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1980-03-19 第91回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十九日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 小沢 一郎君 理事 大坪健一郎君    理事 國場 幸昌君 理事 渡辺 紘三君    理事 竹内  猛君 理事 渡部 行雄君    理事 伏木 和雄君 理事 瀬崎 博義君    理事 渡辺 武三君       池田 行彦君    上草 義輝君       鹿野 道彦君    谷  洋一君       中島  衛君    中村  靖君       丹羽 兵助君   三ツ林弥太郎君       村岡 兼造君    井上  泉君       小野 信一君    木間  章君       中村  茂君    貝沼 次郎君       松本 忠助君    井上  敦君       中島 武敏君    和田 一仁君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡辺 栄一君  出席政府委員         建設政務次官  竹中 修一君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 関口  洋君         建設省住宅局参         事官      大田 敏彦君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         環境庁企画調整         局環境管理課長 平尾多久雄君         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      加藤 三郎君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   中村  茂君     八木  昇君   井上  敦君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   八木  昇君     中村  茂君   不破 哲三君     井上  敦君 同月十九日  辞任         補欠選任   井上  敦君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     井上  敦君     ————————————— 三月十五日  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第六一号) 同月十九日  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)(参議院送付) 同月十日  流山前ケ崎地内における国道への連絡通路設  置に関する請願森田景一君紹介)(第一九〇  八号)  流山市内国道号沿線防音壁設置に関する請  願(森田景一君紹介)(第一九〇九号)  肢体障害者有料道路通行料金無料化等に関  する請願則武真一紹介)(第二〇三〇号) 同月十二日  日本住宅公団における民主化促進等に関する請  願(竹内猛紹介)(第二二五八号)  硫黄列島疎開島民帰郷実現に関する請願(田  島衞紹介)(第二三四二号)  同(竹内猛紹介)(第二三四三号) 同月十四日  硫黄列島疎開島民帰郷実現に関する請願(石  原慎太郎紹介)(第二三六九号)  同(榊利夫紹介)(第二五五二号)  東京湾岸道路計画の再検討等に関する請願(木  原実紹介)(第二五五〇号)  東京湾岸道路環境対策に関する請願木原実  君紹介)(第二五五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  幹線道路沿道整備に関する法律案内閣提  出第二七号)  都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一六号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第六一号)  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  幹線道路沿道整備に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 第一条の目的関連して二点ほどお尋ねいたしたいと思いますが、その前に、道路公害というものを大別して見た場合に、大気汚染、それから振動交通騒音、こういうふうに大別できるというふうに思うのです。この法律ではいま申し上げた三点目の交通騒音について取り上げている。この交通騒音についても、交通規制とこの法律で取り上げている沿道整備をどういうふうにしていくか、つまり言えば、騒音に対しても沿道整備ということで交通規制がどういうふうに関連してくるかということが不明確なわけです。それから、先ほど申し上げましたように道路公害大気汚染とか振動とか、こういう問題がある。ですから私は、この法律では交通騒音を取り上げているわけですけれども道路公害全般に対する対策というものもこの法律に並行して取り扱っていかなければならない問題ではないか、こういうふうに思うわけであります。ということになるとこれは建設省だけではできない問題も出てくるわけでございます。ですから、政府全体として総合的に対策を立てていただきたいということを強く要求し、大臣の見解もお聞きしておきたい、こういうふうに思うのです。
  4. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えいたします。  特に都市部幹線道路につきましては、いまいろいろ先生お話がございましたが、騒音大気汚染あるいは振動等ございますけれども、やはり道路交通騒音対策が最も重要な課題の一つではないかというふうに私どもは考えております。従来から、道路交通騒音によって生じまする障害防止するために、バイパス整備等を進める一方におきまして、遮音壁あるいは緩衝帯整備等措置を逐次やってまいったわけでございますが、このような道路構造改善等措置のみでは必ずしも有効かつ適切な対策とはなりがたい場合が非常に多くなったというふうに考えられるわけでございます。このために幹線道路沿道土地利用との調和を積極的に図ることを基調としました施策確立が望まれていると思うのであります。  このような要請を踏まえまして、道路交通騒音の著しい幹線道路沿道につきまして新たな都市計画制度としての沿道整備計画を決めますとともに、沿道整備計画区域内の整備促進するための措置を講ずることによりまして、道路交通騒音によって生じます障害防止とあわせて、沿道の適正かつ合理的な土地利用促進を図ってまいりたい、こういう趣旨で今回の法案をお願いいたした次第でございます。  ただいまの三公害につきましての考え方は、局長から具体的に御説明をさせたいと思います。
  5. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  道路交通に起因する障害通称公害に対する対策としましては、先ほど先生指摘のように総合的な観点、すなわち自動車構造改善の問題、交通規制の問題、それから道路網整備からの観点、つまりバイパス築造等によって現道におきます都市環境道路環境改善する、こういうネットワーク道路網観点から、それから、それぞれの道路におきます道路構造改善、こういったいろいろな施策を総合して対策を講じなければならぬ、こういうぐあいに考えております。     〔委員長退席伏木委員長代理着席〕 私ども道路整備を進めます場合にも、関係機関とも十分協議を進めながらそれぞれ実施をいたしておるところでございます。  そこで、道路交通公害関連をいたしまして、大気汚染及び振動の問題があるわけでございます。  大気汚染につきましては、やはり基本となりますのは発生源対策、つまり自動車構造を改良していく、こういうことにまたざるを得ないわけでございまして、昭和四十年代の後半から五十年代の前半にかけまして、第一段階規制措置が数次にわたりましてとられてきて、相当改善を見ておるところでございまして、私どもといたしましても、第二段階規制によりまして、自動車の方の改善は今後とも進められるというぐあいに実は期待をいたしておるわけでございます。  振動の問題でございます。振動の問題につきましては、一つ道路構造改善、それから道路維持管理を適切にやっていく、こういうことで対処いたしますならば対策が講じ得る、こういう考え方に立っておるわけでございます。  ところが道路交通騒音の場合は、先ほど大臣からも申し上げましたように大変深刻な問題になっておりますのと、いま申し上げました自動車構造改善交通規制道路構造、それだけでは解決できない面がある。どうしても沿道との調和を図っていくということでありませんとその目的を達することができないという性格のものであるということから、この法律におきましては、道路交通騒音対策ということを主として考えておるという事情にあるわけでございます。
  6. 中村茂

    中村(茂)委員 特にこの騒音対策に対しては、いままでも昭和五十一年の七月に、「高速自動車国道等周辺における自動車交通騒音に係る障害防止について」という通達が出ておりますし、また昭和五十二年の十月に「幹線道路周辺地域における生活環境整備促進について」が出て、この通達に基づいて「沿道環境整備要綱」が制定され、騒音防止沿道環境整備についてずっと行われてきたと思うのです。そこで、今度これを法制化するということで調べてみますと、いままでは高速自動車国道有料自動車専用道、今度はこれ以外の道路まで枠を広げていく、それから整備内容もふやしていく、そういうものを総体的に法制化して進めていくということですが、そうなると、いままでの通達と今度の法制化との関連はどうなるか、それからメリット、こういう点についても明らかにしていただきたいと思うのです。
  7. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  道路交通騒音などの対策といたしましては、ただいま先生からお話がございましたように、各種の通達によりまして対策を講じてまいったわけでありますが、さらに積極的、また将来にわたって有効かつ適切な道路交通騒音対策を講ずるためには、やはり総合的な施策体系確立が必要であるというぐあいに考えたわけでございます。このために、まず第一には幹線道路沿道土地利用につきましては、都市計画として法制上明確に位置づけまして、その決定手続法律上の効果を明確にしてまいることが必要であるという点。第二に、沿道整備を推進するためには、本制度において予定しておりますような国からの無利子貸し付け、沿道整備目的のために必要な土地について市町村が買い取ります資金の一部につきまして、国からの無利子貸し付け等といった措置を講じてまいらなければなかなか目的を達成し得ないという点、また先ほどお話のありましたように、一般道路につきましても防音工事に係るいろいろな制限とあわせて必要な場合には助成措置を講じていかなければならない、こういった点を総合的に勘案いたしまして、今回新たに法律のお願いをすることにいたした次第でございます。  現行の道路交通騒音対策のうち、この制度と直接な関連を有するものは、緩衝建築物整備に対する道路管理者による助成、この法律では道路管理者負担という表現になっておるわけでありますが、五十二年の都市局長道路局長通達、この緩衝建築物整備の問題、それから、有料自動車専用道路沿道におきます住宅に対する道路管理者による防音工事助成、これは五十一年の都市局長道路局長通達であります。この二つ関連をしてまいりますが、第一の緩衝建築物に対する助成につきましては、この制度によって吸収されることになります。有料自動車専用道路、これにつきましては本制度との運用面での調整を図りながら引き続きその活用を図ってまいるという考え方になっておるわけでございます。
  8. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほど申し上げた二つ通達、それからその通達に基づく「沿道環境整備要綱」、これはこの法案に全部吸収できるのですか、それとも残る部分があるのですか。先ほどの説明ではまだ残る部分があるような印象も受けるわけですが、そういうことをはっきりする意味で、皆さんの方からいただいております「道路関係予算説明資料」いわゆる白パンと言うのですけれども、この十一ぺ−ジの「環境保全に資する道路構造改善事業 六千二百六十億円」、「(注)」として五までありますけれども、これはこの法律ができればここのところに全部吸収できるのか、それとも先ほどの通達関連して、まだ全部法律の方に吸収できないで通達の中で残っていく事業があるのか、いま申し上げた金の関連とあわせてもう少し明確にしておいてください。
  9. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいました「環境保全に資する道路構造改善事業」、これは道路構造面等も含めました全体の環境対策といたしまして計上されております費用でございます。したがいまして、この中には本法律に基づくものがもちろん全部吸収をされるということになりますが、先生指摘の十一ページにありますような緑化対策環境施設帯等設置といった、もっぱら道路構造そのものにつきましては、直接本法律措置をいたしております事項、つまり土地の買い取り、緩衝建築物に対する負担防音助成以外の項目でございますが、この法律に述べられておりますように、道路管理者の責務といたしまして道路構造上の問題、改善等につきましては当然精神においてはこの中に含まれるわけでありますが、直接この法律によって効果を持つものといたしましては先ほど申し上げました三点、規制措置等施策とあわせた三点になろうかと思います。  こういう観点からまいりますと、土地買い取り資金貸付金、その他の道路防音助成緩衝建築物等対策につきましては全くこれまでの通達をそのまま吸収される。ただ、ここで有料自動車専用道以外の道路につきましての防音助成は今回の新たな制度であり、土地買い取り資金貸付金も新たな制度である。この二つが新たな制度である。しからば、この法律に外れると申しますか、この法律の外で運用されるものは何かということに相なりますと、それは有料自動車専用道路に係る防音助成に関することでございます。これは費用負担等の成り立ちが利用者の直接の料金から支出をされるという観点から、別に異なった考え方のもとで運用をしてまいる、こういうことでございます。
  10. 中村茂

    中村(茂)委員 いままでになかったものがこの法律ができることによって予算見積もりされたものは、ここで言う土地買い取り資金貸し付けの無利子、それから防音工事助成、新規に見積もられたものはこの二つがある、こういうふうに理解していいわけですか。
  11. 山根孟

    山根政府委員 仰せのとおりでございます。
  12. 中村茂

    中村(茂)委員 次に進みます。  五条関係に入りますが、冒頭の「都道府県知事は、幹線道路網を構成する道路」、括弧書きはありますけれども、この「道路」とはどのような道路を指していうのですか。
  13. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  括弧書きを除きますならば、一般国道のうち交通量がきわめて多い、いわば道路網の枢要な部分を構成しており、自動車交通量が大きい道路ということになろうかと思います。ただ一般地方道、つまり主要地方道等におきましてもあるいは市町村道の中におきましても、都市内におきます道路の一部、こういったものはこの幹線道路として考えるものというぐあいに考えておりまして、私ども、多くの場合四車線以上の道路であるというぐあいに考えております。
  14. 中村茂

    中村(茂)委員 高速自動車道有料自動車道、四車線で走っている道路、こういうことですか。
  15. 山根孟

    山根政府委員 網を構成いたしておる道路ということでございますが、包括的にはいま先生のおっしゃいました道路ということになろうかと存じます。
  16. 中村茂

    中村(茂)委員 国道の二車線で走っているところはだめだということですか。
  17. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと説明が舌足らずの点がございましたが、二車線道路幹線道路ネットワークを形成しておるという意味では幹線道路であるというぐあいに考えております。
  18. 中村茂

    中村(茂)委員 都市計画法に基づいてそういう幹線道路だというふうに定めればいいわけですか。
  19. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  都市計画段階では、主要幹線道路幹線道路補助幹線道路区画道路といったような、いわば段階構成がなされまして、そういう道路段階構成のごとに実は幹線道路都市計画決定をされておるわけでございますので、そういった意味での幹線道路というのは都市計画観点から明らかにされておるというぐあいに考えております。
  20. 中村茂

    中村(茂)委員 この法律を適用するのは、五条にはこの次に条件があるけれども、いずれにしても「幹線道路網を構成する道路」こういう道路はもう少しはっきりさせてください、どういう道路ですか。
  21. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  道路法体系で申しますならば、高速自動車国道一般国道、それから地方的な幹線道路として位置づけられております都道府県道、それから主要市道といったものが、ネットワークとしては幹線道路の範疇に入るというぐあいに考えております。
  22. 中村茂

    中村(茂)委員 やっと明確になってきたな。  そこで、一項の一では、特に自動車交通量、これが「政令で定める基準を超え、」とありますが、その政令内容。二の道路交通騒音、これは「政令で定める基準を超え、」とありますが、この政令内容。三の「当該地域相当数住居等が集合し、」とありますが、その相当数というのはどういう数か。     〔伏木委員長代理退席委員長着席
  23. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  現在のところ、自動車交通量につきましては、日交通量が四万ないし五万台程度以上。第二に、道路交通騒音につきましては、道路端におきます夜間騒音レベルが六十ないし六十五ホン程度以上。相当数住居につきましては、地域の実情によりいろいろ異なってまいりましょうが、おおむね数十戸程度以上を一応の目安と考えております。  ただこの場合、自動車交通量につきましては、騒音との関係が大変大きい大型車混入状況等をどのように組み込むかということを十分検討、考慮する必要があると考えておりまして、一日の大型車交通量として五千台ないし一万台程度以上ということもあわせて現在検討しておるところでございます。
  24. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの一、二の、四万から五万台、大型車がどのくらい入っているかということで相当違ってくる。それから騒音は六十から六十五ホン、これは何に基づいていまその基準政令内容としょうとしているのですか。
  25. 山根孟

    山根政府委員 現在、騒音が大きな問題になっております道路につきましていろいろ調査をいたしております結果、やはり問題が生じておるというところは、交通量につきましては幹線道路と考えられる、主として四車線道路であるわけでございまして、その四車線道路交通容量一つ交通量に関する目安というぐあいに考えたわけでございます。  それから騒音につきましては、騒音規制法によります要請限度の値を考慮したものでございます。
  26. 中村茂

    中村(茂)委員 公害対策基本法に基づいて、いま言われた騒音規制法というのがありますね。その四章に「自動車騒音に係る許容限度等」ということで、十六条から十七条にわたっておりますけれども、それが六十ないしは六十五ホンというのは、いままでの通達、先ほど申し上げた通達では六十五ホン、こうなっているわけですから、その許容量限度なのか、私も研究不十分で申しわけないですけれども限度よりもある程度よく見ているのか、その許容限度とのかかわりについて、わかっていたらひとつはっきりさしておいていただきたいというように思うのです。
  27. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  この要請基準そのもの地域によって異なっておるわけでありますが、二車線を超える車線につきまして、夜間におきます要請基準、つまり、知事環境保全観点から、この値を超えるならば道路管理者道路構造改善等に対して意見を述べることができる、こういうことで、いわば道路管理者に対する必要な措置をとる場合の基準一つ要請基準という形で位置づけられるというぐあいに理解をいたしておるわけでございますが、二車線を超える車線におきましては、この値が、第一種区域及び第二種区域におきましては夜間六十ホン、第三種区域及び第四種区域につきましては六十五ホン、朝、夕及び昼間につきましてはこれよりか高い値でございますが、主として夜間が問題であるということから、この要請基準によります六十ホンないし六十五ホンを一応の目安として現在考えているところでございます。
  28. 中村茂

    中村(茂)委員 三の、相当数が数十カ所という意味は、十台から九十までというふうなことですかね。
  29. 山根孟

    山根政府委員 数十戸でございます、家の数。これはまさに大きな幅があるわけでございますが、やはり住宅の建ちぐあい、沿道状況等もいろいろ検討して、どのような基準にいたすのがよろしいかということについてこれからいろいろ検討してまいりたい、こう考えておるわけであります。ぴしゃっと何十戸というようには、地域状況によって一概には決められないのではないかというぐあいに考えております。
  30. 中村茂

    中村(茂)委員 私はそのことを案外きつく言うのは、いまずっと申し上げた交通量それから交通騒音住宅相当戸数、この三つ条件がかぶさらなければ、これの適用にならぬわけです。一項だけではだめなんですよ。だから、数十カ所というようなことを言ってみたり、政令政令と言うけれども……。ですからもう少し、この法律を提案するには、そこら辺のところを余り幅広く皆さんの方に融通できる権限をこの法律で与えておくというのは私はどうかと思うんですよ。この三つの問題が当てはまらなければだめなんですよ。一つだけじゃだめなんですからね。この法律政令で定めるというところは何カ所ありますか。
  31. 山根孟

    山根政府委員 十七ございます。
  32. 中村茂

    中村(茂)委員 いま二カ所聞きましたから、あとの十五カ所について、この法案を採決するまでにこの政令を全部資料として出してください。委員長、お願いします。
  33. 山根孟

    山根政府委員 提出させていただきます。
  34. 中村茂

    中村(茂)委員 そのように、この法案を読んでいっても、十七カ所も政令があったのでは、もう骨のところだけこういうふうに条文になっていて、じゃ中身はどうだというところは、政令によります、政令によります、政令によりますという仕組みなんですよね。だから、法律をつくればやることはおら方へ任せておけという、こういう法律なんですよ。まあまことに勝手な法律のような気がしますけれども資料をきちっと出していただきたいと思います。  次に、やはりこの五条関係の三項ですけれども都道府県知事は、道路管理者それから関係市町村、このところと協議する、それから都道府県公安委員会意見を聞く、そしてこの五条で言っている沿道整備道路の指定を行っていく、こういうことですが、また、この法律の八条、「沿道整備協議会」、五条の三項で言っておりますいわゆる協議に当たった知事それから都道府県公安委員会関係市町村道路管理者、これによって沿道整備協議会を組織する、こういうふうになっておりますが、いずれにしても、そこに住んでおる人たちがどのように意見を反映し、または八条のこういう中に入って、意見が反映できるようにしていくかという住民参加の問題が、非常に不明確だというふうに思うのです。  そこで、いま申し上げたことを前提にして、環境庁が来ていると思いますけれども、一応環境庁にお聞きいたしたいというふうに思うのです。いま環境庁の方で、昭和五十四年四月十日に中央公害対策審議会から「環境影響評価制度のあり方について」という答申が出されて、いまこれに基づいて法案に対しての骨子が環境庁によってつくられていると思いますが、その「目的」に、「1調査、予測及び評価を行い、 2 その結果を公表し、 3 これに対する意見を求める」こういうのを骨子として、いま法案の準備をされているというふうに思うのです。  そこで、二点お聞きするわけですけれども、特に道路関係の問題については、この環境影響評価法との関連でどのように考えているか。  それから二点目は、都市計画法で言っている、いわゆる公表、意見を聞く、意見を求める、これは都市計画法ですでに、不満足でありますけれども、手続が制定されておりますが、この骨子の中で考えている考え方、それから答申の中で言っていることと、私の見る限りでは相当違うというふうに思うのですけれども、そこら辺の違いというか、その点について環境庁のいまの考え方を明らかにしていただきたいというふうに思うわけです。
  35. 平尾多久雄

