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上坂委員 法律関係の
質問はこれで終わりますが、一番最後に
長官が答えられた
中小企業対策について
一つ質問をいたしたいと思います。それは官公需に関する問題でありますが、特に軽印刷業界の問題であります。
軽印刷業界のいまのいわゆる物価、これから値上がりする問題、それからいままでの
状況、これを見ますと、これは大変な
状況になってきているわけであります。これは試算をしたのがありますが、五十四年の四月を
考えてみますと、売上高に対して費用の合計が大体九四・一四%だったんです、売上高を一〇〇%として。したがって、営業利益は五・八六%あったわけです。ところが今度の電気料金あるいはガス料金、そうしたものの値上げその他のいわゆるこれに関連する原料値上げを
考えますと、売上高を一〇〇%としますと、費用が一一三・六%という試算になります。そこで一三・六%の赤字、マイナスが出てきます。民間の場合にはいろいろな交渉しまして、これについてはこの分を埋める一五%から二〇%程度の値上げについては向こうが承諾をする、こういう傾向になっています。これは今後の折衝にも係りますが、大体向こうだって商売ですからできるだけ低く抑えたいと思うのは当然ですが、お互いにやはり生きていかなければなりませんから、そういう点で認める。ところが、認めないのが官公需なんですね、そこにやはり問題があるわけです。幾ら
中小企業対策を強めるとかなんとかと言っても、現実にこうした
中小企業がたくさんいるところの値段を低く抑えて、そしてその値上げに応じないようでは、これはとても
中小企業対策などと言われた筋合いのものじゃないのですね。そういう点について私はこれからも要請をしたいと思うのですが、ただ、
一つ例を挙げますと、軽印刷の場合にはいわゆるオフセット、写真植字というものが主力です。したがってフィルムをたくさん使うわけですね。このフィルムというのは小西六と富士フイルムが独占をしているわけです。銀の値上がりを見ますと、昨年の同じ時期でありますが、一月ごろにこれはキログラム当たり四万円だった。ところがこれが八倍ぐらいに値上げをしているわけですね。そうして値上げしたものがそのまますぽっとフィルムの値上げにかかってきて、これが印刷業界を圧迫しているわけですが、最近の
状況では銀が少し下がって半分ぐらいになっている。しかし、それでもやはりその
状況というのは知らせてくれないから、原料を買うときにはなかなか交渉ができないわけです。したがって、どうしてもこうした大きな資本の値上げについてはこれを阻止することができない。そういう形のものが非常に大きく経営を圧迫しております。だから、圧迫しているから結局
仕事の面での単価も上げなくちゃならぬということになるのですが、
官庁の方はこれは全然応じてくれないというのがいままでの
状況でありましたし、これからの
状況であることに間違いありません。
そこで、いわゆる官公需として軽印刷業界等に対する発注については十分経営が安定できるようなそういう計算をして、そこで発注をするという
体制をひとつこれは各省ともとってもらわなければなりませんから、まず
通産省がリーダーになって全省庁に対してそういう指導をひとつしていただきたいと私は思います。これが第一点。
それから第二点は、その場合に問題になるのは契約の仕方なんです。というのは、印刷業は製造業という産業分類になっているのです。ところが契約をする場合には物品購入の契約がなされるのです。いわゆる請負契約にかかりますと、予定価格というのがあってあるいは最低限の価格が予定をされて、そこのところは余りひどい価格でやると信用ができないからというのでそこからは外して、そこの上の価格で予定価格に近いところで落とすというのがいわゆる契約の仕方なんです。ところが物品購入ですと、これはたたきにたたいて一番低いところで契約をしていく、こういうかっこうになってしまいますから、なかなか適正な価格で発注を受けることができない。ここに非常に大きな問題があるのです。製造業であるならばいわゆる工事契約のものに関連をしてそこへ含めるべきではないか、こういうふうに私は思っているわけであります。
したがって、いま軽印刷業界は第二次の構造
改善の指定を
通産大臣に申請をしているわけですね。第一次は指定になりまして、それぞれ企業内の
努力をやりまして、そして体質
改善をやってきたわけです。これを今後このままで、この官公需の契約の
状況というものを直さないならば、せっかく構造
改善やって体質
改善してもこれはもうむだであったということになってしまう。もっともっとひどい
状況にいかなきゃならない。だから、幾ら構造
改善、体質
改善をやってもどうにもならないというようなところへ
中小企業を追い込まないようにしてもらわなければなりません。そういう点で、軽印刷業界の契約についてひとつ確固たる方針をお示しいただきたいと思います。