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1980-04-17 第91回国会 衆議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十七日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 津島 雄二君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 中野 寛成君       天野 光晴君    石田 博英君       久保田円次君    春田 重昭君       山田 英介君    岩佐 恵美君       神田  厚君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 細田 吉藏君  出席政府委員         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁参事官  多田 欣二君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁長官官房         防衛審議官   友藤 一隆君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         防衛施設庁長官 玉木 清司君         防衛施設庁総務         部長      菊池  久君         防衛施設庁施設         部長      森山  武君         防衛施設庁労務         部長      伊藤 参午君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      堂ノ脇光朗君         外務省北米局北         米第一課長   福田  博君         外務省北米局安         全保障課長   丹波  実君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省主計局主         計官      長島 和彦君         大蔵省主計局主         計官      畠山  蕃君         国税庁調査査察         部調査課長   谷   始君         運輸省航空局次         長       松井 和治君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       末永  明君         会計検査院事務         総局第二局長  藤井健太郎君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     山田 英介君   永末 英一君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   山田 英介君     春田 重昭君   神田  厚君     永末 英一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書   〔総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁について審査を行います。  まず、防衛庁長官から概要説明を求めます。細田防衛庁長官
  3. 細田吉藏

    細田国務大臣 昭和五十二年度における防衛庁関係歳出決算についてその概要を御説明いたします。  まず、防衛本庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は一兆五千三百四十九億三百万円余でありまして、これに昭和五十二年四月以降政府職員給与を改善するため予算補正追加額一百四十四億四千二百万円余、行政情報処理調査研究のため、行政管理庁から移しかえを受けた額七百万円余、高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額六千三百万円余、科学的財務管理調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額二百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額十億九千万円余、前年度からの繰越額八十一億三千四百万円余を加え、既定予算節約等による予算修正減少額五十四億一千一百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一兆五千五百三十二億三千一百万円余となります。  この歳出予算に対して支出済み歳出額は一兆五千四百三十八億二千万円余、翌年度へ繰り越した額は四十六億九百万円余でありまして、差し引き不用額は四十八億一百万円余であります。  昭和五十二年度予算の執行に当たっては、防衛計画大綱に従って、計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一、陸上自衛隊については、七四式戦車四十八両、七三式装甲車七両を取得し、新たに昭和五十三年度取得予定の七四式戦車四十八両、七三式装甲車六両の購入契約をいたしました。  また、航空機については連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十機、輸送ヘリコプター二機、観測ヘリコプター十機合わせて二十三機を取得し、新たに昭和五十三年度以降取得予定連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター三機、輸送ヘリコプター一機、対戦車ヘリコプター一機合わせて六機の購入契約をいたしました。  二、海上自衛隊については、昭和四十八年度計画護衛艦一隻、潜水艦一隻、昭和四十九年度計画護衛艦一隻、昭和五十年度計画中型掃海艇三隻、輸送艦一隻、昭和五十一年度計画支援船一隻、昭和五十二年度計画調達にかかる支援船二隻合わせて十隻を取得し、新たに昭和五十三年度以降に竣工予定護衛艦二隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、敷設艦一隻、支援船一隻合わせて七隻の建造契約をいたしました。  また、航空機については、対潜哨戒機六機、対潜飛行艇二機、対潜ヘリコプター四機、練習機八機合わせて二十機を取得し、新たに昭和五十三年度以降に取得予定の対潜飛行艇一機、救難飛行艇一機、対潜ヘリコプター四機、救難ヘリコプター一機、計器飛行練習機一機、練習機五機合わせて十三機の購入契約をいたしました。  三、航空自衛隊については、要撃戦闘機十二機、支援戦闘機十八機、高等練習機五機、初等練習機一機、輸送機七機、救難ヘリコプター二機、救難捜索機二機、飛行点検機一機合わせて四十八機を取得し、新たに昭和五十三年度以降取得予定要撃戦闘機十二機、支援戦闘機十八機、初等練習機十二機、輸送機二機、飛行点検機一機、救難ヘリコプター一機合わせて四十六機の購入契約をいたしました。  昭和五十二年度防衛本庁職員定員は、自衛官二十六万七千八百五十三人、自衛官以外の職員二万四千一百五十九人、計二十九万二千十二人でありまして、これを前年度職員に比べますと、自衛官については一千八百七人の増員であり、自衛官以外の職員において六十八人の増員となっております。  また、予備自衛官の員数は、前年度と同数の三万九千六百人であります。  次に、繰越額四十六億九百万円余は、計画及び設計に関する諸条件等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額四十八億一百万円余は、退職者が少なかったので退職手当を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  続いて防衛施設庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は一千五百四十九億一千四百万円余でありまして、これに昭和五十二年四月以降政府職員等給与を改善するための予算補正追加額一億一千三百万円余、前年度からの繰越額一百二十六億一千七百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額四億九千一百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林省所管農林本省へ六億四千八百万円余、建設省所管建設本省へ十五億七百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は一千六百四十九億九千七百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は一千五百二十七億二千六百万円余、翌年度へ繰り越した額は一百十四億五千三百万円余でありまして、差し引き不用額は八億一千八百万円余であります。  支出済み歳出額の主なものは、調達労務管理事務費におきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍従業員労務管理事務離職者対策等に要した経費三十八億四千三百万円余、施設運営等関連諸費におきましては、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律等に基づき、自衛隊施設及びわが国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等提供施設維持運営等に関連し必要な障害及び騒音の防止措置民生安定施設助成措置飛行場周辺安全措置、各種の補償、土地の購入及び借り上げに要した経費一千一百九十三億五千三百万円余、提供施設移設整備費におきましては、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費一百三十二億八千三百万円余等であります。  昭和五十二年度防衛施設庁職員定員は三千五百三人でありまして、前年度職員定員に比べ四人の増員となっております。  次に、翌年度への繰越額一百十四億五千三百万円余は計画または設計に関する諸条件アメリカ合衆国軍隊の事情、補償処理の困難及び用地の関係等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額八億一千八百万円余は、給付金支給対象となる駐留軍等労務者離職者が少なかったので、特別給付金を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもって、昭和五十二年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。
  4. 高田富之

  5. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 昭和五十二年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。  その一は、P2J航空機用燃料セルの仕様に関するものであります。  海上自衛隊が四十九、五十両年度調達いたしました対潜水艦哨戒用のP2J航空機十四機の主翼の内部に装着されている燃料タンクは、一機当たり十四個の燃料セルで構成されておりますが、その燃料セルのうちの半数は横浜ゴム株式会社製ゴム引きナイロン素材としたものが使用されておりました。しかし、最近におきましては、同会社で改良されたゴム引き特殊ナイロンが開発されており、在来品に比べて重量が軽く、強度が同等以上で、価格も低価なものでありまして、P2J航空機とほぼ同一条件飛行するPS1航空機等燃料セル用として採用されている状況でありました。そこで、この改良された素材燃料セルをP2J用として採用したとすれば調達価額を約二千万円程度低減できたと認められましたし、また今後調達することが見込まれている交換用セルにつきましても調達額を相当額低減できると認められましたので、当局見解をただしましたところ、海上幕僚監部では、五十二年十二月からP2J航空機にも改良された素材燃料セルを採用することとする処置を講じたものであります。  その二は、C1航空機用メーンタイヤ所要量算定に関するものであります。  調達実施本部が、航空幕僚監部調達要求によって、五十二年度にC1航空機用メーンタイヤ四百本を二千七百六十七万二千円で購入しておりました。そして、航空自衛隊では、その調達所要量を算出するに当たりましては、航空自衛隊物品管理補給手続の定めるところにより、過去の実績飛行時間及び消費実績に基づき、飛行時間千時間当たりに換算した消費数量及び在庫量等算定要素としておりました。しかし、本件C航空機は新開発のものでありますので、このように単純に過去の実績飛行時間及び消費実績を基礎とした千時間当たり消費数量算定要素としますと、供用初期運用試験等に伴う異常な消費数量実績として調達数量算定要素に含まれることとなり、調達量、ひいては保有量が過大となっておりました。そこで、もし、このような異常値を除いて所要量算定したとすれば、五十二年度調達所要量は端数を切り上げても百本にすぎず、当局契約分四百本のうち三百本二千七十五万四千円は購入する要がなかったと認められましたので、当局見解をただしましたところ、航空自衛隊では、五十二年十二月に航空自衛隊物品管理補給手続を改定し、異常値と認められる消費実績については、これを算定要素から除外して所要量算定することとする処置を購じますとともに、本件タイヤの五十三年度分の調達を取りやめました。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 高田富之

    高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 高田富之

    高田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  8. 原田昇左右

    原田委員 ここ数年来の国際情勢、特に軍事情勢を見ますと、ソ連軍事力の急速かつ顕著な増強の結果、アメリカ軍事力がいままで絶対優位だった体制が崩れてきたのではないかと思われます。最近のソ連軍事力の著しい増強ぶりと、これに関しての米ソ軍事バランスの実態について、まず長官からお伺いをしたいと思います。
  9. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  ソ連が、長期にわたり、年々GNPの一一ないし一四%と推定されておりますが、大きな予算を投入しまして軍事力増強する努力をしておることは、ただいま御質問の冒頭に原田委員から言われたとおりでございます。そこで、アメリカ並びヨーロッパNATO各国との間のバランスという点から、米国並びNATO諸国防衛力増強しなければならぬということで、いま非常な大きな変化が参ろうといたしておるわけでございます。これらの詳細につきましては、政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。
  10. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 米ソ軍事力バランスでございますけれども、これは時間の都合もございますでしょうし、御存じの細かい数字は省きまして、どういう見方をすればいいかということだけ、なるべく短く申し上げたいと思います。  これにつきましては、いろいろな考え方があるのでございますけれども、総合的な国力の比較あるいは同盟関係その他、西側には多々有利な点がございます。  ただ、われわれ考えなければいけません点は二点でございまして、第一点は、戦略的に必ず共産側先制攻撃をかけてくるということをまず考えに入れて、その上での軍事バランス考えなければいけない、これが第一点でございます。それから第二点は、近代の戦争におきましては、武器の命中率が非常に高くなっておりまして、戦争の初めにおきまして非常に多くのハードウエアの損耗があるだろうということが予想されます。ということになりますと、現在持っておりますハードウエアの数というものをかなり重視しなければならない。その後でどの程度生産力生産余力を持っているかということも非常に重大なんでございますけれども、それよりも、現在持っている数を比べなければならないということがございます。  そういうことで、現在持っております米ソの数を比べてみますと、詳細は省略いたしますけれども、これはいろいろな考え方がございまして、一番極端な考え方は、すでにかなりソ連に追い越されているという考えもございますし、それからごく一般的な考え方としまして、八〇年代の前半あるいは中ごろにはソ連アメリカに追いついてくるのではないか、あるいは追い越すのではないかということで、アメリカとしましても、ごく一般的に申しまして、これはカーター大統領の言葉でございますけれども、アメリカはいまや将来にわたってソ連に優位を持ち続けるか否かを決定すべき歴史的瞬間が来ているということを言っております。  それで、一つ注目すべきことは、ここで少なくともこれは十数年前をとってみますと、これは米ソの戦力だけを比較すれば十分でございまして、アメリカソ連に対して独力でも圧倒的に強かったという時代がございましたが、最近はどうしても同盟国軍事努力、これを同時に加算するということが、これはしなければ負けるという意味でもございません。これは先ほどの、見通しいかんによりまして、すでに追い越されているというのはかなり極端な判断でございまして、将来このままほうっておくと危なくなるというのが本当の判断だろうと思いますけれども、いずれにしても、同盟国軍事努力というものを同時に計算するということが非常に現実的な戦略である、そういう際どいところまで軍事バランスがきている、そういう判断でございます。
  11. 原田昇左右

    原田委員 そうすると、GNPに対して、先ほど一一から一四というお話ですが、ソ連経済規模というのは日本とほぼ同程度か、あるいはちょっと下ぐらいと言われておるので、日本が一兆億ドル程度経済規模だとすれば、千四百億ドルぐらい、あるいはもう少し多いかもしれない、こういうように解釈していいですか。それと、アメリカは、国防白書等によりますと千百億ドルくらい、日本はそれに比べてわずか百億ドルぐらいですね、大体そんなような考え方でいいですか。
  12. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 ソ連軍事力につきましては、ソ連の正式の予算発表からは判断できないものでございまして、これは種々の方法がございますけれども、現在、世界的に一番よく引用されておりますのはアメリカ政府推計、つまりCIAの推計でございます。これは、手法といたしましては、現在ソ連がやっております毎年の軍事努力、つまり戦車をどのぐらいつくっているか、どのぐらいの兵隊を使っているか、その同じものをアメリカがする場合はどのぐらいかかるだろうということの推計から出ておりますので、それで見通しとしましても一一ないし一四%という非常に幅の広い漠然たる数字になっております。ただ、ことしの国防報告では、八〇年度ソ連軍事費、これを八〇年度価格計算いたしまして、大体千七百億ドルだろうというふうに考えております。アメリカは一九八〇年価格でございますと、ほぼ千四百億ドルぐらいと考えてよろしいかと思います。
  13. 原田昇左右

    原田委員 ソ連のこのような継続的な軍事力拡充の意図というのはどこにあるのか、これは外務省防衛庁からお伺いしたい。
  14. 堂ノ脇光朗

    ○堂ノ脇説明員 お答え申し上げます。  近年におきますソ連世界的規模における軍事力増強ということは明白な事実であると考えます。このようなソ連軍事力増強は、米国と並んで世界において軍事大国としてそういう地位を確立しようという観点から進められてきている。そしてまた、そういうことを通じて世界政治における影響力増大を図っているということは、一般的に申し上げられるかと存じます。
  15. 原田昇左右

    原田委員 防衛庁長官から……。
  16. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま外務省からお答えがありましたが、私ども同様に考えておるわけでございまして、いろいろな見方があると存じまするけれども、何しろ長期にわたって非常に大きな軍事力増強をいたしておるわけでございます。やはりソ連としての国の政策を実行するための裏づけとして軍備を増強しているというふうに見るべきである、かように存じております。
  17. 原田昇左右

    原田委員 そうしますと、これに対してアメリカヨーロッパというのはどういう対応をしておるかということになるわけですが、これについてお伺いしておきます。
  18. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 米国ヨーロッパ対応でございますが、過去十五年間にわたりまして米国の実質的な軍事予算というものがむしろ逓減の傾向にあった、これは否定できないわけでございますけれども、数年ぐらい前からソ連増強を前にいたしまして非常に危機感が高まってまいりました。それで一昨年のNATO首脳会議におきまして、長期防衛計画というものに合意いたしますとともに、これから毎年実質三%の軍事費増強をしようということに合意いたしました。それで昨年度から実施しております。  米国といたしましては、もちろんNATO合意をそのまま実行する。ただそれだけではなしに、最近の五カ年計画では、大体四・五%ぐらいをこれから継続的に増していこうという方針を打ち出しております。ただ、最近のアメリカの国内の動きでは、あるいはそれでも足りないのではないか。最近インフレ抑制予算で非常に予算が厳しい中でございますけれども、その中でも防衛費だけは実質的に大いに増していかなければならないという声が高まっているようでございます。
  19. 原田昇左右

    原田委員 いずれにいたしましても、ソ連軍事力増強というのは西側諸国にとって非常に脅威でございますし、これに対してアメリカは、いまお話しのようにターニングポイントに来ておるというようなお話でもございます。  そこでわが国周辺の問題についてお伺いしたいのですが、極東ソ連軍増強ぶり、それがわが国防衛にどういうような影響を与えるかということについてお伺いしたいと思います。
  20. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 極東ソ連軍増強ぶりにつきましては、従来とも御報告申し上げておるところでございますけれども、昨年一年間にいろいろなことがございまして、そのたびに御報告申し上げましたけれども、それを大体全部総括してみますと、一年間にかなりの増強があったと考えられます。全体としてどのぐらいかということは、最終的に公表すべき数字はいま詰めているところでございますけれども、たとえば海軍力、これは去年の数字で、ソ連の太平洋艦隊は百三十八万トン、アメリカの第七艦隊は六十万トンというのをわれわれの公式の発表数字として申し上げたのでございますけれども、その後、主要な戦闘艦艇だけで一九七九年以来の増強計算してみますと、空母キエフ強襲揚陸艦イワン・ロゴフ、ミサイル巡洋艦カラ揚陸艦ロプチャ・ミサイル駆逐艦クリバッタIとII、そういうものを全部足しますと、それだけで約七万トンふえております。そのほかにもまた若干ふえているということで、これはまだ現在計算中でございます。また、地上軍につきましては、極東軍管区、これは日本に一番近い軍管区でございますけれども、二個師団増強されたというふうに推定しております。  対応ぶりにつきましては、所管外でございますので……。
  21. 原徹

    原政府委員 そういう状態でございますので、私どもといたしましては、特に極東ソ連軍増強潜在的脅威増大だという認識を持っておりますので、防衛計画大綱が五十一年に定められたわけでございますが、現状は非常にその水準からもほど遠い状況にございますので、まずやるべきことは、防衛計画大綱水準にできるだけ早く達成するように努力をすべきである、そういうふうに考えて、いま鋭意やりつつあるところでございます。
  22. 原田昇左右

    原田委員 いまの御説明だと若干不十分ではあったのですが、海軍力においても、日本かどこかわからぬですが、とにかく非常に攻撃的な艦艇をきわめて急速、顕著に増強してきておる。それからSS20とかバックファイアといった空からの脅威も増しておるということが言えるのじゃないかと思いますが、さらにそれに対してこちら側の体制ですが、アメリカスイング戦略によってわが国周辺防衛上の空白ができるのじゃないかという心配があります。この点はどうですか。
  23. 原徹

    原政府委員 いわゆるスイング戦略と申しますのは、太平洋からNATOの方に機動部隊を持っていくという考え方のようでございますが、いま言われておりますのは、そういう空軍力あるいは海軍力というものはもともと機動性があるものでございますから、その機動性を発揮して世界のいろいろなところに行くということであろうと存じます。そういたしますと、もちろんわが国周辺に事がないときにほかのところに行っても別にこれはどうということはございませんが、ただいま言われておりますのは、八〇年代同時多発というような事態の場合にいろいろなところに米軍が行くということになればその場合にどうなるかということでございますが、私どもは、アメリカにとって日本というのは非常に重要な地位にあるわけでございますから、日本を全く何もしないということはない、そういうコミットメントは守るというふうに思っておりますけれども、能力的にそれでは従来と全く同じ能力があるのかということになれば、それは同時多発ということになれば自然若干薄くなるということは考えておかなければいけないのだろうと思います。そういうこともこれあって、アメリカは自分だけでやれないから同盟国防衛努力をいま要請をしているということでございますし、私ども考えましても、現下の情勢にかんがみれば日本日本独自の判断で相応の防衛努力をしなければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 原田昇左右

    原田委員 先ほど防衛局長は、防衛計画大綱に従って早急にやる必要があるというお話でしたが、長官にお伺いしたいのですが、日本を取り巻く軍事事情というのは防衛計画大綱が定められ、防衛費の総額一%を超えない程度をめどとされた昭和五十一年当時と比べますと非常な変化があると思うのですね。ところが大綱を見ますと、変化がないということを前提にして立てられておりますね。この辺はどう考えておられますか。
  25. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛計画大綱昭和五十一年の秋に決まったものでございます。その後変化があったかというと、あったことは間違いございません。ただ、基本的な考え方としまして、当時でも東西間には協調の面と競争の面がある、協調の面、つまりデタントとかSALTの路線というものが全然脈がなくなっている、そういうふうには変わっていないという見方をとっておるわけでございます。ただ、競争の面が相当強く出てきておるということでございまして、したがいまして、国内でも一部は様子が変わっておる点を重く見て、大綱を見直すべきではないかという御意見があることは承知いたしております。しかし、私どもとしましては、ただいまの状況では、防衛計画大綱の線にまで届くことも大変な努力が要りますし、いろいろな点も考えなければなりません。そういう点も考えますと、総合的に言いまして、私たちの現在とっております立場は、防衛計画大綱の線並びにそれと前後してGNPの一%を超えないことをめどとするということも閣議で決めておるわけでございますが、その線にできるだけ早く到達することをまず当面の目標といたす、かように考えておる次第でございまして、ただいまのところ、これをすぐ見直してどうこうするとか、閣議決定を変更するという考えに立っておらないということでございます。
  26. 原田昇左右

    原田委員 現実的に、防衛計画大綱に定められた線よりは猛烈に下回っているわけですから、とりあえずそれにいくのだというのはわかりますけれども、しかし、五十一年の当時の情勢で立てられたものが、全然見直しも何もしないでいいのだということはないだろうと思うのです。アメリカの国防白書でも、まさに考え方が大きく変わって、いまアメリカにとっては死活問題なんだ、こういうことを言っておるわけで、やはり日本にとりましてもこれはきわめて大きな変化だと思います。そういう考え方で見ますと、この前外務大臣が訪米されたとき、ブラウン国防長官からステディー・アンド・シグニフィカント、着実かつ顕著な防衛力増強を要請されたというふうに聞いておりますけれども、その要請の背景並びに具体的な内容について伺いたいと思います。
  27. 丹波実

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  先般大来外務大臣が訪米いたしましてブラウン長官と会談した際に、ブラウン長官の方から、日本防衛努力につきまして、先ほど来防衛庁当局から御説明しておりますような最近の国際情勢の推移にかんがみて、アメリカとしては国防努力の向上ということを非常に努めておる、たとえば今後五年間にわたって平均国防支出も実質四・五%から五%の年間の成長を達成していく、そういう観点から、アメリカとしては同盟国防衛努力も求めていきたい、そういう文脈の中で、日本防衛努力についても、確かにこれは日本自身が決める問題ではあろうけれども、アメリカとしては今後とも日本が着実かつ顕著に防衛支出を増大していってほしいという期待の表明があったわけで、それとの関連で、中期業務見積もりにつきましてもできるだけ早く達成してほしいという期待の表明があったわけです。それと同時にもう一つ、在日米軍の経費の問題につきまして、日本政府はこれまでその削減に努力してきましたけれども、今後とも在日米軍の経費についてもよろしく頼む、こういう要望があったわけです。  これに対しまして外務大臣の方から、まず防衛支出の問題につきましては、財政事情とか国民のコンセンサスなどのいろいろの問題があるので汁かなかむずかしい問題があるけれども、できるだけのことはしたということ、中業の問題につきましては、これは外務省の所管の問題ではございませんので、帰って防衛庁長官に御報告いたしましょうということでございました。在日米軍の経費の問題につきましては、施設の建設の面で今後ともできることがあるかどうかを検討させてほしい、こういう応答をしてまいったわけでございます。
  28. 原田昇左右

    原田委員 防衛力増強というのは、アメリカからの圧力でやられるということなんですか、それともわが国の自主的な判断によってなさるべきであるのか。私は、当然日本の自主的な判断に基づいて、これだけ日本防衛防衛力が要るのだ、だから足りないところはあなたの方で少し助けてくれ、こういうのが本当の筋だと思うのですが、その辺はどうですか。
  29. 細田吉藏

    細田国務大臣 国の防衛でございますから、日本の置かれておる立場、憲法、自衛隊法、いわゆる専守防衛という言葉も使われておりますが、この立場で日本防衛がどうあるべきかということは、当然国が自主的に決めるべき問題でございます。  しかしながら日本は、申し上げるまでもなく、日米安全保障条約というもので、アメリカとの相互信頼、そしてアメリカからの援助というものを期待をいたしておるわけでございますから、もちろんわが国が独自に決めることではありますが、アメリカ考え方というものについては十分考慮する必要があることは当然であると私は考えております。
  30. 原田昇左右

    原田委員 私もそのとおりだと思いますけれども、しかし順序として、アメリカ日本のために血を流すというのは、やはり日本がこれだけのことをやるのだからあなたの方にも血を流してくれというのでなければおかしいと思うのですね。ただ安保条約があるからやってくれるだろうということじゃないと思うのです。アメリカは、カーター大統領の宣言でも、また国防白書でも、同盟国に応分の負担をしてくれということを言っておるし、同盟国の自衛努力というものを非常に期待しておるわけで、この点についてやはり日本が自主的な判断で、わが国防衛の目的は何か、そしてそれにはどうすればいいかということをやっていかなければならぬと思いますが、自衛力増強の目的というのはどういうところにあるのか、お伺いしたいと思います。
  31. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  おっしゃるとおりなのでございまして、防衛計画大綱並びにそれの実施の一つの手段として私どもがとっておりますいわゆる中期業務見積もりというものは、日本防衛のためにこうすべきであるということで政府の方針を決め、また中業見積もりというものはそれの手段として防衛庁で一応進め方について中身を決めておるものでございます。  もっとも、中期業務見積もりというのは非常に流動的な点がございますので、三年ごとに見直し、そして毎年の予算編成の際に、何を先にやり、どれだけのことをやるかということを検討するというやや柔軟性のあるものでございますが、それはいまおっしゃった日本防衛を独自の立場でどうするかということを一応決めたものでございます。したがいまして、私たちは、現在のところできるだけ早くそれに到達することが必要であるというふうに考えておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、いまの状況ではもう早急に全部を見直さなきゃならぬのじゃないかという御意見があることは承っておりまするけれども、私たちはいまの日本の状態でまだかなり距離もありまするのでできるだけ早く到達したい、かように考えておる、こういう意味でございまして、おっしゃるとおりだというふうに私ども考えて、その方法としていま申し上げているようなことで進めたい、こう考えておるわけでございます。いろいろ御批判もおありではないかと思いまするけれども、ただいまはそういうふうに考えておるわけでございます。
  32. 原田昇左右

    原田委員 先ほどちょっと聞き漏らしたのですが、極東のソ連の軍事配置の上でわが北方領土の三島に相当な基地を構築中ですね。これの具体的な状況、おわかりだったらぜひ教えてください。  それから、ベトナムのカムラン湾の海空の基地をソ連が使用しておるといった実態、これも詳細わかりましたら。
  33. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 北方三島のソ連軍事力につきましては、昨年の十月にソ連が色丹島に新たに地上軍を配備しましたときに御報告申し上げました。そのときに、表現といたしましては、一個師団規模に近づきつつあるということを申し上げました。それで、その後各種の輸送あるいは建設等が続いておることは事実でございます。現にその後戦力を向上していることも事実と思いますけれども、いまだ完全な一個師団に達したと認定していいかどうか、ちょっとそこまで言えるかどうか自信がございませんので、表現としましては、大体同じ状況であるということを言っております。ソ連の一個師団というのは大変な力でございまして、これを増強するだけでも相当な努力が要るわけでございまして、それが着々と増強されているということは言えると思います。  それからベトナムの海空軍基地につきましては、これも去年の中越戦争以来、ソ連がベトナムの海空軍基地を随時使っておるわけでございますが、初めは戦争中はかなり頻繁に使われました。その後は間隔をおいていたのでございますけれども、最近はほとんど常時使っているという状況になりました。これも、その時点時点の流れから見ますと少しずつの変化でございますけれども、一年たってみますと、これはもう常時使える状況になっていると考えざるを得ない。これは相当な情勢の変化であるというふうに考えております。
  34. 原田昇左右

    原田委員 空軍基地についてもですか。
  35. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 空軍も同様でございます。ただ、空軍の場合は、主として偵察機の基地あるいは偵察機の中継基地というふうに考えておりますけれども、それにつきましてはまた極東ソ連空軍がベトナムの基地に飛来するたびに御報告申し上げているとおりでございます。ただ、それもある意味で南シナ海あたりの哨戒能力といたしましては、もうベトナムの基地を中心としてソ連がそういう哨戒能力を獲得したのだというふうに考えてもいいぐらいの頻度でございます。
  36. 原田昇左右

    原田委員 そういうような状況でございますから、中期業務見積もりにつきましても、私は相当繰り上げ、そして中身も見直してやっていかなきゃならぬと思うのでございます。  まず一、二の例を申し上げますと、日本の師団構成とソ連の師団構成は、質的にきわめて違う。能力がうんと違う。ソ連のはもうほとんど機甲化師団であるわけです。日本の師団はまあ大部分は歩兵、歩いて戦うということのようでございます。それから海上自衛隊艦艇をとりましても、日本の大きい船は、ソ連のミサイルを持っている魚雷艇ともし交戦したらやられちゃうのじゃないかというおそれがあると思うのです。つまり、裸では全然だめなんで、対空、対艦ミサイルを早急に備えなければならぬ。いま何か調べてみますと、ミサイルを装備したのも、しかも旧式ミサイルでたった三隻しかないという状況では話にならぬと思うのです。これを中期業務見積もりで何か五十数隻ぐらいまでやるというのですが、ほとんど全艦に装備するぐらいのことを考えなければいかぬ。しかもバックファイア等を使って攻勢をかけられた際、航空自衛隊のF15がやれる行動半径の中ならまあいいですが、それ以外のところで一体どうするのかという問題がありますね。それから飛行場とかレーダーサイトのシェルターの問題。ドイツの例で言うと、飛行機の七〇%はシェルターで防護できるような設備になっておるということですが、そういった点はどう考えておるか。それから地対空のミサイルの近代化あるいはバッジシステムの近代化をやり遂げ得るのかどうか、こういった点について私は非常に危惧の念を持っておるわけです。もちろん新しいものをどんどん装備していかなければならぬ。量的な拡大も要ると思いますけれども、少なくとも現在あるものをもっと質的に高めるということを中期業務目積もりで完成させなければ兵力は生きてこないのじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  37. 原徹

