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1980-04-08 第91回国会 衆議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月八日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 渡部 恒三君 理事 清水  勇君    理事 渡辺 三郎君 理事 近江巳記夫君    理事 神崎 敏雄君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       大塚 雄司君    粕谷  茂君       鴨田利太郎君    辻  英雄君       橋口  隆君    原田昇左右君       水平 豊彦君    粟山  明君       渡辺 秀央君    石野 久男君       後藤  茂君    上坂  昇君       渋沢 利久君    中村 重光君       山本 幸一君    長田 武士君       木内 良明君    中川 嘉美君       森田 景一君    工藤  晃君       中井  洽君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房審議官   高岡 敬展君         通商産業政務次         官       梶山 静六君         通商産業大臣官         房審議官    尾島  巖君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省生活         産業局長    児玉 清隆君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君  委員外出席者         環境庁自然保護         局保護管理課長 田村久仁夫君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      田口健次郎君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   小林 政子君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     小林 政子君     ————————————— 四月七日  公益法人及び会員の経営する結婚式場写真部の  地元優先委託等に関する請願(河本敏夫君紹  介)(第三六四九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律案内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案を議題といたします。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  本案について、石炭対策特別委員会より連合審査会開会の申し入れがあります。これを受諾するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塩川正十郎

    塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、石炭対策特別委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。     —————————————
  4. 塩川正十郎

    塩川委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案審査中、石炭鉱業合理化事業団から随時参考人出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 塩川正十郎

    塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。
  7. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 私は、政府提出の新エネルギー総合開発機構中心に、当面するエネルギー問題について若干の質問をいたします。  通産大臣、四月一日から電気料金値上げが認可せられました。これは物価対策上非常に残念なことでありましたけれども、しかし、客観条件は今日の電気がほとんど石油火力に集中してしまった。その石油値段がいまや三十ドルを超す。一バレル十二ドルのときに認可した電気料金をそのまま据え置くということは不可能であることも、これは万人の認めるところでもあります。これは国民が非常に注目しておりましたけれども、一バレル三十二ドルに見ているのです。それから為替相場、いまはすでに二百六十円になっておりますけれども、二百四十二円にこれを見ている。また春闘がこれから行われますが、賃上げをたしか五・三%程度見ております。これは五・五%、かなりの思い切った縮減であるということを評価いたしますが、けさのニュースでもイランの問題、またアメリカと非常に険悪になってきておるというようなことが報道されておりますけれども、この三十二ドル、二百四十二円ということで、この料金コストがこれからどの程度もつか、またすぐに値上げなんということになればたまらないわけでありますけれども、その見通しをまずお聞かせいただきたいと思います。
  8. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いまお話しのように、電力料金の一番大きいファクターは原油値段CIF値段がいまどうなるかというところにポイントがあるわけでございまして、それはいまお話しのように三十二ドル据え置きということで大変きつい査定をいたしました。また、為替も二百四十二円ということで、現状からすれば相当低目に抑えておりますし、春闘賃金等も五・五%でございますか、これは現実にどう今後推移するか、これからでございますけれども、相当思い切った削減をして査定をしたことは事実でございます。それがいまのイラン等情勢でそういうふうに抑え得るか、そういうふうに推移をするかという御質問でございますけれどもイランの問題はけさカーター大統領がああいうふうに声明いたしまして、日本側といたしましては、米国並びヨーロッパ友好諸国と連携を密にしつつ、人質の解放も含めて早期にひとつ事態を円満に決着がつくように努力したいというのがわが国のとる基本的態度だろうと思います。したがいまして、努力はするのでございますけれども、しかし今後どういうふうに推移するかということは、もう少し事態推移を見守りませんとこれは軽々に判断ができぬ国際問題でございますから、もう少し推移を見まして判断をせにゃいかぬと思いますけれども、しかし原油の全体の動向といたしましては、もし重大な国際情勢の変化がなかりせば、私どもといたしましては原油需給状況の今年度の見通しからいたしましてもあるいはスポット物動向等から見ましても、まずまずあの線で行けるのじゃなかろうかというふうに仕組んであるわけでございまして、もう少し事態を見ませんと何とも判断ができない、こういうふうに申し上げるしかないと思います。
  9. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 電力事業監督官庁である通産省国民生活に非常に大きな影響を持つものですから、これは身を削りあるいはあらゆる合理化努力電力事業にさせることによって、余り近い時期に再値上げというようなことのないように極力合理化努力をさせるということを要望して次に移ります。  今回の料金値上げで、国民全体にとっても大変な問題でありますが、特に心配されるのは大口電力消費産業であります。アルミとか非常に電力コストが多いのがありますから、こういうものがこの値上げによって倒産するというようなことになれば雇用の問題、景気の問題に関係します。中小企業にも影響します。この値上げ産業界に与える影響とその対策について通産省どう考えているか。これは産業政策局長でもよろしいです。
  10. 宮本四郎

    宮本(四)政府委員 電力値上げ製造業全般にどのような影響を与えるか。私どもの方が工業統計表を用いまして試算をいたしました。そういたしますと、コストに占める電気料金の比率が一・七五%という数字が出ました。今回の値上げの率が五四%でございますので、これを掛けますと約一%のコストアップ要因になるということでございます。もちろん現実にはそのとき及び産業ごと需給の関係によって決まりますので、試算をするとこういうことになるということでございます。いずれにいたしましても大口電力需要家に対しましては大変なコストアップ要因になる。全般的には一%ではございますけれどもアルミだとか亜鉛だとかあるいは紙パルプだとか、肥料だとかあるいはソーダなどの化学品だとか、業種によりましては非常に重い負担になるということは私ども心配いたしておるわけでございます。今後ともこのような産業企業では一層の合理化が要請されることになると思いますけれども通産省におきましても実情を常時把握いたしまして、問題が生じる場合には業種別に適切な対策を打ってまいる、こういう所存でございます。
  11. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 これも重要な問題ですので、今回の料金値上げ産業界混乱を余り起こさないように、極力通産当局努力をしていただきたい、これも要望しておきます。  そこで大臣、九電力会社料金の一番高い方から三つ会社、一番安い方から三つ会社を挙げてくれませんか。
  12. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 電灯電力に分けましてお答え申し上げますと、電灯料金につきましては、一番高い電力会社東北でございます。それからその次が中国電力になりまして、三番目が東京電力ということになります。また安い方から申しますと、一番安い電力会社北海道電力でございます。そしてその次に安いところが関西でございまして、さらに北陸がこれに続くという形になっております。  それから電力につきましては、高い方から順番三つ挙げますと、九州、東北東京という順番になっております。電力につきまして安い方から三つ挙げますと、北陸北海道、そして関西、そういう順番になっております。
  13. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 私は、いま公益事業部長から聞くのじゃなくて大臣の口から聞きたかったのは、これからのエネルギー政策に非常に重要な問題を投げかけているのですよ。安い電気北海道電力でしょう。それから北陸電力でしょう。関西電力でしょう。これはもう大臣おわかりのように水力北陸電力、それから石炭火力北海道原子力関西電力、これが安いわけです。そして原子力を、怠ってきたのかだれかの反対でできなかったのか知りませんけれども、持ってない東北、中国、これが非常に高い電気にしてしまったのですね。つまりいままでの電力会社が、環境問題がうるさいので安易に一番環境問題の少ない石油火力に集中してしまった。しかもその石油わが国に全くない。ちょっと国際情勢が変われば入ってこないかもしれない、あるいはすぐ値段が上がっちゃう、これに集中してしまった、わが国エネルギー政策全体の国際的な非常な問題というようなものを考えないで、安易に簡単なことに安んじてきた、それが今度の大幅な料金値上げというものにもろにかぶってしまった。そこにわれわれは、これからの民族の将来を考えるときに、もう石油に安易に依存する時代は終わった。石油にかわるべき新しいエネルギー開発しなければ民族の将来のために大変な問題になるということを私は教えていると思うのです。今回政府が提出した新エネルギー開発機構は、私はそこに意味があると思って歓迎をしているのです。かつて堺屋太一という人が小説を書いて、もしも石油わが国に三百日入ってこなくなったらわが国経済生活が完全に麻痺してしまって、日清日露の戦争どころか、太平洋戦争で死んだ人よりも多い三百万人の人が死んでしまう。大変な混乱が起こった。その混乱のときに商工委員会が開かれて、野党先生通産省は一体何をしておったのだということを質問する。そのとき通産省の役人が、私もそのことを考えて心配しておったのですけれども、いままで原子力発電所をつくろうと一生懸命やっておりましたけれども先生方に反対されてできませんでしたという答弁をして、家に帰ってせいせいするという場面があります。しかしそれは昔の野党先生の話で、いまは新エネルギー開発機構を熱心に審議してくださろう、新しいエネルギー開発にも積極的に協力してやろうという建設的な野党に変わってきておりますから、もうそういう心配はありません。しかし、この機構で私が一番心配するのは、当面一番肝心なのはやはり原子力だと思うのです。ところがこれは入ってないのです。これで一体できるのかどうか、お答え願います。
  14. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この機構は、おっしゃるとおり原子力以外のものに限ってございます。と申しますのは、原子力の方はもう長い歴史を経まして研究開発体制も整備し、それから実際の発電ということになりますと実用化しておりますので、各電力会社が主になってみずから開発しておるわけでございますから、特別にこの機構で扱わぬでも、従来の体制のままで進み得るという判断からこういう結論になったわけでございますけれども、さらばといってこの機構でやらなければ国として全然手を放すのかといいますと、決してそんなことはございませんで、いま一番問題になっておる立地問題等に関しましては御承知のように電源開発三法がございまして、皆様の御審議をちょうだいしてできた法律がございますから、その法律中心にいたしまして立地問題の解決に予算その他で円満に進むようにただいま進めてございます。でございますから、原子力がこの機構に入らなければ大変弱いじゃないかという御懸念かと思いますけれども、しかし、それはそれで従来どおり力強く進めていくことにいたしまして、この方はそれ以外の新エネルギーに対して最重点を置いて、原子力以外のエネルギー開発中枢体としてこれを強化したい。その方がかえって問題を進める上においてベターでなかろうか、実はこういう判断に基づいてつくったものでございます。
  15. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 当面脱石油エネルギー開発、これは何といっても原子力目玉になると思うのです。やはりその原子力発電所の建設の一番大きな阻害になっているのは、一番大きなというよりは、その全部の要件は、安全性に対する国民認識の問題だと思うのです。政府原子力安全であるということを国民にもっともっと知っていただかなくちゃならない。確かにこれは、人の命は地球より重い。だから人の命に心配のある問題、これは慎重にして慎重でなければなりませんけれども原子力発電所事故で死んだ人は地球にいないのです。そうでしょう、大臣。知っていますか、死んだ人というのを。ところが自動車事故でどのくらい死んでいます。何十万人も死んでいるのだな。飛行機が墜落して死んでいるのもいるね。最近ずいぶん飛行機事故があるのですよ。ロッキードは事故はありませんけれども、それ以外の飛行機、ほとんど事故が起こっているのです。そうすると、人の命に危険なものは絶対やっちゃいかぬ、こういう原則になれば自動車飛行機も直ちに生産を中止しろということになるわけですけれども、しかしもうわれわれは選挙区から東京に歩いてくることはできません。やはり多少危険でも飛行機に乗って、自動車に乗ってくることの便利さの方が、交通事故の危険さよりも自動車に乗ることの便利さの方を選択しているわけです。いまのままで石油に全部依存して、一体民族エネルギーを確保して生きていけるのかどうかという選択になれば、やはり原子力発電所をつくらざるを得ないという選択をしているのでしょう。そのことの正確な認識国民皆さんに知っていただくことがこれを進める何よりの大事なことだと思うのです。大臣は、幸いに科学技術庁長官のときに政治生命を賭して原子力安全局をつくるのに情熱を燃やした記憶があるので、いま新エネルギー開発元年と言われるときに、この原子力に非常な深い学識と体験を持っておる佐々木通産大臣であるということは国民は幸せだと思うわけですけれども、これについての大臣の決意をお伺いしたい。
  16. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、お説のように石油にかわる最大のものはやはり石炭原子力、LNGだと思います。当面はどうしてもそれに頼らざるを得ない。  そこで、その中の原子力の問題でございます。これはいろいろな障害もございまして思うようには進んでおりませんけれども、しかしなくてはならぬエネルギーでございますから、今後とも国民理解を得まして、予定どおり、計画どおり進めていくのが将来のエネルギー対策として一番重要なことだと思います。  そこで、くどいようですけれども何がいま一番ネックかと申しますと、技術とかあるいは資金とかという問題以上に一番ネックになっているものは、何といっても立地問題でございまして、立地問題で何がネックかと申しますと、安全に対する理解と申しますか、そういう問題が一番中心だと思います。安全問題に対してそれでは国として何もしないのかと申しますと、決してそんなことはございません。私は、安全問題に関しまして大体四つくらいに分けて考えていますけれども一つ原子炉自体原子力工学的に事故のないものにつくり上げていくというのが何といっても根本でありまして、これに関しましては、日本原子力研究所あるいはいままでの事故故障等を通じましてたくさんのデータを蓄積しておりますから、これを集大成してやっていけば、必ず原子力工学的にりっぱなものができ上がっておると確信しております。また、つくりつつございます。  二番目は、やはり運転中の監視、監督あるいは指導をどうするかという、言うなればスリーマイルアイランド事故以後中心になってきた問題でございまして、これに対しても着々整備していることは御承知のとおりでございます。  また、国民が、この機関安全なりと判断すればまあそれを信用するのが一番よろしいというような、いわば審査権威というものを高めるということでございまして、これは御承知のようにいま二重のチェックをいたしまして、そして安全委員会最高権威として審査をしていくのでありますから、私はまずまず非常に大事をとった、また国民の信頼を得る一つ権威ある審査機関というのができたのじゃないかというふうに考えるのでございます。  もう一つは、そういうことはあってならぬことですし、またあるべきじゃないのですけれども、いざという場合が仮に万々が一あったとして防災的な体制をどうするか、これもスリーマイルアイランド以来の一つの教訓でございますから、この方も整備いたしますということに万全の措置をとってまいりますれば、国民皆さんにも必ず御理解をいただけるときが来るのではないかということで、せっかく従来の方針どおり今後とも原子力発電に対しては情熱を燃やして進めてまいりたいと考えております。
  17. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 期待しております。  いまの安全性とともに、もう一つ原子力については技術的な問題、日本原子力発電ヨーロッパのそれに比較して稼働率が非常に低い、もっと高めなければならないということがありますね。  もう一つは、原子力の将来の技術について、重水炉がいいとか、軽水炉高速増殖炉にいかなくちゃならないとか、あるいはカナダ産のCANDU炉通産省が推しておったのに、原子力委員会でこれは国産の新型転換炉に変わったとか、いろいろな議論がなされておりますけれども、これも大事な問題で、もうこれから八〇年代は新エネルギー開発をやるのだ、その目玉は、原子力になるのだということですから、こういうものに対して原子炉路線というものを明確にしておく必要があると思うのですけれども、これについて御意見を承りたい。大臣でもエネルギー庁長官でも結構です。
  18. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いままでの路線は御承知のように軽水炉、それがファストブリーダーになってというこの基本的なサイクルは変わってないわけでございまして、それに加うるに多目的高温ガス炉とかあるいは核融合とか、原子力時代の将来の開発というものは大変夢の多い世界でございまして、言うなれば分子の世界から原子世界に入ったわけでございますから、違った次元で将来の夢があるわけでございます。さらばといって、それでは従来の路線だけを進めていってよろしいかといいますと、この問題に対しては若干解決を要する問題が残っているのじゃないかという感じが私はします。  ですから、重水系統の炉に対してどう判断していくか。これはCANDUに対しましては原子力委員会で去年ああいう判断を下したわけですから、しばらくその判断に従っていくのは当然でございますけれども、しかしそれにしてもATRも御承知のように大変順調にただいま運転しているところでございますから、あれこれ合わせまして時代推移とともに再検討を加える時期もあるいは来るのじゃなかろうかというふうにも考えられます。いずれにいたしましても原子力問題というのは大変将来性のある問題だと思っておりますので、現在の軽水炉の問題だけでなしに、将来を考えましてもっと日本としては力を入れるべきであるというように考えます。
  19. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 いまの大臣答弁には私も若干意見がありますけれども、これは次の機会に譲ります。  原子力と並ぶものとして、当面は——将来は水素エネルギーの問題とかあるいは風力の問題、海水の問題、いろいろあると思うのです。しかし大きな問題では、あとはやはり石炭水力だと思うのです。とにかく石炭に切りかえるのが一番早いことですね。それから安全性も比較的高い。問題も薄い。だから当面は石油火力石炭火力に切りかえることが新エネルギー開発、また電気料金コストダウン、こういうもので一番大きな問題があると思うのです。これはだれでもわかっていることだ。みんなが言う。ところが進まない。なぜ進まないか。一つは環境問題があると思うのです。石炭灰を捨てるところがないとか、あるいは管理型から安全型に変えてもらわないとできないとか、外国から輸入してくる貯炭場の問題とか。一日も早く石炭火力に切りかえるためにいま必要なことは何であるかお聞かせいただきたい。もし役所の方でこういうものが阻害になっていてできないのだということで、それは国会の先生方が反対したからなんだということを十年後に三百万人も死人が出たときに言われても間に合わないから、そういう問題があったらいまのうちに遠慮なく、失言なんということはありませんから、思ったとおり答えてください。
  20. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま渡部先生からお話のございました石炭の問題につきましては、私ども石油にかわる代替エネルギーといたしまして大変重要な資源であるというふうに認識いたしております。これは単に日本でそう考えているというだけではございませんで、実はIEA等におきますエネルギー消費国全体の問題としてとらまえているわけでございまして、先生もよく御承知のとおり、かつてサミット等におきまして、新しい火力発電につきましては石油火力の新設を禁止するというようなことすら国際的な合意が出たわけでございまして、私どもはその線に沿いまして、極力石油火力から石炭火力へ切りかえをしていくというような問題に現在取り組んでおるわけでございます。  そこで何が阻害要因になっているかと申しますと、一つはやはり立地問題ということがございますし、その立地問題の背景をなしておりますものは、御指摘のとおり環境問題ではなかろうかと思うわけでございます。これは石炭が排出いたします硫黄酸化物窒素酸化物、それから集じん等の問題もございますし、あるいはそれから出てまいります灰の処理等の問題もございます。しかしながら、この問題は決して避けて通れる問題でもございませんので、私どもは鋭意この問題とエネルギーからの制約条件とをいかにうまくマッチさせるかということにつきまして、最大の努力をしておるということでございます。  それからもう一つは、資源の確保という問題があろうかと思います。御承知のとおり現在日本は二千万トン体制というのをとっておるわけでございますが、これから増大いたします需要というものを考えますと決して二千万トンだけで、いわゆる国内炭だけの供給で賄い切れるものではないという問題がございますので、これを広く海外に求めなくてはならぬという問題がございます。現在オーストラリアあるいはカナダ、それから中国等々がこれからの供給源として期待される国々でございますけれども、そういった供給先との提携の問題あるいは開発の問題、輸入の問題等々の問題をいかにうまく処理していくかということが二番目の大きな問題ではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  21. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 これは石炭火力に切りかえるのが一番早い方法で、いま油がない油がないと日本じゅうがみんな大騒ぎをしているときに、外国から買ってくる貴重な油の四〇%も発電所で燃やして、そして一般国民が冬になると灯油が心配だあるいは農業用の油、漁業用の油がないなんという心配をさせておくということは、全くのエネルギー政策の貧困ということになるのですから、これは極力石炭に切りかえを急ぐこと、そのために隘路になっている問題があったら何でも出してもらうということを要望しておきます。  そこでもう一つ、これは一番大事な、人間というのはどうしても新しいことに目先が移って本当に一番大事なことを忘れやすいのですが、戦後日本産業をこれだけ発展させた原動力になったエネルギー水力発電なんですよ。戦後、地方の雪の深い山々に電源開発が行われて、そして発電所ができて、その水力発電が原動力になっているのです。いまエネルギー安全性とかあるいはセキュリティーとか言われているけれども、これは原子力だって心配だ、ウランが海外から入ってこなくなればだめなんですから。石炭だって国内炭は二千万トンがやっとだというのですから、これも外国から入ってくる話なんです。国際情勢がどういうときになっても国民が本当に安心して使える電気水力しかないのですよ。これから地熱がありますけれども、地熱はまだわずかだ。水力なんだ。ところが、最近私は水力発電についての関心が何か通産省でも薄れているような気がしてならないので、今度の予算では水力発電を思い切って考えるように要望したわけですが、まだ開発すれば水力発電所ができるところは二千カ所あるというのですが、それをやらないでおった。病院なんか人の命を預かるところですから、停電になった場合でも手術室の電気が消えて死んだなんというのでは困るので、自家発電というものを持っていますね。国際情勢がどうなっていくかわからないのですから、最小限度日本民族の生命の安全保障をするエネルギーと言ったら水力なんですよ。そういう意味で水力発電の重要性を改めて認識しなければならないし、二千カ所といわれる開発可能予定地、これは一日も早く開発を進めていただきたいと思っているのですが、これに対してのお考えをお聞かせいただきたい。
  22. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大電源開発地帯というものは御承知のようにほぼ開発し尽くしたと思っておりますけれども、いまお話しのような小水力関係は進めれば進め得る余地がまだまだたくさんあるんじゃないかと思います。一番の問題は、何と申しましても採算に合うか合わぬかという問題でございまして、その中でも主として金利等が一番問題のようでございますから、政府といたしましてもことしは思い切った補助金を出そうということで補助金を組みまして、小水力をそれぞれ進め得るように体制をつくってございます。それからもう一つは揚水発電でございまして、この方は、ベースロードの発電をどうするかという、それと兼ね合っての問題でございますけれども、しかし、これもまだまだ進められますから、これもあわせて今後進めるべきだというふうに考えてございます。  ですから、水力の問題は決して手を抜いておるわけではなくて、できるだけ今後進めていこうという気構えでただいま進んでおります。
  23. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 これは非常に重要なんですね。いま私は、原子力石炭水力と、こう聞いていったのですが、お答えの中に一貫してある考え方は、やはり立地の確保が何といっても前提条件だ。これは予算をつけても何をしても立地がなければできないわけですから、その立地を確保するのにどうすればいいか。これは立地を提供する地域の人が、国のためだ、エネルギー安全のためだということで喜んで立地を提供できる条件をつくることが一番大事なんですよ。ところが、残念ながら戦後の日本経済の復興に大きな役割りを果たしてきた水力発電所所在の市町村、これは発電所をつくるときは、おまえのところで協力してくれて発電所をつくればおまえの町は発展するぞ、人口もふえるぞ、経済も発展するぞと言われて国のためだとみんな協力してきたんだ。ところが、その既設発電所の市町村はいまほとんど過疎です。発電所ができてかえって人口が減って経済がさびれて過疎になって、昭和三十年以前にできた発電所はもう固定資産税も償却して入ってこないということで、何のためにあれだけ協力したんだろうという気持ちになっております。これではこれから新しい立地の供給に国民が協力するはずがない。だから私は、既設発電所所在の町村の人たちが、やっぱり国のために協力してよかったというような政策をやることをまず最初に前提としないとこれからの立地の問題は進まないということで、既設発電対策の予算を何としてもつけろということで調査費として七千万ほどつけていただいたはずですけれどもエネルギー庁、これはどういうことをやるつもりですか。
  24. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘のございました既設の発電所に対する対策につきましては、これは私どもも実は重大な問題というふうな認識を持っております。と申しますのは、これから新しく立地をするものにつきましては御承知のとおり電源三法による手当てをしたわけでございますけれども、新しく立地される電源開発地帯だけではなくて、既存のところのウエートというものもかなり大きなウエートで残っておるわけでございますので、こういったところに対します手当てをどうしたらいいかということを中心に、いま御指摘のございました七千万というものを五十五年度の予算に計上させていただきまして、これから具体的にどういう措置をするのが最もそういった既設の発電所等の電源開発地帯の方々に対してメリットになるのかあるいは今後の電力開発について御協力いただけるか、そういう点を主眼にいたしまして調査をしてみたいというふうに考えております。
  25. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 聞いてみるとまだ余りいい知恵はないようなので、私の方からだんだん皆さんが飛びつくようないい知恵を教えてあげたいと思っているのですが、その前に、今度の料金問題で非常に大きな矛盾が露呈された問題、これを解決しないと進まない。これは私の県なので、福島県のことを申し上げて恐縮ですけれども大臣、福島県は原子力発電の設備出力、全国の二八・三%ですよ。あそこから出ている政治家がよかったからですよ、反対なんかしなかったから。これはいまのエネルギー問題に大変な貢献をしているわけです。二八・三%福島県で出力しているのです。水力、これも全国の一〇%ですよ。全国で電力開発に最も積極的に協力して立地を提供している県なんですよ。わかっていますか。——わかっている。そうして今度の料金改定では、東北電力——女川原子力発電もおくれちゃったね、あれは会社が悪いのか、反対する人が悪いのか、両方悪いんだろう。原子力発電所がないんだ。そのために中国電力に次いで全国で二番目の値上げ幅だ。全国で一番電力立地を供給している県民が一番高い電気を使わなくちゃならないということで、これから立地に協力すると思いますか。これはどういうふうにお考えになっていますか。
  26. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在の九電力体制のもとにおきまして、いわゆる原価主義の原則に立ちまして料金の算定をするというのが現状でございまして、その線に立ちますと、いま御指摘のとおり大変な電源地帯でございます福島県の方々が、貴重な電源地帯であるにもかかわらず、現実に福島県民の方々が料金をお払いになる場合には東北電力料金でお払いになるために、東京電力よりも高い料金を払わざるを得ない、こういう現実に直面しているわけでございます。  私どもは、いま冒頭に申し上げましたように、九電力体制のもとにおける原価主義の立場に立ちますと、どうしてもそれはやむを得ない事情ではなかろうかというふうな割り切り方をしておるわけでございますけれども、人間としまして感情的に申し上げますと、まさにこれはおかしな状態が露呈しているのじゃないかということでございまして、先生の御指摘を待つまでもなく、そういった問題につきましては大変重要な問題ではなかろうかという認識を持って受けとめておるわけでございまして、これはやはりほっておくわけにもいかぬ問題ではなかろうか、こういう気持ちを感情の問題としては持っております。
  27. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 そのぐらいでは、これは新エネルギー開発機構をつくっても、どういう予算措置をしても進まないのです。原価主義、やむを得ないなんということは、東京にいらっしゃる通産官僚の方の考えなんだ、理屈ではそうおっしゃるかもしれないけれども開発というのは国家、民族の発展のためにやるものだけれども、同時に地域に貢献するものでなければならないのです。これはいまの話じゃない。何百年も前から言っているのですよ。新しい開発をやった初代ルーズベルトだって言っているでしょう。開発というのは、地域住民の手によって、地域住民のものとして、地域住民のために行われるものでなければならない。これはそういうものなんだ。やはり発電所をその所在地域でつくれば、その所在地域住民の発展に役立つというものでなければこれは積極的な協力がないのです。それを怠っているから、そうすれば地域住民の方も、それならそのとき、ただ金さえ出せば、あとはどうせ構ってくれないのだから、判こを押す前に取れるだけ金を取っておけ。そうすると一時的に電力会社の方も、これはやらなくちゃならないからといって札束で顔をひっぱたくようなことをしてこれを片づけてきた。それが思想を悪くし、今日の条件を、立地問題があるとみんなお互いがいやな思いをしなくちゃならない。この前も私は、日曜日、金沢に行ってきましたがね。七尾の原子力発電、能登のあれも、あれは五年前私が政務次官のときずいぶん陳情に来たので記憶しておりましたが、まだ決まっていない。全部それなんです。  だからまずこのエネルギー開発を八〇年代で進めるためには、これから一億一千万人がさらに一億六千万人になっていく民族が安心して暮らすためには、石油にかわる新しいエネルギー開発がどうしても必要なんです、協力してください、そのかわり発電所を引き受けてくれた地域住民の皆さんはみんな将来幸せになれますよということでなければならない。ところが、たとえば水力発電、これは福島県の山奥でできた電気東京に送られて、東京電力電気が安くなっている。しかし、その電気が起こるためにはあの山の中の人たちは六カ月深い雪に閉ざされて暮らしていなくちゃならないのですよ。その雪が解けて流れて電気になっていくんだ。その雪のために六カ月、七カ月厳しい生活をしているのですから。  この問題の当面まずやらなければならない解決の方法は、電気料金に地域格差を設定して、発電所立地を提供してくれた地域の皆さん電気料金は安くなりますよということでなければこれは一歩も進まないのですよ。提供してくださったところの料金は高くなってしまいますということでは。これがこれからエネルギーの立地を確保するためのすべてに優先する前提条件だと私は思いますが、大臣、いかがですか。
  28. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先般も福井県の県会議長を初め有力者が見えまして、同じような陳情と申しますか、主張がございました。電源地帯の実情はお話のようであることはよく承知しております。ただ、長官からもお話がございましたように、原価主義、公平主義といういまの法律からいきますと、これは制度としてつくるのにはなかなかむずかしい問題でございまして、電源開発審議会でもこれをしばしば議題に取り上げまして問題にしたそうでございますけれども、結論的にはどうにも結論がつかないということで、その必要性は大変わかってはいますが、むずかしい状況なものですから、じんぜんいままでそのままで来たわけです。しかし、やはり今後の一つの大きいテーマとして検討を進めていく必要があるものだというふうに考えてございます。
  29. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 現行制度がある限りこれはむずかしいということでありますが、これは現行制度を直せばいいわけです。しかし、それも大変だと言うのでしょう。現行制度を直さないでも大臣、これはやろうとすればやれる方法はあるのです。  いま開発促進税を取っているでしょう。交付金にくれているのでしょう。あれはどのぐらいやっていますか。これは公益事業部長でいい。
  30. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 電源開発促進税によります交付金等の金額は、おおむね年間四百億円弱でございます。
  31. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 いまでも四百億も使っているのでしょう。これをもっとふやそうというでしょう。そうすると、私はこれは福島県の例で計算してみたのです。福島県は、いま大体十分の一の比重を占めていますからね。仮に、発電所所在の市町村で、消費電力を十倍上回る発電能力を持っている市町村、この料金を一〇%減額する。さらに、百倍以上五百倍未満の市町村について二〇%減額する。五百倍以上の市町村について料金を三〇%減額する。この程度で私はいいと言うのではありませんけれども、何でも最初は小さいものから出発して大きく伸ばしていかなければ、最初から大きいことを言っておってできないよりはできる方がいいということで、これはきわめて不十分な内容だけれども一つの提案として申し上げるのですが、これをやるとどのぐらい金がかかるかというと二億三千万円でできるのです。電力会社に交付して、そして発電所所在の市町村の料金を、たとえば一つの例としてあなたのところは一〇%まけます。ここは二〇%、ここは三〇%。そうすると、まだ全国のを調べていませんけれども、恐らく推定して、とりあえず四百億の交付金の十億を回せば、とにかく不十分ながら電源立地を提供した所在市町村の電気料金は安くなるのだ。将来はもっと安くなるのだ。これから電気をよけい使う工場は発電所所在の市町村につくれば、これは経営がよくなっていくぞということになるんですね。いま日本民族が抱えておるエネルギーとともに一番大きな問題、過疎と過密の問題、これは地方のためだけで言うんじゃありませんよ。東京は人口過密のために通勤するのにもう汗だく、子供を学校に通わせるのにも大変だ。せめて一坪ぐらい土のある庭が欲しいけれども、全部マンションで花一株も植えられないということになっているのですから、東京皆さん方に生活環境をよくする土地つきの住宅を与える。そして地方の、山の中の雪の深い農村には工場がどんどん行って、過疎の問題がなくなって、経済が豊かになっていくという、いまエネルギー時代とともに八〇年代は地方の時代だと言われておる。その地方の時代がやって、くるということで地方の人たちに大きな期待を持たせ、また、今日のエネルギー問題の解決に一番大事な、国家、民族のために発電所の立地を提供しようじゃないか、そしてわれわれの町村も豊かにしようじゃないかという声が起こるんですよ。このぐらいはできるでしょう。どうですか。
  32. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまの渡部先生の御提案は大変貴重な御提案として受けとめてみたいと思います。  現状からまず申し上げておきますと、いま先生は、電気料金につきましての地域格差の問題から問題を取り上げられたわけでございますけれども、私どもはその裏返しでございまして、現在は、先ほどお話のございました電源開発税約四百億円、それを電気料金へ還元するための財源として用いているのではなくて、もう先生承知の、いわゆる公共施設の増強でございますとかあるいは社会福祉その他で還元をしているという制度をとっておるわけでございまして、さらに今回、少なくともその電源が動いている期間はそういった交付金を続けていくというように制度を拡大させていただいたわけでございまして、その四百億の使途をそういった公共的な施設をつくる方に使った方がいいのか、あるいは電源地帯の料金を安くする方に使った方がいいのか、どちらがいいのかということにつきましては、十分検討する必要があるのではないかと思います。それから外国等におきましても、たとえばフランスあたりでいま先生が御提案になったようなことを現にやっている国もございます。そういうことも踏まえまして、いま御提案の趣旨を十分検討をしてみたい、こういうふうに考えております。
  33. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 これはやろうと思えばできるんです。できないということは、やらないということだけなんだ。森山長官、私は会津だけれども、あなたは鹿児島だ。いまテレビに出ているけれども鹿児島は会津以上に過疎地域です。今度桜島に地熱大発電所でもできれば、これは鹿児島の電気料金を安くしておけば、また鹿児島に経済がどんどん行って発展するんだ。これはあなたの責任で来年やりなさいよ、これはわれわれも全面的に協力するから。このぐらいのことをやらないでは電源立地の問題は進みません。これは野党皆さんも協力してくれる。いま見ていると協力してくれるような顔をしているもの。これはあなた方が決意すればできることなんだ。大臣、そうでないですか、どうです。
  34. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 検討してみます。
  35. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 私は与党の商工部会長ですから、余りここで質問するとどうかと思うけれども、しかしこの問題は八〇年代のエネルギーの当否に関する問題だし、これは地方の発展のために何としても解決しなければならない問題ですから、私はやるまで質問しますからね。審議拒否なんということは言わないけれども本気で考えてくださいよ。大臣も秋田県だ。来年度これをぜひ実現するように要求いたします。電気料金の地域格差、これによる地方の繁栄、これはぜひお願いしたいと思います。  時間がなくなってしまいましたが、今度のエネルギー機構については、これは国民の心ある者みんなが共鳴しています。大臣は三役折衝で最後まで行政管理庁長官と、本当に歯切れのいい演説でがんばってくれて、いまでも私はあれを思い出すけれども、これはよかったと思う。  ただ、二つほどやはり心配なことがある。一つは、最初これは公社、公団ということで進んだのが、その後の行政改革という客観条件の中でこれは第三セクター方式というものに変わった。これは民間の活力と役所の長所をうまく取り入れればすばらしいものになるのです。ところが、そういうことでいままでいろいろその種のものができているのですけれども、理想は民間の活力と役所のいいところを取り入れてすばらしいものをつくろうというのだけれども、結果は、役所の怠け癖と民間の悪いところと、悪い方が合っちゃうことが多いんだな。そして、非常に大きな期待をしたものが最後は何か期待外れに終わるということが多いので、まずこれが実現したときの運営、これが最大の問題になってくると思うんですけれども、そのためにはやはり人事だな。人を得るかどうか。事をなすには天の時、地の利、人の和と言うけれども、この機構を与野党一致して真剣に審議してこれから実現した場合、この運用と人事、これによって本当に八〇年代の初年度がエネルギー元年になるかどうか、これが決まってくるので、この点について大臣の所見を承りたいと思います。
  36. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 入れ物が皆さんの御支持でこの法案でできますれば、問題の焦点はおっしゃる人事運営の問題だと思います。お話しのような期待と希望を持ちまして中身を持っていきたいと思います。
  37. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 ちょっと歯切れが悪いなあ、確かに。質問の方、これは発音が悪いんだ。私の友人が正月にサウジアラビアを中心とした産油国に行ったところが、大臣ががんばってつくったこの新エネルギー開発機構、まだこれは法律が通っていないからつくったということにならないけれども、つくろうとしている、これは野党先生方も賛成してくれるに違いない、りっぱな先生方だから。この機構に産油国の人たちが非常に大きな関心を寄せて、日本はすばらしいことをやってくれる、これは一体どうなるんだと言っているということを聞きました。  エネルギーの問題は世界の問題ですから、やはりこの新エネルギー開発機構日本の考え方、これから十年間で石油の依存度を五〇%に下げようという脱石油の考え方、こういうものは二国間協定なり多国間協定なり、世界の中の日本ですから、これは国際的な協力をして進めていただきたいと思いますが、これに対するお考えを最後にお願いします。
  38. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもには、毎日必ず三組くらい海外の皆さんお話しやら陳情に参ります。お話のように、この機関に対する期待が非常に強うございまして、特に中近東の方では太陽熱に対する開発の問題が非常に関心が強うございます。そういうことで、恐らくはIEAとかサミットの会議でも話題になる機関だと思いますので、国内のみならず、世界の輿望を担ってというと話が少し大き過ぎますけれども、一生懸命やってみたいと思います。
  39. 渡部恒三

