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1980-02-20 第91回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月二十日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 津島 雄二君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君       石田 博英君    久保田円次君       東家 嘉幸君    羽田  孜君       春田 重昭君    岩佐 恵美君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         行政管理政務次         官       宮崎 茂一君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         行政管理庁長官         官房会計課長  田代 文俊君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      栗林 貞一君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省主計局給         与課長     日吉  章君         大蔵省主計局主         計企画官    藤原 和人君         文部省大学局高         等教育計画課長 遠藤  丞君         厚生省保険局企         画課長     坂本 龍彦君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   石田  寛君         自治省行政局行         政課長     中村 瑞夫君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     大島  満君         自治省行政局公         務員部給与課長 大塚 金久君         会計検査院事務         総局第一局長  岩井  毅君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月十八日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月十九日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     福家 俊一君   東家 嘉幸君     藤尾 正行君   羽田  孜君     荒舩清十郎君   春田 重昭君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     羽田  孜君   福家 俊一君     小里 貞利君   藤尾 正行君     東家 嘉幸君   矢野 絢也君     春田 重昭君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁)〕      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  総理府所管行政管理庁について審査を行います。  まず、行政管理庁長官から概要説明を求めます。宇野行政管理庁長官
  3. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 昭和五十二年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は、百六十五億二千九百九十八万円余でありまして、支出済み歳出額は、百六十三億二千百十八万円余、不用額は、二億八百七十九万円余であります。  支出済み歳出額の内訳は、人件費六十七億五千七百五十万円余、事務費等十五億五千八百四十八万円余、統計調査事務地方公共団体委託費八十億五百十九万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  4. 高田富之

    高田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。岩井会計検査院第一局長
  5. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 昭和五十二年度行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 高田富之

    高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 高田富之

    高田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  8. 原田昇左右

    原田委員 最近の厳しい内外情勢のもとにおきまして、病める財政を再建し、しかも他方において多様な国民ニーズにこたえながら行政を展開するためには、どうしても行政改革、つまり行政の減量と質の改善ということがいまほど強く国民から要請されているときはないと私は考えております。そこで、政府におかれまして今回、行政改革について思い切った案が打ち出されてきておるわけでございますが、特殊法人出先機関整理定員削減等全般にわたるものは一応出ておると思うのです。いままで行政改革というのは大体かけ声だけで終わってしまいましてほとんど実行されていないという批判があるわけでございますが、いままでの例とは違いまして、特殊法人の十八減を決定するとかいろいろやっておられまして、まさに画期的な点は、私は宇野長官の御努力を高く評価するものであります。  そこで、まず大臣から、今回の行政改革につきましてどういう考え方でやるのか、さらに一応今回の成果としてどういうものが挙げられるか、これについてまず伺いたいと存じます。
  9. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行革に対しまして格別御関心深きをまず感謝する次第でございます。  仰せのとおり、戦後すでに三十四年たちましたが、その間、社会情勢経済情勢は幾多の変遷を重ねまして、政府といたしましてもその時代時代ニーズに応じていろいろと行政を改革し、またときには整理をしたと思うのでございますが、最近の例を考えますと、やはり高度成長期において何か行政は肥大化しなかったか、またぜい肉がつき過ぎてはいないか、特にこれからは高度成長はとてもとても夢見ることさえできないような厳しい八〇年代を迎えるとするのならば、いままでのような姿であっては絶対いけない。こうしたことから実は今回の行革を始めたものでございます。もちろん財政再建という重大な仕事もございますから、極力それに資することをも考えまして、昨年の暮れにまず「昭和五十五年行革」と名づけた第一部を閣議決定いたしました。  御承知のとおり四本の柱がございまして、一本は特殊法人、二本は地方出先機関、三本は許認可、法令あるいは報告、四番は補助金、そして、第一次大平内閣ではすでに第五次の定員削減計画を立てておりましたから、これを合わせまして一応五本の柱と私は呼んでおる次第でございます。  特殊法人におきましては、仰せのとおり十八の法人減といたしまして、百十一でございますから、差し引き九十三になりますが、九十三という数字はちょうど昭和三十八年の数字でございます。昭和三十八年に九十三、三十九年に九十九にふえる、こういうふうなことで百十一になったわけでございますが、私といたしましては、一応ぜい肉を何としても切りたい、こういう気持ちでございましたので、十五、六年はさかのぼることがこれでできた。しかしながら、それは数の問題であって内容はどうか、こういうふうなこともございますが、内容に関しましては、特殊法人が天下りの場所でございますから、この国民の非難に対しましてもおこたえしなければなりません。したがいまして、政府といたしましては、今後三年間に現職であるところの常勤役員を百二十人以上、プラスアルファと申しておりまするが、整理をする、削減をする、これを決定いたしました。これは皆さん方行革に対する陰に陽に変わらぬ御支援があったなればこそ私はできたと思いますが、この三年の間に常勤役員を三十四名減らすのが精いっぱいだったのですが、行革という大きな声の前に三年間で百二十名減らすということもすでに決定いたした次第でございます。そうして民間人は五割以上採用して民間活力をぜひとも活用したい、こういうふうな考え方が大ざっぱではございますが特殊法人について申し述べることができると思います。  地方出先機関は、三月三十一日までにブロック、六月三十日までに都道府県にあるところの出先機関整理、これは監理委員会にお願いすることにいたしております。ただ、ブロックの方はすでに作業を始めまして、各省庁協力を得てぜひともかなりの数は整理統合したい、かように私は考えておる次第でございます。  許可の方は、昨年の暮れの国会で第八次にわたりまして御審議をわずらわしましたが、その結果おおむね千五百ばかりの許可認可というものを整理することができました。今回は、報告というものがこれまたやっかいでございまして、紙を出さすために判こをつかなくちゃならぬ、だから判こをつく役人がいるし、また判こをもらいに行く役人もおり、また民間人の役職もいる、こういうことでございますから、これでは、行政民間余り過剰介入することは芳しからざることであるというので、今回、千四百七十七報告を一応整理いたしました。紙を縦に積みますと実は二百メーターになりますので、霞ヶ関ビルよりも五十メーター高い、私はいつもそう言うのですが、それだけの紙が今日まで国と地方機関においてあるいは民間との間において判をついたりつかれたりしておったわけでございますから、これを一挙に今回は整理をすることにいたしましたので、私は、こういう面におきましても民間過剰介入を避けてむしろ活躍をしていただくような余地をつくることができたのではないだろうか、かように存じます。  補助金大蔵大臣所管でございますが、向こう四年の間に少なくとも四分の一は整理しようというので、五十五年におきましては御承知のとおり、一応千六百六十七億円減を見ることができた。以上が昭和五十五年行革でございます。  そのほかに三万七千名の定員削減を五年にわたりましてやりたい、これでちょうど五次にわたりまして一応十六万六千名の公務員の方々の定員削減ということになります。
  10. 原田昇左右

    原田委員 ただいま伺いまして、非常に画期的な行革内容というのがわかるわけでございますけれども、本来行革の目的はもちろん社会の変化に応じて行政ニーズが変わってくる、これに即応させていく、あるいは行政簡素化効率化というものを徹底させていくということにあるのではないかと思うのですけれども、同時に現在国民行政改革に求めているのは、何といっても財政節減効果なんですね。これが非常に大事だと思うのです。ずばり言いまして、今回の行政改革でどのくらいの財政節減が可能なのか、ぜひ明らかにしていただきたいと存じます。
  11. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ときどき行革とそして財政再建との問題が話題になりますが、特に消費税にかわるぐらいの行革財政効果を上げなくちゃうそだという声がもっぱらでございます。消費税ということになれば、あるいはあれは何兆円というふうな数字になると思いますが、私は率直に申すのですが、今日われわれのやっておりますのは器減らし、そして将来それが人減らしにつながる。国会決議におきましては、出血を伴う人員整理をしちゃいけない、こうなっておりますから、われわれもその精神をくみまして、極力公務員配置転換等々によって行革を進めておるわけでございます。だから、人減らし、直接やれば相当な効果がございましょうが、私は今日それはやっておりませんので、効果はございません。だから、何兆円という話をなさる方には、たとえば国家公務員九十万入おられるが、あした全部やめくださいといった場合に、一人頭四百万円といたしまして三兆六千億でございますから、それほど何兆円というものを上げるのは実はそのような手荒いことしかないのですよ、しかしながら財政再建という重大な課題があるから、これに資するように努力をしております、こういうことでございますので、ただいま申し述べました昭和五十五年行革、これは三年ないし五年で全部やってしまいますが、第一部分計算いたしますと、おおむね五千百億円程度財政節減ではないかと考えております。この五千百億円には補助金は入っておりません。そこで、本年度の分は補助金は先ほど申し上げましたとおり千六百六十七億円ございますから、これに定員削減が三万七千のまず初年度分としてその五分の一これをするわけでございますので、七千四百五十七人が一応二百九十億円になります。このほかに、特殊法人統廃合、あるいは先ほど申し上げました焼けぶとりはさせない、常勤役員削減していく、こういう方法をとっておりますので、それらを足しますと、本年度だけを計算すればおおむね二千二百七十億円というのが財政効果でございます。
  12. 原田昇左右

    原田委員 確かに、いまのお話ですと、最終年度効果補助金を除いて五千百億円ということでございます。しかし、そのほか補助金等を入れますと、ことしだけで二千二百七十億円ということになりますと、これは毎年やっていくわけであるし、毎年この効果は出てくるわけでございますから、五年後を考えれば、両方合わせて優に一兆円を超えると言ってもいいのじゃないかと思うのですね。どうも国民から見ますと財政節減効果は少ない、こういう感じがするわけで、もう少し政府は声を大にしてこの辺の効果国民にPRしていただきたいと存じます。  そこで、私は、行政改革というのは継続的に行う必要があるし、その節減効果を長い目で見る必要があることはもちろんでございますけれども、政府がいままで五次にわたって定員削減計画をやってこられたわけですが、これによる四十三年から五十五年までの節約額というのは大体どのくらいになっておるのですか。
  13. 加地夏雄

    加地政府委員 四次までに削減はやってまいりました。約十三万弱の公務員削減数に対しまして、これは非常に仮定数字でございますが、仮に一人当たり四百万という計算をいたしますと、約五千億近い金目になるということでございます。あくまでも仮定数字を置いた場合の計算でございます。
  14. 原田昇左右

    原田委員 相当な努力はしたと思うのですが、それにさらに新しいニーズが加わって、結局全体としては大した節減になってないというのがいままでの現状ではなかったかと思うのです。そこで、これから大いにまたこれについても御検討いただくわけでございますが、先ほど特殊法人について長官からお話を承りますと、法人整理役員整理等について非常に画期的なお考えをお持ちでございます。しかし具体的に言うと、国民から見ますと、まだまだこの程度では満足しないのではないかと思うのです。私は、時代変遷に伴って特殊法人評価というのはいろいろあるのじゃないかと思うのですが、いままでの特殊法人について私は一概に問題だということにはとらないわけでございます。特に財投の資金を利用いたしまして非常に大きな事業ができるということによって、日本経済なり地域発展にどれほど役に立ったかという評価もしながら特殊法人見直し考えていかなければならぬのじゃないかと思います。九十余りの残余の特殊法人につきましても、地域別業種別類似法人がまだかなりありますし、民間移行が適当だと考えられるようなものももうすでに出てきておるのではないかと思います。そういうことから考えますと、特殊法人公共性効率性というものを生かしながら運営できる、日本のいわば知恵といいますか、大いに特殊法人に働いてもらって、そして日本経済社会発展に資してもらう。同時に、不要になった、あるいは見直さなければならぬ点は思い切って整理合理化をやっていくということが必要ではないかと思います。それにはこの際、特殊法人あり方について民間有識者意見も聞きながら、その制度のあり方について基本的に見直す作業に着手すべきではないかと私は考えております。特殊法人の活用の仕方といいますか、あるいは場合によれば縮減する場合もあるし、場合によればむしろ積極的に伸ばさなければならぬ部分もあるのではないかと思います。そういう意味で、民間知恵も借りながら、ぜひ効率的に運用できるような、総力が発揮できるようなあり方をこの際検討し直す必要があるのではないかと思います。ぜひともこれについての長官の御見解を承りたい。
  15. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人は、KDDあるいは鉄建等不正経理に端を発しまして、何か誤った考え方で見られている面も少なからずあると思います。やはり特殊法人には第三セクターとしての使命があるわけでございまして、政府が第一セクター民間が第二セクター政府がやらねばならぬことを民間の力をかりてやりましょう、それが第三セクター、こういうふうに私たちは定義づけておりますが、だからさような意味で、私は今回の特殊法人統廃合に関しましては、社会経済的にすでにもう役目が終わったのではなかろうかとおぼしき特殊法人はないか、さらに民間に移行した方がいい特殊法人はないか、また、同じ機能を持っておるからこれはひとつ統合した方がいいんじゃないか、こういうような観点で十八の特殊法人整理いたしましたが、これですべて終わりではございません。特に地元反対だから反対だからというふうな特殊法人もありますが、これは私が出かけていって、地元反対が那辺にあるか、また、地元ニーズがどこにあるか、こういうことを考えて再検討しなくちゃならないとも考えておりまするし、そのほかに昭和三十九年の臨調以来問題視されてきた特殊法人、まだ残っております。十五年間まだのうのうと生きておるじゃないかという御指摘もあります。必要があって生きたものがございましょうし、あるいはまた内容を変えたものもあるかもしれませんが、さような意味特殊法人に関しましてはせっかく行革のこういうよい環境に恵まれたときでありますから、国民もそのことをお望みでございますので、私といたしましては、この際、特殊法人を思い切って見直すことも大切なことではないか、その点に関しましては、まさに原田さんの御意見と全く同一でございます。  調査会をつくったらどうかという話もございますが、調査会のような余り大仕掛けなものですと、二年、三年というふうな年月をあるいは要するかもしれません。だからいま国民は、もっと早くやるだけのことをやれ、こういうわけでありますので、私といたしましては仰せのとおり、できたならば民間有識者に集まっていただいて研究会を発足させたい、そして余り長期でなくきわめて短期に、いろいろな問題に関しましてやはり統廃合ということを中心として考えていきたい。また、新しい使命を与える特殊法人もございましょう。そういうふうなことでひとつ基本的に見直すような研究会考えたいと私も思っておりましたので、非常に結構なる御意見をちょうだいいたしました。その趣旨に沿いまして、そうしたものを発足させたいと考えております。
  16. 原田昇左右

    原田委員 いま長官のお答え、大変結構だと思います。ぜひこの際、特殊法人に正当な評価を与え、そして整理統合するべきものは思い切ってやる、そして大いに伸ばすものには大いに活力を与えていただく、こういう意味研究会をつくっていただくとまことに結構だと思います。ぜひやっていただきたいと存じます。  それから次に、行政改革におきまして、やはり一番大きい問題は職員の問題だと思うのですね。国家公務員については定員法があり、かなり削減努力が見られるわけでございますけれども、地方公務員について見てみますと、過去の、四十二年以来現在までの趨勢を見ますと、七十四万人純増を見ておるわけですね。もっともこのうち半分は、学校、警察、消防等やむを得ないものが含まれております。さらに、そのほかに福祉等行政需要に応じてふえたものももちろんあります。しかし、やはりどうも相当数のものがふえてきておる。もちろん地方自治のたてまえでございますから、地方の自治体が決意してふやしたものは、もうこれは地方の住民が納得する限りやむを得ないと言えばそれまででございますけれども、この点について私は、地方公務員についてもう少し節減努力をしなければいかぬのじゃないか。  さらに給与についても国家公務員よりは相当高い。さらに退職金に至っては、私の調べでは国家公務員には頭打ちがある。しかも今回八・四%退職金を減らそうという法律まで出そうというときになっておるにもかかわらず、地方の方は、極端な例は最高が百七十カ月、さらにこの前の、何か東京都の信用保証協会、これは地方公務員じゃありませんけれども、地方外郭団体に至っては五百カ月というような退職金の算定をしておるという状況であります。これに対して自治省はどういう指導をし、どういう方針で臨もうとしておられるか、伺いたいと思います。
  17. 大島満

    大島説明員 地方公務員定員管理についての御指摘でございますが、先生も御指摘ございましたように、国民の強い要請でございます行政改革を推進するためには、地方公共団体においても定員増加抑制に努めなければならないことは論をまたないところでございます。  地方公共団体定員管理につきましては、基本的にはそれぞれの団体の権限と責任において有効適切に行われなければならないものであると私たち考えております。しかしながら、当省といたしましても、かねてから適正な定員管理についての技術的助言指導を行うとともに、国において定員削減計画が策定された場合には、その都度定員管理適正化について指導を行ってまいっております。先般、国の第五次定員削減計画が策定された際にも通達を出しまして、組織機構簡素合理化民間委託等の措置を強化するとともに、新たな行政需要につきましても既存の事務事業見直しを徹底的に行って対処するなど、各般の方策を積極的に講じ、極力定員縮減増員抑制を図るよう要請してきたところでございますが、さらに本年一月五日付の行政改革の推進を求める通達におきましても同様の趣旨指導を行ってまいっております。  各地方公共団体におきましても、それぞれ定員縮減増員抑制に努めておりまして、すでに国に準じて一律削減を行っているところがあるほか、事務統廃合民間委託部門間職員配置がえ等によりまして昭和五十年四月一日から五十三年四月一日までの間に一般職員約九千名の定員削減を行っておりますが、現下の厳しい地方財政状況に対処しまして効率的な行政を推進するためにも、当省としては、なお今後とも地方公共団体に対してその趣旨の徹底を図るよう指導してまいる考えでございます。  この場合に、実効のある定員管理を行ってまいりますためには特に各省庁の御協力が必要でございますので、各省庁に対して地方公共団体職員増加をもたらすような施策については厳に抑制するよう要請しているところでございまして、国の協力を得ながら地方公共団体定員増加抑制指導にさらに努力してまいる考えでございます。  以上でございます。
  18. 原田昇左右

    原田委員 給与水準とか退職手当の話は。
  19. 大塚金久

    大塚説明員 自治省給与課長でございます。  地方公務員給与につきましては、給与水準が高いこと、また一部の地方団体において多額の退職手当が支給されているなど、問題点の多いことは御指摘のとおりでございます。特に退職手当に  つきまして、東京都及び指定都市を初めとする一部の都市などにおきましてはその支給率が国の場合に比べて高い、また最高限度の支給率の定めがない、また定めがある場合でも高率となっていること、それから役職加算等の特殊な加算制度があるというようなことで、高額の退職手当が支給されている事例が見受けられることも御指摘のとおりでございます。  国、地方を通じまして行政改革財政再建が叫ばれている今日におきまして、国を上回る給与水準や国の支給率を超える退職手当制度などは早急に是正すべきものと考えております。特に退職手当につきましては、国におきましても制度の改正を予定しておる状況でございますことからいいましても、急いで適正化されなければならない、このように考えております。自治省といたしましては、これまでも給与水準については給与改定率の調整、初任給基準の是正等、給与制度の運用の適正化の措置により是正を図るとともに、また退職手当につきましては条例準則を示しまして、国の制度に準じたものとするよう再三にわたり指導してきたところでございますが、今後ともさらに強力に指導してまいる所存でございます。
  20. 原田昇左右

    原田委員 いままでの指導の延長線でなくて、地財計画とかあらゆる総合的な対応をして厳しく指導していただくように強く要望しておきます。これは特にいま国民の強い期待なり要請があるわけですから、自治省が思い切ってやることは拍手喝采を呼びますよ。これはひとつがんばっていただきたい。  そこでいま、各省に協力してもらわなければ事務量の増加というのはどうしても避けられないのだというお話がありましたね。この点もまことにごもっともだと思うのです。これはいままで、各省一つずつ特殊法人を減らせとか、各省一律に何%削減。今度はその中に配置転換を各省の枠を超えてやるというようなことも新しく出てきて、非常に評価はしております。それで実践的な方法としてかなり成果を上げてきたことは認めます。しかし、定員削減も五次目になればこのような手法にはそろそろ限界が見えてきておる。しかも、自治省の方から言わせれば、地方機関委任とか相当いろいろなことを押しつけて、どんどん地方定員がふえてくる、こういうことなんですね。  そこで、これからの手法としては、正攻法でそろそろ事務事業整理合理化を積極的に進めていく必要があるのではないかと思うのですね。それに伴って機構とか定員の合理化をやるというのは、中央、地方を通じて考えていくべきではないかと思います。そのために、地方出先機関まで持っており、調査能力もかなり持っておる行政監察局が大いに活動すべきだと思います。これについて米の検査の業務とかいろいろ行政監察局から出ておりますね。見ておりますと、この間も公費負担医療費とか余暇利用施設、こういうものについて行政監察局の監察結果が出ておって、なかなかりっぱな仕事をしておられると思いますが、こういったことを大いに活用して行革に結びつけていく必要があると思いますが、これについてどうでしょうか。
  21. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 御承知のように行政改革というのは、まずそこの事業が必要であるかどうかということを見きわめまして、時代の要請に応じてだんだんと変化させていく、必要なところはふやしていく、あるいはだんだん必要でなくなるところは減らしていくということがまず第一でございまして、その次に人間を減らす、あるいはまた機構を減らしていく、こういうのがいわゆる行政改革の正攻法だということは、私、原田委員と同じような考え方でございます。行政管理庁といたしましては、そういうことのために地方行政監察局を置きまして、中央、地方一体になりまして、行政の必要性、新しいニーズに向かって合致するかどうか、そういうことを実は勉強しております。そういった観点から申し上げましても、いまの議員のお話はもっともだと思うわけでございます。  そのほか、臨調以来いろいろとほかの方面から指摘されている点もあるわけでございますが、本当に私どもの力でやるということになりますと行政監察ということが大きな基礎でなければならないわけでございますから、今後ともそういった方向で進みたいと考えております。  今回の行革は、いままでやはりそういった蓄積があったわけでございますが、非常に早急にやれということでもございましたし、おおむね見当はついておりましたので、特殊法人にいたしましても、各省の協力を得て実はやっている、こういうような実情でございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  22. 原田昇左右

