○山岡
政府委員 大
都市地域を中心とする特に住宅地の値上がりが厳しいということを先ほど御報告したわけでございますが、
先生のおっしゃるとおり需給ギャップということが一番の原因でございますが、同時に効用の増というものもあるわけでございます。ただ、私
ども先ほど投機についてはないというふうに申し上げたわけでございますが、いま
先生一番最初にお話がございましたように、大体
土地を保有すれば貯金をするよりもうかるからどんどん
土地を買う風潮が起こるのではないかということでございます。そういうことが起こりますのがいわゆる仮需要、投機的需要の発生でございまして、一番戒めなければならないところでございます。そのための対策といたしまして、先ほど申し上げましたとおり現在三つの対策をとっております。
一つは、四十七、八年当時になかった対策といたしまして、
国土利用計画法による行政介入ということでございます。これは相当励行いたしてまいっております。それからもう
一つは短期譲渡重課、それから特別
土地保有税、法人の
土地譲渡に対する場合の二〇%の特別重課、こういう
制度はそのまま残しておるという点でございます。
一例を申し上げますと、たとえば、現在そういうふうに
土地がもうかるものだというつもりで相当な金を準備して東京で
土地を買ったといたします。それで先ほど
先生のお話にございました二〇%ではございませんけれ
ども、一七、八%の値上がりが今後ずっと続くということで計算をいたしますと、五年後には大体二・二倍くらいになると思います。十年後には大体四・五倍くらいになると思います。その間にそういう値上がりが生ずるわけでございますが、もしその時期にその値段で
土地が売れたといたします。そういう場合も
現行税制のもとで手取りはどれくらいになるかという計算をいたしますと、五年後にそういう値段で売った場合の利回りは年三%でございます。十年後の場合は年四%強でございます。したがいまして、ちょっと頭のいい人ならばそういうことでは買わないというふうにわれわれ思っております。したがいまして、プロはそういうふうな
土地の買い進みはしないだろうというふうな税制になっているのではないかと思います・自分の金で買った場合もそういうことでございますが、さらに不要不急の金につきましての融資の抑制ということも厳しくやっております。したがいまして、今後投機が助長されるような状況は余りないというふうに思っておるわけでございます。
それから、大
都市の
土地の値上がりの状況についてお話がございましたが、最近の趨勢の中で四十七年、四十八年ごろの分と比べてみますと、四十七年当時の地価公示の変動率でございますが、ベストテンを挙げてみますと、一番トップが一三五%の上昇でございまして、これは二・三五倍ということでございます。ベストテンの最下位が八三・八%の値上がり。しかも、そのベストテンの中では商業地が五カ所くらい入っております。住宅地がその残りという程度。四十八年におきましてはどうかと申しますと、ベストテンのトップが一三三%の値上がり、ベストテンの十位が一一〇%の値上がりということでございます。これにつきましては中身はほとんどが住宅地でございまして、商業地が
一つ入っております。したがいまして、ベストテンで見る限り住宅地中心であるということが言えます。しかし、その中身を見ますと、北海道、新潟、それから宮城というようなところが入っておりまして、地方の住宅地中心型ということが言えると思います。五十五年の今後予定しております地価公示のベストテンを見ますと、やはり
先生おっしゃいましたように東京都のトップは三〇%くらいだと聞いております。それからベストテンの最下位は二五、六%と聞いております。しかし、中身といたしましては、全部が住宅地で、全部が東京都もしくは埼玉県ということになっております。それから見ますと、明らかに四十九年以後いろいろな値上がりの状況がさま変わりをいたしまして、東京都もしくは東京圏等を中心といたします三大圏の住宅地中心型の値上がりということが非常にはっきりと出ておるというふうに
考えられます。
それからもう一点、
先生のお話にございました大手の業者の
土地でございます。販売用
土地につきましては、毎年私の方で企業の保有
土地調査というのをやってまいっております。現在一万三千ヘクタールくらい大
都市圏内では企業の販売用
土地があると見ております。しかしながら、企業の手持ちの
土地につきましては四十八年には純計で一万ヘクタールくらいふえましたけれ
ども、その後毎年二千ヘクタールオーダーで出し入れの差が減っております。現在、大手といいますか、業者について聞きますと、ここ一年分ぐらいしか手持ちがないというところまでの業者が七割を占めておりまして、在庫の不足感を感じておるというのが
現状でございます。したがいまして、もちろん、そういうものにつきまして大いに宅地化をしていただくということは当然でございますけれ
ども、それ以外にもいろいろと供給策を
考えなければならぬということだと思います。
それから税制でございますけれ
ども、
先生のお話ございましたように保有税はこれを強化をする、譲渡税は優良なものについてはこれを軽減するというのは
土地対策から見た場合の税制の方向だと思います。したがいまして、今度の場合の税制につきましても投機抑制税制、それから保有税制等につきましては
現行制度を維持するとともに、譲渡税について相当の減税を図ったということでございまして、御
指摘のような方向で
土地税制の
改善を
考えておるというふうに御了解いただきたいと思います。