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1980-05-15 第91回国会 衆議院 外務委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月十五日(木曜日)     午後二時五十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 奥田 敬和君    理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君       石原慎太郎君    上草 義輝君       越智 通雄君    鯨岡 兵輔君       中村 弘海君    中山 正暉君       玉城 栄一君    金子 満広君       榊  利夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大来佐武郎君  出席政府委員         外務政務次官  松本 十郎君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務大臣官房審         議官      三宅 和助君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省経済局次         長       羽澄 光彦君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君  委員外出席者         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   小坂善太郎君     中村 弘海君   佐藤 一郎君     越智 通雄君   中川 一郎君     上草 義輝君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     中川 一郎君   越智 通雄君     佐藤 一郎君   中村 弘海君     小坂善太郎君     ————————————— 五月十日  ILO批准条約等批准促進に関する請願  (土井たか子紹介)(第五六四〇号) 同月十三日  ILO批准条約等批准促進に関する請願  (野坂浩賢紹介)(第五七九一号)  同外一件(湯山勇紹介)(第五七九二号)  日本国平和宣言決議に関する請願佐々木良作  君紹介)(第五七九三号)  同(志賀節紹介)(第五九〇八号)  同外一件(亀岡高夫君紹介)(第五九〇九号)  同(住栄作紹介)(第五九一〇号) 同月十四日  日本国平和宣言決議に関する請願小泉純一郎  君紹介)(第五九七一号)  同(羽田孜紹介)(第六一〇四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 奥田敬和

    奥田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  3. 高沢寅男

    高沢委員 きょうは大臣に、韓国情勢が非常に激動、そういう情勢になっておりますので、このことを中心にして私は御質問をいたしたい、こう考えます。  まず、その関係に入る前に、これは、この前アメリカを訪問された、総理一緒に行かれてお帰りになった、そのときの外務委員会質問の中でもちょっと出た質問の繰り返しになるわけですが、総理大臣あるいは外務大臣カーター大統領会談をされたそのやりとりの中で、カーター大統領韓国情勢についての意見表明された。その表明された内容が、いまの韓国は言うならば、具体的に言えば全斗換韓国司令官になるわけですが、軍の権限あるいはまた情報関係あるいは保安関係、そういうふうな部門の権限を一手に掌握し過ぎておる、こういう状態韓国民主化の進行ということにとって非常に好ましい状態ではない、こういうふうなことについてのカーター大統領からの見解表明があったということが新聞で伝えられたわけであります。そういうことが本当にあったのかどうか、こういうお尋ねがあって、これに対する、そういうことには説明ができないというふうな御答弁がありましたが、私は、きょうもう一度この質問大臣に申し上げてお答えをまずいただきたい、こう思うわけであります。
  4. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 総理大統領話し合いの中に韓国問題が出てまいりましたことは事実でございます。ただ、一部新聞の報道がございましたような、内容に入った話は出ません、特定の人の名前を挙げるとかそういうことは全然ございませんで、朝鮮半島の状況について注意を続けていきたいということと、特に軍の動きについて注目しておるというような発言が抽象的にあっただけでございます。
  5. 高沢寅男

    高沢委員 そういうふうな大臣の御説明であるわけですが、私は、首脳会談韓国情勢に触れるというようなことになった場合に、いま大臣説明された程度のそういう上っ面なやりとりで終わったはずはない、こう思うわけです。  あの朴正煕大統領が昨年十月に殺害をされた、その後韓国では戒厳司令官が逮捕されるというふうな、そういう一種のクーデターというふうな事態もあった、そしてその後、現政権に対する非常な韓国民主勢力の運動の盛り上がりがある、それに対してまた軍の実権者である全斗煥という司令官中央情報部部長代理も兼ねるというようなことが、ずっと一連の経過があったわけでありまして、その韓国情勢日本アメリカ首脳会議の中で触れられた場合に、いま大臣が言われた程度やりとりで終わったというふうには、私はとても考えられないわけであります。  全斗煥という固有名詞が出たかどうかは別としまして、そういういまの韓国の言うならば軍のあり方、それといまの崔圭夏大統領あるいは申銭稿首相韓国の現在の政府との関係というようなものについてのカーター大統領側からの何かの評価判断というものがやっぱり私は出たと思うし、あるいはそれに対して、今度は日本側からもそれについての何かの判断を私はやっぱり表明されたんじゃないのかと、こう思うわけですが、もう一度そういうことがどういう話し合いをされたか、お尋ねをしたいと思うわけです。
  6. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 全体の話し合いの時間が二時間で、食事をしながらの二時間でございまして、いろいろな問題についてそう内容に入る時間的な余裕もなかったわけでございますし、先ほど私、申しましたとおりのことでございまして、今後、日米両国間でもよく情報交換して今後の動向を見守っていきたいと。総理の方からも、そういたしましょう、ということで終わったわけでございます。
  7. 高沢寅男

    高沢委員 私は、そういう情報交換をしていこうと、こう言われたその意味は、いまの崔政権、この政権がもういつどういうふうな事態があって倒れるかもしらぬというような一つ判断前提として情報交換をしていこうじゃないか、こういう話し合いになったのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  8. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 そこまで立ち入った話はなかったわけでございます。ただ注目をするということでございますので、いろんな動きというものを注目していかなければならない。基本的には、韓国が平静にいわゆる政治自由化と申しますか、そういう方向に進んでいくことを望んでいるのは日米立場を共通にしておるように思うわけでございますが、先ほど申しましたようなことで、余り立ち、入った話にはならなかったわけでございます。
  9. 高沢寅男

    高沢委員 これもニュースでわれわれは知ったことであるわけですが、いまの韓国政権あり方に対するアメリカとしての一種不快感といいますか、不安感といいますか、そういう表明一つの形として、米韓安保定期協議会の開催を延期するということをアメリカ側から韓国側に対して通告されているということをわれわれは新聞で拝見したわけですが、そういうことを日本政府として承知されているかどうか、このことをお尋ねしたいと思います。
  10. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その延期された事実は承知しておりますけれども、それが不快感表明であるかどうかということは承知いたさないわけです。
  11. 高沢寅男

    高沢委員 そういう事実を承知されているとすれば、それではそれを大臣としてはどういうふうに評価なさるか。これは日本のお隣の韓国、その情勢について、日本政府としても、いつでもきわめて重大な関心を当然お持ちなことだと思いますが、そういうことから、このアメリカ延期通告というものをどういうふうに状況判断としてお持ちになるか、それをお尋ねしたいと思います。
  12. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私の立場からいたしまして、隣国に起こっております政治状況について余り立ち入ったコメントをすることは避けたい、適当でないと感ずるわけでございます。
  13. 高沢寅男

    高沢委員 私も、立ち入ったコメントは避けたいと言われる大臣にそれ以上無理に何かを言わせるという力は別にありませんが、しかし先ほどの、日米間でそういう情報認識について交換をしていこう、こういう申し合わせをされているということからすれば、そういう話し合いの中には日本側日本側一つ判断というものを持ってアメリカ側話し合いをされるということですから、何かの判断は当然大臣としてはお持ちになっていると思いますが、そのことの内容を私はここで本当は言ってもらいたいがお話しにならぬようでありますが、何かの判断を持っているということは、そういうふうに考えてよろしいですか。
  14. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いろいろ動きを注目しておりますし、現地大使館等からの情報も提供を受けておるわけでございますけれども、はっきりした見通しなり判断というものはまだ持っておらないわけでございます。
  15. 高沢寅男

    高沢委員 いまの韓国情勢は、大臣も御承知のとおり、また学生たち行動が非常に拡大をしておる、非常に激化しておる、こういう情勢であります。過去においても韓国では何か問題がありますと学生たちがいわばその闘いの先陣を切るというような形を繰り返してきたわけですが、今回のこの学生たち動きについてどういう御判断をお持ちか、それをお尋ねしたいと思います。
  16. 三宅和助

    三宅政府委員 現在の学生動きは、実は時期によりましてかなり変わってきたと思います。  まず、三月以来のときは学園自由化ということが中心でございまして、それが最近に至りましていわば政治問題と申しますか、いわゆる民主化促進ということと、それから戒厳令撤廃ということを中心議題としており、もちろん学園自由化も入っております。  そういうことで、少なくともきのうでの状況を客観的に申し上げますと、約三万名の学生が二十の大学から集まってデモを行った、それに対して警察の方は約五千名でこれに対処した。しかしながら、学生の方の中にもいろいろな動きがあるようでございまして、これを自制しようとする動き、その他いろいろな動きがあるようでございます。それからまた、警察の方といたしましても、できるだけ刺激しないようにということで低姿勢で臨んでいるというようなことでございまして、われわれとしては今後の動きを注目したい。これは評価すべき立場日本政府としてはないものでございますので、私は客観的に事実を取りまとめて申し上げた次第でございます。
  17. 高沢寅男

    高沢委員 そういたしますと、いまの三宅さんの御説明にさらにもう一歩進めまして、韓国ではいま非常に労働問題が発生している、こういうこともニュースで見ているわけです。そうなってまいりますと、いまの学生たち動きと労働問題というものがどういうふうに結びついてくるか、これはまだ私たちも今後の問題だと思いますが、最近炭鉱で非常なストライキがあったとか等々、こういう労働情勢をどういうふうに認識され、見ておられるか、それもあわせて御説明をお願いしたいと思います。
  18. 三宅和助

    三宅政府委員 現在の韓国経済情勢は、御承知のとおり最近の石油値上げとの関連におきまして非常に苦しい状況にある。そういう経済的な情勢から労働争議件数が非常にふえておりまして、たとえば昨年と比べますと、時期にもよりまして一番最近のを私は承知しておりませんが、七倍くらいに件数がふえておるということも言われております。しかしながら、これはいまのところはいずれも経済問題といいますか賃金値上げ、そういうところに集中しておりまして、政治問題には発展しておりません。  したがいまして、現在労働争議問題といまの学生動きというものが少なくとも結びついているような状況ではないというのが現状でございます。
  19. 高沢寅男