    原田委員 ぜひひとつ、これからそういう点を大いに御活用いただきたいと思います。  そこで、いま行政監察局から「公的余暇施設の現状と問題点」、こういう調査結果が出ております。これを見ますと、ある村の例ですが、福祉センターがあり、国民年金保養センターがあり、国民宿舎があり、国民保養センターがあり、生活改善センター、何か五つか六つぐらい、わずか四、五キロのところにできておるわけですね。それから、これもある新聞の「行政改革」という特集を見ますと、ある県ですが、ちょっとした集合施設をつくりたいというので、せっかく補助金がつくのだからといって申請したところが、農林省では生活改善センター、厚生省なら老人生きがいセンター、文部省なら公民館ということだというわけで、老人、婦人、地域の集まり、何にでも使える総合施設をつくりたいからといって各省にお願いしたら、それは困る、建物を一つにするのは困るという話だったけれども、だんだん話していったら建物はやっと一つになったが玄関は別にしろというようなことになっちゃって、なかなか話がつかなかったというような例が出ております。  こういうのは極端な例だと思いますけれども、少なくともこういうものについて地方としては、住民という立場から言いますと、どういう施設でもそういう集会、余暇に利用できる施設があるということは非常にいいわけですが、それがうまく機能できるように、少し総合的に行政を進めてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。  これはどうですか、総合調整をやるのは経済企画庁だと聞いていますが、経済企画庁はどういうことをやっているのですか。
  23. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 原田議員の御指摘の点、よくわかるわけでございまして、やはり行政国民のためにあるわけでございますので、国民のサイドに立ちまして民主的な行政あり方ということを考えなければならないわけでございます。私どもの行政監察局が指摘いたしました事項はそのとおりでございますが、これを各省に勧告いたしまして、そして各省の間で、今後どうするか、今後のやり方につきましては十分にお話し合いを願いたい、こういう勧告をするのが私どもの任務でございます。どうぞ御理解のほどをお願いいたします。
  24. 原田昇左右

    原田委員 ぜひこういった点もひとつ行政改革の中に取り入れて、大いに積極的に推進していただきたいと思います。  ただ、行管は勧告して、やるのは各省なんですから、実際に監察結果を各省とその辺の詰めをやって  どこが調整するのか、どうしてやるのかということに詰めがないところがいま問題だと思うのです。私はそういうことを申し上げておるのです。  経済企画庁が詰めをやるのですか、やらないのですか。経済企画庁来ておるはずなんだけれども、やらないのですか。
  25. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 経済企画庁がやることになっているそうでございますが、御指摘のように、まだ完全な調整と申しますか、強力な調整ができていないようでございますが、詳細は担当官から説明をいたさせます。
  26. 原田昇左右

    原田委員 次に進みます。  まず、この行政改革というのは、一般的に言って機構の問題が狭い意味ではあるのですが、そうではなくて、さらに補助金まで含めて考えていかなければならぬと思うのです。そういう意味で、行政監察局の公費負担医療の問題については非常にいい提言があります。特に医療費については、国庫負担は五十五年度で三兆五千億を超えるということになり、五十八年度の推計では医療費全体がもう二十兆になる。現在十一兆か十二兆ぐらいなんですから、このまま伸ばしていくと国庫負担は七兆になってしまうというような推計もできないわけではないので、大変なことなんですね。  そこで、国庫負担の適正化ということから医療費の効率化をしていく必要があるし、さらに国庫負担の適正化ということもぜひ進めていかなければならぬのじゃないかと思います。これについて、私はやはりこの医療費の問題というのはこれからの最重要課題の一つだと思います。というのは、補助金の項目を見ても医療費関係が何といっても一番バッターで、次が文教、三番バッターが公共事業、こういうようなことになるのですから、まず医療費についての見解について、ひとつ総合的に伺いたい。さらに、公費負担についても行管の指摘と監察局の指摘というのがかなり私は正鵠を得ておるのではないかと思います。これについて政府側の御答弁をいただきたいと思います。
  27. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 御存じのように、福祉関係の費用は、最近国民の要望から非常に増加してまいっております。  先般、私どもの行政監察局で老人医療の問題を監察をいたしました。と申しますのは、老人医療が国民の要望に沿ってうまく行われているだろうかどうだろうかというような観点に基づきまして監察をいたしたわけでございます。もちろんこの監察につきましては関係各省に勧告をしてございます。  しかしながら、お話しのように、補助金をどうするか、適正化をどうするかという問題は、実はこれは各省と大蔵省の関係でございますので、大蔵省におきまして予算の査定の場合に私どもの監察のこの報告書をひとつ十分御理解を賜って政策に反映をしていただく、こういうことが私どもの基本的な考え方でございまして、この前の監察は実態をそのまま調査結果を御報告申し上げ、一応のそれに基づいた意見を開陳をいたした、こういうような状況になっておるわけでございます。
  28. 原田昇左右

    原田委員 厚生省からひとつ御答弁いただきたい。
  29. 坂本龍彦

    ○坂本説明員 医療費の今後の見通しなどの基本的な問題について私からお答えを申し上げます。  確かに御指摘のように、国民医療費は年々増大をしてきておりますが、今後におきましても、人口構成が老齢化してまいりますと同時に医療内容が高度化してまいりますことから、これがふえていくということは避けられないものと考えておりまして、また、国民の医療を確保するという意味において国も相応の負担をするということは当然必要なことであろうと思うわけであります。  しかしながら、今後いままでのような経済高度成長というものは期待できないということを考えれば、医療費の効率化、負担の適正化ということを考えていかなければならないということも当然のことでございまして、このために、今後医療の給付の面、それからそれを負担する面、両方にわたりまして見直しを行って基本的な改革を図っていこうという方針のもとにいろいろと施策を検討しておる段階でございます。  その一つとして健康保険法の改正法案というものも国会に提出をして審議をお願いしている段階でございますし、また、そういった法律改正、制度改正のほかにも、医療費の効率的な使用という面につきまして、行政措置でできるもの、たとえば薬価基準の適正化でありますとか医療機関指導、監査の推進といったようないろいろな方面にわたりまして行政措置を進めていく方向で、現在いろいろと努力をしておる段階でございます。
  30. 原田昇左右

    原田委員 時間が参りましたので、最後に政務次官からひとつ行政改革についての決意を伺って、私の質問を終わります。
  31. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 まだまだ私どもの監察は不十分だと思っております。  これからもそういった問題につきまして十分監察をいたしまして、各省のこれからの施策に反映をさせてまいりたいという気持ちでおるわけでございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。
  32. 原田昇左右

    原田委員 それでは終わります。  ありがとうございました。
  33. 高田富之

    高田委員長 井上一成君。
  34. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣が出席されるまでに、一点だけ、行政管理庁が掌握をしている過去四十二年から五十四年までの間の行政機関定員の推移を報告をしていただき、かつ、行政機関のそれぞれ、これは結果的に人員を一番削減した省、あるいは削減が少ないという省庁、これを報告してください。  なお、現在の定員数と実数との差があるのかどうか、このことについても答えていただきたいと思います。
  35. 加地夏雄

    加地政府委員 ただいま御質問のございました四十二年以降五十四年までの間の全体の数につきましては先ほども申し上げたとおりでございますが、省庁別、機関別の定数という問題でございますが、これは手元にございませんが、もし先生の御指摘がございましたら、後ほど御報告を申し上げたいと思います。  それから第二点の、この十二年間にわたる定員管理の中で、省庁別に見まして非常に増員の多かった役所、それから逆に非常に削減の厳しかった役所、それについて申し上げますと、当然でございますけれども、一番増員数の多かった役所は文部省であり、厚生省でございます。内容は、御承知のように、文部省におきましては大学関係の定員の増でございますし、厚生省におきましては国立病院、療養所を中心にいたしました医師、看護婦の増の問題でございます。逆に一番厳しい削減をやっていただきましたのは、これは農林省でございます。農林省以外にも省としての定員が相当減っておる役所はございます。たとえば建設省でございますとか、あるいは北海道開発庁、こういった公共事業関係の役所が相当の減員を見ていますけれども、農林省につきましては御案内のように、主として食糧事務所を中心にいたしました減でございますし、それから公共事業関係におきましては、いわゆる公共事業関係がだんだんと技術も進んでまいりまして、事業民間委託が進んでおりまして、役所でやる業務が従来に比べまして、いわゆる工事の設計、監督、こういった方向に動いてきておりますので、現場要員的な形で削減をしている数が主力になっているわけでございます。  現在の定員と現員の状況でございますが、実はこれは現在手持ちをいたしておりませんので、後ほど御報告を申し上げたいと思いますが、実は十二年間にわたりまして約十二万八千人を超える削減をやっておりまして、各省のいわゆる定員と現員の差というものは非常に詰まっております。ただ、私どもの方で把握しておりませんのは、これは必要があれば各省庁にある時点をつかまえて、そういった報告をしていただいておりまして、大勢的に申し上げれば、いま申し上げたように、そう大きな差がない状況になっております。毎年七月の時点とか、定員管理上ある時点を限ってそういう報告をとっておりますので、その時点における数字でございますならば、後ほどまた御報告申し上げたいと思います。
  36. 井上一成

    ○井上(一)委員 それじゃ後刻私の方に報告をいただくということで、その点については了とします。  さらに私は、四十四年の五月十五日、参議院の内閣委員会で行政機関職員定員に関する法律案に対する附帯決議というのがなされているわけです。この趣旨、この附帯決議の意は今日も十分尊重して取り組んでいるんだということに間違いございませんか。
  37. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 参議院におきますところの行政機関職員定員に関する法律案に対する附帯決議でございますが、その際に付されました決議につきましては現在におきましても尊重してまいりたい、かように考えております。
  38. 井上一成

    ○井上(一)委員 行革の目的というものについて、ねらいというものについて少し尋ねておきたいわけです。このことについては大臣から直接答弁を願いたいと思うのですが、大臣が予算委員会からこちらの方に回っていらっしゃるということですから、それまでに事務当局に。  さっき大臣が最終段階で五千百億円、五十五年度段階で二千二百七十億円の財政減になるんだ、こういうことです。どうなんですか、財政削減行革の目的のメーンだと事務当局は位置づけられますか。
  39. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 御承知のように行政改革というのは、時代の移り変わりに伴いまして行政に対する国民ニーズが変わってまいるわけでございまして、それに適合するように、そしてまた、いま一つは、常に簡素な効率的な政府にしなければならぬ、行政の姿にしなければならないということでございますが、今回は御承知のように非常な財政難であるということから、国民から、この前の総選挙におきまして、増税はだめだ、もうちょっと政府の姿を簡素にしろ、そして、そこから経費の節減を図れというような声がございましたし、私どもは、短期的に、先ほどお話しのように参議院の附帯決議もあることでございますし、現在のような状況のもとで非常な財政効果を一年間で上げるということはなかなかむずかしいことだと思っております。しかしながら、長期的に考えまして、やはり行政改革というものは、そういった財政の縮小、縮減に寄与するものであるということでございまして、そういう観点から、できる限り努力をいたしまして国民の要望にこたえたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  40. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは政務次官と議論をしても、しょせんまた大臣がということになるのですが、私は、やはり発想というものが少しずれているのじゃないか、結果を見て原因を見ていらっしゃらない、こういうことなんです。それじゃ、いまの国民行政ニーズというものは減少しつつあるのですか、どうなんですか。
  41. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 先ほど話しました医療でございますとか福祉行政とかあるいは教育の問題、そういった問題に対しましては、だんだんとふえておるわけでございまして、これは毎年各省から定員の予算要求がございます。その際に査定をして増加いたしているわけでございます。過去十二万八千名一方において削減をいたしました。これは不要不急なものがあるということで削減をいたしているわけでございますが、そのかわりに、また必要な面は十二万人増加した、こういうことであるわけでございます。
  42. 井上一成

    ○井上(一)委員 むしろ行政需要というものは拡大、多様化しつつあるのですよ。それに対応するところの体制が十分でないというか、非常にお粗末きわまりないというのか、あるいはふくそう化しているというのか、あるいはむだが多いというのか、そういう意味から、むしろメーンは行政の能率化、国民に対するサービスを的確にしていくということの方が主なんですよ。行政をより能率化していく段階で、余剰な人員、いわゆる余分なところに多くのロスがあるのじゃないかというところで、そういうことを強く反省すると、やはり人員の的確な配置をやらなければいけない、あるいは不必要な分野についてはそれを必要なところに持っていく、結果的に財政、予算が前後するかもわかりませんけれども、あるいは削減されるかもわかりませんけれども、予算、財政削減するために行政改革をやるのだ、そのような発想で行革に取り組もうとするから、かえっておかしい取り組みをつくり出すのではないか、私はこういうふうに思うのです。どうなんですか。
  43. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 井上議員の話もよくわかるわけでございます。過去、この十年ぐらい、いわゆる高度経済成長の時代を通しましていろいろな公庫、公団なり、これも国の行政の一部でございますが、そういったものが相当ふえたのではないかというふうな議論もございますので、私どもやはり行政あり方見直していく。もちろんお話のように増加する行政需要に対してはそれなりに対処していかなければならない、これは井上議員のお話しのとおりだと思うわけでございまして、そこにむだはないか、絶えず行政のむだなりあるいはまた社会情勢の変化に対応する行政あり方、こういったものを考え直していくということが必要だと思うわけでございまして、現時点におきましては、特殊法人にいたしましても、もうなくなってもいいんじゃないかというような議論も相当あるわけでございますので、そういった点につきまして見直しをしていく、あるいは行政機構全体につきましても前々からのそういったような批判もございますので見直しをしてやっていく、国民行政に対するニーズということにつきましては十分な考慮を払ってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  44. 井上一成

    ○井上(一)委員 それじゃ政務次官、私はちょっと具体的に聞きますが、ハンディを持った乳幼児あるいは保育を必要とする措置児が保育所へ入園の措置をした、たとえその子供が一人であったとしても、その子供を保育していく保母さんは必要でしょう。おわかりいただけますね。必要だと思いますね。
  45. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 必要だと思っております。
  46. 井上一成

    ○井上(一)委員 そのことに対する国の十分な手だてはできていると現在お考えでございましょうか。
  47. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 私は余りそういう専門でございませんので、特にこの問題は行政管理庁の問題ではございませんので、自治体の問題であり、かつまた別の所管省の問題でございますので、きょうあるいは来ているかどうかわかりませんが、そちらの方から御答弁願うのが筋じゃなかろうかと思います。
  48. 井上一成

    ○井上(一)委員 行管の問題でないとおっしゃるけれども、私の言っているのは、国民ニーズというのはそれほど拡大をし、また、それに対する対応というものは非常に多岐にわたっていくんだ、だから、その子供に対する対応も十分でないということを私は指摘しているわけなんです。そういうことに十分対応するためにも必要な予算、財源というものは、たとえ市町村であろうが都道府県であろうが国であろうが、これは当然必要なんです。だから、予算によってその人たちの生きていく権利まで切り捨ててしまってはいけない、行革という名の中であるいはまた定員法という一つの枠の中で国民ニーズを切り捨てていってはいけないということを指摘するわけなんです。わかっていただけましたか。
  49. 宮崎茂一

    ○宮崎政府委員 おっしゃるところは十分理解をいたしました。
  50. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣が見えましたので大臣に質問をいたします。  いまも政務次官と少し論じたわけですが、行革のねらいとする中心的な柱、何か私がさっきの大臣の答弁で受けとめるところによると、ただ予算的な、財政的な面のみを強調されているように思うわけなんです。結果的にそうであったとしても、やはり国民ニーズにこたえていく、その行政の能率化が最優先すべきである、その能率化を十分果たした結果、不必要な経費が削減をされていく、そういうことからこの行政改革というものは取り組んでいかなければいけない、私はこう思っているのです。その点について、まず大臣から聞かしていただきたい。
  51. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行革はいまおっしゃったとおりだと私も思います。先ほどの質問の中には財政的な効果のお尋ねもありましたから、それにも資するように努力もしているということでございます。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 そこで私は、さっき大臣行政見直し、とりわけ特殊法人については非常に率直な発想だと思うのですけれども、このことについては私も同意するわけですが、特殊法人役人の天下りの場所なんだ、そういうことを答弁の中でおっしゃっているわけです。全般的に今後の日本社会というものはどういう社会の構成になるか、どういうふうに見通しを持っていらっしゃるか、ごく簡単に、明快に答えていただきたい、私はこう思うのです。
  53. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 よく言われますが、私は、一九八〇年代というのは、いまから予見しがたい問題もあるが、しかし国内においては、高齢化社会だとかあるいは資源が不足するとかエネルギー問題だとか、予見し得る問題もたくさんあると思うのです。したがいまして、それに対応し得るだけの機敏な行政でなくちゃならない、こういうふうな考えを持っております。したがいまして、特殊法人も、本来は国がするべき仕事であろうけれども、国にかわって特に民間の人材を登用して活力を培養せよ、こういう目的もございますから、そういう面におきましても新しい時代ニーズというものがおのずから出てまいりましょう。だから私は、国は国、民間民間、そういう面もはっきりしておかなければならないと思いますが、そういう新しい時代に対しましては十二分に国と民間がお互いに切磋琢磨するようなことがあってもいいのではなかろうか、こういうふうなことも考えておりまするから、さような面におきましては、ひとつ民間の人材も五割以上を登用することにおいて第三セクターとして国民へのサービスを十分にしていただきたい、こういうことも考えているわけであります。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 八〇年代は不透明だとか不確実性の時代だと言われるけれども、政治家として私はそういう言葉は無責任きわまりない。政治というものは予見するところに政治が存在するんですから、私なりの判断としては老齢化社会と低成長の時代だ。この時代の中に行政がどういうふうに対応していくか。もちろん五十五歳定年という問題にかかわる老齢化社会に対する雇用の問題が出てくるわけなんですね。そういうこともこういう機会に大いに政府が検討していかなければいけない、こういうふうに思うのです。さらに、行政の能率化の中には必要でない分野を外していくということと、よりその行政効率化するための市町村、都道府県、国というそれぞれの所管に適した仕事というものを明確にしていかなければいけない、こういうことを考えているんですけれども、大臣はその点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  55. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行政国民に対するサービス、そのためには常に簡素にして効率的な体質を持ち合わせていなければならない、かように存じます。これは単に地方地方だけの政治というわけにはまいらないいろいろな問題もございますから、やはり地方政治と中央政治がお互いにがっちりと表裏一体をなすということも必要でございましょうし、そのためにも地方地方の責任においてやつ、てもらうことはびしびしやってもらう、国は国の責任を持つ、そうした事務に関しましての考え方も新たにしていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思っております。そうした問題に関しましても今後の行革といたしましては真剣に取り組む必要があるのではなかろうかと思っておる次第です。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 具体的には、許認可権限をどういうふうに合理化していくか、このことについてはどのような見解を持っていらっしゃいますか。
  57. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私は許認可というものは極力少ない方がよいと思うのであります。そういうものがあるからそこに役人が一人必要であり、またその判こをもらうために民間にもそういうポストが一人必要である。こういうふうに考えますと、できるだけ私は少ない方がよい、こう考えておりますので、すでに八次にわたりまして、先ほどもお答え申し上げましたが、おおむね千五百整理をいたしてまいりました。その間において、自治体に対する許可認可もございましょうし、また自治体同士の府県と町村という許可認可もございましょうし、そうしたものも私は極力整理をしてまいりましたが、さらに今後も、これは常に新しい行政需要もございましょう。そうしたことも考えながら、常に整理は必要ではなかろうかと考えております。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 基本的な自治体がその権限の大半を有するということが、私は行政の基本だと思うのです。基本的行政をつかさどるところの市町村、この権限を拡大していかなければいけない。地方時代だと言われるのは、まさにそこにあるわけなんです。当然その権限を保障していくためにも、裏づけとなるべき、地方自治体に対する財源が確保されなければならない。あるいは都道府県というものは、その個々の地方自治体を包括した広域的な、いわば補完的な行政を中心的行政にしていく。国の行政というものは、国家的計画立案、あるいは外交、防衛、経済、そういうものに中心的に置いていく。私は、むしろこういう行革の折に、地方自治体のいわゆる市町村の権限拡大と、基盤となる財源を十分保障していくということもまた必要ではないだろうか、こういうふうに思うのです。ただ単に何十カ所、何百カ所削減しました。それはむしろ従前から必要でない、本当に必要でない、国民にとってそんなニーズはなかったんだというようなところにでも置いておったということ。首を切れない、あるいは一つの役所の体質というのでしょうか、なかなかそういうことがスムーズにいかなかった。その省の権威の問題とかいろいろあるでしょう。そういうことを考えると、この折にひとつ本来の自治の姿を明確にする必要がある、こういうふうに思うのです。大臣考えを聞いておきます。
  59. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 本来自治大臣に関する問題でございますので、私からここでまた所管外のことを申し上げますと、いろいろと後刻問題があろうかと存じますが、いまおっしゃったようなことを実は行革に際しましては大蔵大臣、官房長官、私並びに地方自治に関しましては後藤田自治大臣に入っていただきましていろいろと今日検討もし、また議論もしておるということがございますので、その点だけをひとつお伝え申し上げておきます。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、私はなぜこういうことを尋ねるかといえば、恐らくその所管は自治大臣でございます、保育所の問題を聞きますと厚生大臣でございますと、あなた方はすべてそういう形で、分の悪いところ、あるいはちょっと答えにくいところはほかへ振られるわけなんです。むしろ政府としてはそういうことはこう考えておるんだ、おっしゃるとおりだとか、それは一人といえども生きることに対する権利は保障するのだ、そういうハンディを持つ子供たちの将来というものは保障するのだというぐらいのことをはっきり言わなければだめですよ。この昭和五十五年度行政改革政府の閣議決定をなされた中に、いろいろ私がいま尋ねておることは書かれておるわけなんです。大臣がやはり主管ですから、たとえば地方公共団体に対する要請としてこれこれと書かれている。どんな要請をしようとしているのか。その要請に対しては、もちろん、もし経費的な問題がそこにくっついていくなら、その経費については国が十分手だてをするのだとか、そういうことをはっきりしないと、KDDの問題が起こった、いや、やみ賞与だ、やみ給与だ、あるいはから超勤だとかそういう問題が起こったから行政改革だ、いや、こうだああだというのは、余りにも計画性のない、そして政治とは言い切れない。なぜそういうものが起こったか、体質的な問題があるし、もちろん個々のモラルの問題もあるでしょう。そういうことをみっちりと論じながらよりよい方向に持っていきたいという私の考えを申し上げたわけです。このことについては後ほどもう一度聞きますけれども、地方公共団体に対しての要請、具体的にどのようなことを要請されたのか、このことについて、事務当局からでも結構ですからお答えをいただきます。
  61. 加地夏雄

