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1980-04-09 第91回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月九日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 渡部 恒三君 理事 清水  勇君    理事 渡辺 三郎君 理事 近江巳記夫君    理事 神崎 敏雄君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       大塚 雄司君    粕谷  茂君       鴨田利太郎君    田原  隆君       橋口  隆君    原田昇左右君       深谷 隆司君    水平 豊彦君       粟山  明君    渡辺 秀央君       石野 久男君    上坂  昇君       渋沢 利久君    中村 重光君       松浦 利尚君    山本 幸一君       長田 武士君    木内 良明君       中川 嘉美君    森田 景一君       小林 政子君    安田 純治君       中井  洽君    横手 文雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         科学技術庁長官         官房審議官   高岡 敬展君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済局長 手島れい志君         通商産業大臣官         房審議官    尾島  巖君         通商産業省貿易         局長      花岡 宗助君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省生活         産業局長    児玉 清隆君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  鈴木 昭雄君         外務省経済局資         源第一課長   渡辺 陽一君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事) 佐賀新太郎君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律案内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮田早苗君。
  3. 宮田早苗

    宮田委員 まず、この法律審議する過程の中で非常に重大な影響を持つ事件といいますか、問題が出てまいりました。といいますのは、昨日の報道によりますと、アメリカイラン国交断絶によりますそれぞれの態度がいまのところ非常に強硬のようでございます。たとえばイラン石油相アメリカ制裁措置に同調する国に対しましては石油の禁輸をするということを明確にしておるように言われておるわけです。ざらにアメリカ側の方からは、日本政府に対しまして協力要請が早速なされておるやに伺っております。そういう事態に対しましてわが国としての態度、特に石油問題という大きな問題がございますだけに、通産当局、さらには、大臣のこれに対するお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  4. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 イランからの原油の輸入は、わが国石油事情から見ましてきわめて重要な問題でございます。しかし当面は米国とイランとの関係推移等事態の進展を注意深く見守りつつ今後の方針を慎重に決めてまいりたいというきわめて慎重な態度をただいまとってございます。
  5. 宮田早苗

    宮田委員 長官がお見えでございますので、もちろん昨日の問題をきょうに云々ということについては慎重な態度ということにならざるを得ないと思いますが、この問題に関する限り、きのうきょうの問題ということでなしに、以前からこういう傾向が続いていたのじゃないかと思います。そういう面についてエネルギー庁といたしましては不測の場合を考えてある程度の考えを持っておいでになるのじゃないかと思うわけですが、長官、その辺はどうですか。
  6. 森山信吾

    森山(信)政府委員 イラン原油の問題に関連いたしましては二つ局面があろうかと思います。その二つ局面の総合的な政策判断は先ほど大臣から答弁のあったとおりでございますけれども、やや事務的に私からお答え申し上げますと、一つ局面はいま御指摘イランアメリカ国交断絶の問題でございます。それに関連いたしまして、イラン原油をどういうふうに取り扱うかという問題が一つございます。  それからもう一つの問題は価格の問題でございまして、御高承のとおり、四月一日付をもちまして従来のGSP価格に二ドルないし二ドル五十の上乗せをしたいという申し入れイランから受けたわけでございます。GSPと申しますのは政府公式販売価格でございます。従来はイラニアン・ライト物につきまして三十一ドルでございましたから、それにプレミアムの分をオンいたしますと三十二ドル五十というのが四月以前、三月末までのイラン価格であったわけでございますけれども、それを、いま申し上げましたとおり四月一日から二ドル五十上積みするということになりますと三十五ドルということになるわけでございます。同じような油質を持っておりますほかの国の油と比較いたしましてもこの三十五ドルというのは大変高いという問題がございますし、それから現在の世界の原油需給状況等から見まして、わが国としては大変戸惑いを感ずる申し入れでございますので、この点に関しましては、どうも素直に承知いたしましたと言うには若干問題のある価格ではないかということでございまして、現在イランから買っております量が大体一日当たり六十万バレルということになっております。日本企業は十二社買っておりますけれども、合計いたしまして五十三万バレル、それからメジャー経由で入ってきているものも合わせますと六十万バレルぐらいでございますので、その価格がいま申し上げたような三十五ドルということになりますと大変なインパクトを与えるということもございますし、それからほかの産油国に与える影響もはかり知れないものがあるということから、私どもは慎重に対応する必要があるのではないかということでございまして、いま申し上げました十二社の企業がそれぞれイラン側と交渉いたしまして、ある程度の話し合いをしたいという申し入れをしたところでございます。イラン側話し合いに応ずるような姿勢を示してきておりますので、従来のような一方的に価格が決められるというパターンから、話し合いによって価格が形成されていくというような仕組みに少し変わってくるのじゃないかという期待を持っておりまして、日本企業がそういうビヘービアで交渉することにつきまして、政府としても十分注意深く見守っていきたいというふうに考えております。  したがいまして、いま申し上げましたポイント二つは、第一点のアメリカイラン国交断絶に伴う影響をどうするかという問題と、それから価格をどうしていくかという問題を申し上げたわけでございますが、結論的には大臣からお答え申し上げましたとおり、周囲の客観情勢を見きわめつつ慎重に対処するというのが政府基本姿勢でございます。
  7. 宮田早苗

    宮田委員 この問題についていま私の方でそれ以上の質問用意はしておりませんが、いつの場合でもこういう問題に対しての対応が出おくれがちというふうな傾向が間々あるわけでございますので、今回の場合そういうことがないようにひとつ格段の御配慮をしてほしいということを強く要望しておきます。  そこで法案審議に入らせていただきますが、具体的な質問に入ります前に、総論的といいますか、私ども民社党の基本的な態度を踏まえながら政府の御所見をお聞きしたい、こう思います。  五十五年度予算案審議と並行しつつ政府原案の修正問題が与野党の間で議論されましたことは改めて言うまでもございませんが、その際私どもは主として物価対策、それと税制と政策目標のあり方という観点から、新エネルギー機構の重要なポイントでございます電源多様化勘定の創設に強い反対態度を表明したわけです。政府・自民党は、財源確保のため、譲歩することなしに電気料金値上げ査定の際これを織り込んで値上げを認可したのでございますが、これまでの質疑、昨日もそうですが、新しいエネルギー機構がどう機能するかの観点に立った内容質問が再三ございましたが、改めて通産大臣にお伺いいたしますのは、新機構の機能、効果はさておきまして、新機構を設けるということは、四十八年の石油ショック以降代替エネルギー技術開発促進が緊急の最重要課題と言われながら効果を上げられなかったという反省の上に立っての構想である、こういうふうに認識してよろしいかどうかということをまずお聞きしたい、こう思います。
  8. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように脱石油ということは日本の将来のエネルギー政策考える上に最も根本的な問題だと存じます。その脱石油ということになりますと、どうしても代替エネルギー開発ということが反面要請されるわけでございまして、これなしには脱石油というのはあり得ないわけでございます。  そこで、代替エネルギー研究開発するという場合従来どういうふうにやってきたか、それが効果が上がらぬからこういう機構をつくったかという御質問でございますけれども、必ずしも効果が上がっていないというわけではございません。物によりましては実用段階に入っているものもございますし、これから研究を深めまして実用段階に持っていくという過程のものもございます、一概には言えませんけれども。ただ、はっきり言い得るのは、従来は民間あるいは政府研究機関等ばらばらに行っておったものを、そうじゃなくて、この問題を進める中枢機関をつくりまして、そしてこれに民間活力も取り入れまして官民学一体と申しますか、そういう体制で、従来ばらばらだったものをひとつ大きく中心になる機関が音頭をとって、あるいはみずからが研究開発の主体になって進めていけば従来よりもはるかに強力に進め得るだろうし、また国の決心というものも国内のみならず海外にも示し得るじゃないかという意味合いを兼ねまして、言うなれば代替エネルギー元年と申しますか、この機構等整備一つの目安にしてこれから画期的な発展を図ろうじゃないか、こういう意味でつくったわけでございます。少し言葉がはっきりしませんので御了承をいただけたかどうかわかりませんけれども本旨はそういうところでございます。
  9. 宮田早苗

    宮田委員 大臣の御意見を聞いてみますと、代替エネルギー開発が国策の最優先課題ということであるわけで、こういう機構をつくってこそ推進が図られるのだと認識をいたしますが、そこで、いま大臣がおっしゃったようなことでございますならば、今日開発を最も急がなければならない原子力関係を新機構から外したのはなぜかということ、これまで質問もありましたが、高速増殖炉建設費等に必要な三百九十七億円を電源多様化勘定から持っていっているわけでございますが、政府が挙げてエネルギー対策と取り組むということでございますならば、予算組織行政官庁の枠を乗り越えてもおかしくないと思います。かように考えるわけですが、通産省、それから科学技術庁のお考えはどうかということをお伺いしたいと思います。
  10. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力関係をこの機構から外しましたのは、もう御存じのように二十数年、三十年近くわが国原子力研究開発が進んでおりますし、発電炉等はもう実用段階に達しまして進みつつある現状でございます。したがいまして、研究ということになりますと、原子力研究所大学等で秩序正しくと申しますか、進めておりますし、開発部門では動燃等がございますし、実際に各電力会社実用炉として千何百万キロの膨大な出力のものを発電しつつある、こういう体制ができつつございますので、その体制は従来のままにしてそれを進めようじゃないかということで、この方は一応別枠にしても大丈夫進み得るだろうということで実はこの機構から外しまして、この機構といたしましては原子力以外の代替エネルギーを本命として取りかかろう。なるほど国全体のエネルギーの中で最も肝要だと思われる原子力を外すということは、総合性という観点からすればおかしいじゃないかという議論はございますけれども、しかし、これはまた役所自体連携等で進め得ますし、原子力そのもの原子力委員会等で進めておりますから、それはそれでいけるという観点で、むしろこの機構は重点をぼかさないで原子力以外のものに力を入れるという方が、かえって問題を進める上においてははっきりしていいのじゃなかろうかという考えからこういうふうになったと考えておるのでございます。  それから今後のFBR等進め方等はどうするのだ、その資金などはどうするのだという御質問でございますが、これは両省にもまたがる問題でございますので、担当官から説明させたいと存じます。
  11. 高岡敬展

    高岡政府委員 お答え申し上げます。  原子力開発関係の新しいエネルギー総合開発機構との関連での扱いにつきましては、ただいま通産大臣から御答弁があったとおりでございますが、私ども科学技術庁といたしましては、ただいま宮田先生から御指摘がありましたように、原子力以外のエネルギー研究開発政府が行います開発業務中核となります機構がやや未整備であったという点で、今回新しい機構の設立が提案されておるというふうに了解をいたしております。  原子力につきましては、ただいま先生から具体的な御指摘がありましたように、たとえば高速増殖炉原型炉と申しておりますが、これは若干内容に立ち入って申し上げますと、大体三十万キロの発電所を併設いたしました増殖炉でございます。これは具体的に福井県の白木というサイト予定いたしまして、地元での御検討をいただいております。近く御了解を得まして、安全審査そのほか建設業務に具体的に入りたいという予定にしておりますが、この仕事関連して申し上げますと、従来動力炉・核燃料開発事業団というものが本当に基礎的な段階から研究を進めまして、こういった三十万キロの発電が可能な原型炉といいますか、発電炉ひな形でございますけれども、そういうものの詳細な設計が具体的なサイト対象にしましてでき上がっておるという状態でございます。でございますから、これは一例でございますけれども原子力仕事は新しい機構とは別に、在来の機構中核にして進めるのが効率的であり実際的である、こういうふうに考えておる次第であります。
  12. 宮田早苗

    宮田委員 私ども、先ほど申し上げましたように、電源開発促進税率の大幅な引き上げに反対をしたわけです。高速増殖炉関連予算従前どおり一般会計から引き出すのではなしに、特別会計に移行した経緯をもうちょっとわかりやすく御説明していただきたい、こう思います。
  13. 高岡敬展

    高岡政府委員 原子力開発には大変なお金がかかるということは、いまさら申し上げる必要はございませんけれども、一方、非常に財政事情が厳しい状況でございますので、こういった状況のもとで原子力開発財源をどういうふうに確保するかということが非常に大きな問題でございますが、一方で先ほど高速増殖炉原型炉ということで申し上げましたけれども原子力開発も過去二十年以上にわたります成果で実用段階に非常に近づいておりますといいますか、軽水炉導入したものは実用化されておりますけれども日本の中で研究開発を積み上げてきたものにつきましても実用段階に近づいておるわけでございます。たとえば、先ほど申し上げました高速増殖炉原型炉計画でありますとか、あるいは新型転換炉計画でありますとか、あるいは軽水炉などから出てまいります使用済み燃料を再処理をいたします施設開発でありますとかといった現実の発電実用化といいますか、実用との直接のかかわり合いで開発を進める必要がある仕事ということがかなりのウエートを占めております。具体的に五十五年度の予算で申し上げますと、科学技術庁関係原子力関係予算が二千百五十億円程度でございますが、いま御指摘電源多様化勘定財源を充てようと考えておりますのが約四百億でございます。対象は先ほど申し上げました高速増殖炉その他でございますけれども、そういった開発業務のうちで、原子力実用化といいますか、そういうことに結びつきの強いものにつきましては、多様化勘定目的税として電力消費者に御負担願うということが実際的ではないかということで考えたものでございます。
  14. 宮田早苗

    宮田委員 そうしますと、原子力開発科学技術庁ということになりますと、新機構は一体何をやる機構なのかということになるわけです。政府説明資料を見たりあるいは直接お話を伺いましてもどうも釈然としないところがございます。向こう十年間の財源がほぼ固まっておって、新機構石油代替エネルギー開発中核体といっておるわけですが、他の関係機関とはどのように連携を図っていかれるのか、この辺をひとつお聞きしたいと思います。
  15. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 きのうも御説明申し上げましたが、この機構技術開発部門もございますし、それからまだ技術開発という名に値しないと申しますか、それ以前の原理的な開発という部分もございます。そういう機関でございますから、大学の皆さんあるいは政府研究機関あるいは民間技術等を広く導入いたしまして、そしてそれを、技術部門ではきのうも申しましたようにできますればシステムエンジニアリングもできるようなプロジェクトによって、広く参加をお願いしまして、そして進めていくという行き方、それからそれにまだ該当しないようなたとえばローカルエナージーと申しますか、そういった種類のものは業務部あるいは総務部と申しますか、その方で扱うとか、いろいろございますけれども、要はいま御質問がございましたように、決して単なる官庁の延長の、補助金を出したりあるいは金融の道をつけたりという機関じゃなくて、官民当該部門に対する技術等を集結いたしまして、そしてこれを進めるというのが本体でございますので、どうしてもそのためには学界、民間活力あるいは政府研究機関スタッフ等をそれぞれやはり集合しませんと体をなしませんので、御質問にございますようにそういう面を集結して進めるというのが本旨でございます。
  16. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つは、これまで工業技術院でやってきましたサンシャイン計画、それから幾つかのプロジェクトがございますね。これら個々のプロジェクトが新機構にどのように引き継がれるというか、吸収されていくのかということなんです。と申しますのは、技術院予算書を見ますとサンシャイン計画は継続しておるわけでございますが、この点はどうでしょう。
  17. 森山信吾

    森山(信)政府委員 サンシャインの問題は後ほど工業技術院長から専門的なお答えを申し上げる予定でございますけれども、まず全体の流れを申し上げておきたいと思います。  大体石油代替エネルギー開発導入促進に関しまして幾つかの大きな流れがあると思います。その一つはただいま御審議いただいております法案でございますけれども、その法案の中には、御高承のとおり政府が閣議を経た上で供給目標をつくるという問題が一つございます。これは広く整合性のとれた供給目標でなければならないと思います。先ほど御指摘のございました原子力の問題もこの供給計画の中には当然入ってくる問題でございまして、原案作成通産大臣の権限でございますが、内閣総理大臣、具体的には科学技術庁長官の御判断を参酌しながら、私どもが総合的な供給目標をつくっていくということが一つ仕事ではなかろうかと思います。  それから第二番目には、導入の指針を決めまして、必要に応じまして指導、助言をするという流れがございます。  そういった流れに沿いまして、具体的に技術開発あるいは資源開発等を担当する中核体としての新エネルギー総合開発機構をつくりたいというのがこの法案の骨子であるわけでございますが、一言で申し上げますと、新エネルギー開発機構資源開発技術開発主眼になっておるわけでございまして、その技術開発も特に企業化促進する必要のある技術開発ということを主眼にしているわけでございます。したがいまして企業化をする前の段階、基礎的な段階につきましては各方面でそれぞれ担当していただきまして、それからそれが飛躍的に発展いたしまして企業化をする必要が認められる段階になりますと、この新エネルギー開発機構分担をする、こういう仕組みになっておるわけでございます。  先ほど御質問のございましたほかの研究機関あるいは大学等との関連はどうだということにも関連するわけでございますけれども、いわゆるベーシックな試験研究段階はそれぞれの専門の部局で、たとえば大学であり、特定の研究機関でありあるいは工業技術院サンシャインであり、そういったものに基礎的な段階研究をしていただきまして、そのうちから特に企業化を必要とするものになったものにつきまして新エネルギー開発機構へ移行して勉強させていただく、デベロップさせていただく、こういうのが流れでございますので、そういう流れをひとつ御理解いただきまして、それでは具体的にサンシャイン計画とこの新エネルギー開発機構との関係がどうなるかということにつきましては、工業技術院長からお答えをさせていただきたいと思います。
  18. 石坂誠一

    石坂政府委員 ただいま森山長官からお答え申し上げましたように、今度の新機構研究開発上の責任というものは、ある程度プラント開発段階に至ったものを実用化に結びつけるというところにあるわけでございます。したがいまして、工業技術院が担当しておりますサンシャインプロジェクトにおきましても全く同様でございまして、傘下の研究所で取り扱っているようないわば基礎的な研究、試験的な研究はそのまま継続してやらせていただく、ただしいろいろな基礎研究が実り、プラント開発に至ったものは現在は電源開一発に委託しておりますけれども、これをより強化する意味でこの新機構でやっていただく、こういうことになるわけでございます。
  19. 宮田早苗

    宮田委員 そうするとこの機構は、人材はもとより研究所を持ち、実験プラントやその実用化あるいはまた実証プラント建設する、そのような組織ではない、こういうふうに認識してよろしいですね。
  20. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、いわゆる基礎的な段階における試験研究はそれぞれの試験研究機関あるいは大学、国立の施設等でおやりいただくわけでございまして、それを企業化する前の段階、ある程度企業化のめどがついた段階で新機構分担をいたしましてそれを発展させていくということでございます。それがさらに具体的な企業化段階になりますと、これは当然に民間のそれぞれの分野で分担をしていただくということでございますが、それの中間的な段階といたしまして、場合によりましてはパイロットプラント等建設等につきましては新エネルギー開発機構分担をさせていただくということも必要なことではないかというふうに考えておりますので、それは研究の発展のプロセスに応じまして対応してまいりたい、かように考えております。
  21. 宮田早苗

    宮田委員 そうすると、一種のオルガナイザー的といいますか、こういう表現は適切じゃないと思いますが、予算執行権限を持ってプランを立て、この研究開発民間に委託してその評価をする、こういうふうに受け取ってよろしいですね。
  22. 森山信吾

    森山(信)政府委員 限られた人員と予算仕事をするわけでございますから、特定のノーハウの蓄積のあるところへ委託をしたり、専門の分野へまたその仕事を委嘱するというようなことは新エネルギー開発機構の責任においてやるわけでございまして、それをすることによりましてより効果が発揮できるという場合におきましてはいま御指摘のとおりのことを考えてみたいというふうに考えております。
  23. 宮田早苗

    宮田委員 財源問題は後で触れるといたしまして、この新機構がどういうものかということについては少しは理解がいったわけですが、それではサンシャイン計画は十年、動燃の新型炉は七年で計画を推進するわけですが、限定された財源で大プロジェクトを推進するわけですから、中間の五年目ぐらいまでの事業計画がなければおかしいじゃないか、こう思うのです。少なくとも五年後にはトータルでこのくらいの資金をかけて技術はこれくらいの段階にという年次計画がこの審議に際して必要だと思うのですが、その辺はいかがですか。
  24. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず新エネルギー開発機構業務を遂行するに当たりまして、その前提といたしましては先ほどお答え申し上げました供給目標というものが前提になるわけでございまして、この供給目標は、いまのところ大体十年くらいを見通した供給目標をつくらしていただきたいというふうに考えております。したがいまして、その十年間の展望のもとに新しい業務を担当するということになりますと、当然に一年ごとの計画では総合的な計画は遂行できませんので、ある程度中期的な計画というものを組まざるを得ないということは御指摘のとおりでございまして、新エネルギー開発機構を発足さしていただきました暁には、その新エネルギー開発機構におきまして私どもがつくります供給計画に沿った中期的な計画を作成するように、またその作成された中期的な計画に基づきまして業務を遂行するように指導をしてまいりたい、かように考えます。
  25. 宮田早苗

    宮田委員 新機構が発足しますと、民間の立場というのが非常に重要になると思うのです。それで、その民間活力の利用というものがうたってあるわけですが、これが新機構の命運を握ることになると私どもは思っております。さらに民間企業から新機構に対する評価、期待について調べてみますと、新機構にどのような人材を集めるかということ、それがうまく機能するかどうかが非常に懸念されておるようでございますが、機構の内と外で民間活力をどう具体的に活用されるのか、この辺もお伺いしておきたいと思います。
  26. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昨日もお答えしたところでございますけれども、新エネルギー開発機構の現在の内部機構を申し上げますと、理事長の諮問機関といたしまして運営委員会を設置したいというふうに考えておりますし、実施部隊といたしましては、特に研究開発部門につきまして技術開発本部というものをつくりたいというふうに考えているわけでございます。端的に申し上げますと、運営委員会は民間活力を引き出すための一つのポリシーボードであるというように考えておりまして、専門の方々を広い分野から人選をいたしまして、広く民間活力が引き出せるような運営委員会の仕組みというものをまず考えてみたいというふうに考えます。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕  それから、実際に業務分担していただく方々は主として技術開発本部へ集約的に集まっていただこう、こう考えているわけでございますけれども、御指摘のとおりどういう人材をそこに張りつけるかによりましてこの機構効果が左右されるものでございますから、できるだけ幅広い範囲でこの技術開発本部のスタッフは選任をしていきたいというふうに考えまして、単に特定の分野に集中するだけではなくて、広く各方面からの優秀な人材にこの技術開発本部には参加していただきたい。政府機関としての制約条件もございますけれども、待遇もできるだけりっぱなものにいたしまして、本当にりっぱな方がお集まりになれる仕組みをぜひ考えてみたいというふうに考えております。
  27. 宮田早苗

    宮田委員 新機構は、理事長以下役員構成ということになると思いますが、石炭鉱業合理化事業団を吸収しておるわけです。この事業団の理事、現在七人ということなのですが、これをそのまま引き継ぐようなことは考えていないかどうか、この点ひとつお伺いします。
  28. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在石炭合理化事業団の役員は、いま御指摘の七名の理事に加えまして、理事長、副理事長、監事を入れまして合計しますと十名いらっしゃるわけでございます。  ことし、五十五年度は、私ども代替エネルギー元年というとらまえ方をいたしておりますけれども、また別の次元で考えますと行政改革の年でもございますので、新しい機構をつくるということと行政改革という要素をそこで調和していく必要があるのではないかということを考えまして、新しい機構をつくりましても従来の役員をふやすということはいたさないという基本方針を持っておるわけでございますから、現在の石炭合理化事業団の役員の数と大体同じような数で新エネルギー総合開発機構を運営させていただきたいというふうに考えております。
  29. 宮田早苗

    宮田委員 本制度が発足いたしますと、石油代替エネルギー供給目標を閣議決定する、こういうことになるわけですが、そうした理由と、閣議決定する供給目標と総合エネルギー調査会の需給見通しの関連、これはどうなりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在ございます長期エネルギー需給暫定見通しは、御指摘のように総合エネルギー調査会で答申をいただいたものでございます。これは通産大臣審議会に諮問をいたしまして答申をもらっておるという性格のものでございます。したがいまして、形式的には政府の作成したものとは直接関係はないわけでございます。ただし現実の問題といたしましては、私どもはこの答申に基づきまして政策を立案していく、そのベースになる需給見通しでございまして、内閣にございます総合エネルギー対策推進閣僚会議等へもこの需給見通しを説明いたしまして、そういう意味で慎重な扱いをしているわけでございますけれども、何分にも形式的には政府と直接関係のあるものではないということでございます。そこでこれを一歩発展させまして、内閣の責任において供給目標をつくるということが必要になってきたのではないかという認識がございますので、通商産業大臣が一応の原案作成の責任者になりますけれども、それを内閣の責任で代替エネルギー開発を推進していく一つの基本的なベースとするためには、やはり閣議というところでこれをオーソライズする必要があるのではないか。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、内閣全体の責任において代替エネルギーについての供給目標というものをつくっていく必要があるのではないか。その中で先ほどもちょっと触れました原子力の問題あるいは他省にまたがります問題等の整合性を図っていく必要があるのではないかということから、閥議でこれを決めるというふうな決断をしたわけでございます。
  31. 宮田早苗

    宮田委員 次に、石油代替エネルギーのうちの、原子力に次いで重点が置かれておりますのは石炭でございますので、その石炭の問題について二、三点お伺いいたしますのは、新しい制度で一般炭の開発輸入体制整備強化がうたわれておるわけですが、しかし石炭の輸入は、現在でも原料炭は鉄鋼業と商社、一般炭は電発、それから商社あるいは国内の石炭業界がそれぞれかかわっておるわけでございますが、新しい機構ができてもその形態が大きく変わるとは思えないのですが、一般炭の開発輸入の現状と、体制が変わるというのでしたらどう変わるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  32. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  第一点の輸入のあり方でございますけれども、現在原料炭につきましては鉄鋼、ガス業界等が直接輸入をしております。一般炭につきましても最終需要者であります電力、セメント業界等が直接輸入するということでございます。今後の増大する一般炭の輸入は、先ほどお答えいたしましたように電力、セメントでございますが、新機構が設立せられましても需要業界が従来どおり直接輸入するという方式でございます。  開発の現状でございますが、現在輸入しておりますのはほとんど原料炭でございます。この原料炭の輸入は約五千万トンございますが、そのうち約二ないし三割は開発輸入方式でございます。今後の問題を考えますと、現在すでに新規開坑の準備をしておるもの、調査をしておるものが約十件ほどございます。したがいまして、これを今後の需要増大に向けて早急に開発を進めていかなければならないということでございます。従来は開発につきましての助成は石炭企業とジョイントベンチャーなり、組むものに限っておりましたが、今後はこれを商社とか他のエネルギー産業等に広めるということで制度改正をしている状況でございます。
  33. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つは石炭の液化技術開発、これの目玉は何といってもアメリカ、西独と共同開発に当たりますプロジェクトであると思うのです。新年度の予算でも政府出資が計上されておるわけですが、聞くところによりますと、わが国企業主体が決まっていないというように聞いておりますが、どういう手順で進められるものか、その辺をお聞きいたします。
  34. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  この研究は日、米、独一二国の共同事業ということで進めるわけでございます。しかしながら、研究の主体はあくまでも民間ベースであろうということで、三国で共同してつくります国際ジョイントベンチャー、これが核になって仕事を進めるわけでございます。その国際ジョイントベンチャーに、日本国内にまたジョイントベンチャーをつくりまして、それが参画をしていくということでございます。この日本のジョイントベンチャーのあり方としましては、ナショナルプロジェクトにふさわしい性格を持ったものにするということで、現在その準備が進められている段階でございます。近くその体制整備できるだろうということを期待しておるわけでございます。
  35. 宮田早苗

