わないで、公害もないわけでしょう、水も汚さないわけですから。電力とドッキングすればいいわけですね。そういう点で従来の考え方を変えるということです。一回変わらせるということです。石炭の問題についても私は同じだと思うのです。  そこで、私は通産大臣にいま幾つかずっと質問してまいりましたけれども、たとえば国内炭の優先引き取りの体制にはどういう装置をしなければならぬか、あるいは企業格差の岩盤は拡大していくわけでありますから、これに対して一体どういう対応をするのか、また、二千万トン体制を維持するというのであれば、新鉱開発についてもどう対応するのか、これらの問題は早急に検討しなければならないと思うのです。第一次エネルギーショックの場合にも政策が諮問されて、第六次答申が出たわけですね。したがって、今回も、法律の期限はもう少しで、五十七年三月末までありますけれども、このタイミングで第七次といいますか、新政策を通産大臣石炭鉱業審議会にできるだけ早い機会に、ごく近い時間の中で諮問されることが至当であると私は判断するのですが、いかがでしょうか。
  128. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 私も御承知のように戦後石炭問題を大分長い間扱った一人でございますので、当時の情景等を考えまして、相当強力な海外炭と国内炭の統制方式みたいなものを頭に描いておったのですけれども、実際資源エネルギー庁で現在やっております方式をいろいろ聞きただしまして研究してみますと、いまの行き方でしばらくやれるのじゃないか。いまの方式というのは、御承知のように国内炭は、各需要者に対して抱き合わせというとおかしいのですけれども、極力引き取りを慫慂しまして、そして貯炭をなるべくなくする、そういう方式で、一方海外炭には強力な輸入統制をいたしまして、そうして国内炭との調整を輸入統制の面でしていくという方式をとっているわけですけれども、油の方が御承知のように大変にシャープな値上がりをしているわけでございますから、自然石炭が相対的に安くなってきているわけでございますので、そういう関係から貯炭も大分減少しつつある状況でございます。しばらくの間はいまの方式のままでいってよろしいのじゃないかと私は思います。  それから、海外炭の開発輸入の場合は、これは御承知のとおり、やはり急いで、相当エネルギッシュに日本の技術その他を動員して進めるのは当然のことと思いまして、この機構の発足する前でありましても、必要なものはどしどし海外に送って進めていく。中国あるいは豪州等から非常に申し込みが多いわけでございまして、そういう点に関しましてもこちらの方も対処しなければいけませんから、進めることが必要かと存じております。  石炭鉱業審議会を早く開いて、今後の石炭転換に伴う諸問題を至急解決すべきではないかという御主張はごもっともでございますので、御説のように、できるだけ早く問題を整理いたしまして審議会を開きたいと存じます。
  129. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 大臣は近く中国にも行かれるようですけれども、長期的には中国は大きく期待できますけれども、私の見解は、ここ十年ぐらいはそう期待できないと思うのです。やはりインフラの関係とかいろいろ考えると十年後はいいでしょう。しかし、もちろんいまからやらなければならぬから、せっかく今回中国を訪れるわけでありますから、御検討願いたいと思っておりますけれども、いま大臣の言われた最後の問題でありますけれども、新政策の諮問について、これは通産大臣石炭鉱業審議会に諮問するわけですから、いま。言われたように解決しなければならぬ問題があるわけですね。そういう意味ではタイミングとしては少なくとも五月いっぱいには通産大臣石炭鉱業審議会に諮問すべきだ、諮問されてしかるべきではないか、こう思っているのですが、これを具体的にひとつお聞きしたいと思うのです。
  130. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先ほどから先生御指摘の点が、今後諮問をする場合の一番討議をいただくポイントかと考えておりまして、その辺について現在鋭意データを整理しておる段階でございます。期日につきましては、いまの見通しでは六月の中ごろには諮問できるのではないかということで、それを目指していま準備しているというふうな段階でございます。
  131. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 事務当局の準備の話なんですけれども、しかしこれは通産大臣が諮問するわけですから、事務局じゃありませんから、いかがですか。
  132. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 六月の中ごろというお話でございますけれども、できるだけ早くやるように相談してみます。
  133. 岡田(利)委員(岡田利春)

    ○岡田(利)委員 終わります。
  134. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 これにて岡田利春君の質疑は終了いたします。  引き続いて吉井光照君の質疑に入ります。吉井光照君。
  135. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 私は、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案の諸問題及び中東情勢と「長期エネルギー需給暫定見通し」の計画による代替エネルギーの展望等についてお尋ねをしたいと思います。  まず、最近の世界情勢の動向ですが、これは景気また政治情勢というものがきわめて不透明、また不安定でありますが、わが国の石油輸入の大半を占める産油国の一九八〇年代の動向、こうしたものについて政府はどのような見通しを持っておられるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  136. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 石油の需給関係からお答えを申し上げたいと存じますが、一九八〇年につきましては、いわゆる自由世界の需給関係は大体バランスがとれるのではないか。五千百十万バレルぐらいの需要に対しまして五千百三十万バレル程度の供給能力があるんではないか。バランスがとれるといいましても、いま申し上げたような数字でございまして、わずか二十万バレルぐらいの供給アップということでございますから大変薄氷を踏む思いのバランスということでございまして、これが五年ぐらいたちますと一日当たり百二十万バレルぐらい足りなくなるんではないかという予想がございますし、さらに十年後には六百二十万バレルぐらい足りなくなるんではないかという予想がございますけれども、ここで一つ考えておかなくちゃならない要素は、ソ連、東欧圏の動きでございまして、御承知のとおり現在ソ連、東欧圏は一部輸出をいたしておりますけれども、一九八五年までのうちに輸入国へ転ずる、輸入圏へ転ずる危険性があるということでございますから、先ほど申し上げました数字に相当な変化を来す危険性があるということでございまして、一九八〇年代を十年間で展望いたしますと、先行きは需給上大変問題をはらんだ十年間ではなかろうか、こういう考え方を持っております。
  137. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 ところで、OPEC諸国は資源の温存、つまりいままでのような石油の増産は抑制する、こういう政策をとっているようでございますが、そのように理解していいかどうか、この点はどうですか。
  138. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 中長期的に見ますと、まさにいま吉井先生が御指摘になったような事態でございまして、先ほど申し上げたような世界の需給の逼迫の傾向もございますから、OPEC諸国等を中心にいたしまして産油国でできるだけ資源を長く活用したいという観点から、資源温存政策をとってくるものというふうに見ております。
  139. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次にOPECの原油価格値上げすなわちアラビアンライトですが、この推移をちょっと見てみますと、一九七三年の一月には一バレルが二・五ドル、これが十二月になりますと五ドル、一九七七年には十二ドル、さらに昨年の四月には十四・五ドル、また十一月には二十四ドルことしの一月には二十六ドル、このように一挙に値上げがされておるわけでございますが、このまま推移をしてまいりますというと、一九九〇年ごろには一バレル当たり大体八十ドルとか九十ドル、このような報道もされているわけでございますが、代替エネルギーの強力な開発がなければやはり非常に厳しい事態にもなりかねない、このように考えるわけでありますが、こうした原油価格の推移についてはどのような御見解をお持ちなのか、お伺いいたします。
  140. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 中長期的に見ますと、先ほど来お答え申し上げましたとおり、大変先行きは需給がタイトになるという関係でございますので、相対的に原油価格が上がっていくということは否めない事実ではなかろうかと思っております。しかしながら、従来の油の価格の決め方が、いわゆる売り手市場でございまして、産油国の政策判断によりまして価格決定が行われるという構造でございましたのに対しまして、いま先生御指摘のように代替エネルギーというものが生まれてくる。従来もそういう考え方はあったわけでございますけれども、産油国の価格決定メカニズムに対して相当な影響力を持つ程度にまで代替エネルギー開発が進みますと、また違った観点での価格決定が行われるんじゃないかということでございまして、これは一にかかって日本を含みます消費国の代替エネルギーへの取り組み方によって価格構造が変わってくるんではないかというふうな考え方を持っております。
  141. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 いまの質問に重複、関連するわけでございますが、OPEC諸国の最近の動向というものを考えてみますと、将来の展望としてわが国の代替エネルギー開発、発展の推移に即して石油価格をつり上げてくる可能性がある、このように考えられるわけですが、この点はどうでしょう。
  142. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 御指摘のような要素は大変強いというふうに判断いたしております。しかしながら、最近の動きといたしまして、先般OPECの長期戦略委員会でも討議をされたところでございますけれども、今後の油の決め方につきましては、消費国側の物価動向あるいは通貨の動き、そういうものとのバランスをとって石油価格を決めたい、こういう考え方も産油国で相当強くなってきておりますので、従来と少し変わって、先進国のインフレと申しましょうか、物価の動きというものとのバランスで価格を決めていくという考え方もまた一方において強い意見として出てきておるというのが現状でございます。
  143. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 こうした中で特にイラン問題について若干お尋ねをしておきたいんですが、現在中東地域のわが国の原油輸入量が全輸入量の七五%、イランはそのうち一一%です。五十四年の上期で一千四百八十六万キロリットル輸入しておるわけですが、最近の新聞報道によりますと、イランのバニサドル大統領が、わが国の外交姿勢が今後イランに対して非友好的なものに転換した場合、対日原油供給のストップもありかねない、こういったことを示唆しているわけでございますが、その場合カット分をすべて補うことが可能かどうか、またその対応といいますか、この点についてはどのようなお考えですか。
  144. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 先般米国側から申し入れ、希望がございまして、それによりますと、現在米国が最終的にと申しますか、最後的にとろうとしておる諸措置並びにいままで日本が対イラン関係でとってきた措置に対して感謝を申し述べ、三番目にはこの一月に国連に経済制裁として持ち出しました米国案が、御承知のようにソ連の拒否権に遭って通らなかったわけですけれども、その制裁案をそのまま今度の措置として実施したい、ついてはその制裁案に準じて同調した行動を期待したいというのが向こうの主たる内容でございまして、それに加えて政治面といたしましては大使の召還、そしてその後の状況を見た上で国交断絶に踏み切ってもらいたい、こういうのが申し入れの趣旨でございます。そこで、わが方といたしましては、イランの人質問題は、これはあくまでも国際法上許すべからざる問題であることはもちろんでございまして、国際社会の基本的な秩序というものが脅かされているわけでございますから、一日も早くこの問題を解決するのが一番必要な問題だと考えておりますので、これに最大の努力を払いたいということでヨーロッパの動向等見守って。おりましたが、先般リスボンでECの外相会議が開かれまして、とりあえずテヘランにおける九カ国の大使が、わが国の大使も加えまして十カ国でイランの大統領に申し入れしよう、一体いつどういう方法で人質を解放してくれるかということで、わが方に同調してもらいたいというEC側の申し入れがございましたから、それに応じましてわが方の和田大使も一緒になりまして申し入れたわけでございます。その申し入れました向こう側の回答の結果を持ちましてきょう和田大使が日本へ帰ります。ヨーロッパの各大使もそれぞれ本国に召還ということではなしに、事情の報告ということでそれぞれの国へ帰りますので、日本の大使もきょう帰ってまいります。きょう少し遅くなりますので、あすの朝詳細に和田大使に事情を聞いて、その上で今後の対応策を考えようということで、ただいま和田大使の帰国を待っている状況でございます。それを待ちまして、いまお話ございましたいままでの経済的な、米国側と歩調をとってまいりました、ヨーロッパ等と歩調をとってまいりましたものに対して、今後どういうふうに措置をしていくかということを日本政府として態度を決めてまいりたい、こういうふうに考えておる最中でございます。
  145. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 通産省は、最近イランが通告をしてきた一バレル当たり二・五ドルの値上げに関連をして、イラン原油の取引をしているわが国の石油会社に対して原油高騰を防ぐためにどのような行政指導をしておられるのか、この点はどうですか。
  146. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 今回の値上げの問題は、二月にGSPを引き上げたばかりでございますし、現下の世界の原油の需給状況あるいは他の産油国の公式の販売価格あるいはスポット価格の状況等から見まして、そのまま受け取ることは大変問題の多いところだというふうに実は考えます。もちろん契約を結んで実際の商売をするのは業界でございますから、業界の方も昨年末から御承知のような、また先ほど来お話しございましたような大変な原油の相次ぐ値上がりあるいは円安等の状況で、今回の値上げをそのまま受け入れるということに対しては、企業経営の立場から見ても困難な点があるのじゃないかという感じがいたしますので、慎重な対応を行っておるところでございまして、きょうあたりから向こう側と交渉に入るのじゃないかというふうに考えてございます。
  147. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、イラン南部のバンダルホメイニ、日本とイラン合弁の大規模石油化学コンビナートの工事再開の場合、こうしたイラン情勢に伴って今後再び工事が中断することは考えられるかどうか、その場合の対策は現在考えておられるのかどうか、このお考えはどうですか。
  148. 田口説明員(田口健次郎)