    原政府委員 いろいろ御指摘がございましたわけでございますが、一つは陸上自衛隊について、ソ連の編成と大分違うわけで、火力と機動力の面において大変水準が違うということでございますので、中期業務見積もりにおきましては、その火カと機動力を中心に陸上自衛隊整備をしていこう、そういうふうに考えております。  それから海上自衛隊について、ミサイルが三隻であったわけでございます。つい最近DDHが就役いたしましたので、現在は四隻になるわけでございますが、それにいたしましても四隻でございます。中業がそのとおりやられますと、中業の計画によって調達はいたすわけでございますが、それにいたしましても調達してすぐ就役するわけでございませんので、五十九年に仮に調達すれば六十三、四年に就役になる関係になるわけでございますが、そういうことを考えましても、現在の四隻が、中業の完成時にはミサイルを持っている船が三十五隻になるだろう、そういうふうに考えております。  それから航空自衛隊につきましてのいわゆる抗たん性の問題でございますが、確かに御指摘のとおりでございまして、現在の段階で戦闘機が滑走路にずっと並んでいるというようなところは余りございません。やはりどうしてもシェルターあるいは対空ミサイル、そういったものを基地防御という見地でしなければならないということを考えておりまして、中期業務見積もりでは、いわゆるシェルターをつくること、これを北方の方からやっていく必要があるだろうと考えておりまして、千歳と三沢につきましてはそういうことができるということを考えておるわけでございます。
  38. 原田昇左右

    原田委員 いまのシェルターの問題一つとりましても、北方だけしかやらないというのじゃ話にならぬと思うのです。初戦で日本のような島国ですからたたかれてしまえばレーダーだって作動しなくなるし、飛行機だって、せっかくとらの子の飛行機を買って飛行場に置いておいたら全部喪失してしまう。しかもアメリカから援助をもらおうということでアメリカ飛行機に来てもらおうとしても、風雪にさらされているような飛行場では話にならぬということになるわけで、ぜひともこの点についてはひとつ年々見直すというお言葉でもございますので、検討をしていただいて、こういった点にはそうお金が要るわけでもないと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  それから技術開発力の問題ですが、各国の防衛技術の開発費を見ますと相当の比重を占めておるのですね。日本の場合非常にお寒い状態ではないかと思うのです。これについて伺いたい。そして日本の場合は、特に民間にはすばらしい電子技術があるわけです。これからは電子戦争の時代だとも言われるのですけれども、こうした民間の技術を大いに活用して防衛戦力になるような技術開発をぜひやっていくべきだと思うのですが、いかがですか。
  39. 番匠敦彦

    ○番匠政府委員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘なさいましたとおり、わが国の研究開発費でございますが、その防衛関係費に占める比率を外国の例と比較いたしますと、たとえば年次の関係で七九年ぐらいで比較してみますと、わが国におきましては一・二八%でございます。それに対しまして米国では約一一%、英国では約一四%、西独では約五%というような数字でございまして、確かに格段の差があることは事実でございます。われわれといたしましても、将来の自衛隊の装備の質的水準の向上ということを考えまして、さらに今後もこの研究開発費の増額に大いに努力をしたいと思っておるところでございます。  それから次に、わが国のすぐれた電子技術を利用して大いに研究開発をしたらいいのではないかというようなお話でございますが、われわれもその点は十分考えておりまして、ただいま投入しております研究開発費の約四割ないし五割というものは電子機器のグループといいますか、そういうものに研究開発費を投じております。たとえば三次元レーダーとかRAPCONとかあるいはミサイルの誘導装置とか、そういうようなわが国の特性を生かした研究開発も逐次少ない予算の中で努力をしておりますけれども、今後はさらに努力をしたいと思っておる次第でございます。
  40. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいま御指摘のございました技術関係、これは私、防衛庁へ参りまして早速からずっと言っておることでございますが、特段に今後力を入れてまいりたい。お説のように日本は相当高度な技術力を持っておりますので、それらも十分利用し、また予算的にもこれは増強しなければならぬ。余りにも低い状態でございますので、さように考えておりまするし、また先ほど掩体の問題ございましたが、全般的にそういったシェルター問題というのが立ちおくれておるように思います。飛行機だけでなくて、たとえば情報の中枢部とかいうような点につきましてもそういう点が欠けておるように思いますので、この点についても特に今後重点を置いてまいらなければならぬ、このように考えております。
  41. 原田昇左右

    原田委員 そこで私は、民間を活用していま技術開発をやる場合、自主技術開発したきわめて高度の機密を要するものが民間を通じて漏洩されるおそれがあるのではないかと思うのです。アメリカから日米安保条約によって供与された装備品については機密保護の体制ができておるわけですが、日本の民間が開発した場合の機密保護については防衛庁との契約しかできないというのじゃ、おかしいと思うのですね。やはりここで機密の保持について、民間から外国へ流れないようなスパイ防止法というものが必要じゃないかと思うのです。わが党でも検討をしておりますので、ぜひ政府側でも御検討おき願いたいと思います。これは要望しておきます。  時間でございますから最後に申し上げたいのは、世上、あたかも軍事力が小さければ平和が保てるのだというような誤った議論が行われておるわけでございますが、私はこれは全く間違いだと思います。わが国が自主独立の平和外交を展開する上にも、他国からおどかされないだけの、侵攻を受けないだけの、これを抑止するだけの最低限の自衛力というものはどうしても保持しなければ、わが国が自主的な外交を展開することはできないということではないかと思うのですが、このためには、防衛に関して、十分国民の理解と関心を求めながら国民的合意の形成を図っていかなければならぬと思いますが、これについて防衛庁長官の決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 細田吉藏

    細田国務大臣 前段に言われましたような最低限の防衛力整備がなければ平和の維持ができたいという点については、私どももさように考えております。さればこそ防衛計画大綱を定め、あるいはそれをできるだけ早く到達したい、こう申しておるわけでございます。何と申しましても一番肝心なことは、国民の皆さんに一〇〇%とはいかなくてもとにかくそういう点についての大きなコンセンサスを得るということが大事なことだ、私はかように考えておりますし、国会の中におかれましてもいろいろな御議論があるわけでございまして、申し上げるまでもなく今回は特別委員今がまた誕生するというようなことにも相なっておるようでございますが、私ども、できますならば、避けて通れない防衛の問題でございますので十分御議論をいただき、政府がどう考えるべきであるかというような点について国民を代表する国会としていろいろ御意見を十分闘わしていただき、私どもに聞かせていただきたい。私ども国会を通じ、そしてまた直接にも国民の皆様方の御理解を得て納得のいく防衛力整備増強を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 原田昇左右

    原田委員 どうもありがとうございました。
  44. 高田富之

    高田委員長 井上一成君。
  45. 井上一成

    ○井上(一)委員 まず冒頭に防衛庁長官に、昨夕イランから和田大使が帰国をしたわけですけれども、外務省なりそれらに近い機関からイランの情勢について、何か防衛庁お話がございましたか。
  46. 細田吉藏

    細田国務大臣 実は私、外務大臣からイランのいろいろな情勢について直接聞いておるわけではありませんが、常時外務省から御連絡をいただいておりますので、私の方のスタッフはいろいろ伺っておるということでございます。
  47. 井上一成

    ○井上(一)委員 では、スタッフたる人が昨夜、和田大使が帰られてから聞かれた状態について、ここで報告をしていただけないでしょうか。
  48. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 われわれ一般的に連絡は受けておりますが、昨夜和田大使が帰国してからの報告はまだ私は聞いておりません。
  49. 井上一成

    ○井上(一)委員 さて、審議に入る前に、私は国有財産としてのいわゆる航空機あるいは艦船あるいはその他防衛武器それぞれの管理状態について、すでに五十二年度決算の中で状態を報告してほしい、資料を出してほしいということを申し入れをしておったのですが、今日に至るもその資料が提出されておりません。これはひとつ委員長理事会で諮っていただいて、早急に次の委員会までに国有財産の管理状況、管理状態についての詳細を提出してもらわないと、この審議はでき得ない、こういうことでございますので、委員長にまず要望しておきます。
  50. 高田富之

    高田委員長 はい、善処いたします。
  51. 井上一成

    ○井上(一)委員 さて一防衛庁長官、一昨日新華社の記者団と会見をされた中で、いわゆる三海峡封鎖の問題について少し触れられております。潜在的脅威あるいはある種の形での海峡の封鎖は可能。潜在的脅威とは、ある種の形とはどういう方法、どういう形を指すのでしょうか。
  52. 細田吉藏

    細田国務大臣 ちょっと背景を御説明しないといかぬと思うのですが、新華社の社長から、三海峡封鎖というような点がアメリカの国防白書にも出ておるがどういうふうに考えるか、こういう話でございまして、私がお答えしましたのは、日本としては、ただ三海峡封鎖をしてくれという要請がどこかのほかの国からあっても、それで海峡封鎖どうこうということはできません、潜在的脅威という言葉はありましたが、潜在的脅威状況においてはそういうことはできません、これは侵略があり、または侵略が確実視されるときに、日本の国を守るために海峡がどういうふうにあるべきかということの場合に限るのでございますよ、どこかの国から言われたらすぐこれをやるというようなものじゃなくて、三海峡のうちの一つでも大変なことでございますから。そういうことを強く申し上げたのです。誤解があるといけませんので、その点は強く申し上げたわけでございます。封鎖の態様にはいろいろなものがあるということを申し上げたのが、どういうことですか、いまおっしゃったような表現になったと思うのでございまして、程度とか、それから三海峡についてどういうものになるかということについては、これはいろいろな態様があります。しかし、これを発動するのは、日本がただ潜在的に脅かされたということではできませんよ、そういうことをむしろ申し上げたつもりでございます。
  53. 井上一成

    ○井上(一)委員 具体的には、アメリカからそういう要請があっても日本は受け入れられない、こういうことに理解してよろしいですね。
  54. 細田吉藏

    細田国務大臣 日本に侵略がない、あるいは侵略の現実的なおそれがないという際にこれを考えることはできない、かように考えております。
  55. 井上一成

    ○井上(一)委員 過日の予算委員会では、アメリカからそういう要求があったときにはいわゆる安保条約の取り決めの中で事前協議の対象になるのだというような答えがあったのですね。いまの防衛庁長官の、アメリカから言われてもそういうことには取り組まないのだということで明確になったので、その点はそうとして、いわゆる侵略、侵されたときには、それはその時点で考えるのだ、こういうことでございますね。
  56. 原徹

    原政府委員 もちろんわが国に対する侵略があった場合にどういうふうに行動するかということは、最終的にそのときの状況判断によるわけでございます。
  57. 井上一成

    ○井上(一)委員 海峡の封鎖なんというのはそう簡単にできるものじゃないわけなんですが、侵略を受けて後に封鎖をするということはむしろ戦略上非常にむずかしいことだし、そんなことは普通はやらない、予防的な立場で封鎖するということはあり得るかもしらぬけれども。それじゃあくまでも三海峡の問題については、わが国の侵略上とのかかわり合いで問題になるということでございますね。
  58. 原徹

    原政府委員 自衛隊の任務はわが国を守ること以外にないわけでございますから、わが国を守ることとの関連において、すなわちわが国に対する侵略との関係においての問題であるというわけでございます。
  59. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、マスコミも含めて素人的発想かもしらぬけれども、三海峡の封鎖というのは、ペルシャ湾の支配云々、そのことから意義を持つというふうに受けとめられがちなんでございますが、防衛庁はそういうことではないというお考えでございますね。
  60. 細田吉藏

    細田国務大臣 ペルシャ湾の問題がどうなったから三海峡を封鎖するしないという問題ではないと心得ております。
  61. 井上一成

    ○井上(一)委員 あくまでもわが国は平和主義そして平和に徹するという立場から、もちろん米軍から、アメリカ政府から依頼があってもそういうことについては対象にしない、ペルシャ湾云々ともこれは全く関係ない、かかわり合いはないんだ、こういうことでございますね。  外務省にお尋ねしますけれども、外務省は三海峡封鎖について、いままでの公式論は一体どうであったのか、あるいは現在その公式論を修正されているのか、その点について、今度は外務省に聞いておきます。
  62. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  まず初めに、三海峡封鎖の問題につきましては、先ほど来防衛庁長官も答弁しておられますとおり、国防報告にあのような記述がありましたけれども、具体的な要請というものがいままで日本政府に対してあったことはございません。  それから先生、事前協議との関係のお話をされておりましたけれども、私は、本件は理論的には二つに分けて考える必要があると考えております。まず第一点は、日本が現実に攻撃されているときに三海峡封鎖の問題が発生する場合、日本が攻撃されていないけれども、アメリカがいわゆる極東の事態との関連で行動しておるときに三海峡封鎖問題が起こってくる場合、その二つの問題でありまして、これは先生、防衛の方は専門でございますから御説明のあれはございませんけれども、前者につきましては、事前協議、いわゆる安保条約の交換公文で言っておるところの事前協議の問題ではございませんで、日本が攻撃されているときに日米がいかに共同して対処するかという、そういう対処行動の中でお互いに意見交換をする問題だろうと思います。具体的にその場合三海峡封鎖をするかしないかというのは、ただいま防衛当局から申し上げておりますとおり、そのときの事態によるわけでございますから抽象的に論ずることはできない。  第二点の、日本が攻撃されていないにもかかわらずアメリカが極東の事態に対処する関連で三海峡を封鎖したい、そういう関連で日本との行動を求めてくる云々という問題につきましては、これは事前協議の問題であろうかと思います。  御承知のとおり、戦闘作戦行動の一環として機雷封鎖行動が行われ、そういう行動の関連で日本施設区域が根拠基地として使用されるということであれば事前協議の問題でございまして、これについては日本政府としてはイエス、ノーのいずれのことを言う権利も持っておる、こういう考え方でございます。  以上でございます。
  63. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、外務省としては二つのケースに区分をし、そしてそれに対応していく、こういうことですね。  いままでの公式論とは少し変化していると思うのですね。これは外務省がいま言われたような見解であればそのように受けとめます。  それでは外務省は、中期業務見積もりを五次防に格づけすべきだ、そういう考え方を持っているという。これはどうなんですか。
  64. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  本件につきましては、新聞で非常に大きく報じられましたので、かつ、いろいろなところから反響がございましたので、私は、外務大臣の記者懇談から出た話ですが、記録をしさいに調べてみました。けれども、新聞の側からも大臣の側からも五次防というような発言は一切ございません。新聞の側からは、外務省としては何か政府として決まったものがあれば対外的な説明はやりやすいでしょうと言われたのに対して、大臣は、そういうものもあればやりやすいですね、こういうやりとりがああいうぐあいに伝えられたわけであります。ちなみに政府として実際に決まったものがあるかというと、実は防衛計画大綱がございます。
  65. 井上一成

    ○井上(一)委員 報道で、防衛庁長官もこのことに合意したというようにも一部報じられているわけです。  それはそれとして、それでは防衛庁の中期業務見積もりという位置づけ、これは単なる目安、そういうものなのでしょうか。
  66. 原徹

    原政府委員 中期業務見積もりは、五十一年に防衛計画大綱ができました際に部隊の規模というのが別表に書かれてあるとおりになったわけでございますので、そういう意味から、従来三次防とか四次防のように調達計画というものは必ずしも必要ではないというような考え方もあったわけでございます。単年度ごとの予算でやるということに変えたわけでございますが、現実問題といたしまして、防衛庁の中でそれぞれがいろいろ考えておることがあったといたしましても、今後数年間にわたってどういう事業をやるかということについてコンセンサスがなくては困る。そういう意味で五十五年から五十九年にわたる間の正面装備、主要な事業でございますから正面装備になるわけでございまして、それを中心に大体こういうことをやろうというコンセンサスをつくってあるわけでございまして、それに基づいて翌年度予算の要求をする。そういう意味では参考資料でございますけれども、こういうことをやろうという意味では私どもの一つの努力目標でございます。
  67. 井上一成

    ○井上(一)委員 ここで防衛庁長官にシビリアンコントロールの概念というものを私は確かめておきたいと思うのです。  なぜなのかというと、いま外務大臣の発言について五次防の格づけで言いわけがありましたけれども、単なる努力目標であるにしても、国会の承認も、あるいは国防会議、そういう機関の中での討議も省いて、防衛庁内の勝手な構想で中期業務見積もりが動き出していくということは、シビリアンコントロールという概念からして非常に危険だ、こういう考えを持つのであります。それであえて防衛庁長官にシビリアンコントロールの概念をまず聞いてみたいと思います。
  68. 細田吉藏

    細田国務大臣 中期業務見積もりがひとり歩きをするとシビリアンコントロールというものが失われていくのではないか、ちょっとそういうふうに承りましたけれども、中業見積もりというのは防衛庁長官が中心になりましてつくるものでございます。したがってこの点は、制服がどんどん自分で勝手に進めておるということでは断じてございません。その点についてもし心配があるようでございますとこれは大変な問題でございますから、私たちは厳にその点についてははっきりいたしておるつもりでございます。  そういうことでございまするので心配はないと思いますが、シビリアンコントロールの本義はどうかということでございますが、かつて旧憲法の際には統帥権というものがあって、当時の軍が独自にどんどん、政府あるいは大きく言えば国会、国民と離れたところでいろいろ行動を決定して、あの戦争のああいう結末になった、そういう状況でございまして、結局それに対するシビリアンコントロール、国民が国の防衛については何といっても決定をするのである、これを受けて国会が国民の代表としてコントロールをする。しかし行政でございますから、これは国会から信任を受けておる内閣総理大臣が行政府の長でございまするので、内閣総理大臣が自衛隊の指揮者でございます。そしてその下に防衛庁長官がおる、そういう体制でございまするので、シビリアンコントロールはさようなものであるというふうに考えておる次第でございます。
  69. 井上一成

    ○井上(一)委員 大まかな概念論に入ったわけですけれども、シビリアンコントロールということはどうしても国民がやはり理解をしなければいけないし、合意をしなければいけないし、国民の納得がなければいけないということなんです。納得し理解されるために真実、実態というものを国民に知らさなければいけないし、知ってもらわなければいけない。そういうことは隠しておる、あるいは故意に太く報道する、知らすべきことを全く知らさない、そういうこともある。そういう状態であるし、法的な規定、法的根拠がまだまだ不十分なんですね。これは社会党は自衛隊それ自体の存続を否定する立場でありますけれども、現実に自衛隊があり、そういう中で自衛隊の任務規定あるいは権限規定、そういうすべての規定が正確にそこにいままで整備されておらない。後で具体的な事例は申し上げますが、整備されていないそういう段階で、いや内閣総理大臣が、いや防衛庁長官がという形で既成事実をどんどん積み上げていく。それはまさにシビリアンコントロールに反していく。それの歯どめをどこでかけるのだ、こういうことなんです。
  70. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変貴重な御意見でございまして、今回安全保障特別委員会ができたのもそういうところに根本の趣旨があるというふうに私ども承知しております。この防衛の問題についてはできるだけ知っていただく。これは国民の御協力、そして国民の代表としての国会の御協力をいただかなければできないことは当然でございます。協力というよりはむしろ主人公は国民であるわけでございますから。ただ、いままではとかくそういう点について、どういうふうなルールでどこまで国民に知ってもらうかというような限界、分界、そういう点について必ずしも明確でなかった面もあると思うのです。もともと防衛のことでございますから秘密がある程度保たれなければならぬということもあるわけでございます。ですから、その間の調整がどの辺までが分界であるか、どの辺までおわかりいただいて、御理解いただくかという問題でございますので、そういう点については今後十分御論議をお願いをしなければならぬ、こう私どもの立場としては考えておるわけでございます。ただ、私どもとしましては、これまでのところは、秘密の部分は出すことはできませんけれども、そのままずばりの形でなくても、おわかりいただく、御理解をいただく程度の資料はできるだけ出しておるつもりでございますけれども、いやその点は足りないじゃないか、これはもっと出すべきじゃないかといったような御議論はこれからいろいろあるのではなかろうか。これまでもあるわけでございますが、そういうことをよりはっきりさせていくということが基本的に大事なことである、私はかように思っておるわけでございます。
  71. 井上一成

    ○井上(一)委員 より明確にしていくということは大事なことであるし、基本的な考え方としてはいまそういう方向に持っていくということです。しかし、いま冒頭に言ったように、五十二年度決算審議に当たっても、国有財産として保持されているものがどうであり、かつそれはどうなっていっているんだ。償却が終わってそのものはスクラップ状態にあるのか、あるいはいろいろな意味でパーツの入れかえがある。それは商社を絡めての。パーツで、これは後で話します。国民の合意を得てあるいは国民の納得を得てなんてかっこうのいい話をしているけれども、まさに実際はそうじゃないということなんですね。やはり防衛というものは、その国の力あるいは経済カあるいは国際情勢、そういう中から勘案して防衛というものが仕組まれていくと思うのです。金さえどんと積めば防衛力が強まるのだ、そんなことは、えらい失敬な話だけれども、さっきの先生とは、金がなければ防衛はできぬ、金を積んだら防衛ができる、全くナンセンス、私の考えには合わない。それで、もう一歩進めて、いわゆるGNP一%云々ということでアメリカから強制をされ、そしてそれを着実に進めようというような話なんですけれども、これも防衛庁は一応五年、外務省は四年くらいの考えですが、たとえば五十九年に一%になるためにはどれくらいの累積予算になるか、防衛庁長官、御存じでしょうか。
  72. 細田吉藏

    細田国務大臣 先般予算委員会で大蔵省が試算したという数字は、私ども承知をしております。しかし、これはいろいろな条件を大蔵省が独自でつくりまして、その結果という表を出したということで承知しております。
  73. 井上一成

    ○井上(一)委員 それを言ってください。
  74. 原徹

    原政府委員 私どもは中期業務見積もりをつくりまして、そして正面装備について五年間で五十四年度価格で二兆七千ないし二兆八千億円ということでございまして、従来の防衛計画のように人件費その他のもの、そういったものの積み上げをいたしておらないわけでございます。しかし、その間一種のサイドチェック等をいたしますと、GNPが経済計画のように推移いたしたとしても現在の〇・九%の水準ではなかなか二兆七千ないし二兆八千億円は入らない、だんだん一%に近づく、そういう感覚は持っておるわけでございますが、全体の防衛費を積み上げているわけではないわけでございます。  ところで、そういうことでございますが、先般大蔵省の方で一定の仮定のもとに計算をすればどうなるかという計算をいたしたのがございますわけで、そういう考え方に近い考え方になるだろうと思いますので、それを御参考までに申し上げますと、これはGNPがどれだけ伸びるかということとの絡みでございまして、その試算ではGNPが一一・四%伸びる、そういう前提に立った場合に、五十八年度防衛関係費がGNPの一%になるのには平均で年率一五・四%ずつ防衛費が伸びていく必要がある。その際、現在が二兆二千三百二億でございますが、五十六年度は一五・四%伸びますと二兆五千七百三十一億、五十七年度が二兆九千六百八十七億、五十八年度が三兆四千二百五十億になる、こういう計算になっております。
  75. 井上一成

    ○井上(一)委員 これをひとつ防衛庁長官にお渡しをしていただけませんか。私の試算ですが、よろしいですか。——いま大蔵は一一・四%の平均経済成長率。私は新経済七カ年計画の中で一〇・六%という数字をベースに置いて試算をいたしました。この試算でまいりますと、五十五年度を基礎にいわゆる五十九年度GNPの一%、そうしますと、それまでの間の累積予算が三兆四千七百三十五億、まさに単年度、たとえば五十八年度の単年度三兆二千八百五十四億、これを上回るわけです。五十九年度では三兆七千七十八億。三兆五千億に近い防衛費の財源をどこに求められるのですか。防衛庁長官、私は非常に財源の心配をして私なりに積算をしたわけです、もちろん正確な基礎データをもとにして。三兆四千七百三十五億も累積増額されていく、こんなばかなことがいまの日本の国家予算の中で行い得るとお考えなのですか。この財源はどのように考えていらっしゃるのですか。
  76. 細田吉藏

    細田国務大臣 いまちょっと表を拝見しただけでまだ詳しく見ておりませんが、恐らくそういういろいろな条件を積算の基礎になさるとそういう数字が出るということについては、御計算になったのでしょうから間違いがないというふうに思いますが、大蔵省の数字にいたしましても、かなり大きな数字が出ておるわけでございまして、これが実現可能かどうかということは、日本の現在の状況を見てきわめてむずかしい問題であるということについては私どももわからぬわけではございません。数字予算について私どもが全然無関係にどうこうということを言っておるわけではございません。したがって、どこから財源を求めるかという問題は実は私の守備範囲外の問題でございまして、全体として政府はどう考え、国会はこれに対してどう考えるかという問題であろうと思っておるわけでございます。
  77. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、大蔵は一一・四%ですから、さらに数字の上では若干の増加があるわけなんです。私は一〇・六という積算でやったわけですが、やはりシビリアンコントロールで、こういうことをきっちり詰めていかなければ、実際できもせぬのにアメリカから言われて外務大臣が、ああ努力します、うん、そうですかという、余りにも国民の生活、日本の国力、実態、そんなことを考えていらっしゃらない。国債を発行するか、あるいは増税をするか、福祉の見直しをするか、そういうことをしたって、どれをとったって、これだけの防衛費増額予算なんというものは出てきっこありませんよ。もちろん国債はだめだ、増税もだめだ、福祉の見直しもだめだ、これは昨年の総選挙で国民の意思というものは明確になっているのですよ。  そういうことを考えて、防衛庁長官、これは実際問題としてはむちゃな話でしょう。私は、余った金があれば有効に使うということについては、そうきつく指摘も続けませんけれども、金はない、それなのにこんな莫大な金、片一方でそれをGNP一%に努力するなんて、めちゃくちゃじゃないですか。本音として、防衛庁長官、いかがですか。こんなことは、それはできればいいけれども、とうてい無理だな、こう防衛庁長官が腹で思っていらっしゃるのじゃないかと私は思うのです。真剣に取り組んで、これに努力すると言われるなら、その財源の確保についてはどうするのだということをもう一度聞いておきます。
  78. 細田吉藏

    細田国務大臣 私どもの考え方は、いま率直に申しまして、五十五年度予算ができたばかりでございますが、五十六年度の当面する予算をどうすべきかということが近い将来に対する一つの試金石だというふうに思っております。したがって、五十六年度予算の概算要求等ももう間もなく出さなくてはいけません、そういう時期にかかっておりますので、私たちは五十六年度、できるだけの努力をした予算を組むべきであるというふうに考えております。  いまのところ、五カ年計画、四カ年計画という——大きなものは防衛計画大綱がすでにあるわけでございますし、一%というのもあるわけでございます。中業見積もりというのは、その防衛計画大綱の中で主要な装備の問題等をどうするかということについての中身を決めておるわけでございます。ですから、その中でどれとどれを先にやるべきかということで考えておるわけでございまして、私どもは、率直に言いまして長期見通しをいま立てることはなかなか困難ではなかろうか。したがって、先ほど防衛庁長官が五次防というものに賛成したようなこともちょっとおっしゃいましたけれども、そういうものは全然ございません。五次防というようなものを私どもいま考えておらない、こういうことでございます。
  79. 井上一成

    ○井上(一)委員 五次防を考えていないということは確認をしました。外務省の方から何かそういう、防衛庁長官合意をしているような報道があったものだから、確認をしておいたわけです。  いま来年度、五十六年度予算で精いっぱいなんだ、五十九年度なんてほど遠い話だ、それは防衛庁長官、そのとおりかもわかりませんけれども、それであればあるほどこういうものは軽々に論ずるべきでない。これはみんなわかり切りながら、兵器産業あるいはアメリカの武器輸出、そういうことで、日本の兵器産業、企業も含めて、知らぬ間にどんどん既成事実をつくって、そこに働く労働者が今度それをやめると言ったら首を切らなければならぬ、そうするとその人たちの生活はということで、何かやり方が非常に先を見通して汚いのじゃないか。だから、こんなことは五十九年にはできっこないという方針をやはり防衛庁長官が持ってもらわなければいけないと思うし、この問題については、またさらにもっともっと詳しい質疑を行わなければいけないと思います。機会を改めます。  五十六年度予算というものが出たから、ついでに五十六年度予算について見解を少し尋ねておきます。  過日、大来外務大臣がアメリカへ行かれて、そして帰国早々総理と会見をし、その中で、地位協定の枠内で在日米経費施設面において今後いかなることが可能かを防衛庁とも協議の上検討するよう指示があった、こういうことが報ぜられているわけです。これは防衛庁と協議の上検討するということになっているのですが、もうすでに協議に入っていらっしゃるのでしょうか。
  80. 玉木清司

    ○玉木政府委員 お話しの、今後の地位協定におきます施設経費の負担という問題につきましては、この夏の昭和五十六年度概算要求の問題でございますので、いろいろなお話を承っておりますが、具体的にまだ検討しておるという段階ではございません。
  81. 井上一成

    ○井上(一)委員 いま日米間での大きな問題は、通産関係での貿易摩擦、これは別に置いて、防衛関係では、やはり日本防衛費が少ないということ、あるいは安保ただ乗り論というような論理があるわけです。いま指摘をしたように、防衛費増大の問題については、〇・九%から一%に〇・一%増額するだけでも三兆五千億の多額な財源が必要であり、これについては防衛庁長官もそう簡単に五十九年度までの見通しなんというのはここで明確に言えない、そのことについて、私は受けとめ方としては、そう簡単にいかないということだと受けとめているわけです。大蔵省なり外務省がどう言おうとも防衛庁として、あるいは防衛庁としての見解が十分でないかもわかりませんけれども、来年度に中期業務見積もりの何らかを具体化することの方がより優先なんだということなのか、それは私はわかりませんが、大来外務大臣が帰られて、安保ただ乗り論という、そういう論理から、基地労務者の給料だとかあるいは電気、ガス、水道、光熱費ですね、そういうものをわが国が財政負担をしていく、それを五十六年度予算から負担する、そんなばかなことはないでしょうね。いわゆる地位協定二十四条の一項でしたか、アメリカが全額負担する、概算で十一億ドルですか、そういうことの中での一部をわが国の国家予算で五十六年度に負担をする、そんなことはあり得ないですね。これは確認をしておきたいと思うのです。
  82. 玉木清司