    渡部(恒)委員 時間が来ましたので、先ほども申し上げましたように電気料金の地域格差の設定、これは八〇年代のエネルギー開発の前提条件になるので、ぜひ来年度に実現するための努力をしていただくこと、また、この新エネルギー開発機構がこの委員会で可決され、本会議で可決され、国会で実現できるようになった暁には、これの運用、人事の面で完璧を期して、あのエネルギ—機構をつくって、八〇年代のエネルギー政策佐々木通産大臣のときに出発させて本当によかったと、十年後のわれわれの民族が心から感謝をしてくれるような運用をしていただくことを要望して私の質問を終わります。(拍手)
  40. 塩川正十郎

    塩川委員長 これにて渡部恒三君の質疑は終わります。  引き続いて後藤茂君の質疑に入ります。後藤茂君。
  41. 後藤茂

    ○後藤委員 まず最初に、大臣に幾つかエネルギー問題に対する基本的な考え方をお伺いをいたしまして、個別的な問題に入ってみたいと思います。  いよいよ東京サミットに続きますベネチア・サミットが開かれるわけですが、もうすでにその準備は進んでいるだろうと思います。最近新聞紙上等を見ておりますと、各国ともサミットに向けましての発言なり提言なり報告書等が出てまいっております。先般もEC委員会で統一エネルギー戦略に関する報告書を明らかにしております。これはエネルギー新税等の提案をしようということのようです。私も倉成団長のもとで、二月にEC議会と日本会議員との定期協議に参加をしてまいりましたが、やはりエネルギーの問題に対しましては大変慎重にしてかつ積極的な取り組みをしている。エネルギー新税等に対しては、恐らく北海油田等を持っておりますイギリスが難色を示すのではないかということも考えられますし、あるいはまた、インフレを加速しはしないかという心配もあるわけですけれども、いずれにいたしましてもエネルギーの財源というものをどう確保していくかということに対しては大変積極的です。また、三月二十四日でございましたか、国際エネルギー技術グループ、IETGというのでしょうか、ここも石油代替エネルギー開発の勧告案をサミットに向けて出そうとしている。そこでは九〇年、九五年、それから二〇〇〇年、その石油代替エネルギーの生産計画を具体的につくれ、そのための建設計画を明らかにしろというような提案をベネチア・サミットで出されていくようです。もちろんまだはっきりしていない部分はいっぱいありますけれども東京サミットがエネルギーサミットと言われたように、恐らくベネチア・サミットもエネルギーサミットになっていくのではないかと思います。こういった課題が目前に迫っているわけですけれども大臣はこのベネチア・サミット、それからさらにIEAも開かれると思いますけれども、これに臨む態度をどのように持っておられるのか、どういう対応策をいまお考えになっておられるのか、初めにお伺いをしたいと思います。
  42. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まずIEAでございますけれども、五月の下旬に閣僚理事会でございますか、開かれる予定でございます。その際どういうテーマを取り上げるかということで、せっかくただいま通常の理事会でもんでいるところでございますけれども、きのう京都でLNGの国際会議がございまして、何千という人が集まって大会議を開いております。その席にランツケIEA事務局長も見えておりまして、その後の状況を聞いたのですけれども、アメリカを回って日本に来たわけでございますから、その後の情勢が一番よくわかっているはずでございまして、日本でもわが方の天谷審議官と近く会談する予定になっております。そういうことで、まずIEAでは、できる限りIEA自体の会議では余り紛糾を起こさないで、その前に大きい問題はある程度合意を見出したいということで、事前の協議に大変力を入れるような話でございました。  IEAでございますから、もちろん将来の輸入目標とかあるいはいまお話がございました代替エネルギーを今後どう取り上げるかとかいった問題が中心になると思いますし、それに対する手段、方法等も、あるいはそこまで入れるかどうか知りませんが、入っていくかもしれません。いずれにいたしましても去年の十二月にペンディングになった問題がございますので、そういう点を中心にして問題が進めていかれるだろうと私は思います。その結果をもってイタリアで開かれますサミットに問題を持ち込んでいくのか、あるいはその前に片づけてしまうのか、そこら辺はこれからの問題だと思いますけれども、いずれにいたしましてもエネルギーの問題というのは消費者側にとりましては大変な大問題でございますので、その両機関を目標にしてこれから問題が展開していくと思っております。
  43. 後藤茂

    ○後藤委員 サミットになってからの段階というのはおよそ見当はつくと思いますけれども、その事前のいろいろな動きを見ておりますと、エネルギーの問題に対する取り組みなり理解というものは、相当深刻に受けとめているというように考えてよろしいと思うのです。そういう意味で、この法案の審議に入るに当たりましても、後でまた申し上げてみたいと思いますけれども、このような法案程度では私は大変なまぬるいのではないか、それからまた、現状認識がまだ甘いのではないかという心配を実はいたしておりますので、いまその対応する考え方をお聞きしてみたわけです。  もう一つ質問に入る前にお聞きをしておいてみたいのは、今後の総合エネルギー政策のあり方とこれまでのエネルギー政策がどういうふうにこれから違っていくのか。ということは、この間、三月ですか、通産省は八〇年代の通産ビジョンをお出しになられたわけです。それから、一番これの討議の素材になります長期需給暫定見通しというのが昨年八月三十一日に出されております。そしてそれは新経済社会七カ年計画の、六十年までは五・七%、六十年から六十五年まではOECDの平均よりやや高目の五%、六十五年から七十年には四%というような成長率を一応根底に置いてつくられているわけです。一番最初は新経済社会七カ年計画というものから来ているんだと思いますけれども、長期需給暫定見通し、そして八〇年代の通産ビジョン、これはそれぞれが別個につくられているわけじゃないだろうと思うのですが、どうもこの脈絡なり関連性がもう一つぴしっと読み取れないわけです。これからこの法律案目玉になります石油代替エネルギーの供給目標は、暫定見通しというのは一応の見通しですから恐らく参考資料と位置づけたらいいのでしょうか、しかし法律に基づく供給目標ということになってまいりますとこれは閣議決定になるんでしょうし、相当重みが出てくるわけですね。こういった三つ四つ、それぞれかかわりを持っておる計画なりビジョンなり見通しなりあるいは目標なりというものがどこでどのように整合性が持たれていくのか。と申しますのは、経済企画庁も、この新経済社会七カ年計画というのはどうも現状に合わなくなってきている面がある、特にエネルギーのバックグラウンドというものが当初つくったころよりも非常に厳しくなってきているということで、これから経済審議会の方に新経済計画の作成検討を諮問するとかいうように聞いているわけです。恐らく国会が終わりましたらそういった動きが出てくるんでしょうし、片一方この法律がこれから成立をいたしまして石油代替エネルギーの供給目標というものがつくられていく、片一方一番間違いのない、これがきわめつきの暫定見通しである昨年八月に発表になったこういうものが一つある、こういったことを考えてみますと、まだまだいろいろな点で動いていくのじゃないだろうかという心配が出てならないわけです。後でまた原子力なりあるいはLNGなり石炭の問題等についても触れてみたいと思いますけれども、大規模、大容量の電力というものだけが中心になった開発、そしてそれを可能な限り数字合わせをしていってあとは適当に、つまり石油代替エネルギーというかけ声は非常に高いのですけれども、その重みといいますか、位置づけといいますか、優先順位といいますか、大臣が考えられているほど高いと私は思えないものですから、こうした計画の策定過程で常によそに追いやられはしないかという心配をするものですからこのことをお聞きをするわけです。総合エネルギー政策の中にこの代替エネルギーというもの、新エネルギーというものをどのように位置づけされていくのか、それが一つのベースになっていくのかどうか、こういったことも聞いておいてみたいと思うのです。大臣、いかがでしょう。
  44. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 十年後にはいま七五%を占めている油をヨーロッパ並みに五〇%くらいまで落としたい、ですからその二五%あるいは二〇%の油で賄っておったエネルギーは、これをほかの、油にかわる代替エネルギーで埋め合わせていきたい、それを目指して新エネルギー開発していかなければいかぬというのがいままでの大筋だったことは御承知のとおりでございまして、私はその大筋は今後も余り変わらぬと思いますけれども、それに至る道行きはやはり相当変化してくるんじゃないか。たとえば原油の輸入数量等もいままで想定しておったとおりで一体行けるのかどうか、それも大変問題があるんじゃないかと私は思いますし、また代替エネルギーに関しましても、先ほど渡部委員からも御指摘ございましたように緩急よろしきを得て目標を決めていかなければいけませんので、そういう点もその後の研究開発の状況等も踏まえまして、いろいろ目標なりあるいは達成の手段等をさらに深めていかなければいかぬと思いますので、一定の時期が来ますればやはり見直す必要があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  45. 後藤茂