    高沢委員 これは私の評価として申し上げるわけですが、いま三宅さんからそういう労働問題の動き学生動きはまた別なものだ、こう御説明がありましたが、私は、その前提韓国経済の非常なインフレの問題、物価の上昇あるいはまた不況というような状況の中でやはり労働問題が生まれてきて、昨年の例の釜山事件ですね、この事件背景にあったものはそういう労働問題が大きく根にあって、その土台の上に学生闘いとか、あるいはクリスチャン、宗教関係者闘いとか、あるいはまたいわゆる民主勢力闘いとかいうようなものが結びついていった。今度はそれに対する権力的な弾圧をやる、その弾圧に大きな反撃が行われたというような発展釜山事件はたどった。そして、そのことが結局また朴軍事独裁体制を揺るがすものになっていっている。そういうところから、朴政権を支えるトップの権力者の中から朴大統領殺害するというようなことにまでこれが発展していった。そういう大きな関連韓国情勢の中に生まれてきておる、そのことはいまのこの情勢の中にもそういう性格が貫いておる。これは私の評価ですが、そういう評価を申し上げて、これについてはひとつ大臣に御見解をお聞きしたい、こう考えるわけです。大臣、いかがでしょうか。
  20. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 現在の韓国情勢、確かに流動的な面がございます。朴大統領殺害事件の後しばらくは比較的平静な状態でございましたけれども、最近は御承知のような動きがいろいろ出てまいっておるわけでございます。  ただ一面、韓国生活水準も以前よりは相当高くなっておりますし、そういう意味での中産階級の増加もある。それから経済が現在確かに悪い。これは石油の値上がりも影響しておりますが、ただ、経済の面で韓国の持っておりますダイナミズムが一朝にして消えてしまうということでもないように思いますので、日本高度成長時代に何度かその反動的なリセッションといいますか、景気停滞の時期を経験したわけでございますし、またある時期がたてば経済情勢が改善してまいるという可能性考えられますので、いまの情勢、いろいろ不安定な要素は持っておりますけれども韓国情勢が非常に大きく変わるということには結果としてはならないのではないかというふうに思っております。
  21. 高沢寅男

    高沢委員 それではいまのお話は大臣評価として承っておきます。  そこで、朴大統領殺害された後の韓国政治の問題をとってみれば、当然政治民主化方向へ進まなければいけないわけでありますし、また、いろいろな紆余曲折はあっても民主化方向発展していく、こう私は見ております。いまの学生たちのスローガンに掲げている戒厳令撤廃ということなどもその民主化の要求の大きな柱であるわけです。そういうものがこれから大統領選挙に向けて、あるいは韓国の憲法の改正というようないろいろな課題を含めて発展していく、こう思うわけでありますが、この韓国政治民主化発展見通しについては大臣はどのようにお考えになっているか、お尋ねをしたいと思います。
  22. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私も、大きな流れとして、政治自由化といいますか、そういう方向に動いてまいるのだろうと思います。ただ、韓国の場合には、北との対立、一種の準戦時体制みたいなものが基本的にございますので、やはりその大きな流れに向かう現実の歩みというものはある程度ジグザグのコースをたどるのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 高沢寅男

    高沢委員 いまのソウルを初めとする韓国学生たち動きに対して、韓国の現政権軍隊を出しましたね。そして、しばらくたってまたその軍隊撤収した、こう言われているわけですが、軍隊を出すことの一種の理由づけとして、いまのシン・ヒョンホ首相が野党の新民党の人に対する説明として、北の方が軍事的に侵略をしてくる危険性、北の動きがきわめて活発なので軍の態勢をとるのだというふうなことを説明したということが新聞にも出ておりましたが、わが国政府としては、いまの朝鮮情勢として果たして北の朝鮮民主主義人民共和国から南へ向かって軍事的な進撃をとる、軍事的な措置をとるというふうな動きが本当にあるとお考えかどうか、お尋ねしたいと思うのです。  往々にしてそういう軍事独裁政権というものは、軍を動かすときは、外の方に何もないのにいかにも外に何かあるというような口実をつくって軍を出して、国内の民主勢力弾圧するというのが常套手段であります。私はそうだと思うのですが、これについて何かそういう認識を持っておられるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  24. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもとしては、いまお尋ねの件についてのはっきりした情報はつかんでおらないわけでございまして、現状ではよくわからないということかと存じます。以前に、十二月に総理と御一緒に北京に参りましたときに、中国の指導者は、北から南に向けて軍事行動を起こすことはないと考えるというような話がございましたが、とにかくそういうことについて判断し得るはっきりした情報を、現在のところ私どものところでは持っておらないという状況でございます。
  25. 高沢寅男

    高沢委員 これも私たち通信によって承知していることであるわけですが、わが国から非常に多くの企業韓国へ進出しております。特に馬山という自由貿易地域においては非常に多くの日本企業が出ておりますが、その中の一つである、三菱系統企業で、韓国企業名前としては韓国北菱という会社があって、そこでこの三月に労働組合が結成された、その労働組合の結成に対して四月の段階でもう会社をやめてしまう、廃業してしまう、こういうことを通告した。これは要するに組合つぶしをねらったものではないのか、韓国ではそういうふうな評価がされておる、こういうことが通信であるわけですが、まず、事実の関係としてそのことを御承知でしょうか。
  26. 三宅和助

    三宅政府委員 この特定企業につきましては私ちょっと正確にいま承知しておりませんが、この種のケースというのは最近ずいぶん多うございます。ただ、これは労働組合が結成されたからやめたというようなことではなしに、われわれが承知している限りでは、経営が成り立たなくなった結果撤収するというケースが最近わりと多うございます。ですから、私も本件につきましては具体的に知りませんが、多分そういうことではなかろうか、いわゆる企業の自主的な経営の問題としてそうせざるを得なかったのだというケースが最近出てきておりますので、多分そういうことではなかろうかと推察いたします。
  27. 高沢寅男

    高沢委員 従来も、日本から韓国へ出ていた企業の多くは、われわれの認識では、韓国朴独裁政権との特殊な政治結びつき、特殊な経済結びつき、あるいは表に出ない裏のいわゆる黒い結びつきというようなものを背景としながら韓国において非常に思いのままの経済活動を展開してきた、この点は日韓関係においてあるべき姿じゃないとわれわれは見てきたわけですが、今度は、韓国経済情勢が変わった、もうからなくなった、途端にもうやめて撤収ということになりますと、これはこれで今度は、現にそこで働いておる韓国労働者にとってはたちまち失業問題、首切り問題ということにもなるわけで、撤収すればそれでいいのだとは私は言えないと思うのです。  したがいまして、日韓間のそういういろいろな経済交流関係なり、その中で日本企業がいままで果たしてきた役割りの中に、やはり責任、これを捨ててただ撤収して帰ればいいというようなあり方では、これはなおさら日韓関係にマイナスを上積みするというようになると私は思うのですが、この点はどういうふうに判断され、また、それに対してはどういう対策をとるべきだとお考えか、お尋ねしたいと思います。
  28. 三宅和助

    三宅政府委員 確かにそういうような問題が現在ございまして、進出するときは一方的に出ていく、そして結局企業採算が成り立たなくなるという形で一方的に撤収するということでは、ある意味においては混乱を招くという面があるということで、撤収に当たりましては労使間の話をつけ、できるだけきちっとしたかっこうで撤収するようにという形で、現地大使館を通じましてアドバイスはできるだけやっておるということでございます。何分強制力その他もないものですから、その間には限界がございますが、いままでのところは大体話し合いをつけた上で撤収しているケースが多うございます。
  29. 高沢寅男

    高沢委員 われわれの立場といたしましては、これはもう御承知のとおりの、根本的な意見としては、朝鮮南北に分断されてそして南北がお互いににらみ合う、こういう形は非常に異常な事態であって、そういうものがアジアにおいて固定化していくというようなことは断じてあってはならぬ、実はこう考えるわけです。そのことは、一つは、朝鮮の民族の立場としてこれほど悲劇のもとになることはないわけですし、また、われわれの立場からしても、そのことがアジアの戦争の危険性を生み出す、それによって日本の平和と安全が脅かされるということにもなってくるわけです。したがって、朝鮮南北統一が自主的に、平知的に実現する、その一日も早いことをわれわれも望むわけでありますし、日本政府の政策、立場としても当然そうあらねばならぬ、実は私はこう考えるわけであります。  そこで、そういうふうな朝鮮南北統一が自主的、平和的に前進するという場合には、その前提になる少なくとも南の韓国における政治民主化、これが前進することがまたどうしても不可欠であります。その関係においては、アメリカの方が韓国との安全保障協議を延ばすことを通告されたということが、先ほどちょっと大臣お答えでも確認されているわけです。日本も、日本韓国定期閣僚会議をたしか九月に予定されているというふうに聞いておりますが、韓国のそうした政治情勢の安定を見きわめる、あるいは韓国民主化促進させる、そういういろいろな意味合いを込めつつ、九月の日韓定期協議、これをひとつ延期するというような日本側態度もあるベきではないか、私はこう思いますが、いかがでしょうか。
  30. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 まだはっきりした日取りを決めておるわけではございませんけれども、この定期協議が昨年来かなりおくれてきておりますので、あんまりいつまでも延ばしていくということはどうかというふうに考えております。
  31. 高沢寅男

    高沢委員 定期協議がおくれてきているということの直接のきっかけは、例の朴大統領殺害された、したがって、韓国状況、向こうの方の事情に根本的な変化が起きたということが直接のきっかけであるわけで、いまは韓国の政情はその変化過程である、こう見るべきだと私は思う。その変化方向が、先ほど言いました民主化方向でなければいかぬ、こういうことですが、いまそこへ向かっての変化過程にあって、毎日のニュースを見てもそれが大変激動を重ねておるような、そういう変化過程でありますから、したがって、日本政府立場としても、その行く先を十分見きわめるということも必要でありましょうし、もう一つは、民主化方向へ向かっての変化促進するという意味も持たせながら、やはりこれはそれまでの間延期するというような態度が、少なくも日本政府立場としてあるべきじゃないか、私はこう考えて御質問したわけですが、いまの大臣お答えでは大変不明で、私としては不満足でありますが、私のいま言った意味を含めつつ、大臣はどうお考えか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  32. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日韓の間は、距離の近い隣国でもございますし、経済問題等についていろいろな問題もございますので、やはりそう遠くない将来にこの会議は開く必要があるのではないかと考えておるわけでございます。
  33. 高沢寅男

    高沢委員 私の質問は以上で終わります。上井委員と交代いたします。
  34. 奥田敬和

  35. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま高沢議員の方から韓国問題に対しての御質問がございましたが、一つ気にかかる問題がございますので、まずこれをお尋ねして、さらに本題の質問の方に入りたいと思います。  すでにもう外務大臣にはこの席を通じまして私は御質問を申し上げた案件でございますが、韓国の地においてとらえられている数多くの政治犯の中で、徐勝君と徐俊植君というきょうだいがございます。特に弟さんの徐俊植さんの場合は、七年の刑期を終了して後、さらに社会安全法の適用を受けて二年の刑、そしてそれがこの五月二十七日に刑期満了ということになるわけで、京都で病床にあるお母さんは、一日も早く息子さんが帰宅されることを願って、そればかりを願いながらただ病床におありになるということなので、私は人ごとでない気がいたします。  政府としてはいままでずいぶん御努力を積み重ねていただいていることを私も承知をいたしますけれども、五月二十七日という日が目の前でございますから、実は一層の御努力方をお願い申し上げたい気なんです。大臣、これはよろしゅうございますね。
  36. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 本件につきましては、基本的には先方の国内問題でございますので、外からいろいろ申し入れする点についての限度はございますけれども、人道上の見地から私どもとしても機会あるごとに申し入れをしておりまして、せんだっても向こうの外交部長の来日しました機会に、いま土井委員の御指摘の件についても申し入れをさらにいたしたわけでございます。  ただ、最近得ております韓国側の反応といたしましては、本人の態度などからしてかなり厳しい見通しでもございまして、必ずしも楽観は許されない。しかし、保安処分の期限がいまお話しのように切迫しておりますので、一層の努力を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
  37. 土井たか子

