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1980-03-18 第91回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十八日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 玉生 孝久君 理事 戸沢 政方君    理事 西田  司君 理事 八田 貞義君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 則武 真一君    理事 中井  洽君       池田  淳君    椎名 素夫君       中村正三郎君    丹羽 雄哉君       橋本龍太郎君    吹田  愰君       宮下 創平君    土井たか子君       竹内 勝彦君    森田 景一君       辻  第一君    木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 本田  正君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君  委員外出席者         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   田原  隆君     椎名 素夫君   東中 光雄君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   椎名 素夫君     田原  隆君   辻  第一君     東中 光雄君     ――――――――――――― 三月十七日  環境影響事前評価による開発事業の規制に関す  る法律案土井たか子君外二名提出衆法第一  八号)  水俣病問題総合調査法案馬場昇君外二名提  出、衆法第一九号) 同月十一日  公害健康被害補償法に基づく指定地域解除反  対等に関する請願(竹入義勝君紹介)(第二一  七三号) 同月十二日  公害健康被害補償法に基づく指定地域解除反  対等に関する請願木原実紹介)(第二二五  九号)  同(市川雄一紹介)(第二二八四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七号)      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 私は、健康被害補償法に対する質疑に入ります前に、昨日、実は四日市港に廃液をたれ流しました石原産業事件について判決が出たわけでございます。大臣も御承知のとおりに、これは一日二十万トンと言われるような硫酸のまじった廃液を流し続けて、刑事事件となった事件でございますけれども、きのうの判決内容を見てみますと、その柱として、廃液に適切な処理対策を講ずることなく四日市の海を汚染した工場長責任は非常に重大だ、こう言われておりますし、さらに、会社は採算性を追求する余り企業社会的責任を忘れて、かかる事態を招いたことは非常に遺憾だ、こういうことで全面有罪判決が出ているわけでございます。そしてまたこの判決は、海への公害として企業そのもの刑事責任を認めたということでは初めてのケースでございます。  そこで、大臣にお尋ねしたいわけでございますけれども、私は、公害というものは犯罪だということが、さらにこの判決でも立証されたものと思うわけでございますし、大臣も、公害というものは犯罪、そういう認識をお持ちであるかどうかということについて、まず大臣認識を聞いておきたいと思います。
  4. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げさせていただきます。  ただいまお述べになりました石原産業事件につきましては、判決文等まだ入手をいたしておりませんが、この事件水質汚濁防止法制定以前の事件でございまして、現在では、先生御案内のとおり各種の制度が整備されておりますので、今後このような事件が起こることはないと私は考えておるのでございます。一般論として申し上げますが、私は、公害犯罪である、かように理解をいたしております。
  5. 馬場昇

    馬場委員 この判決が行われました後に、十年間この裁判を闘い続けてきました関係者の一人がこのような感想を述べておるのを承知しておるのです。十年前はちょうど砂漠に一人でくわを打つような感じだった。そして企業も学者も行政向こう側に立っておった。こういうことを闘いの中から感想として漏らしておられます。これを聞くにつけて、やはり公害に対する行政姿勢というものがこの判決で問われたんだ、長官はそう考えるべきであろうと私は思うのです。行政姿勢もこの判決によって問われた、それを厳しく反省しなければならぬというお感じを持っておられるかどうかという点。  さらに、その関係者も、そして長官も御承知のとおりに、この問題は、四十六年の一月にわが党の石橋書記長が石原産業と名古屋通産局の癒着問題を実は質問をいたしまして、大きい問題になりました。またこのことも、この裁判の発展に非常に貢献をしたんじゃないかと思うのですが、その石橋さんも、実はきのうこの判決を聞いて次のように言っておるわけでございます。今日、非常に公害行政というのが後退しておる、そして住民の闘争というのもいろいろな事情から最近鎮静しておる、さらにその上に、企業とか産業界から公害問題で再び巻き返しが起こりつつある、環境アセスに対する圧力がその一つだ、そこにあらわれておるじゃないか、こういうことでもって、この判決は古い事件だけれども、本当に新しい判決として公害問題を考えなければならぬ、それを教えてくれたんだ、行政に携わる者はこれを自分の戒めとして一生懸命やらなけれなばらぬ、こういうようなことを言っておられるわけですけれども、この行政姿勢について、最近の環境行政後退というものについて、これを戒めとしてさらに積極的に推進する、しなければならぬという、こういう関係者の発言について大臣の御意見を聞いておきたいと思うのです。
  6. 土屋義彦

    土屋国務大臣 もう先生指摘のとおりでございまして、今後、環境庁といたしましては、この判決を契機といたしまして、さらに心を引き締めまして、水質汚濁防止法等関連法規の厳正な運用を図ってまいりたいと考えております。  あわせてまた、過去の環境行政に対しましても深く反省いたしまして、今後、国民の立場に立って環境行政をわれわれ環境庁職員、心を一つにして、一体となって取り組んでまいります決意を申し上げさしていただきます。
  7. 馬場昇

