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1980-03-05 第91回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月五日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 小沢 一郎君 理事 大坪健一郎君    理事 國場 幸昌君 理事 渡辺 紘三君    理事 竹内  猛君 理事 渡部 行雄君    理事 伏木 和雄君 理事 瀬崎 博義君    理事 渡辺 武三君       池田 行彦君    上草 義輝君       大野  明君    鹿野 道彦君       鴨田利太郎君    谷  洋一君       中島  衛君    中村  靖君       丹羽 兵助君   三ツ林弥太郎君       村岡 兼造君    井上  泉君       小野 信一君    木間  章君       中村  茂君    貝沼 次郎君       松本 忠助君    井上  敦君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁土地局長 山岡 一男君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     清水  湛君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     岡本 富夫君   松本 忠助君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   岡本 富夫君     貝沼 次郎君   草川 昭三君     松本 忠助君 同月五日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     鴨田利太郎君   井上  泉君     八木  昇君   貝沼 次郎君     西中  清君 同日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     浜田 幸一君   八木  昇君     井上  泉君   西中  清君     貝沼 次郎君     ————————————— 二月二十二日  宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法  の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)  (予) 三月三日  幹線道路の沿道の整備に関する法律案内閣提  出第二七号) 二月二十五日  一般国道一九号の整備促進に関する請願井出  一太郎紹介)(第一二一二号)  同(小川平二紹介)(第一二一三号)  同(小沢貞孝紹介)(第一二一四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二一五号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二一六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二一七号)  同(清水勇紹介)(第一二一八号)  同(下平正一紹介)(第一二一九号)  同(中島衛紹介)(第一二二〇号)  同(中村茂紹介)(第一二二一号)  同(羽田孜紹介)(第一二二二号)  同(宮下創平紹介)(第一二二三号)  中央自動車道長野線関連公共事業促進に関す  る請願井出一太郎紹介)(第一二二四号)  同(小川平二紹介)(第一二二五号)  同(小沢貞孝紹介)(第一二二六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二二七号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二二八号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二二九号)  同(清水勇紹介)(第一二三〇号)  同(下平正一紹介)(第一二三一号)  同(中島衛紹介)(第一二三二号)  同(中村茂紹介)(第一二三三号)  同(羽田孜紹介)(第一二三四号)  同(宮下創平紹介)(第一二三五号) 同月二十六日  一般国道一九号の整備促進に関する請願(林百  郎君紹介)(第一三八四号)  中央自動車道長野線関連公共事業促進に関す  る請願(林百郎君紹介)(第一三八五号) は本委員会に付託された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一五号)      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  3. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず大臣にお伺いいたします。  今度の国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案中身といままでの経過についてお伺いいたしますが、この国土調査事業は、御案内のとおり、昭和二十六年度モデル調査に始まりまして、その後任意申請による調査特定計画、また第一次国土調査十カ年計画、第二次十カ年計画、こういうものを経て今日に至っておるわけでございます。  そこで、この実施状況を見ますと、たとえば地籍調査に例をとりますれば、第一次十カ年計画で、その進捗率はわずか四五%にすぎません。また、第二次十カ年計画においても同じく四五%であります。この問題は、かつて国会においても、その遅々として進まない状況について指摘があり、議会の議決等によってその促進をするよう指摘されてきたところでございます。しかも、これはこのままでいけばとても、百年河清を待つがごとしという鋭い指摘まであるわけでございます。にもかかわらず、このような実態であり、さらに全実績を見ましても、昭和二十六年から五十四年度まで六万五千八百九十九平方キロメートルということで、これは全目標の約半分にしかなっておりません。こういう状態で、一体いつになったら本当にこの調査が終わるのか。いま第三次十カ年計画を立てるに当たって、この過去の実績に厳しい批判と反省の上に立って考えなければ、新計画も机上のプランに終わる危険性があるわけであります。  したがって、このようにおくれた原因徹底的に究明して、その欠陥を克服することなしには、ここでさらに法改正をしましても、それは本当に成果が期待できるかどうか、非常に疑問なのであります。しかもこの中には、各都道府県実施状況を見ましても、たとえば滋賀県などは進捗率がわずか一%、そして、岐阜県が二%、大阪が三%、こういう一けたのパーセントで第二次計画が進められたところが一府九県にも及んでおるわけでございまして、これらの問題を考えますと、本当にこの地籍調査重要性というものが認識されておるのかどうか、そういうものに対する行政指導はどうやってきたのか、また、このようなおくれた原因は具体的にどのように把握しておられるのか、予算上の措置に不十分さはなかったのか、こういう点について、まず大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  4. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたします。  国土調査のおくれている原因は何かということを、いろいろ理由はあるだろうけれども予算措置その他の問題でも不十分ではなかったかということ、それから立法当時の院の意思を受けてまいりました本法の出発の時点からの長い歴史の中についての御意見等を含めての御質問でございますが、現行十カ年計画実績は、いま御指摘がございましたとおり、土地分類基本調査というのは大体一〇〇%終わるというのが現状でございますが、御指摘のとおり、土地分類地籍調査というものについては四〇%ないし四五%という低い調査実績しか出ていないということは、これまた御指摘のとおりでございます。  そこで、調査進捗がなぜおくれているかということでございますけれども一つはこの調査がじみな仕事であるということも原因でございましょうが、必要性に対する市町村認識もまた十分でなかった面、これに対する国及び県の指導も必ずしも十分でなかったということを、私自体率直に認めざるを得ないと思います。そうしたもろもろ原因があろうかと思いますが、今後の問題といたしまして、国土調査事業に対するまず予算措置でございますけれども、これは計画当初の予算をすでに上回って実は十カ年計画の中で使っておりますので、金の問題その他からすると、必ずしも予算上は足りなかったということは言えないのではなかろうか。ただし、その間に、当初四十五年に見込みました時点と、もろもろ物価調査費等増高というようなものからして、確かに金は使ったが成果はそこまで進んでいないという御指摘はごもっともであるし、私どもも謙虚にこの点は反省しながら、今後の取り組み方をどう進めていくかという時点において真剣に取り組み、検討していかなければならない、こう考えております。  そこで今後の問題といたしましては、所要の経常経費は、御指摘のとおり確保することはもちろん努力しなければならないことでございますが、問題は、市町村等に対して十分その重要性認識をしていただくことを徹底をしていくことが一番大事なことではないかと思います。そして、この調査成果というものをいかに活用していただくかというような点の御理解を得ながら、御質疑の中にございました、非常に大事であるということは認めるが、この実績を伸ばすためにはやはり国自体として関係市町村等認識を高める努力必要性というようなものを十分徹底を図っていく必要があるのではないかという御指摘、私もまさにそのとおりであると考えておりますので、自後の問題につきましては、御指摘の趣旨を体しながら、事務当局にも十二分、関係市町村に対して認識を高めるような努力協力というものを惜しみなく発揮していただくようにこれから努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  5. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、いよいよ中身について具体的にお尋ねいたします。  それでは、これから地籍調査では、この十カ年計画の中であるいは完全に地籍調査が終わるという段階までの残った地籍面積は何平方キロメートルであるのか、あるいは基準点測量はどれだけか、また土地分類基本調査はどれだけか、これは国と県でやる分がありますから、それを分けてお願いいたします。また、土地分類調査、この細部調査はどれだけやれば国土調査は完結するのか、この問題についてまずお伺いいたします。
  6. 山岡一男

    山岡政府委員 私ども国土面積全体の中で調査を要します面積を二十八万方キロというふうに第二次の十カ年計画のときから想定いたしております。それに対しまして五十四年度までの実績見込みで申しますと、二四%が達成したということになりまして、要調査残面積が二十一万方キロになります。それから、それに対しまして土地分類等につきましては、基本調査につきましては現在まで十四万方キロ終わったわけでございますが、残りが約十四万方キロということになります。それから、分類細部調査につきましては、現在までのところトータルは大変少のうございまして、今後まだ二十万方キロぐらいが残っておるということであろうと思います。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)委員 基準点測量は。
  8. 山岡一男

    山岡政府委員 基準点測量につきまして、二十八万方キロ全部に対して何地点というのをまだ全部積み上げておりませんので、事業実施段階におきまして調査面積ごとに変わってまいるものでございますので、大まかな見通しはつけておりますけれども、具体的にいまちょっと資料を調べておりますので後刻御答弁したいと思います。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題は、国土利用度が非常に高度になったために、どうしても基本調査早目に進めて、それを資料としてこの国土調査の均衡ある一つの発展を期していくというのがたてまえでありまして、これが長引くということは非常に問題が出てくるわけです。しかも、この国土調査法並び促進法ができる経緯を考えますと、昭和三十年ごろからその国土開発の害と申しますか、欠陥というのが非常に社会的に出てきたためにこれが急がれたわけでございますから、これはもっと真剣になって取り組まないと、こんなのろのろやっておったんでは、私は所期の目的すら達成できないじゃないか、こんなふうに思われるわけであります。  そこで、それじゃ一体、残された二十一万方キロ面積の中で、今後十カ年計画にどれだけやるおつもりなのか。そして、この二十一万方キロというのは、これは恐らく山林を含めておると思いますが、とりあえず緊急の対象としてはどれだけをこの十カ年計画考えているのか。この辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。そしてついでに、その中で、五十五年の初年度は一体どれだけ計画しておるのか、ここをお聞かせ願いたいと思います。
  10. 山岡一男

    山岡政府委員 第三次の十カ年計画数字につきましては、本法案を御可決いただきました後、国土利用計画審議会意見を聞いて定めるというのがたてまえでございまして、まだ正確に申し上げられる段階ではないわけでございますけれども、ただ、私ども予算を要求いたします立場で一応のめどを持っております。これは第二次の十カ年計画が八万五千方キロに対しまして四五%の達成に終わった、実績は三万八千方キロほどにすぎなかったというような過去の実績も踏まえまして、私ども実績の五割増し程度は必ずやりたい。それにいたしましても予算等も相当多額に要るわけでございますけれども、第二次十カ年計画の五割増し程度は必ず第三次には計上したいということをめど国土利用計画審議会に御相談したいと考えておるわけでございます。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)委員 面積で大体どれぐらいになりますか。
  12. 山岡一男

    山岡政府委員 約六万方キロになります。それから、五十五年度予算につきましては、初年度でございますので、そのうち四千方キロを計上いたしております。その他十九条五項によります別途のたとえば成果認証等につきましても、その中に、予算では別に五百方キロ計上いたしております。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この十カ年計画で約六万方キロを期待されておるようですが、これほど進捗状況に問題があるものを、第二次計画よりもその対象面積を減らしたというのは非常に問題があるのではないか。しかも、初年度実施は、四千方キロと申しますと、四千方キロずつこれから推移すれば四万方キロしか十カ年でできないわけでございまして、六万方キロ実施面積に対しても初年度としては余りにも少ないのではないか。初めてあらゆる準備から進める場合ならいざ知らず、これまで流れてきた計画を更新する場合には、初年度はむしろ少し多過ぎるのではないかというくらいの計画を立てて初めてスムーズにこの問題が解決へ向かうのではないか、私はこういうふうに思うわけでございますが、その点についてひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  14. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど御答弁がおくれました基準点必要点数について最初に御報告したいと思います。  全面積約二十八万方キロの要調査面積に対しまして、一応概数を立てておりますのが約十七万点と考えております。そのうちの既実施分が約四万点、残が約十三万点ということでございます。  それから、初年度分の四千方キロはいかにも少ないのではないかという御指摘はまことにそのとおりであろうと思いますけれども、御案内のとおり、私ども今回の財政緊迫の中の予算におきましては伸び率をうんと抑えられるというシーリングの中で特に相当の伸びを認めてもらったということでございまして、初年度分についてはなるほど四千方キロでございますが、この十カ年の間にだんだん後期逓増型、またそういたしませんと、やはりいままでの未実施市町村等に対します研修等経過もございます。いろいろなものを組み合わせて検討いたしておりまして、後半には七千方キロ、七千数百方キロというような段階も出てまいります。それらを見越しまして、大体第二次の五割増しはできるなというような目算を立てて計画の土台を組み立てていきたいと考えている次第でございます。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)委員 確かに財政難という一つの背景の中で予算を確保するということは非常に至難であるということは想像できるのであります。しかし、財政難といういまの財政長期にわたって見通すならば、これは決して一年、二年でこの財政難が解消するものではないと私は思うわけでございます。そうすると、長期にわたってそういう理由でこの実施面積が縮小されていく危険性はないのか。これはどこかで五千以上、六千あるいは八千という、その倍くらいの対象面積年度につくらないと六万方キロをこなすことはできないと思うのです。ですから、そうなると、財政見通し長期見通しを立てた場合に、それでは大体どの年度あたりでそのおくれた分の挽回を図ろうとしておるのか、こういうことが問題になってくると思うのですが、その辺についてひとつお伺いいたします。
  16. 山岡一男

    山岡政府委員 予算見通しでございますけれども、実は国土調査につきましては毎年大変力を入れて予算の計上をしていただいておりまして、先ほども申し上げましたとおり、緊縮財政の中でも伸びを相当見せていただいているわけでございます。第二次の例を申し上げましても、十年間年率平均一八%ということでずっと予算伸びてまいっております。私どもそういうものを積み上げてまいりまして、先ほど申し上げましたとおり、十年のうちで当初の五年ぐらいの間はずっと上がっていく、六年、七年はまだ少し緩やかながら上がっていく、そのあたりからなだらかな横ばいになっていくということになりますと、その頂点のあたりが七千方キロをちょっと超えるかなというふうなカーブを頭の中に描いております。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間も限られておりますから、この問題はこの程度にいたします。  次に、地籍調査に要する方キロ当たり事業費単価は、昭和五十四年度予算では平均約二百八十万円でございましたが、五十五年度では幾らに見積もっておられるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  18. 山岡一男

    山岡政府委員 一方キロ当たり三百万円を計上いたしております。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これはいろいろ細かな中身があるわけですが、この単価の見積もりが低いために各市町村仕事が渋られているのではないかとさえ思われるわけであります。たとえば昭和五十三年の資料だけで見ましても、当時は地籍調査の一平方キロ当たり単価というのは百十六万、それからそれに対して国調方式による確定測量、これは農林省がやるのは三百九十八万、あるいは土地改良一般確定測量、これは三百七十二万五千円、こういうふうに五十三年度の対比でも大きな差があるわけでございます。しかも、これは今日もなお、具体的な数字は申しませんが、解消されてはいないわけで、やはりこの辺から少し考えるべきではなかろうか。この点についてはどういうふうにお考えになっておるかお伺いいたします。
  20. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のおっしゃいました数字でございますが、五十三年の地籍平方キロメートル当たり単価は二百五十四万円でございまして、この地籍調査単価につきましては、確かに昭和四十五年は七十万ほどでございましたけれども、その後毎年ふやしてまいっておりまして、現在当時の約四倍になったわけでございます。それと比べまして、その間の物価値上がりは約二・二倍というようなことだと思いますので、相当単価改善には努力をしてまいったつもりでございます。  ただ、いま先生がおっしゃいましたように、土地改良事業確定測量単価等につきまして、確かに類似の調査の中で単価が違っている点がございます。しかし、これにつきましては、一方キロ当たりのいろんなもので計算をしてみますと、やはり中身がいろいろと変わっておるわけでございまして、たとえば地籍調査の方にはあって向こうにはないもの、それから向こうの方には特別に地籍調査と別にございまして地籍調査にないもの等がございます。それらのものを差し引きをいたしまして、縮尺等も同じ五百分の一、たとえばそういうことにそろえて見ますと、その間にほとんどの差異が見られないというのが実態でございます。しかしながら、単価改善ということはやはり事業促進のための一つの大きな問題でございまして、先ほど申し上げましたように過去ずいぶん努力してまいりましたけれども、今後もますます努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。  なお、地籍調査経費の内訳といたしまして、現在市町村に対しましても県が補助をする、その補助をする県に対して国が補助をするというスタイルで経費の配分を行っておるわけでございますが、国の持ち分は全体の事業費の中の三分の二でございます、都道府県が六分の一、それから市町村が六分の一ということでございます。さらに、都道府県市町村におきましては、その持ちました六分の一に対しまして十分の八の特別交付税が交付されるということになりまして、結果といたしましては、市町村負担は全体事業費で見ますと三十分の一の負担ということに相なっておるわけでございます。  なお、今後の単価改善につきましても十分努力してまいりたいと考えております。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)委員 確かに単価改善の誠意というものは十分見られるわけでございますが、しかし、まだまだ私は、これで十分だというふうには考えられないのであります。たとえばさらに突っ込んだ中身でございますが、調査員単価は、技師の一日当たり昭和五十四年度で三千円、調査員補助者単価が二千五百円、これは五十五年度では三千五百円と三千円に上げておるように聞いておりますが、それでもこれはいわゆる建設省、労働省、農林省三省協定による一般人夫賃よりも安いのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  22. 山岡一男

