○田口説明員 御説明申し上げます。
第一に、
現実に再開となったかどうかといった趣旨の御
質問かと思いますけれ
ども、
イランと
日本側との関係では、この二月、三月もずっと
交渉しておりましたけれ
ども、やはり三百人くらいにならないと本格的な再開とは認めないというような
イラン側からの発言があったことはあったわけです。それから
日本側といたしましては、やめておって再開するということではございませんので、むしろ一時細りましたけれ
ども工事はやっておって、これを継続する、そして継続工事をさらに本格的なものにしていく、こういうような
考え方の差があったことは事実でございます。御存じかと思いますけれ
ども、現在
イランに行っております
日本側の技術者は約九十名に達するわけでございます。予定といたしましては今月の月末には約三百人というようなことにしたいということで、三井の関係の方も一生懸命やっておるわけでございます。ただ、
イランの方もいろいろ事情はあるかと思いますけれ
ども、やはり向こうも失業率が非常に高いとか、工事の方が向こうが期待していたほど早くは進まないというようなことかと思いますけれ
ども、やはりいら立ちが見えてきている。これは
交渉でございますので、
交渉の詳細は公表しないということを
イラン側も言っておりますので詳しいことは御勘弁いただきたいのですけれ
ども、現在の
段階では、いわゆる十三プラントと言われておりますが、十三分類あります全体の工場について全部再開しないといけないとか、三百人ではまだ本格的な再開とは認めないとかいう声が聞こえております。
イランの方も、国内の方も非常にむずかしい
状態にあるようには思いますが、あらゆる情報を総合いたしまして、
イランの革命評議会といたしましても
イラン側として最も重要な、つまり
原油だけ売っている国では終わりたくない、やはり付加価値をつけて工業化していきたいという
政策の
一つのモニュメントと申しますか、革命
政府の一番威信のかかっているプロジェクトであるということで、一時東欧にやらせるとかいろいろなことが伝わってまいりましたけれ
ども、私
ども、本旨は
日本が協力する限りぜひ
日本との間でやりたいと考えているというふうにかたく信じておるわけでございます。再開になるならないというのは、向こう側の考えとこちら側の考えと、
交渉でございますので多少の違った言い方もありますけれ
ども、私
どもはこれは誠実に工事をちゃんと継続していく、本格的に工事をするということで、三月末に
経済協力基金の出資もいただいたということで、さらに工事の内容を充実していくというふうに
関係者を指導しておるわけでございます。
それから御指摘の第二の点でございます。技術者が三十名最近行ったとか、先ほど御説明申しましたように、現在、月末には約三百人を目標として出ていただいておるということで、御当人あるいは御家族の身になって考えますと本当に御苦労なことで、よく行っていただいておるというふうに私
どもは思いますけれ
ども、私
どもの
日本の大使館からも特に
日本人工事
関係者の安全が懸念されるといったような情報は来ておりません。先ほど申しましたように、
イラン政府もいろいろなことは申されますが、本プロジェクトが最大の威信をかけたプロジェクトであるということで大事にしておられる。それから山下社長も現在バンダルホメイニの現地におられるというふうに理解しておりますけれ
ども、毎日のように連絡しておりますが、安全が脅かされておるというような情報には接していないということで、現在の時点におきまして御心配のような事態には特に立ち至っていないというふうに考えます。しかしながら、一人一人のことを思いますと、安全問題は御指摘のように大変重要なことでございます。今後とも現地の大使館との連絡をさらに密にいたしつつ、情勢を十分注視いたしまして
日本人工事
関係者の安全対策には特に万全を期してまいりたいと考えております。
それから最後に、これは本当に工事再開になるだろうかという御趣旨の
質問かと思いますけれ
ども、再開か再開でないかという点について、多少彼我の
考え方に違いがあるということを申し上げたわけでございます。これは、少なくとも
イランの長期的な
経済政策を理解してみますと、先ほ
ども申したのですが、
原油がなくなってみれば砂漠に戻ってしまうということではなしに、やはり付加価値をつけ、工業化を進め、多量の失業者に対する雇用機会をつくっていくということで大変大きなプロジェクトでございます。そういったことでぜひこれはやりたい。
日本には任せておけぬ、東欧あたりとやるぞ、こういうことをおっしゃりながら、実は
日本が協力する限りはぜひ
日本とやりたいというような言葉も出てくる、こういう
現状でございまして、やはり
交渉でございますので、一遍に全部のプラントを再開しなければいかぬとかいろいろなことで山下社長初め
交渉当事者は苦労をされておられると思いますけれ
ども、私
どもも、これは
日本にとって
イランとの最大のかけ橋で、従来の方針どおり本プロジェクトは中断しないでぜひ継続していく決心でございますし、
イランの
政府も繰り返し申しましたように、革命評議会にとりましても最大のプレスティージプロジェクトと理解しておりますので、
交渉の経過におきましてはいろいろな御苦労があり苦しみがあると思いますけれ
ども、結果として本当に工事が再開してこのプロジェクトが完成されることはかたく信じておる
状況でございます。
以上でございます。