    馬場委員 次に、環境アセスメント法についてたびたび質問をしておるわけでございますが、この前も質問いたしまして、政府法案提出期限というのを、一応三月十四日の閣議決定でもって本国会に提案するのは最終だというようなめどでもって政府はやっておられる。環境アセスメントも三月十四日の閣議で決定して出す、そういうめどでやっておるのかどうかという質問に対しまして、大臣は、それをめど全力を挙げてやっておるというようなお話でございましたが、アセスメント法いつお出しになりますか。
  8. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げさしていただきます。  ことしの一月二十三日に自由民主党の政務調査会環境部会の御了承をいただきまして、自来今日まで、関係省庁、鋭意努力し、そして法案提出期限までに先生指摘のとおり、何とか私といたしましても、関係省庁あるいはまた党の御了承等もいただきまして出さしていただきたいということで最善の努力をいたしたのでございますが、ついにその実現を見るに至らなかったような次第でございます。  幸いと申しましょうか、自民党と社公民三党との話し合いを受けて、三月四日に閣議におきまして関係閣僚会議を設置をしていただきました。私は、従来から見ますれば大変な前進であろうかと考えておるような次第でございますが、さらに先日の十三日に第一回の閣僚会議を開催をさせていただいたような次第でございます。  また一方、三月六日、十一日、十四日、十七日の四回にわたりまして関係省庁局長会議を開催いたしまして、問題ごとに鋭意調整を図ってまいっておるような次第でございます。今後も引き続き局長会議関係閣僚会議を開いていただきまして、精力的に何とか三月中には法案国会に出さしていただきますように、私といたしましては重ねて最大限の努力をさしていただきますことを申し上げさしていただく次第であります。
  9. 馬場昇

    馬場委員 三月十四日が期限だ、全身全力を挙げてやると長官がんばっていただいたと思いますけれども、いまの話のようにまだ出ておりませんし、いまの答弁では三月中には出すというところで努力をするということでございますが、物すごい大切な法案ですから、審議日程がとれないとこれは審議できないわけですから、そういうことも考えて、いまのところ三月いっぱいという話ですけれども、さらに早く出すように努力はしていただきたいと思うのです。  そこで、内容についていろいろ伝えられておりますので質問いたしたいのですが、きょうはそのことの質問でもございませんので個々に触れませんけれども、私どもが先日長官に、内容というのはこういうものを盛り込んだものでないといいアセスメントとは言えないということでもって、実は申し入れをいたしておるところでございますが、きょうはこの申し入れについて大臣にずっと一個一個聞きたかったのですけれども、時間がございません。だから、これは文書にしてやはりわが党に後で回答していただきたいということが第一点で、これの内容をここで明らかにしていただくのは省略いたしたいと思います。  が、しかし、原則だけを聞いておきたいのですけれども、私どもはやはりアセスメントというのは、公開原則住民参加原則第三者評価原則、そして地方自治体の自治権を守るという原則、まだほかにありますけれども、言うならば、大きい四原則だと私どもは考えているのですけれども、この四原則は守った内容にしていただくものであるかどうかということについて、内容面答弁いただいておきまして、あと具体的なことにつきましては文書でもってわが党に回答していただきたいということでございますが、いかがでございますか。
  10. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げさしていただきます。  去る十一日に三党を代表する先生方が私どものところへ参りまして、口頭で、また社会党さんから文書をもって申し入れのございました件につきましては、第一回の閣僚会議で、口頭、私からも御報告を申し上げておいたような次第でございます。  私といたしましては、中央公害対策審議会におきまして約三年有余にわたっていろいろと御検討いただきまして、そして昨年の四月十日に御答申をいただいたような次第でございまして、今日までのところ、環境庁といたしましては、この答申の線に沿って法案の作成のための努力を続けてまいったところでございまして、目下この答申をよりどころといたしまして、各省庁と鋭意折衝を重ねておるような次第でございますが、社会党さんからの申し入れ趣旨につきましては、大変貴重なものと考えておりますので、いろいろと勉強をさしていただきたい、かように考えております。
  11. 馬場昇

    馬場委員 社会党文書申し入れをしておるわけでございますので、それに対する回答というものは文書社会党に出していただきたいと思います。  それから、いま中公審の線に沿って鋭意内容努力しておると言われますが、中公審の線というのは、私ども歴史を見てみますと、最初中間報告中公審が四、五年前にやりました。そして去年また答申が行われておるのですが、中間報告と結果が大分変わっているんですよ。私どもの邪推かもしれませんが、環境庁がこういうものをつくりたいと言って、去年は逆に環境庁の案で中公審に出させたとさえ言う人がおるのですよ。去年の中公審答申というのは非常に後退しておるのです。  私は、ここで聞いておきますが、去年の中公審答申というのは、私が言いました公開原則住民参加原則第三者評価原則地方自治を守るという原則というもの、大臣はこれが守られておると考えておられるのか、そのことだけを聞きたいのです。
  12. 土屋義彦

