運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-03-28 第91回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十八日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤田 高敏君   理事 斉藤滋与史君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 伊賀 定盛君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 中川利三郎君    理事 神田  厚君       逢沢 英雄君    近藤 元次君       佐藤  隆君    高橋 辰夫君       原田昇左右君    堀之内久男君       斉藤 正男君    新盛 辰雄君       田口 一男君    武田 一夫君       薮仲 義彦君    山田 英介君       栗田  翠君    寺前  巖君       横手 文雄君    渡辺  朗君       田島  衞君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁大都市圏         整備局長    伊藤 晴朗君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   原  健彦君         大蔵省主計局主         計官      長島 和彦君         厚生省社会局施         設課長     岡光 序治君         通商産業大臣官         房参事官    福原 元一君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 檜山 博昭君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      山梨 晃一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         気象庁観測部測         候課長     駒林  誠君         気象庁観測部地         震課長     渡辺 偉夫君         郵政省電波監理         局無線通信部陸         上課長     立野  敏君         建設大臣官房建         設機械課長   中野 俊次君         建設省都市局都         市防災対策室長 長谷川義明君         建設省河川局防         災課長     川合 恒孝君         建設省河川局都         市河川対策室長 陣内 孝雄君         建設省道路局企         画課長     沓掛 哲男君         建設省住宅局日         本住宅公団監理         官       井上 孝夫君         建設省住宅局民         間住宅課長   浜  典夫君         国土地理院地殻         調査部長    藤田 尚美君         自治大臣官房参         事官      吉田 弘正君         消防庁防災課長 山越 芳男君         日本国有鉄道環         境保全部次長  神阪  雄君         日本国有鉄道施         設局土木課長  大橋 勝弘君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   林  百郎君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   栗田  翠君     林  百郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 藤田高敏

    藤田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊賀定盛君。
  3. 伊賀定盛

    伊賀委員 最初に大蔵省にお伺いします。  会計年度につきましておたくの方から「我が国の会計年度の推移」というものを出してもらったのです。そうしますと、徳川時代は別にしまして、明治二年から何回かの変遷がありますが、明治八年から十七年まで、七月に始まって六月に終わる、それから明治十八年は七月に始まって三月に終わるというようにありますが、そして明治十九年から現在の四月から始まって翌年の三月に終わる、こういうことになっています。これは何が根拠ですか。
  4. 長島和彦

    長島説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、わが国に近代的な会計制度が取り入れられまして、当初、明治の初めのころは、ただいまお話がございましたように、会計年度については幾多の変遷があったわけでございますが、先生お話しのとおり、明治十九年から現在のような四月−三月ということになっております。形式的には財政法第十一条の規定に基づいて、現在四月—三月を会計年度としているわけでございます。  なお、これまでの経緯につきましては、そのときどきの事情によりまして変遷をしてまいっているわけでございまして、順を追って申し上げますと、少し細かくなるわけでございますが、明治五年に改正になりましたときには、これはわが国が太陽暦を採用したというような事情がその理由になっているようでございますし、それから、明治七年に改正をし八年から実施いたしました際には、これは地租の納期と会計年度とを関連させての改正であったというふうに言われているところでございます。
  5. 伊賀定盛

    伊賀委員 時間がたちますからもうずばり申し上げますが、特にこれは後ほど建設省国土庁にもお伺いしたいと思うのですが、公共事業執行に当たりまして、豪雪地帯というのがわが国におきましてはたしか二十二県あるのですね。四十七都道府県のうち二十二県が豪雪地帯なんですね。そうすると、これはだれが考えてもわかりますが、三月に国の予算が決まります。そして四、五、六というのは、いわゆる業者あたりに言わせますと端境期というのですね。五、六、七は何にもなくて八月以降に、その間、市町村から言いますと県と相談をして、県から言いますと国の各関係機関相談をして、設計書の変更だとか、いや何や予算関係だとかいろいろあって、八月以降からぼつぼつと入札が始まる。それで、業者も請けましたからといって直ちにできるわけではないわけですから、それぞれ準備があって、いよいよ工事にかかるときには、もう十一月になったら早いところでは雪が降ります。本格的にやるときには実はもう雪が降ってしまっておりまして工事できない、これが現状ですね。その点、四国とか九州の暖かい所ないしは太平洋岸、これは夏も冬もないわけですけれもど、少なくとも日本の長細いこの列島の中の半分は公共事業執行できない。まあ、できないことはありません、雪をかき分けてやろうと思えばやれますけれども、それだけ余分な費用がかかりますね。言いかえるとこれは国費乱費だということになるわけですね。雪が降らぬときに工事をするならそのままずばり工事にかかれるのに、わざわざ雪が降ってから、一メートルも二メートルもある雪をかき分けましてやる。しかもそこへもってきて、たとえば私は素人ですからわかりませんけれどもコンクリなんかの仕事は、これは学問的にどう言うか知りませんが、私どもの方では凍てると言うのですが、凍ってしまうのですね。したがって、コンクリを打ちましてもぼろぼろになってしまうそうですね、コンクリ工事そのものが。そうしますと、極端な表現をすると、これは国費乱費だ。費用が少なくて済むものを、わざわざ雪をかき分けたり、あるいはコンクリが脆弱ですから傷みやすい、そうすると国費乱費だということになるわけです。  ここら辺から、私は会計年度というものを一月から始まって十二月にした方が適当ではないかと思いますが、これはひとつ大蔵省、それから特に公共事業の多い建設省農林省あたりからも意見を伺った方がいいのですが、きょうは農林省おいでになっていないと思いますから、建設省国土庁からそれぞれ御意見を承りたいと思います。
  6. 長島和彦

    長島説明員 お答え申し上げます。  確かに先生おっしゃいますように、積雪寒冷地公共事業を円滑に執行していくという観点から見ました場合には、積雪寒冷というものがそれなりに、他の地域に比較いたしますとそういう意味では支障を来すというようなこともあろうかと思います。私どももそれを否定しているわけではないわけでございます。  ただ、会計年度というものを考えてみますと、国民生活なりあるいは経済社会の仕組み、そういうものに基本的にかかわっている非常に重要な問題であるわけでございまして、それなりに慎重に考えていかなければいけないだろう。そういう意味では、公共事業執行という点ももちろん考慮しなければいけない点でございますけれども、同時にあわせて、たとえば国庫を運営していく上での問題でございますとか、あるいは民間経済活動との関連というようなもの、あるいはさらには予算の編成、審議執行、そういった各般の問題をもあわせて考えていかなければいけない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。  さらに、現在の制度が、これも先ほどお話がございましたように、明治十九年からずっと九十年以上も続いているところでございますし、そういったことを考えますと、これを変更していくというのはむしろ非常に困難が多過ぎるというふうに私どもは考えているわけでございまして、そういう意味では、私どもとしては現行制度をそのままに、しかしその中で生じてくるいろいろな問題については、その問題を一つ一つの問題としてとらえて実際解決をしていくということが一番よろしいのではないかというふうに考えているところでございます。
  7. 沓掛哲男

    沓掛説明員 お答えいたします。  大変大きな問題で、私たちそれについて具体的に検討したことがちょっとないのでございますが、私の経験から申し上げますと、事業発注には、一般に前年度においていろいろ調査設計をいたします。そして調査設計できたものについて今度は歩掛かりなり単価なりを用いまして積算をして、それを発注することになるわけでございまして、従来からも、前年度において一応設計までは終わっておきまして、歩掛かりは例年余り変わりませんが、単価が毎年変わりますので、単価をできるだけ早目に示すことによって積算を早め、それを発注しておるわけでございます。  ただ、大規模工事になりますと、国庫債務負担行為等を用いて継続的に事業を実施しておりますので、そういうものはこの会計年度関係なく継続しておる。単年度発注するようなものがいま先生のおっしゃられたようなことになろうかと思いますが、私たちもいま先生おっしゃいましたようないろいろ問題があることは十分承知しておりますが、できるだけ支障を来さないよう最大努力をしておるわけでございます。その結果、契約率と申しますか発注率と申しますかで見てみますと、大体第一・四半期には平年度ベースで四〇%台、それから第二・四半期までには大体平年度べースで六十数%ぐらいを発注しておるわけでございます。  全般的に見ますと、積雪寒冷地域の方がいま申しました数値でも高目になっておりますので、与えられた枠の中では最大努力をし、そう大きな支障を来さないようにできるだけのことはやっておる。したがって、いま先生おっしゃられたように、これが一月から十二月の会計年度に変えたときにどうなるかという問題については、ちょっといまここで即答はできないのですが、そんなに大きく影響しない範囲で公共事業は何とか進めておるというふうに考えております。
  8. 柴田啓次

    柴田政府委員 大変大きな問題でございます。この問題につきましては地方公共団体、特に積雪寒冷地帝地方公共団体の方からも長い問いろいろな御意見がございまして、全国知事会でも国と地方会計年度を三カ月ずらしたらどうかというような話も出たことがあるわけでございます。しかしながら、ただいまるる大蔵省建設省の方からお話がありましたように、非常にいろいろな部面にかかわる問題で、にわかになかなか片づかない問題でないかと思うわけでございます。  実際の予算執行に当たりましては、いま建設省からお話がございましたように、積雪地帯につきましてはなるべく早く工事発注をする、あるいは大規模工事につきましては、継続費制度あるいは債務負担行為制度、そういうものを活用いたしまして、個々の運用によってできるだけ解決をしていくほかないのではないか、さように考えているところでございます。
  9. 伊賀定盛

    伊賀委員 私ども日本海側に面しておりますからよく知っておるのですが、いま大蔵省民間経済活動をおっしゃいますが、それは確かに大都市なりあるいは表に面したところはそうでしょうけれども、私どもの辺のいわゆる建設業者と言われるものは、民間仕事は全然ないのでして、全く国、県、市町村あたり公共事業だけで建設業者は飯を食っているわけでありますから、ですから、民間経済活動といいましても、それらの公共関係だけで飯を食っている者にとりましては、これは死活の問題であります。  ですから、私なんかしょっちゅう生活していますが、一月、二月、三月というのは全く何にもないのです。雪のためにやれない。場合によりますと十二月、一月ごろに契約発注をするところもあるのですね。これは全く何にもやれない。無理をしてやろうとすれば、先ほど申し上げましたように一メートル、一メートル五十の雪をかき分けてからでないと実際にかかれないということですね。それから、先ほど申し上げますように、四、五、六は端境期。いま建設省からお答えが、第一・四半期で四〇%というお話がございましたが、それは建設省の机の上から見た計算でありまして、それを県が受け、市町村が受け、あるいは建設省にしましても、たとえば私どもでいいますと地方建設局があります。地方建設局から今度は工事事務所に出まして、そして実際に業者の手に渡っていよいよ工事にかかれるというのは、やはり早くて八月以降なんです。そういうことですから、これはひとつぜひ御検討をいただきたいと思います。  もう一つは、三月三十一日ということに会計年度はなっていますが、出納閉鎖が五月三十一日だということで、五月三十一日までにその実際の工事はやればいいということのようですが、私どもの辺からはしばしばこれは会計検査院指摘を受けましてね。また工事を繰り返しますといろいろややこしい問題があるものだから、だから一応五月三十一日まで出納閉鎖までに工事は完了したことにして、そして国なり県なりの補助金はもらって、実際の工事は五月三十一日にはまだ竣工してない、そこへ会計検査院会計検査に来ますと、これはけしからぬということで、補助金の返納を命ずるとか、いろいろ問題があるわけです。そんなのが発覚しますと、これは当然、表面に出ますと、業者からいいますとこれは指名停止ですね。そういうような事態がしばしばあるわけで、しかもそれが会計検査院指摘を受けるのは氷山の一角でありまして、現実にはこれはもうあたりまえみたいになっておるのですね。たまたま会計検査にひっかかったのが運が悪かったということになっておりますけれども、こういう不都合な事態が現にあるわけです。ですから、ここら辺は、問題は大きいと思いますが、それにしましても、ひとつ十分に配慮していただきたいと思います。  それからもう一つは、これも大蔵省から資料を出してもらったのですが、各国の比較ですね。これを見ますと、主要先進国、イギリスとカナダが四月から三月で日本と同じようなこと、西ドイツフランスイタリアが一月から十二月、暦年ですね、アメリカが十月から九月、その他アジア各国、四月から三月がインド、インドネシア、それから韓国が一月から十二月、フィリピンが七月から六月その他気候、風土が日本に似た国、ニュージーランドオーストラリアは、ニュージーランドが四月から三月で日本と同じ、オーストラリアが七月から六月。  こう見ますと、やっぱり国際的にもいろいろばらつきがありますね。とするならば、やはりその国で一番いい姿が一番いいわけですから、ですから私は、この際ひとつ、まあ大変でしょうけれども、この会計年度というものは変えた方がいい。  大体日本は春夏秋冬季節が変わっていくわけでありますが、そこら辺と似ているのがやはり西ドイツフランスイタリアあたりではないかと思いますね。そうすると、長い歴史を持つ、むしろ日本よりも先進国と言った方が適当だと思いますが、ここら辺が一月から十二月だということは、長い歴史の中でこれが一番いいということで、ここら辺の国が暦年を使っているのではないかと思います。それから韓国がやはり一月から十二月、これは新興国で、いわば第二次大戦後に新しい国の制度ができたわけですが、新しい制度がどういう経過でそうなったか知りませんが、少なくとも、会計年度を設定するについてはそれぞれ先進国あたり歴史なり経験等検討した上で、韓国は一−十二月という制度をとったと思います。これなんかまさに実態に合った制度ではないかと思いますが、ここら辺でひとつ大蔵省あたり、それは確かにいろいろな分野に影響しますから問題が大きいことは事実ですけれども、根本的な見直しをするべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 長島和彦

    長島説明員 確かに、先生先ほどからおっしゃっておられますように、会計年度の問題というのは非常に大きな問題、非常に重要な問題であるという認識は私どもも当然しているわけでございます。  ただ、この問題につきましては、少し古くなりますけれども昭和三十九年に臨時行政調査会の方でもいろいろと御検討をいただきまして、その結果、先ほど私が申し上げましたような事情を踏まえまして、結局いまの会計年度というものによっていくということが一番適当なのではないだろうか、ただそこで、具体的に生じてまいりますいろいろな問題についてはこれを個別に解決をしていくように努力することがよろしかろうというような御建議をいただいた経緯もございます。−私どもは、この問題は非常にむずかしい重要な問題であるという認識は持っているわけでございますが、いま申しましたような経緯もございまして、一つ一つの問題として解決をしていかざるを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  11. 伊賀定盛

    伊賀委員 そうしますと、具体的な問題とし  出納閉鎖が五月三十一日になっておるのですね。先ほど来申し上げますように、実際は五月三十一日には完了してないが、完了したということにしてすべての手続を終わっておる。そこへたまたま会計検査院が出てきて、これはけしからぬということになるわけですが、そこら辺にもう少し、五月三十一日という出納閉鎖にせめてあと一カ月とかいうような柔軟性を持たせることはできないですか。
  12. 長島和彦

    長島説明員 いまのお話でございますが、私どもとしては、公共事業執行を円滑に進めていくという観点から見ますと、まず問題は、できるだけ早く工事に着手をしていただくような、そういう準備執行に当たります各省庁でとっていただくということからスタートをしていくべき問題ではないかというふうに考えているわけでございます。
  13. 伊賀定盛

    伊賀委員 一朝一夕にできぬかもしれませんが、ぜひひとつそういう方向で御努力を願いたいと思います。  時間がありませんのであとは少し急いでいきたいと思います。もう一遍にずっと私申し上げますから、一括して御答弁をいただきたいと思います。  歩道の除雪がいま試験的な方法でやるということで行われておると聞いておるのでありますが、もう試験的な時期は過ぎまして、本格的に制度として考えてもいいではないかということが一つ。  それから除雪機械でありますが、私どもの方も、豪雪地帯とは言えないかもしれませんが、やはり積雪地帯であります。ところが建設省が一括しまして除雪機械を交付と言うのでしょうか、おろしておるのですね。ところが北海道あたりは三メートルも五メートルも降りますから、除雪といいましても、除雪した後もなお一メートルなり二メートルなりの雪が残っておる。したがってガードレールに何も関係がないわけですね。ところが私どもの辺は除雪といいますと本当にコンクリートまで除雪してしまうものですから、その両側ガードレールがあるのですが、建設省からもらったブルドーザーの前に雪をかき分けるプロペラみたいなものがありますが、あれがしょっちゅうガードレールを壊してしまうわけですね。そこで現場の作業員人たちは、鉄工所に持っていってこれをもう少し狭くしてくれとかなんとかいうようなことをして使っておるんですね。ですから、これはやはり地域地域実情を聞いた上でそういうものをつくってもらうか、それとも、もうお金でこういうものをつくってやりなさいと言うか、何らかの形にしてもらいませんと、一括建設省で交付してもらいますとそういう問題があるのです。これについてひとつ御見解を承りたいと思います。  それから同じく建設省だと思いますが、建築構造、たとえば東京あたりですと木造ならせいぜい二寸角か三寸角ぐらいの材料で家が建つわけです。ところが積雪地帯になりますと二寸や三寸の角材では一遍につぶれてしまいますから、どうしても四寸角、五寸角、あるいは大黒柱なんというような、いまはそんなものはありませんけれども、かなり強靱な構造にしませんと家がもちません。それに対しまして、たとえば住宅金融公庫あたりは逆に都市部の方が融資金額が高くて、そして農村部の方が低いわけです。これも実情に逆行しておると思います。したがって、ここら辺を融資制度の場合にもひとつ御検討をいただく必要があろうかと思います。  それからもう一つは、災害復旧の場合に、災害査定してもらいまして合格しますね。そうすると、災害復旧というのは原形復旧が原則だそうでありまして、たとえば二十メートルの橋があります。そのうち今度の災害で十五メートル落ちまして、あと五メートル木造の橋が残りました、そうしますと災害査定官がお見えになりまして、なるほど十五メートルはこれは復旧しなさいということで、永久構造鉄骨でやります、ところがあと五メートルは木造のまま現に残っておる、こういう不都合なことがある。もしそれもやろうとすれば、いや、これはちゃんと橋が残っておるのだから改良復旧になりますよと。改良復旧になりますと当該市町村あるいは県の施行者負担になりますね。災害原形復旧の対象になりますと九七、八%までが国費補助ということですから比較的楽にやれます。ところがそれをやりたくないものですから、現実には二十メートルの橋のうち十五メートルが鉄骨で、五メートルが木造のまままた残ってしまう。ないしは、橋は金がかかりますから、たとえば市町村道に例をとりますと、橋の両翼市町村道は四メートルずつで攻めてきましたが、橋だけ残りました。橋だけ昔の橋ですから幅員は三メートルです。そして二十メートルのうち十五メートルが落ちました。原形復旧ですから相変わらず三メートルです。四メートルにしようと思うなら、あと一メートル分は改良復旧ですよ、こういう不都合があります。  ないしはまだ現実に——私は本当の話を申し上げていますが、たとえば海岸線なんかで護岸堤があるわけですね。ずっと百メートルないし二百メートルの護岸堤の中で、十メートルだけ波にさらわれました。下は砂地です。ですから、壊れたのは十メートルでありますが、その十メートルの両側はもうすでにひびが入っておるのです。しかも、その裏といいますか中は砂地ですから、波が両翼の砂を取っていきます。ですから両翼はいつでも壊れそうな状況にあるわけです。しかも両方にひびが入っているわけです。けれども査定を受けましたところが、査定に合格しましたのは実際に壊れた十メートルだけでありまして、両側ひびが入ったところは査定に通りませんでした。やろうと思うなら改良復旧でやりなさい、それなら認めてあげますよ。ただし、そうなると現実に負担するのは漁協です。市町村が負担するとか言いながら、市町村の財政状態が苦しいものですから、ほとんどを当該漁協に負担させる。しかし当該漁協にはそれだけの力がありません、苦しいですから。仕方がありませんから次の壊れるまで待ちましょうかというのが現在の災害復旧の状況であります。  そこで、あわせまして一つの問題は、査定官の権限というものです。  これはちゃんとした基準があるのでしょうけれども査定官の恣意によって、ある者は両側ひびが入っておるところもこの際ひとつやりましょうというようなことはないのか。一体査定官の権限はどういうことになっておるのだろうかということ。  もう一つ続けて申し上げます。  過年度災害という言葉が適当かどうかわかりませんが、たとえば石垣を積みました三十メートルの護岸があります。これは昔の石垣です。そして、三十メートルのうち上流と下流の五メートルずつの石垣が残っておる。あとの二十メートルは石垣がもうない。査定を頼みましたけれども、過年度災害というのですか、これは過年度災ですからだめですということです。ところが、現実に堤防のなくなった部分はだんだんと浸食される。その後ろ側は土ですから、水が出るたびにだんだんと浸食されていくわけですね。毎年現場の方では査定に出しますけれども、これは過年度災害だからこんなものは取れない、こういうことなんです。しかし常識的に見まして、いま言いますように三十メートルの堤防の中で上流に五メートル、下流に五メートルずつあるわけですから、昔はみんなそろっておったことは間違いないわけですね。ここら辺も、なし崩しの災害というのでしょうか、一遍にばんと二十号あるいは十九号台風で災害になりましたという生の姿がありますとこれはだれにでも通るのでしょうけれども、そういう姿で現実には非常に困っておるという状況がございます。ここら辺を何とかひとつ、明らかに災害なんでありますからお認めをいただきたい。  以上、一つ一つについて御答弁を賜りたいと思います。
  14. 沓掛哲男