    宮田委員 そういうことで石炭企業をどう活用するかということが大きな課題というふうに思っておるわけです。また電力各社で設立いたしました石炭資源開発株式会社、さっきジョイントベンチャーというふうにおっしゃいましたが、こういうこともお考えかどうか、需要家ということからこのプロジェクトに絡ませるというお考えがあるのかどうか、その辺をお聞きいたします。
  36. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  このプロジェクトは一番先端的で先に進んでおりまして、もう実証プラント段階ということでございます。したがって、やはり将来はこれを合成油産業に持っていくということも念頭に置くということで、三国で話し合っているわけでございます。したがいまして、国内のジョイントベンチャーにはユーザーが入っていただくような要請をいましている段階でございます。
  37. 宮田早苗

    宮田委員 次に、代替エネルギー開発にとりまして最も重要なことは財源だということは言うまでもございませんが、承りますと、新しい財源となりました電源開促進税は、十年間で、アワーの伸びを計算に入れて合計一兆四千五百億円ということですが、原子力開発を含めた開発費として、将来促進税を引き上げるようなことは心配しなくても済むのか、この辺通産省それから科学技術庁、両方の方々にお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  38. 森山信吾

    森山(信)政府委員 財源につきましては、私どもが一応通産省といたしまして積算をいたしたところによりますと、五十五年度から六十五年度までの十一年間に約三兆円というふうに考えておるわけでございます。その内訳は、いま御指摘のございました電源特会の分担が約一兆五千億でございまして、それから石炭石油特別会計の方が約一兆五千億ということでございます。それぞれ六十五年度までの供給面での伸びというものを想定いたしまして、いま原案として出しております単価を掛けまして、この数字をはじいておるわけでございますけれども、一方、支出面につきましても大体それに見合う支出を計画いたしておりますので、現在のところ収支は相償うんではないか、こういう見通しを持っている次第でございます。
  39. 高岡敬展

    高岡政府委員 お答え申し上げます。  私ども原子力開発を担当している科学技術庁といたしましても、大体十年間程度の長期的な資金の見通しを立てて検討しておるわけでございますが、電源特会の多様化勘定でいま私ども考えております制度がお認め願えますれば、原子力開発で、その中で特に目的税をもって充てるような実用化直前の開発業務を進める資金の手当てということはおおむねできるというふうに考えております。ただ、原子力開発でございますので、実用化直前の開発と申し上げましても、必ずしも予定どおり進むとは限らないというような事情もございます。たとえば、これは開発自体の技術的な不確定さということもございますし、それから大型の施設になりますので、地元の御協力を得ぬといかぬというようなこともございます。でございますから、多少変動要因がございますけれども、そのあたりは流動的といいますか、柔軟に対応していく必要があるということは考えておりますが、一応この財源原子力開発は進められるというふうに考えておるわけでございます。
  40. 宮田早苗

    宮田委員 中長期のエネルギー開発にはリスクありあるいはまた技術の革新ありで、予測がきわめてむずかしいことは理解できるわけです。  そこでお伺いいたしますのは、目的財源でスタートさせる代替エネルギー対策に多少の財源の融通を図るということで、諸勘定間の移動は可能なのかどうか、この辺をちょっと聞いておきたいと思います。
  41. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御質問の御趣旨が、電源特会に電源多様化勘定あるいは電源立地勘定という二つの勘定がございますので、その勘定間の移動が可能であるかという御趣旨だというふうに了解いたしましてお答えを申し上げたいと存じますが、特会法上は、一応電源特会の中の両勘定の区分につきましては明確な規定を持ってないわけでございます。したがいまして、私どもは一応特会法上の制約条件はないというふうに考えておりますけれども、そこにある種のルールといいましょうか、枠といいましょうか、そういったものの考え方をとっておく必要もあろうかということでございますので、現在は電源立地に関します資金につきましては立地勘定に、それから電源関係での代替エネルギー開発に関する分につきましては多様化勘定で支出をしていくという、一応の区分をしておるというふうに御理解を賜りたいと思うわけでございます。  なお、石油につきましても、石炭石油特会の中に石油及び石油代替エネルギー勘定というものを設けておりまして、これにつきましては石油石油代替エネルギーの対策を総合的に遂行するということから、勘定を一本にしておるということでございます。
  42. 宮田早苗

    宮田委員 今後も質疑のチャンスがございますので、本論については次の機会にいたしますが、せっかく行政管理庁の方に御出席を願っておりますのでお伺いいたしますのは、私は、これまで指摘してまいりましたように、新機構がどう機能していくかということについてかなりの問題点がある、こう思います。通産省内部では整理できた上での新機構であるわけですが、行管庁としては行政改革の趣旨を踏まえながらこの新機構を認めるに至った経緯、それを御説明願いたいと思います。
  43. 鈴木昭雄

    ○鈴木説明員 先生いま御指摘のとおり、行政管理庁といたしましては特殊法人を含めまして機構の拡大抑制というような役割りを持っておりますし、特に昨秋来行政改革というのは政府の非常に重要な課題となっておりましたので、新機構を新設するに当たりましてはきわめて慎重な検討を行ってきたわけでございます。その結果、一つには、先ほど来通産省の方から御答弁ございましたように、石油代替エネルギー開発、これが非常に重要な政府としての課題である。そのためには中心的な機関がどうしても必要だというような御意見が非常に強かったということ。それからもう一つは、いわゆる行政改革的な観点から申し上げましても、新しい機構がきわめて簡素な、合理的な形で発足するという見通しが立ちましたし、かっこの新機構の設立とあわせまして、石炭鉱業合理化事業団の廃止及び中小企業関係の二事業団の統合ということで二法人の減、新機構の設立がありましても純減一というような形になる見通しが立ちましたし、その他役職員等の関係でもいろいろ合理化が図られるという見通しが立ちましたので、行政改革的な面でもその趣旨を全うすることができるだろうということで、これを認めるということになった次第でございます。
  44. 宮田早苗

    宮田委員 最後にお聞きしたいことは、新機構が新たに行おうとしております事業計画の中で、この機構になじむのかどうか疑問に思われるのがございます。その一つは、ソーラーシステムの普及促進のための基金造成補助事業、これです。通産省が住宅ローンを扱うことになるのですが、既存の制度に乗せるべきだと思うのですけれども、この辺はどうですか。
  45. 児玉清隆

    児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  実はソーラーシステムの普及促進の助成で、いま御指摘のように基金造成を行うわけでございますが、これは新機構とは絡ましておりません。あくまでも新機構の外で広く一般的な助成といたしまして、お金の方は勘定からいただきますけれども対象としては非常に広いものでございまして、機構で特に取り扱うというものに含めておりませんで、一般の行政的な助成措置ということでやろうというふうに考えております。
  46. 宮田早苗

    宮田委員 終わります。
  47. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて宮田早苗君の質疑は終わります。  引き続いて石野久男君の質疑に入ります。石野久男君。
  48. 石野久男

    ○石野委員 大臣にお尋ねしますが、この機構を私はこういうふうに思うのです。第一次石油ショックのある前の日本は、石油のために国内のエネルギー源になるべき物質をみんな排除してしまって、そしてそれによって一定の高度成長を国民に味わわせた。そこへ石油ショックとなった。したがって、国民の生活に効用を与えた石油がなくなっちゃったものだから、この際その石油になるべく国内でかわるべきものとしていろいろなものを入れようというためにこの法律案ができてきている。端的に言えば捨てたものをもう一遍拾い出してこようという国内でのエネルギー自給のための法律案だ、こういうふうに大ざっぱに見ていいのではないかと思うのですけれども、違いましょうか。
  49. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 エネルギー文明の跡をたどりますと、おっしゃるように石炭エネルギー時代から石油エネルギー時代に入って、日本もその恩恵を受けまして経済を伸ばしてきたわけでございますけれども石油自体の賦存量等から見ましても、従来のような考え方だけではいかぬぞというのが数年前から叫ばれてきまして、そして第一次ショック以来この問題が深刻になってきて、今度の第二次石油ショックの時代に入ったわけですけれども、私は、それなるがゆえにいままで捨てておったものをただ再生するという意味ではなくて、油がそういう状況であるならば、それにかわるものとして何を考えていくかということは、これはやはり一つの新しい時代に入ったのじゃないかと思います。  もちろん従来使っておった石炭をさらにもう一遍見直すということは、お説のように捨てたわけじゃないのですけれども日本の石炭はもう賦存状況から見ましても、深部採掘状況から見ましても、これ以上ふやしていくのは無理なようでございますから、これは捨てたという意味じゃなくて、もうそのもの自体が天然現象としてそういうふうになっちゃったというようなことだと思います。したがって、海外のまだ未開発の石炭を開発するというのは、決して捨てたものを再生するという意味じゃなくて、やはり新しく開発していくという範疇に入るものじゃなかろうか。LNGしかり、原子力しかりあるいはホワイトエネルギーと申しますか、消滅しない天然の太陽熱とか風力とか地熱等を取り出してくることも、これは新しいエネルギーでございますので、そういう意味で決して捨て去ったものをこの際またもう一遍再生するという意味だけじゃないんだ、新しいスタートラインについたものだ、こういうふうに私は考えております。
  50. 石野久男

    ○石野委員 新しいエネルギー開発する、そういうことのための一つの手段としてこの機構ができる。新しいものをエネルギー源として得ようとする場合に、国内で得る場合と国外で得るということとございますが、この法案は焦点をどちらに置いておるんでしょうか。
  51. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 国内とか国外という範疇を考える前に、油がもう輸入限度が決められつつございますので、油の入手というものは、限界はこれだけだ。そういたしますと、全体のエネルギーの需要から考えまして、その足らず前は何かで補てんしなければ国民経済を持っていかれないのは明瞭でございますので、国民経済を伸ばそうとすればほかのエネルギーで補てんする以外にない。補てんしていく場合に、きのうも申し上げましたように、エネルギーの問題は、単にこういうものがありますよというだけでは何の役にも立ちませんので、そうではなくて、何年にはどのくらいの量が賄えるかという時間とマスがかみ合わぬとエネルギー政策にならぬことは御承知のとおりでございます。したがいまして、何年間に足らず前のものをどうして賄うかということになってきますと、それは何といっても原子力とか石炭とかLNGであることは間違いございません。  しからばそれだけかと申しますとそうじゃないのでございまして、やはりそれを補完するものとして、ホワイトエネルギーと申しますか、ソフトエネルギーと申しますか、そういうものも考えつつ、将来時間がたってきますれば数量的にもいま天然に賦存する、天然と言っちゃ語弊がありますけれども、天然ガスとかあるいは石炭にさらにまた代替していく将来の一つエネルギーとして大きく伸びていくだろう、こういうことでございますので、決してこれは国内とか国外とかいう範疇じゃなしに、一つエネルギーを供給補てんしていく、安定供給する、その道いかんというところからおのずからそういうふうにできていくんだ、こういうふうに考えてございます。
  52. 石野久男

    ○石野委員 よくわかりました。  そこで、この法案石油代替といっているわけですが、石油にかわるものだけを考えるのであって、石油そのものについては全然考えないという意味ですか。
  53. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 十カ年後に、いま七〇%から七五%くらい占めている油を五〇%くらいまで下げたい。ですから、その二〇%から二五%のボリュームを何で見るかというのが当面の仕事でございます。しからば、その残った五〇%というのは油が確実に入手できるのかというところに大変問題があるわけでございまして、それに対しましては世界的な意味からおのずから輸入量の天井も決まってきましょうし、また、国内で、日本の力でみずから開発しあるいは供給源を分散してさらに入手をふやすという道もあろうかと存じますが、いずれにいたしましても、油というものを全然無視するというわけじゃなくて、十年たっても半分はやはり油に頼らざるを得ませんので、油に対する供給を各方面から考えまして、それを達成するようにいまから用意するのが当然の道かと考えます。
  54. 石野久男

    ○石野委員 油が足りなくなったのだから、その代替エネルギー開発するというあるいは導入するというのでこの法案を出すのですけれども石油そのものについてどうするかということは、別途またこの法案とは別に、不足したものをどう補うかということについての法律的対策はする用意があるのですか。
  55. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これは申すまでもなしに、節約とかあるいは備蓄とかあるいはいわゆる安定供給と称する方法が当面考えられるのは当然でありまして、その三者とも進めますが、なかんずく安定供給に関しましては、先ほどもるる申し上げましたようによそから供給を仰ぐという道だけでなしに、みずから海底油田等を開発してそして供給を図るということも当然必要でございますから、そういう点も考えてございます。
  56. 石野久男

    ○石野委員 その石油開発の問題については、この法案は全然関与しないのですか。
  57. 森山信吾

    森山(信)政府委員 事務的に私からお答えを申し上げたいと存じますが、この法案の第三条に「石油代替エネルギー供給目標」という規定がございまして、「通商産業大臣は、総合的なエネルギーの供給の確保の見地から、石油代替エネルギー供給目標を定め、これを公表しなければならない。」こういうことでございまして、いま石野先生から御指摘のございました石油の問題は、実はこの条文で絡んでくるというふうに私ども考えております。つまり、代替エネルギー供給目標をつくる際のベースになりますのは、一つは成長率をどう見るかという問題、それから石油の供給をどう見るかという問題がございますので、単に石油代替エネルギー観点からだけの供給目標ということではなくて、いま申し上げました二つの点を絡ませた供給計画ということでございますので、現在御審議いただいておりますこの法案の中に石油がどう絡むかという問題になりますと、いまお答えしたようなことになろうかと思います。  そこで、それでは具体的にこの供給目標の中で予想されます石油の確保についてどうするかという問題になりますと、これは別個の観点から石油政策の展開を行わなくちゃならないだろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、先生よく御高承のとおり八〇年代のエネルギー政策の柱は三つでございまして、一つ代替エネルギー開発一つは節約の問題、もう一つ石油の確保、こういう問題でございますので、いま御審議いただいております代替エネルギー開発につきましては、その三本のうちの一つの重要な柱ということでございますので、当然に石油対策、石油政策との絡みで代替エネルギー政策も展開されていくべきではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  58. 石野久男

    ○石野委員 その絡みでやるということになり、しかも第三条の供給目標、後でまたお聞きしたいのですが、その供給目標との絡みがありとしました場合に、この業務ですね。業務の中には石炭などは相当なにしているけれども石油は全然この業務の中に入っていません。もちろん石油の代替ですから石油は入らないということは言葉の意味としてよくわかりますけれども、しかしこの法案を出すという意味は、石油がなくなったから代替の方策を考えるということですけれども石油がなくなったということは海外からの輸入と国内生産との現状の面だけでなくなったのであって、たとえば国内でうんと生産ができてくればこの法案はなくてもよくなるとか、あるいは海外から輸入がうんとふえてきて、安定供給ができるようになればこの法律案はなくなるというような、そういう意味でこの法律案はできているのかどうかということについてはどうですか。
  59. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在御審議を賜っております法案につきましては、確かに石油代替エネルギー開発の目標を掲げまして導入を図っていこうというのが前提になっているわけでございますけれども、その背景にございますのは、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、日本エネルギー構造を変えていこうというねらいがあるわけでございまして、過去のエネルギー構造の変化にどう対応していくかという問題が実は一番大きな問題ではなかろうかと思っておる次第でございます。  したがいましていま御指摘の、国内での石油開発が急速に進んだ場合、あるいは海外からの石油の輸入が非常に順調に進んできた場合というものも一応想定はできないわけではございませんけれども、いま中長期的に見まして、世界的な動向等、世界におきます石油あるいはエネルギーの需要構造というものとの絡みを考えますと、ここでいち早く日本エネルギー構造を切りかえていく必要があるのではないか、こういう問題意識があるものでございますから、私どもはあえてこの法律を上程さしていただきまして御審議をいただいているというふうに考えている次第でございます。
  60. 石野久男

    ○石野委員 そうしますと、この法律案というのはわが国におけるエネルギーの自給の率をいかにして高めるかということを内包する法律だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  61. 森山信吾

    森山(信)政府委員 食糧にいたしましてもエネルギーにいたしましても、自給率はできるだけ高い方がよろしいという気持ちは私どもも持っているわけでございます。しかしながら、いまの日本エネルギー構造あるいは世界のエネルギー構造を見ました場合に、果たしてその自給率の面だけで構造的なアプローチをすることがいいのかどうかという問題もございますから、その辺につきましては十分慎重な配慮が必要になってくるのではないかということでございまして、私が先ほどお答えいたしましたエネルギーの構造を変えていかなくちゃいけないという問題は、石油に依存し過ぎている、七五%という、特定のエネルギー源に依存し過ぎているという構造を変えていきたいということでございまして、できるだけ多くのエネルギー源に構造的に依存をしていく、そういうパターンに切りかえていきたいという問題でございまして、ダイレクトに自給率の問題と結びつくことではないのではないか。できるだけ自給率を高めていくという願望はございますけれども、その自給率の問題だけで構造的なアプローチをしていきますとやや問題があるのではないかな、こういう問題意識を持っております。
  62. 石野久男

    ○石野委員 大臣にお聞きしますが、いま長官からそういうお話を聞きましたが、やはりなるべく種類を多くして供給の保証にしたいという意味はわかりますけれども、基本的には石油というものが国内産は少なくて輸入が多いのだ、したがって頼り得ないものがあるということに対して、日本の安定感を得ようとするということが基本だろうと思うのです。どんな種類にしても、たとえば石炭にしてもあるいはその他のエネルギー源をたくさん見つけ出したとしても、それが国外のものであって国内で安定供給ができないということになればいつでもこういう事態が出てくるだろう。だから、一〇〇%自給はできないけれども、可能な限りその国の存立ができる限りの自給率を確保しようという願望がこの法案の中になかったら意味がないのじゃないかと私は思いますけれども大臣、それはどういうふうにお考えになりますか。
  63. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 極端に考えますれば、核融合ということになりますと二重水素、三重水素でありますから燃料は深いし、あるいは水素エネルギーというものが中心になってくれば水でしょうし、太陽光線から電力をとるとすれば無限にとれます。そういう時代が一番日本にとって好ましいわけでありまして、それを目指して進んでいることはもう間違いございません。ですから、ただそういう時代を想定しますと、どうしてもこれは二十一世紀の相当進んだ、初頭というよりも、初頭から相当進んだ時代にならぬとそういう時代にならぬわけでございますので、いまそれを言ってみても始まりません。ですから、自給率を高める云々という問題も確かに重要なファクターではございますけれども、むしろ日本に一番豊富なエネルギーを取り出すということであれば、それでいけば一〇〇%日本でやれるわけですけれども、すぐその段階まではいけませんので、さっき申しましたように順序を踏んで、そうしてだんだん自給率が高まっていくという過程をたどるのではないかと思っております。
  64. 石野久男

    ○石野委員 いずれにしましても一〇〇%自給率はとても充足できるものではありませんから、漸次自給の率を高めていくという方向にあることは間違いありませんが、それにもかかわらず石油はここ五年や十年ではもう問題じゃないというわけにはいかないので、石油を確保しなければならぬことだけは間違いないと思うのです。  この法案が出ているこの時点で、日本石油の多くを依存しておるイラン、これがアメリカとの関係で国際的にも問題が非常に厳しいものになってまいりましたが、日本の当面の石油供給ということで、アメリカのカーター大統領が昨日宣言をした対イラン政策、この問題と絡んで日本石油への安定的施策というものを大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  65. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたが、イランからの日本原油の輸入量というものは一割強を占めておりまして、大変重要な供給地点であることは間違いございません。したがいまして私どもといたしましては、これの継続的な入手ということが望ましいことはもちろんでございますけれども、さらばといってお話しのような事態になったわけでございますから、当面は米国とイランとの関係推移等事態の進展を注意深く見守りつつ慎重に対処していきたいという気持ちでございます。
  66. 石野久男

    ○石野委員 そういうような気持ちであっても事態はどういうふうに動いていくかわからないし、対処する方策を真剣に考えなければまいってしまうんじゃないかなというふうに思うのです。  外務省来ておられるけれども、外務省はどういうふうな考え方でおられるのですか。
  67. 渡辺陽一

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいま佐々木通産大臣お答えになりましたように、米・イラン関係の推移を慎重に見きわめながら、また欧米諸国、特にヨーロッパの友邦諸国の動きも見ながら慎重に対処する方針でございます。現在関係各省間で鋭意検討を行っております。
  68. 石野久男

    ○石野委員 この問題は、渡辺課長さんはいまそうおっしゃるけれども、外務大臣はどういうふうに言っているか、内閣総理大臣はどういうふうに見ているか知りませんが、それよりも、もしあなた方が予想されないような事態で、強引に外務省あるいは国にアメリカの政策に協力せよというような事態が出たときに、外交政策はともかくとしてもエネルギーの問題ではすぐ対策を講じなくちゃならない事態になるんじゃないかと思いますが、大臣はその点はどういうふうに見ておられますか。
  69. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そういうふうにならないように、いま外務省からもお答えございましたように、米国あるいはヨーロッパ等の諸国との連絡を密にしつつ、人質の解放を含めて早期に解決するように努力するというのがただいまの態度でございまして、それがいよいよ油が来なくなったらそのときはどうするかというところまでこの際は考えずに、詰めないで、早期に解決することに努力をするという段階でございます。
  70. 石野久男

    ○石野委員 詰めないで考えると言っても、イランの方ではアメリカの要請に協力するものには油を出しません、こういうふうに言ってきておることについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  71. 森山信吾

    森山(信)政府委員 イランの問題につきましては先ほども私からお答え申し上げまして、二つ局面があるというふうに申し上げましたが、その一つは、ただいま石野先生から御指摘の、アメリカとの国交断絶の問題に絡みまして、イラン原油の手当てをどうするかという問題がございます。この点につきましては、外務省当局からもお話がございましたように慎重な配慮をするということでございますけれども日本の立場というものをやはりアメリカに強く理解をしてもらうという姿勢も必要ではないかと思うわけでございます。  現在イランから買っております原油は、ダイレクトディール、いわゆるDDで買っておりますのが一日当たり約五十三万バレルでございます。それからメジャー経由で入っているものを加えますと約六十万バレル・パー・デーが日本に入っておるわけでございまして、これは日本原油輸入の一三%になります。これを全面的にカットされるということになりますと、これは日本の問題のみならず世界的な大問題になりますので、その点につきましてはアメリカも十分な理解を持っておるというふうに私ども考えているわけでございます。ただ問題は、イランの油を今後どうするかという問題、これは価格問題あるいは支払いの通貨の問題等々があろうかと思いますので、その点につきましては私どもも慎重な配慮をする必要があるのではないか。  第二点は、いま申し上げました支払い通貨の問題ではなくて、今後値段をどうするかという問題と絡んでくるわけでございますが、御高承のとおり四月一日から二ドルないし二ドル五十値上げをするという通告がイランの方からあったわけでございます。現在三月までのイラン原油価格GSPで三十一ドル、それにプレミアムが乗っておりますから三十二ドル五十でございまして、三十五ドルということになりますとこれは大変な問題になりますから、その点の方が大変な問題ではなかろうかという問題意識を持っております。
  72. 石野久男

    ○石野委員 長官はそう言っているけれども、そういう値段の問題じゃないんだよ。国交断絶した、そしてアメリカのなにに協力したものには油を送りません、こう来る。だから値段も何もないのですよね。問題はアメリカの要請に政府はこたえるのか、イランが協力したものには油を送りませんと言っても、アメリカの要請にこたえて対イラン政策をとるのか、それとも油の問題は日本イランとは特殊の関係にあるから、アメリカ了解してくれるという立場でイランの問題を処理されようとしているのか、そこをはっきりしてくれというわけです。それでなければこんな代替エネルギーなんといったって、一割も占めておるようなところでふらふらしちゃって安定感が出なければ、こんなものくそにもならないでしょう。
  73. 森山信吾

    森山(信)政府委員 価格の問題が大した問題じゃないという御指摘でございましたけれども、実は大問題でございまして、価格の問題を野放しにしておく状態におきましてアメリカ了解を得るということは大変むずかしいというような基本認識を私ども持っているわけでございます。
  74. 石野久男

    ○石野委員 じゃ長官に聞くけれども価格問題をあなた方がうまく折衝できればアメリカはそれで認めてくれる、アメリカがあなた方にイランとの交渉はよろしゅうございますよということで認めてくれるという自信があってそうおっしゃるのですか。
  75. 森山信吾

    森山(信)政府委員 これは外交上の問題でございますから、あるいは私から申し上げるのが適当であるかどうかわかりませんけれども、あえて資源エネルギー庁長官の立場で申し上げますと、先ほどもお答えいたしましたとおり日本が現在イランから買っておりますのが一三%ございます。これがカットされるということになりますと、日本に大問題を起こすのみならず、世界の供給構造に大きな変化をもたらします。したがいまして、その点を慎重に配慮してほしいということは日本として強く主張すべきものではなかろうか。同じようなことはヨーロッパ諸国においても同じような事態が起こっておるわけでございますので、その点に関しまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、種々の客観情勢を慎重に見きわめつつと申し上げましたのは、そういう趣旨を申し上げたのだというふうに了解いたしておる次第でございます。
  76. 石野久男

    ○石野委員 このように供給構造に大変な変化がくるから、アメリカ日本に対して対イラン問題についての要請はその部分だけは別枠として許します、あなたの答弁はそういうふうに私の方に入るわけですよ。アメリカはそういうような処置をするというふうに自信を持って御答弁なさいますか。
  77. 森山信吾

    森山(信)政府委員 これは先ほどもお答えいたしましたとおり外交上の問題でございますから、日本の主張すべきことは主張する必要があるのではないかということを私はるる申し上げた次第でございまして、現在どういう状態になっておるかは別問題でございます。
  78. 石野久男

    ○石野委員 日本の主張すべきことはどんどん主張すべきなんです。それは結構なんですよ。だけれどもアメリカイランに対しては協力をするなということを要請してきているのでしょう。それからイランの方では、アメリカに協力するものには油は出さない、こう宣言しているのでしょう。そうなると日本はどちらかへつかなかったら、どちらへもうまく話のつくような道筋をお持ちなのですかどうかということを私は聞いているのですよ、大臣ひとつ。
  79. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 くどいようですけれどもアメリカ並びにヨーロッパ等の友好国との連絡を密にして、その動向を見詰めつつ慎重に対処したい、こういうことでございます。
  80. 石野久男

    ○石野委員 私どもは新聞を見ておって心配しているから聞いているのですよ。イランアメリカに協力したものには油を送りませんよ、こう言っておるのだ。それからアメリカは、イランに対して制裁を加えるために友好国に協力を求めてきておるのでしょう。求めてきていないのですか、どうなんですか、その点をひとつ。
  81. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いま慎重に考慮しつつございますということを申し上げておるだけで、それ以上の御答弁は無理でございます、それは。
  82. 石野久男

    ○石野委員 来ているのでしょう。要請があるのでしょう。アメリカから日本に対して、対イラン政策への協力を求めてきているのでしょう。
  83. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 外交的な詳しい内容は存じませんけれども、ただいま申し上げましたように、事態がああいう事態になりましたから、わが方といたしましては先ほど来繰り返して申し上げるように、アメリカ並びにヨーロッパの友好国と緊密な連絡をとりつつ、事態に慎重に対処したい。慎重に特に意味を持ったというふうに……
  84. 石野久男

    ○石野委員 大臣答弁をそらさないでください。  私の聞いておるのは、アメリカから日本に対して対イラン政策に協力してほしいという要請が来ているのでしょうということを聞いている。外務省どうなんですか。
  85. 渡辺陽一