    ○土井委員 一層の御努力方を切にここで再度申し上げて、次の質問に入ります。  一昨日十三日に本会議で大平総理に対する社会党の勝間田議員を初めとする質問が展開されたわけですが、あの本会議で大平総理は、アメリカでは防衛費の増強に関して真剣に検討するということを言ったに過ぎず、一切約束はしてこないというふうな御答弁をされているのです。ところが、先日の当外務委員会で大来外務大臣が、外国からお帰りになって大変お疲れのすぐ直後でございましたが、私の質問に対しましてお答えになった中身と、ちょっとこれは違いがあると私自身は受け取っておるのです。つまり、先日この外務委員会で、真剣に日本は防衛費の増強に対して検討する、努力する、その結果、五十六年度予算の中で増額できないような場合においてはアメリカに対してとやかく言われることにならないと思うがどうなのかというふうな趣旨の質問をしたのについて、外務大臣の御答弁は、努力をするということで増額がないということになるとやはり問題だとはっきりお答えになっていらっしゃる。したがって、増額できない場合は約束違反となるというふうな趣旨に私は受けとめているわけです。  そういうことからすると、大平総理と大来外務大臣の御答弁の中では、約束をしている、いや約束していない、まさにこれは黒と白と言っていいくらいの違いがここで出てくるのです。外務大臣、この点はどうなんですか。
  38. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 総理の答弁は、防衛について努力をする、真剣に検討するという返事をいたしたわけでございまして、真剣に検討するという約束はしたことはしたんだろうと思います。ただ、どこまで増強するとか、そういう具体的な内容については何も約束してないということが事実だと思います。
  39. 土井たか子

    ○土井委員 それは一応お答えになったらそういうことしかお答えにならないだろうと思います。しかし、アメリカ側に対して来年度予算の中で増額がないということになると約束違反になるという趣旨を大来外務大臣は当委員会においてお述べになっているということからすると、これは大平総理との間で物の言い方に対して少し差が出てくるのです。この点はどうしても大平総理外務大臣との間でこの問題について重大な点で開きがあると言わざるを得ない。  この点、もう一度だめ押しをさせていただきますが、そういうふうに私理解しておいてよろしゅうございますね。
  40. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私は、総理の発言と私の発言の間に全然食い違いはないと考えておるわけでございます。先ほども申しましたように、真剣に努力するということの返事を総理はしたわけでございまして、金額や具体的な内容についての約束をしたわけじゃない。しかし、真剣に努力する、あるいは検討するということであって、しかも、来年度の予算が防衛に関して全然増加がないということになると、これは約束違反ということよりもむしろ相互の信頼関係にある程度影響があるだろうという趣旨で、私はお答えしたわけでございます。
  41. 土井たか子

    ○土井委員 そうなってくると、これはやはり大平総理との間で御発言にニュアンスの相違があろということを私は言わざるを得ない気がするのですが、具体的には、外務大臣はお帰りになった直後の当委員会において、政府内にある計画について早期にこれを実現するようにアメリカ側からの依頼があった。政府部内にある計画とは、これは中期業務見積もりというのを指しているというふうにはっきり御認識の上での御答弁を、種々われわれは承ったわけです。ところが、先日の大平総理は、中期業務見種もりを約束はしていないということを御答弁の中で言われるわけでありまして、この点も重大な点で、一体アメリカにおいてどういうことを具体的な話し合いの中でなすってこられたのか。中期業務見積もりを指すと外務大臣はおっしゃる、大平総理は必ずしもそうでないとおっしゃる。アメリカに行って一体どういう話し合いがあったかということに対してはっきりしないということは外務大臣の責任にもなる、私はそのように思いますが、この点いかがでございますか。
  42. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その点は私どもはっきりしていると考えておるわけでございますが、今回の総理大統領会談の中では、中期業務見積もりという言葉は一言も出てこなかったわけでございます。いまの政府の中にある計画を早期にやってもらえればアジアの平和と安定に望ましい影響があると思うという趣旨の発言が向こう側にございましたが、中期業務見積もりという言葉は一言も出なかったわけでございますし、総理の方からも一言も触れられなかったわけでございます。  ただ、三月二十一日でございましたか、私が以前に参りましたときに、これは帰りましてからも当委員会でも報告をいたしたと記憶いたしますけれども、その際に、マラウン長官からの話には、中期業務見積もりの一年繰り上げということができないだろうかという希望の表明があった、これも事実でございます。
  43. 土井たか子