    ○後藤委員 当然生きた経済ですから、数字を策定して七カ年計画なら七カ年動かないとか、あるいは供給目標が決められてもこれで絶対に動かさないのだということはないだろうと思うのです。これは当然いろいろと動くだろうと思いますけれども、しかし私が申し上げておきたいのは、せっかくこうやっていま石油にかわる代替エネルギーというものに真剣に取り組もうとしているその姿勢が、もう一つ真剣さというものが足りないのではないかという心配をいたしておりますから、優先度といいますか、位置づけというものはひとつきちっとして、それに対して政策的、資金的、制度的な裏づけを積極的にしていくんだ、優先度を一番高くしていかなければならないのだ、そうでなければ七五%の依存率を五〇%にし、七十年度に四三・一%にしていくということは全く不可能だろうと私は思うのです。ということで二番目にそのことを申し上げておきたい。  それからもう一点、本題に入る前にお伺いをしておきたいんですけれどもエネルギー外交の問題です。この間も天谷審議官が行かれたようです。あるいは二月には園田元外務大臣が特使として行かれた。この間ある人からお聞きしますと、サウジアラビアの方から水大臣と言うんですか、来日されたわけですが、そのときに通産大臣も外務大臣も出迎えに成田へ行かなかった。ヤマニ石油相なりオタイバ石油相等でしたら恐らく行くだろうけれども、水大臣ぐらいはという意識があったのではないだろうかという気が私は実はするわけです。向こうにしてみれば、たとえばサウジアラビアは一日九百五十万バレル生産をし、そしてそのうちの大量を日本にも輸出している、しかもこれから、先ほど渡部委員からも指摘がありましたけれども、後で工業技術院の方にもお聞きしたいと思いますけれども、産油国でありながらむしろ太陽熱利用等について積極的に取り組もうとしている。水の問題は砂漠の国としては大変ですね。何も出迎えがどうこうということじゃないんですけれども、意識の問題なんです。ちょっと何か困ると特使を派遣し、首相の親書を持っていって、そして電源立地の確保だけではなしに、札束で何とか解決できれば結構だ、こういう姿勢はエネルギーの問題の取り組みにしては大変弱いと私は思うわけです。石油は政治的な商品だ、こう言われているわけですし、これからはDD原油だとかGG原油だとかというもののウエートが増大をしてくるということになりますと、ただ単なる商取引ということではなしに、産油国の心というものをもっと理解をしていかなければならない。その場合に、これは通産大臣だけじゃないですけれども、閣僚の首のすげかえが毎年行われている。落ちついてそれぞれの行政に十分習熟をし、積極的にそれを進めていくという時間的ゆとりがない。国会の審議が終わったらもうすぐに内閣改造みたいになっていってしまう。これではこれから万遺憾なくエネルギー外交を進めていくというわけにはいかないだろうと思うのですね。だから佐々木通産大臣、ひとつ腰を落ちつけてやってもらいたい。せっかく原子力局長から科学技術庁長官もやり、通産大臣をやられているわけですが、少なくとも通産行政に対しては、とりわけエネルギーの問題に対してはすべて承知をしているということが必要だろうと思うのです。  ジスカールデスタン大統領は昨年七回中東を訪れているというように聞いております。またことしも三月に出かけました。もちろんこれは中東の危機というものを背景にして、兵器売り込みの商人になって行ったようですけれども、しかし私はそれだけではないと思いますね。やはりその背後にエネルギーの問題というものがかばんの中にきちっとしまわれているだろうと思うのです。この国会を終わりまして、大臣、中東の方へ出かけていって十分に見てくる、話を聞いてくる、問題点をつかんでくるというような考えをお持ちかどうか、そのこともあわせてひとつ聞いてみたいと思う。余りにも知らぬ。この二月にEC議会からの帰り、私もサウジアラビアに行ってまいりました。あのペルシャ湾のホルムズ海峡のすぐ近くのところまで実は行ってきたわけですけれども世界で一番大きな石油精製基地あるいは港等を持っておりますアラムコに行きましたら、アラムコができてから五十年余りたつわけですけれども日本の政治家で来たのは初めてだと言う。もちろんいままで余り見せてなかったようですけれども。ちょっと大使館に連絡をしてそして状況を聞いてちょこちょこっと見て帰ってくる、あとは行政事務担当者に任せていくというような姿勢では、これからは問題の解決を進めていくわけにはいかないのじゃないだろうかという気がするものですから、大臣、ひとつ腰を据えてこれからのエネルギー問題に取り組むのだということであれば、腰軽く一番問題でありますところを歩いてくる、そしてエネルギー外交の先頭に立つというお考えがあるかどうかお聞きしたいと思います。
  46. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 アル・シェイク農林大臣が見えましたときは、ちょうど国会の審議のさなかでございましたので私は出迎えができなかったのですが、日曜日にナゼール企画大臣が見えまして、これは出迎えいたしました。今度日本とサウジアラビアの両国の合同委員会がありまして、交互に会議を開くことになっております。ことしはサウジアラビアがめぐり番になっておりますから私も参りまして諸懸案を片づけたいと思っております。私は中東におととし一週間ほど参ったのでございますけれども、その後まだ行っておりませんので、できますればいま申しましたように好機を得まして、特に日サ合同委員会には必ず出席したいと思っております。  エネルギー外交というと少し口幅ったいのでございますけれども、私はやはり中心は要人同士の往来が頻繁であって、お互いに理解を深めるということが一番重要なことだという気がいたします。もう一つは経済協力、日本は武力的な協力はもちろんあり得ないわけでございますから、経済協力面でできる限り相手国の開発なり発展なりに役立つ、この両立てが一番重要問題だと思っております。  私も就任以来努めて海外に出かけたいと思っておりましたけれども、IEAの会議とシンガポールに参りましてインドネシアとの話を進めたことぐらいでございまして、国会が始まっておりますから海外に行く機会がございません。この連休にはできますれば中国に参りまして、懸案になっておる石炭問題あるいは油の問題等を少し固めてみたいと思っておりますが、中近東の方は恐らく仮に実現いたしましてもIEAの会議とか、サミットに私も行くかどうかまだつまびらかでございませんけれども、その近辺にぜひ参りたいと思って心がけております。総理も御承知のように努めて資源エネルギー外交に意を注いでおりますので、今度アメリカ、カナダ、メキシコに行くのも、一つの大きい任務は資源外交だと思っております。そういうことで、できるだけ皆でひとつエネルギー外交というものを深めていきたいということで、せっかくただいま計画もし、努力もしておる最中でございます。
  47. 後藤茂

    ○後藤委員 ぜひこのエネルギーの問題に対しては腰を落ちつけてひとつやっていただきたいと思います。七五%を五〇%にしても、五〇%はまだ石油に依存をしていかなければならないということですから。秋には改造があるのか内閣がかわるのか、いろいろなむずかしい問題もありますけれども、こうどんどん担当大臣がかわるというのは余り諸外国には例がないのじゃないですか。日本だけだと思うのです。佐々木通産大臣、内閣に対しても、これからは大臣の首のすげかえを余りしないように、少し落ちついてできるようにしていかなければならぬ。幾ら優秀な官僚の皆さんがいたといたしましても、先ほどのサウジアラビアの農林大臣ですか、水大臣と言ったが、つまり国情が違うとそういった意識も違うわけですから、私たちからすれば、出迎えの問題をとやかく言うことは余り関係ないと思いますけれども、やはりそれぞれの国の事情というものは、首脳の往来が激しくなることによって理解ができるわけですから、そうすれば来なくてもおう、元気かということにもなるだろうと思います。そういう意味でひとつぜひそうしたエネルギー外交というものを積極的に進めていただきたい。このことを最初に申し上げておきたいと思うわけです。  そこで、最近の通産省政府の方の提案を見ておりますと、先ほども指摘をいたしましたように、ハードと言われている部分、つまり原子力なり石油なり、まあ石油はIEAで火力はいかぬということになってまいりましたけれども石炭なりLNGというものに傾斜してきている。これまでもそのエネルギー政策が貫かれておったと思うのです。私はやはりエネルギー問題というのはこの辺で発想を転換しなければならないのではないかという気がしてまいりました。私もどちらかというとスケールメリットを追求する考えを持っておりましたし、いまもまだそれから抜け切ってはおりません。やはり大規模、大容量というものに対して大変魅力を持っておるわけですけれども、この辺でやはり発想の転換をしてみなければならないのではないかということを最近考えさせられ始めているわけです。  もう大臣も御存じだと思いますけれども、いま来日中のエイモリー・ロビンスというまだ三十二歳の大変若い物理学者ですけれども、この人が「ソフト・エネルギー・パス」という本を、これだけじゃなしにたくさん本を出しておりますけれども、出されております。これを読んでみまして、それからこの間も国際シンポジウムに私も参加をしてロビンスといろいろ話をしてみましても、非常に発想が柔軟です。いわゆるエコロジストとして環境破壊はけしからぬとか、自然循環エネルギーに返れとか、あるいは分散型エネルギーにということを、ただ環境なり自然を擁護するという立場からではなくて、大変深い理解を持ったデータを背景にしながら議論をしてきているわけです。  これを読みまして非常に教えられたところがたくさんあったわけですけれども、これまでのエネルギーというのは、需要を想定をいたしまして、それを充足するためにいかにエネルギーを供給するか。先ほど渡部委員も小さなエネルギー開発しろということを指摘いたしておりましたけれども、それを充足するためには大容量、大規模、二十万や三十万ぐらいじゃまだ小さい、やはり百万キロ規模の原子力、こういうようなものまで、非常に大容量、大規模に急速に来てしまっているわけです。質の問題はほとんど考えていない。自然循環のエネルギーの利用というものも考えていない。あるいは地域コミュニティーをどのように充足させるかというようなことも考えていない。ただ中央集権的に大容量で物をどんどんつくっていってやるんだ、こういう発想なんですね。ですから、だんだんと存在確度が低くなっていく燃料資源世界各地、遠隔の地に求めて、危険を物ともせずというと聞こえはいいですけれども、こういう開発を進めていっている。サッチャー首相が自慢をいたしておりました北海油田も事故を起こしております。あるいは、この間石油公団の皆さんにお聞きをしますと、北極圏は大変な石油の埋蔵を持っていると言う。しかし、あそこだって流氷もあるでしょうし、北海油田よりももっと危険なところだろうと思うのです。しかも、後でまたLNGなり石炭の問題にも触れてみたいと思いますけれども、巨大な資本のリスクを覚悟していかなければならない。そして発見をし、確保したエネルギーというものを、これまた大変な投資と労力をかけて運搬をしなければならない。そして、さらに持ってきたものの立地というものでこれまたえらい苦労をしていかなければならない。この連続なんです。しかも、これからも代替エネルギー中心原子力石炭とLNGということになりますと、いま申し上げました心配というものはどこまでもついて回るわけです。  だから、この辺でエネルギー問題の発想の転換、先ほど言いましたようにロビンスは物理学者ですけれども、もっと人間の知恵を出して、そして自然循環エネルギーなりあるいは分散型エネルギーなり、小規模エネルギーというものを開発していく、その方向に持っていかなければ、いま二十世紀に生きている人類だけの化石燃料資源ではないわけです。石炭が相当豊富だといいましても、二十一世紀、二十二世紀の人類に移していかなければならぬ。いやあとは核融合があるわなんというわけにも私はいかないのじゃないかと思いますので、そうした発想の転換に対して大臣はどのようにお考えになっているか、お伺いをしておきたいと思います。
  48. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私はその「ソフト・エネルギー・パス」でございますか、本は買ってありますけれども、また実は読んでいませんで申しわけございません。  私は、エネルギー問題はやはり時間とマスですね、この両面を考えていかぬといかぬのじゃないか。あるものは大変有望だといっても、量的に需要を充足しなければ当面役立たないわけでございますので、そういう点を考えますと、どうしても時間というものと量というものを兼ね合わせて考えていくのが一番エネルギー計画としては重要なことだと思います。したがって、単に技術的にこうだという結論だけではエネルギー問題というのは片づかぬのでございまして、どうしても順を追ってどのくらいの量が充足されていくかということがある程度立証できないと現実問題にならないのではないか、というふうに考えていきますと、どうしても油にかわるものということになりますと、あるいはまたおしかりをこうむるかもしらぬ、おまえは常識的だと言われるかもしらぬけれども、とりあえずやはり原子力石炭あるいは天然ガスというものがそういう面では中心にならざるを得ない。しかし、それだけでよろしいかと申しますと、お話しのように日本は自然エネルギーとして非常に世界的に立地に恵まれた国でございますから、太陽熱でも地熱でもあるいは風力でも————風力でも世界の一番有望な地点になっておるようでございまして、そういったものをかみ合わせていきますと、あるいは先ほどお話のございましたようなローカルなエネルギーというものを考えますれば、いろいろ廃物利用のようなことあるいはバイオマスのようなものも当然考えてしかるべきものではないか、そういうものは補完的な意味しかしばらくの間持てないと思いますけれども、補完的な意味だけでもいいじゃないか、それはそれで大きく伸ばしていけば、時間を待って進めていけば将来必ず大きく役立つに違いないということでございますから、その方も思い切って並行して進めていくべきだ、二者択一でいずれをとるかというふうな考え方でなくて、日本のようにエネルギー資源のないところでは両方とも思い切って力を注ぐべきだ、技術も、そう言ってはあれですけれども資力もないわけではございませんから、そういう点を工夫いたしまして進めていけば、両方並立してやっていけるのではないか、さっき申しましたような三つの問題がしばらくは主力ではありますけれども、当面補完的な意味しか持たないものが今後はだんだん充実したものとして日本の経済に作用してくるのではないかというふうに考えておりますから、重点をしぼってこれだけやれというふうな、従来のような考え方は私はただいま持っておりません。そうでなくて、やはりこれから育つものも育てるべきだし、といってそれのみにまた頼ったのでは日本エネルギー政策になりませんので、両方を並立して力を注いでいくべきだという欲張った考えでただいま進めつつございます。
  49. 後藤茂

    ○後藤委員 これは詰問するという意味でなくひとつ聞いていただきたいのですけれども、GNPが上がらなければ生活が豊かにならないのだ、こういう考え——エネルギー弾性値もありますし、やはり成長率もそこから出てきているわけです。それが上がらなければ深刻な不況が起こるのだ、あるいは大量の失業が出てくるのだ、あるいはウサギ小屋じゃないですけれども、狭い部屋で寒さにふるえたり酷暑にうだらなければならないのだ、すぐにこういうように言うんですね。そこに高水準のエネルギー消費の背景がやはりあるだろうと思うのです。エネルギーを使えば使うほど生活水準というものは高くなるのかどうか、ここに私は最近疑問を持ち始めているのです。  エネ庁の古田次長さんも参加していた日経の「ソフト・エネルギー・パス論を検討する」という座談会といいますか討論の中で、埼玉大学の室田教授が「現在の経済でもゼロ・エネルギー成長で日本は三%くらいの成長ポテンシャルはあるようだ。」こう言っているわけです。データをここにつけておりませんから、その根拠は何かと言われるとよくわかりませんけれども、しかし私はそうじゃないかと思います。通勤一つ見ましても、昔は厚いオーバーを着込んで仕事場に行く。いまは電車の中も冷暖房ができている。そして仕事する場所も冷暖房がきいている。特に夏なんかは寒いぐらいですから、やはり上着なりセーターぐらい持っておかなければならないというような状況、もう四季の変化が衣服の中にないわけですね。もっと四季の変化に合わせて重ね着をするあるいは脱ぐということがあってもいいと思うのです。去年は江崎通産大臣省エネルックではしゃいでおりましたけれども、私が発想の転換と言うのはそういうことじゃない。それがすべて産業連関じゃございませんけれども、数字だけをずっとトレンドしまして、そしてこれだけのエネルギーというものが賦存する、つまりエネルギーの谷間が生まれてくる。ですから何が何でも原子力だ、石炭だ、LNGだということを出してくるわけですね。先ほどの大臣の御答弁の中で、二者択一という言葉が出ておりましたけれども、私は二者択一を言っているわけじゃないのです。現にいまあるわけですから、それを全部ぶっつぶして自然循環エネルギーに返れだとかということを言っているわけでない。私はこのロビンスの指摘で考えさせられたことは、えてしてでは江戸時代に返るのか、ランプ生活に入るのか、まきや炭の生活に行くのかというように、こうした指摘に対してはすぐに短絡してとらえがちですけれども、私は非常にこの人は保守的といいますか、大変柔軟な問題提起をしている。それだけに資源のないわが国としてはその方向を変えていかなければならないのじゃないか。  私は森山長官にお伺いしておきたいわけですけれどもエネルギー経済研究所等の指摘では、いまバレル三十ドル前後というのが五年後の一九八五年には五十ドルとか六十ドル、一九九〇年には八十ドルとか九十ドルというように言われてきているわけです。五〇%に落としていく、あるいは四三・一%に依存率を落としたとして、なお石油の支払い代金、これは幾らぐらいになるでしょうか、この点をひとつ聞いてみたいわけなんです。問題は所得の再配分との関連になるわけですね。あるいはもう十分承知ですから、百万キロの発電所を仮につくっていくということになりますとその投資コストがどのくらい、さらに社会的費用等も考えていくとどのくらいだということはここではお聞きをしませんが、いまのエネルギー、特に石油の代金の支払いだけを考えて幾らぐらいになりましょうか。
  50. 森山信吾

    森山(信)政府委員 後藤先生の御質問に対しまして、たくさんお答えしたいことがあるわけでございますけれども、時間の関係もございますので、石油代金につきましての最後の御指摘につきましてお答え申し上げておきたいと思います。  確かにエネルギー経済研究所におきまして六十ドルあるいは九十ドルという将来予測をしておるわけでございまして、これに対して私どもいろいろ意見を持っているわけでございますが、エネ研の想定どおりになったと仮定いたしまして数字を申し上げますと、昭和六十年、六十五年等におきます原油の輸入量は六百三十万BDということで想定いたしておりますが、そういう前提に立ちますと、昭和六十五年の外貨支払いは約手三百八十億ドルでございます。この根拠は、六十ドル掛ける六百三十万BD掛ける三百六十五日ということでございます。それから仮に九十、ドルということになった場合の外貨支払いは約二千七十億ドルでございまして、九十ドル掛ける六百三十万BD掛ける三百六十五日という数字でございます。この時点におきます輸出入の規模がどうなるかということとのリンクを考えなくちゃいかぬと思いますが、昭和五十四年度は原油の支払い代金が輸入全体のうちの大体三割から四割の間でございましたので、そういう前提で先ほど申し上げました数字を考えますと、これは大変膨大な数字になるということでございまして、この数字で見る限りは、驚天動地のような数字が出てこざるを得ない、こういう感じを持っております。
  51. 後藤茂

    ○後藤委員 まさに私は驚天動地だろうと思うのですけれども、それと直接関係がないかもわかりませんが、代替エネルギーのこの法律の立案過程では、代替エネルギー対策資金需要見込みというのがあったと承知をしているわけです。これは、通産ジャーナルの昨年の十一月号に出ている数字でございますけれども、昭和五十五年から昭和六十五年度の代替エネルギー対策所要資金、これが四兆二千億円、このように計算をされているわけです。ところが、この間きわめつきの「代替エネルギー対策の推進について」、三月に通産省からいただいた資料を見てみますと、代替エネルギー対策資金需要見込みは二兆九千億円、わずか半年足らずの間に大変な資金量の変化があるわけです。これは当初考えておりました公団構想なり、通産省で代替エネルギー開発のために策定をしておった政策にあちこちほころびが出たためかもわかりませんけれども、私は大臣に先ほど申し上げましたように、非常に数字合わせの、安易な御都合主義の面がないかということを指摘をしたのはまさにこのことなんです。恐らくいろいろ計算をしてみて厳密にするとこうなったということかもわかりません。わかりませんけれども、私どもがちょっとふところ勘定で計算するのと違うと思うのです。  これは長官の方からお聞きした方がいいのかもわかりませんけれども代替エネルギー対策資金需要見込み、これがわずか半年のうちに動いていく、それぞれ内訳も出ておりますけれども、内訳で少なくなったところはたくさんある。なぜ一体このようにわずか半年くらいの間に、代替エネルギー代替エネルギーと言って大変な太鼓をたたきながら、その開発所要資金というものがこんなに動くのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  52. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いまのお話でございますが、まず数字を申し上げておきますと、代替エネルギー対策資金といたしまして、五十五年度から六十五年度までの十一年間に総額約三兆円の期待をいたしておるわけでございます。その内訳は、いわゆる石特会計から約一兆五千億、電源特会から約一兆五千億ということでございまして、合計いたしますと約三兆円でございます。  これがわずか半年の間に四兆から三兆に変わった理由いかんということでございますけれども、私どもが予算要求をする段階におきまして、やはりこういった代替エネルギー促進のための資金は特別会計で運用するのが望ましいという気持ちを持っておりまして、代替エネルギー勘定的なものを特会に財源を求めるという予算要求をしたわけでございます。ところが、エネルギー対策費と申しますのは何も特別会計的なものだけで運用するにはそぐわない面も幾つかあるというような財政当局の意見もございまして、一般会計へ移しかえた分等々もございますので、そういった財政の仕組みから考えまして、目的的に使う特別会計の制度はこの程度が望ましいのではないかということを財政当局と私どもが合意をいたしまして三兆円という数字を出したわけでございます。  なお念のために、蛇足でございますが申し上げておきますと、三兆円のうちの約半分の一兆五千億をいま御審議いただいております新エネルギー開発機構で使わしていただきたいというふうに考えておりますし、それから原子力関係につきまして約一兆円、その他の分につきまして約五千億円ということでございまして、合計いたしまして三兆円の財源を使わしていただきたい。二番目に申し上げました原子力関係は主として科学技術庁を中心に運営していただくわけでございますので、私ども通産省が分担させていただく分はそのうちの約二兆円というふうな期待を持っておるということでございます。
  53. 後藤茂

    ○後藤委員 私は五十五年度の予算を聞いているわけです。いまの長官の御答弁をお聞きいたしておりますと、大変財政技術的に陥っていると思うのです。五十五年から六十五年の十一年でしょう。今度の財源措置だけでもう動かないのですか。つまりそこに一番最初私が大臣に念を押したことがある。代替エネルギーというのを一体どう位置づけているのかということなんです。これだけ必要だ。しかも五〇%に下げていくんだ、四三・一%に下げていくんだ、そのためにはどうしても代替エネルギー開発をしていかなければならぬ。はじき出したのが四兆二千億、これが一番好ましい数字であるかどうかよくわかりません。わかりませんけれども、これは十一年間の計画ですからね。確かに今度の予算折衝の中で財政が大変硬直している。新エネルギーというもの、代替エネルギーは必要だとしても、そうそう財源を調達するわけにはまいらないということは五十五年度には言えるだろうと思うのです。五十六年度、五十七年度、六十五年まであるのですよ。私はこうしたエネルギーの財源というものは一般財源を充てていいと思うのです。もっと一般財源を出していいと思うのです。それだけ切実な問題だという意識が政府にないんじゃないかということを言いたいわけですよ。ただ財政技術的に大体このぐらい出しておいたらこの辺に落ちつくだろうという、大変ミクロに五十五年度なり五十六年度の国家財政の歳入歳出程度を考えて、そして伸び率も余り高くしたんじゃ他省庁からやられるとかということだけ、つまり五十五年度ないし五十六年度だけしか頭に描いていない。道路特定財源を見てごらんなさい。長官幾らですか。三兆円という一もう道路の建設はスローダウンしていいと思うのです。道路だけが幾らりっぱになったって、先ほども渡部委員から指摘がありましたけれども、このエネルギーの谷間——私は後でまた原子力の問題にも触れたいと思いますけれども、そう簡単にはいきませんよ。  そして長官にお聞きをしたいのですが、どんどんハードの方に進んでおった。だから風力にしても波力にしても地熱にしても、つまり自然循環エネルギーにしてもバイオマスにしてもまだ手がついてないんでしょう。国際的にも余り進んでないということかもわかりませんけれども、もしあの第一次石油ショックのころからハードの方向よりももっとソフトな物の考え方をとっておれば資金的配分というのは違っただろうと思うのです。いまごろ、いまごろと言ったら失礼ですけれども代替エネルギーと言って出してくる。こういうことをもう五年くらい前から真剣に考えておったらもっと資金配分というものは違ってくるだろうと思うし、それからまたおっ取り刀で電源開発促進税から取ってくるんだとかというようなことをしなくても、一般財源をある程度ぶち込んでいく、それからまた道路特定財源から、大体相当整備をされてきておるわけだから、これから道路をつくるなということじゃない、スローダウンしていくということは、私は大臣にもその見解をお聞きしておきたいのですけれども、変えられるだろうと思うのですね。いや、道路議員族が相当後押ししているとか、建設業者だとかいろいろなことを言いますけれども、そんなことは言っておれないのですよ。大変なエネルギーの問題というものがあるときにこうした方向に研究投資なり開発投資なりを回していく。十年間わずか三兆円ぐらいでできないじゃないですか、そう私は考えるわけです。そこに約一兆円以上も半年のうちに変わってしまうというこの背景があるだろうと思うのです。だから今年度はこう決まっているわけですから、ここのところはぜひひとつ手直しをしてもらいたい。来年また、来年と言ったらあれですが、次にもう一度また質問をしていきたいと思います。その位置づけを明確にする、優先順位を明確にしていくという立場から、一つは道路特定財源の税収の七六%も道路建設に回しているというようなそんな国がいまどこにありますか。確かに飽和状態になっているところもあります。しかしきれいなすばらしい高速道路、有料道路と見まがうような道路があってほとんど人も車も通ってないというようなところもある。それがみんな政治的にゆがめられて、財源がむだ遣いされてきているわけです。そして石油が浪費されてきているという方向にあるわけです。道路建設のスローダウンというのはIEAの会議でも指摘されているんでしょう。大臣いかがでしょうか、この問題は。ひとつ勇断をもって道路特定財源をこちらのエネルギーの方に持ってくるあるいはそれに見合うものを一般会計なり別の財源を調達していくということが必要だと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  54. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 IEAの勧告で二回ばかり石油税、ガソリン税を道路にばかり使わぬでエネルギー開発に回したらどうかという勧告がございました。これは御指摘のとおりでございます。私どもエネルギー開発のサイドから見ますれば、まことにそのとおりだと思っておりますけれども、しかしなぜこれが実現できないかと申しますと、非常にむずかしい政治的な政略バランスと申しましょうか、ございまして、理論どおりに実際は進み得ない問題が介在しているものですから、いままで歳月過ぎてもなかなか実現できなかったというのが真相でございます。
  55. 後藤茂