    渡辺説明員 お答えを申し上げます。  米国が国家安全保障会議を開きまして、カーター大統領がイランに対する新たな政策を発表いたしました。日本、東京におきましては、マンスフィールド米国大使が高島外務次官を来訪しまして、三点高島次官に申し越されております。  第一点は、カーター大統領が今般とりました措置の説明でございます。これは外交関係の断絶、それから食糧、医薬品以外の全面的な禁輸。それから第二は、日本がこれまで米国に対して与えてきました支持に対する謝意の表明でございます。それから第三点は、人質解放のための米国の努力に対して一般的な支持を与えてもらいたいという要請の三点でございます。
  86. 石野久男

    ○石野委員 その人質解放に対する一般的支持というのは、どういうことを内容としているものですか。
  87. 渡辺陽一

    渡辺説明員 米国の従来行っております人質解放に対する努力、これは選択の幅が非常に狭くなっているわけでございますけれども、この努力に対してまさに一般的な支持でございまして、そのために具体的にこうしてくれああしてくれということは聞いておりません。
  88. 石野久男

    ○石野委員 その具体的なことはないということの中には、石油イランから日本はどんどん買ってもよろしいというふうに読み取ってもいいということが内容になりますか。
  89. 渡辺陽一

    渡辺説明員 一般的支持の要請の中に、日本がどんどんイランから従来どおり石油を買っていいかどうかということをそのまま読み取れるかどうか、これははっきりわかりません。
  90. 石野久男

    ○石野委員 これは委員長にちょっとお願いしますが、いまの御答弁だと私どもが一番心配していることがわからないのですよ。これちゃんとはっきりしてもらわないと、こういう法案審議するについても、これはたまたま今日の時点だけじゃないのです。将来にわたって日本石油に相当依存しなければならないという実情は依然として消えていません。この代替エネルギー法案が出まして、私どももやはりこの国のいま七五%という石油を六〇%、五〇%、三十何%までにしていきたいという願望があるけれども石油がなければ日本はやっていけないということがはっきりしているのですから、アメリカ日本に対する要請の中で石油にかかわる問題がはっきりしないようなことでは困るので、はっきりしてもらいたい。
  91. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そういう点も含めまして、まだはっきりした問題ではございませんから、慎重に事態を見守りつつ対処したいと申しているのであります。(発言する者あり)
  92. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 速記を始めてください。  ただいま理事間の協議によりまして、石野君の質疑は保留することといたします。  この際、渡辺三郎君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺三郎君。
  94. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 先ほど、同僚の石野委員の質問に対する政府側の答弁がきわめて不明確であり、かつ、質問に対する答弁になっておらない、こういうふうな判断をいたしますから、この際質問は保留をしまして休憩に入っていただきたいと思います。休憩後、午後の冒頭に通産大臣を含め、外務省の責任者の御出席を願って、先ほどの質問に対する明確な答弁を求めたい、このように考えます。  同時にまた、本法案はきわめて重要な案件でありますから、それにしては特に与党の委員の出席が非常に少ない、これはきわめてまずいと思います。したがって、正式に委員会が成立するような手配を委員長のもとでお考えをいただきたい。  そういうことで休憩に入りたいと思いますが、お諮り願いたいと思います。
  95. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 それでは、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  96. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑に入るに先立ち、先刻の石野君の質疑に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。外務省手島経済局長
  97. 手島れい志

    ○手島政府委員 米国がこのたびとりました措置に関連いたしまして、米国よりの内容の説明と、従来日本が米関係におきまして、米国にとりまして協力をしていたことに対する評価の言葉を、昨日マンスフィールド大使が外務次官のところに来てしたわけでございますが、そのときに米国のとりました措置に関連いたしまして、日本側に対してもこれに対する一般的な支持をお願いしたいというようなことでございます。けさの御審議におきまして、たとえばイランからの石油の輸入を抑えてくれというような具体的な要請があったかという御質問があったやに伺っておりますけれども、そのような具体的な要請は現在のところアメリカ側から受けておりません。
  98. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私に対しましては、対処方法はどうだというお話でございましたが、対処方針に関しましては、対外的な影響の大きい問題でもございますし、諸外国の動向をいま見守りつつ慎重に検討中でございます。検討内容につきましては、内容自身がまだ未定でございますので発言を差し控えさせていただきます。
  99. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 それでは質疑を続行いたします。石野久男君。
  100. 石野久男

    ○石野委員 手島局長から、アメリカの一般的支持を得たいという要請はあったけれども、具体的に油をどうせいこうせいというようなことは言われていませんという御答弁でございました。これはけさほどの課長さんの御答弁でもそのようにお聞きしたわけです。そういう具体的な内容はなかったとは言いつつも、イランの方では、アメリカに協力するものに対しては断固たる処置をとるということを明確に声明されている。そういう事情の中で、油の問題は日本にとって非常に大事だ、大事だからこそ代替エネルギー開発に関するこういう法案がいま出ているわけでして、われわれにとっては、わが国の所要の油の輸入の一〇%をイランに依存しているということをけさほどからるる述べられているという実情にもかんがみて、カーターのイラン断交という問題と、イランアメリカに協力するものに対して断固たる処置をとるという声明と、この中に立った日本政府イラン油の問題に対してどう対処するのかということの明確な政府の方策をお聞きしているわけでございますから、いまのお話では私の質問に対するお答えになっていませんので、私のいま質問申し上げた点についてもう少し明確な御答弁をいただきたい。
  101. 手島れい志

    ○手島政府委員 御指摘のように、イラン石油わが国の経済にとって非常に重要な位置を占めていることは私どもも認識をいたしております。そういうこともありまして、その点も十分踏まえた上でこれからとるべき措置を検討していかなければならないと認識しておりますので、これからアメリカイランとの関係がどのように発展していきますか、あるいは西欧諸国がどのような応対ぶりを示すかというような点も十分注視しながら検討をいたしていきたいと考えます。  他方、イラン石油自身について申しますと、昨年来日本側といたしましても自主的な判断で、現在のイランアメリカ状況を利用して日本が漁夫の利を占めるようなことはしないようにするとか、あるいはこれはイランだけの問題ではございませんけれども、世界的な石油価格動向にも配慮しながらイラン石油の買い付けを行っていくとか、そういったような、日本側が従来とっておりました政策は引き続きこれを継続していくというようなことになるだろうと思います。
  102. 石野久男

    ○石野委員 従来のイランの油についての折衝の過程、そういうようなものを私がお聞きするのはまた他日にしまして、今日の段階としては、アメリカに協力すればイランはもう経済的な側面でも一切の問題について厳しい態度をとるということを明確に声明しております。それからアメリカは、イランに対する何らかの接触はなるべくやらないようにしてくれ、一般的な支持をアメリカに与えてほしいということの中に油の問題は除外されるのかどうかということ、もし除外されないとするならば、日本としては、アメリカの側の意見を聞けば油は入ってこない、油を入れようとすればアメリカとの間の話し合いをどこかで遮断しないとだめだ、こういうことになるのでわれわれは心配しているわけです。だから、政府はいまあっちを見たりこっちを見たりするということでなしに、油がどうしても必要なんだということからアメリカに対してどういう態度をとるのだ、イランに対してはどういう態度をとるのだということについての方針が決まっておったら、それを明確にしてほしいということなんであって、方針がないならないで結構なんです。はっきりその点だけをひとつ答弁してもらいたい。
  103. 手島れい志

    ○手島政府委員 現状におきましては、石油の輸入を抑えてくれというような要望はアメリカ側から来ておりませんし、他方、先ほどから申し上げておりますようにイラン石油わが国にとっての重要性というものを十分念頭に置きながら、これから通産省その他関係の方面とも十分意見を交換しつつ、米・イラン関係あるいはそれに対する西欧諸国の動きなども十分考慮の対象に入れて、これから検討を続けていきたいということでございます。
  104. 石野久男

    ○石野委員 けさの答弁とちっとも局長変わらないのだ。私の聞きたいことは、いまアメリカはもうはっきりした態度を国際的に出したのでしょう。イランとの国交断絶を出したのでしょう。それからイランの方は、アメリカに協力するものに対しては厳しい態度はぴしっととるということも言っておるわけでしょう。はっきりしているじゃないですか。国は油をとるのか、アメリカとの友好関係をとるのかというどちらかに立たされているのでしょう。日本はいま油の問題をもしイランとの関係でとらないならば他の方策がなければならぬし、そこのところを、政府の方針がないならない、あなたが答弁できないのなら大臣に来てもらわなければいけない、外務大臣ができないのなら総理大臣に来てもらって方針を聞きたいのですよ。そこをはっきりしてください。
  105. 手島れい志

    ○手島政府委員 その点につきましては、先ほど通産大臣の方からも御答弁がございましたように、現在では決まっておらないわけでございます。
  106. 石野久男

    ○石野委員 そうすると、アメリカのカーター声明、それからイラン政府声明、こういうようなものに対して日本は何の政策も持ってない、こういうふうに見ていいわけですね。
  107. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ですから、私がさっき申しましたように、対処方法に関しては諸外国に対する影響も甚大でありますし、油を買っているのは何も日本ばかりではございません。そういう諸国の動向を見詰めつつ対処方法をいま検討中でございます。内容に関しては決まってないから言えません。こう言っているのでございます。
  108. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 ちょっと待ってください。  石野委員に申し上げますが、質疑が外交問題に重点が移っておるような感じがいたしますので、したがいまして、代替エネルギー法案を中心に質疑を移していただきますようにお願いいたします。
  109. 石野久男

    ○石野委員 私は、外交問題ということ、事は外交にかかわっておるけれども、油の問題を聞いておるのですよ。油をどうするのかということなんで、所要の一〇%の油を確保するのには、イランアメリカの要請にこたえて協力したものに対しては油は出しませんよと言っておるのと同じことがもう宣言されておるのでしょう。それをどうするのかということを私は聞いておるのですよ。
  110. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 あなたの言うふうな、一か八かという外交というものはございません。外交はいろいろ諸般の情勢を考えて、あちこち考えながら進んでいくのが外交でございまして、右か左かどっちだというふうなそういう外交というのはないですよ。
  111. 石野久男

    ○石野委員 私は理解の仕方がまだ未熟かもしれませんが、そうするといま日本のとっておる態度は、アメリカは協力を要請しておるけれどもイランからの油は日本はまあとれる、こういうふうに政府は見ている、こういうふうに理解したならばよろしいのですか。
  112. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それはあなたの理解だけで、私どもは先ほどから繰り返すようですけれども、目下検討中です、諸般の情勢を見ながら。自分だけ飛び出してこの問題を片づける必要はないと私は思っているのですよ。やはりヨーロッパやなんかでもいろいろ動向があるわけですから、そういう動向を見きわめつつ慎重に対処したい、これほど政府として慎重なりっぱな態度はないじゃありませんか。
  113. 石野久男

    ○石野委員 油の問題で慎重な態度をとっているのだけれども、私どもは心配するわけですよ。やはりアメリカの言うことを聞けばイランは恐らく油を出さない、こういうふうに私たちは判断するのですよ。だけれども政府は、アメリカの言うことを聞いて一般的支持を与えても油がとれるということの自信があるのならば、私はもうこれで答弁は求めません。だからそこのところをはっきりしてくださいよ。アメリカの要請される一般的支持にこたえてもイランは必ず油を出してくれる、従来の折衝のよしみによって、こういうふうに政府考えているのかどうか、その点だけでいいです。
  114. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 心配しておるのは石野さんだけじゃございません。私ども自体もどれほど心配しておるかわかりません。しかし、いま慎重に検討中でございますと答えておるだけです。
  115. 石野久男

    ○石野委員 委員長からの御忠告もあって、外交問題にわたるなということは私は十分承知しておるのですよ、外務委員会でやりたいから。だけれども、いま代替エネルギー法案を論じておるということは、新エネルギーをこの中からどういうふうにしてわれわれは量約にもそして質的にもいいものを得られるようにするかということの論議をしているわけです。しかし、これは論議するけれども、御承知のように幾らこれを論議しても、当分、十年、二十年の間は石油に依存せざるを得ない。わが党の計算でも、なるべく新エネルギー開発して石油に依存する率を三〇%にしようとしても、二十一世紀まではなかなかむずかしいということをわれわれは見ているわけですよ。したがって、いま得られておるところの石油というものは平常的に得られるということを前提としてこの法案は論議されておるのですよ。その平常的に得られる石油が得られなくなるということになれば、この法案よりもより以上に重要な問題なんですよ。だから私は聞いているのですよ。イランからの油が入るか入らないかということは大変なんじゃないですか。あなた方は慎重かもしれませんけれども、われわれはもっと心配する。
  116. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それが外交なんです。それが外交なんです。
  117. 石野久男

    ○石野委員 通産大臣はそれが外交だと言うけれども、そんなことでは国民はわからないし、私もわからない。  現実に起きておる問題はわかりませんから、それなら外務大臣にひとつ私は意見を聞きたい。油に対する保証は外務大臣はするのかどうか。もしそれでなければ総理に来てもらってもいいのですよ。外務の問題として私は論じておるのじゃない。現実に必要なイランから来る油の問題に対する保証があるかどうかということを私は聞いているのです。これが外交だじゃちょっと私は理解できません。
  118. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 繰り返すようでございますけれども、そういう点も踏んまえまして、各国の動向もありましょうから、各国の動向等も見詰めつつ慎重に対処したい。これは国益ですから、わが国といたしましては国益を守るためには私は外交的に一番上手な道を選ばなければいかぬと思います。そういう点をいま検討中だということを申し上げているのでありまして、右か左か、来るか来ないかということを、いまの時点でそうおっしゃるのは少し酷じゃございませんか。
  119. 石野久男

    ○石野委員 答弁をそらさないでください。私は右か左かということじゃないのです。現実に石油に対する保証があるかどうかということをお聞きするために、わざわざ外務省からも来てもらっているのです。経済局長はこれに対して、通産大臣はいまのような答弁をしておりますけれども、経済局長は外務省のなにとしてこの問題では責任があるわけですよ。どういうようにお考えですか。
  120. 手島れい志

    ○手島政府委員 私どもも現在までのイラン石油の占めておる重要性につきましては十分承知をしているつもりでございます。したがいまして、そういった点も十分考慮に入れた上で慎重に検討をしておるというふうにお答え申し上げたいと思います。
  121. 石野久男

    ○石野委員 いまの局長の御答弁でも、私どもが心配していることに対する答えにならないです。  外交が微妙であるということは私もよくわかります。しかしどう考えてみても、アメリカのカーター宣言とイランの声明とを比較するというと、どんなに外交の問題が微妙であったとしても、われわれにはやはりどうもかみ合わせができないのですよ。だからそのかみ合わせができない問題について政府が、いやおまえら心配せぬでもいいんだ、大丈夫イランからの油は来るのだということの保証があるかどうかということを聞いているのですよ。それをいま検討中なんかだったら答弁にはならないでしょう。だからその問題について、アメリカの要請はそうだけれどもイランからの油は大丈夫入るんですという保証をあなた方が答弁してくれれば私はもうこれで終わるのですよ。そこの保証が十分なければ質問は続きますよ。
  122. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 国益を踏んまえまして、国民の皆様に心配かけないように一生懸命努力中でございます。
  123. 石野久男

    ○石野委員 通産大臣のいまの答弁は別に改まった答弁じゃない。午前からの答弁どおりですよ。私はそれじゃ納得しない。だからこの問題については、私はやはり外務大臣にもうちょっとはっきり、けさから私の質問ははっきりしているのだから、その問題は微妙だからどうだこうだと言うだけでは私どもは納得できない。少なくとも油の問題で代替エネルギー考えようとしているときに、その問題を軽視しながらこの論議には入れない。  だから委員長、私はいまの問題についてはやはり外務大臣に一応出てもらって答弁を求めたいと思いますから、ひとつそのように配慮してもらいたい。
  124. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 本件につきましては、いずれ後刻理事会に諮りまして処理いたします。
  125. 石野久男

    ○石野委員 外務省は帰っていいですよ。後でまた大臣になにしてもらいます。  いま油の問題は、私どもにとりましてもう対外的に依存するということにいつまでも安易にあぐらをかいているわけにいかないのだ。だから自前のエネルギーをなるべく数多く、時をかけてひとつ開発したいということで、この代替エネルギー開発に対する法案が出ておる。私どもは、このような中途半端な機構でなく、なるべくそれを政府が公団のようなものでぴしっとやって、もう少し明確に開発の問題に力を入れるようにという考え方を持っているわけです。そういうようなたてまえを持っておりまするからいろいろな点でお聞きするわけでございます。  まず、新エネルギーの中で、昨日来原子力問題の取り扱いの考え方はお聞きいたしました。それで、石油の問題について、これは石油代替だから石油は扱わないのだというふうにも受けとめていいのかどうかということについてもう少し意見を聞いておきたいのです。というのは、現在ある石油、国際、国内、開発、そういうものがありますけれども、たとえば新たに共同開発などを国際的にやるような場合に、この機構はどのように関係づけを持つのか。たとえば日中の間とか日韓大陸棚の問題の開発とかいうようなときにはこの機構は全然無関係でいくのか、そういう問題はエネルギー問題としてはどこで扱うような体制になっておるのかということについて。
  126. 森山信吾

    森山(信)政府委員 石油代替エネルギー開発導入促進法、現在御審議をいただいております法案の中におきまして、供給目標を定めるという条項がございます。先ほどお答え申し上げました第三条の規定でございますが、おおむね十年程度を見通しまして供給目標をつくってみたいと考えておるわけでございます。  そこで、これから十年程度ということになりますと、まず石油の供給可能量というものはどの程度であるだろうかというような問題を前提といたしまして作業をしなければならないという問題があると思います。御承知のとおり、現在サミットあるいはIEA等を通じまして一九八五年の供給目標というのが決められているわけでございまして、恐らくベネチア・サミットにおきましてもその問題が討議されると思います。したがいまして、供給されるであろう石油というものを一応与件として考えなくちゃいかぬという問題が一つあろうと思います。したがいまして、代替エネルギー開発の面からアプローチするというやり方ではなくて、供給される石油量がこの程度になりましょうということを前提とした供給計画を組まなくちゃいかぬという問題でございますから、その点を踏まえまして、石油が一定のもの、それと需要とのギャップを埋めるものは省エネルギーであり、かつまた代替エネルギーである、そういう前提のもとに作業をしていくということになろうかと思います。  それから、御指摘のございました日中共同開発あるいは日韓大陸棚の問題につきましては、現在御審議いただいておりますこの法案とは直接の関係はございませんで、別の次元での作業を進めさしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  127. 石野久男

    ○石野委員 第三条で、供給目標を決めてこれを公表しなければならないということになっております。この供給目標というのは、当然のこととしてエネルギーの長期需給計画の枠の中で決められる、その範囲内で供給目標というものは決められることになる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  128. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、今後十年間に予想されます石油の輸入量というものを一つの前提条件とし、かつまた今後十年間のわが国の経済成長のテンポをどう見るかという二つの前提条件がまずございまして、そのギャップを埋めるものといたしまして、先ほどお答えいたしましたとおり、一つは省エネルギー、それからもう一つ代替エネルギー開発ということで議論が進められていくべきではなかろうか、こういうふうに考えております。
  129. 石野久男

    ○石野委員 長官のお話のように、やはり経済情勢やあるいは経済成長と見合い、しかも油の輸入がどの程度あるかというようなことを勘案しながら供給目標というものが出てくると思われます。  そこで、この供給目標なるものは、けさほどの同僚議員の質問にもお答えがありましたけれども、当然のこととして、いままでは閣議では決まっていなかったけれども、これで閣議で決めるのだ、こういう御答弁がございましたね。そうすると、その供給目標を導き出してくる長期需給計画というものについての閣議決定というものは、そのときどういうふうになりますか。
  130. 森山信吾

    森山(信)政府委員 これまでつくってまいりましたエネルギーの需給見通しにつきましては、御高承のとおり総合エネルギー調査会に通産大臣が諮問いたしまして、答申を受けるという形でつくってまいったわけでございますが、今後代替エネルギー開発を目標とします場合に、それを一歩進めまして、内閣の責任において供給目標をつくるという考え方に立って閣議決定を経なければならない、こういうように考え方を決めたわけでございます。
  131. 石野久男

    ○石野委員 長官の言う供給目標というのと長期需給計画というものは同じものなんですか。
  132. 森山信吾

    森山(信)政府委員 長期需給計画供給目標とは、おのずから同じようなものにいたしたいというふうに考えております。
  133. 石野久男

    ○石野委員 法案の第三条はこういうふうに書いているのでしょう、「石油代替エネルギー供給目標(以下「供給目標」という。)を定め、」こうあるのです。供給目標というのは、石油代替エネルギー供給目標でしょう。エネルギーの長期需給計画とは違うのでしょう。
  134. 森山信吾

    森山(信)政府委員 第三条に書いてございますのは、「通商産業大臣は、総合的なエネルギーの供給の確保の見地から、石油代替エネルギー供給目標を定め、これを公表しなければならない。」と書いてあるわけでございまして、いま御指摘の「総合的なエネルギーの供給の確保の見地から、」というところに、いままでの長期需給暫定見通しというものがあろうかと思いますが、それをベースにいたしまして供給計画を決めていく。供給計画は、単に代替エネルギー供給計画だけではやはりちょっと片手落ちではないか、代替エネルギー開発するための前提条件として、総合的な判断というものをそこにつけ加えていく必要があるのではないかというふうに私どもは理解をしているわけでございます。
  135. 石野久男

    ○石野委員 だから私は聞いているのですよ。供給目標というのは、石油代替だけの問題ではなくて、長期需給計画全体としてのエネルギー総合計画の中の代替エネルギーというものになってくる。その代替エネルギーに対して供給目標がつくられるわけでしょう。ですから、総合エネルギー計画というものは別途になければいけない。その中からこの供給目標が出てくるわけでしょう。そういうふうに理解したらいいんじゃないですか。違うのですか。
  136. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  137. 石野久男

    ○石野委員 大臣にお尋ねしますが、その総合エネルギー調査会に大臣が諮問して、昭和四十九年以降、毎年毎年これに関連するいろいろな長期展望だとかあるいは二十一世紀のエネルギー戦略だとかいうものが出てきているわけですよ。やはりこの長期計画というもの、エネルギーの戦略というものがしつかりと固まっていません場合には、おのずからここで言われるところの石油代替エネルギー供給目標についてもぐらつきが出てくるというふうに私は見るのですけれども、そういうことはございませんか。
  138. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 きのうもお話ししたのですけれども、恐らくこの法案が皆さんの御支持によりめでたく通過した暁には、この法案の三条にありますように、いよいよ新しい事態に即してエネルギーの長期計画を見直してみなければならぬ時期が来るのではないかと思います。その際には、油の輸入減、上限が恐らくサミットあるいはIEAの会議等で決まるかもしれません。そうなりますと、おのずから供給には限界が来るわけですから、それをもとにいたしましてエネルギー全般の見直しをするということ。  それからもう一つは、従来は可能性の吟味というよりは、むしろ必要に応じてこれだけ欲しいというゾルレン的な目標が多かったわけでございますけれども、今度つくる場合には、できますればその目標を達成する手段、金融とか財政とか税とか価格、いろいろな手段がありましょうから、そういう手段を加味してあるいは立地問題とかを加味して、これぐらいであれば努力の仕方によっては可能であろうという、非常にかたいような見通しをつくっていくのが恐らく一番よろしいのではないかという感じがいたしますので、そういう従来と変わりました一つの方法論と申しますか、それをこれからみんなで勉強いたしまして、新しい、閣議にかける、法律が通った後、新エネルギー時代と銘打っておるわけですから、それにふさわしい案をつくってみたいと考えております。
  139. 石野久男

    ○石野委員 総合エネルギー調査会が、基本部会とか需給部会とかいろいろな部会があって、エネルギーについてのいろいろな検討を加えておられることについては私は多といたしますが、この法案ができて供給目標をつくろうとすれば、当然基本計画になる需給暫定見通しとか長期計画とかいうものに可能な限りの信憑性を持たせなくてはいけないと思うのです。  そこで、もう時間がありませんので、私は大臣に注文といいますか、意見を聞きたいと思っております。  この計画の中にはいろいろな項目がずっと出ております。しかし、この計画が、希望的なものをそこに導き出そうとするための政策というものと、基本になるであろう電源構成についての見方、こういうものがずいぶん組み合わされてきているわけだと思うのです。たとえばその中で、昨年の十二月七日に電気事業審議会の中間報告として出された資料による年度末電源構成の見通しというものがあります。この見通しが今度は総合エネルギー調査会の需給部会の一つの見通しにつながっていくわけですね。そして、恐らくいずれもみな共通した資料になっていると私は思いますけれども、もしそうでないとすれば私の意見がちょっと違ってくるかもしれませんが、この両者の間には大体こういう関連は十分持っているのでしょうね。
  140. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その総合エネルギーの供給見通しの前に国民経済というものがあるわけでございまして、国民経済を達成するためのエネルギーでございますから、エネルギーが、もしどうしてもお話しのようにかたい見通しでやった場合には、それは節約等いろいろほかの要件もございますけれども、短絡してお話し申し上げますと、経済の成長率を落とす以外に道はないわけでございまして、そういう落としてもやむを得ぬという態度でいくか、国民の生活なり経済を成長させるとすればここまでみんなでがんばろうじゃないかという考えでいくか、そこら辺に大きな一つの分かれ目が出てくると思います。
  141. 石野久男

    ○石野委員 そういう資料の取り上げ方なり表のつくり方について問題があることは十分よくわかります。そういう意味からも、それにもかかわらず私は表というものはできるだけ国民に信頼感を持たせ、また政策の上にそごを来さないようにしなければいけないだろうと思う。  昨日来原子力問題がずいぶんと論議になっておりますが、たとえば電気事業審議会の方で出しておる年度末の電源構成見通しとして、これは五十三年度末ですが、原子力が千二百七十万キロワットで、比率としては一〇・八%という構成比率が出ているわけです。これは確かに設備の比率としてはこういうようになっているのです。石炭とかLNGとか水力というものも設備だけで来ているのかどうか私はわかりませんが、少なくとも原子力については、この千二百七十万というものを表の基礎数字としていくのには余りにも電力の出力量は少な過ぎるのです。実出力は恐らく四、五百万キロワットだろうと思うのです。それを、いつも千二百七十万キロワットなどという数字で表を出しておったのでは、これはとてもじゃない、この表に対する信頼感は出てこない。そしてまた努力も十分実らないという結果が出てくると思うので、大臣は諮問をする総合エネルギー調査会等に対しては、もう現実にはっきりわかっているようなこういうような、架空の数字だ、率直に言えば。電力の出力から言えば架空の数字ですよ。こういう数字は使わないようにした方がいいのではないかと思いますけれども、その点はどうでしょう。
  142. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 御指摘のように、電気事業審議会の需給部会におきます原子力の年度末電源構成は千二百七十万キロワットでございます。同様に、この表に出ております石炭、水力その他のものも全部設備の規模でございます。ただ、その利用することによりましてどれほど電力が供給されたかという点につきましては、同じ需給部会の他の表がございまして、「電力供給目標」という表がございます。これによりまして、原子力については五百九十億キロワットアワーを五十三年度に供給いたしておるところでございまして、そういった面からこれは実態を正確にあらわしているものだと考えるところでございます。
  143. 石野久男