    山岡政府委員 先生案内のとおり、調査員手当につきましては、五十四年三千円を五十五年三千五百円、それから二千五百円を三千円というふうに改善いたしました。一般の他のそういうようなものの伸びといいますと、たとえば公務員の給与の増額分というようなものから推定をした値上がりを見たわけでございますが、これはそれを上回って伸ばしていただいたということが一つございます。ただ、予算は、やはりこれは予算単価でございますので、実行に当たりましては縮尺の度合いその他も現地の実情に合わせまして十分な単価で組みたいというふうに考えておりまして、現地の方には御迷惑をかけないように実行してまいりたいと考えております。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ただいまの御答弁で、現地には迷惑をかけない、つまり市町村には超過負担をさせない、こういうことに解釈をいたしまして、これを了承いたします。  次に、三番目でございます。  地籍調査重要性はいまさら申すまでもありません。そこで、わが国は、この中心的な役割り市町村にさせておるようでございますが、こういう実態から、地籍調査は非常にまだ専門技師が足りない。素人が中に非常に苦労しながら働いておる。こういうことで一面この計画がおくれておる原因とも言えると思うのです。一つのおくれておる側面とでも申しましょうか。  そこで、外国の例を見ますと、たとえばフランスや西ドイツなどは、国が専門測量技師とでも申しますか、そういう専門官を養成して、大体千五百人ぐらいの陣容を持って進めておるやに聞いております。したがって、これからこの国土調査重要性にかんがみて、国が専門技師を養成する、そしてこれを都道府県に配置する、そういうような形の中で、指導を強化し、実際の仕事を強力に進めるということになれば、もっと立派な成果がおさめられるのではないか。こんなふうに思われるのですが、ひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  24. 山岡一男

    山岡政府委員 地籍調査につきましては、個人の土地所有等に関係するものでございまして、私ども国が一元的に実施することには限界があるのではないかというふうに考えております。今後ともむしろ現地実態に精通をしました地元の協力者確保等につきまして努力をいたしまして、実際の実施面ですぐれた市町村実施されるということが適当だと考えております。特に国土調査の中の地籍調査につきまして、形成的な要因を持っておるものではなくて、たとえば確定いたしました権利を青写真に写すというような仕事でございますので、そういうものについてはやはり現地に密着をした市町村が中心であるべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。このための実施体制の整備等につきましては、国、都道府県とも大いに積極的に協力をしてまいっておりますが、今後の推進に当たりましては、特に各種の研修の計画的な実施に努めたい。これによりまして特に市町村の皆さんのレベルの向上と職員の確保に努めたい。たとえば五十五年度予算等につきましても、一般の研修予算は非常に伸びが悪かったわけでございますけれども国土調査に関します研修につきましては、特に事業の密着ということと事業の促進のための一番大きな支えであるという点もとらえまして、四・七倍にふやしてもらっておるということでございます。  さらに、新規着手市町村におきまして、担当職員が足らないという問題がございます。そういう方々に対しては、事前のそういう養成の中でつくってまいりたい。現状を申し上げますと、五十四年度では各市町村別に平均でとってみますと、専任職員の方が三・三人、兼任の方が一・三人、約五人程度で大体平均四万キロぐらいおやりになっておるというのが現在の実情でございます。  先生おっしゃいますとおり、職員の確保と能力の向上は今後の重要な課題でございますので、先ほど申し上げましたようなことで大いに努力してまいりたいと考えております。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大体専任で三・三人、その他合わせて五人で四方キロを担当しておると言われましたが、この調査は一方キロ三人くらい必要だと言われております。五人で四万キロというのは非常に過重じゃないか。したがって、これを一方キロ当たり三人くらいに充実する必要があるのではないか、こういうふうに考えるものであります。研修を非常に多くして市町村の職員を教育するということも結構ではございますが、それよりもまだ一%台の県があるという現実の中では、やはり相当専門的な人がその中に入っていって強力な指導をしないと、市町村任せではなかなかうまくいかないのではないかと危惧するものであります。  いま国土調査協会というものがございまして、これが国土調査に相当というよりも大部分寄与しておると言ってもいいくらいでございます。その資料やPRにいたしましても非常に真剣にやっておられるようですが、こういうものをもっと充実させると同時に、国の責任として先ほどのような専門技師の養成というものを考え、そして国土調査の将来に対する位置づけをもっとしっかりさせていく必要があるのではないか。いま国土庁というものが非常に軽視されておる一面もあるわけです。だから、場合によっては建設大臣の兼任などということで糊塗されるという現実を考えますと、やはり私はもっと積極的な態度が必要ではないか、こういうふうに考えますので、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 山岡一男

    山岡政府委員 国が直接やるかどうかにつきましては先ほど申し上げた考えでございますが、実際の問題といたしまして、たとえば国土調査実施状況考えますと、その中で事業の約八割ぐらいは外注になるわけでございます。したがいまして、そういうものを計画し、監督し、現地のいろいろな立ち会いをいたすというようなことが職員の仕事になるわけでございまして、そういうふうなものにつきまして確かに四万キロで五人は少ないじゃないかという感じは私どもいたします。さらにそういうものをふやすような努力は今後も大いに努めてまいりたいと思います。  それから、国土調査協会につきましてお話がございましたけれども、全くわれわれもその力をかりておるわけでございまして、特にPRの面等につきまして格段の力をかりておるわけでございます。今後十分タイアップをしながら進めてまいりたいと思っております。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題は大体この程度にいたしまして、次にはもっと具体的な問題を申し上げます。  これはかつて私の住んでおる会津若松市に起きた問題でございますが、この会灘若松市で実施された地籍調査成果が現実には実態と合っていない、つまり地籍図が現況に合わない。というのは、水路があったものがその水路が途中で切られて民有地に変わってきておる、こういうことが現実にあるわけです。私は、公図というのは公文書であると考えております。その公文書に実際と違うものが記載されたとすれならば、これはまさに公文書不実記載と言うべきではないか、この点がまず第一点であります。  それから第二点は、実測する際にその水路の測量に当たった方が、その消えた水路の分の測量の際には、ここにはあなた方は立ち会う必要がないからというので立会人まで帰してしまって、そして勝手にそこを測量した、そういう事実があるわけでございます。このことは一体どういうことなのか。確かに国土調査法には「立ち会わせることができる。」ということで、立ち会いを強制してはおりませんけれども、しかし一たん立ち会わせた人たちを帰すということは理解できないのでございまして、この辺に対する御見解をお願いいたします。
  28. 山岡一男

    山岡政府委員 公図に故意に誤った記述があるという場合は、不実記載に当たる可能性が非常に強いと思います。  それから、いまの具体の事例につきまして現在担当の課を通じまして調査をさせておりますけれども現地の方の報告によりますと、公図も一応見たし、現地の立ち会いもお願いしたというようなことが参っております。しかし、その辺につきましていま先生おっしゃいましたような不明な点があるといたしますと大変でございますので、十分現地調査をさせたいと思っております。  立ち会いにつきましては、確かに特に明瞭な場合には不要という場合がございましょうけれども、私ども原則として必ず立ち会えというふうな指導をしてまいっておるわけでございまして、そういう点について先生がおっしゃるようなことがあったとすればまことに申しわけないことでございますし、よろしくないことでございますので、十分な指導をしてまいらなければならないと思っております。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 故意にと言われましたが、しかし故意ということは何で立証できるかという問題でございますが、私はたとえば一つの文書をつくる場合には故意ということはなかなか立証しにくいだろうと思います。しかし現実に測量というのは、動かしがたい実態に即してそれを図面に載せるのが測量でございまして、そういう場合には人間の意思が作用する余地はなかろうと思うのです。機械と実態の結び合いの成果が図面に載ってくるわけです。だから、その実態が図面に載らないというものは直ちにこれは公文書不実記載であり、それは故意とみなすべきではないだろうか、こういうふうに考えます。
  30. 山岡一男

    山岡政府委員 私ちょっと間違えまして、刑法百五十八条の不実とかいう意味の中には故意が含まれるのでないかというふうに思ったわけでございます。調査成果の誤りがあるというような場合は当然不実の記載ということに当たるだろうと私も思います。それは直さなければならないと思います。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 しかもこれは本当に不思議なんです。きっと地図を見られたと思いますが、局長は地図を見られましたか、見てませんか。(山岡政府委員「略図を」と呼ぶ)略図を見ておりますね。これは事前に見せたわけですけれども、ところが昔丈量帳というものがありまして、これには県知事の割り判が押さっているわけです。そこの中にきちんとこの川について書かれているのです。  読んでみますと、「溝渠 長さ五十九間 幅四分 官有地」となっているのです。必要のないところは省略いたします。それから「堤塘」堤塘というのは堤防ですね。「堤塘 長さ五十九間 幅三分」こういうふうになって、その川幅と土手の幅まできちっとなって、それはかつて税務署から法務局に引き継がれた当時の字限図には明確にその水路が出ているわけです。ところが、その後この字限図面は恐らくだれかの手によって改ざんされたとしか思われないのでございます。それはなぜかというと、字限図面にかわった地図に対する登記官の責任の判が押さっていない、こういうことでございます。しかもこの国有地である川が、いつの間にか個人の土地になっておる。これは東北の財務局を調べてみますと、全然国有財産の払い下げの経過はないわけでございます。そうすると、この国有地は一体いつ、どうして個人の所有になったのか、また、それをそのようにみなしたのかという問題にまで発展するわけでございます。しかし、逆に言わせれば、このような国有地払い下げの形跡もないにもかかわらず、それを私有地として取り扱ったことは、国有財産の管理の怠慢、不十分、こういうことが言えると思うのですが、これについて今後どう対処しようとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  32. 山岡一男

    山岡政府委員 本事例につきまして、地籍調査に粗漏があったために成果に誤りがあったのではないかということでございますけれども、いままで福島県から聞きましたところによりますと、現地調査は関係公図を基礎に関係者の立ち会いのもとに実施したと申しておりまして、いま直ちに完全に粗漏があったとここで言い切るわけにはいかないと思います。先生の御指摘もございましたけれども国土庁といたしましては、福島県に対して調査時点におきます公図の内容、それから現地の実情等につきまして改めてその実態調査させたいと思います。その結果に基づきまして、現地状況に即した所要の処理を当該市町村に対して指導してまいりたいと考えております。現状は、私が伺いましたところ本当に水が流れておるそうでございまして、明らかに現況と違うようでございますので、厳しくその点の調査をしたいと思っております。  なお、地籍調査実施当たりまして、調査成果に誤りの存しないように万全を期してまいっておるわけでございますけれども、仮に調査成果に誤りがあったという場合の措置といたしましては、当該地籍調査実施いたす市町村に対して、地方税法第三百八十一条七項の規定に準じまして、管轄登記所に対して訂正に必要な関係図面等を添付して修正の申し出をするという手続きを法務省との間にも相談をして決めております。もしそういうことがあればそういう手続に移らなければならないかなと考えているわけでございます。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは、いまの御答弁で非常に積極的にこの処理に当たりたいということでございますから、ぜひそのようにお願いして、この問題については以上で終わりたいと思います。  次に、地籍調査成果が登記所に送付されて、その成果に基づく登記が完了した後に成果に誤りなどを発見した場合どのような措置をとられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  34. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど一冨お触れしたわけでございますが、地籍調査成果に基づきまして登記が完了いたしました後に成果の誤り等が発見された場合の一般的な実務上の取り扱いといたしまして、当該地籍調査実施いたしました市町村長等から地方税法第三百八十一条第七項の規定に準じて管轄登記所に対して必要な資料等を添付して修正の申し出をするという手続を決めております。なお、これらの訂正を申し出ました市町村地籍調査実施機関でもございますので、その間の事務手続の中にもそういうことを表示いたしまして、事務内容の連絡調整を十分とるようにいたしております。  また、本件に関します具体的事務処理につきましては当時は経済企画庁が担当しておりましたけれども、法務省との間でも照会を済ませておりまして、同様の趣旨が登記官へも通知されておるわけでございます。そのような場合における地籍調査成果等の登記の訂正はスムーズに行われるように処置されております。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 成果が登記された後の誤り発見についての訂正は相当の手続を経てやられるわけでございます。しかし、現実に不動産登記法の面からこれを見ますと、そういう手続なしに家屋調査士が隣地の承諾書をとって、地積の測量図を添付して更正なり変更の登記を申請すればこの変更ができるわけでございます。一方において、せっかく国の費用をかけて正確な図面をつくって認証までしたその公文書を、一土地家屋調査士が実態と合わないからといって隣地の判こをとってこれを訂正する、変更する、こういうことになると不動産登記法と国土調査法との間に非常な矛循を感じるわけでございます。しかもこの判こはなれ合いでとることができるわけです。やろうとすればどんなふうにでも地図を書き改めることができる。こういうことに対しては一体どういうふうに考えておられるのか、御意見をお聞かせください。
  36. 山岡一男

    山岡政府委員 国土調査の中の地籍調査は、先ほど申し上げましたとおり定まった権利、利害関係等を立ち会いもしくはいろいろな証明等によって明らかにしていただいたものを、青写真で写してそのまま正確に書くことがねらいでございまして、その前の利害関係とかそういう諸要件の中身につきましては他で決まると考えております。したがいまして、そういうふうなものにつきまして写真の写し方が間違っておったという場合の処理は先ほど申し上げましたけれども、その前の所有権の云々ということにつきましての中身については直接地籍調査が形成的に関与するというものではないわけでございます。ただ不動産登記事務の取り扱い手続には、先生おっしゃいますとおり所有権その他の利害関係人がその訂正の申し出をできることになっておりまして、一たん地籍等が確定いたしましてもその上で利害関係人等が所有権の中身等について異同が生じた場合の手続を決めたものだと考えております。その点さらに不動産登記との関係につきまして検討を要する事項があるかもしれませんが、現状ではそのように考えております。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私の言いたいのは、成果の認証という非常に権威あるものとしてなされ、しかも動かしがたい土地に対して正確にはかってつくった地図が、その後に自由に変更できる余地のあることはとうてい理解できないわけです。仮に本当に誤謬があってこれを直さなければならないとすれば、やはり国土調査法に基づく、先ほどの誤り訂正に基づく手続をそこからさせていかないと整合性が保てないじゃないか。隣地というのは場合によって、利害関係によってどうもこの境界は不便だからこういうふうに直そうじゃないか、だからひとつ承諾をしてくれということで、この隣地の人が実質は売買をした、しかし売買の手続をとると税金とかその他がかかってきてなかなかやっかいだ、だから境界線の変更でこの面はあなたの方に繰り入れようじゃないか、こういうことになるとこれは全くなれ合いで境界線の変更ができる。私はこういう余地を残してはならないと思うのです。一たん確定した地図は動かしがたい、仮にそれが変更される場合には分筆とか合筆、そういう方法によってしかないだろうと思うのです。しかし、本当に測量の誤謬による場合には、やはり同じような手続をとらせるのが至当ではないか、こういうふうに考えるわけであります。  それからもう一つ、この地籍図は法的にどういう位置づけをされておるのか。たとえば、だれだれ所有の何番の土地は何平方メートルであるという中身の証拠能力があるのかどうか、そういう点についてひとつお伺いいたします。
  38. 山岡一男

    山岡政府委員 不動産登記の変更または訂正の中には、地図だけではなくて建物等の所在図のこともございます。その点につきましては問題ないかと思いますが、先生のおっしゃる趣旨よくわかりましたので、私どもちょっと不勉強な点がございますが、さらに勉強してみたいと思います。  それから地籍図でございますけれども地籍図は基準点を置きまして、それからそういうものを地籍として確定しておるものでございますから、いざという場合に、登記に書いてあるものがそのまま地球上に復元できるという能力があるものでございます。したがいまして、証拠能力ということは、やはりその地籍図に沿って現地でもう一回丈量してみれば地球上の場所がはっきりするという点が効力でございます。
  39. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは次に移りますが、この国土調査法によって水の調査が行われておるわけでございます。そこで、この水の調査をなされて、その成果によってどのように今日の水行政の一元化に寄与しているのか、その辺、あったらひとつ具体的にお願いしたいと思います。
  40. 山岡一男