    ○後藤委員 午前中の時間がほとんどなくなりてまいりましたので、幾つかはしょっていかなければならないのでありますけれども、もう一つ、ロビンスの指摘もそうですけれども、なるほどと考えさせられた問題が大臣、あるんです。それは、ロビンスの言葉で言えば、電気のこぎりでバターを切るようなものだという日本のつまりエネルギー供給構造なんですね。エネルギーというのは、特に電気、何でも全部電気に持っていくわけでしょう。要するに発電所をどうつくるか。その発電所の原料を水力にするのか、石炭にするのか、LNGにするのか、原子力にするのか、石油にするのかということだけが政府の頭の中にあるんじゃないか。私たちもそういう面があったわけです。ところが、よく考えてみますとどうしても電気でなければならないもの、それはエレクトロニクスだとかあるいは精練、さらには地下鉄等々の輸送機関あるいは照明、そしてモーター等を利用する機械、電解、アーク溶接、こういうものは電気でなければならないわけですね。電車は熱を当てても動きませんから、電気でなければならぬということがある。それを、つまり消費の質の問題をロビンスは指摘しているのです。大部分を一生懸命遠いところから運んで、高い金を払って持ってきた化石燃料、エネルギー資源というものをボイラーの中でたいてしまって、そしてみんな電気にして、そして電気でなくて済むものまで電気を供給している。たとえば日本の場合の数字をロビンスは出しているわけですけれども、加熱していくために使う電力、百度以下に二二%、百度から三百十五度のところへ二五%、三百十五度から六百度に六%、六百度以上に一五%、こういうように合計六八%が加熱エネルギーとして使われているわけです。その百度以下のところに二二%あるいは三百十五度以下のところに二五%、合計で四七%使っている。そのために、きょうの午後また原子力の問題についてもお伺いしたいと思いますけれども、大変な高エネルギーですね、核分裂から引き出していくエネルギーというものは。つまり電気のこぎりでバターを切るようなものだというのはそういうところだろうと思うのです。低質の、低級の熱に対して大変高価な高級の熱エネルギーを全く何の矛盾も持たないで提供しておる。先ほど電気でなければならぬというのは一二%、輸送、これは車なんかはそうですけれども、輸送用液体燃料等が二〇%、それから加熱合計が六八%というのがいまのわが国エネルギーの質の消費構造だと指摘されている。そのバランスの中で、現在の電力シェアというものは一六%、電気でなければならないというものの上にさらに四%も上積みになってきている。こういったそれぞれに見合う供給構造に持っていかなければならない。これは午後、分散型あるいは自然循環型等と関連もして御質問をしていきたいと思いますけれども、何でもかんでも電力、しかもその電力原子力であるあるいは大型大容量の石油なり石炭火力だ。それを高圧送電で全国ネットすることによってより良質な安定したエネルギーを供給できるのだという物の考え方、発想を切りかえていく、その前提としていまの加熱エネルギーに使っておる質の問題を大臣はどのようにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。
  56. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お説のように第二次エネルギーと申しますか、電力をつくるのにはまたそのもとが要るわけでございまして、電力自体が大変便利なものでもあり、また使用効率の高いものですから、自然電力がだんだんエネルギーの主力になってきたと思いますけれども、以前を考えますと必ずしもそういうわけではないのでありまして、ボイラーその他石炭等にほとんど全部をかけた時代もございますわけでございますから、それこれ考えますと、お話しのように何もいまも大電力に頼らなければ文明が維持できないというものじゃなかろうというふうにも考えます。
  57. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が参りましたので午後に譲りたいと思いますが、いまの低級なエネルギー、つまり冷暖房等に対しても大変ぜいたくに電気エネルギーというものが使われている、この問題に対しまして、午後の質問に譲りたいと思います。
  58. 塩川正十郎

    塩川委員長 午後三時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後四時四分開議
  59. 渡部恒三

    渡部(恒)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤茂君。
  60. 後藤茂

    ○後藤委員 休憩が長時間にわたりましたので、少し気が抜けたビールのようでございますから、しばらく少しラフな質問をさせていただきたいと思います。  午前中に私は質に対応するエネルギーの供給ということを考えるべきではないかという指摘をいたしました。そこで、たとえば冷暖房の問題ですね。これも大量の電力を使っているわけです。この冷暖房をガスによる冷暖房に切りかえていくということによって、特に夏の一番電力需要のピークになる時期を緩和させることができるのではないか。ガスの大型冷房等はある程度普及しているらしいのですけれども、その実情と、それから、これからどんどんコンパクト化されてもきているようですが、この電気からガスへの切りかえ、これは単にガス会社ということではなくて、電力会社発電設備に巨大な投資をするわけですから、その部分がカバーされるという点から考えても大変大切ではないか、かように考えておりますので、この問題を一つまずお伺いをしたいと思います。  それから続けて三つばかり申し上げますので、答えていただきますように。  もう一つは省エネルギーの問題で、これは昨年の国会でも省エネルギー法律案が成立をいたしました。特に第十四条で「建築主の判断の基準となるべき事項」というのが規定されているわけです、最近何かその「判断の基準となるべき事項」について提起をしたようですけれども、これは余り長々と言われますと時間がございませんので、簡単にその中身に触れていただきたいと思います。  それと同時に、恐らくこの問題が出てないんじゃないかという気がいたしますのは、いわゆる高層ビル、巨大なビルの建築は採光の面には大変留意をしている、このようにはなっているようですけれども、何分にも土地が大変高い。したがって、許されました建蔽率いっぱいに建てたこの建物をフロアーとしてすべて利用しようという意図が大変強いわけですから、夏場あるいは西向きの熱を遮蔽をしていくという設備がほとんどできていない。これは大臣もずっとごらんになるとわかりますけれども、昔の建物というのは、それから最近でもちょっとこったマンション等はひさしをつけるとかあるいは直射熱を避けていくというような建物になっているようですけれども、巨大ビルは皆それができていない。ヨーロッパあるいは中近東でもその気候風土に合ったような建物になっているわけですね。したがって部屋の中にいましても、そう冷房をきつくしなくてもある程度快適な生活空間が保てるようになっているわけです。こういった窓にひさしをつけていくとかあるいは二重窓にしていくとか、単に断熱材だけを補強するということではない考え方を住宅等については持つべきではないか、かように考えるので、この問題に対してお答えをいただきたい。  それから、きょうの新聞には何かサマータイムのことが出ておったようです。これはどうも法律がないと強制というか、実施をすることがむずかしいのかどうか。ことしは間に合わないのか。きょうの新聞等を見ておりますと、来年法律案を提起して来年の五月からサマータイムに入りたいというようなことを報道しておったかと思いますけれども、これは去年も指摘をされておったわけですが、ことしはそういったサマータイム、これは全くノータッチで過ごしていくのか。  それからもう一点、特に電力というものはピーク時に合わせて電力設備を確保しておかなければならない。一番のピーク時というのは夏ですね。特に高校野球が開かれておるあの時期だ、こういうように言われておるわけです。私は去年の省エネルギーのときにも御指摘を申し上げましたけれども、あの高校野球が放送されるときを、若干その日程をずらせば違うのではないかという意見もあります。暑いですから冷房をつけて観戦をするあるいは冷房需要が一番ピークになるときですから、そのときの電力需要に合わせて約五十万キロでしょうか、百万キロぐらいのキャパシティーになるのでしょうか、それくらいの発電設備を一応確保しておかなければならない、こういうようにも言われておるわけです。したがって、私は高校野球をどうこうしろということではなくて、また放送に対して、それをやめろということを申し上げるのではなくて、工場の、その時期は輪番でも結構ですし、ローテーションを組んで、工場の暑中休暇、大きな企業の暑中休暇を大臣、ひとつそれぞれの関係各大臣とも協議をしながら進めていくべきではないかと思うのです。このことによって、大変巨額の投資をしなければならない電力需要を賄っていくための施設というものに対して、その投資を削減することが結果的にはできるわけです。  以上四点ばかり、大臣、それとまた関係者の方からお答えをいただきたいと思います。
  61. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 一番初めの、ガスの冷暖房をやったらいいじゃないかということ、実はきのう大阪で、大阪瓦斯のLNGの工場を見たばかりで、いまの御質問があればもう少し詳しく勉強すればよかったと思っているのですが、確かにLNGで冷暖房設備ができまして、これはいいなと思って帰りました。ですからガスの冷暖房で、しかも原料がLNGであればこれは大変結構じゃないかという感じがいたします。もし私の感じが誤っておれば、後で事務の方から訂正さしていただきます。  それから省エネルギー法の十四条というのは、私よくわかりませんので、これは後で事務の方からお願いしたいのです。  高層ビルは、確かに私もお話のとおりだと思います。断熱材ばかりでなくて、窓とか日射に対してどういう配慮をするか。たとえば、中国にぼくらおったころはみんな二重窓で、そして熱がよそへ出ぬようにやっているわけですから、ああいうことはやろうと思えばできるわけで、もう少し工夫をこらせば熱の遮蔽というのはそう苦労せぬでもできるのじゃないかという感じがします。私はもう賛成ですね。  それからサマータイムのことですけれども、これは前にもお話ししたかと思いますが、何遍となくこれは省エネルギーのときには議題にのっている問題で、ことしの一月でございますか、この問題が出ました。どうしてできぬのだと言いましたら、国際飛行場が問題でございまして、住民との間に夜の時間、門限を取り仕切っているわけでございますから、きのう大阪で聞きますと、一分進んでも飛行場におりないで東京へ帰るんだそうですね。非常に厳格なもので、九時なら九時以降には絶対協力せぬようになっているのだそうです。そういうことでございますから、どうしてもやるとすれば協定をやりかえなければいかぬ。これが実は大変問題じゃないかということ。もしそれができなければ、どうするかといいますと、しようがないから出発する方の時間を早める以外にない。そうすると、国際的なダイヤを変えるということで、それから、それに伴って外国の各監督官庁の許可を得なければならぬ。大変手間取るという話でございまして、あるいは法律も国内的には必要かもしれません。というようなことで、いままで、これは主として運輸省の所管でございましたけれども、通産と運輸という関係になりますとなかなか通るものも通らぬむずかしい問題がございますから、むしろ総理がみずからああいう音頭をとって、そして進めてくださるというのは大変ありがたいですね。私はあれは大変賛成します。ぜひそういうことで進めていただけばありがたいと思います。  それから高校野球の問題も、去年これは党の方で、私がまだ党の方におったころ問題になりました。しかし、なるほどお説のように工場を休ませてというところまでは思いつかなかったですね。これは大変いいアイデアでございますから、研究させてみたいと思います。
  62. 後藤茂

    ○後藤委員 特に住宅、ビルですね。個人の住宅はそれぞれ工夫しているわけですけれども、大きな高層ビル、巨大なビル等については、設計変更に伴う支払い費用も冷暖房の節約で相殺されるだろうというように私は思うわけです。確かにイニシアルコストは大分かかるだろうと思いますけれども、長期に考えていきますと大変だと思うのです。日本くらい無神経に、こういう建物はただもう居住空間を広げて、そしてがぶ飲みに石油を使って冷暖房すればいいんだということにしておりますけれども、ただ消費節約の、温度を下げる、上げるということだけでは済まない問題ですから、大臣、ぜひひとつ積極的にこの問題を検討していただきたいというように考えております。  きょうは工業技術院の方からも院長さんお見えいただいているようでございますけれども、私は午前中の大臣への御質問の中でも触れておきましたが、特に産油国が代替エネルギーなり新エネルギー導入等について大変積極的なんですね。これはもう私たちは不思議でも何でもない。化石燃料は掘っていけば枯渇するわけですから、枯渇した後また砂漠の国に返らなければならぬということになってまいりますと、そういった高度な太陽熱利用等の技術を使ってこれからの中近東、砂漠の国の生活や経済を維持していかなければならない。こういうことはボン・サミットのときにも何か言われておったようですけれども、工業技術院の方にサンシャイン計画への問い合わせの中でですか、話が出てきておったというようにお聞きをいたしております。何か係の者もアラブ首長国連邦等にも行ってきた、あるいはクウェート等からも照会があるとかというように聞いておりますけれども、この状況について簡単にお答えをいただきたい。これは日本技術を向こうでやるということと同時に、またこちらにフィードバックして使うこともできるわけですから、要点だけひとつお聞かせをいただきたい。
  63. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明させていただきます。  昨年七月、江崎前通産大臣が中東を訪問されましたとき、また昨年十月、アラブ首長国連邦のオタイバ石油鉱物資源大臣が訪日されましたとき、ア首連の方から太陽熱利用の技術協力について大変前向きなお話がございました。日本の方でも、ことしの三月末でございますけれども、国際協力事業団によります調査団を派遣いたしまして、両国の間で太陽熱利用の技術について双方で協力をしようということにつきまして基本的合意に達しまして、合意議事録に署名いたしました。当面、太陽熱で海水淡水化をやるということから取り組んでいきたいというふうに考えております。
  64. 後藤茂

    ○後藤委員 産油国でさえもと言ったら、産油国に大変失礼ですけれども代替エネルギーあるいは自然太陽エネルギー等の利用に非常に積極的であるということは、教訓として私たちは学んでいかなければならぬと思うのです。そういう意味で一応状況をお聞きしたわけでございますが、このエネルギー需給暫定見通しの中で問題を抱えておりますのは、原子力石炭とLNGではないかと思うのです。これは数字的な問題が十分に消化されていないように考えておりますので、一つ一つ、ちょっとお伺いをしてみたいと思います。  一つはLNGの問題ですけれども、LNGもクリーンなエネルギーということで私たちも高く評価をしているわけです。しかし、どうも最近安全の問題で、大規模なLNG基地をつくるあるいは輸送タンカー等を大規模な、大容量のものをやるということは非常に危険ではないかといったことが指摘をされております。これは一言で結構ですから、安全の問題に触れていただきたいと思うのです。  それからLNGは、御承知のようにこのプロジェクトというのは規模の経済だとも言われております。最低年間三百万トン規模ぐらいがいわゆるコマーシャルベースに合うとかいうように伝えられているわけですけれども、そういったことを考えてみますと膨大な資金を必要とするわけですね。午前中、私は新エネルギーの問題で三兆、四兆の点について触れましたけれども、こうした資金を一体どのように確保していけるのか。それからまた、仮に三百万トン規模のプロジェクトをつくったといたしましても、これはそう簡単に運搬するわけにはいきません。当然、たとえばガス等に使うという場合には恐らく東京、東邦、大阪瓦斯のいわゆるサービスエリア等が中心になるだろうと思いますし、あるいは火力発電と都市ガス等を連動させていくということにもなるんだろうと思うのですけれども、非常に巨大なプロジェクトであって、しかも多量の消費をする、需要を必要とする後背地を持っていかなければならない。こういった問題はこの需給暫定見通しの策定の中で、資金的な面もそうですけれども、それからその資金を一体だれがどう調達をし、確保していくかということも問題ですけれども、こういったことがきちっと検討されて、この構成比の中に加えられているのかどうか、お伺いをしてみたいと思います。
  65. 森山信吾

    森山(信)政府委員 「長期エネルギー需給暫定見通し」におきましては、御高承のとおり、昭和六十年度に二千九百万トン、六十五年度に四千五百万トンというLNGエネルギーの供給計画をつくっているわけでございまして、先ほど先生から御指摘のございましたように、従来はLNGというものは大変クリーンなエネルギーであるということもございまして、私どもは新しい代替エネルギーの柱として考えているわけでございますけれども、そこに一つの問題点が出てきたのではないかという御指摘は、まさにそのとおりだというふうに考えております。  その一つは、膨大な資金が要るという問題がございますし、それから技術的に見ましても保存のために非常な低い温度で冷やさなくちゃいかぬ、そういうことが先生御指摘の安全性の問題と絡んでいろいろ取り上げられてきたのではないかという意識は私どもも持っております。  ただ、LNGの持っております特徴という点もこれは大変大きい点がございまして、原油と違いましてLNGは大変需要と供給のサイドが緊密的な提携関係に入る。原油でございますと、たとえばどこの原油であっても日本に持ってきまして貯蔵するにつきましてはそう大した差はないわけでございますけれども、LNGにつきましては、LNGの産出国とそれを受け入れる需要地との間の提携関係というのは、俗な言葉で言う浮気ができないという関係がございますので、これは安定供給という面から大変役立つのではないか、こういうメリットはあろうかと思います。  それから、最近いわゆるサミットの前のプレサミットといいましょうか、エネルギーグループ、エンゲルマングループと言っておりますが、そこにおきまして、若干LNGに対しまして批判的な傾向が出てきておるということも事実でございます。  そういう点を踏まえまして、日本としてどういうふうに対処していくかという問題を中、長期に考えていかなくちゃならぬという現実には遭遇いたしておりますけれども、基本的な課題といたしましては、私どもは、先ほど冒頭に申し上げました「長期エネルギー需給暫定見通し」に従いまして、逐次拡大的な輸入を図っていきたい。その際に資金負担をどうするかという問題の提起がございましたけれども、私どもが現在御審議いただいております新しいエネルギー開発機構におきましては、LNGの導入を図るためのインセンティブを資金的な裏づけで援助していきたいという考え方を持っておりますが、このLNGを現実に輸入をし、それを供給しますのはいわゆる私企業電力会社であり、ガス会社であり、一般産業であるということから考えますと、その資金負担はあくまでもそういったところで負担をしていただくのが筋道ではなかろうか。ただ、先ほどの三兆円の中で負担すべき分野は、そのLNG導入のためのインセンティブということを新しい機構でやらしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  66. 後藤茂

