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1980-03-25 第91回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十五日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 堀内 光雄君 理事 渡部 恒三君    理事 清水  勇君 理事 渡辺 三郎君    理事 近江巳記夫君 理事 神崎 敏雄君    理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       小川 平二君    越智 通雄君       大塚 雄司君    粕谷  茂君       鴨田利太郎君    工藤  巖君       田原  隆君    橋口  隆君       原田昇左右君    深谷 隆司君       水平 豊彦君    粟山  明君       渡辺 秀央君    石野 久男君       後藤  茂君    上坂  昇君       松浦 利尚君    山本 幸一君       長田 武士君    木内 良明君       中川 嘉美君    森田 景一君       小林 政子君    安田 純治君       中井  洽君    横手 文雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         通商産業政務次         官       梶山 静六君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         中小企業庁長官 左近友三郎君         中小企業庁計画         部長      中澤 忠義君  委員外出席者         中小企業金融公         庫総裁     船後 正道君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   森田 景一君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   浅井 美幸君     森田 景一君 同月二十五日  辞任         補欠選任   辻  英雄君     工藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   工藤  巖君     辻  英雄君     ————————————— 三月二十二日  電気料金改定に関する請願(野田毅君紹介)(  第二八〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内良明君。
  3. 木内良明

    木内委員 私は、前回公庫法案審議に引き続いてお聞きするわけでございます。前回も若干触れましたけれども、この中小企業金融公庫が現在採算が悪化しているという状況にあるわけでございますけれども、今回の法案提出に絡んで追加出資あるいは債券発行限度額引き上げ、加えて前回総裁の方からも御答弁をいただきましたが、手数料と利幅のバランスの問題、そういった問題も総合的に勘案して、今後中小企業金融公庫における財政のいわゆる健全化を図る上からの総合的な対策はどのようになっておられるのか、お聞きします。
  4. 中澤忠義

    中澤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、最近の中小公庫利ざや縮小等状況にかんがみまして、今回二十億円の出資等の措置を決めておるわけでございますけれども、現在の赤字原因といたしましては、運用部金利貸出金利との利ざやが縮小しておるということもございますので、手数料の幅の改定も含めまして、総合的に長期的に資金計画を編成していくというふうに考えております。
  5. 木内良明

    木内委員 いまお答えのございました手数料の問題は、具体的に何か見通しを立てておられますでしょうか。当然これは重要な問題でございますので、長期的な見通しを立て、さらにその上で経営健全化を図るということが私は重要な問題だというふうに思うわけでありまして、お聞きします。
  6. 船後正道

    ○船後説明員 公庫代理貸し手数料につきましては、前回先生に御説明申し上げましたが、この四月一日から手数料改定を計画いたしておりまして、全体といたしましては平均二〇%程度引き下げ、ただし、小口優遇の意味もございまして、一件貸し付けが一千万円以下につきましては一〇%程度、一千万円から二千万円までの区分につきましては二〇%程度、二千万円を超える金額につきましては三〇%、この程度手数料引き下げを四月一日から実施することを予定いたしております。
  7. 木内良明

    木内委員 次に、代理貸し付けと直貸し割合の問題でございますけれども前回も触れましたように、ここ数年来にわたって総裁初め政府の皆さんがいろいろと努力をなさって、直貸しが本来的には公庫設立趣旨からいきまして理想ではあるけれども、なかなか手足が十分整っていないということで、データとしては決して十分なものではなかったけれども努力の結果、直貸しシェアというものが非常に増大をしてきた、近年においてはほぼ五〇%五〇%ということになってきたわけでありまして、ちょうどこの中小公庫運営歴史的過程から申しましても、こうした数字的データが出た段階で、もう一度この割合が本来どうあるべきかということを検討すべきではないかと私は申し上げたわけでございます。それに対して大臣も、ぜひともこれは前向きに検討していきたいというふうにおっしゃったわけでございます。  申し上げたような設立趣旨から考えまして、どういう方向でこれを検討されるのか。いわば直貸しをさらに拡大されようとするのか。あるいはまたフィフティー・フィフティーというシェア状況になった段階で、これを固定的におおむね策定していくというふうな方向でおられるのか。私はやはり公庫健全経営ということから考えても大事な問題であると思います。これは長官にひとつお聞きしたいと思います。
  8. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおり、現在直貸し代理貸し割合は、融資残高では直貸し六、代理貸し四というふうな比率になっております。当初は支店網も少のうございましたので代理貸し比率が多かったわけでございますが、ここまで来たわけでございます。  中小公庫貸し付け趣旨といたしましては、やはり直貸しというものが中心になるべきであるというふうにわれわれは考えておりますけれども、やはりそれは店舗網拡充というものともまた関連をいたしますし、それからまた、貸し付けを受ける人の希望によって、従来の窓口である民間金融機関を利用したいという気持ちもあると思います。したがいまして、直貸し中心という思想を中心にしながら今後やってまいりますけれども代理貸しについても希望をある程度取り入れて存続はいたしていきたいというふうに考えておりますが、基本的には御指摘のとおりの方針でわれわれも今後検討してまいりたいし、またそれに必要な店舗網拡充等を実施してまいりたいというふうに考えております。
  9. 木内良明

    木内委員 そうしますと、長官、いまのシェア割合というものはほぼ妥当であるというふうにお考えでしょうか。
  10. 左近友三郎

    左近政府委員 現在の店舗網状態を前提にいたしますと、まずこの程度だと思いますが、申し上げましたように、店舗網拡充等々を図っていきますればもう少し直貸し比率拡充することは可能であろうというふうに考えております。
  11. 木内良明

    木内委員 いまお話のあった店舗網の問題については、後ほどまた触れたいというふうに思っております。  いま大変問題になっておりますのが代理貸し付け金融機関におきますところの、いわば客観性の乏しい融資実態というものが間々見受けられるということでありまして、たとえば民間金融機関でございますと、自分のところと長い取引をしているところ、あるいはよく業務内容等について知悉しているというふうな表現をされるわけですけれども、こうした顧客に対して優先的に政府資金融資する、いわば政府のプールした原資を使って銀行実績顧客との信頼関係をさらに大きくしていこうという、そうした面が見受けられるわけであります。私は決してこれを情実金融とは言いたくありませんけれども、本来もっと資金需要を持っております一般中小企業者需要に対する枠というものが、この結果狭められるようなことがあれば問題だというふうに思うわけでありまして、こうした実態についてはどのように受けとめておられるか、お聞きします。
  12. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のような事態が、非常に代理貸し件数も多うございますので全くないとは言い切れないと思います。しかしながら、政府系金融機関貸し付けというものは、いま御指摘のあるように資金需要のある中小企業者にひとしく融資するというのが理想でございますし、また、それを貫いていかなければいけないと思いますので、今後われわれの方から金融公庫に話をし、また金融公庫からもそれぞれの代理店に対してそういう点での注意を十分促していきたいというふうに考えております。
  13. 木内良明

    木内委員 具体的な注意ないしは指導というものはどういうふうにいま行われていますか。
  14. 船後正道

    ○船後説明員 代理貸しにつきましては、ただいま長官からお答え申し上げましたように、平素公庫貸し付け趣旨というものを十分理解して貸し付けるよう指導いたしておるのでございますが、その指導方法といたしましては、一つには代理店所管部店が常時代理店へ参りまして実務の指導を行うということと、いま一つは本店に監査部がございまして、この監査部によりまして定期的に代理店公庫資金貸付状況監査を実施いたしております。この監査を通じて代理貸し付け趣旨が徹底するように指導いたしておるわけでございます。
  15. 木内良明

    木内委員 いま監査部スタッフは何人ぐらいいらっしゃいますか。
  16. 船後正道

    ○船後説明員 十二名でございます。
  17. 木内良明

    木内委員 代理貸し付け金融機関店舗数並びに年間扱い件数はどうなっておりますでしょう。
  18. 船後正道

    ○船後説明員 代理店は八百四十八でございます。なお、支店を含めた取り扱い店舗数は約一万二千でございます。  他方、年間代理貸し取り扱い件数でございますが、五十三年度の実績で申し上げますと五万七千件でございます。
  19. 木内良明

    木内委員 八百四十八店舗ですね。五万七千件の年間融資件数を扱っておられるわけでありますけれども、これを監査する機能として、実は現在わずか十二名しかいないというのが実情でありまして、私はこれは大変十二名の方にも大きな負担がかかっていると思います。それなりに公庫としても監査機能充実ということで御努力をなさっているとは思いますけれども中小企業庁長官、この十二名で十分だとお思いかどうか。さらに、先ほど私が申し上げたところの、民間代理貸し付け金融機関における本来の趣旨に基づいた融資が常時行われているかどうかということをチェックする機能としては果たして適切かどうか。これはむしろ公庫の当事者よりも、私は長官の方によくお聞きをしたいところでありますのでお願いします。
  20. 左近友三郎

    左近政府委員 現在の十二名の方々が十分いろいろ努力をしてやっていただいておるとわれわれは確信しておりますし、現にそういうふうになっておると思いますが、この監査のやり方その他将来を考えまして、ではその十二名で大丈夫かということになりますれば、これはまたいろいろ必要な仕事があろうかと思います。ただ、こういう時代でございますので、公庫人員の増については従来とも厳しい態度でやってまいりまして、極力人員を節減してやるという方針で参りましたので、現在そういうふうになっておるわけでございますが、将来につきましては、そういう極力政府機関人員をふやさないという趣旨を尊重しながらも、必要なものには必要な人をつけるという方針で今後参りたいと思います。したがいまして、早急に拡充をするということは非常にむずかしいと思いますけれども仕事重要性を勘案しながら、将来の人員配置計画考えていきたいというふうに思っております。
  21. 木内良明