    ○平尾説明員 お答え申し上げます。  道路法に基づく道路の問題でございますけれども、これにつきまして、私ども、いま現在、各省庁とこの環境影響評価法案について鋭意協議いたしております段階でございますが、一応対象事業といたしましては、道路法に言っております道路については対象事業として取り上げていこうということで現在考えておるわけでございます。具体的にどの範囲についてやろうかということにつきましては、現在建設省と詰めておる段階でございます。  それから、都市計画法の問題でございますが、御案内のように昨年四月十日に中公審の答申が出されております。この趣旨は、環境影響評価の対象とする事業に関する都市計画では、都市計画法自体に本制度目的と同様のこと、要するに環境影響評価制度目的と同様のことが定められていることを考慮いたしまして、制度を定めることが適当である、こういうふうに言っておられまして、さらに都市計画法相当規定と申しますか、この問題につきましても、中公審のいろいろな審議結果の中で、すでに都市計画法の方で住民関与手続というのが定められておるということで、それとのすり合わせと申しますか、環境影響評価制度をつくります場合に、都市計画法のことを十分考慮して制度を組み立てるべきじゃないか、こういうふうな考え方が出されているわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、そういう観点から現在環境影響評価法につきましては、附則で都市計画法の一部改正をしまして、そこへ所要の手続と申しますか、そういうものを盛り込んで効率的に行えるように考えていきたい、こういうことで現在調整している段階でございます。
  36. 中村茂

    中村(茂)委員 この答申の二十九ぺ−ジのイの「都市計画に係る事業」、これを受けて、いまお話にありましたように、都市計画部分については、都市計画の方に附則で移したい、端的に言えばそういうふうに理解していいわけですか。
  37. 平尾多久雄

    ○平尾説明員 そのとおりでございます。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、建設省の方にお聞きしたいのですけれども、今度の改正で都市計画法に組み入れているわけですね。第三章で「沿道整備計画」、余り細かいことはわからないのですけれども、いっぱい書いてあります。そうなってくると、先ほど環境庁の方で道路の問題については別に考えたいというふうに言っていましたけれども、この道路の問題が、今度の沿道整備については都市計画法の方を改正して組み入れられるということになれば、特に公害というか、こういうものに対しての手続上の問題について、先ほどの環境影響評価の特に手続問題について、この中で起きている騒音とか、先ほど五条と八条の関係を申し上げたけれども、それを住民に聞くというような問題は、都市計画法の方でできるわけなんですか。
  39. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のように、今回御審議いただいております幹線道路沿道整備に関する法律案におきましては、ただいまおただしの、五条に基づきます沿道整備道路の指定を受けました場合に、その道路に関しまして、どういうふうに沿道整備をしてまいるかということを具体的に決めるプランが沿道整備計画でございまして、それがおただしのように第三章に書いてございます。この沿道整備計画は、都市計画の手続によって決めさせていただくということになりますので、沿道整備計画を決めるに当たりましては、現行の都市計画法の手続に従いまして、必要に応じ公聴会を開く、あるいは案の縦覧をいたす、縦覧に対して意見が出ればこれを都市計画審議会に諮って判断をさせていただくというような手続をとらせていただくことになるわけでございます。その過程において、実質的にアセスメントに類するようなお話も現在までのところ多く出ておりますし、これからも出ることが予想されるわけでございます。  なお、もう一点の環境庁の方におただしがございました環境アセスメントの法制化につきましては、環境アセスメント法の法制化がこれから行われようとしているわけでございますが、その際には、また新たな環境アセスメントの制度化が法制化されるわけでございますけれども、その際に、都市計画事業に関するアセスメントにつきましては、アセスメント法の附則をもちまして都市計画法を改正し、都市計画の手続にのっとってアセスメントの実現を図るという体制を準備いたしておる次第でございます。
  40. 中村茂

    中村(茂)委員 大体わかりました。  そこで、この都市計画に基づいて公聴会を開く、意見を聞く、これは決まっているからやっていただかなければならないわけですけれども、こういう問題を解決していく場合に、この法律の八条で沿道整備協議会というものを組織することになっているわけであります。この中に、特に先ほど申し上げました、一口で言えば住民参加というか、そこのところに住んでいる人、そして先ほど相当数住宅ということで言ったのですけれども、そういうところの代表の人がこういう中に入るというような組織にしなければ、本当の意味はないのじゃないかと私は思うのです。その辺については、ここのところで法律でもきちっとしてしまっていて、改正しなければどうにもならぬというような実情のようですけれども、こういうものをつくる場合に、せっかく協議会がつくられるわけですから、そういうところの代表ぐらいは住民代表を入れるというような仕組みにならないのでしょうか。
  41. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備に当たりましては、先生指摘のように、沿道の方々の意向を十分反映する必要があるのは仰せのとおりでございます。ところで、沿道整備協議会は、沿道整備道路及びその沿道整備を計画的かつ総合的に推進するための協議機構として、行政機関相互の連絡協議の場として設けられるものでございます。この構成員は、都道府県及び関係市町村のそれぞれ関係する部局から構成をいたすということを予定いたしておりますので、沿道各層の住民の意向も十分反映され得るものというぐあいに考えております。  また、この沿道整備協議会の運営に当たりましては、必要に応じまして沿道住民の意見を聞く方法も取り入れるよう十分指導してまいりたいと考えておるわけでございます。これによって沿道住民の御意向を十分反映させるようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 中村茂

    中村(茂)委員 法律ができてしまって、いままでの行政の対応も、そういう地域の民主的な住民組織というものをこういうところに入れるということは、なかなか拒否反応が強いわけですけれども、実行の面で、いま言われたように、そこに住んでいる人たち意見をまず聞くということを前提にしてこの指定とか、またはこの協議会でいろいろこれからやっていく場合に、そういうことを重点に運営していくように強く要求しておきたいと思います。  それから次に、ずっと飛びますけれども、今度これを実施するに当たって、建築基準法の一部を改正することになっているわけですね。そしてその改正が「沿道整備計画区域」ということで「市町村の条例に基づく制限」という項を設けて建築基準法を改正しよう、こういうかっこうになっているわけですけれども法律のあり方として、沿道整備をしていく場合に、建築基準法を改正するというところまでは私はわかるのですが、騒音に対して耐え得るような建築物またはそれに付随するいろいろなことを、いまの建築基準法そのものではなかなか対応できないことはわかるのですが、それを何で市町村の条例に基づいて制限していこうとしているのか。法律で改正してこれを決めてしまえばいいのじゃないですか。どうして市町村でまた条例をつくらせて、建築基準法上の制限をしていこうという法体系につくり上げたのか、その点についてお考えをお聞きしたいと思うのです。
  43. 関口洋

    ○関口政府委員 沿道整備計画が定められた区域につきましては、この法律の本則の方で建築行為等を届け出ていただきたい、それに対して市町村長が所要の勧告なり指導なりをするということに相なっておりますが、沿道整備計画に定められた事項のうちで、当該計画の決定された目的を達成するため特に重要な事項、一般論としては、いま御指摘がございましたように、たとえば建築物の防音上あるいは遮音上必要な構造道路に沿う建築物の道路に沿った間口の長さあるいは高さ、こういうものにつきましては、建築確認の手続によりまして、最終的な実現を担保するということが必要だという場合も予想されますので、附則におきまして建築基準法の一部を改正して、市町村の条例によって必要な制限を行うことができるとしたわけでございます。  それならばなぜ市町村の条例ということにしたのかということでございますが、これにつきましては、いわば個々の具体の地域土地利用状況を考慮するということが何としても必要だということが一点、それから、沿道整備計画の決定主体が市町村であるということから市町村の条例で所要の規制を行うことが適当であるという考え方に立って市町村の条例としたわけでございます。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  45. 北側義一

    北側委員長 木間章君。
  46. 木間章

    ○木間委員 いま中村委員の質問の中で私のお尋ねしたいことも幾つかはわかったわけでありますが、なお明らかにしておきたい点、さらに不明確な点もありますので引き続き、関連する事項にも入るわけですが、お願いを申し上げたいと思います。特に、先ほどからの建設当局の御答弁で三局長がそれぞれ述べられておりますように、この法案は住民生活にきわめて重要な中身を持っておるだろう、このように理解をしておりますので、徹底的に論議をさせてもらいたいと思うのであります。  最初に、車社会に対応して住民生活を守るんだ、こういうことで騒音を取り上げられております。なお、大気汚染なり振動も、この車社会をこれから乗り切っていくためにはきわめて重要な課題でありますし、その対応策についてはおおむね理解をした一人でありますので、この関連の質問は省かせていただきます。  次に、中村委員の質問に関連をするわけですが、この法案は本文十八カ条、そして附則七カ条から成り立っておるわけでありますが、この十八カ条を見たときに、中村委員指摘されたのでありますが、本文において政令へ委任をしておる十七カ所の項目があるわけです。どの法律を見ましてでも、たとえば十五条のような扱いというのは当然のこととして出てくるわけでありますが、十五条は、この法に定めるもののほかは政令でやっていくんだ、どの法律にもあるわけで、私は、この十七カ所の政令委任は何カ所かは必要だろうと思います。しかし、十七カ所も政令に委任をしておるということになりますと、この法律の精神は一体どこにあるのか、疑問を持つものであります。特にいま論議になりました第五条につきましては、この法律の中心といいますか、目玉といいますか、きわめて重要な中身を持っております。こういった表現はどうかと思いますが、これをいたずらに政令に委任をするということになりますと、法の権威が一体守られるのかどうか、私はそう案ぜられてならないわけでありますが、こういったことなどについてのお考えをまず述べていただきたいと思うのであります。
  47. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  この法律全体を通じて政令委任が多いという御指摘でございます。技術的事項、詳細にわたる事項等、法律に規定することが困難ないしは適切でない事項につきまして政令で定めることといたしておるものでございます。特にお述べになりました沿道整備道路の指定要件につきましては、自動車交通量道路交通騒音基準、ともにかなり技術的なものとならざるを得ないということ、またこれらの基準につきましては、対象道路沿道の現況等を踏まえて、また将来に向かいましても弾力的な対応ができるようにしておくことがむしろ適切ではないかといったこと等から、政令で定めることといたしておるものでございますが、一方、第二の騒音レベルの問題に関連いたしましても、先ほどお話のございました道路交通騒音に係る要請限度あるいは環境基準といったものが実はそれぞれ総理府令、閣議決定という形で定められている、こういったことも考慮いたしまして政令にゆだねることといたしたものでございます。
  48. 木間章

    ○木間委員 おっしゃっておる意味はわからないわけではありません。しかし、環境行政の中でやっておる幾つかのそれらの基準につきましては、あるいは中央公害審議会で十分検討をされる、あるいはまた重要な部分については閣僚会議で決定をされるなどなどの手続をとっておるところであります。ですから、環境行政の中でのそれらは十分に住民の意向が反映をされておるといいますか、あるいはまた議会の意見もそして役所の意見も、参加をされて構成をされておる、私はこう見てきたわけであります。  しかし、先ほどから論議をやっておりますこの五条の主要な部分は、建設省にお任せといいますか、そういった手続になるわけでありまして、私は先ほどの議論を聞いておりましてでも、この審議が終わるまで、十七カ所の政令委任、いま建設省が考えられておる中身については資料として提出をされるようでありますが、この審議の過程で一つ一つ建設省にお尋ねをしなければ論議がかみ合っていかない、きわめて不合理だと言わざるを得ないのであります。ですから私は、たとえばこの第五条にいたしましてもあるいは十一条、十二条の政令委任の項目にいたしましても、本来本文でもっと明らかにすべきでないだろうか、そのように指摘を申し上げるところであります。そういった点でもう一遍、しつこいようでありますが、局長さんのお考えをお尋ねしたいと思うのです。
  49. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの第五条関係でございますが、これは政令で定めるということになりますと、当然各行政機関と協議の上、そういう手続を経て閣議を経、政令で指定される、こういうことになりますので、先生の御指摘の点は十分踏まえるというぐあいに実は考えておるわけでございます。  それから、もう一点具体的な例示として挙げられました土地の買い取り等に関する返還の条件の問題、これらはやはりかなり技術的な問題と申しますか、返済の条件というようなことになるわけでございますから、一応の目安はあるわけでございます。やはり情勢に応じまして、金利水準その他いろいろな諸情勢のもとで弾力的に遂行し得るような形の方がむしろ望ましい、つまり的確に対応し得るという意味では適切ではなかろうかといったような、それぞれの項目についてそれなりの理由のもとに実は政令にゆだねた、そういう提案を申し上げているということを申し上げたいわけでございます。
  50. 木間章

    ○木間委員 大体了解できるわけでありますが、特に五条の扱いにつきましては十分に遺憾のないように進めていってもらいたいのであります。  次の質問に入らしていただきますが、この法案都市計画法との関連についてであります。  都市計画法は、御案内のとおりその目的を達成するために、たとえば最終的には土地収用をするなど、かなり法権力が強制的に働く立法となっておるところであります。反面、この都市計画法の特別法として制定をされるであろうこの沿道法は、緩やかなといいますか、むしろ住民の協力を得たい、そういった立場からまとめられておるように見受けるわけでありますが、その違いなどについて、まずお尋ねをしたいと思うのであります。
  51. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、都市計画法都市の主要施設について計画をし、それを実現いたしますためには、最終的には収用も辞さないという形で、その計画の実現の担保を図っておるわけでございます。今回の沿道整備計画は、先ほど来大臣からも御説明がございましたように、道路交通騒音により生ずる障害防止と、それから適正かつ合理的な土地利用促進を図るという両様の目的を持った区域計画制度でございまして、したがいましてこの区域につきまして計画を定めます場合には、その前提といたしまして、都市計画法に基づきます他の都市計画、たとえば街路網あるいは用途地域制がすでに広範に定められているという前提に立っております。  したがいまして、個々の沿道整備計画内容におきましては、限られた地区、区域内のかなり詳細な公共施設関係の配置の計画でございますとか、あるいは建築物につきましても建築基準法、用途地域制の制限の範囲をさらに細かくした詳細な計画を定めさせていただくということになることを予定いたしております。したがいまして、御指摘のようにこの計画の実現に当たりましてはかなり区域内の各権利者の協力を得なければ実現ができません。また、そういう性質の内容かと思います。したがいまして、一義的にその実現を計画どおりに実現するということが果たして適切なのか、あるいは各権利者の御理解、御協力を得ながら計画の目的を達成していく方が合理的であるのか、その選択の結果、後者を選ばせていただいた次第でございます。
  52. 木間章

    ○木間委員 そこでお尋ねをしたいのでありますが、この法案の第八条に沿道整備協議会を設けるようになっております。まずこの沿道整備協議会というのは法に言う付属機関なのかどうか、明らかにしてもらいたいのであります。
  53. 山根孟

    山根政府委員 この沿道整備協議会は、この法律に基づいて設置することができるものとされている付属機関とかいうことではございませんで、いわばこの法律に基づく独立と申しますか、協議をいたします場として予定をしております組織である、協議会であるというぐあいに御理解いただきたいと存じます。
  54. 木間章

    ○木間委員 確かにこの表現を見ましても「組織することができる。」このようになっておりますから、いま局長の御答弁と総合いたしますと、任意の協議会であろう。したがって、一般に法的に言っております付属機関ではないということは私も想像できるわけであります。そこで、先ほど都市局長の御答弁にもありましたが、むしろ住民の協力を求めてやっていかなければまともなものができない、そういった事業である、このようにお述べになっておるわけであります。したがいまして、もしそうであればあるだけこの機関というのは任意のものではなくて、むしろ積極的に住民参加を求めるような付属機関として設置をすべきでないのかというのが私の考えであります。御承知のとおり都市計画法では随所に「関係市町村意見をきき」とかいう表現が出てくるわけでありますが、本来強制的な立法であるだけに、その市町村意見というのも、必ずしも議会議決といった団体意思を決定する意見ではないようであります。市町村を担当されております長の、いわゆる執行機関の意見を求める手段として今日まで運用されてきておると私は見ておるわけであります。ところが、いま一つ市町村をそれぞれ管理、運営されております地方自治法では、関係市町村意見を聞く場合に必ず団体意思といいますか、議会の議決を求めるように今日まで運用されてきておるわけです。この二つ法律の比較は別といたしましても、これからのいろいろの行政を担当していく場合に、住民の意思を積極的に取り入れていく、こういった考え方が本来なければいけないのではないだろうか。したがいまして、この法律が目指しておるように、沿道整備を住民の理解を得て、お互いに迷惑のかからない、公害をなくしていく都市環境をつくっていく、生活環境確立する、こういうことになりますと、まさにこの沿道整備協議会というのは付属機関にすべきであろう。そして住民の意見を積極的に聞いていかなければ本法の目的が達成されないのではないだろうか。このように思う一人でありますが、そういった意味での扱いを付属機関としてこれから進めていかれる意思があるかどうかお尋ねをしたいのであります。
  55. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画法のたてまえと自治法のたてまえの比較のお話の御指摘がございましたので、その関係についての御説明を一言させていただきます。  都市計画法におきましては、都道府県知事都市計画を決定いたします場合には、「市町村意見をきき」ということにいたしております。これは都市計画内容市町村行政の各般に深くわたりますので、当然市町村意見を聞くということにいたしてございます。この場合に法律上は「市町村」という表現になっております。しかしながら事柄の内容から申しますと、多くの場合におきましては、現在その行政事務を管理し、執行しておられる市町村長の御意見を伺えば一般的には足りるのではないかというふうに予定をいたしておりまして、その場合に必ずしも市町村の議会の議決を必要とするという立て方にはいたしてございません。いま御審議いただいております法案におきましても、都道府県知事沿道整備道路の指定、をするとき関係市町村協議をすることにいたしておりますけれども、この場合にも都市計画法の趣旨と同様に、市町村の行政をその責任において遂行している市町村長に十分協議をすれば足りるのではないかという考え方で整理をさせていただいております。しかしながら、御指摘のように自治法上は、市町村の意思決定をされます場合に、議会に議決事項として諮られることは条例をもってお定めになればできるわけでございますので、市町村の御判断であるいは議会議決事項として処理をされることも当然あり得ることかと存じます。  それから、協議会の性格づけでございますが、協議会につきましては、先ほど来道路局長から御説明申し上げておりますように、この協議会の構成メンバー、さらに運営のやり方、あり方に十分留意をいたすことによりまして関係の住民の方々の御意見を反映させていく手だてを講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  56. 木間章

    ○木間委員 重ねて申し上げてみたいのでありますが、確かに市町村では今日、十年後、二十年後を目指しての総合計画が立てられております。その総合計画を立てるときに、十分に住民代表の意見なり市議会での論議が成りましてでき上がっていく性質のものであるわけです。この都市計画にいたしましても、総合計画にまず立脚していなければならないという決めがありますから、間接的には議会意思の決定なり住民意見の反映なりはできるだろうと私は思っておりますが、しかし、それはまたのまたのまたということで的確さを欠いておると言わざるを得ないと私は思います。確かに都市計画法を準用されておりますから、そういった面での住民の意思の反映、さらに都市計画法の十六条、十七条では公聴会なりあるいは計画案の縦覧などもなされるわけでありますが、これとてやってみたものだ、こういう表現はどうかと思いますが、そういうそしりを免れないと思うのです。ですから、本法律案の精神からいって、むしろ沿道協議会というのは付属機関として、そして中村委員指摘されたように直接そこの住民代表の参加を得ていかなければならないのではないか。たとえば、ある中核都市の中心地に車がひしめき合っている今日の状況であります。しかし、そこは御多分に漏れず商業地域にもなるわけです。そこに役所ベースで仮に遮音壁をつくるとしたら都市の美観はもちろんでありますが、そういった住民の日々の生活にも大きな障害を及ぼすことは必至でありますから、もちろんそういったことはなされないでありましょうが、どうすれば騒音との闘いができるのか、住民の意思をもっと反映させるべきが本筋ではなかろうか、私はこう指摘せざるを得ないわけであります。そういった意味で今後の運営についてこれらに万全を期してもらいたいと実は要望を申し上げてこの項目を終わらせていただきたいと思います。  次に五条関係で、先ほど政令でお考えになっておることは一応私どもでも把握ができたわけです。都市計画法ではこの計画について五年ごとに見直す仕組みになっておるところです。そこで、この沿道整備法律もこの都市計画法の見直しの適用があるのかどうか、まずお尋ねしてみたいと思います。
  57. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画法におきましては、おただしのように、およそ都市計画内容につきまして五年ごとに見直すというたてまえがとられてございますが、これは五年ごとに必要な都市計画関係の基礎的な調査を行うべきである、その調査の結果を尊重して見直すべきであるという趣旨でございまして、必ずしも五年たたなければ直せないというものではないというふうに私ども理解し、運用いたしております。必要に応じ随時内容の変更はあり得るという理解でございます。したがいまして、今回御審議いただいておりますこの沿道関係都市計画につきましても同様に、地区の状況の変化、その他外的な条件、要件の変化等に対応して適宜計画の変更はさせていただくことになろうと思います。
  58. 木間章

