○石原
委員 了解はしませんけれども、そうおっしゃるならば仕方ありませんが、しかし、
大臣をおやめになった大来さんに私はこういう問題についてお聞きするつもりはない。
外務大臣であられる大来さんにだからこそ私はお聞きしているわけですけれども、次に進みます。
この善隣
協力条約を突きつけられたときにでしょう、訪ソしていた園田
外務大臣にコスイギンが、
日本とソビエトの
関係はソビエトとフィンランドのような
関係が望ましいということを言っているわけですね。
一体
日本とソビエトの
関係がソビエトとフィンランドの
関係に近い、そういう可能性があり得るか、どこにあり得るかということを私も
考えてみましたが、これは私の仲間、若い仲間が北海道に行って北方四島問題についてのいろいろな
調査を現地でしてまいりました。私はその
調査報告を聞きまして、なるほどとにかくコスイギンが期待するようなフィンランド化というものが、非常に部分的ではあるけれども、北方四島というものを目の前に控えたあの地域で進んでいるんだなという感じを非常に強くしたのです。それをフィンランド化と呼ぶか呼ばないかということは主観になるかもしれませんが、たとえば北方四島と非常に近い道東の主要都市、根室あるいは標津、羅臼という町、あるいは北端の稚内というところでそういった非常に強い現象が起こっている。
たとえば、この間逮捕されましたけれども、例のレポ船ですけれども、これは私も三年ぐらい前からこの問題を国会のいろいろな
立場で
指摘してきましたが、やっとこの間例の防衛庁の機密漏洩
事件が起こって逮捕されました。しかし、現地で聞きますと、レポ船は非常に恥ずかしくて悪いことだけれども仕方がない、生きるためには仕方がない、国が結局何もしてくれないのだから仕方がないということをレポ船というものを熟知している根室の市民がほとんど言っている。
それからもう一つ、これは要するにちゃんともう御存じかもしれません、多分御存じだと思いますけれども、これに対する反応がないだけのことでしょうが、拿捕された漁船の漁民というものはまず最初に何を調べられるかというと、北方四島返還運動に加担し参加したことがあるかないかという、そういう前歴というものをまず最初に調べられるそうであります。これは拿捕された漁民が全部報告している。しかも、これからも幾つか申し上げますが、そういったことをこの
調査に行った青年
たちに語る市民というのは、みんな周囲をはばかって声をひそめて物を言うというのがとにかく共通した現象なんです。
それからまた、根室のコンブ漁民は、北方四島は返ってこなくていいということをはっきり言っている。これは完全に、ソビエトの非常にけしからぬあの四島、私
たちの国土の占有という事実に対する敗北主義だと私は思います。
それから、ソビエト領事館の副領事が羅臼の町長に、この町にはソビエトに対する友好団体が非常に少ないからもっとつくれということを要求している。
こういった現象というのは、フィンランドで反ソの色の強い
大統領候補が
大統領選挙に立候補したときに、これを結局いろいろな形で弾圧して、国益のためにその候補が立候補を辞退せざるを得なくなったというところまで追い込んでいったソビエトの、間接だけれども非常に強力な内政干渉と共通するものがあると私は思います。
それから、これもひとつ外務省の
見解を伺いたいけれども、国後島の強力なサーチライトが標津、羅臼という町をときどき照らす。何の目的か知らないけれども、非常に強い光線で照らして、町全体がほのかに明るくなるような現象がたびたびある。しかし、最初のうちはこわかったけれども
自分たちはもうなれてしまったということをこの二つの町の市民が言っているわけです。これは
国際法的にどういう評価がされるか知りませんけれども、一種の侵犯であり、明らかに心理的な恫喝だと思いますが、こういった問題を外務省がどうとらえるか。
それからまた、原因不明の沈没船がたくさんある。あそこは低気圧の墓場と言われていまして、私も海をよく知っている人間ですからわかりますけれども、海はしけていても、終末の低気圧というものは非常に予測が簡単で、この程度のミリバールの低気圧なら、大体何日、どれぐらいの風が吹いて消滅するだろうということは、もう漁民の体験でよくわかるのです。そういう漁民の体験の中で、全然救急の信号も送ってこない漁船というのが幾つか沈む。これはソビエトの潜水艦にやられたのだろうというのが、大体彼らの、要するにうわさといいましょうか、
根拠がないと言えばないかもしれないけれども、
自分の体験に踏まえた、
自分たちの操業している網にソビエトの潜水艦をひっかけたり、突然浮上してくる潜水艦をたびたび目にしている漁民のそういった体験から割り出したうわさであるということでありますけれども、こういった問題全体について外務省はどうお
考えか。
特に国後島からのサーチライトが、何の目的か知らないけれども、とにかくときどき標津あるいは羅臼の町を照らし出す、こういった事実、あるいはまた、ソビエト領事館の副領事が地方自治体の首長に、この町には友好団体が少ないからつくれということを要求する。そういった要求が、どういう語気で、どういう
言葉で言われたかも知りませんけれども、こういった問題について、
国際法というものを踏まえて、外務省がどのようにお
考えかということをまずお聞きしたいと思います。