    ○後藤委員 いま答弁の中で触れておられましたけれども、そのエンゲルマングループですか、特にその中で西独がこのLNGの火力発電への利用というものについて若干クレームをつけているわけです。もっとも西ドイツの場合は石炭が豊かにございますから、こういった指摘、その背景がわからぬでもないわけですけれども、やはりLNGが石油と同じように、OPECと同じような傾向をLNG産出国というものがこれから持ってくるということも考えられるだろうと思うのです。そういう意味と、それから大変巨額の資金を投入していかなければならない。また、多くのリスクも考えておかなければならないということが、この暫定見通しの中で非常に大きな比重を占めているということに若干の疑点を私は持っているわけです。このことは石炭についても言えるのじゃないかと思うのです。社会党の場合は、一応石炭二千五百万トンという需給見通しを持っているわけですが、私は正直申しまして、いまの二千万トンに五百万トン上乗せするということは大変な努力が要るだろうと思うし、非常に困難だろうとは思います。思いますけれども、今度はまた逆に、政府の方が考えておりますのは、どうもつじつまが合わないから海外炭ということで入ってきているわけですね。しかも、これからは、最近の報道等を見ておりますと、国際石油資本がほとんどの石炭鉱区を押さえてきておる。これもいままでのベースでいきますとそんなに高くないということが言えますけれども、まだまだ高くなっていくだろうと思いますし、果たしてこれからの、先ほども渡部委員が指摘をされておりましたけれども、灰捨て場等はそう適地がなくなっていくのじゃないだろうかということを考えてみますと、これまた大変な規模であり過ぎるというように考えます。とりわけリスクの解消と投資の回収というものが、これまたコストの方に上乗せされてくるということになってきますと、設備はした、さて、ことしの春の電力料金値上げの問題のように、これができ上がったころは大変高い価格の石炭火力発電になっていくということになりはしないかという心配をしているわけです。そういう意味で石炭とLNGについては、これは答弁は要りません、私は、ちょっと疑念を持っておる点を御指摘申し上げました。  それからもう一つ、今度の代替エネルギー法案でも、代替というともうLNGと石炭に加えて原子力、しかも原子力は別の一つのシステムがあるから、この法律ではさわっていかないことも先ほどの渡部委員の御質問の中では答えられておりました。ただ、私は、この原子力の問題についてはこれまた非常に疑問を持っております。この点は、渡部委員の御指摘と全く正反対なのです。しかし、一昨年私は、やはりぜひ見ておきたいと思いまして、フランスと西ドイツとアメリカの原子力発電所も見てまいりました。フランスは大変積極的です。それぞれの国でやはり若干のニュアンスの違いはあります。しかし、これからはスリーマイル島のあの事故の経験等を考えてみましても、まだまだ安全の面というものは十分に確認をされていっていないと私は思うのです。それよりも、いま非常に大変だなと考えますのは、午前中にも指摘しましたロビンスの指摘なんです。この人は、仮に安全が確保されてもという問題提起をしているわけです。仮に安全が確保されても原子力に頼るべきではないのではないかという指摘なんです。ここの指摘を見てみますと、「かりに原子力がクリーン、安全、経済的であり十分なエネルギーを供給する確証を有し、さらにはそれ自体社会的に悪でなかったとしても、それがもたらすエネルギー経済上の政治的意味合いからみて、原子力には魅力がないといわざるを得ない。」そのバックデータをつけておりますけれども、ここではそのことについて触れません。私は、この問題はやはり真剣に考えていかなければならぬと思うのです。資金の点等を申し上げてみましても、いま建設中のものが稼働して二千万キロになるかならないかですね。それが六十五年では原子力が五千三百万キロというように見通しを立てられているわけです。これから三千万キロですから、百万キロのユニットと考えても三十基つくっていかなければならない。この間の女川で、補償だけで百十億円、私はもっと出されているのじゃないかと思います。これも政治の貧困が一つあると思います。渡部委員会社が悪いのか反対する者が悪いのか、両方悪いというように御指摘でありましたけれども、私はこれこそまさに政治の貧困だろうと思うのです。しかも、こういった問題に対してじっと見ていて、何らこの問題に対して政府は発言をしていない。そして、百億以上もの金が補償として出されていっている。これはこれからの、単に原子力だけではなくて、電源開発のための補償のベースになるだろうと思うのですね。原子力だけに限ってこれから六十五年までに、十年の間に三千万キロワットの発電所を建設するということになると、一万キロに対して一億という計算ですね、百万キロのユニットということで百億以上の補償をしていくのですから。そうすると三千億の補償というものがベースになっていくだろうと私は思うのです。しかも最近はリードタイムが非常に長いですね。恐らく六十五年に五千三百万キロワットというものは、第一に立地の問題からしてできないですよ。こういったことに対して、これからの原子力開発というものをどういうように考えておられるか。私は大変安易ではないかと思う。なるほどスウェーデンではゴーサインが出てまいりましたが、あのゴーサインの中身を見てみましても必ずしも国民皆さん方が賛成だということではないのですね。こういったことを考えてみますと、これからの原子力開発というものは政府が考えているようにそんななまやさしいものではないと思います。ですから私は、LNG、石炭、それから原子力、しかも原子力軽水炉で、軽水炉を後生大事、それにしがみついてそのほかの炉のことについては全く考えない。もっと多様な研究、安全の投資が行われてしかるべきだろうと私は思うのです。このことについても触れたいと思っておりましたが、きょうは時間がございませんし、せっかく科学技術庁がお見えになっておりますのに触れないのは大変申しわけないと思います。時間が参りましたが、もう一点だけ触れておきたいので、後でまとめてお答えをいただきたいと思います。  一つは地熱の問題です。この間亡くなられた床次先生が、亡くなられる一カ月ぐらい前に私の部屋にお見えになりまして、二時間ばかりこの地熱発電について本当に熱心に話をされておりました。私もあのカリフォルニアのガイザー地熱発電所を見てまいりました。あれはいま六十三万キロワットの出力を持っているわけです。一九六〇年の初めての第一号ユニットは一万二千五百キロワットぐらいですね。これがいま六十三万キロ、日本の場合と比較してみますと雲泥の差です。日本の場合はいま十六万、これが二十万ぐらいになるわけですか。しかもガイザーの発電所は大部分が東芝の機器が使われているわけですね。こういった技術を持っているわけです。  そこで、地熱発電の問題に対しましてはここで多く触れませんけれども、一番困っているのはほとんどが国立公園あるいは国定公園、したがっていろいろ各省庁あるいは自治体等の許可を得ていかなければボーリング一つできないわけです。だから、やはり地熱法がこれからは必要ではないだろうかと思う。地熱にも優先順位を与えないと開発が大変むずかしいだろうというように考えますので、その点をどうお考えかということをお伺いしたいと思います。  それから最後に、ローカル・エネルギー・システムの問題です。これは渡部委員も触れられました。私は、もっと地域住民の皆さんあるいは国民皆さん方が、これからのエネルギー確保のためにどうすべきかという知恵を出し合っていくような、そういう行政がどうしても必要だと思うのですね。そのためには、分散型あるいは小エネルギー、これは水力開発につきましてはもう触れませんけれども、そういったローカル・エネルギー・システムというものを積極的に開発をしていく必要があるだろうと思うのです。八〇年代の通産のビジョンを見ますと、こういうのは一行で片づけられている。もっともっとこのローカル・エネルギー・システムを積極的に進めていかなければならぬ。国家財政でもそうでしょう。四十二兆五千八百八十八億円の国家予算というのは、国民の数千円あるいは数万円の税金がたまりたまっているわけです。エネルギーだって同じです。百万キロだとか五十万キロだとかいう大きなことばかりに私たちは目を向けておりますけれども、もっと小さなものが集大成されてその地域のエネルギーを確保していく、そしてさらに、よしひとつおれたちもここで小水力あるいは小エネルギー、分散型エネルギー開発していこうという意欲を起こさせていくような制度をつくっていかなければならない。電源三法等でやりますとかいう程度、あるいは利子補給だとか補助金を出すとかいう程度ではなしに、もっと創造性を発揮させていくような、そして地域コミュニティーをカバーしていくようなローカル・エネルギー・システムというものに対して、ぜひひとつ積極的な見解を示していただきたい。  まだたくさん御質問申し上げたかったことがあるわけですけれども、以上原子力の問題あるいはローカル・エネルギー・システムの問題、それから地熱等の問題、一遍に全部質問してしまいましたが、大臣を初めそれぞれの方からお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まず原子力の問題から私見を述べたいのですけれども、私は後藤さんとはこの点は全く違いまして、大変積極論者でございます。原子力発電等の利点をちょうちょうここで申し上げる時間もございませんからやめますが、ただごく最近の体験を申し上げますと、去年の十二月にパリのIEAの閣僚理事会に出ました際、フランスの原子力関係の皆さんからお聞きしたところによりますと、フランスは五年間で全発電の半分は原子力発電にする、十年後には三分の二を原子力発電に持っていく、残りは石炭でということで、ほとんど油は使いません。古い従来のものまで全部切りかえるそうでございまして、これは単に希望じゃなくて、現実にもうどんどんできていくような具体的なスケジュールでございます。  それから、英国のエネルギー相が私のところに参りまして、昼飯を隣で食べておったのですけれども、私は自分がロンドンを離れる前に閣議で決めてまいりました。どういうことかといいますと、英国は御承知のようにガス冷却型炉でございますが、今度は米国やヨーロッパと同じように軽水炉発電を英国で進めなければいかぬという決議をしてこれからいよいよ始めますというお話でございました、そこで、北海で海中油田を発見して大変エネルギーの豊富な国になっているじゃありませんか、何で一体原子力発電をやるんだと言ったところが、いやそうじゃないんです、二十年ぐらいたつとどうしてもかれてくる、そこでいまから原子力発電に踏み切ってちょうどいいんだという話で、英国もいままでの方針ばかりじゃなしに、軽水炉に踏み切ってこれからやるんだそうです。  帰りにモスクワへちょっと寄りましたら、モスクワの貿易次官という人が迎えに来ておりまして、試みに原子力発電をどうしているんだと聞きましたら、向こうは大変な勢いでありまして、要するにエネルギー消費の率は毎年大体四%アップだそうです。ところが原子力は前年度比一四〇%。ですから四割増でもってどんどん伸びていっているんだという話でございまして、それはどうしてだと言ったところが、五年後くらいになりますと油自体が大変ソ連でも足りなくなってくる、それを考慮してやっているんです。帰ってきて有沢広巳氏に会いまして、あの人は御承知のようにソ連の原子力発電を見に行った人ですから聞いてみますと、全くそのとおりだ、むしろ自分が聞いたのでは倍々と毎年ふやしているくらいの勢いだというので、非常な勢いでございます。  アメリカは御承知のようにカーター大統領が去年の暮れに、スリーマイルアイランドの問題はあったけれども、半年の間に原子力発電を再開すべしという声明を出しておりますね。  ドイツの国防相がこの前来まして私会ってみたのです。ビブリスのような世界で最大の、最善の原子力発電所があるのにもかかわらず、何でドイツでは反対運動が多いのですかと言ったら、しばらく考えていまして、全然ドイツは違う理由ですね。原子力発電そのものに対する反対じゃなくて、それをやりますと必ずドイツはプルトニウム等再処理をして爆弾をつくるんじゃないか、それに対する反対運動だという話でございまして、日本原子力発電云々の問題ではないような話をしておりました。この点は初耳でございましたので、少し一般の見解と違うようでございます。  要するに、資源の相当豊富なアメリカにしても英国にしてもドイツにしても、フランスはちょっと日本と同じで、ございませんけれども、それぞれ自国にエネルギー資源があるにもかかわらず大変な勢いでこれから進めようとしているし、また進みつつございます。日本のように何にもないところ、エネルギー資源のほとんどないところで原子力の問題は——私はさっきは長所を言うのを省きましたが、いろいろな長所を持っているわけです。先ほど渡部君も言っておりましたけれども、何といってもやはり一番コストの安いこと。いまは半分ですものね。ですから原子力発電所を持っているところは値上げ率など低いですよ。それから燃料もいまのところほとんど手当てがついておりますし、また増殖炉になりますと、御承知のように自分で燃料を燃やしながら新しい燃料をその消費した燃料よりよけいつくっていくわけですから、日本のようなエネルギーの足らぬところでは魅力であることには間違いございません。そういう利点を挙げればいろいろございますけれども、要するにIEAでもあるいはサミットの会議でも、これは各国とも恐らく合意になるんじゃないかと思いますけれども代替エネルギーということになりますと原子力発電というものをそれぞれの国で挙げるんじゃないかと思います。そういう際でございますから、御趣旨ではございますけれども、私どもといたしましてはこれは進めるべきものだというふうに考えております。  それから地熱問題ですけれども、私も去年ガイザーに行ってまいりました。二百で行って見てまいりましたが、なるほどお話のようにこれは大変おもしろいですね。ぜひ日本でも進めたいと思いますが、お話のように国立公園の環境の問題が大変問題でございまして、この調整をどうするかというのが今後一番大きい問題になっていくと思います。  それからローカルエネルギー開発、これは全く替成でございまして、地方の自治体が中心になって私どもがこれを支援して、そういう体制のもとで今後とも小さくてもその土地に合ったエネルギーをどんどん開発していくべきだということで、ことしから予算も組み、奨励してございますので、この方は小さいながら伸びていくと思います。
  68. 渡部恒三

    渡部(恒)委員長代理 木内良明君。
  69. 木内良明

    ○木内委員 エネルギー問題の解決わが国にとっていまや国民的緊急課題になっているわけでありまして、そういった意味からこの法案の審議というものも当然今国会におきましては重要な意味を持つというふうに受けとめておりまして、そうした意味から質問を行うわけでありますけれども、与えられた時間が非常に限られておりまして、実際大変多角的な観点から質問ができる法案ということになっているわけですが、何点かにしぼってお聞きをしたいというふうに思います。  初めに、政府は昨年の八月に策定した「長期エネルギー需給暫定見通し」において、昭和六十五年度に石油の供給を五〇%に、それから七十年度には四三・一%にする方針をすでに決定されているわけであります。石油代替エネルギーの各項目については、たとえばいまも同僚委員質問に対して大臣もおっしゃっておられましたが、環境の問題あるいはまた立地の問題、安全性など、いまなお多くのネックを抱えておりまして、問題がきわめて多いわけであります。こうしたいろいろな問題を克服する意味からも、この法案が示すあるいはまた果たす役割りというのは大変に大きいというふうに私は考えるわけです。したがって、今後の総合エネルギー政策におけるこの法案の占める位置づけといいますか、そうしたことをまず明確にしていただきたい、またそうすべきであるというふうに思います。どうでしょうか。
  70. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これは、何といっても代替エネルギーを推進する中核機関ができて、従来は役所では役所、民間ではばらばらに、大学では思い思いにという体制だったのをこの機構で一まとめにして、そしてそこが日本代替エネルギーの推進の中核体として進めていけるという国家的な一つ体制と申しますか、気魄といいますか、こういう点ができたということが一番のメリットではなかろうかと私は思います。  同時にこの法案では、機構ばかりではなしに供給目標を決めることになっておりまして、その供給目標は通産大臣が閣議の決定を得て公表するという、従来から見ますと目標に対して非常に重さを持たしたということ、それから民間の各事業者に対しては、努力目標ではありますけれども、目標がはっきりしてきますと導入開発の指針が与えられるということで、民間の研究開発にも大変役立つという面を考えていきますと、やはりこれからの代替エネルギーを進める上におきまして、日本の総合的なエネルギー開発の面で非常に大きい重要性を持ったものだと考えております。
  71. 木内良明

    ○木内委員 いまいろいろ御説明をいただいたわけでありますが、現在エネルギー問題に関する国民の不安感というものは非常に強くなっているわけであります。こうした状況の中で、政府石油代替エネルギーの目標をいまも大臣がおっしゃったように閣議決定をするというふうにされたわけでありまして、むしろ私は、問題はその実効性というものが現実に確保されるのかどうかということが問題になってくると思うのです。民間に対しては確かに努力目標、それから供給目標については閣議決定というお話、従来のこの暫定見通しは見直しの都度、たとえば原子力なんかの問題もそうでありますけれども、下方修正をされてずっと今日まで来ている。いまも大臣言われたわけですけれども、閣議決定の重みというのは尋常ではないというふうに私は受けとめたいと思うのです。実際エネルギー源別に閣議決定に基づいた目標を達成するための政策手段というものが具体的に講じられてこなくてはいけない、また、あるいは供給目標を策定する責任者としての大臣の心構えというものも、従来の問題に対する取り組みとはおのずから変わってこなくてはいけないというふうに思うのです。こうした点を踏まえて、どういうふうにいま決意をされているのか、改めてお聞きをしたいと思います。
  72. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたように、十年後には石油の消費量、現在七〇から七五%でございますけれども、それを五割まで落としまして、そしてその分は代替エネルギーで賄おうというのがとりあえずの中期計画でございますけれども、それを達成するのにまず油が一体どれぐらい輸入していけるだろうかという問題が一つ出てくるわけでございます。従来は必要な分は、余りめちゃにというわけにはいきませんけれども、最後は必要な国民経済の伸びに相応する、ニーズにこたえるエネルギーをいろいろ代替エネルギー等でいま申しましたようにカバーいたしまして、そして足らぬところは油ということになっておったわけでございますけれども、今後はそういうふうにいかないのじゃないか。やはりいまのIEAの傾向から見ましても、その国に輸入し得るシーリング、天井というものが決まっていくわけでございますから、それを踏んまえて、それ以上はどうしても輸入できないのだということになりますと、やはり節約とか備蓄とかという問題もございますが、何といっても本命は代替エネルギー開発以外に手がないわけでございまして、従来とは非常にこの問題に対する世界的な一つの扱い方というものは違ってきつつある。したがって油にはもうこれ以上は頼れないという最高限度がおのずから与えられるわけですから、好むと好まざるとにかかわらず代替エネルギー開発せざるを得ない、そういう国家的な、世界的な要請があるわけですから、いままでと違った意味でそういうものが仮に決まってきますれば、いまのところは五年後は六百二十万バレル・パー・デーという、これは目標でございまして、まだ国家の義務とまではいっていませんが、恐らくだんだんそういう方向に追い込まれていくんじゃないかと思います。そうなってきますと、そういうものを踏んまえて、そしてそれを国家計画の一番のベースにして、しからば一体今後の経済規模あるいは生活水準等をどう持っていくかという、いままでとは逆の一つの展開が必要だということで、大分変わってくるのじゃないかと思うのです。  もう一つは、いまお話がございましたけれども、確かにそのとおりでございまして、海外の計画はどちらかといいますと達成する手段、財政とかあるいは税制とかあるいは金融あるいは価格あるいは法律、いろいろな手段をまず集結して必要な物を集めた結果、この開発というものがこの程度までいくのじゃなかろうかという組み立て方が大体アメリカでもヨーロッパでも資本主義経済の進め方でございますけれども日本は残念ながらそうなっていないのでありまして、どちらかというと目標をまず決めて、それに対して、年度予算でございますから毎年の予算をどういうふうにアジャストしていくかというやり方、あるいは税制その他も年度でついていくわけです。そういう従来のような行き方だけで一体いいものかどうか。今後のエネルギー政策が国の経済の一番根本であるならば、もう少しそういう組み立て方等も、そういう実践的な手段等もかみ合わせ、可能性等を見出していく。立地問題、先ほど盛んに出ましたけれども、立地などに対してももっとしっかりした見通しを持って、こういう見通しでは原子力発電はとてもここまで行かないぞというふうに、可能性のあるものを着実に出していくべきじゃないかという感じもするので、そういう問題等をあわせて考えますと、恐らく一定の時が来れば、たとえばこの法案が通って来年度の予算期が迫ってくるということでありますれば、その際目標等ももう一遍見直すという必要性が出てくるのじゃないかという感じがいたします。したがって、計画自体いままでの計画のままでよろしいかということになると、そうではなくて、新しい時代に応じて変えるものは変えていく必要があるのじゃなかろうかと考えています。
  73. 木内良明

    ○木内委員 いま大臣おっしゃっていただいたように、石油にかわる代替エネルギーの問題は国家的課題である、したがって、今後精力的に取り組むという姿勢、私も大賛成であります。供給目標等についてもいま若干触れていただいたわけでありますけれども、いま言われた大臣のお考えを政府として実現するためには、当然これは政治レベルだけでなくて、民間の活力を導入するとかあるいはまた民間サイドにおける理解と協力というものが当然必要になってくるわけであります。したがって、この法案はひとり歩きできるものではなくて、やはりそうした周辺の事情を勘案し、また環境の中で調整を行いながら進めていくべきであるというふうに思うわけであります。  そこでお聞きするわけでありますけれども、本法案の第五条にこういうのがあるのですね。「事業者の導入の指針」として、「通商産業大臣は、石油代替エネルギーの供給の状況、石油代替エネルギーに係る技術水準その他の事情からみて石油代替エネルギーを使用することが適切であると認められる工場又は事業場における石油代替エネルギー導入促進するため、これらの事情を勘案し、環境の保全に留意しつつ、導入すべき石油代替エネルギーの種類及び導入の方法に関し、工場においてエネルギーを使用して事業を行う者に対する石油代替エネルギー導入の指針を定め、これを公表するものとする。」というのがあるのですね。したがって、これは当然民間のサイドから見ていわば納得のいく行政指針というものが確定していなければならないし、そうでないと、いたずらに不安をかき立てる結果になってしまう。そういった意味からこの問題について聞くわけでありますけれども、まず導入指針の策定内容が大きな意味を持っているということから勘案して、業種別に、しかも具体的に、必要とするエネルギー源の種類別にきめ細かな計画の内容とすべきではないかというふうに思うわけです。こういった点はどうでしょう。
  74. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その点お話しのとおりだと思います。いまのところは通産省で持っておりますエネルギー調査会でございますか、従来ありました機関を強化してこれに頼るというのが一番よろしいかと存じますが、しかし、先ほど申しましたように、策定するまでのメソッドに関しましては、事前に相当吟味を加えるべきじゃなかろうかと考えます。
  75. 木内良明

    ○木内委員 いま策定するまでのメソッドの問題というのがございました。そのメソッドを検討する中で、たとえば代替エネルギー導入する際の各企業における設備の費用でございますとか、あるいはまたそういった周辺の問題をどういう方向で検討されるのか。それがいたずらに消費者を圧迫するような結果となって国民生活にまたリアクションが起こされるようではこれまた困るわけでありまして、当然そうした配慮も行われてしかるべきだというふうに私は思います。大臣、この点どうでしょうか。
  76. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりだと思います。
  77. 木内良明

    ○木内委員 次に、四月一日の報道によれば、天谷通産審議官がエネルギー関係会議から帰国した会見が報じられているわけでありますけれども、これによると、ことしのベネチア・サミットにおいては石油火力発電所の減少方針が合意される可能性が強いというふうに報道されているわけです。わが国は五十三年度末現在五一・七%の石油火力の構成になっておりまして、本来電気というのは非常に良質のエネルギー源であって、各需要部門のエネルギー消費実態を詳細に調査をすれば、ほかのエネルギー源で十分足りる部門が非常に多いというふうに思われるわけです。導入指針策定に当たってはこの辺の配慮も徹底的に行われるべきであるというふうに考えますが、具体的にいまどういう作業になっているか。
  78. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ベネチア・サミットにおきましてエネルギー問題が恐らく主要なテーマになるだろうということは予想にかたくないところでございまして、その一環といたしまして、いま木内先生が御指摘になりました火力発電所問題ということがまた一つの大きな議論の中心になるのではないか、こういう感じがいたします。先生御高承のとおり、かつてサミットあるいはIEA等会議におきまして、これから新設をいたします火力発電所につきましては石油を使わないことを原則とするということが合意を見たわけでございまして、日本におきましてもそういった原則合意のもとに政策を遂行してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。ところが、ベネチア・サミットで恐らく議論になるでありましょう火力発電所の問題に関しましては、これからの発電所の原則禁止ということだけではなくて、既存の発電所につきましても石油火力から石炭火力へ切りかえるというようなことを提案する国々が出てくるのではないかという感じがいたします。御高承のとおり、現在世界主要先進国の中を見ましても、火力発電に占めます石油の比率、これは日本とイタリアが五〇%以上ということでございまして、大変高いわけでございますが、そのほかの国々は国によってもまちまちでございまして、西ドイツ等はもう一〇%以下というような問題もございます。したがいまして、いま申し上げました問題の方向づけといたしまして、石炭火力へ切りかえていくという方向づけは将来の方向づけとして是認されるべき方向ではなかろうかと思いますけれども、それぞれの国によりましては相当な影響が出てくるという問題もございますから、先ほども申し上げました新しい火力発電所の石炭火力への移行という問題につきましては、当然政策努力としてわれわれは考えなければいかぬと思いますけれども、既存の石油火力石炭へ切りかえていくという問題につきましては、それぞれの国の実情に応じた考え方というものが参酌されてしかるべきではないか、そういう考え方で、私どもといたしましては慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  79. 木内良明

    ○木内委員 次にサンシャイン計画の発足当初、四十七年七月でありますけれども、この時期から政府は計画実現を図るためには特殊法人の設立が必要であるとして予算要求をずっと行ってこられたわけでありまして、新エネルギーを実用化するまでは政府が主導的に研究開発事業を行う体制を整備する必要性というものも十分理解できるわけであります。しかしながら、先日も関係者の方と私いろいろ話したわけでありますけれども、名称の問題なんですね。新エネルギー総合開発機構というような名称からは、先ほど大臣がいろいろと答弁なさった意気込みというようなものが、名称と関連させるとどうも伝わってこないような気がしているわけでありまして、当然第三セクターという形態を考えても、これは十分御苦労の跡というものはしのばれるわけでありますけれども、何かいい名称というものは考えられなかったのか。もっとダイナミックで国民理解しやすいあるいは国民世論を糾合できるような、そういう名称というものが考えられなかったのか、この辺いかがでしょう。
  80. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 新しい機関でございますから、公社とか公団とか協会とかいったような、そういう古いイメージを持つような名称はやめようということになりまして、私ちょうど二十数年前原子力産業会議というあの名称をつくった本人でございますから、ああいう斬新なものがあればいいと思ってずいぶん考えたのですけれども、結局機構ということしかなかろうというので機構という名前にいたしました。余り売れてない名前でございまして恐縮ですけれども、もうそれ以上に知恵が出なかったものですから、機構ということでこれからやってみたいと思っています。
  81. 木内良明

    ○木内委員 いま大臣から二十七年前というお話でございましたか、直接携わったというのは。私の年齢から考えまして大変恐縮をしておりますけれども、それでも質問を続けさせていただきます。  次に、新エネルギー総合開発機構の運営のあり方について若干触れさせていただきます。新機構は、今後わが国エネルギーをみずからつくり出すという重大な使命を持っているというふうに思います。したがって、その運営いかんによっては、二十一世紀におけるわが国の運命が左右される可能性もあると言っても過言ではない重要な柱だというふうに私は思っておるわけです。この法案をずっと拝見しますと、運営委員会の設置というものが盛り込まれているわけでありまして、そこで、この運営委員会のあり方についてお聞きをするわけでありますけれども、まずこの設置の目的、それから構成、運営の方針、さらに大変大きな問題ですけれども委員会の権限、こうした内容についてはどうなっておりますか。
  82. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御審議賜っております代替エネルギー開発導入促進法におきます一つの大きな目玉でございます新エネルギー開発機構につきましては、ただいま先生から御指摘のございましたように、官民挙げての新しい代替エネルギーへの取り組みをするための中核的な機構ということでございまして、いわゆる第三セクター的なものを私どもの原案として打ち出したわけでございまして、そこに新しく民間の活力をいかにうまく引き出していくかということが当然中心的な課題にならざるを得ないということでございます。その具体的なあらわれといたしまして運営委員会という制度をとってみたわけでございまして、現在ございます各種の政府機関等を見ましても、運営委員会を設けておる例はほかに幾つかございます。しかしながら、私どもが今度新しく法案の中へ織り込んでおりますのは、その運営委員会というものにひとつ斬新な機能を与えてみたらどうだろうか、それを通じましていわゆる民間の活力を最大限に導入するという姿勢を基本的にまず持っておるということをぜひ御理解賜りたいと思う次第でございます。  委員会の構成につきましては、石油代替エネルギーに関しましてすぐれた識見を有する方々七名、それから機構理事長を合わせまして運営委員会を構成するわけでございますが、その権限といたしましては、機構の予算、事業計画、資金計画及び決算の議決を行うということでございまして、こういった基本的なポリシーを議決する権限を運営委員会に付与しているということは、きわめて斬新な行き方ではないかというふうに私どもは考えている次第でございます。私どもといたしますれば、再三申し上げましたように、いま申し上げた運営委員会の機能が十分に発揮される、しかもプリンシプルに関することを議決する権限を与えたということによりまして、民間の活力を最大限に引っ張り出すという当初の目的を達成したい、こういうふうに考えている次第でございます。
  83. 木内良明