    木内委員 これは確かに長官おっしゃいましたように、定員削減計画等がございまして単純に論じられない問題ではあると思います。しかし、総裁としていかがですか、この監査機能を発揮するための陣容十二名というのは不十分だとはお考えにならないですか。
  22. 船後正道

    ○船後説明員 先生指摘のとおり、現在の職員定員をもってしましては十二名以上の捻出はかなりむずかしいわけでございます。加えまして、監査に従事する職員はかなりのベテランでございますので、定員をふやしましても適当な人がなかなか得がたいという問題もございます。  なお、私どもはこういうふうな陣容をもちまして、監査部による監査年間約二百店舗程度、それから部店による監査年間百五十前後、これで合計いたしまして三百五十ぐらいの店舗は一年間監査をいたしております。したがいまして大体二年、長いところで三年に一度という程度監査をいたしておるのが実情でございます。
  23. 木内良明

    木内委員 確かにこの監査部十二名というのは十分ではないというお話でもございます。総裁も大変な平素努力をされているわけですので、どうか中小企業庁長官としてもぜひともこれは前向きに、いたずらに人員をふやせばいいということではなくて、ベテランスタッフの養成を行うとか、あるいは後ほど触れる新機軸のコンピューター導入ですとかオンライン化を目指すのと同時に、質の充実を図っていただいて、現場におけるそうした情実的な金融が横行しないように、ぜひともチェックをしていただきたいと思います。  次に、手数料の問題ですけれども、いわゆる直貸しというのは利息分がまるまる公庫収入になるわけでありますけれども代理貸しの場合には手数料を払って、逆に事故の場合などは補償責任民間金融機関に生ずるということなんですけれども、このバランスが悪化してきて赤字原因となっていることが指摘されているわけであります。もう一度聞くわけでありますけれども手数料利息収入とのバランスについて今後どのような対応をされていくのか、この点、いかがでしょう。
  24. 中澤忠義

    中澤政府委員 利ざや手数料とのバランスが近年悪化しておるということは、先生指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど総裁からもお答え申し上げましたように、近く新年度から手数料率改定を図っていくというふうに考えております。しかし、その場合でも小口金融につきましては、これがその制度の改正によりまして機能しにくくなるということであってはいけませんので、小口の場合手数料につきましては料率を手厚く見るという方向で、機能に支障を来さない限度内におきまして手数料率改定していくというふうに検討中でございます。
  25. 木内良明

    木内委員 貸付限度額の問題でありますけれども、私は、個々の融資ケースにおける限度額をやみくもに引き上げて、そして何が何でもとにかく青天井にしなくてはいけないということを申し上げているわけではないわけであります。加えて健全な償還ということを考えれば、限度額をただいたずらに上げることは決して適当でない場合も確かに出てくるというふうには思うわけであります。しかしながら、中小企業石油危機以降長期不況からいま徐々に脱却しつつある。当然資金需要というものも公庫ケースについては大型化してくる傾向にある。こうした観点から、私は今後当然実情に即した限度額引き上げというものが行われてしかるべきだと思いますけれども、この限度額引き上げについてはどのようにされるお考えでしょうか。
  26. 左近友三郎

    左近政府委員 限度額引き上げにつきましては、時代の変遷につれて逐次上げてきたわけでございますが、今年度昭和五十四年度は、直接貸し付けにつきましては、従来一億二千万円でございましたのを一億五千万円に引き上げ、それから代理貸し付けについても二千五百万円を三千万円に引き上げてこれを実施しておるところでございます。五十五年度は、五十四年度に引き上げましたので引き上げをいたさなかったのでございますが、今後も時代の推移をにらみながら、御指摘のように資金需要がだんだん増大をしてまいりますので、適時適切に対応してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  27. 木内良明

    木内委員 次に、申し込みから貸し出しまでの期間の問題ということで、これは何度も国会で取り上げられてきております。約三カ月かかるということなんですが、私は、こうした議論というものが近年にわかに起こったものかどうか、文献といいますか、資料をずっと調べてみました。そうしましたら、二十年前から三カ月ということでずっと来ているのです。その都度大臣政府関係者も、三カ月というのはやはり需要に応じた理想的な姿とは言えない、何とかスピードアップするように努力をしようということで、二十年間にわたってずっとイタチごっこ議論がされてきておるのです。あえて私はいまここでまたこうして取り上げるわけですけれども、何か本当にいい方法がないものかどうかということを、実際にこれは素朴な疑問として持つわけであります。私は現場の方にいろいろ聞いてみました。相談を受ける人あるいは審査をする人あるいは担保の問題に関する業務を受け持つ人、いろいろいるわけであります。従来三カ月でずっと来た、だけれども、これからまた業務の拡大が行われていく、資金需要もどんどん大きくなっていく。そうすると、さっき申し上げた定員規模というものは現状のままでありながら業務内容が拡大して、いわば職員過重負担になってくる。そうすると、この三カ月というのは私は大変厳しい時間ということになるのではないかと思うのですね。したがって、今後この三カ月というのをどう短縮するかというのが、公庫機能というものを速やかにする上から大変大事な問題だというふうに私は思うのです。これはいま申し上げたような理由で、公庫総裁にお聞きするよりもまず長官、これはもうそろそろ何らかの結論なり具体的な見通しというものを立てられないと、十年一昔と言いますけれども、二十年二昔前からの議論なんですね。ひとつお答えください。
  28. 左近友三郎

    左近政府委員 審査の問題、ことにスピードアップの問題は従来から言われておりまして、公庫としても努力をしてきたところでございまして、全期間のうちで、正式に受け付けてそれから融資決定をする期間につきましては、ここ何年かの間に相当な短縮を見たわけでございますが、実際問題として、つまり御相談に応じてから貸し付け実行資金が借り受ける人に渡るまでの期間についてはなかなか短縮できないという問題がございます。したがいまして、短縮方法として、これは公庫でもいろいろ御検討のことと思いますが、われわれとして考えますのは、一つ事務内容機械化するといいますかコンピューター化することによる短縮ということ、それから、事前の御相談段階をどのように短縮できるかということでございます。事前の御相談については、これはやはり人の問題もあろうかと思います。したがいまして、機械化と、それから機械化ではどうしてもカバーできない場合の人間の確保というようなところが今後の対策であろうかと思いますが、われわれといたしましては、目に見えた短縮はなかなかむずかしいということで、御指摘のように改善の跡がそう顕著でないということについては残念に思いますが、今後もこれについては十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  29. 木内良明

    木内委員 いままで国会議論されたスピードアップの問題に関する御答弁といささかも変わるところがないので、私ははなはだ不本意であります。長官公庫融資に当たっての具体的な方法一つとして、たとえばオンライン化導入ですとかあるいはマニュアル化の促進、これも考えてもいいんじゃないかと私は思うのです。この点はどうでしょう。
  30. 左近友三郎

    左近政府委員 いまの御提案、そういう方針を促進することがこの審査期間短縮に非常に役に立つというふうにわれわれも考えます。これについてはひとつわれわれも、それからまた公庫自身も十分検討いたしまして、そういうものを取り入れて短縮に資したいというふうに考えております。
  31. 木内良明

    木内委員 総裁、ここでお聞きするのですが、いま長官からオンライン化あるいはマニュアル化と並行して人員の問題についてもるるお話がございました。総裁現場で指揮をとられている立場でどのように受けとめておられるか、お聞きしたいと思うのです。
  32. 船後正道

    ○船後説明員 公庫審査日数につきましては、先生指摘のとおり長年問題になってまいったところでございます。過去には受け付けから決定までに三月もかかる、つまり、内部審査だけでも三月かかるという状態があったわけでございますけれども、最近では先ほど長官も御答弁申し上げましたように、審査事務にはコンピューターを取り入れましてかなりスピード化を図っておるわけでございます。内部事務につきましては、五十三年度の実績は、受け付けから決定までが二十五日という状況になっております。ただ、お客様が手ぶらでいらっしゃるという場合にはいろいろな資料を整えていただかねばなりません。そういった場合には一、二カ月の準備期間を要します。したがいまして、実質的には三月程度かかるというようなケースもあるわけでございますが、今後はできる限り内部事務スピード化能率化に努めるとともに、かつまた中小企業方々にも、公庫の借り入れに際しましてはあらかじめいろいろな書類等の御整備を願うように私どももお願いしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、その他先生から御指摘のございましたコンピューターを利用いたしましたオンラインでございますとか、そういった事務効率化につきましては、今後も引き続き努力してまいりたいと存じております。
  33. 木内良明

