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1980-04-25 第91回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十五日(金曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 玉生 孝久君 理事 西田  司君    理事 八田 貞義君 理事 馬場  昇君    理事 則武 真一君 理事 中井  洽君       池田  淳君    亀井 善之君       田原  隆君    中村正三郎君       畑 英次郎君    吹田  愰君       木原  実君    竹内 勝彦君       森田 景一君    木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 本田  正君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         農林水産省構造         改善局次長   岡本 克己君         通商産業大臣官         房審議官    松原 治世君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   杉戸 大作君         農林水産省構造         改善局農政部農         地業務課長   篠浦  光君         建設省計画局環         境管理官    岩本 章雄君         建設省道路局企         画課長     沓掛 哲男君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大島 哲男君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   丹羽 雄哉君     亀井 善之君   野口 幸一君     木原  実君 同日  辞任         補欠選任   亀井 善之君     丹羽 雄哉君   木原  実君     野口 幸一君     ――――――――――――― 四月二十三日  磐梯吾妻スカイライン浄土駐車場有料化反  対に関する請願(粟山明君紹介)(第四七一六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 私は、産業廃棄物行政と水俣病問題、二点について質問を申し上げたいと思います。が、まず第一番目に、産業廃棄物行政につきまして、具体的な事例を挙げてお尋ねしたいと思います。  神奈川南足柄下怒田地区産業廃棄物処理場設置問題についてでございます。これにつきましては、環境庁、農林省、厚生省にお尋ねを申し上げます。  問題の概要を申し上げますと、昭和五十一年の十月に、東京に事業所を持っております業者から冒頭申し上げました地区産業廃棄物処分埋め立て地として使用したい旨の申し入れがありましたが、当地区ミカン畑が一面に広がるすぐれた景観を誇る丘陵地でありまして、また豊富な、しかも良質な地下水を持つ丹沢水系に属していますので、このような地域産業廃棄物処理施設設置することは、すぐれた自然環境を破壊して地下水汚染するのみならず、悪臭、騒音等公害をまき散らすことになり、地元住民にとってはとうてい耐え得ないことであるとして、今日まで市長、市議会を初め地元住民は一致して設置反対しております。また地元業者が提出しました計画書に対して次のような疑問を持っております。  一つは、この処理場をつくるというのに四億円の経費を投入して、一年後にその土地を良質な農耕地として所有者に返還します、こうなっているわけです。廃棄物を捨てて、その上を良質な農耕地にする、それを一年で返す、事業費を四億円見込んでおる、こういうことが廃棄物のみで採算がとれるとは考えられない、こういうぐあいに地元の人は批判をしておるわけです。  二つ目については、処分地の地積は五万四千立方メートル、そこに廃棄物を四万四千立方メートル、こうなっておるわけですが、地元の人は、どうせ一年でそれだけを捨てて、それだけを埋め立てて、良質な農耕地にして返す、採算が立つはずはない。ここが終わったならば、その隣の地をさらに申請をする、処分場にしていく、それが終わったらまた隣をそのようにする。こういうことをやって、南足柄市を産業廃棄物の墓場にしてしまうのではないか、こういうような心配地元の人は持っておられます。  また三つ目に、この事業者に対しましても、適格性についていろいろ問題がある。このことについても非常に心配をしておられるわけでございますが、その他幾つかの問題があるわけですけれども、私は、ここでそのような問題点、さらには産業廃棄物処理場あり方等を含めて具体的に質問をしてみたいと思うのです。  まず、質問の第一点は、昭和四十五年に清掃法が全面改正されまして制定された廃棄物処理及び清掃に関する法律取り扱いについて、昭和四十七年に神奈川県と県下の市町村の間で協議事項が調印されております。「神奈川県並びに県、市町村間における廃棄物処理及び清掃に関する法律取り扱いに関する協議事項」こうなっておりますが、内容を後で質問申し上げますので、この協議事項が調印されておるということを、厚生省でしょう、御存じですかどうですか、まず聞いておきたい。
  4. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  この調印の内容につきましては、県から特に報告を受けておりませんので、承知いたしておりません。
  5. 馬場昇

    馬場委員 いま私は、あなた、こういう協議事項協定、調印されておるかどうかということを知っておるか端的に答えなさいと言ったら、内容については承知しておらぬ。こういう協定書があるということを知っておるかと質問しておるのですよ。
  6. 杉戸大作

    杉戸説明員 知っております。
  7. 馬場昇

    馬場委員 あなたはいま、内容を私が質問する前に、内容は知らぬというようなことを言いましたが、このことを質問するということは、あなた方にきのう通告したでしょう。なぜ地元にその内容を問い合わせない。そうしたら答弁する資格ないじゃないですか。問題を、質問を通告する意味もない。答弁しきらぬようだったら、あなた、帰りなさいよ。またいまから内容を聞きますけれども、全然内容を知らぬというようなことは、行政として許される問題でないし、国会の答弁として許されるものじゃない。だから、私がひとつ内容を聞いてみますけれども、それに対する答えによっては、私は委員長に処置を求めたい。  この協定に、廃棄物処理事業許可の際には、申請を受けた県または市町村は、中間処理最終処理場所の所在する市町村事前に協議することになっている、こう内容に書いてありますけれども、これを御存じですか。
  8. 杉戸大作

    杉戸説明員 概略は存じております。
  9. 馬場昇

    馬場委員 知っているじゃないか。あなた、知らぬと言うからしかられるんだよ。知っているなら……。最初知らぬと言うからしかったが、知っているなら、それはいいことだ。  それではこの協議事項に基づいて――それが一つある、その内容をあなたは御存じだ。さっき私の言いました産業廃棄物処理場申請なんか行われておるのですが、この件で神奈川県は南足柄市と話し合いをしなければならない、話し合いをしなければ許可ができないとこの協議事項で私は読めるんですけれども、これに対して厚生省の御見解を聞きます。
  10. 杉戸大作

    杉戸説明員 産業廃棄物処理業のそういう許可に際しましては、処理法上のそういう許可基準をもとにいたしまして県知事がこれはすべて判断することになっております。したがいまして、その際、県知事先生お話しのような、市町村とそういう協定を結ぶようなことも行われております。先ほど私が内容を知りませんと申しましたのは、正式に県からそのような報告を受けておりませんでした。県から届け出るそういう義務もございませんので、そのように申したわけでございますが、概略は耳にはさんでおります。  それで、こういう件につきましては関係市町村とどのようにするかというのは、これはすべて県知事判断することになっております。
  11. 馬場昇

    馬場委員 厚生省判断は、そういう協定があって、あなたは中身御存じですから、当然県が許可するに当たっては関係市町村と協議しなければならない、このことは間違いございませんね。
  12. 杉戸大作

    杉戸説明員 間違いございません。
  13. 馬場昇

    馬場委員 次に、その協定内容環境保全上の問題が書いてございます。これは厚生省担当、しかも環境問題ですから環境庁担当ですが、協定に、「環境保全支障が認められた場合は、関係者間で協議し、適正な措置をとるよう相互に協力すること」、こういうことが書いてございますが、問題は「支障が認められた場合」というものですけれども、これは事前に明らかに環境上に問題がある、こう想定される、そういう場合も当てはまる協定事項だと思うのです。そういうことについて、この内容について厚生省環境庁から、私のいまの意見についての見解を求めたいのです。
  14. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、この協定内容で「許可を受けた者が法定の許可基準に反し、または生活環境保全支障が認められた場合は、直ちに関係者間で協議し、適正な措置をとるよう相互に通報し、協力する」、そういう協議事項がございますが、そのことについてのことかと思いますが、これにつきましては県と市町村間でのそういう取り決めでございますから、それに従って十分に措置されるべきものと思います。
  15. 馬場昇

    馬場委員 これは環境庁どうですか。たとえば産業廃棄物処理すると環境上に問題がある、そういう場合に当然関係市町村と県が連絡をとって、その許可の前に協議していろいろ判断するということはもう当然でしょう。
  16. 馬場道夫

    馬場政府委員 環境庁といたしまして、産業廃棄物につきましては、最終処分場の技術的な基準を定めておるわけでございますけれども、それは、たとえば地震や地すべりあるいは火災等に対して安全な措置を講ずるとか、あるいは廃棄物飛散あるいは流出するのを防止する、あるいは処分場からの排出水によります周辺の地下水なり公共用水域汚染を防ぐ等の環境保全上の問題が生じないようにするというような基本的な考え方で政令基準を決めているわけでございます。したがいまして、最終処分場設置する場合には、当然その基準を守ってもらうということが前提になるわけでございますので、私ども、県と市町村の具体的な協定内容は承知しておりませんけれども、そういうことは当然遵守されるべきものであるというふうに考えるわけでございます。
  17. 馬場昇

    馬場委員 次に、私、いま南足柄市とかあるいは関係市町村と県にそういう協議事項協定がある、中身二つ例に申し上げたのですけれども結論から言いまして、神奈川県とここの場合で言いますと、南足柄市との事前協議が整わないうちに神奈川県が勝手に権力を行使してはならない、これは当然なことだろうと思うのですが、これについての厚生省環境庁の御見解を聞きたい。
  18. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  県といたしまして、処理場許可をする際に、これは廃棄物処理法上の一定技術基準などがございます。そういう観点から、環境上の支障を与えないか十分なチェックをして処理に当たることになっております。
  19. 馬場道夫

    馬場政府委員 私どもも、実際の具体的な行政許可とかいうものにつきましては、特段申し上げる立場にないわけでございますけれども、先ほど申し上げました政令等でいろいろ基準を決めてございますので、そういうものが遵守されるということが前提でございますので、そういう前提のもとで関係者が十分話し合われるということが望ましいと思っておるわけでございます。
  20. 馬場昇

    馬場委員 もう少し具体的に後で聞くのですけれども厚生省答弁を聞いておりますと、法律を四角四面に味もそっけもないようにあなた言うわけですけれども、具体的に行政指導として、たとえばそういう廃棄物処理場をつくる、そして県と関係市町村が協議しなければならぬという協定もある、そういう状況の中で、片一方に強硬な反対があるというようなうちに片一方許可権者がそれを強行するということはしないように、よく話を整えてからやりなさい、そういうような行政指導はやらないですか、どうですか。
  21. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、産業廃棄物のそういう最終処分地、これは一般廃棄物の場合もそうでございますが、処分地の選定につきましては、いろいろと地元とのそういう環境上の問題の調整等がほとんどのケースについて必要となっております。厚生省といたしましても、先ほど申しましたような技術基準を定めることのほか、都道府県、市町村に対しまして、地元と円満に進めるような指導はいたしておるつもりでございます。
  22. 馬場昇

    馬場委員 これは環境上の問題ですから、長官にも聞いておきたいんですよ。地元反対がある。これは何も一人反対すればどうというわけじゃないし、このことについては後でどういう経過があったかということをあなたにも御説明申し上げますから、そのときでもいいのですけれども、原則として地元の了解を受けてやるというのは行政上当然じゃないかと私は思うのですが、これは国務大臣、特に環境庁長官としての御意見を聞いておきたい。
  23. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  特に産業廃棄物処理等につきましては、環境保全といったような立場から、やはり地域住民皆様方の理解と協力を得て行政を推進してまいらなければならぬ、かように私は考えております。
  24. 馬場昇

    馬場委員 それでは次に、この件につきまして五十三年三月十八日に産業廃棄物処理施設設置届及び処理業許可申請業者から県に提出されております。五十三年五月に神奈川県の環境部は、その申請について一部計画変更命令しておるようでございます。業者はその命令に従いまして、五十三年九月三十日に改善計画書を出しておるようでございまして、この計画書を県は受理しております。厚生省、この経緯は御存じですか。
  25. 杉戸大作

    杉戸説明員 存じております。
  26. 馬場昇

    馬場委員 そこで、この改善計画書が受理されたという形になっておるのですが、このことについて御質問するわけですけれども、これはそういう計画書が出たという手続上の受理であって、県はそれからいろいろなことを検討して、それで内容適否は今後決定をする、そういうようなことで書類を受け付けたんだ。いまからいろいろ検討をして、検討の結果に基づいて内容適否を決めるんだ、そういう位置づけにいま県はなっておるというぐあいに考えていいですか。
  27. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  書類を受理いたしまして、六十日以内に検討して、その結論を出すことになっております。
  28. 馬場昇

    馬場委員 これはわかりました。このことについて、後でもう少し申し上げたいと思うのですけれども、この改善計画書というのが、いわゆる修正したのが出ているのですが、これについて環境庁厚生省に聞くのです。  先ほど申し上げましたように、当地域は非常に豊富な良質な地下水を持つ丹沢水系に属しているところでありますが、この一部計画変更したことによって、水資源に与える影響というのはもう解決しておると考えておられるのか、解決していないと考えておられるのか、この辺についてお答えいただきたい。
  29. 杉戸大作

    杉戸説明員 埋め立て区域外からの雨水の埋立地への浸入、それから浸出液処理施設、そういった点が神奈川県知事からの計画変更命令内容に含まれております。それにつきましては、技術基準等に準拠して行っておるものと私ども判断いたしております。
  30. 馬場昇

    馬場委員 その判断基準を聞きたいのです。あなたは解決したといま言われました。さっきはいまからこれを検討するんだと言われたのに、地下水影響はもう解決したと判断しておるんだ、技術基準に従って解決したと考えているんだとあなたは言われましたが、それは答弁の食い違いじゃないですか。いまからそういうことを検討するのじゃないですか。
  31. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  この一部変更につきまして、これは五十三年三月の内容のものを五十三年五月に県知事が、先ほど申しましたような内容でそのように判断をいたしたものでございます。それにつきまして、先ほど申しましたような一定基準に基づいて県知事がやったものと思われるわけでございます。
  32. 馬場昇

    馬場委員 私の質問は、水問題のそういう地下水に与える影響というのは、基準に基づいてやったら、あなた、厚生省は解決したと思っているのか、解決していないと思っているのか、そういうことを聞いているのです。あるいは県からどういう報告を受けておるかということを聞いておるわけでございますが、どうですか。
  33. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  これは県知事がそのように判断したわけでございまして、私どもはその基準に従って当然やっておられるもの、そのように思うのでございます。
  34. 馬場昇

    馬場委員 そのように判断したということはどういうことですか。県知事は、ただ受理しているだけですよ。それをそのように判断したというのはどういうことですか。何もまだ決定は出していないのですよ。地下水なんかへの影響は、まだこれから適否を調べるという段階ですよ。そこのところをはっきり答えてもらわぬと困る。だから、地下水影響なんかいまから判断するという状況になっております。これが正式な見解じゃないですか。
  35. 杉戸大作

    杉戸説明員 五十三年五月の県知事計画変更命令、これは問題があれば六十日以内に変更を命ずる、そういうようなことに従って行ったものでございます。
  36. 馬場昇

    馬場委員 現在これは許可しているのですか、許可していないのですか。
  37. 杉戸大作

    杉戸説明員 許可はいたしておりません、届け出許可とは別でございますから。
  38. 馬場昇

    馬場委員 だから私が言っているじゃないですか。届け出があって改善命令を出した、計画書が出てきた、それをいまから検討するんだ、それが今日の状態でしょう。そうしたならば、水問題だけ何で解決したと言われる。これもいまから検討する問題ですよ。ざっと言って、こういうことでしょう。はっきり言ってどうですか。
  39. 杉戸大作