    沓掛説明員 お答えいたします。  最初の、歩道除雪は試験的な施工を行っているが、もう本格的な施工をやってはどうかという御質問でございます。  冬季における歩行者の通行路を確保するための歩道除雪につきましては、五十二年度より一般国道の指定区間を、五十三年度より一般国道の指定区間外も、五十四年度からさらに道府県道をも対象にした試験的施工を実施いたしておりまして、主として除雪の方法、除雪機械の適応性、施工歩掛かり等の調査を進めてきております。  歩道除雪の試験的施工区間の延長でございますが、五十二年度は二百キロメートルでありましたものを五十三年度は五百キロメートルに、さらに五十四年度は九百五十キロメートルと大きく延伸してきております。五十五年度は千四百キロメートルについて実施を予定しているところであります。  本格的な歩道除雪につきましては、いま申し上げましたように、一般国道については五十三年度から、さらに都道府県道については五十四年度より始めたばかりでございまして、当面は試験的施工を通じて、歩道除雪の実施水準と申しますかサービス水準、さらに実施体制など歩道除雪のあり方を検討し、歩行者の通行路確保のための施策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  15. 中野俊次

    ○中野説明員 除雪機械の問題について御説明いたします。  除雪作業におきましては、降った雪をまず最初にプラウ系の機械で路側に寄せまして、その後、幅員を確保するために路側に寄せました雪を路外に出すという作業をいたしております。  この二番目の拡幅作業において、ブルドーザーとかトラックとかグレーダーなどのつきましたプラウ系の機械を用いますと、雪堤を押し広げる形になりましてガードレールに影響を与えるわけでございますが、ロータリー除雪車などを用いますと、これは雪堤を切り飛ばすわけでございますので、この方法だとガードレールには直接力が加わりませんので、ガードレールを損傷することはないわけでございます。ですから、プラウ系でやる場合には、ガードレールを傷めることもありますので、ガードレールでなくてガードケーブルを使うとか歩車道間のガードレールを外すというような措置をしている例もございます。そういうことで、ガードレールの設置方法であるとかロータリー車の配置ということで、このガードレールの損傷の問題については対処しているところでございます。  それから、機械の使用のことにつきまして、建設省で一括して買って地方にやっているのではないかという御質問でございますが、これは補助金制度でございますので、機械の使用等についてば、市町村、府県を含めまして地方から要望を受けて、それに対して補助金を交付するという形をとっております。  それで、除雪機械につきましても、ブルドーザーの前にプラウをつけたものやらグレーダーや除雪トラックそれからロータリー除雪とか、いろいろ種類がございますし、各機種とも大型から小型までございますので、それぞれの地方に合った除雪機械補助するようにしておるわけでございます。  また、ガードレールの損傷の問題につきましては、機械によるもののほかに雪の自然圧密によるということも考えられておりまして、その方の実態もいま調査中と聞いております。
  16. 浜典夫

    ○浜説明員 政策金融でございます住宅金融公庫融資につきまして、豪雪地帯等の地域特性をどこまで評価に入れているかという御質問でございますので、お答え申し上げます。  現在の住宅金融公庫融資につきましては、標準建設費といったような額を地域ごとに定めて、規模ごと、構造ごとに定めまして、それに実際にお建てになる面積とを掛けたもの、簡単に言いますとそういう融資額につき融資申し上げているわけでございますが、その標準建設費設定に当たりましては、地域を分けて、その地域ごとの実勢、かとえばいま先生御設例になりましたような、豪雪地帯に太い木材が要る、あるいは大都会から離れているから工業製品についてはコストがかかっている、逆に大都会であれば労務費がかさむとか、そういったものすべての要因を、結果として出ました実勢の建設費でございますね、それを取り上げまして、全国一律でなくて地域を分かちまして採用しておりますので、かつ、それは年々の市場価格の変更も見ながら改定をいたしておりますものですから、非常に細かい特殊性までは加味できませんけれども、御設例のような大きなゾーンとしての地域特性は十分加味されていると考えておるわけでございます。  さらにそれを、全体として貸付限度額というのを定めております。大まかにいきますと、やはり大都会の方が住宅建設コストがかさみますのでたくさんお貸し申し上げるというのが実態でございますが、これも地域的に、たとえば地方の方が実態との乖離があるのではないかといったようなチェックを繰り返しながら改定を進めておりまして、たとえば明年度、ただいま御審議いただいております予算案におきましてもこの限度額を、大都会も地方も一律に、現行上物五百万を五十万ずつ上乗せする、一律でございますから、割合から言いますと地方部の方に大きく伸びるわけでございます。そういう形での地域格差の縮小に配慮しているところでございます。  さらに、将来の問題といたしましては規模、たとえば豪雪地帯の方は冬場は生活空間として家の中に作業場が要るといった問題もございます。これは現在全国一律に、一番基準的なものは百二十平米を限度にお貸ししておりますけれども、いろいろ統計なり実態を見ますと、豪雪地帯の方が実際建てられている面積は大きく出ているという実態もございますので、そういう規模みたいなものだとか、あるいはその限度額のあり方につきましてももうちょっと地域特性を加味した方向でやるべきではないかということで、折から、明後年度からスタートいたします第四期住宅建設五カ年計画の議論をいまやっておるところでございますが、そういう住宅金融公庫融資にとどめませんで、地域特性をどこまでカウントに入れるべきかという議論も先生方にお勉強いただいておりますので、その結果などを待ちながら、個別の建設費の算定あるいは大まかな政策的な方向のあり方につきましても地域的特性を政策金融なりに生かしたい、こういう考え方でおります。
  17. 川合恒孝

    ○川合説明員 災害復旧関係につきましては三点ばかりの御質問があったと思いますが、まず一番目に、災害復旧原形復旧だが、改良的な要素を取り入れられないかというような御質問だったと思います。  先生御承知のように、公共土木施設災害復旧事業国庫負担法によりますと、原形復旧が原則になっております。ただ、原形復旧が不可能な場合あるいは困難な場合におきましては、現実の問題として川幅を従来のものよりも大きくしたり木橋を永久橋にするというようなことで、改良的な要素を災害復旧の中に取り入れて採択をしております。また、再度災害のおそれがあるようなものにつきましては、災害復旧費と別に改良的な災害復旧助成事業あるいは関連事業という費用災害復旧費と合併をいたしまして、工事の復旧に当たっているというような現状でございます。  ただ、その場合に、先生お話にもありましたように災害復旧費の補助率は非常に高率になっておりまして、改良的な要素に対する補助率は低いというような問題がございます。災害復旧費の補助率は、やはり災害を受けて地元、地方が非常に財政的な負担も多いという趣旨だと思いますが非常に高率になっておりまして、本来の改良的なものはほかの事業との関連もございまして非常に低くなっておる。それをどの程度災害に取り入れるかという細かい問題につきましては、事務処理要綱あるいは査定方針というようなものを細かく決めておりまして、それにのっとりましてわが方が採択をしているというような状況でございます。  二点目の災害査定官の権限の問題でございますが、災害査定官といいますのは、先ほど申しました災害復旧国庫負担法によりまして、事業費の決定は主務大臣が行うことになっておるわけでございます。したがいまして公共土木施設につきましては建設大臣が行う、それには各地方公共団体からの申請に基づきまして、その申請書の審査あるいは現地におきます調査を行わなくちゃいかぬことになるわけでございまして、それの作業を行っておるのが災害査定官でございます。  もちろん公共土木施設災害復旧事業国庫負担法が基本でございますが、それの細かい規定といいますのがいま申しました事務取り扱い要綱、これは事務次官通達になっております、あるいは査定方針というのが河川局長通達で出ておりまして、この規定にのっとりまして災害査定官が採択の審査をやっているというようなかっこうでございます。  なお、いろいろな問題で査定、採択のアンバランス、個人差があるのじゃないかというような懸念もございますが、わが方といたしましては毎年査定会議を行いまして、また各ブロック別に研修会を行いまして、そういった個人差がないように努めておるところでございます。今後とも、そういったものにつきましてはそういった個人差が出ないように十分配慮していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから三点目の過年災の問題につきましては、ちょっと具体的な事例がよくわかりませんが、基本的には、災害復旧負担法によりますと、異常なる天然現象によって被災したものに対する負担をやるわけでございまして、維持的工事は除く、適用除外になっております。だから、具体的な例でいま先生が申されましたのが果たしてどちらに属するかという問題がわかりませんので、一般的な答えで申しわけございませんが、そういうふうなことになっているわけでございます。
  18. 伊賀定盛

    伊賀委員 終わります。
  19. 藤田高敏

    藤田委員長 米田東吾君。
  20. 米田東吾

    ○米田委員 まず国土庁にお伺いをいたします。  今冬の雪の被害につきましては、幸いに大きな規模での被害が少なかったようでありまして、私ども大変喜んでおるわけであります。それにしても、一月の末から二月にかけましての北陸、東北の一部における豪雪に対しましては、本委員会から現地調査もされましたし、また、三月六日の本委員会の質疑を通しましてその対策に遺漏のないようないろいろな議論をしてまいったところであります。  その際にも強調されたわけでありますが、関係被害市町村がこぞって、三月十五日期の特別交付税の算定と配分に当たって、十分関係町村の被害の実情に合わせて国の温かい処置をしてもらわなければいかぬということを指摘をされておるわけでありますし、これに対しましては、大臣初め関係省庁からそれぞれ前向きの回答をいただいておるわけであります。  そこで、そのことからお聞きしたいのでありますが、第一の、三月十五日における本年度最後の特別交付税の関係町村に対する配分の状況等につきましてまずお聞かせいただきたい。これは国土庁から、どういう態度でどういうふうに配分に当たって処置をされたかということについてお聞きしたいし、自治省の方からは、関係町村の要望を満たしておるのかどうか、そこらあたりの関係を含めて答えをいただきたい、こう思っております。
  21. 柴田啓次

    柴田政府委員 特別交付税の決定、交付の問題は自治省のお仕事でございますので自治省の方から後ほどお答えいただきますけれども、私どもとしても、自治省とも緊密な連絡をとりまして、できるだけ除雪に要する費用についての市町村の財政負担がないように、それが補てんされるように  いろいろ協議をしたところでございます。
  22. 吉田弘正

    ○吉田説明員 昭和五十四年度の特別交付税につきましては、去る三月十四日に閣議報告をいたしまして、すでに関係地方団体に対してその交付を終えておるところでございます。  先生も御承知のとおり、除排雪に要します経費につきましては、通常程度のものは普通交付税に算入してあるわけでございますが、これを上回ろような場合等につきましては特別交付税で措置するということで、今回も、関係地方公共団体から除排雪に要します所要経費の額を報告してもらいまして、その報告を受けた額でございますとか、普通交付税に算入してある額とか、さらには略雪、積雪の状況を勘案いたしまして、実態に即して適切な配分に努めたわけでございまして、総額といたしましてこの雪の関係の算入額は約八十五億円でございます。これは前年度の三十二億円を大幅に上回る二・七倍の額となっているわけでございまして、個々の地方団体ごとには県分、市分につきましては自治省で、町村分につきましては県でそれぞれ配分に努めたわけでございますが、今回の措置によりまして、特別交付税と普通交付税の算入額とを合わせればほぼ所要額についてカバーしていると考えておりまして、関係地方団体の要望を満たしていると考えております。
  23. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。自治省の算定に当たっての配慮によりまして昨年に比べて約二・七倍、もっとも昨年というのはほとんど雪害のなかった年でありますが、それにしても二・七倍の約八十五億の額で各関係町村に手当てをされておるということでありますから、非常によかったと思って安心するわけでありまして、関係町村の方から、雪害の調査に行ったわれわれに対して、大変温かい自治省の配慮をいただいたということについてお礼状も来ております。今後もこうした被害町村に対する国の対策を十分配慮していただきますように、これは要望申し上げておきたいと思っております。  もう一点この際はっきりお聞きしておきたいのでありますが、三月六日の委員会でもしばしば強調されたわけでありますが、被害の状況に照らしまして、特交だけでは十分尽くせないだろう、したがって、五十一年災害のときでありましたか、要するに予備費の中から一部繰り出して、そして町村の雪害の状況に見合うだけの処理を、しかも緊急にやる必要があるのじゃないかということが各委員から指摘されておるわけでありますし、これにつきましては関係の方からも相当前向きな答弁もいただいておったわけでありますが、この方はどのようになさったのか。そういう処理をされたのか、それともそれは見送られたのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  24. 柴田啓次

    柴田政府委員 過日の委員会でもいろいろ御質疑をいただいたのでございますけれども、このたび一月下旬から二月中旬にかけて局地的な大雪がございまして、それについて五十一年度と同じような方法がとれないかどうかということで、私どもの方では道府県に照会をいたしまして積雪状況の調査を行ったわけでございます。また、関係省庁間で緊密な連絡をとりながらいろいろ御相談をしたわけでございます。  ところが、この積雪の調査の結果では、積雪積算値が平年に比べて異常に多い市町村の数が非常に少のうございまして、そのために、これの除雪事業費について五十一年度と同じような特別の措置をとるということは見送らざるを得なかった、こういう事情にあるわけでございます。  参考までに申しますと、五十一年度の豪雪の際には積雪積算値が平年に比べて異常に多かった市町村が八百六もございましたが、このたびは五十八にとどまった、こういうような状況なんでございます。  そのような状況でございまして、対象となりますところの主要幹線地方道の除雪費の平年を超える事業量の分というのも必然的に非常に少なくなりまして、見送らざるを得なかった。しかしながら、特別交付税の方におきましてできるだけの配慮をして市町村の財政負担といいますか、地方団体に対する財政措置の円滑を期した、こういうことでございます。
  25. 米田東吾

    ○米田委員 自治省にもう一点お聞きしておきたいのですが、豪雪債ですね。これは雪の場合ほとんどの町村が豪雪債についていろいろな意見を出してくるわけでありますし、私どもこの委員会におきましても、豪雪債につきましてはしばしば議論もしておるわけでありますが、今度の雪害なんかにもかんがみまして、やはり豪雪債については、町村の需要に対する自治省なり国の供給というものはほぼバランスがとられているように思うのでありますけれども、問題は元利の補給の関係がどうしても制度として残っているわけでありまして、これは前回の委員会でも意見があったのでありますが、何とかひとつ雪害による関係被害町村の要望にこたえて、せめて過疎債並みぐらいのパーセントで豪雪債の元利を特別交付税で見てやるというような措置がとられないものかどうか。場合によればこれは災害の小委員会で十分議論をしていい問題ではないかと思っておりますけれども、この際はひとつ自治省なり国の方も一歩を踏み出すべきじゃないか、こう思っておるのでありますが、見解をお聞きしておきたいと思います。これもやはり国土庁の方からと自治省の方から、両方からひとつ御答弁をいただきたいと私は思っております。
  26. 吉田弘正

    ○吉田説明員 豪雪債のお話でございますが、昭和五十五年度地方債計画におきまして、一般単独事業債の中におきまして豪雪対策事業分として五十五年度は九十五億円を計上しておりますが、この元利償還の問題でございます。  先生も御承知のように、積雪によります増加経費につきましては、それぞれ経常経費、投資経費ともに普通交付税で措置しているわけでございます。それからまた、豪雪等の場合におきまして臨時的な増加経費がありますので、それについては特別交付税で措置するというような仕組みになっておりまして、それからまた、特別豪雪市町村の大部分は過疎市町村なりあるいは辺地を有する市町村ということでございますので、辺地債、過疎債を弾力的に活用すればまあまあそれでカバーできるというようなこともありまして、一般単独事業債のうちの特別豪雪分につきまして元利償還費を交付税で算入するという方式は考えていないわけでございます。
  27. 米田東吾

    ○米田委員 私が国土庁に答弁を求めたのは、やはり災害対策一つの政治的な判断としてどうかということを聞きたかったわけなんです。  それで、いまも御答弁ありましたけれども、確かに豪雪地域というものは過疎あるいは僻地、こういうものと重複しておることは間違いないと思うのであります。大体豪雪地域日本海岸、そして地域的に言えば北陸から東北にかけて北海道、こういう地域でありますから、経済的にも恵まれておらない、財政的にも弱い町村が多いわけでありますし、そして、それは同時に僻地であり過疎であります。ですから、答弁がありましたように、この面については町村によって、みんな知恵を出して過疎債や辺地債がもらえるところはそれで賄っているだろうと思うのでありますけれども、しかし、全部が全部重複しているわけではないのでありますし、最近の異常な気象の状況によりまして、平場でも、特に東北地方、新潟、北陸等はやはりその年によっては大雪が出て、大変な目に遭うことが繰り返されておるのでありまして、したがって、御答弁の趣旨はわかりますけれども、私は、豪雪債というものが生まれたそもそもの経緯にかんがみて、これはやはりいま国が進めておりますところの過疎債、辺地債並みの扱いをしてやるのが当然じゃないか。特別交付税で過疎債は七〇%を見て処理をしてもらうようになっているそうでありますし、辺地債になりますと八〇%の割合で特別交付税で国が負担をする、十分でないにしても、こういう温かい措置というものがなされておるわけであります。豪雪債だけはこの制度がないわけであります。したがって、私は、災害対策という面からいって、まさにこの豪雪債はそういうために制度があるわけでありますから、一歩進めて元利についてもせめて七〇%の過疎債並みぐらいにはやっていいじゃないか、やるべきじゃないか、こういうふうに思うのでありまして、これは大臣であり政治家である園田長官からひとつお考えも聞いておきたいと思うのです。
  28. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えをいたします。  自治省から通り一遍のようなお答えがございましたけれども、私どもは、災害自体が基本的に考えて狭義に解釈するよりもむしろ広義に解釈していけということで、問題には対処していきたいと思っておりますし、かつまた、前段で御質問がございました災害査定の問題等についても、原形復旧ということにこだわらず改良復旧を、住民側に立って、そして大きな立場に立てば、さっき御指摘があったとおり国費の二重負担というようなことを回避することにもつながるという考え方で、問題には対処すべきであるということで、さっきは建設省自体から御答弁がございましたが、関係する農林あるいは運輸というようなところにも、国土庁としての考え方を伝えてまいっておるわけでございます。  いま御指摘がございました問題については、ひとつ自治大臣ともよく話し合いをしながら、同時に、さっきお話がございました特別交付税の問題についても、実は自治大臣に直接、特別配慮をしてもらいたいという話の結果、御報告のようなことに落ちついた経緯もございますので、いまお話があった点も含んで、自治省ともひとつ十分話し合わしていただきたい、また私も前向きで自治大臣と折衝してみたい、こう思っておりますので、よろしく御協力をお願いいたします。
  29. 米田東吾

    ○米田委員 よろしくひとつお願いしたいと思います。  もう一点、これは気象庁に関係すると思うのでありますが、今度災害調査なんかに行きまして痛感いたしましたものの一つとして、積雪なんかについて特にそのことを感ずるわけでありますけれども、気象データの量的なもの、それから観測点を含めて、非常に弱いといいますか、関係町村ではいろいろな要望があるようであります。はなはだしいところでは、気象庁が公認されている観測所がないというような町村もあったようであります。そんなことで、私ども積雪の関係を考える場合に、何といいましてもこれは勘だとか生活実態だけで判断できない。明確な気象の指数を常に基準にしておりますので、したがって、観測の成果というものは非常に重要なんですね、関係町村にとりましては。ところが、気象庁だってそう全国に観測点をばらまいてやるわけにもいかぬだろう。そこで、最近なされておりますのが届け出の観測施設、これがだんだん普及してきているようでありますけれども、まだまだ弱いようでありますし、関係町村においては、町村長なんかそのこともまだ知らないようなところもあるようであります。町村が能動的に取り組めば、気象庁の公認をいただいて、その町村である程度自前で観測所をつくることができるわけなんでありますけれども、そういうことも知らないという町村もあるようでありますし、これについてはもう少し普及をするとか、また気象庁自身が努力をしてもらうとか、いずれにしても気象に対するデータの収集にはもう少し積極的な取り組みが必要なんじゃないかということが、現地に出てまいりましての私の感じであります。  したがって、特に積雪、豪雪と言われる面についての気象観測の状態というのはまずどんなふうになっているのか。  それから二番目として、いま私が申し上げたような、そういう簡易でしかも正確な気象観測が届け出の方法によってなお普及する要素があるのかないのか。  この二点について気象庁のお考えを含めて御答弁をいただいておきたい。
  30. 駒林誠

    ○駒林説明員 雪の観測につきましては、気象庁は、気象官署百六十二地点、委託観測所八百五十三地点、積雪深計による地域気象観測点三十二地点、合計千四十七地点で観測をしております。  観測点と観測点の間に降る雪につきましては、気象業務法第六条によりますところの届出観測所の観測資料を活用し、また雪雲をレーダーと気象衛星で観測しております。なお、積雪深計を展開することによりまして観測の充実を図りたいと思っております。  それから、次の届出観測所のことでございますが、届出観測所総数は、昭和五十三年度には、すべての気象を含みますと、届出観測所総数九千八百二十四カ所でございます。この九千八百二十四カ所のうち、積雪の観測を行っておりますところが同じ昭和五十三年度で二千百二十七カ所でございます。気象業務法に基づきますと、データを公表する、防災に使う、電気事業に使う、こういう民間団体はこれを気象庁長官に届け出ることになっております。それから地方公共団体等も届け出ることになっております。したがいまして、気象庁といたしましては、地方公共団体並びに民間に、正確な気象観測並びに正確な気象知識が普及することは大切なことであると思っております。
  31. 米田東吾