    山岡政府委員 現在各省庁が行っておられます水行政の一元的運用を期待するためには、各省庁のお持ちになっております水に関する基礎的データ、これが同様な立場に立った一元的なものであるということが非常に大事であろうと思っております。  国土調査法に基づきます水調査は、水文、利水、治水の実態を水系単位に総合的に調査または把握するものでございまして、関係省庁等がそれぞれの行政目的に従って独自に実施なさっております水に関する各種調査と相互に補完的な役割りを果たすという性格を持って実施されております。したがいまして、国土調査として実施されます水調査成果がこれらの各種調査あるいは各種行政に活用されることによりまして、水行政のための基礎資料の一元化という点で大いに効果を上げているのではないかと考えております。  われわれといたしましては、今後も水行政全般の動き及び水に関する各種調査実施内容等との関連におきまして、水調査の内容あるいは実施方法等十分に検討いたしまして、各種水行政のための基礎資料の提供ということに努めたいと考えております。水行政の一元化そのものにつきまして直ちに私どもが寄与できるということではございませんけれども、その基礎的データの提供という意味につきまして十分に効果を上げてまいりたいと現在考えておる次第でございます。
  41. 渡部行雄

    渡部(行)委員 水行政の基礎的データの提供ということでございますが、実際にこの仕事をしておられて、いまの日本の水に対する法体系というものはこれでいいのかという疑問に突き当たらないかどうか。突き当たるのが普通だと私は思うのですけれども、もし突き当たるとすれば、そういう問題の解決に内閣に提言をすべきだろうと思うのです。というのは、現在水資源等に関しての日本の法律は三十一あるわけでございます。この三十一の法律がばらばらに各省で考えられてつくられておりまして、これを一体として総合するものがないわけでございます。たとえば水の涵養や水資源の開発あるいは治水、水の利用、水質保全、あるいはもちろん水の環境保全、こういう問題について一つ法律の基本的な規制がなければならないと思うわけです。そこで、やはり国土庁が一番総合的な、総体的な立場で水調査を進めておるわけでございますから、そういう一つ仕事の中から水基本法と申しますか、そういう方向に対してもっと積極的にこれを考える必要があるのではないかと私は考えるわけですが、その辺に対しての御見解をお聞かせ願いたいと思います。確かにこれは内閣総理大臣にでも聞かないと、本来話がわからないかと思いますけれども、しかし、実際に進めておる中から出てくる声が一番大事でございますので、そういう立場でひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  42. 山岡一男

    山岡政府委員 水調査実施の立場でどう思うかという御意見でございますけれども、私ども先ほど申し上げましたとおり、調査を通じて各水行政の一元化には大いに効果を上げるように今後も努力したいと考えておりますが、いま先生がおっしゃいましたような大所高所のお話につきましてはここで私どもなかなか答弁しにくいわけでございます。  利水、治水等につきまして、確かに各省がいろいろなデータとして使っていただいております。そういうものにつきまして、そのデータの活用の中で、それぞれの行政の中で足らぬところを補完をしながら別途の調査をつけ足しておられるというのが現状でございます。  先生はまた、その調査ではなくて、根っこのところはどうだという御質問でございますので、私ども答弁の限りでございませんけれども、現実にはやはり関係省の間の協議会もしくは法律の共管等によりましていろいろとスムーズに現在処理されておるのではなかろうかと思っております。ただ、先生のそういうような御指摘につきましては、確かに大きな問題であろうと思いますので、国土庁の当面の担当ではなかろうと思いますけれども、内部のいろいろな会議等につきましても今後そういうことについての話題を提供し、十分勉強してまいりたいと思っております。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最後に大臣に決意を述べていただきたいと思いますが、今度の促進法がきょう採決される予定でございますが、採決されたら、本当にもういままでの批判を吹っ飛ばして、この第三次国土調査十カ年計画を完全にやるという御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  44. 園田清充

    園田国務大臣 いま御指摘を承りながら、実は言いわけではございませんけれども、ちょうど私が国土庁長官に就任したときに、いま御指摘がございました、一平方キロ当たり単価をどうするかということ、これが協会ないし全国町村会等から御要望があった。同時に私どもは、この新しい時期に来た法律を延長していただくということで御審議願わなければならないということで、実は予算の面から非常に悩んだわけでございます。というのは、二次計画を下回るような六万平方キロでいいのかという御注意がございました。同時に、実際に当たっていただいておる関係町村、協会等の御要請ににも、単価ということを考えてこたえていかなければならない、同時に、人材の育成ということも考えていかなければならないという問題で非常に国土庁としては悩んだ予算でございましたが、しかし現地で実働していただいておる各町村の御要望にこたえることがまず当面の問題ではないかということで、さっき局長から申し上げましたとおり、三百万ということの関係町村の御要望にこたえることから取り上げていこうということで、実は五十五年度予算もさようなことで御審議を願っておるところでございます。いま御指摘がございましたとおり、私どもはやはり時代の進運とともに国土調査というものに科学的な面から問題を取り入れて、そして日本の産業分野、あらゆる環境分野からしてもこれが役立つ、大いに役立つ、役立てていただきたい、こういう願いを込めておりますので、いま決意とおっしゃいましたが、何としてもこの十カ年計画だけは異常なく達成をするという努力を払ってまいりたいと考えておりますので、どうかひとつ御鞭撻を賜りたいと思います。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  46. 北側義一

    北側委員長 木間章君。
  47. 木間章

    ○木間委員 私は、ただいま提案されております国土調査促進特別措置法に賛成する立場で二、三疑問点を持っておりますし、国土庁の見解を賜りたいと思うのであります。  本論に入る前に、この法案はすでに戦後間もなくその必要性が重んぜられ、限られた国土の中で、限られた資源の中で、一億一千八百万人が生活をし、さらに発展を求めていくということで、きわめて重要な事業であったでしょうし、国土庁が昭和四十九年六月に発足いたしまして、本格的論議を迎えるのがこの国会でありましょうし、加えてこの事業の達成は国の根幹事業の中でも最大の事業であるという認識の上に立って、私たちも精いっぱい達成のために努力を惜しまないものでありますし、また国土庁初め多くの国民の皆さんもぜひ一日も早くこの事業にいま一段の関心を高めていただきまして達成いただくように、そういった立場で二、三質問をさせていただきたいのであります。  まず、この調査法の目的でございますが、本来親法の調査法は、昭和二十四年第五国会で特別決議がなされて、昭和二十六年に制定をされたわけであります。昭和二十四年の特別決議の中身を要約いたしてみますと、わが国経済を今後自主的にかつ効果的に進めるためには、産業の基幹となる農業及び林業政策を積極的合理的に行う必要がある。それにはまず国土、とりわけ山林や原野、耕地、牧野、河川、湖沼を徹底的に調査をしよう。そういったことで、次いで昭和二十六年第十国会で調査法が制定されたわけであります。法律のねらいは、土地が一番の国民の財産であり、いままでどう使われてきたのか、もう少し使っていけばどう発展するだろうか、また、そういった中で土地の生産力を知るために面積的な広がりと土地の性質も知らなければならないとして、土地を物理的、科学的に、国民の協力を得て、国、県、市町村がおのおの分担をして、短時間にこの事業を達成しよう、こういうことだったと思うわけであります。  そういったきわめて重要な課題でありますから、まずこの目的をひとつ再確認をさせていただきたいのであります。
  48. 山岡一男

    山岡政府委員 国土調査法は、その第一条におきまして、「この法律は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土実態を科学的且つ総合的に調査することを目的とする。」というふうに定めております。これは先ほど先生おっしゃいましたように、国会の決議等を背景に制定されたものと承知いたしております。したがいまして、その目的を実現いたしますために、現在、地形、地質、土壌等土地の自然的要素それから土地の利用現況及び生産力に関する調査というものを行います土地分類調査、それから一筆ごとの土地の所有者、地番及び地目の調査と境界及び面積の測量を行う地籍調査、水文、利水、治水の実態調査する水調査並びにこれらの調査の基礎となります基本調査というようなものを、その目的実現のために実施いたしておるわけでございます。  今日では居住環境の整備国土の均衡ある発展を図るということが国土行政の主要な課題となっております。今後の国土に関します各種施策も、その実現を基本目標として実施されていくことになると考えております。  国土調査は、このような施策を実施していきます上に必要となる基礎的資料を提供するものでございまして、これまでと同様、重要な役割りを今後も有するものと思っております。なおかつ、これら調査成果が各種行政目的に沿って有効適切に使われるように、国土調査の今日的意義に即しまして、その推進を大いに図っていかなければならないと、かたく考えておる次第でございます。
  49. 木間章

    ○木間委員 局長の決意のほどをお伺いしたわけでありますが、蛇足でありますが、いま三全総もそれぞれ発表いただきまして、国土庁はもちろん各省庁におかれましても、その取り組みに努力をされておるところでありますが、三全総以前のこの調査法の制定の趣旨をしかと旨としていただきまして、これからも努力と精進を続けていただきたいのであります。  次の問題は、観法であります国土調査法では、すべての土地対象としておるのでありますが、この特別措置法第三条では、実施する必要があると認める地域について計画案をつくっていくのだ、こういうことに実はなって十カ年計画が定められておると思うわけでありますが、私は、そういった短時間に達成させなければならない事業であるだけに、この親法である調査法とこの特別法との違いをひとつ御判断をお聞きしたいのであります。
  50. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げました目的をもちまして国土調査の推進に当たっておるわけでございますが、先ほども渡部先生のお話にも出週まいりましたけれども、そういうふうなものの進捗が遅々として進まない、百年河清を待つような状況ではないのかということから、議員提案によりまして、そういうふうなもののうちで特別に目標を定めて早期に実現を図るべきものというものについては特別の措置を講ずべきであるということで、特別措置法が前に制定をされました。  その後一回政府提案で十カ年計画の改正をいたしておりますけれども、今回に至りましてもなおかつ残る、先ほど来御指摘いただいておりますように、相当な努力をしてまいりましたけれども、諸般の事情から、まだ今後なおかつ残されている分野が非常に多いということでございまして、前回の十カ年計画を定められたときとあんまり事情が変わっていないというような状況だとわれわれ思っております。したがいまして、そういう意味で、他の法律にもございますように、一般母法と特別推進措置法というふうな関係をもちまして、強力に実施をしていきたいと考えた次第でございます。
  51. 木間章

    ○木間委員 台帳上の原野あるいは沼地、山林、こういったものも一部分は対象にされておるところでありますが、御承知のとおり、今日では、そういった沼地でありましょうとも農地化が進んでおりますし、あるいは宅地化がどんどん進んでおることは御案内のとおりであります。そこで、先ほどの渡部議員との関連から申し上げますが、国土面積三十七万方キロの中で二十八万をやりたいのだ、こういったことであったろうと思うわけですが、まずそういった台帳上の原野、沼地、山林、こういったものについての今日的な国民生活実態の中での現況の地目といいますか、こういったものを正確に把握されているかどうか、お伺いをしたいと思います。
  52. 山岡一男

    山岡政府委員 国土調査法におきます国土調査は、原則として全国土対象とするというものであると考えております。したがいまして、国土の台帳でございますけれども、これにつきまして、国土全体の総括的なものにつきましては一応調査結果はございまして、毎年度国土利用白書で利用の現況等については大まかなものは御報告をいたしておるわけでございます。  国土調査促進特別措置法におきます国土調査は、そういう全国土のうちでも、国土の総合的な開発及びその利用の高度化に資するために緊急に国土調査実施する必要性があるということを対象とするわけでございますが、国土調査のうちの地籍調査につきまして、新十カ年計画におきましてその対象予定地域を現行十カ年計画と同様早急に調査実施する必要のある地域としてしぼっておりますのは、農用地、宅地等の平地でございます。それと、これと一体として効用を発揮するような周辺の林地というものを重点に考えてまいりたいと思っております。  したがいまして、台帳上の原野、山林でございましても地籍調査対象地域に当然包含されるものでございまして、いずれも現況の地目により調査して取りまとめられるということになるわけでございます。地籍調査は台帳上の地目をもとに現地調査を行うことにしておりますが、現況地目は地籍調査作業規程準則に基づきまして画一的に確認をしてまいっておるというものでございます。
  53. 木間章

    ○木間委員 十カ年計画で緊急を要するところからと、その意味合いはわからないでもありません。しかし、一つの例でございますが、北海道の山林、原野でも私どもの地方では、将来別荘地になりますとかあるいは高度利用ができますからどうぞいまのうちに投資をという形で、不動産の売買などが行われておる現状であるわけです。ですから、やはり調査法の本来の趣旨にのっとりまして全国土調査を早くやる必要があるだろう、こういうふうにも理解をするわけであります。  また、三十七万平方キロの中で平野部周辺その他を除きますと、大体山林はその三分の二くらいでないだろうかというようなこともすでに明らかになっておるところでありますが、いま調査対象から時期的に外れておる、そういったところはほとんど山林であろうと私は見ております。いま現実に調査を行っている中でも、山林につきましては境界の確認などに大変手間がかかる、そういったことから、おくれておるのもこの山林であろうと思います。しかし、いま土地所有者といいますか、地主といいますか、そういった方々の中にはまだ多くの年配の方々が生存をされております。仮に一世代ずれてきますと、そういった境界のわかる方々がほとんどなくなるわけでありますから、私はやはり、いまの間にやっておかなかったら将来ともに大きな悔いを残すのではないだろうか、ますます山林地の調査というのはできなくなってしまうのじゃないだろうか、こういった危惧を実は持っております。  いま一つは、この山林の中に国有林地といいますか、国有林野といいますか、そういったもの、あるいは公有林野がそれなりに、八万方キロあるいは三万方キロ、十一万方キロが存在をするということも聞いております。こういった公有林野、国有林野の実態調査などについてどういった現状の進捗状態なのか、わかればひとつ資料等を出していただきましてお互いに理解を深めさせていただきたいと思うのであります。
  54. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のお話にございましたけれども、わが国の総面積約三十七万方キロの中で、平地というふうに見ておりますものは十万九千方キロでございます。それから林地が二十五万二千方キロでございます。そのほかに水面、湖沼等が一万六千方キロ、概数でございますが、それらを足しまして全国土三十七万方キロになるわけでございます。そのうちの平地十万九千方キロにつきましては、現在までに四万一千方キロ調査が済んでおります。さらに今回の第三次で同程度をやってまいりますと、累次調査で終わったものを除きますと大部分が終わるということになります。  それからさらに残ったものは林野ではないのかというお話がございましたが、そのとおりでございまして、いまの林地の中で国有外林地が十七万六千方キロございます。これは私どもいま申し上げました平地の周りの方からやってまいるわけでございますけれども、そういうものはいままでに調査済みが二万五千方キロ、今回の対象でもやはり、それよりちょっと足らない程度になるかと思いますが、計画対象に入れていきたいと思っております。国有林野が七万六千方キロございまして、これは一応調査対象外ということにいたしております。それから水面、湖沼も一応対象外ということにいたしております。  全体の中からそういうものを差っ引きました残りが二十八万方キロと申し上げておるわけでございまして、数字のややこしい点につきましてはまた後で資料でお届けしたいと思いますが、概況は以上のようでございます。  それで国有林野の地籍調査実態でございますけれども、国有林野の取り扱いにつきましては、国有林野と他の民有地との境界のみの調査にとどめております。国有林野の内部については調査をいたしておりません。地籍調査は基本的には全国土対象として行うべきものでございますけれども、国有林野の内部につきましては、林野庁におきまして国有林野の管理、経営目的に沿った独自の調査、測量が行われ、台帳も整備されておるということでございまして、地方公共団体等の行う地籍調査として改めて調査する必要性ないし緊急性に乏しいということで外しておるものでございます。  ただ、国有林野の状況はどの程度までいっておるのかということでございますが、国有林野と民有地との境界の延長が約十万キロメートルと概算いたしております。そのうち国土調査と同一の座標系を用いました測量は約八万キロメートル終了しておるというふうにつかんでおるわけでございます。測量事業の結果作成されました地図は、国有林境界基本図という名で呼んでおります。
  55. 木間章

