○山岡
政府委員 現在公的に国土庁で発表いたしております地価の動向につきましては、いま
先生おっしゃいました地価公示、これは毎年、一月一日と一月一日の比較をいたしまして四月ごろに発表いたします。基準日は一月一日でございます。それから、都道府県にお願いいたしまして都道府県の圏域内の
調査地点につきましての都道府県地価
調査、これは毎年七月一日を基準日といたしまして九月ごろに発表になります。それから、その間をつなぎまして三カ月ごとに中間動向
調査というのをやっております。中間
調査につきましては、そういう地価公示地点の中から全国で標準的と思われます五百五十地点を選びまして、それにつきまして公表いたすものでございます。三カ月ごとの分でございますので、ちょうどことしのように第四・四半期まで発表いたしますと、一・四半期から四・四半期までを掛け合わせますと大体年間の率が出てまいる。この出てまいりました率は、今度一月一日の分として四月に公表いたします地価公示の分とほとんど大差がないというのが過去の実績でございます。
調査の点につきましてはそのようなものをやっておるということでございます。
それから、地価公示の性格でございますけれ
ども、地価公示につきましては、独立性を有します土地鑑定
委員会、これは国土庁の付属
機関でございますけれ
ども、ここには国会承認で任命をされました七人の
委員がおられまして独立の権限を行使しておるわけでございますが、毎年一回、都市計画区域内の標準地につきまして二人以上の不動産鑑定士または不動産鑑定士補の鑑定評価を求めまして、その結果を発表いたすものでございます。その場合の、正常価格と申しておりますけれ
ども、これは
先ほど来出ておりましたような買い進み価格もしくは売り進み価格、そういうふうなものを捨象いたしまして、取引事例比較法、収益還元法、それから原価法、いわゆる鑑定評価の方式にのっとりまして、二人以上の鑑定士が判定をいたしまして、それを土地鑑定
委員会の方で認めまして公表するものでございます。私
ども、その場所におきます、そういうふうな売り手市場でもない買い手市場でもない、どちらにも偏らない客観的な交換価値を示すものだというふうに考えております。
しかしながら、
先生おっしゃいますように、実際の土地の取引価格につきましては、当事者の特殊な動機、それから特別の
事情等に左右されまして成立することも多い場合がございます。たとえばどうしても営業上の場所的利益を
確保するというために、銀行が角地を買わなければならないといって買い進むような場合、それから
先ほど来出ましたミニ開発のように、上物と一緒であればペイするということで、ある
程度割高な土地を買い進む場合等がございます。しかしながら、地価公示の価格を規準とした価格という場合には、そういうふうなものにつきまして一応捨象をして考えております。地価公示をやります場合には、全国で数万件に及ぶいろいろな土地取引を全部実査するわけでございますけれ
ども、その中で、そのような買い進み的なものにつきましては一応捨象いたしまして、
先ほど申し上げましたような収益還元法、原価法とあわせて、取引事例法を適用して価格を判定しておるというものでございます。
それから、ミサワホームの発表の
お話がございましたけれ
ども、ミサワホームの方は、これは私も呼んで聞いてみたわけでございますが、これは店頭価格ということでございます。不動産
業者に電話で問い合わせ、もしくは、不動産の宅建業の店頭に参りまして写してきたという金額でございまして、いわゆる呼び値であるということは認めておられます。したがいまして、そういうふうな呼び値で商売ができるわけではございませんと、明瞭な
お話がございました。
地価公示につきましては、現在のところ法的な効果といたしましても、地価公示法には一般の土地取引の指標としなさいという
意味の訓示規定もございますが、同時に第三章に「公示価格の効力」という章を設けておりまして、
現実の問題といたしましても、不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合の規準ということ、それから、
公共事業の
実施におきます土地の取得価格の算定、収用
委員会の裁決の場合の補償金額の算定の場合の規準、それからさらに、国土利用計画法によりまして土地取引の許可制もしくは届け出制を行うわけでございますが、その場合の価格の規準というふうに示されております。
ただここで、少し長くて恐縮でございますが申し上げておきたいのは、その場合の規準ということでございます。いわゆる基準ではなくて、規準というのをことさらに使っております。特に地価公示法の中には、十一条でございましたか、「公示価格を規準とすることの意義」というのを一条設けております。どういうことかと申しますと、現在の地価公示は、単にその地点と価格を挙げておるだけではございませんで、その場所の形状、周囲の状況、周りの公共
施設の状況、駅までの距離、容積率、それから地域、地区の区分、さらにはガス、水道、下水道の敷設状態等が書いてございます。したがって、そういう
条件のところでこの地点は幾らだというのが公示の内容でございます。この「規準とする」という
意味は、それと比べましてもっと駅に近いから高いとか、道幅が広いから高いとかいうようなことで比べるわけでございまして、そういうふうなことで比準をいたしますと、地価公示がたとえば十五万円とございましても、四十五万円という基準価格が出る場合もございます。これは私
どもは地価公示法上の適正価格というふうに考えております。そういうふうなことで地価公示が運用されておりまして、私
ども、十分役に立っておるのではないかと思っております。