    ○石野委員 いずれにしましても、設備があたかも現実に出ているかのように宣伝することによって、原子力の問題を宣伝しようとする意図のように見受けられる側面が非常に多うございます。私は、こういうようなことでは国民を非常に誤らしめるものが出てくるだろうと思いますので、本当にエネルギー問題でわれわれが過ちなく事を進ませようとするのなら、現実はこうなんだ、原子力は千二百万キロワットなんかとても出てないのです、五百万キロワットなんですよ、六百万キロワットなんですよと言うのと、千二百万、二千万キロワットまでいっておりますと言うのとずいぶん違うのですよ。そのことのために、原子力というものがなければろうそくで生活しなければならぬのだというようなことがすぐ素通りしてしまう。またそういうことを新聞なんかも盛んに書いてしまう。事実は違うのだよ。だからこの表の使い方についても、もうちょっと国民を誤らさないようにしていただいて、そして代替エネルギー開発について成果を上げなければいかぬと思うのです。  最後に一つ聞きますが、この機構ができました場合に、運営委員会の人事問題は非常に重要になってまいりますが、この運営委員会の人事はほとんど通産大臣が指名なさいます。それで、大臣としては、この運営委員会の七名の運営委員を指名するわけですがいそのときに、エネルギー問題について各界各層の意見があります。政府の意図に従う、大賛成という賛成派と、それから政府の言っていることについては批判を持っておって、しかもその批判が現実に具体的にはそのことの方が信憑性があるというような場合には、やはり批判派の諸君もこの中に入れて、政府のいま設定しようとするところの機構の運営を滑らかにしていき、あるいは具体的には成果を上げるようにした方がいいのじゃないかと思いますが、委員の選定につきまして、どのように着意されておりまするか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  144. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 エネルギー問題に対して博識を持っておるばかりでなしに、その人自体が大変高潔な人で、人格的に見ましてもこの人であればという人が一番望ましいわけでございまして、批判の多いのはもちろん歓迎でございますけれども、やはり建設的な意見、建設的な批判の人が望ましいと思っております。
  145. 石野久男

    ○石野委員 私はこれでおきますが、委員長にお願いしておきます。イラン問題についての先ほどの答弁ではとても納得できません。もう少しはっきりと知りたいと思いますので、ひとつ理事会で協議してください。
  146. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 石野久男君の質疑は終わりました。  引き続いて渋沢利久君の質疑に入ります。渋沢利久君。
  147. 渋沢利久

    ○渋沢委員 石野委員の質問、特にイラン問題のかかわりでの通産大臣お答えなどは私は大変不親切だと思うのです。これは石野さんも言われたけれども石油代替エネルギー開発導入促進にかかわる本法案やこの事業を考える上で、石油の需給見通し、政府のその対応、こういうものは紙の裏表でしょう。そういう状況の中で、石油の需給関係に場合によればかなり重大な影響をもたらさざるを得ない急激なこの動きに対して、この委員会がこの法案関連してお尋ねするというのは当然過ぎるくらい当然のことなんです。やはりもっときちんと説明できる部分はきちっと説明していただくという態度が私は必要だというふうに思います。  せっかく外務省がおいでいただいておるので、足をとめるつもりはありませんが、一、二点、先ほどの石野委員の質問関連をしてお尋ねをしておきたいと思うのです。  けさの新聞等にも報道されておりましたが、マンスフィールド駐日米大使がきのう外務省を訪問されてのお話の趣旨は、対イラン断交の措置及びこれに伴う制裁措置等にかかわる一般的なアメリカ政府の方針を伝えて、これについての一般的な支持を求めた、こういうふうに伝えられておるし、先ほどの局長の説明もそういう趣旨であったかと思います。それに対して、外務省としては原則的にこれを理解し、支持するという旨の回答を——会ったのは高島さんですか、どなたが会おうと、要するにそういう趣旨で回答をしている、新聞にもそのとおりに報道されております。アメリカの立場を理解し、この措置を支持する、こういう一般的な姿勢、原則的な姿勢を明らかにしたと、こういうふうに伝えられております。石野さんがお尋ねの、石油を買うなよ、何をどうしろ式の話はなかったけれどもという説明が先ほどございましたが、それ以前の一般的な、原則的な態度としては、いま申し上げたようなあるいは新聞に伝えられておるような状況で外務省は対応されたというように理解をしていいわけでしょうか。
  148. 手島れい志

    ○手島政府委員 アメリカ側から言ってまいりましたことは、今回アメリカ側がとった措置を通報してきたことと、それからその背景として人質問題がいままでの努力にもかかわらずいまだに解決されておらないというようなことの説明があったわけでございます。私どもはこれに対しまして、アメリカのこの人質の問題というのは国際的に見ても容認すべからざることでもございますので、この人質の解放という点につきましては、私どもとしても今後とも国連の場を通ずるなり、またそのほか適当な方途をとっていくというようなことでございます。  その一般的な支持と申しますのは、アメリカ側からは個々の具体的な措置につきまして、これはこうしてくれとかあるいはこうしてくれというような要請ではございませんので、私どもとしては日本の国益を踏まえた上で慎重に対処をしていき、アメリカイランとの今後の事態がどういうふうになっていくかということも見守りつつ、またそのほかの諸国とも協調しながら、この人質問題の解決についてその促進に協力をしていくという基本的な考え方は変わりはないというふうに先方に説明をしたわけでございます。
  149. 渋沢利久

    ○渋沢委員 佐々木通産大臣答弁は最近非常にさわやかでよくわかる答弁をいただくのですが、いまの外務省の答弁はどうもよくわからぬ。私の聞いていることに簡単なんですからお答えいただきたいのです。  アメリカからのお話というのは断交と、それからイランに対する禁輸等の経済制裁。このアメリカイランに対する措置、態度に対して日本の原則的な理解と支持を要請した、こういう趣旨でしょう。それに対して油をどうするとか何をという話は向こうからもなかったしこちらからもしてないが、そういう基本的な断交、経済制裁等のアメリカの対イラン措置に対しての理解と協力と支持を求めた、こういうことでしょう、それに対して原則的に支持を与えた、新聞にそう伝えられておるが、そういうことでしょうかと、そこの部分だけなんです。
  150. 手島れい志

    ○手島政府委員 アメリカの方のとりました措置が、もちろんこれは先方から説明があったわけでございまして、その個々の点につきまして先方からどうこういうような要請があったわけではないわけでございます。したがいまして、いま日本側といたしましてどういうようなことをするのかという点につきましては、先ほど申し上げましたように鋭意検討中でございます。
  151. 渋沢利久

    ○渋沢委員 要するに鋭意検討中と、わかりました。また先ほどの繰り返しになっちゃいけませんからやめますが、しかし、新聞に伝えられる外相談話などを見ておりましても、人質ということに触れて、これは人質について言っているのですよというコメントがあればそれなりに何かわかる部分ですけれども、しかしこういう事態の中で外相の談話が伝えられるときに、やはりこれは常にアメリカの立場に立っている、こういうニュアンスで理解と支持を表明する、そういうコメントは慎重を欠く、態度を何も決めていません、慎重に事態を見ているのです。言葉では、きょうの話では人質だけの問題ではない、それは日本の経済の問題ということも考えていくんです、こうおっしゃっていながら、何かやはりきょうの新聞等で判断をした日本の外務省の対応というのは少し疑問を国民の中に与えるような、そういう印象があると思うのです。この国の政府、わが親愛なる大平内閣がすべてのどんな事態にも常にてきぱきと対応できるような、果断な判断力と指導性と決断力を持った内閣なら、いやじっとここは黙っていることが、それが最大のすぐれた選択です、こういう判断もしようがあるのですけれども、しかしこの内閣がそれほどてきぱき内閣だとは余りだれも思っていない感じがいたします。むしろその点では常に方向性があいまい、指導性があいまい、先見性なき内閣という評価の方が、私は決してそう言いませんけれども、世間では大体そういう評価にいまやなっているときでありますだけに、あるいはまたその外交姿勢が非常に独自外交、日本独自の外交というものが確立されているという信頼感があれば別ですけれども、どうもそこはやはり欠いている、こういう不安感から先ほど石野委員が指摘をされたような、のみならず国民一般が、安易にアメリカの要請を受けて立って、しかし重大な日本国民の利益あるいはいまのこの事態を正しく円滑に解決しなければならないことでの日本の役割りを放棄してしまうのではないだろうか、アメリカにもイランにもある面では物の言える立場なんですから、日本の良識は、こういうときにこそ日本は何もふらふらしないでそうしてきちんと問題の積極的な解決を、カーターさんはカーターさんの判断でおやりになったことだけれども日本日本独自の判断で、独自の立場でいさめるところはいさめるくらいのそういう姿勢がこの辺では出てきてもいいんじゃないのか、大平さんでは無理かいなと思いながら見ている国民の立場から言えばもどかしいのですよ。そういうことに残念ながら外務省も先ほどの通産大臣答弁も答え切っていないなという感じで私も聞いておりまして、ついやはり一言お尋ねせざるを得なかったわけであります。外務省、どうぞ結構ですので、それだけ特に申し上げておいて、あと一つせっかくこの問題に触れた機会に、通産大臣、木で鼻をくくったような御答弁ではなくて、ひとつ大臣なりの判断でお示しをいただきたいのですが、これもけさの新聞読みますと、すでに業界に対してイラン向けの船積みを慎重に行うようにきのうのうちに通産は要請したというようなことが新聞では報道されております。これはどういう内容なんでしょう。
  152. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  イランに対する輸出につきましては、昨年の人質問題が起きましてから、日本として、日本だけがこの際そういった漁夫の利を得るような形で輸出を伸ばすことのないように、慎重に対処するようにということを輸出業界に要望してまいったわけでございますので、その従来の方針を維持いたしたいということでございます。
  153. 渋沢利久

    ○渋沢委員 こういう状況の中で逆にかえって輸出が急増するというようなことを、ある意味では政治的に非常に危惧されておるという判断もおありかもしれませんが、それはあり得ない話ではないというふうに思うわけですが、そういうことも含めて検討されて対応されておるということですか。
  154. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  155. 渋沢利久

    ○渋沢委員 イラン石化の問題については、これはやはりいま様子を見ているという言い方だけでは正しくないと思うのでして、これは相当大きな影響が出てくるんじゃないでしょうか。この事業にはすでに政府も出資を含めて方針を出し、そしてこの前のごたごたの際にはしかしここはアメリカの理解も得た形で既定方針でいく方針が決まったんだと思うのですけれども、しかしこの事業はアメリカ企業もかんだ、介入した形の事業でありましょうから、いまのアメリカの方針から言えばこれは事実上かなり困難なことになってくるんじゃないんでしょうか。それはどういうお見通しをされておるでしょうか。
  156. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この問題もおしかりをこうむるかもしれませんけれども、やはり米国の今後の動きとかあるいはイラン側の今度の問題に対する対応ぶりあるいはヨーロッパの諸国の動向等を見きわめつつ、政府といたしましては従来どおりの方針を維持していきたいという考えでございます。
  157. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いろいろ聞いても大体書いたことをお読みになる範囲のようですからお尋ねしませんが、すでに石油業界はきのうの動きに対応して民族系石油会社を中心に、スポット物の調達の検討に乗り出している、こういうことが伝えられておりますね。これは非常に影響が大きいことだと思います。こういう動きをどうとらえておるのか、あるいは通産はどういう対応をお考えになっておるのか。
  158. 森山信吾

    森山(信)政府委員 民族系の石油会社がスポット物の手当てを始めたということは私どもも承知はいたしておりません。  それから蛇足でございますけれども、スポット物に対します私ども通産省の基本的な考え方を申し上げておきますと、これはもう昨年来一貫して指導方針としてまいったところでございますけれども、そこに一つの相場というものがあるわけでございます。     〔委員長退席、渡部(恒)委員長代理着席〕 現在の相場は御高承のとおりロッテルダムで相場が立つわけでございますので、もちろんその相場どおりに買えるかどうかという問題は別にいたしまして、一応の相場がございますから、その相場というものを無視したスポット物の手当ては避けてもらいたいというのが私どもの基本的な考え方でございまして、それは終始行政指導の一つのよりどころというふうに思っておりますし、業界もそういうふうに了解をしてくれていると思いますから、いま急にここでスポット物につきましてまた殺到いたしまして、値段をつり上げるというような問題のないような配慮が行われておるものというふうに期待をいたしております。
  159. 渋沢利久

    ○渋沢委員 この代替エネルギー法案関連してお尋ねをしていきたいと思いますが、省エネルギーの施策についても同様だと思うのですけれども、この代替エネルギー開発を成功的に進めるためにはやはり国が責任を持って対応するという仕組み体制、これが一つ。国が長期の戦略をきちっと持って、そしてあらゆる関連の各層の協力を結集する、こういう姿勢と方針が絶対の条件だろう、成功させるためには。そうしていま一つ言うなら、あたりまえのことでしかし実際にはなかなか構造的にはでき上がってこない国民の理解と協力、こういうものだろうと思うのです。かなりの決意でこの法案あるいは新機構というものに手をおつけになった通産当局ですから、従来やはりやりたくてできなかった部分というものを整理して、そういう点でこれがここに集大成をされているというふうに前向きに受けとめたいわけですけれども、どうも残念ながら必ずしもその実態がそういうものと見合ったものになっておらない感じが非常に強いわけであります。代替エネルギー開発という点で従来の各省庁の取り組みあるいは民間の取り組み、そういうものを太い糸で一つに結び合わせる、こういう構造がこの機構の中に絵にかいたように示されることがあってよかったんじゃないのか。そういう点で、十分だ、具体的にこうなっておるじゃありませんか、こうおっしゃるんでしたら、その部分がわかるようにぜひひとつ御説明いただきたい。
  160. 森山信吾

    森山(信)政府委員 代替エネルギー開発につきまして、国が一つの強固な意思を持ちまして取り組むべきであるということは全く同感でございます。  そこで、代替エネルギー開発につきましての供給目標的なものは、先ほど来お答えいたしておりますとおり閣議を経まして決めるわけでございまして、それに従って国も民間も挙げてその開発に取り組む、こういう姿勢が望ましいわけでございます。  そこで問題は、現在御審議いただいております法案の中にございます新エネルギー開発機構の使命でございますが、大きく分けまして二つございます。これは資源の開発と新しい技術開発、この技術開発は、特に企業化を必要とする技術開発につきまして新エネルギー開発機構が取り組むことにしたいというのが私どもの気持ちでございます。と申しますのは、新しい研究開発はいろいろなところでやっていただくのがよろしいのではないか、あるいは国立大学あるいは国立の試験研究機関あるいは民間研究機関、それぞれのところでベーシックな研究をしていただく。ただ、従来のテンポでございますとそういうところで研究開発されたものが実際に企業化に至るまでには相当長期間を要するわけでございます。ところが、輸入石油の制約条件というのが非常に強まってまいっておりまして、従来のテンポで企業化を進めておったのではとうてい間に合わないという時代の要請が出てまいりましたので、それにこたえるために企業化のテンポを早める、早めるためには一元的に集約した中核機関をつくる必要があるのではないかというのが新しく法案の御審議をお願いしているゆえんでございまして、そこのところをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。  繰り返しますと、基礎的な研究段階は既存のところで研究をしていただき、実際の企業化はそれぞれの企業段階においてやっていただくわけでございますけれども、それを加速的に促進するための使命が新エネルギー開発機構にあるというふうに御理解を賜れば大変ありがたいと思う次第でございます。
  161. 渋沢利久

    ○渋沢委員 新機構の役割りをそう位置づけるわけですけれども、たとえば基礎的な既存の取り組みを含めての全体の総合体制といいますか、これはどこでやろうということですか。
  162. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、総合的な推進を図る前提といたしまして供給計画をつくるわけでございますが、これは通産大臣原案作成者でございますけれども、閣議の議を経て決めるということでございますので、内閣の責任において供給目標が決められるわけでございます。したがいまして総合的な調整は、そういう意味では内閣の責任であるというふうに理解をいたします。  そこで、そういった供給目標に向かっていかなる対策を講じていくかということになりますと、まず財源的には従来の石炭石油特別会計あるいは電源開特別会計というものを財源の手当てといたしまして、目的税をちょうだいいたしましてそれで代替エネルギー開発に取り組むということでございますが、その中には新エネルギー開発機構にその資金を流していくというやり方もございますし、あるいは新エネルギー開発機構以外に、それぞれの既存のところへ財源手当てをしていくというやり方もあろうかと思います。したがいまして代替エネルギー開発につきましては、新エネルギー開発機構の目的は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、それだけで代替エネルギー開発がすべて終わるわけではございませんで、いろいろな角度からの総合的な推進を図るべきものというふうに理解をいたしておる次第でございます。
  163. 渋沢利久

    ○渋沢委員 ですから、たとえば代替エネルギー公団、私ども組織としてはそういうものがいいんではないかということを言ってきたわけです。産業技術審議会でもたしか昨年の答申の中でそういう趣旨のことを提言しているはずですね。そういう構想から言うと非常に後退しているわけですね。中途半端なものになっているというところに基本的な問題があるように思うわけです。  運営委員の問題は、先ほど石野委員からも指摘がありましたけれども、これは民間の能力をここに活用するということのようですけれども民間といってもたくさんございます。具体的にはどこを考えていますか。日本の財界の代表をここに迎え入れるということが伝えられておりますが、そういうことですか。
  164. 森山信吾

    森山(信)政府委員 民間活力を引き出すということは単に財界の方がこの場に出てこられるということだけではございませんで、もう少し広い範囲で、たとえば役員の人事あるいは運営委員の人事あるいは実際に研究に従事される技術者の方々の人選等につきましては、広い観点から検討さしていただきたいというふうに私ども考えております。
  165. 渋沢利久

    ○渋沢委員 限られた運営委員会の中ですから、より広い層と言いますけれども、それは限られた窓口でしかない。と同時に、その分だけ民間活力の利用の仕方というのはいろいろあるわけでして、機構を軸にする代替エネルギー開発事業の推進の上での国の責任体制というものがどうも薄れる、あいまいな感じがするわけであります。閣議で供給目標そのほか決められるということだから内閣の責任ははっきりしているというようなことをいまおっしゃいましたけれども、そういうことだけで言っているんじゃないわけでして、どうもその点が非常に不明確に思うわけですね。もっとより広範な国民各層の協力を求める、こういう仕組み考えられないのか。省エネルギーにしても代替エネルギー開発にしてもそうですけれども、どうもその辺の姿勢が一貫して欠けておるように思うのです。国民に特にエネルギー事情について正確に詳しく知ってもらうという仕事は、この事業をやっていく上で非常に重要だと思うのですね。国会を通してであれ、何らかの方法で国民に知らせ、情報を提供し、協力を求めるということでなければうまくいくわけがないのですよ。この法律が提起する事業についても、たとえば基本的に重要な計画にいたしましても国会に報告するという責任すらどこにもないですね。大体国会に報告義務を持つような中身が大変少ないのですけれども、まずそういう姿勢が非常に欠けているように思うのです。これは余談ですけれども、私、商工委員会に籍を置かしていただいておるが、通産関連のかなり重要な事業も何も国会に報告義務はないということで、われわれは新聞でおおむね通産省はこういうことをおやりになった、こういうことをお考えになっておるということを知る程度ですよ。後はおまえさんたち調べたければ調べなさいということで、われわれのところに事前に十分な資料が配られるようなことはほとんどない。こういう姿勢の中でエネルギー開発事業をやるといったって、これは本物にはならぬように思うのです。これはどうお考えでしょう。
  166. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギーの問題は、私どももその職責上大変大事な問題だと思っておりますし、渋沢先生もそういうふうにお受けとめになっておられるのだろうと思います。なかなか資料提供がよくないというおしかりを受けまして大変恐縮に存じておりますが、以後よく注意をいたしまして十分なる連絡をさせていただきたい、かように考えます。  それから、国会等ではエネルギー問題の重要性にかんがみまして始終御質疑をいただいておりまして、私どももできる限りの御答弁を申し上げることによりまして私どもが具体的にどういうことを考えているか、あるいは私どもにとりましては、政策につきましての御報告を兼ねた御答弁は終始続けさせていただきたいというふうに考えます。
  167. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それからエネルギー利用の分野での改善、これはかなり検討しなければならない問題がたくさんあるように思います。専門家の皆さんでいらっしゃるから私が申し上げるまでもないのですけれども、消費面での改善の技術開発、あるいは消費構造の問題で言うと、エネルギー利用の最終段階でのエネルギーロスというものなども全く無視できないほど大きな課題がある。そういうきめの細かいもの、たとえばローカルエネルギー、こういうものに対する積極的な開発体制というものは新機構の中では明らかになっていない。どう考えているのか。特に地方自治体もやるところはやっている。廃棄物、いわゆるごみ発電というものもかなり重視していかなければならない分野であるが、のみならず、この小規模な開発というものは地域開発にゆだねる部分がかなりあるわけです。そういう意味で言いますと、いわゆるローカルエネルギーというものの位置づけは非常に重要だと思っておるのですが、どういう対応をお考えになっているか、改めて伺っておきたいと思います。
  168. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ローカルエネルギーの問題は私どもも大変重要な問題だと思って受けとめておる次第でございます。そこで、今年度から特別会計予算を活用いたしまして、十八府県に対しまして二分の一の補助、約一億八千万円ほどの補助金の計上を図っておるということでございます。もちろん単にそれだけのお金でローカルエネルギー開発ができるというわけではございませんけれども、いま各都道府県の方々も、地域開発とローカルエネルギー開発とをうまく組み合わせたような開発方式をお考えになっておられるわけでございまして、エネルギー開発の問題は、そういった地域での盛り上がりということが大変大きな責任を持っておるわけでございますので、私どももいま申し上げたような、ことしを初年度にいたします補助金政策をとっておりますけれども、これをてこにいたしまして今後のローカルエネルギー開発には積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えます。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕  代替エネルギー開発は、大きな柱はあるわけでございますけれども、いま御指摘のようなローカルエネルギー開発というものが補完的に行われることによりまして、総合政策が確立されていくものというふうな基本認識を持っておりますので、大変重要な問題という意識は十分持たしていただきたい、かように考える次第でございます。
  169. 渋沢利久

    ○渋沢委員 科学技術庁の調査でも、全国のごみの焼却発電組織化すれば一千万人分の家庭電力が賄える、こういうことで、東京などでやっていますのも、あれは自治体がつくってもそれは直接売るわけにはいかないから、一たん電力企業に送り込んで、たしかあれは四円ぐらいで売ったのを東電が十一円ぐらいで売っているのです。かなり利ざやをかせいでいるのだけれども、それはともかくとして、地方自治体のこの種の取り組みは、一部ですけれどもかなり積極的な取り組みがある。これは地域の住民といいますか、国民の省エネルギーエネルギー問題に対する理解を非常に浸透させていく手だてだと思うのです。自治体がエネルギー問題にそれぞれの立場で取り組む、こういう状況をつくり出すことが、先ほども言いましたが、国が取り組もうとしておるエネルギー政策を本当に国民のものにしていく一つの有力な手だてであるというふうに私は思うわけです。  そういう意味で、これは短期間に効率的な、いわばエネルギー機能をどれだけ発揮できるか、そういう有効性だけを計算するのではなしに、国民の理解を集めるという手だてが余りにも欠けているという部分で言えば、自治体の取り組みというものを大きく誘導していくということが政策として重要なのではないだろうかというふうに思うわけでございますが、この点は特に強調しておきたいので、いま長官は十分理解してやるというふうにおっしゃっていますけれども、もう一度これは念を押しておきたいというふうに思います。
  170. 森山信吾

    森山(信)政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、私どもも先ほど答弁いたしましたとおり、ローカルエネルギーは地域開発一つの柱といたしまして、いま各地方庁の方が真剣に取り組みの姿勢を示しておられます。それを十分にサポートしていくという姿勢をとることによりまして、ローカルエネルギー開発に積極的に支援体制を、あるいは国みずからがそういった方向性を打ち出していくということに最大限の努力をさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  171. 渋沢利久

    ○渋沢委員 終わります。
  172. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて渋沢利久君の質疑は終わります。  引き続いて渡辺三郎君の質疑に入ります。渡辺三郎君。
  173. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この法案が今国会に出されまして、私どもとしてはようやく出てきたか、こういうふうな感じでおるわけですが、しかし実際内容から申し上げますと、きのうきょうの二日間にわたって同僚の委員からいろいろ質問がありましたように、まだまだ内容的には不十分なものがあるのではないか、体制も今日の段階では必ずしも十分ではないというふうに私どもは認識せざるを得ないわけであります。  そこで、限られた時間でありますけれどもお伺いをしてまいりたいと思いますが、実は午前から引き続いて午後の質疑の中でも、いわば対産油国外交といいますか、こういうふうな問題がいろいろ議論をされました。私は、きょうこの席でその問題を余り細かに申し上げようとは思いませんが、しかし第一次オイルショック、あるいは今日迎えております第二次オイルショックとも言われる状況の中で、とりわけ中東に対するわが国のあり方、あるいは中東それ自体の政情の安定、これは石油問題にとっては欠くべからざる問題だ、こういうふうに考えておるわけです。一方、これまで長い間わが国の場合にはメジャーを通して石油が入ってきておる。この現実は相当の変化はありますけれども、今日の段階でもまだ基本的には変わっておらない、こういう状況の中にあるわけでありますから、この石油外交というのは非常に重要な、複雑な内容を持っているというふうに認識せざるを得ません。そういう状況の中で、先ほど来、いろいろな議論があったわけでありますけれども、私は、特に中東に対して、日本が必要とする石油、そのことだけのために中東と仲よくするといいますか、そういう功利的な外交を展開するという立場では、今後長い将来にわたって日本の平和的な外交を進める場合にはなかなか不十分ではないかという気がしておるわけであります。そういう問題を含めて、簡潔で結構でございますからまず大臣から基本的な考え方をお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。
  174. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 中東外交に関しましては、大変大きい視野からのとらえ方もあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、まず一番必要なのは首脳陣の交流、人的交流の問題が一番重要だと思います。お互いに理解を深め合うということが何と申しましても中心課題だと思いますので、時間さえ許せばできるだけ相手国に出向いて、そして忌憚のない意見交換をすることがまず一番重要だと存じます。  二番目は、何と申しましても日本の持っておる技術力あるいは資金力等を通じまして、相手国の資源開発なり、いわば経済協力ということが大変重要だと思います。恐らく中近東の諸国には、工場等を移転すればよろしいというものじゃなくて、その背後にはやはり公共事業的な問題を同時に整備してあげませんと国づくりにならぬ国が多かろうと思いますので、そういう点もかみ合わせ、あるいは教育、文化面等を念頭に置きつつ、総合的な経済協力をしていくのが一番重要なことだというように考えるわけでございます。
  175. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま大臣もおっしゃいましたが、それぞれ国内の非常に重要な問題を抱え、お忙しい立場はわかりますけれども、やはり最近の国際状況の中では、日本政府の指導者、総理を初め通産大臣も積極的な訪問外交というものが必要ではないか、こういうふうに私も考えます。  実は、昨年当委員会の派遣でアメリカやメキシコを回ったわけでありますけれども、その際にも、メキシコなどではやはり日本の進んだ技術を受け入れる、同時にまた、産油国でありますから日本石油を供給する、こういう問題を含めまして、どうも日本政府の首脳部はメキシコに対しては中進国といいますか、こういう考え方を持っておるのではないかという一種の批判あるいは皮肉、こういうふうなものがあるということを、私どもつぶさにはだ身を通じて感じました。われわれが帰ってくるとちょうど交代のような形で当時の天谷長官がメキシコへ行かれて、その後江崎大臣も行かれて、そしてある程度の石油の提供の協議がまとまったようではありますけれども一つの例でありますが、今後そういった国々や、特に中東に対しても、繰り返すことになりますけれども、単に石油をもらおうというふうな目先の功利的な問題だけに限らず、絶えずあらゆる国と友好を深めて、そして有無相通ずる、そういう外交体制というものをぜひとも積極的に確立をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  実は、この問題を少し詳しくお聞きしようと思って外務省にも出席を求めておったわけでありますが、先ほどこの問題で相当時間がとられておりますから、私からは余り細かにこの問題に触れることはいたしませんが、いま通産大臣のお話がありましたが、外務省もそういう意味でどういう見解を持っておられるか、一言御答弁をいただきたいと思います。
  176. 渡辺陽一