    ○木間委員 そこで、交通量が一日当たり四万台ないし五万台、さらに大型車の混入の割合なども先ほどお話のあったとおりであります。一方、交通量の実態調査につきましては三年ごとに行われておりますから、そういった中での変化は当然つかめるわけでありますから、そういった中でのこれらの政令へ委任された中身の変化もつかみ得るわけであります。  いま一つは、五条政令をつくるときに、先ほど音量については六十ないし六十五ホンだという発表もあったわけです。この五ホンの違いというのは、私はかなり大きな違いであろうと言わざるを得ません。というのは、五ホン下げるために今日までの努力の経過をたどってみますと、車の量を半減させなければ五ホン下がらないというようなことも聞いております。また、緑地や緩衝地帯を設ける場合でも幅十メートルを確保した場合にようやく三ホン下げることができるということも文献には載っておるわけでありますから、私は、この六十ないし六十五ホンというのはかなり大きな中身を持っておるだろう、こう判断をしておるわけです。  そこで、この六十ないし六十五ホンは、その道路の状態によって、また地域の実態によって異なるからということでありますが、それらの値を設定される場合に、建設省として地方の御意見を聞かれるのかどうか、あるいは知事意見を取り入れられるのかどうか、それらについてお尋ねをしてみたいと思います。
  59. 山根孟

    山根政府委員 指定基準の設定の問題でございますが、先ほど中村先生にお答え申し上げました道路交通騒音のレベルの問題につきましては、土地利用状況等に応じて定められておるといった点、こういったことを一つ考え方の基礎といたしまして今後定めてまいりたいというぐあいに考えておるわけでありますが、現在のところ、地方公共団体等から道路交通騒音関連をいたしましていろいろな御要望が出ておりますところから判断をいたしますと、この六十ないし六十五ホンというところがともかく緊急に対策を講ぜざるを得ないというところにも相当いたしておりますところから、現在のところそのような考えを持っておるわけでございます。
  60. 木間章

    ○木間委員 きわめてふくそうしておる、そして非常に音量の高いところからまず手をつけていくということであったと思いますし、また、先ほどの答弁の関連から、第一義的に、そういったものが完成をされれば、次の段階へと、特に六十ないし六十五ホンというのは夜間のことでありまして、住民生活になお影響を残しておる値でもありますから、それらが完成されると同時に、さらにその音量を下げるための努力をやっていかれるというふうにも判断できるわけでありますが、それらについての努力を惜しまないということの確認をお願いしたいと思います。
  61. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  私ども、この法律を実際に運用さしていただきますならば、まずこの定着を図りまして、幹線道路沿道との調和が図られることによりまして、一方では望ましい市街地の形成、良好な市街地の形成が図られ、円滑な道路交通の確保ができる、こういうことを期待いたしておるわけでございますが、これからこの定着が図られた段階におきまして、ただいま先生の御指摘の点を十分含めて対処してまいりたい、かように考えております。
  62. 木間章

    ○木間委員 次にお尋ねをしたいのは、第五条の二項の関係です。第二項では、「前項の規定による指定は、当該道路及びこれと密接な関連を有する道路整備の見通し等を考慮した上でなお必要があると認められる場合に限り、行うものとする。」こういう表現になっておるわけでありますが、この「整備の見通し等を考慮した上でなお必要がある」ということはどのように理解をすればいいのか、まずお願いをしたいと思います。
  63. 山根孟

    山根政府委員 道路交通騒音によります障害防止につきましては、まず道路管理者において、道路構造道路整備の面でできる限りの措置を講ずること。それから、問題となっております道路と同じような機能を果たすことを目途といたしまして整備をいたしますバイパス等の状況によりましてこの問題を解決することができるならば、むしろこれによって措置するのが本筋ではなかろうか。しかしながら、そうは申しましても、かなり大型車の混入率の高い交通を仮にバイパスさせるといたしましても、やはり都市活動を維持していくために必要な大型車あるいは自動車交通というものは、都市の中におきます幹線道路が必要不可欠であります。多くの場合にはバイパス等で対処することができるわけでありますが、なおその都市に終点を持つ交通の用に供すべき交通量の多い道路というものは残る、または必要であるということがあるわけでございまして、そのような場合にはこの制度を適用するのが適切であるというぐあいに考えて定めたものでございます。したがいまして、これは都市の規模なりあるいは道路の網の形態及びその網を構成いたします道路構造等にかかわるものでございますので、このような規定を設けた次第でございます。
  64. 木間章

    ○木間委員 いま私は、この条文の表現はきつ過ぎるのではないだろうか、このようにもうかがえるわけであります。なるほど、局長が申されたように、近い将来バイパスなどの計画がある場合にはバイパスによって交通量を半減さす、こういったこともあるわけですが、この法文全体をながめてみますと、まず、沿道整備道路として指定をする場合には都市計画道路でなければならないといったこと、あるいはまた、この五条一項の関係、三条件がそろっていなければならない、こういったことなどが条件になっておるわけであります。特に中村委員質疑の中でも出てきたわけでありますが、建設省は四車線以上の道路をまず目途としておる、こういうお考えを示されたと思いますが、二車線の場合でも、沿道住民の皆さんにとってはかなり耐えがたい生活の実情があるだろう、こう私は思っておるわけです。ですから、本当に建設省がこの法律に従って沿道整備をやっていこうとお考えになっておるのかどうか、条件が少し厳し過ぎるのではないだろうか。  そこでお尋ねしたいのは、たとえば、この幹線道路の総延長をいまどの程度把握されておるのか。そういった中でこの法案が発効いたしますと、まず手がけたいところは全国的にどの程度の延長になるのか、こういったことをお尋ねをしたいと思うのであります。
  65. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました、交通量にいたしまして四万台ないし五万台、夜間騒音レベルにおきまして六十ホンないし六十五ホンという点に着目をして、現在どの程度の延長があるかということについて調査をいたしました結果は、四車線以上の道路につきまして大体一千キロから二千キロという延長になるわけでございます。
  66. 木間章

    ○木間委員 そこで、防音工事なりあるいはまた買い取りのための貸付金などの予算が予定をされておるわけでありますが、これらについて、いま建設省で計画されておることについてひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
  67. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  私ども、おおむね二千キロ程度を考えた場合に、これは主として都市地域相当するわけでありますが、緩衝建築物負担土地の買い取り資金への融資の問題、防音助成等に必要な費用、いわゆる環境対策にかかります費用等を総計いたしますと、おおむね千八百億円程度になろうかというぐあいに積算をいたしております。  これをどう進めていくかということが問題でございます。現在検討を行っているところでございますが、いろいろデザインその他等もございますので、かなりの年数がかかるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  68. 木間章

    ○木間委員 次に、緑地、緩衝空地の問題でお尋ねをしたいと思います。  この緑地なり緩衝空地は都市公園として後の維持管理をされるべきではないだろうか、私はこう実は思っておるわけであります。  そこで、もし都市公園としてやっていかれるとすれば、都市公園法の中に幾つかの規定があります。この公害防止のための緩衝緑地については、面積的な規制はないわけでありますが、私は、仮に道路沿道であるいは小さいものであってもかなり騒音防止のための力を発揮するだろう、そういったことなどを総合しまして考えてみますと、将来住民の皆さんの協力でこれらの土地の確保ができた場合に、いたずらにごみ捨て場というようなことにはならないと思いますが、やはり都市公園の一つのものとして管理をされてしかるべきだと思いますが、都市局長のお考えをお尋ねしたいと思います。
  69. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、この地区計画の中で造成されます公園は、沿道環境の整備、住民の方々に対する苦痛の緩和というようなことから、大変重要な施設だというふうに私どもも理解をいたしております。したがいまして、この区域内で地方公共団体が土地の買い取りができることになっておりますから、買い取った土地につきまして、緑地その他の緩衝空地として計画上定められたところの土地につきましては、極力都市公園として整備を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  おただしの中で、公園の規模のことに触れられておりましたけれども、現在の都市公園は、児童公園としては最低規模〇・二五ヘクタールという基準になっておりまして、この地区に予定されます緑地の規模からしますと、児童公園の規模はちょっと大き過ぎるという感じはございますけれども、おただしのように、都市緑地という形でございますと、これはまた政令の規定で〇・〇五ヘクタールまで補助対象事業として下げられることになっておりますので、その範囲で極力補助対象事業として配慮をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  70. 木間章

    ○木間委員 最後にお尋ねを申し上げたいのでありますが、緩衝建築物の建築等に対する費用負担の問題であります。  ここでは、そういった防音壁などの遮音上の処置がなされた場合に、政令で定めるところにより費用の一部を負担する、このようになっておるわけであります。私は、この判定は大変むずかしい判定になるだろう、こう見ておるわけでありますが、いま建設省でお考えになっておる、たとえば判定の基準といいますか、あるいはまたその費用負担の割合といいますか、そういったものがあればひとつ示していただきたいと思うのであります。
  71. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  緩衝建築物はそれ自体、当然防音構造を持つことになろうかと思いますが、やはり後背地に対する遮音効果を有するというところに一つの使命が付帯的に出てまいるわけでございます。したがいまして、通常道路構造で対応するとするならば、防音壁等を道路の側でつくる。しかし都市地域においては沿道利用等の観点からそれは適切でない、こういうことから、この防音壁のいわば身がわりというような考え方費用の一部を負担をする。先生指摘のように、では、どういう緩衝建築物に対して考えて適用をしていくのか、こういうことになりますと、冒頭申し上げましたように、やはり遮音という機能が一方で果たされる必要があるということであります。したがいまして、高架の道路が併設されたようなところはまた別でありますが、通常の平面の道路といったようなものを想定をいたしますと、道路に面し、かつ道路に並行して建築される区間の長さが一つの建築物におきまして三十メートル以上、もっとも複数の建築物がございまして、後背地に対する遮音効果が損なわれないような間隔で連続して配置されるという場合には、それぞれの長さの合計が三十メートル以上というような道路に面しての長さの条件、それから地上の階数が二階以上でありまして、必要かつ十分な高さがあるということでございまして、通常の場合は二階というものを一応のめどにいたしておるわけでございます。当然のことながら、望ましい市街地の建築物というようなことから、耐火構造というようなことが要求をされるわけでありますし、また、遮音ということから申しますと、ピロティー形式のような建築物になりますと、遮音という効果が損なわれるわけでございますので、そういった構造であっては困る、こういうような長さ、構造、それから奥行き的には十二メートルというような緩衝建築物の規模のものを考えておるわけでございます。
  72. 木間章

    ○木間委員 もう一つ負担の割合ですね、それをひとつお願いします。
  73. 山根孟

    山根政府委員 失礼いたしました。住居系の建物につきましては、二階までの建築費用に対しまして一七%、非住居系、住居でない建物につきましては八・八%ということでございます。
  74. 木間章

    ○木間委員 お尋ねしたい事項は大体終わったわけでありますが、先ほど申し上げました中で、特にこの法の精神を生かして、一日も早く住民生活を守っていこうというときには、沿線住民の皆さんの協力がなければならないことは言を待たないわけでありますから、特にそれらの御意見の反映の場といいますか、吸収の場といいますか、そういったものについて万遺憾のないように今後の法運営についてひとつ扱っていただきたいことを要望いたしまして、私の質疑を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  75. 北側義一

    北側委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後一時三十分開議
  76. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伏木和雄君。
  77. 伏木和雄

    伏木委員 幹線道路沿道整備について若干お伺いいたします。  この法案は、このまま読んでまいりますと、沿道対策には非常に大きな効果があらわれると思いますし、また、今後の道路行政上あるいは都市整備の上からも大事な要素を含んでいるのではないかと思います。ただ、これがこのとおりうまく運用されるかどうかという点についてこれからお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、冒頭、この目的につきまして、大臣からお伺いをしておきたいと思いますが、道路交通騒音による障害防止と、あわせて「合理的な土地利用を図り」このようにございますけれども、私は、沿道住民に対しては道路管理者として当然公害防止ということにウエートがあると思いますが、この法案の適正な土地利用とそれから騒音防止という点について、どちらにウエートを置いてこの法を運用していこうとされるのか、お伺いいたしたいと思います。
  78. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、騒音防止と合理的土地利用をうたっておるわけでございますが、本法案を提案いたしました主目的は、道路交通騒音によりまして生ずる障害防止することにございます。ただしかし、都市地域におきましては沿道の計画的な整備を図る必要が生じておりまして、この場合には沿道の適正かつ合理的な土地利用が図られねばならないのでございまして、この両者を法律目的といたしたものでございます。さよう御了承を願いたいと思います。
  79. 伏木和雄

    伏木委員 私が初めにこういう質問をするのは、沿道騒音というものはその沿道住民から絶えず苦情が出ているところでございます。その防止に当たって、その沿道周辺土地の高度利用ということ、合理的な利用ということを考える余りに、なかなかその合理的利用が進まないために、騒音防止の方がおくれてしまうという懸念が、こうした法律ができたために、かえってそういう問題が生ずるような結果にはならないかという点を心配して、この主たる目的というもの、真の目的というものをやはり明確にしておかないといかぬのではないか、こう考えまして、伺っているわけでございまして、この点についてどういうお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  80. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、道路交通騒音により生じます障害防止をするということを主目的にいたしております。大臣がお答え申し上げましたように、都市地域においては、この交通騒音により生ずる障害防止または軽減する措置を、道路事業のみで、道路整備の面からのみ、あるいは交通規制の援用を受けても、ある場合には必要かとも思いますが、それだけで障害防止または軽減することは大変むずかしい状況にあるわけであります。  場合によっては、この道路整備一つの方法といたしまして、緩衝施設帯をしかるべくとる、こういうことを考えるといたしましても、やはり高度に土地利用が図られるというような場所におきましては、何かそこに調和のあるやり方で、交通の方も通し、かつ沿道利用も図れる、こういうことが生じてまいるわけでありまして、したがいまして、沿道との調和を図り、かつ沿道の環境を市街地形成という観点から良好な状態に持っていくということとあわせてやることによって、この交通騒音に伴います障害も一方では防止していこう、そういうところに実はねらいがあるわけでございます。  したがいまして、そういった観点から、道路整備事業の一環として、しかも都市行政のいろいろな手法をあわせてひとつ総合的に問題を解決していかなければ、むしろ道路だけというようなことではかえって時間がかかるのではないか、そういったことをこれまでのいろいろな経験から感じておるというような状況もございますので、そういった観点から取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  81. 伏木和雄

    伏木委員 そうしますと、この合理的土地利用ということでございますが、これは書けばこれだけのことですけれども、その地権者もあることでございますし、その合理的な土地利用ということがそう簡単には進まないのではないか、こう考えますが、ここに出ている「合理的な土地利用」ということは、どういうふうにお考えになっているでしょうか。
  82. 升本達夫

    升本政府委員 都市計画区域内は、御承知のように市街化もしくは市街化さるべき区域でございますし、その区域には一般には建築物が多く存在しているわけでございます。そこへ幹線道路等の非常に交通のふくそうした道路が入ってまいりますと、当然にいままでの沿道下におきまして、建築物のたたずまい、土地の利用全般に著しい影響を及ぼすことがあるわけでございまして、その場合に、あらかじめそういう騒音の激しい道路沿道地域につきましては、一定の区域を限ってその土地利用の合理化を予定し、図ってまいるのは、全体としての土地利用の合理化に大変資することになるのではなかろうか。先ほど来御答弁がいろいろございましたように、この法律目的は、騒音防止と、同時に土地の合理的利用でございますけれども、いわば幹線的な道路が入ることによって惹起された問題としての騒音防止することを契機として、それに関連する区域についての利用を整序し、全体として騒音防止と市街地の整備、合理的土地利用の確保に資するというたてまえで考えさせていただいておる制度でございます。
  83. 伏木和雄

    伏木委員 この第三条に、道路管理者は、「沿道における良好な生活環境の確保が図られるよう道路交通騒音により生ずる障害防止等に努めなければならない。」道路に対してこうした公害防止に対する法律の規定といいますか、こういうものは初めてでございますね。
  84. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  道路としての法律の中でこのような表現をとるのは初めてでございます。
  85. 伏木和雄

    伏木委員 そうすると、道路管理者にこのように責務として騒音防止を規定づけられたわけでございますが、そうなりますと、午前中からいろいろと質疑があった、この適用地域政令でいろいろ定めるようになっておりますが、この政令で定められた地域のみが適用を受けて、同じような道路騒音を発生する地域に対しては道路管理者としては責任をとらないのかどうか、責務を与えられないのかどうか、この点、道路局長から承りたいと思います。
  86. 山根孟

    山根政府委員 第三条に言っております「道路管理者の責務」と申しますのは、一般論としての規定でございます。したがいまして、道路管理者として、この法文にありますようなことを道路を築造する場合等々において明らかにしたわけでございます。  なお、具体的に申しますと、道路を新たに整備する場合には、できる限り住宅等への影響の少ない路線を選定するような計画を決定していくといった問題。それから、沿道土地利用状況に応じて、道路構造上遮音壁の設置でありますとか、環境施設帯といったような整備を行うことによりまして生活環境の保全といったことを図っていく。あるいは先ほど来も出ておりました振動の問題もそうでありますが、騒音振動いずれにも共通しておりますが、道路を常に良好な状態に維持する、路面を常時良好な状態に保つということは、振動あるいは騒音の軽減にも大変寄与をするわけでございまして、そういった各般の、道路管理者としての一般的な責務規定をここに置いたものでございまして、後ほど、沿道整備道路の指定あるいは沿道整備計画という段階のものにつきましては、またそれなりの規定を設けておるというぐあいに御理解をいただきたいと存じます。
  87. 伏木和雄

    伏木委員 そうしますと、具体的にこの地域の指定を受けられる、要するに政令で定めるようになっておりますが、どういう要件のところに指定ができるのか、政令で考えているところをお伺いしたいと思います。
  88. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  第五条の第一項第一号以下三号にわたって、政令で定めることとしております諸条件等があるわけでございますが、現実には、一例を申し上げますならば、一号で申しますと横浜市、川崎市、十五号、それから十六号の一部あるいは二百四十六号といったところを想定していただければ御理解いただけようかと思うわけでございます。  先ほどもお答えいたしましたが、自動車交通量については、日交通量が四万ないし五万台以上、または大型車に係る自動車交通量が五千ないし一万台程度以上、それから道路交通騒音については、道路端夜間におきまして六十ないし六十五ホン程度以上、相当数住居については、地域の事情によって異なりますが、少なくともおおむね数十戸程度以上を一応の目安として現在考えておるところでございます。
  89. 伏木和雄

    伏木委員 午前中の質問でたしか、幹線道路、四車線以上というようにも言われておったと思いますが、これはあくまでも四車線以上ということに限定されるわけでございますか。
  90. 山根孟

    山根政府委員 やはり、著しい交通騒音が生じているところが実態的に四車線以上の幹線道路である、こういうことが第一点であります。第二点といたしましては、二車線幹線道路につきまして市街地を貫通しておるというような場合におきましては、バイパスの築造でありますとか、あるいはどうしてもそこを通すことが都市の上からも必要であるという場合には、それを道路整備の面から拡幅をしていくというような施策がまず第一に考えられなければならないということ。以上のようなことから、当面の対象としては四車線以上がまず考えられなければならないというような考え方をしておるわけでございます。
  91. 伏木和雄

    伏木委員 そこで冒頭に、公害防除が目的なのか、沿道土地利用目的なのかというような質問をしたわけでございますけれども沿道住民からすれば、車の台数がどうあれ、あるいは車線がどうあれ、同じような騒音が出てくれば、それだけの被害というものは全く同じ結果を受けているわけでございます。ですから、騒音防止ということになれば、車線ではなくてやはりそこに起きるところの、住民の側に立った騒音の測定の結果を基準とすべきではないか、このように考えるわけでございます。  環境庁、見えていますか。−環境庁の方の騒音防止基準によれば、大体六十ないし六十五ホンであるというように定められているわけでございますが、こうした騒音防止について、環境庁として、車線等で限定されるというようなこの法律考え方、こういうものはどうお考えになるか。私は、沿道の住民の受ける状況からこういった公害対策は進めていかなければならない、こう考えるわけでございますけれども環境庁の見解を承りたいと思います。
  92. 加藤三郎