    ○木間委員 国有林野については林野庁が担当されておる、ぜひそういった林野庁にも働きかけをお願いしたいと思いますし、そのほかに市町村といいますか、あるいは学校等の林野もあるはずでありますから、そういったそれぞれの部門での把握をぜひお願いしたいと思うのであります。  次の問題でございますが、親法の国土調査法は昭和二十六年に制定されてきたのは御案内のとおりでありますし、以来今日まで政府は毎年努力を払われておりますし、国会もまた促進協力をしてきたところであったわけです。特に昭和三十四年第三十一国会では、国土調査事業の推進に関する特別決議でその推進を促してきましたし、三十七年の第四十国会では、親法の国土調査法ではいよいよなまぬるい、こういったことでこの国土調査促進特別措置法が提案をされたわけです。しかもそれは役所に任せておいてはいけない、こういったことで、議員立法で提案されたのは御案内のとおりであります。先ほどの御答弁の中にもあったわけでありますが、いま少し理解をするという意味で、その委員会での審議の横様を議事録から私なりに拾ってみました。  提案された議員の代表は、調査事業の業績は遅々として進まず、このままでは百年河清を待つのほかなく、このように説明をされております。また質問に立たれた議員は、親法があるにもかかわらず特別措置法をつくる、しかも、議員立法というかっこうになることは国会の権威あるいは法の権威を落とすのではないだろうか、こういったことも述べられております。さらに、提案をされた議員は、親法があってもどうしても進まないときは議員立法で促進を促し、国会全員の意思を反映して政府に迫っていく、こういうやり方をやらなければ仕方がない。それぞれ大変遺憾の意をあらわされているわけであります。同時に、この促進法ができたときに、五項目にも及ぶ附帯決議もなされておるところです。  自来、この促進法そのものも再々度提案をされておりますが、先ほどの御意見を聞いておりますと、二十一万方キロ残っておる、この十カ年間で六万方キロをやっていくのだ。決意のほどはわからないでもありませんけれども、仮に一〇〇%六万方キロを十年で達成されたといたしましても、余部の調査を終わるのはあと四十年であります。あるいはその進捗度合いが悪くなりますと、半世紀かからないと全体がわからないという大変残念なことになるわけでありますが、そういった意味でこのおくれている理由を、先ほど若干の開陳がなされたわけでありますが、いま少し詳しくお聞かせ願いたいと思うのであります。
  56. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほどの大臣答弁で尽きておると思いますが、地籍調査進捗がおくれました主な原因といたしまして、近年行政需要が多様化する等の中にございまして、きわめてじみな仕事でございますために、本調査必要性に対しましてずいぶんPRもなされておりますけれども市町村認識もまだ十分でない面がございます。全体の市町村の中で、まだ半分は手を挙げておられないというところでございます。さらに、それに対しまして国等のそれに対する指導も、私ども十分でなかったという反省もいたしておるわけでございます。そういうふうな市町村が主になって都道府県協力して、さらに国がバックアップして大いに早くやらなければならないということについての認識の不足が私は一番大きな原因だったと思います。  さらに、事業の実施段階に入りますと、一筆ごとの土地につきましての境界を確認していくという仕事でございますので、土地所有者等の協力を得るために多くの時間と労力が要るということでございます。  それから、昭和四十年代後半の物価、人件費の高騰に伴いまして事業費単価増高したために、予算額は相当伸ばしてまいったわけでございますが、予定された事業量の増加に必ずしも結びつかなかったというのがおくれておる原因であると思っております。  土地分類調査につきましても、これは特に専門の職員がやる仕事でございますが、他の事業にかかわる業務等との重複のために、どうしても土地分類に回せる職員の数が足らなかったということが一つの大きなおくれた原因であろうと思っております。
  57. 木間章

    ○木間委員 市町村協力の欠如、あるいは国の指導性の不足などなども述べられておるわけであります。私はかなり財政面でも努力をされたことは評価をするわけでありますが、現実に市町村の窓口へ入ってみますと、あるいはその職員の人件費にいたしましても、まだまだ不足をしておる、あるいは平野部と林野とを比較いたしますと、労力あるいは経費その他も大幅に開きがあるなどなどの問題もあるわけです。近年、各都道府県市町村でも理解がだんだん深められておるということもわからないではありませんが、それでは国土庁として、都道府県市町村のそういった担当の窓口が、組織があるのかどうか、把握されておるとは思いますけれども、どんな部局でそれが担当されておるのか、ひとつお尋ねをしたいと思うのであります。
  58. 山岡一男

    山岡政府委員 国土調査の推進の直接の母体は市町村でございまして、さらにそれを直接現地指導するのは都道府県ということになるわけでございますが、地籍調査当たりまして、地元関係住民の調査への協力が得やすい等のメリットから、やはりどうしても市町村が中心になるということでございます。  そのような事情がございますので、市町村に対します指導を一貫して計画的に実施できるように都道府県にもお願いいたし、国土調査担当の課または係等を明確にして実施体制を整えていただきたいというふうにお願いもし、指導もしてまいっておりますが、都道府県を通じまして、市町村に対しましても、専任職員の配置等によります円滑な調査実施に遺漏のないようにということのお願い等をしてまいっております。  実情はどうかということでございますが、これら組織整備実態といたしましては、都道府県段階においてはその大半が農林部門で担当いたしております。また、市町村にありましては半数くらいが農林部門で担当いたしております。その他は企画部門、土木部門、総務部門で担当しておりまして、先生おっしゃいますように必ずしも一貫したところではないというような実情でございます。大宗は農林部門が多いというのが実情でございます。
  59. 木間章

    ○木間委員 いま局長の御答弁にもあったが、市町村実態は偏っておると言わざるを得ないのであります。国の場合は主務官庁は国土庁と定められてはおりますが、施行令では各省庁の協力が大々的に求められております。  たとえば、区画整理事業を行う場合に、その担当所管であります建設省がその区画整理部門の事業の中でやっていこう、圃場整備事業では農林水産省が担当されておると思いますし、極端には裁判所とかそういった特定の官庁を除いてほとんどの組織を挙げて担当されておるのは御案内のとおりであります。  私は、先般富山県の実情を調べに行ってきたわけであります。富山県の場合も、御多分に漏れず農地林務部のほ場整備課が担当されておりました。今日まで進めてきたのは農地が中心であったということでありましょうが、しかし、その農地は圃場整備事業との関連であったということでありましょう。ですから、農地に偏っておると言わざるを得ないのでありますが、富山県の場合には、そういった反省からさらに進めるためには、ぜひ組織ぐるみでやっていく必要があるといったことから、昨年はいよいよ県庁の中に、富山県地籍調査推進連絡会議を設置いただきまして促進をしておるという実態でありました。  先ほどの御答弁にもあったとおり、都道府県の機構のばらつきが一つの障害になっておると私は判断をしておるわけでありますが、国土庁は今後の十カ年の推進に当たって、まず初年度は、そうした都道府県市町村の主管部局の統一を指導されるべきでないだろうか。農林水産部で担当しますとどうしても農地だけに偏ってしまう。それもまた、圃場整備事業が進まなければやっていけないということが出てくるわけでありますから、私はもっと国の機構にならって下部機関を指導いただきたいと思いますが、ひとつ決意をお願いをしたいと思います。
  60. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど御報告いたしましたとおり、国土調査中身のうちでも地籍調査は先ほど来のように農林部系統が大半を占めておりますが、土地分類調査につきましては、企画部、農林部の順で、企画部の方が多いのが実情でございます。これらの実情は、それぞれの都道府県内におきまして調査進捗あるいは調査の進め方等について大いに関連するものでございまして、専門的知識を持つ職員がどこに多いか、それから関係市町村等の意思の疎通等の面で、日常の恒常的な事務と最も深い関連を有するところはどこかというようなところから担当の部局が決められておるというのが実情であろうかと思います。しかし、先生おっしゃいますように、これら調査に関する都道府県の窓口におきまして、それを全国的に統一するということは、確かに国土庁が進めようとしております各種の指導連絡等の徹底を図る上で有効なことでもございますし、実質的な効果も図れるということでございまして大いに期待はしたいところでございますけれども、やはり、先ほど申し上げました実情に応じた分担がなされておるということでございまして、私どもといたしましては現在全国の担当課長会議による直接な連絡調整をやるのは当然でございますが、先ほども先生のお話にございました、都道府県の中に連絡会議を設置してくださいというのを通達指導いたしました。その連絡会議を通じまして、そこを窓口に一本化を図るというふうなことにつきましての指導を現准行っております。現在各都道府県の中で三十二ぐらいはすでにこの連絡会議の要綱を定めまして、現に活動を始めておる次第でございます。
  61. 木間章

    ○木間委員 市町村あるいは都道府県が事業主体でありますから、そういった意味での指導を強力にやっていただきたいのと、あわせましてPRをもう少し徹底的にお願いをしたいと思います。  そこで、いま二十一万方キロ残っておる、そういった中で十カ年計画で六万方キロをやっていきたいということであるわけですが、先ほど申し上げましたとおり、全部の調査完了は半世紀もかかるのじゃないだろうかと大変危惧をされるわけであります。  そこで、この十カ年計画を立てられる初年度当たりまして、六万方キロを達成したい決意はよくわかるわけでありますが、それではこの二十一万全体を完了するその目途といいますか目算といいますか、国土庁の方でどのくらいにめどを立てておいでになるのかお伺いをしたいのであります。
  62. 山岡一男

    山岡政府委員 まず今回の第三次で検討したいと考えておりますのは、先ほども申し上げましたように平地十万九千方キロのうちの、残されたもののうちの三万八千方キロぐらいを具体的には対象にするべきではないかと考えております。そういたしますと、平地の中で残りますのが約四万三千方キロぐらいになります。そのうちで累次の調査によって調査済みのものが一万三千ほどございます。そういうことになりますと、残りはあとわずかということになりまして、平地につきましての緊急を要するところの大半は第三次で終了できるのではないかと思っております。  それから、林地につきましても、それと一体となって効用を発揮するようなところにつきましては第三次で取り込んでまいりたいと思っておりますので、当面緊急を要するものにつきまして第三次まででほぼカバーできるのではないかと考えております。  したがいまして、新十カ年計画終了後につきましては、先生もおっしゃいましたように今後は山林部を中心に調査未済の地域が残されるということになります。その山林部が、その後も十三万ヘクタールぐらいが中心になって残るわけでございます。そういうものにつきまして今後どのように進めていくか、山林部の調査等につきまして新しい調査方法の開発等もいま検討いたしておるわけでございますが、そういうものもかみ合わせながら、今後何年かかるかというようなことにつきましての見当はそのときになって立てなければならないと思っておりますが、いまみたいなペースでいけばどうなるかということになりますと、やはりそういうような山林面積を中心にあと二十五年ぐらいはかかるのじゃないかというようなことに相なろうかと思います。
  63. 木間章

    ○木間委員 十年の中で積極的にやっていきたい。残余部は山林部だということでございます。  山林の問題につきましては先ほども申し上げたのでありますが、いまの間ならまだまだ境界線のわかる方々も多い。十年後になりますと全く世代が交代するわけでありますから、ますます調査達成はほど遠くなるような、そして気の遠くなるような年月を要すると私も判断をしておりますから、ぜひそういった悔いのないように、この十カ年計画の中でも可能なところからひとつやっていただきたいのであります。  次に、自治省の関係で少しお尋ねをしたいと思うのでありますが、地籍調査成果を認証したときには登記簿の変更を行わなければならない、そして登記の完了したものから税法によりまして逐次固定資産税等々が課税をされる法体系に実はなっておるわけであります。昭和二十六年からすでにこの調査がなされてきておるわけでありますが、特にこの調査の中での土地は、たとえば農地とか山林とかはなわ延びが大変多いということを聞いております。そうなってまいりますと、調査の完了したものから登記簿修正を行う、さらに税の課税をやっていく、こういう方向になりますと、税はもともと公平でなくちゃいけない、これは御案内のとおりでありますが、しかし今日なお多く残っておるこういった形、さらに二十五年前後かかるのじゃなかろうか、こういったことなども言われておりますから、役所の手によってある意味で逆に公正を欠くような結果になるのじゃなかろうか、このようにも危惧をするわけです。そうしたバランスの崩れが役所の事業の結果起こらないように御配慮いただきたいと思います。そういったすでに成果の認証済みの土地等の評価について、税面でどのような形になっておるのか、ひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
  64. 渡辺功

    渡辺説明員 ただいま先生指摘のように、土地にかかる固定資産税につきましては、地積につきましては原則として台帳地積による、こういう考え方をとっております。しかし原則として台帳地積によると言っている意味は、台帳地積よりも実際の地積が小さい場合にはやはり課税の適正化という見地から小さい方をとるということを評価基準で示しております。じゃ大きい方はどうするかといいますと、台帳地積よりも大きい場合には原則としてやはり台帳地積によるということを踏まえながら、しかしその場合に台帳地積よりも非常に実際が大き過ぎて負担の均衡上問題があると考えられるときは実際の地積によることができる。大きい方は、そういうふうに原則は台帳主義だよと言っておいて、不均衡だと思うときは実は市町村がそれは実測による現況地積でやることができる、こういうたてまえをとっております。  そこで、御指摘のように国土調査によりますなわ延びというようなことがこの事業を実際に実施していく過程においてもいろいろ起きてまいります。  ただいま申し上げました原理、原則からいいますと、台帳に載った以上は直ちにやはり台帳地積でいくということになってしまうわけでございますけれども、それではこの事業としてもぐあいが悪いというだけではありませんで、課税の均衡という点からも、確かにはっきりした以上はその地積でいくというのがある意味では公正でありますけれども、同時に、一つ市町村内で全部終了していないあるいは大部分終了しているという時点で、市町村が判断できるような状態になっているというのであればまだしもでありますが、そうでない、ほんの一部しか済んでないというようなことをいろいろ具体的なケースについて考えますとやはり矛盾があるということでございまして、これも評価基準におきまして他の土地との評価の均衡上台帳地積、新しい地籍調査の結果による台帳地積によることが不適当であると考えますときには、地籍調査前の土地についてのその土地登記簿に載っている地積によることができる、こういう基準を定めまして、これによって市町村指導している、こういうことでございます。
  65. 木間章

    ○木間委員 蛇足でありますが、私も地方税法なりを一応調べてきたわけでありますが、税法上は確かにおっしゃるとおり台帳面であらわれたやつから課税をしていくということにしかなっていないわけです。いま課長さんがおっしゃられた中身から判断をいたしますと、行政通達か何かでされておるということでありましょうか。念のためにひとつお願いします。
  66. 渡辺功

    渡辺説明員 お答えいたします。  地方税法の中で、自治大臣が評価の基準を定めるという規定があります。たしか三百八十八条だったと思いますけれども、その評価基準の中に、地積について、大臣が定めるという形でただいま申し上げましたような基準を定めておるわけであります。あるいは舌足らずだったかもしれませんが、固定資産税はあくまで市町村の税金でもありますし、先ほど来御論議がありますように、この事業は非常に長期にわたるものでありますので、やはり負担の均衡というのはそれぞれの市町村単位ごとに考えるということが一番適切な考え方であるという観点に立ちまして、その評価基準におきましても、その市町村についてただいま申し上げましたような状況判断をして従前の地積によることができる、こういう形をとっておるわけでございます。
  67. 木間章

    ○木間委員 はい、了解いたしました。  最後に、大臣に決意をお聞かせ願いたいのでありますが、先般のこの委員会でも申し上げたのでありますが、今度の国土調査に海底を含めた海洋調査を含めるべきではないだろうか、このように私は考えております。  念のために辞書を調べてきたのでありますが、国土とは、一つの国の統治権の行われる境域、つまり領土であると言っておりますし、領土とは、一つの国の主権を行使し得る地域で領海、領空も含んでいると言っておるわけであります。こういったことから、二百海里時代に入った以降、土地の十倍を超える海域も領土になったわけでありますから、ひとつこの母法の精神にのっとりまして、今後の調査対象に取り組んでいってもらいたい、こう思っておりますが、大臣の決意をひとつ最後に承りたいと思います。
  68. 園田清充

    園田国務大臣 お答えをいたしますが、海洋調査を含んでやるべきだという御意見もまことにごもっともだと思います。現状、海洋開発についてそれぞれ諸官庁がいろいろな角度から検討を進めておりますが、一元的にひとつ私どももできることならば、御指摘のとおり広い海洋をどう利用していくか、開発をしていくかということについて、国土庁としてもこれらの地域につきましては早急に調査を完了し、同時に対応するようなことで今後やってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  69. 木間章