    加地政府委員 先生御指摘のように、昨年の暮れの五十五年行革計画の中で、国、政府が行う行政改革に準じた措置を自治体に要請をする、こういう形になっておりまして、その趣旨は改めて申し上げるまでもないところでございますが、その閣議決定を受けまして、一月五日付で自治大臣から自治体の長に対しまして、同様の国の行政改革に準じた措置を行うように、こういう要請が行われておるわけであります。改めて御説明申し上げるまでもございませんが、やはり地方自治という問題がございまして、国自身といたしまして直接自治体にどうこうという話ではございませんので、地方自治を尊重した上で、府県におきましても市町村におきましてもこういった国の計画に準じて措置をしていただきたい、こういう要請をなすったわけでございます。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はここで大臣に、国のいわば間接行政的な現在の行政と基本的な地方自治体の直接行政との違いを十分御認識いただいていると思いますけれども、ただ単に定数云々と言ったって、たとえばごみ、屎尿あるいは日常生活の中からどうしても行政がこたえていかなければいけない市町村の業務があります。これは都市化に応じて増大していくでしょうし、あるいは物価を含めた国民生活のその生活水準に合わして増大をしていくでしょう。それを十分認識をしてないと、大きな誤算というのでしょうか、方向を見誤ってしまうということ、そういう点については、自治大臣ということよりも、行管長官として十分地方自治体の実情を認識をしてもらって、地方自治体にしわ寄せのいかないような配慮を講じてほしい、こういうことなんですが、大臣いかがですか。
  63. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 自治体の問題はもちろん、行政庁のことに関しましては、自治大臣と常に密接な連絡をとりながら意見の交換をいたしまして、いまおっしゃるような面に関しましても、十分国としての配慮をしなくちゃならないことは当然だと考えております。
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 ここで私は、行管設置法改正についての考えと見通しというものを少し聞いておきたいと思います。
  65. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今度の国会に改正法を出す内容といたしましては、特殊法人百十一現在ございますから、これ全部をひとつ行政監察の対象にしたい、それに調査権を及ぼしたい、かように考えておる次第でございます。今日までは四十八のつまり公社、公団、事業団、公庫というものだけが調査の対象でございましたが、国会からもいろいろと有意義な御意見を承っておりますから、そうした意味で全法人に私はこれを及ぼしたい、こう考えておりますので、ただいまその仕事を進めているところでございます。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 NHKに対しても監察の対象として考えていらっしゃるのでしょうか。
  67. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 NHKも百十一の特殊法人の中の一つでございますので、当然監察の対象にいたしたいと存じております。
  68. 井上一成

    ○井上(一)委員 そのことについては、いずれ改めた委員会で私も論議をいたしますけれども、その対象にすることにおいて何をねらいとされていらっしゃるのか。
  69. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行政監察は、あらゆる省庁に対しましてもまた特殊法人に対しましても、やはりそのあり方自体改善すべきところはないか、合理化すべきところはないか、そうしたことを中心として監察をするのでございます。したがいまして、会計検査院とはおのずから趣を異にしておることは御承知賜っておると存じます。
  70. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、そこが問題になるんじゃないか、こういうことなんです。経理面では現在も予算が国会に示されておりますし、あるいは厳しい会計検査院の検査を受けているわけなんです。要は、より効率的なという抽象的な言葉の中で、内容にまでまたがった監察がなされるんじゃないか、こういうことなんです。このことは、むしろ放送の内容にまでまたがる干渉につながっていく、あるいは放送機関の自主性、自立性の保障を打ち破っていく、そして体制的内容に持ち込むおそれもあるわけなんですね。そういうことは非常に危険だと私は思うのですよ。そういうことがあってはいけないということで、さらに私は大臣の見解を問いただしておきたいと思います。
  71. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いまの監察の趣旨は、これは全特殊法人についての一般論を申し述べましたが、NHKに関しましても同様でございますけれども、決して番組の編成であるとかそういうところに介入はできないと私は考えておりまするし、やはり放送には放送の自由がございますから、こうしたものは尊奉しながら、機関としてのあり方に関しましてはいろいろ監察すべき点があるかもしれませんが、御趣旨は恐らく放送の自由は確保せよということであろうと思います。そうしたことには現在も郵政大臣も手を触れることが許されておらない、かように存じておりまするから、やはり政府といたしましても、守るべき一線は守っていきたいと考えております。
  72. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、全特殊法人行政監察の対象にしようとしているという、何もかも一緒くたにして、全くもって、俗っぽい言葉だけれども、みそもくそも一緒くたにする、そういう取り組み自身、政府の発想が誤っている、こういうふうに言っているのですよ。だから国民全体が、本来なら一人一人がNHKに対するいろいろな意見を申し上げる、意見を具申していくということは、これは非常に結構なことなんですよ、こうあるべきだとかそれぞれの意見を。しかし政府自身、体制自身が放送機関に対して、端的に言えば予算上の問題でない形の中で行政監察を強めていくということについては大きな問題がある、こういうことなんです。  再度この問題について、NHKを対象にすること、とりわけ報道機関を対象にすることに疑義があるし、放送の自主性を損っていくという道に入りかねないから、強くここでもう一度大臣に、そのような考えを持たずに、そして再度考えを明確にされた上で政府なりの見解を申し述べていただいた方がいいんじゃないか、こういうふうに思うのです。
  73. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 NHKは、先ほども大臣の具体的な問題申し上げましたが、郵政省の監督権限の範囲内においてやる、こういうことでございます。実は最初、百十一全部査定がいいかどうか、私自身もいろいろと検討いたしました。御承知のとおり、特殊法人には株式会社もございます。KDDがその例でございましょう。NHKは政府資金一文も出しておりません。聴視料で運営なさっておる。ただ国会においてその収支決算はいろいろと御審議を願う、そういうふうな特殊法人もございます。株式会社ではほかにまだ日本航空もございます。あるいは三公社もあるわけであり、さらには開銀、輸銀等もあるわけでございます。これはいい、これは監察だというと、いかにも何か問題がありそうであり、またあったか、こういうことであっても困りますので、各省庁におきましてもそれぞれ所管されておるわけですが、これは入れましょう、これはやめておきましょうというわけにもまいらないというふうな御意見等々も聴取いたしまして、国会でも、全部やった方がいいじゃないかという強い意見が予算委員会等におきましてもしばしば出された次第でございますので、全法人、例外を認めずというふうにいたした次第でございますので、報道機関に関しましては、いま私が言明いたしましたそうした線でやってまいりますので、ひとつ御了解を賜りたいと思います。
  74. 井上一成

    ○井上一委員 この件については、いずれまた改めた委員会でさらに政府考えをただしていきます。  次に、昨年末に閣議決定がなされた行政改革の計画実施についての点でございますけれども、その柱の一つに補助金整理合理化ということがうたわれているわけです。何点かありますけれども、特に、「既に地方公共団体事務として同化、定着又は定型化しているもの、」という項目が入っているわけなんですけれども、大蔵当局から、どのような行政がすでに同化、定着しているのか、具体的に聞かしていただきたいと思います。
  75. 藤原和人

    ○藤原説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、昨年の十二月二十九日の行政改革の閣議決定の一環といたしまして補助金整理合理化の項目が加えられておるわけでございますが、その中に、各省庁は五十五年度以降毎年度その所管に係る補助金等につきまして整理合理化案を策定をする、こういうことになっておりまして、それを「翌年度の概算要求にその内容を織り込むものとする。」ということになっておりますが、その整理合理化案を策定する際の考え方の一つといたしまして、御指摘の「既に地方公共団体事務として同化、定着又は定型化しているもの、」というものが挙げられているわけでございます。したがいまして、この同化、定着又は定型化している補助金等の具体的なものとして何を考えておるかということでございますが、これはこれから各省庁がそれぞれの所管補助金等につきまして整理合理化計画をつくってそれを概算要求に反映をして、予算編成の過程を通じまして煮詰まってくる問題でございまして、私どもの方として現在の時点でこういべものがこうこうでございますというような具体的なリストを持っているわけではございません。
  76. 井上一成

    ○井上(一)委員 大蔵では具体的なリストは持ってないということですね。  それじゃ大蔵に重ねて問いますが、何らかの形で今日まで補助金行政として市町村がそれを行ってきた。その業務についてはもう市町村の業務の中に同化されているし、定着し切っている。しかし、さっきから私が再三指摘をしているように、そのことは市町村が今度は逆に国にかわって業務をやるわけですから、補助金は何らかの形で財源の裏づけとして補てんをしていくわけでしょう。どうなんですか。
  77. 藤原和人

    ○藤原説明員 具体的にどういう補助金が該当するかというようなことは、現在リストを持っていないわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、こういうような補助金がそういうものではないかというようなことは、たとえば知事会の報告とか何かで例示をされているようなケースも私ども仄聞をしてございます。ただ、これらの補助金の対象となっている事務事業はいずれも地域住民に密着するものでございますので、たとえば補助金を廃止をするというようなことになった場合に、事務事業がそのまま残るということになりまして地方の負担にそのまま転嫁をするということのないよう十分配慮していただかなければならないことは、先生おっしゃるとおりだと考えております。
  78. 井上一成

    ○井上(一)委員 大蔵省は、いま私が指摘したように、補助金としては国費の支出はしないけれども、それによって市町村あるいは都道府県が負担を受けるようなことはない、こういうことですね。確認をします。
  79. 藤原和人

    ○藤原説明員 私ども補助金等整理を行うに当たりましては、従来から地方公共団体財政負担が転嫁されることのないよう十分配慮してきた点でございまして、このような配慮は今後とも続けてまいる考え方でございます。
  80. 井上一成

    ○井上(一)委員 ただ今後も配慮するとか言うのじゃなくて、これは補助金としては交付しない、しかしその財源は、たとえば自治省所管の中で交付金の一部に組み入れられるのだとか、たとえば保険業務であれば厚生省の所管になるとか、私の聞いているのはそういうことなんです。そういうことで大蔵省としては補助金では出さないけれども、形を変えて出す、決して負担を押しつけない、負担をさせない、負担増にならない、こういうことですねと言っているのですから、そのとおりならそのとおり、そうでなかったらそうでない、それだけでいいのですよ。どっちなんですか。
  81. 藤原和人

    ○藤原説明員 具体的な対象になります補助金が、先ほど申しましたように特定化しているわけではございませんので、具体的にそのような補助金が俎上に上ってきた段階でケース・バイ・ケースに考えていくべき問題ではないかと考えております。
  82. 井上一成

    ○井上(一)委員 そんな頼りない答弁では困る。閣議決定をされて同化した業務に対してはもう補助金を出さないということで、じゃ同化している業務は何なのだというと、それはまだわかりません。補助金としては、いままでも負担を軽くするために補助金を出してきたのですよ。そうでしょう、負担を押しつけないためにも。今度変わってもその精神でやるということを言っているのだけれども、もっと明確にしないと、いまの補助金よりも減らさない、負担を重くしない、こういうことにならないといけないと思うのです。  これは時間がありませんから、大臣から。  こういうことは文章化されているけれども、実際問題としてはいままで国が当然負担すべきものを市町村に押しつけてきて、それがもう市町村の業務に同化したからその補助金はやめてしまうのだ、そう単純にこういうことを決めていくということはよくないことだ、私はこういうことを指摘したわけです。そうしたらいま大蔵から、補助金項目としては支出しないけれども負担増をさせることはないという方向だ、こういうことなんです。  大臣行政改革を主管される大臣としては、このことについては私の指摘をしていることを十分理解していただいて、市町村に負担増を押しつけない、負担増にならない方向だという言い切った回答をいただけますか。
  83. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま大蔵省も言いましたが、大蔵大臣と官房長官と私たち補助金整理問題のときにも、そうした点には十分配慮してやろうということでございますので、御了解賜りたいと存じます。特に公共事業、福祉、学校、そこらが補助金のほとんどの対象であります。したがいまして、整理をすることは非常に必要なことだろうと思いますけれども、それが町村の負担増にならないように配慮することは当然だろうと存じます。
  84. 井上一成

    ○井上(一)委員 地方自治体にしわ寄せを押しつけないように、特に私は指摘をし、お願いをしておきます。  さらに、少し具体的なことなんですけれども、道路公団等の第一線でその業務をやっていらっしゃる料金徴収業務等は、実態は現在どのようになっているのでしょうか。そして、今後どのようにこれをなさろうとしているのでしょうか。
  85. 加地夏雄

    加地政府委員 御指摘の道路公団の問題でございますが、今回の閣議決定の中で、特殊法人統廃合に加えまして、いわゆる整理合理化という措置で十四法人を対象にしたその一つでございます。これは、特殊法人全体の見直しを監察局の方で調査をいたしまして、その結果として出てまいったものを今回の合理化の対象にしたわけでございます。  まず、道路公団の料金徴収関係の実態でございますが、これは道路公団におきましては、すでに昭和三十九年以降、新たに開通した道路につきましては委託方式をとってまいっておるわけでございます。したがいまして道路公団の職員が直接にやるというのは三十九年以前の状況でありまして、その実態を申し上げますと、いわゆる直営でやっているものの件数は全体の一割から一五%ぐらいになっておるわけであります。実際の道路公団の職員の数で申し上げましても、料金徴収員は全体として約七千五百人でございますけれども、そのうち約千人弱というのが直接職員がやっているわけでございます。  今回の合理化の中で私ども指摘をいたしておりますのは、そういった実態は十分頭に入れた上で、なおかつ、料金徴収の機器の改善とか、そういったさらに一層の合理化ができるのではないでしょうか、こういう趣旨で合理化の方向づけをしたわけでございます。そういう意味で申し上げますならば、約千人弱の職員につきましても、そういった合理化の結果、定員が減につながっていくという方向が見出せるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  86. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、この実態というものをもう少し掌握された方がいいんじゃないだろうかと思う。建設省の所管だと言い切ってしまうと、これまたまさにそのとおりなんですけれども、実際には、いわゆる高齢者がこの仕事をやっている。そして下請の下請、いわゆる孫請的な形で、安い賃金で、労働時間も昼夜にわたる、非常に労働条件が一定でない、そしてなおかつ十分な賃金保障がなされてない、さらに高齢化の方々、そんなことを踏まえた中で、片側では高級役人が天下っていくポストをどんどんつくっていって、そのたびに多額の退職金がふところに入る。その財源確保を一つの契機にして、今度は高齢者のそういう人たちが黙々と働いているところまでしわ寄せを受ける。私が冒頭にも指摘したように、非常に誤った認識、誤った発想だということなんです。行政改革をやらなければいけませんよ。やらなければいけないけれども、実態を十分見ずに、ただ単に机上のプランでそういうことをやっていくととんだことになりますよ。  大臣、一つこういうことを御承知でしょうか。国家公務員がどこかの外郭団体におりていく、そのときにいまの賃金から三号アップする、そういう事実を御承知でしょうか。いま私は道路公団の実態に少し触れておきました。そこへは、合理化しなければいかぬ、片一方では、いま言ったように国家公務員が一応ウエイティングという形の中でどこかへおりていく。そうしたら、三年なら三年、二年なら二年たってそういうところへおりていくときに三号アップされる。悪くても二号アップだ。そういう事実があるのですよ。そういうことを是正されますか。あるいはそういう実態を御承知なんですか、大臣
  87. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろと天下り等々に関しましては問題があることは十分承知いたしております、個々のケースに関しましてはどこがどうだということではなくして。したがいまして、そういう面におきましても、実は一般民間におりるときには二年、三年というような一つの待機期間があって、すぐに天下りはいけないということになっておりますが、特殊法人なんかは至極簡単にやってまいりますから、その面におきましても、特殊法人そのものの常勤役員と大体右へならえだろうと思いますが、その特殊法人がこれまた役人との間において格差があるということでございますから、今回はそういう面におきましてもいろいろと国家公務員に準ずるように措置をしていくということに相なっております。
  88. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、一般的なことを言われたのですけれども、私が指摘した、そういう国家公務員が下った場合に三号アップ、二号アップというのが現実にある。いまもらっていらっしゃる給料をすぐにあすから下げなさいということは非常に言いにくい話です。今後そういうことは絶対にさせないとか、あるいはそういう天下ったポストについて調査をしたいとか——あるいは大蔵省管轄の中での、そういう協会等に派遣された者がそういう状態である。大蔵省ですよ。そして、その裏づけとなるべき予算はどうなのかといったら、受益者負担的な、たとえば入場料なら入場料として国民から金を取っている。その資金で賄われている、こういう実態なんですよ。ここまで言えば、実体はどこなんだと言えば、万博協会なんかはそういう形で運営をされてきた。そして、入場料をアップしてきた。そういうことを指摘をしておきます。それを御承知なら——いや、御存じないと思いますけれども、そういうことなんです。今後こういうことを改めさすのかどうか。当然改めさすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  89. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そうしたことも行政監察等々を通じまして、非難をされないような姿に戻したい、私はこういうふうに考えております。
  90. 井上一成

    ○井上(一)委員 それからもう一点。大臣特殊法人についてもそうなんですけれども、認可法人がございますね。認可法人等についてもこれはまさに天下りポストの場になっているわけなんです。こういうことについてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  91. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 認可法人は、御承知のとおり各省庁大臣の認可によって設立されております。私は、これが隠れ法人だというふうにしばしば言われておることに対しましても十分留意をしなくちゃならない、こう思っておりますが、じゃあ認可法人そのものが全然だめかと言いますと、昨年でございましょうか、国会で御審議願いましたスモン病、ああしたときに薬害を受けた患者さんの基金はどうするんだということがございました。その基金の取り扱いはひとつ認可法人でやろうというふうなことで認可法人でその取り扱いがなされたというようなことを考えますと、やはりああいう緊急の場合にはそういうことも必要かな、こうも考えておりますが、これはやはり極力抑えていくことが必要でございますので、本年の予算編成時におきましても、実は二つばかり認可法人許可してほしいということがそれぞれの省庁に出されまして、行革の最中でございますから連絡がございましたので、それはひとつ抑えてほしい、こういうことでその所管大臣が認可法人許可されなかったという経緯もございます。したがいまして、これに関しましても、その存在価値なりあるいはまたどういう実態であるかということも今後は十分考えていかなくてちゃならないのではないかと思いますが、しかし、実のところは、これは率直に申し上げまして行政管理庁では対象なのかというとそうではございません。そこら辺に一つ問題があろうかと思いますが、御趣旨の点は今後政府全体として重々考えてまいりたいと思います。
  92. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣は答弁がすぐに、そのことについては主管はこうだとか、さっきも指摘をしましたけれども、それはずるい答弁なんですよ。あなたは行政管理庁の主管大臣として責任を持って、こういう行政改革をやるんだという強い信念のもとに閣内を統一した意見にまとめられて、その方向に持っていかなければいけない。だから、時には必要なものもあるでしょう。そして本当に必要なら、別に法人という形じゃなく行政それ自身がやってしかるべきだと私は思うのです。すべてを予算の面でとらえると、安く上がるように安く上がるようにという形の中で下請化していく。下請化した方がより安いというのは、人件費も含めあるいはその他の経費も含めて、いわゆる費用の中での効率、能率の問題だと思うのです。そんなこともあるし、あるいは大臣が先ほど言われている、今後は先頭に立って一生懸命行革を推進していくんだ、そして国民ニーズにこたえていくんだ。国民ニーズというのは、大臣、さっき政務次官に聞いたのですが、私は多岐多様にわたって増加しつつあると思うのです。もちろん、部分的にはもう必要でない、いままで行政として取り組んでおった面で必要でない部門も出てくるでしょう。しかし、社会の情勢がさっき指摘したような状態になりつつありますから、老人に対する問題、雇用の問題あるいはその他の問題で行政需要なんてふえますよ。それをより的確につかんでいるか、それを的確につかんで能率よく、手際よく処理していけるか、そういう体制、いわゆる行政側の問題だ、そういうことで見直しをしていくべきであって、ただ単に一般消費税にかわって行革をやって金を浮かすんだという、そういう発想というものは非常に間違った、私から言わせれば本当に不謹慎な発想だと思うのですよ。この点について、ひとつ大臣の見解も問うておきます。  さらに、特殊法人常勤役員については、今後半数以内にし、民間人を導入していくんだ。むしろ特殊法人部分的には統廃合していかなければならない部門がたくさんあるし、さっきも申し上げましたように、何もかも一緒くたにしてはいけないし、当然その中には、極端な言い方で言えばつぶしてもいいような法人があるという意見もあります。あるいは認可法人を含めて、よろしくないからこの際このようなものはつぶしてしまえという意見もあります。今日、常勤役員として国家公務員から直接就任をしている、いわゆる天下っている全体の数はどれほどなのか。そして、半数以上抱えている特殊法人はどことどことどこなのか。そして、その法人の実態は現在どうなのか。あるいはいわゆるたらい回しというのでしょうか、渡り歩いたという人は何人いらっしゃるのか。あるいはそれはどことどことを渡り歩いたのか。前もって私はこの資料を提出してくれということを言っておいたのですが、時間がありませんので、これは本当に慎まなければいけないのだという事例を一、二指摘をしてもらって、残部については、私はこの質問を一応留保します。
  93. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 人事面に関しましては総理府の方から答えていただくことにいたしますが、先刻来の質疑応答の中で私、行革消費税にかわるためにするのだということは申しておらないので、国民の声からするならば、増税と言う前にまずみずからむだなところをカットするのが本来じゃないかというのが選挙の結果国民から与えられた課題ではないか、こういうふうに私は思っておりますし、当然、わが党といたしましても、選挙のときにおきましてもスローガンを掲げ、公約の中に行政改革を取り入れております。ただ、消費税にかわるぐらいの金目のものが出るのが本来じゃないかというふうなお考え方が一部ございますから、財政再建に資さなくちゃならないことは当然であるけれども、では消費税と入れかわったような金目のものがすぐ出るか出ないか、はなはだ疑問ですよ、こういう意味で実のところは御答弁申し上げましたので、行革に関しましては、先ほど井上さんがおっしゃいましたような精神でかかっておる、こういうことでございますので、その点御了解を賜りたいと思います。  なお、特殊法人に関する官民の比率は、今日は大体四分六ではなかろうか、こういうふうに思っております。特に、理事長、総裁等を入れますと、あるいは七分までが官界出身ではなかろうかと思いますが、具体的な例は総理府から答えてもらいます。
  94. 栗林貞一