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  先生十分に御案内のように、そしてまた、いま道路局長から御答弁ございましたように、本法案におきましては、沿道整備道路の指定は、道路整備の見通し等を考慮してもなお必要があると認められる道路に限り行われるものとされておるわけでございますが、本法の対象となる道路は、まさに御議論ございますように政令で定める交通量、それから騒音のレベル、それから住居等の集合状況及びそれらの見込み等の要件に該当する道路となっております。ただ、その具体的な運用に当たってどのような方針をとるかにつきまして、まだ政令協議等ございませんので、環境庁といたしましては承知していない状況でございます。  なお、四車線未満の道路であっても、いま先生の御議論がまさにそこにあると思いますが、幹線道路として本法によらざるを得ない事例が生じた場合であって、当該道路が本法の要件を満足している場合には、その道路の指定は知事の判断によるわけでございますけれども、その時点におきまして、私ども環境庁といたしましては、建設省に対し必要な働きかけ、お願い等をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 伏木和雄

    伏木委員 いま環境庁の方からの御答弁をいただいたわけでございますが、私も全く同感、たとえ二車線であれ、そうした騒音が近い将来に解決できないというような見通しのあるところについては、この四車線にこだわらず、要請があれば適宜その要請にこたえられるというようにしていくべきであると思いますが、この点の確認をしておきたいと思います。
  94. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  まさに先生のおっしゃるとおりであります。ただ、先ほど私が申し上げました点について、若干敷衍させていただきますと、二車線道路でかつ騒音レベルが六十あるいは六十五ホンといったような交通状況を呈しているというところを現実にいろいろその対策を考えてみますと、やはり道路自体の施策をまず先行をさせるべきところがほとんどというようなところでございます。そういった観点から、先ほどのようなお答えを申し上げたわけでありますが、御指摘の点を十分踏まえて対処をしてまいりたいというぐあいに考えます。
  95. 伏木和雄

    伏木委員 二車線のところは騒音がそう高いところでないのではないかということであるかもしれませんが、この近くを考えてみましても、国道の十六号線、これは横浜市内で五カ所か六カ所、七十ホンに近いところがありますし、あるいは東京都の昭島の方に行っても二、三カ所十六号線が二車線になっています。こういうところでそういう状態を起こしているところがございます。国道十六号については、バイパス計画がいま進んでおりますけれども、あのバイパスができたとしても、いま言うような地域については相当騒音がなおかつ残るというようなことがございますので、全国的に見ていけばもっとたくさんあると思いますので、今後大いに検討をしていただきたいと考える次第でございます。  次に、第八条の沿道整備協議会でございますが、この規定によりますと、知事都道府県公安委員会関係市町村というところで協議をするということになっておりますが、ここに当然地域代表といいますか、民間も入れるべきではないか、こう考えますが、この点お答えをいただきたいと思います。
  96. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備に当たりましては、沿道の方々の意向を十分反映する必要があるのは御指摘のとおりでございます。  この沿道整備協議会の性格でございますが、沿道整備道路及びその沿道整備を計画的かつ総合的に推進するためのいわば協議機構として、行政機関相互の連絡協議の場として設けるというのがその趣旨でございます。この構成員には、都道府県市町村のそれぞれ関係をいたします部局の参加を予定いたしておるものでございまして、沿道各層の住民の意向も十分反映されるものと考えておるわけでございます。また、その沿道整備協議会の運営におきましては、必要によりまして沿道の方々の意見を十分お伺いをするというようなことを徹底してまいりたい、こういうことで、十分地元の方々の御意見、御意向を反映をさせてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  97. 伏木和雄

    伏木委員 この道路の建設に当たっては、事業が開始されてから住民の反対が起きて、そうして工事の渋滞ということが各所に見られているわけです。ですから、今後こうした公共事業というものは、もっと住民意識というものを反映するという考え方から、こうした協議会というようなものに加えて、そして住民の声を十分反映できるようにすべきではないか。こういうお役所だけでもって決定してしまって、後で住民の声を真剣になって聞く、決定される前はきわめて事務的、形式的に住民の声を聞くということに終わっておりまして、決定してから、問題が起きてから真剣に地域住民と取り組むというようなことが多いわけでございます。ですから、当初からこういう協議会等には地域住民の代表が入れられないとするならば、地方議会の代表を入れるとか、お役所だけの考えではなくて、もっと広く意見を聴取した上でこの計画を進めるべきである、こう考えるわけでございます。この点についてお答えいただきたいと思います。
  98. 山根孟

    山根政府委員 現実の沿道整備計画内容都市計画決定をする、こういうのがその次の段階にあるわけでございます。当然都市計画決定の手続におきまして、いろいろ住民の方々の手続的な面におきます御意向が、特にこういう沿道整備計画の範囲というのは、いわば大きな広がりから見ますと、大変局限された地域でございますだけに、十分そういった点はしんしゃくをされることになろうかと思いますが、この協議会の場におきましては、それぞれ行政の責任を持つ、ないし権限を持っているいわば連絡調整の場という性格であるわけでございまして、これ自身が一つの決定機関という場よりは、むしろ連絡調整の場という色彩が強いものであります。これはそれなりの一つの機能として働かせたい。ただ、やはり一つの方向を議論をする、調整をするということでございますので、先ほど申し上げましたように、知事ないしは市町村が十分その意向をくんで、全体の都市行政、道路行政その他各般の観点から、いろいろ連絡協議がなされるわけでありますが、その過程において十分住民の方々の意見を取り入れるような場を、その協議会の場でいろいろ設けることによりまして、十分対処する。その結果、今度は具体的な地区沿道整備計画がその意をくんで設定をされる。これはいずれにしましても、土地利用を合理的に望ましい方向に持っていくということでございますから、むしろその地域の方々が主体的な役割りを果たしていただくようなことになりますので、十分そういった点をしんしゃくしながら、考慮しながらでなければまた逆に進めていけないということは、十分考えて対処していくという考え方をとっておるわけでございます。
  99. 伏木和雄

    伏木委員 確かに、地域住民の側にプラスになるということでございますが、例の、これも後で伺うつもりでございましたけれども緩衝建築物に対する補助、これは五十二年から進められておりましても予算がほとんど使われていない。これも確かに住民のためにできている措置であるとは思いますが、こういうものが活用されないということについては、いろいろ問題があるからそうなるのでありまして、こうした法がせっかくできても、これをうまく運用しなければ何にもならないわけです。  そこでただいま、決定は都市計画決定、審議会等には確かに議会の代表も入っておりますから、そこで決定されるのであって、あくまでも協議会は連絡機関、こういう前提のようでございますが、それがそのままそうであればいいのですけれども、往々にして、この協議会でできた案がそのまま都市計画審議会にかけられる、都市計画決定という方向へいくような結果になりますと、なかなか崩すことができないのではないか。というのは、ここでは、この協議会は関係都道府県知事それから県の公安委員会、こういういわば上部の団体が入っているわけですね。知事さん、公安委員会、そうしたところでできたような原案を市町村では簡単に覆せるかというような問題もあるのではないかと思います。ですから、当初からこうした協議会に民間を入れておいた方が事がスムーズに進むのではないか、こう考えるわけで申し上げているわけでございますから、協議会の案というものがどこまでの案をつくるか、まだ私どもにはよくわかりませんが、協議会ではどのくらいまでの案をつくってしまうのか。都市計画決定に決定できるような原案までもこの協議会で詰めていくのかどうか、あるいは協議会というのは単なる、この辺を指定地域にしようではないかというような大ざっぱなものを決めていく機関であるかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  100. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  この沿道整備協議会の構成員の中には、当然のことながら市町村が実はお入りをいただいておるわけでございます。それで、この法律に基づきます沿道整備計画の策定というのが、これは都市計画決定という手続を経て決定されるわけですが、この計画策定の主体は市町村にあるわけでございます。  しからば、この構成員である都道府県知事ないし公安委員会道路管理者は一体どういう役割りであるか、こういうことになろうかと思います。それで都道府県知事としては、沿道整備道路の指定、沿道整備計画の承認、それから沿道整備協議会の庶務という役割りでございます。さらに、本体道路都市計画決定、それから騒音規制法第十七条によります要請等、そういった権限を都道府県知事は持っておるわけでございます。それから都道府県公安委員会につきましては、交通規制という観点からのいろいろな御発言があろうかと思います。この沿道整備計画関連をいたしまして、交通規制に関して、これは裏道その他いろいろこれに関連をして生ずるであろうそういった点のいろいろな御意見が承れるであろう。道路管理者は、どちらかというと、この場合は道路構造改善あるいは本法によりますいろいろな施策等に関しての一応の責任を持っておるわけでございますから、沿道整備関連をいたしまして、こういった行政機関が相互に連絡協議しながら、ひとつどのように進めていくかということを実態的にやっていこう、こういうことでございまして、したがいまして、いろいろな点の検討があるわけでありますが、やはりいま沿道整備計画の骨子になるところにつきましては市町村が策定をされるわけであります。  その段階でもいろいろフィードバックするということになりますと、この協議会の場でいろいろ地元の方々の御意見を承るというところで十分対処する、その方がむしろ適切ではないかというような考え方に立っておるわけでございます。
  101. 伏木和雄

    伏木委員 先ほどちょっと申し上げました、五十二年から発足した緩衝建築物に対する助成、これがほとんど使われていないわけでございますが、今度新たにこの沿道整備計画が、この法案運用されるに当たっては、前のこれと同じような結果にはならないか。それから、この法律ができたことによって直ちに適用されるような地域といいますか、それはどの程度あるのか。さらには、この法律の施行を待って早く計画を立てたいというような問い合わせ等が建設省に来ているのかどうか。この法ができるのを待っている都道府県があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  102. 山根孟

    山根政府委員 五十二年の通達によります緩衝建築物助成に対する予算が執行されていないというのはどういうことであるか、こういう御指摘がまず冒頭あったわけでございます。実は、五十二年十月に定めたものでございまして、まだ定着するところまで時間がたっていないということ、したがって理解が十分行き渡っていないということではなかろうか。また、その都市計画等のいわば法律的な裏づけが整っていないということから、どちらかと申しますと、道路管理者のひとり相撲に終わってきているのではないか。こういう点を実は反省をいたしているわけでございます。したがいまして本案におきましては、土地の有効利用と緩衝建築物の建築促進を図るためにいろいろな施策がありますが、共通的なてこ入れ策と申しますか、誘導策としまして、この五十二年通達で始めました緩衝建築物の建築費等の一部負担土地取得費の無利子貸し付けというような財政的な面をつけ加えまして、さらに制度上の担保と申しますか、方策も導入をいたしまして沿道の計画的な整備に資したい、こういう基本的な考え方に立脚をしているわけでございまして、こういった本案によりまして緩衝建築物整備が積極的に進むのではないかということを期待いたしておるところでございますし、また私どもも積極的に指導をしていかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。  具体的には、ちょうどこの法律案で考えております沿道整備計画あるいはこの沿道整備計画に基づきます緩衝建築物あるいは緩衝緑地と申しますか、小公園、こういったことに、一連の沿道整備計画について過去にわたりましていろいろ研究をしておられた地区の一つとして四十三号、兵庫でございますが、ここでは騒音問題が大変大きな社会問題ともなっておりまして、県、市、道路管理者一体となって沿道整備のあり方についていろいろ模索をいたしておりまして、本案のような考え方のもとで大変強く一つの案をおつくりになっておるわけでございます。これをぜひとも、この実現のためには制度的にもはっきり定めてほしい、こういう要望が実は参っておるわけでございますが、このほか具体的な個所としては、国道一号の岡崎地区、東京都の環状七号線、国道二十三号の名古屋市、四日市市といったところでも試行錯誤的な検討が進められ、この制度に対する要望が寄せられているという状況にあるわけでございます。  なお、私ども、二百四十六号につきましても、神奈川県の方々とも、関係市の方々ともいろいろお打ち合わせをさせていただいているというような事例もございまして、騒音で大変問題が生じ、その解決のためには沿道との調整によってでなければなかなか解決しないといった地域におきましてたくさんの、要望が、いま申し上げました地区、さらには他の地区からも出ている、あるいは、この具体化はどうすべきかといったような点についての問い合わせ等も来ているというような状況にあるわけでございます。
  103. 伏木和雄

    伏木委員 終わります。
  104. 北側義一

    北側委員長 松本忠助君。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣にお答えをいただきたい点がまず第一番目にございます。  幹線道路沿道整備に関する法律、先般大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。いわゆる道路交通公害と称せられるものが、騒音大気汚染あるいは振動、いろいろございますけれども、この中で一番大きな問題は何といっても道路交通騒音、このように思うわけでございます。この解決のためにはいろいろといままでも有効と思われるものが逐次実施されてまいりました。バイパス整備あるいはまた遮音壁、緩衝帯整備、こういったことも逐次行われてまいったわけでございますけれども、このような道路構造改善など、こうした措置だけでは有効適切な対策になり得ない、こういう状況からして、この解決策として建設大臣が昨年五月、道路審議会に「都市における特定の幹線道路沿道において、道路交通騒音による障害防止し、併せて適正かつ合理的な土地利用を図るための方策はいかにあるべきか」こうした諮問をなされまして、それに基づきまして昨年の八月二十二日、答申が出たわけでございます。私、考えますのに、今回のこの法律案というものは、この大臣の諮問に対する道路審議会の答申というものを基礎にしての法律の制定、こう思うわけでございますが、まずこの点を確認をさせていただきたいわけでございます。
  106. 山根孟

    山根政府委員 御指摘のように、都市計画中央審議会あわせて道路審議会、この両審議会から「都市における特定の幹線道路沿道において、道路交通騒音による障害防止し、併せて適正かつ合理的な土地利用を図るための方策についての答申」が昨年八月に建設大臣になされたわけでございます。その概要は、今後の沿道環境対策の方向としては幹線道路沿道土地利用との調和を積極的に図ることを施策の展開の基調として種々の提案をされておるわけでございます。いま御審議いただいておりますこの法案はこの答申を踏まえまして御提案を申し上げるものでございます。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま局長からお答えがございましたように、この答申に基づいての今度の法律案の制定でございますが、そこで、答申の中身というものがこの法律案には盛り込まれているのかどうか、この点について大臣からぜひお答えをいただきたいと思います。
  108. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま局長が御答弁を申し上げましたような経緯でございますが、その内容といたしまする創設すべきものといたしましては、沿道整備道路の指定あるいは沿道整備協議会設置沿道整備に関する都市計画の創設、市町村による土地の買い入れとこれに対する国の無利子貸し付け、沿道における市街地再開発事業の推進、沿道における建築物の制限、費用助成等の問題でございまして、この法律案はこの答申を踏まえておるつもりでございまして、答申の趣旨、内容基本的に沿ったものが成案として得られておるというふうに私は理解いたしております。ただし、この答申のうちで道路管理者によりまする市街地再開発事業の施行につきましては、引き続き検討を要することがございますので、この法律案には取り込まれておりませんけれども沿道整備計画区域につきましても市街地再開発事業の推進を極力積極的に図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま大臣からお答えございましたように、最後の問題の道路管理者の問題、いわゆる答申の6の(2)、この問題はいろいろの観点から盛り込まれなかったことの理由、私もわかるわけでございますが、もっと大事なことが一つあると私は思うのでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。基本的な考え方の中で、「その運用に当たっては、沿道住民の意向が十分反映されるよう配慮し」こういう一項がございます。この言葉のとおりに受けとめますならば、私は、ただいま伏木委員の一質問の中にもありましたように、この協議会の編成というものを考えてみたときにも、この運用に当たって「沿道住民の意向が十分反映されるよう」という字句に見る限りにおいては、これが抜けているのではなかろうか、こう思うわけでございます。いまいろいろと局長さんの答弁を聞いておりますと、一応理解できないわけでもないのでございますけれども、やはりこの問題をないがしろにしたところに、いままでのいろいろの解決できない問題があったと思うわけでございます。  その点についてぜひ私は大臣にお答えをいただきたいと思っておるわけでございますが、これは他の役所の例でございまして建設省の問題とは言わないのでありますけれども、国際新空港、それから燃料の輸送であるところのパイプの建設、こういった問題が遅々として進まない、いまもってできない、本当に困った問題でございます。その原因というものは、やはり沿道の住民の理解というか、協力というか、そういうものがなかったところにいまもってできないでいる問題がございます。そうしたことを考えてみましたときに、この運用に当たっては沿道住民の意向が——局長の答弁では市町村長の方々が入れば十分できるというお答えでございますけれども、私は直接参加こそこの意思が十分に伝わるものと思います。こういう点から、直接参加の道を開いておくべきではないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  110. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 原則的には先ほど局長が御答弁を申し上げたところでございますが、先生のお説は大いに傾聴すべき点があると私も考えております。  そこで、沿道整備に当たりましては沿道住民の意向を十分反映する必要があるというのは御指摘のとおりであると私は思っておりますが、沿道整備協議会は御承知のように沿道整備道路及びその沿道整備を計画的かつ総合的に推進するための協議機構として行政機関相互の連絡協議の場として設けるものでございますが、その構成員には都道府県及び関係市町村のそれぞれ関係の部局の参加を予定しておりまして、沿道各層の住民の意向も反映されるものというふうに考えておるようでございますけれども、私としましては沿道整備協議会の運営に当たりまして、必要に応じまして沿道住民の意向、意見を聞く方法も取り入れるように極力指導してまいりたい、かように考えております。なお、沿道の具体的な整備内容を決めまする沿道整備計画の決定に当たりましては、都市計画の手続によりまして十分住民の意向が反映されるように措置されているものである、かように理解をいたしておるところであります。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ぜひとも答申案の趣旨というものを今後の運営の中で生かしていただきたいことを特に申し上げておくわけでございます。  警察庁、お見えになっていらっしゃいますか。——法律の第五条沿道整備の指定について、第一項一号は「自動車交通量が特に大きいものとして政令で定める基準を超え、又は超えることが確実と見込まれるもの」こうあるわけでございます。このことについては警察庁としても建設省との間の十分な連携といいますか、協議といいますか、あったことと思うわけでございますが、この基準についてどのようにお考えでございますか。警察当局としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  112. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  御質問の基準についての問題でございますけれども、この基準は、法案では政令で定めることになっておるわけでございます。現在まで建設省の方から御協議はいただいておりませんけれども政令を定める時点で建設省の方からお話もあろうと思いますし、十分に御相談をさせていただきたい、かように考えております。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応これから政令で定めるわけではございますけれども、警察庁としては、大体どれくらいの交通量のあるものは当然この沿道整備道路として認定してもらわなければ困るという腹づもりをお漏らしいただけませんか。
  114. 広谷干城

    ○広谷説明員 基準の定め方といたしましては、交通量その他もろもろの要素というものがあろうと思いますけれども、現在までのところ、まだどういうふうなものを建設省の方とお話をして基準の中に入れていただきたい、あるいは入れていただくというふうなことにつきましての話し合いはできておりませんので、ここでこのぐらいということを私の方で申し上げる段階でないことは大変残念でございますけれども、御了承いただきたいと思います。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 警察庁として、いままでいわゆる環七であるとか、愛知県の岡崎の国道一号であるとか、あるいは兵庫県の芦屋とか西宮の国道四十三号、ここは御存じのように国道の上に阪神高速道路が載っかっている、こういったところは当然これが対象になるものと考えているわけでございます。ただ警察庁としてはまだ協議してないからというのでございますけれども、当然この辺は十分の打ち合わせがなければ、建設省として何も考えないでこの法律を出すことはないだろうと私は思うのですよ。  それでは建設省の方にちょっと伺いますけれども、全く協議してないけれども、将来当然協議はするわけでしょう。そして自動車交通量というもの、あるいはまた次に出てまいりますのは五条の二号、これは環境庁の問題になってくると思いますけれども騒音の問題です。自動車交通量騒音、こういった二つの問題があるわけですが、建設省としてはまだ何にもやってないのですか。事前の話し合いもしてないのですか。
  116. 山根孟