    渡辺説明員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、いわゆる石油供給構造の変化、これが第一次石油危機以降起こっておりますけれどもイラン状況で加速された。その影響日本は非常に大きく受けておりまして、これにどういうふうに対処するかというのが昨年来の非常に大きな懸案でございまして、結局産油国との間に非常に深くかつ建設的、友好的な関係を築く以外に道はない。御承知のように、去年当時の江崎通産大臣の中東訪問、園田、江崎両大臣のメキシコ訪問がございまして、また、最近は園田特使の中東、南西アジア訪問がございました。結局先生指摘のように、産油国と申しましてもそれぞれによって非常にニーズが違う。たとえばメキシコのようにこれから非常に工業化を進める、また、石油開発についても非常な資金が要る、資金的な協力もしてもらいたい、こういう国に対してはその国のニーズに合わせて協力をする。それから中東のかなり古い産油国といいますか、もう資金はうなるほどある、むしろ技術的な面で協力をしてもらいたい、こういう国に対しては技術的な面で協力をする。また、近代国家の建設あるいは近代工業国家建設のために人づくりが必要だ、その人の訓練、そういう面での協力をしてほしい、こういう国に対しましてはその面での協力をするというふうに、それぞれの産油国の必要に応じまして、それに見合った協力を強化することによって、産油国との間に友好的な関係を築くと同時に、中東が占める、特に石油供給の三分の一は中東でございますから、この中東の重要性は今後とも決してなくならないわけでございますが、同時に石油供給源の多角化を図っていく必要がある、そういう観点に立ちまして、中東諸国に対すると同時に、またそれ以外の産油国に対しましても協力関係を強化するというのが基本的な考え方でございます。
  177. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの問題とも関連をしますが、エネルギー問題に関しての国際会議、たとえばベネチア・サミットあるいはIEA、こういう国際会議に対してわが国としてどのような基本的な態度でこれから臨まれようとしておるのか、この点はぜひひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。
  178. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まず差し迫っておりますのは五月末のパリにおきますIEAの閣僚理事会でございます。この議題等はまだ最終的には詰まっておりませんけれども、しかし、恐らくは八一年度あるいは八五年度の輸入目標等をある程度吟味するという内容を持つんじゃなかろうか。この扱い方につきまして、まだ米国、ドイツ等の間にいろいろ意見の相違がございまして、最終的な結論にはなっておりませんけれども、そういう問題等を踏まえまして、そういう目標問題あるいは代替エネルギーをどうするかという問題等が議題になってくると思います。私どもといたしましては事前準備の会議にも担当官を出席させまして、ただいませっかく検討中でございます。  それが済みましてからイタリアにおけるサミットの会議があるわけですけれども、この会議も恐らくはエネルギー問題が中心じゃなかろうかというふうに見られておりますので、IEAの結果等を踏まえましてこれに臨む予定にしてございます。  私は、まだはっきりはしておりませんけれども、サミットに行けるかどうか、これはまだ決まっておりませんが、サウジアラビアとの間に日サ合同委員会と申しますか、毎年定期的に会談いたしまして問題を処理する機構ができておりまして、それに出席いたしましてサウジとの間に横たわっているいろいろな問題を片づけたいというふうに考えてございます。  ただいまの旅程は大体そういうところでございまして、その前に中国に参りまして、石炭、油等を中心にいたしまして具体的な内容の吟味に入ってみたいというふうに考えてございます。
  179. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこで、代替エネルギーの本法案についてこれからいろいろお聞きをするわけですが、いま大臣が言われましたような各種の国際会議、それぞれ大臣を初め責任者が出席をされて、とりわけ石油の問題を中心にしながら、どういう対応を日本の立場として打ち出していくか、こういうふうな問題を詰めておられると思うのですけれども、そこでちょっと長官にお伺いをしたいのですが、いま大臣がおっしゃいましたような各種の国際会議に対して、やはり相当具体的な態度日本の立場を明らかにして臨まなければならぬ、こういうふうに思うわけです。その場合に、いま提出をされております法案による新エネルギー開発といいますか、あるいは代替エネルギー開発促進を、日本がこれから主張なさるあるいは諸外国に対して立場を説明するその場合に、有力な国内措置の一つとして説明をされるという機会が非常に多いのじゃないかと思いますが、これについて今度出されたような内容で十分に対応できますか、長官、ひとつお答えいただきたい。
  180. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、国際会議に臨む基本姿勢は、先ほど大臣お答えになったとおりでございますけれども、若干事務的に補足いたしますと、わが国の置かれておる立場が一番問題なのは、エネルギー構造の中で石油の占める比率が余りにも高過ぎるということではないかと思うわけでございます。しかも、その石油がほとんど大部分を海外に依存しておるということからいたしますと、やはりそこに日本の置かれている問題点というものが明確になってくるわけでございまして、国際協調という前提がきわめて大きな前提条件になるわけでございますから、私どもが国際会議に臨むに当たりましては、日本の立場の主張ということは当然でございますけれども、やはり前提条件といたしましての国際協調ということを絶対に図らなければならない、これが国際会議に臨む一つ基本姿勢ではないか、こう思っておるわけでございます。エネルギー関係の国際会議に臨む基本姿勢ではないかと思うわけでございます。  そこで、わが国といたしまして、その構造を変えていくということが大きな政策課題でございまして、現在御審議いただいております法案もそれに対する挑戦ということでございまして、目的とするところは、石油依存度七五%を五〇%程度に引き下げていくということを国の内外に宣明いたしておるわけでございますから、それの実施手段といたしまして、代替エネルギー開発導入促進法という法律をつくりまして、その中で新エネルギー開発機構という、具体的に代替エネルギー開発に取り組む中核機関をつくる、この姿勢を示すことは日本の責任であり、かつ諸外国から見ても日本はなるほど積極的な開発に取り組んだな、こういう姿勢を示すものというふうに私ども考えておる次第でございます。  昨日も御質疑がございまして、たとえば産油国等で日本の新エネルギー開発機構に対する期待が大変に強いというお話もございましたし、事実そのとおりでございますし、また、先進国の中におきましても日本エネルギー構造に大変な不安を持っておる国々が多いわけでございますから、具体的な方法論といたしまして、新エネルギー開発機構を通じまして日本代替エネルギー開発に積極的に取り組み始めたという姿勢は高く評価してもらえるというふうに自負をしている次第でございます。
  181. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 少し具体的にお聞きしたいと思いますが、いまも答弁の中にありました供給構造の変化、つまりいままでのメジャーを通して石油を買う、こういうふうなやり方から、産油国による直接販売方式へ次第に変化をしてきておるわけですけれども、これに対しては政府は具体的にはどう対応されるつもりですか。
  182. 志賀学

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘がございましたように、原油の供給構造というのは最近非常に変わってきております。過去、昭和四十七年ごろにおきましては大体七割以上、日本への原油の七七%くらいがメジャースルーということでございました。それが逐次低下してまいりまして、ごく最近のことしの二月時点になりますと、約四五%弱というような形になっております。それにかわりまして産油国の国営石油会社あるいは産油国政府直接の販売が非常にふえておりまして、約四五%というような形になっております。  こういうように世界の原油の供給構造が非常に変わってきて、日本に対する供給構造もそれに伴いまして変わってきておるわけでございますが、それに対します対応といたしましては、GGあるいはDD、こういうものをやはり積極的に推進していくことが必要であるというふうに思っております。そのためには産油国に対する経済協力というような問題も非常に大きい役割りを果たすのではないかというふうに思っております。
  183. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間が余りありませんから次々にお伺いをしていきたいと思うのですが、次に備蓄の問題について若干お伺いをしたいと思うわけです。  五十三年の六月に石油開発公団法の一部を改正しました。そして当初は五十七年度を目標にして備蓄の増強計画を決めたわけでありますけれども、当時の決め方そのものはまだ非常に緩やかな決め方だったと思うわけです。しかし、その後総合エネルギー調査会では、国家備蓄の分を思い切って引き上げなければならぬ、こういうふうなことから、資料によりますと、六十年度末をめどにして三千万キロリットル、約三十日分、とりあえず昭和五十四年度からは二千万キロリットル、この増強を提言をして、つまり官民合わせますと、六十五年度では百二十日分の達成というふうなことが言われたようであります。その後、状況の変化も若干ありますけれども、現状を見ますと、その点については非常に努力が進められているわりあいには進行状況はよくないというふうに私は考えるわけであります。たとえばことしの二月末現在で見てみますと、民間の場合に八十七・四日分、それから国家備蓄の場合に七・二、ですから合計九十四・六日分にしかなっておらないというふうな現状が、いただいた資料の中では出ておるようでありますけれども、これについて一体どういう考え方を持っておるか。  それからあわせてお聞きをしますけれども、この備蓄の増強に対して産油国側では相当の批判を持っておるといいますか、これは産油国側の国益といいますか、そういう立場からいって、いわゆる石油を供給する側のある意味では戦術と言ってもいいと思うのですけれども、そういう点での批判が相当あるというふうに聞いておるわけです。この国家備蓄増強というわが国の立場から見た計画、その増強推進、それといま言った後者の産油国の批判、こういうものに関連をして日本はどういう立場を貫こうとしておられるのか、あるいは産油国に対するいろいろな積極的な話し合いをそのために持つ準備があるのかどうか、その点も含めましてお答えをいただきたいと思います。
  184. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず第一点の、石油備蓄の現況とその対策からお答え申し上げたいと存じます。  現在の備蓄水準は、いま渡辺先生がお示しになりましたように、二月末現在で民間備蓄は約八十七日分、国家備蓄は七日分、合計九十四日分ということでございまして、ちなみに主要先進国の現在の備蓄水準が大体百三十五日分でございますから、わが国のような特殊な国で九十四日分というのは、備蓄水準としては大変に低いと言わざるを得ない状態かと思います。  そこで、民間備蓄につきましては、備蓄法によりまして九十日備蓄を一応の義務づけとしておるわけでございまして、この九十日備蓄達成のための政策手段をとってまいりたいと思っておりますが、九十日備蓄を一応の水準といたしまして、それを上回る分は国が備蓄をする、いわゆる国家備蓄で対処してまいりたいというのが基本姿勢でございます。先ほどお示しのございましたように、五十七年度に一千万キロリットルの国家備蓄を達成するということを考えまして現在着々と進行中でございまして、むつ小川原はすでに土地の造成に入ったわけでございますけれども、その他の三地点につきましても鋭意検討を進めておるわけでございます。さらに、二千万キロリットルの備蓄増強につきましては、先般候補地を四カ所挙げたわけでございますが、五十五年度の予算におきまして三千万キロリットルへの準備のための調査費の計上をお認めいただいたところでございますので、そういうものをてこにいたしまして、なるべく早く三千万キロリットルの国家備蓄の達成に努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから御指摘の第二点、いわゆる備蓄を図ることによりまして産油国とのトラブルが起こるのではないかという問題に対しましては、確かにいまの世界の需給状況あるいは産油国の生産能力等から見まして、急激なる備蓄の増強ということにつきましては、産油国は大変いやな顔をするというのが偽らざる実情ではないかと思うわけでございます。先般もアメリカが、いわゆる戦略備蓄の問題に関連いたしましてサウジアラビアを訪問いたしまして話がまとまらなかったというような問題もございます。それから、最近産油国石油の売買のときに、デスティネーションといいます最終陸揚げ地を必ず求めてくるというような問題もございますから、備蓄につきましていろいろな批判が起こっておるというふうに見受けられますけれども、これは急激なる備蓄の増強につきましての批判でございまして、秩序正しい段階的な備蓄につきましては産油国も特に神経をとがらしているわけではございませんので、先ほども申し上げましたような民間の九十日備蓄あるいは国家備蓄の三千万キロリットルにつきましても、計画的に秩序正しく行うことによりまして産油国との調和を図っていけるもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
  185. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 次に、本法案と直接関係するわけでありますけれども、本案の第二条で石油代替エネルギーの定義が出されております。しかし、この代替エネルギーというのはどういうものを言うのか。それから、俗に新エネルギーというふうにわれわれは言うわけでありますけれども政府もその言葉を使われているわけですが、この代替エネルギーの定義それから新エネルギーの定義、この関係について、できるだけ時間をとらないようにしながら、簡潔に正確にお答えいただきたいと思います。
  186. 尾島巖

    ○尾島政府委員 第二条におきまして代替エネルギーの定義を明確に規定いたしておりますが、これは石油にかわって使われるエネルギーということで、石油にかわって使われる燃料、つまり石炭とかLNGですとかアルコールですとかいうものと、それから石油を熱源としている熱にかえて使用される熱ということで、太陽熱とか地熱ですとか、それからまた石油から導かれる動力にかえて使われる動力という意味で、水力、波力、風力というようなものを考えております。さらに、石油を最後に転換して得られる電気にかえて用いられる電気という意味で、太陽光発電によって発電された電気というような、この四つのレベルにおきまして、石油にかえて用いられるエネルギー石油代替エネルギーとして定義しているわけでございます。  さらに、第三章におきまして新エネルギー総合開発機構という名称を使っておりますが、この新エネルギーというのは法律的に定義づけておりません。それでわれわれがここで用いておりますのは、天然に存在しない状態において新たに技術開発によって得られるエネルギー、あるいは天然に存在はするけれども経済性に乏しくて従来使われていなかったものを、新たに資源開発等によりまして実用段階に達して用いられるようなエネルギー、これをわれわれは新規にわれわれの実用に供されるエネルギーという意味で、新エネルギーという言葉を用いておるわけでございます。
  187. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、後段で説明をされましたいわゆる新エネルギー、これはいま一般的な御説明をいただいたわけですが、具体的に言いますと何々ですか。
  188. 尾島巖

    ○尾島政府委員 例を挙げて申し上げますと、新エネルギーのうち、天然に存在しないで新たに技術開発で生ずるエネルギーというものといたしましては、石炭液化油ですとか、太陽光発電による電気というようなものが例としては考えられると思います。それから、経済性に乏しいもので従来実用に供されていなかったようなものといたしましては、太陽熱というようなものが例示としては考えられると思います。
  189. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、石炭液化油というのは、これはいろいろな言い方があると思うのですが、石炭の利用技術の一部だ、こういうふうに解釈されるわけでありますけれども、この石炭液化油も新エネルギーの中に入れて、そして新エネルギーの分類で定義をされておるわけですか。
  190. 尾島巖

    ○尾島政府委員 石炭液化油につきましては、重油代替というような用途あるいはその他の用途として、石炭から新たに技術開発によりましてつくられた燃料油というようなことで考えられると思います。したがいまして、新エネルギーの中には石炭液化油も含めてわれわれ考えております。
  191. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それでは、細かいようでありますけれども、オイルシェールとかタールサンド、これも新エネルギーの中に含めて分類されておるのかどうか、これは基本的には化石エネルギーの資源だと思いますけれども、これも新エネルギーというようなものの中に定義づけておりますか。
  192. 尾島巖

    ○尾島政府委員 先生指摘のとおりでございます。新エネルギーの中に含めて考えております。
  193. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 もちろんこれもこれからの問題でございますけれども、水素エネルギーはどうですか。
  194. 尾島巖

    ○尾島政府委員 水素エネルギーにつきましては、この新機構で今後開発するものといたしまして現在上がっておりませんけれども、現在工技院の方で鋭意技術開発を進めておる段階でございますが、将来これが新しいエネルギーとして技術開発を本格的に進めていく必要があるという段階に達した場合に、必要に応じて新エネルギー開発機構で取り上げていきたい、こういうふうに思っております。
  195. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 代替エネルギー開発導入の進め方についていろいろお聞きしたいわけでありますけれども、しかしその前提として私どもは、私冒頭申し上げましたように今回の法案が出て、ようやく出てきたかという感じだ、しかし中身はまだまだ対応が不十分ではないか、おくれているんではないかというようなことを申し上げたのでありますが、私どもの立場としては新開発機構というふうなこういうものではなくして、さきに同僚委員も申し上げましたように、新たな公団として、国の財政問題は確かにあります。ありますけれども、これは今後のわが国の産業経済全体にわたっての非常に大きな問題であり、国民生活にかかわる重要な最大の課題でありますから、そういう意味では思い切って十分な機構を持ちながら対応できるというふうなものにしなければならなかったのではないか、こういうふうな考え方を一貫して持ってきたわけであります。そういう意味では、過去におけるわが国エネルギー対策というのは、しばしばこの委員会でもある意味では警告じみた質問を繰り返したわけでありますけれども、やはり何といっても経済性その他の問題からいって石油に過度に依存してきた。したがって代替エネルギー開発というものが非常におくれた、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。今日の脆弱なエネルギー構造が形成されたというふうな理由も、代替エネルギー開発が非常におくれた、こういうふうな結果ではないかというふうに見ておるわけでありますけれども、この点について政府として何か反省、見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
  196. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギー構造というものはそのときそのときの世界の客観情勢、国内の客観情勢というものを踏まえながらつくり上げていくのが最も妥当な方法ではないかと思うわけでございます。  そこで日本におきましては、昭和二十年代の後半から三十年代へかけまして大変なエネルギー構造の革命を行いまして石炭から石油へ転換をしたわけでございます。そのこと自体は私は大変成功したんではないかというふうに考えております。日本の高度成長に対する御批判はございますけれども、経済をここまで支えてきたあるいは国民生活をここまでレベルアップさしてきたというのは、一つエネルギー構造を石油に依存をしたということがプラスしたのではないかと思うわけでございます。と申しますのは、その当時の世界の客観情勢からいいまして、石油というものがわりに豊富にかつ低廉に供給を受けられるというエネルギー源であったわけでございますので、それをフルに活用したのが日本ではなかったのかなという気持ちを持っておるわけでございます。ところがだんだんとそういった石油に対する見方が変わってまいりまして、御承知のとおり石油は枯渇するものでございますから、産油国等のポリシーもございまして非常な価格の高騰が行われたわけでございまして、それから将来価格面だけでなくて量的な面での制約条件も出てきたということからいたしますと、そういう客観情勢の変化に対応したエネルギー構造変化をいち早く行うべきであるというような時代にいま迫られているんじゃないかということでございまして、過去に石油依存型のエネルギー構造をとったことは、私自身それは失敗ではなくてむしろ成功の原因であったんではないかと思いますけれども、それをいかにいまの客観情勢の中で切りかえていくか、その切りかえの政策努力を怠ることなく遂行することによりまして、国民経済あるいは国民生活というものの対応を図っていくべきであるというような基本認識でございまして、いまがまさにその時期である。渡辺先生からいまようやく法案が出てきたかというような御指摘も受けましたけれども、まさにいまがその時期ではないか、この時期にそういった構造改革を怠りますと大変なことになるんではないかな、こういう問題意識を持っておるわけでございます。
  197. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま長官の言われたことは半分ぐらいは肯定しますけれども半分ぐらいは少し違うのですよ。というのは、石油はこれまで長い間、特に最近までの高度経済成長を支えた最も有力なエネルギー源であった、これは否定をしません。そのとおりだと思うのです。ですから、それを基礎にして日本の経済が高度繁栄したといいますか成長したといいますか、それのよしあしは別として、そのことは事実であろうしそれが基本的に間違った政策だったなんということは私も考えません。ただ、いま財政的にも特に日本の場合には大変な時期に来ておる、こういう状態と、それから国際的な石油をめぐる状況、これが因果関係も若干あるでしょうけれども、絡まった時期の中でいまようやく対応しようとしたわけです。いままさにその時期だというふうに長官おっしゃいましたけれども、私はやはりちょっと遅かったんじゃないかという気がするわけですね。高度成長の時期にむしろ、石油が有限だということは前から言われておったわけですから、その段階からもちろん工技院などを中心にしていろんな開発研究が進められてきたことは承知をしておりますけれども、あの当時から私ども申し上げておりますように、こういう研究開発には思い切った金をつぎ込んで、そうした経済、民生の挫折を来すようなことのないように準備をする必要があるんじゃないかということは、もう何回も繰り返し強調してきたつもりであります。そういう点から言えば、今日国家財政も非常に苦しい中で、細々という言い方をしてはちょっと失礼かもしれませんが、ようやく細々とした財源でもっていま本格的に取りかかろう、これはちょっとやはり遅かったんじゃないかという気がします。これ以上この問題議論しませんけれども、そういうふうな感じを持っております。  そこで、この新機構を支える財源の問題あるいは代替エネルギー開発、この所要資金の問題、こういう面について、これは通産と大蔵両方に聞きたいと思っておりますけれども、この法律案と一緒に提出をされております二つ法案、これで五十五年度の石油代替エネルギー対策の予算二つ特別会計に千百七十六億計上されております。そのうち新エネルギー総合開発機構予算は、ここから石炭鉱業合理業務関係を除きますとわずかに百七十六億円、関連予算を含めて三百六十五億円であります。今後長期の所要資金というものを考えてみますとこの二つ法律案の措置のみで一体大丈夫なのかどうか非常に心もとない、こういう気がするわけです。したがって私は冒頭申し上げましたように、その対応としてはまだまだ不十分ではないか、初年度だから仕方がないというふうな言い方もあると思いますけれども、非常に大きな仕事を今後進めるについては余りにもお寒いのではないかという気がするわけですけれども、これはどうお考えですか。
  198. 森山信吾

    森山(信)政府委員 財源のお話を申し上げます前に、まず機構関係財源関係ということからお答え申し上げさせていただきたいと存じます。  先ほどもちょっとお答え申し上げたところでございますけれども、新機構の使命と申しますのは資源開発技術開発という二つになるわけでございまして、その技術開発につきましては、企業化を特に促進する必要があると思われる技術につきましての開発を新エネルギー機構が担当するということでございまして、実際の企業化その他は民間活力に期待いたしたいということでございます。十年間の時限で見た場合に、代替エネルギー開発それ自身には六十兆とか八十兆とかの資金が要ると言われておるわけでございまして、それをすべて国が賄うということになりますと、これはいま先生指摘のとおり、大変苦しい財政の中でその分担を図っていくことは問題があろうかということでございますので、新エネルギー開発機構分担いたしますのはあくまでも企業化を特に必要とするもの、あるいは特段の資源開発を行うものという面に限りまして資金手当てをしていこう、つまり代替エネルギー開発につきましてのインセンティブ的な考え方をとったということでございますので、この財源ですべての代替エネルギー開発が行われるわけではないということをぜひ御理解賜りたいと思う次第でございます。  前置きがちょっと長くなりましたが、そういうインセンティブ的な前提で立てました資金計画は、これは通産省の積算でございますけれども、昭和五十五年度から六十五年度の十一年間に約三兆円の資金を必要とすると考えておるわけでございます。それから、その資金を調達するための手段といたしましては、石炭石油特別会計電源開特別会計二つ特別会計に期待しておるわけでございまして、歳入といたしまして両特別会計それぞれ約一兆五千億、合計三兆円の歳入を期待いたしておるわけでございます。それをどういうふうに使うかということにつきましてのごくラフな計算をいたしてみますと、新エネルギー開発機構で使わしていただきたいと思っておりますのが約半分の一兆五千億でございますし、それから原子力関係で約一兆円、それからその他、まあ直接特会から支出いたしまして新エネルギー開発機構とは直接の関係のございませんものが約五千億ということでございます。したがいまして、一兆円はいわゆる動燃事業団等への支出でございますから、通産省として直接使用させていただきたいと思っておりますのは二兆円というような感じを持っておる次第でございます。
  199. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの後段の御説明は、きのうも、それからけさといいますか、午前中の質問に対する長官の御答弁でもわかりました。十一年間に約三兆、そのうち電源特会と石炭石油、この石油関係で一兆五千億ですか、それはわかったのですけれども、電源特会の場合は一応電力需要の長期の見通しがありますから、これである程度見当はつきます。石油の場合の一兆五千億というこの価格の裏づけはどのようになっておりますか。申し上げるまでもなくCIF価格に対する三・五%でしょう。そうすると、これは価格との関連が出  てくるわけでありますから、一兆五千億というのはどういう価格の見積もりを基礎にして長官お答えになっておるのか、その点の根拠をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  200. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず一兆五千億につきましては、石油税の収入のうちから石油代替エネルギー石油関連部分に使わせていただきたいと思います資金の期待額を申し上げたわけでございますが、その前提といたしましての石油税収入につきましては、量的な面と価格面の二つの積算がございます。量的な面につきましては、御承知のとおり六百三十万BDという国際的な制約条件がございます。現在は一九八五年に六百三十万バレルとして国際合意があるわけでございますけれども、それがそのまま六十五年までスライドするという前提で量的には抑えたわけでございます。  それから価格につきましては、五十五年度は一応据え置きといたしまして、五十六年度以降につきましては年率にいたしまして五%ずつアップしていく、こういう一応の試算を立てまして計算いたしました結果が、石油税収入といたしまして六兆五千七百八十億円、こういう積算を出したわけでございますし、御承知のとおり石炭石油特会は、石油税収入のほかに原重油関税も財源といたしておるわけでございますけれども、この原重油関税につきましては、先ほど申し上げました量的な積算をベースにいたしまして一兆八千九百二十億円という算定をいたしたわけでございまして、このうちから石油代替エネルギー開発に向けられる分が約一兆五千億あるのではないか、これは期待の金額でございます。
  201. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 次にサンシャイン計画について若干お聞きしたいと思います。  五十五年度の予算は二百八十六億五千万円、これは確かに前年度までと比較をしますと非常に大きな伸びであります。しかし産業技術審議会の新エネルギー技術開発部会の中間報告、これは去年の十一月に出されておるわけですが、この試算で見ますと、公的な資金のみで五十五年から六十年度までですから六年間になりますか、この六年間に五千八百億円必要だ、こういうふうに出されておるわけです。このサンシャイン計画の加速的な推進というふうな意欲の割りには、昨年までから見ると大幅な伸びを示したとはいうものの、二百八十六億というのは余りにも少ない金額じゃないかと思うのですね。つまり五千八百億、六年間に要する費用がそれだけだとしますと、当初の第一年目が三百億足らずというのは余りにも少な過ぎるし、これから五年間で大変な金を必要としていくというふうな計算になっておるわけですから、この見通しはどうですか、五千八百億円六年間で調達する、これはしなければならぬ、こういうふうなお考えなのかどうか、その点もひとつはっきりさせておいていただきたいと思います。
  202. 石坂誠一

    石坂政府委員 五十五年度予算案の中に出ておる数字は、おっしゃいましたように二百八十六億程度でございます。これも実は先ほど御指摘ございましたように、昨年の値に比べまして二・四倍という非常に大きな伸びを示しておるわけでございます。  実は、研究開発をやる過程におきまして、先ほどからもいろいろ御審議ございましたように、サンシャイン計画は五十四年度の時点までは比較的基礎的な研究を積み上げてまいったわけでございます。五十五年度になりまして、たとえば千キロワットの太陽熱発電プラントを二基建設するという大きな資金需要が出てきておるというのが現状でございます。したがいまして、私といたしましては今後いわば幾何級数的に開発費は増加するだろうと考えておるわけでございまして、事実、基礎研究に比べますとパイロットプラントの研究あるいはさらにそれがデモンストレーションに移るということになりますと大変なお金がかかりてくるわけでございまして、私どもがそういったお金の将来の見込みをごく雑な見積もりでございますけれども、こんなぐらいにはなるのじゃないかというような数字を出しておるという程度でございます。
  203. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 工業技術院の院長は非常に遠慮をされた発言をいましたようでありますけれども、実際問題としてはこれだけ必要なんでしょう。これは諸外国の一つ計画を参考にしてみましても、日本の場合のたとえば今年度二百八十六億という去年から見れば相当多額の金、これにしたってまだまだ少ないと思っているのです。ですから、非常に遠慮をなさって五千八百億円という、ラフな見方というふうに言いますけれども、事実上必要なんだと思うのですよ。いままでがもともと低いので、新たに六年間でこれだけ公的資金だけでも必要なんじゃないか、こういうふうに見積もられておるものが物すごく多く見えますけれども、実際は思い切ってこれからサンシャイン計画を進めていくということになれば絶対必要な資金じゃないのか、こういうふうに私ども考えておるわけです。  そこで大蔵省にお聞きをしたいのですが、この財源の問題で、最初申し上げましたそれぞれを特別会計から財源を求めて今後この事業を進めていく。それから、いま申し上げましたサンシャイン計画、こういったものをさらに、備蓄の問題について先ほどいろいろ御質問申し上げましたが、今後百二十日分、場合によったら将来はそれを上回るような備蓄体制をとらざるを得ないというふうなことまでいろいろ考え合わせてみますと、これは相当膨大な資金を必要とするのではないかというふうに考えるわけです。しかし、それだけ必要な、国の今後の発展のためにあるいは安全のためには必要なこういうふうな計画でありますから、これについてはやはり十分な手だてをやらなければならぬと思うのでありますけれども、大蔵省、来ておられると思いますが、それらについてもう完全に国全体の基本的な一つの政策だというふうな考え方の上に立って、その財源については十分に見ていく、こういうふうな考え方をお持ちになっておるのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  204. 角谷正彦