    木内委員 オンライン化あるいはマニュアル化ということで前向きに検討していただけるということでありますので、私は、今回の質疑一定の前進があったというふうにみずから評価したいわけでありますけれども、それはぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  また、時間がございませんので詳しくは申し上げませんけれども、実は私に寄せられる意見の中でこういうのがありました。人員規模が決まっておって、職員の質の向上を図るためということでしょうか、企業現場調査審査に赴いた公庫職員がペアで来まして、ベテラン職員新人に近いような人が一緒に来まして、新人研修のために企業調査をずっとテキストに使うというのですよ。こういう事実が実はあるのですね。これはいいか悪いかは別にしまして、こういう調査をされる企業としては、ベテランがつぼを心得た調査を行うならともかく、朝から晩まで居座られて調査をされるというのもはなはだ困るという実情が実は私の方に来ているのです。この問題についてはいろいろ御心配されているようですけれども、お聞きいたしませんけれども、こういう実態もあるわけでございまして、ぜひともこの点は、職員研修あるいは教育ということに鋭意努力はしていただきたい、こういうふうに思います。  時間の関係で次の問題に移りますけれども担保扱いということについてお聞きします。  いわゆる不動産担保等に対する評価基準というものは、実勢価格でございますとかあるいは固定資産税評価額ですとか、いろいろあるわけでありますけれども、この設定基準がどういうふうになっているか。さらにまた、公庫としてはいわゆる民間一般金融機関融資することを困難とする長期資金の融通を行うということになっております。したがって、市中銀行が行うような余りにも厳しい担保に対する扱いがあるいは弾力的に運用されてもいいのじゃないかと私は考えるわけであります。たとえば融資の申請を行う、業務内容も実際よかった、たまたま四半期あるいは一定期間その企業の業績が悪化してきた、そのために公庫融資を受けたいが、どうも担保がもう一歩という限度ぎりぎりのところであるというようなケースで申し込む場合も間々あるわけでございまして、企業実態調査してみると先行き本当に有望である、ただ担保についてはもう一歩であるというようなケースについてどういうふうな運営をされているのか、この点についてお聞きをします。  時間がありませんのでもう一点、延滞利子の扱いでありますけれども、同じようなことで延滞利子の運用規定というものを内部的にどのように設定されているのか、お聞きします。
  34. 船後正道

    ○船後説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の担保についてでございます。  公庫は財政資金を原資といたしまして長期の貸し出しをいたしておりますので、やはり担保が必要でございます。しかし、担保評価等につきましては弾力的に扱っておるわけでございまして、不動産だけではなくして機械設備等の事業用資産もまた担保にすることもございます。また、土地、家屋等の評価に当たりましても、最終処分価格ではなくして、時価による評価を原則にいたしておるわけでございます。そして、でき得る限り担保不足を理由にして必要な貸し出しができないということを避けたい、このようなことで融資に努めておる次第でございます。  なお、担保企業の将来性とをどう見るかという第二点でございますが、非常にむずかしい御質問でございます。両方とも必要であるということになるわけでございますが、私ども担保があればどんな貸し出しでもするかと申しますと、さような貸し出しは一切いたしません。やはり企業の将来性、しかもそれが日本の国民経済の発展に必要である、こういう企業につきましては、将来性に着目して貸し出しをしておる次第でございます。
  35. 木内良明

    木内委員 時間が参りましたので、私の質疑は以上にいたしますが、こうした時期でございますので、中小企業家の方々公庫の健全な運営に基づいた健全な融資希望しておられますので、どうか今後とも格段の努力をしていただきたい、このように要望いたしまして終了いたします。
  36. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて木内良明君の質疑は終わりました。  引き続いて清水勇君。
  37. 清水勇

    ○清水委員 大臣が来られましたから、早速お尋ねいたします。  基本的に言って、今回提出をされている政府追加出資をすることのできる規定を設ける、あるいは債券発行限度を資本金額の三十倍に引き上げる、この提案については賛成でございます。しかしながら、現在、中小企業を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。ことに今回の電力料金の大幅値上げを含め、エネルギーや原材料価格が高騰するあるいは発展途上国の追い上げが激しい、さらに目まぐるしいまでの国民のニーズの変化あるいは多様化等々は、中小企業の先行きを非常に不透明なものにしていると同時に、不安定性を強めていくであろうと予想をいたします。そうであればあるほど中小企業者はいかに活路を切り開いていくか、新商品や新技術の開発とか企業の体質を強化する、近代化を図るということが生きていくためのまさに緊急な課題になるであろうと思います。  そこで、この点に関して、所管の通産大臣としてどのような所信をお持ちになっておられるか、基本的な考え方をお聞かせいただきたい。
  38. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お説のとおりだと考えます。公定歩合の引き上げあるいは諸物価の上昇等を踏まえまして中小企業は大変苦しい環境に追い込まれていることは事実と思いますので、お話しのような苦難を、日本では大変重要な産業部門でございますので、どうしたらよいか大変むずかしい問題だと思いますけれども、一生懸命あらゆる手段を講じまして切り抜けるように努力したいと考えております。
  39. 清水勇

    ○清水委員 大臣もそう言われるわけでありますが、そこで必要となることは、中小企業経営基盤の強化を助成する諸施策、とりわけ設備資金など中小企業者が必要とする資金需要をいかに安定的に確保するか。このことが当面する政府の責務、急務というふうに私は思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
  40. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お話のように一番緊要な施策は、何と申しましても金融の引き締めで苦しむウエートが大きいと思いますので、これに対処するのが最大の道かと存じます。  そこで五十五年度におきましては、御承知のように政府系の金融三機関の貸付規模を前年度比約一〇%の増加を図ってございます。これは五十四年度と五十三年度の比の八%に比較いたしまして相当の上昇でございますので、資金需要にはこれで十分対応できるのではないかと考えておりますけれども、公定歩合等の引き上げのしわが中小企業にだけ集中されますと、これだけではあるいはむずかしいということになるかもしれませんので、そういう点を十分考慮いたしまして、情勢を見ながら機動的な対策をとってまいりたいと考えております。
  41. 清水勇

    ○清水委員 いま大臣は、金融引き締め等の傾向が強化をされるという状況のもとで、政府系金融機関資金枠を前年対比で一〇%ふやしている、相当なものだ、こういうふうに言われるわけなんでありますが、いずれにしても、大臣もいま言われるように、相次ぐ公定歩合の引き上げが結果として想像以上に金融引き締めを強める結果になる。一般金融機関では中小企業向けの融資について選別などの措置もかなり講ずることになるであろう。かたがた中小企業者はどうかと言えば、さっき私が申し上げたような理由から判断をするに、資金需要の額はかなり大規模化、大型化をしてくる傾向も予測される、こういうことで考えてみた場合、たとえばここに五十三年度の中小企業庁の資料もございますけれども金融機関別の中小企業向けの貸出残高を見てみると、全金融機関中に占める中小公庫の貸出比率というのはわずかに二・六%、すべての政府系機関をトータルをしても一九・五%、大臣が言われるように昨年比一〇%ふやしたから相当なものだと言えるようなベースには必ずしもなってないのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。  そこで承りたいのは、こういう事態に即応して、いわゆる一般金融機関からはじき出されるような中小企業者向けの貸し出しについて、今度の改正提案に当たってどのように円滑にこれが行われていくか、具体的に言えば、もっと中公資金なら中公資金の枠なんかも思い切ってその比率を高めていくなどといったような配慮が行われているのかどうか。一〇%ということが当面言われているわけですけれども、将来展望についても含めてお聞かせいただきたい。
  42. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お話のとおりに、市中銀行等が選別を強めるといいますか、金融の引き締めを強化いたしますと影響が起きるのは当然でございまして、それに対しましては特に公定歩合引き上げ等のしわを中小企業に寄せないようにということで金融当局とただいまいろいろ折衝しているようでございますので、その詳細につきましては事務当局の方から御説明させます。
  43. 左近友三郎

    左近政府委員 大臣から御説明がありましたように、中小公庫の五十五年度の資金枠は対前年比一〇%の増というふうに見ております。これはことしの実績に比べても大きいわけでございますが、いまの御指摘のように今後資金需要、ことに政府中小企業金融機関に対する中小企業者資金需要増大することが見込まれます。したがいまして、この一割増の資金枠の運用につきましては、極力第一・四半期、第二・四半期というふうな年度の前半に大きく組みまして消化を図ってまいりたいと思いますし、そういたしましてもし不足が生ずれば年末追加をいたしまして、年度全体の資金量も増加させるというふうに考えておりますので、資金量について中小企業の方に不足を感じさせるようなことはしないような方針でまいりたいと考えております。
  44. 清水勇

    ○清水委員 そうすると、前年比一〇%増しの資金量についてはできるだけ年度の前半に集中的に配慮をして、足りなくなった場合には必要量だけ必ず年末で補給する、これは間違いないですね。——うなずいておられるからあえて御答弁を求めません。  さてそこで、そうは言われるけれども、正直言ってなかなか思うように借りたいものが借りられないという状況もなしとはしない、必要なだけ貸すというような状況にはなっていない。元来中小公庫なるものは中小企業者が必要とする設備資金なり運転資金なりについて、一般金融機関が困難とするような長期かつ低利の資金を融通することを目的に設立をされていると思います。だから、もしそうであるとすれば、無論審査をいいかげんにしろということを私は言っているわけではありませんが、できるだけそういう設立趣旨にのっとって、中小企業者が切実に必要とする資金については、今日のごとき事態にこそ配慮をされる性質だと私は思うので、率直に言って中小公庫などの政府系金融機関は、こういうときにこそその存在価値が発揮されるような基本的な立場で十二分に配慮をされていかなければならない。資金量が足りなくなったらどんどん出すと言われるけれども中小企業者が切実に訴えていることは、しかしそう言われるほど簡単に、思うように借りられるわけじゃございませんので、この点をしかと私は注文をつけておきたいのでありますが、いかがでしょうか。
  45. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お説のようにこういう不況に立ったときこそ通産省で担当しています三機関が活動するのが当然でございまして、事態の推移を見守りまして、必要であればまた応急の処置を講じなければいかぬかと考えます。
  46. 清水勇