    ○木内委員 民間の活力をいかに引き出すかというところにいろいろ苦労の跡がうかがえるわけでありますけれども、そうかといって行政なれしていないメンバーの方に多大な権限を与えるというのも、今後国会審議を行う中で取り上げていくわけでありますが、非常に心配な面もあるのですね。一部には、政府は金は出すけれども口は出さないということの基本姿勢が必要ではないかという指摘も確かにあるにはある。しかし私は、たとえば学識経験者であるとか、さらにまた専門技術者のみにあるいはそういった関連のメンバーだけにこの運営委員会の機能を任せ切ることも心配な気がしているわけであります。私は実はどういうメンバーによってどんな議論がこの運営委員会で行われるか、いまだに想像がつかないわけでありまして、隔靴掻痒の感が確かにあるのですけれども、いままでにない形態をつくり出そうとされている努力が逆に裏目に出て、わが国エネルギー問題の基本から逸脱するようなことがあってはいけないということもあわせて考えるわけであります。  聞くところによりますと、通産省の中に代替エネルギー課という課が新設されるというふうに聞いているわけでありますけれども、この通産省サイド、いわば政府と運営委員会の関係というのは今後どういうふうになるのでしょう。
  84. 森山信吾

    森山(信)政府委員 新エネルギー開発機構は、ただいま御審議賜っております法律に基づきましてできますいわゆる政府機関でございます。したがいまして、先ほどお答えいたしましたのは機構そのものの運営につきましての基本的な考え方を申し上げたわけでございますが、政府機関としての特殊性ということから考えますと、政府、特にこの所管が通産省ということになっておりますので、通産省政府機関との関係といいますものは、従来どおり政府機関とのあり方という問題を通じてのコミュニケーションは十分やっていかなくちゃならぬという問題がございます。具体的に申し上げますならば、事業計画の承認あるいは業務方法書等の承認ということ等を通じまして、政府の意思とそれから新機構の運営方針のすり合わせが十分なされなくちゃならぬ、こういうふうに考えます。  それから、ただいま木内先生から御指摘のございました代替エネルギー課といいますものは、四月七日付をもちまして通産省に設置をさせていただきまして、通産省現実の問題といたしまして代替エネルギー政策に本格的に取り組むという姿勢を示したわけでございます。  なお、先ほどの私の答弁の中にございました御批判につきましては、これは私どもも全く同感に考えておりまして、運営委員会にすべてを任せるということになりますといろいろな問題点も出てくるということもございますので、まさに運営委員をどういう角度で選ぶかという人選の問題がきわめて大きな問題になっているということは私どもも十分認識しておるつもりでございます。
  85. 木内良明

    ○木内委員 運営委員会のメンバーの人選でありますけれども、余り突っ込んだ議論もここではできないと思うのですが、どういう方向でいま検討されているのでしょうか。法案の審議中にこういう話も時期尚早かもしれませんけれども、感触だけでもひとつ……。
  86. 森山信吾

    森山(信)政府委員 運営委員会は、先ほどお答えいたしましたとおり運営委員七名、それから機構理事長をもちまして構成するわけでございまして、まず理事長につきましては、できるだけ広い角度から選ぶべきではなかろうかということで、現在各方面と具体的な人選について、まあ下話をし始めたかなという程度でございます。法案の御審議を賜っておる最中に余り具体的な人選を進めることもどうかなということもございまして、まあ私の頭に若干入っておるという程度に御理解いただきたいと思う次第でございます。  それから運営委員につきましては、七名のうち、学識経験者と言われる方々、それから代替エネルギーの性格上、そういうものをおつくりになる産業界の方々、あるいはできますれば報道関係の方々も一名ぐらいは代表に入っていただいたらどうかな、これは全く私の私見でございまして、法案を成立さしていただいた暁に具体的な人選を進めてまいりたい、かように基本的に考えている次第でございます。
  87. 木内良明

    ○木内委員 なぜこういうお尋ねをしたかといいますと、後ほど触れる技術開発本部の人員の確保ということも絡んで、これはいわばバランス感覚を持った技術者といいますか、現場の事情に精通していてなおかつ平衡感覚を持って理事長として運営のできるという非常にむずかしい条件が要求されると思うのですね、いわばスペシャリストであってゼネラリストであるという。いままでのいろいろな事業団ですとか公団等の、よく言われる天下りの人事であってはどうしようもないわけでありまして、まさにこの機構の本来の趣旨を踏まえるならば、公平適切な人事、人選というものが必要であろう、こういう観点からお聞きしたわけでありまして、その点は長官、ぜひひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。どうです。
  88. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昭和五十五年度は、私ども代替エネルギー元年というふうに位置づけいたしておりますが、別な次元で見てまいりますと、行政改革の年でもあろうかと思います。新しく政府機関をつくるということは、いま申し上げました行政改革の中で大変むずかしい問題であったのではなかろうか。その大変むずかしい問題の中で、内閣が新しい機構をつくるという決心をしたからには、やはりそれにこたえるだけの実績を示さなくちゃいかぬというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、先ほど来お答え申し上げております役員のあり方、任命のあり方あるいは運営委員にどういう方々を選定さしていただくかというような問題でございまして、旧態依然たる政府機関の形のままでは行政改革の中で新しくつくり上げていこうとする新機構がまさになじまない存在になるという認識を十分持っておりますので、私どもも一生懸命やりたいと思います。ぜひ御声援を賜りたいというふうに考える次第でございます。
  89. 木内良明

    ○木内委員 このエネルギー問題の解決に声援を送ることに全くやぶさかではございませんけれども、しかしそれが果たして声援に値するかどうかを審議しているわけです。  それで、新機構の組織案によれば、技術開発の実施業務を行う本部、いわゆる技術開発本部の運営が一つの大きなポイントになるというふうに私は思うのです。プロジェクトマネージメントという業務は、従来の官庁機構では余りなじみのない業務なんですね。強いて言えば工業技術院のサンシャイン計画推進本部がこれに当たるとは思いますけれども、まあ実際に、ではこれはどうかといいますと、書類の作成あるいは予算の獲得、そういった事務レベルでの仕事に追われてしまっていて、本当の意味でのプロジェクトマネージメント業務を遂行しているというふうには思えないような面も確かにあるわけです。本来的に技術開発ということに仮に選ばれた職員なりスタッフが専念できるためには、この事務処理体制というもの、別に言うとまた定員の問題等があろうかと思いますけれども、いい意味でのセクショナリズムというものを確立して、そうして本来の技術開発本部の業務が全うされるような機構というものが考えられないのかどうか、これも私は非常に心配するわけであります。いわば機構や形態だけをつくって形は整えたけれども、実際には事務処理に追われてしまって技術開発というものがなおざりになってしまうということではいけないと思うのです。この点どうでしょうか。
  90. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この機構をつくるときに一番議論の中心になったのはその点でありまして、私は、むしろこの機構の本来の一番の中心的な使命というものは、補助金を出したりあるいは金融のあっせんをしたりというだけではこれは余り意味がないのでありまして、それよりもむしろシステマチックエンジニアリングと申しますか、新しい技術開発方式がいま世界で進められておるわけですから、この機関もやはりそれを取り入れて、そして研究グループをテーマによってつくるわけですけれども、それには日立からであろうと、東芝さんであろうと、それぞれそのテーマに日本で一番すぐれているという技術を、大学といわず取り入れまして、そしてその技術を進めていくのには何が一番ネックなのか、そのネックを解消するのには日本だけで果たしてできるものなのかどうか、世界の最高水準はどの辺まで行っているのだろう、そういう点をみんなで、それぞれ日本の一番すぐれた部門部門のエンジニアが集まりまして、そして問題を詰めていくという行き方をとるのが一番いいんじゃないかという、近代的な一つ技術開発の進め方をこの機関はぜひ取り入れるべきだということで、この技術本部思想というものはできてきたのだと思っております。したがいまして、石炭技術あるいは太陽熱とか地熱とかいろいろあるわけですけれども、それぞれいま世界で進めているわけですから、IEAではIEAで各部門別に日本でも参加して進めていますし、アメリカはアメリカで進めていますし、日本もこれから進めるわけでございますから、いままでの少なくとも日本にある最高の技術を集大成しまして、そしてグループ別に問題を進めていくという、そういう行き方をとるのが一番よろしいのではないか。決して民間のやっているものを取り上げるとかなんとかということではなくて、ここへ行けばそういう組織的な日本の、世界の一番いい技術が進められているのだという方向が一番これから望ましいのであってということで、システマチックエンジニアリングというものをぜひひとつ取り入れて進むべきだというのが私どもの提唱でございまして、その方向に向かいまして、そのとおりいくかどうかは大変むずかしい問題ですけれども、進んでいくはずでございます。  それで、おっしゃるように予算をどうするとか、税をどうするとか、こういうもののみに奔命して、本来の技術の進め方がおろそかになるようではこの機構というものは何のためにあるかわからぬわけですから、それはそれで企画とかあるいは業務とか総務とか、そういう方面でするべきで、本体はやはりそうでない行き方の方がいいのではないかという考えでございます。
  91. 木内良明

    ○木内委員 実は今回のこの法案を勉強するに当たって、私も友人に、地熱発電あるいはこの技術開発本部の各セクションに詳しいのにいろいろ聞いてみたのです。この機構図を見せたのです。たとえば石炭十七、太陽技術十五、地熱技術グループ九、立地対策七という職員が配置されるようになるわけですけれども、恐らくこれは発足の当初だけでなくて、この機構が生き続ける限り、運営され続ける限り、この人員では十分できないという観測をしているのです。恐らくは事務処理に追われてしまって、確かに周りから、総務であるとか企画の方からいろいろな配慮は行われるであろうけれども、たとえば立地対策七名で一体何ができるのかということなんですね。これは私も実感としてわかる気がするのです。ですから、いまの大臣答弁を受けて長官、この辺はどうでしょうか。さっき申し上げた事務処理を行う部門というものが技術開発本部を補佐するという形で存在し得ないものかどうか、機構の問題になるわけですけれども、どうでしょう。
  92. 森山信吾

    森山(信)政府委員 技術開発本部という機構をいま考えさせていただいているわけでございまして、あるいは資料をお持ちかとも思いますが、その中にグループという制度を取り入れているわけでございます。通常の組織でございますと、技術開発本部がございまして、その下にいろいろな課がございまして、庶務も扱い、その課の所管する業務も扱うというのが普通の形態ではなかろうかと思うわけでございますけれども、ここでは技術開発本部の中にそれぞれ技術開発のグループも結成を図りたいというのが私どもの考え方でございまして、いま木内先生が大変御心配いただいておりますいわゆる庶務的なこともあわせてこの技術グループの中でやっていくのでは本来の研究開発ができにくいのではないか、こういう御心配はまことにごもっともでございます。そこで、私どもは、総務部、経理部という制度もつくらしていただきたいというふうに考えておりますので、できるだけ技術開発本部の方々は研究に専念をしていただきまして、いわゆる庶務的な事項はそれぞれそれを担当する部署におきまして処理をするという仕組みを考えてみたいというふうに思っております。  それから、いま人数をおっしゃったわけでございますけれども、これは私どもが一応いま予想される定員の中で割り振った数字でございまして、法案を成立させていただきました暁におきましては、技術開発のテンポに応じましてこのグループというものはしょっちゅう変わり得るものである。また、そのグループに張りつくべき人間も変わり得るものであるというふうに考えておりまして、設立の当初に張りつけました人間がそれだけで終わるということのないように、その辺につきましてはきわめて弾力的な人員配置を行うことによりまして、本来的な使命でございます技術開発につきまして遺漏なきを期したい、こういうふうに考えております。
  93. 木内良明

    ○木内委員 いまの問題に関連して、技術開発本部における人員というのはいわばこの機構の頭脳であり、心臓部分であると思うのです。したがって、プロジェクトマネージメント業務の内容ということにも関連しますけれども、いわば個々の技術開発本部における職員の特性なりあるいは能力というものを当然考えた上での賃金上の問題でありますとか身分保障でありますとか、あるいはいまちょっと長官が触れましたけれども、研究開発の執務環境の整備の問題といった点についても特段の配慮がされてしかるべきだというふうに思うんですね。これはいまの行政の機構の中から言って、私が申し上げることが妥当かどうかは別として、やはりそれだけ有能な人材をここに結集しないことには、形だけつくって中身が伴わないという結果になるわけですから、非常に心配しております。  それからもう一点は、たとえば技術開発を終了してしまう。そうして民間にそうした業務というものを委託する。そうした段階における職員の身分というものがどうなるのか、この辺もやはり長期的に見てそうしたスタッフの問題になってくると思いますので、あわせてお答えいただきたいと思います。
  94. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、技術開発本部で働いていただく方々はこの新機構の本当に中核になる方々だと思っております。その方々に人を得なければ、せっかく機構をつくらしていただきましても効果が上がらないということは、私どもも重々感じておるところでございまして、最高レベルの方々をぜひここに結集をしたいという念願に燃えているわけでございます。そうなりますと、当然にいわゆる所得と申しましょうか、サラリーと申しましょうか、そういった賃金水準というものも可能な限り最高のものにいたしたい。もちろん政府機関でございますから一つの制約条件はございますけれども、その制約条件のもとにおきます可能な限りの優遇はしてまいりたいというふうに考えております。  それから、ここに集まっていただく方々は、いわゆるプロパーとして育っていただく方々と、それから日本におきますその道の練達の士にここに参集していただきまして、一つのプロジェクトの開発が終わればまたもとのところへ戻っていただく、そういうようなシステムも広く採用することによりまして、できるだけ人事に硬直化のないように、弾力的な運用ができるような仕組みというものをぜひ考えさせていただきたい、かように考えている次第でございます。
  95. 木内良明

    ○木内委員 私が技術開発本部のあり方にしつこく触れるのは、やはり優秀な頭脳集団であってほしい、仮にこの法案が通ればぜひこの辺については配慮をお願いしたいという気持ちがあるのです。優秀な頭脳というものが海外へ流出をしたりあるいはまた民間に埋もれるようなことがあってはいけないという気持ちがありまして、これだけの肝いれで私どもいま審議しているわけでありまして、その辺大臣どうでしょうか。
  96. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この機構が発足した場合に、一番非難といいますか危惧の念を持ったのは、官庁の延長であって補助金を出したりあるいは金融のあっせんをしたりという機関だけでは意味がないじゃないか、かといって、またいままでの研究組合にちょっと毛の生えたようなものでやっていけばいいじゃないかという議論もまた別の面からもございました。それこれかみ合わせまして、いまおっしゃるように必要であればそういう部門は総務とかほかの業務で扱えばいいので、この技術本部はシステムエンジニアリングの本体として、優秀な人材がグループを組んでそして問題をじみちに進めていく、その技術たるや世界の何人にも劣らぬというくらいのそういう気魄でやっていくのがこのものをつくる本来の意味だということを説明いたしまして、党の首脳部でもやっと納得を得た経過がございますので、ぜひそういうふうに進めてみたいと思っております。
  97. 木内良明

    ○木内委員 さらに、この技術開発本部のテーマの問題なんですけれども、発足当初は石炭、太陽、地熱の三テーマをメーンの業務とするというふうになっているわけでありますけれども、しかし、今後新規テーマの採択ということも当然考えられていいんじゃないかというふうに思いますし、そうした問題に対する今後の見通しをお聞かせいただきたい。
  98. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お話しのとおりでございます。総務とか業務とかいうところである程度風力とかあるいはバイオマスとか、ローカルな問題等でいろいろ新エネルギーが出てまいりますれば、単に着想だけではしようがないのでありまして、この機関は着想だけじゃなくてそれをだんだん育てて実用化まで持っていくのが本務でございますから、そういうものが出て大分育ってくれば、こちらの技術本部の方でさらにグループをふやしてそれを進めていくということは当然付加されてくると思います。
  99. 木内良明

    ○木内委員 職員の問題になるわけですけれども、決して大きいとは言えない世帯で日本エネルギー問題の大きなカンフル剤といいますか、促進剤になろうという気魄に満ちた機構であるべきだと思うのですね、この開発機構は。新機構というのは石炭鉱業合理化事業をそっくり吸収するわけでありまして、この新たな機構における合理化事業本部というのは定員が百九十一名というふうに聞いています。現在の事業団の定員が役員を含めて二百七十名いるわけでありますけれども、あとの八十名の人員の方々の配置部門といいますか、これはただいたずらに定員枠があるからそこへ当てはめればいいということではなくて、いま申し上げた少数精鋭でとりあえず船出をするわけでありますから、当然この合理化事業本部に配属されない職員の方々のあり方というのも問題になってくると思うのです。この辺はどういうふうに考えておられますか。
  100. 森山信吾

    森山(信)政府委員 お説のとおり石炭合理化事業団、現在約二百七十名いるわけでございますが、新しい機構におきましては、石炭合理化事業本部を設けさせていただきまして、そこに百九十一名の定員を割り振りをしたいと思っているわけでございます。そこで二百七十名から百九十一名の差の方々をどう配置するかという問題がございますけれども、いわゆる新しくつけ加えられます新エネルギー開発の部分につきまして、企画・業務関係あるいは地熱調査関係あるいは先ほど来お話のございます技術開発本部という三つの部的なものをつくりたいと思っておりますので、それに対します適格者と思われる方々をそういう部へ配置がえをするという問題も一つございますし、それから先ほどお話のございましたできるだけ庶務的な問題を集約するという観点に立ちますと、石炭合理化事業本部にそういったものを置き、かつまた新しい分野にそういった庶務的なものを置くということになりますと重複をいたしますので、それを一元化いたしまして総務部、経理部という組織を置きたいというふうに考えておりますので、そういった部門を含めまして石炭合理化事業団の定員からはみ出した方々、これは数の問題でございますけれども、数の上ではみ出した方々の再配置という問題は適格主義にのっとりまして実施をさせていただきたい、かように考えている次第でございます。
  101. 木内良明

    ○木内委員 いろいろお聞きしたいのですけれども、時間がなくなってまいりまして、次に財源の問題についてお聞きします。  政府は、六十五年度までの石油代替エネルギー対策所要資金というものを約三兆円というふうに試算しているわけでありますけれども、この積算の内容についての御説明をまず願いたいということ。それから、この三兆円の性格というのは所要資金の下限を示すものであって、仮に新規施策を今後必要とした場合に当然増加していくものというふうに思われるんですが、こうしたことに対する見通しをどのように考えておられるのか、これは恐らく時間の関係で十分な議論ができないのが残念ですけれども、いまお持ちになっている見通しだけ聞かせてください。
  102. 森山信吾

    森山(信)政府委員 具体的にどの程度の所要資金が必要であるかにつきましては、技術開発の進捗状況等不確定要因が非常に多いために、的確に申し上げることはむずかしいわけでございますけれども、私どもにおきまして一応の試算をいたしましたところによりますと、昭和六十五年度までに約三兆円の資金が必要というふうに考えております。この三兆円の内訳につきましては、まず第一に海外炭、水力、地熱等内外の代替エネルギー資源開発のための資金といたしまして約三千八百億円、それから産業設備の石炭、LNG使用設備等への転換を促進するための資金といたしまして約千八百億円、それから原子力開発利用の促進を図るために約八千四百億円、民間住宅等へのソーラーシステムの普及を促進するために約三百億円、それから石炭液化、地熱、太陽エネルギー等の代替エネルギー技術開発促進するために約一兆四千七百億円、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからこれらの資金を調達いたします特別会計の区分といたしましては、電源開発促進対策特別会計あるいは石炭石油特別会計等々から資金の調達を図りたいというふうに考えておりますけれども電源開発促進対策特別会計におきまして約一兆五千億、それから石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計から一兆五千億、こういうふうな財源調達をしたいというように考えております。
  103. 木内良明

    ○木内委員 各論をいろいろお聞きしようと思ったのですけれども、地熱の問題を若干お聞きします。  地熱というのは貴重な純国産エネルギーということで、私自身は今後特にこれには積極的に国としても開発に取り組んでいくべきであるというふうに考えるんですが、今後政府の方の地熱に対する取り組みの姿勢のあり方、これをひとつお聞かせください。
  104. 森山信吾

    森山(信)政府委員 地熱は、御指摘のとおりわが国に豊富に賦存いたします非枯渇性の国産エネルギーでございまして、石油代替エネルギー対策の一環といたしまして私どもは大変重要な位置づけをしたいというふうに考えております。  ただ、地熱につきましては、御承知のとおり自然環境との調和の問題ということがございますので、こういった面につきましての積極的な調和を図っていくということが基本姿勢ではないかというふうに考えております。先ほど後藤先生からもお話しのございました地熱に基本的に取り組む姿勢をもう少し積極化したらどうだという御指摘、木内先生も恐らく同意見ではないかというふうに推察するわけでございます。いま申し上げましたように、これは非枯渇性の資源でございますから、自然循環タイプのエネルギーといたしまして私どもも強い位置づけをしてまいりたい、こういうふうに思いますけれども、繰り返しになりまして恐縮でございますが、自然環境との調和の問題が一番大きなポイントである、こういうふうに考えております。
  105. 木内良明

    ○木内委員 地熱発電の長期見通しでは、六十年度で百万キロワット、六十五年度で三百五十万キロワットというふうになっているわけでありますけれども、いま長官がおっしゃいましたように、環境問題等相当のネックがこの前途にも横たわっているわけでありまして、私はどちらをとるかという議論よりも、両立をさせるという方向で意欲的にこの技術開発を行っていくべきではないかというふうに思うのです。当然環境保護ということは重要なテーマでありますし、どちらを優先するかという議論よりも、どちらも損なうことなく両立させて、エネルギー源を確保していくという姿勢が大事なのではないかと思います。この点はどうでしょうか。これは大臣からお願いします。
  106. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 地熱を取り出す場合に、熱水と蒸気が出てくるわけですが、その中に含まれている、たとえば過去には九州のある地点で砒素とかいろいろな環境に有害な物質を出したこともあるわけでございまして、それをどう除去するかという技術が完璧であれば害はないわけでございますから、そういう面に対する配慮と申しますか研究と申しますか、これは当然必要なものでございまして、まず環境に対して悪影響はないのですという立証を早くするのが大変重要なことだと思っております。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕  いま進めておりますのを大ざっぱに言いますと、日本の全土を空中からサーベイいたしまして、これはアメリカの技術が一番進んでいるわけですけれども、全土の調査をただいましております。どこそこにどういう地熱資源があるのか、まずこれを調査するのが一番もとでございまして、それを進めております。それから、浅いところであれば採掘は容易でございますけれども、大きい電源の開発は求められないわけでございますから、三千メートル以上くらいの深部の熱をどういうふうに取り出すか、その研究を去年から予算をつけましてただいま進めております。そうしますと、一カ所で、さっきお話がございましたアメリカのガイザー等は十万キロぐらいでございますけれども、もっと大きい発電様式がとられる可能性を持ってくるわけでございまして、そういう点を目指してただいま進めておりますが、IEA等で考えておりますような、もっと深い、マグマまで掘り当てて、そして地上から海水等を注入して自然の蒸気を取り出す、これはまだ大分先でございまして、とてもそこまでは考えられませんけれども、しかし海外ではその実験をやっているわけですから、わが方も参加してございます。しかし、とりあえずはそういうところのもっと前の、いわば深部と申しましても三千メートルぐらいのところですけれども、そういうものの開発をしたいということとあわせてただいま進めておりまして、環境にも十分配慮を払いつつ、おっしゃいますように両方とも両立するような方式が一番望ましいかと思っております。
  107. 木内良明