    ○栗林説明員 特殊法人役員につきましては、先生おっしゃいましたように、昨年の閣議了解で、国家公務員から直接就任した人及びこれに準ずる者を、全体の特殊法人役員——常勤役員についての話でございますが、その半数以内にとどめることを目標にするということに決めたわけでございますが、五十五年の一月一日現在で申しますと、国家公務員から直接就任した人は三百二十三人、四一%でございます。それから、国家公務員の経歴を持っておりまして民間等の職につきまして、その後で特殊法人役員についた方が百六十一人で、約二0%でございますが、実は、この民間等に一たん就職された後で特殊法人役員につかれました人たちの中には、いろいろな経歴の方がございまして、果たして準ずる者といったところに当たるということもどうかなと思われる人も若干ございます。それについて私ども、経歴について精査している最中でございます。そういう者を含めまして合わせますと、約六一%という数字でございます。  それからもう一つ、たらい回しといいますか、ということについてのお話がございましたが、これはやはり五十五年一月一日現在の数字で申しまして三十二人でございます。約四%くらいでございます。  以上でございます。
  95. 高田富之

    高田委員長 この際、午後一時十五分まで休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時十八分開議
  96. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  97. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 行政改革の構想なり考え方についてはすでに論議がありました。要するに、今回の行政改革は、財政再建という重要な時代の要請にこたえるという面があろうと思いますが、一方、行政いわゆるお役人に対する国民の期待あるいは不満というものが、ここ急速に高まっていると思うのですね。もちろん皆さん方がどうこうということじゃありませんけれども、きわめて一部ではありましょうけれども、給与の問題を中心とする執行の不手際あるいは不備が指摘をされておる。こういう中で行政改革を進められるわけでありまして、財政再建と同時に、あるいはそれ以上に重要なことは、お役人の姿勢を正して、真に国民の公僕として、名実ともにそれにふさわしい行政機構あるいはそれに関連をする一切の機構を再建する、ある意味では精神的な再建、心構えの再建ということがきわめて重要な一方の柱になっていると思います。そこらを中心にして、大臣からひとつ行政改革の構想と、それから、これから進めていく上においての基本的な心構えを伺いたいと思います。
  98. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ただいま仰せのとおりのことが私は必要であろうと存じております。特に、総選挙という洗礼を受けましたときに、国民は、国家公務員地方公務員に対しまして、まず自分たちの信頼するに足る人になってほしい、だからわれわれみずからも綱紀粛正ということを大きな土台として、そして行革を進めなければならない、かように考えておる次第でございます。  したがいまして、方法論といたしましては、特殊法人整理とか、あるいは地方出先機関整理とか、許認可、補助金等整理もいたしておりますが、その根底にあるのはやはり少数精鋭主義において国民の負託にこたうるだけの精神的な盛り上がりというものもこの機会にやはりお互いに考えなければならない、そうしたことを、私たちといたしましては綱紀粛正なりあるいは振起という言葉をもってうたっておる次第でございますが、そうした大きな土台がないことには、いかに器が小さくなった、あるいは二つが一つになったと申し上げましても国民の負託にこたえることはできない、かように私は考えております。
  99. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、行政改革の重要な一つの柱といいますか部門として、特殊法人の統合整理ということがございまして、大臣も真剣に取り組んでおられるということは聞いておりますが、まず、この特殊法人なるものの使命特殊法人に対する政府考え方、そしてどういう要請に基づいてこういうものができてきたのかということを伺いたいと思います。
  100. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人はいわゆる第三セクターでございまして、第一セクター政府、第二セクター民間、こういうふうにとらまえてまいりますと、本来ならば政府がやらなければならない仕事がある、たとえば、戦前は国鉄は政府そのものが運営しておった次第でございますが、しかしそれを民間の力をもかりることにおいて、第三のセクターとしてその使命を果たしてもらおうではないか、こういうことで特殊法人というものが生まれたわけでございます。  それで、特殊法人の誕生に際しましては、当然行政管理庁がその必要性、目的、事業内容等々詳細にわたりまして審査をするわけでございますが、法律をもって強制的に設立するというものが特殊法人であるということを考えますと、やはり特殊法人にはそれだけの大きな国家的、社会的な使命があるというふうにわれわれといたしましては把握をして、そして、果たしてその特殊法人が、そうした使命なりまたそうした国民の負託に応じて動いておるかどうか、これは常にわれわれといたしましても政府機関と同様に見ていかなければならない大切な点ではないか、かように考えております。
  101. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 もともと国民政府に対する要望は、もうそれこそ多種多様でありまして、最近これが一層多様化しておると言われておりますけれども、そういう国民ニーズに対する行政の対応としては、これは政府においてすべてを処理するというのが本来の姿だと思いますけれども、いま大臣が言われたように、民間の創意も生かし、自由な活動をそこで期待をするということでありますけれども、その裏には、やはり厳しい役人としての倫理基準あるいは行動基準、そして会計の面においても厳しく監査をされる、そういう窮屈さを逃れて自由にやっていきたいという気持ちがあると思うのですね。  それと同時に、新しい需要が起こった場合、たとえば住宅建設の必要が起こった場合、あるいは宅地取得の必要が急に起こったというような場合には、これは本来ならば建設省がやるべきことでありますけれども、それを第三セクターをつくるということは、その行政需要が起こるたびごとにそういうセクターが生まれてくるという当然の帰結になるわけですね。これはパーキンソンの法則ではありませんけれども、そのたびごとに新しいものができてくる。そういう過程の累積が現在の百十一という多数の特殊法人ができたということでありますけれども、そして今回行政改革の一環としてそれを改革をされるということでありますけれども、そうだとすると、この特殊法人に対する考え方、基本的な態度をいままでどおりにお考えになっていくのか、それとも特殊法人に対する使命あるいは定義あるいはそれに対する政府としての期待、これはいままでどおりに考えながら整理をしていくのか、それは非常に重要な点だと思うのです。特殊法人に対する考え方を、この際発想を転換していくのか、それとも、転換をしないけれども適当に数だけを減らしていくのか、その点を伺いたい。
  102. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人そのものは、やはり時代ニーズによりまして、必要なときには必要な特殊法人を新設するということも必要でございましょう。しかしながら、今日までの経緯を見ますと、それが余りにも安易になされたのではないだろうかという感じを私も深く抱いております。特に高度成長期におきましては、確かにスクラップ・アンド・ビルドという原則はございましたが、つぶしたがまた生まれたというふうなことで、何か各省庁特殊法人そのものを自分の分身のごとく考え、あるいは自分たちの一つの私権のごとく考えてきたきらいがありはしないか、そうしたことが勢い特殊法人をはんらんせしめたというふうな結果に終わったのではないか、かように思いますので、私といたしましては、三十九年の臨調以来特殊法人は常に問題になっております、そしていろいろと合理化を進めよとか、民間に移行せよとか、統合せよとか、廃止をせよとかというふうな指摘も受けておるわけでございます。そうしたものがずっと残っておるわけでございますので、昭和五十五年行革と名のっております今日の行革におきましては、第一部はついこの問閣議決定いたした次第でございますが、何とかいたしましてやはり特殊法人本来の設立のときの趣旨にかなったそういう姿を整えたい。だから、個々の特殊法人におきましては確かに発想の転換で考えていかなければならないものもたくさんあるのではなかろうか、私は、一々個々の問題を挙げますと、またパニックを起こすと大変でございますから、十分考えながらやっておるつもりでございますが、確かに御指摘のとおりに個々の特殊法人一つ一つを洗った場合にはやはり発想の転換をしなければならないようなものもある、こういうふうに考えております。したがいまして、特殊法人本来の使命を達成せしめるような姿において、やはりこれから厳しい時代を迎えるわけでございますので、その厳しい時代に対処をしておかなければならない、かように考えておるわけであります。  したがって、今回の行革が、言うならば一つの基石になりたい、基の石になりたい、基盤になりたい。その基盤をしっかりここでつくることにおいて、そうした中において今後統廃合も進めていかなければなりませんし、また、本当に必要なものが出た場合には、一つの原則というものが打ち立てられるところから、その原則に照らして今回は必要だというものが後世あるかもしれません。そういうふうな基盤づくりを私はしたい、こういうような気持ちで、今回の行革におきましては特に特殊法人に臨んでおるわけでございます。  午前中も、さような意味でいろいろと基本的にもう一回私としては研究をしたいものである、そのために民間有識者知恵をかりて研究会を発足せしめたいものであるというのは、そういうふうな趣旨にのっとったものでございますので、確かに御指摘のとおり、時代ニーズというものを考えながら十二分にその辺の対応策を固めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  103. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 新しい行政ニーズが起こったから、そのたびに特殊法人をつくる、いままでこういう態度であったと思うのです。しかし、それではだめだと思うのです。第三セクターというのは、これはもちろんメリットもあるでしょうけれども、ある意味から言えば行政責任の回避であるし、また行政機構あるいは行政の全体の体系を乱すという要素もあるわけでありますから、ひとつそういう点での特段の配慮をされながら、今後の特殊法人というものについての対処をしていただきたいと思うわけであります。  そうして、今回は十六減るというお話でありますけれども、現在の日本行政機構というのは、総理を中心として省庁二十二ですか、あるわけですけれども、百十一ある法人のうち、整理をしてもなおかつ九十以上残るわけですから、発想の転換をして整理をされるというのであれば、これは省庁の数程度に減らなければ発想の転換とは言えないと思うのです。依然として残る九十幾つの法人の中には、各行政機構別に分けてみれば、重複をするというか、同じ性質、たとえば住宅公団であるとか宅地開発公団であるとか、同じような性格のもの、二十二省庁に分ければ、同じ省に所属するであろうと思われるようなものがたくさんあるわけです。こういうことでは真の整理統合あるいは発想の転換にはならないと思うのですが、そこらはどうでしょうか。
  104. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在、中央の行政組織に従いますと、十二省と二十四庁あるわけでございますが、庁の方は、御承知のとおり防衛施設庁であるとかエネルギー庁であるとか、そういうようなのを含んでおりまして、国務大臣がついておるのは少のうございますけれども、それらがそれぞれ特殊法人を抱えておる。したがいまして、そこら辺まで減らせという御趣旨に対しましては、私もなるほどと、こういうふうに思います。しかしながら、ずっとながめてみますと、これはやはり特殊法人として各省庁の管轄下に置いておいた方がいいというものもその使命上あることもまた否定できません。したがいまして、省庁の数まで減らせということが果たしてできるかできないか、これは一つの御意見として承っておきますが、私は、その数まで減らさなくても一つの発想の転換というものはあるのではなかろうかと存ずるのであります。  名前を挙げて申し上げますといろいろ弊害があるかもしれませんが、大正十二年に初めて生まれましたのが農林中金でございまして、農林中金、果たしていま特殊法人の枠の中にいていいものだろうか、それともいなくていいものだろうかという議論も実は方々でなされております。あるいは株式会社組織のものが上場株までしていて、しかも民間がその株主になっておられる、そういうものもまだ特殊法人であってよいのか悪いのかというふうな話も実はいろいろあるわけでございまして、いずれにいたしましても、いろいろな形の特殊法人がありますが、今日までは概してそれが所属省庁の、いわば官僚のOBの諸君がそこへ異動しやすいように位置づけができておるということは確かに否定できないと思います。したがいまして、それが天下りの場所となって、言うならば国民の非難の標的になったということも事実でございましょうから、さようなことをも含めまして、もちろん臨調以来残っておるものもございますが、これも当然この際に大いになたをふるわなくちゃならないと思いますが、それ以外の問題につきましても、やはり基本論としていろいろその性格なりあるいは今後の事業内容なりを検討しなくちゃならない。そして速やかに国民の要請にお答えするように、でき得べくんば一つでも二つでもよいから特殊法人というものは減った方がいい、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  105. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 真に発想の転換をして整理統合するということであれば、これは少なくとも大臣の数くらいに減らさなければ実効が上がらないのではないかと思うのです。そして、特殊法人あり方あるいはその性格等、特殊法人論、これは何時間やっても足りないくらいきわめて広範な議論になると思います。  そこで、この行政改革を契機として、大臣特殊法人に対する一定の政府の見解、それから相当長期にわたっての特殊法人に対する政府考え方を理論的にひとつ検討されて、おまとめになったらどうでしょうか。それでこれを発表なさる、そして将来、幾つにまとまるかわかりませんけれども、それに対する議論に十分たえ得る一つの特殊法人の体系というものをおつくりになることが必要ではないかと思うわけであります。今回十八減らして、そしてまた、スクラップ・アンド・ビルドということかどうかわかりませんけれども、二つふえるわけですね。これがわれわれにはなかなか理解のできないところでありまして、二つふえる。それは放送大学とそれからエネルギー機構ですけれども、エネルギー機構にしたって、これは資源エネルギー庁というのがすでにあるのですね。それをさらに、まあ必要に応じては拡大することもいいと思いますけれども、そういうものがあるのになぜ新しいものをつくらなければいけないのか。また放送大学については、これは後でお伺いしますが、性格上いろいろ問題があるそうでありますけれども、本当に特殊法人についての一定の見解が政府の中に確立をされているのかどうか、また、本腰を入れて減らそうとする考えがあるのかどうかということを疑われるような事態でありますけれども、その点はいかがですか。
  106. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人に関しましていろいろと検討せよ、そして基本的な新しい時代としての物の考え方をまとめたらどうか、これは私、非常に結構な御提言だと思いますので、そうした意味をも込めまして研究会を発足さしたい、かように存じておる次第でございます。  いま仰せの、二つふえたではないかということでございます。私も、行革最中にプラスということはいかにも行革の本旨に反するものである、そういう姿勢を貫いておった次第でございますが、やはり政府には与党というものがございまして、与党のアドバイスもございました。特に与党の方は、せっかく行革を進めておる最中だから、いままでだと一対一の意味のスクラップ・アンド・ビルドであったが、いま行革の最中に一対一というようなことではいけないから、与党みずからが二対一なり三対一というふうな姿をもって政府の姿勢に対処してやらなくちゃいかぬ、こういうふうなことで実のところは新エネルギー機構というものを創設したことになったのでございますが、政府の立場から申し上げますと、御承知のとおり、昨年サミットが東京で行われまして、これがほとんどエネルギーに関することで終始されました。そしてその後、参加国はそれぞれ本国に帰ってから具体的ないろいろなエネルギー対策を打ち立てたわけでございますが、残念にいたしまして、日本はこれというエネルギー対策もない、そのくせ資源小国であるというふうないろいろな悩みがございましたので、代替エネルギーに関しては日本もこのような姿で積極的に取り組んで、それがひいては世界のエネルギー需要にも貢献し得るのだというふうな意味で設置をしたいというのが通産大臣の切なる願いでございましたし、また、石炭合理化事業団だけでは——今日、石炭の液化、ガス化を進めておりますが、海外探鉱をして開発輸入しなくちゃならないわけでございますが、それにはやはりある程度の金融ということも必要である。ところが合理化事業団ではそれだけの機能もないから、この際にひとつ、代替エネルギーということでその機能を持たしてくれてはいかがであろうか等々、幾つもの理由がございましたので、私も日本が置かれている立場、また将来のエネルギーの問題等も勘案をいたしまして、最終的には通産大臣が同意をし、なおかつ、そのかわりには、一対一のスクラップじゃだめですよということで、相当厳しい条件をつけたような次第でございます。  放送大学に関しましては、もうすでにこれは第二次大平内閣発足以前からの問題でございますので、恐らくその経緯は御承知だろうと思いますが、さようなことで、十八減りましたが二つふえるというのが今日の状態でございます。
  107. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 特殊法人の目的については先ほど伺いましたが、その中に、やはり行政ニーズに対応するためだということがあるわけですね。そして、そのいわゆるニーズというのは時代とともに変わるわけですから、そういうわけで、たとえば住宅建設については住宅公団が必要だということでありますけれども、特殊法人は、どちらかというと、恒久的な行政組織というよりは、むしろそのときそのときのニーズに応ずる対応という面が強いと思うのですね。そういう点からして、エネルギーに対する機構、あるいは放送大学というようなものはほとんど未来永劫に続くものだと思います。そういう固定的な、しかも長期にわたって必要とするものについては、これは特殊法人というような第三セクターというか、あいまいな存在にしておくということ自体が問題ではないかと思いますね。そして、なぜエネルギー機構を通産省の中へつくってはいけないのか。それは定員法の関係であるのか、そのほかに特に特殊法人でなければ目的を達成することができない理由があるのかどうか、その点伺いたいと思います。
  108. 加地夏雄

    加地政府委員 放送大学学園を特殊法人にした理由についてまず御説明申し上げたいと思いますが、この放送大学というのは、御承知のように生涯教育の機会を拡大していこうとか、あるいは高等教育を促進したい、こういう考え方があるわけでございますが、従来の大学と違いますところは、御承知のように放送事業をあわせ持つ問題でございます。一般にそういった新しい特殊法人が設立される場合には、当然のことでございますけれども、先生がいまお話しのように、国の機関でやっていくのか、あるいは民間でやっていくのか、あるいは特殊法人でやっていくのか、当然そういう検討がなされるわけでございます。  放送大学に関しましては、いま申し上げましたように、普通の国立大学という形だけでは十分機能が発揮できない。そのためにいわゆる放送事業をあわせ持たなくてはいけないわけでございます。そういたしますと、国立大学が放送事業を行うというのは、先生御承知のように、放送法の精神からいきましても国が直接放送事業を営むということはやらない、こういう方針になっているわけでございます。そういう問題が国立大学方式でやる場合の問題としてあったわけでございます。  なお、それ以外に民間団体でやってはどうか、こういう問題もありましたけれども、いま放送大学が持っている二つの機能をあわせ持つ大学として考えた場合には、やはり特殊法人という形が一番適当ではないか。こういう判断から特殊法人という形を選んでまいったわけでございます。
  109. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 放送大学というような構想は、放送法ができた当時はそういうことは全く予想されていなかったことですね。そして、言論の自由、放送の自由ということは最優先に確保されなければならないし、国家権力が介入してはいけないということは、これは原則でありますけれども、放送大学というのはいわゆる一般の放送の概念とは違った新しい時代の要請ですから、これはそれに応ずる放送法の改正あるいは特別立法等も必要があればやってもいいことでありますし、こういう基本的な教育行政の中でも、これはもう将来発達させるとすれば、かなりウエートの高い部分になると思います。そして、生涯教育という面からすれば、国民にとってもこれは大変いいことであるし、福利を受けるわけでありますから、そういう点については放送法の改正あるいは関連法の改正を行って、特殊法人というものではなくて、もっとはっきりした存在にすべきではないかと思いますけれども、現在一応結論が出ておりますし、当面の結論としては、皆さん各党においても大変検討されて結論が出たわけでありますから、それでいいと思いますけれども、将来ともにこういう形でいくのか、あるいは近い将来これを検討して、より一層行政の中における、あるいは国民ニーズを解決するという大きな分野の中における正しい位置づけを、現在でもこれは間違っているとは言いませんけれども、より一層正しい位置づけをする、検討されるという御用意があるかどうか、それを伺いたいと思います。
  110. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 ただいま先生御指摘のございましたように、あるいは行政管理庁の方から御答弁申し上げましたように、現時点におきましては、放送関係の法律制度においては国営放送は認めないたてまえということになっておりまして、そういった逓信関係の先生方あるいは郵政省とも御相談をいたしまして、この放送大学をつくるに当たって特例が考えられないだろうかということも再三にわたって審議、検討いたしたところでございますけれども、なかなかその大原則を変えるわけにはいかないということで、特殊法人という形をとらしていただくことにいたしたわけでございます。将来さらにこの問題について、放送法制という立場から検討を続けてまいりまして、そこに解決策ができますれば、もちろん国立大学の方式にするなり、いろいろな改善の方途は考えてまいりたい、かように思っているところでございます。
  111. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 教育文化の上で将来非常にウエートの重くなる部分ではないかと思いますので、一層御研究を願いたいと思います。  それから、特殊法人のうち、あと九十くらい残ると思いますが、その残ったものについての御検討ですけれども、これは廃止あるいは統合すべきではないかという、現在の時点ではそういうことだと思いますけれども、この残ったものについての検討はどうなさるわけですか。
  112. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 百十一から十八減りますから九十三、しかし、二つふえますので九十五ということになりますが、九十三の特殊法人の中で、私みずからがもう一度その統廃合に関してメスをふるいたいと思っているものもかなりございます。ということは、今回の特殊法人統廃合は、各省庁に一応選択をゆだねました。これが一律主義でどうにもならぬというような御意見もあったわけでございますが、いろいろな経緯でそうさしまして、もちろんその間に、行管庁といたしましてもいろいろと協議をしたわけでございます。たとえば、地元反対だから、このままにしておいてくださいというふうな特殊法人もあるわけでございます。ところが、そうしたものに対しましても、幾つかの機関から、あれは統廃合したらどうかというふうな意見が出されているものもかなり多くございます。なぜ地元反対なのか、私は当然そうしたことをみずから調べてみたい、その結果を所管大臣に申し上げて、やはりぼくの調査の結果こうだから、こうなさったらいかがかということはアドバイスをしなければならない、私はかように考えておりまするし、特に、先ほども申し述べましたが、昭和三十九年以来からいろいろ言われておるものもありますので、当然これらはやはり問題法人といたしまして、どういうふうに処理するかということも、その決着をつけなければならないと考えておりまするし、従来は、ただ単に統合さえすればいいというような案であったのですが、時代変遷とともに、統合だけが能じゃない、もっとほかに考える方法はないかという問題の法人もわりかたあるわけでございます。したがいまして、あと幾つするかというふうなことになりますと、まだそこまでは申し上げる段階ではございませんが、九十三になったからこれで終わりだというわけでは決してございません。特殊法人に関しましては、もっともっとメスを入れるところに関してメスを入れていきたい、かように考えておるところでございます。
  113. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大臣、ひとつ毅然たる態度でさらに一層の改革、合理化を進めていただきたいと思います。  次に、すでにこの問題は出ておりますけれども、天下り規制の方針についてさらにお伺いしたいのですが、現在は六割から七割の天下りがある、これを五割にしたいということでありましたけれども、もともとは、これはそのプロパーの職員がいるわけでありますから、その人たちの将来の希望あるいは仕事に対する意欲を燃やすという点からいっても、プロパーの職員を登用することが一番いいはずでありますね。しかし、一挙に減らすわけにもまいらないと思いますが、五割ということにしたその根拠は何かおありですか。
  114. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 もし御必要ならば詳細は総理府の方から御答弁をいたしますが、一応、大蔵大臣、官房長官、私の三閣僚並びに総務長官も入っていただきました方針といたしましては、やはり五割は少なくとも民間人を登用しよう。ただ、特殊法人の性格によりまして、とてもとても民間人に入ってもらっても何もこれは間に合いませんというものも事実ございます。したがいまして、五割という一つの基準は、それぞれの省庁において横並びで五割、ひとつこれを目標にしてくれということでございます。そうすることが、特殊法人がいわゆる第三セクターとして民間の人材を登用し、民力を培養するという趣旨にかなう、国会でもしばしば御指摘を願ったところでございますので、そういうふうな方針で臨みたいと考えておる次第であります。
  115. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 特に、この特殊法人の人員だけではなくて、給与についてもきわめてこれは不統一であるし、また不適切な面がかなりあるようですね。政府は、地方自治体等についてはきわめて厳しい給与の統制、指導をいたしておりますけれども、この方面についてはきわめて寛大という印象をぬぐえないわけです。特に、特殊法人役員の中には、一般職の最高である事務次官よりも高給を取っていらっしゃる方がたくさんいるわけですね。試みに、事務次官の給与以上の給与を取っておられる役員がどのぐらいいらっしゃいますか。
  116. 日吉章