    ○玉木政府委員 日米間で駐留経費をどう負担していくかということは、地位協定二十四条におきまして明らかに原則が示されておるところでございまして、この枠内において対処しておるわけでございます。  労務費の問題が出ましたけれども、かねがね申し上げておりますように、労務費につきましては、地位協定の枠の中におきましては現在負担しておる程度が限度であろうというふうにわれわれは考えておるところでございます。
  83. 井上一成

    ○井上(一)委員 光熱費をさらに今度わが国が負担するというようなことはありませんね。
  84. 玉木清司

    ○玉木政府委員 光熱水料につきましては、純粋の維持経費のように私ども受け取っております。したがいまして、二十四条一項で米側の負担をするものと当然に考えております。
  85. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらにここで防衛庁長官に念を押しておきたいと思うのですが、いわゆる武器輸出三原則というものがありますね。これは四十五年に佐藤内閣の時代に閣議決定をされておりますし、たしか五十一年の三木内閣の折には、より充実をしたわけであります。そしてまた今後ともこの武器輸出三原則の精神を尊重して守り通しますね。
  86. 細田吉藏

    細田国務大臣 武器輸出の三原則については、これを守っていくという政府の方針に変わりはございません。  なお、先ほどちょっと気になる御発言がありましたので……。答弁の機会がありませんでしたが、外部でいろいろな御意見があるのが、あたかも防衛庁と関係があるように聞き取れるかもしらぬと思うような御発言がございました。ずるいとかなんとか、何かそんな話もあったようでしたけれども、徴兵制とか一・九%とか武器輸出とか、いろいろな話が出たりしておることは私どもも承知をしておりますが、私どもと関係はございませんので、その点ははっきり申し上げておきたいと思います。
  87. 井上一成

    ○井上(一)委員 非常にはっきりお答えをいただいたわけです。防衛庁長官、むしろああいう発言は迷惑ですね。
  88. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛に対して大変御熱意のあることは、これは迷惑と言ったのでは申しわけないと思いますけれども、たとえば徴兵制を実施するというような話につきましては非常に誤解を招きやすい、これはもう憲法を改正しなければならぬ問題でございますので、批判をするのはいかがかと思いますけれども、私どもとしては問題にならないというふうに思っております。
  89. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、全く迷惑だろうと私も思います。さらに、武器輸出の問題をなぜ念を押したか。そういう傾向があり、そういうことが起こり得る状態になりつつあるということを私はここで少し予言をしているわけなんです。だから防衛庁長官に、政府はそういうことには歯どめをきっちりかけてくださいよ、こういうことです。  余り時間がありませんので、さらに少し具体的なことに入りますけれども、航空機だけに限らず、兵器の、米国日本との輸出入、FMS方式は、昨年の一月にグラマンの問題が提起されて、それから商社のリベート云々あるいはそこに政財界の癒着というものが明らかになって、政府間取引が決められ、今日、政府間ベースで取引が行われているわけです。防衛庁は、このFMS方式を取り扱うについてアメリカに何人の人材を派遣し、そして現在その人たちはどこに駐在をして、どのような任務についていらっしゃるか、聞かしてください。
  90. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 突然でございますので、いま数字を調べているところでございますが、ちょっと時間をいただけないかと思いますが……。
  91. 井上一成

    ○井上(一)委員 もうすでに製造中止になった、そのような部品についてはどのようにしているのでしょうか、どういう仕入れの方法をしているのでしょうか。
  92. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 主要装備品のすでに使わなくなったものに関する部品については、私どもは購入をしないということにいたしておりますし、さらに、その部品につきまして他のものに供用できるものについては供用する、こういう措置をとっていると考えております。
  93. 井上一成

    ○井上(一)委員 わが国が使用し、そしてそのパーツ、アメリカのメーカーではすでに製造が中止されているそういうパーツについてどうしているのですかと聞いている。
  94. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 いま先生御指摘のような部品につきましては、事前にできるだけそういった生産の条件に関する情報をとりまして国内で生産する、あるいはそういう部品の手当ての状況を事前に考えまして装備の今後の新しい調達について配慮していくということをやっておるわけでございます。
  95. 井上一成

    ○井上(一)委員 本当にそのようにしているのですか。そうじゃないでしょう。アメリカには中古の部品市場がある、そういうところで商社を通して、アメリカのそういう専門家、代理店、いろいろあるけれども、そういうところで買って間に合わしているのじゃないですか。そういうことは一切やらないのですか。アメリカの中古部品市場で仕入れないと言い切れますか。
  96. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 私ども、原則としてそういうものはないと思いますけれども、さらに調査をしてみたいと考えております。
  97. 井上一成

    ○井上(一)委員 そういうもののパーツを日本の商社に頼みますね。日本の商社はそれをアメリカのそういう市場で探してくるわけなんです。しかし、日本の商社は必ずしもアメリカのそういう市場に詳しくないから、アメリカで、日本の商社等の代理店がそういうところで、そういうものを買っているのでしょう。  私はここで何を申し上げたいかというと、調査をして資料を出してください。いわゆるわが国航空機等に必要な部品の取りかえを納入している企業、商社。そしてそれは、商社ですから決してダイレクトで自分のところがつくっているわけではありませんから、アメリカのそういうところで買うのです。そこへ防衛庁からどんな形で、どの人が天下っているか。さっき言ったようにFMS方式を去年一月からとったわけですけれども。  まだわかりませんか。昨年の一月にFMS方式をとるといって、それまでの状態から政府間取引に切りかわったわけですよ。切りかわったとするならば、それを任務とする何人かの防衛庁の専門家がアメリカにおらなければ、これは話になりませんね。
  98. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 ワシントンには二名おります。それから、あとは各州に散らばっておりまして、九名がFMS関係の担当をやっております。
  99. 井上一成

    ○井上(一)委員 その人たちは、昨年グラマンで問題になった以後に赴任をしたのですね。ワシントンの二名を含めて九名ですか。
  100. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 これは前から駐在しているものでございますが、五十五年度予算ベースでは、別途また追加分が数名あったと思います。
  101. 井上一成

    ○井上(一)委員 何を言っているのですか。去年一月に、いわゆる商社等の癒着があるから政府間ベースで取引をすべきだ、こういうことなんですよ。それをFMS方式でやりましょうということで、国会で約束をされて、そういうことでいわゆる航空機、その他自衛隊の必要な武器をアメリカから輸入しているわけなんです。商社を通さないということを原則にしているわけです。にもかかわらず、現状もなおかつ実質的には商社を通しているということの指摘を私はしたいわけです。ことし五十五年度ベースで云々とおっしゃるが、昨年の一月にすでに問題があったのだから、新しい任務を持ってそういう人たちがプロが参加をしていかなければいけない。西ドイツだとかそういうFMS方式ですでに取り組んでいるところは、多いところは三百人ぐらいおりますよ。だから、そういう意味では、FMS方式を取り入れている諸外国の比較、そういうこともひとつ資料として出してください。
  102. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 FMS制度につきましては、従来から私ども、購入の重要な方式の一つといたしましてそれを採用しているわけでございますが、昨年は先生御指摘のようにダグラス、グラマン問題が国会で審議されまして、私どもそういった御審議を受けまして、極力FMS方式を航空機について考えていきたいということを申し上げたわけでございますが、FMS制度そのものは従来から私ども輸入方式としてとっているわけでございまして、その体制としまして、先ほど申しましたような担当者がアメリカにいるわけでございます。その上にさらにFMS問題が非常に重要になってまいりましたので、五十五年度予算案におきまして、さらにその調査あるいは派遣というものにつきまして拡充をしていく、こういうことにしているわけでございます。
  103. 井上一成

    ○井上(一)委員 だから、私が言ったように、FMS方式はグラマン以後に問題になったのだから、それ以後の実情を資料で提出してくださいと言っているのです。わかりましたね。資料で提出してください。−時間がないので、どうですか、出せるか出せないのか。
  104. 倉部行雄

    ○倉部政府委員 できるだけ先生の御要望に沿いたいと思います。
  105. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、非常に大事なことなんですけれども、安保条約の七〇年の改正の折に、付属書の中で削られた分がありますね。御存じでしょうか。
  106. 丹波実

    ○丹波説明員 申しわけありません。先生の質問、必ずしも正確に聞けなかったのですけれども、七〇年の安保改定と言われましたでしょうか。七〇年のときには安保条約及び関連の文書の改定というものは行われていなかったと思うのでございますけれども……。
  107. 井上一成

    ○井上(一)委員 付属書の第三、変えていませんか。
  108. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  付属書の第三というのは、あるいは先生が言っておられますのは相互援助条約のことなんでございましょうか。ちょっと申しわけありませんけれども、御質問が必ずしも私、よくわからないのです。
  109. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、国民にすべてを知らす、そしてその中から合意を得ていく、国防というものはそんなものである。私の調査では、七〇年の自動延長のときに、付属書の第三、航空保全管制SCAT、SCATER、これを削っていますね。防衛庁はこれを知らないのですか。防衛庁に関係が深いからぼくは尋ねたのですが、防衛庁長官、それはちょっとおそまつですよ。
  110. 丹波実

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  申しわけございませんでした。先生は安保条約の付属書と言われたものですから、ちょっと私わからなかったのですが、先生が御指摘になっておられますのは、合同委員会で決めたいろいろな取り決めの中に、航空管制に関する取り決めがございまして、その取り決めに付属書一、二、三、こういうものがあって、その付属書の三が、沖縄返還の前後に若干変えられた、そういうことがあったかどうか、そういう御質問だろうと思うのです。その点につきまして、私、突然の御質問なのでちょっとあれなんですけれども、沖縄返還の前後に、近代化といいますか、いろいろな事情の変化がございましたから、当時の状況に合わせるために改定したことはたしかあったのではないかと記憶しております。
  111. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、これは早く言えば、一たん事があった場合に、航空管制をいままでアメリカの方でいろいろコントロールしておったのを放棄したわけなんです。運輸省は逆にそれで制空権がこちらの手に入った、こういうふうな理解をしているかもわからないし、そういう論法もあると思う。ところが一たん有事のときに、そういうことをしたということは、もうアメリカの空軍は逃げているのですよ。日本を守るのだと言っているけれども、片面では、これを削ったことは、逃げてしまっているわけです。有事の場合には、民間航空、遊軍機、そういうものを含めて、みんな一番近い飛行場におろすわけですね。ところが、そういうことはもうこれでやめたということが大まかなことなんです。そういうことを防衛庁は御存じないのか、いまのところではだれも返事をしてくれないし、私はこれは安保条約と関連した付属合意書だと思うのです。そういうことで、アメリカ日本を守るのだと国民みんなに言っているけれども、こんなことを言えば、アメリカの軍隊は日本を守るために駐留するのじゃなくして、有事のときには撤兵ですよ、撤退ですよ。だから、有事駐留なんということとはうらはらな一つの具体的な事例である、こういうことなんです。この点について防衛庁長官、その事実関係等、これによってどうなるのかということを、よく部下にレクチュアを受けてください。
  112. 細田吉藏

    細田国務大臣 沖縄の返還時に航空管制について変わったということにつきましては、私も実は運輸関係を長くやっているものですから、その関係のことは承知しておりますが、ただいま御発言中に、アメリカの空軍が日本を逃げているとか、アメリカ防衛しないのだという、非常に重大な御発言がございますけれども、私どもはさようなふうに考えておりません。そのことは安全保障条約を完全に頭から無視するということでございますから、あるいは反対の立場ではそういうことは言えるかもしれませんが、大変重大なことだと思っております。そのようなことになるのかならぬのかという点につきましては、私もなお詳細にもちろん検討いたしますが、さようなことには相なっておらないというふうに私ども存じております。
  113. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私はもう一点尋ねておきたいのですが、わが国の領土の中で核兵器に対する防御施設、そういうものが存在するかしないか、これは米軍に提供している国有財産の中、いわゆる米軍の基地の中をも含めて、そういうことが存在するかしないか。
  114. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 これも従来から御質問いただいている点でございまして、いま手元に資料を持っておりませんけれども、米軍が一般に核攻撃に対する防護能力を備えておるということは事実でございます。
  115. 井上一成

    ○井上(一)委員 防衛庁長官、そのような設備があるということについて防衛庁長官はどう御判断をされますか。
  116. 細田吉藏

    細田国務大臣 米軍がそのような能力を持っておるということについては、私ども聞いておるわけでございまして、これについて、私はどういう御質問の趣意かよくわかりませんが、非常にけしからぬとかいうふうには考えておりません。
  117. 井上一成

    ○井上(一)委員 わが国の領土の中に、米軍の基地とはいえそういう施設があるということについて、非核三原則あるいは日本の平和憲法、あらゆる意味から、それは妥当だと、私は決して妥当だとは思わないのですけれども、そういうことが法的に許されるのかどうか。
  118. 細田吉藏

    細田国務大臣 御承知のような非核三原則でございますので、核兵器を持ち込んだり、また日本自身がどうこうするという問題ではないように心得ておるのでございますが、私どもはさように思っておるわけでございます。
  119. 井上一成

    ○井上(一)委員 余り時間がありませんが、もう一点だけ、ひとつ尋ねておきます。  先ほども少し申し上げましたが、自衛隊が現実に存続する、そして自衛隊の任務規定が明確にされる、なおかつ、それと一体的にあるべき権限規定というものが非常に整備されていない、こういうふうに思うわけです。たとえば領空侵犯の場合には任務と権限、あるいは海上における侵犯の場合は任務と権限、そういうことについても海上の方は明確になっておるけれども領空の場合は明確でないというふうに私は理解しているのです。そういうことをやはりきっちりこの際、いろいろな議論があるでしょうけれども、そういうことも行政、政府としてはやはりきっちり答弁をしてこなければ、本当はいけないと思うのです。そこらはどうなんですか。八十二条、八十四条、いろいろ自衛隊法の中で法の拡大解釈あるいは何か自衛隊法以外の法を適用する、そういうことでいいのでしょうか。
  120. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの件は、いわゆる有事に際しての自衛隊の行動にかかわる自衛隊法の適用の問題、すなわち、いま有事法制という形で一昨年の九月二十一日から統一見解に基づきまして研究を進めておる問題点、及び平時における警戒行動に伴う領海侵犯あるいは八十二条の海上警備行動、この権限、任務等を明確にしてはどうかという御質問であろうかと存じます。  この問題につきましては、昨年も御答弁申し上げておりますが、一昨年の九月二十一日の政府統一見解、すなわち憲法と現行の法律及び政策の範囲内において、現在のその種の規定が、骨幹はできておりますけれども、なお不備がないかどうか、十分であるかどうか、現在研究を進めておるところでございまして、政府の内部におきまして、関係省庁とも現在検討を進めておるところでございます。
  121. 井上一成

    ○井上(一)委員 こういう質問になると、必ず有事立法化をと、こうなるわけです。国民はそういうものを求めておらないし、むしろ自衛隊が武器を持って、あるいはいろいろな意味での兵器を持つことを規制すべきだ。だから、自衛隊が権限規定と言えば、そんなもの持たれないんだという、私から言わしたら、そういうものはどこにも持っちゃいけないという、持てるという法規がないわけですから。それを、ないから今度有事立法でつくっていこう、そういうことは間違った認識だ。本当にシビリアンコントロールというのは、そういう任務と権限というものを明確にしながら、そしてその任務と権限をわきまえて行動を起こしていくというのがシビリアンコントロールで、もう与えられた任務があって、権限はないけれども、それをすべて通り越して、任務を全うするためには、法も何も要らないのだという、そういう中から超法規の問題が出てくる、こういうことがよくない。だから、そういうことをしてはいけないのだという一つの歯どめが必要だと私は言っているわけなんです。そういうことをしてはいけないんだ、こういうことを言っているんですよ。だから、任務が先に進んでしまって、そして後でどこの法、自衛隊法にもないのに、いや、それは警察関係の法律にあるか、あるいは刑法の中にあるかわからぬけれども、そんな法を持ってきてごまかしている、こういうことはよくない、そういうことを強く申し上げて、時間が参りましたから、私の質問を終えておきます。
  122. 高田富之

    高田委員長 新村勝雄君。
  123. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 私は、最初に原則的な問題について大臣にお伺いをいたしておきたいと思うのですが、すでに論議があったように、現在の日本の憲法体制のもとでは、自衛隊は存在できないはずでありますけれども、現実の問題として自衛隊があります。そこで、少なくとも現状を憲法の精神に沿って運営していくためには、いわゆる文民統制、これが絶対要件であるし、この体制を確立することが至上命令であると思うのでありますが、まず、この文民統制ということについての大臣のお考えをお伺いいたします。
  124. 細田吉藏

    細田国務大臣 先ほどもお答え申し上げました。が、シビリアンコントロールというのは、もう日本の場合、絶対守られなければならない大原則である、かように承知しております。シビリアンコントロールというのは、先ほども第二次大戦の前のことでも私申し上げましたが、あくまでも国民、そして国民の代表である国会、また国会から指名された内閣総理大臣が組織しておる行政府、この行政府のシビリアンが、具体的に言うと内閣総理大臣と防衛庁長官が責任者でございますが、あくまでもこの自衛隊の行動については規制をする、定めた方針によって何でもやるということが国の防衛の基本である、かように理解しております。
  125. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そのとおりだと思いますが、それはたてまえであって、現在の自衛隊の運営あるいは国防の関係、これが文民統制が本当に機能しているのだろうかという疑問の点がたくさんあるわけでありますが、果たしてこの文民統制が十分保障されているのかどうか、この点をもう一回伺います。
  126. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、そういう点についてはいまおっしゃったような御意見もいろいろ聞くわけですけれども、さようなことはない、かように存じております。かつていろいろシビリアンコントロールに反するような発言があったような場合もございますけれども、それは直ちにいろいろ処理をいたしておるというふうに理解をしております。
  127. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは制度的には総理大臣がすべての責任を持つ、そして指揮権も持つ、そして長官が実際の運営をするということでありましょうけれども、議院内閣制である以上は国会が文民統制の原点でなければならないと思います。原理的にはもちろん国民でありますけれども、制度的には国会が文民統制の原点ではないかと思うのですけれども、その点ではいかがでしょうか。
  128. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃるとおりだと思っております。国民の皆さんの御意見といいましても直接投票とかそういうことはございませんから、国会が国民を代表してシビリアンコントロールの一番基本になるところである、かように考えております。
  129. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、現に自衛隊というものが存在し、また国防というとさらに広い概念になりますけれども、国防という問題はもちろん必要でありましょう、これは軍事だけではありませんので。そういったことで原点は国会であるというふうに長官も認められたわけでありますけれども、現状はそういうことに全然なっていないんですね。国会に対して政府が果たしてどれだけの資料を提供し、どれだけの説明がされておるかといいますと、この問題については防衛庁がほとんど一人歩きをしている、あるいは場合によっては制服が先走り過ぎているというような現実もあるわけでありますけれども、こういう点についてはどうでしょうか。
  130. 細田吉藏

    細田国務大臣 国会に対しまして防衛の問題に対する資料を出すとかあるいは御説明とかというものが不十分ではないかというような御意見も私どもは聞くわけでございます。それは十分気をつけていかなければならぬことでございます。特に今度はそういった意味もございましてと思いますが、安全保障特別委員会というものができるというような運びにも相なったかと思っております。したがって、そういう点で足りない点があればこれは十分心して防衛庁当局としては当たらなければならぬ、かように存じておる次第でございます。  ただ、申し上げておかなければならぬことは、秘密の問題はございます。しかし、私どもは少なくとも防衛の基本的な問題について国会が御判断をいただくというところは、その辺の限界をどうするかというむずかしい問題はございましょうが、御判断をいただくというような資料はお出しし、御説明を申し上げなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  131. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 文民統制の原点であるならば、これはいろいろ手続あるいは方法の違いはあるでしょうけれども、国会に対して説明できない、あるいは開示できないということがあるのですか。
  132. 細田吉藏

    細田国務大臣 それは私はあると思います。行政府というものは行政をやっていく上において、広く国防、防衛に限らず秘密というものが、外交でも同様でございますが、これは司法、立法、行政三権分立のたてまえからいたしましてあると思うのです。ただ、それを何でもかんでも秘密だ秘密だというようなことは当たりません。これは最大限に資料をお出しし、御説明申し上げるということでございまして、そんなものは全然なくてよろしいというわけには実はまいらない、かように私は理解しております。
  133. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 自衛隊法でも、自衛隊の行動については最終的には国会が承認を与えるということになっておるわけですね。そうしますと、その最高の判断を与えるのは国会だ、その国会に対して重要な部分については秘密なので知らせないということでは正しい判断ができないと思うが、これはきわめて常識的な質問でありますけれども、いかがでしょうか。
  134. 細田吉藏

    細田国務大臣 これはごもっともでございまして、防衛出動をやる場合に国会の承認が要るわけです。あるいはそれが間に合わない場合には、後で承認が要るわけでございます。ですから、そういう御判断をしていただくのに十分な資料がなければならぬということでありまして、そのことが直ちに小さいことまで、また機密、秘密といったようなものまで全部出すということにはすぐはならない、かように申し上げておるつもりでございます。
  135. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そのときどきの作戦であるとかいわば国防の刻々に変わる動的な面について、あるいは作戦の内容等については一定の時間秘密を守る必要があると思うのですけれども、それ以外のことについては、これは国会に対して文民統制の原点だというふうに大臣はおっしゃるわけでありますから、その原点に対して秘密がある、開示できない部分があるということはどういうことなんですか。
  136. 細田吉藏

    細田国務大臣 基本的な御判断をいただく大きな問題につきましては、予算決算も出しておりますし、そのほかの予算の参考資料も出しておりますし、そういうものについてはできるだけ出すべきであるということを言っておるのでございます。秘密というのは、そういう国際的な関係とか防衛の持っておる性格からしてこれは秘密でなければならぬ、大事な国会であるけれども、国会に出るということが国会議員の皆さんだけにとどまればなにですけれども、これは外に出ることでございますから、そういう点についてある限界があるということだけを申し上げておるわけでございまして、国会の御理解をいただかなければこれは何もできないわけです。予算もそうでございますし、もう何から何までそうでございます。ですから、そういう意味で申し上げておるのでございまして、何かこう隠そう隠そう、いや勝手にやろうという考えでは毛頭ございませんことははっきり申し上げておきたいと思います。
  137. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 制度が文民統制ということになっていっても、そうしますと、事実は戦前と同じように統帥権の独立の時代と余り変わらないということになりやしないですか、その点はいかがですか。
  138. 細田吉藏

    細田国務大臣 どうも、そこまでおっしゃいますと、現実に、それでは制服の諸君がどういう動きをして、何をやっておるか、これはけしからぬのだという具体的な問題になりませんと、そうおっしゃいましても、私ども、さようでございますというわけにもちろんまいるわけではございませんので、さようなことは絶対ないようにということでやっておるわけでございますから、あとは具体的に、こういう点で独走しておるじゃないか、どんどん進んでいるじゃないか、こういう点は気をつけろというふうなことでやっていただく以外には、−私は昔の軍の時代もよく承知しておりますが、戦前と戦後は全然違うもの、かように考えております。
  139. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 具体的な点については後でまたいろいろお伺いしますけれども、まず原則をお伺いをしておるわけです。そういう点で秘密といいましても、これは防衛庁のどんな秘密であっても防衛庁の皆さんが扱われるわけですね。機械が扱うわけじゃない、人が扱うわけです。ですから、そうなりますと、防衛庁の皆さんは国会を信頼していないということになるのじゃないですか、国会に対して秘密があるということは。それはどうなんですか。
  140. 細田吉藏

    細田国務大臣 国会と防衛庁との接点に立っておりますのは防衛庁長官であります。したがって、この資料はどうであるかということについて、私がこれはお出しできませんという場合には、それだけの輪郭、それだけの理由を御説明申し上げて御納得いただかなければならない、かように理解しておるわけでございます。
  141. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そういうふうに長官が一線を守る、これ以上は開示できないということでは、文民統制が完全に確立をしているとは言えないと思うのですよ。それはどうですか。文民統制の原点が国会だというのに、その原点が何も知らない、何も知らないではないけれども、すべてを知ることができないということでは、これは原点にはならないですね。
  142. 細田吉藏

    細田国務大臣 どうもおっしゃる点で、国会は何も知らないというお話ですけれども、いまおっしゃいましたけれども、何も知らないわけではなくて、予算もお出ししておりますし、予算の参考書類もお出ししております。それから決算もお出ししておりますし、これまでも、たとえば今度の予算委員会でも、ほとんど連日防衛の問題について国会で論議が闘わされておるということでございまするので、われわれとしては、さっき申し上げた原則で、できるだけ国会にはお知らせをしたい、しかしある限界はございますからその点は御了承いただきたい、こう言っておるわけでございます。
  143. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、長官は、国会を完全には信頼できない、議員も完全には信頼をできないということですね。防衛庁の秘密だって、防衛庁の皆さんが扱っておられるわけでしょう。ですから、文民統制の原点である国会あるいは議員に対して、それが全部は提出できない、秘密があるのだということでは、これは原点にはならないと言うのですよ。これは具体的にはこれからいろいろ資料を御請求しますけれども、まず原則を聞いておきたい。
  144. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は、大きいことから小さいことから、何から何まで秘も何もなくて、全部国会には資料あるいはその報告を出さなければならないというお考え方であるとすれば、残念ながらその考え方には賛成できません。それで、できるだけ資料を出しまして、そしていろいろ御説明を申し上げて国会の御理解を得たい、かように存じておる次第でございまして、どうもそれ以上には見解が多少違うようでございますが、私はそういうようにお答えする以外にございません。
  145. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 国会が文民統制の原点になるためには、やはりいまの大臣のようなお考えでは、本当に原点になり得ない、まあ昔と同じではないけれども、やはり防衛が二元化をする危険があるということを申し上げておるわけですよ。この点でもう一回伺います。
  146. 細田吉藏

    細田国務大臣 内閣総理大臣や防衛庁長官は文民でありますが、この文民がやっておることではどうもしようがないのだ、これでは文民統制になっておらぬのだということにつながるのですか。私たちは、絶対にそういうことはないようにいたしたいというふうに思っておるわけで、御信頼いただく以外にはございませんけれども、さように思っております。
  147. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それは総理や長官を信用しないのではなくて、なぜ政府は国会を信用しないのかということです。そういう点で、ひとつなお一層お考えを深めていただきたい。
  148. 細田吉藏

    細田国務大臣 国会を信用しない政府などというものはないわけでございまして、国会を信用しないということは、それ自体民主主義の破壊でございますから、そのようなことはございません、国権の最高機関であり国民の代表でございますから。しかし、行政上の秘密というものはあり得ることはお認めいただかなければいけないと思います。だから、それがどういうものであれ最小限度にすべきである、なるべくお知らせすべきであるということについては同意見なのでございますけれども、そういうものはないのだ、それがなければ判断が全然できなくなるのだということでございますと、どうも私は賛成をすることができない、こういうことでございます。
  149. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは、行政上の秘密はあるでしょう。しかし、それはきわめて例外であって、対外的な国際的な信義の問題、あるいは作戦上の動的な一定の時間秘密を守るということが必要だ、こういうことがあるかもしれませんけれども、それ以外の点についてはすべて国会に開示をするという原則がなければいけないと思うのですね。そういう点で特に見解を求めたいわけです。
  150. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいまの御質問でよくわかりました。やはり秘密は国際的な関係とかいろいろな関係であるということはお認めのようでございますので、それはわかりました。秘密というのは程度がいろいろございます。ですから、国会にはできるだけ事情を御説明申し上げあるいは資料を出す、こういうことを先ほど来申し上げておるわけでございますので、あとは具体問題としての、こういうものについては出すべきであるかあるいは出せないかということを、国会の側と行政府の責任者である私との間で御相談をして判断をお願いする以外にはない。その点になりますと意見が食い違っておるとは思いません。
  151. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 だれでも納得できるきわめて例外的な部分を除いては、すべて国会に防衛問題についても開示を願いたいと特にお願いしておきます。  次に、すでに論議がありましたけれども、中期業務見積もりの問題でありますが、この問題についてアメリカから強い要請があったということは、私ども間接的に聞いておりますが、このアメリカの強い要請に対して、政府は、アメリカに対してすでにもう意思表示をされておりますか、どの程度アメリカとこの問題について意見の交換をされておりますか。
  152. 原徹

    原政府委員 先般大来外相が行かれた際に、ブラウン長官から、着実かつ顕著に防衛費をふやしてほしいというお話があったということを、私どもは外務省から聞いておるわけでございますが、私どもは、現在、私ども自身の判断として、防衛計画大綱水準をできるだけ早く達成したい、そういうことで考えておりますので、中期業務見積もりをそういう見地でただいま見直しをしている、その見直しが終われば、それに基づいて来年度の概算要求をしたい、そういうふうに考えてただいま検討中でございまして、それ以外に米側と私どもが相談をしたということはございません。
  153. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 着実かつ顕著なる増額というのは、その内容は、中期見積もりを一年間繰り上げるということですか。
  154. 原徹

    原政府委員 私どもは、先ほど申しましたように、できるだけ早く防衛計画大綱水準にしたいと思っておりますものですから、そういう見地でいま見直しをいたしておるわけで、最終的にどうなるかはわかりませんが、早目にしたいという気持ちは持っているわけでございます。
  155. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 きょうの報道によりますと、アメリカ国防総省のニコラス・プラット次官補代理に対して、中期見積もりを達成するよう努力するという公式の表明をしたというふうにフォローされておりますけれども、この事情はどうなんでしょうか。
  156. 原徹

    原政府委員 昨日プラットさんが参られまして、表敬でございましたけれども、重ねて大来外務大臣にブラウン長官が言われましたのと同じ内容のことが伝えられたわけでございまして、次官から、いま私が答弁いたしましたように、私どもとしてはできるだけ努力をしたい、そういうふうに考えているということを申し上げたわけでございます。
  157. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、このことはアメリカ側から見れば、日本は公式に表明したというふうにとられるわけですね。
  158. 原徹