    ○木内委員 マグマに至るまでという壮大なプランが出たので、私も心浮き浮きしてくるわけでありますけれども、きのうの参議院の決算委員会で、ある委員から質問があって、こういう見出しがあるのです。「大雪山の地熱発電 環境庁は認めず」というのですね。ところが、詳細にこれを見てみますと、「「自然環境保全審議会の意見を踏まえて、通産省と話し合う」と述べ、同庁としては、認可しない方針を公式に明らかにした。」という報道があるわけです。このコメントが果たして環境庁が認めないということにつながるのかどうか私もよくわからないのですけれども、さっきから申し上げているように、環境保全を十分行いながら、なおかつ適正な開発を行うという持論を私は持っているわけです。環境庁の方がきょうお見えだと思うのですが、それはどういうふうにいまお考えでしょうか。覚書等の内容を踏まえてひとつ御答弁いただきたいと思うのですが、特にきのうの発言についてもひとつよろしくお願いします。
  108. 田村久仁夫

    ○田村説明員 先生御指摘の国立公園及び国定公園内におきます地熱発電開発に関する了解事項におきましては、公園内の地熱発電はすでに御承知の既設の六地点ということに限っておりますが、公園内の景観及び風致維持上支障のあると認められる地域におきましては、従来から開発調査工事を推進しないということに取り決めているものでございます。環境庁といたしましても地熱開発の必要性につきましては十分認識をいたしておりますが、国立、国定公園内の地熱発電につきましては、発電所、冷却塔等の大規模な工作物及び。パイプライン、取りつけ道路等の新設を伴うため、自然景観との調和を図ることがきわめて困難であるというふうに考えておるところでございます。このため、今後におきましては、国立公園、国定公園等の自然環境保全上重要な地域におきましては、開発を避けることを基本とすべきものと考えております。このような基本的立場に立ちながら、地熱開発と自然保護との調整を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  109. 木内良明

    ○木内委員 私の持ち時間が終了したわけでありますが、環境庁のお立場は私は痛いほどよくわかるわけです。また、さらに大臣の先ほどからの答弁をお聞きしても、この緊急課題を何とか打開しなければいかぬという熱意もわかるわけでありまして、やはりいままで何度も触れられたように、ここで問題になるのは、通産省と環境庁との話し合い、いわばその環境保全というものをどうとらえていくかという姿勢の問題が最後に残ると思うのです。どうか大臣、今後ともひとつ環境庁との話し合いを十分に行う、さらにまた具体的に環境等の問題についてはこのように対応していくのだという明快な答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そうしたいと思っております。
  111. 塩川正十郎

    塩川委員長 これにて木内良明君の質疑は終了いたします。  引き続いて工藤晃君の質疑に入ります。工藤晃君。
  112. 工藤晃

    工藤(晃)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、ただいま問題になっております代替エネルギーの法案について質問したいと思います。  最初に、まず第一条に「この法律は、石油代替エネルギー開発及び導入を総合的に進めるために」とあるわけですが、いま政府としては代替エネルギーの重点をどう考えているのだろうか。二十一世紀まででもいいし、当面でもいいわけです。それはまたこの法案の評価にかかわる問題でもあります。  それからついでにお聞きしますが、第三条に「通商産業大臣は、総合的なエネルギーの供給の確保の見地から、石油代替エネルギーの供給目標を定め、これを公表」するとあるわけですね。これは何か特別の諮問機関を新たに設けて決めるのか、それとも総合エネルギー調査会がこれをやっていくのであろうか。そうすると、当面私たちがこういうものであろうと考えられるのは、昨年発表されました総合エネルギー調査会のたびたび問題になっております長期エネルギーの暫定見通しのようなものになると思いますが、それでいいのか。  以上伺います。
  113. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず第一点の御質問につきましてお答えを申し上げます。  第一条は、御指摘のとおりエネルギーに占めます石油の比率を下げてまいりまして、代替エネルギー開発導入するということが基本姿勢であるわけでございまして、中長期的ないつまでの計画を持っておるかという御質問に対しましては、第二点の御質問とも絡むわけでございますけれども、現在私どもが一応の指針として持っておりますのは、昨年の八月に総合エネルギー調査会から答申を受けました需給暫定見通しというものが中心になっておるわけでございまして、昭和七十年までの一応の試算を持っておるわけでございます。これは今後の日本の経済成長というものをべースにいたしますのが一点と、それから石油の供給がIEAあるいはサミット等で方向づけが出てまいっておりますので、それを一つの与えられた条件として踏まえた場合にいかなるエネルギー構造にしたらいいかということをポイントにいたしまして、諮問、答申をいただいたものでございます。これはいま申し上げましたように総合エネルギー調査会の答申という性格がございますので、政府とは直接の関係がないというようなものではございますけれども、私どもが総合エネルギー調査会から御答申いただきましたものをベースにいたしまして、内閣に総合エネルギー対策推進閣僚会議というものがございますので、その閣僚会議に一応御報告申し上げまして、従来とも政府一つの基本姿勢というふうに持っていたわけでございます。それが今回御審議をお願いいたしております新しい法案の中におきましては供給目標という形で出てまいっておりますが、その供給目標を作成するに当たりまして、審議会等の意見を聞くのかという御質問に対しましては、この法案の中にはそういう規定は入っておりません。しかしながら、総合エネルギーの立場からいろいろな角度の御審議をいただいております総合エネルギー調査会という制度がございますので、そういったところに私ども政府の基本的な考え方を一応御相談をいたしまして、御意見を賜るというようなことも一つの方法論として考えてみたらどうかというふうに考えている次第でございます。
  114. 工藤晃

    工藤(晃)委員 私がいま質問した中で、政府としてたとえば一九九〇年とか、九五年まででもいいですけれども、大体私の想像するところでは代替エネルギーの位置づけとしては第一に原子力、第二に海外石炭、海外のLNG、大体そんなのでいいですか。簡単なお答えをお願いしたいのです。
  115. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昭和七十年度までの目標は石油の比率を下げていくということでございますから、相対的に代替エネルギーのシェアを高めていくということでございまして、これは特定のものに集中しちゃいけないという思想を私どもは持っておるわけでございまして、その中におきまして基本になるものは、原子力石炭、LNGというのが基本になるのではないか。その他のものにつきましても、十分なる補完的な役割りを期待しているというのが基本的な考え方でございます。
  116. 工藤晃

    工藤(晃)委員 ついでに次に伺いますことは、この第七条で、「政府は、石油代替エネルギー開発及び導入促進するために必要な財政上、金融上及び税制上の措置を講ずるよう努めなければならない。」とあります。この中でもう一点原子力について伺いたいのですが、原子力の助成というのは、これまでも融資では開銀融資がある。それは日本原子力発電に対してもあるし、九電力に対してもある。それから税制上は原子力発電設備の特別償却などあります。あるいは発電設備工事償却準備金制度その他も利用されるでありましょう。もうすでにありますね。これにさらにどういうものが加わるのですか。
  117. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いま工藤先生が御指摘になりました点は、日本原子力現実軽水炉路線ということで、現実発電所で使っているわけでございますけれども、そういったものに対する財政、金融上あるいは税制上の措置をお述べになったと思うわけでございますけれども、私どもが考えておりますのは、やはり中長期の立場で原子力というものを考えていった場合に、いわゆるFBR、高速増殖炉というような問題ということを考えますと、それに対します中長期の資金手当てというものを考えていく必要があるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  118. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そうしますと、ただいまの軽水炉について行っているものはこれ以上ふやさないというふうに考えていいわけですか。
  119. 森山信吾

    森山(信)政府委員 軽水炉路線で一番ポイントとなりますのは、やはり安全性の問題それから標準化の問題等々であろうかと思います。したがいまして、軽水炉路線におきます現行の発電所等につきましての財政、金融上の措置あるいは税制上の措置というものは、特に制度として変える必要はないと思いますけれども、ここにやはり国民の皆様方に理解していただくための安全性確立の問題というものは、これは年々歳々継続をしてさらに拡大をしていかなくちゃならぬ問題ではなかろうかというふうに考えます。
  120. 工藤晃

    工藤(晃)委員 じゃ、安全性という面では加えるということだと承りましたが、次に、先ほど問題になりました総合エネルギー調査会の長期暫定見通しについて一つの問題を伺いたいと思うのです。  私はこれは二つ問題点があると思うのですが、一つは方向性の問題だと思うのです。私は何度も言ってきたことですが、これまでの歴代自民党政府エネルギー政策というのは余りにも自主性を欠いていた、余りにも場当たり的であるということから、こういう深刻なエネルギー危機を招いたわけでありますが、それは具体的には日本エネルギーの自給率が九%まで下がってしまったということにあらわれているし、現に原油の供給も非常に不安な状態になっているということにもあらわれているわけであります。  さて、この長期の見通しを見まして、自給率とかそういう角度でこれを見てみますと、たとえば輸入石油及び海外石炭、LNG、これは一九七七年八九・〇%というふうになります。しかし、いまの場合、原子力も燃料をアメリカその他海外に依存していますから、これも輸入エネルギーという見方ができると私は思います。そうしますと、これが九一・〇%です。この見通し、ずっといきますと、一九九〇年輸入石油はなるほど五〇・〇%になって大変結構な話のようでありますが、さっき言いました海外石炭やLNGや原子力がふえますので、以上を合わせますと八五・五%です。それでも九一・〇からは減っているという点は評価されそうですが、一つ問題なのは、これから私もいろいろ討議したいと思いますが、新エネルギーがそのとき五・五%あるんです。新エネルギー、この中に石炭液化、いろいろ入ってくると思いますが、この新エネルギーがまた海外依存ということになってしまうと、これは合わせると九〇%を超えるようなのが一九九〇年に考えられてしまうという、この今後の方向性ですね。本当に新しいエネルギーだけでなしに、全体としての代替エネルギーが自主的に開発されるのか。これは技術研究開発も含めてあるいは国内の資源の利用度という点におきましてもいくのかどうか、この方向性が大変重大だと思うわけでありますが、新エネルギー全体あるいは代替エネルギー全体の自主的な開発をどのように強めるかという点で大臣どうお考えになっていますか。
  121. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 もし原油が数年前のように安くて無限にあるものであれば、別にエネルギー問題は強調せぬでもいままでどおりやっていけばよかったと私は思います。しかし御承知のような状況で、物量的にも数年たてば大変不安な状況に追い込まれていくことは定論でもございますし、価格は数年前までバレル一ドル数十セントのものがいまは三十ドルというような状況でございまして、これのみに頼って日本の経済というものは運営できない。ということになりますとこれにかわるものということになるわけですが、しからばそのかわるものは本土にあるものでなければいかぬかといいますと、私はそうは考えませんので、脱石油石油にかわるものでという着眼が、よし海外にあろうと安全に供給可能であり、価格問題等も油に比してより安いと申しますか、そういう性格のものであればこれは代替エネルギーとして考えるべきものじゃないか、そういう着眼でいきますと、LNGは御承知のように無限でございます。ただ、価格の方はいま原油の上昇にリンクするような傾向になりつつありまして、大変むずかしい問題をはらんでおります。石炭石油に比してはるかに地球上には数量はよけい存在しておりますから、これはもちろん開発輸入でなくちゃいかぬと思いますけれども、入手等はあらゆる面から見て油よりは当然確実であろう。原子力の燃料に関しましても、いま低濃縮ウランはほとんど手当て済みでございまして、これから開発しようという炉に対して不安はないと思いますし、ましてFBRが完成しますれば濃縮ウランをたきながらプルトニウムという新しい、しかもたいたよりもよけいな、消耗したよりもよけいなエネルギーを自分でつくり出していくわけですから、そういう面からすればこれは一種の国内資源と見てもいいんじゃないかということで、いずれにいたしましてもその三つをとってみましても、脱石油時代に備えるのにはあらゆる面から見て一番適当なものじゃなかろうかと思います。さらばといってそれだけに頼ってよろしいかといいますと、御指摘のように本来であれば本土で、海を渡らずして技術的に創造できるエネルギーがあればこれにこしたことはないわけでありまして、その意味からいきますと太陽熱とか地熱とかあるいは風力とか波力といったようなものは日本自体で一番恵まれている資源でありますから、こういう資源を目指して開発していくのは当然でございますけれども、何せこの部分はおくれて出発しておりますし、数量的にも油にかわってというふうな大量を短日月で目指していくことはとうてい不可能でございますので、これはむしろ将来を目指して補完的に進めていくという組み合わせ方が一番妥当な行き方だというふうに考えてございます。
  122. 工藤晃

    工藤(晃)委員 私は何も単純に、海外の石炭を輸入するなとかLNGを輸入するな、そういうことを言っているわけじゃないけれども日本エネルギー危機がなぜこれだけ深刻になったかということを政府はもう少し真剣に振り返って、その場合、先ほど石炭というのは石油よりも大変豊富な資源である、これはあたりまえのことなんで、それならばなぜ国内の石炭を粗末にしてきたのかという問題にもぶつかるわけなので、その辺の頭の切りかえがないと、せっかく代替エネルギーを前へ進めようというのに、古い考えでやられてしまうとまた別のエネルギー危機を招くということなので、安全の問題その他も、いまの中東の情勢など五年前、十年前に皆さん方想像されたことなかったと思うのですよ。しかしそういうことが起きているわけですから、私たちは真剣に考えなければいけないのです。しかしこの問題ばかり議論しておれませんので、地熱についてちょっと具体的に伺いたいと思うのです。  私も、日本の国土の条件から、地熱については大変希望が持てると思いますし、私の知っている地質学者の中にも、ただ火山地帯の地熱だけでなしに、非火山地帯の大規模な高温岩体の構造を発見してその地熱を積極的に利用すべきであるという御意見の方もあります。私も一つの一番成功した例とされております大分県の八丁原、五万キロワットへ行ってまいりました。問題は、確かに地熱の利用もこのように前進し出しているけれども、どうもこれまで出している政府の「サンシャイン計画の加速的推進戦略」とかさっきの総合エネルギー調査会の見通し、これが本当にこれからの地熱の開発のテンポだとかそういうものを考えて立てられているのか、それともただ願望的に高い数字を出しているのか、これは非常に疑問を感じているわけであります。たとえば「サンシャイン計画の加速的推進戦略」によりますと、一九九〇年までに数地点ないし十地点において合計百五十万キロワット程度の大規模深部地熱発電開発を図るというふうになっています。八丁原がいま五万キロワットで、第二の地点でやはり五万キロワット、これで十万になるわけです。さらにそれをまた倍にして二十万にして、それをまた全国各所につくらなければこの百五十万キロワットにはならないわけです。もう一方「長期エネルギー需給暫定見通し」の中間報告を見ますと、地熱発電というのは百五十万キロワットどころか三百五十万キロワットになっているわけですね。この百五十万と三百五十万キロワットのギャップを一体どう埋めるんであろうか。こういうことで、いまの八丁原の段階からさらに深い井戸を掘るまでの大きな飛躍ということをやらなければいけないし、それをまた全国に広げるためのいろいろな手だてが要るんです。  こういう点でこれまでも実は問題になったのは、総合エネルギー調査会の特に代替エネルギー見通しというのはきわめて実現性が乏しいということは、日本エネルギー経済研究所の方でこれに対する批判として、たとえば地熱は三百五十万キロワットに対して可能なのは恐らく五十五万キロワットにすぎないという見通しを出しております。衆議院の予算委員会、二月十三日に日本エネルギー経済研究所の理事長の生田豊朗さんが公述人として来られて私も伺ったわけですね。どうも政府のこういう計画というのは、それこそ新しい技術開発、それを十分やっていく、効果を上げて進めるという問題、それをまた事業化するというもう一つ次の問題がある。これをどこまで技術開発し、さらに事業化するかという、ここに横たわるいろいろな問題というのを考えないで、ただ数字だけ出しているんじゃないだろうかと言ったら、生田さんは、私も工藤さんと同感であるというお答えを得たわけであります。  そういうことから、本当にここで地熱という問題を真剣に考えるなら、それからまた今後目標というのを立てるなら、ただ大きな数を出せばいいというのでなしに、現実性のある目標、しかも現実性ある目標にするための対策というのを打ち立てなければならないと思いますが、その辺についてエネルギー庁長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  123. 森山信吾

    森山(信)政府委員 エネルギー経済研究所の生田氏のお話は私もいま承ったわけでございますけれども、総合エネルギー調査会でつくっていただきました「長期エネルギー需給暫定見通し」の作業の主任をされたのも実は生田さんであったわけでございます。生田さんが主任として何回にもわたって御討議をされた結果こういった数字が出たわけでございますので、その生田さんのお考え方と需給暫定見通しに出てまいりましたのが若干考え方につきまして相違があるんではないかと思うわけでございます。  従来の代替エネルギー開発のビヘービアから申しますと、一つの可能な線を追求いたしまして、それが仮にだめになった場合には輸入石油に逃げるというやり方が従来のパターンだったと思うのです。ところが御承知のとおりサミットあるいはIEAの基本的な合意によりまして、各国の輸入石油の限界というものを決めようということが現在のプリンシプルになっているわけでございますから、従来のように代替エネルギー開発が成功しなかった場合は、すべて輸入石油に逃げ込むというパターンが絶対にとれないというのがいまの現状ではないかと思うわけでございます。  そこで「長期エネルギー需給暫定見通し」、この中間報告でございますけれども、従来の見通しと一番変わった点はその点でございまして、輸入石油の限界というものを一つの予見として見るということが大前提にあるわけでございまして、それから先ほどもお答えしたわけでございますけれども日本のこれからの経済成長をどう見ていくかという見方、この二つが与えられた条件としてこの需給暫定見通しが出てまいったわけでございます。そこに一つエネルギーという観点はございますけれども、可能な限りの省エネルギーの達成ということを考えまして、そのギャップの代替エネルギー開発をどう進めていくか、これは工藤先生、願望というお言葉をお使いになりましたけれども、ある意味から言いますと願望でもございますし、また私どもの立場から言いますと、これは官民挙げて最大の努力をすべき努力目標ということがこの数字になってあらわれておるわけでございます。したがいまして、従来の路線でやっていけば確かにおかしいなと思われる部分もございます。ございますけれども、いま申し上げました二つの前提条件というものを出発点にいたしまして議論をいたしてまいりますと、それは単に達成は不可能ではないかという批判をしておるだけでは、これはとうてい日本経済生活あるいは国民生活が達成できないという問題点がございますので、死にもの狂いで到達しなければならない問題点というふうにぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  124. 工藤晃

    工藤(晃)委員 生田氏の発言、私の質問に対する答弁というのは二月十三日の予算委員会会議録を読んでいただけばよくわかると思いますが、しかし私一つ地熱の例を挙げましたが、私も地熱を重視しているからこそこういうことを聞いているわけなんです。それで、地熱というのはまだわからないのですよ。地下にどういうヒーターがあるのか熱源があるのか、実はこれはまだわかってない段階なんです。本当にまだ五百メートルとか千メートルとかいうのをなすっただけなんです。現にこの大岳だとか八丁原に行きまして、こういう地下の断面図がありますが、これはこの前地質調査所に私も行ったのですが、石油なんかの場合でしたらこの断面図というのは実に精密に構造がかけるのです。まだこれは漫画の段階なんですよ。そういう段階でやっているわけなんです。先ほどマグマまでどうするという話がありましたが、きわめて漫画的なんです、そういう点は。だからそうではなしに、本当に三千メートル、四千メートルの、しかも深部の大規模な、それこそ熱貯留の構造というものが一体どういうものであるか全然わかっていないと言っていいぐらいなんで、そこに行くのにこの十年間の見通しで安易に、ただ高い数字さえ出せばいいという問題ではなしに、もし本当に死にもの狂いだというならそれにふさわしいことをやらなければいかぬということを私は逆に申し上げたいわけでありますが、時間が過ぎてしまいますので、私は石炭液化についても伺いたい。  私は、大牟田の三井コークスを尋ねて、三井コークスはいま五トンのSRCのプラントをやっておりますし、それこそ昭和の初めからの石炭の液化、その草分けのときからの方もおられまして、お話を伺いました。また工業技術院の公害資源研にも伺いました。そこでその方々が話していたことから一番印象的だったのは、一九六〇年代の初めにこれを完全に中断させて、サンシャインのときにやっと復活したという十数年にわたるギャップというものが実に大きいわけなんです。そのためにとうとうその当時の技術者は四散してしまった。といっても石油化学に移ったとかいろいろな四散の仕方でしょうけれども。そうして、ちょうどそのころアメリカの方では石炭化学、石炭液化の研究を猛烈な勢いで進め出したということになったわけです。  これは一つの例でありますが、やはり大牟田の草分け時代におられた村田さんが、これはエコノミスト編集部編の「戦後産業史への証言」、この中でも書かれておりますが、たとえばこういうことを言っているのですね。「石炭の研究は非常に時間のかかることを覚悟しなくてはならない。石炭のガス化で、IGTというアメリカの研究所が、いまパイロット・プラントに入っているのが一九五四年に始めた研究です。二十何年たってやっとパイロット・プラントなんです。」「それに比べると日本の研究は研究のうちに入らない。長くて五年ぐらいでやめちゃう。」こういうものでなければいけないのに、この十数年間のギャップをつくり出してしまった、こういう問題があります。  私たちは三井コークスで、なぜ三井コークスの場合これだけ昔からのパイオニア的な仕事をやられて技術者がいるのに、今度SRCについて言えばガルフと技術提携なんかしなければいけないのか、こういうふうに聞いたら、戦前三井がやっていたのは例の合成法であって、SRCの方はやはりガルフの方が進んでしまったというか、新しく開発して進めてしまったということを言っているわけであります。そういう点で、簡単なお答えでいいわけでありますが、改めていま代替エネルギーなどというならば、こういう石炭液化の研究開発などを中断させてきた責任の問題もありますし、そこから今後どういう教訓をくみ取るかという点については大臣から簡単にお話しいただきたいと思います。
  125. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その前に、私漫画にされちゃかないませんので、マグマの問題は決して私の思いつきでも何でもないので、IEAの十幾つかのプロジェクトの中にその問題がございまして、日本とアメリカが資金を出し合って研究していることは御承知のとおりでございます。ですから、そういう研究自体が漫画だというのであれば言う方自体が笑われるのではないかと思いますので。  それから、いまの地熱発電の問題ですけれども、これも私、何も思いつきというわけじゃなくて、ガイザーから技術導入していまエアボーン、空中からのサーべーヤーということは御承知のとおりでございまして、そのデータがカリフォルニアに帰っているのです。去年の夏参りまして、一体どのくらい日本開発というものを見込めるものかという話をしました際に、とてもそんな話をするとまた漫画になりますからやめますけれども、そういう数字ではないですよ。相当大きい数字を向こうは考えています。ですから、これからこの機構ができて、そういう基礎調査もいま進めておる最中でございますから、あるいは深部採掘の技術等も完成してまいりますればそれは決して夢じゃない。特におすすめしたいのは、八丁原は私も行きましたが、むしろ岩手の葛根田をごらんになってもらうと大変いいのじゃないか。向こうは熱水と一緒に出てきませんで、蒸気だけ出てきますから、非常に考えも変わってくるのじゃなかろうかと思います。  地熱の話はこのくらいにいたしまして、おやめになったから私もやめますが液化の問題に関しましても、また漫画にされてはかなわないので、大家にひとつ答弁さしていただきます。
  126. 工藤晃

