○大来国務
大臣 ただいま奥田
委員からの御質問の点でございますが、第一の点につきまして私ども考えましたことは、とにかくイラン問題の平和的な
解決について
各国が真剣な努力をしなければいけない、これが第一の
目的でございます。
そのためには、現在、
アメリカに出ておりますような、人質が半年近くにわたっても解放されないということから出ておりますフラストレーションと申しますか非常に強い国民感情、これを無視するわけにはまいらない。同時に、自由社会と申しますかそういう社会の連帯というものも重大な危機に面しておるというような感覚もあったわけでございます。
アメリカがこの四月七日にイランと国交を断絶いたしました際の声明等によりますと、イランの人質問題がいまだに
解決しない、それに対して、友好国は従来十分な
協力をしてくれなかった、もしも友好国に十分な
協力をしてもらえなければ、
アメリカとして独自に次の段階の措置に踏み切らざるを得ない、そういった趣旨があったわけでございまして、あくまでもイランの人質問題を平和的に
解決するという立場から言えば、まず友好国の非軍事的な面での
協力が
要請されているということになってまいったわけでございます。
そういうことで何らかの対応が必要になってきておるという認識を持ちまして、その際、条件、事情が似ておりますヨーロッパ
諸国との話し合い、
協力が
日本にとっても必要ではないかと考えておったわけでございますが、たまたまリスボン
会議でEC九カ国の決議がございました。
日本に対してもこれに参加してほしいという
要請がございました。さらに二十二日にはルクセンブルクでECの外相
会議が開かれるということでございまして、これはお座敷が別でございますので、
日本はメンバーでありませんからその
会議に出席することはできない。しかしその際、
主要国の外務
大臣が集まるわけで、できれば個別的に
主要国の外務
大臣との会談の機会を持つことがいいのではないかということで、総理の指示を受けまして急遽現地に参ったわけでございます。
話し合ってみますと、いまの基本的な考え方は、
日本側の考え方とEC
諸国の考え方とがほぼ完全に一致している。つまり、平和的な手段で
解決しなければいかぬ、ところが一方
アメリカにおけるいら立ちというものが相当激しい度合いに達しておる、このままでは危険な状態が出てくるおそれがある、友好
諸国、西側
諸国の
協力によってこの平和的な
解決が見出せるならばあらゆる努力をいたすべきだ、一方においてイランに対して西側が共同歩調をとって人質解放についての要求をさらに強める、同時に
米国に対してはあくまでも自重を求める、こういう立場をとることが必要だろうということは、EC
各国、私会いましたイタリア、英国、フランス、ドイツ
各国の外相、一致した気持ちであることを確認いたしたわけでございます。決議も、先ほどこの
委員会で御報告申し上げたような内容の決議ができ上がったわけでございます。われわれとしては、これが
解決に資することを大きく強く期待しておるわけでございます。
それから第二の御質問で、イランからの石油供給の問題がございます。これは制裁とは別のことでございまして、従来から価格値上げについてのイラン側の要求があり、
日本側の会社が交渉に当たっておったわけでございますが、大幅な価格、特に国際価格を大幅に上回るような値段を受け入れることは再び石油価格一般の上昇につながるおそれがある。そのきっかけを
日本がつくったということになりますと、国際的にも非常に困難な立場に置かれるわけでございまして、あくまでもこの際価格上昇に応じ得ないという
態度を
日本の会社もとってまいった。その結果として、すでに一部の会社に対しては荷積みがストップされておるわけでございます。
いま奥田
委員の御指摘のように、
日本の石油輸入の一〇%、一一%、はかる期間によっても違いますが、とにかく一割強の油がイランから参っておるわけでありまして、これがとまるということは
日本の経済にもいろいろ影響が出るおそれもあるわけでございますが、一つにはかなり豊富な備蓄を持っておる、九十数日分の備蓄をいまの
日本が持っておりますことと、それからIEA、国際エネルギー
機関の緊急融通の取り決めに
日本も参加しておりますので、そういう面での
国際協力の道が考えられる。さらに
米国からのメジャー、石油資本の供給を一部
日本に振り向けるというような可能性も考えられます。さらに、いま石油のスポット市場はやや供給過剰でだぶついておる
状況がございますので、ある部分はスポット市場からの買い入れということで補うことも可能かと思うのでございます。
イランからの供給停止が非常に長期にわたりますといろいろ問題が出てまいると思いますが、もしもそれほど長期にわたらないことであれば、
日本の経済に当面余り大きな影響なしにしのげるのではないかというふうに考えておるわけでございます。