    原政府委員 防衛庁としては、要するに私どもは防衛計画大綱水準をできるだけ早く達成したいと考えておりますので、そういう見地で中期業務見積もりもできるだけ早く達成したい。それはそういうふうに考えておりますものですから、そういうことを申し上げたわけでございます。
  159. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、これは日本政府の正式な表明ということになりますね。
  160. 細田吉藏

    細田国務大臣 実はきのう事務次官が向こうの担当官と会いましたときの話のようでございますが、日本政府ということになりますると、これはそういうことにはならない。防衛庁としての見解を事務次官が申し上げた、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  161. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 防衛庁が正式に表明をするということは、これは日本の国の表明にはなりませんか。
  162. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛庁は政府の一部でございますが、即政府の全部ではございませんので、政府として発言をするというのは、政府が決めたときということになろうかと存じておる次第でございます。
  163. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、防衛庁の対外的な発言は責任がないということになりますか。
  164. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛庁としましてはその線で勢力をするということでございます。したがって、責任がない、あるという問題ではございません。責任は大いにある。防衛庁はそれに向かって努力をするということでございます。こういたしますと言ったわけではないわけでございまして、防衛庁としてはその線で努力をいたします、こう申しておるわけでございます。
  165. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 努力をするということは、これは防衛庁としては少なくとも一年早期達成に努力をするということですから、その限りでは、これは明瞭に意思表示ということになりますね。
  166. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛庁としては努力いたしたいと思っておりますし、それが実現することが望ましい、かように考えておる次第でございます。
  167. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その問題については、財政当局や大蔵とはどういう連絡がついていますか。
  168. 細田吉藏

    細田国務大臣 財政当局と話し合ってこれを申したものではございませんので、防衛庁の立場においては努力しますということでありまして、外務省外務省の立場がございましょうし、また財政担当の大蔵省は大蔵省としての意見があるわけでありまして、それらの調整は今後に残されておる問題でございます。
  169. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、日本をめぐる軍事情勢が最近緊張度を高めていると言われております。こういう中で、長官が就任早々、ソ連軍は重大脅威であるというような発言をされたようでありますけれども、長官は、いま日本をめぐる情勢についてどういう認識を持っておられますか。
  170. 細田吉藏

    細田国務大臣 全体について申し上げますよりも、いまソ連の話が出ましたから、先ほどどなたか他の委員の方にも答弁がありましたが、極東ソ連軍の配備あるいは北方四島に対する増強、そういったようなものを総合判断いたしますと、ソ連潜在的脅威は重大化しておる、こう申して間違いがない、かようにいまでも存じております。
  171. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 防衛庁のお書きになった本に、脅威とは、侵略する意図、それから侵略し得る能力ということを言っていますね。侵略する能力、これは軍備があれば、それは大小にかかわらず、程度の差はありましょうけれども、これは能力があるわけですけれども、問題は、侵略する意図、それからまたそれをどうこっちが認識をするか、これに対してどういう対応をするかということが問題だと思いますけれども、そうしますと、侵略する意図があるという認識でございますか。そういたしますと、日本はいろいろの情勢はあるにしても、仮想敵国はつくらないというのが国是のはずでありますけれども、そういう点からどうなんでしょう。
  172. 細田吉藏

    細田国務大臣 能力はあるが意図がない——ないというか、はっきりはしておらないという場合には、潜在的な脅威という言葉が使われておるということでございまして、その意味で潜在的脅威と申し上げておるわけでございます。意図があるというようなことは一度も申し上げておらないわけでございます。また、仮想敵国というようなものについては、わが国ではこれを考えておりません。
  173. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 防衛庁さんが脅威と言うのは、侵略する意図があることを脅威と言うのだよというふうに説明しているわけですよ。ですから、そうなりますと、脅威があるということは、仮想敵をつくる、あるいはソ連脅威ということになれば、これはソ連を仮想敵として行動する、あるいはそう考えているということになりはしまいか。そういうことでは、いま緊張の度を高めておる、領土問題もある、そういう中で外交上好ましくないのではないかということでありますけれども、それはいかがですか。
  174. 原徹

    原政府委員 ちょっと補足をさせていただきますが、私ども潜在的脅威と申しておりまして、脅威と申しておるわけではございません。脅威というのは、確かに能力に意図が加わった段階でそれが脅威が顕在化すると申しておるわけでございます。私どもはそういう意図があるとは申してないわけでございまして、意図は不明である。しかし、軍事能力というものは目に見えるものでございますから、そういうものを指して潜在的なものである。潜在的な能力でございますから、潜在的脅威と申しておるわけでございます。それから仮想敵というのは、敵視をしないということでございまして私どもはどこの国も敵視をいたしておらないわけでございます。
  175. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最近の報道によりますと、ソ連日本の国会の決議を伝えたところが、それを無視をしたという報道があります。その辺の事情はいかが把握されておりますか。
  176. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 この件は外務省の所管でございますので、あるいは正確を期し得ないかもしれないのでございますけれども、従来ともこの種の国会決議はソ連に対して送付しております。送付に対しまして、ソ連は、これを内容を拒否する、あるいはそういうことはないというようなことを言っているようでございます。
  177. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 いままでの経過があるわけですね。もう十数回こういうことがあったはずでありますけれども、その感触上、今回とそれからいままでの経過とを比較検討した場合に、その間にどういう変化があるのかないのかということです。
  178. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 まことに残念でございますが、たびたびの重なる抗議にもかかわらず、ソ連の態度に変化はないようでございます。
  179. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それでは次に、防衛庁では有事法制の研究あるいは奇襲対処に対する研究を継続しておやりになっているということを言っております。その研究の内容なりその経過、あるいはいままでの成果があったらそれを伺いたいと思います。
  180. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  有事法制の研究についてまず申し上げます。有事法制の研究は、御承知のように一昨年九月二十一日の統一見解に基づきまして、憲法並びに法律及び現政策の範囲内において、有事の際に、現在の自衛隊法あるいは防衛庁設置法の定めるととろで大体骨幹はできておるけれども、なお不備があるかどうかを研究する、こういう形で自衛隊法七十六条の総理大臣防衛出動下令後の行動に関する関係条文等の勉強をいたしておるところでございます。  過去どういう勉強をしたかと申しますと、主要八カ国、外国の例を調べたいということで外国のこの種の法令の調査を実施いたしております。回答があったところもございますし、まだ回答に接しないところもございますが、それぞれの国情あるいは置かれた国際環境等によってこれはいろいろ違っておりますけれども、これを参考にしつつ勉強をしておるということが一つ。  もう一つは、立法当時の法制局長官あるいは防衛庁の立法に携わった関係者、国際法学者、特に国際法の戦時法規の専門家、さらには国内におけるいわゆる公用負担法、災害救助法であるとか消防法であるとか、こういうような公用負担を課する場合の基本的な考え方を勉強しておられる学者先生、こういう方々をお招きしてお教えを請うておる、こういう勉強を続けております。  このほかに、非常に関係省庁の多い案件でございます。こういう国内における自衛隊の行動に際しまして非常に多くの関係省庁の所管する法令との関係がございますので、これについて適用除外あるいは例外規定をすでに設けてあるのもございますけれども、時代の進展によって新しいのが必要であるかどうか、これも研究を進めておるところでございます。  現時点におきましては、二週間に一遍程度の研究でございますし、その間いろいろほかの関係事象もございます。この間、たとえば自衛隊法五十九条の守秘義務がどうであるかというような新しい課題が出たり、あるいはリムパック参加が合憲であるか、合法であるかというような議論等も出ますので、こういう問題等もやっております関係で、有事法制の研究は現時点まだ中間報告を申し上げるような結論というべきものを得ておりません。なお、もうしばらくお時間をちょうだいいたしたいと思います。  次に奇襲対処でございますが、これは七十六条防衛出動下令前、自衛隊の諸行動すなわち領空侵犯措置であるとか、あるいはこれはまあ八十二条下令されてから作動する機能でございますけれども、海上自衛隊の海上警備行動であるとか、こういうような日常の警戒監視業務遂行中に何らかの奇襲攻撃を受けるようなことがあったとき、これに現行の法令においてどう対処すべきか、これに不備はないかどうか、こういう勉強でございます。これにつきましては、八十四条領空侵犯措置について外務省、法制局等関係省庁と意見調整をいたしまして、有権解釈を得て昨年衆議院の予算委員会等におきまして御答弁を申し上げたところでございます。  その他の奇襲対処の問題につきましては、これもまた二つの側面がございまして、一つはいわゆる物理的な即応態勢、いかに法律が整備されておりましても、現実に奇襲攻撃があったとき通信、連絡、報告のシステムが確立されていなければだめでございますし、また、奇襲を防止するための早期警戒態勢を整備をする、あるいはそれに対する即応態勢を準備をするといういわゆる運用にかかわる問題の研究並びに法律の面の研究と二つの側面がございます。この両側面について、現在いわゆる防衛研究ともあわせて研究を進めておるところでございまして、これも結論を得ることができました段階において、しかるべき機会を得て国会にも御報告をいたしたいと考えております。
  181. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 もう一つ大臣にお伺いしたいのですけれども、いま機密保護法の検討が行われておるようでありますけれども、この問題についの大臣のお考えをお伺いしておきます。
  182. 細田吉藏

    細田国務大臣 いわゆる秘密保護法というものにつきましては自由民主党のそれぞれの個所で御研究が進められておると承っております。私ども防衛庁といたしましては、ただいまその秘密保護法とか機密保護法とかいったような点については研究を具体的にいたしておりません。
  183. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣は自民党員でありますし、自民党に基礎を置く内閣でありますから、自民党の中で検討されておることがわからないということではないと思います。その概要についてまず伺いたい。
  184. 塩田章

    ○塩田政府委員 自民党内におきまして、先般の秘密漏洩事件にかんがみまして、防衛秘密を保護するための措置について検討が加えられておるということは承知いたしております。また、その中身としまして安全保障調査会等の部会におかれまして要綱を発表されたことも承知いたしておりますが、その中身等につきまして防衛庁からコメントを申し上げる段階ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  185. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 現在防衛庁の中に、もちろん自衛隊含めて、秘密の量はどのくらいあるのですか。
  186. 原徹

    原政府委員 秘密の件数でございますが、一つは防衛秘密と一般に言われております日米相互防衛援助協定に基づくもの、それから自衛隊法に基づくものは庁秘と申しておりますが、その二つについて申し上げますと、まず防衛秘密につきましては約三千六百件、庁秘につきましては約八万七千件でございます。
  187. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この秘密は国民に対する秘密ですね、一般対外的な秘密。アメリカに対してはこういう秘密ということはないのですか。アメリカとの間には軍事秘密というのはないのですか。国民に対してあるいは一般対外的には秘密である、こういうことなんですか。
  188. 原徹

    原政府委員 秘密でございますから防衛庁の外に出さないというものが秘密でございまして、アメリカとか国民とか——防衛庁の外に出さないものは秘密、そういうふうに考えておるわけでございます。
  189. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その中で、国会に対してはどの程度秘密を保持されるのか。
  190. 原徹

    原政府委員 秘密でございますので私どもとしては御勘弁をお願いするわけでございますが、御質問ないしお聞きになりたい事柄について、そういう秘密にわたらない範囲で御判断を願う程度の資料を出すことは十分考えられるわけでございますけれども、秘密そのものについては、やはり出すことは御容赦をいただきたいと思っております。
  191. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 八万七千件の秘密、それから種類にして三千五百ということですか、これだけの秘密に守られていて、果たして防衛論議なり国会論議ができるとお考えでしょうか。
  192. 細田吉藏

    細田国務大臣 大変たくさんの秘があって、それを全部出さないで国会がわかるかという御趣旨かと思うのですが、秘の件数というのは、これは情報なり資料なりの一件一件を数えるとそうなるということでありまして、その中のものが全然外へ出てないのか、国会には出てないのか、それはそうじゃないのでございまして、ずばりそのものを出しておらなくても、そのうちの主要なることを出すとか、そういったような形でかなりなものが出ておるわけでございますので、それを整理すればどうなるかというような点については私もよく突き詰めておりませんけれども、八万数千件もあって、そのようなものが全然わからなくてということに対しましては、それはそうじゃないのでございます。その中身については、たとえばこういう形では出せないけれども、別な角度から、こういう形なら出しましょうというような話にその都度なって、資料をお出ししておる、こういうふうに御理解をいただきたいのでございます。そうでないと、聞いていらっしゃる国民の皆さんも、大変なことじゃないか、先ほど防衛庁長官の言ったことと話が違うのじゃないかというふうにおとりになると困りますので、そういう意味でございます。
  193. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 たとえば国会の審議に必要だという場合、これは秘密会等にする必要があれば秘密会にしてもやむを得ないと思いますけれども、少なくとも国会に対して、特殊な問題は別としても、原則としては全部出すというふうにさっき大臣はおっしゃったわけであります。そういった点からしてこの秘密がどういうものであるか、どの程度あるのかということです。
  194. 細田吉藏

    細田国務大臣 原則として出すべしというのは先生がおっしゃったのでございまして、とかく原則は云々と言いますと原則と例外との関係があいまいになりますから、私は原則としてじゃなくて、できるだけ国会には資料を提出すべきであるし、そういうふうに努力すると申し上げておるわけでございます。ですから、あとは責任を持って防衛庁長官が本当に必要なものについては御勘弁いただきたいという御説明を申し上げたい、かように申しておるわけでございます。
  195. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 具体的な問題はその都度お願いすることにして、以上で終わります。
  196. 高田富之

  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 事実関係から先にお伺いをいたします。  F15の導入に際して、現在のバッジシステムは機能的に対応できないのではないか、あるいはそこまで言い切ってしまうまでもなく、現在のバッジシステムは非常に古くなっておる、したがって新しいバッジシステムの導入が考えられておるのではないか、これをお伺いします。
  198. 原徹

    原政府委員 現在のバッジシステムにつきましては、四十三年でございましたか、つくったわけでございますが、いろいろと目標の捕捉の能力あるいは追尾の能力、あるいはコンピューターの容量、そういうものを考えますとやはり近代化をする必要があるというふうに考えておりますが、別にこれはF15の導入と必ずしも結びつくものではございません。バッジシステム全体として考えて、やはりそれは近代化をする必要があるであろうというふうに考えまして、五十五年度におきましても、現在のバッジシステムについての能力評価と申しますか、そういう予算もいただいておりますので、ただいまそれを研究をしておるわけでございますが、その研究が終わりましたらば、新しい体制にするように私どもとしては考えておるわけでございます。
  199. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何年度ごろを目標にしていますか。
  200. 原徹

    原政府委員 まだ若干時間がかかりますので、早くて五十七年ぐらいになるかなというふうに、いまの段階で申せばそういうことでございますが、まだ最終的にいつからだというところまで決まっているわけでございませんので、ただいまは鋭意バッジの中身、改善すべき点、そういう点について研究をしているわけで、その研究が終わればということでございます。
  201. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 長官に注意を喚起しておきますが、現在のバッジシステム導入に関して、当時は増田防衛庁長官であった。一番安いところに頼んだところが結果的には一番高くなった。そして増田防衛庁長官をして、予算委員会で、いまや防衛庁は百鬼夜行どころか百鬼昼行の状態だと嘆かしめた。したがって、新バッジ導入に関しては、そういう轍を踏まないように慎重に取り扱っていただきたい。  次に、海のバッジシステムであるCCS、指揮管制システムですか、これの導入についてはどのようになっていますか。
  202. 原徹

    原政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないわけでございますが、護衛艦のいまの指揮システムのことでございますれば、そういうものが簡単なものから複雑なものといろいろございますわけですが、だんだんと新しい指揮システムは導入しつつあるわけでございます。新しい護衛艦は新しい指揮システムを持っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  203. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 現在米第七艦が持っておるようなNTDS、その種のものについてはどうなんですか
  204. 原徹

    原政府委員 七艦隊が持っております旗艦でございますと、コンピューターのかたまりみたいな艦船でございまして、あらゆる情報、指揮、通信、すべてができるというのを一つに集めておりますが、私どもはそういうものをつくる計画はございません。
  205. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 後ほどリムパックに触れますが、リムパック80の演習でもそれが海上自衛隊に欠如しておったからその点は大変困ったということを関係者は言っておりますが、どうなんですか。
  206. 原徹

    原政府委員 一般的に申しまして自衛隊にはリムパックが技量の向上に非常に役に立ったことは事実でございますが、また同時に、装備一般につきまして近代化の必要があるという認識は持って帰ってきておりますし、そういう意味での報告は聞いております。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 潜水隊群が潜水艦隊になる。掃海艇はいま隊群でございましょう。いつ艦隊になりますか。
  208. 原徹

    原政府委員 掃海隊群を掃海艦隊にするという考え方は現在持っておりません。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 かつて四次防の内容について、防衛庁のいわゆる外に出さない資料でその点が見積もりの中に入っておった、潜水艦も入っておった。そのとおり潜水隊群は潜水艦隊になるでしょう。だから当然掃海艇も艦隊を生み出すのじゃないですか、どうですか。四次防にはそのようになっておりましたがね。
  210. 原徹

    原政府委員 私は、四次防の途中経過は、防衛庁におりませんでしたので、いま聞いたところでは、防衛庁の検討段階でそういう艦隊という考え方があったけれども、四次防では採用にならなかったということのようでございます。現在どうかと申されれば、掃海艦隊をつくる考えは持っておりません。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 P3Cの基地配置はどうなりますか。
  212. 原徹

    原政府委員 第一のスコードロンができれば厚木か八戸ということで考えております。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま硫黄島の基地化が急がれておりますが、硫黄島に対する配置の予定はありますか。
  214. 原徹

    原政府委員 硫黄島に現在基地があるわけでございますが、なかなか本土で訓練ができないものでございますから、夜間訓練等は大変遠慮してやらざるを得ない状況でございますので、そこで本土でできない訓練を硫黄島に行ってやろうということで、滑走路その他若干の施設をつくって訓練をやろうということで、五十五年度予算計画をしているわけでございます。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 つまりP3Cもそこで訓練もやるということですね。
  216. 原徹

    原政府委員 場合によってP3Cが行くこともあり得ると思います。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 リムパック80に移ります。  一人の統裁官のもとに多国籍海軍戦力が共同して、コンバインして統合演習をするということは、演習とはいえ当然集団自衛権が前提になるはずですが、どう思われますか。
  218. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  まずコンバインドという言葉なんでございますけれども、アメリカ側の通常の使い方は二国間での軍隊が演習を行うということを称してコンバインドエクササイズと言っておるようでございますが、ただ演習の内容自身がジョイントとかコンパインドという言葉によって規定されるのではなくて、それはまさに演習を行う国の考え方がどうかということによって決まるものだろうと考えます。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 リムパック80に初めて海上自衛隊が参加したわけですが、外務省見解をただされましたか。
  220. 細田吉藏

    細田国務大臣 リムパックに参加を決定する際には、私の前々の山下防衛庁長官があらゆる角度から十分討議をいたしまして、外務省の意見も聞きまして、方針を昨年の十月に決定したというふうに私は承知をしております。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 リムパック80に海上自衛隊が参加をした。日本防衛については、いままで安保条約なり自衛隊法でわれわれ三十年間国会でいろいろやってきた、そういう解釈も聞きましたし、定着をしておった、そういうものを乗り越える、ルビコンを渡ると申しますか、これは重要な飛躍になった、こういう認識なんです。  それで私は、アメリカ大使館、カナダ大使館、オーストラリア大使館——ニュージーランド大使館はまだ連絡がありません。その米、加、豪の大使館に日参をいたしまして、武官の人と会って、このリムパックに対する懇切なブリーフィングを受けました。そこで、あなた方、いまから申し上げることが本当かどうか問い合わされても結構ですが、明らかになった事実は、一九七一年の第一回目から今回の第七回目まで演習の概念、性格は全然変わっていない、そういうことが明らかになりました。この点は、今度のリムパック80の主要な指揮官の一人である米空母コンステレーションに乗っておる米第一空母群司令のウィリアム・E・ラムゼー少将も記者会見の中でおっしゃっている。大使館の武官の言明もそうでありました。  二番目に、英語でジョイントエクササイズ、あるいはコオペレーチブエクササイズ、あるいはマルチナショナルエクササイズ、こんなものは全部内容は大同小異だ、同意語だ、それをどう使い分けるかは各国の国民性なり政情によって使い分けられるだけだ、これも三つの大使館の武官は全部同様でありました。  三番目に、イン・チャージ・オブ、オーバー・オール・コーディネート、コーディネーターでもコーディネーションでもいい、あるいはコントロール、場合によってはスケジュール、これも同じことだ、大体使い分けはその国の考えによって使い分ける。つまり日本語で言えば統裁官でございますか、そういうものだ。  そして四番目に明らかになったのは、特にアメリカ大使館では、今回海上自衛隊から参加するに当たって非常に強い要求があった。それは何か。日本の憲法上の問題があるから——恐らく集団自衛権の問題でしょう。非常に日本側から強い要請があって、言葉を選ぶのに神経を使った。その結果、第七艦隊司令のスケジュールという言葉を使った。これが四番目です。  そして五番目に、特に防衛庁は——資料を持っております。防衛庁からもいただきました。アメリカ側からは今度のリムパック80の原文をいただきました。防衛庁は、エクササイズという言葉をずっと使っているが日本側ではこれは困るんだ、トレーニングにしてくれと言ったら、そんなことはだめだと言われたので、それじゃアメリカ側がエクササイズという言葉を使っても日本側ではトレーニングで通します、訓練という言葉を通します。それも明らかになりました。  つまり、第一回目から第七回目まで変わっていないのです。今度自衛隊が参加したから演習の性格が変わったのではないのです。一回目から七回目まで一緒です。  そこで私は、アメリカ大使館のリムパック80に対する。プレスリリースももらいました。カナダからももらいました。オーストラリアからももらいました。それぞれちょっとずつニュアンスが違います。武官が言ったとおり、その国の政情によって少しずつ言葉が違う。たとえば今度の場合、五カ国の海軍力は、インボルブという言葉がある。あるいはジョインという言葉がある。各国によって違う。  それで、特にエクササイズというのをわざわざ防衛庁がトレーニングとしてくれ一なぜか、なぜそんなにこだわられたのか。これが今度の国会の予算委員会からずっと引き続いて問題になってきたところの一つである自衛隊がリムパック80に参加する法的根拠、それは防衛庁設置法第五条第二十一号の規定である。すなわち同号は「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと」「教育訓練」という言葉になっているから。それが一つでしょう。もう一つは、実際は内容的にこの所掌事務の遂行に必要な範囲を越えた演習の内容である。その二つがあるからエクササイズでは困る、トレーニングとしてくれと言われたんじゃなかろうかと私は思うのです。  それは米側のリムパック80のプレスリリースの中でも、見てごらんなさい、トレーニングというのは一字しかない、あとは全部エクササイズになっている。日本語訳は全部訓練にしてあるでしょう。たとえばイン・ア・キー・フリート・エクササイズ、その重要な艦隊演習の中で個々のあれは訓練を行った、こういう意味でトレーニングというのが一カ所使ってあるだけです。それを防衛庁ではずっと訓練訓練、いかにも小さな、個々のあれを引き抜いた感覚で国会でもそういうふうに説明するし、国民に対しても説明していらっしゃる。  だから、訓練内容は、防衛庁の方は単なる戦術技量の向上を図る、あるいはハワイへ派遣訓練の充実強化と言うが、実は内容はそういうものではないのですね。これに書いてあるとおり、通常兵器による海上戦闘のすべての、主要な局面、モースト・メジャー・アスペクト、そういう全部の局面について参加各国部隊の戦闘即応能力、コンバット・レディネス・オブ・ザ・パーティシペイティング・ユニッツ、コンバット即応力をテストした。これは実戦さながらの演習なんです。単なる戦術技量の向上というそんな簡単なものじゃないのです。それから一人の指揮官、指揮権を前提とした統裁官によってずっと行われた。それはリムパック73の場合の資料にはイン・チャージ・オブというのが使ってありますね。明らかに責任を持つ。第三艦隊司令官、これをわれわれは統裁官と訳す。ところが、今度の場合には第三艦隊司令官がオーバー・オール・コーディネートした。同じことなんです。したがって、結局実態はこれはジョイントエクササイズである。そして、進攻部隊と対抗部隊によって全面的な艦隊戦闘演習ですね。これに書いてあるとおりです。だから、防衛庁説明にあるように個艦同士の訓練やあるいは米国との訓練を念頭に置いてあるという、中身はそういうものじゃないのです。  それで、私は防衛庁長官にお伺いしますが、去年の五月二十八日にヘイワード米海軍作戦部長日本に来られたですね。そして、当時の山下防衛庁長官と会談をされた。それが新聞に報道された。ヘイワード部長はどういう要請を山下長官にしたかというと、ソ連極東海軍に対抗するためには同盟国との協力が必要であり、日本、オーストラリア、ニュージーランドとの協力関係を発展させていただきたい、新聞報道によるとこういう要望をされた。こういう要望に対して防衛庁長官、いまの細田長官ではなかったけれども、当然引き継ぎがあったろうし、こういう米側の要請に対しては長官はどうお考えになりますか。
  222. 細田吉藏

    細田国務大臣 ちょっと私、事実関係明らかでございませんので、先に政府委員からお答えした上で私はお答えしたいと思います。
  223. 原徹

    原政府委員 ヘイワード大将が何かニュージーランド、豪州等との関係を発展させてほしいという要望を山下長官になさったということでございますけれども、私、そういうふうな印象は、一緒に立ち会ったわけでございますが、そういうような趣旨の発言はございませんでした。
  224. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、新聞報道が間違っておるのでしょうかね。しかし、事態は、ほかの客観的な材料はそろっておるのですよ。たとえば昨年五月一日にちょうど大平さんがアメリカに行かれたときに、フィンドレー議員が議会に日米安保条約とANZUSを結合させたJANZUS構想を提案しました。これも新聞に報道されました。そして今度海上自衛隊がリムパックに参加するということが決定されてすぐ間髪を入れず、フィンドレー議員はさらにそのJANZUS構想を発展させた太平洋巡察艦隊、これはマルチナショナル・ネーバル・フォース、多国籍連合艦隊構想ですが、これを提唱した、こういう一連の動きがあるわけでしょう。もう少し歴史的にさかのぼれば、一九六九年に例のニクソン・ドクトリンが出た。同盟国が自衛能力をもう少し増せ。そして、その明くる年にレアード長官がトータル・フォース・コンセプト、総合戦略構想を出した。そうすると、その翌年の一九七一年からこのリムパックが始まったのです。どんなに言葉でごまかそうと、動いておる事実はその方向に向かっておるのですよ。ここには防衛庁がリムパック78の資料を出されました。私は三つの大使館に行ってその78のやつをもらってきました。そんな簡単なものじゃないです。防衛庁がわれわれに出したような資料じゃないです。七三年が一番はっきりしていますね。ジョイントエクササイズという言葉を使ってありますし、イン・チャージ・オブという言葉が使ってあります。これはもう明らかに個艦同士の演習なんかじゃないのですよ。共同演習だ。一つの目的を持った合同演習だ。どうですか。
  225. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  一回から七回までのリムパックの性格が同じであるという先生の御調査、そのとおりでございます。アメリカ大使館側と事前に十分協議をしたことも事実でございます。  その協議の内容は、このリムパックの性格、目的の確認でございまして、この過程におきまして、これが集団的自衛権は前提としない、戦術技量向上のものである、通常兵器による訓練であって核兵器その他は想定しない、大きな戦略的な構想、シナリオと申しましょうか、そういうものは持たない、アメリカ艦隊が友好国に提供をする共同訓練、艦隊訓練の場である、こういう点を十分確認をいたしました。  個艦訓練でないではないかという御指摘、そのとおりでございます。従来、五十一年以来、ハワイ派遣訓練は個艦訓練でございましたが、今回のは、たびたび国会でも御答弁申し上げておりますように、艦隊レベルの訓練でございます。この訓練の実施に当たりましては、私どもがよりレベルの高い艦隊訓練を希望し、それをアメリカ側が受けたということでございます。  それから、歴史的な事実関係の前後関係について一つだけ事務的に申し上げますと、五月のヘイワード作戦部長の来日、あるいは大平総理の五月一日の訪米以前に、三月に、私どもアメリカ側から、この艦隊レベルの訓練に参加しないかというお誘いを受けております。これは私どもが申し込んだのに対する回答でございまして、したがいまして、時間的にはリムパックの方が先に進んでおった、そういうことが言えると思います。  JANZUSについての、あるいは太平洋巡察艦隊についてのフィンドレー議員の発言についての御指摘がございましたが、これは野党の議員の発言ということで、政府見解ではございません。  それから言葉の問題ですが、先生さすがに専門家だけあって、大変御勉強になっておられまして感心をいたしましたけれども、国防総省の使っておりますアメリカ海軍のミリタリーターミノロジーによりますと、コンパインドというのは、先ほど安保課長が御答弁申し上げましたように、二カ国以上の国が共同訓練をやる場合、ジョイントというのは、二つ以上のサービセス、空と海とか海と陸、こういう二つ以上のサービセスが一緒になってやる場合のことをジョイントと言っておる、そういうターミノロジーがございます。  今回は、先ほど来御指摘ございますように、スケジュールという言葉、あるいはコーディネーションという言葉、これはわれわれが要求をしてそういう言葉を使ったわけではございません。  イン・チャージ・オブでございますが、これも私どもの英語の辞書等を引きますと「任せられる」「ゆだねられておる」「任せておる」という、とで、計画策定に当たったということは事実でございますが、その73米リムパック報告あるいはリムパック公表文、あるいはオーストラリアの公表文のすぐその後にメジャー・オペレーショナル・コマンダーズということで、その海上における実際の運用面の指揮官は、それぞれの国ということで、各国の指揮官が並列されております。大変気を使いまして、大体アルファべティックに書いてございます。また、今回の80米公表文でも、この参加部隊の指揮官はそれぞれの部隊の指揮をとる、こういうことで「指揮」と「調整」というのがはっきり違う形で示されております。  実戦さながらの訓練ではないかということでございますが、まさにそのとおりでございます。実戦のために役に立つ戦術技量を向上させることがこの訓練でございますので、個艦訓練というものではなく艦隊レベルの訓練である、これはもう国会でもすでに御答弁申し上げたとおりでございます。
  226. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ジョイントが一国の中の陸海空、そういうものが行うのをジョイントエクササイズと言う、それは私は知っているのです。それでは、そうなっている、五カ国、それを束ねる、一人のコントロールする人がいる、コーディネートする人がいる、そういうことを私は言っている。そしてそれが全部コンパインドされておる。そして実戦さながらの訓練をやる、これがどうして集団的自衛権を前提としないでできますか。  もう時間が来たそうですから、最後に一問だけお伺いしておきますが、海上自衛隊防衛海域と申しますか、従来は、裏日本は約百マイル、表日本は約三百マイル、そうして南西あるいは南東シーレーンは、幅百マイル、長さ千マイル、それはいまも変わっていませんか。
  227. 原徹