    ○土井委員 そのブラウン国防長官とのお話し合いの席でどういうことがあったかということとは別に、今回の訪米の節、アメリカ側からの防衛費増強のためのいろいろな要請の中身として、中期業務見積もりということを向こうは認識しつつ問題にしているというふうに考えてよろしいですかという質問に対して、そのとおりだと思うという大来外務大臣の御答弁がはっきりあったわけでありますから、そういうことからいたしますと、今回の訪米について、私はいま、大来外務大臣の御答弁の向きと先日の大平総理のこの問題に関しての御見解との上でずれがあるということを問題にして質問をさせていただいているわけであります。問題はこの点なんですよ。ブラウン国防長官とどのようなことを大来外務大臣が以前に、三月段階でお話しになったかということではございません。今回のことです。
  44. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回は中業の問題には双方から全然触れられなかったわけでございます。  今回、私帰りましてから当委員会に申し上げましたことは、以前三月にブラウン長官からそういう話があって、そういう関係から、中業との関係考えられているのではないかという、これは私自身の推測でございますので、今度の会談で二言も触れられなかったことも事実でございます。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 いずれにしても、国会の場において、外務大臣の御推測による御発言と大平総理の答弁の席での御発言との間に、これでずれが出ているのです。  したがって、このことは、やはり国会の場において政府見解というのはどのようなものであるかということが、国民には具体的に明らかにされるわけなんです。政府見解の中で不統一があるというかっこうにもなるわけであります。よろしゅうございますね。この点は、確認をしておきますよ。
  46. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 総理が答弁の中で中期業務計画というものについては何も触れなかったということは一〇〇%正確でございますので、その点は別に食い違いはないと考えておるわけでございます。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 それは中期業務計画について話があったか、なかったかということではなく、もう一度大平総理の当時の御発言というのを再確認していただく必要があるように思いますが、発言内容を端的に言うと、約束はしていないということになっているのですよ。したがいまして、その点からすると、やはり大来外務大臣の当委員会における御発言との上で、結果としてどうしても差が出てこざるを得ない、こういうことになるのです。  外務大臣は、先日来、いろいろな場所での御発言がさらに論議を呼んでいるようでありますが、その中の一つに、外交の自主的な確保のために防衛力の増強は必要だというふうなことをお述べになっているようであります。先日の参議院の外務委員会の席においても、こういう御発言が御答弁であったようでありますが、そういたしますと、外務大臣、いままでの外交というのは自主的な外交を行っていないということが裏返して言えば考えられると思うのですが、そういう意味も含めてこういう御発言をなすったわけでありますか、いかがでありますか。
  48. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 従来も防衛支出がゼロであったわけではございませんで、日本の国情、国力に応じた自主的な防衛の努力をやってきておるわけでございまして、その限度において自主的な外交の裏づけにもなっておると考えておるわけでございます。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、防衛力を増強すればするほど自主的な外交というのも自主性を増すというふうにいまの御発言を理解をしようとすればできるのですか、そう考えてよろしゅうございますね。
  50. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは、まず第一にお断りいたしたいのは、日本の防衛努力というのは、あくまでも戦後の日本人が選択いたしました平和憲法のもとで、専守防衛という立場での話だ、それから、特にアジア諸国の平和と安定に経済的な面等で協力をしていく、こういうたてまえで、それから、日米安保条約による抑止力、こういうもので安全を保っていくということでございますが、基本的に日本自身の防衛力というのは、平和憲法のもとにおける専守防衛という大きな方向を逸脱してはならないということは、私もここで繰り返し申しておるわけでございまして、その立場におきましてどの程度が適当なのかというのは、国民一般が国際情勢、財政経済事情等をにらんで判断する問題だろうと思います。  ですから、発言力、自主的な立場というのが、私は特に感じますのは、一つには、万一日本が他の第三国によって武力的に侵害された場合に、安保条約によれば米国が共同して防衛に当たるという約束になっておるわけでございますが、それに対して、日本自身身が何ら自分で自分を守る努力をしていないということになりますと、やはりアメリカからやってきて防衛に協力するということにも、場合によると影響が出てまいる、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 御答弁の中でいろいろ御説明がございまして、憲法上の限界があるとか専守防衛ということを念頭に置かなければならない、それはもうしごく当然のことなんです。  外務大臣、私はこれから大変失礼な物の言い方をするかもしれません。それは、評論家時代の大来外務大臣は、文字や言葉というものを売らなければならない。文字や言葉というものを売って、みずからお考えになっていらっしゃるいろいろな御見解を明らかにされてきた。しかし、外務大臣としての御発言というのは、マスコミ関係の方々が取材をして文字にされて、それが報道機関に乗って国民に知らされる、そういうところで大変大きな差異が出てまいります。国民の側からいたしますと、その新聞であるとかいろいろな文章の文字を見て、日本の外交政策や方針を判断するということになります。  いまるる外務大臣御発言になりましたけれども、私は、選挙区に帰りまして、では、いままで日本というのは自主外交がなかったのでしょうかねというふうに選挙民に聞かれました場合に、まあ、大来外務大臣がそのように発言していらっしやるから自主外交というのはなかったと思うとしか言いようがないのですよ。よろしゅうございますか。防衛力を増強しなければ言いたいことも言えなくなるという御発言も同時になすっているのですが、防衛力を増強すると、アメリカ側に対してたとえば電電の政府調達や自動車問題にもっとはっきり物が言えるということになるのですか、またソビエトに対して、北方領土の返還に対してもっときっぱり、はっきり強い姿勢で物が言えるということになるのですか、こういうことなのでございますか。いかがでございます。
  52. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 基本的な考え方は、これからの世界の中でいろいろな事態が起こるわけでございますけれども、そういう事態の中でどうして日本人一億一千万の国民の安全を守っていくか、そういう意味での考え方に基づいて申しておるわけでございまして、対米関係におきましては、いま申し上げましたように、やはりある程度自分で自分を守る努力がなければ、外から助けに来るということの期待、つまり安保条約そのものが円滑に動くかどうかという問題が出てぐるかと思いますし、その他の国につきましても、日本がある程度の防衛力、これはあくまでも専守防衛の立場での防衛力で、外敵、外から侵入する場合に相当被害を受ける、相当なコストがかかるということは、日本の安全を保障する上での一種の保険、私も外務委員会でも申したのですが、われわれは地震の災害に対しても備えなければならない、そういうことが起こらないことを望むわけでございますが、いまの現実の世界情勢で全くその危険の確率がゼロかというとそこまでは断言できない、そういう意味での自衛といいますか、そういうことからいっての自主性というつもりで申し上げたわけでございます。  それで、防衛力なり軍事力をつくることによって外交的発言力をふやすという意味ではなくて、日本自体を守っていく、日本の自主的な立場をとっていく上にある程度の防衛力の保持というものが必要だというつもりで申しておるわけでございます。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 一億一千万の国民の安全を守ることのためにという前置きでおっしゃっているのですがね、外務大臣は、外交のフリーハンドというものを得るためにも防衛力の増強が必要だということを同時にまたおっしゃっていられるわけです。これは、考えてみると、力の外交、武力の外交、もっと悪く言うと恫喝外交ということにならざるを得ないのじゃないでしょうか。一体こういう外交姿勢というのは、憲法が予期する外交姿勢でしょうか。福田総理の時代に、七七年でありますけれども、軍事大国にならないということをきっぱりその基本姿勢に打ち込んだ、御承知のとおりマニラ・ドクトリンというのがあります。それからしても、この大来外務大臣の真意はどこにあるのかということが非常に疑わしくなってくるのですがね、もし自民党政府という意味で継続して事に当たられているのなら。米ソに物が言えるほどの防衛力の増強を考えていらっしゃるのですか、いかがですか。
  54. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほど申しましたように、対米関係では、安保条約が、もし万一何かありました場合、有効に機能する、それにこたえ得る程度のことはせざるを得ない。御承知のように、アメリカにも日本のただ乗り論という議論が非常に多いわけでございまして、そういう考え方が潜在していることは否定できない。二十年前に一〇対一でありました日米経済力比率が、いまは一〇対四になっておる、経済大国の一つにもなっておるわけでございます。それから極東の情勢も当時とかなり違ってきている面もございますので、最小限の努力をすることが、安保条約も有効に機能する一つの条件ではないか。それからもう一つの面につきましては、特に北方領土における軍事基地の設定とかあるいはアフガニスタンに対するソ連の軍事介入という現実の問題がございます。  そういう現実の問題を踏まえて考えますと、やはり日本という国に外から武力的な侵入をするのは相当なコストがかかるという状態に持っていくこと、その程度のことをしておくことは、一種の保険的な意味がある。すべてこれは、自国の領土、領海を守るという、先ほど来繰り返して申しております専守防衛の立場を超えることは絶対にあってはならないという立場から申しておるわけでございます。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 いまの大臣の御答弁を承っておりますと、ソビエトの極東における軍事力というものが大変、以前に増して脅威であるというふうにお考えになっている裏打ちがあるようにうかがわれるのですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  56. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもは、潜在的脅威の増大と言っておるわけでございます。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、増大とおっしゃる言葉の裏には、以前に増してこの脅威というものを強く認識しなければならないという裏打ちがあっての御発言なんですね。
  58. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは防衛庁の専門家の見解も聞かなければならないわけでございますけれども、従来防衛庁当局が国会の審議でいろいろ発言しておるところから申しましても、最近数年間にかなり顕著なソ連の極東における軍事力の増大が見られる、特に海軍の方での急速な増強が見られるということで、それを潜在的脅威の増大という形で防衛当局は受けとめておるということでございます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 その、いまおっしゃいました防衛庁の方の問題なんですが、最近防衛庁長官は、都内で開かれた経済人の集まりでの演説の中で、実は聞き捨てならないような御発言がございます。満州事変勃発当時の軍事費の予算に占める割合は約三〇%、二・二六事件当時で四五%あったことなどを引用しながら、いまの防衛費は五十五年度でも一般会計予算の五・二%にすぎない、少なくともいまのままではよくないことは確かだというふうな御発言らしいのですがね。  こういうことからいたしまして、外務大臣の、防衛費の増強ということについていろいろ最近御見解が出ているようであります。GNP七%を占めている公共事業費を削れば、そうしてこれを防衛費に充てていくということも可能ではないかというふうな御発言が出ているようでありますが、この公共事業費をこちらに回すということについて各大臣の御了解を得られました上の御発言だったのですか、外務大臣。それと同時に、防衛庁長官のこういうふうな御認識についてどのように外務大臣自身がお考えになっていらっしゃるかというのもあわせてお伺いしましょう。
  60. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまの防衛庁長官の戦前の数字に対する比較、私、そのお話見落としたものですから、ただいま初めて伺うわけでございますが、それは過去の実績と比較したということで、それだけで必ずしも防衛力を増加する、増強する理由づけになるかどうか、まだいろんなほかの条件を考えてみなければいけないのじゃないかとは思います。  それから、公共事業費ということにつきましては、いまのいろいろ議論になっておりますことは昭和五十一年の国防会議の決定、防衛計画の大綱、あるいはGNPの一%を上回らないというような決定の枠内の問題でありまして、いずれにしてもその枠内の問題であるので、それは日本経済力、二百五十兆円のGNP、これが名目で年に一割ふえますれば年に二十五兆円の経済力の増大になってきておるわけでございますけれども、いまのそういう議論になっておりますことが直ちに福祉の切り捨てか防衛かとか、あるいは防衛のためには増税を大幅にやらなければならないという議論とは結びつかない、けたの違うといいますか、そういうロジックにはならないのではないか。つまり予算支出項目の中でのプライオリティーの考え方という、優先順位の考え方ということもあり得るし、その範囲の問題でもあるのだという趣旨で申し上げましたので、公共事業ということもちょっとその事例に触れたわけでございますが、これは政府の財政支出の問題で、大蔵当局なり総理大臣考える問題でございますから、外務省の立場で申し上げるべきことではないかもしれないと思います。そういう意味で、特に政府の内部で相談して私が発言したというわけではございません。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 いま優先順位の問題でもあるというふうなことを御答弁の中でおっしゃっているのですが、それじゃ、安全なくして福祉なしということも外務大臣はおっしゃっているのです。そうすると、優先順位からすれば福祉よりも防衛力の増強の方を優先的に考えるべきだともこれは受けとめられる、安全なくして福祉なしですから。これについて、福祉予算より防衛費の予算を優先させるべきであるというふうに私たちがその外務大臣の御答弁の向きを受けとめた上で、しかし国民的判断によるべきであるという大前提からすると、国民はこれに対しては同意できないというときに、なおかつ優先順位からすると大事な防衛費の問題についてどうするかということが外務大臣とされては大変に頭の痛い問題におなりになるであろうと思うのですが、そういうときに外務省の予算を防衛費に振りかえてでもこの防衛費というのは大事だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。優先順位の問題で、恐らく安全なくして福祉なしというふうにおっしゃっているのだろうと思いますから。いかがですか。
  62. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほど申しましたように、日本経済成長がゼロになるわけでもございませんし、GNPは毎年拡大をしておるわけでございますから、その拡大したGNPを、アロケーションといいますか、どういう分野に向けるかという問題の中でいろいろな考え方があり得る。ですから、これは立場によりましては、とにかく増加する国民所得なりGNPのできるだけ大きな部分を福祉に向ける、これはかなりコンセンサスに近い考え方で、私どももできるだけそうすべきだというふうに考えておるわけでございますが、同時に、現在置かれております国際情勢のもとで、それだからといって防衛関係考えないでいいというようにもまいらないのじゃないか、そういう趣旨で申しておるわけでございます。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 これは失礼な言い方とお思いにならないでくださいよ。外務大臣みずからお考えになって、外務大臣、自分で政治家だというふうに思っていらっしゃいますか。
  64. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 選挙によって出てきた人間でないという意味では政治家でないのかもしれませんが、閣僚の一人であるということになるとこれは政治的責任がある。両面があると思っております。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 政治的責任はあるけれども政治家ではない、こうなるのですね、いまの発言からすると。政治家じゃない。政治的責任があっても政治家でないという人もある、それはそのとおりでしょう。政治家であっても政治的責任を果たさない人もある、それもそのとおりでしょう。しょせん、しかし、外務大臣政治家ではないとみずからはお考えになっていらっしゃるのですね。
  66. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 政治的責任があるということは政治家としての要素も備えておるということでございまして、政治家でないというふうには申しておらないわけでございます。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 非常に消極的な物の言い方をされるのですが、こういうときにやっぱり本当に責任を持って何とかしょうということになったら、もっときっぱりした御答弁がいただけて私はあたりまえじゃないかと思っているのですよ。遠慮深い大臣でおありになるのかもしれません。謙虚である大臣でいらっしゃるのかもしれません。しかし、そんなことじゃないと私は思うのです。  最近アメリカからお帰りになった外務大臣は一連の重大発言を続々となすっているのですが、私はこれをずっと見てまいりますと、一つは、防衛費の増額は約束であるということをおっしゃっている。二つは、自主的な外交を行うために防衛費の増額というものはしなければならないとおっしゃっている。三つ目に、力による外交というのを行わなければならないとおっしゃっている。四つ目に、フリーハンドを得るために防衛費を増額する必要があるとおっしゃっている。そうして五つ目には、いま種々いろいろ御発言の中で、御弁解の意味も含めてかもしれませんが、そのために要する費用というのは公共事業費や福祉予算を削ってでもというふうなお考えがある。  こういうことからしますと、国民の判断ですべて問題は決せられるわけでありますから、私たちはこれを参議院選挙の争点に据えて徹底的に参議院選挙で戦う材料ができたと思っています。やりますよ。よろしゅうございますね。  以上終わり。ありがとうございました。
  68. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 たとえばいまお挙げになった中で防衛力のフリーハンドと言われたわけでございますが、そういう報道があったかどうか知りませんが、私としては絶対にそういう発言はしておりません。先ほどから申しますように、日本の国民の安全を守るための趣旨で日米安保条約とかあるいは日本がとにかくいろいろな事態のもとで外から侵されないための措置は最小限必要だろう、それ以上のことを絶対に言っておりませんので、その点の誤解のないようにお願いしたいと思います。
  69. 奥田敬和

    奥田委員長代理 玉城栄一君。
  70. 玉城栄一

    ○玉城委員 ただいま今回の日米首脳会談におけるわが国の防衛力増強問題についての質疑を承っておったわけでございますけれども、先ほど整理をされて結論的に土井先生がおっしゃられたわけでありますが、私もそのとおりではないか、これはもうきわめて重大な事態に行きつつあるのではないか、そういうふうな感じがしてならないわけであります。  そこで、私も私の党の立場から確認をさせていただきたいわけでありますけれども、これは認識の問題なんですが、たしか今回の日米首脳会談におきまして、アメリカ側はいわゆる日本の防衛力増強問題については、着実かつ顕著に増強するというふうに受けとめた、そのように認識しているというようなコメントがあったと思いますが、大臣はそのことを御存じであるかどうか。
  71. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは日米首脳会談の後の米国国務省側のブリーフィングの中で、着実かつ顕著なというくだりが一つございます。しかしその後のくだりで、大平総理大臣は具体的なコミットメント、約束はしておらない、それから、その具体的な内容については日本側に聞いてもらうべきことだということを、同じ報道官が申し述べておるわけでございます。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、大臣とされては、同席をされたわけでありますから、その着実かつ顕著の米側の受けとめ方についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その辺はいかがでしょうか。
  73. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 真剣な検討を行うということを総理大臣が言われたわけでございますので、それは基本的にはある程度の防衛力の増強ということにつながり得ると思っておりますが、先ほど来申し上げましたように、具体的な回答は全然しておられないわけでございまして、その真剣な検討ということが具体的にどういうところに落ちつくのかは、五十六年度予算編成の過程で決まっていくんだろうと思います。
  74. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、確かに具体的な回答並びに具体的な約束はされておらないと総理がおっしゃったということであります。しかし、総理が、わが国の防衛力増強については真剣に努力をしましょう、そうおっしゃったことは確かですね、大臣
  75. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 総理の言われた趣旨の中には、われわれとしては従来より精いっぱい努力してきたところであるが、今後とも自主的にその努力を続けていく所存であるというふうに申しております。
  76. 玉城栄一