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  イラン問題に関しましては、今後の米国の動き、それからイラン側の対応ぶり、それから欧州諸国の動向等を注意深く見きわめてまいりたいというふうに考えておりますけれども、基本的にはIJPCの石油化学プロジェクトにつきましては、従来どおりの方針、つまり工事を継続していくという方針を維持していきたいというふうに考えております。
  149. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、法案内容について若干お尋ねいたします。  わが国経済石油に対する依存度の軽減化を図るために今回の法律ができたことは、それなりに評価をいたすわけでございますが、この新エネルギー総合開発機構は、今後のエネルギー政策上重要な使命を持っているわけであります。したがって、業務の十分な成果を上げるにはやはり運営、管理それから技術開発、こうしたものにいかによい人材を送るか、これが非常に大事なことだと思うのです。そこで、石炭鉱業合理化事業団の役員の人たち、こうした人たちはいわゆる新機構の中でどのような扱いを受けるのか、この点はどうでしょう。
  150. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 新機構の役員人事につきましては、本法案成立さしていただきました後に具体的に着手したいというふうに考えておりますけれども、現段階で考えておりますのは、新しいエネルギー開発部門との業務上のバランスというものを考えまして、石炭鉱業合理事業というものが円滑に行われるような人事を考える必要があるのではないかということでございまして、機構ベースになりましたのが石炭鉱業合理化事業団でございますから、その本来の業務に支障を与えましても問題があるという観点から、そのような判断で現在考えておるところでございます。  具体的な人選は、冒頭に申し上げましたように法案成立さしていたださましたらその後で具体的に着手したいというふうに考えております。
  151. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 いまこの法案成立した後にいろいろ具体的な問題について考えるとの御答弁でございますけれども、先ほどから人事の問題についてはいろいろと各委員からも御指摘がございました。いままでの考え方といいますか、この新機構理事長とか理事、こうした役員の人たちはやはり通産省あたりから天下るのか、それとも広く民間からの登用を考えておられるのか、その点はどうですか。私は、法案をこうして提出されるからには成立後というのではなくて、もう大体の目安といいますか、そういったものは立てておられると思うのですが、その点どうですか。
  152. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 ただいま御審議いただいております法案の中の新エネルギー総合開発機構の人事に関しましては、二つの大きな問題点があるのではないかと思います。一つは役員人事、もう一つ技術開発本部を含めましたいわゆる業務面の人事をどうするかという問題でございます。それとまた別の観点で、法案の中に書いております運営委員という制度を新たに設けさせていただきたいということでございまして、いわゆる第三セクターとして発足を考えておりますこの機構では、民間の活力を積極的に導入するという観点から運営委員会の権限を相当大きくしておるということが一つの特徴でございますので、運営委員に適当な人材、適切な人材を得るということがこの機構の死命を決めるものではないかというふうに考えておりますので、運営委員の人選も大変大きな問題ではないかというふうに考えております。  まず役員につきましては、通産省から天下るのではないかという御指摘がございましたけれども、私どもはそういう考え方ではなくて、広く人材を求めたいということでございまして、特に役員の候補者たるべき方がどこそこの系統の方であるということにこだわらずに、本当に新しい機構の役員にふさわしい人事であるかどうかということを主眼にいたしました人選を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから技術開発部門等を含めます業務部門につきましては、これまた実際に業務を担当していただく第一線の方になっていただくわけでございますので、官民学といった広い観点からの人選を行いまして、極力トップレベルの方にここに集まっていただきたいという念願をしておるわけでございます。  なお、最後に申し上げました運営委員につきましては、法律上は七名という定員をお願いしておるわけでございますけれども、この七名につきましても各界の、それこそどなたがごらんになってもなるほどと思われるような方を人選をしていきたいということでございまして、特定の分野に偏ることなく、七名が広く各層にまたがって人選されることが望ましいということで、そういう基本的な考え方のもとに人選を進めさせていただきたいというのが現段階における基本的な考え方でございます。
  153. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 これは先ほど岡田委員からも厳しい指摘があった問題ですが、いわゆる副理事長の問題ですね。新機構の役員では副理事長が一名。しかしながら、先ほどからも指摘がありましたように、これは非常に重要なエネルギー政策の国民的課題であります。これが一名にされているということは、結局一名で十分だ、このように考えられるのかどうか。なるほど先ほど行管庁の方からもいろいろ行管庁としての立場の御説明もございました。そのお気持ちは十分わかるわけでございますが、いまも申し上げましたようにこの代替エネルギーの問題というのは、いずれにしろわが国が急速に解決しなければならない最重要課題であると私は思うのです。そういった意味で、この組織の問題というものが私は大きな一つの柱になってくると思うのですけれども、どうですか通産大臣、もっと胸を張ってこの問題に大きく取り組んだらどうですか。そういった意味で、やはり副理事長も一名で十分と考えておられるのかどうか、この点どうですか。
  154. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 行政改革のさなかに、ほかのものをスクラップにしている最中に新しくこれを誕生させたわけでございますので、先ほど来いろいろお話ございましたように、これが生まれるまでには大変困難な道が多うございました。したがいまして誕生に際してのいろいろな条件がつきまして、お説のように胸を張ってやりたかったのですけれども、そういう状況ものまざるを得ない環境に置かれましたので、不満ではございましたが一応これで出発いたしまして、生まれは若干未熟児的な傾向ではございますけれども、逐次これを強化して、必然的に強化せざるを得ない状況になることは明らかでございますので、そういう社会的、世界的なニーズに応じましてこの機構の充実を逐年図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  155. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 この新機構の設置場所ですが、合理化事業団の現在の場所と一緒にさせるのか、あるいは新しい場所に設置した場合、合理化事業団と一緒にさせる方向なのかどうか。将来の業務拡大のためにはやはり同一場所でこれを行っていくのが非常に必要ではないか、私はこのように考えるのですが、これに対するお考えはどうですか。
  156. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 新機構の設置場所につきましては、本法案成立した後設立準備に当たりましてその設置場所を含めて検討してまいりたいと思いますけれども、御指摘のとおり事業団の業務、人員をそのまま引き継ぐことになっておりますので、できれば事業団と一緒の場所に設置するのが何かと便利であろうと思いますけれども、その事務所の設置場所につきましてはそういう点を踏まえまして慎重に検討してまいりたい、こう思っております。
  157. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 合理化事業団は新機構の中では石炭鉱業合理事業本部、このようになるわけですが、この新機構の組織図を見ますとちょっと新機構に従属した形に見えるわけです。新エネルギー開発部門の方が将来どうしても脚光を浴びてくれば、この合理化事業本部はますますいわゆる従の立場、そのような存在になってくると思うのですが、そのあたりはどのように考えていらっしゃいますか。
  158. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  国内の石炭鉱業の安定対策の基本法というのは石炭鉱業合理化臨時措置法でございまして、それを受けまして従来から合理化事業団で具体的な対策を進めてきたというのが実情でございます。今度新組織ができますと、そこに一括吸収されまして本部ができるということでございますので、業務内容についてはいささかも変更がないわけでございます。さらに技術開発本部と石炭合理化本部との間では区分経理をいたしまして、勘定を区分して処理いたしますので、そういうような問題は起きてこないのではないかと考えております。
  159. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 従来の合理化事業団の管理委員会のメンバー構成についてですが、管理委員会は合理化事業団が発足以来全然メンバーは変わっていない、こういうことですが、この際人事を一新するお気持ちはないかどうか。  それに関連して、石炭鉱業審議会の第七次答申の際、石炭鉱業審議会のメンバーももうそろそろ。見直す必要があるのではないか、このように考えるわけですが、この点についての御見解はどうでしょう。
  160. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  管理委員会の委員というのは石炭鉱業に深い造詣のある人でありまして、そのほか学識経験者ということで構成しているわけでございます。いろいろな意味で国内の石炭鉱業もある節目に来ておりますので、その点を念頭に置きながら最適者を選定する方向で今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  第二点の石炭鉱業審議会のメンバーでございますが、これも石炭鉱業に対しまして深い知見を持った方で構成されるということで、主として政策を議論していただくということになっております。現在委員は三十六名でございますが、その三分の二の二十四名は就任以来五年未満の方が多うございまして、最近審議会の場でも相当の御議論をいただいておりますので、現時点ではメンバーを入れかえるということは考えておりません。
  161. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 いろいろと今後のためによりよい成果を考えて、石炭業界の明るい展望を図るために、人事の体質強化ということは、これは先ほども申し上げましたように大変大事なことであります。この中で石炭産業に従事する労働者の人たちの意見、これも新機構の中に十分反映させなければならない、私はこのように考えるわけですが、今回どの部分にその意見を取り入れられるように配慮してあるのか。この点はどうですか。
  162. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  管理委員会というのは石炭鉱業の運営に関しまして重要な問題を審議、決議するということになっております。しかしながら、主として実施の問題になるものでございますので、むしろ労務者の方は石炭鉱業審議会の方でいろいろな御意見をいただくというシステムになっております。現に委員として炭労、全炭鉱、炭職協のメンバーが入っておりますので、石炭鉱業審議会の方で十分な意見を出していただきたいというふうに考えております。
  163. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、「長期エネルギー需給暫定見通し」による国内炭、海外炭、地熱エネルギー関係性についてお伺いするわけです。  最初に、新エネルギー機構の業務の範囲の第三十九条、この中で海外炭開発には補助金を出す、また資金の融通、融資、こういったものが大幅に決められているわけです。こうした海外の石炭資源開発の融資といったものは慎重に対処していかなければならない、このように私は考えるわけですが、この点についての御見解はどうですか。
  164. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 海外炭の開発につきましては、調査の段階が補助金ということでございます。それから探鉱融資は直接融資をするということでございます。これは探鉱の段階でございますからそう大きい金額ではございません。問題は開発資金でございまして、これにつきましては新機構が保証するということに相なっているわけでございます。開発をスタートさせる前にはどうしても需要業界からの引き取り保証といいますか、掘った石炭を引き取るという約束がなければ開発できませんので、したがってその約束を取りつけることによって焦げつきというような問題は出てこないのじゃないかというふうに考えております。
  165. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 同じく三十九条では、国内炭の再検討や小規模水力発電の促進、こういったことが挙がっていないわけですね。これは裏を返して言うならば国内炭政策を軽視した姿ではないか、このようにも考えられるわけですが、これに対する御見解はどうですか。
  166. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 新機構におきましては、石油代替エネルギー開発の中核的な推進母体ということで、新規性のある石油代替エネルギー技術開発あるいは資源開発を行うことを目的としておるわけでございます。国内炭に関しましての対策につきましては、従来石炭鉱業合理化事業団が実施してきたところでございますけれども、石炭鉱業合理化臨時措置法によってその対策規定されているとか、この法律の附則第二条によりまして石炭鉱業合理化臨時措置法が時限法であるというような規定がなされていること等の理由によりまして、この機構の本則業務からあえて外したわけでございますが、新機構によりまして強力に国内炭の対策も実施してまいりたいということには変わりないわけでございます。  また、小水力の開発につきましては、本年度より開発促進のために国から事業者に対しまして補助金を交付するというような手だてをもちまして小水力の開発促進してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  167. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、この代替エネルギー予算を見ますと、五十五年度には千百七十六億円、五十五年から六十五年までの資金需要を約三兆円、このように見ておるわけですが、「長期エネルギー需給暫定見通し」は、石油輸入というものを昭和七十年には現在の七四・五%から四三%に抑える、したがってその分を代替エネルギーでカバーしようとしているわけですが、三兆円の予算を考えながらこの長期計画を政府が一貫して推進し切れるかどうか、ちょっと疑問があるわけです。今後のエネルギー事情のいろいろな変化、たとえば石油の確保が比較的安定するかもしれない、また原子力開発がある程度順調に進んだ場合、この代替エネルギー開発を軽視していく、そういう可能性はないかどうか。この点はどうでしょうか。
  168. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 世界の石油需給が将来どのように推移するかにつきまして、見通しを立てますことは大変困難でございますけれども、仮に石油の価格が安定した、輸入が安定したということにいたしましても、私どもがこの法案でねらっておりますゆえんは、日本エネルギー構造を変えていきたいということが主眼でございますので、ある時期での石油の価格あるいは輸入量といったものに左右されることなく、このエネルギー構造の変化に着手をしていきたいということがねらいでございますから、そういったその時点時点におきます動向ということにとらわれることなく、総合的な観点から代替エネルギー開発を進めていきたいという基本姿勢を持っていることを御説明させていただきたいと思う次第でございます。
  169. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 今後低成長経済、また、こうしたきわめて不安定な国際情勢等から考えて、国家財政というものがあるいは危機に陥るということも当然考えられるわけですが、そうした場合、この計画しておる予算、これはもう削減されることはないかどうか、この点はどうですか。
  170. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 エネルギー関係予算は、御承知のとおり一般財源で賄う部門と特別会計で賄う部門があるわけでございまして、私どもが主眼といたしまして期待いたしておりますのは後者の方の特別会計の部門分でございまして、これはいわゆる目的税によります石油税あるいは電源開発促進税ということをお願いしている次第でございます。したがいまして、いま御指摘のございました、財政の動向によりましてそういったものが左右されるのではないかという御懸念に対しましては、目的税である以上は一定の量が安定的に確保されるのではないかという期待を持っておる次第でございます。
  171. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 サンシャイン計画によるところのエネルギー供給量は、昭和六十五年に約五%、それから昭和七十年に約七%、現在の〇・一%供給に比べると相当な数値になるわけです。こうした中で、石炭液化ですが、アメリカでは第二次大戦後ドイツの技術を吸収をして長い間研究を行った。そうして一九八〇年、つまりことしか来年ぐらいには実用化が可能だ、このように言われているわけです。わが国では十年から十五年後の実用化ということですが、これは果たして可能と考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  172. 石坂政府委員(石坂誠一)

    ○石坂政府委員 御指摘のとおり、アメリカにおきましては石炭液化に対して長年非常な努力を払っておりまして、現在二百五十トン・パー・デーというような大きなプラントを運転中でございますし、また六千トン・パー・デーというプラントを設計ができるくらいのところに来たという情報が入っておるわけでございます。  これに対しまして、わが国におきましては、サンシャイン計画を始めまして以来、約六年間にわたりましてわが国独自の三つの方式を育ててきたわけでございますが、御指摘のとおりまだまだ一トン・パー・デー級という非常に小さな規模で実施されておるわけでございます。  ただ、日本石炭液化につきましては過去において非常にりっぱな業績を上げておるわけでございまして、戦前から戦争中にかけまして阿吾地というところで一日に百トンのプラントを建設し、これを戦争中の非常に条件の悪い中でも曲がりなりにも運転したという実績を持っておるわけでございます。そういう日本の過去の仕事というものは当然われわれにとって非常に参考になりますし、特にそのころ使いました触媒、これは使い捨て触媒という考え方を当時からもう入れておりまして、硫化鉄というような非常に安い触媒を使ったという、そういう考え方は現在も世界の中で非常に重要視されておりますし、現在日本でもそういう方向を一つの重要な行き方として検討されている、そういう経緯もございます。したがいまして、若干基礎研究の時期が長かったということはあるかと思いますが、今日に至りまして適当な方法、つまりここにすぐれた人材を投入し、資金を手当てし、適当な仕組みをつくるということによりまして、私は十年後にはわれわれの期待している供給量が十分実現できるだろうという意気込みでやろうと思っておるわけでございます。
  173. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、国内炭の問題ですが、この暫定見通しによりますと、七十年まで二千万トンの維持を掲げているわけでございますが、新興炭田の開発、これも現在非常に問題があります。そうなりますと、当然現在の炭鉱だけで維持するにはこれは困難だ、このように考えられるわけです。したがって、国内炭生産確保のため、国内炭への補助金の投入とか、また相当思い切った措置をとらなければ、この法案の中で国内炭だけが取り残されていくのではないか、このように考えるわけですが、こうした国内炭に対する思い切った対策を今後どのように考えられておるか、お伺いいたします。
  174. 高瀬政府委員(高瀬郁彌)

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  海外炭を含めまして石炭の利用拡大を図っていこうということがいまわれわれの使命になっておるわけでございますが、その中で、国内炭についてはいろいろな問題が出てきております。したがいまして、国内炭の今後のあり方、それから対策のあり方についてできるだけ早い時期に石炭鉱業審議会に諮問する等の措置によりまして、六次に次ぐ七次対策検討をしたというふうに考えております。
  175. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、先日通産省のまとめた「昭和五十五年度電力施設計画の概要」、これによりますと、六十一年春までに三十基、出力合計千四百八十九万キロワットですかの石油火力発電所が予定されているわけですが、石油火力、輸入炭火力、国内炭火力のコストはいまどのぐらいですか。
  176. 安田(佳)政府委員(安田佳三)