    ○清水委員 さてそこで、資金の量については心配がない、大丈夫だとおっしゃられるわけでありますから、次に金利についてお尋ねをしておきたいと思います。  公定歩合の相次ぐ引き上げ、これは当然に中小公庫が依存する財投資金の上にもはね返ってくるし、それがやがて中小公庫貸出金利の上にも反映をされてくると私は思います。  そこで、これは私が申し上げるまでもなく、釈迦に説法ですけれども中小企業者は現在の八・二%という金利についても高いという実感を持っている。何とかならないかという訴えがこれまでも常に表明をされている。ところが、たとえばこの八・二%の金利も結果として維持できなくなるなどということが起こるとすると、これはやはり重大な問題じゃないか、私はこう思います。  そこで、政府は当面金利の据え置きなど、いわゆる低利性を維持するためにどのような具体的方策を持っておられるのか、その辺の見通しをひとつお聞かせいただきたい。
  47. 左近友三郎

    左近政府委員 中小公庫の金利の問題でございますが、いまお話しになりましたように、中小公庫の金利は民間金融機関の長期の最優遇金利を大体貸出基準金利にするというルールでやってまいっておるわけでございます。そしてまたこの金利を決定するに当たっては、中小公庫の原資でございます資金運用部資金の金利も考慮に入れてやっておるわけでございます。したがいまして中小企業方々の御希望に沿って極力安くやりたいと思っておりますけれども、全体の金利体系が上がりますと全然上げないというわけにはいかないということを考えておるわけでございます。しかし、急激に上昇いたしますと中小企業の方にいろいろショックを与えます。したがいまして、前回の公定歩合の引き上げのときも、実は長期のプライムレートは昨年の八月に八・二%に上がったわけでございますが、中小公庫の金利につきましては九月に八%にし、それから年末はやはりこの八%の金利で推移いたしまして、ことしの一月に八・二%にしたというふうな例もございますので、こういうふうなやり方も頭に入れながら、今後の公定歩合の上昇に伴う金利引き上げについて対処していきたいというふうに考えております。
  48. 清水勇

    ○清水委員 五十三年度の中小金融公庫業務報告書によりますと、滞貸償却引当金に約五百十四億円を計上されております。これは性格的に見て、いま金利の問題が出ているわけでありますが、逆ざや相殺ということのためにも取り崩すことができるんじゃないかという感じがするのですけれども、いかがでしょうか。
  49. 船後正道

    ○船後説明員 中小公庫の滞貸償却引当金でございますが、先生指摘のように五十三年度には五百十五億ばかりあるわけでございます。実はこれは五十二年度には六百二億円あったわけでございますが、五十三年度中に繰り上げ償還等を主たる原因といたしまして八十八億円の期間損失を生じましたので、したがいましてこの引当金を取り崩し五百十五億になったわけでございます。なお五十四年度も引き続きまして期間損失が百四十億程度出る見込みでございますので、五十四年度末にはこれが三百七十億円程度に減少する、引き続きまして五十五年度もこれがさらに百億程度減少していくというように、主として繰り上げ償還、この繰り上げ償還は、御承知のとおりかつて四十九年度から五十一年度にかけて九・四%あるいは八・九%という高い金利があったわけでございますが、これを、中小企業者方々事前に繰り上げて償還したいという御要望に応じて、私どもは、何と申しますか利息収入を失ったわけでございます。そういうことで使ってきておりますので、これを引き当てにさらに利子の引き下げということは困難ではないか、かように考えております。
  50. 清水勇

    ○清水委員 円高の際に金利の軽減措置を講じたことがありますね。これはトータルでどのくらい持ち出しになっていますか。
  51. 船後正道

    ○船後説明員 為替変動貸し付けは低利で融資いたしております。これは累計二千億程度貸し出しを行っておりますので、いわゆる利子の持ち出し分でございますが、約十九億円と相なっております。
  52. 清水勇

    ○清水委員 それではこの際大臣にちょっと所見をお尋ねしたいのですけれども、先ほど大臣はお答えの中で、当面の事態を乗り切っていくためには中小企業者資金需要の要請に精力的にこたえていく、こういうととも述べておられるわけでありますが、私は金利についてどうも先行き高騰をしてくることが非常に懸念をされてならない。そこで中小企業者経営基盤の強化をいかに図っていくかというととが一面では中小公庫の目的でもありますし、また政府として言えば、中小企業の基盤を強めるために助成策を講ずるということが責務にもなってくる。両々相まって貸付金利をできるだけ低く維持をしていくということが非常に重要な課題になるというふうに私は思っておりますし、必要によってはそのために財政をつぎ込むというようなことが考えられてもいいんではないかという感じもするわけでありますが、いかがでしょうか。
  53. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のように、中小企業公庫の貸出利率等を低めるためには幾つかの方法もあろうかと思いますけれども、いまおっしゃるようなのが一番ダイレクトで効き目があります。けれども、これはなかなか財政からの直接の操作ということになりますとむずかしい問題が絡んでおりまして、希望としてはお説のとおりだと思いますが、それじゃそのまま実施できますかとなりますとなかなかむずかしい問題もございますので、そういう点に関しましては検討を続けてはおりますが、今後とも検討してみたいと思います。
  54. 清水勇

    ○清水委員 それでは、長官にお尋ねをした方がいいのかもしれませんが、中小公庫融資方針を見ますと、はっきりと、中小企業者資金的に行き詰まることがないように配慮をするという方針を述べておりますし、さらに具体的には中小企業者経営基盤が悪化をしている実情にかんがみ、担保等の貸付条件、これについて弾力的に対処する、こういうふうにも言っている。そこでお尋ねをしたいことは、これらの点についてどのように具体的にこれまで対処をされてきているのか、具体的な配慮なり具体的な対処なりの内容をひとつお聞かせいただきたい。
  55. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業方々が現在大変な事態になりつつあるという事態に対しまして、われわれといたしまして担保取り扱いにつきましても単なる評価額、通常言われるような評価額じゃなくて実質的な評価をするとか、いろんな点、詳細につきましては必要があれば総裁に話をしていただきたいと思いますが、そういう具体的な処理方針を示しまして、いわゆる通常の担保がないので借りられないというようなことのないような処置をいたしたいというふうに考えておりますし、そのほか貸付期間等につきましても弾力的に対処するというふうな指導をやっております。ことにこういう時期になりましたので、そういう点についてはまた公庫の方にも注意を促して、適切に対処できるようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 清水勇

    ○清水委員 弾力的な運用という中には、当然償還条件等の緩和といったようなこともきめ細かく配慮をするんだということを述べておられるわけですけれども、たとえば円高不況等々の時期を振り返って、どの程度の措置が講じられているのか、お聞かせいただきたい。
  57. 船後正道

    ○船後説明員 まず償還条件の変更でございますが、既往の貸付先から、売上高や利益の減少等がございまして資金繰りに困難を来した、そして償還条件の緩和の申し出がございました場合には、従来からも個々の企業実情に応じまして期限の延長、償還の一時猶予等行って、できる限り企業の建て直しに手をおかししておるような次第でございます。  また一般的な措置といたしましては、過去の不況期でございますが、金利の軽減につきましては五十二年の十一月一日から五十四年の十月末日までに一部の不況業種、これは中小企業保険法に基づき通産大臣から指定されました不況業種に属する中小企業者でございますが、こういう中小企業者赤字経営を余儀なくされているという方につきましては、年八・二%以上の金利を適用いたしました貸し付けをすべて年八・一%に引き下げるというような措置も講じた次第でございます。今後もこういった金利の軽減措置あるいは償還条件の緩和等につきましては、景気の動向等を見定めながら、主務官庁とも相談して対処してまいりたいと考えております。
  58. 清水勇

    ○清水委員 さて、公庫中小企業者の便宜を図るのだ、こういうことなんでありますが、先ほども同僚の木内委員がしきりに貸し付けにかかわる期間が非常に時間がかかる、こういうことでスピードアップということを強く注文をされているのでありますが、まず私は、先ほどるる御指摘もございましたけれども、基本的に言ってこの古くして新しいと言わざるを得ない課題、せんだっても長官金融相談に見えられてから実際に金が出るまでまあ百日ぐらいかかっているのだ、何とかしなきゃならぬと思っているのだと言われるのだが、私はもし仮に短縮できない要因が具体的にわかっているならば、たとえば件数がこれだけふえておるわけですから、いかに機械化をしてみてもあるいはオンライン化等を通してみても、やはり何といっても金融相談等の場合には人が要るわけですからあるいは審査等も人がやるわけですから、そういう点で職員の配置といったようなことについてももっと大胆な発想が考えられていいのではないか、そうでない限り百年河清を待つような話で、なかなか切実な需要にこたえられないのじゃないか。ですから、この点について簡潔で結構ですが、ひとついままでと同じような発想ではなしに、この際一歩進めていくというような決意のほどを聞かしていただきたい。
  59. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘審査スピードアップにつきましては、確かに機械化だけではうまくいかないというふうな点もございます。したがいましてそういう点については人員の配置の問題も出てこようと思います。それから先ほど御指摘がございましたマニュアル化というような形で、何と申しますか、やり方、手順を非常に合理化するという点もございますし、それからまた公庫総裁の方から申し上げましたように、申し込みをされる方に、これはPRでございますが、必要な書類等がそろえられるような事前の周知徹底というふうな方法もございましょう。そういうふうに各般の問題をひとつ十分考えまして、いま御指摘のように従来の方針だけじゃなくて、少し考え方を広げまして、そしてこの審査スピードアップをどうするかという問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  60. 清水勇