    ○米田委員 私の申し上げた感じで、特に豪雪地帯なんかの町村が観測点を欲しがっている、これを満たしてやるということについてはいまの御答弁でもわかりましたが、それにしても気象庁自体がPRするわけにもなかなかいかぬだろうし、届け出てくればそれを審査して認可するかしないかということになるのでしょうけれども、そこまでの段階というのは、もう少し行政的に自治省の方でそういう指導はできないものでしょうか。観測点をできれば町村当たりに一つは設置をするということについて行政指導をしてもらうとか、それから町村で設置した場合については何らかの補助制度の対象にするとか、そういうふうにしてもらいたい。特に最近の町村は町村合併以来非常に広域になっておるわけですね。広域になっておると同時に、そこでは気象現象も決して一つではない。山間部を持っておるところ、平場を持っておるところ、町部を持っておるところ、農村部を持っておるところ、広域な町村でも気象条件というものは決して一つではないと私は思うのであります。そういう条件に対応して町村が独自に、気象庁が認定できるような簡易でしかも正確な観測点の設備をするというようなことは、防災の面からいって非常に大事じゃないかと私は思うのですよ。雪だけじゃなしに集中豪雨についてもそのことは言えると思うのでありますが、そういうふうにひとつ自治省あたりが関係町村に、こういう方法があるんですよ、これをやれば一定の補助の対象にもしますよというふうにやれないものかどうか。これはひとつ自治省の方でも考えていただきたいし、答弁ももらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  32. 園田清充

    ○園田国務大臣 自治省からということでございますが、答弁の先取りみたいなことになりますけれども、実は特豪地帯の見直しをやれということが前回の委員会でも出てまいりました。ところが資料を求めようとすると、御指摘のとおり、たとえば北海道なら北海道の場合にあるいは都道府県の場合に、県あるいは市町村それから農林省、気象庁という各方面にわたって資料収集をし直そうとすると、見直しの資料自体がなかなかうまくそろわないということがあって、先生の御指摘のことは前向きに、私ども災害担当省庁として、気象庁長官にも話をして、ぜひひとつその方面に向かっての努力をさしていただきたい、こう思いますが、具体的な問題については、御指摘があれば自治省からまた御答弁申し上げると思いますので、よろしくひとつ。
  33. 吉田弘正

    ○吉田説明員 観測点の問題は自治省というよりは気象庁なり国土庁のそれぞれ所管省の問題がございますので、そちらの方ともよく相談をしながら進めてまいりたいというふうに思います、自治省独自でいろいろやれと言われましてもなかなかむずかしい問題でございますので。
  34. 米田東吾

    ○米田委員 ここで私、去る三月二十三日栃木県の田沼町、通称知沢で、東京石灰工業の廃土の影響によりまして大規模の地すべりが起きまして、痛ましくも一家五人が犠牲になり、また一人のけが人が出た、これを報道する新聞はこぞって行政の怠慢、人災というアピールでこの報道をいたしておるわけでありますが、この事故のことにつきましてひとつお聞きをしておきたいと思うのであります。  これは、災害担当でありますところの国土庁もこの事故については恐らく重大な関心を持っていらっしゃったんだろうと思うのですけれども、最初に長官から、この事故を見られて、いかに人命というものが企業や事業所の前には無防備で、生命の安全が顧みられておらないということが立証されるかのような、この事件ではなかったかと利は思うのでありますが、これについて災害担当の大臣として長官はどのようにお感じになりましたか、まず長官からひとつお気持ちをお聞きしておきたいと思うのであります。
  35. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま御指摘がありましたとおり、まことに残念な事故でございまして、新聞が報道するとおり、私どもも十二分配慮をし注意をしておけば防げたのではないか、現地の事情なり私どもがいま事務当局から報告を受けたところでは、やはり人災という御指摘があったように私自体も実は受け取っておるわけでございます。  ついては、こういうようなことが二度と起きないように、こうした部面に対しては厳しい注意を喚起しながら、二度とこういうことを繰り返さないように、人命のとうとさをかみしめながら対策を講じていくべきだというふうにいま感じております。
  36. 米田東吾

    ○米田委員 このような人災的な被害を今後絶対になくしていかなければならぬと思いますし、犠牲の五人の方に対しましては心から私は冥福を祈り、お見舞いを申し上げるわけでありますけれども、新聞の報道によりますれば、この事故というものは東京石灰工業、この企業が石灰石を取るための上土を捨てておる、その捨て場の管理のまずさといいますか、不適切なことが原因になっておるようでありますし、しかもそのことについては、その地域の住民が、しばしば企業に対してあるいは役場等に対しまして、危険の抗議をいたしておるような記事になっておるわけであります。恐らく、ここまで参りますれば、監督の立場にあります通産省の鉱山監督局においてもこのことについて全く知らなかったということではないんじゃないかと私はおもうのでありますが、ひとつ監督官庁としての通産省のこの事故のまとめと、いまどういうふうに対処しているのか、特に責任者が逮捕されているような事情にあるようでありますから、刑事事件としては一定の進行をしているのでしょうけれども、行政監督の立場にある通産省の見解をお聞きしておきたいと思います。
  37. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答えいたします。  まず第一の点でございますが、地元の住民がこの堆積の問題につきましていろいろと不安を感じているというようなことが監督部の方に伝わっていたかどうかという点でございますが、監督部の方に照会しましたところ、残念ながら、全然そういう話は聞いていないということでございます。  私どもの方としましては、事故発生後直ちに担当官を現地に派遣いたしまして、当面の対策指導に当たらせる一方、同様の災害防止のために、幾つかの措置をとっております。  二十五日、東京鉱山保安監督部から葛生地区周辺に堆積場を有する関連企業に対して、安全性の再確認を行うように指示しております。二十六日、同じく鉱山保安監督部長から東京石灰工業社長に対して、二次災害の発生防止、それから、ここは類似の堆積場を三つ持っておりますので、その堆積場について安全性の見直しを行うというような指示書を交付しております。さらに、この地区には約三十ぐらいの類似の堆積場がございますので、東京鉱山保安監督部において、この堆積場に対して、安全性確保のための立入検査を行っております。この立入検査は本日ぐらいに大体終了できるのではないか、こういうふうに考えております。  以上であります。
  38. 米田東吾

    ○米田委員 新聞の報道によりますと、あなたの方では、昭和四十八年、東京石灰工業ですか、この捨て場については現地調査をされているようでありますね。そして、その監督の立場にある鉱山局の指示で堆積場としての扱いですか、土を捨てることについては、一時停止をしたということが、新聞には報道されているのです。したがって、四十八年には、あなたの方は現地に行って現場を見ておる。危険な状態はわかっておる。ところが、会社の方の申し立てなり申告なりにいささか偽りがあったように新聞には報道されておりますけれども、専門家が見れば現場の状況はわかるはずでありますし、ことに、地元の皆さんが一斉に指摘をしておりますのは、捨てる場所の冊の工事というものが非常に弱い。したがってこのままでいけば必ず流されて大変な被害を受けることになる、そういうふうに指摘をされておるところでございますから、専門家が見れば私はわかるだろうと思うのであります。したがって、そういう状況があったにもかかわらず今度のこの不幸な事態が出たのではないか、こう思っておるのでありまして、私は鉱山監督部の怠慢ではないかというふうに指摘しておるわけでありますけれども、これはいかがですか。
  39. 檜山博昭

    ○檜山説明員 お答えいたします。  御指摘のように、東京鉱山保安監督部におきましては、この堆積場について四十七年十一月、四十八年六月、それから最近では五十二年一月ですが、鉱務監督官が立入検査を行いまして、扞止堤の構造、堆積場の勾配等こういった点を検査した結果、保安上の問題はないというふうに聞いております。ただ、その保安上問題がないという堆積場がなぜ今回のような事故を起こしたか、この点につきましては、ただいま現地に監督官七名を派遣しておりまして、原因究明に当たらせております。
  40. 米田東吾

    ○米田委員 この犠牲者五人については、災害による犠牲とみなされて、恐らく国の弔慰金の対象にされておると思うのでありますが、厚生省に来ていただいておりませんので、国土庁の方でわかりましたら答弁していただきたい。
  41. 檜山博昭

    ○檜山説明員 ただいまの御質問は補償の問題ではないかと思いますが、補償問題につきましては本来当事者間で解決すべき問題だというふうに考えておりますが、私どもの方といたしましては、必要があればその円満な解決が図られるように、あっせんの場を提供する等の協力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  42. 柴田啓次

    柴田政府委員 お尋ねは災害弔慰金の関係ではないかと思いますが、これにつきましては厚生省と御相談をしたいと思っております。
  43. 米田東吾

    ○米田委員 犠牲者に対しましては手ぬかりのないように、厚生省にも十分話をしていただきたいと思いますし、なお企業との関係につきましては、いま課長の御答弁がありましたように、企業の側でなくて、被害者の側に対して十分な手当てができるようにあっせんの労をとっていただきたい。そして、恐らくはかにもこのような被害が出る状況というものはあるのではないかということが考えられますので、十分監督を強化するように要望申し上げておきたいし、さらに、二次災害やそういうものが必ずないように十分な措置をしていただきたい。  以上申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 藤田高敏

    藤田委員長 この際、暫時休憩いたします。     〔午前十一時五十七分休憩〕      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  45. 藤田高敏

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田英介君。
  46. 山田英介

    ○山田(英)委員 私は、本日、地盤沈下という現象と防災といいますか災害との関係をテーマといたしまして、若干質疑をさせていただきたいと思います。  まず最初に、地盤沈下というのはどういう現象なのか、そしてまたその原因はどういうことなのか、環境庁から御説明いただきたいと思うのです。
  47. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  私ども地盤沈下と言っておりますのは、地下水の過剰な採取によりまして、相当範囲にわたりまして地盤が沈下する現象を言っておりまして、建造物の抜け上がりでございますとか不等沈下、ゼロメートル地帯の拡大等、生活環境に係る重大な被害を生ずるものを言っております。  地盤沈下の原因でございますが、私どもが公害として、公害対策基本法の対象としておりますのは地下水の過剰な採取によるものでございます。その対策といたしましては、地下水採取を削減する必要がございます。私どもといたしましては、法に基づきまして地下水採取の規制を行いますとともに、必要な調査等を実施しておるところでございます。
  48. 山田英介

    ○山田(英)委員 広い範囲にわたりまして、生活の土台である地表が徐々に沈下をする現象であって、しかもそれは軟弱地帯における過剰な地下水のくみ上げが原因である、これが定説になっている、こういう意味だと思うわけでございます。そこで私は、国土の保全とか、災害に非常にもろくなってしまうとか、受けた被害が非常に拡大をするというような観点から、この地盤沈下対策につきましては重大な関心を持たざるを得ないわけでございます。  大臣もお見えでございますが、国土庁といたしましても、五十五年度の地盤沈下対策関係予算ということで地下水利用等基礎調査五千八百万円計上なされているわけでございますが、私は、この地盤沈下現象と防災という観点から、園田長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  49. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えいたします。  地下水は非常に良質なものであって安いということから広く利用されておるのでございますが、これが過剰に採取をされますと、御指摘のとおり地盤沈下が生じまして、現在わが国における可住地域の一割に当たる約八千二百平方キロメートルが地盤沈下を来しておりますし、なかんずくゼロメートル地帯で千百平方キロメートル、しかもこれの地域のうちでは三大都市圏、臨海部等、人口、産業の集積の著しい地域が中心でございまして、極端に言うと一千百平方キロメートルの三分の二が臨海地帯に集中をしておるということ、そして、先生が御心配になっているような高潮だとかあるいは浸水だとかということで非常に災害が起きやすくなっているということで、私どもは、地盤沈下の防止という視点からも、地下水については十分配慮をしながら問題と取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
  50. 山田英介

    ○山田(英)委員 そこで、埼玉県を一つの具体例として挙げさせていただきますが、五十三年度中の地盤沈下は、年間二センチ以上のところが全県土の約三分の一に及んでおります。特に全国で最高の沈下量を記録いたしましたのが埼玉県の幸手町というところでございます。  長官からもいまお話ございましたけれども、防災のために特段の力を入れなければいけないし、関係省庁においてもぜひとも御尽力をいただきたいと御要望申し上げますとともに、埼玉県には具体的な事例といたしましてこういうことが起こっております。  一つは、日本住宅公団の建設に係ります公団住宅武里団地、これは百七十九棟あるわけでございますが、そのうちの六—ニ号棟が北側に約一・二度、つまり屋上で三十センチ余りも北側にずれているわけでございます。要するに、ピサの斜塔ではありませんけれども、一棟が傾いたということが昨年の八月判明をしたわけでございます。  私はそれでお伺いをしたいのでございますが、環境庁としてはこの公団住宅武里団地の六—二六号棟の傾斜につきまして、その原因でございますが、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  51. 原健彦

    ○原説明員 先生が先ほど御指摘になりましたように埼玉県北部の地盤沈下はきわめて著しいものがございまして、五十三年度調査によりますと鷲宮町で十二・五センチ、一年に沈下したというような記録があるわけでございます。この原因は地下水の過剰採取ということでございまして、この地域は上水道、農業用水、そういったものの採取が非常に多うございます。  この対策といたしましては、県におきまして広域第二水道事業の供給とか、そういったもので水源転換を進めておるところでございまして、その他条例におきます規制等にもよりまして、総合的に対策がとられておるところでございます。  その後で、先生指摘の武里団地でございますけれども、これは武里団地の中の一棟につきましてのお話でございまして、私どもの方でも担当官に現地を見せたこともございますが、これは公害としての地盤沈下の範疇とは違うのではないかというふうに考えておるところでございます。もともとこの地域は地盤の軟弱な地域でございまして、大規模な建造物を建設する際に当たりましては設計施工の面で配慮することが必要なのではなかろうか、さように考えております。
  52. 山田英介

    ○山田(英)委員 単なる地盤沈下という現象だけで公団住宅武里団地のあの一棟が傾斜をしたというよりか、むしろそれにプラスして建築工法上の問題もあるのではないか、このような環境庁の御答弁だったかと私は理解をいたします。  もう一つお伺いをしたいのです。国鉄の武蔵野線でございますけれども、埼玉県内を走っております。特に東川口以東における沿線で大変な地盤沈下による被害が出ているという実情があるわけでございます。たとえば盛り土部分が地盤沈下をいたしまして、線路がたるむとか一部の高架橋の部分の基礎が崩れてしまう、安全対策上非常に問題があるということで、現在国鉄の方ではこの補強工事に大忙しというような状況がございます。しかも越谷市という市内部分、武蔵野線の沿線に立地をいたします民家が武蔵野線の方向に向かって傾斜をしてきている。田畑等も目でわかるのですね。私も見てまいりましたけれども、目視できるわけです、確認できるわけです。武蔵野線の方向へ向けて土地が引っ張られるように傾斜をしているというような状況があるわけでございます。あわせまして環境庁から、国鉄武蔵野線のこのような被害の原因というものについて御所見をお伺いしておきたいと思います。
  53. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  先生指摘地域、私直接見たわけではございませんが、先生お話でございますと、この地域は軟弱地盤でございます。したがいまして大規模な盛り土等が行われる場合には、盛り土の自重によりまして周辺の地盤の変形が生ずることがあり得まして、そのようなものではないかと思います。私ども、このような現象は公害対策の対象としております地盤沈下の範疇ではないと考えております。
  54. 山田英介

    ○山田(英)委員 いわゆる公害としての地盤沈下現象ではない、盛り土による圧密現象によりましてこの武蔵野線一帯の被害が出ているのではなかろうかという環境庁の御見解かとお伺いするわけでございます。  もう一点お伺いをしたいのですが、先ほど御答弁の中にも触れられておりましたけれども、五十四年の調査で、鷲宮に続きまして年間十一・五センチの沈下を記録いたしております幸手町ですね。この幸手町につきましては、特に幸手町の北部のほとんどすべての民家にいわゆる抜け上がり現象というのが見られるわけでございます。土地と建物の乖離が進んでおります。驚いたことに、わずか十四年前に新築したばかりの鉄筋コンクリートの幸手総合病院というところがあるのですけれども、これが柱が曲がる、床が崩れる、ひびが入る等々で、わずか新築後十四年にしてほぼ全面改修をしなければならなくなっている、こういう事実があるわけでございます。この幸手の地盤沈下現象について環境庁はどのように御認識をなされているか、御説明をいただきたいと思います。
  55. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいました幸手町、それからその周辺、栗橋、鷲宮それから隣県に行きまして五霞村、この一帯が最近非常に地盤沈下が目立っておる地域でございます。と申しますのは、全国的にはわりあい地盤沈下対策が近年各省庁の御尽力によりまして相当成果を上げてきておりまして、子の中で比較的目立っておるということでございます。  この地域の地盤沈下の原因と申しますのは、私どもの推定でございますけれども、鷲宮、栗橋、幸手におきましての地下水の揚水量の一番多いのは、町営事業によります上水道の地下水の揚水でございます。これが九割以上を占めておりまして、それが、あの周辺の人口がここ近年増大しておりますので、毎年徐々にふえておるわけでございます。そういったこともございまして、上水道を主とします地下水の過剰採取によるものではないか、そういうふうに考えております。  県におきましても、先ほど申し上げましたように広域第二水道用水供給事業ということで、着々と水源転換の工事が進められておりますし、私ども、そういうような水源転換が図られまするならば地盤沈下は鈍化するであろうというように考えております。
  56. 山田英介

    ○山田(英)委員 水道用の地下水のくみ上げ、これが九〇%以上ということでございますが、農業用水とそれから工業用水の関係はどんなものでしょうか。あわせまして、県営第二水道の供用開始の見通し。年間十センチ以上ですから、五年同じように続けば五十センチも沈むというようなことで、大変な不安があるわけでございます。
  57. 原健彦

    ○原説明員 この地域では農業用水、工業用水の割合は比較的少のうございまして、また、すでに工業用水またビル用水等につきましては条例によって規制されておりますので、現状以上にふえることはないと思います。したがいまして、一番の対策は、先ほど申し上げましたように上水道の供給を早くするということでございますが、現在のところ県の方で申しておりますのは、先ほどの第二水道でございますが、五十七年度に供給するという見込みを立てておるところでございます。
  58. 山田英介

    ○山田(英)委員 要するに、いまの環境庁のおっしゃったことは、幸手における地盤沈下現象というのは、これはいわゆる公害としての地盤沈下現象のある意味では典型的な、象徴的なところである、このような御見解だったと理解をいたします。  幸手につきましては、環境庁といたしまして種々御調査をなすっていらっしゃるところだと思うのですけれども、先ほど申し上げました国鉄の武蔵野線、それから公団住宅武里団地、これにつきましては御調査をなすったのでしょうか。もしなさってないとすればそれはどういう理由でなさっていらっしゃらないのか、簡単にお答えいただければと思います。
  59. 原健彦

    ○原説明員 先生指摘の国鉄の武蔵野線、それから武里団地の建造物の傾斜、これは私どもが公害対策の対象といたしております地盤沈下の範疇に該当するものではないと考えておりまして、これにつきましては具体的な調査はいたしておりません。
  60. 山田英介

    ○山田(英)委員 といいますのは、いわゆる当事者同士で解決できる問題であるとか、原因が比較的特定できるというようなことから、いわゆる環境庁がおっしゃる公害としての地盤沈下現象には該当しない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  61. 原健彦

    ○原説明員 そのように理解いただいて結構でございます。
  62. 山田英介

    ○山田(英)委員 建設省、お見えになっていますね。  いま環境庁の方から武里団地の六—二六号棟の傾斜の問題につきまして、環境庁としての見方といいますか御意見が出されたところでございますが、日本住宅公団の監督官庁としての建設省のこの原因につきましての御見解をひとつ、環境庁のとおりでございますか、それとも独自に理由を、原因をお持ちでございますか、それをお答えいただきたいと思います。
  63. 井上孝夫

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  武里団地百七十八棟のうちの一棟のいまお示しの六—二六号棟につきまして——地盤沈下一般ということでは全部この団地はこうむっておるわけでございますが、この団地のうちの六—二六号棟につきまして異常勾配が発生した、御指摘のよう一に南北丁二度程度の勾配が発生したというようなことにつきましては、先生指摘のとおり五十年三月に私どもの住宅公団の点検で発見いたしまして、それから現在、入居者の方の御移転をいただいた上で、特別な建築の方の最高権威の構成によりますところの委員会を設置いたしまして、これからその原因を調査いたします。したがいまして、この六—二六号棟の異常勾配が発生しました原因につきましては、これから入居者の皆様方の御移転後大至急調査をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  64. 山田英介

    ○山田(英)委員 直接の住宅公団の監督官庁である建設省でございますので、環境庁でも一つの見解を出しているわけです、見解といったって正式なものではありませんでしょうけれども、そういうこともあるのではないかという御見解が出ているわけですが、建設省としてはどうなんですか。ただ単に調査結果を待ってからということじゃなくて、どういうふうに考えていらっしゃるのですか。もう一度ひとつ。
  65. 井上孝夫

