○尾島
説明員 お答えいたします。
現在
わが国の周辺の漁場におきましてイカを採捕している漁業の大宗は釣り漁業でございます。小型が約三万隻、三十トンから百トンぐらいの中型が二千百三十八隻、百トン以上の大型が二百十二隻、こういうぐあいにイカ釣りがイカ漁業の大宗でございますが、いま
先生がおっしゃいましたイカ流し網漁業につきましては、一昨年の秋ごろから道東並びに道南沖合いにおきまして操業が始められまして、非常に急速に
各地に波及したという経緯がございます。この非常に波及したことが、漁業調整、釣りとの競合問題あるいは資源
保護の見地から非常に大きな問題になりまして、昨年一月一日以降、ある一定区域、北緯二十度以北、東経百七十度以西の海域におきましては、釣り漁業を専業にさせるということで、実は流し網を禁止した措置をとったわけでございます。
ところが、禁止したにもかかわらず、この禁止の海域内において非常に違反操業が続出いたしまして、昨年、四十二隻にも及ぶ漁船が流し網を行っておりまして、検挙されております。また、ことしに入ってもこういう事態が発生することが
関係者の間にも憂慮されておりまして、水産庁といたしましても、実はイカ釣り漁業は三月、四月が禁漁期でございますので、この禁漁期には流し網の自粛を指導してきておるわけでございます。
このように、イカの流し網漁業というのは、釣り漁業のように集魚灯を使用しないわけでございまして、
先生がおっしゃるように、省エネ時代に適合している漁業であるとも言われる面も一面あるわけでございますが、われわれといたしましては、釣り漁業にかからない雌の熟卵を持ったイカを無差別に採捕するわけでございます。また、釣り漁業に比べまして数段の能率漁法であるということ等からいたしまして、資源
保護と漁業調整の観点からこれはやはりきわめて重要な問題でありまして、流し網の操業の実態というものをさらに厳しく、違反のないように監視していきたい、今後ともこのような態度で対処をしていきたいと思っておるわけでございます。
先生御
指摘の、中小漁業者の中で、操業可能な海域で流し網をやらせてくれという希望も、実は根室海域の漁業者あるいは岩手県の漁業者の一部漁業者から出ておるわけでございます。これは共同操業という問題もあるとは思いますが、先ほど申しましたように、二万隻及ぶ釣り漁業者——現在流し網を実施しているのは大型船で二百隻内外でございます。そのように現在大多数の漁業者が釣り漁業でやっておるという実態から、共同操業ということにつきましても問題が多うございまして、なかなか実態的に進行していかぬという問題があるわけで、依然として釣り漁業者とのトラブルをさらに激化する問題になるわけでございますし、資源
保護の観点からもこれは非常に困難な問題ではないかと思っているわけでございます。
ただ、そういう意味合いにおきまして、できるだけイカ釣り漁業の省力化をして効率的に行っていこうということにつきましては、われわれといたしましても、集団操業をさせて、漁場におけるお互いの
情報交換を行わせて、できるだけ効率的な漁法をさせていくということにいま努力をいたしておるところでございます。