    安田(佳)政府委員 発電コストにつきましては、個々の発電所の規模、新増設の別によりまして異なっておりますのでなかなか困難でございますが、比較のために昭和五十四年度に運転開始いたしますモデル的なプラントを想定いたしまして、その経済性を比較してみたわけでございます。  そうしますと、昨年の九月段階におきましては、石油火力、石炭火力ともにキロワットアワー当たり十一円強というような数字でございました。その後、石油火力につきましては石油価格が上昇いたしましたので、発電のコストがふえてまいりまして、ことしの一月時点におきましては十五円を超えるような状況に至っております。石炭火力につきましては、これは石炭価格もある程度上昇が予想されますし、また新たなる公害対策設備費の増大ということも見込まれますし、またインフラの整備費が増大するというような発電コストの上昇要因がございます。したがいまして、なかなか現在時点におけるコストの想定というものは困難でございますが、あえて大胆な想定をいたしますと、国内炭の石炭火力につきましてはおおむね十四円程度ではなかろうかというふうに想定されます。また、海外炭を用いました石炭火力では十一、二円ぐらいではなかろうかというふうに想定されます。これは先ほどもお断りいたしましたように、若干今後この中に入れなければならない数字もありますので、変動はあろうかとも思いますが、おおむねのところそういう見当ではなかろうかというふうに考えております。
  177. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 先ほども申し上げましたように、六十一年春までの石油火力発電所の三十基、そうなりますとどうしても石油消費量の増加というものが問題になるわけですね。欧米先進国においては、こうした日本の発電の石油依存度が高いということに批判を強めているようであります。したがってこうした計画は石炭火力発電を軽視しているじゃないか。また石炭火力発電の方がいまおっしゃったようにコストも低い。したがって、私は積極的にその石炭火力を図っていくべきだと思うのですが、これに対する将来の計画はどうですか。
  178. 安田(佳)政府委員(安田佳三)

    安田(佳)政府委員 石油火力につきましては、確かに相当のものを建設する予定がございます。しかし、石油代替電源は相当長期間かかってやっと建設できるということがございますので、当面の短中期の需要の増大に対応していくためには、相当程度石油火力によらざるを得ないという状況があるわけでございます。しかしながら石炭火力につきましても、これは先ほど来いろいろ御審議いただいております暫定見通しに従いまして、建設を積極的に進めてまいる予定でございます。  当面の予定されております石炭火力といたしましては、現在北海道電力株式会社の苫東厚真、これが三十五万キロワットであります。それから砂川の四号、これが十二万五千キロワットでございます。また常磐共同火力発電株式会社の勿来八号、九号、合計しまして百二十万キロワット、全部合計いたしますと、百六十七万五千キロワットを建設中でございます。これらの発電所につきましては、これを早急に建設するよう促進してまいりたいというふうに考えております。
  179. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、環境庁にお尋ねするわけですが、四月七日の参議院の決算委員会で、北海道の大雪山国立公園内の白水沢地熱発電開発環境庁が不許可にした、このように報道されているわけですが、この理由は何でしょう。
  180. 田村説明員(田村久仁夫)

    ○田村説明員 お答えいたします。  先生御指摘の四月七日の参議院決算委員会におきまして、社会党の丸谷先生の質疑内容について簡単に説明させていただきます。  丸谷先生の質問の趣旨でございますが、先生御指摘のとおり、不許可にしたとかいうことではございませんで、大雪山国立公園内の白水沢地区に地熱発電開発計画があるが、これに対する環境庁の対応方針はどうかということが趣旨でございました。  この質問に対しまして、環境庁長官と自然保護局長より答弁いたしたわけでございますが、それの概要だけを申し上げますと、まず、この計画につきましては、環境庁としてはそうした計画があるということは十分承知をしている。しかしながら現段階では、環境庁といたしましては先生御承知のとおり、四十七年に通産省と国立、国定公園内の地熱発電に関しまして覚書がございます。その覚書の中身でございますが、当分の間六地点に限ってやるということで、白水沢がその地点にまず入っていない。それからただいま御指摘のように、大雪山国立公園の特別地域内に含まれているということ等にかんがみまして、今後も慎重に検討していく必要があるということの回答があったということでございます。
  181. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 次に、現在調査開発計画中の十和田八幡平国立公園内の葛根田、これが、第二期工事の計画の方が、これまた環境庁がストップをかけた、このように聞いているわけですが、通産省の意見、それから環境庁の意見、これをお伺いしたいと思います。
  182. 安田(佳)政府委員(安田佳三)

    安田(佳)政府委員 葛根田地熱発電所第二期工事は、現在運転中の第一期発電所に隣接いたしまして五万キロワット、昭和六十年度運開を目標として開発を進めているわけでございますが、当該開発予定地域が御指摘のように国立公園内でございます。現在の段階は調査を終了した段階でございます。そして、生産井を掘削する工事につきましては、開発事業者の環境保全対策、それから当省の環境保全についての検討結果というものをもとといたしまして、環境庁と協議中でございます。当省といたしましては、環境庁との協議が整い次第、生産井の掘削工事の着手について事業者を指導してまいりたい、かように考えております。
  183. 田村説明員(田村久仁夫)

    ○田村説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、現在第二期工事のための調査ボーリングに関連いたしまして、いろいろの事前の環境アセスメント等の調査が進められるという段階であろうかと存じます。環境庁といたしましても今後当該地域の自然環境の現状、それから開発計画の内容等につきまして慎重に検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  184. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 昭和四十七年の三月に、地熱発電開発について通産省環境庁の間で了解事項がありますね。その中で、開発に当たって当分の間、国立、国定公園の景観を損なう地域は開発推進をしない、このようにあるわけですが、こうした点について環境庁は通産省とどのように話し合われているのか、この点どうですか。
  185. 田村説明員(田村久仁夫)

    ○田村説明員 お答えいたします。  御指摘昭和四十七年三月十四日の「国立公園及び国定公園内における地熱発電開発に関する了解事項」におきましては、先生御指摘のとおり公園内の地熱発電は既設の六地点に限るとともに、公園内の景観及び風致維持上支障があると認められる地域におきましては、開発、調査工事を推進しないということになっておるわけでございます。環境庁といたしましても、地熱開発必要性につきましては十分認識はいたしておりますが、国立、国定公園内の地熱発電につきましては、御承知のとおり発電所、冷却塔の大規模な工作物やパイプライン、取り付け道路等の新設を伴うために、自然景観との調和を図るということがきわめて困難であるという問題があろうかと存じます。このために、今後におきましても国立、国定公園内の自然環境保全上重要な地域におきましては、開発を避けることを基本とすべきものと考えておりまして、このような基本的立場に立ちながら地熱開発と自然保護との調整を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  186. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 最後に、いまそのような御答弁があったわけですが、現在調査、開発計画中の中で国立、国定公園内のものが五カ所あるわけですね。ということは、やはり通産省環境庁と話し合われたのか、これを最後にお聞きしたいと思います。
  187. 安田(佳)政府委員(安田佳三)

    安田(佳)政府委員 先生御指摘のように、地熱発電所の建設予定が国立公園、国定公園内に数カ所ございます。そのうち既設発電所の増設計画は二カ所でございまして、それから自然公園法に言います普通地域内が一カ所でございまして、その他が三カ所、これが特別地域等でございますが、そのうち五カ所につきましては今後調整することといたしております。一カ所につきましては環境庁と調整済みでございます。これらの各地域とも地熱開発の大変有望な地域でございますので、環境庁とも現在調整中のものはさらに一層調整を進めますし、まだ未調整のものは今後計画が整い次第十分な調整を行いまして、そして環境保全にも十分留意しながら早期開発に努めてまいりたいと存じます。  なお、環境庁からいろいろお話がありましたが、現在地熱開発というのは非常に急がれておりますし、情勢も大分変化してまいりました。従来の精神も踏まえながら環境庁と十分折衝を続けてまいりたいというように考えております。
  188. 吉井委員(吉井光照)

    ○吉井委員 以上で終わります。
  189. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 これにて吉井光照君の質疑は終了いたします。  引き続き多田光雄君の質疑に入ります。
  190. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 石油代替エネルギー法案審議に当たりまして、私はあすも時間をいただきましたので、あす法案の中身についてしさいに伺いたいと思いまして、きょうはイラン問題を中心にして、先ほど長官も述べておりましたけれども、さらにはっきりさせていただきたいところがありますので、これは主として大臣に伺いたいと思っています。  なぜなら、大臣に対しても私一、二度エネルギー問題で伺ったことがありますが、そのときも日本エネルギーの過去、現在を反省して、一番大きな問題は過度の海外依存が行われているということ、したがって、これは外交政策も含めてエネルギー政策の自主性をもっと回復するようにしなくちゃいかぬ、そういう立場から国内炭のもっと積極的な活用も主張してまいったわけです。そういう意味では今度のイラン問題は非常に示唆に富んだ内容を含んでいるし、またこの措置に誤りがあるならば、これまた日本エネルギーだけでなくて、日本の安全やあるいはまた中近東、極東まで及ぶ世界的にも大きな影響を与えていくという意味でも、これは軽視できない問題だと思っています。エネルギーの緊急の問題としてこれを伺うわけです。  そこで第一に通産大臣にお伺いしたいのですが、アメリカのカーター政権が対イラン制裁の声明を出されたのが四月八日ですね。これは御承知のとおり四項目の制裁措置であって、イランとの国交断絶、イラン向けの輸出の全面禁止、アメリカの人質、家族に対するイランへの賠償請求の準備の問題、それから米国に対するイランの国民の入国ビザの発給を停止するというような、かなり手厳しい制裁措置を発表したわけです。そして、あわせて日本を含めたヨーロッパの幾つかの工業国に対しても同調を求めてきたわけですが、特に日本に対して、新聞の報道によりますと三つの要求をしているようであります。この点については、昨日イラン措置関係の閣僚の会議で、通産大臣も出ておられたようですが、対応策を検討されたということが新聞にかなり詳細に出ておりますので、その三つのアメリカの日本に対する要求と、それに対して大臣が閣僚会議でどういう対策を立てられたのか、いま一度御説明を願いたいと思います。
  191. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 米国側からわが国に申し入れと申しますか希望を言ってまいりましたのは、いまお話しの米国がイランに対してとった措置、経過等が一つでございまして、二番目はいままで米国側といろいろ話し合いを進めながらとってきた諸措置に対して米国側では感謝をした。三番目にはこの一月に米国が国連に経済制裁の案を出したわけでございますけれども、御承知のようにソ連側のビトーに遭いましてこれは決議にならなかった。そこで、その決議をそのまま今度は実施したい。ついては日本側も同調してくれまいかという希望でございました。これが一つ経済的な点でございまして、さらに従来なかった点といたしまして、政治的な面として大使の召還、情勢によりましては期間を置いて国交断絶のこともあるべしという希望を述べまして、わが国も支持してきたわけでございます。  そこで、わが方といたしましては、従来からとってきました諸措置があるわけでございますから、その諸措置に対してどういうプラスの面をさらに考えなければいかぬかという、当然これは検討しなければいかぬわけでございまして、そのまず尤たるものは政治面でございますから、何と申しましてもこの問題は人質問題という国際法上違反した問題でもあり、またそのこと自体が国際的な社会の基本的な秩序を脅かすものでもございますので、一日も早い解決を望みたい。またそのためにあらゆる努力を払いたいと思っておったどころ、リスボンでヨーロッパの外相が九カ国集まりまして、そしてわが方と同じようにまず政治的な、外交的なと申しますか、人質の問題の解放に全力を尽くしてみようじゃないかということだろうと思いますが、要するにイランに駐在する九カ国の大使に訓令を出しまして、いつどういう条件で人質を解放してくれるのか、そういうことを申し入れさせよう、ついては日本も同調してもらいたいというEC側の希望でイタリーの大使がわが方に参りまして、わが方も先ほどもお話ございましたような関係閣僚会議のときにその話が出まして、それには応じましょうということでわが方の和田大使にもその趣旨を伝えまして、十カ国で申し入れをしたわけでございます。その申し入れの結果どういうイラン側の対応だったか、詳細を持ってそれぞれの大使が帰国したわけでございますから、わが方の大使もECの大使同様日本に帰国して、そしてイラン側の態度を詳細に承知したいということで、きょう夜帰ってまいります。ヨーロッパ側も同じでございまして、帰ってまいりました各国の大使の話をよく承知した上で、二十一日にECの外相会議を再度開きます。次いでたしか二十六、七と思いましたが、ちょっと日にちはつまびらかにしません。たしか二十六、七と聞き及んでおりますけれども、ECの首脳者会議を開くことになっております。わが方といたしましては大使の帰朝を待ちまして、明朝大使から詳細に話をちょうだいいたしまして、それに応じて今後の対処方法等を、ヨーロッパ等の動向も勘案しつつ、あるいはヨーロッパと連絡を密にしつつ対処方法を考えたい、いまこういう事態になっております。
  192. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 私が伺ったのは、アメリカの断交を一含めた制裁措置のほかに、日本に対して独自とい一いますか、要求があったというふうに聞いているのです。これは新聞によりますと、米政府がわが国に要請してきた経済制裁措置として、一つは先ほど言った食糧、医薬品を除く全商品の輸出停止、それから二番目は新規融資と信用供与の取りやめ、それから三つ目が石油輸入を人質事件発生前の数字に戻す。こういう三点で特にアメリカから要望があったというふうに各紙に出ているわけですね。これは間違いありませんか。
  193. 藤原政府委員(藤原一郎)