    ○井上説明員 住宅公団が埼玉県下で約八万戸程度の住宅を持っているわけでございますが、地盤沈下がいまお示しになったような幸手とかいろいろなところでかなりございまして、公団住宅につきましては、先生御承知のとおり中高層の鉄筋の相当重い住宅でございますので、特別の基礎を、二十五メートルとか五十メートルとか、地下のかなり堅牢な地盤にまで打ち込んでおりまして、支持地盤まで打っておりますので、地盤沈下が発生しますと、階段と地盤との間に格差が発生する、そういうようなことから、階段の継ぎ足しをしたり、盛り土をしたり、あるいはガス管について特別に柔軟なものに取りかえるというような対策をいたしておるわけでございますが、いまお示しの武里の一棟につきましては、実は同じように武里の中の地盤沈下が二十センチから八十センチぐらいあるのですが、そのうちの四十センチについての個所で、六—二六号棟でございますが、そこで異常勾配が発生した、南北勾配が発生したということでございますので、私どもも本当の特異現象といたしまして、学者にまず測量を五十二年からお願いし、一部新聞に出ておりましたようにいろいろな策を講じておるのですが、本当に特異な一棟というようなことでございます。     〔委員長退席、伊賀委員長代理着席〕  したがいまして、建設省といたしましていま公式見解とか推量とかを申し上げることはできないわけでございますが、あえて学者の考え方というのを申し上げますとすると、こういうような不等沈下といいますか、異常勾配が四階以上の鉄筋住宅について発生するというようなことになりますときは、いま言いました二十五メートルないし五十メートルのくいの先端が支持地盤の間で多少の緩みが発生するかもしれない。あるいは、くいの頭と基礎の接する部分に圧壊があるかもしれない。それから、施工工法が悪ければくいが折れたり、くいが圧壊を受けたりする。そういうようなことが一般的な形としては言われるわけでございます。  ところが、くいの圧屈だとか、くいが挫折するとか、こういう原因は、家が建ちましてからすぐ発生する。重さがかかればすぐ発生するものでございます。  武里団地の場合は、すでに十数年たちましてそれで発生いたしておりますので、そういう原因は当たらない。したがって、くいを五十メートルまで打っているのですが、その先端の問題あるいは支持地盤に変化があるというようなことは、およそないだろうと思われるのですが、そういうことがあるか、その他の原因か、まさに八万戸のうちの、この団地で言えば百七十八棟のうちの一つに発生した、しかも一十数年して発生したという特異現象でございますので、最高権威によりますところの委員会の調査を待ちましてしか、憶測も現段階では申し上げられないような状況でございます。
  66. 山田英介

    ○山田(英)委員 御答弁でございますけれども事態が判明をした、それから、いまお話でございますと五十二年からですから、もうかれこれ三年たとうとしているわけでございます。偉い先生にいま調査を依頼しているというようなお話でございます。関東支社の中に調査委員会を設置されているわけですね。これは何をやっているのですか。  それから、要するにいま特異なケースだとおっしゃいました。本当にそうだと思います。公団住宅始まって以来の出来事なのか、十四、五年前に一つどこかで似たようなケースが起きていたというような話も聞いておりますけれども、いずれにしてもきわめて特異なケースだろうということは私も理解できます。しかし、それだけで済むのかという心配があるわけでございます。  先ほどの、支持基盤との間において鉄製のくいが曲がるとか変形するとかということがもしあるとすれば、それは要するに建設当初に出るはずだというお話がございましたけれども、しかし、まさか公団住宅がああいうふうに三十度も傾くなんということは想像もし得なかったことだと思うのです。それと同じように、建設当初に起こらなければそういうことはまずあり得ないだろうという論法は、私は説得力を欠くと思うのです。  そうじゃなくて、私が申し上げたいのは、そこに厳然と人間が住んでいるわけです。それが、埼玉においては御存じのとおり活断層が二本走っているわけですよ。いつ大きな地震が起きるかもわからない、こういう不安も現実問題としてあるわけでございます。宮城沖地震のときには、地盤沈下と関係をいたしましてやはりビルが倒壊をしているという事例もあるわけでございます。そういうように考えていくと、団地全体が一般的に沈下はしておるというようなことで、あと調査結果を待たなければということであれば、果たしてそれで十分な対応と言えるんだろうかと私は思うわけでございます。もうちょっと積極的に、たとえば昨年の段階では本年の三月あたりから現地調査をするという方針だったわけでしょう。それが今日に至ってはもう八月ごろからということで、入居者の退去の問題があるんだろうと思いますけれども、すでに四カ月という期間がそこで延ばされているわけです。デスクワークは関東支社の中ではもうやっています、学者にも頼んであります、これじゃ済まないんじゃないですか。対応についてどうなんでしょうか。
  67. 井上孝夫

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  確かに、発見いたしましたのは、五十二年の三月に住宅公団の巡回点検によって発見いたしまして、それから某大学の研究所に測量その他原因の調査をお願いいたしまして、中間報告が出ました五十四年七月に、入居者の方々からも調査してくれという申し出がございました。  したがいまして、住宅公団といたしましては、早急にその入居者の皆様方にお願い申し上げまして動いていただく、外から見る程度の調査はすぐできるわけでございますけれども、やはり入居者がおいでになりますと、あと調査いたしますところのコンクリート強度調査とかあるいは耐震力調査とかその他の調査をするのについて、動いていただかなければいけないということなものですから、早速十月ごろから説明会をいたしました。  それぞれの方が現在のところへお住みになりたいという御希望の方も多いものでございますから、学校の都合とかその他、移転費用とかその他は公団で持つわけでございますけれども、そういう個別の条件が、みんな同意はいただいているのですが、折り合いますにつきまして、当初は、三月末には三十九戸皆さん動いていただいてハードな調査に入りたいと思っておったわけでございますが、現在のところ、皆さん移動は同意なさっていただいてはいるものの、まだお動きになる住宅が竣工しないからしばらく待ちたいとか、あるいは同じ武里団地のあの特定の棟にかわりたいから、それがあくまではここへ住まわせてもらいたいとかいうような交渉がございます。  私どもは、鋭意早く御移動いただいた上で、実態の徹底的な原因究明に当たりたいと思っておりますので、決して閑然といたしておるわけではございませんが、入居者の皆様に御迷惑をなるべく少なくいたしたいというのも公団の一つの重要な考え方だと思いますので、極力入居者の皆様方の、現在四十棟のうち九名残っておられるわけでございますが、その方々に折衝を進めたいと考えておる次第でございます。
  68. 山田英介

    ○山田(英)委員 要するに欠陥工事じゃなかったのですか、これは。地盤沈下だ、地盤沈下だと言っているのですよ。あと、原因を究明してみないと、調査の結果を待たないとわからないと言うのです。手抜き工事だったんじゃないですか。それと地盤沈下の不等沈下か何かが合わさって、それで傾斜したのじゃないんですか。環境庁は、工法的なところに問題があるのじゃないかとも考えられるというところまで言っているわけですよ。  私はなぜこういうふうに申し上げるかといいますと、それは国鉄の問題にしてもそうなんです。後でやらしていただきますけれども、公団住宅もそうなんです。みんな地盤沈下、地盤沈下とやっているわけです。地盤沈下を何か口実のように使っている。大事なことは、そういう現実の姿があるわけですから、じゃ工法はどうだったんだろうかとか、武蔵野線で言えば、盛り土による自重圧密現象は本当にないんだろうかということを真剣にやはり考えていかなければならないんじゃないですか。それを、全くこちらには手抜きはないんだ、落ち度はないんだ、問題はないんだ。みんな地盤沈下という言葉に置きかえられているような気がしてならないのです。そういう行政の姿勢、やり方というものはいけないと私は思うのです。そういう意味から私はいま申し上げているわけでございます。  真剣に、この欠陥工事だったんじゃないかというその辺の調査はなさっているのですか。どこが実際に建設をなすったかわかりませんけれども、現場監督がついてということかもしれませんけれども、その辺の、たとえば二十六本とかという支持ぐいが、鉄製のくいが打ち込まれていると言います。いまのお話ですと、支持岩盤まで、支持地盤まで届いているというようにおっしゃるわけです。本当に届いているのですか。もうちょっと深く打たなければいけなかったのじゃないですか。二十六本、本当にあるのですか。
  69. 井上孝夫

    ○井上説明員 先生指摘のとおり、徹底的に原因を究明いたしたいと思っておりますが、私どもは現段階におきまして、この原因がすべて地盤沈下であるというふうに考えておるわけではございません。  工法が間違いではなかったかという点におきましては、三十九年から四十一年まで、ここで六千戸ばかりの住宅をこの団地に建設いたしたわけでございますが、その他についてそういう障害が出ていないところから見ましても、工法そのものについての問題はございません。  二十六本のくいが打ち込まれているかどうかという点におきましては、先生も御存じだろうと思うのでございますが、ここで四十センチとか地盤が沈下いたしますので、くいの頭が露頭するというような状況でございます。したがいまして、欠陥工事として支持層に到達してなかったんじゃないか、新聞で報道されましたときには図解でそういうのもございましたが、もしそういうことであるとするならば、まさに軟弱地盤の上に浮いている住宅でございますので、住宅の方と地盤との間に差が発生する。いま四十センチとか八十センチとかと言っておりますが、そういう状況はないわけでございますので、基礎は支持層に到達しているというふうに考えておるわけでございます。  ただ、施工面におきましてどういう問題があったかという点につきましては、こういうくいにつきましては常時特別の立ち会い監督体制をとっておりますし、これがいわば一番住宅の基礎の基礎でございますので、手抜かりはなかったと考えてはいるわけでございますけれども、何分いま十数年たちまして欠陥が発生しておりますので、そういう点も含めまして徹底的に原因究明に当たってみたいと考えておるわけでございます。
  70. 山田英介

    ○山田(英)委員 この傾斜は特異な、きわめて特異な現象である。しかし年々また出てくるんじゃないですか。すでに同じ武里団地の中でも一−二九号棟、体で感じるまではいってないということですけれども、すでに傾斜の徴候が見られるということですよ。武里団地だけだって二百棟近い棟数になっていますね。  埼玉県というのは確かにほとんど軟弱地盤です。特に県東部ですね。わし宮団地、幸手団地、久喜青葉台団地、吉川団地、三郷にはマンモス団地がありますよ。八潮にもあります。たくさんあるわけでございます。それらの団地を一つ一つ見ても、相当地盤沈下が進んでいるわけです。武里の中でも一つ一−二九というのに徴候が出てきた。その事実をちょっと確認しておきますよ。それから、ほかの住宅団地でも、二年たち、三年たち、四年たっていったときに、また出てくるんじゃないかという心配、これを私ども持っているわけでございますが、この辺はどのようにお考えでございますか。
  71. 井上孝夫

    ○井上説明員 いま先生がお示しの武里団地の一−二九という点につきまして、人体に感ずるほどではないが、傾斜があるというようなことにつきましての御指摘でございますが、私どもが聞いておりますところでは、先ほどお示しの六—二六というような問題傾斜ではございません。(山田(英)委員「全くないですか、一−二九は」と呼ぶ)五十二年の調査の結果によりまして、若干のものはあるということでございますけれども、六—二六というものではございません。
  72. 山田英介

    ○山田(英)委員 余り人任せというような感じじゃなくて、住宅公団そして監督官庁の立場で、ひとつ真剣にこの問題は対策を講じていただきたい、御研究をいただきたい、そして、住民の不安を除いていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  長官、ちょっと御所見をお伺いしたいのでございますが、環境庁の地盤沈下に対する見解。それから、なかなか各省庁にまたがりますと、同じ地盤沈下等を見る場合におきましても、ただいまの建設省の御見解等にもあらわれておりますけれども、そこに微妙な食い違いがあるような気がするわけでございます。国土庁長官とされましては、企画調整機能をお持ちの国土庁でございますし、各省庁にまたがるというようなこと、それから、地下水の適正な需給見通しを策定するとか、ひいてはそれは地盤沈下対策ということに直結するわけでございますが、環境庁と、たとえばいまの建設省の両方の話を長官聞かれまして、どんな印象をお持ちでございますか。
  73. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えをいたします。  御指摘のとおり、私どもは、地下水の集水が過剰になると、取り過ぎるとこれは地盤沈下を来すという、公害の問題からの一側面をとらえなければならないと思います。また、一面から、冒頭にお答え申し上げましたように利水計画、しかも安いというようなことからして、往々にして、地下水のくみ取りが過剰になるとそれが地盤沈下につながるというようなこともございまして、両方の面から問題をとらえながら、地盤沈下を来さないために、同時に政府部内においても、御指摘のとおり、各省庁間においていろいろ地下水をめぐる考え方の違いというのは若干ございます。それは御指摘のとおりです。たとえば生活用水あるいは工業用水あるいは農業用水というように、各分野にわたるそれぞれの行政庁の分野からの見方がございますので、私どもとしては、いまのように地盤沈下をどうして来さないかという、地下水のくみ取りに対する一つの規制を考えながら、あわせて、必要なところには水源の涵養、貯留、集水と申しますか、広範囲な姿の中で水を供給していく、地下水を規制した分はほかから持っていくということを並行して考えていかないと、やはり公害を引き起こすのだということで、各省庁間のいろいろな意見の調整を今日進めておるわけでございますけれども、なかなか各省庁間の意見の統一ができません。  それで予算委員会でもお答えをいたしましたとおり、実はこの機会に、地下水の集水ということは重要な問題だから、地盤沈下を来さないためにも、ひとつ内閣官房が乗り出して調整していただきたいという、調整以上の調整の機能を官房にお願いしておるという段階でございますので、各省庁、御指摘があったような弊害を来さないような努力を今後とも重ねてまいりたいと思います。
  74. 山田英介

    ○山田(英)委員 予算委員会では、わが党の坂口委員でございましたか、地下水のくみ上げを総合的にチェックできるような総合法をぜひ年内に取りまとめる必要があるのではないかと、それに対して、いま長官おっしゃいましたように、たしか内閣官房が中心となってリーダーシップを発揮されまして、そのようにがんばりたいといういきさつがあったかと思うのですが、国土庁の長官とされましても、積極的に御推進をいただきたいと思うわけでございます。  次に、国鉄の武蔵野線の地盤沈下対策、この件でちょっとお伺いをしておきたいと思うのですが、先ほど環境庁から、圧密現象ということも考えられるというようなお話があったわけでございますが、国鉄としてはこれをお認めになるのですか。原因について何か独自の見解をお持ちでございますか。
  75. 大橋勝弘

    ○大橋説明員 お答えいたします。  武蔵野線は鉄道建設公団で建設されたものでございますが、武蔵野線・東西線の中は盛り土と橋梁と二つございますが、盛り土につきましては、地盤沈下と圧密沈下が競合しているというふうにわれわれは解釈いたしております。それから、高架橋の一部が変状を来しておりますが、これにつきましては中間の支持層にくいをとめておりまして、その上に乗って橋梁ができ上がっておりまして、ある程度地盤沈下の要素が高いというふうに解釈しておりますが、先ほどの武里団地と同じように、基礎の構造その他については技術的になお検討を要する問題であるというふうにも考えております。
  76. 山田英介

    ○山田(英)委員 環境庁と考え方はほぼ同じであるということでございます。先ほどちょっと触れましたけれども、やはり最初からそういう対応をなさっていただきたいと思うわけでございます。  これは埼玉新聞の記事ですけれども、昨年の十一月十五日、北管理局でこう言っているのですよ。「もともと地盤がゆるく地下水のくみ上げが重なって地盤沈下したのだと思う。乗客、貨物の輸送に支障ないよう工事補強の保守管理している。住民からの苦情は受けたことがあるが、地盤沈下被害の因果関係がはっきりしていない。長い目で見ればそのままではいけないので公団の方とも話し合いたい。」、この段階においては、圧密現象ということはお認めになっていないのです。いまの発言では圧密現象を認められたということで、私は当然のことだと思うのですけれども、先ほどのような、何でもかんでも地盤沈下と言えば、因果関係なんか、なかなかわからないですよ。しかも素人や一般の方々なんか、これはわかるわけがないのですから、やり方だって知りませんよ。やはり最初からそういう対応をなさるべきだと思うのですね。  それで、運輸省来ていると思うのですけれども、鉄建公団の監督官庁ですね、こう言っているのですよ。「土質調査工事は万全にやり、今はいっさい国鉄に移管している。こちらには関係ない。」こんな無責任な発言があっていいものでしょうか。監督官庁としてどう思いますか。みんな怒っていますよ。
  77. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 鉄道建設公団が工事をいたしまして、これを開業いたしますと国鉄に引き継ぐことは御承知のとおりでございまして、その後の保守管理は国鉄が行うということになっているわけでございます。したがいまして、その付近の住民との御相談等も二義的に国鉄が行うということが決まっているわけでございまして、先生の御指摘になりましたこの新聞記事での表現というのは、どのような答えがなされたものか私どもちょっとわかりませんが、一応、窓口が国鉄であるということを述べたのではないかと思いますが、どうも両者の話を聞いてみますと、引き継ぎに際しましての十分な引き継ぎと申しますか、この辺が完全でなかった、多少そこの連絡が悪かったということも言えるようでございます。今後十分指導監督いたしたいと思っております。
  78. 山田英介

    ○山田(英)委員 これは国鉄の話なのですが、長い目で見ればこのままではいけない、公団の方とも話し合いたいということですが、その後今日に至るまで、この件で公団と国鉄は相談なすったことがありますか。
  79. 神阪雄

    神阪説明員 お答えいたします。  この件につきまして国鉄と公団で話し合いをしたかという御質問でございますが、具体的なことにつきましては話し合いをしておりません。ただし、基本的には国鉄が窓口であるというふうに認識しておりますので、現地で地元の自治体あるいは住民の方々とお話し合いをやっているのが現状でございます。
  80. 山田英介

    ○山田(英)委員 実態はそうじゃないのです。現地の人が非常に不安になり怒っているのは、こういうことなんです。畳の上に置いたピンポン球が転がるのです。かまどが割れるのです。コンクリの床がめちゃくちゃにひび割れしているのです。その実情を国鉄に訴えたところ、一度調査に来てくれたんですってね。ところが来ただけで帰って、その後何の返事もないというのですよ。現場でやっていないのです。しかも上でもやっていない。国鉄、公団ともやっていない。それで、先ほどの答弁は何ですか。国鉄との引き継ぎがうまくいっていない、これだけじゃないですか。——では、仮にそうでもいいですよ。移管がうまくいってなかった、国鉄と公団で意思の疎通がうまくとれなかったとしても「こちらには一切関係ない」というのは無責任に過ぎるのじゃないですか。そういうことでは、これから新線の建設とか国鉄だって鉄建公団だってなさるわけでしょう。そのときに住民の協力が得られなかったらどうしたってできないわけですよ。こういうような姿勢でやっていくということは問題があるのではないですか。それだけですか。何も思わないのですか。記事に出ているのです。みんな見ているのです。何だと言っていますよ。どんなに行き違いがあったか知りませんが、こういう記事が出るというようなことは、これに近いようなことは言っているのではないですか。それについてはどうなんですか。
  81. 神阪雄

    神阪説明員 ただいま御指摘のような、国鉄の対応がある意味で大変皆様方に御迷惑をかけたということにつきましては反省しております。そういうことでございますので、今後地元の皆様方に御理解いただけるように、地元の自治体あるいはその他関係個所と十分話し合いをいたしまして、地元の方々の誤解を解きたい、そういうふうに考えております。
  82. 山田英介

    ○山田(英)委員 ぜひ本気でやってもらいたいのです。誠意を持って地元の皆さんの不安と不信を取り除けるような臨み方をしていただきたいのです。それが鉄建公団の、国鉄の、ひいては運輸省のこれからの行政を遂行していく上できわめて重大な問題なんです。とともに、園田長官もおっしゃいますように、防災都市ですよ。災害に強い国土の建設、災害に強い都市建設、災害に強い公共施設の整備という観点から考えても、防災の上からも真剣に対処していかなければこれは大変なことになります。これはぜひ約束していただきたいのです。  これは、越谷市が余り苦情が来るものですからことしの一月に一生懸命調査をやったものです。市の調査ですけれども、かなり真剣にやっていますよ。これをちょっと見ておいてください。ピンク色になっているのが地盤沈下の苦情を市役所に持ってきたところです。このピンク色の真ん中に太い線がある。これは武蔵野線なのです。百メートル以内と二百メートル以内で全部調査したのです。先ほど圧密現象とも絡むというお話がありましたのでそれ以上言いませんけれども、無関係ではないのです。「因果関係ははっきりしていない」では済まないのです。そういうやり方というのは私は改めるべきだと思います。そんなものが全国あちこちで出たら、国鉄に協力しようとか、そんな人はいなくなりますよ。  現在家が傾いたりしているのが二十七戸です。開業の四十八年から傾斜が急激にふえています。「建物全体が傾く」が十。「建物一部変形す」が十三。「建物等に亀裂が入る」が十一。「敷地内が沈下して湿気を含む、水はけが悪くなる」が三。「水路沈下、作物に影響」が四。「その他」が二。計四十三件。ですから、傾いたり敷地内が沈下したり、これは一緒になりますから、さっき二十七件と言いましたが、二十九件です。こういう被害の種類から言えば、要するに四十三あるということです。  これは約束していただけますか、市の方と。それから、市を通してでも結構ですし、いずれにしても、その周辺で困っている人たちがいるわけですから、その人たちだってかつては国鉄に、鉄建に協力したのですから、そうでしょう、そこを買収できなかったらあれは建設できないのですから、一生懸命協力したのです。だけれども余りやり方が冷たいじゃないか、みんなこう言うのですよ。もう一回聞いておきます。
  83. 神阪雄

    神阪説明員 お答えいたします。  ただいまの越谷市で行いました調査につきまして、私ども正式な報告を聞いておりませんので、その内容につきましてはここで初めてお伺いしたような状態でございます。したがいまして、今後自治体、越谷市とその内容につきまして十分お打ち合わせいたしまして、今後の対策を考えていきたいというふうに考えております。
  84. 山田英介

    ○山田(英)委員 いまの資料を一部差し上げますから、ごらんになってください。みんな真剣です。  鉄建にちょっと聞きたいのですけれども、移管したから関係ないのだ、そういう言い方はいずれにしてもまずいですね。それで国鉄は幾らか、と言ったらおかしいのですけれども、鉄建の方からその補修工事費かなんかを出してもらっているのですか。全部国鉄の負担でやっているのですか。高架橋の橋脚の補強工事なんか大変ですよ。十六本くらいの五十メートルのくいを打ち込んだりしてやっているわけです。これはどうなっているのでしょうか。
  85. 大橋勝弘

