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梅田委員 安衛法の五十九条によりまして
安全衛生教育というものは
事業者に法的に義務づけておるわけでありますが、その実施もなかなか一〇〇%には至らないというのが現状なんですね。ですから、ましてそういう
状況でありますから、
労働省の方が積極的に対応していかないと、
事前審査といいましてもしっかりとはやれないということを申し上げたいわけです。
それから、いま一つ、前にも労災隠しのことを申しましたが、企業はうまいことをやるのです。そして、安全成績が問題だということになりますと、なるべく事故がないように労災事故を隠す、こういう傾向があるわけであります。
ある事例を申し上げますが、ある大手の建設会社でございますが、孫請に働く
労働者がブルドーザーに足をはさまれて二カ月の入院事故を起こした。これは実際にあったのであります。しかし、労災になるとぐあいが悪いので説得して、治療費とそれから六〇%の休業補償を出すから堪忍してくれということで本人に納得さして労災申請をやらせない、こういう事例がある。後ほどその傷んだ足が痛くなってきたが、そのときには労災申請しても時効になってだめだ、こういうことがあるわけです。五十三年九月十九日の
中央労働基準審議会の建議がありますが、そこでは適正な施工業者の選定ということで、このような「「かくし労災」の絶滅を期すための
措置を強化する必要がある。」ということを強調しております。
これは
労働大臣にお伺いしたいのでありますが、こういう悪質なものがどうしても出てくるわけです。ですから、免許の減点方式じゃないけれども、そういう労災隠しをしたら安全成績の方は逆に減点するよということで相当厳しい規制を加えることをぜひ検討していただきたいと思うのでありますが、その点が一つお伺いしたいことであります。
それから、時間がございませんので、もう一問だけ申し上げて終わりにいたしますが、同じように労災事故をなくそうと思いますと、職場の働く環境が明朗でなければならない、明るい職場でなければならぬと思うわけであります。ところが、最近雪印食品におきまして、労使関係につきまして調査いたしましたら、
労働安全衛生上にも重大な問題があるということがありますので、きょうは時間がございませんので、問題点を質問して適切な
改善のための指導をお願いしたいと思うわけであります。
雪印食品の東京工場に働く
労働者の場合でありますが、ある方の例を申し上げますと、昭和四十七年十一月に作業中に右手の指二本を切断した、二カ月の入院の重傷事故であります。ところが、会社は反省するどころか、縁起が悪いと会社の幹部連が寄って機械にお酒をかけてその酒を管理職が回し飲みして清める、とうてい信じられないような事例が起こっているわけであります。組合が怒って問題だということで取り上げましたら、その方は以後
労働組合活動につきましても熱心に参加するようになったし、分会員にもなるし、
安全衛生委員にもなってそういう問題がなくなるように奮闘するようになった。ところが、会社側は、そういう会社ですからDECという秘密組織といいますか、非公然の組織をつくりまして、そして
労働組合に対して不当な介入を行う。そして、一挙に
労働組合をひっくり返す、そういう策動をやる。そして、職場におきましては活動家に対していやがらせをやる、あるいは暴力行為を起こす。そして、この人の場合には、いろいろいやがらせをやられて昭和五十二年についに退職せざるを得ないところに追い込んでいるわけであります。最近言われる減量経営、合理化、こういう名目のもとに大量の削減
計画を強行していく、こういうことでは職場における安全は保障されないのじゃないかと思うわけであります。当然ここでは労使紛争が激化するわけでありまして、埼玉地労委に対しましては五人の
労働者が提訴しております。兵庫の地労委に対しましても二人の
労働者がそれぞれ賃金差別是正、不当
労働行為救済の申し立てを現在行っておるわけであります。
それから、ここにも新聞を持ってまいりましたが、「雪印食品の職制集団暴行事件 斉藤さん全面勝利」というのが昨年の十一月の埼玉新聞に出ております。この場合は職場で集団暴行を受けるわけです。これに対しましてはもちろん実行行為者十九名が刑事裁判に付せられまして、すでに全員が有罪の判決を受けております。被害者は会社と実行行為者を訴えまして、すでに昨年十一月に全面勝利をいたしまして、会社側も請求全額を支払う、こういうことに相なっておるわけであります。しかも、
労働省として見過ごすことができませんのは、DECなる組織と並行いたしまして、会社は小集団サークルというものをつくりまして、五十五年度方針実行
委員会というもので会社と
労働組合といろいろな人が入って、各職場ごとにずっと細かいサークルを組織する、これは昼休みにやるのです。十二回もやっておりますが、
改善提案二百五十件。昼休みというのは
労働基準法によって
労働者の自由にさせなければならぬわけです。その時間に全部集めて
改善提案をやれやれといって締める。これでは
労働者はたまったものじゃないですよ。これではいつ大きな事故が起こるかもしれないということになるわけでありまして、先ほど労災隠しの問題についてひとつ新たな問題を検討していただきたい、減点方式などもやるべきじゃないかというように大臣にお願いしたわけでございますけれども、こういった問題を許さないために厳重な調査を行っていただきまして私どもの方に報告をしていただきたい。
以上で、私の質問を終わります。