    杉戸説明員 おっしゃるとおりでございます。
  40. 馬場昇

    馬場委員 ここで少し改善計画の中に書いてあることで技術的なことを質問したいのですが、特に廃棄物を捨てる、土をかぶせる、また捨てる、土をかぶせる、これは急傾斜地ですからね。こういうところで、結局廃棄物から出る汚水とかなんとかが地下水に入る。それを防ぐために、「底面の遮水工シートを行う」こういうぐあいに改善計画の中に書いてあります。このシート安全性とか耐用性というのには、厚生省は太鼓判を押したのですか。このようなシートを敷けば、未来永劫絶対大丈夫だ、絶対破けるようなことはない、汚水地下水に入るようなことはない、地震があった場合にはどうだ、どういうことがあっても、このシートさえ張れば、もう汚水が流れることはない、そういうようなものですか、この改善計画に書いてある、遮水工シートをかけるというのは。
  41. 杉戸大作

    杉戸説明員 神奈川県知事が、最終処分場設置届に対しまして、先生いまおっしゃいましたような、そういう遮水工シート安全性とか耐用性、そういうことにつきまして審査を行うわけでございますが、これは廃棄物処理法に従いまして十分審査をしていくものでございます。その具体的な内容については私どもはちょっと存じておりません。
  42. 馬場昇

    馬場委員 また、このシートについても、今後具体的に検討する問題だとおっしゃいましたが、環境庁はこのシートのことを御存じですか。いまさっき私が言った遮水工シートをするということについての疑問について環境庁の御見解はどうですか。
  43. 馬場道夫

    馬場政府委員 私どもも具体的にシートの問題は承知をしておりません。ただ、廃棄物種類等から見まして、私ども政令で決めております処分基準から言うと、管理型の最終処分場ではなかろうかというように思うわけでございまして、これは一般廃棄物生活環境保全上の支障を防止するための措置を講ずる必要がある産業廃棄物処理場ということでございまして、先ほど御指摘のありましたように、遮水工なり、あるいは集水設備なり浸出液処理施設を設けるとか、あるいはその他の施設を設けまして、外部とそういうような水等汚染がないような措置をするということが必要なわけでございますが、その中でいまのシートがどういう役割りを果たすか、いまここでお答えするほどの具体的なあれをちょっと持ち合わせておりませんので、御了承願います。
  44. 馬場昇

    馬場委員 中身の議論をしたって、時間がございませんのでもうここでやめておきますけれども結論を申し上げておきます。  この改善計画書というものを受理しておる、こういうことでございますけれども、このことは書類上受理しておるだけであって、いまから県当局によってさらに十二分に検討されるべきものである、最終的にこう認識してよろしゅうございますか。
  45. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  受理してまだ間もない段階でございますので、これから十分にその検討がなされると思っております。
  46. 馬場昇

    馬場委員 次の問題に移りますけれども、この地域についての環境アセスメントについてちょっと聞いておきたいのですが、さっき言いましたような丘陵地、それのさっき言ったような面積に廃棄物を捨てるわけです。その廃棄物はこういうものを捨てるというような内容が書いてあるわけでございますけれども、そういうことをした場合に、この地域地下水系調査を含めて環境上どういう影響が出るだろう、こういうアセスメントは行われておるのですか、行われていないのですか。これはまず監督の厚生省と、こういうアセスメント問題についての環境庁、両方から意見を聞きたいのです。
  47. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  産業廃棄物関係の方のアセスメントにつきまして、これは飛散とか流出、地下水汚染が生じないようにするためにいろいろと技術基準が定めてございますが、アセスメントのそういう義務づけということは行われておりません。本件につきまして、この地下水調査はやっているように聞いております。
  48. 馬場道夫

    馬場政府委員 厚生省のお答えのとおりでございますが、私ども地下水影響のない形で解決をしてもらうということでございます。
  49. 馬場昇

    馬場委員 これはいま言った法規則には書いてないということですが、実際問題として、地下水調査をやっておるということをいま御答弁なさったわけでございますが、皆さん方厚生省が書いております「地域と調和した最終処分場計画の策定に関する研究」、昭和五十三年度報告書の中には、この紛争処理に当たっては、その地域等についてのアセスメントをきちんとすべきだということをあなた方は書いておられますね。だから、これはいまの法律説明をお願いしたってしょうがないわけでございますので、やはり方向としては、地元でいろいろ問題があるときにきちんとした環境アセスメント、こういうところに疑問がある、問題があるのじゃないか、それにこたえることを、たとえばアセスメントをやってこうだということを住民に示して納得してもらう、そういうようなことは、今後行政指導として政府の方にやっていただきたいという気持ちを私は持っているのですが、長官、いかがですか。
  50. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  これからの環境行政というものは、ただ単に公害の防除にかかわらず、公害未然防止にやはり十分な意を用いてまいらねばならぬと思います。先ほど来御論議の廃棄物処理等の問題につきましては、やはり人間の健康にかかわる重要な問題でございますので、これからは十分事前にアセス  メントはやってまいらねばならぬと思いますので、今後そういう点につきましても、厚生省と十分話し合いながら強力に推進をしてまいりたい、かように考えます。
  51. 馬場昇

    馬場委員 監督官庁である厚生省の、いま地下水調査はしておるようだというようなことではなしに、さっき言いましたように、地元は、本当に公害発生のおそれがある、水資源に悪影響を及ぼすと言っておられるわけです。これを科学的にこういうぐあいにアセスをしてこうですよということで、本当に住民が納得するような行動がいまは行われていないのですよ。だから、それについてはぜひ十分、そういう水資源に対する影響だとか公害発生のおそれとかについての調査をやって、そして住民に納得をしていただくようなデータを出すということを指導すべきだと思うのですが、指導なさいますか。
  52. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  最初にお答え申し上げましたように、産業廃棄物処理業許可に当たりまして、その要件をチェックいたしますのは県知事判断に任せておりまして、厚生省といたしましては、技術その他の一般的な法律上の基準を定めて行っておるわけでございます。しかし、先生のおっしゃいますことごもっともでございますので、私どもさらに県の方と連絡をとって進めてまいりたいと思います。
  53. 馬場昇

    馬場委員 これはぜひそういうぐあいに指導していただきたいと思うのです。  次に、この処理場設置予定地は農地でございまして、農業委員会に農地転用の許可申請が出ております。しかし、県は農地転用の許可をしておりません。これは農振整備計画支障を来すという理由でもって許可をしていないわけでございます。不許可決定をしておるわけでございます。農林省はこのことを御存じですか。
  54. 岡本克己

    ○岡本政府委員 承知いたしております。
  55. 馬場昇

    馬場委員 では、農林省はこの決定を尊重なさいますか。
  56. 岡本克己

    ○岡本政府委員 農業委員会が不許可にしまして、その意見県知事に上げておると聞いております。が、これは県知事許可権限に属するものでございますから、そういう点につきまして県知事が十分御判断される、このようにわれわれ理解しております。
  57. 馬場昇

    馬場委員 次長、あなたはちょっと御存じないようですけれども、農業委員会はそういう意見決定して、知事が不許可決定しているのです。だから知事が最終的に決定した、これを尊重なさいますかといま私は聞いているのです。
  58. 篠浦光

    篠浦説明員 事務的なお話ですので、私からお答えいたします。  五十三年七月に農地転用の許可申請があった。それに対して五十三年十一月に不許可の処分をしたということでございますが、その後、五十四年の三月に改めて転用許可申請が出ておるという状況でございます。
  59. 馬場昇

    馬場委員 私は、そのことは後でまた質問しようと思っておるのですが、だから、農業委員会がこれはおかしいから許可しませんという意見決定して、そして県に上げて、県がこれは許可しないということを最終的に決定しておるのです。農林省はこの県の決定を尊重なさいますかということを次長に聞いているのです。
  60. 岡本克己

    ○岡本政府委員 お答えいたします。  もちろん尊重いたします。
  61. 馬場昇

    馬場委員 この問題につきまして、実は五十四年の一月に農林大臣に対しまして行政不服の審査の請求が出ていますね。これはどう取り扱われますか。
  62. 岡本克己

    ○岡本政府委員 現在まだ審査中でございまして、まだ決定いたしておりません。
  63. 馬場昇

    馬場委員 私がここで言いたいのは、県が決定しておるわけですから、当然農林省は尊重するとおっしゃいましたから、そのとおり尊重していただきたいわけでございますが、さらに不許可にした後、五十四年の三月に農地の一時転用許可申請がまた農業委員会に出ております。農業委員会が四月に再度不許可意見決定しておる、こういうことでございますが、私は、ここでちょっと政治的に地元の人が心配しておられることを申し上げたいのです。さっき言いましたように、一年間にこの丘陵地の四万平方メートル――体積、立方メートルでしたかね。その地域産業廃棄物を捨てる、土で覆う、捨てる、土で覆う、そして二メートルくらいの土でりっぱな農地にして一年で返します、それには工事費は四億円要ります、こういうことで四億円を超える経費を投入して、一年後に良質な農耕地にして所有者に返還する、このことは地元の人はだれもどうも信用できないと言っているのですよ。また廃棄物を捨てて、それだけ設備投資をしておって、それだけの収入があるのだろうか、どうも信用できない。結局二つの意見があって、これは厚生省にも聞きたいのですが、申請した以外の品物を何か捨てられるんじゃなかろうかということと、でき上がったところはもう農用地ではなしに、そこを買い上げて宅地にして売られるんじゃないか、そういうことなしには四億円も投入する仕事じゃないと地元の人は言っておられるわけです。  こういうことでございますから、これは厳に厚生省、農林省で、農地として返すというのが宅地に変更になるようなことの心配がないかどうかということは、この計画をよく地元と相談なさって検討してもらいたい。それから申請された品物以外に廃棄されないかどうか、そういうこと等についても十分警戒をしておいていただきたい。その審査をよくしておいていただきたい。この二つに  ついてお願いしたいと思います。
  64. 篠浦光

    篠浦説明員 その問題につきましては、知事に十分審査をしていただく。まあ知事の権限でございますが、知事が十分審査をされるというふうに思っております。
  65. 杉戸大作

    杉戸説明員 この点につきまして、さらによく県の方を指導監督してまいりたいと思います。
  66. 馬場昇

    馬場委員 次に、五十四年の一月に、農林大臣にさっきの不服審査請求が出ておると同じように、厚生大臣にも処理業を不許可にしたという行政不服審査請求が出ておりますね。これはどう処理されようと考えておられるのですか。
  67. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  この件に関しまして、大栄興業からお話しのように五十四年の一月に審査請求がなされまして、同年四月に神奈川県から弁明書を提出させております。そしてこれに対する大栄興業からの反論書をことしの一月下旬に提出させたところでございます。厚生省といたしましては、これらをもとに現在十分に審議をいたしておるところでございます。
  68. 馬場昇

    馬場委員 農林省も不服審査の請求を受けておるし、厚生省も受けておるわけでございますが、私は実は非常に心配がある点を聞いております。というのは、県はその処理場も不許可にしているし、農地転用も不許可にしているのです。そこで不服審査が出たわけです。当然県の態度を尊重するということをおっしゃったわけですけれども、現実に厚生省と農林省が、はっきり言いますと、県当局に対して、許可してはどうかというような、示唆程度ですけれども行政指導をやっているようだといううわさを実は聞いておるわけでございます。こういうことはまさかあり得べき筋合いのものではないと思いますが、事実があるのかないのか、またなかった場合、今後そういうことは絶対にしない、あり得べきものではないと思いますが、どうですか。
  69. 岡本克己

    ○岡本政府委員 そういう指示をしたことは毛頭ございません。今後も知事のその判断に対して、そういうことをするつもりはございません。
  70. 杉戸大作

    杉戸説明員 県に対して許可したらというような示唆をしたことはございませんし、今後もそのようなことはいたしません。
  71. 馬場昇

    馬場委員 実は農林省の岡本さん、関東農政局より、これはまあ私が聞いたところでは、言外に、県は許可しろというんじゃないけれども措置すべきじゃないかというようなことの示唆があったというようなことを実際聞いているんです。こういうことのないように厳重に注意していただきたいということを申し上げておきます。  そこで環境庁長官、それから農林省、厚生省、ちょっと経過をいまから申し上げまして、それについて私が最後に質問しますので、よく聞いておいていただきたいと思うのですが、これは五十一年の十月に、この業者廃棄物処理埋立地使用の申し入れを南足柄市にやっているんです。南足柄市は、公害発生のおそれがある、水資源の確保に問題がある、こういうことで、この廃棄物処理埋め立てには反対だということを五十一年十月に南足柄市がちゃんと決定している。市の意思表示をしている。ところが五十二年七月に業者が農地一時転用の申請をやったのです。これに対しまして農業委員会は不許可意見決定した。そのころ市の議会が反対請願を満場一致に採択をしたのです。そして同じ年の十二月に市や議会が県に陳情いたしまして、県は反対陳情を県会の環境常任委員会で了承しておるのです。ところが、そういう中にもかかわらず、五十三年三月十八日に業者は、この産業廃棄物処理施設設置届処理業許可申請を県に出したのです。先ほども言いましたように、そこで神奈川県は一部計画変更を命じまして、業者改善計画書を提出したわけでありますが、五十三年十月に神奈川南足柄市の自治会長さん三十五名が二万四百五十五名の署名で知事に反対陳情をしておるのですよ。そしてそういう状況の中で、五十三年の十一月に県は農地転用不許可処分、県の環境部処理業許可処分を行っております。ところが、これに対しまして、先ほど申し上げましたように、五十四年に業者は厚生大臣、農林大臣に行政不服審査請求を出している。そして今度は五十四年に、もう一遍計画変更して農地転用の許可を農業委員会に提出しましたが、五十四年四月に農業委員会はさらに不許可意見決定しております。ところが五十四年十月に、業者は知事を不作為との異議申し立てをやっておりますが、知事は五十四年十一月に不作為異議の却下をいたしております。業者は不作為異議却下処分に対して農林大臣に審査請求をしておるわけでございますが、五十五年、ことしの三月にも南足柄市議会は、さらに廃棄物埋め立て反対に関する意見書を満場一致で採択しておる。  こういうことでございまして、長官もお聞き願いたいのですが、南足柄市が反対、農業委員会反対、市議会も反対、そして県議会も反対、そして地域住民も署名をとって全部反対、周囲の市町村も皆反対、そうして県も農地転用も処理業も全部だめだ、ずっとそう続いてきておるわけですよね。こういう中で、業者がさらに申請を続けたり、異議申し立てをしたり、不服審査をしたりということは、異常と言わなければならぬ。四億円投資してりっぱな農用地をつくって返すとか言っているわけですからね。こういうのは意図が異常としか考えられない。そこで廃棄物中身が、何か表に出ていないものを捨てるのじゃないか、あるいはこのことによって莫大な利益を上げるのじゃないか、あるいは後で宅地とするのじゃないかとか、私は表に出ていない非常に危険なものを感ずるわけです。  これは地元の人も皆そう感じておるわけでございますので、最終的にこのことについてお聞きしておきたいのは、これだけ地域住民、市当局、市議会、農業委員会関係市町村、県とこぞって設置反対しておるようなものを、これを無視して県は絶対に許可すべきではない。それが民主政治、民主主義だと思う。このことについて環境庁長官、農林省、厚生省意見を聞いておきたい。
  72. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来の御質疑の中でも、厚生省側からもいろいろ御答弁がございましたとおり、知事の権限においてやられたことであろうかと思いますが、いろいろ問題もあるようでございますので、十分検討に値するのではないか、私はかように考えます。
  73. 岡本克己

    ○岡本政府委員 農林省といたしましては、先ほど申し上げましたように、これは知事の権限でございますので、その権限に対してとかくの口を差しはさむことはできないわけでございます。そういう立場にないわけでございますが、問題が問題でございますので、内容につきましてはわれわれも検討してみたいと思います。
  74. 杉戸大作

