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1980-05-09 第91回国会 衆議院 外務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月九日(金曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君    理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君       石原慎太郎君    越智 通雄君       鹿野 道彦君    鯨岡 兵輔君       栗原 祐幸君    小坂善太郎君       佐藤 一郎君    東家 嘉幸君       中山 正暉君    渡辺 秀央君       岡田 利春君    武藤 山治君       浅井 美幸君    玉城 栄一君       榊  利夫君    四ツ谷光子君       林  保夫君    田島  衞君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大来佐武郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房審議官   高岡 敬展君         科学技術庁原子         力安全局次長  宮本 二郎君         外務政務次官  松本 十郎君         外務大臣官房審         議官      山田 中正君         外務省条約局長 伊達 宗起君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   原  健彦君         外務大臣官房審         議官      矢田部厚彦君         外務大臣官房審         議官      井口 武夫君         外務大臣官房審 関  栄次君         運輸大臣官房環         境課長     高島  等君         海上保安庁水路         部長      庄司大太郎君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   木村 俊夫君     鹿野 道彦君   中川 一郎君     渡辺 秀央君   宮澤 喜一君     越智 通雄君   金子 満広君     四ツ谷光子君   山口 敏夫君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     宮澤 喜一君   鹿野 道彦君     木村 俊夫君   渡辺 秀央君     中川 一郎君   四ツ谷光子君     金子 満広君   田島  衞君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  原子力平和的利用における協力のための日本  国政府とカナダ政府との間の協定改正する議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  一三号)(参議院送付)  廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止  に関する条約締結について承認を求めるの件  (条約第一四号)(参議院送付)  廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止  に関する条約紛争解決に関する改正受諾  について承認を求めるの件(条約第一五号)(  参議院送付)  CANDU炉の導入に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府カナダ政府との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約締結について承認を求めるの件及び廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約紛争解決に関する改正受諾について承認を求めるの件、三件を議題といたします。  この際、昨八日の本委員会における渡部委員質疑に対する答弁につき補足いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。矢田部審議官
  3. 矢田部厚彦

    矢田部説明員 昨日の、改正後の協定第七条(a)の(i)、(ii)、(iii)に関する渡部委員からの御質問に対しまして私の御説明が十分でなかった点につきまして、深くおわびを申し上げます。  昨日の委員会終了後、先生御指摘の点を十分熟慮いたしました上で、次のように補足させていただきたいと存じます。  改正後の協定第七条(a)の(i)、(ii)及び(iii)に掲げられている、協議の後に供給国政府が指定する諸設備というものについては、この協議カナダ側の一方的な主張に終始し、わが国承認しないものを一方的に押しつけられるということを意図されたものではございませんで、この点についての解釈カナダ政府にも確認済みでございます。  以上、補足させていただきます。
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。野間友一君。
  5. 野間友一

    野間委員 おはようございます。  昨日に続きまして、海洋汚染防止条約、いわゆるロンドン条約について質疑を続行したいと思います。  海洋汚染防止を考えるとき、放射能汚染防止することが核軍拡が進行している今日ではますます重要な課題となってきていると私は考えるわけですが、主として外務大臣政治姿勢中心質問したいと思うのです。  まず、原子力船運航によって生ずる廃棄物投棄すること、これはこのロンドン条約では対象外となっておると思うのですけれども、これについて外務大臣所見をお伺いしたいと思います。
  6. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 このロンドン条約におきまして、他国の主権の及ばないことが国際法によって認められている船舶には、この条約がただいまお話しのように適用されないことになっておるわけでございますが、こういう船舶の中には軍艦が含まれておるわけでございます。また、船舶通常運用に伴って生ずる廃棄物その他の物を海洋に処分することについてはこの条約適用除外となっておりまして、原子力船通常運用に伴うこのような処分についてもこの条約適用されないということになっておるわけでございます。
  7. 野間友一

    野間委員 それに関する所見をお伺いしたいということです。
  8. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは各国の間での条約でございますから、現実の情勢に応じてただいま申し上げましたような解釈になっておると了解しております。まあ、そういう意味ではやむを得ないと申しますか、国際的な一般的な了解がこのような形になっておるというふうに考えるわけでございます。
  9. 野間友一

    野間委員 わが国の場合は特に水産資源に依拠する度合いが非常に高いということ等も考え合わせますと、この海洋汚染防止を考えるときに、放射能汚染の除去というものを特に考える必要があるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。これについて重ねて外務大臣答弁をひとついただきたいと思います。
  10. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本海洋国でございますが、ただ、放射能が出る場合というのは、やはり軍艦潜水艦等を含めての場合が主であって、一般的な船舶から放射能が出るということは余り考えられないのではないかと思うわけでございます。
  11. 野間友一

    野間委員 だから、軍艦とか原子力潜水艦も含めてですが、こういうものによる放射能汚染、これについての何らかの規制が国際的にも必要じゃなかろうかという観点から、私は質問をしておるわけです。  続けますけれども、これまでの海洋放射能汚染は、核兵器実験からくるものが原因であったわけですが、今後は原子力推進船から海洋投棄する汚染物質にも注目していかなければならぬ時期に来ておるというふうに私は思うわけですね。ですから、条約の中には対象外となっておりますけれども、こういうような点についても国際的にも規制するような方向検討する必要があるのじゃないか。特に日本の場合にはただ一つ被爆国ですね。私たちは大変に放射能についての被害を受けております。したがって、そういう点からのアプローチを特に日本政府としてはとる必要があるのじゃないか、こういうことを私は考えるわけです。いかがでしょう。
  12. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 本条約につきましてはただいま説明申し上げたとおりでございますが、今後の問題としての検討課題として考えさせていただきたいと思います。
  13. 野間友一

    野間委員 検討課題としてというお答えですが、そこで、運輸省かどこか適当な所管で答えていただいたらいいのですけれども、現在世界運航されておる原子力船は一体どのくらいあるのか。隻数ですね。原潜あるいは軍艦あるいは商船も含めてですが、ひとつお答えいただきたいと思うのです。
  14. 高岡敬展

    高岡政府委員 原子力推進に使っております船舶といたしましては、ただいま御指摘ございましたように原子力潜水艦その他原子力軍艦が大多数でございますが、これの隻数その他については必ずしも正確に私どもは把握できておりませんけれども、一般に報道されておりますのは、米、ソ、英、仏など合わせまして大体三百隻程度が就航しておるのではないかと言われております。  それから原子力商船につきましては、ソ連におきましてレーニン号ほか二隻、合計三隻の原子力砕氷船運航をしております。それからアメリカサバンナ号というのを建造いたしまして運航しておりましたが、昭和四十五年に運航を中止しております。それから同じく西ドイツが鉱石運搬船オット・ハーン号というのを運航しておりましたけれども、これも五十四年、昨年運航を中止しております。  そんなところでございます。
  15. 野間友一

    野間委員 いま三百隻という話がありましたけれども、これは今後増加していく傾向にあることは事実だと思うのです。  そこで、ちょっと調べてみますと、原子力船からは使用済みイオン交換樹脂が大体六カ月ないしは九カ月ごとぐらいに海洋投棄されるというような性格のものだというように聞いておりますけれども、この点については間違いがないと思いますが、確認を求めたいと思います。
  16. 高岡敬展