    土屋国務大臣 文書をもってお申し入れございました件につきましては、検討いたしまして文書で出さしていただきたいと思いますが、ただいま鋭意関係省庁折衝のさなかでございますので、その点もぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。当初考えておったことよりも、やはり多少形が変わってきておるような感じも深くいたしておるような次第でございます。
  13. 馬場昇

    馬場委員 私どもの言う四原則というのを入れたアセスメントでないと――アセスメントというのは、すべて善玉じゃないわけですよ、これはもろ刃の剣ですから。だから、非常にいいアセスメントができますと、人の健康と環境は守られるわけです。悪いアセスメントができると、そのトンネルを通ったからといって、公害とか環境破壊免罪符としてまかり通る、逆に環境破壊になっちゃうのです。そういう意味で、アセスメントがすべて善玉とは限らない。悪玉であり、物すごい悪玉として働くこともあるのですから、四原則を守る立場でがんばっていただきたいと思うのです。  次に、これは金子さんに質問申し上げますが、前にここであなたが経団連とか産業界に持ち回った文書内容についてお尋ねをいたしました。私は、たくさんの内容を尋ねて、こういう内容をあなたは持ち回ったでしょうと言いましたら、それはこうです、あれはこうですというあなたの回答がございました。その文書をここに資料として出しなさいと言いましたら、出すという約束をなさいまして、理事会の議を経て文書を出されました。ところがあなたが出した文書を見てみますと、全くごまかしですよ。私が質問しましたのは、ここにございますけれども、「環境影響評価案に関する主な論点について」といって、問一から問六、そしてそれに参考一、参考二、そして最後の方にエネルギーというのをつけ加えた、言うならば九項目問い、これに基づいて私は質問したのです。ところがあなたが持ってきた文書というのは、この中の参考一というのを問一と書いて持ってきた、問三を問二として持ってきた、参考二というのは問三、全部で九つあるのに、あなたは三つしか持ってきていない。私が質問した内容のことがほとんど入っていないのを持ってきたのです。こういうことでありまして、私の資料請求に対してあなたが資料を持ってきたのは、私に言わせれば、これはごまかしだとしか思えないのです。  そこで、きょうはごまかしのことを議論したって余りしようがございませんけれども、あなたは幾種類の文書をどうつくって、たとえばこの文書はどこに持って回って、この文書はどこに持って回って、それをどこどこに配付したか、このいわゆる金子メモというものの全貌を明らかにしてください。
  14. 金子太郎

    金子政府委員 御質問のございました、私が関経連等経済団体配付して説明いたしましたものは、最初に、科学的、合理的な予測手法等技術的な事項が整備されていないのではないかというのが第一点、それから、わが国においては、適正な住民参加を期待するにはいまだその社会的基盤が成熟していないのではないかという問いに対する答えが第二点、それから、法制度化されると、訴訟が頻発し、事業実施がおくれるのではないかという問いに対する答えが第三点、それを最初に配りまして、あと質問がなお出たものですから、手持ち資料について、いま馬場委員が言われました三つについて追加配付をいたしたわけでございます。それで、いまおっしゃいましたのは、追加配付三つだけしかお手元に届いていないということでありますれば、最初に申し上げました三つについては、何かの手違いで届いていないのではないかと思いますので、その点はおわびいたします。すぐお届けいたします。  それで、全部で六項目と付記が二つあるというのは、実は私が内部で、説明会過程で出てきました質問に対して、改めて整理をさせて、その答えを書かせたのでございますが、どうも内容に不適当な点が多いということで、配付などをしないで、内部で山のように積んで置いといた、配付をしなかった、その中に、いまおっしゃった三つは入っているわけでございますけれども、そういうものでございまして、これは予算委員会でも土井委員から御質問がございましたので、関経連配付した資料合わせて六点を参考にお届けいたした、こういう次第でございます。
  15. 馬場昇

    馬場委員 あなた、この前島田委員質問に対して――いまあなた、これを山のように積んでいるとおっしゃいましたけれども、これは経団連その他各事務局環境庁に集められまして、あなたこれを持たせて帰しているでしょう。事務局員を集めて説明して持たせて帰したのは、どの文書ですか。
  16. 金子太郎