    ○藤原政府委員 いま先生からお話しありました新聞の記事でございますが、必ずしも正確ではないようでございまして、アメリカから特に日本に特別の変わった要請が来ているという事実はないと思います。
  194. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 それではきのうの閣僚会議ではどういう内容を御検討になり、どういう点が決められたのでしょうか。
  195. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 きのうの会議では、和田大使の帰朝を待って、先ほどお話し申し上げましたようにまずイラン側の態度といいますか対処方法等詳細に承知したい、同時にヨーロッパの外相会議あるいは首脳会議が開かれますので、その動向等も踏まえたい、わが方が対応するのにはそういう点も考慮しつつ検討を進めていきたい、こういう話し合いでございました。閣僚会議というのは、おとといでございます。
  196. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 私の手元にあるのは日本経済の昨日の夕刊ですけれども、記事によりますと、この三つのうち、閣僚会議では新規の信用供与の停止とそれから石油輸入量の抑制、これは、人質事件以前の水準に維持するということについてはアメリカ側の要請どおりに実行している。「政府としての検討対象をイランヘの輸出の取り扱いに絞ることにした」、そしてまた「外務省筋は「政府としてこれから検討できるものは輸出抑制しかない」」、こういうふうに述べているということが日経に出ていたのですが、じゃ、こういうことはなかったのですね。
  197. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 申し入れ事項が従来どういうふうに、御承知のように長い間続いている問題でございますから、どの程度新規なものがあるかといったような話し合いはもちろんございましたが、いまおっしゃるような、これこれにしぼってどうとか、それに対して日本の大使をどうするとかといったようなことは話はなかったわけでございまして、そのもの自体がいま申しましたように和田大使あるいはヨーロッパの情勢等を踏まえた上で対処していこうということでございました。
  198. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 それでは大臣、少なくとも私の手元にあるこの日本経済新聞は間違いだ、あるいは単なる推測記事にすぎないというふうに理解してよろしいですね。
  199. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 一斉に各新聞に公式な発表として出たものでありますればこれは当然でございますけれども、一つの新聞だけが記事を出して、これでどうじゃと、こう責めるのは、それはちょっとおかしいのじゃないかと思います。
  200. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 それでは続いて大臣にお伺いしますが、大来外相が四月十一日外人記者との会談でこういうことを述べています。より大きな理由のためには石油供給停止もやむを得ない、こういう発言をしたことを受けて、たしか札幌でしたか、大平総理がこれに対してきわめて当然のことを言われたと受けとめているというふうなこと、これも新聞に出ていたわけですが、通産大臣のお考えはこれと同じ考えでございましょうか。
  201. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 通産大臣の考えがどうじゃという問題以上に、これは国策として関係閣僚なりあるいは閣議なりで態度は決まっている次第のものでございますので、私自体が現在どう考えているかといったようなことは、申し上げることは差し控えたいと存じますが、いまお話しございました大来外務大臣の発言の真意は那辺にありやというようなことは、まだ私はよく承知しておりません。また、そういう話も決めたわけでも何でもないのでございまして、あるいは外相としての、その新聞が真実であれば、外相限りの考えじゃなかろうかと思いますけれども、その真偽のほどは実は私、聞いておりません。
  202. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 真偽のほどは、きのうわが党の議員が決算委員会でこのことを聞きましたら、大来外相はそれを否定をなさらないで、それに対する自分の御見解をさらに述べておりましたから、これは間違いではないというふうに私は思うのです。それよりも驚いたことは、エネルギー問題に最大の責任を持つ通産大臣が、こういうことが新聞に大きく出ていたのにそれを知らなかったというのは、これは怠慢というか何というか、とにかくこれは驚きなんですよ。そういうふうな御答弁を私は期待してはいなかったのです。全く知らなかった。いや、答弁を期待したというのは、別にいい答弁を期待したというのではなくて、知らなかったというのは、これは大臣が悪いのか秘書が悪いのか、そういう重要な記事を逐一大臣に知らせているもの、私はこれは常識だというふうに思っていましたので伺ったわけです。それで、この記事の内容は、新聞はコラムにも書いておりましたし、結局日本石油よりは日米関係が優先か、こういうような記事まで出ていたのですが、大臣、どうでしょう。この記事をお思い出しになりませんか。
  203. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 あるいは私秋田弁なので、余り正確に聞き取れなかったのかもしれませんけれども、私のさっき申し上げましたのは、大来外務大臣の真意のほどは聞いておりませんと言ったわけでございまして、その記事は読んでございます。知ってございます。知ってございますけれども、その真意はいかんといってまだ尋ねてはおりませんということを申し上げたわけでございます。
  204. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 非常に細かいことを聞くようですけれども、それじゃおとといの閣僚会議では、その真意について大臣はお伺いにならなかったのですか。
  205. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 くどいようでございますけれども、その席上で対応を決めた会議でも何でもないのでございますから、そういう話は出ませんでした。
  206. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 これは大臣でも長官でもいいのですけれども、同じく日本経済新聞ですが、これを見ますと、やはり相当のことを書いているのです。この問題で、「対イラン経済制裁について「EC諸国との協調を基本にあらゆる事態を想定して準備を進めている」」、これは午後の記者会見で矢野通産次官が述べたということなんです。そしてそのあらゆる事態ということは、「石油輸入が全面ストップした時の対応策などの本格的検討に入っていることを明らかにしたもの」だという指摘もあるんですが、そういう最悪の場合、つまり最悪の場合というのは日本に対する石油供給が全面ストップをした場合、この全面ストップというのは二つの意味があると思うのです。アメリカの報復措置によってイランが日本に報復措置をするということが一つあるでしょうし、それから私どもいろいろ聞くところによりますと、相当もうペルシャ湾その他についてはアメリカの機雷敷設その他が行われている。最悪の場合はすぐにでもそういう措置がとれるというふうには聞いているのですが、そういうことによって油送船が通航できなくなるという場合もあると思います。いずれにしてもそういう最悪の場合を想定してどうするかといべ検討をなさっていると私は思うし、またするのが当然政府の責任だと思いますが、やっておられるのでしょうか。
  207. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 そういう事態になることは望ましくないと思うことは皆さん同様だと思いますが、さらばといって、そういう事態が全然起こり得ないかといいますとわかりません。そういう情勢判断はこれからだんだんしていくわけでございますけれども、責任がある役所といたしまして、対応はあらゆる場合を考慮してそれに対処する研究をするのは当然の責務だと思いますので、研究はしてございます。
  208. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 多くの業者の人たちから、そういう事態にはどうするのだろうかという意見や不安の声を聞いたのも私は二、三じゃありませんけれども、やはり国民に納得させる意味でも、最悪の場合にはこういう措置をとるという骨格というか、そういう基本的な問題を政府が早く示しておくということは私は大事だと思います。なぜならば、そういうことが一たん事実となりますと、あの昨年の石油の、私ども売り惜しみ買い占めの異常な騰貴と見ているのですが、なぜならば油はあったのですからね。どこでストップしたのかわからないという状況なので、それを上回るものが予想されるわけです。そういう意味でどういう措置を考えておられるのか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  209. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 研究をしておる段階でございまして、政府の態度として決めたわけでも何でもございませんし、これをいま発表していたずらに不安をかき立てるというのはかえって国益を害するゆえんじゃなかろうかと存じますので、そういう点は実際に問題が起きたときにはそれに即応して対応していくというのが行政府の態度だと思いますので、差し控えたいと存じます。
  210. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 私は率直に言えば政府はいまジレンマに陥っていると思うのです。アメリカに同調すればイラン側からの石油カット、石油の供給停止が行われる。それから日本や西欧がアメリカに同調しないとアメリカが逆に、これは新聞報道でも出ているのですが、ペルシャ湾海上封鎖などで今度はアメリカ側が石油供給停止の強硬手段をとるかもしれないということ、これは再三新聞やこの委員会でも、参議院でも質問をしたところなんですね。いわば孝ならんとすれば忠ならずという言葉があるのですが、そういうジレンマにいま陥っているのではないかと思うのです。しかしながら、基本は、大平総理がアメリカのああいう強硬な制裁措置は理解できるという同情の態度をとり、また大来外相の石油より日米関係が大事だ、こういう乱暴とも言える発言が、仮にその真意がどうあろうとも言葉として出たということは事実でありますから、そういう措置から見て、やはり従来の関係から見て、アメリカの制裁措置をいわば理解するというか支持するというか、そういう立場にある。しかし日本人はそれを独自で言うだけの勇気もない。そこで何とかヨーロッパ諸国と話し合って一緒に声を上げて、比較的物をずけずけ言う西ドイツその他と一緒に何とかアメリカのやり方を抑えて少し穏便にやってもらいたい、これが私はいま政府のとっているジレンマのあらわれであり、政府がよく自主的と言う態度じゃないかなというように私なりに実は理解しているのです。  そこで大臣にお伺いしますが、アメリカのこういうイランに対する強硬な措置というものについては理解できるという総理大臣の発言もありますが、通産大臣としてもそれはあたりまえのことだというふうにお思いになっていますか。
  211. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 いま二者択一のような議論でございましたけれども、そういうふうにならぬようにするのが外交だと思います。したがいまして、今後の対処方法をどうするかということを、和田大使が帰ってまいりますのでその情報等、状況等をよく踏んまえ、わきまえ、あるいは米国側で望んでいるのは何も日本ばかりではございませんので、ヨーロッパに対しても同じような申し入れ、期待をしているわけでございますから、そういう点もいろいろ国々の事情もあることとは存じますけれども、連絡をとりながら対処していきたいという段階でございます。本人に私自体が見解を述べるような段階ではまだございません。
  212. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 当事者としての、日本の重要な通産大臣として、もう少し実のある御答弁をしていただくのが当委員会に対する大臣の責務ではないかというように私は思います。これはお話しにならない以上、これ以上聞くのも無理だというふうに思います。  そこで伺いますが、最近日本石油供給構造に変化が起きていると思いますが、いままでのメジャー依存が減ってきていますね。この点で長官に聞きたいのですが、メジャー依存で入ってくる原油とそれから直接取引、DD、GG、この取引のシェアというものはどういう変化が最近は起きてきていますか。
  213. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 お答えいたします。  昭和四十七年度、ころにおきましてはメジャー経由が約七七%ぐらいでございます。当時いわゆるDDあるいはGGといたしまして入ってまいりましたのが、シェアといたしまして大体五%強という感じでございます。それから最近になりまして、昨年の上期で申しますとメジャー経由が約五六%、それに対しましてDD、GGで入ってまいりましたのが三二%ぐらいということでございます。そういった傾向はさらに続いておりまして、ごく最近のことしの二月で申しますと、メジャー経由が四五%弱、DD、GGがやはり四五%弱ということで、最近におきましてはメジャー経由とDD、GGのウエートがほぼ拮抗した段階に入っておるということでございます。  今後の見通しといたしましては、このメジャー経由のシェアというのはさらに下がっていく、逆にDD、GGのウエートが上がっていくというふうに考えております。
  214. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 大臣、この供給の構造的な変化というのは非常に大事だというふうに私は思うのです。メジャー依存がかつては七〇%以上あったものが、この二月には四五%に減った。そして同時に直接取引、これが同じときでやはり四五%弱になった。ということは、メジャーに依存しないでもイランを含めた、イランが一番多いのですが、直接取引がそれだけ広まったということで、これは結構なことだと思うのです。なぜこういう事態になったのでしょうか。その原因の最たるものを一、二挙げてくれませんか。
  215. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 一番大きな原因は、何といいましても産油国がメジャーを通さずに直接販売をするという政策をとったことではないかと思います。それからもう一つの原因といたしましては、メジャーが従来とってまいりました新しい油田の開発というものに対しまして若干異なった見解を持ち始めた。これは産油国がそういうふうに仕向けたということと因果関係があると思いますけれども、こういうことがメジャーが大きく地位を変更させた理由になっているのではないかというふうに理解をいたしております。
  216. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 メジャー経由が減って直接取引がふえたということで、産油国がメジャーを通じなくなった。つまりいまから十五年、二十年前には想像のできなかった、アラブの諸国が民族的な自覚を強める、それから資源主権を主張して、とうとう一ドル原油から今日まで原油が上がった、上がったことをいいと私は言っているのじゃない。価格においても販売においても中近東の諸国がみずからの手にそれをおさめるようになった、これをいまから十五年、二十年前に想像した人は余りいなかったのではないかというふうに思うのです。ですから減るのはあたりまえですね。  それから昨年からの第二次ショックで、メジャーが系列以外には売らない。ですから当然減るわけですよ。減れば、当然日本の国内の事情を見ているために、直接取引で減った分をふやしていかなければならない、これはあたりまえのことだと思う。メジャーを通さなければ油が入らない、政府もよく言っていたのです。そうじゃなくて、もう背に腹はかえられなくなれば実際直接取引で油をふやしていくわけですね。これからはその方向は若干のジグザグはあってもとめることはできないと思います。ましてもしアメリカが不当に軍事介入をやったらOPECの結束を一層強めるだろう。これは昨年のウィーンにおけるOPECの戦略会議、ここでも彼らの結束というのは、人は分裂だと言いますけれども、そうじゃありませんで、個々ばらばらになったようで、あれでかたく結束しているわけです。アメリカのカーターの選挙応援でやるわけじゃありません。カーターの強制的な制裁措置に乗ってイランを押さえ込んでいくのではなく、賢明な人であるならばここではっきりした態度をとらなければならない。それが自主性の回復だと思うのです。いまアメリカとどうせいということを言ってもおやりにならないが、私がぜひやってもらいたいと思うこと、それはアメリカのメンツも立てるし、同時にイランの要望にもこたえていく、そして日本が本当に国際的な安全や平和の旗振りになっていくという態度をとるのがこの際非常に大事な問題だ。今後直接取引がふえていかざるを得ない。なぜなら、少なくともこれから十年間ぐらいは油に半分は依存をしなければならないですから、そういう安全性を確保する意味でも日本の国民の利益、国益を守る。カーターの選挙演説に応援する必要はないのです。そういう意味で私がお願いしたいことは、一つはアメリカのこういうひどい制裁措置に対して日本政府としてそれはやめるべきだ。同時にアメリカとイランはもっと平和的に話し合ったらいいじゃないか。とことん話し合え。話し合いというのは簡単じゃありませんよ。そういう措置をやるべきだし、またヨーロッパ諸国に対しても、日本が本当に道義的にも国際政治の上でもイニシアをとろうと思うならばそういう措置を積極的に打ち出していく、これが日本エネルギーの自主性を守っていく道であり、今後中近東の油をもっといまよりも友好的に手に入れていく道ではないかというふうに私は思うのです。もちろんこれは外交問題であり、通産大臣が一手に処理できるものじゃありませんけれども、閣僚会議に参加している通産大臣の発言は私は小さくないと思います。そういう意味でぜひそういう措置をとっていただくということは、エネルギー問題を解決するためにも、中近東の本当の安全のためにも果たすべき措置だと思いますが、大臣の御見解をひとつ伺って終わりにしたいと思います。
  217. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 外交問題に対する考え方はそれぞれあるわけでございますから、お説は拝聴いたしました。ただ、その中でDD、GGあるいは自主開発等のいわば直接みずから油を輸入するといいますか、手に確保するといいますか、そういう傾向は否めないということでもございますし、この一年間あるいは二年間、そういう流通機構変革に伴いまして努力してきたところでございまして、エネルギー外交と申しますか、大臣その他要路の人々もみずから出かけまして相手国と話をする、あるいは経済協力を進めるというふうな新しい時代に入っていることはお説のとおりでございますし、そのまた線に従って努力をしていく所存でございます。
  218. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 いまの私の提案に対してイエスかノーかおっしゃっていただけませんか。
  219. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 DD、GGといったような流通機構変革に伴ってそういうものを強化されるのが今後の行き方と思うので、それに対して十分な配慮をすべきだという意見に対しては、それは賛成でございます。その他の外交的な問題に関しましては、これはまだ態度は決まっておりませんので、今後研究し対応策を進めるということになっておりますから、繰り返すまでもございません。
  220. 多田委員(多田光雄)