    高岡政府委員 ただいまの点は私の所管外でございますが、一般的な問題としてお答えいたしますと、商船につきましては運航中にイオン交換樹脂その他の放射性を持った物質海洋投棄するというたてまえはとっておらないというふうに了解しております。
  17. 野間友一

    野間委員 アメリカ原子力委員会、それらの報告を見ますと、半年ないしは九カ月ごとぐらいに投棄しておるという報告があるわけですね。  そこで、三宅泰雄博士、この方が「核兵器放射能」という本をお書きになっております。これは一九六七年に発表した論文ですが、これを読んでみますと、原子力船から放射性イオン交換樹脂が海に捨てられるときの海洋汚染についてこういうように言っておられます。「今後三〇年ぐらいで、原子力運航する船はだいたい五〇〇隻ぐらいになるとみられている。」いまは三百隻ということですから、これよりさらにふえるかもわかりませんね。五百隻の船、その大部分は軍艦とかあるいは潜水艦でありますが、これが「半年か九カ月に一回放射性廃棄物を捨てるとしたとき、たとえば深さ一〇メートルで、面積一〇平方キロから一〇〇平方キロぐらいの海域のなかで最大許容量をこえるような放射性スポットがいくつぐらいできるだろうか」ということをこの方は計算されました。「その結果は、一年間に海の全体で、数千ぐらいの放射性スポットができる。そのような海域にたまたま魚がすんでいたり、あるいはそこを通りすぎるときに、イオン交換樹脂の粒をそのまま食べてしまう危険性は皆無とはいえない。」こういう論文を発表されております。しかもサバとかアジなどはこのイオン交換樹脂の小粒を好んで食べるというものですから、魚肉を主要なたん白源一つとしておる日本国民だけではなしに、世界的に重要な問題であることは間違いないと思うのです。  そこで、外務大臣にお聞きしますが、このような問題の根本問題は原子力船からの放射性廃棄物投棄をやはり国際的に規制しなければならぬ、こういうことが出てくると思うのです、先ほど、今後の検討課題だというふうに外務大臣は述べられました。同時に、軍艦とか潜水艦、これらは治外法権とかあるいは主権というようなことで規制対象外としておるわけで、そういうような状態をずっと放置しておりましたら、軍事優先のために海洋汚染の海としてしまう危険は十分あると思うのです。  したがって、先ほども申し上げたわけですが、ただ一つ被爆国である日本政府が、この規制の面でも積極的に提起する、訴える、そして大きな役割りを果たして投棄規制するというようなイニシアをとる必要がある、とるべきだと私は考えるのですけれども、再度その点についてひとつ外務大臣姿勢をお聞きしたいと思うのです。
  18. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの御指摘のような点、これからの海洋保全汚染防止ということから見ても一つの重要な課題かと存じますので、全般的な検討をさせていただきたいと思います。
  19. 野間友一

    野間委員 これは科学技術庁所管でしょうかね、核実験が行われていた時期には海洋汚染調査をやっておりましたが、現在もこれは続けておるのかどうか。
  20. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 お答え申し上げます。  放射能に関します海域調査につきましては、昭和二十九年の第五福竜丸の事件を契機といたしまして、昭和三十二年度から海洋放射能調査費というものをとりまして実施いたしております。さらに、昭和三十六年の北極圏の核実験フォールアウトの問題からさらにこれを強化いたしまして現在まで実施いたしておるわけでございます。  実施機関といたしましては、気象庁気象研究所、それから海上保安庁、それから放射線医学総合研究所、それから水産庁、こういうところで実施いたしておりまして、この調査結果によりますると、海洋中の放射能核実験影響によって変動はございますが、長期的にはずっと減少傾向に現在のところはございます。
  21. 野間友一

    野間委員 核実験についての汚染調査はされておったというふうに私も理解しておりますけれども、先ほども申し上げたように、原子力船汚染が、いま三百隻という大体推定の答弁がありましたけれども、これが今後ふえるということは明らかな事実なんですね。したがって、核実験による汚染だけではなしに、系統的、継続的にこのような原子力船海洋汚染ということについても調査をしなければだめだというような点からのお伺いなんですがね。
  22. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 原子力潜水艦調査につきましては、わが国寄港地につきましてはその前後について、それから、その比較対象として継続的に平常時もやっておるわけでございますが、その他の一般の水域につきましては、核実験によりますフォールアウトの問題となかなか区別がつきかねましょうし、全般的にフォールアウト対象にして定期的に日本の近海の海洋をずっと調査をしていく、当面のところ、これ以上ちょっと潜水艦廃棄物だけを目標にした一般海域での調査というのは非常にむずかしい状況ではないかと思います。
  23. 野間友一

    野間委員 確かに区別と申しますか、それは非常にむずかしい面が技術的にあると思います。ただ、私、申し上げておるのは、単なる核実験によるフォールアウトだけではなしに、今後ともこういうことが非常に深刻になるという可能性が非常に強いという中で、それも含めて継続したそういう汚染調査をやる体制、やる必要があるという点からの質問なんですがね。
  24. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 広範囲にわたります海洋関係いたしますこれら諸機関海洋におきます放射能調査、これにつきましては今後とも継続をして実行していくつもりでございます。
  25. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたので終わりますけれども、重ねて大臣に、時間が大変短い関係ではしょったお尋ねになりましたけれども、かなり言葉では——言葉と申しますか、非常に短い時間での質問でありましたけれども、今後ますます深刻になっていくこのような汚染について、本当に国際的にも日本が主導的にこれの汚染規制していくという点から、外務省としても各省庁と連絡しながら、協力しながら十分検討をされまして、世界に対して物を言うという姿勢を私はぜひとっていただきたい。重ねてこの点についての姿勢をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  26. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの御指摘の点につきましては、世界全体の海洋汚染防止という見地からも十分検討をさしていただきたいと思います。それで、その結果に基づいて、必要な場合には御指摘のような方向で国際的な面での働きかけも考えてみたいと思います。
  27. 野間友一

    野間委員 終わります。
  28. 中尾栄一

  29. 林保夫

    ○林(保)委員 昨日に引き続きまして、大臣から御所信を承っておきたい点がありますので、質問させていただきます。  これは事務当局からお答えいただいて結構でございますが、日加原子力協定と関連いたしまして、日米原子力協定改定交渉があるやに聞いておりますが、どのように進展しておりますでしょうか。日本から提起しなければならぬ問題もあるかと思います。その二点をまず承りたいと思います。
  30. 矢田部厚彦

    矢田部説明員 現行日米原子力協定改正につきましては、昨年米側から協議の要請がございまして、それを受けまして、米側がどういう点を改正を希望しておるかというようなことを中心に、昨年一回予備的な会合を持ったことでございます。  以上でございます。
  31. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一点についてはいかがですか。日本側で提起しなければならない問題、ないはずはないと思いますが……。
  32. 矢田部厚彦

    矢田部説明員 わが国といたしましては、日米原子力協定に基づいて日米間の原子力分野における必要な協力を確保してまいりたいと考えておりますが、その観点からいたしまして、わが国立場から現在のところ現行協定改正を求めなければならないという点は、さしあたりございません。
  33. 林保夫