    ○清水委員 時間がありませんから、かいつまんで最後になろうかと思いますが、ちょっと申し上げます。  公庫店舗は、いま原則として一県一店舗というようなかっこうで、一部に出張所等もありますけれども、そういう状況でございます。たとえば私の長野県などの場合には、御承知のように地勢的に非常に大きな県でありまして、支店は松本にある。長野市あたりから松本に行くについても結局一日がかりになってしまうのですね。だから結局代理貸しを制度として利用せざるを得ない。ところがその場合に、いわゆる代理店貸付限度額というやつは三千万ということになっておる。そこで、最近の資金需要から言うとこれでは足りない、非常な苦痛を覚えつつ勢い松本に行かざるを得ないというような状況もあるわけですから、一つは、せめて限度額を五千万ぐらいに引き上げる。それから一つは、規模は小さくてもいいと思いますけれども、やはり必要に応じて出張所ぐらいなものを配置をする。これをやらなければ中小企業者の便宜に供するというようなことを言ってみても、どうも画竜点睛を欠く感があるように思うのでありますが、いかがでしょう。
  61. 左近友三郎

    左近政府委員 店舗網拡充につきましては、公庫趣旨にかんがみまして毎年逐次ふやしていくということでやってまいっておりますし、今後もその方針を貫いてまいりたいと思います。  ちなみに五十五年度におきましても一つの出張所を新設するということと、それからまた従来の出張所を支店に昇格するというのも一件というようなことでふやしてまいっております。ことにいま御指摘のように、出張所を活用するということは一つ方法かとも思いますので、ひとつ今後の店舗網拡充の中で、そういう御趣旨も体しまして検討してまいりたいと思います。  それから代理貸しの点ですけれども、貸付限度につきましても検討いたしたいと思いますが、これは直貸しとのバランスその他もございますので、やはり直貸しもふやし代理貸しもふやすというような形で今後は対処してまいりたいと思っておりますが、この点についても検討さしていただきたいと思います。
  62. 清水勇

    ○清水委員 それではいまの検討課題については、えてして委員会の場で検討するということがいつまでも答えが出ないというようなことになりがちですから、そういう意味ではなしに、迅速に答えを求める意味での検討を、大臣もおいでになりますからぜひやっていただきたい。  最後に、いわゆる貸付期間についてなんですけれども、昨今のように資金需要が大型化をする。そうすると設備資金等についていま七年以内という期間の定めでありますけれども、これではちょっと荷が重過ぎるという状況でありまして、ぼくはやはり十年以内くらいに期間を改善すべきじゃないか、そういう時期に来ていると思うのでありますが、その点をお聞きをして私の質問を終わりたいと思います。
  63. 左近友三郎

    左近政府委員 現在、中小公庫の貸付期間につきましては、原則として設備資金が七年以内、運転資金が五年以内ということになっておりますけれども、事業の性格とか業種の特殊性を勘案いたしまして、特に必要なものは十年から十三年まで貸付期間を延長するということができることになっておりますので、事案の内容に当たりまして弾力的に措置をしているわけでございます。さらに五十五年度におきましては、特別貸し付けの一部でございますが、事業転換貸し付けのように相当長期間を要するものについては十五年というようなものに延長してきたわけでございます。今後もこういう点を十分勘案して、実態に即するようにしてまいりたいというように考えております。
  64. 清水勇

    ○清水委員 終わります。
  65. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて、清水勇君の質疑は終了いたしました。  引き続き、長田武士君の質疑に入ります。
  66. 長田武士

    ○長田委員 まず最初に、中小企業金融公庫にお尋ねをいたします。  公庫が発行しておりますパンフレットの中に保証人という欄がございまして、「連帯保証人が必要です。」このように記されております。実態は、この保証人はどういうふうになっておりましょうか。
  67. 船後正道

    ○船後説明員 公庫貸し付けに当たりましては、担保のほか保証人もお願いしておるわけでございますが、この保証人は社長などの経営者になってもらうことを原則といたしております。この趣旨は、経営責任者としての心構えを示していただきたいという趣旨でございまして、債権保全という意味ではあくまでも補完的なものでございます。
  68. 長田武士

    ○長田委員 一般の借り入れされる方は、この保証人に非常にひっかかる点が多いようなんですね。私もかつて金融機関に勤めておりまして、貸し付けを長くやりました。どうしても保証人といいますと、金融機関とすれば資産調査をやりましたり、その人の担保力という点を非常に重要視いたします。あるいは取引関係はどうなのかとか、そこらまで立ち入って調査をするわけでありますけれども金融公庫の場合においては担保が主力になっておりますから、私は余り保証人にこだわる必要はないのじゃないかという感じを持つのですね。いま総裁がおっしゃられましたとおり、会社あるいは法人等の代表役員等が、同等の責任を負っていただくという意味で保証人になってもらうということでありますけれども、そういう意味ではパンフレットのつくり方を、会社、法人等の場合においては代表役員で結構であるあるいは個人の場合においては別に第三者的な人を立ててほしいというふうに、ただし書きでもつくったらどうでしょうか。
  69. 船後正道

    ○船後説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、通常保証人といいますと人的保証でございまして、資産調査等を伴う大変なことだ、こういうふうにお考えになります。公庫の求めております保証はそうではないわけでございますから、その点私どもの発行いたしておりますパンフレット類の単なる保証人という記載ははなはだ不親切だと思いますので、今後はひとつその趣旨を徹底しますとともに、パンフレットの記載にも一工夫をいたしたい、かように考えております。
  70. 長田武士

    ○長田委員 次に、中小企業投資育成株式会社についてお尋ねをしたいと思っております。  中小企業金融公庫は、中小企業投資育成株式会社に出資及び貸し付けを行っておるわけでありますが、この会社は昭和三十八年に、中小企業に夢と希望を与えようとのスローガンを掲げ、中小企業の自己資本充実を促進し、健全な成長発展を図るため、投資等の事業を行うことを目的に設立されたわけであります。当然中小企業を株式市場に上場させるという方針ももう一つあるわけですね。  そこで、同社の投資実績を見てまいりますと、東京、大阪、名古屋と三社あるわけでありますが、これを合計いたしましても五十三年度末で投資件数はわずか九百九十五社、投資総額は三百六十六億円にしかすぎないわけであります。また、五十三年度と今年度を比較してまいりますと、五十三年度は投資総額が二十一億円で、新規投資件数は四十八件となっておるわけであります。五十四年度は、五十五年二月末現在で投資総額が十八億円、新規投資件数は三十八件というように、前年度をかなり下回っておるわけであります。しかも、同社の五十四年度新規投資予定は百八件となっておりますので、その達成率は何と三五%であります。さらに、同社が五十三年度末まで投資した九百九十五社のうち、同社の方針どおり実際に株式市場に上場できた企業はわずか六社しかないのですね。  こうした状況を見てまいりますと、同社が設立され、すでに十六年を経過しておりますが、これでは所期の目的を十分果たしたとは言えないような感じを私は持つのですね。このような状況になってしまったというのは一体どこに原因があるのでしょうか、長官
  71. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業投資育成会社は、中小企業の自己資本の充実ということを目的にいたしまして、御指摘のように昭和三十八年に設立されまして、その後相当の年数がたっておりまして、実績先生いまおっしゃったとおりでございます。  一つは、やはり第一次石油危機以降の不況ということが非常に影響したのじゃないかというふうに考えますが、もう一つは、証券市場への上場の基準が三十九年に三億円になり、五十年に五億円になったということで引き上げられましたことから、いま御指摘のように上場できた会社がわずか六社というふうなことになったということでございます。  こういうことでございますので、やはり投資育成会社の本来の趣旨を達成するためには、投資育成会社としてももう少し活発に活動する必要があるというふうにわれわれは考えまして、実は昨年の後半以来、この投資育成会社の活動を活発にするためにはどうしたらいいかいろいろな検討を遂げておりまして、それについて五十五年度からいろいろな点について改善を図りたいということで、目下関係方面とも相談をしておりますが、改善を図る方法といたしましては、一つは対象業種を少し拡大をしようじゃないか、これはことにサービス業なんかにつきましていままで対象がほとんどございません。ところが、最近の経済の情勢はサービス業が非常に拡大をしてまいりまして、活発な分野に入るものが相当ございますので、こういう点にも着目したいということがございます。それからまた、投資育成会社に貸し出します中小公庫の金利につきましても、現在のままでいいかということも現在検討いたしております。こういう点、幾つかの面を踏まえまして、投資育成会社ももう一段ひとつがんばってもらおうということで、われわれもそういう点でのいろいろな検討をしておるのが現状でございます。
  72. 長田武士

    ○長田委員 中小企業投資育成株式会社が発足いたしました当初、政府は同社に六億円出資いたしております。その後四億五千万円出資しておりますが、優先償還株式によって行われたため順次償還が進み、現在では政府出資額も大体一億円前後ではないかと私は見ておるのです。発足当初一〇%を超えた政府出資率も今日ではもう一%にすぎないわけですね。しかも、この額も六十二年度にはゼロになるのじゃないかということも言われておるわけであります。  一方、この制度を利用している中小企業者は、中小企業投資育成株式会社が政府の助成と監督を受けない民間会社になった場合、同社とは関係を絶ちたいというふうに考えておるようなんです。中小企業金融公庫からの融資があるといっても、ここで政府からの出資を断ち切ってはなりませんし、むしろ出資を強化すべきだというのが私の考え方であります。  そこで、現在政府が保有する優先償還株式を普通株式に改めて、政府出資額を増加すべきであると私は考えるのですが、この点、どうでしょうか。
  73. 左近友三郎