    ○玉城委員 約束という言葉の解釈の問題は別にしましても、自主的にといいますと、わが国の防衛の問題については当然、自分の国で、自分の立場からやるわけです。これは当然です。  そこで、真剣に努力するということは、約束という言葉を使うかどうかは私はわかりませんけれども、とにかく、わが国の防衛力を増強することについて真剣に努力をしましょう、こういうことですから、おっしゃるとおり、具体的な約束はしておらないということの言葉の意味からしますとそういうことになるかもしれませんが、しかし、先ほどの御質疑にもありましたけれども総理首脳会談後お帰りになりましての一連の御発一言は、あのときの日米首脳会談の報道等を見ますと威勢のいいのとはちょっと変わりまして、大分トーンが落ちておるわけですが、しかし、外務省並びに外務大臣のその後のいろいろな御発言は、先ほどの御質疑にもありましたけれども、ちょっとまたニュアンスが違うわけですね。  たとえば、来年度の防衛力の予算については、もし増額をしなかったならば日米関係に影響があるであろう、あるいは先ほどのお答えにもありました、約束違反というよりは相互の信頼に支障があることは間違いないというようなことからつなぎ合わせますと、これはやはり約束をしてきたというふうに国民のサイドから見られるわけですが、いかがですか。
  77. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本立場といたしましては、アメリカ側に強い防衛努力増大の要請がある、それは先ほど来申しましたいろいろな世界情勢変化あるいは日米経済力の相対的な変化その他が背景にあると思うのでございますが、それに対していまの段階で防衛費の増加がゼロであるというようなことになりますと、やはり両国の信頼関係に影響があるだろう。これは私の外務省を担当する立場としての印象でございます。
  78. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは重大な約束をしてきたというふうに私どもは受けとめながら、非常に憂慮をしておるわけです。  そこで、先ほどの質問にちょっと返りますけれども、いわゆる着実かつ顕著ということについては、アメリカ側は大体そのように受けているということですが、外務大臣とされて、やはりわが国としてはアメリカの言うとおり着実かつ顕著に、来年度並びにこの二、三年のうちにわが国の防衛力の増強はすべきだ、する必要があるというお考えであるのかないのか、その辺いかがでしょうか。
  79. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 防御費が増加するといっても、いろいろな幅があり得るわけでございます。それで、その幅の中のどこにおさまるのかということは、これからの予算編成の過程の問題でもございますし、財政力、経済力、国民のこの防衛問題に対する考え方の動向、それから国際情勢もございますが、そういう中で、その幅の中でどこにおさまるかということでございまして、私の考えから言えば、やはり去年と同額というのが最低限で、だから、多少なりふやすことが望ましいんじゃないか。それから最高限というのは、私は、三月段階でブラウン長官から言われた、中業を五年から一年繰り上げて四年でできないだろうか、これは最高限だろうと思います。一体その防衛費の横ばいと、それから中業を一年繰り上げ程度の幅の間のどこにおさまるか、これはまさに日本が自主的に決めることだと考えておるわけでございます。
  80. 玉城栄一

    ○玉城委員 着実かつ顕著ということになりますと、いま具体的に大臣がおっしゃいましたいろいろな数字的な問題等も含まれてくると思うわけですが、たしかブラウン長官からの、三月の訪米のときだったですか、着実には必要でしょうけれども、顕著にはわが国としては無理があるのでちょっと無理だという、そういう趣旨の話を大臣はされているわけですが、その考えはいまもそのとおりと受けとめてよろしいですか。顕著にというのは無理だ、あるいは変わったと受けとめてよろしいわけですか、その点をお伺いします。     〔奥田委員長代理退席、志賀委員長代理     着席〕
  81. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その点は変わっておりません。
  82. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、アメリカ側の言っておりますわが国の防衛力増強問題について、着実かつ顕著ということは、顕著ではない、着実にと、そのように外務大臣としては考えているというふうに理解してよろしいわけですね。
  83. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは私の印象ではいまのお話のようなことでございまして、米側の報道も、着実かつ顕著ということを約束したということはどこにも言っておらないし、具体的なレベルについての発言もなかったということは米側も認めておるわけでございます。
  84. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題ですが、顕著ではない、顕著にはわが国の防衛力は現在のいろいろな情勢等からして無理だというお答えもありましたので、次にこの問題に関連して伺っていきたいわけでありますが、印象としまして、一連の大臣並びに外務省首脳の御発言という立場で、自主外交確立のためには、公共事業費の圧縮、一部削減、福祉予算についての圧縮、あるいは先ほども増税ということも、防衛予算を確保するためにはそういうことも考えられてくる。それは量の問題は別です。いずれにしても、おっしゃるような防衛力を増強するための予算確保のために、公共事業にも影響し福祉関係予算にも一部影響し、あるいはそれでなおかつ足りぬ場合には新しい税の問題も考えられる、いろいろな選択も考えられるということについては、外務大臣あるいは外務省の方々がおっしゃっておられたようなことは、そういう趣旨で受けとめてよろしゅうございますか。
  85. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 大蔵省の試算で、年率予算の面で一五%の伸びが必要だという試算がございまして、これは参議院の外務委員会で立木委員からの御質問があったわけでございますが、そうすると金額は約三千四百億円くらい、政府の予算規模の中でそれをどういうふうに考えるかということは、先ほど申しましたように全体の予算当局なり内閣としての考え方によるわけでございまして、公共事業ということにちょっと私が触れましたのは、そういうことは福祉切り捨てだという解釈がございますので、そうではない、ほかの方法もあり得る、福祉を切り捨てないでこの程度の防衛の手直しといいますか、質的向上も可能なのだという意味で申し上げたわけでございます。
  86. 玉城栄一

    ○玉城委員 切り捨てとかなんとかは私は申していません。公共事業、福祉あるいは増税、とにかく影響し合ってくることは間違いないですね。それはお認めになりますか。
  87. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 しかし、たとえば福祉と防衛と量によっては両方ふやすことも当然可能でございますし、それは全体の予算の枠の中でございますし、それからまた、自然増収ということもあるでしょうし、いまから財政のことを余りとやかく申すわけにもいかないので、当然影響はあらゆる予算の項目の間にあり得ると思うのでございますが、ただもし影響というのがその他の項目を大幅に削るとか大幅な増税をしなければこれはやっていけないのだということであればそれは誤解だ、そんなに大きな予算全体の構成を変える程度のそういう大きな金額の問題ではないという趣旨で申しておるわけでございます。
  88. 玉城栄一

    ○玉城委員 財政当局である大蔵省が予算の元締めでありますから、外務省は今度の日米首脳会談並びにその前の外務大臣と向こうの長官との会談等からしまして、またお帰りになって一連の発言から、とにかく来年度においてわが国の防衛予算をふやさない限り、もしふやさないとすれば日米関係における影響がある、あるいは信頼関係に支障があるということは、もうすでに外務省が防衛予算についてはアメリカと先取りをしている。一番戸惑っているのは大蔵省なのです、さてどうしたものか。そのようにお考えになりませんか。
  89. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほど申し上げましたようにいろいろな幅があり得るわけでございますから、ただ外交関係を扱う立場から申しますと、今年度予算より絶対額で減るようなこと、つまりふえない、あるいは減るということになりますと、やはり外交関係にある程度響くのじゃないか。しかし、ことしよりふやすということには、先ほど申しましたように幅のあることでございまして、どの程度かということによることかと思います。
  90. 玉城栄一