    工藤(晃)委員 別に大臣を漫画にするつもりではありませんけれども、まだ地下の構造をかくと漫画みたいな絵しかかけないんですよ。そういうことを言っているわけです。  それで石炭液化の問題で先ほど言いましたように、大臣が漫画問答をしてしまって、石炭液化の中断した技術をどうしたか聞いていなかったから、それをはっきりさせてください。その反省というか、今後どういう教訓をくみ取るか、そこを真剣に答えていただかなければ困ると思います。
  127. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 ただいま先生から御指摘のとおり、石炭液化の研究につきましては、六〇年代から七〇年代の前半にかけまして、私どもの研究所で申しますと非常に基礎的な研究を細々とやっていた時代があったわけでございます。これはいまから反省してみますと、やはり日本エネルギー構造の急激な変化がございましたし、また公害対策技術というようなものも非常に要請されまして、そういった方面にも技術者を充てなければいけなかったという、そういうやむを得ない事情があったというように私は考えておるわけでございます。いわばそういった経過を踏まえまして、サンシャイン計画が六年前に発足いたしましたときに石炭液化のプロジェクトを編成いたしまして、鋭意研究の推進に努めてきておるところでございます。  ただ、いまになって考えてみますと、たとえば資源技術研究所から北海道の研究所に出た技術屋、あるいは九州の研究所に移った研究者が再び石炭の液化の研究を始めておるわけでございまして、そういった意味で私どもの院内の研究者だけが基礎研究をやるというだけではございませんで、先ほど御指摘の、かつてあるいは戦争前に液化の研究をなさった方々がいまでも自分たちの技術に非常にプライドを持っておられまして、それらの技術に新しいもの、エンジニアリングを加えていけば日本でも世界に先駆けていい液化のプラントができるだろうというようなこともおっしゃっておるわけでございますから、私どもとしましては、そういったことを考えてこの研究に邁進していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  128. 工藤晃

    工藤(晃)委員 石炭液化の技術研究開発をどう進めるかという問題で引き続き伺いたいのですが、私、疑問に思いますのは、いただきました資料の中にあります新エネルギー総合開発機構予算の中に、サンシャインの石炭液化の方は十五億円、SRCIIプロジェクトの分担金は七十五億円、数倍も多いわけですね。私はまた、ただいまの工業技術院の公害資源研究所や北海道工業開発試験所、九州工業技術試験所の研究職定員の推移をずっと見ましたが、公害資源研の場合は、たとえば四十五年度二百七十九名、五十四年度二百六十九名、それから北海道は四十五年度が七十九名、五十四年度が七十四名、九州は四十五年度が七十一名、現在が七十名、ほとんど細々とやっていてふえていかない状態にあるわけなのです。こういうときにこういう予算の分け方を見ても、新しい機構ができて、石炭液化といえばSRCIIが主体だということになったら一体どうなるのだろうかという危惧を非常に持っています。  そこでSRCIIについて伺うわけですが、これは日米エネルギー技術協力協定の調印が行われた直後に私は外務省の関係の方を呼んで伺いましたが、そのときこういう問題を聞いたわけです。これはアメリカが五〇出す、西ドイツが二五、日本が二五、こういう割合でお金を出し、人を出すわけであります。しかし、この協定によってここで新たに生まれるであろうところの工業所有権とか実施権はどうなるかと言いましたら、外務省のその当時の答弁は、もともとの特許はガルフにあるから、新しい特許はエネルギー省、DOEに行くであろう。実施権は、われわれは日本へ移したいと思っているけれども、この協定ではそれがまだ決まってないんだ、詰まってないんだということであります。そういうことをはっきりさせないでこういうことを調印してしまったこと自体重大だと思いますが、その後、こういう問題で交渉を続けているのでしょうか。果たして実施権は日本へ来るのでしょうか。これはどなたがお答えになりますか。
  129. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の成果の配分がいま三国間、日本、アメリカ、ドイツの間で議論になっている最中でございまして、これを決定する機構としましては一応原則的な了解はついております。負担に応じて公平に配分しようというところまではついているわけでございますが、具体的にどういうスキームでやるかということについてはいろいろの案がいま出されている段階でございます。それをめぐっていま議論をしているわけでございますが、この議論の場所というのが、各国の政府代表によります運営委員会というのがございます。通称ステアリングコミッティーと言っております。そこでいまいろいろ議論しております。わが国といたしましては、成果の配分が固まらない段階では正式調印をしないという態度で臨んでおりますので、今後の交渉を進めて、具体的なスキームができるよういま努力している状況でございます。
  130. 工藤晃

    工藤(晃)委員 それではSRCIIのプロジェクトに対して人は一体どこから出すのであろうか。金はどうも政府から出すということなんですが、人は一体どこから出すのかという問題で、実はこれも総合エネルギー調査会基本問題懇談会国際協力問題分科会の昨年十二月二十日の「SRC−IIプロジェクトヘの我が国の参加について」の中間報告というのがございます。この中で、「我が国の参加のあり方」というところでこういうことが書いてあります。「米、西独においては、ガルフ、ルール・コーレが本プロジェクトの推進母体である国際ジョイント・ベンチャーに参加する予定となっており、本プロジェクトの進展に応じ、国際ジョイント・ベンチャーが商業化段階に入る場合にも、それに備えうる体制となっているが、我が国においても本プロジェクトの商業化段階にスムーズに備えうる体制であること。」こういう体制で参加しましょうということを書いてあるわけですね。西ドイツの場合ですと、ルール・コーレという事業体があって、これは公社だと聞いておりますが、これが研究開発の段階からそのまま商業化に入っていく。ところが日本の場合、ガルフとSRCにつきまして技術協定をやっているのはさっき言いました三井グループであります。ですからこれを素直に読めば、商業化段階までスムーズに入っていくには三井が主体になって人が出ていくということにならざるを得ない。片一方ではエッソとかその他のいろいろな系統があるでしょう。そういうところ、つまりガルフといろいろ競争相手の関係にある日本企業から人が行くとそこに漏れてしまう。だとすると、そういう人がたとえアメリカに行って参加しても一番大事なところは見せてもらえないということになれば、一番スムーズなのは三井の人が行くということになるように、この分科会の中間報告はなっていると受け取るわけですが、そういうことでしょうか。
  131. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  この事業というのは三国間で委託費でやるということになっておりますが、研究の主体は三国の政府間で話し合った結果、政府間の負担と同等の負担を民間ベースでお互いに出資しまして、国際ジョイントベンチャーをつくる、そこで研究をし、成果はそこに帰属させるようなことを考えようというのが第一点。したがいまして、ここの答申にもございますように、それにはわが国としてはナショナルプロジェクトにふさわしい企業でなければいけないということで、現在その企業づくり、これも多分ジョイントベンチャーになると思いますが、それをいまつくるために各種の話し合いをしている段階でございます。そしてそういうものができた暁には、そこの日本のジョイントベンチャーから国際ジョイントベンチャーに人を派遣するということを考えております。
  132. 工藤晃

    工藤(晃)委員 ジョイントベンチャーでさっき私が読み上げたように、西ドイツの場合はルール・コーレという一つの事業体といいますか、公社が参加するからそのまま商業段階に入っていくけれども日本の場合ガルフと手を組んでいる三井グループあり、またエッソと組んでいる別のグループあり、いろいろあるわけですが、エッソと組んでいる人もどんどん一緒に入れていくというふうに考えているわけですか。その点であります。
  133. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  国際ジョイントベンチャーをつくる際にも、今後商業化にスムーズに移れるように日本側も態勢を整備してくれ、したがってエンジニアリングも含めてかっこうな、適当なジョイントベンチャーをつくってくれないかということで、いま経団連のエネルギー推進委員会の方を中心に国内の態勢を整備しておるというふうな段階でございます。
  134. 工藤晃

    工藤(晃)委員 どうも私の質問にさっぱりお答えにならないですね。  先ほど言いましたように、商業化段階にスムーズに入るならば、いまガルフと固く結びついているのは三井グループであります。だから三井が主体になれば恐らくスムーズなんでしょうが、たとえばエッソと一緒になっているグループの人たちが入るということも考えられるのかどうか、また、政府は一体どういう方針で臨むのか、そういうことでトラブルが起きたときにはどうするのか。三井ばかりならばこれはナショナルプロジェクトというのもだんだんおかしな話になってきまして、こういうのをナショナルプロジェクトと言ってはいけないし、してはいけないと思うのです。そのことがどうもはっきりしませんね。
  135. 森山信吾

    森山(信)政府委員 事実関係は先ほど石炭部長が御答弁申し上げたとおりでございますが、工藤先生の御質問にずばりお答え申し上げますと、御指摘のとおりだと私どもは考えております。  従来のガルフ対三井グループということに着目いたしますと、それが一番商業化のためにはスムーズにいくのではないかというふうに考えておりますけれども、そこにナショナルプロジェクトという立場を考えますと、三井グループだけに資金的な援助あるいは技術的な援助をすることについてはいささかの問題がありということでございまして、先ほど日本が国際ジョイントベンチャーに参加する主体をどうするかということは石炭部長がお答えしたわけでございますけれども、端的に申し上げますと、なるほどこれがオールジャパンのナショナルプロジェクトだなと内外ともに理解していただくようなグループづくりをして、そこが出ていくというかっこうをとりたいということでございます。具体的に申し上げますと、経団連のエネルギー推進委員会中心にいたしまして、具体的にどういう企業に参加していただくか、つまり三井色だけじゃない、オールジャパンの色彩を持ったジョイントベンチャーというものを結成しない限りは、政府としてはてこ入れできませんよという基本姿勢を持っているということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  136. 工藤晃

    工藤(晃)委員 いままでのお話を伺っても、この協定自体で果たして実施権が日本の手に入るのかもまだはっきりしておりませんし、また、ジョイントベンチャーといっても実際にだれが行くのか、いろいろ困難もあるし、下手をすれば三井色の強いところがナショナルプロジェクトというふうに名乗ってしまう、また、そうしていろいろ援助を受けることになるおそれがあるということがはっきりしたと思うのです。  それにしても、さっき言いましたように、サンシャイン石炭液化の方は十五億円で、SRCIIプロジェクトの分担金の方は七十五億円、お金を出す方はまだそういう状態であるということは非常に疑問を感じるわけです。  同時に、もう一つだけ提起しておきますと、「サンシャイン計画の加速的推進戦略」の中にあります一九九〇年ごろまでの石炭液化も、これはこの中の二十ページにありますが、「昭和六十五年度までに海外立地を中心に、三程度の地点において、石炭処理量合計九万t/日の液化プラントの開発を図る。」注がございまして、ただし合弁で、それこそ日本に入ってくるのが二分の一ならばもう倍つくらなければいかぬという話なんですが、海外立地主体になっているわけなんです。  そこで、いろいろ私が考えるのは、もっと国内炭を利用した石炭液化、もちろん国内炭だけでなしに海外炭を輸入するにしろ、日本において、しかもその技術開発が同時に日本においての技術蓄積になるような方向がなぜ選べないだろうか。そしてSRCIIができて商業化する、それに似たようなことがアメリカで、あるいはオーストラリアで、どこかわかりませんが、そういうふうにして行われていくということになると、この石炭液化の技術開発というのは、本当に日本にとってエネルギー問題の解決になるだろうかという疑問を呈したいわけなんです。  私は、三井コークスで伺った中で一つ非常に印象づけられたのは、前のSRCというのは比較的水素の添加率が低いですから、安いコスト、また安い石炭も選べるというので、経済性ということでは将来性がありそうだということはそうなんです。しかしいまのところ日本の場合、海外から石炭を入れてきてやってみても、SRCIIをそれこそ製鉄用のコークスをつくるときの粘結材に使う、これは非常に有望だ、これもそうだろうと思うのですが、あとは何を考えているかというと、燃料よりも炭素の原料として、電極をつくるとかファイバーをつくるとか、そういう原料として考えている、そして付加価値をなるべくSRCにつけていかなければやっていけないというのが三井側の考えだったわけなんです。そういうことで、仮に海外立地ということになっていって、しかも石炭はだんだん、というよりもすでに売り手市場になっていくときに、これが非常に高い値段日本へ来るようならば、このSRCというのは結局日本にとっては燃料にはならないで、何かの原料になる。せいぜい原料炭を少し節約するかもしれないということで、本当の意味での代替エネルギー、新エネルギーになるのだろうか。アメリカではSRCIIをやって発電所でぼんぼん燃やすというけれども、それは日本はいまの段階ではできないとぼくは思うのです。  そういうことで、海外立地主義ということだとそういう問題が出てくるし、同時に、石炭液化というのをどう位置づけてどう進めるのかという方針が立ってないのじゃないか、私はそう思います。石炭液化といって水素をどんどん加えれば、それはどんどん軽い油ができるけれども、やたらに高くなる。SRCぐらいの段階であったならばこれを重油のかわりにして、重油はそのかわり軽い油を取る方に回すということになれば、これは一つエネルギーの代替になると思うのですが、そういうこともちょっと展望がないと思うのです。一体この石炭液化の方向、私がいま指摘したような点、海外立地主義オンリー、そういう展望についてどう考えているのか。大臣、どうですか。
  137. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 石炭液化の問題は、御指摘のとおり国内炭が二千万トンという制限の中で、日本石炭に頼って液化をするということには相当の困難があるというように考えておるわけでございます。したがいまして、勢い海外に立地を求めるということ、あるいは海外炭を日本に持ってきてここで液化するという二つの方策が考えられるかと思いますが、重油あるいは原油が非常に有効に使われるということは、運搬上の一つのメリットがあるということもございますので、海外に石炭液化装置を立地させるということは技術的に見て非常に興味のある問題であろうというように私は考えております。しかし、液化をする場合に大規模なプラントをつくるといたしますと、きわめて多量の原料炭が要るわけでございまして、たとえば十万バレル・パー・デーくらいの供給能力のある液化プラントを考えますと、年間一千万トン近い炭が要るというような状況でございます。したがいまして、たとえ海外にその立地を選ぶといたしましても、石炭の賦存量その他につきまして相当の調査及びその炭質についての調査を十分にしてやらなければいけないというように思っております。特にサンシャイン計画は十年後にとにかく相当数の石炭液化ができるように、コマーシャルプラントまでいくようにということをいま考えておりますので、現在たとえばオーストラリアの炭というものも念頭に置き、あるいは場合によっては将来中国の炭というものも念頭に置き、ある程度立地その他を検討しながらそれに伴う最も適した液化技術を国みずからの力で、つまり日本技術でくみ上げていく必要があるかと存じております。  SRCIIの問題が出ましたのですが、SRCIIは御承知のとおり、六千トン・パー・デーという非常に大きなデモンストレーションプラントをすぐにでも設計しようという、私どもから見ますときわめて興味のあるプロジェクトでございまして、小さいプラントから六千トン・パー・デーに持っていくいわゆるスケールアップの技術につきまして、私どもはこの作業に参画するということによって相当裨益される部分が多いというように考えておるわけでございます。
  138. 工藤晃

    工藤(晃)委員 この問題はもう少し議論したいのですが、こういう石炭液化の展開といいますか、海外の原料立地とそこで付加価値を高めて日本へ持ってくるというやり方ですが、そうすると、どういう企業形態になるか。私は、一つはLNGが暗示しているのではないかと思いまして、資料をここに持ってまいったわけです。これはわざわざ書いてお配りしたのは、LNGの企業体というのは案外よく知られていなくて、たとえば石油公団天然ガス事業室が昨年十月出した「我国のLNG・LPGの現況」というのを見ましても、ブルネイについては大変間違ったことを書いてあります。間違ったというのは、これは私がちょうど一九七七年衆議院の予算委員会で明らかにした段階の、たとえばコールドガス・トレーディングというのは三菱商事が五〇、シェルが五〇と言ったのですが、あれは私が質問した段階ではまだバミューダ島にあったものであって、その後、私の質問の後にブルネイに移されまして、これはシェル、三菱商事、ブルネイ政府おのおの三分の一という形態になっていったわけで、石油公団でさえこういうことをいまどき書いているというので、いかによくわかってないかということを痛感したわけなので、こういう資料をつくり直してみたわけであります。  この中で、アラスカは単純輸入ですから、フィリップスとマラソンがガス田とLNGの生産をして、ユーザーである東京瓦斯や東京電力に売るという形であります。図でちょっと書き落としたのは、フィリップス、マラソンの合弁事業としてちょうど斜めに書いてあるのは輸送会社の意味で、輸送というのを書き落としました。それで、ブルネイLNGのプロジェクトというのは、ここにありますようにシェルと三菱商事があって、ブルネイ政府も入りまして、ガス田はシェルとブルネイ政府、それからLNG生産はシェル、三菱、ブルネイ政府がおのおの三分の一、それからブルネイ・コールドガス・トレーディングというのがやはり三分の一ずつ、このほか日本LNGというのが五〇%、五〇%でやられております。それでこの場合、ブルネイ・コールドガス・トレーディングというのは販売と言っておりますが、事実上直接ブルネイLNGからユーザーに送られているということは私が予算委員会でも明らかにしてきたことであります。  これの一つ一つについて私全部説明を加えるつもりはないのですが、この日本と関係のある合弁、三つですね、ブルネイとインドネシアとアブダビ、これを見て共通して言えることはメジャーが入っている、それから日本の商社その他の大企業が入っている、それから現地の企業あるいは国営会社というものが入っている。その合弁形態をとっているわけでありますが、しかし、これはガス田、井戸元ですね、これがまず合弁になる。それからLNG生産のところも合弁になる。そして場合によれば販売、流通、そこも合弁ということでやられてくるわけであります。したがって、いま石油問題がよく産油国がどんどん値段を上げるからどうのこうのというのと違いまして、このLNGについてはガスのもとから生産段階、これは技術の要る段階でありまして付加価値をつける段階でありますが、それから販売段階までメジャーや大企業の支配権が非常に強いという点では、石油とまた非常に違う状況にあるわけであります。これはさっき言いました石炭液化もメジャーとの合弁でやっていくと恐らくこういう形になるというので私は言っているわけであります。また、わが国のユーザーの価格交渉を見ても、それこそブルネイで言えば東京電力東京瓦斯、大阪瓦斯がブルネイ・コールドガス・トレーディングと交渉をするという形をとってくるわけであります。  なお、JILCOのインドネシアの場合、これは非常に変わっているのは、ユーザーである中部電力関西電力、九州電力、新日鉄、大阪瓦斯は直接プルタミナと交渉して買う関係にあるのですが、このプルタミナにLNGを売っている会社というのは、さっき言ったユーザーである日本の諸企業から成るJILCOですね、これが入っている。そしてそのもとはハフコグループとモービルオイルということになるわけなんです。ですから、なるほどプルタミナと価格の交渉などをやっておりますけれども、プルタミナに売りつけている方には日本のJILCOが入っている、それでまたもとはメジャーがいるという関係になります。したがって、このJILCOグループというのはみずからもプルタミナから買うけれども、同時にプルタミナに高く売りつければ売りつけるほど利益が出てくる、こういう利害関係に置かれているという点で大きな特徴が見られるわけなんです。  なぜ私がこういうことを特に強調したかと言いますと、ことしの三月三日の衆議院予算委員会でわが党の藤原ひろ子議員がLNGの問題で質問をしました。その中で、たとえば五十四年四月から九月までに三菱商事の配当金が百億円ということになりますと、三分の一ですから、当然シェルとブルネイ政府も三分の一と考えられて三百億円になりますが、この三百億円というのは、そのときに日本が買った七百二十五億円の約四一%というようなべらぼうな利益がこのコールドガス・トレーディングの配当として支払われているというわけであります。  このことを見ても、液化天然ガスの場合は、こういう合弁事業で生産段階からやられているだけでなしに、どこか非常に利益をため込むような、ちょっとわけのわからぬ企業が間につくられて、そこがブルネイのように利益をどんどん出して、そうして親会社に配当金を送る、こういう仕組みになっているわけであります。  先ほどの藤原ひろ子議員の質問の際、私もあのときおりましたけれども資源エネルギー庁長官が、要するにそれは産出国が値段をどんどん上げるし、売り手市場だからしようがないよということで答弁されたのですが、実は石油の産出国と違って、こういうもとに日本企業やメジャーが入って、そうして価格形成をどうするかということに参加して、それを日本が買うという形になるわけなんですから、その辺が大きく違うわけで、それはまた同時に、それこそ海外で石炭液化が行われるようになると、そこにメジャーや日本企業が入って、日本に売るSRCとかそういうものを相当高い値段につり上げて、それこそ創業者利益をどんどん得ながら売ってくるという可能性がある。そういう暁には日本には入ってきても燃料にはならなくて、それこそ何かの原料にしか使えないというおそれがあるということなので、こういう企業体になるということを政府もはっきり認識しておく必要があるのじゃないかと思うわけであります。  時間が参りましたので、その点につきまして長官及び大臣から御答弁いただきたいと思います。
  139. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何遍も申すようでございますが、きのうLNGの国際会議がございまして、私も出ましたが、日本の代表であります東京瓦斯の安西さんが、長期の契約を結んで、そして価格を採掘、液化その他全部計算して決めておるのに、産油国と申しますか、LNGを出しておるところでは、油の値上がりにリンクして上げなければならぬという理屈はどうにもわからぬという非常に強い抗議をしておりました。私も実はよくわかりませんので、いまお話を聞きますと大分複雑なことがいろいろ生産あるいは採掘面であるようでございまして、少し研究してみたいと思います。
  140. 森山信吾

    森山(信)政府委員 引用されました予算委員会での質疑は、私もはっきり覚えているわけでございますが、LNGの問題につきましていろいろと御指摘を受けたわけでございます。  確かに、現段階におきましてLNG価格というものが石油価格にスライドしていくというメカニズムになっておりますけれども、やはり初期の段階におきまして、日本側といたしましては少しでも安いLNGの供給を受けたいという願望がございまして、そこに進出してまいったわけでございます。これは午前中の質疑にもございましたのですが、LNGのプロジェクトというのは大変な資金負担とリスクを負うものでございます。そこで、それだけの資金負担あるいはリスクにたえられる一つの組織というものを通して安定供給というものを図っていくというアプローチは決して間違っていないのではないかということでございまして、いまたびたび御引用になりました商社あるいはメジャー、こういったものが現段階におきましてはやはり何といいましてもプロジェクトの遂行のための資金負担なりあるいはリスクの負担をし得る一つの組織体であるということから考えますと、そういうものを通して安定供給を図っていくというメカニズムは今後とも継続してまいりたい、こういうふうに考えます。そこに出てまいります弊害というものを除去するという仕組みは確かに考える必要はあると思いますけれども、一面におきまして、資源を安定的に供給するための資金負担あるいはリスク負担能力ということから着目いたしますと、それだけのものを国民は期待しているわけでございますから、その分につきましての配慮というものは当然考えなければならぬということでございまして、たとえば一商社あるいは一メジャーが過分に利益を追求するという姿に対しましては、私どもはあくまでも挑戦をする必要があると思いますけれども、やはりそこに産油国とのバランスという問題を考えますと、安定供給の立場からは、現状が一つの方法としては是認されていくべき方向ではなかろうか、こういう考え方を持っている次第でございます。
  141. 工藤晃

    工藤(晃)委員 時間が参りましたが、どうも最後の長官の答弁だと、弊害を除去する努力はすると言われましたけれども、これから海外立地、それから特にメジャーとか商社が主体になっていろいろ合弁事業をやっていくときに、そこに対する本当に政府としての厳しい監視とか監督あるいは介入、そういうものを考えていかなければ、それこそ電力料金やガス料金がどんどん上がるということになってきますから、また本当にわが国エネルギー問題を解決できないということになりますから、それでは困るので、その点をもう一度強調しまして、私の質問を終わります。
  142. 塩川正十郎

    塩川委員長 これにて工藤晃君の質疑は終了いたします。  次回は、明九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十六分散会