    ○大橋説明員 国鉄の補強工事につきましては、鉄道建設公団と特別な協定を結びまして、約十三億円ほどいただいて補修をいたしております。
  86. 山田英介

    ○山田(英)委員 十三億ほどですか、鉄建から国鉄の方へ。それで一切済みということに形としてはなっているわけですね。
  87. 大橋勝弘

    ○大橋説明員 今年度いっぱいで終了の予定でございます。
  88. 山田英介

    ○山田(英)委員 ひとつそういうことでぜひ真剣に対応をしていただきたいと思います。心からお願いを申し上げます。一生懸命やっていただきたいと思います。  国鉄と住宅公団、以上で終わりますけれども、時間が余りございませんので、建設省にきょうおいでいただいていると思うのですが、河川激甚災害特別緊急事業、いわゆる激特、これで綾瀬川が昨年この指定を受けたわけでございます。五十四年度から向こう五年間で百六十億投入して、二度と同じような被害を出さないということで進められている、こう理解しているわけでございますが、国土庁のまとめた資料によりますと、昨年の十月十九日を中心とした台風二十号による災害の中で、建物の床上、床下浸水、全国の合計が四万四千七百三十七戸、その約三三%に当たる一万四千五百九十三戸がこの綾瀬川の流域に集中をしたわけでございます。激特河川事業は五年かかりますので、ことしもまた台風のシーズンがやってくるわけでございますが、整備をされるその五カ年の途中において、また同じような浸水禍に見舞われるというおそれが多分にあるわけでございますが、いまお伺いをしますと、用地買収に全面的に入っておられるということでございますけれども、特に昨年の台風二十号のときに出水をした個所、ここを特に御配慮いただきまして当たっていただければというふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  89. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、昭和五十四年度から総事業費百六十億円をもちまして、激特事業としまして五カ年間に再度災害を防止するような事業を完了するようにしております。  この事業は一定の計画に基づきまして行うわけでございまして、全体としてはこの事業が完了いたしませんと再度災害防止ということは困難でございますけれども、その施工の途上におきましては施工手法、手段等をいろいろ工夫いたしまして、重点的にかつ効率的に事業執行してまいりたいと考えております。
  90. 山田英介

    ○山田(英)委員 最後に、まとめて二問お伺いをいたします。  中川と綾瀬川を東京と埼玉の境で結ぶような形で、桁川という河川がございます。この桁川には、建設省の御尽力もいただきまして排水機場が昨年竣工を見ております。一部稼働が開始をされ、昨年の台風二十号の際にも大変威力を発揮し、浸水禍に悩む皆さんが大変喜んでおるところですが、いわゆる総合治水対策特定河川事業に中川、綾瀬川が五十五年度採択されたわけでございますが、その事業と一体としてぜひ整備をしていただきたい、非常にそのように思うわけでございますが、この点が一つです。  それからもう一つは、これだけちょっとお願いします。三郷放水路、これも建設省の直轄で昨年だったでしょうか竣工を見たわけでございますが、この三郷放水路の建設に伴い、この放水路沿いの住居地域の雨水を排除するために、建設省が設置をされた排水機がございます。昨年の台風二十号のときには、付近が停電をしたためにこの排水機が機能をせず、床下浸水の被害が出たわけでございますが、建設省ではその後改善を約束されたということでございますが、どうなっておりますでしょうか。最後にこの二問だけ、簡単にお答えください。
  91. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 お答えいたします。  まず第一点は、桁川の整備を特定河川事業と一体で進めるべきではないかという点でございますが、これにつきましては、現在小規模河川改修事業として改修を進めておりますけれども、五十五年度から総合治水対策特定河川事業を中川、綾瀬川についてお願いすることにしておりますので、その採択が決まりますれば、その中で桁川の改修を一層促進してまいりたいと思います。  それから第二点でございますが、三郷放水路の関連といたしまして大膳排水機場を設置したわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、二十号台風の際に停電いたしましてこの排水が一時ストップしたというような事実がございます。これにつきましては、この地区の排水対策といたしましては現在長戸呂排水機場というものを建設中でございます。これは五十七年度完成を目途に工事を進めておるわけでございますが、これが完成いたしますとあの付近の内水対策というのは大幅に改善するわけでございます。その排水機場が完成するまでの間ということで、ただいま御指摘の大膳排水機場を設置しておるわけでございます。この排水機場はそういう性格のものでございましたので、予備発電装置をつけておらなかったわけでございますが、今回の出水にかんがみまして、できるだけ早い機会に予備発電装置をつけまして、二十号台風時の際のような事態を招かないようにしてまいりたいと考えております。
  92. 山田英介

    ○山田(英)委員 質疑時間が若干過ぎてしまいまして大変失礼をいたしました。  ありがとうございました。以上で質疑を終わります。
  93. 伊賀定盛

    伊賀委員長代理 寺前巖君。
  94. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、栃木県田沼町で三月二十三日の未明、東京石炭工業の石灰岩採石場排土が突然流出して二軒の民家を流してしまう、五人の死亡者と一人の重傷者を生んだという、ここ二十年来石灰石のこういうような排土でこういう大きな事件というのはなかった。     〔伊賀委員長代理退席、委員長着席〕 お亡くなりになった方あるいは被災を受けられた方々に対して哀悼の意を表するとともに、二度とこういうことにならないような対策あるいはこのようなことが起こった責任について、ひとつ簡単に御説明をいただきたいと思って質問に立ったわけであります。  新聞報道を全部整理してみました。また、現地の私どもの党の町会議員さんが問題を持ち込んでこられましたので、その方にも聞きました。また、私の方の秘書さんにも現地に飛んでいただきました。とりあえずの私なりの調査でございますので不十分ではありますけれどもそれなりにまず解明をしていきたいというふうに思うわけです。  私は、まず最初に、現に事故が起こってしまっているのですから、その事故の起こっている地域から二次災害が発生するということを一番恐れるものであります。そういう意味においては、原因調査のために現状に手を触れるわけにはいかないという事態が存在していると思いますが、それにしても、また一方で復旧を検討しないと二次災害に発展をするというふうに思いますので、一体現状の調査を終えていつごろから復旧作業に入るのか、この点は当該の地域の人にとっては大切な問題ですので、まずその点を明らかにしてほしい。  また、復旧をしていくということになると、現に崩れたところの堆積場があります。この崩れた堆積場をどうするのか。もともとここは認可の堆積場でなかったから知らないというわけにはいかない。事故が発生した以上は、通産省としてその堆積場の今後の処理をどうするのかということを復旧に当たって責任を持ってもらう必要があるのじゃないだろうか、これが二番目です。  それから今度は、この復旧の責任は当然のことながらまず企業にやらすということになるのだろう。責任が国の側にもあるとするならば国の側も責任を持たなければならぬということになるのでしょうが、いずれにしても今度は流れた土をどこかへ処理しなければ復旧はできませんから、一体その流土をどうするのかという、直ちに復旧のめどがたっているのかどうか。その土を持っていくところがありませんからということでいつまでも残されておってはたまったものではないから、そこの責任はちゃんと準備ができているのかどうか、これが三番目です。  それから四番目に、道路をつぶしてしまいました。それ以上に河川が埋まってしまっています。梅雨までの間に田植えもあることです。そういうような河川の対策は一体どうするのだ。これは二次災害にとってまた大きな意味を持ってきます。臨時的にそこを避けての排水路線はつくってあるけれども、これだけでは、この二次災害ということを梅雨期までに考えるならば解決をする問題ではない。これは企業でというわけにもいきません。もともと準用の河川で町の管理河川だと言っても、この辺のめんどうの責任は全面的に国家的にも手を打たなかったならば危ないのではないだろうか。  こういうようなさしあたっての短期の対策問題というものでも、かなり大仕掛けの対策を組まないことにはこれはまことに申しわけないということになると私は思うのですが、その点についての見解を聞かせていただきたいと思います。
  95. 福原元一

    ○福原説明員 お答えいたします。  このたびの東京石灰の事故におきまして、五名の方がお亡くなりになり、一名の方が重傷を負われたということにつきまして、監督官庁としても深く哀悼の意を表する次第でございます。  ただいま先生から御質問のございました件につきまして、まず二次災害の防止でございますが、本件につきましては、まず二十六日に、東京鉱山保安監督部長から東京石灰工業株式会社社長に対しまして、二次災害を絶対に起こさないようにということに加えまして、この会社は四つの堆積場を持っておりますが、さらにほかの堆積場につきましても安全性の見直し等を行うようにというようなことを内容といたします指示書を交付いたしてございます。それを受けまして、会社といたしましては、町と会社と地権者、この三者で対策委員会をつくりまして、その二次災害防止につきまして検討を進めておるところでございますが、その防止計画が東京鉱山保安監督部に提出されまして、監督部はこれを現在了承して、即刻工事に入るようにということになっております。  その内容といたしますところは、まず崩壊個所の上部を整形すること。それから、側溝を掘りまして水はけをよくする。二番目は、今後出てまいります水あるいは汚泥を沈でんさせる沈でん池をつくるということ。三番目は、同じく先生おっしゃいましたように、梅雨期を控えておりますので、排水路を新しくつくるということに遺漏ないようにする。この三点でございまして、この工事は約二週間を完了するまでに要するというふうに聞いております。  東京鉱山保安監督部といたしましては、先生おっしゃいましたように、原因の調査その他も並行して行われなければならないわけでございますが、原因の調査はまだ進んでおりませんので、この工事を行うに当たりましては、原因の調査に影響のない範囲で工事を実施する、かつ早急にということで、監督部から現地の方に指示を出してございます。  二番目は、国の責任についての御質問でございますが、今回の事故につきましては、現在保安統括者等に対する事情聴取、それから事故現場の測量調査を始めたところでございまして、現在原因の究明中でございます。その結果を待って、責任の所在についても明らかにしてまいりたいと考えております。  それから、その次の道路、河川等も、さらにたんぼも今度の崩壊で埋まったわけでございますが、これの復旧について、やはり梅雨どきを控えて急ぐべきではないかというお話でございますが、申し上げました二次災害防止工事が約半月、二週間かかるということになっております。埋まりましたたんぼの復旧その他はそれ以後になるのではないかと考えております。
  96. 寺前巖

    ○寺前委員 私の知りたいことはもっと細かく具体的なんですよね。まあ二週間以内に整備をやるということですから、二十六日にやられて二週間以内に完了するように、だから直ちに手をつけるということなんでしょうから、それはそれでいいと思います。  それから、積んであった堆積場なんだから、これは認可していないところだということで済ますわけにいかぬでしょう。今度は、その処理はちゃんと責任を持って指導監督やりますということを私ははっきりさせてほしい、これが一つ。  それからもう一つは、流出した土がたくさんあるのだから、それを持っていくところが大変だということで、企業任せにしないだろうな、これはちゃんと持っていくところまで検討ができているだろうな、そうでなかったならば、事態がいつまでも引き延ばされてしまうことになると困るから、これは一番現実的処理として問題なんですね。そこはちゃんと一緒に相談して、責任持って処理してくれるなということ。  それから、そもそも河川の管理は自治体なんだから、あそこは準用河川で長が管理しているのだけれども、そういうのは自治体任せだけでいいのかな、本当に長だということだけで、これは府県もかんで全体として国もめんどうを見るようなことで検討するようにしておかにゃいかぬのと違うのか。そうでないと緊急策として手がとれなくなる。一時的なバイパス的な横へ水を持っていくというだけでは、これは河川という基本的な問題なんだから済まぬ問題だ。それはよろしいか。
  97. 福原元一

    ○福原説明員 二次災害防止並びに復旧に伴います工事につきましては、東京鉱山保安監督部が十分に監督いたしまして、責任を持って指導いたします。  対策本部との連携、先ほど申しました三者によりまして対策本部がつくられておりますが、この対策本部とも十分に連携をとりまして、おっしゃいました河川の汚染等に絡みます土砂の問題につきましても、十分な監督指導をいたしつつ解決するように私どもも考えております。
  98. 寺前巖

    ○寺前委員 要するに、私の問題提起していることに対して、責任を持って心配ないようにやりますということで理解していいですか。
  99. 福原元一

    ○福原説明員 そのとおりでございます。
  100. 寺前巖

    ○寺前委員 それではその次に、鉱山保安法ですかそれに基づく金属鉱山保安規則によって、高さというか厚さというのですか、十メートル以上のところは認可の対象になるということで、力学的ないろいろな問題なんかの調査もやって処理を今日までしてこられたようです。ところが、十メートルというのは一つの基準であって、それじゃ九・九メートルでどうや、九メートルでどうや、その根拠はどうやということになってくると、きわめて漠としている。現に、いろいろな作用が加わったか知らない今度の条件というのが、雨が降ったという問題がある、雪が解けてきて地盤が緩んだという問題がある、そこへもってきて新しい道路を建設するというような諸条件が加わったか知らないけれども、十メートル以上か以下かによって、気分的にも管理者の側もあるいは監督者の側も一つの目安が以下であるからというて安心するという問題が、そこには発生しているのではないだろうか。そういうことを考えてみると、この基準問題のあり方、認可するかしないかを、それは安心なんだということを単純に十メートルでもって理解させておるという結果になっているのではないか。とするならば、この辺のあり方については少し検討を要するのではないだろうかという  ことを感ずるのだけれども、どうでしょう。
  101. 福原元一

    ○福原説明員 十メートル未満の堆積場については認可を必要としないという現状について、疑問があるのではない.かという御質問と思いますが、堆積場に堆積いたします堆積物によりまして、認可をするか認可をしないかということが定められておりまして、露天掘りをいたします場合に表土をはぎます、そのはいだ表土の堆積場につきましては、現在はその規模によりまして認可を要さないということになっております。御指摘のように、十メートル未満のものにつきましては、保安上現在のところ危険が少ないという判断で、認可を要しないということにしておったわけでございますが、今回の事故を踏まえまして、現在原因の解明を急いでおるわけでございます。その原因の究明のできた段階におきまして、御指摘のように、十メートル未満のものの堆積場につきましてもチェック体制が必要であるということであるならば、検討してみたいと考えております。
  102. 寺前巖

    ○寺前委員 現地には、先ほどお話を聞いていますと、東京石灰の会社の堆積場というのは他に五カ所あって、それは点検されたそうです。ですから、それは同じ会社の堆積のあり方について不安を感ぜられたところから、その会社の面についておやりになったと思うんです。  ところが、現地の地域については、他の会社が二つある。あの個所に全部で三カ所ある。他の二つの会社の問題についてはどうなんだ。現地の人に言わすと、一つの会社の方は非常に固めてあるから私どもは安心だ、こういうふうにおっしゃるのです。ところが、山の井という会社の方は非常に不安だ。そのふもとに住んでいる人は、夜はそこにおるのがこわいと言って、よそへ寝に移っておられるという現状もある。しかも、前々からその会社に対して、そこの住民は、何とかしてくれと訴えに行っているということを言っているわけです。とするならば、住民の声がここまで、こういう生活様式になっているとするならば、これは鉱山保安監督部というんですか、どういうふうに対応をしておられるのか、お聞きをしたいと思う。
  103. 福原元一

    ○福原説明員 現地の東京石灰以外の鉱山の堆積場につきましても、通産省といたしましては、地元の要望を踏まえまして、葛生地区でございますが、葛生地区に現在三十の堆積場がございます、これに対しまして、三月二十六日からきょうまで、二十八日終了の予定で、全堆積場に対して寺入検査を実施いたしまして、安全性が確保されているかいなか、これについて検討を行っております。きのうまでのところ、十四鉱山、二十五堆積場を終了し、本日中に残りの五つの堆積場の立入検査を終了する予定でございます。
  104. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、全面的に立入調査をやってくださっているのは結構です。一番具体的に、同じ地域の一カ所について不安を覚えることを前から提起して、現に家で寝られないという事態のしころについては、特別に立入検査の結果を明らかにしなかったならば、対処する方向を打ち出さなかったならば、一般論として立入調査をやっているというだけでは解決しないと私は思うんです。おたくはいままだ知られていないんだったら、その堆積場については直ちに、特別に結果を明らかにするようにしてほしいと思いますが、いかがですか。
  105. 福原元一

    ○福原説明員 検査の結果につきまして、保安上問題があるということであれば、改善を指示することは当然でございますが、結果につきましては、対策本部等を通しまして監督部から知らせるというようにいたします。
  106. 寺前巖

    ○寺前委員 ですから、私のいま指摘しているのは、直接の生活に響いて問題を提起しておられるんだから、これについては特別に、提起された以上は態度を明らかにされるということは、こういう事態が発生しているだけに、やはり特別にしなければいけないことだということで、特別にしてもらえるかどうか、明らかにしてほしいと思います。
  107. 福原元一

    ○福原説明員 そのように指示いたします。
  108. 寺前巖

    ○寺前委員 当然のことだと思いますが、事故の結果については、亡くなられたところの関係者の皆さんや、あるいは部落の皆さんや、自治体の皆さんにずいぶんいろいろの被害を与えています。損害を与えています。ですから、こういう損害について国家の責任がどう加わるかという問題などを言っておるとこれは非常に時間がかかりますけれども、損害に対する補償についても国としても積極的にめんどうを見るようにしなければいけないと思うのですが、その点についてはどういう態度でおられますか。
  109. 福原元一

    ○福原説明員 補償問題は本来当事者間で解決されるべき問題だと私どもは考えておりますが、必要があれば、その円滑な解決が図られますように、私どもとしてそのあっせんの場を提供する等労はいとわないつもりでございます。
  110. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、そういう当該の地域だけではなくて、全国的にこういうような十メートルの基準のもとに堆積がされているだけに、全国的に通産省として調査をして、そういう不安な状態をつくっていないのかどうか、対応策はどういうふうにとられたのか、お聞きをしたいと思います。
  111. 福原元一

    ○福原説明員 認可の対象外になっております表土の堆積場につきましても、従来から各鉱山保安監督部は必要に応じまして立入検査を行ってきておるところでございますが、今回の事故を契機といたしまして、全国の類似の堆積場につきまして、鉱業権者に対しまして、安全性の確認のため、まず自主点検を早急に行うように、三月二十六日に立地公害局長名で指示をいたしました。  一方、鉱業権者の自主点検の結果を権者から鉱山保安監督部長に対しまして報告いたさせます。監督部は報告の内容を審査いたしました上で、安全性等に問題がある堆積場につきましては改めて改善措置を講じさせる等の保安の確保に万全を期するように指導をしてまいりたい、このように考えております。
  112. 寺前巖

    ○寺前委員 せっかく局長さんお見えですから、局長さんの見解をお聞きしたいと思います。
  113. 島田春樹

    ○島田政府委員 いま参事官から御答弁申し上げましたようなことで、私どもといたしましては当面の対策、それからさらに、いまお尋ねのありました全国類似の堆積場に対する対策というものを早急に進めつつあるわけでございますし、これからも進めたいと思っております。  今回の事故というものを私どもも十分胸にとめまして、今後とも保安の確保に万全を尽くすということで努力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  114. 寺前巖

    ○寺前委員 国土庁長官がせっかくお見えでございますので、この間うち、私のところに雪害の要望などが出てきておりますので、この際ちょっと聞いておきたいと思うのです。  これから雪が解けていくと、こういう雪害問題というのは忘れられていって、来年また雪害が起こってから大騒ぎをする、そういうことになってはいけないと思いますので、ないときにこそ意識をきちっとしておいてもらう必要がある。  私は時間がありませんのできわめて簡単に御見解を聞きたいと思うわけですが、この間山形県から出されてきた要望書を見ますと、第一番目に、地吹雪という特殊な現象が北海道なり青森なり、日本海側から風が吹いてくるところで起こっている。ですから気象条件との関係で特殊な事態が生まれているだけに、そういうところに対して特別豪雪地帯としての指定をやっていただいて、特別な施策をやることができるようにしてもらいたいという要望が一つ出ております。私はああやこうや理屈を言うのではなくして、せめて調査を、気象台でといったって気象台自身がそんなに体制があるわけじゃない、これに対して特別な研究調査をやって、指定の対象として特別策をとるように研究すべきではないかと思うのですが、それに対する見解が一つ。  第二番目に、市町村道除雪費がずいぶんかかっているんだが、これについては五十二年のときには特別な助成をやったけれども、今回は国土庁の方で検討はされたようだけれどもやられないということを言われている。残念だ。そこで、新庄市というところが具体的にこういう資料を持ってきました。ことしは事業費として一億五千七百二十七万六千円かかった。ところが自分のところの一般財源、国庫支出金、起債など入れて処理をしたけれども、結局一億一千四百五十六万円を持ち出ししなければならない結果になった。従来の事業費から見て倍もことしはかかっているんだ。なぜそういう事態になったかというと、この豪雪対策の計算をするときには、何ぼ以上の雪がたまったというときには平均値で出されてくるけれども、実際にはことしの場合には特別に雪が集中的に二週間ほど吹いて、そのときはもう特別な対策を組まなければならなかったんだ。車の借り上げなど、短期間に費用が要ったんだ。だからそういう事態を考えてみると、平均値だけで出されても済む話ではないので、やはり特別な対策費を組んでほしいんだ。ところが、予備費を出すほどまで全国的にそういうことになっていないということを関係者が言っている。とするならば、予備費で出さなくてもいいんだったら、五十二年度に特別に組んだぐらいの責任ある特別交付金が来るんだろうか。どちらの道をとっても十分に対応することができるという予算の組み方に必ずさしてくれるのかどうかということを、この関係自治体が言っているわけです。これが第二点。  そして第三点に、これは来年度予算の問題に挙展することですが、雪が降る地域では毎年雪か弐をしなければならない。とすると、いま所得税の控除制度として雑損控除ということで、収入の一割以上の場合に見てもらうということになっているけれども、サラリーマンなど、あの除雪費用を考えると、そんな雑損控除の対象になるようになってない。だけれども現実に毎年これらの地域はやるんだから、特別な控除制度を考えるべきだということを、国土庁の長官として大蔵省と折衝してみるという態度はあるのかどうか。  その三点に対する決意を簡単にお聞きして、私は終わりたいと思うので、それをお願いしたい。  なおこの際、厚生省お見えだと思いますが、厚生省が過般弔慰金について、ことしも二十五久からの人が亡くなっておられる、負傷者が百三十四名おられる、今年度予算でこういう弔慰金について特別にやるという決意を示された以上は、年度内にやれるように現実市町村との間に話がたっているのかどうか、現状でなっている自治体を明らかにしてもらうと同時に、していないところに対して年度内にやれるように指導してもらえるかどうかをお聞きして、終わりたいと思うのです。
  115. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えをいたしますが、先生け三点とおっしゃったが、私が聞いているところでは五点あったかと思います。  まず第一には、雪は下から降るものだ、いわゆる地吹雪の問題でございますけれども、私もこれは何とか基準の見直しというものに取り組んでみたい、こういうことでいま鋭意努力をさせていただいておるところでございますが、御指摘もございましたとおり、実は気象庁の観測地点の問題、それから農林水産省あるいは県、市町村というようなところから、たとえば雪一つをとりましても、過去二十年の実績というようなことが出てまいりますと、非常に資料に事欠く点がございます。そこで何らか一つ方法はないものだろうかということで、前向きにいま検討させていただいておるというのが現状でございます。  それから第二点として私が受け取った部分でございますけれども、財政措置について特別な配慮をするべきだということ、これは前回の委員会で御指摘もございましたので、早速自治大臣と相談の結果、昨年度は雪が少なかったこともあって、昨年度と対比することはいかがかと思いますけれども、特別交付税としてかなりの措置を実は自治大臣にやっていただいた経緯もございますので、ひとつ御了承を賜りたいと思います。  それから新庄市の問題につきましては、後ほど審議官から詳細にお答えをいたします。  それから第四点、雑損控除の問題で大蔵大臣と交渉をする用意があるかということでございますが、これも前回御指摘がございましたので、大蔵大臣に早速話をいたしました結果、大蔵大臣も税調の意見を聞いてみようということで、いま税調の意見を聞くというところまで持っていっております。  いずれも、御指摘がございました点、とにかく災害あるいはこうした問題は日がたつにつれて忘れられがちでございますので、熱いうちに何とか実りあるものにしたいということで努力をしてまいりたいと思います。
  116. 柴田啓次