    ○角谷説明員 お答え申し上げます。  エネルギー関係、特に代替エネルギー開発導入といった問題につきましては、最近のエネルギー情勢から見まして非常に重要な政策であるということで、先生御案内のとおり五十五年度予算におきましても他の一般経費等が五・一%、非常に低い伸びでやっております段階で、全体の予算といたしまして三割を超えるという非常に高い、政策的には最も高いプライオリティーを与えて措置したところであることはすでに御案内のとおりでございます。今後とも全体のエネルギー需給といったものを見ながら、政策的に重点的に配慮すべきものにつきましては、今後の研究開発等あるいは利用、導入状況等に応じまして、重点的に手当てをする必要があるのではないかというように考えておるわけでございます。
  205. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこで、ひとつこれは通産よりも大蔵省にお聞きした方がいいと思うのですけれども、有力な財源一つになっております電源関係の税の改正、これはこの委員会じゃなくて大蔵にかかるわけですが、これはやはり先ごろの電気料金の大幅な値上げ状況の中で、この改正案が通ればこの電気料金の値上げになお上積みになるという立場があって、相当の批判があの税改正には出ておるようであります。これは一体、もしこの財源がいまわれわれが審議しているこの法案による新機構の中の財源として見られないという結果になったらどうなるのですか、その関係は。一般会計からでも準備をする、こういう決意ですか。
  206. 角谷正彦

    ○角谷説明員 先ほど森山資源エネルギー庁長官からお話がございましたように、将来にわたります代替エネルギー対策につきましては膨大な資金量が必要でございます。通産省あるいは科学技術庁の推定によりましても、先ほど資源エネルギー庁長官からお話がございましたように、十一年間で三兆円弱というふうな巨額の資金を要するというふうなことでございまして、代替エネルギー対策を進めていきますためには、これらの巨額の資金というものを中長期的にどういうふうに安定的に確保するかということが非常に必要だということでございます。そこで、それは、現在の厳しい財政事情を考慮いたしますと、このような資金を一般財源で賄うというふうなことはとうてい困難でございます。  そういったことで代替エネルギー開発利用は、基本的にはエネルギーの安定供給といったものの確保を通じまして、石油消費者なりあるいは一般電気事業者、ひいてはその消費者に受益関係をもたらすという関係がございますので、そういったことで、先ほどお話もありましたように、石油税あるいは電源開促進税といったことに財源を求めることにしたわけでございます。特に電源開促進税につきましては、これは御案内のように目的税でございまして、電源多様化のための特定の歳出需要に対応して税金を設定するというような性格でございます。したがいまして、これは歳入と歳出が完全に見合っておりまして、その税金というものは直接特別会計の歳入に入れられ、特別会計の歳出に充てられる、こういう関係になっております。したがって、そういう中で、仮にその電源開促進税といったものの一部につきまして歳入に欠陥といいますか、仮にそういうことが生ずると仮定いたした場合、そういうことは私どもとしてはないように実はお願い申し上げておるわけでございますが、仮にそういった場合におきましても、そういった特別会計というものが特定の歳出目的のための歳入を経理するための会計である、こういった基本的な性格からいいますと、一般財源をそこに投入するということは、基本的に制度的になじまないのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。そういった意味で、私どもといたしましては現在審議されております電源開促進税法あるいはそれに関連する特別会計法といったものが、予定どおり順調に国会で審議をしていただくようにぜひお願い申し上げたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、蛇足でございますけれども電源開促進税法によりますところの今回の増税によりますところの一般家庭に対する負担というものは、大体月当たり一般電灯料金におきまして四十円程度であろうかというふうに伺っているわけでございます。そういった四十円程度というのは、人によりまして高いあるいは安いというような評価はあろうかと思いますけれども、そういったふうなことで国全体の今後の長期にわたるエネルギー財源が確保されるというふうなことでございますならば、非常に長期的な意味で国益にも合致することではないだろうかと思いまして、そういう意味では一日も早い成立をお願い申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。
  207. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 大蔵省の立場といいますか、政府の立場ではいま答弁されたようなこと以外には言いようがないと思うのですけれども、しかし私どもこの法案審議をしておる立場としては、促進税の改正については大蔵がやるわけですけれども、繰り返すことになりますが、私さっき言ったような意見が相当強くあるわけです。しかし、われわれこの法律審議しておる立場のものとして、財源に欠陥が出た、こういうふうな場合にはもともとこの機構そのものが成り立たなくなっていく、そういう心配を持つわけでありますから、万が一そういうふうになった場合には一体どういう対策をお立てになるのかというふうな意味で聞いておるわけです。これは仮定の問題ですから、いま大蔵省がおっしゃいますように、何とかこれは通していただかなければならないというふうな、それは気持ちはわかりますよ。残念ながらその法案はわれわれの方の委員会で審議しているのじゃないのですよ。大蔵でこれからやるわけなんですよ。しかもその審議しようとしている大蔵では非常に批判が強い、こういうふうな状況がありますから、せっかくこの新機構を発足させようという前提でいま法案審議に入っておるわれわれの立場としては、その欠陥が出た場合にはどうなるのだろうかという心配を持つのは当然なんでありまして、そういう意味でお伺いをしたわけなんです。これは改めて御答弁があればお聞かせを願いたいし、さっきのことで尽きるというふうなことならば、これは改めてまた後日少し詰めていかなければならぬと思っております。どうでしょう。
  208. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大蔵省の考え方は先ほど角谷主計官から説明がありましたとおりでございまして、実は私どもも大変胸を痛めている問題でございます。  いま御審議いただいております法案は、言ってみますとふろおけをつくらしていただいているわけでございまして、そこに水が入ってまいりませんとおふろに入れないわけでございますから、両々相まちまして新エネルギー開発機構あるいは代替エネルギー開発導入促進が図られるということでございます。具体的に申し上げますと先ほど先生からやや御批判を賜りました財源、五十五年度の私どもの一応のもくろみでは千百七十六億円ということでございまして、少ないのではないかという御指摘をいただきましたけれども、千百七十六億円の予算を計上しておるわけでございますが、そのうちの八百二十七億がいま御指摘電源開促進税の増徴分で予定をしておるわけでございますから、仮に税法が通らないということになりますと、八百二十七億が歳入欠陥ということになりまして、現実には千百七十六億円のうちの三百四十九億円でこの法案と申しましょうか、資源エネルギー開発機構を含めまして石油代替エネルギー開発導入を進めていかなくてはならぬ。千百七十六億円でも大変少ないという御指摘を受けたところに、三百五十億程度の資金で代替エネルギー開発導入を図るということになりますと、まさにお先真っ暗というような感じでございまして、せっかく私どもが昭和五十五年度を代替エネルギー元年と位置づけましてやっておることとは大変かけ離れた実情にならざるを得ない、こういうことで私ども大変胸を痛めておるわけでございますので、ぜひ商工委員会といたしましても税法——これは直接の御関係はございませんけれども、先ほど申し上げましたふろおけと水の関係というふうな点を御理解を賜りまして、絶大なる御支援を賜りたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。
  209. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それは政府のおやりになることでありまして、残念ながら私どもの権限じゃない。ただ私は、そうなった場合に、せっかくわれわれが一生懸命これを審議しているのだけれども、俗な言葉で言えばまるきりパアになっちゃう、こういうふうなことを考えますから、念のために心配をして大蔵にもお聞きをしたわけでありまして、あと七分ほどしかありませんから、申し上げたいことはたくさんあるのですが、最後に一つだけお伺いをしたいと思います。  それは、これも今回の審議が始まってからでも多くの同僚委員の方から質問がありましたが、ローカルエネルギー、これを重視をしなければならぬ、これをどう考えるかというふうないろいろな質問があったのですが、私は小水力の推進の必要性について一点だけお伺いをしたいと思っております。実はダムの問題であります。ダムにいわゆる堆砂といいますか、砂がたくさん蓄積されて、そしてそれによってダムの本来の機能が失われておる、こういうふうな状況が相当深刻な問題として出されておるようであります。これは、水資源というふうなことをいろいろ考えてみますと非常にゆゆしい問題ではないか。ですから、こういった堆砂を除去する対策というものもそれぞれ研究されておるようでありますし、また具体的なその推進も進めなければならぬというふうな認識は強まっているのでありますけれども、実際問題として費用がたくさんかかる、こういうふうな問題もあって、あるいは輸送の問題などもあってそのままにされておるというふうな状況が非常に多いようであります。これはいわゆる水力発電エネルギーの問題から関連をしましても、あるいはまた堆砂しておるものを活用して、そして骨材にすれば大変な資材源になるのだというふうなことが言われておるようでありますけれども、こういった問題について、何かちょっと考えますとこれは電源とは余り関係がない、エネルギー源とは関係がないような感じも持たれますけれども、識者からいろいろ深く聞いてみますとこのことは大変なんだというふうに言われておるようであります。こういう点に対する御認識あるいは具体的な対応について何かあればお聞かせをいただきたいと思います。
  210. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 水力は大変貴重な国産のエネルギーでございます。そして堆砂がその電力の発生に大きな影響を与えておるのも事実でございます。現在堆砂によりまして埋まっているダムが相当ございますが、およそ三百くらいのダムを調査いたしましたところ、そのうち十一が八〇%以上の堆砂率になっておるというような状況でございます。そこで、そういう堆砂によりましてダム本来の機能が低下して発電力の調整機能が失われる、そして電力量の減少が生じているというふうなことは何とか打開を図りたいと考えております。しかし、そのダム内の土砂を排砂するということは、先生ただいま御指摘のように技術的あるいは経済的に非常に困難な問題がございます。しかし何とかこれを打開する方策はないかということで、昭和五十五年度から発電用ダム堆砂排除総合システム開発調査というものを四年計画によりまして実施いたしまして、そして効率的な砂の除去というものができないかどうかということを勉強いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  その調査の内容としましては、堆積いたしました土砂の排砂処理とか、あるいは御指摘のような有効利用の方法はないかとか、そういうようなシステムを開発しようという目的のものでございまして、そういう点を活用いたしまして努力をしてまいりたい、かように考えております。
  211. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これで終わりますけれども、いま公益事業部長が言われましたそれはどの機関でやっておるのですか。
  212. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 これは総合的なシステムを構築する事業でございますので、まだ具体的にどの機関に委託するかということは確定を見ておりませんが、いましばらくいろいろ能力等を見ましてから決定いたしたいというふうに考えております。
  213. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 終わります。
  214. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて渡辺三郎君の質疑は終わります。  引き続いて森田景一君の質疑に入ります。森田景一君。
  215. 森田景一

    ○森田委員 最初に通産大臣にお伺いをいたします。  この新エネルギー総合開発機構を推進する上で最も重要な問題である、このように思っておられる問題をひとつ最初にお聞かせいただきたいと思います。
  216. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 やはりこれを運営する人材と申しますか、これが一番ポイントだと思います。人の配置の妙を得なければなかなかむずかしい問題でございますし、これからの問題でございますので、大変目的と違うものになるんじゃないかという感じがいたしますから、まず組織あるいは人間の人選が大変重要なことだと思っております。
  217. 森田景一

    ○森田委員 最も重要ということですから一つしかお答えになりませんでしたけれども、私はやはりいま大臣おっしゃいましたように人材の確保、これが大事なことであると思っております。それからもう一つは、資金の確保といいますか、財源の手当て、この二つがやはりこの新しい機構を成功させるかどうかの大きなかぎを握っているのじゃないかと思います。この点についてはどうでしょうか。
  218. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 資金の問題に関しましては、一応資金の手当てと申しますか、めどがつきましたのでこの新機構の設立に踏み切ったわけでございまして、私どもといたしましては所定の財源をぜひともこの機構法案と同時に国会を通していただきたいものだというふうに念願してございます。
  219. 森田景一

    ○森田委員 そういうことで、私は、人材の問題、資金の問題、こういう順序でお尋ねしようと思っておりましたのですが、この新しい機構に、いままでの石炭鉱業合理化事業団が廃止になりまして統合されるといいますか、吸収される、こういう状況になっているわけでございますので、そちらの方から質問をしたいと思います。  新エネルギー総合開発機構の設置に伴いまして、石炭鉱業合理化事業団を廃止しましてその業務を引き継ぐ、こういうことになっております。これまで石炭対策は、慢性的な構造不況と言われる石炭鉱業を支えまして、唯一の国内資源とも言える石炭の生産を維持するために、六次にわたって実施されてきたところでありますけれども石炭鉱業合理化事業団は、対策の中心的な機関として重要な役割りを果たしてきたものだ、このように私は思います。  石炭鉱業合理化事業団の理事長が参考人としておいでになっているはずでございますが、見えてませんか。
  220. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 来ています。
  221. 森田景一

    ○森田委員 特に今日までいろいろと御苦心され、またその苦心の結果、成果の上がってきた事業だとか、あるいは新機構に吸収されるといいますか、余りいい表現ではありませんが、そういう場合のこれからの問題点といいますか、課題といいますか、この新機構を成功させるための留意すべき点、こういう問題についてお考えがございましたらひとつお話しいただきたいと思います。
  222. 佐賀新太郎

    ○佐賀参考人 お答え申し上げます。  御承知のようにこの法案では、新エネルギー総合開発機構が設置されますならば、従来の石炭鉱業合理化事業団は解散、廃止というふうなことが予定されておるわけでありますけれども、ただいま先生指摘のように、幸いにして石炭鉱業合理化事業団の重要性を認識されまして、新機構発足後も従来の石炭鉱業合理化事業団の業務並びに人員がそのまま新機構石炭鉱業合理化事業本部という形で吸収されるということに相なっておるわけでございます。そういう形でもってこの新機構石炭鉱業合理業務との一体的な処理を図るというふうなことが予定されておりますので、当面従来の業務の実施につきましては、特段不便とか不都合とかいうふうなことは予見してないということでございます。また、特にこの新機構の管理部門等につきましては、極力従来の石炭鉱業合理化事業団等の人員が活用されるというふうな方向を期待いたしておるというふうな次第でございます。
  223. 森田景一

    ○森田委員 国内石炭は、言うまでもなく最も安定的なエネルギーの供給源である。またその一定規模の生産を維持するということは、エネルギーの安全保障という見地からも、また地域経済、それから雇用との関連あるいは採炭技術の今後の海外石炭開発に果たす効果等、そういう面からきわめて重要であると思います。これを除いて今後の石炭対策関係の推進は困難であろう、このように思うわけでございます。  そういう立場から、二年後に石炭対策関係の諸法律の期限が切れることになっております。そういう状況でございますので、石炭鉱業の現状、それから今後の展望を踏まえまして新たな石炭対策を早急に検討しなければならない、こういうふうに言われてきているわけでございます。こういう点につきまして、事業団の理事長の見解をもう少しお聞かせいただきたいと思います。
  224. 佐賀新太郎

    ○佐賀参考人 ただいま先生の御質問でございますが、将来の石炭政策をどういうふうに展開するかというふうなポリシーのマターにつきましては、はなはだ残念でございますが、私としてとやかく申し上げる立場にございません。ただ、あえて希望として申し上げますならば、いまさら強調するまでもなく、国内石炭はわが国の唯一の貴重な資源でございます。しかもまた、国内石炭が地域経済なりあるいは地域の雇用といった面に重要なウエートを占めておるというふうな現状、それから将来海外炭開発輸入、こういったふうな分野におきましては、日本の長年の石炭の採掘技術が非常に重要な役割りを果たすことが予想されます。そういう面からして、国内石炭の一定規模の維持ということはぜひとも今後とも強力に進められてしかるべきものだろうというふうに私どもは期待をいたしておる次第でございます。
  225. 森田景一

    ○森田委員 理事長の立場でこれからの石炭対策を論ずるのはという御遠慮の御発言がありました。お気持ちのほどはわかるわけであります。しかし、日本はかつて発電は石炭火力が主力でありました。それが今度は石油火力に切りかえられまして、そして今日また石油の不足という問題から石炭火力が見直されてきている、こういう経緯があるわけでございます。そういう経緯で、なぜ石炭が石油にかわられていったのかという、これは初歩的な問題でありますが、いままで事業団としてこの日本の石炭事業を推進してきたお立場で、そういう原因についてどのようにいままでお考えになっていらっしゃったのか、その辺のところもひとつお聞かせいただきたいと思います。
  226. 佐賀新太郎

    ○佐賀参考人 先ほど申しおくれましたが、実は理事長がよんどころない事情がございまして、私、総務担当理事でございます。どうも失礼申し上げました。  ただいまの御質問でございますが、私の口からお答え申すのが適当かどうかわかりませんが、要するに石油、石炭の経済的な燃料と申しますか、そういうものとしての比較といいますか、こういうことだろうと思いますけれども、何と申しましても石炭は価格的にもあるいは燃料としての特性といいますか、運搬性あるいはハンドリングの難易性の問題、こうした問題から、たまたま先ほど森山エネ庁長官のお話にもございましたように、戦後比較的早い時期に中東方面で大きな油田の発見がございまして、この石油資源というものが非常に安価に、また容易に手に入るというふうな客観的な背景がございまして、残念ながらこの流体革命といいますか、エネルギー革命の進行が、先ほど御説明のようにわが国の高度経済成長の一つの大きな基本的条件になったことはいまさら申すまでもないことであります。また、残念ながらつい最近までは国内石炭は相対的に価格も高い。と申しますことは、御承知のように国内石炭は外国の石炭採掘条件に比しまして非常に不利な自然条件のもとに採掘をしておる。たとえて申しますれば非常に深部でガスが多く、傾斜が大きいあるいは湧水量が大きいといったふうな非常に不利な条件のもとでやっておりますので、どうしても生産原価が高くなるというふうな価格上のデメリットがあったわけであります。幸か不幸か最近、御承知のようなOPECの石油を戦略武器とする一つの大きな政策によりまして今日のような事態になっております。     〔委員長退席、野田委員長代理着席〕 そこでいわゆる石炭の復権ということが行われてまいっておるわけでありまして、これは従来ともすれば軽視されがちであった国内石炭のクローズアップということで、その重要性がますます認識されるというふうに考えておりまして、先ほど申しましたように、ぜひ今後とも国内石炭の活用推進ということが大きな問題として推進されてほしいというふうな願望を抱いておる次第であります。
  227. 森田景一

    ○森田委員 いま石炭の復権という話がありました。この石炭の復権が果たして可能かどうか、これはやはり大きな問題だと私は思うのです。いまお話ありましたように、国内炭は海外炭に比してコストが高い、こういう問題があるということでございますが、これからの新エネルギー開発機構仕事としては、やはり主力を海外炭に置くという見込みになっているはずでございまして、しかも石油に見られるあのイランとかアフガンとか、こういう問題と同じように、石炭も海外で買い得ない状況が起こらないということは予測できないと思うのですね。事実、もうすでにいままで安かった石炭がメジャーによっていろいろと買い占められているといいますか、値段の操作が行われようとしているということが報ぜられているわけでございまして、こういう点につきまして、大臣はこの石炭を石油にかわるエネルギー源として非常に重要視していらっしゃいますけれども、この辺の認識はいかがでございましょうか。
  228. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 石炭の世界における埋蔵量は石油に比してまだ大変豊富だということは、これはもう紛れもない事実だと存じます。ただ、従来のように貿易的にこれを好むだけ必要な炭種を手に入れ得るかと申しますと、そうはいきませんので、やはり海外に参りまして自己開発をして、そして開発輸入するというのが一番安全な道じゃなかろうかと思います。メジャー等が世界の石炭を押さえているという話もございますけれども、全部押さえているわけではもちろんないのでございまして、せいぜい三割くらいであろうという大方の見方でございますから、まだまだわが国のこれからの活動次第で海外の一般炭の入手は可能なものと考えてございます。
  229. 森田景一

    ○森田委員 石炭に限りません。資源のない日本という国がこれからやはり大きく成長していこうという時代には、これから非常に困難な問題が横たわっているんだ、このように認識をしているわけです。そういう意味でいままでの事業団の御努力というのもここでまた大きく生かされてくるだろうと思いますので、どうかひとついままでの技術につきましては、新しい機構で十分生かせるように努力をしていただきたいと最初にお願いしておく次第でございます。  人材という問題が先ほど出ました。この新エネルギー総合開発機構では、第十三条で「機構は、主たる事務所を東京都に置く。」「機構は、通商産業大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。」このようになっておるわけでございます。この主たる事務所をどこに置くというふうにお考えになっていらっしゃいますか。また、従たる事務所はどこに置くという予定でございましょうか。
  230. 尾島巖

    ○尾島政府委員 十三条に規定いたしております新機構の主たる事務所というのは東京都に置くことになっておりますが、どこに置くか、これはこの法案が認められまして、実際に十月一日の発足予定までに定めたいというふうに思っております。  さらに従たる事務所につきましては、御指摘がありましたように石炭鉱業合理化事業団の業務をそのまま引き継ぐことになっておりまして、石炭鉱業合理化事業団の事務所が福岡、札幌、宇部、いわきの四カ所に設置されております。こういうものも含めまして、また、新機構がやってまいります技術開発業務等を勘案いたしまして、地方に所要の従たる事務所を設けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  231. 森田景一

    ○森田委員 質問が前後したのですけれども、この新エネルギー総合開発機構という名前ですね。私も非常にいかめしい名称だ、わかりにくいなと、こう思っていたのですが、もっと簡単な名前を考えつかなかったものでしょうか。
  232. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 公団、公社という名前はどうもなじまないというので、いまちょうど行政改革のさなかでございまして、公社、公団の評判が余りよくないときでございましたので、公団、公社という名前だけはやめてもらいたいという希望が非常に強うございまして、何か新しい名前をということで考えてみたのですけれども、いい名前がございません。産業会議なんという名前はどうだろうという案もございましたけれども、そのうち第三セクター論が出てまいりまして、民間活力をこの際思い切って活用するのが行く道としては一番正しいのじゃないだろうかという議論になってきまして、民間の皆さんが活力、経営あるいは技術をひとつ提供して御参加くださるということであればやはりもう少し斬新な名前をというので、いろいろ考えた結果、機構というのは、少し構えとしてはなるほどいかめしい構えではございますけれども、しかし名前としては新しい名前でもございますので、これでどうだろうということで実はつけた次第でございます。
  233. 森田景一

    ○森田委員 新しい技術を開発しようという新しい制度ですから、その機構という名前が新しい——確かに日本のいろいろな行政機構の中では機構というのは新しい名前かもしれませんけれども、何となくやはり古い感じがするのですね。もう法案として来ていますからここで急に直すというわけにはいかないと思いますが、優秀な頭脳をお持ちの通産省の皆さん方ですから、知恵をしぼってもっとなじむような名前で、また将来名称の変更というのは法律改正でできるわけですから、知恵をしぼってもう少しいい名前をつけるような努力をしていただきたいと思うのです。この点、長官どうですか。
  234. 森山信吾

    森山(信)政府委員 新エネルギー総合開発機構という名前に落ちつきましたゆえんは、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、先生御高承のとおり、各種の政府機関におきましていわゆる略称というのをよく使っていると思います。たとえば日本貿易振興会はジェトロ、国際協力事業団がジャイカ、総合研究開発機構、シンクタンクと言われておりますけれども、これがニラ、こういうふうに、当初はなかなかなじみがないのでございますけれども、略称をつけますとそれがだんだん通り相場になってきまして愛称とされるというような過去の例もございますので、内部で相談はいたしておりませんけれども、新エネルギー総合開発機構という日本語の名称のほかに何か略称的なことは考えられないのかな、こういうことを私は個人的に考えておるわけでございまして、内部でもそういう相談をしてみたいと思っておりますが、もしその略称につきまして森田先生何かいい知恵がございましたらぜひ拝借させていただきたいと思います。
  235. 森田景一

    ○森田委員 何だか投げたボールを返されたみたいなことですが、たとえば先ほど大臣おっしゃいましたように、公団とかそういう名前は行政改革ということで使ってはいけない、こういう制約がある、ごもっともだと思うのですが、どっちにしても新しい制度、機構ができるわけですから、その辺のところは考えてもよかったのじゃないかと思います。たとえばエネルギー庁長官が略称ではエネ庁長官、こういう言葉になるようでございますから、そういうアイデアもいいかと思います。私もどんなのがいいかなと名前をいろいろ考えてみたのですが、私の考えがいいかどうかわかりませんが、たとえば新しいシステムだということで特に通産省あるいは政府が力を入れてやるのだ、ここのところを強調したいのだろうと思うのです。そういうことならば新エネルギー総合開発特別推進本部とか、こんな形でやってもいいのじゃないかと思いましたが、私のひとり言だと思って、十分なじめる名前を考えていただきたい、こう思うのです。  本題からそれましたが、この新機構の資本金につきましては法案の第十四条で規定されておりますが、この内容を詳しく御説明いただきたいと思うのです。特に政府が出資する四十七億円という金額、ずいぶん端数だと私は思うのですが、別に端数でも構わないのですけれども、四十七億という数字が決まった根拠、それから「政府以外の者が出資する金額」、出資することができるようになっておるわけでございますが、その出資する金額についてはどういうものが幾ら出資する計画になっているのか、その辺のところを詳しく御説明いただきたいと思うのです。
  236. 尾島巖

    ○尾島政府委員 機構の設立時におきまして政府から出資される予算といたしまして、四十七億が五十五年度予算において計上されております。この内訳は、この機構を設立するための準備金といたしまして六億円、それから海外炭鉱の融資原資といたしまして三十四億円、それから海外炭の開発保証基金のための出資といたしまして五億円、それから地熱開発の債務保証基金といたしまして二億円、計四十七億円が計上されておりまして、これが新機構の発足当時の資本金、政府出資という形でございます。  それからそのほかに、石炭鉱業合理化事業団を引き継ぐことになりますが、その石炭鉱業合理化事業団に政府が出資されたものそのままを引き継ぎますが、これがその時点において確定するわけですけれども、約千三百五十億円程度になるのではないかと思っております。  このほかに、官民協力して機構を設立するという意味民間からの出資を期待いたしておるわけでございます。これにつきましては、この法案の御承認をいただいた後で新機構の設立準備に入りますが、その段階におきまして民間から出資を仰ごうということにいたしております。特定の業界から期待しているわけではございませんで、広く関係業界、国民各層に呼びかけまして出資を仰ごということにいたしております。したがいまして、この金額についてはまだ確定いたしておりません。そういう状況でございます。
  237. 森田景一