    杉戸説明員 基本的には県知事の権限に属する問題でございますが、先生指摘のように、いろいろと問題を含んでおりますので、県の方と十分連絡をとりまして、内容を十分把握して、私どもとしても検討してまいりたいと思います。
  75. 馬場昇

    馬場委員 長官も皆さんも民主主義を御存じですか。いまの答弁、皆検討します、検討しますと。とにかくもう繰り返しませんけれども、すべての住民、すべての公的機関、権限を持っておる機関全部が反対しているのですよ。そういうときには、知事さん、こんなのはやはり許可すべきじゃないですよ、それが民主主義というものじゃありませんかと指導するのがあたりまえじゃないですか。これを指導なさらぬというなら――それは一部の反対とかなんとかいうのはありますよ。これはすべての人が反対です。そういうときには、それを知事が許可すべきではないと言うのが民主主義だ、そういうのが国の県に対する指導行政の姿勢である。そうじゃありませんか。
  76. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  お説のとおりでございます。環境庁といたしましては、環境保全立場から、県に対しましても十分連絡をとりたいと思います。
  77. 岡本克己

    ○岡本政府委員 先ほどお答えしたとおりでございまして、法律のたてまえ上、知事の権限ということになっておるものですから、われわれその内容はよく検討はいたしますが、検討してみた上で判断したいと思います。
  78. 馬場昇

    馬場委員 農林省も厚生省も、大臣の代理で出てきておるわけでしょう。私は本当にそういう最高の大臣のかわりで答弁するような人じゃないとだめだと言っておいた。皆さん来て、農林省の代表です、厚生省の代表ですとおっしゃっている。環境庁はもう代表がここにおられる。  だから私が言いたいのは、たとえば農林省なら、農業委員会反対でしょう、知事も反対でしょう、それを貫きなさい、すべての人が反対しておるのを強行しちゃだめですよ。それは厚生省だってそんなことは言えるじゃないですか。あなた方が対象じゃないから、少なくともこれだけは言いなさいよ。地元と了解ができない限り強行なんかしてはいけませんよ、そんな程度の行政指導はしますよ、そういうことは言いなさいよ。
  79. 岡本克己

    ○岡本政府委員 お答えします。  そういう問題につきまして十分調整して、慎重に検討されるように指示します。
  80. 杉戸大作

    杉戸説明員 お答えいたします。  十分に県の意向等も尊重いたしまして、私ども十分な連絡をとりながら検討を進めてまいりたいと思います。
  81. 馬場昇

    馬場委員 実は、私は廃棄物処理の原則の問題について六点質問も通告しておいたのですが、時間がきてしまいましたので、具体的な問題だけでやりたいと思うのです。  厚生省に言っておきますけれども、あなた方は五十三年度に産業廃棄物処理処分状況実態調査というのをやられたわけです。それがいつ出るかということも聞きたかったのですけれども、こういう調査に基づいて、さらにもう一つは五十四年度にやられました「地域と調和した最終処分場計画の策定に関する研究」、これを読みましたら、非常にいいことが書いてある。これの具体化とか、特にここで申し上げておきたいのは、最終処分地への処分に当たってのその監視体制の強化というのは、ぜひこれは強くやっていただきたいと思う。これは業者に任せておっては、業者の伝票できょうは何が何トン入ったではなしに、きちっと監視しなければ、何が運ばれてくるかわかりません。この監視体制なんか特に十分やっていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  以上で、この問題について、まだ不十分でございましたが、また情勢の推移いかんによっては質問いたしますけれども、いま皆さん方が、全住民反対しているのを強行しないように、あるいはそういうことは許可しないようにということで指導するという方向で御答弁がいただけましたので、これで終わりたいと思います。  次に、水俣病の問題について御質問申し上げたいと思うのです。  長官、私は、毎週土曜日曜に熊本へ帰って、週単位で熊本と東京を通勤しているわけです。汽車で帰るのです。その中で、四月十九日、熊本の駅頭におりましたところが、私の秘書が、先生、きょう川本さんが逮捕されました、こういうようなことを私に報告をいたしました。私は、朝駅に着いてそれをしょっぱなに聞かされまして、本当にショックを受けまして、そして、日本の政治の大きな反動化といいますか、そういう流れの音が聞こえたような気が、実は最初しました。そして環境とか公害行政のだんだん後退して流れているというような音も聞いたような気がいたしました。  一九七三年に、私が議員になりまして当初でございましたけれども、水俣病の患者さんたちがチッソ本社前に座り込みを含めた補償の自主交渉をやりまして、私はその補償協定のあっせんをしたわけでございますが、当時の三木環境庁長官、梅本事務次官、そして後に次官になりました当時の城戸企画調整局長、これは本当に患者の立場に立って援助していただきました。そういう援助もありまして、歴史的な補償協定が締結されたわけでございますが、いま水俣病患者で認定されておりますのは、皆この補償協定を希望して適用しておられるわけでございまして、この補償協定ができた機会に、健康被害の救済法から健康被害の補償法に変わりまして、この協定が補償法成立の非常に参考になってバネになったと私は思っておるわけでございます。そういうことを議員になって当初経験いたしました。  ところが、その片っ方に、実は当時自主交渉をやっておりました川本さんが暴行容疑で逮捕されまして、起訴されました。これについて、七七年に東京高裁の寺尾裁判長は、水俣病事件の悲惨さに比べれば、川本さんの行為などはささいなことだと、公訴そのものを棄却する判決が下されたわけです。この事実というものが、あの十九日の朝、熊本駅の前で秘書から川本さんが逮捕されたと聞きまして、音を立てて流れて去っていくような気がしてならなかったのです。  川本さんは、私はよく知っております。彼は暴力というような、暴行するような人間じゃないのですよ。私自身、暴力は絶対に行うべきではないと思いますし、私は子供のときから暴力をふるってけんかをしたことは一回もありません。彼は時に激しい言動があります。しかしこれは、東京高裁の寺尾裁判長が言ったように、水俣病の悲惨さのあらわれだと私は思う。表現できない悲惨さ、これが逆にこういうことで激しい言動になる。これは私は理解してやるべきだと思うのです。  さらに、私が音を立てて流れると言いましたのは、最近熊本で三つの裁判の判決があったんですよ。一つは、にせ患者事件に絡んで暴行したといって起訴された人が、懲役四カ月、執行猶予二年という判決が出たのです。もう一つは、四月十六日にあのヘドロ処理工事でゴーサインを出すような熊本地裁の判決が出ました。大臣、私は反動の公害行政の流れを聞いたというのは、環境アセスメントでもどんどん後退しておるでしょう、そういうことで、反動の環境行政が音を立てて流れておる。その流れに、川本逮捕というのはさらに一つの音を追加したというような気がしてならないのです。  これについて、まず大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  82. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生指摘の問題につきましては、私も事務当局から報告を受けまして、本当に言葉でもあらわせないようなショックと申しましょうか、深く受けたような次第でございます。水俣病認定審査会で棄却された方々のうち、四名の方から処分理由の説明を求められましたので、それらの皆さん方の御要望にこたえるべく、職員が説明に参ったわけでございますが、そのとき本田部長に対しましても、私は、よく理解を得るように親切に最善の努力をしていただきたいということを強く指示をいたし、職員の諸君はそれを実行してくださったものと信じておるようなわけであります。
  83. 馬場昇

    馬場委員 昭和五十五年の四月十五日に、いま長官が言われましたように、水俣市の文化会館において水俣病認定申請棄却処分に関する説明会があって、そこで逮捕事件が起こったわけでございますが、このことについて、四月二十二日患者さんの代表が水俣から来まして、本田保健部長以下の人と話し合いをいたしました。その話し合いの中で本田部長がいろいろのことを説明なさっておるようでございますが、私はまずそのことについて本田部長に確認をしておきたいと思うのです。時間が余りございませんので、こうだったですね、と私が言うから、はい、違います、というような形でぜひお答えいただきたいのです。  この水俣で十五日に行われました「説明会は、法律上の根拠はなく、当方の」というのはこれは環境庁でしょう、「申請者に対する行政サービスとして任意になそうとしたものです。」とあなたは答えておられますが、これはどうですかということが一つ。  それから二番目に、「従って、当庁は、説明会は申請者本人のみに説明したいと考えており、代理人の同席は御遠慮願いました。今後も申請者の代理人が同席している場合は、説明を致しません。」こういうことをおっしゃった。  第三点として、「にもかかわらず、四月十五日の説明会において、申請者宮島、島本、徳冨氏らは代理人である川本輝夫氏らの同席を強く望みましたので、当庁は同日の各氏らに対する説明会開催を諦めました。」  四番目に、「従って、四月十五日は、前記申請者三氏に対する説明会は開催しておりませんし、また各申請者の棄却理由説明を述べる段階には至っておりません。代理人を同席させるか否かの協議で終わりました。」  五番目に、「当庁は、今後適当な日時・場所にて改めて右申請者につき、説明会を行いたいと思います。」  六番目に、「当庁および職員は、四月十五日の件につき、警察に通報もしておりませんし、被害届も告訴もしておりません。今後も被害届、告訴をするつもりはありません。」  こういうことを部長は言われたと聞いておりますが、以上のとおりに確認していいですか。
  84. 本田正

    ○本田政府委員 それぞれにつきましておおむねそのとおりでございますけれども、ちょっとニュアンスが違うところがございます。それを説明させていただきます。  まず第一点の、今回の説明会の性格とでもいいますか、それは法的根拠はおっしゃるようにございません。あくまでも臨時措置法の運営が円滑に行われるという観点から行ったものでございます。  それから、代理人がいれば説明できないと言ったことも事実でございます。これは代理人といいますよりも、本人の症状に関することでございますので、本人だけに説明申し上げるべき筋であると解しております。ただし、その際に付添人がどうしても要るという場合には、付添人一人を認める、そういうことでございます。  それから、改めて今後こういった会を持ちたいということにつきましては、これは棄却された方々の申し出があれば、処分理由の説明をやるということについて検討したい、こういう意味でございます。  それから、いままで被害届を出したか出さぬかあるいは告訴したかということでございますが、それはございません。
  85. 馬場昇

    馬場委員 おおむね私が読み上げた点を部長が言われておるようでございます。これはぜひいま補足をされました点を含めて確認をしておきたいと思います。  そこで大臣、代理人問題についてあと一点質問して終わりたいと思うのです。  なぜ代理人を認めないのか。代理人を認めないといま部長は言いましたけれども、代理人は委任状を持っているわけですから、認めない法的根拠があるのかということを逆に聞きたいわけです。たとえば患者の実態を言いますと、寝たきり患者でしょう。この人は説明に行きたくたって出てもこれないということがございますでしょう。重症患者もそうです。そしてまた、こういう人たちは、長官、聞いたってわからないわけですよね、重症、寝たきり患者。たとえば言葉もわからない人もおりますし、言えない人もおるわけですし、本当にむずかしい言葉を言われたって理解できないという人もおるわけでございまして、結局、患者本人に説明したってわからないという状況がいっぱいあるわけですよ。そういうときには代理人というものが当然おってしかるべきだ。これがおらなければ本当に伝わらないということになるわけでございます。そうしてまた、皆さん方棄却の理由の説明に行かれるわけですから、これは医学用語が出てきたり法律内容が出てきたり――だから、そういうことがわかるような代理人をつけるというのは当然のことだと私は思うのです。何か代理人がたくさん来て混乱させるからいやだというような、そういう枝葉末節なことでもって、この本質的な、患者に本当に理解させるというような代理人を拒否するというのはおかしいと思う。そういう意味で、この代理人というのは必ず認めてください。こういうことについて長官の考えを聞きたい。
  86. 本田正

    ○本田政府委員 代理人というのは、これは法的に患者さん方のいわゆる代理人として、その資格等については何ら疑っておりません。ただ、事の性格上個人の症状に関することをお伝えするわけでございますから、むしろ代理人とかなんとかというのじゃなしに、どうしてもいまおっしゃったような例が私もあると思います。ですから、そういうときには付添人として一名を同行、同席いただくというわけでございます。したがって、その付添人を親、きょうだいとか親戚だけにしぼるのかどうか、もっと患者が希望する人にまで広げるのかどうかという問題だろうと思います。それにつきましては、私どもは付添人ということで検討していきたいと存じております。
  87. 馬場昇

    馬場委員 付添人と代理人、代理人はなぜ悪くて付添人はなぜいいか。法律的に説明をする、医学的に説明をするときには、本当に理解するような人を――たとえば医学的な問題に対して秘密もあるとかなんとか言うのですが、私のことについてあなたを代理人にしますから聞いてくださいと本人が希望するわけですから、付添人も代理人も、いま本田さんは大体同じだという意味のことを言うのですが、どうしても代理人という言葉を使わずに付添人という言葉を使うのがわからない。代理人というのは、やはり本人が希望すれば、あと代理人とどうするかという問題は別ですよ、交渉の仕方とか話の仕方とか。しかし、本人が言う代理人というのは基本的に認めるべきだ、これは大臣、どうですか。
  88. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  先生のお述べになっておりまする御意見、私よく理解できるのでございますが、何と申しましても個人のプライバシーに関する件でもございますので、お述べになりました御意見も踏まえてひとつ検討させていただきたいと思います。ひとつよろしく……。
  89. 馬場昇

    馬場委員 検討と言っても、こんな単純な問題を検討しなきゃならぬと言ったら、そこらがさっき私が言った環境行政のものすごい――私はここで言うのですが、信頼関係というのはそういうところからなくしてもめごとが起こるのですよ。こんなことは当然でしょう。人間だれしも私の代理人はこれですといつも委任状を出してやるじゃないですか。こんなのに代理人だとか付添人だとか、そんなばかなことを言うから信頼関係をなくして、もめごとが起こって逮捕問題なんかが出てくるのですよ。そういうことですから当然――交渉の仕方なんかはルールをつくりなさいよ、話し合えばいいのですから。基本的なこういうことはやはり認める。そこから信頼関係が出てくるのですよ。だから、認めるという方向で検討してください。
  90. 本田正

    ○本田政府委員 症状を説明するに際して、患者が希望する人を付き添わせるという意味で申し上げておるのであって、患者が希望する人であれば付き添わせたい、そういう方向で検討いたしたいということでございます。
  91. 馬場昇

    馬場委員 患者が希望する人を付き添わせたい、一緒に置きたいということで検討すると言うのですから、名前は代理人にしてください。  終わります。     ―――――――――――――
  92. 河野正

    河野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、日本道路公団理事大島哲男君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 河野正

