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小林(功)政府
委員 昭和五十五年度厚生省所管予算の概要につきまして、お手元の資料に従いまして簡単に御説明申し上げます。
昭和五十五年度の厚生省所管の予算額総額は八兆一千四百九十四億七千五百万円でございまして、前年度に対しまして、額で五千九百五十三億八千七百万円の増、率で申しますと七・九%の伸びに相なっております。
一ページめくっていただきまして、二枚目は厚生省予算を経費別に掲げたものでございまして、一番下の欄でごらんいただきますとわかりますように、厚生省予算額の一般会計総予算に対する割合は一九・一%となっております。
以下、主な内容につきまして御説明申し上げます。
目次のページを三枚飛ばしていただきまして、一ページをごらんいただきたいと思います。
最初は、年金関係でございます。
まず、厚生年金保険の
改善でございますが、年金額水準につきまして、前回の財政再計策期以降の賃金の動向等を勘案いたしまして、年金額の引き上げを行うこととしております。これによりまして、標準的な年金額の水準は月額十万七千八百五十八円から十三万六千五十円になります。また、加給年金額の引き上げ、それから障害年金、遺族年金の最低保障額の引き上げを行うこととしております。
老齢年金につきましては、在職老齢年金の支給制限の緩和を行うこととしております。
二ページへ参りまして、遺族年金でございますが、寡婦加算につきまして、たとえば子供二人を有する寡婦の場合で申しますと、月額七千円から一万七千五百円というような
改善を行うこととしております。
また、標準報酬の上限、下限の改定、そして保険料率の改定を行うこととしております。
なお、船員保険の年金部門につきましては、厚生年金保険に準じた
改善を行うこととしております。
次に、拠出制国民年金でございますが、年金額につきまして、三ページの上にありますように、二十五年加入のケースで申しますと、月額三万九千二百二十五円から四万二千円というような大幅な引き上げを図ることとしております。
母子年金の
改善につきましては、母子加算、月額一万五千円でありますが、これの創設を行うこととしております。
それから、保険料につきましては、ここに書いてありますような改定を行うこととしております。
また、福祉年金の
改善でございますが、年金額につきまして、老齢福祉年金の場合で申しますと、月額二万円から二万一千五百円、月額千五百円のアップを行うこととしております。
それから、所得制限限度額につきましては、本人所得制限の場合は、老齢福祉年金の場合で申しますと、二百八万円から二百十六万四千円というような引き上げを行うこととしております。また、扶養義務者所得制限につきましては、現行据え置きといたしております。
四ページへ参りまして、年金オンライン体制の整備でございますが、来年度はオンライン計画の二年目に入るわけでありますが、初年度の二倍に当たります百カ所を新たに実施社会保険事務所とすることといたしまして、所要の予算を計上しております。
五ページは福祉に関する事項でございますが、まず、在宅
老人福祉対策につきまして八十九億四千二百万円を計上しております。
主な内容といたしましては、備考欄の中ほどにございますように、生きがいと創造の事業助成費の個所数の増、それから、次のページへ参りまして、寝たきり老人短期保護事業の対象人員の大幅な増、そしてデーサービス事業の対象個所数の増等を図りまして、施策の拡大を図ることといたしております。
真ん中あたりにあります在宅心身
障害児・者対策でございますが、総額九百十三億八千百万円を計上しておりまして、まず、在宅心身
障害児(者)対策につきまして、施設オープン化対策推進費といたしまして一億円余を新規に計上しております。これは施設の持つ機能を在宅心身
障害児(者)のために活用しようとするものでございまして、括弧内にありますような事業をメニュー事業として実施しようとするものでございます。
次の七ページの下から二行目でございますが、来年度は心身
障害児(者)に関する調査を行うこととしておりまして、それに所要の経費を計上しております。
八ページへ参りまして、在宅障害者福祉対策としまして関係方面から非常に要望の強い障害者社会参加促進事業費につきまして、その事業の拡大と単価のアップを図ることとしております。
それから、ずっと下の方へ参りまして、身体障害者オリンピアード選手等派遣事業費を計上し、また、障害者の住みよい町づくりを目的とする障害者福祉都市推進費の対象の拡大を図ることとしております。