    ○森田委員 民間資金の導入、確定できないのは当然だと思いますが、大体このぐらいはひとつ初年度として民間資金を導入したい、こういう計算といいますか、それはあるのじゃないかと思うのです。およその見当はいかがでございましょうか。
  238. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いま尾島審議官から御説明申し上げましたとおり、民間の出資分につきましては、特定の業界に偏ることなく広く出資を求めたいという気持ちでございまして、具体的には経団連等を通しましていま折衝をしているところでございます。現実の問題といたしまして、経団連の組織から見まして、いろいろな業界の方々のお集まりでございますから、なかなかその意思がはっきり決定する段階でないということでございますけれども、少なくとも六億円という政府出資、債務保証基金その他まだございまして、合計四十七億でございますが、直接出資といたしまして考えておりますのは六億円でございますので、その六億円に見合ってそう恥ずかしくない金額を期待したい、こういうふうに考えております。
  239. 森田景一

    ○森田委員 次に、運営委員会が設置されることになっております。第二十二条では、この運営委員は七名、こうなっております。それで二十四条を見ますと、この運営委員は民間人であると私は理解しているのですが、その点はどうでしょうか。
  240. 森山信吾

    森山(信)政府委員 運営委員は理事長とともに運営委員会を構成するわけでございまして、事業実施計画あるいは予算、決算等の議決権を持った組織考えておるわけでございますので、大変重要な役割りを持っていただく方々だと思っております。したがいまして幅広い人材を求めたいということでございますので、いま御指摘のような線で私どもは人選をいたしたいと考えております。
  241. 森田景一

    ○森田委員 いま長官の回答がございましたけれども、二十四条では「政府職員又は機構の役員若しくは職員は、委員となることができない。」こうなっているわけでございますが、裏返してみますと、政府職員でなければいいということになると思うのです。ということは、現職の政府の役職をお持ちの方が退任といいますか、退官といいますか、なさって、この機構の委員に入っていく、こういうことも考えられるのじゃないかと私は思ったのです。その点、どうでしょうか。
  242. 森山信吾

    森山(信)政府委員 非常にざっくばらんなお話を申し上げますと、運営委員は報酬を伴わないようにいま考えておるわけでございます。もちろんその都度いわゆる委員手当的なものは考えたいと思いますけれども、いわゆる俸給ということは考えてないわけでございますので、通常言われますたとえば役人がやめてそこに行くというようなことは現実の問題としては考えにくいということでございまして、もちろんかつて政府職員であった方で民間に長くいらっしゃいまして、代替エネルギーあるいは総合エネルギー観点から大変有識者の方がいらっしゃればそれはそれなりの選任をいたしたいと思いますけれども、いまおっしゃったような御趣旨での選任ということは私の頭にはないということを御理解いただきたいと思います。
  243. 森田景一

    ○森田委員 特にこういう機構につきましては天下りという問題がいろいろ過去にもあったようでございますので、長官はそう認識しているけれども次の時代になったらまた別だ、こういうことのないような方向をきちんとしていただきたいと思うのです。  それから委員は報酬はない、こういうことで人選をして委員になっていただいて、どういう方がなるかわかりませんが学識経験者だ、こういうことでございます。新しいエネルギー開発する新機構の運営委員が報酬なしで果たして十分な対応ができるんだろうか、率直にいま感じたのですがその点どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  244. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどは大変ざっくばらんなお話を申し上げたわけでございますが、運営委員の方々は先ほどもちょっと触れましたようにいわゆる有識者の方でございまして、大変その道で練達の士あるいは現役といたしまして大変御活躍になっておられるというような方々の中から選任をいたしたいということでございまして、この新しいエネルギー開発機構を成立さしていただいた暁に、そこで俗に言う禄をはむというような方じゃない、もう少し幅広い観点の選任ということで、そこで禄をはまなくても現実にやっていける方々、そういう幅広い層の方を選任したいという気持ちがあるものでございますから、特段に報酬を考えているわけじゃなくて、ただ審議会等でもよく活用しておる制度でございますが、いわゆる委員手当という制度は採用させていただきたいと思っておるわけでございまして、それが果たして十分な条件であるかどうかにつきましてはもちろん問題あろうかと思いますけれども政府機関という性格上、その禄を期待しなくても十分活躍できるような、情熱を燃やしてこの新機構の運営委員になっていただけるような方を、そういう意味での人選を進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  245. 森田景一

    ○森田委員 最初に大臣から答弁もありましたとおり、この新機構の成否のかぎは人材の確保である、こういうお話でございます。しかもこの運営委員の任命は通産大臣が行うというふうに規定されているわけでございますが、委員全員をいま長官お話しありましたような民間人にするという理由、それからいま長官も具体的に答えられないでちょっと厳しいお立場だろうと思いますが、人選の基準といいますか、そういう点について大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
  246. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 やはりエネルギーに卓見を持っておりまして、人間としても大変人格のすぐれた人材が一番好ましいと思います。努めてそういう基準で広く天下に異才を求めたいと思っております。
  247. 森田景一

    ○森田委員 同様な問題は役員についても言えることだと思うのですね。新しい機構では第二十八条で役員は理事長一人、副理事長一人、理事が七人以内、それから監事が二人以内、こういうように定めております。この役員も先ほどの運営委員と同じように第三十二条によりますと民間人である、こういうふうに私は理解しているわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  248. 森山信吾

    森山(信)政府委員 三十二条によりますと、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」ということでございますので、当然に役所の身分のままこの機構の役員になることはできないということでございます。具体的な御質問としては、恐らくいわゆる天下りとかあるいは役人経験者をするのではないんだなという御指摘じゃないかと思いますけれども、その点につきましては、役員といたしまして本当に適格な方々を選任するという立場で、広い観点からの人選を行っていきたいというふうに考えます。
  249. 森田景一

    ○森田委員 この辺は非常に含みのある答弁だと思います。さっきの運営委員の方は天下り的なものはない、しかしこの役員の方についてはそういうこともあり得る、こういうようなニュアンスじゃないかと思いますが、もう一遍確認したいと思います。
  250. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いま御審議いただいております新エネルギー開発機構政府機関でございますので、やはり政府機関としての性格上どうしてもそういった知識を求められるケースもあろうかと思います。ただ、従来言われておりますようにすべていわゆる天下りで占めるというような弊害があってはいけないんではないかということでございますので、役員の構成についての十分な配慮を行うと同時に、先ほどお答えいたしましたとおり、その人がいわゆる役人経験者であるとかないとかという問題を離れまして、本当に新エネルギー開発機構の役員にふさわしいかどうかという判断基準に基づきまして選任をさしていただきたい、こういうふうな感じでございます。
  251. 森田景一

    ○森田委員 もう一つやはり気になりますのが第三十四条なんです。これは、この新機構の「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」こういう規定になっているわけなんです。こういうことで民間人を登用するということになると一体どういう人が対象になるんだろうかな、こういう心配があるんです。この点について選任の基準といいますか、方向といいますか、その辺をひとつ明確にしておいていただきたいと思いますね。
  252. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり三十四条は役員の兼職禁止の規定をしたものでございまして、先ほどもお答えいたしましたとおり、何といいましても政府機関でございますから、そこの役員がいわゆる営利事業を営んでおるあるいはみずから営利事業に従事するのみならず、営利を目的とするほかの団体の役員となることについては、これはモラルの上から言いましてもおかしな話ではないかということでございまして、これは原則として禁止をいたしたいということでございますが、ただ特別な理由があります場合は、なるほどもっともな理由があるなという場合は通産大臣の承認を得てそういうことの認可と申しましょうか、認めるという方向でございまして、この規定と民間の本当に優秀な人がほかの職をなげうってこの機構に参加するであろうかという問題とは別個の問題ではないかということでございまして、私どもはたてまえといたしましてやはり政府機関の役員である以上は兼職禁止を原則としていただきたいというふうに考えておりますけれども、また別な観点からの民間からの登用ということにつきましては、十分な配慮を行っていきたいというように考えております。
  253. 森田景一

    ○森田委員 特に新しい技術を開発しようというのですから、政府機関でも優秀な人材がいらっしゃると思うのですが、こういう方は政府職員として入ることができない。したがって民間から入ってもらうには営利事業に携わってはならない、こういうちょっと板ばさみのような形があるわけです。特に運営委員の任期は二年間、役員の任期は三年間、それぞれ二十三条、それから三十一条で決められておるわけでございます。それぞれ再任されるということができることになっておるわけなんですけれども、再任されないかもしれない。こういう状況で果たして民間の優秀な方が、あるいは民間の優秀な活力といいますか、これを生かすことができるのかどうか、こういう点について私は非常に危惧するものでございますが、この点について大臣の見通しあるいは確信、そういうものがありましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  254. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も同じような疑問を持ちまして、前例等調べたのでありますけれども、こういう例が通例になっておるようでございまして、政府の力の入れ方によりましては十分民間の協力を得られるのじゃなかろうかと思っております。
  255. 森田景一

    ○森田委員 いろいろ大臣の方もそういう危惧をお持ちだということでございますので、運営につきましては十分な配慮をしていただきたいと思うのです。特に新機構民間の出資もあるということでございますし、それから民間活力に期待するところも大きい、こういうふうに言われているわけでございます。また運営委員会の委員とかあるいは役職員に民間からの参加がある、こういうことでございますから、役職員の選任に当たりましては、従来の慣行にとらわれることなく、ひとつ広く適材の確保に努める。それからまた、役職員の業務活動に対してはその能力を十二分に発揮せしめるための配慮が必要である、このように思うわけでございます。これは最初に申し上げたところと同じでございますが、この点につきまして、もう一度大臣の所信のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  256. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御指摘のとおりでございまして、やはり人材がいかに集まるかということがこの機構を将来大きく伸ばしていく決め手だろうと思います。その点特に注意いたしまして進めたいと思います。
  257. 森田景一

    ○森田委員 次に、機構業務のことについて少しお尋ねしたいと思います。  この法律案は第三十九条で業務の範囲を決めております。すなわち一つ代替エネルギー技術開発、第二点が海外炭の探鉱開発のための融資、債務保証、第三点が地熱開発促進のための調査、債務保証、それに加えまして石炭鉱業合理化事業団の業務を引き継いでその業務を行う、この四点が新エネルギー総合開発機構業務として挙げられておるところでございますが、通産省の「代替エネルギー対策の推進について」というパンフレットを見ますと、こういうパンフレットでございます。この十七ページには「機構業務」として、「(一)代替エネルギー技術開発」というところで「機構は、石炭、地熱、太陽エネルギー関係の未踏・大型技術の実用化のための開発を、民間活力を活かしながら強力に実施します。また、技術開発を進めていく上で有効な諸外国との共同研究開発機構が行います。」と非常に積極的に表明されておるわけでございます。この法案との関連はどうなっているか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  258. 尾島巖

    ○尾島政府委員 新機構は、企業化促進を図ることが国民経済上特に必要な代替エネルギーに関する技術開発業務一つとして、大きな部分としてその業務を実施することになっておりますけれども、これがためにはわが国民間の人材、技術を結集いたしまして、技術開発を強力に進めていくことが必要かと思います。この技術開発を進めるに当たりましては、海外との共同研究を早急に行って、その技術開発のテンポを早めていくということが必要かと思いますが、この法案におきましては、御指摘のように三十九条第一項第一号におきまして技術開発業務を規定しており、このための手段として海外との共同研究というものを考えてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  259. 森田景一

    ○森田委員 私のお尋ねする点は非常に初歩的かもしれませんけれども、先ほどの運営委員とかあるいは役員、これについては活力を期待するということが書いてありませんけれども、条文によれば民間人を起用するということが理解できるような仕組みになっております。ところが現実の業務の面では、民間活力を大いに期待するとなっていながら、別に法律のどこにもそれはないわけですね。その辺のところはどうなんですか、こういう意味なんです。ちょっと話がわかりにくかったかもしれませんが。
  260. 森山信吾

    森山(信)政府委員 第三十九条はいわゆる業務の範囲を決めたものでございまして、先ほど尾島審議官が御説明いたしましたように各種の業務がこの中に書かれているわけでございます。これは言ってみますと法文上は業務の範囲を定めたものでございまして、いま先生が御指摘民間活力導入あるいは国際共同開発の推進というのは、業務の推進のための一つの手段ではなかろうかと思うわけでございまして、その手段はあくまでも取り入れていくという前提で考えておるわけでございます。法文上はあくまでも業務の範囲を定めただけでございまして、その業務を推進する手段につきましては法文上の規定はない、ただし実際上は私どもはそういう念願に燃えておる、こういうふうに御理解を賜りたいと思います。     〔野田委員長代理退席、委員長着席〕
  261. 森田景一

    ○森田委員 特にこの新技術の開発については、民間活力を生かすということは本当に大切なことだと思いますし、またそれが成否のかぎを大きく握ることにもなろうかと思うのですけれども、その民間活力の生かし方、どういうふうに生かしていくかということ。  それから、海外との共同研究開発を進めるという先ほどのお話もありましたけれども、この共同研究開発という問題では、最初に申し上げましたようにいろいろ国際情勢がありまして、むずかしい問題がこれからたくさん出てくるだろうと思われるのですね。こういう共同開発事業について、イランの三井石油化学の問題というものもあるわけです。これがどうなるかというのは、午前中の質問といろいろ関連があるわけですけれども、こういうことがありますのでこの三井石油化学の現況といいますか、こういうものとあわせて、これからの海外の共同研究開発のあり方というものをひとつお答えいただきたいと思います。
  262. 森山信吾

    森山(信)政府委員 イランにおきます、いわゆるペトケミの開発につきましては、すでに開発技術としては確立された技術でございまして、これは言ってみますと資本協力あるいは開発された技術協力という面での推進ということではなかろうかと思う次第でございます。私どもが新機構でねらっておりますのは、研究開発段階で一応成功したものをいかにうまく企業化していくか、企業化促進のためのいわゆるパイロットプラント的なものの推進ということでございますので、やや三井グループにおきますイラン石化とは次元を異にしておるのではないか、こういう感じがいたします。そこで、研究開発段階がある程度成功して、企業化を推進するためのプロジェクトにつきましては、国際共同研究といたしまして現在考えられておりますのは、アメリカ及び西独と一緒になってやろうといたしております石炭液化、その石炭液化の中のSRCIIという問題もございますし、その分は新機構で担当さしていただきたいと思っておりますけれども、ほかに日米科学技術協力協定で、たとえば核融合の問題等も国際共同研究対象になっておりますけれども、これはまだ実用化がかなり先の問題ということもございますので、別途の観点からいま文部省なり外務省なりで研究をお進めいただいておる、こういう段階でございます。
  263. 森田景一

    ○森田委員 いろいろと機構についてお尋ねしたいこともありますけれども、特にこれは機構でございますから、その機構がどういう研究機関を使って、あるいは新しく設置するか、それはまだ今後の課題かもしれませんが、現在あるどういう研究機関を使って新しい技術を開発していこうとなさっているのか、その辺のところのシステム、お考えになっている点がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  264. 尾島巖

    ○尾島政府委員 新機構は、現在あります民間企業あるいは大学研究所あるいは国立の研究所等と連絡を密にいたしまして、技術開発を進めていくわけでございますけれども、さらに民間技術開発部門技術開発を委託いたしまして、その技術開発業務の一部を、民間側の技術開発部門活力を十分活用しながらやってまいろうと考えております。  具体的にどういう機関にどういう業務を委託するかということにつきましては、今後その技術開発計画内容に応じまして、適当な機関を選択いたしまして、その機関に委託していきたいというふうに思っております。
  265. 森田景一

    ○森田委員 それでは最後に財源の問題について少しお尋ねしていきたいと思います。  最初に申し上げましたように、新エネルギー機構財源、これは長官はめどはついたと、こういうお話でございますけれども、まだまだ私どもは十分納得しているわけではございません。これは本会議でも申し上げてありますけれども、特に私がいろいろと考えておりますのは、現在いろいろと税金の面で、エネルギー関連の税金というのがたくさん入っていることになっているわけですね。通産省として、現行のエネルギー関連税というのはどういう税目があって、金額でどのくらいになるかつかんでいらっしゃいますか。
  266. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギー関係諸税でございますけれども、まず原重油関税、これがキロリットル当たり六百四十円でございます。それから、石油税、これが三・五%でございます。それから、電源開促進税、現在キロワットアワー当たり八銭五厘でございますけれども、これを新たに二十一銭五厘増徴いたしまして三十銭にさしていただきたいということをお願いいたしまして、大蔵委員会の方で御審議を賜ることになっております。それから、揮発油税というものが別途。ございまして、この揮発油税は、御高承のとおり主として道路財源に使われておるというのが現況でございます。
  267. 森田景一

    ○森田委員 私が調べましたのは、いま長官お話ありましたように、それももちろんですが、そのほかに石油ガス税、地方道路税、航空機燃料税、軽油引取税、電気ガス税、こういうものもエネルギー関係の税金として入っているようでございますね。十種類あるわけです。  この五十四年度の収入総額を見ますと、二兆八千三百六十億円入る見込みになっております。そのうち、エネルギー対策に還元されているのが一三%、全体の七六%相当額が、二兆一千五百五十八億円でございますが、これが道路財源に使われている、こういう状況になっておるわけでございます。道路整備が重要な施策であることは私も認識しておりますけれども、しかし、道路かエネルギーか、こういう二者択一ではなくして、やはり新しい時代に対応するエネルギー開発の技術のために、こういう巨額な税金がエネルギー関連費として納められているわけでございますから、こういうものを十分この財源に振り向ける必要があるだろう。時間の関係で細かいことを申し上げられませんが、これから十一年間で三兆円にも達するというこういう予算でありますけれども、それでできるのかできないのか、なかなかむずかしい問題があろうと思いますが、将来の検討課題として十分心にとめていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  268. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて森田景一君の質疑は終了いたします。  引き続いて安田純治君の質疑に入ります。安田純治君。
  269. 安田純治

    安田(純)委員 いままで同僚議員の方々からいろいろな角度から質問されたわけでございますけれども、私はまず最初に条文に即して若干伺いたいと思うのです。  この石油代替エネルギー法案の第五条の導入指針というのがございますけれども、これはどういう形になるのでしょうか。
  270. 尾島巖

    ○尾島政府委員 導入指針は、導入すべき代替エネルギーの種類及びその方法について、具体的にどのようにしたらどういうような代替エネルギーを工場、事業場に対しまして導入できるかということを指し示すものでございます。したがいまして、石炭なりあるいはLNGなりあるいはその他の代替エネルギーの種類ごとに、どういう方法によりましてその工場が代替エネルギーとして使用可能かということを示すものでございまして、それにのっとりまして、事業者がその方法によれば代替エネルギーを使うことができるということをわかりやすく、明確に示すものでございます。われわれとしましてはいまの時点で共通的なことを指針に盛り込みたいと思っておりますけれども、わかりやすく示すことにつきましては、やはり業種、業態に応じまして詳しく指し示すような方法を考えていきたいというふうに思っております。
  271. 安田純治

    安田(純)委員 そうしますと、この導入の指針は業種、業態ごとに出るのであって、個々の工場ごとに出るわけではございませんね。
  272. 尾島巖

    ○尾島政府委員 その指針と申しますのは、その業種、業態に応じました共通的な指針でございまして、個々の事業場、工場に対しまして、このようにすれば代替エネルギー導入できるということを具体的に指し示すものではございません。ただ、その指針によりまして個々の工場、事業場に対しましては指導、助言を行なっていくという形にはいたしておりますけれども、指針それ自体は個々の工場を念頭に置いて指し示すというものではございません。
  273. 安田純治

    安田(純)委員 次に、第七条の財政上の措置についてですけれども、「石油代替エネルギー開発及び導入促進するために必要な財政上、金融上及び税制上の措置を講ずるよう努めなければならない。」この財政上、金融上、税制上の措置はどんなことを考えていらっしゃいますか。
  274. 森山信吾

    森山(信)政府委員 第七条は、財政上の措置といたしまして政府の努力規定を織り込んだものでございます。したがいまして、財政上、金融上、税制上の措置と申しますのは、現段階におきまして財政上どういう問題がある、あるいは金融上どういう問題がある、あるいは税制上どういう措置を講ずべきであるということを具体的に規定したものではないわけでございまして、包括的に政府の努力規定というふうに御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  275. 安田純治

    安田(純)委員 現在、石油代替エネルギーといいますとたとえば石炭ですね。石炭専焼の火力発電所なんか建設しますけれども、そうした問題について、現在ある財政上、金融上、税制上の措置はどんなものですか。
  276. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 石炭関係の、まず火力につきましては開発銀行の融資がございます。それからそのほか、石炭火力の推進に関する財政的な援助といたしましては、ばい煙の処理技術等についての実証試験とか、あるいは乾式脱硫技術についての実証試験、さらには灰処理センターの集中灰捨て場の調査とか、さらにはCOM転換の実証調査、発電所建設費の補助金等々が予定されているところでございます。
  277. 安田純治

    安田(純)委員 いまのは予定されているということですか。そうじゃなくて、いまあるのを私は聞いたのですけれども。さっき予定されているものを聞きましたら、森山長官はいまのところ具体的に考えてないというような話だったのですが、ちょっと答弁が食い違っているようですね。いまあるものはなにかということと、今後どういうことを考えているかと、二つなんです。
  278. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、法案の条文に従いまして御説明申し上げたわけでございまして、現在の主要な施策の内容といたしまして特別会計予算というのがございます。特別会計は石炭石油特別会計電源開特別会計二つございまして、そのうち従来は石炭石油特別会計は石炭対策と石油対策に使用されておったわけでございます。それから、電源特別会計につきましては、電源立地促進のために使用されておったものでございますけれども、昭和五十五年度におきまして現在特別会計法の改正をお願いいたしておりますのは、石油税につきまして、石炭石油関係以外に、石油代替エネルギーにつきまして新たなる資金の使い道を認めていただきたいというお願いをいたしておりますし、それから、電源特会につきましては電源多様化勘定というものを設けまして、いわゆる電源関係石油代替エネルギー開発に当たらしていただきたい、そういうのがいままでと違った点でございます。  その中身を逐一申し上げますとちょっと時間がないかもしれませんが、項目だけ申し上げますと、内外石油代替エネルギー資源の開発促進、これは海外炭と水力開発と地熱開発とございます。それから、産業部門におきます石油代替エネルギー導入促進につきましては、燃料転換と石炭火力発電所促進がございます。それからソーラーシステムの普及促進がございます。それからその次は、原子力開発利用の推進につきましては、安全対策、核燃料サイクルの確立、FBR原型炉「もんじゅ」の建設等がございます。それから石油代替エネルギー関係技術開発の推進につきましては、石炭、地熱、太陽技術応用化補助その他というのがございます。以上が財政上の仕組みでございます。  次に財投関係を申し上げますと、日本開発銀行の資源エネルギー枠というものがございまして、その中で、原子力関係の使用済み核燃料再処理の関係あるいはLNG転換融資あるいは一般産業におきます石油代替エネルギー利用促進、これは石炭転換、産業用のLNG導入あるいはコールセンターの融資というものがございます。  それから税制につきましては、代替エネルギーの利用を推進するために、石炭燃焼設備あるいは地熱発電設備、水力発電設備のうち、緊急にその設置を促進すべきものにつきまして、初年度百分の二十の特別償却制度を設ける、こういうようなことが財政、金融、税制上の措置ということでございます。
  279. 安田純治

    安田(純)委員 この問題は、時間があればまた後で若干質問をして深めたいと思います。  大臣にお伺いしますけれども、きわめて初歩的な質問ですけれども石油代替エネルギー開発導入が必要な理由は何ですか。
  280. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 代替エネルギーの必要な理由は、申すまでもなしに石油の賦存状況等がいままでのように無限なものでなくて有限なものである、しかも、その需給状況がタイトになるのはそう遠い将来でなくて、少なくとも五、六年後くらいからそういう状況が来るのじゃなかろうかという判断から、そういう場合にはエネルギー資源のない日本といたしましては石油にのみ頼っていくわけにまいりませんので、どうしても石油にかわる代替エネルギーにかえていこうというのが一番の趣旨でございます。
  281. 安田純治

    安田(純)委員 大臣の御答弁の中で、石油が有限なものであるということは事実だと思います。化石燃料はすべて有限だと思うのですね。だから、有限なものを掘り尽くしたらなくなってしまうので、いまのうちからそれにかわるべきエネルギー開発をしておかなければならぬという意味はわかります。わかりますけれども、それが理由だとすれば石炭もまた化石エネルギーですから、いずれにしろ枯渇するわけですね。ですから、石炭の液化などについて今度の法案ではいろいろやろうとしているわけですが、石油という化石燃料、つまり有限なものにかえるにまた有限なものでするということではしょうがないのじゃないかと思うのですね。ですから、化石燃料が有限だから、枯渇するおそれがあるので代替エネルギー開発が必要なんだというよりは、むしろ賦存状況がまさに偏在しておって日本の国内にない。したがって、安定供給といいますか、そういう点での確保ができないという点に主眼があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  282. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 はなはだ言葉不足で恐縮ですけれども、賦存状況の問題もございますが、同時にまたいま生産している量と新しく開発して発見すると申しますか、そのバランスが崩れてまいりまして、それが一つの大きい理由にもなると思います。また、産油国におきましては石油を燃料として使うよりは原料として使うべきだという議論もあり、なるべく石油の生産はセーブして温存してまいりたいという希望もございまして、世界全体の油の産出量というものはそれほど増大する見込みはないというふうに観測しておるのが定着してございます。したがって、一方、エネルギー需要の方は経済の発展とともにふえていくわけでございますから、アンバランスになることは当然でございまして、そのアンバランスになるのがいつごろからかというのが大変問題の焦点になりますけれども、いまの世界的に定着した意見では余り遠い将来ではない。少なくとも五年、十年ぐらいの間にはそういう事態が起きてくるのではないかというふうに考えられております。
  283. 安田純治

    安田(純)委員 そうしますと、石油の需給のアンバランスが、五年から十年くらい先にはいわば危機的な状況になるという大臣の御認識ですね。そうしますと、代替エネルギー開発をやって間に合いますかね。とりあえず間に合うのはこの中で何と何なんですか。
  284. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 間に合う間に合わぬという問題もございますけれども、そういう面を想定いたしまして、世界的な機関であるIEAが中心でございますけれども、どのくらいの不足になるか、それが五年後、十年後あるいは二十年後にどういうふうになるのだ、その差がだんだん開いていくように観測しているのが大方の見方でございまして、それに時間の関係もございますけれども、しかし日本で必要な石油の量はIEA等で決められるわけでございますから、その決めた量がどういうふうに、五年後六百三十万バレル・パー・デーというところまでは努力目標にしてもらっておるわけでございますけれども、それから先はまだ世界的なそういう割り当てと申しますか、目標というものはないわけでございまして、やがて時がたちますとだんだんそういう面にも入っていくでしょう。そういたしますと日本の油の入手量というものがほぼ決まっていくわけでございますから、需要量と比較しましてその差を何で埋めていくかというのが大変問題になりまして、その差を埋めるのには時間的に大変急がなければならぬものもございますし、急がなければならぬものとしては、やはり大量に対応できるのは石炭あるいはLNG等だと思います。また、原子力発電の方もどんどんいま着手して建設中のものもございますので、これも一つの大きい柱として考えなければいかぬということで、その差をそういうエネルギーで埋め合わせていく。そういうことまでお話ししますと、いやいや、それではこの機構は地熱とか太陽熱とか、そういうものが主ではないのか、おかしいじゃないか、こういう議論にまたなるだろうと思いますけれども、それはそれとして、しばらくの間は補完的な意味しか持ちませんけれども、しかし、将来長きにわたって考えれば、こういう消耗しないエネルギーというものは必ず大きく発展するものだという考えで、それに未来を託して開発していくんだ、こういうふうに理解していただければ大変ありがたいと思います。
  285. 安田純治