    山根政府委員 いま先生お話しになりましたたとえば岡崎、あるいは兵庫県下におきます四十三号、二階建てで阪神高速が通っております区間等につきましては、これはもちろん公安委員会の方とも十分協議しながらいろいろな対応策をこれまでも進めてきたところでございますし、また今後とも進めていかなければならぬというぐあいに考えておるわけでございます。ただ、これを全国的な観点からの協議ということになりますと、政令段階でそういったレベルで再度協議を申し上げる、こういうことでございまして、個々の問題につきましては、それぞれの道路管理者がそれぞれの公安委員会と実は十分協議をして、道路網整備の問題なり交通の運用なりについて表裏一体的に実は進めているのが現状でございまして、そういうことで御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは局長に伺いますが、この法律ができましたときに、指定される幹線道路沿道整備をしなければならないと考えている道路の総延長というものは一体どれぐらいを考えているのですか。
  118. 山根孟

    山根政府委員 政令でどう決めるかという最終的なところまでには至っておりませんけれども、私どもの当面の考え方としましては、日交通量にいたしまして四万台から五万台、または大型車交通量が五千台から一万台程度以上、道路交通騒音につきましては六十ホンから六十五ホン程度以上ということを考えておるわけでございます。これを前提にして、四車線以上についてこの延長を交通状況並びに騒音レベル等から判断をいたしますと、おおむね二千キロ程度ということになるわけでございます。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 警察庁の方も非常に慎重なお答えでございますが、警察庁としてこの法律についてはどのように評価をされていますか。率直なお答えをいただきたい。
  120. 広谷干城

    ○広谷説明員 道路交通騒音あるいは振動という問題で地域の住民の方々の日常生活に大変大きな影響を与えておるということは、たくさん事例があるわけでございまして、そういうふうな事例を少なくするために、警察といたしましても交通規制の面から、たとえば速度の制限をするとかあるいは道路の中央線寄りを走ってもらうような規制をするとか、あるいはそういう規制を担保するために徹底した取り締まりをやるとかいろいろの施策を講じておるわけでございますけれども、やはり交通規制だけでそういう問題を解決しようということになりますと、これは大変無理な問題があるわけでございまして、根本的な道路整備であるとかあるいは今回御提案になっておりますような沿道整備であるとか、そういう基本的な施策が講じられることが必要であろうというふうに考えておりまして、その意味での施策が講じられることを警察としても大変歓迎をしておるわけでございます。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 環境庁はお見えでございますか。率直に伺いますが、環境庁はこの法律に対してどのように評価されていますか。
  122. 加藤三郎

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、いまから約二年半ほど前、つまり昭和五十二年十二月に環境庁長官から建設大臣にあてまして「環境保全上当面講ずべき道路交通騒音対策に係る措置」というものにつきまして文書で要請をいたしたことがございました。その中で、沿道環境整備のための事業を強力かつ円滑に推進するために必要な法制度の検討をお願いいたしました。本法案環境庁長官からのこの要請をも踏まえて立案されたものというふうに私どもは承知をいたしておるわけでございます。  先ほど来いろいろと問題となっておりますように、環境庁といたしまして、道路交通騒音防止することはきわめて緊急、重要なことでございますので、そういうふうな理解をいたしておりますので、本法案は、沿道対策の法制度として騒音防止へ向けて大きな一歩を踏み出したものというふうに考えておりますが、さらに、この法案が適切に運用されることによりまして道路交通騒音防止の一助となるように、建設省を初め関係機関と今後とも十分に連絡をとりまして、沿道生活環境が保全されますように、私どもも十分努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  123. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 環境庁要請を出して、その要請にこたえてこの法律ができることになるわけでございまして、大変前向きに喜んでいらっしゃるようでございますが、この法律について建設省環境庁の問に事前に具体的な何かの話し合いはございましたか。
  124. 加藤三郎

    ○加藤説明員 環境庁といたしましては、環境保全を図るというのが私どもの大事な使命でございます。その観点から、この法案の立法に際しまして私ども協議を受けてまいりました。
  125. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、環境庁としても、いままでにいろいろと地域の方々からこういう騒音を何とかしてほしいというような被害、苦情の申し込みがございましょうし、それに対応してこられたことはわかりますけれども、そういった意味から、具体的にどういう個所をまずこの法律では制定してもらいたいと思っていますか。
  126. 加藤三郎

    ○加藤説明員 いままでの御議論の中からもたびたび出てまいりますように、日本のいろいろなところに交通公害の激甚地区がございます。たとえば四十三号とかそれから東京で言えば環七でありますとか、いろいろな激甚地区がございます。そこでは道路交通騒音によって大変多くの方が苦しんでおりまして、また、それだけに自治体も国もいろいろな対策が講じられております。そういう条件整備されているところでこの法案が早く適用されまして、沿道環境が一歩でも二歩でも一日も早くよくなることを期待いたしております。
  127. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一度警察庁に伺いますが、環境庁建設省ではかなり突っ込んだ話し合いができておるのですね、いまの話し合いを聞いてみても。警察庁はもっとこういう問題に対して、いままでも道路規制をして十分やってこられたと思う。そういった意味から、もっと積極的に建設省との話し合いをやってないということは私はちょっと不安に思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  128. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  五条基準につきましての具体的な話し合いにまだ入ってないということを御答弁申し上げたわけでございますけれども、ただいま環境庁の方からもお話がございましたように、交通騒音の大変激甚な地域、いま環境庁の方から挙げられたような地域、そのほかまだあるわけでございますけれども、特にそういうふうな激甚な地域にこの種の制度が一刻も早く適用されて、住民の方々の被害というものが一日も早くなくなることをこいねがっておる立場につきましては、警察庁としても他の省庁と全く変わるところはございません。積極的に取り組んでおるつもりでございます。
  129. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは環境庁や警察庁ばかりでなくて、運輸省にも大きな問題がありますし、また、自動車をつくるということで通産省にも大きな問題があるわけでございまして、それらの役所も呼んで同時に意見も聞きたいと私は思ったわけですが、特に騒音あるいは振動といった問題から二つのお役所に来ていただいたわけでございます。ぜひどうか積極的に取り組んでいただいて、住民の苦痛を少しでも軽減するような方策について努力をしていただきたいと思うわけでございます。  建設省にお尋ねいたしますが、五条の三号でございますが、「当該地域相当数住居等が集合し、」こうございます。具体的には住居構造とか住居数、そこに住んでいる人の数、このようにいろいろあるわけですが、それをどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。当該地域について沿道整備道路としての「区間を定めて」という「区間」は、どこからどこというふうな表現ができると思うのでありますけれども、「相当数住居」という表現では幹線道路からどれくらい奥に入ってやるのか、こういう表現では私ちょっと不安に思っておるのですけれども、この奥行きというのはどんなふうにお考えになっていらっしゃるわけでしょうか。
  130. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘の第五条一項三号の規定は、「当該道路に隣接する地域における土地利用の現況及び推移からみて、当該地域相当数住居等が集合し、」とございます。したがいまして、対象となっております道路に隣接する地域でということで一応法律上は限定していただいておるわけでございますが、それでは具体の、どれくらい奥まったところまでというおただしでございますけれども、このたびのこの指定道路関連して沿道環境の整備を必要とする区域の範囲として想定いたしておりますのは、奥行きで三十メートルから五十メートルぐらいの範囲でございます。したがいまして、当然われわれの考え方といたしましては、その辺までが騒音の影響をかなりこうむる区域ではないかというふうに考えておる次第でございまして、それが対象区域になっております。
  131. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もちろんその三十メートル、五十メートルというのはそれぞれの地域によってまた決めなきゃならないわけですけれども、風向きなんかによってそれ以上の場合も起きてくると思います。それは非常に影響があるとは思うのですけれども、その超えてあるというような場合、そのときはその地域その地域でそれをきちっと指定するというわけですね。
  132. 升本達夫

    升本政府委員 ただいま三十メートルないし五十メートルと申しましたのは、一応のめどとしての距離の幅でございまして、地域状況によりまして、もしくはいまの風向き等の関係もございまして、当然その騒音の及ぶ範囲で何らかの措置を必要とすると考えられるであろう範囲というふうに考えていただいて結構だと思います。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんから次に進めますが、五条では、都道府県知事が建設大臣の承認を受けて、一号から三号までの条件を充足する場合には沿道整備道路の指定ができることになっておりますけれども地域住民の意向を尊重するという先ほどの大臣の御答弁もございました。そういった意味からも、地域住民が必要と認めた場合、当該市町村要請して知事の方に、こういうところをこうしてもらいたいという指定を要請する、こういったシステムをつくる必要がないかと私は思います。この法律、何というか、上の方からだあっと下の方に来てしまっているように思う。下の意見というものが上へ上がっていく、下意上達というか、そういった方向をやはり盛り込んでおくべきではなかろうか、そういう道を開いておくべきではなかろうか、こう思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  134. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備道路の指定につきましては、幹線道路としての機能を将来にわたり確保すべき道路であるかどうか、沿道土地利用についての都市計画上の配慮等を含めました、いわば総合的な観点から行うべきである、こういう諸点を考慮して必要な手続等を定めたものでございます。都道府県知事がこの沿道整備道路の指定を行う場合には、道路管理者との協議都道府県公安委員会意見聴取とあわせまして、実は地元市町村協議をいたすことにしております。地元市町村沿道住民の意向を十分に把握した上でこの協議にお臨みになるというぐあいに考えておりますので、特段の手続を設けなくても、現にこういった客観的にすでにいろいろな問題が生じておるところがまず取っかかりでございますが、住民の方々の御要望は十分取り入れられるのではないか、こういうように考えておるところでございます。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要するに、地域住民がこうしてもらいたいというその希望をかなえてあげなければいけないと私は思いますので、市町村段階公安委員会等と協議して十分できるというふうなお話でございますから、そのお話を承っておきますけれども、現実の問題としていかがかと私は思っております。  それから、沿道整備道路の指定に際しまして震災対策、いま東京あるいは神奈川、静岡にかけては震災対策が非常に重要な問題になっております。そこで、いわゆる避難道路、こういうのが各所に決められておるわけでございます。これとの兼ね合いはどうなっているかということでございます。市街地の避難道路は可能な限り沿道整備道路というものに指定しておくべきではないか、私はこういうふうに思うわけでございます。現に、私の居住しておりますところの北区の東十条周辺では、環状七号線を通って赤羽西の国立サッカー場へ行くようなことになっておるわけでございます。この環状七号線を通らなければいけないというような状況から見ても、また当然環状七号線がこの道路に指定されるのではなかろうか、私はこう思っておりますので、この辺の兼ね合いはどうなのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  136. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備道路としましては、道路交通騒音の著しい道路で、沿道の合理的な土地利用促進させることが必要な道路であり、また都市内の震災対策とただいま御指摘の避難道路につきましては、避難地に通ずる道路で、震災時に避難者が安全に避難できるよう整備すべき道路であるということから、この両者はその目的とするところが必ずしも一致しておりませんので、指定の要件等々につきましては異なるものであるわけでございますが、私ども、この法律に基づきます沿道整備道路ということになりますと、これが震災対策の避難路としての機能に資するという場合がかなりあろうかと思います。そういう場合には、その整備を積極的に進めてまいりたいという考え方を持っておるわけでございます。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  それで、沿道整備計画で、十条の三項に、沿道整備計画区域内において建築開発行為を行う場合に、市町村長に届け出ることを義務づけてありまして、沿道整備計画に適合しない場合は、適合するように勧告できることになっておりますけれども、もっと強い規制が必要ではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  138. 升本達夫

    升本政府委員 おただしのように、十条三項の規定によりましては、沿道整備区域内におきまして、建築行為等の行為を行おうとする者は、市町村長に届け出る。市町村長は、その届け出られた建築行為等の計画が沿道整備計画に沿わないということでございます場合には、できるだけその整備計画に合わせていただけるように勧告をいたしたいという制度になっております。  この勧告を受け入れていただければ、それで結構でございますが、最終的に受け入れられなかった場合にどうするかというおただしでございますけれども、その点につきましては、本法の附則におきまして建築基準法の一部を改正いたしてございます。これはお手元の資料で二十一ページに載せてございまして、建築基準法の中で、「第七節 沿道整備計画区域」という節を設けまして、条項を置かしていただいております。この条項の中で、「市町村は、沿道整備計画区域内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該沿道整備計画内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。」としてございまして、この趣意は、沿道整備計画内容のうち、建築基準法段階で個々の建築の確認行為がございます。確認に当たりまして、確認の条件として吸い上げておきたいものは条例で内容を確定しておく。したがいまして、その条例で定められた事項につきまましてもし反することになれば建築確認が出ないということによって、建築することができないという建築基準法の本来の制限に服する、こういう形になっております。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わかりました。  それでは、次に十一条の問題でございますけれども、「国は、市町村沿道整備計画区域内の土地のうち道路交通騒音により生ずる障害防止又は軽減と当該区域の計画的な整備を図るために有効に利用できる土地政令で定めるものを買い入れる場合には、当該市町村に対し、その土地の取得に要する費用に充てる資金の額の三分の二以内の金額を無利子で貸し付ける」こういうふうな規定がございます。  ところで私は、土地の問題はわかるのでありますけれども、建物、当然これらの土地はいずれも上物がある、建物があるということは当然の話だと思います。そこで、建物に対する配慮が行われているのかしら、こう思うわけでございます。事業を進める立場から言えば、土地だけに意味があるかもしれませんけれども、買い取られる側からすれば、建物についても価値を有するわけでございますし、家屋についての補償を求めるのは当然だろうと思うわけでございます。この家屋に対する市町村の買い取り費用に対して、この貸付制度の対象になるのかどうか、こういうことがまず第一点でございます。  時間の関係もございますから、第二点ですが、土地の所有者と家屋の所有者が同一の場合、これは所有者が使用している場合で結構なんですが、そうでなくて、土地の所有者と家屋の所有者が同一であっても、使用者が別の場合、使っている人間が別の場合、賃貸ししている場合、こういった場合、この対象になるのかどうか、この三項目についてひとつお答えいただきたい。
  140. 山根孟

    山根政府委員 国の無利子貸し付けの対象は、市町村土地を買い入れる場合における土地の取得に要する費用としておるわけでございますが、実は、この土地の取得に要する費用の中には、当該土地に存する家屋の除却または移転に要する費用も含まれておりまして、現在の御提案申し上げておる条文で十分というぐあいに考えております。当然、この家屋の除却または移転に要する費用も含まれるというぐあいに考えております。そこでいろいろな場合におきます問題、先生が第二、第三とおっしゃった点は、やはりこれは家屋とその土地の所有者と相異なる場合、あるいは中に住んでいらっしゃる方というのは、公共事業に伴います補償基準の場でも同様でございますが、それぞれのお互いの話し合いで処置される性格のものでございまして、地域によってかなり慣行等もございますので、それはその土地の事情によって処置をしていただくということになろうかと存じます。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま局長の答弁で、取得に要する費用というものの中には当然上物も含まれるという、この点を確認をいたしておきます。  次に移りますが、この十一条の土地の買い入れに要する資金の貸し付け、これは沿道整備計画を進める上で不可欠なものでありましょうが、五十五年度の事業費が一億五千万計上されております。市町村幹線道路沿道土地買い取りを行う場合に、三分の二の資金の貸し付けが行われるということになっておりますが、いわゆる交通の便のいい幹線道路、この沿道の地価というものは非常に高値ではなかろうかと思うわけでございます。こうしたところから、これだけの事業費では大体どれぐらいの事業ができるのか非常に疑問に思うわけでございます。     〔委員長退席伏木委員長代理着席〕 初年度でございますから、沿道整備道路の指定あるいは沿道整備協議会によるところの沿道整備計画の策定、こういった手順を経なければなりませんので、実際上、土地の買い取り、ここまでいくのにはどこまで進むか非常に私も疑問に思っておりますので、五十五年度の事業がこれでできるのか、それとも、まあまあこれぐらいやっておけば何とかなるだろうというところでこの予算が計上されたのか、その辺の真意をひとつお伺いいたしておきたいと思います。
  142. 山根孟

    山根政府委員 本法が御審議をいただいた結果、現実に施行をさせていただくとするならば、五十五年の秋を実は予定をさせていただいておるわけでございます。施行期日が秋ということになりますと、現実にこれが発動いたしまして、沿道整備道路の指定、沿道整備計画の決定といった手続を前提としていることもございますので、現実に五十五年度中に執行できる期間は限られているということが予想されますので、いわば少額なものとなっておるわけでございます。  来年度以降につきましては、いわば本法が全面的に施行されることになろうかと存じますので、その段階におきましては、そういった状況も踏まえまして、各地方公共団体の要望に十分こたえ得ますように、予算面におきましても当然拡充を図ってまいらなければならない、かように考えておるものでございます。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間が経過しているようでございますが、もう一つ二つお願いをしたいと思っております。  十一条の二項で、貸付金の償還期間の問題が定められております。政令で定めることになっておりますが、都市部幹線道路沿道土地というものは地価単価が高価である、こう思います。そこで、土地の買い取りに要する費用の三分の二を六年間の据え置きを含んだところの十年間の償還期間ということで貸し付けるといたしましても、現に財政逼迫をいたしておりますところの地方の公共団体がこの程度資金の貸し付けで事業が実施できるかどうか、私は非常に疑問に思いますけれども、この点についてはどうでございましょうか。  さらに、土地の買い取りをする場合に何を基準にするのか。実際その周辺で取引されている、いわゆる時価というものを基準にするのかどうか、こういう点でございます。私が以前にこの委員会で、公共団体が土地の取得を行う場合に、その高値の買い取りが周辺の地価を押し上げているという事実を指摘したことがございます。この制度がそうした地価高騰のバネにならなければいいわけでございますけれども、そうした場合、公有地の拡大の推進に関する法律の第七条との関連はどうなるのかという点をお答えをいただきたいと思います。最後に、もう一間大臣に聞いて終わりにしますから……。
  144. 山根孟

    山根政府委員 まず無利子融資の貸付率の点でございます。これにつきましては、沿道整備計画を決定なさるのは市町村であること、それから次に、道路交通騒音による障害防止にとどまらず、やはり沿道整備が図られるということでございますので、市町村区域内の多様な地域整備を行うべき立場にある市町村にとっても、それなりの有益と申しますか、義務的なものがあること、それからさらに、都市計画で定められた国道の改築に係る国の負担割合及び地方道の改築に係る補助率はいずれも三分の二である、以上の三点等を総合的に勘案して三分の二以内とすることにいたしたものでございます。ただ、残る一方、三分の一につきましては、市町村は通常、起債により対応されるであろうというぐあいに考えておりますが、都道府県市町村に対し必要と認める助成等の措置をなさることは妨げるものではございませんし、したがって、都道府県があわせ貸しあるいは利子補給を行うこともあるものというぐあいに考えております。  第二点の、市町村によります土地の買い入れ価格でございます。これは適正な時価により行うことを予定しております。なお、公有地の拡大の推進に関する法律第七条におきましては、地方公共団体が土地を買い取る場合においては、公示価格を規準として算定した価格をもってその価格としなければならない旨を定めておるわけでございますが、この法案におきましては、市町村が一定の土地を買い入れた場合における国の貸し付けについて規定しているのにすぎないわけでございますので、同様の規定をあえて設ける必要はないという考え方に立ったものでございますが、基本的な考え方は公有地拡大の場合と同様と考えておるわけでございます。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 土地の買い取り価格が、いまの御答弁では適正な価格ですか、大変結構な言葉なのでございますけれども、適正な価格というのは、私は、答弁としては非常に結構ですけれども、具体的にこの適正な価格というのは非常に問題があります。実際上に取引している価格、これでは、とてもじゃないけれども実施なんかできるものじゃないと私は思うんだ。適正な価格というのは大変結構な表現でございますけれども、これは後々に非常に問題になると私は思います。何が適正か、だれが判断するのか、こういうことになってくると問題が残るだろうと思います。  そこで、もう時間も来ておりますので、先ほど同僚委員からも質問がございましたが、五十二年の十月の「幹線道路周辺地域における生活環境整備促進について」という通達によって実際上は予算がついたけれども、その予算が全然施行されていないというところがあります。大臣もこのことはもう御存じだと思いますけれども、五十二年が一億九千五百万、五十三年が三億三千三百万、五十四年が五億四千四百万ですか、こういうものがついている中で、行われたのは鹿児島県の一カ所、県道の〇・九キロ。この予算は一体どうなっているのですか。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。予算は五十二年度からついているんですよ。
  146. 山根孟