    ○木間委員 御決意のほどを承りまして、一日も早くそういった方向で達成いただきますように、さらにまた、国土調査そのものが、私たち国会ももちろん御協力を惜しみませんし、また国土庁の方におかれましてもさらに都道府県市町村に十分にお手当てをいただきまして、全国民的に早期に達成いただくことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  70. 北側義一

    北側委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  71. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  72. 松本忠助

    松本(忠)委員 きょうは、国土庁長官の御出席を得まして、国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案、これにつきまして若干の質問をいたしたいと思うわけでございます。  国土庁がこの特別措置法の成立のためにしている努力を私も多とするわけでございますが、基本的な問題についてまず確かめたいわけでございますが、これは国土庁の土地局の国土調査課で発行しております「地籍調査」というPRのものでございます。この中にも言及されておりますが、「望ましい開発と保全の選択をつねに適確に把握しうる正確な情報のもとに、的確な計画の選択とその適正な実施が強く要請されます。」こういう文言がございます。これは国土行政の当面の問題としてどうしてもこういうものを据えてそれの解決を図りたい、こういうわけでございます。  それからもう一つは、この提案理由の説明が先般なされました。この中にも、「国土の適正な利用により健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることが今日の国土行政の主要な課題となっております」という文言がございます。この二つを私は冒頭に申し上げるわけでございますが、翻りまして、この促進特別措置法のいわゆる親法とも言えるところの国土調査法、この第一条に書いてございますのは、「この法律は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土実態を科学的且つ総合的に調査することを目的とする。」と規定されているわけでございます。  一方、問題になっております、ただいま議題になっておりますこの国土調査促進特別措置法の方ではどういうふうに書いてあるかというと、こちらでは第一条に、「この法律は、国土の開発及びその利用の高度化に資するため、国土調査事業の緊急かつ計画的な実施促進を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」こういうふうになっております。  この二つを対比してみますと、国土調査法の第一条の中には「国土の開発及び保全」という、保全という言葉がございます。ところが、特別措置法の方にはこの言葉はございません。それから、先ほど引用いたしましたこの「地籍調査」の中にも保全という言葉はございません。また、提案理由の中にもございません。こういう点を私はここで問題にしたいわけでございます。なぜ本法では保全ということを落としてあるのか、書いてないのか、こういうことでございます。御存じと思いますけれども、私は保全という文言を第一条の「目的」の中に加えた方がより充実した国土調査実施することができるのではないか、またその必要があるのではないかと思うわけでございます。  そうした意味から、今回のこの調査促進特別措置法の制定の経緯、さらにその十一年ほど前にさかのぼりまして昭和二十六年六月公布されました国土調査法、この二つの法律の制定の経緯、これを簡単に御説明をお願いいたしたいと思うわけでございます。  同時にまた、なぜこの国土調査促進特別措置法の方には保全という文言が入っていないのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
  73. 山岡一男

    山岡政府委員 まず、国土調査法の制定の経緯でございますけれども、先ほど来お話が出ました第五回国会、昭和二十四年五月でございますが、衆議院におきまして「全国統一的土地調査促進に関する決議」というのがなされました。それを受けまして、国土調査法案が昭和二十六年三月、第十回国会に提案をされまして制定をされたわけでございます。  国土調査促進特別措置法の制定につきましては、昭和二十六年度以降三十三年度に至る事業の実績が順調でなかったという点で、三十一国会におきまして、三十四年四月、衆議院の国土総合開発特別委員会におきまして「国土調査事業の推進に関する決議」というのが行なわれました。四十回国会におきましても、昭和三十七年四月、国土調査事業の緊急かつ計画的な実施を目的として、そのための国土調査事業十カ年計画等を内容とする国土調査促進特別措置法案、これは議員提案でございますが、提出されまして、同年の五月十九日、国土調査促進特別措置法ということで制定されたわけでございます。その後、政府提案で一回改正をいたしておりまして、今回で第二回目の改正ということになるわけでございます。  国土調査促進特別措置法の中で特に促進を図りたいと考えております項目が、いまの土地分類調査地籍調査、それから基本調査の三点でございまして、その三点につきましてはいずれも基礎的なものでございまして、国土の開発と利用の高度化に資するという目的で行う調査でございます。特に保全を直接の目的とするというものではないという意味で前回のときに外されたわけでございますが、なお、本法と違っております点は、水調査実施しないという点、それからもう一つ、こういうような法案制定の際に予算措置といたしまして国土保全調査というのを別途やっております。それをこの法案の中にも組み入れていないというような点も考慮しながら、前回と同じ目的で構成したものでございます。  しかしながら、先生おっしゃいますように、国土の保全ということについては今後の行政の中心をなすということはそのとおりでございまして、その成果につきましては、資するという意味ではこの調査も十分資するに足りるものであると思っております。そういう意味で、国土調査実施当たりまして国土保全の観点につきましての配慮等が必要であるということは当然でございまして、今後についてもその点は十分念頭に入れて実施してまいりたいと思っております。
  74. 松本忠助

    松本(忠)委員 次の問題でございますが、この国土調査昭和二十六年に制定されました国土調査法によりまして、地籍調査関係、土地分類調査関係、それから水調査関係、こう大きく三つに分類されているわけでございます。  さらに、地籍調査関係におきましては基準点測量地籍調査土地分類調査関係では土地分類調査土地分類基本調査、水調査関係は水の基本調査と水調査にそれぞれ分けられて現に調査が行われてきたわけでございます。  そのうち、地籍調査関係と土地分類調査関係については、国土調査促進特別措置法によりまして十カ年計画を定めて、計画に基づいて事業を実施し現在に至っているわけでございますが、この趣旨は、一層の促進を図るため緊急かつ計画的に実施しようということでございますが、水調査関係も十カ年計画を策定して促進を図るべきではないかと思いますけれども、この点について検討はなされたのでございましょうか、お伺いをいたします。
  75. 山岡一男

    山岡政府委員 水調査につきましては、基礎的な調査につきましては当然実施をしているわけでございますけれども、水文、水利等につきまして、時代の経過とともに、水は生き物でございますので、相当変わってまいります。したがいまして、そういう変わった状況を何年かごとに調査をするというようなスタイルで実施してまいっておりまして、緊急に特別に抜き出して実施をするという点にはなじまない。むしろ国土調査法の本法によりまして計画的に実施をしていきたいと考え実施をいたしているものでございます。
  76. 松本忠助

    松本(忠)委員 何年かごとに国土調査法によって水の方は調査されたその実績というもの、これは後で結構でございますが、資料としてひとつ御提出をお願いいたしたいと思います。  次の問題でございますが、新十カ年計画、これは第二次の十カ年計画の反省の上に立って策定されなければならないと考えるものでございます。午前中の質疑の中でもずいぶんとございました。なかなかこの実施が予定どおり、計画どおりやられていかない。ついに十カ年間、そしてさらに次の十カ年間というものは全く遅々として進まなかった。そこで、ここで新十カ年計画というものを立てるわけでございますが、本改正案が成立をいたしますと、新しい年度、四月一日から施行になります。それと同時に、昭和五十五年度以降の新十カ年計画というものを国土利用計画審議会意見を聞いて作成するということになるわけでございますが、資料として「第三次国土調査事業十カ年計画策定の考え方骨子」、こういうものを私も国土庁からちょうだいをいたしました。これによりますと、地籍調査につきましては「計画事業量は、第二次十カ年計画における実績(約四万平方キロメートル)のおおむね五割増程度とする。」と書かれてございます。このように試算をされましたその根拠というものは一体何なのかということが一つでございます。  また、五十四年度までに地籍調査に着手いたしました市町村数は千六百五十三というふうに伺いました。この全国比が五一%ということでございますけれども、新十カ年計画ではこの全国比をどのような数値まで高めていくおつもりなのか、この際伺っておきたいわけでございます。
  77. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話にございましたように、法案について可決、成立していただきました後に利用計画審議会にかけまして決める話でございますけれども、先ほどのお話のとおり、考え方といたしましては、一つ地籍調査につきましては全国の調査が必要なほとんどの平地、それからその周辺の山林につきましてはおおむねこの期間に終了したいという考え方。それから、都道府県が行います土地分類基本調査につきましては全国の要調査面積の残りを全部完了するという考え方。それから、市町村等が行います土地分類細部調査につきましては、やはり地域振興計画の策定等に対応しまして、第一次、第二次の分よりは相当の倍数にふやして行うという考え方を実施していきたいと思っております。さらに細目の考え方といたしましてつけ加えておきたいと思いますのは、第二次までの間に着手をした市町村につきましては、原則として第三次の間には完了してもらいたいと考えております。  それから、先ほど先生お話しございましたまだ未着手の市町村につきましては、その半分については少なくとも参加をしていただくということを第三次の間に行いたいという考え方に立って積み上げ等を行ったものでございます。
  78. 松本忠助

    松本(忠)委員 一応わかりました。とにかく予定されたもの、膨大な国費を使ってやるわけでございますから、ぜひともそれを完成させていただかなければならない、目標に到達するように御努力を願いたいと思うわけでございます。  それから、計画内容(案)というのがございますが、これの(2)のところに「土地分類基本調査」こうございます。この「第二次十カ年計画までの成果を含め、計画期間中に要調査地域の全域について調査を完了」と、こう記されてございます。また、(3)といたしまして「土地分類調査市町村等実施)具体的開発計画策定の熟度の高い地域について順次調査実施」するとされております。この計画の内容、これは案でございますからいたし方ないとは思うわけでございますが、非常に抽象的でございます。もう少し具体的に説明を願いたいと思うわけでございます。それと同時に、新十カ年計画策定によりまして国土調査がどのように進展するのか、こういう点についても含めてお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  79. 山岡一男

    山岡政府委員 実は先ほど申し上げましたような考え方、骨子、いま先生も読み上げていただきましたとおりでございますが、そういうものによりまして地籍調査については六万方キロというふうなことを一応決めておりますし、内々的な自分たちのもくろみでございますが、積み上げておりますし、それから土地分類基本調査につきましては、約十四万方キロ残っておるわけでございますが、それのほとんどを実施をしたい。それから細部調査につきましては、これは先ほど申し上げましたとおり、まだ完全にどういうところが本当にこの計画期間中に出てくるのかという点につきまして、個所的なものが頭にあるわけではございませんが、第一次の実績は一千方キロ程度でございます。そういうものを相当、数倍やりたいと考えておりまして、大体五千方キロぐらいはやりたいなというのが原案でございます。
  80. 松本忠助

    松本(忠)委員 要するに十カ年の中で前半にどれぐらい、後半にどれぐらいということまではまだ考えていないわけでございますか。
  81. 山岡一男

    山岡政府委員 細目の年次計画等につきましては、利用審議会にかけます際に正確に決めてまいりたいと思っておりますが、考え方といたしましては、漸次上がってまいりまして、計画年度の途中、半ばごろまでには相当なところまで上がる、後少しづつカーブが下がって横ばいでいくというようなカーブを考えております。
  82. 松本忠助

    松本(忠)委員 これはいただいた調査資料でございますが、「地籍調査都道府県実施状況」というものを見ますと、全国平均進捗率が四五%でございます。その中で東京の場合は四一%、やや低めではございますけれども、神奈川のごときは一二%、千葉県が八%、はるかに低い数字でございます。もっと低いのが滋賀の一%、これが最低でございます。さらに岐阜県の二%というようなものもございますけれども、このようにアンバランスが出るというのは一体どういうものなのか。高いところでは宮城県の九八%、こういうところもあるわけでございます。全国的に見まして非常にバランスがとれていない。はなはだしいアンバランスになっている。なぜこういう事態になったのか。  また、いただいた基準点測量その他の資料によりますと、都道府県別の数字がないので、地籍調査と同じようなアンバランスがあるかどうかわかりませんけれども計画に対する進捗率が三五%と非常に低い数字になっております。また、土地分類調査につきましても四〇%という低い数字を示しておりますが、この実態につきまして、国土庁としてはどのように把握をなさっていらっしゃるのか、これをお答えいただきたいと思います。
  83. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のおっしゃいました進捗率につきましては、第二次の十カ年計画、当時は全国で八万五千方キロという計画を立てておられたわけでございますが、その計画を各府県別に事業量として持っておりました。その計画量に対する進捗率でございます。したがいまして、言葉をかえて申しますと、そういうふうな各県ごとの目標はあったわけでございますけれども、やはり地元の市町村長さんが非常に熱意を持たれましてそれに相当な力を注がれたところとそうでないところの差が出たというのがこの実績でございます。  たびたび申し上げますとおり、非常に地元の即地的な、土地に密着したむずかしい問題でございまして、私どもは、別に申しますと、気違いがいなければなかなか進まぬなと言っておるわけでございますが、気違いになるぐらいの本当に熱心な方がおられるところは非常に進んでいる。まあ通り一遍でやられているところはなかなか進まないという結果を反映したものだと思っております。
  84. 松本忠助

    松本(忠)委員 その非常に熱心なところと不熱心なところとがあるというわけでありますけれども、不熱心なところに対しては、一体どうやって熱心にやるように指導をおやりになっているわけでございますか。
  85. 山岡一男

    山岡政府委員 会議等を通じましてたびたびその利活用のいかに有効であるか、またやった場合にはどういうように成果が上げられるかというようなことについて御推奨申し上げると同時に、先ほど出ました国土調査協会等を通じますパンフレットそれからPR資料等の配布によりまして、そういうことのお勧めをする。それと同時に、非常によく進んでいるところに対しまして、進んでいないところの方々が見に行っていただくようにときどきお願いをするというようなこともいたしております。  それから、中央研修会をやりまして、特におやりになっていないところの方々も来ていただきまして、年に一週間ぐらいでございますけれども、実務まで含めた研修を行っております。それから都道府県におきましても、そういうふうな未実施のところも仲間に入っていただきまして、それぞれのブロックにおきまして研修といいますか、横の連絡をとりながら研修に努めているということでございまして、そういう場を通じて一生懸命おやりいただくようにお願いしておる次第でございます。
  86. 松本忠助

    松本(忠)委員 いろいろ御苦心なさっていることわかるわけでございますが、特に私、三大都市圏についてお伺いしてみたいと思うのであります。  三大都市圏における地籍調査実態、首都圏では東京の計画事業量に対する実績が四一%ということは先ほども申し上げました。千葉が八%、神奈川が一二%。中部では愛知が六%、三重が五%、岐阜が二%。近畿圏の方では大阪が三%、京都が九%、兵庫が一五%。軒並みに全国平均を大きく下回っているわけでございます。こうした実態から、大都市圏は大都市圏なりの特有の原因があるのではなかろうかとは思うわけではございますけれども、なぜこのように大都市圏はできないのか。特に東京について、具体的にどんなことがネックになって進んでいないのか、そのネックは何なのか、この点についてお答えをいただきたい。
  87. 山岡一男

    山岡政府委員 大都市圏におきまして地方圏と変わっておる地籍調査上の問題点ということになりますと、土地が非常に細分化をされております。土地異動が特に著しく動くという傾向が見られます。また、地価が高いこともございまして、土地に対する権利意識が一般に高くて、これらの事情によりまして地籍調査実施に対する関係住民等の協力が地方ほどフランクにはなかなか得られにくいという点がございます。特に調査成果でございます地図等の作製に関しましても、土地が細分化しておりますので、地方でございますと千分の一の縮尺でいいようなものを五百分の一にするとか、さらに大縮尺の地図が必要になるなどのより高い精度が必要となるわけでございます。このために大都市圏での地籍調査実施につきましては、やはり経費も地方よりは相当かかりますし、そういう先ほど申し上げたようなことから言いまして、労力もたくさんかかるというような点から調査進捗しがたいという事情があるわけでございます。  ただ、それに対しまして市町村あるいは関係住民等の地籍調査重要性に対する認識をお高めいただくということは当然でございますが、私どもといたしましても、これら地域に適合する新しい測量技術の確立等に努めてまいらなければならないと考えておりまして、現在数値地籍というようなものにつきまして試行を進めておりますが、将来、大都市等につきましてはそういうものによって促進化を図る方法も検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  88. 松本忠助