    ○林(保)委員 幾ら聞いても仕方ありませんけれども、だったらやらなければいいんじゃないかという感じもいたしますが、それを踏まえまして、今回の私ども審議さしていただきました日加原子力協定は、昨日の御答弁にもございましたけれども、第三国に対する供給国事前同意権、これらを含めまして、五つも六つも大変片務的であり、不平等である。これは核燃料供給国規制権だ、こういうことでございまして、ある程度許容しなければならぬかと思います。しかしなお、このことによって大変大きな制約を受け、わが国原子力平和利用に大きな影響を及ぼすんじゃないかという懸念を払拭し切れないと思います。  大臣、この点についてどのようにお考えでございますか、簡単で結構でございますが、率直に御所信を承りたいと思います。
  34. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 核燃料供給国がある程度限られておりまして、核燃料が危険な用途に使われるということを防ぎたい、またそういう条件を受け入れなければ核燃料供給が行われないという状況に置かれておるわけでございまして、この点はできるだけ核燃料輸入国立場を不当に不利にしないように、特に科学技術庁研究等制約がかからないように相手国との話し合いを十分詰めていくことは重要だと思いますが、一方におきまして、核燃料輸出国立場からする考え方についてもある程度の協調を図っていかないと、燃料が手に入らないということでございますので、十分いまのような点を詰めながら話し合いを決めていくことが必要だろうかと思います。
  35. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一つ、ある程度の協調をしながらやっていく、これは日本立場上原料がないわけですからやむを得ないと思います。また技術も不十分だという点、私ども同意できる点でございますが、民間技術発展段階、可能な段階、これと合わせまして、日米ばかりじゃございません、ほかの協定についても、外交方針としてどのような展望を持たれて、そしてどういう外交努力をなされるか、一言で結構ですから、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  36. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 やはりただいまも申し上げましたような、日本における科学技術研究あるいはその経済的な適用についての障害にならないように、各国との協定を結ぶ場合に十分考慮してまいるということ、それから、こういう科学技術研究は新しい日進月歩の分野でもございますし、その適用という分野もそうでございますから、適当な機会にレビューをすることも必要ではないかと考えるわけでございます。
  37. 林保夫

    ○林(保)委員 海洋投棄規制条約に関連いたしまして、昨日も、海洋国日本だから、この条約第八条にある「この条約に適合する地域的取極を締結するよう努める。」このように書いてあり、現にバルト海、地中海、ペルシャ湾、大西洋ではすでにこういう取り決めができている。アジアではできていないのじゃないか。これに関連いたしまして松本政務次官の御決意を承り、前向きの姿勢である、このようなことで理解したのでございますが、原則に立ち返りますと、なお日本はどう考えても四つの島が海に囲まれておる。海洋汚染防止ばかりでなく、海洋開発そのほかについても日本アジアにおいて指導的な立場をとるべき立場にあると思います。昨日のこの松本政務次官の御決意を含めまして、海洋問題についてこれからの外交方針がどのような展開をされるか、大臣の御決意を最後に承っておきたいと思います。
  38. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 御指摘のように日本は代表的な海洋国でございますし、しかも、アジアに位置しておるわけでございますので、海洋全般の問題について十分な関心を持たなければならない。特にアジア地域海洋について大きな関心を持つ必要があると私も感じます。海洋法審議等を通じて、日本側も積極的に参加しておるわけでございますけれども、今後とも海洋問題については一層努力をしてまいりたいと存じます。
  39. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がございませんので、これで質問を終わりますが、科学技術対策特別委員会科学技術庁長官海洋開発基本法制定の問題を聞きましたところ、外務省との関係もある、運輸省との関係もある、そのほか各省庁との関係がある……。政府一体として、対策が大変おくれているように考えられます。この機会外務大臣にもひとつそのことをぜひ御考慮に置かれまして、環境外交推進されると同時に、またそういった広い視野からの海洋問題について取り組まれますよう御要望いたしまして、本日の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  40. 中尾栄一

  41. 土井たか子

    土井委員 まず私は、きょう質問に入ります前に、外務省審議に臨む態度について、まことに不信の念をぬぐうことができませんから、一言、このことについてきっぱりと申し上げたいと思うのです。  昨日の質問答弁について、国会の席ではなく、その夕刻において新聞紙上で、あたかも国会答弁を変更するような向きにとられるような言辞外務省首脳筋がおやりになったという事実があるようであります。こういうことをまず申し上げておいて、政務次官、昨日の御答弁についての御変更はございませんね。御答弁どおりにいまでも御答弁なさいますね、同じような質問があれば。
  42. 松本十郎

    松本(十)政府委員 昨日のとおりでございます。
  43. 土井たか子

    土井委員 これについてとやかく外務省筋——私は、だれが首脳筋であり、外務省筋であるのかよくわかりませんけれども、注釈を加えて、あたかもその政務次官答弁というのとは違うような外務省見解、それをひっくり返すような外務省見解と理解できるような言辞を弄した人がある。これは国会軽視もはなはだしいですよ。一新聞紙上で言う外務省筋というのは一体だれですか、外務省首脳というのはだれですか、はっきり名乗り出てください。これは責任ありますよ。この席ではっきり名乗り出てください。
  44. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 きょうの新聞の記事についての御指摘かと思いますけれども、外務省として十分調査いたしたいと思います。
  45. 土井たか子

    土井委員 外務省として調査いたしたいと思いますというので、それで済むような問題では実はないのですよ。毎回外務省というのはこういうたちがあるので、私たち国会のこの席で質問をして、その答弁を聞いた後で答弁が変更されるようなことを国会外でおやりになるという癖がある。  これは単に不愉快という問題で済みません。国会に対しての認識を外務省としてはどのようにお持ちになっているかということを、改めて外務大臣からひとつお答えいただきたい。
  46. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 昨日の問題につきましては、政務次官答弁を修正するという意図はございません。事務当局にないわけでございます。国会での御討議につきましては、最も重要な審議の場でございますし、ここでの答弁につきましては責任を当然負わなければならないわけでございます。  ただ、現実問題として、かなり専門的な問題になるようなことで即座に御答弁をした場合に、その答弁についてさらに検討を要するような場合が出てこないとは限らない。私ども人間でございまして、その場で直ちに一〇〇%の答弁ができないような場合もあるかと思いますが、そういう場合はできるだけ国会を通じて訂正さしていただきたい、そういうふうに考えます。
  47. 土井たか子

    土井委員 その、できるだけとおっしゃるところが実はまことに不徹底でありまして、よく安易に国会外でこのことを訂正すればそれで後は知らぬ顔。国会に対してそれはもう報告もなさらなければ、後、訂正ということを答弁の形式を通じてなさるということもないというふうな過去の例も、挙げれば幾らだって挙げることができます。したがいまして、この点は厳重に大臣としては外務省に対してひとつはっきりさせていただく、よろしゅうございますか。
  48. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 御趣旨よくわかります。  一つだけ申し上げますれば、場合によると報道が不正確な場合もあるわけでございますので、その点についても御了承を願いたいと思います。
  49. 土井たか子

    土井委員 特に、外務大臣を初め外務省首脳筋というのは、新聞記者の方々との間でいろいろ懇談の場も多いです、他省に比べまして。ブリーフィングというのもあります。したがって、その席を通じて国会答弁と矛盾するような発表をなさるというふうな場合も間々あるようでもありますし、また、国会でさらにその新聞紙上書かれたことを問題にしながら取り上げますと、紙上書かれていることとは違った御答弁を平然となさるような場合もあったりいたしますので、こういう点を考えますと、他省に比べるとよほど新聞社と接触なさるという機会が多いだけに、ひとつこのことに対しては十分なる留意を喚起したいと思うのです。よろしゅうございますか。
  50. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまのような点につきましては今後も十分注意してまいりたいと考えております。
  51. 土井たか子