    ○玉城委員 きのう沖特の委員会がございまして、そのときに小渕総務長官、沖繩開発庁長官でもありますので、外務大臣は一昨日の参議院の外務委員会において、道路あるいは公共事業関係費の一部を防衛費に回すこともあり得るという発言をしたけれども、沖繩開発庁長官として、ちょうどきょうは五月十五日て沖繩県が本上復帰して九年目になるわけですが、いわゆる十年後に第二次沖繩振興開発計画という膨大なプロジェクトを組もうという段階で、そういうものにも外務大臣の防衛予算増額発言からして影響されますかされませんか、総務長官としてはどのように考えるか、いわゆる公共襲業を削ってでもそういう防衛予算の増額というような外務大臣の発言についてはどう思うかということについて、長官はそういうことはさせません、絶対にそういうことはあってはならないということをおっしゃっておるわけですが、外務大臣、先ほど各大臣との調整をした上ではないということでありますけれども、公共事業関係予算に影響させながら、あるいは福祉関係にも影響させながら防衛費増額をしていこうという基本的な考え方については、やはり大臣そのとおりやっていこうということなのかどうか、決意のほどを……。
  91. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 GNPの規模もふえますし予算の規模もある程度ふえるわけで、そのふえる中でどこにどの程度ふやすかという、これはどうせ毎年予算編成のときにそういう政策的判断があると思いますので、そのことはそういう公共事業費についても削るということでは必ずしもないわけでございまして、増し分の配分と申しますかこういう問題とも関連いたしますので、ただ私ども外務省の立場としては、日米安保条約がうまく動いていく、アメリカ側のいろいろな考え方等を勘案いたしまして、たとえば来年度予算で防衛費がことしの予算より減ったということになると日米関係上多少影響があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  92. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題、いつまで議論しましても同じようなことのお答えでありますので、ただ一点だけ、自主外交を確立するためにはわが国の防衛力を増大する必要があるということのようでありますが、先ほどの質疑のお答えの中にもありましたけれどもわが国は平和憲法を持ち、防衛大綱はGNP一%内、いわゆる専守防衛、そういうことで達成すれば、外務省としては平和自主外交が展開できるという自信がおありであるのかどうか、その辺いかがですか。
  93. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 従来から平和自主外交を展開してきているわけでございますから、それを今後も続けていきたいという趣旨でございます。
  94. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのためにわが国の防衛力を増強するということとは関係ないわけですね。
  95. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまの時点で日本が置かれている立場から考えますと、そういう立場を貫いていくために多少の防衛努力の増強がある方が望ましいという趣旨でございます。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 政府の与党の内部でスパイ防止法の立法が検討されているやに聞いておりますが、これは与党でありますから大臣としては当然そのことについて御存じであるのかどうか、どういうお考えを持っていらっしゃるのか。
  97. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまちょっと御質問の趣旨がとり切れなかったのでございますが……。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 与党の内部でスパイ防止法の立法化について検討しているやに聞いておりますが、そのことは御存じであるのか。もし御存じであればどのようなお考え大臣としては持っていらっしゃるのか。と言いますのは、やはり一連の防衛力増強問題とこの問題が別問題とは考えられないわけですから、その点についての大臣コメントを聞きたい、こういうことです。
  99. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 与党の内部で検討が行われておるということは聞いておりますけれども、具体的な内容について特に連絡を受けておるわけではございません。
  100. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの問題、やはり立法化が望ましいのか、そういう法律は望ましくないとお考えなのか、どちらでしょうか。
  101. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは政府全体として判断すべき問題でございまして、いまの段階で内容も検討しないで意見を申し述べることは差し控えたいと思います。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは米軍機に関係することでありますから淺尾局長さんの方からで結構ですが、昨晩並びに一昨晩、大変な正体不明機の騒音だということで新聞にも報道されまして、私、宿舎が青山でありますけれども、二日間にわたりましてじゃんじゃん電話がかかってきまして、何どかしてくれ。とにかく一昨日の晩は十時。こういう正体不明機が低空で爆音を出して、都内ですから、あるいは都外でもあります、ベッドタウン地域ですから、住宅密集地域ですから、どういうことでこういう状況が起こったのか、その辺御説明ください。
  103. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま御質問の不明機における爆音問題につきまして、新聞等でもいろいろ報道がございます。私たち目下アメリカ側に対して、どういう理由で起きたのか、あるいは米軍機が含まれているのかどうか、その点まだわかりませんで、その点を含めまして目下照会中でございます。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 それちょっと外務省とされては、新聞でその正体不明機はちゃんとわかった、こう大きく載っていますよ。それで向こう側のコメントもあります。外務省がまだ知らないということはどういうわけですか。大きくちゃんと報道もされていますよ。
  105. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 新聞でそういう報道がありまして、それは承知しておりますので、その関連で米軍側に対して実情はどうかということを照会しているわけです。  他方、必ずしもそれが米軍だけであるかどうか、あるいはほかの原因であるかということもございますので、その点もあわせて目下照会中です。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは米軍に関してだけ申し上げますと、十三日の晩は十時から約十二時まで四回にわたって。十時から十二時ですよ。午前中じゃありませんよ。十四日の晩は十一時からですね。住宅地域ですからこれは非常識ですよ。もし万一墜落するようなことがあったらどうします。大惨事では済まされないですね。  それで、これについて自治体の方は、「同基地周辺の騒音対策として、日米合同委員会はさる三十八年九月「厚木海軍飛行場周辺の航空機の騒音に関する合意事項」を結び、夜十時から翌朝六時までの間の発着禁止を取り決めた。だがこの合意事項は”原則“で「米軍側が警戒上必要と認めた場合」は、夜間の離着陸をしてもかまわないことになっている。」原則としては警戒上必要なときは夜間も認められる。しかし、今度の場合は警戒ではないのですね。もしこういう事態でなかったら、日米合同委員会における協定違反とは言えますね。どうですか。
  107. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 現在事実を照会中でございますので、その事実の結果を踏まえまして、もし合同委員会の合意に反しているというようなことであれば、日本側としてアメリカ側に対してまたその点で措置をとるという考えであります。
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の場合はこういう例外の範疇には属しませんから、演習の帰りですからね。二日も続けて大変住宅密集地、都内であるいは神奈川一帯もそうですけれども、そういうことで厳重な抗議をしてください。  それから次にもう一点は、これは沖繩に関する問題でありますけれども、例の一昨年の十二月二十九日、沖繩の北部名護市における機関銃乱射事件というものがございました。M85重機関銃によってキャンプ・シュワブで実弾演習を行ったわけですが、このM85重機関銃の射程距離は大体六千八百メートル、目標地が.一千八百メートル。それが飛び越しまして、実弾演習の地域外の裏側にずつと住宅地域があるわけです、そこにその機関銃が降り注いだわけです。  そういう事件がありまして、しばらく米軍はこういう実弾演習はやらない、むしろこの演習地域は欠陥である。周辺に多くの住宅地域を抱えながら、しかもその住宅地域まで射程距離のある重機関銃の実弾演習をやるということは大変な問題だということでしばらくやっていなかったのですが、今回またこれを再開しているわけです。その辺について外務省御存じであるのか。
  109. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま玉城委員の方から御指摘のありましたように、五十三年十二月の末にキャンプ・シュワブでこのM85機関銃による事故が発生したことがございます。これは射角が上を向き過ぎて過って発生した事故でございます。その後、日本側から米側に対して、安全措置がとられるまで演習を中止するように申し入れをしました。  その結果、アメリカ側から四月に演習を再開する通知が参りまして、その過程で射角の制限装置を新たにつけたということで、日本側としても防衛庁の専門家が立ち会いまして十分安全が確認されたということでございましたけれども、四月に演習は再開いたしませんで、本年の五月一日、米軍の方から那覇施設局に対してM85機関銃による演習を再開したいというふうに通告してまいりまして、私たち承知しておるところでは五月十一日から十七日までの間、行うということでございます。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで北米局長に伺いたいのですが、安全装置をつけたから再開通知があってオーケーしたということのようですが、大丈夫ですか、大丈夫だからオーケーしたということですか、その辺いかがですか。外務省はとめる権限はないわけですか。
  111. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 先ほども申し上げましたように、新しい射角制御装置をつけて安全が確認されたわけでございますが、その際に、五十四年の三月でございますが、わが方の施設庁あるいは防衛庁の専門家が立ち会いまして、その安全を専門家の目で確認しております。したがいまして、外務省としましても、こういう状況で安全性が確認されたということでございますので、他方、このような訓練はまた安保条約上米軍としても必要だろうということで、今回再開の通知を受けてこれに対して異議は申し立てないというのが現状でございます。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこなんですがね。安全装置をつけた、また専門家が保証しておるから大丈夫だとおっしゃいますけれども、そういうことではないのです。M85機関銃の射程距離といいますのは、このキャンプ・シュワブを飛び越えまして裏側の住宅地域までいくわけです。ちょっとでも角度を間違えますと飛び越えていつどういう事故を起こすかわからないということなんです。ですから、そういうところではそういうことをやっては困ると言わない限りこの問題の解決はできないと思うのですが、検討される用意があるかどうか、その辺いかがですか。
  113. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 再三繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、前回の射撃の際の過ちは射度五度を超えたということで、まず今回の射角制限装置によってその点が五度を超えないという安全性が専門家によって確認されている、さらに米側の方でも安全将校によって点検を厳重に行うということを言っておりますので、わが方として、アメリカ側のそういうような安全に関する保証及び日本側の専門家がまたそれに対して安全性を確認したということでございますので、現在のところアメリカ側の再開要請に対してはこれを認めるという態度でございます。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、時間がございませんので、防衛庁の方いらっしゃっていますか。——防衛庁いらっしゃってなければ、じゃ外務省。  ついこの間リムパックを行いましたね。また、それから間もないのに沖繩の南方公海上で海三自衛隊と米海軍が対潜特別共同訓練を実施をしているわけでありますが、これと先ほどの爆音、正体不明の米軍機との関係、あるならある、なければないですね。いま申し上げた対潜特別共同訓練のはっきりした区域——はっきりしないのですね。漁船関係等いろんな安全上の問題もありますし、その辺外務省の方でおわかりであったらちょっと御説明いただきたいのです。
  115. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 私たち、防衛庁の方から通報を得ております。  時期は五月十二日から十五日まで、海域は那覇南方海上北緯二十四度と二十六度の間及び東経百二十七度と百二十九度の間、訓練の目的は、毎年実施されております対潜捜索攻撃訓練ということでございまして、参加規模は、海上自衛隊の方から護衛艦五隻ほか若干の自衛艦、アメリカ側からはフリゲート艦二隻等若干の軍艦が参加いたしまして、これは、すでに昭和三十年以降毎年行われておりまして、先ほどお尋ねの飛行機の爆音とこれと直接関係があるかどうかは私はつまびらかにしておりませんけれども、日数からいいましてこれには特に直接関係がないのではないかなという気がいたしますが、この点はアメリカ側調査の結果を待ってまたお答えいたします。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 終わります。
  117. 志賀節

    志賀委員長代理 野間友一君。
  118. 野間友一

    ○野間委員 外務大臣、十七日からヨーロッパに行かれるわけですけれども、例の四月二十二日のEC九カ国の外相の会議のいわゆる制裁の問題、この期日と同じ日に行かれるわけですけれども、ヨーロッパへ行かれましてどこどこの国の外相と会われるのか、そして、当然第二次制裁に関連していろいろと協議をされるというふうに思っておりますが、いかがですか。
  119. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 IEA、国際エネルギー機関の閣僚会議が今月の二十一、二十二日にございますので、それを中心にして、定期外相会議でいままでおくれておるものを片づけるといいますか、そういう趣旨で、今回は日英と日仏と日独、それにIEAの閣僚会議出席、そういう予定にいたしております。
  120. 野間友一

    ○野間委員 その中で問題は、第二次制裁に関連する一つのリミットが五月十七日になっておりますので、恐らく話し合いをされるというふうに思いますけれども、その点についてもお伺いしたい。
  121. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 当然その話も出るだろうと思っております。
  122. 野間友一

    ○野間委員 きょう十五日ですから、もうあさってということになりますが、行かれる以上は、わが国の具体的な方針を持っていかれるというのが当然だろうと思いますけれども、その点はいかがですか。どういう方針を持っていかれるのか。
  123. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これはまだECがどういう対応をするかはっきりつかめない段階でもございますので……。基本的には、前回のルクセンブルグの会議に対して、日本もEC諸国の出方に協力するという立場を明らかにしておるわけでございますので、いろいろな可能性についての政府部内の検討は行っておるわけでございますし、明日、今回出発する前に政府内部でも打ち合わせをしようということになっておるわけでございます。
  124. 野間友一

    ○野間委員 もうすでに検討は済んでおるというふうに私は思っておるわけです。これは行く前の日に最終の確認はされるかもわかりませんけれども、いまの時期にまだ決まっていないということはあり得ないと思うのです。とりわけ新聞報道等を見ますと、EC諸国の、イギリスがどうだとかあれこれの報道があります。その中では、第二次制裁案、EC九カ国の外相の決議の中身よりかなり後退した、そういうような方針もあるやに聞いておるわけですけれども、いま政府として具体的にどのような方針を持っておられるのか、いまの時点でひとつお答えいただきたいと思うのですが。
  125. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 EC外相のナポリ会議、これは一時ローマになるかもしれぬということもあったのですが、いまのところはナポリで十七日、場合によれば十八日まで会議が開かれるようでございます。その会議の結果どういうことになるのか、いろいろ情報もとっておりますけれども、まだ最終的には明らかにならない、国によって多少立場の違うところもあるようでございまして、これが会議で最後にどういうところに落ちつくかは、やはりそのときにならないと最終的な姿はわからないと思っておるわけでございますので、日本側としてはいろんな場合に備えた検討をしておく必要があるということでございます。
  126. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、十七日のナポリの理事会でもし決まった場合には、それと同調するというのが政府態度なんですかね。
  127. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 基本的方向については同調するというのが政府態度でございます。
  128. 野間友一