    松本(忠)委員 特に過密化した大都市におきましては今後の課題、土地の有効利用をどういうふうに図っていくかということではないかと思うわけでございます。そうした意味から、都市の再開発事業の推進を図る施策が十分になされなければならないと思うわけでもございますし、一方、地方にありましても圃場の整備など土地改良事業を図っていかなければならないと思うわけでございますし、こうした土地改良事業並びに土地区画整理事業等は、確定測量を行い、換地確定図をつくる、そして地籍調査に類似した調査測量を行っておりますので、国土調査成果と同一の効果があるということもわかるわけでございますが、国土調査に準ずる指定ができることになっておるわけでございます。こういうことがやられていることについては、国土調査成果と同一効果があるというものとして国土調査に準ずる指定ができることになっております。都市再開発等でしばしば当委員会におきましても論議されておりましたが、今後も都市再開発が増加することは考えられますから、その場合に事業主体との関係を円滑にしていくことが地籍調査促進する意味からも肝要ではないかと思うわけでございますが、この点について国土庁としてはどのように対応される考えがあるわけでしょうか。
  89. 山岡一男

    山岡政府委員 それらの事業の実施によりまして行われます調査測量につきましては、当該事業実施区域ということのみを対象にしておられますために基準点との連携を欠くものがあるわけでございます。したがいまして、たとえばその当該地域の内訳といたしましての地籍等は明確になるといたしましても、地球上の位置が明確でないという点が一つ残るわけでございます。したがいまして、国土調査法におきましては、そういうふうなものも含めた国土調査以外の調査で、同様の精度、正確さをもって地球上の位置までわかるというものにつきましては、国土調査と同一の効果があるものといたしまして、十九条五項によりまして指定をすることになっております。ただ、そういうことを待っておったのではなかなか進みませんので、五十二年度からこの指定に必要な基準点の設置につきまして所要の予算措置を講じた上で、関係省庁に対しまして、これら確定測量について基準点に基づいた国土調査と同様の基準による実施とその成果国土調査指定の推進を要請してまいっておるところでございます。そういうふうな事業の実施にあわせまして基準点測量を同時にやるということで地籍調査促進してまいりたいという考えであるわけでございます。  ちなみに、五十二年からそういうようなものにつきまして公共事業等の確定測量のための基準点設置というのを進めてまいりましたが、地点数はまだそう多くはございませんが、五十二年が三百六十八地点、五十三年が四百二十七地点、五十四年が四百九十六地点というふうに徐々にふやしてまいっておりまして、今後もこれは相当ふやしていきたいと考えておるわけでございます。
  90. 松本忠助

    松本(忠)委員 いろいろと御説明を伺いまして、大変苦心をしてやっていらっしゃることはわかるわけであります。またこのPRを少ししっかりしておればこれが推進できるのではないかと思うわけでございます。先ほどもいろいろそれに対して局長からお答えがございましたけれども、今後の対策として、おくれているところ、このレベルを何とかしてアップさせて、少なくとも平均的なところまで持っていく、この促進を図る、このようにするためにはどうやったならばできるかということについていろいろ御検討はあろうと思いますが、その計画などを具体的にお漏らしいただきたいと思うわけでございます。
  91. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたことに尽きるわけでございますが、いままで実施をなさっておるところにつきましてはもうすでにその効用も御存じでございますし、あとは研修等によりまして技術職員をふやす、もしくはそういうふうな方々の精度を向上させるということによって対処していけば今後促進が図れると思います。問題はまだ未実施の千六百ばかりの市町村でございまして、そういう市町村の中で第三次では少なくとも半数には手がけていただかなくてはならぬと私ども思っておりまして、そういうところに現在県を通じまして集中的に、そういうふうなことにつきましての事業実施促進方を要請しておるというのが実情でございます。さらにそういう方々につきましても、先ほど来申し上げておりますように、やはり職員の養成等が前段になるわけでございまして、やはりそういう者がおるからやろうかという気になられるという点がございますので、特に研修には力を入れてまいっておるということでございます。
  92. 松本忠助

    松本(忠)委員 私、数年前に沖繩と北方問題の特別委員長をしておりました当時に、その委員会でしばしば問題になりましたのが、いわゆる沖繩県に適用されておりますところの地籍明確化法、正式の名前は、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法、これは昭和五十二年の施行でありまして、五年間の時限立法となっているわけでございますが、御承知のように、沖繩は第二次大戦で戦火に焼かれまして住む家がなくなり、登記簿原本も焼失をいたしました。また米軍の駐留によりまして一挙に飛行場ができた、こういうようなことがありまして土地を奪われてしまった。そうしたところから地籍が明確でなくなった、こういうところから、それをはっきりさせるために、沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法というものが制定されたわけでございますが、この法律、現在審議されております国土調査促進特別措置法と、いわゆる沖繩の地籍明確化法、この関連はどのようになっているのか、念のために御説明をいただきたいと思います。
  93. 山岡一男

    山岡政府委員 いま先生のお話にございましたように、最初の方の沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法、これに基づきまして計画が進められます際に、不明地域の指定につきましては、国土庁長官とそれから沖繩県知事、関係市町村意見を聴取して地域指定がなされるというふうになっておりまして、国土庁はそういう面でそういう計画にタッチをいたしております。  さらに、沖繩県におきます地籍調査につきましては、本土の国土調査法にならいまして復帰前の昭和三十二年に制定されました土地調査法というのがございます。それに基づきまして琉球政府によって地籍調査実施をされました。復帰前に沖繩全土の約五六%、千二百五十九平方キロメートルを終了されております。この土地調査法に基づく地籍調査成果は、沖繩の復帰に伴う経済企画庁関係法令の適用の特別措置に関する政令第三条の規定によりまして国土調査法による地籍調査成果とみなされております。昭和四十七年五月に復帰があったわけでございますが、その後は国土調査法及び国土調査促進特別措置法に基づき地籍調査実施しておるというのが現状でございます。
  94. 松本忠助

    松本(忠)委員 わかりました。  それから次でございますが、土地分類調査の説明を見ますと、「地形、表層地質、土壌等」につきまして「調査整理し、国土土地条件を体系的かつ総合的に把握し、地域の特性に応じた土地・水資源の利用や規制に関する計画の企画、立案等の基礎資料として活用するものであります。」こういうふうに書かれております。確かに国土の適正な利用と保全を図る上で必要であると思うわけでございますが、具体的にその調査成果というものを行政にどのように活用されているかが問題でないかと思うわけでございます。国土庁といたしましては、そうした面に具体的な配慮を行っているのかどうか、この点をお答えをいただきたい。
  95. 山岡一男

    山岡政府委員 土地分類調査といたしましては、土地の自然的条件を構成しております基本的な事項、地形、地質、土壌などの広域的な実態を総合的に把握いたします都道府県が行います土地分類基本調査というのと、市町村等が一定地域の土地の利用現況、土地の自然的条件、土地の生産力などを総合的に把握する市町村等が行う細部調査とがあるわけでございます。  都道府県が行います土地分類基本調査の行政面への活用につきましては、地形分類図などにつきましては、土地利用計画、それから公共土木事業の計画策定の際の基礎資料、それから表層地質図は、防災計画、公共土木事業及び地盤沈下などの公害対策事業策定の際の基礎資料、それから土壌図は、農林業計画、それから緑被計画、公共土木事業などの基礎資料として広く活用されております。さらに土地利用現況図を加えますと、国土利用計画法等に基づく各種の土地利用計画の基礎資料、それから三全総におきます定住構想推進の際の基礎資料、環境アセスメントが今後行われます際の基礎資料、総合的な防災資料土地利用の各種規制に対する理論的な資料ということで広く使用されております。  市町村が行います細部調査につきましても同様でございますが、市町村計画の基礎資料、それから土地利用、土地保全などの都市再開発等を行う場合の基礎資料、スプロール現象などを発生いたしておりますところにつきましては、やはり市街化進展地域の地域計画策定の資料、それから大規模開発計画によります地域開発の資料、農山漁村の生活産業基盤整備促進計画の基礎資料、以上申し上げたことは、どういうふうに利活用なさっておりますかというわれわれの実際の質問に答えまして、各方面から集まりました利活用の実績の概要でございます。そういうようなものに私は十分活用されておるのではないかと思っております。
  96. 松本忠助

    松本(忠)委員 最後に水の問題でございますが、水調査は治水及び利水に資する目的をもって、一級河川の百九の水系をとりまして、その周辺地域を調査単位といたしまして、水文、利水に関する既存資料の収集、整理を行い、その結果を五万分の一の地形図によってこれを基図といたしまして、利水現況と主要水系調査とをまとめることになっております。  主要水系調査、これは水文観測所の資料や取水位置、取水量等の水利用計画や、土地利用計画に必要な資料を収集すると説明されております。治水の面から土地の利用計画と関連いたしまして、保水の問題も検討する必要があろうと思います。利水の面からすれば水質汚濁あるいは渇水等々、種々の問題が想定されるわけでございます。国土調査における水調査はこれらの点にどのように対応しようとしているのか。  それから、続いてもう一問、今後水の需要というものが増加の一途をたどるであろうということは、予想されるところでございます。そうした場合に水質汚濁は社会的な問題になりかねません。河川の周辺に宅地開発が余りにも進むと、いままでの保水機能が失われまして、洪水の危険が増大する、こういうことが予想されるわけでございます。そういった事態に対して、この水調査が国及び自治体に警鐘を鳴らすことができる国土調査なのか一体どうなのか、こういうふうなことを私は最後にお伺いをいたしたいわけでございます。
  97. 山岡一男

    山岡政府委員 国土調査法におきます水調査の内容等につきましては、いま先生のお話があったとおりでございます。  このことから、全体といたしまして渇水期におきます水利調整に当たりましては、水利機構に関する成果から、その調整に当たっての検討等の基礎資料として十分活用されておるものと思っております。  それから、水質汚濁につきましても、調査成果によりまして、水系を一貫いたしました水質調査網とその水質変化の状況把握等のためにきわめて有効な資料となっておりまして、その点を踏まえて、そういうふうな今後の対策の基礎資料として十分活用され得るというふうに思っております。  今後もさらに昭和五十五年度から新しく流域の地形、地質、植生等流域変化をもたらします各要素をモデル的に調査して、その調査方法を確立するための検討を行うというようなことを勉強することにいたしております。今後はその成果を踏まえまして、水調査の補完を図ってまいるようにいたしたいと思っておる次第でございます。
  98. 松本忠助

    松本(忠)委員 最後に大臣にお尋ねを申し上げるわけでございますが、国土調査促進特別措置法、言うならば十年間の年限を限ったのをあとさらに十年間延ばすわけでございますが、膨大な費用をかけていままでもやってまいりましたし、また今後もこれを継続していくわけでございますし、相当な費用がかかるわけでございます。この調査によりまして、いろいろとその調査資料の結果というものが活用されていることは、いま局長の答弁でわかるわけでございますけれども、何としてもわれわれが理解できないのは、余りにも時間がかかり過ぎるということでございます。こういう点について、今後十年間やって本当にこれが完了というまでにはいかぬわけでありまして、午前中の質問を聞いてもわかるわけでございますが、十年間、さらに十年間というふうに引き続いてこれがやっていかれることになるのではなかろうかと思うわけでございますが、こういう点について、大臣としては重大な決意をもって、なるべく早くこれが完了するようなことを考えたところの御自分の抱負といいますか、そうしたものを私は聞かせていただいて、国土庁内においても十分この問題は検討されているとは思いますけれども、膨大な国費をかけ、そうして実施する国土調査でございますので、こういう点についての大臣の御決意を伺って、私の質問を終わることにいたしたいと思います。
  99. 園田清充

    園田国務大臣 局長からも答弁を申し上げましたし、午前中の御質疑の中にも、私どもがこの大事な十カ年間をいかに御期待にこたえるようなことでやっていくのかということ、ただいまの御質疑の中にもございましたとおり、全国的に非常にアンバランスができているじゃないかということ、町村長あたりの関係等の意見を聞いてみますと、全額国庫で負担すべきではないかというような地方財政に絡まったような意見も多々あるやに承っておりますし、そのこと自体が地域のアンバランスを生んできている原因一つでもあろうと思います。同時に、費用の問題も絡みますし、技術者の問題も、お答えもいたしたとおり絡んでまいりますけれども、私どもとしてはやはり国土の開発、保全というようなことから考えても、この調査というものは、百年河清を待つと午前中御指摘がございましたけれども、なるだけひとつ早い機会に、このお通しいただく十カ年計画の線に沿って、より以上効果を上げ、同時にアンバランスをなくし、活用できる範囲を広く大きくするために、大いに今後ともひとつ努力をしてまいりたい、こう決意をいたしておりますので、御叱正、御鞭撻を心からお願いする次第でございます。  それから、補足的になりますけれども、水の問題で御指摘がございましたが、実はこれは予算委員会で官房長官に最終的な調整をしてほしいということで、地下水の問題に関連をして官房長官の手元で調整ということを現在図られておるわけでございますので、私ども調査をいたしました結果十分これが活用されるような、生かされるような姿で対応してまいりたいと思いますので、補足的でございますけれども、ひとつ若干の時間をお与えいただきたい、こう思います。
  100. 松本忠助

    松本(忠)委員 終わります。
  101. 北側義一

    北側委員長 井上敦君。
  102. 井上敦

    井上(敦)委員 国土の科学的、総合的把握のために必要な国土調査が、昭和二十六年に国土調査法が制定されていながらなかなか進まない。昭和三十七年当時担当大臣であった藤山経済企画庁長官は、「地味ではありながら大事な仕事というものがおくれがちでありますことは、私どもまことに残念だと思います」、こう表明して、促進法によって進めていきたい、こういうように決意を述べられました。昭和二十六年度から現在までの進捗を見てみますと、私の計算では、地籍調査では全国土面積のわずか一七・五%、人工植栽林限界以下の面積を二十八万平方キロとしてこの二三・五%、土地分類調査では全国土面積の三七・四%、人工植栽林限界以下のは五〇・五%というようにきわめておくれております。また、地域的なアンバランスも非常にひどい。和歌山県、奈良県、大阪府、滋賀県、岐阜県など、いわばほとんど調査が進んでいないに等しい実態であります。先ほどの議論の中で、市町村の熱意というか、そういうところに大きくかかわっているのではないかと申されましたが、改めて、この立ちおくれている原因、また今後どういうように進めようというのか、その辺の長官の所信を述べていただきたいと思います。
  103. 園田清充

    園田国務大臣 御指摘がございましたが、国自体の完全な指導ができていたかというと、反省しなければならない点が多々あることは私は率直に認めます。同時に、町村段階に対する指導、助言が徹底を欠いていた部面もございますが、一部には、いまも御質問にお答えいたしましたとおり、この国土調査というのは全額国庫で負担をしてやるべきではないかという地方財政上からの考え方もあるようでございます。その点、物のとり方、考え方、地方行政の対応の仕方というそれぞれの地方の首長の考え方もあるようでございますし、一面、技術屋等の関係者の人がなかなか適任者が集まらないというようなこともございます。問題は一元的に地方の問題だけに責任を帰するべき問題ではなく、いま申し上げたいろいろな人的なあるいは財政的な、あるいはその地域地域の担当しておられる行政担当者の対応の考え方というようなものもそれぞれ異なった点があるようでございますが、これらの点をひとつ研修会等を通じてなるたけ集約し、御協力いただけるような体制づくりをしていくことが当面の一つの課題ではないか、私どもがやっていかなければならないことではなかろうかというように考えております。
  104. 井上敦

    井上(敦)委員 いま長官の答弁でも触れられましたが、国が三分の二の補助特別交付税で三十分の八を見ている。しかし、実際にはその超過費用がかなりかかり、市町村超過負担となっているという指摘が多い。こういう点で全額国の負担で行うということを当然要望したいと思いますが、さしあたってこの市町村超過負担の解消についてどういうように取り組んでいかれるのか、その点の考え方をお伺いしたいと思います。
  105. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話しのとおり、現在、実際費用の負担の内訳を見ますと、表面上の負担市町村事業費の三十分の一でございます。実施上の問題といたしましても過去におきまして少しそういう点があるのではないかなどと言われましたが、その内訳の中といたしまして、たとえば例を挙げて申しますと、国土調査にかかわります人員等の内訳を見ますと、専属の人と併任の人とおります。そういう場合に併任の方も常勤の方も加えて人日という計算で積算はされる。ところが、実際には兼任の方の時間の他の時間まで人件費を持つべきだという主張も実はございました。さらに、いろいろな地籍を明確にするためにくいを打ちますけれども、そのくいの中で、永久ぐいにする。やはり従来の木ぐいではとても長もちしないといって、持ち出しでプラスチックぐいにするというような例もございました。それらの点を含めまして相当の改善を行いまして、本年度から三百万円の単価ということにいたしたわけでございます。中身につきまして実施関係の市町村の皆さん方にお集まりいただきましていろいろ伺いましたが、少なくとも本年度超過負担なしにできるのではないかというふうに思っております。今後につきましても、そういうふうな中身の充実につきましては十分責任を持ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  106. 井上敦