    金子政府委員 ただいま申しました三つと、追加三つでございます。
  17. 馬場昇

    馬場委員 三つ追加三つといいますと、問六までですか。
  18. 金子太郎

    金子政府委員 再々申しますように、その三つが幾つもダブって出てまいりますので混乱が起きてしまうのですが、科学的、合理的な予測手法等が整備されていない……(馬場委員「あなたがこの前出したものがこれです」と呼ぶ)それから住民参加を期待するには社会的基盤が成熟していないのではないか、それから訴訟が続発し事業実施がおくれるのではないかというのが三つ目、それと馬場委員が先ほどおっしゃいました三つですね。それを、経団連から人が来たときに持たして帰した。  といいますのは、経団連では、最初に申し上げました三つだけで説明を済ませたわけでございます。次に関経連に参りましたときに、その三つを配って説明したところが、なお質問が出たものですから、その中で手持ちの、用意していたものを急いで焼いて配らしたのが、馬場委員の言われた三つでございまして、残りは外部には出していないのです。  その理由は、先ほども申し上げましたように、産業界に対する説明過程でいろいろな質問が出てまいりましたので、それに対する答えをまとめて書かせたわけでございます。それは最初に用意したものあるいは関経連追加した三つもその中におのずから入っているわけでございますけれども、そのわが方の答えをよくよく見ましたところ、適当でない表現などがあり、こういうものは外部に出すべきではないからということで使用しなかった、こういうものでございます。
  19. 馬場昇

    馬場委員 それは内容を明らかにしたいと思うのですが、きょうの質問は、健康被害補償法にかかわる部分でございますが、あなたがこの前この委員会に配りました三つのやつには入っておりません。しかし、その原本となるべきやつには、問二にそれが入っていますね。環境庁としては、環境影響評価法制度化よりも、まず公害健康被害補償制度見直しをすべきではないか、こういう問いに対して、お答えをずっと書いておられるのです。  このことに関して大臣にまず聞いておきたいと思うのですけれども大臣公害健康被害補償法制定目的は何ですか。
  20. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答え申し上げさせていただきます。  環境庁といたしましては、制度主管者といたしまして、これらの制度をめぐる諸問題につきまして、今後とも「健康被害に係る被害者の迅速かつ公正な保護を図る」というのが補償法趣旨目的であります。
  21. 馬場昇

    馬場委員 実は大臣、そういう目的健康被害補償法ができているのですが、金子さんは産業界にはそう説明していないのです。金子さんが産業界説明しておりますのは、裁判による個別企業のねらい撃ちを避け、企業経営の安定を願う産業界の積極的な要望を受けてこの法律創設されたものである、こういうことをこの文書の中に金子さんは書いておられます。産業界個別企業をねらい撃ちされるから、それを避けるために防波堤としてこの法律をつくったんですよ、こういうことを金子さんは産業界説明して回っているわけです。いま大臣が言われました法の創設目的というのとは全く違いますね。このことについては、いま、きょうかもしれませんけれども、この補償法の改正の法律がここで上がろうとしておるわけです。こんな目的法律なら上げる必要はないし、ない方がいいわけですよね。だから、金子さんはこれを取り消して、陳謝をして、持って回ったところには訂正をすべきだと私は思いますけれども大臣、いかがですか。
  22. 土屋義彦

    土屋国務大臣 金子局長が一部配布いたしました文書の中に、大変穏当を欠くような表現がございましたことにつきましては、ここに深くおわびを申し上げる次第でございます。  私といたしましては、環境影響評価法案国会提出を最優先課題といたしまして全力を挙げて努力をいたしておるのでございまして、これと公害健康被害補償法見直しとは全然別個の問題であるということを明言をいたしておく次第でございます。
  23. 馬場昇

    馬場委員 じゃ、金子さんがこういうのを持ち回った後の事後対策というのはどうなさるおつもりですか。
  24. 土屋義彦

    土屋国務大臣 このことにつきましては、金子局長を呼びまして、口頭ではございますが、厳重に注意を促し、反省を求めた次第でございます。
  25. 馬場昇

    馬場委員 では、局長、この文書取り消し陳謝をしますか。
  26. 金子太郎

    金子政府委員 この種の書類は全部回収いたしまして、取り消しをいたしました。私も表現その他に非常にまずい点があったと考えて反省いたしております。
  27. 馬場昇

    馬場委員 実はもう一つ、この不調法について、金子さんもいまの部分を取り消されましたし、その他も取り消されると思うのですけれども、この健康被害補償法検討することについて、あなたの見解と本田部長答弁が食い違っております。  本田さんの答弁を一口で言いますと、この委員会で私も何遍でも質問いたしましたが、この議事録にもあるわけでございますけれども経済界から言われたとか、そういう観点からではなく、法の運営を円滑に実施するという観点から検討しております。五年前にいろいろつくって云々というところは、そういう結論になっているのですね。だから、そういう意味検討する。ところがあなたのこの文書を読んでみますと、こういうことも書いてある。昨年以来、患者団体の反発や野党の追及などにより社会問題化し、これの検討について、制度合理化をめぐる情勢が非常に厳しくなっております。それから次に、環境アセスメントのこの課題経団連等の反対により達成することなく、経団連等の要請により公害健康被害補償制度見直しのみを行うことは、対外的にも環境行政の足踏み、さらには後退という批判も免れ得ず、環境庁立場としてはとることのできないところです。全くこの法の創設目的、そして素直に検討するということなしに、あなたの検討というのは環境アセスと引きかえにやる、そこに物事の基調というのは流れているようでございます。たくさんありますけれども、時間がございません。こういう部分についても、大臣、これは不適当ですよね。これはもうさっき総括的に不適当な部分と言われたので言いませんが、金子さん、この部分についてもあなたのはちょっと不適当だと思うのですが、お取り消しになりますか。
  28. 金子太郎