    河野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  94. 河野正

    河野委員長 質疑を続行いたします。木原実君。
  95. 木原実

    木原委員 昼食抜きで引き続いて御苦労さまです。  きょう私は、大型幹線道路の建設に伴う環境整備の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。特に、自動車公害と言われるような問題につきましては、今後の環境行政の上でも大変重要な柱になってきているのは、これはもう申すまでもないことだと思います。そこで私は、きょうは具体的な事例を挙げて環境庁並びに建設省にお尋ねをしたいわけですが、問題は、東京湾岸道路と言われる道路に関する問題でございます。  当委員会におきましても、すでに先般同僚の小川国彦議員が詳細に質問を行いましたし、また先般参議院におきましても赤桐操議員が再度にわたって質問をしたと承っております。しかし、いずれも満足のできる答えをいただいていない、こういう感じを持っておるわけでございます。問題なのは、湾岸道路建設に伴う事前環境影響調査が、私どもから見ましてまことにずさんであって、そのために適切な環境対策が行われないまま工事が進められている。そのために沿道の住民の方々の不安が大変深刻に広がっているという状態があるわけでございます。  したがいまして、初めに承っておきたいわけでありますけれども環境影響調査の予測が十分でなく、したがってそれに基づく対策もまた十分でないとすれば、そういうことが明らかになれば、あるいは調査をやり直し、その上に立って必要な対策をつけ加える等の措置ができるのかどうか、これはひとつ建設省にしかと承っておきたいところであります。心構えをひとつ聞かせてもらいたい。  それからまた、環境庁は不備な環境調査については、環境保全立場から工事当事者である建設省なりあるいは道路公団等に対して必要な勧告等の措置を行うことができるのかどうか、この点もひとつ長官の御意見を承っておきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  96. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  東京湾岸道路の環境影響調査は、昭和四十七年六月六日の閣議了解事項であります「各種公共事業に係る環境保全対策について」に基づきまして昭和五十三年七月に出されました「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」の建設事務次官通達に基づく「環境影響評価技術指針(案)」及び同年十月に出されました「技術指針細目・道路事業編(案)」に沿って騒音、NO2の予測等を行ったものでありまして、五十五年一月五日にその結果を千葉県にも送付しておるところでございます。  その内容は、騒音、NO2について地域環境の現況を把握するとともに、東京湾岸道路が供用された場合に地域環境に与える影響を予測し、必要な環境対策を検討したものでございまして、現時点において技術的にも妥当な内容であるというふうに考えております。
  97. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  木原先生は特にこの交通公害問題に対しまして深い御関心をお持ちになり、いろいろ御協力をいただいておることに対しまして、深く敬意と感謝を表する次第でございます。  私は、両院の委員会等におきましても、しばしばこの交通公害問題は一九八〇年代のわが環境行政の重要な柱であり、また大きな社会問題であります、さようなわけで私は真剣にこの問題と取り組んでまいりますということを強く訴えておるのでございますが、先生指摘の東京湾岸道路の問題につきましては、両院におきましてもすでに何回となく取り上げられておる問題でもございまして、私はお近くの埼玉県でもございますので、私なりに深い関心を持っておるような次第でございます。  現在、地元、千葉県、それから市におきまして鋭意検討がなされておると承っておるのでございますが、その検討の結果につきまして、地元、県、市の方から御要請等がございましたならば、この技術的な問題につきまして助言等を行ってまいりたい、かように考えております。
  98. 木原実

    木原委員 いま長官から大変懇切にああいう御答弁をいただきましたけれども、建設省、あなたは私の質問に答えていないわけです。妥当だとあなた方はおっしゃっている。われわれは妥当でない部分が余りにも多過ぎる、こういうことで繰り返し議論をしてきたわけです。ですから、私が聞いておるのは、調査が不十分だ、あるいはいろんな間違いがあるとか、そういうものが明らかになった場合には調査をやり直す用意があるのか。それからまた、当然この調査に基づいて環境対策をやってきたはずですから、その環境対策も当然見直してしかるべきだ、論理的にそうなると思うのですが、そういう用意があるかどうかということを聞いているわけなんです。だから、あなたが妥当だと言い張ってしまえばそれですべては終わってしまうわけなんです。どうですか。
  99. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  道路を建設する場合、膨大な資金が必要でございますし、関係するところ、いろいろ及ぼす影響も非常に多うございますので、私たちとしては入念な調査、さらにいま申し上げました環境アセスメントを行いまして、現状における最大の努力を払い、また科学的予見に基づくありとあらゆるものを総合的に勘案した上で実施しておるものでございまして、これが誤りであるとかいうような、そういう懸念があるような場合には決してそういうことをしないというたてまえでございまして、ありとあらゆる手法を講じて、万全の策を講じた上、環境保全に十分対応できるということで実施したものでございますので、そのことを御理解いただきたいと思います。
  100. 木原実

    木原委員 これは御理解できないからきょうもこうやって質問をしなくちゃならない羽目になっているわけです。先ほども申しましたように、この委員会でも同僚の議員が詳細な質問をした、あるいはまた参議院でも先般来赤桐参議院議員が質問をしている。そのあれを見てみますと、余りにもあなたの方でも答えられない問題が随所に出てきているわけですよ。     〔委員長退席、馬場委員長代理着席〕 だから、あなたが万全を期して大変な力を注いでやった調査そのものが大変にずさんなところがあるから、あるいは答弁に困ったりあるいは平仄が合わなかったり、そういう問題が現に出てきているわけですね。だから、あなた方がそう言うものだから、きょうもまた私はあなたたちの出した調査に基づいていろんな問題を指摘しなくちゃならぬ、こういう形になっているのです。ですから、あなたたちがあなたたちの立場を強調されるのは結構ですよ。結構ですが、われわれの言っていることについても十分に耳を傾けてくれないとここの議論は成立しないわけですね。ですから、絶対に正しいんだと言い張るわけですけれども、それならわれわれの方は絶対に間違っていると言って答えを返さなくちゃなりません。ただ、私はそういうことではなくて、その前提として、そうであっても、神様ではないのですから間違いもあるでしょうし、その後の状況の変化というものもあるいはあるかもわかりません。ですから、そういうものに対しては、謙虚に耳を傾けるところは耳を傾けて、その上で間違っている部分があれば、その部分については調査をやり直すとか、あるいはまた対策についても見直すだけの用意がある、そういう立場をとってくれないと、あとはもう全部不毛の議論になりますよね。それでは建設省のやった調査、その結果、対策、それが万全だと言って、ある意味では行政のあなたの方の立場を押しつけることになるじゃありませんか。議会のわれわれの言論に対して耳を傾けないということになるじゃありませんか。その姿勢はどうです。
  101. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  いま私たちのやっておることについて、トータルコントロールとかいろいろな手法を使ってしておるわけでございますが、それは十年、二十年後の将来において、経済、社会の変化ということで予測していたものと相違するというようなことがもしあったとした場合、環境上については築堤なりあるいは防音壁とかいうようなもので、その時点において新しいアセスメントをし、またそれに適した対策を講じていくことになると思います。
  102. 木原実

    木原委員 私は将来のことを聞いているわけじゃない。将来はいろんな変化も予想されるわけですから、それに対応しなくてはなりませんよね。だけれども、あなたたちが現にやってきたことに、あなたたちが万全だと言っていることについて私たちは大変に疑問があるわけです。それとも課長、あれですか、あなたの権限ではそれ以上のことは答えられないということなんですか。
  103. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  権限とか権能ということではございませんで、私たちいままでやってきた調査結果等を総洗いして、何人も専門家が集まって検討した上の結果を申し上げておるところでございます。  しかし、当該地域環境につきましては、現在公害調停委員会で審議をしておることでもございますし、そういう審議の結果や、あるいは先般、先生の方にもお渡ししたかと思いますが、北千葉における広域シミュレーションを実施しておりますので、そういうデータを県の方に提出しておりますので、県の方でもそれを踏まえて、さらに固定発生源等も付加した形でのいろいろ検討もしておられますので、そういう意見等も出てまいりますれば、そういうものを踏まえて、環境保全に努めてまいりたいというふうに考えております。
  104. 木原実

    木原委員 少しずつ御発言が後退するわけですけれども、広域シミュレーション、私もいまいただいております。何というのでしょうか、検討すればするほど、私どもの方からしますと問題が出てくる。繰り返してくどいようですけれども申し上げているのですが、そういう議論をする前提としてもう少し――皆さんがおやりになった仕事ですから、不備でございますということは言いにくいかもわかりません。しかし、ここは国会の場ですから、現にこの問題について大変詳細な論議が参議院でも行われ、当委員会でも行われた。その上なおかつ私がこれから幾つかの問題を指摘しなくてはならない。私たちはこの場で何か空論をもてあそぶような結果になることを望んでいるわけではないのです。この場で、私ども指摘をしたり質問をしたりお答えを願ったりしている問題は、耳を傾けてもらって、やはり不備なところについてはできるだけの努力をいたしますとかあるいは誤ったところはやり直しますとか、こういう姿勢があなたの方になければ、議会と行政の関係などというものは成り立ちませんよ。ですから、その姿勢をまず聞いておかないと、これからの議論に入れない、こう思うのですが、いかがですか。
  105. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  いま申し上げましたように、いろいろの問題があれば、そういうものに適切に対応して環境保全に努めてまいることは当然だと思います。ただ、いままで私たちもいろいろなことを聞いているのですが、いろいろ検討した結果、いずれも矛盾を来していない、妥当なものであると考えております。
  106. 木原実

    木原委員 一言多いというのはそのことなんです。そういうことを言われると、私ももっと言わなくてはならなくなるのです。あなたの方は道路をつくるのだ、その使命感に燃えてやっておられるのですが、私どもいままでも繰り返し申し上げておることは、どんなりっぱな仕事をやりましても、いまはりっぱな道路ができても、そのことによって大きな国家的な利益を得られる部分と、しかし、同時に盾の半面というものが絶えず伴うわけです。ですから、たとえば道路をつくる仕事はりっぱなことですけれども、それだけでは済まないというので、たとえば環境庁という役所ができて、ある意味で環境保全との完全な調和を図りたいということで、長官も、道路の開通に伴う自動車公害は、いままでもそうですけれども、これからなお大きな環境対策の柱になっておるというふうに言われておるわけです。  だから、あなた方のやられた環境対策は万全だと自信を持つのはよろしいのですけれども、しかし、同時にさまざまな住民の皆さんの意見や関係機関の意見やあるいはまたわれわれの意見についても耳を傾けて、やはり間違っていた部分については保全のためにできるだけの努力をして、改善すべき点は改善をしていくんだ、こういうことをきっちり言ってくれないと、後の一言多いようなことを言われると、これまたこんちくしょうということになりますから、もう一度姿勢を言ってください。
  107. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  先ほど来申しましたように、公害調停委員会意見あるいは県の意見あるいは各般のいろいろな御意見については、謙虚な気持ちで検討した上で、いろいろ措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  108. 木原実

    木原委員 入り口で余り時間を取り過ぎますと、あとの問題がむずかしいのですが、長官にもひとつお願いしたいのです。  問題になっておる地域のことでございますけれども、御参考までに申し上げますと、これは千葉市の真砂あるいは検見川、幕張、稲毛、それから船橋市の若松町といったような地域を大きな道路が通ることになっているわけです。いずれも大変公害汚染度の高い地域でございまして、いち早く基本法に基づく地域指定が行われているところなんです。もう少し申し上げますと、船橋というところは、もうすでに自動車からの窒素酸化物の排出量が工場からの排出量を上回っているという状態になっているわけです。千葉県は、計算によりますと、すでに五〇%以上自動車の排出量が占める状況になっておるので、工場等の固定発生源が仮にゼロになっても、千葉県が策定しておる枠の達成はほとんど困難だ、こういうことを繰り返し公表しておるような地域なんです。そういう地域でございますから、いわゆる総合的な施策を講ずる責任が政府の側にもありますし、建設省としましても、都市計画法に基づいて公害防止計画に適合するような最大の努力をする法律的な責任がある、こんなような地域なんです。それだけに、そこに大変大きな道路が通るわけですから、これはもうだれが見ましても、新しく増加する車の交通量、いろいろなことを計算いたしまして、車公害が非常に激甚になってきて大変なことになるのではないか、こういう心配をするのはむしろ当然であるといったような地域なんです。そんなような地域であるということをひとつ長官お含みをいただきたいと思います。  したがいまして、私は先ほど来、建設省の行った調査が不十分じゃないかとかいろいろなことを申し上げましたが、その判断をする基準は、そういう地域ですから、果たして県の公害防止計画に適合できるような対策を講じているのかどうか、こういうことですし、それが私どもの最大の疑問とするところですし、争点になるわけですね。     〔馬場委員長代理退席、委員長着席〕 建設省の方は繰り返し、いや大丈夫です、こう言っているのですが、大丈夫だと言うその根拠になっておる調査そのものの中に大変な矛盾や撞着や、言葉は悪いですけれども、ごまかしめいた数字の遊びなどもあるということがあるものですから、私どもとしては、少なくとも県の公害防止計画に適合できるのかとどうかということを中心にして建設省の考え方をただしてまいりたい、こういうことなのでございます。  逐次入っていきたいと思うのですけれども、そういう地域に少なくとも十二万台から十三万台の車が走行するわけですから、これは素人が考えましても、たとえば住宅地域において大気汚染の問題を解決するのは事実上ほとんど不可能ではないかといったような悲観的な気持ちも私どもにはあります。新しい道路ができますと、いま申し上げましたような地域では交通量が十倍になる地域があります。あるいは倍になる地域があるわけです。その上に湾岸道路沿いの埋立地域で現在更地のままになっているところがありますけれども、その地域にはいろいろな施設等が相次いでできる計画があるものですから、それができ上がりますと、建設省が試算をいたしておりますけれども、ほぼ一日二十二万台の車がふえることになるだろうといったようなことがもうすでに予測されているわけですね。そういう状態なんで、ここで再度念を押したいわけですけれども、そういう状態の中で、建設省はなお都市計画法に基づく県の公害防止計画に最終的に適合できる、それを守る、こういうことについての判断はどうですか、狂っておりませんね。
  109. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  先生いま埋立地から合わせて二十二万台ほどの車が発生するということでございました。これは交通量というよりも発生交通量でございまして、こういうものの大部分はゾーン内の内内交通量でございます。このうち遠方に行くものは配分計画の中で湾岸道路等の道路を通っていくというようなことで、いま先生おっしゃられましたような交通についても十分加味した上で広域シミュレーション、これは広域シミュレーションと申しましても、実は自動車だけでございまして、固定発生源のものはしておりませんが、そういう形の中から見ても、五十三年度に行われているわけでございますが、排出ガス規制の行われた車がこれから順次多くなっていくわけでございますので、そういう効果によって将来十分対応していけるというふうに考えております。もちろんガスにつきましては、固定発生源からも相当量出るわけでございますので、この千葉の臨海地域公害防止計画の目標を達成するためには、適正な土地利用あるいは固定発生源対策なども含めた総合的な対策も必要であるというふうに考えております。
  110. 木原実

    木原委員 その問題につきましては、後で詳しく私ども見解を申し述べたいと思いますけれども、東京湾岸道路環境調査報告書というのをいただきましたが、粉じんの問題があります。それによりますと、浮遊粒子状物質、粉じんは道路から三十メートルぐらい離れると環境基準は超えない、将来とも超えない、こういうふうに説明をされているのです。私は環境庁担当者にお伺いしたいのですが、一日三万台以上の自動車の交通量がある道路沿道でも、沿道排ガス測定結果は、実際にそのように把握しているのかどうか。特に問題の環七とかあるいは国道四十三号線といったようなところの実情もあると思うのですが、この調査報告書が言っているように、道路から三十メートルぐらい離れると環境基準は超えない、将来とも超えない、こういう説明は、それで満足できるのかどうか、御見解を聞きたいと思うのです。
  111. 三浦大助

    ○三浦政府委員 この調査報告書なるものを私どもまだ見ておりませんので、報告書については何とも申し上げられませんけれども、浮遊粒子状物質、こういうものは道路から三十メートルぐらい離れると、という御質問でございますが、私ども浮遊粒子状物質についてはやっておりませんが、一般的に汚染物質というものは距離減衰いたしまして、大体三十メートルぐらいになりますとかなり減衰してくる。これは気象条件とか排出の形態、それから周辺の建造物によって違いますけれども、大体三十メートルぐらいだとかなり減衰してくるというデータは、浮遊粉じんそれから窒素酸化物についてはやってございます。御指摘の浮遊粒子状物質については、これは十ミクロン以下という非常に細かいものでございまして、まだその辺の確認をしてございません。
  112. 木原実