    ○多田委員 終わります。
  221. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 これにて多田光雄君の質疑は終了いたします。  引き続いて、横手文雄君の質疑に入ります。
  222. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 私は、まず新機構の基本的なことについて確認をして、さらに具体的な問題についてお伺い申し上げたいと思います。  まず最初は、この新機構は、わが国の石油代替エネルギー開発の中心的な役割りを向こう十年間、原子力を除く他のエネルギー開発の大部分を引き受ける機構である、こういうぐあいに理解をしますが、それでよろしゅうございますか。
  223. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 基本的な考え方として申し上げますと、代替エネルギー開発は基礎部門の開発からそれを実用化するまでの段階があろうかと思います。そのプロセスの中で新しい機構に私どもが期待をいたしております考え方は、試験研究機関、大学あるいは民間の一部等で基礎研究をされまして、それを特に企業化をする必要があるというものにつきまして、集約的にこの機構で発展をさしていくという機能を期待しておるわけでございます。具体的にどういうことを考えているかということになりますと、たとえば石炭液化でございますとか深部地熱開発、太陽光発電等の大型技術開発、それから資源開発というものを担当していただきたい、こういうふうな考え方を持っている次第でございます。
  224. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 そういうきわめて重要な任務を持つ機構であると思いますが、機構の人員構成を見ますと役職員三百三十七名、そのうち石炭鉱業合理事業本部が百九十一名、これは今日までの石炭鉱業合理化事業団の業務をそのまま引き継ぐ、こういうことで、実際に新エネルギー開発に取り組む人員は八十七名、こういうことでございますけれども、日本の国家的な大目的を達成するこういう事業のためにこの人員で一体何ができるのだろうか、そしてこの八十七名の人たちは一体どこからお集めになるのか、こういった点についてお伺いを申し上げます。
  225. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 いま御指摘のとおり、新機構の新エネルギー開発部門といたしましては八十七名で当初発足をすることといたしております。この組織の概要につきましては、企業・業務部ということで一般的な企画調査業務、それから海外炭の開発業務、それから地熱調査部というもので地熱資源の開発調査業務を行うことにいたしておりますほか、新技術の開発のために技術開発本部を設けて、石炭、太陽、地熱等の技術グループに分かれましてこれを進めたいというふうに考えておるわけです。  この新技術開発を円滑に進めるためには、やはりどうしても優秀な人材を集める必要があろうかと思いますが、この人たち政府機関ですとかあるいは民間企業ですとかあるいは学界ですとか、幅広い分野からこれらに適した人たちの人選を進めまして、強力かつ効率的な業務運営を行っていきたい、こういうふうに考えております。
  226. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 そういうことで、政府の方としてはこの目的達成のためにいまおっしゃったように優秀なスタッフ、技術者、そういった人たち民間に求める、こういうことのようでございますが、私は、その考え方に対して大変問題があるというぐあいに考えておるわけであります。民間企業で、その会社にとって一流の技術者、そういった人たちをなかなか出してくれるものではない。そういうことで、この八十七名の人たちを集める、そしてその人たちに文字どおりこの新機構に沿ったような働きをしていただく、このことに大変問題があるのではないかということを御指摘を申し上げておきたいと思うわけであります。  さらに、この開発は六十五年を目指していろいろの計画があるわけでございますが、この計画の推進が大変危ういのではないかという危惧を持っておるわけであります。  たとえば、昭和六十年に原子力発電所が三千万キロワットの予定が組まれております。一方で原子力発電の建設状況を見ますと、現在のものが一〇〇%完成をしても約二千八百万キロワット、これに対してエネ庁の長官は、今後さらにそういったものを見直していく、そして多少幅を持ちながら計画を進めていきたい、こういうことも述べられておりますけれども、多少ではなくして、これは計画そのものがかなり上にあって、そして実際にはかなりおくれてしまう、こういう危惧を持っておるわけですけれども、実際にそういった事態が起こったときに、この計画そのものが根底から崩れてしまうようなことになると思いますが、その点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  227. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 従来もエネルギーの長期見通し的なものは幾たびかつくってまいったわけでございまして、いま例に出されました原子力等は、計画見通しをつくるたびに後退をしていったという御批判もいただいたわけでございます。  従来は、若干の反省を込めて申し上げますと、幾つかの見通しをつくりまして代替エネルギー開発に取り組んでまいったわけでございますけれども、必ずしも客観情勢が許さないという問題もございまして、計画見通しどおりにいかないという分野がございました。それは、最悪の場合は輸入石油に逃げ込めるという一つ考え方があったのではないかと思うわけでございます。エネルギー総合的な調整を図っていく上で、代替エネルギー開発促進できないと、そのギャップは輸入石油で埋めていくというのが、若干反省的な意味を込めての過去の実績ではないかと思うわけでございますけれども、このところ急速に輸入石油に対します考え方が変わってまいりまして、先生よく御承知のとおり、ある一定のリミットまでしか買えないという国際的な合意がございまして、日本のようにエネルギーのほとんど大部分を海外に依存しておる国といたしましては、そういった国際的な合意に反するということになりますとこれは大変な問題になりますので、どうしても国際的な合意のもとでエネルギー政策を組んでいかなければならない、こういう宿命になるわけでございます。したがいまして、従来のように最悪の場合は輸入石油へ逃げ込むというパターンをとれなくなったというのが今回の計画の一番大きなポイントではないかと思うわけでございます。  したがいまして、私どもが本法案の中で織り込んでおります供給目標というものも、そういう考え方に立ちますと、輸入石油というものをある一定の限界を置いて、計画の前段の一つの予見として考えた場合に、もし代替エネルギー開発ができない場合には生活あるいは産業水準を引き下げていくか、あるいは強力なる省エネルギー促進していくということしか逃げ道はないわけでございますから、そういう観点に立ちますと、もう死にもの狂いで代替エネルギー開発をせざるを得ない、こういう宿命に追い込まれていくのが偽らざる実情ではないかということでございまして、従来のいきさつ等につきましての十分なる反省を込めまして、今後のエネルギー対策につきましては万全の対策を講じていくという基本姿勢をとりたいというふうに考えている次第でございます。
  228. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 当然のこととして、不退転の決意を持ってこの遂行に当たる、こういうことで大変敬意を表するわけでございますけれども、おっしゃったように今日までの経過を見ますと、私どもは大変危ぶむものでございまして、後にちょっと触れますけれども、立地条件なんかの問題につきまして、幾ら頭の中ででき上がってみても地元で反対があってなかなか進まない、そして金を山ほど積まなければならない、そうしてまた次のところへそれが弊害となってあらわれる、こういう難問題がたくさんございますということを指摘を申し上げておきたいわけであります。  次に、財源問題についでお尋ねをいたしますが、この代替エネルギー開発導入促進のために、昭和六十五年度までに約三兆円の財源を必要といたします。そのうち、海外炭の開発促進だとかあるいは原子力民間住宅のソーラーシステム、産業設備の石炭LNG使用設備等、こういったところで約半分使われて、この新機構が実際に使う金は一兆五千億、こういうことになっておると思うわけであります。したがいましてこの一兆五千億は、先ほど御説明をいただきました、実際に研究開発をするその具体的なもの、石炭、太陽、地熱、それらの技術グループ、こういうところへこの一兆五千億は使われる、こういうぐあいに理解してよろしいわけですか。
  229. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 三兆円の財源を確保したいということを考えておりまして、支出の方もそれに見合った支出を計画的に考えておるわけでございますが、いま御指摘のとおり、そのうちの半分の約一兆五千億を新エネルギー機構で使わせていただきたい、こういうふうに考えております。
  230. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 そうしますと、これからいろいろ研究開発が進められてくる、たまたまこの一兆五千億というのは、今度新しく設けられようとしておる電源税の向こう十カ年間と、これは結果的でしょうけれどもちょうど一致するような形になるわけでございます。さらに、これが研究が進んでいけば、今日までいろいろ議論がなされてまいりましたようなローカルエネルギーだとかあるいは水素あるいは波力、風力、潮力、こういったエネルギー開発、こういうことが進んでくると思うわけであります。そうなりますとこの一兆五千億という規模では財源が不足をしてくるのではないかという気がするわけでございますし、そういったときによもや電源税の増額にそれをというようなことは、頭の中にその片りんもございませんねということを確認をしておきたいわけであります。
  231. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げました三兆円の予算規模につきましては、石油税によって賄わしていただきたいと思っておりますのが一兆五千億、それからいま御指摘の電源開発促進税で賄わしていただきたいと思っておりますのが一兆五千億ということで、ちょうど半分半分ということでございます。これはいろいろ積み上げていきましてそういうことになったわけでございます。電源開発促進税につきましては、今回キロワットアワー当たり八銭五厘から三十銭への増徴をお願いしているわけでございますけれども、それをベースにいたしまして、今後十一年間の、つまり昭和六十五年までの事業計画その他を勘案いたしますと、財源的にはかつかつ賄えるのではないかという感じを持っておりますので、いまのところ、いまおっしゃったようなそういう増徴を頭の中に入れているということは考えていないということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
  232. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 私はそういうことで、今日スタートする時点で考えておられる技術開発、こういったものは、先ほど申し上げましたようにいろんなところに波及をしていかせなければならないと思うわけですね。自然のエネルギーを人間生活のために利用していく、こういうものはもっともっと開発されなければならないし、そうなりますと、当初考えられていたころよりももっともっと幅広いものになっていかざるを得ないだろう。こういうぐあいで、むしろそういった時点のときに、この当初の見込みの一兆五千億では足らなくなるのではないかという気がしてならないわけであります。  そこで、いろいろの石油関連諸税がございますが、これの五十五年度の総額が三兆三千二百七十八億、そのうち、いまおっしゃいましたエネルギー対策としてすべてのものを含めて六千八百八十八億、二〇%ということでございます。たとえばちなみに申し上げますと、道路財源として七〇%、二兆三千億、こういったものが見込まれておるわけでございますけれども、石油にかわる新しいエネルギー開発ということでございますので、こういったところから新機構の方にその財源を振り分けていくべきだ、こういうような考え方はございませんか。
  233. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、五十五年度の税収見込みで見ますと、エネルギー関係の分が三兆三千億であるわけでございまして、これは、エネルギー関係の諸税と申しましても、ほとんど大部分が石油あるいは石油系のものに対する課税というわけでございまして、確かに三兆三千億のうち、いわゆるエネルギー開発関係予算が二〇%程度あるいはそのうちで特に代替エネルギー対策のためとなりますともっと小さな数字になりますから、税制の仕組みの中で、私どものサイドから見ますとある種の矛盾を感ずるということは事実でございます。しかしながら、エネルギー財源ベースにいたしました経済社会的な仕組みというものは、長年の蓄積によりまして積み上げられたということもございますので、私どもは、経済社会の仕組み全体を総合的に判断して今後の税制のあり方というものは検討されてしかるべきではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  問題は、いま御指摘の、電源開発促進税というものをやめて、現行のエネルギー諸税の中から回したらどうだという御指摘に対しましては、私どもが今回お願いしておりますのは、新しいエネルギーというものが電源の安定的な確保、いわゆる電力の安定供給というための代替エネルギー開発と、それから石油安定供給のための石油代替エネルギー開発、この二つの要素を持っておるものでございますから、それぞれにつきまして、前者につきましては電力を消費される需要家の方にそのコストを負担していただくのが適切ではなかろうか、後者につきましては石油をお使いになっている方に負担をしていただくのが至当ではなかろうかという考えに立っておりますので、何とか電源開発促進税をお願いしたいという基本的な考え方を持っておるわけでございます。やはり目的税という観点に立ちますと、石油をお使いになっている方だけが代替エネルギーのコストの負担をするということになりますと、やや目的税的な考え方からはおかしなことにならざるを得ない。やはり電気を消費される需要家の方にもある種のコストの負担をしていただくのが適切ではなかろうか、こういう哲学と申しましょうか、基本的な考え方を持っておるわけでございますので、よろしく御配慮を賜りたいと思う次第でございます。
  234. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 私はそういった右か左かというようなことを申し上げるのではなくして、これだけの膨大なものを見込んでおられるわけですね。ですから、道路財源が多過ぎるとか少な過ぎるとか、道路財源をおろそかにしなさいとか、そういうことを言っているわけではないのです。比率としてのあり方について、エネルギー庁の長官として、日本国民生活を守る総責任者として、ここら辺に対してもっと勇気ある発言をしていかれるべきじゃないですか。そうしてもっともっとこの新エネルギーというものを、先ほど不退転の決意を持ってと言われたわけでございますので、こちらの方にもそういった姿勢があるべきではないでしょうかということを御指摘申し上げたわけでございまして、今後ぜひ考慮していただきたいと思う次第であります。  次に、この機構が仮に新発足をしたといたしましても、直ちにあしたから代替エネルギーの花が咲くということではございません。しかも、十一年後を目指して石油を半分にしたいということでございますし、その過程というものは、先ほど御指摘を申し上げました。ように、その計画を見ても、あるいは多くの方が指摘をされましたように、石油にかわる新しいエネルギー開発というものはなかなかこのとおりまいりませんぞということが指摘をされて、大変でございますということはお認めになっておるわけでございます。  そういうことでございますので、この計画がスムーズに行くためにも、当面やはり石油安定供給というのは不可欠のことであろうというぐあいに思います。しかし、残念ながらそれのほとんどすべてを外国からの輸入に仰がなければならない。そういったときに、これの安定保障というのでしょうか、そのためには一つエネルギーを節約することであり、一つ代替エネルギー開発することであるし、いま一つ備蓄問題というものがおろそかにできない問題だと思うわけであります。いま九十五日分ですか、民間と国家との備蓄があるというぐあいに聞いておりますし、先進諸国を見ますと百三十五日から百四十日、日数にしてわが国の約五割増に近い備蓄を持っておられるわけでございますが、この備蓄問題に対する見解をお聞かせをいただきたいと思います。