    山根政府委員 環境対策費の一環として計上をさせていただいておるものでございますので、その目的のために他に流用して環境対策に充当したかと存じます。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃその流用した事実、どこにどういうふうに流用したのか、後で結構でございますから資料を出していただきたいと思います。お願いいたします。  最後に大臣にお願いいたしたいと思いますが、私は、この法律が、どのように採決されるかわかりませんけれども、いずれにしても賛成ということになって公布されたということになったときに、現実にこれが施行されるまで非常に時間がかかると思います。これは御存じのように、県知事沿道整備道路の指定、建設大臣の承認、沿道整備協議会の組織づくり、そしてそれの協議沿道整備計画の策定というふうな順序を経てこなければなりませんので、相当の年月を経過しなければならないと思うのでございます。そこで、年次計画というものを立てなかったら、出たとこ勝負でいつになってもちっとも進まない、こういうふうになるのじゃないかと思うわけでございます。特に、沿道の住民の方々の直接的な参加がないという場合には、これはなかなかできないと私は思っております。  そこで、私が直接当たって聞いてみますと、この沿道住民の本音は、騒音にはなれっこになってしまった、いつも騒音の被害を何とか軽減してほしいと願ったけれどもできない、しょうがないから自分の家で二重窓ガラスにしたりして、十分とは言えないまでも対応してきた、こうなると私の家ではよその場所に行こうという気はありませんよ、家を建てかえる気もございません、私の息子の時代になったらどうか知りませんけれども、私はがまんをします、こう言っている。ずっと聞いてみると、環七の沿道にはそういう方が多いのです。こういう消極的な方々が多いことを現に自分の耳で聞いております。そうなってまいりますと、こういう法律ができてやってくれるのは大変結構だけれども、私の家は結構ですというような、総論賛成、各論反対ということになると思うのであります。  一例を挙げて恐縮でございますけれども、国鉄再建の地方ローカル線の赤字の問題、あれも国鉄の再建のためにはどうしてもやらなければいかぬと言っておりますけれども、現実には自民党の議員さんが全部反対、私はこれはできないと見ている。こういう点から考えまして、この法律が施行されたとしても、どのようにこれが運用され実施されていくのか、最後に大臣からこれに対して御答弁をいただいて、時間が超過して申しわけありませんでしたが、私の質問を終わりたいと思います。
  148. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほど来御議論をいただいておりまするように、いろいろな経過を踏まえまして今回は法案を提出いたすわけでございますので、それらの問題も十分検討いたしてきておるわけでございますが、お話しのような件につきましても十分留意をしてまいりたいと思います。  なお、都市におきまする幹線道路は非常に重要な役割りを持っておるわけでございますから、これは整備を進めていかなければなりませんけれども、その整備に当たりましては、沿道生活環境改善と良好な市街地の形成を図る、こういうことがきわめて重要であるというふうに認識をいたしておるつもりでございます。  そこで、いま先生の御意見がございましたけれども、この法律運用に当たりましては、十分地元の意向を踏まえてまいりたいと思っておりますし、またその対策の必要が迫られておりまする立場から、具体的に計画を樹立をいたしまして、積極的にこれを推進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  149. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  150. 伏木和雄

    伏木委員長代理 中島武敏君。
  151. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣に最初にお聞きしたいのですけれども幹線道路沿道における環境の悪化というのは目を覆うばかりにひどいものがあります。それで、沿道の住民は、自動車による排気ガスあるいは騒音振動など各種の自動車公害によって非常に悩まされ続けてきておるわけです。東京で一番自動車公害の大きい道路ということになりますと環状七号線道路で、ここでは環七ぜんそくというような言葉もあるぐらい、大変排気ガスによる公害、ぜんそくによって悩む、あるいはまた大変な騒音振動によって不眠に陥ってしまうというような非常に大きな悩みによって苦しめられて、ついには住むにたえないで移転をしていったというような人たちも決して少なしとしないわけであります。だからこそ、これらの公害から命や健康、そしてまた生活を守るために、いろいろな住民運動の団体が組織をされて、さらに東京で言えば、たとえば東京都と住民運動団体の代表によって環七対策会議が組織されて、そしてその対策が練り上げられてきている、こういう経過を持っています。  そこで、私は大臣に冒頭にお尋ねしたいのですが、ただいま審議しております幹線道路沿道整備法案は、私はこうした住民運動をバックとしてつくられたものだというふうに思うのです。そうだとするならば、こうしたところに住んでいる住民の要求あるいは住民の希望、こういうものにこたえるものでなければならないと思うのです。また、背後地に住んでいる人たち生活環境を守る、当然そういうものでなければならないと私は思うのですが、まず大臣の見解を伺いたいのです。
  152. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 いまのお説のとおりでございまして、私もさよう認識をいたしておりますが、順序として申し上げまするならば、都市幹線道路整備というのは非常に重要な役割りを帯びておりますけれども、その整備を進めるに当たりましては、いろいろ公害がございます。騒音あるいは大気汚染、あるいは振動等もございますが、何よりも重点的にこの騒音対策を進めるということとあわせまして、いわゆる土地利用というような立場に立って体制を整えまして整備を進めなければならぬと考えておるわけでございます。  そこで、沿道整備に当たりましては沿道住民の意向を十分反映する必要がある、そういう御指摘でございますけれども、これは先ほど以来お話を申し上げておりますように十分承知をいたしておるつもりでございます。そこで、沿道整備協議会という言葉が出ておりますけれども、これは、沿道整備道路及びその沿道整備を計画的かつ総合的に推進するための協議機構といたしまして、行政機関相互の連絡協議の場として設けるものでございまして、この構成員には都道府県及び関係市町村のそれぞれ関係ある部局の参加を予定いたしておりまして、当然沿道各層の住民の意向も反映されるものというように認識をしておるようでございますけれども、また、沿道整備協議会の運営に当たりましては、必要に応じまして沿道住民の意見を聞く方法も取り入れるように、これは強力に指導してまいりたいと考えております。  なお、沿道の具体的な整備内容を定めます沿道整備計画の決定に当たりましては、先ほど以来申し上げておりますように、都市計画の手続によりまして十分住民の意向が反映されますよう措置をいたしておるところでございますので、さよう御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  153. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣、大分先回りしていろいろ御答弁をいただいたようですけれども、それじゃひとつ具体的にお尋ねをしていきたいと思うのです。  沿道整備道路の指定、五条関係ですが、まず一つは、沿道整備道路指定の三条件、これを政令にゆだねられた理由というのはどういう理由ですか。
  154. 山根孟

    山根政府委員 まず第一に技術的、ないし他のこれらの基準となっております、参考としております、たとえば騒音のレベルにおきましては騒音規制法に基づきます要請基準等が政令ないし閣議決定ということで定められていること、そういった点から政令にゆだねるのが適切ではないか、こういう判断からこのような提案にいたした次第でございます。
  155. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、これを政令にゆだねても、これを動かしがたいものというふうにその政令の中身を考えるべきじゃなくて、むしろここの考え方としては沿道の住民の人たちの要望というようなものを常々考える。そして、そういう住民の人たちが、ここの道路は指定してもらいたいとか、指定してもらいたくないとかいうようないろいろなことがあると思うのです。条件としては三ついま挙げられているのですけれども、しかし、その条件の中身、つまり政令の中身ということになりますけれども、これらの物の考え方というのは、住民の意向、これを土台にして考えていくべきじゃないかというふうに考えるのですけれども、これは局長はどうですか。
  156. 山根孟

    山根政府委員 先ほどお答えしました中で若干言い足りなかった点があるわけでございますが、技術的な問題と同時に、対象道路でありますとか沿道状況等によって、これらの基準のつくり方におきましていろいろ弾力的と申しますか、それに即した決め方になるのが適切ではないか、こういうことが一つあるということをつけ加えさせていただきたいわけでございます。この沿道整備道路の指定要件というものは、全体の幹線道路としてその機能を確保すべき道路沿道状況、こういうところから決定をする、こういうことが前提にございますので、指定条件としてはいまのような、先ほど申し上げたような考え方でやってまいるわけであります。ただ、現実の沿道整備計画ということになりますと、これは具体的にどのように生活環境の面に影響があるか、こういうことが現実の問題として出てまいりますので、その段階で現実のいろいろな御要望と申しますか、構造的な面でいろいろお話し合いをするというようなことになろうか、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  157. 中島武敏

    中島(武)委員 この沿道整備道路の指定というのは都道府県知事が行うわけですね。ですから、都道府県知事がいきなり行うということじゃなくて、何か先ほど大臣の方から最初にお話があってしまったのでおかしな話なんだけれども、私はこの問題、技術問題という考え方ではなくて、いきなり知事が指定するというよりは、政令の中身の問題も含めて住民の要望に沿ってやっていくという基本点を踏まえなければならぬのじゃないかというように考えるのです。それは局長、そうでしょう。
  158. 山根孟

    山根政府委員 知事が指定をするわけでありますが、当然指定するに当たりましては市町村協議をする。それ以外には公安委員会道路管理者等との協議がありますが、やはり沿道整備計画を将来策定をし、現実に沿道整備を進めていく主体にもなる市町村協議をすることにいたしております。したがって、住民の方々の御意向は十分反映できるというぐあいに実は考えておるわけでございます。
  159. 中島武敏

    中島(武)委員 この指定の三つ条件のうちの第二号、これは道路騒音政令で定める基準が問題になっていますが、これのはかり方、つまり実測値を使われるのか理論値を使われるのか、この点はどういう考えでしょう。
  160. 山根孟

    山根政府委員 指定要件としての道路交通騒音関連する騒音レベルのはかり方の問題でございますが、騒音により生ずる障害防止ということでございますので、特に夜間騒音に着目をして、すでに供用されている道路につきましては実測値、将来供用される、つまり新設または改築道路につきましては、これは交通量を想定をいたしてその交通量に基づきまして算定をした計算値によるという考え方をとるようにいたしております。
  161. 中島武敏

    中島(武)委員 次の八条の沿道整備協議会の問題について、これは先ほど来ずいぶんと問題になっている点ですが、言うまでもなく沿道整備協議会に住民の意見が十分反映される、そういう措置がとられなければならないと私は思うのです。それで、実際にはどういう運営方針、つまり沿道整備協議会の運営方針を考えておられるのか、つまり、どのようにすれば本当に住民の意見が反映できるのか、どういう運営方針を具体的には考えておられるのか、そこをお尋ねしたいと思うのです。     〔伏木委員長代理退席委員長着席
  162. 山根孟

    山根政府委員 必要によりまして、沿道住民の方々の意見協議会の場におきましてお述べをいただく、あるいは沿道整備関連いたしまして、都市計画的な観点あるいは建築的な観点からのいろいろな技術的な問題もまた出てまいろうかと思います。そういったいろいろな御意見を承るように強力に指導をするようにいたしたい、かように考えておるわけでありまして、各層のいろいろな意見が反映されるような、こなされるような運営にしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  163. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、これは構成の中に住民団体の代表というような者を加えるというのが一番適切だという考えですが、仮に沿道整備協議会の組織はこのとおりとしても、もっと、一般的に住民の意見を聞けというような指導じゃなくて、具体的なやり方というものが大事じゃないかと思っているのです。  これはたとえばの話ですけれども、この協議会のもとに住民代表とかいろんな人たちを入れた会議を構成する、そしてここで十分に意見を聞くというような具体的なやり方ですね。つまり組織の運営方針ですよ。一般的に言っているというだけではなくて、そういう具体的なことまでもやっていく必要があるのじゃないか。そうでないと、実際には意見を聞くといっても、はい一回意見聞きました、おしまい、こういうんじゃ話にならないのです。ですからそこのところをきちんと運営方針の中に担保されなければならないのじゃないかという考えなのです。たとえば、先ほどもちょっと言いましたけれども、東京でやった場合には、環七道路の問題に関しては環七対策会議というのを設けて、ここには東京都の代表も含まれておりますが、しかし同時に住民団体の代表も会議の構成員として含まれているわけです。そして、そこで何度も何度も対策をよく練り上げるということをやっているわけですね。私はそういうようなことがこの問題ではまず必要なんじゃないかというふうに考えるのですが、どうですか。
  164. 山根孟

    山根政府委員 私ども四十三号あるいは一号の岡崎等におきますいろいろな接触から見まして、やはり地域によりまして、あるいはある都市におきます、その場所場所においてもいろいろな実効を上げていくための方法、いろいろな特色があろうかと思うわけでありまして、先生のおっしゃいますような点も踏まえまして、どういう運営と申しますか運用をしていけば、いい沿道整備計画と申しますか、目的にかなった沿道整備計画ができ上がるかという観点から、なおいろいろ検討を進めてまいりたい、かように考えます。
  165. 中島武敏

    中島(武)委員 私はその際、住民の代表の意見を聞く、あるいは住民の代表を構成要員として加えるというだけではなくて、学識経験者の意見をも十分に聞く必要があると思うし、それからまた会議の構成員の中にそういう人を加えるべきではないかというように考えるのです。特に大都市の場合には、この沿道整備計画をつくるに当たって考慮に入れておかなければならない問題というのは何かと言えば、やはり公害の専門家の意見を聞くとか、あるいはまた防災の専門家の意見を聞くというようなことが大変必要だと思います。そういうことを除いて沿道整備計画を問題にしようと思っても、ちょっと矛盾なんですね。  だからこの法律の趣旨を徹底しようというふうに考えたならば、必ず学識経験者、そしてその中には公害や防災の専門家という者を加えて沿道整備協議会というものを組織できれば一番いいし、この法律の上で言えばストレートな組織になっておりませんけれども運用事項として、そういう構成員によって会議を組織して十分な意見を吸い上げる、こういうようにすべきだと思うのですね。こういう点、この法律の一番大事な点ですから、大臣、どう考えますか。
  166. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほど以来局長が御説明しておる線でございますけれども、ただいまのお説に対しましては、私は必要に応じまして検討してまいりたい、かように考えております。
  167. 中島武敏

    中島(武)委員 次の問題は沿道整備計画、九条関係の問題です。ここでバッファービル、緩衝建築物ですけれども自動車による騒音が大変ひどい。そうした場合に緩衝建築物をつくる。ビルディングはできた。ところがせっかく建ったビルディングが今度はその後ろの方におられる人たちの日照を奪うというような迷惑をかける。こういうことがあったら、せっかくやろうと思っている趣旨にも反することだと私は思うのです。そういう点では、緩衝建築物、バッファービル、こういうものについて日照問題というのを十分考慮に入れなければならないということは私は当然だと思うのですが、具体的に言うと、やはり沿道整備計画区域内の住民はもちろんのこと、その背後地の人たち、こういう人々の承諾が必要だと思うのです。そうでないと、にょきにょきビルディングばかり建ってしまって、結局環境をよくしようと思ってやったことが、何のことはない、環境をさらに悪くしてしまうという結果が生じかねない。この問題についてはどういうふうにお考えですか。
  168. 升本達夫

    升本政府委員 沿道整備計画の作成に当たりましては、その土地柄、全体の土地の合理的な利用を促進するという観点から諸般の計画を立てさせていただくということになりますので、当然その計画の立案に当たっての検討事項、内容条件といたしまして、ただいま御指摘のような日照を阻害するというような問題が可及的に避けられるような配慮もしながら全体の計画を決めてまいりたいというふうに考えております。ただ、日照の問題は、その地域土地柄によりまして、これは条例でそれぞれ決めております条件がございます。したがいまして、一律に日照が阻害されることが直ちにいかぬというふうにはなりにくいと思いますけれども、その地域に許された日照条件の範囲内で諸般の建築がなされるように計画を策定したいというふうに考えております。したがいまして、その区域外に及ぼす影響についても同じように配慮さるべきものだと考えております。
  169. 中島武敏

    中島(武)委員 いまのお話は、それぞれの地域にはいろいろな地域があります。用途地域の指定もずいぶんいろいろな違いがあるわけです。環七道路の沿線でも、第一種住専のところはないかもしれませんが、しかし、ちょっと裏になりますと第一種住専のところもありますし、たくさんのところが第二種住専です。ですから地域によっていろいろな違いはある。そして条例によっていろいろな基準が決められている。条例に決められている範囲内においてといういまのお話ですけれども、しかし、これはまたいろいろ問題なんですよ。条例ではここまで許される、こうなっておっても、それじゃ本当に太陽の光はさっぱりこなくなる、こういう住民の方もいらっしゃるのですね。だからそういう場合に、これは条例に従っている、これはこれというふうに非常にしゃくし定規なやり方じゃなくて、やはり区域内の人たちそれからまた背後地の人たちと十分に話し合いをして、そしてその上で承諾を得て建てる、こういう弾力的なやり方、そしてまた、単に弾力的というだけじゃない、やはり本当によい環境をつくろうということなんでしょう、その目的に外れるような事態が生まれてはならないと私は思うのです。そういう点は単に条例で決められているからというようなしゃくし定規な考え方からもうちょっと出てやらないといい計画にはならぬと思うのです。どうですか。
  170. 升本達夫

    升本政府委員 御指摘のとおりでございます。この適用区域につきましては、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、これは道路管理者都道府県市町村あるいは公安委員会等を含めた公共のサイドで努力をしなければならない面と、それから、その区域の権利者の方々がある程度受忍をされながら努力をしていただかなければならない面、またその努力に対して国が必要な助成をしてまいるという面といろいろ複合的な要素を持った計画でございますので、これは公共サイドの努力と同時に権利者の方々にもそれ相応の御努力をお願いしていかなければならないだろうということで私ども考えております。したがいまして、基本線は条例の範囲内で実現できる一番ベターな計画を求めていくということになろうかと思いますが、この沿道整備計画都市計画で決めさせていただきます。したがいまして、都市計画の手続では縦覧に供し、意見書をいただき、審議会の御意見を経るという形で進行してまいりますが、単に手続的な進行だけでなくて、現実にたとえば再開発事業なんかの例を見ましても、そういった法定の制度以前に十分関係権利者には御理解をいただかなければできない現実がございます。そういった現実を踏まえて、十分御意見を伺いながら妥当な計画をつくってまいりたいというふうに考えております。
  171. 中島武敏

    中島(武)委員 関連して、もう一つなんですが、沿道整備計画区域で家を買い取ってしまう。ところがいままではその家が、バッファービルじゃないかもしれないけれども騒音をさえぎる遮音の効果を上げていた。ところが、家を買い取って壊したら更地になってしまった。そうすると、いままでは音が直接こなかった背後地の人たちがストレートに自動車騒音の被害を受ける、こういうことはあり得るというか、そうなることは必定なんです。ですから、この問題は道路構造改善するといいますか、場合によっては地下あるいは半地下というようなことを必要とする場合もあると思うのです。たとえば病院とか学校とかがすぐそばにある、やはりそういうふうにしなければならないというような場合もあろうかと思うのです。あるいはまた、家を取りのけちゃったからいいというものではなくて、相当盛り土をして、そして土手をつくって木を植えて、美観もいいし遮音効果も上がるというようなことを考えるとか、そういうことが非常に大事になってくると思うのです。建設省としては何でもビルをつくればいいんだということでなくて、あるいはいま言ったようなことをこの整備計画の中で大いに積極的にやっていく必要があるんじゃないか。そうでないと背後地の人たちは大変なことになるわけで、いままで第一列におられた人たちと同じ犠牲をこうむることになるのですが、そこはどうお考えですか。
  172. 山根孟

    山根政府委員 二つの問題があろうかと思います。一つ沿道整備計画内容の問題でございますから、そちらの方から申し上げますと、沿道整備計画そのものはその土地、その区域緩衝建築物のみならず、公園の問題でありますとか、あるいは場合によっては道路構造の一部分としての環境施設帯の部分が入り込むところもあるようないろいろなデザインが考えられようかと思いますが、そういったある一つの計画というものは一応確立をして持っていく。その場合には、単に緩衝建築物のみならず公園その他いろいろな施設をあわせて考えていかなければならない、こういう考え方をとっておるわけです。それを達成いたしますプロセスとして市町村土地の買い入れということが行われるわけでございますから、そのプロセスを経まして経過的に生ずるいろいろなトラブルについては、そういうことが極力ないような形でいろいろ進めてまいらねばならぬ、基本的にはそういう考え方のもとでやってまいらなければならないというふうに考えるわけでございます。ただ、具体の問題になりますと、あるいは先生のおっしゃるようなこともないわけではなかろうと思いますが、その辺はやはり個々具体の場で検討していかなければならない、かように考えるものでございます。
  173. 中島武敏