    左近政府委員 投資育成会社が発足をいたしました時期には、政府保有の株式について逐次消却をしていって、最終的にはゼロになって投資育成会社が自立するというのが一つ方針であるということになっておりました。したがいまして、いま御指摘のように現在政府保有が一億二千六百万円で資本金の一%でございまして、これを資金計画では六十二年度に消却するというふうな方針になっております。しかしながら、いま御指摘のように、投資育成会社の投資を受けております中小企業といたしましては、やはり国の政策実施機関であるというところに着目をいたしまして実は出資も受ける、それからまたいろいろな指導も受けたいというふうな希望が非常に強いわけでございます。したがいまして、当初の予定どおり国の色彩を薄めていくことがいいのか、あるいはやはり国の政策実施機関としての色彩を保持しながらこの投資育成会社を運営した方がいいのかという大きな問題が一つあるわけでございます。そしてまた、もし国の政策実施機関であるということを継続しながらやるとすれば、その場合にいまの御指摘のような方法もあろうかと思います。したがいまして、これについては現在中小企業政策全体といたしましても、八〇年代の中小企業の政策のビジョンというものを検討しておりまして、大体ことしの五月ごろには結論が出ようかというふうに思いますが、その中でもこの投資育成会社というものの今後の中小企業の自己資本充実における役割りというものを検討いたしまして、従来の方針方針としながらも、今後どのようにもっていくかということは十分検討を遂げたいというふうに考えております。
  74. 長田武士

    ○長田委員 中小企業投資育成株式会社法施行令によりますと、製造業を中心として二十三業種ですね、先ほど長官からこれを拡大したいということを御答弁いただきましたけれども、この政令は昭和三十九年につくられたものであります。したがって、その後におけるわが国の産業構造というのは非常に変化しております。そういう意味で私はこの政令をぜひ見直していただきたい。そして流通部門とかサービス業とか、そういう部分に拡大していただければもっと有効に活用できるのじゃないか、私はこのように考えておるわけであります。ただ、サービス業でもいろいろございまして、大店法等の絡みもございますので、そこいらは十分配慮していただきたい、このように考えております。
  75. 中澤忠義

    中澤政府委員 先生のただいま御指摘のとおり、政令の対象業種は三十九年以来変更されておりませんので、現在産業構造の変化に伴いました重要性を増しつつある業種につきまして、先生指摘のとおり流通業あるいはサービス業等も含めまして業種指定を検討中でございます。ただ、これにつきましては御指摘のようなもろもろの問題もございますので、関係省庁あるいは関係業界等の意見も十分聞きながら検討するという方向で進めておりまして、新年度に入りましてなるべく早い機会に業種の改定をいたしたい、かように考えております。
  76. 長田武士

    ○長田委員 この投資育成株式会社の投資対象となっております企業基準について、「将来その株式を証券市場に公開する意向を有している」という一項があるのです。企業の中には、証券市場への上場公開の意向が非常に消極的で、適正規模に抑えて健全な経営をしたい、そういう風潮も実はあるのですね。このような企業にも経営基盤を強化するために同社が投資できるようにすべきではないかと私は思いますが、どうでしょうか。
  77. 中澤忠義

    中澤政府委員 投資育成会社の投資基準、現在ございますが、制度の趣旨から申しまして、原則として配当率あるいは資本金利益率という要素を基準にするというのは今後も変わらないかと思います。しかし、ただいま仰せのとおり、上場基準が過去数回引き上げられまして現在五億円になっておりますので、中小企業実態といたしましては、必ずしも近い将来上場の意図を持つということが実態にそぐわない面もございますので、現在投資基準になっております事業規程の改正を、その点も含めまして検討中でございます。その際に先ほどの業種問題と事業規程の改定と、両面から弾力化を考えていきたい、かように考えております。
  78. 長田武士

    ○長田委員 また、投資の条件の一つに「過去二期(半年決算の場合は三期)配当実績が年一〇%以上であるか、または、これに見合う利益を上げており、今後も、これと同等以上の収益力と配当能力が見込まれることが必要」とありますが、経営環境等の厳しさから見て、私は実際問題として実情にそぐわないのじゃないかという感じを持つのです。このことを裏づけるかのように投資件数は非常に減少の傾向を示しておりますし、投資先企業の開拓に悪戦苦闘しておる現状ではないかと思うのです。そのためにも投資の条件における基準の緩和を私はこの部分でも図らなくちゃいけないのではないか、そう考えておりますが、どうでしょうか。
  79. 中澤忠義

    中澤政府委員 先生指摘のとおりへ株式の取得につきましては相手方が公開の意思を持つこと、あるいは過去二期ないし三期におきまして配当率が一〇%以上を維持しておるということが原則になっておりまして、転換社債につきましては、原則としてという字句が入っておりまして、弾力条項がございます。したがいまして、先生の御指摘のようにこの面が厳し過ぎるのではないかという点もございますので、事業規程の改正の際にこの問題も含めまして改正する方向で、現在関係省庁と協議をしております。
  80. 長田武士

    ○長田委員 投資育成会社の任務を考えてまいりますと、投資育成会社に対する中小企業金融公庫の金利が一般企業貸し付けている金利と全く同じであるということなんですが、そこいらが私はどうしても納得できないのであります。中小企業金融公庫は、投資育成会社に対しては一般貸出金利よりも低利で貸し出しを行うのが当然じゃないんでしょうか。この点、どうでしょうか。
  81. 中澤忠義

    中澤政府委員 投資育成会社の中小企業向けの投資あるいは転換社債の取得につきましては、中小企業の自己資本の充実ということが目的でございますので、投資育成会社自体が経営努力をするということも当然でございますけれども、そのベースになります借入金の金利負担が非常に重要な要素であるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、先生の御趣旨に沿い得ますような方向で、先ほど長官も申しましたけれども、投資育成会社の事業資金に対します中公からの資金貸し付け、この金利につきましても極力これを適正な水準に改定してまいりたいという方向でただいま検討し、かつ折衝を継続しておるということでございます。
  82. 長田武士

    ○長田委員 公庫総裁、御意見どうですか。
  83. 船後正道

    ○船後説明員 ただいま計画部長が答弁いたしましたとおりでございまして、監督官庁の方で目下種々御検討中でございますが、その結論に従いまして投資育成会社に対する資金の融通をいたしてまいりたい、かように考えております。
  84. 長田武士

    ○長田委員 そういう意味で、私は今後地域経済の中核といたしまして中小企業の育成を図ることは非常に重要な課題であろうと考えております。そのためにも地域経済の実態に即した、地方公共団体や地元経済界等が十分連携をとりながら中小企業に対する施策が講ぜられて当然であろう、このように考えております。その意味におきまして中小企業投資育成株式会社がいままで地域経済の発展にいかなる役割りを果たしてきたのか、その点について御意見を伺いたいのです。
  85. 左近友三郎

    左近政府委員 現在、投資育成会社は御承知のとおり東京、名古屋、大阪にございますが、各地のそれぞれの経済人がその役員にもなっておられますし、現実に地元の、たとえば商工会議所等はやはり自分の地域の会社であるという気持ちが非常に強くて、いろいろ協力をしていただき、また利用いただいているわけでございます。これからは地方の時代ということにもなりまして、地域地域の経済発展をしなきゃいけないし、それを担うものはやはり地元の中核的な中小企業であろうとわれわれは考えておりますので、そういう意味におきましてこの投資育成会社が地域ごとに今後発展していくように、十分われわれは応援をいたしたいと思っておりますし、従来もそういう意味で、地元から非常な御出資等を含めて応援をいただいておりますので、今後もそういう関係をさらに発展をさせていきたいというふうに考えております。
  86. 長田武士

    ○長田委員 中小企業投資育成株式会社に対する各地方公共団体の出資状況及び都道府県別の投資実行企業の現況について簡単に説明していただけますか。
  87. 中澤忠義

    中澤政府委員 現在、地方公共団体から投資育成会社、三社ございますが、その三社の資本出資総額は、三十五都道府県それから四指定都市、合計いたしまして二十三億一千四百万円、投資育成会社全体の資本金の一七・九%の出資をしておるわけでございます。各都道府県におきましておおむねまんべんなく投資育成会社への出資あるいは株式の取得が行われておるという状況でございます。
  88. 長田武士

    ○長田委員 中小企業投資育成株式会社からの投資実行企業の現況を見てまいりますと、都道府県間でかなりの差が見られるわけです。特に中小企業の多い東京、大阪、名古屋に集中することは、ある意味では当然かとは私は思いますけれども、しかし、中小企業投資育成株式会社が地域経済の発展に有効な役割を果たさなければならないという点から見た場合、各地方の中小企業に対しても十分機会を与えなければならないと考えるわけであります。この点についてどのような具体策を講じておられるのか。  また、中小企業投資育成株式会社に対し出資していない地方公共団体が、いま御答弁がありましたとおり十二県もありますが、これらの県に対して今後どのような方針で対処されるのか、お尋ねをいたします。
  89. 中澤忠義

    中澤政府委員 各府県からの投資育成会社に対する出資につきましては、従来から中小企業庁といたしましても極力協力していただくように要請しておるところでございますが、何分各県におきまして、県の財政事情等から、先ほどお話しのとおり十二の県がまだ出資していただいていない状況でございます。ただ、先ほどお話もありましたように、投資育成会社の制度全般につきまして現在審議会で改定方向検討しておるわけでございますが、制度改正の機会に改めて積極的に各県へ出資あるいは投資育成会社の事業に対する協力の要請を行っていきたいと思っておる次第でございます。
  90. 長田武士