    ○日吉説明員 特殊法人は百十一ございますが、その中で、法律上、大蔵省が役員給与につきまして関与いたしておりますものが六十ございます。これはあくまでも主務大臣がその役員給与の基準を承認することになっておりますけれども、その承認に当たりまして、大蔵大臣に協議を求めてくることになっておりまして、そういう意味で大蔵省が関与いたしております。それらの六十の特殊法人役員についてでございますが、ただいま現時点におきまして、どのように役員が充足されているかという点が定かでございませんので、必ずしも正確な数字ではないかと思いますが、お尋ねのように事務次官よりも給与が高い方と言われます方は、それらの法人の中でも大きな法人の総裁、副総裁、それから理事長、こういう方に限られております。したがいまして、概略申しますと約五十人程度ではなかろうか、かように考えております。
  117. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 特殊法人というのは、これは先ほどからいろいろお話を伺いましたけれども、その役員の責任の軽重あるいは権威と言うとおかしいですけれども、行政体系の中における地位から判断をすると、事務次官よりも重いというのはちょっと理解できないわけですね。しかも、なおかつ、事務次官よりも、一般職の最高よりも高い給与を受けていらっしゃる方が相当数いるということは、これはまさに、特殊法人を含めた国全体の給与体系のバランスを崩すものではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  118. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 仰せのような面が多々ございますから、これはぜひとも是正をいたしたい、かように考えております。  ちなみに、昨年、人事院勧告に基づきましてベアがあったわけでございますが、国家公務員では、指定職以上は半期おくらせて十月一日実施、一般の方々は四月一日ですが、特殊法人役員に関しましてもそういうふうな体制をもって臨み、これもまた特殊法人役員に関しまして準用いたしました。そういうふうなことで極力、官民格差の是正ということも言われておるわけでございますので、やはり政府機関におきましても、そうした趣旨を今後徹底させていきたいと考えております。  なおかつ、民間人登用の場合には、御承知かもしれませんが、いままでは民間からも、いわば重役を終えられた、功成り名を遂げた方々にしばしば特殊法人に移っていただきましたので、それとの比較になりますと、意外と安い特殊法人の方が多いというふうなことがあったりいたしまして、だから先ほどのお尋ねの民間に関しましても、われわれといたしましては、そこら辺もどうしようか、さらには、できるのならば、官界からは局長以前の人に出てもらう、民間からは役員になる以前の人に出てもらう。そういう人たちがいわば第三セクターでひとつがんばっていただく方が合理的ではなかろうか、こういうことも実は天下り防止、民間人登用ということでただいま検討いたしておりますので、いずれにいたしましても、退職金を初め給与等に関しましても、そうした意味のバランスをとらなければならない、かように考えております。
  119. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それから、役員ではなくて、一般の職員についての給与あるいは定員管理指導をどうなさっているのかですね。国では、地方自治体に対してはきわめて厳しい定員管理あるいは給与指導をなさっておるわけですね。先般も報道されたように、期末勤勉に上乗せをした団体については特別交付税を減額をするというようなきわめて厳しい措置もとられておるというふうに聞いておりますが、特殊法人についてはどういう指導をなさっておるのか、伺います。
  120. 日吉章

    ○日吉説明員 特殊法人職員給与でございますが、これにつきましても、大蔵大臣が、先ほど役員につきまして申し上げましたのと同じような形で関与いたしております法人が五十九、これも約六十でございますが、ございます。これらにつきましては、それぞれの主務大臣職員給与の基準を承認するに当たりまして、大蔵大臣に協議に参ります。私たちといたしましては、その際には、基本的には国家公務員に準じたような形で給与の基準を決めていただくように指導いたしております。ただ、先生、先刻御存じのとおり、特殊法人の労使関係につきましては労働三法が適用されております。したがいまして、勤務条件につきましては労使間の交渉によって定められることになっておりますので、基本的な給与の基準につきまして、主務大臣が承認し、かつ、大蔵大臣がそれの協議にあずかる、そういう基本的な大筋のところで国家公務員に準ずるようにというふうな指導をいたしておりまして、その中の具体的な配分等につきましては各法人の労使間の交渉にゆだねられております。ただ、ただいま御指摘ございましたように、昨年も特殊法人の一部につきまして問題にされましたように、期末勤勉手当等につきまして、国家公務員に準ずるという基準をかなり超えて支給している法人があったということでございますので、その点につきましては昨年も閣議の了解をしていただきまして、労使間で協議をする場合におきましても、国民の理解が得られまた納得が得られるような形で労使間の交渉がなされるようにというふうな要請をいたしております。ちなみに、予算上の措置といたしましては、私どもはあくまでも国家公務員の基準に基づいて算定した予算しか計上いたしておりません。
  121. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、小ブロック組織とそれに関する職員の扱いですけれども、小ブロック組織、これは国の機関ですけれども、その改革についてはどういうお考えですか。
  122. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いわゆる地方支分部局の整理に関しましては五十五年行革の中におきましても大きな柱の一本でございます。これは本来十二月三十一日までに決定せよというふうに党からはやかましく言われましたが、折しも予算編成時でございまして、行管庁もわずか千五百名弱のスタッフでやっておる次第でございまして、本庁にはもう三百名ぐらいしかおりませんので、それだけの大きな仕事に取り組むのには物理的になかなか無理な点が多うございましたから、私といたしましては三月三十一日というタイムリミットを設定いたした次第でございます。特にこのタイムリミットを設定したというのは、ただ単に機関名並びにその地名を閣議決定するだけではなくて、この国会にその整理案を法律案として出したい、こういうふうな意図が私にはございます。したがいまして、法律化をすることをも含めて三月三十一日までにこれは閣議決定に持ち込みたい、かように考えておりますので、これは四月になりますとこの国会に提案をいたしまして御審議を仰ぐことと相なりますので、そのときもよろしくお願い申し上げたいと思いますが、各省庁それぞれブロック機関を持ちおりますが、これを一本の法律で出したいと考えております。  また、府県にございます支分部局、これは六月の三十日までに閣議決定をしたい。特にこれに関しましては行政監理委員会にいろいろ意見をいただいて、その意見に従ってやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。何分にも、府県単位の機関と相なりますと、やはり地方自治体との関連も出てまいりますので、その間におけるいろいろな問題もございましょう。そうしたことをも含めて監理委員会で御検討を賜りたい。  大体以上が地方出先機関に関する考え方でございます。
  123. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これは長い間議論されておりました地方事務官ですが、これについての対策といいますか対処はどうされますか。
  124. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 運輸省の地方事務官に関しましては、すでに法律案として御審議をわずらわすことになったわけでありますが、厚生並びに労働省関係の地方事務官の身分をどうするか、これに関しまして自治省と両省との間の話が実はまだ詰まっておりません。したがいまして、この問題に関しましても監理委員会においてひとつ十二分に御審議を仰ぎたい。そして府県単位の地方出先機関の決定と同時にこの問題にもひとつ決着をつけたいものである、こういうふうに考えております。したがいまして、両省と自治大臣の間におきましてもこの問題に関しましては今後いろいろと話し合いが持たれるものであろうと私は考えておる次第でございます。
  125. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 行政改革のもう一つの重要な柱として国と地方団体との権限の調整、移譲、これが重要な柱になると思うのですが、この点についての具体的なお考えがありましたら伺いたいと思います。
  126. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国と地方の権限移譲という問題になりますと、非常に根幹に触れる問題でございますので、当然今後の複雑な社会、また新しい社会を迎えるに際しまして、それぞれの分担は決めていかなければならないと思います。すぐに結論が出るか出ないか、私はむずかしい問題であろうと思いますが、しかし慎重に検討を進めていかなければならないと考えております。
  127. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に地方自治体の行政改革ですが、これは機構の面と定員管理等が関連してまいりますが、地方自治体についてはどういう基本的なお考えですか。
  128. 中村瑞夫

    ○中村説明員 御説明申し上げます。  地方自治体における行政改革の問題でございますが、この点につきましては、すでに各地方公共団体におかれましていろいろな面につきまして真剣にお取り組みをいただいておるというふうに存じておりますけれども、現下の厳しい社会経済情勢にかんがみ、かつはまた、国における新たな行政改革方針の決定等もございましたので、本年一月五日に事務次官名をもちまして、各都道府県知事に対しまして、重ねて行政改革について一層の御努力をお願いをいたしたいという要請を申し上げておるわけでございます。内容につきましては、行財政運営の適正化、簡素効率化の実現ということでございますし、具体的には事務事業見直し行政機構の簡素化定員管理適正化等ということを積極的に推進されるようお願いをいたしたということでございます。現在その状況につきまして、地方公共団体の方に照会もいたしておるわけでございますけれども、ただいま予算編成時期等でございまして、まだ確定した状況を把握するまでには至っておりません。ただ、いろいろと断片的に事情を聞くところによりますと、各地方公共団体におきましても、いま先ほど申し上げましたような各般の問題につきまして、また格別真剣にお取り組みをいただいておるところも少なくないというふうに承知をいたしておるわけでございまして、自治省といたしましては、今後とも実態の把握に努めながら、地方公共団体におきまして実効の上がるような改革が推進されるように配意をいたしてまいりたいというふうに存じております。
  129. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 地方自治体に対する御指導、大変結構でありますけれども、これは地方自治の精神を最大限に尊重してもらわなければいけないと思いますし、それから、定員管理あるいは給与にしましても、従来自治省さんは非常に厳しく——これは政府のお考えだと思いますが、給与等も厳しい指導をされておりますが、地方公務員というのは定年でやめればもうそれでおしまいなわけですね。私たくさん知っておりますけれども、地方自治体の部長、課長と言っても、やめればもう再就職の道はほとんどないわけでありまして、会社に就職して元の課長が守衛をやっておるというような実例も私は知っておるわけでありますが、こういうふうに厳しいわけであります。ところが、中央におきましては、先ほどから何回も話が出ましたように、中央の幹部の方々は、おやめになっても特殊法人というところがあって、そこで再就職、再々就職の道が広く開けておるということですね。これらを考えた場合に、中央のお役人地方自治体の職員と、定員あるいは給与の水準で単純に比較をすることはできないと思います。もしも中央の皆さんが、地方自治体に対して厳しく給与の統制をする、あるいは定員の管理を厳しくやられるというのであれば、これはみずから範をたれて地方指導されるのでなければ、説得力がないわけですよ。そういう点で、これは逆になりますけれども、ひとつ中央におきましてみずからえりを正して、しかる後に地方指導されるというふうに、特にこれからはお願いをしたいと思います。  それと同時に、地方公務員の特殊な立場、それから退職後の環境等をこれまた考慮をされて、単純な数字の上での比較で強権的な指導をなさらないように、十分配慮をされながらひとつお願いしたいということを特にお願をいたします。  それから、最後にお伺いするのですが、今回の行政改革におきまして、職員の身分に直接影響する場合が非常に多いと思います。いわゆる首切りはないでしょうけれども、省庁間の異動であるとか、あるいはまた任地が変わる、あるいは仕事が変わるというようなことがたくさんあると思います。そういうことに対して、個々の職員に不利益な影響が及ばないような万全の配慮なり準備があるのかどうか、それを伺いたいと思います。
  130. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行革に際しての人減らしの問題でございますが、国会決議もございまして、出血を伴うそうした整理はすべきではない。われわれといたしましても、当然国会決議を尊重いたしまして今回の行革に臨んでおる次第でございます。現在行っておるのはなまぬるいという御意見もあるのですが、これはあくまでも器減らしであって、二つのものを一つにする、それがやがては長い目で見れば人減らしにつながるであろう。では人減らしはどうするのかと言えば、御承知定員削減を、すでに五次にわたりまして約十六万六千人という多大の削減をするわけでございます。そして、新規需要も当然ありますが、極力これも抑えていく。中には、できたならば新規採用もやめてしまえという声もありますが、現在の事情といたしましては、私はこれはなかなかむずかしい問題ではなかろうかと考えております。さような意味で、省庁間の配置転換ということをいたしまして、役人にはそれぞれ私は何々省の役人だというプライドがございましょうが、やはり行政需要の非常に高いところと低いところがあることは事実でございますので、そうした面におきましては配置転換をいたしたい。このことに関しましても、国会決議におきまして、本人の意向等々を無視してはいけない、こういうことになっておりますので、われわれといたしましては、いま申し上げたような方途において、十二分に慎重な配慮のもとに行革の人の面を進めていきたい、かように考えております。
  131. 新村勝雄

    ○新村委員 国家、地方公務員あるいは特殊法人一般職員について、行革によって給与あるいは労働条件、身分に絶対に不利な影響を及ぼさない、こういう万全の措置をひとつおとりをいただきたいわけであります。すでに行政改革に関連をして、現場の職員で心配をしておる向きがあるわけでありますけれども、こういう点については、ひとつ十分労働組合等ともお話し合いを願って、完全な合意のもとにやっていただく、あるいはまた無用の心配をさせないように十分納得を得ながらこの計画を進めていただく。そうして行政改革に関連をして一般職員が、経済的にも労働条件の上でもいささかも不利な影響を受けないように、万全の御配慮をされながら進めていただきたいということを特にお願いを申し上げます。  終わります。
  132. 高田富之

    高田委員長 林孝矩君。
  133. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最初に、監察権拡大に関する質問を行います。  特殊法人に対する監視を強めるために、これまで四十八法人に限られていた行政監察の対象を百十一法人全部に広げる、これはすでに答弁がございました。発表されておるとおりでございますが、これは当然早急に実現しなければならない、こういうことでございますけれども、先般の予算委員会でわが党の矢野書記長がこの点について質問をいたしました。それにこたえて法改正作業に入った、このように伝えられているわけですが、現時点での法改正の準備状況、これはいかがなっておりますでしょうか。
  134. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 矢野書記長が非常に結構な御質疑をしていただきまして、答弁をいたしたことはすでに御承知でございますが、あのときには私は、実は百十一全部にするかあるいは問題法人にするか、ともかくKDDは当然監察の対象にする、また新しく二つ、新村さんの御質問にございました特殊法人をつくりますが、これも当然監察の対象にする、こういうふうなことで行政管理庁設置法の改正案を出そうと思っておりましたが、その後いろいろと私も検討いたしました結果、百十一全部に及ぼそう、こういうふうに決意をいたしましたので、現在そういう主張、主義のもとに、行管庁の幹部と各省庁の幹部との間におきまして具体的な事務が推進をしておるところでございます。  この週末の閣議には、これは予算関連法案ではないけれども、出すということを一応官房長官のもとまで届けるというふうな段取りのところまで参りました。できる限り早い機会に私は国会に提案をいたしたいと考えております。
  135. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、今国会に法律提案ということで、それも早い時期に提案されるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  136. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 さように御理解賜りたいと思います。
  137. 林孝矩

    ○林(孝)委員 全法人に及ぼすということですけれども、この特殊法人の中には、反対を唱える法人もいるやに聞いておりますけれども、どういうところの法人反対を唱え、それに対してもこういう態度で臨むという点について、この際明確にしておいていただきたいと思います。
  138. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 確かに、まだこちらの趣旨が徹底しておらなかった面があったかもしれませんが、一、二そういうふうなことが、私は知りませんが、報道されたことがございます。だから、恐らくその報道機関は取材をされたものであろう、かように存じておりますが、行管庁といたしましては、百十一やると言った以上は公平に、平等にきちっと全部やっていきたい、こういう決意でございます。
  139. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その点についてはよくわかりました。  行革についてでございますが、昨年末の中期行政改革計画、政府の決定がございます。この内容については、私自身の受けとめ方としては、不十分なものであると思っております。長官は就任以来行革に関して非常に精力的な働きをされてきたと、私非常に敬意を表しているわけでございますけれども、この行革の位置づけ、内容評価長官はどのようにごらんになっておるか、お伺いしたいと思います。
  140. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 まず名称でございますが、最初大平総理から私と竹下大蔵大臣に、行財政改革案を年末までにつくってほしい、こういう要請がありました。われわれといたしましては、長期では余りにも長過ぎるから中期、つまり三年ないし五年というところに抑えようじゃないかということで、一般的は中期行革、こういうふうに言われましたが、国民のサイドから考えますと中期とは一体何かわからない、こういうことでございましたので、私もなるほどと思いました。したがいまして、本年になりまして名称を改めまして、昭和五十五年行革、こういうふうに申しておる次第であります。五十五年もあれば、五十六年、七年も政府は常に行革を志すべきである。そうさえしておきますと、たとえその特殊法人統廃合が五十七年に行われたといたしましても「昭和五十五年行革」ということで、それぞれの方々の頭の整理ができるのではなかろうかと思っております。その五十五年行革のいわばパートワンというものが旧臘閣議決定をいたしました四本の柱プラス定員削減でございまして、これが評価はどう思われるかというお話でございますが、私といたしましては、戦後におけるかなり大規模な行革をやった、こういうふうに自負いたしております。しかしながら、これで満足すべきものではないということも十二分に私もそのことを考えております。したがいまして、続いて第二弾を発表いたしますよということを国会におきましてもしばしば言明をいたしておるような次第でございます。特に私は、特殊法人統廃合も、先ほど来申し上げましたようなことで、さらに手を加えたいと思います。また、地方に関しましては、三月三十一日までにブロックかなりの成績を上げたいと考えておりまするし、同様に六月三十日の府県単位の機関に関しましても同じような成果を上げたい、かように考えております。報告、あるいは許認可等に関しましては、もうすでにその数も発表いたして、閣議決定の際にきちっと表明をしたわけでございますが、これなんかも私は、余り目立たないのでありまするが、報告なんか二枚報告する書類を一枚にしなさい、あるいはもうゼロにしてしまえ、毎月出しておった報告はもう半期に一回でよろしい、こういうふうに、実は余りにも民間過剰介入が多い、あるいは地方自治体に対しましても政府の介入が多過ぎる、こういうことで整理をさせましたところ、千四百七十七件という数字が出てまいりました。試みに、じゃこの紙を積んでごらんと言って計算させましたら、それが二百メートルになった。なるほど、二百メートルという高い紙、霞ケ関ビルが百五十ですから、それよりももう五十メートル高い書類を日本じゅうで判をついたりつかれたり、むだなことをしておったんだね。こういうことを考えますと、常に行革というものはやっていかなくちゃならない、こういうふうに思いますので、私は行革につきましては常在行革だ、こういうふうに言っております。そして、民間の方々あるいは地方の自治体の関係者にも、一応千五百ばかり許認可も整理をしたし、報告は千四百七十七件も整理をしたが、個々に分ければ小さなものかもしれませんが、その結果に関してもひとつ私に聞かしてほしい。宇野さん余り効果なかったというふうなことなのか、あるいはわりかた助かったというふうなことなのか、こういうことに関しましても、私はそれぞれ国民の声を聞いていきたいし、特に、行管庁長官が東京で机の前に座っておったって、これは行革になりませんから、私みずからが機会を得ては、時間をつくっては全国を行脚いたしまして、まだまだむだはないか、節約すべきところはないか、ぜい肉はないかというふうなことに関しましても、今後その努力を怠ってはならない、こういうふうに決意をいたしておる次第でございます。
  141. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえば、その十分やったと思うけれども十分でない点を十二分に承知しておるということでございますけれども、国民を代表する各政党間が合意して非常に前向きの修正計画、修正案というものが提出された場合に、行管庁として計画中であったとしても、それを受け入れていく、そういう姿勢をお持ちかどうかお伺いします。
  142. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行管は行管といたしまして平素から各機関、制度等に関しまして監察を続けてまいっておりますから、そうした監察に基づいて特殊法人も、そのほかの行革もやっておる次第でございます。そうした結果は各党にも十分御承知賜っておると思いますが、もし各党から出ました案そのものがわれわれの考えておるようなことであり、また、私自身といたしましても納得し得るものならば、当然そういう案に対しまして私たちも、やはり大きな御提案として拝聴しなければならないというふうに考えております。  しかし、ちょっとはっきり申し上げますと、やはりすぐに金目の話になってしまいますけれども、ただ五百億節約できるはずだ、千億できるはずだ、一兆できるはずだという案が、各党ではありませんが、民間機関等においてしばしばまかり通っておるわけでございます。いかにも消費税は三兆円政府考えておったが、それがパアになったのだから、それにかわる行革だから三兆円生み出せ、こういうふうな意見もあるわけですが、これはなかなかむずかしい話でございまして、消費税は毎年毎年三兆円ずつ生み出そうといって大蔵省が考えたものかもしれませんが、じゃ毎年毎年行革で三兆円、二兆円というようなものが生み出されるかということになりますと、これは非常にむずかしゅうございます。くどいようではありますが、人減らしというのは器減らしを通じて将来人減らしもやろう、こういうふうにやっておるわけで、そこに国会決議のゆえんもあるわけでございますので、さようなことでございますから十二分に検討はさしていただきますが、そこら辺にときどき、やっている身からすればできないような難題も間々私は耳にすることがございますので、もちろん各党の御意見に対しましては十分私は検討をさせていただきたい、かように思っております。
  143. 林孝矩