    金子政府委員 取り消させていただきます。
  29. 馬場昇

    馬場委員 私は、そこで長官にお願いしたいのですが、たとえば私どもがここで心配して申し上げましたのは、指定地域を縮小するという要望経団連から出ているわけですね。あるいは公害病というものの範囲を縮小したいという要望が出ておるわけです。そういうことにのっとって検討してもらって、それとまたこのアセスメントを取引されたら困るわけです。いまの実態を見ていますと、硫黄酸化物等は減ったかもしれませんが、窒素酸化物等は減っていないという状況もある。そしてまた公害関係するいろいろなのどの症状の病気というのもある。だから、そういう点で、産業界要望等によって病気の種類とかあるいは地域指定とかそういうものを縮小するのじゃなしに、やはり全体を救うという意味で、拡大して救うという意味検討されるのなら結構だと思うのです、よくなる方なら。そういうことであの気管支性のぜんそくの問題でも六歳以上云々がいろいろ問題になりましたが、これは当面いじくるつもりはないという答弁も得ております。だから、やはりNO2のことも考える、あるいはたとえば病気の種類等もいろいろな症状がある、そういうこともさらに検討する、そして被害者を救うという立場でこの問題については検討していかなければならないと私は思うのですが、いかがですか。
  30. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生指摘のとおり法施行後五年を経まして、ただいまも先生がお述べになられましたとおり硫黄酸化物濃度が急速に低下しておるから地域の見直しをしたらどうかとか、いやいや窒素酸化物を地域指定の要件に入れたらどうかとか、いろいろ御意見があることは私も十分承知をいたしておるのでございますが、先刻来申し上げましたとおり、環境庁といたしましては、やはりこの制度主管者といたしまして、これらをめぐる諸問題につき、「健康被害に係る被害者の迅速かつ公正な保護を図る」というこの補償法の精神に沿いまして、科学的、合理的根拠に基づいて検討をいたしてまいりたいと考えております。
  31. 馬場昇

    馬場委員 先ほど私が最初四日市石原産業事件で申し上げましたが、最近環境行政後退していると批判されているのですよ。そのことは、たとえばこの補償法検討でもその後退する路線の中でやられたら大変だ、国民も心配しておりますから、いま言われましたように、その目的に従って、後退じゃなしに前進をするという立場検討してもらいたいと思うのです。  そこで、公害行政の前進という面でもう一つぜひ取り組んでもらいたい点、また大臣も取り組もうと決意を固めておられるということも聞いておるのですけれども、交通公害の総合対策についてお尋ねしておきたいと思うのです。  これについては一月二十一日に大臣が、長期的な交通公害対策を中公番に諮問する、こういうことを発表されておられます。これについて中公審にいつごろ諮問をして、そして答申をなるべく慎重にしながらも早く出していただいて、どういう時期に、たとえば国会なら国会法案を出して対策を立てようとしておりますか、このスケジュールという点をひとつお知らせいただきたいと思うわけであります。これはもう遅きに失したという感じを持っているわけでございます。最近の交通公害、これはもう増加し激化しておるわけでございますし、本当に昼夜を分かたない騒音、振動、排ガス大変な問題でございます。  そこで私は、この問題について、たとえば大型車の排ガスの規制とかは当然のことでございますけれども、やはり都市計画だとかあるいは物流の対策だとか、あるいは土地利用対策とか、抜本的な交通公害対策というものをこの際樹立する必要があろう。そしてやはり環境庁がリードして、このように大量に物が出、ぜいたくをし、大量消費するという、こういうような生活様式というものは、やはり環境を守るとか人類の命を守るとかいう立場から、この交通総合対策というものについては本当にりっぱな抜本的なものをつくっていただきたいと思うのですが、そのスケジュールと決意のほどを聞いておきたい。
  32. 土屋義彦

