○楢崎
委員 リムパック80に
海上自衛隊が参加をした。
日本の
防衛については、いままで安保条約なり自衛隊法でわれわれ三十年間国会でいろいろやってきた、そういう解釈も聞きましたし、定着をしておった、そういうものを乗り越える、ルビコンを渡ると申しますか、これは重要な飛躍になった、こういう認識なんです。
それで私は、
アメリカ大使館、カナダ大使館、オーストラリア大使館——ニュージーランド大使館はまだ連絡がありません。その米、加、豪の大使館に日参をいたしまして、武官の人と会って、このリムパックに対する懇切なブリーフィングを受けました。そこで、あなた方、いまから申し上げることが本当かどうか問い合わされても結構ですが、明らかになった事実は、一九七一年の第一回目から今回の第七回目まで演習の概念、性格は全然変わっていない、そういうことが明らかになりました。この点は、今度のリムパック80の主要な指揮官の一人である米空母コンステレーションに乗っておる米第一空母群司令のウィリアム・E・ラムゼー少将も記者会見の中でおっしゃっている。大使館の武官の言明もそうでありました。
二番目に、英語でジョイントエクササイズ、あるいはコオペレーチブエクササイズ、あるいはマルチナショナルエクササイズ、こんなものは全部内容は大同小異だ、同意語だ、それをどう使い分けるかは各国の国民性なり政情によって使い分けられるだけだ、これも三つの大使館の武官は全部同様でありました。
三番目に、イン・チャージ・オブ、オーバー・オール・コーディネート、コーディネーターでもコーディネーションでもいい、あるいはコントロール、場合によってはスケジュール、これも同じことだ、大体使い分けはその国の
考えによって使い分ける。つまり
日本語で言えば統裁官でございますか、そういうものだ。
そして四番目に明らかになったのは、特に
アメリカ大使館では、今回
海上自衛隊から参加するに当たって非常に強い要求があった。それは何か。
日本の憲法上の問題があるから——恐らく集団自衛権の問題でしょう。非常に
日本側から強い要請があって、言葉を選ぶのに神経を使った。その結果、第七艦隊司令のスケジュールという言葉を使った。これが四番目です。
そして五番目に、特に
防衛庁は——資料を持っております。
防衛庁からもいただきました。
アメリカ側からは今度のリムパック80の原文をいただきました。
防衛庁は、エクササイズという言葉をずっと使っているが
日本側ではこれは困るんだ、トレーニングにしてくれと言ったら、そんなことはだめだと言われたので、それじゃ
アメリカ側がエクササイズという言葉を使っても
日本側ではトレーニングで通します、訓練という言葉を通します。それも明らかになりました。
つまり、第一回目から第七回目まで変わっていないのです。今度自衛隊が参加したから演習の性格が変わったのではないのです。一回目から七回目まで一緒です。
そこで私は、
アメリカ大使館のリムパック80に対する。プレスリリースももらいました。カナダからももらいました。オーストラリアからももらいました。それぞれちょっとずつニュアンスが違います。武官が言ったとおり、その国の政情によって少しずつ言葉が違う。たとえば今度の場合、五カ国の
海軍力は、インボルブという言葉がある。あるいはジョインという言葉がある。各国によって違う。
それで、特にエクササイズというのをわざわざ
防衛庁がトレーニングとしてくれ一なぜか、なぜそんなにこだわられたのか。これが今度の国会の
予算委員会からずっと引き続いて問題になってきたところの一つである自衛隊がリムパック80に参加する法的根拠、それは
防衛庁設置法第五条第二十一号の規定である。すなわち同号は「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと」「教育訓練」という言葉になっているから。それが一つでしょう。もう一つは、実際は内容的にこの所掌事務の遂行に必要な範囲を越えた演習の内容である。その二つがあるからエクササイズでは困る、トレーニングとしてくれと言われたんじゃなかろうかと私は思うのです。
それは米側のリムパック80のプレスリリースの中でも、見てごらんなさい、トレーニングというのは一字しかない、あとは全部エクササイズになっている。
日本語訳は全部訓練にしてあるでしょう。たとえばイン・ア・キー・フリート・エクササイズ、その重要な艦隊演習の中で個々のあれは訓練を行った、こういう意味でトレーニングというのが一カ所使ってあるだけです。それを
防衛庁ではずっと訓練訓練、いかにも小さな、個々のあれを引き抜いた感覚で国会でもそういうふうに
説明するし、国民に対しても
説明していらっしゃる。
だから、訓練内容は、
防衛庁の方は単なる戦術技量の向上を図る、あるいはハワイへ派遣訓練の充実強化と言うが、実は内容はそういうものではないのですね。これに書いてあるとおり、通常兵器による海上戦闘のすべての、主要な局面、モースト・メジャー・アスペクト、そういう全部の局面について参加各国部隊の戦闘即応能力、コンバット・レディネス・オブ・ザ・パーティシペイティング・ユニッツ、コンバット即応力をテストした。これは実戦さながらの演習なんです。単なる戦術技量の向上というそんな簡単なものじゃないのです。それから一人の指揮官、指揮権を前提とした統裁官によってずっと行われた。それはリムパック73の場合の資料にはイン・チャージ・オブというのが使ってありますね。明らかに責任を持つ。第三艦隊司令官、これをわれわれは統裁官と訳す。ところが、今度の場合には第三艦隊司令官がオーバー・オール・コーディネートした。同じことなんです。したがって、結局実態はこれはジョイントエクササイズである。そして、進攻部隊と対抗部隊によって全面的な艦隊戦闘演習ですね。これに書いてあるとおりです。だから、
防衛庁の
説明にあるように個艦同士の訓練やあるいは
米国との訓練を念頭に置いてあるという、中身はそういうものじゃないのです。
それで、私は
防衛庁長官にお伺いしますが、去年の五月二十八日にヘイワード米海軍作戦
部長が
日本に来られたですね。そして、当時の山下
防衛庁長官と会談をされた。それが新聞に報道された。ヘイワード
部長はどういう要請を山下
長官にしたかというと、
ソ連極東海軍に対抗するためには
同盟国との協力が必要であり、
日本、オーストラリア、ニュージーランドとの協力関係を発展させていただきたい、新聞報道によるとこういう要望をされた。こういう要望に対して
防衛庁長官、いまの
細田長官ではなかったけれども、当然引き継ぎがあったろうし、こういう米側の要請に対しては
長官はどうお
考えになりますか。