    土井委員 まことに私としては不快であり、不信の念をぬぐえませんが、条約審議について、あと余されました時間をフルにひとつ審議を進めたいと思うのです。  昨日から、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約についての審議をしてまいりましたが、海洋汚染というのはさまざまな原因によって起こり得るのですね。何も廃棄物投棄だけではなくて、都市集中に伴う都市下水、それから大規模化していく特に臨海工業地帯などから流される工場の排水など、陸面に接近している汚染も含めて考えていかなければならないという問題があるだろうと思うのです。しかし、海洋汚染問題というのは、私たちが現在持っている知識から考えましても、なかなかこの汚染を取り締まるということはむずかしい。公害対策の問題でも、空気よりも難物は水だというふうに言われています。そういうことからすると、乏しい知識をしぼって、いろいろな直面している対策を立てなければいけない、長期にわたる対策を講じなければならない、そういうことがあると思うのです。  そこで問題にしたいのは、やはり環境庁を初め、こういうことに取り組まれるいろいろな学術面での真剣な研究というのが進められていると思うのですが、政府としては海洋汚染問題に対してどのように現状は取り組んでおられるか、またこれから取り組むという計画をお持ちになっていらっしゃるか、どうですか。
  52. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、海洋汚染の原因といたしましては、単に船舶からの排出される油とか廃棄物によるものと、ほかに、陸域からのもの、河川を通します、あるいは直接海域に流出いたします汚染物、そういったものによりまして汚染が進むことがあるわけでございます。  私ども、当然のことながら、陸上にございます施設あるいは家庭の排水等につきましては、下水道の整備あるいは屎尿処理施設の整備等を進めまして、あるいは工場、事業場の排水等の規制を進めまして、できるだけそういった負荷の少なくなるように努めておるところでございますが、また船舶から排出されます油あるいは廃棄物につきましても、この条約に従いまして、法令に即し規制をしてまいるということに考えておるわけでございます。  海洋汚染に関します知識等が乏しいではないかということで先生の御指摘でございますが、私どもも従来から、海洋汚染がまずはどの程度進んでおるのかということで調査を進めております。五十年から日本近海海洋汚染実態調査ということで、これは五測線、四十六測点、わずかな金額、一億円近くの金額でございますが、たとえばCODにつきまして、あるいは水銀、砒素、鉛、カドミウム、PCB、炭化水素、そういった重金属等によります汚染につきまして、かなり精密な調査を進めておるところでございます。  こういった調査におきますと、現在のところわが国の近海の汚染度というのはまだまだ、海水中に自然に存在しておりますこれら重金属の濃度につきまして、特に問題となるような値になっていない、また汚染は問題にならないというふうに考えられております。
  53. 土井たか子

    土井委員 何かよくわからないようなことを終わりの方はおっしゃっていたようですが、少しその点を確かめていったら、大分問題点があるようですね。  第一回の人間環境会議で、国際海洋環境汚染モニタリングが決議されています。これをユネスコの政府間海洋委員会に託して、研究と、さらに実施に推し進めるということになったということを聞き及んでおるのですが、この点は事実なんですか、どうですか。そして、日本としてはどのような態度で臨んでいらっしゃいますか。
  54. 関栄次

    ○関説明員 先生がただいまおっしゃいましたように、ユネスコでどのような作業が行われておりますか、私ちょっといま存じておりませんので、後ほどまた調べてお答えさせていただきたいと思いますが、国連環境計画におきまして、将来の地球全体を規模といたします環境政策を立案するための基礎的なデータを収集するという目的で、もろもろの環境体系の相互関係、それから環境と汚染の原因の関係などを究明しようというような作業が現在行われておりまして、その中で海洋汚染防止のためのモニタリングということが取り上げられて検討されております。  それから、現在、UNEP、国際連合環境計画におきましては、地中海での汚染防止計画というものが取り上げられておりますが、その中でもモニタリングが検討されているわけでございまして、他方また、汚染事故との関連におきましては、UNEPが年に二、三回環境法の専門家会合を行っておりますけれども、これらの会合におきましても、この海洋モニタリングの問題が取り上げられて検討されております。  外務省といたしましては、このような国際連合におきますいろいろな計画には、専門家の派遣あるいは会議への積極的な参加で、前向きな協力を行っております。
  55. 土井たか子

    土井委員 外務省として外に向かっては積極的な働きかけというのは、それは結構なんですが、現在、わが国の周辺海域について、わが国自身が持っているモニタリング組織というのがすでにあると思いますが、これはどういうことになっていますか。
  56. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  わが国の近海の海洋のそういったモニタリングにつきましては、私ども環境庁としても行っておりますけれども、また海上保安庁運輸省関係でもいたしております。かようにそのモニタリングは各省庁調整いたしまして、協力いたしまして、わが国の近海の汚染状況を調べておるということでございます。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような、五十四年度から四十六測点でございますが、日本近海海洋汚染実態調査ということで、十七項目ほどの項目につきまして調査をいたしておるところでございます。
  57. 土井たか子

    土井委員 それを国際的に考えていくと、海洋国日本としては決してこのモニタリング組織というのはまだりっぱなものとは言えない段階だと私は思うのですが、これを今後拡大していくという予定があるのですか、どうなんですか。
  58. 原健彦

    ○原説明員 私ども環境庁といたしましては、先ほど申しました海洋投棄区域、これは、今度御審議いただいておりますダンピング条約に基づきまして廃棄物を捨てる地域がございますが、そういった地域の汚染を主として調べておりますので、そういった国際的なといいますか、大洋全体に至りますところまでは含まれていないわけでございます。こういった面につきましては、他の省庁とも協力いたしまして、たとえば黒潮の関係でございますとか、そういった面も含めまして進めてまいろうと考えておるところでございます。
  59. 土井たか子

    土井委員 他の省庁と環境庁はおっしゃいますが、それでは、黒潮の関係なども含めてとおっしゃっているいまのモニタリング調査について、恐らくは運輸省海上保安庁、気象庁、水産庁、全部関係するのでしょうか、どこが一番の担当省庁になるのですか、そして主務大臣はだれになるのですか。
  60. 庄司大太郎

    ○庄司説明員 海上保安庁といたしましては、昭和四十五年に海洋汚染防止法ができましたときから、おもに外洋の汚染のモニタリングを手がけております。それでいろいろ続けておりますけれども、何しろ海が広うございまして、なかなか十分なことはできません。それで、いままでのところでは、大体年に一航海ないし二航海で、一般的な調査をいたしますと同時に、いわゆる産業廃棄物投棄海域というのは決まっておりますが、そこのモニタリングも兼ねてやっております。  それから、先ほどちょっと御質問が出ましたIOC、政府間海洋委員会関係のことも一応関係しておりまして、その政府間海洋委員会関係では、おもに油のモニタリングを一緒に世界的にやろうということで一応やっておりますけれども、その計画は現在まで、パイロット計画ということで、試験的にやろうということでやっております。ですがなかなかチータは——私のところばかりでなく、気象庁やあるいは一般商船一般タンカーからも、油の汚染状況を調べております。将来はこれをさらに拡充したいということでIOCでも議論しておりますけれども、実際的にはまだ具体的な計画までは進んでおりません。
  61. 土井たか子