九ページの中ほどちょっと上にございますが、ボランティア活動の推進につきましては、ボランティア功労者顕彰制度を新たに設けることとしております。
十ページは家庭保健対策でございまして、総額で百十三億三千万円を計上しております。主な内容といたしましては、真ん中ちょっと下にございますが、先天性代謝異常罹患児に対します特殊ミルク共同安全開発事業費及び、ちょっと下へ参りまして、乳幼児身体発育等調査費を新規に計上いたしましたほか、一番下の欄でございますが、小児慢性特定疾患治療研究費の中で、次のページの上に出ていますように、下垂体性小人症につきまして二十歳までその年齢延長をすることとしております。
次は保育対策でございまして、総額二千九百九億一千三百万円を計上しております。
保育所の整備を引き続き行いますとともに、
保育所措置費の増額等を図ることとしております。
十二ページは児童の健全育成対策でございまして、総額で八百五十六億一千三百万円を計上しております。備考欄にございますように、児童館七十カ所、児童センター七十カ所の新設を行いますほか、次のページへ参りまして上から二行目でございますが、職域団体または企業が公園等を利用して行う児童の保育事業につきまして、職域児童育成事業費というものを新たに計上いたしまして助成を行うこととしております。少し下へ参りまして児童手当でございますが、所得制限、支給額とも現行据え置きといたしております。
母子・寡婦福祉対策でございますが、千五百五億百万円を計上しております。母子福祉貸付金のところに修学資金の特別貸付の創設がございますが、これは高校在学中に満十八歳を迎えまして児童扶養手当等を失権する者に対しまして、高校卒業までの間、手当相当額の貸し付けを行おうとするものでございます。
十四ページは低所得者援護の強化でありまして、九千六百億七千八百万円を計上しております。まず、生活保護の生活扶助基準につきまして民間最終消費支出の動向等を勘案いたしまして、標準四人世帯で八・六%の引き上げを行うこととしております。世帯更生資金につきましては、貸付原資の追加額としまして三十九億円を計上しております。
次に、
社会福祉施設整備につきましては六百六十七億円を計上しておりまして、この備考欄に掲げますようないろいろな
改善を行うこととしております。
下の方へ参りまして施設運営の
改善すなわち措置費でございますが、引き続き職員の増員あるいは処遇
改善等を図ることとしております。なお、十五ページの一番下の方にございますが、自閉症児施設につきまして来年度から児童福祉施設としまして措置費の体系に組み入れることとしております。
十六ページは健康づくり対策でございまして、百八十五億百万円を計上しております。備考欄の中ほどにございます婦人健康診査費の対象地区数、それから栄養
改善地区組織活動費の対象地区数の増、それから次のページへ参りまして下から五行目くらいのところでございますが、市町村栄養
改善事業の創設等が主な内容でございます。
一番下へ参りまして地域医療の充実でございますが、プライマリーケア対策としまして五十五億一千百万円を計上しておりまして、臨床研修の充実等を図ることといたしております。
十九ページは救急医療対策と僻地医療対策でございます。救急医療対策につきましては百三十四億二千八百万円、それから僻地医療対策につきましては四十三億七千四百万円をそれぞれ計上いたしまして、いずれも計画的にその体系的な整備を進めるということといたしております。特に二十ページの中ほどちょっと下にございますように、新規といたしまして僻地医療情報システムの導入を図ることとしておりますほか、二十一ページの上の方にございますが、僻地医療従事者
確保事業の助成あるいは修学資金貸与者ワークショップの実施によりまして、僻地における医師の
確保を図ることとしております。
次は医療情報システム体制の整備でございますが、これにつきましては開発、普及、導入の各部門におきまして特にその推進を図ることとしておりまして、十五億二千百万円というように前年度からかなり大幅な増額を図ったところでございます。
二十二ページ以降は特殊疾病対策が掲げてございます。小児医療対策、それから循環器病対策、それから二十三ページのがん対策、それから腎不全対策、それから二十四ページの難病対策、二十五ページの脳卒中リハビリ対策、それから精神衛生対策等につきましてそれぞれ所要の予算を計上してございます。