  235. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、私どもといたしましても石油安定供給確保というのがきわめて大事である、その点におきまして、石油備蓄というものを強化していく必要があるというふうに考えております。  ただいまもおっしゃいましたように、現在の日本備蓄量というのは、民間備蓄で約八十八日、それから国家備蓄で七日分ということで、合わせまして九十五日ということになっております。一方、IEAの加盟国の平均備蓄水準で申しますと、ことしの初めにおきまして、大体百三十五日というふうに聞いております。私どもといたしまして、こういった日本の置かれた状況から申しまして、少なくとも西欧諸国並みには持っていきたいというふうに考えているわけでございます。そういうような考え方から、昭和五十年度から民間の九十日備蓄という目標を掲げまして努力をしてまいっておるわけでございます。  他方、五十三年度からは、九十日備蓄を超える分につきましてはやはり国で、国家備蓄という形でやる必要があるのではないかということで、五十三年度から国家備蓄の計画を進めてまいっているところでございます。私どもといたしまして、民間備蓄ただいま八十八日ということでございますけれども、これを五十五年度中には九十日まで持っていって、五十六年度以降は九十日備蓄水準を維持するという形に何とか持っていきたいというふうに考えております。  それから、国家備蓄の点につきましては、現在計画的に一千万キロリットル、二千万キロリットル、一二千万キロリットルというように逐次かさ上げをしていくということで考えておるわけでございますが、三千万キロリットルということになりますと大体四十三日分ぐらいということで、民間の九十日と合わせますと大体西欧並み、こんなことで私ども考えておるわけでございますけれども、国家備蓄については現在の国家備蓄七日分と申しますのはタンカー備蓄という形でございます。このタンカー備蓄と申しますのは、やはり恒久的な、恒常的な国の国家備蓄基地ができるまでのつなぎというふうに考えておりまして、そういった国家備蓄の恒常的な基地の整備というものに現在取り組んでおるわけでございます。現在のところ御案内のむつ小川原地区におきましてすでに着工に入っておるということでございまして、そのほかたとえば福井であるとか上五島、白島、東苫小牧、屋久島あるいは馬毛島、各地点におきましてフィージビリティー調査を実施し、あるいは地元との調整に入っておるというのが現状でございます。
  236. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 通産省はことしの予算要求の際に、こういった日本エネルギー安定供給のためにLPGの備蓄を計画されたと思いますが、そのことについてこの国会に提案をされるのかどうか、その経過についてお伺いを申し上げます。
  237. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 LPGにつきましては、国民生活その他にきわめて関連が深いということで、これの安定供給を確保するという意味からLPガスの備蓄につきまして従来から検討してまいったところであります。昨年石油審議会の中に液化石油ガス分科会というものを設置いたしまして、そこで昨年の秋以降審議を重ねまして、ことしの一月末にLPガスの備蓄について、輸入LPガスの五十日備蓄達成を内容といたします一応の答申をいただいたわけでございます。私どもといたしまして、その答申を受けまして石油備蓄法の改正によりましてLPガスの備蓄を行うべく準備を重ねてまいっているところでございます。ただ、若干関係方面と調整を要する問題がございまして、調整を進めておるところでございますけれども、現状から申しましてなお調整に時間を要するというふうに判断をしております。いずれにいたしましてもこの調整ができた段階で国会の御審議をお願いするということになるわけでございますけれども、今国会に御提出申し上げることができるかどうかという点についてはかなりむずかしい状況というふうに私ども判断をいたしております。
  238. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 通産省としてはかなり具体的なものを持っておられたというぐあいに聞いておるわけでありまして、したがって、通産省の今国会に対する提出予定法案の中にもすでに含まれるぐらいに討議が進められていたというぐあいに仄聞をしていたわけでございますけれども、いまの話を聞きますと、かなり向こうへ行ってしまって、そしてほかの省庁とのという言葉でございますけれども、そこら辺の経過はどうなんですか。ほかの省庁とか、今国会には間に合わないけれども次の臨時国会とかあるいは特別国会にはとか、そういう点について。
  239. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 この問題につきましては、関係業界あるいは関係省、いろいろ関係者がございます。そういった関係方面との調整に手間取っているわけでございますけれども、私どもといたしましてはできるだけ早期に調整をつけまして、次の通常国会には御提出申し上げられるように準備をしたいというふうに思っています。
  240. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 それでは来年といいましょうか、次の通常国会のときにはそういうものが具体的に出てくる、こういう理解をしてよろしゅうございますか。
  241. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 そういう方針で私どもとしては作業を鋭意進めてまいりたいというふうに思っております。
  242. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 次に、私は、新エネの開発にしろ、当然この機構で行ういろいろの開発もありましょうし、あるいはこのほかに約半分の財源はよそへ行くわけでございますので、原子力だとか石炭液化の方に回っていくわけでございますね。そうすると、それら総合的な新エネの開発あるいはいま強調されておりました備蓄促進、こういった問題についていろいろな問題もあるんでしょうけれども、特に立地難という問題が一番大きな問題じゃないかという気がするわけであります。  先ほど、国家備蓄を現在タンカーで七日分持っております、これではどうにもなりませんので、いまそれぞれの地域で調整中でございます、こういう話でございまして、その中に福井県の話が出たわけでございますが、たまたま私は福井県を選挙区にいたしております。ここでは自治体の方ではかなり話が進んでおりますけれども、地元漁民の人たちは体を張ってでもこれを阻止する、こういうことで話し合いは遅々として進んでいない。むしろかえってこじれかかっておるんではないかという感じさえするわけでございます。こういうのが、多少中身は違うにしてもひとり福井だけの問題ではない。全国至るところでまずその問題が一番大きな問題として立ちはだかってきておる事実があろうと思うわけであります。そういった点について、今後の進め方なりその対策なりをお聞かせをいただきたい。
  243. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 おっしゃるようにエネルギー関係の立地問題というのは大変大きな問題でございまして、私どもの一番の悩みは、総論につきましては比較的御賛同いただけるわけでございますけれども、各論になりますと大変強い反対があるというのが現状ではないかと思うわけでございます。総論につきまして、完全な国民的な合意を得させていただくというのがまず前段階といたしまして私どもの責務だというふうに考えておりまして、国民の皆様方にエネルギー重要性あるいは代替エネルギー開発重要性認識をいただくということが一つのプロセスとして必要ではないかということでございます。それから、第二段階のプロセスといたしましては、各論で御賛成いただくような努力をするということではないかと思うわけでございます。そこで、各論で御賛成いただくための決め手は、いかなる代替エネルギーにつきましても、環境との調和の問題あるいは安全性の問題ということがよく御理解いただけないと、なかなか各論の御賛成もいただけないんじゃないかということでございまして、そういった面につきまして鋭意対策を進めていくということでございまして、これも実は非常に深い悩みがございまして、お金を出しさえすればそういった問題が解決できるのかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございます。ところが、それにかわる手段といたしましてどういうことがあるかということになりますと、やはりそこに一つのお金の問題が出てくるということで、従来はいわゆる電源三法によりますところの立地促進交付金の制度でございますとか、あるいは石油備蓄立地対策交付金といったもので、できるだけ御理解をいただくような努力をしてまいったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、お金を出しさえすれば解決するという問題でもございませんから、基本的には環境保全と安全性の立証ということに最大の重点を置いて、それがやはり国民の皆様方の御理解をいただくための一つの一番大事なことではないか。     〔塩川委員長退席、岡田委員長着席〕 それから従来とってまいりました交付金制度の有効活用というようなものを合わせましてお願いをするということでございまして、基本的には国民の皆様方に総論でも御理解いただきますし、各論でも御理解いただけるような政策努力を続けていくことが必要なのではないか、こういうふうに考えております。
  244. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 私は、おっしゃることはよくわかるのですけれども、ならばいままでそれをやってこなかったかというと、それでやってこられたと思うのです。それで、それなら解決してきましたかというと、長官いま冒頭にも言われたように、一番頭の痛い問題はそれでございます、こういうことをおっしゃるわけでございます。したがいまして、総論的には日本エネルギーをどうするか、このことについては国民の皆さん方も合意をされるけれども、それではここにということになると、ここではいかぬ、よそに行ってくれ、こういうことで行くところがない、こういうことであろうと思うわけです。  それと、そのためにはお金の問題というようなこともありますけれども、私ども率直な感じとして、もちろん今日の社会の中でお金でそれを弁償するということも一つ手段としてりっぱなことだろうと思いますけれども、ただ単に金でほっぺたをたたくようなこと、これは住民感情を逆なでするようなことになって、むしろ反対運動の火に油を注ぐようなことがしばしばあるという気がしてならないわけであります。したがって、とことんまで話し合いということでございましょうけれども、それでは二年でも三年でも話し合いを続けていくのか、御理解をいただくためにと、こういうことの繰り返しではまた今日のこの立地難をそのまま持ち越したまま国の政策は行き詰まってしまう、こういうような感じがするわけでございます。具体的な突破口みたいなものといいましょうか、いま袋小路の中に入ってにっちもさっちもならぬようなことで、ここに突破口を見つけるというような具体的な何か施策がありますか。
  245. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 エネルギーの施設がきわめて罪悪的なものであって、また危害を加えるものであるという認識に立ちますと大変問題があるということでございまして、むしろ積極的にそういう施設を導入することによりまして地域の振興が図れるというような、価値観の転換ということが必要なのではないかということでございまして、私どもはそういう観点から、先ほど申し上げましたようにエネルギーの施設というものは決して危害を加えるものではない、安全なものであるということの立証がまず大事ではないか、その前提に立ちまして、当該施設をその地域へ立地していただくことがその地域の振興の一つ手段になるんだというような考え方を持っていただこうということで、いまいろいろな対策を講じているわけでございまして、その一つ手段が、先ほど申し上げました電源立地促進のための交付金であり、石油備蓄基地の立地のための交付金制度である。それが単にお金を差し上げるという考え方ではなくて、そこにできます施設というものと並行いたしまして社会的な施設がだんだんとできてまいりまして、それが呼び水になりましてその地域の振興が図れる。言ってみますと、ある種の集積のメリットがそこで与えられるような、単に原子力発電所をつくるあるいは石油備蓄基地をつくるということだけではなくて、一つの地域としての集積のメリットができるような対策というものが考えられてしかるべきではないか、その手段に再三申し上げます立地交付金制度というものをますます拡大していって、そういう方向に頭の切りかえといいましょうか、価値観の切りかえといいましょうか、そういったことをお願いできたら大変幸いである、こういうふうな基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  246. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 私もいま長官おっしゃいましたように、ただ単に一時的にそこへ金をばらまくとか、そういうことでは悪感情を残すだけだと思うわけです。ですから、いまおっしゃるように恒常的なといいましょうか、地域が潤うそういった施策、ただしかし、それは公民館がりっぱになったり学校がりっぱになったり、それだけでは私はとてもその地域が潤った、そして恒常的な幸せが約束できるということにはならないというぐあいに考えます。そこで、ほかの人からも提案があったことかもわかりませんけれども、たとえば電源立地に対して協力をした地域に対しては、その地域において電気料金の割引制度をつくる、こういう制度の導入はいかがなものだろうか。そうしますと、今日電気料金は生産コストの中にかなり大きなウエートを占めておる。したがって工場進出がなされる。おおむねこういった地域は過疎地といいましょうか、いろいろな工場がない。こういうような地域はへんぴなところが多いわけでございます。したがって、その地域を恒常的に潤わしていくというのは、やはりその地域の産業の開発です。ところが、見るべき産業がないというところには新しい産業、工場を導入をしなければならない。そういう呼び水的なといいましょうか、そういうことを国の方で考えられてはいかがなものだろうかということが一つ。  それからもう一つは、その地域の必要といいましょうか、その地域が望むような、十分話し合ってもらわなければならないと思いますけれども、そういう工場を誘致してあげる。ところが、国の方で誘致してあげるといっても工場自体が行ってくれなければどうにもならないわけでございますので、そういう地域に、そして地域の人が望むような産業の進出企業に対しては税制面、金融面で思い切った助成措置をとってやる、これが私は立地難の解消のために大きな役割りを持っておるのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  247. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 まず第一点の電気料金の地域別料金制度の導入につきましては、大変冷たい言い方をいたしますと、現在の料金制度がいわゆる原価主義、公平の原則ということでございますから、特定の地域に特別の料金を設けるということは、いまの主義に反しているということにならざるを得ないわけでございますけれども、しかしそればかり言っておったのでは、先ほど来御議論のございますこととも相反しますので、どういう考え方をとったらいいのか、実は私自身もいろいろと思いめぐらしているところでございます。電気料金制度の総合的なあり方という観点から、将来の課題といたしましてこれは十分検討に値することではないかというような認識を持っております。  それから第二点で御指摘のございました、そういう地域に対しまして、先ほど私がお答え申し上げましたとおりの同じような御意見の御主張だと思うわけでございますけれども、やはり国が一つの過疎地域に対します工場導入政策といったものを考えた場合に、また別の観点の国の政策、これは代替エネルギーあるいはエネルギー基地の推進という問題もございますから、そういった国の意思というものが別個に働いていくということになりますと、総合的な効果も期待できないわけでございますので、できる限りその国の意思というものを統一的に推進していくという観点からいいますと、先生の御指摘はまことにごもっともな御主張でございますので、私どもの立場といたしましてもそういう方向で関係方面と折衝を続けていきたい、こういうふうに考えます。
  248. 横手委員(横手文雄)