    ○林(孝)委員 長官、そう極論じゃなしに、各政党間が一致して出してくるそうした修正案ですから、もちろんその内容に関しては心配されておるようなそうした点はあり得ようもないわけですから、そうしたものが出てきた場合の話として受けとめてもらいたい、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。
  144. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 十分検討はさせていただきます。
  145. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回の行革の大きな目玉でございますが、特殊法人統廃合、先ほど来話があったとおりでございます。十八法人削減する。マイナスが十八でプラス二、プラス・マイナス十六法人、こうなるわけですけれども、今回の対象法人というものを見てみますと、過去の行革の俎上に上った法人がほとんどです。しかも五十五年度末までに削減されるのはその中で五法人だけだ、こういうことになるわけです。ですから、もっと斬新な発想に基づいて思い切った行革がなされるべきである。五十五年度末までに五法人だけ、過去の行革の俎上に上った法人の中でも五法人だけというものが、これが斬新な発想であり、また思い切った行革である、先ほど長官が大上段に振りかぶっておっしゃったわけですけれども、そういう実態から見ると私はそうは額面どおりとれないところがあるわけでして、その辺についてどのように考えられておるのか、また、その財政効果をどう見通されておるか、年次別効果はどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  146. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人十八減らしました。これは、行管庁がいろいろとアドバイスもし協議にもあずかりながら各省庁の選択に任したゆえんは、昭和三十九年の臨調以来しばしば特殊法人に関しましてはいろいろな機関で問題視されてまいったから当然その準備があってしかるべきである、私はこう考えましたし、同時に、あの一番大規模な臨調の線にまでせめて、短期間であるけれども近づけることが必要だ、ちょうどそれが昭和三十九年でございますから、いわば高度成長経済下におけるぜい肉と思ってもいいのではなかろうか、こう思いました。率直に申しますと、最初は党内でもこれだけできるとはだれも考えていらっしゃらなかったのではないかと思います。はっきり申し上げまして、鉄建は本当にできるかねとか、あるいは宅地開発公団は本当に統廃合できるかねと非常に疑問視する向きの方が多かったということは隠し得ない事実でございます。私も実は、いままで特殊法人一つ二つつぶすのにもなかなか時の内閣は苦労したものでございますから、せめて百十一を二けたにはしたいものだ、こういうふうな気持ちでやりましたが、その二けたすらが本当にむずかしい状態があったわけでございます。しかしながら、最終的には各省庁大臣ががんばっていただきましたし各省庁協力していただきまして、結論としては十八減るということでありますから、これはかなり大規模な整理ができたんじゃないか。ただ、三十九年以来マークをされ続けてきておりながらまだ残っているものがある。これはすっと表をながめればわかるのですが、ごらんになれば幾つかわかると思います。これは一体どうしたことだろう。これは当然みんなが疑問を抱くところではなかろうか、こう思います。いつまでも三十九年臨調や、あるいは何やら内閣行革やと言わずに、五十五年、五十六年行革、五十七年行革、こういうふうなナンバーをつけたゆえんはそこにあるわけでございまして、せめてこの五十五年行革において一九八〇年代を迎えた行革の基盤をつくっておきたい、この行革が一つの基準となって今後いろいろと行革が進められるようにしたい、これが偽らざるところの私の考え方でございます。したがいまして、特殊法人だけをつかまえまして、では何ぼの効果かというと、これはなかなか計算しにくい面もございます、いわゆる人減らしはほとんどしないわけでございますので。したがいまして、この行革昭和五十五年を第一年度として五十九年が最終年次でございますが、一応五年間で五千百億円財政節減ができる、こういうふうな計算を抱いております。  ただ、ここには補助金が一切入っておりません。その補助金昭和五十五年だけで千六百六十七億でございます。だから大蔵大臣は来年も再来年も、四年間にわたってやるんだ、こう言っていらっしゃいますが、まだその指数が出ておりませんから、たとえば五十五年だけを上乗せいたしましても六千億、七千億に近い行革ができるわけで、それプラスアルファ補助金というものが出てくるでございましょうし、これはパートワンだけの計算でございますが、今後パートツー等を入れますと財政再建に関しましても少なからず寄与し得るのではないであろうか、私はこういうふうに考えておるわけでございます。  一般的には党なんかでは、一兆円になるんだからそのことをもっと明らかにしたらどうだと言っていただくほどではございますが、しかし初年度は二千二百億程度で、総理大臣みずから、さして財政に寄与する云々という問題ではないが行革はひとつ長い目で見ていただきたい、こういうふうに言っておられますので、私たちもそういう気持ちで、今日財政にも寄与し、なおかつ、新しい時代を迎えるに際しての機敏なる政府をつくろう、こういうふうに考えて進めていきたいと思っております。
  147. 林孝矩

    ○林(孝)委員 十八法人の中身を見ますと、文部省主管法人の一つだけまだ決まっていないわけですが、これはいつ廃止するのですか。具体的な内容だとかそういうものがわかっているのかどうか。五十五年度中に決めるということになっているわけでございますが、その手順について説明していただきたいと思うのです。
  148. 加地夏雄

    加地政府委員 確かに今回の五十五年閣議決定の中で先生御指摘のような形で決定をいたしたわけでありますが、なぜそういうふうにやってきたかということを御説明申し上げたいと思います。  先生御承知のように、すでに一昨々年の行政改革におきましてオリンピック記念青少年センターの廃止の方針が一つ決まっておるわけであります。これはすでに国会に御提案を申し上げて御審査をいただいておるわけでありますが、さらに放送大学学園の新設、これは五十四年度予算のときに政府として決めたわけでありますが、その際に、学校給食会と安全会の統合を図る、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則に沿いまして二つの法人の統合をすでに決めたわけであります。これもいずれ今国会に御提案を申し上げて御審査をいただく、こういう状況になっておるわけであります。そこにさらに五十五年の特殊法人整理という問題が出てまいったわけでございますが、私どもは、現に文部省がそういった特殊法人整理についての法案を抱え、またそれを着実に進めていかなくてはいけない、こういう環境にございますので、そういう事情を十分考えまして、従来のそういう積み残してきたものの整理がついた段階でさらに新たに一つの法人の廃止を御検討いただこう、こういう趣旨で実は決めたわけでございます。御指摘のとおり、これは五十五年度中に廃止措置を具体的に決めましてお願いをしたい、こういう形になっておるわけでございます。
  149. 林孝矩

    ○林(孝)委員 特殊法人の内部組織等の合理化について、十四法人について見ますと、きわめて抽象的な計画しか明示されてないわけです。これは非常にあいまいだと思うのです。なぜ具体的な内容についてはあいまいな抽象的な明示にとどまっておるのか。行管庁が具体的な内容について把握しているのかいないのか。また、合理化の程度について、その客観的な水準というものが示されていない。そうなってきますと、適当にお茶を濁すと言えばまた極論になるかわかりませんけれども、とにかくわからないわけですね。ですから、その点について行管としてそれぞれどの程度求めるのか。たとえば年次計画というものを要求するとかしないとか、内容的にもう一歩突っ込んだ話が出てこないと、非常に抽象的であいまいな内容、こういう印象を受けざるを得ないわけでありますけれども、その点はいかがですか。
  150. 加地夏雄

    加地政府委員 特殊法人統廃合の問題につきましては、大臣からいままでいろいろお話もございましたように、今回の行政改革におきましてははっきり手形に日付を入れる、こういう形で十八法人につきまして具体的な実施時期まで確定させたわけでございます。一方、今回の特殊法人整理の中でもう一つの柱といたしまして、統廃合までには至らないけれども、統廃合する法人以外で十四の法人を取り上げまして、内部組織の合理化等を図っていくというのも実は閣議決定の中にあるわけでございます。この点についての御質問でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  これはもともと行政監察局におきまして特殊法人全体の見直しをやる、こういう観点から悉皆調査、全体の調査を進めまして、そこで具体的に問題として挙がってきたものを今回の行政改革に取り込んだわけでございます。統廃合につきまして具体的な日付を入れると同じように、私どもも実はこの整理合理化計画につきましても三ないし五年の期間の中で着実に実施をしていく、こういうつもりでございます。  そこで、三ないし五年の期間の中でやってまいりますが、この十四法人の中ですでに今回の五十五年度予算で現実に手をつけておるものが相当ございます。  たとえば具体的な例で申し上げますと、まず森林開発公団の問題でございます。森林開発公団につきましては、盛岡の地方建設部、それからそこの建設事務所、この二つを統合いたします。また、農用地開発公団につきましては、阿蘇にある事業所と二つございますが、これを廃止いたします。そのほか、公害防止事業団につきましては、大阪の連絡事務所を廃止するとか、あるいは石炭鉱害事業団につきましては、それぞれ出先のあるセクションを廃止をする等々、そういう具体的なものを数法人についてすでに決めておるわけでございますし、趣旨におきましては大臣の御指示のもとに今回の整理合理化計画も着実に実施をしていく、こういう方針でやっておるわけでございます。
  151. 林孝矩

    ○林(孝)委員 役員退職金について伺いますが、民間企業の役員退職金実態調査結果を得た上で適正な措置を講ずる、このようにされております。これはいつまでに行うのか、まずお伺いしたい。その措置の具体的な手順は決まっておりますか。
  152. 加地夏雄

    加地政府委員 私どもが直接所管している問題ではございませんが、行政改革を推進する立場から、現在の状況について把握をいたしておりますので御説明申し上げたいと思います。  もともとその問題につきましては、閣議決定にございますように人事院で調査をいただきまして、その調査結果が出次第、措置を講ずる、こう  いうことになっておりまして、現在人事院で調査をしていただいておるようでございます。この結果が出次第、それに沿って措置をする、こういうことであろうかと思います。
  153. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そこまで私はわかるわけです、人事院に報告を求めておるわけですからね。その依頼をしておるそれにも私は期限をつけるべきではないか。これは提案です。いかがですか。
  154. 加地夏雄

    加地政府委員 おっしゃるとおり、期限はつけてないようでございますが、あの閣議決定の趣旨というのは、閣議決定と同時に早急に人事院に調査依頼をする、こういうことでございますし、現に人事院では調査をいただいておるわけでございます。近いうちにまとまってくるというふうに私どもは伺っております。
  155. 林孝矩

    ○林(孝)委員 過去にも特殊法人役員退職金の支給について閣議決定という形を通して規制を加えてきたわけですね。ところが支給の実態についての問題として、私は本委員会で昨年の十二月にその問題を取り上げました。そのときに官房長官が答弁をしまして、七十五法人しか支給の実態を把握していない、このように答弁される。また大蔵協議などを通して大蔵省の把握し得るのは七十一法人についてだけだ、このようにも答弁があったわけです。ですから私はこの問題をなぜ提案するかといいますと、このような形で役員退職金に規制を加えるということを閣議で決めても、法制の実態というものが七十一法人であるとかあるいは七十五法人しか支給の実態がつかめない、こういう官房長官の答弁であったわけですね。  そうしますと、いま行管庁の長官が意欲的に取り組まれた、片一方ではそうした閣議決定を通して具体的に実態を把握するという動きがある。現行の法制のもとにおいてこれが百十一法人すべてにわたっての実態把握というところに結果的に結びついていくかどうか、この辺、私ちょっとひっかかるわけです。実際、実態把握というものを完全にしようとするならば、私は制度を改正しなければできないんではないか。事実、現在の大蔵省との協議で出ている法人数にしても、これは全部の法人の実態把握ができないようになっておりますね。長官にお伺いしますが、この点についてどのようにお考えになっておられますか。
  156. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 一口に特殊法人と申しましてもいろいろあるわけでございます。いま問題の、たとえばKDD一つを考えましても、KDDの出資は政府はびた一文いたしておりません。ただ、三公社の一つである電電がKDDに大体一割ほどしておるだけで、あとの九割は全部民間だ。しかしながら、事業内容から言うとこれはやはり国が当然監督をしなくちゃならないから特殊法人だ、こういうふうなことででき上がっておる特殊法人もございますし、あるいは日航のごとく民間の全日空と競争しながら特殊法人だと言っておるところもございます。したがいまして、今回は本当によい機会でございますから、さような意味合いにおきましても、特殊法人と名のるからにはやはり各省庁がもうちょっと目を光らすようにするとか、あるいはまた行管の監察によってそうした面もどんどんと明らかになるとか、そういうふうにしていかなければならないと私は考えておる次第でございます。  御承知かとも存じますが、たとえばKDDに関しましても、いまそんなことで、行政管理庁といたしましての調査権はなかったわけで、かつて保利茂先生が行管庁長官のときにKDDに関して何らか参考資料を出してくれないかとおっしゃったが、一片の手紙で断られた、こういう実態が実は百十一の中の幾つかにある。そうしたところで恐らく大蔵省もなかなかメスが入りにくい、官房長官をもってしてもなかなか実態がわからない、こういうふうなことではないかと思います。したがいまして、今回行管庁に調査権が与えられたということは、いろいろな意味合いにおきまして、いわゆる大きな意義があるのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。  したがいまして、今後、閣議でいやしくも了解事項となり、また閣議決定事項となったことは、さような方法を通じましても徹底するように考えていきたいと思いますし、まだまだそれでも不十分だというような点があるのならば、果たしてそれは特殊法人なのかどうなのかという問題も私は考えなくちゃならぬ、こういうふうに思っております。したがいまして、午前中にも原田さんにお答えした基本的な問題を一回私は洗ってみたい。ただ臨調の残り物を洗うという、そんなものではありません。それはそれできちっと解決はいたしますが、特殊法人そのものの基本的な問題をもう一度きちっとしておかないことには、いつまでたってもこの問題が尾を引いて、またどこかで不正経理をするたびにお互いにいやな思いをしなくちゃなりません。だからそういうことのないようにきちっとしたい、こういうふうに考えております。
  157. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、百十一法人に監察が拡大されるということでこの百十一の特殊法人に対する退職金の実態把握はできるようになるのだ、こういうことですか。
  158. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生のお話でございますけれども、監察に関する調査権が、もしも仮にいま私どもが考えておりますように全特殊法人に及んだ場合、会計制度の問題もございますけれども、先生の御指摘の点は原理的には調べることができるかと思います。ただ、調べる必要があるかどうかということはまた個々の行政監察の立場から判断させていただきますけれども、原理的にはできるかと存じます。
  159. 林孝矩

    ○林(孝)委員 原理的にできるということは、今日までできなかった状態を前提にして、今度はできる、そういうことですか。
  160. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 特殊法人のうち四十八は現在も調査権が及んでおりました。残余の六十三についてはなかったわけでございますが、その六十三については今後新たにできるようになる、こういうことでございます。
  161. 林孝矩

    ○林(孝)委員 前段私が質問いたしました、この前の昨年の十二月のときの官房長官の発言では七十五、大蔵省では七十一法人に対して実態把握はできる。そうすると、原理的にはそのときは四十八しかできなかりたということなのでしょうか。それが今度はできるようになる、こういうように解釈していいのですか。
  162. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまのお話は、大蔵省の特殊法人に対する給与の各省庁からの協議についての話に絡みますけれども、私ども行政監察に関する調査の方では、いま申し上げましたような次第で原理的にはできるということになると思います。
  163. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは長官、たとえば閣議決定で、退職金計算の比率を百分の四十五から百分の三十六にした、ところがKDDの場合だけは、閣議決定があったとしても、私がその当時調査したときは百十一の中でKDDだけがそれに従ってなかったという事実が明らかにされている。こういうこともあるわけですね。だから私は、そういうこともあるので、いまこうして今度退職金の実態把握というものに関して、これは百十一の全法人にわたってできるという形になるのかどうかということが心配なので、確認をしておるわけなんです。
  164. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政監察に関連しまして行います調査の範囲は、当然各省庁の監督権限の範囲内で行政監察が行われるわけでございます。でございますけれども、特殊法人の監督に関しましては、各省庁の監督権は非常に多種多様に決められております。それで、私がいま原理的にはできると申し上げましたのは、会計制度のいろいろな点を調べるような場合には、それに絡めましてできるであろうということを申し上げたわけでございます。
  165. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は問題の焦点を退職金にしぼっていますから。それができるかできないかということです。
  166. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 KDDに関しましてもうちょっと詳細に個別に勉強してみたいとは思いますけれども、KDDの退職金についての監督権はないのではないかと考えますので、あるいはできないかもしれません。
  167. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この退職金の実態把握というものが、いまの話だとできないかもしれないという話に変わってきた。長官、これははっきりしてもらいたいですけれども。
  168. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生御指摘退職金については、各省庁の監督権をもうちょっとよく調べてみないと確言できませんけれども、各省庁の監督権がないものが多いようでございます。したがいまして、行政監察に関連する調査がそこに及ぶということがない場合も十分考えられます。
  169. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、話をもとに戻して、現法制体系のもとでは退職金の実態把握というものができないのではないか。長官は冒頭にできると言われたですけれども、いまの話だとそういうふうになってくるわけですね。ですから、それを把握するということになれば、法改正が必要ではないか。
  170. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政監察に関連した調査権の話でございますけれども、特殊法人残余の六十三につきまして一般的な監督権等がある場合には、そういうものとの関連で、参考資料というようなことで資料がとれる場合もございます。ただ、行政監察の権限として行えるかということになりますと、各省庁の監督権限がない場合には権限行為としてはできないということに法理上なるわけでございます。
  171. 林孝矩

    ○林(孝)委員 では、適用するにはどうしたらいいですか。
  172. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまのお話は別の話でございますけれども、各省庁の監督権限についての規定をそのように変えるというようなことが必要かと存じます。
  173. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私はそれを含めて申し上げておるわけです。事実関係において退職金の実態把握というものが、先ほど申し上げましたように百十一の特殊法人の中でKDDだけが閣議決定を無視しておっても、それが実態把握できないような状態にあった。そうすると、行管庁として、政府が決めたことがそうした形で実行されない、そういう実態が把握されないということでは、これは行政改革というものが前向きにいろいろ検討されておっても実態的に把握できないようであれば、できるように変えていかなければならない、そうするためには、いま各省庁の制度改革というものが望まれる、こういう答弁だったのですけれども、長官も同じようにそう思われますか。いまの答弁でよろしいですか。
  174. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 監察局長からは専門的な分析に基づく見解でありまして、それはそれなりに大切なことだと私は思いますが、今回一応調査権を法改正によって行管庁が持つわけですから、いままでの四十八に関しましては、たとえば退職金がいかがかといえば、公社、公団、さらには事業団、公庫でございますので全部把握しておるわけですから、私は、右へならえすればいい、もし特に法改正まで必要とするのならば、それはそれとしてやはりそういうような手段をとればいい、そういうふうに考えて、極力特殊法人政府の関係においては曇った点がないようにしていくのが行政だろうと思いますから、さような意味で今回全法人に対して調査権を与えられたということは大きな意義があるのだ、だからそういう点で、万一法的に考えてこう直さないことにはできませんという面が仮にありせば法改正をすればいい、私はこういうふうに考えておる、そういう意味お話をしたわけでございます。
  175. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現段階においてはできる、その過程においてできないという事情が起これば、その段階で法改正の必要性が出たというふうに受けとめてそれをやればいい、こういうことですね。
  176. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そういうふうにお考え賜れば結構だと思います。
  177. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その辺は長官の話と先ほどの答弁と少しニュアンスの違いがまだ残るわけですけれども、専門的な立場は立場としてという長官の答弁でありますので、それはそれとして次の問題に進みます。  特殊法人と並んで見直されなければならないのが認可法人と私は思います。この認可法人は幾つあるかということに対して、四十七とか、八十であるとか、九十であるとか、この十年間で十以上ふえたとか、いろいろな数が出てくるわけですけれども、認可法人というのは一体幾つあるか。この実態把握はどうなっておりますでしょうか。
  178. 加地夏雄