    原政府委員 大体防衛力整備の目標といたしまして、周辺数百海里、航路帯を考えた場合にはおおむね千海里という考え方が、国会で御説明いたしたことがあるわけでございますが、そういう考え方は別に特に変わっておらないわけでございます。
  228. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後に要望を申し上げておきますが、きょう長官は何回か、安保特別委員会へ資料は出しますというようなことを言われましたが、私どもは参加してないのですよ。安保特別委員会というのは別に法案を採決して決めるところではないのでしょう。つまり安全保障に対する国民的な合意を求める。だから、新自由クラブなりわれわれがそこで意見を申し上げる機会がないのです。こういう点についてどう思われるかという点と、それから、その安保特別委員会に現実にわれわれはいま参加していませんから、安保特別委員会に出される資料はわれわれにもそのままいただけるかどうか、それだけお伺いして、質問を終わります。
  229. 細田吉藏

    細田国務大臣 まず資料の点からお答えしたいと思いますが、私ども安保特別委員会に出しました資料について、御参加願っておらない党からの御要求があれば、これは差し上げることは当然だと思っております。  御発言の問題に対しましては、国会のことでございますので、私、何ともお答えのしようがございません。私どもはできるだけ広く安保特別委員会あるいは内閣委員会、予算委員会、どこでも安全保障、防衛の問題は御質問を願い明らかにしていただきたい、かように存じておるわけでございます。
  230. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 終わります。
  231. 高田富之

    高田委員長 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後直ちに再開いたします。     午後一時四十七分休憩      ————◇—————     午後三時三十五分開議
  232. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  233. 春田重昭

    春田委員 私は最初に、アメリカの対イラン制裁問題につきましてお聞きしたいと思います。  この問題につきましては、日本でもその協力を各般にわたってアメリカから要請されている、こう思っているわけでございますけれども、防衛庁に対してはそうした要請は来てないかどうか、最初にお伺いしたいと思います。
  234. 原徹

    原政府委員 イランに関して、自衛隊でやることについて何か要請がないかという御質問でございますれば、そういう要請は一切ございません。
  235. 春田重昭

    春田委員 これは仮定の問題かもしれませんけれども、、たとえばアメリカがいま経済制裁とか外交制裁をやっているわけですね。そうした制裁でも要するに効果がないと見た場合、一部軍事協力という問題、軍事行動によって日本に対する軍事協力という問題が起こってくるかもわからない。こうしたことが予想されかねないわけでございますけれども、これは仮定の問題でございますけれども、そうしたときに日本としてはそのアメリカの要請にどう対応するのか、お尋ねしたいと思います。
  236. 原徹

    原政府委員 仮定の問題でもちろんございますけれども、私どもはそういう要請があるはずがないと思っております。軍事協力ということでございますれば自衛隊の任務の外の話になるのではないかと思いますが、米側はそういう自衛隊のあり方等について一〇〇%よく承知をいたしておりますから、そういうことはあり得ないことだと考えております。
  237. 春田重昭

    春田委員 続いて問題を展開してまいりたいと思いますが、防衛庁、最近内外ともに防衛力の強化につきましていろいろ高まっているわけでございますけれども、それに対する見解をお伺いしたいと思います。
  238. 細田吉藏

    細田国務大臣 ソ連が非常に長期にわたりまして絶えざる軍事力増強を続けております。これは具体的な事実でございます。これによっていわゆる東西のバランスというものが変わってまいっておるということは当然だと思います。  そこで、けさほども政府委員からも答弁いたしましたが、NATOは、きわめて概略的に言いまして実質三%程度年々国防力を増強していきたい、こういうことになっておりますし、アメリカは五カ年計画で四ないし五というようなパーセンテージで、あのインフレの中で予算が非常に窮屈な中でも増強してまいりたい、こういうような方向になっておるわけでございます。ただ、日本アメリカヨーロッパとは違うわけでございまして、憲法がございます。自衛隊法がございます。日本の背負っております防衛の枠組みがございます。その中でございますから、事情が違うわけでございますが、このような世界の情勢の中で日本日本として、日本の与えられた枠の中で防衛力を着実に増強していく必要がある、こういう考え方でいるわけでございまして、当面は防衛計画大綱というものの線をできるだけ防衛庁としては早く実現をしたい、さように考えておるわけでございます。
  239. 春田重昭

    春田委員 大蔵省の方がお見えになっておると思いますが、それでは財政当局の大蔵省にお伺いしますけれども、この防衛費の増加についてはいかなる御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  240. 畠山蕃

    ○畠山説明員 私どもも、防衛費増強の必要性を主張される防衛庁ないし外務省の立場というものはそれなりに理解をしておるところでございますが、私どもといたしましては、一方で財政再建の期間中ということもございますし、これは防衛費だけを取り上げて云々すべき問題ではないと考えておりまして、年々の財政、経済事情ないしは他の経費とのバランス等を考慮しながら、毎年序の予算の中で適正に措置してまいりたいと考えております。
  241. 春田重昭

    春田委員 そこで、若干午前中の質問と重複する点があるかもしれませんけれども、防衛庁が出しました中期業務見積もり、略して中業見積もりと今後とも言ってまいりたいと思いますが、この見積もりとはどういう性格なのかお伺いしたいと思います。
  242. 原徹

    原政府委員 中期業務見積もりの性格でございますが、これは防衛計画大綱ができました際、以後年々単年度予算ごとに防衛費を要求していくということになったわけでございまして、そのことはいまでも変わっておらないわけでございます。ただ、現実問題として、防衛庁の中で業務を進めていく際に、それぞれの幕僚監部等がそれぞれいろいろ考えておっても、防衛庁としてのコンセンサスにならないわけでございますので、今後五年間どんなことをやるかということについて大体の見通しを持っておきたいということで、見積もりをつくったわけでございます。したがって、従来三次防とか四次防というものは経費の全体について見積もってございますけれども、この中期業務見積もりでは、正面装備というのが大きなプロジェグトになるわけでございますから、それについて見積もりをやったものでございまして、その見積もりをもとにして毎年度の概算要求をつくる、そしてその概算要求で大蔵省と折衝する。そこのところは単年度ごとでございますから、従来の防衛計画大綱を決められた以後の単年度ごとにやっていくというところは変わっていない。したがいまして、中期業務見積もりは、そういう防衛庁限りの予算編成のための参考資料でございますけれども、私どもとしてはこれは一つの努力目標というふうに考えております。
  243. 春田重昭

    春田委員 努力目標という話があったわけでございますけれども、この中業見積もりには、ただいま局長お話しになったように、正面装備の内容につきまして、まり具体的に示されているわけですね。これは五十五年度から五十九年度予算において実施していく、こういう形ですね。努力目標ということは、たとえばこれは二兆七千億から八千億となっておりますけれども、これが実現されなくてもいいのである、こういうことで理解していいわけですか。
  244. 原徹

    原政府委員 私どもとしてはぜひ実現をしなければならない、現在の国際軍事情勢考えれば、やはりできるだけ早くその水準に到達をしなければならないだろうと考えておりますので、これはぜひ実現をしなければならないというふうに考えております。
  245. 春田重昭

    春田委員 実現しなければならないという精神はわかるのですけれども、その裏づけとなる財政の問題が、午前中にも論議がありましたように相当厳しい、やはり高いレベルにアップしなければできないわけでしょう。財政当局見解も聞きたいと思いますけれども、そうすると非常に実現不可能の数字が出されているように思うわけですね。そういう点で、局長、本当に五カ年間で二兆七千億から八千億の正面装備の費用が捻出できると思われているかどうか。その点、したいとか持っていきたいとか近づけたいとか、そういうのではなくて、実際に実現可能かどうか、予算の面、財政面と絡み合わせて、そのお答えをいただきたいと思います。
  246. 細田吉藏

    細田国務大臣 私からお答え申し上げたいと思います。  防衛に対して国としてどう考えるかという考え方でございますので、絶対にできるとかできないとかいう話ではないと思います。御案内のとおり、四十兆円を超えるような一般会計の予算の中の問題でございますので、不可能とかどうとかという問題ではございません。政府として、それから国会として、全般から見ましてどういう選択が正しいかという問題になろうかと思うわけでございます。私どもは、防衛の見地からは、中業というものはできるだけ早く実現をさせたい、こう考えておるわけでございますが、財政事情等も私どもはわからぬわけでもございません。これらの点については、政府は政府の中でいろいろ今後ともいかなる選択をするのか、どうしたら出せるのか出せないのか、出すべきでないのか出すべきなのかということが十分論議され、国会でもこの点を御論議をいただく、こういう考え方でございます。
  247. 春田重昭

    春田委員 もう一つはっきりしないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、日本防衛というのは、昭和五十一年の防衛大綱にはっきり明示されているわけでしょう。それが今日こうして改めて中業見積もりというのが出てきたというその背景、これはどうも納得できないわけでございまして、要するに本当に実現する気持ちがあるならばそれでわかるわけでございますけれども、いわゆる精神面だけをうたったような内容になっているような感じがしてならないわけですね。これは昨年七月に出されているわけでございますけれども、なぜこういう形が出てきたのか、その背景を御説明いただきたいと思います。
  248. 細田吉藏

    細田国務大臣 これは私が説明を申し上げるまでもないと存じてはおりますけれども、第一次防、二次防、三次防、四次防と来たわけでございます。五次防というのはないわけでございまして、別な形がとられた。それが昭和五十一年十一月に防衛計画大綱というものができたゆえんでございます。防衛計画大綱と中業との関係は、防衛計画大綱の方が大きくて、中業の方がそれより小さいわけでございます。そういうわけでございまして、防衛計画大綱については、何年までにこれを実現するという期限が切ってございません。中業はその防衛計画の中で、防衛庁としてはこういう主要装備についてはこういう形でやりたいという目安を一応つけた、そして三年ごとに見直す、そして予算の編成のたびに見直すということにしたというものでございまして、防衛計画大綱よりもはみ出て新しく大きなものができたということでは、もちろん言うまでもなくございません。そういうわけでございます。
  249. 春田重昭

    春田委員 この見積もりは防衛庁限りである、政府全体では全然認知していないということらしいですけれども、一応こうした形で防衛庁が出した以上、大蔵省でも検討されたと思うのですが、いわゆる五カ年間で二兆七千億から二兆八千億の正面装備だけの費用の捻出、これは可能と見るかどうか、大蔵省としてはどういう見解ですか。
  250. 畠山蕃

    ○畠山説明員 ただいまの冒頭のお話の中にもございましたように、中業は防衛庁の要求資料の参考として防衛庁限りで作成されたものでございまして、私どもといたしましては、そのような形ではなしに、つまり中業に必ずしも拘束されるということはなしに、毎年度年度適正な規模の予算を、他の経費とのバランスの上で定めていくという基本的態度でございますので、この中期業務見積もりという防衛庁限りの計画が五十九年度までに実現可能かどうかといったようなことは、その意味でも余り検討したことはございませんし、またいまお話もございましたように、この二兆七、八千億といいますのは、正面装備だけについて、しかも五十四年度価格でということでございますので、全体像というものが必ずしも明らかになっておりません。したがいまして、そういう意味から、技術的にもこれが必ずしも実現できるかどうかというようなことは検討の対象にいたしておりません。毎年度年度その要求を踏まえて適正に決定してまいるという基本的態度でございます。
  251. 春田重昭

    春田委員 その問題はまた後で質問していきたいと思います。  そこで、中業見積もりにつきましては、いわゆる防衛庁限りである、政府全体としては知らないという感覚で、日本国内ではそうなっておりますけれども、いわゆる海の向こうのアメリカは非常に高く評価しているような感じがしてならないわけです。この辺は、長官どう見ますか。
  252. 細田吉藏

    細田国務大臣 中期業務見積もりの中身は、いま御答弁をだんだん申し上げておりますように、正面装備と申しますか防衛の実質的な面を、こういうことが大事で、こういうことはやりたい、これは全部じゃありませんが、こういう大きいもの、主なものを一応五年間でやりたい、こう言っておるわけでございまするので、結局アメリカの側では高く評価しておる、というよりは、一応正当に評価をしておるということだと思うわけでございます。これは私どもの方も日本防衛のためには何を先にやらなければいかぬのか、実質的な増強のためには何が必要なんだということでございますから、これはいろいろな研究をした上で、こういうものが必要なんだ、戦車がどう、航空機についてはどう、艦艇についてはどう、弾についてはどう、抗たん性、そういうものについてはどうというふうにやっているわけでございますので、これは評価をしていただくというか、もちろんそういう性格のものだろうと思っておるわけでございます。私どもとしては、そういうものよりも先にやるものがあるというふうには実は考えておらないわけでございます。ですから、このことを何はさておいても、優先前後の順はあると思いますけれども、一応中業で決めておるものは優先度が高いもので、これはどうしても先にやらなければならぬのだ、こういうふうに考えておるものである、こういうことでございます。したがって、アメリカもそれなりに評価をしておるということだと思います。
  253. 春田重昭

    春田委員 ということは、長官のいまのお話では、アメリカ向けにはかなりこういう内容で、これは必ずこういう優先度にしていくということは、実現可能なそういう線でお話しになっているような感じを受けるわけでありますけれども、どうなんですか。その中業見積もりの性格というものは、先ほど局長から努力目標であるという形で、防衛庁限りであるというような御答弁が何回も返ってきておるわけです。大蔵に言っても、大蔵省は何らタッチしていない、知らないというような感じの御答弁があるわけでありまして、そういう点からいったら何か不安定なそういう感じを持つわけでございますが、アメリカ側には、このいわゆる性格の面についてはどういう御説明をなさっていますか。
  254. 原徹

    原政府委員 もちろんこれは防衛庁限りのものであり、これを実現するのには非常に多くの努力が必要であるという点は十分説明をして、防衛庁限りのものであるということは何回も念を押して説明をしてございます。
  255. 春田重昭

    春田委員 その正面装備が五年間でこれだけのものをやっていくという形の御説明をなさっていると思いますが、これは当然、いま優先度という話が長官からございましたが、実現するという形のお話をなさっているのか。実は日本の経済状態、財政状態非常に厳しい、いわゆる増税もできない、これ以上赤字国債も発行できない、福祉後退も非常に厳しいという日本の財政状態というのは、アメリカ側には御説明なさっているのですか。
  256. 原徹

    原政府委員 日本の財政が、ほぼ四〇%国債でやっているというような非常に財政の厳しい事情ということは十分説明してございます。
  257. 春田重昭

    春田委員 その財政事情は説明しても、その正面装備のいろいろ年度計画をこれからなさると思いますけれども、二兆七千から八千については実現するかどうかという問題につきましては、アメリカ側にどういう形のお話をなさっているのですか。
  258. 原徹

    原政府委員 そういう性格のものでございますから、これは防衛庁限りのものであって、防衛庁としてはその努力目標に向かって努力したいと考えている、それはそういうふうにもちろん説明してございます。
  259. 春田重昭

    春田委員 どうも外向けにはこういう形でやりますという形で、アメリカ向けのポーズといいますか、そういうものがうかがえますし、国内においては努力目標であって、これはそういう水準に近づけたいという形で、外と内では何かニュアンスが若干違うような感じを私は持つわけでございますけれども、それはそれとして、さきに大来外相が渡米されまして、ブラウン長官と会われました。その話し合いの中で、着実かつ顕著な努力ということが出ておりますけれども、この着実そして顕著、これは防衛庁としてはどう受けとめるのですか。
  260. 原徹

    原政府委員 着実かつ顕著な努力をしてほしいというお話があったということは聞いております。それからその際、例の中期業務見積もりを一年早くしたらどうかというようなお話があったということも聞いておりますが、それ以上にはちょっと。着実かつ顕著な努力をしてほしい、そういうふうに言ったということを承知しておるわけでございます。
  261. 春田重昭

    春田委員 この中業見積もりにつきましては、この着実と顕著のどっちに入ってくるのです。
  262. 細田吉藏

    細田国務大臣 ステディリーにそれからシグニフィカントリーにと、こういうわけでございまして、これは何といいましてもやや抽象的でございますから、一月十三日にブラウン長官が見えたときには、やはりそういう意味のことを前の久保田長官がお会いして言われたようです。今度は大来さんがまた行かれて言われたのですが、特に今度は、いま防衛局長申し上げましたように、中業を一年早く達成できないか、こういうことがつけ加えられたそうでございます。でありまするので、私どもはいわゆる抽象的に言われておるステディー・アンド・シグニフィカントというのはそういう意味なんだな、中身は具体的にそういうことが今度初めて大来さんが行ったときに言われたということで、アメリカ側の考えがそういうことであるというふうに理解をいたしておるということでございます。
  263. 春田重昭

    春田委員 要するに五年を四年にして、一年間縮めてほしいというようなことを、それ以外にいろいろな注文が、政府段階じゃございませんけれども、議会側からも、いろいろなところからアメリカ側は声が起こっているわけです。そういう点で、この中業見積もりというのは、アメリカ側は非常に高く評価している、こう見てもいいのじゃないかと思うのです。そういう点で防衛庁は、これは防衛庁限りである、いわゆる政府の統一した見解ではないという形で今日まで来ておられますけれども、どうもその辺でアメリカ側とわが国考え方のギャップがあるような感じがしてならないわけでございますけれども、この防衛庁限りといいますか、内部資料、参考資料という形だけで今後これがとまっていくかどうか、その点、長官どうお考えになりますか。
  264. 細田吉藏

    細田国務大臣 けさほどもちょっとお答えしましたけれども、それから先ほども申しましたけれども、二次防、三次防、四次防とやや長期計画を決めて防衛力増強をやってまいったわけでございます。じゃその順で行けば、第五次防をつくって、五カ年計画がいいのか何年計画がいいのか、この五カ年間でこれだけ達成しますという年次も決めて詳細なものができれば、もうそれでそれが国防会議でも決まり、閣議でも決まるということになっておれば、これは防衛庁としては何も改めて、やあ見積もりだ、やあ何だというものをつくる必要はないわけです。しかし昭和五十一年の秋の段階で五次防というものはつくらない、防衛計画大綱というもので大枠を示す、同時にそのときにGNPの一%を超えないという一つの枠をはめる、そういうことでやってまいったわけでございます。したがいまして、その防衛計画大綱を何年で達成するということは書いてないわけでございます。したがって、こういうものについての目安がなければ年々の予算を組むのにも困りますし、それから何を先にやるかということにもなるわけでございます。防衛庁の中でも海は海の主張もありましょう。空は空の主張もございます。陸は陸の主張があります。いろいろあるわけでございますので、そういうことをいろいろ持ち寄りまして主要装備についてはこういうものがまず先だな、それで五十五年から五十九年までにこういうものをまずやりたい、こういうものをつくったということでございます。先ほどもちょっと話が出ましたように、五次防にするというようなことがちょっと外務省でどこかだれかが言われたというような話があったので私ども実は驚きまして、そういう考えは私どもはありません、いま五次防を立てるというようなことを、これは絶対不可能とかなんとかいうことではないかもしれませんけれども、そういうふうに考えても私ども余り実効がないと思いますのでそういうものではない、こう言っておるわけでございますので、高く評価されておるということは、これは先ほど私が申し上げたとおりでございますけれども、なかなか苦心の存するところでございますので、そういう意味で別にこれで何か防衛庁限りでつくっておいてどこかへ逃げ込もうとか、こいつを既成事実にしてどうとかこうとか、そういう考え方のものではない、こういうふうに御理解いただきたいと思うのでございます。
  265. 春田重昭

    春田委員 時間がございませんので、先に進みたいと思います。  この計画見積もりというのは昨年七月の作成ですね。その後、国際情勢というのは非常に変化しているわけでございまして、とりわけソ連のアフガン事件というのはことしの一月起こったわけでございますけれども、こうしたことで一段と世界情勢が変わったという見方もあるわけですね。そういう点で、いわゆるアフガン以前ということは、国際情勢も変わってきたのでこの中業見積もりも抜本的に改正する必要があるのではなかろうかという一部の声がありますけれども、それに対しては長官どう思いますか。
  266. 細田吉藏

    細田国務大臣 最初にお答えしておきますが、この中業見積もりというのは三年ごとに見直すということにしております。それから年々も予算要求の際に見直す、つまり事情が変わって先に出さなければいかぬものが出てきたりすればそれは変える、そういうフレキシブルなかっこうのものにしておるわけでございます。しかし、いま情勢が変わったから中業見積もりも変えなければいかぬ、いやそれどころか防衛計画大綱自体も変えなければいかぬという、けさほど自民党の原田委員からの話もありましたが、そういう御意見があることも承知しておるわけでございます。しかしながら、先ほど来あなたもおっしゃっておりますように、業務見積もりそのものを実施すること、あるいはそれをましていわんや前倒しをすること、防衛計画大綱の一%というのを早期に持ってくるということは、客観的には非常に困難な事情がいろいろあるということを承知しておりますので、その際にさらに情勢が変わったからこれを大きく変えるということは、考えましてもこれは実際的ではないと思いますので、そういう御意見があることは承知しておりますが、いまの時点では防衛計画大綱の線を少しでも早くこちらへということで考えておるわけでございます。
  267. 春田重昭

    春田委員 さらに防衛費の問題でございますが、昭和五十五年では防衛費GNPの〇・九%という形になっておりますね。昭和五十一年の閣議決定では一%以内という形でなっているわけでございまして、まだ一%にはなっていないわけでございますけれども、この一%に近づけるといいますか、一%は大体いつごろをめどに達成したいというお考えを持っておられますか。
  268. 細田吉藏

    細田国務大臣 これまた一%でとどまる必要はないじゃないかという強烈な議論が一方でありますし、一方では〇・九%をたとえ〇・一上げるのでもこれは大変だ、〇・〇四上げるのでも大変だ、こういう御議論と両方あるわけでございます。どちらもただ立場が違った見方でそういうものが出ておると思うわけでございます。したがいまして私どもとしましては、一貫して、一%という昭和五十一年の閣議決定の線にできるだけ早く近づけていきたい、こういうふうに申しておるわけでございます。何年に達するということになりますと、これは形が変わった五次防みたいになるわけでございます。そういうことでございまするので、私たちとしてはできるだけ早く到達させたいという、やや抽象的かもしれませんがそういう考え方でいるわけでございます。
  269. 春田重昭

    春田委員 この中業見積もりは五十五年から五十九年に正面装備だけ、主要装備だけということで計画を立てられているわけでございますが、五十九年度GNP一%に持っていきたいという形で正面装備の二兆七千から八千になったと見る方もあるわけでございますが、この点の観念はどうでございましょうか。
  270. 原徹

    原政府委員 正面装備で二兆七千ないし二兆八千、そういうふうに私どもは見積もったわけでございます。でありますから、防衛費全体というものを見積もったわけではないわけでございます。しかしながら二兆七千ないし一兆八千をやるとした場合、サイドチェックみたいなことをしてみますと、〇・九%の現在の水準ではなかなか達成がむずかしい、だんだん一%に近づいていくであろう、その程度の感覚は持っているということでございます。
  271. 春田重昭

    春田委員 そこで、防衛費の中で正面装備というのは装備品等購入費の中に入ると思うのですね。この中で昭和五十四年と五十五年の正面装備だけの費用はどれくらいと見積もっておられるのか、お答えいただきたいと思うのです。
  272. 原徹

    原政府委員 五十五年度予算で申しまして、正面装備の金額は約三千九百億と見積もっております。
  273. 春田重昭

    春田委員 昭和五十四年度はどうですか。
  274. 原徹

    原政府委員 約三千四百五十億でございます。
  275. 春田重昭

    春田委員 対五十四年度の正面装備だけ見た場合、伸び率は約一三%になりますね。この率で昭和五十六年、五十七年、五十八年、五十九年度と行ったとしても、私の計算からいったら合計二兆五千億にしかならないわけですね。対前年比一三%でこの正面装備だけ伸ばしたとしても、二兆五千億にしかなりません。二兆七千から八千にしようと思ったら、正面装備だけで一四、五%の伸びがなかったらいけないわけです。したがって相当高い伸び率でなかったならば達成が不可能になるわけでございまして、人件費とか食糧費が減ってきているので全体の枠ではできるような計算で二兆七千から八千と出されたというように聞いておりますけれども、こんな高い伸びが果たして本当にできるのかどうか。最初にも言いましたけれども、このような膨大な予算が捻出できるとお考えになりますか。
  276. 原徹

    原政府委員 私どもの立場から申しますとやはり国の安全にかかわる問題でございますから、それの認識の問題であろうかと存じます。全体の予算についてでは、防衛費というのは現在シェアは五%でございますから、その五%のものが若干高目に伸びたといたしましても全体として見ればほとんどほかの経費影響はないのではないかというような感覚は持っておりますけれども、しかし、それはやはり財政当局の決める問題でございます。やはり全体の国際情勢に対する認識、それからそれに基づいた国の安全に対する認識、そういうものがもとになって決められるべき筋合いのものであろうと考えております。
  277. 細田吉藏

    細田国務大臣 ちょっと私から補足させていただきますが、防衛費の全体予算に占める割合というのは、一貫してずっと下がってきております。でございまするので、これは選択をどうするかということだというふうに考えております。もちろんなまやさしい仕事ではございませんけれども、国としてどう考えるか。ただGNPに対する比率とか総予算の中における比率とか、そういったようなものでは、もう言うまでもないことでございますけれども、日本は非常な低位にあることは事実でございます。それから、アメリカや欧州、NATO各国におきましては、大変苦しい中で私どもが考えも及ばないような非常な大幅な増加をしておるという客観的事情もある。こういうことをいろいろ考えますると、これは私どももちろんそれこそアメリカヨーロッパ並みとかなんとかいうことを考えておるわけじゃございませんけれども、いまの程度のものは増強していかなければならぬのじゃないか、そういうふうに防衛庁としては考えておるということでございます。
  278. 春田重昭

    春田委員 そのようにお考えになっているのを何もこっちは否定はしていないのですけれども、財政的な裏づけというものがどうも一致してないという点で論議しているわけでございまして、要するに防衛費は一般会計予算に対して年々減ってきておりますだけに、正面装備の費用だけが軒並みこういう形で伸びていくことが果たして可能かどうかという問題があるわけでございます。当然しわ寄せとして、人件費、食糧費とかその他基地対策費とか研究開発費等があるわけでしょう、そういうふうにしわ寄せが来るわけですね。そういう点でこの二兆七千から八千という正面装備費が出されて、五カ年でやっていくという形で防衛庁は非常に意気込んでおられますけれども、そうしたいわゆる財政的な裏づけを考えてみた場合に非常に不可能に近い線である、どうもアメリカ向けのポーズにしか見えないように私は思うわけでございまして、いま国内の情勢というのは長官も御存じのとおり、非常に大変なときでございますし、公共料金は上がるし、国民はそういう点、今後非常に重い負担をしていくわけでございますから、この防衛費だけは国民の納得の上、コンセンサスを得てやっていかなければならないと私は思っているわけでございます。そういう点で、時間がありませんのでこの問題は次の機会でさらに展開してまいりたいと思います。  最後に、防衛庁が商品の高価買い入れの問題で会計検査院から指摘されました。検査院の見解も聞きたかったわけでございますけれども、時間がございませんので防衛庁から直にお答えいただきたいと思いますが、市価から比べればかなり高い。いわゆるむだ遣いといいますか、不当買いされているわけでございます。防衛庁としては購入価格は七百五十三万円、市価で見積れば大体二百六十八万ということでございまして、四百八十万の不当金額という形を検査院から指摘されているわけでございますけれども、これは御存じのとおり国会図書館、それから総理府関係は一応その省で返済されているわけでございますけれども、防衛庁としてはどういう対応をなさるのですか。
  279. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、防衛庁におきまして高価買い入れということで検査院から指摘を受けまして、まことに遺憾に存じております。国会図書館等におきましてすでに弁済をしたということも承知いたしております。  実はこの件につきましては、申すまでもございませんけれども、関係者が自己の利益を図るということでやったわけではございませんで、いわばノーマルでないような状況のもとにおいてやむを得ず強要に屈したというような状況もございますので、その辺の事情等をいましさいに聴取をいたしております。本人の弁済能力等をも勘案しなければなりませんので、諸般の事情を考慮しましていま慎重に検討をいたしておるところでございます。
  280. 春田重昭

    春田委員 大体いつごろ結論を出せる予定なんですか。
  281. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 近いうちに結論を出したいと思っております。
  282. 春田重昭