    土井委員 なかなかいま私が御質問したことにお答えになった御答弁ではないのですが、海上保安庁としては苦労されているという点はいまの御答弁でにじんでおりますから、それはそれとして了としましょう。  ただ、これは申し上げると、モニタリング組織というのはわが国の場合本当に微々たるものであって、そして海洋国として世界に出ていった場合に一体この程度でいいのかどうかということになってきたら、なかなか恥ずかしいような程度にしかまだすぎないということが一言で言ったら言えるんじゃないかと思いますね。  例の国際環境会議には外務大臣は当時御出席でもございましたし、あの席で意のあるところを外務大臣も御発言になっております。日本として、いま私が取り上げて問題にいたしておりますモニタリング組織というものは、いまのままであっていいはずはないと恐らく外務大臣も御見解をお持ちだろうと思いますが、現状についてどういうふうに外務大臣はお考えになっているか、そして今後こういうことについてどういう構想を持っていらっしゃるか、おありになればお聞かせください。
  62. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 一般的に環境問題あるいは世界的な海洋の問題等につきまして、努力が経済力に見合って十分に行われているかどうかということになりますと、私も率直に申してまだ日本はかなりおくれている面があると思います。これはモニタリング一つをとりましても人と予算を伴うことでございまして、こういう種類の財政支出等についても増加が必要になってくるわけでございまして、そういう面を含めて政府全体としてのこういう問題の重要性の認識が高まるということが必要でございましょうし、またそういうことについての言論機関等での関心等もあわせて力になるのではないか。私自身としては不十分だと考えております。
  63. 土井たか子

    土井委員 この条約を採択する場合に、わが国は条件をつけたようであります。水銀、カドミウム含有廃棄物海洋投棄について条約上は全面禁止となっていたわけでありますから、それに対しまして日本としては一その投棄の道を確保する必要があるということで五年間の猶予期間を認める技術的な覚書の採択ということを図ったという過去の事実を私も承知をいたしております。この覚書の内容というのは条約の規定内容を実質的に修正するというかっこうになってくるはずでありますから、その法的性格にもいろいろ疑義があるわけでありますが、いずれにせよ、この条約締結以後、その投棄というのが認められなくなるということでございます。五年間の猶予期間というのを日本としては認めてほしいということを、いろいろ採択に当たって言われたという経緯について、改めてここでひとつお伺いをしておきたいのですが、この経緯についてまず説明を求めます。
  64. 井口武夫

    ○井口説明員 実は、わが国は確かに少量の水銀、カドミウムにつきまして、これを含む汚泥についてコンクリート固型化して海洋投入したいという立場でございまして、実はこの投棄規制条約会議においても、そういう立場を述べたわけでございます。しかしながら、この条約では、実は附属書の一というところでは水銀、カドミウム化合物、こういうものは全部禁止でございまして、ただし微量のものは別だということでございます。  わが国立場はあくまでも過渡的なことであって、これをすっと続けるということではない、猶予期問が欲しいということでございましたし、また条約がいつ発効するかということもわからなかったわけでございますので、技術的な覚書をつくった。ただしこの条約の修正ということではなくて、あくまでも条約締結以前から行われて、またいつ発効するかもわからないという状況において補足的な了解をつくったということでございますし、現にことしの八月にその期間を終わるということでございます。
  65. 土井たか子

    土井委員 るる釈明めいたいま御答弁をされるのですが、日本以外に、水銀、カドミウムの投棄について猶予してほしいと言った国がございますか。
  66. 井口武夫

    ○井口説明員 わが国のような立場で主張をした国はございません。
  67. 土井たか子

    土井委員 ということにもかかわらず、今日まで日本として締結しなかったという理由はどこにあるのですか。
  68. 井口武夫

    ○井口説明員 わが国技術的覚書がすでに会議承認されておりますし、むしろなるべく早く入りたいということで努力したわけでございますが、国内法の改正について時間がかかったということで今日に及んだわけでございます。
  69. 土井たか子

    土井委員 それはやはり国内法の改正に時間がかかるということについて、相変わらず水銀、カドミウムについてはこれを海洋投棄するということでいきたいということがこの根本にはあったというふうに考えて間違っていないと思いますが、どうでしょう。
  70. 井口武夫

    ○井口説明員 交渉中の了解はすでに各国から得ておりますので、それが条約の加入というものをおくらせる原因になったわけではありませんで、むしろわが国としてはなるべく早く加入して、国際的に法制が整備されているわけでございますから、海洋環境の保護というものを非常に重視している立場の国として一刻も早く入りたいという立場で、常に締約国協議にもオブザーバーを出していたわけでございます。
  71. 土井たか子

    土井委員 それは、いまのは御答弁にならないじゃないですか。なるべく早く入りたいと言ってオブザーバーを出してきた、これは事実関係についての御説明にしかすぎない。締結するのに対する手続は、その間にどのようにおとりになっていたのですか。だからこれは五年間延長してほしいと言った国が日本以外にない。そして水銀、カドミウム含有廃棄物海洋投棄ということを日本としては事実上この条約締結をされても五年間の猶予期間を認めさせるという方向で動いておきながら、いざこの条約締結ということに対しての手続というものはずいぶんおくれたわけでしょう。いまの御説明じゃその間の事情についての説得性のある御説明じゃないです。なぜ国会承認を求めるということがおくれたのです。
  72. 原健彦

    ○原説明員 この条約締結されました時点におきます事情をもう少し説明させていただきたいと思うのでございますが、わが国の法律におきまして海洋投入処分の規制が行われましたのは四十六年の九月でございますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、現在ある法律でございます。これは清掃法から改正になったわけでございますが、それと海洋汚染防止法の改正がございまして、したがいまして、このときに廃棄物海洋投入処分は例外的に認めるということで、海洋投入処分の対象とする廃棄物の範囲は極力限定しようということで、基本的な方針が決まったわけでございます。この際に、水銀でございますとかカドミウムでございますとかそのほか六価クロムでございますとか、そういったものを含みます汚泥につきましては原則的に禁止である、しかし、コンクリート固形化を行いましてこういう有害物質が漏れないようにした場合には例外的に海洋投棄を認めるということで、そういうような法制にしたわけでございます。これがその後、先ほど条約締結の際、その後でございますが、すでにわが国といたしましてはそのような形で十分環境に対する配慮は行っておるということで、先ほど外務省の方からお話がございましたように、非常に微量なものはこういうカドミ、水銀につきましても海洋投入もやむを得ないというような立場をとっておるわけでございます。こういうコンクリートで固形化したようなものにつきましては、海洋汚染という面からはきわめて影響が少ないであろうということで私どもとしては主張したわけでございまして、その辺は先生のそういう御指摘、水銀とかそういったものの投棄が非常にこの条約の批准をおくらしたのではないかとおっしゃるのは、やや事実と違うのではないかと思うわけでございます。  ただ、補足してちょっと御説明申し上げさしていただきますと、水銀汚泥のここ数年間の投棄の実態でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、限定された水域に投棄することになっております。A海域となっておりまして、これは五つの限定された水域がいま指定されております。そこに投棄されておりますのは、これは海上保安庁の方も見えておりますから海上保安庁の方から御説明の方があるいはいいかもしれませんが、私御説明いたしますと、四十九年からの資料がございます。四十九年当時は四万七千トンほどこういう水銀を含む汚泥を投棄しておったわけでございます。それが通産省等の行政指導もございまして、五十三年には二万三千トンほどの投入になって、五十四年には一千トンの投入、五十三年ではもうすでに水銀汚泥はゼロというようなことで、行政指導が十分行われておりまして、先生御心配のようなことはないというふうに考えておるわけでございます。
  73. 土井たか子