    柴田政府委員 御質問のございました山形県の新庄市の除雪経費の問題でございますが、私どもも、衆議院の調査団と一緒に参りました際、陳情書の中にその実績調べという数字を拝見したのでございます。ただ、その中には機械購入等の施設費がいろいろ本年度分に入っているような関係もございまして、本年度分が異常に大きくなっているというふうに見受けられる点もあるのでございますが、この市につきましては、特別交付税を五十四年度分として前年よりも二一%増額をして配分をする等のことをやりまして、雪に対します対策としては、市としても一応満足のいくような配分になっているのではないかというふうに思うのでございます。  積雪の積算値ということになりますと、残念ながら、この市では本年度は平年値の八割なのでございます。確かに先生指摘のとおり、集中的などか雪という現象のための非常な経費もあろうかと思うのでございますが、いまのところそういうものを数値的に計算するのが非常にむずかしゅうございますので、特別交付税におきましていろいろな配慮をしたということでございます。
  117. 岡光序治

    岡光説明員 弔慰金の問題でございますが、先生いまおっしゃいましたような方向で私ども事務処理を進めているところでございます。実は三月の十八日に、関係する県が八県ほどにわたるわけでございますが、事務の連絡をしておりまして、その回答がいま集まってきつつあるところでございます。  それで、この災害弔慰金を支給する実際の事務は市町村が行うことになっておりまして、どういう場合に支給をするかというその基準があるわけでございます。通常の場合には、自然災害でありまして住家が五世帯以上滅失をしたとか、あるいは都道府県内において災害救助法が適用された市町村一つ以上ある場合とか、こういうことになつておるわけでございますが、今回の場合にはどうもそういう基準に達していないような市町村が多うございまして、こういう場合と同等の特別の事情があるかどうか、この認定を要するわけでございます。そして、この認定は一応厚生大臣に協議をしてもらうということになっておりまして、いまその協議事務を進めておるところでございます。できるだけ速やかに事務処理をしたいと思っておりますが、市町村の財政の都合等もありますので、その辺調整を要しますけれども、そういうことでできるだけ努力をいたしたいというふうに考えております。
  118. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。
  119. 藤田高敏

    藤田委員長 栗田翠君。
  120. 栗田翠

    栗田委員 私は、東海地震に関係をいたします地震問題について質問したいと思います。  まず初めに国土地理院に伺いますけれども、国土地理院が出しておられます「地震予知連絡会会報」というのがございますね。その一九七七年発行の第十七巻に収録されています駿河湾一帯の水平ひずみに関する図が、ことし二月の第二十三巻では訂正をされている事実があると思いますが、そのとおりでしょうね。
  121. 藤田尚美

    藤田説明員 そのとおりでございます。
  122. 栗田翠

    栗田委員 これは一体どのような誤りだったのでしょうか。
  123. 藤田尚美

    藤田説明員 伊豆半島における明治時代の一等三角測量の成果の一部に誤りを発見したため、訂正いたしました。
  124. 栗田翠

    栗田委員 この水平ひずみに関する地図は、東大の石橋助手のいわゆる東海地震説の中で、あす地震が起きても不思議ではないという地震の切迫性を論じた学説がありますけれども、その学説の一つの重要な根拠になっていると思いますが、いかがですか。
  125. 藤田尚美

    藤田説明員 重要な要素になっていると思います。
  126. 栗田翠

    栗田委員 この石橋説の根拠といいますのは、私の方から言わせていただくと、安政の大地震以来百二十何年か、その同じ水準の大地震が東海地方には起きていないという問題、それからもう一つは、この水平ひずみに関する図を根拠にして計算していったところが、このひずみが十万分の五以上の状態になっていて、つまり限界を越える状態になっているからもうあす地震が起きても不思議ではない、こういう説がつくられたのだと私は思うわけですけれども、そうしますと、このひずみの限界状態を判断した数字に誤りがあったというわけですね。
  127. 藤田尚美

    藤田説明員 そのとおりでございます。
  128. 栗田翠

    栗田委員 それでは伺います。この誤りの数値でございますが、岩科村、いまの松崎町になりますけれども、この岩科村を基点とした数値は、誤っていたものと今度訂正されたものとはどのように変わっているでしょうか、比較をして言っていただきたいと思います。
  129. 藤田尚美

    藤田説明員 伊豆半島の南にあります岩科村から北東側約二十五キロ離れました万城岳、それから北西側約五十キロ離れた竜爪山をはさむ明治時代の角度測定において偏心計算が入っております。その整理の段階で偏心補正のマイナス符号が落ちてしまった、こういうことでございまして、その結果、岩科村から万城岳、竜爪をはさむ角が約十三秒大きく算出されました。そのために、岩科村が見かけ上約一メーター北の方にずれたということになります。
  130. 栗田翠

    栗田委員 岩科を基点にしたこのひずみの数字ですけれども、いま非常に抽象的にお答えになりましたが、ひずみが堆積したという根拠になっている数値について、それでは私の方から一つ一つ比較して申し上げますので、聞いていただきたいと思います。  前に出された、つまり石橋説の根拠になっていたときの数値といいますか、国土地理院が使われた第十七巻に書かれていた数値と、それから今度訂正された第二十三巻の数値の比較ですけれども、たとえば竜爪山—達磨山—岩科村、この三色点をつないだ数値では以前は三・六というふうに出ていますが、今回は一・八になっておりますね。それから竜爪山—坂部村—岩科村、前が三・二になっていますが、訂正されたのは一・九。それからもう一つ、達磨山—坂部村—岩科村、これが三・八になっていましたけれども、訂正されたのは〇・七になっていると思いますが、それでよろしいですね。
  131. 藤田尚美

    藤田説明員 よろしいと思います。
  132. 栗田翠

    栗田委員 そうしますと、このひずみの数値というのはかなり小さくなっているわけだと思います。私がさっき申しました最初の竜爪山—達磨山—岩科村の場合で約二分の一、竜爪山—坂部村—岩科村で約三分の二。特に最後の達磨山−坂部村—岩科村では五分の一以下になっているわけです。この数値の変化というのは一体何を意味するかということですけれども、つまり、このひずみが最初考えていたときよりもはるかに小さいということになりますと、この場合いわば石橋説の仮説の立て方で考えていきますと、地震の起こり得る可能性というのははるかに緩やかになったと思うのですが、そう判断してよろしいですか。
  133. 藤田尚美

    藤田説明員 この訂正によりまして岩科村付近の水平ひずみに影響がございまして、特に伊豆半島側の水平ひずみは場所によってはかなり変わりました。しかし、たくさん三角形がございますが、水平ひずみの最大値につきましては、駿河湾周辺の水平ひずみを一八五四年の安政地震からの値に引き直しますと、訂正前のもので約十万分の五、訂正後のもので約十万分の四程度でございます。水平ひずみの値が十万分の五ないし十程度になりますと地震発生の危険性があると言われております。この値は世界じゅうの大地震の後の水平変動から算出されたもので、地震のタイプ、地殻の強度等で相当のばらつきがございます。われわれは一応の目安としてこれを用いております。  しかし、水平ひずみが十万分の四程度になりますと、周囲からの刺激を受けて地震が発生した例がございます。訂正前及び訂正後の水平ひずみの最大値は十万分の四程度以上になりますので、いずれも要注意であろうと思います。  また、駿河湾をまたぐ九十年間に約一メーターの東西圧縮があるというきわめて顕著な事実につきましては、今回の訂正では変わらず、むしろ一メーターを超す傾向になります。
  134. 栗田翠

    栗田委員 私はいま学術論争をしているわけではないのですけれども、ただちょっといまおっしゃったことで気になりますが、いずれも要注意とおっしゃいました。余り数値が訂正されていない部分も確かにありますね。それは岩科村に関係していない数値は余り変わっていないと思います。しかし岩科村に関係していたところはかなり変わっているわけで、そうして、もちろん地震というのはどのくらいになったら起きるのだとか、これ以下なら絶対に一つでもそういう小さな数値があれば起きないのだとか、それから計算してぴったり何年に起きるのだとか、こういうことは言えないさまざまな複雑な要素があると思いますので、私もそういう点で、いままではあすにでも起きると言われていたのが今度は大分数値が小さくなったから百年後だろうとか、決してそんなことを言っているのではございません。ただ、私がいま伺いましたのは、石橋説の仮説の立て方といいますのは、さっきもお話がありましたように明治の一八八三年から九一年に一度測量していると思いますが、それから七十何年までの間のひずみが同じ速度でひずみが来ていたとすれば、安政の大地震のときからずっと計算してどのくらいそのひずみがたまったかという計算をしてみて、それが十万分の五前後であるということだと思うわけですね。そうしますと、いずれも要注意とさっきおっしゃいましたけれども、たとえばさっき私が挙げた三つの点では数値が半分から五分の一になっているわけですから、こういうところは、いわゆる石橋説の仮説の立て方から言えば、この点に関しては少なくともまだ十万分の五にははるかに達しない数字になると思うのですけれども、いかがですか。この点だけお答えくださいませんか。
  135. 藤田尚美

    藤田説明員 先ほど答えましたように、地震後最大の水平ひずみにおいて、訂正前のもので約十万分の五程度、それから訂正後のもので約十万分の四、最大値につきましてはその程度の値になります。
  136. 栗田翠

    栗田委員 最大値ではそうだけれども、かなり小さくなったところもありますね。その点について伺っているんです。
  137. 藤田尚美

    藤田説明員 そのとおりでございます。
  138. 栗田翠

    栗田委員 私はその方面の専門家でもございませんし、いまその数値がどうであるから地震の起こる時期がどうかなどということを、ここでは言うつもりはございません。けれども、ただ私は、今度のこの国土地理院の訂正の仕方というのを少し問題にしたいと思います。  それはなぜかと申しますと、いままで普通ですと、このような水平ひずみ地図などというのは、余り地震が大きな問題にならなければ、専門家が知っていらっしゃることで、一般国民は余り知らないものでございます。けれども、あすにでも地震が起こるかもしれないというあの石橋説が発表されたときに、その根拠として、国土地理院の最初の誤りを含んだ地図というのがあらゆる新聞に載りまして、大体新聞を読んで多少地震に関心を持っている人たちですと、あの地図を見ていたわけですね。それをどう判断するかということはいろいろあるにせよ、みんな見ていたわけなんです。しかも、あすにでも地震が起こるかもしれないというあの学説の発表というのは、大変なショックを国民に与えました。私は静岡県出身ですけれども、特に静岡県民にとっては大変なショックだったわけでございます。ですから、あれが発表されてからどういうことになったかといえば、まず地震に関係する商売が大変はやりました。昔の防空ずきんのような防災ずきんなんというのが飛ぶように売れるようになったり、地震避難セットなんというのを売り出す商売ができまして、一つ三千円だとか五千円だとか一万円なんというのがどんどん売れてみたり、それから水なんかのかん詰めがたくさん売れて、みんな買ってうちへ置いておくとか、ちょっと揺れると「さあ大地震だ」というので飛び出すような、パニックの状態にもなりかねないような心境になっている人たちもいまあるわけですね。そうしますと、この石橋学説が一つの根拠にしたこの図というのは、社会的には大変大きな意味を持っていると思うのです。それは地震がいつ起こるかという問題で言えばいろいろな説もあるだろうし、見方もあるでしょうし、また、石橋説が出る前からあの地域は地震観測強化地点になっていたことは私も重々知っておりますから、そして、地震対策を十分にやるべきだということはもう全くいまでも変わらない気持ちでいるわけですけれども、しかしこういう社会的な影響を持ったあの図、あのひずみ図というのが訂正されたわけですから、これは少なくとも、このような間違いがあってこうであった、しかしこれはこう判断すべきだというコメントでもつけて、やはり発表をなざるべきではないんでしょうか。なぜ黙ってこの地震予知連絡会会報にお載せになっただけだったかという、ここのところを問題にしたいのですけれども、これはどういうわけですか。
  139. 藤田尚美

    藤田説明員 この問題は、昨年の十一月の地震予知連絡会でも検討しております。その結果、東海地域の地殻変動については駿河湾西岸の七十年間に四十センチ沈降しているということ、及び駿河湾をまたいでの九十年間に約一メートルの東西圧縮という事実が変わらないということで、予知連で出しております統一見解は直さないというような結論が出ております。そして、先ほど説明いたしましたように、水平ひずみの値というのは、石橋説ではそれを使って確率計算をされておりますが、この値というのは非常にばらつきが多いいうことで、われわれは、あるいは予知連絡会の中では一応の目安ということで、東海地震がいつ起きるかというような確率計算はやっておらないので、この点については、この数字は個人個人によってそのウエートのつけ方は大分異なるかと思います。  しかし、コメントをつけないで訂正したということについては、今後そういう事態が起きないように最大努力いたしますが、そういう事態の場合にはコメントをつけて訂正いたすつもりでございます。
  140. 栗田翠

    栗田委員 もう一つ、私がさっき申し上げたのは、コメントをつけて発表なさるべきだと言ったのです。ただこういう学者など専門家がごらんになるものに訂正をなさるばかりでなく、普通ならばそれでいいわけですけれども、地震問題がこれだけクローズアップされてみんなのものになっている以上、また石橋説があれだけ新聞記者にも発表され各紙に載ってみんなの問題になった以上、やはり記者発表もなさって、そして、それについていいにつけ悪いにつけてのまたさまざまな変更の生まれないようなコメントもおつけになって、しかし数値は訂正なさったという発表はなさるべきだと私は思いますけれども、それはぜひしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  141. 藤田尚美

    藤田説明員 今後そのようにしたいと思います。
  142. 栗田翠

    栗田委員 もう一つ私が心配になりますのは、こういう誤りがどこから出てきたのだろうかということです。私は、これは非常に人手不足の中でクロスチェックなどもなかなかできない状態もあって、本来なら、明治のときの訂正されていなかった数字がコンピューターに入れられるなどということは、起こるべきでないけれども起こったのだと思うわけでございますね。いろいろ伺いますと、測量の数値の整理というのはなかなか膨大なものだそうですし、それから資料も非常に多いものだというふうに伺っているのですけれども、そういう点で人員とか予算というのは果たして十分なのだろうか、その辺いかがなんでしょうか。
  143. 藤田尚美

    藤田説明員 地殻変動は新旧の測量成果の比較から出されます。新しいものにつきましては、作業規程も整備されて、何段ものチェックを入れて、大型コンピューターで計算処理して、誤りがないようにしております。古いものについては、すでに公表されたもので間違いのないはずのものであったわけですが、今回のような誤りがあったので、古い測量成果についても、その観測値、もとの観測値からチェックするように指示しております。  それから、人員その他について十分かという御質問でございますが、必ずしも十分とは言えません。
  144. 栗田翠

    栗田委員 大変遠慮した答弁をなさっていらっしゃいますけれども、私は、幾ら財政困難なときでも、こういう非常にじみな、けれども基礎的な大切なものというのは、予算、人員を余り節約せずにつけるべきだと思います。そうしませんと、いろいろな問題も出てきますし、そういうところで判断も誤ってくるということになるのではないだろうか、こう考えているわけです。  それで、時間がなくなってきてしまったのですけれども、そういう意味でぜひ予算、人員などをもっと十分配賦、配置するような内部からの御努力もなさるべきだと思いますけれども、そしてそういう点では私たちも主張しますけれども、ぜひがんばっていただきたいと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  145. 園田清充

    ○園田国務大臣 地震担当の国土庁といたしましては、実は大蔵大臣に、気象庁の関係ではございますけれども、特に地震関係については格段の御配慮を願いたい、財政の苦しさはわかるけれどもということで要望いたしまして、従来より若干気象庁の関係にも配意があったように私は承っております。  しかし、いま気象庁自体からもお話を申し上げましたとおり、問題が問題だけに、ひとつなお一層の努力を続けてまいりたいと思っておりますので、いま御激励かたがたの御質問でございますから、どうかひとつ地震の問題については超党的に御協力を賜りますよう、重ねて私からお願いを申し上げておきたいと思います。
  146. 栗田翠

    栗田委員 ではもう一つだけ伺っておきたいと思いますけれども、私はあくまで、こういう数値が訂正されたから地震対策をやらなくていいなどとは決して言っていないわけでして、もっともっと充実させるべきだと考えているわけです。  ところが、地震対策というのは大変予算が要ります。静岡県下でも、いま最小限度地震対策として必要な予算として、県が案を出しているものがあります。東海地震対策事業についてというのがありますけれども、これを見ましても、四千五百億が必要になっているわけで、これは膨大な額でございます。これはたとえば国、県、市町村というふうに分けますと、幾らずつの負担になるのでしょうか。
  147. 柴田啓次

    柴田政府委員 大ざっぱに申しまして、半分が国、半分が県、市町村、こういう感じでございます。
  148. 栗田翠

    栗田委員 半分と言いましても、四千五百億の半分、市町村にとっては大変な負担です。もちろん国にとっても大変だとは思いますけれども、特に小さいところにとっては大変な負担でございます。  そこで、特に大規模地震対策措置法によって財政特例措置がされることになっているわけなんですけれども、これをもっと十分にしていっていただきたいということ、それからもう一つは、防災強化指定事業の中から、国が本来一部負担すべきだと思われるもので除外されているものがございます。たとえば病院、それから福祉施設、学校などの対策は除外されているのですけれども、こういうものについても国は早く、国としても負担をしていっていただけるような対策をとっていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  149. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えをいたします。  ちょうど私のところでもと申し上げると語弊がありますけれども、同じ静岡の御出身のお二人が非常に熱心でございまして、実は私自体が、今度の予算折衝の大臣折衝の段階で、端的な数字の問題は一切伏せました。そして、地震に対する財政特例措置法というものをつくりたい、ついては財政当局にも理解ある協力を求めたいということで、大蔵大臣の合意を得たと申しますか、そこでいま御指摘があったように、学校だとか病院だとかいう問題を含めて、実は財政特例と、補助の、いま半分だということでございましたけれども、かさ上げもしたいということで御検討願っておりますし、かたがた私ども役所としても、各省庁間連絡をとりながら、そうした強化地域には強化地域らしい一つの財政措置をやりたいということで、鋭意内々検討させていただいておるというのがいまの段階でございます。
  150. 栗田翠

    栗田委員 もう時間がございますせんのでこれで終わりにいたしますけれども、地震対策として、いままではとかく応急対策、避難訓練、そういったものが非常に先行していますけれども、本当の抜本的な対策としては、やっぱり町づくりまでも含めて都市の空間から、本当に地震に強い町づくりというような長期の計画に立った抜本的なものが必要になってくると思うわけです。そういう立場で十分な努力をしていただきたい、こういうことを主張いたしまして、私の質問を終わりにいたします。  あと、時間の関係で伺わない方がございましたけれども、申しわけありませんでした。  終わります。
  151. 藤田高敏

    藤田委員長 田島衞君。
  152. 田島衞

    ○田島委員 私は、大都市災害対策の立場から何点かお伺いしてみたいと思いますが、まず最初に、防災関係の今年度予算に関連して、科学枝術の研究費として各省庁分がありますけれども、そのうちの一つ郵政省関係で、額は八千六百万で大変わずかでありますけれども、長期的地震予知のための測地測量技術の研究とありますけれども、これはいかなる研究なのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  153. 立野敏