    加地政府委員 認可法人につきまして行政管理庁が権限的には何らないというのは先生御承知いただいていると思いますけれども、この問題につきましては、今回の国会のみならず、従来から国会におきましていろいろ御指摘なり御質問がございました。実は、行管が少なくとも認可法人の数をつかむべきではないか、調べるべきではないかというお話がございまして、二年ないし三年前でございましたか、行政管理庁が法律全体に当たりまして数えた数があるわけでございます。それに対して、行政管理庁が権限がないものでございますから、政党の方で全省にお当たりになって数を把握されたという数もございます。それが恐らくいま御指摘になった認可法人のオーソライズされた数が一定していないという御質問だろうと思います。  そこで、私ども確かに権限はございませんけれども、認可法人について政府全体として一本化した数を掌握する必要があるという判断から、現在、私どもが私どもの役所の中で法律を調べるということももちろんやりますが、各省にも照会いたしまして、いまその数を確定するように各省に調査を実は依頼をいたしまして、現在まだ調査中でございます。いずれその結果がまとまりますれば政府全体として、認可法人の数は幾つで、それは具体的にはこういうものであるというものがはっきりしてまいろうと思います。その間、その数についてはもうしばらくお待ちをいただきたいと思っております。
  179. 林孝矩

    ○林(孝)委員 長官、認可法人はこれから大事だと私は思うのですね、行政管理の面で。それで申し上げているわけです。数についてはそういうことです。  それから、特殊法人については先ほど来議論がされておりますように、監察権の拡大だとか規制、いろいろ曲りなりにもそうした一歩前進の行政がなされてきた。しかし、認可法人というところについて議論になっておるのは、たとえば天下りの問題であるとか、役職員給与の問題であるとか、全く放任された状態に置かれているわけですね。しかも、特殊法人がまずいということになった場合に今度は認可法人に形を変えて出てくる、こういうことも考えておかなければならない問題だと私は思うわけです。  そういうふうに考えてきますと、行政改革それから特殊法人整理合理化、こうしたものが片一方で進む、しかし認可法人というものを野方図にしておきますと、今度は逆にその認可法人という形が新たな問題となってくる。これはこれからの問題として十分監視をしていかなければならない。この点について大臣はどういうお考えを持っておられますか。
  180. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 組織上から申しますと、私だけで解決しにくい問題だということは御承知賜っておると思います。これは国会でしばしば御指摘賜っているところですから、実は伊東官房長官を中心に、この問題もひとつ何か答えを出さなければいかぬのじゃないかということで、私と大蔵大臣と総務長官も入ってもらいまして、四人でいろいろ議論をしたのでございます。だからもう一回洗い直して、不要なものは全部やめてもらおうか、こういうようなことをしたのですが、先ほど局長が答えましたように、半分近くまでは共済組合であったり意外とそうしたものがあったりするわけでございますね。しかしながらじっとながめると、これはもういいかげんに整理してもいいのではないかというものがございますが、これを特殊法人と同じように扱えるかどうかいろいろ議論をいたしました。  ところが、午前中も申し上げたと思いますが、昨年スモン病の国会審議のときに、薬害にかかうた患者の人たちを救済する基金は、薬屋から出さして、政府も出して、ではどこにそれを預けようかというときに、実は特殊法人でもおかしいだろうからというので認可法人でそういう基金制度が設けられた。そういう経緯等も考えますと、特殊法人の場合には法律を必要とするが、ああいうとっさのときには認可法人というのも間に合うこともあるんだねというような内輪話もしながら、だから一概に——どこでどういうふうにするか、これは今後の検討課題にしようということに相なっております。とりあえず行革を進めておる間にぽかぽかできたのでは、隠れ法人と言われるのは間違いない。したがいまして今回予算編成時におきましても二つ、抑えに抑え抜いて、担当大臣にも協力してもらって、とうとう認可をしなかったという経緯でございますので、今後もこの問題は、十二分にあらゆる角度から内閣全体の問題として検討を怠ってはならない問題だと考えております。
  181. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そこで、先ほどの各省庁に対して行政管理庁が調査を依頼しておるというその内容についてですけれども、たとえば、認可法人の設立状況を調査をするときに、その背景——これは非常に必要だ、いま長官が言われたのもその一つの例ですね。それがある期間たってその問題が解決して必要がなくなった、しかしその認可法人はそのまま存在しておる、こういうようなものもある。そういう認可法人の設立状況というものは一体今日においてどう評価すればいいか。そういう点であるとか、あるいは、政府の出資が行われておる認可法人がある。この出資の状況というものが、どう効果を上げているか、あるいは全く効果を上げていないのかどうか、こうした実態、それから、補助金を交付されている認可法人がある、こうした補助金の交付状況が一体どうなっておるか、また、役職員の実態、先ほど申し上げましたように認可法人に天下っていく、こういうような実態、これが一体どういう状況になっておるか等々、この認可法人の調査の中身にそうしたものが全部含まれて現在調査をされているのかどうか。その点はどうですか。
  182. 加地夏雄

    加地政府委員 現在調査をいたしておりますのは、いわば外形的な問題と申しましょうか、認可法人が幾つあって、どの省にどういうものがあるかということを主体に実は各省にお願いをしておるわけであります。それ以上の問題につきましては、たとえば政策論を入れた形でどうこうということになりますと、私どもには実は権限がございませんので、その意味では主として認可法人の数の問題、そういうところが中心の形で調査をすることになろうかと思います。もちろん調査の際に、その認可法人に国からの支出関係が出ているか出ていないかとか、そういった程度のものは一つの記録として、事実として集めたいと思いますが、では具体的にどうするかというその内容に立ち入る問題とは今回の調査は別でございまして、いま先生挙げられたものの中の一部は調査事項の中に入っておりますけれども、御指摘全体の問題についてどうこうするという調査ではございません。その意味では、最初に申し上げましたような形の概況を把握する、こういう形の調査になろうかと思います。
  183. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現在の行管庁の調査の結果がまとまりましたら、資料として提出願いたいと思いますが、いかがですか。
  184. 加地夏雄

    加地政府委員 報告書がまとまりましたら先生の方にも御報告申し上げたいと思っております。
  185. 林孝矩

    ○林(孝)委員 実態論的に見ますと、現在において行政管理庁自体が認可法人というものに対して及ばないところにある。これはやはり及ぶようにした方が将来の問題としていいのではないかと私は思うのですけれども、長官はどういう考え方を持っておられますか。
  186. 加地夏雄

    加地政府委員 認可法人の性格という点でございますが、先生御承知のように、実はこの認可法人というのは特殊法人と違いまして、いわゆる民間等が集まりまして、その事業を主管する主管大臣の認可を受けて設立される、いわば特殊法人とは違った団体、どちらかというと民間団体に近いものでございます。ただ、それでは普通の民法法人とどう違うかという問題でございますが、当然、認可法人は法律が要るわけでございまして、それだけに民法法人に比べれば国がやはり積極的に助成をしたり指導をする、そういう必要があるという形で法律のもとにそういう認可法人がつくられていくという形になっております。したがって御承知のように、現状まではそれぞれの事業主管大臣が認可をし、監督、指導をしていらっしゃる、こういう状況でございます。したがいまして、先ほど大臣も申し上げましたように、各主管大臣の責任において認可をし、また指導をされるわけでありますけれども、特殊法人全体との絡みでいろいろ問題がございますので、行政管理庁は権限はございませんが、たとえば先ほど申し上げたような調査をいたしましたり、実態把握に努めているわけであります。  具体的に、ではこういう認可法人をチェックする場合にどうするか、こういう問題になりますと、たとえばそれは予算編成、つまり、そもそも予算を国が助成とかなんとかで出す場合には予算の問題になりますから、予算の時期にチェックをいたしますとか、あるいは認可の際に適切な運営が行われるような条件をつけるとか、そういう形で行われておりまして、これ以上の形の規制をする必要はそれほどないのではないかというふうに私どもは現在は考えておるというわけでございます。
  187. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は行管の審査の対象にすべきであるというふうに思うのです。政府が出資をしており補助金を出しておる、それは予算の編成のときにチェックされてきたということになりますと、認可法人の中にある問題というものはそのチェックを素通りしておるのではないか。これはまた別の機会に問題を提起しますけれども、そういうふうな点から考えても、チェックするということは実態——いま数の調査をしているということでしょう。各省庁ではそれを全部認可してきて、これは数だけ調べるということになったら、各省庁全部簡単にわかるはずですね、合計すればいいわけですから。それがなかなか数が出てこない。実態的にそうなんです。それほどまでに認可法人というものの実態のあいまいさといいますか、そういうものが現実に存在するわけです。ですからこれは何とかしなければならない問題ではないか。  会計検査院にちょっとお伺いしたいのですけれども、認可法人に国から出資が行われておるあるいは補助金が出ておる、こういうところの会計検査は、実態的な数がわからないような状況の中で現実にどういうふうに行われておりますか。
  188. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもの検査は、御承知のように、国以外に対しましては、国が資本金を出資している団体でございますとか、国または公社が資本金を出資したものがさらに出資しているもの、そういったものを対象とするようになっております。でございますので、国が出資をしております法人の検査の際ないしは国の出資を検査いたしました際に、さらに、認可法人に対しまして出資が行われており、これに対して本院の検査を及ぼす必要がある、こう判断いたしました場合は、これに対して検査の指定を行うということで検査を実施するということに相なると思っております。
  189. 林孝矩

    ○林(孝)委員 何かこう、わからないような話。いわゆる政府出資の認可法人あるいは政府が補助を与えておる、補助金を出しておる認可法人があります。これに対して当然会計検査が及ぶわけでしょう。今日までそうした認可法人に対する会計検査は、もう一つ具体的に質問しますと、たとえば昨年一年間なら一年間においで認可法人に対してこういう会計検査をしたということはわかりますか。——じゃ認可法人の全体の数は会計検査院はつかんでいますか。
  190. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私の方といたしましては、各省の所管いたします認可法人がいかほどあるかということは把握いたしておりません。私どもの検査の範囲といたしましては、先ほど申し上げましたように、国以外でございますと政府関係機関でございますとか、国が資本金の二分の一以上を出資しているものでございますとか、国が資本金の一部を出資しているもの、それから国が資本金を出資しているものがさらに出資をしているもの、それから法律により特に本院の検査に付すると定められているもの、こういうような認識をいたしておりますので、特殊法人であるからといって検査の対象にするというわけに相なっておるわけではございません。でございますから、国なり公社等の出資、その資金の使途という面で検査をするなり、あるいは補助金が行っております場合は補助金が適正に使用されておるか、そういった見地で検査をいたすことになるわけでございます。
  191. 林孝矩

    ○林(孝)委員 長官、いまの議論でわかりますように、会計検査院もこういうことなんです。ですから、予算の段階でチェックして今日まで予算編成がなされてきたと言いましても、決算上から見るとそうしたいろいろな問題がございますので、認可法人に対しては考え方を抜本的に変えていただいて、認可法人に対する行管庁は行管庁としての姿勢といいますか、考え方を確立しておくべきである、明確にしておくべきである。あいまいな形でいきますと認可法人の中でいろいろな問題が起こってくるのではないかと思いますよ。いかがですか、長官
  192. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御説はごもっともだと存じます。ただ、この問題に関しましては、私がここで言い切ってしまいますと、またまたいろいろなむずかしい問題がございますね。したがいまして、内閣全体の問題として、官房長官が大番頭でございますから、だから官房長官を中心に考えようや、こういうことでやっておりますので、御趣旨の点を十分体しながら考えていきたい、こういうふうに思っております。
  193. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、中央省庁統廃合について、五十二年の十二月二十三日の閣議決定があり、それから五十二年十一月の、やはりこの決算委員会ですけれども、その当時の西村行管庁長官がどういうように言われておるかというと、行革の中でも各省庁の部局以上の統廃合の問題と地方事務官制度の問題、この二つが高度の政治判断を要するという答弁をされておるわけです。現在、行政改革はもちろん大平内閣の最大の課題の一つであることは総理自身も表明しておるわけでありますから、もう当然のことだと思うわけです。時間がありませんので一問だけ、この点について高度の政治判断の立場から、この中央省庁統廃合の検討というものを長官としてどのように構想を立てられておるか、あるいは現在検討されておるか、その点だけ伺って私の質問を終わりたいと思います。
  194. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 中央省庁の機構の問題は、行革におきましても重大な問題だと考えておりますが、五十五年行革といたしましては、まず外郭からひとつ整理統合を図っていくべきである、こういう観点でやったような次第でございます。  もちろん福田行革と言われる行革の中におきましても、具体的に名前が出たりいたしておりますが、そうした問題と絡んで、その地方地方特殊法人の問題等もこれあり、一応われわれといたしましては話題にはいたしておりますけれども、ではいつそれを本題に取り上げるかということになりますと、現在各省庁に、特殊法人をもうちょっと統廃合したい、あるいは地方ブロックに関してももっと協力を得たい、こういうふうに私もいま要請しておる最中でございますので、その要請をしながら、あなたのところの役所はこうだというようなことを言いますと、また何か揺れ動くものが、激しいものが感ぜられますから、一つ一つ着実に行革の目的を果たしていきたい、こう私は考えております。  だから、今日ただいまといたしましては中央省庁の問題に関しましては全く考えておらないような次第でございますが、決してこれを無視してしまっておるということでないことだけは付言をいたしておきたいと思っております。
  195. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それからもう一つ。それは中央で、それから地方の方が、これも高度の政治判断ということで、結局三十機関で、七日に行管庁としてその案がまとまったということを漏れ伺うわけですが、地方出先機関統廃合……。
  196. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 地方の方の府県単位のものは六月三十日、これは地方自治体との関連もいろいろございますから、行政監理委員会に一応その調査をお願いしてその判断に従おう。それで、ブロックの方は三月三十一日までに閣議決定を終えて、そしてこれは法案としてこの国会に提案をいたしたい、それは四月の初旬になるであろう、こういうことでございまして、現在まだブロック名あるいはまた機関名も実のところは発表も何にもいたしておりません。ただ、一覧表を見ていただければ、何省にはどういうブロック機関があるかということはずっとこう一目瞭然でございますから、恐らくそういうことからいろいろと推測された向きの話が伝わっておるかもしれませんが、今日ただいま事務的に各省庁と詰めをいたしておるという段階でございます。したがいまして、いずれにいたしましても、わが党、与党の方からは一省庁ブロック機関を出すように、こういうふうな厳命がございますので、これも一つの基準ではなかろうか、私はこういうふうに思って、大体そういう基準を体しながらやっていきたい。  ただ、今回の場合は、各省庁に、あなたひとつ任したから、どれでもいいから出せというふうなことを仮にいたしますと、ブロックで東北ばかりが出したとか、近畿ばかりが出したとか、あるいは九州ばかりが出したとか、こういうようなこともあるいはなきにしもあらず、こう思いますので、はっきりと、行管庁としての従来の調査なりあるいは監察結果に基づきまして、こことここが望ましいというふうにして、私は、まあ初めてやることでございまして、そうびっくりするほどのことはないかもしれませんが、かなり初めてにしては成績を上げたい。そしてそのためには、やはり全国をずっとおしなべて、どこに重くどこに軽いということがなかったような方法でぜひともやりたいものだ、こういうふうに思っておりますので、まだ機関名あるいは地名を発表するという段階ではございませんので、御了解賜りたいと思います。
  197. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  198. 高田富之

    高田委員長 岩佐恵美君。
  199. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 いま電力料金と並びましてガス料金の値上げの問題が大変国民の関心事になっているわけでございますけれども、この値上げの問題と同時に、安全性の問題につきましてかなり国民が引き続いて関心を高めているわけです。とりわけ、消防庁の調査によりますと、都市ガス、LPガスによります災害出動状況は、五十二年度で一万二千二百九十四件、これが五十三年度で一万二千九百件と依然としてふえているわけです。同時に死者の数も、五十二年が八百七十六名、それが九百二十二名というふうになっていて、そういう意味では大変安全性の問題についてはおろそかにできない状況であるということが言えると思います。  行政管理庁は、五十一年十一月に都市ガス、液化石油ガスの安全確保等に関する行政監察の結果をまとめられ、またそれに基づいて勧告を出されているわけです。これは国民の安全を守るという立場から見ますと、私自身も、かなりよくやられたなというふうに評価もしているわけでございますけれども、まだまだもうちょっとこういう部分については詰めてやられたらいかがだったかとか、あるいは今後の問題についてどうなのかというような点で幾つか問題意識を持っております。  きょうはその問題について、とりわけ都市ガス器具の安全性の問題についてしぼって御質問をさせていただきたい、このように考えるわけでございます。若干事実関係等につきまして、通産省にもお越しいただきまして、その問題について通産の方から具体的には伺ってまいりたいというふうに思っております。  まず、都市ガス用のガス器具の製造段階での安全チェック、この問題について、どういう法律に基づいて、またどういう対象品目で、そしてどういうチェックが行われているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  200. 石田寛

    石田説明員 御説明申し上げます。  ガス用品、ガス器具の製造段階における規制につきましては、ガス事業法の規定に基づきまして、ガス用品の製造段階から上がってまいりました器具につきまして検定を行って、一定の基準に合格したものについて合格マークを張ったものでなければ販売してはならない、または販売の目的で陳列してはならないというような規制を行っているわけでございます。(岩佐委員「続けて言っていただけますか、対象品目やどういうチェックが行われるか」と呼ぶ)  続けて御説明申し上げます。  ただいま都市ガス用の器具につきましては六品目がガス用品として政令で定められております。それはガス瞬間湯沸器、ガスストーブ、ガスバーナー付ふろがま、ガスふろバーナー、ガスふろバーナー元せん、それにガス圧力なべ及びガス圧力がまでございます。それに、それぞれの用品ごとにガスの消費量によります大きさの制限がついておりますが、品目といたしましては以上の六品目でございます。  そういうそれぞれの品目につきまして一定の技術上の基準をつくりまして、その基準に照らして所定の検定、検査を行っているというようなものでございます。
  201. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうしますと、私どもが家庭で使いますいわゆるガステーブル、いま都市ガスの場合には千五百万世帯が都市ガスを利用していて、LPGになりますと千七百万世帯が利用しているわけでございますから、多くの国民が利用しているわけですが、ガスを使っている場合に、ガステーブルがない家庭というのはごくごくまれであるのじゃないかと思われるわけです。それから、ガスこんろあるいはガスオーブン、これもかなり普及をしてきているわけでございますけれども、現在こうしたものが製造段階での検定品目の対象になっていないわけでございます。この点について、行政監察を行われた行管庁としてはどういうふうに考えられているのか、ちょっとお考えをいただきたいというふうに思います。
  202. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生御指摘の監察の調査の結果、ただいまの検定品目の範囲を拡大した方がいいのじゃないか、あるいは安全装置義務づけの対象品目を広げた方がいいのじゃないかというようなことが勧告の中に盛られているわけでございます。先生のいまの品目の話ではそういうことが勧告に入っております。
  203. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 通産省はそれに基づいて、具体的に検定品目の拡大について、いつまでにどういうふうな形で行うのか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
  204. 石田寛

    石田説明員 ガス用品として法律に基づく規制をいたしますための政令指定品目の拡大につきましては、ただいま御答弁がありましたように、行政管理庁の勧告の趣旨にも沿いまして、普及率あるいは危険度等を考慮しつつ、追加指定のための準備を進めているところでございます。追加指定に当たりましては、追加しようといたします器具の基準でありますとか、検定の方法でありますとかいうようなものの整備も必要でございますので、それらもあわせまして作業を進めておるところでございます。いまの段階で、いつまでという見通しを立てておるわけではございませんが、鋭意作業を進めておるところでございます。
  205. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現在のところで、いつになるかわからない、これでは困るわけです。ちょっと関係者に聞いてみても、通産省がそういうふうな検定品目を払大するという話は全く聞いていないというようなことが言われているわけで、これでは困るというふうに思っています。  通産省の方にお伺いしたいのですが、現在、検定が六品目について行われておる、その中で不合格率は一体現状でどれだけあるのか、このことについてお答えいただきたいと思います。
  206. 石田寛

    石田説明員 手元に正確なデータを持っておりませんが、これまでの検定によりますと、基準に適合しないケースが数%は出ているというふうに承知いたしております。
  207. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 数%というのはどういう意味ですか。二、三%とか五、六%とか、そういうことですか。
  208. 石田寛

    石田説明員 器具によりまして、つまり用品の品目によりまして若干のばらつきがあるようでございますが、四ないし五%程度というふうに承知いたしております。
  209. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 通産省の態度が、この一点についても非常に問題であるというふうに私は思っています。それは、不合格率がどれだけであるかということを言ってもすぐに出てこない。これは非常に問題だと思います。  それに加えて、私どもがガス器具の検査協会に問い合わせをして聞いてみたところ、五十一年度、都市ガス用では一三%、それからLPガスでは一二%、五十二年度は都市ガスで一四%、それからLPガスで一二%、それから五十三年度で都市ガス用が九%、LPガスで一五%、そういう数字があるわけでございます。これからいくと、一割内外の不合格率が現状でも六品目の中でもあるということがはっきりしているわけです。それに加えて、検定品目から外されているものを私たち、ガステーブルや何か使っているわけです。私はこの問題について質問をしょうかと思っていろいろ調べれば調べるほど、気持ちが悪くなるというか、家庭でガスを使っていて大変不安になってきているわけですけれども、こういうひどい状態について、私は、少なくとも指定品目の拡大について早くやるべきだし、それから、そのやる場合でも危険度だとか普及率だとかを勘案いたしましてみたいなことで制限的にやろうとする、これは非常に問題だと思うのです。やはり全品目についてやられてもしかるべきものであるのじゃないか、そんなふうにも考えるわけでございますけれども、行管庁の方は、いまのこの製造過程でのやりとりの問題についてどういうふうにお考えになるか、再度お答えをいただきたいと思います。
  210. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 私どもは勧告をいたしたわけでございますので、通産省がそれにのっとりましてなるべく広範囲に、できるだけ迅速に、いま先生の御指摘のようなことをやっていくのが最も望ましいと考えております。  ただ、通産省の方でも全品目、どれを先にやるかとか、やはり地域の問題等、ガスのカロリーとかそういったものでガス器具のいろいろな種類がございますので、どういうものを先にやっていこうかというような優先度の問題等がございましょうから、私どもの方としましては、なるべく早く先生のおっしゃったような範囲をやっていただきたいと思っております。
  211. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それに対して通産省の回答ですね、再度決意をというか……。いつまでにということがどうしても言えないといっても、範囲ですね、そういうもの、たとえば半年後なのか一年後なのか、そういうものでさえ出ないのかどうか、そこのところを出していただきたいというふうに思うわけですが、お答えをいただきたいと思います。
  212. 石田寛