    安田(純)委員 地熱や太陽熱のことまで先回りしてお答えいただいたのであれですけれども、どうも大臣の御認識が石油のそういう不足といいますか、これは五年から十年の間にアンバランスがひどくなるということであるとすれば、これを穴埋めするための間に合うものというのは限られてくると思うのですね、この開発機構がいろいろやろうとしている中でも。  そこで、先回りして地熱のことはお話しになられました。地熱、太陽熱はまあまあずっと後のことだというようなニュアンスになると思うのですが、石炭の液化についての見通しは大体どうなっておりますか。
  286. 石坂誠一

    石坂政府委員 石炭の液化につきましては、今後の開発状況をしかと見きわめませんとはっきりした見通しは申し上げられませんけれども、私どもは十年後、昭和六十五年度には二千万キロリットル程度の代替エネギー量が出るべく一つの目標としておきたいというように考えております。
  287. 安田純治

    安田(純)委員 エネルギー源の安定的な確保ということが非常に重要なことは申すまでもありませんけれども、その場合に日本の国内にある石炭は理論可採炭量で三十億トン幾らあるというふうに言う人もおるようでありますけれども、これを活用するということが非常に重要ではないかと思うのですよ。たとえば石油代替エネルギーの問題でも、もし日本石油がサウジアラビアみたいにたくさんあればこんな法律がいまごろここに出てくるわけはないと思うのですよね。結局は外国にそれがあるので日本で安定的な確保がむずかしいということで石油代替エネルギーにわれわれが取り組まざるを得ない問題があると思うのですが、それにかわるに石炭というものがあって、たとえば二千万トン体制でいくと、もし理論的可採炭量で三十億トンくらいあるとすれば百二、三十年は掘れると思うのですが、こうした国内炭の見直し、国内のエネルギー資源の見直しということがぜひ必要だと思いますが、いかがですか。
  288. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  国内炭の埋蔵量につきましてはいろいろな場所でいろいろな数字が言われています。しかし、われわれが現在の保安技術、生産技術を前提として各炭鉱の調査をしていますその結果によりますと、約十億トンということになりますので、現在の二千万トンでいきますと五十年という数字になろうかと思います。  それから、現在の国内炭鉱の生産力を強化できないかという点でございますが、現在わが国の炭鉱の平均深度というのは約六百メートルでございまして、人生で言うとちょうど初老に入ったという感じでございますので、保安とかの問題を考えますと、これ以上の生産拡大は保安上若干問題があるのではないかということで、現時点では現在の水準を維持していこうというふうに考えております。
  289. 安田純治

    安田(純)委員 たとえば北海道の天北炭田とかいろいろ言われておりますけれども、そういう新しい鉱区の開発あるいは一たん合理化で買い上げてつぶした周辺地域の鉱区の再開発といいますか、こういうことについてはどうですか。
  290. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  第一点の新鉱の開発につきましては、五十年から二年にわたりまして全国の未開発炭田を一応概査いたしました。その結果、二カ所ほど相対的に優位であるというところが浮き上がってまいりましたが、そこで、開発に至る具体的な問題点ということで整理をした場合に、第一番の問題点はやはり環境問題、特にあの辺はサケ・マスの漁業権がたくさんございまして、それとの調整をどうするかという問題が第一点。それから第二点は、土地がほとんど国有地でございまして、林野行政との調整をどうするかという問題が残っています。それから第三点が、交通体系が未整備な地域でございまして、かつ観光地に近いということがございまして、輸送におけるダンプ公害等々の問題をどうするかという問題が一つございます。それから第四点は、何分にも過疎地でございます。したがって、もうすでに人口流出が行われておる、さらに付近に既存炭鉱がないということで労働力の確保ということが非常に難解であるということでございまして、いまのところそれらの条件をいかに詰めていくかということで、地方公共団体とも連絡会をつくりまして意見の交換を行っておるというような段階でございます。
  291. 安田純治

    安田(純)委員 高瀬部長さんはいろいろ困難なところをずっと挙げられましたけれども、こうしたいろいろ難点があるにもかかわらず、やはり国内資源を活用するということのために相当われわれは努力をしなきゃならないんじゃないか。こういう難点があるからだめなんだというふうにあきらめたのではしょうがないと思うのです。そういう点では地熱発電にしろ、太陽熱にしろまだまだたくさん難点があるわけですが、将来に向かってわれわれは取り組むわけですね。ましてや国内に石炭があることがわかっておる部分について、いろいろなそういう交通網の整備とか、そのぐらいのことは当然国でやる姿勢がなければならないと思うのですよ。確かに日本の既存の炭鉱は深度が非常に深くなって、いろいろな保安上の問題なんかがあるということもわかりますし、あるいは傾斜炭層で非常に掘りにくいといいますか、いろいろな面で外国炭と違う条件にあることも事実だと思うのですが、だからといって、国内のエネルギー資源を現状維持——現状維持と言うと、二千万トンと言っていますけれども、実際は千七百万トンか千八百万トンぐらいしか掘れていないと思うのですが、それだけの消極的な姿勢ではいけないのではないか。代替エネルギー法を通していろいろなエネルギー源について取り組んでいくという姿勢であるならば、国内の石炭についても当然大きな努力を払わなければならないのだ。これをまた国内炭を見捨ててエネルギー対策を講ずるということでは、本来の目的である安定確保というところが抜けてしまうのじゃないかというふうに思います。  たとえば、海外炭の開発など大変力を入れてやるような仕組み代替エネルギー法でなるようでありますが、総合研究開発機構、いわゆるNIRAが「未来への選択 エネルギー考える」というようなパンフレットを出しておりますけれども、それの中を見ますと、石炭産出国の輸出政策の方向などについていろいろと述べてありまして、その中で、「生産国と消費国の間の大量の石炭貿易には、もうひとつの問題が発生してくる。それは、アメリカをはじめオーストラリアなどの将来大規模な輸出の可能性をもつ国において、石炭埋蔵量の約八〇%がメジャーをはじめとした石油企業の手中にあるといわれていることである。また、石炭液化・ガス化といった石炭の利用技術に対する取り組みもメジャーにおいて著しく活発である。」こういうことが書いてあるわけです。これはNIRAで出しておる本です。それで、「石油情勢をにらみながら、石炭の国際商品化にのり出そうとするメジャーの戦略は、今度の石炭の拡大に大きく影響すると思われる。」こういうふうに言っているわけですね。ですから、海外炭についてはこういう問題点があるんじゃないか。石油でさんざん苦労をしたといいますが、では石油にかわるものとして海外炭の開発だということになると、どっこいそこはやはり八〇%はメジャーが押さえておる。液化、ガス化についてもメジャーの支配力が強い、こういうようなことがNIRAの報告書に書かれておるわけですね。ですからどうしてもわれわれは、地熱や太陽熱はもちろんこれは国内のエネルギー資源になるわけでしょうけれども、石炭もそうですが、とにかく国内のエネルギー資源を一〇〇%活用していくということにまず全力を挙げるべきではないか。もちろんそれでも足りないことはわかりますから、その部分については海外から依存することはやむを得ない部分があると思いますけれども、まず海外ということであると、海外の石油にかえて海外の石炭、相変わらずメジャーとおつき合いをする、こういう状態になると思うのですが、そういう点、佐々木通産大臣はいかがお考えでしょうか。
  292. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まず、メジャーが海外の主要な炭鉱を押さえているという情報も私ども聞いておりますけれども、しかし、お話のように八割などという数字じゃございませんようで、せいぜい大体三割くらいという観測でございます。現に豪州あるいは中国等、私ども最も期待している地帯はまだ余りメジャーの手は入っておりません。豪州は若干入っているようでございますけれども。でございますから、決してこれから出ていっても遅いことはなかろうというふうに考えてございます。  それから、もう一方の国内炭の方でございますけれども、これは私もかつて石炭の方は大分手がけた一人でございますが、石炭鉱業審議会でございますかの答申で、大家連中がみんなあらゆる面から検討を加えて、日本の石炭は二千万トンが一番適量であるという判定をしておるわけでございまして、それは地質的な部面あるいは深部採掘でもいろいろな炭層等の面から判断した科学的な判断の結論だと思っております。恐らくは二千万トンくらいがやはり限度ではなかろうかというふうに考えておりますので、お話のような点がございますれば、さらに新しい炭層の発見等逐次出てまいりますれば従来の考えも変わると思いますが、まだそういう新しい炭層が方々で見つかっているというふうな情報もございませんので、大体二千万トンが限度だろうというふうに考えてございます。
  293. 安田純治

    安田(純)委員 私が申し上げたいのは、二千万トン体制と言いますけれども、実際はいま二千万トンを切っている状況だと思います。私は前に石特をやっておりましたが、そのころは二千万トンを切って、二千万トンなどというのは実際はなかなか容易じゃないのじゃないかというふうな感じだったと思いますけれども、いまでもやはり同じだろうと思うのですね。私、石特をやめてからまだ半年しかたっておりませんから、いまでも同じ状態だと思います。  私が申し上げたいのは、石油だということでわあっと石油に全部飛びついて、日本の国内の石炭を、スクラップ・アンド・ビルドと言うけれども、スクラップ・アンド・スクラップのようにどんどんつぶしていった。先ほど同僚森田委員の質問に対して森山長官は、石油依存をしたのはいままでは成功だったというようなことをおっしゃいますけれども、確かに国民の生活水準といいますか、経済の高度成長といいますか、こういう問題について石油が果たした役割りは大きいのかもしれませんが、しかし石油に全く依存し、油づけになった日本の今日までの行き方は決して成功とは言えないのではないかというふうに思うわけです。これはまあお互いの考えですから、長官はそうお考えなのかもしれませんが、私はそう思うのです。  そこで、私が申し上げたいのは、そういうふうに石油にわっと依存して国内の石炭をどんどんつぶしていった、今度は海外炭だ、これはまたメジャーに支配されたりなんかする。そこで国内で二千万トン体制でやる。二千万トンは科学的に日本が掘れる量なのだと大臣はおっしゃいましたけれども、実際はその二千万トンも達成していないのですよ。そして、新しい開発可能な炭田が見つかっておるようですが、いま言ったようにサケ・マスの漁業権との問題とかあるいは国有林野との調整の関係とか、交通網の整備の問題とかでなかなか手がつけられない。そういうふうに一方において国内炭を粗末にしておきながらすぐ石油に飛びつく、それでだめなら今度は海外炭だ、こういうようは姿勢がまず問題ではなかろうか。二千万トンではフルに掘ったところで日本エネルギーの必要量の大部分を満たすことができないのは明らかです。しかし、その二千万トン体制さえも達成していないという日本の国内炭の現状ですね。大臣が科学的にあらゆる点から検討してみて日本の石炭は二千万トンが掘るのに適量なんだとおっしゃる、その二千万トンさえもなかなか達成できない、この点を重視する必要があるのではないか。もちろん、それで石油代替エネルギー全部を国内の石炭で賄うことがいますぐできるなどとは私は言っていませんけれども、科学的に算定されたその二千万トンさえも維持されてない、これはどうなんですか。
  294. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 エネルギー価格面から判断してまいりますと、油自体が緊迫性を持ってこない間は国内炭が値段としては高いという理由で、なかなか国内炭のはけ口を見つけるのにも苦労したという時代が続いたわけです。貯炭はたまるということで。ですから、海外から入ってくる石炭をコントロールして、そしてなるべく国内炭をはけるようにということで、これは通産省などでは大変苦労していままで石炭を維持してきたわけですね。ところが、最近は原油の方がどんどん上がっていくものですから、むしろ石炭の方が相対的には安くなるというふうな逆現象を生じてきたわけでございまして、しかも石油は高くなるばかりでなくて、数量としても将来非常に不安だ、こういう時代になったものですから、だんだんほかの、石油にかわる代替エネルギーという時代になってきましたので、こういう事態になってきますれば、今後国内炭の二千万トンという目標を達成することはそうむずかしいことではないんじゃないか、みんなで力を合わせていけば、それは希望というか、目的どおり達成される数字であるというふうに私は考えております。
  295. 安田純治

    安田(純)委員 この点はまた後から伺うことにいたしまして、石炭の液化技術の協力について若干お伺いしたいと思うのですが、国が援助している石炭液化プロジェクト、EDS、SRCIIですか、それから直接水添方式もあるようですが、これは国内炭をもこの技術の対象としているのかどうかということはどうですか。
  296. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  SRCIIの例で御説明しますと、一応アメリカの東部炭を対象にしてとりあえず研究を進めるということでございます。それと並行して、適用炭種を拡大するという研究を進めていくということでございます。しかしながら、この液化プロジェクトというのはかなり大規模でございまして、日本の国内炭の生産規模を念頭に置くと、その開発対象といいますか、液化対象の国は、その大宗は日本ではなくて海外になるのではないかと考えております。
  297. 安田純治

    安田(純)委員 EDSやSRCIIの研究によって得られる特許、この特許権の所有者はだれになりますかね。
  298. 志賀学

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  まずSRCIIの方でございますけれども、SRCIIのプロジェクトにつきましては、わが国の参加体制あるいはいまお話しの工業所有権の成果の配分といった問題につきまして、現在、アメリカ日本、西ドイツの政府間あるいは民間ベースにおきまして話し合いが行われているところでございます。そういう段階でございまして、詳細はまだ確定しておりません。  それで、もう一つのEDSプロジェクトの方でございますけれども、これはアメリカエネルギー省と、エクソンの子会社でございますエクソン・リサーチ・アンド・エンジニアリングという会社がございますけれども、その間に協定がございます。その協定に基づきまして、最終的にはこの工業所有権は、いま申し上げましたエクソン・リサーチ・アンド・エンジニアリング会社に帰属することになっております。ただそういうことで工業所有権は会社に帰属するわけでございますけれども、その工業所有権のロイアルティーにつきましては、各参加会社に公平に配分されるというような形になっております。
  299. 安田純治

    安田(純)委員 このEDSあるいはSRCIIについては、特許だけではなくて、大体特許権なんというのはたとえて言えばトレードマークみたいなものでして、ノーハウがいろいろあって、それがきちっと身についていないとその特許をうまく使えませんよね。いまの複雑な技術はそうだと思うのですね。そういう点で日本の会社があるいは日本企業がエクソンや何かと一諸に研究をする、この研究開発に参加するというメリットは一体どこにあるんですかね。
  300. 志賀学

    ○志賀政府委員 SRCIIの方につきましては、先ほどお答え申し上げましたように現在検討段階にある、協議中ということでございますので、EDSプロジェクトの例によりまして御説明申し上げますが、このEDSプロジェクトにつきましては、先ほど申し上げましたエクソン・リサーチアンド・エンジニアリングと日本側の参加会社との間に参加協定がございます。その参加協定に基づきまして、まず詳細な技術情報が入手できることになっております。それから、技術スタッフといたしまして常時二人派遣することができることになっておりまして、そういう形におきましてこのEDSプロジェクトに参加することを通じて、石炭液化の技術が日本側に蓄積されるという形になるわけでございます。さらに申しますと、この液化設備の部品などにつきましてすでに日本側に発注が行われております。そういう面を通じましても日本側に液化技術についての蓄積ができるということで、いずれにいたしましてもこういう国際的なプロジェクトに参加することによって日本の石炭液化の技術の蓄積が進むというふうに考えております。
  301. 安田純治

    安田(純)委員 このEDSに参加しておる日本側の企業というのは、石炭液化技術開発株式会社ということになると思うのですが、この石炭液化技術開発株式会社とEDSとの間の契約といいますか、そうした技術内容についての契約ですね、これは一〇〇%政府は知っておりますか。
  302. 志賀学

    ○志賀政府委員 EDSプロジェクトに対しましては、日本政府といたしまして補助金を交付しております。したがいまして、その審査に必要な範囲におきましてその協定の内容についてはチェックをしております。
  303. 安田純治

    安田(純)委員 補助金を交付したことについての必要な範囲でチェックをしておるという話ですが、一〇〇%すべてについて報告を受けたりあるいは知っている立場にはないということになりますか。補助金を交付しているそういう立場で必要な限りというのは非常にあいまいな話ですが、補助金を出している限りはすべてについて言えるのか、四億ですか幾らかしか出していないから、四億円分しか口が出せないのかよくわかりませんけれども、どういうことですか。
  304. 志賀学

    ○志賀政府委員 補助金を交付するに必要な、要するに行政上の必要な範囲において私どもは十分承知しておるということでございます。なお申し添えますと、実際にこの研究が進んでまいります研究の進捗状況、そういった実績につきましては、補助金の交付要領に基づきまして会社側から報告を受けるという形になっております。
  305. 安田純治

    安田(純)委員 世界のこうした企業企業間競争というのは非常に激しいものがあるわけですけれども、そういう中で、自分たちの開発した技術についてのノーハウをやたらによそにばらまくということはしないのが普通だと思うのですね。そこで、聞くところによると、場合によっては技術拒否協定といいますか、どういう名前になるかわかりませんけれども、要するにおまえにしか教えぬよ、よそへ出してはいかぬという形で非常に厳しい条件がつけられる、そういう約束の中身もあるという話ですが、いかがですか。
  306. 志賀学

    ○志賀政府委員 技術情報につきましては当然契約で守秘義務がかかっております。ただ、先ほど申し上げました工業所有権、最終的にはエクソン・リサーチ・アンド・エンジニアリング会社に帰属するわけでございますけれども、この工業所有権の使用につきましてはこれはロイアルティーを払えばだれでも使えるという形になっております。
  307. 安田純治

    安田(純)委員 いや私が伺っているのはその工業所有権といいますか、そういういわば凝縮された技術の中身ではなくて、その周辺の部分も含めてのノーハウがいろいろありますね。こういうものについて、場合によっては個人の名前まで指定して、この人にしかこの技術は教えないとかそういうような、これはEDSのことを直ちに言っているわけではありませんけれども、国際的にこういう協約があり得るということらしいのですが、いかがですか。EDSでもそういうことはないのですか。
  308. 志賀学

    ○志賀政府委員 お答えいたします。  この技術情報につきましては、先ほど申し上げましたように守秘義務がかかっておるわけでございますけれども、参加者につきましては本プロジェクトの継続する期間内に発生しますすべての技術情報について、日本側の参加者が取得し得るという形になっております。
  309. 安田純治

    安田(純)委員 この石炭液化技術開発株式会社をみますと、この会社の事業目的は、「石炭液化等合成燃料に関する技術開発研究、調査並びにこれらの受託及び委託」、それから「石炭液化等合成燃料に関する技術情報の取得または処分」、こういうことが書かれておるわけですね。そしてもちろん政府補助金を出しているんですからこの会社の中身は十分御存じだと思いますが、これは株式会社である。営利を目的とする法人ですね。しかし中身を見ますと、言葉は悪いかもしらぬけれどもいわばペーパーカンパニーみたいなところで、常勤の役職員は八人しかおらないようですね。常務取締役が一名、技術部員が四名、総務部員が三名、技術部員の四名のうち何か二名がいまアメリカに行っておるような話を聞きますけれども、しかも営利会社である。やっている中身を見ますと石炭の液化の研究でそのエクソンなどとの共同開発のために金を出しておるというような感じがするわけで、実際ここの会社が自分で研究施設を持ってやったりなんかしているわけではなさそうですが、この中身については御存じですか。
  310. 志賀学

    ○志賀政府委員 ただいま先生のお話のことは承知しております。ただ、先ほども申し上げましたけれども、技術職員を常時二人派遣しておるということでございまして、そういった技術スタッフを派遣するということによりまして実際の技術情報を取得するほか、さらに実際の運転に携わるとか、そういう形を通じまして十分な技術が取れるというふうに考えております。
  311. 安田純治

    安田(純)委員 これは株式会社になっているようですが、いまの中身を見ますと、研究負担金なるものを各株主になっている会社から取って従業員の給与など運営経費を払ったほかはエクソンへ送金する、こういう仕組みになっているようですが、営利会社として実際はもうかるかもうからないかは別として、当然もうかる目当てでつくるのが株式会社ですね。そのかわり設立が自由で非常に小回りがきくわけですよ、公益法人と違う。ところがこの会社の目的、中身なんか見ますと、もうかる仕事というよりは、むしろ研究につぎ込む方の仕事が中心じゃなかろうか。なぜこれは株式会社になっているのでしょうね。こういうものに補助金を出すことが適当なのかどうかということも伺いたいと思います。
  312. 志賀学

    ○志賀政府委員 このEDSのプロジェクトはSRCIIと違いまして、エクソンとアメリカエネルギー省が共同協定を結びましてやっておったプロジェクトに対しまして、日本が日米科学技術協力協定に基づきまして後から参加した、こういうことでございます。もともとそういうことで、民間主導型のプロジェクトということでSRCIIとやや違う性格がございます。  お尋ねの株式会社として適当かどうかということでございますけれども、これは先ほど申し上げましたようにロイアルティー収入が、将来発生すべき工業所有権に基づきまして研究費を負担した参加メンバーに対しまして公平に分配されるということになっておりまして、将来そういう収入が十分考えられるわけでございます。日本政府として補助金を交付しておるわけでございますけれども、その交付に際しましても、将来そういうロイアルティーの配分を受けた収入につきまして、補助金の負担割合に応じまして日本政府に納めるというような形になっておるわけでございます。
  313. 安田純治

    安田(純)委員 私どもの方でこの会社についていろいろ調査をさせていただいたのですが、それによると、補助金の交付の必要範囲において協定を把握しておるというふうに微妙なお答えだったのですが、協定は秘密であるということになっておるようでありまして、全部は政府にも教えていない、政府もまたこれを一部了解しておる、そういうことも私どもが調べたところによるとそうなっておるようでありますが、それはいかがですか。  それから技術情報拒否義務という契約がございまして、特定の人間を指定してまで非常に情報というものが漏れるのを恐れるといいますか、流用されるのを恐れるというか、そういうような中身になっておるということでありますが、いかがですか。
  314. 志賀学

    ○志賀政府委員 EDSに関する協定といたしまして、アメリカエネルギー省とエクソンとの間の協定、それから日本側とエクソン・リサーチ・アンド・エンジニアリング会社との間の参加協定がそれぞれあるわけでございますけれども、いずれも守秘を前提とした契約になっております。そういうことでございますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように補助金の交付を行うということで、その必要な限りにおいては承知をしておるということでございます。
  315. 安田純治

    安田(純)委員 そこが問題なんでして、必要な限りにおいて、その以外は日本政府はつんぼさじきである、そういうことになるわけですよね。その必要な範囲がどの範囲か、またいろいろ微妙ではありましょうけれども、その辺が一つ問題だと思うのです。  そこで大臣、最後に、そろそろ時間も近づいてきましたので、いまの質疑の中でわかるように、EDS、民間ベースの液化研究についてはエクソンが主導権を握っておる。しかもいまの答弁だと奥歯に物がはさまったみたいで、必要な範囲で協定を知っておると言うけれども、秘密な部分があるのですよ。これは会社で調べてみたらはっきりわかります。それで技術情報拒否義務というのまであるということになっていますね。ですからエクソン系列で技術が系列化される。それで日本政府がこの株式会社を通じて金を投資しておる。片やSRCIIがいま進行しようとしておる。このことを考えますと、やはりちょうど日本原子力発電についてゼネラル・エレクトリックとかウエスチングハウスとかいう、いわばアメリカの巨大企業の技術の系列があると同じように、石炭の液化についても、そういう点ではいわばアメリカのメジャーといいますか、技術の系列化が行われて、非常にその系列の外との間では閉鎖的になるということが心配されるわけですよ。少なくともこういう技術情報拒否義務なんというのがあるとなれば、たとえばエクソン・エンジニアリングの方でいろいろキャッチした技術のある一部分を日本国内で別なものに応用することができるとしても、これはだめだということになる可能性があるわけですね。したがって技術を総合してSRCにも首突っ込む、EDSにも首突っ込む、やがてそれが、——性質がいろいろ違うから全くお互いの技術を利用できるということはないかもしらぬけれども、周辺技術についてはいろいろ共通のものもあり得るだろうと思うのですね。そういうときに技術の系列化がエクソン・ルートや何かで決まっちゃって、いわば非常に自主性のない、日本の国益に必ずしも合わない、外国のメジャーの系列化のもとにおける石炭液化の研究になっていくのではないかということを心配するわけですよ。いいですか、それと国内のエネルギー資源を見直せということがまた絡んでくるわけですよ。  最後に大臣にそういう点で聞く前に、高瀬部長さん、いま二千万トンになってないはずですね。その点はっきりまず一たん御答弁いただきたいのですよ。
  316. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  五十三年、五十四年は全体の需給が緩みまして、その結果貯炭が三百五十万トンということになったわけです。したがいまして、五十四年度はやはり貯炭をこれ以上ふやさない、経営的な圧迫から解放されようということで生産を若干抑制しました。その結果、五十四年の生産の見通しは千八百七十万トンくらいになっています。しかし五十五年は、セメント産業の油から石炭への転換がかなりハイスピードできております。それから苫東厚真火力の建設に伴いまして石炭の引き取りが開始される等々、需要の環境が変わってまいります。現在の五十五年の見通しでは約千九百万トンということでございますので、今後やはり保安面での技術開発、それから生産面での技術開発とあわせながら深度のマイナスを克服していくということで、徐々ではあるが回復できるのではないかというふうに見ております。
  317. 安田純治

    安田(純)委員 そこで、大臣はきわめて科学的に日本の石炭は二千万トンだということに算定されたとおっしゃいますけれども、私はそれも実際はエネルギー構造の政策の方から逆算してきたのじゃないかというふうに疑いを持っていますが、それでも科学的とおっしゃるのだけれども、国内のそれさえもいま達成できていないのですよね。ですから、この代替エネルギー法案ができて代替エネルギーに取り組むとなると、それ海外石炭の液化だということになる。いま言ったように、大臣は三割しかメジャーが海外炭を押さえていないと言う。中国や何か含めばそうなるのかもしれませんが、そういう点でメジャーがすでに相当炭田も支配しておる。技術もいま言ったようにエクソン系列や何かできちっと非常に閉鎖的になっておる。こういう中でこの代替エネルギー法案が通ってこの中身を推進していくとすれば、これはなかなか容易なことじゃないですね。ですから私どもが求めるのは、まず国内のエネルギー資源、ことに国内の石炭についてはどうしても二千万トンを早急に回復するように、あるいは新しい炭田の可能性もあるわけですから、こういうものについての開発も全力を挙げてやるという御決意を伺いたいのですよ。それはそっちの方で、どうせ幾ら掘ったって日本の石炭だけで間に合うはずはないのだからといって捨て去るようでは困りますから、まずそれを一〇〇%やり抜くということの上に立って、足りない部分を海外から求めるというのが安定確保のための姿勢ではなかろうかというふうに思いますので、まずその点での大臣の御決意を伺いたいわけです。  それからもう一つは、自主的なエネルギー開発ということでございまして、いま言ったように技術情報、そうしたものが、エクソンや何かに参加するのはいいのだけれども、秘密協定なんかがあるということで、外国のメジャーの系列下に技術が行われる、こういうことの心配についてどうお考えか、この点を御答弁いただいて質問を終わります。
  318. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 国内炭に関しましては、先ほど部長からお話がございましたように、恐らく順次二千万トンになるだろうと思います。油から石炭にボイラーを切りかえつつある最中でございますし、貯炭も大分軽くなってきているようでございますので、お話のようにしなければならぬし、またなり得るものと思います。  海外炭に関しましては、何遍も申しましたようにまだまだこれからの力の入れようによりましては開発輸入は可能だと思いますので、さらに一段と力を入れたいというふうに考えております。
  319. 安田純治

    安田(純)委員 終わります。
  320. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて安田純治君の質疑は終了いたしました。  次回は来る十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十分散会