    井上(敦)委員 地籍調査において国民の権利擁護に十分配慮して実施すべきだというふうに考えます。その権利を不当に侵害することがないようにしなければならないと思います。  いわゆるなわ延びの問題があります。昭和四十五年から五十二年の国土庁の調査によれば、たんぼで一八%、畑で二%、宅地で三六%、山林で五七%、そのほか牧場、ため池などが四九%の面積増となっていますし、原野は逆に五七%の減少となっています。このような実態を見ると、地籍調査によって国民の権利に大きな影響を与えていることは当然だと思います。実態としてどのように処理しているのか、この点についてまず御答弁いただきたいというように思います。
  107. 山岡一男

    山岡政府委員 地籍調査は、先刻も申し上げましたとおり、あくまで国民の皆さんの権利義務を前提といたしましてそれを青写真に写すというものでございます。したがいまして、そういうふうな権利義務が立ち会い等によりまして確定をした後、それを青写真に写すように成果品といたしまして、さらに二週間の縦覧を経て確定をするというものでございます。その確定した結果は登記所の方に送付をいたしまして、登記簿の方を直していただくということによって登記の改正を行っているというふうにいたしているわけでございます。
  108. 井上敦

    井上(敦)委員 このなわ延びによる固定資産税の増額が考えられるわけですが、自治省の告示で、当該市町村の全域について完了した段階で新しい税額を適用する、こういうようでありますが、それでもなお近隣市町村調査が完了していないところとの不公正は解決しません。こういう点で国土庁並びに自治省の見解をただしたいというように思います。
  109. 山岡一男

    山岡政府委員 固定資産税の課税の仕方につきましては、後刻、自治省から御答弁があろうかと思いますが、やはり地籍調査成果一つといたしまして地籍の明確化ということが一番のことでございますので、全国土調査がなるべく早く完了いたしまして、そういうものによりましてそういう課税等も行われるという日が来ることが望ましいわけでございますが、現在のところ、完了した市町村と申しますのはまだ約三百ぐらいと記憶をいたしております。したがいまして、そういうふうなものができるだけ今後もふえますように、第三次の十カ年計画の中では、私ども第二次のときに着手したものにつきましては、少なくとも三次の間には全部完了するということを第一の目標に掲げておるわけでございます。
  110. 渡辺功

    渡辺説明員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のありましたように、市町村の一部の地域におきまして地籍調査が済みまして、その地積が台帳に載る、そうすると、原則でいきますと、私どもの方は地積は台帳主義ということでありますから、それがすぐ来るわけであります。しかし、地籍調査につきましては、これは長い議論があったわけでありますけれども、それで現在、まさに大事業としてこれを続けていくということで、かなり古くからでございますが、ただいま御指摘のように、地籍調査については例外を認めようと、市町村の一部の地域について地籍調査が済んで登記簿に登記されているというような場合に、均衡を失するという判断がされる場合には、地目ごとの地籍調査進捗状況であるとか、調査前後における地積の相違の程度等を市町村ごとに判断しまして、適切な処置をする。実質的にはいま先生指摘のように、地籍調査計画どおり完了するという段階を大体にらみながらという実態的な運用になっているようであります。そのことは、私どもとしましてはいままでの完了してきた団体がそれに従ってやってきたということ、それから固定資産税の負担のあり方としましては、やはり資産の実態ということに相応する負担をしていただくということからもそういうことが適切ではないか、こういうふうに判断しているところでございます。
  111. 井上敦

    井上(敦)委員 地籍調査の問題で、最後に、確認のため、地籍図に基づく公図や登記等の書きかえに当たっては、国民の権利に直接かかわるので、十分配慮されるよう国土庁並びに法務省に要請したいと思います。この点について改めて確認を求めたいと思います。所見を伺いたいと思います。
  112. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましだとおり、国民の皆さんの権利義務が確定したものにつきまして、青写真のように正確にやるというのが地籍調査の使命だと思っております。したがいまして、その趣旨が通るような方向で努力いたしたいと思っております。
  113. 清水湛

    清水説明員 お答えいたします。  国土調査成果は登記所の方に送付されてくるわけでございますが、登記官は、送付されました地図及び地籍簿に基づきまして登記をしなければならないということになっているわけでございます。私どもといたしましても、正規の手続に従って正規に作製された地図及び簿冊でございますので、それに基づいて正確な登記を期するということで全国の登記官を指導しているところでございます。
  114. 井上敦

    井上(敦)委員 地域住民の総意に基づく土地改良事業や地域開発事業を進めるに当たって、国土の保全、治山治水対策、自然環境の保護に万全を期すことが重要であると考えます。この点でとりわけ土地分類調査、水調査は重要であると思います。  そこで、多くの地域住民に影響を及ぼす幾つかの開発計画があるわけです。たとえば和歌山県の新宮市ほか関係町村は、今度改めてモデル定住圏構想の中に指定されました。いまその構想が検討されております。土地分類調査、水調査をあらかじめこれらについて行い、その結果を関係住民に十分周知徹底させる。特に環境の保全、治山治水対策などに万全を期すべきだと考えます。  そういう点で、これとの関連における見解をお伺いしたいというように思います。
  115. 山岡一男

    山岡政府委員 土地分類調査、特に市町村が行われます細部調査につきましては、やはり地元のいろいろな地域振興計画等に対応いたしまして、その基礎資料として十分活用されるものでございます。したがいまして、緊急性の高いところから実施をしていきたいというのが従来の方針でもございましたし、第三次でもそういうふうに計画をしてまいりたいと思っておりますが、たとえばいまのお話しございましたモデル定住圏の促進等に当たりまして、そういうものがぜひとも事前に必要である、直ちにやりたいというようなところを優先的にやっていくのがわれわれの今後の務めであろうかというふうに考えておるわけでございます。
  116. 井上敦

    井上(敦)委員 大規模な宅地造成は、いま述べてきたような国土保全の観点が欠けていたのではないか。台風、水害、地震など自然災害にきわめて弱い、そういう実態が明らかになっております。こういう大規模宅地造成に当たっても、土地分類調査、水調査実施する。特に結果を十分住民に周知させる。こうして広く住民の知恵を集めて、国土の保全、防災に万全を期さなければならない、こういう点については特に要望しておきたいというように思うわけです。  現在、和歌山県田辺市においてかなり大規模な宅地造成が相次いで行われているわけですが、ここの土地分類調査、水調査実施されているのかいないのか、この点お伺いしたいと思います。
  117. 山岡一男

    山岡政府委員 土地分類基本調査の方は、都道府県実施の分であろうかと思いますが、その他細部調査、水調査等はございません。
  118. 井上敦

    井上(敦)委員 ぜひ早急にやるよう努めてもらいたいというように要望しておきたいと思います。  この二月二十四日に、田辺市は、国土庁や県の行政指導等にもかかわらず、市の公有地を上限のない一般競争入札に付しました。二百名近くがこの入札に来たけれども、実際に入札したのはほとんど業者であって、一般の市民の方々はあきれ返って大部分が帰ってしまう。こういう地価のつり上げに一役買ったという役割りですね、市の立場というものは。これは地元の新聞には、約百六十人が参加したけれども、ほとんどが宅建業者、本当に土地を求めたいと参加した人たちは、こんなに業者が多ければ無理でしょうとあきらめ顔で、なぜ抽せん方式にしてくれなかったのだろうかと、上限のない競争入札を強行する市の態度に怒りが渦巻いていた、これは紀州政経新聞というのであります。二月二十四日の入札の結果やそれに対する市民の反響等については、関係の皆さんに、私は朝日新聞、毎日新聞、読売新聞などの和歌山版をそれぞれお渡ししております。県等から相談があったようでありますけれども、市が市の開発公社より買い受けた価格は七万四百円というように言われています。これはそのとおりですか。田辺市の基準地価格は幾らになっていたのか。指標とすべき田辺市の公示価格は幾らであったのでしょうか。この点について御答弁願いたいと思います。
  119. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のこの新聞紙等いただきましたから、細目の調査をまた続けたいと思っておりますけれども、公社から買い受けた値段等については、実は私了知いたしておりません。それから公示価格の点等につきましても、ここに資料を持っておりませんので、後刻調べて御報告をしたいと思います。
  120. 井上敦

    井上(敦)委員 競争入札の結果、五千九百五十平方メートル、ちょうど三十区画で、最高は坪当たり三十九万円であります。最低が二十八万三千九百円、平均三十二万八千八百円。市が開発公社より買い受けした価格の実に四・五倍になっております、平均で。しかも、昨年夏ごろに言われていたのは、大体坪当たり二十三万から二十四万円ぐらいだろう。こういう点で一遍、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図る、こういう観点から見て、田辺市の例について、長官、率直な印象を聞かしていただきたいというように思います。
  121. 園田清充

    園田国務大臣 私も田辺市の競争入札については実は新聞で承知をいたしました。地方公共団体が土地を欲しがっている人に抽せん方式なりを採用されるならば、これは理解できますけれども、いまのように地方の近隣の土地に悪影響を及ぼすような方式をとられたことはまことに遺憾である、こう考えております。
  122. 井上敦

    井上(敦)委員 私はたまたまこのことを知った結果、山岡局長にも問い合わせいたしました。下課長にもその見解をただしました。それらを地元の方々にもお伝えしたところでありますが、そうすると、次から次へと地元からいろいろな資料や新聞が、たとえば紀州政経新聞とか牟婁新聞とか、それから紀伊民報だとか、相次いで資料が来ておりますが、たとえば田辺市の事業として内の浦開発事業、二月二十日起工式がありました。造成されるのは三万八千百七十平方メートル、約一万坪であります。中心は小学校の建築に充てる用地として一万三千五百平米、約四千坪ですね。そのほか住宅用地として一万一千二百二十九平米、三千三百九十七坪が行われております。また、このつい隣ですが、和歌山の田辺市から有名な観光地白浜に向かう途中なんですね、この内の浦も。それから次の新庄鳥の巣の開発事業、これも小学校用地を重点とした鳥の巣海岸の開発事業というように新聞は伝えていますけれども、別に住宅用地も行われているようであります。ことしの夏ごろこれは完了する。この開発事業は合わせて三万二千五百平米、約一万坪であります。五十六年度までに排水施設や道路を敷設し、一般分譲かあるいは一部を抽せん分譲する予定であるというように書いております。これが二つ目の例であります。  また第三に、市の郊外地に大規模住宅建設ということで二十万平方メートル、約六万坪を造成する。そのために約二十名の地主と買収交渉を始めている。これが第三のケースであります。  そのほかに、やはり白浜町に通ずる一画だそうですが、滝内、ここに三千四百坪、これは二、三年先に売り出されるだろうというように、四つのケースがあります。  第五に、これは、以上述べたような土地とどんなかかわりがあるのか正確に調べていませんが、市は、このほかざっと約三十万平方メートルに及ぶ市有地を造成して分譲し、新庄地区の発展と市の財源確保の決め手とする等々が、現地の新聞に最近相次いで伝えられている報道の内容であります。  市の行う開発事業、宅地造成とは別に、ことしの夏ごろ売り出されるであろうと言われているのは第二新万土地造成、これは有名なフジタ工業が中心となった民間業者の手によるものであります。すでにことしの三月末完了するであろう第一期は約四万五千平米、百五十区画。第一期はそれで、全体が新万団地の分は十五万平米、四百五十区画。このうち第一期分四万五千平米、百五十区画についてこの夏ごろ売り出されるだろうというように言われているわけです。この間市が競争入札で売ったその隣が第二新万団地であります。埼玉県伊奈町の例のように、有効な行政指導が行われたと聞いていますが、全国的にも田辺市のような例はないのか、どのように実態把握をしておられるのか。宅地造成については環境保全、防災、地価抑制の立場から十分な、また正確な実態調査が望まれると思いますけれども、この点について実情はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。
  123. 山岡一男

    山岡政府委員 まず最初に和歌山県の田辺市の問題でございますけれども、私どもも田辺市がそういうふうなことで競争入札方式を御検討のようだというニュースが入りましたので、早速県の方にも連絡いたしました。県の方では特にそういうふうな価格規制を片一方で行っているという点を重視いたしまして、いたずらに地価の上昇を招くことのないよう分譲方式を工夫するようということを特に強く市に対して申し入れました。電話等による連絡のみではなくて、特別に知事さんの命も受けまして県の土地利用対策課長が田辺の市長さんにも会いまして、分譲方法の再考を願うということを行われたようでございます。そういう意味で私どもも、県の皆さん方と同時に田辺市に対しましては、できるだけそういうようなことのないようにしてくださいという意味の相当強力な御指導は申し上げたつもりでございます。しかし市の全員協議会等にもかけられました結果、入札のときに当たりまして余り高くはだめだぞということもひとつ言う程度は言いましょうというのが指導の限界でございまして、結局二十四日には入札が行われたと聞いております。入札の詳しい中身等については、まだ担当課の方で細目聞いておりますけれども、私どもまことに残念であったというふうに思っております。  地方公共団体によります土地の売買につきましては、国土法に基づく届け出、勧告制度の適用除外ということになっております。これは地方公共団体等が土地売買等の契約を締結される場合には、当然のこととしてそういう同法の趣旨をしんしゃくされまして行われるだろうということを前提として、立法上からは外してあるというものでございます。特に地価公示法の中に、公示価格を指標として取引を行う、一般のの取引についてはそういうふうにやってくださいというのが書いてございまして、一般の公共事業の執行等に当たる規準義務までは明確に書いてございませんが、当然指標として考えていただけるものと思っておるわけでございます。したがいまして私どもも従来、伊奈町の場合もそうでございましたけれども、やはり予定価格を定めた公募抽せんというようなことがいいのではないか。さもなければ、たとえば市が直営でそういうふうな仕事をされるということはまことに異例なことだと思いますけれども、公的資金等を活用されますとこれはやはり公募という条件がつきます。さらに売り先につきましても、任意譲渡でありましてもそういうふうな公的な団体等を相手にする場合にはそういうふうな随契の道も開かれているというようなこともいろいろございます。それらの点も考慮いたしまして、そういうふうなことも今後とも御相談して申し上げてまいりたいと思いますが、私は、最近の例によりますと、地方公共団体として土地の売買につきましてはやや異例に属するような場合であるというふうに思っております。大部分の地方公共団体では、そういう場合につきましても公募抽せん制等をお使いになりまして大体無理なく行っておられると思います。今後につきましても、そういう御相談等がございました場合にはそういう方向で御指導申し上げたいと思っておりますが、さらに私どもにつきまして通達その他勉強するところがあれば勉強しなければならないなといって、せっかく勉強を始めたところでございます。
  124. 井上敦

    井上(敦)委員 国土庁長官が遺憾の意を表明されました。また山岡局長は、異例に属するケースだと言われました。しかし法的には大きな限界があります。地方公共団体はこういうケースはしないだろうという前提で届け出制の適用の外に置いているというように聞いています。すなわち、土地の投機的な取引とかあるいは地価の暴騰が国民生活に及ぼす弊害を除去する、そういうチェックをしていくというのが本来地方公共団体のあるべき役割りじゃないかというように思うのですね。二月二十四日のケースは、私たちきわめて遺憾に思いますけれども、先ほどから紹介したような問題は幾つかのケースはこれからであります。そういう点で二月二十四日の件も含めて直ちに調査し、適正、実効ある行政指導を要望したいと思います。  とりわけ大手の業者が中心となっている第二新万の場合について言えば、届け出制があるわけであります。こういう点で強力な指導ができるはずであります。市の行った二十四日の値段が新しい前例とならないように、こういう点で市民の期待にこたえられるように、また広く全国的にもこういうケースが考えられます。そういう点でとりわけ要望した点について改めて確認をしたい。すなわち調査し、実効ある適切な行政指導を直ちに行う件についてお伺いしておきたいというように思います。
  125. 園田清充

