○澄田参考人 景気の
見通しにつきましては、
日本銀行の情勢判断といたしましても、景気の現状はかなり根強いものがある、かように判断をいたしております。その根強い原因は第一は設備投資でございます。次は輸出でございます。
設備投資につきましては、省
エネルギーの投資でありますとか、合理化投資でありますとか、そういう投資が数年の投資の低調の後を受けまして、このところ非常に旺盛になっておりますし、さらには、
生産能力の増加というような投資もこれに加わっているという状態で、
金融の引き締め等にもかかわらず、そういう情勢はなお続くのではないかというような判断ができると思っております。
輸出は、
円安とか海外
物価高等を原因とする競争力の強化ということで、これは非常に堅調になっております。輸出摩擦というような問題に対する配慮は必要でございますが、しかし、産油国等を含めて各
地域に対して根強いという状態でございますので、これも景気を支える力としては非常に大きいものがある、かように
考えられるわけであります。
消費につきましてもいまのところは堅調と申し上げることができると思います。日銀の支店等を通じて各地の景気の見方等を総合いたしましても、初めは、年前半、六月ごろまでは根強い、こういうことでありましたが、最近は
年度の上半期、九月ごろまでは現状のような根強さというものが
考えられるんではないかというような声が高いようでございます。もちろん、
消費の先行きというようなものは今後の
物価情勢にも
影響されるところがございますし、
石油の
価格のこれだけの
上昇によって、それだけ
日本の所得が産油国に移転をするという、そういう
経済現象があるわけでありまして、そういうことに伴って先行き景気がある
程度スローダウンをしてくるということは当然
考えられることでございますし、また、
経済界においても、そういう先行きの警戒感ということがあることは事実でございますが、現状はそういうことでありますし、今後につきましては、今後のそういう情勢を十分に注視をしていかなければならない、かように
考えております。
物価につきましては、いま企画
庁長官の方からいろいろとお話がございましたが、私
どもの方といたしましても現在これが最
重点でございますし、
金融政策としては、すでにことしに入りましても二度にわたって公定歩合を引き上げておりますし、その都度預金準備率の引き上げもいたしております。さらに、窓口指導等におきましても
金融の引き締めの強化ということを図っておりまして、そのため、マネーサプライも逐次低下をしてまいっております。昨年の初めごろには一二%台でございましたのが、現在は一〇%台というような状態でございまして、こういうような状態を通じて輸入
物価の
上昇がホームメード
インフレに転化をしていくということにならないように、そういう
環境を抑えるようにということでやっておる次第でございます。
卸売物価につきましては、なお一、二カ月、
電力あるいは
ガスの値上げの
影響等が指数の上にあらわれてくるということもございますので、大幅な
上昇ということは避けられないのではないかと思いますが、その
影響が出尽くしますと、後は
上昇率は鈍化をしてまいりますと判断いたしておりますし、また、そういうふうに全力を尽くして持っていかなければならない、かように思うわけであります。
消費者物価につきましては、このような
卸売物価の
波及というようなこともございますので、なお情勢は厳しいわけでございますが、いまもお話のありましたように、生鮮食料品、ことに
野菜等については改善されてまいっておりますし、季節商品による
上昇というようなものが逐次抑えられてきているというような状態であります。季節商品を除く面につきましては、ホームメード
インフレというようなものを抑える引き締め措置の効果、あるいは財政面あるいは個別
物価対策、そういうようなものを動員するというようなことによって、今後これも
卸売物価よりは若干のずれはございます。当然これはそういうずれを伴う性格のものでございますが、そういう若干のずれを持ってやがては騰勢も鈍化をしていく、そういうふうに判断をいたしております。