    土屋国務大臣 ただいま馬場先生から交通公害問題に対しまして大変力強い御激励をいただきまして、まことにありがとうございました。わが意を得たりと申しましょうか、私もこの問題と前向きで真剣に取り組んでまいりたいと思う次第でございます。  ちょっと一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、交通公害対策は何と申しましても一九八〇年代の環境行政の重要な課題である、かように私は考えております。そこで、私は昨年長官を拝命いたしましてから、早速首都圏と近畿圏を結ぶ東名高速道路川崎インターチェンジを中心といたしまして視察いたしまして、その中でも、特に大型トラックそれからディーゼル車等が典型七公害のうちの騒音、振動、大気汚染等三つを占めておる。それによって地域の住民の皆さん方が大変御迷惑を受けておる。これによって私は全国の幹線道路の皆さん方がお困りになっておるんじゃないかという感じを深くいたしたような次第でございます。  現在、環境庁におきましても検討会を設けまして、環境庁といたしまして鋭意総合的な対策を立てるべく検討がなされておるのでございますが、私といたしましても、ひとつこの問題に真剣に取り組んでまいりたいということで、交通公害問題に関する懇話会、学者とか専門家の方に御依頼を申し上げまして、第一回の会合もすでに開きましていろいろと検討していただいたような次第でございます。先ほど先生の御指摘の中にもございましたとおり、いろいろな御意見ございましたが、特にその中でも発生源対策の強化、特にトラックとかディーゼル車に対しまして一般乗用車等よりももっと厳しくすべきであるという意見、それからまた交通施設周辺の土地利用の適正化の問題とか、また大量生産、大量消費の生活パターンの見直し、また国の自動車交通公害対策の責任体制の確立等々につきましていろいろと御意見が述べられたような次第でございます。この会が非常に有意義で実のある会でございましたものですから、できましたら四月の中ごろにもう一遍私は開いて、専門家や学者の方々の御意見も拝聴してみたい、かように考えております。その上で、環境庁でもいろいろ検討しておりますし、この懇話会の御意見等も踏まえまして、夏ごろには中央公害対策審議会に諮問をしたい、かように考えております。
  33. 馬場昇

    馬場委員 大臣が前向きに一生懸命わが意を得たりというところでがんばっていただくということで、私も力強く思います。よろしくお願いしておきたいと思うのです。  次に、水俣病の認定問題についてちょっとお聞きしたいと思うのです。三月八日に大臣が、国の臨時水俣病認定審査会の答申に基づきまして処分をされました。水俣病と認定されたのは一人、八人が棄却でございます。これを見て私は、この法律ができるときにも相当議論した一人として、そしてまた二十数年水俣病問題を扱ってきました一人として、実は唖然といたしました。  そのことについていまから逐一質問をいたしますが、まず国の臨時審査会の判定基準というものは、熊本県の基準と違って厳しいのではないか、こういうぐあいに思うのですが、本田さん、全部のことは私はよく知っていますから、熊本県の判断条件と違うのか違わぬのか、端的に答えてください。
  34. 本田正

    本田政府委員 結論的に違いません。と申しますのは、後天性水俣病の判断条件に基づきまして三県一市の審査会も御審査いただいておりますし、私どもの国の審査会においても、この判断条件にのっとって適正な審査をいただいているわけでございます。変わらないと存じます。
  35. 馬場昇

    馬場委員 変わらないならば、この人たちは熊本県の審査会では処分保留になっておった人たちですね、今度処分されたのは。そしてこの場合、要観察者である、だから処分保留だといって保留になっておった。熊本県の審査会並びに処分者の知事、その関連においては要観察、処分保留、ところが国の審査会では棄却、同じ判断条件の中で保留と棄却が出るというのはおかしいんじゃないですか。どうですか。
  36. 本田正

    本田政府委員 処分保留ではなしに、従来審査会で保留になっていた方々でございます。おっしゃるとおりその中には、審査会で保留になった方々は、一つは一定期間を置いて審査をまたやるという方々と、それから一つあるいは二つの検査項目追加する必要があるという方々がおられるわけです。今回私どもに申請があった、それで審査をしていただいたものは、熊本県の審査会において神経内科あるいは耳鼻科、眼科を再検診をして、そしてその結果と、それまでの県で審査いただいて保留になった審査会資料、それをあわせて審査する、そういう方々ばかりでございまして、新たな検診項目が加わっております。それをあわせて御審査いただいた結果がそのような結果でございます。
  37. 馬場昇

    馬場委員 棄却になった人というのはこういうのですよ。あなたが言ったとおり、審査会で答申保留、要観察となっておった人です。そしていま言われましたように、あなた方検査したと言われますけれども、水俣に行かれて国の審査会は何か一時間ぐらいのお座なりな検査をしただけで、もう五、六年も保留、要観察になっておった人が一時間ぐらいの検査で棄却というかっこうで出ているわけですよね、受けておる患者さん側にとってみますと。これはちょっと、五年も六年も要観察を続けておった人たちが、国が来たら一時間ぐらい診てすぐ棄却、これは切り捨てと言われてもしようがないし、基準が違うんじゃないかと言われてもしようがない、私はこういうぐあいに思うのです。  実はもう一つ関連して、時間が参りましたので聞きたいのですが、審査会の答申の中に六項目ある。第一は水俣病であるという答申がある、第二は水俣病の可能性がある、第三は水俣病の可能性を否定できない、第四が水俣病ではない、五がわからない、六が継続審査、こういう答申が来る。このような答申が来たのですか、こう分けても審査会から答申があったのですか。
  38. 本田正