    中島(武)委員 この点は本当に、住んでいる人がより快適に、公害がより少なく生活ができるようにするということが一番基本でなければなりませんから、それに応じていろいろなやり方をとるということが必要であると思うのです。  それから次に、土地の買い入れ問題、十一条関係のことについてお尋ねします。沿道住民の人たち一つの大きな要求は何かといいますと、土地の買い上げ問題なんです。これは非常に強い要求であります。  そこで、幾つかの点をお尋ねしますが、まず一筆買いをするかどうか、この点をはっきりさせてもちいたいと思います。
  174. 山根孟

    山根政府委員 買い入れる場合には将来の沿道整備計画内容に応じ、あるいは極地として、いろいろな両者の目的があろうかと思いますが、まとまって取得し得る方がベターでありますが、ある場合には一筆買いをいたさねばならぬという場合もあろうかと存じます。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 一筆買いをするという場合には、どれくらいの広さをいま建設省としては考えておりますか。
  176. 山根孟

    山根政府委員 最小単位としては百平方メートルを一応の基準というぐあいに考えております。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 その際、一軒で百平米ないという場合には隣のうちとまとめて百平米になればよろしい、そういう考えですか。
  178. 山根孟

    山根政府委員 ちょっと先ほどの答弁を訂正させていただきます。百坪、百平方メートルではございませんで三百三十平方メートルを基準にいたしたい、こう考えております。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一ついま聞いたのですけれども、それは一軒でまとまってというのじゃなくて、何軒かがまとまって百坪になればよろしい、そういうお考えですか。
  180. 山根孟

    山根政府委員 一回と申しますか、ワンロットとしてそういうぐあいに考えております。
  181. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、百坪というのは単位が大き過ぎるのじゃないか、もっと下げることを検討するべきではないかと思うのです。百平米ならば三十坪ですから、普通の家で、それにかからない家もありますけれども、しかし、隣の家と組めばそれは買ってもらえるなと、こういうふうになるのです。だけれども、それが百平米じゃなくて百坪だというと三・三倍の広さですから、ううんとなって話がむずかしくなる、こういう問題が起きてくるのです。  それで、私がなぜそこのところを言うかというと、やはり建設省はこの沿道整備計画をしっかり進めたいというふうに思っておられるのでしょう。法律の立案者は、提案者はそう思っているのでしょう。私は、そういうことがちゃんと進んでいくという立場に立たないと、実際にこれは何ぼ指定したってどうにもならないということになると思うのです。それは再検討してもらいたい。
  182. 山根孟

    山根政府委員 若干舌足らずの点があったかと思いますが、三年間で一つのまとまりとして三百平方メートルということを一つ考え方というぐあいに考えております。
  183. 中島武敏

    中島(武)委員 答弁が次々に変わるので、私も対応にむずかしいのだけれども、三年間で三百平方メートルということは、これは具体的にはどういうことですか。
  184. 山根孟

    山根政府委員 失礼いたしました。  ある特定の都市は、ここだけでも三年の間には隣接して三百平方メートルまでまとまる見込みがあるところについては手当てをしてまいろう、こういうことでございます。
  185. 中島武敏

    中島(武)委員 これはむずかしいね。土地を買ってほしいという人がいて、ことしはその人の土地を買いましょう、それからお隣さんもどうやら売りたがっているようだ、それで二軒合わせれば三年間のうちには三百平米になりそうだという場合には、最初の一軒を買うのですか、買わないのですか。
  186. 山根孟

    山根政府委員 買います。
  187. 中島武敏

    中島(武)委員 それは買うんですね。  私は、これは非常に厳しい条件にするんじゃない、なるべく緩やかな条件にする。個別に一筆一筆買っているというのでは計画がなかなか立案できないという面があります。ありますけれども、同時に、しかし、買えるところからどんどん買っていくということがなければ、これはまた整備計画が立たないわけなんです。そういう点では、住民の要望が入れられるという方向をぜひ考えてもらいたいということであります。  もう一つこの問題についてお尋ねしますが、沿道整備計画ができてしまってから、売りたいという人の土地を買うんだということになりますと、これは何年先になるものやらわからないのです。それで、私の考えでは、沿道整備計画のごく粗っぽい方針といいましょうか、そういうものができたら土地の買収にかかる、売りたいという人の土地は買う、こういうふうにして、これだけ買えるから、ではここはまたこういう計画にしようというふうに、だんだんこの計画が精密化されていくような性質のものじゃないのだろうか。  そういう点からいうと、また、住民の要求、要望という点を考えましても、やはり精密な計画後に買うというのではなくて、ごくごく粗っぽい方針が決まれば、よっしゃ買おう、こういうふうにいくのが住民のきわめて強い要望であると思いますが、どうですか。
  188. 升本達夫

    升本政府委員 御趣旨のとおりに運営をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございますが、沿道整備計画を定めますのは、やはりその地区を限って、この区域についてはこういう計画が必要だぞということを確認をしなければならぬわけでございますから、どこまでの区域の範囲に計画が必要なんだということが最小限決められるだけの内容のものがまず先行してなければいけないであろう。具体的に申し上げますと、たとえばバッファービルの建物の高さをどのくらいにするとか、あるいは沿道に接した間口はどのくらいにする、それによって防音効果がどこまで及ぶということになりますから、その範囲でございますとか、あるいはその区域内の建物の一般的に要請される防音構造は大体こんなことだというような程度のところまではまず決めないと、その区域という範囲が特定しがたいのではないかなという感じがいたします。その辺までを一体性を持った計画として決めさせていただけば、あとは詳細な各ロットのプランまでは入らなくてもスタートできるのではないか、その段階から土地の買い取りにも応じ得る体制になり得るのではないかというふうに考えております。  したがいまして、全体としては御趣旨のように、まず粗筋を決めまして土地の買い入れができるような体制を早くとる、それから徐々に詳細な計画を定めていくという段取りで参りたいと思っております。
  189. 中島武敏

    中島(武)委員 また関連してですが、買い上げ価格の構成の中身ですが、これについて何を考えておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  190. 山根孟

    山根政府委員 市町村によります土地の買い入れは、建物の除却または移転費用をも加味した適正な時価で買い入れるという考え方をとっております。
  191. 中島武敏

    中島(武)委員 そうすると、家屋の買い取りはこの中に含まれていると考えるべきなのですか。家屋の除却費またはその家屋の移転費、こう言われましたね。そうすると、家屋そのものを買い取る、土地を買い取るという場合に、その中に家屋の買い取りを含めておられるのかどうかということと、それから、移転費というのは、これは何でございますか、引っ越しの費用なんかはこの中に入るという考え方なのか、あるいは休業補償だとかそういうものも入るという考え方なのか、ここはどういうふうに考えておられるわけですか。
  192. 山根孟

    山根政府委員 家屋そのものの買い取りは含めておりません。移転費用は考えておりますが、休業補償については検討中でございます。
  193. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、これは家屋の買い取りということを含めるべきである、これを含めませんと、たとえば東京で言えば環状七号線道路、オリンピックをやるからしてということで、いままでの静かな住宅地にでっかい道路が走るようになって、もうさんざん悩ませ続けられてきたわけです。本来だったら何もそこから動く必要はないのです。ところが土地の方は買いましょう、しかし家屋の方は買いません、こういうのじゃ私はずいぶん一方的だと思う、片手落ちだと思う。そういう点では、被害を受けている人たちを救済するという立場から言うならば、これは当然含めるべきじゃないかというのが私の見解です。それで、そういうふうに再検討してもらいたい。
  194. 山根孟

    山根政府委員 土地価格、それから家屋の問題、それから除却、移転費用、場所によって大変複雑に入り組んでいる点が確かにあるわけでございまして、実質的には家屋相当額も除却という費用等には吸収される程度のものと考えておりますが、法律上の文言といたしましては「土地の取得に要する費用」こういうことで考えておるわけでございます。
  195. 中島武敏

    中島(武)委員 この問題は、幹線道路の住民の人たちでは大問題なんですよ。いまの答弁を聞いておってもはっきりしないんです。これはもっときちんと再検討をやるというふうにして、いまの答弁の中でも、運用をきちんとやれば、ちゃんと家屋を買い取る、それ相当費用を出すことはできる、こうなるのです。だから私は、その中身を再検討してもらいたいと思う。大臣、実際に沿道整備法を施行しても、進むか進まないかがかかってくるのは、こういう問題で進むか進まないかになっちゃうのですよ。非常に細かい問題のようだけれども、大事な問題なんです。もう一回ちょっと……。
  196. 山根孟

    山根政府委員 具体の内容の問題でございますので、検討させていただきます。
  197. 中島武敏

    中島(武)委員 今度は移転先の問題。このめんどうは何らかの形で見るというお考えですか。
  198. 山根孟

    山根政府委員 この制度におきましては、その点に関しては言及しておりません。
  199. 中島武敏

    中島(武)委員 移転される人が別のところへ行って家を買う、建てるというような場合に、住宅金融公庫の融資を活用するという場合などに、中古の建物の場合には使えないのですね。しかし、中古の建物でもやはり住宅金融公庫のお金を使えるとか、そういう便宜を図るべきじゃないか。さらにもっと言えば、税の上においても減免措置を講じるとかいうようなことが必要になってくると私は思います。それはなぜかと言えば、先ほどから言っておりますように、自動車による被害を受けながら長年住んでいて、今度は沿道整備計画でこういうふうにするのだというのでよそへ越すわけですから、私は、それぐらいのことは行政の側がやるべきなんじゃないか、こういう考えなんです。私、ちょっと大臣意見も聞きたいのです。
  200. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほど以来の問題につきましても、局長が御説明いたしておりますように、やはり具体的な問題で、関係機関との調整がまだ十分終わっておらない問題もあって、いろいろ御議論をいただいたわけでありますけれども、現在いろいろな法律がありまして、せっかく制度はできておりましても実効が上がっておらないという事実に直面をしておるわけでございます。今回こうして御審議をいただきまして新しい制度確立をいたしましても、これは実効が上がらなければ私ども目的は達成できないわけでございますので、所要に応じまして善処さしたいと私は思っております。  ただいまの中古住宅等の住宅金融公庫の融資を受けられるようにする問題、また移転者についても金融上、税制上の助成措置を考えるべきではないかというような点につきましては、市町村沿道整備計画区域内の土地を買い入れました場合において、土地を売却して移転する者に対する金融上、税制上の助成措置、こういうものにつきましては、この法律の制定を待ちまして、必要な措置が講じられまするよう十分検討してまいりたい、かように考えております。
  201. 中島武敏

    中島(武)委員 それからもう一つ、またこれに関連して、市町村に対する三分の二の貸し付けであります。これは先ほども議論がされましたけれども、全額でやるべきだと私は思うのです。先ほどからいろいろな答弁があるのですけれども、東京で言えば環七を予定しておられると思いますけれども、沿線は土地が大変高いです。御存じのとおりなんです。それで、しかもこの事業を推進しようと思ったら、相当なお金がかかると思うのです。ことしは、五十五年度の予算では一億五千万円、国費は一億円ということでありますけれども、たった一億円では一体どれだけ買えますか。ちょっと考えてみただけでも、これは何にもならないなということがすぐわかる。もちろん初年度だし、いつ施行されるかというような御答弁が先ほど来あるわけです。しかし、この事業を本当に推進しよう、住民の要求にこたえようということになったら、区市町村がこの事業を渋ることのないような措置を国が講じなければ、この事業はなかなか進まないと私は思う。住民の要求にもこたえられない。そういう点からいうと、三分の二というのはいかにもみみっちいじゃないですか。ちゃんと三分の三、全額ぐらい——これは貸すのですから、後で返してくる金なんですから、それぐらいのことはばんとやるべきじゃないですか。
  202. 山根孟

    山根政府委員 先ほど来も御答弁申し上げておりますように、貸付金については、市町村沿道整備計画を定め、道路交通騒音により生ずる障害防止にとどまらず、地域整備の一環になるものであること、それから都市計画で定められた国道の改築に係ります国の負担割合、地方道の改築に係る補助率、いずれも三分の二であるといったことを総合的に勘案をいたしまして、三分の二以内ということにいたしておるものでございます。  しからば、残る三分の一の手当てができないために阻害をされるという点につきましては、市町村が通常、起債によって対応されるものと考えておりますが、都道府県市町村に必要と認める助成措置、あわせ貸しあるいは利子補給といったような形のことも期待をいたしておるわけでございまして、これら両者を通じて推進が図られるようにこれを期待しておるものでございます。
  203. 中島武敏

    中島(武)委員 道路補助の例を例に挙げられましたけれども、それは補助でありまして、これは貸し付けなんです。ですから、補助と同列に扱うのはいかがかと思います。  それから、確かに都なり市町村、これで言えば市町村がこの事業を執行するわけです。やるのは区市町村ですけれども、しかし、大都市の場合には地価が非常に高い。したがって非常に大きなお金が必要になってくる。それを出し渋るとこの事業はなかなか進まない、こういう関係になるのです。ですから、ここは考え直してもらいたい点であります。そのことを重ねて申し上げておきたいと思う。大臣もよく聞いておいてくださいよ。  それから次に、バッファービルに関連しての問題、その他についてお尋ねします。  バッファービルの補助の問題というのが十二条にありますが、同時に九条二項一号の関係、つまり沿道整備計画が施行された場合には、そこにおけるどういう建物をつくるかというようなことについていろいろと規制を受けるわけであります。この問題についてなのですけれども、私は、大変高層な建築だとか、あるいは大企業とかいうのは何も必要ないと思うのですけれども、しかし、個人の場合あるいは小規模な商工業者の場合に、税制上の優遇措置というようなものも考えるべきではないのかということを思うのです。この点についていかがかという点であります。  それから、間もなく時間が来ますから、まとめて質問しますからお答えください。  十三条の防音構造化の問題です。必要な助成ということを言っておられますけれども、これはどの程度のことを考えておられるのかということです。  それから三つ目は、建築基準法六十八条の二の第一項の規定に基づく条例によって建築物の構造に関する防音上の制限が定められた際の防音構造化の問題です。この問題についてですが、このときには理論計算値を使われるのか、それとも実測値を使われるのか。私は実測値であるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。  以上三点、ちょっとまとめてお尋ねします。
  204. 山根孟

    山根政府委員 第一点の、緩衝建築物の建築促進を図るための金融上、財政上の措置の問題でございます。これは、この法律の制定を待って、今後検討させていただきたいというぐあいに考えます。  第二の防音助成でございます。これは五十一年度から、有料自動車専用道路について緊急的対策として実施をいたしておるものでございますが、それなりの効果が得られておるというぐあいに考えておりますが、現行制度内容としましては、外壁、窓の防音構造化、空調施設の設置等に要する費用で、一定限度額の範囲内において所有者等に助成しているものであるが、この内容につきましては、実施の状況を十分に検討しながら実施してまいりたい、かように考えております。  それから第三点の、防音工事の対象とする場合のいろいろな前提条件がございますが、道路交通騒音基準は実測値によるのか、計算値によるのか、こういうことでございます。これにつきましては、防音工事の対象となります道路交通騒音が特に著しい沿道整備道路沿道に係るいわば沿道整備道路区域と申しますか、この区域は、道路構造改善措置沿道建築物の配置状況等によって騒音の伝搬が一般に大変複雑な状況を呈するわけでございます。したがいまして、これは計算値と実測値とを併用して、実態的には設定をしていかなければならないかなというぐあいに考えております。
  205. 中島武敏

    中島(武)委員 この併用という場合です。最後の問題です。併用という場合に、実際の被害で考えるべきじゃないですか。ですから、実測値で考えませんと意味がないんですね。理論値だとうんと開きが出てくる可能性があります。なぜならば、道路をスピードを制限以内で走っておる車ばかりじゃない。うんと上げれば騒音はうんと高くなるのです。ところが、理論計算上は、制限スピード内で走っているとかいろいろな仮説、仮定を設けて計算するわけでしょう。問題は、実際にそこに住んでいる人の問題なのです。ですから併用というふうに言われますけれども、実際の測定値でなければならないのではないか、こういう趣旨です。
  206. 山根孟

    山根政府委員 現実には、ある実測値を得るという状況のもとでは、建物がずっと前後しておるわけでございますから、実測値だけで果たして公平が得られるかという点を考えますと、必ずしもそうでもない場合もあり得るわけでございます。そういうこと等を勘案をいたしまして、計算値も併用していくということでございます。趣旨としましては、実測値を前提にする。しかし広がりを持ったエリアであるだけに、単なる実測値だけでは設定し得ないという面があるということを申し上げたわけでございます。
  207. 中島武敏

    中島(武)委員 それでは終わります。
  208. 北側義一

    北側委員長 渡辺武三君。
  209. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路交通騒音問題の解決というものは、単に今回提案をされております沿道整備だけではなくて、いわゆる各種の施策を総合的に講じない限り、なかなかこの解決を図るということはむずかしいと思いますが、今回、この法律を提出されるに当たりまして、道路交通騒音問題に関する、大臣としての基本認識をまずお伺いをしておきたいと思います。
  210. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は、かねて申し上げておるように、道路整備というのは、国民生活の安定あるいは産業経済基盤の確立という意味におきましてきわめて重要な施策でございまして、これは鋭意、立ちおくれております道路整備に努力をせねばならぬ、かような考え方を持っておりますが、そこで御指摘のとおり、道路交通騒音によりまする障害防止につきましては、自動車構造改善、交通の規制あるいは道路構造改善等、各種の施策を総合的に実施することによりまして対処すべきものであるというふうにいま考えております。  このような観点から、道路管理者といたしましても、従来バイパス整備、また一方で遮音壁、緩衝帯整備等措置を逐次やってきておるところでございますけれども、このような道路構造改善等措置のみでは、必ずしも有効かつ適切な対策とはなり得ないということがよく認識をされてきておるわけでございまして、このような状況下におきまして、私ども道路沿道土地利用との調和を図るという点に基礎を置きまして、施策確立をせねばならないと考えております。  本法案につきましては、先ほど以来御議論をいただいておりますように、御評価をいただいておりまするけれども、問題は、法案目的が実現できるということに私どもは十分な配慮をせねばならぬわけでございまして、そういうような意味におきましては一層十分な検討を続けてまいるつもりでございますけれども、なお、お話しのように、今後各種の施策を総合的にまた的確に遂行することによりまして、道路交通騒音問題の解決を図り、さらに道路に対しまする健全な行政を推進するようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  211. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 お答えをいただきましたように、確かに騒音問題の解決は各種の対策があるわけでございますが、今回その一部の沿道整備という問題について法制化をしなければならなかった理由が特にございますならばお聞かせを願いたいということと、このような沿道整備に関する法律ができましたならば、一体どのような政策的効果を考えておられるのか、この点について御説明をお願いしたいと思います。
  212. 山根孟

    山根政府委員 都市部幹線道路におきましては、先ほど来御議論がありますように、道路交通騒音対策が一番重要な課題になっておるわけでございます。これまでも道路交通騒音により生じます障害防止するため、バイパス整備を進める一方におきまして、遮音壁、環境施設帯といったようなものの整備を通じまして、逐次その改善を図ってきたところでございますが、このような道路構造改善等措置だけでは必ずしも有効かつ適切な対策にはなり得ないという場合が多いのも実情でございます。こういうようなことから、幹線道路沿道土地利用との調和を積極的に図ることを基調とした施策が必要である。そのために、この法律によりまして、道路交通騒音の著しい幹線道路沿道について、新たな都市計画制度としての沿道整備計画を定めますとともに、沿道整備計画区域内の整備促進するための措置を講ずることによりまして、道路交通騒音により生ずる障害防止と、沿道の適正かつ合理的な土地利用促進を図るための施策確立することといたしたものでございます。この結果、道路構造改善等措置と相まちまして、この法律による措置を総合的に実施することによりまして、都市に必要不可欠な幹線道路本来の機能を確保することができると同時に、幹線道路沿道地域がそれにふさわしい良好な市街地として整備されることになるというぐあいに考えておるわけでございます。
  213. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 道路交通騒音問題というものは、基本的にはバイパス整備するということが一番大切なことではないかと思いますが、そういう点については、この法律ではどのようにお考えになっておるのでございましょうか。
  214. 山根孟