    園田国務大臣 御質疑の中にもございましたとおり、国民生活に及ぼす影響、同時に地価の抑制ということで、実は私どもは、国と同じように地方公共団体が、いま御指摘もございましたとおり、それらの影響を除去することに御努力願うのが本来の地方公共団体のあるべき姿だというふうに理解をいたしております。しかもそれがまことに遺憾なことではございますけれども、値段を競り上げるような競争入札制度をとられたということには、局長から御報告を申し上げましたとおり、私ども徹底した行政指導はしたつもりでございますけれども、市当局に意が受け入れられなかったということはまことに残念なことでございますが、いま御質疑の中にもございましたとおり、まだ残された問題がたくさんあるようでございます。そこで造成目的にかなうような、同時に今度は、御指摘があったように地価の抑制、環境の保全ということにも十分配意した適切な、申し出の方々の抽せん方式等により、せっかく私ども調査をいたしております公示価格の問題もございますので、それらの問題等にらみ合わせながら、県を通じて強力な指導をしてまいりたい、かように考えております。
  126. 井上敦

    井上(敦)委員 私の質問を終わります。
  127. 北側義一

    北側委員長 渡辺武三君。
  128. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 国土調査の目的は、つまり「国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資する」、こういうことが調査法の目的になっております。本朝来種々討議が進められておりますので、私は重複を避けまして、質問のなかった事項のみに限って質問をさせていただきたいと思います。  そのような国土調査の目的を達成するためには、現在この調査の内容が、つまり地籍調査あるいは土地分類調査、水調査という三つの大きな柱によって進められておるわけでございますが、社会の進歩とともにこのような三本柱の調査の方法だけでは不十分になってきておるのではないであろうか。つまり、国土の開発やら保全あるいはその利用の高度化に資するためには、これだけの調査ではやや不十分ではないかと実は考えるわけでございます。それはなぜかと言えば、御承知のように産業が高度に発達をしてまいりまして産業の高度化が図られてきておるわけですが、現状から反省をいたしていきますと、そのためにわれわれ人間生活の上に大きな問題が出てきておる。つまり公害という問題が発生をしてきておるわけでございます。したがって、国土の高度な利用を図るために、その基礎となる調査の中に、当然この三本柱は必要ではございましょうが、さらに付加をされた気象条件等の調査が付随されてこなければならないのではないであろうか。地形と気象との関係、まあわれわれが第一次全国総合開発計画によって設けられておりますあの新産都市等々の視察をいたしましても、現実にはやはりその新産都市に指定をされておる都市の地形、気象条件等々によってその都市が必ずしも最適な、その新産都市の指定に値するような条件になっていない。つまりそこで、その工場地帯から発生をいたしました悪性ガスが地形や気象条件等によってその都市の上に滞留する、こういうことが実は起きておるわけですね。したがいまして、単なる地形とか地質、あるいは水系というものだけの調査によって国土の利用を図ってまいりますと、そういう問題が発生をしてくるのではないであろうかと考えるわけでございまして、より合理的な、国民生活に良好な影響を与えていく国土の利用方法はいかがであろうか、こう考えていきますと、当然この三本柱のほかに基本的な調査が付加をされていかなければならないのではないかと考えるわけでございますが、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
  129. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃることにつきまして、私どもまことにそのとおりであろうかと思いますが、現状は御理解いただきたいと思います。  先ほどの三本柱についてもまだこういう状況でございまして、当面緊急特別措置法で抜き出してやるためには、やはり現行のものをやるということが最大であろうかといま思っておるわけでございます。ただ、先ほど先生お話のございましたような気象条件も、実はまだそこまで参っておりませんけれども、やはり国土のそういう防災性の向上とか保全のため必要なものという意味で、別途予算補助でございますけれども国土保全図というのをいま逐次全県で始めようとしております。これは中身といたしましては、現行のたとえば災害危険区域の指定をされておる区域はどういうところであるか、砂防指定地はどういうところであるか、たとえば、県庁を例に挙げて申しますと、県庁の中、各部でいろいろな規制がございます、そういうものを一覧表に落とす、同時にその変化を絶えず追っかけていくという意味の国土保全図というのを現在つくりまして、さらにそういうところの中で一ヘクタール以上の開発行為等が行われました場合には、台帳整備とともにそこにプロットしていくというようなことから、全体の運営をながめながら保全を図っていこうということも試みております。その中に今後の一つの勉強の課題といたしまして気象条件などにつきましても入れられたらいいなと、実はいまお話を承りながら思ったわけでございますけれども、どういう調査方法があるのか、調査対象としてどういう確立されたものがあるのか、またそれを図化するためにどういう方法がいいのか等はまだまだ今後の検討課題であろうかと思います。直ちに緊急の対策としての十カ年計画というわけになかなかまいらないと思いますが、今後十分に勉強してまいりたいと思います。
  130. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実は、今後勉強していくという状態よりも情勢は先に進んでしまっているわけですね。御承知のようにいろいろな問題が出てきております。その問題の発生の原因をいろいろ調べていきますと、本来国自身が推奨をして工業団地等が設けられる。ところが、果たしてそれが本当に適地であっただろうかどうだろうかと反省していきますと、気象条件等が十分調査されていないままにそれらが地形や水系だけで設けられていったために、たまたま気象条件がそこに加味いたしますと、地形との関係もございますけれども、悪性ガスがその上空に滞留するというようなところであった。これは害が発生してからそれがわかってくるわけですね。  したがって、そういう情勢がもう各所に出てきておるわけでございますから、当然やはり基本調査の一環としてそれらのものが併用されていかなければいけないであろう。つまり、局長のおっしゃっているように、これから勉強していけば足りるというような情勢ではないというふうに私は考えるわけです。私がなぜあえてそういう新しい問題を持ち出したかといいますと、つまり基礎的な三本柱、これは当然必要だと思うのですよ。思うのだが、実際の情勢というものはさらにこれ以上に付加して調査をしていかなければいかぬという情勢に相なっておる。にもかかわらず、この三本柱の基礎調査そのものが実は大変におくれておる、こういうことですね。だから、実際これは大変なことではないだろうか、こう考えたから、あえて、この三本柱ですら調査が進んでいないのに、情勢はもっとこの三本柱以外に調査をしなければいけない情勢が生まれつつある、こういう状況なんですね。こう考えていきますと、これは大変なことだなというふうに考えるわけです。  したがって、いま局長が御答弁になりました、これから勉強するという段階ではない、むしろ緊急にそれらが付加されて調査をされていかないといかぬ。そうでない限り、すべてわれわれ国民生活というものが、後追い的に対策がなされていくことになってしまう。まずはやってみる、害が出れば、それからまた考えればいいや、こういう状況になっていくおそれが、その可能性が十分現状で考えられるわけでございますから、これから将来にわたって勉強をしていくという情勢ではもうない、こう考えるわけです。もう一度答弁を願いたい。
  131. 山岡一男

    山岡政府委員 いまのお話のとおりだと思いますけれども、私ども三本柱で考えておりますのは、本当に基礎資料ということでございます。先ほど来水調査につきましてもその他の調査につきましても、他の事業における調査ということを列挙してお話し申し上げたわけでございますが、そういう基礎資料をもとにしながらそういうふうなものをつけ加えていただくというのが現状でございます。したがいまして、そういう現状の中からやはりその調査体系等が確立をされまして、恒久的なものとしてとれればいいということになれば、国土調査中身に取り入れるべきであろうと思いますが、現状では、たとえばいろいろな場所における環境アセスメント等行われます際に、この私どもの三本柱というものは基礎資料として大いに役立っておる。それに加えて、そういうふうないろんな各事業が行われます際の問題点をつけ加えて、各事業別に調査をしていただく、そのための基礎資料として十分に役に立つようにいたしたいというのが当面の願いでございまして、先生おっしゃいますように、それすらもおくれておるのではないかという実情でございます。その点を十分注意いたしまして、まずはそういう努力をいたしたいと思う次第でございます。     〔委員長退席、伏木委員長代理着席〕
  132. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは、この基礎調査は大変におくれているわけでございますけれども、先ほどからの議論を聞いておりましても、そのおくれている理由がどうもよくわからないわけですが、一体何が一番原因でこれがそんなにおくれているのでございましょうか。
  133. 山岡一男

    山岡政府委員 たびたび同じことを繰り返して恐縮ではございますけれども土地に対します国民の権利意識は非常に高揚しておる。したがいまして、土地の細分化も進んでおりますし、一筆ごとの土地の境界の確認のために、権利をあらかじめ確定してから図面に落とすというむずかしい事業でございますので、地元関係住民等の協力を得るために、多くの時間と労力が要るということが一点であります。  それから、そういうものを本気でおやりになる市町村の立場におきましても、行政需要が多様化をしてまいっておりまして、そういうじみな基礎的な仕事必要性は十分痛感しながらも、やはりそれに充てるべき予算、専任職員の確保等についての消極的な市町村がございまして、それに対するわれわれの指導も至らなかったというのがもう一つの点でございます。  それからさらに、実は私ども、この第二次の十カ年計画の当初に、十カ年の事業量を目算いたしました。     〔伏木委員長代理退席、委員長着席〕 当時の単価で積算してみますと、事業量で約六百億何がしが要るなという見通しを立てておったわけでございますが、実はそれを上回る事業はやっておるわけでございます。そういうものが毎年の事業の、たとえば超過負担をなくすための改善等々のために、物価、人件費等の高騰によりまして全体事業量を予算の上でもなかなか伸ばし得なかった。これはわれわれの責任でございますが、そういうものが、複合いたしましておくれておるというのが実情でございます。
  134. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 単なる国民の意識の問題だろうかと考えていきますと、それももちろん一つの要因であろうかと思いますが、私はむしろ国の姿勢に問題があるのではないであろうかと思うのです。たとえば人件費にいたしましても、本来国が定める人件費と地方自治団体が負担をいたします人件費との格差はないのかどうか、超過負担は果たして皆無なのかどうか、数字の上では人件費は国が負担するとか、あるいは人件費に見合うものは十分国が費用を負担しているとかおっしゃるかもしれませんが、御承知のように、すべての公共事業においても基準単価が決まっておって、言葉の上どおりにはなっていない。最近のように物価上昇が激しいときには、八〇%も九〇%も国が負担をしているごとく数字の上ではあらわれておりますが、実態は半分にも満たないというのが多いわけでございますから、そういうことが果たして十分に行われておっただろうか。あるいは各市町村段階でこの調査に従事する職員が十分確保されておるものかどうか、あるいは、これは専門的な技術を要する調査員であろうかと思いますが、そのような専門的職員が十分に育成されておっただろうか、その育成の方法について国は十分な対処をしておっただろうか、こういうふうないろいろな疑問点が出てくるわけですが、それらのことが万全を期せられておって、なおかつ一生懸命にやろうとしたけれども、国民の意識がどうも低下をしておって、権利意識ばかり発達をしておって、協力が得られなかったのだ、こういうことではないのではないだろうか、こう考えられるわけですが、いかがですか。
  135. 山岡一男

    山岡政府委員 足らなかった点が多々あったことは率直に認めなければならないと思います。ただ、予算につきまして申し上げてみますと、先ほどは事業費で申し上げましたが、単価等につきましても、昭和四十五年の一方キロ七十万から現在は三百万まで、約四倍に引き上げてまいっております。それから、たしか物価等がその間に二・二倍くらい上がったと思いますので、相当改善を見たという点は御了承いただきたいと思います。  さらに昨年までのいろいろな点におきまして、この十年間を全部通してはどうかと言われますと、本当にじくじたるものがございますが、努力努力を重ねまして、地方公共団体の皆さんが、三百万の大台があれば何とかなると言われた数字が今度は計上できたと思っておるわけでございます。それからさらに、実際の実施当たりまして、たとえば千分の一というところを五百分の一でやりたいというような話がございますと単価が上がります。そういうものにつきましては、実施単価補助することにいたしております。  ただ、お断りしておかなければなりませんのは、公共事業でございますと、たとえば単価を上げて実施単価でやりますと道路の長さが減ります。それと同じように、わが方では面積が減るわけでございます。したがいまして、その面積の減るのと実施単価に合わせるとの限界で何とかやってまいっておるというのが実情でございます。  それから人員につきましては、先ほども申し上げましたけれども、九百八の市町村が現在実施してございますが、その平均は、五人程度でおやりになっております。この方々に対しましての講習会等はどうやっておるのだというお話もございましたが、確かに少し回数は足らなかったと思います。毎年中央で一週間中央講習会を開きまして、あとはブロック、各県ごとに数日、三、四日程度の講習会をやっておるということでございます。  ただ、その点につきましても、来年は新規にまた十カ年計画を始める年でもございますし、いままでの未着手市町村を新しく掘り起こす意味もございますので、研修等に力を入れたいということで、乏しい予算の中で四・七倍の予算を計上しているということでございまして、今後そういう点に大いに努力して、いままでの足らなかった点をカバーしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  136. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 現在までの進捗率は非常に悪いわけでございますが、この基礎調査が完了すると仮定いたしまして、一体どのくらいの年月を必要とすると試算されておりますか。
  137. 山岡一男

    山岡政府委員 現在までに計画いたしてまいりました平地と林地、特にそういう利活用の一番もとになります平地とその周りの付帯する林地、これにつきましては、私は第三次でほとんどが終わると思っております。残るのは林地が残るわけでございます。したがいまして、そういうような林地につきまして今後の調査の仕方が一つ問題だと思っております。それから残された平地の中でどこが残るかと申しますと、大都市が最後に残ると思います。そういうものにつきましても新しい調査方法が必要でございます。したがいまして、現在何とかして早く進めたいということで、地籍調査と同等の成果を上げ得るような調査方法ということで、大都市においては大都市の方法、林地におきましては林地の方法ということで、たとえば林地では航空機を使う測量方法、それから大都市におきましては地球上の緯度経度を座標として、その中に位置を計示する方法等につきまして試行を行っております。いま相当のところでやっておるわけでありますが、そういうものを促進してまいった場合に、次の十年先の調査がどうなるかということにつきましては、いまなかなか申し上げるわけにはまいりません。したがってその段階考えるべき問題と思っておりますが、たとえば第三次の期間の間にだんだん上がっていきますと、大体七千平方キロぐらいに上がるだろうと思います。もし七千平方キロぐらいにネットが上がったといたしますと、第三次が終わった残りの分を七千ぐらいで割ってまいりますと二十年ぐらい、それがおくれますと二十五年ぐらいまだ残るだろうということにならざるを得ない。そういうものにつきまして、先ほど申し上げましたような調査方法の改善等も加えまして、努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  138. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 第三次ではほとんど済まないであろう、下手をすれば四半世紀くらいかかるのではないか、こういう見通しのようでございますが、御承知のようにもう二十年も二十五年もたっていけば、これまた社会情勢に大きな変化を来してまいりまして、新しい調査が必要となるという事態が出てくるのではないだろうか。現状ですら地形や地質だけでは不十分だ、気象条件も当然加味されていかなければならぬといまお認めになったとおりでございまして、次の二十年間のうちには、またもっとわれわれ人間生活を守るために基礎調査が必要になってくる、こういう状況も生まれてまいると思いますので、できる限りこの調査の仕様等を研究されまして、なるべく早く確実な調査が、基本調査でございますから必要でございますので、一日も早く完成をするように努力をされますように心から要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 北側義一

    北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  140. 北側義一

    北側委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  142. 北側義一

    北側委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小沢一郎君外四名より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。小沢一郎君。
  143. 小沢一郎

    小沢(一)委員 ただいま議題となりました国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、本法律案につきましては、委員会において慎重に審議されてまいったのでありますが、第二次国土調査事業十カ年計画のうち、特に地籍調査においては、進捗率は全国平均で四五%でありますが、それぞれの地方自治体について比較してみますと、全体的にはなはだしく均衡を欠いていること、また本調査についての認識不足を解消して本調査の強い促進を図ること等が審議の過程において議論された重要な問題でありますので、ここに附帯決議を付し、本法律案の運用に遺憾なきを期するよう要望するものであります。  以上が本法律案に附帯決議を付さんとする理由であります。  各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)     —————————————     国土諷査促進特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行にあたり、特に地籍調査実施については、地方自治体の間に均衡を欠くことのないよう留意するとともに、強くその促進を図り、運用に遺憾なきを期すべきである。  右決議する。     —————————————
  144. 北側義一

    北側委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 北側義一

    北側委員長 起立総員。よって、小沢一郎君外四名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  146. 北側義一

    北側委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  148. 北側義一

    北側委員長 この際、園田国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。園田国土庁長官
  149. 園田清充

    園田国務大臣 本委員会におかれましては、本法案につきまして熱心な御審議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝を申し上げます。  審議中におきましての委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努力をいたしますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体し努力する所存でございます。  ここに本法案の御審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表しまして、私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  150. 北側義一

    北側委員長 次回は、来る七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会