    ○長田委員 それでは、通産大臣、せっかく御出席いただいていますから御答弁をいただきたいと思います。よく聞いてください。  このように地域経済発展の中核といたしまして中小企業の振興、育成を図ることは今後ますます重要だろうと私は思うのです。したがいまして、中小企業投資育成株式会社の果たすべき役割りも今後さらに大きくなると私は考えておるのです。政府は同社の果たす役割りについて、今後どのような基本的な考え方を持っておられるのか。私は、設立当初よりも非常に後退しておりますし、非常に利用度の低い名ばかりのこのような会社になりつつある現状を憂えておるのです。その点については通産大臣、どうでしょうか。
  91. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私が就任いたしましてすぐ出ました問題は、この投資育成会社を民間の機関にしたらどうだという行政改革の一環の問題が起こりまして、その後、大阪、名古屋の方を回ってみますと、これは大変重要な機関で、政府が手を放しますと大変恩恵を受けています各中小企業の連中は困る、何としても政府で育ててもらいたいという非常に強い希望が現地に多いものですから、従来のような考えではいかぬな、政府としてももっとみっしり力を入れて育成すべきではないかという感を非常に強く受けました。でございますから、ただいま御質問あるいは御指導をちょうだいいたしましたように、今後とも政府といたしましては力を入れてこの機関を強化したいと考えております。
  92. 長田武士

    ○長田委員 次に、貸付制度についてお尋ねをいたします。  この貸付業務には一般貸し付けと特別貸し付けという二種類がございます。一般貸し付けの方は年々利用者もふえておるようでございますけれども、特別貸し付けの中にはここ数年利用されていないものや極度に利用度の少ないものもあるのですね。そこで、どのような貸し付けがこの特別貸し付けに該当するのかお尋ねいたします。
  93. 左近友三郎

    左近政府委員 中小公庫の特別貸し付けにつきましては、そのときどきの中小企業の振興のための政策目的に従いまして制度をつくってまいったわけでございまして、大きく分けまして近代化貸し付け、構造改善貸し付け、安全、公害貸し付け、その他のグループというふうな四つのグループに分かれるかと思います。  この中で、たとえば近代化貸し付け等につきましては相当以前から実施しておりますので、業種ごとの近代化が促進するにつれて目的を達成して、この金額がある程度低くなるというようなこともございます。それから、公害貸し付け等につきましても、公害設備が整備されますとある程度減ってくることもございますが、特別貸し付けというのは政策の実態に応じて適時適切に設定しなければいけない。それからまた、使命を果たしたものはスクラップしていくという態度が必要かと思いまして、現在もそういうことでスクラップ・アンド・ビルドという形でやっております。最近省エネルギー貸し付けというのを採用いたしまして、こういうものが逐次ふえてきておるといったこともございます。  そういうことでございますので、今後も弾力的にこの特別貸し付けをふやしていきたいと考えております。
  94. 長田武士

    ○長田委員 長官の御答弁がございましたとおり、ふえているのも実はあるのですね。ところが、下請振興貸し付け制度というのがありますね。これは五十三年四月から五十五年一月まで利用件数がゼロなんです。この原因についてはどういうふうにお考えですか。
  95. 左近友三郎

    左近政府委員 下請振興貸し付けにつきましては、下請企業が親企業と一緒になりまして下請企業の振興組合というのをつくって、それによるいろいろな施設に対する貸し付けということでございますが、これについては残念ながら最近そういう下請の振興のための組合設立というのが、余り新設がございませんで、こういう事業がなくなったということでございます。  下請対策につきましては、こういうふうな組合をつくるという形だけでいいのか、あるいはたとえば下請代金支払遅延等防止法のような取り締まり的な方策ももっと進めるべきではないかということで、いろいろ検討をいたしております。したがいましてこういう点につきましても現在の助成制度がいいのか、あるいはもっと下請対策として別途の施策を打ち出すべきかというふうなことを検討しておるわけでございますので、もしこういう制度についての需要が少なければ、これはこれで別のものにかえていくことを考えなければいけないなということで、現在下請対策検討中でございます。
  96. 長田武士

    ○長田委員 長官、私の認識と大分違うのですね。利用者が少ないのでほかの面にというような考え方は、私は現状認識がちょっと甘いように思います。と申しますのは、この下請中小企業者が余り利用できないのは、貸付対象など実態にそぐわない面が非常に多いのですね。そういう点で利用度が非常に少ないという事実があります。そういう点でこの貸付対象の基準を見直すこととか、何らかの改善措置を講じないと利用者はふえない、私はこのように思いますが、その点どうですか。やめるなんて言わないで前向きにやってくださいよ。
  97. 左近友三郎

    左近政府委員 いま私が申しましたのは若干言葉が足りませんでしたが、廃止ということだけではなくて、この制度の内容の改善も含めて検討するという趣旨でございますので、若干私の言葉が足りなかったことをおわび申し上げます。
  98. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  99. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  十二時四十五分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後零時四十七分開議
  100. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  101. 小林政子

    ○小林(政)委員 中小企業金融公庫、これの経営安定とそれから機能を高めるということは、民間金融機関から十分融資を受けるということがきわめて困難な立場にあります中小企業が必要としている長期そして低利の融資を行うという上からも、ますます重要になってきていると言うことができると思います。したがって、公庫経営を縮小するようなあるいは圧迫するようなこういう要因については、その都度国が適切な措置をとるなどして手当てを行い、いやしくも政府系金融機関としての運用を保証するということは当然のことではないか、このように思いますが、以上の点から二、三質問をいたしたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたいことは、政府の政策融資として五十二年十月から五十四年の六月三十日に期限切れとなりました円高融資、いわゆる為替変動対策緊急融資のことでございますけれども、この一年八カ月間の貸付残高は総額で幾らになるのでしょうか、まずこの点からお伺いをいたします。
  102. 中澤忠義

    中澤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の円高緊急融資残高でございますが、五十五年一月末におきまして一千八百三十三億六千五百万円でございます。
  103. 小林政子

    ○小林(政)委員 この円高融資は国の政策金融として五・三%の金利で適用をされてこられたわけでございますけれども、これの逆ざや分、総額というのはどのくらいになりますか。また、そのうち国が一般会計で補てんをしたものは総額でどのくらいになるのでしょうか。さらにまた、金庫が負担をいたしました〇・三%分、これについては総額でどのくらいの額になるのか、お伺いをいたします。
  104. 中澤忠義

    中澤政府委員 運用部金利との金利差でございますが、おおむね一・二%程度で推移したわけでございます。その結果、円高緊急融資によります国からの利子補給の額は、五十三年度におきまして二億九千九百万円余でございます。五十四年度におきまして九億四千八百万円余でございます。五十五年度におきまして、予算といたしましては十億七千八百万円でございます。また、中公におきまして負担いたしました金額でございますけれども、五十三年度で一億四千九百万円、五十四年度で五億三千七百万円という試算になっております。
  105. 小林政子

    ○小林(政)委員 相当の負担分が金庫の負担ということになるわけでございます。そこで、ここは本当は大臣に伺いたいところだったのですが、中小企業庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  国の政策によって緊急融資を実施した。こういう中で貸付金利と原資の借入金利との逆ざや、これに対して私は、こういうものは一般会計から全額措置をしていくということが当然なことではないだろうか、このように思いますけれども、この点についての見解をお伺いいたします。
  106. 左近友三郎

    左近政府委員 円高緊急融資につきまして、一部公庫負担になったという結果につきましては、貸し付けを始めました時代はまだ公庫経営基盤が強固でございまして、いわば資金に若干のゆとりがあったということでございます。したがいまして、そういう点で一部公庫負担ということにしてやったわけでございますが、基本的な考え方は先生のおっしゃるように、必要な金利差というものは国がめんどうを見るということが必要であろうと思うわけでございます。したがいまして、今後こういう場合には公庫の財政事情も勘案いたしますけれども、そういう点について、個別の政策的な融資につきまして、国としても必要な措置を講ずるような気持ちでまいりたいというふうに考えております。
  107. 小林政子

    ○小林(政)委員 同じようなことが繰り上げ償還の際にもやはり見られるわけであります。金融引き締め期に約九%台の高金利で融資を受けた中小企業が、五十三年度に入って金利が七・一%と低くなったということで、中小企業の場合には運転資金あるいは資金繰りに常に非常に苦慮しておりますので、何とかこの金融負担を減らしていこう、こういうことでこの際繰り上げ償還を行うということはまた当然のことであろうというふうに考えます。しかし資金運用部から金庫は八%台で当時借り入れをいたしておりまして、その借りた資金を七・一%という低い金利で運用を図っておりますので、ここにも大きな逆ざやが出てくることは当然のことだと思います。私は、このように政府系の金融機関として、運営上の問題やあるいはまた構造上の問題として出てまいります赤字といいますか、逆ざやにつきましては、一般会計や政府出資をふやしていくなど、こういう形で適切な措置を今後とっていくということがきわめて重要になっていくのではないか、とりわけ今後金融縮小の動きが強まってくるというような状況のもとで、この問題は非常に大事ではないかというふうに考えますけれども、公定歩合が一・七五%引き上げられて今回は九%になっております。かって政府がやはり繰り上げ償還を行った時期と同じような状態が繰り返されるのではないかということも考えられます。こういう点から、具体的にはやはり適切な措置をその都度とっていくということは非常に重要だと思いますけれども、この点について見解をお伺いいたしたいと思います。
  108. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のような繰り上げ償還につきましては、中小公庫政府系金融機関であるという一つの使命から、中小企業方々の金利負担の軽減というようなことを考えてそれに応じたわけでございます。したがいまして、これは先ほど申しました政策融資と、性格的にはやはり一種の中小企業のために特に努力をしたという意味においては共通の趣旨に基づくものでございます。したがいまして、こういうことによります公庫の財政事情の圧迫というものについては、われわれも十分将来を考えなければいけないというふうに思うわけでございます。  先ほどの繰り返しでございますが、実は従来は創立以来健全な運営をしてまいりまして、資金に余裕があったものでございますからこの措置ができましたし、現在においても赤字が発生しておりますけれども内部留保によってこの措置ができております。しかしながら、今後を考えますと御指摘のようにどういう事態になるかという点についてはなかなか予測しがたい面もございますので、適時適切な対処をしてまいりたい。基本的には異常事態が出てこなければ公庫の運営はうまくいくと思いますが、しかし異常事態がないということは断言できませんので、時宜に応じて出資なり何なりの措置を十分考えていきたいというふうに考えております。
  109. 小林政子

