○中野(寛)
委員 それから、これはある意味では役所の機構の方ですが、
国民生活センターのことにつきまして若干お尋ねをいたします。
この
国民生活センターの設立の目的は、「
国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的
見地から、
国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行う」、こういうふうに規定をされておるわけでありますね。
国民生活センター法を見ましても、十八条の「業務」のところでは、第一項から第三項までは「情報を提供すること。」という言葉で、第四項は「調査研究を行なうこと。」となっており、また五項は「情報を収集すること。」こうなっておるわけでありますが、結局、
国民生活センターの皆さん、または自治体で設けられております同種類のセンターの皆さんも、やはりその部分でとどまってしまうことに歯がゆさを感じている。また実際上は、情報を提供するという形で、苦情処理の場合、相手
企業とも欠陥商品等の問題の場合は話をするわけですね。そして、センターからこういう調査が来たとか、または問い合わせを受けたとかいうことが
一つの圧力になって、欠陥商品の取りかえができるとかいうことになって、苦情処理がたまたま解決をされていく、こういうケースも多く見られることは事実であります。しかし、それがうっかり行き過ぎますと、または情報を提供するということで、こういうものが欠陥商品でありますとか、こういう問題がありますとか、これが何らかの形で公表をされますと、それがその
企業にとっては致命的な問題になって、極論を申し上げますと、その類似の製品が売れなくなって倒産ということが中小
企業、零細
企業の場合に起きてくる。こういういろいろな問題が派生してくるわけであります。ですから、この
国民生活センターの機能等につきましても、やはり的確に苦情処理に
対応できる、また同時に、そこには責任も生じてくるわけでありますから、行き過ぎがないようなチェックというものも当然必要になってくる。そのような性格の明確化というものがやはり必要なのではないだろうかというふうに思うわけであります。
時間の
関係で、
質問をまとめて申し上げますが、あわせまして、そのような個々の苦情処理を行っております場合に、たまたま相手の
企業に対して調査をいたします。そうすると、その製品を取りかえてくれる、それで終わってしまって、問題は一件落着、こういう感じで、総合的な
対策となって発展していかないという問題が残るわけです。たとえば、「
国民生活」という雑誌を
国民生活センターが出しておられます。これは去年の二月号ですけれ
ども、この中に対談が載っています。この中でも、実はそういうことに対する悩みが出てくるわけですね。苦情処理
委員会というのは果たして機能しているのかどうか。
国民生活センターの業務の中には、苦情処理の範囲の中で、たとえば苦情処理検討会だとか苦情処理
委員会を開催するとなっているのですが、果たしてどれだけ開かれたのかというと、ほとんど開かれていない。またその機能を発揮するに至っていない。その
委員会等を開催をして
参考人にいろいろお呼びしようとすれば、ちょっとそこまで出ていくのはということで、この品物が取りかえられればそれでいいのですということになってくると、そこまでいかないということから、なかなかそれが総合的
対策を発揮するまでに機能しないという問題等等が残されている。たまたまここでは神戸市
生活情報センターの話が出ておりますけれ
ども、一方の当事者が出てこなくても、片方だけでもとりあえずはこれを開いて総合的な
対策を考えていくというふうなこと等を前向きにやっているようですが、これもやはり法律的な裏づけ等が、神戸市の場合は条例の裏づけをしているわけですけれ
ども、こういうものが必要なのではないだろうか、こう思うわけです。
そして、そこでは「裁判所と違ってセンターや処理
委員会には、社会的、
政治的な力はありますが、強制するだけの法的権限はありません。」こう述べておられますけれ
ども、このようなことに対して、皆さん大変歯がゆい思いをされる。ですから結局、問題を解決する場合に、相手の抵抗に遭うと、権限がありませんから、なかなかそれを突破できない。そして裁判に持っていったとしても、裁判は大変時間がかかる。これは公害
対策と同じで、やはりそのような問題がきちんと、そしてスピーディーに処理されるための整備というものは、やはり法律の見直しを含めて検討されるべきではないかという気がするわけでありますが、いかがでしょうか。