    木原委員 環境庁の方で粉じんについても何かりっぱな調査をやっておられます。自動車排出ガス測定結果報告というのが五十三年度で出ておりますけれども、まあそれはいいでしょう。  一般的なものとしては、満足する度合いというものが非常に低い。パーセンテージで全国規模でどのくらいですか。
  113. 三浦大助

    ○三浦政府委員 道路の沿道の浮遊粒子状物質の環境基準達成状況というのを申し上げますけれども、五十三年度におきまして、長期的評価によります環境基準を達成した測定局というのは、これは少ないのですが、全国で九測定局ございますけれども、一局だけでございます。それから一日三万台以上の道路沿道の八測定局で環境基準を達成した測定局というのは一局だけでございます。それから御指摘の国道四十三号線、環七沿道につきましては、これは測定しておりません。
  114. 木原実

    木原委員 そうですね。お答えいただいたように、何か名古屋のテレビ塔の下一局だけがほぼ満足だ。私は自動車から排出される粉じんの問題については、これは大変深刻な問題があると思うのです。御存じのように、ある意味では野放しになっているという側面がありますし、それから最近はディーゼル車等もふえているとか、少なくとも粉じんに類するものが大量に排出される条件というのは必ずしも減っていない、そんなような状況があります。ですから、粉じんという部分をとりましても、大きな道路ですから、そこから三十メートルも離れれば大丈夫だ、将来とも大丈夫だ、こういうふうにほぼ断定的に言うことができるのかどうかということについては、これからの課題ではないかという感じがするわけなんです。いかがでしょうか。
  115. 三浦大助

    ○三浦政府委員 先生指摘のように、結論的にはこれからの課題ということが言えると思いますが、この自動車から排出されます粒子状物質の対策と申しましても、自動車の運行に伴って発生します粒子状物質といたしましてはいろいろございまして、道路から巻き上げるもの、あるいはディーゼル排ガス中の黒煙、それからのタイヤの摩耗の微粒子、こういうものがいろいろございます。この中でディーゼル黒煙につきましては、これは昭和四十七年から汚染度五〇%の規制を実施してきておるところでございまして、これは本年度からこれの本格的な調査の実施に入りたいということで、本年度予算で四千二百万円計上してございますので、この点につきましては、御指摘のとおりこれから本格的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  116. 木原実

    木原委員 お答えによりますと、建設省の方は科学的に万全の調査をした、こう言うのですが、三十メートルの問題をとりましても、大変基礎が不安定な判断ではないかという感じがするのですが、いかがですか。
  117. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  先生いまおっしゃられました環境アセスメントのちょうど二十七ページに記載しておりますデータは、昭和五十一年に京葉道路の市川市の二俣におきまして二酸化窒素、一酸化炭素及び浮遊粒子状物質について連続五日間測定した結果を道路の横断方向における各物質の濃度分布として示したものでございます。このうちの浮遊粒子状物質については、道路端では濃度が高くなっております。これは環境基準より上回っておりますが、道路から離れるにしたがいまして濃度は減少し、道路端から風下側三十メートル離れた位置では、道路端の濃度よりも相当減少しまして、浮遊粒子状物質の環境基準である一時間値の日平均値〇・一ミリグラム・パー・立米を十分に下回るような結果が出ております。  私たちも、このように現在ある道路等からいろんな測定を行い、そういうものを踏まえながら環境予測等をさせていただいておるわけでございます。
  118. 木原実

    木原委員 私は環境庁にひとつ注文を申し上げたいのですが、私の問題にしている地域は、現在でもすでに高濃度の全国でもトップレベルの汚染地域だ、こういう形になっているわけです。したがって、総合的な公害対策を立てる必要がある。法律によりますと、国の責任で財政的措置を含めて総合的な施策をとる。つまり固定発生源の対策だけでなくて、自動車を含むその他についても対策を立てる必要がある。ところが実情は、総合対策なるものが必ずしも、十分どころかほとんど行われてない状態がずっと続いているわけです。ですから、そうなりますと、何と言いましょうか、環境庁のと申しませんけれども環境庁を含めまして、将来にわたって行政責任が残るのではないのか。総合対策がないままに大量にふえる自動車、それが当然予測される新しい道路が開通するわけですから、どんなに考えましても、それで大変空気がきれいになると公団等は申しておるわけですけれども、私どもとしては、総合対策がある意味では怠られたまま、さらに公害の発生源を追加的につくり出す、こういう形になっていくのですが、総合対策を進めるという問題についてはどんなふうにお考えですか。
  119. 三浦大助

    ○三浦政府委員 先生指摘地域は、もういろいろ委員会で問題になってきたところでございまして、たとえば窒素酸化物で申し上げますと、これはもう環境基準の上限すれすれのところまできておりまして、私どもとしましては非常に重要視しておる地域でございます。  これの総合対策でございますが、たとえばNOX対策について申し上げますと、昨年、私ども地域区分をいたしまして、現状より悪くならないようにということで、現在総合的に千葉県の方で検討が行われておるわけでございます。これはもちろん移動発生源対策あるいは固定発生源対策、それぞれ含めまして総合的な対策を立てるべく、いま千葉県の方で検討しておるという話を聞いておりますので、その結果を待って、私どもまたいろいろ相談していきたいというふうに考えております。
  120. 木原実

    木原委員 いずれも問題が将来に持ち越されたまま、しかし、新しい道路の建設は大丈夫だということを旗印にして進んでいるような状態があるわけです。  ここでちょっとあわせて環境庁にお尋ねをしたいのですが、いま私が問題にしました粉じん対策、集じんの技術開発と申しましょうか、新しい技術について環境庁の方ではいろいろ調査をなさっているという話を聞いております。私も技術的なことは素人ですからわからない部分が多いわけでありますけれども、たとえば発電所のばいじんは電気集じん機等で大変効率のいいものができているとか、あるいはろ過集じん機といったようなものがあって、これも大変性能のいいものは電気集じん機と同等の効率を持っているとか、あるいは硫酸のミストはこのような集じん機でできるものかどうか、その辺が少しわからないところがあるわけですが、お示しをいただきたいと思うのです。  それから、湿式の電気集じん機といったようなものがあって、これは排水処理が必要だというのですけれども、一般的に乾式の電気集じん機よりも効率がいいとか、いろいろな新しい集じんのための技術の開発が行われているといったようなことを聞いているわけなんですが、そういう技術の関係についてひとつお調べになっておるところをお示しいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  121. 三浦大助

    ○三浦政府委員 電気集じん機の効率のお話だと思いますけれども、大体電気集じん装置の集じん効果というのは、一般的に申し上げまして七〇%から九〇%ぐらいとお考えいただいて結構だと思いますが、ただ、いま発電所で使用されているようなものはほとんど九〇%超えておるのが実態でございます。あるいはろ過集じん装置の集じん効率というものにつきましては、これも九〇%以上とお考えいただいていいと思いますが、これについてはまだ大規模なものがございません。  それから、硫酸ミストのお話でございますが、こういうもので硫酸ミストまで除去できるかどうかというふうな御質問と思いますけれども、この点につきましては具体的な調査がまだ行われておりませんので明らかになっておりません。  それから、湿式の電気集じん装置でございますが、これは排水処理の問題もございますが、まだ実用例がございませんので、いまちょっとここでお答えしかねると思います。
  122. 木原実

    木原委員 私がお聞きしたがったのは、いまおっしゃいましたように、たとえば電気集じん機ですと九〇%近くの効率がある。それからまたいろんな技術開発が行われまして、これから先はひとつ建設省にも聞きたいのですが、建設省もいろんなトンネル、たとえば伊那谷のトンネルとかいろんなところにそういう新しい技術を適用して現にやっておるわけですね。どうですか。
  123. 大島哲男

    ○大島参考人 ただいま道路公団で管理しております道路の中で、集じん機を設けておりますのは日本坂トンネル、それから中央道の鳥山のシェルターにございます。そのほか現在計画中のものとしまして、北陸道の敦賀トンネルの二期線、それから恵那山トンネルの二期線を考えております。これらはいずれも視距と申しますか、見通しの確保のための用いられ方が重点になっております。
  124. 木原実

    木原委員 それらの技術を適用しまして、二次公害は発生しませんか。
  125. 大島哲男

    ○大島参考人 ただいま申しました設置されております場所は、いずれも山間部でございまして、そういう個所におきましては、いわゆる二次公害というようなものは周囲には発生しておりません。ただ、日本坂などでは周辺の果樹園に多少の影響が出ております。
  126. 木原実

    木原委員 集じんの装置についてもいろいろ効率の高い技術というものがあり、それからまた、現に、おっしゃったように、幾つかのトンネル等にそういう技術の装置が適用されている。私がお聞きしたいのは、いままで私が問題にしている地域の対策については、たとえばそういう集じん装置があるにもかかわらず、その種のものは二次公害があって適用できない、こういうことをしきりにあなた方は強調されてきたわけですね。ですから、私どもは、何とか最小限度に沿道の被害を食いとめるためには、そういう技術も適用する道があるのではないのかというようなことをいままでも述べてきたことがあるのですが、あの地域にはそういう新しい技術や新しい集じん装置は二次公害等があって適用できないのですか。つくる、つくらないは別にして、やるとすれば、そういう集じん装置も導入することができるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  127. 大島哲男

    ○大島参考人 あの地域は、非常に長い地域でございまして、かつ、現実に広範囲に浮遊粒子状物質がございます。それを道路に沿ったところに設置しまして、周辺の全体の浮遊粒子状物質をきれいにしようというのは大変無理なことかと思います。
  128. 木原実

    木原委員 それがわからないのですがね。道路部分についての、たとえばシェルターをかぶせて、そこに集じん装置をつける、長いといっても三キロぐらいでしょう。しかし、皆さんがやっているのは、大変にもっと長距離の隧道等に導入しているわけですからね。
  129. 大島哲男

    ○大島参考人 先生のいまおっしゃいましたのは、あの地域の三キロぐらいの部分に適用したらどうかという御趣旨かと思いますが、ただいま沓掛課長が答弁されましたように、私どもの実測結果では、道路端から三十メートルばかり離れますと、急激にそういう粒子状物質の影響が下がってまいります。そういうことでございますので、浮遊粒子状物質に対しては、そういうことは考えておりません。  また、窒素酸化物でございますけれども、これは工場などでは非常に大量の、たとえば一〇〇ないし五〇〇PPmという大きな濃度の窒素酸化物に対しましては、脱硝装置などが適用されておりますけれども、道路については現在のところ無理かと思います。
  130. 木原実

    木原委員 これは技術的な問題ですから、やはり別途少し議論をする機会を持ちたいと思うのですが、しかし、少なくともそういう技術が存在をし、それからまた、その気になれば適用の可能な状況というのは、ほかのところでは少なくともできているという姿はあるわけですね。
  131. 大島哲男

    ○大島参考人 先ほど説明いたしました二、三のトンネルについてはそういう適用をやっておりますが、現在の湾岸道路につきましては、高速部についてはその必要はないものという、私どもの予測結果を考えましての結論でございます。
  132. 木原実

    木原委員 次に移りたいと思うのですけれども、皆さんのやられた調査報告によりますと、固定発生源の昭和六十年における排出量は現状と全く同じだと指摘をしているのが九十ページのところに記載されているわけです。これはもう皆さん御存じのように、その周辺には、先ほどもちょっと触れましたように、五十七年には京葉線が開通するとか、そうなると駅もでき、商店もでき、あるいはビルもできる。あるいは工場のできる地域もあります。下水処理場もできます。あるいは清掃工場や東洋一のショッピングセンターができるとか、レジャー施設ができるとか、あるいは大学その他の学校ができるとか、広大な埋立地に新しい発生源ができることは当然わかっていることですね。その部分は算入しないのですか。
  133. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  先生のお手元にお届けいたしました、いまのアセスメントを実施した際におきましては、固定発生源は現状と同じということにいたしております。これは移動発生源の方も自動車の排出ガス規制によりまして排出ガス濃度を減少させるいろいろな方法がとられるわけでございますので、固定発生源の方においても、そういう努力をするなどの総合的な対策によって、この環境基準が達成されていくものというふうに考えております。
  134. 木原実

    木原委員 大変こだわるようですが、これだけのものがプラスされるわけですから、現状と同じというのは、これは努力目標なんですか。それとも、努力目標を前提にしてこの調査には算入しない、何か数値の問題を、少しばかり期待感でもってもてあそんでいるような気がするのですが、どうですか。
  135. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  やはり環境基準というものは、その環境基準にかかわりますそれぞれの分野において最大の努力をして達成されるものでございまして、たとえばNOXについて言えば、固定発生源の方がどんどんふえていくということになりますと、これは車は全然通れなくなるわけでございますので、一応私たちとしては、現在の固定発生源はふえない、その中で移動発生源の方が排出ガス規制等の効果によってそういうものを減少させていく、両々の努力によって達成させるべきものであるというふうに考えております。
  136. 木原実

    木原委員 そうすると、これは科学的な調査だとおっしゃるのですけれども、努力目標を加味した調査ということになりますか。
  137. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  いま先生の努力目標かということでございますが、将来においてそういうふうなよりよい環境が築かれるためにありとあらゆる努力をなすべきものであり、そしてこの環境基準は達成されていくものであるというふうに考えております。
  138. 木原実

    木原委員 どうも大変科学的で万全を期したというのですけれども、私どもから見まして、これは計画の中に入っているわけですから、新しい状況の変化というものが十分に予測されるわけですね。だから、科学的であり万全であるならば、当然新しい発生源に対して将来どの程度の寄与率になるのかということを割り出さないと、対策が立たぬじゃありませんか。
  139. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  県の行っております広域シミュレーションによりましても、昭和六十年度における新増設を含む企業計画と、それから交通量、自動車排出ガス規制効果等を前提として予測した結果におきましても、いま私が申し上げましたように、それぞれの分野において努力した結果、固定発生源についてはほぼ変わらない。そういう中で、自動車排出ガス規制の効果があらわれて、交通量がふえても、全体としては環境基準が達成されるということになっております。
  140. 木原実

    木原委員 どうもわからないのですがね。いまちょっとおっしゃった広域シミュレーション、もう時間がなくなりましたので、一、二だけ指摘をいたしておきますけれども、私どもがいただきました広域シミュレーションを検討いたしましても、これは私みたいな全く素人にでもおかしいなと思うところがいっぱいあるわけです。  たとえば、広域シミュレーションの船橋地区のメッシュのところなんですが、一日一万三千台の交通量、これが四十九年当時走っていたということなんですね。これは主として三百五十七号線、その汚染が一一PPbだ。ところが、排ガス規制の効果が見込まれた昭和六十年も、東関東自動車道が八万二千台の走行がなくても同じ一一PPbだとしている。そしてこの東関東自動車道が供用されますと、ケースAというところの予測値の一〇・五PPb、つまり現在の国道三百五十七号線の交通量一万三千台の十倍の十三万台の交通量になると、逆に一一PPbよりもきれいになるという計算値が出ているわけですね。これはどう考えましても、これもまた努力目標を加味されたのかどうかわかりませんけれども、私ども素人には、ともかくこれだけ交通量がふえて四十九年当時と同じだ、こういう計算値が出てくる根拠というのがよくわからないのですが、どうですか。
  141. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  最初に、この広域シミュレーションについて簡単に御説明いたします。
  142. 木原実