    ○小林(政)委員 十分この措置を行っていきたい、こういう御答弁でございますけれども、今回の繰り上げ償還の場合に逆ざやの解消というのを、公庫にゆとりがあったということで内部留保の引当金からこれを取り崩している、こういうことでございますけれども、こういうものがあるならば、本来公庫が政策金融機関としてやらなければならない特別貸し方向などをさらにもっとふやしていくということにしていかなければならないのではないだろうか、このように私は考えておりますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  110. 左近友三郎

    左近政府委員 引当金等は不測の事態に備えるものでありまして、限度も決まっておりますし、これを過度に積むということは必要がないわけでございます。したがいましてその決められた限度の中で措置をしながら、それ以上の問題については御指摘のように特別貸し付けその他によって中小企業に対して有利な金融を行うという努力をすべきであるというふうにわれわれ考えております。
  111. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に私がお伺いをしたいのは特別貸し付けの問題についてでございます。その中でも特に省エネルギー貸し付け、これは五十三年の十二月二十六日から貸し付けの対象になっておりますけれども実態はいまどうなっているのか、まずこの点をお答えをいただきたいと思います。
  112. 左近友三郎

    左近政府委員 省エネルギーというのは最近の事態において大変重要であるということから、御指摘のように省エネルギー貸し付けというものを政策融資の一環として特別貸し付け対象にいたしたわけでございます。これは一中小企業当たりの貸し付け限度を二億二千万円ということで、通常一億五千万円であるものを限度を上げました。それから貸付期間につきましても、通常は五年ないし七年のものを十年ということで、そういう融資条件をつけて発足をしたわけでございまして、これについて逐次御利用いただいておるというのが現状でございます。
  113. 小林政子

    ○小林(政)委員 省エネルギーという問題でこれから政府が大変力を入れていこうとしておりますけれども、この貸し付け対象にされました説明を読んでみますと、「中小企業者であってエネルギーの有効利用に資する設備を設置する者」と規定がされております。私は、大きな企業の場合には、省エネルギー設備ということでこれが実施をされますと、コストに占める燃料費の割合などというものも、価格的にどの程度になるかということは具体的にはわかりませんけれども、やはり相当比率も下がって有効な措置がとれる、メリットがあるのではないか、このように思いますけれども、一方中小企業の場合を見てみますと、省エネルギーの投資というものをいたしましてもコストの低下ということにはなかなかつながりにくいといいますか、こういう一面を持っております。したがって、いま省エネルギーの金利というものが一般貸し付けと同じ金利になっておりますけれども、せっかく特別貸し付けとされて年限も延ばしたりあるいは貸し付け限度額もふやしたり、こういうこともやられているようでございますけれども、やはり金利そのものを下げるべきではないか、特別貸し付けにふさわしい金利にすべきではないだろうか、このように考えますけれども大臣の見解をお伺いいたします。
  114. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 説明によりますと、省エネルギーでございますから、それだけこの資金をもとにいたしまして省エネルギーのための諸施策を講ずるわけでございますから、燃料あるいは電力等が節約されるわけでございまして、反面中小企業の経理関係からそれを見ますと、それだけ特典にあずかるといいますか、ということで、金利は同じ金利でいいじゃないかということにしたそうでございますけれども、お説のように私もそれじゃ確実にそうなるかと言われると、確実にそうなるというギャランティーは別にないわけでございまして、もう少し行く末を見まして、そしてその間検討を続けて、やはり金利に差をつけた方がよろしいということであればそういうふうにするべきだというふうに考えます。
  115. 小林政子

    ○小林(政)委員 この問題につきましては、昨年の五月九日の、エネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネルギー法が商工委員会で採決をされました際に、附帯決議がついているわけでございます。その附帯決議をちょっと読んでみますと、「エネルギーの使用の合理化等の施策の実施にあたっては、中小企業に対する金融、税制上の措置等について特段に配慮し、円滑な施策の推進に努めること。」このように書かれております。私は、いま省エネルギーがこれほど重要な問題として政策上も明らかになってきている中で、この国会の附帯決議というものを大臣は当然尊重されて、そしてこの問題については金利の問題をも含めて検討をしていただくことがどうしても必要ではないだろうか、このように考えておりますので、再度御答弁をお願いいたしたいと思います。
  116. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 同感でございますが、もうちょっと貸し付け後の状況等を見まして決断したいと思います。
  117. 小林政子

    ○小林(政)委員 さらに特別貸し付けの問題についてお伺いをいたしますけれども、五十四年三月で貸付残高の約九%が特別貸し付けということになっております。私は、政策金融としてこうした特別制度というものをもっと伸ばしていく必要があるのではないだろうか、このように考えております。民間金融機関と違ってある程度利潤を求めなければならないという立場ではなく、政府の政策金融機関でもございますので、この特別貸し付けという問題を今後もっと伸ばしていくということはきわめて重要な課題ではないだろうか、このように考えております。いま、特別貸し付けについては金利も含めてもっと魅力のある内容にしていくべきではないか、さらにいろいろと工夫をして魅力のある、使いやすい、そして喜ばれる、こういう金融にしていくべきではないか、このようなことも言われておりますけれども、この点について大臣の基本的なお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  118. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 おっしゃること一々ごもっともでございまして、何でも賛成ということになりますが、この制度に関しましては、おっしゃるとおりまだまだ改善の余地があると思います。ですからできるだけ今後とも改善に努力をしてみたいと思います。
  119. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に、これは直接法案の問題ではございませんけれども、三月十九日の物価問題に関する閣僚会議決定というものがされております。その中に、いろいろ書かれておりますけれども、「個別物資に関する対策」、こういうことが含まれております。ちょっと読み上げてみますけれども、「最近の商品市況にかんがみ、業種別、品目別に需給価格動向をきめ細かく調査、監視し、値上がりの著しい物資について、実態の把握に努め、必要に応じ、供給の確保のための備蓄の放出、原材料の出荷要請等、機動的な対策を実施する。」こういうことがこの項目に書かれております。私は、この中で、先般問題にいたしました印刷製版用のフィルム、これら印刷材料が大幅に値上がりをいたしております。印刷製版用のフィルムの値上げは、三月一日に五〇%、さらに四月一日からは四〇%から六〇%の再値上げが行われる、こういう表明がメーカーからもされているわけでございます。したがって、末端の中小印刷業者の方々で材料が手に入らないといって大変困っている方がいらっしゃいます。こうした問題は、通産省にその事態を持っていけば、これに対してメーカーに出荷をさせるというような具体的な措置をおとりになれるのかどうか、どのような行政指導をされようとしているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  120. 大永勇作

    ○大永政府委員 印刷用フィルムにつきましては、現在前年同月に比べましても相当生産がふえておりまして、基本的には需給関係に問題はないと思います。  ただ、値上げの前になりますと、ことしの一、二月がそうでございましたが、前倒しの需要がふえまして、場所によりまして手に入らないという苦情があるわけでございます。そういうときには通産省あるいは通産局の方に言っていただきますと、普通必要とする程度のもの、いつも使っているものの倍とか三倍とか言われましても困るわけでございますが、普通使います程度のものにつきましては確保できるようにメーカーの方に話をすることにいたしておりますし、今後もいたしたいと思います。  なお、四月からの値上げの問題につきましては、最近銀の価格がまた下がるような傾向が見受けられますので、現在のところはまだ発表が行われておりません。
  121. 小林政子

    ○小林(政)委員 金融問題をも含めて最近の情勢は何かと緊縮状態が続いたり物価の値上げが行われたり、こういった中でも基礎物資が上がればすべての物価に大きく影響を来すわけでございますし、監視の体制だとか具体的な措置をどのようにされようとしているのか、この点を大臣に最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  122. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 主要な個別物資の需給あるいは価格動向等を観察いたしまして、必要に応じて機敏な対策を打ち出すことは大変重要な問題でございますので、通産省の中に主要物資需給価格動向連絡会という連絡会を設けまして、関係各局の局長あるいは担当官が集まりまして、具体的に各物資の需給関係あるいは価格等の動向を厳重に監視しているところでございます。それによりましていささかでも便乗値上げ等の疑いがございますれば、すぐそれに対して対処方法を講ずる、あるいは需給が逼迫すればそれに対して在庫等を放出するというような手段を講じまして、先生のおっしゃるとおりきめ細かくただいま進めておるところでございます。
  123. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて小林政子君の質疑は終了いたしました。以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  124. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)     —————————————
  126. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 次に、本案に対し、中島源太郎君外四名から、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。清水勇君。
  127. 清水勇

    ○清水委員 ただいま提出いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、中小企業金融の円滑化を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、中小企業金融公庫店舗網の整備拡充を促進し、直接貸付の拡大を図るとともに、貸付事務の迅速化を図ること。  二、中長期的観点から政府中小企業金融機関資金量の確保を図るとともに、貸付金利を極力低位に置くよう努めること。 以上でございます。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、審議の過程及び案文によりまして御理解をいただけるものと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  128. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付すことに決しました。     —————————————
  130. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  132. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 この際、佐々木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木通商産業大臣
  133. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 ただいま御議決をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、中小企業金融対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。
  134. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 次回は、明二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会