○小林(政)
委員 私
どもはこの問題を一応私
どもなりに試算をいたしてみまして数字を持っております。七百八十七億といういまの
お話でございますけれ
ども、少なくとも電力九社が五十三年から五十四年のこの一年間に期中に増加したもの、これがどのくらいになるかというと九百三億円、そして目的使用の期間中の減少額は約六百九十二億円、差し引き二百十一億円の新たな積み増しが行われておりますし、五十四年三月期末で試算をいたしますと四千九百六十四億円にも上るわけでございます。
こういう多額の内部留保としての退職給与引当金が計上されているわけですけれ
ども、この引当金については、いま国民がこれだけ大幅な値上げをされようとしているときに、電力九社については当然従業員の半数が一時に退職するということはあり得ないわけです。公益事業として、また
わが国の本当の基幹
産業として電力事業が持っております性格からいっても、このような事態が起きるなどということは想定することも私は現実的ではない、このようにも思っておりますし、結局税法上の累積限度額というのは、
先ほどの御説明ですと、
会社の一方的な権限ではこれの取り崩しなどということはできないものではないかという御答弁がございましたけれ
ども、しかし実際に退職給与引当金というのは、全従業員が自己の都合で退職する場合、その退職金に必要な支出、それの五〇%、これを税法上無税でもって、ここまでは限度額として税金はただですよということで認めている制度でございます。したがってこの中身についての活用という問題は、いままで何回もいろいろ
指摘もされてきたことでありますけれ
ども、資産の活用ということでこれはいろいろな問題で利用されてきた、こういう性格を持っているのが退職給与引当金です。しかもこの引当金というのが利益的な性格あるいは利益操作の手段として間間使われてきた、こういう性格が非常に強くいろいろと
指摘されております。とりわけ大
企業ほどやれ業績が悪化した、こういうときには退職給与引当金を取り崩したり、あるいはまたこの積み増しを景気のいいときにはやるとか、いろいろ操作の段階でこれが活用されておりますし、学者の中にも、立命館
大学の河合教授な
ども「財務諸表新論」、この著書の中でこれらの点を
指摘いたしております。また同じその著書の中で
紹介されていますけれ
ども、退職給与引当金制度というものは、退職金支払いのための支払い準備の目的ということだけで見れば、現在のような
やり方はやはり検討しなければならない、こういう
意味のことも述べておりますし、全従業員が退職をするなどということは、あるいは半数の従業員が電力
会社で退職するというようなことは実際には
考えられない、こういう状況のもとで、私
どもとしては、電力事業の公共性といいますか公益事業といいますか、こういう地域独占という点からも、競合
関係のない事業として国もこれを保証しているわけです。同時に国民には安定供給を行わなければならないという義務もあって、国家的にもいろいろの角度で、税制の上でも金融の上でも、あらゆる点でこの
企業の倒産などということは
考えられないほどしっかりと保証をしているというのが現状だと思います。こういう中で退職給与引当金をここで取り崩せないのだ、こういう論拠というのはどう
考えても私は納得ができないのです。結局はこの問題について本当にやるつもりならできるのか、それとも
政策的にやらないのか、一体この問題はどういうことなのか、その点をお答えいただきたいと思いますし、私
どもの見解というのは、退職給与引当金というものは当然いまの時点では取り崩すべきではないか、こういうことを主張いたしておるわけでございます。
以上の点について簡潔にお答えをいただきたいと思います。