    ○野間委員 関連して聞きますが、イランから非公式にわが国政府に対して、経済制裁を待ってほしいというような申し入れがあるやに私は聞いておりますが、その点についてまず確認を求めたいと思います。
  129. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本政府に対してはそういう働きかけはいまのところございません。
  130. 野間友一

    ○野間委員 じゃ、どこに、外務省に対して——まあ外務省というのは政府だと思うのですが、新聞報道でも非公式にその意向を打診したという報道もあります。これは外務省首脳が明らかにしたというような報道がありますけれども、このとおりだと思いますか、どうですか。
  131. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもにもはっきりわからないのでございますけれども、EC九カ国の議長国がいまイタリアでございまして、そのイタリアの大使がテヘランで先方と接触を持っておるわけでございまして、私どももまだ確認はできないのでございますけれども
  132. 野間友一

    ○野間委員 いや、イラン側から直接、恐らく外務省にだと思うのですが、非公式にそのような意向打診なり申し入れがあったと私はこの新聞報道で思っておるのですけれども、それは間違いですか、あったのですか。
  133. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 政府に対してのアプローチはございません。
  134. 野間友一

    ○野間委員 この前も私がここで質問をして、大使館の定員削減等々をお聞きしたときに、まだ決めていないと言いながらその夕刻発表するとか、いろいろ私は国会軽視、そういうようなことに遭遇しておるわけです。だから、国会は国権の最高機関ですから、本当に正確に事実をここで述べてもらわなければ国会の審議はできない、こう思うのです。  一応この制裁の問題について非公式に申し入れがあったということについては否定をされておりますのでこれ以上は聞きませんが、そうしますと、一次制裁と申しますか、従前からイランに対して、私どもは敵視政策と思っておりますが、制裁を課してきた。ところが、それが人質解放についての効果はなかった。それだけではありませんで、四月二十二日の決議、そして外務大臣は常日ごろ、この経済制裁というのは、アメリカを孤立化してはならぬ、アメリカもいろいろ焦っておる、したがってそのような軍事行動、直接行動に走らせないためだ、こういうようなことが一つの制裁の趣旨と言われておりました。また、このとった措置は平和解決へ道を開く、そういう道を見出すための努力である、こういうふうに言われたわけであります。  ところが、二十五日に突如としてあのような人質奪還と申しますか、救出作戦が行われた。こういう点から考えまして、政府は平和解決の糸口ということでいろいろとそれなりに考えられておるとは思うのですけれども、しかしながら、その期待を逆なでするような事態が実は起こったわけです。したがって、私は、ECと同調してアメリカの要請によってこのような制裁を仮に課したとしても、それはかえってアラブの心を失うだけだ、こういうふうに言わざるを得ないと思いますし、また平和解決になるかどうかということについては大変否定的に思っております。  そこで、第二次軍事制裁ということもその危険性が叫ばれておりますので、これらに関連して少しお聞きしたいと思いますが、まず、第一次と申しますか先日の人質救出作戦、これに対して日本政府外務大臣はどのような評価をされているのか、こういう点から聞かせてほしいと思います。
  135. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これにつきましては、カーター大統領及びアメリカ政府の方から、今回の行動は純粋に人質救出に目的の限定された人道的行為だ、作戦だというふうに発表いたしておるわけでございます。人質問題がすでに百八十日、半年に及びまして、これは明らかに国際法の違反でございますが、アメリカ大使館員が五十名、正確には五十三名でございますか、人質にとられておるということに対する国内の焦りとか一種の屈辱感といいますか、アメリカの国内にきわめて強いそういう感情が存在することも事実でございます。  そういうことの背景があったのかと思いますが、米政府の発表はいまのように人質救出に限定された行動であるということを申しておりますので、私どももそういうふうに受け取っておるわけでございます。
  136. 野間友一

    ○野間委員 アメリカはそう言っておるのはそのとおりですが、外務大臣として、このアメリカのとった行為をどう評価しておるのか、こういうことですね。四月二十六日の安保特の中でも見解が発表されておりますが、この場で、この点についての外務大臣評価をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  137. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 従来、私ども立場としても、人質問題の交渉による平和的解決を求めておるわけでございまして、今後ともその努力を強めていかなければならない。特に米国とイランの間の国交が断絶しておりますので、今回、この訪米の機会に私もニューヨークに国連のワルトハイム総長を訪ねまして、国連のこの問題に関する努力についてさらに要請をいたしたわけでございますが、ヨーロッパに今度参りましても、その点についてできるだけ各国の外相と話し合いをしてみたいと思っておるわけでございます。
  138. 野間友一

    ○野間委員 私の質問お答えいただきたいと思うのです。質問お答えになっていません。私が聞いておるのは、先日行ったアメリカの人質救出作戦、これにどういう評価をしておるのか、適切だと思っておるのかあるいはそうでないと思っておるのか、この点についてのお尋ねをしておるわけです。
  139. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本の友好国が非常にいまの人質問題で悩んでおるという状況のもとに行われた人質救出に限定された行動であるということでございますので、とやかくの批判は差し控えたいというのが私の立場でございます。
  140. 野間友一

    ○野間委員 とやかく批判を差し控えたいということは、それは適切でないということが含まれておるというふうに私は理解しますけれども、それでよろしいですか。
  141. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その点もとやかくの中に入りますので、私は意見表明を差し控えたいということでございます。
  142. 野間友一

    ○野間委員 やはりずばっと物を言うというのですか、大変遠慮してぼそぼそ物を言われるわけですけれども、はっきり物を言われた方がいいと思うのですよ。後でいろいろな記者会見であれこれ、ここで言わないことを言う、こういう悪い癖があるわけですけれども、特に安保特の中では外務大臣はこのように言っておられますね。「心情的には理解し得る面がある」、こういうふうに言っておられます。この言葉の意味について何回か問題になったと思いますけれども、この意味が一体どういう意味なのか。先ほど聞いております全面的に認めるのかあるいは適切であるということなのか、それともこの表現から見ましたら「心情的には理解し得る面がある」、何か非常に苦しいですね、そういう評価のように思いますけれども、いかがですか。
  143. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほども申しましたように、大使館が占領されて館員が人質になっておる。これを仮に日本の場合に当てはめて考えてみましても、これは日本国民としては相当強い感情を持つのではないかと思うわけでございまして、そういう意味で心情的には理解できる面があるという趣旨を申したわけでございます。
  144. 野間友一

    ○野間委員 これで余り押し問答してもあれですけれども、「理解し得る面がある」、理解し得る面もある、そうでない面もある、逆に考えますとこういうことになるわけですね。その同じ日の答弁の中で、最初は大変疑問に思った、こういう答弁をされておりますね。二十二日に、行かれてそして帰ってこられた。その直後、当委員会の中でも、先ほど申し上げたように、焦りとかいら立ち、あるいは孤立化、そういうようにさせてはならぬということで、ECと同調して何らかの措置をというふうに決めたんだということを言われた。その矢先に突如としてこういう行動が起こった。恐らく大変疑問に思ったというのは、そういうことを指して言われたと思いますけれども、そのとおりですね。
  145. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 当初は、カーター大統領説明の放送のある前の段階、たしかここの委員会でございましたか、審議の途中にそういう報道が届けられまして、その段階では確かに疑問に思ったわけでございますが、その後いろいろな米国政府態度等の説明もあったわけでございまして、それで理解し得る面もあるということで申しておったわけでございます。
  146. 野間友一

    ○野間委員 こういういろいろな一九五三年からの例のモサデク政権の打倒あるいはパーレビ国王の圧制、それとアメリカとの関係ということで、かなり古いそういう背景があるわけですね。メキシコの大統領もそういう趣旨のことを言っておられたということのようですけれども、したがって、この解決についてはやはり時間を十分かけて話し合いによる解決の糸口をつかむということが何より大事ではなかろうかというふうに思うわけです。逆に、それに対して余りにもせっかちな直接行動、これがとられるということになりますと、解決の可能性が失われる、これは当然だと思うのです。そういう点から考えまして、先日のこの行動はやはり適切でなかったということになるのではないでしょうか。
  147. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これはやはり今後根気強く国連あるいはECと日本との共同の努力、そういうものの成果を見ませんと、評価がなかなかむずかしい点だと思います。
  148. 野間友一

    ○野間委員 繰り返しますが、要するに時間をかけて話し合いの糸口をつかんでいく、だからせっかちな直接行動、これはやはり解決の可能性を失うというふうに私は思うのですけれども、そういう点から考えまして、まずその点、外務大臣、どのようにお考えになるのか、認識の点をお伺いしたいと思います。
  149. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その点に関しましては、総理が今度訪米の際、カーター大統領にも交渉による平和的手段で解決すべきだということを直接発言しておるわけでございます。
  150. 野間友一

    ○野間委員 総理はともかくとして、あなたにお聞きしておるわけです。あなたも同じようなふうに思っておるのと違うのでしょうか。こういう直接行動を実際やったわけですけれども、こういうことをやりますと逆に解決の糸口がなくなってしまうというふうにあなたは思っておるのと違いますか。
  151. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 それは今後の交渉による解決の進行状況を見ないと評価できない面がある。ただ、将来については、少なくとも平和的な手段、交渉による方法でいってほしい、いくべきだ。それは国連なりEC、日本、これも国際法に対する侵犯ということでは同じ被害を受けておるわけで、同じ問題に当面しておるわけでございますから、力を合わせて交渉による解決の道を探求するということであろうと思っています。
  152. 野間友一

    ○野間委員 私が先ほど申し上げた言葉は外務大臣みずからの言葉なんですね。これは四月二十六日にあなたが安保特で言っておられる言葉なんですね。私は、その点についてはそのとおりだと思うわけです。したがって、そのようなお考えからしますと、あのような直接の行動というものは許されない、そういう評価がされるのは当然であろう。大変アメリカに気がねして、心情的に理解できる面もあるというような表現をされますけれども、もっと本当に、友人であるならばなおさら、苦言を呈する、自由に物を言うというのが日本政府外務大臣立場ではないでしょうか。ですから、一般的なそういうことを言われながら、具体的な行動評価を聞きますと、いま申し上げたような、心情的に理解し得る面もあるというふうに、非常に言葉を濁される。こういうことでは私は困ると思うのですね。  そこで、続けますが、今後軍事行動をとるのかとらないのか、これは私も正確にはわからないわけですけれども、しかし、少なくともそういう危険性があるのは、これは事実だろうと思うのですね。  そこで、まず日本の、安保条約との関係でお聞きしますけれども、中東、特にイランのあの人質事件なり紛争、ここでもしアメリカ軍事行動をとった場合に、日本はどのような関係になるのか。加担できないというふうに私は思っておりますけれども、その点についてお聞きします。
  153. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 一口に軍事行動と言います場合のいろいろな対応があると思いますけれども、しかし、一般的に言って、軍事行動を行うことはあの地域に相当困難な情勢を生み出すだろうというふうに考えております。
  154. 野間友一