一枚飛ばしていただきまして二十七ページへ参ります。病院の財政対策でございますが、特殊診療部門運営費の助成の対象に自治体病院の小児医療施設を加えることといたしております。
次が保健衛生施設の整備でございますが、五十九億三千二百万円を計上しておりまして、備考といたしまして原爆医療施設を追加することといたしております。
二十八ページは医療施設等の整備でございまして、七十三億六千九百万を計上しておりまして、備考欄の(6)から(9)までに掲げるものを新たに追加をいたしております。
二十九ページは
医療保険制度でございまして、まず、政府管掌健康保険でございますが、これにつきましては現在御審議をお願いしております健保改正法案の内容に従いまして予算を計上しております。
三十ページの下の方に国民健康保険助成費がございますが、総額で二兆一千二百三十一億七百万円を計上しております。最も大きいものは1の療養給付費
補助金の一兆六千九百四十四億二千六百万でございますが、そのほかに財政調整交付金あるいは臨時財政調整交付金等がこれに含まれております。
三十二ページへ参りまして老人医療費でございます。老人医療費につきましては現行制度をベースとして予算を計上しております。所得制限につきましては、本人の場合二百八万円から二百十六万四千円に引き上げることとしております。扶養義務者につきましては六人世帯八百七十六万円据え置きといたしております。
三十三ページ、医薬品副作用被害救済対策でございます。医薬品副作用被害救済制度に関する経費といたしまして一億五千四百万を計上いたしますとともに、スモン恒久対策といたしまして重症スモン患者介護事業及びはり等の治療で計五億五千三百万円を計上しております。
一ページ飛ばしていただきまして三十五ページでございます。看護婦・保母等の養成
確保と処遇
改善でございます。備考欄中ほどにございます看護婦等貸費生貸与金の引き上げ、それから次のページの上から四行目にございます国立病院・国立療養所の看護婦の夜間看護手当の引き上げ、それからちょっと下へ参りまして理学療法士等養成所整備、さらに三十七ページの真ん中辺にございます保母の処遇
改善等々の施策を行うこととしております。
三十八ページは生活環境施設の整備費でございます。いわゆる公共事業費でございます。これにつきましては施設整備を引き続き推進することとしておりまして、簡易水道で申しますと二百七億八千二百万円、それから水道水源の
確保と水道の広域化の推進につきましては七百九億三千七百万円、それから廃棄物処理対策につきましては六百四十一億四千九百万円をそれぞれ計上しております。なお、廃棄物につきましては、ずっとめくっていただきまして四十一ページの一番最後にございますが、廃棄物の広域最終処分場計画を推進するための調査費を計上しております。
四十二ページは戦傷病者戦没者遺族等の援護対策でございまして、備考欄に掲げてございますように、来年度は遺骨収集につきましてはフィリピン、マリアナ・パラオ諸島等を、それから慰霊巡拝につきましては中国、フィリピン、東部ニューギニア等を、そして慰霊碑建設につきましてはニューギニアをそれぞれ予定しております。
次は新規といたしまして旧陸軍看護婦実態調査の経費を計上しております。
一番下へ参りまして引揚者等援護でございますが、一時
帰国対象範囲の拡大、再
帰国者枠の拡大、四十三ページへ参りまして引揚者援護対策等を行うこととしております。
それから、四十三ページの下の方でございます。戦傷病者戦没者遺族等援護でございますが、対象範囲の拡大、それから遺族年金等の
改善、これは恩給見合いでアップ率は三・八%でございます。それから、次のページの真ん中にございますが、戦没者父母等特別給付金支給法の改正を行うこととしております。
次に、環境衛生関係営業でございますが、これにつきましては六十一億八千万を計上いたしておりまして、その振興を図ることといたしております。
一枚飛ばしていただきまして四十六ページへ参ります。中ほどにございます新規といたしまして日本と中国の保健医療交流の経費を新たに計上しております。
それから、原爆被爆者対策でございますが、特別手当等につきまして所得制限の緩和、各種手当の引き上げを行うことといたしております。
二枚ほどめくっていただきまして四十九ページでございますが、高齢化問題調査検討費を新たに計上しております。これは高齢化に伴う
社会保障の種々の問題につきまして、いわゆるグリーンペーパー方式で有識者等の意見を徴するための経費でございます。
なお、五十ページ以降に各特別会計の歳入歳出予算等の一覧表をつけてございますが、説明は省略させていただきます。
以上でございます。