○中川(嘉)
委員 先ほど申し上げたとおり、百万キロワットの
発電所をつくるのにやはり二千億円かかるということ、これはもう間違いない
数字だと私は見ているわけですけれ
ども、まだまだ将来に向かってどうせふくらんでいくことは間違いないわけで、これで先ほどの七年間の一応の概算をはじいてみても、差が六千百万キロワットです。五十三年度末一億一千七百六十五万キロワット、六十年度末一億七千九百万キロワット、このように先ほど申し上げたわけで、この差が六千百万キロワット。したがって、二千億円を掛けるわけですから、これはだれが
計算したって十二兆二千億円という
数字が出てくるわけです。いま御答弁いただいた企業の調達能力という点についても、果たしてどれだけあるのやら、全くこれだけの膨大な
数字を目の前にして、それこそあらゆる手を政府として打っていかなければこの実現はおぼつかないわけで、
見通しに対する資金調達の裏づけ、こういったものがあいまいなようなことであってはならないわけで、
見通しに応じた
設備投資が本当にできるのかどうかということを私たちは心配しているわけですね。こういったことも踏まえながら次の
質問に入っていきたいと思うのです。
電気事業の抱えているところのもう
一つの苦悩、この大きなものというのは、新エネルギーの研究開発あるいは省エネルギー技術の研究開発、こういったものがあるわけで、太陽エネルギー、地熱エネルギーあるいは石炭エネルギー、水素エネルギー、海洋エネルギー、さらには気象エネルギー、これらの開発はどれをとってみても非常にリスクの大きい、しかも先ほど来申し上げているように膨大な資金を要するものである。
電力業界では今後十年間に代替エネルギーの開発資金、こういったものも含めて電気の安定供給に要する資金というものは約六十兆円、こういうふうな金額になるということを言っておりますけれ
ども、もちろん政府としてもここ数年来エネルギー対策に力を注いでこられたということもわかっておりますし、また五十五年度予算ではエネルギー対策費が一千億円以上ふえて四千二百四十一億円、こういった金額が計上されている。また四十九年度には
電力会社の電源立地が容易に確保できるように電源開発促進税、さらには電源開発促進対策特別会計、こういったものが新設をされて、地元の公共団体に交付金が出されるようになった、こういうわけですけれ
ども、五十五年度ではさらにこの電源開発促進税、この税率を従来千キロワットアワー当たり八十五円から三百円と大幅に
引き上げて、従来の電源立地の問題だけではなしに、水力とかあるいは石炭火力、地熱、太陽エネルギー、
原子力、こういった石油代替エネルギーによる電源開発の研究やあるいは
建設に助成をしょう、こういうものであります。そのほかサンシャイン
計画、これによって新エネルギーの開発に取り組んでいることも知っているわけですけれ
ども、いずれも今後のエネルギー政策としてはすべて重要なことと言わざるを得ないわけです。
しかしながら私は、これらの施策が
規模としてまだまだ非常に小さいと思うわけで、先ほ
ども述べましたとおり今後十年間にエネルギー関係、特に電気では六十兆円を要するというのに、政府の予算が五十五年度でも四千億円
程度である。しかもこの中には石炭関係の振興費ですね、むしろ失対費と言ってもいいのじゃないかと思うのですが、こういったものが一千億円以上も入っているという
現実であるわけです。今後
電力業界が安価な電気を安定的に供給していくためには、国として以上述べた開発のためのリスク、こういったものをもっと肩がわりをしてやる必要があるのじゃないか。そうすることが今後の
電力政策のあるべき方向ではないかと私は考えるわけですけれ
ども、その点をめぐって、できれば大臣の御答弁を含めてひとつ御回答をいただきたいと思います。