    土井委員 行政指導もさることながら、その水銀について指定された海域指定についても、あの公害対策特別委員会で再々これを取り上げて、その水域指定について問題があるということをわれわれも追及をいたしておりますから、いまの御答弁、御心配は当たらないという大変御丁寧な御答弁でございますが、その御答弁は私はいただけないのです。これはやり始めたら大変なんですよ。時間的にはちょっと制約があって、私は残念だと思うけれども、水域指定の問題にまず第一に問題がある。その後の行政指導についても問題があるのです。そして、いま私が質問したことに対して何らあなたは答えていらっしゃらないのです。  よろしいですか。なぜこの条約というものの国会承認を求めることがおくれたのかということを、私は聞いているのです。それに対する御答弁が、いま非常に長い御答弁だったが、何にもそのことに対してのお答えになってないじゃないですか。これはなぜ手続がおくれたんですか。
  74. 井口武夫

    ○井口説明員 確かに国会承認を求める手続がおくれたことは遺憾でございますが、それは、きのう申し上げましたように、わが国の国内法制が、たとえば特別許可あるいは事業所によって規制するという体系をとっておる法律もありましたし、航空機の投棄規制という新しい面もございまして、そういうもので関係省庁協議して、どの国内法を改正するか、あるいはどれは運用によって処理し得るかというようなことで、結論を出すのに若干時間がかかった、それから、国際的にも新しい制度でございますので、IMCOに照会したりその他の主要国の取り扱いぶりについても調査したりしたことが、実は若干手間取った理由でございます。
  75. 土井たか子

    土井委員 初めて率直に、国内的に各省庁との詰めの間で手間取ったとおっしゃる。これはなかなか言いづらいかもしれませんが、率直に言ってどの省が一番手間取りましたか。
  76. 井口武夫

    ○井口説明員 これは実は法制局も加えていろいろあれしたのでありますが、何しろ五、六省庁にまたがる法律でございますので、特にどの省がおくれたということではございません。
  77. 土井たか子

    土井委員 大変紳士的にお答えになっておりますが、大体の憶測は、私は事情から察知してできます。  環境庁、御出席ですからお伺いしますが、今後この条約が物を言う、水銀、カドミウムに対しての投棄は一切認められない。そうすると、これらの廃棄物について今後どのような処分の方法を考えていらっしゃいますか。
  78. 原健彦

    ○原説明員 お答えいたします。  私ども、廃棄物の処分につきましては、原則的に内陸といいますか、陸上の埋め立て処分でやるべし、ただし、例外的にやむを得ない場合には海洋投入処分も認められるということで従来から指導しておるわけでございます。基本的にはそういう姿勢でおるわけでございます。  したがいまして、先ほども御説明申し上げましたけれども、水銀を含みます汚泥等の投入は確かに、この条約締結されました当時、このころは四万トン程度の海洋投入が行われておったわけでございますが、繰り返しになりますけれども、行政指導等も行われまして、ほとんど海洋投入はしないという現状でございます。また法制的には、こういう水銀を含みますような汚泥といったものは十分環境と遮断した形、たとえばコンクリートの擁壁を伴います埋立地に投入し、その後ちゃんとふたをするような、そういった厳しい基準を設けてございます。したがいまして、環境汚染上は問題はございませんし、すでにそのような形で企業の方では対応しておるというふうに私どもは了知いたしております。
  79. 土井たか子

    土井委員 海洋汚染上は問題がないときっぱり言い切られますが、種々疑義がある。これは追って公害対策の特別委員会の方に私出かけまして、また徹底的にやります。よろしいですね。外へ出てきて、これは外務委員会だからというので余りいいかげんな御答弁をなすっていたら大変ですよ。  海洋汚染問題の抜本的な解決の道というのは、やはり汚染の原因となる物質海洋に投廃棄されることを可能な限り制限するところにあるというのは言うまでもございません。こういう基本的な観点からこの条約をずっと見てまいりますと、概して言うならば、一部のものについては投棄禁止を認めながら、一定の放射性廃棄物やその他、海洋環境ひいては人体に大変重大な影響を及ぼすであろうと思われるような物質について、条件つきながら投棄を認めることとしている、これは大変問題だと思うのです。ここのところが実はポイントじゃないかと思うのですが、そこで二、三ただしてみたいと思います。  まず、低レベルの放射性物質というのは海洋投棄をすることができるというふうになっているのですが、低レベルというのは、何を基準で低レベルというのか。国際基準があればそれをお示しいただきたいし、日本の国内基準としてどういうものがあるのかということも、ひとつこの際お示しいただきたいと思います。
  80. 中尾栄一

    中尾委員長 いま原子力安全局が来ますから……。井口君答えられるか、外務省、井口君。
  81. 井口武夫

    ○井口説明員 原子力安全局が来ているかと思いましたのでございますが、ちょっとこの席に見当たらないのでございますけれども……。  御存じのとおり国際原子力機関の勧告というのがございまして、そこで低レベルのものは一定の厳しい条件のもとに投棄し得るという基準が細かくございまして、それに従って区分されているというふうに了解しております。
  82. 土井たか子

    土井委員 それは常識的な御見解での御答弁はいま承りましたが、その担当の方がいまいらっしゃらないのですか、どうなんですか。私はこの点は事前に質問通告がしてあるのです。こういうことを聞きますよと言ってあるのですよ。本当にもういいかげんですね。
  83. 中尾栄一

    中尾委員長 科学技術庁はいないのか。(「おりますけれども所管外です」と呼ぶ者あり)所管外か。では外務省、井口君。
  84. 井口武夫

    ○井口説明員 放射性低レベルの基準については、IAEAの定義と勧告の付属書で触れられておりますが、その数値については各国に最終的な決定を任しておりまして、各国規制水準以下としている放射性物質の濃度をトン当たり千分の一キュリー以内というふうに指摘しております。
  85. 土井たか子

    土井委員 それはいま大急ぎで文書によってお答えになったのだけれども、日本の国内基準というのはそれじゃどのようになりますか。——担当の方いらっしゃらないのですか、責任を持ってお答えになれる方はいらっしゃらないのですか。いいかげんですね、これは。きょう条約審議を議了、採決するという日ですよ。これじゃ、もう審議できないですよ、こういうことじゃ。
  86. 中尾栄一

    中尾委員長 いま担当省を探しておるから……。——宮本君。
  87. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 宮本原子力次長でございます。どうも失礼申し上げました。  低レベルの廃棄物の定義についてでございますが、条約におきましては高レベルの定義がございます。しかし、これ以外は俗に言う低レベルということで、特別の許可により投棄が認められておるわけでございます。  それで、高レベルの定義ということで申し上げますと、これは核種別になっておりまして、アルファ核種、アルファ粒子を出します核種でございますが、これは放射能の量にいたしまして一トン一キュリーを超えるもの。それからべータ、ガンマ核種、これを二つに分けまして、半減期が半年以上のものにつきましては一トン百キュリー以上。半減期が半年未満のものにつきましては一トン百万キュリー以上。こういうことに定義としてはなっております。  わが国におきましては、こういう数量で決めておりませんで、主といたしまして発生源で大体分けておるわけでございます。  俗に言う、わが国におきまして商レベルと言っておりますものは、再処理の工場の過程で出てまいります再処理の廃液。それから中レベルとわが国で言っておりますのは、発電所などで使います使用済みイオン交換樹脂、発電所の冷却水を浄化いたします交換樹脂でございます。それから低レベルとわが国で言っておりますものは、いわゆる発電所の原子炉の中におきます洗たくいたしました洗たく水の濃縮廃液あるいはその作業に使いました衣類の捨てたもの、大体こういったものを低レベルと、発生源で分けておるわけでございます。
  88. 土井たか子