    山根政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたように、道路交通騒音対策といたしましては、自動車構造改善交通規制、御指摘バイパス整備道路構造改善等、いろいろな施策を総合的に実施をして対処してまいらなければならないことは当然でございます。道路行政におきましても、このような観点から、これまでバイパス等の整備を進めてきておるところでございます。このような道路構造改善等措置のみでは必ずしも有効かつ適切な対策とはなり得ない場合が多いという状況に、とりわけ都市地域幹線道路の場合にはあるということにかんがみまして、道路沿道土地利用との調和を図ることを基調とした法律を御提案申し上げておるわけでございます。  本法案の第三条に「道路管理者の責務」ということをうたっておるわけでございまして、この第三条においては、一般論といたしまして、道路管理者がこの道路交通騒音問題に対処する基本的な考え方を述べておるわけでございますが、この中に実はバイパス整備等も包括的に含まれておるわけでございます。ただ、この法律そのものが対象としているところは、都市内におきまして著しい交通騒音をもたらしている、この障害防止という観点からの制度であるわけでございます。
  215. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いわば後追い的な対策、こういう感がするわけですね。道路をつくった、やがて交通量がふえてきてその沿道の人々が騒音に悩まされる、したがって第二弾の対策として沿道整備計画をつくっていかなければならぬ、こういうふうにお考えのようでございますが、それはそれとしてやはり必要なことではございましょうが、後追いだけではなくて、新設される新しい道路については一体どうしていくのか、こういうことを当然考えていかなければならぬ。本来そのような騒音公害が発生しないような道路構造、そういうものが設けられていくならばいいわけでございますから、そういう意味で、私は、バイパスの建設をするについても、単なるバイパスということよりも、騒音を除去したような構造になるような新しい道、こういうことが必要ではないか、その方がむしろ前向きではないであろうか。何も対策を講じないと言ったら語弊があるかもしれませんが、いたずらにどんどんつくっておいて、後から問題が起きてきたからその手直しをするというような後追い的なことではなくて、もう少し前向きな検討が必要だ。そう考えていきますと、新設道路について一体この法律はどのような関係になってくるのか、こう考えるわけですが、前向きな方向の対策というものがございましたら、ぜひひとつお聞かせを願いたい。
  216. 山根孟

    山根政府委員 道路交通騒音が問題となるような道路の新改築に当たりましては、できる限り、道路構造により問題が生じないように対応するということがやはり基本ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。しかしながら、道路構造だけで対応することが土地利用状況等から著しく困難あるいは適切でない場合がありますし、また沿道の方々がこのために大変土地を多く取得する必要があるといったことから、むしろこれは沿道整備と合わせるような形でやっていく方がいいというような場合も実は考えられるわけでございます。したがいまして、新改築、つまり新たに整備される道路におきましても、御指摘のとおり、この制度を積極的に活用して、幹線道路沿道との調整を十全なものにいたしたい、かように考えるものでございます。
  217. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本来このような問題は、過去においても実は相当論議をされてきた問題ですね。他国との関係を見ましても、基本的には日本は土地の割りに人口が多過ぎて、その中で高度な経済発展を考えると、物資の輸送量が多くなる、そういうことかもしれませんが、しかしなくてはならない、われわれの体で言えば血管だというふうな認識をするならば、道路をつくらなくてもいいというわけにはいきませんから、必要上つくるのであれば、その道路がわれわれ人間生活に逆に害を及ぼすような方向のないようにしていく、こういうことが基本的に必要であるわけでございまして、そういう問題がなおざりにされてまいりまして、新設道路がどんどんつくられていくと後になってその問題が起こってくる、結果的にはそこにまた多額の税金をつぎ込んでいかなければならぬ、こういう結果に陥っているわけですから、それはそれとしてできてしまったことを手直しをしていかなければならぬということは十分わかるわけでございますけれども、したがって、それだけに追われていると同じことを繰り返していってしまうのではないだろうか、新設道路については十分そのような配慮がなされていかなければならぬ、こう考えるわけですが、その辺についてはいかがですか。
  218. 山根孟

    山根政府委員 ただいま御指摘のとおりでございまして、新設道路におきましても御指摘の点を十分踏まえて適切な道路構造沿道整備が図られるような措置を講じてまいりたい、かように考えます。先行的に手を打つことで、御指摘のような後から問題を生ずる、そのためにより解決に費用を投ずるということがないように、心がけてまいりたい、かように考えるものでございます。
  219. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それはそれとして、現在ある道路、そのために住民が大変迷惑をしているというこの問題は直していかなければならぬ、そこでこの法制度が設けられたことそのものにつきましては私も評価をいたします。しかし、法制度がせっかくできたといたしましても、これが確実に実行されなければこれは画餅に終わってしまうわけでございますので、その辺を若干お聞きしておきたいと思います。  この沿道整備計画が推進されていくために、関係市町村を含めて沿道整備協議会というものが設立できるようになっておるようでございまして、これら関係の行政機関が十分そのような理解をしていかないとなかなか困難があるのではないであろうか。さらに、これは関係市町村、つまり行政に携わる人々によってこの沿道整備協議会が設けられるということになっておりますが、その地域に住まれる住民の方々の意向というのはどの段階で反映していくようになっておるのでございましょうか。
  220. 山根孟

    山根政府委員 道路交通騒音によります障害防止沿道の適正かつ合理的な土地利用促進を図るためには、沿道整備道路とその沿道整備を計画的かつ一体的に推進する必要があるわけでございます。このため、各行政機関が単独に施策を講ずるよりは、これらの整備について権限ないし責任を持っております行政機関が相互に連絡協議しながら総合的にその整備を図ることとするのが適切であると考えておるわけでありまして、こういった観点から沿道整備道路を指定した都道府県知事沿道整備計画を定め、届け出、勧告等の事務を担当いたします市町村交通規制を行う都道府県公安委員会及び道路整備を行い本法に基づきます助成等の措置を講ずるものとされております道路管理者沿道整備協議会の構成員としてその整備の実効を期することといたしておるものでございます。したがって、この法律運用に当たってはこの沿道整備協議会設置及びその構成についての趣旨が十分生かされるよう関係地方公共団体等を指導してまいらなければならぬ、かように考えるものでございます。  また、沿道整備に当たりましては御指摘のように沿道の方々の意向が反映される必要があるわけでございまして、これまでもいろいろ申し上げておるわけでございますが、この沿道整備計画都市計画決定段階の手続におきまして十分住民の意向が反映されるものと考えておりますが、この沿道整備協議会の運営におきまして、必要に応じ住民の方々の意見を聞く方法を取り入れるなどの方法によりまして御趣旨に沿った運営をいたしてまいりたい、かように考えておるものでございます。
  221. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 具体的にお聞きをしていきますが、もし設定をしようとする沿道整備計画の範囲、区域の中においてこれに反対をされる住民がおられた場合はどうなるのでございましょうか。
  222. 升本達夫

    升本政府委員 沿道整備計画の作成は、御承知のとおり都市計画の手続に従ってなされることになるわけでございますので、都市計画一般の手続に従いまして沿道整備計画市町村が作成し、これを縦覧に供し、縦覧の期間内に反対の旨の御意見等をいただき、その意見につきましては都市計画審議会にお諮りをしてその整理をさせていただいて、その結果に従いまして必要な修正を施した上で計画決定をするという運びになります。したがいまして、その手続の過程の中でいろいろな御意見調整されることになろうかと思います。最終的に全部の御意見が最終結果に反映されることになるかどうかはこの手続の進行の過程で整理をされることになると考えております。
  223. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私の質問に的確に答えられたかどうかちょっとよくわかりませんが、つまりある程度の少数意見の反対は消化をしていくよりしようがない、こういう見解ですか。
  224. 升本達夫

    升本政府委員 一定の広がりの中で多数の権利者の方々に利害関係のある計画でございますので、必ずしも全員の御同意が得られるという保証はないわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げたような手続過程を経て、その手続の中でできるだけ皆様方の御同意を得られるような案をつくっていくという制度、手続を考慮しているというお答えをしたつもりでございます。
  225. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 一定の手続を経て、こう言われると何か冷たく感ずるわけですよ。だから極力理解と納得を得るような努力をしていかれるのかどうか。ただ単に制度としてつくってしまって、一定の、何月幾日に公示して文句のあるやつは来い、こう言ったらそれで済んだのだ、こういうことではなくて、その辺の配慮をどのように考えておられるのかということを実はお聞きしたかったわけです。
  226. 升本達夫

    升本政府委員 御説明が不足をしておりまして失礼いたしました。ただいまのは法制度の手続面の御紹介を申し上げました次第でございまして、もちろんその手続は当然に踏ましていただきますけれども、現実には、この地区計画のみに限りませんで、いろいろな都市計画の施設決定あるいは都市計画事業としてたとえば再開発事業を行います場合とか、その都度、形式的なただいま申し上げました手続に入る前に、関係権利者にお集まりいただき、必要な説明を申し上げ、意見交換をするという機会は何度も踏んでいるのが実情でございます。この計画策定に当たっても当然にそういうような過程は踏まれることになると思っております。
  227. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この事業はいわば地方自治団体がほとんど行う、こういうことになっているわけですが、やはりある程度民間エネルギーの活用を図るということが大切ではないだろうか、すべてお役所任せということよりも民間自身のエネルギーを活用する、こういうことが大切ではないかと私は思うのですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  228. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備計画に沿って具体的にやっていく場合には、先ほど来の、建築行為、開発行為に対する届け出、勧告、助言等の制度によって一方では推進し、土地取得費の無利子貸し付け、緩衝建築物の一部負担住宅の防音構造化を進めるための防音工事費の助成、こういった措置を講じていくことをこの法律でお願いをいたしておるわけでございますが、やはりこれらの政策に合わせまして、都市再開発事業でありますとか公園整備事業といった既存のいろいろな事業手法を同時に活用して、総合的に沿道整備してまいらなければならないというぐあいに考えております。こういった促進策を通じまして、緩衝建築物整備、場合によっては再開発の関係におきまして、民間エネルギーの積極的な活用を期待をし、またこれによって沿道整備促進されるものというぐあいに期待をしているものでございます。
  229. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 従来、緩衝建築物助成事業といいますか、これは現有でも実はやれるような状態になっておるわけですね。ところが現実にその実態を見ていきますと、非常に実績が少ないわけですね。ほとんどゼロに近い。そこには何か理由があるのでございましょうか。
  230. 山根孟

    山根政府委員 これは、第一には、五十二年からでございますが、まだ日が浅くて必ずしも理解が得られていないという点、第二には、やはり制度上、法律的な仕組みがしっかりしていないという点、第三には、バッファービルに関連をいたしまして、土地の問題でございますとか、そういったいわば促進する上での施策が必ずしも十全でなかったといった点にあろうかと実は考えておるわけでございまして、本法によりましてそういった点が一応解決されて、促進の方向に動けるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。
  231. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そうしていきますと、従来制度としてありましたこの緩衝建築物助成制度では、いろいろな不備があってうまくできなかったが、今回この法律を制定することによってそれらも大変うまくいくんだ、こういう見解ですね。そうしますと、一体どの程度の差異があるのでしょうか。
  232. 山根孟

    山根政府委員 緩衝建築物の建設等の促進が図られることを期待しておるわけでございますが、これまでございませんでした市町村土地の買い取りに対する国からの無利子貸し付け三分の二といったことが実は大きな資金的な面と申しますか、土地の取得に関連をいたしまして大きな問題が解決をされるという点が第一点でございます。  それから、緩衝建築物そのものが、この沿道整備協議会あるいは沿道整備計画という手続を通じまして、沿道整備地区におきます計画がはっきりしていくということから、関係の方々の理解が得られて、それに向かっていろいろな施策が結集をされる、両々相まって従来の単なる緩衝建築物に対する一部助成ということにとどまらなくて進展し得るのではないか、こう期待をしておるわけでございます。
  233. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ちょっと抽象的過ぎてよくわからないのだけれども、簡単に何かうまく説明できませんか。従来の緩衝建築物制度では、この程度のことしかできなかったが、今回はこういうメリットがあるので大変賛成が得られるだろうとか、あるいは事業がうまく進捗するだろう、こういうことが具体的にわかりやすく説明できませんか。
  234. 山根孟

    山根政府委員 まず第一は、計画が明確になる、法制上もはっきり裏づけられているという点、それから第二は、土地に対するいろいろな手当てがなされるということでございます。それから、今後この法律の制定を待って金融、税制上のいろいろな措置も講じてまいりたい、こう考えておりますので、そういった点は、いままでの単独の緩衝建築物というだけでは、いまのようないろいろの措置、税制上の措置も実は講ずるというところまではまいらないわけでございまして、そういった観点から従来にないメリットと申しますか、インセンティブが与えられるというぐあいに考えるわけでございます。
  235. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 あと一、二問だけ質問いたしますが、この法律を施行するに当たって、現状の中で一体どの程度の適用個所が想定をされますか。
  236. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備道路の指定要件について先ほど来いろいろ御議論があったところでございますが、一応私どもが当面考えております自動車交通量道路交通騒音のレベルに徴しますと、道路の延長としてはおおむね二千キロ程度が対象の中に入るのではないか、こういうぐあいに考えております。しかし、この中で沿道状況土地利用の変化の趨勢等いろいろな条件のもとで、具体的に道路を指定し、あるいは具体的に沿道整備計画を立案をいたす個所というのは、今後詰めなければならない問題であるというぐあいに考えております。
  237. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現状の中では道路というものに対する認識といいますか、私どもから見れば若干偏見ではないかと思われるような考えの方々もおられるようでございまして、特に国会の審議を通じても道路予算はもう必要ないではないか、こういう御意見が見受けられますが、私はこのような法律を審議する中で、道路というものに対する認識を高めていくことは大変に必要なことだ、こう思っておるわけでございます。  本来、道路そのものがわれわれ人間が生活していく上においてなくてはならないもの、こう見るのか、あるいは生活していく上において余り必要のないものだ、こう見るのか、その辺では大変意見が分かれてまいりますけれども、いずれにいたしましても、われわれが生活をしていく上においては、われわれの体の血管のごとく必要なものである。たまたま環七ができたときがどうこうという御意見もございますが、そのときと現在の居住状況の変化によって、残念ながら必要悪のような結果になってきておる。確かにマンモス都市で生活するわれわれの人間生活を守るためには必要悪な道路という状況が実は大変発生をしておると思うわけでございます。  したがいまして、いずれにいたしましても、われわれの人間生活をより快適にしていくためには、道路そのものの人間生活に寄与する状態というものをもっともっと高めていかなければなりませんし、全部の認識を深めていくということが必要だと思いますけれども、そういう点については最後に大臣の御見解をお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  238. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまの道路に対します先生の御高見には深く敬意を表するものでございます。  道路に対します私どもの認識につきましては当初に触れたところでございますが、申すまでもなく、国民生活にとりましてお話しのようになくてはならない最も基礎的かつ重要な公共施設であると考えておりますし、特に幹線道路都市の骨格を形成する基幹的な施設でもあると考えております。ところが、現状は御承知のとおりでありまして、道路整備がなかなか進みません。なお、最近におきましては、バイパスは四百五十カ所必要でございますけれども、その中でも百カ所しか供用ができてない、あるいは国道、県道にいたしましてもその半分は自動車のすれ違いができない、バス道路にいたしましてもその二分の一はバスのすれ違いができないというような状況でございまして、財源その他諸般の制約を受けまして大変むずかしい状況下にございますけれども、さらにお話しのように道路交通騒音問題が提起されておりまして、私どもも非常に深刻にこれを考えておるのであります。  このような現状にかんがみまして、この法律の積極的な活用によりまして道路交通騒音より生じます障害防止し、また、道路沿道土地利用との調和を図ることによりまして、円滑な道路交通の確保とさらに良好な市街地の形成をもたらせるものと考えておりまして、これによりまして国民各層の道路整備に対します十分な御理解をいただき、これらの政策が円滑に推進できますように、今後とも努力をいたしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
  239. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。      ————◇—————
  240. 北側義一

    北側委員長 都市開発資金の貸付けに関する法上律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は、去る七日すでに終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  241. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  242. 北側義一

    北側委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、國場幸昌君外四名より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。國場幸昌君。
  243. 國場幸昌

    國場委員 ただいま議題となりました都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、本法律案につきましては、委員会において慎重に審議されてまいったのでありますが、都市開発資金の貸付利率の改正に伴う地方公共団体の土地の買い取りの促進効果都市施設用地等の買い取りの対象地域の拡大、貸付手続の簡素化について、特に重要な問題として議論されましたので、ここに附帯決議を付し、政府の適切なる措置を要望するものであります。  以上が本案に附帯決議を付さんとする理由であります。  各位の御賛同をお願いいたす次第であります。     —————————————   都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたつては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、都市開発資金貸付金の利率を政令で定めるにあたつては、地方公共団体による土地の買取りが円滑に行われるよう十分配慮すること。 一、都市開発資金の貸付けを行うことができる土地の範囲については、面積要件の緩和、対象地域の拡大等、今後ともその拡大を図るよう努めること。 一、貸付け手続きを簡素化すること。  右決議する。     —————————————
  244. 北側義一

    北側委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  245. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、國場幸昌君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  246. 北側義一

    北側委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  248. 北側義一

    北側委員長 この際、渡辺建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺建設大臣
  249. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 本法案の御審議をお願いいたしまして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  250. 北側義一

    北側委員長 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び本日参議院より送付され、付託になりました公営住宅法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。渡辺建設大臣
  251. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近における都市化の進展の過程の中で、良好な居住環境に対する住民の要請はますます強くなっております。他方、市街地における比較的小規模な地域について、街路、公園等の施設の整備、建築物の敷地等の状況を見ますと、良好な都市環境の形成上問題を生じている場合が少なくないところであります。  このため、一体として良好な環境の街区の整備及び保全を図る観点から、都市計画一つとして新たに地区計画を創設し、現行の開発許可制度及び建築確認制度と相まって、地区計画に従って秩序ある開発行為、建築物の建築等が行われることとなるように、誘導し、規制するための制度を設ける必要があります。  以上がこの法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず都市計画法の改正についてであります。  第一に、市町村は、市街地開発事業等の事業に係る土地区域、今後市街化する土地区域及び現に良好な居住環境が形成されている土地区域について、その整備及び保全を図るため必要と認められる場合には、都市計画に地区計画を定めるものとしております。  地区計画に関する都市計画には、当該区域整備、開発及び保全に関する方針と地区整備計画を定めるものとし、この地区整備計画には、必要に応じて、地区施設の配置及び規模、建築物の形態、敷地等に関する事項その他土地利用に関する事項を一体的に定めることといたしております。  また、地区計画の案は、当該地区計画の区域内の土地の所有者等の利害関係者の意見を求めて作成するものといたしております。  第二に、地区整備計画が定められた区域内において建築行為等を行おうとする者は、市町村長に届け出なければならないものとし、市町村長は必要があると認めるときは勧告ができるものといたしております。  次に建築基準法の改正についてであります。  第一に、市町村は、地区整備計画が定められた区域内においては、条例で、地区整備計画の内容のうち特に重要な事項につき、合理的な範囲内において建築物に関する制限を定めることができるものといたしております。  第二に、地区整備計画等に道路の配置及び規模が定められている区域においては、原則として、私道の位置の指定はこれに即して行わなければならないものとし、また、土地の利用に著しい支障を来すこととならない範囲内において、予定道路を指定し、当該道路区域内における建築物の建築等について必要な制限を行うことができるものといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対する低廉な家賃の住宅として供給され、住宅政策上の重要な役割りを果たしております。  現行の公営住宅法におきましては、同居親族のいない単身者については、公営住宅への入居を認めておりませんが、収入が低額である老人、身体障害者等の居住の実情にかんがみ、これらの者については、単身でも入居を認めることが適切であると考えられます。  また、公営住宅建てかえ事業について、最近では、公営住宅の規模が拡大したこと等により公営住宅の戸数についての施行要件を必ずしも充足できず、その円滑な施行が困難となってきておりますので、その戸数要件を緩和する必要があります。  以上がこの法律案の提案の理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、老人、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者として政令で定める者については、同居親族がいない場合においても公営住宅に入居することができることとしております。  第二に、公営住宅建てかえ事業により新たに建設すべき公営住宅の戸数は、現行は除却すべき公営住宅の戸数の二倍以上であることとされておりますが、これを構造及び階数に応じ、一・二倍以上で政令で定める倍率以上であることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
  252. 北側義一

    北側委員長 以上で、両案について趣旨の説明聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会