    春田委員 近いうちといったらいつごろなんですか。何月ぐらいなんですか。
  283. 渡邊伊助

    ○渡邊(伊)政府委員 ここ一、二週間の間に結論を出したいと思っております。
  284. 春田重昭

    春田委員 時間が参りましたから、終わります。
  285. 高田富之

    高田委員長 速記をちょっとやめてください。     〔速記中止〕
  286. 高田富之

    高田委員長 速記を開始してください。  次に、山田英介君。
  287. 山田英介

    山田(英)委員 私は航空機の使用及びとう乗に関する訓令につきまして、いわゆる体験飛行について、その運用に当たりまして厳正を保持していただきたいという観点から若干の質問をさせていただくものでございます。  その前に、昨年来公務員の綱紀の弛緩が国民の厳しい指弾を浴びているところでございますが、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つ任務を持つという自衛隊について、国民の信頼にこたえるという観点から細田長官はこの自衛隊の綱紀の保持についてどのような御決意をもって臨まれているのでしょうか、お伺いいたします。
  288. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。  自衛隊は国民の信頼の上に立っております。一般公務員、各省も同じことだと言えばそれまででございますが、特に私は、防衛を担当しておる。二兆数千億という予算をお預かりして、防衛を担当しておる。三十万近い人間がおります。これはやはり綱紀粛正、規律正しくなければ根底が崩れます。役に立たない自衛隊ならこれは問題にならぬわけであります。そういう意味で一般の省以上に綱紀は厳粛でなければならぬ。こういうところでこの間スパイ事件が起こったわけでございます。まことに遺憾千万、久保田前長官はその責任をとられたわけでございますし、それぞれいま事後の処置を講じつつございます。先日判決があったとおりでございまして、その後の中の処分問題等についても検討しておる、こういうことでございます。  そういった意味で私どもあらゆる面から綱紀の粛正については、この間の事件の後で一応次官を長とします検討会をつくりまして、大体の結論を得ましたので、どんどんこれを実行に移すようなことにいたしておるわけでございます。
  289. 山田英介

    山田(英)委員 大臣の御答弁は、他省庁と比べて、任務の重要性にかんがみ特に厳しい綱紀を保持しなければならない、こういう御決意だと承りました。  そこで具体的にお伺いをしてまいりますが、自衛隊機の使用及び搭乗についてここに訓令があるわけでございますけれども、体験搭乗といわれるものはどういうものなのか、また、その目的と根拠を簡潔にお示しをいただきたい。
  290. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 御承知のように防衛問題の重要性について国民の理解と協力を得るということは非常に大事なことでございますが、そのためにはまず自衛隊の実態を認識してもらうことが一番肝要であろうかというふうに思います。私どもそういうふうな立場に立ちまして各種の広報を実施しておるわけですが、体験搭乗につきましても同じような趣旨から、自衛隊の実態を国民の皆さんに知っていただくという趣旨から、体験搭乗なり部隊の見学というようなことを実施しておるものでございます。
  291. 山田英介

    山田(英)委員 適用条項、根拠はどこですか。
  292. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 自衛隊に関する広報の一環として行っているということでございます。
  293. 山田英介

    山田(英)委員 私の理解では、体験搭乗というのは航空機の使用及びとう乗に関する訓令の八条第一項第二号、これを根拠条項として体験搭乗というものがなされている、運用されている、このような理解でございますが、いかがでございますか。
  294. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 部外者の航空機搭乗についての根拠というふうな御質問であれば、いま御指摘のありました航空機の使用及びとう乗に関する訓令の第八条第一項第二号というふうにおっしゃるとおりです。
  295. 山田英介

    山田(英)委員 私の理解するところでは、体験搭乗というのはほとんど日帰り、それも大体一時間ぐらい周辺上空を飛行いたしまして、そして自衛隊の実態をよく知っていただくとか理解を深める、こういうことだろうというふうに理解しておるわけでございますが、間違いありませんか。
  296. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 おっしゃるとおりでございます。  ただ、自衛隊の部隊を見学していただくためには、たまたま距離的に遠い場所にある部隊を見学していただくこともございます。それから航空機に搭乗していただくこと自体が自衛隊の実態を知っていただくよすがにもなるということから、一泊あるいは二泊というふうな体験搭乗あるいは部隊見学ということもございます。
  297. 山田英介

    山田(英)委員 一時間ほどの体験搭乗と二泊三日というような体験搭乗の目的は、自衛隊に対し国民の理解を深める、また隊員募集の効果を高めるとか自衛隊の実態をよく知っていただこうということで、その適用条項はともに訓令八条一項一号、訓令で言う部外者、民間人でございますが、こう理解してよろしゅうございますか。  この二つのケースの日帰り物、一時間ぐらいの上空飛行の体験搭乗、それから二泊三日とか三泊四日とかいう部隊見学を含めての自衛隊機への部外者の搭乗について、何か特別な資格基準みたいなものがあるのでしょうか。あわせてお答えください。
  298. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 まず質問の第一点でございますが、根拠は御指摘のとおり訓令の第八条一項二号でございます。  それから資格基準というお話でございますが、資格基準というのは、自衛隊の広報上、いわゆる募集広報を含めまして有効であるというふうに認められた場合にはそういう部外者の体験搭乗を認めることができるようになっておりまして、特段の資格要件というものはございません。
  299. 山田英介

    山田(英)委員 二泊三日というような体験搭乗は、訓令八条一項二号で部外者を搭乗させる仮に全体の人数という立場で見た場合に、推定でも結構ですから、どれぐらいの割合を占めておるのか。要するに一泊二日以上、二泊三日とか三泊四日とか、こういうものは普通行われているのか、それとも例外的なものなのでしょうか。
  300. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 ただいまの御質問に対する適確な答弁になるかどうかわかりませんけれども、たとえば昭和五十四年度に全国の地方連絡部が実施した航空機の体験搭乗の実績を申し上げますと、合計で約五百数十件、一万七千人ぐらいの方に乗っていただいております。このうち局地飛行、先ほど先生から御指摘のあった近間のところで乗っておるというふうなものは大体そのうちの四百件、約一万六千人ぐらいという数字になっております。
  301. 山田英介

    山田(英)委員 いま御報告いただきましたこれから見ますと、きわめて例外的で、通常行われている体験搭乗の形態ではない、このように理解をいたします。  そこで、二泊三日の体験搭乗というのを認めるのであれば、たとえば四泊五日とか五泊六日とか、そういうような体験搭乗も認めるのですか。極端な例を言えば九泊十日とか。歯どめがかかっているのですか、どうなんでしょうか。どこまでが八条一項二号の特に有効である場合になるのですか。
  302. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 御承知のように、部外者が航空自衛隊航空機に搭乗する場合には、原則として現在自衛隊が運行しております定期便を利用していただいております。この定期便の運行というのは、各基地間を毎日民間航空のように何往復もするのではなくて、ある決められた日にち、何曜日の何時に、たとえば東京と北海道を結ぶ線は火曜日と金曜日というふうに決まっております。したがいまして行きの便にその火曜日の便を利用しますと帰りは金曜日にならざるを得ないというふうなことから、いま御指摘のような二泊三日というようなことになりますが、五泊六日とかあるいは十日でもいいんだというようなことは、われわれとしても現在実際にもやっておりませんし、またそういうことは、体験搭乗あるいは部隊見学の実態、必要性から見て適当ではないのではないかというふうに考えております。
  303. 山田英介

    山田(英)委員 私の手元にございます資料で私の知り得る最大の泊数というのは四泊五日でございます。いまの御答弁でそういう長いものは考えられないというふうに御答弁いただいているわけですけれども、実際には歯どめはないのですよ。どうなんでしょうか。防衛庁で指導する基準はあるのですか。
  304. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 具体的に何日以内というふうな基準はございません。ただ常識的に、先ほど来申し上げておるような往復の便の関係から、一泊あるいは二泊三日というふうなところが常識的であろうというふうに思います。
  305. 山田英介

    山田(英)委員 先ほどの御答弁の中にもございますように、体験搭乗の目的というのは、自衛隊が一生懸命勤務に精励されておる、そういう姿を実際に見学させることによって自衛隊の実態をよく認識してもらおう、それによって国民の自衛隊に対する理解をより深めていただこう、また隊員募集等の広報活動の面においてもその効果を高めることを期待する、こういうところにその目的があるのだというふうに理解をするわけでございます。  そういたしますと、部隊見学とか、いま申し上げましたような目的からそれて、たとえば観光なんかやるような要素が入る余地というのはほとんどないと私はただいまの答弁から伺えるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  306. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 あくまでも部隊見学や航空機搭乗というのは、自衛隊の実態を認識していただくことが第一義でございます。したがってそういう目的の範囲内で行われることが望ましいのですが、たまたま基地間の移動であるとか天候のかげんで、当初のスケジュールを外れた行動に出ることは私はあろうかと思います。しかし実際には部隊見学であり、体験搭乗ということで自衛隊の実態を知ってもらうことが一番大事なことであろうというふうに思っております。
  307. 山田英介

    山田(英)委員 それが第一義である、目的の趣旨を外してはならない、こういう御答弁でございます。  具体的に例を引きましてお尋ねするわけでございますが、昨年の七月十七日から同月十九日まで二泊三日で春日部市自衛隊協力会なる民間人、訓令で言う部外者十名を、自衛官が一名付き添って自衛隊機に体験搭乗させております。搭乗区間は往路につきましては入間基地から千歳基地、復路は千歳基地から入間基地、搭乗機種及び便名は、往復路ともに航空自衛隊所属のYS11特別便。御確認をいただきたいと思います。
  308. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 昨年の七月、御指摘のような体験搭乗、部隊見学を実施しております。
  309. 山田英介

    山田(英)委員 これはどこで企画をし、どこで搭乗を承認なされたのか。
  310. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 これは、自衛隊は各県に地方連絡部という募集担当の事務所がございますが、埼玉地方連絡部において企画をし、埼玉県の春日部の防衛協力会の会員、会長以下十名の方を北海道の部隊見学ということで航空機に搭乗させております。なお、搭乗権者は航空幕僚長でございます。
  311. 山田英介

    山田(英)委員 この北海道への二泊三日の体験搭乗の承認の根拠、適用条項、また搭乗を必要とする理由はどうなっていたのでしょうか。
  312. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 埼玉県春日部市の自衛隊協力会員の部隊見学、体験搭乗につきましての航空機搭乗の根拠は、先ほど来お話のあります航空機の使用搭乗訓令の第八条第一項第二号の自衛隊の広報上有効であるというふうなことで認めたものでございます。
  313. 山田英介

    山田(英)委員 ここに、埼玉地方連絡部で作成をされたと私は理解をいたしておりますけれども、行動予定表がございます。これによりますと、七月十七日千歳第二空団基地見学、十八日第二十九普通科連隊の見学、十九日恵庭の第一戦車団の幹部と会見をしている、こういうことになっておりますけれども、御確認をいただきたいと思います。
  314. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 御指摘の行動につきまして申し上げますと、七月十七日に入間から千歳へYS11に乗りまして、その日、航空自衛隊の第二航空団を見学し、慰問品の贈呈等を行っております。その日は倶知安に泊まりまして、翌七月十八日には倶知安にある第二十九普通科連隊を見学し、同じく慰問を行っております。その後洞爺湖を回りまして虻田町の役場を訪問して、そこで泊まり、翌七月十九日洞爺湖から千歳に移動いたしまして第一戦車団、これは北恵庭にございますが、この部隊を見学するとともに慰問品を贈呈して、その日に千歳発の飛行機で入間に戻っております。
  315. 山田英介

    山田(英)委員 私の調査によりますと、十七日札幌で市内観光、十八日は虻田町というところの町長さんを訪問して、その後虻田町所有のマイクロバスで洞爺湖周辺を、これは観光めぐりといった方が適切だと私は思うのでございます。こういう事実が私の調査ではございます。御確認をいただいた先ほどの日程の合間といいますか、そういう中でなされていたということが判明をいたしておりますけれども、防衛庁ではこのことを御存じだったのですか。
  316. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 本件は新聞に出まして、私ども調べた限りで、七月十七日千歳から札幌へ着きまして、札幌着が十五時十四分でございます。それから札幌から国鉄を利用して倶知安に行くわけでございますが、六時二分、この間二時間ちょっと時間がありましたので、札幌市内を自由行動したというふうに聞いております。それから翌月の虻田町の件でございますが、七月十八日は町のマイクロバスをお借りして、有珠山の爆発による災害地の見学であるとか、あるいは町役場当局説明を聞くとかいうふうなことをしておるようでございます。ただ、この虻田町の町長さんも虻田町の防衛協力会の会長でございまして、約千人以上の会員を擁しておるところですが、そことの交流を含めてお話し合いになったというふうに聞いております。
  317. 山田英介

    山田(英)委員 いずれにしても洞爺湖の周辺をマイクロバスで観光した事実はございます。そういうことで、要するに自衛隊の実態をよく認識をしていただき、なおかつ国民の自衛隊に対する理解を深めようという第一義的な趣旨からいくと、これは観光という要素が間違いなく入ってきている。私の調査では時間帯的に見てもこういうことになっているのですよ。ただいま申し上げました札幌における市内見学というのが約二時間、それから虻田町長を訪問して、そしてマイクロバスで観光なされたのが約三時間、合わせて五時間です。実際に千歳の第二空団とかに二十九普通科連隊とか恵庭の戦車団の副団長とお会いになった等の時間を計算しても、五時間に満たないという私の調査の結果が出ております。これではどちらが主目的なのか全くわかりません。観光旅行のために、別の言い方をすれば訓令八条一項二号の体験搭乗に名をかりた観光旅行というふうに私には思えてならないわけでございます。こういうことでは国民の納得を得ることは絶対できないと思うわけでございます。体験搭乗を必要とする理由、それから見学と観光の時間帯——私はいま初めて自衛隊の答弁を伺うわけでございますけれども、虻田町という一つの自治体からマイクロバスを出させるなんて、私は当初は自衛隊が顔をきかせてマイクロバスを出させたのではないかと思わざるを得なかったわけでございます。  いずれにしてもこういう実態があるわけでございますが、観光の要素がきわめて強いこの北海道二泊三日の体験搭乗について、再度、防衛庁としてどういうお考えを持っておりますか。
  318. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 私ども、部隊見学なり航空機の体験搭乗というのは自衛隊の広報士あるいは募集広報上を含めまして非常に有効であるというふうに考えて、これを適切に実施したいというふうに考えておりますが、いまいろいろ御指摘がありましたように御批判、誤解があるようなやり方をすることは私どもの本意ではございませんので、今後十分気をつけて、そういった誤解のないような運営をしたいというふうに考えております。
  319. 細田吉藏

    細田国務大臣 制度ができましたときにはそれなりの理由もあり、それからやり方も緊張してやると思います。ところが、だんだん時間がたったりいろいろしますといろいろなものが起こってくるということは往々にしてありがちなことでございまして、私どもは自衛隊に対する国民の皆さんの信頼、声価というのはいま最も大事に考えておるわけでございますので、誤解を招きやすいようなものについてはやらせないということが一番いいと思います。ですから、そういう点についてはいま人教局長からもお答えしましたが、もう十分注意をして、ここで、体験飛行については本来の目的、その範囲でなければいかぬというふうにはっきりやらせたいというふうに考えております。
  320. 山田英介

    山田(英)委員 防衛庁長官おっしゃるように、私もその意味では認識は非常に似通っておるわけでございます。当初、体験搭乗というのはそういうことで厳正に運営をされてきた。しかし、それが年月を経過する中で運用に非常にルーズな面が出てきて拡大をしていった。当初日帰りだったのが何泊もするようになったとか、それから、ある程度人数を限定しておったものを広く民間人に広げてきたとか、そういう中で運用のルーズさというものが非常に出てきたということで、私もそう認識をしておるわけでございます。大臣は厳正な運用確保のために所要の改善策をとられるという趣旨の御答弁をされておるわけでございますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  実は、この一件だけではないのですよ。それで、これも長官に聞いておいていただきたいわけでございますけれども、同じ自衛隊協力会の、メンバーは一人だけ同じです。別の会員と称するとあえて私は申しますけれども、昨年の十一月十二日から十四日まで二泊三日で今度は九州へ民間人五名を、自衛官一名が付き添って自衛隊機に体験搭乗をさせております。これは往路は、搭乗区間、入間基地から新田原基地を経由して板付基地です。復路は、搭乗区間、板付基地から美保基地を経由して入間基地。往復路ともに搭乗機種は航空自衛隊所属のC1輸送機である。これはすでに防衛庁に確認をしておりますので、間違いないことだというふうに理解をして先に進めます。  これはどこで企画をし、どこで搭乗を承認されたかということになると、やはり埼玉地方連絡部で、搭乗承認者が航空自衛隊の輸送航空団司令、こういうことだというふうに理解をしておるわけでございますが、間違いございませんか。
  321. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  322. 山田英介

    山田(英)委員 この承認の根拠は、九州の体験搭乗、これの適用条項は先ほどの訓令八条一項二号である、こういうことだと思います。  私はこの際、ぜひ聞いておきたいのですが、この九州の体験搭乗については、搭乗を必要とする理由はどうなっておりましたか、これを聞かせてください。
  323. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 同じく訓令第八条一項二号の募集広報上あるいは広報上有効であると認めるというふうな趣旨であると思います。
  324. 山田英介

    山田(英)委員 私の調査によりますと、この九州旅行の行動は、十二日が長崎地方連絡部幹部と会見、これは要するに入間基地から新田原を経由して、それで板付へおり立った後、長崎地方連絡部幹部と会見、それから十三日、大村部隊見学、この予定が大雨のために中止、それから十四日、福岡地方連絡部へ記念品を持って訪問、こういう九州旅行の行動になっております。これはすでに本日を迎える前に防衛庁の担当の方と確認をしている日程でございますので間違いないと思います。  問題は二つあるのです。なぜ福岡とか長崎とか、そういう地連訪問のために、わざわざ埼玉入間の方から九州まで案内しなければならないのか。募集効果を高めるため、それを期待するためといったって、そこまでやらなければならないのかという問題が一つ。  それからもう一つは、私どもの調査ではっきりしたのですけれども、十三日、肝心の部隊見学です。大村部隊の見学、これが大雨だといって中止をされて、それで、では何をやっていたかというと、観光バスに乗って長崎市内の名所めぐりをやっている、こういう事実があるわけでございます。これも防衛庁は知らないのです。なぜ知らないかというと、いまの制度の仕組みといいますか、この体験搭乗についての運用がまことにいいかげん、こういう状況になっているわけでございます。  一例を私、申し上げます。これはぜひ大臣、聞いておいていただいて、この辺にスポットを当てて所要の改善措置を講じてください。  まず、訓令十条の規定に基づいて「航空機とう乗承認申請書」というのが、その搭乗したいとする民間人、いわゆる部外者から一名一名出されるわけです。この中には、いわゆる行動予定というものがどうなっているかというのが全くわかるようにはなっておりません、記載するようにはなってないのです。後でこれはちょっとお聞きしたいのですけれども、「このとう乗に当たっては、機長及び関係担当官の指示に従って行動します。」という誓約書、誓約みたいなことまで一応入っているわけでございます。これが一つ。  それから、地連が幕僚長なり各付属機関の長なりに搭乗承認申請を出すのですが、それにも行動予定表はない。私の手元に、防衛庁からちょうだいをいたしました航空幕僚長が北海道の体験搭乗について承認をした書類がここにあるわけでございますけれども、これを見ても、年月日とか、どの機種で、どの基地からどの基地へということは書いてございますけれども、これでもやはり現地における行動予定というのは全くチェックされない、こういう書式になっております。  もう一つ、今度は細田長官のところへ御報告がなされる書類があるのです。余り細かいことを長官は御存じないかもしれませんけれども、ぜひ知っておいてください。  訓令の第十二条に基づいて「幕僚長及び附属機関の長は、自己又はその監督する部隊等の長が」中略「第八条第一項各号」、ですから二号が入るわけです。「の規定により部外者をその所属航空機にとう乗させた場合には、四半期ごとに別記様式第二により、長官に報告しなければならない。」「別記様式第二」というのがこれなんです。これが長官のところに四半期ごとに報告をされる。ところがこの報告の様式というのは、第六条関係、七条関係、八条関係というふうに分けられて、それでさらに各号に分けられて、そして件数と人員だけを報告すればいいという形になっているわけでございます。  ですから、私が申し上げたいのは、要するにどのプロセスをとってみても、その現地で何がなされているかということが、いまの体制では、運用では全く了知することができない、理解することができないということになっているわけでございまして、この点について所要の改善措置をぜひ長官にとっていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  325. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 ただいま搭乗訓練のいろいろな手続についての御指摘がございましたことは、一々御指摘のとおりでございます。確かに、私どもその行動の具体的な内容を知り得るようなシステムになっておらないというふうなこともありますので、今後、承認権者あるいは部隊、機関の長、地方連絡部を通しまして、そういうことのないように十分注意していきたいというふうに思っております。
  326. 山田英介

    山田(英)委員 私は細かいことを暴露するような、そんなつもりで今回のこの問題を取り上げさせていただいたわけでは決してないのでございます。長官、聞いていただきたいのですけれども、私が非常に心配するのは、その額はきわめてわずかかもしれません。けれども、自衛隊機だって国民の血税があったればこそ飛んでいるわけでございます。ですから、そういう自衛隊機に観光旅行と紛らわしいような形の体験搭乗をさせるということ自体、これは予算の執行上適切を欠くということになりはしないかということを、額は少ないかもしれないけれども、結果的にそういうことにもなるのだろうというふうに私は思うわけでございます。  もう一つは、物価高とか不況の中で国民生活は非常に圧迫されているわけでございます。間もなくゴールデンウイークで、去年は、おととしは、九州まで行った、北海道まで行った、けれども、いろいろと家計が大変だから、二泊三日したのを一泊二日にしようか、日帰りにしようか、遠いところへ行ったのをもっと近間で済まそうかということで、いま国民は一生懸命やりくりをやっている最中なわけでございます。そういうふうに考えていきますと、旅行に行くこともできない人だってたくさんいるわけですよ。観光旅行と紛らわしいようなこういう形で自衛隊が航空機を出してやっているような姿があれば、こんなことでは国民はやりきれない、そういうことです。  したがいまして、国民の理解を得るどころか、かえって国民の不信を買うようなことになってしまう。先ほど大臣のお話の中にも、いわゆる自衛隊の実態をよく知ってもらい、国民により自衛隊を理解してもらおう、隊員募集の効果も高めていこう、当初そういう目的であってやってきたのが、確かに北海道へ行った十名とか九州へ連れていった五名とか、その十五名の人たちは自衛隊の実態を知り、なおかつ理解を深めたのかもしれません。けれども、そういう観光旅行の事実を知ったより広範な、十五人に理解を深めたとしても、十五万人、百五十万人、三百万人の大ぜいの国民のかえって不信を買うということになってしまうわけでございます。そういたしますと、全く体験搭乗の趣旨というか目的というのは逆の効果を、それも莫大な逆の効果を出してしまっているということを私は非常に心配するわけでございます。  すでに、これは新聞に出たと先ほどおっしゃいましたけれども、昨年からもこれは明るみに出ているわけです。これを知りました大ぜいの市民、国民が、一体どうなっているのだ、こういう声が渦巻いておるということも私はこの際申し上げておきたいと思うわけでございます。これは改めるべきでございます。  それからもう一点。一つの角度から言えば、自衛隊を取り巻く今日の環境というのは、いろいろな意味で大変なわけでございます。自衛隊についても、その存在とかそのあり方等についていろいろな論議をなさる立場というのもあるわけでございます。そういう中で、やはり国民の関心がいま自衛隊にすごく集まっているところでございますから、それだけに、国民の信頼を失うような、また自衛隊に対する信頼を裏切るようなことはあってはならない、私はこういう観点でございます。  さらに、自衛隊協力会という話が出てきておりますが、自然発生的任意的な団体で、実態はほとんどないのです。防衛庁もその実態はつかんでないのです。どこに幾つあって、何人いてというのはつかんでないのです。いろいろその事情もあるかもしれません。いつも自衛隊協力会の皆さんに協力をしていただいているから、そういう感謝の気持ちでみたいな気持ちが仮にあったとすれば、私は、少なくとも、自衛隊機に搭乗させて、二泊三日だ、三泊四日だというような旅行を企画しなければそういう人たちに感謝の気持ちをあらわせない、こういう発想はもともと間違いだ。むしろ別の感謝のあらわし方があるはずでございまして、少なくとも国民の理解と共感を得られるような形でそれは行われるべきであるというふうに私は申し上げておきたい。  もう一つは、私は、二泊三日とか体験搭乗を全く否定するわけではないのです。しかし、国民の理解と共感ということを真剣に考えるならば、いやしくも体験搭乗が観光旅行ではないかと疑われるような企画を絶対に組むべきではありません。具体的には申し上げませんけれども、これは官房広報課が企画をした、あるグループの部隊見学の行動予定表です。これを見ますと、びっしりですよ。昼食をとるときだって、部隊幹部と懇談です。婦人自衛官との懇談とか、朝から夕方までびっしり見学をして、夜は夜で、夜間訓練まで部隊見学をしておるのです。ところが現実には、いま申し上げました二つの例は余りにもひど過ぎる。先ほどの御答弁にありましたように、これはぜひ改善措置をとっていただきたい。重ねてお願いを申し上げる次第でございます。  このような観点から私は、訓令第八条第一項第二号の運用の拡大解釈に歯どめをかけ、厳正な運用を確保するための改善策を講ずべきであると弔うわけでございますが、一言、長官の責任ある御発言をもう一度いただきたいと思います。
  327. 細田吉藏

    細田国務大臣 大局的な立場に立って大変御心配をいただいておりますことを感謝いたします。  私は、防衛庁へ参りましてから、金額が少なくても徹底的な合理化、節約をやろうということを提唱しております。これは先ほど申し上げましたが、防衛庁は一般官庁以上にその点は気をつけなければいかぬ、こういうふうに強く言っております。また、来年度予算でも、できるだけ正面装備はふやしたいけれども、それ以外のものについては思い切った節約をやらなければならぬ、そういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、いまおっしゃったように、誤解を招く、自衛隊に対してむしろ反感が強くなるというふうなことをやるのでは——金を使い、貴重な油を使う場合もあると思うのです。どうせ飛ぶから乗せるという場合以外で、ただ単独で飛ばすような場合、油も使うわけでございますから、そういったようなことはやめてもらわなければ困るわけでありまして、先ほど申し上げましたように誤解を生ずるような体験飛行というものについては厳に慎まなければならぬ。先ほどチェックシステム、防衛庁長官のところへ報告云々がありましたが、私は、チェックするよりもこれはもとの方で締めないと、そんなところまで一々チェックしたら行政簡素化になりませんから、もとのところで締めてもらうように一般的に号令をかける方が本当だ、こういうふうに思っております。
  328. 山田英介

    山田(英)委員 少なくとも体験搭乗が観光旅行と疑われるようなことが今後いささかもないようにひとつ指導監督をする、そういう御答弁をもう一度大臣、お願いします。
  329. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいまさように申し上げたつもりでございまして、先ほども申し上げたとおりでございまして、私ども、そのようなことが行われがちになっておる空気というものを改めてもらうように、適当な、なるべく早い機会に命令したい、かように考えております。
  330. 山田英介

    山田(英)委員 時間が参りましたので、本日は、大蔵省の政府委員の方、それから運輸省の政府委員の方においでいただいたのでございますが、まことに申しわけございませんが、これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  331. 高田富之

    高田委員長 岩佐恵美君。
  332. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 横田のリロケーションの問題について先にお伺いしたいと思います。  関東計画に基づいて、横田基地への集中計画が終わったというふうに伺っていますが、年度別の支出総額一そして一体どういうものにどのぐらいの支出をしたのか、その具体的な内容について御説明をいただきたいと思います。
  333. 森山武

    ○森山(武)政府委員 お答えいたします。  昭和四十八年度予算で第一期工事を始めております、住宅、司令部等移設項目、十六億五千七百万。昭和四十九年度、第二期工事、倉庫、病院、小学校等七十二億九千万。五十年度、第三期工事、住宅、下士官クラブ、体育館等百三十八億六千六百万。五十一年度、第四期工事、将校宿舎等百三十三億三千六百万円。五十二年度、第五期工事、放送施設等六十一億七千六百万円。五十三年度においては、五十二年度の繰越分として、同じく第五期工事でございますが、道路工事等一億三千百万円。合計四百二十四億五千六百万円、このような内容になっております。
  334. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 いまのは年度別でお答えをいただいたわけですが、たとえば住宅についてどのぐらい建てて、しかもそれは幾らだったのか、あるいは宿舎についてはどうかとか、事務所、病院施設、教育施設、厚生施設、まあ、防衛庁の方にその用途別の金額を出してくださいというふうに前から御要望申し上げているのですが、その資料が出てきていないわけです。決算委員会ですから、このような資料は当然出していただかなければいけないというふうに思いますし、この点、出していただくよう要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  335. 森山武

    ○森山(武)政府委員 ただいまの御要望に対して、決算額というのは各項目ごとに契約が必ずしもなされていないというふうな事情がございまして、決算額自体をこの項目で分類するのは非常に困難でございます。それで、先生の御要望にお答えするために、ここに建設費の予算額を項目別に分類して持ってきましたが、それをお答えしたいと思います。  住宅は七十億三千百万円でございます。面積は約五万二千平米。宿舎三十億七千八百万円、面積二万五千平米。事務所四十四億九千二百万円、面積一万六千平米。病院施設十九億七千四百万円、面積八千平米。教育施設三億五千五百万円、面積二千平米。厚生施設二十八億三千万円、面積一万五千平米。倉庫三十二億三千四百万円、面積四万四千平米。工場七億九千二百万円、面積六千平米、教会一億九千二百万円、面積一千平米、食堂四億七千三百万円、面積二千平米、工作物その他百五十六億九千四百万円、そのほか事務費二十三億一千百万円、これを全部合計しますと四百二十四億五千六百万円、面積十七万平米、この面積は概数でございます。
  336. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 防衛施設庁の方からも私も事前にこの横田のリロケーションの中身について伺っているわけですけれども、昭和四十八年から始まって六年間にわたったこの計画の中で、たとえば将校宿舎あるいは隊舎、下士官クラブ、倉庫、そういうもののほかに家族住宅、幼稚園、小学校、体育館、病院、教会、劇場、売店、銀行、消防署、そういうようなもの、あるいは道路の整備まで、まさに一つの大きなニュータウンがつくられた。それをそっくりアメリカ側に提供した、こういうことだと思います。関東計画は米軍の基地機能をさらに円滑にするということで、米軍人及びその家族のために生活環境条件整備をしてやる。そのために日本のお金を四百億以上も使ってしてやる。そういうことは、私ども物価高に苦しんでいる、あるいは日本の国民のための道路や下水道などの町づくりというのは大変おくれております。それから住宅不足もウサギ小屋などと言われていて、大変深刻な状況にあるわけです。こういう中では大変大きな問題だというふうに思っております。具体的に伺いますが、将校宿舎一戸建てを三戸建てられたというふうに聞いておりますが、建坪それから間取りあるいは一戸当たりの宿舎の費用、これはどういうふうになっているのでしょうか。
  337. 森山武