    土井委員 そうすると、国際的には低レベル基準もない、国内的にも低レベル基準というものはない、こういうことになると思いますが、そういうことなのでしょうか、どうでしょうか。これは以前にはあるというふうなお答えをいただいているのですが。
  89. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 海洋投棄につきましては、このIAEAの勧告に基づきます基準、これがこの条約で取り入れられておるわけでございますが、この基準を原子炉規制法に基づきます総理府令及び科学技術庁の告示、こういうことで、これを公表、告示として決めておる次第でございます。これに基づきまして、これ以上のものと以下のものとは規制できるように現在すでになっておるわけでございます。
  90. 土井たか子

    土井委員 そうすると、種々これは回りくどい御答弁を御丁寧にいただいているのですが、低レベル基準というのがあるのでしょう。日本国内での低レベル基準というのはどういうことになりますか。いまの発生源から考えるとか等々の考え方があるのでしょうが、低レベル基準というのはどういうことですか。
  91. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 低レベル基準という、基準と申しますか、要するに一つの線で引きまして、これ以上は捨てちゃいかぬ、これ以上は捨ててよろしい、こういう基準で、ここの数字がただいま申し上げました数字が決まっておるだけでございます。
  92. 土井たか子

    土井委員 その数字をもう二度言っておいてくださいませんか。
  93. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 アルファ核種につきましては一トンーキュリー超でございます。それからべータ、ガンマ核種、これは二通りに分けまして、半減期が半年以上のもの、これは一トン百キュリ—以上、それから半減期が半年未満のもの、これは一トン百万キュリー以上、こういう基準でございます。
  94. 土井たか子

    土井委員 これらのいろいろな危険な物質投棄というのは、考えてまいりますと、その場所いかんによっていろいろ漁業にも重大な影響を及ぼす可能性もございます。また関係業界の方もこれに関係をしてくるというかっこうになりますから、政府としてはこういうことに対して関係業界の了解を得るということがいろいろな政策を講ずる場合に不可欠の要件だと思うのですが、この点については問題はありませんか、どうですか。
  95. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 その点につきましては、当然これは海洋投棄いたします問題でございますので、これに関係深い水産業界につきましてやはりその理解を得てこれをやりたい、こういう考え方でございます。大体この海洋投棄放射性廃棄物の処分方策を決めましたのが五十一年十月でございますが、これ以降、海洋投棄の安全性の評価を五十一年十月に行政ベースでやりましたものを発表いたしておりますが、その後この説明を水産業界にいたしまして、以降各漁業団体、これは今後の試験投棄いたします地域が太平洋九百キロ先でございますので、非常に多うございまして、二十数団体になろうかと思いますが、そういうところにいろいろ説明をいたしまして、了解を得るよう努力しておる最中でございます。
  96. 土井たか子

    土井委員 努力をなすっている最中だという最後のところをひとつしっかりと確認をしておかなければいけないなと思うのですが、科学技術の特別委員会審議が行われた節非常に明らかになっていることは、政府は放射性廃棄物の試験的な投棄を実施されるということなんですね。そういう計画があるということです。しかも気にかかるのはその投棄の場所なんですが、北マリアナ群島周辺海域というのが予定されておるようであります。そこで、その地域の住民の方々がこれに対して反対をしている。政府の計画の概要、それから地域住民の反対している理由、また、この反対を前に政府はどのように対処しようとなすっているのか、これについてお答えをいただきたいと思うのです。
  97. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生からマリアナの周辺海域という仰せでございますが、確かにわが国から九百キロ先でございますが、マリアナ群島の一番近い島でもこの試験投棄の場所はやはり九百キロ近くあろうかと思っております。マリアナがいろいろ懸念をしておるということは情報として承知いたしておりますので、現在施政国でございますアメリカ政府に対しまして、必要に応じ、求めがあるならば、これにつきましての安全評価、原子力安全委員会でチェックいたしました安全評価がございます、これにつきまして十分御説明をし、その理解を得るよう努めたいと考えております。
  98. 土井たか子

    土井委員 理解を求めようとなすっているということではありますけれども、なかなか前途多難でありますね。なかなかむずかしいだろうと思います。  政府がいま行おうとされている放射性廃棄物の試験投棄というのはどのようにしてなされるのですか。もしその結果、害が出た場合にはどうなさるのですか、この点をひとつはっきりお聞かせください。
  99. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 放射性廃棄物の試験投棄につきましては、まずただいま御審議いただいておりますこの条約を御承認いただきまして批准いたしました後、すでに大西洋におきましてはOECDの原子力エネルギー機関、約二十カ国が参加いたしておりますが、ここが多国間協議監視機構というのをつくりまして、その監視と協議のもとに、大西洋ですでに約十数年にわたり投棄いたしておるわけでございます。水産業界の理解を得た上でこの機構に加盟いたしまして、この多国間協議監視機構の監視のもとで試験投棄をいたしたいと考えております。したがいまして、加盟いたしました後、投棄前一年前に通省するということになっておりますので、この夏加盟ができれば、試験投棄は来年の夏以降ということになろうかと思います。  内容といたしましては、五百キュリー程度、ドラムかんのコンクリート詰めにいたしまして一万本程度でございます。これを投棄いたしまして、その後約三年にわたり、その安全評価をいたしましたことがそのとおりになっておろうかどうか確認いたしまして、その後において本格的な投棄をいたしたい、こういう計画でございます。  これにつきまして、そういう安全評価をいたしまして、さらに昨年十一月、原子力安全委員会で専門家を集めまして、水産の専門家も入れました上で再度チェックいたしましてその安全性を確認いたしておりますので、損害を与えるというようなことはないと存じますけれども、万が一ということも準備しておかなければいけませんので、昨年の国会におきまして原子力損害賠償法を改正いただきまして、これにおきまして海洋投棄につきまして賠償措置、一種の担保でございますが、これを一回二億円の担保を積ませる、やっていく、こういうことと同時に、原子力損害賠償法の適用がある。要するに、海洋投棄いたしましてそれで損害が生じた場合には無過失的にそれを投棄いたしました原子力事業者が責任を負う、こういう法律改正をいたしまして適用できるようにしてある次第でございます。
  100. 土井たか子

    土井委員 いろいろ御説明をいただいて、さらにそれについての質問を私は展開する時間的余裕がないというのは、まことにもう私自身不本意至極だと言わざるを得ないのです。何だか採決のための時間にせかされて質問がずいぶん狭められる、それに制限を受けながら質問をやるというのも、どうも質問のやり方としたら逆立ちしているんじゃないかと私自身は思いながら、先を急ぎます。本来おかしいのですよ、こういうのは。  この条約の第一条を見ますと、第一条の趣旨からしまして、有害物質投棄による汚染防止しようとするのがこの条約の目的であるということになるわけです。この第一条の内容からずっと考えを進めてまいりますと、核実験による汚染も含んでいるというふうに考えなければならない。  そこでお尋ねしますが、条約作成会議審議状況の中で、そういうことについてどのような見解を日本としてお述べになり、いま政府見解としてはどのようなものをお持ちになっていらっしゃるか。いかがでございますか。
  101. 井口武夫

