○渡部(恒)
委員 いまそういうことはないという
大臣の答弁で、私もそう願いたいと思っておったのです。実はこれは前にもあるのです。
大臣、これもお聞き及びと思いますけれども、
通産省の絹在庫の統計ミスが非常に養蚕農家の生糸の市況を低迷させて、苦労をさせて問題になった。これはもう純粋な統計ミスであるという説明であったわけです。しかし二度こういうことが起こると、やっぱりあの統計ミスも
通産省が作為的にやったミスかというようなあらぬ勘ぐりも受けざるを得なくなってくるので、特にいま農産物、生糸、畜産物、こういうものの価格
決定の非常に重大な時期で、これは全国の農民、農家が注目をしておる。そのときに
通産省のトップ官僚である事務次官ともあろう者が真っ向から今日のわが国における農業を否定するような発言をされたということは、これは重大な問題です。私は、これは
通産省は
大臣を先頭にして、そういうことは絶対にないんだということをただ言葉だけでなくて具体的な
政策で示して、なるほど矢野次官のああいう発言があったけれども
通産省の考えはそうじゃないんだ、やはり三千年の民族の歴史を守ってき、また今後の民族の生命、安全保障にとって最も重大な食糧の自給というものを担っているところの農業と商工業を共存調和して繁栄させる
政策なんだということをわからせるためには、これは具体的な
政策で示していただく以外にこの汚名を晴らす
方法はないと思う。これはわが党の野田議員がこの後具体的な問題について質問しますから、誠意ある答弁をしていただきたいと思いますけれども、これは天下の読売
新聞の記事ですからね。全然ないことを書くはずはないと思うので、しかもこれは詳しく書かれておるわけなんですからね。私どももいま党の商工部会に所属して、
産業政策、
通産省のいまやっておられるエネルギー
政策あるいは技術革新あるいは
中小企業政策、これがいまわが国の
経済にとってきわめて重大な問題であり、また戦後三十年間わが国の国民生活が今日まですばらしい繁栄をしてきた中で、これはわが国のような狭い国土で、資源のない国で、これだけ
アメリカに次ぐ生活水準に進めるために
通産省がやってきた
産業政策というものがいかに国家的な貢献が多かったか、また今後も大事だということは十分
承知しておる。しかしそれはあくまでも農業を否定して商工業が発展するなんということでなくて、むしろ世界に向かって
日本の
産業政策が発展していくことが
日本の
国内の農業を守り、農村を繁栄させていくことであるということで進めておるわけですね。
よく
地方なんかに行くと、何か農業と工業が相対立するものであるとか、
通産省の
政策が何か農業をいじめるものであるとかいう間違った宣伝等もなされて、そういうことはないのだということをわれわれは言ってきているのに、それを、通産官僚のトップが真っ向からわが国の農産物の生産を否定するような発言をされるということになれば、わが国の通産
政策というものを根本から見直さなければならないということになって、これは単に一次官のちょっとした失言とかそういうことでない、わが国の
産業政策の基本に関する問題であります。また、わが自由民主党の基本
政策に関するものでありますから、きょうここでただ事実がどうかなどということでこれは終わるものではありません。
大臣がやはりこれからの
通産省の
政策は決して矢野次官が言ったものでないと考えておる、農業を大事にして農村を繁栄させていく、その上に立ってわが国の工業を世界に向かって発展させていくのだということを、人事なり
政策なりの面ではっきりとあらわしていただかない限り農民は納得しませんし、また農村の支持によって戦後三十年間多数をとって、今日わが国の政権を担当しておる自由民主党の農村に対する責任を果たせないので、これははっきりとそうでないのだということをわれわれが説明できる回答をできるだけ早く
大臣にしていただくように要望して、同僚の野田君にかわります。