    ○野間委員 ちょっと意味が理解しにくいのですが、安保条約のたてまえからしても、中東で軍事行動を行った場合に日本はそれに加担できない、これは当然だろうと思うのですけれども、まずその点の確認なんです。——いや、大臣に聞いておるのだよ。
  155. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは日米炭保条約の範囲外になることだと思います。両国間の一般的な外交関係として考えるべき問題だと思います。
  156. 野間友一

    ○野間委員 ところで、五月八日の外務委員会、これはちょうど金子委員が、米軍が軍事行動をとった場合にどうするのかというような質問をいたしました。それに対して外務大臣は、「これは日米安保条約の考え方が両国間の関係に基本的にあるわけでございまして、その条約の趣旨に従ってまいるということかと思います。」こういうことを言っておるわけですね。  いま言われたように、中東、イランに安保条約は及ばない、当然であります。ところが、大臣は、五月八日には全くこれと相反する、つまり安保の適用の拡大になる、そういう答弁をされておるわけです。  そこで聞きますが、これは一体どういう意味なのか。「安保条約の趣旨に従ってまいる」これはどういうことになるわけですか。
  157. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私の趣旨は、たとえば日本の基地が使われて、その基地に泊まった艦船がまた他の地域に移動したような場合、その移動というような解釈とか、それから直接日本の基地を戦闘行為の発進基地にした場合、いろいろとこの委員会、国会でも従来から議論がございましたので、そういう問題との関連考える必要があるという趣旨で先日は申し上げたと思います。これも屡次申し上げておりますように、中東につきましては、安保条約の対象とする地域ではないということも従来から申し上げておるわけでございます。
  158. 野間友一

    ○野間委員 ですから、中東においてアメリカが仮に軍事行動をとった場合、日本はこれに加担するということは許されないわけですね。ところが、そういう質問に対して外務大臣は、「条約の趣旨に従ってまいる」、あなたの頭の中には常に安保条約があるのではないでしょうか。したがって、中東といいましてもこの安保条約がすぐに出てくる。これは本会議の中でもいろいろと追及がありましたように、安保条約というものはやはりアメリカの世界戦略の一環として常に拡大される、そういう方向で外務省がおられるということも、この点から明らかではなかろうかというふうに私は思っておるわけであります。  土井委員からもいろいろと追及がありましたけれども、昨今の外務大臣の発言を聞いておりますと、ますますエスカレートしていく。防衛力の強化について大変エスカレートされておる。こういう点についても、私は大変遺憾に思うわけであります。  時間がありませんので、最後にあと一つ問題を聞きますが、中業の問題ですね。これについて本会議での総理大臣の答えは、真剣に検討する、外務大臣は努力する、確かに総理大臣も検討するとは公式の答弁では言っておりますけれども、ブリーフィングの中では、先ほども外務大臣引用されましたように、当主的にその努力を続けていく、はっきり努力というのが書かれておるわけですね。しかもその前提としては中業がある。このことは高沢委員の四月二日の質問に対して、一年の短縮をブラウン氏が希望したということも言っておられるわけであります。  そこで、この努力と検討するというのは全然違うと思うのですけれども、あなたは総理との間には見解の不一致はない、こういうふうに言われました。重ねて私はその点についての答弁を求めます。
  159. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 総理は、われわれとしては従来より精いっぱい努力してきたところであるが、今後とも自主的にその努力を続けていくということを言っておるわけですが、同時に、何をしていくべきかを真剣に検討していきたいと同じくだりで言っておるわけでありまして、努力と検討と両方発言しておるわけでございます。  それから、ただいま野間委員が、私がいよいよエスカレートしているというような御批判がございましたが、私はあくまでもこの問題を冷静に考えて、やはり日本国民の将来の安全という問題を踏まえて冷静な判断をすべき問題だ。これは単に私どもだけじゃなくて、私どもの子供や孫にもかかわる安全の問題でございますので、この問題は余り感情的に取り組むことではなくて、冷静に諸般の情勢を踏まえて判断すべきでありますし、また日本の国民生活なり経済なり財政に及ぼす影響というものについて、その量的な影響というもの、どの程度の大きさのものかというようなことも、客観的に評価して考えてみるべきことじゃないかということを痛感しておるものですから、ときどき私の考えを申し述べておるわけでありまして、決して何でもかんでも防衛だというようなことは申し上げた覚えはございませんし、私自身の信念としても、日本の外交というのは国民の生活と安全を守る、国際的には平和と建設に寄与するというのが日本の外交の基本的役割りだということは、外務大臣の国会の初めの演説でも申しておりますし、こういう基本的な立場、あるいは平和憲法と自主、専守防衛という枠を踏み越えるべきでないということも繰り返して申しておるわけでございますので、その点御了承願いたいと思います。
  160. 野間友一

    ○野間委員 私はそう思いません。アメリカに対しては非常に慎み深い、そういう評価なり発言をされる。ところが、国内では大変なエスカレートした発言、考え方を述べられる。その点については大臣が弁解されても、私は納得できるものではありません。  時間がありませんので最後にお聞きしますけれども、努力するというのはいままでの経過を踏まえて、このブリーフィングにありますけれども、精いっぱい努力してきたというのは前向きに肯定して仕事を進めてきたということになるわけですね。したがって、今度のその努力を続けていくということについても、これまた中期業務見積もりの一年短縮の希望という表現をされておりますけれども、これを念頭にしてさらに肯定的にこれを続けていく、こういうことになるわけでしょう。
  161. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 中業の問題、先ほども繰り返し申し上げましたように、カーター大統領総理の間で中業という特定名前を挙げての話し合いはなかったわけでございますし、またそれをたとえば一年繰り上げてという形の具体的な話もなかったわけでございます。政府の中にある計画の早期達成ができればアジアの平和と安定にとって望ましいことだという趣旨の話は出たわけでございますので、そういうことで具体的な幅のある問題でございまして、その幅の中でどこにおさまるかはこれからの日本国民の判断、いろいろな財政、国際情勢等の総合的な判断の中で決まっていく性質のもので、どの程度やるということの約束は総理はされておらないわけでございます。
  162. 野間友一

    ○野間委員 大変恐縮ですけれども、そう言われますともう一言確認しておかなければいかぬと思うのですが、先ほど申し上げたように、高沢委員の四月二日の質問に対しましてこういう表現をされておりますね。中期防衛計画、これを一年繰り上げてくれ、これがブラウン氏の希望であった、最初は抽象的な話であったけれども、具体的に聞くとそういうことであった。そして語を継いで、着実かつ顕著というのはこれかな、中期業務見積もりを指しておるのかな、こう自分は認識した、こういう答弁をされておるわけですね。  昨年の八月に山下防衛庁長官がこの中業をアメリカ説明を渡し、そして一月にブラウン氏が来た。三月に外務大臣が行かれて、そしてそのようなやりとりがあった。そういうものを下敷きにしてのこの五月一日の首脳会談、こういうことでしょう。したがって、総理にしてもあなたにしても、当然に中業がこの政府部内ですでにある計画、これの中身だということは認識されての応答であった、これは当然だろうと思いますけれども、そうじゃありませんか。
  163. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 中業ということは、先ほど申しましたように会談の中に出なかったのでございますが、先般この委員会でもお答えいたしましたように、私としてはその両者の関係があるだろうと想像したという意味の答弁をいたしたと思います。
  164. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので、残念ですが、あとまた別の機会にひとつこれらの点について質問したいと思います。  終わります。
  165. 志賀節

  166. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっと一言確認をさせていただきたいことがございます。  私がきょう質問させていただいて、終わりましてから後、大来外務大臣が一言御発言をされました。その中で、これは速記に従って申し上げますと、「たとえばいまお挙げになった中で防衛力のフリーハンドと言われたわけでございますが、そういう報道があったかどうか知りませんが、私としては絶対にそういう発言はしておりません。」とおっしゃったのですが、私は防衛力のフリーハンドと申し上げてはいないのです。防衛力のフリーハンドとは言ってないのです。私の発言は、「四つ目に、フリーハンドを得るために防衛費を増額する必要があるとおっしゃっている。」と言っているんで、このフリーハンドというのは、外交のフリーハンドを得るために防衛費を増額する必要があるというふうな趣旨のことをおっしゃっているという意味で私は申し上げている。ですから、外務大臣の後で一言おっしゃったことというのは誤解をなすっていらっしゃるのじゃないか。このことをひとつはっきり確認をさせていただきたい、事が大きいですから。私は断じて外務大臣のおっしゃったようなことを申し上げているわけじゃないのです。
  167. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私の記憶では、防衛に対する自国民の努力というものがやはり自主外交の一つの要素になるだろう、中身については先ほど来いろいろ申したわけでございますが、いずれにしても外交のフリーハンドを得る、フリ一ハンドという言葉を使った記憶は全然私にはございませんので、自主外交ということは申しましたけれどもフリーハンドということは全然申しておりません。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、この防衛力のフリ一ハンドというふうに外務大臣が御理解になって、そして後で一言おっしゃっているということについて、防衛力のフリーハンドと外交のフリーハンドを得るため防衛費をふやすということは、これは意味が全然違うんで、だから私の言っていることを間違って外務大臣がおっしゃったということについて確認をさせていただきますと私は申し上げているのです。よろしゅうございますか。
  169. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 もし私がそういう発言をしましたのであれば、防衛のフリーハンドということでないということであれば、私の聞き違いがあったと思います。ただ、外交のフリーハンドにしましても、フリーハンドという言葉は私は全然使っておりませんので、自主外交ということは申しましたけれども……。その点は申し上げたいと思います。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 自主外交とフリーハンドというのがどういうことになるかというのもさらにこれははっきりさせておかなければならない問題になってくるのですが、フリーハンドなき自主外交なんてそれこそありはしないので、自主外交であればあるほどフリーハンドを持った外交でなければならない、そういう関連に実はなると思うのですよ。  だからその辺は、その言葉を使っている使ってない、こういう論争のことに縮小され、矮小化されてしまいますと、私は問題の本意というものがそがれるような感じもいたしますので、実はそれはちょっと、そういう言葉のあやだけを取り上げて私は問題にしているわけじゃないということもひとつしっかり御理解をいただきまして、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。よろしゅうございますか。
  171. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その点は私も了承いたしまして、実は、あくまでもそのフリーハンドという言葉の意味がひとり歩きをしないようにお願いをしたいということでございます。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 まあ次から次へと、言えば言うほど何だか弁解がましく大臣がおっしゃる。だから問題がいろいろ起こるのですよ。やはり……(「土井さんの発言に対する訂正だから、訂正をすればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)そうそう。だから先ほどの分をひとつはっきり訂正をさせていただくということで、これは大臣、それは間違ったということはお認めいただけますね。私の発言に対して違うことをお答えになっているのです。よろしゅうございますね。
  173. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 防衛のフリーハンドということに私がとったことは間違いだと……。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 はい。  終わります。
  175. 志賀節

    志賀委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会