    ○森山(武)政府委員 ただいまの御質問は三戸ということでございますので将官用宿舎かと存じますが、面積は千二百五十五平米、一戸当たり四百十八平米でございます。間取りはちょっと手元に資料がございませんが、費用といたしましては、一億四千二百万、二月当たり四千七百万でございます。
  338. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それから九階建ての住宅は二ベッド、三ベッド、四ベッド式というふうになっていると伺っていますが、それぞれの戸数、それから平米、間取り、これはどうなっているでしょうか。
  339. 森山武

    ○森山(武)政府委員 KPCPで横田に移設いたしました二百七十五戸のうち高層三ベッド、これが先生の御指摘になった高層の住宅のことかと思いますが、二百十戸、専用面積二万八千五百六十平米、一戸当たり百三十六平米、金額にいたしまして五十三億五千六百万円、一戸当たり二千五百万円でございます。
  340. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 これは階層に応じた規格はあるのですか。
  341. 森山武

    ○森山(武)政府委員 国防総省の基準で建設いたしておりますが、国防総省の基準によりますと、ベッド数の割り当てというのが家族構成及び階級に応じて割り当てられる、こういうことになっております。  それで、大佐相当職以上は最低四ベッドルームを割り当てる。それから少佐及び中佐、これは最低三ベッドルームを割り当てる。それから大尉以下につきましては家族構成、子供の年齢及びその姓別によってベッド数が決定される、このようなことになっております。
  342. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それから、いわゆる思いやり予算というふうに言われておりますが、この横田基地関連の新規工事というのはどういう金額になっているでしょうか。それから、今後この思いやり予算を継続してどんどんふやされていく予定だというふうに伺っていますが、その見通しについてお答えをいただきたいと思います。
  343. 森山武

    ○森山(武)政府委員 現在KPCPとは別に、施設整備としてやっております、先生の御指摘の思いやりに基づきます家族住宅といいますのは、現在二百十戸を予定しておりますが、これは先ほどのKPCPで建設した三ベッドの規格と全く同じものでございます。  それから、将来どのように考えておるかという御質問に対しましては、横田飛行場におきましては、家族帯同者に比しまして現在の家族住宅はなお不足の状況にございます。したがいまして、家族住宅の二百十戸のほかにまだ必要であるというふうな実情はなお続く、こういうことでございます。
  344. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この二百十戸予定というのは、金額的には、先ほどの五十三億五千六百万円、これと同じなわけですか。
  345. 森山武

    ○森山(武)政府委員 先ほどのKPCPの年度と、今度の五十四年度計画の二百十戸は年度が違いますので、金額的には異なります。なお、今度のいわゆる提供施設整備として計画しております二百十戸分につきましては、一戸当たり二千八百万円、このような計算になります。
  346. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そしてこの住宅あるいはいろんな環境整備についてでき上がったもの、これは会計検査院の立ち入りはどういうふうになっているでしょうか。
  347. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  横田基地関係の、先生おっしゃいますリロケーション関係の工事は大部分五十二年度に終了しているわけでございます。最近の例で申し上げますと、五十二年の五月には、横田飛行場短期家族宿舎新設建築工事、それから補給倉庫増設建設工事、汚水排水幹線工事などを検査をいたしております。また、五十三年六月には、住宅新設建築工事の一ないし三工区、それから将校宿舎新設建築工事ほかの工事につきまして実地に検査を施行しております。
  348. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 防衛庁に伺いたいのですが、私自身、この横田の建設、いろいろ日本側が関東計画やあるいは思いやり予算でどういうものを提供しているのか、それを行って見てみたい、こういうふうに思うわけですが、その点、いかがでしょうか。
  349. 玉木清司

    ○玉木政府委員 できるだけ御便宜をお図りするつもりでございますが、アメリカ側の意思によりますので、それと連絡をとってみないと正確なお答えはできません。
  350. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 ぜひ私自身行かれるように配慮していただきたいというふうに思います。  それから同時に、決算委員会で審議をする際に、やはり決算委員会でも、どういうものをつくっているか、それを確かめるということが必要だと思いますし、決算委員会の理事会で検査をする、そういうことなどが決まれば、またそういうことをやっていただく、便宜を図っていただく、まあこれは当然のことになると思いますけれども、その点、いかがですか。
  351. 玉木清司

    ○玉木政府委員 できるだけ御便宜が図れるように、アメリカ側と接触をしてみたいと思います。
  352. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、チームスピリット80の問題について伺いたいと思いますが、本年三月一日から四月二十日までの五十一日間、これは、これまでの最大規模と言われた昨年のチームスピリット79の十七日間に比べて約三倍、史上最大、最長の米韓合同演習、チームスピリットが行われている。  そこで、まず外務省にお伺いしたいと思いますけれども、今回もまた在日米軍基地が利用されていますけれども、アメリカ側からはどのような通告が来ているのでしょうか。
  353. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。アメリカ側からは、ことしの二月に、本件につきましては事前に通報がございまして、先生がいま言われたような日にちとか、それから全体では幾らぐらいの人間が参加するというような点と、それから日本におきますところの基地の使用との関連では、横田に関しましては、横田におりますところの第三四五戦術空輸飛行隊が今回の演習に参加するというような通報も受けております。また、今回の演習に参加するところの米本土及び太平洋地域の米軍部隊の一部が、途中給油のために沖縄に立ち寄るでしょうという通報も受けております。
  354. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 チームスピリット78のときには、外務省も認めておられますが、米本土から核、非核両用のランスミサイル大隊が横田基地を経由して朝鮮半島に投入されました。今回についてはそういうことがあったかどうか、また、米軍からそういう通報を受けているかどうか、その点を伺いたいと思います。
  355. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  ランス部隊の通過の問題に関しましては、国会あるいは報道機関からまさに先生がいま質問されたような質問があるかと思いまして、アメリカ側に念のため問い合わせましたところ、今回の演習には参加しない、こういう回答を得ております。
  356. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 七六年八月十八日に起こった板門店事件の直後、F111戦闘機一個中隊十五機が米本土から無中継で朝鮮半島に直行したときに、米軍機の航路を最優先で確保するために日本の民間機の進入を阻止する措置、いわゆるブロックエリア、こういう措置をとったということは知られていますけれども、今回のチームスピリット80ではこのようなことがあったかどうか、運輸省にお伺いをしたいと思います。
  357. 末永明

    ○末永説明員 先生いまお尋ねになりました空域のブロックの件でございますが、今回のチームスピリット80という件につきましては、航空局としては、その行動その他については全然承知しておりません。空域ブロックというのは、特定の飛行空域、たとえば一定の範囲だとか高度を定めまして、一定の時間を定めて他の航空機がそこを飛行しないようにする管制上の措置でございまして、このような要請がありました場合には、他の航空機影響を与えないように、かつ、その時間も最小限にするように調整いたしまして、措置を講じております。このような空域のブロックというのは、通常、米軍からの要請によりまして、ときどき行われることがございます。
  358. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 三月一日から四月、きょうは十七日ですか、この間までにそういう通報を受けてブロックエリアの措置をとったかどうか、その点はいかがですか。
  359. 末永明

    ○末永説明員 三月一日から四月までの空域ブロックは何件かございましたけれども、それがいかなる米軍の行動を伴うものであるかということにつきましては、航空局としては承知していない立場でございます。
  360. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 何件あったかということを伺っているわけです。
  361. 末永明

    ○末永説明員 何件あったか、数につきましては、私ども一存ではと申しますか、詳細な数につきましては、現在のところ握っていない状態でございます。
  362. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 ブロックエリアの措置というのは別に秘密でも何でもなくて、航路をリザーブするわけですね。だから何月から何日までの間に何件あったということぐらいは、運輸省としても調べられるのじゃないですか。また、それを報告しても何でもないことなのではないですか。ただ、年間どのぐらいあるかとかそういうことについては急には出ないという話はあったけれども、短期間でどのぐらいあったということはすぐわかるはずだというふうに伺っておりましたけれども、その点いかがなんですか。
  363. 末永明

    ○末永説明員 先生が御質問のブロックの件数は、太平洋全域にわたりまして、各管制部がそれぞれに管制上の措置を講じておるものでございまして、件数の合計というふうな詳細な数につきまして、ただいま私、承知していないということでございます。  それから件数につきましては、米軍の行動に伴うものもございますので、運輸省の一存のみではお答え申し上げることについては、今後他の、米軍の同意とか、そういうところと御相談した上のことになろうかというふうに存じております。
  364. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 横田基地関連で、この間にどれだけブロックエリアがあったかということを、この数字をぜひ出していただきたいというふうに思うわけですが、運輸省あるいは防衛庁、いかがですか。横田基地関連だけでいいのですけれども、ちょっと運輸省先に。     〔委員.長退席、新村(勝)委員長代理着席〕
  365. 末永明

    ○末永説明員 これは米軍との関係もございますので、運輸省一存、航空局一存ではお約束はできないかと思います。お約束してそれを発表するという立場には航空局はないというふうにお答えいたします。
  366. 森山武

    ○森山(武)政府委員 ただいまの管制上のことにつきましては、横田基地周辺と限定されても、防衛庁としては所管外なのでその旨御了承願いたいと思います。
  367. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 横田基地関連ということで、運輸省の方に出していただくように再度要請をしておきたいと思います。  時間もありませんので次の質問に移りますが、東京平和委員会がチームスピリット80に関連して演習期間前から毎日監視行動を行っていますが、演習に関連した大規模な動きをつかんでいます。たとえば戦略輸送機C141スターリフター、C5Aギャラクシー、C130ハーキュリーズなどの輸送機を中心に一日最高百七十五回、これは新聞で一部報道されておりますけれども離着陸をする、あるいは低空通過、タッチ・アンド・ゴー訓練が行われている。兵員輸送機のチャーター便が何回も飛来する、そういう事態が起こっています。  私がちょうど視察に行った日、四月四日にはF15戦闘爆撃機が四機、それからP3Cが一機駐機していました。また、真っ黒な機体の対ゲリラ戦用の支援機OV10ブロンコが二機ちょうど飛び立っていくのを目撃をしました。そして演習の緊迫した感じをひしひしと感じてきたわけですが、東京都民は今回の演習関連の横田基地の利用、これに非常に大きな不安を持っています。  そこで具体的にお尋ねしますけれども、このような米空輸軍団の長距離輸送機やチャーター機の離発着、これは朝鮮半島への演習関連ではないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。  また、エアリフト機、空輸機の基地として横田基地が使われているということは明らかですが、この点政府は通告を受けているかどうか、この点は外務省からお伺いしたいと思います。
  368. 丹波実

    ○丹波説明員 まず後の方の御質問からお答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、アメリカ側に照会いたしました結果は、今回のチームスピリットとの関連で米本土あるいは日本以外の地域から来る航空機が横田を経由するという点については、そういう通告はないわけでございます。  それから前者の、一般論として米軍の輸送機その他の飛行機が横田基地を使用することにつきましては、先生にいまさら申し上げるまでもなく、安保条約の下にあります地位協定第五条は「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、」「日本国の港又は飛行場に出入することができる。」ということで、アメリカはそのような権利を持っているわけで、われわれとしては問題を提起する、そういう問題ではないと考えております。
  369. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 防衛庁にお尋ねしますが、自衛隊は今回のチームスピリット80にどのようにかかわっているのでしょうか。
  370. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  自衛隊はチームスピリットには関係ございません。
  371. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 東京平和委員会の監視行動によると、三月四日九時五十九分、陸上自衛隊の幹部十五人が木更津の第一ヘリコプター団のヘリKV107で横田基地におりて司令部に入りました。十時六分ヘリは空のまま一たん飛び立って、また午後一時三十分に飛来して一時三十八分に再び陸上自衛隊幹部を乗せて飛び立つということがありました。これは演習参加ではないかというふうに見られるわけですが、いかがですか。
  372. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  横田飛行場は、航空自衛隊入間飛行場及び百里飛行場の代替飛行場となっております。この入間、百里が天候不良の場合あるいは代替飛行場としての慣熟飛行、横田の気象条件、地形等になれておくための慣熟飛行のために横田に飛来することがございます。たとえば、一月には二十八機、二月には三十五機飛来をしております。三月中の数字をまず申し上げますと、二十二機、このうち五機が着陸をしておりますけれども、御指摘の三月四日には陸のV107二機、これが表敬訪問のために横田に赴いたという記録がございます。
  373. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 表敬訪問というのは、ちょうどチームスピリット80が始まったときで、なぜ表敬訪問に行ったのかよくわかりませんけれども、考えると、航空だったらまだしも、わざわざ陸上自衛隊の幹部が行っているわけですから、これは第五空軍司令部の全般的作戦を見に行ったのではないか、そういうふうに思われるわけですけれども、いかがですか。
  374. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 先ほど申し上げましたように、自衛隊はチームスピリットに関係はございませんが、この陸幕長の表敬訪問は、今回御承知のように宮永事件によりまして陸幕長が交代をいたしました、その新しい陸幕長が現在日程を組んであちらこちら表敬訪問をしておる、その一環であろうと存じます。
  375. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 三月十四日ハワイで太平洋軍の幹部シグラー米陸軍西部司令部参謀副長大佐が、日本人記者団との記者会見で昨年十一月ハワイでの米陸軍の図上演習に村松陸上自衛隊防衛部長がオブザーバーとして参加していたというふうに発表していますけれども、これは事実ですか。
  376. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  お尋ねの村松防衛部長の出張でございますが、この出張の目的は、十一月の九日から十一月二十日までアメリカ陸軍省訓練教育開発センター、ワシントンにございますそうですが、米陸軍西部司令部ハワイさらに西独、ベルギー等各国の軍事訓練施設等の視察の見学に行く途上ハワイに立ち寄った際にこの機会が得られましたので、たまたまハワイの米陸軍第九軍団が実施をしておりました指揮所演習を見学をする機会を持った、かように承知をいたしております。
  377. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 一昨年の日米ガイドライン以降、海上自衛隊それから航空自衛隊に引き続いて陸上自衛隊が米軍演習へ直接参加するというような動きが大変強まっている。私たちはそう考えているわけですが、今回村松陸幕防衛部長がハワイを訪れたというのはその一つではないかというふうに私ども思っているわけです。昨年十一月の図上演習というのは去年の十一月二十九日付「朝雲」によりますと、これはアーミー・タイムズの報道ということで紹介をしているわけですけれども、米第九軍団のいわゆるCPX、指揮所演習というのは、中身は、米本土、ハワイ及び太平洋軍からの米陸軍軍人約七百人が、十一月五日から十日まで、ハワイのスコフィールド・バラックスで実施されるCPXに参加する演習で、第九軍団司令部によって行われた。「陸軍当局者によると、同演習の中心は、朝鮮半島での戦闘状況を想定しての三個師団強の部隊に対する指揮・統制訓練である。」こういうふうに述べられているわけです。私どもこの点から見て、朝鮮での戦闘状況を想定しての指揮、統制訓練に、たまたまとはいえ、日本陸上自衛隊の責任者がオブザーバーとして参加した、これは大変大きな問題だというふうに思っているわけです。このCPXというのは、まさに十月二十六日に朴大統領が暗殺された直後で、韓国の政情不安に備えての一連の軍事行動、たとえば十月二十七日在韓米軍に厳戒体制コンディション3を指令、あるいは米空母キティーホークと米第七艦隊ブルーリッジが横須賀から朝鮮半島に出動した、そういうふうな非常に緊迫した中の行動の一環であったというふうに思っているわけです。それだけに重大な問題であるというふうに思っていますが、その点いかがでしょうか。
  378. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  CPX、いわゆる図上訓練というものは、規模が大きければ大きいほど準備期間が数カ月かかります。恐らく御指摘のこの図上訓練も、相当事前から準備をされておったものと思われるわけでございますが、村松防衛部長アメリカを初めとする各国の軍事教育訓練施設見学も、事前に十分な打ち合わせをして行われたものと考えられますが、朴大統領暗殺事件を予想して事前に日程を立てるというわけにはまいりませんので、たまたま訪問したところそういうことであったというふうに理解をいたしております。また、CPXにつきましては、必ずしもいつも朝鮮半島を想定した訓練ばかりやっているわけではございませんで、いろいろな想定がございます。かつてはNATO正面の情勢を想定した訓練にたまたま見学に行ったということで、昨年でございますから臨時国会におきまして、NATOの分まで研究しているのかという御指摘があったと私記憶しておりますけれども、そういうことでいろいろな状況を想定してやっておるものでございまして、必ずしも韓国の情勢を前提として陸がこれに参加をしたということではございません。
  379. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 このCPXというのは、大体年一回行われるというふうに言われています。今回のCPXというのは、この「朝雲」というのがアーミ−・タイムズというアメリカの報道を紹介をしているわけで、陸軍当局者ははっきりと同演習の中心は朝鮮での戦闘状況を想定しての演習であるというふうに言っているわけです。この点は、私が先ほど述べましたように、海軍、空軍だけではなくて陸軍が、そういう韓国の図上演習にまで日本陸上自衛隊が参加をする、これは新しい事態だし大変な事態であるというふうに指摘をしておきたいと思うし、またこういう事態は大変大きな問題だというふうに思います。  次に横田基地の問題に戻りますけれども、委員長にお願いなんですが、この写真をちょっと長官に……。  これは先ほどの平和委員会の監視行動の中でとられた写真でございますけれども、チームスピリット80の監視行動の中で、カナダ航空やカナダパシフィック航空のチャーター機の奇怪な行動が見られるわけです。たとえば、三月五日飛来したものについて、東京平和委員会や通信社が横田基地やカナダ大使館に問い合わせたところ、このチャーター機は米軍ではなくて、カナダがチャーターしたもので、難民の輸送をやっているということだそうです。演習開始前からこのような飛行機が、四月十一日までの間に十五回にわたって飛来してきているということがデータとしてあります。この写真をよく見ていただくとわかるのですが、乗客は乗っているのです。窓のところに頭が見えるわけですね。ところが、飛行機が着陸してもいつもだれもおりてこないのだそうです。そして写真で見ると、三人ぐらい何か大きな袋を持って入っていくところの写真です。これは最初はなかなかわからなかったのですけれども、恐らく慰問袋みたいなものじゃないかというふうに思えます。ですから、難民輸送だということだと、なるほどとわかるわけです。そしてどういうわけか、このカナダ航空の飛行機が着くと、化学消防車が二回に一回ぐらいぱっと取り囲んで警戒をする。これは恐らく乗客が逃げ出さないように警戒しているのではないかと思われるわけですけれども、このような難民輸送に在日米軍基地が利用される、これは大変大きな問題だと思うのですね。これは地位協定違反ではないかと思われるわけですけれども、その点いかがでしょうか。
  380. 丹波実

    ○丹波説明員 お答えいたします。  先生の御推察のとおり、ただいま御指摘になられた飛行機は、カンボジアの難民をアメリカの慈善事業団体あるいはカナダの慈善事業団体がそれぞれアメリカ、カナダに移住させるために、どうしてもどこか日本で給油しなければならない。ところが、日本の成田とか羽田とか、いろいろな民間飛行場の収容能力等の問題から、どうしても一時的な給油をそういうところですることはできない。しかしながら、本件は御説明申し上げるまでもなく、ある意味ではきわめて緊急な人道上の問題になっている。これは世界で良心のある人が全部心を痛めている問題だと思うのでございますけれども、そういう問題としてかんがみた場合に、地位協定五条が、そのような緊急の人道上の目的で、たまたま給油で入ってくるものまで禁止しているものとはわれわれとしては考えられないという考え方に立って許可しておるものでございます。
  381. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大臣に申し上げますが、いままでのところ一つの問題は、横田基地が日本の首都東京の、真ん中ではないけれども、かなり重要な部分を占めているわけです。この横田基地が、私たち住民にとってわけのわからない使われ方をしている、そういう事態が一つあると思います。これは私たち国民にとって非常に迷惑な話だし、また不安な話である。  それからもう一つは、先ほど指摘をしてそのとおりだというふうにお認めになりましたけれども、海上自衛隊あるいは航空自衛隊だけでなく、陸上自衛隊アメリカと具体的に図上演習、それも韓国に事が起こったことを想定しての図上演習に参加をする、そういう非常に危険な事態になっている。この点は私たち見過ごすことができないというふうに思うわけですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  382. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 事務当局からちょっと御説明をさせていただきます。  先ほど申し上げましたようにCPX、図上訓練と申しますのは、いろいろな想定をもって行われます。その見学をいたします着眼点は、訓練の想定ではなくて、指揮所において指揮幕僚をどういうふうに運用するかという運用の仕方の見学が主たる目的でございます。したがいまして、韓国における軍事紛争を前提としたCPXを見学したものではないということを重ねて御説明させていただきます。  また、御指摘のように、空と海の日米共同訓練、これは従来から御説明をいたしておりますように、日本防衛政策が日米安保条約により、足らざるところを補い、小規模限定的な侵略に対して有効に対処することを前提として防衛力整備を行っておるところでございまして、いざという場合にはアメリカ軍の来援を待つという基本的な姿勢をとっておりますので、アメリカとの共同訓練は、自衛隊の任務の一つであろうと考えております。具体的には陸は現時点において計画を持っておりません。現在のところ、陸の共同訓練の可能性及び必要性について検討をしておる段階でございます。
  383. 細田吉藏

    細田国務大臣 横田基地の問題につきましてはいろいろ、いまおっしゃったような心配がある、そういう方々もいらっしゃると思いますが、日米安全保障体制というものがいま日本の一つの大きな柱になっておるわけでございますので、その面から考えますと、横田の基地というのはこの中の重要な一つの柱といいましょうか、拠点になっておるわけでございます。したがいまして、私どもはこれをいま急にどうこうするというわけにはまいらない、かように考えております。ただ、御質問にございました、わけのわからないようなことがあって非常に不安であるということでございますが、そういう点については十分私たちが注意をしていかなきゃならぬことだと思っております。  また、日米の合同訓練の問題につきましては、ただいま佐々参事官からお答えをいたしましたが、危険な状態であるというふうにおっしゃっておりまするけれども、私どもは、私どもの立場としましては共同の訓練はある程度必要である、おる程度ではなく大いに必要であるというふうに考えておるわけでございまして、見解が多少異なることはやむを得ないと思っております。
  384. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それからもう一つ横田の問題で、チームスピリット80の中で、四月の十日にブロークンアロー演習が行われた。このことが目撃を太れたことです。これはもう新聞等で詳しく報道されておりますので、時間や何かについては申し上げませんけれども、ここに写真もございます。黄色、白、赤の順に発煙筒をたいて、そして演習をしているというものでございます。これは、もうすでに私ども何度も米軍の内部資料に基づいて追及してきたブロークンアロー演習ですが、内部資料でも明確なように、白い煙は事故現場、黄色は核兵器が火に包まれていることを示す、赤は核兵器の燃焼または爆発を示す、そして非常線区域内に残っている者は死傷者とされる、こういうような演習であるわけです。この演習は、わが党の瀬長議員が沖縄の第十八戦術戦闘航空団司令官に面会した際にも、沖縄の嘉手納だけではなくて横田でも何回か行われているのだということを認めているわけです。今回たまたまチームスピリットの中で発見をしているわけですけれども、これは米軍の核兵器輸送機が被弾して事故が発生をした、そして横田に緊急着陸したという筋書きによる演習だと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  385. 丹波実

    ○丹波説明員 お答え申し上げます。  まず、ブロークンアローという名前の訓練でございますけれども、これは先生もいま言われたとおり、アメリカ側としては横田でも定期的にやっておるということは確認しておるわけです。ちなみに、この訓練は、飛行活動を行っている空軍基地ならどこでも定期的にやっておる、こういうことです。全く訓練だけの目的でして、アメリカの軍人というものは、世界のどこでどのような事故が起きるかわからない。軍人は常に移動して歩くわけですから、そういう意味で、そういう核の事故が起こったときにいかに対応するかという訓練を世界じゅうでやっておる。それと核があるということは全く別の問題だ、こういう説明をしておるわけです。  それでただいまの、この間一部日本の新聞に報道されました横田の訓練の問題につきましては、この点につきましても国会等で御質問があろうかと思いましてアメリカ側に確認いたしました。アメリカ側の答えは、十日の訓練はブロークンアローではない。これは別な通常の訓練、詳しく申し上げますと、C141輸送機の事故を想定した通常の消火避難訓練である、こういう回答を得ております。
  386. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 いまのことに関連して、軍用機災害協定問題があると思います。米軍または自衛隊の航空事故及び航空事故に伴う災害が発生した場合の連絡調整に関する協定、これは横田地域では作業が進んでいるというふうに聞きますけれども、現状ではどういうめど、また計画になっているのか、また横田基地以外のところではどうなっているのか、この点簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  387. 菊池久

    ○菊池政府委員 横田飛行場周辺におきまして航空事故が発生した場合における被害者の救済を中心としました関係機関の間の連絡調整体制整備の点でございますが、先生御指摘のとおり五十三年の三月に警察、消防、地元自治体、米軍、自衛隊等をメンバーとしました連絡会議を設けまして協議を重ねてまいった次第であります。その後数回にわたりまして協議会を設けておりますのですが一その経過としまして、当初、横田と立川それから入間の三飛行場を包含する広域的な体制で臨むことにしておったのでございますが、横田と立川それから入間飛行場とに二つに分けまして体制をつくろうということで進めてまいりました。現在入間飛行場につきましては、五十四年の九月に成案を得まして、十一月には協定の発効に至っておる次第でございます。なお、横田飛行場と立川飛行場関係につきましては、現在、最後の詰めの段階に入っておるという段階でございます。  それからその他の飛行場関係でございますが、当面主要飛行場としまして三沢、厚木、岩国、嘉手納、普天間の各飛行場、これは横田以外の飛行場でございますけれども、これらの飛行場を対象としまして整備を行うこととしましたのですが、現在、三沢、厚木、岩国につきましては連絡体制が整いまして発足いたしております。ただ、横田と嘉手納、普天間の各飛行場につきましては、現在鋭意作業を進めている段階でございます。  以上でございます。
  388. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この軍用機災害協定問題について一番大きな問題は、もうすでにわが党の内藤功参議院議員が昨年三月二十九日の質問の中で詳しく問いただしておりますので触れませんけれども、問題は米軍機の事故あるいは先ほどのブロークンアローみたいな演習、そうではないと言われても教科書どおりの核兵器事故の演習が行われている。そういうようなことを見た場合に、今回の防災協定では、米軍や自衛隊から地元民に何ら連絡があるということではなくて、地元民が事故があったよということを発見して、それを事故処理に結びつけていくというような実態になっているわけです。事故が起こってからの事故処理、そういうことをやればいいんだという考え方がこの防災協定にあるのではないか。むしろ私どもは、事故を未然に防ぐということが国民を危険から守る道ではないかと思っているわけです。私たち日本共産党は、基地の存在、ましてやそのために事故を起こすなどということは全くとんでもないことだと思っています。しかし、降りかかっている火の粉から国民をどうしても守る、生命、財産を守っていかなければならない、そういう観点からすると、今回のこのような事故受け皿的な、事故が起こったらどうするみたいなことだけでは、これはもう戦時中も同じだというふうに思えるわけです。こういう点どうしても考え直されていかなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  389. 玉木清司

    ○玉木政府委員 昨年この点につきまして内藤功委員からいろいろお尋ねがございましたが、米軍あるいは自衛隊の方で事故が起こりました場合に関係部隊等部内的に通報するのは当然でございますが、それと同時に警察、消防機関等にできるだけ速やかに通告するということは当然でございますので、そのように考えておるところでございます。  なお、事故を起こさないということが何よりも先決でございますので、事故を起こす起こさないは当該部隊の責任において最善を尽くさなくちゃならないことでございますので、防災の演習に際しまして連絡、協調体制をとっておりますけれども、その協調体制が事故発生後最小限にそれをとめるということにねらいがあると同時に、並行いたしまして部隊運用責任者は事故の未然防止に最大限の努力をするということでございます。
  390. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最後に大臣にお願いしておきたいのですが、この防災協定の問題で、やはり一番事故を感知できるのは米軍であるし、あるいは自衛隊であると思うわけです。そこがやはり責任を持って住民に知らせていくという体制でなければならないはずだと思うのです。その点きちんと踏まえていくべきだと思いますけれども、再度大臣の考えをお伺いしたいと思います。
  391. 細田吉藏

    細田国務大臣 いまおっしゃったような点は十分考えまして、いま答弁もいたしましたが、まだ延び延びになっているような問題についてははっきりけりをつけなければならぬというふうに思っております。
  392. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 神田厚君。
  393. 神田厚

    神田委員 まず最初に、外務省の方からも来ていただいておりますので、米国とイランの国交断絶の問題、これらに対しまして中東の軍事情勢も非常に緊張しているというように考えているわけでありますが、昨日和田大使も情勢報告に帰国をしたということでありますけれども、外務省としまして、このアメリカの国交断絶につきまして、軍事的な側面からどういうふうな御判断を持っておりますか。
  394. 福田博

    ○福田説明員 カーター大統領が去る四月七日にアメリカとイランとの間の国交を断絶するということを発表いたしました際、今回の米国の措置が人質の早急な解放をもたらさない場合には他の行動が必要となるかもしれないということを述べたということがございますが、他の行動なるものが何であるかということについては具体的な言及はございません。したがって、推測に基づいてお答えすることは避けたいと思うわけでございますが、報道等では確かに先生が御指摘の、いろいろな軍事行動を排除しないのだというようなことが米側の意向であるということが伝えられていることもまた事実でございます。ただし、公式の場でそういうようなことを考えているということをわが方が知らされているとか、あるいは通報があったとかいうことはまだございません。
  395. 神田厚