    ○横手委員 与えられた時間が参りましたので以上で終わります。ただ、冒頭指摘を申し上げましたように、人員配置の問題あるいはこれらに携わる人たちの人材の確保の問題、あるいは予算といいましょうか財源の問題、かなり大きな問題を持った機構であるというぐあいに考えておりますということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  249. 岡田委員長(岡田利春)

    ○岡田委員長 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。  次に、小渕正義君。
  250. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 私は、まず新エネルギー開発という問題の基本的な考え方といいますか、そういうものについて少しお尋ねしたいと思うのでありますが、要するに新しいエネルギー開発という仕事は、その内容から見まして総合的な見地から推進されなければならないと思うわけでありますし、わが国の経済が一体どういう形の中でいくのか、それに関連してエネルギー計画をどういうように立てていくのか、そういうことの中で、具体的になりますと環境問題等もまたいろいろこれに絡んで出てくるわけでありますし、そういうことをいろいろ総合的に考えますと、たとえば経済企画庁または環境庁、資源エネルギー庁、科学技術庁、こういったいろいろなものの組み合わせの中で総合的にこの計画は推進されなければならない、かように思うわけです。     〔岡田委員長退席、塩川委員長着席〕 したがって、そういう中で果たしてこれからやろうとしているのは、一体どういう仕組みの中でそういうものが一応進められようとしているのか。こういった総合的な横との関連といいますか、関係といいますか、そういうコンセンサスはどのような形でとられながら進めようとされているのか、まずそういった基本的なあり方についての考え方をお尋ねいたしたいと思います。
  251. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 エネルギー問題はエネルギー問題自体として存在するんじゃなくて、国民経済の中にその発動があるわけで。ございまして、したがいまして、まず何と申しましても国民経済がどういうふうな成長を遂げていくかという前提がございまして、もちろんその前提はエネルギー自体から制約を受けるわけでございますし、相互作用を及ぼしながら国民経済の成長の中でどれほどのエネルギーが必要であろうかという要請が出てきまして、その要請に対してエネルギー全体でたとえば石油換算いたしましてこのくらい必要である、それではそのエネルギーをどういう種類で賄っていくかということが次に出てくる問題かと思います。  最近になって非常に特徴的なのは、輸入原油の量がIEA等で協議が決まりますので、それ以上輸入しようとしても国家義務としてそれ以上輸入できないという上限がはっきり決まってきたということが従来と非常に違う点だと思います。そうなってまいりますと、それ以上は輸入できぬわけでございますから、仮にそれをオーバーするエネルギー需要があったとすれば、それをどう賄っていくかという問題が次に出てくるわけでございまして、もしそれをオーバーした点を他の油以外のエネルギーでカバーできなかった場合には、経済成長率を落とすよりしようがないわけでございますから、もちろん油の節約問題等いろいろありますけれども、はしょって粗筋だけお話いたしますと、どうしても経済成長を落とせないということになれば、それに見合うような代替エネルギーと申しますか、新エネルギー開発して経済の成長を助けていくよりしようがない、こういうことに相なってくるかと思います。これは従来よりむしろ逆でありまして、経済成長率はこのくらい伸ばしたい、したがってエネルギーの量はこのくらいだ、新エネルギーはこのくらいいけそうだから油はこれほど輸入せにゃいかぬというふうに仕組んでおったのですけれども、今度はそういうふうでは許されない。逆にもう油の使える限度が決まってくるわけでございますから、非常に問題がシビアになってまいります。  そういうことで一応各エネルギーの量が決まってくるわけでございますけれども、それはしばしばお話し申し上げるようにエネルギー計画というのはその年限りの問題ではなくて、言うなれば中期、長期を展望しながらこれに対処していかなければいかぬ問題でございまして、毎年毎年の量とタイムというものをかみ合わせて、そして計画というものができていくものだと思います。たとえばホワイトエナジーが大変重要だ、ぜひ進めろと言ってみても、実際それではホワイトエナジーというものは毎年どのくらい量が出ているのだと見ますと余り大した量にならないというのであれば、それにのみ頼っておったのでは経済は伸びていきませんから、そうはいかないというふうな、やはり量と時間をかみ合わせてそして計画を立てていくということが大変重要なことだと思います。これはほかの計画と違いまして抽象論は許されない、はっきりボリュームで出していく、そういう態勢が必要だと思います。  少し長くなって恐縮でございますけれども、今度は各エネルギー自体を積み重ねまして、それを必要なゾルレン的な、これくらいは出したいものだという目標にするか、あるいは各エネルギーに従ってそれを建設する、たとえば電力会社原子力であれば原子力をどういうふうにこれから各会社で扱っていくか、その可能性いかんということを吟味しまして積み重ねて、そしてこれくらいまではやれそうだというふうな限度をつくり上げていって、そして目標を決めていくという行き方にするか、大変そこら辺は技術的な検討を要する点でございますけれども、いずれにいたしましてもそういうかっこうで一応目標が固まってきます。これはもちろん資本主義の経済ですから努力目標であるというのは間違いございませんけれども、今度の法案でそういうものをつくる際に、そのつくったものを通産大臣はこれを閣議で決めろということになっておりまして、従来は経済閣僚懇談会、協議会等で決めただけでございまして、閣議で正式に取り上げたということはございません。今度は閣議で取り上げろということになっておりますから、閣議でこれを決定するからには少なくともそれに必要な手段資金とか財政的な援助とか税制的な裏打ちあるいは立地に対する配慮といったようなものがそろってきまして、計画としては大変実現性を持ってくるというふうに見ていっていいのじゃないかと思います。  少し長い話で恐縮でございましたけれども、各国民経済等の関連を持ちながらどういう仕組みで計画というものが成り立っていくかという御質問でございましたので、大変失礼ではございますけれども少し長い御説明を申し上げました。
  252. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 私の質問のポイントが少し悪かったのかもしれませんけれども、若干ポイントはずれておると思いますが、時間もかかりますので次の質問の中で消化したいと思います。  今回、「長期エネルギー需給暫定見通し」ということでの計画が出されておりますが、これは総合エネルギー調査会の需給部会で出されたやつですね。したがって、この中におけるベースとなるべき経済ベースというものは一体どのようなものを中心にしてこれが組み立てられたのか。たとえば経済七カ年計画なんかありましたが、ああいったものもベースにしてこれができ上がったのかどうか、それと、先ほど言うようにこれは経済企画庁とかそういったものとの十分なコンセンサスの中でこれができたものか、単なる需給という関係からだけ見てこういう計画ができ上がったのか、そこらあたりの内容についてお尋ねしたいと思います。
  253. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘の「長期エネルギー需給暫定見通し」は、昨年の八月に総合エネルギー調査会需給部会におきまして中間報告として答申をいただいたものでございまして、昭和七〇年度までを見通してございます。  このベースになります考え方が二つございまして、一つエネルギーの需要をどう見るかという見方、これは、いま先生御指摘経済企画庁がおつくりになりました経済社会七カ年計画というものをベースにいたしまして、一定の成長率をベースにいたしましてはじき出しましたエネルギーの需要量というものを積算の根拠にいたしたわけでございます。それからもう一つは、輸入石油の供給量の問題でございますけれども、これは、国内のコンセンサスはもちろんでございますけれども、国際的な合意というものがございまして、IEA等との調整の問題がございまして、昨年の東京サミット以来各方面でいろいろな議論が行われまして、一応五百四十万バレル・パー・デーという数字が日本のシーリング、天井ということで決められたわけでございますけれども、五年先にはこれが六百三十万バレルないし六百九十万バレル・パー・デーが目標になるということでごございますので、それをベースにいたしまして見通しを組んだということでございまして、私どもはその二つの要素をベースにいたしまして作業をいたしましたけれども、そのほかにつけ加えました要素といたしましては、いわゆる省エネルギーの率をどうするかという問題について積算をいたしました。それから、そのギャップを埋める石油以外の代替エネルギーがどうなるかということを積算していったというのがプロセスでございます。
  254. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 次に質問いたしますが、今回のこの新しい総合開発機構の中で、「長期エネルギー需給暫定見通し」の中でも約その一割以上を占めている原子力があるわけですけれども、これからの石油代替の場合はもう原子力石炭、これが二つの柱だと思うのです。そういうことを考えますと、新機構の中から原子力関係だけが除いてある、これは総合的なこういうものをやる機関としてはちょっと不十分じゃないか、どうして原子力も含めた中で新しい機構としてやらなかったのかという問題がどうしても残ると私は思うのですけれども、なぜ原子力を除いたのか、この点をひとつお願いします。
  255. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 エネルギー総合需給という面から見ますとお話しのとおりでございまして、どこかで一本にするのが一番総合性が保てると思います。その問題に関しましては、この法案の三条でございましたか、要するに供給目標というところで総合性を持たせてありまして、それに関しましては、通産省側で議案はつくるわけでございますけれども、原子力に関してはそれだけでなくて原子力委員会等がございますから、原子力委員会等の審査も仰いで、そして他のエネルギーとの整合性を保っていこうというふうに仕組んでありますが、さてこの機関がそれじゃなぜ扱わぬのだという問題になりますと、少し様子が変わってまいりまして、原子力の方は御承知のようにもう三十年近い年月を経ております。その間幾多の変遷がございましたけれども、基本的な、ベーシックな研究は大学あるいは原子力研究所等で進めておりますし、それの開発までの過程におきましては動燃といった一つ事業団がございましてそれに取り組んでおる。燃料も同じでございます。原子炉そのものも同じでございます。そういうふうになって、そしていよいよ実用炉段階に入った際にはこれを民間で言うなれば実用化したわけですから、通産なりあるいは運輸省なりの監督にするように進めていく。原子炉開発も、御承知のように一つのティピカルなのは、実験炉それから原型炉あるいは実証炉、実用炉というふうな段階を経ているわけですから、その実用炉になるまでの過程はもう機構として整備しておりまして、それから実用になった場合にもまたそれぞれの官庁が進めることになっていますから、言うなれば体制としては整備しているという段階でございまして、この機関は、原子力以外のたくさんある問題の中で、言うなれば一つの中間的な実用化までの道行きを扱っていこうという機関でございますから、無理に原子力関係をこれに取り入れぬでもたくさんやることがあるし、また無理に取り入れること自体が混乱を増すゆえんにもなりかねないとも考えられますので、これを抜きまして、そして原子力関係以外に専念しよう、こういうふうに決めたわけでございます。
  256. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 この問題は若干意見があるところですが、ここでは別に議論するあれがありませんので、先に進みたいと思います。  今回の長期エネルギーの需給暫定見通しの中で言われているのは、所要資金として五十五年から六十五年度までの十一年間で約三兆円が必要だ、こういうふうに言われているわけでありますが、総合エネルギー推進委員会ですか、この中では、これだけの計画、これは七十年度まででございますけれども、七十年度までに石油に換算してこれだけの石油代替のためのエネルギー開発するためには一体幾ら要るのかということで、ざっと計算しても百六十兆円必要だ、こういうふうなのが別なところで出ているのを私は知ったわけであります。それからいきますと、五年の差がありますけれども、余りにもけたが違うのです。これだけの代替エネのための研究開発体制をしていくのに、十五年になりますから、十年と十五年の違いがありますけれども、三兆円と百六十兆円とまるきり話が違うのでありますが、これは一体どういう違いなのか、ここらあたりについてひとつ御説明いただきたいと思います。
  257. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 私どもが現在御審議いただいております法案で考えておりますことは、新エネルギー開発機構におきまして、資源の開発と、それからもう一つ技術開発の面があろうかと思いますけれども、その技術開発は、民間あるいは政府も含めまして試験研究機関等で基礎的に開発が進みまして、実用化のめどのついたものにつきましてそれの企業化を促進するための、言ってみますと段階的な開発を発展的にさせるための仕事をしてみたいということでございまして、それが実用化結びつきましてそれぞれ民間実用化をするわけでございます。したがいまして、言ってみますと基礎的な技術開発実用化の中間段階の仕事をさせていただくということでございます。従来はそういうことはなかなか一元的に行われておりませんので、試験研究が基礎的に行われましてもなかなか実用化に至っていないというのが現状じゃないかと思うわけでございますから、その中間を埋める促進剤をこの新機構にお願いしたいということでございます。したがいまして、私どもがその中間的な仕事をするということになりますと、お金の面も当然そういう面に振り向けられるということでございます。民間の方で実用化段階になりますと、これは大きな工場をつくりまして実際に実用化するわけでございますから莫大な金が要るということでございまして、私どもは昭和六十五年度までに約八十兆ぐらいのお金が要るのかなと大ざっぱに計算いたしまして感じておりますけれども、いま御指摘の線は、七十年までにその倍、百六十兆というような数字も聞いておりますが、これは生産も全部ひっくるめまして、いわゆる実用化段階に至った場合のその機械装置その他を含めまして、全部生産をする金額が百六十兆ということでございまして、私どもは、繰り返しになりますけれども、試験研究に成功したものを企業化するまでのプロセスを分担するということで三兆円ということをお願いしているわけでございます。
  258. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 その点はわかりました。  それで、基礎的なものと中間的なものとの技術開発関係だけにしぼってもざっと三兆円要るということでありますが、これだけの資金配分を一体どこでやっていくのか。少なくともこの新エネルギー開発機構の中で三兆円のお金の配分を、アイテム別にそれぞれの開発状況に応じて配分していくということで、そういったものをこの機構の中で権限を持ってやるのか、このあたりがどうなっているのか、考えをお聞きしたいと思います。
  259. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 現在私どもが考えております三兆円の財源手当てといたしましては、石油税と電源開発促進税ということでお願いをしておるわけでございまして、いわゆる税金でございますから、長期的な見通しのもとにそういう計画を組みますけれども、具体的な配分につきましては、毎年度の事業計画に応じまして、新機構事業計画等をにらみ合わせながら政府がこれを決めていくということになろうかと思います。当然新機構は、各単年度の予算だけをにらんで仕事をするということになりますと、代替エネルギー開発の本来の趣旨にももとることになりますので、新機構そのものの事業計画も中長期で組まざるを得ないということになりましょうし、政府といたしましても十年間を見通した供給計画というものを決めていくわけでございますから、その中におきまして中長期の十年間のおおよその大綱はあらかじめ決めておきますけれども、年度ごとの支出につきましては、先ほど申し上げましたように税収がベースになりますから、毎年具体的な支出を決める、こういうやり方になろうかと思います。
  260. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 そうしますと、短期的、長期的な事業計画の中で一つの想定をしながら資金配分等を考えるわけでしょうけれども、結果的には政府が決める。税収であるために結果的に政府が決めるということは、大蔵省の最終的な判断でこれが動かされるという可能性が非常にあるわけですね。そういう問題が残されているのではないかと思いますが、結局結果的には技術の開発状況が現在どの程度、どういうものがどういう形で進められるか、そういうものに対する一つの判断をされるのは新しい機構の中でされると思いますが、最終的には何も知らない大蔵省が資金配分の最終権限を持っている、そういう形に置かれているのではないかという懸念がしたものですから質問したのですが、最終的に政府が決めるということは、そういうことになるということですね。その点いかがですか。
  261. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 一般会計の予算でございますと、御指摘のとおり大蔵省が最終的な政府原案上の査定をするわけでございますけれども、私どもが三兆円でお願いしておりますのは特別会計でございまして、特別会計は特定の目的に使用するということでございますから、これは査定の問題ではなくて、税収確定の問題ということで事務的な作業が行われるわけでございますけれども、入りました税収は特別会計へ直入するということで、石油税につきましては若干異質なものがございますけれども、電源開発促進税等は直入でございますので、入りました収入はそのまま私どもの予算に計上される、こういう仕組みになっております。
  262. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 そうしますと、いまの御答弁では結果的にはそういう政策的な優先度を考慮して、資金配分は新エネルギー機構の中で、事業計画で決めていく、それで大蔵省あたりからのいろいろなそういう余地はない、こういうふうに判断していいですね。
  263. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 特別会計も国家予算の中身でございますから、その原案は私どもでつくらせていただきますけれども、最終的な決定は国会ということになろうかと思います。
  264. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 次に移ります。  「民間の有識者等からなる運営委員会を設置し、機構の運営に関する基本的事項を議決する機関とします。」ということが今回の新しい機構の中でうたわれているわけでありますが、具体的にはこれはどういうことをやろうとされているのか、少し中身について現在考えられていることについて御説明いただきたいと思います。
  265. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 今度考えております新機構は、技術開発、資源開発という新エネルギー開発民間の協力を得て強力に推進してまいろうということで、民間の活力を利用しつつ進めてまいる一つのやり方といたしまして、運営委員会というのを設置することにいたしております。この運営委員会におきましては、民間の学識経験者七名と理事長をもって構成されるものであります。具体的な機能といたしましては、予算、決算、事業計画それから資金計画、こういうような事業運営の根幹に関します計画を決定し、それから業務運営につきましていろいろ審議し、建議するというような機能を持っているわけでございます。  民間側の委員に委嘱いたします人につきましては、こういうような機能を持った機構におきまして十分広い学識経験を生かして業務運営に十全の配慮ができるような人を選んでまいりたいということを考えております。
  266. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 次に移ります。  今回、供給見通し等についての策定は最終的に閣議で決めていくということになっているわけでありますが、通産大臣としてそれを出す場合には、何らかの機関に、どこかに諮問したものを一つの策定した計画としてそこに出していくのか、この新エネルギー機構の中で出されたものをベースとして閣議決定に持ち込むという形になるのか、そこらあたりはどのようなお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  267. 尾島政府委員(尾島巖)