    石田説明員 先ほど御説明申し上げましたとおりでございますが、なお、指定しようといたします器具の範囲も、もちろんいま現在確定しているわけではございません。その点の検討も含めまして、なお一層努力をいたしたいと思います。
  213. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それでは非常に困るわけでございます。それと同時に、ガス事業法では、登録業者を指定すると、型式認定は通産省が行うけれども、あと、ロットごとの検定についてはそれを受けなくてもいいんだというような、第三者機関の検定を受けなくてもいいんだというような条項があるわけでございますが、現在のところはすべて検定を受けているというふうになっているわけでございますけれども、これを、検定品目を拡大するかわりにこの条項を緩和するんだという動きがあるというふうに聞いているわけですけれども、このことについての事実関係、通産省の方、いかがでしょうか。
  214. 石田寛

    石田説明員 ただいまの先生の御指摘は、ガス用品の規制につきまして検定と並んでもう一つ方法がございます型式承認・登録制度のお話かと思います。  御指摘のように、ガス事業法では、一定の製造設備及び検査設備を有すると認められる者につきまして、みずからの品質管理を前提といたしました登録・型式承認という制度が設けられておりますが、現在のところ運用をいたしておりません。事業者の登録・型式承認制度につきましては、たまたま資源エネルギー長官の諮問機関でもございますガス事業大都市対策調査会での答申に、検定制度の運用期間がまだ比較的短いこと等もあり、当面、検定制度の実績を積み重ねることが望ましい。事業登録・型式承認制度については、検定実績、品質管理の水準等を十分考慮して、保安の確保が損なわれないことを前提として考えるべきである、というような答申がございます。この趣旨にも沿いまして、型式・登録制度の導入につきましては、今後とも慎重に検討していきたいという所存でおります。
  215. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、通産省は、検定の対象品目拡大とバーターでそういうようなことをやっていくことはないんだというふうに理解をしていいわけですね。
  216. 石田寛

    石田説明員 ガス用品の指定品目の拡大は、その目的及び趣旨に沿い、かつ型式・登録制度の導入は、いま申し上げましたような品質管理の体制、その他体制が整いました段階で考える。それぞれの趣旨に沿い、それぞれの方法の中で考えていくべきものというふうに考えておりまして、その両者が必然的に関連するというふうには考えておりません。
  217. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現在のところでさえ、先ほど私どもが調べました数字でも不合格品がかなり高い。そういう状況の中で、第三者機関の検定を受けないで野放しにしていくということがどうなのか。この問題は大変疑義がありますので、御答弁いただいたように慎重にやっていただきたいと思っているわけです。  それからもう一つ、技術基準の問題についてお伺いをしたいと思うわけでございますけれども、この技術基準につきまして、いわゆるCOの検査が行われているわけですけれども、実は四十七年の四月十日に岡谷市で家庭の主婦と子供が二人ガス中毒死をしているわけでございます。戻られた御主人が家の中を見たら、ガス湯沸かし器とそれからガスストーブがそれぞれ燃えているというふうなことだったもので、これは他殺なんじゃないかということで、夫が疑われたというような事件なわけです。COが高くなれば当然ガスが消えるといいますか、そういう状況になるんじゃないかということで、ガスがついていたのでそういう疑いが持たれたということだそうでございますけれども、この問題についていろいろ日本ガス機器検査協会の方でこういうこともあったので調べたそうです。  たとえば、機種によりまして、湯沸かし器だとかあるいはガスストーブだとかガステーブル、こんろ、こういう機種によって、かなり酸素の数量が減りますとCOが高くなるというような機種があるし、それから、酸素が減っても必ずしもCOがそんなに出ない機種もある。ですから、こういう意味では、酸欠状態になってもそうCOが出ないというような機種の開発というのが、こういうデータからは可能であるということが言えるんじゃないか。当然そういう事故が起こった場合に、こうした事故が現実の検査の中に反映されていく。そういう必要があっていいんじゃないかというようなふうに考えられますので、その点について、まずこうした問題を行政管理庁は一般的にはどうお考えになるか、お答えいただいて、そして通産省の見解を聞かせていただきたいと思います。
  218. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 消費設備の技術基準の問題でございますけれども、これに、現在ある技術上の基準に合っていないものが見られる、あるいは未改善のものは改善を促進させた方がいいんじゃないかというようなことは、都市ガスについても、それから液化石油ガスについても私どもの方でそう判断しまして、通産省の方へ勧告いたしております。  ただ、いま先生御指摘の、技術基準をさらに改善してあるいは検定の方にフィードバックさせるというような話は、今回の勧告の中には実は盛られてはいないわけでございますけれども、私どもはあくまで技術基準に合ったものをちゃんとやるようにということは勧告で言っております。
  219. 石田寛

    石田説明員 通産省といたしましても、いま先生からお話のありました酸欠安全のための対策を含めまして、空だき防止でありますとか、立ち消えに対する安全装置でありますとかというような点を含めまして、いろいろな新しい技術の開発のための調査研究を予算化いたしまして、国みずからもやりますと同時に、工業会にも指導いたしまして、いろいろな新しい技術の開発調査を進めているところでございます。順次そういう成果がまとまりましたところから基準に取り入れまして、検定に生かしていくというような施策を続けているわけでございます。
  220. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 実は、五十三年の原因別、器具別ガス事故によりますと、長時間使用によって二十件ガス事故が起こっていて、それに基づいて十八名の方が亡くなり、二十名の方が中毒事故を起こすというようなことが起こっているわけであります。そのうちガス湯沸かし器が七件、ガスストーブが十件、ガスこんろが一件、これは死亡事故。それから中毒事故が、湯沸かし器が十四件、こんろが六件というような形で、使っているうちの問題もあると思うのですけれども、長時間使用というのは、不完全燃焼、COによって亡くなられたり、あるいは中毒を起こされたというふうにも思えますので、ぜひともいまの点について、検定の中で、酸素が少なくなってもできるだけCOが出ないというような器具、そういう技術基準を盛り込むということについては努力をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから次に、消費者に販売された器具について、安全の調査を適切に実施するようというふうに行管庁の方は指摘をしておられるわけでございますけれども、行管庁の方として、その後それがきちんとやられているかどうかということをつかんでおられるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  221. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 都市ガス用あるいは液化ガス用、そういう家庭で使います消費設備について、これは私ども、ガスグループによっていろいろな種類があるというふうに承知しております。これらについて、先ほども申し上げましたけれども、安全性について、よくその表示を義務づけることを検討しなさいとかということは申し上げました。  それで、いまの調査の話でございますけれども、私ども通産の方から、早速実態調査をやる、着手するという回答を得ておりますので、もうすでにやっているのではないかと私どもは考えております。
  222. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 やっているのではないかということではなくて、具体的にその報告を受けて、やっていると確認できるというふうになっているかどうかを伺いたいと思います。
  223. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 着手するということは公文書で回答を受けておりますが、その後、公文書では受けておりませんけれども、口頭で、やっておるという話は私どもの方に来ております。
  224. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この安全の調査の内容の問題について、どういう形で、どういう機種について行われているのか、通産省の方から説明をしていただきたいと思います。
  225. 石田寛

    石田説明員 いま先生の御指摘は、私どもが行いました昭和五十二年当時の消費機器の実態調査についてのことであろうかと思います。当時、ガス工事監督法という形で、いまは成立しておりますが、そういう法案の作成のため、あるいは消費先におきます消費設備の実態を把握するために、そういう目的で行ったものでございまして、換気、排気関係の装置の実態を中心に調べたものでございます。
  226. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうじゃなくて、三年に一遍の調査のことです。この勧告に基づくあれをいまお答えいただいたわけですね。そうじゃなくて、もともとの調査はどう行われているのかということです。
  227. 石田寛

    石田説明員 先生もただいまお話しのように、ガス事業法の規定に基づきまして、ガス事業者は、その供給するガスの消費先における消費設備が所定の安全基準に合致しているかどうかということを三年に一遍、各戸を回って調査するという義務づけが行われております。その規定に従いまして、ガス事業者は少なくとも三年に一遍、各戸を巡回いたしまして調査をしているところでございます。さらにつけ加えますならば、その調査に当たりましての調査項目の中心は、何と申しましても、事故が家庭内で発生いたします現象の中心は排気関係が多うございますので、また、その排気が問題になりますのはガス瞬間湯沸かし器とガスふろがまでございますので、この二つの消費機器を中心にいたしまして、その排気関係について定期的に調査させるということになっております。
  228. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、三年に一遍、しかもそれは一万キロカロリー以上の湯沸かし器とそれからガスふろがまの二つで、煙突がついているか、ついていないか、換気がよく行われているかどうかという、簡単に言えばそういう種類の調査だというふうに伺っているわけですけれども、こういう調査だけで本当に家庭の安全が守れるのかどうか。たとえば、私の例を申し上げて恐縮ですけれども、うちのガスこんろを買いまして一年ぐらいでございますけれども、あちこちの家庭で使う時間になると点火が悪くなるわけですね。ほかの普通の時間だったらすぐぱっと点火していいのですけれども、火がつかない。そうすると、生ガスがそれだけ出ていく、そういうような状況もありますし、それから先ほど申し上げたように、長時間使用することによって、不完全燃焼によってかなりの中毒死あるいは中毒された被害者が出ておられるわけですね。それから同時に、行政管理庁のこの勧告の中でも、検定品目及びその検定品目以外にガス器具の不良品があるということを認めておられるわけですね。都市ガスの瞬間湯沸かし器、ストーブ、バーナーつきふろがま、ふろバーナー、それから液化石油ガスこんろあるいは都市ガス、LPGを含めて、こんろ類とかレンジとか炊飯器、自動切りかえ調整器、こんなものについて不良品があるということが言われている中で、果たしていまのような調査で十分と考えられるのかどうか、これも行管庁の考え方を伺いたいと思います。
  229. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 必ずしも十分とは私ども考えておりません。この調査をしたときにも、そういうことでございます。ただ、まあ三年以内にということで、いま業者が家庭を回ってやるのは、実際にはもうちょっと頻度があるように調査の結果出ておりますけれども、必ずしもいまの規定で十分とは考えておりません。いま御指摘のように、検定品目の中でも不良品もありますし、検定品目外でも不良品もあるという事実がはっきりわかっておりますので、必ずしも十分とはもちろん考えておりません。
  230. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 たとえば、昭和五十年の四月に国分寺のアパートで、瞬間ガス湯沸かし器から発生した一酸化炭素中毒で二人が死亡して、八人が中毒症状を起こすという大事故が起こったわけでございます。このときに警察庁に書類送検された調整員が調整した後——これは熱源転換の過程で起こった事故でございますけれども、あらかじめ教えられたとおり目視検査をしたけれどもミスを発見できなかった。ですから、検査の基準自体も、やはり目視だけでは不十分だということをこの国分寺の事故は教えているというふうに考えるわけでございます。ですから、そうした意味から、使用中の器具についても、ぜひ勧告に沿って、当然安全性の確立ということを努力をしていくということを促進をしていただきたいと思いますし、同時に、検定とまでいかなくても、目視だけではなく、もっと厳しい検査が必要なのではないか。たとえば不完全燃焼の状態、CO検査、これはどうだろうか、あるいは立ち消えがあるかないか、あるいは口火で燃えない、いわゆるバックガス、こういうことについて調べる、いわゆる三ガス検査と言われていますけれども、最低これだけはやる必要があるのじゃないかと思われるわけですけれども、行管庁の考え方を聞かせていただきたいと思います。
  231. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 器具の検査の問題につきましても、現在の検査だけでなく、たとえば器具によっていろいろございましょうけれども、ただ、見てわからないものもあるかもしれませんので、検査の基準を検討するようにということは、勧告の中にも入れてございます。
  232. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 検査の基準というのも、一つは、耐久性のテストがない、製造段階の検定過程での技術基準の中に、いわゆる耐久性のテストがないというようなことから、どこの部分が何時間使ったら悪くなるというようなことがはっきりわかっていないという状態もあるようですね。ですから、その部分が非常にはっきりしないという点もあると考えられますので、こういう耐久性のテストについても、技術基準の中で入れるというようなことについて、行管庁としてはどういうふうにお考えになるか。
  233. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ガス器具の検査、私どもの方で調査をしたときの調査では、やはりガスを発生させる、あるいは使うガスの種類等によって、いろいろアップツーデートな検査というものが必要じゃないかというふうに考えたわけでございます。ただいまお話しの工場において耐久性の検査等がどうかというお話でありますけれども、そこまで私どもははっきり、どういうものについてその耐久性の検査が必要かということは、いまここで私自身存じませんのではっきり申し上げられませんけれども、必要に応じてそういうものもやっていくべきではないかというように考えてはおります。
  234. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この問題について、通産省の姿勢について伺いたいと思います。
  235. 石田寛

    石田説明員 ただいまのガス器具の検定におきますいろいろな試験の内容でございますが、まず耐久性能試験につきましては、現在までのところ、たとえば器具を構成いたします材料につきまして耐食性のある材料であるかどうかということ、あるいは表面に耐食処理をしている金属であるかどうかということ、あるいは器具栓、点火装置、それから水圧自動ガス弁、立ち消え安全装置、そういった器具の中の各部分につきましても検定上の所定の回数作動させても異常がないということを検定の中で確認するというような反復使用試験なども行っております。たとえば器具栓につきましては何千回、あるいは物によっては一万回というような反復作動試験に耐えるかどうかというような検定を行っているわけでございます。  それから、先ほどのお話の中にございました燃焼の状況の観察でございますが、リフトでございますとかバックでございますとかそれぞれの現象を試験するために、ガスを使いましてそういったような試験もやっているわけでございまして、それは基準の中及び検定の方法の中に明記されているものでございます。
  236. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私が申し上げたのは、いまの検定段階での問題もあるし、それから、いわゆる三ガス検査を調査段階で行うことについてどうかという点もあわせて伺っているので、その後半部分についてお答えいただきたいと思いますけれども、同時に、何千回とやっている、それは三年に一遍の義務づけられている調査、それに耐え得る期間であるわけですか。何千回というのはそれに匹敵するわけですか、それとも数カ月なのか、その辺もあわせてお答えいただきたいと思います。
  237. 石田寛

    石田説明員 まず耐久性能の方について御説明させていただきます。  何年もたなければならないというふうに規定しているわけではございませんが、通常の家庭用器具として使用される年間は当然耐えなければならないというめどから、その期間に何度ぐらい操作が行われるであろうかというふうに割り出した数字でございます。  それから、一たん消費先に渡りました器具についてのフォローアップの問題でございますが、先ほどの先生の御指摘によりますと、一たん一般家庭に渡りました器具について調整をしたときの検査の方法について御指摘がございましたが、昭和五十二年から通達をもちまして、消費先におきまして器具を調整した際にはその調整した者及びそれ以外の者、つまり別の人間と二人がダブルにチェックする体制と、それからそのときのCOの発生比率をCO検出器を使ってチェックするというような体制を導入しております。
  238. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 通常の家庭での使用期間、それを何年というふうに言うとそれは期限保証になるのでというような考えがあって、何かずいぶん含みのある答えだったのかなとも思うのですけれども、そこに立ち入らなくても、私が伺っているのは、三年に一遍ということに耐えられるのかどうかということだけでもお答えいただきたいと思います。
  239. 石田寛

    石田説明員 消費先に一たん渡りました器具の使用状態につきましては、先ほど来御説明いたしておりますような三年に一遍の調査とは別に、湯沸かし器、風呂がま以外のガス器具につきましても、使用上の注意事項を少なくとも毎年一回以上チラシあるいは書類によって各戸に配布しよく熟知してもらうようにというような義務規定もガス事業法上にございまして、各ガス事業者が履行しているところでございます。その周知義務の中に、いま御指摘のありましたような使用上の注意万般につきまして書き込んでございます。一たんガスの消費先に渡りますと、三年、五年というふうにあるいはそれ以上にわたって使われることになるわけでございますから、そのどのサイクルに当たるかということがなかなか特定できませんので、そういった周知義務でもってお客さんの判断を喚起するという体制をとっているわけであります。
  240. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、反復検査をやっているというふうに言われますけれども、それはいまの考え方だと一年以内である、一年にもわたる検査ではどうもないようだというふうに判断されるわけですが、それでよろしいわけですね。
  241. 石田寛

    石田説明員 通常家庭で使われます家庭用の器具として使用される期間は耐えるかどうかという観点で検定をしているというふうに御説明申し上げておきます。
  242. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 通常というのは、私なんかは一年でもう調子悪くなっているわけですから、それがどうもおかしいから伺っているわけですけれども、反復調査をやっていると言いながら肝心かなめの回答が、こうでございますと胸を張って言えないというような、そういうあいまいな調査であるということは、これは後でまとめて行管庁の方にも、どういうふうに具体的にされるか伺いたいと思いますけれども、時間がありませんので、次の一つ残っている課題について伺いたいと思います。  先ほどもちょっと国分寺の例で触れましたけれども、熱源交換、これはこの間伺ったところによると東京瓦斯が五割方終わっていてあと五割残っている。それから大阪瓦斯があと七〇%くらいですか残っている。あるいは東邦瓦斯は七%ぐらいしか実施していないので相当部分残っているというような状態であったというふうに理解しているわけですが、この熱源交換というものをいまはガス事業者が独自に自分のところで、この器具について、こういうガス転換はノズルをかえるとかノズルの一部をかえる、そういう判断をしてかえているというふうに伺っているわけですけれども、この熱源変換に伴って先ほどの国分寺の事故が起こっているし、あるいはとろ火にするとガスがすぐ消えてしまう、つまり生ガスの発生率がそれだけ高まるとかあるいは湯が吹きこぼれて三つ、四つの穴がふさがってしまうと全体が消えてしまう。つまりこれも生ガスの発生につながるわけですが、そういうような事故がかなり起こっているわけです。こういうノズルをかえるあるいはノズルの一部を変更する、ノズルの内径を調整する、こういう問題というのは私は型式変更にかかわる問題なんじゃないか。それは勝手にガス事業者がこれについてはこういうふうにやるということだけで判断してやるべき筋合いのものではないんじゃないか、そういうふうに考えるわけでございますけれども、この点、行政管理庁のお考えを伺いたいと思います。
  243. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 熱源変更の問題でございますけれども、家庭で使います消費設備としてのガス器具は燃焼速度とかカロリーによって非常に問題があるわけでございます。ただ、今回の私どもの監察に熱源変更の問題は取り上げておりませんので、ただこれは問題がないからとか重要でないからということでなく、いろいろな面でその点は落としたわけでございますけれども、必要に応じてそういう点は当然注意すべきことだと考えております。
  244. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この熱源変更の問題については、まだ東京でも練馬地域なんかこれから行われるということで、過密地域がずいぶんまだ残っているわけなんですね。やはりガスの組成だとかカロリーが当然変わってくるわけですから、それに耐え得る型式というかガスの器具というものは変わってこなければいけないわけですね。ですから、これは当然型式変更にすべき筋合いのものであるというふうに思いますし、いまおっしゃられたように、この勧告の中には盛り込まれていない。この点については、私もちょっと不思議だなと思って、行管庁の方にもなぜ入っていないのかということを伺ったわけでございますけれども、この点についてぜひ促進をしていただきたいというふうに思います。  最後に大臣に、ずっとお聞きをいただいたわけでございまして、大変だったと思いますけれども、こういうふうに行政管理庁の勧告について、幾つか製造段階、それから使用段階、そして熱源交換、これは指摘そのものについても漏れている部分もあるわけですね。それから明快に指摘をされているにもかかわらず守られていない部分というのが、通産省の方でサボっている、あるいはちょっと曲げてあちこち理解をしているというような部分もあるようなので、この点、せっかくこれだけりっぱな勧告ができ上がっているわけですので、これがきちんと生かされるようにぜひ体制をとっていっていただきたい、こういうふうに希望するわけでございますけれども、その点につきまして大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  245. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常にきめ細かな御質問で、私も逐一拝聴をさせていただきました。やはりガスと人間生活というのは大切な関係にございますから、なお一層御質問の御趣旨の点を生かしたく存じます。  なおかつ、通産省におきましてもいろいろと法的措置はとっておるとのことでございますが、まだまだ不十分な点がございましたならば、さらに私たちからもそうしたことをもう一度改めてお伝えするということも肝要かと思っております。
  246. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 人の生命を尊重するということで考えれば、私は、ガス事故は一件だって死亡事故があってはいけないし、中毒事故だってあってはいけないというふうに思うのですね。岡谷の事件みたいに、夫が殺人者じゃないかということで疑われるような悲惨な事故、一家が、奥さんと二人の子供は亡くなり、なおかつ残った夫が犯罪者として疑われるような事故なんか見ていると、本当にあってはいけないというふうに思うわけですけれども、重ねて、具体的に行政管理庁の方として、通産省に任せるということではなく、その後のチェックというのをぜひきちんとやっていただきたいですし、また、勧告を一度出されているわけですけれども、再度何か文書とかそういうことで出されるかどうか、もう一つ詰めてお伺いしておきたいと思います。
  247. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 勧告後のいろいろな手続がございます。それにのっとってやっているわけでございますが、そのほかにもやはり事実上問題のあるようなところは各省といつもやっております。  この問題につきましても、なお通産省とよく連絡をとって、私どもの勧告についても、あるいはその他の点についても、十分見守っていきたいというふうに考えます。
  248. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  249. 高田富之

    高田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会