    本田政府委員 区分の中身は申し上げられませんけれども、いまおっしゃった六項目について、どの項目に該当するかという答申がございました。
  39. 馬場昇

    馬場委員 これは、私が審査会の答申を表に出せと言えばあなた方は出さぬでしょう。私が聞いたところによりますと、この一、二、三、水俣病である、水俣病の可能性がある、水俣病の可能性を否定できない、ここに三名おったというように私は漏れ聞いておるのです。三名おれば熊本ではこれは全部認定されるのです。ところが国では一名だというかっこうになっているのですが、これは私がそこに三名おったというのを漏れ聞いておるのが間違いと言われるでしょう。三名いなかったのですか。
  40. 本田正

    本田政府委員 一名でございます。
  41. 馬場昇

    馬場委員 これはまた資料が明らかになりますと、その資料に基づいて質問をいたしたい、こういうぐあいに思うのです。  長官、私はやはり何と言われても、新次官通達というのがこの法律ができるときに問題になったのです。いわゆる否定できないものは認定するという従来の次官通達を変えたのじゃないか、否定できないものは切り捨てる、こういうぐあいに変えたのじゃないかということが大問題になりまして、いや、変えちゃいないのだという結論になっているのです。しかし、この結果を見ますと、やはり新次官通達の切り捨てということが結果として出てきておるということを私が疑うのも、また患者さん、地元の人たちが疑うのは当然じゃないかと私は思うのです。  そこで、実はこの国の臨時審査会というのは、現在昭和五十一年に不作為違法の判決が出て、いま五、六千人まだ申請して審査を受け得ない者がおる。だから旧法の人たちを国に持ってきて審査しようということで、その不作為違法の解消の一環として、患者を早急に迅速に救う一環として、実はこの制度ができ上がっておるのです。ところが何と該当者は千八十五名もおるのに、現在申請した者は四十七名、それで一年たって九名がこういう処分を受けた。その処分の内容というのがまさに切り捨ての内容だ。こういう状況の中において、私はこの国の審査会にはもう申請はないと見ます。そうしたら、不作為違法をどうやって解消しようと考えておるのか、この申請は、いまからもうほとんど来ませんよ。一年たって四十七名でしょう。こういう結果を見てだれが来ますか。不作為違法の解消のために何ら役に立たない審査会になってしまっておる。だから私は、こういう審査会はやめてしまって結構だと思うのですよ。そして水俣病というのは、まだその水俣病像の広さ、深さの解明さえできていない。小手先のことをどんなにやったって、そして最近はこのやるのを切り捨てという背景でもってやっている、後退というかっこうでやっているから、ますます患者の信頼も得ていない。だから、私どもは水俣病問題総合調査法を二、三日前に出しましたけれども、こういう法律を成立させて、被害の実態というものを全面的にもう一遍見て一歩から出直して、そして抜本的な水俣病対策というものをつくり上げなければだめなんです。そういうことについて、私の見通しでは水俣病センターなんかをつくっても、あんなセンターをだれが利用しますか。あれは将来は研究センターじゃなくなって、景色のいいところに建っているからホテルにするのだろうと私は悪口を言ったことがありますけれども、この国の審査会もそういうかっこうになりますよ。だからこの際、抜本的な対策を樹立していただきたい。  そのためには長官、私は何人の長官ともよく話をしますけれども、水俣に調査に行かれた人は少し進むというか、理解があるのです。行かなかった人たちは全然後退のしっ放しです。あなたも国会が終わったならば、あるいは国会中でも時期を見て水俣に行っていただいて、そして本当に自分の目で見、自分のはだで感じて、やはり水俣病の抜本対策というものを一生懸命考えていただくということを大臣に最後にお願いしておきたいと思うのですが、いかがですか。
  42. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  先生が生涯かけて水俣病問題と取り組んでおられることに対しまして、心から深く敬意を表する次第でございます。現場へ参りまして患者さんの方とお目にかかり、いろいろ実情を知るということは、環境行政を進める上でも大事なことでございますので、いずれ機会を見まして私もお伺いをさせていただきたい、かように考えております。
  43. 馬場昇

    馬場委員 終わります。
  44. 河野正

    河野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時八分開議
  45. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の審査を続行いたします。  本案に対する質疑は終了いたします。     ―――――――――――――
  46. 河野正

    河野委員長 ただいま委員長の手元に、則武真一君より本案に対する修正案が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。則武真一君。
  47. 則武真一