    尾島政府委員 供給目標を策定いたします際に、通産大臣がこれを閣議にかけまして、閣議決定という手続を経ることにいたしております。これはやはり今後石油代替エネルギーの供給ということが国を挙げての大きな重要な課題であり、かっこれによりまして社会一般の目安にし、それから政府といたしましてもこの経済社会政策諸施策を進めるに当たりまして一つの統一したものということで、それを得る手続として閣議決定を考え。たわけでございます。なお、この供給目標を定める際には広く学識経験者の意見を参考に徴するということはわれわれといたしましても重要なことだというふうに考えておりまして、一つの案といたしましては総合エネルギー調査会の御意見を聞くということも現在一案として考えております。
  268. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 これは予定しておった質問ではないので、もし何であれば御答弁はなくて結構ですが、きょうの日経の中にも出ておったのですが、IEAでこれからの石油事情等についての対策がいろいろ検討されていることが記事になっておりました。これからいきますと、長期暫定見通しで七十年度では五十二年度から約一五%増しの石油依存度石油をそれだけ輸入するようになるわけですね。これは長期の話ですけれども、いまのIEAの動きから見ましてそういう一五%増しのような計画が果たして立てられるのかどうか、非常に厳しくなってきて、これは私は根本的に崩れるんじゃないかと思うのですけれども、そこらあたりに対してのお考えと、あわせてその中で特に日本の場合においては石油火力への依存度が非常に高いわけでありますが、これに非常に厳しい風当たりが出ておるわけでありまして、早急にこれも石炭火力の方に切りかえなければならないような状況に追い込まれていると思いますけれども、そういう意味では先ほどのどなたかの御質問の中にもちょっと出ておりましたが、わが国としても早急に石油火力を石炭火力に移行するような計画を策定して取り組まないことには、やはり日本としてはますます追い込まれていくのじゃないかというふうに私はIEAの動きから見て感じるのですが、そこらあたりのお考えがあればお聞きしたいと思います。
  269. 佐々木国務大臣(佐々木義武)

    佐々木国務大臣 お説は、私は大変憂慮しておりますけれども、そういう問題が出てくると思います。でございますので、従来の線の油の供給量と申しますか、固持していったらいいのかあるいはそうでなしに事前にそれに対応する一つ研究を進めたらよろしいのか、大変むずかしい問題になっておりますけれども、いずれにいたしましても西暦で申しますと八一年、八五年、九〇年の三つの段階にかかわる目標、八一年度はむしろ目標じゃなくてシーリングで、国家義務になる数字だと思いますけれども、それ以外は努力目標でございましょうから、そういう問題に関しての議論というものは行われるのじゃないかと思います。もし行われるとすれば、それに対して対応策を考えていかなければいかぬのは当然でございます。  それから、もう一つ指摘ございましたのは火力発電でございますが、これに対して、従来同様石油に頼っていくというのはおかしいじゃないか、むしろ今後はこれを廃止すべきだとかあるいは従来のものまで切りかえていったらどうだという議論も出そうでございまして、まだ議題は完全に決まっておりませんから何とも申されませんけれども、そういう点ももし議題として決まれば、日本としての対応を検討して持っていかなければいかぬと思っております。
  270. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 特に石油火力を石炭火力に切りかえるのはかなりの資金が必要でしょうから、やはり早目にこの問題に対しては一つの計画を策定していくことが私は必要じゃないかと思います。私は素人ですけれども、そういういろいろな新聞記事、報道関係を見ますと、必ずや日本はそういう形に追い込まれてしまうのじゃないかという気がいたしますので、そういう意味で早目にこういった問題に対する取り組みをお願いしておきたいと思うのであります。  次に、これは去る三月二十六日に、科学技術特別委員会の中で参考人をお呼びしてエネルギー問題についていろいろお話を聞いておるわけでありますが、たまたま私、その議事録を読みましたけれども、その中で、三菱総研の牧野という方が、今回の「長期エネルギー需給暫定見通し」に対するいろいろな見方をやれとか、たとえば省エネルギーの一四・八%はこれはもう非常にむずかしいだろう、原子力の五千三百万キロワットもいまのリードタイム等から考えたらとても無理じゃないか、これは六十五年度を指しておるわけでありますが、せいぜい四千万キロワット程度だろう。まあ確かに、きのうですか、けさの新聞にもあったが、六十年度における原子力のあれからいっても、計画よりおくれた二千八百万キロワット程度しか見込めないようなことが言われておるようなことが報道されておりましたが、そういうことと確かに符節が合うわけであります。そういうこととか、石炭の五千三百五十万トン、これは一般炭ですが、これもとても無理だ、まずコールセンターがない、運ぶものもないし港もない。それだけの石炭を燃やせば大量のガスが発生するし、大きな大気汚染になるが、これに対する環境庁との話し合いなんかも全然されてないとか、また炭を燃やした後のかすが八百万トン出るが、これの処理、そういったものの対策というのも全然考えられていない。ざっと言いますと、こういうふうな調子で科学技術委員会で言われているんですよ。これは、議事録を読みましたらそんなふうに書いてあるのです。もちろん新エネルギー、新燃料油に対しましても、こういう計画でも、多分でき上がったとしてもこれはペイせぬだろう、こういうようなことになっておるわけであります。それからいきますとこの計画はさんざんなんですよね、あの人の言によると。これに対しまして資源エネルギー庁として、これは単なる一野人の放言という形で受け取るのか、そういうものに対して率直な、科学技術委員会で出されたこういう意見に対して、担当省庁としてはどのようにお考えなのか、それをお聞きしたいと思います。
  271. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 私も議事録を取り寄せまして拝見をいたしました。牧野氏の御意見は大変手厳しい御意見でございまして、大変な戸惑いを感じておるわけでございますけれども、私どもが総合エネルギー調査会からちょうだいいたしました答申は、これは何回もこの委員会で御答弁申し上げましたとおり、官民挙げての最大の努力目標ということで見通しをおつくりいただいたものというふうに理解をしているわけでございます。つまり、先ほど先生の御質問に答えまして私が申し上げました二つの与件があろうかと思います。一つ経済成長率、これは経済企画庁でおつくりになりました七カ年計画をベースにいたしました経済成長率を使っておりますし、それから輸入石油につきましては国際的な合意をベースにいたしまして作業したものでございまして、その二つの与件から導き出されます結論といたしましては、一つエネルギーの使用を節約していくという考え方が。ございますけれども、それにもおのずから限界がございます。相当高目な省エネルギー率をはじき出しておりますけれども、それで総エネルギー需要とのギャップはどうしても代替エネルギーで埋めていかなくてはならない、こういう一つ目標ベースにいたしまして各項目の数字をはじいたのが暫定見通しでございまして、それぞれの項目につきまして最大限の努力目標ということでございますから、一つ一つの項目につきまして、従来の政策パターンから見まして問題があるということは私も認めざるを得ないと思うわけでございます。  それから、牧野氏が言っておられますのは、成長率そのものが高過ぎるのではないかという御指摘もございまして、せいぜい三%ないし四%の成長率でいいのではないかというような御指摘もあるわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたとおり、政府といたしましては経済企画庁のつくりました七カ年計画というものがございますので、その成長率をベースにせざるを得ないという立場は当然ではなかろうかということでございますので、この成長率が変わってまいりますと。また違った観点が出てこようかと思います。  いずれにいたしましても、これは一つエネルギー供給サイドからこれだけの供給をしなければ経済成長を支え、あるいは輸入石油を一定の線に抑えることはできないということでございますので、政策努力を集約的に行っていくということが前提条件でございますので、過去のパターンによる政策というものをベースにいたしますと、牧野さんのような御意見が出てくるのではないかということでございまして、それでは済まないのじゃないかというのがエネルギー政策当局としての課題ではなかろうか、こういうふうに認識いたしております。
  272. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 従来の既成的な観念をやめて新しい考え方の中でやらないことにはこのエネルギー対策はできないというお話でありますが、努力目標でしょうけれども、しかし、これもやはり総合研究所の代表の方ですから、ひとつ謙虚にこういう意見もあることを受けとめておいて、これからの仕事の一つの参考に資していただきたい、かように思うわけであります。  それから、次にお尋ねしますが、これも予告をしておりませんけれども、わからなかったら結構ですが、大体わが国の電気料金は世界一高いと思いますが、そういうことからいきまして、大体五年後、いまのこういったエネルギー事情の中で大体電気料金はどの程度まで上がるというふうに見通されますか。もしそういうものがあればお尋ねしたいと思うのです。というのは、私は、こういうエネルギー需給計画はこれで結構だと思いますけれども、そういった別の角度からいろいろなファクトがあって、こういった問題が全部だめになっていくのではないかという気も全然しないわけではないのです。そういう意味では、果たしてそういう電気料金がどんどん上がっていくのに、日本の基礎産業あたりがこれに耐えていき得るのかどうかということ等を考えていくと、結果的にいろいろ経済的なものが根底から崩れていく可能性もあるのではないかという気もするものですから、ちょっと、ちょっとということは失礼でございますけれども、果たしてそこらあたりのお考えがあられるか。五年後大体どの程度電気料金が上がると見通されたか。私これもある程度見ておかなければいかぬと思います。  それからあと一つは、これは大蔵省の関係もありましょうけれども、それだけの石油代金を果たしてわが国が賄い切れるか、そっちの角度から見てどうなのだろうかという疑問なしとしない面があるわけでありまして、そういう意味でこれは単なる机上のペーパープランだけになるのじゃないかという可能性もあると思いまして、若干そういう意味で質問を申し上げたわけでありますが、もしまだそこらまで考えられていないなら結構ですから、ちょっとお願いします。
  273. 森山(信)政府委員(森山信吾)

    森山(信)政府委員 先般電気料金を値上げをさせていただいたばかりでございますから、五年先どの程度上がるかということを見通しますと大変な混乱を起こすと思いますので、見通しにつきまして申し上げますことは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますけれども、基本論として申し上げますと、電力会社エネルギー構造をどう変えていくか、これによるのではないかと思うわけでございます。現在は御承知のとおり五七%石油に頼っているわけでございまして、この五七%という数字を昭和六十年度に四〇%にしたい、それから六十五年度に二〇%にしたい、七十年に一〇%にしたいというのが私どもがいま描いておりますフレームワークでございまして、これに成功いたしますと総体的な値上がりはそう大きくないのではないかという感じを持っておるわけでございまして、一にかかって燃料構成をうまく切りかえていくことに成功するかどうかということが今後の料金を左右する問題ではないかと思うわけでございまして、それにつきまして、代替エネルギー開発にも積極的に取り組む必然性がそこから生まれてくるということではないかと思う次第でございます。  それから第二点の石油代金を総輸入金額のうちでどの程度に抑えたらいいかという問題につきましては一平時の状態でございますと、平時というとちょっと語弊がございますが、過去のパターンから見ますと、総輸入のうちの大体三割ないし三割五分ぐらいが石油の代金で占められておったわけでございますけれども、いまのような石油代金の情勢でございますと五割ということになりまして、このまま放置いたしますと大変なことになるという問題もございます。石油代金に五割以上も支払いをしなければならぬということになりますと大変な問題になりますので、やはり石油の輸入につきましてはある一定の限界を置く必要がある。そのためにも代替エネルギー開発を急がなくちゃならない、こういう宿命に立たされているというのが現況ではないか、こういう感じを持っております。
  274. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 石油代替エネルギー開発というのはだれも否定するものではないのですが、あと一つこの中でぜひ考えていただきたいのは、省エネルギーに対する投資というものが余りこの中ではウエートがないのじゃないかという気がするわけであります。代替エネルギー開発も必要ですけれども、やはり問題は、そういった省エネルギー対策ということでもっと投資をしていくということも私は非常に大事な問題ではないかと思います。特に自然のいろいろなエネルギーをいかに生かしていくかということになりましょうし、そういう点でイギリスあたりは省エネルギー省という専門省まで設けて、国を挙げて省エネルギー対策をいかにすべきかということであらゆる角度から取り組まれているということをお聞きしているわけでありますが、そういう点では石油代替の方にばかり力がいって、こっちの方がちょっとウェートが弱いのではないか。これは私の率直な感じですが、します。したがって、そういう点で、特に現在でも農業で年間五百万キロリットルの石油を消費しておる。食べる一個のメロンに二十リットルも石油を使っている。何もわれわれはメロンをいつも食べなくてもいいわけですね。そういう意味で農業構造の変化その他いろいろ省エネルギーという問題から見て、私は国家的な事業としてこの問題をもっと取り上げるべきじゃないかと思うのです。そういう点では、この石油代替エネルギー関係でいきますと、ただかわりだけに重点を置かれているような気がしてならないわけでありますが、そこらあたりに対する考え方がありますればひとつ御説明いただきたいと思います。
  275. 石坂政府委員(石坂誠一)

    ○石坂政府委員 省エネルギー技術開発についての御質問でございますが、省エネルギー重要性は私どもつとから認識しておるわけでございまして、昭和五十三年度からムーンライト計画を始めまして、鋭意研究開発を進めているわけでございます。五十五年度の予算で申しますと、実は予算規模総額八十一億円になっておるわけでございまして、これは昭和五十四年度の三十一億の二・七倍という非常に大きな伸びになっているわけでございます。  研究の重点でございますが、研究開発に非常に多額の資金と長期間を要する分野につきましてちょっと御説明いたしますと、廃熱を利用する方法を考えよう。これは一般の工場でも五〇%の熱効率でエネルギーを使うのは大変むずかしいわけでございますが、その余りの熱を何とか使おうというような研究、あるいは非常に高性能の発電所でも、現在火力発電所で四〇%という効率はなかなかむずかしい状況でございまして、多くの熱が海の水を温めているというような状況でございますが、これをもう少し効率を上げることができないかという目的で、高効率のガスタービンと現在の発電所のシステムを組み合わせるような方式はないかということで、高効率のガスタービンの研究をいたしております。またもう少し長期の視野におきましては、MHD発電ということもいま研究をしているわけでございます。さらに、それとともに、今回五十五年度から、新型電池を使いまして電力を貯蔵しておこう、すなわち夜間のように電気の余ったときに貯蔵いたしまして、ピークのときに使うというようなシステムの研究開発に着手するわけでございます。  そういった面でいろいろ努力をしておりますが、民間企業が行われる省エネルギーにつきましてもいろいろな技術開発が必要となってまいりますので、それについての助成措置の強化も図ることになっているわけでございます。
  276. 小渕(正)委員(小渕正義)

    ○小渕(正)委員 いまいろいろそういった省エネルギー対策についての対策をお聞きいたしましたが、もう少し私たちの日常生活に直接つながるようなたくさんの問題があると思いますので、もっとそういう点にも手を広げていただいた、国家的な一つ政策としてこの問題もぜひ取り上げていただくようなことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  277. 塩川委員長(塩川正十郎)

    塩川委員長 以上で本日の議事は終了いたしました。  次回は、明十七日午後三時より連合審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時八分散会