    木原委員 ちょっと待ってください。私の持ち時間がなくなりましたから答弁はよろしいです。それらの問題については別の機会にまたただすことにいたします。ただ、そういう問題、私、幾つか目についたところを拾い出してみるのですが、いずれにいたしましても、素人目で見ましても大変に矛盾、撞着があり過ぎる、こういう問題があるということだけここで指摘をいたしておきます。その回答はまた別の機会にいただきます。もう時間がなくなりましたので、そうしてください。  ただ、私は申し上げておきますけれども、せっかくあなたが科学的だとおっしゃる調査も、実際の姿は、いろいろ聞いてみますと、そんなことを言いたくありませんけれども、でたらめ過ぎますぞ。ある調査会社に対しては、何というのでしょうか、あらかじめ数字を示すようなことをして、それに適合するような数字を要求をしたり、現にそれを拒否した会社があるということも聞いております。それは風聞であればよろしいのですけれども。ですから、何かそういう話を、われわれの耳に入ってくるぐらいな問題がありますと、こういう議論をするのがむなしくなりますよ。ですから、課長がそういうところまで掌握しておるのかどうかわかりませんけれども、ここで私は、たとえば広域シミュレーションについても大変に私どもは理解できない、あるいは理解のしにくい、明らかに間違っているのじゃないかと思われるような数値がいっぱい挙がっているということだけ指摘をいたしておきます。その回答は別の機会にいただくようにいたします。  もうすっかり時間がなくなりましたので、最後の問題に移りたいと思うのです。  一つは、あわせて伺っておきたいんだが、きょうは法制局からも出向いていただいておるわけなんですけれども公害対策の中で重要な機関だということで法律によって制定をされ、あるいは県等の条例によって運営をされておる公害審査会のことなんです。これは一般的なことでお答えをいただきたいのですが、この大事な公害審査会の運用という問題が、これは結果論ですけれども、大変に事実の誤認、悪い言葉で言えば、ごまかしたりうそをついたりして、事実関係を取り上げないで、そして調停を住民に押しつけるといったような結果が幾つかあるわけなんです。具体的なことはここで申し上げなくてもよろしいと思いますけれども、たとえば広域シミュレーション、いま問題にしておりますけれども、この広域シミュレーションなんてものはやってない、ない、こう公害審査会は言い張ってこれを取り上げなかったとか、幾つかそういう顕著な形のものが出ているわけです。私は、法律や条例に基づいて行われる公害審査会というのは、本来権威がなくてはならぬと思うのですが、その運用についてなすべきことをなさないで、何といいますか、十分な話し合いをしないで、ある意味では一方的に打ち切って調停を押しつけていく、こんなような運用が行われておりますと、制度運用の根幹にかかわる問題だ、私はむしろそういう不安を感じるのですが、制度運用の問題について法制局の見解をひとつ聞きたいと思います。
  143. 関守

    ○関(守)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま公害紛争処理制度の運用の問題ということでございますが、先生指摘ございますように、「この法律は、公害に係る紛争について、あっせん、調停、仲裁及び裁定の制度を設けること等により、その迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。」ということになっておりますので、その正しい制度の運用が図られるべきことは当然であろうと思います。ただ、調停でございますので、その効力いかんというような問題になりますと、これは民法の和解の契約と同じような効力を持つというようなことで一般的には言われておるというふうに考えております。
  144. 木原実

    木原委員 せっかく公害対策環境保全の問題ということでいろいろな法律ができ、制度ができ、それが運用をされ始めているわけなんですが、それにはやはり環境行政というものは、どうしても被害を受けられる立場の国民のサイドに立っていろいろな問題に必要なチェックを加えていく、あるべき保全の方向を示す、そのために、これに伴う諸機関は、やはりその姿勢というものは一貫をしていなくてはならぬ、こういう感じがするわけです。仮に意見が対立をしましても、そこはやはり住民サイドの意見が十分に採用をされて、そしてベターな解決のめどを見出すといったふうに運営をされなければ、環境行政なんというものは途中で死んでしまうという感じがいたします。これは私の感想でございます。  もう時間がなくなりましたので、最後にひとつ長官にお伺いをいたしたいわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、この地区は大変に公害のメッカのような状態のところでございます。そこで最後に残ります問題は、何といいましょうか、公害防止計画を策定し、それに伴って必要な総合施策を講じていくという責任は、やはり最終的には国の方にありますし、環境庁にあると思うのです。したがいまして、将来にわたって未然防止をしていくために必要な措置をとらなければならないのではないかと思うのです。私どもがいま展開しております議論は、建設省の見解と違いまして、もう将来にわたって大変に危険な状態というものが目に見えているという立場をとっているわけでありますけれども、建設省の方は、私の方のやっている仕事は間違いないと言っているところに議論の食い違いがあるわけです。しかし、それにいたしましても、未然防止という立場からできるだけの措置を講じてもらわなければならない地域である、また環境行政というものは本来そういうものだ、こんなふうに考えるわけでありますけれども、総合的な施策の推進あるいは未然防止について国の責任という立場から御見解をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  145. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、これからの環境行政は、何と申しましても、ただ単に公害の防除にとどまらず、公害未然防止に力を入れてまいらねばならぬと思います。  それから、この湾岸道路の問題につきましては、もう両院におきまして先生方から真剣に取り上げられました問題でもございますし、また深刻な問題でございます。私は、何と申しましても、今後環境基準の維持達成を図るために、関係機関に対しましても十分連絡をとりながら、先生の御意思も体し、最善の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  146. 木原実

    木原委員 ありがとうございました。  最後に、委員長に一つお願いがございます。お聞きをいただきましたように、当委員会におきましても、この問題は二度にわたりまして私どもが問題にいたしました。この問題につきましては、地域住民の方々もいわゆる党派の運動ではございません。公明党の方々も、それから地元の与党の自民党の方々も大変関心を寄せられて、熱心に問題の解決のために努力をしようということで行動していただいております。そんなような関係でございますので、できましたら当委員会としまして現地の御調査をお願いできたらと、こう思うわけでございますけれども、ひとつ委員長の御配慮をお願いいたします。
  147. 河野正

    河野委員長 ただいまの木原委員の発言に対しましては、後日理事会に諮って結論を出したいと思いますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  148. 木原実

    木原委員 どうもありがとうございました。
  149. 河野正

    河野委員長 この際、午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十一分開議
  150. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。則武真一君。
  151. 則武真一

    ○則武委員 私の方はアセスメント法案についてお伺いをいたしたいと思います。  五十一年以来四回流産をしたわけですけれども、今国会では総理も環境庁長官も何度か今度こそアセスメント法案を提案したいという決意を表明されました。しかし、いまの情勢では、いよいよ連休ということで、そうなると今国会も会期はあとわずかということになってくるわけであります。そういう意味では、果たしてアセスメント法なる幻の法案は実際に出るのかどうかということがいろいろ世間で取りざたをされているわけであります。  私、きょう質問するのにずっと議事録を見ていましたら、ちょうど一年前の四月二十五日に自民党の政務調査会で森下環境部会長がアセスメント法の検討の打ち切りをまとめておられます。そして四月二十七日の閣議で上村環境庁長官が法案の提出を断念した、こういう年間のスケジュールから見ると、大体きょうあたりでそろそろ断念するかどうかということをお決めになるようなスケジュールになっています。私は、出せばいい、早いほどいいということでないことは何回も申し上げておりますから触れませんけれども。  そこで、まず第一にお聞きしたいのは、これまで四回、国会で流産というよりか、国会に出されなかった、そして今回に至ったわけですが、前回も私聞いたのですけれども、過去四回、なぜ法案提出に至らなかったのか。今回も難産をしておることと関連してきますので、なぜ過去四回目の目を見なかったのかについて、五十一、五十二、五十三、五十四と四回、要点だけ簡潔にその特徴を述べていただきたいと思います。
  152. 金子太郎

    ○金子政府委員 簡単に申し上げますと、関係各方面との調整をすることがその都度できなかったということかと思いますが、五十一年度は基本的な考え方について関係省庁に御同意願えないということで終わったように思います。  五十二年度におきましても、その基本的な考え方を環境庁においてもう少しかみ砕いて各省庁に提示いたしましたけれども、なおかつ考え方において非常に距離がありまして、基本的な考え方についての合意ができなかったと思います。  五十三年度に至りまして、環境庁側が基本的な考え方を相当程度改めて各省と協議の態勢に入りまして、現在までに言われております第一次案とか原案とかいうようなものが骨子及び法律案のような形で一応できたのでございますけれども、なおかつ当時におきましては、オイルショック後の不況及び雇用の減退ということが非常に大きな課題とされている空気の中で、景気回復の妨げになるおそれのあるような法案について、またその内容についていろいろまだ検討すべき問題点をはらんでいる法案について早急に成案を得て国会に提出するのはいかがであろうか、そういう考え方が政府全体において強かったように思いますが、そういう背景の中で時期尚早論というようなものが出てまいりまして、五十三年度も引き続き検討ということになったように思います。  五十四年度も、基本的には考え方に大きな違いはなかったと思いますが、五十四年度におきましては、内部についての各省協議的な調整は余り行われることなく、むしろ環境庁側におきまして、去る五十年の十二月の中央公害対策審議会の「環境影響評価制度のあり方について」、これは「検討結果のまとめ」という形で出されたものでございますけれども、その三年ちょっと前に出されましたものに基づきまして、中公審の方でいろいろ御検討いただいて、昨年の四月に環境影響評価法案に対する考え方を答申していただいた、その答申に基づいて、私ども法案調整を進めたいと考えたのでございますけれども、昨年はその法案調整を具体化するという段取りにまで至らないで本年度を迎えた、こういうことであろうかと思っております。
  153. 則武真一

    ○則武委員 前回の私の同様の趣旨の質問で、五十一年、五十二年については環境庁が公共事業実施官庁及び電源開発監督官庁の上に立つような印象を法案の内容が与えたということから、各省からいわば総スカンを食った、こういうふうにお答えいただいておるのですね。いまの各省庁の同意が得られなかったということの内容だと思います。  具体的に建設省と通産省にお伺いしたいのですが、建設省、通産省は、今回も入れて五年間ですか、環境庁との協議は五十一、五十二と五十三、五十四は余りしてないとおっしゃるのですから、今度五十五と。環境庁との折衝の中でどの点に反対をなさってきたのか。国民はこの法案ができていく経過について非常に関心を持っておるわけでありますから、国民の皆さんにわかるように、要点でよろしい、余り微に入り細に入り聞こうと思いませんから、ひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  154. 松原治世

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど環境庁の方からお話があったわけでございますが、この環境アセスメントの問題、私ども非常に重要な問題だと理解いたしておりまして、電源立地あるいはその他の開発事業をやってまいります前に、事前環境影響を評価していくということは非常に大事であるというふうに考えておるわけでございますが、当然環境庁さんは環境問題についての総合調整といいますか、そういうことでいろいろ制度をお考えになる。私どもはいわば現場をお預かりしておる官庁でございますので、そういう立場で、現実に実施してまいる上にいろいろとどういうことになるのかということについて、過去いろいろと環境庁さんの方のお考えというのも聞いてまいり、あるいは私どもなりの現場としての意見というものを申し上げてまいったということであろうかと思っております。
  155. 岩本章雄

    ○岩本説明員 お答え申し上げます。  建設省の過去の基本的な立場は、公共事業と環境との調和を図るという非常に重要な問題であります環境影響評価に関しまして、何らかの合理的で有効な制度が確立されるという、そのことにつきましては異論はないということで前向きに対処してまいりましたが、事業官庁としましての意見ももちろんございまして、主な点としましては、都市計画等の既存の制度との調整が十分になされる必要があるという点と、技術指針の位置づけとか内容とかの点で問題の調整が十分にできなかったというふうに考えております。
  156. 則武真一

    ○則武委員 もう少し詳しく教えてください。まだ法案を私どもは手にしていないんだから、何条のどこに反対したということまでは詳しく聞かないけれども、法案要綱はわれわれもいただいておるわけですから、どういうくだりのどういう表現に反対なんですか、そこのところを。三カ所なら三カ所、五カ所なら五カ所反対をなさっておるところがあるんでしょう。そこをちょっと、羅列的でもいいからそれぞれおっしゃってみてください。
  157. 松原治世

    ○松原政府委員 お答えいたします。  要綱の形で三月二十八日でございますか、これは私どももあるいは私どもの大臣も入りまして、その一部として取りまとめておるものでございますので、このくだりにつきまして、どれがどうというふうなことでは。ございません。
  158. 岩本章雄

    ○岩本説明員 いま通産省からお話ございましたように、いま調整しているところでございますので、個々の問題についてちょっと申し上げかねるのでございますが……。
  159. 則武真一

    ○則武委員 私どもは二月二十日に骨子というのをいただいておるのですね。さっきあなたがおっしゃった三月二十八日の関係閣僚会議の要綱というのもいただいています。だから、もっと具体的に言うと、骨子はおたくの大臣も入っていない段階のものでしょう。そうすると、閣僚会議の了解事項について異論はないとおっしゃるんなら、骨子とこの間にどういう違いがあるかということを国民の皆さんにわかるように述べてくださいよ。  新聞報道によると、各省協議の中で、環境庁は通産省と建設省にずいぶん追い込められておる、そして新聞報道が出るたびに後退に後退を重ねている、こういう話なんですから。どこのところにけちをつけ、どこをどう変えさせようとしているのか。――笑い事じゃないですよ。そこのところを明確にしてください。私は、政府の法案を作成なさっておる過程を全部国民にオープンにしろと言っているのじゃない。アセスメント法という法律は、後でも触れようと思いますけれども、すべからく住民の良好な環境を守るためにつくる法律なんですから、そういう点では国民は、その表現のあやに至るまできわめて重大な関心を持って見守っている。にもかかわらず、その表現がだんだん後退をするということであれば、これは大変な問題なんです。だから、そういう点で各省協議の中のポイントを教えてくださったらいいのですよ。隠さないでひとつ……。
  160. 松原治世

    ○松原政府委員 お答え申し上げます。  いま御指摘の二月二十日のもの、ちょっといま手元にございませんが、今回、第五回目の過程で関係各省庁いろいろ協議しあるいは勉強してまいった過程の一つのところであろうかと思っておりますけれども、そういう中で各省庁それぞれに、あるいは総合調整の立場から制度をおつくりになっていく立場、あるいはそれを現実に翻訳すると申しますか実施に移し、あるいは実施に移させるものとして手続等が適正かつ円滑に行われるかどうかということを現場のやり方とチェックアップしながらやっていく者としての立場、それぞれでいろいろ知恵を出し合い、勉強し合いということで三月二十八日の関係閣僚会議での要綱ということに相なっておる、いわばその間の政府部内の意思形成の過程の一つであろうかというふうに思うわけでございます。したがいまして、その個々につきまして、私どもいわばそのほんの一部でございますけれども、そういうところからいろいろ意見を申し上げるとかいうことはちょっとお許しを願いたいというふうに思うわけでございます。
  161. 則武真一

    ○則武委員 どうお尋ねしても何もおっしゃらないようです。つまり法案をおつくりになる過程自体も国民に対しては公開できない、こういうことのように私は理解しておきます。  それでは環境庁の方へお伺いしますが、五十二年と五十三年の案がどういうふうに変わったのかということをちょっとお聞きしたいのです。  五十一年、五十二年は大体同じものだというふうにお伺いしておりますが、五十三年になってどこのところが変化したのか。変化してないのならないでいいのですが、五十三年と五十四年の考え方はどうかとか――私がお聞きしたのでは、五十一、五十二が大体同じような案で、五十三年から変化しておるというふうに聞いておるのですが、その辺の、どこがどう変わってきておるのか。私は資料要求をいたしまして各年次別の環境庁の案、法案までできていないのなら骨子でもいいのですが、それぞれいただきたいと申し上げたのですが、環境庁も秘密主義でわれわれ国会議員にもお出しにならない、そういうことでありますので、この席で改めて五十二年、五十三年のその変化をお伺いしておきたいと思います。
  162. 金子太郎