    神田委員 きょうのイランのバニサドル大統領と会見をした新聞報道では、もしもアメリカとの共同歩調を日本がとれば対日報復は石油以外のものでもするというようなことを具体的に言っておるわけでありますが、これらの問題につきまして外務省としましての対応というのはどういうふうになさるおつもりでありますか。
  396. 福田博

    ○福田説明員 わが国といたしましては、米国が今回とりましたいわゆる国交断絶等の措置については、イランにおいて人質がとられているということは国際法上全く許されない行為であるということを踏まえまして、国際社会の一員としてどういうことができるかということを目下真剣に検討中でございます。  その第一歩といたしましては、この間ECがリスボンの外相会議である宣言を採択いたしまして、その結果バニサドル大統領にテヘラン駐在のEC諸国の大使、それにわが国の大使も参加して申し入れを行ったわけでございますが、それ等も踏まえまして、今後さらに検討を進めていくこととしております。
  397. 神田厚

    神田委員 大変これは重要な問題になってきているわけでありますが、この国交断絶がなされてから、いわゆる極東のアメリカ軍の移動というようなものは具体的にあったでありますか。
  398. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 正確には断絶以降ということではございませんけれども、イランの人質事件発生、次いでアフガニスタンの情勢がございまして、その後インド洋に対するアメリカの兵力のプレゼンスは増加しております。
  399. 神田厚

    神田委員 私どもはこの問題が最悪な状況を迎えないことを祈るものでありますけれども、そういうような中でこれから日本の置かれている立場は大変むずかしいし、判断も非常に重要だというように考えております。そういう意味で、防衛庁の関係におかれましても、米軍の移動やあるいは行動の変化等によりまして自衛隊自身もそれに対する対応考えていかなければならないような事態が来るかもしれない、そういうものに対しましてはやはり万全な形でそれに備えていかなければならないといま考えておりますが、冒頭そのことにつきまして御質問を申し上げました。  さて、具体的な問題で二、三御質問申し上げますが、一つは、すでに新聞等で報道されまして、委員会等でも取り上げられましたけれども、北方領土におけるソ連軍の訓練、毒ガス訓練を行ったということが報道されております。これにつきましては、防衛庁としましては、当初の段階におきましてそのものにつきましての確認をしてないということでございますけれども、その後調査をなさってどういうふうな結論を得られたのか、その辺のところをお聞かせをいただきたい。ロイターの東京電によりますと、国後、択捉、色丹、歯舞諸島で一個師団一万人を投入して毒ガス訓練を行った、こういう報道がされているわけであります。これらにつきまして、どういうふうに調査をなさいましたか。
  400. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 本件のニュースにつきまして特異な点と申し上げますと、一つは一万人を投入した訓練であるということ、それから従来地上軍を派遣しておりませんでした色丹島で行われたということ、それから毒ガス訓練である、この三点であるかと思います。毒ガス訓練につきましては、ソ連の化学戦能力というのは非常に高度な化学戦能力を持っておりまして、これについての訓練もある程度の頻度をもって行われているというふうに考えられます。したがって、北方領土におきまして毒ガス訓練が行われたとしても、それは別に不思議ではないという言い方ができる状況であるというふうに判断はしております。しかし、一万人の訓練となりますと、これはおのずからわかるものでございまして、それほどの訓練があったというふうにわれわれは考えておりません。それから歯舞、色丹にソ連地上軍が訓練のためにでありましても進出したということは、われわれまださようには承知しておりません。
  401. 神田厚

    神田委員 この問題は、北方領土における外国軍の問題に対する、いわゆる防衛庁を中心とした日本の監視体制がどういうふうにとられているか、こういう問題とも関連をするわけでありますから、そのことにつきましても御質問したいと思っておるのでありますが、それに先立ちまして、三月の二十八日からオホーツク海におきまして結氷期の航行訓練を実施した、ソ連艦隊が結氷期訓練をしたという報道もされているわけであります。これらの問題につきまして、こういう事実を防衛庁としてはどの程度把握をしているのか、その問題につきましてはどういうふうに確認をされておりますか。
  402. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 御質問の三月二十八日の動向についてでございますが、掃海艇一隻、カニン級ミサイル駆逐艦一隻、アルタイ級給油艦一隻、砕氷艦三隻から成ります六隻の艦隊が、日本海から宗谷海峡を通ってオホーツク海に抜けております。  以上、事実関係でございます。
  403. 神田厚

    神田委員 それらは、判断としましては訓練という判断をお持ちなのでございますか。
  404. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 訓練といえば訓練でございますが、結氷期と申しますと若干語弊があるのでございますが、流氷が多くて航行が非常に危険な時期におきまして、沿海州の基地から千島方面に向けての海上連絡、それを試行したもの、試しに行ったことが主要な目的であったというふうに解析しております。
  405. 神田厚

    神田委員 そうすると、この目的というのはどんなふうに考えておられますか。
  406. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 目的は沿海州におきますソ連の基地と千島方面におきますソ連の基地との間の連絡を密ならしめることにあると考えております。
  407. 神田厚

    神田委員 こういうようにしまして艦艇を中心とした訓練あるいは北方領土の中における訓練等が行われている、こういうふうに報道されているわけです。極東ソ連軍の北方領土における軍備の増強についてはこれを厳しく監視をしていくというような答弁も前にいただいているわけでありますが、どういうふうな監視体制を具体的に持つのか、これは大変大事な問題なんですね。それらにつきましては、従来のことよりももっと力を入れてどういうふうにして監視をしていくのかという問題を真剣に考えていかなければならない。監視体制についてはどういうように……。
  408. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 監視体制について申し上げますと、まず北海道の沿岸地域におきます監視所からの監視、それから随時行います海空の航空機によります高空からの偵察、またその他の手段でございます。  お説のとおり情報収集機能の強化ということはわが国防衛にとって非常に重要な問題でございまして、いま監視体制の強化及び機材の改善に努めてまいる所存でございます。
  409. 神田厚

    神田委員 監視体制と機材の充実ということについては、具体的にはどういうものをどの程度、どういうふうにするという計画を持っているのですか。
  410. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 情報収集体制と申しますものは、これは情報収集体制そのものもかなり機密に関する事項でございまして、情報収集体制の実態がわかるということは、それに対する情報収集を妨げる防護の体制をつくるのにまた寄与するという面がございますので、われわれ予算の範囲内におきまして確かに装備の改善、体制の改善をやっておりますけれども、具体的にどこをどうしているということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  411. 神田厚

    神田委員 それでは現在十分に北方四島のいわゆる外国軍隊の行動なりあるいは増強の様子なり、そういうものはきちんと自信を持って把握ができていますか。
  412. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 自信を持ってとの御質問でございますと、実は一〇〇%の自信を持つということはないのでございますけれども、とにかく自衛隊といたしまして情報機能というのは非常に大事な機能でございますので、できる限りわが防衛の責任を果たせるような形にしたいというふうに努力してまいる所存でございます。
  413. 細田吉藏

    細田国務大臣 その点については、私からも重ねてお答え申し上げますが、北方四島の状況がわれわれが知らなければならぬ情報の中で一番大事なものの一つであることは間違いないと思います。いま十分か、自信があるかということでありますが、私は、これはまだまだ増強しなければならない、優先順位の非常に高いものである、かように考えておる次第でございます。
  414. 神田厚

    神田委員 私も大変心配をしておりますのは、この北方領土における軍備の増強が非常に続いているということですね。これはこの前の予算委員会でも御質問申し上げましたけれども、現在も増強されつつある。そうしますと、最初、島嶼防衛的だというような形で配備されている外国軍についての性格判断をしているようでありますけれども、現在の北方四島における配備をされた軍隊の軍備やあるいは戦力、能力、こういうものを勘案して、さらにその背後にある支援の大きな軍備の配備等を考えると、ここに来ている軍隊の性格というのはどういうふうに判断したらよろしいのですか。
  415. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 配備されております軍隊の性格というものを現時点で申し上げるか、あるいは可能性も含めて申し上げるかということによって情勢も違うわけでございまして、たとえばアフガニスタンに侵入しました軍隊につきましては昨年の春まではこれは臨戦態勢にない軍隊である、これは軍事情報筋の一般的な判断です。しかし侵入する直前におきましては完全に即応態勢の軍隊になっている。その間何カ月かかったということは非常に機微な問題でございまして、各国情報関係者の意見が異なるところでございます。  北方領土につきましても、これは一つは揚陸能力というものはどのぐらいの短かい期間にそこに集められるか、それから航空援護等背後からの支援がどの程度厚く行われるかということにかかわりまして、攻撃的あるいは防御的、両方の能力を持ち得るものでございます。実は昨年の初めに島嶼防備という表現を使ったのでございますけれども、これはもともと大陸におきます師団編成とは若干異なるところがあるのではないか、そういう考え方で島嶼防備と申しましたので、より正確に申しますと島嶼配備と申すべきで、昨年の白書からは島嶼配備というふうに表現を変えております。北方四島におきますソ連軍の性格が、大きな意味におきましてこれは攻勢的であるか防勢的であるかはっきりは言えない性質のものであるという判断を下しております。
  416. 神田厚

    神田委員 はっきり言えないというのは非常に微妙で、それらは両方の面について当然防衛庁としては対応しなければならないわけですね。防衛庁長官の方から、たとえばこの監視体制については、機材その他の面についても優先的にこれを取り上げていくというふうなことでありますが、何といいましても専守防衛に徹するわが国としましては、相手の軍隊の動きをきちんと捕捉をしておかなければならないわけであります。そういう意味ではそれらについて、たとえば配備されている戦力、そういうものを見ていけば、おのずからそれが性格を変えてきたというふうに判断をしていいわけでありますから、われわれとしましては攻撃的な要素も持った外国軍隊が配備されている、こういうふうに判断をしなければならないというふうに思っておりますが、その辺はどうですか。
  417. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 それはもう仰せのとおりでございまして、防衛という観点から考えます場合は、いかなる意味でも攻撃的な要素を見逃してはならないのでございます。また、それがアフガニスタンの例のとおり、攻撃的な能力を持たない部隊が充足されていつ攻撃的な能力を持つようになるか、これは情報関係にとって最も重大な課題でございまして、これはアメリカにとりましても日本にとりましても、また世界のいかなる部分におきましても最大の課題でございます。これにつきましては先ほどから申し上げておりますとおりに、それを早期に発見できる能力を持つように鋭意努力してまいる所存でございます。
  418. 神田厚

    神田委員 大臣、先ほど監視体制について重点的にやるということですが、装備やその他の面で少し画期的な形の近代化ということを来年度なり近い将来具体的に考えておられますかどうか、その辺はいかがでございますか。
  419. 原徹

    原政府委員 御指摘のように情報収集というのは専守防衛わが国にとって非常に大事なものでございますから、いまの中業見直し等の段階でどういうものが必要であるかということも十分考えて来年度予算要求をいたしたい、そういうふうに考えております。
  420. 神田厚

    神田委員 それからもう一点は、これは総理の方にも要望したのでありますが、北方領土がこれだけ関心が持たれ、しかも、日本の固有の領土が長年にわたりまして不法に占拠されている、こういうものに対しまして私は総理に、ぜひ現地を視察するように強く要望したのであります。とりあえず担当の大臣としまして防衛庁長官が、この北方領土の視察並びに北海道に配備されている自衛隊に対するそれらの問題と関連しました視察をぜひ行うべきだ。同時に、北海道の道民たちが非常にソ連軍の増強ということに対しまして不安を抱いているわけでありますから、市民感情の問題等もありまして、そこにいる北海道の人たちがどんなことを考え、そしてどんな心配をしているのか、それらも一回ちゃんと行って聞いてこなければいけないと思っておるのでありますが、大臣はどうでございますか。
  421. 細田吉藏

    細田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、北海道へ私が出かけるのが大変おくれておることを申しわけないと思っております。国会の状況とにらみ合わせながらなるべく早く出かけなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  422. 神田厚

    神田委員 これは大変大事な問題です。北方四島の状況はすでにもう大臣は一番確度が高い情報もお持ちでありますし、さらに北海道の道民たちが一体どんなことを考えて暮らしているのかということも聞いてこなければならないし、同時に、北海道に対する侵略とか奇襲攻撃とか言われている問題につきましては、万一のそういう場合には責任を持って守り抜くという気概が、大臣みずから北方領土を視察することによって私は起こってくると思うのであります。外務省などは、防衛庁もそうでありましたが、ソ連を刺激するということを大変心配していた節があるわけでありますけれども、きちんと行って、そしてきちんとした対応を常にとり続けるという積極的な姿勢を持つことが、北方領土における外国軍隊の無制限な増強を許さないという気持ちをつくっていくことであるし、防衛庁長官が北方の防衛について視察をして、あるいは海にまで乗り出してその防衛の気構えを見せているということが国民に対して精神的な大きな力になると私は思っておるわけです。ですから、ぜひひとつ早く行って見てきていただきたい、こういうように要望したいと思っております。  それから、北方問題にずっと関連する形になるかもしれませんけれども、ソ連軍の極東配備の軍事力が非常に大きくなってきているということをすべての軍事情報がもたらしているわけであります。一体具体的にどれくらいの軍事力が極東に配備をされているのか。防衛庁としまして、たとえば航空機、艦船、そういうものにつきまして資料がありましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  423. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 まず艦船でございますが、昨年のソ連太平洋艦隊の増勢はまさに画期的なものがございました。昨年一年間にふえました水上戦闘艦艇、主要戦闘艦艇でございますけれども、これはキエフ級空母、カラ級ミサイル巡洋艦、これは二隻でございますが、それから強襲揚陸艦イワン・ロゴフ、それからミサイル駆逐艦クリバックI、クリバックII、これはすべて新鋭のミサイル装備の艦艇でございます。それに揚陸艦ロプチャも加わりまして、それで昨年はアメリカの第七艦隊六十万トン、ソ連の太平洋艦隊百三十八万トンと申し上げましたが、この数字につきましては、実はアメリカ海軍に第三艦隊がありまして、この数字が明らかでございませんので、これをそのまま比べるのはやや誤解を招くかとも存じますが、一応の指標として申し上げますと、第七艦隊六十万トン、太平洋艦隊百三十八万トンでございますけれども、この百三十万トンの見通しをかなり大幅に改定しなければならないということで現在作掌中でございます。特にふえました部分がミサイル艦艇が非常に多いということが心配されるところでございます。  それから航空機につきましては従来二千四十機、これは数も漸増しておりますけれども、むしろ飛行機の機種が非常に新鋭な飛行機が近年多くなっているという点が注目すべき点でございます。昨年一年間におきます増勢で主なものは、例のキエフ級空母ミンスクの到着に伴います海軍航空機の増加、これが主要な点でございます。広い意味で航空機あるいはミサイルの分野ではSS20の配備及びバックファイアの配備、これはいずれも、SS20については配備の可能性はあると前から存じておりましたし、バックファイアについてもいつ配備されても不思議はない状況であるというふうに判断をしておりましたけれども、これはかなりの具体的な数が配備されておると申し上げられる段階にあると存じます。
  424. 神田厚

    神田委員 いま報告があったような形で大変な増強でありますね。そのことによりまして軍事的な専門家は、一つに通商破壊能力を持つと同時に制海権確保能力を持った、さらにもう一つは兵力の投入能力も持っている、つまりイワン・ロゴフの配備というような問題を考えますと、兵力投入の能力もイワン・ロゴフの配備を中心として商船その他のいろいろな艦船との連携の中で非常に大きくなってきたというようなことが言われておりますね。それに対しまして、日本としましては対応する能力が非常におくれているということを指摘せざるを得ないわけでありますが、その辺のところはどういうふうに考えておりますか。
  425. 原徹

    原政府委員 全般的に極東ソ連軍増強、これは極東だけではございませんで、グローバルに非常に増強がされているということが今日世界じゆうで問題になっているわけでございまして、そういう見地に立てばやはり日本日本なりに防衛努力を進めなければいけない、私どもそういう考え方を持っているわけでございまして、再々申し上げておりますように、防衛計画大綱水準にも達しないわけでございますから、可及的速やかにその水準まで防衛力整備する必要がある、そういうふうに現在考えておる段階であるわけでございます。
  426. 神田厚

    神田委員 私が特に強く指摘をしたいのは、兵力投入能力を持ったということにもう少しきちんと対応していかなければならない。これに対して防衛庁としましては、イワン・ロゴフ等の配備あるいはそれらにつながる商船等の問題、それらを含めましてどういうふうに考えておられますか。
  427. 原徹

    原政府委員 イワン・ロゴフそのものは確かに最新式の揚陸強襲艦でございます。いろいろ遠方にいわゆる兵力投入できる能力、ソ連の海軍全体についてもふえておりますが、世界各地で兵力が投入できる能力を持つに至っているというふうにそれは考えますわけです。ただ日本との関係で申しますと、全般的な揚陸能力と申しますか、ということにつきましてはイワン・ロゴフ一隻でどうということはございませんわけで、一個師団を上陸させるのには数十万トンのものが補給に必要なわけでございますから、そのこと自体はやはり全体の極東ソ連軍増強の一環としてとらえるべきものであろうと考えております。  それから、いまの海上交通の問題につきましてもやはり潜水艦が中心でございますけれども、最近はいわゆる水上艦艇等、それからまたバックファイア、そういうこともございますので、そういう意味で海上防衛力の質的改善、これはぜひ早急にやらなければならない、そういうふうに考えております。
  428. 神田厚

    神田委員 イワン・ロゴフ一隻では、もちろんそれだけでたくさんあれするわけじゃありませんけれども、イワン・ロゴフが極東に配備されたというその事実をもっと重要視しなければならない。インド洋にイワン・ロゴフが行ったというふうな話が昨日ですか、初めて明らかにされましたけれども、極東にイワン・ロゴフが配備をされて極東のソ連軍が兵力投入能力を非常に大きくしているという事実、さらに、北方四島においてさらに増強が続いているというような状況、これらを総合的に判断をして対応していかなければならない。ですから、そういう意味からこちらの海上能力を強めていくということはもちろんであります。と同時に、全般的な話になってきますけれども、私どもは基盤的防衛力構想の見直しというものを強く求めているわけであります。そしてその中で防衛計画大綱を見直さなければだめだ。いまでも防衛庁は四次防終了時の五十一年度末の規模以上に拡大をしないという方針を堅持しておるのかどうか、その辺のところからこの話はしていかなければだめだと思うのですね。その辺はどうでありますか。
  429. 細田吉藏

    細田国務大臣 防衛計画大綱について見直すべきだという御議論もあることは承知をいたしておりますが、まだ防衛計画大綱水準に達していないという現実がございますわけですから、まず私どもがやるべきことは、その水準に可及的速やかに持っていくというのがとにかくやらなければならないことだ、そういうふうに考えておるわけで、そのために可及的速やかにやるように最善の努力をしたいというのがいまの防衛庁の立場でございます。
  430. 神田厚

    神田委員 自分たちで、一人で防衛計画を決めて、それでそれをとにかく達成するまでやるのだというのは相手を見ないことなんですね。やはり相手があってわれわれは防衛計画というものをつくっていくわけですから、相手が軍備をどんどん増強しているのに、自分たちは前に決めた形でとにかくそれをやるのだというのは、理屈の上では非常に理屈が成り立たないことなんですね。しかも、そういうふうにすれば、それではそこに言われております小規模、限定の奇襲に対処できるのかというと、なかなかそうでもないような状況になってきているというのが現状でありますね。  であるならば、これから装備の問題について御質問申し上げますけれども、換装、装備をかえる問題につきましても、たとえば換装の基準というのはどういうふうになっているのか。これも、私は換装の基準というのは質的な換装の基準というものをきちんとしていかなければならない。相手によって対応していかなければならない。その場合に、いまのわが国の自衛隊が計画をしている換装というのは、つまり相手のものに対しまして対応してない、非常に不十分である、そういうことであるから、いわゆる小規模な限定の奇襲に対しましてもうまく水際で対処できないというようなことが明らかに言われているような状況になってしまっているわけです。ですからこの辺は、どうですか、防衛計画大綱を見直すというようなことはなかなか言えない問題でありましょうけれども、私は、少なくともこの換装の問題等で、これを少し中身としてうまく対応していくような考え方は持たないかどうか、その辺はどうでございますか。
  431. 原徹

    原政府委員 御指摘の点、私ども、考え方といたしましては、その質的改善をしたいのだ、自衛隊の装備全般につきまして、それは新しいのもあるのですけれども、旧式なものが大変多いというのがいまの現状であることは十分認識をいたしております。したがいまして、そういう質的改善を図っていかなければならない、それは、陸海空三自衛隊ともそういう悩みを持っているわけで、そういう意味で質的改善にさらに一段と努力をしなければならないと思っております。
  432. 神田厚

    神田委員 そういう、何か常識論みたいなことでは、これはやはりだめなんです。  防衛庁長官、どうですか、この換装の問題は。
  433. 細田吉藏

    細田国務大臣 周囲の情勢が変わっておるのだから、防衛計画大綱も見直さなければいかぬし、中業見積もりについても考え直さなければならぬ、これが理屈ではないかというお話でございますが、そういう御意見があることはもうよく承知しておりますし、一般論としてはそういうことが言えると私ども思っております。  したがいまして、そういうことが考えられないわけではありませんけれども、先ほどからの御質疑の中でもお聞き取りも願ったように、GNPの一%とか防衛計画大綱をなるべく早くやることでさえも大変なことではないかというような御議論がありますし、また、その必要がないだろうというような御議論もあるわけでございます。  したがいまして私どもは、ただいまのところ、防衛計画大綱の線に少しでも早く届かせたい、中期業務見積もりの正面装備、五十四年度価格の二兆七、八千億程度のものはぜひ急いでやりたいということを言っておるわけでございます。特に、この中業の中には、いまおっしゃいました装備についての近代化あるいは更新というようなものがかなり入っておるわけでございますけれども、その点につきましては、今後実際に予算を組み、そして発注をしていく段階で、十分近代化なりいいものをつくる、アップ・ツー・デートなものをつくるという考え方でいかなければならないというふうに存じておる次第でございます。
  434. 神田厚

    神田委員 中期業務見積もりの話が出ましたけれども、五年で達成するという見積もり、これを一年短縮しろとかいろいろな意見があるようであります。外務省としては正式な閣議決定の中に持ち込んでこれをしたいというようなことですが、あるいは防衛庁長官としましては、それらの問題はいろいろな関係からそうじゃない形にしたいというような希望もあるという形で新聞等に報道されている。しかし、新聞等に出ているいわゆる防衛庁考え方を見ますと、五年というものを四年にするとかどうとかというのではなくて、少なくとも三年単位ぐらいでこれを見直していきたい、計画を変えていきたい、こういうことを言っているわけでありますから、そういう三年ごとに周囲の情勢においてこれを見直していくということは、この質的な換装につきまして防衛庁自身が非常に真剣に取り組み始めたということであって、しかも五年ということにこだわらないでこれを始めるということは、それなりに大きな意義があるというふうに判断をしているのです。私どもがこういうふうに受け取ったことは間違いございませんか。
  435. 細田吉藏

    細田国務大臣 私どもとしましては全くそのとおりに考えております。もともと中業を三年ごとに見直す、それからもう一つ細かく言うと、予算編成の都度見直していく、こういうことでございますので、何がいま一番必要か、それには、いまおっしゃったような質的な問題を、しかも日本にとって効果的なもの、そういうものを先に考えていく、こういうことで見直していこうという、まさにおっしゃったとおりに私たちは考えておるわけでございます。あれもやりたい、これもやりたいということが多いわけでございますけれども、おのずから限界がある点が、私たちとしましては、当然のことではありますけれども、大変選択に苦心を要することであるというふうに思っております。  なお、中期業務見積もりをそのまま閣議決定にするといった点につきましては、私どもの方はただいまのところは実はさよう考えておりません。  私は、とりあえず五十六年度予算がいかにあるべきかということ、中期業務見積もりをできるだけ早く達成する、一%をできるだけ早く達成するという前提で五十六年度予算の編成ということを一つの当面の目標にいたしたい。  情勢がいろいろ変わってまいります。世界情勢も変わってまいりますし、外部の情勢も変わってまいります。日本の国民の皆さんの考え方、また国会のいろいろな御審議の模様等もいろいろ変わってまいるわけでございますので、それらにつきまして、防衛についての御理解を得ることによって、この計画をできるだけ今後生かしていきたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  436. 神田厚

    神田委員 第二次世界大戦で使っていた大砲が九割とか、いろいろその装備の問題が言われておりますから、これは私は、やはりいま大臣が言ったように、何が必要なのか、一番必要なものについて、その一番大事なものを整備をしていくのだ、装備をしていくのだ、こういう基本的なことを持っておれば、その中でのいろいろな工夫もできてくるわけであります。  したがいまして、たとえば一年間繰り上げしろというような要求等につきましても、あるいは制服の皆さんが官房長官と会ったときには、早期達成、一年繰り上げを強力に要請したというような話もある。ところが大臣の方ではその一年繰り上げという問題については非常に慎重だというふうなことも聞いておるわけでありますが、やはりそれは制服と大臣の方ときちんとした話をして、やはり意思の疎通を欠いてはいけない、シビリアンコントロールを貫くということであるならば、それらに対しまして十分な説明も大臣の方からしなければならないし、防衛庁の大方針というのはきちんと持っていなければいけないわけですから、そういうことで、少し形の違ったような面を世間に印象を与えたということは非常にいいことではありませんね。
  437. 細田吉藏

    細田国務大臣 そういう印象を与えておるとするとこれは直していただかなければなりませんが、防衛庁長官といたしましては、もう終始一%達成、それから中期業務見積もりの短縮しての実現ということは主張しておるわけでございまして、制服が言っておるが私がちゅうちょしておるというようなことではございません。そういうことではございませんので、私としましては、これはぜひ実現すべく努力をしたい、全力を挙げたいということで、それの初年度といいましょうか、これからの初めての年としての五十六年度予算というものに全力を挙げてまいりたい。一遍に五年分も四年分も決めるというようなことはとてもいまの状態では、言うべくして、実際問題としてできません。その間に、先ほど申したように、国会の様子も、また国民の皆さんの関心も、これも御理解をいただこうという考え方でございますので、制服と私どもの間に食い違いがあるというわけではもちろんございません。そういう点は御心配なく、十分連絡もとっておるつもりでございます。
  438. 神田厚

    神田委員 ただ、制服の人たちが現実に心配をしている問題がたくさんあるわけですね。艦艇に対しまして、艦対艦ミサイルが不足をしていて、本当にそれで十分なのかどうか。あるいは海上航空兵力なども問題になっておりますし、さらには航空問題では、航空基地が全然遮蔽されないというシェルターの問題、それからバッジシステムの二十四時間稼働がなかなかむずかしいというような問題そういう一つ一つの心配している問題を何とかしていかなければならないわけであります。三海峡を封鎖しろといっても、それではどんなふうにして封鎖をするのか、機雷の敷設艦は果たしてあるのか、機雷はそれだけ十分なのか、あるいは弾薬の備蓄はちゃんとあるのか、そういういろいろな装備の問題に対する不安といいますか、ある程度こういうものがきちんとしなければ責任持った防衛ができないという気持ちが蔓延していってしまったのでは、士気の低下にもなるわけでありますから、その辺のところは、時間がありますればゆっくりと、その一つ一つの装備の更新やその他の問題につきまして御質問申し上げたかっかわけでありますけれども、きょうはもう時間がありませんので、現在指摘をされており、みずからもよく気づいておりますそういう大きな装備の更新の問題、どうしてもやらなければならない問題につきましては、ひとつ積極的に、真剣に取り組んでいただきたい。装備の面で近代化がおくれた軍隊というのは使い物にならないわけでありますから、そういう意味でひとつ真剣にこのことを取り扱っていただきたい。そういうことを最後に要望しまして、大臣の決意をお聞きいたしたいと思うのであります。特にきょうは、北方領土に対して具体的に視察をして、その現状を見に行くということを大臣に言っていただきましたから、またその後それらのことも御報告をいただきながら、今後の問題について話をしていきたい、このように考えております。最後にひとつ御決意を……。
  439. 細田吉藏

    細田国務大臣 私は先ほど、あれもやりたい、これもやりたいというような俗っぽい言葉で申しましたが、制服の諸君は防衛に責任を持つ立場から、特に装備の強化、近代化、そういうものについて重大な関心を持っておることはもう当然でございます。また、先ほど掩体の問題もございました。いわゆるシェルターの問題、これなども著しくおくれておるということも事実でございまして、中期業務見積もりの中でも、これは大きなウエートを占めて、現在計画の中にもあるわけでございます。  問題は、いずれにしましても、まず全体的な防衛費の枠というもの、防衛費を幾らにするか、設備には相当金がかかりますから、これをどうするかということがやはり基本的な問題になろうと思うわけであります。その中で、私の考えは、節約すべきものは節約するし、何とかここはしんぼうできるものはしんぼうできないか、そして装備の近代化とかあるいは通信の近代化とか、それから特にシェルターの問題とか、情報キャッチをどうするかということとか、そういうことを何としても順序を優先するものからやりたい。全部はなかなかできかねるかもしれません。海陸空の要求するもの全部をやるというわけにはなかなかいかないと思いますけれども、そういうことで、本当の質的な向上、それには、私としましては責任者としてまず予算の総額というものについて全力を挙げる。そのかわり節約するものは徹底的に節約する、使うところへは使わしていただきたい、そういう気持ちで真剣に立ち向かっておるつもりでございますが、今後、いまおっしゃったような点でまたいろいろ御示唆、御鞭撻をいただければと思っております。
  440. 神田厚

    神田委員 終わります。
  441. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員長代理 次回は、明十八日金曜日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十五分散会