    ○井口説明員 条約作成会議では、実はその点は特に取り上げられませんで、航空機からの投棄というのは、たとえば航空燃料投棄とかそういう問題でございまして、核爆発の問題、軍縮そのものの問題として会議そのものでは取り上げられませんでした。
  102. 土井たか子

    土井委員 いまのでは、御答弁は決して私の質問に対する御答弁になっていないのですが、これは外務大臣、どうでしょう。条約の第一条からすると、核実験による汚染もこれは含めて考えなければならないということが認識をされていいはずですね。どのようにお思いになりますか。
  103. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 事実そのものとしては検討に値する問題だと思いますが、核実験の問題は軍縮の方の分野で扱っておるということで、こちらの方には含まれておらないと了解しております。
  104. 土井たか子

    土井委員 それはおかしいので、人体に及ぼす影響がある、海洋汚染に対して甚大な影響がある、こういうことからこの問題を取り上げるという側面がありはしませんか。十分にありますよ。この点から考えてどうですか、大臣
  105. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 お話のように、確かにそういう側面はあると思います。ただ、いろいろ森羅万象つながっておりますので、それぞれの分野での問題を分けてまいることも事実問題として必要かと思います。軍縮問題の中で、そのいまのような点も含めて扱われることが一応筋ではなかろうかと思いますので、そういう影響がないというわけではございませんが……。
  106. 土井たか子

    土井委員 非常に歯切れの悪い御答弁ではありますが、この条約の第一条からすると、本来核実験による汚染も含めて考えるということが事実上認められるという御見解だと理解してよろしゅうございますね、それは。
  107. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 条約の面での厳密な定義でそれが認められているとは存じませんが、事実そのものとしては別のお座敷といいますか、軍縮の問題で取り上げるべき問題だろうと思います。
  108. 土井たか子

    土井委員 質問に対して御答弁はそれた御答弁になっているのです。大臣、この条約の第一条というものをよくお読みになった上でその御答弁席にお座りなんでしょうね。第一条というのをお読みになって、いま私が言っていることに対してのお答えをもう一度お願いしますよ。
  109. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この条約、本来汚染物質の投げ捨て、投棄についての条約でございますので、核物質については、その投棄という枠の中に入らないという解釈でございます。
  110. 土井たか子

    土井委員 天から降ってきて、海洋にそれは投棄されるのですよ。結果を見れば、これは同じなんです。だから、そういうことからすれば、大きく見ればこれは第一条の中に当てはまる。どこまでも避けようというふうなお気持ちがどうも御答弁の中に動いているように見えてならないのですが、大臣、これは率直に第一条をお読みになれば、いま私が申し上げているようなことに当てはまると私は思うのです。どこの場所でいま核実験禁止ということを取り上げるかということを私は聞いているのではないので、核実験による汚染は、この条約の第一条から考えたら、これを取り上げていくという側面がありますねということを私は申し上げている。  再度、大変しつこくなりますけれども、御答弁をお願いして、時間が来ておりますが、あと一問だけ大事なのが残っておりますから、あと一問やって終わりにします。
  111. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この条約の扱う範囲として海洋投棄のことを中心に取り上げておるわけでございますので、その問題そのものとしては核実験の問題も当然海洋汚染の問題につながるわけでございましょうが、これはまた別の条約、別の場で扱われるべきものだろうと考えるわけでございます。
  112. 土井たか子

    土井委員 先般、これはタンカーからのスラッジを投棄したという問題で徳山丸事件というのがございまして、これは運輸委員会の方でも大きく取り上げられておりますが、出光タンカーの徳山丸からスラッジが海洋投棄されたという問題であります。これは考えてみると、徳山丸だけに限らず、タンカーのスラッジというのがどこでどういうふうに投棄されているか、行方は杳としてわからない。いわば現在の日本の法制度の盲点の一つがこの点にあるのではないかということを私自身はあの事件を通じてでも考えさせられるのですが、廃油の問題に対して、陸上での処理についてはこれを取り締まる法律がございますが、スラッジについて、これを取り締まる、洋上でどうするかということを取り締まる法律の規制というものが現在ございますか、ございませんか、どうなんですか。
  113. 高島等

    ○高島説明員 海洋汚染防止法に基づきまして規制してございます。
  114. 土井たか子

    土井委員 それでは規制が行き届かないところが問題なんでしょう。現在のその法律について、一部手直し、これがどうしてもこの側面から考えたら必要だという認識をお持ちになっていらっしゃいますか、どうですか。
  115. 高島等

    ○高島説明員 事件発生直後に事務次官から依命通達を発しまして、関係海運事業者に対しましてこのような不祥事を再発しないように厳重に注意したところでございまして、さらに昨日付をもちまして油の不適正な排出の防止のために関係タンカー事業者に対しまして指導通達を出しておりまして、関係海運事業者に対しましてさらに強く監督指導をしてまいりたいと考えております。  その状況を見まして、なお法令の遵守が行われないというふうなことがございますれば、所要の法的な措置も含めましていろいろ検討をしてまいりたいと考えております。
  116. 土井たか子

    土井委員 これはいろいろ私も異論があり、さらに質問を進めたいということでありますが、公害対策特別委員会の方に持っていって、さらにこの一とに対して質問を続行することにして、本日は不本意ながら、後、採決の用意もありますから、質問をここで終えたいと思います。
  117. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて三件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  118. 中尾栄一

    中尾委員長 これより三件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、原子力平和的利用における協力のための日本国政府カナダ政府との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 中尾栄一

    中尾委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約締結について承認を求めるの件及び廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約紛争解決に関する改正受諾について承認を求めるの件の両件を一括して採決いたします。  両件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 中尾栄一

    中尾委員長 起立多数。よって、両件はいずれも承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  122. 中尾栄一

    中尾委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  ただいま委員長の手元に、渡部一郎君より、CANDU炉の導入に関する件について、本委員会において決議されたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。渡部一郎君。
  123. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は、ただいま議題となりました動議につきまして、その趣旨を御説明いたします。  案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。     CANDU炉の導入に関する件(案)   我が国の民主、自主、公開の三原則に基づく原子力の開発利用を確保するため、将来、仮にカナダからCANDU炉に関する技術を導入する場合には、その前提条件として、政府は、我が国が自主開発する新型転換炉等の利用にいささかも支障をきたさないよう、できる限りの外交的手段を通じて、カナダに十分確認すべきである。   右決議する。 以上であります。  何とぞ各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  124. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  他に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  渡部一郎君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 中尾栄一

    中尾委員長 起立多数。よって、渡部一郎君提出の動議は本委員会の決議とするに決しました。  この際、大来外務大臣から発言を求められてわりますので、これを許します。外務大臣大来佐武郎君。
  126. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま採決されました御決議につきましては、政府といたしまして、本件決議が委員会において可決されたことを十分踏まえて施策を講じてまいるべく、最善の努力を払う決心でございます。
  127. 中尾栄一

    中尾委員長 お諮りいたします。  本決議の議長に対する報告及び関係各方面に対する参考送付等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十九分散会