    ○立野説明員 お答えいたします。  長期的地震予知のための測地測量技術の研究と申しますのは、超高精度電波干渉計というものを開発いたしまして、数千キロメートル離れた大柿間の距離を数センチメートルの精度で測定し、地殻の変動を観測することによりまして、長期的地震予知に役立てようというものであります。  この超高精度電波干渉計といいますのは、電波の伝わる速度は常に一定であるということを利用いたしまして、位置のはっきりしております電波星あるいは静止衛星からの電波を、地球上の離れた二地点間で全く同時に受信いたしまして、この二地点での電波の到達時間差を百億分の一秒というきわめて高い精度で測定することによりまして、数千キロメートル離れた二地点間の距離を数センチメートルの精度で求めようというものでございます。現在、郵政省電波研究所におきまして、昭和五十四年度から五カ年計画で開発を進めているものでございます。  なお、この研究は昭和五十五年二月、ワシントン会議で決まった日米科学技術協力の一つであります。
  154. 田島衞

    ○田島委員 そうすると、この郵政省における研究の成果といいますか、有効になるためには、八千六百万円ぐらいで五カ年、四億五千万ですか、そのぐらいで有効なものを開発できるということだと受け取ってよろしいのか。その点説明してください。
  155. 立野敏

    ○立野説明員 お答えいたします。  そのつもりで努力したいと考えております。
  156. 田島衞

    ○田島委員 そのつもりで努力したいということは、どういうことでしょうかね。具体的には大体そのぐらいの金をかければ物になるという確信を持っているということなんですか。それとも、そのつもりというのはどこから出てくるそのつもりですか。
  157. 立野敏

    ○立野説明員 お答えいたします。  確信を持っておりますので、努力したいと思います。
  158. 田島衞

    ○田島委員 次に、やはり同じ科学技術の研究関係で、建設省で都市防火対策手法の開発に関する研究、七千三百万、大した額じゃありませんけれども、これもどんな研究なのか、ちょっと説明してください。——それは保留します。  では消防庁関係で、震災対策に関する一般的研究等三千二百万、それから火災に関する一般的研究に八千二百万計上とありますけれども、これはどのような研究か。——消防庁も来ておりませんか。
  159. 藤田高敏

    藤田委員長 消防庁、どなたですか。
  160. 田島衞

    ○田島委員 時間がないですから、それは考えておいていただいて……
  161. 藤田高敏

    藤田委員長 委員長の方としては、建設省、消防庁、いまの関係はすぐ呼ぶようにします。
  162. 田島衞

    ○田島委員 今度は防災予防費関係でお伺いしますが、まず、郵政省関係で、非常無線通信の指導ということで一千九百万計上してあります。これは法並びに要綱等に基づくところのものだと思いますけれども、どのような指導をされる予算なのか、御説明を願いたいと思います。
  163. 立野敏

    ○立野説明員 お答えいたします。  郵政省では、電波法第七十四条の二の規定に基づきまして、無線局の免許人等から成る非常無線通信協議会を結成し、その指導を行っております。  この協議会は、中央、地方、地区により構成されておりまして、それぞれの地域の実態に即した非常無線通信訓練を実施し、このほか、災害時の通信確保のための通信計画の作成及び防災関係機関への周知等を行っております。郵政省ではこの機能を一層充実させ、活用するため、努力いたすつもりでございます。
  164. 田島衞

    ○田島委員 大都市震災対策推進要綱の中に「アマチュア無線局を含めた非常無線通信網の効果的な活用」というようなことが出ておりますけれども、これについては現実に郵政省としてはどのような手を打たれておるのか、もうやっておることがあるのか、やろうとしておるのか、ちょっとその点御説明をいただきたいと思います。
  165. 立野敏

    ○立野説明員 アマチュア無線局は個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究のために使用することを目的としておりまして、防災活動に使用するために開設されるものではありません。しかしながら、非常災害時において人命の救助等にかかわる通信を行うためにアマチュア無線局の活用が必要となることは考えられますし、過去にも防災活動に大きな貢献をした事例がございます。  郵政省といたしましては、このようなことにかんがみまして、アマチュア無線局の免許人から成る団体を非常無線通信協議会に加入させて、非常通信疎通訓練等その施策への協力を指導しておるところでございます。
  166. 田島衞

    ○田島委員 郵政省で現実にどのような指導をされて、どのぐらいの対象がすでに指導を受けて、使いものになっておるのかどうかわかりませんけれども、私の知る限りでは、別に郵政省の方から指導は受けてないけれども地方公共団体に協力するために、すでに暇を見ては訓練をして、その公共団体の防災訓練にはちゃんともう数年前から参加している団体があるのですね。そういう団体の存在のことは御存じかどうか。
  167. 立野敏

    ○立野説明員 承知いたしております。
  168. 田島衞

    ○田島委員 それは大体どの程度ありますか。もしはっきりわからなかったらいいです。
  169. 立野敏

    ○立野説明員 数につきまして、正確な数はいまのところ承知しておりませんけれども、先ほど申し上げました非常無線通信協議会の地区段階での活動に、多数のアマチュアの方が協力しておるというふうに理解しております。
  170. 田島衞

    ○田島委員 私が申し上げておるのは、特別に指導を受けて協議会に入っているのじゃない団体のことを言ったのですけれども、その議論はさておいて、そういうアマチュアの人たちが防災に大変協力をしてくれるということはまことにありがたいことで、むしろ役所の方でどんどんそれを進めなければいかぬと思うのですけれども、役所よりも民間のアマチュアの人たちの方が積極的にグループを組んで協力しようとしている。そういうことを大変ありがたいと思うだけに、そこに一つの問題があるわけです。  というのは、その人たちが日曜など貴重な時間を割いて訓練しておるわけなんですが、その訓練中に大変障害がある。それは、どこかで電波の発信をやっておって混線してしまう。それで困るものだから、そのもとを一生懸命探したところ、大体わかった。それは何かというと、ダンプの車が、積載物についての取り締まりをやっていることについて、ここでやっているとかやっていないとか、そういう連絡をしておるらしい。そのこともけしからぬことでありますけれども、それはまあとにかくとして、そういうように電波が無制限に使われるということは何とかならぬのかどうなのか。せっかく善意で、自分たちの休みの時間々使って防災に協力するための訓練をしてくれている人たちが困るような電波監理じゃまことに困ると思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  171. 立野敏

    ○立野説明員 お答えいたします。  先生指摘の妨害は、アマチュアバンドの無線機を使用いたします不法無線局によるものと思われます。このような不法無線局につきましては、方向探知器、電界強度測定器などによりまして、不法電波の発射源の確認を行いまして、発射源を確認したものにおきましては行政指導を行うほか、悪質な違反につきましては警察機関に告発を行っております。  不法無線局に対する郵政省の対策といたしましては、広く国民一般に対してまして、電波法令の周知徹底と電波法令違反の未然防止に関する広報活動を行うとともに、警察機関の協力を得て、重点的に取り締まりを行っております。
  172. 田島衞

    ○田島委員 そうしますと、そういうような大変けしからぬ電波の発信といいますか、通信をしているところを明らかにすれば、局の方でそれに対する何らかの手を打ってくださるということですな。
  173. 立野敏

    ○立野説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
  174. 田島衞

    ○田島委員 次に、建設省関係でお伺いをいたします。  大都市災害というのはこれは大変厳しいものがありますけれども、その災害に対して防災拠点というのが、たとえば東京でも江東防災拠点なるものが計画され、一部実行されておるわけですけれども、この防災拠点の将来について、いままで考えられていたところの計画どおりさらに進めるおつもりか。それともそれに対して何らかの計画変更を考えておられるのか。その点をひとつまずお伺いをいたしたいと思います。
  175. 長谷川義明

    ○長谷川説明員 ただいま先生指摘のように江東防災拠点、昭和四十四年に東京都が防災拠点構想として発表したものでございますが、その後建設省とも十分計画的な検討を重ねられまして、この構想の中におきましては、地区内の各地点から約三十分以内で徒歩で到達できる拠点を六拠点配置いたしておりまして、そこを避難地として機能する公園を中心に、その周りを高層防火建築帯といったもので囲み、あるいはその周辺を一定幅で不燃化をすることによりまして、避難者の安全を確保することを目的として計画をつくってございます。  この防災拠点の建設につきましては、事業手法といたしまして、市街地再開発事業、それから公園整備事業、その他各種の公共住宅事業等をあわせて整備いたしてまいりますが、昭和五十五年度予算におきましては、関係権利者が自主的に建築物を不燃化をする、その場合に建築費の一部を助成をする、こういう都市防災不燃化促進助成という新しい仕組みを導入いたしてございます。  こういった市街地再開発事業あるいは都市防災不燃化促進事業といった各種の事業を総合的に活用いたしまして、各地区のそれぞれの実情に合った防災拠点の整備を推進してまいりたいというふうに考えてございます。
  176. 田島衞

    ○田島委員 防災拠点のいまの御説明の中で、重要な要素が落ちていると思うのです。  それは何かというと、付近の住民が三十分以内に逃げて入れる、こう言いますけれども、つくられた防災拠点の中は本当に絶対安全だと、どのような検査を経て確信が持たれるのか。  それから、その三十分以内だろうと何だろうと、そこへ逃げ込むための避難道路が一体どこにあるのか。  それからまた、その防災拠点を北京の城のように囲もうとしている高層住宅建築物、都市防災は基本的に人口、産業の適正配置をやって過密を解消するのだということを、国土庁で出した災害対策関係法令集の中に書いてあるわけですね、そういうこととの矛盾はどうなるのか。  それからまた、その防災拠点というものをつくるために、従来長くそこに住んでいて汗を流し涙を流したこともある者が、まだそこに住んでいたいと言いながら追い出されるというかっこうになる。でき上がった防災拠点に住んでいるのは、もともとそこに住んでいなかった人たち、こういうことの矛盾、そういうような点についても考えられたことがあるかどうか。  以上の点についてちょっと説明をいただきたいと思います。
  177. 長谷川義明

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  国土庁の方で構想いたしております、非常に大局的な観点から見た人口、産業の適正配置ということによりまして、大都市における密集というものが改善をされるべきだというふうに考えてございますが、現在すでに相当な密度で大都市の既成市街地等で居住が行われております。そういう方々が、いつ起こるかもしれない大規模地震あるいはそれに類する災害によりまして人命、財産の損失を来すということではいけないということで、現在は避難地、避難路の整備の体系というものを考えておりまして、その避難地、避難路が実際に安全かどうかということについての科学的な勉強をいたしました結果、その避難地、避難路の周辺に相当な幅を持った不燃建築帯というものでガードする必要があるというふうに考えてございます。  それが、先ほど申し上げました五十五年度予算で発足いたしました都市防災不燃化促進事業ということでございまして、これは避難路、避難地の周辺に少なくとも三十メートル以上の幅で不燃建築帯をつくろうということでございます。これは自主不燃化を促進する制度でございまして、現在そこに居住しておられる方々が現在の木造あるいは簡易耐火建築物といったものを耐火構造につくりかえる際に、それに建築費の一部を助成するという制度でございます。  それから、市街地再開発事業におきまして、現在居住者が一部追い出されることになるのではないかという御指摘もございましたが、再開発事業におきましては、現在の居住者が持っております権原、権利、そういったものを適正に権利返還いたしまして、当該地区内に居住をさせるということが原則でございます。なお、そういったことに十分でない零細権利者に対しても、各種の施策を講じまして、現在地に居住ができるような施策を講じておるところでございます。
  178. 田島衞

    ○田島委員 建設省関係でもっと聞きたいのがあるのですけれども、時間がありませんからそれ以上聞くことはやめますが、防災拠点ができることによって、そこに住んでいた人たちが一部いなくなるといま言いますけれども、一部じゃないのですね、むしろ大部分。しかも、防災拠点というのは、計画がきてからたとえば東京の江東防災拠点にしてももう十年以上たっておる。その間に人はどんどん減っていく。商店は全部さびれていく。中には店を閉めて移らざるを得ない、転業せざるを得ない者がいる。それから、防災拠点に賛成する者は、むしろ買収なり補償を受けてどこかへ行ってしまった方がいいという問題で、そこにいたいという者は大変苦労をして、くちびるをかんでおるわけですね。  だから、その点と、それほどまでしてやる防災拠点が本当に効果があるのかどうか。そこに本当に人が逃げ込んでいけるのかどうか。いまの都市の建築物というのは御承知のとおり大変新建材を多用しておりますが、一度ここに火がついたら、そこから出る煙の中に含まれておる有毒ガスというのは火よりもっとこわい。そんな煙の中で果たして逃げられるのか逃げられないのか。  こんなことなどをぜひもう一回再検討願いたいと思うわけであります。  そこで、続いて今度は消防庁関係にお伺いをいいたします。  消防庁関係にお伺いしたいことは、現在の大都市に震災があって、二次災害として火が出るというようなことを考えた場合に、果していまの体制で本当に都市住民を守れるのかどうなのか。そのためにはまだまだ相当の時間と費用とがかかるだろうと思うのすけれども、そういう時間と費用というのはそう簡単なわけにはいかない。そこで、いますぐにでも手が打てるとすれば、私ども考えて前から主張しているところですけれども、煙の中で逃げるのじゃなくて、踏みとどまって守って火を出さぬようにする、これが一番の近道だと思うのです。ところが、踏みとどまって火を消せと言ったって、いま申し上げたような都市の新建材を多用した中で有毒ガスが蔓延したら、とてもそんな中で踏みとどまってがんばれなんと言ったって無理な話。ところが、意外とガスに対する対策というのはのんきで、恐らく警察、消防といえども満足な数のマスクを持っていないと思うのです。いわんや一般の家庭はなおさらであります。これらのところを現実的にどのように考えておられるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  179. 山越芳男

    ○山越説明員 お答え申し上げます。  現在の消防力は、通常の条件下の一般的な火災に関する限りは一応の抑止力を持っていると言ってもよいと思いますが、御指摘がございましたように、地震等の大型災害に対しましては消防力がかなり分散をせざるを得ないということが予想されますので、消防機関としては第一線の実働部隊といたしまして、出火防止、初期消火、避難の安全確保等の面で、さらに一層施策の充実強化を図っていかなければならないというふうに思います。  そこで、先生指摘の煙対策の問題でございますが、御指摘がございましたように、大都市の大型災害の場合には煙対策がきわめて重要な課題でございますので、消防機関といたしましても、消防活動用として空気呼吸器とか、酸素呼吸器とか、防煙マスク等を全国で現在二万体ほど整備をいたしまして、災害に対処をいたしておるところでございます。  それからまた、御指摘がございましたように、地震等が発生をいたした場合におきましては、場合によっては一般住宅におきましても、踏みとどまって火の始末をしたり、火災が発生をすればこれに対して初期消火を行うということが必要でございまして、私どもといたしましてもそのように指導をいたしているところでございます。  また、火災による死者の多くが一酸化炭素中毒、有毒ガスまたは酸素欠乏によるものだとされております。したがいまして、煙対策につきましても検討を進めていかなければなりませんし、また、一般国民に対しましても十分PRをしていかなければならないというふうに存じております。  最近、火災時におきまして使用いたします避難用の保護具といたしまして、防煙マスクとか呼吸保護器その他これに類する器具が販売をされておりますが、これらの器具がどの程度効果を有するのか、判断基準も現在ございませんので、財団法人の日本消防設備安全センターというところで、火災避難用保護具検討委員会を設けまして検討を進めているところでございます。火災避難用保護具につきまして早急に基準を定めまして、国民が安心をして選択ができるように認定をいたし、正しい使い方につきましてもPRをしてまいる所存でございます。  以上でございます。
  180. 田島衞

    ○田島委員 災害対策基本法の四十八条に「防災訓練義務」というのを決めておるわけですね。その次の四十九条には、その「防災に必要な物資及び資材の備蓄等の義務」を決めておる。だけれども現実にだれが考えたって、いまの都市部で大きな地震が起きて、二次災害として火が出たら、こわいのは煙、この煙だけは火と違って逃げようがない。そうしたら、一番考えなきゃならぬのはマスクだと思うのですよ。その煙の中で、消防だろうと警察だろうと一般民間だろうと、ちゃんと安心して活動できるような器具器材というものがやはり一番必要なものだと思うのですけれども、それに対する消防庁あたりの考え方も大変のんきだと思うのです、いま研究中だとか、やれ検討中だとかいうのでは。先ほども質疑がありましたけれども災害だけはあした来るかもしれない、もしあした大きな地震が来て火が出て、そして煙が蔓延して、いやマスクでも早く用意しておけばよかったなんと言ったって追っつかないのです。そういう点はいささか不満だと思うのです。そんなことで災害対策ができると思ったら大間違いだと思いますが、今後十分その点を御検討をいただきたいことをお願いして、質問を終わります。
  181. 藤田高敏

    藤田委員長 神田厚君。
  182. 神田厚

    ○神田委員 災害問題につきまして御質問申し上げますが、まず最初に、いま一番関心を持たれております大規模地震問題につきまして、東海地震関係につきましての御質問を申し上げます。  東海地域の地震の問題につきましては、すでに法律等もつくられまして、それらについて鋭意整備が行われているわけでありますが、この地震対策の進行状況につきまして、まず気象庁の方からひとつお答えいただきたいと思います。
  183. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  東海地震が起きた場合の観測体制がどの程度整備されているか、あるいはそのデータの処理がどうなっているか、あるいは今後というような御趣旨だと思いますので、その線にのっとってお答えいたしたいと思います。  現在、気象庁は、東海地震に関する観測体制として、地殻、岩石のひずみの変化を監視するため、埋め込み式体積ひずみ計というものと、それから、恐らく東海地震は海底で起こる可能性が強いわけでありますので、海底地震常時監視システムというものも整備を行っております。  さらに、地震計が若干古くなりましたので、それを更新をするとか、それからさらにテレメーターの増強を図る、そういうことも行ってまいりました。  また、気象庁以外の大学の観測、それから関係省庁、これは国土地理院のもの、科学技術庁の防災科学技術センター、通産省の工業技術院の地質調査所の各種の観測データ、その中には地震の観測、それから地殻変動の観測、これは傾斜計とか伸縮計というのがございます。それから地下水をはかるもの、潮位をはかるもの、これらがすべて、すべてといいますか必要なものは気象庁ヘテレメーターしてございまして、これによって現在の常時監視の強化を図ってまいりました。  これらのデータは現在どういうふうに使われておるかと申しますと、気象庁が事務局となっておりますところの地震防災対策強化地域判定会、この判定のためにこれが必要なものでございますので、それが即刻利用できるように、昭和五十三年度に気象庁に震源計算装置など、これはコンピューターでございますが、それを使いましてそのデータを整理したり、それからいろいろ震源を計算する。それらのことをしまして、これを処理して、すぐ判定会に必要なデータが判定できるような形で整理してございます。  この処理は、たとえば現在すぐ一時間前のデータを出せということがありましても、それができるように常時監視体制の中でその業務を行っております。現在それは業務体制の中で非常にスムーズな業務となっております。  さらに、今後のこの観測体制の強化の問題でございますが、周辺地域の場合で、先ほど申しました地殻のひずみをはかるところの埋め込み式体積ひずみ計でございますが、これの増強を図るということのほかに、現在気象庁が気象資料電送網によって地震データの収集、処理の強化を図る計画がございますが、それの中にこの東海地域も本年度含まれておりますので、さらにそのデータの処理については強化を図りたいと思います。  また、研究関係につきましては、私たちのところに気象研究所がございますので、それは東海関係関係しましてこれらのデータがいろいろございますので、それを総合的に処理をする研究。  それから、地震の場合では大きい地震がなかなか正確につかめないということもありますので、高性能の強震計を、それを的確につかめるような器械の開発、そういうような研究を行うことによって、将来の強化を気象庁としては考えてございます。  以上でございます。
  184. 神田厚

    ○神田委員 いま主にシステムの問題についてお答えいただいたわけでありますが、観測データの集積というのは、これは現在相当集まっておられるのでしょうか。
  185. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 これは五十一年、五十二年ころから各種のデータが逐次集まりましたので、地震と体積ひずみ計のものはかなり蓄積されております。  それから、他省庁のものは昨年度、約一、二年のものでありますが、それらのものはもう現在かなり蓄積して、整理して、必要に応じてすぐ取り出せるような形にしております。  以上でございます。
  186. 神田厚

    ○神田委員 この民間の協力の問題、大学その他、あるいはそういう研究機関でなくても情報提供等の問題はいろいろあるわけでありますが、これらの民間協力の状況というのはどうでございますか。
  187. 渡辺偉夫

    渡辺説明員 お答えいたします。  民間の方から私たちの方に電話でもって、たとえば井戸水の異常があった、あるいは生物とかその他の異常があったという情報は、私たちの方では連絡を受けた場合には一応その記録をとってございます。その記録をとる場合に、場所とか時間とかを正確にお伺いしております。  ただ、これを直ちに先ほど申しました判定会にということは現在いたしておりませんが、これを若干整理して、データが蓄積しますと、現在委員の打ち合わせ会がございますので、その整理した形で委員先生の御意見を伺った上で、これをどう利用するかを考えてみたい、そういうことでございます。  以上でございます。
  188. 神田厚

    ○神田委員 大規模地震法に基づきましてそれぞれ公共団体等におきまして強化計画をつくることになっているわけでありますが、それでは行政の方の側として強化計画の進行状況、それらにつきましてちょっとお答えいただきたいと思います。
  189. 山越芳男