    ○金子政府委員 初めに、大変恐縮でございますが、政府部内の折衝過程におけるいろいろな意見とかあるいは資料とかいうものについて幅広く公表せよという……(則武委員「幅広くなくていいですよ」と呼ぶ)いや、本件について従来の前例を越えて公表せよという御意見かと思いますけれども、本件につきましては、アメリカのアセスメント法、国家環境政策法におきましても、公開については一言も述べていないわけでございまして、これは国家環境政策法とほぼ時期を一にしてできた情報公開法の方に全面的にゆだねているという歴史的な事実がございます。私ども環境行政につきましては、なるべく行政内容を広く周知した方がいいという考え方に立っておりますけれども、なおかつ、政府機関の中にありまして各省との折衝を自由濶達にやるということ、そのほか従来の基本的な流れの上に立って仕事をしてまいりますと、資料等を外部に正式に発表することにはいろいろな制約がある、こういう点についてまず御理解を賜りたいと思います。  そこで、内容について申し上げられませんというわけにもまいりませんので、二、三私の知っております範囲内で申し上げたいと思いますが、五十一年、五十二年におきましては、一番大きな問題の一つといたしましては、計画段階におけるアセスメントというものを環境庁として考えていたわけでございますけれども、そのアセスメントをどういう段階でやるのかという議論については、必ずしも理論武装その他ができていたとは言えないと私ども反省もしたわけでございます。事業の熟度に即して各段階ごとにやるというようなことが十分に御理解を得られなかったと思うのですけれども、それは後から考えますと無理もなかった、こういう反省を私どもいたしておるわけでございます。  また、環境の定義につきましては、後刻またお話があろうかと思いますけれども公害対策基本法を越えてアセスメントをやってもらうということを考えておったわけでございますが、そこには所管問題その他でむしろ他省庁では、たとえば文化財保護について言えば、文化財保護の立場から適切に対処していくつもりであるところ、このアセスメント制度に文化財も乗れということについては、基本的に同意できないというような議論があった、こういうようなことも大きなポイントであったかと思います。また、公聴会について考えておりましたということも一つの違いかと思います。それから環境庁長官意見を言う場合に、準備書に対して直接言うという考え方があったわけでございますが、その場合に、主務大臣と意見が違う場合に閣内意見対立という問題を起こさないかという疑問などもございまして、これはまず主務大臣と意見の調整を図ることが必要ではないかというような議論もあった。  とりあえずその辺が、五十一、二年の法案の考え方と五十三年以降の考え方との違いの中で、現在申し上げられる点ではなかろうかと思っております。
  163. 則武真一

    ○則武委員 結論から言ってどうなんですか。五十一、二年で考えていたものが、五十三年の段階では、私どもから言えば、後退した案になったと  いうふうに理解していいのですか。
  164. 金子太郎

    ○金子政府委員 後退とか前進とかいうのは評価の問題でございますので、一概に言えないと私ども思いますけれども、実行可能なものでなければなかなか法案にならないという観点から考えれば、私ども自体の用意の方に不十分な点が非常にあったということも反省いたしております。
  165. 則武真一

    ○則武委員 実現可能なということから、結局環境庁が本来考えていたものからだんだん後退した、こういうことだろうと思うのですね。それで四回目のときには、前の私の質問で、各省庁折衝していいというような自民党内のお許しがいただけなかったということで、内部検討に終わっておるという御説明だったのですが、今回も自民党といろいろ協議をなさったということが新聞にも載っておるのですけれども環境庁なり関係閣僚会議の案が固まった上で自民党と折衝なさって、どういうことが問題になったのか。これはただ与党と政府の問題というのではなくて、このこと自体が国民の関心を集めておる法案の作成過程でありますから、自民党との折衝の中で閣僚会議の案のどういう点が問題になったのかということを明らかにしてください。
  166. 金子太郎

    ○金子政府委員 与党との調整につきましては、本年の一月二十三日に与党の方から各省調整をしなさいという御了承をいただきまして、以後各省調整をいたしております。そして必要に応じまして与党政調会の部会を開催いたしまして御報告を申し上げ、あるいは質問に答えさせていただいておりますが、その内容については本当に御容赦いただきたいと思います。
  167. 則武真一

    ○則武委員 何をお尋ねしても肝心なことは全部秘密なんですね。それではもう一つお聞きしましょう。あなたはたびたび経団連へ出向いて、本法案をつくるに当たって問答集までおつくりになっていろいろがんばってこられたようですけれども、経団連ではこの法案について一体どういう意見が寄せられたのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  168. 金子太郎

    ○金子政府委員 私が経団連に参りましたのは一回でございますけれども、いろいろ出てまいりました質問内容などについて申し上げますと、今後、こういういろいろな方面との説明会で出てまいりましたことを言わなければならなくなるという私の方の立場も御賢察いただきたいと思います。
  169. 則武真一

    ○則武委員 何を聞いても何にもお話しにならない。いかにアセスメント法案が財界と政府・与党の各省庁、まあ政府の中に入るわけですが、協議こそ回数が重ねられているけれども、その中で何が話されたかは、基本的には、私の二度にわたる委員会質問を通じても何もおっしゃらなかった、こういうことであります。  私は、予断と偏見を持って環境庁行政を秘密行政とは呼んでおりません。私は、貴重な委員会の時間を費やして二度にわたっていま質問いたしましたけれども環境庁の方はがんとしてお答えにならない。これがやはり秘密主義だ。こういう秘密主義の中ででき上がった法律はろくなものじゃないだろうと私は思うのですね。この点、まず私は、いま何も教えてもらえなかったということについて、このアセスメント法案のできていく過程自体が国民に公開されていない、密室でつくり上げられようとしておるということについてきわめて残念に思います。  時間がありませんから、次の質問に移りますが、これはいま第一次案、二次案、三次案、四次案まであるのですか。それであなたは何もおっしゃらないけれども、新聞報道によると、その都度後退してきておるということが伝えられているわけであります。  それで、委員長にお願いをいたしますが、こういう状況で、非常に大事な法案の作成過程が報道されながら、われわれ国会議員には何一つ正確に教えていただけないということになると、これは新聞報道でわれわれは判断するのかということにもなるのですけれども、非常に残念であります。そこで、後退に次ぐ後退という事実を裏づけるためにも、本委員会審査にどうしても必要だろうと思いますから、一次案、二次案、三次案、四次案というものについて比較検討をしてまいりたいと思います。その意味で委員長に後からお諮りをいただきたいのですが、これは私のみならず、各委員とも御必要なものじゃないかと思いますので、委員会への提出を要請していただきたいと思います。
  170. 河野正

    河野委員長 後日、理事会に諮って善処いたします。
  171. 則武真一

    ○則武委員 私は、何も教えていただけないから、結局新聞報道でこれからは判断をいたします。  第三次案を見まして、大変な悪法だと驚いているものの一人であります。これを見ますと、譲れるところは譲ってもまず法案作成を、こういう態度でつくっておるやにうかがえます。譲れるところは譲るとか、実現可能なものをつくるということは、よりましなものをつくっていくという論議の中でこそ言えるわけであります。もともとこの法律は、環境を守るに有効なアセスメントをやるのだというその制度の問題なのです。だから、環境を守ることに役に立たないものであるならこれはつくらない方がいい、そういうふうに思うのですけれども、一体環境を守るに有効なものをいまあなた方はつくっていらっしゃるのですか、どうなのですか。
  172. 金子太郎

    ○金子政府委員 最初に、私ども法案作成の過程で秘密主義をとっていると言われますが、従来政府が法案作成の過程でとってまいりましたやり方に比べれば、私どもはこれでもはるかにオープンな態度でやっているというつもりでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。  それから、何次案というようなものは、各省が意見を闘わせる場合のたたき台になるものでございますので、それを公表しろというお話も何とか御容赦いただきたいと思います。  それで、御質問についてでございますけれども、私どもは何も譲れるところは譲るというようなつもりでやっているわけではございません。この法案折衝の過程におきまして、毎日毎日より多く得べきところはとり、やむを得ず本質とかかわり合いのないところは譲って、プラス・マイナスしてマイナスが大きければこういう法案はつくろうとしない、プラスが残ればこの法案はぜひ実現したい、そういうことでがんばっているわけでございまして、一月以来これだけ時間をかけてやっているということは、私どもの方が簡単に譲らないから時間がかかっている、こういう事情にございますので、その点は御理解いただきたいと思っております。
  173. 則武真一

    ○則武委員 それじゃお聞きしますが、典型七公害に限るというふうなことが報道されておりますが、電波、日照、低周波、景観その他文化的、歴史的遺産、こういうものが対象になっているのですか、どうですか。
  174. 金子太郎

    ○金子政府委員 典型七公害以外の電波障害、日照障害、地下水の枯渇及び文化財等をこのアセスメント法の対象に入れるかどうかの問題は、実は二年前の原案の段階ですでに整理されておりまして、典型七公害及び自然環境保全法に言うところの自然環境に限るということで原案が各省に提示されていたわけでございます。ところが、昭和四十七年の閣議了解以降各省においてやってきていただいておりますアセスメントにおきましては、こういう典型七公害及び自然環境保全法に言う自然環境以外のものにつきましても、これは法律に基づくのでなくて、いわば取り扱い的にやるものですから、同時並行的にアセスメント手続をとっておられるところがある。したがって、そういうものを公害の概念ないし定義を広げて、原案よりもいわば広げるという意味で、各省には申しわけないけれども、入れていただくということはできないであろうか、こういう意見政府の中から出てまいりましたので、その話は閣僚会議にまで上がりましていろいろ御議論いただいたのですが、やはり従来環境庁が少なくとも二年前の案以来典型七公害及び自然環境保全法に言う自然環境というもので進めてきたのを、最終段階になって広げる意見が出てきても、それはにわかに答えが出せない、今後の検討事項として残そう、こういうことになって落ちたといういきさつでございます。したがいまして、二年前の案に比べれば別に変わったところはない、こういうことでございます。
  175. 則武真一

    ○則武委員 公聴会は知事が特に必要と認めた場合は開くのだということのようですが、これは文字どおり解釈すると、通常は開かなくてもいい、こういうことになるのですが、そういうことですか。結論だけでよろしいから……。
  176. 金子太郎

    ○金子政府委員 公聴会も、二年前に公聴会でなくて説明会でいいだろうということでやってまいったものでございますが、知事意見の形成過程において、知事さんが特に必要と認めた場合には開くことができる、そういうことにしたわけでございまして、その特に必要であると認めた場合という内容については、まだ的確なことをお答えできる段階にはございませんので、御了承いただきたいと思います。
  177. 則武真一

    ○則武委員 七五年十二月の中公審防止計画部会環境影響評価制度専門委員会報告書というのを私も写しを拝見しましたが、「地域住民環境保全団体等の意見環境影響評価に反映させる手続は、本制度の根幹となる」こういうふうに、いわばわかりやすく言えば、住民意見とか環境保全団体の意見を反映させることがこのアセスメント制度の根幹なんだという形で住民の位置づけというものがなっているのですね。しかし、例外的に公聴会を開くというような表現をとること自体が私は著しい後退だと思うのですが、そういうふうにはお考えになりませんか。
  178. 金子太郎

    ○金子政府委員 原案に入っていなかったものが入ったわけでございますから、私は後退だと思っておりません。
  179. 則武真一

    ○則武委員 あなたがそう思われようが思われまいが、環境庁の専門委員会がそういうふうに書いているのですから、もう少しみずからおつくりになった環境影響評価制度専門委員会報告書を尊重して法案をおつくりになったらどうですか。住民参加が住民関与という言葉に変わったというふうに報道されておりますけれども、新聞報道によると、住民は開発事業者に情報を提供するだけだという論議の結果、参加ではなくて関与になったのだ、こういうふうなことになるのですけれども、こうなると、いよいよ住民というものは添え物という位置づけになるのですが、まさにこれは先ほどの秘密行政といい、住民を少々疎んじていらっしゃる、敵視していらっしゃるのじゃないかとさえ思えるのですが、その点はいかがですか。
  180. 金子太郎

    ○金子政府委員 中公審に関連いたしましては、七五年の専門委員会に御指摘のような御意見はございましたが、昨年四月に中公審からいただきました答申におきましては、公聴会の意見は出ておりません。また環境影響評価制度におきまして関係住民は、その昨年の四月の中公審の答申にもございますように、地域の生活者としていろいろな生活経験に基づく情報を持っておられるわけでございまして、そういう御意見なり情報なりを提供していただいて、事業者の気がつかない点について指摘をして不十分な点を補ってもらう。そこでこのための関係住民の範囲は、都道府県知事がお決めになるところの関係地域に住所を有する者といたしまして、またその地域住民環境影響評価準備書について、定められた期間の中で意見書を出すという形で意見を述べることができる、こういうふうにしている次第でございます。
  181. 則武真一

    ○則武委員 ここに鉄鋼連盟が環境影響評価制度について意見書を出していらっしゃる文書の写しがありますが、そこの中には「住民参加については、いたずらに対立抗争の具となり事業の行きづまりを来たしている例が少なくない。」「広範な住民参加制度を導入することは、行政そのものに大きな影響を与える」から、まあやめた方がよかろう、こういうふうなことが書いてあるのです。あなたの答弁の趣旨と、この鉄鋼連盟の意見書とが非常によく似ているのですが、大体同じ意見ですか。
  182. 金子太郎

    ○金子政府委員 残念ながら、アセスメント制度に関しましては、私は産業界とは意見が真っ向から対立している者でございます。
  183. 則武真一

    ○則武委員 いや、そうじゃないでしょう。いまあなたがおっしゃったのは、要するに住民というものはそんな中心に座らなくてもいい。そういう位置づけ、つまりそういう意味から言えば、いたずらに対立抗争の具となるとか、広範な住民が参加すると行政に大きい影響を与えるとか、つまりそういうことをダイレクトにおっしゃっているのは鉄鋼連盟だけれども、あなたは間接的な表現でえんきょくにおっしゃっているわけだ、私はそう思うのですが、そんなに鉄鋼連盟とあなたの意見が違いますか。
  184. 金子太郎

    ○金子政府委員 そもそもアセスメント法案の法制化に反対されるところと私とは基本的に立場が違います。  それから、現在までの案におきましては、説明会、意見書の提出のほかに知事さんが開く公聴会というものも入っておるわけでございまして、私自身はこういうものが入ってよかったと考えておるわけでございまして、その一点を見ていただいても意見がずいぶん違うということがおわかりいただけるのではないかと思います。
  185. 則武真一

    ○則武委員 都市計画決定が済んでいる地域の事業について、アセスメントから外すんだということも報道されているのですが、この点はどうですか。
  186. 金子太郎

    ○金子政府委員 許認可等にかかわる経過規定とのバランス上考えなければいけない問題でございますが、本件についてはなお折衝中でございます。
  187. 則武真一

    ○則武委員 東京都で環境影響評価に関する条例制定の直接請求運動が起こっていることは御存じと思いますが、こういうものが川崎では条例としてある。そういう地方自治体がいわゆる上乗せ、横出しという形で法律の上に条例を制定し、法律がない段階でも条例をつくって環境を守るためにがんばっておるわけであります。こういう条例制定について、要綱を見ると、上乗せ、横出しを事実上抑制するやに見える表現がうかがえるわけですね。そういう点で、今後自治体のこういう努力に対して大きなブレーキをかけることになるおそれがあるというふうに、私はこの要綱では思うのですが、その点はどうなっていますか。
  188. 金子太郎