    ○則武委員 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、公害健康補害補償法の一部を改正する法律案に対する日本共産党・革新共同の修正案の提案理由を申し述べさしていただきます。  原案は、自動車重量税の税収見込み額の一部に相当する金額を公害被害者への補償費等の一部に充てるという、昭和四十九年以来とられてきた臨時措置を昭和五十一年、同五十三年に引き続き三たび延長しようとするものであります。さらに、延長期間は、これまで二年ずつの延長でしたけれども、今回は三年間の延長ということになっております。  私たちは、この臨時措置を決めた昭和四十九年、さらにその延長を決めた五十一年、五十三年と、過去三回の審議のたびごとに、提案されたこの措置に対して反対の態度を表明し、修正案を提出してまいりました。それは自動車重量税の引き当て措置が、自動車メーカーの責任を転嫁し、自動車使用者にその責任を押しつけるというものであるという理由からでありました。同時に、この措置が、一般会計から支出される国費による補償費の負担であるということを指摘し、たとえ臨時措置であっても賛成することのできないものであることを明らかにしてまいりました。にもかかわらず、政府が過去三回に及ぶ本委員会の附帯決議さえ無視して、四たびこの臨時措置を行おうとするのは、まことに遺憾にたえないと思います。  さらに、今回は租税特別措置の三年延長を理由に、当然のごとく自動的にその延長期限を三年としていることは、今後とも引き続き自動的に延長が行われることをうかがわせ、黙って見過すことはできません。  同時に、この無原則な臨時措置の延長は、本補償制度の持つ矛盾、たとえば財源確保のためには、窒素酸化物の大気汚染への影響を認めながら、同じこの窒素酸化物を地域指定要件には加えないという矛盾、こういう矛盾を将来にわたって固定化するものと言わざるを得ません。この矛盾は、一方では公害被害者の救済を切り捨てたり、そしてまた一方では大気汚染の責任企業から免罪するという、二重に企業を利するものとさえなっているのであります。  以上の理由により、わが党は原案に反対するとともに、本制度発足当初から問題を指摘してきたとおり、公害保健福祉事業等にある公費負担の解消を含め、自動車メーカーの被害補償責任を明確にし、窒素酸化物を地域指定要件に加え、公害患者の不当な切り捨てをなくする修正案を提出するものであります。  次に、その修正案の概要について説明をさせていただきます。  第一は、補償費等の一部に充てるため、輸入業者を含む自動車メーカーから賦課金を徴収することとし、その賦課金の額は、自動車の種別総排気量、汚染物質の排出量等を勘案して政令で定める金額に出荷台数を乗じて算定をするという点であります。  第二は、ばい煙発生施設等設置者に対する汚染賦課対象物質に硫黄酸化物とともに窒素酸化物を法定することにより、窒素酸化物が被害発生の原因物質であることを明確にし、これを指定要件に加えるという点であります。  第三には、公害保健福祉事業費、自治体の補償給付費及び公害健康被害補償協会の事務にある公費負担を全廃し、これを企業負担とするという点であります。  以上でございますが、慎重に御審議の上、ぜひ御賛同をいただきたい、このように考えます。  終わります。
  48. 河野正

    河野委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  49. 河野正

    河野委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに公害健康被害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、則武真一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  50. 河野正

    河野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  51. 河野正

    河野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  52. 河野正

    河野委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、八田貞義君、島田琢郎君、古川雅司君及び中井洽君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨説明を求めます。島田琢郎君。
  53. 島田琢郎

    島田委員 私は、ただいま議決されました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。まず、案文を朗読いたします。     公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たって、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一 昭和五十八年度以降における費用徴収方法については、汚染の原因者負担の原則にのっとるとともに、発生源の公害防除の努力が十分反映されることを重点においた方策の確立に努めること。  二 幹線道路周辺における環境の改善を図るため、バス・トラック等の自動車に係る排出ガス及び騒音の規制をさらに一層強化するとともに、総合的な交通公害対策を推進すること。  三 工場等固定発生源から排出される窒素酸化物の規制については、環境基準の達成が困難と思われる地域において総量規制方式の早期実現に努めること。  四 最近における都市型複合汚染に対処するため、窒素酸化物等についても健康被害との因果関係を究明し、その結果に基づいて地域指定の見直しを行うこと。  五 ぜん息性気管支炎の認定要件については、患者の救済に万全を期する立場で慎重に対処すること。  六 補償給付の改善を行うとともに、転地療養事業等の公害保健福祉事業の充実、強化を図ること。  七 国立水俣病研究センターについては、その機能が十分に発揮されるよう研究者の確保等、早急に体制を整備するとともに、研究成果をふまえて水俣病の治療体制の充実についても検討すること。  八 本制度の対象となっていない騒音、振動等による健康被害及び財産被害についても、その実態の把握に努め、被害者の補償措置を早急に確立するよう検討すること。  九 公害の未然防止の徹底を図るため、早急に環境影響評価に関する制度の確立を図ること。 以上でありますが、その趣旨につきましては案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上であります。(拍手)
  54. 河野正

    河野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  55. 河野正

    河野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、土屋環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。土屋環境庁長官
  56. 土屋義彦

    土屋国務大臣 ただいまの決議に対しましては、その趣旨を体しまして努力をいたします。
  57. 河野正

    河野委員長 ただいま環境庁長官より、附帯決議の趣旨を体して努力するとの発言がありましたが、従来の附帯決議に対する政府の対応は必ずしも十分であるとは言えない面があることにかんがみまして、今回の附帯決議につきましては、各項目にわたり誠実に対応されるよう特に委員長より要望いたします。(拍手)     ―――――――――――――
  58. 河野正

    河野委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 河野正

    河野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  60. 河野正

    河野委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十九分散会      ――――◇―――――