    ○山越説明員 地方団体の強化計画の策定状況についてお答え申し上げます。  地震防災体制づくりの一環とといたしまして強化計画の作成指導を行ってまいりましたが、二月末現在におきまして、地方団体につきましては関係六県のすべて及び関係市町村の約半数が、これは原案も含めておりますけれども、強化計画を作成いたしております。  また、地震防災応急計画につきましては、作成義務者の約半数が応急計画を作成いたしておるところでございます。  関係省庁との調整等に若干時間を要した面もございますが、今後できる限り早い時期に、すべての団体が作成を終了するように進めてまいりたいと存じます。  以上でございます。
  190. 神田厚

    ○神田委員 これは期日もいつまでもそのままにしておくというわけにはいかない問題でありまして、やはりある程度レベルをそろえて強化計画がつくられなければ、防災という意味から言いますと非常にちぐはぐなものになってしまうわけですから、そういう意味では、消防庁ですかの方からの指導で約半数しかまだこれが達成されてないということは、いろいろ事情はあるでしょうけれどもあと半分についての指導を少し早目にしていただいた方がいいのではないか、こういうふうに考えておりますので、その辺ひとつよろしくどうぞお願いします。  これらの地震そのものの問題につきまして、東海の問題はいまお話を申し上げましたが、全体的に震災に対する都市防災というものがいま非常に大きな問題になってきております。  過日、行政管理庁の行政監察局が「都市防災に関する調査結果報告書」というのを出しておりまして、この中に都市防災の問題につきましていろいろと提言をしているわけであります。もともとこの報告書は、あるはっきりとした目的を持って、ある省庁なりあるいはある行政に対してこれを必ずしろという形で出ているわけではないようでありまして、都市防災についての考え方ということが出されている報告書でございます。これを私ども読んでおりましていろいろ参考になります。この都市防災全体の問題につきましてちょっと御質問を申し上げたいと思うのであります。  最初に「地方公共団体における都市防災施策の実施状況」というのが指摘をされております。主に震災対策としての観点からこの報告書は出されているわけでありますが、これらにつきまして、担当省庁としてはどんなふうな考え方を持っているのか、指摘されている事項につきましてはどういうふうに考えているのか、その辺をお聞きしたいと思うのであります。  まず、報告書は「地方公共団体における都市防災施策の実施状況」の中で「地域防災計画における震災対策の取扱いは、震災編が独立しているもの、震災対策に関し、全く特別の項目を起こしていないもの等様々であるが、東京都、愛知県等一部を除いては、地域防災計画は、風水害対策を中心として定められており、震災対策はその応用問題として位置づけられている。」こういう最初の規定があります。  日本の国土、さらに地震に対するいまのわれわれの警戒の感覚からしますと、震災対策というものがそれぞれの都市においてもう少し重要視されてもいいんではないか、こういうような考え方を持っておるのでありますが、この点いかがでありましょうか。
  191. 山越芳男

    ○山越説明員 お答えいたします。  地方団体におきましてはそれぞれ地方防災会議を設けまして、国の関係地方機関とか国鉄、電電、さらには日赤等の公共機関と十分連絡をしながら、当該地域の防災に関する総合的な計画といたしまして、地域防災計画を定めて防災対策を推進しているわけでございます。  御指摘のございました行政管理庁の都市防災に関する調査によりますと、震災対策に関してはどうも不十分な点が多いというふうに述べられておりますが、この調査昭和五十二年八月現在のものでございまして、その後、宮城県沖地震の発生とかさらには大規模地震対策特別措置法の施行等もございまして、地域防災計画における震災対策は一段と充実をいたしてまいっているというふうに思っております。  現時点で、たとえば地域防災計画の別冊とまして「震災編」を設けている都道府県が二十でございます。さらに、地域防災計画の中に別項目として「震災対策」を掲げている都道府県が十一となっております。地域防災計画は、当該地域実情に応じまして作成されるものでございますので、一概に、地域防災計画の中における震災対策の位置づけの形というだけでその適否を論ずることは適切ではないわけでございますが、災害の複雑多様化に即応いたしまして、毎年地域防災計画を見直していくべきことは御指摘のとおりでございますので、今後とも、各種の災害に有効適切に対処し得るようその内容の充実について、積極的な指導を進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  192. 神田厚

    ○神田委員 これらの中で、地方自治体の防災計画については、東京、札幌、名古屋、大阪——この時点のデータでありますが、これらの市を除いては、災害が起きた場合の被害想定が抜けている上、具体的な施策が明示されてなくてあいまいなものが多いいこういうような指摘もされているわけであります。  さらに防災対策の問題としまして、特に石油貯蔵タンクなどの危険要因について、地域ごとに密度限界を設けて防災計画を組み立てたらどうだ、こういう指摘がありますが、この石油貯蔵タンク等のいわゆる危険要因、その他いろいろな危険要因が指摘をされておりますが、これらにつきまして地域ごとに密度限界を設けて、これに対する対策をとったらどうだというふうな指摘もあるわけでありますが、この辺につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  193. 山越芳男

    ○山越説明員 まず被害想定の問題でございますが、これにつきましては多額の経費を要しますし、その技法が必ずしも確立をしていないという面もございまして、いろいろむずかしい問題があるわけでございますが、できるだけ当該地域における過去の大地震による被害状況を調査いたしまして、これを参考にして震災対策を確立することが重要だというふうに思っております。また、最近におきましては、地盤調査とか古文書の調査等によりまして、被害想定の調査研究に着手をいたしておる団体もかなり多くなってまいっておりまして、できるだけ科学的な根拠に基づいた地域防災計画の策定指導に努めてまいりたいというふうに思います。  それから危険物に関する密度規制といいますか、総量規制の問題でございますが、危険物は導火性または引火性を有する物品でございまして、その危険度は、危険物自体の性状及び危険物の貯蔵取り扱いの態様等によりまして著しく異なるものでございまして、そういう意味で、危険物の総量規制というのはなかなかむずかしい問題じゃないかというふうに思っております。  以上でございます。
  194. 神田厚

    ○神田委員 これは都市防災に対する考え方なんですね。マクロに一つの都市を見て、そこで総量としての危険物がどの程度まで許されるのかというふうな一つの考え方でありますから、それがすぐ行政になじんでいくということではないと思いますが、一つの考え方として、やはり危険分散の意味も含めまして、こういう形で都市防災は考えていかなければならないのじゃないかということを提言しているのだと思うのであります。  次に、一番いまいろいろと問題になっております情報の問題ですね。この情報の問題についても言われております。災害時の情報として住民が一番望んでいるのは、家族の安否についてである。この家族の安否について、行政機関が家族の安否情報に一々対応することは実情に照らしてむずかしい、これはそのとおりでございます。やったら切りがないということが一つあるかもしれません。しかしながら、住民は家族の安否がわからないと心理的に不安定な状態になって、行政機関の指示に沿った適切な避難行為がとれない、こういうふうに分析をしているわけであります。  これは先ほど警視庁がいろいろドライバーに対しまして調査をしたときなどに如実に出ている問題と一緒でありまして、たとえばこれは東海大地震なんかの場合も同じでありますが、家族に対してどういうふうに情報を伝えるのか、あるいは家族情報に対するこたえ方をどういうふうにしていくのか、このことが心理的にも非常に大事なことになってきているという指摘があるわけでありますが、この辺につきましては、国土庁の方で全体的な地震の関係それから情報の問題で何か御意見ございましたらひとつ……。
  195. 柴田啓次

    柴田政府委員 確かに災害時における情報の伝達というのは非常に重要な問題でございます。このために、私どもとしては、マスコミとも十分に連絡をいたしまして、正確な情報が伝わるということを重点に考えているのでございます。デマが起きないようにするということを第一に考えておるわけでございます。  家族の安否の問題でございますが、先生がおっしゃいますように、行政機関でこれに対応するということは非常にむずかしゅうございます。しかしながら、たとえば宮城沖地震の際にも、それぞれの個々人の安全の問題について若干の報道ができて、それが非常に住民に安心を与えたというような経緯もございます。東海大地震のような大地震が起きましたような場合に、そのようなことができるかどうか非常にむずかしゅうございますけれども、一部の民間報道機関におきましては、ビルごとの安全を知らせるというような試みを考えているような向きもあるようでございます。  今後いろいろ検討いたしまして、できるだけ対応に努めてまいりたい、さように考える次第でございます。
  196. 神田厚

    ○神田委員 消防庁、何かこの情報問題でございますか。
  197. 山越芳男

    ○山越説明員 お答えいたします。  基本的にはいま国土庁の方から答弁があったとおりでございます。特に、最近地域防災に関する住民の関心が高まってまいりまして、全国各地で、町内会等を単位といたしました自主防災組織というものの結成が進められております。御指摘の情報問題につきましても、この自主防災組織で地域ぐるみで対応していく、特に市町村から流すべき情報は組織の責任者を通じて組織内の住民の方々に伝えていく、こういった仕組みも必要ではないだろうかというふうに存じておりまして、私どもといたしましては、ただいま国土庁の申し上げた方針に合わせましてこういう指導をしてまいるつもりでございます。  以上でございます。
  198. 神田厚

    ○神田委員 警視庁がアンケート調査をしたところでも、地震警戒宣言が出たら道路は無法地帯になってしまう、警官の言うことは聞かないし、車は取り決めでは除行するということですけれども、とめられるために非常なパニック状態になるだろう、こういうふうに言われていますね。こういう調査結果については、行政の側でこれを消化をして、さらにそのマイナスの面を取り去っていくという努力をしなければならないわけでありますが、この辺につきましてはどんなふうにお考えでございますか。
  199. 柴田啓次

    柴田政府委員 先ごろ発表されました警視庁の、地震の警戒宣言が出た場合に東京都内のドライバーがどういう対応を示すかというのにつきましては、一つには、あの前提が震度七の地震が東京を襲うとした場合にどうするか、こういう想定になっておりまして、その想定に若干問題があるわけでございます。  私どもとたいしましては、警察庁の方の強化計画あるいは道路公団等の強化計画におきましても、地震の警戒宣言が出た場合にドライバーにどういう報道をし、どういう行動を求める、あるいは事前にドライバーに対してどういう心得をお願いする、こういうようなことをいろいろ計画しているところでございますが、その線に沿いまして今後努力を進めてまいりたい、さように考える次第でございます。
  200. 神田厚

    ○神田委員 せっかく御出席でございますから大臣にお伺いしたいのでありますが、いまいろいろ行政監察局からの指摘もありましたように、都市防災の問題は、非常に新しい観点からしかも全国的にある程度カバーをしていかなければならない。そういう意味では、特に震災に対するものもそうでありますけれども、都市防災全般に対する指導を行政的に見ていくというのが必要で、これを発言しようと思っていろいろ調べましたら、消防庁がやっておったり、あるいは建設省がそれを担当したりということで、本来は国土庁がこれらの問題については主導権を持ってやっていかなければならないのではないか、国土庁の大きい指示によって、細かい行政の部分を消防庁なり建設省なりがこれを担当していくというのが行政の本来のあり方だというふうに私は考えているわけでございますが、その辺はどんなふうにお考えでございましょうか。
  201. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えをいたします。  いまそれぞれ省庁からお答えいたしておりますけれども、これはいずれも大都市震災対策推進要綱というもので、国土庁に連絡会議を置きまして、そして各省庁と連絡をしながら、各省庁の立案というものでお答えをいたしておりますが、一元的には、御指摘のとおり、実は私どものところで震災対策の全体の計画を立ててやっております。  それから、せっかくの機会ですから申し上げますが、いまのような都市防災の問題と関連がございますし、ただいま先生の御質問にも関連があろうかと思いますけれども、実はあした川崎の防災センターの落成式をすることになっております。続いて大阪、名古屋という三大都市圏にモデル的なセンターをつくって、そして自治体自体の防災対策の参考に供したいということでやってまいっておりますが、幸いにあしたが一番手近な川崎の落成式でございまして、ここにはかなり食糧も水も、そして避難地が多摩川になっておれば、多摩川までどこを通っていけばいいかということがここで誘導い指導できるような体制の中で、防災センターをつくっておりますの女機会があったら御参考までに見ていただけば非常に幸いだ、こう思います。
  202. 神田厚

    ○神田委員 それではこの防災関係を終わりまして、次に、栃木県田沼町多田の波知沢というところで三月二十三日に土砂崩れがございまして、広瀬さんというお宅の一家五人が亡くなったわけであります。犠牲者に対しまして謹んで御冥福をお祈りするものでありますが、この問題につきまして御質問を申し上げたいと思っております。  当地におきましては、この土砂崩れは人災ではないか、こういうことを言われているわけであります。人災であるかどうかの判断はこれから先のいろいろな調査にまつわけでありますけれども、いずれにしましても、深夜寝ているところを一瞬にして土砂の中に埋もれて亡くなってしまったわけであります。私も過日現地を調査しまして、関係機関関係の方々から話を聞いてまいりましたので、この問題につきまして質問をさせていたがきたいと思います。  まず、時間も余りありませんので、この災害の起こった状況と、それに対しましてとられた措置についてごく簡単にお話しいただきたいと思います。
  203. 福原元一

    ○福原説明員 簡単に事故の状況を御説明いたします。  三月二十三日午前零時四十分ごろでございますが、栃木県の田沼町にあります東京石灰工業株式会社の波知沢という捨て石堆積場が崩壊いたしまして、幅百五十メートル、長さ四百メートル、厚さ三ないし四メートルにわたって土砂が流出をいたしました。約二百七十五メートル下流にございました民家二むねが埋没したわけでございまして、この事故によりまして五名の方がお亡くなりになり、一名の方が重傷を負われたということで、私どもも謹んでお悔やみを申し上げる次第でございます。  災害の発生後、通産本省並びに東京鉱山保安監督部から担当職員を現地に派遣いたしまして、現場で原因の究明、当面の対策の指導に当たらせておるわけでございますが、現在のところ、保安統括者等に対する事情聴取と並行いたしまして、事故現場の測量を行い、事故原因の究明を行っているわけでございますが、地元の警察からは、事業者が地すべり防止のための措置を講ずることを怠ったのではないか、堆積場の頂上部で工事を行ったのが原因ではないかという容疑で、関係者二名を逮捕したという連絡を受けております。  当省といたしましては、事故原因の詳細な究明を急いで行い、かつ所要の措置を講じたいというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、担当官を現地に派遣して当面の対策指導に当たらせる一方、今後同様の災害の発生を防止する次のような措置を講じてございます。  二十五日に、東京鉱山保安監督部から、葛生地区周辺に堆積場を有する関連企業に対し、安全性の再確認を行うように指示してございます。  次に二十六日に、東京鉱山保安監督部長名で、東京石灰工業株式会社社長に対しまして、二次災害の発生防止、そのほかに堆積場をこの会社は三つ持っておりますが、その堆積場についての安全性の見直し等を内容とする指示書を交付するとともに、東京鉱山保安監督部において、葛生地区の堆積場に対しまして、安全性の確保が図られているか否かについて立入検査を実施しております。対象の堆積場は約三十ございますが、二十六日からきょうまでに完了をする予定でございます。  また昨日でございますが、全国の表土堆積場、今回の事故を起こしました堆積場と同様の堆積場につきまして一その鉱業権者に対しまして自主点検を実施させ、安全性の見直しを行うように指示してございます。  また、現地におきましては、保安統括者等に対する事情聴取並びに事故現場の測量等を現在精力的に行っておるわけでございますが、鉱山保安法違反等の事実の有無等、事故原因の解明に努力をしているといったところでございます。
  204. 神田厚

    ○神田委員 この堆積場は通産省の管轄であったわけでありますが、立ち入りの状況は五十二年を最後に、その後立ち入りがされてなかった、そのことが今度の事故の大きな原因になっているのではないか、こういうような指摘をしている向きもあるわけでありますが、これらの問題につきましては、なぜ五十二年以降立ち入りをすることがなかったのか、その辺につきましてはどうでございますか。
  205. 福原元一

    ○福原説明員 この堆積場につきましては実は三回立入検査をしてございます。昭和四十七年の十一月、四十八年の六月、五十二年の一月の三回立入検査をしてございますが、これは、堆積場の堆積がほぼ終了した時点から、三回実施したわけでございます。  五十二年以降実施してなかったのは、堆積場の使用、つまり露天掘りをいたします前に表土をはぎまして、その表土を堆積場に堆積するわけでございますが、その表土をはいで堆積する仕事が四十七年をもって一応終わって、後は表土をはぎ終わりましたので石灰石の採掘に入ったわけでございますので、堆積場の使用は四十七年で終わった、その時点の前後三回立入検査をいたしまして、堆積場の状態が保安上問題がないということで、その後立入検査をしておらないわけでございます。  その後事業の主体が石灰石の採掘の方に移りましたので、その採掘現場の方につきましては、採掘方法あるいは粉じん等による危害防止、鉱害防止等の観点から、当鉱山に対しては毎年一回立入検査は実施しております。
  206. 神田厚

    ○神田委員 もう少し注意をしておればこういう事故にならなくて済んだのではないかというのが地元の人たちの話でありまして、そういう意味では非常に、規格が〇・三メートルぐらい足らないからということであるいは立ち入りの対象にならなかったというような話もしておりますけれども、そういうしり抜けみたいな規格をそのまま黙認をして、調査をしないということもこれまた問題でありますから、やはり今後こういうようなことが二度と起こらないように、これらと同様の堆積場に対しましては、少し綿密な調査をし、さらに立ち入り等につきましても弾力的に行っていくべきだ、こういうふうに考えております。  なお、採石関係につきましては通産省の管轄でないということで、これもそれらの危険個所についての立ち入り等もなかなかされてないようでありますが、通産省の管轄でない部分につきましても、これは県の方と相談をして、この危険個所についての点検等も行政の面での協議の上で進めるべきだ、こういうふうに考えておりますが、この辺はいかがでございますか。
  207. 山梨晃一

    ○山梨説明員 鉱業権を持たない岩石の採取に関しましては、採石法というのがございまして、これに基づきまして都道府県知事が直接指導監督をしているわけでございますけれども、実は通産省といたしましても、この採石法の所管は私の方の資源エネルギー庁鉱業課でやっておりまして、採石場及びその周辺の安全が確保されるように、都道府県をそういう方向で指導しているわけでございます。  今回のような災害が岩石の採取場におきましても起こらないように、今後とも都道府県を通じまして、都道府県とともに災害防止に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  208. 神田厚

    ○神田委員 この事故の背景を考えますと、四十七年あたりからの高度成長で、どんどん公共事業等の伸長に沿って石を切り出されてそれがたまってきた、そういうことから考えれば、もうかなり、同様な形で進行していれば、同じように危険な場所というのはたくさん出てきていると思うのですね。ですからそういうようなことを考えますと、ちょうどこの事故を一つの教訓として、それらの問題につきましても綿密な検査をしてほしい、こう要望するわけであります。幸い、全国のそれらの同様のものに対しまして自主的な検査体制、点検に入れという指導もしておられるようでありますから、ひとつそういう行政の姿勢をもう少し強力に出していってもらいたい、こういうように要望しておきます。  大変悲惨な事故でありまして、同じような地域に同じような個所もたくさんありますものですから、住民は非常に不安に思っている者もたくさんおります。そういうことで、ひとついま答弁があったような形で、これらの問題につきましては綿密な点検をさらにしてほしいということを要望しておきたいと思います。  最後に、被害が起こってしまってからの話でありますが、遺族の方の補償等の問題につきましても、これは当事者間の問題にはなるわけでありますけれども、監督官庁としての責任もあるわけでありますから、それらにつきましてもひとつ誠意を持ってこれに当たらせるような指導をしていただきたい、こういうふうに要望しますが、いかがでございますか。
  209. 島田春樹

    ○島田政府委員 いま御指摘のありました点につきましては、私どもも、いまお答えをいたしました線に沿いまして今後とも鋭意努力をいたしまして、保安の万全を期したいというふうに考えております。  それからまた、いまお話のありました補償問題につきましても、必要がありましたら、その円滑な解決が図られますようにあっせんの場を提供する等、協力を惜しまないという姿勢で、今後とも努力をいたしたいというふうに考えております。
  210. 神田厚

    ○神田委員 最後に大臣にちょっとお伺いしますが、土砂崩れの災害、こういう半ば人災ではないかと言われているような災害が起こっているわけであります。いま通産省の方も、急遽自分たちの管轄については自主点検をしろというような指導もしているわけでありますが、やはりこういう小さな災害の積み重ねということがわれわれ大変心配でございますので、それらの点から、大きい災害ではありませんけれども、こういうちょっとした注意をすれば防げる災害でありますから、こういうものについても、ひとつ大臣の方からも、国土庁としましても、災害担当としてのその姿勢をお伺いしたいと思うのです。
  211. 園田清充

    ○園田国務大臣 午前中の答弁でも申し上げましたけれども、いま御質疑の中にもあった、この五名の方々の冥福をまず心からお祈りをいたします。同時に、こういう災害が二度と起きないように、所管は所管の役所としての努力をしてもらいますし、私自体、実はいろいろ説明を受けながら、人災かどうかということについて非常に疑問を感じながら報告を聞いておるわけでございますが、というのは、上に堆積された土砂だけでなくして、その下の土までが一緒に流れているというところに非常に問題があるような気がいたします。だからこの辺も、いま監督部の方で現地に出まして、きょうあたりをめどに調査を進めておりますので、その結果をもってひとつ適正な判断を下したいと思いますし、並びに厚生省とも、これが弔慰金の問題についても、いろいろ災害かどうかということで問題が残ろうかと思いますけれども、その点ひとつ前向きの姿の中で、この弔慰ができるような形の措置をとるような努力をしてみたい、こう思っておりますので、よろしくひとつお願いいたします。
  212. 神田厚

    ○神田委員 ありがとうございました。
  213. 藤田高敏

    藤田委員長 長時間御苦労さまでした。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会