    ○金子政府委員 要綱におきましては、対象事業以外の事業について、地方公共団体が条例を設けることを妨げるものではないという趣旨の規定を設けたい、こういうふうに考えておりますが、法律と条例の関係につきましては、法律案ができました段階で、全体の条文に即した法律解釈が必要となる非常にむずかしい問題でございまして、現段階におきまして、的確なお答えをすることはできない点を御理解いただきたいと思います。
  189. 則武真一

    ○則武委員 横出しの方はまだ別としても、上乗せについてはどうでしょうか。
  190. 金子太郎

    ○金子政府委員 この要綱におきましては、「地方公共団体が、当該地域環境影響を及ぼす事業について環境影響評価に関し必要な施策を講ずる場合においては、この法律の趣旨を尊重して行うものとすること。」とございますが、その趣旨は、この法律案の対象とする事業は環境に著しい影響を及ぼす、すなわち非常に規模の大きい事業でございまして、それが二以上の地方自治体にまたがるような場合には、手続等については整合性のとれたものであることが望ましいわけでございますし、また非常に大きい事業で環境に及ぼす影響も非常に大きいものに対するもろもろの環境影響評価の手続と、それよりもいろいろな意味で小さいものの手続との間に整合性のとれたものであることが望ましいという考え方を私ども持っておりますので、そういう趣旨の法律を考えたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  191. 則武真一

    ○則武委員 どうもすれ違いばかりで余りいい回答がいただけないのですけれども、結局環境庁は主観的には努力なさっておるのかもしれぬけれども環境庁がいいアセスメント法案をつくろうとすればするほど、本当にいいアセスメント法案をつくってほしい、良好な環境を望んでいる国民はそう期待しているんですから、その国民にいろんな意見を求め、また国民の大きなバックアップを期待し、そういう一つの国民的な世論の中で省庁交渉や財界との話し合い、その他いろいろな折衝をなさらないと、国民には知らしていただけない、しかも秘密の中でやられておる交渉は、交渉のたびにどんどんと後退をしていく、こういうことになって、やがては本来のアセスメント法としての趣旨がひん曲がってしまって、何のためのアセスメント法か、結局みんなが賛成してくれるのをつくったんだというときには、開発を進めるためのアセスメント法案というふうになってきてしまっているんじゃないか、私はそういうふうに心配するのです。そもそもこれは開発を進めるためにアセスメント法案をつくるのですか、良好な環境を守るためにつくるのですか、どちらですか。
  192. 金子太郎

    ○金子政府委員 未然防止のためにつくることは明白でございますが、もしも開発のためにつくるということであれば、産業界がこのように強い反対をされることは考えられないところでございます。
  193. 則武真一

    ○則武委員 しかし、どうもいまお聞きした限りでは歯切れが悪い。いま大きな各プロジェクト、たとえば本四連絡架橋公団のアセスメントとかいろいろ私も拝見しておりますが、少なくともそれより出ておるものは何一つないですね。本四連絡架橋公団などはちゃんと自然の保護も景観の修復もやらなければならぬということをアセスメントで述べて、現に鷲羽山のオープンカットなどはトンネルでいこうというふうにいろいろ手を打っていますね。現にいまやっておるものよりちっともよくはない、むしろ条例を抑えていくというような悪い面が出てくることになると、これはまさに開発の免罪符になるというふうに私は思うのです。私、いまから思い出してみても、公害で苦しんだ多くの国民の血の出るような運動やまたたくさんの死者も出る、傷ついた人も出る、そういう公害の被害の中で、例の公害基本法の産業との調和条項というものが取り払われたのですね。そして今日に至っておるわけなんですけれども、どうも先ほどからお聞きしておると、結局いま政府がつくっていらっしゃる案というのは、公害基本法の産業との調和条項を復活させるわけにはいかぬけれどもアセスメント法を通じて事実上産業との調和条項をもう一回復活させよう。国民の公害反対の大きな闘いの中で、一たん葬り去られたはずの産業との調和条項という亡霊がまたぞろアセスメント法の中によみがえってきつつあるんではないかというふうに、私は非常に心配をするわけであります。  そういう点で、もう時間が来ましたから、最後に環境庁長官の決意をひとつお伺いしておきたいのですけれども、産業との調和条項を基本に据えるようなものをつくろうとしていらっしゃるのかどうか。また少なくとも公害基本法からそういうものを除いて、断固として環境を守るんだという公害基本法をわれわれは持っておるわけですけれども、その公害基本法の立場を堅持していく、こういう決意に立っていらっしゃるのかどうか。これは単なるアセスメント法の問題ではなく、公害行政の基本線が一つのアセスメント法という問題を通じて知らぬ間にねじ曲げられようとしておるというふうに私は危惧するわけでありますので、そこのところをひとつ明確にしていただきたいというふうに思うのです。  それからもう一つは、もうこういう密室で、これだけここでお聞きしても、何一つ具体的にお答えいただけぬようなそういう法律、私は率直に申し上げてろくな法案はできないだろうと思います。だからそういう点では、これは百害あって一利のないようなアセスメント法案のようですから、おくれついでで別に急いで出していただく必要はない。こういうものであるならば、ひとつもう提案はやめていただいて、少々時間がかかっても、次の国会でもっと環境を守るに足るいいものをもう一遍第一歩から出発し直すというくらいのお気持ちでがんばっていただきたい。  そのときに私はお願いするのですが、先ほどから局長さんは若干誤解しているようですけれども、すべての法案の政府段階の作成の過程を全部公開せよとか、そんな機械的な教条的なことを申し上げているのではない。このアセスメント法は、まさに住民が要求し、住民参加でしかできないような法案なんだから、密室の論議じゃなくて、もっと作成の過程を含めて、こういうふうにつくろうと思うがどうだろうか。たとえば公聴会一つにしても、アセスメントの中で公聴会を開くんじゃなくて、アセスメント法案をつくる段階政府が公聴会をどんどんとお開きになってもいいのですよ。みんなからどういう法律をつくったらいいと思うかという御意見をお聞きになったらどうですか。そういう作成の過程の秘密主義というものが、でき上がった法案がやはり国民の期待から非常に離れたものになっていくんじゃないか、こういうふうに思うので、決意を伺うと同時に、ひとつ再出発していただいて、住民意見をもっと聞いて法案をつくっていただきたい。この二点について長官の考え方をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  194. 金子太郎

    ○金子政府委員 大臣が締めくくりされます前に、先に一つ二つ補足させていただきたいと思いますが、この法案のねらっているところは、本四架橋のやっているところとちっとも変わらないじゃないかというお話があったかと思いますが、実は本四架橋は自然公園の中心部を通りますので、自然公園法に基づく許可ということを環境庁長官ができた。したがって、環境庁が本四公団に要請したことはほぼ聞いていただけた、こういうことでございまして、現在閣議了解で行われております各種のアセスメントに比べてあれは非常にすぐれたものであると私どもは考えておりまして、この法案を通すことによって、閣議了解で今日まで行われてきたアセスメントは、全部本四架橋のレベルにまでレベルアップさせるということを私どもはいわば目的として努力をしてきている、こういう事情をぜひ御理解賜りたいと思います。
  195. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私は環境庁長官といたしまして、国民の健康の保護、そしてまた自然環境生活環境保全、また公害の防止にとどまらず公害未然防止するという原点に立って環境行政と取り組んでおるような次第でございまして、さような意味におきまして、環境影響評価法案の制定ということを心から念願をいたしておるような次第でございますが、先ほど来の御論議にもございましたとおり、率直に言って、わが国におきましても類例のない初めての法案でもございますし、関係省庁十三省庁にもまたがるようなわけでございまして、関係省庁におきましてもいろいろな御意見、いろいろな問題等がございましたが、一応閣僚協において大筋においては御了承いただき、あわせてまた党におきましても二十二日、二十三日と自由民主党の政務調査会の環境部会を開いていただきまして、ただいま鋭意検討もいたしてもらっておりますし、また聞くところによりますと、来月の二日ごろまた環境部会も開いていただけるようなことに相なっておるような次第でございます。――失礼いたしました。五月二日ということをちょっと申し上げましたが、変更になりまして五月六日ということに相なっておるようでございます。  私といたしましては、昨年の四月に中央公害対策審議会から御答申いただきました線に沿うべく最大限の努力を現在いたしておるような次第でございます。秘密主義じゃないかというようなおしかりも受けましたが、ただいま関係省庁において折衝の過程でございますので、その点につきまし  ては、ひとつ平にお許しを賜りますようにお願い  をいたします。
  196. 河野正

    河野委員長 中井洽君。
  197. 中井洽

    ○中井委員 簡単にアセスメント法案づくりの進行状況についてだけお尋ねをいたします。  大臣、いま法案づくりの段階どの程度まで進んでおりますか。あるいはまた今後どういう日程で国会提出に向かって考えておられるのか、この二点お願いいたします。
  198. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  環境影響評価法案につきましては、去る三月二十八日の……(中井委員「古いのはよろしいです」と呼ぶ)そうでございますか。どうも失礼いたしました。  四月十八日の第四回の閣議会議におきまして、政府の大筋と申しましょうか原案をまとめていただきまして、現在、その最終的な詰めを法制局を中心といたしまして政府部内におきまして検討がなされております。それとあわせて去る二十二日と二十三日に、ただいまも御答弁申し上げましたとおり、自民党の環境部会におきましてもいろいろ検討がなされておるような次第でございまして、来月の六日に環境部会をまた開いていただけるというただいま御連絡をいただいたようなわけでございますが、環境部会で御了承いただきましたならば、党の政審、それから総務会の御決定をいただいて、そして閣議決定、こういう手はずになるかと思います。
  199. 中井洽

    ○中井委員 自民党の環境部会が六日に開かれるというのは、それは法案そのものを、環境庁の原案といいますか、政府原案そのものを議論するのですか、それともまだ要綱を認めるとか認めないとか、そんな段階でおやりになるのですか。
  200. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  すでに二十二日に骨子につきましては配付いたしまして御検討に入っていただきました。今度は法案ということになると思います。
  201. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、六日までには政府原案ができ上がるというふうに理解していいですか。
  202. 土屋義彦

    土屋国務大臣 出せるもの、私はかように考えております。
  203. 中井洽

    ○中井委員 このアセスメント法案の国会提出ということに関して、予算修正等で社公民三党と自民党との間に約束があったと思うのであります。それについて大臣はどのように御理解をされておられますか。
  204. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  予算修正の過程におきまして、自民党と社公民三党との間におきまして、自民党に対しまして閣僚協でもつくってこの法案を進めたらどうかというようなお話がこれあり、そして自民党の方から政府に話があって、三月四日に閣僚協ができ今日に至っておる、かように存じております。
  205. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、御提出いただくというのが公党間の約束だ、こういうふうに理解しているのですが、大臣はそのようにおとりになっていらっしゃいませんか。いまの話では、閣僚協をつくったり何だかんだ努力をするということが約束みたいに思うのでありますが、私どもは、お出しをいただくというのが約束、このように理解して、過日から質疑をしたりがんばってくれと申し上げたりしているのですが、その点いかがですか。
  206. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  多少私の受け取り方が違うかどうかわかりませんが、実は先般安倍政調会長が環境部会に出られての御報告によりますと、三党との話し合いにおいて、内閣に閣僚協をつくってもらいたいというような要請等がこれあり、そこで内閣に対しましても要請をいたしたようなわけでございまして、法案を提出するとか提出しないとかというところまでは話をいたしておらないというような発言があったような次第でございます。  ただ、私といたしましては、環境庁長官といたしまして、これは今回五回目でございます。そして環境庁に希望を持って入ってこられた若い諸君が身を削って本当に徹夜で今日まで努力をされておられる姿を見、長官といたしましても、何と申しましてもこれは五回目でもございますし、先ほど来申し上げましたとおり中公審の答申もあり、また全国自治体等からも強い法制度化すべきであるという要請等も受けておりますので、何としても国会に出さしていただきたい、かように念願をいたしております。
  207. 中井洽

    ○中井委員 予算修正でのいろいろなやりとり、まあ私どももわからない点もありますけれども、それは閣僚協をつくれなんということを決して言っていないのでありまして、法案を出しなさい、アセスメント法案というものを国会に提出しなさい、こういうことを言って、それじゃできる限り努力しましょうというのが約束であります。それはどういう方法でつくる、あるいはどういうテクニックで政府内あるいは党内のコンセンサスをとる、それはあなた方あるいは自民党のサイドの問題でありますから、どうぞ御努力をいただいて、あくまでも提出をしていただくという環境庁の考え、あるいは公党間の合意、こういったことを踏まえて御努力をいただきたいと思うのであります。  はっきり言えば、もうきょうの本会議、二十五日ぐらいまでに上がらないということは、今国会のいろいろな情勢を見て、なかなかむずかしい問題があろうかと思うのであります。それでもまあまあ会期延長等もございますし、大臣としては連休明けに国会にどうしてもお出しになる、こういう方針には変わりない、このように理解してよろしゅうございますか。
  208. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  安倍政調会長が党内のコンセンサスを十分得た上でひとつお願いしたい、こういうことも発言いたしておりますので、つけ加えさせていただきますが、私といたしましては、何といたしましても国会へ出していただきますように、最大限の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  209. 中井洽

    ○中井委員 国会へもし時期的に間に合わないとしても、自民党の合意あるいは政府間の調整等すべて終わって、いわゆる政府原案として次の国会でもあればいつでも出せる、最悪でもそういう態勢はつくれる、このように理解してよろしゅうございますか。
  210. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私はさような考えで臨んでおります。
  211. 中井洽

    ○中井委員 自民党内のコンセンサスというのは、何か二回も三回も部会が開かれているようであります。委員会でありますし、自民党のことを聞くのも変な話でありますが、大臣がお考えになって、自民党の中に、この法案というものはまだ時期尚早なんだとお考えになっている方がたくさんいられるのか、あるいは法案の要綱の字句だとか中身についての文句が多いのか。ちょっと変な質問でありますが、どちらと私どもは理解したらよろしいのですか。
  212. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  ちょうど私たまたま閣議の日や何かにぶつかった場合には、ちょっとごあいさつ程度でよく存じておりませんで、後ほど事務当局から報告を聞くような場合が多いのでございますが、先般二十三日には始めから最後までおりましたが、みんな先生方がまじめに内容につきましていろいろ意見を述べておるような次第であります。
  213. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、環境庁の自民党に対する手続だとか了解だとか、そういったものが不足じゃないのかとか、それとも時期が早いとか、そういうことじゃなしに、法案の中身のことでいま自民党でコンセンサスづくりをしておる、このように考えてよろしいですね。
  214. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  実は、何とか早く環境庁といたしましては原案をつくって、その上で党の方にお諮りをしたいというようなことで、党において論議がされておるわけでございます。
  215. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、環境庁としては、とにかく政府の調整あるいは自民党の調整があと少し残っておるだけで、とにかく今国会には間に合わせられる、こういうことでいま努力をされておる、このように考えてよろしゅうございますね。私は、法案が通っていくという過程については、二十五日過ぎたものですから、なかなかむずかしいものもあろうと思うのであります。しかし、国会に提出されるということについて、私どもはまあまあがんばれという形で待っておっていいわけですね。その点を確かめさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  216. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げます。  まだ省庁間におきましても、率直に言って、もうちょっとというわけにはいかないかと思います。いま関係各省庁徹夜で詰めをやっておりますし、党内の方もいま入ったばかりのような状態でございますものですから、率直に言って、いますぐというわけにいきませんが、まあいま精力的に私どもも関係議員の皆さん方にもお願いいたしまして、検討をしていただいておるようなわけであります。
  217. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。
  218. 河野正

    河野委員長 次回は、来る五月九日金曜日午前九時四十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時散会